令和2年02月27日中野区議会予算特別委員会

.令和2年(2020年)2月27日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席委員(40名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  6番  河  合  り  な        7番  斉  藤  ゆ  り

  8番  立  石  り  お        9番  羽  鳥  だいすけ

 10番  高  橋  かずちか       11番  加  藤  たくま

 12番  吉  田  康一郎        13番  木  村  広  一

 14番  甲  田  ゆり子        15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  若  林  しげお

 22番  内  川  和  久       23番  いでい   良  輔

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席委員(2名)

  5番  間     ひとみ        28番  中  村  延  子

.出席説明員

 中野区長    酒井 直人

 副区長     白土 純

 副区長     横山 克人

 教育長     入野 貴美子

 企画部長    高橋 昭彦

 企画課長    杉本 兼太郎

 財政課長    森 克久

 広聴・広報課長、業務改善課長      高村 和哉

 総務部長    海老沢 憲一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝瀬 裕之

 総務課長    石濱 良行

 職員課長    中谷 博

 用地経理課長  吉沢 健一

 用地担当課長  小倉 洋

 危機管理課長  田中 謙一

 防災担当課長  山田 健二

 生活・交通安全担当課長         佐々木 和夫

 新区役所整備課長中村 洋

 区民部長    青山 敬一郎

 区民生活課長  古屋 勉 

 戸籍住民課長  辻本 将紀

 産業観光課長  堀越 恵美子

 文化・国際交流課長           藤永 益次

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  戸辺 眞

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小田 史子

 子ども・教育政策課長          永田 純一

 学校再編・地域連携担当課長       伊藤 廣昭

 保育園・幼稚園課長、保育施設利用調整担当課長 濵口 求

 幼児施設整備課長板垣 淑子

 教育委員会事務局指導室長        宮崎 宏明

 学校教育課長  石崎 公一

 子ども教育施設課長           塚本 剛史

 子育て支援課長、子ども家庭支援センター所長 神谷 万美

 児童相談所設置調整担当課長       半田 浩之

 育成活動推進課長伊藤 正秀

 地域支えあい推進部長          野村 建樹

 地域包括ケア推進担当部長        藤井 多希子

 地域活動推進課長伊藤 政子

 トータルケア調整担当課長、北部すこやか福祉センター所長 小山 真実

 アウトリーチ調整担当課長、南部すこやか福祉センター所長 石濱 照子

 地域保健福祉調整担当課長、中部すこやか福祉センター所長 志賀 聡

 介護・高齢者支援課長、高齢者支援担当課長 葉山 義彦

 中部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 高橋 均

 北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 滝浪 亜未

 南部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 村田 佳生

 鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 大場 大輔

 健康福祉部長  朝井 めぐみ

 福祉推進課長  長﨑 武史

 障害福祉課長  河村 陽子

 生活援護課長  林 健

 生活保護担当課長只野 孝子

 生活衛生課長  菅野 多身子

 環境部長    岩浅 英樹

 環境課長    波多江 貴代美

 都市基盤部長  奈良 浩二

 都市計画課長、交通政策課長       安田 道孝

 建築課長    小山内 秀樹

 住宅課長    三王 徹哉

 まちづくり推進部長           角 秀行

 中野駅周辺まちづくり担当部長      豊川 士朗

 まちづくり計画課長           千田 真史

 まちづくり事業課長、大和町まちづくり担当課長 菊地 利幸

 弥生町・平和の森周辺防災まちづくり担当課長 森 眞一郎

 新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 荒井 弘巳

 中野駅周辺まちづくり課長        松前 友香子

 中野駅新北口駅前エリア担当課長     石井 大輔

 中野駅地区担当課長           小幡 一隆

 中野駅周辺地区担当課長         石橋 一彦

 中野駅周辺基盤整備担当課長       石原 千鶴

 選挙管理委員会事務局長         松原 弘宜

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     吉村 恒治

 事務局次長    小堺 充

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     井田 裕之

 書  記     野村 理志

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     遠藤 良太

 書  記     松丸 晃大

 書  記     高橋 万里

 書  記     山口 大輔

 書  記     有明 健人

 書  記     五十嵐 一生


午前10時00分開議

○山本委員長 定足数に達しましたので、ただいまから予算特別委員会を開会します。

 第6号議案から第10号議案まで計5件を一括して議題に供します。

 前回、2月26日(水曜日)の理事会の報告を行います。

 初めに、本日の委員会運営についてです。本日の総括質疑の順番は、1番目に長沢和彦委員、2番目に市川しんたろう委員、3番目に斉藤ゆり委員、4番目に甲田ゆり子委員、5番目に来住和行委員、6番目に高橋ちあき委員の順で6名の総括質疑を行うことを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 なければ、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 御異議ありませんので、そのように運営します。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようお願いいたします。

 それでは、質疑に入ります。長沢和彦委員、質疑をどうぞ。

○長沢委員 おはようございます。2020年第1回定例会予算特別委員会に当たりまして、日本共産党議員団の立場から総括質疑を行います。

 初めに、特別区財政調整交付金についてお伺いをいたします。

 歳入のところで特別区財政調整交付金についてお聞きいたしますが、施政方針説明では、最も重要な特別区民税の確実な税収の確保に努めていくと区長は述べられました。とても大切なことであり、納税義務者数の増加もあって、来年度は約331億円を計上しております。他方、特別区財政調整交付金は368億円を計上し、歳入の構成比は25.1%と、特別区民税を含む特別区税を上回ってもおります。特別区財政調整交付金の都区間の配分割合は、来年度は区側55.1%、都側44.9%で決着したとの報道がございました。都区間の協議でこうした結果となった理由は何ですか。伺います。

○森財政課長 今回の配分割合の変更でございますが、児童相談所の関係が発端かなと考えております。平成29年度から、児童相談所関連経費について、基準財政需要額を算定した上で都区間の配分割合を変更すること、また、設置準備経費を特別交付金で全額算定することを区側から提案してきたところでございます。この間、様々都区間の意見の隔たりというものが大きかったところでございますが、1月中旬の区長会からの改めての区案の受入れの申入れに対しまして、都側から特例的な対応ということで配分割合の変更が提示されまして、今回の結果になったということでございます。

○長沢委員 当然ながら都区間で合意をしての結果であるということだというふうに思っております。

 しかしながら、1999年度(平成11年度)に都区が合意した都区制度改革実施大綱では、都と特別区の事務配分または役割分担に大幅な変更があった場合、その他必要があると認められる場合に配分割合を変更することとしております。法令上の明確な役割分担の変更があるにもかかわらず配分割合を変更しないとなれば、都区間の合意事項を反故にすることとなると区側は協議の場では主張もしておりました。報道によれば、区児童相談所設置に伴う財調配分割合の在り方を巡っては、2022年の暮れに行われる都区財調協議で再開することで合意したとあります。そうなのでしょうか。それまでは配分の割合の変更はないということですか。伺います。

○森財政課長 来年度に開設する3区の平年度ベースの実績が出る2022年度(令和4年度)、この際にこの配分割合の在り方について改めて協議をするということになってございます。

○長沢委員 また、協議の場では、東京都側が、今後開設を予定する22区の半数である11区の児童相談所の決算が出た時点で改めて協議すべきものと、こうした考えを示したのに対して、特別区側は、役割分担に応じて都区の財源配分を変更する。このことに加えて、中核市が児童相談所を設置した場合において、決算実績がない設置初年度より都道府県分から市町村分へその需要が付け替えられている。財調において同様に取り扱うべき。また、なぜ半数の区の実績を待たなければならないのか、理解できないとも主張をしていました。区立の児童相談所の関連経費を都区間の財源配分の協議で主張することは大変重要だというふうに考えます。同時に、配分割合の変更の主張はこの件だけにとどめてはならないというふうにも思います。子ども医療費助成の事業費、眼科検診、学校運営費など、特別区側が提案している事項でも協議が調わなかったことで見送られています。そもそも、今回区側が提案した事項だけでなく、特別区側の行政需要は増え続けております。本来、基準財政需要額に算定すべき事項は多いのが実情ではないかと認識します。現行の都区制度改革実施大綱から20年以上が経過しています。改めて配分割合については都区間での大本からの協議が必要となっているのではないでしょうか。見解を伺います。

○森財政課長 都区間の配分割合の変更につきましては、都と特別区の事務配分または役割分担に大幅な変更があった場合、大規模な税制改正があった場合、その他必要があると認められる場合ということで定められているところでございます。都区の意見につきましては、特別交付金の交付割合や児童相談所関連経費なども含めまして、大きな隔たりがあるというような状況でございます。23区が一丸になって議論を投げかけていく必要があると考えているところでございます。

○長沢委員 もう一つ、財政調整交付金の特別交付金についても伺います。

 今年度は予算額が10億円でありますけれども、来年度予算案では15億円に引き上げられております。その理由は何ですか。伺います。

○森財政課長 特別交付金の見込みというのはなかなか立てるのが難しいところではございますが、過去3年の決算の数字で言いますと、20億円を超過していたことから、今回は15億円は見込めるだろうと判断をして計上したものでございます。

○長沢委員 ちょっと繰り返しになりますけれども、中野区においても、今おっしゃったように、決算値で平成28年度は約20億円、平成29年度は約25億円、そして、平成30年度では約29億5,000万円など、予算額を大幅に上回ってもおりました。予算額の引上げ自身は当然だとしても、毎年度約5億円規模で増え続けている。これはどうしてなんでしょうか。伺います。

○森財政課長 都の特別交付金のフレーム全体がこの間増加傾向にあるということでございまして、中野区の交付額、決算額もそれに比例して増加傾向にあるところでございます。理由については、都から具体的なところについて公表されていないため、ちょっと不透明なところもあるところでございますが、区としては、特別交付金として交付されるべき内容については都に申請をしているところで、その結果ということでございます。

○長沢委員 特別交付金は、普通交付金の額の算定期日後に生じた災害等のため特別の財政需要があり、または、財政収入の減少があること、その他特別な事情があると認められるときに、特別区に対して当該事情を考慮して交付すると。これが自治令や、あるいは都区の財政調整の条例に規定されています。

 お話によりますと、そうすると、東京都が、その他特別な事情があると、こうやって認めて出しているものかというふうに、現行は捉えているのかというふうに考えます。特別区財政調整交付金の総額に対して普通交付金は95%で、特別交付金は5%です。これは、2007年(平成19年)に財政調整交付金が、区側が52%から55%になった際に、特別交付金が2%から5%の配分となりました。それから13年が経過するわけです。そして今、区長会では毎年度、特別区からは都区の協議事項として2%に戻すことが主張もされています。都側は、5%を大きく超える規模で申請されていることから、これらの財政需要を着実に受け止めるためには5%が必要だと、こういうふうに主張しているのに対して、特別区側は、算定の透明性、公平性が高い普通交付金の財源を確保するためには5%から2%に引き下げるべきだと、至極もっともな主張をしているわけであります。特別交付金については、中野区として予算額を上回る金額が都側から入ることをもってよしとしてはならないと考えます。交付額は都側の裁量で決められているのが実態ではないか。透明性、公平性は確保できていないのがこの特別交付金だというふうに思います。2%への引下げを強く求めます。また、さきに触れたように、今後、都区財調の配分割合の協議に当たっては、真に財源保障と財政調整機能を確保する制度として、一層特別区長会が一丸となって臨んでいただきたい。

 最後に、区長の御決意を伺います。

○酒井区長 国の税源偏在是正措置により特別区の財源は縮小し、区を取り巻く財政環境は非常に厳しい状況が続いております。こうした中、財調協議による配分割合の適正化を含めた都区財政調整制度の抜本的な見直しは、特別区にとって非常に重要なことであると認識をしております。区長会において議論を投げかけ、各区長と歩調を合わせ、連携して取り組んでいきたいと考えております。

○長沢委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、2番、ジェンダー平等についてお伺いいたします。

 昨年の暮れに発表された世界経済フォーラム(WEF)のジェンダー・ギャップ指数で、日本は調査対象153か国のうち121位と、前年の110位から順位を落とし、過去最低となりました。指数は、政治、経済、教育、健康の4分野で女性の地位を分析し、日本は特に政治が144位と、女性の政治参画の遅れが響き、先進国では最低水準となっております。WEFは、世界全体では女性の政治参画は著しく拡大したと評価する中で、国会議員に占める女性の割合が日本は約10%と、世界で最低水準となっていると指摘をしています。経済も依然低い水準にとどまり、女性の管理職やリーダーの少なさ、低収入が響いていると、このように言及をしています。

 まず、中野区議会での女性割合と、同区議会議員選挙の立候補の女性割合を見てみます。2011年(平成23年)の中野区議会21期は、42の定数に対して女性は11名、26.2%でございました。そのときの区議選は60名の立候補に対して15名、25%です。また、2015年(平成27年)の22期では、女性の議員は9名、21.4%、立候補の状況では59名に対して10名という16.9%の数値でございました。そして今期、23期は、女性議員が11名、26.2%、立候補者の割合は60名に対して14名、23.3%でありました。この傾向をどう見るのか。当然、選挙で当選し議員になった女性の割合が、結果こういう状況になったというものでもあります。それでも、衆参の国会議員よりは中野区議会の女性議員の割合は高い。しかしながら、問題は、立候補者の状況について言えばまだまだ少ないのが実態でもございます。WEFの指摘もそこにあったわけであります。

 では、中野区役所の職員の男女比はどうか。総務資料43を見ますと、平成27年度から平成31年度までの5年間、女性は51.7%から、今年度は50%であります。男女比はほぼ同じです。また、管理職員の女性割合はというと、平成27年度は22.1%、毎年度女性の比率が上がって、今年度は27.1%と、傾向としては大変よいのではないかというふうに思います。また、管理職ではございませんが、係長級では、今年度では51.7%と若干男性よりも高い。近い将来に管理職への登用も期待できると考えられます。女性管理職の比率がさらに向上するかもしれない、このように期待をしております。

 次に、審議会等の附属機関での女性割合はどうか。平成31年度における審議会等の会議体79全体で、女性の参画率は46.5%であります。女性の割合が4割以上の会議体の割合でも60%と、これも評価に値します。ただし、女性委員がゼロの会議体が五つあることも課題であると思います。

 そこで伺いますが、中野区としては、管理職員や審議会等の委員における女性割合を上げていく上でどのような努力を行ってきたのか。また、さらに、女性割合の比率を高めていくためにはどのような方策が必要だと考えているのか、伺います。

○中谷職員課長 管理職における女性の割合を高めていくことにつきましては、これまで特定事業主行動計画に目標値を定め、女性職員のキャリア形成を支援する研修や自主勉強会などの取組を行ってきたところでございます。今後さらに比率を高めていくためには、出産や育児、介護などのライフイベントと管理職への昇任とのタイミングやそれらの両立など、職員一人ひとりが自らの人生設計に合わせてキャリアデザインを描くことができるように支援するとともに、昇任に対する不安を払拭できるような、家事や育児をしながら働きやすい環境の整備が必要と考えてございます。

○杉本企画課長 区は、中野区男女平等基本条例におきまして、附属機関等の構成員の性別に偏りが生じないように積極的に努める旨を規定しております。これを踏まえまして、毎年度、審議会等における女性の参画状況調査を実施し、男女が等しく区の施策の策定及び実施の過程に参画する機会の確保を図ってきたところでございます。審議会等委員の女性割合をさらに高めていくためには、委員構成の一定割合を占める関係団体からの委員推薦についても割合を高めていく必要があるため、委員の推薦団体に対しましても一層のジェンダー平等に関する理解を求めていきたいというふうに考えてございます。

○長沢委員 引き続きジェンダー平等の視点で取り組んで強めていただきたいなと思っております。

 次に、働く女性の権利は守られているのか、賃金の格差を見てみたいと思います。厚生労働省賃金構造基本統計調査をベースにした資料から、男性正社員・正職員を100とした場合の女性正社員・正職員の給与水準は2018年で75.6%と差があります。男性一般労働者を100とした場合の女性一般労働者の給与水準は同年で73.3%と、さらに男女格差が見られます。総務省の労働調査による年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移では、年齢計の非正規雇用労働者全体で見ると、2018年は男性が22.2%に対し、女性は56.1%と、2.5倍以上の差があります。非正規雇用労働者の推移は、男性にとっては1990年の8.8%から22.2%と、この30年間で2.5倍にも上昇しています。これは、この間に正規雇用から非正規雇用への置き換えが進められた労働法制の大改悪が原因であると見てとれます。女性はというと、30年前には38.1%と、もともと非正規雇用労働者の割合は高い比率でありましたけれども、さきに述べたように、今日では56.1%と、働く女性の半数以上も占めております。

 中野区男女共同参画基本計画(第4次)では、女性の労働人口に占める正規雇用等の割合を成果指標で示しております。2015年度(平成27年度)の実績では70%、そして、目標値として2022年度には75%、2027年度には80%を掲げています。さきの総務省の労働調査を年齢別で見ると、25歳から34歳が37.8%、35歳から44歳が52.5%、そして、2018年(平成30年)の調査結果でもありますけれども、2015年は両年齢別、いずれも非正規雇用労働者の割合が高かったことからも、中野区においては非正規雇用の割合が30%、つまり、正規雇用が70%ですから、それに対して30%ということになりますけれども、総務省調査の結果よりも非正規雇用の労働者が低かったと見ることができます。これ自身は結構なことでありますけれども、その要因は何だったと考えるのか、また、いかにこの目標値に向けて正規雇用を増やしていこうとしているのか、伺います。

○杉本企画課長 平成27年国勢調査に基づきます女性の労働人口に占める正規雇用の割合、25歳から44歳につきましては、全国平均よりも高い水準にございます。これは、都心部におきまして、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革等の取組を受け入れる環境が地方と比較して整っている状況にあることなどが理由の一つとして考えられるというふうに思っております。成果指標の達成に向けて正規雇用の割合を増加させていくためには、区民の意識向上と職場環境の改善が必要だと捉えております。そのため、区民向けの男女共同参画週間関連事業や、区内経済団体と連携して実施する事業者向け講座などを通じまして、男女間の賃金格差解消につながる女性の正規雇用の割合増加に向けたさらなる啓発を推進してまいりたいと考えてございます。

○長沢委員 もう一つ。中野区役所で働く非正規職員のことについてもお伺いします。

 全国の地方公務員の数は、最も多かった1994年から2016年までの22年間で54万人が削減されております。その一方、臨時、非常勤などの非正規職員は64万人に上り、うち75%は女性だとする調査結果がございます。非正規職員割合は市区町村で3割を超えていること、賃金は正規職員の公務員、任用の公務員の方々の4分の1から3分の1程度であるとする格差状況をデータで挙げております。そこで伺いますが、中野区での非正規職員の人数及び正規職員との割合について、どうなっているのか、伺います。

○中谷職員課長 正規職員を再任用を含む常勤職員として、非正規職員を非常勤職員、アルバイト、任期付短時間勤務職員、育児休業代替任期付職員としますと、平成31年4月1日現在で、非正規職員が575人、正規職員が2,201人でありまして、職員全体に占める非正規職員の割合は20.7%でございます。

○長沢委員 非正規職員の捉え方で数値も変わってくると思いますが、今、課長がおっしゃったように、中野区では任期付短時間勤務職員、この制度を導入しております。一定数を抱えているため、非正規職員として捉えたということになると高い割合となります。ただ、ジェンダー平等の視点から言うと、ここは圧倒的に女性が多いのも事実であります。やはり、今後、私たちは仕事が非常に量的、質的にも増えているわけでありますけれども、大変になっているわけでありますが、正規の雇用を基本としながら、―来年度は会計年度で、こうした職員の任用制度自身も設けられるわけでありますけれども、しっかりとそこの辺は注視をしていただきたいというふうにも思っております。

 次に、女性の婦人相談についても伺います。

 中野区健康福祉部の事業概要では、婦人相談員及び女性相談員を配置し、女性の様々な問題や悩みの相談を受け、その解決のための助言、指導を行っているとし、相談件数を月別実人数で内容別に記しております。平成30年度は863件と、ここ数年で件数が多い結果となっています。また、平成30年度はその他が114件と非常に多いわけであります。ここ近年の相談の傾向についての見解を求めます。

○林生活援護課長 近年の傾向としましては、夫婦間のDVや親族間のDVに係る相談が多いところでございます。平成30年度の相談件数でその他が増えた理由といたしましては、匿名による電話相談が頻繁にあったためでございます。

○長沢委員 大変夫婦間や親族間のDVが多いというのが近年の特徴だという御答弁でございました。

 そのDVの中でも、性暴力、性被害等に関する相談の状況について伺います。性暴力被害に遭っても誰にもどこにも相談できない被害者は6割に上るとの調査結果がございます。心身への負担は長期に及び深刻だとも言われています。では、性暴力や性被害の相談、これはどこで行っているのでしょうか。伺います。

○林生活援護課長 区の相談窓口としましては、福祉推進課の犯罪被害者等相談支援窓口や生活援護課の婦人相談員への相談窓口があり、必要に応じ連携して対応しているところでございます。

○長沢委員 被害に遭ったときにすぐにアクセスでき、身体的・精神的ケアを受けられることは、被害回復にとって極めて重要だと考えます。医療や証拠保全を同時に行うことができる病院拠点型の24時間365日のワンストップ支援センターが必要だと言われ、そうした設置も全国で進められてございます。

 東京都では、24時間365日のワンストップ支援に取り組んでいる民間の団体「SARC東京」がございます。こうした東京都との連携はどのように行っているのか、また、医療拠点や医療連携はどうなっているのか、この点についてお伺いいたします。

○林生活援護課長 区は、一人ひとりの相談内容に応じて、直接医療機関につないだり、警察、都と女性相談センター等の関係機関と連携して対応を図っているところでございます。現在のところ、性被害により緊急に医療機関につなげなければならない相談は受けてございませんが、仮にこうした相談があった場合には、必要に応じ区内医療機関や性暴力救援センター・東京(SARC東京)につなげるなどの対応を図ることとしているところでございます。また、緊急に相談が必要な場合に備え、区のホームページでもSARC東京を紹介することも考えているところでございます。

○長沢委員 2018年6月、日本産婦人科医会による47都道府県50施設を対象としたワンストップ支援センター調査によりますと、2018年度の産婦人科診察件数は1,916件と、2015年度の3倍になっております。精神科、加えてカウンセリングの1,064件は、2.5倍にも増加をしております。東京都では、ワンストップセンター1か所への交付金は2018年度で3,776万円、国から東京都への交付金は760万5,000円と、この5分の1にすぎない実態がございます。十分な体制と予算が図られることが極めて必要であります。

 2018年6月に、国会では、当時の7野党・会派が性暴力被害者支援法案を提出いたしました。こうした法案の成立が今望まれていると思います。

 また、ハラスメントの防止対策についてもお伺いいたします。

 昨年6月に、仕事の世界における暴力とハラスメント撤廃に関する条約が国連の国際労働機関(ILO)で採択をされました。世界的なセクハラ告発のうねり、「#MeToo」運動の影響などがあったと考えられます。保護の対象をアルバイトやインターン、求職中の人や採用試験を受ける学生、ボランティア、雇用契約の切れた人まで、幅広く働く人と定義をしています。会社の中限定ではなく、出張先や移動中、通勤中、飲み会など交流の場、社内メールやLINEなど、仕事と関連のコミュニケーション全般にわたるものでもございます。

 一方、現在、日本では法律に禁止規定がありません。禁止規定がないと、ハラスメントをしてはならないというルールが社会で共有されません。ハラスメントは行為者が悪いという規範ができない。日本では被害者責任や被害者バッシングが強いので、より必要だとも言われています。日本でのハラスメントを禁止する法律と条約の批准が求められています。

 昨年5月29日に、女性活躍推進法改正案が参議院の本会議で可決、成立をいたしました。ハラスメント対策では、これまで規定のなかったパワハラについて、新たに事業に対して雇用管理上の防止措置を義務づけたことや、労働者が事業主にパワハラ、セクハラ、マタハラ等の被害を相談したことを理由とする不利益扱いを禁止するなど、改善点はあります。しかし、既に防止設置義務が制度化されているセクハラ対応の現状は極めて不十分であり、労働団体などはハラスメント禁止規定を設けることを強く要求しておりましたが、禁止規定は見送られました。

 さて、地方自治体にも男女雇用機会均等法が適用され、既に自治体の長にセクシュアルハラスメント防止のための啓発や相談体制の整備、周知などの措置義務が課せられてございます。ところが、地方公共団体ではこの履行状況が把握・公表されておりませんでした。国会で実態把握がただされ、総務省が取りまとめた結果、市町村で要綱・指針案の作成は52%、職員向け啓発関係資料作成・制度周知は50%、通報・相談窓口の設置は78%、研修の実施は58%など、取組の遅れの状況が分かったわけであります。

 では、中野区では、要綱・指針案の作成、職員向け啓発関係資料作成・制度周知、通報・相談窓口の設置、研修の実施、この四つの取組についてはどうなっているのでしょうか。また、セクハラだけでなく、他のハラスメントの取組についてもお伺いをいたします。

○中谷職員課長 2002年10月に職場におけるセクシュアルハラスメントの防止に関する基本方針を定め、また、2018年2月には、これに加え、パワハラや妊娠、出産、介護に関するハラスメントの防止についても内容に盛り込んだ中野区職場におけるハラスメント防止に関する基本方針を定めてございます。この基本方針に基づいて、中野区職場におけるハラスメントに係る相談員等設置要綱を策定し、ハラスメント相談員とハラスメント苦情処理委員会を設置しておりまして、職員課と職員団体を相談窓口とするほか、外部の相談窓口も設置し、電話相談やインターネットのサービスを使った相談ができるようになってございます。職員に対しましては、管理職昇任者や希望する職員を対象としてハラスメント防止研修を実施しているほか、ハラスメント防止のリーフレットなどにより、全庁的な意識啓発を行っているところでございます。

○長沢委員 ありがとうございます。引き続き、こうした策定、当然ながら法律の改正自身が求められておりますけども、こうしたハラスメントをなくしていく、その立場で引き続き頑張っていただければというふうに思います。

 ここで、選択的夫婦別姓についてもお伺いいたします。

 日本では90%以上の夫婦が男性の氏に合わせております。中野区議会では2018年第4回定例会で選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書を国に提出いたしました。早期の実現が待たれているところでもございます。

 住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令が昨年4月に公布されて、住民票、マイナンバーカード等への旧氏の併記ができることになりました。このことは誰にも何ら不利益をもたらさず、国民多数が望む選択的夫婦別姓へ制度化を進めるのではなく、旧氏の併記の一部導入をもって選択的夫婦別姓の法制度を拒む政府の意図が透けて見えるわけであります。しかしながら、このことが別姓を望み長年にわたり運動し裁判まで行ってきた人々を励まし、選択的夫婦別姓の法制化につながることを期待したいと思います。制度がないのは日本だけであります。

 板橋区では、別姓を認めさせる改善策として、国民健康保険証への旧性併記を実施するといたしました。他の分野への拡大も期待されていると聞いております。中野区においても、申出があった際には旧氏の併記について検討すべきではないでしょうか。伺います。

○杉本企画課長 住民票、マイナンバーカードなどへの旧氏併記は女性活躍推進施策の一環として行われたものと認識してございまして、この趣旨を踏まえまして全庁的な調査を行っております。この調査結果を踏まえまして、企画部として音頭を取り、法の趣旨にのっとった対応を求めてまいりたいというふうに考えてございます。

○長沢委員 ぜひ検討していただきたいと思っています。

 男女平等は引き続き達成すべき重要な課題でありますけども、法律や制度の上で一見男女平等となったように見える社会においても、女性の社会的地位は低いままであり、根深い差別が残っています。多くの女性が非正規で働き、政治参加が遅れ、自由を阻害され、暴力にさらされ、その力を発揮することができておりません。ジェンダー平等社会を目指すとは、あらゆる分野で真の男女平等を求めるとともに、さらに進んで、男性も女性も多様な性を持つ人々も差別なく平等に尊厳を持ち、自らの力を存分に発揮できるようになる社会を目指すということであります。男女平等基本条例の改正と男女共同参画基本計画の改訂の際にはもちろん、あらゆる政策、施策にジェンダー平等の視点と取組をきちんと盛り込む必要があるのではないでしょうか。最後にこれについての見解を伺います。

○杉本企画課長 ジェンダー平等を達成するための視点や取組は、区におけるあらゆる政策、施策に盛り込むべき考え方であると認識しております。今後も、中野区男女平等基本条例の改正に向けました検討を進めるに中におきまして、必要な視点を検討するとともに、現状を検証した上で取組内容を再調整してまいりたいというふうに考えております。

○長沢委員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、中野駅新北口駅前エリアの再整備についてお伺いします。

 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画が策定をされました。議会からは、策定に至る過程で、市街地再開発事業による権利変換でなく、定期借地権での再整備についても検討せよとの議論もございました。我が会派としても、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画の策定に至る過程で、定期借地権の再整備についても検討をと求めてきたところでもあります。その趣旨は、中野区内で今後出現することのない一等地であり、区民財産である。土地を残すことにより将来の活用があり得ること。区役所の跡地を民間に譲渡した例はないのではないか。そうした考えから主張をしてきたところであります。区は、定期借地権についても検討を行ったと議会で答弁をされています。では、どの方針・計画策定の過程で定期借地権による再整備を検討したのか。還元するならば、どの方針・計画の過程で市街地再開発事業による再整備を決めたということなのでしょうか。まず、土地区画整理事業による街区再編を行うとした時期はいつなのか、伺います。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 土地区画整理事業につきましては、平成28年4月に策定いたしました区役所・サンプラザ地区再整備実施方針におきまして、新北口駅前広場との一体的整備を着実に実施するため、土地区画整理事業による街区再編、基盤整備を目指すとした考え方を示してございます。

○長沢委員 それでは、市街地再開発事業の権利変換方式によるこの再整備を決めたのはいつですか。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 市街地再開発事業につきましても、その実施方針におきまして、建築物の一体的整備の着実な実施と公的資産の適正かつ確実な運用を両立させる手法として、市街地再開発事業による資産活用、また、建築物整備を計画するとした考え方を示したものでございます。

○長沢委員 今おっしゃったように、街区再編、区画整理事業についても、あるいは、権利変換方式を使っての市街地再開発の事業についても、平成28年4月の区役所・サンプラザ地区再整備実施方針において示されたというお話でもあります。ただ、同じその年の、私もここで何度かこのまちづくりについての質疑をさせていただいていますけど、その際にも、やはり御答弁としては、市街地再開発を行った場合、たらればみたいな言い方で、そういう意味では答弁としては極めて慎重にお答えをされていました。というのは、やはり、実施方針そのものについても明記はしていないわけですね。そういう中で、これについてどこでどういう形で決めていたのか。当然ながら想定はずっとされていたというふうに思いますけども、そういう意味では、議会に対して、あるいは区民に対して、きちんと情報提供をする。あるいは、これはもう決まったわけで、説明責任を果たしていくというのは極めて大事ではないかと、こんなふうに思っているわけであります。

