令和2年09月10日中野区議会本会議(第3回定例会)
令和2年09月10日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

.令和2年(2020年)9月10日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  6番  河  合  り  な        7番  斉  藤  ゆ  り

  8番  立  石  り  お        9番  羽  鳥  だいすけ

 10番  高  橋  かずちか       11番  加  藤  たくま

 12番  吉  田  康一郎        13番  木  村  広  一

 14番  甲  田  ゆり子        15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  若  林  しげお

 22番  内  川  和  久       23番  いでい   良  輔

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 40番  むとう   有  子       41番  長  沢  和  彦

 42番  来  住  和  行

.欠席議員

  5番  間     ひとみ

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当)小 田 史 子   地域支えあい推進部長 鳥 井 文 哉

 地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子  健康福祉部長  岩 浅 英 樹

 都市基盤部長  奈 良 浩 二      企画部企画課長(企画部参事事務取扱) 石 井 大 輔

 総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  野 村 理 志

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  五十嵐 一 生      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  本 多 正 篤

 

 議事日程(令和2年(2020年)9月10日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 令和元年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

午後1時00分開議

○副議長(平山英明) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 ひやま   隆

 1 新型コロナウイルス感染症対策について

  (1)新型コロナウイルス感染症に係る区の現状について

  (2)新型コロナウイルス感染症に係る検査体制について

  (3)保健所機能の強化とあり方について

  (4)新型コロナウイルス感染症回復者のケアについて

  (5)その他

 2 中野区基本構想・基本計画について

  (1)基本構想・基本計画の意義とスケジュールについて

  (2)基本構想・基本計画と行財政運営の考え方について

  (3)基本構想・基本計画と区民参加について

  (4)その他

 3 良好な生活環境を確保するための取組について

 4 その他

 

○副議長(平山英明) 最初に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○17番(ひやま隆) 令和2年第3回定例会に当たりまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。質問は通告のとおりです。その他はございません。

 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について質問いたします。

 昨年12月に中国湖南省武漢市で発生した新型コロナウイルスは、その後瞬く間に世界に広がり、今なお世界各地で猛威を振るっています。我が国においては、今年の1月に国内初の陽性者が確認されてから今日に至るまでに約7万人以上の感染が確認され、今なお予断を許さない状況にあります。中野区内の新型コロナウイルス感染症感染者数は、9月7日時点で累計972人、23区の中で4番目に多い人数となっており、中野区としても強い危機感を持って感染拡大防止に総力を挙げて取り組まなくてはいけない状況であると思います。そうした中で、国は現状について4月の緊急事態宣言時とは状況が異なると繰り返し強調し、さらには、GoToトラベルキャンペーンという摩訶不思議な施策で多額の税金を使って国民の移動を促進しています。一方で、東京都をはじめとする多くの自治体は、移動の自粛を求めるなど、国と自治体との間で危機感のギャップがあるのではないか、そうした印象が否めません。

 そこで、まず、そもそも区としては、現下の新型コロナウイルス感染症の状況についてどのような認識をお持ちなのか、答弁を求めます。

 政府の有識者分科会は、先月7日、新型コロナウイルスの感染状況を4段階で評価するための六つの指標を取りまとめました。政府は、これらの指標やステージについては各都道府県知事が対策を講じる際のあくまでも参考の一つであり、一つ一つの指標を機械的に判断するのではなく、感染状況の最終的な判断については国や都道府県が総合的に判断するべきだとの見解を示しております。そうした点で、今回政府が示した指標やステージはその位置付けについて曖昧な点も残りますが、感染拡大が続く中で現状を把握するための手段としては有益な判断材料の一つであると考えます。

 そこで、これらの指標に関して現在の区内においてはどのような状況になっているのか、答弁を求めます。

 とりわけコロナ禍において最も懸念される問題の一つに医療崩壊が挙げられます。コロナ禍において、病床の逼迫度合いをはじめとする区内の医療体制の現状については多くの区民から不安や心配の声が上がっております。それらの状況について区として区民に正しく周知をする必要があると考えます。区の見解について答弁を求めます。

 5月25日の緊急事態宣言解除から今日までの感染状況について幾つかお聞きします。

 中野区の中野区感染症発生動向調査週報を見ますと、緊急事態宣言解除から今日に至るまで中野区内の陽性者数は日々増加傾向にあります。感染状況を年代別で見ると、再流行の初期の段階では20代、30代といった若者を中心に感染の拡大が見られましたが、その後は幅広い世代に感染が広がっている傾向が見られます。これらの感染状況の要因について区としてはどのように分析しているのか、答弁を求めます。

 特に懸念されるのは、陽性者の年齢層の広がりとともに重症化傾向のある高齢者にも感染が及んでいる点です。重症者が増加しますと、病床をはじめとする医療資源の不足とともに、医療逼迫、ひいては医療崩壊にもつながりかねません。現に一部の地域では医療体制が危機的な状況にあるという報道もなされております。中野区内の陽性者の重症度の現状とこれまでの傾向について答弁を求めます。

 今回の新型コロナウイルス感染症の特徴として、陽性者の中でも軽症者や無症状者が相当数おられるということが挙げられます。感染拡大に伴い、軽症者や無症状者が全国的に増加していることを受けて、8月、国は自宅での療養を認める条件を緩和する方針を示しました。この方針によると、一定の条件を満たせば、同居家族が、高齢者や持病があるなどの重症化リスクの高い人、また、医療従事者の場合であっても自宅療養が認められます。しかし、家庭内での感染が多数確認されている中、自宅療養での感染管理の在り方については感染拡大防止の上で大きな課題です。現在、中野区内での軽症者や無症状者のうち、自宅で療養されている方はどの程度おられるのか。また、自宅療養での感染管理の現状について答弁を求めます。

 軽症者や無症状者の中には、家庭内感染のリスク、重症化や後遺症、回復してから社会生活を営む上での差別や偏見といった様々な不安や悩みを抱えながら隔離された生活を送っておられる方もいらっしゃいます。そうした方々のQOLの確保、さらにはきめ細やかな心身のケアを中野区として実施していくことが重要です。現在、中野区内において自宅療養をされている方への区のフォローアップ体制の現状について答弁を求めます。

 次に、新型コロナウイルス感染症に関わる検査体制について質問いたします。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策を進めるに当たっては、流行の第1波をしっかりと検証、総括した上で現下の感染拡大に対応していくことが不可欠です。第1波の大きな課題の一つとしては検査体制の在り方が挙げられます。そもそも感染拡大防止を考える上でなぜ検査が重要なのか、改めて言うまでもありませんが、一つには、陽性者を速やかに診断し隔離、保護することで感染拡大の防止につながります。もう一つは、正確に感染の状況を把握することで的確な対策を打ち出すことができるからです。逆に言えば、陽性者の正確な実態の把握なくして有効な対策は打てません。第1波においては、明らかに症状があってもPCR検査を受けることができないといったケースが都内でも確認され、検査数の不足が大きな問題となりましたが、中野区においてはそういったケースはなかったのか。第1波における区内の検査体制の実態について答弁を求めます。

 検査体制の拡充に関して、中野区では、新型コロナウイルス感染症の早期診断、早期治療を実施することで感染拡大を防止する目的から、中野区医師会と合同で中野区PCR検査センターを4月29日より開設しております。センターの開設に当たっては、中野区民の命を守るために多くの医師会員の先生方が検査医師募集に応じていただきました。この場をお借りいたしまして改めて厚く御礼申し上げます。開設当初は1日当たり最大で48人の検査を行うことができるとの御説明でしたが、現在では検査可能な件数が飛躍的に伸びていると伺っております。センターの現状の検査能力と稼働率について答弁を求めます。

 また、検査体制の拡充に関しては、検査に対応できる人材の不足や検体採取能力の不足が指摘されておりますが、こうしたセンターでの取組を通じて、PCR検査、新型コロナウイルス感染症に関する診察及び診断を行うことが可能な区内の医療機関が増えていくことが期待されております。区内における帰国者・接触者外来を除くPCR検査実施医療機関の現状と今後の見込みについて答弁を求めます。

 世界全体で見れば、日本の新型コロナウイルスに対するPCR検査件数は先進7か国では最下位、OECD加盟の先進36か国の中でも最低クラスです。PCR検査の検査能力を向上させる取組として、他の自治体では、帰国者・接触者外来の増設、店舗での出前型のPCR検査の実施、ドライブスルー方式やウォークスルー形式の検査センターの設置、PCR検査機器の確保といった取組が実施されております。また、クラスター発生のリスクの高い場所で陽性者が出た際には、濃厚接触者以外にも積極的に検査を実施する事例や感染リスクの高い職種の方の自主検査の費用助成といった取組も行われております。さらなる流行に備え、検査が必要な方が確実に、かつ迅速に検査が受けられるよう、検査体制のさらなる拡充に向けて体制の強化を進めていかなくてはいけないと考えますが、区の姿勢について答弁を求めます。

 次に、保健所機能の強化と在り方について質問いたします。

 第1波では保健所の業務が逼迫し、PCR検査の目詰まりといった弊害も一部の自治体で露呈するなど、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、保健所の在り方が切実に問われています。日本経済新聞社が7月上旬に保健所を設置する46道府県と政令市、東京23区を対象に実施した調査では、第1波での保健所対応について8割が限界ぎりぎりで対応できたと回答しています。限られた人員で業務に当たった保健所の厳しい実態が浮き彫りとなった形ですが、これについて中野区の実態はどうだったのか、現状も含めて答弁を求めます。

 コロナ禍において保健所のマンパワーをいかに確保していくのか、これは中野区においても喫緊の課題です。他の自治体では、保健所OB、OGの看護師や保健師などの雇用や採用が決まっている保健師の就労の前倒しなどにより保健所の人材を確保する取組が見られますが、これに関して中野区の現状について答弁を求めます。

 現実的には即戦力としての役割が保健師に求められているのが現状だと思いますが、中長期的には保健師の人材育成も必要であると考えます。さきの日本経済新聞の調査によると、新型コロナウイルスを含めた感染症への対応強化で8割の自治体が感染症の知識を持つ保健師の育成、拡充が必要と回答しております。国家資格である保健師は地域住民の健康育成や保健指導といった役割を担っておりますが、中野区ではこれまで感染症に備えた保健師の人材育成といった取組は実施してきたのでしょうか。今回のコロナ禍を契機として、改めて感染症対策に関わる保健師の育成をさらに進める必要があると考えますが、区の見解について答弁を求めます。

 コロナ禍における保健所の喫緊の課題として、マンパワーの確保と併せて保健所の負担軽減が挙げられます。第1波においては医療機関から保健所に陽性者の発生届の手書きファクスが大量に届き、紙ベースのアナログな連絡体制が保健所業務を逼迫させる原因の一つとして指摘されました。この点について中野区の実態はどうだったのか、答弁を求めます。

 こうした現状を踏まえ、厚生労働省は、発生届の入力の手間を情報ネットワークで簡略化するための新たなシステムHER-SYS(ハーシス)の構築に着手し、東京都においても8月から導入されました。このシステムは、医療機関や保健所が入力した陽性者の氏名、居住地、症状、接触者などの情報を一元的に管理し、国や自治体と共有できる仕組みとなっています。問題となっている発生届は、医療機関がオンラインで入力し、陽性者本人が健康状態をスマートフォンなどで入力する仕組みとなっており、保健所の負担軽減の効果が期待されていました。しかし、このHER-SYSは、入力するデータの多さや既存のシステムとの重複、個人情報保護の壁など様々な理由から本格的に利用している自治体はまだ少数で、保健所の負担軽減に必ずしもつながっていないという実態が見受けられます。中野区では8月からHER-SYSの利用を開始していますが、現状はどうなっておりますでしょうか、答弁を求めます。

 コロナ禍においては、帰国者・接触者センターの運営や感染経路の調査、クラスター調査など、感染拡大を防ぐ要の機関として、保健所が担う業務は増えることはあってもなかなか減ることはありません。さらなる流行も予想される中でいかにして保健所の負担を減らしていくのか。それと併せていかにして保健所の機能を強化していくのか。これらを考えることは感染拡大防止の観点からも重要なポイントです。これらの点について、区のこれまでの取組と今後の取組について答弁を求めます。

 中野区保健所処務規程第2条には、「保健所は、地域保健法に基づき、公衆衛生の向上及び増進に関する事務をつかさどる」とあります。保健所が所掌する事務には、感染症対策のほか、区民の健康増進に関する事項、自殺対策をはじめとする精神保健に関する事項、食品衛生に関する事項など多岐にわたります。コロナ禍における保健所への業務の集中により、新型コロナウイルス感染症対策以外の通常の保健所業務への影響が懸念されます。実際に世田谷区や新宿区ではHIV検査が年度内は実施できない状況になっております。コロナ禍において新型コロナウイルス感染症対策以外の保健所業務にどのような影響が及んでいるのか、区の現状について答弁を求めます。

 この項の最後に、新型コロナウイルス感染症回復者のケアについてお聞きします。

 新型コロナウイルスに感染後、検査で陰性になったにもかかわらず、その後も倦怠感や呼吸困難、味覚障害といった後遺症と見られる症状が残ってしまうケースが相次いで報告されています。こうした事例を受けて厚生労働省はこれらの実態について2,000人を対象とした調査を8月から実施しています。後遺症は体への影響だけにとどまらず、息苦しさなどの体験がよみがえり、鼓動が速くなるといったPTSDや鬱、強い不安感に襲われるなどの精神的なダメージが残ってしまう事例も報告されております。区として早急に対策を進めていかなくてはいけないと考えますが、新型コロナウイルス感染症の回復者のケアに関して、区の現状と今後の取組について答弁を求めます。

 回復者のケアに関連してもう一点お聞きします。

 新型コロナウイルスの陽性者やその家族らに対する中傷や差別、偏見といった被害が多数報告されています。新型コロナウイルスは文字どおり新型のウイルスであるがゆえに不明な点も多いことから、見えない敵に対して疑心暗鬼になっておられる方も少なくなく、こうしたことも差別や偏見を生む要因の一つになっていると推察されます。そうした社会不安を除くために最も重要なことは、正確な情報を正確に伝えること、そして区民全体の理解促進に向けた普及活動が必要であると考えます。また、それと併せて、新型コロナによる中傷や差別、偏見を許さないという強いメッセージを改めて区としても発信する必要があると考えますが、答弁を求めます。

 次に、中野区基本構想と中野区基本計画について質問します。

 戦後日本の地方自治の歴史を顧みると、従来の国と地方との関係性は必ずしも自治体に政策決定が求められるものではなく、むしろ多くの政策は中央省庁から法令や補助金の形で下りてくるものであって、自治体に求められたのは、それらを国の指導と基準に従って執行する執行能力であったという側面があります。しかし、近年の地方分権の大きな流れの中で、自治体の根本的な役割として、それぞれの地域の特性や行政課題を捉え、それらを創意工夫によって解決していくことが求められるようになりました。その中で自治体行政の柱となるのが総合計画であり、これらに基づいて行政運営を行うことが自治体行政の事実上のスタンダードとなっております。

 中野区においては、昭和56年1月に、「ともにつくる人間のまち中野」を基本理念に区として初めて基本構想を制定しました。平成17年に基本構想が改定され、2006年には、基本構想を実現するための基本計画として新しい中野をつくる10か年計画を策定し、その後、平成30年、酒井新区政のスタートに伴い、区は中野区基本構想の改定と新たな中野区基本計画の策定の方針を示されました。当初のスケジュールでは、令和2年、今年の6月に基本構想議案の提案、10月に基本計画の策定という予定でしたが、今年6月の総務委員会では、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和3年2月に基本構想議案の提案、8月に基本計画の策定とスケジュールの変更が示されました。基本構想・基本計画の策定スケジュールについては、これまで複数回にわたって変更が行われてきましたが、その中にはコロナ禍以前のものも含まれております。基本構想・基本計画策定に当たって、当初スケジュールからの遅れに関して、その理由について答弁を求めます。

 これに関連して、基本構想・基本計画と個別計画等の策定の考え方について質問します。

 現在、各部において策定が進められている個別計画等の中には、新たな基本構想・基本計画と整合を図りながら進めているものが見受けられます。基本構想・基本計画の策定スケジュールの遅れによりそれらの計画等への影響が懸念されますが、当初スケジュールからの遅れにより個別計画等の策定にどのような影響が出ているのか。また、仮に今後、現行スケジュールに遅れが出た場合、どのような影響が出てくるのか、答弁を求めます。

 基本構想は将来の中野区のまちの姿を描く区民との共通目標であり、また、区政運営を進める上で最も基本的な指針となるものであります。区民はもとより、区職員にとっても、区政の方向性や区が実施する施策の全体的な姿が示されることは、まちづくりに意欲や力を注ぎやすくなり、区政の活力と区民参加のさらなる促進につながるものと考えます。さらには、そもそも基本構想や基本計画といった基本的な行政計画を持たなければ、現状と将来の見通しに対する大局的な視野に立った判断が難しく、判断視野の狭い場当たり的な行政に陥りかねません。改めて基本構想・基本計画に関わるその意義と必要性について答弁を求めます。

 現在の基本構想検討素案はコロナ禍以前に決定したものであり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や区に寄せられた区民や関係団体からの意見を踏まえ、現在、一部見直しを行っておられるとのことですが、どのような意見が寄せられ、どのような見直しを行っているのか、現在の状況について答弁を求めます。

 新型コロナウイルスは単なる感染症という問題ではなく、私たち人間の生き方を根本から覆し、世界の秩序や文明すら一変させました。我が国においても現段階では収束に向けた見通しは立っておらず、コロナ禍における先行きの見えない状況に社会全体の不安は増すばかりです。こうした不確かな時代だからこそ、中野区には区の将来像と方向性を明確に示すことが今こそ求められているものと考えます。新型コロナウイルス感染症への対応に注力しながら、それと併せて基本構想・基本計画、区有施設整備計画を作成するというのは極めて大きな労力を要する作業です。現実的に現行スケジュールに間に合うのか、この点については非常に懸念される部分ではありますが、我が会派としては新たな基本構想・基本計画の遅滞のない速やかな策定が必要であると考えますが、区の見解について答弁を求めます。

 中野区自治基本条例第8条第1項には、「区は、区議会の議決を経て、区政運営の指針となる基本構想を、財政見通しを踏まえた上で定めるものとする。」とあります。その上で第2項では、「執行機関は、基本構想の実現を図るため、基本計画を策定し、総合的かつ計画的な行政運営を行うものとする。」としています。今月8日に内閣府が発表した4月から6月期のGDP2次速報は1次速報からさらに下方修正され、年率換算で前年度比28.1%の減となり、戦後最大の落ち込みとなりました。区財政についても、個人住民税や都区財政調整交付金の財源である法人住民税への影響は避けられず、区財政を取り巻く環境は今後ますます厳しくなることが予想されます。今定例会での行政報告においても、区長からは、今後の財政見通しについて極めて慎重な財政運営が必要で、財政的な非常事態と言わざるを得ないとの認識が示されました。その上で、今年度の当初予算における一部の新規・拡充事業の中止、延期、既存事業の執行の見直し、さらには新年度予算編成においても事業の廃止、縮小、先送りといった根本的な見直しを行って歳出の抑制を図ると表明されました。今後の厳しい財政見通しに鑑み、歳出抑制に取り組まれることについては我が会派としても必要性を認識しているところであります。しかし、一方で、廃止、縮小の流れの中で、本来であれば、区としてさらなる新規・拡充が必要な喫緊の行政課題に対して区のマインドが現状維持、財政規律優先に陥ることがあってはならないと考えますが、区の姿勢について答弁を求めます。

 さきの行政報告の中で区長からは、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う社会情勢の変化に適応した行財政運営を実現するためには、根本的な構造改革が不可欠であり、新しい基本計画は構造改革を見据えた計画として策定する」とのお考えが示されました。財政的な非常事態に鑑み、持続可能な区政の実現のためには、施策、施設、組織の優先度を見極めたビルド・アンド・スクラップが重要であり、施策の統合、再編に当たっては、優先度の高い施策については、新規・拡充も含め、さらに前に進めていく。一方、事業の費用対効果を分析し、効果の上がっていないものについては大胆に廃止、縮小を進めていく。新たな基本構想・基本計画はそうしためり張りのある施策体系の下につくられるべきものであると考えます。今後の厳しい財政見通しの中でどの施策を優先的に取り組むのかといった政策選択は、新しい基本計画を策定するに当たり極めて重要でありますが、酒井区政にとっての優先度とは何なのか、どこに比重を置くのか、区長のお考えをお聞かせください。

 国の地域主権改革の下、平成23年5月2日に地方自治法の一部を改正する法律が公布され、基本構想の法的な策定義務がなくなり、策定及び議会の議決を経るかどうかは自治体の独自の判断に委ねられることとなりました。中野区においては、中野区自治基本条例第8条に基づき、基本構想は議会の承認を経て策定されます。一方で、中野区も含め多くの自治体では基本計画が議会の議決事項とはなされておらず、民主主義から縁遠いとの指摘もなされております。さきに政策資源の制約が厳しい中で今後は政策選択が重要であると申し上げましたが、まさに区の施策体系の柱となる基本計画策定のプロセスにこそ本来は区民参加が必要であり、区民が自ら決めたと実感できる計画づくりをすることが重要であると考えます。中野区では、新たな基本構想・基本計画の策定に向けて、基本構想については、意見交換会及びパブリック・コメント手続のほかに新たに区民ワークショップを実施するなど、より幅広く区民の声を反映させるための区民参加の機会を設けてきました。一方で基本計画については、意見交換会及びパブリック・コメント手続といった従来どおりの手続といった印象を受けます。区民参加、対話の区政を掲げる酒井区政が新たな基本計画の策定に当たって今後どのような区民参加の手続を考えておられるのか、答弁を求めます。

 区民参加に関して、中野区自治基本条例第14条では、基本構想・基本計画の策定に当たっては、原則として意見交換会及びパブリック・コメント手続を経るものとあります。意見交換会とパブコメ、この区民参加の二つの柱のうち、意見交換会に関してはコロナ禍において実施が難しい状況になっております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、意見交換会を中止したことにより、基本構想・基本計画の策定スケジュールに遅れが生じてしまっている状況です。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止は重要ですが、しかし、新型コロナを理由に区政が停滞することがあってはならないと考えます。今後、意見交換会の実施に当たっては、国が示す新しい生活様式等も踏まえ、3密を避けるなどの工夫をしながら実施を検討するべきであると考えますが、区の答弁を求めます。

 最後に、良好な生活環境を確保するための取組として、木造住宅耐震改修等助成事業について質問いたします。

 この事業については、今から5年前、私の議会での初質問の際に取り上げ、制度の必要性を訴え続けてまいりました。6,434人の命を奪い、約25万棟の住宅が全半壊した阪神・淡路大震災の発生から今年で25年を迎えました。改めて亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 阪神・淡路大震災においては、犠牲者のほとんどが建物の倒壊等による窒息死、圧死により発生から相当早い段階で亡くなられ、倒壊した建物の大半が昭和56年以前に建築された木造建築物であったということが明らかになっております。こうした教訓からも、木造住宅の耐震化の促進が防災上の観点から非常に重要であることは論をまたないところであります。木造住宅への耐震改修助成は前区政においては実現がかないませんでしたが、酒井区政の誕生により今年から本事業がスタートしております。当該事業がスタートしたこと自体は評価いたしますが、開始から約半年が経過し、区民の方から様々な声をいただいておりますので、それらのお寄せいただきました御意見を基に質疑をいたします。

