令和2年09月09日中野区議会本会議(第3回定例会)
令和2年09月09日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

.令和2年(2020年)9月9日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  6番  河  合  り  な        7番  斉  藤  ゆ  り

  8番  立  石  り  お        9番  羽  鳥  だいすけ

 10番  高  橋  かずちか       11番  加  藤  たくま

 12番  吉  田  康一郎        13番  木  村  広  一

 14番  甲  田  ゆり子        15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  若  林  しげお

 22番  内  川  和  久       23番  いでい   良  輔

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 40番  むとう   有  子       41番  長  沢  和  彦

 42番  来  住  和  行

.欠席議員(1名)

  5番  間     ひとみ

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之    区 民 部 長  青 山 敬一郎

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当)小 田 史 子  地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子

 環 境 部 長  朝 井 めぐみ      企画部企画課長(企画部参事事務取扱) 石 井 大 輔

 総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  野 村 理 志

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  五十嵐 一 生      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  本 多 正 篤

 

 議事日程(令和2年(2020年)9月9日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 令和元年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

追加議事日程

日程第2 第66号議案 令和2年度中野区一般会計補正予算

     第67号議案 令和2年度中野区国民健康保険事業特別会計補正予算

 

午後1時00分開議

○議長(高橋かずちか) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりですので、さよう御了承願います。

 これより日程に入ります。

 お諮りいたします。この際、本日の日程を追加し、日程第2、第66号議案及び第67号議案の計2件を一括先議するに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう議事を進行いたします。

──────────────────────────────

 第66号議案 令和2年度中野区一般会計補正予算

 第67号議案 令和2年度中野区国民健康保険事業特別会計補正予算

(委員会報告)

 

○議長(高橋かずちか) 日程第2、第66号議案及び第67号議案の計2件を一括議題に供します。

 

令和2年(2020年)9月7日

 

中野区議会議長 殿

 

総務委員長 山本 たかし

  (公印省略)

議案の審査結果について

 

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

 

 

議案番号

件    名

決定月日

66

令和2年度中野区一般会計補正予算

97

67

令和2年度中野区国民健康保険事業特別会計補正予算

97

 

(第66号議案についての付帯意見)

○ 子ども関連施設の建設スケジュールにおいて適正に経過を管理し、財政の支出に支障を来さないように充分留意されたい。

 

○議長(高橋かずちか) お諮りいたします。上程中の議案に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。

 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、これより採決いたします。

 上程中の議案を委員会報告どおり可決するに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後1時01分休憩

 

午後1時01分開議

○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。

 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、大内しんご議員、森たかゆき議員、白井ひでふみ議員、長沢和彦議員、内野大三郎議員、伊藤正信議員、ひやま隆議員、南かつひこ議員、来住和行議員、いでい良輔議員、山本たかし議員、甲田ゆり子議員、若林しげお議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、竹村あきひろ議員、立石りお議員、吉田康一郎議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 大 内 しんご

 1 行政報告について

  (1)最前線で働く医療関係者への支援について

  (2)子育て支援について

   (ア)新生児を対象とした給付金について

   (イ)児童育成手当(障害手当)受給者への臨時給付金について

  (3)地域経済の再生、活性化について

   (ア)プレミアム商品券の発行について

   (イ)民間活力を活用したにぎわい事業の創出について

  (4)その他

 2 2020「東北復興大祭典なかの」について

 3 新型コロナウイルス感染拡大に備えた検証のあり方について

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 最初に、大内しんご議員。

〔大内しんご議員登壇〕

○32番(大内しんご) 令和2年9月9日、第3回定例会におきまして、自民党を代表して、最初に質問をいたします。

 新型コロナウイルス感染症については、一部の専門家からは、新規感染者数は感染拡大のピークを越えたとの発言も出されておりますが、まだまだ予断を許さない状況です。感染拡大が叫ばれる中、既に半年以上が経過しています。この間、感染のリスクのある中、現場の最前線に立たれている医療従事者の皆様をはじめ、私たちの生活が維持できるように御活躍されている多方面の方々に深く感謝を申し上げ、新型コロナウイルス感染症に罹患された方、またお亡くなりになられた方々にも、お見舞いを申し上げるとともに、心からお悔やみを申し上げます。

 最初に、一昨日に区長が行いました、行政報告について、お聞きします。

 この中で、1、医療などの最前線の現場環境を支える、2、生活や子育て・介護などを支える、3、経済の再生に向け事業者を支える、の3点を柱とし、逼迫する医療・生活・経済を支援する対策を行うと述べています。

 区は、「今後の財政見通しを踏まえた令和3年度予算編成の中で、内閣府が発表した今年4月から6月期の国内総生産(GDP)の速報値は、前期から7.8%、年率換算で27.8%減り、リーマンショック後の17.8%を超える戦後最大の落ち込みになっており、基幹収入である個人住民税や特別区財政調整交付金の財源である法人住民税への影響も免れることはできない。感染症の終息の見通しが持てず、今後の財政は大変に厳しい状況にある。これまでのような財政規模を維持していくことは難しい状況であり、財政的な非常事態と言わざるを得ない。」と述べています。一般財源は、今年度当初と比較して約92億円の減少を見込んでいます。令和3年度については、この一般財源の収入見通しにより厳しく基準額を定め、これを歳出の基準として予算編成を行っていくとしています。

 思い出していただきたいのは、今から3年前の平成29年度、2年前の平成30年度の予算編成時の区長は前任者である田中大輔氏でした。当時、平成29年、平成30年度の基準となる一般財源規模は690億円と厳しく定め、予算編成に臨みました。酒井区政が始まった最初の年、令和元年度は、この基準となる一般財源規模を20億円増額し710億円、さらに令和2年度の予算編成においては40億円を増額し750億円にしました。一般財源規模を2年前と比較して約1割に当たる60億円も増やすことは無謀であり、新型コロナウイルスの蔓延による影響下でのこの増額については今年度の当初予算の質疑の中で厳しく指摘したところであります。しかし、区は、リーマンショック級の景気後退が起きても財政調整基金の活用により問題ないとの一点張りでした。しかし、区は、令和3年度の予算編成方針において、この一般財源規模を3年前、平成30年度の規模の687億円まで引き下げるとしています。予算編成の主な方針で、「既存事業の統合・再編・見直し等、事業のスクラップによる経費を生み出す。効果の上がっていないものについては事業の廃止・統合・縮小・休止、執行方法の変更等について検討を行う。」など述べられていますが、このような見直しは常日頃から取り組んでいなかったのでしょうか。この2年間で膨れ上がったバブルとも言うべき60億円、3年前の平成30年度の690億円の一般財政規模を守っていれば、現在のコロナ禍においても基金等を活用し急激な財政の逼迫にならずに済んだのではないかと悔やまれます。この「失われた2年間」と呼ばせていただきますが、2年前に財政規模を安易に膨らませ、メタボ体質になった中野区の財務体質、日頃より行うべき行政改革を怠り、景気の上昇による税収の増額だけを見て予算規模を膨らませた。単純に申し上げれば、この2年間で膨らませた60億円分を減量すれば以前の歳出規模となり、コロナ禍に十分に耐えられる財務体質になるということです。例えば、この夏から基本設計を行う予定でした中野本郷小学校の建替え計画も、将来の財政不安から突如として議会への何の相談もなく延期にしましたが、誰の権限で中止としたのでしょうか。どのような会議で中止とされたのか、分かりません。議決されている中野本郷小学校の基本設計を勝手に止める権限、正当な理由はどこにあるのでしょうか。

 中野区では、平成のバブルがはじけた後、平成12年度は23区において財政状況が最低に近い状態でした。財政規模は現在の約3分の2で、平成12年度決算歳出で861億円でした。家庭でいうところの貯金が42億円、借金は581億円もありました。それが平成30年度歳出決算額は約1,358億円になりましたが、貯金は700億円に増え、借金は147億円まで減りました。毎年の徹底した財政規律の下、予算編成を行い、多くの批判を浴びる中、厳しい行政改革の成果によりまさしくV字回復を達成し、約20年近くをかけ23区でも標準区と言えるまでの財政の立て直しに成功しました。その結果として、老朽化した学校の改築計画や中野駅周辺などのまちづくりの進捗に一定のめどをつけることができました。しかし、この2年間の放漫経営により一気に予算規模を拡大し、財政を逼迫させた責任は大きいと考えます。財務規律を守り、その年その年で各事業の必要性を徹底的に精査・査定していればこんなことにはなりませんでした。財政支出を緩めたのは、幸い令和元年度と令和2年度のこの2年間です。平成26年度からは人件費も200億円前後と安定しており、借金である区債残高は毎年減っています。しかし、令和元年度には20億円、令和2年度にはさらに40億円と年間の財政規模を安易に膨らませなければ、行政報告にあるような取組をあえて実行する必要もなかったと思います。近年の税収の増に乗じ予算に対したがが外れ、野放図に支出を広げた結果、安易に区民サービスを切るようなことは断じて許されません。税収入が順調だからと、予算規模を一気に20億円、さらには40億円と増やしたことは財政規律上問題があったのではないでしょうか。他区では、今までの堅実な財政運営によりコロナ禍の対策をしっかりと行っています。中野区の非常事態はこの2年間の失政により起こされたと言えます。この2年の間に財政規律を緩め、歳出を広げたものをしっかりと整理すれば乗り越えられると考えます。区は、来年度税収が減ることが予想されるので一律に区民サービスを削ろうとしているように思います。私たちは、どんなに苦しくても安易に区民サービスのカットに走らず、身を削ることで区民サービスを守ることが責務です。この際、分かりやすく言えば、3年前、4年前の財政フレームを見習うべきではないでしょうか。税収増により増えた税金をあれもこれもとなかなか効果の上がらない施策にばらまいた状態をしっかりと見直せばよいだけです。

 3月には、子育て先進区の実現に向けた基本方針(案)が示されましたが、そもそもこの準備として、区長に就任されてから2年間、子どもたちに関して何をしてきたのか、どんな施策を行ってきたのか、よく分かりません。コロナ禍において、3年前の財務体質に戻せば様々な施策が展開できます。子育て世代に対して応援、次に高齢者に対して安心して生活できる社会、障害を持っている方々、社会的弱者等に対する支援、そして中野区のまちの活性化、飲食街や商店街の活性化は急務です。民間活力を生かした素早い施策に向け取り組むべきと考えます。私たちの指摘に耳を貸さずに区財政をメタボ体質にした責任は大きいと言わざるを得ません。年度途中ですが、直ちに財務体質を見直して、区民サービスの充実に目を向けていただきたいと思います。

 しっかりと財務規律を持つ区では、このような事態を想定し、常日頃から税金の無駄遣いを自らが厳しくチェックした結果、品川区では既に区民一人に活力応援給付金として3万円、中学生以下は5万円の給付を行いました。千代田区では、秋に区民一人に12万円を給付する予定です。また、荒川区においては、23区で初の取組として、新生児にも特別定額給付金と同じ10万円の支給を7月29日より開始しました。

 令和3年度の予算編成方針では、政策の検討段階から区民の声の把握に努めるとともに、エビデンスベースの議論を経て、事業効果や確実な経費の試算等、精度の高い検討をしていくとあります。このコロナ禍において区民の声の把握をどのように行うのか、疑問でなりません。

 そこでお聞きします。令和3年度予算に向けてエビデンスベースの議論を行い、事業効果や確実な経費の試算等、精度の高い検討をしていくとありますが、どのような手法で行うのか。また、これまではどのような進め方をしてきたのか、併せてお聞きいたします。

 最前線で働く医療関係者への支援について、お聞きします。

 先日の区長の行政報告では、新型コロナウイルス感染症対策の柱として、「医療など最前線の現場環境を支える」「生活や子育て・介護などを支える」「経済の再生に向け事業者を支える」の3点を挙げ、逼迫する医療・生活・経済を支援する対策を局面に応じて段階的に講じてきたとあります。新型コロナウイルス感染症の終息のめどはたっておらず、今後第3波、第4波が訪れるとも言われています。区内で新型コロナウイルス感染症の最前線で診療していただいている中野区医師会、歯科医師会の現場環境を支えることは区の責務と考えます。医師会や歯科医師会の支援についてはどのように考えているのでしょうか。支援についても、それぞれ密に連絡を取り、現場で真に必要とされているものを検討し支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、PCR検査については、帰国者・接触者外来のほかに地域の医療機関においても実施しています。今後、さらに身近な地域の医療機関において検査を受けることができるよう、体制を順次整備するために医療機関に対しては何らかの支援を行ってはいかがでしょうか。

 その他で1点追加して、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザ対策について、お伺いいたします。

 この冬のインフルエンザ診療は、新型コロナウイルス感染症と同時流行という難題に直面するおそれがあります。流行が重なれば重大な事態になるおそれがあります。インフルエンザへの対応も大きな課題です。特に重症化するおそれが高い高齢者に対してはより一層の対策が必要と考えます。現在の高齢者インフルエンザ予防接種は、65歳以上の方と60歳以上65歳未満で特定の障害のある方については自己負担2,500円で委託医療機関において接種を受けることができます。今般、東京都が、対象者の費用実費負担のうち2,500円を限度に補助することを打ち出しました。これを受けて、区はどのように対応するのか、お伺いいたします。

 子育て支援について、お伺いいたします。

 新生児を対象とした給付金について、質問いたします。

 荒川区では既に実施していますが、中野区においては特別定額給付金について、基準日後であった4月28日以降に出生した新生児は対象になっていません。4月28日以降に出生したこれらの家庭も新型コロナウイルス感染拡大による家計の負担はそれ以前に生まれた子どもと同じです。区として、基準日以降に生まれた新生児に対しても、新型コロナウイルス感染症状況が終息されるまでの間、国の特別定額給付金と同額の新生児一人当たり10万円の給付を行うべきと主張いたします。

 また、児童育成手当受給者のうち障害手当受給者・児童に対して臨時給付金を検討しているようですが、特別定額給付金と同額の一人10万円の臨時給付金を実施すべきと思います。区の方針について、お伺いいたします。

 三つ目に、地域経済の再生、活性化について、お聞きいたします。

 プレミアム商品券の発行について、質問いたします。

 区内の各店舗、特に飲食店は、営業の自粛等により大きな打撃を受けています。国や都による支援制度等があるものの、どの店舗においても十分な支援がされているとはまだ言えず、不安定な経営状況が続いています。練馬区がこの8月までに行った総額8億4,500万円、30%上乗せのプレミアム付商品券の申込みに区民等から3倍近い応募があったと聞いております。さらに、目黒区においては、8月に総額10億円、プレミアム率50%の商品券を発売しました。これは、プレミアム商品券事業を望む声が大きいということであり、当区においても高い経済効果が見込めるものと考えます。23区では既に12の区が実施しているプレミアム付商品券です。区全体の経済活性化の観点から飲食業への支援にも大きな効果が見込めると考えます。飲食店でもきちんと使用できるよう工夫を図りながらプレミアム付商品券事業を実施してはいかがでしょうか。

 コロナ禍における、民間活力を生かしたにぎわい事業の創出について、お聞きいたします。

 中野区には、認定観光資源になっている「東北復興大祭典なかの」のほか、様々なイベント事業が民間事業者等の協力の下、実施されています。今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によりこれらの開催が困難になり、遠方からの集客は望みにくい状況です。しかし、在宅時間が増えている今のようなときこそ、区民自らが地域の魅力を再確認できるときです。今後、予防対策等をしっかりと行いながら、区民自身が中野区内でのにぎわいを楽しみ、感染終息への期待をつなぎつつ日々過ごしていけるよう、工夫しながらイベント等の事業を行っていくことは大切です。幸いなことに中野区には、様々なノウハウを持ち、地域貢献等も行っている東京商工会議所中野支部や中野工業産業協会、中野区商店街連合会等があります。これらの団体は今までも地域のために尽力していただいております。アフターコロナ、ウィズコロナの状況において、今後さらに綿密に協力し、区と力を合わせ、ともに中野区のにぎわいの再生を目指していくことが必要と考えております。区の考えをお聞きいたします。

 2番目に、「東北復興大祭典なかの」について、お伺いいたします。

 今年度の「東北復興大祭典なかの」については、東北のねぶた祭りなど全国のイベントが新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止となっている中、実行委員会において実施規模を縮小しての開催はできないか検討を重ねてまいりましたが、感染の勢いは収まらず、特に東北地方から東京に応援に来ていただくことは現在の状況から困難との判断から、8月上旬の実行委員会において今年度の開催は見送ることが決定されました。当日出席されていました宮城県人会の中鉢泰平実行委員長をはじめ、実行委員会の理事となっている各東北県人会の皆様からは、「今年についてはただ単に中止にするのではなく、この大祭典をこれまで継続して開催してきた意義を鑑み、来年の開催につなげていく意味においても東北復興の火を消さないというメッセージを発信すべきである。」また、「区内各地でもお祭りなどが中止になっているが、可能な取組を企画・実施しているところもある。私たちも知恵を出し合って、東日本大震災を忘れないために東北を盛り上げていこうといった趣旨を忘れずに、大祭典の代わりとなるイベント・取組を区と一緒に検討していきたい。」さらに、「より多くの方々に大祭典を知ってもらえるよう、これまでの軌跡をまとめた映像広報を作成するなど、パネル展や物産展の開催やねぶた展示、ねぶたのおはやし、ウェブ上でのオンラインの開催など、開催可能なことを考えられるのではないか。」といった、多くの御意見が寄せられました。私も驚きましたが、中野区のふるさと納税において、寄附の使い道として、東北復興大祭典なかのへの寄附が毎年1位または2位とランキングされております。これは、中野区外に御在住の方からも、中野区がこれまで継続し実施してきた東北復興の取組が高く評価されています。東北復興大祭典を応援してくれている方々の思いにしっかりと応えていくためにも、それぞれの期待や願いを十分に酌み取っていくことは大変重要なことです。中野区と東北各県とがこれまで育んできた絆を長く将来に向けてより発展させていくためにも、中野区から東北復興を呼びかける取組を今年度も実施していくことが大切だと考えます。

 そこでお伺いいたします。中止となった大祭典に代わる取組として、今年度の取組の検討状況と実施時期について、お伺いいたします。

 また、来年度は、東日本大震災から10年目の節目の年となります。来年度の開催に当たっては、早い段階から関係団体との調整を開始し、東北の方々を元気づけられるよう一層の充実を図っていく必要があると考えます。来年度の実施に当たってはどのような展望を持っていらっしゃるのか、お伺いいたします。

 今年については、東北復興大祭典自体が中止になった分、その時間を有効に活用し、以前から課題となっている事項についてしっかりと検討・準備を進めるべきだと考えます。例えば、パレードコースになっている四季の森公園前の道路に面して、将来的には現在の中野体育館の位置に新庁舎が建設されることから、区役所、四季の森公園イベントエリア及びその前のF字道路において様々な催しが開催されることが今後想定されます。ランニングフェスタなど、中野四季の森公園では、今後は道路とその両側にある芝生エリア及びイベントエリアが一体となって開催されるイベントがさらに増えていきます。そこで問題なのが、音響でございます。このF字道路等でイベントを行う場合の音響設備などの充実をされてはいかがでしょうか。

 また、区役所前のグルメなどの出店ブースについてですが、御飯や麺類など、食べ物の種類によっては出店に必要となる施設や設備の要件を整えることが厳しく、現在は出店内容が限定されています。東北各地の多彩なグルメブースが参加しやすくなるような設備などの充実や、保健所等の関係機関との調整を今のうちから進めておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。お考えをお聞きいたします。

 3番目に、新型コロナウイルス感染拡大に備えた検証のあり方について、お聞きいたします。

 去る8月28日に、安倍総理大臣が新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組について記者会見を行いました。今後、国は、感染防止と社会経済活動との両立にしっかりと道筋をつけるための施策を推進していくことになります。新型コロナウイルスの新規感染者数については、ここ最近減少傾向にあるとはいえ、いまだ終息に向かいつつあるとは言い難く、秋・冬にかけて感染拡大の再到来や季節性インフルエンザの流行に備え、今がまさに重要な時期と捉えています。

 区内事業者の皆様には業種ごとの感染拡大防止予防策を徹底していただいて、区民の皆様には引き続き3密回避やマスクの着用、手指の消毒、換気の徹底など基本的な感染対策を行い、「新しい生活様式」を実践していただかなければいけません。今後の対応については、様々な知見を踏まえ、この感染症をあまりにも過剰に恐れ社会経済活動が停止してしまうことを避けながら、めり張りの利いた対策を効果的に講じていくことによって、区民の健康を第一優先としながらも社会経済活動を継続しながら地域経済を守っていくことが重要であると考えます。

 その際には幾つかの課題が挙げられます。まず、これまで新型コロナウイルスに感染された方々の状態の分析、高齢者や基礎疾患を有する方への感染防止の徹底、医療機関や高齢者施設等に勤務する方々や入院・入所者を対象に症状がなくても定期的に検査を実施するのか、区内で個人の希望に基づき一定の高齢者、基礎疾患を有する方に検査を行うのか、検査についても地域の医療機関で簡易かつ迅速に行えるよう施策が必要ではないのか。患者を受け入れて必死の思いで治療に当たっておられる医療機関の安定的な経営を確保するためのさらなる支援はどうするかなど、これらの課題に対応することが早急に求められています。そして、中野区は、感染拡大予防と経済活動を並立させ、新たな施策を展開するには、区長のリーダーシップの下、これまでの事象と対策を検証し、問題点、課題について改善した上で備えることが何よりも重要です。

 さきの第2回定例会においても、公明党の小林ぜんいち議員の質疑の中で区の対応について検証の必要性を問われましたが、答弁では、検証についての具体的方針や内容は示されませんでしたし、今後にどのように生かしていくのかが見えてきません。

 そこで、検証の在り方について、幾つかお伺いいたします。

 今後の新型コロナウイルス感染拡大に対するためには、客観的視点でこれまでの区の全庁的な対応を振り返る必要があります。初めに、今回、中野区が行った感染症防疫業務について、感染症に関する外部の専門家を入れた客観的検証が必要であると思いますが、検証は行ったのでしょうか。これまで行った検証経過と内容について、お示しいただきたいと思います。

 今回の新型コロナウイルス感染症対策の検証には、各部が横断的な関与を持つはずです。例えば、区のBCPの実施や危機管理等対策会議の運営等の視点では総務部はどのように関わるのか、財政上の裏付け、区民への広報等の視点で企画部はどのように関わるのか、区内事業者、区内経済保護または再生等の視点では区民部はどのように関わるのか、幼児施設、子育て施設、教育施設等の視点でこども教育部はどのように関わるのか、高齢者、区内地域団体等の視点で、地域支えあい推進部はどのように関わるのか、保健所の所管とする健康福祉部はどのように関わるのかなど、まさに全庁的に深く関わりがあります。新型コロナウイルス感染症対策の検証に当たっては、全庁的な業務に関する検証を行った上で実効性ある対策を全庁を挙げて講じていかなければと考えておりますが、いかがでしょうか。

