令和2年02月28日中野区議会予算特別委員会

.令和2年(2020年)2月28日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席委員(40名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし 

  6番  河  合  り  な        7番  斉  藤  ゆ  り

  8番  立  石  り  お        9番  羽  鳥  だいすけ

 10番  高  橋  かずちか       11番  加  藤  たくま

 12番  吉  田  康一郎        13番  木  村  広  一

 14番  甲  田  ゆり子        15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま     隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  若  林  しげお

 22番  内  川  和  久       23番  いでい   良  輔

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席委員(2名)

  5番  間     ひとみ        28番  中  村  延  子

.出席説明員

 中野区長    酒井 直人

 副区長     白土 純

 副区長     横山 克人

 教育長     入野 貴美子

 企画部長    高橋 昭彦

 企画課長    杉本 兼太郎

 基本構想担当課長永見 英光

 財政課長    森 克久

 広聴・広報課長、業務改善課長      高村 和哉

 情報システム課長平田 祐子

 総務部長    海老沢 憲一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝瀬 裕之

 総務課長    石濱 良行

 職員課長    中谷 博

 新区役所整備課長中村 洋

 区民部長    青山 敬一郎

 区民生活課長  古屋 勉 

 観光・シティプロモーション担当課長   桜井 安名

 文化・国際交流課長           藤永 益次

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  戸辺 眞

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小田 史子

 子ども・教育政策課長          永田 純一

 保育園・幼稚園課長、保育施設利用調整担当課長 濵口 求

 教育委員会事務局指導室長        宮崎 宏明

 学校教育課長  石崎 公一

 子育て支援課長、子ども家庭支援センター所長 神谷 万美

 地域支えあい推進部長          野村 建樹

 地域包括ケア推進担当部長        藤井 多希子

 地域活動推進課長伊藤 政子

 トータルケア調整担当課長、北部すこやか福祉センター所長 小山 真実

 区民活動推進担当課長          宇田川 直子

 北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 滝浪 亜未

 南部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 村田 佳生

 健康福祉部長  朝井 めぐみ

 保健所長    向山 晴子

 福祉推進課長  長﨑 武史

 スポーツ振興課長古本 正士

 障害福祉課長  河村 陽子

 環境部長    岩浅 英樹

 環境課長    波多江 貴代美

 ごみゼロ推進課長伊東 知秀

 清掃事務所長  川本 将史

 都市基盤部長  奈良 浩二

 都市計画課長、交通政策課長       安田 道孝

 道路課長    井上 雄城

 公園緑地課長  細野 修一

 建築課長    小山内 秀樹

 住宅課長    三王 徹哉

 まちづくり推進部長           角 秀行

 中野駅周辺まちづくり担当部長      豊川 士朗

 まちづくり計画課長           千田 真史

  

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     吉村 恒治

 事務局次長    小堺 充

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     井田 裕之

 書  記     野村 理志

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     遠藤 良太

 書  記     松丸 晃大

 書  記     高橋 万里

 書  記     山口 大輔

 書  記     有明 健人

 書  記     五十嵐 一生


午前10時00分開議

○山本委員長 定足数に達しましたので、ただいまから予算特別委員会を開会します。

 第6号議案から第10号議案までの計5件を一括して議題に供します。

 総括質疑に入る前に、委員会運営について御相談したいことがありますので、委員会を一旦休憩し理事会を開会したいと思います。

 委員会を暫時休憩いたします。

午前10時00分休憩

 

午前10時04分開議

○山本委員長 委員会を再開いたします。

 前回、2月27日(木曜日)及び先ほどの理事会の報告を行います。

 初めに、本日の委員会運営についてです。本日の総括質疑は、1番目に森たかゆき委員、2番目にむとう有子委員、3番目に近藤さえ子委員、4番目にいながきじゅん子委員、5番目に石坂わたる委員、6番目に小宮山たかし委員、7番目に立石りお委員の順で7名の総括質疑を行うことを確認しました。

 また、本日は総括質疑最終日であり、5時を過ぎる場合でも質疑を続行し、委員長判断で適宜休憩を入れることを確認しました。

 次に、第6号議案、令和2年度中野区一般会計予算に対する修正案を提出する旨の申出がありました。

 資料については、後ほどタブレット型携帯端末等にアップロードし、本日の総括質疑終了後に提案者から提案説明を受けることを確認しました。

 また、先ほどの理事会では、教育長、子ども家庭支援担当部長及び指導室長が、本日必要に応じて席を外す場合があるとの報告が理事者からあり、これを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 なければ、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 御異議ありませんので、そのように運営いたします。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようお願いいたします。

 それでは、質疑に入ります。森委員、質疑をどうぞ。

○森委員 おはようございます。総括質疑4日目、立憲民主党・無所属議員団というか、会派所属議員の最後の質問となりました。時間は90分の予定でしたが70分になりましたので、質問を割愛しながら進めたいと思うんですが、1点、昨日の政府の全国一律で学校を休校するという発表について、一言申し上げておきたいというふうに思います。

 現場の皆さんは本当に大変な判断を迫られているところかと思います。千葉の熊谷市長が、社会が混乱しかねないというようなことをSNSに書いておりましたけれども、まさにそういう状況だと思っています。小さいお子さんが日中の居場所を失ってしまうようなこと、もしくは、そうしないために仕事を休んで、非正規の方なんかはそれで仕事を失ってしまうなんていうことが心配されます。こういうときは、社会的に弱い立場の方にしわ寄せが行きかねない、行きやすいということがあるんだと思います。そういうことを念頭に置いて、ぜひ皆さんには御対応いただきたいと、これは切に冒頭にお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、予定していた質問のほうに入りたいと思います。予算案についてですが、4日目ということで、様々質問はかぶるだろうと思って、なるべくマイナーなところを準備してきましたので、質問していきたいと思います。

 予算編成方針の中に、成果の高い事業執行を行うため、区民の区政に対する理解や共感をさらに深めていく必要があることから、予算編成過程の情報をできる限り公開していく方針としたとあります。予算編成過程の公開、透明化は、私が平成24年第1回定例会一般質問から求めてきたことであり、酒井区政になり大きく前進したことを評価しております。ただ、例えば先日予算のプレス発表の動画がユーチューブに載りましたが、今朝、再生回数を見たら41回でありました。同僚議員でも見ていない方がいらっしゃるというぐらいの数字というのは、やはり少し寂しいと思います。こういったところの広報も、ぜひ広報アドバイザーなども活用して取り組んでいっていただきたいと思っています。ただ、我々が背負っている説明責任というものを考えたら、数そのものよりも公開されていることそのものに価値があると私は思っています。

 今予算案には、議会中継の予算も増額をしていただきました。こちらも同様かなと思っています。これは大変評価をしているんですが、もう一歩、区長のリーダーシップが見えるような形での公開というのを検討していただきたいと思っています。例えば大田区では、区長査定項目等の予算要求査定結果という資料が公開をされています。皆さん、ぜひこれを御覧になっていただきたいんですが、個々の事業について、区長が、こういう理由で予算を認める、こういう理由で減額だと判断をして予算を組んでいるというのが、その資料を見ると手に取るように分かるんです。だから、議会でも区長のこの判断はすばらしい、こちらはけしからん、こういう議論ができます。財政民主主義という言葉がありますけれども、ここまで財政民主主義の進化に中野で取り組んでいっていただきたい。こういう先行事例もありますので、ぜひ検討していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○森財政課長 現段階におきましては、予算編成の公開の第一歩ということで、要求段階と予算案が固まった段階で、各課の予算要求額や主な増減項目を公開しているところでございますが、今御紹介がありました他区の事例なども参考にしながら、今後、より区民に理解していただけるように、分かりやすい内容を目指して検討していきたいと考えております。

○森委員 ぜひよろしくお願いします。

 それから、同じく予算編成に、職員が知識、発想力を磨く専門書の購読経費などを計上するものとするという文言を書いています。予算編成方針というのは、区長が来年度の税金の使い道を決めるという大元の方針でありますけれども、そこに書くにしては、専門書の購読等というのは随分細かい話だなと感じて違和感があります。昨年の第3回定例会では、私から、管理職不足への対応についてということで質問させていただきました。確かに不足しているんだという答弁であったんですが、一方で、職員2,000人体制というのは、平成30年3月策定の中野区人事構想によると、少数精鋭の職員体制であるというふうにあります。つまり、人数が少なくなっちゃったから管理職が足りませんというのは、この前提からすると少しおかしな話で、少数精鋭であれば、数が少なくても管理職は足りなくならないのではないかと思うんです。これまでの人材育成はどうだったのかと少し疑問に感じるところであります。

 これまでも指摘してきましたけれども、多くの新入職員が入ってきている現在、この若い職員さんたちをどのように育成していくかというのは、これからの中野区政の大きな分かれ目になると思っています。酒井区政になって、EBPMの志向も明確にしておりますけれども、EBPMを担う人材をどう育成していくかというのは霞が関でも大きな課題になっています。中野区でこれをどこまでやり切れるのか、もしくは区立の幼稚園、保育園、児童館、こういったものを私たちに残してほしいと言ってきておりますけれども、ただ残ればいい、今のままいつまでもあればいいというふうに思っているわけでありません。時代の要請に応じて、その施設を利用される方だけではない、地域の子育て環境の改善、向上に貢献する施設になってほしい。そういう意味では、こういう職員さんたちにもスキルアップを求めていきたいと思っております。今後の人材育成、専門書の購読等というだけでは当然対応し切れない課題は様々あると思いますが、今後の人材育成についてのお考えをお聞かせください。

○中谷職員課長 これまで職員2,000人体制を実現していく中で、採用4年目や主任昇任時にキャリアデザイン研修を実施するとともに、目標管理面接の中で、上司が部下のキャリアデザインについて助言や指導を行ったり、採用から10年目までの職員を対象とするジョブローテーションを行うなど、様々な人材育成の取組を行ってきたところでございます。また、職員の人材育成に当たって、どのような職場でどのような仕事を経験するかということも非常に大事だと考えてございます。

 入区してからどんな職場をどのような順番でローテーションするかで、その職員がどのような知識や経験を身につけ成長していくのかが決まってくると考えてございます。職員の資質や適性、意欲などを見極め、人材育成の観点から、人事異動のローテーションを決めていく必要がございます。将来の管理職候補なのか、係長候補なのか、スペシャリストなのか、ゼネラリストなのかといった人材育成の観点から、効率よく経験を積むことができるような人事異動のローテーションをある程度パターン化できるのではないかと考えてございます。

 人材育成の結果が出てくるのは、中期的、長期的になるかもしれませんが、組織的かつ計画的に効率よく人材育成を行うための人事異動の仕組みを構築したいと考えてございます。また、来年度の予算には人事評価システムの導入経費も計上してございます。人事評価や人材活用に関する各種データを有効に活用して、職員一人ひとりの適性や資質を生かした人材育成を推進できると考えてございます。

○森委員 ありがとうございます。若い方が増えると、妊娠、出産、育児、それから、高齢の方だと介護等いろいろあって、なかなか全部が合理的にいくということではないと思いますけれども、そのジョブローテーションの組み方等、ぜひ工夫して育成に取り組んでいっていただきたいと思います。ありがとうございました。

 区長が本予算案の発表に際して、協働・協創ということをおっしゃっております。私も共感するところですが、こうした時代の区職員には、そのパートナーたちのマインドというものも学んでいってほしいと思っています。国や都の補助金を取りましょうということはずっと言っておりますけれども、例えば国や東京都、補助金以外にモデル事業というものもいろいろやっていたりしますし、大学やシンクタンク等の研究機関の活動あるいは民間企業のCSRと、様々な活動に積極的に手を挙げる。こういった観点も持ってほしいと思っています。前定例会では、ガブテックに関連して、自治体とスタートアップ企業のコラボレーションの例に触れました。お隣の渋谷では、東大の保育実践政策学センターというところとコラボして、区立保育園の運営が始まる。これは多分渋谷の保育の質に大きな貢献をするのではないかと思って非常に羨ましいんですが、こういった例が近隣でもあります。一般財源の負担を抑えつつ、先進的な取組を実施することができ、さらには協働を通じて職員のマインド育成にもつながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○森財政課長 今回の予算編成に当たりましては、先ほど少し委員も触れられておりましたが、職員の政策形成能力向上、知識発想力を磨くための経費についても計上するといったようなことで進めたところでございますが、職員のさらなるスキル向上、マインドの育成の観点、また官民協働の推進の視点からも、先駆的取組への関与や各種モデル事業への参画について促していくということも検討していきたいと考えております。

○森委員 国、都の補助金の獲得と併せて、ぜひお願いをしたいと思います。

 基本構想・基本計画と行政目標に関連してお伺いをいたします。先日東京都が発表した「未来の東京」戦略ビジョンには、男性育休を90%台にするなど、ある意味では突拍子もない目標がぽんと載っていて、少し話題になりました。はて、これは何だろうという話なんですが、政治的に見れば、現職の方の選挙前の政治的なパフォーマンスかなと思うところもありますけれども、しかし行政的に見れば、目標を掲げた以上、それに向けて何かをやらないといけなくなるわけです。突拍子もない目標というのは、今やっている取組の延長線上では目標が達成できないということを意味するわけです。

 つまり、こういう目標を掲げると、行政の中で何がしかイノベーティブな発想をしていかないといけない。そういう発想を促すような効果というのが実はあるのではないかと、これを見て感じました。これから基本計画を区でもつくりますけれども、これまでの延長線上だとなかなか達成できないような区政課題、解決が難しいような区政課題というのもあると思います。こういった目標の立て方を盛り込んでいくというのも一案ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○永見基本構想担当課長 「未来の東京」戦略ビジョンにおきましては、大胆な目標が設定されている項目もありまして、都民の心に訴えかけるような、そんな狙いがあるのではないかと考えてございます。基本計画の策定に当たりましては、基本構想で目指すまちの姿を目標として、その目標を達成するために、施策ごとに指標と目標値を設定する考えでございます。基本構想の検討素案におきましては、大切にすることとして4点掲げておりまして、その中で掲げた内容の実現については、区として特に取り組むべきことであるということでございますので、目標値の設定も含めて、区民の心に訴えかけ、共に取り組んでいけるような、そんな工夫をしていきたいと考えてございます。

○森委員 ぜひ工夫をよろしくお願いいたします。

 関連してもう1点伺います。基本構想検討素案の「基本構想を実現するために」という部分です。対話ですとか、地域に飛び出す職員、エビデンスベース等々、ここにも酒井カラーが出ているなと思う一方で、区役所が本来的に担うべき利便性の高い区民サービスを安定的に供給していく。こういう基本的な部分が弱いのではないかと感じます。情報通信技術の積極活用等も含めてこうした観点も明記をし、また、基本計画にも具体的な取組を記載していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○永見基本構想担当課長 安定的な区民サービス基盤の形成や利便性の高い区民サービスの提供につきましては、情報通信技術の積極活用等を含めて、区として常に改善を図りながら取り組まなければならない課題であると考えてございます。基本構想検討素案におきましては、エビデンスに基づく行政運営の中で、効果的、効率的な行政運営という形で触れてはおりますが、検討案を今後策定するに当たりまして、区民サービスの提供について、より明確な表現方法について工夫をしたいと考えてございます。

○森委員 ぜひよろしくお願いします。革新的なことをやるのもそうですけれども、基本をしっかり押さえるというのも、基礎自治体にとっては大切な業務だと思っていますので、ぜひよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

 4日目なので、予算案についてと言いつつ、人とかぶらないように用意をしてきたわけですが、既に多くの同僚議員からあったとおり、区財政の課題というのは、その安定性を将来にわたっていかに確保していくかというところが最大の課題だと思っております。この点についても私から1点だけお伺いをしたいと思っています。

 私が議員になったのはリーマンショックの後で、その影響が税収減として区政に影響を与え始めた時期でありました。財政非常事態宣言が出され、そして、その下で平成23年の事業見直しというものが行われた頃です。当時の事業見直しは、7億円弱の財政効果を生む事業見直しを行いました。実際には、災害対策基金を他の基金に振り分けるという、いわゆるお金の色を変える部分があったので、実際の削減という意味では4億円程度だったのかなと思うわけであります。相当な見直しをそれでもしましたけれども、一方で、リーマンショックの後であっても、削減額というのは一桁億円なんです。区立の幼稚園、保育園、児童館を残していくとなったときには、もう一つ桁の違う歳出削減策というのを何がしか考えないといけないのではないかというふうに私は思っております。

 去年の改選後初めての一般質問では、私は、これから一番大きな財政負担になっていく学校の建設費の抑制についてお伺いをいたしました。今定例会では、酒井幹事長から、区営住宅を今後どうしていくのかということで御質問させていただきました。どちらも区民の方にとってはあまりうれしい話ではないと思いますけれども、しかし、例えば予算の質問をするときには、歳出を抑制しろ、財政運営の安定性を考えろと言う。でも、予算の質問が終わったら、手のひらを返すように、その次の質問では、あれをやれ、これをやれ、お金のかかる政策を何でもかんでも提案する。もしくは事業見直しをしろ、スクラップ・アンド・ビルドをしろと言いつつ、具体的な案が出てきたら、これは区民に迷惑をかけるから駄目だと言って否定をする。そんな議員になってはいけない、あるいはそんな会派になってはいけないと思って、私たちは、手前みそかもしれませんが、それなりに責任感と覚悟を持ってこういう提案をさせてきていただいているつもりであります。

 正直、もう少ししっかりと受け止めてほしいと思っている部分もありますが、ただ、私たちの提案が全てでもないというふうに思っています。なかなか足りない頭をいろいろ使って、どうにかこうにか区民への影響を最小限に、財政効果を生むことができる方法はないかと考えています。これからも考え続けていきたいというふうに思っていますが、これは、ぜひ区長からもそういった規模の御提案を何がしか頂きたいと思っているんです。これはボトムアップとかPDCAサイクルとか、そういう中から生まれてくる話ではないと思っています。前回の一般質問で、区長には、自治体100年の計を持って、基本構想・基本計画の策定に臨んでほしいということを申し上げました。まさにそういう時間軸で、区長がトップとして、中野の未来を考えて、こういうことをやっていきたい、一方で、こういったことは区としてやるのはやめよう、こういうことを真剣に考えた中から出てくるような話だと思います。この点について、ぜひ区長の御見解をお伺いしたいと思っています。

○酒井区長 区財政は厳しい局面を迎えることが予想されます。中長期的に持続可能な財政運営を行うためには、一定の痛みを伴う歳出削減や、選択と集中によって区として重点的に取り組むべき課題に資源を投資することが必要であると考えております。例えば区有施設の配置の検証に当たっては、全体規模を持続可能性を踏まえて整理することなど、区民の理解を得なければならない場面もあると考えております。議会にも御理解いただきながら、大胆な発想を持って中野区の未来を見据えた区政運営を行っていきたいと考えております。

○森委員 ぜひよろしくお願いします。今痛みを伴うというような話がありました。まさに、これだけの今私が求めているような規模の財政削減策を考えて、区民に全く影響がない、痛みがないなんていうことはあり得ないと思っています。しかし、区長が本気で考えてそういう提案をしていただけたら、私たちだけではなくて、中野区議会全体としてはそういうものをしっかり受け止めて検討する。そういう素地がある議会だと私は思っていますので、大胆な発想でというお言葉もありましたが、ぜひ御検討をお願いしたいというふうに思っています。

 以上です。

 新区役所整備についてお伺いをいたします。先日、新区役所の企画提案公募型業者選定結果が公表されました。まず、金額に目が行きます。261.6億円と言われていた見込みから213.4億円と、大幅な費用の圧縮が、提案段階ですけれども、示されました。いつも公共事業というのは何で進むたびに費用が膨らむんだというふうに文句ばかり言っているので、こういうときはしっかりと評価をしないといけないという思いもあって少し触れます。今回のこの選定は、参加者数も多く、費用も圧縮され、また内容的にも積極的な提案も出たようでありますけれども、その要因を担当さんはどのようにお考えでしょうか。

○中村新区役所整備課長 新庁舎整備実施設計施行業務の事業者選定に当たりましては、優れた技術提案等を受けるために、事前に各事業者に本事業への参加意欲や希望する条件などの調査を行い、多くの事業者に参加いただける公募条件について検討を進めてまいりました。結果としまして、5事業者から質の高い提案を受けることができ、当初の予定から費用も低くなるなど、プロポーザルの効果を十分に得ることができたものと認識してございます。

○森委員 ありがとうございます。それで、今回は、事業者からの提案審査、ヒアリングを副区長、第三建設事務所所長に加えて、3人の学識経験者を入れて評価を行ったとあります。この外部評価委員を導入した目的と、それがどのような効果があったのか、この点についてお伺いをいたします。

○中村新区役所整備課長 新庁舎整備事業は、区の建設工事の中でも特に規模が大きいため、より公正な審査を行う必要があること、また、事業者からの技術提案を適切に評価するためには、学識経験者の専門的知見を活用することが有効であると考えまして、外部評価委員を導入いたしました。外部評価委員の導入により、学識経験者の持つ専門的な知見を活用しながら、適切に技術評価を実施することができました。

○森委員 前に大きな問題になった旧桃丘小跡地の活用事業が典型だと思うんですが、私は、評価できないものを行政が単独で評価をしようとすると大きな間違いをすると思っております。今回は反対にいい事例になったのかなと思っています。今後の入札とかプロポーザルについては、こういった手法も横展開していっていただきたいと思っています。

 それから、環境負荷軽減の取組について伺います。基本設計ではゼブレディ目標を達成するとされています。区が低炭素と言っていたところから脱炭素に一歩取組を進めるという中で、新庁舎はその象徴として、再エネの積極活用を含め、発電、節電、蓄電、それぞれの観点からの取組が必要だと思っておりますし、最終的にはカーボンニュートラルな庁舎というものにしていっていただきたいと思っております。今回のプロポーザルで優先交渉事業者になったところからどのような提案があったのか。そして、区として今後どのように取り組まれるおつもりかお伺いをいたします。

○中村新区役所整備課長 今回優先交渉権者となった事業者からは、太陽熱や地下水熱の活用のほか、蓄電池の利用など、再生可能エネルギーの積極的な採用について御提案がありました。今後実施設計を進めていく中で、費用対効果や運用のしやすさなどを考慮しながら詳細を検討してまいります。

○森委員 環境を守る取組というのも、日々技術革新が行われているような分野であります。そういったものもしっかりと捉えながら進めていっていただきたいと思います。

 それから、財源の話に移ります。当初予算案の概要53ページに、基金と起債の計画が載っています。これは261億円前提ということで組んでいるんだと思いますけれども、起債額を合計すると187億円になります。ここから費用が圧縮されたとはいえ、100億円台後半にはなるのかなと思っています。利払いだけでもばかになりません。新型コロナウイルスの影響、オリ・パラ後の景気落ち込みの影響も見極めなければいけませんけれども、区役所サンプラザ地区の再開発事業の転出補償金が入ってくる見込みが相当な確度であるわけです。であれば、起債充当率の上限まで本当に起債をする必要があるのかなと疑問に思うところであります。今回酒井幹事長の質問で、財調の年度間調整分は本当に150億円必要なのかという質問をさせていただきまして、やはり150億円持っておきたいという御答弁があったんですが、転出補償金が入ってくる見込みというのがあるのであれば、少なくともこのタイミングについては、少し柔軟な対応というのもあっていいのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○森財政課長 区役所新庁舎の建設につきましては、一時的に多額の経費が必要となることから、起債及び基金の活用を考えているところでございますが、利率の高い民間債の活用となることも踏まえまして、起債の活用に当たりましてと、借入額について検討していきたいと考えております。

○森委員 現時点でどうこうというのはなかなか言えないと思います。一番大きいのは、令和3年度の歳入がどうなるかというところだと思いますので、まず、それをしっかり見ていただいて、起債の抑制ということも選択肢に入れて考えていっていただければと思っています。ありがとうございます。