 また、都市計画決定手続を経ることで公的に認められる事業となる。これは、今回の定例会の本会議での区長答弁で、このことが権利変換による市街地再開発事業を選んだ理由として強調をされてきたところであります。しかし、市街地再開発事業全てが都市計画決定を得るものではありません、一般論として。個人施工の場合は都市計画決定は必要がないということもあります。しかしながら、中野区は当然ながら都市計画の手続を踏んでいくというふうにしています。このエリアについては、市街地再開発事業を個人施工で行うということ、そして、都市計画決定の手続を経て行うと、これを決められたのはいつだったのですか。伺います。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 まず、都市計画の関係ですが、同じく、実施方針におきまして、都市計画決定手続を目標スケジュールとして既に示してございます。また、平成30年3月に策定をいたしました中野四丁目新北口地区まちづくり方針におきまして、都市の健全で秩序ある整備を図るため、面整備事業や公共基盤整備に当たっては都市計画を定めていくとの考え方を示したものでございます。また、今回の市街地再開発事業におきまして適用する個人施工でございますが、昨年の第2回定例会の委員会におきましてお示しをしました再整備事業計画策定に向けた基本的な考え方において想定する施工体制として示したものでございます。

○長沢委員 それでは、策定された、今おっしゃった中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画についてもお伺いいたします。

 土地や建物の権利は、中野区役所分はできる限り残すものとしております。他方、権利者全員が同意をするならば、土地のみを所有することもできるとも述べています。資産の持ち方、活用の仕方は今後の検討によるともいいます。それでは、今後どの方針・計画でそうした検討の方針を示すことになるのか。その時期はいつなのか。また、その際、区民、議会への議論は保障されているのか。この3点についてお伺いいたします。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 資産そのものの権利変換の扱いでございますが、最終的には2023年度頃の作成を予定しております権利変換計画におきまして確定をされますけれども、その前年、2022年度頃の市街地再開発事業に係る都市計画決定時にはおおむねの方針を定めておく必要があると考えております。その手続に際しまして、区民や議会に情報提供をしていくことになるかと考えております。

○長沢委員 また、区が建物の床を持つとなると、公共施設で活用するのが原則だとも述べています。床を保有することになると想定しているのであれば、どのような活用がふさわしいのか。これは、先ほど来伺ってきた市街地再開発事業については早々と決めて、そうした検討方針を持ちながら、土地なのか、土地は共有ということになりますけども、床の区分所有なのか、こうした内部での検討はされていなかったということなんでしょうか。また、その理由は何だということになりますか。伺います。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 原則型の権利変換ですと、土地は共有、床は区分所有ということになります。再整備事業計画におきましては、権利変換により保有する資産につきましては、今後の検討、調整の過程で、公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断するものとし、土地のみでの所有も視野に入れて検討するとしているところでございます。今回は一部転出、一部権利変換と考えているところでございますので、幾ら分転出するかということは今後の精査ということになります。

○長沢委員 市街地再開発のこうした事業、これを権利変換方式で進めていくというところの、そこの一番の肝は、やはり、新区役所の整備の費用を出す。また、あるいは、融資がありますから、その借金を返済するという、そこのところに既定をされていたのだろうと思っています。それは、今後の、今現在においても、そこが定まらない限り、やはり、今言った土地だけで持つ、あるいは、床は区分所有で持つ、そういったことについても今ははっきりと申し上げられないのかなと、そんなふうに思うわけであります。

 昨日も他の委員の方から、もし床で持つ場合においては、これは収益が上がるものと。また、他の委員の方は、やはり床で持つものについては慎重に行うべきと。こういうふうな御意見もあったわけであります。当然ながら、公共施設ということになれば、行政目的を資する行政財産として持つのが原則なのかと。しかし、そうなると収益というのは見込めないということになります。いずれにしても、議会や、あるいは区民の皆さんに、この在り方そのものについて議論をしてもらう。区自身がそのことを示していく、これは大前提になっていくのかなと。これは課題だというふうにも認識をしております。

 この項の最後に、まちづくり中野21についてお伺いします。

 2008年度(平成20年度)の議会での決議に基づき、まちづくり中野21がここのエリアのまちづくりを牽引していくとしていました。ところが、この間の報告では、まちづくり中野21については、区と並列に権利変換の対象としては触れていますが、まちづくりを牽引する位置付けや役割などについては何ら言及をされていません。どうしてなのか、お伺いします。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 再整備事業計画におきまして、中野サンプラザの後継施設として、民間活力の活用による新たな拠点施設整備の方針を示したところでございます。まちづくり中野21におけるまちづくりを牽引する役割は果たされたと考えております。今後は、区が権利変換をした資産を保有することにより、事業への一定の関与を保持し、事業の着実な推進を図っていく考えでございます。

○長沢委員 ありがとうございました。以上で私の全ての質疑を終わります。

○山本委員長 以上で長沢委員の質疑を終了いたします。

 次に、市川しんたろう委員、質疑をどうぞ。

○市川委員 おはようございます。令和2年第1回定例会の予算特別委員会に当たり、中野区議会自由民主党議員団の立場から総括質疑を行わせていただきます。

 質問項目については通告どおりで、その他の項目はございませんので、御了承ください。

 最初に、中野駅周辺のまちづくりとエリアマネジメントについて質問をさせていただきます。

 中野駅周辺のハードはおおよそ見込みがついてまいりました。既に完成を見た四季の都市(まち)、警大跡地に建設予定の新区役所庁舎、サンプラザ・区役所地区一帯整備、中野三丁目土地区画整理事業、西口駅前広場、中野二丁目、そして、区内有数の繁華街を抱える中野五丁目エリア、そこに含まれるブロードウェイ等がJR中野駅を中心にして今後10年のスパンで実現することは、皆様の御承知のとおりでございます。これらのハードの完成をもってまちづくりのゴールとしてしまうと、時を経ていくうちにまちの活力が失われ、来街者の減少が進み、まちの魅力が大きく損なわれてしまう要因になりかねません。まさにゴールはスタートであって、既に中野五丁目の繁華街やブロードウェイのように、ソフトの充実を図り、ハードの中に魂を吹き込むことが今後大きく必要不可欠になってくると私は考えております。その魂を吹き込むことがエリアマネジメントであって、今後の中野のまちの価値やプランニングに大きく寄与するものだと私は確信をしております。

 そこで、まずは最初に、サンプラザ、現区役所の跡地に市街地再開発事業によって再整備する中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画についてですが、本年2月から事業者募集が始まりました。その事業者募集に当たっての参加資格の基本的要件として、事業初期からのエリアマネジメントの周辺地域との連携、市街地再開発事業の事業完了後における長期にわたる施設の運営や維持管理などの体制構築を視野に入れた事業を展開する意思のある者と示されております。

 そこでまず伺いますが、この中で示されているエリアマネジメントというのは、この中野駅新北口駅前エリアのエリアマネジメントだけではなく、中野駅周辺の各エリアで今後構築されていくであろうエリアマネジメントとの連携、そういったことを期待すると、そういうふうに私は解釈しておりますが、間違いはございませんか。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅新北口駅前エリアにおけるエリアマネジメントにつきましては、周辺地区との連携も求めておりまして、各地区との取組と連携をしていくことが望ましいと考えております。

○市川委員 ということは、中野駅新北口駅前エリアの事業者が取り組んでいくエリアマネジメント、こういったものは事業者提案の中で周辺地域において先駆けて行われていく、考えられていくものでありますから、今後の中野駅周辺のエリアマネジメントにおける中核、中心となっていく存在というふうに考えてよろしいですか。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 選定された民間事業者には、このエリアマネジメントにつきましては早々に取り組んでもらいたいと考えております。その点ではリードしていく存在として期待をしているところでございます。

○市川委員 ありがとうございます。この事業者が講じていくエリアマネジメントの充実が今後の中野駅周辺のまちづくりを大きく左右するということがよく分かりました。

 今度は具体的に伺わせていただきますが、事業初期からという表現が先ほど述べた基本的要件の中に示されておりましたけども、事業初期ということは、上物、建物、そういったものが完成する前から何かしら取り組んでいく、そういうふうに捉えられると思うんですが、どんな取組を想定しておりますか。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 地元からは工事期間中に客足が減ることへの懸念の声も聞いております。中野の文化や周辺地域のにぎわいを絶やさないための取組が必要であると考えております。渋谷駅周辺などの先行事例にあるように、情報発信や期待醸成につながるプロモーション、イベントなどの活動を想定しているところでございます。

○市川委員 今、渋谷、固有名詞が例として出てきてまいりましたけども、今定例会の一般質問の中で、我が会派の加藤たくま議員が、エリアマネジメントは企業型、行政型、そして、地域型の三つの形態があると申し上げました。この事業者が取り組むエリアマネジメントについては完全に事業者のみで行っていく企業型のものになるのか。それとも、行政も関わっていくハイブリッド型のものになっていくのか。そして、行政として関わっていくお考えがあるのであれば、事業者が決まっていない中でございますので、想定の範囲は超えるわけはないと思うんですけども、ちょっとお示しを頂きたい。

 そして、先ほど長沢委員との御議論もあったのですけども、中野駅新北口駅前エリア再整備事業の計画においては、中野区は権利変換モデルを検討していると。例えば、床で権利を持つのか、広場を持つのか等々、可能性は様々想定できる中で、まず、エリアマネジメントにどう関与していくのかを検討していくことが、今述べたようなハードの所有の仕方だったり、考え方、これが固まっていくのかなと考えますが、お考えをお示しください。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅新北口駅前エリアにおけるエリアマネジメントにつきましては、民間事業者が主体になることをイメージしております。ただいまありました権利の持ち方にかかわらず、区は地権者としてでございますので、地権者の1人として活動に参加していくこともあるかと考えております。

○市川委員 ということは、やっぱり中野区としてもプレーヤーとして参加していくことはあり得ると思います。

 先ほど申し上げた加藤たくま議員の質問の中では、中野駅周辺においては各地区の整備におけるエリアマネジメントを誘導するとともに、中野駅周辺全体でまちづくりの目標を共有し連携していくためのプラットフォームの組織づくり、そういったものが必要であるとの区長答弁がございました。これまでのエリアマネジメントの議論は、ともすれば中野駅新北口駅前エリア、あるいは、中野駅周辺全体のエリアマネジメントに特化をされ過ぎて、それ以外の中野駅各周辺の地区の開発におけるエリマネ、そういったものに注目がいっていなかった感があるのではないかと私は思っています。

 ここで改めて、プラットフォームの前提となる新北口駅前エリア以外の各種のエリアマネジメントについても注目すべきと考えてまいります。

 そこで伺いますが、例えば、新北口駅前エリアで先行して進んでいる中野駅南側の市街地再開発事業である中野二丁目あるいは中野三丁目エリアマネジメントの検討はどうなっているか、お伺いをいたします。まず、中野二丁目の市街地再開発事業におけるエリアマネジメントの検討状況についてお伺いいたします。

○石橋中野駅周辺地区担当課長 中野二丁目地区の市街地再開発事業につきましては、現在、権利変換計画の認可申請中であり、今、まさに施設建築物の着工に入ろうとしているところでございます。再開発ビルの完成が2024年2月の4年後、駅前広場の拡張整備完成が2026年3月の6年後でございます。こうした中、再開発事業に併せたエリアマネジメントにつきましては、再開発組合や参加組合員である住友不動産、これにつきましてもその重要性を強く認識しているところでございまして、今後、具体的に検討を進めていく予定でございます。区としても、権利床や広場等のオープンスペースの活用を含め、単に再開発の建物価値の維持・向上といった目的にとどまることなく、商店街を含めた周辺エリアまで拡張させたエリアマネジメントの在り方を検討していきたいというふうに考えてございます。

○市川委員 住友不動産というお名前も出てまいりましたけれども、市街地再開発事業である中野二丁目では、ディベロッパーが中心となりながら企業主導型のエリアマネジメントが展開される、そういったことだというふうに思います。

 中野駅周辺では、今後、囲町地区だったり中野四丁目西地区において第一種市街地再開発事業が予定されております。中野二丁目地区で展開されるエリアマネジメントは、それら再開発エリアの試金石となるものであると私は考えています。中野二丁目におけるエリアマネジメントの検討の中で、再開発エリアにおける中野区としてのエリアマネジメントの在り方をしっかり形づくっていただきたいと思います。

 一方、土地区画整理事業が進む中野三丁目エリアはいかがでしょうか。中野三丁目では新たな玄関口として西口広場が整備をされているわけでございますが、桃丘小学校の跡地を一部活用して、時間消費・滞在型の商業施設を整備・誘導したい旨の区の考えが示されております。中野二丁目の市街地再開発事業とは規模は違えど、中野三丁目に新たな機能が出現をして、これまでにない人、物、情報の流れが生み出されることが想定される。そういった中で、中野三丁目にもエリアマネジメントの仕組みが求められると考えていますが、このことについて区はどのように考えているのか、伺います。

○石橋中野駅周辺地区担当課長 中野三丁目地区におきましてもエリアマネジメントの必要性を認識しているところでございます。ただ、そのエリアマネジメントの在り方は先ほどの中野二丁目地区のそれとは異なるものというふうに考えてございます。中野三丁目地区は土地区画整理事業エリアが中心とはなりますが、その周辺エリアを含めて、既存の資源を生かしながらまちおこしをしていくといったまちづくりとなります。このことから、町会や商店街といった地域を中心として、近隣の事業者や学生、あるいは、今御紹介があった新たに整備される三丁目拠点施設の開発事業者といった主体を巻き込みながら、地域課題の解決を主たる目的とするエリアマネジメントになるのではないかというふうに考えてございます。そうした意味では、区の関与は重要なものになるというふうに考えてございます。

○市川委員 地域課題の解決というのが御答弁の中に出てきたわけでございますが、ちょっと具体的にお伺いをさせていただきますが、中野三丁目エリアマネジメントは中野駅周辺の大規模開発と規模や性質が異なる一方で、中野三丁目で言うと、かねてから指摘されている町会会館の老朽化だったり、容積率が使い切れていない街区の問題だったり、今後のまちづくりという、そういった問題もございます。こういった現状を抱えている諸問題を解決することは、もちろん今後発生する問題等々の解決にも寄与する、そういったお考えということでよろしいでしょうか。

○石橋中野駅周辺地区担当課長 先ほども少し触れましたが、中野三丁目地区では現在、土地区画整理事業のエリアを先行してまちづくりを進めていますが、今後、その周辺エリアのまちづくりにつきましても検討を進めていく予定でございます。委員から御案内のあった町会会館の在り方等を含め、地域課題やまちの将来像を地域の方々と共有しながら、エリアマネジメントの観点も取り入れて具体的な検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

○市川委員 ということは、その拠点を誘導し、整備し、それが起爆剤となってまちづくりのステップ2、ステップ3と広がりを見せていくと、そういった考え方なのかなと思います。

 中野三丁目エリアの町会、商店街は、かつて桃花小学校に統合された桃丘小学校が地域の良好なコミュニケーションを形成していて、桃丘小学校を中心とした町会であると地域の方から伺ったことがございます。今後、中野三丁目のエリアマネジメントにおいても、地域、町会、商店街の人々の声をどう取り込むのか、お伺いします。

○石橋中野駅周辺地区担当課長 中野三丁目地区につきましては、これまでも様々な機会を捉えまして、町会、商店街等とまちづくりに関する意見交換を行ってきたところでございます。今後も、まちづくり勉強会等の開催を含め、地域と様々なコミュニケーションの機会を増やしていきたいというふうに考えてございます。

○市川委員 今御答弁いただいた内容のそういったエリアマネジメントであれば、中野区内のほかの商業エリアだったり、例えば西武線沿いだったり、丸ノ内線沿線、そして、JRのほかの各駅、そういった交流・生活拠点のまちづくりに応用できるのではないかと考えるわけです。先ほど申し上げました企業型、行政型、地域型のどれにも該当しない、あるいは、全てを包括する三つのハイブリッド型なのかもしれませんが、ぜひとも中野三丁目のエリアマネジメントを確立し、モデル化をして、区内全域に全面展開をしてほしいと、そのように思います。

 また、東京のセンター・コアでは、既に展開されているエリアマネジメントは確立をされ始めております。しかし、新宿より西側の都内各エリアの中では、エリアマネジメントに対する取組というのは中野区が先駆けたものになるのかなと思います。こうした意味でも、中野駅周辺の各地区の開発が進む中で、エリアマネジメントの誘導は重要であると考えます。様々な主体が様々な形でそのエリアの課題を解決し、建物価値のみにならず、地域の価値も維持・向上させていく取組に注目をし、区がしっかり関与して進めていく必要があるかと思います。ただし、そこで終わりではなくて、それらをつなぐプラットフォームとしてのエリアマネジメントの仕組みも重要であると思います。その後、各開発地区のエリアマネジメントを誘導した後、また、並行してそれらのプラットフォームとなるエリアマネジメントをどう構築していくのか、区のお考えをお示しください。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅周辺におきましては、各地区整備におけるエリアマネジメントを誘導するとともに、中野駅周辺全体でまちづくりの目標を共有し連携していくためのプラットフォームの創成が必要であると考えております。各地区整備の関係者とともに、地元関係者などのステークホルダーに対して区としてプラットフォーム構築の方向性を示していくことが必要であると考えております。

○市川委員 ここで重要となるのは、やはり、区の組織としての体制の在り方、そういったものだと考えます。中野駅周辺のハード整備が着々と進む一方で、区のエリアマネジメントへの取組は一体どこが担っているのか、現時点では不明確だという声を多く聞いております。

 第4回定例会の中で、私が一般質問の中で庁内の横断的組織が必要であると申し上げた際に、区長から、まちづくり部門だけではなく、産業振興や観光・文化政策なども関連しており、今後、庁内体制を含めてエリアマネジメントの在り方について検討してまいりますとの御答弁を頂きました。

 そこでお伺いしますけども、エリアマネジメントというのはまちを育てるものなんですけども、このまちづくりに対する熱い思いの存在が必要条件となっていて、深い人間関係だったり信頼関係、そういったものは極めて重要であると考えます。そうした意味でも、日々地域に入り込んで、地権者や事業者の意見を調整して、一緒に悩んで課題を解決しながら、思いを共有しながらまちづくりを進めている現場のまちづくり部隊、いわゆる中野駅周辺で言えば中野駅周辺まちづくり課が主たる組織と考えますが、来年度以降のエリアマネジメントの主たる組織はどこが担って、ほかの部署がどのように関与していくのか、区のお考えをお示しください。

○石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 各地区整備におけるエリアマネジメントを誘導するのは中野駅周辺まちづくり課の役割であると認識をしております。その上で、中野駅周辺全体につきましては、産業振興や観光・文化政策なども関連しており、庁内においても横断的な推進に対する構築が必要であると考えております。

○市川委員 今、産業振興、そういったお名前が出てまいりました。これまでまちづくりの観点からお話を伺ってまいりましたが、エリアマネジメントではソフト面の充実が必要不可欠、そういうふうに考えているところです。ソフトということで考えると、産業、観光、国際、文化、そういった所管の区民部の皆様のお役割も非常に大きくなってくるところであります。ここで、区民部長の御意見も伺わせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

○青山区民部長 従来、区は旧都市政策推進室においてハードとソフトのまちづくりを一体的に進めておりましたが、組織改正により、今年度から産業、観光、文化、国際化に係る施策は区民部において行っております。エリアマネジメントにつきましては、まちづくり推進部が中心となって進めていく中で、当部としても必要な連携を行ってまいります。

○市川委員 ありがとうございました。ただいま区民部長からも御答弁を頂きました。やはり、各部が今後関わりを積極的に持ってもらうということが重要なんだろうと、このように考えます。

 中野区におけるエリアマネジメントの議論はまだまだ未成熟、そういうふうに考えます。今後もしっかりとした区の体制づくりが待たれるところでございます。この質疑の中でも、企業主導型、ハイブリッド型、プラットフォーム型など、様々なエリアマネジメントの概念が出てきました。何が正解かはまだ本当に分からないわけです。一つ言えるのは、丸の内でもなく六本木でもなく渋谷でもなく、中野区版のエリアマネジメントを確立していかなければならない、そういったところだと思います。100年に1度と言われているこのまちづくりを100年先の未来まで維持・向上できるように、エリアマネジメントの仕組みとともに実現することを願い、この項の質問を終わります。

 次に、森林環境譲与税についてお伺いをさせていただきます。

 平成31年3月27日に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立をいたしました。森林環境譲与税は令和6年度から個人住民税に上乗せして、1人当たり1,000円が徴収されていきます。昨年から始まりましたこの森林環境譲与税でございますが、復興税からの切替えとなっていて、区民に納めていただいた森林環境譲与税ですから、区民に還元をされていかなければならないと、このように考えます。そもそも林野庁は、森林環境税は地域温暖化防止や災害防止等を図るための地方の安定的な財源であり、全国の市町村の皆様はこれを有効に活用することで、各地域においてこれまで手入れができていなかった森林の整備が進むことを期待するとし、税の使途としては、1、間伐や路網といった森林整備に加えて、森林整備を促進するための人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発と明記をしております。

 しかし、自治体によって抱えている状況は大きく異なっていて、都内の中野区の状況と地方の森林が豊かな自治体とは、事情が大きく違うわけです。中野区においては、これから区役所の建て替え、小・中学校統廃合に伴う建て替えが進む中で、財源が非常に厳しくなってきております。ですから、森林環境譲与税の使い方というものはおのずと地方の自治体や森林を多く抱えている自治体とは違うものになってきて、中野区としては3番目の使途目的である木材の利用の促進や普及啓発というものに特化して森林環境譲与税を使っていくのが妥当だと私は考えますが、よろしいでしょうか。

○波多江環境課長 都市部の自治体として取り組むことは木材利用の促進や普及啓発と考えており、区は中野区公共建築物等における木材利用推進方針を定め、区施設への木材活用のほか、木材利用の普及啓発に資する事業にも活用することといたしました。

○市川委員 そこで、我が会派から以前から御提案させていただいているのが、森林環境譲与税と国・東京都の補助金を活用することで、今、木材活用方針の話が出てきましたけど、区の持ち出しを最小限に抑えつつ、小学校、中学校の建て替えに活用し、かつ木育に資するものにしていくということがございます。

 お伺いさせていただきたいのは、令和2年度の森林環境譲与税の使途について、具体的にお示しください。

○伊藤育成活動推進課長 森林環境譲与税の使途でございますけれども、児童館、ふれあいの家、本庁舎3階の子ども総合相談窓口に設置予定でございますキッズスペースへの配置を検討しているところでございます。児童館、ふれあいの家に配置する木製おもちゃについては、ボールプール、大型の積み木などを想定しているところでございまして、1か所当たり80万円程度を予定してございます。また、子ども総合相談窓口では、木製おもちゃ、棚やベンチなど、320万円程度を予定してございます。

○市川委員 今、80万円と言ったとき、大変声がまた小さくなってしまったような気がしたのですけども、昨年の第2回定例会の一般質問で、我が会派の議員から森林環境譲与税について質問がされた際にも、区長は、最も有効に活用するために、一時的に環境基金に積み立てることも想定との御答弁をされています。一度頂いた御答弁内容からも一転して、木製おもちゃ──木製おもちゃ自体を否定するものではないのですけども、木製おもちゃを購入するという判断をされたわけなんですが、その判断に至った理由、そういったものを根拠と併せて明確にお示しください。

○波多江環境課長 第2回定例会におきましては、森林環境譲与税を施設整備に有効活用するために木材利用の考え方を整理していく旨を答弁いたしました。第3回定例会中の常任委員会において、木材利用推進方針の策定と森林環境譲与税の活用事業について、施設整備と木材利用の普及啓発に資する事業に活用する旨の報告をいたしました。この方針の検討の中で、森林環境譲与税を施設整備のために積み立てるほか、令和2年度は木製おもちゃなど子ども施策に活用する方向で検討を始めたものでございます。

○市川委員 我々議員は、一般質問とか総括質疑、こういった中で、行政側から答弁を引き出すためには日々努力をしているわけでございます。方向転換をされる場合はその理由を明確に示していただかなければ、行政との信頼関係が損なわれ、この後、高橋ちあき委員からその辺のお話がございますけども、ましてや、議会の議論のやりとりとは全く無関係になってしまうのか、疑義が生じるわけでございます。

 具体的にまたそれぞれお伺いしたいのですけども、区内にあるおもちゃの配布予定は、児童館に配布されるというふうに聞いたことがあるのですけども、それは間違いございませんか。

○伊藤育成活動推進課長 児童館、ふれあいの家で活用する予定でございます。

○市川委員 児童館のうち、何館にそれを配布される予定でございますか。

○伊藤育成活動推進課長 合わせて18館でございます。

○市川委員 18館という御答弁でございました。今後児童館が、子ども文教委員会の中で御報告があったかもしれませんけど、18館から九つに児童館が減っていくというふうにちょっと聞いたことがあります。18館で購入したものが9館に集約されていくわけですよね。これはもしかしたら余分に余ってしまうこともあるかもしれませんけども、これは計画が大変ずさんじゃないかなと思うんですが、どうでしょうか。

○伊藤育成活動推進課長 18館で導入の予定でございますけれども、複数の候補の中から一つを選んでいって、あまり重ならないような形で選んでいって、児童館自体が減った状態では、要はあれですね。大型遊具がほかの児童館でも。要は同じものがないような状態で、移転して活用できるようにしていきたいなと考えてございます。

○市川委員 なるべく重なることがないようにということなんですけども、今、重なることがないようにというふうにおっしゃいましたが、それは誰が選ぶのですか、そのおもちゃは。

○伊藤育成活動推進課長 各児童館で選んでいただきますけれども、利用者の声を聞きながら選んでいくということです。

○市川委員 各児童館で買われるということは、児童館長が、例えばカタログなのか何かは分かりませんけど、そういった中から選ぶ、そういうことで間違いありませんか。

○伊藤育成活動推進課長 おもちゃメーカーのカタログがございまして、その中から選んでいくということを想定してございます。

○市川委員 児童館が選んでいくわけですから、児童館によってそんなに選ばれるものが大きく違うということは考えられないと思うんですよね。大体似たようなものになったり、こういったものが欲しいと子どもたちが考えるところは一致するような気がするのですけど、その辺はいかがですか。

○伊藤育成活動推進課長 できるだけ複数の中から選んでいくということを考えてございます。

○市川委員 ちょっと時間もございませんので、次に行かせていただきますけども、先ほど申し上げた区長の御答弁の中で環境基金のお話がございました。環境基金に積み立てた場合に可能な事業、こういったものをちょっとお示しいただきたいのですが、想定の範囲内で教えていただきたいと思います。

○波多江環境課長 環境基金に積み立てた場合に、せんだって答弁もありましたけれども、学校施設について整備をする際に、いろんなところに腰壁を作るであるとか、図書室に木材活用をするであるとか、また、区役所のような建物の中に木製の施設の整備をして普及啓発を図るであるとか、それから、木材の活用についての普及啓発などが想定をされるところでございます。

○市川委員 ありがとうございます。そういった方針で活用していただけるのは大変ありがたいのかなと思います。

 これまで質問をさせていただいてまいりましたけれども、より多くの区民に還元するということであれば、木材活用方針も定められているところで、再三申し上げますが、国と都の補助金、交付金をしっかり活用して、公共施設の活用、すなわち、環境基金への積立てをしっかり長期的な観点を持って行っていくべきだと改めて確信をしたわけです。今後も森林環境譲与税が区民にとってベストな形で還元されるように我が会派は訴えを続けてまいる所存でございますので、よろしくお願いします。

 それでは、次の項の質問に移らせていただきます。

 今、私の地元でございます新井地区、昨年度から区民が真っ二つに割れて衝突している問題がございます。大変混乱を来しているわけでございます。その原因というのは私は区にあるのではないかと思っております。区がもっとしっかりしていれば、ちゃんとしていればこんな混乱はなかったのかなと私は思っています。その問題、旧中野刑務所正門の問題を最後にお伺いさせていただきます。

 区は昨年11月の区民委員会において、旧中野刑務所正門の曳家が技術的に可能というお話でした。我が会派は、最初からそんなことは可能に決まっていると主張してきたのですけども、ちょうど1年前の総括質疑でも行われたわけですが、区は聞く耳を全く持とうとしてくれませんでした。区はこれによって方針を再検討すると言っております。しかし、現地保存の方針を決定する前には曳家の検討はしなかったのでしょうか。

 そこで、昨日の小林ぜんいち委員の御質問にもあったのですが、もう一度確認をさせていただきたいと思います。曳家に係る具体的な検討はいつからどのように始めたかについて、もう一度お伺いします。

○藤永文化・国際交流課長 昨日の小林委員に対する御回答と同じですが、議会において曳家を含めた多角的な検討をすべきではないかという御議論がございました。これを受けまして、本年度、実際に現地に立ち入った上で、専門業者の調査を実施するなどの具体的な検討について、旧中野刑務所正門学術調査において実施したところでございます。

○市川委員 それは、議会側から強く曳家について多角的に検討せよという意見が強く出てきた後ということになるかと思います。ということは、現地保存方針決定前に、やはり曳家について検討していなかったということになるんだと思います。なぜ現地保存方針という重大な意思決定をする前に調査をしなかったのですか。区はエビデンスに基づいた区政を目指すと言っていますが、十分な調査をせずに重大な意思決定をしたことの意図が私には全く分かりません。

 そして、次の質問に移らせていただきます。

 区は現在、門の取扱いを再検討しており、区は教育委員会に意見を聴取しているとの話がございました。確かに、教育委員会のホームページを見ると、令和元年12月20日、教育委員会において、旧中野刑務所の正門の取扱いに係る意見聴取について協議がされており、令和2年1月10日に中野区文化財保護審議会への諮問が可決されているように見てとれる。そう聞くと普通の物事の進め方だなという感じはするのですけど、しかし、今、お声も上がりましたが、現地保存を決めたときにどうだったのか、そういう疑問が湧くわけですけど、いかがですか。

○藤永文化・国際交流課長 現地保存決定前に、教育委員会に対して旧刑務所正門に関する意見聴取は実施してございません。ただ、門の取扱いに対する報告は行っているところでございます。