 中野区では、検証を全庁対応で進める場合、総務部の危機管理部門では財政・人事の権限もなく、脆弱ではないでしょうか。今後の危機に的確に対応していくためにも組織の在り方を再検討し、組織体制を整備していくことは大変重要と考えます。ついては、全庁の司令塔の役割を果たすべき立場の組織を立ち上げ、そこのトップを区長とするなど、区の組織体制を再構築するべきと考えますが、いかがでしょうか。

 最後に、このような全庁を挙げた客観的検証には区長の強力なリーダーシップが不可欠です。神戸市では、副区長をリーダーとして、市長室、広報戦略部長、危機管理室長、健康局長など、全庁的な幹部職員を検証チームメンバーとしつつ、危機管理室が事務局となり検証を行いました。全庁的な検証を行うに当たって区長はどのような指示を出しているのか、御見解をお聞きいたします。

 以上で全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、予算編成における政策検討についての御質問についてでございます。政策の検討に当たっては、区に寄せられるメールや電話、窓口などを通じた区民の声、また各種アンケートの調査結果などにより区民の意向やニーズを的確に捉えるとともに、既存の取組の効果検証や各種データ分析等から区の課題を把握し、その課題解決に向けた政策を形成していくことが必要だと捉えております。これまでもそうした考えを基に事業効果を見込み経費を積算し、予算編成を進めてきたところでありますが、厳しい財政状況が見込まれる令和3年度の予算編成においてはより精度の高い検討を進めていく必要があると考えております。

 次に、医療関係者への支援についてでございます。新型コロナウイルス感染症について、第一線の現場で区民の生命と健康を守る医師会、歯科医師会への支援はその意見や要望に沿って対策を進めることが重要であると認識しております。区は、これまで医師会等に対して感染症対策に関わる物品の支援を行ってきましたが、今後も継続的に支援することを検討しております。また、新型コロナウイルス感染拡大によって成人歯科健診の受診控えが長期化するおそれがあるため、受診率向上に向けた取組も併せて検討してまいります。

 次に、PCR検査の体制整備のための支援についてでございます。PCR検査等については、現行では帰国者・接触者外来等を中心に実施してきておりますが、国は今後の感染拡大に備えて地域の医療機関で検査を実施する方向性を打ち出しております。身近な地域の医療機関で検査を受けることができれば、区民の利便性の向上はもとより早期の診断やその後の感染拡大の防止にもつながり、公衆衛生の面からの意義も大きいと考えております。今後、区は、PCR検査等が可能な医療機関数の拡充に向け区医師会との協議を進め、財政的な支援を視野に入れて検討を進めてまいります。

 次に、高齢者のインフルエンザ予防接種についてでございます。新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行を見据え、東京都の補助制度を利用し高齢者のインフルエンザ予防接種の自己負担を無料とするよう、本定例会において補正予算を提出することを予定しております。高齢者は重症化リスクが高いため、高齢者の接種率を上げることは医療機関の負担の軽減にもつながると考えております。

 次に、子育て支援についての項の新生児給付金の実施についてでございます。国の特別定額給付金の基準日は令和2年4月27日であり、基準日後に生まれた新生児は給付金の対象になっておりません。しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況の中で出産され、新生児と共に様々な不安を抱え、社会的にも経済的にも制約された日常生活を余儀なくされている子育て世帯に対し何らかの支援を行うことが必要であると考え、現在新生児に給付金を支給することについて検討しているところであります。一方で、新型コロナウイルスの感染状況が継続する中、限られた財源の中で子育て世帯の生活の不安を経済的側面から支援していくために効果的な対策を進める必要があると考えておりまして、内容を見定めて迅速に実施してまいります。

 次に、児童育成手当(障害手当)受給者への臨時給付金の支給金額についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う国の支援策としては、区民一人につき10万円の特別定額給付金や児童手当(本則給付)受給者に1万円の子育て世帯臨時特別給付金の給付を行った上で、特に支援が必要な一人親世帯へ臨時特別給付金を給付しております。さらに、区の独自支援として児童育成手当受給者に対する臨時特別給付金を検討しておりますが、その金額としてはひとり親世帯臨時特別給付金の基本給付額と同水準の5万円の給付を考えているところでございます。

 次に、地域経済の再生、活性化についてのプレミアム付商品券事業による飲食店等の支援についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策としてのプレミアム付商品券事業については、他区での実施状況や効果などを注視しているところでございます。中野区商店街連合会からの要望もあることから、その実施について検討を行ってまいります。その際、飲食業への支援策としても有効な事業となるよう、商店街連合会等とも検討を進めてまいります。

 民間活力を生かしたにぎわい事業の創出についてでございます。コロナ禍におけるにぎわい創出事業、中でもイベント開催等につきましてはきちんとした感染防止対策が必要な状況となっております。そうした中、区内事業者等の協力を得ながら開催方法を変更し実施するイベント事業も徐々に増えてきております。コロナ禍にあっても区民に身近な地域の魅力を伝えていくことは重要でございます。経済団体や各企業、地域団体等との協力体制を強化しつつ、実施方法等について工夫を重ね、中野区におけるにぎわい創出事業の取組を進めてまいります。

 次に、東北復興大祭典なかのについての項でございます。

 まず最初に、大祭典を代替する取組の検討内容についてでございます。本年の東北復興大祭典なかのはやむなく開催見送りとなりましたが、実行委員会では、道半ばである東北復興を中野から支援する意義やこれまでの大祭典の盛り上がりを記憶にとどめて今後につなげるための取組を区に行ってほしいとの意見が多く出されました。このため、現在、区として、実行委員会の意見も踏まえ、内容の検討を行っているところであります。具体的にはねぶたの展示やパネル展、物産展、動画配信などの可能性を検討しておりまして、実施時期は実際に大祭典の開催を計画していた10月下旬を考えております。

 次に、東日本大震災10周年となる来年の東北復興大祭典の取組についてでございます。2021年は、東日本大震災から10年目に当たります。東北復興の道のりはまだ半ばであり、これを中野から支援していく意義は薄らいでおりません。その一方で、復興としては国も令和3年度以降を「復興・創生期間後」と位置付けているように一定の節目の時期を迎えており、今後の祭りの方向性を検討していく時期には来ていると言えます。東北復興大祭典なかのは、区や様々な団体によって組織した実行委員会により昨年度まで8回開催、東北関係自治体や各種団体の協力の下、様々な絆がつくり出され、区民の間に定着してきたところであります。来年度の開催に当たっては、10年目の節目の年ということも踏まえ、人とのつながりや参加自治体との連携を絶やさぬようにしつつ、今後の展開についても実行委員会の中で内容を検討してまいります。

 次に、四季の森公園のイベント時の放送設備についてでございます。中野四季の森公園に設置されている放送設備は、災害時や防災訓練等に使用することを想定し設置したところでありますが、イベントにも活用できるものでございます。現在の放送設備を含めエリア全体の音響について調査し、どのような対応が可能かを検討してまいります。

 次に、グルメブースの出店を容易にすることの御質問でございます。自治体の関連する大規模イベントにおいて万一食中毒が発生した場合には、参加者の健康危機はもちろん、今後のイベント開催が危ぶまれるようなリスクもはらんでおります。このため、保健所が指導しているものでございます。参加者が安心して、祭りを楽しむことができ、これまで以上に多彩な品目の出店が可能となるためには設備面等を含めどのような衛生管理を行えばいいのか、これまで以上に実行委員会側と保健所等との事前調整を密に行っていきたいと考えております。

 次に、新型コロナウイルス感染拡大に備えた検証のあり方についての項でございます。

 まず、新型コロナウイルス感染拡大への区の対応の検証についての御質問です。区が行った新型コロナウイルス感染症に関する防疫業務を含む健康福祉部が所管している対応につきましては、福祉推進課を事務局として7月に検証委員会を立ち上げ、これまで2回の検証委員会を開催したところであります。この検証委員会には、危機管理や公衆衛生等の専門家にも参画いただいております。この委員会では、主に指定感染症の指定から緊急事態宣言解除までの相談や疫学調査等の実績記録を基に事実関係の整理等を行い、課題の抽出、対応策の検討及び助言をいただいているものでございます。今後も検証を進め、区の感染症対策を実効あるものにしてまいりたいと考えております。

 次に、感染症対策における全庁的な対応についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策の中核となる保健所における防疫業務とともに、医療・生活・経済の三つの柱を掲げて取り組んできた対策の検証を行うことは今後より的確な対策を打ち出す上で必要であると認識しております。いわゆる健康危機管理的な対策に関しましては保健所を中心に検証を進めているところでありますが、その他の対策事業につきましても、対策事業の実施状況と併せて事業の効果や実施のタイミングなども適宜取りまとめ、庁内において検証する機会を設けてまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染拡大に対応した組織体制の再構築についての御質問です。新型コロナウイルス感染症への対応に当たりましては、防疫業務については健康福祉部が、経済対策と生活支援については企画部と総務部による緊急経済対策室が対応しておりますが、それらの状況を集約し全庁的な対応の決定等は危機管理等対策会議で行っているところであります。危機管理等対策会議は、区長を座長、副区長を副座長、教育長と各部長を委員とする会議体で、財政や人事に関わる事項も審議し、全庁的な調整役としての判断を決定してきたところであります。今後も区長をトップとする危機管理等対策会議の運営を通じてトップマネジメントを発揮していきたいと考えております。

 最後に、区長のリーダーシップについての御質問です。感染拡大防止及びそれに伴う各種緊急経済対策や生活支援策など様々な対応を全庁的な調整を図りながら行ってきたところでありまして、今後実施する検証についてもしっかりと私が中心になって行っていきたいと考えております。

○議長(高橋かずちか) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 森   たかゆき

 1 区長の行政報告について

  (1)今後の区政運営の方針について

  (2)新型コロナウイルス感染症対策について

  (3)その他

 2 平和行政について

 3 ハラスメント防止について

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、森たかゆき議員。

〔森たかゆき議員登壇〕

○38番(森たかゆき) 令和2年第3回定例会本会議におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりです。

 1、区長の行政報告について。

 (1)今後の区政運営の方針について、伺います。

 今回の行政報告の最大のポイントは、区長から、財政的な非常事態と言わざるを得ないと認識しているとの御発言があったことです。最新のGDP速報値の落ち込みとそこからのV字回復が望み難いこと、来年度一般財源が今年度比92億円の減収となる見込みであること、感染終息の見通しが立たず変動する様々なリスクがあること、基金を活用した財源対策にも限界があることなどを、その背景として挙げられました。しかし、現在の区財政全体の見え方は、ここで挙げられた要素、また触れられなかった要素も含めて、見方によっても大きく変わります。例えば、令和元年度末の財政調整基金残高は279億円ということですが、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)ステップ2終了時、これが令和元年度末に当たるわけですが、計画では214億円、約65億円の上振れをしています。計画策定時と区長が変わり、施策の方向性が変わったりスケジュールに変更が生じたりしたこともあるでしょうが、数字としてはこういう結果が出ています。令和2年度予算編成段階でも基金残高は見込みよりも多く、起債残高は少なくなっています。前回、財政の非常事態宣言がされたのは、平成20年9月にリーマンショックが起こり、その回復の途上で東日本大震災が起きた後、平成24年度予算編成に向けてでした。そのときの最新の決算、平成22年度決算では、特別区民税は2年前に比べて20億円の減、特別区交付金は2年前に比べて39億円の減でした。ストックのほうは、区債残高520億円に対して財政調整基金残高210億円、基金全体でも371億円、2年前と比べ基金残高は増えず、区債残高が109億円も増加するという状況でした。要するに、予算ベースではなく決算ベース、見立てではなく結果を受けての宣言でありました。

 一般財源92億円減という見込みも示されました。リーマンショックの際の一般財源の歳入減として、行政側の説明ではよく予算編成時の見込みである約50億円という数字が出てきますが、実際には25億円程度の減でした。過去の経験から学ぶならば、結果である決算の数字も見なければなりません。リーマンショック発生時の四半期GDPの落ち込みの年率換算17.8%に対して、今年4月から6月期の落ち込みの年率換算は27.8%でリーマンショック以上戦後最大の落ち込みとされていますが、人為的に経済を止めていた緊急事態宣言期間を含む期間の落ち込みを年率換算とすることも、その数字を金融危機が原因でその影響が長期に続くと見込まれていたリーマンショック時の落ち込みの数字と比較することも、どちらも無意味です。私は、今後の区財政の行方は決して楽観視できるものではない、むしろ厳しい状況がそろっていると考えています。しかしそれでも、少なくとも、今、財政が非常事態だと言うのは時期尚早であるように思います。そのことを前提に幾つか伺います。

 まず、92億円減の根拠は何か。精度はどの程度なのか。今後、92億円よりさらに落ち込む見通しが出てきたらどうするのか。総じて現段階の92億円という減収見込みを算出の基準とする妥当性が不明です。私は、2年前の予算特別委員会総括質疑で予算・決算の乖離の大きさを指摘し、改善に努める旨の答弁もいただきましたが、現時点での見込みを固定することで乖離が大きくなる原因となるのではないかとも危惧しますが、いかがでしょうか。

 今後の歳出の抑制に当たっては区民サービスへの影響も避けられないとありますが、これまで区は、過去に単年度で50億円近くの一般財源が減収となった経験から、3年程度区民サービスを維持するために150億円程度の財政調整基金は確保していくとの説明をしてきました。落ち込み幅からして3年はもたないにしても、すぐに区民サービスを削減するとなればこれまでの説明と整合性が取れないと考えますが、どのように説明されますか。

 区長会では、国に対して減収補填債の発行を可能にするよう要望しています。また、市長会のほうでも、実現のために相当切迫感を持った議論がされていると伺っています。当初予算が組めないという、自治体として最も避けなければならない問題に既に直面している自治体もあるようです。一方、中野区においては、仮に来年度92億円減収になり、それが2年続くとしても、財政調整基金の活用や区民サービスに影響を与えない範囲での事業見直し、当初予算編成時の財源の組み方の変更などを行えば、減収補填債の発行はなくても2年間は予算を組めるはずだと思われますが、いかがでしょうか。

 危機の際にその影響を受けた住民や地域経済を支えることは、自治体の基本的な役割です。それは、困っている人がかわいそうだというレベルの話だけでなく、必要な支援を早期に十分に提供することこそが経済的に見ても合理的だという側面もあります。リーマンショックから5年ほどたった頃、日本は世界で一人負けと言われていました。他国に比べ金融緩和の規模が小さく、その分財政出動も十分ではありませんでした。目先の歳出を抑えようとして傷口を広げてしまったということです。この反省もあってか、今回については国も東京都もかなり思い切った財政出動をしています。中野区としても必要に応じて機動的な財政出動を行い、区民生活や区内事業者を支えるとともに、中・長期の傷口を浅くする取組をしていかなくてはいけませんし、私はそのための一定の財政的余力はあるはずだと考えております。区は、財政の非常事態という認識を示す一方で、今定例会前の各常任委員会には今後の支援策の検討内容も報告しています。これを実施するとなれば相応の規模の補正予算になると思われます。区としても、これまで私が述べてきたような財政出動の必要性とそのための余力について、同様の見解を持っていただいていると解釈しますが、いかがでしょうか。

 先日、将来の区財政に大きくネガティブな影響を与えることになる数字が発表されました。昨年生まれた新生児が初めて90万人を割ったとのことです。2016年に初の100万人割れが衝撃をもって受け止められてから僅か3年であっさりと90万人を割り、一気に80万人台中頃、86.5万人まで減少してしまいました。私は、1年前のこの場で、中野区の人口推計では子どもを産む年齢層の女性の人口が2020年をピークに減少へ転じる。少子化に歯止めをかける取組はここ一、二年が正念場である。区長には危機感と使命感を持って子育て先進区実現に取り組んでいただきたいと述べ、前向きな答弁をいただきました。行政報告では、今後3年は体力を養う期間であるという趣旨のこともおっしゃっていますが、少子化に歯止めをかけるための施策は3年も待っていられません。子どもを産む年齢の女性の数が今がピークだということは、同じ施策をやって最も効果があるタイミングは今だということです。今後も良好な子育て・教育環境の実現を目指すとの発言もありました。この分野については来年度以降も着実な予算措置を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

 そうはいっても、区財政の行き先が厳しいことに違いはありません。国による東京を狙い打ちにした不合理な税制改正やふるさと納税の影響を大きく受けつつも、ここ数年良好な決算となってきた背景はアベノミクス、とりわけ異次元金融緩和の効果でしょう。2年で達成するとされていた2%の物価上昇率は安倍総理退任までついに達成されることはありませんでしたが、こと自治体財政という1点で言えば助かってきたのは事実です。他方、このコロナ禍において、経済が危ない危ないと言われながら一向に下落しない株価に不気味さを感じる方は多いのではないでしょうか。その裏では、日経平均算出企業の多くで筆頭株主が日銀またはGPIFになるという、自由主義経済国家としては通常ではない事態が進展しています。この状況を今後どう正常化していくのか、めどがつかないどころか、そのことを議論すること自体がはばかられるような状況です。アベノミクスで上振れした税収は、公共施設建替えや高齢化の進展に伴う社会保障費の増といった区の将来的な行政需要に対する備えだけでなく、アベノミクスがもたらした将来の不確実性に対する備えとしても必要なものです。そこに来てのコロナ危機です。やはり相当に財政が厳しいことには間違いなく、歳出の抑制、行政の効率化に努めなくてはいけません。既に事業のスクラップや廃止・縮小等の検討を行うよう示したとありますが、どこに示したのでしょうか。所管任せでは限界があります。区長直属のPTをつくるなどして取り組むべきです。要となる推進体制を立ち上げるとのことですが、そうしたものをイメージしていいのでしょうか。体制というような組織なのか何なのか。成果を上げるには相応の権限が必要と考えますが、どのような位置付けと権限を付与するお考えなのか、お伺いいたします。

 行政報告では、「行財政の構造改革」という言葉が使われていますが、その中でもデジタルシフトは重要です。国の行政デジタル化関連の議論を振り返ると、1994年の行政情報化推進基本計画に行きつきますが、ここでは既に行政のあらゆる面の効率化、国民サービスの飛躍的向上と行政運営の質的向上といった、今と似たような言葉が既に並んでいます。この後、国では二、三年ごとに新しい計画や方針がつくられ、中野区もその都度対応してきたのだと思いますが、26年前からこうした取組を繰り返してきた結果が、この危機に際して、保健所はファクスや電話を駆使し、区民がマイナンバーを使って申請した情報は職員で目視をして確認するという仕事のやり方です。改善の余地が大きく残っているという意味では希望ではありますが、これまでのようなやり方では掛け声だけで終わるのではないかと危惧します。中野区と同じタイミングで同じく「構造改革」と言い出した東京都も主眼はデジタルシフトのようですが、都は元ヤフーの社長を副知事に据えるなど具体的な体制を整備しています。行政報告には「外部資源の活用」とありますが、ICTの専門人材など人的資源もここに含まれるのでしょうか。私は、相応の待遇と立場を用意してでも能力のある専門家に来ていただいたほうがよいのではないかと考えます。また、その人が力を発揮できる仕組みづくりや各業務所管が自分ごととして捉えてICT活用に取り組める仕掛けづくり、何よりこの機に一気にデジタルシフトをやり遂げるのだという区長の強い姿勢を庁内全体に浸透させる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 庁内だけでなく、区民とのやり取りにも課題が残っていて、例えば往復はがきのような旧時代の遺物がいまだに使われています。古い物が残ってしまっているだけならともかく、新しい体育館で来月からスタートする新しい教室の参加者募集が往復はがきというのはもはや悪い冗談のようです。こうしたやり取りはできる限りウェブで完結するようにするなど、区民の負担軽減を進めるべきです。いかがでしょうか。

 オープンデータ化の推進もスピードを上げていかなければいけませんが、先日、民間の立場で行政のオープンデータ化を進めている企業の方から、全国の自治体に情報公開請求をしたところ、中野区からだけ約180万円の手数料を請求されたという話を伺いました。原因は、情報公開条例第12条の手数料1件当たり300円、1件とはデータ1件当たりのこととする規定です。23区全ての情報公開条例を確認しましたが、こうした規定を持っているのは中野区だけです。原則無料で写しの交付に際して実費のみを徴収するというところが多く、1件当たり幾らと規定している区でもデータ1件ではなく1作業当たりとの規定になっています。これまでは運用であまり多額にならないよう対応してきた部分もあるように伺っていますが、情報公開、オープンデータ化の推進に対する積極的な姿勢を示すためにも、この情報公開条例第12条の規定は見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 先週、美鳩小学校、みなみの小学校の新校舎を見学させていただきました。どちらもすばらしい校舎だった分、一層言いづらくなってしまったのですが、今後の区財政にとっては学校の建設・建替えの費用が非常に大きなウエートを占めることとなり、その費用の抑制は喫緊の課題です。私は、昨年のこの場でもこの課題を取り上げ、板橋区の事例などを紹介しながらより踏み込んだ対応を求めましたが、残念ながら少しかみ合わないやり取りになってしまったようです。1年たって今後の財政見通しも大きく変わりましたが、改めて学校建設費の抑制の必要性とその具体的手法について、どのようにお考えか、伺います。

 また、その他の公共施設建設についても費用抑制に努めなければならないことは同様です。世田谷区は、新庁舎の関連事業費を見直し、総事業費約500億円のうち約15億円を縮減すると公表しました。中野区においても個々の事業について早々に見直しを行い、経費の縮減に努めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 (2)新型コロナウイルス感染症対策に関連して伺います。

 夏の間も感染はあまり収まりませんでしたが、これから秋から冬にかけてさらに拡大していくことも懸念されます。これまでの対応を振り返り、次に生かしていく必要があります。

 区として、最初に大きな判断を迫られたのが学校の一斉休校でした。2月27日、法的権限のない総理大臣から法的根拠のない臨時休校の要請がなされ、区長並びに教育長をはじめ、教育委員会の皆さんは突然大きな判断を迫られました。非常に困難な状況であったと思いますが、多くの自治体が3月2日から休校としたところ、中野区立小・中学校では2日午前中に登校の機会をつくりました。僅かな時間ではありましたが、この時間があったおかげで児童・生徒の心持ちも休校期間中の過ごし方も大きく変わったのではないかと思います。困難な状況下、子どもたちのためにすばらしい判断をしてくださった皆様にこの場を借りて心より感謝申し上げます。