 それから次は、オリンピック・パラリンピックに関連してお伺いをいたします。まず、小・中学生の観戦事業についてであります。都からというか、組織委員会から都を通じてなんでしょうか。各自治体にチケットが割り当てられていると伺っています。その状況と、そして、すみません、一緒に聞いてしまいます。特に多摩地区で多いという話でありますが、大会期間中の天候などを警戒して、子どもの健康を考慮し、観戦を辞退するという自治体が出てきているというふうにも聞いています。この辺り、中野区の状況はどうなっていますでしょうか。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 まず、チケット等の割当て状況でございますけれども、中野区では、区立小・中学校全児童・生徒分及び引率教員分が割り当てられており、東京都から指定されている競技を観戦することとなっております。

 続きまして、辞退のことについてでございますが、東京都は小学校低学年の観戦を屋内施設にするなど健康面に配慮しているところでございます。区においても各学校の学年に合わせた安全対策を立てるように働きかけ、今のところ辞退することは想定しておりません。

○森委員 ありがとうございます。せっかくの大会なので、ぜひ子どもたちに生での観戦というのを経験していただけるようにと思っております。天候がどうなるかというのは、極端な話を言えば、当日にならないと分からない部分もあるわけであります。安全かつ確実に観戦できるように、教育委員会としても各学校のサポート等に取り組んでいただきたいと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 観戦時間につきましては、決められた時間内で学校の状況に合わせて観戦時間を調整できるようになってございます。また、競技会場には飲料の持込みが可能でございます。今後、東京都から、安全に観戦できるよう会場別の留意事項や暑さ対策等について、観戦の手引が作成され説明会が実施される予定でございます。区といたしましても、学校には、手引を参考に学年や当日の気候等を十分考慮して、熱中症等への対策を徹底するように働きかけていく所存でございます。

○森委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 また、これは大会後の話になるんですけれども、かつて国立競技場で行われていた中学生総合体育大会連合陸上競技大会、いわゆる総体陸上でありますが、国立の建て替えということで、今場所を移して行われています。大会後は新国立がまた使えるようになるのではないかと思います。この総体陸上をまた新国立でできるように取り組んでいっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石崎学校教育課長 現時点では、新国立競技場を球技専用競技場と改修するか、陸上と球技の兼用競技場とするかは不明な状態でございます。陸上と球技兼用競技場となった場合は、新国立競技場で開催に向けて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○森委員 ありがとうございます。新型コロナウイルスの対策で教育長が席を外していますけれども、この総体陸上を国立でというのは、我が会派の大先輩の議員がずっとこだわってきたことで、議事録を掘り返していたら、当時の入野指導室長とその先輩議員のやりとりなんかも出てきました。ぜひ新国立でできるように取り組んでいっていただければとお願いをしたいと思います。ありがとうございます。

 続いて、感染症対策を聞かせていただきたいと思います。新型コロナの問題がありますが、オリンピックイヤーというのは、これがなくても実は感染症対策というのは強力に進めないといけない年であります。前回のリオ五輪ではジカ熱が流行、冬季オリンピックでも、2010年バンクーバーと2014年ソチでは麻疹が流行いたしました。我が会派としても予算要望等を通じて対策を求めてまいりましたけれども、来年度の取組をどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○向山保健所長 今お話のオリンピック・パラリンピックは最大のマスギャザリングでございまして、感染症対策は極めて重要だという認識は持ってございます。ただ、東京都が現在都庁内に、仮称でございますが、感染症対策総合調整センターというものを設置し、オリンピック・パラリンピックに特化いたしますが、開催中の手引の案ですとか、あるいは必要な、特に組織委員会との調整、こういったものを図っていくというような方針をとってございます。そういった中では、例えば検疫法との関連の整理でございますとか、サーベイランスの強化など、また、特定の外国人の方を受け入れていただく医療機関の体制の確保など、総合的な調整が必要になってございますので、区も案に対して随時意見、提案などを行いながら、その手引を具体化していっていただく、こういった状況にございます。

 実は、ラグビーのワールドカップの期間中にも、様々私どもは、例えば感染症のサーベイランスの現在週報で取り組んでいるものを日報化にしたり、あるいは東京都と私ども保健所、健康安全研究センターの間でウェブでの会議などに基づく様々な対応というところも考えてございますが、いずれにいたしましても、必要な通信機器類等につきましては、東京都がこの手引の確定を待って区に貸与するということになってございますので、そういった点から当初予算の計上といったところには至っていないという状況がございます。ただ、いずれにいたしましても、今回のコロナ対策も含めまして、健康危機管理やマスギャザリングの感染症対策は極めて重要でございます。そういった既存の機器の活用も含めまして、対策に滞りがないよう努めてまいりたいと考えてございます。

○森委員 ぜひよろしくお願いします。日本感染症学会と日本環境感染症学会が2020年のマスギャザリングに向けた予防プロジェクト「FUSEGU2020」というものを発足させました。こちらも、今新型コロナの対応に少しシフトしているみたいですが、このマスギャザリング予防に対して、知らせて防ぐ、適切な予防手段で防ぐ、産学官で防ぐという三つの基本方針を掲げています。事前に受けておきたいワクチンとして、MR、髄膜炎菌、A型肝炎・B型肝炎、水痘、ムンプス、インフルエンザと挙げています。こういった専門家団体からの提言に対する対応をどのようにお考えでしょうか。

○向山保健所長 私どもの区保健所といたしましては、従来からリスクコミュニケーションというものを非常に重視してございます。そういった点では、区民とのリスクコミュニケーション、それから庁内とのリスクコミュニケーション等を加えまして、今お話いただきましたような感染症関連2学会とのリスクコミュニケーションというのは極めて重要でございます。委員のお話がございました学会が三つの基本方針というものを掲示されてございますが、これは区が掲げてございますリスクコミュニケーションの重視と、それからもう一つ、健康危機管理に備えて事前対応型の仕組みをつくっていく、このことに非常に密接に関連をしていると思ってございます。

 また、お話のございました予防接種は極めて有効な感染予防対策の一つでございまして、区は法定の接種に加えまして、幾つか任意助成なども実施をしてございます。こういった普及、特にVPDと申しますけれども、ワクチンで防げる感染症の存在自体をあまりよく御理解いただいていないという方もいらっしゃいますので、学会の知見を活用しつつ、かかりつけの先生方との連携のもとに、感染症対策を進めていきたいと考えております。

○森委員 任意で補助を出していただいている中に、小児のインフルエンザワクチンの接種助成があって、医師会さんなんかから、対象の拡大の要望が出ていました。我々も必要ではないかと思って予算要望させていただきましたが、予算計上は見送られたという状況であります。この辺のお考えと、そして、平成29年度から始めている助成の効果、これを併せて御答弁をお願いいたします。

○向山保健所長 インフルエンザワクチンにつきましては、実はMRワクチンのような高い発病の予防効果というものではなく、発病後の重症化を低減していくというところに非常に有効なワクチンとなってございます。日本小児科学会におきましては、重症化の予防や、インフルエンザ脳症のリスクの減少の観点から、特に6歳未満児の接種を強く推奨しております。このため、区におきましては、合併症や重症化のリスクが高く、このような科学的な根拠が明らかな、まず未就学児に関しての任意助成を行っているものでございますが、お話のございました小学生年齢のインフルエンザの重症化リスクのどれだけ効果があるのかという点、それから、先日岡部先生にも実はいらしていただいて、地区の医師会の先生方と一緒にお話を聞いてございますが、学童期、学級閉鎖がございます。大変問題になりますけれども、インフルエンザの予防接種は周囲の方の予防接種も含めて実施をしていかないと、学級閉鎖の減少効果までには効果を期待できないというお話もございますので、引き続きこういった知見を集めながら、地区の医師会の先生方とも協議を進めながら、区として方針を定めていきたいと考えてございます。

 今厚生労働科学研究でも、幾つかの議論もございます。併せて最後に、未就学児の任意助成の効果でございますが、これにつきましては、どうしても流行シーズンごとにどの株がはやるかということの変動がございます。今年は手洗いの効果か、インフルエンザ自体が少ないというような話もございまして、にわかにお示しできる効果はデータというものは持ち合わせがございませんが、少なくとも重症化予防という点ではかなり高い効果を持っているものではないかと認識をしてございます。

○森委員 実は、先日我々の自治体議員の仲間、岡山の議員の娘さんが、まさに5歳でインフルエンザ脳症で亡くなるということがありました。お父さんはどれだけつらいかなと思うんですが、少しでもなくなるように取り組んでいっていただきたいと思います。お願いします。

 そんな中、第6次補正予算では、風疹の抗体検査、予防接種の費用の減額というのがありました。検査1万5,660人分が3,119人、予防接種のほうは5,180人分を699人分に大幅に減らしました。逆に言うと、これだけ地域に感染症のリスクが残ってしまっているということで、大変憂慮をすべき事態だと思っています。多分多くの方の頭の中で、今のこの新型コロナの話と既存の感染症対策がなかなか結びついていないのではないかと思うんです。ここはうまく結びつけて、戦略的な広報をして、予防接種の接種率というのを大幅に上げていかないといけないと思っています。

 今回の一般質問では、河合議員から、命を守る広報についてということで一般質問させていただきました。随分大仰なタイトルだなと思って、会派会議に初め持ってきたときはどうしようかなと思ったんですが、でも、考えれば考えるほどそのとおりで、本当に情報が届いているか届いていないかで命が左右されるということが実際あるわけであります。広報の分野と連携もして、この感染症の問題についても機を見た情報提供というものを進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○高村広聴・広報課長 感染症に関する状況や対応につきましては、区は最新の確かな情報を即時区民の皆さんに分かりやすく発信する責任があると認識しております。今回につきましても、区のホームページの情報更新を基本として、緊急性や重要度などに応じたツイッターやフェイスブックによる情報発信、また区施設を通じた広報、各種団体への情報提供を行う。また、ジェイコムの文字放送などを使い、報道機関への情報提供も行うなど行っておりますが、先ほど来からリスクコミュニケーションという話がありましたけれども、そこで特に重要なのが、情報の受け手を意識するものだと認識してございます。各それぞれのリスク対応の責任所管や各危機における対策本部会議の判断の下、情報の受け手を意識して、社会的視点から判断した分かりやすい情報伝達を様々な方法を通じて、できるだけスピーディに行いたいと考えてございます。

○森委員 ありがとうございます。リスクコミュニケーションという話もありました。これが非常に重要なんだというふうに思っています。社会不安が広がっちゃっているときというのは、ただ正しい情報を出してもなかなか届かないということもあるんだと思います。ここは、プロの仕事が必要な部分だと私は思っています。広報アドバイザーの活用なんかもありますけれども、質問は割愛しますが、そういったものも活用して、さらなる啓発の充実に取り組んでいただきたいと思います。お願いいたします。

 それから、マスクについて1点お伺いをします。マスク不足というのが言われているんですが、一方で、マスクの使い方というのが、実は手洗いとかうがいに比べて随分啓発が少ないのではないかということが気になっています。鼻を出してマスクをするというのが割と最近普通になってきていることなんかも含めて、この機会にマスクの正しい使い方というのを少し啓発強化していく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○向山保健所長 今御指摘のマスクの使用方法でございます。私もいろいろな場面で、遠目でも拝見をしていて、あれ、これではということが実はたくさんございます。鼻マスクの話でございますが、顎にかけられてしまいますと、かえって感染のリスクが高まるということは確実でございます。手洗いとせきエチケットというものはセットであって、サージカルマスクというのは、本来御自身の感染を防ぐというものよりは、最近少しいろいろ話は回ってまいりましたが、本来せきなどの症状がある方が排出をすることを抑制するマスクということでございますので、そういう点では、適切な使用方法も含めて、やはりキャンペーンが国も都も私ども区も不十分な部分があったかなと、これは率直に否めないかと思ってございます。

 また、サージカルマスクは、さきに申し上げたように、どうしても一定の漏れがありまして、N95とはかなり性能が違っておりますので、自身の予防効果に関しては限界が一定あること、それから、手洗いを並行して実施をしていただかないと、廃棄の際に不用意に触れることでかえって感染リスクを高める。こういったことについても、併せて情報提供を行う必要があるということは強く認識をしてございます。

 今、国や東京都ですとか、メディアを通じて、様々な啓発も強化されておりますけれども、今回、私どもは、このコロナ対策の関連を機会にホームページの特設コーナーなどもつくってございます。マスクを一部提供する、使っていただくという際には、ぜひ図入りの啓発用のツールなども併せて、正しく使っていただくように、こういったことについても今後充実をしてまいりたいと思っています。

○森委員 保健所長から、プロの立場でこうやって詳細に御答弁をいただいて、聞いているこの部屋の皆さんの反応を見ても、少し知らなかった話があるような感じもいたします。ぜひ積極的な取組をお願いいたします。新型ウイルスへの対応は大変な状況が続くと思いますけれども、区民のためにぜひ頑張っていただきたいとエールを送って、この質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

 全く時間が足りなくなってきました。駆け足で行きます。今年度の外部評価結果、検討を見させていただいたんですが、ちょっと内部評価が甘いのではないかとか、評価内容と結果がちぐはぐだなとか、それから、これは外部評価委員の方からも指摘があるんですが、人によって評価がばらばらになっちゃっている部分というのもあります。特に最後のところは気になっていて、個々の委員さんの価値観で判断するのが行政評価ではないと私は思っています。価値の議論は私たち政治の役割だと思っています。行政評価というのは、掲げた目標に対して合理的な取組がされているか、費用対効果がどうか、こういったところを見るのが役割だと思っています。来年度、大きく仕組みを変更するということですが、この辺りの改善が不可欠と考えます。いかがでしょうか。

○高村業務改善課長 委員御指摘のとおり、本年度の行政評価においては、評価の基準が十分には明確になっていなかったと認識してございます。来年度から実施する行政評価における評価の基準は、事業の種別、性質により異なるものを設定いたします。評価対象となる事業について、内部管理事務、法定受託事務、区の独自事業、中長期的な取組、その他に分類し、評価の視点をそれぞれ示したいと考えてございます。これにより明確な基準に基づき事業の効果を実績とコストを基に、有効性、効率性、適正性の観点から総合的に評価することができるようになると考えてございます。

○森委員 ぜひ改善をお願いしたいと思います。

 それから、教育委員会のほうの点検評価結果も見させていただきました。根拠法が、行政評価が違うとか、教育はやはりプロの人に見てもらったほうがいいとか、いろいろあるのは分かりますが、評価の手法という部分については、業務改善課と連携をとってブラッシュアップをしていっていただきたいというふうに思います。この点はいかがでしょうか。

○永田子ども・教育政策課長 教育事務の点検評価を行うに当たりましては、中長期的な視点、教育行政全般を横断した視点、数値等で表しにくい目標や成果の評価といった評価の視点を定めるとともに、目標ごとに指標を設定するなどによる評価を行ってきたところでございます。今後も評価の手法、効果を測定する指標やベンチマークの設定等につきまして、より適切で分かりやすい、より効果的な評価となるよう、行政評価担当とも連携をとって改善を図ってまいりたいと考えてございます。

○森委員 ぜひそちらもお願いをしたいと思います。

 それから、内部管理事務についてなんですが、区長はずっと内部管理事務が職員の負担になっているんだということを選挙のときからもおっしゃっておって、ここを効率化して職員が区民のために働ける環境をつくっていくんだということをおっしゃっていました。この行政評価が相当負担になっているという話だったので、これは来年度の改善で、負担軽減も取り組んでいただきたいと思います。ごめんなさい。これは質問にしようと思ったんですが、まず、それは要望でさせていただきたいと思います。

 それで、内部管理事務の見直しというのはほかにも行われているんだと思います。業務改善課が旗を振ってやっているものとか、各部各課でやっているものとかいろいろあるんだと思うんです。効率化はするんだけれども、適正性も確保しないといけない。物品管理の話は酒井幹事長からさせていただきましたが、ああいう話がいろいろなところにあるのではないかと思っています。取組を進めると同時に、そういったものの見える化もしてほしいんですけれども、今様々話を聞いていると、各部各課で取り組んでいて、全体像を把握している人が誰もいないのではないかという感じもしています。

 区長は施政方針で、領域を横断する重点プロジェクトも設定したいとおっしゃっていました。子育て先進区、地域包括ケア等を考えているようでありますが、内部管理事務の見直しというのも区長が強く訴えていた話であり、部署横断的でもあり、また、今回の予算案の説明ではやや内容が寂しい、三つの取組を支え推進する行財政運営というところの充実にもつながるのではないかと考えます。ここをぜひ重点プロジェクトで取り組んでいっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○永見基本構想担当課長 基本計画の策定に当たりましては、領域を横断する課題等の解決に向け、重点プロジェクトの設定を検討しておりまして、庁内や関係機関の連携が必要となる課題について設定することを想定しているものでございます。内部管理事務の見直しにつきましても、組織横断的な対応が必要となる課題であり、庁内の十分な連携により取り組むべきであると認識をしてございます。重点プロジェクトの設定については、現時点では、区民生活に直接影響する課題を設定する想定ではございますが、改めて検討を深めてまいりたいと考えてございます。

○森委員 改めて検討していただけるということで、ぜひよろしくお願いいたします。

 関連して、職員提案制度とか小さな改善提案とかについても、件数等を伺おうかと思ったんですが、ごめんなさい、割愛をさせていただきます。ただ、件数が増えてきているということで、職員からのこういった声も大切にしていっていただきたいと思っています。

 それから、区長は10月の職員向けメッセージで、新規事業の企画立案にも果敢に挑戦してほしい、途中で失敗もあるかもしれないがそれでも構わない、むしろ一歩踏み出したことを評価したいというようなことをおっしゃいました。ぜひそうした挑戦が活発に行われる組織風土をつくっていってほしいし、この行政評価制度の見直しをそうしたきっかけとしても生かしてほしいと思っています。内部管理事務に少し甘い点があるというような話もしましたけれども、そういったところもしっかりできる組織になってほしい。こういったことを実現するための人事制度というものも考えていってほしいと思っておりますけれども、区長のお考えをお聞かせください。

○酒井区長 昨年1月に、目指すべき中野区職員の姿や職員の行動指針を定めたところでございます。これらに沿った行動を職員が積極的に実践していくように、職場風土の改革を進めていく必要があると考えております。そのため、今年の1月には、人事評価の基準を見直して、新たな能力、態度評価の基準を定め、評価の着眼点として、失敗を恐れず新しいことにチャレンジしているかということや、柔軟な発想で新しいアイデアを提案できるかということを明示したところでございます。職員一人ひとりがそれぞれの業務を通じて、具体的な見直しや改善を進めるとともに、新たな課題にチャレンジした結果、仮に失敗しても責められない組織風土を醸成することで、失敗を恐れずに積極的にチャレンジしていくことができるようにしていくとともに、そうした職員が適正に評価されるような制度運営を行っていきたいと考えております。

○森委員 ありがとうございます。前回一般質問で、フィードフォワードの話もさせていただきました。おっしゃっていただいた責められないというところが、一つ組織風土としては重要かと思います。ぜひ区長は旗を振って、よろしくお願いいたします。

 3番に移ります。男女平等基本条例の改正についてであります。少し質問を飛ばさせていただきます。すみません。

 この条例を改正して、多文化共生等の推進のため、性的少数者や多文化共生の理解促進の視点を踏まえた改定を検討するとしています。それで、こういう条例をつくる自治体というのは増えてきてはいるんですけれども、いわゆる女性の問題に取り組んできた方々からは、これをやるとそっちの観点が薄くなっちゃうんじゃないかという御心配の懸念の声を頂くこともあります。条例改正に当たっては、そちらも後退はさせない、充実をさせていく、こういうことでよろしいでしょうか。

○杉本企画課長 条例改正に当たりましては、審議会の委員として、男女共同参画関係の学識経験者や関連団体からの推薦者を想定しておりまして、男女共同参画施策のさらなる充実を図っていく考えでございます。

○森委員 ありがとうございます。毎年、総務の3という資料を作っていただいています。男女平等に関する苦情・要望の件数と内訳です。今回3年分出ていますが、ずっとゼロが並んでいて、これが最後に数字が入っているのはどこなのかと追っていくと、2008年まで遡りました。その年に1件、その前にも1件という状況でありました。昨日、長沢委員から、ジェンダー・ギャップ指数の話がありましたけれども、そんな中でも中野は極めて男女平等で、この問題で困っている人がいないということなのでしょうか。多分そうではなくて、区に相談してもしようがないんじゃないかと思われているということのほうが強いのではないかと思います。内閣府の資料を見ると、男女共同参画、女性のための総合的な施設がないというのは23区で中野区だけであります。大仰なものではなくていいんです。複合施設の一角とかでもいいので、こういった拠点施設のようなものが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○杉本企画課長 男女共同参画センターが区役所本庁舎に現在ございますので、相談、保護及びその後の自立支援までの一貫した支援や、区の各所管や関係機関等との緊密な連携が行えるものと考えてございます。一方で、気軽に立ち寄れるようにするための工夫、改善は必要と考えてございますが、拠点施設としてのセンター設置は、現時点におきまして考えてございません。

○森委員 今考えていないと言われちゃったんですけれども、23区でないのは中野だけなんです。こういうのがさっきの相談件数とかに表れているのではないかと思います。本当に大仰なものではなくていいので、地域の公共施設の再配置の中で一つ検討材料としていただきたいと、これは要望しておきます。

 パートナーシップの話は、一旦今回は省略させてください。すみません。

 それで、条例の対象をどこまでにするのかという話があります。障害者や出自あるいは年齢による差別なんていうものも世の中にあるわけですが、この辺りの条例の範囲というのはどのようにお考えでしょうか。

○杉本企画課長 今回の条例改正におきましては、特に性的指向、性自認や国籍、民族等の違いに焦点を当てることが必要であると考えてございます。条例で規定する具体的な対象につきましては、今後審議会における議論を踏まえて検討を行っていきたいと考えてございます。

○森委員 ありがとうございます。専門家の皆さん等も入って、ぜひ深めていただきたいと思います。

 それから、同様の条例をつくっているところでは、豊島区ではメディアリテラシーの規定が入っていたり、港区では契約婚という概念を導入していたり、いろいろ特徴的な条例が出てきています。中野でも様々な可能性を考えていただきたいんですが、例えば今性的少数者の関係とかで言うと、障害者法制の中にある合理的配慮義務という考え方をこういう分野にも拡張できないかという議論をされている専門家の方々がいます。これは非常に可能性のある議論だと思っています。条例検討の中でこうしたことも考えていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○杉本企画課長 中野区の特徴を踏まえた実効性を意識した条例としたいと考えてございますので、委員御提案の合理的配慮義務の視点を含めた取組についても検討してまいりたいと考えてございます。

○森委員 これは自治体の条例でやったら相当画期的だと思います。ぜひ御検討をお願いいたします。

 それから、差別という話と表現の自由の関係について少し伺いたいと思います。ヘイトスピーチというのは国でも問題になっているので、川崎市のように規制をしようという話になると、相当慎重な議論がされます。一方で、最近、この同種の条例にはアウティングの禁止というものが盛り込まれることが多くあります。アウティングとは、例えば豊島区の対応方針では、ある人のセクシュアリティについて、本人の承諾がないまま第三者に暴露する行為であると説明されています。人のセクシュアリティを勝手に言い触らしてはいけないというのは当然の話でありますが、しかし、例えばカミングアウトした人がそれを抱え込んでしまってつらくなってしまうということもあるわけです。

 暴露という言葉そのものにネガティブイメージがあるわけですけれども、この暴露するのと、自分で抱え切れなくなっちゃって周りに相談するのとの間に、法的に線引きができるのかということを非常に疑問に思っているんです。こういった問題をしっかりと整理した上でアウティングの取扱いを考えていかないといけないと思っています。弁護士や憲法学者で、人権と表現の自由について知見がある方の意見というのをどこかで聞く必要があるのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

○杉本企画課長 審議会におきましては、弁護士の方にも参画をしていただく予定でございまして、条例で規定する内容につきましては、法的な面からも慎重に検討していきたいと考えてございます。

○森委員 ぜひお願いいたします。東京都のいわゆる人権条例の採決に当たっては、西沢けいた都議会議員が中心となり、差別的言動の具体例を列挙、明示するなど、都民等に分かりやすく示すこと、表現の自由、その他憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないよう具体的措置を講じることといった内容を含む附帯決議を提案いたしました。中野区においても、条例案の検討段階からこうしたことも念頭に置いておいていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○杉本企画課長 条例で規定する具体的な内容につきましては、東京都の人権施策推進指針の中にも掲げられております女性の人権問題やハラスメントなどを含め、今後慎重に検討を行っていきたいと考えてございます。