 まず助成要件についてです。助成の対象となる住宅は区が定める6項目の全ての項目を満たす住宅となっておりますが、その中には、延焼のおそれのある範囲に存在する外壁の開口部は金属製サッシに網入りガラスを入れる等の仕様とすることといった項目が含まれており、むしろこれらの条件を満たすためにかかるコストが助成金額を上回ってしまい、利用を諦めたといった声が複数寄せられております。木造住宅耐震改修等助成事業については23区全ての区で実施されておりますが、近隣区の状況などをお調べすると、助成要件のハードルがここまで高いのは中野区だけです。当初、中野区としては当該事業の利用件数に関してどのように見込んでいたのか。また、現在の利用実績はどのようになっているのか、答弁を求めます。

 木造住宅の耐震化のさらなる促進に向けて、木造住宅耐震改修等助成事業の助成要件については、利用実績等も踏まえ、より使い勝手のよい制度に改善をしていく必要があると考えますが、区の答弁を求めます。

 さらに、事業の中身の改善と併せて区民へのさらなる周知も必要です。区として実施している様々な耐震化促進事業については中野区ホームページ等で確認することができますが、木造住宅耐震改修等助成事業のページが検索しづらいという声をいただいております。実際に「中野区」「木造住宅」「耐震助成」で検索して最も上位に引っかかる「中野区の耐震化促進事業」のページは9月3日時点で最終更新日が2019年4月1日、木造住宅の助成事業の欄には、「耐震診断」「建て替え・除去」といったメニューは確認できますが、耐震改修助成事業については掲載が確認できませんでした。当該事業に関して区民へのさらなる制度の周知、また、その周知の方法についても改善をする必要があると考えますが、区のお考えについて答弁を求めます。

 以上お聞きしまして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対策について、初めに新型コロナ感染症の区の状況についての認識でございます。

 東京都は人口が集積しており、地域の新型コロナウイルス流行状況や医療資源の分布が一律ではないため、国全体と各自治体を同等には比較できないと考えております。9月3日の東京都のモニタリング会議では、新規陽性者数などは減少傾向にあるが、その速度は緩やかであるため、再流行の危険はあるとして都は最上位の警戒レベルを維持しております。区の流行状況は東京都の傾向、分布と類似していると考えております。

 次に、有識者分科会の評価指標における区の状況でございます。8月末の1週間における中野区民の新規感染者数は50名、人口10万人当たりの新規感染者数は14.9人であり、前週に比較し減少傾向にはあります。一方、区内医療機関からの届出では接触歴が不明と推定される者は3割でございます。人口10万人当たりの入院、宿泊等療養者数は9月4日現在32.7人でございます。また、中野区PCR検査センターにおける検査陽性率でございますが、9月第1週では6.8%でありますが、濃厚接触者が含まれるため、東京都のモニタリング指標より高めに出ております。病院の逼迫度合いなどの医療資源については都が一元的に情報を管理しておりますが、体制強化が必要なレベルであると考えております。

 次に、区内の医療体制の現状についての区民周知でございます。感染症に係る医療確保は都内全域で対応する仕組みとなっておりまして、区内で完結するものではございませんが、区民は強く関心を寄せていると認識をしております。このため、区では中野区ホームページから東京都内の最新感染動向を把握できるようにしており、病床の利用状況を含めた医療体制についても見られるようにしております。なお、区は、適宜地区医師会や区内病院との情報交換を実施しておりまして、医療体制の状況を把握しているところでございます。

 現在の感染状況の要因分析でございます。緊急事態宣言解除後は、当初接客を伴う飲食店などの利用や宴会への出席による20代、30代の感染が主流でございましたが、その後、日中の社会活動や同居などにより家族内や職場に感染が広がってきております。中野区においても東京都全体でも傾向は同様でございます。

 次に、区内陽性者の重症度の現状と傾向でございます。陽性者の重症度の現状については、各病院から報告されたデータを東京都が一元的に管理しており、区ごとのデータについては情報を持ち合わせておりません。9月5日付の東京都のデータでは重症者は都全体で27人でございます。これまで中野区の重症例として把握しているのは、高年齢や糖尿病、がん、透析などの基礎疾患を有する方々でございました。

 次に、自宅療養者数と感染管理の現状でございます。自宅で療養している方は8月上旬から中旬にかけては最大約90名ほどに達しましたが、9月4日現在では入院や宿泊療養の調整中の方を含め約40名でございます。自宅療養の方については、発症から10日間は自宅内で過ごすよう指導しており、毎日保健師等が国の療養基準を遵守し、電話等で健康観察などの感染管理を行っております。

 次に、自宅療養者へのフォローアップ体制でございます。自宅療養者に対しては、保健師等による日々の健康観察のほか、重症化リスクのある方に対してはパルスオキシメーターを貸与し、安全な自宅療養を送ることができるよう健康状態のフォローを行っております。また、自宅療養者支援として、食料品及び日用品等を詰め合わせた生活支援セット、こちらを希望に応じて職員が自宅玄関前までお届けしております。

 続きまして、第1波における区の検査体制についての御質問です。第1波においては保健所による行政検査が主体でありました。後に保険適用による帰国者・接触者外来、あるいは同等の機能を持つ医療機関のPCR検査体制が立ち上がりましたが、当初は民間検査センターも稼働能力が高くなく、検体採取のマンパワーや防護服の確保等、幾つもの課題があったことから検査数の不足につながったと認識をしております。このため、区では、地区医師会の協力の下、中野区PCR検査センターを4月29日から立ち上げ、検査体制の充実に努めてきたところでございます。

 次に、検査能力と稼働率の現状でございます。中野区PCR検査センターにおいては、毎週水曜日、木曜日、土曜日に検査を実施しております。週の最大検査可能数は300件でございます。稼働率でございますが、8月ではほぼ100%という時期もありましたが、9月第1週では約50%でございます。

 次に、検査体制の拡充についての御質問です。区内における帰国者・接触者外来のほか、区の助成制度を利用してPCR検査を実施している医療機関は現在8施設でございます。国や都は、身近な医療機関において相談とPCR検査や迅速な診断が可能な抗原検査を行う方針を打ち出しておりまして、区としてもできる限り検査ができる医療機関を増やしていきたいと考えております。現在、中野区医師会と協議をしているところでございます。

 次に、第1波における保健所の実態と現状でございます。第1波が始まった頃は、感染症の保健所対応業務として、新たに入院勧告、積極的疫学調査、患者移送、通知発送などの多くの業務が急速な患者数の増に比例して増加していき、また、国の通知により新たな対応が必要になるなど、現場としては多忙を極め、逼迫した状況となりました。現在は全庁的な職員応援体制を組むとともに、東京都からの派遣事務職員を配置しております。また、電話相談等の業務を外部に委託し、負担軽減を図っております。しかし、感染拡大やクラスターの発生は短期間で急激に起こり、患者数が急増するため、今後はより柔軟な人員配置体制が必要であると考えております。

 続きまして、保健所の人材確保の取組でございます。保健師等のOB、OG職員の雇用については、東京都ナースプラザからの人材あっせんについて都に要望しているところでございます。なお、特別区職員採用選考は現在遅れているため、保健師の前倒し採用については困難な状況でございます。

 次に、感染症対策に係る保健師の育成でございます。感染症に備えた保健師の人材育成につきましては、結核対策の実務を通じ実施してきたところであります。しかし、保健所の再編統合により、結核感染症の実務経験がある保健師数が保健所勤務経験者に限られてしまった状況があります。今後は、ジョブローテーションや短期の実務研修、感染症関連の学会や公衆衛生学会への参加などを検討し、感染症業務を担当する保健師等の人材育成強化を図ってまいります。

 続きまして、第1波における医療機関等との連絡体制の実態でございます。感染症予防法に基づき、発生届は規定された様式で届け出ることになっております。第1波におきましては、医療機関からの発生届は主にファクス、まれにメールにより届けられていたということで、現在もファクスによる届出が主流でございます。

 続きまして、国のシステムです。HER-SYS(ハーシス)の利用開始後の現状についてでございます。これにつきましては、まだHER-SYSの利用を開始していない自治体もあります。また、医療機関ではHER-SYSがほとんど利用されていないため、医療機関からファクスで送られてくる発生届の情報を現在職員がHER-SYSに入力をしております。HER-SYSは、新型コロナウイルス感染者情報を電子的に都道府県等、保健所、医療機関で共有するシステムではございますが、システムで一元管理する状況にはまだ至っておらず、負担軽減には現在のところつながっておりません。

 次に、保健所の負担軽減、機能強化に関する取組でございます。保健所の負担軽減を図るため、相談対応や積極的疫学調査の補助など、業務の切り出しができるものについては外部委託を図ってきたところであります。今後は、中野区PCR検査センター業務のうち、職員が担っている事務処理の一部も委託化し、保健所負担を軽減してまいります。また、感染症に対する職員の専門知識向上など、人材育成を図り機能強化に努めてまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染症以外の保健所業務への影響でございます。新型コロナウイルスの感染拡大状況があり、国の通知もあったことから、区民健診は開始時期を6月から8月にずらして実施しております。保健所事業については、法令に基づく届け出、許可等業務や通報に基づく監視指導業務が多く、おおむねこちらについては通常どおり実施をしています。講習会などにつきましては、感染拡大の状況を注視しながら実施について判断してまいります。

 続きまして、回復者のケアに関する現状と今後の取組でございます。倦怠感、呼吸困難、味覚障害などの罹患後の身体状況につきましては、かかりつけ医や専門医療機関への相談を促しているところでございます。また、PTSDなどの精神的なケアにつきましては、保健所の精神相談事業や東京都中部総合精神保健福祉センターの相談事業の利用を案内し、フォローしているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症による人権擁護についてでございます。新型コロナウイルス感染症を理由とした不当な偏見、差別、いじめ等は人権侵害であり、あってはならないものであると考えております。このことはこれまで私も区長として様々な場面において発信をしてきているところでございます。また、区としても、既にホームページにおいて人権擁護に関する啓発文と法務省が行う人権相談窓口の案内を掲載し、発信を行っているところであります。今後も引き続き新型コロナウイルス感染症による人権擁護に関する啓発を行ってまいります。

 次に、中野区基本構想・基本計画についてのうち、基本構想・基本計画の意義と必要性についてでございます。基本構想は10年後に目指すまちの姿を示すものでございます。中野に住み、働き、学び、活動する人々にとっての共通目標であると同時に、区政運営を進める上で最も基本的な指針となるものでございます。基本計画は基本構想で描くまちの姿を実現するための総合計画でございます。中長期的な財政見通しを踏まえ、区の政策、施策の方向性と主な取組を示すものであります。いずれも自治基本条例に定められる区政の最上位方針であり、区民に対して区政の方向性を示すとともに、総合的かつ計画的な行政を着実に進めていくために策定するものでございます。

 続きまして、基本構想・基本計画の速やかな策定についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響により人々の価値観やライフスタイルに急激な変化が生じるとともに、今後複数年にわたり区財政の運営が非常に困難な時代を迎えることが予想されております。基本構想・基本計画は、その時代ごとの社会経済状況や区民の生活状況等を反映して区の将来像と区政の方向性を示すものであり、新しい基本構想・基本計画においてはこうした状況の変化も踏まえて策定する必要があると考えております。先が見えづらい時代だからこそ区の方向性を区民に対して示す必要があり、現在お示ししているスケジュールで策定したいと考えております。

 次に、新規・拡充事業の実施に関する考え方についてでございます。今後の厳しい財政状況を踏まえ、基本計画については、5年間の計画期間において区政運営をどのように進め取り組んでいくか、優先順位を明らかにすることが大事であると考えております。特に厳しさが予想される計画期間の前半においても、必要な区民サービスや子育て先進区としての良好な子育て教育環境の実現に向けて、区財政に負担のかからない形での事業実施の工夫や後半での実施に向けた新規・拡充事業の準備、検討などを行う必要があります。施策、施設、組織のビルド・アンド・スクラップを行いながら、基本構想で描くまちの姿の実現に向けて停滞することなく取り組んでいく考えでございます。

 最後に、基本計画における施策の優先度についてでございます。今後さらに進展する少子高齢化の中で将来にわたって地域の活力を維持していくためには、子どもが健やかに育ち、子育てをする上で必要な環境を築いていく子育て先進区の実現と、誰もが住み慣れたまちで暮らし続けられる全世代型地域包括ケアシステムの構築が必要であり、特に優先的に取り組むべき施策であると考えております。これらの施策については、新しい基本計画において組織横断的に取り組む重点プロジェクトとしても位置付ける考えでございます。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 私からは、中野区基本構想・基本計画についてお答えをいたします。

 初めに、基本構想・基本計画の意義とスケジュールについての項のうち、策定スケジュールの遅れの理由についてでございます。

 平成30年10月にお示しした策定方針におきましては、基本構想は令和2年6月に改定し、基本計画は同年10月に策定する予定でございました。その後、基本構想の検討を反映するとともに、策定過程において丁寧に区民意見を聴取した上で策定するために、基本計画の策定時期を令和3年3月に変更いたしました。さらに、今般、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、基本構想検討素案に関する意見交換会の実施を中止するとともに、今後の区財政への影響や社会経済状況の変化に対応した施策展開について検討を深める必要があることなどから現在の策定スケジュールに変更したものでございます。

 続きまして、スケジュール延期の個別計画への影響についてでございます。個別計画につきましては、法に定めがある計画など特段の事情があるものについては、基本計画に先立ち改定していく場合もございますが、原則として基本計画と内容及び策定時期の整合を図るものとしてございます。また、今後さらにスケジュールが遅れることは想定してございません。

 続きまして、基本構想検討素案に関する区民意見についてでございます。現在の基本構想検討素案に関しましては、意見交換会を1回開催したほか、関係団体からの意見聴取を52回実施、また、電子メール等で56件の意見が寄せられているところでございます。いただいた意見といたしましては、区内産業の持続的な発展の必要性など、検討素案に対しての修正や追記を求める意見、また、現在の区の施策に関する要望など幅広く意見が寄せられてございます。現在、寄せられた意見等について全庁的に検討を行いまして区の考え方を整理するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえまして検討素案の改定を行っているところでございます。

 続きまして、基本構想・基本計画と区民参加についての項の部分でございます。そのうち基本計画策定における区民参加についてお答えいたします。

 基本計画の策定に当たっては、素案に関する意見交換会の実施、案に関するパブリックコメント手続の実施と自治基本条例に定められた手続を着実に実施していくほか、意見交換会の実施時期に合わせまして、通常の意見交換会とは別にワークショップ形式等で区民の意見を伺う機会を設けることも予定しているところでございます。

 続きまして、意見交換会の実施の工夫についてでございます。意見交換会の実施に当たりましては、事前申込制として定員を設けること、また、感染者が発生した場合に備えて参加者の氏名や連絡先を把握すること、また、席の間隔を空けて換気をすることなど、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を十分に行いまして実施する考えでございます。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、良好な生活環境を確保する取組についての御質問にお答えをいたします。

 初めに、木造住宅耐震補強工事等助成事業の助成要件と利用件数についての御質問でございます。木造住宅耐震補強工事等助成事業は、国の社会資本整備総合交付金と東京都の補助事業助成金を活用してございます。このため、建築基準法や条例等に抵触しない建築物であることが求められており、その基準を踏まえて要件を定めているところでございます。令和2年度予算では、木造住宅耐震補強工事等助成として区内全域を対象に14件を見込んでいるところでございます。現時点でこの事業に係る事前相談のうち、3件が実施に向けて調整が図られているところでございます。

 次に、この助成制度の改善についての御質問でございます。木造住宅耐震補強工事等助成事業につきましては、令和2年度からの3年間を重点整備期間と定め、取り組んでいるところでございます。今後3年間の実績や課題の検証を踏まえ、見直しを検討していく予定でございます。

 次に、区民への制度の周知方法の改善についての御質問でございます。区民への周知につきましては、ホームページや区報による定期的情報発信を行うとともに、区内の耐震関連事業者と連携し、普及啓発に努めているところでございます。また、今年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、例年開催しております耐震フォーラムの中止、7月から8月にかけて全戸配布を行っている耐震改修助成事業等の案内チラシの配布時期を12月に延期するなど、例年と異なる対応となってございます。今後、区民への周知方法につきましてホームページ等の見直しを図るなど、改善策を検討していくこととしてございます。

○副議長(平山英明) 以上でひやま議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 南   かつひこ

 1 新型コロナウイルス感染症対策とこれまでの検証について

  (1)特別定額給付金について

  (2)病院での院内感染による感染症拡大の防止策について

  (3)障害児者と保護者の感染症対策について

  (4)複合災害における避難所の感染症対策について

  (5)子どもの定期予防接種控えについて

  (6)東京都の「感染症防止徹底宣言ステッカー」について

  (7)予備費と補正予算での高齢者の感染予防と見守り支援について

 2 温暖化対策推進オフィス跡施設整備の中止に伴う課題について

 3 住宅用火災警報器について

 4 保育所等訪問支援について

 5 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、南かつひこ議員。

〔南かつひこ議員登壇〕

○36番(南かつひこ) 令和2年第3回定例会において、公明党の立場から一般質問を行います。区長並びに理事者におかれましては、明快で前向きな御答弁をお願いいたします。

 最初に、新型コロナウイルス感染症対策とこれまでの検証について伺います。

 初めに、特別定額給付金について伺います。特別定額給付金については、当初の政府案では大幅な減収世帯に限って30万円を給付する方針でしたが、給付世帯の対象者が全体の2割にとどまることや基準も複雑で分かりづらいこと、さらには、緊急事態宣言を受けて国民の窮状が拡大をしてきていることから、4月15日に公明党山口代表が安倍総理に直談判をして、所得制限なしの1人一律10万円の特別定額給付金の決断を促しました。翌日に安倍総理が決断をして、4月30日に異例となる予算の組み替えにより第1次補正予算が成立をして特別定額給付金が実現するに至りました。

 中野区では5月18日より申請書の郵送が開始され、5月22日には最初の給付が始まりました。給付については23区でも早い時期での実施となりました。区としても、国との連携を図る中で早期の給付が行われるよう最善の努力をされてきたと思いますが、特別定額給付金の給付率など実施成果をどのように分析されているのか、伺います。

 また、申請時における給付について「希望しない」のチェック欄に誤記をしたなど、申請書類の不備や宛先不明などによる返送があった場合の件数とその対応はどのようにされたのか、伺います。

 次に、オンライン申請について伺います。マイナンバーカードとマイナポータルのぴったりサービスを使って5月1日に始まったオンライン申請は、申請者による氏名や住所などの誤入力や二重申請が相次いだ結果、自治体が持つ住民情報との照合に多大な手間がかかったという事態が相次ぎました。総務省は6月1日までに43自治体がオンライン申請の受付を停止したと明らかにしました。区でもオンライン申請での混乱が見られたと聞きますが、その状況分析はどうであったのか、区の見解を伺います。

 特別定額給付金の申請の締切りは8月18日で、申請期間は3か月間でありました。その間、区は1人も漏れなく給付できるように、地域支えあいや障害福祉の所管と連携を取り、給付事業を進めてきたと聞いているところです。しかしながら、締切日を過ぎた現在でも未申請の方がいると聞いています。我が会派として、入院や施設入所で申請ができなかったひとり暮らしの高齢者や障害によって申請ができなかった障害者に対しては申請手続において特段の手だてをするよう求めてきたところです。現在の未申請の方の件数を伺うとともに、入院や施設入所が原因で未申請になっているひとり暮らしの高齢者や障害が理由で未申請になっている障害者に対してどのように対応してきたのかを伺うとともに、このように未申請になっている方々には申請期間を延長して救済措置を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、病院内での院内感染による感染拡大防止対策について伺います。4月初旬に中野江古田病院での新型コロナウイルス感染症によるクラスターの報道がありました。看護師、医師、入院患者など感染陽性者数は100名近くに上りました。報道を受けて中野区中に震撼が走るかつてない深刻なケースとなりました。中野江古田病院から陽性患者が出たとの第一報を聞いて、中野区保健所として様々な緊急を要する対応に迫られ、苦心されたことと思いますが、区として病院での院内感染によるクラスター化した感染症拡大の防止策としてどのような対策を講じられたのか、伺います。

 現在では中野江古田病院には陽性患者がゼロとなり、外来診療も再開できていますが、なぜこのような深刻な事態になったのか、今後の新型コロナウイルス感染症拡大の防止対策を考える上でその検証はぜひ必要と考えますが、いかがでしょうか、区の見解を伺います。

 また、4月の中旬頃には隣接している総合東京病院でも多くの陽性患者が出たとの報道もあり、基礎疾患を持った高齢者などは外来診療も受ける病院が近くにはなく、途方に暮れる状況が続きました。病院周辺の区民の方々にとっては、公共交通機関の利用を避けたり病院前の通行を避けたりなど不安の日々を送ることとなりました。新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報が入ってこないために、しなくてもよいことまでしなくてはならず、不安感といら立ちが頂点に達しているような状況となっていました。区として病院周辺の区民への不安を解消するためにどのような対策をなされたのか、伺います。

 次に、障害児者と保護者の感染対策について伺います。障害児者の中には親1人子1人で暮らしている世帯もあります。今回のコロナ禍にあって、いつ何どき新型コロナウイルス感染症に罹患するか分からない不安の中で暮らされている状況です。どちらが感染しても不安しかありません。親が感染した場合の障害児者への対応はどのようになるのか。また、知的障害等により他人の指示に従うことが困難な障害児者が感染した場合の対応はどのようになるのか、区の見解を伺います。

 次に、複合災害における避難所の感染症対策について伺います。現在のコロナ禍において、令和2年7月豪雨に見られた水害やいまだに頻発して起こっている地震での災害を考えれば、避難時に十分な新型コロナウイルス感染症対策を取らなければなりません。中でも避難所での新型コロナウイルス感染症対策は重要です。中野区は、新型コロナウイルス感染症予防のため、感染者、濃厚接触者や発熱者と非感染者との分離をする運営方針となる避難所運営管理マニュアルを7月29日の総務委員会で示したところです。その内容には、避難所内での感染者、濃厚接触者や発熱者と非感染者のゾーニングイメージが掲載されており、区域や部屋を目的を持って分けるとしています。しかしながら、中野江古田病院でのクラスターの事例のように、ゾーニングをしていたにもかかわらず感染拡大をしたという事実があります。それを考えるならば、自宅待機者の感染者や濃厚接触者を1か所の建物に移す手法が完全な感染防止対策になると考えます。つまり、感染者や濃厚接触者専用の避難所の開設は必須であります。感染者や濃厚接触者専用の避難所として区民活動センターなど区有施設の一部を活用し、地域割りを考慮して区内に数か所開設すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 今定例会での補正予算には、避難所における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、飛沫感染防止対策に有効とする間仕切りが計上されています。飛沫感染を防止するには間仕切りだけでは不十分であり、確実性の高い飛沫感染防止対策としてテントの活用が有効であると考えます。新たに避難所となる今後の学校再編での改築校の体育館、さらに、高齢者施設、障害者施設や児童施設などの二次避難所にテントを配備すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 今回の新型コロナウイルス感染症拡大は避難所の従来の運営手法では十分な対策が取れないことが明確となりました。災害後の支援活動のベースとなる国際基準としてスフィア基準があります。今こそスフィア基準による避難所のスタンダードを確立させるときと考えます。