○市川委員 教育委員会から文化財保護審議会へ諮問する形で門の審議が始まるということでしたけども、現地保存方針決定の際には学識経験者3名に聞いたと議事録にはございます。今回のように、教育委員会から門に関して文化財保護審議会に諮問が行われ審議されたことはあったのですか。

○藤永文化・国際交流課長 現地保存方針の決定前に、中野区文化財保護審議会において、旧中野刑務所正門に関する審議は実施してございません。ただ、門の取扱いに関する報告は行っているところでございます。

○市川委員 しかし、一方で、中野区は対話の区政の掲げていることからか、区民の意見交換会やタウンミーティングを実施したと聞いております。そのテーマとその日付、それについて教えてください。

○藤永文化・国際交流課長 テーマにつきましては、意見交換会、タウンミーティング、共に旧中野刑務所正門の在り方についてでございます。意見交換会については平成30年10月14日、タウンミーティングは平成30年10月22日にそれぞれ実施してございます。

○市川委員 区が確固たる方針を持たずに区民に意見を聞くという、そういうことが本当に対話の区政なのか、疑問を感じるところですけども。地元の区民に聞くと、この会で区民の意見が割れて対立したということも聞いています。このときから地域で衝突が始まったと言う人もいるんですよ。これは、区がさしたる方針を持たずに、区の方針を安易に区民に聞いたことによるためだと私は思います。その後のPTAの説明会も非常に混乱したと、そういうふうに聞いています。区は区民の意見を聞くつもりだったのかもしれませんけども、結果として区民の対立を単にあおっただけ、ただそれだけになっています。このように、確固たる根拠もエビデンスもないまま区民の意見交換会を開催するのは、本当に僕はやめたほうがいいと思います。いたずらに保護者と地域を対立させるだけだと思います。今お話を聞いていただいた内容をちょっとまとめさせていただくと、区は、現地保存方針決定前に曳家については具体的な検討をせずに、また、教育委員会に正式に意見を聞かずに、諮問の形での区の文化財保護審議会も開かれずに現地保存方針を決定したということですよね。これらの意思決定過程をいま一度聞いてしまうと、最初から現地保存ありきで性急に物事が進んでいたという疑念が拭い切れません。

 最後にお聞きしますけど、この現地保存方針を誰がいつ決めたのですか。現地保存方針決定の意思決定はいつか。そして、誰が最終決定権者か。決定起案の決定日付と最終決裁者をお伺いします。

○藤永文化・国際交流課長 門の現地保存方針の決定日につきましては平成31年1月22日でございます。決裁は区長決定でございます。

○市川委員 分かりました。区長が最終的に決めたということですよね。

 そして、区は、昨年2月に区長の記者会見を実行してこの方針を発表して、新平和の森小学校の開校は2023年だと発表しています。区民や保護者はそれを信用して、今、門の取扱いは再検討となり、開校日は不透明となり、非常に混乱している、そんな状況です。不十分なエビデンスと知見と意見聴取によって門の方針を決定し、その上、土地も取得できていないという不確定な状況でありながら2023年に開校と言ってしまったのは、そもそも軽率だったのではないかと、そういうふうに思います。そういう情報発信を区自らが行い、区民や保護者を混乱させ、事態をここまで悪化させた責任は一体誰がどのように取るのか。門の取扱いを再検討するなら、まず、このことを世間に明らかにしていただきたいと要望いたします。(「質問してよ、それっぽく」と呼ぶ者あり)すみません、今、先輩委員からのアドバイスがございましたので、ちょっと追加ですけども、最後に、区長、この問題についてどのような見解を持っているか、お答えください。

○酒井区長 先ほどのタウンミーティングの話、御指摘がございましたけれども、やはり、建物の保存に関して、双方いろんな意見がございます。それを最初にしっかりと区民の皆さんの意見を聞いた上で、私としては熟慮を重ねて決定をした次第でございます。その後、議会からの附帯意見がつきまして、曳家についての再検討をということなので、私たちとしてはその技術的な検討もしているということでございます。

○市川委員 先ほど来から話をしていた中で、技術論の話だったり手続の話だったり、不十分だった、不透明だったということは間違いないと思いますので、今後はそういうことがないように気をつけていただきたいと最後に申し上げて、私の質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。

○山本委員長 以上で市川委員の質疑を終了します。

 次に、斉藤ゆり委員、質疑をどうぞ。

○斉藤委員 令和2年第1回定例会予算特別委員会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から総括質疑をいたします。今回が初めての質疑となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、子育て先進区における学校教育について、学校教育予算についてお伺いします。

 子育て先進区実現に向けた施策を掲げ、令和2年度当初予算、一般会計1,468億2,300万円のうち、子ども教育費は557億6,770万円、構成比は38%となりました。昨年度の子ども教育費予算の構成比率が35.3%であることを見ると、子育て・子育ちに係る予算は充実されてきていると言えます。まちをつくるのは人、未来をつくるのは子どもたち。特に教育、中でも学校教育は、社会全体として子どもを育てていく大切なものです。地域で活動していた頃、中野区の教育予算は適切なのかどうかという話がよく話題になりました。

 実は、予算書の中に、学校予算が幾らなのかを分かりやすく示された金額がありません。例えば、学校施設整備費が入っておりますために、年度ごとに変わってしまう。また、広く社会教育費の費用も含まれていたりします。そこで、私はまず、学校教育予算を考えるに当たり、一つの指標として、子ども・教育政策費の中、校割予算がございます。それを見てみたいと思います。これは、学校長の裁量で使える学校運営に係るものであります。近年どのように充実を図られてきたか、お伺いいたします。

○永田子ども・教育政策課長 校割予算は、学校ごとに次年度の学級数や児童・生徒数の予測数に各項目の単価を乗じて算出した総額を学校に提示し、各学校長の裁量で予算の配分を行うものでございます。この算出の基礎となる単価につきまして、児童・生徒1人当たりの単価の増や図書充実費の加算を行ったほか、令和2年度予算におきましては、学校再編に伴う大規模校について一定の加算を行い、予算の増を図ってございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。こちらは、校舎管理や学校備品の購入、図書の購入、クラブ活動費、また、学校独自の教育活動に係るものなど、有意義に使っていただくものでございます。与党会派からも主張していたとおり、近年、予算単価等を見直され、また、大規模校における加算も実施されたということで、金額が上がっていることは評価したいと思います。

 そしてまた、教育委員会として、校割予算だけではなく、もともとのある学校教育の充実を図るために十分な予算を確保するため、令和2年度においてどのような事項に重点を置いてきたのか、お聞かせください。

○永田子ども・教育政策課長 令和2年度予算におきましては、新校舎の整備をはじめとした学校環境の整備や学校のICT環境の整備及び情報化の推進、新学習指導要領の全面実施を契機とした英語教育の充実などを図る予算としてございます。また、一人ひとりが安心して学ぶ環境整備として、日本語適応事業の拡充、中学校への特別支援教室の設置及び巡回指導の実施など、特別支援教育の充実を図ったところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。教育費の増額、また、様々な取組を評価したいと思います。

 決算特別委員会でも御指摘をさせていただいたのは、我が会派としては平成19年度から教育費の決算値を追いかけております。予算見合いでは他区とは教育費はなかなか比較できず、決算カードで見るのが適切です。単年度で見ると、先ほども申し上げましたけれども、学校の施設整備があると教育費が大きくふくれるので、決算教育費を通年で見なければなりません。それにより、平成30年度決算値を反映して、平成19年度から30年度までの12年間の教育費を調査したところ、何と23区中16位という結果が出ました。まだまだ中位で、今後は新学習指導要領への対応、教員の働き方改革など、まだ様々な課題がございます。また、未来の子どもたちのために、さらなる教育費の充実は望まれるところでございます。担当としてどうお考えか、お聞かせください。

○永田子ども・教育政策課長 学校教育につきましては、これまでにも中野区教育ビジョンに基づき、生きる力を育む教育を進めてきたところでございますが、これからの新しい学校教育や学び方をさらに推進していけるよう、環境の充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。

 では、今御答弁いただいたことなどを基に、令和2年度の取組から4点ほど取り上げてお話をさせていただきたいと思います。

 まず、先生が子どもと向き合う時間を十分に確保する取組についてです。

 最初に、昨年度から進められております学校教職員の働き方改革です。

 御存じのとおり、平成30年10月9日から15日までに行われた中野区立学校教員勤務実態調査によると、教員の平日1日当たりの在校時間は11時間を超えています。1週間当たりにすると、週60時間以上の者の割合が小学校では41.9%、中学校では52.3%、一番多いのは小学校の副校長で78.1%です。過労死レベル、ブラック企業ともいわれるこの状況の改善が最優先の課題だと思います。この状態をどうお考えでしょうか。

○石崎学校教育課長 教員の勤務時間につきましては1日当たり7時間45分とされているところですが、平成30年度の区の全校調査では、小・中学校とも1校当たり11時間を超えている状況にございます。また、教材研究等の必要な時間が十分に確保できないとする教員も多く、教員の働き方に関しては早急な改善の必要があると認識してございます。

○斉藤委員 また、来年度は、今お話もありましたが、小学校が、そして、その翌年、中学校においては新学習指導要領が全面実施となり、小学校では新しい教科として外国語が加わります。また、プログラミング教育の導入やアクティブ・ラーニングといった新しい視点も入り、以前ならベテランの教員がその経験を積み上げ、新採用の先生の指導に当たったわけですが、経験を積んだ教員もまた同時にゼロからのスタートという状況になります。高度のICT化が進むなど教育環境は大きく変化しており、その対応も仕事量増加につながっています。配慮が必要な子どもたちの割合が増えていること、子どもたちを取り巻く社会情勢の変化により、学校の果たすべき役割が大きくなっています。地域対応も学校の役割の一つとなっています。私は、PTA活動や育成委員としての活動、小学校でのALTの仕事を通じて、先生方の忙しさを目の当たりにしてきました。休み時間も十分に取れない忙しさは、先生が子どもと向き合う時間を確保できない状況を生んでいます。結果的に学校教育の質につながってしまうのではないかと危惧しております。

 中野区教育委員会でも危機感を持ち、導入時期を含め、昨年度より中野区立学校における働き方改革推進プランを策定し、取り組んでいただいているところでございますが、今、教員の忙しさを改善させなければ、この先の日本の未来に不安を感じると思うほど、私も危機感を持っております。変形労働時間制の導入も考えられていますが、どんなに規定を設けても、時間数を減らす抜本的な改革にはなりません。人を増やす、仕事量を減らす、仕事の効率化を考える、教職員の心身の健康を守ることを考えなければなりません。

 まず、人の配置について伺います。現在、区として学校にどのような人員配置をしているでしょうか。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 現在、区では、全小・中学校に任期付短時間勤務教員、学校図書指導員、外国語指導助手、心の教育相談員、特別支援教育支援員などを配置しております。また、全中学校には部活動指導員、学校から希望があり必要として認められた学校には副校長業務補助員、スクール・サポート・スタッフ、学校経営補助員、理科観察実験アシスタントなどを配置しております。このほかにも、都からはスクールカウンセラーや特別支援教室専門員などが学校に配置されておるところでございます。

○斉藤委員 これだけの方々が今、学校に入ろうとして、学校を支えようとしております。しかしながら、一方、この方々を適正に配置し、人材を確保すること、つまり、採用をうまくすることということは、それはそれで大変なことだと思います。

 次世代育成委員をしていたとき、学校から人材の紹介を依頼されたことが何度となくありました。人材確保をまずどのように行っているか、お伺いします。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 任期付短時間勤務教員や学校図書館指導員などにつきましては教育委員会で募集し、学校に配置しているところでございますが、スクール・サポート・スタッフや心の教育相談員、部活指導員などにつきましては学校が探している状況がございます。教育委員会といたしましては、今年度から学校サポーター登録制度を開始し、学校が探す様々な学校スタッフについて、区のホームページで募集して応募者を登録し、必要に応じて学校に紹介しているところでございます。また、これまでも東京都教育委員会では人材バンクの登録、紹介を行ってきたところでございますが、今年度から一般財団法人東京学校支援機構を発足させ、新たな人材バンクであるTEPRO Supporter Bankを運営しているところでございます。学校に対しましてはこちらも紹介しているところでございます。

○斉藤委員 人材を確保することは大事ですが、採用に関する負担というのはとても大きいものだとまた思っております。学校側の負担がないよう、ぜひフォローをしていただきたいと思います。

 そして、次、仕事を減らす効率化についてです。

 学校行事を見直したり業務の効率化を図るなどして、教員が業務に費やす時間を軽減する取組が必要だと思います。教育委員会として学校にどのような働きかけをしているのか、お伺いします。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 先月、公立学校の教育職員の勤務時間の上限に関して法的根拠を有する指針が告示されたことにより、教育職員の勤務時間に対する管理の徹底を一層求められるようになっているところでございます。指針に示される勤務時間を達成するためには、これまでの学校行事の在り方や業務そのものも根本的に見直す必要がございます。学校行事の精選や業務の効率化につきましては、本来学校が主体的に行うべきものでございます。ただし、教育委員会といたしましては、業務の効率化や教職員の意識改革についての様々な方策や工夫の例を定例校長会や教育課程相談などの機会に紹介するなどして、各校の状況に応じた働き方改革を推進しているところでございます。

○斉藤委員 ぜひ学校へのサポートをお願いしたいと思います。また、教育委員会として様々なシステムの導入などを行う際、また、いろいろな情報伝達のやり方など、現場の声を聞いた仕組み、対応を入れていただきたいというふうに思います。

 そして、次に、教職員が子どもに向き合う上で一番大切なことは、教職員の心身の健康でございます。特に、メンタル面でのサポートとして区や都の教育委員会で配慮されていることがありましたら、お聞かせください。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 区では、一人ひとりの教職員がメンタル面での自己管理ができるよう、副校長研修や初任者研修などの中でメンタルヘルスに関する内容を取り入れているところでございます。また、管理職が適切に教職員管理ができるよう、管理職に対しては、日常的に教職員とコミュニケーションを図りながら、その心身の状況を把握し、必要に応じて対応するよう働きかけてきたところでございます。さらに、何らかのケアが必要な場合に備えて、東京都教職員総合健康センターで実施しているメンタルヘルス相談や学校訪問相談、リラクゼーションなどの体験を学校に周知しているところでございます。

○斉藤委員 今、何人いらっしゃるかというお伺いはいたしませんが、学校の中で本当に心を痛めている教員の方々を伺っているところでございます。ぜひ教育委員会としても配慮をしていただきたいと思います。

 今申し上げてまいりましたが、究極には、私は根本的に教員数の確保が必要だと思っております。しかし、これは区だけの力ではできません。中野区として国や東京都に、例えば、副担任制や専科の先生を配置する等の教員数の増加、また、教員の持ち授業数の上限を設けるなど、抜本的な対応を区から強く働きかけていくことも必要なのではないかと思います。いかがでしょうか。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 区では独自に、平成30年度から任期付短時間勤務教員を各校1名配置しているところでございます。子どもたちの学力向上を第一の目的としながらも、学校行事なども担当するなど、教員の働き方改革の一端を担い、成果を上げてきているところでございます。教員の定員増等につきましては、区の取組だけでは実現することが難しい状況にございます。引き続き国や都に要望していくこととさせていただきます。

○斉藤委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 また、家庭や地域に対し、学校の置かれた状況について理解や協力を求めることも必要だと思います。既に取り組んでおられる様々なこと、勤務時間外の学校への電話は控えていただきたいとか、学校閉庁日の設置を周知するとか、部活動ガイドラインへの理解、また、地域とは学校や児童・生徒の地域・行事参加や日程について意見交換を進めていくなど、ぜひそれについて啓発をし、取り組んでいっていただきたいと思います。地域社会もまた一丸となって学校を支えていけるようでありたいと私は望んで、この項目を終わりたいと思います。

 次の点としましては、新教科への対応でございます。

 先ほど述べましたが、小学校では来年度、中学校ではその翌年に新学習指導要領が全面実施となります。令和2年度の取組で、先ほども御紹介いただきましたが、英語教育の充実が挙げられていました。これまで、中野区では小学校3・4年生以上において外国語活動が実施されておりまして、このたび、3・4年生の外国語活動は20時間から35時間、5・6年生に関しましては、50時間が新たに外国語教科として70時間が導入されます。これはおおむね、45分の授業が週に2回程度ある計算になります。グローバル化が進むこれからの社会において、外国語、特にインターナショナルランゲージとして英語を勉強することは大切なことです。

 一方で、現在の小学校教員の多くは、大学教職課程において外国語教育について学んできておりません。私はこれまで児童英語指導の仕事に携わってまいりましたが、外国語活動や外国語科での指導に対する教員の不安は大変大きいものがあります。小学校での外国語活動や外国語科での指導に対する教員の不安に対する教育委員会としての支援を御説明ください。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 これまで行ってまいりましたALT配置事業につきましては、先ほどお話もありましたとおり、小学校3・4年生につきましては各学級年間20時間から30時間へ、5・6年生につきましては各学級年間35時間から50時間に拡充して教員の指導を補ってまいります。また、外国語活動の授業の在り方を教員に指導するため、来年度から英語教育に造詣の深い学識経験者を小学校英語教育アドバイザーとして学校に派遣するとともに、別に実施する教員対象の英語教育研修の講師としても活用する予定でございます。これ以外にも、外国語活動の指導で実績のある教員を教育マイスターに指定して、その授業を広く教員に公開するようにしているところでございます。

○斉藤委員 アドバイザーにはぜひ、実体の模擬授業を行うなど、実践的なアドバイスを行っていただきたいと思います。また、ALT自体にも研修の機会を設けてほしいと思います。そして、現在はALTに母語の要件はございませんが、できれば年に数回でも学校にネーティブスピーカーとコミュニケーションを取るような機会も設けていただきたいというふうに思います。

 そして、予算要望書186ページ、小学校英語体験プログラム事業とありますが、どのようなものか、お聞かせください。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 小学校4年生全員を対象に、江東区にあります体験型研修施設であるTOKYO GLOBAL GATEWAYでの半日体験を行う予定でございます。昼食時間も含め、英語だけを使ってコミュニケーションを図る体験を行うことにより、英語への興味、関心を高め、5年生から始まる教科の外国語につなげていこうとするものでございます。

○斉藤委員 これは大変貴重な経験になると思います。中野の子どもたちはラッキーだと思います。ぜひ取組を進めていただければと思います。

 また、今度はプログラミング教育も注目されるところです。これは、コンピュータに意図した処理を行わせるための論理的な思考力を育むためのもので、私も実際にScratchと呼ばれる小学生向け教材を勉強会にて体験させていただきました。様々な指示を組み合わせて、パソコン上の猫に多角形を書かせるという作業はとても楽しく、また、一生懸命考えを深める時間ともなりました。デジタル教材やICT機器を使いながらの授業が多くなります。また、あわせて、校務も一層のICT機器の活用が期待されます。不慣れな教員には負担が多いものです。来年度の取組についてお知らせください。

○石崎学校教育課長 各学校ではICT教育推進教員を指定し、不慣れな教員への指導等を行っているほか、教育委員会では夏季にICT研修を実施し、機器の操作やソフトの活用などについて集中的に指導を行っているところでございます。さらに、来年度は、これらに加え教育情報化専門員を教育委員会に配置し、児童・生徒や教員に対して授業におけるICT活用支援、ICT機器の操作支援などの支援を行ってまいります。

○斉藤委員 ぜひ充実させていただきたいと思います。

 他の委員からもいろいろ御質問がありましたが、今、GIGAスクール構想、──GIGAはギガバイトのギガではなくて、Global and Innovation Gateway for ALLというものでございます。──児童向けの1人1台の学習用端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する構想が進められています。先ほどからお話をしておりますように、2020年は新しい概念が入り、新しい取組、視点が入り、日本の学校教育が大きく変わる節目の年かもしれません。教員が授業の準備にしっかりと時間をかけられるよう、子どもとしっかり向き合えるよう、そのための環境整備を行っていただくよう一層の取組をお願いいたします。

 次の視点は、幼児教育についてです。幼児教育を担う区立幼稚園の果たす役割について取り上げます。

 幼児期の教育は将来にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼稚園教育は、学校教育法に規定する目的及び目標を達成するために幼児期の特性を踏まえて行うものであることを基本とすると学校教育法にあります。現在、区政運営方針によって明らかにされているとおり、今後の区立幼稚園の在り方についての方針が検討されているところではありますが、これについてはしっかりと議論が進められなければなりません。

 これまで中野区は私立幼稚園が区内の幼児教育を担ってきたという歴史があります。その中で、区立園が果たしてきた役割を区としてはどのようにお考えでありますでしょうか。

○濵口保育園・幼稚園課長 中野区におきましては私立幼稚園を中心に幼児教育の環境が整備されてきた経緯があり、私立幼稚園が少ない地域に区立幼稚園を整備することで区内の幼稚園の地域偏在を解消してきたところでございます。区立幼稚園は、公立の幼児教育施設として私立幼稚園と連携・協力し、私立幼稚園とともに小学校への接続を見据え、中野区就学前教育カリキュラムを活用し、保幼小連携教育を推進するとともに、私立幼稚園・保育園等と実践的な合同研究を進め、就学前教育の向上に取り組んできたところでございます。

○斉藤委員 相互に連携しつつ、質の高い幼児教育を実現してまいりました。区として幼児教育の実践・研究の場を持っていることは大事なことでございますし、また、多様な園児の受入れを担ってきたということもございます。

 ところが、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、区立幼稚園を民設認定こども園にするとしておりました。そのときのそのような計画をつくりました理由はどのようなものだったでしょうか。

○濵口保育園・幼稚園課長 認定こども園は様々なライフスタイルの家庭が利用でき、幼稚園と保育所機能が一体的に提供され、子ども・子育て支援新制度において推進されていくことから、区は、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)におきまして、区立幼稚園2園を認定こども園化するとしてございます。また、運営については、基本的に民間活力を活用できるものは民間に委ねるとする考え方に基づき、民間事業所を誘致するという方針としてございました。

○斉藤委員 新しい考え方として認定こども園の検討がされたわけではございますが、そのとき、恐らく保育ニーズのこともあったのだと思います。そして、実は、幼稚園と認定こども園というのは、今お話もありましたとおり、形態が違っているものでございます。例えば、入園年齢、在園時間、年齢による生活リズム、長期休暇が違っていたり、保護者の就業形態が違っていたり、園児にとっては、認定こども園と幼稚園というのはそもそも違うものだというふうに私は思っております。また、認定こども園化することによりまして、先生方の配置、人数が多くなりますということも一つあったのではないかと思います。先生方の人事配置は、今、課題ではあると思いますけれども、私立園との短期の交流制度を設けるとか、また、他区との交流の仕組みを考えるなど、工夫ができるようにと思っております。

 以上のことを考えながら、区立園が担ってきた、区立園が果たしてきた役割をしっかり認識し、やはり、幼稚園と認定こども園の差異を考えながら、幼稚園の在り方を大切に思い、そしてなおかつ、先日、両区立園では保護者との懇談会を開催されたと聞いております。そこで、多くの方々より幼稚園存続の思いが寄せられたと聞いております。そのように、これまでと同様の幼稚園を希望する地域のニーズがあります。そのニーズも無視できないと思います。以上のことから、私は、区立幼稚園の存続を望むところでございます。必要であると考えているところでございますが、区としてのお考えをお聞かせください。

○濵口保育園・幼稚園課長 区立幼稚園の存続につきましては、限られた人員体制の中で持続可能な教育環境をどう確保していくのか。また、将来にわたり幼児教育の質をさらに高めるための工夫、取組などを教育委員会で十分検討する必要があると考えているところでございます。

○斉藤委員 これは、我が会派の酒井議員からも先日、一般質問でお伺いしたところでございます。区としてしっかり取り組んで議論を進めていただきたいと思います。また、区長におかれましては、区立幼稚園を訪れて保護者との懇談の場を持ったこともあると伺っております。子育て世代に選ばれる中野区、ぜひ検討をよろしくお願いいたします。

 この項の質問を終わります。

○山本委員長 斉藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

 午後1時まで委員会を休憩いたします。

午前11時56分休憩

 

午後1時00分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 斉藤委員、質疑をどうぞ。

○斉藤委員 では、質疑を続けさせていただきます。ちょっと声がふわふわしていたという話がありましたので、少し落ち着いていきたいと思います。

 では、引き続き、子育て先進区における学校教育についての取組の中で、最後になりますけれども、私の視点を1点申し上げます。

 地域で支える学校について。教育的観点から、家庭、地域、学校が一体となって子どもたちの学びに取り組んでいくことはとても大事なことでございます。一方で、先生が学校と向き合う時間を十分に確保する取組としても、そのサポート役として地域人材がボランティアとして学校に入って地域で学校を支援していくことはとても大切な考え方だと思っております。平成30年度の東京都の学校支援ボランティア推進協議会事業報告によると、23区中14区に学校支援ボランティア制度がありますが、中野区における取組についてお聞かせください。

○伊藤学校再編・地域連携担当課長 中野区は平成23年に学校支援ボランティア制度をスタートさせました。スタート時の登録者は137人、本年2月1日現在の登録者数として254人、14団体でございます。主な活動内容としまして、学習指導サポート、本の読み聞かせ、花壇づくりなどがございます。ボランティアの登録期間としましては、おおむね3年としてございます。登録延長の場合には、登録期間内に教育委員会に改めて申請手続を行うということになってございます。

 活動に対する謝礼としまして、交通費、材料費等の活動に伴う必要経費として活動内容1回当たり500円を支払うこととしてございます。ボランティアがボランティア活動中の事故に備えるため、教育委員会が傷害保険及び賠償責任保険に加入してございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。では、補足して、ボランティア登録の流れですが、私、次世代育成委員としてコーディネーター役を務めておりました。まず、希望者が事前に教育委員会に登録、学校は教育委員会のリストから、または次世代育成委員に依頼して人材を探していく。学校とボランティアの間の調整は次世代育成委員がコーディネーター役として務めることになっております。そして、校長または学校地域連携担当職員、学校にいる事務の職員の方ですけれども、学校支援会議を招集し、学校長、PTA会長、次世代育成委員が参加して、この会議体で人材情報の共有などについて協議することになっています。支援会議の開催実績、そこでの協議内容、課題などお聞かせください。

○伊藤学校再編・地域連携担当課長 学校支援会議は、ボランティア制度の安定的な推進及び学校と地域の連携を図るため、中学校の通学区域ごとに設置してございます。学校支援会議の開催頻度としましては、年1回程度でボランティアの活動状況に関する情報交換、学校が必要とする人材情報の共有等について協議しております。令和元年度の実績は、確認できている学校として10校中4校でございます。

○斉藤委員 ということは、中学校区9校区ある中で、今年度は4校しか開始されていないということで、ほかの校区は実施されていないということでよろしいでしょうか。

○伊藤学校再編・地域連携担当課長 委員おっしゃるとおりでございます。

○斉藤委員 実施されたところからは、様々な課題など教育委員会に寄せられたことはございますか。

○伊藤学校再編・地域連携担当課長 実施に伴いまして、先ほど申し上げましたように、情報交換、それから学校が必要とする人材情報の共有等について協議してございまして、そういったところについて報告がございました。

○斉藤委員 ということは、特に課題等は寄せられていなかった。そして、9中学校区においても、半分ほどしか実施がなかったということは、この会議体の意義については疑問が残るところでございます。

 それから次、予算特別委員会の要求資料の40番になりますけれども、「授業等における地域人材の活用状況」という表がございます。たくさんの地域人材が実は学校に入っていることが分かります。誤解のないように確認です。この方々は全員学校支援ボランティアさんでしょうか。それともそうでない方も入っていらっしゃるのでしょうか。

○伊藤学校再編・地域連携担当課長 こちらの資料につきましては、小学校の授業等において地域人材を活用しているリストでございまして、学校支援ボランティアも含めたものとなってございます。

○斉藤委員 ということは、この表は学校支援ボランティアの表ということではないということが今分かりました。その方々におきまして、保険が、一番学校に入る方々において、また子どもたちにとって学校にとって心配なのが保険の加入だと思いますけれども、この方々が全員保険に加入されているかどうか把握していらっしゃいますでしょうか。

○伊藤学校再編・地域連携担当課長 学校でボランティアの活動をいただいている方については加入していると認識してございますけれども、こちらの表、リストにつきましては、ボランティア以外の件数も含まれていると考えてございまして、そちらについては正確には確認ができてございません。

○斉藤委員 これはとても大事なことだと思います。学校に入る方々がきちんと御自身のけがも、また賠償責任についても、保険に加入されているかどうか確認はすべきだと思います。

 以上から、実際は学校支援のボランティアに関して、もともと教育委員会が持っていらっしゃるリストから探すというよりも、現実としましては、教員の個人的つながりや学校からの依頼で次世代育成委員が探すケースが多くなっています。コーディネーターとしての次世代育成委員がどこまで責任を、この人材探しに関しまして責任を持つかどうかというのは難しいところです。現状を見ると、この制度が人材バンクとしての役割を十分果たしているとは言えません。しかしながら、実際はすばらしい地域人材が学校に入って活動していらっしゃっているという事実がございます。地域人材の活用がスムーズにされるよう、学校支援という視点からもう一段階レベルを上げ、しっかりと実費支払いが行われ、特に保険加入が学校に入る方の全ての人に行われるよう、またコーディネートをする情報共有の会議体が有効であるよう、そしてさらに学校を支援する先生が子どもと向き合う時間を十分に確保するという視点から、地域人材を確保するという意味から、有償ボランティアなどの制度も導入するような新たな学校支援の仕組みをつくっていってはどうかと思います。今の学校支援ボランティア制度を見直して新たな制度を検討していってはと思いますけれども、いかがでしょうか。

○伊藤学校再編・地域連携担当課長 地域の人材を学校支援ボランティアとして活用することにより、学校と地域が連携し、小・中学校、幼稚園の教育活動の充実が図られたという成果をこちらについては挙げてございます。他方で、学校がボランティアを依頼する場合、全く面識のないボランティアに依頼する等により、学校側が独自に様々な方法でボランティアを探し依頼することも多いと認識してございます。学校支援ボランティア制度の制定から9年を経過し、制度の改善も必要なことから、地域人材の活用が円滑に行われるよう見直していきたいと考えてございます。

○斉藤委員 先ほども適切な人材をきちんと採用する、地域に今日の総括質疑の中でも様々な人々を適切に配置するということはちょっと別な次元の話ですけれども、とても今難しい場面、局面になっていることと思います。いま一度この制度も見直して、学校にとって、そして地域にとってもいい形での制度を進めていかれるよう御検討をお願いしたいと思います。