○森委員 表現の自由に関する判断というのを首長が迫られるという事例も昨今増えております。区長の認識をどこかでお伺いをしたいと思うので、見識を深めておいていただければなと思っております。

 それから、今ちょっとハラスメントの話があったんですが、この条例は、差別とハラスメントというのは少し違う話でありますけれども、どちらも重大な人権侵害でもあるわけです。今の御答弁は、条例にハラスメントが入ってくるということなんですか。

○杉本企画課長 ハラスメントにつきましては、区の重要課題と捉えてございます。その根絶に向けた内容についても盛り込んでいきたいと考えてございます。

○森委員 ありがとうございます。ここもぜひ検討していただければと思います。ハラスメント防止のために、各界のリーダーにゼロハラスメント宣言をしてもらおうと活動されている団体があります。23区では、文京区の成澤区長が、働く場だけではなく、学校、地域等にもハラスメントは存在します。自治体のトップとして、ハラスメント防止に向けて意識啓発、職場環境改善等の取組を進めますと宣言をされております。酒井区長にもぜひ続いていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○酒井区長 人権侵害のない職場づくりの実現のためには、あらゆるハラスメントの根絶に向けた取組を推進していくことが必要であると考えております。ゼロハラ宣言は、セクハラやパワハラ、性暴力などの一切の暴力を許さない社会や、被害に遭った人が救われる社会、声を上げた人をバッシングするのではなく支えられる社会の実現を目指すものであると聞いております。その趣旨に賛同することから、ゼロハラ宣言をすることについて、新年度を目途に宣言をすることを考えていきたいと思います。

○森委員 ありがとうございます。随分具体的な答弁が返ってきてびっくりしちゃいましたが、ハラスメントの被害者は声を上げづらいということがよく言われます。トップのそういう姿勢が励ますことにもなると思うので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 続いて、子育て支援についてなんですが、順番を入れ替えて、保育の話から先にやりたいと思います。

 来年度予算案には、保育所運営充実経費の拡充が盛り込まれました。現場からも要望があった話で、この点については高く評価をいたします。一方で、我々は保育現場における事務の煩雑化を懸念しておりまして、各施設で常勤の事務員さんを雇用できるような補助が必要ではないかと訴えてまいりました。この点については予算化されなかったようですが、どのようなお考えなのか伺います。

○濵口保育園・幼稚園課長 保育所への事務員配置につきましては、本部で一括して事務処理を行っている事業者もあり、必要性の度合いが施設によって異なってございます。補助を行った場合の効果を見極めつつ、保育施設に対する他の加算等を含め、総合的に検討してまいります。

○森委員 総合的にということであります。事務のほうをいかに削減するかという観点も重要だと思いますので、併せて考えていっていただきたいと思います。

 それから、保育施設の人件費割合の話です。保育士さんの処遇改善の補助金が実際の待遇改善につながっていない、手元に行っていないのではないかということを申し上げてきました。昨年の12月、国の会計検査院が7億円を超える税金がやはり別のところに行っているというような結果を報告しました。これまで世田谷のように、区独自補助の不交付など、場合によっては考えないといけないのではないかと話をしてきました。それから、事業者名の公表なんかも、選択肢として何がしか対策を取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○濵口保育園・幼稚園課長 既に東京都福祉保健局が、子供・子育て施設ポータルサイト「こぽる」にて、人件費比率を含む財務情報等の公表を行っているところでございます。区といたしましても、改善が不十分な事業者に対しては処遇改善計画書の提出を求め、それでも改善が見られない場合は、事業者名の公表について検討してまいりたいと考えてございます。

○森委員 ありがとうございます。ずっと言ってきて、少しずつ答弁が前向きになってきているかなと思います。ぜひよろしくお願いをいたします。

 すみません。キッズゾーンの話は省略をさせていただきたいと思います。

 運転免許返納事業も、併せて省略をさせていただきたいと思います。すみません。

 次、安全を守る取組についてということで、体罰の話です。国と東京都で法的に体罰が禁止になりました。今、東京都のオレンジ色のポスターがいろいろなところに貼ってあるんですが、この内容が結構きついなと思っているんです。体罰禁止はいいんですけれども、どうしてもやってしまうと苦しんでいる人がいるわけで、頭ごなしに駄目だと言うのではなくて、ちゃんと相談機関を紹介するとか、そういう姿勢を見せることのほうが大事なのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

○神谷子ども家庭支援センター所長 法や都条例におきまして、子どもへの体罰禁止が明確に規定されたということは大きな意味のあることであると考えてございます。また一方で、体罰禁止という言葉は、伝え方によって保護者の負担感を講じさせる場合もあると認識しております。実際に保護者へ対応する場合におきましては、しっかりと話のできる環境を築き、体罰による子どもへの影響を伝え、体罰によらない子育ての工夫を共に考えることが重要であり、そうした取組を進めてまいります。

○森委員 ぜひ寄り添った対応というものを進めていただきたいと思います。ありがとうございました。

 ごめんなさい。子どもの貧困も飛ばさせていただきます。また別の機会に伺います。

 それから、産前産後ケアの話です。河合議員から一般質問で聞きましたけれども、昨日、甲田委員からも話がありました。中部、南部のデイケアが来年度に廃止になるということです。この予算審査の流れで、私の立場から言うのも本当は言いたくないんですが、議会に報告がないまま決められていたのが少し懸念点であります。お二方への答弁で、この事業を利用されている方を地域育児相談会へ流すという答弁があったのが気になっています。事業の性質が違うのではないかと思うんです。むしろ各すこやかでやっている「ほっこり~の」のようなもののほうが近いのではないかと思うんですが、そちらへということは考えないんでしょうか。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 本来のデイケア事業と子育ての仲間づくりへのニーズ等を踏まえまして、すこやか福祉センター分のデイケア事業は整理いたしました。助産師へ相談ができる助産院等の委託型産後デイケアの拡充、仲間づくりや子育て支援を行う地域育児相談会等の回数増、もちろん、「ほっこり~の」や子育て広場の活用を図ることといたしまして、見直しを行ったものでございます。

○森委員 「ほっこり~の」のほうもということで御答弁がありました。それをやっていただくのと、あと地域育児相談会は、今回外部評価で、利用者数が減っているという指摘もあります。こちらのほうの事業の進め方というのも改善できる点があるのではないかと思いますので、ぜひその点もよろしくお願いします。

 もう少し質問があったのですが、残り30秒ですので、ここで質問は終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で森委員の質疑を終了いたします。

 次に、むとう有子委員、質疑をどうぞ。

〇むとう委員 区民の方からお寄せいただきました御意見を基に質疑をいたします。持ち時間は30分です。機敏な行動と簡潔明瞭な御答弁の御協力をお願いいたします。

 公園等の公衆トイレにトイレットペーパーを設置することについて、今回で7回目ですが、お尋ねをいたします。

 2011年第3回定例会から再三再四、公園等の公衆トイレにトイレットペーパーの設置を求めて質疑をしてまいりました。可能な場所には設置していきたいとの答弁をいただいてから、はや8年5か月が経過しました。たかが、されど、トイレットペーパーの設置が8年も9年もかけてもできていない中野区にあきれるばかりです。そんな中、酒井区長に代わった昨年第1回定例会でも、102か所あるトイレのうち13か所にしか設置されていない。設置がないのは23区で中野区だけ、設置せよとの質疑に対し、最近設置した大規模公園にはトイレットペーパーを設置している。今後、トイレットペーパーの設置については進めていきたいとの答弁でした。進めていきたいとの言葉は単なる願望にすぎなかったのでしょうか。この1年間で、新設ではなく既存の公衆トイレにトイレットペーパーを設置した箇所はあるのでしょうか、お答えください。

○細野公園緑地課長 今年度ですが、新設の公園以外に、新井薬師公園がユニバーサルデザインによる改修工事を行っております。こちらのトイレに設置する予定がございます。

○むとう委員 予定があるけれども、まだないということでいいわけですね。現在、トイレットペーパーありの箇所数となしの箇所数でお答えください。

○細野公園緑地課長 新井薬師公園は間もなく完成をいたします。区内168公園のうち、111か所トイレがございます。その内26か所、17公園にトイレットペーパーを設置してございます。なので、反対に言いますと、151公園にはトイレットペーパーがないということになります。トイレがあるところは100公園なので、トイレのない公園は68公園ということになります。

○むとう委員 当初予算案の概要の42ページ、区立公園の整備と拡充推進4億8,303万4,000円の説明文の中に、公園トイレの改修等の記載があります。改修されるトイレにはトイレットペーパーを設置するという理解でよろしいでしょうか。併せて改修予定のトイレ箇所数を端的にお答えください。

○細野公園緑地課長 改修するトイレについては、トイレットペーパーを設置していく考えでございます。

○むとう委員 箇所数は。

○細野公園緑地課長 来年度は2か所を予定してございます。

○むとう委員 たったの2か所、改修されないトイレへのトイレットペーパー設置はどうなるんでしょうか。

○細野公園緑地課長 現在はトイレの新設や改修に伴ってトイレットペーパーを設置していく考えでございますので、それ以外のところについては、今のところはトイレットペーパーの設置は考えてございません。

○むとう委員 設置は考えていないと、答弁は後退してしまいました。前回は進めていきたいという答弁だったんです。

 設置していない全てのトイレにトイレットペーパーを設置すると、およそ幾らかかるのかお答えください。数字だけで結構です。

○細野公園緑地課長 ペーパーホルダー台を設置すると約600万円ほどを見込んでいます。また、それによって年間の維持管理費用が160万円ほど増加するというふうに試算をしてございます。

○むとう委員 試算がちょっと聞こえなかったので、もうちょっと大きな声で。

○細野公園緑地課長 試算ですが、ペーパーホルダーの設置費用が600万円ほど、それから、交換によって維持管理のほうなんですが、こちらが年間160万円ほど増加するものと見込んでおります。

○むとう委員 つまり、760万円ぐらいで全部のトイレにトイレットペーパーがつくのに、それができない。では、一体いつになったら公園等の全ての公衆トイレにトイレットペーパーの設置ができるのかお答えください。

○細野公園緑地課長 いつということは今見込んでおりませんが、今後、公園再整備計画を策定しているところでございますので、その中でトイレットペーパーの設置についても、御要望も踏まえて設置について検討していきたいと考えてございます。

○むとう委員 といいますと、本当にこれは8年も9年も検討していきたい、進めていきたい、それは願望にすぎず、設置はかなわないという現状が続いています。これを何とかしましょう。恥ずかしくないですか。トイレットペーパーが設置されていなくても、駅前などで配られているポケットティッシュを持ち歩いているから大丈夫とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、ほとんどのティッシュペーパーは水に溶けにくく、流せないペーパーです。丁寧なティッシュには、水に流せない、流せるの記載があります。東京都の下水道局のホームページには、水に溶けにくいティッシュをトイレに流さないでください、トイレや排水管などを詰まらせる大きな原因となりますと書かれています。

 さらに昨年10月の甚大な被害をもたらした台風19号、その際に、川崎や武蔵小杉駅前にあるタワーマンションの地下に雨水が浸水し、配電盤が故障し、停電と断水が続き、トイレが使えないという事態が発生しました。災害時の公衆トイレの役割も重要です。新設トイレだけではなく、既存のトイレについても早急にトイレットペーパーの設置を求めて、次の質問に移ります。ありがとうございました。

 清掃事業についてお尋ねをいたします。トイレットペーパーは永遠にやります。

 当初予算(案)の概要の18ページ、環境費は、東京二十三区清掃一部事務組合への負担金等が増加したことから増加したとの記載があります。予算説明書補助資料270ページで確認すると、確かに清掃一組への分担金が前年度と比較して約1億円の増額となっています。清掃一組の予算総額は前年度と比べて約135億円もの増額となったそうで、それに伴う区の分担金の増額は理解できます。清掃一組の予算及びそれに伴う分担金が増額した要因は、清掃工場の建設や建て替え、改修費だと推測しますが、分担金増額の理由を端的に短くお答えください。

○伊東ごみゼロ推進課長 清掃一組分担金が増加している要因でございますが、休止していた清掃工場の再稼働ですとか工場の建て替え、工場の延命化工事に伴う施設整備費の増が要因となってございます。

○むとう委員 中野区でも、労務単価や資材の高騰により建築の契約金額の変更を余儀なくされているように、清掃工場の建設費も同様な状況かとは思います。加えて、東京電力福島原発の事故に伴い、急ピッチでの焼却工場建設が建設費の高騰を招き、強気の業界とも今や言われています。現在稼働している清掃工場の多くが、2000年の区移管に際し、東京都が作成した計画を継承するとして、それに基づき1995年から2006年度までの12年間で15工場が建設されました。25年から30年という耐久年数を迎え、建て替えなければなりません。毎日排出されるごみの焼却を休むことはできず、耐用年数を40年に延ばし、5年ごとに2工場ずつの建て替えを計画していると聞きます。

 現在、目黒と光が丘工場が建て替え中、大田第一工場が再稼働のためのプラント更新中、次年度から江戸川工場の建て替えと港工場の延命化のための工事等々、このまま策を講じなければ、今後多額の経費が見込まれ、分担金の負担額はさらに増大するものと推測します。特に清掃工場のない中野区は、要求されるままに分担金を出すしかないのかなとお考えでしょうか、お答えください。

○伊東ごみゼロ推進課長 この分担金でございますけれども、清掃一組の自主財源ですとか、国の交付金を差し引いた上で、23区の分担金総額が算定されてございます。その総額を区別の区収集ごみと事業者の持込みごみの量で案分するなどしまして、各区の分担金が決定されてございます。これは23区で合意したルールにのっとったものでございますので、この算定方法によって算出された清掃一組分担金を各区が負担しているというものでございます。

○むとう委員 私は反対しましたが、23区は埋立処分場の延命化を大義として、2008年度からプラスチックを不燃ごみから可燃ごみに変更して、サーマルリサイクルと称する熱回収をしています。サーマルリサイクルは日本が名づけた方便にすぎず、世界的にはプラスチックの焼却はリサイクルとは認められていないということを認識するべきです。プラスチックを可燃ごみとしてから11年が経過した今、清掃工場の中で何が起きているのかをしっかりと検証するべきです。

 焼却は地球温暖化対策に逆行するだけではなく、プラスチックを焼却することで、当初の予想以上に燃焼温度が上昇し、ボイラー水管が破損するなど設備機器の腐食が早くなり、設計上の焼却量の達成ができない状況が続いています。当然のことですが、各機器への負担が大きくなるため、無理な焼却量のアップはできません。さらに排ガス中の塩化水素濃度の上昇や水銀の検出、それに伴うメンテナンス経費、消石灰や苛性ソーダなど各種薬品類の使用量増加による経費の増加も顕著化しています。中野区に清掃工場がないので知らないでは済まされません。中野区も清掃一組の構成員であるとの自覚をしっかり持つべきです。幸い、現清掃事務所長は清掃一組からの出向であり、機械の技術職と伺っていますので、この辺の状況はよく分かっていらっしゃることと思います。私が述べた焼却の現状認識について、改めて区の見解をお答えください。

○伊東ごみゼロ推進課長 サーマルリサイクル実施による影響ということでございますが、稼働率の低下ということがありますけれども、これはプラスチックの焼却による焼却量への影響ということよりも、稼働年数の経過に伴う老朽化が主な要因というふうに清掃一組から聞いてございます。

○むとう委員 焼却をしてくださいということで、受け持っている清掃一組は焼却せざるを得ませんし、サーマルリサイクルも受け入れているわけですから、今さらできないとか、現状について正直にはなかなか言ってはくださらないと思いますが、現状認識について私と全く一致していないのは大変残念なことです。お忙しいこととは思いますが、ぜひ清掃工場に行かれ、現場の声をお聞きになり、お勉強していただけたらと願っております。

 区移管の際に、ごみの収集、運搬、減量、再利用、資源化は各区、中間処理を行う清掃工場は清掃一組、ごみの埋立処分場は東京都との役割分担を決めました。この役割分担こそが一貫性のない清掃事業となり、縦割り分担の中で当事者意識の欠如を生み、焼却ごみを減量できない原因だと考えます。この分担方法だと、減量、再利用、資源化は区ごとに違いが出て当然のことですが、清掃工場に運ばれるごみ質にも違いが出てきます。

 中野区では、予算説明書補助資料271ページ、3億9,000万円の予算で容器包装リサイクル法のプラマークのついている容器包装は資源回収をしていますが、例えば植木鉢だとかCDケース等の製品プラスチックの資源回収は行っていません。行っていないので、中野区では可燃ごみとなり、清掃工場で焼却されます。しかし、製品プラスチックの資源回収を行っている区もあれば、容器包装リサイクル法のプラスチックさえ資源回収していない区もあります。資源回収については各区の判断に委ねられているため、プラスチックごみを大量に含む可燃ごみと、プラスチックごみをほとんど含まない可燃ごみという大きな違いが出てきますが、最終的にはどちらの可燃ごみも23区で共有する清掃工場に搬入されます。清掃工場を共有する以上、安全操業のためにも、ごみ質は同じであるべきと私は考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

○伊東ごみゼロ推進課長 清掃工場では、搬入された家庭から出るごみですとか、あと事業系ごみもございますけれども、これについては一旦ごみバンカーで均一化させてから焼却炉に投入することによりまして、安定した燃焼となるようにしてございますので、安全操業を行う上での問題はないと聞いてございます。

○むとう委員 中野区は3億9,000万円をかけて、容器包装リサイクル法のプラスチックを回収している。片や何もしない区がある。ごみ量によって分担金に跳ね返るとはいえ、こういう状況でいいというふうにお考えですか。中野はどうして容器包装リサイクル法のプラスチックの資源回収をしているんですか。

○伊東ごみゼロ推進課長 容器包装リサイクル法にのっとって回収できる資源化が可能なものについては、しっかり資源化をするという判断の下、中野区では容器包装リサイクル法にのっとって容器包装プラスチックやペットボトル、そういったものを資源として回収しているというものでございます。

○むとう委員 バンカーの中で混ぜるから大丈夫ということではないです。またしても、ここでも同じ認識を持てず、大変残念なことです。お忙しいこととは思いますが、ぜひ清掃工場に行かれて現場の声をお聞きになり、お勉強していただきたいとお願いしたいと思います。

 清掃工場の現状を見れば、リサイクルは各区の責任などと言っている場合ではないんです。埋立処分場の延命のために、23区がプラスチックごみを可燃ごみにすることを歓迎していた東京都でさえもが、各区の取組のばらつきに対して、来年度の予算に、少額ですが、プラスチックごみの再利用促進に約1億2,000万円を計上し、地球温暖化の原因とされるプラスチックごみ焼却による二酸化炭素の排出量を4割削減するという方針を打ち出したということでの新聞報道がありました。

 この際、区移管から20年、プラスチック焼却から11年、23区共有の清掃工場においてプラスチック焼却を見直し、プラスチックの資源化、焼却ごみの減量とごみの均一化、二酸化炭素の排出量削減について、23区の区長が当事者意識を持って真剣に議論し、可燃ごみに関する共通の取組を決めるべきだと考えます。ぜひ区長会においては、若手のホープと言われている酒井区長が23区区長会に提案をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解をお答えください。

○酒井区長 御指摘のとおり、資源化施策は各区の事項であり、具体的な取組や費用対効果などを見極め、各区の政策判断により実施するものと考えております。しかしながら、ごみの減量は23区共通の課題であり、区長会としても、ごみ減量とリサイクルの推進に向けた検討を清掃主管部長会に下命したところでございます。その検討結果を踏まえ、必要な対応をとっていきたいと考えております。

○むとう委員 ぜひ必要な対応をとっていただきたいと思います。

 それから、プラスチックは焼却せずに資源化するとの共通の取組ができないのであれば、先ほど課長から説明がありましたけれども、ごみ量に応じた分担金の算出方法に、焼却能力の悪化を招くプラスチックごみの混入率等をごみ質を考慮した分担金算出方法に加える提案を区長会とか清掃一組評議会にしていただきたいと考えますが、区長の見解をお答えください。

○酒井区長 先ほどの答弁と同じになりますけれども、部長会に下命をしています。その検討結果を待って検討していきたいと考えております。

○むとう委員 これは清掃一組に任せきりではなくて、構成員である23区の区長さんの御意見というのがとても重要になりますので、しっかり区長会の中で、残念ながら私と同じ認識をお持ちではないようですけれども、お勉強をしていただきまして、できれば私と同じ認識に立ち、プラスチックの焼却については見直していくように働きかけをしていただけたらと願っているところでございます。

 昨年第2回定例会で質疑しましたが、2019年5月10日、バーゼル条約の締約国会議で、汚れたプラスチックごみを輸出入の規制対象に加える条約改正案が採択され、締約国は廃プラスチックを最小限に抑えることやリサイクルの強化など一層の努力が求められていますが、5月20日に環境省は自治体への通知で、産業廃棄物に該当する廃プラスチック類を一般廃棄物処理施設で処理せよという驚くべき提案をしました。一方、東京都は廃プラスチックを排出する企業に対し、産業廃棄物の適正なリサイクル処理は排出事業者の責任だとする指導を打ち出しました。小池さん、あっぱれです。自治体の清掃工場は、廃棄物処理法に基づく家庭ごみ等の一般廃棄物の処理工場であり、産業廃棄物である廃プラスチックを燃やせとの環境省の方針には、ごみ処理の基本から逸脱しており、引き受けてはならないと質疑をしたところ、産業廃棄物としての廃プラスチックは排出事業者が責任を持って処理するべきとの酒井区長の答弁をいただき、安心をしているところでございます。

 しかし、近年、区が許可を出している事業者による事業系一般廃棄物の工場への持込みごみ量が増加しています。その一因に廃プラスチック混入があるのではと推測します。不適正な事業系一般廃棄物の持込みごみについては、清掃一組が悪質な事業者名を区に知らせることになっていますが、近年はありません。しかし、家庭ごみの廃プラスチックを可燃ごみにしたために、事業系一般廃棄物の廃プラスチックが混入して、清掃工場に持ち込まれても、搬入口での見落としがかなりあると推測しています。不適正な事業系一般廃棄物持込みごみの調査体制の強化を清掃一組に要請するとともに、中野区が許可している244社に対して、年に1回でも2回でも、数社でも、立入指導の実施を中野区に求めます。お答えください。

○伊東ごみゼロ推進課長 各清掃工場では、事業系一般廃棄物搬入の際に、不適正ごみの調査を行ってございますが、これは適正に執行されているものというふうに認識してございます。また、中野区が許可をしております事業者につきましては、2年ごとに更新を行います。その更新許可申請の際に、事業所への立入検査によりまして、書類ですとか設備、車両等の確認を行いまして、収集、運搬等の業務が許可基準にのっとって適正に行われているかどうか、そういった確認を確実に行っているところでございます。

○むとう委員 申請の際に区が行っているんですか。

○伊東ごみゼロ推進課長 中野区が許可している244社、昨日現在でございますけれども、中野区が許可しているとともに、ほかの区も許可している。最大23区全体で許可している場合もありますので、その全ての区が一斉に行うということではなくて、清掃の協議会と共に、それぞれの区、数区が行いますので、中野区が必ずこの244社を行うということではございませんが、年間で何社、正確な数は持ち合わせてございませんが、中野区もきちんと各事業所に立ち入って検査等を行っているというところでございます。

○むとう委員 しっかりと区の責任で許可しているわけです。事務は清掃協議会であっても、許可の責任者は区ですよね。区が責任を持って立入指導をきめ細かく実施していただきたいと思います。人の移動の激しい中野区では、新住民や外国の方など、ごみや資源の出し方が分からない人が多く、分別アプリや外国語版リーフレットもありますが、分別の徹底が課題です。分別が不徹底なため、焼却不適正なごみや有害ごみが可燃ごみに出されると、焼却炉が故障して高額な修理費がかかります。またダイオキシンや水銀など有害化学物質が発生し、環境汚染や健康被害、労働者のけがや死亡事故の原因になります。