 他方で、臨時休校の必要性には疑問が残ります。一斉休校要請は、文部科学大臣や官房長官すらすっ飛ばした、総理とごく一部の関係官僚の暴走という報道も複数なされておりますが、私は、疫学的に見て本当にあのタイミングで一斉休校が必要だったのか、あのときも今も疑問を持っています。現在から振り返って、休校の判断の評価と今後の一斉休校の必要性の判断について、教育委員会はどのようにお考えでしょうか。

 その後、国による緊急事態宣言や東京都の東京アラートの発令がありました。これまでの対応で分かったことは、国も東京都もそれぞれの政治的・経済的事情が絡み、科学的根拠のみで判断を下すわけではないということです。区としては、緊急事態宣言が出たらこうする、都の警戒レベルが幾つになったらこうするという判断基準を持っているかと思われますが、国や都の判断自体がぶれる可能性を考えると、そこだけに判断を依存して本当に区民の生命と財産を守ることができるのか、疑問を感じます。

 先日、世田谷区がPCR検査体制大幅拡充の構想を明らかにし、話題となりました。内容や評価についてはここでは触れませんが、こうした大きな判断を基礎自治体として行うことができること自体に見習うべき点があります。保坂区長曰く、世田谷区としての戦略的な布陣をしき、専門家から最新の知見と助言を得て判断したとのことですが、中野区でもこうした言わば中野区版専門家会議のようなものを設置することはできないでしょうか。常設で定期的な会議を持つ形でなくても、例えば区長が必要と判断したタイミングで感染症の専門家や医師等の意見を聴取できる体制は整えておくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 特別定額給付金の支給について。

 中野区では、受付開始も支給開始もかなり早い対応をしていただきました。早期に現金が手元に届いて助かった区民も多いでしょうし、支給割合が98%を超えたこともよかったと思います。支給事務には御苦労もあったかと存じますが、成果を出していただいた職員の皆様に感謝申し上げます。特別定額給付金担当の課と庁内各部署が連携し様々な事情で申請に困難を抱える方にも丁寧に対応したこと、積極的な広報による成果と思いますが、特に広報については紙媒体もホームページ、SNS等も相当力を入れていたように感じました。他方、区役所が通常行っている個々の福祉施策については、必ずしもそこまでの広報がなされておらず、結果として、その支援を必要とする方全員に行き届いているとは言えない部分もあるのではないでしょうか。これを機に、福祉施策を必要とする区民に着実に届ける、そのための広報の体制の強化を考えていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 東京都の感染防止宣言ステッカーについて、伺います。

 専決処分で定めた条例で当該ステッカーの掲示を努力義務とするなど、都の取組が妙にここに偏っています。しかし、この宣言ステッカーはあくまで自己申告なので、まちの様子を見ると、掲示がしてあっても取組の濃淡に差があるようです。ステッカー掲示自体は否定しませんが、保健所による確認など、実効性のある取組とする必要があります。保健所の業務が逼迫しそこまで手が回らないと言うならば、過度にこのステッカーに頼ることは避けるべきです。このステッカーが目立つ一方で、厚生労働省が開発・配信している新型コロナウイルス接触確認アプリ・COCOA(ココア)の啓発が目立ちません。区報やチラシ等、紙媒体でのお知らせ、窓口等での対面での案内、マイナンバーの支援窓口でのインストール支援、あるいはステッカー掲示店に一緒にチラシを貼ってもらう等、幅広く啓発に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、8月21日付で、厚生労働省から自治体に向けて、COCOAで陽性者との接触が通知された人のうち希望者には全額公費負担でのPCR検査を提供するよう、事務連絡が来たと伺っています。区としても応じるべきと考えますが、検討状況を伺います。

 今定例会の前、区内で様々な活動をされている団体の皆さんと懇談させていただきましたが、複数の団体から、このコロナ禍において困っていることや必要な支援についてのヒアリング等が区からなされなかったという御指摘をいただきました。現場の課題を施策に生かそうとする姿勢はまだまだ区役所全体に浸透しているところまでは行っていないようです。今後の改善を求めますが、いかがでしょうか。

 また、そうした団体の皆さんはふだん区民向けのイベントや相談会などの活動をされております。このコロナ禍においても様々工夫をされてはいるようですが、どうしても区民とのつながりが薄れてしまっているという悩みを多くの団体の方から伺いました。こうした皆さんの活動を区として広報的な面で支援することはできないでしょうか。様々な面で活躍する、頑張っている区民、区内の団体をまとめて紹介することでシティプロモーションやシビックプライドの醸成にもつながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 冬に向け、東京都が高齢者を対象にインフルエンザ予防接種の助成を行うことを決めました。区としてもこれに手を挙げると同時に、現在区として行っている子ども向け予防接種の助成の拡充や、また高齢者については肺炎球菌ワクチンの接種助成の拡充などを検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。後者については事務手続の課題もあるかと存じますが、千葉市など実施を決めている自治体もあります。ぜひ前向きに検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 生活保護について、伺います。

 生活保護は、最後のセーフティーネットです。安倍総理が国会で明言されたように、困ったときにはためらわず申請をしていただきたいと私も思います。他方、このコロナ禍において、生活保護を必要とされるようになった方々の中には市場の急激な需要の変化により職を失った方も多いのではないかと思われます。経済活動の再開、コロナ禍における新たなサービスの創出などの中で新たな雇用も生まれてくるでしょう。これまで以上に自立支援が重要になります。日本の生活保護は、受給開始までのハードルが非常に高く、一方で一度受給するとなかなかそこから抜けられないと指摘をされています。法の許す範囲で最大限入りやすく、出やすい制度となるような運用に努めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 中野駅新北口駅前エリア再整備事業に関連して伺います。

 現在、区は、再整備事業計画に基づき中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備民間事業者を公募しています。新型コロナウイルス感染症の広がりの中でも事業コンセプトや再整備事業計画の見直しなどは行われていません。しかし、新しい生活様式、3密の回避等が言われる中で、最大7,000人規模の多目的ホールや大型オフィスといったものがどこまでこれからの時代のまちづくりとしてふさわしいものなのか、当然疑問が出てきます。

 そこでまず伺いますが、事業継続に際して見直しの可能性の議論はされたのでしょうか。現時点で新型コロナウイルスの影響が考慮されていないとすると、今後どのタイミングで検討の範囲に入ってくるのでしょうか。恐らく募集に手を挙げてくる事業者の提案は新型コロナ禍を踏まえたものになるでしょう。しかし、提案を受ける側の区にそれを評価する体制は整っているのでしょうか。募集要項には、評価するのは施工予定者としての総合的な能力である旨の記載もあります。新型コロナへの対応はそもそも評価の対象外であるようにも読めて不安を感じますが、その点はいかがでしょうか。

 区は、スケジュール以外に変更なく事業を進めていますが、一方で事業者決定後に経済状況や社会情勢を注視し、再整備事業計画に沿って進めていくとしています。現時点で私たちの生活の在り方の変化が質的・時間的にどれだけのものになるのか、なかなか見通しが立たないところですが、非常に影響が大きいとなれば再整備事業計画との間にそごが出るような事態も考えられます。その場合の対応をいかに考えているのでしょうか。また、そうなれば、行政として誘導すべきまちの姿も変わってくるでしょう。国土交通省は、この秋にも、今後の都市政策実現に向けた具体的方策を検討する検討会を設置するそうです。また、今年度、既に3密回避やオープンスペース創出に関する取組に対する補助金なども創出されています。再整備事業計画と社会的要請に乖離が生じれば補助金の獲得にも影響が出るのではないかと思われますが、その点についての見解を伺います。

 保育について。今回は、面積基準の1点のみ伺います。

 保育は、人と人の接触なしでは成り立ちません。そんな中でもできる限り感染症のリスクを低減していくためには、国際的に見ても最低限と言われている面積基準の引き上げが必要ではないか、そのように考えていたところ、それとは逆に、区が一部の保育施設に対し定員の増を打診していると耳にしました。担当課に事情を確認したところ、ゼロ歳児から2歳児について、その年の待機児童数を上回る定員増を次年度に実現しなければ獲得できない都の補助金があり、その条件を満たすためにそうした打診を行っているとのことでした。かつてのように保育施設が全く足りない状況ではこうした条件づけの意味があったのかもしれませんが、定義の問題があるにせよ、23区で複数区が待機児童ゼロを実現し、また中野区においても定員の空きが発生していることを踏まえると、この仕組みは現状に合わなくなっているのではないかと考えます。東京都に対し条件の見直しを求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。併せて、今後の面積基準の在り方についてのお考えもお伺いいたします。

 2番、平和行政について、伺います。

 今年、私たちは、戦後75年の節目を迎えました。戦争経験者の高齢化が進み、戦争の記憶の次世代への引継ぎが課題となっています。

 区長は、就任後、平和首長会議に加入しましたが、参加しての取組や成果について、お伺いします。

 昨年8月の区報のコラムで区長も紹介されていますが、平和首長会議では行動計画が策定されており、今年度が現計画の最終年度です。中野区として、この計画を踏まえてどのような取組をされてきたのでしょうか。

 先日の総務委員会では、新しい総合体育館1階に開設される平和資料展示室についての報告がありました。戦後75年の節目に中野区として30年ぶりに新しい展示室ができることは非常に意義深いことと考えますが、区としての活用方針について、伺います。

 今、戦争経験者が亡くなることなどをきっかけに、戦争の記憶を後世に伝える貴重な資料が処分されてしまったり行方不明になってしまったり、時にはインターネットの売買サイトで取引がされたりといったことが起こっています。この問題に対する自治体の対応は、積極的に資料収集に取り組むところもあれば、受取りを断ってしまっているところもあり、様々ですが、戦時中の資料は一度失ってしまえば取り戻すことはできませんし、当時の経験や暮らしぶりを後世に伝えていく意味で非常に貴重なものも多いと考えております。中野区には積極的な収集、寄附の受付に取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 3番、ハラスメント防止について、簡潔に伺います。

 私は、今年の予算特別委員会の総括質疑で、ハラスメント防止のため、区長にゼロハラスメント宣言を行ってほしいと要望し、新年度をめどに宣言すると答弁をいただきました。その後の動きが見えません。6月にはパワハラ防止法の施行もありました。早々の宣言を改めて求めます。いかがでしょうか。

 昨年12月に、ハラスメント防止の観点を含んだ係長研修、性的指向・性自認に関する人権研修が行われました。私も後ろで聞かせていただいて非常に充実した内容だったと思いますが、この日は大規模システム障害の影響で出席率が非常に低くなってしまっていました。中野区は、パートナーシップ制度の実施などLGBT関連施策については一定の評価を受けているところですが、区内の当事者の方からはいまだに窓口等で理解のないハラスメント的な対応をされたと伺うこともあります。受講できなかった職員に対するフォローアップを行い、理解向上に努める必要があると考えますが、いかがでしょうか。この点を伺いまして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 森議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、区長の行政報告についての中で、今後の区政運営の方針について。

 令和3年度の一般財源見通しと予算編成についての御質問でございます。翌年度の一般財源の収入見込みにつきましては、例年8月頃に見通しを立てて予算編成に着手しているところであります。令和3年度の見込みにつきましては、特別区税は現時点で把握している毎月勤労統計などのデータから来年度の平均給与収入などを見込んで算出をしております。特別区交付金や地方消費税交付金などは、リーマンショックが発生した平成20年度のGDPの成長率と今年度のGDPの予測成長率を比較し、来年度の減収幅を推計しております。今後、東京都や特別区長会と連絡を密にして情報収集に努め、精度の高い見込みを立てながら予算編成を進めてまいりたいと考えております。

 次に、財政調整基金の活用についての御質問です。これまで積み立ててきました財政調整基金につきましては、取崩しを前提とするのではなく、歳出の削減に努めて予算編成を進め、その上で真に必要な区民サービスを実施するために必要がある場合のみ基金活用を図ることを考えております。歳出削減の検討に当たりましては、区民サービス削減ありきで行うのではなく、事業の効果が上がっていないものについて、廃止、統合、縮小、休止、執行方法の変更等の検討を行い、予算編成を進める考えでございます。

 次に、財政調整基金残高と予算編成についての御質問です。財政調整基金の年度間調整分の残高は、昨年度末で165億円でございます。事業の見直しを行わないまま予算編成を行い、歳出超過分を財政調整基金の繰入れで対応するといった、基金の取崩しを前提とした財源対策には限界があると考えております。区の全ての事業の見直しを行って、限られた財源を必要な事業に選択と集中を図って予算編成を進めていくことが必要だと考えております。

 次に、今後の財政出動とそのための余力の確保についてでございます。令和元年度の決算は歳入歳出の状況や財政指標などおおむね健全性を示しておりますが、今後厳しさが増すことが確実な区財政を鑑みて、危機的意識を持って令和3年度予算編成に臨む必要があると考えております。一方、区民が安心して生活できる環境を整え、経済の再生に向けて取り組んでいくことは区の責務であり、時期を逸することなく進めていかなければなりません。対応すべき課題を整理し、選択と集中を図り、必要な財源を投入してまいりたいと考えております。

 次に、良好な子育て・教育環境の実現に向けた予算措置についてでございます。厳しい財政状況の中でも、必要な区民サービスに対しては財源を投入し推進していく必要があると考えております。子育て先進区としての良好な子育て・教育環境の実現に向けて適時適切な予算措置を行っていきたいと考えております。

 次に、事業見直しの考え方と構造改革に向けた体制についてでございます。事業見直しの考え方については、令和3年度予算編成の考え方の中で示したところであります。全ての事業について事業の効果及びその原因の分析を行った上で、効果が上がっていないものについては事業の廃止・統合・縮小・休止・執行方法の変更等について検討を行うこととしております。構造改革の推進に当たりましては、その検討方針を速やかに策定するためプロジェクトチームを早急に発足させ具体的な取組を取りまとめ、その後は権限を持った組織へ移行させて構造改革を本格的に実行に移していく考えでございます。

 次に、デジタルシフト実現に向けた外部人材の活用についてでございます。新庁舎の開設時期を見据えて、現在の紙を前提とした行政のルールや業務を抜本的に見直しデジタルシフトを実現していくためには、適切な外部人材を活用しその知見を取り込むことで、区が組織としてのICT対応能力を向上させることは有効な手段の一つと考えております。区財政が厳しい時期だからこそ、先を見ながらあらゆる方法を目線に入れ、着実にデジタルシフトを実現してまいりたいと考えております。

 次に、行政内部のデジタル化による区民負担の軽減についてでございます。利用実態や対象者の状況を踏まえながら、今後は電子申請やウェブ申請の拡充を進めることで区民サービスの向上を図ってまいりたいと考えております。

 次に、許可等の公募についての公開手数料規定の改正についての御質問です。現行の中野区情報公開条例及び施行規則では、食品営業許可と区の行った26種の許可等に関する情報公開につきましては1件につき300円の事務手数料を徴収すると定めております。理由は、これまでこの種の情報公開請求の多くが営業目的の情報収集であったことから、各種証明の交付等において区民から事務手数料を徴収していることとのバランスを考慮したものでございます。しかし、そもそも情報公開制度の趣旨からすると、情報公開請求を待つまでもなく行政がホームページ等で自発的に情報提供することは大切だと考えております。このことから、区の保有する情報を積極的にオープン化し広く提供していくことを一層推進していくほか、情報公開の事務手数料の規定の在り方についても見直していきたいと考えております。

 次に、学校や公共施設建設費の抑制についてでございます。新校舎整備や公共施設整備については多額の費用が必要になるということから、実施時期の分散化や計画や設計、施工の各段階においてコスト削減に向けた取組が必要であると認識しております。そうしたことから、建設費の抑制につきましては、これまでも設計上の工夫等により整備工事の効率性向上を図るほか、費用対効果の高い部材を積極的に選定するなど努めてきたところであります。また、人口推計値の動向を踏まえた適正な規模の設定や施設の複合化による管理コストの低減化などをはじめ、多角的な側面から総コストの抑制を図ってまいりたいと考えております。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、中野区版専門家会議の設置についての御質問でございます。新型コロナウイルスの感染拡大防止を適切に行うためには専門的な見地からの判断が必要であり、これまでに保健所をはじめ、国や東京都、区内医療機関などの見解を踏まえ対応してきたところであります。現時点では常設の専門家会議を設置することは考えておりませんが、今後も迅速かつ的確に対応できるようこうした関係機関との連携の強化を図っていくとともに、必要によって専門家の意見を聞く機会を設けていきたいと考えております。

 次に、福祉施策を必要とする人への対応についてでございます。今回の定額給付金において高い支給率が達成できたのは、必要な情報が区民の皆さんに行き届いたことが大きな要因であると考えております。各種の福祉施策においては、これまでも工夫しながら制度等を周知してきたところでありますが、今回の取組の中で対象者に合わせたきめ細やかな広報を行うなど効果的だった点を取り入れ、必要とする人に着実に届くよう生かしてまいりたいと考えております。

 次に、COCOAの啓発についてでございます。COCOAは、多くの人が参加することでより効果が上がるものであると認識しております。一方で、マスクをするなどの感染対策をしていても感染者と15分程度近距離にいると通知されてしまうため、不安をあおってしまうという課題もございます。COCOAについては、これまでも区のホームページなどを通じて周知をしてきたところでありますが、一人でも多くの人に取り入れてもらえるようにさらに周知に努めてまいります。また、感染症防止の基本的な取組である手洗いや3密回避の徹底をはじめ、様々な手段によって感染症拡大防止に取り組んでまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染症の状況についての認識でございます。COCOAで陽性者との接触が通知された方からの問合せは日に30件程度寄せられており、具体的な接触状況や症状、本人の意向等などの相談に応じているところでございます。相談においてPCR検査を希望される方には、中野区PCR検査センターまたは医療機関において検査を実施して、国の通知に従って検査料の公費負担を行っているところでございます。

 次に、区からの関係団体等への情報提供等についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策の検討に当たって、丁寧な状況の把握や関係団体等への接触の機会を十分に設けることができず、情報提供が遅かった点は受け止めつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。今後、職員が店舗を訪れ感染防止の啓発活動を行うなど、地域に出て状況把握する機会を設け、職員が一丸となって取り組んでいきたいと考えております。

 シティプロモーションにつながる区内団体活動の広報についてでございます。区は、今年6月に、シティプロモーション事業を見直し、新型コロナウイルス感染症を乗り越えることをテーマに、区内事業者や団体、区民のつながりに焦点を当て情報発信と取組支援に努めているところでございます。区内各種団体の活動を広報することはシティプロモーションの考えに合致するものであり、区のホームページで一覧を掲載するとともにSNSで情報発信するなど工夫をしてまいります。

 インフルエンザ予防接種などの拡充についてでございます。区は、区民の健康を守るためにインフルエンザ予防接種を勧奨し、未就学児に対しては任意接種として費用の一部を助成しているところであります。一方、新型コロナウイルス感染症及びインフルエンザは高齢者が罹患すると重症化するリスクがあるため、高齢者にインフルエンザの予防接種を行うことは重症化予防に効果があるとともに医療機関の負担軽減につながることから、高齢者インフルエンザ定期予防接種につきましては今年度に限り都の補助事業を活用し自己負担の無料化実施を検討しているところでございます。小児のインフルエンザ予防接種任意助成及び高齢者肺炎球菌の予防接種助成の拡充につきましては、今後研究してまいります。

 次に、生活保護制度の運用についてでございます。生活相談窓口では相談者に寄り添う対応をしており、必要とする方には速やかに生活保護申請をしていただいているところであります。生活保護受給開始後は、稼動能力のある方については早期に就労して経済的な自立が図られるよう、ハローワークと連携した窓口である中野就職サポートや就労準備のための講習等を行う中野就労セミナーを活用するなど、個々の状況に合わせた支援を行い自立につなげていきたいと考えております。

 次に、新北口駅前エリア再整備事業計画の見直しについての御質問でございます。中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画は、区として求める都市機能や事業化に向けた基本方針を示したものでございます。区としては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や終息後の経済・社会状況を考慮しても、基本的には本事業計画が長期的に目指すべきまちのあるべき姿であると考えております。今回、公募によって民間事業者を選定し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や今後の経済・社会状況を見極めながら具体的な事業計画を民間事業者とともに取りまとめていきたいと考えております。

 次に、中野駅新北口駅前エリア再整備における新型コロナウイルス感染症の対応についてでございます。民間事業者募集に当たりましては外部有識者で構成する審査委員会を設置しており、委員会では中・長期の経済動向や社会状況の変化等を踏まえて審査を行うことを確認しております。また、事業実施に向けた拠点施設の詳細は、再開発事業の事業計画立案とともに検討することとなります。仮に新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく経済動向や社会状況が変化する場合には、事業の具体的な内容もそれに応じて検討する必要があると考えております。

 次に、新北口駅前エリア再整備における補助金の確保等についてでございます。現在、国土交通省では、新型コロナ危機を踏まえた今後の都市の在り方や都市政策について検討を進めていると聞いております。新北口駅前エリア再整備につきましても、今後の経済状況や社会情勢の変化を踏まえて、国土交通省の新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性、こちらの動向も見ながら、今後、市街地再開発の事業計画の検討を進めることとなります。補助金の確保についても、国の状況を常に注視し、適切に確保できるよう努めてまいります。

 次に、保育施設整備に関する補助金制度の見直しについてでございます。区では、依然として待機児童が発生しており、この解消のため、都の待機児童解消区市町村支援事業制度を活用して保育施設の整備を進めているところでございます。この制度では、一定の要件に該当すれば補助率が引き上げられ、その要件の一つが、ゼロ歳児から2歳児について4月1日現在の待機児童数以上の定員拡充を行うというものであるため、定員増が可能な保育施設に対して調整を行っているところであります。待機児童解消に向け今後も保育施設の整備を進めたいと考えておりまして、都に要件緩和を求めていくとともに、待機児童の状況を見ながらより良好な保育環境の実現に向けて面積基準の在り方についても検討してまいります。

 次に、平和行政についてでございます。

 最初に、平和首長会議の加盟の成果についてでございます。加盟後、平和首長会議やその加盟都市が取り組む平和事業について得られた情報を区の取組の企画・検討に反映してきたところでございます。

 次に、平和首長会議行動計画に沿った取組についてでございます。区におきましては、この行動計画の趣旨である核兵器のない世界の実現や安全で活力のある都市の実現を踏まえ、平和の集いやパネル展示等を通じて広島・長崎の被爆の実相を伝えるとともに、区民の平和意識の啓発などを行っているところでございます。

 次に、新平和資料展示室の今後の活用についてでございます。新しい平和資料展示室では、平和資料の展示や書籍閲覧などに加えて、語り部たちの証言映像をタッチモニターにより鑑賞できる展示などを設置するところでございます。次代を担う子どもをはじめ、様々な年代の区民に平和資料展示室を訪れていただくきっかけとなるように企画展の実施なども検討しているところでございます。