 そして、我が会派、以前民主党の頃からコミュニティスクールの在り方を検討しております。コミュニティスクールについての議論はまた別の機会にしたいと思いますけれども、今後この学校を支えていく、学校に入っている地域人材の方々の活用がその素地になるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。そうして地域ぐるみで学校を支えていこうという思いが、地域、まちにあふれていってほしいと私は思っております。お答えください。

○伊藤学校再編・地域連携担当課長 今後、導入を計画している学校運営協議会、いわゆるコミュニティスクールの導入においては、学校運営協議会が学校を支援するようなボランティアと協力・連携していくことが不可欠となります。最も効率的・効果的な地域人材の活用方法となるよう検討していきたいと考えてございます。

○斉藤委員 ぜひコミュニティスクールを視野に入れた地域人材の活用という視点を持っていただきたいと思います。こちらは要望です。

 では、次、若者支援についての項目に移りたいと思います。中高生や若者たちがその年齢特有の課題を抱えることがございます。不登校、ひきこもり、軽度の発達障害により仕事が長続きしないといった生きづらさ、また予期しない妊娠や性に関する悩み、また貧困や虐待など家庭の課題を抱えているケースも多くあります。どこかで誰かが手を差し伸べていれば犯さずに済んだ非行や犯罪もございます。これまで地域での活動において、そのような方々を関係機関につなぐのに当たり、どこに相談するか私自身迷ったことがございました。現在の中野区で、こうした若者特有の問題について総合的な相談窓口があるでしょうか。また、その場合の若者とはどのような年齢が対象になるでしょうか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 若者特有の問題につきまして、現在はほかの相談と同様にすこやか福祉センターが窓口となってございます。令和3年度に開設予定の(仮称)総合子どもセンターでは、おおむね39歳までの方を対象といたしまして、社会生活の適用に課題のある若者とその家庭に対して本人と家族の状況を総合的に把握し、段階的に自立につながる支援のコーディネートを実施してまいります。

○斉藤委員 ちょっと今聞き漏れたんですけど、下は何歳からとおっしゃいましたでしょうか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 失礼いたしました。対象年齢につきましては、上はおおむね39歳まで、下につきましては義務教育終了後の方を予定してございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。ぜひこの年齢、この年齢と区切らずにその前後も視野に入れた連続性のある支援として取り組んでいただきたいと思います。

 といいますのは、義務教育年齢までは、ある程度は学校を通じてのフォローができるわけでございます。例えば、家に食べ物がなくても昼は給食を食べることができたり、もし授業に出るのがつらくても、保健室や養護の先生、スクールソーシャルワーカーに話を聞いてもらうこともできます。ところが、中学を卒業するとその支援が切れてしまう。高校等の進学先が決まっていても中退や不登校になるケースも多いのです。文科省、令和元年の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、東京都では高校に進学したおよそ5,000人が中途退学し、これは全国の数字になりますが、単位制学校を除く学校ではおよそ52%の生徒が1年生の間に退学します。一番多い理由がもともと高校生活に熱意がないなど、学校の不適応でおよそ40%、これは見過ごせない数字でございます。これまでも当会派の山本議員が区と都と教育委員会の情報連携を進めるよう主張しておりましたが、区自身で具体的に主体的にできること、要保護生徒やそのリストには挙がっていなくても不登校など継続支援が必要な生徒の中学卒業後の継続支援について取組がありますでしょうか、お聞かせください。

○伊藤地域活動推進課長 これまでのところ、区として中学校卒業時に不登校など継続支援が必要な生徒の情報をすこやか福祉センターや子ども家庭支援センターが把握するという仕組みはございません。現在、個人情報提供に関する仕組みづくり等、支援の継続に向けて関係部署で協議を行っているところでございます。

○斉藤委員 こちら特有の問題として、恐らく自ら相談に行くということはあまりないように見受けられます。その点についてアウトリーチをかけていくということが大切な取組になると思いますが、いかがでしょうか。

○伊藤地域活動推進課長 そうですね。保護者の方が、例えば中学時代からすこやか福祉センターを継続支援先として認知していただければ、そこからすこやかの相談がつながっていくということはあるかというふうに思います。また、御本人の状況によりますけれども、相談の意欲があるということであれば、すこやか福祉センターでも新しい総合子どもセンターでも受けていくということができますけれども、なかなかそこにつながらない方に対して、御当人に対して、どのようなアプローチができるかというところは、まだ区として十分な知見を持っていないところでございますので、今後関係機関で十分そこは協議、研究してまいりたいというふうに考えてございます。

○斉藤委員 だからこそ、やはり学校、そして区と都の教育委員会の情報連携など大事になっていくのではないかなというふうに思っております。

 そして、私自身、これまでの私が受けてきた様々なケースを見る中で、若者支援の中で特に就労支援が必要だというふうに感じています。仕事に出て給料をもらうことは社会人としての自立につながります。また外出して人と接触する時間となり、とかく生活リズムが崩れそうな場合でも、ある程度のペースをつかむことができます。我が会派では、静岡県富士市での視察で、働きたい誰もが就労できるように支援する取組について学ばせていただきました。高齢者、独り親、障害者、そして人生経験の浅い若者たち、様々な方々が支援を受けられるよう、いわゆる横串を刺した取組は大変ヒントになるものでございました。中野区では、若者が相談しやすい就業支援が今ございますでしょうか、お聞かせください。

○堀越産業観光課長 若者の就労支援について、現在区では、おおむね39歳以下の方向けの就職相談、面接会を杉並区、ハローワーク新宿との共催によりまして実施しているところでございます。今年度は先月1月に実施いたしまして、中野区、杉並区に勤務地のある企業20社を集めまして、多くの求職者が来場したというところでございます。また、区が運営いたしております就労求人支援サイト「ぐっJOBなかの」にはスマートフォン版もございまして、絞り込み機能など、各事業所からの求人情報など検索をしやすいつくりとしているところでございます。

○林生活援護課長 年齢を問わず、自立相談支援機関、中野くらしサポートにおいて、就労相談も含め生活困窮者に対する包括的な支援を行っているところでございます。中野くらしサポートへの就労相談後、必要に応じてハローワークと連携した就労支援事業、中野就職サポート及び就労意欲が未成熟であったり、生活習慣上の問題等から直ちに就労できない者に対して、就労に必要な知識や能力向上のための訓練等を行う就労準備支援事業、中野就労セミナーを実施しているところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。そのほかにも厚労省による地域若者サポートステーション「サポステ」や東京都の若者総合相談センター「若ナビα」などがあり、つないでいただいているという実績は伺っております。今現在でも中野区は様々な取組をされていますが、ぱっと見て、どこがいいのというところがやはりちょっと見にくいところがございます。ワンストップで相談しやすい窓口の整理、それにはやはり、今定例会でも何度も話題に上っておりますけれども、広報アドバイザーなどを活用して、分かりやすい広報というのはとても大切なことだと思っております。障害者の認定をされている方は、企業にその枠で採用されることもありますが、障害が軽度で認定ではありませんが、例えば全日での――全日というのは一日中の業務に就くことが難しい方がいます。事業体に配慮をいただかないと採用に結びつかない場合があったりします。業務の切り出し、例えばある特定の業務だけ、午後の何時間、3時間と時間を区切って採用していただくような協力事業体のリストを作るなどの取組を区として検討することはいかがでしょうか。

○林生活援護課長 中野就職サポートにおいては、ハローワークの求人検索システム等により、職種、就業時間、仕事内容などが把握できるところでございます。中野就職サポートの職員との面談により、相談者の状況や希望を把握し、求人先の事業所との就業条件等の交渉も行っているところでございます。現在のところリスト作成は考えてございませんが、今後とも一人ひとりの希望に沿った就労支援ができるよう丁寧に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○斉藤委員 ぜひ前向きな取組をお願いしたいと思います。窓口の方々の一人ひとりの職員の方々のマインドが大事だと思います。

 東京都では都民の就労支援に係る――これは河合議員も取り上げておりましたけれども――施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例というのが制定されています。中野区では、そのような取組に関してどのようなお考えでしょうか。

○林生活援護課長 都の進める就労支援やソーシャルファームの取組の動向を注視するとともに、今後も自立相談支援機関等において、相談者の実態やニーズに沿った相談支援を行い、自立に向けた丁寧な支援を実施してまいりたいと考えているところでございます。

○斉藤委員 ぜひよろしくお願いいたします。知識がないためにだまされてしまう契約上のトラブルが、成人年齢が18歳になると増える可能性もあります。中野区消費生活センターでは、「若者のトラブル110番などを実施します」などの電話相談も行っております。日曜日の法律相談でも同様な対応をしてもらえるそうです。若者支援という視点をぜひ区の中で充実させていただきたいと思います。

 一方で、区が取り組むべき若者政策は、サポートが必要な若者の支援だけではありません。全ての若者が生き生きと活動ができ、意見が主張でき、また一人の市民として育まれるための取組が必要です。ここにおいてシチズンシップ教育、主権者教育の考え方が基本となるでしょう。ちょっと余談ですけども、「シチズンシップ教育」と表記してありますけど、「シティズンシップ教育」と表記する場合もありますので、検索のときは御配慮いただきたいと思います。

 文科省の基本的な考え方として、シチズンシップ教育とは、「主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身に付けさせること」としています。中野区でも、平成28年度から30年度までの3年間で全中学校において主権者教育の取組として模擬選挙を実施し、今後も引き続き教科指導、学級活動や生徒会役員選挙等の機会で模擬選挙での取組を継続するとしています。

 さて、中野区では、今年17年目になるハイティーン会議がございます。これは、応募により集まった中学生から18歳までの区内在住・在学・在勤者がテーマを設けてワークショップ形式で会議を進行し、必要に応じて関係機関への取材を行ったりして意見を深めていくものです。最後にまとめた意見は発表されます。設置当初の冊子を見ますと、「ハイティーン会議の活動は高校生の意思表示の場であると同時に、高校生の意見を中野のまちづくりや施策に反映させるという使命もあり」と書かれています。17年前、まだ世の中が若者政策に目を向けていなかった頃、中野区では既に区としてシチズンシップ教育を踏まえた取組を行っていたことになります。これは大変画期的なことだったと思います。ところが、近年の冊子を見るとその文言は消えており、いつの間にか調べ学習の形に変わってしまっているのを感じます。この会議の設置当初のテーマ、数年のハイティーン会議のテーマ、どのようなものがありましたでしょうか。設置当初と内容が変わっている、それはどのような経緯があったのでしょうか。現在における目的をお知らせください。

○伊藤育成活動推進課長 お答えいたします。ハイティーン会議の事業開始時は、高校生の意見表明の場であると同時に、高校生の意見を中野のまちづくりや施策に反映することを活動の視点に入れてございました。その後、対象を中学生に広げ、学校生活等の中で感じる興味や関心を重視し、自ら考え自ら道を切り開けるような人材育成という視点を位置付けた活動としてございます。

 テーマでございますけれども、設置当初の平成15年度は「10代の子どもたちに魅力的なまちとは」でございまして、平成29年度が「オリンピック・パラリンピック」、そして「教育」。平成30年度は「流行」、令和元年度は「校則」、そして「行列と心理」でございます。

○斉藤委員 自らの学びを広げていくという趣旨は理解できるものでございますが、中野区への施策に反映させるというところがなくなったという経緯についてはいかがでしょう。

○伊藤育成活動推進課長 そうですね。施策が設置当初、中野区のまちづくり関係とかそういうものに対しての施策というのも反映されてございましたけれども、その後対象を中学生に広げたということで、要は学校生活の中で感じる興味とか関心を重視した結果テーマが変わったということでございます。

○斉藤委員 私は在住の参加者が少なくなった、私立の中高生が増えたというふうに認識をしておりました。でも、自分の学校がある中野区、まちをよくしていこうという視点は当然あってもよいと思います。ですから、大変、この項目がなくなったことを私は残念に思っているところでございます。来年度予算で48万5,000円の予算がついておりますが、他区に誇れる事業だったと思いますが、今回の平成31年度外部評価の結果は、改善や見直し、縮小や廃止を求める大変厳しいものでした。これに対して区の見解はいかがでしょう。

○伊藤育成活動推進課長 ハイティーン会議は、中野区在住・在学・在勤の中学生から18歳までの方を対象に学年や地域、私立・公立の枠を超えて生徒が自ら集まり、自由にテーマを設定し議論を深め、合意形成の過程を経験できる貴重な機会となる事業であると認識してございます。今後は、参加者を増やすことに努めるとともに、地域課題や区政課題についても調査研究、意見の交換を行う機会を増やすなどの改善を図り、ハイティーン会議の活動の成果をより広い方々と共有できるよう工夫していきたいと考えてございます。

○斉藤委員 私は、このハイティーン会議の在り方を見直し、生涯にわたって中野を大切に思い、関わってくれる若者を育てるような、区が支援する一つのシチズンシップの教育の場として一段階上げてはどうかというふうに思っております。それが中野区に住む、また通学する、仕事をする若者たち、まちに対して愛着を持つ、そういう人、社会の市民の一員が育つための一助となるのではないかというふうに思っています。中高生にしかない目線で中野の課題に対して調査研究し、発表。区が提案としてそれを受け止めるものとして位置付け、政策立案に生かすような仕組みまで持っていってはどうでしょうか。

 これは前に間議員が質問で取り上げたものでございますけれども、例えば、愛知県新城市の若者議会のように、若者と市民、職員が共同して政策を立案、市へ答申し、そこに予算がついて実施されるというような形をとることもできます。若者の声を区政に生かすということも求められていくと思います。

 このたび、この若者政策について研究の費用がついています。先進地の視察を検討するなど情報収集にも努めていただき、新たな取組として発展させていただきたいと考えますが、お考えはいかがでしょうか。

○伊藤育成活動推進課長 現在、ハイティーン会議の活動の中間報告として、育成団体、PTA、民生児童委員、町会等に参加を呼びかけた交流会を秋に開催してございます。当日はメンバーが企画運営し、区長や教育長の参加も得て、中高生が参加者とグループディスカッションを行うなどで課題を共有し、議論する有意義な機会となってございます。来年度はこれまでの成果を踏まえながら、若者がさらに幅広い交流や活動を通じて成長できるよう、先進自治体への情報収集を行う予定でございます。ハイティーン会議の今後の在り方については、若者政策に関する調査や研究を進める中で、当事者である中高生や若者の声、地域の方々の声をお伺いしながら検討してまいりたいと考えてございます。

○斉藤委員 区長の施政方針説明に、「常に変わりゆく社会課題に即応していくためには、課題を共有し、ともに考え、ともに解決に向けて行動する人を増やしていくことが不可欠です」と話されており、こうした人材を育てていくことはシチズンシップ教育の目的にも合致したものです。いわゆるシチズンシップ教育というのは、投票率を上げることだけが目的ではありません。ですから、このハイティーン会議を、せっかくの機会なので、シチズンシップ教育につながるようなものに一段階上げていくような検討をぜひしていただきたいと思います。それが私の先ほどの問いかけだったんですけれども、いかがでしょうか。新しい視点を踏まえていただきたいという点についてお答えください。

○伊藤育成活動推進課長 今後、情報収集とか先進自治体の事例を集めていって、またさらに意見交流会等を実施していって、さらに育成課題、地域課題等を念頭に置きながらちょっと拡大していきたいなと考えてございます。

○斉藤委員 区としての明確なビジョンを持って進めていただきたいと思います。以上でこちらの質問は終わります。

 では、最後の項目になります。まちの風景を大事にしたみんなで取組むまちづくりについてお伺いします。

 実は、今後の区有施設の整備の考え方についてからお話を始めたかったのですが、ちょっと時間がなくなりましたので、区が持つ区有施設、土地等の観点から、一つだけ、生産緑地地区の活用について質問させていただきます。

 生産緑地というのは、生産緑地法で定められた土地制度の一つで、公園や緑地など公共施設の敷地に供するのに適している土地で、30年間農地として管理することが義務付けられますが、税制面で大幅に優遇が受けられることができます。このたびその生産緑地の多くが令和4年に指定解除を迎えます。生産緑地の緑は区として大切な資源です。同僚議員からも、これは一般質問でお話がありましたけれども、現在上鷺宮と大和地域に8か所あるのみです。それが、平成5年には25か所、5.46ヘクタールもありました。貴重な緑の土地が減少した、この生産緑地が減少していった経過についてお聞かせください。

○安田都市計画課長 お答えいたします。生産緑地は、生産緑地を所有する権利者側において農業を継続することが原則になっております。減少した理由は、生産緑地を所有する権利者側において相続等の理由から農業を継続できず減少したものでございます。

○斉藤委員 そのときに、こちらの緑地法の規定の中で、区に買取り請求が行われることがございます。それは、全部においてなかったのでしょうか。

○安田都市計画課長 区として土地を取得する場合には、原則として使用用途や目的等が定まっていない土地は購入できないものとなってございます。また、計画的な位置付けがない場合には、国等の補助金の活用も困難であるというのが理由でございます。生産緑地の区への買取り申出があった場合につきましては、区として活用検討を行ってございます。結果として活用に適した土地がなかったことや権利者との交渉がまとまらない等の理由から買取りができなかったものと考えてございます。

○斉藤委員 ということは、あらかじめ計画があり、それぞれの生産緑地の活用の方針が決まっていたら、もしかしたら違っていたかもしれないということでしょうか。

○安田都市計画課長 生産緑地につきましては、区の都市計画マスタープランにおきましても、区の北西部地域における貴重な緑とオープンスペースの機能・役割を果たしていると考えてございます。こうした地域の地域環境特性を維持していくためには生産緑地の保全の考え方や生産緑地としての継続が困難となった場合の公共としての計画的な活用の在り方などについて、個々の立地条件等を踏まえて検討を進めることが大事と考えてございます。

○斉藤委員 ぜひ区としての方針を持ってあらかじめ計画を立てられたらどうかと思います。ただ、多額のお金がかかることです。補助金を得ることができないか、また基金の積立てを考えることはできないか、平成30年度の税制改正で、市民農園の貸付けでも相続税の納税猶予が適用されることになったそうです。生産緑地法の改正で建築規制の緩和も図られ、例えば農家カフェや販売所を併設することができるようになりました。ここで稼げる土地利用を考えることもできます。クラウドファンディングの活用も可能かもしれません。あるいは、公園に隣接した土地は公園として、学校の近隣だったら学校で利用する畑として利用することもできるかもしれません。夢は広がります。そんな対応を検討できればいいなと思います。これは提案とさせていただきます。

 では、最後になります。景観まちづくりについてお伺いをさせていただきます。

 家を出て、職場や買い物に出かけるとき、また子どもとまちを散策するとき、美しい町並みが続いていたら、このまちに住んでよかったなと思う方は多いことと思います。ところが、実際のところ、これは中野に限ったことではありませんが、まちをつくる意識のないまま機能重視で一つひとつの施設を造ってきてしまったがために、統一性のない町並みができ上がってしまったという日本の状況がございます。西武新宿線沿線では、近年派手な色の大きな広告が目立つようになり心を痛めております。これまで中野区では景観形成の取組が系統立って行われていませんでした。こちらの10か年計画にも十分ではないと記載があるところでございます。この10か年計画(第3次)では、ステップ2で景観についての項目に、景観形成、基本方針の検討を行い、景観行政団体への移行を推進するとしていますが、実現されていません。

 このたび令和2年度の主な取り組みのところで、景観方針の策定、(仮称)景観まちづくりガイドライン策定に向けた検討を行いますとあります。既にこちらも同僚議員が取り上げているところでございますが、景観政策の在り方を示す基本的な方針ということでよろしいでしょうか、お伺いします。その後の景観行政をどのように今進めていく計画かお聞かせください。

○安田都市計画課長 (仮称)景観まちづくりガイドラインは、景観行政を進めるための指針となる考えを示すものでございます。これを踏まえまして、区は景観法に基づく景観計画を策定し、この中で景観計画区域、建物の形態、意匠等の規制、誘導手法、良好な景観形成に向けた具体的手法とともに参加と協働のための制度を定めることによって景観行政を進めていくことと考えてございます。

○斉藤委員 いろいろお伺いしたかったのに、ちょっと時間がないので、実は景観行政団体というのは、23区中、20区は団体になっている、中野区を入れて3区はなっていないという実情がございます。ぜひ景観についての取組を進めていただきたいと思っております。景観規制というと、屋外広告への規制や建築物への形態、意匠などを指すものではありますが、一方で、先ほども申しました美しい景観を守りたいという景観権はとても主観的なものであったり、地域によって異なっていたりします。つまり、良好な景観を守るという取組は、実は住民と行政の合意の下に基準を設けていくという方法でしかつくられないものではないかと思うのです。多くの区民や区を訪れる人たちが一緒に考えたり、専門家の意見も聞いて考えていくものなのではないかと考えております。景観法では、「良好な景観は、美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠なものであることにかんがみ、国民共通の資産として、現在及び将来の国民がその恵沢を享受できるよう、その整備及び保全が図られなければならない」と2条1項にあります。区は何をもって今中野らしい良好な景観と位置付けてこの施策を進めていかれるのでしょうか、お伺いします。

○安田都市計画課長 委員御指摘のとおり、いろんな専門の方々や住民の方々等の意見が必要ということもございますけれども、まずは景観法に基づき、景観まちづくりの策定に当たっては良好な景観形成に向けた具体的手法とともに、参加と協働のための制度を定める。あるいは、景観法に定められた景観計画や具体的な規制誘導手法などを併せて検討し、良好な景観形成に向けて具体的手法を検討していきたいと考えてございます。

○斉藤委員 風景という言葉があります。世田谷区では、景観条例ではなく風景条例と名づけています。中野区でももう少し概念を広げて、公園、寺社などの、例えば哲学堂や旧野方配水塔のようなそういう建物だけを残すという概念ではなく、例えばお祭りでのおはやしの笛の音、並木道、区歌にもございますけれども、並木道や坂や中野駅の南のレンガ坂、北側、狸小路などの風景、商店街でのやきとりの匂いなど、そんなものも中野の景観として位置付けてはどうかと思います。区民活動センターには運営委員会がそれぞれございます。そこに集まる方々で、その地域で大事にしたい風景を集めていく。そんな取組も今回の指針に取り入れてはいかがかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○安田都市計画課長 区として目指すべき良好な景観とは、周辺の建物等との調和のとれた町並みの形成、委員のおっしゃるように地域の特性や歴史的な資源を生かした景観の形成、また将来に向けて新たに創造する都市景観など、全体として調和のとれた良好な景観を想定してございます。(仮称)景観まちづくりガイドラインの策定を目指すところでございますけれども、こういったことを参考に進めていきたいと考えてございます。

○斉藤委員 ぜひ地域の風景を大事にした中野らしい風景づくり、景観づくりを進めていってほしいと思います。

 東京都では東京のしゃれた街並みづくり推進条例を策定しています。個性的で魅力ある町並みや景観づくり推奨し、補助制度もございます。今、中野で一番おしゃれな景観があるところはどこでしょう。実は、中野セントラルパークがこれを利用したものでございます。景観というのはある意味主観的なものだというふうに思います。ほかに、私は時々行くんですけれども、豊島区の南池袋地区の南池袋公園付近、またそこにあるカフェはクールだったりしますし、新宿文化センター通り付近などはおしゃれになったと気づかれた方も多いでしょう。中野区でのさらなる実施はいかがでしょう。検討の可能性はありますでしょうか。

○安田都市計画課長 セントラルパークにつきましては、委員のおっしゃられるように、東京のしゃれた街並みづくり推進条例の適用によって様々な制度を使いまして良好な景観や町並み、憩いの空間を作成しております。様々な景観まちづくりの手法がございます。そういった手法を考えて、良好な景観形成に向けて、景観まちづくりガイドライン作成においては検討してまいりたいと考えてございます。

○斉藤委員 これから基本構想・基本計画が策定され、都市計画マスタープランの改定、新区役所庁舎を含めた中野駅周辺のまちづくり整備、西武新宿線沿線のまちづくり整備が進んでいきます。無電柱化整備も実施されていくタイムリーな時期、状況だと思います。本日も含めて、様々な委員からエリアマネジメントについても取り上げられていましたが、ぜひ景観という視点も加えていただきたいと思います。ぜひ景観の観点からまちづくりを考えていきたい。美しく魅力ある景観は、中野区の自治体としての風格を表すものです。そこには、まちづくりに携わる全ての人々が景観を大切だと思い、この場所に愛着と誇りを持てるまちを自ら築いていこうという意識が基本になければなりません。何を美しいとするかは、多くの議論を経た上で、まちのみんなで考えていくことだと思います。

 本日の全ての質疑に統一した私の考えとして、地域で支える学校、市民としてみんなでまちに愛着を持つ若者を育てていくこと、区民参加のまちづくり、みんなでつくるみんなのまち中野の実現を目指していくことをお示しして、私の全ての質疑を終えたいと思います。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で斉藤委員の質疑を終了します。

 次に、甲田ゆり子委員、質疑をどうぞ。

○甲田委員 令和2年度予算特別委員会に当たりまして、公明党議員団の立場で総括質疑をさせていただきます。

 質問は通告のとおりで、5のその他はございません。

 まず1番、令和2年度予算(案)について、(1)予算の特徴についてということで、当初予算(案)の概要の冊子に、8ページから予算の特徴として主な項目が四つの区分で取組に分けて示されております。これは今回の予算の中で最も力を入れているという意味で芽出しをされた事業と理解をしております。

 その意味で、主にこの中から幾つか質問をさせていただきます。1 子育て先進区に向けた取り組みでは、妊娠・出産・子育てトータルケア事業について、ブックスタート事業について、地域の子ども施設利用者のニーズ調査等について、関連して子ども食堂について質問をいたします。

 2の安心して地域で暮らし続けられるための取り組みでは、1点、木造住宅の耐震化促進について。

 3の区民とともに進めるまちづくりのための取り組みでも、1点だけ、西武新宿線連続立体交差事業と新井薬師前駅周辺まちづくりについて伺います。

 まず、1の子育て先進区に向けた取り組みについての中から、1点目の「妊娠期から出産・子育て期までの切れ目ない支援を推進するため、多胎児の子育て支援の拡充など、トータルケア事業の充実を図ります」について伺います。

 質疑に入る前に、昨日の他の委員の質疑の中で、来年度の区のスクラップ・アンド・ビルドの事例が二つ紹介をされましたけれども、このトータルケア事業がその一つだったという話があり、大変残念な気持ちです。持続可能な区財政を支えるため、事業の見直しや効果のない事業の削減は大事なことと思っておりますが、この事業についてはスクラップしてもよいものとは到底思えません。まだまだ足りていないという声が多いからであります。

 それでは、トータルケア事業について何点か伺います。トータルケア事業における多胎児の支援の拡充について。来年度拡充するという多胎児支援はどのようなものでしょうか。事業内容、金額、見込数なども併せて伺います。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 来年度の事業内容といたしましては、多胎児を連れての産後ショートステイ及び産後デイケアを利用する際に、事業者が家から施設まで移動の補助を行う移動補助サービスを考えております。予算金額は15万9,000円、ショートスティでは36回分、デイケアでは70回部分の利用を見込んでおります。今後、まだ示されていない東京都の補助要綱が出されましたら、それを見た上で事業詳細を確定していきたいと考えております。

○甲田委員 そうですね。来年度はこの多胎児支援に関して東京都の補助もあるようです。まだ詳細が明らかになっていなかったということで予算措置はできなかったと思いますが、聞くところによりますと、都では多胎児への移動補助、タクシー券などを考えているとのことで、明らかになり次第都費も活用して制度構築してほしいと思っております。これは要望としておきます。

 次に、トータルケア事業全体の予算について伺います。本年度のトータルケア事業の予算額は約1億4,200万円で、昨年度は1億5,300万円であったのに対し、1,100万円の減となっています。これまで私はずっと拡充を求めてまいりましたが、予算概要には充実とうたっているにもかかわらず、実際の予算を減らしているのはどういうことなのでしょうか、伺います。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 予算額につきましては、事業の見直しと実績に見合った予算額の計上をしたことにより減額になっておりますが、来年度は大きく三つ強化、拡充していく予定がございます。一つ目としましては、保健師の支援強化でございます。妊娠20週をめどに行っているかんがるー面接のほかに、来年度からは36週程度をめどに保健師による電話、または面接を実施して状況を確認し、産後ケアサービスの利用につなげることを考えております。二つ目としましては、産後デイケアの拡充でございます。兄弟児同行で利用できる施設を増やすとともに、多胎児親子に対する移動補助サービスの開始を考えております。三つ目といたしましては、経産婦や父親向け事業の拡充でございます。地域育児相談会に育児保育を追加するほか、兄弟児の子育ての悩み解消をテーマにした事業の実施、父親の参加が多い「こんにちは赤ちゃん学級」の回数増のほか、父親及び祖父母向けの栄養や離乳食に関する講習会の回数を増やすことを考えております。

○甲田委員 様々工夫はあると思いますけれども、この予算上、実績見合いでということですけれども、それでは拡充や充実とは言えないのではないでしょうか。来年度予算の特徴にあるトータルケアの充実は言葉だけになっていないかと考えます。何度も質問してきたとおり、かんがるー面接時の説明不足により、本来は支援を必要とする人が利用できないといった声が多数聞こえてきています。意図的に絞っているとは思いたくありませんが、区は説明不足などの状況を改善すると言ってきました。予算が縮小するとさらに絞らなければとの考えが働くのではないかと危惧をしているところであります。国費、都費の特財もかなり入っているわけですし、令和2年度予算ではトータルケア事業で一般財源は2,260万円余です。1人当たりに換算すれば、それほど大きな支援ではないと考えます。

 またこの度、来年度の東京都予算では公明党の要請を受け、産後ケア事業に対する区への補助を、4分の1だったところ2分の1に拡充するとの情報もありました。国費が4分の1ですから、区としては4分の1の負担になり、今年度よりも都費が倍額、上限はあると思いますけれども、倍額になるということです。

 また、次に、中部・南部すこやか福祉センターのデイケアについて、来年は取りやめるという話があります。一般質問でも河合議員から出ておりまして、私も同じ思いでありますが、私は1月24日に中部すこやかのデイケアを見学させてもらいました。好評で参加者も多い状況でした。産後直後の母子は、交通機関を乗り継いで行くことは困難であり、デイケアを実施している助産院は北部や杉並区側に偏っているため、南部や東部の人はすこやかでのデイケアがなくなると行き先の選択肢を失ってしまうのではないかと考えます。なぜこの事業をやめてしまうのか、改めて理由を伺います。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 一般質問でもお答えいたしましたけれども、母親の身体的回復、心理的な回復の促進、育児支援を目的とする産後デイケア事業として実施しているすこやか福祉センターにおける利用者アンケートを分析いたしましたところ、本来のデイケア事業のほか、子育ての仲間づくりについての期待も大きかったということが分かりました。こうした利用者のニーズ等を踏まえまして、すこやか福祉センターのデイケア事業を整理いたしまして、助産師へ相談できる助産院等の委託型産後デイケアの拡充と併せまして、仲間づくりや子育て支援を行う地域育児相談会等の回数増、また、子育てひろばの活用を図ることといたしまして見直しを行ったものでございます。