 清掃一組が実施した2018年度常時搬入物検査結果によると、中野区の不適正ごみ搬入率は38.7%で、多少改善はしてきているんですけれども、23区中ワースト7位です。指導班だけでは追いつきません。検査台数31台のうち12台が、不適物がサンプル積載の10%以上ある、搬入可能な寸法を超える不適物がある、プラントを損傷させるなど、処理施設の運用に支障を来すおそれのある不適物があるというC判定でした。ちなみに、ベスト1位は千代田区で、17.6%です。

 2018年第1回定例会の予算総括質疑で、清掃工場の安定操業に向けて、その入り口である集積所で見極め、警告シール貼りを徹底し、焼却不適正なごみの搬入を止めるという職務意識を持つべきではとの問いに、職員に注意喚起をし、事例討議研修の強化を図りたいとの答弁でした。区はなかなか改善されない検査結果をどのように受け止めているのか、また、どのような強化を図ったのか、今後さらなる取組についてお答えください。

○川本清掃事務所長 清掃工場への搬入不適物のほとんどが袋に入った粗大ごみであり、清掃事務所では、これまでも不適正搬入防止の事例研修を実施したり、搬入物検査の結果を職員に周知することで不適正搬入防止を図ってきましたが、完全には防止に至っておりません。今後は、搬入物検査で見つかった搬入不適物の現物を使った研修の実施など、適正な搬入に向け、さらに工夫をしてまいります。

○むとう委員 38.7%が不適正なごみの搬入だったというこの結果について、区はどう思っていますか。

○川本清掃事務所長 先ほど委員からも御指摘がありましたとおり、23区のうちワースト7位ということですので、この結果を重く受け止めて、さらなる適正搬入に努めてまいりたいと考えております。

○むとう委員 搬入しないということが大事ですので、収集の段階で厳しいチェックということをしていただきたいと思います。予算説明書補助資料の271ページ、2018年度から本格実施した陶器・ガラス・金属ごみの資源化は1億5,147万3,000円の予算です。先日資源化を委託している要興業を中野区からの搬入時間に合わせて見学をさせていただきました。不適正な廃プラスチックや生ごみ等も混入しており、唖然としました。中野区は、拠点回収も含めてそれなりの品目数で11億9,663万8,000円もの予算を組み資源回収を行っています。資源とごみの分け方や出し方のルールをつくっても、そのルールを理解し参加する区民を増やさなければ意味がありません。ごみに多額の税金が使われていることも明示した新たな資源とごみの分け方、出し方の保存版を毎年の発行と全戸配布を求めますが、いかがでしょうか。

○川本清掃事務所長 ごみの適正排出は区民の方に御理解いただくことが最も重要と考えており、ホームページ、区報、ごみ分別アプリ、ごみゼロ推進課が発行する情報誌「ごみのん通信」を活用し、また、リーフレットや環境学習などもさらなる工夫をしながら、ごみの適正排出の啓発に努めてまいりたいと思っております。

○むとう委員 私が質問したのは、金額も明示した新たな保存版を作って、毎年の発行と全戸配布を求めたんですが、それについて端的にお答えください。

○伊東ごみゼロ推進課長 委員御提案の清掃事業、ごみの収集に多額の多くの税金がかかっているということの区民への周知でございますけれども、御提案の方法も含めて、様々にどういった方法がより効果的なのかということは研究してまいりたいと思ってございます。

 また、資源とごみの分け方、出し方、リーフレットでございますけれども、今年度全戸配布してございます。これはおおむね5年に1度行ってございますが、こういった分別区分ですとかは毎年のように変わるものではございませんので、これについては現段階では従来どおりの方法を変更することは考えてございません。

○むとう委員 5年に1度でいいかどうかというのは問題かと思います。今回スケルトン車購入をきっかけに、出前講座をさらに強化した押しかけ講座、あらゆる区主催事業での前座講座等、適正排出啓発に本気で人材の投入をするべきと考えますが、いかがでしょうか。短く答えてください。

○川本清掃事務所長 清掃事務所で行っております環境学習につきましても、開催の回数を増やしていくなど、工夫を重ねてまいりたいと思っております。

○むとう委員 せっかく長年の要望でもあったスケルトン車を買うわけですから、しっかりと回数を増やして、きちんとした環境教育というか、排出の教育をしっかりしていただきたいとお願いしたいと思います。

 各区が当事者意識を持ち、23区が共同の努力でごみの減量と不適物の混入率や廃プラスチックの焼却量を減らし、ごみ質を変え、焼却効率を上げることで、新設炉の建設費や改修費を抑えることができると私は考えます。区で実施しなければならない分別指導の徹底や、来るべき災害に備え、清掃事業に必要な職員の採用を求め、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

○山本委員長 以上でむとう委員の質疑を終了いたします。

 次に、近藤さえ子委員、質疑をどうぞ。

〇近藤委員 無所属の近藤さえ子です。よろしくお願いいたします。順番をちょっと入れ替えますので、職員の方、申し訳ないです。

 スポーツ施設についてから伺います。よろしくお願いいたします。

 今年6月に、新しい中野区立総合体育館が誕生します。新しい総合体育館を含む区内屋内スポーツ施設の指定管理者に株式会社東京アスレティッククラブ、以後TACといいますが、全てに含まれていると認識しています。その認識でよろしいですか。

○古本スポーツ振興課長 本年開設をいたします総合体育館の運営はアクティブなかのグループ、そして、既存の中野体育館と鷺宮スポーツ・コミュニティプラザを運営しておりますのがTACグループ、そして、中部と南部のスポーツ・コミュニティプラザを運営しておりますのが中野スポーツパートナーズでありまして、いずれも株式会社東京アスレティッククラブが各企業体の構成員となっているものでございます。

○近藤委員 来年度、総合体育館の開設には3億1,712万7,000円の予算を計上していますが、オリンピック関連ではない日常の事業や教室のメニューなどというのはもう決まっているのですか。

○古本スポーツ振興課長 総合体育館の指定管理者等は、今後、年間計画の枠組みを定めました後、事業の具体的な中身について協議を進めていく予定でございます。多くの利用者に参加していただけるような教室を提供したいと考えてございます。

○近藤委員 これからということで、中野区は「「健康福祉都市なかの」の実現を目指して「中野区健康福祉総合推進計画2018」に基づき、区民の健康増進に向け、スポーツ・健康づくりムーブメントを推進し、高齢者や障害のある人、だれもが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるための取り組みをさらに進めるとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、区民の長期的なスポーツ活動・健康づくりを推進する事業を実施します」と、2020年度の財政運営の考え方の健康福祉部の欄に書いてあります。指定管理者というのは区のこのような目的のために区に代わって事業を行っていると思いますが、その認識でよろしいですか。

○古本スポーツ振興課長 委員のお考えのとおりでございます。

○近藤委員 総合体育館で行う指定管理者の事業、教室等が、区の目指す目標、区民の健康づくりにつながる事業になっているのかというのはどうやってチェックしていくのですか。

○古本スポーツ振興課長 昨年、第4回定例会で指定管理の議決をいただきました後、指定管理者との協議を開始してございます。現在指定管理者から事業計画書の提出を受けまして、区が求める事業の内容になっているかを確認している状況でございます。

○近藤委員 平成31年版中野区健康福祉部事業概要に示している利用者アンケートによりますと、現中野体育館を利用している人の半数以上が60歳以上で、女性が男性の倍以上、そして、要望、意見の主要項目には、アンケート時は鷺宮体育館、現在の鷺宮スポーツ・コミュニティプラザからは要望されていない教室の充実という項目がありました。体育館が新しくなって事業メニューも変わると思いますが、事業メニューはできるだけ区民の希望に沿った区民が利用したいと思うメニューにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○古本スポーツ振興課長 新しい体育館には多目的運動場が隣接しておりますほか、内部にはボルダリング設備など、既存の体育館にはないスポーツ環境が整備される予定でございます。今後事業者からの積極的な提案を受けまして、区民にとって魅力的な事業を提供していきたいと考えてございます。

○近藤委員 事業者からの提案を受けてというお言葉があったんですけれども、昨年の決算特別委員会で、私は、中部スポーツ・コミュニティプラザ、以後中部といいます。中部において、指定管理者が行っている教室事業は体操教室ばかりが多くて利用者が少ない。また区民が使いにくい施設になっていたことを指摘させていただきました。そのときの課長の答弁では、スポーツ・コミュニティプラザにおけます事業は、運営委員会などの場で利用者等の御意見を伺いながら、指定管理者の創意工夫ができる仕組みとなってございます、今後も利用者にとって使いやすい事業になるように工夫していきたいと思いますとおっしゃっていましたが、運営委員会には中部の利用者区民の枠はありませんでしたし、指定管理者の創意工夫で、2020年度は利用者の少ない体操教室ばかりではなく、区民が利用したい事業に改善していけるのでしょうか。

○古本スポーツ振興課長 これまでも事業の見直しは3か月ごとに行っております。今年度、既に1月の段階で、昨年度1年間の実績程度の参加者となっております。今後も引き続き改善を進めていきたいと考えてございます。

○近藤委員 全ての屋内施設を同じ事業者がやっているということで、やはりこれはチェックをして、使いやすい、区民の方が利用したいものにしていく必要があると思います。前回の決算の私の質問で、南部スポーツ・コミュニティプラザ、南部とこれから言いますけれども、南部でやっているのに、中部では、中学の部活の支援に手を挙げる中学校がなかったから部活動支援をやってこなかったというお答えがありました。2020年度は積極的に部活の支援や障害者スポーツを中部でも行うのですか。

○古本スポーツ振興課長 中部の中学校部活動支援につきましては、最寄りの中学校との距離があるという課題がございまして、利用は少ない状況でございます。引き続き事業の周知は行ってまいりたいと考えてございます。

○近藤委員 指定管理者というのは中野区の代わりに事業をやってくれるというものだと思うんです。それは、指定管理者の創意工夫というよりは、中野区が創意工夫して、どういうものをやりたいかというところをある程度出していかないと、指定管理者に同じ事業ばかりを繰り返して行われてしまうという懸念が私にはあります。

 中野区健康福祉部事業概要2019年版には、中部の指定管理者事業の教室名で明記されているのですけれども、中野大輔さん、オリンピックに出場された方ということですが、この方の教室が書かれています。この方が教室をやっていらっしゃるそうですけれども、イベント事業、オリンピアン特別レッスン中野大輔幼児トレーニング、参加者6人、オリンピアン中野大輔子どもトレーニング、参加者4人、中野大輔さんの親子体操、参加者7人、どれも中野区の指定管理料で行われた事業です。利用者がとても少ないのです。どうもかなりレベルの高い体操教室になっているようなのです。区民のニーズが高いのであれば、内容をとやかく言うことではありませんけれども、利用者も少ないのであれば、このような体操教室は、地域の交流、気軽にスポーツを楽しむ施設であるスポーツ・コミュニティプラザにはふさわしいとは思えないのです。TACの本社を使われたらいかがかという区民の声もありました。指定管理者に任せっ放しにしないで、もっと区もイニシアチブをとっていっていただきたいと思いますが、いかがですか。

○古本スポーツ振興課長 中部スポーツ・コミュニティプラザにおきまして、体操教室を含むイベントの事業につきましては、内容の見直しや周知に力を入れておりまして、本年1月の段階で、昨年度1年間の約2倍の参加者数となってございます。区といたしましても、主体的に指定管理者と協力をいたしまして、区民の満足度向上に努めたいと考えてございます。

○近藤委員 全ての屋内施設が同じ管理者さんの下で行われていくということで、いろいろなメニューが区民にとって提供できるといいなと思います。いつも体操教室ばかりで、中部はもっと体育館を自由に使わせてほしいというような声もあります。やっと少し体操教室の人数は増えたといっても、それでもやっと十何人という状態です。指定管理料で行っている事業の利用者が少ないのに、同じような体操教室ばかりが来年度も続いていくというのはやはり理解できないと思いますので、しっかりと考えていっていただきたいと思います。

 そして、公認クラブNakatch体操クラブというのが中部にはあるんですけれども、公認クラブNakatch体操競技大会というのを年に2回行っているようなんです。平成30年度2回、今年度はこれまでに1回、計3回行いましたが、どの回も300人以上が参加しています。いつもの体操教室はほぼ一桁の利用者なのですけれども、どこから集まってくるのでしょうか。中部の教室利用者、あるいは区民、地域の方はどのぐらいいらっしゃるんでしょうか。

○古本スポーツ振興課長 委員御紹介の体操大会といいますのは、中部の地域スポーツクラブの公認クラブでございますNakatch体操クラブというところが主催しているものでございます。内容や参加者数については報告を区のほうにも受けておりますが、そのうち何名が区民であるかというのは主催者としても把握をしていないというふうに聞いてございます。

○近藤委員 この公認クラブも、TACに所属している方が仕事とは別に公認クラブをつくって大会を開いていると聞いています。区民、地域住民の姿が全然見えてきません。これもスポーツ・コミュニティプラザの使い方としてはどうなのかと思います。区から指定管理料が入るから、指定管理者は自分たちのやりたい事業をやりたいように展開していくというのでは、指定管理者は区に代わって区の事業を行っているという本来の趣旨とはかけ離れてしまっていると思います。その役割があると思います。

 中野区のスポーツ施設には、区民の健康のため、区民が長くスポーツを続けられるようになどの目的があります。スポーツ・コミュニティプラザは、区民が気軽にスポーツを楽しめる地域のコミュニティとしての役割があります。そういったスポーツ施設の役割をこれから果たしていけるように、区民のスポーツの施設が区民のために運営されていくように、ぜひ区に代わって事業を運営している指定管理者の運営方法などをチェックする仕組みをしっかりと確立していただきたいと思いますけれども、いかがですか。

○古本スポーツ振興課長 これまでの実績をしっかり踏まえまして、指定管理者との協議の場で、不断の事業改善を進めていきたいと考えてございます。区民にとって利用しやすいものとしまして、区民の健康づくりの増進やスポーツ人口の拡大につなげていきたいと考えてございます。

○近藤委員 ぜひ区がイニシアチブを取って、どういうものを区民が望んでいるかということをアンケートされるですとか、新しい体育館もできるので、本当に心配です。このように指定管理者がやりたいということをやっていくのではなくて、区民がやっていきたい区の施設になるといいと思いまして、この項の質問を終わります。ありがとうございます。

○山本委員長 近藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

 13時まで委員会を休憩いたします。

午後0時01分休憩

 

午後1時00分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。

 近藤委員、質疑をどうぞ。

〇近藤委員 午前中に引き続き、もう少しお付き合いください。よろしくお願いいたします。

 (仮称)中野区犯罪被害者等支援条例案について伺います。

 区は、犯罪被害者等支援条例制定に向けて、昨年9月に関係者懇談会、10月に意見交換会、12月から1月にパブリック・コメントの手続を行ってきました。今まで全国の中でも被害者支援の先進自治体として被害者支援を牽引してきた中野区でしたが、条例制定にはなかなか進みませんでした。今年、東京都の条例制定と同じ時期に、東京都と共に中野区にも条例が制定される見通しとなり、大変うれしく思っております。何点か質問させていただきます。

 2020年、犯罪被害者等支援費、今年に比べて427万2,000円増は、支援金240万円と弁護士費用等の助成費154万5,000円が入り、大幅にアップしたということだと思いますが、今回の支援事業案を見ると、支援金と弁護士助成というのが積算されています。金額の構成と算出の根拠を教えてください。

○長﨑福祉推進課長 お答え申し上げます。いわゆる支援金ですとか弁護士費用助成を今回積算させていただいております。この根拠でございますが、警察署の犯罪発生統計ですとか、それから過去におけます中野区犯罪被害者相談窓口、これにおけます相談実績、また先行自治体の例などを参考にいたしまして、支援金として約240万円、弁護士費用等の助成金として約160万円を計上したものでございます。

○近藤委員 この予算はそのような根拠から組み立てられているんですけれども、この事業は犯罪が起きたときを想定して準備しておくという事業ですから、想定していた人よりも多くの方が犯罪に遭ってしまったり、または全く犯罪がなくて使われなかったりと、予算を組むのがとても難しい事業だと思います。非常勤職員の人件費や研修費等以外は、予算を執行することがなければよかったという、一般の予算の考え方とは違った予算という認識で私は理解しています。そこで、支援事業案について伺います。法律問題解決支援では、弁護士費用の助成がありますが、これは着手金のことを意味するのですか。どのような内容か教えてください。

○長﨑福祉推進課長 弁護士費用助成というのを今回の支援の内容に挙げております。犯罪被害者の方が裁判に立ち向かうですとか、そういった場合に裁判費用、それから、その他の諸手続のために必要となる弁護士の費用、こうしたものの一部ということで今回助成をするということを想定しております。当然弁護士をお願いされる場合には着手金というのもかかりますので、そういった費用に充てていただければというふうに考えております。

○近藤委員 刑事裁判に参加して被害者参加制度などを使うにしても、現在の被害者参加人のための国選弁護人制度は資力200万円に満たない方に限られているので、ほかの方は全くそういう費用が何も入らないということで、少ない被害者の権利への参加がしやすいように、初期から弁護士とつながっておくことがとても大事ですので、とても大事な助成だと思います。その着手金という形でも特に限ったわけではなく、今後検討していく中で、被害者が使いやすいような柔軟な対応ができるといいと思いますけれども、いかがですか。

○長﨑福祉推進課長 弁護士費用助成といったところにつきましては、裁判まで持っていくというのがこうした犯罪被害という中ではなかなか難しいというところもあります。今現在、この犯罪被害者が裁判や手続に必要とする弁護士の費用については、法テラスですとか、それから弁護士会からの支援が既にあるんですけれども、資産要件が厳しかったりだとか、また返済をする必要があるということがありまして、なかなか活用が難しい被害者も少なくないというふうに聞いております。このため区が弁護士費用の一部を助成することで、損害賠償請求等を行う被害者の負担を軽減できるものではないかということで考案したというものでございます。

○近藤委員 ありがとうございます。とてもいいと思います。弁護士費用の助成というところで、被害回復のために損害賠償請求等における弁護士費用の一部を助成する支援が、法律相談料助成とは別に助成されることは画期的であり、損害賠償請求等の弁護士費用を助成している自治体というのは私は聞いたことがないんですけれども、これは全国でも初の取組として評価します。この制度を創立しようと思った、そこに至った経緯というのをお聞かせください。

○長﨑福祉推進課長 いわゆる犯罪の場合には、性的被害に遭われる方ですとか、こうした警察にも相談できない、また、その先の裁判にもなかなか持ち込むことができないといったような実態があるというのを非常に認識をしたところでございます。そういった中で区としても何か資産に関係なくそうした弁護士の費用という形でもって、そうしたものに立ち向かう、そんなことを支援したいという思いの中で、今回こうした支援を行ってはどうかということで立ち上げさせていただいたものでございます。

○近藤委員 全国初かどうかということはちょっとお答えがなかったんですけれども、高い弁護士費用を払って損害賠償請求をしても、加害者からの損害賠償金が支払われることはほとんどありません。数年前の実績ですが、過去5年間で、遺族に実際に支払われた賠償金は賠償命令額の僅か1.8%と言われています。ほとんど皆無という状態です。それでも被害者は自分たちに与えられている僅かな権利を行使することさえできないことに苦しみます。

 明石市では、加害者に代わって損害賠償金を立て替える制度がありますが、中野区は、被害者の当然の権利を主張できるように、まずは損害賠償を求めていくための入り口に被害者が立てるように、弁護士費用を助成するという画期的な事業を盛り込んだのだと思います。犯罪の被害者等となり傷ついている人が、損害賠償を訴えたくても、費用面、精神面で訴えることもできない。その状態を放っておかない被害者被害回復へのステップを歩むために、損害賠償請求のための弁護士費用は必要な支援だと思います。被害者たちの大きな励みになります。

 このほかにも支援事業を細かくお聞きしたいところなんですけれども、時間がないので、あと東京都との関係だけ質問させてください。東京都も条例を制定し、経済的支援、支援金を支給することとしていますが、区の支援金との関係はどのようになりますか。支援の内容は東京都も区も両方で利用できるようにしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。

○長﨑福祉推進課長 今委員からもお話がありましたとおり、区民が被害に仮に遭遇した場合に、加害者からの賠償を受けられるケースというのは非常に少ないというのが今の現状であると認識しております。こうした状況に、国からの支援としては、犯罪被害者給付金といったような制度があるものの、十分な補償がされているとは言いがたいというところでございます。こうしたことから、その犯罪被害者が必要とする支援金については、東京都の支援であろうと区の支援であろうと、双方から受けられるのが望ましいというふうに考えているところでございます。双方補完をし合いながら、支援事業の詳細については、今後東京都と調整を図ってまいりたいと考えているところでございます。

○近藤委員 東京都の中で条例を制定しているのは、杉並区、国分寺市、多摩市と少ないのですが、区市町村で支援金や見舞金を出せるところは東京都からは出さないというようなことのないように、当然中野区の支援金は東京都の支援金に上乗せする形になるようにしていただきたいと思いますが、その辺りの東京都との調整はどのようになっているのでしょうか。

○長﨑福祉推進課長 今申し上げましたとおり、東京都と区が双方の形でもって支援制度を相互に補完し合うというのは大切なことだというふうに思っております。そうしたことを含めながら、事業の詳細について、これから東京都とも詰めてまいりたいと考えているところでございます。

○近藤委員 東京都は、今まで神奈川、埼玉県など、近隣自治体の中でも支援が必要な被害者の数は多かったのにもかかわらず、東京都として積極的な被害者支援策を進めてきませんでした。今後、条例の制定とともに、東京都としての具体的な支援メニューを固めて施行していくことになると思いますが、中野区は常に東京都全体の研修の講師を務めるなど、先進自治体としての役割を果たしてきました。今後も東京都との連携、協力は当然のことですが、経済的支援やシンポジウムや研修、啓発等は予算も職員も大きく取れる東京都が果たす役割として、一方、区は被害者に一番身近な自治体として相談業務などに力を入れられるようにするなど、東京都と中野区がしっかりとした役割分担を行いながら、東京都の予算活用を求めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○長﨑福祉推進課長 犯罪被害者支援につきましては、中野区においては早い段階から相談支援等の取組を進めてまいりました。しかしながら、まだまだ被害者の置かれている現状について、区民に浸透しているとは言い難いという状況にあると思っております。このため、東京都の条例制定を契機といたしまして、東京都が実施する啓発ですとか支援、こういったものはできる限り活用しながら、その一方、東京都の支援事業ではカバーできない部分、こういったところについては区の支援により行うという考えで実施をしてまいりたいと考えております。いずれにしても、今後とも東京都との密接な連携を図りながら、被害者に寄り添った、そんな支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

○近藤委員 被害者支援先進自治体として、今後も、中野区が今まで東京都に対してアドバイスをしてきたように、東京都全体を先導していっていただきたいと思います。昨年東京都が犯罪被害者等支援条例を制定することが決まってから、中野区も来年度施行の条例を制定することを決断しました。短い時間の中、被害者の立場に立った被害者の権利と被害からの回復に着目した条例案がつくられました。とてもよい条例案になっていると思います。職員の皆様の御尽力に感謝いたしまして、私のこの項の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

 続いて、中野区再犯防止推進計画(素案)について伺います。

 私は、昨年第4回定例会一般質問で、中野区が策定中の再犯防止推進計画についてお聞きしました。そのとき、私は、再犯防止のためには、区の再犯防止推進計画で挙げられている就労や住宅の確保、保健、医療、福祉のサービス利用の促進など七つのサービスはどれもとても大事な課題であるが、中でも犯罪をした者に犯罪の責任や犯罪被害者の心情を理解させ、社会復帰のために自ら努力をさせることが最重要項目となるのではないかという質問をしました。そのとき区の答弁は、策定中の中野区再犯防止推進計画でも、犯罪被害者等へ配慮したものとするとの答弁でした。しかし、現在策定中の中野区再犯防止計画(素案)には、その理念や具体的な取組などは入っていません。具体的にはどのような取組を考えているのでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 お答えいたします。現在中野区が策定中の再犯防止推進計画(素案)には、まず基本方針を四つ挙げている中の一つとして、犯罪被害者の人としての尊厳への配慮と、置かれている状況への理解ということを掲げております。この基本方針に沿いながら、それぞれの重点課題ごとに取組を進めていくという計画のつくりとなっております。具体的には、推進計画(素案)におきましては、再犯防止や更生保護に関する普及啓発の取組として、ホームページの活用をした広報ですとか、7月の再犯防止啓発月間における集中的な広報活動ですとか、シンポジウム、それから職員の研修などを挙げております。主にこれらの普及啓発の取組の中で、犯罪被害者の方の状況や心情の理解を深める内容を取り入れていくということを考えているところでございます。

