令和2年09月18日中野区議会決算特別委員会

.令和2年(2020年)9月18日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  6番  河  合  り  な        7番  斉  藤  ゆ  り

  8番  立  石  り  お        9番  羽  鳥  だいすけ

 10番  高  橋  かずちか       11番  加  藤  たくま

 12番  吉  田  康一郎        13番  木  村  広  一

 14番  甲  田  ゆり子        15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  若  林  しげお

 22番  内  川  和  久       23番  いでい   良  輔

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 40番  むとう   有  子       41番  長  沢  和  彦

 42番  来  住  和  行

.欠席議員(1名)

  5番  間     ひとみ

.出席説明員

 中野区長    酒井 直人

 副区長     白土 純

 副区長     横山 克人

 教育長     入野 貴美子

 企画部長    高橋 昭彦

 企画課長(企画部参事事務取扱)     石井 大輔

 情報システム課長(企画部参事事務取扱) 平田 祐子

 基本構想担当課長永見 英光

 財政課長    森 克久

 広聴・広報課長 高村 和哉

 業務改善課長、ユニバーサルデザイン推進担当課長 藤永 益次

 総務部長    海老沢 憲一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝瀬 裕之

 総務課長、特別定額給付金担当課長    浅川 靖

 職員課長、人材育成担当課長       中谷 博

 経理課長    吉沢 健一

 区民部長    青山 敬一郎

 文化国際交流担当課長          矢澤 岳

 税務課長    矢島 久美子

 産業観光課長  堀越 恵美子

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  戸辺 眞   

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小田 史子

 保育園・幼稚園課長、保育施設利用調整担当課長 渡邊 健治

 幼児施設整備課長藤嶋 正彦

 指導室長    宮崎 宏明

 学校教育課長  板垣 淑子

 子ども教育施設課長           塚本 剛史

 子育て支援課長、子ども家庭支援センター所長 古川 康司

 児童相談所設置調整担当課長       半田 浩之

 育成活動推進課長細野 修一

 子ども特別支援課長           石濱 照子

 地域支えあい推進部長          鳥井 文哉

 地域包括ケア推進担当部長        藤井 多希子

 地域包括ケア推進課長          高橋 英昭

 介護・高齢者支援課長、高齢者支援担当課長 葉山 義彦

 北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 滝浪 亜未

 南部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 村田 佳生

 保健所長、地域医療連携担当課長事務取扱 向山 晴子

 福祉推進課長  石崎 公一

 障害福祉課長  河村 陽子

 生活援護課長、生活保護担当課長     中村 誠

 環境部長    朝井 めぐみ

 都市基盤部長  奈良 浩二

 都市計画課長  安田 道孝

 公園緑地課長  林 健

 住宅課長    池内 明日香

 まちづくり推進部長           角 秀行

 中野駅周辺まちづくり担当部長      豊川 士朗

 野方以西担当課長狩野 純一

 まちづくり事業課長           川野 英明

 街路用地担当課長長沼 彰

 新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 荒井 弘巳

 中野駅周辺まちづくり課長        松前 友香子

 中野駅新北口駅前エリア担当課長     小幡 一隆

 中野駅地区・周辺基盤整備担当課長    石原 千鶴

 中野駅周辺地区担当課長、中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 石橋 一彦

 会計室長    吉村 恒治

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     長﨑 武史

 事務局次長    小堺 充

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     野村 理志

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     松丸 晃大

 書  記     細井 翔太

 書  記     有明 健人

 書  記     五十嵐 一生

 書  記     髙橋 万里

 書  記     本多 正篤


午前10時00分開議

○山本委員長 定足数に達しましたので、ただいまから決算特別委員会を開会します。

 認定第1号から認定第5号までの計5件を一括して議題に供します。

 9月17日の理事会の報告を行います。

 初めに、本日の委員会運営について、総括質疑は、1番目に、小杉一男委員、2番目に市川しんたろう委員、3番目に河合りな委員、4番目に久保りか委員、5番目に加藤たくま委員、6番目に杉山司委員の順に6名の質疑を行うことを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 なければ、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 御異議ありませんので、そのように運営します。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で説明を述べるようお願いします。