○甲田委員 そうですね。ですから、冒頭申し上げたスクラップ・アンド・ビルドというのがここに当たるということだと思います。でも、中部はその日午前中から10組の親子が参加していました。ランチの1時間は子どもを見てもらい、ママさんたちだけで安心しておしゃべりする時間を取らせてもらえるなど、楽しそうな雰囲気が印象的でありました。また、南部のほうはもっと参加者が多いようでした。直近の2月13日は14組の予約があったそうです。実際には感染症防止の関係から9組になったそうでありますけれども、公共施設という場所で親子交流をすることで継続して交流できるという安心感もメリットだったとの声を聞いています。他の事業に振り替えて同じような効果が得られるかどうか疑問であります。

 次に、産後サポート事業について伺います。お父さんが子育てに参画するためのプレパパ・ママ講座は令和元年度から事業を取りやめてしまいました。また、今年度経産婦への拡充をしたばかりのマタニティヨガも事業整理を来年度する予定だと聞いておりますが、この二つの事業はなぜ削減したのか伺います。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 事業の見直し、再構築の中で、参加者数が少ないもの、また民間で実施されているものについて事業を統合する一方、先ほども申し上げましたとおり、保健師による妊産婦のフォロー強化、多胎児の移動補助サービスや経産婦、父親向けの事業の拡充を行う予定でございます。

○甲田委員 統合したということは、実質事業の廃止であり、ここは後退をしたと私は見ています。また、マタニティヨガも、2年しかやらずに、すこやかで開催するのをやめて、場所は児童館に地域育児相談会という名目で行うとのことですが、であれば、経産婦にも対応できるものをしっかりとこれからお願いをしたいと思います。

 次に、経産婦の産後サポート事業も重要です。昨今、経産婦の家庭で特に赤ちゃんと年の近い上のお子さんがいる家庭はみんな悩んでおり、ともすると虐待に発展しかねないという危うい家庭もあると聞きます。現在は自主的に行っている経産婦用のきょうだいが生まれたベビープログラム2なども拡充すべきと考えます。まずは1か所でも区の委託事業として始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 経産婦を対象とした事業の拡充につきましては必要性を十分認識しているところでございます。今年度、業務委託提案制度で採用しました兄弟児の子育てワークショップについて、来年度は地域育児相談会で委託事業として実施する予定がございます。

○甲田委員 分かりました。次に、産後ケアの基本の柱は、言うまでもなくショートステイ、デイケア、ケア支援者派遣です。この三つについては、継続的に利用者の声を取り、データを積み上げることが大事と考えます。そこで、昨年度報告された産後ケアのアンケートについても伺います。平成29年10月から30年1月実施の利用者アンケートを平成31年3月に報告をされました。ケア支援者派遣の産後ドゥーラに関しては、利用者全員から、「大変役に立った」、または「役に立った」という回答結果でありました。一方、利用可能時間数については93%の人が「短い」と回答をしていました。そのとき、1年以上も前のものをどうして今に報告するのですかと聞いたところ、集計・分析に時間がかかるということでした。また、そのとき言っていたのは、平成30年度もとっているので、今後また報告したいとおっしゃっていました。しかし、いまだその報告はされておりません。30年度のアンケート内容について概要をお答えください。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 30年度のアンケート結果につきましては、ショートステイは29名、デイケアは183名、ケア支援者派遣については32名の回答であったため、参考程度の回答とはなりますが、参加して「大変役に立つ」、「役に立つ」については、ショートステイでは93.1%、デイケアでは98.9%、ケア支援者派遣では100%の回答でございました。また、利用可能日数につきましては、「適当」についてショートステイでは58.6%、デイケアでは38.8%、ケア支援者派遣では31.3%、「短い」という回答は、ショートステイでは41.4%、デイケアでは54.6%、ケア支援者派遣では68.6%という結果でございました。

○甲田委員 利用者からは大変ニーズが高いということは明らかであります。孤立育児を救うための支援として効果が出ているかが重要であります。アンケートに答えてくださった方たちに対して、その後の切れ目のない支援がどのようにできているのか追っていけるような連続的な調査も必要であると思います。今後視野に入れてお願いをしたいと思います。

 次にトータルケア事業の充実について伺います。産後ケア、産後サポート事業は、先進的で満足度も高く、また全国の自治体、地方議会からの視察も多い状況です。何といっても子育てスタートの重要な時期を支える施策ですので、今後ますますニーズは高まり、効果も見えてくるはずであります。にもかかわらず、単純に来年度予算は前年度比大幅にマイナスであり、拡充したのは多胎児の移動支援、主にはそれのみというのは本当に残念です。私は、産後に鬱になって立ち直れないでいる人を何人も見ています。一方で、産後ケアによって鬱状態から脱することができたり、虐待しそうになったが、ケア支援により止めることができたというケースを幾つも聞いております。目標は個々の事業の参加人数ではなくて、産後鬱がどれだけ減らせたのかの効果ではないでしょうか。そのために利用者の声をしっかりと把握してもらいたいと思います。

 また、現在の要綱には、利用できる人は必要と認める人というふうにあるそうですけれども、本来この時期は誰もが支援を必要としていること、いつ産後鬱になるか分からないということを肝に銘じて拡充していかなければならないと思うのですが、アセスメントをする人によっては、この解釈がまちまちになっているように感じます。昨年11月に国で産後ケア法の成立があり、2年以内に施行される予定です。いよいよ全国的に自治体の努力義務として中野区のような産後ケアが始まるときが到来しました。現在の産後ケア事業は、産後4か月ないし6か月までとなっていますが、法改正後は産後1年未満まで、1歳まで行うこととされています。今後はトータルケア事業全体の充実とともに、法律に合わせて適切に支援を拡充するために担い手の確保も重要となってまいります。産後ドゥーラのような産褥期の母親にトータルな支援ができる専門家、担い手を育成する取組も併せて必要になってくると思いますが、区はいかがお考えでしょうか、見解を伺います。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 産後ケア及び産後ケア事業につきましては、母子保健法に規定され、またその実施施設、人員や設備等の基準が省令で定められることとなると思います。この法の施行に合わせまして、事業内容の必要な見直しを行うとともに、新たに定められる省令基準を周知し、参入事業者や担い手の確保に努めたいと考えております。

○甲田委員 東京都では来年度ゆりかご・とうきょう事業が東京パパママ応援事業になるということで、産後ケアなどの母子保健部分と育児サポートなどの子育て支援としての部分が一体になった大きな拡充と聞いています。これらも活用をよくよく検討していただき、またこの時期に、産後鬱や虐待の芽を摘んでいくことをしっかりとやれば、安心して子育てができるというばかりか、いろいろな意味でマイナスをプラスに転じていくことができ、もう一人産みたいと思えることにつながり、少子化対策にもなると確信しますので、しっかりとお願いしたいと要望をいたしまして、この項を終わります。

 次に、ブックスタート事業について伺います。来年度からいよいよブックスタート事業を開始するということについて、我が会派でも推進してきたものであり歓迎をしています。予算としては、1,160万円余を見込んでいるということですが、詳細について伺いたいと思います。これはいつから開始で、何冊分の見込みなのか。また、どのような仕組みで行おうとしているのか、絵本の実費と人件費の内訳も併せて教えてください。

○永田子ども・教育政策課長 ブックスタート事業の対象者は、3か月児健康診査の対象者で、年間約2,500人を見込んでございます。開始予定時期につきましては、令和2年10月1日を予定しておりますため、初年度の対象者は約1,250人を想定してございます。その仕組みといたしましては、3か月健診のお知らせとともにブックスタートの引換券を送付し、それをお近くの図書館にお持ちいただいて、本2冊とバッグのセットに引き換えるという流れとなります。なお、絵本につきましては、御希望により取り替えられるようにすることを考えてございます。また、図書館に来館された際には、親子でおはなし会などに参加していただき、絵本を生かした赤ちゃんとの交流を体験していただくほか、図書館の利用者登録や乳幼児コーナーの利用案内などもさせていただくことで、その後の図書館の利用にもつなげていきたいと考えてございます。こうした事業の拡充も含む人件費として約670万円、絵本やバッグ等の経費として約490万円を見込んでございます。

○甲田委員 半年分ということで、半数の1,250人分に配布ということで、絵本は490万円、人件費は670万円ということで、それは指定管理者への人件費ということになると思うんですけれども、それを例えば、その人件費がなくて、この1,160万円を1,250円で単純に割りますと、1人当たり単価は9,200円くらいの絵本ということになります。当然これは事業費が入っていますからそんな単純ではないんですけれども、もし乳幼児健診のときに絵本を渡すだけであれば、絵本の実費分だけでよいことになったかなと思いますけれども、その点に関してはどのようなお考えでしょうか。

○永田子ども・教育政策課長 今回のブックスタート事業につきましては、乳幼児親子をはじめとします子どもの読書活動の推進の一環としてこの充実を図ってまいりたいというふうに考えてございまして、そうした意味で、お近くの図書館の乳幼児コーナーなどの御利用にぜひつなげていきたいといったような考えで、このような事業をしているものでございます。

○甲田委員 そうしますと、目標はどれだけの人に絵本を渡せたかだけではなくて、図書館に継続的に来るようになった人がどのぐらいいるのかということがもう一つの目標となると思います。ある意味、予算上そちらの方がメインになるかと思います。絵本だけなら多分半分ぐらいの金額で済むわけですけれども、人件費も含め、今後は1年分で毎年2,000万円以上の経費をかけていく事業になるわけでありまして、これはどれほどの成果を出せるのかしっかりと検証できるようにしていただきたいと思います。引換券を同封しただけでは図書館に足を運んでくれる人もなかなか、相当の人が足を運んでくれない場合もあるんではないかと思いますけれども、その場合のちなみに引換券分の絵本はどうなるのでしょうか。

○永田子ども・教育政策課長 引き換えがされなかった分の絵本の取扱いにつきましては、年度末に配布部数等を確認の上、区と指定管理者の間で一度精算を行わせていただきまして、残余分につきましては次年度に回して使うということを想定してございます。

○甲田委員 全員の対象者が受け取ることができるようにしっかりと周知をしていただきたいと思います。例えば、ポスターなどを作って、区役所の子ども総合窓口とか、健診時にすこやか福祉センターなどに貼ることによって目に訴えることも大事ではないかと思います。周知を含め、効果的に行えるようにしてはいかがかと思いますが、伺います。

○永田子ども・教育政策課長 一人でも多くの皆様にブックスタート事業を御利用いただき、絵本の活用や図書館の利用にもつなげていけるよう、ポスターの掲示なども含めまして効果的な周知について工夫してまいりたいと思います。

○甲田委員 一人でも多くの区民が赤ちゃんのときに親子で絵本に親しむことができるよう、目標をしっかり見定めて効果的に取り組んでいただき、また、その結果を御報告いただきますようにお願いいたします。

 次に、地域の子ども施設利用者のニーズ調査について伺います。今回の地域子育て支援に関する調査研究409万2,000円については、何を目的に、誰に――対象者ですね――調査をかけるのか。また、どういう形式で行うのか伺います。

○伊藤育成活動推進課長 地域子育て支援に関する調査研究については、地域の子ども施設を拠点とした保護者のニーズに合致した子育て支援サービスと子育て関連団体の活動の活性化に資する支援策の検討における基礎資料とすることを目的として実施するものでございます。本調査により地域の子ども施設の設備やその効果的な配置、効率的な運営方法等、ハード・ソフト両面についても検討を行っていく予定でございます。調査対象については、児童館や子育てひろば等の利用者及び地域の子ども施設を利用し、子育て支援活動を行っている団体を想定しており、ヒアリング形式も活用することを考えてございます。

○甲田委員 これは、どういう形式というのは、児童館職員がやるのか、委託でやるのか。また、児童館と子育てひろばと今おっしゃいましたけれども、すこやか福祉センターとかではやらないのか、その点もお願いします。

○伊藤育成活動推進課長 今回の調査に関しては委託事業を考えてございまして、すこやか等では実施しなくて、あくまでも児童館、子育てひろばで実施するというものでございます。

○甲田委員 地域の子育て支援ということなんで、子育てひろばとか地域の子育て支援団体の方は、すこやか福祉センターで活動されている方も多いと思うんですけど、なぜすこやか福祉センターではやらないでしょうか。

○伊藤育成活動推進課長 実際に、要は子育て支援施設、児童館だったり子育てひろばだったり、そういうところで活動している団体というところで特化して今回は調査を行う予定でございます。

○甲田委員 実際に地域で活動している団体に聞くということですよね。今そういうふうにおっしゃったんで……。何かありますか。

○伊藤育成活動推進課長 新たな児童館というところの役割とか機能とかというのも今後考えていくということが前提でございまして、それに関して児童館とか子育てひろばというところで特化して今回実施するというものでございます。

○小田子ども家庭支援担当部長 今お尋ねの地域の活動団体のところでございますが、これは児童館や子育てひろば等だけではなく、広く地域での様々な施設で活動されている団体等を想定してヒアリング、またはアンケートなどによりまして聞き取りをしていきたいというふうに考えてございます。

(「答弁が違うよ」と呼ぶ者あり)すみません、訂正させていただきます。大変申し訳ございませんでした。地域の活動団体につきましては、現在様々区の政策助成ですとか支援金で活動している団体等ございますので、そういう団体の方を対象にヒアリング等をしたいということで訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。

○甲田委員 ちょっと最後に言おうかなと思っていたんですけど、これは新たな児童館というところでやっていることなのかと思うんですけど、それで児童館とかキッズ・プラザのところにこの事業が、予算がついていると思うんですが、今おっしゃったのは、広く子育て支援団体、地域で活動する子育て支援団体にもヒアリングを行うということで、それだったら、ここではなくて政策調整のところについてないとおかしいんではないかなというふうに思っています。

 また、今年度、子ども・子育て家庭への実態調査として2,900万円余の予算で実施した調査がありました。昨年の予算総括質疑でもお聞きしましたが、今年度の調査は0歳から14歳の子どもの保護者並びに小学校4年生から中学校3年生の児童・生徒を対象とし、各年齢に対して1,250件、合計2万6,250件の調査発送を行うとのことでした。その目的は、子どもの貧困を含む生活実態を把握し、より効果的な子育て支援策を推進することとしていましたけれども、昨年私の予算総括質疑では、子育て支援者へのアンケートも必要ではないかというふうに質問をしましたら、担当課長は、「アンケート形式の生活実態調査の実施にあわせまして、子育て支援に関わる活動団体や相談支援機関などに対する聞き取りによる実態把握も行いまして、施策検討のための基礎資料としていきたい」と答えていました。ですので、子育て支援団体にはもう調査は終わったんだろうというふうに思っていたんですけれども、この実態調査の結果はどうなったのか、お答えください。

○永田子ども・教育政策課長 今年度実施いたしました子どもと子育て家庭の実態調査につきましては、子どもの貧困対策などの検討の基礎資料とすることを目的といたしまして、保護者1万8,750件、児童・生徒7,500件を対象として郵送配布によるアンケート形式で実施をいたしました。

 本調査では、食事や健康、学習などの子どもの生活実態、世帯形態や家計の状況などの家庭保護者の状況、区の子育て環境の満足度と、強み弱みを把握するための設問を設定いたしました。

 回答率につきましては、保護者が42.6%、小学校高学年と中学生を合わせた子どもが26.9%でございました。

 調査結果全体につきましては、今定例会の常任委員会におきまして報告を予定させていただいているところでございます。

○甲田委員 ですから、今年度多額なお金をかけた実態調査でニーズ調査のアンケートをやりましたし、そして子育て支援団体への聞き取りも含めて行っているはずだと思います。それにもかかわらず、ここでまた支援団体に聞き取り、アンケート調査、しかも委託でやらなければならないという理由は何なんでしょうか。

○伊藤育成活動推進課長 今年度区内の子育て関連団体67団体を対象に、区に望む支援や区が行ったほうがよい取組等に関するアンケート調査を郵送により行い、24団体から回答を得ることができました。来年度は、このアンケート結果を踏まえまして、団体活動の支援に向けた詳細なニーズの把握を行いたいと考えてございます。

 悩みを抱え、孤立を感じながら子育てをしているという声が多く聞こえる中で、地域の子ども施設に求められる役割はより一層重要となってございます。子どもや子育て家庭に対する包括的な支援により、子育て家庭が抱える課題を地域全体で解決していく必要がございます。多様な子育て家庭のニーズ等を把握し、それを踏まえて、一時預かりとか子ども食堂とか学習支援など施策の検討を行っていく予定でございます。併せて、施策の展開場所となる地域子ども施設の効果的な活用、活動を考慮した設備等の配置、動線の工夫、効率的な運営方法、団体支援や団体間連携の仕組み等についても検討を行っていくということで今回の調査を行う次第でございます。

○甲田委員 であれば、やはり児童館のところに調査研究というふうについているということですから、児童館だけのニーズ調査になるんではないかなと危惧をします。そして全体的な調査は何度もやっていますので、そこでまたニーズ調査をやる。そして支援団体も、新たな児童館を拠点にしているという団体が中心になってしまうと思うんですね。子ども施設における支援の在り方とかニーズについては、やらなければならないことは既にもう分かり切っているはずであります。さらに言えば、今年度の2,900万円の調査のほか、昨年度平成30年度は別途子ども・子育て支援ニーズ調査も行いました。何度調査をやれば気が済むのでしょうか。早急にやるべきニーズとしては、どう考えても私は一時保育だと思います。孤立を防ぐという意味で、やはりレスパイトのための一時保育という需要が高まっております。現行、保育園での一時保育事業もありますけれども、登録や利用に様々条件等がありまして、利用のしにくさが課題となっているからであります。私は一昨年、平成30年12月にそのことを一般質問に取り上げ、その際、酒井区長から、一時保育事業実施施設の……(発言する者あり)

○山本委員長 静粛にお願いします。

○甲田委員 「一時保育実施施設の配置や実施人数など、今年度実施する子ども・子育て支援ニーズ調査の結果を踏まえて、実施施設の充実について適切に対応してまいります」と答弁があったので、当然これは検討されてきたと思っております。一時保育などの支援の在り方は、児童館などの子ども施設だけでも保育園だけでもなく、全体として適切に仕組みを検討することが大事なのではないでしょうか。これまで一時保育の仕組みを区としてどう検討してきたのかお答えください。

○神谷子ども家庭支援センター所長 一時保育事業は、区立保育園2園に加え、九つの私立保育園で実施事業として実施しております。利用実績や子ども・子育て支援ニーズ調査の結果を踏まえまして、新年度から3施設拡充することを予定しております。また、一方で、利用のしにくさについても指摘を受けており、予約方法や空き情報の発信について工夫を進めているところでございます。今後、現行の一時保育ではない身近な場所での子どもの預かりなども含めまして、他区の事例や新たな調査なども参考にしながら、よりニーズに応えるサービス展開について検討していきたいと考えてございます。

○甲田委員 一時保育は児童館などの施設だけでなく、ファミサポなども含めた在宅家庭の子育て支援サービスとして子育て支援政策全体で考えるべきだと思います。そうなると、もし調査するにしても、先ほど申し上げましたが、企画財政費の子ども政策調整費のところでなければおかしいかなと思います。とはいえ、これまで調査は何度もしてきたことから十分エビデンスがあり、さらには子育て支援団体とのやりとりはアウトリーチの職員が行っていくべきであると思います。私はずっとこれを訴えてまいりまして、コーディネート機能にならなければならないということで、今回委託による調査費などはかけずに、検討結果を速やかに報告した上で実際の支援にお金を使うべきだったのではないかと考えます。一般財源で400万円という金額は、区民から見れば大金です。本当にこれはもったいないと考えます。児童館施設に限定したこのような調査は目的意義が見えず、問題先送りの無駄遣いとして指摘しておきます。

 以上でこの項を終わります。

 次に、子ども食堂について伺います。子ども食堂の補助経費が本年度も昨年度と同じく240万円で計上されています。年間24万円を10か所の子ども食堂に手挙げしてもらう見込みだったと聞いていますが、現状をお聞かせください。

○伊藤育成活動推進課長 子ども食堂の運営助成については、東京都の助成制度を活用していることから、他の助成制度を受けている場合は申請できないなどの制約もあり、令和元年度の申請件数は1件でございました。制度の周知については、区報、ホームページのほか、昨年3月に区内の子ども食堂運営団体等の連絡会において説明を行ってございます。また、6月には再度、当該連絡会において助成制度の内容等について案内を行ってきたところでございます。今後も引き続き制度の周知に努めるとともに、新規に子ども食堂の実施を希望する団体に対し、申請手続の方法など適切な案内をしてまいりたいと存じます。

○甲田委員 現状は1件ということで、それでもまた同じ予算をつけるのであれば、何か方策を考えるべきではないかと考えます。都の補助事業については、申請や報告など条件の縛りがあるため、結局申請せずに行っているところが多いのだと思います。社協のこどもほっとネットのパンフに掲載の区内の子ども食堂は、2019年7月現在で10か所となっていて、社協のネットワークに入っていない子ども食堂もあると思います。しかし、区のほうには1か所しか申請されていないということは、これはどれほど使いにくい補助金であるかが表れています。

 先日参加した研修で明石市長の講演を聞く機会がありました。児童相談所設置にも自ら全国13か所の児相を見て回った結果、納得のいく児相がないので、自分が明石市に納得のいく児相をつくろうと決意し、児童福祉司や弁護士、医師も普通の児相の倍の陣容で人材確保も思い切った施策を行っていると聞き驚きました。時間がないので詳細は省きますが、市長は、市から虐待を撲滅する、泣いている子どもを一人も出さない、一人も置き去りにしないという思いから、3年かけてこども食堂を小学校区に一つ以上造ったとのことでした。現在では市長の熱い思いに呼応して全28小学校区に計42か所のこども食堂が造られているそうです。あかしこども食堂の定義は、子どもの居場所であり、気づきの拠点として位置付け、運営は市民の活動として地域の会館や小学校の中で開催をしています。このことにより児相のケースワーカーがこども食堂とつながり、早期の気づきを生かし、まちのみんなで子どもを応援するという見守りの体制の強化を図っているとのことでした。こども食堂への支援は、明細書など面倒なことは一切言わずに、年間30万円ほどを渡し切りにしているというのでさらに驚きました。また、食事ができない子どもたちがいたら、夕御飯を届けるというこども宅食も同時に実施しています。小学校区に一つがよいかどうかは別にしまして、中野区内でもそのぐらい、いつも毎日、どこかの子ども食堂が開催をしているということになれば、セーフティネットの役割をしていただけるのではないでしょうか。まずは、社協に頼りきりのこどもほっとネットワーク参加団体との連携を、中野区が積極的な支援をする体制に変え、あかしこども食堂のように踏み込んだ対策で子ども食堂を増やす取組を検討してはいかがでしょうか、区の見解を伺います。

○伊藤育成活動推進課長 現在、子ども食堂へは区が運営費の補助を行うほか、社会福祉協議会による活動費の助成や団体の立ち上げ支援、その後の運営方法の支援などを行ってございます。子ども食堂は食を通じた子どもの交流の場となってございますが、様々な事情で食堂に行くことをためらう子どもや保護者がいると聞いてございます。来年度実施を予定している地域子育て支援に関する調査研究の結果を踏まえながら、社会福祉協議会や関連部署と連携し、子ども食堂を必要とする子どもたちの利用につながるように取り組んでまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 伊藤課長のところだけではなく、これはもう少し大きな政策としてぜひやっていただきたいと思います。そして今後、セーフティネットということですから、併せて子ども宅食も行うべきと要望いたしまして、この項を終わります。

 この項の最後に、子育て先進区ということについて伺います。多くの議員が既に質問をしておりますけれども、先日委員会で報告のあった子育て先進区の考え方の言葉では、私もちょっと腑に落ちないので再度確認したいと思います。子育てする保護者の満足度が幾ら高くても、貧困や虐待、孤立などがあっては先進区とは言えないと私は考えています。切れ目ない子育て支援のために、子どもを守る地域包括ケア体制を構築していくことが最重要であります。一番困難なところに焦点を当て、貧困や孤立、児童虐待を防止すること、一人も置き去りにしないということに目標と成果の軸足を持つべきではないでしょうか、見解を伺います。

○神谷子育て支援課長 経済状況、孤立、児童虐待などによる子どもや家庭をめぐる生活の困難に向き合い適切な支援を進めることは、子どもと子育て家庭の満足度の高いまちを目指すに当たり、根底となる取組の一つであるというふうに認識しております。地域包括ケアの総合計画の策定を見据えまして、(仮称)総合子どもセンターや新たな児童館の役割、並びにネットワーク体制などの検討を進め、子どもと子育て家庭を対象とした地域包括ケア体制の構築を図ってまいります。

○甲田委員 ありがとうございます。満足度、認知度、成果をはかる指標というところがちょっとやっぱり納得いかなかったもんですから聞かせていただきました。今出されている子育て先進区の目指すところについては、前区政よりはよくなったでしょうというような相対的な効果を狙おうということになっているんではないかなというふうに見えてしまいます。アピールすることが大事なのではなくて、今まさに児童相談所を設置して、本当に子どもの危機を救えるか正念場のところに来ているときであると思います。児相設置に向けて職員は本当に頑張っていただいていると思います。そこを踏まえて一人残らず子どもの命と権利を守るというメッセージを強く前面に出して取り組んでいただきたいことを切に要望し、この項を終わります。

 次に、2の安心して地域で暮らし続けられるための取り組みについての中で、木造住宅耐震改修助成事業について伺います。震災時に火災の延焼を防ぐ不燃化の取組は急務であります。そのための木造住宅密集地域と狭隘道路の解消は、中野区の喫緊の課題です。昨年も予算総括で質問をいたしましたが、今年度は整備地域、防火地域における昭和56年以前建築の木造住宅の建て替えについて、除却と建て替えのどちらかを選択できる形で助成額を大幅に増やしました。そして、防火地域では最大で400万円が助成されるようになりました。これにより私の身近でも、おかげで無事建て替えをする運びになることができて本当によかったとの区民の声をお聞きしました。令和2年度については、予算説明書を見ると、耐震化促進事業では、前年度比1億2,180万円増の6億5,630万円余が計上されています。この中で主な新規の取組は何か伺います。

○小山内建築課長 新たな事業といたしまして、耐震診断を受けた旧耐震木造住宅の耐震補強助成に1,680万円を計上し、区内全域を対象に実施する予定でございます。さらに、耐震補強助成では、希望する場合は感震ブレーカーの設置費用についても見込んでいるところでございます。

 また、今年度はブロック塀等の撤去のみの助成でありましたが、新たにフェンス等を設置する場合の助成費用として139万円を計上しているところでございます。

○甲田委員 ありがとうございます。耐震改修助成は初の取組であります。我が会派では、地域特性を踏まえた上で、不燃化、建て替えなどを効果的に進めていく必要があるということを訴えてきました。しかし、建て替えを促すべき防火地域、整備地域までを含む区内全域を対象に耐震改修助成をしてしまって大丈夫でしょうか。地域全体の防災性を高める観点からいえば、老朽木造住宅がそのまま残ることになる耐震改修よりも、建て替えが進むほうが耐火率も共に向上する効果が高いと考えます。整備区域内の老朽木造住宅を耐震改修だけした場合、その後、結局建て替えが進まず、地域の防災性促進に影響が出ないのかと危惧をいたしますが、いかがでしょうか。また、昨年の総括質疑では、生活道路拡幅整備事業とブロック塀除却事業、家具転倒防止器具の取り付けなどの具体的な支援をパッケージ化し、区民が利用しやすい制度に見直し、積極的な支援策を検討していくという答弁がありました。建て替えが経済的に困難で、高齢者などがお住まいの住宅の安全確保という意味では、耐震改修だけでは不十分で、しっかりとこれらをパッケージにして実施してほしいと思いますが、併せて伺います。

○小山内建築課長 御指摘のとおり、これまでは地域の防災性向上の観点から、整備地域内の住宅に対して建て替えを原則に助成事業を行ってきたものでございます。今年度はさらなる地域の防災性の向上と建て替えを促進するため、除却支援事業の創設並びに建て替え助成限度額の引上げを行っているところでございます。ただ、現在区は、不燃化率向上を図るため新防火地域を新たに指定する区域の策定に取り組んでいるところでございますが、当然指定までに時間がかかります。そこで新防火規制実施までの経過期間での火災等による被害の抑制を図るため、重点整備期間として定め、地域防災への寄与につながる建物の耐火性能と耐震補強を条件に耐震改修助成事業を区内全域で実施することとしました。

○甲田委員 耐震改修の際には、区としては耐震補強助成をした物件がすぐに建て替えをすることになった場合でも、制限なく他と同様の建て替え助成をするのでしょうか、伺います。

○小山内建築課長 国が定める耐震対策緊急促進事業補助金交付要綱によれば、補助事業完了後10年以内に取り壊してはならないと規定されており、助成制度の重複利用を認めることは考えておりません。このため、整備地域内の建物所有者に対しては、事前相談の段階で制度の詳細について説明を行い、適切な制度の選択と活用ができるよう対応しているところでございます。

○甲田委員 そうですね。そこは公平性の観点からも、また建て替え促進のためにも、耐震改修助成を利用の際にしっかりと説明をお願いしたいと思います。と言いたいところですが、ただし木造住宅は築40年を過ぎているというわけですから、耐震補強をしたら10年間はそのまま放置されるということは、やはり防火対策上問題は大きいと思います。耐火性能を点検して10年間放置することが危険な建物には、補強よりも建て替えということを強力に指導するなど、安易な改修にならないように要望をさせていただきます。

 また、耐震改修とは別に、まちの安全性や利便性、土地の有効活用、居住水準の向上などの観点から、建て替え促進に力を入れることが有効であり、緊急性も高いと考えます。区内全域の耐火性、耐震性を高めるという意味で、建て替えの促進策をもっと強力に進めるべきではないでしょうか。個人への金銭給付という形ではなくても、建設、流通、金融など事業者や業界向けの支援、助成であるとか、またネットワークづくりなど空き家対策、住宅確保対策と併せて進める方策を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