○近藤委員 ちょっと時間がなくなって、1問質問を飛ばします。

 先日私は横浜の保護観察官と保護司への研修に講師として呼んでいただき、保護観察官の方、保護司の方等と意見交換をする機会がありました。保護司は、罪を犯した人一人ひとりと向き合い、更生に導くために大変な御尽力をされているのですが、長い間加害者を更生させることを懸命に行ってきたので、例えば薬物により健康被害がある方を見てきた保護司は、本人だけではなく家族も大変な状態になっている、もっと行政が支援すべきではないかというような発言をされていました。保護司自身も、加害者の就労、住居、健康を支援することで精いっぱいで、被害者のことまで思いが至らなかったとおっしゃっていました。

 そこで、近年、国も被害者を講師にして保護観察所で研修を始めました。まさに犯罪や非行の防止、再犯防止の取組で大きな役割を果たすのが保護司の皆さんだと思います。再犯防止計画には、保護司をはじめとする更生ボランティアが活動を円滑に行うための支援として、各種区政情報を提供するとともに、研修を実施する場に区の職員を講師として派遣するとありますが、派遣することはできるのでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 こうした保護司の皆さんですとか、更生保護ボランティアに関わる皆さんと、犯罪被害者の取組を共有するということはとても重要だと考えておりますので、講師の派遣ですとか情報提供については、実施できる方向で検討してまいりたいと考えております。

○近藤委員 時間がなくなってしまって、二つの質問も飛ばします。

 これは再犯防止の計画ではありますけれども、支え合い、助け合うまちづくりをしていくことで、非行や犯罪につながらない中野のまちの実現を目指していくという取組が大事であるということでございますので、どうか職員の方、皆様も御尽力を頂くようにお願いいたします。

 質問を飛ばしてしまって、すみません。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で近藤さえ子委員の質疑を終了します。

 次に、いながきじゅん子委員、質疑をどうぞ。

○いながき委員 無所属のいながきじゅん子でございます。通告いたしました2番目と3番目の質疑の順番を入れ替えさせていただきます。

 まず、空き家対策について伺います。

 平成27年に空家等対策の推進に関する特別措置法が全面的に施行され、その後、区では、中野区空家等対策基本計画が策定をされました。平成30年に行われた総務省統計局による住宅・土地統計調査では、全国の空き家率が過去最高の13.6%に達したということですが、中野区の現状はどのようになっているのでしょうか。区としては、平成28年に空家実態調査を行っておりますが、その後区内の空き家の数は全体として増えているのでしょうか、伺います。

○三王住宅課長 平成28年度に区が実施した空き家の実態調査では、空き家数は852棟存在していることを確認しております。その後は、住宅課に寄せられる様々な空き家情報を基に、職員が随時現地確認を行い、データベースを更新し、令和2年2月18日現在において、区内の空き家数は588棟と減少してございます。

○いながき委員 老朽・管理不全度に応じて、区内の空き家はランクAからDまで区分けをされていますが、建物に大きな損傷が見られるCDランクの建物数の推移はどのようになっていますでしょうか。

○三王住宅課長 老朽・管理不全度でランクC及びDの空き家数は、平成28年度の調査時点では、ランクCが312棟、ランクDが78棟の計390棟を確認しておりますが、令和2年2月18日現在においては、ランクCが235棟、ランクDが58棟の計293棟となっており、約3年間で除却や建て替えなどにより100棟程度減少していることを確認しております。

○いながき委員 このCDランクの空き家の所有者に対しては、普段、どのような働きかけを行っているのでしょうか。もちろん、近隣から苦情が来れば、その都度対応されているかと思いますが、定期的に状況把握をして、所有者に改善を働きかけたりはされているのでしょうか。

○三王住宅課長 CDランクの空き家所有者に対しては、現地調査の上、空き家が現存する場合は所有者を調査し、文書等を送付して、空き家の適正管理を促すとともに、不燃化特区など、除却助成が可能な地域に関しては、助成制度等の案内チラシの送付も併せて行っております。また、建築部門とも連携し、空き家の建て替えや除却を検討している所有者に対して、指導、助言等の対応を行っております。

○いながき委員 空家特措法で定義された特定空き家について、中野区の現状を伺います。特定空き家に指定された空き家は固定資産税の減免措置が受けられなくなるなど、所有者にとって大きなデメリットが発生をし、除去や適切な管理が進む原動力となります。区の空家対策基本計画の中では、法で定義された管理不全状態の特定空き家について対策を進めるとあります。他区では既に事例があるようですが、中野区内では、これまで特定空き家に認定された建物はありますでしょうか。

○三王住宅課長 空家法第2条第2項に定義される特定空き家に該当する老朽かつ管理不全の空き家は、区内に一定程度存在すると考えられます。特定空き家の認定制度の創設については、中野区としての判断基準を定める必要がございます。現在その準備を進めております。認定制度創設までの間は、老朽かつ管理不全な空き家に係る所有者への対応は個別に行い、空き家の解消に向けて取り組んでいるところでございます。

○いながき委員 改めて特定空き家に認定される流れを確認させてください。

○三王住宅課長 空家法に基づく特定空き家の認定に至る手続としまして、あらかじめ区として特定空き家に係る認定基準を定めた上で、法第9条に基づく空き家の状態把握から始まり、所有者の調査を行いつつ、特定空き家状態と推認できる状況の場合は、法第9条に基づき立入調査を実施する。これらの調査結果を踏まえ、関連する部署等と対応を協議し、特定空き家に認定するべきかを判断することとなります。

○いながき委員 空き家の法律や条例がせっかくできたにもかかわらず、特定空き家と認定するための制度がいまだできていないということで、この制度づくりは可及的速やかに進めていただけるよう要望いたします。

 最近、巨大台風が増えていること、また、いつ大地震が発生してもおかしくない状態であることから、危険度ランクに関係なく、屋根や窓あるいは壁がかなり破損している、あるいはブロック塀が傾いているといった空き家に対し、近隣住民が不安を感じています。このような空き家の所有者には、通常どのような改善指導を行っているのでしょうか。

○三王住宅課長 近隣住民より、危険な状態となっているとの情報が区に寄せられた空き家の所有者に対しては、現地調査の上で所有者を調査し、文書を送付して、空き家の適正な管理に努めるよう促しております。

 なお、空き家の建て替え、除却を検討している所有者に対しては、建築部門とも連携を図りながら、指導、助言等を行っております。

○いながき委員 文書を送るだけではなくて、所有者が区内に住んでいるような場合には、訪問指導も積極的に行って、スピーディに改善につなげていただけるよう努力をしていただきたいと思います。中野区の基本計画では、管理不全空き家等に起因して、区民に危害が及ぶことを避けるための強制力を持った措置、緊急安全措置を規定するとあります。この緊急安全措置は、人の生命、身体、または財産に対する危険が、道路、公園、その他公共の場所において生ずるおそれのある窮迫した状況とありますが、これは具体的にはどのような状況を想定されているのでしょうか。また、実際に措置が取られた事例はあるのでしょうか。

○三王住宅課長 中野区空家等の適切な管理、利用及び活用の推進に関する条例第8条に規定される緊急安全措置は、例えば母屋の屋根瓦が崩れかけて道路上に落下しそうな場合で、道路を通行している不特定多数の区民に危害が及ぶことを避けるため、緊急に応急措置を行うことを想定しております。平成30年度の本条例施行以後、現在までに緊急安全措置の事例はございません。

○いながき委員 この措置を発令後、費用が発生した場合は所有者に請求をできるのでしょうか。

○三王住宅課長 緊急安全措置に関して費用が生じた際の当該空き家の所有者への請求の根拠規定といたしましては、民法702条に、「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる」との規定がございます。この規定に基づき、区が負担した費用の請求が可能となると考えております。ただし、実際に費用を請求するか否かについては、緊急安全措置の実行に至る前までの所有者の指導の有無等を踏まえ、その都度判断すべきものと考えております。

○いながき委員 今後、また大きな災害がいつ起こるか分かりません。必要な際には、適宜適切にこの措置を発動できるようにしていただきたいと思います。

 次に、区の相談受付体制について伺います。空き家については、近隣住民からだけでなく、空き家の所有者からの相談も区に寄せられているはずです。相談を受ける側は、法律や税制、不動産について専門的な知識を持っていることが必要不可欠になるかと思いますが、そのような専門的な知識を持った職員が対応しているのでしょうか。相談受付体制は現状どのようになっているのか伺います。

○三王住宅課長 空き家に関する相談につきましては、まずは区の住宅課が相談の窓口となり、空き家の所有者からの相談や近隣住民からの苦情等の対応を行っております。しかし、相談の内容は、土地や建物に関すること、相続、税制に関することなど多岐にわたるケースが多いため、相談内容に応じて、関連部門や事業者につなげるような対応を図っております。また、区が後援をしている空き家対策関連の事業者が開催する無料相談会などのセミナーへ参加を促すことで、問題解決の一助としております。

○いながき委員 今おっしゃった無料相談会への参加状況や参加者の感想など、分かれば教えてください。

○三王住宅課長 区が後援している空き家に関するセミナーの参加条件につきましては、令和元年度はこれまで4回セミナー等が行われ、83名の参加がございました。参加者の感想としては、各主催者によると、空き家の活用については関心があるものの、除却や建て替えにかかる費用面で心配があったことや、そもそも空き家活用についての知識がなかったため参考になったなどの感想が多く寄せられております。

○いながき委員 ありがとうございます。区は、現在、東京都の震災対策条例に基づく防災都市づくり推進計画に位置付けられている整備地域及び東京都が指定した火災危険度のランクが4以上の地域内において、昭和56年以前に着工した木造住宅を対象に、建て替えや除却費の助成をしています。これ以外の地域にこの助成制度を適用することはできないのでしょうか、伺います。

○小山内建築課長 お答えいたします。中野区は、23区の中でこれまで耐震補強助成を実施してきませんでした。令和2年度に見直し、拡充に当たって、建築基準法の改正や東京都の補助要綱の改定並びに新防火地域への新たな指定区域の拡充の取組を踏まえ、重点整備期間を設定し、耐震補強助成を令和2年度より区内全域を対象に実施することにしました。このため、この整備期間中は整備地域外での除却、建て替えについては現在のところ考えておりません。

○いながき委員 空き家の所有者の中には、金銭的な面で除却や建て替えを迷っている方もいらっしゃいます。空き家解消は地域の防災性の向上にもつながりますから、この東京都の助成事業を空き家対策にも応用して、他地区での昭和56年以前に建てられた木造の空き家の除却や建て替えにも費用助成をすれば、空き家の解消を促進することができると考えますが、もう一度答弁をお願いいたします。

○小山内建築課長 国や東京都の補助金を活用した制度の事業化に当たりましては、昭和56年以前の建築物で、基本的に現に居住するか、または相続し住み続けることが前提となっております。これは補助金交付要綱により交付の目的に反する行為が制限されていることもあり、現時点では課題があると考えております。

○いながき委員 ありがとうございました。続いて、管理職育成について伺います。

 最近の区の組織編成、特に課長職についてですが、兼務をしていたり、特別区の他の自治体や団体、また東京都や国から一時的に来ている方の割合が多いと感じます。これは一時的なものなのでしょうか。それとも、生え抜きの管理職の育成が全く追いついていないことによる恒常的な課題なのか。今後も兼務や外部人材に頼る状況は続くのか伺います。

○中谷職員課長 今後再任用期間が満了する管理職の数と、現時点で管理職選考に合格し昇任まで待機している職員の数、それから、今後管理職選考に合格する職員の数などを見込みますと、現在の状況というのは一時的なものと認識をしてございます。

○いながき委員 また、区では、心得の肩書で管理職の仕事をしている職員がしばしば見受けられますが、他区でも、この心得の職員を課長職に昇任させ活用するケースはよくあることなのでしょうか。

○中谷職員課長 どこの自治体も今大量退職の時代を迎えており、定年や再任用期間の満了を迎える管理職が多い一方で、就職氷河期世代の40代前半から30代後半の職員数が少ないため、ちょうど管理職に昇任する世代の職員が少ないという状況にございます。そのため、管理職の需要を満たす昇任者数を確保できない場合に、心得という形で昇任させることは、他区においても行われていると聞いてございます。

○いながき委員 管理職の成り手不足と言われていますが、中野区の現状はどうなのでしょうか。選考試験の申込状況や合格率は、他区と比較して高いのか低いのか、データをお示しの上御説明を願います。

○中谷職員課長 令和元年度の管理職選考における有資格者に占める申込者の割合は、中野区職員が2.9%で、一部事務組合も含めた特別区全体では5.1%という状況であります。中野区職員の合格率は20%で、特別区全体では32.5%でございました。今年度は、特別区全体と比較すると、中野区職員の申込率や合格率は低くなってしまいましたが、昨年度と一昨年度は全体よりも高かったことなどから、一時的なものというふうに受け止めてございます。今後、受験勧奨や試験対策の支援を充実させることで改善していきたいと考えてございます。

○いながき委員 現在、管理職選考試験の申込みは、本人の意欲や意向に任せているところが大きいのでしょうか。

○中谷職員課長 基本的には本人の意向によりますが、それだけでは申込者が少ない状況にもありますので、管理職としての適性や資質のある職員につきましては、上司などから受験について勧奨などを行うようにしてございます。

○いながき委員 本人の意向を尊重し過ぎてしまいますと、リーダーとして十分な資質があると周囲から期待されているにもかかわらず自己の実力を過小評価してしまい、埋もれてしまうおそれもあります。それは組織にとって、また区にとっても大きな損失であります。それなりの規模の民間企業では、新入社員の入社後、早い段階から、将来のリーダー候補となるポテンシャルの高い人材を見出し育成をしています。区においても、管理職としての潜在能力が高いとみなした人材に対しては、重要な仕事を積極的に任せてみるとか、将来を見越した職場配置を行うなど、職務経験を通して、管理職昇任への意欲と自信が湧くような働きかけを行うことが必要なのではないでしょうか。

○中谷職員課長 管理職としての適性や資質のある職員につきましては、早い段階から組織の中で見出し、人事異動のローテーションや事務分担などを通じて、組織的に育成していく必要があると考えてございます。

○いながき委員 仕事への自信や管理職昇任への意欲を持った職員を増やすためには、上司の姿勢も重要だと思います。部下を育てた管理職を高く評価する取組を行っている民間企業もございます。区もそのような評価の仕組みを取り入れるべきかと思いますが、いかがでしょうか。

○中谷職員課長 管理職の人事評価制度について、今年度、ちょうど見直しを行ったところでございまして、業績評価に加えて、能力態度評価を導入したところでございます。その評定要素の中で、職員の把握、指導、育成という項目を設けており、部下の育成に意欲的に取り組んだり、部下の仕事に対するモチベーションを高めている管理職が評価されるような仕組みにしてございます。

○いながき委員 続いて、管理職の業務量の適正化について伺います。各課の職員配置数を見ますと、課によって抱える職員数に大きな差があります。保育士職員が多数所属するという特性もありますが、1人の課長が抱える一般職員の定数が、一番多い課で167人、次に多いところで91人、一番少ないところでは2.8人と大きな差があります。部下の育成や心のケアを含むマネジメント業務と実務を両方担わなければならない課長職にとって、抱える職員数が多くなればなるほど負荷が増え、目も行き届かなくなってしまうのではないでしょうか。1人の課長が管理する職員数は何名くらいが適切だとお考えでしょうか、伺います。

○中谷職員課長 一般的には、1人の職員が直接管理できる部下の人数としては5人から7人ぐらいまでと言われてございます。課長の下に直属の係長が5人から7人、さらに係長の下には5人から7人の部下がいるとすると、課の規模としては、最大で30人から50人くらいまでが妥当な規模ということに一般的にはなるのかなと考えられます。

○いながき委員 今後、新たな基本計画の策定に合わせて、一つの課の職員数が今おっしゃったような数になるよう各課の課長職の負荷を平準化して、実務と管理がバランスよくできるよう、組織や定数の見直しも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中谷職員課長 新たな基本計画を効率的、効果的に実現するために、必要な組織の見直しについて検討していく必要があると考えてございまして、その際にスパン・オブ・コントロールの観点からも、管理職を適正に配置できるように組織や定数を検討していきたいと考えてございます。

○いながき委員 次に、管理職になった後の研修体制について伺います。ダイバーシティの推進が叫ばれ、働き方改革関連法も施行となるなど、求められるマネジメントスキルも時代の変化とともに刻々と変わってきていると思われます。また、将来の経営幹部候補を育てていくという観点からも、管理職研修は重要なのではないでしょうか。管理職試験合格後、現在どのような研修が行われているのか伺います。

○中谷職員課長 管理職昇任1年目の職員や管理職選考の合格者を対象として、議会対応や労務管理、マスコミ対応などの研修を実施しているほか、自治体マネジメントやメンタルヘルス、人権などの研修について、特別区職員共同研修の受講を必須としているところでございます。

○いながき委員 責任ある立場になれば孤立しやすくもなります。相談できる場や機会を設けるなど、管理職昇任後のサポート体制を充実させ、管理職自身がより生き生きと働けるようになれば、その背中を見て管理職を目指そうと思う職員も増えてくるのではないでしょうか。今現在そのような体制はあるのかどうかについて伺います。

○中谷職員課長 上司や先輩管理職がメンターとして新任管理職の指導や支援を行っているところでございます。また、新任管理職間の横の連携の構築や、先輩管理職から助言や指導などが受けられるような機会をつくるために、来年度から自主勉強会の開催を検討しているところでございます。

○いながき委員 ありがとうございます。ぜひそのような取組を行っていただきたいと思います。

 最後に、今後策定予定の公園再整備計画に関連し、公園について数点伺います。

 以前、予算総括質疑で、公園のトイレについて質疑をさせていただきました。設置から50年近くたつトイレ、また、そこまで古くなくても、昭和の時代に設置されたトイレが改修もされずにそのままになっている公園が複数あります。トイレの改修や建て替えのスケジュールを再整備計画に盛り込み計画的に行っていくことが必要なのではないでしょうか。

○細野公園緑地課長 公園トイレの改修については、中野区バリアフリー基本構想などに基づいて順次改修を行っているところでございます。今後の公園トイレの改修については、公園再整備計画によって計画的に進めていく考えでございます。

○いながき委員 現在、地域のイベントも行うことができないような非常に小規模な公園にもトイレが設置をされています。その多くは老朽化をし、汚れも目立っています。このようなトイレについては、改修や建て替えを行わず、撤去することも検討されてはいかがでしょうか。中小規模の公園のトイレについては、利用頻度、利用者などについて、現地での実地調査を行って、廃止を含め現在の配置状況を抜本的に見直す必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。

○細野公園緑地課長 公園再整備計画策定の考え方を取りまとめているところでございますが、そこでトイレに関する意識調査も行って、現在取りまとめているところでございます。廃止や統合も含めた公園トイレの在り方については、その計画の策定の中で検討してまいりたいと考えてございます。

○いながき委員 一昨年から、東京都の子どもを受動喫煙から守る条例が施行されています。子育て先進区とうたう区としては、区立公園、特に受動喫煙が起こりやすい中小の公園について、早期に灰皿を撤去し禁煙化を実施すべきではないでしょうか。段階的に禁煙をしていくとのことですが、具体的なスケジュールについてお聞きいたします。

○細野公園緑地課長 子どもを受動喫煙の悪影響から保護することも含め、望まない受動喫煙防止を推進するため、区立公園等の禁煙化、分煙化について、本定例会において考え方を報告できるように検討を進めているところでございます。中小の公園も含めて、受動喫煙防止の方策については早期に実現していきたいと考えてございます。

○いながき委員 もう一度、中小の公園については早期に実現していくということをもう少し具体的に御説明いただけますでしょうか。

○細野公園緑地課長 本定例会において、来年度、令和2年度の取組について考え方を述べていきたいと考えてございます。最初に、受動喫煙防止のためには、厚生労働省令で定める特定屋外喫煙場所の考え方に基づいて、喫煙場所を設置できる大規模公園については分煙化を進めたいと考えてございます。その他の公園についても、受動喫煙を防止できるための方策を検討していく。そんなような考え方を示し、令和2年度中にその禁煙化、分煙化を一定の考えの下に実現できるように進めていきたいと考えているところでございます。

○いながき委員 質問の趣旨は、段階的に禁煙化されていくとこれまで御答弁されていたので、段階的という部分で具体的なスケジュールについて、もう一度伺います。

○細野公園緑地課長 昨年の建設委員会において、段階的にというようなことを申し上げたところでございます。段階的というところは、受動喫煙防止のために、区内一度に全部、例えば全面禁煙ができるか、または地域を区切ってやっていくことができるか、様々なことを当時検討しておりましたので、当時段階的ということを申し上げました。現時点では、一定の考えの下に、受動喫煙防止のためには、区内全域の公園等を一つの基準に基づいて一度に実現していこうと、一度にというのは、ある期日以降やっていこうという考えでやってございますので、昨年度の状況とは多少違う考えを現在しているところでございますが、当時、段階的とは、やれるところから先にとか、地域別とか、方法は様々考えていたので、そのような言い方で御説明をさせていただいたところでございます。

○いながき委員 今おっしゃった一定の考えというのは、では、どのようなものなのかお聞きします。

○細野公園緑地課長 先ほど特定屋外喫煙場所の考え方についてということで、その特定屋外喫煙場所の考え方に基づいて、喫煙場所を設置できる大規模公園においては分煙化を進めたいということで、その大規模公園において、喫煙場所を設置できるところを検討して、受動喫煙防止を図っていきたい、そういうことでございます。そして、その喫煙場所が設置できない場所については、原則喫煙を御遠慮いただくような考えで進めていきたいという考えでございます。

○いながき委員 それでは、喫煙場所は設置できない大規模公園以外は、原則禁煙とするということでよろしいですか。

○細野公園緑地課長 そのような方向でございますが、喫煙場所の設置については今検証しているところでございます。

○いながき委員 どうもありがとうございました。これで私の総括質疑は終了いたします。

○山本委員長 以上でいながき委員の質疑を終了いたします。

 次に、石坂わたる委員、質疑をどうぞ。

○石坂委員 質問いたします。全ての人が安全・安心に参加、協働ができる地域の実現と、個人の尊厳や活動参加の保障について伺っていきます。

 1点目としては、全ての人がという形で伺っていきますけれども、障害の有無、男女、LGBTかそうでないかにかかわらず、中野区におけるユニバーサルデザイン推進においては、条例の中でも全ての人が利用しやすいようあらかじめ考慮して、都市及び生活環境を設計するとし、中野区における平和行政の基本に関する条例には、第2条で、「平和で安全な環境のもとに」「平和行政を推進する」という箇所があります。

 ノルウェーの平和学者、ヨハン・ガルトゥングは、平和とは単に戦争がない状態を指すのではなく、肉体的暴力、精神的暴力、性的暴力などといった直接的暴力に加えて、貧困や差別、格差などがないなどの構造的暴力がない状態を指して、積極的平和と位置付けています。ユニバーサルデザイン推進条例における「生活環境」や、平和行政の基本に関する条例の平和で「安全な環境」における環境には、肉体的暴力、精神的暴力、性的暴力がなく、貧困や差別、格差を払拭していける社会環境も指しているという理解でよろしいでしょうか、お答えください。

○杉本企画課長 ユニバーサルデザイン推進条例及び平和行政の基本に関する条例につきましては、それぞれ全員参加型社会及び地域の活性化を実現すること、平和で豊かな生活の維持向上を目的としているものでございますが、その実現に向けましては、あらゆる暴力や差別的取扱い等の根絶に向けた社会環境を前提にしていると考えてございます。