 そこで伺います。中野区では避難所ごとに中野区避難所運営管理マニュアルがありますが、感染症対策を盛り込む上で、避難所の国際基準であるスフィア基準を盛り込める避難所からモデルケースとして避難所運営管理マニュアルを見直していく必要があると思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、子どもの定期予防接種機会について伺います。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出の自粛で3歳児以降の定期予防接種の接種率の低下傾向があることが日本小児科学会の分析で明らかになりました。川崎市でのデータを分析したところ、3歳児を対象とする日本脳炎の1回目の接種は35%減少、小学校入学前の1年間に接種するMR(はしか・風疹混合ワクチン)の2回目は47%減少と、年齢が上がるにつれて接種率は下がるという結果でした。中野区でも4月から6月までの第2期の定期予防接種であるDT(ジフテリア、破傷風)、MR、日本脳炎の接種率の低下が見られますが、区はこの傾向をどのように分析されているのか。また、接種率が上がるように区としてどのように対策を考えているのか、伺います。

 酒井区長は、7月30日に東京都の感染防止徹底宣言ステッカーの取組への協力依頼を東京都と連携してブロードウェイ商店街とサンモール商店街の飲食店等に個別訪問をして行いました。8月27日の厚生委員会にはその報告があり、感染防止徹底宣言ステッカーの協力依頼の件数は16店舗であったと聞きました。感染防止徹底宣言ステッカーはあくまでセルフチェックをして自身でダウンロードして店先に張れるもので、感染防止対策としては甚だ疑問に感じるところです。

 そこで伺いますが、現在、中野区内の飲食店等にこのステッカーを張っている店舗数を把握しているのか伺うとともに、感染防止徹底宣言ステッカーの取組への協力依頼を実施した効果についてどのように分析されているのか、伺います。また、今後の飲食店への感染防止対策をどのように考えられているのか、伺います。

 8月中旬には同ステッカーを掲示していた江戸川区内のパブでクラスターが発生したことが判明、ステッカーの実効性を高めるために東京都は総務局で巡回指導を8月19日から開始しました。

 今、中野区はかつて経験したことのない国難と言うべき事態の渦中にあるわけです。そんな危機的な状況にありながら区としての危機管理体制は全く機能していないように見えます。区としても感染防止徹底宣言ステッカーが張ってある店舗へ巡回指導すべきと考えます。巡回指導するに当たっては、現在、保健所の機能が限界に来ており、危機管理課は、今後まさに台風やゲリラ豪雨等の風水害対応が増えることから現状の人員体制では対応が困難と思われます。

 そこで、区全体の組織人員を差配する権限を有する部署が全体を取り仕切り、全庁的な応援体制を組んで実施すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、予備費と補正予算での高齢者感染予防について伺います。

 初めに、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う高齢者への感染予防等の周知事業について伺います。当事業は予備費を使っての事業であり、感染予防の周知を図ることを目的としたチラシ配布事業です。緊急事態宣言下での事業であり、対面活動を制限せざるを得ない状況下でした。チラシ配布事業の対象者は75歳以上の単身世帯と高齢者のみ世帯で、民生委員が常日頃から訪問調査をする方々です。事業内容としては、3密の回避や手軽な運動、相談先の案内が記載されたチラシを約1万300世帯に5月18日に郵送するというものです。民生委員の訪問調査も延期となり、高齢者がチラシを見てすこやか福祉センターに電話がかかってくるのを待つだけという消極的な当事業は果たして有効なものか甚だ疑問に思うところです。チラシを郵送するだけの当事業について、区としての成果とその検証により見えてきた課題にどのように取り組まれるのか、伺います。

 また、民生委員の訪問を断っている高齢者については、すこやか福祉センターのアウトリーチチームによってチラシを4月下旬から約2,800世帯にポスティングを行いました。この手法については、対面ができなくとも個別に訪問している分、少しは有効かなとは思いますが、区としてアウトリーチチームによる手法についての成果とその検証により見えてきた課題にどのように取り組まれるのかを伺います。

 次に、高齢者への配食サービス事業者の登録制度について伺います。

 当事業については第2回定例会での補正予算に盛り込まれたものです。特に高齢者にとって新型コロナウイルス感染症拡大による活動の自粛により介護予防や健康維持を促進するための事業としたところです。75歳以上の単身者、高齢者のみ世帯は全体で約1万3,000世帯となりますが、この配食サービスによる見守り支援と健康づくり、また介護予防の支援をすれば、介護予防と健康維持につながるであろう方を区は500人と積算しています。対象者500人の見込みに対して現在の利用者数と登録事業者数を伺うとともに、その成果と検証により見えてきた課題にどのように取り組まれるのかを伺います。

 また、当事業は、配食サービス事業者がお弁当を届けるのに併せて健康チェックシートを毎月届けることになっており、基本はセルフチェックですが、高齢者自身でチェックが難しい場合には、配食サービス事業者も手伝ったり、状況によってはすこやか福祉センターにつないだりということも担うことになります。配食サービス事業者からすれば責任が課せられるだけで何もメリットがあるようには思えませんが、当事業における配食サービス事業者のメリットやインセンティブはどのようなものなのか、区の見解を伺います。

 配食サービス事業者には、区からの依頼によって行う介護予防や健康維持を促進するための事業ですから、責任を持って行っていただく必要があります。それを考えれば、見守り、支え合いの観点から配食サービス事業者と包括的な協定を結び、一歩踏み込んで形あるものとすべきと考えますが、いかがでしょうか、伺ってこの項の質問は終わります。

 次に、温暖化対策推進オフィス跡施設整備の中止に伴う課題について伺います。

 5月14日の厚生委員会では、温暖化対策推進オフィス跡施設整備について各委員からは様々な質疑がありましたが、スケジュールどおり整備していくとの所管報告がありました。しかし、第2回定例会の6月8日の厚生委員会では、温暖化対策推進オフィス跡施設整備の工事が急遽中止になったとの報告となりました。寝耳に水のような話で、中止の理由として、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う今後の経済活動の停滞、それによる区財政事情への影響が見込まれることからとのことでした。しかしながら、前回の5月14日の厚生委員会は緊急事態宣言の真っただ中であり、そういった理由は通じるものではありませんし、1か月もしないうちに180度方針が変わることは全く理解できるものではありません。委員会報告の在り方が大きく問われる問題であると考えます。また、事業者にはただ工事が中止になったと伝えられただけで、何ら中止した詳しい説明をしてもらえなかったとのことでした。事業者に対しても誠に不誠実な対応としか思えません。事業者のみならず、一番重要な地域の方々にも丁寧な説明の必要があったと考えますが、町会や昭和区民活動センターの運営委員会など地元の方々との話し合いはどこまで行っていたのか、改めて中止となったこれまでの経緯と課題とは何であったのか、伺います。

 昨年の第1回定例会において温暖化対策推進オフィス跡施設整備に関する基本方針を報告されていますが、工事の中止をすることによって再度示す必要があると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 区は、温暖化対策推進オフィス跡を活用して令和6年に新たなすこやか福祉センターを整備するとしています。また、現在の北部、中部のすこやか福祉センター圏域での高齢者人口の急増により、その偏りを軽減するために新しい圏域をつくるとしました。つまり、日常生活圏域が4圏域から5圏域に新たに見直すことになったわけですが、工事の中止を受けて日常生活圏域の見直しはどのようになるのか、区の見解を伺います。

 また、4圏域から5圏域に変わっていく内容について、第8期介護保険事業計画に必要な変更を行っていくとありますが、第8期介護保険事業計画は次回令和3年度の改定となっています。工事中止に伴って圏域の内容について第8期介護保険事業計画に必要な変更を行うに当たって影響はないのでしょうか、伺ってこの項の質問は終わります。

 次に、住宅用火災警報器について伺います。

 住宅用火災警報器の取付けについては、消防法により、新築住宅は平成18年6月から、既存住宅は各自治体の条例により時期は異なりますが、最も遅い地域でも平成22年6月から、東京都は4月から設置が義務化され、全国全ての住宅で義務づけされてから今年で10年目を迎えます。火災警報器は、電子部品の劣化や電池切れなどで火災を感知しなくなったり故障しやすくなったりすることがあります。このため、東京消防庁は、火災警報器の定期的な点検と設置から10年が経過している火災警報器の交換を推奨しています。区は、火災警報器の取付け義務化前の平成20年度から2年間に、区民75歳以上の特別区民税が非課税世帯に無料で住宅用火災警報器2個を設置する事業を行いました。当事業を実施してから10年以上が経過していることを考えれば、現在取り付けてある住宅用火災警報器の点検をして現状把握に努めるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 区で行った事業であることを考えれば、最後まで責任を果たすべきであります。火災警報器の劣化、電池切れを知らずに使い続けていることを思えば、設置より10年以上が経過していることを通知すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 火災から区民の命を守る観点からすれば、住宅用火災警報器が10年を経過しているところには、対象者が特別区民税の非課税世帯であることを鑑みれば、助成制度を実施すべきであると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 当事業では身体・知的障害者にも日常生活用具として住宅用火災警報器を給付していました。身体・知的障害のある方に対しては、障害を持っておられることを考えれば、区は積極的に交換していくべきと考えますが、現在どのような対応をされているのでしょうか、伺ってこの項の質問は終わります。

 次に、保育所等訪問支援について伺います。

 現在、中野区で行われている保育園等巡回訪問指導を児童福祉法の法内サービスである保育所等訪問支援として転換する必要があることから、区は明年7月から訪問開始を目指し、関係機関への説明等をスタートさせています。保育所等訪問支援は保護者の方からの依頼でサービスが開始されることから、現行の制度とは大きく趣旨の異なるものです。特に保育園等巡回訪問指導は、保育園、私立幼稚園からすこやか福祉センターに依頼し、保育士等への対応力向上のためのアドバイスを主としていました。多くの保育園、私立保育園からも要請が多く、非常に頼りになる存在とされてきたところです。法内サービスへの転換は必須でありますが、療育について保護者の理解が得られず対応に苦慮してきた保育園にとっては大きな痛手になるのではないかと考えます。区は、保育園、私立幼稚園の保育士等への対応力向上のための事業の必要性についてどのように考えているのか、区の見解を伺います。

 これまでの巡回訪問指導から成長、発達支援につながったケースも多いと聞いているところです。療育が必要であると思われる児童を抱えながらも理解が浅い保護者に対し、療育の重要性を伝え、支援につなげることが非常に重要であると考えます。区はこうした保護者に対しどのように支援につなげていくのか、区の見解を伺って私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 南議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、新型コロナウイルス感染症対策とこれまでの検証について。

 最初に、給付率など給付事務の成果についてでございます。今回の特別定額給付金の給付率は、まだ未確定ではございますが、現在98.5%程度で、未申請率は残りの1.5%程度でございます。給付金の給付につきましては、一日も早く区民の方に給付することを最優先課題として取り組み、専門スキルや実績を有する印刷事業者と事務処理事業者とを分けて発注するなどの工夫を行ったところでございます。こうした取組の成果として比較的早い時期に申請書を送付することができ、早期の給付につながったと考えております。

 次に、書類不備などへの対応でございます。申請が不備となった理由で多かったのは、本人確認書類及び口座確認書類の添付漏れでございます。宛先不明で返戻されてきた申請書は約700件ございました。これらにつきましては、住民情報の更新確認や申請者本人からの連絡による申請書送付先変更など、可能な限り受給権者が申請できるよう対応を行ったところでございます。

 次に、オンライン申請についての分析でございます。特別定額給付金のオンライン申請で起きた問題の一つ目は、給付金の申請にはマイナンバーカードが必ず必要と誤解している方がカードの取得をされたこと、マイナンバーカードの発行に当たり、署名用電子証明書の手続に伴うシステム遅延などで区の窓口が混雑したことであります。二つ目には、誤入力や添付書類不備、世帯主以外のマイナンバーカードによる申請、重複して申請した事例などが多数生じたことであります。三つ目に、申請内容と区が持つ住民基本台帳のデータ照合は手作業で行わざるを得ず、確認作業に時間がかかったことなどでございます。今後、国と自治体とで協働して個人情報を扱う事務処理を行う場合は、システムの整合を図るなど一層の連携を図る必要があると考えております。

 続きまして、障害者などへの申請補助、啓発でございます。特別定額給付金の未申請者につきましては全体件数の1.5%、約3,000件でございます。入院中の方には、医師会、歯科医師会、薬剤師会及び介護サービス事業所連絡会等の協力を得てチラシやポスターによる周知を行いました。また、視覚障害者の関係団体には音声データつきのチラシを配布いたしました。このほかにも、高齢者や障害がある方など申請支援が必要と考えられる方につきましては、アウトリーチチームや民生児童委員による申請勧奨ポスティングのほか、訪問による個別支援などを行いました。やむを得ない事情により期限内に申請できなかった方への対応でございますが、今回の特別定額給付金は国によって申請は受付開始から3か月以内と定められているため、申請期間の延長はできませんが、これらの方々への期間を設けた救済措置について検討しているところであります。

 続きまして、院内感染拡大防止についての御質問です。

 令和2年4月に中野江古田病院において新型コロナウイルス感染症の院内感染が集団で発生いたしました。保健所は直ちに疫学調査や感染拡大制御のための実地指導、PCR検査の実施等を行いました。さらに、東京都の疫学専門チーム及び国のクラスター対策班に調査支援を要請するとともに、同病院に対し、感染収束に向けて全職員、患者に対するPCR検査の実施、清潔領域と汚染区域の区分の立案、個人防護服の着脱方法マニュアル作成支援、透析患者の退院など様々な助言や支援を行ってまいりました。

 続きまして、院内感染の検証についてでございます。江古田病院の院内感染につきましては、保健所は20回を超える訪問や打合せを実施したほか、東京都、東京都看護協会、国のクラスター対策班、保健所とで合同会議を行い、適宜感染制御に関する助言を行ってまいりました。これらを通じ分析した情報と感染制御や再発防止に向けた取組を国のクラスター対策班が検証し、保健所からも病院向けの提言を行いました。病院の医療安全に関する指導権限は東京都が有しており、保健所は感染症対策の面から具体的な働きかけや支援を実施してまいりました。区民への情報提供につきましては、区は東京都とともに早期から病院に対し専用の問合せ窓口を開設するよう指導するとともに、適宜病院ホームページを通じて感染者の状況を公表するように助言してまいりました。

 次に、障害児者と保護者の感染症対策についてでございます。

 現在、同居する家族が新型コロナウイルスに感染した場合の障害者への支援につきまして、関係事業所にアンケート調査を行うなど具体化に向けての調整を図っているところであります。今後は課題となる支援者確保のために働きかけてまいります。障害のある方が感染した場合も、関係機関と連携し、原則入院をしていただくことになります。重度訪問介護を活用するなど適切に対応してまいります。

 続きまして、感染者や濃厚接触者専用の避難所についてのお尋ねでございます。感染者や濃厚接触者専用の避難所の設置につきましては、想定される感染者などの人数算定が困難なこと、また、感染者などに遠距離の移送を強いることや健康状態の急変や悪化などを誘発する危険性があるといったことから、中野区においては、避難した避難所における受入れ、健康状態を観察しつつ、生活支援を行うことを基本としているところであります。

 なお、実際の避難所運営におきましては、区が先般策定した感染症対策に対応した避難所運営管理マニュアルによって、感染防止を踏まえた避難者の受付要領や健康状態に応じた居住スペースの区分など、感染防止の徹底を図っていく考えでございます。

 続きまして、避難所及び二次避難所へのテントの配備についてでございます。避難所へのテントの配備につきましては、間仕切りと異なり全面が覆われていることから、熱中症の発生には留意が必要であるものの、飛沫抑制効果は高く、今後感染リスクの高い高齢者などへの対応を想定し、二次避難所への導入を研究してまいりたいと考えます。

 なお、避難所には飛沫感染防止対策としてダンボール間仕切りや布製間仕切りを配備しており、これらにより引き続き対応を図ってまいります。

 続きまして、スフィア基準の導入についてでございます。スフィア基準は、内閣府の避難所運営ガイドラインでも避難所の質の向上を考えるとき参考にすべき国際基準とされております。一方、区では、東京都が示す避難所管理運営指針を踏まえ、避難所運営マニュアルを作成し、運営しているところでありますが、都市など人口密集地域においてスフィア基準をそのまま準用することは難しいものと考えております。今後こうした基準を踏まえつつ、避難所生活におけるプライバシー保護を目的に整備した間仕切り設備に加え、避難所生活が安全で快適になるような避難所運営や備蓄品などについて検討してまいります。

 次に、子どもの定期予防接種控えについてでございます。緊急事態宣言中は保護者が接種を延期し、接種率が低下したと推測しております。予防接種は適切な時期に接種することが大切でございますが、国通知に基づき、区は、受診による新型コロナウイルス感染症への罹患リスクは、予防接種を延期するリスクが高いと考えられる場合は接種時期を超えても定期接種とみなしております。ホームページを通じ、適切な時期に接種するよう広報するとともに、地区医師会等と連携して啓発に努めてまいります。

 続きまして、感染防止徹底宣言ステッカーについてでございます。中野区における感染防止徹底宣言ステッカーの登録店舗数は、東京都の公表によりますと、8月18日現在で3,790店舗でございます。しかし、東京都の公表方法が変更になったことによって、9月に入ってから最新の登録数は把握できておりません。ステッカーの入手には感染防止策をチェックする必要があります。各店が業種別の感染防止策をチェックすることは自主管理の推進の意味からも有意義であったと認識をしております。区は、現在も感染の発生があった飲食店には、保健所が個別の訪問によって個別具体的な相談と助言とを行っており、今後もさらに継続してまいります。

 次に、新型コロナ対策の店舗巡回啓発に関する全庁的な応援体制でございます。区内の飲食店等における新型コロナウイルス感染防止対策を推進するため、区の職員が駅周辺の飲食店を中心に巡回し、啓発を行う必要があると考えております。職員による巡回を実施するに当たりましては、対象となる店舗の数や実施期間等から必要な人員や体制を見極め、全庁的な応援体制で臨むとともに、事務局となる部署を明確にして対応してまいります。

 続きまして、郵送による感染予防とフレイル予防等の周知についてでございます。民生児童委員による高齢者訪問調査の延期や身近な相談先、感染予防やフレイル予防の周知を早急に行う必要があったため、これらを一括して5月に郵送いたしました。これによって必要なお知らせはできましたが、高齢者の生活状況等をどう把握し、必要な支援につなぐか課題が残りました。こうしたことから、民生児童委員の協力を得まして、7月に「お目にかかれないので電話をください」といった各民生児童委員からのメッセージを付して、感染予防、熱中症予防の周知チラシ等を戸別にポスティングをいたしました。その後、民生児童委員が対象の高齢者から電話を受け、生活状況の把握と必要な対応を行ったところであります。今後は、感染防止対策を講じた新たな見守り活動の実施方法について検討してまいります。

 続きまして、区アウトリーチチームによる感染予防とフレイル予防の周知についてでございます。アウトリーチチームは、高齢者世帯に対するポスティングを行い、その後、ポスティング対象者のうち、緊急連絡カードや災害時個別避難支援計画書の提出によって、区が電話番号を把握している約1,200世帯に電話をかけ、困り事の把握や安否確認を行いました。直接会って支援を行うことが難しい状況下では、電話を通して生活状況の確認ができたことは有効であり、困り事や相談があった方については支援につなげております。今後も支援につなげる手だてとしてポスティングや電話を活用していく必要があります。また、緊急連絡カード等の提出について勧奨を行って電話番号の把握にも努めてまいります。

 次に、配食サービス事業者との連携による高齢者支援事業についてでございます。

 登録要件や実施体制の確認を済ませて五つの事業者が登録しております。利用申込みをしている方は69人で、いずれも民生児童委員やアウトリーチチームが配布した概要のチラシを見た方たちでございます。この方たちに区から詳しい事業の案内を郵送し、説明や聞き取り等を始めたところであります。利用を希望する高齢者に対しては一人ひとりにきめ細やかな対応が必要であることから、丁寧に支援につなげる取組をしつつ、地域包括支援センターとも連携し、さらに広く支援を必要とする方たちへ周知を図ってまいります。

 続きまして、登録配食サービス事業者にとってのインセンティブについてのお尋ねでございます。区がこの事業につきまして、登録配食サービス事業者の名称やメニューなどを含めて支援が必要な方たちに対してきめ細かく周知することによって、登録配食サービス事業者は新たな利用者を獲得することができます。このことが登録配食サービス事業者にとってのインセンティブと考えております。また、これまで配食サービス事業者がサービス提供に際して気がかりな状況等を把握した場合、連絡先や相談先に適切につなぐことが難しいケースもあったと聞いております。この事業では、気がかりな状況等を把握した場合、利用者にとって身近なすこやか福祉センターに連絡や相談をする仕組みといたしました。このことも配食サービス事業者にとって安心材料になると伺っております。

 最後に、登録配食サービス事業者との見守り・支え合い協定の締結についてでございます。今後、登録配食サービス事業者と連携を図りながら本事業を実施する中で見守り・支えあい協定の締結についても検討してまいりたいと考えております。

〔地域支えあい推進部長鳥井文哉登壇〕

○地域支えあい推進部長(鳥井文哉) 私からは、地球温暖化対策推進オフィス跡施設整備の中止に伴う課題についてお答えいたします。

 まず、オフィス跡施設整備に関する地域との調整状況でございますが、町会及び昭和区民活動センター運営委員会には、建て替えを予定してございます昭和区民活動センターの建て替え期間中の仮施設などとして整備することについて報告し、了承を得ていたところでございます。今回の跡施設の整備の中止につきましては6月に町会及び運営委員会へ報告したところでございます。

 次に、オフィス跡施設整備工事が中止に至った経緯でございますが、5月の厚生委員会で工事実施の御報告をさせていただいたその後に、新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う経済活動の停滞が区財政に与える影響について改めて検討いたしました結果、今年度の工事実施について執行時期の見直しを行うこととしたものでございます。

 次に、オフィス跡施設整備基本方針の再度の御報告でございます。整備の実施時期を見直したことによりましてスケジュールは変更することになります。今後、オフィス跡施設に整備を予定している昭和区民活動センターの仮施設などにつきましても、改めてその内容を検討し、変更がある場合に報告をさせていただく考えでございます。

 すこやか5圏域への変更と5か所目のすこやか福祉センター整備の計画についてでございますが、この計画の内容に変更はございませんが、整備時期につきましては今後検討していく予定でございます。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは2点お答えいたします。

 まず、日常生活圏域の変更に係る介護保険事業計画への影響でございますが、日常生活圏域の変更は、介護保険事業計画で示している圏域ごとの高齢化率や施設の整備計画などに影響を与えるため、計画期間中には行わないこととしております。第8期介護保険事業計画の計画期間は令和3年から令和5年までであるため、計画への影響はないものと考えております。

 次に、過去に給付した住宅用火災警報器についてでございます。過去に受給した方につきましては、設置後の点検方法や交換の時期、区が実施する住宅用火災警報器のあっせん制度等について効果的な通知方法を検討してまいります。なお、当時の受給者が現在85歳以上であることから、火災警報器の交換費用の助成制度を設けるよりも、収入に応じた自己負担とはなりますが、見守りセンサーと火災センサーを組み合わせ、自動的に通報を行う緊急通報システムの活用が望ましいと考えておりまして、これにつきましても過去の受給者に対してどのように周知していくか検討してまいります。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、障害者日常生活用具の火災警報器についてお答えいたします。この制度は、障害者のみの世帯、またはこれに準ずる世帯で重度の身体障害、知的障害の方を対象としております。現在2名が利用しております。この警報器は事業者が毎年点検し、交換の必要性を判断しているというものでございます。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、保育所等訪問支援の御質問についてお答えいたします。