 それでは、質疑に入ります。小杉一男委員、質疑をどうぞ。

○小杉委員 おはようございます。昨日に続きまして、日本共産党議員団、小杉一男が引き続き総括質疑をさせていただきます。

 二つ目の児童相談所や児童養護施設等についてというところの児童相談所の研修のところで東京都などの研修について昨日御回答いただきました。区市町村職員の東京都への長期派遣受入枠も拡大をされまして短期研修も随時行われると伺っています。練馬区や新宿区では区有施設に都職員を受け入れ、共同モデルで人材育成に活用する事例も出てきています。児童相談所のソーシャルワーカーには相当の経験と知識が必要とされています。とりわけ虐待対応の習熟には10年以上の経験が必要とも言われています。会計年度任用職員として4月からも雇用が始まっているそうですが、児童福祉司について10年以上の職員は何人おられますでしょうか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 今現在、10年以上児童福祉司の経験がある職員は確保できていない状況でございます。そのため、本年度の4月に会計年度任用職員である児童相談業務指導員として児童福祉の経験が10年以上ある職員を採用したところでございます。児童相談所の運営に経験豊富な職員は必要不可欠であると考えてございますので、来年度以降、児童相談業務指導員の増員につきまして検討していきたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 全国的な数字では10年以上の経験を有する児童福祉司は約15%と言われています。ぜひ中野区でも開設時にはそのぐらいの程度は確保して開始をされていただきたいと思います。

 そして、児童福祉司スーパーバイザー、いわゆる監督者は5年以上の経験が必要とされていますが、何人確保していますか。今後の見通しはどのようになっていますか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 今現在5年以上の児童福祉司の経験がある職員は1名のみでございます。今後は経験者採用によりまして児童福祉司スーパーバイザーを確保していく計画でございます。

○小杉委員 児童福祉司スーパーバイザーや児童心理司などの人員確保について厚生労働省から増員計画など改善策が示されてきていますが、確保は大変なものと察します。児童福祉司には高度な知識と技能が必要とされながら、一般の行政職員と同様に数年で異動する現状があると言われています。これでは組織的にも専門性が蓄積されずに問題の深刻化につながりかねません。児童相談所を運営するに当たって今後とも役割の発揮をしていくためには安定的な職員体制が必要と考えます。

 そこで伺います。定期的に他区の児童相談所と人事交流を行い、経験と専門性を積む仕組みづくりを考えていくべきではないでしょうか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 児童相談所の専門職には専門性、経験が必要でございまして、開設後の人事異動につきましては検討が必要であるというふうに考えてございます。既に児童相談所を開設している区では、これから開設予定の区の職員の研修派遣を受け入れているところでございまして、中野区でも職員を派遣しております。開設後の人事交流についても可能かどうか、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 経験が蓄積されずに人事異動によって5年で児童相談所から経験を持った方がいなくなるのではと懸念する意見も伺っています。その一方で、子どもや保護者との関わりによるストレスによって長期間で仕事をし続けることは無理があるとの声も伺います。ぜひ先行きを見ながら検討を続けていっていただきたいと思います。

 それから、ケースの引継ぎについてです。5月に東京都社会福祉協議会が実施した区立世田谷区、区立江戸川区、両児童相談所の開設に伴う課題についてのアンケートによると、児童相談所を先行して開設した世田谷区では、都から区への引継ぎのための面会による説明がないが13%、江戸川区ではそれが35%にも上っていました。これらは新型コロナウイルスへの対応もあったのだと伺っています。ケースの引継ぎについてしっかりと準備をされて臨んでほしいと思います。ケースの引継ぎについてどのような見通しをお持ちですか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 杉並児童相談所からのケース引継ぎにつきましては、東京都の確認作業におきましても課題の一つとして共有しているところでございます。本年度中に杉並児童相談所と大まかなスケジュールや引継ぎ方法につきまして検討の上、来年度4月以降、引継ぎを開始したいというふうに考えてございます。

○小杉委員 同アンケートによると、児童への説明では都担当者からのみの説明であったため、高年齢児はやや区児童相談所に不満を漏らしているとか、東京都は夜間の電話連絡先があるが、区児童相談所の連絡先が分からないなどと引継ぎの混乱ぶりが分かります。これからも新型コロナウイルスの第3波、第4波があり得ますので、しっかりとした計画と体制確保、準備をしていただきたいと思います。

 続きまして、一時保護所について伺います。一時保護所は、児童相談所長が、虐待や置き去り、非行など必要と認める場合は要保護児童を収容することができる施設です。こちらも東京都の一時保護所は広域で7か所配置されていますが、児童相談所が移管される中野区に一時保護所も設置されます。まずは一時保護所の職員の確保の状況について伺います。その資格要件は児童指導員または保育士などとなっています。神戸市児童相談所に行政視察に行ったときも一時保護所の職員が不足して困っていると言われていました。