○石坂委員 ありがとうございます。なお、肉体的暴力、精神的暴力、性的暴力によって、他者の尊厳を侵す人や差別的振る舞いをする人の動機は様々ですが、そうした中に、接する機会があまりなくて、よく分からないから怖い、大変な状況にあることを知らないなどの知識や経験の不足、差別をつまびらかにすることを嫌う寝た子を起こすな論、底上げをすることで全ての人の不具合に対応ができるようになることに気づけぬまま、自分も様々なことでしんどかったり我慢をしているのにあの人たちだけがずるいという意識を持ってしまっている場合があります。他者の尊厳を侵す人や差別的振る舞いをする人の中には、肉体的暴力、精神的暴力、性的暴力をその人自身が受けた経験がある人や、貧困や差別、格差などの生きづらさをその人自身が抱えている場合も少なくありません。ユニバーサルデザイン推進や啓発において、誰かの生きづらさを解消することが、みんなの、そして、あなたの生きづらさを解消することにつながっていくというメッセージを発していくことも必要であると考えますが、いかがでしょうか。

○杉本企画課長 ユニバーサルデザインは誰もが暮らしやすいまちをつくる上で大切な考え方と認識してございます。条例の趣旨を広く周知するため、より効果的な啓発を行っていきたいと考えてございます。

○石坂委員 ぜひお願いいたします。その上で伺っていきますけれども、(2)として、障害児や障害者の場合について伺っていきます。

 障害をめぐっては、2001年の世界保健機関(WHO)の国際生活機能分類(ICF)において、感覚器や手足、内臓、精神の働きや行動などの心身の機能、構造や、身の回りの行為や家事、スポーツや作業、読書や遊びなどの活動、社会や家庭や職場や友人関係の中での役割を果たしたり楽しむなどの参加といった3項目から構成される生活機能は、健康状態だけではなく、環境因子と個人因子とが密接に関わっているとされています。この環境因子には、物理的な環境だけではなく、周囲の人的、社会的、制度的な環境も含まれます。また、個人因子とは、個人の人生や生活の背景に基づくその人の特徴とされ、生得的な要素もあれば、後天的な自己肯定感などの要素も左右しています。人的、社会的、制度的な環境因子を改善することや、生育環境を含めた個人因子を改善することが重要であると考えますが、いかがでしょうか。

○河村障害福祉課長 障害児者が様々な社会活動、社会参加をしていくための制約は、個人の心身機能だけでなく、生活の場における物的環境や社会的環境などの環境因子や、一人ひとりの生活体験、生活史などに由来する個人因子との複合的な原因によってもたらされていると認識してございます。区も障害児への療育や特別支援教育、学校卒業後の日中活動支援や就労支援、その他の社会活動支援を通じて、そのような環境因子や個人因子の改善を図ることで社会的障壁を除去し、社会活動、社会参加を保障することが重要であると考えてございます。

○石坂委員 それから、ユニバーサルデザイン推進条例の「全ての人が利用しやすいようあらかじめ考慮して都市及び生活環境を設計する」全ての人とあるわけですけれども、障害児、障害者の親や兄弟といった家族が社会に参加をして社会生活を送ること、職場で十分に働けることを保障していくということも当然含まれるという理解でよろしいでしょうか。

○杉本企画課長 ユニバーサルデザイン推進条例は全ての人を対象としたものでございまして、障害児、障害者やその家族が自分らしく暮らし、働くことができる地域社会を実現することも含まれていると考えてございます。

○石坂委員 そうした上で障害福祉の在り方について伺っていきます。外部評価報告書の36ページ、放課後等デイサービス延利用日数が平成28年の約2万1,000人から約3万人へと急増しています。これは、今後学校を卒業して学齢期だけが使える放課後デイの利用対象でなくなる障害者が増えることも示唆します。多くの障害者の通所施設では、15時台など、17時よりも前に通所時間が終わるため、放課後デイを使えた学齢期よりも早い時間での帰宅となってしまう。それゆえ母親が仕事を諦めたり、大学生の兄弟が面倒を見るために勉強や就職活動に支障を来したりという話も耳にしています。

 現在、中野区のタイムケア事業やショートステイなどを組み合わせても、働く親御さんを支えるには時間数が足りない上に、そもそも時間数上限まで施設の都合でのタイムケア事業などが使わせてもらえないという声を聞きます。まず、既存のタイムケア事業に関しまして、しっかりと与えられた時間数を上限まで使える環境をどう構築していきますか。

○河村障害福祉課長 タイムケア事業は、日中の活動に引き続き、施設職員が夕方以降も見守り等の支援を行う事業でございます。現在、タイムケア事業を実施している事業所では、ケース会議や事業の準備等の時間を確保するため、各事業所とも現在以上の日数を増やすことが困難な状況となってございます。タイムケア事業の実施について、引き続き事業所に働きかけるほか、日中一時支援事業などのほかのサービスと組み合わせながら、障害児者の居場所の拡充について検討していきたいと考えてございます。

○石坂委員 ぜひ既存の事業者さんのほうでしっかりとできるようにしていただくとともに、新たな場所という話も出てきましたけれども、また、時間数上限がそもそも足りないという声も出てきています。タイムケア事業で与えられた時間が全部使えても足りないという声もあります。送迎こそないものの、精神障害者の場合ですと、夕方から夜の居場所として、スマイル会館内のせせらぎが利用可能です。身体や知的に障害を持つ人々が、夕方から夜まで過ごせる場所も必要ではないでしょうか。また、放課後デイがそうであるように、送迎についても、施設からその場所まで、また、その場所から自宅までの移動について支援が得られるようにしていくことが必要です。

 中野区では、新区役所庁舎ができる際に、中野区社会福祉協議会が区役所内に移転をします。そうしますと、スマイル会館内で社会福祉協議会が使用していたスペースが空くことになります。その際、スマイル会館に身体障害者や知的障害者が利用できるようにする方策を考えるべきではないでしょうか。

○杉本企画課長 社会福祉協議会移転後の活用方法につきましては、本年6月に、区有施設整備計画の概要の中でお示ししたいと考えてございます。

○石坂委員 そこで示していただく際に、しっかりと前向きに検討した上で、ぜひ盛り込んでいただければと思うところです。

 続きまして、(3)として、性別及びSOGI、性的指向、性自認に関する部分で伺っていきます。医師になるために必要な大学医学部の入試における性差別が先般ニュースとなりました。この事件は、単なる女性差別であるということはもちろんですけれども、それだけではなくて、そもそも医師の働き方が育児や家事を棚上げした男性医師による長時間労働が前提にあるという固定概念から入り口規制をしている状況でもあります。一方で、中野区に目をやりますと、女性の課長や部長が、先般の長沢委員の質問でもありましたが、大分増えてきました。

 しかし、妊娠、出産、子育てに伴い、女性の昇進が遅れたり、部長になる前に定年を迎える方も多いという話を耳にしています。区は既にイクボス宣言をしていますが、男性の育休取得はまだ少なく、管理職に男性が多い状況は今も変わりがありません。働き方改革は、単にワーク・ライフ・バランスの観点ではなく、女性が被っている差の是正のための働き方改革という視点も必要です。行政機関が率先してできてこその区民への呼びかけが功を奏します。区は職員の産休育休の取得状況はもちろんのこと、男性職員と女性職員がそれぞれどの程度家事や子育てに時間を割くことができているのかも把握をし、その格差を埋められるような職員への啓発も進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○中谷職員課長 昨年7月に、第4期中野区特定事業主行動計画の策定に向けて、全職員を対象として実施したアンケートにおきましても、育児や介護は女性が担っている割合が高いことや、女性が昇任を迷っている理由として、家庭と仕事の両立が難しいという理由が最も多く、男性との差も大きい結果となりました。男性職員の育児休業取得率は、平成30年度の実績で23.8%でしたが、希望する職員が全員取得できた場合の割合は45%になりますので、この45%以上の取得率を第4期特定事業主行動計画の目標として定め、男性職員の育児休業の取得を進めることなどによりまして、男性の家事や育児への参加を促進し、性別にかかわらず、仕事と家事や育児を両立しやすい職場環境を整備していく必要があると考えてございます。そのため管理職員を対象として、イクボスの実践につながるような研修を実施するなど、職員の意識改革を進めていきたいと考えてございます。

○石坂委員 そうした際に、実際に育児や家事に参加できているのかどうかも把握しながら進めていっていただければと思います。

 次に、ハラスメントについて、一般的にパワーハラスメントや職場のセクシュアルハラスメントは、上司から部下に対するものとのイメージがあります。しかし、昨年の女性活躍推進法等の改正に伴う厚生労働省告示として、セクハラ指針やパワハラ指針が今年1月15日に出て、同僚間のハラスメントや、部下から上司に行われるハラスメントが明記されました。また、この指針では、さらにハラスメントに相手の性的指向、性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含むとしています。

 なお、性的指向、性自認に関するハラスメントは以前の質問でも申しましたとおり、SOGIハラと呼ばれます。

 男女の働き方の改革・改善や、上司、部下、同僚間の全方位でのハラスメント、SOGIハラ、女性へのセクハラを視野に入れたハラスメント撲滅に向けて、まず区が姿勢を示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 今述べた法の施行に伴い、6月1日に迎える措置義務、これは必要な措置を講じ周知するということですけれども、これに間に合う形での取組をどのように進めていきますでしょうか。

○杉本企画課長 あらゆるハラスメントの撲滅に向けて、区が率先して姿勢を示すことが必要でございます。職員研修の充実を図っているほか、組織一丸となって取り組んでいきたいと考えてございます。ハラスメントに係る厚生労働省の指針を踏まえまして、区内事業者への働きかけを行うとともに、ホームページや男女共同参画センター情報誌「アンサンブル」、パネル展などを活用した普及啓発を行っていきたいと考えてございます。

○石坂委員 6月1日という期限もありますので、ぜひしっかりそこを意識しながら進めていただければと思います。

 なお、中野区では、女性のDV相談については相談対応はしているものの、男性が被害者となった場合の相談先やゲイカップル間のドメスティックバイオレンスなどについては十分な対応が得られないという話を耳にします。東京都のウィメンズプラザでの男性を対象とした相談もありますが、遠くまで足を運んだ割には成果が得られなかったという声を聞きます。男女平等を進めていく上では、DV相談の対象を広げていくことも必要ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○杉本企画課長 暴力は決して許されるものではないと考えてございます。関係機関と連携を図りながら、暴力根絶に向けた隙間のない支援を行っていきたいと考えてございます。

○石坂委員 隙間がないというのは重要だと思います。誰かがこぼれ落ちることがないように進めていただければと思います。

 なお、先ほど森委員も触れていましたが、総務の3番の資料、男女平等に関する苦情・要望等件数と内容分類一覧(前年度まで3年間)の資料ですけれども、こちらを見ると、現状ではあまりこの制度が活用されていないというのが先ほど委員からも指摘がありました。中野区男女平等基本条例に基づき、男女平等に関する苦情申出制度があること自体はとても重要なことだと思っています。またほかにも、平成30年度に800件を超える相談があった中野区女性相談、またほかにも、ハラスメントに関する相談が中野区ではあります。その対象をLGBT等も含める形で広げる場合は、現在は苦情申出制度について取り扱うのは、中野区男女平等専門委員会となっています。平等専門委員会の構成等はどう考えていますでしょうか。当事者やその分野の専門家が必要になると思いますので、その観点を含めてお答えください。

 また、苦情申出と併せて、申出に至るか否かにかかわらず、入り口としての相談を受けてくれる窓口も恒常的に必要となると思いますが、いかがお考えでしょうか、併せてお答えください。

○杉本企画課長 現在、男女平等専門委員会は、人権や男女共同参画に造詣の深い女性を含む学識経験者3名で構成しているところでございますが、性的指向、性自認や国籍等に関する苦情等の申出を適切に取り扱う体制を整えていくことの必要性は認識しているところでございます。具体的な委員構成等につきましては、今後審議会で議論する中で整理していきたいと考えてございます。また、相談者が相談しやすい窓口の在り方についても整理していきたいと考えてございます。

○石坂委員 相談しやすいのが重要です。ぜひ分かりやすくて行きやすい窓口を考えていただければと思います。

 次に、区営住宅について伺います。世田谷区、大阪市、神奈川県で公営住宅に住む同性カップルが入居できるようにする動きが広がっています。また、酒井区長は、区長の選挙の際に、区内LGBT団体のアンケートに対して、区営住宅の今後について、同性カップルも入居できるようにする必要があると回答しています。さらに平成31年2月27日の予算特別委員会建設分科会では、私のほうで質問いたしまして、当時の住宅担当課長より、同性パートナーシップ制度の考え方を区営住宅の入居者の要件にどのように反映していくのかというところは、まさしく今検討中でございますので、改めて御報告をいたしますとの答弁を既にいただいております。今後どのように進めていくのかお答えください。

○三王住宅課長 中野区におきましても、同性カップルも区営住宅に入居できるようにする必要があると認識しております。現在、区営住宅の入居資格の整備を進めており、早期に実施できるように取り組んでまいりたいと考えております。

○石坂委員 ぜひ早期に進めていただくことが皆さんの願いですので、お願いいたします。

 なお、区のほうで行いましたパートナーシップ制度を利用されている方へのアンケート結果を見ますと、同じ中野区役所内でも、パートナーシップ制度の担当部署以外の職員が区のパートナーシップ制度を十分に理解できていない場合があるようです。区職員への徹底が必要であるかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○杉本企画課長 全ての区民が自分らしく生き生きと中野区で活躍するためには、まずは行政サービスを提供する職員においても、パートナーシップ宣誓の目的や性的指向、性自認等の正しい理解を深めていく必要があると認識してございます。このため職員研修の実施や職員向けの定期的なアナウンスを行ってございまして、今後もさらなる徹底を図っていきたいと考えてございます。

○石坂委員 ぜひともしっかりと進めていただけるようお願いいたします。民間に対して、担当行政が姿勢を示していただければと思います。

 次に、感染症対策とパニックや中傷の防止について伺います。今回は、国際的な人の移動が増えるワールドカップやオリンピックなどと関係のない時期にではありますが、コロナウイルスの問題が発生し、中野区近隣でも感染者が出ています。感染症蔓延の条件は、病原体の持込みにつながる移動と、生活、衛生環境の悪化につながる過密などが挙げられています。特にオリンピック・パラリンピックなどの国際的な競技大会や大規模なイベントにおいてはこの二つの条件が満たされます。今回のコロナウイルスに限らず、感染症対策が必要です。

 なお、感染症の中には、麻疹、風疹、髄膜炎菌、インフルエンザのように、予防接種で防げるものがあります。麻疹や風疹のように、区民全体にこれを機に改めて予防接種を促すもの、髄膜炎菌のように、一般市民以上に濃い接触の機会があるボランティアを含めた関係者や感染症リスクの高い人に予防接種を促すこと、さらには区有施設や福祉施設での感染拡大を防ぐための職員や施設利用者などへの配布用のマスクの備蓄と配布、消毒などの方法の検討も考えられます。我が区の感染症に対する安全策を改めて整理し、区民に示して、コロナウイルスを含みつつ、それだけにとどまらない感染症への注意喚起を促し、先に述べたような対応を進めていくことが必要であると考えますが、いかがお考えでしょうか、お答えください。

○向山保健所長 感染症対策についてでございますが、お話がございましたマスギャザリングもそうでございますし、また、一方では感染者に共通する感染源対策や感染経路対策、あるいはワクチンなどの免疫をきちんとつけておくということが重要なんですが、これがなかなか実行とそれから継続につながらないような課題を持っているということは十分認識をしてございます。また、感染症は、今コロナウイルスの関連でいろいろ御相談を受けていても、検査法ですとか、潜伏期間の考え方ですとか、一般の方には情報提供をしていても、それを御理解いただいて行動につなげていくというのはなかなか難しい点もある。この点についても十分認識をしてございます。

 区では、別の委員の御質問でも申し上げましたけれども、主にホームページを使いました、様々な疾患別ですとか、こういう行動を取ってくださいと、共通することですとか、コーナーを設けるような形で感染症の知識を活用するように働きかけをしてまいりました。今後半でお話がございました福祉施設や様々な類型の施設の方が、それぞれの立場できちんと感染症対策を取っていくということも含めて、一旦体系化をし、また、分かりやすい形でそれをそれぞれにお使いいただくということの重要性は考えてございます。ちょうど昨夜、日本医師会の横倉会長でしたか、ワンチームという言葉を使っておいでになりました。こういう言葉を意識しながら、体系的な感染症対策について、今回の経験も含めて深めてまいりたいと考えてございます。

○石坂委員 忘れた頃にやってくるということがありますので、ぜひしっかりとふだんからの対策をお願いいたします。

 なお、かつて国内では、1980年代に起きたエイズパニックがありました。松本エイズパニックでは、松本市のクラブで働いていた女性がエイズ感染者と特定され、女性の働いていた店や彼女の客を探しにマスコミが松本市に押し寄せるという事態に陥り、入浴での感染や空気感染のリスクがないにもかかわらず、多くの外国人女性が銭湯での入浴を拒否され、スーパーでの入店を断られました。また、彼女の客とうわさされた日本人男性は村八分の扱いを受けました。

 また、神戸エイズパニックでは、発症した日本人女性と接触のあった男性たちが、差別の発生などを恐れて採血検査を拒否しましたが、被害者であるはずの人たちが周囲への感染を蔓延させる加害者のような報道までなされました。やがて、ついには、松本市民全員が県外で宿泊を断られたり、松本ナンバーの車が追いやられるような事態になりました。

 感染症において、感染源に近づかない、あるいは断つなどの予防は重要です。しかし、不必要に不安をあおることは避けなければなりません。いざというときにパニックにならないように、冷静な対応ができる啓発が日頃より必要です。海外からの感染症に対して、それ以前から日本に住んでいる外国人に対する差別が助長されるようなことや、万が一最初の感染者や発症者が中野区民だった場合に、中野区民が敬遠されたり、逆に他自治体の住民を敬遠したりすることがないようにすること、そして、感染者のいる地域在住の子どもが通学先の学校でいじめや嘲笑の対象とならないようにする必要があります。非常時に必要以上の恐怖心がかき立てられ、個人の尊厳が蹂躙されることがないように、日頃からの人権意識の涵養を図ることが必要と思いますが、いかがお考えでしょうか。

○杉本企画課長 中野区健康危機管理対策本部におきまして、新型コロナウイルス感染症の対応に当たりましては、人権の尊重を旨として行動し、人権が尊重される環境づくりに努めることなどを基本的な方針として確認し、取り組んでいるところでございます。また、人権尊重意識の涵養を図るため、日頃から様々な普及啓発事業を行ってございまして、今後もさらなる工夫を図ってまいりたいと考えてございます。

○石坂委員 ぜひお願いいたします。

 次に、その他で、被災地支援、東北復興大祭典各イベントの関係で伺います。

 東北復興大祭典では、管理職をはじめ多くの職員を見かけます。こうした担当の職員はどのような位置付けで業務に当たっているのでしょうか。

 また、東北復興大祭典は、中野の観光資源の一つであると思いますが、観光担当の所管との関係、役割分担、区の組織における位置付けはどうなっていますでしょうか。

○中谷職員課長 総務部の職員を中心に、東日本大震災復興広域協働推進室の職員として発令を行っているところでございます。また、当日の運営や前日の準備などに従事する職員につきましては、全庁的に協力を依頼し応援体制を構築してございます。大祭典は観光資源としての魅力や集客力のある大きなイベントになってございますが、東日本大震災の被災地などの復興支援を主な目的として実施しているため、観光担当の所管ではなく、東日本大震災復興広域協働推進室が中心となって実行委員会の事務局などを務めているところでございます。

○石坂委員 具体的にどういった役割で職員が従事をしているのか。特に気になりますのが、この職員に偏りや無理が生じているのではないかということは気になりますが、いかがでしょうか。

○中谷職員課長 実行委員会の事務局や各種分科会の担当として従事をしているところでございます。本来の所属の業務を行いながら大祭典にも従事いたしますので、負担感はあると思いますが、毎年分担を見直し、工夫をしてきておりますので、徐々に改善してきているというふうに認識をしてございます。

○石坂委員 そうした上で、今後はきちんと区の組織にしっかりと位置付けをするとともに、可視化や評価をしっかりと行うべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○中谷職員課長 来年度は業務の一部を委託しますので、その実施状況を見極めた上で、令和3年度の組織をどのようにするのか検討したいと考えてございます。評価につきましては、業務を担当する職員が目標管理シートなどに具体的に記載するよう指導することで、業務の可視化や適正な評価につなげていきたいと考えてございます。

○石坂委員 しっかりと、まず見える化をしていただければと思います。

 次に、被災地支援の関係で伺います。被災地の支援から戻ってきた職員、この人員の配置については、区の災害対策などに派遣経験を生かす形であるべきだと思いますが、これまでの派遣の経験はどの程度区の業務に反映できていますでしょうか。

○中谷職員課長 派遣から戻ってきた職員本人の意向や、その後のキャリアデザインなどもあるので、なかなか全てが直接的にその経験を生かせる次の職場配置ができるわけではありませんけれども、宮城県東松島市や熊本県宇土市への派遣経験のある職員を防災担当係長とし、派遣先での経験をまさに区の防災に生かしているケースがあります。また、そのほかにも、災害対応や復興支援、被災地派遣などの業務に従事し、経験を生かしているケースも複数ございます。

 また、昨年の台風による被災地への職員派遣に当たりましては、過去に住宅被害認定調査業務に従事した経験のある職員を派遣することで、被災地で即戦力として活躍できたといったこともございました。

○石坂委員 今後も様々な災害が起きれば、これまでのような職員の派遣がなされると思いますが、その派遣に関して、派遣職員の経験を職員同士での共有ももちろんですけれども、やはり区民にしっかりと伝えていくべきであり、その際には、現在のホームページの掲載内容のような、パワーポイントの資料だけではなくて、職員の生の声が伝わる形で動画等に記録をして公開していくなどの方法も取るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○中谷職員課長 今後被災地に職員を派遣する場合には、その職員が経験したことやそこから学んだ教訓などをより効果的に区民や職員に伝えていくことができるように、動画の活用など、より効果的な手法により実施することができないか検討していきたいと考えてございます。

○石坂委員 今回、私自身も、これまで何度か東北復興大祭典のときに震災復興記念展も行われていて、その中で東日本大震災から戻ってこられた方が、区民向けにパワーポイントを使いながらお話をするというのを何度も見てきました。その語られる内容は本当に多くの来場者の心を打つものでした。ぜひそうしたものがより広く伝わるために、しっかりと映像的なものを進めていただければと思います。企業の社会的責務としてのコーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ(CSR)、これが語られるようになって久しいですが、区としてのソーシャル・レスポンシビリティについて、しっかりと区民にレポート、報告をする責務があるという姿勢で今後取り組んでいただければと思います。

 私からの質問は以上です。ありがとうございます。

○山本委員長 以上で石坂委員の質疑を終了いたします。

 次に、小宮山たかし委員、質疑をどうぞ。

○小宮山委員 大変長らくお待たせをいたしました。ただいまより小宮山たかしの総括質疑をいたします。

 毎年この総括質疑では、文化芸術について取り上げるのが私の中でのルーチン、恒例行事になっております。酒井区長になってから、文化芸術を所管する部署が健康福祉部ではなくなったこと、区長の施政方針の中で、文化芸術に関して1ページが割かれ、その中でサブカルチャーという単語が使われたこと、現在検討中の基本構想の改定の背景においては、伝統的な文化芸術活動が根付くとともに、お笑い、演劇、ライブコンサートなどのエンターテインメントにあふれた活動が活発に行われ、多くの人々が夢や希望を抱くとともに、漫画やアニメなどのサブカルチャーの宝庫として国内外にその魅力と独自の文化を発信し続けていますと言及されていることなど、田中区政における大きなマイナスがプラスに近づいてきたという手応えは感じておりますが、マイナスはマイナスです。新年度予算における文化芸術に関する目ぼしい新規予算、新規事業は何がありますでしょうか。

○藤永文化・国際交流課長 来年度予算について、文化芸術に関する新規予算や新規事業は盛り込んでございません。ただし、指定管理事業における区民の文化活動に関わる発表の場の充実や、情報発信の強化に係る予算については昨年度より増額しているところでございます。