○小山内建築課長 今年度より助成する住宅の定義を拡大するとともに、沿道建築物に対する建築主の制限要件を撤廃するとともに、耐震化促進の意識醸成に向けた普及啓発活動を幅広く展開しているところでございます。また、これまでは、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化及び木造住宅の建て替えを中心とした施策を進めてきたところでございますが、今後は地域における防災性向上に向けた取組として、非木造住宅に対する耐震化事業、空き家対策なども念頭に、安全で安心して暮らし続けられるまちづくりを目指し、関係する所管と連携し、また、まちづくり協議会などと意見交換を踏まえ、課題等について検証していきたいというふうに考えております。

○甲田委員 もう一歩の取組をどうぞよろしくお願いいたします。昭和56年以前建築の木造住宅はもうすぐ築40年ということで、特に整備地域、防火地域では建て替えの促進にこれまで以上に拍車かけていくことが重要であると考えますので、さらに工夫した取組をぜひお願いしたいことを要望しまして、この項を終わります。

 次に、3の区民とともに進めるまちづくりのための取り組みについての中から、1テーマ、西武新宿線連続立体交差事業と新井薬師前駅周辺まちづくりについて取り上げます。昨日連続立体交差化事業について、ひやま委員からも質問がありましたので、若干重なる部分もありますが、お許しください。

 現在の新井薬師前駅、沼袋駅に関する用地取得の進捗状況については、さきの一般質問で、我が会派の南議員からも質問があり、9割以上進んだとの答弁がありました。また、事業期間が今年度までとなっていたため、事業期間変更については確認中で、国と調整中と聞いているとの答弁もありました。事業の遅れは現場を見ていれば明らかであり、近隣住民はなぜどうして遅れているのかと皆やきもきされています。

 そこでまず、連続立体交差事業が遅れている原因はずばり何なのか伺います。

○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 昨日以来同じような御答弁になりますが、事業に必要な用地で、いまだに御協力を得られない箇所が残っているということが原因であるというふうに東京都から聞いてございます。

○甲田委員 当然のことですが、それすら住民の皆さんはよく分からないでいます。何か意図的に遅らせているのか、やる気がないのかなど、様々な憶測の御意見が聞かれます。用地取得ができない原因は、そもそもの経緯など様々な事情も絡み合っているかと考えていますが、今後、地域住民への丁寧な説明を求めます。

 また、昨日の質疑にもありましたが、地下化が何年も先になり、開かずの踏切がまだまだ解消しないということであれば、やはりこの間、危険が生じている踏切の幅を広げるなどの対策は誰もが必要と感じています。特に新井薬師前駅の第1号踏切は極めて危険な状態です。区として何か方策は考えられないのでしょうか、改めて伺います。

○安田都市計画課長 お答えいたします。踏切を含む道路拡幅は道路管理区域の変更や用地取得を伴うため、原則として都市計画事業が必要になります。踏切の拡幅は都市計画事業で行うことが必要でございます。既に連続立体交差化事業の都市計画事業を先に導入している中で、新たに踏切を拡幅することについては二重に都市計画事業を導入することになり、費用負担を含め、関係権利者をはじめ、鉄道事業者や関係機関との調整も必要になるということから難しいと考えてございます。現在進めています西武新宿線沿線まちづくりを含め、既存の都市計画道路を含む道路ネットワーク形成を考える中で対応が必要となるものと考えてございます。

○甲田委員 難しいということですけれども、それであれば、そのことも地域に説明すべきだと思っております。また、朝のラッシュ時、新井薬師前駅の踏切渋滞の原因として、昨日の質疑にもありましたが、踏切を北側から来ると南側先にある交差点の信号が朝の渋滞のネックになっています。ようやく踏切が開いても、踏切を渡ったすぐ先の信号が赤だと、バスを含めて大体3台ぐらいしか止まる場所がなく、また踏切が閉まってしまいます。別の事例ですが、16年ほど前、私が通勤で利用していた野方から高円寺までのバス路線では、環七から早稲田通りを高円寺駅方面へ右折する際に、あまりに信号の右折指示ランプの点灯が短く、ほとんどの車が右折できないまますぐに変わってしまうため、バスの中で本当にいらいらした毎日を送っていたことがありましたが、あるときからその右折信号の点灯時間がほんの5秒だけ長くなったことで、劇的に渋滞が解消されたことを覚えています。このような研究、検証は時たま行われているようですが、私は踏切と連動するようにと言っているわけではありませんで、信号の時間をほんの数秒間調整するだけでもかなり緩和されると思います。区が警察と連携して現場調査し、至急対策を講じるべきではないでしょうか、伺います。

○佐々木生活・交通安全担当課長 信号サイクルの変更につきましては、最終的には交通管理者であります警察の判断に委ねることとなりますけれども、区といたしましても、現地の通行状況の把握に努めまして、交通安全対策上必要な対策につきまして今後警察のほうに協議を申し入れたいというふうに考えております。

○甲田委員 取材をしましたら、早速動いていただいたということも聞いておりますので、本当にありがとうございます。しっかりとやっていただきたいと思います。また、現在、北口改札位置の変更により、視覚障害者の方々は誘導する点字ブロックもなく慣れない道を白杖で通行しています。私が朝の駅頭挨拶で立っている数十分の間にも白杖の視覚障害者の方が二人通られました。お一人は私の知り合いのため、このような声を以前からお聞きしています。この事業推進に当たり、工事中の動線が変わったことによる障害者の困惑は配慮されていません。工事を長く行い御不便をかける以上、どんな人にも安全な対策を可能な限りきめ細やかに行うべきではないでしょうか、伺います。

○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 連続立体交差事業で改札の位置を変更する際等につきましては、従前の機能を確保しながら施工するように努めているというふうに聞いてございます。御指摘の改札口につきましても、道路の端からでございますが、改札に向かって点字ブロックを設置するなど、従前の機能を確保するというような形では対処しているというふうに東京都のほうから聞いているところでございます。

 なお、御指摘の改札口につきましては、間もなくでございますが、工事着工前とほぼ同じ位置へ再度移設するというような予定になってございます。また、点字ブロックにつきましては、歩道のない道路への設置は難しいというふうに聞いているところでございます。どのように視覚に障害のある方を含めまして歩行者などの安全性を確保していくか、事業主体である東京都、施行者である西武鉄道と区が一体となって検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○甲田委員 私も東京都の担当者まで電話をしてしまいまして、そうしましたら、従前の位置から改札が変更になっても、従前の位置からは点字ブロックがあるので、もうこれ以上は東京都、西武鉄道としてはやらない。そして区としては、点字ブロックをつけるような場所、歩道がないところにはやらないということで、本当に隙間ができてしまっていて、どこも対策に取り組んでいないという状況があったような気がします。開かずの踏切が解消すればよいわけではありません。完成後、また工事中の周辺まちづくり、すなわち駅前広場やその周辺の様相、にぎわい、安全性もどう進められていくか、住民にもあまり説明がなくてどうなっているのか分からないと、これは本当によく言われます。

 次に、新井薬師前駅南側の地区の市街地再開発事業の進捗にも注目がされています。市街地再開発事業の現在の進捗状況について伺います。

○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 御指摘の街区につきましては、西武新宿線沿線のまちづくり推進プランに基づきまして、連続立体交差事業に合わせまして、新たな顔となる駅前の拠点、空間づくりを目指しまして、平成28年度の中頃から関係地権者と勉強会を続けているところでございます。勉強会の開始当初から、いわゆるコンサルタントと申しますが、区が委託契約に基づく市街地再開発事業の経験等を有する事業者とともに関係権利者と地区の将来像といったようなお話合い、また事業の仕組みについての勉強を重ねてきてございます。そういった中で、事業の機運の醸成に努めているところでございます。現在、関係権利者の意向を踏まえまして、市街地再開発事業の事業化に向けた検討をより前進させるための組織づくり、これについて話合いを行っているところでございます。

○甲田委員 まだ勉強会、組織づくりの段階で、協議会にも発展していないというところで、あまり詳細にお聞きすることはできないと思いますが、既に大手不動産会社が買占めを始めているやにも聞いており、地域の方々もいろいろとうわさをしております。区として、地域の方たちの求めるまちづくりになるよう適切に誘導し、説明し、機運を高めていく必要があると考えます。

 次に、区画街路第3号線、いわゆる駅前広場の用地買収が進まず、この部分を工事ヤードとして使えないと、鉄道の地下化工事に影響があるのではないでしょうか、伺います。

○菊地まちづくり事業課長 区画街路第3号線の交通広場については、バスやタクシーの乗り換えなど交通結節機能を高めるために整備するものであります。また、施工ヤードとしての活用も見込まれております。このため用地取得が進まなければ交通広場の整備は遅れるとともに、施工ヤードが確保されないことにより連続立体交差事業に影響が出ることが想定されております。

○甲田委員 その区画街路3号線の用地取得状況は現在どうなっているのか伺います。

○菊地まちづくり事業課長 交通広場部分の用地取得の対象となる画地数は全部で13画地あります。このうち3画地の地権者と契約をしております。現在1画地については地権者側で解体更地化し、二つの画地については、解体更地化に向けた準備をしております。また、そのほかの大規模な商業ビル等については、地権者との用地取得交渉に鋭意取り組んでいるところでございます。

○甲田委員 その大規模な商業ビル、駅前の共同ビルですけれども、長年駅前で営業してきたのに、思ってもみない金額で退去させられるというばかりか、権利関係が複雑で、全員合意を基本とすることから、出ようにも出られず、皆さん蛇の生殺し状態だと困惑していらっしゃいました。また、代替地や生活再建の提案も相談窓口もないという状態であります。平成30年12月の本会議で私の一般質問に対して区長から、街路事業における地権者の生活再建のために、生活再建プランナーなどの活用を検討するとの答弁があり期待をしておりましたが、検討状況はどのようになっているのか伺います。

○菊地まちづくり事業課長 地権者の生活再建のための支援についてですが、代替地の確保や宅地建物取引業関係の団体などと協定を締結し、移転先情報の充実を図ることとしております。また、来年度からまちづくり事業課内に用地担当部門を設けることで、用地測量から用地取得交渉、契約へと一連の業務を担える組織改正を行う予定でございます。今後は、用地測量から用地取得交渉まで、まちづくり事業課が一括して担うことにより、地権者一人ひとりの情報を共有しながら、よりきめ細かな対応をしていきたいと思っております。

○甲田委員 ここは職員が一人ひとりきめ細かにやるというふうな答弁だと、今理解をさせていただきました。令和2年度予算では、西武新宿線連続立体交差事業と沿線まちづくりは拡充推進となっていますが、何を拡充しているのかが見えません。予算金額は増えていますが、これはほとんどが用地買収に関わる予算が増えているだけのことです。まちづくりを円滑に進めるために、住民の理解を得ていくことや、商店街の活性化支援、生活再建に関する相談の強化など、区の職員がもっと地域の声を聞いていけばおのずと施策に反映すると考えます。酒井区長の体制になり、そういった部分のまちづくりの体制が弱まったようにも感じてしまいます。開かずの踏切は解消されないのにもかかわらず、この事業が終わらなければ、この部署にいる職員の給与だけでも相当な金額になります。区民はずっとその税金を負担していくことになります。区が丁寧かつ早急に対策をとり、将来負担を減らしていくべきではないでしょうか、区の見解を伺います。

○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 御指摘の予算につきましては、連続立体交差事業に係ります負担金とともに、区が両駅周辺で進める都市計画道路の整備や駅前の拠点整備、また防災まちづくりに係る予算が計上されているところでございます。今、委員のほうから道路整備に係る予算は増額されているというお話がございましたが、この予算の大幅な増額、今後予定する担当組織の拡充とともに、まちづくりの柱となるこういった道路整備に取り組む姿勢と他の周辺のまちづくりの推進、これを併せまして拡充推進という形でお示ししているところでございます。

 また、区といたしましては、沿線住民を含む多くの区民の期待に応えるために、連続立体交差事業の早期実現への努力、協力支援を強めるとともに、西武新宿線沿線まちづくり推進プランに基づくまちの将来像の実現に向けて、丁寧かつ迅速に周辺まちづくりに取り組んでいく考えでございます。

○甲田委員 大変厳しく申し上げてしまったんですけれども、区民とともに進めるまちづくりとうたっているのですから、本当にまちづくり事業課が一丸となって、地域、住民とともに大きく前進をする1年になるよう真剣な取組をお願いしたいと思います。

 以上でこの項目の質問を終わりますが、当初予算の概要11ページの「三つの取り組みを支え、推進する行財政運営」という部分を質問しようと思いましたが、推進、拡充する事業を支える財政というのは、歳入の増だとか基金の取崩しなどの話かなと思いきや、ほとんどが逆に予算増につながるものばかりです。タイトルとはあまりにも内容が的外れでちょっとあきれてしまいました。このことは、我が会派の白井幹事長の一般質問でも取り上げ、指摘をさせていただきましたので割愛をさせていただき、やはり全体として危機感を持った行財政運営をお願いして、この項目を終わります。

○山本委員長 甲田委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

 15時20分まで委員会を休憩します。

午後2時56分休憩

 

午後3時20分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 甲田委員、質疑をどうぞ。

○甲田委員 次に2番、平和事業について伺います。私たち公明党は、かねがね平和事業推進を訴えてまいりました。昨年、会派でリニューアルされた広島の平和記念資料館へ行き、広島市の平和への取組を視察させていただきました。また、長崎にも足を運び、長崎の平和祈念館も見学させていただきましたが、どちらの市も平和公園では多くの修学旅行中の小・中学生が平和について真剣に学びを深めており、改めて核兵器の廃絶、そして平和への思いとともに平和教育の大切さにも思いを深くしたところであります。

 資料を作成してもらいました。ありがとうございます。総務70「ふるさと納税事業の使途別寄附額一覧(開始から現年度まで)」ということで、平成28年度から今年度令和元年度までの4年分でそれぞれの年ごとの寄附金額となっております。今年度は1月末までの寄附額です。現在区が行っているふるさと納税事業では、選べる使い道として寄附目的をこの12のメニューから選択できるということにしています。ふるさと納税という名称ではありますが、実際には寄附行為であり寄附目的にかなった使い方がされなくてはならないと思います。

 資料にある寄附額の中で、平和事業に絞って質問を行います。区が活用しているふるさとチョイスのホームページによりますと、メニューの11番目に「平和事業に関すること」というのがありまして、具体的な活用としては、平和に関する事業全般に活用するとなっています。資料によると、平成28年度75万円、29年度は78万円、30年度は19万円、今年度は1月末までということで2万円の寄附があったこととなっています。

 そこで伺います。今年度までにふるさと納税で平和事業に活用された金額を事業メニューごとに伺います。

○杉本企画課長 平成28年度から今年度までに寄附をいただきました金額174万円につきましては、全て今年度実施しております新しい平和資料展示室の整備費として活用してございます。

○甲田委員 現在のふるさと納税事業では、寄附金は寄附される方の目的に沿った特定目的基金に積まれることとなっており、目的に合う基金がない場合は財政調整基金に積み立てられることになっています。平和事業を目的とした寄附も、平成30年度までは財政調整基金に積まれていたものの、今年度からは平和事業については基金に積まず、直接事業費に充てることとしたと聞きます。今年度は財政調整基金に積まなかった理由を伺います。また、新年度予算ではどうなっているのか伺います。

○杉本企画課長 これまでの平和事業に係る寄附金につきましては、新しい平和資料展示室の整備に活用することを想定しておりましたことから、財政調整基金への積立てを行ってきたところでございます。今年度につきましては、当該事業を今年度中に実施することから、年度内での活用に充てることとしたものでございます。新年度予算につきましても、財政調整基金への積立ては行わず、平和事業での活用を図りたいと考えてございます。

○甲田委員 ふるさと納税以外には、中野区への一般的な寄附や環境基金への寄附等がありますが、どれも一旦は基金に積み立てられることになっています。寄附金の会計処理としては、基金に一時的に積み立てて活用していくことが望ましいと考えます。しかし、来年度予算は基準となる一般財源規模が40億円に引き上げられ750億円となりました。その結果、来年度予算は財政調整基金の年度間調整分からの繰入れは端数を除き0円となっています。このような場合、他の寄附メニューでも同様のことでありますが、財政調整基金の設置目的から、その年度は寄附を事業に充てることができません。仮に今後も一般財源歳出が基準を上回り続ければ、財政調整基金に積まれた寄附額を事業に充当することができない状況が続くこととなります。本来であれば平和事業へと寄せられた寄附なので、中野区平和基金へ積み立てることが正しいと考えますが、問題は平和基金の条例上、基準額が1億円と定められており、この基準額を取り崩すことなく、基本は運用益で平和事業を行うと定められているため、原資である1億円を取り崩さない限り、当該基金への積立てはできないこととなっております。この矛盾をそろそろ解消すべきではないでしょうか。平和事業目的で寄せられる寄附は、寄附目的を尊重し、平和基金へと積み立てられるように、中野区における平和行政の基本に関する条例の改正を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

○杉本企画課長 これまで複数年度にまたがる活用をする場合には財政調整基金に積立てを行ってきたところでございますが、一般財源の基金であることから、寄附金の使途、積立て状況が明確でないというデメリットがございました。また、寄附者の意思を尊重するためには、平和事業を目的として寄せられた寄附金につきましては、平和基金へ積み立てることが望ましいというふうに考えてございますので、条例改正につきましても検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○甲田委員 よろしくお願いします。ふるさと納税のメニューには、平和事業に関することの補足として「平和資料展示室の整備を進めています」と書かれておりますが、(仮称)中野区立総合体育館が今年6月に順当に開設の運びとなれば、平和資料展示室の整備もひとまずは完了となります。我が会派が繰り返し求めている区立小・中学生によるヒロシマ・ナガサキ平和の旅について、庁内では実施に向けて検討していただいたものの、来年度は東京オリンピック・パラリンピックの観戦もあり事業化を見送ったとも聞きます。

 そこで、来年度以降は平和事業に関することという大きなくくりではなくて、寄附が何に使われるか分かりやすい具体的な寄附目的として、ヒロシマ・ナガサキ平和の旅などの支援に目的を変えてはいかがでしょうか。そしてそのために、令和3年度からの実施を目指してはいかがでしょうか、伺います。

○杉本企画課長 寄附金の具体的な使途を明示することで、寄附者の賛同が得られ、区の平和の取り組みへの関心を高めることができるものと考えてございまして、寄附の目的を平和の旅として寄附を募ることにつきましても検討してまいりたいと考えてございます。実際に被爆地を訪れ、核兵器の悲惨さや平和の尊さを身近に体験することは意義があるものと考えてございます。平和の旅につきましては、他自治体での取組も参考に検討を進めてまいりたいと考えてございます。

○甲田委員 前向きな御答弁で、期待しておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に3番、アール・ブリュットの振興について伺います。アール・ブリュットとは、美術教育を受けていない生のままの芸術と言われています。私は、このアール・ブリュットは、文化芸術、障害者差別解消、まちの活性化など、区の目指すべき方向に幾重にも寄与できるものであると考えています。

 東京都では、公明党の高倉良生都議の推進で、以前よりオリンピック・パラリンピックイヤーにおいては、都内でアール・ブリュット芸術振興のための展示会などを大きく展開する予定と聞いています。東京のアール・ブリュットの原点は中野でありますので、当然中野区も先頭を切って協力をする空気があるように感じています。9年前より私は、前任の岡本区議より引き継いで、アール・ブリュットの振興を後押しすべきと度々訴えてまいりました。区内商店街が10年前から実施してきた中野アール・ブリュット10周年記念展も絶賛開催中で区内外から人を引きつけています。商店街の中で散りばめられている展示作品を探しながら街歩きをするのも楽しいものであります。

 10年たって、街中まるごと美術館!も定着してきた感がありますが、やはり美術作品は静かに鑑賞したいときもあります。数年前までは常設の美術館があることを望む声もありましたが、美術館の運営維持、継続はなかなか大変であることや、アール・ブリュットはその作家たちについて障害者の方も多く、特に利益を追求していないことから、もう少しハードルを下げた形で公共施設内のロビーや廊下などふだん目にする場所などに掲げたり、その延長に時々展覧会を開催する部屋があったりということが日常から芸術に親しむことにもつながりよいのではないかと考えています。東京都庁の展示ギャラリーや展望ロビーに時々見られるアール・ブリュット展は、雰囲気もよく、敷居も低く見やすいと感じてきました。中野区でも、例えば、区役所の新庁舎の中にアール・ブリュットを展示してはいかがでしょうか。また、アール・ブリュットだけではなく、区民の文化芸術表現活動を支援できるようなスペースを設けられるような造りにしておくことは可能なのでしょうか、伺います。

○中村新区役所整備課長 新庁舎1階には、区民が集うイベントスペースやロビーを設置する予定でございます。これらのスペースを活用しまして、アール・ブリュットなど様々な展示や催しができるよう整備していきたいと考えてございます。

○甲田委員 非常にあっさりとした答えでしたけれども、心は熱いと信じておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 また、なかのZERO(もみじ山文化センター)についても指定管理者の協力をいただき、ここに来ればアール・ブリュットに触れることができるという工夫ができると思いますが、いかがでしょうか、伺います。

○藤永文化・国際交流課長 なかのZEROでは、区民等に対して美術作品を展示するギャラリーの貸出しを行っており、またロビーやホワイエにおいては、中野区ゆかりの作家の芸術作品を建設時から展示しております。アール・ブリュットの展示については、2016年と2019年になかのZEROの展示ギャラリーにおいて展覧会が行われているところでございます。新たな芸術作品の展示につきましては、指定管理者と協議しながら今後検討していきたいと考えてございます。

○甲田委員 ありがとうございます。画一的な物差しで人を評価しがちな現代において、このような創造性豊かな芸術を通して作品とその背景に触れることで区民が得られるものはとても大きいと感じています。何より大切なことは、健常者と障害者というような枠にはめて捉えることではなく、どこまでも個性を大切にし、他者を尊敬・尊重できることが真の多様性であるということを教えてくれるのがアール・ブリュットであり、この芸術は中野の宝であり、まさにボーダーレスな社会をつくる大きな助けになると考えます。こうした意義を踏まえて、アール・ブリュットの振興に今こそ力を入れるべきと考えますが、区長の見解を伺います。

○酒井区長 アール・ブリュットは、これまで福祉団体、商店街、企業など裾野の広い取組が行われておりまして、文化芸術を振興する上で貴重な芸術のコンテンツであると認識をしております。今後も福祉団体や商店街、企業等と連携しつつ、各種団体に対する情報提供などを通じてアール・ブリュットの振興を支援していきたいと考えております。

○甲田委員 ありがとうございます。ぜひしっかりと取組をよろしくお願いいたします。

 最後に4番、動物愛護推進施策について伺います。私たち公明党は、人と動物との共生社会を目指す政策も推進してまいりました。また、動物介在教育の大切さは、私もかつて提案させていただき、自民党さんからもかねがね御提案があったと思います。令和2年度東京都教育庁の予算案の中では、動物飼育に関わる指導の充実を図るため、学校飼育動物にかかる獣医師を活用するためのガイドラインに基づく教育を推進するとともに、ガイドラインに沿った学校動物飼育を行う区市町村を支援――これは一応200校という予定だそうですけれども――というものがあると聞いています。まだ予算成立前ですけれども、先日東京都の担当に電話して伺ったところ、学校飼育動物にかかる獣医師を活用するためのガイドラインには、東京都獣医師会との連携がうたわれているそうです。区の教育委員会がもしこの事業を利用するとすれば、東京都獣医師会の下部組織である区の獣医師会支部との協定契約が必要になります。ウサギやチャボなどの学校飼育動物は、現在は限られた学校でしか飼育しておりませんが、全ての責任を教員に委ねる体制になってしまっているので、縮小してしまっていることもあろうかと思います。獣医師会からの協力があれば、飼育に関するアドバイスはもちろん、何かあったときに柔軟に支援をしていただくことが可能になると聞いています。このような事業を利用して、学校飼育動物における動物愛護教育を進めるべきではないでしょうか。せっかく東京都がここまで促していただいているのですから、活用方法を次年度に向けて検討してはいかがでしょうか、伺います。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 動物を飼育することは生命を大切にする心や他人を思いやる心を育む上で大いに役立つと考えております。御提案の事業につきましては、まだ詳細を承知していないために、今後の通知等を待ちたいと思っております。

 一方、現在東京都の動物飼育推進校、これは2年間にわたって獣医師と連携した環境整備や体験活動を推進する学校を支援する制度でございますが、こちらを応募している小学校や動物園の研修に教員が参加して新たにモルモットを譲り受けた小学校もございます。

 今後もそれぞれの学校の状況に応じ、東京都の事業や動物園の事業などを学校に紹介するなどして、動物愛護教育を支援してまいりたいと考えております。

○甲田委員 そうですね。推進校の取組としてやっていただいているということに、非常にありがたいなと思いますけれども、今回の東京都の獣医師会のガイドラインに基づく教育推進というのは、それとともに新規で活用できるということになったと聞いておりますので、ぜひ検討をお願いいたします。

 また、私も相談を受けて大変だった経験があるのですが、独り暮らし高齢者が犬・猫等を飼っていて突然入院してしまうということがあります。ペットが病気になった場合に備えるペット医療保険とともに、最近はNPOなどが飼い主の病気や死亡によって里親探しをしなければならないペットの保護や支援を行うような保険もあると聞いています。このような備えに関する相談を受けてくれる窓口も今後ますます必要と思われます。東京都福祉保健局の予算案には、地域生活支援の包括補助の中で、地域における動物の相談支援体制整備事業、これは飼い主がペットの飼育が困難となった場合の地域の問題についてボランティアと連携して相談支援を行う体制を確保し、共生していく仕組みを構築する区市町村を支援する事業ということですけれども、こういったものもありまして、補助率は10分の10だそうです。このようなものも活用して終活の課題などに取り組んで、動物愛護を推進してはいかがでしょうか、伺います。

○菅野生活衛生課長 区はこれまで愛護動物を最後まで責任を持って飼うなどの適正飼養につきまして、犬や猫の飼い方教室、ペット相談会、ポスター掲示などにより周知啓発を行ってまいりました。高齢者がペットを飼うことは、健康面での効果や日々を送る上での癒しや生きがいにつながると言われておりまして、重要であると理解しております。万が一、飼い主の方が健康上の理由などで飼えなくなった場合の対応につきましては、ケアマネジャーなどとも連携しながら普及啓発を強化していく必要がございます。このような背景を踏まえまして、東京都におきましては令和2年度から開始いたします地域における動物の相談支援体制整備事業は、ボランティア団体などと連携いたしまして、地域における動物に係る問題を解決する仕組みの構築を進めることを目的としております。区は今後、愛護動物に関します各種事業を推進しております公益社団法人東京都獣医師会中野支部や東京都動物愛護推進員などから御意見を伺い、先行区の動向を注視するとともに、実施に向けた課題を整理し、都の事業の活用について検討してまいりたいと考えております。

○甲田委員 丁寧なお答えありがとうございました。先ほどの総務70の資料にもありますけれども、寄附額の中でも一番金額の多いものがこの動物愛護となっております。これほどの皆さんの思いをしっかりと施策にしなくては申し訳ないと思いますので、しっかりと取組をお願いしたいと思います。

 以上をもちまして、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で甲田委員の質疑を終了します。

 次に、来住委員、質疑をどうぞ。

○来住委員 2020年第1回定例会予算特別委員会において、日本共産党議員団の立場から総括質疑を行います。

 なお、最後のその他についてはございません。

 まず、被災者、弱者に寄り添う区行政についてをお聞きします。昨年の台風19号により、首都圏でも各地で住宅が浸水し、高層マンションはライフラインがストップしました。また、住民の避難でも都市部の課題を多く残す結果となりました。今後は、台風の勢力がより強まるということも予測されておりまして、台風や首都直下地震を念頭に置いた防災対策が急がれます。そこで、昨年10月の台風19号への対応を教訓にして、今後にどう生かすかという立場で、一時避難所について伺います。

 まず、災害対策基本法で一時避難所の位置付けはどのように定められておりますか、お聞きします。

○山田防災担当課長 お答えします。一時避難所は、災害が発生し、または発生のおそれがある場合に緊急的に避難する施設、場所である指定緊急避難所として法に規定されております。

○来住委員 内閣府の手引によると、居住者のみならず、滞在者、通勤・通学、旅行者にも避難所を開くことが前提だというふうにもされております。したがって、一時避難所はあらゆる対象者を受け入れることを想定しておりまして、開設に当たっては周到な準備が求められているんだというふうに思います。今回の台風19号は、10月12日(土曜日)に東京に上陸が予測されていました。そこで中野区の災害対策本部は、一時避難所の開設をいつどの時間で決定をされたんでしょうか。

○山田防災担当課長 台風19号の動向を踏まえまして、令和元年10月11日(金曜日)の正午頃に、翌12日(土曜日)の午前10時に初動配備体制の発令を行うことといたしました。これに合わせて一時避難所を開設することを決定いたしました。

○来住委員 避難所開設の決定を各避難所となる区民活動センターに何時と、決定されたのが正午ですね。次の土曜日の10時ということで開設をする方向で定めたと。この決定については何時にどのような手段で避難所となる区活に指示をされましたか。

○伊藤地域活動推進課長 防災体制におきましては、地域活動推進課が地域指揮班として地域本部を統括しております。地域指揮班から各区民活動センターへ、12日(土曜日)10時参集、変則3名の初動配備体制ということにつきまして、11日(金曜日)の午後2時前後にメールで連絡をいたしました。

○来住委員 正午に災対本部で決定をしたと。2時に各センターに決定の指示をされたということですね。避難所の開設決定をされたその日の、3時ぐらいですから、3時間後ですね。だから、15時の段階で避難所に指定されているある区民活動センターに行きました。そこで、一時避難所の開設の指示が確認できていますかということでお聞きしましたら、少なくともその時点ではそこでは確認がされていませんでした。その場で職員の方がメールを開いて開設の指示の確認が取れたということでした。今後の問題ですけども、メールだけで指示をされるというやり方が、受ける側がその指示を受け取ったかどうか含めて、やはり別のツールも必要なんではないか。要するにメールだけでなく、電話であるとか、固定無線であるとか、その開設の指示というのが的確に伝わらないと初動体制に遅れが出てしまうのではないかということを心配します。今後の問題として、その点ではどのように考えていらっしゃいますか。