 次に、平和資料の収集についてでございます。戦時中の実物資料は、戦争の悲惨さや平和の尊さを改めて考えるきっかけとなる貴重なものでありまして、物品の寄附として年間を通じて受け入れているところでございます。一方で、収蔵場所の問題もございますので、新たな資料の収集については開設する資料館の運営をしていく中で検討してまいります。

 次に、ハラスメント防止についての項で、まずゼロハラ宣言についてでございます。人権侵害のない職場づくりの実現のためには、区が一丸となってあらゆるハラスメントの根絶に向けた取組を推進していくことが必要であると考えております。ゼロハラ宣言につきましては、宣言に向けた検討を進めているところでございます。

 最後に、人権研修の未受講者のフォローアップについてでございます。人権研修は、係長職昇任者と係長職6年目の職員が必ず受講すべき研修としております。昨年度の未受講者は今年度の対象者に指定するとともに、全ての対象者が漏れなく受講するように来年度以降も未受講者に対するフォローアップを継続的に実施してまいるところでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、新型コロナウイルス感染症対策についての御質問のうち、学校の臨時休業の判断について、お答えいたします。全国一斉の臨時休業措置の是非については、未知の感染症に対して早急に判断する必要があったこと、現在も様々な方面から様々な見解が寄せられていることなどから、現時点でも一律に評価することは難しいと考えております。現在は、国の衛生管理マニュアルなどが随時見直され、学校ごとの状況によって臨時休業の実施や対象となる範囲を決めているところでございます。今後も教育委員会として、国や都、専門家の見解を注視するとともに、保健所等関係機関との連携を密にして感染症に関わる様々な判断をしてまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で森たかゆき議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 白 井 ひでふみ

 1 行政報告について

  (1)新型コロナウイルス感染症対策について

  (2)教育行政について

  (3)区内事業者等の支援策について

  (4)今後の財政見直しと令和3年度予算編成について

  (5)その他

 2 防災対策について

 3 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、白井ひでふみ議員。

〔白井ひでふみ議員登壇〕

○25番(白井ひでふみ) 令和2年第3回定例会に当たり、公明党の立場から一般質問を行います。

 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症拡大禍、特別警報級に発達した台風10号の被害に見舞われた方々に謹んでお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を御祈念いたします。

 また、中野区においても多くの方々が新型コロナウイルス感染症拡大により御苦労をされておられ、たくさんの御相談もお受けしているところです。一つでも多くのお声にお応えできるようにとの思いで質問をさせていただきます。

 質問項目は、通告順に従い、その他の質問はありません。

 それでは初めに、1、行政報告について。

 (1)新型コロナウイルス感染症対策について、伺います。

 8月に入ってからの中野区における新型コロナウイルス感染症の感染状況は、日常生活の中での広がりが見られ、高齢者関連施設や子ども関連施設でのこれまでになかったクラスター事例の発生が起こりました。この状況を受け、感染拡大の防止対策の拡充に努めるとともに支援策を講じる必要があると述べてきたところです。具体的には、例えば保育園が感染拡大により休園措置となった場合、濃厚接触者でない子どもたちのための保育継続のための代替保育の実施や、高齢者・障害者の日常の住まいとなっている特別養護老人ホームやグループホームなど、特に事業規模の小さい施設における職員への感染拡大による施設でのサービス提供体制の維持が困難となった場合の支援策、さらには日常生活を送るに当たって他者の支援を必要とする方と同居する世帯において支援をする生活主体者が陽性者となり入院措置等となった場合、残された支援を必要とする方である高齢者や障害者、子どもたちの生活を支えるために支援策の検討に取り組むべきであると例示を行ってきたところです。障害児や障害者を抱える保護者の方々から強く御要望をいただいている事案でもあります。具体的な取組の実施状況や検討状況について、伺います。

 加えて、本当に困窮している方に、支援を必要とする人に、真に必要な支援策を区として実施すべきであるとの考えをここで重ねて述べておきます。

 次に、PCR検査等について、伺います。

 新型コロナウイルス感染拡大の防止のためにはどの程度までPCR検査等の実施の充実を図るべきか、有識者の中でも見解が分かれるものの、おおむね現在のPCR検査等の実施数よりも増やすこと、またその検査体制の強化・充実を図るべきとの見解での多数の一致が見られると言えます。公明党においても、PCR検査に限らず有効な様々な検査を活用すること、またその検査体制、感染リスクの高い分野の集中的な検査の実施など効果的な対策を取りまとめ、国、東京都、中野区と連動する形でそれぞれの要望書の提出を行ってまいりました。国においては、感染拡大地域では医療・介護の職員全員、利用者全員が一斉に定期的にPCR行政検査が受けられるように、また高齢者や基礎疾患のある方は本人希望の検査に国が支援を行う方向との発表となりました。東京都においては、追加補正予算の内容に、高齢者施設や障害者施設を対象に、重症化するリスクが高い利用者と職員のPCR検査費を東京都独自に全額補助する費用が盛り込まれました。対象は、利用者の要介護度が高い特別養護老人ホームや介護施設などをはじめ、障害児・障害者施設を含む約860施設となっています。保健所や検査・医療体制に負担がかかる行政検査ではなく、民間施設が実施するスクリーニング検査の費用を都が補助すること、スクリーニング検査の結果、陽性となった場合には保健所と相談の上、医療機関で確定診断をするとのスキームの発表がありました。PCR検査を受ける利用者、職員の数は約15万人以上に上り、東京都は一斉検査、定期検査を想定しています。スクリーニング検査を実施する民間検査機関の公募を行い、今月9月の定例会での補正予算が可決され次第、事業をスタートさせたいとも発表しています。PCR検査を取り巻く状況に目まぐるしい変化が生じていますが、行政報告では、身近な医療機関で受けられる体制を目指すとのみ述べられましたが、これでは心もとないと感じます。国や都の情報収集に努めるとともに、区としてのPCR検査体制の充実に取り組むべきと考えますが、伺います。

 併せて、現在のPCR行政検査による実施可能人数は何人か、確認のため伺うとともに、区内の高齢者施設や障害者施設を対象に一斉に定期的に利用者と職員のPCR検査を実施するために、区のPCR検査体制の支援策の充実・強化を進めるべきと考えますが、伺います。

 東京都の基準では、施設を中心とした民間検査機関によるPCR検査の拡充実施を目指すこととなりますが、国の目指す方向には高齢者や基礎疾患のある方は本人希望の検査に国が支援をすると示されています。国の判断基準である高齢者や基礎疾患のある方でPCR検査を希望する方の検査実施体制を整えるとともに、加えて全国でも高い感染拡大の状況のある中野区においては、安心して事業を行う上で必要となる場合など、PCR検査の希望者に一定の要件を設定しての助成制度を設けるなど独自の支援策に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

 次に、PCR検査に伴う情報提供の在り方について、伺います。

 介護サービス事業者へ利用者の感染情報を伝えることにより感染予防に努めてもらうことが可能であるのか、また現在漏れなく利用者の感染情報の伝達が行われているのか、この点についてお尋ねいたします。

 訪問介護事業等に携わる方々からたくさんの御要望をいただいている案件でもあります。例えば、介護サービスの利用者の方が濃厚接触者となりPCR検査を受けることとなった場合や、PCR検査の結果が陽性となった場合、自宅療養中となった場合など、利用者の情報、個人情報の保護に配慮しながらも、感染拡大予防のために区が適正に関係者へ情報提供を行うための体制整備を行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。

 次に、新型コロナウイルス罹患者が排出するごみの収集・回収について、伺います。

 自宅療養を余儀なくされる罹患者が排出するごみの中には感染するおそれのあるごみが含まれることとなります。区は、ごみの出し方について、自宅療養者にどのような指導・手引きを行っているのか、伺います。ごみの収集・回収について、感染予防のために特段の手段を設けるべきではないかと考えますが、伺います。

 また、この間、施設での大規模感染拡大の事例も発生したところです。施設からのごみの収集・回収について、収集・回収に当たる職員や事業者に対して、区は感染予防のためにどのような情報提供と予防策や支援策を行ってきたのか、伺います。

 改めて、ごみの収集・回収について、感染予防のために区は収集・回収に当たる職員、事業者への情報提供の在り方、その体制の整備と支援策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。

 次に、新型コロナウイルス感染症の長期化する感染拡大に伴い生活に困窮する世帯への支援策について、伺います。

 現行の支援策である住居確保給付金や、社会福祉協議会が主たる窓口となっている生活福祉資金の特例貸付や、緊急小口資金等の特例貸付の給付や貸付状況、また区内事業者向けの産業融資の貸付状況の現況をお伺いするとともに、困窮する世帯への追加支援策や区内事業者への追加支援策について具体的に検討を進めるべきと考えます。特に社会福祉協議会での生活福祉資金の特例貸付は、3か月から6か月へと貸付けの延長がこれまで行われてきましたが、さらなる延長についても検討されているところです。区の独自融資制度である産業融資の貸付けについても延長すべきと考えます。行政報告において、「誰一人取り残されることなく安心した生活を営めるよう、きめ細やかな支援策を講じるなど、迅速かつ的確に取り組んでいく必要がある」と述べられましたが、区としての具体的な施策の検討について、お伺いいたします。

 次に、インフルエンザワクチンの予防接種について、伺います。

 インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行に備えるため、高齢者のインフルエンザワクチンの予防接種の費用の助成を拡充すべきであると、都議会公明党として東京都に要望を重ねてきたところです。東京都は、インフルエンザと新型コロナウイルスが同時流行した場合、患者の重症化や医療機関の負担が増えるおそれがあるとして、60歳以上で基礎疾患がある人と65歳以上の高齢者にはインフルエンザワクチンの予防接種を実質無料とする決定を行いました。高齢者のインフルエンザワクチンの予防接種は、中野区においては2,500円の自己負担があり、この金額を都が負担することにより本人負担が無料となります。東京都は約75億円の新たな補正予算案を計上していますが、本人負担無料となればワクチン接種の希望者が増えるため、区として必要な対応を進めることとなっています。「60歳以上の基礎疾患のある高齢者」との条件の「基礎疾患」に該当する疾患とは何か、またインフルエンザワクチン予防接種を受ける方法や案内について、お尋ねいたします。

 この項の最後に、行政報告では、5月15日には健康危機管理対策本部から危機管理等対策会議へ移行し、「全庁一丸となって感染症対策に取り組んでいるところ」と述べられましたが、「全庁一丸」との表現に違和感を覚えます。全庁的に取り組むに当たっての状況判断や政策判断の司令塔を担ってきたのはどこか、企画部や総務部が担ってきたというのであれば、それぞれの事業部と連携を取りながら政策決定を行ってきたとの経緯が見えない案件が多々見受けられます。この間の新型コロナウイルス感染症対策に対する区の取組の検証について、保健所任せの検証とせず、区としてのこれまでの取組をまとめ、全庁的に検証する機会を設けるべきと考えます。検証なくして意識改革もないと思いますが、伺って、この項の質問を結びます。

 次に、(2)教育行政について。

 オンライン学習について、伺います。

 緊急事態宣言下、区は、区立小・中学生全員、中学3年生から小学1年生までの全員に家庭でのオンライン学習を実施するため、家庭においてタブレットやモバイルWi-Fiルーターなどインターネット環境がない場合にはこれらを貸与する体制を整えるとしてきましたが、中学生全学年と小学生は6年生までの準備までしか整わない結果となりました。改めて、この間の計画と区の取組をお伺いいたします。

 来年3月からは、GIGAスクール構想として、区立小・中学生全員、中学3年生から小学1年生まで全ての生徒・児童に1台のタブレットを家庭での端末の有無にかかわらず貸与するとしています。他方、これまで貸与してきたルーターについてはどのような取扱いとなるのか、伺います。

 就学援助世帯において、国は、オンライン学習の支援のためインターネットの通信費を、上限設定があるものの、基礎自治体が2分の1を負担する場合、残りの2分の1を負担するとしています。区として、就学援助世帯へのオンライン学習の支援のためインターネット通信費の助成に乗り出すべきと考えますが、お伺いいたします。

 ソフト面での学習ツールとして、おまかせ教室やグーグル・クラスルームなどを活用してきたと聞きます。学校間、教員間での活用に差が生じているとも感じるところです。今後の中野区のGIGAスクール構想を本格的に実施するに当たり、学校間、教員間での取組の差を解消するための支援策を充実させる必要があると考えますが、区としての取組を伺います。

 生活困窮世帯の小・中学生への学習支援について、伺います。

 小学生は学習の仕方を身につけ学習習慣の定着を図るとともに、中学生は受験対策としての学習指導により高校進学を目指すと、事業の位置付けを行っています。新型コロナウイルス感染拡大のこの間の取組をお伺いするとともに、オンライン学習の環境が整うことでの新たな活用策や今後の生活困窮世帯の学習支援事業、特に中学3年生の受験対策としてさらなる拡充を望みますが、区の取組をお伺いいたします。

 この項の最後に、修学旅行について、お伺いいたします。

 今年度は、様々な学校行事がことごとく中止または縮小となっています。感染抑止のためやむを得ない措置であることは理解するものの、リスクを軽減しながら何らかの取組ができないものかと思うところです。特に全学校において中止となった修学旅行について、何か子どもたちを応援してあげられる代替案の実施ができないものか、またその費用は区が支援すべきと考えますが、区の考えを伺い、この項の質問を終わります。

 次に、(3)区内事業者等の支援策について、伺います。

 長期化する新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済への影響は、飲食業界、観光業界へさらに重くのしかかるとの分析があります。区内商店や事業者からの悲痛な声を受け止めて、他区ではお得感のあるプレミアム商品券事業が実施または予定されているところです。港区や練馬区、品川区では30%が上乗せされるプレミアム商品券事業を行うとしています。また先日、目黒区においては、50%が上乗せされるプレミアム商品券事業を行うとの報道もあったところです。さらに、目黒区では、目黒区民のみならず区民以外の方もプレミアム商品券を購入できる仕組みを設けて区内の景気経済を動かそうとしています。もはや競争です。中野区においても区内商店、事業者を応援するため、他区に負けないお得感のあるプレミアム商品券事業を実施すべきと考えますが、区の英断を伺います。

 また、特に一番大きな影響を受けている飲食業を優遇する形での事業の実施を検討するとともに、一定基準の感染対策を設けた店舗での利用を条件とするなど、感染拡大防止対策の推進とともに支援策も検討すべきと考えますが、併せてお伺いいたします。

 次に、商店街の街路灯の電気料金について、伺います。

 中野区商店街連合会の皆様より、このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大による影響により商店会費の徴収を中止している商店街があり、商店街の街路灯の電気料金の立替払いに苦心しているとの声が上がりました。区内商店街の街路灯の電気料金は立替払い後の精算となっている方式を前払い方式に改めるなどの実施を求めますが、区の考えを伺います。

 次に、入札制度について、伺います。

 明年度以降、歳入の大幅な減少が予想される中、区の発注する入札案件にも影響を及ぼすことは避けては通れない状況です。そこで、区内事業者を守るために、全ての公共事業など区としての発注案件の入札形式や要件、金額等について区内事業者を優遇する見直しを行い、区内事業者を守る入札制度改革を実施すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、(4)今後の財政見通しと令和3年度予算編成について、伺います。

 新型コロナウイルス感染症の影響は、財政基盤が弱い中野区にとってはもはや緊急事態であると述べてきました。大規模な計画の見直しと財政運営の在り方の見直しに着手しなければ、区財政は困難を極める事態になる。影響を見定めてからの判断では打てる施策も限られてしまうとも訴えてまいりました。改めて今後の財政見通しを伺うとともに、その見通しに立っての区政運営について、財政調整基金の年度間調整分の現在残高、その取崩し計画を何年にわたり年度間調整分として活用を図り、歳入の減少を補おうとする考えなのか、お伺いいたします。

 令和3年度の予算編成に当たっては、削減が必要となる予算規模を幾らと算定するのか、伺います。

 令和3年度の基準となる一般財源規模を幾らと設定するのか、伺います。

 削減が必要となる予算規模に見合う個別の事業の捻出方法や条件をどのように実施するのか、伺います。

 るる質問させていただきましたが、さらなる質問・指摘については、決算特別委員会における我が会派の総括質疑に立つ木村議員、日野議員、久保議員にバトンを託したいと思います。

 次に、行財政の構造改革について、伺います。

 行政報告には、歳入に見合った歳出とするため、歳出削減を行財政の構造改革で捻出するとのキーワードが並びますが、私にはマジックワードにしか聞こえません。年内には結論を導き出さなければ来年度の予算編成に間に合わない状況下、僅か数箇月で構造改革を示すことは容易ではないと思います。構造改革で歳入に見合った歳出削減が可能であるという具体的なスキームの明示を求めます。

 次に、基本構想・基本計画、財政フレーム、区有施設の再整備計画の策定と優先すべき複数年の緊急計画の策定の関係性について、伺います。

 将来10年を構想期間とする基本構想、5年を計画期間とする基本計画、その裏付けが必要となる財政フレーム、財政フレームの大きな位置を占める区有施設の再整備計画について、いまだ骨子すら示されていない状況です。さらに、構造改革を反映した基本計画を示すと行政報告で述べられましたが、現実味がないとすら感じます。景気の大幅な後退局面にあって見通しが不透明にならざるを得ない状況下、率直に直近の複数年の緊急計画の策定を優先すべきではないかと考えますが、助け舟のつもりでお伺いいたします。

 行政報告の項の最後に、新型コロナウイルス感染症禍の緊急事態に直面している区の今後、複数年にわたる区政運営について、施政方針や行政報告を区長自身が行うべきであったと6月の前定例会でたださせていただきました。適切な行政報告のタイミングについて、今回は議会日程の急な変更も行ったところです。今後の先を見越しての対応を臨むとともに、区の見解を求め、この項の質問を終わります。

 次に、2、防災対策について、伺います。

 水害リスク情報について、伺います。

 本格的な台風シーズンの到来となりますが、先日、中野区においては水害ハザードマップの更新がなされました。今回の更新は、新たに住宅地図上に浸水予想区域が示され、従来では分からなかった個々の住宅の浸水予想が示されるようになりました。一方、宅地建物取引業法の改正により、水防法の規定に基づき作成された水害ハザードマップにおける取引対象物件の所在地について説明することが義務化され、過日の8月28日より施行されています。不動産の売買や賃貸契約時に水害リスクについての説明が義務化されたということです。区としての水害ハザードマップ情報提供のために、冊子の配布やホームページでの周知方法などどのような対応がなされているのか、お伺いいたします。

 次に、遠隔避難所の開設推進について、伺います。

 避難所の混雑解消のためにも、中野区民の避難所を中野区外に開設する遠隔避難所の開設推進についての提案を行ってまいりました。なかの里・まち連携自治体と遠隔避難所の具体的想定を含む防災協定の締結・推進とともに、連携自治体における旅館・ホテルを借り上げるため、平時での取組を含め、業界団体への理解促進のための取組を推進すべきと考えますが、伺って、以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 白井議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、行政報告について。最初に、社会福祉施設での感染症対策についてでございます。保育園を休園措置した場合でも、濃厚接触者に特定されなかった園児で特に保育が必要な場合は当該園において保育体制が整った場合に保育を提供しております。高齢者や障害者の施設では、職員や利用者が陽性になった場合は感染拡大防止対策を講じて、関連する施設の職員にバックアップを要請するなどしてサービス提供の継続を図るよう努めているところでございます。また、同居する家族が陽性の場合、子どもは親と共に自宅またはホテルでの療養を勧めています。障害者につきましては、関係事業所にアンケート調査を行うなど具体的な支援の調整を図っているところでございます。課題となっている支援者など受け皿の確保に向けて今後も働きかけていきたいと考えております。

 次に、区のPCR検査体制についてでございます。新型コロナウイルス感染症の早期診断と重症化予防のためにはPCR検査や抗原検査等の実施が極めて重要であると認識をしているところでございます。国や都は、御指摘のように、これらの検査を身近な地域で受けられるよう様々な方策を検討しているところであります。区も、国や都の動向に関し積極的な情報収集に努めるとともに、地区医師会及び区内病院と協議を始めているところでございます。なお、中野区PCR検査センターにおきましては、週300件まで検査が可能でございます。

 次に、高齢者施設を対象としたPCR検査の支援策についてのお尋ねでございます。御指摘のPCR検査は、症状のある方の臨床診断や濃厚接触者に対しては早期の診断や防疫対応の面からは有効な検査である一方で、エッセンシャルワーカー等への定期検査としては精度管理、それから検査の間隔、そして陽性時の事業継続の問題や防疫業務との連携の在り方等、多くの課題を有していると考えております。このため、区としては、都が実施する高齢者・障害者支援施設等における新型コロナウイルス感染症対策強化事業、こちらの成果を含め、在り方について慎重に見極める必要があると考えております。

 次に、区と介護事業者との情報共有についてでございます。介護サービス事業所は、その利用者がPCR検査を受けた場合、区への報告とともに、ケアマネジャーを通じて該当利用者の利用している他の事業所へ情報共有を図っているところでございます。今後も区は、陽性が判明した場合を含め、感染拡大予防を第一に、個人情報保護に配慮しながら適切な情報共有に努めていきたいと考えております。

 次に、住居確保給付金、福祉貸付金、産業融資の現状及び今後の支援策についてでございます。住居確保給付金につきましては、4月から8月までの間に1,426件の支給決定をいたしました。今後も離職、廃業または休業等によって経済的に困窮し住宅を失っている方やそのおそれがある方を対象に申請を受け付けてまいります。一方で、社会福祉協議会で実施している緊急小口資金及び総合支援資金は、4月から8月までに、緊急小口資金が4,820件、総合支援資金が2,783件の貸付けを行っているところでございます。現在、国において受付期間及び期間の延長について検討していると聞いております。令和2年4月から無利子で行っております中野区産業経済融資における新型コロナウイルス対策緊急応援優遇、こちらは9月4日現在で873件の申込みを受けております。本制度につきましては、受付期間を9月30日まで延長していたところでございますが、国における新型コロナウイルス感染症の影響の長期化への対応でございます融資保証制度の認定期間の延長等と合わせ、12月28日までの再延長を行いたいと考えているところでございます。

 次に、高齢者インフルエンザワクチンの要件と接種方法についてでございます。高齢者インフルエンザワクチンの助成は、接種日現在60歳以上65歳未満の方の場合は心臓、腎臓、呼吸器の機能またはHIVにより免疫機能に1級相当の障害のある方に対して行っているところでございます。接種期間は10月1日から翌年1月31日までで、23区の指定医療機関で受けることができます。対象の方には9月末に予診票を発送しますが、区報、ホームページ等でも周知を図ってまいります。