 初めに、保育士等への対応力向上のための施策でございます。発達に課題のある児童につきましては早期からの支援が必要でありまして、保育園、私立幼稚園職員の対応力の向上は重要であると考えております。現在、保育園、私立幼稚園に対しまして現行制度からの変更に対しまして意見などを聴取してございまして、専門性向上に寄与する研修の在り方などを今後検討してまいりたいと考えてございます。

 次に、療育が必要な児童の保護者への適切な支援でございます。療育が必要と思われる児童の保護者に対しましては、今後とも保育園、幼稚園などで丁寧に子どもの様子を伝え、保護者の困り感を聞き取る中で療育の必要性を伝えていくことが重要だと考えております。療育についての理解が不十分な保護者に対しましては、すこやか福祉センターの心理職などの専門職と保育園、幼稚園等とのさらなる連携強化によりまして保護者の理解を促進するとともに、相談窓口や支援の流れについて理解を深めるための保護者向けリーフレットの作成を行うなど、支援につながる際の環境を整えてまいります。

○副議長(平山英明) 以上で南かつひこ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 来 住 和 行

 1 区民の苦難に寄りそう区政について

 2 防災対策について

 3 区立公園の再整備と文化財指定について

 4 図書館の問題について

 5 羽田空港新飛行経路について

 6 パートナーシップ宣誓、宣誓書について

 7 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、来住和行議員。

〔来住和行議員登壇〕

○42番(来住和行) 2020年第3回定例会に当たって、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。質問予定の羽田空港新飛行経路の問題は次の機会とさせていただきます。

 まず、区民の苦難に寄り添う区政についてお聞きします。

 新型コロナウイルス感染拡大は区民を直撃し、教育、保育、介護、医療の現場では切迫した状態が長期化しています。暮らしも大きな打撃を受け、格差も一層拡大しています。中野区への区民税の相談でも、6月1日からの2か月間で昨年の6,200人から9,700人で約60%増となっており、内容でも、支払い保留と猶予の件数は3月から7月までの同期で500%増、金額では700%の増になっています。生活援護課での相談でも、2月の289件が5月には483件と123件の増、生活保護の受理件数も62件から96件に増えています。中野区では、区民の暮らし、医療、介護、子育てを補正予算を編成して支援してきました。新型コロナ感染拡大によって、各業界、個人商店、全ての業種から、事業の継続が立ち行かない、もう限界だとの声が聞かれます。

 お聞きします。中野区は事業者へ緊急応援資金融資などの支援を行っています。その活用状況と区民の暮らしの実態についてどのように受け止めているのか、答弁を求めます。

 共産党議員団は区長に対し5回の緊急対策を要望してきました。現在、区民へのアンケートを実施しているところです。一方、各団体からの要望、意見を寄せていただき、懇談をしています。中野区商店街連合会からは、地域経済活性化の起爆剤としてプレミアム付商品券事業の実施を強く求められています。地域の経済対策、消費喚起に即効性が発揮できるものと考えます。荒川区や品川区など、実施に既に踏み出しています。

 お聞きします。効果が期待できる商店街と区民の暮らしを応援する中野プレミアム付商品券への支援をすべきではないでしょうか、答弁を求めます。

 都内の各自治体では国や東京都の事業への上乗せや独自支援を実施しています。売上げ減少の事業者への家賃補助を独自に行っている日野市、町田市など、武蔵野市では東京都の感染拡大防止協力金の対象外の事業者に30万円の支援を行っています。2020年中野区統計書によると、区内には飲食店は約1,700店舗、従業者は1万人です。

 そこでお聞きします。中野区としても飲食店事業者への独自の支援策が求められており、必要です。答弁を求めます。

 新型コロナウイルス感染拡大は弱い立場の区民を直撃しています。新型コロナ感染拡大の下でこの夏熱中症の疑いで病院に搬送される人が急増し、高齢者を中心に自宅で亡くなる人が相次いでいます。中野区内での熱中症による搬送者は8月だけで88人にもなっています。熱中症予防にはエアコンが欠かせません。熱中症対策として高齢者会館21か所で「涼み処」を実施しています。毎夏実施している城山ふれあいの家では昨年は7月から8月の1日平均は33人でした。今年は新型コロナによる自粛や施設の人数制限の影響も受けて利用者は9人と激減しています。区内の生活保護受給世帯でエアコンがないのは約2,200世帯です。エアコンなしでは命が守れません。他自治体では高齢者、障害者の世帯へのエアコン購入費の助成を行っており、荒川区では「快適ステイホーム・エアコン助成」を実施しています。

 お聞きします。中野区でも命の危険にさらされているエアコンのない高齢者世帯へのエアコン購入費助成を実施すべきではありませんか。東京都にも高齢者世帯へのエアコン購入費助成制度の実施を求めるべきです。答弁を求めます。

 次に、防災対策についてお聞きします。

 防災の問題で避難所の対策は中野区民の関心事の大きな一つです。区が避難所での間仕切りや段ボールベッドの配備への取組を具体化したことを評価します。また、台風や水害の発生を前に新しくハザードマップを作成し、配布されていることに、区民から今までにないデザインで活用しやすいとの声をいただいています。中野区は、災害発生時に備え、新型コロナウイルス感染症拡大などを踏まえた新たな避難所運営管理マニュアルを作成しました。避難所運営管理マニュアルの水害時について伺います。

 温暖化の影響で日本の各地で年々水害による甚大な被害が発生しています。一時避難場所が区民活動センターであったのに加え、学校も新たな避難場所に指定されました。また、昨年の台風の教訓から、避難所には食料や水、毛布などが配備され、感染症に対応する物資や資材も備蓄されました。避難所運営管理マニュアル周知では、「自宅での安全確保が可能な人は感染リスクを負ってまで避難所に行く必要はありません。自宅が危険な場合も避難先は区指定の避難所だけではありません。」などと記されています。感染症のリスクより命のリスクを優先し、危ないと思ったらためらわずに避難してもらうことが大切ではないでしょうか。分散避難の啓発周知は別途必要です。

 お聞きします。避難所運営管理マニュアルは避難者に対する対応であり、この記述は適当とは思えません。検討が必要ではないでしょうか。答弁を求めます。

 水害時と震災時に共通の問題として、避難所として指定の旧中野中学校跡施設は東部、桃園地区の重複避難所となっています。いつ起きるか分からない災害に備えるには、避難所としていつでも利用を可能にしておくことが災害に備える上で大切なことではないでしょうか。中野区体育協会からも、体育館やテニスコートも使用できるようにしてほしいと要望も出されています。

 そこでお聞きします。避難所は日常的に人の出入りがあってこそいざというときに避難所としての機能と役割を果たすことができます。旧中野中学校跡施設を避難所として開設できるようにしておく責任があります。答弁を求めます。

 新たに水害時の避難所に私立学校が指定されました。しかし、堀越高等学校は指定されていません。堀越高等学校は中野中学校跡地に移転し、校舎の建て替えを行いました。その際、地域住民との間で新築工事に関する協定書で災害時の避難所として中野区と締結すると約束をしています。新型コロナの感染を防止する上でも分散避難の場所の確保は重要です。今回の台風10号でも九州地方の避難所で受入れを断る事態が生まれました。

 お聞きします。堀越高等学校との防災に関する協定はいまだに結ばれておりません。見通しはどうなっているのでしょうか。実践学園高等学校、東亜学園高等学校にも協定を結んでいただけるように働きかけをすべきではないでしょうか。併せて答弁を求めます。

 木造住宅などの震災対策について伺います。

 中野区内の空き家は現在約600棟、老朽空き家は周辺への衛生面や火災などの安全性の確保が懸念され、近隣の不安を高めています。空き家の処理処分は所有者の善意に頼るところが大きいだけに行政の支援が求められます。近隣区では空き家除去の費用を補助し、制度として空き家の処理処分に新たな制度を活用し取り組んでいます。

 お聞きします。建て替えを待つのではなく、まず除去し、安全を確保するための積極的な制度活用が求められています。防災、安全対策としての除去事業を推進することも急務と考えます。答弁を求めます。

 中野区では待たれていた木造住宅耐震補強助成制度が4月から始まりました。制度の内容は、1981年5月31日以前に工事し、地上2階建て以下の木造住宅で、耐震補強工事にかかる費用上限150万円を助成するものです。8月までの4か月間での申請実績はゼロ件と聞いています。制度設計が外壁及び軒裏を耐火構造に変えることや開口部を網入りガラスに変更しなくてはならないなどの防火対策に特別の費用がかさむことから、費用面での問題が踏み出せない原因の一つと考えられます。火災から命を守る耐震化の工事も大切ですが、地震の揺れの一撃から命を守ることを優先した制度設計へと変えることも重要です。もちろん耐火構造への必要な財政面の支援があれば、さらに制度としては強化されます。

 そこで伺います。区民の要望に応えて新たな制度をつくっても利用されるものでなければ意味を持ちません。制度設計を含めて木造住宅耐震補強助成制度の検討を関係者の声を踏まえて行うべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 耐震補強助成制度とセットで家具転倒防止と感震ブレーカーの取付けができることになっています。しかし、セットでの利用はゼロ件です。家具転倒防止や感震ブレーカーは防災対策として極めて有効なものであり、中野区の防災啓発のニュースや中野区報でも周知をしているところです。これまで中野区では感震ブレーカーの器具のあっせんを行ってきましたが、その実績は2年間で63件にとどまっています。一方、杉並区では区内全域を対象に器具購入費は区が負担し、設置費用2,000円は本人負担、それでも昨年度の実績は1,403件にもなっています。

 お聞きします。木造住宅耐震補強助成制度とのセットだけでは防災の備えとしては区民の期待に応え切れません。感震ブレーカーの普及、家具転倒防止については、防災対策としてあっせんではなく区が直接窓口になる制度とする必要があるのではないでしょうか。答弁を求めます。

 次に、区立公園の再整備と文化財指定についてお聞きします。

 哲学堂公園は1945年に都立公園として開園し、1975年に東京都から中野区に移管され、中野区立哲学堂公園となり、その後、中野区有形文化財に指定、2009年には東京都の名勝公園に指定されました。前区長の下で2015年6月に哲学堂公園・旧野方配水塔周辺地区整備基本方針から始まり、2018年1月には都市観光拠点の核として大型バス駐車場を設置する一方で児童遊園を潰して7本のヒマラヤ杉を伐採し、学習展示室を建設するなどの哲学堂公園再整備基本計画が具体化されました。2018年度には整備事業費が11億7,000万円計上され、この計画ではさらに約10億円の事業費を見込んでいました。当時、ラジオ体操や児童遊園で楽しむ親子、自然散策の区民の皆さんなどの哲学堂公園利用者の方々が、貴重な植物、鳥類などの生態系などが失われると、計画の中止、変更を求めて粘り強く関係団体に働きかけ、議会への陳情など粘り強い運動となりました。2018年10月には、新区長の下で、これまでのインバウンドを目指した周辺エリアの整備と施設整備を優先とした区の考え方を改め、歴史、文化を守り、区民や来街者が楽しむ利活用を目指した整備に見直すこととし、2020年3月に哲学堂公園は国の名勝指定がされることとなりました。

 そこで伺います。哲学堂公園再整備基本計画の事業費予算が計上されている中で、計画を立ち止まり、見直しを判断したことについて改めて見解をお聞きします。

 国の名勝指定を受けて哲学堂公園の保存活用計画の策定を今後始めることになります。どのくらいの期間を持って準備をされるのか。また、今後の計画の策定の中で見直しの中に示された区民や来街者が憩い楽しむ利活用、このことを新たな計画の策定の中でどのような形で取り込んでいくのか。一番の関係者である公園利用者の区民の参加も得る手法を取る必要があるのではないでしょうか。今後のスケジュールと併せて答弁を求めます。

 旧野方配水塔保存活用計画は旧野方配水塔活用計画検討会議で検討され、昨年12月に議会報告されました。今年度は応急対策工事設計工事費として2,700万円が予算化されています。来年度以降に具体的な活用方法を検討し、修理、復元に関わる設計及び工事を行うとしています。配水塔のあるこの場所は補助第26号線の整備と直接関係していることから、活用については慎重に見極めていくことが重要です。補助第26号線の拡幅は東京都の事業で進められており、現在までに地権者の合意はまだ3割という状況にあります。

 そこで伺います。旧野方配水塔の保存活用は危険箇所の修理にとどめ、その後は補助第26号線の拡幅の見通しを見定めることが必要ではないでしょうか。答弁を求めます。

 次に、全面開園された平和の森公園のバーベキューサイトについてお聞きします。

 バーベキューサイトについては実証実験が行われました。実施したことは評価します。実験の結果は、騒音、煙、臭気ともに問題がなかったと報告されています。実験の臭気測定は、環境確保条例の工場及び指定作業場に適用する臭気指標を用いています。実験は1時間で、立会いは区の職員と指定管理者だけで行われ、アルコールの提供もない中での実施でした。実証実験後の意見交換会では、参加者のほとんどから、バーベキューは住宅地のど真ん中の公園ではやめてほしい、近隣の方も中止を求める発言をされました。近隣には事前に実験の周知はしましたが、結果の聞き取りはしていません。バーベキューサイトは災害発生時の避難所として煮炊きができる場所としては生かされると考えられます。

 お聞きします。実証実験測定に環境確保条例の「工場及び指定作業場に適用する」をなぜ用いたのか。今後示す区の判断は、意見交換会での声と区に寄せられたメールやファクスでの区民からの意見を十分に聞き、新型コロナ感染症の状況を踏まえて慎重に判断すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 次に、図書館の問題で4点について質問します。

 本町図書館、東中野図書館の廃止方針は、前区長の下、2016年の新しい中野をつくる10か年計画の第3次で計画されたものです。一昨年区長が替わり、図書館については「今後の図書館サービスのあり方検討会」を設置し、検討が進められてきました。そのあり方検討会では地域の図書館の存続の希望が述べられたと報告されています。第1に、本町図書館、東中野図書館を廃止する理由としてこれまで建物が古いということが説明されてきましたが、それは今でも変わりはないのでしょうか、答弁を求めます。

 総務省の公共施設耐震化対策の考え方では、区有施設で構造耐震指標Is値0.6以下は震度6強から7の地震で倒壊や崩壊の危険がある。一方、Is値0.6以上は震度6強から7の地震の振動及び衝撃に対して倒壊、崩壊する危険性が低いとされています。本町図書館のIs値は0.65、東中野図書館は0.63であり、倒壊、崩壊する危険性が低いという値です。危険という理由は当たりません。

 第2に、6月9日の子ども文教委員会には区立図書館指定管理者候補者の募集についてが報告されました。既に7月から始まった指定管理者募集要項には、本町図書館、東中野図書館は令和3年10月31日をもって廃止するとなっています。教育委員会での議決は8月21日、区議会での議決もこれからです。さらに、東中野図書館に併設されている認可保育園の分室には既に転居することが求められていると聞きます。

 そこでお聞きします。図書館の廃止と残った館の利活用はセットで決定されているのか。条例がこれから議会で審議される中で、廃止日を決めて指定管理者の募集を行ったのはなぜか、答弁を求めます。

 第3に、図書館の利用件数を見てみると、2019年度の実績で本町図書館で個人への貸出し冊数は年間20万冊、東中野図書館で18万冊、図書館登録者数は本町図書館で4,700人、東中野図書館で4,400人となっており、他の地域図書館と差はなく、多くの地域の方々に利用されていることが数字の上からも明らかです。地域の人たちも図書館利用者の方々もいまだに2か所の図書館が閉館されることを知らされていません。少なくとも廃止をしようとしている二つの図書館の利用者には直接意見を聞くべきではないでしょうか。小学生が一人でも行ける図書館、お年寄りが気軽に新聞を読みに行ける図書館、地域の園児たちが先生とお散歩の途中に立ち寄れる図書館、学校に行きたくない子の居場所、生涯学習の拠点となり、地域の核になる身近な図書館がこの時代だからこそ必要なのです。だから、二つの図書館は図書館として36年から52年の歴史を刻んで地域に守られてきたのではないでしょうか。

 そこでお聞きします。本町図書館と東中野図書館の廃止は急がず、当面は9館体制で運営し、利用状況や利用者の意見をきちんと聞きながら今後については判断すべきではないか。答弁を求めます。

 第4に、新たに地域開放型学校図書館を中野区立みなみの小学校をはじめ、3校に中央図書館の分室として設置するとしています。新型コロナウイルスの感染拡大の中で学校教育は根本から見直される状況が生まれています。特に1クラスの規模が少人数に変わる動きとなっており、そうなればクラスの数を増やすことが迫られます。さらに、学校教育の場に不特定の人が入るとなれば、感染防止対策が特別に必要になるなど、学校教育の安全が保てなくなります。さらに、財源のことを言うのであれば、地域開放型学校図書館の1学校当たり準備と委託費で2,000万円以上が見込まれています。今後の図書館サービスのあり方検討会や地域、学校現場から求める声は地域開放型学校図書館ではなく、学校図書の充実と教育環境の整備、拡充です。よって、地域開放型学校図書館の設置はいずれ責任が問われることになりかねません。子どもの成長に寄り添って考えを改めることを強く求めておきます。

 お聞きします。教育委員会には、小学校への地域開放型学校図書館の設置について区民と関係者からどれだけの声が寄せられているのか、何を根拠に設置を決めたのか、今後は何をもって検証しようとしているのか、答弁を求めます。

 最後に、パートナーシップ宣誓、宣誓書の交付についてお聞きします。

 9月10日現在、全国でパートナーシップ制度は59自治体が導入し、利用カップルは1,000組を超えるまでになりました。中野区では2018年8月のパートナーシップ宣誓の取扱いに関する要綱から2年、宣誓書交付件数は60組と聞いています。私は、第1回定例会で、宣誓書の交付によって生命保険の受取人を親からパートナーに変更できた例などを紹介しました。同時に取扱いに関する要綱について3点の検討を求めました。第1に、受領証を必要に応じて提示、活用できるよう携帯用にカード化すること、第2に、戸籍上の性別が同一である2人となっている要綱を、多様な性自認、性的指向の人々が除外され、自認する性が同じである場合を含むに改め、戸籍上にとらわれず、性自認、性的指向の方々にも門戸を開くべきではないか。第3に、手続までに提出する書類は、宣誓書、確認書、全世帯の住民票の写し、戸籍謄本などであり、提出書類が煩雑であることから、当事者のアンケートにも提出書類が多過ぎるとあります。提出物を厳選し、簡略化すべきではないかということを求めました。

 そこでお聞きします。以上の3点についてどのように検討されているのか。特に宣誓書の携帯用カード化は、緊急入院時や宣誓書の提示の必要が迫られ、そのときその場で証明することができます。既に他の自治体でも発行され、喜ばれているものです。希望される方に宣誓書の携帯用カードはいつから発行されるのでしょうか。答弁を求めます。

 東京都では、性自認及び性的指向に関する相談を、基本計画に沿って、この7月からこれまでの直接対面と電話による相談に加えてSNSによる相談を開設しました。1か月で20件の相談が寄せられています。特に若者を対象と考えているとのことです。SNSによる相談は札幌市も始めていますが、まだ全国の自治体レベルでは取組としてはこれからです。

 お聞きします。中野区の相談はどのように受けているのか。年間の相談件数はどうなっているのか。中野区もSNSによる相談の開設をしてはいかがでしょうか。答弁を求めます。

 9月の中旬から国勢調査が始まります。これに先立って、性的マイノリティの9団体などが総務省に対し、同居同棲のカップルを実態どおりに集計し、同性カップル世帯数として発表すること、男女の事実婚カップルと同等に、2人の性別が同性、続柄が世帯主の配偶者と回答した世帯を同性カップル世帯として集計をし、発表することを要望しています。この要望書に、酒井区長をはじめ、茨城県知事、千葉県千葉市長、渋谷区長、世田谷区長などの自治体首長の方々が賛同を表明されています。

 お聞きします。中野区は国勢調査の集計発表についてどのような見解をお持ちか、答弁を求めます。

 この項の最後に、取り組む中野区の体制についてお聞きします。

 パートナーシップ宣誓、宣誓書の交付をはじめ、性自認、性的指向の相談や取組は、企画部ユニバーサルデザイン推進担当課長の下で政策情報、平和、人権、男女共同参画分野が負うことになっています。しかし、現在、業務改善課の課長が兼務となっています。兼務では、ユニバーサルデザイン条例の普及、定着、男女共同参画、多文化共生条例の準備や平和、人権、男女共同参画の取り組むべき課題が山積しており、時代の求めに応えられるのかとの声を聞きます。

 お聞きします。実効性が保てるよう専任の管理職の配置を検討すべきではないでしょうか。答弁を求め、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 来住議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、区民の苦難に寄り添う区政についてのうち、緊急応援資金融資制度の活用状況と暮らしの実態把握についてでございます。令和2年4月から無利子で行っております中野区産業経済融資における新型コロナウイルス対策緊急応援優遇は9月8日現在で875件の申込みを受けております。そのうち個人事業主へのあっせん件数は264件、約3割となっており、小規模事業者における経営、資金繰りが厳しい状況であることは認識をしております。

 次に、プレミアム付商品券事業の実施及び飲食店支援についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策としてのプレミアム付商品券事業につきましては、他区での実施状況や効果などを注視しているところであります。中野区商店街連合会からの要望もあることから、その実施について検討を行ってまいりたいと考えております。また、事業者支援につきましては、その効果において消費拡大など地域経済の活性化につながるものが望ましいと考えておりまして、プレミアム付商品券事業を実施する場合には、飲食業への支援策としても有効なものとなるように商店街連合会とも連携し、検討を進めてまいります。

 続きまして、エアコンの購入費用助成についてでございます。エアコンは既に生活必需品として認められ、価格も幅があるものの、廉価な製品が多く販売されているなどの状況から、区が購入費用を助成することの必要性については慎重に検討する必要があると考えております。荒川区が実施したものと同等の助成制度を経常的に行うことは区の財政負担も多額となることから、他の自治体の動向も踏まえ慎重に検討する必要があると考えております。

 続きまして、避難所運営管理マニュアルの記述についてでございます。御指摘の記述は、在宅避難や親戚、知人宅への避難の有効性について区民に情報提供したものでございまして、避難所への避難を否定するものではありません。当然避難とは難を避けるということで、命を守るための最善の行動が重要であり、その方法である避難所への避難、在宅避難や親戚、知人宅への避難の有効性などについて広く区民に周知をしてまいりたいと考えております。

 次に、中野中学校跡施設の避難所についてでございます。中野中学校跡施設につきましては、避難所及び備蓄倉庫に指定していることから、電気をはじめ水道も利用できる状態を維持しております。施設の清掃につきましては2年に1回全面清掃を業者に委託し実施しているところでございます。

 続きまして、堀越高等学校等への協定締結の働きかけについてでございます。災害対策におきましては避難所確保は重要であると考えておりまして、区内の私立学校との避難所に関する協定締結につきましては、現在、協議の場の設定などについて連絡調整を行っているところであります。新型コロナウイルス感染症の状況などを踏まえつつ協議を進めていきたいと考えております。

 続きまして、空き家の除去費用の補助についてでございます。原則として建築物の所有者及び使用者は適正に維持管理する義務を負っております。区としては、維持管理が適正になされていない建築物の所有者等に対してはこれまで助言と指導を行い、自主的な処分を促しております。しかしながら、防災安全対策の一環として、特に空き家周辺の火災面の安全性を確保することが重要であります。整備地域に指定された木造住宅密集地域等では、建て替え助成、または除却助成の選択ができるように区事業の制度拡充を行い、要件を満たせば空き家でも活用できるものとなっております。