○小宮山委員 区長の施政方針で、1ページにわたりとうとうと高らかに文化芸術をぶち上げた割には、口は出すけれども、金は出さないというのはちょっとひどくないですか。平成27年に改定された中野区教育ビジョン(第3次)には、区民の主体的な文化芸術活動を支援しますとか、将来有望な若手芸術家の活躍の場や機会をつくるなど文化芸術の機運を高めていきますとか書いてあるのに、改定後3年もたつのに何一つ形になっていません。

 平成30年度、杉並区は区民の文化芸術活動に対して文化芸術活動助成金を出しております。その中で、例えば区民が主体となる音楽活動を抜き出してみますと、11件のイベントに計426万円。中野区には文化芸術活動に特化した助成金はありませんけれども、区民公益活動助成の活動領域「学習、文化、芸術又はスポーツ振興のための活動」の中から、区民主体の音楽活動と思われるものを抜き出してみますと、盆踊りを含めても3件で計42万円。中高生活動発信応援助成によるハイスクールバンド交流会など、ほかの助成金はあるにしても、区民主体の音楽活動に対して、杉並区では426万円を出しているのに、中野区は盆踊りを含めても42万円しか出していないんです。一般質問でも言いましたけれども、お人形さんに何千万円もかけて、大好き大好きと言わせるよりも、もっと文化芸術に力を入れて、道や駅や広場で、まちじゅうに歌があふれるすてきなまちをつくっていけば、その結果として、みんなが中野を大好きになっていく。まずはそこからではないですか。

 区は、現在、文化芸術活動の実態調査を行っています。20才以上の中野区民3,000人と、中野区で活動する文化芸術活動を行っている団体約740団体にアンケートを送った。その740団体はもみじ山文化センター、野方WIZ、芸能小劇場に利用登録をしている団体から選んだが、文化芸術活動をしていない団体も含まれているかもしれないとのことであります。担当者が御存じかどうか、恐らく御存じないと思うんですが、昨年、中野区史上最大のアートフェス、今年度、中野区内最大級の音楽フェスと銘打ったイベントが区内で開催され、2日で約1万人の動員がありました。

 話は少しそれますが、東北復興大祭典では、2日で28万人の来場者を数えたことが過去にあるそうです。28万人といえば、全中野区民の8割以上と同じ数が四季の森公園の会場周辺に集まったということですから、そういうカウント方法がもし許されるのであれば、私の言うアートフェスには、2日で5万人の来場者があったと言ってもいいかもしれません。色とりどりの行灯で商店街を彩り、路上での音楽演奏やパフォーマンスを行ったほか、仮想通貨奉納祭では、世界中からビットコインを奉納できるサーバーみこし、バイオ御神体、天狗ロボットなど、現代解釈した神事をふんだんに取り込んだお祭りを模したイベントを開催したほか、複数のアーティストの協力を得て、電子生け花、電磁祭りばやし、人力で仮想通貨をマイニングするマシン、写真展示、映像展示などを行いました。私もアーティストの1人として、自分の写真作品を会場に展示いたしました。

 そのイベントとは、川島商店街で開催された東京行灯祭ウィズ仮想通貨奉納祭であります。仮想通貨奉納祭をプロデュースした市原えつこさんは、文化庁メディア芸術祭優秀賞をはじめ国内外の賞を受賞したことのある世界的に活躍するメディアアーティストでありまして、今回の仮想通貨奉納祭を自身の作品として、イベント終了後にNTTインターコミュニケーション・センターでの展示など、既に国内外3か所の国際的アートイベントで仮想通貨奉納祭を展示、紹介しています。中野区の小さな商店街のイベントがアート作品として国際的な評価を受けるなんて、こんなに楽しく痛快なシティプロモーションはなかなかありません。

 市原さんと共に、中野区史上最大のアートフェスを成功させたもう1人のプロデューサーが、何を隠そう、この私であります。私は中野区から文化芸術活動実態調査のアンケートがいつ届くのかと思って、首を長くしてずっと待っているんですけれども、これがいつまでたっても届かないんです。区が行った文化芸術活動実態調査の対象に、ブロードウェイにギャラリー等を持つ村上隆さん、今開催されているアール・ブリュットに長年取り組んでいる愛成会、同じく関連する各商店街や区商連、中野区の御当地ヒーローとして活躍している、サブカルチャーの象徴としての御当地ヒーローがいますけれども、そうしたサンガイアとかブローノヴァといったローカルヒーロー、今述べた方々には、そのアンケートは送りましたでしょうか。

○藤永文化・国際交流課長 本年度、文化芸術活動実態調査においては、無作為抽出した3,000人の区民と、文化施設に登録している約740団体を対象に行っており、本調査の対象には、委員の御指摘の方々にアンケートは送付してございません。本調査の対象については、予算の範囲内で可能な限り幅広い区民や団体の御意見を聞きまして、同様の調査を行っている他自治体との比較等を勘案して調査を実施したものでございます。

○小宮山委員 アート活動をしているかいないかよく分からない団体とか、今現在活動しているかいないかよく分からないような団体にもアンケートを送っているのに、今中野区で活発に表現活動をしている人たちにアンケートを送っていないなんて、おかしいじゃないですか。アーティストやアート団体であれば、必ず区の施設を使うかといえば違うんです。私も今中野区をテーマに芸術的な写真作品を撮っているアーティストであるのですけれども、施設利用の登録はしていません。そこを使わないアーティストだって、たくさんいる。むしろ使わないアーティストのほうが多いかもしれない。区内で、誰がどこでどんな表現活動をしているのか、まず、それを調べることが先じゃないですか。底が抜けたバケツで水をすくう前に、まずその穴を塞ぐことが先じゃないですか。ざるのようなアンケートですくい上げたことを今後一体何に活用するつもりなのか教えてください。

○藤永文化・国際交流課長 本文化芸術活動の実態調査のデータを基に、地域の実情に沿った文化芸術施策を推進していくと考えてございます。

○小宮山委員 今後の方針をつくるのは結構なんですけれども、当事者をきちんと網羅して、当事者の声をきちんと聞いてからでないと、とんちんかんなものになりかねない。中野区が現在やっているアウトリーチもそうですけれども、区の組織と実際の区民の活動領域は必ずしも合致しない。すこやか福祉センターや区民活動センターをベースとしたアウトリーチでは、リーチできない層が必ずある。同じように、区内の文化施設を使わないアーティストや団体だってたくさんいるんです。どこで誰がどんな市民活動、公益活動、アート活動しているのか、そういったことをまずはきちんと調べる。それこそが実態調査であって、そのためにお金を使ったのだと私は考えていました。

 また、改めてお金をかけて、本当の文化芸術活動実態調査をするというのは何ともばからしい話なので、それは求めませんけれども、中野区には、まなVIVAネットという生涯学習と人材登録のサービスがあります。まなVIVAネットの内容自体は悪くないと思うのですが、スマホ対応もしていないし、サイトデザインが二昔ぐらい前のデザインになっていて、どうも使いにくい。市民活動の活性化を目的とすればいいのに、営利活動を目的とした人も含まれていて、どうして個人の営利活動を中野区が支援しなければいけないのかよく分からない。

 生涯学習大学の卒業生など、一部の高齢者はあれを活用しているようですけれども、例えば子育て支援活動関連の広がりなどはあまりないんです。私は中野区で子育て支援活動をしている人たちのネットワークを多分区内で一番持っていますけれども、私の周囲であれを有効活用している人は一人もいません。文化芸術のみならず、市民活動も含めた話になりますけれども、まなVIVAネットの在り方を見直して、公益的な意欲のある団体やアーティスト等の人材の発掘と活用を行い、文化芸術を振興させてはどうでしょうか。

○藤永文化・国際交流課長 まなVIVAネットにつきましては、生涯学習団体、サークル、絵画や音楽を含む指導者の方々が登録し、活動情報を発信し、また一方で、学びたいとか、活動に参加したい方々が活動に参加することができるマッチングの仕組みでございます。区民等の生涯学習を支援することが目的であるため、この目的を変更するような見直しにつきましては、現時点では考えてございません。

○小宮山委員 目的を変更しないということですけれども、使い勝手は少し悪いと思うんです。デザインもいまいちというか、ちょっと古いデザインですし、スマホ対応もしていない。その辺りの見直しはいかがでしょう。

○藤永文化・国際交流課長 まなVIVAネットの使用の方法につきましては、今後検討の課題であると考えてございます。

○小宮山委員 ぜひ検討していただければと思います。中野区の社会福祉協議会は、最近社会資源の有効活用に取り組み始めました。区内のいろいろな団体や施設などに眠っている、ふだんあまり使わない机や椅子やその他のイベント機材などを紹介して、ほかに使いたい人に使ってもらってもいいですという仕組みのようです。私の関わる川島商店街でも、年に数日のイベントのためにいろいろなイベント機材を持っておりまして、安価有料で貸し出すことも可能です。こういった社会資源の有効活用による市民活動の活性化にも、もっと区として目を向けてくれたらと考えています。

 さて、今の中野区基本構想検討素案を見ますと、多様という単語が6個ぐらい出てきまして、どうも中野区を多様性のまちとして位置付けたいのが見え隠れするんです。確かに中野区は多様性に富んだまちではありますけれども、では、隣接区である渋谷区や新宿区や豊島区と比較してどうかと考えてみると、そこまで多様性には富んでいない。区が多様性だと考えているのは、小さなコップとか井戸の中の多様性なのではないかと思うんです。

 試しに、多様性のまちと、まちという字を漢字と平仮名で使い分けながらもグーグル検索して、上位20件にどんな自治体が出てくるかチェックしてみますと、渋谷区8、新宿区4、川崎市3、世田谷区2、中野区はゼロなんです。誰がどう見ても、多様性に富んでいる渋谷区とか新宿区に囲まれた中野区が、今さら多様性のまちをアピールしても、どうもインパクトが弱い。その一方で、サブカルのまちとグーグル検索すると、上位20件のうち12件は中野区関連情報なんです。これは、中野区の独壇場なんです。次点は下北沢が3件、世田谷区です。あと秋葉原なんかは1件しかヒットしません。

 私も地方から出てきて2人しか知り合いのいなかったこの中野区で、無所属で選挙に出まして、2回の落選を経て今日に至っておりまして、セルフブランディングとか、あとは選挙のマーケティングに関しては一家言持っているんですけれども、自分より圧倒的に強いライバルがごろごろしている中で、そのライバルと同じことを言っていたら、いつまでたっても追いつくことはできません。子育て先進区というラッパは勇ましいんですけれども、来年度予算を見ても、まだまだ形にはなっていない。

 公園の遊具を一斉に更新するに当たって、区民の意見を聞いたのは画期的ではありましたけれども、非常に拙速で事務的な流れ作業であったことにはがっかりしました。あれをもっとうまいことやれば、理想の公園について地域住民が集い話し合っていく中で、公園を中心とした地域への愛着を醸成し、公園のリニューアルを手段とした地域コミュニティの再生を果たすことだってできたのにと、30年に1度しかないような絶好のコミュニティ活性化チャンス、確変チャンスを逃して、単なる土木工事にしてしまったことは非常に残念に思っております。恐らくですけれども、公園遊具の一斉更新をする中で、公園課の人員が不足しているのではないですか。だから、余裕がない。心に余裕がないと、植物や生き物をめでる気持ちにはなれませんし、アートを生み出すことはできません。

 話が少しそれましたが、まだ今の段階で、中野区を子育て先進区だとアピールしていくのは弱い。弱過ぎる。勝ち負けの問題とかインパクトの問題ではないかもしれませんけれども、新宿や渋谷に囲まれた中野区が多様性のまちとアピールしていくよりも、サブカルチャーもメインカルチャーも含めた文化芸術のまち、若いアーティストたちにチャンスを与える始まりのまちというところを今より強くアピールしていったらどうだろうかと私は考えています。中野区の文化芸術の振興を訴えまして、次の質問に移ります。ありがとうございます。

 まちめぐり博覧会について伺います。ちょっといつもと調子が違うので困っています。

 博覧会という名前がついていますが、イベントとしての実態はほぼなく、区内各地で行われる90弱のイベントの広告宣伝活動で、経費のほぼ全額をこのパンフレットやポスター、そしてウェブサイトの作成等に使っています。区が実行委員会に出している負担金は500万円、実行委員会が協賛企業から募ったりして集めた広告費や自己資金が別に百数十万円あるそうです。期間中に開催されるイベントは、重複を除いて私が数えたところ、84イベントでした。84イベントの中で、絵本の読み聞かせとかパソコンで年賀状を作ろうとか、写真展とか、建物の公開とか、まち歩き会とかを開催するに当たって、大した経費もかからないし、それを目的に区外からわざわざ来る人は少ないだろうという小さなイベントが大体50イベント。参加者が500人を超すような大きなイベントは、区民活動センターのお祭りなど15件もないぐらいかなと思いましたが、区民活動センターのお祭りに幾らお金をかけて宣伝しても、わざわざ区外から来る人はいないでしょう。なので、多数の来街者を他区から呼べるようなイベントとなると、10イベント程度ではないでしょうか。

 実は、先ほど取り上げた東京行灯祭ウィズ仮想通貨奉納祭も、なかのまちめぐり博覧会期間中に開催され、自称5万人の集客があったんですが、まちめぐり博覧会には参加しませんでした。これまで毎年のように同博覧会に参加していたものの、広告宣伝の効果はあまり感じなかったこと、申請にかかる手間が負担になることなどの理由です。まちめぐり博覧会に当たって区が負担した500万円を84イベントで割り返すと約6万円です。6万円かけて、宣伝スペースはたったこれだけです。A4チラシを1,000枚印刷するのに5,000円しかかからないこの時代に、こんな小さな枠で宣伝告知するために、中野区は6万円相当をかけるなんてナンセンスじゃないですか。

 区内のありとあらゆる市民活動、公益活動を応援する区民公益活動の政策助成の予算は、平成31年度は125事業で1,350万円、それに対して、なかのまちめぐり博覧会のたった1か月の宣伝告知費だけで500万円、ついでに言えば、ナカノさんには合計4,000万円以上。日経広告研究所によると、優良企業の売り上げの中に占める広告宣伝費の割合は平均2.66%だそうです。例えばあの資生堂でも、売上げに占める宣伝費の割合は7%です。区民の公益活動全体に12か月で1,350万円、1か月当たりに直すと113万円、1か月の間に行われる市民活動、公益活動にはたった113万円相当しかかけていないのに、1か月のイベントの宣伝広告だけで500万円をぶち込んでいる。おかしいじゃないですか。どうですか。

○桜井観光・シティプロモーション担当課長 なかのまちめぐり博覧会は、中野区内の企業や団体、学校などの協力により実施し、イベントを集約して区内全体を一体的に見せることで、区の魅力を発信し、回遊性の向上を図ってございます。パンフレットやチラシ、ポスター等については、区内のみならず、区外の観光案内所や駅などでも配布や掲示を行ってございます。その結果、2019年度のイベント参加者は約16万人、そのうち約半分が区外からの参加で、多くの来街者が訪れています。個別イベントごとではできない広告宣伝効果があり、区の観光事業として一定の成果を上げているものと考えてございます。今後も参加者等の御意見を踏まえながら、必要な改善を行うなど、より効果的な事業となるよう努めてまいります。

○小宮山委員 500万円かけていますから、少しも効果がないのでは困りますけれども、それでもシティプロモーションにはじゃぶじゃぶとお金を使っているのに、区民が行う公益活動、市民活動に対しては非常に渋い。中身が整っていないのに宣伝にだけお金をかけたってしようがないじゃないですか。中野区は子育て先進区をうたうその一方で、昨年3月に和い和いしらさぎ、昨年10月にNAKbaby、今年3月には、まざるテラスと、これまで区からの補助を受けずに活発に活動してきた民間の草の根の子育て支援活動が、刀折れ矢尽きて、相次いでばたばたと活動を停止しています。

 中野区は金も出さないし場所もない。場所があっても貸してくれない。情報を持っていないから相談にも乗ってくれない。乗ることができない。草の根の子育て支援活動がばたばたと活動を停止しているこの状況をこのまま放っておいたら、ペンペン草も生えなくなってしまいます。これが中野区の子育て支援活動の終わりの始まりになるのではないかということを私は非常に恐れていますが、終わりの始まりが訪れていることに気づいている区の職員さんはほとんどいないです。まちめぐり博覧会の見直しと公益活動、市民活動の活性化を訴えまして、次の質問へと移ります。

 本会議でも訴えましたけれども、先日、江原公園で、樹齢100年とも言われる幹回り1メートルを超すユリノキ、私は本会議ではヒマラヤスギと言ったんですが、ユリノキという木だそうです。幹回り1メートルを超すユリノキの危険ではない健康な大木が、地域住民への事前告知なく、突然切り倒されました。この地は、2年以上前に公園内に区立保育室をつくるに当たり、近隣住民からの大きな反対があったところでありますが、そこでなぜ事前告知なくいきなり木を切り倒してしまったのかお聞かせください。

○細野公園緑地課長 ユリノキは、ブランコ本体及び安全柵を幹に巻き込んで成長しており、公園施設長寿命化計画による遊具の改修工事でブランコを更新するため、やむを得ず切らせていただいたものでございます。樹木の伐採についての事前の予告が遅れたことについては事実でございまして、今後については、十分周知期間を取るように改善していきたいと考えてございます。

○小宮山委員 ブランコを更新するために木を切ったそうなんですけれども、木を切らずにブランコを設置できる方法は幾つもあったと思うんです。ブランコのサイズを小さくするとか、ほかの場所に設置するとか、例えばあと2か月もすれば保育園は使わなくなります。跡地活用がどうなるかにもよりますけれども、その保育園跡地に新しいブランコを置くという選択肢だってあったと思うんです。地域住民の反発が明らかに予測できた中で、有無を言わさず、いきなり切ってしまうという今回のやり方は、もう取り返しがつかないことではありますが、だからこそ悪質であります。

 改めて思えば、旧上高田小学校で、学校のシンボルとも言えるヒマラヤスギが突然切られてしまったということもありました。区民の声を聞きますと言って当選した酒井区長の顔に泥を塗って、酒井区長の支持率を下げるために、悪意を持った誰かがあえてあちこちで木を切らせているのではないか、私は少し疑っています。公園の登記上の所有者は中野区ですけれども、公園は区民のもの、地域住民のものではないですか。区は樹木の伐採について、また今後もこういうやり方をして、区民の声を聞きますと言って当選した酒井区長の顔に泥の上塗りをしていくんですか。危険な樹木を急遽切ることは仕方ないとしても、区民から認知され愛されている健康な樹木を切るに当たっては、周辺住民や関係者に丁寧に事前告知をして、伐採を回避できる方法がないか検討してから切るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○細野公園緑地課長 中野区はみどりの基本計画に基づいて、緑豊かなまちの実現を目指しているところでございます。御指摘いただいた悪意を持ってということはございませんし、心に余裕を持って仕事をしているつもりではございます。哲学堂公園野球場改修工事のように、工法の工夫によって伐採を回避した事例もあって、既存の緑の保全にも努めているところでございます。江原公園のユリノキは、先ほど申し上げたとおり、ブランコや、あと安全柵を幹に巻き込んでいる状態でございまして、やむを得ない措置として切らせていただきました。今後、伐採が必要な場合には、事前の周知、より丁寧な説明に努めてまいりたいと考えます。どうぞよろしくお願いします。

○小宮山委員 伐採が回避できなかったとは思わないんですけれども、取りあえず用意した質問は以上でありますが、時間ができましたので、その他として、質問を通告していませんが、質問といいますか、私のよしなしごと、私の考えていることを述べさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルスの患者が中野区で確認されているのかいないのかという情報はまだ公開されていませんけれども、もし確認されているのであれば、警戒レベルをもう一段上げて生活することを区民に対して呼びかけていくのが行政の責務であります。また、根拠のないデマを打ち消すためには、正式な公式情報の公開こそが最善の手段です。もし区内での患者が確認されているのであれば、公式情報をいち早く打ち出すべきであります。そういった公式情報が出てこないまま、区民の間では、うわさとかデマが広がっている。小学生でさえ、中野区で患者が出たとか出ないとか、公式な根拠のないことを口にしている今、公式な情報が全く出てこないことに対して私はもどかしい気持ちでおりますが、また別の機会に質問をさせていただきたいと思います――答えられるようでしたら、公式情報の都区の申合せがあるそうですけれども、中野区がどういう状況にあるのか、患者がいるのかいないのかといったことの公式情報を出せるのか出せないのか教えていただければと思いますが、大丈夫ですか。

○山本委員長 委員会を休憩します。

午後2時41分休憩

 

午後2時41分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

○向山保健所長 区民の方に正確な感染症情報をお伝えする、これは自治体の責務でございますし、法の理念とも合致をしているという形で、様々な情報で、感染者も全体の発生状況でございますとか、あるいは東京都の発生状況、分かっていることも含めたリスクコミュニケーションに資する情報というものは、不十分かもしれないですが、私どもは精いっぱい情報は公開してございます。ただ、御指摘の個人情報につきましては、同様に最大限配慮するということ、それから、現在地域に特別ないわゆるパンデミックを想定するような流行状況には、少なくてもないということ、また都区の申合せというお話がございましたが、東京都の場合は、患者さんを診断された医療機関と、それから患者さんの住所地ですとか、そういったものと、患者さんの行動に関わる立ち寄られた場所というところがなかなか一致をしないという特性もある中で、東京都が公衆衛生上必要になる場合は一元的に対応するということが申し合わされておりまして、これについては委員にも御理解いただきたいと思ってございます。

○小宮山委員 まだパンデミックを起こす状況ではないから公開しないという話は、今説明を聞いて私もある程度納得はしましたけれども、そういった説明を受けていない区民の間では、様々なうわさが広まっています。いろいろなところで起きたとか起きないとか、そういったうわさが広まっている。そうしたデマを放っておくと、もっと悪いことが起きる可能性とかもあるんです。例えば関東大震災のときに、井戸に毒を投げ込んだ人がいるとか、そういうデマが起きたために、もっとひどいことになったというケースもありました。

 だから、デマを打ち消すのはどんな方法かというと、デマを打ち消すには正確な情報を出すしかないんです。出せる範囲で正確な情報をより出していただきたい。まだパンデミックを起こす状況でないから情報はまだ出しませんというなら、それはそれで、それを情報として出していただきたい。また、都区との申合せがあるというのは私も最近になって知りましたけれども、その都区との申合せがあるために、中野区として個別の情報は出しませんということ、それをまた情報として出していただきたい。情報公開こそが、区民の信頼を得る最も有効な手段であり、デマを予防する最も有効な手段であると私は考えておりますので、ぜひ善処をお願いしたいと思います。

 以上をもちまして、私の総括質疑を終了いたします。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で小宮山委員の質疑を終了します。

 次に、立石りお委員、質疑をどうぞ。

○立石委員 令和2年、予算特別委員会におきまして、総括質疑をいたします。質問は通告どおり、その他はありません。

 初めに、財政運営の考え方について、既にさきの委員の方が質問されている内容と一部重複しますが、御了承ください。

 まず、基準となる一般財源規模について伺います。酒井委員の質疑に対する答弁の中で、基準となる一般財源規模に収まったのは予算ベースでは今回が初めてで、決算ベースでは過去に5回ありました。予算編成時に毎回基準額を超えているわけですが、今回基準額に収まったその理由をどのように分析されていますか。

○森財政課長 まず前提といたしまして、今回基準となる一般財源規模につきましては、歳入状況を踏まえて、実態を踏まえまして、710億円から750億円に変更したということが背景にはございます。その上で、一般財源充当事業費の大きな減要素といたしましては、区立保育室の6室の閉室ですとか、ビジネスプランコンテストの廃止のほか、消費税増税や人件費増に伴います委託料の増など、そういった増要因を含めて、増要因に対応するために経常経費の見直しを行ったといったようなことが挙げられると考えております。

○立石委員 これから施設の更新などで、将来的に多大な費用を見込んでいるわけですから、基準を遵守して、計画的に基金の積立てをしていただきたいと思っております。平成31年度の当初予算の概要には、翌年度以降の基準となる一般財源規模が令和5年度まで表示されておりましたが、令和2年度の予算概要には、翌年度以降の基準となる一般財源規模が表示されておりません。中長期的な基準となる一般財源規模、また、それに代わる基準がなくても、計画的な基金積立ては可能なのでしょうか。