 次に、教育行政についての中で、中学3年生に対する受験対策の御質問についてでございます。生活困窮者家庭の子どもたちへの学習支援として、小学校6年生及び中学校1年生から3年生を対象に、「しいの木塾」を実施しているところでございます。中学生に対しては、公開模試等による学力診断を行って生徒の学習理解度や課題を把握した上で支援を行っているところでございます。特に受験を控えている中学3年生に対しては、席の間隔を空けて密になるのを避けるなど感染症対策を取りつつ対面指導を行っておりまして、個別相談により学習の進捗度を確認するとともに、志望校に合わせた受験指導を行っているところでございます。今後、ICTの活用についても検討してまいります。

 次に、今後の財政見通しと令和3年度予算編成についてのうち、区議会への区政運営に係る報告についての御質問でございます。区民の生命や生活のみならず、経済・社会にも大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症への対応等につきましては、首長として、区議会に対し、直接、今後の方針や考えを述べることは必要なことであると考えております。今般の行政報告に当たりましては、議会日程変更など御配慮いただいたところでございますが、今後の区政運営に当たっては区議会や区民の皆さんの理解と協力が不可欠でございます。時期を逸することなく区議会への報告等を行っていきたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、教育行政について、お答えいたします。

 まず、在宅学習支援の取組についてでございますが、休業期間中の在宅学習のために、家庭でのICT環境が整っていない世帯にタブレット端末とモバイルルーターを貸与することとしておりましたが、全国的に機材が不足しており調達が困難だったため、オンライン学習の準備が進んでいる中学校、特に受験を控えている中学校3年生から順次対応し、次に小学校に導入することといたしました。分散登校終了までに調達できましたのは小学校6年生まででございました。この在宅学習支援の取組は、学校が休業することへの対応として10月末までを想定しておりましたが、GIGAスクール構想へつなげるためにも機材の貸与は2月末まで継続したいと考えております。

 次に、ネット環境がない世帯への支援についての御質問でございますが、在宅学習支援で貸与しているルーターは2月末まで継続したいと考えておりますが、今後始まるGIGAスクール構想ではルーターは各御家庭で準備していただくことを想定しております。なお、国は、新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業時においても子どもたちの学びを保障できるよう、オンライン学習に係る通信費への支援が急務であるとして要保護児童生徒援助費補助金及び特別支援教育就学奨励費補助金交付要綱を一部改正したところでございます。区としても、就学援助世帯への通信費の上乗せの活用を検討してまいりたいと思います。

 次に、取組の学校間格差等の解消について、お答えいたします。現在、区としてICT環境やオンライン学習教材の整備を計画的に進めているところでございます。また、ICT学習支援員の配置を進めており、各学校の取組の支援や保護者の方々の御質問などに対応しております。各校においてもICT教育を推進し、機器の操作など子どもへの技能指導などを行っておりますが、学校間の取組の差を縮めるためには教員の技能習熟と意識改革が必要と考えております。来年度にはどの学校でも十分なICT学習環境が整えられるよう、今年度中に教職員対象の研修や先進的な取組を行っている学校の成果の普及を図るとともに、ICTの活用について次年度の教育課程や指導計画に全校位置付けさせてまいります。

 最後に、修学旅行の代替行事についてでございます。修学旅行は、中学校生活を締めくくる行事であり、様々な教育的効果も期待されているものでございます。修学旅行に代わる事業としては、事業内容はもちろん、新型コロナウイルス感染防止対策等について学校、保護者等の意見をお聞きしながら、教育委員会で引き続き検討してまいります。また、代替事業に係る経費につきましては、どこまで支援すべきか、慎重に検討してまいりたいと思います。

〔環境部長朝井めぐみ登壇〕

○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、新型コロナウイルス感染症罹患者が排出するごみなどの収集についての御質問にお答えいたします。区は、自宅療養者に対して、感染症対策としてのごみの捨て方を記載したチラシを配付し、ペットボトルやプラスチック製容器包装は例外的に燃やすごみに出していただくことや、瓶や缶は洗ってから1週間程度自宅で保管し、その後資源として出していただくようお願いしております。収集作業におきましては、職員のマスクや手袋の着用、日常的な消毒作業などを行うことによりまして感染予防を徹底しているところであり、委託事業者にも徹底を求めているところでございます。新型コロナウイルス感染症へのこれまでの対策の検証を行いながら、今後も必要な対策等を進めてまいります。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についての項のうち、感染症対策の検証についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策の中核となる保健所における防疫業務とともに、医療・生活・経済の三つの柱を掲げて取り組んできた対策の検証を行いますことは、今後より的確な対策を打ち出す上で必要であると認識しているところでございます。いわゆる健康危機管理的な対策に関しましては、保健所を中心に検証を進めているところでございます。その他の対策事業につきましても、対策事業の実施状況と併せまして事業の効果や実施のタイミングなども適宜取りまとめ、庁内において検証する機会を設けていく考えでございます。

 続きまして、今後の財政見通しと令和3年度予算編成についての項のうち、今後の財政見通しと財政調整基金活用の考え方について、お答えいたします。現時点において前年度当初予算比92億円の減収、令和3年度の財産費を除く一般財源収入額は687億円を見込んでございます。また、財政調整基金の年度間調整分の現在残高はおよそ160億円でございます。一般財源収入額が令和2年度当初予算額の水準に戻るまで数年を要するものと考えてございますが、確定はまだできないこと、また各年の収入見込みについても見込みが立たないため、財政調整基金の活用についての具体的な数値等を示すことは現段階では難しいと考えてございます。

 続きまして、令和3年度予算の削減規模についてでございますが、まずは財政調整基金の繰入れを前提としないで予算編成を進める考えでございますことから、経常経費の削減目標額を2割と設定して考えてございます。

 続きまして、基準となる一般財源規模についてでございます。これまでは過去の歳入の推移、また今後の歳入見込みを踏まえまして基準となる一般財源規模を定め、これを歳出の基準として将来の安定的な財政運営を見据えて編成を進めてきたところでございます。令和3年度につきましては、大幅な歳入減が予想されている中で、現時点における前年度当初予算比92億円の減収見込みをもって基準を定める異例な状況での予算編成となります。具体的には、令和3年度については現時点における一般財源の収入見通しにより基準額を687億円と定め、これを歳出の基準として予算編成を行ってまいります。

 続きまして、削減額の捻出方法についてでございますが、新規拡充事業につきましては、真に必要であり優先度の高いものとし、関連する既存事業の統合・再編・見直し等、事業のスクラップにより経費を生み出す考えでございます。経常経費についても削減を原則とし、全ての事業について事業の効果及びその原因の分析を行った上で、効果が上がっていないものについては事業の廃止・統合・縮小・休止、執行方法の変更等について検討を行ってまいります。また、構造改革を進める中で、組織横断的な事業の統合等、区全体を見据えながら歳出構造にメスを入れる考えでございます。

 続きまして、歳出削減の具体的スキームの明示でございますが、行財政の構造改革を進める上では、令和3年度の予算編成に向けて検討する事業の見直しなどの短期的なものと、施策・施設・組織の三つの再編など中・長期的に取り組むものの、二つの側面から改革のメスを入れていく必要があると捉えてございます。特に令和3年度に向けた歳出削減に向けては、プロジェクトチームから検討の視点を示し各部に指示することで具体的な検討を進め、歳入に見合った歳出削減を目指していきたいと考えてございます。

 続きまして、直近の緊急計画の策定を優先すべきではないかということのお考えについての御質問でございます。非常に厳しい財政状況が見込まれる中、令和3年度の予算編成においては、事業の廃止・縮小・先送りといった抜本的な見直しを行うなどの直近の緊急的な対策を講じるとともに、中・長期的な行財政の構造改革にも同時に取り組んでいく考えでございます。この大変厳しい状況であるからこそ、区、区民、議会が10年後に目指すまちの姿を共有し区政運営をどのように進め取り組んでいくのか、また優先順位を明らかにすることが大事であるとも捉えてございまして、基本計画、区有施設整備計画にその内容を定めていくことが必要であると考えてございます。両計画とも、本年第4回定例会で骨子をお示しし、来年8月に策定する考えでございます。

〔区民部長青山敬一郎登壇〕

○区民部長(青山敬一郎) 私からは、区内事業者等の支援策についての御質問のうち、最初にプレミアム付商品券事業について、お答えいたします。新型コロナウイルス感染症対策としてのプレミアム付商品券事業につきましては、他区での実施状況や効果などを注視しているところでございます。中野区商店街連合会からの要望もありますことから、その実施について検討を行ってまいります。飲食業を支援することや感染拡大防止と併せた実施方法などにつきましても、区の関係部署及び商店街連合会と連携し検討していきたいと考えております。

 次に、商店街街路灯の電気料金についてでございます。中野区内の各商店街の街路灯の電気料金につきましては、従来より1年分まとめての助成を行ってきたところでございます。このコロナ禍における各商店街の状況に鑑み、早期の支払い等について商店街連合会と調整を行ってまいりたいと考えております。

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、区内事業者の受注機会の確保についての御質問にお答えいたします。区は、これまでも地域事業の担い手となる区内事業者の保護・育成のため受注機会の拡大を図ってきたところでございます。今後、景気の低迷が見込まれる状況において、区内事業者の履行力の向上や災害の緊急対応の確保という観点からも区内事業者を優先した入札制度を継続していくとともに、一定の競争性を確保できるか等を勘案しながら、区内事業者の受注機会の拡大を検討してまいりたいと考えてございます。

〔危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、防災対策について。まず、洪水ハザードマップの周知方法について、回答いたします。洪水ハザードマップは、昨年の台風19号など、各地で水害による被害が甚大化していることから、区民が水害に対する備えに一層強化できるよう浸水予想区域など地図の明瞭化、避難行動や情報収集手段などを充実するとともに、新たに外国語版を作成したところでございます。改訂したハザードマップは、浸水予想区域の約3万5,000世帯に個別配付するとともに、区本庁舎や各区民活動センターで配布することとしてございます。また、区ホームページには、冊子全体及び地域ごとのハザードマップを確認、プリントアウトできるようにデータを掲示しているところでございます。

 続きまして、連携自治体との施設提供の取組についてでございます。連携自治体と締結している災害時における相互応援に関する協定では、相互の被災者の受入れ及び一時収容のための施設の提供を項目の一つとしているところでございます。連携自治体における旅館・ホテルを借り上げることにつきましては、相手方自治体と協議しつつ、業界団体への協力依頼などについて検討してまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で白井ひでふみ議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時13分休憩

 

午後3時35分開議

○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 区長の政治姿勢と行政報告について

  (1)被爆75周年にあたって

  (2)行政報告にかかわって

  (3)その他

 2 「子育て先進区」について

  (1)子どもの貧困について

  (2)少人数学級について

  (3)GIGAスクール構想について

  (4)その他

 3 介護保険制度について

 4 リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康・権利)について

 5 その他

 

○議長(高橋かずちか) 長沢和彦議員。

〔長沢和彦議員登壇〕

○41番(長沢和彦) 2020年第3回定例会本会議に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。

 初めに、区長の政治姿勢と行政報告について。

 被爆75周年にあたって、お伺いいたします。

 広島・長崎に原子爆弾が投下されてから75年目の夏を迎えました。長崎市平和式典では、平和宣言の冒頭に、長崎市長は、「どうして私たち人間は、核兵器をいまだになくすことができないでいるのでしょうか。人の命を無残に奪い、人間らしく死ぬことも許さず、放射能による苦しみを一生涯背負わせ続ける、このむごい兵器を捨て去ることができないのでしょうか」と問いました。同じ平和式典では国連事務総長が、「75年という長い歳月は過ぎたにもかかわらず、核兵器の恐ろしさと被爆者の方々から重要な教訓は学ばれていない。国連が勇敢な被爆者一人ひとりのメッセージを受け継いでいくことを誓う」とメッセージを寄せています。国連で2017年に採択された核兵器禁止条約は、現時点で84か国が署名し、44か国が批准しています。条約発効に必要な50か国の批准に向けて、さらなる国際世論を巻き起こすときです。日本世論調査会の8月発表の調査では、核兵器禁止条約に参加すべきという国民は72%に上っています。中野区では、憲法擁護・非核都市の宣言から38年、平和行政の基本に関する条例制定から30年がたちました。

 そこで伺いますが、被爆75周年の8月6日と9日を区長はどのような思いで迎えられたのでしょうか。また、核兵器禁止条約の発効が迫っていることにどういった思いを抱いていらっしゃるのか、伺います。

 関連して、(仮称)中野区平和資料展示室について、お聞きします。

 新総合体育館の開設に伴って、(仮称)平和資料展示室がオープンします。総務委員会での報告によれば、パネル、収蔵品を五つのテーマに関わって展示することにしています。また、映像展示や収蔵図書についても鑑賞・閲覧ができるようにもしています。結構なことですが、ぜひ充実を図り、訪れた人たちが鑑賞・閲覧しやすいように工夫していただきたい。目的を持って訪れる方だけでなく、新体育館を利用する方々にも鑑賞等をしていただけることを期待するものです。この機会に、区民に呼びかけて、戦争に関わる遺品など展示物の収集を行うことを検討してはどうですか。また、企画展の実施を検討しているようですが、東京都の協力も得ながら収蔵品を借りるなどにも努めていただきたいと考えますが、答弁を求めます。

 二つ目に、行政報告にかかわって、伺います。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、区では感染症対策に取り組んでいます。そのことをねぎらいつつ、コロナ危機から区民をどう守るのか、感染症対策の要諦とも言えるPCR検査の拡充について、伺います。

 第2波による市中感染が広がっているもとで、PCR検査の拡充は欠かせません。新規陽性者数が減少した5月に検査数も減少に転じたことが感染の抑え込みとならずに、6月からの感染者拡大となっています。感染源対策でまず重要なのが、症状のある人を確実に診断、保護・隔離し、接触者管理に結びつけること、その次が無症状で感染源になっている人の発見です。その中でも、医療従事者や介護施設の職員など、新型コロナウイルスへの暴露機会の多い人、人との接触の機会が多く感染伝播リスクの高い人には無症状であってもリスク状況に応じて検査を考慮する必要があると言われています。いまだにPCR検査に対する抑止の声がありますが、世界中でPCR検査をやり過ぎると問題になると議論しているのは日本だけです。診断を行う感染疑い者だけに限らず、感染力の強い無症状者の広がりを念頭に、社会的検査としてのPCR検査の実施が必要です。

 8月28日、安倍首相の辞任会見の際に、新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組が決定、発表され、そこでは感染拡大地域の一斉・定期的な検査を都道府県に要請することが盛り込まれました。当然ながら国の財政措置が必要となりますが、既に8月8日には全国知事会により緊急提言が発表され、「PCR検査等の戦略的拡大について」として、国の負担による行政検査での実施の検討と民間機関を活用した検査体制の拡充について国の支援を求めています。同時に、国の財政支出を待つだけでなく、中野区としてもできる限りの検査の拡充と検査体制の強化を行うべきではないですか。区長がこの認識に立つことが肝要であると考えます。世田谷区モデルの「いつでも、誰でも、何度でも」を参考に取組を強めることです。また、千代田区では、区内介護施設の職員全員を対象に定期的なPCR検査の実施を決めました。中野区においても、医療機関や介護施設、障害者施設及び保育施設などの職員、入所者等に対して定期的なPCR検査の実施を検討すべきではないですか。伺います。

 行政報告では、地域の身近な医療機関でPCR検査を実施する方向を目指していきたいと述べています。この点はぜひとも速やかに実施を願いたいと考えます。その上で、PCR検査センターの現行実施している枠を医師会の協力を得ながら増やすことが必要と考えます。区内で感染が疑われる人が出ても、PCR検査センターでの検査日に当たらない場合、待機せざるを得ない状況も生じています。また、医療機関でのPCR検査の実施についても、さらに医療機関への協力を求めて箇所を増やすことが大切です。そのためにも、実施している医療機関に対する1日当たり1万円の支給については増額が必要と考えます。既に世田谷区では、発熱外来の設置とPCR検査を実施する医療機関について、3時間以上の診察で1日4万2,700円の助成を行うことにしています。武蔵野市では、小規模な医療機関を含めて補助金を支給することでPCR検査の拡大を図っています。中野区においても検討すべきではないですか。伺います。

 ほかにも、医療機関への感染対策支援について、伺います。

 国の第2次補正予算では、コロナ禍における医療機関への支援策が計上されました。速やかに実施されることが求められます。加えて、中野区として区内医療機関への感染症に係る支援策の検討を求めます。さきに触れた世田谷区では、地域医療機関支援と銘打って、コロナ専用病床として確保したベッドに空きがあった場合は1日1床当たり1万4,400円、区民入院時に1日1床当たり8,000円の助成を行うとしています。院内感染等により外来の休診や病床の使用停止に至った病院、診療所に対して、休診したラインごとに1日4万1,700円、使用停止の病床につき1日8,000円の助成も決めています。また、八王子市では、陽性患者の病床を確保する医療機関に1床につき1万2,000円を基準に国と都の制度に上乗せして補助しています。医療機関の経営逼迫については重々認識されていると思いますが、区内の病院、診療所における実態と要望を把握し、支援策を検討すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 行政報告にかかわって、区財政の見通しと行財政運営について、お聞きします。

 内閣府が発表した今年4月から6月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期から比7.8%、年率換算で27.8%減り、リーマンショック後の17.8%を超える戦後最大の落ち込みとなったと記しています。ただし、新型コロナ感染だけが原因ではありません。日本で現在進行中の景気後退は、上層にコロナ禍による景気後退があり、中層に消費税増税による景気後退があります。さらに下層にここ20年から30年来の長期停滞がある、3層構造として捉えられます。それだけに国も自治体も真剣な行財政運営を模索・探求すべきときです。

 行政報告では、行財政の構造改革の推進として、「行財政の構造改革は、財政的な非常事態に鑑み、これからのおおむね3年間で集中的に取り組み、新しい区政を展開するための体力を養い、その後については、経済や財政の回復状況を見極めながら、刷新された持続可能な区政運営を推進していく」と述べられました。「構造改革」という呼称のイメージが、小泉構造改革やその流れを汲んだ前区政時代の構造改革路線を想起しかねないことは指摘しておきます。問題は、日本では、いわゆる新自由主義による構造改革路線が規制緩和による雇用破壊や自治体レベルでの小さな政府、官から民へなどにより自治体が大きく変質したことで今日の貧困と格差の拡大をもたらしたことです。コロナ危機により世界的に新自由主義路線が破綻したことは明らかとなりました。リーマンショックを挟み、結果的にあらゆる面で国も自治体ももちろん中野区においても財政出動せざるを得なくなりました。この轍を踏んではなりません。要は、目先の採算・効率だけに目を奪われてはならないということです。区民福祉を守ることで経済・財政の改革につなげていけます。「改革」を言うのであれば、そうした展望を持っていただきたい。新自由主義による構造改革で生活基盤が掘り崩されてきました。その上での新型コロナ感染症です。直接区民生活を支える事業については、実施の継続とともに拡充を図ることも検討すべきです。見解を伺います。

 基金への積立てと繰入れについても伺います。

 財政調整基金の昨年度末残高は279億円、そのうち年度間調整分は165億円であると言います。例年、第3回定例会において、昨年度の決算剰余金のうち今年度予算で繰越金に計上された4億円を除いた全額が財政調整基金に積み立てられています。実質収支額(決算剰余金)は、この5年間で見ても29億円から22億円を超え、リーマンショック後の2009年度から昨年度の平均で見ても22億円の実質収支額となっています。新型コロナウイルス感染がどこの時点で終息するかは分かりませんが、感染症対策への財政措置を行いながら、財政調整基金の繰入れによって歳入における一般財源の確保は一定程度可能ではないでしょうか。

 また、特定目的基金の積立てについても、コロナ及びコロナ後の状況にふさわしく見直しを図ることが必要です。当初予算における積立金については精査をし、一般財源の確保に努めることが必要だと考えます。見解を伺います。

 まちづくりの開発事業は慎重であるべきです。開発規模に比例して財源も大きくなるのが常であり、見直しは必須と考えます。同時にコロナ後の社会を展望したとき、これまでの方針、計画での執行が無駄と浪費になりかねない事態も懸念されます。新型コロナ感染は、そのことを行政に突きつけていると考えます。テレワークの普及によりオフィス需要が減ることが予想されています。住宅マンションにしても、オリンピック・パラリンピック熱狂が終わり、マンションバブルが崩壊すれば不動産としての資産価値は大幅に下がることにもなりかねません。また、7,000人規模の多目的ホールにしても、中野区に整備することが本当に必要なのかと疑問を持たざるを得ません。都内各区においては、財政の逼迫により計画の見直しが相次いでいます。荒川区はホール整備を断念、足立区では本庁舎の大規模改修計画を見直し、世田谷区も庁舎の整備計画を一部見直すと報じられました。これら各区の事業は、計画を見直し、事業費の削減を図ろうというものです。確かに中野駅新北口駅前エリア再整備計画のように専ら新庁舎の経費を賄おうとする中野区とは違います。しかし、財政面だけではなく、将来を見通した事業として検討を重ねることは必要であると考えます。新型コロナウイルス感染の終息の見通しが立たず、終息後においても新たなウイルス感染あるいは気候変動による自然災害などの発生は、都市再生を強力に進めたここ20年余りの開発事業、都市計画の規制緩和の在り方が厳しく問われています。そうした時代を迎える中で、果たして現在描いている中野駅新北口駅前エリア再整備計画でよいのか、禍根を残すことのないよう検討を重ねるべきではないですか。

 また、新庁舎整備が目前に迫っていますが、特別委員会でも議論になったところですが、整備事業を後年に送ることは本当にできないのでしょうか。区が予定どおり進めるとしている以上、違約金云々も議論に付されることはありません。直近の財政削減にはならなくても、コロナ及びコロナ後を考えたときに後年度の財政負担を生じさせないためにも、いま一度検討を重ねるべきではないですか。見解を伺います。

 中野四丁目西地区の市街地再開発についてもお聞きします。

 当該地区は、組合施行の市街地再開発を予定しています。現在は、準備組合で都市計画の手続も視野に入っている状況です。市街地再開発には区が補助金を支出し、バス乗降場や公共駐輪場の整備、歩行者デッキなどの地域貢献として整備を計画しています。新型コロナ感染後のタワーマンションの整備は新たな課題を住民に突きつけていると考えます。感染症対策などは、生物医学的にも社会疫学的にも検討することが必要だと言われています。今はまだ改善されていない点が多過ぎます。にもかかわらず、準備組合の理事長名で準備組合員宛に今月下旬の臨時総会開催通知を出し、議案「再開発事業の推進承認の件」として準備組合員に承認議決を求めています。これだけコロナ禍の社会・経済・生活スタイルに至るまで議論されているときに、何事もなかったかのように臨時総会を開催して承認の議決を得ようというのはいかがなものか。しかも、はなから臨時総会に準備組合員を真剣に集めようとはしていないようでもあります。区は、都市計画決定手続を急がせるのではなく、準備組合に対して時間をかけて検討を重ねるよう助言すべきではないですか。伺います。