 続きまして、木造住宅耐震補強工事等助成制度の見直しについてでございます。木造住宅耐震補強工事等助成につきましては、令和2年度からの3年間を重点整備期間と定め取り組んでいるところであります。今後3年間の実績や課題の検証を踏まえ見直しを検討していく予定でございます。

 続きまして、感震ブレーカー、家具転倒防止用品についてでございます。区では、平成30年度より中野区防災用品のあっせん事業の中に感震ブレーカーや家具転倒防止用品などを組み入れて低価格で提供しているところであります。しかしながら、感震ブレーカーは過去3年間で16件、家具転倒防止用品は43件にとどまっているのが現状であり、地震による電気火災や家具転倒の危険性などについての周知が不足しているなどの課題があると認識をしております。今後は、防災訓練や区ホームページ、防災ユーチューブなど様々な媒体を通じて、地震が引き起こす様々な災害の危険性と対策の必要性について周知、強化を図ってまいりたいと考えております。

 次に、哲学堂再整備基本計画の見直しについてでございます。哲学堂公園再整備基本計画につきましては、学習展示施設の規模や樹木の保全などについて様々な御意見がありました。これが見直しが必要だと考えたところでございます。本年3月に国の名勝指定を得られたことで哲学堂の文化的価値が高まりました。これを踏まえて、哲学堂公園の歴史、背景を汲んだ哲学堂公園が持つ文化財としての本来的価値を高めるための新たな議論を進めて、今後、再整備基本計画の見直しにつなげてまいりたいと考えております。

 続きまして、哲学堂公園保存活用計画の策定についてでございます。哲学堂公園が令和2年3月に国の名勝に指定されたことに伴って、その文化財的価値を後世へ継承し、適切に保存、復原、活用することを目的として今後哲学堂公園保存活用計画を策定する予定でございます。計画を策定するに当たって、現地調査や現況把握、資料の再収集、整備や活用の在り方など広範囲で専門的な検討を要することから、学識経験者、行政関係者で構成された検討委員会を発足する予定でございますが、区民の参加手法についても併せて検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、旧野方配水塔の保存活用についてでございます。老朽化に伴って修理を実施するため、文化財保護の観点から保存活用計画を策定したところでございます。保存活用計画に基づいて計画的に修繕を進めているところであります。現在、周辺に危険を及ぼす劣化や建物構造に影響を及ぼすおそれのある箇所の修理に着手しているところであります。また、公園の環境に変化を及ぼす補助第26号線の拡幅整備の時期につきましては東京都と情報交換を行っております。今後の活用につきましては、保存活用計画でも示しているとおり、水道史上の価値、建築的価値、地域における価値を現代に伝え、地域住民の理解に資する活用を検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、平和の森公園のバーベキューサイトの利用についての御質問です。本年7月に実施した実証実験の臭気測定では、一般的な臭気の基準がないため、厳しい規制である都の環境確保条例の工場、指定作業場の規制基準と比較したものでございます。平和の森公園及び総合体育館の利用ルール案についての意見交換会では、バーベキューサイトの利用について見直しを求めるなど様々な意見をいただいたところでございます。その一方で、区民や公園利用者からバーベキューサイトの利用開始時期などの問合せがあり、区民の期待が大きいものと感じております。多くの区民に楽しんでいただけるよう、バーベキューサイトの利用に当たっては、利用ルールやマナーを啓発する事業を実施するとともに、新型コロナウイルス感染症対策も含めて適正な利用を促していきたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、図書館の問題についての御質問にお答えをいたします。

 初めに、本町図書館、東中野図書館の廃止理由についてでございますが、本町図書館、東中野図書館の建物は区立図書館の中で最も古く、いずれも建築後52年以上が経過し、施設の老朽化が課題となっております。このため、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)に基づき(仮称)中野東図書館に統合することとしたものであり、その理由に変更はございません。

 次に、本町図書館、東中野図書館跡地施設の利活用、指定管理者の募集についての御質問にお答えいたします。本町図書館、東中野図書館の跡施設の活用につきましては、今後、新しい基本計画や区有施設整備計画を検討していく中で全庁的な視点から検討を行い、明らかにしていくものとされております。指定管理者候補者の募集に当たっては、募集要項の中で対象施設及び改廃の予定について明記するとともに、応募事業者に対し、予定はあくまで現時点のものであり、条例改正の議決を条件とするものであると説明しております。

 次に、本町、東中野図書館の廃止を急がないことという御質問でございますが、新たに設置を予定している(仮称)中野東図書館は本町図書館と東中野図書館を統合して開設するものでございます。そのため、両図書館の蔵書を移転して活用するとともに、指定管理者の職員についても異動配置し、開設準備への従事を想定しておりますことから、両図書館の運営を継続していくことは考えておりません。これまでの計画策定の過程で区民や利用者の意見を伺ってきており、本定例会において条例の議決をいただいた後、周知を図ってまいります。

 最後に、地域開放型図書館についての御質問でございます。地域開放型図書館については、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)や中野区教育ビジョン(第3次)などに基づいて整備し、子どもたちや乳幼児親子、地域の方々などに御利用いただくものでございます。地域開放型図書館についての御意見としては、対象者に見合った蔵書構成とすることや実際にどのような活用がされるのかを運用していく中で検証していくことが必要との御意見をいただいているところでございます。このため、来年4月に開設される3館において、年代別や時間別の利用者数、図書の貸出数のほか、利用者アンケートで要望などを把握し、検証を行ってまいります。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) パートナーシップ宣誓、宣誓書についてお答えをいたします。

 初めに、パートナーシップ宣誓の検討状況についてのお尋ねでございます。カード型受領証については、他自治体の取組等を参考に、カードへの記載内容やサイズなど、実施に向けた具体的な検討を進めているところでございます。戸籍上の性別が同一であることの宣誓要件につきましては、法律上婚姻することができない2人に便宜を図るために設けたものでございまして、この要件の見直しについてはさらに慎重な検討が必要だと考えてございます。提出書類につきましては、利用者の利便性向上のために簡略化できる書類について具体的検討を進めているところでございます。

 続きまして、SNSによる性的マイノリティ相談についてでございます。区で実施しております対面による性的マイノリティ相談につきましては昨年度2件という件数でございましたが、利用者からおおむね好評をいただいているところでございます。区としてSNS相談を実施するかどうかにつきましては、東京都や法務省の実施状況も参考にしながらその有効性を含めて検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、国勢調査における同性カップルの集計に係る要望についてのお尋ねでございます。国勢調査における同居同棲カップルの集計方法につきましては調査の実施内容に直接関わる問題でございます。最終的には国が今後の国勢調査の統計の在り方を検討する中で決定すべきものであると認識するところでございます。

 

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、人権担当専任の管理職の配置についてお答えいたします。管理職の配置に当たりましては、管理職のポストの数と人数、所掌する業務の量や部下の人数、管理職の能力や適性等を総合的に勘案した上で専任とすべきか兼務とすべきか判断しているところでございます。ユニバーサルデザインの推進や各種人権課題を担当する課長を専任で配置するか否かにつきましては、来年度の組織や管理職の人事異動を検討する中で判断したいというふうに考えてございます。

〔来住和行議員登壇〕

○42番(来住和行) 図書館の問題のところでちょっと答弁が聞き取れなかったのかもしれませんので再質問させていただきます。新しい区長になられて、教育委員会としても今後の図書館サービスのあり方検討会を設置されて検討をされてきました。そこでは地域の図書館の存続の希望が述べられたと報告になりましたという紹介をさせていただきました。それを前提にしてお伺いしますけれども、お答えになっていなかったかなと思うので。一つは地域開放型学校図書館の設置について、区民と関係者の中から声がどういう形で寄せられたのかという1点ちょっと不明でした。

 それからもう一点は、この2図書館の廃止の後の館の利活用がセットで話として聞かされるんですけれども、それは既にそういうものとして決められて進んできているのか。その2点簡潔にお答えください。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 再質問にお答えをいたします。

 まず1点目の地域開放型図書館に関する意見ということでございます。今後の図書館サービスのあり方検討委員会の中では、御質問がございましたように、地域開放型図書館の必要性について御議論が確かにございました。そして、ほかの部分においては、先ほどの再答弁になりますけれども、対象者に見合った蔵書内容に今後していくことと、実際にどのような活用をされるのがいいのか、その運用について検証をしっかりしていくようにという御意見がございました。

 2点目の本町図書館と東中野図書館の廃止後の利活用は同時に検討されているのかということだったというふうに思いますが、廃止については今回決めましたけれども、新たに今度設置を予定している図書館のほうへ移動した後のことにつきましては区のこれからの施設配置の中で検討していくということになっております。

○副議長(平山英明) 以上で来住和行議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時18分休憩

 

午後3時40分開議

○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 いでい   良輔

 1 区長の政治姿勢について

  (1)行政報告について

  (2)その他

 2 子ども達の未来を見据えた教育環境作りについて

  (1)コロナ禍による教育機会の減少について

  (2)ICT教育の推進について

  (3)GIGAスクール構想について

  (4)その他

 3 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、いでい良輔議員。

〔いでい良輔議員登壇〕

○23番(いでい良輔) 令和2年第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から一般質問を行います。

 私の質問に先立ちまして、このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大によりお亡くなりになられた方、大きな健康被害を受けられた方々に対して心からお悔やみを申し上げますとともに、お見舞いを申し上げます。一方で感染拡大防止に努められている医療、福祉、介護、教育の最前線で御尽力をいただく皆様、社会維持従事者として御活躍いただいている皆様、不自由な生活を強いられながらも感染拡大防止に御協力いただいている全ての皆様に敬意と感謝を申し上げます。

 8月15日の全国戦没者追悼式で天皇陛下から新型コロナウイルスについて、私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により新たな苦難に直面していますが、私たち皆が手を共に携えてこの困難な状況を乗り越え、今後とも人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願いますというお言葉がありました。中野区におきましても、9月8日現在で感染されました方々の累計が975名となっています。今こそ33万区民の皆さんの生活に寄り添い、スピード感を持った施策を展開し、少しでも健康不安や生活不安を取り除き、今までのような普通の暮らしを取り戻すため、行政と区民を代表する議会みんなで共に手を携えてこの困難な状況を乗り越えていかなくてはならないと思います。私はこの視点に立って質問をさせていただきますので、端的で明快な御答弁をいただきますようお願いいたします。

 では、質問に移ります。

 1番、区長の政治姿勢について、まず初めに行政報告について質問をいたします。

 9月7日の第3回定例会初日におきまして酒井区長は行政報告を行いました。その中で、当面の感染拡大防止対策や今後の医療、生活、経済支援の取組とともに、今後行うべき行財政の構造改革についてのお考えを述べられました。行政報告は、新型コロナウイルス感染症拡大の現状と課題、医療、生活、経済支援対策、今後の財政見通しを踏まえた令和3年度予算編成、行財政の構造改革の推進と基本計画の策定という項目がありますが、全てにおいて財政視点での報告となっています。その中で今後の財政見通しは大変厳しい状況にあるとして、財政的な非常事態と言わざるを得ないとの認識を示され、今年度の子ども教育関係では、区立小・中学校をはじめとした区有施設の改築、改修計画の見直しを検討しているとのことでした。その他に、子どもや教育については、今後も良好な子育て・教育環境の実現を目指すという一言だけで、その具体的な内容については何ら明らかにされていません。区立小・中学校では、新型コロナ感染症の拡大防止のため、3月から5月にかけて約3か月間臨時休校となり、貴重な学びの機会が失われました。このため、この学習の遅れを取り戻すこと、そして様々な教育活動や学校生活がこれからどうなっていくのかということが子どもたちをはじめ保護者の最大の心配事となっています。それにもかかわらず、そうした教育に関する取組などについて示されることもなく、財政の危機を殊さら強調することで教育関連予算についても一律に削減されてしまうのではないかと我が会派は大変大きな危機感を抱いています。

 区は、子育て先進区を区政の柱に位置付け、推進していくと言われ続けていましたが、今回の行政報告にはそうした言葉が全く出てこないばかりか、今までの施策の結果を出せなかったことを隠そうとして、またなかったことのようにしているのではないか。子育て先進区を目指すと言いながら、他の自治体の取組に比べ大きく後れを取っているのではないかと、区に対しての不信、不安を感じているのは私だけではなく、多くの同僚議員、そして多くの区民の皆様も一緒です。ましてや区役所内部の職員からも同様の声が聞こえてきています。

 現在は、新型コロナウイルス感染拡大が引き起こした未曽有の事態の打開のために様々な取組を行っていますが、今回の行政報告では、区長は、経常経費の削減に取り組み、そうした場合、区民サービスへの影響も避けられないと示されました。その意味するところは、財政が厳しくなることが予想されるので、そのしわ寄せを区民に負担してもらうということだと思います。

 しかし、この根本である区の考え方には、酒井区長が就任をされてから、アベノミクスのおかげで景気がよくなり、増えた歳入を何ら根拠も示さないうちに御自身の都合のよい解釈で一方的に財務規律を緩め、基準となる一般財源規模を2年間で690億円から750億円に増やした結果ではないかと思います。仮に2年前と変わらない基準となる一般財源規模であった場合、新型コロナウイルスの影響で予想される来年度歳入が92億円減少するということに対して問題はありませんでしたし、昨年度の一般財源基準額を堅持していれば、財政調整基金を20億円繰り入れれば乗り越えられるはずだったのではないでしょうか。この2年間、事業の必要性をきちんと精査せずに、税収増に甘んじて御自身の選挙時の公約について体裁を整えることだけに終始し、区と区民の代表である議会が長い年月をかけて財政再建に向けて取り組み、積み上げられてきた財政調整基金を当てにして、区政の放漫経営とも取られかねない歳出を繰り返していたことが原因なのではないでしょうか。

 行政報告には行財政の構造改革という言葉が出てきましたが、これを行おうとするのであれば、この2年間の区政運営について総括をされることがまず先ではありませんか。区民の皆様に痛みを伴う改革を押しつける前に区自らが身を切る改革を行うことが必要なのではないでしょうか。

 区の失政により子どもたちの教育環境に悪影響が出ることは許されませんし、削られていい学習機会などあろうはずがありません。区は、今後の財政見通しを踏まえた上で、子どもや教育に関する施策の充実についてどのように取り組まれるおつもりなのか、区長の御見解を伺います。

 次に、その他で子どもの権利擁護に係る条例の制定について伺います。

 行政報告では、児童相談所の開設など主要な行政課題に注力していく必要があると述べられています。そして、子ども文教委員会で報告があったように、ハードの部分だけではなく、区は子どもの権利擁護に係る条例の制定に向けた検討を進めていくとのことです。我が会派は子どもの権利を守るという趣旨については全く反対するものではありませんが、その手段として条例をつくるということが本当に適切なのか疑問に感じています。

 区内には、いじめや虐待、貧困など、困難を抱える子どもたちが存在しています。また、今回の新型コロナウイルス感染症により一番大きな影響を受けているのは子どもたちかもしれません。区はこのことをきちんと認識しているのでしょうか。そうであるならば、条例をつくることよりも、そうした子どもたちに手を差し伸べるための取組を一刻も早く施策として展開するべきではないでしょうか。条例をつくれば児童虐待がなくなるのか。食事を食べられない子どもたちを救えるのか。条例をつくることが手段ではなく目的になっているように感じています。今現在条例がない中で、区は子どもの権利擁護に対して何の取組もされていないのかと誤解をされることも心配です。

 私は、現に困難を抱えながら生きている子どもたちを救うことに力を注ぐべきだと考えています。こうした状況があるにもかかわらず、区はなぜ子どもの権利擁護に係る条例をつくることを急いでいるのか全く疑問です。しかも先日の委員会では、今年度予算で計上されていた子どもの権利に関する検討のうち、広く区民の皆さんに知っていただくために開催するシンポジウムの予算を削りました。総予算の約3分の2、70%にも上る数字です。条例制定についての取組と、一方で予算執行を停止するなどの取組に対して整合性を感じません。条例をつくることの必要性について区長の御見解を伺います。

 次に、2番、子どもたちの未来を見据えた教育環境づくりについて伺います。

 まずコロナ禍による教育機会の減少について伺います。区は、年度をまたいで今年の3月、4月、5月と約3か月に及ぶ臨時休校を決定いたしました。その時期は、普段ならば卒業式、入学式、入学、進級に向けての取組、運動会など様々な学校行事が行われ、一方では、1年間の締めくくり、1年間の始まりとして大切な授業、学習機会がありましたが、子どもたちは新型コロナウイルス感染症により大切な学びの時間を奪われてしまいました。6月から学校は再開されましたが、修学旅行や移動教室などの宿泊行事は中止され、その他様々な催しが縮小、中止されるなど、子どもたちの貴重な体験の機会がことごとく失われていることに対して、我が会派としては事情が事情だけに大変なことは理解できますが、全てを新型コロナウイルスのせいにして中止、縮小、見合せ、見送りするのではなく、区として子どもたちのためにどのようなことができるのか検討するべきではないかと考えています。

 そこで伺います。中止などを決定された行事については、感染症拡大、または収束のめどなど、どのレベルになったら実施をするのか、独自のガイドラインを持っておくべきではないかと思いますが、御見解を伺います。

 また、代替行事についても、年度内に開催方法、場所、人数などを工夫して実施すること、また、やむを得ずキャンセル料などが発生した場合は保護者に負担をさせないことなどを検討していただきたいと思います。併せて御答弁ください。

 次に、ICT教育の推進について伺います。

 新型コロナウイルス感染症拡大により図らずも推進されたことといえば、ICT機器を活用したオンライン学習だと思います。5月の終わりから段階的にICT機器やクラウド学習ツールなどを導入して、その活用については大きな期待が持たれています。しかし、実際にはICT機器は6月の学校再開前に児童・生徒に届き、先生方は学校再開とICT学習と二つの取組を同時にこなさなくてはならず、教育現場は混乱しているとの情報も多く寄せられています。ICT学習については、家庭にICT環境がなくても、タブレットPCやルーターを貸与して全ての対象児童・生徒が行える環境は整備されましたが、学校によっては、精通する教員がいるかいないか、または感染防止などの理由により、学校、学年、クラスでのICT学習にばらつきが生じていることについて大きな課題だと感じています。

 先進的事例として、お隣の渋谷区では3年前から取組を始めていたので、新型コロナウイルスの影響で登校ができなくても、ICT機器を活用した学びの機会を早い段階から確保できたと聞いています。また、同じように熊本県熊本市でも早くからICT学習を取り入れていました。それには、平成28年4月に発生した熊本地震の発生後、震災復興を担う人材を育成するために、これからの時代に必要な教育を実施するとともに、たとえ災害が起きても、インフルエンザで学校が閉鎖になっても教育ができる環境を整えるべきだと市が考えた結果だったそうです。区としても他の自治体の取組を参考にし、また、困難な状況にあるときこそICT機器などを利用して工夫を凝らした教育行政を行っていただきたいと切に願います。

 そこで伺います。現在推進中のオンライン学習の現状と課題についてお聞かせください。

 私は、全ての児童・生徒たちにタブレット端末やクラウド学習ツールなどが行き渡ったとしても、そこに学校と教員の先生方が深く関わっていくことが重要だと考えています。ICT教育が推進されれば、先生と児童・生徒たちが直接関わる時間が減っていくことになるかもしれません。学校と児童・生徒を取り巻く教育環境の変化はこれからの新たな課題になっていくのだろうとも考えています。区と教育委員会はICT機器を利用したオンライン学習をどのように推進していくつもりなのか、目安や計画を示し、個別の課題に対しては、一つ一つ改善策を示すべきだと思います。御見解をお聞かせください。

 最後にGIGAスクール構想について伺います。昨日、第66号議案、令和2年度中野区一般会計補正予算が先議として議決されました。子ども教育費の中でICT推進費として4億5,000万円を超える経費が計上され、議会はこれを承認したものです。そのうち約4億1,000万円はGIGAスクール構想実現に向けた小・中学校の校内ネットワーク環境整備、ほかに端末のリース料延長分と保守料で約3,700万円という内訳です。ICT機器の配備やオンライン学習の推進は、現段階では新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う学びの保障という意味合いが大きいのですが、今後はこれからの学校教育の在り方に関わるGIGAスクール構想に留意した推進が求められていると思います。GIGAスクール構想では大容量の校内LANや児童・生徒1人1台のPC等が整備されることになります。先ほどのICT学習推進の質問でもお聞きしましたが、ややもすると、ハードの整備に傾注するあまり、教育の実態は何も変わらないということになりかねません。我が会派は、このコロナ禍を教訓として、これからの中野区の教育についてどうあるべきかを改めて考え直すべきだと感じています。

 8月6日に特別区議長会として我らが高橋かずちか議長が文部科学省を訪問し、萩生田光一文部科学大臣に対し、GIGAスクール構想の早期実現に向けての支援策について要望されました。萩生田大臣からは、GIGAスクール構想はコロナ禍で一気に加速することになり、小中学生1人1台の購入費用については国が裏打ちしている。一日も早い整備のために自治体の迅速な予算決定や契約締結に御協力いただきたい。また、環境整備については、東京都と相談して進めてもらうほか、国立大学等を経由し全国でつながっているSINET(サイネット)を活用していただくのもいいのではないかと考えている。ICTの分野は日進月歩で、今後の継続を心配されていると思うが、1人1台は当たり前の時代をつくろうと思っている。義務教育の必須のツールということにしてしまえば、国がきちんとした形で一定程度の負担をしていくことになると思う。今後、現在の1クラス40人をソーシャルディスタンスが取れる30人にして、机もパソコンが置ける大きさに変える令和時代の新しい学校像をこの機に提案していきたいと思っているなどの力強く心強い発言があったと伺っています。

 政府がGIGAスクール構想を段階的に5年間で行おうとしていたものを前倒しした意義について、区はこれを理解し、この構想を実効性のあるものとしていくためには何をすべきとお考えか、お聞かせください。

 以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いでい議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、区長の政治姿勢についての中で子どもや教育に関する施策の充実についての御質問です。

 次の時代を担う子どもたちにつきましては、子育ての支援や教育の環境整備などを通して子どもの育成や学びを支えていくことが区の基本的な責務と考えております。特に教育環境の充実について、校舎の改築が必要な時期に来ておりますが、小・中学校の改築や改修には多額の経費を要し、長期間に及ぶことから、中野区立小中学校施設整備計画について、今後の財政見通しや社会情勢等を踏まえつつ、新しい基本計画や区有施設整備計画と整合を図りながら見直しを進めているところでございます。区財政の悪化は新型コロナウイルス感染症拡大による未曽有の経済の落ち込みによるものでありますが、子育て先進区の実現を区政運営の柱として掲げており、子育て、教育への影響を最小限に抑えていけるよう対応してまいりたいと考えております。

 次に、子どもの権利擁護に係る条例についてでございます。虐待や貧困、いじめなど、子どもの権利が脅かされている現状があると認識をしております。また、こうした状況を踏まえて、国は児童福祉法を改正して子どもの権利を支援していくことを明確にいたしました。こうしたことを踏まえ、区は、区民に最も身近な基礎自治体として子どもの権利を守るという理念を地域全体で共有し、浸透させることが重要であり、本条例の制定が必要であると考えております。これまでも区は様々な困難を抱えている子どもたちに対し支援を実施しているところでありますが、今後もより一層施策を充実させてまいりたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、子どもたちの未来を見据えた教育環境づくりについてお答えをいたします。