○森財政課長 義務教育施設整備基金やまちづくり基金など、特定目的基金への積立てにつきましては、今後の事業予定を見据えまして、起債計画や一般財源の充足による基金取崩しの抑制など、その時点での状況や見通しを考慮しながら、基金残高というのを確保しているところでございます。基金計画を含めました今後の財政運営につきましては、これまでの手法を検証いたしまして、基本計画の中で明らかにしていきたいと考えております。

○立石委員 計画的な基金積立てが可能なのかという質問に対して、ちょっと歯切れの悪い答弁で心配でございますが、続いて、基金の積立て計画と起債計画について伺います。これから施設の改修を多数控えているわけですが、起債計画の方針として、財政負担の平準化と世代間負担の公平化を図る意味から起債を活用するとあります。国全体の話と混同すべきではないという意見もあると思いますが、社会保障の受給負担の格差など、ただでさえ将来世代の負担が大きな社会ですので、次世代の負担を増やす起債の発行は極力抑えていきたいと、若者世代の1人として強く思っております。

 総務省は起債の充当率を定めておりまして一般的には都市基盤施設が90%、区民施設等は75%、学校が75%とされておりますが、中野区では、各事業に充当する起債充当比率はどのような基準で定めているのでしょうか。

○森財政課長 中野区方式の公債費負担比率におきまして、10%の範囲内で起債活用を図る方針というのは一つ掲げているところでございますが、それ以外につきましては特段の基準は設けずに、総務省が示している起債充当率を適用して、まず起債計画を立てているところでございます。

○立石委員 ちょっと答弁が聞こえづらいので、すみません、もう少し大きな声でお願いします。

 つまり、現状は総務省が定めている起債充当率の基準いっぱいで起債を発行しているということですね。令和2年当初予算概要の52ページ、起債基金を活用する事業一覧の事業費を合計した金額が1,623億円、そこから起債と基金、それぞれ合計額を差し引くと466億円になります。このうち、まちづくり、区民施設、学校再編などの事業で、一般財源で負担する費用はそれぞれどの程度を見込んでいますか。

○森財政課長 事業費から起債基金を控除した額、今委員がお話のおよそ466億円から国や都の補助額、およそ447億円を差し引いたおよそ19億円を見込んでおります。

○立石委員 これは5年間でかかってくるということですから、5で割ると毎年4億円程度ということですね。今年の1月31日の総務委員会で、今後の区有施設の整備の在り方について報告があり、今後20年間の更新経費の推計が示されました。総務省のソフトで試算しているため、施設白書で示した費用と実際にかかる費用とずれが生じていたので、実態に合わせて修正をしたということでしたが、例えば、当時は学校1校当たり25億円で試算していたが、現状を踏まえると1校当たり45億円というように、ほかにも新体育館や新庁舎の金額を実態に合わせて反映した結果、施設白書で示した更新経費の推計1,415億円から481億円増加した1,896億円になったということでした。

 そこで伺います。1月に示された更新経費推計は、区立保育園、区立幼稚園など、再配置の方針が決定していない施設の更新費も含んでいる内容でしょうか。

○杉本企画課長 1月の総務委員会で御報告しました今後20年間の更新経費の推計につきましては、改築等の方針が明らかになっているものを除き、現状の建物を全て維持すると仮定して試算してございます。したがいまして、区立保育園、区立幼稚園などの施設につきましては、現状の施設を更新した場合の経費を試算しているものでございます。

○立石委員 まだ方針が決定していませんが、一応今あるものを最大限残すことを仮定して計算をしていて、実際に合わせて減ったり、実態の経費に近づけて増減するということだと思います。総務省のソフトによる算出のため実態とややずれが生じるものの、今後20年間の更新費として、令和2年から令和6年まで5年間で859億円、令和7年から11年で415億円、令和12年から令和16年で450億円、令和17年から令和21年が169億円です。つまり、令和2年から令和6年までの今後5年間が最も更新費用がかかるということになります。

 起債残高は、令和2年度184億円、3年420億円、4年499億円、5年604億円、6年726億円となっております。起債残高はかなり膨らむわけですが、令和6年には公債費負担比率が7.4%となっております。小林委員も指摘しておりましたが、私からも確認をさせていただきます。令和7年度以降、公債費負担比率は10%を超えないのでしょうか。

○森財政課長 今後、社会、経済状況の大きな環境変化があった場合におきましても、公債費負担比率をおおむね10%に維持することが必要だと考えておりまして、その考えに沿った取組を基本計画の中で定めていき、それに基づいて取り組んでいきたいと考えております。

○立石委員 基本計画の概要が6月に示されるわけですが、その中で示されるということでよろしいんですか。その際に議論をより深めたいと思っております。

 新しい基本計画について伺います。区長は施政方針説明の中で、これまで財政運営手法を検証し、持続可能な区政運営の考え方について、新しい基本計画において明らかにしたいと述べております。そこで、新しい基本計画の中で示す区政運営の考え方に関して質問させていただきます。

 今後20年の更新経費だけを見ると、ピークとなる令和6年をしのげば何とかなるように見えるわけですが、令和7年、つまり、2025年から団塊世代が後期高齢者となり、扶助費などの福祉関連の需要が増加すると見込まれております。昨年8月の総務委員会で報告された住民基本台帳をベースにした長期人口推計によると、75歳以上の老年人口は、2020年の3,638名から、2025年には4,049名と約400名増加すると推計されております。この推計に基づいて、扶助費はどの程度増加すると見込んでおりますか。

○森財政課長 一般財源ベースでの推計になりますが、来年度、令和2年度、2020年度におきましては168億円ということで見ているわけですけれども、2025年度、令和7年度には185億円になると見込んでいるところでございます。伸び率でいうと、この5年6年で10%程度の増ということになります。

○立石委員 前年の令和6年だと183億円と扶助費はなっているわけですが、2億円増えた。その要因というのはどのように考えているんでしょうか。単純な人口に合わせて増えると見ていいんですか。

○森財政課長 扶助費につきまして、一番大きく今後見込まれるのが、委員も少し触れられておりましたが、後期高齢者の方の増といったようなことで、特に令和7年、2025年問題ということで、その以降、老年人口の伸びが扶助費のほうにも反映されてくると考えております。

○立石委員 後期高齢者の人口が増える、イコール、全ての方に対してかかってくる扶助費が増えるというか、生活保護とか福祉関連のサービスになる方を対象にしてということだと思うんです。

 続いて新しい中野をつくる10か年計画の人口推計と、2020年2月、つまり、今月時点の住民基本台帳の人口のずれを見ていくと、年少人口は1,500人程度増加、生産年齢人口は1万1,000人程度増加、老年人口は約5,000人増加と、それぞれ予測よりも増えているわけです。

 続いて歳入に関しては、10か年計画ですと、令和2年度の一般財源は725億円と見込んでいたわけですが、実態は784億円と約59億円増となっており、想定以上に歳入が増えております。納税者人口の増加が歳入に影響していると考えられますが、生産年齢人口については2025年をピークに減少すると推計されておりますので、人口構成の変化は歳入や行政需要に大きく影響を与えますので、実態を注視していただくようお願いいたします。

 続いて景気の見通しについてですが、今年の2月20日に、内閣府の月例経済報告で、先行きについては当面弱さが残るものの、雇用、所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くと期待されるが、新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また通商問題をめぐる動向など、海外経済の動向や金融資本市場の影響にも留意する必要があると報告されています。ちなみに、中野区の一般財源ベース、財政フレームの歳入合計は令和2年の1,014億円から、令和6年度には1,190億円まで上昇すると推定されておりますが、この一般財源はどのように推計しているんでしょうか。

○森財政課長 特別区税につきましては、人口推計に基づきます所得割納税義務者数の推計値に、1人当たりの所得割額の推計値を乗じまして推計をしております。また、災対費を除く特別区交付金や地方消費税交付金などの一般財源につきましては、今年度の経済財政諮問会議、提出資料におきます地方の税収等の伸びの推計値を参考に推計しているところでございます。

○立石委員 2月20日の時点で、月例経済報告によると、先ほども緩やかな回復が続くと期待されるとなっているわけですが、コロナウイルスの感染拡大への警戒心から、2月20日から2月27日、昨日までの時点で日経平均株価が1,531円下落しており、また、今朝読売新聞が、27日のニューヨーク株式市場でダウ平均株価下げ幅が過去最大と報じております。コロナウイルスの影響は経済や税収にも大きく影響すると思います。経済の影響は不透明でございます。森委員の質問からも、令和3年度の予算に影響してくるとお話がありましたが、大体いつ頃そういった予測、めどが立てられると思いますか。税収に与える意味です。

○森財政課長 まず、基本構想の議案を提出する6月の段階、また、来年度予算のフレームをつくる8月の段階、そういった節目節目で、当然それぞれの状況を踏まえまして、税収の伸び等を推計していきたいと考えておりまして、明確にその時点で見えるかどうかというところは、またその時々の状況によって変わってくるかと思いますが、しっかり国の動向や社会情勢による歳入の変動について最大限注視しまして、見通しのほうを立てたいと考えております。

○立石委員 来年度6月頃というところで、その状況についても注視していただきたいと思いますが、リーマンショックは金融危機を発端に発生しましたが、今回のコロナウイルスは観光産業ですとか飲食業など、サービス業の実体経済にも影響を大きく与えておりますので、どこまで長期化するか分かりませんが、経済の与える影響も大きくなるかもしれませんので、基本計画の中で作成する財政見通しや財政フレームの中でも、その辺を反映させていただければと思います。

 財政危機が訪れるといっても、ぴんと来ないかもしれませんが、昨日、日野市が財政悪化に伴い財政非常事態宣言をしています。市がこの宣言をするのは、バブル崩壊後の景気後退局面の1998年度と、リーマンショックがあった2008年度に続き3回目ということです。日野市のホームページによると、令和2年度予算において、税制改正などに伴う市税収入の悪化や、会計年度任用職員制度への移行に伴う歳出予算の増加などを受け、大幅な財源不足が発生したということです。日野市と中野区は財政制度なども異なりますし、一概に比較はできませんが、都内の自治体でもそういう状況になっており、楽観視はできないと思っております。

 中野区もリーマンショックの影響を受けた平成22年には、基準となる一般財源規模を670億円に設定しておりましたが、650億円に下方修正しても歳入が不足して、余分に基金から繰り入れたという経緯もあります。区長も、施政方針説明の中で、時代の変化は非常に早く、10年先を正確に見通せる人は誰1人いないと述べております。2020年以降の景気変動、人口変動、災害、パンデミック、制度変更など、様々な事態を乗り越えるためには、盤石な財政基盤の構築と、不測の事態に備える財政シナリオが必要だと考えます。御見解をお伺いします。

○森財政課長 中長期的な財政見通しを踏まえて、基本構想・基本計画を策定していくとともに、これまでの財政運営手法を検証し、持続可能な行財政運営の考え方を定め、必要な改善を行って、財政規律の徹底を図っていく考えでございます。

○立石委員 ありがとうございます。例えば大田区では、中長期財政見通しで、経済成長と停滞という二つのパターンをつくって、10年の推計をつくっております。経済成長ケースは内閣府が合算した成長率を適用しており、特別区債の充当率、都市基盤施設を80%、学校改築等75%に設定して、10年間で約1,000億円の起債発行を見込んでおります。停滞のシナリオでは、経済成長率は0%とし、特別区債の充当率を都市基盤施設90%、学校改築75%と設定して、10年間で1,400億円の起債発行を予定しております。

 経済成長と停滞のシナリオでは、10年間で一般財源に200億円の差が生じる結果になっており、経済成長シナリオの場合は都市基盤施設の起債充当率に余裕を持たせるという考え方をしています。中野区も約4年前に作成した10か年計画と一般財源と、約60億円差が生じているわけですから、景気次第では、計画した歳入と大きくずれる可能性もあると思います。

 東京都の場合は、経済成長率などを基に、上位推計、中位推計、下位推計の三つのシナリオを作成しております。特別区交付金や特定財源の歳入を予測する上で都財政と連動した推計をつくるという考え方もできると思います。例えば中位推計をベースに、実態に即した歳入と歳出計画を立て、上位推計並みに歳入が増加した場合は、起債充当率を基準よりも下げる。または起債の発行を取りやめて一般財源を充てる。下位推計並みに歳入が減少した場合には、歳出の抑制措置を図る、基金を取り崩すなど、各推計値の実質収支から基金の積立額、取崩し額も想定できるようになります。ですので、状況の変化に対しても、財政運営の方針を見失うことはありません。

 そこで伺います。令和3年3月に作成される基本計画の中で、中長期財政見通しを示されるわけですが、今後10年間の経済環境の変化にも対応できる3パターンのシナリオを作成してはいかがでしょうか。

○森財政課長 将来にわたります安定した財政運営を確保し、新しい基本計画の取組を着実に進めていくため、持続可能な区政運営に向けまして、財政見通しの手法も含めて、財政運営手法の検討を行う考えでございます。

○山本委員長 委員会を休憩します。

午後3時04分休憩

 

午後3時04分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 休憩中に確認したとおり、立石委員の質疑を続行いたします。立石委員、質疑をどうぞ。

○立石委員 どうもありがとうございます。

 これから検討されるということでぜひお願いいたします。

 続いて、(3)その他のところで、中野区まち・ひと・しごと創生総合戦略について伺います。当初予算の概要20ページに、中野区まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定について、新たな基本計画の策定に合わせて令和2年度に作成するとあります。令和2年の6月に新たな基本計画の概要、8月に素案が出て、12月に案、3月に完成を予定しているわけですが、まち・ひと・しごと創生総合戦略についてはどのようなスケジュールを想定していますか。

○杉本企画課長 中野区まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定につきましては、新たな基本計画の内容と整合を図るため、基本計画の策定に向けた議論を踏まえて検討を進めまして、令和2年度に策定することを想定してございます。

○立石委員 具体的なスケジュールが見えてこなかったんですが、大体同じように動いていくということですか。現行の基本計画と創生総合戦略の関係、位置付けはどのようなものになっていますか。

○杉本企画課長 総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法に基づく区におけるまち・ひと・しごと創生に関する施策についての基本的な計画でございまして、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)と整合性を図っているものでございます。

○立石委員 整合性をとった内容ということで、今回作成するものは現行のものと同じような方針でしょうか。

○杉本企画課長 国の総合戦略につきましては、第2期の期間を2020年度から2024年度までの5年間としておりますが、区の新たな総合戦略の計画期間は、区の新たな基本計画に合わせまして、2021年度から2025年度までの5年間とする予定でございます。策定に向けましては、令和元年12月に国が策定した第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略を勘案しまして、中野区の実情に応じた取組を盛り込んでいきたいと考えてございます。

○立石委員 ちなみに、現行の創生総合戦略の基本目標には、子育て環境向上ですとか、地域力向上など新しい基本計画にも関連するようなことも含まれているのかと思っております。新しい創生総合戦略を策定する過程で、どのような成果があったのか、分析が必要だというふうにも思っております。

 ちなみに、創生戦略の中に位置付ける施策は交付金の対象になるのでしょうか。

○杉本企画課長 現行の中野区まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に当たりましては、中野区版総合戦略策定支援、Wi-Fi設置を活用した情報発信、外国人観光客受入環境整備などの事業について国の交付金を活用してきたところでございます。新たに策定いたします中野区まち・ひと・しごと創生総合戦略につきましては、施策や事業の検討の中で、地方創生推進交付金の対象事業との調整を行い、国の動向を注視し活用を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○立石委員 創生戦略に定めた施策が交付金の対象になるということであれば、財源の点、リソースを集中させる点でも、基本計画との整合を図るという考えも合理的だと考えております。これから国が方針を正式に決定していくという状況だと思いますので、国の動向を注視していただきたいと思います。

 続いて情報化政策について伺います。

 AI、RPAは業務改善の観点で大いに期待されているところですが、まだ過渡期であり、どの程度業務改善効果があるか未知数でもあります。残念ながら、期待するほどの効果が上がらないシステムが存在しているのも実態です。導入費やランニングコストが業務改善効果を大きく上回ってしまうようでは本末転倒ですから、費用対効果については注視してまいります。私もこういった技術の可能性に大きな期待を寄せる立場であり、業務改善で捻出した時間を職員の皆様が政策立案や区民との対話にリソースを投入できるよう推進していきたいと思っております。

 そこで伺います。これまでAIとRPA、それぞれ導入したシステムの概要を確認させてください。まず、RPAについて伺います。

○中谷職員課長 職員課で今年度に導入したRPAの概要としましては、超過勤務の縮減と年次有給休暇の取得促進を目的として、超過勤務が多い職員や年次有給休暇の取得が少ない職員について、本人と上司にメールで注意喚起する業務を自動化するものでございます。超過勤務や年次有給休暇の申請の入力データを基に、毎月20日頃の時点で超過勤務時間が30時間を超えた場合、それから月の初めに前月の超過勤務時間が45時間を超えた場合、また、3か月に1回程度、年休の取得日数が一定の基準を下回る場合には、本人と上司である管理職宛てに注意喚起のメールを自動的に送付するといったものでございます。

○立石委員 実際に導入したところ、どの程度の業務削減効果が見えていますか。

○中谷職員課長 今回自動化した業務を人間が処理した場合には、月間で約77時間分の業務量になると見込んでおりまして、1か月当たり職員1人10日分程度の業務量になります。これまではそれだけのマンパワーを割いて通知することができていなかったというのが実情としてありますが、RPAの導入により、毎月2分程度で処理できるようになりましたので、おおむね毎月77時間分の効果が得られることになります。

○立石委員 これまで人員不足でできていなかったことが、このシステムを導入したことによってできるようになったということですが、月77時間ですから、職員10日分の人件費としてRPAのコストと比較するとどうでしょうか。

○平田情報システム課長 今年度導入しましたRPAのコストでございますが、今年度はRPAのシナリオの作成を委託で構築したため、税別でございますが、初期経費として390万円、また来年度以降は、職員が自分でRPAのシナリオを作成できるライセンスの使用料として年額144万円ほどの経費がかかります。職員の人件費でございますが、平成30年度の平均給与月額が40万405円でございますので、10日分に換算しますと約19万1,000円、12か月分では229万2,000円となります。

○立石委員 ランニングコスト、最初はイニシャルコストがかかっているというところで割高ですが、職員の給料を1年で見たら229万円ということですか。だから、534万円。後で細かく計算します。そういった効果を今後も検証していただければと思います。

 続いて、AIについて伺いたいと思います。AIについては、議事録自動作成システムを導入していると思いますが、こちらも同様にどういった内容なのか、それによって削減された委託費や作業時間、短縮効果はどの程度あったかお伺いします。

○平田情報システム課長 今年度導入しております議事録作成システムでございますが、スタンドアローンのシステムでございまして、マイクで集音した音声をAIエンジンで翻訳しまして、文字起こしをするシステムでございます。システムの導入効果でございますけれども、職員が議事録作成に要する時間が、一般的にテープ起こしの場合は会議時間の3倍かかるとされております。議事録作成システムを使用した場合は、会議時間の0.2倍で済むということでございます。仮に2時間の会議としますと、システムなしでは360分、ありでは24分と336分の違いになってございます。

○立石委員 ありがとうございます。ちょっと時間がないので、質問を飛ばしますが、例えば議事録作成システムで言えば、今無料でグーグルだったり、アマゾンの安価なサービスがあると思うんです。あえてこちらを導入した理由は何でしょうか。

○平田情報システム課長 アマゾンやグーグルはクラウドのインターネット上で使うシステムでございまして、中野区のインターネット環境の制約上、こちらのシステムは使えないということでございます。それでスタンドアローンのこちらのシステムを選定してございます。

○立石委員 時間の関係で割愛しますが、今回クラウド型のAIを使えないということで、スタンドアローン型のシステムを導入しています。ただ、保守のときには、性能がアップしている、機械学習のようなものができて、その性能というのはアップデートしていくということで、RPAと違って、AIというのは機械学習をして性能が上がっていくということだと思いまして、中野区の場合、まだAIは1台しか入っていないわけで、これからどのように機械学習で性能が上がっていくかというところで、現状の性能と今後の性能というのは比較していただきたいと思っております。

 それと、今の質問の中で、現状のインターネット環境ではクラウド型のサービスは使えない。AIもしかりですし、ほかにも、電話会議、ネットの会議とか、そういったシステムも利用ができないと伺っております。私は先日の一般質問の際に、情報基盤の在り方やインターネット環境、そういったものも、今後地域情報化推進計画を検討していく上でぜひ整理してほしいと要望させていただきましたが、これからAIの可能性も大きく、皆さんも期待されていると思いますので、そういったシステムのポテンシャルを最大限発揮する、そういった観点の情報基盤の整理とか在り方について今後も検討を進めていただければと思います。

 これで私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○山本委員長 これで立石委員の質疑を終了いたします。

 以上で総括質疑を終了いたします。

 ここで休憩にしたいと思います。15時35分まで委員会を休憩します。

午後3時15分休憩

 

午後3時34分開議

○山本委員長 委員会を再開いたします。

 この際、申し上げます。お手元の資料のとおり、第6号議案、令和2年度中野区一般会計予算に対し、内川和久委員外14名から修正案が提出されております。

 提案者の説明を求めます。

○山本委員長 休憩します。

午後3時35分休憩

 

午後3時35分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 第6号議案、令和2年度中野区一般会計予算に対し、大内しんご委員外14名から修正案が提出されております。

 提案者の説明を求めます。

○大内委員 ただいま議題に供されました第6号議案、令和2年度中野区一般会計予算案に対する修正案について、自由民主党議員団、公明党議員団で正副議長を除いた提案者15名を代表して、提案理由の説明を行います。

 区は新しい基本構想及び基本計画、これを支える財政運営の方針、また区政運営、財政運営に大きな影響を及ぼす区有施設の再整備について、また区長が掲げる子育て先進区への取組についても、現在全て検討中となっています。近々には明らかにしたいと述べられているところですが、今後の財政状況は厳しいものとなることが指摘されている中、歳出抑制に向けた事業の見直しは急務です。令和2年度の予算案においては、区の根幹政策の決定を前に、広報宣伝が先行されていると受け止められる事業への予算配分が散見されます。宣伝よりも中身に、区政財政の今後の見通しが不透明な状況下、具体的な政策自体に予算を割くべきとの思いから、事業の再考を促すため、中野区議会会議規則第70条の規定により、第6号議案に対する修正案を提出するものです。

 歳出においては、2款企画費、5款子ども教育費、12款諸支出金について、それぞれ修正し、歳出合計は変更ありません。

 2款企画費では、1項企画費中、教育大綱パンフレット作成委託等361万9,000円、3項広聴・広報費中、会計年度任用職員150万1,000円、ホームページ運営費中、UDフォント導入委託39万6,000円、わたしの便利帳、子育てハンドブックの作成2,585万1,000円、シティプロモーション事業助成及びその事務費の計1,763万円、4項業務改善費中、UDフォントライセンス料160万3,000円、5款子ども教育費では、3項学校教育費中、UDフォント導入委託547万8,000円、6項育成活動推進費中、児童館への木製おもちゃ設置1,444万円をそれぞれ減額し、12款諸支出金では、1項積立金中、財政調整基金積立金5,607万8,000円、環境基金積立金1,440万円をそれぞれ増額するものです。

 以上でありますが、委員の皆様におかれましては修正案に御賛同賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明といたします。

○山本委員長 以上で提案説明を終了します。

 念のため申し上げます。3月2日(月曜日)から行われる分科会での審査において修正案に対する質疑を行う場合は、1、原案の該当部分で提案会派所属委員及び理事者に対して行うこと、2、質疑の順序は、1巡目までは原則大会派順に行うことが確認されております。また、全体会での質疑は、3月6日(金曜日)の主査報告後に行うことになりますので、御承知おきください。

 以上で本日の日程を終了します。

 3月2日(月曜日)からは各分科会が開会されます。本日の委員会終了後会場設営を行いますので、持参された資料等につきましては、机の中のものを含め全てお持ち帰りいただくようお願いします。

 次回の委員会は、3月6日(金曜日)午後1時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の予算特別委員会を散会します。

午後3時40分散会