○伊藤地域活動推進課長 台風19号の対応におきましては、地域指揮班におきまして防災課と綿密な情報共有を図っておりまして、12日(土曜日)または11日(金曜日)の夜間に情報連絡体制または初動配備をしく可能性が高いこと。そのため、避難者の受入れの準備を行うことという指示を9日(水曜日)には地域本部長、副本部長に出しておりました。全ての地域本部で準備が進められていたところでございました。ただし、今御質疑にございましたようなメールの伝達の時間差というようなこともございますので、配備体制に関する情報伝達につきましては、必要に応じて複数の手段を使うなど、迅速、確実に行ってまいりたいと考えております。

○来住委員 災対本部の決定を正確に迅速に伝えるということが災害時にはとても大事なことだというふうに思いますので、教訓にしていただきたいと思います。

 災対本部の条例施行規則では、その(9)で「地域防災住民組織との連絡及び協力要請」をという項目もございます。連絡や協力を要請する必要性が一方では規則で定められているんですけども、今回に限って言うならば、決してその点では十分ではなかったのではないかというふうにも思います。私の地元の関係防災会長さんにも、解除後、この指示が解除された後にお聞きしても知らなかったという方、伝わらなかったという方もいらっしゃいました。これも今後の問題ですが、各地域防災会への伝達であるとか地域住民への広報であるとか、その活動を、今後も起こり得ることですので、どのような形で改善をされるのかあれば、あると思いますけども、お答えください。

○山田防災担当課長 今回の台風は避難勧告等ではなく、住民が予防的に避難する自主避難の受入れとして一時避難所を開設しております。そのため避難を呼びかけたものではございません。一時避難所の開設については、ホームページ及びツイッター以外では周知しておりません。

 今後地域防災会への情報提供については、緊急情報伝達システムを活用するなど強化していきたいと考えております。また、地域住民への広報活動は車両を活用した広報、防災行政無線や緊急情報電話伝達システム等様々なツールを活用し、情報発信の強化について検討していきたいと考えております。

○来住委員 ぜひ具体的な改善をお願いしたいと思います。一時避難所開設決定の午後の段階でしたが、金曜日ですけども、防災課のホームページを開きますと、一時避難所の場所が分かるようになっていました。ところが、東部区民活動センターの一時避難所の住所が鍋横区民活動センターと同じになっていまして、これは訂正すべきではないかということで防災課に電話をし連絡しました。しかし、台風上陸の土曜日の午前中までに、具体的に土曜日の10時に指示があったわけですけども、その午前中までに訂正、変更がされていませんでした。後日、防災部署等から、訂正できない状況になっていたということもお聞きしましたが、しかし、その後、改善をされたと、訂正もされたということですので、それは今後にぜひ整備をしておいていただきたいというふうに思います。

 同じく一時避難所の開設指示が決定されて、ある区民活動センターで金曜日の3時頃に私がお訪ねして、避難してくる方がいらっしゃるので備蓄などについてはどういう状況になっていますかということをお聞きしました。毛布が10枚ちょっとありますということでしたけども、それだけではどれだけの方が避難してくるか分からないことも、想定できませんでしたので、せめて水だけでも用意、確保されたらどうですかというお話をしましたが、その予定は、基本的にそこにはそういう準備はないということでした。その点でも、防災課の方に御連絡しましたけども、一時避難所の原則は避難する人の責任という、そういうことになっているという御返事でもありました。まあ、そのときはそうだったのかなと思いますが、やはり私も、土曜日に近づく中で、近隣のコンビニなどを回りますと、売場には食べ物、特におにぎりやパンなどももうなくなって売り切れている状況でした。したがって、災害対策本部の運営及び災害応急対策に関する要綱第10条の3項では、そのことについて一定の定めをしていると思いますが、どのような決め方をされていますか。

○山田防災担当課長 要綱では、一時避難所は、災害対策本部長である区長が、区民等の救援・救護活動に必要があると判断した場合に開設することとなっております。また、開設期間は原則として災害発生から7日以内。また、避難者に対しては、必要に応じて寝具等を用意するとともに、食糧1食分を支給することとしております。

○来住委員 結果として土曜日に対応されたということも聞いております。報告も聞いております。今回の台風情報は、特に19号の前の15号の被害が千葉などに大きな被害をもたらして、マスコミの中でも特に最大限の命を守るための手だてをとってくださいという、そういう国民へのといいますか、広い情報として繰り返しそのことが伝えられていた台風だったと思うんですね、19号については。それだけに避難所開設によってかなりの方が一定の方が避難してくるのではないかということは想定できたと思いますし、結果的に最大で300人でしたか、中野全体で避難をされた。想定を超えていたのかなと私自身はちょっと思いますが、判断として、当日対応をされていますけども、土曜日に対応されていますけども、それは正しい判断だと評価をしたいと思います。

 それに至る変更、私が金曜日に聞いたときにはそういう用意がないということでしたけども、その後、経過を見ながら変更されて対応されたということと、新年度の予算案で備蓄物資の拡充の内容ということも盛り込まれましたので、その点、その二つをまずお聞きしたいと思いますが。

○山田防災担当課長 台風19号では店舗の営業停止や食品の品薄に伴い、避難者が自己調達できなかったことや自身が準備しなければならないことを知らずに避難した方が多かったことから、必要な備蓄品を提供したところでございます。

 今回の対応を踏まえまして、一時避難所である各区民活動センターにおいても一定程度の備蓄品を常備することとし、新年度予算案に盛り込んだものでございます。なお、内訳は、500ミリリットル入りの水が48本、食料、おかゆになりますが、60食、毛布50枚となっております。

○来住委員 今後に備えて予算案として計上していただいたということで評価したいと思います。翌日、一時避難所で一夜を明かした高齢者の方から、おかゆを口にできてほっとしたと、とてもありがたかったという話もいただきました。そういう意味では、厳しい土曜日の環境の中で届けていただいた皆さんの努力には感謝したいと思います。今回の一時避難所の設置を教訓にして、新年度の予算案で対応するということでありますけども、ぜひその点をしっかりと整えていただきたいと思います。

 関連ですが、次に台風15号、19号の住宅被害の一部損壊家屋への支援について伺います。東京都は台風15号、19号による家屋の一部損壊に対し、昨年12月20日施行で住宅改修の補助事業をスタートさせました。中野区も補助事業の受付を1月31日から開始しています。まず、本事業の概要と補助事業への申請状況はどうなっているでしょうか。

○三王住宅課長 補助事業の主な概要につきましては、補助対象となる住宅として、台風第15号、または第19号により被害を受けた区内に存する貸家を除く住家のうち、罹災証明の罹災程度において、床上浸水、床下浸水、その他と判定された住宅でございます。補助対象者は、現に自己が所有し、かつ自己が居住する住宅の補修工事を行う者。対象となる補修工事は、令和2年3月19日までに工事が終了し、施工業者に代金を支払い済みのもの。補助金額は、対象住宅1戸につき、補修工事に要する経費の2分の1、もしくは30万円のいずれか低い額となっております。2月25日現在の区の補助申請受理件数は15件でございます。

○来住委員 既に15件あるということですね。本事業は、災害被害の家屋の一部損壊を対象に補助するというところに特徴があります。そして、この都への申請が3月19日と一方で迫っている時限的な補助事業ですので、したがって、他の自治体では、この新年1月早々から申請の受付や申請の勧奨を始めている自治体もありました。豊島区では町会連合会の回覧板で補助制度の活用を呼びかけるということなどもされていました。1月15日に、この回覧板を見た区民の方から問合せがありまして、この段階では中野区ではまだ整ってなかったようです。しかし、中野区も急ピッチで準備を進めて2月4日の建設委員会に、1月31日から補助事業の受付を開始したとの報告をいただいています。東京都は年度内の予算措置が必要なことから、各自治体には事前に考えが説明されていたというふうに思います。今後の課題として、緊急性や予算対応が求められるものについては、区として即決できる組織の在り方が求められているのかなということを今後に生かしていただければと思います。今回の東京都の補助事業は、台風15号、19号に限定したものとなっています。異常気象の中で今後も風水害などの災害に備えることは、地方自治体として大きな課題だというふうに思いますが、そこで伺います。東京都に対して災害被害で一部損壊への補助支援制度となるよう求めるべきではないでしょうか。同時に、中野区としても今回のみで終わらせることなく、独自事業として検討をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○三王住宅課長 東京都では台風第15号及び第19号の住宅被害が広範であったことを鑑み、速やかな住宅の安全と生活再建を図るため、本事業を緊急対策として実施することといたしました。今後同様の被害が起きた場合は、災害被害を受けた住宅の補助支援制度を東京都に求めていきたいと考えております。区独自事業につきましては慎重に検討すべき課題でございます。

○来住委員 ぜひ慎重にかつ積極的に検討をいただきたいということをお願いしておきます。

 区民から中野の区政が変わったということを実感してもらえるような、被害を受けた方々に寄り添う行政の姿勢というのが区民に伝わるような、そういう取組にしてほしいなということを願っています。台風関連の質疑は以上です。

 次に、避難所における備えの問題について2点伺います。その第1に、避難所に段ボールベッドを確保することについてお聞きします。段ボールベッドは、避難所での高齢者、障害者など弱者にとって有効であることから備えることを私ども会派としても求めてまいりました。避難所において段ボールベッドの活用を、国も避難所運営の指針に盛り込みました。そのこともあって、段ボール事業者との協定を結ぶ自治体がこの3年間で45都道府県政令市となり、この3年間で5倍にも増えました。段ボールベッドの最大の利点は、寝返りや背伸びができる空間が確保されること、同じ体勢を続けることによるエコノミークラス症候群の予防にもなること、床に寝るより約9度暖かいとの分析結果も報道されています。また、床を舞うほこりが原因の呼吸器疾患を防ぐ効果もあると言います。いいことずくめの優れものなんですけども、最近の報道によりますと、2016年の熊本地震で約5,300床、18年の西日本豪雨と北海道地震でそれぞれ約4,000床が活用されたと報道しています。避難所になくてはならないものとなってきていると思います。そこで、23区での段ボールベッドの協定締結の状況はどうなっているでしょうか。また、段ボール業界団体と供給協定を結ぶやり方が一般的と考えますが、どのように認識されているでしょうか。

○田中危機管理課長 災害時に段ボールベッドを活用することとした自治体におきましては、区が備蓄スペースを確保する必要がないことや、災害時に着実な調達が可能となることなどから、事業者と段ボールベッドの供給に関わる協定を締結することとした区が多い状況となってございます。

 なお、23区における段ボールベッドの協定締結状況でございますが、13区で協定を締結してございまして、1区が協定締結に向けて調整中というような状況となってございます。

○来住委員 23区でも随分進んできたと思います。この1月15日に締結したばかりの江戸川区と業者間の締結内容は、災害時における段ボール製簡易ベッドと間仕切りの提供を優先供給するという内容に協定がなっています。締結した自治体の多くは、必要数を届けてもらう内容となっていますけども、例えば千代田区では1,000床という数まで協定の中に盛り込むなどの自治体もあります。先ほど答弁いただいたように、在庫といいますか、備蓄を抱えることがないということで、いざというときに運んでもらうという、そういう協定になっています。この間求めてきましたが、中野区が協定締結にまだ踏み出せないという理由があるんだと思うんですが、それはどこにあるのか。その点いかがでしょうか。

○田中危機管理課長 中野区では、避難所の敷物として断熱性がありクッション性も高く、硬さも調節できるエアマットを各避難所にそれぞれ約900枚ほど備蓄をしている状況でございます。御案内の段ボールベッドの活用につきましては、このエアマットなどの現状の備蓄品との比較とか有効性等を検討しているところでございまして、そこも含めて検討している状況でございます。

○来住委員 業者との協定を結んで備えておくということも検討しているということで、もう一度、すみません、その点確認させてください。

○田中危機管理課長 先ほども御答弁申し上げましたけれども、現在エアマットなどの備蓄品、こちらとの比較とか有効性等も含めまして、また併せて段ボールベッドの協定内容、こちらも併せて検討していきたいというふうに考えてございます。

○来住委員 ぜひ、備えあってのことですので、協定を結ぶことが大事ですので、期限を持って協定の締結を進めていただきたいと思います。段ボールベッドについては、東京都も新年度の予算案で6,000万円を予算化しています。数は2,000床を確保する予定になっていると聞いています。したがって、中野区も独自に段ボールベッドの備えをしていただくことも求めておきたいと思います。

 次に、備えるべき問題の第2に、避難所における性的少数者、いわゆるセクシュアル・マイノリティーなどへの配慮についてであります。報道によりますと、既に板橋区、世田谷区、千代田区などの六つの自治体では、性的少数者など多様性への配慮すべきこととして防災計画の中で明記されているとのことです。世田谷区の地域防災計画には、トイレは男女別だけでなく、多様性の視点に配慮し、誰でも使用できるトイレを配置するとしています。板橋区の避難所運営マニュアルでは、「近年、男女のニーズの違いや子育て家庭、宗教、LGBTをはじめとする性的マイノリティー等のニーズに配慮することの重要性が高まっています」とマニュアルにうたっています。そこで中野区においても、防災計画や避難所運営マニュアルに、いわゆる性的少数者に配慮する文言を入れておく必要性があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山田防災担当課長 区では要配慮者などを考慮し、車椅子でも使用できるトイレや筆談器などを配備し、避難所の質の向上に取り組んでいるところでございます。また、東京都でも女性やLGBTの方、異性介護者への配慮など誰もが生活しやすい避難所運営について避難所管理運営指針に示しているところでございます。今後も地域の意見を踏まえつつ、多様性に配意した避難所運営について取り組むことと併せて、地域防災計画や避難所運営マニュアルの充実についても検討していきたいと考えております。

○来住委員 よろしくお願いします。災害時には区民の中にいろんな動揺や混乱も起きます。そんなときこそ行政は被災者や弱者に寄り添い、あらゆる事態に備える姿勢が大事だということを申し上げておきます。

 次の項目に入ります。精神障害者の居住支援について伺います。障害者にとって親亡き後の問題は家族にとっても大きな不安です。障害者の方々が地域の中でどう暮らし続けられるか。働く場所の問題や暮らしを支える経済的な問題もありますが、何といってもその土台となるのは住まいの確保です。3障害の中で精神障害の方々の住まいの確保についてここではお聞きします。まず、精神障害者の方々の住まいの実態はどうなっているのでしょうか。調査があればお示しください。

○河村障害福祉課長 平成29年度障害福祉サービス意向調査によりますと、精神障害者保健福祉手帳所持者の51.1%が持家、民間賃貸住宅35.9%、公営住宅6.1%、その他3.8%、無回答3.1%となってございます。

○来住委員 東京都福祉保健局の調査、ちょっと古い調査ですけども、精神障害者509人の調査によるとというのが出されています。持家が31%で身体、知的、精神の3障害の中で一番低いと。ほかよりも20ポイント以上低いという状況が東京全体での調査。一方で、賃貸住宅が57%で最多だということで、グループホームやケアホームの入居者は10年前に比べ1.8ポイント増加しているという調査もいただいています。区内の精神障害者でグループホームに入所されている方は、中野区内と中野区外の施設でそれぞれ何人いらっしゃいますか。

○河村障害福祉課長 令和2年1月時点で、精神障害者の中野区内のグループホーム入居者数は20名で、中野区外が52名、合計72名となってございます。

○来住委員 今、報告いただいたとおりだと思うんですが、身体障害の方、知的障害の方々のグループホーム、入所者を見ますと中野区内が数的には多いんですね。それに比べて精神の方々が、今御報告いただいたように、区内よりも約倍以上は区外ということが特徴になっています。先日、精神障害者を持つ家族会の方々からのお話を伺うことができました。息子さん、娘さん、それぞれ40代、50代になっていること。また、中学生の頃に発症したことから、当時は病気とは思えなかったこと。また、親離れ、子離れができないなど、それぞれの家族にそれぞれの違いや思いがあることを知りました。共通しているのは、子どもが1人になってから住まいや暮らし方がとても心配だということです。一人での暮らしが無理なだけに、グループでの生活の場を願っておられるということも分かりました。中野区では、障害者が住みやすい中野の実現をということで、これまでそのことを目指して、障害者自立支援協議会が障害者の住まい確保のための大家さんに向けたセミナーをやってこられたと思います。このセミナーの取組の趣旨、目的、そしてこの2月にもパート8が開かれておりますけども、その結果についてお聞きします。

○河村障害福祉課長 今年2月13日に行いました大家さん向けセミナーパート8は、障害者グループホーム開設に向けた取組をテーマといたしまして、講師に公益社団法人東京共同住宅協会や特定非営利活動法人グループホームの大家をしている方を講師として、各講師からグループホーム開設に至る具体的な取組についてお話をいただき、51名の参加者がございました。

○来住委員 ありがとうございます。精神障害者のグループホームには、通過型と滞在型の類型があります。通過型はおおむね3年間で単身生活に移行すると。基本は3年間と定めがあります。3年間たっても継続されるケースももちろんありますが、半年前から退所を促されたり、最近では3年の期限で出なくてはならないケースも増えているとお聞きしました。障害者団体の方々からも、通過型でなく、中野にも滞在型のグループホームをつくってほしいとの声が寄せられております。23区では、中野区以外の22区全てに1か所から3か所の滞在型のグループホームがそれぞれ設置をされています。練馬区では、精神のグループホームだけでも39か所ございまして、うち18か所は滞在型というふうになっています。

 そこで伺います。通過型のグループホームは、中野区内には9か所今ありますが、滞在型は1か所もありません。グループホームの2019年度の設置目標も掲げていたと思いますが、その結果と見通し、また滞在型のグループホームの設置についてどのようにお考えでしょうか。

○河村障害福祉課長 第5期障害福祉計画では、平成31年度5室の開設を予定してございましたが、開設数は0数となってございます。今後も障害福祉計画に位置付け必要数を整備していきたいと考えてございます。滞在型も含めグループホームができない理由としましては、担い手である人材不足が課題となり、整備誘導が進みにくいとも聞いてございます。区としましては、今後は福祉人材の確保に向けた取組についても検討したいと考えてございます。

○来住委員 ぜひお願いしたいと思います。家族の方々は、住む場所が変わることによって、いわゆるグループホームから出たり帰ったりしなきゃいけない。住まいが変わってしまうということによって病院への通院を困難にしてしまう。通院に交通費がかかり過ぎる。病院を変わらざるを得ない。住む場所が安定しないと不安だとこもごも話をされています。グループホームは、地域や近隣との関係をつなぎ合わせるところにグループホームの持つ意味があります。障害者本人を支える親が70代、80代と高齢化していることもあり、住む場所が安定的に見通せる場所に確保されることは切実な願いとなっています。まさに住まいは人権です。中野区として、滞在型をはじめグループホームを設置できるよう民間の所有者さんの協力を得ながら、さらに空き家の活用なども工夫して目標を持って取り組んでいくべきだと考えますが、いかがでしょう。

○河村障害福祉課長 グループホームは、障害者の地域生活を支える上で必要なサービスであり、区としましても、通過型、滞在型のほか、障害者総合支援法改正、平成26年4月に創設された1人暮らしに近い形態のサービスを提供するサテライト型住居についても事業者への働きかけを行い、整備誘導を図っていきたいと考えてございます。また、グループホームのほか、居住サポートや各種サービスの活用、相談支援の充実により、精神障害のある方が自立した地域生活を営むことを目標として支援していきたいと考えているところでございます。

○来住委員 よろしくお願いします。この間、家族の皆さんとお話をする中で、精神障害を担当する区の職員をとても信頼されていることを強く感じました。とてもうれしく、また希望が見えた感じでした。とても大切な関係だと実感します。3障害の中でも遅れている精神分野での施策ですので、ぜひ努力をして充実をしていただきたいと思います。この項は終わります。

 次に、パートナーシップ宣誓について伺います。1月31日の総務委員会に男女共同参画、多文化共生などの推進に向けた今後の取組についてが報告されました。その中でパートナーシップの現状と課題については、パートナーシップ宣誓の実施などの取組を進めてきた。しかし、性別や性的指向、性自認、国籍などを理由とする差別や偏見などは根強く、力を合わせ、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めていく必要があるとしています。今後パートナーシップ宣誓に係る規定整備を含めた改正条例の在り方について検討するとなっています。今後の議論と検討に当たっては、当事者や区民の参加を得て深めてもらうことを期待して、この質疑では、中野区の2018年8月からパートナーシップ宣誓の取り扱いに関する要綱、これに関連して4点について伺います。

 まず、パートナーシップ宣誓書受領者の件数とこの間の取組を簡潔に御答弁ください。

○杉本企画課長 本年2月25日現在の宣誓者は46組でございまして、うち公正証書と受領証を交付した件数は5組でございます。この間の取組といたしましては、パートナーシップ宣誓の取組について、区民や区内事業者に周知啓発を図ったほか、当事者向け対面相談や区民向け講座、職員研修の実施など性的マイノリティーに関する普及啓発を実施してきたところでございます。また、昨年10月には、取組の成果と課題を把握し、今後の施策の参考とするため、宣誓者に対するアンケート調査を実施したところでございます。

○来住委員 私は先週、宣誓証の交付を受けた方から生命保険の受取人が実の親になっていたが、亡くなったために名義をパートナーに変更したいと保険会社に申し出たところ、中野区から宣誓証の交付を受けているということを伝えることで、それをもって保険会社は名義変更を認めて手続が完了しましたと教えてもらいました。この活用がされていることをとてもうれしく思いました。パートナーシップの取組や制度の広がりとともに人権意識の高まりもあり、企業によってはこれまでと違う対応ができるようになったと言えます。一層の促進を図る上で、人権問題にきちんと向き合う企業や団体を公表してもいいのではないかなとさえ私は思います。

 中野区での受領証交付者のアンケートの結果が公表されています。世田谷での当事者のアンケートにも共通していることとして、パートナーの入院時に家族同等での扱いをしてもらえるように、また不動産賃貸物件での一般夫婦と同じように扱ってほしいことなどを関係者は望んでおられます。企業や団体間においても認識や取組の姿勢は大きな差があります。アンケートに寄せられている当事者の声についてどのように受け止めておられますか。

○杉本企画課長 アンケート結果によりますと、受領証を提示した際の宣誓者に対する事業者等の反応としては、好意的なものやたらい回し等、事業者等の認識によって大きく異なる状況にあることが読み取れたところでございます。区といたしましては、この結果を受けまして、宣誓者を受け入れる環境の整備のさらなる充実を図っていく必要があるという認識を持ってございます。事業者や区民への普及啓発を進めるとともに、当事者が日常生活において困り事を感じる機会が多いとされる事例について分析し、効果的な対応等を検討してまいりたいと考えてございます。

○来住委員 昨年4月にパートナーシップの条例化をした豊島区にこの点での取組を聞いてみました。企業や医療団体だけでなく区民団体、町会自治会に対しても条例の内容を理解してもらう取組を進めているということでした。中野区も立ち上げ時には努力をされてきましたし、今もどこまでされているか分かりませんが、しかし、この理解を深めていただくために日常的な働きかけが繰り返し必要ではないかというふうに思います。これはお願いしておきます。

 そこで受領証を手にされた方は、受領証そのものは一定の大きさを持っています。しかし、受領証を必要に応じて提示できるように携帯用のカード化、これは他の自治体でも既に行われているケースもありますが、携帯用カード化にしていく考えはございませんか。

○杉本企画課長 宣誓者や受領証の提示を受ける事業者向けの注意事項を記載しているため、現在はA4サイズの受領証を使用しているところでございます。携帯できるカード型の受領証につきましては、宣誓者アンケートにおいても要望を受けているところでございます。カードサイズの受領証の発行につきましては、受領証の活用のされ方等を踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○来住委員 ぜひお願いします。次に、宣誓に関する要綱についてお聞きします。要綱の定義では、第2条の1号において「戸籍上の性別が同一である2人」と定めています。すなわち、戸籍に届けている性別が同じであることを意味するものとなっています。例えば、豊島区の条例では、「多様な性自認・性的指向の人々」となっており、世田谷区の要綱では、「自認する性が同じである場合を含む」となっております。このことから、戸籍上にとらわれず、性自認・性的指向の方々に門戸を開いているというふうに思います。本定例会での区長の施政方針説明では、性的指向・性自認による生活上の困難の解決に向けた相談窓口を設置した取組を行ってきたということも紹介をされています。中野区の要綱の目的第1条では、「多様な生き方、個性及び価値感を受け入れる」となってはいますが、一方で、トランスジェンダーなどへの本制度の活用を閉ざしているということになります。そこで、中野区も、今後条例化の検討もありますけども、しかし、これを待たずして、本要綱の第2条の(1)については一定の改正が必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○杉本企画課長 パートナーシップ宣誓は同性パートナーの方が直面する困難等の解消を図るために対象を戸籍上の性別が同一である2人と定義し、取組を開始したものでございます。しかしながら、当事者の皆様からは、性的マイノリティーのカップルの全ての組合せに対応できるような要望もございますことから、規定の在り方につきましては十分に検討し、必要な改善をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○来住委員 よろしくお願いします。次に、宣誓要綱の第4条には、宣誓の方法として、「次に掲げる書類を添え、区長に宣誓をして提出しなければならない」と要綱はなっています。中野区の場合は、宣誓手続までのその手順と宣誓する場所はどこで誰に対して宣誓書を読み上げる形になっているんでしょうか。

○杉本企画課長 宣誓に当たりましては、宣誓の希望日の14日前までに区へ事前連絡をいただきまして、宣誓日の調整や必要書類の確認等を行った上で、宣誓の7日前までに書類一式を提出いただくことになってございます。宣誓当日は個人情報に配慮するため、区役所内の会議室で手続を行っているところでございます。また、宣誓文の読み上げにつきましては希望制としておりまして、区長に対して行っていただいているものでございます。

○来住委員 宣誓についても、やはり再検討が必要ではないかなというふうに思います。世田谷区では、パートナーシップの宣誓は当該職員に提出することにより行うとなっています。豊島区では、宣誓セレモニーはありません。婚姻届と同等の扱いとして考えているというふうにお聞きしました。改めて他自治体の状況も踏まえて、この宣誓の在り方については御検討いただきたいと思います。

 そこで次に、宣誓の手引によりますと、提出書類なんですが、パートナーシップ宣誓書、パートナーシップの宣誓に関する確認書、全世帯の住民票の写し、戸籍謄本、これは条件になっています。アンケートの中にも、この点ではこういうアンケートになっております。まず、事前連絡から宣誓当日までの手続に要する期間を短縮してほしい、必要な書類が多く手続が煩雑なため、提出書類を厳選してほしいと、こういう意見になっておりますけども、パートナーシップ宣誓も豊島区のように婚姻届に準ずるというような考えもあるようですので、宣誓のセレモニー、書類の提出の精査も必要ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○杉本企画課長 宣誓手続に要する期間といたしましては、宣誓会場の確保や提出書類の確認等に必要な期間を考慮して設定しているところでございますが、当事者の皆様の声を踏まえて簡略化できる手続や提出書類等について検討を進めてまいります。また、区では、当事者の皆様に一定の需要があることを見込み、個室での宣誓や宣誓文の読み上げなどを導入しているところでございますが、宣誓の在り方につきましては、個人情報に十分配慮した上で、宣誓者にとってより活用しやすい取組となるように改善に向けた検討を進めてまいりたいと考えてございます。

○来住委員 よろしくお願いします。婚姻届は本人でなくても代理でも受け付けられるということになっています。届出書類も2人が区内に在住であるならば、身分証明の確認と婚姻届を1枚提出することで、原則としてはそれが届けとして完了するという形になっていますので御検討いただければと思います。

 この項の最後になりますが、次に学校教育に関連して伺います。紹介した当事者の方々のアンケートや、先に紹介したアンケートですけども、当事者の思いの中に偏見や差別をなくすための学校教育についての強い願いが込められていることがお話ししていても伝わってきます。

 私は中野区のパートナーシップの宣誓要綱に至る過程の中で、東京都教育委員会が毎年全ての教職員に配布している人権教育プログラム(学校教育編)という、これですが、紹介をしてきました。学校教育編の中では、かなりこの冊子は毎年変わってきているんですが、平成26年度版では僅か1ページにも満たない3分の1の記述でしかありませんでした。しかも、人権課題の一番最後、その他で扱っていました。ところが、平成31年3月版でいきますと、これが大きく変わりまして、さらに人権課題の中で5ページにわたって記述をされるまでになりました。そして性同一性障害、性的指向・性自認としてかなり記述も豊かに、しかも、位置も以前よりも前のほうになりました。

 そこでお聞きしますけども、東京都の教育委員会が人権教育の中でこういう形で位置付けを変えてきた、これは社会的な背景もちろんあると思います。しかし、学校教職員の全体の意識をどう変えていくかということが、その取組が求められていると思います。取組について伺うと同時に、教育委員会の委員さんの中でも、これらについては議論をされているのでしょうか。2点についてお聞きします。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 性同一性障害や性的指向に限らず、あらゆる人権課題の解決には学校における人権教育が大きな役割を果たしており、その担い手である教職員の研修と意識改革は不可欠であると考えております。いわゆるLGBT等に関わる人権課題につきましては、昨年度から中堅教諭等資質向上研修や初任者の教員や保護者も参加するいじめ防止研修で取り上げております。LGBT当事者、東京都人権プラザ専門員、弁護士などを講師として招いた研修は、教員の意識改革に大いに役立っていると考えております。また、管理職や教職員に対しては各校において積極的に人権教育プログラムを活用し、その時々に課題となっている人権課題を取り上げながら研さんを重ねることにより、職層や経験に応じた人権感覚を身につけていけるよう指導しております。

 LGBT等を含め様々な人権教育につきましては、教育委員会におきましては、関連事項の協議や報告の際に御意見をいただき推進しているところでございます。特に毎年10月から11月の時期に、指導室が次年度の学校教育の指導目標案を示す際に、人権教育の在り方や進め方について教育委員会で議論していただいているところでございます。

○来住委員 しっかり議論を踏まえて取り組んでいただきたいと思います。パートナーシップ宣誓についてお聞きしてきました。2022年4月から成人の扱いが18歳に民法が改正、施行されます。既に自治体によっては、この宣誓の対象年齢も改正している自治体も生まれています。中野区としても要綱の変更も必要になるかと思いますが、そのことを申し上げて、次の質問に入ります。

 次に、羽田空港増便計画の問題についてお聞きします。中野区上空を旅客機が低空飛行する羽田空港新ルートの本格運用を前に、航空機の実機試験飛行が住民の合意のないまま2月2日から7日間実施されました。航空評論家でJALの元機長の杉江弘さんは、世界の空港行政の常識は、人口が密集する大都市上空を飛ばないことだ。落下物の危険、騒音被害などと指摘をされています。まず、今回の実機試験飛行で区民の方からどのような声が区には寄せられておりますか。