 次に、「子育て先進区」について。

 初めに、子どもの貧困の解消について、伺います。

 昨年6月に、子ども貧困対策推進法が改正され、区市町村による貧困対策計画の策定が努力義務とされました。旧法では、子どもの貧困対策を、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないようにするための施策と規定していましたが、改正された新法では「現在及び将来」と改め、子どもの現在の生活を改善することも子どもの貧困対策のターゲットに加えられました。子どもの現在にも目を向けた施策が必要であることが確認されたということです。区は、昨年度に子どもと子育て家庭の実態調査を実施しています。改正された新法の意義とともに、この調査結果を踏まえ、どのように貧困対策を進めていくのか、見解を伺います。

 さきの第2回定例会でも第4次補正予算により、国の事業であるひとり親世帯臨時特別給付金が実施されました。対象世帯は児童扶養手当受給世帯、直近収入が児童扶養手当対象水準となる世帯など、1,630世帯を見込んでいます。ひとり親世帯への新型コロナ感染症対策に係る支援の強化です。ひとり親世帯の多くはもともと経済的に困窮している世帯です。さきの実態調査では、生活困難層の割合と世帯タイプ別の分布が示されました。生活困難層は、二人親世帯に比してひとり親世帯が2世代、3世代ともに多いことが見てとれます。今般のコロナ禍で日本社会の貧困が顕在化したとも言われ、ひとり親世帯の厳しさが改めて浮き彫りにもなりました。都内では、幾つもの区と市で国の事業に上乗せする支援が行われています。中野区としても、さきの国の事業にとどまらず、増額の支援を検討すべきではないですか。伺います。

 今年度より高等学校等就学支援金制度が始まっています。所得制限があるものの、公立と私立高校の無償化が実施されたことは喜ばしいことです。同時に、高校入学時においては制服や学用品などの出費がかさみます。育ち盛りの世代ゆえに食費や衣料品等の生計の負担が大きい、この世代の子どもがいる世帯はここからが教育費をはじめとした生活費の負担が増大するとも言われています。まして、低所得の世帯においては深刻な問題です。足立区では、今年度から高等学校等の入学前にかかる費用の一部を助成し支援する高等学校等入学準備助成の制度が始められました。区内在住で就学援助世帯として認定されていることと、中学3年生で高等学校等へ進学先が決定していることが要件となっており、一律5万円を支給するというものです。中野区の中学校に通う就学援助費の認定者のうち、中学3年生は今年度までの3年間で平均263人であると聞いています。中野区においても実施を検討すべきではないですか。伺います。

 次に、少人数学級実現について、伺います。

 7月2日に、全国知事会、全国市長会、全国町村会の3会長名で少人数学級を含む新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言が出され、文部科学大臣に少人数編成を可能とする教員の確保を要請しました。これに先駆けて、日本教育学会で5月に教員10万人増の提言を行っています。さらに、7月30日には、文部科学大臣と全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会、全国特別支援学校長会、日本私立小学校連合会の各会長らによる学校再開後の学校の状況に関する意見交換会が開催され、参加者から少人数学級の検討を求める声が上がりました。コロナ禍を契機に、学校現場はもちろん、教育関係者、保護者をはじめ、国民の間で少人数学級実現への期待が一気に焦点化してきました。

 8月19日公表の中央教育審議会特別部会の中間まとめ(骨子案)に、「新しい生活様式」を踏まえた少人数学級を可能とする指導体制や施設設備の整備を図ることが盛り込まれました。そして8月25日に、政府の教育再生実行会議にて、委員から、少人数学級を進め、30人未満の学級にしてほしいとの意見も出されたことに対して異論や反対意見は出されず、会議後の会見で文部科学大臣から、少人数学級を来年度から段階的に進めるために必要な予算要求を行う考えが表明されました。

 そこで伺います。機運が高まる少人数学級を求める各方面からの動向について、区教育委員会の見解をお尋ねするとともに、この機会を逃がさずに国に対して少人数学級実現を求めていくべきではないですか。答弁を求めます。

 次に、GIGAスクール構想について、伺います。

 議決をされた第5次補正予算では、GIGAスクール構想の推進による区立小・中学校の児童・生徒一人1台の学習用端末の配備と校内ネットワークの整備等の事業費が計上されています。前倒しの実施だと言います。毎年度のランニングコストは、単純計算でも約4億5,000万円もの支出となる一大プロジェクトです。コロナ禍では国から唐突の休校要請が出され、中野区もそれに従い、区内一斉休校となりました。ICTを活用してのリモートによる授業・学習を試みる機会となりました。

 先日区内で開かれた学習会で、学習院大学特任教授の佐藤学先生の講演を聞く機会がありました。先生は、国がGIGAスクール構想をぶち上げたのは、そもそも教育に名を借りて、国際競争に太刀打ちできず低迷していたIT産業に対し、国を挙げて自治体での学校現場を市場としつつ促進を図ろうとすることが目的で、その証拠に文部科学省よりも経済産業省が前面に立って主導していると断じます。続けて、ICT教育の追及している個別最適化は子どもの学びを促進するのか、またそれは教育と言えるのか、ICT技術が未来の教室を準備するのではない。教育においてコンピュータは、学びの道具、思考と表現の道具、探求と共同の道具として活用されなければならない。しかし、現在、コンピュータの教育ソフトは大半が教える道具であり、学校においてそのように使用されていると話されます。確かにICT環境が整えばICT教育ができるわけではなく、現在のICT教育とGIGAスクール構想に対しては危惧する声が多方面から出されています。ビジョンもなく、グランドデザインにも欠けたGIGAスクール構想でよいのかが問われているのだと考えます。しかし、このような視点を持って区教育委員会がGIGAスクールについて検討した形跡は見当たりません。これからでも、中野の子どもたちにとってGIGAスクール構想による学びとは何かというビジョンについて、検討を行うことを求めます。御答弁ください。

 次に、介護保険制度について、お伺いします。

 来年度から施行の第8期中野区介護保険事業計画の策定に向けて、審議会への諮問や利用者、ケアマネージャーなど事業者への調査も始まっています。中野区介護保険の運営状況を眺めてみると、居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス及び介護予防給付とも介護サービス見込量計画値と年間実績に大きな隔たりがないように思われます。実績割合は80%台から100%を超えている事業も多数散見されます。介護保険財政は、国庫負担金、都負担金、区負担金、そして第1号・第2号保険料負担で実施されています。その上で介護サービス給付量に対して介護給付費準備基金の積立てと繰入れによって調整を図っています。2019年度は約1億3,100万円の繰入れを行っています。実に8年ぶり、第4期計画の最終年度であった2011年度以来のことです。一方、介護給付費準備基金へは約1億7,850万円積み立てました。この年度もマイナスとはなりませんでした。今や介護給付費準備基金残高は28億円を優に超えています。第7期事業計画の最終年度である今年度に、現事業計画の審査の際に延べていた12億円の準備基金からの取崩しがなされるとは思えません。推計された介護サービス見込量と実績に大きな隔たりが見られないのに、なぜこうした事態が生じるのですか。このことを分析しなければ、毎回の事業計画改定の際に保険料を取り過ぎてしまうことになります。介護保険制度が施行されて20年がたち、保険料は、施行当初の第1期事業計画の基準額では年額3万6,300円であったものが、改定のたびに値上げが続き、第7期の現状は基準額6万8,700円と約1.9倍にもなっています。年金が目減りして、医療の保険料や税、公共料金などの負担もかさんでいるため、生活そのものを圧迫しています。さきに述べたように、第6期から今期まで基金残高は一度たりとも減っていないのですから、来期の第8期の事業計画においては基金を取り崩すことで保険料の値上げを抑えることは十分可能です。介護保険運営と保険料についての見解を求めます。御答弁ください。

 厚生労働省は、医療においては、新型コロナウイルス感染症による重症者を受け入れた病院に対して、4月18日から診療報酬の上乗せを始めています。医療崩壊を防ぐ手だてであり、当然のことです。しかし、介護事業所においては、介護報酬、人員、施設、設備及び運営基準を柔軟に運用するとなっており、現場の少ない人員配置、多少サービス時間が短くなっても従来の介護報酬を支払うとしています。デイサービスなど通所型サービスにおいては、この運営基準をもって実施が行われていると聞きます。しかし、従来の介護報酬を支払うと言いますが、あくまでも利用者・家族の同意が必須とされています。利用サービスに対する1割等の一部負担があるため、同意が得られないケースも考えられます。介護事業者による努力だけに頼るのではなく、介護報酬の上乗せや介護事業者への支援を国に求めるべきではないですか。伺います。

 次に、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康・権利)について、お伺いします。

 コロナ禍でのリプロダクティブ・ヘルス&ライツについて、お聞きします。

 コロナ危機に当たり、国連女性機関が出した声明は、妊娠や出産、避妊や中絶など、性と生殖に関わる問題で女性が安心して医療機関や必要な資源にアクセスできる環境が十分に整えられているかと問いかけています。5月半ば頃から長引く休校の影響により、中・高生の望まぬ妊娠の相談が増えているとの報道がされました。日常からの性教育の充実とともに、性交から72時間以内に服用すれば8割の避妊効果がある緊急避妊薬の情報など、妊娠不安におびえる中・高生にも届けることが大切だと考えます。しかし、緊急避妊薬は、薬局で安価で買える海外と比べ、日本では医師の診察、扱っている病院が近くにない、薬の価格が高いなど、心理的・物理的・経済的ハードルから身近なものになっていません。DVの増加も望まぬ妊娠の増加を引き起こしています。避妊や安全な中絶へのアクセスがほとんど保障されていない日本のリプロ政策の貧しさが根本から問われています。リプロは、国では1999年の男女共同参画計画に書き込まれましたが、有名無実になってしまっています。リプロは、産む・産まないは私が決めるという女性の妊娠や出産に関する自己決定権のことであり、ジェンダー平等を考えるときにも重要な権利の一つです。ところが、現在、国や自治体による官製婚活などが行われています。これはリプロに反するおそれがあります。中野区では現行の男女共同参画基本計画で、リプロに関する意識を広く浸透させ、女性の生涯を通じた健康を支援する取組を行う必要があると記しています。施策の充実が求められています。

 そこで伺いますが、検討中である子どもの権利条例においても、性の自己決定権についても念頭に検討すべきではありませんか。御答弁ください。

 中・高生の性体験が多いことが言われています。正しい性情報がなく行為に及んでしまうため、大人がスルーせず、寄り添うことが大切です。中・高生の性体験及び妊娠の根底には貧困問題も存在するとも言われています。親子関係が取れていないため、親に言えず、妊娠・出産をしてしまう。親が自分のことで手いっぱいで見て見ぬふりをしてしまうと言います。養護教諭、保健師、区内産婦人科の医師や看護師から聞き取りをするなど実態把握に努めることが大事だと考えます。

 そこでお聞きしますが、妊娠・出産に関する正しい知識・情報について若年層への取組が必要だと考えますが、いかがですか。伺います。

 以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 長沢議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、区長の政治姿勢と行政報告についてです。

 被爆75周年にあたっての思いについての御質問です。広島市・長崎市に原爆が投下されて75年の節目の年に当たり、両都市の原爆の日には非人道的な核兵器によって犠牲になられた方々を追悼し、平和を祈念する思いを新たにしたところでございます。核兵器の外交交渉につきましては国が判断して行うべき事項ではありますが、憲法擁護・非核都市の宣言自治体として、今後も核兵器禁止条約の動向について注視するとともに、核兵器の廃絶について発信をしていきたいと考えております。

 次に、区民からの展示物収集と東京都と協力した企画展についてでございます。戦時中の実物資料は、物品の寄附として年間を通じて受け入れているところでございます。一方で、収蔵場所の問題もありますので、新たな資料の収集につきましては開設する資料館を運営していく中で考えていきたいと考えております。幅広い世代の方が何度も足を運んでいただける展示室となるように、国や東京都の平和関連施設や民間団体等から収蔵品を借用して企画展を実施するなど、展示企画内容を工夫してまいりたいと考えております。

 次に、定期的なPCR検査の実施についてでございます。御指摘のPCR検査は、症状のある方の臨床診断や濃厚接触者に対しては早期の診断や防疫対応の面からは有効な検査である一方、エッセンシャルワーカー等への定期検査としては精度管理や検査の間隔、陽性時の事業継続の問題や防疫業務との連携の在り方等、多くの課題を有しております。このため、区としては、都が実施する高齢者・障害者支援施設等における新型コロナウイルス感染症対策強化事業の成果を含め、その在り方について慎重に見極める必要があると考えております。

 次に、PCR検査実施医療機関支援金の増額についてでございます。PCR検査実施医療機関支援金につきましては、鼻咽頭拭い液を採取することに対する危険手当として支給しております。区の一般職員が一定の感染リスクに直面する職務に従事した際には特殊勤務手当が支給されることになっており、支援金の1万円についてはこの手当を基に算出したものでございまして、現行の支援金の水準は妥当であると考えております。なお、身近な地域の医療機関においてPCR検査を受けることができる体制の整備への支援については検討を進めているところでございます。

 次に、医療機関への支援策についてでございます。新型コロナウイルス感染症に関する医療機関への支援は、その実態の把握に努めつつ、医療機関の要望に沿って支援を進めることが重要であると認識しております。区は、これまで医師会等に対して感染症対策に関わる物品の支援を行ってきましたが、今後も継続的に物品の支援を行ってまいります。また、病院の経営支援につきましては、都知事と区長の意見交換会などを通じて東京都にも働きかけていきたいと考えております。

 次に、区民生活を支える事業の継続・拡充についてでございます。区ではこれまで、「医療など最前線の現場環境を支える」、「生活や子育て・介護などを支える」、「経済の再生に向け事業者を支える」、この三つの柱を掲げ、逼迫する医療・生活・経済を支援する対策を局面に応じて段階的に講じてまいりました。構造改革を進めながら、持続可能な区政の実現を目指す中で、引き続き区民の生命と財産を守ることを最優先に取り組み、セーフティーネットの充実を図ってまいりたいと考えております。

 次に、基金への積立てについてでございます。安定した財政運営を行うためには計画的な基金への積立てを軸とする必要があると考えております。その上で、今後の厳しい財政見込みを踏まえ、山積した区政課題を着実に解決するために、一般財源、起債、基金のバランスを考えながら運用を進めていく考えでございます。

 次に、新区役所整備、新北口駅前エリア再整備の再検討についての御質問です。現庁舎は、築50年以上を経過し老朽化が進んでいるほか、耐震性能の不足、電力・通信等の多重化といったライフラインの途絶対策がなされていないことなど、災害応急活動を行う施設に求められる性能が十分ではございません。また、窓口や待合スペースの不足に加えてユニバーサルデザインに対応できていないといった課題もありまして、計画どおり新庁舎を整備していく考えでございます。新北口駅前エリア再整備につきましては、想定している市街地再開発事業によって新区役所整備等の財源を確保することとしております。詳細の事業計画は事業者決定後の作成となりますが、経済状況や社会情勢を踏まえつつ中野区の持続可能性を高め、地域活力を牽引する拠点施設を目指し、再整備事業計画に沿って着実に進めてまいります。

 最後に、中野四丁目西地区の市街地再開発についての御質問です。中野四丁目新北口西エリアでは、市街地再開発準備組合によって事業計画の検討や地権者の合意形成、都市計画に関する関係機関協議が行われているところでございます。区といたしましては、安全・安心で活力ある将来像を実現するべく、準備組合に対し適切な助言・対応を行いながら、地権者の合意形成や関係機関との協議の状況に応じて都市計画手続を開始していくと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、子育て先進区についての二つの御質問にお答えいたします。

 まず、少人数学級実現についての国への要望についてです。少人数による指導については、教師の目が届きやすく、一人ひとりに応じた指導が行いやすいなどの利点はあるものの、授業や行事などによっては一定規模の集団による指導が効果的と認識しております。学級の編成に関しましては、東京都の学級編制基準にのっとり進めておりますが、今年度のコロナ禍においては少人数指導のための講師時数の拡充を行ってきております。今後もより弾力的な少人数での指導ができるよう、国や都に要望してまいります。

 次に、GIGAスクール構想による学びの検討についてでございます。GIGAスクール構想で目指しますものは、学校での対面学習とオンライン学習を活用した個別学習を融合した一人ひとりの状況に応じた学びの実現です。こうした学びの在り方については、既に各学校に国や都の考え方とともに区の考え方を示してきているところでございますが、教育委員会においては本区のオンライン学習の取組状況を報告する際に議論してきているところでございます。今後とも教育委員会において、各校のオンライン学習の進捗状況の報告等に併せ、中野区としてのGIGAスクール構想下の学びについても継続して検討してまいります。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、子育て先進区についての子どもの貧困についての御質問と、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの御質問について、お答えさせていただきます。

 初めに、子どもの貧困対策の検討についてでございます。昨年度実施いたしました子どもと子育て家庭の実態調査におきましては、全体の1割強の子どもが生活困難層に当たり、学習支援、生活支援、経済的な支援など様々な側面からの支援を行う必要性があることが明らかになりました。子どもの貧困対策につきましては、実態調査の実施結果を踏まえまして子どもの貧困対策に関する区の考え方を取りまとめるとともに、それに基づく施策の展開を検討していくことを考えております。なお、検討に当たりましては、法改正の趣旨も踏まえ、将来だけでなく子どもの現在の生活を支援することも一つの支援として進めてまいります。

 次に、ひとり親世帯に対する区独自の給付についての御質問でございます。特に支援が必要と考えられるひとり親世帯に対する国の支援策といたしましては、ひとり親世帯への臨時特別給付金がございまして、児童一人目に5万円、二人目以降は3万円を給付し、さらに家計が急変した世帯に対しましては世帯に5万円の追加給付を行うこととしております。また、東京都からも児童扶養手当受給者に対しまして食料品等の支援が行われており、ひとり親家庭に対しての区独自の金銭給付につきましてはこういった国や都の支援の動向を見た上で検討していきたいと考えております。

 次に、高等学校等の入学前の支援についてでございます。昨年度に実施した子どもと子育て家庭の実態調査では未就学児から中学生までを対象に行ったものでございますが、子どもの年齢が高くなるほど家計の収支が逼迫している割合が高くなるという傾向がございました。高等学校の入学時などの高校生世代への支援の在り方につきましては、区全体の子どもの貧困対策を進めていく中で、国や都の動向、他自治体の事例等を参考にしながら研究してまいりたいと考えております。

 次に、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの御質問についてでございます。

 子どもの権利擁護に係る条例の検討についてでございます。我が国が批准した児童の権利に関する条約におきましては、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護すること、子どもの意見表明権を確保することなどが規定されてございます。子どもの権利擁護に係る条例の検討に当たりましては、この条約の趣旨を踏まえた上で検討していくということを考えてございますが、性の自己決定権などの幅広い視点も大切にしていきたいと考えております。

 次に、若年層への妊娠・出産に関する正しい知識についてでございます。中・高生といった若年層が性に関する正しい知識を持って行動することは大切なことであると考えております。学校での性教育のほか、区は若年層への妊娠・出産を通じてのライフプラン講座を中野区医師会に委託して実施してきておりまして、産婦人科医が中・高生を含む若年層に対して妊娠・出産の正しい理解やライフサイクルと健康等についての講演、またリーフレットの配布などを行っているところでございます。今年度は新型コロナウイルスの影響で講演会の実施は見送ることとしてございますが、このような取組を通じまして性に関する正しい知識の啓発に努めてまいります。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、介護保険制度について、お答えいたします。

 まず、第8期介護保険事業計画における保険料の値上げ抑制についてです。令和3年度から5年度を計画期間とする第8期介護保険事業計画につきましては、給付費の見込みについて検討しているところであり、今後国から示される介護報酬の改定などを踏まえ、令和3年当初には介護保険料(案)を策定する予定でございます。今年度予算につきましては介護給付費準備基金を取り崩す予定であるため、現時点よりも準備基金の残高は少なくなる見込みでございます。第8期の介護保険料額につきましては、準備基金の適正な規模の取崩しを行うことにより被保険者の家計に与える影響を最小限に抑えるように努めてまいります。

 次に、介護報酬の上乗せや事業者への支援についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策に配慮しながら高齢者に介護サービスを提供している事業者への支援は必要であり、国ではサービス継続支援事業や感染症防止に係る経費についての補助、慰労金の支給などを行ってまいりました。感染者の状況や介護現場の実態を踏まえ、国の新型コロナウイルス感染症対策本部におきましては、介護施設の入所者、職員を対象にした検査の実施など新たな取組方針が示されているところでございます。一方、区でも介護サービス事業所の感染防止に係る経費の補助を行っているところであり、国・都・区、それぞれの役割に応じた支援を行いながら、国への要望も検討してまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 内 野 大三郎

 1 行政報告について

 2 新型コロナウイルス感染症対策について

 3 新区役所の感染症対策について

 4 台湾との国際交流事業について

 5 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、内野大三郎議員。

〔内野大三郎議員登壇〕

○15番(内野大三郎) 令和2年第3回中野区議会定例会において、都民ファーストの会中野区議団の立場から一般質問をいたします。

 質問に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症においてお亡くなりになりました方々へお悔やみを申し上げるとともに、今なお闘病中の皆様にお見舞いを申し上げます。

 質問は通告のとおりで、その他はございません。

 まず、行政報告についてです。

 東京都では、第3回都議会定例会において、基本的な今後の対応策を四つの体系で示すそうです。具体的には、1、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策、2、経済活動と都民生活を支えるセーフティネットの強化・充実、3、感染症防止と経済社会活動との両立を図る取組、4、社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取組です。こうした体系的な考え方から具体的な施策が敷衍(ふえん)され予算化されていくという、極めてシンプルな政策実現に向けての様式が取られています。今回の行政報告については、様々な視点からの報告内容でありますが、体系化、予算軸、時間軸をもう少し上手に表現できたのではないかと思っております。都のようにふんだんに予算を使うことができるわけではないので非常に表現も難しかったかと思いますが、今後の対策の参考にしてはいかがでしょうか。

 さて、今回の行政報告の具体的な中身を見てみると、区長は、新型コロナウイルス感染症対策の柱として、「医療など最前線の現場環境を支える」、「生活や子育て・介護などを支える」、「経済の再生に向け事業者を支える」の3点を掲げていらっしゃいます。それぞれについてお聞きします。