 初めに、コロナ禍による教育機会の減少についての御質問でございますが、行事等の実施を判断する基準としましては、国の地域感染レベルや六つの指標によるステージ、都の感染状況などが目安となりますが、学校や地域の状況はもちろん、実施する行事によって判断の目安は様々であると考えております。宿泊行事や連合行事以外の運動会等の学校行事につきましては、学校に対し、一律に中止するのではなく、感染状況を見ながら、参加人数や実施場所など感染拡大を防止する方法を工夫して実施をするように指示しております。宿泊行事の代替については、感染の状況などを注視しながら安全に実施できる方法を検討しているところでございます。宿泊行事のキャンセル料につきましても保護者に負担させない方向で検討しております。

 次に、オンライン学習推進の現状と課題についてです。

 家庭にICT環境がない小学校6年生以上の児童・生徒にはタブレット端末やルーターの貸与が完了しております。また、全ての児童・生徒にクラウド学習ツールや教育用コンテンツを利用するためのアカウントを配布しました。臨時休業中から学習動画を配信するなど先進的な取組をする学校があったほか、6月の分散登校時には、登校している集団としていない集団をビデオ会議でつないだり、教育用コンテンツを補習や家庭学習に積極的に活用している学校もございました。学校再開後の授業準備や感染防止策等を行う中、急な対応が迫られたため、教員にとってはその活用を工夫する余裕がなかったなど、教員や学校での取組に差ができてしまっていることが課題だと捉えております。

 次に、オンライン学習の推進についてです。教育委員会では、これまでも臨時休業中や学校再開後のオンライン学習の推進について、スケジュールや実施方法、注意点を示してきております。それを受け、校長会でも独自にオンライン学習推進の目安を示しております。

 ICT環境の整備については、緊急対策としての当初の措置が一段落し、今後に向けての見通しも明らかになりつつあるところでございます。今後、学校に対しては、環境整備の進捗状況に合わせたオンライン学習推進のための最低基準を示すとともに、一つ一つの課題については改善策を明らかにしてまいります。特に教員のICT技能向上と意識改革は大きな課題であるため、教員向けの研修の実施や先進的に取り組んでいる学校の事例紹介を行うとともに、全校には校内研修のテーマとして設定させ、一人ひとりの教員にオンライン学習に関する具体的なイメージを持たせ、実践につなげてまいります。また、ICT学習支援員を配置することにより各校の取組を技術面で支援してまいります。

 最後に、GIGAスクール構想についてです。この構想はICT機械を使わせることが目的ではなく、ICT機器の活用を通して子どもたち一人ひとりに応じた学びの実現を目指す。教え方、学び方、さらには働き方を大きく変えることを目標としております。まずはこの改革について教員にも区民にも理解していただくことが必要であると考えております。高度情報化、グローバル化が一層進展するこれからの社会を創造する子どもたちにとっては、GIGAスクール構想の目標としていることは大きな意義を持っております。教育委員会としては、今後、その在り方や区独自の方策についてさらに検討を重ねるとともに、中野区教育ビジョンの基本的な考え方などに反映させ、広く周知を図っていく所存でございます。

 各校においては、GIGAスクール構想の目指すところを教育課程や学校運営の柱の一つに位置付け、保護者や地域にも理解を図るとともに、それが形骸化しないよう、一人ひとりの教員はその具体的な方法や時期を指導計画に明確に記し、計画的に実践していけるよう指導してまいります。

〔いでい良輔議員登壇〕

○23番(いでい良輔) 再質問させていただきます。

 このような財政の非常事態宣言と言わざるを得ない状況というものは新型コロナウイルス感染症拡大によるものが大きいという区長の御答弁でありましたけども、私は質問の中では、この2年間区長が財務規律を緩めてきたことによって膨らんできた一般財源規模、こういったものが影響しているのではないか。これから行財政の構造改革を行っていくのであれば、この2年間について総括するべきではないかという旨の質問をいたしました。区長からはその御答弁がいただけなかったので、もう一度改めて伺います。

 それと、先ほども御答弁いただきましたけれども、ICT学習、またはGIGAスクール構想の実現、こういったことには巨額な経費がかかってくるものなんです。今試算されている中でも、5年間にわたってタブレット端末をリースした場合には約17億円が必要になってくるのではないか、こういった試算もされているわけなんです。今、区長の御答弁をいただきましたのは、子どもたちの教育環境には影響を最小限にとどめたい、こういったお話がありました。そのためには、学校の施設、また教育環境の改築、改修計画を見直していく、このようなお話がありましたけれども、どこに優先順位を持っていくのか、それはどの時点で示されるべきなのか。私たち議会は、この2年間、基本構想を改めて基本計画を策定していく中でお示しします、こういった御答弁をいただいてその実現を待っていたわけですけれども、その計画自体をお示しいただかないままに今回の行政報告や様々な政策決定がなされていくこの現状に対して本当に不安でしかありません。これは本会議場で区長から御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いでい議員の再質問にお答えします。

 まず1点目です。この2年間の財政規律についての御質問でございます。伊藤議員の御質問でも私はお答えいたしましたけれども、この2年間についての財政的な負担というのは、既存の計画である体育館等の大規模な計画の実施に対しての出費というものが非常に大きかったというふうに考えておりまして、決して財政規律を緩めたからということではないと考えております。

 そして、2点目、GIGAスクール構想等の今後の巨額の投資についての区の優先順位についての御質問でございます。これについては、本当にこの新型コロナウイルス感染症拡大による未曽有の経済の落ち込みということで、一般会計の中での1,500億円のうち100億円近く今回落ちるということでございます。これは最低でも2年から3年ぐらいの影響があるということなんでございますけれども、これらの短期的な危機に対しては、既存の計画を延期するなりして工夫をしてこの2~3年を乗り切るということで、中でも子どもたちの教育に関する、子育て先進区を目指す中での施策についてはそちらをなるべく優先していきたいというふうに私は考えております。その中でこれまでの基本計画、それから基本構想等様々な計画の中で限られた財源の中で何を優先していくかということはこれからしっかりと示していきたいと考えております。

〔いでい良輔議員登壇〕

○23番(いでい良輔) 再々質問をさせていただきます。

 このような財政的な非常事態は、新しい体育館の建設や今までの既存の計画にのっとった事業を実際に行っていたからこういった財政的な非常事態を迎えている、それに新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きい、こういった御答弁でありました。この2年間、酒井区長が就任されてから行ってきた施策というものは全て前田中区長の時代の計画を踏襲したから今こういった財政状況になっている、こういったふうにも聞こえてくるんですよね。と私は思うんですよ。でも、それであるならば、では、今本当に中野区としてこういった財政状況にある中でまず身を切る改革というものを行っていく、そういった姿勢が全く見られないんですよ。それについては今回の行政報告でも少しも触れられていないんです。まず区のほうでこういった御認識がない中で、これを多くの区民の皆さんに行政サービスを削減していく、こういった提案というのは私たち議会としては全く受け入れられるものではない、このように考えています。改めて御答弁を伺います。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いでい議員の再々質問にお答えします。

 このたびの財政難についてということですね。区民のサービスにも影響があるということは私も申し上げております。ただし、その財政難の中でまず優先すべきは、やはり区の内部管理事務だとか組織、それからその他、我々行政の側にある無駄、無理、むらをなくしていくということが我々としてのまず最初に優先的な課題だと思っております。身を切る改革と今おっしゃいましたけれども、もちろん我々としては、まずは区民のサービスに影響がないところで可能な限りは削減をしていくというところで、その中でも区民サービスの内容に多少影響があることも当然あるかとは思いますけども、それも最小限にとどめていくという決意でございます。

○議長(高橋かずちか) 以上でいでい良輔議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 山 本  たかし

 1 新型コロナウイルス感染症に対する区の対策について

  (1)検査体制の強化について

  (2)オンラインを活用した区民・区内団体との意見交換について

  (3)生活困窮者対策について

  (4)ニューノーマルで生じるコミュニケーションバリアについて

  (5)コロナ禍における学校・区内・関係団体の困りごとについて

  (6)その他

 2 ひきこもり家庭への支援について

 3 ICTを活用した今後の教育について

 4 児童相談所と子どもの権利条例について

 5 口腔ケアについて

 6 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、山本たかし議員。

〔山本たかし議員登壇〕

○27番(山本たかし) 令和2年度第3回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりです。その他はございません。

 1、新型コロナウイルス感染症に対する区の対策について、(1)検査体制の強化について伺います。

 質問に当たり、まずもって新型コロナウイルスによってお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げるとともに、苦難に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、区がこれまでPCR検査の拡充について進めてこられたことを評価し、保健所の職員の方々や最前線で働かれておられる医療現場の方々に感謝と敬意を表します。

 先月、世田谷区の保坂区長が示したPCR検査体制の方針について、いつでも誰でも何度でもといったキーワードが話題となりましたが、それに対し、受け入れる能力や陽性結果者への事業の継続性や必要性の可否など、様々な課題に対しどうするのか議論が巻き起こり、実際は着実な検査体制の強化でありました。大きな話題となったのは国民の不安な気持ちと呼応したからにほかなりません。当区としても区長による区民への不安に寄り添う適宜適切なメッセージの発信と具体的な検査体制の強化が欠かせません。

 新型コロナウイルス感染症について、現在は同居する家族が濃厚接触者になっても、濃厚接触者以外、つまり濃厚接触者との濃厚接触者についてはPCR検査の対象にはなりません。家族内感染が増えてきている中で、家族が濃厚接触者になると、その家族は自分も感染するのではないかと不安になります。濃厚接触者の同居家族においても、体調に異変があれば、医師の判断の上でPCR検査は受けられるはずですが、その情報自体を知らず、受けられるはずなのに受けられなかった区民が多くいるのではないでしょうか。ホームページを含め積極的に周知すべきです。

 そこで質問です。家族が濃厚接触者ならば、他の同居家族についてはPCR検査を受けられるようにすべきではないか、伺います。

 東京都は、重症化リスクの高い人を扱う高齢者施設、障害者施設においてPCR検査の全額補助をする方針を示しました。しかし、障害、高齢者、介護だけでなく、子どもを扱う保育や公教育、清掃など様々な生活に不可欠な業務、いわゆるエッセンシャルワーカーがおり、こうした業種で働かれる方については業務の継続性が求められるため、支障を出さないためにも、日中であれば、住んでいる自治体に一旦帰宅し、かかりつけ医からの検査という時間のかかる流れではなく、従事している中野区内で検査をいただくなど迅速性が求められると考えます。体調に異変を感じたり不安を覚える者については、希望があれば優先的にPCR検査センターにてPCR検査を受けてもらえる体制とすべきではないでしょうか、伺います。

 また、今後、季節性インフルエンザが流行する時期を迎えると、症状が新型コロナウイルスと似ており、判別が難しいと言われています。このため、国は抗原検査キットを全国の地域医療のために1日20万セットを準備するとしていますが、地域医療との連携が欠かせない中において、この国の動きに対し、区としても抗原検査キットの確保に動くべきと考えますが、区としてどのように捉えているのか、伺います。

 次に、(2)オンラインを活用した区民、区内団体との意見交換について伺います。

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、地域での会議のほか、介護サービス事業者間や保育園園長会、福祉団体等の意見交換など、区と事業者などにおける必要な会議が思うように開けなくなっています。最近は地域BWAを活用したウェブ会議の活用も始めているところですが、1対遠隔地にいる複数人で会議ができるシステムであり、まだ必要な会議全般をカバーできている状況にはありません。また、7月に東京都から、同じ場所に複数人が参加できるオンライン会議の機材が1セットだけ支給され、庁内の施設予約システムにて現在運用されているようですが、ニーズがあり、常に予約で埋まっていると聞いております。区側のオンラインでできる環境は足りない状況です。

 質問です。実際に集まらなくても十分な会議ができるよう、区は機材を含めた環境整備を早急に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 これまで区民と区長のタウンミーティングについては集合型で開催されてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から中止している現状です。今後は、新しい生活様式を踏まえてオンラインを活用したタウンミーティングを実施していくべきだと考えます。まずは、スマートフォン、タブレットの普及率が高く、アプリの活用に慣れている子育て家庭を対象としたタウンミーティングにおいてオンラインの活用を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 次に、(3)生活困窮者対策について伺います。

 2018年10月の改定以来、3年間をかけて生活保護の基準額が引き下げられ、生活保護利用者の7割で保護費が減っている現状において、消費税増税も重なり、一層苦しい状況が続いております。そうした中で新型コロナウイルスによる経済、雇用の悪化を受け、生活が立ち行かなくなってしまい、新たに公的な力を頼られる方が大勢おられます。人は生涯の中で自分一人ではどうにもならないときが必ず来ます。そのときに手を差し伸べなくてはならないのが公助の力だと申し上げた上で質問に入ります。

 まず、8月末時点での住居確保給付金の申請数と生活相談の相談件数、生活保護の申請件数、4月からの合計件数について御答弁を願います。

 次に、都の事業ですが、インターネットカフェや漫画喫茶などで寝泊まりしながら不安定な就労に従事している方や離職されている方に対して、緊急的な一時場所としてビジネスホテルに宿泊してもらい、その後、借り上げ住宅に移行し、就労自立に向け支援するTOKYO東京チャレンジネットという制度がございます。区に相談に来られた方のうち、都のチャレンジネットにつなげた件数を伺います。

 あわせて、生活困窮者に対してはまずもってハウジングファーストが求められておりますが、区としてどう住まいの確保に取り組んでおられるのか、お伺いをいたします。

 今後、やむを得ない事情により国の特別定額給付金を申請できなかった人に特例給付金を出すと総務委員会で報告がありましたが、その際にはネットカフェ住民など住所不定の方はどういった扱いとなるのでしょうか、見解を伺います。

 新型コロナウイルスによって3密を防ぐことやテレワークなど新しい様式が定着してきていることにより、飲食業のみならず、アパレル、化粧品、デパートなど、経済の悪化とともに雇用の悪化がさらに深刻化する気配を見せています。年末を迎えるに当たり、リーマンショック時に起きた年越し派遣村のように年を越せない方が増大することが懸念されています。年末にかけて相談数、申請数が増えることを想定しておかなくてはなりません。このまま新型コロナウイルスが大きく拡大していない状況であれば、ケースワーカーの被保護者への訪問も続いていく中で、そこまでの情勢が悪化となった際には生活援護課内での人的工夫にも限界があり、全庁的な臨時体制を整える必要があると考えますが、見解を伺います。

 (4)ニューノーマルで生じるコミュニケーションバリアについて伺います。

 本年3月に中野区議会において手話言語条例並びに障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例が可決され、4月から施行されておりますが、同時にコロナウイルス感染拡大を迎えてしまいました。この期間において対応が難しいことは理解しますが、区は意思疎通に困っている方々にとって条例の目的とする理念を踏まえた対応を意識されていたのでしょうか。福祉団体連合会など関係団体をはじめとし、しっかり困り事をヒアリングしていく必要があります。

 そこで質問ですが、聴覚障害者は口元を見て相手の言っていることを理解する方もいる中で、対応する職員は、筆談だけでなく、口元が分かるフェイスシールドやマスクをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 また、併せて災害時の備蓄品として、マスクのほか、フェイスシールドも備蓄が必要だと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 4月以降の首相や都知事などでの会見では手話通訳がつき、その動画が配信されています。そこで伺いますが、手話言語条例並びに障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例を制定している中野区においては、定例的な記者会見のようなものではなく、区長が区民の皆さんへ発するメッセージのうち、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための取組やお願いなど、区民の方の安全や安心に関わる重大な内容について手話通訳を入れた動画を撮影し、配信すべきだと考えますが、いかがでしょうか、見解を求めます。

 この項の最後に、第1回定例会の中で外国人を対象とする支援体制について伺い、検討するとのお答えをいただいておりましたが、コロナ禍において外国人に対する相談窓口の重要性が増しております。その後の検討状況について御答弁をお願いいたします。

 (5)コロナ禍における学校・区内・関係団体の困り事について伺います。ここでは学校現場における課題である教員の働き方についてのみ伺います。

 2019年3月に中野区教育委員会が策定した中野区立学校における働き方改革推進プランは今年度改定作業を行い、来年度からステップ2に移行する計画となっています。中野区においても教員の長時間勤務の実態は心身の健康に支障を来す看過できない状況であり、早急に対応していかなければならない喫緊の課題でありますが、今年度については、休校や長期休暇期間の短縮、行事の在り方の見直しなど特殊要因が重なっており、これまでの取組を評価し、今後につなげるための適切なエビデンスが取れる状況ではないと考えます。法改正などに伴って改定が必要な部分もあろうかと思いますが、今年度の改定作業はそうした範囲にとどめ、状況が落ち着いた後に改めて全体的な改定を行うべきと考えます。少なくとも改定作業の中で現場の負荷になるような部分については見送るべきと考えます。見解を求めます。

 次に、2、ひきこもり家庭への支援について伺います。

 国の試算で全体では約100万人、中高年は約61万人と言われるひきこもり状態にある方がここまで増えた要因をたどれば、バブルが崩壊し、就職氷河期に突入し、厳しい就職難にさらされ、さらに2008年にリーマンショックが起こった際、派遣社員たちが真っ先に雇用の調整弁として切られた後、長期間安定的な雇用にも就けず、半ひきこもり状態の中で行政の縦割りや制度の貧しさによって適切に相談支援にもつなげられず、社会からも行政からも拒絶されたように感じ、自信を取り戻せずに引きこもる選択しかない状態に陥ってしまったと認識しております。

 この新型コロナウイルスによって今多くの非正規雇用の方が切られ、同じ現象が起こっております。ひきこもりの問題をこれまで取り上げてまいりましたが、こうした方を適切に支援し、ひきこもりに陥る人たちを再び生まぬようにしなくてはなりません。目下の現状ですから待ったなしです。

 そうした中、今年の6月5日、参議院本会議で改正社会福祉法が可決成立し、来年4月1日から施行されます。重層的支援体制整備事業という新事業名で、ひきこもりなど制度のはざまで孤立した人や家庭を把握し、社会とのつながりを取り戻せるよう専門職が継続して伴走できるようにし、運用に当たってはソーシャルワークを重視するといったものです。内容として、誰でも相談を受け止め、関係機関との協働を進める断らない相談支援、就労、学習など多様な社会参加を促す参加支援、交流や参加の機会を増やす地域づくりの三つの支援を基礎自治体がセットで行うことを想定しており、支える、支えられるという一方通行の関係性ではなく、支援者や地域社会と本人や家族が共に関わり合いながら、双方で学び、変化もあり、共に支え合う関係性を目指す伴走型支援の方針が示され、当区としてもしっかり取り組んでいただきたいと考えております。

 そこで質問です。私は、平成30年の第4回定例会でひきこもり者支援の社会資源をまとめたイメージ図について質問をいたしました。区長は町田市の事例も含めて研究するとのことでしたが、令和3年11月末には(仮称)総合子どもセンターが開設予定です。そちらで実施する若者支援も含めた社会資源についてまとめたイメージ図を作成することで職員も整理、把握ができ、ひきこもり家庭に対し支援の全体像を分かりやすく提供し、相談につなげ、地域全体が連携して支援を行っていくべきです。区の答弁を求めます。

 文京区においては「STEP」というひきこもり支援センターが立ち上がり、奈良県生駒市ではコロナ禍における不登校、ニート、ひきこもりのオンライン相談など、様々な自治体で意欲的な取組が始まっております。時代が求めるこの課題において、どこの自治体に住むかによって受けられる行政サービスの質に差があってはなりません。新型コロナの影響により困難を抱えている若者のため、区は(仮称)総合子どもセンターで実施予定の若者支援事業を少しでも前倒しして実施すべきと考えますが、見解を伺います。ひきこもり家庭への区の支援体制が一歩でも進み、明るくなることを期待し、次の質問に移ります。

 次に、3、ICTを活用した今後の教育について伺います。

 新型コロナウイルス感染症拡大防止措置としておよそ3か月間の学校休業が実施されました。教育委員会にとっても学校にとってもその間の対応は試行錯誤の連続だったこととお察しいたします。子どもたちも家庭も自粛要請により活動が制限されて大きなストレスを受けました。休業期間中にはICT機器を活用してオンラインで家庭にいる児童・生徒と学校とがつながることが試みられました。教材や時間割、さらに5月に入ってからは各学校が工夫したオリジナル動画が作成され、各校のホームページに掲載されました。笑顔いっぱいの先生方の歌声や校内の様子が画像で配信され、子どもたちはとても喜んだと何校かの保護者の方から聞きました。朝の会などの学級活動をオンライン上で実施した学校もありました。機器を持たない家庭には端末やWi-Fiルーターが貸与もされました。しかしながら、実際は学校間で取組に差があったり、機器を持たない家庭への支援は中学生と小学校6年生まで手配をしたところで休業が終わるなど課題も残りました。現在は学校が再開してリモートのオンライン環境整備の緊急性はなくなりましたが、今後もし再び登校自粛などの措置が取られた場合、対応できるように準備が進められているのでしょうか、お伺いをいたします。

 このたびの学校休業で教育におけるICTの活用の重要性が広く認知されました。新型コロナウイルス感染の拡大状況を見て、国はGIGAスクール構想の計画を前倒しする判断をいたしました。中野区でも今年度内に児童・生徒への1人1台の端末の整備、校内の大容量高速ネットワークの整備、学習や校務におけるクラウドの活用、そしてICTの活用といった計画のスタートを予定していると子ども文教委員会にて報告がありました。こうした環境を生かしてこれからの教育を進めていくことになります。端末やネットワーク環境といったハードの整備を進めた後、教育委員会としてどのような活用をしていきたいとお考えでしょうか、お伺いをいたします。

 どのような家庭に育った子でも、どの学校に通う子でも教育環境が整えられるよう、教育格差により子どもに不利益にならないよう配慮されなければなりません。GIGAスクール構想によりこれからICTを活用した学習環境が整えられていくことになりますが、自宅学習を進めるのに当たって、自宅にネット環境がない、保護者からのサポートが受けにくい等の家庭も当然予想されます。ICTの活用が苦手な子どもたち、保護者もいるでしょう。このような教育格差、学校間格差を回避するために、例えば子どもたちが自分で操作できるようにしっかり練習を重ねること、家庭学習ができるよう家庭におけるネット環境を整えること、保護者のICTリテラシー向上のための支援をすること、教員や子どもたち双方にとって使いやすいICT教材が準備され、機器を最大限活用できるよう教員のスキルを上げていくことといった対応が必要なのではないでしょうか。ICTの活用により、この子は計算のこの部分が苦手だ、漢字の読みの学習時間が不足しているなどの状況が教員の手元ですぐに分かるようになり、どの子にどう支援すればよいか、個別に最適な学習が実現されるようにもなります。教育格差が生まれないようにするためにどのように対応されるのでしょうか、お伺いをいたします。

 本格的なICTの活用は教育現場において初めての取組となります。各学校内での対応だけでは限界があり、教員に過度の負担をかけることになります。教育委員会で統一した教材研究や教員研修が一層充実されるようにする体制、PTAや地域の協力を図る体制、ICT整備の環境を整える体制などが必要です。そのためには行政と教育委員会との強い連携が必要ではないかと考えます。こうした体制を整えるため、ICT担当の部署の充実、学校をサポートするICT支援員の適切な人員配置が必要と考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

 子どもたちが自ら課題について考え、解決していく力を身につけるためには、教員や仲間のほか、様々な人々との対話が必要不可欠と考えます。オンライン学習と対面学習との双方の利点が生かされて中野の子どもたちの学びがさらに深まっていくことを期待し、この項の質問を終わります。