○波多江環境課長 実機飛行確認で区民から寄せられた意見としては、飛行機の騒音に関すること、それから落下物への不安、飛行機の機体が大きく見え圧迫感があるなど、飛行機の上空通過を体験した実感についての意見がありました。また、周知が不足をしている、説明会の開催を求めるなどの意見もございました。

○来住委員 まだまだ新ルートの情報が区民の方に届いていないということをもって、今回強行された実機飛行だったと思います。したがって、突然連続して飛んでくる飛行機に驚いておられる様子が実感できました。また、中には、東京オリンピック・パラリンピックまでだと思い違いをされている方も多くいらっしゃいました。私はもう一つの非常識として、着陸に向けて今度変更された高度を下げていくという降下角度、これが3.5度に変わったわけですけども、もうそのこと自身が世界の標準は3度とされているのに、こういう危険な急角度に変わりました。今回の実機試験飛行で、エア・カナダ機は目的地を成田に変更しました。また、航空大手のデルタ航空は試験飛行を見合わせています。国土交通省は、3.5度の急角度にしたのは、騒音の軽減のためだと説明しました。しかし、3.5度への急角度の引き上げは、米軍横田基地の空域が原因としてあるんだということはもう既に明らかになっています。

 そこで伺います。実機試験飛行で中野区中央一丁目と新宿区落合測定局での騒音測定の結果は、最高騒音で何デシベルになったのでしょうか。また、その騒音とは一般的にどういう騒音ということで言えますか。

○波多江環境課長 7日間実施された実機飛行確認の実施結果といたしまして、航空機騒音の瞬間的な最大値ですが、小淀ホームで74デシベル、落合第二小学校の測定局では78デシベルでございました。一般的に申し上げますと、こちらの騒音につきましては、幹線道路際や騒々しい街頭に例えられる騒音レベルということでございます。

○来住委員 これが運航されるということになりますと、70デシベルを超える騒音で南風のときには15時から19時の4時間飛び続けると。しかも、1時間、A滑走路、C滑走路合わせて44回程度の飛行になるということです。まず、その騒音問題ですが、東中野駅上空を飛ぶC滑走路到着の騒音測定は中央一丁目に測定局が備わっています。しかし、中野上空のA滑走路に着陸を目指す飛行機については、測定局がないと思いますけども、それは求めるべきではないでしょうか、いかがでしょう。

○波多江環境課長 航空機の騒音測定局は各区が要望した結果、追加対策として全ての飛行直下の区に設置をされたものでございまして、隣接する渋谷区や練馬区にも騒音測定局が設定されていることから、航空機騒音については総合的に測定されていると考えてございます。今回の実機飛行確認における騒音データの分析や新飛行経路の本格運用が始まる3月29日以降の状況を踏まえ、騒音測定局の追加設置の必要性について考えていきたいと思います。

○来住委員 よろしくお願いします。区長は1月30日に国土交通大臣に対して、最新の知見、技術に基づいた騒音対策や安全対策を継続して実施すること、国の取組状況などについて様々な媒体、形式による広報や説明会を国の責任において積極的に実施することと要望書を提出していただきました。今回の実機試験飛行に寄せられた区民の声、先ほど説明会を求める声もあったと伺いました。また、怒りの声も寄せられております。区民の理解は得られていません。今回の実機試験飛行の結果を受けて、区民への周知は十分でないということは明らかになりました。また、騒音や落下物への危険性と不安は一層高まっていることから、区民の声を直接聞く説明会を国の責任で開くように改めて要望すべきではないでしょうか。いかがでしょう。

○波多江環境課長 今回実機飛行確認が行われました。国のほうでは、騒音等の詳細な分析を行っておりますことから、その結果や、3月29日以降の新飛行経路の本格運用の状況を踏まえ、説明会の開催の要望について検討したいと考えてございます。

○来住委員 墜落の危険や落下物や騒音の問題、さらには航空機の威圧感などが、区民の命と環境を守る立場から、3月29日からの本格運用は認めるわけにはいきません。このことを強く申し上げてこの質問を終わります。

 次に、子育て施策の充実について伺います。新年度予算案に占める子ども教育費の構成比が3.8%増の38%となりました。子どもの権利条例の検討、子どもの貧困対策、子ども読書環境の充実でブックスタート事業、保育所運営充実費の拡充など、子育て先進区実現に向けての施策推進に踏み出すものとなっています。

 まず伺います。さきの定例会でも、区役所窓口の区民の方々を待たせない、そういうことを、窓口の改善を求めてきましたけども、今回新年度予算案では、子どもの総合相談窓口の改善ということが示されています。その内容についてお答えください。

○神谷子育て支援課長 子ども総合相談窓口の相談体制強化といたしまして、ニーズに応じたサービスの案内や相談などに対応する子育てコンシェルジュを2名増員するとともに、キッズスペースを配置し、親子が安心して過ごせる環境を整えてまいりたいと考えてございます。

○来住委員 キッズスペースの拡充や2名の増員で対応をしっかりしていくということだと思います。第1次の保育園の選考結果が通知されています。その通知後、2月の初旬には相談窓口に1日平均の子どもの相談窓口に対しては123名もの相談者が訪れたというふうに伺っています。子育て相談の入り口となる窓口ですので、親子が安心して訪ねることができる窓口に努力してほしいというふうに思います。

 次に、区長の公約でもあります保育園の待機児ゼロについての取組について、また見通しについて伺います。まず、保育園の定員について、昨年4月と今年4月での定員と定員増について何人だったのか伺います。

○濵口保育施設利用調整担当課長 認可保育所、地域型保育事業、認証保育所等の保育定員については、2019年4月1日現在7,038人、2020年4月1日現在7,628人で590人の増でございます。

○来住委員 定員も590名増員ということです。そこで、4月の待機児ということで言いますと、これまで2018年に公表されているのは、待機児が171人、19年の157人ということが公表されております。では、この4月の入園の第1次選考結果が通知されましたけども、保留となった方々への保留通知書の発送件数は何件なのか。第1次の入園申請件数と保留通知の昨年と今年の比較についてお答えください。

○濵口保育施設利用調整担当課長 第1次選考につきましては、認可保育施設についての選考でございます。その後、第2次選考で入園となる方や認証保育所等認可外施設やベビーシッター利用の方もいることから、あくまでも途中経過での数字でございます。2020年4月入園の第1次選考の保留通知書の発送件数は595人でございます。また、2020年4月入園分の申請件数は2,182人、前年比で7人の増。また、2020年4月1日入園分の保留通知書の発送件数は595人で、前年比80人の減でございます。

○来住委員 1年前と比べると保留通知も減っているということで、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 この間の特徴として、待機児数で見ますと地域によって大きな格差が生まれています。中でも中央地区、東中野地区で0歳から1歳児の待機児童が解消されていません。議会資料を見ても、2017年でこの地域の待機児は0歳から1歳児で148名、2018年で144名と高止まりの状態です。そこで、待機児童ゼロの実現を目指しているわけですけども、力の集中が地域的に必要ではないかと。待機児童の多いこの地域に今後予定されている立ち上げ予定の保育園と今後の見通しについて伺います。

○板垣幼児施設整備課長 保育施設の新規誘致につきましては、待機児童が多く発生しております地域に限りまして募集をかけているところでございます。令和2年4月開設予定の保育園は、中央地域が2園と東中野地域に1園の予定でございます。また、令和3年4月に東中野地域に1園開園する予定でございます。

○来住委員 そうですね。予定保育園は公開されていますので。ただ、三つの保育園の二つの保育園については、0歳児保育は定員がゼロということになっています。伺いますけども、0歳児の保育定数を確保する新設保育園の条件は、土地が狭いであるとか保育士の確保が厳しいなどという、そういう条件も考えられます。待機児ゼロの目標を達成するには、事業者に対してきちんと、事業者にお任せじゃなくて、やはり0歳児が現実に待機しているわけですから、それをきちんと求めることなしには、やっぱりゼロ達成は難しいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○板垣幼児施設整備課長 通常、新規保育園の開設の前には、地権者、事業者等からの相談に丁寧に対応して綿密な調整を行っているところでございます。調整としましては、用地や建物の状況、開設後の各保育室の面積、それから保育士の配置等の運用を見据えた上で、平成31年4月において待機児童が最も多かった1歳児と次に待機児童が多かった0歳児の定員を確保できるような提案を要請することで待機児童の解消を目指しているところでございます。

○来住委員 待機児ゼロを目指して頑張っていただきたいと思います。育休制度が普及しているとはいえ、中央地域でも毎年0歳児の待機児は60名ということで解消されていませんので、お願いしたいと思います。

 次に子育て支援の二つ目として、子育て先進区の取組の一つに、これまで産後ケアの施設の確保を求めました。今日はこれに加えて幼児から小学生、中学生の施設としてセンター的な役割を発揮できる施設を中野区の中心に備えることを求めたいと思います。もちろん生活圏の地域にはこれまでもその役割を果たしてきた児童館があります。児童館は今後さらにその役割を高めるというふうに思います。

 1月20日に地域包括ケア推進調査特別委員会として、さいたま市にある子ども家庭総合センターを視察してまいりました。その施設に整備されているスペースは幼児中心の遊び場「ぱれっとひろば」、さらにその周りに中学生や高校生の活動スペース、ダンスやバンドスタジオも整えておりました。オープンして2年目ですけども、当初予定の年間12万人の利用者を見込んでおりましたけども、昨年1年間で約18万人だったとお聞きしました。この視察に同行していただいた子ども家庭支援担当部長の小田部長の感想をお聞きしたいと思います。

○小田子ども家庭支援担当部長 先月視察に伺いましたさいたま市子ども家庭総合センターは、平成30年4月に学校跡地を活用して子ども、家庭、地域の子育て機能を総合的に支援する中核施設として開設されまして、児童相談所、教育相談室、男女共同参画相談室やこころの健康センターなどの複合施設となってございます。1階には広々とした乳幼児広場がありまして、多くの子どもたちが遊んでおりました。また、子ども相談窓口や市民交流スペースなども備えまして、大変充実している施設あると感じました。

○来住委員 2月の雨の日曜日に、1歳児の子どもを育てる2組の幼児のファミリーを案内して「あいぱれっと」で2時間ほど一緒に遊ばせていただきました。感想を聞きましたが、おもちゃや絵本コーナーもあり、全てが子どもたちが安全に楽しむことができるスペースとして考え抜かれていると。飲食も可能なスペースもあり、こんなすてきな場所が中野にもできれば、一躍中野区は有名になるのではないかと感想を語っておられました。

 そこで中野区は、中野駅を中心ににぎわいと交流を中心としたまちに大きく変えようとしております。文化、暮らし、芸術の旗印を掲げていますけれども、来街者を迎えるだけではなく、ここに住んでいる区民にとって、特に子育て真っ最中の皆さんに喜んでいただける、そこに貢献するような施設があっていいのではないかと思います。この項の最後に、中野駅を中心とした中野二丁目、中野三丁目、囲町地区などを対象に、中野区の権限が及ぶ中で子育て先進区のシンボル的施設を整えることも検討の中に入れていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

○杉本企画課長 今後取得を予定しております中野駅周辺における権利床の活用につきましては、子育て先進区の推進に資する施設も有力な選択肢となり得ると考えてございますが、住民ニーズ、公益性、また中野駅周辺整備全体の中でのバランス等を踏まえて検討を進めているところでございます。

○来住委員 御検討をしっかりお願いします。東中野駅東口については分科会でお聞きしたいと思います。

 項目については終わりましたけども、最後になりますけども、今回、防災対策の強化、子育て支援、障害者支援などを求めてきました。施策の推進と同時に、区民の期待に応えていく上では、区の職員の役割が大きいということはこの間の質疑でも出されていたと思います。しかし、これまで、区政が2,000人体制ということで職員を削減してきたこの弊害があちこちに生まれているのではないかと、表面化しているのではないかということを痛感します。削減してきた責任は重いということを言わざるを得ません。職員の皆さんが生き生きと能力を発揮できてこそ、区民へのサービスが行き届くと。職員の増員を改めて強く求めて、私の質疑を全て終わります。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で来住和行委員の質疑を終了します。

 次に、高橋ちあき委員、質疑をどうぞ。

○高橋(ち)委員 令和2年第1回定例会におきまして、自民党議員団は、一般質問から今回の予算特別委員会におきまして、様々な質疑や指摘をさせていただきました。私は、自民党の立場で最後の質問者となりますけれども、僅か26分でございますので、最後までお付き合いいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問は通告どおりの2点でありますけれども、若干時間が足りないということで、取材はいただきましたけれども、質問を省いて伺うことが多分にあるかと思います。

 まず、令和2年度の予算編成についてでありますけれども、予算は、編成するに当たりまして、行政評価、決算、いわゆる行政でいえばPDCAサイクルに基づいて、または各種団体の要望とか、区民の要望を踏まえながら、具体的な予算編成に取りかかっていくんだろうなというふうに考えます。そして、その次に、各項目の検討項目を出しまして、時系列に何月は何をしてというふうに予算編成をしていくんだと思います。ここは、本当は答弁頂きたかったんですけど、これは省きまして、区民への予算編成についての検討過程の公表はどのように行っているのか確認いたします。

○森財政課長 予算編成過程の公表でございますが、まず、9月に予算編成方針をお示ししまして、次に、11月の段階で、各部から提出された当初予算の要求状況について公表、また、2月に区議会に提出した予算(案)に係る各部の最終予算額について、それぞれホームページで公表しているということでございます。

 また、12月でございますが、予算で検討中の主な取り組み(案)につきまして公表いたしまして、区民と区長のタウンミーティングなどにより区民と意見交換を行い、意見を募集しているといったようなことでございます。

○高橋(ち)委員 では、議会に対しては、どのようなプロセスでこの予算編成を示していかれているのか、確認をいたします。

○森財政課長 議会に対しましては、まずは、大きなところでは12月の段階で、次年度予算で検討中の主な取り組み(案)につきまして、各常任委員会に報告をしているといったようなところです。その後、議会ですとか区民からの意見を踏まえまして予算編成を進めまして、1月下旬に予算(案)を決定し、2月の第1回定例会に議案を提出するというプロセスで進めているところでございますが、当然、その前段階での必要な議会報告ということもしているところでございます。

○高橋(ち)委員 当然、そのような段取りで行ってくださっているのは十分承知の上で伺っているわけでありますけれども、主な取り組みの公表内容には、基準というものがあるんですか。

○森財政課長 新規事業、また、拡充・推進事業、見直し事業につきまして、区民生活に影響があると考えられる項目を中心に公表しているものでございます。

○高橋(ち)委員 では、この区民に公表する主な取り組みとかありますよね。これを区民になぜ公表するのか、その趣旨を教えてください。

○森財政課長 予算編成に当たりまして、検討中の項目について、区民生活に影響がある項目を公表し、区民から頂いた意見を参考として予算編成を進めていくと、それが必要だろうということで、公表をしているものでございます。

○高橋(ち)委員 区民から頂いた意見を参考にしてという話でありますけれども、区民の意見、頂いたものは、つい最近私たちはもらったような気もするんです。予算編成が終わって、今、予算議会が始まる前だったような、私はそういう記憶がしているんですけど、どこで反映しているのかなというのがちょっと心配でなりません。

 大体、この予算をつくっていく流れというのは、年間を通してそのような流れがあって区民にお知らせし、議会にもお知らせし、そして、この予算議会が始まっていくというふうに私は捉えているわけですけれども、予算議会の前に、議会、私たちに対していろいろ情報を下さいます。でも、今回、特に気になったことがありまして、それに対してお伺いしたいと思います。

 まず、私が疑問に思ったのは、予算が始まる前に若干、委員長という立場もありましたので、事前に個別のお話があったときに、認可保育所の区有地使用料の減額についてという話がありました。これは令和3年度に向けての話かなと私は思っておりましたが、いろいろと聞いていくうちに、令和2年度なんだよというようなことがありまして、それはちょっとおかしいんじゃないのと思いまして、疑問になりましたので、質問をさせていただくことといたしました。

 まず、この減額をすることになったのは、どこからか要望があったのでしょうか。

○板垣幼児施設整備課長 区有地の貸付料は、公有財産使用料の算定基準に基づき、路線価に土地面積等を乗じて算出しているところですが、区内の路線価が地域によって差があることから、この区有地の貸付料にもかなりの差が生じているという状況でございます。

 この貸付料が想定以上に高額となっている保育事業者から、保育事業は、同規模の園においては、基本的には一定の公定価格で賄われていることから、土地の賃料が高額になると保育の運営が非常に厳しいという意見を頂いていたところでございます。

○高橋(ち)委員 そういうお話が当然来るんだろうなとは思いますけど、じゃあ、なぜ予算編成の大詰めの12月に、主な取り組みのお知らせも終わったところで検討されて、これはいつ決まったんですか。

○森財政課長 今回のこの区有地の貸付料を減額するかどうかにつきましては、主な取り組みの掲載項目としては扱っていなかったところでございまして、予算編成に係る調整スケジュールの最終段階のところで検討して、予算に反映したということでございます。

○高橋(ち)委員 それは、決めてそちらで決定するのは、私たちが介入できるところじゃないかもしれませんけれども、この額を聞くと、歳入に大変大きな影響があるというふうに思うんですよ。それを、議会にも報告もなしに、また、委員会で何の質疑応答もなしに、どうしてこういうふうに決めてしまったのかというのは大いに疑問があります。

 そちらのやり方はそういうふうになったんだと言われちゃえばそれまででありますけれども、いまだかつてこのようなやり方ってなかったんじゃないかなというふうに私は感じてなりません。十分注意しておきますけれども、では、さらに疑問がございますので、今回、減額対象の施設または減額率とか総額はお幾らぐらいになるんですか。

○高橋(か)委員長 委員会を一旦休憩します。

午後4時59分休憩

 

午後4時59分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 休憩中に確認したとおり、高橋(ち)委員の質疑を続行します。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます、委員長。

 時間がどんどん迫ってまいりましたので、今のをお答えください。

○板垣幼児施設整備課長 区有地の賃料が減額となる認可保育所は7園で、減額率は75%、総額で約2,460万円の見込みでございます。

○高橋(ち)委員 そうすると、この金額が入ってこなくなるという理解でいいわけですよね。そうすると、ほかの施設、保育施設はどのような使用料の形態になっているんですか。

○板垣幼児施設整備課長 区有地を使用している区内の認可保育所で、平成15年度から27年度までに事業を開始した事業者は、賃料が免除となっております。他の民間の認可保育所で事業者が建物を賃借して運営している場合は、賃借料を事業者が負担していると認識しております。

○高橋(ち)委員 いろいろと制度が変わったりとかしておりますから、その流れはあるんでしょうけれども、それでは、ちょっと何問か飛ばしまして、ほかの保育施設の状況、いわゆる区の土地を使っていないけれども、利用されている保育施設がありますよね。この保育施設は、どことどこになるんですか。それで、賃料があるんでしょうか。

○濵口保育園・幼稚園課長 認可保育所は、国の公定価格及び区の加算により運営されているところでございます。土地のみの賃借料を負担している事業所がないことから、区有地の賃借料免除という同様の扱いにはなってございません。

○高橋(ち)委員 ですので、そこはどことどこで、どれぐらいか、教えてもらえますか。

○濵口保育園・幼稚園課長 区有地を使用している保育園、認可保育所はございません。あと、土地のみの賃借という保育事業者もなく、いわゆる建物の賃借という形で運用しているというものでございます。

○高橋(ち)委員 そうすると、温暖化オフィスを使っている保育所もあったりとか、認定こども園とかがあるじゃないですか。そこはどのようになっているんですか。

○濵口保育園・幼稚園課長 区内の認定こども園につきましては、3園ございます。認定こども園につきましては、区、それから都の土地等を利用してございますので、減額率がございまして、平成26年度までの開園につきましては90%の減、27年度以降の開設園につきましては75%の減免となってございます。また、旧環境リサイクルプラザを使って保育所を運営している事業者につきましては、建物の賃料を区のほうで徴収しているというものでございます。

○高橋(ち)委員 では、認証保育所はどのようになっているんですか。

○濵口保育園・幼稚園課長 認証保育所につきましては、都の所管となっておりまして、土地等の賃料については把握してございません。

○高橋(ち)委員 分かりました。ある程度把握もしておいてほしいんですけれども、仮に全ての保育事業者を同様の措置、100%を減額とした場合の影響額はどれぐらいになるんですかね。

○板垣幼児施設整備課長 現在進めております民営化は10園でございますが、こちら10園の区有地の賃料を減額率75%で計算いたしますと、年間の賃料は約4,000万円でございます。

○高橋(ち)委員 年間4,000万円として、10年たったらという試算もありますけれども、この4,000万円も100%減額したら入ってこないということになるという理解を持ってよろしいんですか。

○板垣幼児施設整備課長 委員おっしゃるとおりでございます。

○高橋(ち)委員 いろいろと考え方はあるとは思いますけれども、今回、この施設だけじゃなくて、この施設の形態のみが減額対象となっているんですけど、介護施設など、ほかに区有地を使用しているところがあるとしたら、そこも影響してくるんじゃないかと思うんですが、この場合はどれぐらいの影響額になるんですか。

○吉沢用地経理課長 社会福祉法人に対する区有地や区施設跡地等貸与における減額率が100%以外の施設は、まず、松が丘及び弥生高齢者福祉センター廃止後施設の2施設ありまして、契約上の減額率は20%でございます。

 また、認知症高齢者グループホームの運営施設が3施設、特養ホームの運営施設が2施設ありまして、この5施設の減額率は75%でございます。

○高橋(ち)委員 減額額を聞くと相当な額になるんだろうなとは思いますけれども、ほかにもまだ聞きたいことがあったんですけれども、この相当数の施設――いいですよ、大丈夫ですよ。相当数の施設の免除が100%免除になってしまいますと、今まで入ってきたものが入らなくなるというふうな想定になります。

 大内議員の一般質問でもあったように、また、伊藤委員も質問で行っておりましたけれども、これから区の財政状況を考えると、様々な事業がありまして、事業ベースの中では年200から300億円程度の支出が見込まれていく予定になっています。財政負担の大きな時期となっていくんじゃないかなと思っているんですけれども、このような考えの下でそういうふうに決めたということが、非常に理解ができないんですけれども、どういうふうな考えで、そう決定されたのか確認いたします。

○森財政課長 今回の区有地使用料の減免の扱いにつきましては、様々な件を考慮いたしまして、行政運営上の判断により検討し、決定をして、予算に反映したものでございます。

○高橋(ち)委員 財政課長がそういうふうに言うのは立場上しようがないのかなとか思うけど、では、区有地等の使用料の減額は、今回の対象施設のみでも将来的にほかの施設では考えていかないんですよと、今回、この施設だけなんですよと、そういうこと言えるんですか。そうしたら、区の財政、区政全般の運営に関わることになりますので、所管課以外で考えて、財政、企画の責任であるとも私は思うんですけど、どうなんですか。何かもうほかのところに任せっきりで全体を考えていないというふうに思うんですけど、担当の部長に御答弁をお願いします。

○高橋企画部長 今、御答弁させていただきましたけれども、区有地の使用料の減免の扱いにつきましては、それぞれの施設におきまして様々な条件を踏まえ、その当時の状況を鑑みて、行政運営上の判断により設定してきたところでございます。

 ただ、その判断でございますが、今回、私立保育園の設置に係る区有地使用料の減免の変更につきましては、金額が大きいというところで、財政的影響も無視できない規模であったということも一方でございます。そのことを踏まえれば、議会への丁寧な説明が必要であったということも考えられます。今後の取扱いについては、今回の事例を踏まえながら適切に対応していきたいと考えてございます。

○高橋(ち)委員 今回というか、今まで大勢の方が言っていましたけど、何でもかんでも私たちにはあまり説明がなくして決めているようなことがたくさんあるように感じます。これは収入なんですよ、入ってくるんですよ。財政としての大事な財産であるのに、そんな簡単に決めていいんですかねと思います。

 私は、この使用料の減額とか、それ自体を否定するわけではないんですよ。それは否定しません。それぞれが事業者で頑張ってくださっているから、それなりの対応はしないといけないと思っておりますけれども、よく区長がおっしゃっておりますが、エビデンスが全く十分ではないというふうに思います。これは、私一人が大きな声を出してもしようがないんですけど、再検討して、考え直せとまでは言いませんけれども、今回ではなくて再検討するべきと思っておりますが、いかがでしょうか。

○森財政課長 今回については、先ほど来御答弁しておりますように、これまでの様々な条件を勘案しまして決定をしたところでございまして、行政運営上の判断により設定したというところでございます。

○高橋(ち)委員 本当は部長が答弁するんじゃないんですか。課長じゃかわいそうじゃないですか。しかもですよ、これでやっていきたいとおっしゃるけど、私たちに、議会には何の話もなかったんですよ。そういう決定の仕方でいいんですかね。これは絶対に理解できないということを申し添えます。

 あと6分ですから、次の項目に行きますけど、まだまだ本当は、これはここで許すわけにはいかないんですけれども、いいですよ、課長。次からまた別のところで言っていきますけれども、課長に言うよりかは、やっぱり責任ある人がしっかり考えてくれないと困ります。

 それでは、次の項目に入ります。行政と議会との関係なんですけれども、中野区議会の50年史という歴史ある本を読んだことがございますか、理事者の方で。読んだ方いらっしゃったら手を挙げてください。いませんか。議員の皆さんで50年史を読んだ方いらっしゃいますか。(「はい」と呼ぶ者あり)やっぱり、偉い、偉い。これは、中野区が、行政と区議会ができて、そして50年たったときに、私たちの大先輩である行政の方や議員の皆さんが、中野区とはこういうふうに出来上がってきているんですよという大事な歴史なんですよ。それをやっぱり議員である私たちもしっかりと目を通しておいたほうがいいと思うし、行政も通しておいたほうがいいと思います。一度読んでみてください。様々な出来事が書いてございます。

 まず、1番目、行政と議会との違いは何なんですか。

○石濱総務課長 行政と議会の役割の違いということでございますけれども、議会は地方公共団体の意思を決定する議決機関であるとともに、執行機関の行財政や事務事業が住民の立場に立って、公平、効率的に執行されているかということを監視する機能を持っているものでございます。

 一方、行政、すなわち執行機関ですけれども、こちらは法律や条例などに基づく事務を管理し、それから執行する組織であり、区長に当たっては、議案の提出や予算の調整等を担任するものでございます。

○高橋(ち)委員 そうですよね。ですので、行政と議会が相互に理解をし合っていかないと、政策って進めていくわけにはいかないんですよ。何が基本になって何が必要とされるか、お答えいただけますか。

○石濱総務課長 行政と議会が相互理解の下、施策を展開していくためには、議会における適切な審議をいただくための適時適切な情報提供、それから丁寧な説明、こういったことが必要であるというふうに考えております。

○高橋(ち)委員 現在、丁寧な説明がされていると思いますか。

○石濱総務課長 行政としては丁寧な説明に心がけているつもりではありますけれども、今回の一般質問、それから総括質疑、これを通じまして、説明が至らなかったことが種々あったかなというふうに感じております。

○高橋(ち)委員 課長、申し訳ありません。なかったことを聞いてしまいましたけれども、本当に丁寧な説明をしてまいりますと言っている割には全く丁寧じゃないんですよって私は感じます。そして、この行政と議会が本当に理解をしていくために、行政では職員の皆さんに、議会についての研修とかというのを行っていらっしゃるんですか。

○中谷職員課長 区議会に関する研修としましては、新規採用職員を対象とした新任研修のカリキュラムの中で、議会の仕組みや活動に関する基礎知識を習得しているほか、管理職候補者等を対象とした研修において、議会の仕組みや管理職として必要な対応などについて研修を行っているところでございます。

○高橋(ち)委員 それは、今、誰に研修を行っていると言いましたか、職員の。

○中谷職員課長 まずは新規採用職員と、それから管理職の候補者、合格者ですね。管理職の昇任を控えている職員を対象にしてやってございます。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。ぜひ、区議会事務局というところも職員の皆さんが来て、いろいろと仕事をしてくれているわけですけれども、行政にいらっしゃる方は事務局を経験されると大変勉強になるということをよく聞きます。ですので、そういうことも研修の中に入れてもらいたいかなというふうに思います。じゃあ、やっているわけですね。

○中谷職員課長 これまでも研修をやっているところですし、今後もきちんと議会への職員の理解が進むように、研修をしっかりと行ってまいりたいと思います。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。これはもう、ここの項目もまだあるんですけれども、行政と、長と議会は二元代表制と言われて、若林委員も言っておりましたけれども、私たちも区長も直接選挙で選ばれ、そして、お互いに理解をしながらというふうにやるんですけれども、今回本当に感じているのは、提案されていないものをどのように私たちは受け止めて審議したらいいのかなということが多分にございました。そして、報告されることなく予算化されていることが、それもあったりとか、これは今までとは違うやり方になったんですよということなんでしょうか。そういう理解をしたほうがいいんですか。

○石濱総務課長 議会と行政の関係につきましては、先ほども答弁申し上げたとおりでございます。その関係において変わった点はないというふうに考えております。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。大丈夫です。変わったことがないということを確信いたしましたので、それでお願いしたいと思います。

 私は、区長が就任された平成30年の一般質問で、区長は議会に対してどういう対応を取っていくんでしょうかというその質問の中で、区議会との情報共有、意見交換を十分に行い、意見相違のときは議論を深め、違いを解決するよう努力を尽くす、職員には丁寧な説明を行っていくように申します、トップダウン型ではなくボトムアップ型の区政になることへの転換を図っていきますとおっしゃっていますけど、それは今も変わりありませんか。

○酒井区長 議決機関である区議会との情報共有や意見交換を十分に行うとともに、意見相違の場合においても丁寧な説明によって議論を深め、意見の違いを解消し、より一層区政の充実を図っていくこと、また、ボトムアップ型区政への転換という、区長就任時に掲げた区政運営についての考えに変わりはございません。

 今回、御指摘をいろいろ受けましたので、これについては改善に努めてまいりたいと考えております。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。変わりがないということを御答弁いただきましたので、変わりのないようにこれからはしていただければと思いますが、何か変わったときは、即私たちのほうも指摘をさせていただきますので、今後、どうか相互の理解の下に行政運営をしていただきたいと思います。

 5時を過ぎてしまいましたけれども、御清聴ありがとうございました。

○山本委員長 以上で高橋(ち)委員の質疑を終了いたします。

 以上で本日の総括質疑を終了します。

 次回の委員会は、2月28日(金曜日)午前10時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の予算特別委員会を散会します。

午後5時18分散会