 まず、「医療など最前線の現場環境を支える」について、お伺いします。

 区は、感染拡大当初からマスクや消毒用アルコールなどを医師会・歯科医師会へ優先的に配付してきたと記憶しています。その時期と枚数をお示しください。

 また、今回、スマイル歯科診療所がその配付先に入っていたのでしょうか。お尋ねします。

 歯科医師は、口腔内の診療を行うことから罹患可能性のある方と常に接触することになり、新型コロナウイルスにとどまらず、まさに様々な感染症と接触のリスクを抱えながらの仕事をしています。こうした団体への配慮は必須なはずであると考えますが、今回の医療必需品の配備不足に備え、こうした物品の流通経路の確保をするべきと考えますが、いかがでしょうか。お尋ねします。

 区は、4月29日にPCR検査センターを設置しました。その後、今日まで検査件数を増やしながら運用してきたところであります。仮設センターでの運用で真夏までの想定はしていなかったようで、酷暑の中、医療従事者の方々が非常に御苦労されたとのことで、今後、センター内の検査環境の整備が求められます。

 一方で、東京都がコロナ対策専門病院を23区と多摩地区に各1施設ずつ配置することとしました。また、民間医療機関での唾液によるPCR検査件数が徐々にではありますが増えてまいりました。こうした状況の変化に応じて、区のPCR検査センターが役割を終える日もあるのではないでしょうか。検査センターを撤収するとしたら、その判断はどのようになるのでしょうか。ある程度の基準を設けておくことは必要だと思っております。

 次に、東京都では、先月36回目の東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催しました。その会議で、今月1日から感染拡大状況を見つつ、9月末までの間にイベントの開催制限などの緩和措置についてが報告されました。それによりますと、人数上限は屋内・屋外とも5,000名を上限とし、屋内であれば使用率50%以内、屋外であれば十分な間隔、できれば2メートルとして、上限人数と収容率の両方の条件を満たせば開催ができるとの基準を示しました。当然アルコール消毒やマスクの着用など一定の感染拡大防止策を取った上での措置となりますが、感染拡大状況に合わせて様々なガイドラインが示されている中で、国や都の基準を勘案した上で中野区スタイルとしての独自のガイドラインを示し、区内の今までの地域行事などが安全に実施できるための方策をそろそろ検討してみてはどうでしょうか。お尋ねします。

 次に、「生活や子育て・介護などを支える」についてです。

 これについては、今後、本定例会で様々な議論がなされ、最終的には補正予算の措置などがなされることと思われますが、今回の行政報告でもある程度の方向性や施策の具体性を持たせたほうがよかったのではないかと考えます。大枠の方向性だけでもお示しいただきたいと思います。

 次に、「経済の再生に向け事業者を支える」についてです。

 我が会派では、さきの定例会において、区内事業者に対しての人件費や家賃の上乗せ補助について質問し、その回答として、「区の財政状況等を勘案して必要な対策を進めていこうと考えています。」とありました。区の財政状況は当時も今も緊急事態状態であることは重々承知しておりますが、その後の取組、検討状況をお聞かせください。

 最後に、行財政の構造改革の推進についてです。今回の行政報告において、区長が一番力を入れたかった主張は行財政改革なのではないでしょうか。施策・施設・組織の再編を掲げていますが、この三つのうち、初めに施策の再編について、お聞きします。

 政策と施策の体系の再編を促す基本構想で描くまちの姿を着実に実現するための体系としていくとのことですが、これは現在策定中の基本構想・基本計画にもある程度影響を与えることになるのでしょうか。政策と施策をどのように再編していくのでしょうか。具体的にお示しください。

 また、施設の再編についてです。区有施設の新規整備は、現在スケジュールの見直しをしているようですが、来年の新しい計画にどのような考え方をお持ちなのでしょうか。10年単位で見直しのスパンを設定していても、建物を最初に建てる際に、例えば民間のビルやマンションで造るような長期修繕計画としての建て方や予算の取り方を考えているのでしょうか。お尋ねします。

 次に、組織の再編についてです。平成26年4月以降、区職員の2000人体制は維持されております。組織の再編に当たっては、職員数の維持だけでなく、入庁当時の職員意識の維持を目指すべきであると考えています。IBMの企業哲学の底流にあった「野鴨の哲学」というものがあります。野生の渡り鳥に一人の老人が毎年餌づけをするようになった結果、その渡り鳥は野性性を忘れ、渡ることすら忘れて、アヒルのように肥え羽ばたけなくなってしまいました。ある日、餌づけをしていた老人が亡くなり、自ら餌を見つける力を失い、飛べなくなった野ガモは雪解け水の激流に流されて全滅してしまいます。この話を例に、IBMは企業マインドを高め、組織への依存心を改革していったようです。民間企業とは違いがあるとしても、今や全国約1,700余りの自治体間競争を生き抜くためにはある程度の企業的競争マインドが職員になければならないと思います。職員の皆様の入庁当時の改革マインドを思い出してもらい、職員のやる気を奮い立たせるための策が必要となると考えますが、そのための具体的な施策があるようでしたらお示しいただきたくお願いいたします。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。

 初めに、区内の公衆喫煙所についてです。

 緊急事態宣言が出されている間に都内の公衆喫煙所がところどころ閉鎖されていました。喫煙とコロナウイルス罹患者の重篤化との因果関係が指摘されていたものの、直接的な影響があるかどうかは不明の時点でありましたが、各自治体の判断で閉鎖が決まっていたところもあるようです。中野区では屋外の公衆喫煙所が閉鎖されたとは伺っておりませんが、区はどのような判断に基づいて閉鎖をしなかったのでしょうか。他区の状況と併せてお伺いします。

 次に、子どもたちへの防災教育について、伺います。

 文部科学省は、昨年12月5日に、「自然災害に対する学校防災体制の強化及び実践的な防災教育の推進について」というタイトルの依頼文を各教育委員会などへ発出しました。それによりますと、学校保健安全法に基づく取組についての項で実践的な防災教育の実施をするよう求めています。危険に際して自らの命を守りぬくための自助、自らが進んで安全で安心な社会づくりに参加して貢献できる力を身につける共助・公助の視点からの防災教育を推進する必要性を説いた後に、防災教育の効果を高めるためには学外の専門家による指導、避難訓練や応急手当のような実習などの工夫が必要であるとしています。昨年秋に、東日本大震災において主に孤立した被災者の救出や救援物資の空輸などに当たった航空自衛隊の一等空曹の記事に触れました。100人以上が取り残された石巻市の中学校があり、通常ならば着陸をためらうような地震で地盤の緩んだところに、人命救助のために降りないわけにはいかないと孤立した避難民を救出したとのことです。重傷者から優先して救助し、全員を無事に救出した業績は、その後、「国民の自衛官」として、故三笠宮寛仁親王の御長女彬子女王殿下からもたたえられました。災害派遣における自衛隊の役割は、度重なる日本全国の自然災害において日に日に国民が支持を広げているところです。防災教育においての学外の実践的な専門家として、自衛隊のこうした役割を中野区の子どもたちに伝え続ける必要があると思いますが、区としてどのような見解をお持ちでしょうか。

 避難所の対策についてです。

 災害対策基本法に基づき、国や地方公共団体が取り組むべき基本事項を定めた防災基本計画を区でも策定していますが、避難所の開設に当たっては中野区地域防災計画に詳細が記載されているところであります。その位置付けとしては、震災時、風水害時ともに自宅での生活が困難になった区民の生活の場、また地域の救援・救護活動の拠点であり、備蓄救援物資の配布や地域本部との連絡調整、また帰宅困難者への対応など、多岐にわたる役割を担う場所となっています。現在、桃園地域では、中野中学校跡地、これは旧第九中学校があったところです、中部すこやか福祉センター、そして桃花小学校の三つの避難所が指定されております。この中で現在使用されていない旧第九中学校が避難所として指定されています。以前は堀越学園の校舎建替えのために一時的に貸出しをしていたこともありますが、平成28年以降、4年間にもわたり、選挙のときの投票所以外では使われておらず、配管や給排水設備について心配の声が絶えません。今の設備の状況を教えてください。

 また、このような場所を避難所として開設するに当たっては、感染症対策を施す以前の問題として、まずは設備の再生や施設内の清掃から始めなければならず、急を要する避難所開設に当たって地元防災会の皆様への多大な負担が予想されます。その上での感染症対策となれば、なおさら時間と負担がかかります。このような施設について、現在区ではどのような対策を考えているのでしょうか。区の見解を求めます。

 次に、改定予定の地域防災計画について、お尋ねします。

 さきの第2回定例会において複数の議員より地域防災計画の見直しの質疑があり、区としても、今年度中の改定を目指し、今回の新型コロナウイルスの経験を踏まえ、複合災害への対応を加えていくと答弁されています。

 昨年度、橋本聖子内閣府特命担当大臣が、災害時の避難所での女性に対する配慮事項を盛り込んだ自治体向けの防災指針を改定すると発表し、本年5月に新しい防災復興ガイドラインが策定されました。人口の半分は女性であり、女性と男性とでは災害から受ける影響が明らかに違い、女性の視点での災害対応は避難所の居住性を高めるだけでなくあらゆる対策に必要な視点であると考えます。今般の改定に当たり、できるだけ多様な、様々な状況にある方の視点もある程度視野に入れながら新たな地域防災計画の改定・検討を進めるよう要望いたしますが、どのようにお考えでしょうか。区の見解をお伺いします。

 次に、新区役所の感染症対策について、伺います。

 新庁舎整備については、令和6年度移転に向けて、本年3月に実施設計、施工契約を締結し、現在実施設計を進めているところであると認識しています。しかし、このたびの新型コロナウイルス感染症の影響下において、現在の新庁舎の整備計画を延期する可能性はあるのでしょうか。伺います。

 その上で、新型コロナウイルス感染症の影響により社会的にテレワーク、在宅勤務の普及が急速に進み、都心でもオフィス需要が低下しています。東京都の調査によると、4月の時点で従業員30人以上の都内企業のテレワーク導入率は62.7%となっており、3月時点の調査と比べて2.6倍となっています。また、従業員規模別では、企業規模が大きくなるにつれて導入率も高くなっているアンケートがあります。300人以上の企業では約8割が導入済みであり、急速にオフィス需要が縮減する見通しもあります。防災計画の面からもこのテレワークが効果を発揮する側面があります。テレワークが十分に機能することが前提でありますが、役所や企業の事業継続性の向上や帰宅・出勤困難者数の低減効果も見込まれます。中野区においても、今後、在宅勤務などの多様な働き方の進展に伴い、新庁舎で働く職員数が現在の想定よりも減少した場合、会議室など他の用途へ転用できるよう検討しておくべきと考えます。区長の行政報告にある三つの再編のうち、組織の再編が本格的に進むのであるならば、すぐに新庁舎についてもフロアの再編を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 前回の定例会でも新庁舎の設計の感染症対策をお尋ねしましたが、設計段階や運用段階での対応策について民間等の感染拡大防止対策を踏まえ、その後の検討状況について、改めてお尋ねします。

 新庁舎の建物内での感染症対策はもはや不可欠ではありますが、併せてウィズコロナ、アフターコロナの時代においては、そもそも区民の皆様が区役所にお越しいただくことなく必要な手続や相談ができる仕組みを構築することが重要であると考えます。来庁者の何割を減らす、例えば半分にするなどの数値目標を設定し、それに向けた電子申請の取組を強力に推進していく計画体制を構築すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 最後に、台湾との国際交流についてです。

 私が平成27年に初当選した年に、日華友好促進中野区議会議員連盟が結成されました。中華民国、(以下台湾)との国家間の交流がないにもかかわらず、東日本大震災において台湾から世界中でトップクラスの額の義援金が送られてきたことがきっかけだったと記憶しています。中野区議会には国交のある中国と韓国との地域間交流を促進する議員連盟がありますが、国家間での交流促進の阻害要因が少しでもあると交流を中断してしまうことがあるので、この義援金の感謝の意味も含め、台湾との積極的な交流を進めるべきであるという当時の考え方が背景にあったかと思います。

 御承知のとおり、このたびの台湾の新型コロナウイルス感染症対策は、WHOや中国の発表をうのみにすることなく、2003年のSARSの教訓に基づいて、防疫は国家的な戦争であると位置付け、世界にいち早くこのウイルスの危険性を発信し続けてきたのであります。そして、政府、国会、マスコミが一丸となって、デマや誤った情報発信に厳しい罰則を設け、この未知のウイルスに対して正しい情報のみを共有し、上陸者への徹底的な検疫を実施した結果、世界が目を見張るほどの少数の感染者数へと抑え込むことができました。こうした防疫体制を見習うだけでなく、国家として国民の生命と健康を守り抜くという姿勢は中野区も見習う点が多々あるのではないでしょうか。今は名称が「日台友好促進中野区議会議員連盟」となっておりますが、高橋かずちか議長が事務局長を務め、大内しんご会長を筆頭に進めてきたこの台湾との交流事業は、既に5年を超える活動実績もあり、多数の同僚議員の皆様にも御参加いただいているところであります。今年は総統選挙の年であったため、政治情勢が落ち着いた頃に交流する予定が、現在、中国武漢発症の新型コロナウイルスの影響で交流に向けての準備が滞っていると聞いております。この交流事業の現状と今後の予定をお聞かせください。

 また、現地に行っての交流ができない場合には、実務担当者、当然いでい専務理事や平山理事も含め、議員連盟の皆様も一緒に詳細を詰め、オンラインでの都市間交流の締結などもできるのではないでしょうか。民間や議員間での交流に加え、自治体間での交流促進をすることによって、国が動き、国家間での交流ができるよう機運を醸成するべきと考えますが、いかがでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 内野議員の御質問にお答えいたします。

 まず1点目に、行政報告についての中で、医師会等へのマスク等の配付についてでございます。マスクにつきましては、中野区医師会に対し、2月に1万枚、3月に3,000枚、8月に3万6,000枚、合計4万9,000枚を配付いたしました。手指消毒用アルコールにつきましては、中野区医師会及び中野区歯科医師会加盟の423医療機関に対し、8月に各10リットルを配付いたしました。そのほかPCR検査を実施する医療機関に対して個別に防護服を配付してございます。スマイル歯科診療所につきましては、一括して歯科医師会に対して配付をしているところでございます。

 次に、医療必需品の流通経路の確保についてでございます。医療必需品が市場に流通していない時期においては、区が独自に流通経路を確保することは困難でございます。東京都や国に医療機関に対して優先的な配付を働きかけてまいります。マスクや手指消毒用アルコールなどの医療必需品に関しては、区で入手の上、区歯科医師会等に継続して配付することを検討してまいります。

 次に、中野区PCR検査センターの撤収についての御質問でございます。新型コロナウイルスの検査は、咽頭拭い検体によるPCR検査が主流でございましたが、東京都との契約があれば身近な医療機関においても唾液によるPCR検査や抗原検査を実施することが可能でございます。新型コロナウイルスの感染拡大の状況を正確に予測することは困難ではございますが、今後、感染が収束し、身近な医療機関においてPCR検査や抗原検査が可能となり、検査需要を満たす体制が整った際にはPCR検査センターを撤収することができるだろうと考えております。

 次に、地域の行事を安心して実施できる方策の検討についての御質問でございます。区では、地域の活動団体が安心して事業等を実施していただけるよう、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを作成したところでございまして、活用していただきたいと考えております。現在は、地域団体が活動する際に具体的な事例ごとに感染症対策を講じられるよう、事例集の検討をしているところでございます。

 次に、生活や子育て・介護などを支えるための対策についての御質問です。生活や子育て・介護などを支える柱については、ウィズコロナのもとで誰一人取り残されることなく安定した生活を営めるよう、きめ細やかな支援策を講じていくことが重要だと考えております。例えば、家庭内において感染者が発生した場合、同居する家族の子育てや介護をどのように継続していくかが問題となります。まさにきめ細やかな支援が必要でございまして、区のみならず関係機関との連携を強化することが必要な課題と捉えております。具体的内容については今後示してまいります。

 次に、経済の再生に向け事業者を支えるについてでございます。新型コロナウイルス感染症に関する事業者支援につきましては、財政状況等も勘案しつつ、その効果におきましては消費拡大など地域経済の活性化につながるものが望ましいものと考えております。こうした視点を持ちつつ、例えば、プレミアム付商品券事業の実施など、事業者への支援策について検討を行ってまいります。

 次に、施策の再編についての御質問です。新しい基本計画における政策と施策については、現在の新しい中野をつくる10か年計画(第3次)、こちらにおける戦略と展開の体系を再編し、新しい政策体系の下、基本構想の実現を図っていく考えでございます。現在検討中の基本構想において描いている10年後に目指すまちの姿に沿って基本計画の政策・施策の体系化を進めておりまして、現在予定しているスケジュールのとおり、本年の第4回定例会において基本計画の骨子としてその体系と各政策・施策の方向性についてお示しする考えでございます。

 次に、施設の再編や整備についてでございます。区有施設整備計画の検討に当たりましては、おおむね10年後の施設配置の考え方とともに、今後見込まれる厳しい財政状況を乗り越えるため、整備スケジュールを見直しているところでございます。施設整備に当たりましては、維持管理経費や大規模修繕経費などライフサイクルコストを見据えて計画する必要がございます。そうした施設マネジメントの考え方を踏まえて策定する考えでございます。

 続きまして、職員の意識改革についてでございます。行財政の構造改革を進めるため、推進体制を立ち上げるとともに、全庁的に令和3年度の予算編成や施設整備計画の策定、職員定数の検討などを進めていくことになります。そうした検討過程において、事業の見直しや改善、施設の集約化や民間活用等に職員の発想を生かしたり、職員の積極的な取組を評価すること等によって具体的な取組を進める中で職員の意識改革を進めていきたいと考えております。

 続きまして、公衆喫煙所の継続についての御質問です。区では、中野駅周辺の路上喫煙禁止地区に1か所の公衆喫煙所を設置しております。この喫煙所は、パーテーションで区切ったもので天井がなく密閉空間にはなっていないこと、緊急事態宣言の発出によって利用者が一時的に減ったこと、中野駅周辺の指定喫煙所はこの1か所のみであるため、閉鎖した場合に路上喫煙やたばこのポイ捨ての増加のおそれがあったことから、継続して利用できるようにしたものでございます。なお、喫煙所利用者に向けて、三つの密を避ける行動や、人と人との間隔を約2メートル開けるソーシャルディスタンスを保つこと等を求める啓発ポスターの掲示を行ってまいりました。他区の屋外喫煙所では、全箇所または一部閉鎖した区がございました。

 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、避難所の対策について。

 初めに、中野中学校跡施設の避難所についてでございます。中野中学校跡施設につきましては、避難所及び備蓄倉庫に指定していることから電気をはじめ水道も利用できる状態を維持しているところでございます。施設の清掃につきましては、2年に1回、全面清掃を業者に委託し実施しているところでございます。

 次に、多様な視点での中野区地域防災計画の修正についてでございます。的確に災害対策を行うためには要配慮者や女性などの様々な視点が必要と考えておりまして、今年度予定されている中野区地域防災計画の修正におきましても、中野区防災対策連絡協議会などの各種会議において様々な立場の方からの意見を伺って計画に反映させていきたいと考えております。

 次に、新区役所の感染症対策について。

 初めに、新庁舎整備事業の延期についての御質問でございます。現庁舎は築50年以上経過し老朽化が進んでいるほか、耐震性能の不足、電力・通信等の多重化といったライフラインの途絶対策がなされていないことなど、災害応急活動を行う施設に求められる性能が十分でありません。また、窓口や待合スペースの不足に加え、ユニバーサルデザインの対応ができていないといった課題もありますので、計画どおり新庁舎を整備していく考えでございます。

 次に、執務室スペースの柔軟な活用についての御提案でございます。新庁舎については、レイアウト変更等が柔軟に行えるよう間取りや内装を更新しやすい構造としておりまして、将来的に新庁舎で働く職員数が減少した場合には空いたスペースを他の用途としても活用できるものと考えております。新庁舎の執務室は、デスク配置を均一に設定するユニバーサルレイアウト方式、こちらの採用を予定しておりまして、組織改正にも柔軟に対応できるものと考えております。今後も組織の動向に注視しながら検討を進めてまいります。

 続きまして、感染症対策の検討状況についてでございます。新庁舎では、自然風による換気機能に加え、来庁者にソーシャルディスタンスの確保を促すサイン計画、そしてドアノブなど接触部分の削減、抗菌化について検討しているところでございます。また、窓口カウンターに設置するアクリルパネルなど什器類で対応する内容についても今後検討を進めてまいります。

 最後に、数値目標を設定した電子申請の推進についての御質問でございます。新庁舎整備を契機とした区民サービス向上の一環として、電子申請の拡充を軸に来庁しなくても必要な手続ができるようにするための有効な方策を検討してまいりたいと考えております。その際には、来庁者数の減など目標とする数値も設定したいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、防災教育における自衛隊の役割についての指導についての御質問にお答えいたします。自然災害時における自衛隊の役割については、国の小・中学校の学習指導要領解説の社会科の中に、自衛隊をはじめとする国や地方公共団体の諸機関などが連携して地域の人々の生命や安全確保のために活動していることを指導するよう示されております。中野区の小・中学校におきましても学習指導要領に基づき指導を行っているところでございます。

〔区民部長青山敬一郎登壇〕

○区民部長(青山敬一郎) 私からは、台湾との国際交流事業について、お答えいたします。2019年1月、中野区友好調査団による台湾訪問を機に、台北市中山区との友好交流都市関係締結に向けてこれまで協議を進めてきたところでございます。昨年度は、2020年1月の台湾総統選挙を控えているという先方の事情により、両区を行き来しての交流はできませんでした。その後、新型コロナウイルス感染症の影響により協議を進めることができていない状況でございます。今後は、友好交流都市関係締結へ向けた準備を進めるに当たって区議会や日台議連とも連携しながら様々な手法の活用も検討していきたいと考えております。

○議長(高橋かずちか) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 伊 藤 正 信

 1 今後の行財政運営の考え方について

 2 区の危機管理体制について

 3 区有施設・小中学校等の改築・改修の計画について

 4 自転車交通ルールについて

 5 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、伊藤正信議員。

〔伊藤正信議員登壇〕

○33番(伊藤正信) 第3回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問の順番、2番と3番を入れ替えますので、よろしくお願いいたします。

 今後の行財政運営の考え方について、伺います。

 「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う甚大な影響は、人々の生命や生活のみならず、経済、社会、さらには人々の行動、意識、価値観にまで波及しつつあります。感染症対策は新たな局面に入り、ウィズコロナを踏まえた行財政運営が求められています。」と行政報告で述べられております。