 次に、4、児童相談所と子どもの権利条例について伺います。

 ここ1年の間にも都内において虐待により子どもが死亡する痛ましい事件が相次いで起こってしまいました。区が設置予定の児童相談所においてしっかりとした体制を整えなくてはなりません。平成29年3月、厚生労働省から、児童相談所を設置する市について、今までが都が行っていた事務の範囲と同様のものを遂行するための人的体制等の整備が必要との通知が来ております。いわゆる設置市事務のことですが、来年4月に児童相談所開設予定の港区では、その事務量の多さから設置市事務担当係長が配置されました。当区としては職員体制が示されてきたところでありますが、そうした事務に関する報告は現状見受けられません。こうした事務量の増加によって職員の負担が増えることになるわけですが、そこまで見通した上でパンクをしない体制であるのか、そうでなければ持続的な体制とはならないと考えます。区は現状どれだけ増えると把握しておられるのか。また、増える事務量に対してどのように準備を進めているのか、伺います。

 区は、6月の委員会で児童相談所設置に向けた計画書案の概要で、児童ができるだけ家庭に近い環境で継続的に養育されることができるよう社会的養護の充実を図るとする報告があり、お情けとしての福祉ではない、子どもの目線、成長に立った考えで大変評価するところです。

 先日、児童福祉に詳しい山梨学院大学の西澤哲教授とオンラインミーティングをさせていただいたのですが、養育が難しい状態ですぐに里親家庭の下に行っても失敗してしまう。施設で治療的な養育と医学的、心理的な治療を行い、家庭養育ができる状態まで子どもを回復させる必要があるため、専門家の間では施設の個別化、小規模化が必要との見解とのことでした。

 里親を増やすことは必要でありますが、短期間で大きく増やすことは難しいと考えます。また、児童養護施設や乳児院についても施設数が不足しており、入所が難しいと聞いておりますが、できるだけ家庭的な環境で児童の養育ができるよう、グループホームのような小規模施設の誘致なども検討していくべきではないでしょうか、伺います。

 児童相談所の機能を高めようという話は実は川下の話で、児童虐待を許さない、子どもをまち全体で守るんだという理念である川上の話が必要で、それが子どもの権利条例だと考えております。

 区は、審議会での検討を踏まえ、来年度に子どもの権利条例を取りまとめていく予定と8月24日の子ども文教委員会で報告がされました。条例については児童相談所設置と大変親和性が高いものとなるため、児童相談所と同時期に制定することが望ましいと考えております。来年度に児童相談所の設置を予定していることを踏まえ、遅滞なく検討を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。

 児童の権利に関する条約を踏まえると、子どもは単に守られるだけでなく、権利の主体であるという考え方を再度認識することが非常に大切になります。子どもの権利擁護に係る条例を検討していくとのことですが、こうしたことが区民に伝わりやすい条例であることが望ましいと考えますが、具体的な条例の名称についてどのように検討を進めていくのか、見解を伺います。

 また、平成30年に子どもの権利条例を策定した西東京市では、条例の策定に当たって子どもたちの意見を聞いておりますが、子どもにとって堅苦しくない公園や子どもたちの遊び場に職員が赴くなど、聞き方に工夫をしております。今後条例を検討していく中で子どもの意見を聞く機会を確保し、それを反映していくことが重要であると考えています。子どもの意見を聞く方法について検討してはいかがでしょうか、見解を求めます。

 次に、5、口腔ケアについて伺います。

 明治安田生命保険が9月2日に発表した健康に関するアンケート調査結果によると、新型コロナウイルス感染拡大前と比べて、健康になったと思う、やや健康になったと思うを合わせた回答が約5割に上りました。自宅を中心とした生活から食事や運動などの習慣を見直した人が多いことがうかがえるようです。また、4月の改正健康増進法が施行され、屋内で原則禁煙となった影響から、禁煙対策に1か月当たり1,775円増えたとのことで、健康に関心が集まっていることが見て取れます。こうした契機を捉えて、区では成人歯科健診を平成28年から40歳から75歳の方に5年刻みで受診券の送付を行っています。これまで下がっていた成人歯科健診受診者数が、28年度には2,461人だったものが平成31年度には4,715人まで上がり、受診率を上げる手段として有効だと考えます。成人の9割近くが、程度の差はあれ、歯周病に罹患していると言われています。まずは口腔がんの増え始める40歳からに着目して、40歳から50歳の年代において2歳刻みからでも始めてはいかがでしょうか、伺います。

 次に、スマイル歯科について伺いますが、先日、委託されている歯科医師会の方のお話を伺いました。新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、特に歯科治療での飛沫、飛散が重要な問題となっており、口腔内バキュームでは治療中に発生する比較的大きな切削片、粉じんなどの70から80%を除去しますが、残る20から30%は細菌、ウイルスを含むエアロゾルとなり、診療室を漂います。口腔外バキュームを使用すれば、その99%以上を取り除くことができるとのことでした。現在のものは開設時に配備されたもので長期間たっており、フィルターの修理でしのいでいる状況です。患者と医療従事者の双方の安全に寄与する口腔外バキュームの更新をすべきではないでしょうか、伺います。

 また、生体モニターでチェックしながら治療しなければならない重度の障害を持たれた患者さんも多く、開設時より使用していたモニター1台を廃棄、もう一台は使用不能となっており、私も昨年視察に伺いましたが、10年前購入した古いモニター1台で辛うじて稼働させている状況でした。呼吸器系の管理は重要で、いつ壊れてもおかしくない1台のみの環境での診療は危険です。機械類の入れ替えが必要です。見解を伺いまして、以上で私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 山本議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、新型コロナウイルス感染症対策とこれまでの検証について。

 1点目に、濃厚接触者の接触者に対するPCR検査についてでございます。

 新型コロナウイルスは感染症予防法上の二類相当と位置付けられており、濃厚接触者の検査については法とガイドラインに基づいて実施しているところでございますが、濃厚接触者の接触者にまで行政検査を実施する根拠がありません。しかし、濃厚接触者の家族などの接触者が体調不良となった場合は、かかりつけ医の判断により保険適用のPCR検査を受けることができる場合もございます。このため、区は、濃厚接触者の家族等につきましては、体調管理を助言するとともに、体調不良時のかかりつけ医受診を勧奨しているところでございます。

 続きまして、エッセンシャルワーカーへのPCR検査についてでございます。

 エッセンシャルワーカーは、人々の暮らしを支えるために働く必要不可欠な人々であるため、感染防止対策において早期の対応が必要でございます。現在、区内では、体調に異変があった場合には医療機関で診察を受け、必要な場合にはPCR検査センターで検査を受ける仕組みとなっております。その必要性の基準につきましては、病状や職場環境など総合的に判断をしているものと承知をしております。今後のPCR検査体制の在り方については国や都の動向等も踏まえながら検討してまいります。

 次に、地域医療での新型コロナウイルス検査についてでございます。

 新型コロナウイルスの早期診断と重症化予防のためには、地域の身近な医療機関でのPCR検査や抗原検査などの実施が重要であると考えております。国や都は、地域の医療機関で抗原検査等が実施できるよう仕組みを検討しているところでございます。区としてもこの動きを注視しつつ、地区医師会や区内病院と協議を始めているところであります。

 続きまして、オンライン会議の環境整備についてでございます。

 現在、少人数、少数拠点で会議を行う場合にウェブ会議などを利用しておりますが、大人数、多拠点で会議を行う場合の環境整備については今後の課題と考えております。参加人数が多い場合には、専用のウェブ会議用機材の導入などによって快適なコミュニケーション環境を整えることができることもあることから、整備に向けて検討してまいります。

 続きまして、オンラインを活用したタウンミーティングについてでございます。

 子育て家庭と区長のタウンミーティングにつきましては、子育て家庭が日常的に利用している児童館、ふれあいの家を会場として実施をしているところでございます。オンラインを活用することによって時間、場所の制約を受けにくくなり、参加者の利便性が向上するなどの利点があると考えております。オンラインによる実施ができるよう、システム環境の整備とタウンミーティングの運営方法について検討してまいります。

 続きまして、生活困窮者対策についてで、本年4月から8月の生活相談及び生活保護等の申請数でございます。生活相談は1,990件、生活保護の申請は405件、住居確保給付金の申請数は1,654件でございました。

 これまでの生活相談及び申請数増加への対応でございます。生活相談や生活保護新規申請につきましては、生活援護課内の応援による体制強化を行いました。住居確保給付金につきましては、生活援護課内の職員の課内異動や応援体制を取るとともに委託事業者を増員いたしました。

 次に、住まいの不安への対処ということでございます。区は、TOKYOチャレンジネットによる居住支援や一時生活支援事業と連携して支援を行っているところでございます。今年度8月までに生活相談からは2件、中野くらしサポートから2件を引き継いだということでございます。住まいの不安があるとのことで区の窓口に来所された方に対しては、状況を確認の上、住居確保給付金や生活保護制度、東京都の制度などのうち、最も適切なものを御案内しているところであります。一定の預貯金があるなど、直ちに生活保護に該当せず、住まいが決まっていない場合などはTOKYOチャレンジネットにつないでいるところでございます。

 次に、生活援護課の応援体制についてでございます。これまで住居確保給付金の申請件数の増加に伴う事務量の増に対しては、生活援護課内で応援体制を構築し、対応してきたところでございます。今後想定される生活保護の相談や申請の増加に対しては、増加する事務量を見極め、生活援護課内や健康福祉部内の応援体制では対応できない場合には全庁的な応援体制も検討していく必要があると考えております。

 続きまして、中野のネットカフェ滞在者への給付金でございます。現在検討中の特例給付金は、国の特別定額給付金の対象者であって、かつやむを得ない事情により申請期限内に手続できなかった者を対象とすることを想定しています。国の特別定額給付金では、基準日である4月27日時点において中野区に住民登録があることが支給要件であり、これがない場合には支給対象外となります。中野のネットカフェ等に長期滞在される方もほとんどはいずれかの自治体に住民登録されていると考えられます。既に国の制度の対象となっているため、中野のネットカフェに滞在したことを理由に特例給付金の対象とすることは考えておりません。

 続きまして、聴覚障害のある方への職員の対応についてでございます。区の各窓口には飛沫防止用のパーティションを設置し、聴覚障害のある方にはマスクを外して口元の動きが分かるように対応することが可能でございます。また、障害福祉課の手話通訳者が庁内の各窓口に同行し、手話通訳を行う際には、その方の状況に応じて、必要な場合には口元の動きが分かるフェイスシールドをつけて通訳をしてもらっています。今後も障害のある方の状況に配慮し、円滑なコミュニケーションを図ってまいります。

 続きまして、フェイスシールドの導入についてでございます。避難所における新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として避難者にマスクの着用をお願いしているところでございますが、聴覚障害者など相手の口元を見て意図を読み取る方もいることから柔軟な対応が求められていると認識しております。現在、避難所には筆談器を配備しておりますが、口の動きや表情で相手の意図を判断するなど、多様な意思疎通を可能にするため、フェイスシールド等の導入について検討してまいります。

 続きまして、手話通訳つき区長メッセージの動画配信についてでございます。動画は短時間で多くの情報を伝達できる手段でございます。区長メッセージの広報においても積極的に動画による情報発信をしているところでございます。現在、区が配信している動画には字幕を表示することができますが、聴覚に障害のある方にとっては、字幕が認識しやすい方、手話通訳が認識しやすい方、その両方が必要な方がそれぞれいらっしゃると理解しております。手話言語条例の制定趣旨を踏まえて、特に機器や安全に関するものをはじめ、区民の皆さんに広くお伝えすべき重要な区長メッセージなどは手話通訳つきの動画配信に努めていきたいと考えます。

 次に、外国人相談窓口の設置についてでございます。外国人の日常的な相談につきましては、国際交流協会が行っているほか、今年度より区役所各窓口、庁外窓口、小・中学校等において在住外国人に対し多言語による即時通訳を行い、制度説明や各種相談業務に活用できるAI翻訳機を導入したところでございます。また、東京都でも東京都外国人新型コロナ生活相談センターを開設しております。同センターでは、仕事や病気、お金、学校のことについて、やさしい日本語を含め14言語で相談を受け付けており、必要に応じて案内をしています。現時点で区独自に外国人専用の相談窓口を設置することは考えておりませんが、相談機能の充実については、やさしい日本語の普及などを含め引き続き検討してまいります。

 続きまして、ひきこもり家庭への支援について、ひきこもり者支援イメージ図についてでございます。区では、すこやか福祉センターをはじめとする複数の窓口でひきこもりに関する相談を受けております。関係機関や庁内各課が情報共有することで当事者にとって最適な支援となるよう取り組んでおります。若者支援も含めた社会資源についてまとめたイメージ図があれば、ひきこもり当事者だけでなく、連携して支援する区や関係機関にとっても有用だと思われますので、分かりやすいものを作成の上、活用してまいります。

 次に、若者支援事業の早期開始についてでございます。区は、(仮称)総合子どもセンターを令和3年11月29日に開設し、同時に若者支援事業も開始する予定でございます。(仮称)総合子どもセンターの開設までの間、若者支援事業を実施する場所を確保することは困難であり、早期開始は難しいと考えております。開設までの間は、すこやか福祉センター、中野くらしサポート、中野就労セミナーなど既存の相談窓口で対応してまいりたいと考えております。

 続きまして、児童相談所と子どもの権利条例についてで、児童相談所設置市事務についてでございます。厚生労働省の通知により、児童相談所設置市は、児童相談所における相談業務のみならず、児童福祉施設の設置認可、里親の認定などの事務を実施するものでございます。区では令和元年5月から庁内での調整を開始しており、現在は各担当所管において都からの引継ぎに向けた準備を進めているところでございます。都及び既に児童相談所を設置している区の状況を踏まえて、移管される事務量を精査し、必要となる人員の配置に努めてまいります。

 次に、社会的養護に必要な施設の誘致についてでございます。児童養護施設等も含めた社会的養護に必要な施設が不足していることは認識をしております。社会的養護の施設につきましては、東京都、それから特別区が相互利用できることとなっておりますが、児童が地域で継続して生活するためには、できるだけ区内や近隣の施設に入所するべきであると考えております。一方で、中野区の児童が区内施設を優先的に利用できるわけではないこと、施設誘致により財政的な負担が生じることなども踏まえ、総合的に検討してまいります。

 次に、口腔ケアについてお答えいたします。

 成人歯科健診の受診率向上についてでございます。成人歯科健診は、口腔衛生の向上にとどまらず、フレイル予防の観点からも重要な事業の一つであると認識しております。今年度は新型コロナウイルスの感染拡大によって成人歯科健診の受診控えが長期化するおそれがあるため、受診率向上に向けた取組を検討してまいります。

 最後に、スマイル歯科診療所の備品についてでございます。スマイル歯科診療所は開設から25年たっており、備品の状況を確認し、必要に応じて入れ替えについても検討してまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 初めに、中野区立学校における働き方改革推進プランの改定時期についてお答えいたします。

 働き方改革推進プランについては、教員の勤務実態、学校管理職からのヒアリングや保護者アンケート等を基に実施状況や目標の達成状況について成果、課題を分析し、評価、検証を行い、今年度中に改定することとしていたところでございます。しかし、今年度は、学校の臨時休業、また新型コロナウイルス感染症への対応などにより実施できない取組があることから、予定どおりの検証は難しい状況となっております。一方で、教員の働き方改革は喫緊の課題であり、実施した取組については検証を進めてまいります。今後の区財政見直しを踏まえ、来年度の早い時期に改定をしてまいりたいと思います。

 次に、ICTを活用した今後の教育についての御質問のうち、初めに、再度学校休業が起きた際の準備についてです。今後臨時休業をせざるを得ない状況になった場合に備え、全ての学校は、子どもたちの学びの保障をするため、ホームページへの時間割や学習課題の提示、クラウド学習ツールや教育用コンテンツ、ビデオ会議の活用などについて準備を進めているところでございます。

 次に、GIGAスクール構想における今後のICT活用についてです。家庭での個別学習では、ICT機器や教育用コンテンツを活用し、子ども一人ひとりの状況等に応じて自分のペースで基礎的、基本的な学力を身につけていくことに活用してまいります。また、学校での対面学習では、子どもたち一人ひとりがタブレット端末に自分の意見を入力し、それを電子黒板に投影して意見を交換するなど、共に問題を解決したり、よりよい考えを見いだしたりしていくことにより、主体的で対話的で深い学びの実現に活用してまいります。

 次に、教育格差を回避するための対応についてです。ICT環境やオンライン学習の整備、機器の操作など、子どもたちへの技能指導は既に計画的に進めております。また、ICT学習支援員を配置し、各校の取組の支援とともに保護者の質問などに対応しております。さらに、学校間格差の学校間の取組の差を縮めるためには教員の技能習熟と意識改革が必要と考えます。来年度には各校にICT学習環境が整えられるよう、今年度中に教員対象の研修や先進校の取組成果の普及を図るとともに、各校にICTの活用について、次年度の教育課程や指導計画に位置付けさせてまいります。

 最後に、ICT担当部署の充実とICT支援員の配置についてですが、児童・生徒1人1台の端末を整備するために、今年度中に校内の無線LANの更新及びアクセスポイントの増設、来年度は、校内の他のネットワーク環境を最適化するために、校内及び学校間のインターネット環境の再構築を検討する予定でございます。そのためにはICT担当の強化が必要であると認識しております。現在、学校に配置しているICT学習支援員については、学校休業中の在宅学習の支援ということで会計年度任用職員として配置しております。来年度は各校ごとではなく、ICT支援員を教育委員会事務局に配置し、要請のある学校に派遣することを考えております。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、児童相談所と子どもの権利条例についてのうちの条例につきましてお答えをさせていただきます。

 まず条例の制定時期についてでございます。子どもの権利擁護に係る条例につきましては、令和2年12月から翌年の6月頃まで審議会を開催しまして、審議会の答申を踏まえ、令和3年度に条例を提案することを予定しております。条例に基づき子どもの権利を守るという理念を地域全体に共有し、浸透させていくことは児童虐待の防止につながるものであるため、児童相談所の設置も見据え、着実に検討を進めてまいります。

 次に、条例の名称についての御質問でございます。区民、有識者等により構成される審議会を設置しまして、審議会の答申を踏まえ、区として検討を進めていくことを予定しております。審議会での議論も含め、条例の内容を検討していく中で名称についても検討していくことを想定しております。

 最後に、子どもの意見を聞くことについてでございます。条例の検討の過程で子どもの意見を聞く機会を確保することは重要であると考えており、審議会での議論も踏まえましてその方法について検討してまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で山本たかし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 甲 田  ゆり子

 1 新型コロナウイルス対策について

  (1)介護現場の諸問題について

  (2)自宅療養中の支援と公衆衛生学の普及啓発について

  (3)オンラインによる区民活動の促進について

  (4)その他

 2 子育て支援について

  (1)子どもの権利条例について

  (2)トータルケアについて

  (3)多胎児の支援について

  (4)学習支援について

  (5)その他

 3 障がい者支援について

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、甲田ゆり子議員。

〔甲田ゆり子議員登壇〕

○14番(甲田ゆり子) 令和2年第3回定例会に当たりまして、公明党議員団の立場で一般質問を行わせていただきます。

 質問は通告の1と2についてで、3の障害者の支援については今回見送らせていただくことになりました。その他はありません。また、時間の関係で何問か質問を割愛させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 1、新型コロナウイルス対策について伺います。

 初めに、この半年間、エッセンシャルワーカーと言われる医療、介護等の従事者の方々が最前線で長い期間にわたる緊張感の中で私たちの健康を支えてくださっていることに心より感謝申し上げます。また、飲食業をはじめ、多くの御商売をされている方たちの御苦労、不安は大変なものであるとお察しをいたします。このような災難時には社会的に弱い方へより負担がのしかかるという傾向があります。私もこの間多くの御相談を受ける中でセーフティネットの重要性を強く感じ、こうした非常時にはできる限り迅速に、そして一時的なものではなく、しっかりと日常生活が取り戻せるように配慮した施策を展開していくことが何よりも大切と考えます。弱者を助けるよりも弱者を生まない社会にと言われた慶応大学の井手英策教授は、今回のこの未曽有の非常事態に当たっては、生存と生活を保障するサービスを無償化に近づけたほうが全ての人が将来不安から解放され、安心して暮らせる社会をつくれるとおっしゃいました。区長の行政報告には誰一人取り残さないという言葉がありますが、その言葉を真に実現させるための取組をしていただきたいとの思いで、危機に瀕している現状をお伝えしながら質問をさせていただきます。

 (1)介護現場の諸問題について伺います。

 医療崩壊に直結する重症化リスクの高い要介護高齢者、これらの方たちを支える介護の現場では想像以上の困難や混乱した状況があったことを区はどこまで把握していたでしょうか。介護サービス事業所は風評被害に遭いながらも休業するわけにはいきません。今般、中野区介護サービス事業所連絡会では、会員205事業所に対し新型コロナウイルスの感染症による対応の実態に関するアンケート調査を行い、105事業所からの回答をまとめられ、区に提出をされたと伺いました。この報告書には主に緊急事態宣言下における介護現場の生の声がつづられています。中でも多くの事業所から特に課題として挙げられていたことについて4点質問いたします。

 まず1点目に中野区からの情報提供についてです。情報発信については、区のホームページは知りたい情報にたどり着きにくいなどの意見のほか、区の仕組みとして情報の簡素化をしてほしい、ICT化をもっと後押ししてほしい、また、介護サービス事業所として感染者が出た際の初期対応、自宅療養中の対応、濃厚接触者の定義や対応、感染者の職種などの情報が欲しかったとの意見がありました。さらには、区の担当部署と保健所との連携の見える化を図ってほしい、事業所で感染者が出た場合の連絡先がはっきりしない、報告先やその先の対応について事前に知らせてほしいとの御意見もあり、私も強く感じます。

 介護サービス事業所は区との連携が重要な事業ですが、このような基本的な御意見が多数出るようでは改善を強く求めざるを得ません。区民のための大事なサービス機関が行政の縦割りの弊害をもろに受け、停滞するようなことがあってはならないと思います。窓口の課題は、非常時だからではなく、平時からの体制に問題があるのではないでしょうか。

 今後は、介護事業所の負担を極力減らすため、他部署への連絡や情報を整理して提供できる専用窓口を一本化し、介護事業所ヘルプセンターのような体制を構築する必要があるのではないでしょうか。こうした対策は事業所の手間を省くこととなり、コスト削減やサービス向上につながります。人材確保や報酬改定がなかなか進まない介護業界の大きな助けになり、結果として地域包括ケアシステムが前進するのではないでしょうか。見解を伺います。

 2点目に、介護業界のネットワーク環境整備についてお伺いします。介護事業所によってはまだインターネット環境が十分でないところもあると聞いており、何より区庁舎の環境も不十分であります。これでは中野メディケアネットの本格実施も進まないと考えます。アナログな書類のやりとりや申請書類の煩雑さで業務の4割が事務系の仕事になっていると聞きます。オンライン会議や電子申請を早急に充実させ、介護業界の人員を本来の介護サービスへ振り向けられるよう改革を加速すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 3点目に、人材確保についてです。利用者の利用控えが生じたことや一時中止などで収入減となり、コロナ禍に閉鎖した事業所も複数あったそうです。介護職員の育成と職員への慰労金の支給が急務と考えます。区として介護人材育成の後押しはどのような状況でしょうか。また、今般の国や都からの慰労金が介護職員の非常勤に至るまで早期に届くよう、慰労金の申請をするための後押しをしてはいかがでしょうか、伺います。

 4点目に、介護職員、利用者に対するPCR検査についてです。このたび東京都では、都議会公明党の要望で、高齢者・障害者施設の職員、入所者、新規入所者に対する定期的なPCR検査費用を全額補助することになりました。これは行政検査ではなく、民間会社、検査機関で行う唾液による検査を想定しているとのことです。一方、対象外となる訪問介護、通所施設といった職種の方からも、体調が悪い職員がいてもすぐに検査を受けられないことから欠員が出て補充ができなかったとの声がありました。区として、訪問介護、通所介護まで対象範囲を広げて検査費用を助成し、高齢者を守る施策を充実させてはいかがでしょうか。さらには、外出困難な要援護者などに対するアウトリーチ検査も含め、医師会などに相応の委託費を予算化して早期に体制を構築すべきと考えますが、見解を伺います。

 次に、自宅療養中の支援と公衆衛生学の普及啓発について伺います。

 中野区は若い世代の在宅療養患者が多いと聞いています。区は、食事や日用品等物資の支援を実施してはいますが、患者の心身のケアが現状では不十分ではないと感じます。経過観察として1日1回保健所からの確認電話はあるようですが、不安があっても人と会えない療養中に心が折れそうなとき、医療者とつながることができれば心理的に立ち直りも早まると考えます。また、在宅患者の急変や入院を最小限に抑え、患者のQOLを守るとともに、社会資源の適正利用化、すなわち、救急医療、高度医療との最適な役割分担ができるよう、オンライン診療を行っている医師に委託をするなどしてオンラインによる自宅療養者の支援を行ってはいかがでしょうか。今後の地域包括ケアシステムの流れの中で役立つ取組になるものと考えますが、見解を伺います。

 感染症との戦いは繰り返します。将来、10年、20年後にはまた別の感染症との戦いがやってくることでしょう。今回のピンチはある意味チャンスとすべきであると言った医療者の方がいました。そうした方に教えていただいたことは、健康、医療等に注目が集まっているこのときに、これまであまり注目されてこなかった地域全体の健康への脅威を扱う公衆衛生学を特に若い方を中心に学んでいただくことで広く浸透し、将来に生かせるものとなるということです。

 WHOのホームページには、軽症の在宅患者を管理する場合のガイダンスとして、患者と家族には、在宅ケアの期間中を通して継続的な支援、教育、観察が提供されるべきであると記載されており、患者と家族が遵守すべき具体的な推奨事項が列挙されています。こういったものを参考に、専門分野の医師に監修していただいた上で、公衆衛生学や免疫学などの一般の人に分かりやすい、温かみのあるデジタルコンテンツなどをつくり、例えば無症状等で在宅療養中の若い方に、場合により教育現場や地域の会合などでも見ていただくなどして、感染者のケアとともに区民への普及啓発に取り組むことは大切なことと考えます。既存のものがあれば活用してもいいと思いますし、工夫次第で費用をかけずにできると考えますが、これについては要望し、次の質問に移ります。

 次に、オンラインによる区民活動の促進について伺います。

 コロナ禍でのこの半年間の間に、ちまたではZoom会議やオンライン飲み会などを通じ、上手に交流される方々が多くなりました。一方で、高齢者の方たちは集いがなくなったことで鬱状態になっている人が多いと感じます。私の地元のある地域団体からは、会議やイベントの中止が相次ぎ、オンライン会議の準備をしているが、区民活動センターや高齢者会館に区民が利用できるWi-Fiの環境整備をしてほしいという声がありました。いわゆるネット弱者のために会場参加者と自宅参加者に分けて開催をしたいということです。また、例えばなかのZEROホールなどで大きな会場で行うエンターテインメントや講座なども地元の区民活動センターなどを同時放送会場として行い、会場の分散化を図る仕組みを応援してほしいとの声もあります。さらには、コロナ禍で老人ホームに入所している家族と会えないことで悲しい思いをしている方を何人も見ています。私もその一人ではありますが、施設では何とかオンライン面談ができるように取り計らってくださっているところもあります。しかし、受け手側が端末機器を持っていない、使えないという問題があります。身近な区有施設の中で離れた家族や友人とつながるサービスを提供できるようにしてはいかがでしょうか。

 そのためにもWi-Fi環境整備が必要です。23区でも区内公共施設に全てWi-Fi環境を整え終わっている区が相当あるようです。中野区は、駅周辺のフリーWi-Fiのほか、災害時にも利用できる地域BWAの活用を目指しており、避難所には展開をされておりますが、つながりにくさもあり、地域情報化推進計画もいまだ改定されない中、日常活動での実用化は程遠いと考えます。

 高齢者が孤独となり、新型コロナ感染の前に衰えてしまう問題は待ったなしの喫緊の課題であります。区民活動の蘇生のためにも、区職員の業務が効率的に前進するためにも、今こそ優先的に、まずは区民活動センター、高齢者会館に環境整備をすべきではないでしょうか。区長の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 2、子育て支援について、(1)子どもの権利条例について伺います。

 区は、過日の子ども文教委員会で子どもの権利条例の審議会をつくることについて報告をされました。子どもの権利条約が批准されてもなお体罰や虐待による子どもへの権利剥奪事件は後を絶ちません。そこで、児童福祉法では2016年の一部改正で子どもが権利の主体であることが規定をされ、2019年の改正では、児童の権利擁護、体罰禁止が法定化をされましたが、まだまだ浸透していません。このことから、私は、全自治体が子どもの権利条例を制定し、それに基づいた計画、施策を施行していくべきであると考えています。

 私は、保護者や教育関係者を含む全ての大人が子どもの権利を奪う事件を絶対に生じさせないための子どものセーフティネットをつくり、具体的な取組ができるよう早急に検討しなければならないと考えます。さらに言えば、虐待から子どもの命だけを救っても、児童保護施設等の中で子どもの権利が奪われている現状や家庭内でのネグレクト、両親のDVや教育虐待、しつけと区別がつきにくい体罰などがあり、これらの角度からの議論、課題の整理が必要です。

 そこで、中野区の条例制定の意義についてポイントは何か、伺います。

 また、条例制定の目的は既に明らかでありますが、期待される効果と区としての目標は何か、伺います。

 母子手帳には今年度から児童憲章とともに子どもの権利条約が併記をされました。よいことだと思いますが、このページを自ら見る人が極めて少ないと考えます。基本理念について少しでも知ってもらえるよう、例えば両親学級など何らかの機会を捉え、妊産婦、また父親等に対してこのページを活用して周知する機会を設けてはいかがでしょうか、区の見解を伺います。

 次に、トータルケアについて伺います。

 妊娠・出産・子育てトータルケア事業は、とうきょうママパパ応援事業を財源として10月から大幅な拡充が見込まれています。昨年の国の母子保健法改正の法案提出理由には、大要、母子の健康の保持、増進を図るため、出産後1年の間、産後ケア事業を行うことにより、出産後も安心して子育てができる支援体制を確保する必要があるとあります。これは、産後1年の母親が産後鬱に陥る可能性が高いことから、子育て支援の中でも最初のセーフティネットとなる事業であることが示されているものと考えます。産後鬱を減少ではなくてゼロとするという目標を持って実施すべきと考えます。その意味で、大幅な拡充のこのときにいま一度これらの事業の明確な目標設定をしてPDCAを回すことが大切と考えますが、区の見解を伺います。

 その際、これまで利用者の実人数を何度聞いても延べ人数しか出していないとのお答えでしたが、目標と効果を測るためには、やはり何人が実際に利用したのかをきちんと追っていくべきです。昨年の中野区の産後ケア事業を一つでも利用した実人数と、出生者数を分母として全体の何%の人が利用したのか、お答えください。

 そして、今回の事業拡充による今後の利用見込みを伺います。

 次に、家事・育児サポート事業について伺います。

 家事・育児サポート事業の中には3種類あり、家事のみの家事支援ヘルパー、育児のみのベビーシッター、そして、本人の家庭状況に合わせ家事、育児をトータルに支援する産後ドゥーラの中から利用者が選択する形になると聞いています。東京都の要綱では、家事・育児サポーターを示すものとして第1に産後ドゥーラを挙げ、以下にベビーシッターや家事支援ヘルパーを挙げています。区としても、それぞれの役割、特徴を分かりやすく示し、適切なサービスが受けられるよう促すべきと考えますが、見解を伺います。

 次に、多胎児の支援について伺います。

 今回、私は、多胎児の実情について、当事者ママたちでつくる杉並の双子会の方々や中野区民で現在4歳になる双子のいるお母さんからお話を伺いました。具体的に生の声を聞いて尋常でない苦労を改めて感じました。多胎児家庭の支援は単胎児の2倍ではなく、何倍もの継続的な支援が必要となり、プッシュ型の支援と外出時同行支援が必須と考えます。多胎児のママから衝撃を受けたのは、3時間以上続けて寝ることができるようになったのは3歳半になった頃からだということでした。特に1歳までは24時間休息はなく、週末パパが家にいてやっとワンオペ育児になるということです。それまでの平日は毎日連続気が狂いそうな状況を繰り返しています。

 出産前にサービスの登録を全て終えておくことは必須だったとのことです。ある意味障害者支援にも似た支援体制が必要であり、1家庭に1人の相談支援員がいなければ厳しいのではないでしょうか。相談があれば来てくださいではなく、サービスを並べて選んでくださいでもなく、全てコーディネートし、先回りして与えられないと、自分でカタログや冊子などを見る余裕もないのです。こうした状況をリサーチし、多胎児に関してはプッシュ型の支援ができる体制を整えるべきです。見解を伺います。

 また、今回タクシー補助などの拡充を評価いたしますが、外出時にはタクシー補助だけではなく、併せて人的な支援が必要です。2人の赤ちゃんと荷物を持っての外出は1人ではできません。家事・育児サポーターをうまく活用することができるように、コーディネートも含めた取組を要望したいと考えますが、併せてお答えください。

 次に、両親学級における父親への参画について伺います。今年7月、政府は、いわゆる夫の産休制度を創設する方針を固めたとの報道がありました。しかし、一方で、父親が育休等を取ってもあまり役に立たない、取るだけ育休も問題となっています。いわゆる名もなき家事ができない、同時並行での家事ができないなど、母親のようにはいかない場合が多いことから、出産前にもっと産後の女性の体のことや何をどうすればよいのか学んでおいてほしいとの声が多く聞かれます。

 そこで、まだまだ全体として参加の少ない区の両親学級の内容を改善し、特に多胎児家庭は父親が全員参加できるよう、オンラインでの開催なども促進しつつ、取組を向上させてはいかがでしょうか、伺います。

 この項の最後に、特殊かつ2倍以上かかる経済的な支援についても伺います。例えば双子を出産すると、洋服やおもちゃなど、同時に二つずつの購入が必要となります。また、ベビーカーは高価な双子用を購入し、乗り物等のドアに入らないことから前後式のものに、また、子どもの成長に合わせて大きいものにと3~4台の購入が必要となり、単胎児の2倍以上の出費となると聞きます。こういった声にも耳を傾け、支援の拡充を検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 中野区の多胎児出産は年間20組前後とのことです。全ての多胎児家庭が必要なサービスを受けることができたのか確認し、今後の分析につなげていただくことを要望し、この項の質問を終わります。

 最後に、学習支援について伺います。

 子どもは等しく教育を受ける権利があり、親からの愛情と教育をしっかり受けることは貧困の連鎖を断ち切ることになると確信します。しかしながら、希望する塾などに行かせてあげることができず、ふびんに思っている保護者も多いことと思います。昨年度実施した中野区子ども子育て家庭実態調査から見える学習支援のニーズはどうであったのか、結果と分析をお答えください。

 区では、小学6年生と中学1年生から3年生までの就学援助対象の子どもに、しいの木塾を行っていますが、しいの木塾の昨年、今年度の状況と課題の認識について区の見解を伺います。

 一方、学校外教育、学習塾などに使えるスタディクーポンというものがあります。スタディクーポンは2011年に法人を設立した公益社団法人が提供するもので、東日本大震災被災地において150名にクーポンを配布したそうです。利用者に成績向上の成果が明確に現れたということです。東京都では今年度からこのスタディクーポン配布事業に使える10分の10の補助メニューが入ったと聞いています。先行して渋谷区では、昨年度よりスタディクーポンを年間20万円分提供するとともに、大学生等のボランティアが定期面談を行い、進路・学習支援も行っているそうです。

 利用者の声としては、第1志望に合格できた、お金がない僕でも勉強していいんだと思えた、また保護者からも、不安が感謝に変わったなどの声が寄せられたそうです。まさに子どもの貧困による弊害を解決する取組と感じます。進学塾だけでなく、習い事にも活用できるとのことで、子どもたちに多様な選択肢を与えることができる取組と考えます。中野区としてもぜひ導入に向けて検討してはいかがでしょうか、伺って、以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 甲田議員の御質問にお答えいたします。

 まず1点目、新型コロナウイルス対策についての相談窓口体制等の構築についてでございます。国や都からの通知や情報提供の内容は多岐にわたるとともに専門性も高く、また随時発出されるものであります。そのため、専用窓口を設置する場合には配置職員には高度の専門知識とスキルが問われるところでございます。現在では介護・高齢者支援課の管理企画係が対外的な窓口の連絡先となっておりまして、担当部署へつなぐ仕組みとなっております。今後は、中野区介護サービス事業所連絡会や現場のニーズを把握しながら、専用窓口を設けている他自治体の実施方法も参考にして実効性のある事業所への支援を行ってまいります。

 続きまして、介護事業所のICT化支援等についてでございます。介護現場における人材不足への懸念からもICT化支援は必要であると考えております。第8期介護保険事業計画の策定指針案においても、文書負担の軽減や業務効率化を目的としたICTの活用などについて具体的な方策を記載することが求められております。一方、ICTに不慣れな介護職員も見受けられることから、ICT化に係る補助金の説明会や制度改正についての研修など、様々な機会を通じて介護現場のICT化を支援してまいりたいと考えております。

 次に、介護人材育成のための区の後押し等についてでございます。介護職員を育成するため、区としては確保、育成、定着のための事業を行っております。具体的には、介護職のイメージアップのための補助事業、それから介護人材の裾野を広げるための中野区認定ヘルパー養成研修、事業所職員を対象にした研修の実施、キャリアアップのための資格取得費用助成などを行っています。介護職員への慰労金の給付事業は東京都国民健康保険団体連合会が申請事務を受託しておりまして、コールセンターや電子申請請求のためのヘルプデスクも設けられているため、区としてはこれらの連絡先を事業所にしっかりと周知してまいります。

 次に、居宅サービス職員のPCR検査受診のための支援についてでございます。御指摘のPCR検査は、症状のある方の臨床診断や濃厚接触者に対しては、早期の診断や防疫対応の面からは有効な検査である一方、エッセンシャルワーカー等への定期検査としては、精度管理や検査の間隔、陽性時の事業継続の問題や防疫業務との連携の在り方等多くの課題を有しております。このため、区としては、都が実施する高齢者・障害者支援施設等における新型コロナウイルス感染症対策強化事業、こちらの成果を含め、その在り方について慎重に見極める必要があると考えております。

 続きまして、要援護者に対するPCR検査についてでございます。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、要援護者についても訪問診療などにおいてPCR検査の需要があることは承知しております。このため、区は、かかりつけ医が訪問診療の際に検体を採取し、PCR検査を実施できるように、地区医師会や訪問看護ステーションとの連携の下、個別の事案に合わせて必要な調整やバックアップを行っております。

 次に、自宅療養者支援についてでございます。自宅療養者支援について、保健所の保健師は毎日患者の心との状態について電話にて聞き取りを行い、重症リスクのある方についてはパルスオキシメーターを貸与するなど必要なケアを行っているところでございます。また、在宅療養終了時において精神的な不安があるような場合には、保健所の精神保健担当の保健師に引き継ぐなどのフォローも行っております。今後の新型コロナウイルス感染者の療養体制等を踏まえ、医師会等と連携しながら適切な支援の方法について検討してまいります。

 続きまして、区民活動センター、高齢者会館へのWi-Fi環境の整備についてでございます。区民活動センターへのWi-Fi環境の整備につきましては、今年度2か所の区民活動センターで集会室利用時にWi-Fiルーターの貸出しの試行を行っております。今年度の利用状況も踏まえ検討を行います。高齢者会館につきましては、今年度事務用として光回線によるインターネット整備を行う予定でございまして、その設備を活用して区民の皆さんが施設内で使えるよう検討します。

 次に、子育て支援についての子どもの権利擁護に係る条例制定の意義についてでございます。虐待や貧困、いじめなど、子どもの権利が脅かされている状況が継続していると認識をしております。区民に最も身近な基礎自治体として子どもの権利を守るという理念を地域全体で共有し、浸透させることが区の責務であると考えております。これを進めていくことが条例の意義であると考えております。条例を制定するとともに、様々な困難を抱えている子どもたちへの支援などを引き続き充実させてまいりたいと考えております。

 次に、期待される効果と区としての目標についてでございます。条例に基づき子どもの権利を守るという理念を地域全体で共有し、浸透させていくことで、児童虐待や貧困、いじめ等の人権侵害の防止につながると考えております。条例の中で区民共通の理念を定め、それぞれの生活、活動の中に子どもの権利の視点が取り入れられることにより、全ての子どもが生き生きと成長していける中野のまちを実現したいと考えております。

 次に、子どもの権利条約の周知についてでございます。条約の考え方につきましては、これから検討を進めていく本区の条例のもとになるものであるため、この条約の周知をすることも重要であると考えております。妊娠届やかんがるー面接、両親学級などの機会を捉えて母子手帳のページの説明を行うなど、効果的な手法を検討してまいります。

 続きまして、トータルケア事業の産後鬱に関する目標設定についてでございます。子ども・子育て支援事業計画では、すこやかな妊娠・出産の支援の指標として、3か月児健康診査での産後鬱アンケートにおけるハイリスク者の割合を掲げ、令和6年度に割合を減少させることを目標としております。妊娠・出産・子育てトータルケア事業は、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援体制を整備し、安心して子育てできる環境を整備することを目的としており、産後鬱の防止も包含しております。今回の事業の拡充は、母子保健法の改正も視野に入れて、産後鬱の防止も含め、妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援を行っていくものであり、既存事業の拡充や新規事業を実施することにより産後の鬱を減らすことに貢献するものでございます。今後も事業の成果を検証し、改善を進めるとともに、必要に応じて目標設定の見直しも行ってまいります。

 続きまして、産業ケア事業の利用実績と今後の見込みでございます。産後ケア事業は、ショートステイ、デイケア、ケア支援者派遣の3種類があり、それぞれの利用実人数と出生者数に対する利用率は把握しておりますが、3種類合わせた利用実人数は把握できておりません。参考までに令和元年度の実績としては、出生者数は2,354人、利用実人数と利用率は、ショートステイは223人で9.5%、デイケアは548人で23.3%、ケア支援者派遣は198人で8.4%でございます。

 支援やサービスが必要な方に届いているのかを把握するためにも、産後ケア事業の利用実績について利用者ごとに把握できるよう、必要なシステム改修については検討してまいります。

 産後ケア事業等の拡充により、今後の見込みとしては年間換算で産後ケア事業は約60人の利用、家事・育児支援事業は約200人の利用を見込んでおります。

 次に、産後家事・育児支援事業の周知でございます。産後家事・育児支援事業については、区のホームページに事業ごとの特徴や具体的な支援内容などを分かりやすく掲載いたします。また、利用者が求めるサービスが適切に利用できるよう、かんがるー面接実施時や妊産婦向けの講座など、様々な機会を捉えて丁寧な説明を行い、利用者が求めるサービスが適切に利用できるよう工夫してまいります。

 次に、多胎児家庭へのプッシュ型支援でございます。多胎児家庭は、同時に2人以上の妊娠・出産・育児をすることに伴う身体的・精神的負担や、外出時の不自由などの多胎児家庭特有の悩みを抱えているケースが多いものと認識しております。多胎児家庭につきましては妊娠届や乳幼児健診の際に把握していますが、これまでも丁寧な説明を行っておりましたが、多胎児家庭に対してはサービスの内容について充実を図っていくことから、より丁寧な説明を行い、適切なサービスを受けられるよう工夫してまいります。

 次に、多胎児家庭の外出時同行支援でございます。家事・育児サポーターは外出時の同行支援としても利用できることを多胎児家庭に対して十分説明してまいります。

 次に、両親学級の内容の充実等についてでございます。中野区においては両親学級はこんにちは赤ちゃん学級として実施しているところでございます。沐浴、家族の妊婦体験やおむつ交換などの実習と妊娠・出産・産後の身体の変化についての講座などを実施しております。実習があることや参加者間の交流を促すために集合型の事業として実施しております。講座については、今後は育児だけでなく、家事についても盛り込むなど内容の充実を図ってまいります。併せてオンラインでの講座開催などについても今後検討してまいります。

 次に、多胎児家庭への支援の拡充でございます。今回、多胎児家庭への支援策として、乳幼児健診などの母子保健事業や多胎児家庭を対象とした交流会等に参加する際の移動経費補助を新設したいと考えております。また、産後家事・育児支援につきましては、利用時間数を大幅に増やし、利用期間を産後6か月から3歳までと拡大するなど事業の拡充を考えております。また、多胎児の育児経験者家族との交流会や保健師等の専門職や子育て支援団体による相談事業など、多胎ピアサポート事業を充実させてまいります。このような場を通じて多胎児家庭の声を聞き、効果的な支援策を検討してまいります。

 続きまして、貧困家庭の学習に関する現状でございます。昨年度に実施した子どもと子育て家庭の実態調査では、低所得、家計の逼迫、子どもの体験や所有物の欠如の三つの要素によって子どもの生活困難度を分類し、生活困難度別に子どもの生活実態を比較するなどの分析を行ったところでございます。実態調査において学習環境に着目すると、生活困難度が高くなるほど経済的な理由で学習塾や習い事に通わせることができない割合や、自分専用の勉強机を欲しいが持っていない割合が高くなる傾向にあるなど、生活困難度により子どもの学習環境に差が生じている傾向が見られました。このことから、学習塾や習い事に関するニーズや家庭学習の支援に関するニーズがあると認識をしております。

 次に、しいの木塾の現状と課題についてでございます。小学校6年生の利用者は、昨年度は45人、今年度は41人、中学校1年生から3年生の利用者は、昨年度は151人、今年度も151人でございます。小学生の受講者数は定員の半分程度にとどまっている現状でございまして、保護者や関係者に対してしいの木塾の役割や学習の習慣づけの重要性について理解していただくことが必要と認識しております。現在、小学校6年生を対象としておりますが、より基礎的な学習から身につけ、高学年でのつまずきをなくすことが必要であり、対象学年を広げることを検討課題としております。

 最後に、スタディクーポンの導入についてでございます。スタディクーポンは今年度から都の包括補助事業において、被保護者自立促進事業のメニューの一つとしてクーポン券方式による学習環境の支援が設けられたところであります。この事業は、子どもの学習に関して消極的な保護者に対し、相談・支援などの働きかけを行い、学習塾等をコーディネートするなど子どもの学びの選択肢を広げることができ、学習習慣の確立や学習意欲の向上につながる取組であると認識しております。子どもが夢と希望を持って成長できる社会の実現に向けて、しいの木塾など既存の学習支援の取組を踏まえつつ、スタディクーポンの導入について検討してまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時30分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 高橋 かずちか

       議 員 立石 りお

       議 員 伊藤 正信