 私が初当選した平成10年、そのときの中野区は未曾有の財政危機に見舞われておりました。平成11年度の財政状況を見ますと、当時はバブルがはじけて長引く経済不況や減税の影響を受け、特別区税は平成11年度決算では約276億円と最も収入の多かった平成4年度の約364億円と比べ約88億円減少したので、区は歳入の減少に伴い様々な工夫を凝らし歳出の削減に努めましたが、義務的経費や物件費などの経常的な行政経費はその特性から歳入の減少に合わせて削減することが困難であり、十分な効果を上げることができませんでした。中でも義務的経費は、平成4年度の約426億円と比べ平成11年度は120億円増の約546億円となり、その内訳は、職員数は3,123人で人件費が約26億円増の約298億円、扶助費が約158億円、公債費が約90億円でした。経常収支比率は101.7%となり、経常一般財源だけでは経常的行政経費を賄い切れないという状況になりました。また、人件費比率は、平成5年度以降上昇を続け、平成10年度には35.1%、平成11年度は33.6%、23区平均では25.8%で最も高い水準にあり、人件費負担の軽減が大きな課題となっておりました。また、安定的な財政運営に必要な財政調整基金、減債基金は底をついており、基金残高は実質49億円余りで、区債残高は約631億円もありました。このときには財政運営という考え方もほとんどなく、ただ入ってきた収入を入ってきた分だけ使ってしまえという場当たり的な考え方で区を運営していました。バブル経済の崩壊という外的な要因と場当たり的な財政に対する区の考え方という内的な要因がかつての中野区の財政危機を生み出した原因であったと私は考えております。区は、こうした事態を打開するために行財政5か年計画の策定に取り組み、平成13年度から平成17年度までの期間を定めて徹底して行政内部の改革を行い、行政改革に努めてまいりました。当時、当初2年間の臨時的財源対策としたのが給与の減額でありました。特別職の区長は給料月額の20%、助役、今の副区長は15%、収入役・常勤監査委員・教育長は10%、一般職員は部長級が6%、課長級5%、そのほかの職員、また再雇用の職員は4%を削減いたしました。このことにより、人件費の削減には6億円弱の財政効果が見込まれました。また、平成13年度、14年度は職員の新規採用は行わず、定年、勧奨普通退職者111人と試算して9億6,000万円の財政効果にもなりました。こうした未曾有の財政危機を経験し、一定の財務規律を持ち、区の財政基盤をつくることに注力してきました。当時、酒井区長も職員としてこの財政危機を経験していると思いますが、この行財政5か年計画をどのように捉えているのか、伺います。

 行政報告では、行財政の構造改革は、財政的な非常事態に鑑み、これからのおおむね3年間で集中的に取り組み、新しい区政を展開するための体力を養い、その後については、経済や財政の回復状況を見極めながら、刷新された持続可能な区政を推進していくことを想定していると述べられており、行財政の構造改革を推進していくとありますが、具体的にどう構造改革を行っていくのか、伺います。

 先ほどの行財政5か年計画で述べたように、自ら身を削り、人件費の削減、給料の減額まで踏み込んで歳出の抑制に努めていくのか、区長の考えを伺います。

 区は、さきの財政危機を分析し、安定的な財政運営を行う考え方を示し、基準となる一般財源規模という考え方をつくったはずであります。区の独自財源である一般財源で実施可能な区のサービス水準、一般財源充当事業を規定し守ることが重要であります。そして、その基準となる歳入規模を上回る歳入があれば基金に積立て、その基準を下回れば基金から繰り入れることとしました。決して経済の動向に一喜一憂しない姿勢、区民サービスの水準を徹底的に見極める姿勢が重要であり、そのために毎年の予算編成では事業の必要性、実施事業を吟味してきたはずであります。このことがこの財政運営に係る意識改革であったと私は記憶をしております。しかし、この基準となる一般財源規模は、平成27年度、28年度には672億円、29年度、30年度には690億円でありましたが、31年度には710億円、令和2年度におきましては750億円と引き上げられました。今年度予算は新規事業、拡充事業が多く盛り込まれており、調査費用、委託費用が非常に多く計上され、一般財源規模は40億円も増大いたしました。財政運営の考え方を見ると、一般財源規模は直近5年間の決算が安定しているから引き上げるという考え方を示しております。同じ「基準となる一般財源規模」という言葉を使いつつも、考え方は全く異なります。これではかつての財政危機を生み出した考え方と全く同じであります。入ってきた収入は入ってきた分だけ使ってしまえというような考え方に見えてしまいます。そのような考え方では、日本経済が立ち行かなくなればすぐに財政危機につながってしまうと私は思います。基準となる一般財源規模の考え方を伺います。

 今、日本経済は、新型コロナの影響により財政危機を迎えようとしています。区は、このため財政の非常事態であると言います。そのため、区は中野本郷小学校の設計まで止めてしまいました。まさに非常事態であります。しかし、その原因は一体何なのでしょうか。本当に新型コロナの影響だけでしょうか。そもそもかつての教訓を忘れ、財政運営の考え方をゆがめ、場当たり的な考え方をよみがえらせた区政のこの姿勢と考え方が非常事態なのではないでしょうか。財政非常事態に至ったその原因をどう考えているのか、伺います。

 中野区は、従前未曾有の財政危機を経験し、そのときの経験から、安定的な区民サービスを実現するため、この財務規律を持ち、財政運営を進めてきました。しかし、たったの2年間で中野区は明らかに弱くなりました。新型コロナのような経済危機に耐えられるような財政基盤を20年かけてつくってきたのではないでしょうか。たったの2年間でこんなにもあっけなく区の財政基盤が揺らいでしまったのかと思います。そして、区は、意識改革を職員に促すと言います。むしろ財政に対する場当たり的な考え方とよみがえらせたこの区政の意識改革が必要ではないでしょうか。現区政2年間で膨れ上がった財務体質の改善、この2年間の事業をいたずらに膨らませたことへの整理のために財政に係る考え方を改めなければならないと思いますが、いかがでしょうか。区長の行財政運営の考え方をお伺いいたします。

 次に、区有施設・小中学校等の改築・改修の計画について、伺います。

 現在、区有施設は270施設あり、その約6割を超える施設が建築後30年以上経過しています。この5年間は、大規模施設の更新時期を迎えるため、施設を維持するための経費が大きな財政負担となることが課題です。限られた財源の中で計画的に建物・施設の更新を進めるため、区有施設整備の基本方針を定めることとしており、新たな基本計画の策定に当たり、今後10年間の施設の在り方及び配置については検討して進めなければいけないと思います。

 2019年4月現在の区有施設の延べ床面積は約45万4,000平米であり、今後の更新経費や維持管理経費などの財政負担の軽減を図るため、人口推計も踏まえながら区有施設の延べ床面積の適正な目標値を定めるとしております。中野区公共施設総合管理計画(建物編)では、区有施設の延べ床面積を44万9,000平米として、10年間の更新経費を807億円としております。

 そこで、子ども関連施設について、伺います。

 区立保育園・幼稚園については、保育の質の維持を向上させ、保育定員と保育需要との均等が図られている間は区立保育園を存続させるとしておりますが、以前は民営化の推進とされておりましたが、どのような検討がなされたのか、伺います。

 児童館については、中学校区ごとの配置を基本に検討されておりますが、児童館は子どもたちの居場所として、また地域住民の活動拠点として多くの方が利用されております。現行の18か所から将来には9か所にされるようですが、施設の配置にはどこの児童館を残しどこを廃止するのか、大変大きな課題となり、地域との協議や調整が必要であります。どのように行っていくのか、伺います。

 また、未利用施設及び今後未利用地となる施設及び区立小・中学校の跡地の考え方について、伺います。

 旧商工会館は、現在、子ども家庭支援センター分室として利用されております。その後はどのような活用になるのでしょうか。その他、中野東中学校移転後跡地、旧沼袋小学校跡地、みなみの小学校移転後跡地、仮校舎として活用されている小学校の跡地はどのように検討されているのか、伺います。

 次に、鍋横区民活動センター等整備について、伺います。

 基本計画(案)が1月に策定され、地域の建設検討委員会への説明が行われました。地域の方々から、区民活動センターの規模や施設の配置など様々な意見があり、地域の合意が得られず、見直しをしております。基本計画(案)は、地域の方々が納得できるよう再検討していかなければならないと思います。これまでどのような検討をされてきたのか、伺います。

 現在は、中野警察署の駐車場として10月まで貸付けをしております。その後の用地の活用方法はどうされるのか、民間に駐車場として貸し付けてはいかがでしょうか。伺います。

 区有施設整備計画は、今後の財政見通しに非常に大きく影響します。基本計画は5年の計画ですが、区有施設整備計画は長期のスパンで考えなければなりません。1年ごとの年次に落とした施設整備のスケジュールを作成し、6年から10年の間は先の見通しを考えた上で計画的な施設配置・施設整備を行わなければならないと思います。計画の策定はいつ頃示されるのか、伺います。

 小・中学校等改築・改修について、伺います。

 先日、美鳩小学校、みなみの小学校の新校舎が完成し、見学をしてまいりました。子どもたちは、新しい校舎ですばらしい教育環境の下、笑顔で伸び伸びと学校生活を送っていることと思います。このように小中学校再編計画によって、来年4月には中野第一小学校が完成し、9月には中野東中学校が完成します。また、令和4年には令和小学校が完成し、その後も再編計画については計画に基づいて進めていくとの考えであります。建築後50年経過する学校については改築を進めていくこととしております。しかし、中野本郷小学校は、整備設計の入札告示後に、財政状況が厳しくなるという理由から基本設計・実施設計の入札を停止し、一度立ち止まる判断をされました。財政難を理由に、子どもたちのよりよい教育環境の整備を遅らせることは大変遺憾に思います。また、学校施設は教育施設だけではありません。震災や風水害の自然災害時の避難所としての機能や役割があり、また地域のコミュニティの場でもあります。中野本郷小学校の整備計画は早期に進めていくべきと考えます。今後どのような計画、見通しとなるのでしょうか、伺います。

 また、桃園第二小学校についても今年度基本構想・基本計画の予定でしたが、同じく見直しをされております。この地域では、旧上高田小学校を仮校舎としないで現地建替えをしてほしいとの意見もあるようであります。桃園第二小学校の整備計画はどのように進めていくのか、伺います。

 また、平和の森小学校は、統合してから来年で10年を迎えます。子どもたちのよりよい教育環境をつくるために新校舎の整備は急がなくてはなりません。計画はどのように考えているのか、伺います。

 このように改築工事が遅れることにより、今後改築が必要となる学校について、現在改築スケジュールが示されていない学校も含め、小中学校施設整備計画全体に関わることと思います。学校の建築工事は平準化をして、区内事業の育成や区内産業、区内経済への影響も踏まえて公共事業として計画を示して取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 今後策定する区有施設整備計画とも整合性を図りながら、基金や起債の活用により国庫支出金の確保など効率的・効果的に着実に進めていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 次に、区の危機管理体制について、伺います。

 中野区では、危機管理ガイドラインを定めております。現在、新型コロナウイルス感染症対策について全体を取り仕切る立場の部署の存在が明確でなく、誰が責任を持って指示を出し、調整を行い、判断していくのか、全く見えてこない印象を受けます。今のままの体制では庁内の各部間の連携が悪く、現在の組織体制が機能しているようには感じられません。庁内の総務部には危機管理部門が設置されていますが、もともとあった防災課と生活交通安全課と内部統制を管理する行政管理課が集まり一つの課になっただけで、今回のような未知の感染症への全区的な対応といった未曾有の危機に対応するには非常に脆弱であると考えております。これから冬に向かっていくに当たり新型コロナウイルスの感染力が高まっていくことも危惧されており、加えましてインフルエンザなどの他の病気に罹患された方々とのすみ分けやおのおのの状況に応じた治療、対応も出てくる。課題は山積しており、まだまだ新型コロナウイルス感染症との闘いは続いていくことが想定されます。重大危機の発生時には常に既存の部の役割、権限を超えた調整が求められることから、組織横断的に各部に指示を出し、采配を振るえる権限にある方が取り仕切るべきと考えます。部を超えた全庁的な対応を適時適切に行い、実行力の高い体制にすることが必要と考えます。それなりの立場の人をトップとする特別対策チーム、タスクフォースチームを組織して、庁内一丸となって新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組む組織体制を構築すべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 [1]次に、自転車ルールについて、お伺いいたします。

 何問かありましたが、時間の関係で割愛させていただきますが、昨年中の中野区内の交通事故発生状況は、発生件数が681件、負傷者数が745名、交通事故による死亡者数は1名であり、一昨年と比べて全ての項目において増加傾向にあります。先日も中野区本町の路上で自転車と歩行者の衝突によって死亡事故が発生いたしました。亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げます。

 私たちの日常生活にはなくてはならない自転車が関与した交通事故については、過去3年間比は急増し372件となっており、割合は54.6%となっております。都内発生の交通事故では自転車関与率が39%であることからも、区での自転車が関与した割合は非常に高い数値であると言えます。区内を走行する自転車利用者の運転マナーを改善していく必要があり、一層交通ルールの周知を図ることが必要であります。区内における自転車が関与する交通事故の発生を防止していくことは早急に対策すべき課題であると考えますが、区の見解を伺います。

 また、中野・野方両警察署に対し交通指導取締の一層の強化を要請していくべきと考えますが、区の見解をお伺いいたしまして、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、今後の行財政運営の考え方についての行財政5か年計画についての御質問です。行財政5か年計画は、当時長引く経済不況による歳入の減少などから区財政の危機的な状況を回避するため、区民サービスの見直しをはじめ行政システムの改革などに取り組むために策定されました。その後、緩やかな経済状況の回復と相まって、行財政5か年計画の取組の成果として区は財政再建を果たすことができたと認識しております。現在と当時の区財政を取り巻く状況は異なりますが、大幅な歳入減が複数年続くことが予想されることを考えれば視点の置き方や推進体制など参考にすべき内容は多くあると考えております。

 次に、構造改革の具体的な取組についてでございます。構造改革の推進に当たりましては、その検討方針を速やかに策定するため、プロジェクトチームを早急に発足させ、具体的な取組を取りまとめ、その後は権限を持った組織へ移行させて構造改革を本格的に実行に移していく考えでございます。

 次に、給与の減額についての御質問でございます。行財政の構造改革においては、直面する歳入減を乗り切るための具体策の構築と中・長期的な視点に立った施策・施設・組織の再編の二つに取り組むことが必要と捉えております。効率的かつ効果的な区政運営を実現しなければならないと考えております。単なるコストの削減にとどめず、新しい知見や技術、外部資源を活用して事業を組み立てるなど柔軟な発想で事業を見直すことを求め、従来の発想にとらわれることなく生産性の向上を図ることも重要だと考えております。現時点では、特別職及び一般職員の給与の減額を行うことは考えておりません。

 次に、基準となる一般財源規模の考え方についてでございます。これまでは、過去の歳入の推移及び今後の歳入見込みを踏まえて基準となる一般財源規模を定め、これを歳出の基準として将来の安定的な財政運営を見据えて編成を進めてきたところでございます。令和3年度につきましては、大幅な歳入減が予想される中で、現時点における前年度当初予算比92億円の減収見込みをもって基準を定める異例な状況での予算編成となります。具体的には、令和3年度につきましては現時点における一般財源の収入見通しにより基準額を687億円と定め、これを歳出の基準として予算編成を行っていく考えでございます。

 次に、財政非常事態に至った原因についての御質問です。現在の区の財政状況の厳しさにつきましては、学校再編計画による学校整備や子ども・若者支援センター、新区役所整備など基本計画に基づく大型プロジェクトが並行して進行していることによる影響が大きく、決して場当たり的な考え方で財政運営を進めてきたことが原因ではないと考えております。新型コロナウイルス感染症による経済状況悪化の影響により、現時点における令和3年度の一般財源は前年度当初予算比で92億円の減収を見込んでおり、これまで区が経験したことのない一般財源の減収が財政非常事態と明記するに至った要因でございます。

 次に、行財政運営の考え方についてでございます。これまでも財政規律を基本とし、適正な財政運営に努めてきたところでございます。職員も効率的・効果的な事業執行に努めてきたところでございますが、今後の区財政への影響はリーマンショック時を上回ることが想定されることから、より一層財務規律を引き締めていく必要があります。構造改革に当たっては職員の意識改革が大変重要であると捉えておりまして、持続可能な区政運営に向けて一丸となって取り組んでまいります。

 次に、区有施設・小中学校等の改築・改修の計画についての御質問で、初めに区立保育園の存続についての検討状況でございます。区立保育園の役割につきましては、将来的に少子化により保育需要が減少する状況になった場合の調整機能の確保や、民間保育施設に対する指導・検査や助言等を行う際の経験とノウハウの蓄積などについて検討を行いました。検討に当たりましては、園舎建替え経費、運営経費、保育士の採用計画、人口推計と保育需要の見込みなどから、区立保育園を存続させた場合の財政負担等を検証いたしました。保育定員と保育需要との均衡が図られている間は区立保育園を存続させ、少子化により区立保育園の閉園を進めた場合においても六、七園程度を存続させることといたしました。

 続きまして、児童館の配置に関する地域調整についてでございます。児童館の具体的な配置につきましては、今後、基本計画及び区有施設整備計画の中でお示しする予定でございます。地域からの御意見については、その検討過程の中で伺う考えでございます。

 次に、区有施設の跡地活用についてでございます。まず、旧商工会館につきましては、子ども家庭支援センター分室としての利用終了後、中野駅近くの立地条件を生かして民間活力を活用した施設整備等を含め検討を行っているところでございます。次に、中野東中学校移転後跡地につきましては、中野特別支援学校仮校舎の整備用地として2022年度から2027年度まで都に貸付けを行うこととしております。旧沼袋小学校跡地やみなみの小学校移転後跡地、仮校舎として活用している小・中学校跡地につきましては、改築の代替校舎としての活用のほか、大規模施設の整備誘導、民間活力の活用など様々な可能性を検討しております。

 次に、鍋横区民活動センター整備基本計画についてでございます。本年1月に、基本計画(案)を策定した後に地域への説明を行った際に様々な意見をいただいております。地域の合意が得られたとは言えない状況に現在はございます。その後、8月27日の厚生委員会において報告した、令和2年度予算の執行についての中で執行時期の見直しをすることといたしました。現在は、執行時期や併設する施設の見直しを含めた検討を進めております。

 鍋横区民活動センター整備用地の活用についての御質問でございます。この用地につきましては、中野警察署の駐車場として警視庁に貸し付けておりまして、貸付終了後の整備用地の活用については御提案いただいた民間へ駐車場用地として貸し出すことを含め、商店街をはじめ地域と調整しながら検討してまいります。

 次に、区有施設整備計画の策定時期についてでございます。区有施設整備計画は、今後おおむね20年間に想定される施設の新設・改築・大規模改修等を視野に入れ、10年後の施設配置の考え方や当面の整備スケジュールなどの検討を進めているところでございます。今定例会では、区有施設整備計画策定の考え方をお示しし、基本計画の策定スケジュールと合わせ、来年1月には素案、6月には案を示し、パブリックコメント手続を経て、8月には策定したいと考えております。

 続きまして、小中学校施設整備計画についてでございます。小・中学校を含む区有施設整備計画の検討に当たりましては、今後見込まれる厳しい財政状況を乗り越えるため、整備スケジュールを見直しているところでございます。他方、公共施設整備につきましては、景気や雇用対策としての意味もあることから、今後の経済動向を見定めながら慎重に判断してまいります。

 次に、区の危機管理体制について。初めに、感染症に対応する区の危機管理体制についてでございます。このたびの新型コロナウイルス感染症対応につきましては、区の危機管理ガイドラインにおいて健康被害の分類に位置付けられることから、当初健康福祉部が主体となって健康危機管理対策本部を設置するとともに、政府の緊急事態宣言後は法令により直ちに新型インフルエンザ等対策本部を設置し、対応を行ったところでございます。その後、感染症への対応が長期間に及びつつあることや、より広範囲な事業について庁内調整が必要となったことから、感染症対策を含め全庁的な対応を行うため、総務部が主体となる危機管理等対策会議に移行したものでございます。

 感染症に対応する区の組織についてでございます。感染症への対応として、防疫業務については健康福祉部、経済対策及び生活支援に関する施策は企画部及び総務部で設置された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策室がそれぞれ主体となって企画立案を担っているほか、各部では新型インフルエンザ行動計画に基づく役割分担の下、適宜対応を図っているところでございます。危機管理等対策会議では、区長を座長として、感染状況や感染症対策に係る各部の取組の情報共有や政策の審議・決定を図っており、全庁的な意思統一の下、感染症対策を推進しているところでございます。

 最後に、新型コロナウイルス感染拡大防止に取り組む組織体制の構築についてでございます。新型コロナウイルス感染拡大の防止に当たりましては、危機管理等対策会議におきまして組織横断的な課題への対応等を審議し、区としての判断を決定しているところでございます。危機管理等対策会議は、区長を座長、副区長を副座長、教育長と各部長を委員とする会議体であることから、各部の役割や権限を超えた調整を行ってきたところでございます。今後も危機管理等対策会議の運営を通じて、区長をトップとし、副区長による調整機能が十分発揮されるようなマネジメントを実践していきたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、区有施設・小中学校等の改築・改修の計画についての御質問のうち、二つについてお答えいたします。

 初めに、今後の小中学校施設整備計画についてです。中野本郷小学校及び桃園第二小学校の改築に向けた整備計画策定につきましては、今後悪化が見込まれる財政状況を踏まえ、その実施時期を見直すこととなっております。学校施設整備の全体計画である中野区立小中学校施設整備計画について、今後の財政見通しや社会情勢等を踏まえつつ、新しい基本計画、区有施設整備計画との整合性を図りながら見直しを行い、この二つの施設整備の進め方についてもその中で明らかにしてまいりたいと思います。

 次に、平和の森小学校新校舎についてです。平和の森小学校新校舎については、現在、建築予定地内にある旧中野刑務所正門の取扱いの再検討が行われており、新校舎整備計画の策定作業は中断しているところでございます。旧中野刑務所正門の取扱方針が定まり次第、その方針を踏まえ、速やかに新校舎整備計画の策定作業を再開してまいります。

〔危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、自転車交通ルールについて、自転車利用者の交通ルールの周知について、お答えいたします。区民の交通安全に対する意識を醸成し、交通事故を防止していくことは大変重要なことと認識してございます。区では、区報やホームページの広報、警察や地域の団体などとの連携による交通事故防止に向けた啓発活動や各種キャンペーンの実施、自転車安全利用講習会などを行ってきたところでございますが、今後もこうした取組によりまして自転車利用の交通マナーや交通ルールの周知を図り、交通事故の減少に努めてまいりたいと考えてございます。

 また、警察に対しましては、自転車利用者への交通指導及び取締りの一層の強化について要請していきたいと考えてございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時24分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 高橋 かずちか

       議 員 立石 りお

       議 員 伊藤 正信