 伺います。一時保護所の職員は現時点でどれだけ確保し、今後の見通しはどのようになっていますか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 一時保護所の職員につきましては現在17名中16名を確保しているところでございます。今後は経験者採用などで職員を確保してまいりたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 ある児童養護関係者は、夜勤もあり、労働条件としては過酷なものとは思われますが、一時保護所に子どもが入所して、職員が適切に支援策を見抜かないといけない、そういう能力が求められていると言われていました。適切な支援を行うことのできる専門性を有する人材を確保するとともに、永続的に続く仕組みをつくる必要があるのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 一時保護所の職員につきましては、経験者採用のほかに、保育園、児童館、その他の職場からの人事異動により確保しているところでございます。児童相談所開設後の人事ローテーションにつきましては、保育園、児童館のほか、福祉職を配置されている所管とともに検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 東京都の一時保護所は定員が平均33名なので、中野区に設置する児童相談所は小規模なものとなります。だからこそ職員が子どもに丁寧に関わり、子どもが心から安心して暮らせる場所にさせやすいのではないでしょうか。区の一時保護所の定員は12名です。きめ細かな処遇を行うことができると考えます。具体的に考えている処遇方法はありますか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 児童が一時保護所に入所する理由はそれぞれでございまして、家庭環境や個性も様々であることから、できるだけ児童それぞれの状況に応じた支援が望ましいというふうに考えてございます。小規模一時保護所の特性を生かしまして児童に寄り添った支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 ぜひお願いいたします。

 朝日新聞の編集委員の大久保真紀さんが、昨年東京都の一時保護所の第三者評価データを開示請求して人権侵害と言える実態であると報じられました。例えば子どもたちへの私語や目を合わせることを禁止するなどの指導は過剰な規制で人権侵害に当たると第三者委員の弁護士が指摘されています。一時保護所でのことだけに確かな証拠がなく表面化されずに放置されてきたとのことです。東京都の第三者委員会は昨年から実施されたために問題が明らかとなりました。改善する方向につながったのです。中野区においてもブラックボックスにさせない、子どもの人権を守る姿勢が必要と考えます。

 そこで伺います。一時保護された児童の権利擁護についてどのように考えていますか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 一時保護されている児童につきましては、権利は最大限保障されるべきものであるというふうに考えてございます。一時保護所に対する第三者評価を実施することによりまして、適切な支援を行っているかどうか、外部からの視点でチェックしていただくような仕組みにつきまして検討を行っているところでございます。また、一時保護された児童が意見を表明することができるような仕組みにつきましても検討を進めております。

○小杉委員 ぜひ第三者評価の検討をお願いいたします。

 2018年に厚生労働省が示した一時保護ガイドラインでは、一時保護所の閉鎖的環境を指摘し、学校に通学できないため、入所している子どもたちの学習権保障を求めています。一時保護所は、虐待親の侵入を防ぎ、非行の児童を落ち着かせるなど閉鎖的構造になっているため、学籍のある地域の学校に通わせることは困難とされてきました。本来子どもたちに権利として与えられた学習権が保障されないことは見過ごせません。同ガイドラインでは、在籍校と密接な連携を図り、どのような学習を展開することが有効か協議するとともに、取り組むべき学習内容や教材などを送付してもらうなど、創意工夫した学習を展開する必要があるとされています。

 そこで伺います。一時保護所の学習環境を改善するために、在籍校や教育委員会として児童相談所と連携し、学習支援を実施する体制整備を図ることを検討すべきではないでしょうか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 一時保護されている児童につきまして、学習権につきましても最大限保障されるべきものであるというふうに考えてございます。一時保護所内では学習支援の時間を設け、個々の入所児童の学習の進捗状況や能力に適した支援を行っていく予定でございます。在籍校や教育委員会との連携につきましても、具体的にどのようなことが可能か、今後検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 教育を受ける権利にとどまらず、居住、移転の自由、人身の自由、知る権利や通信の自由、自己決定権など、一時保護所では制約されることを理解し、でき得る限りその制約を解くことが求められています。職員の意識にとどまることなく、一時保護所の体制や実態を区としてどのように考えているのか、常に問われていると考えます。全て児童に最善の利益を優先する、そうした児童福祉法の精神を踏まえ、ぎりぎりまでそれを果たすために努力していくことが求められています。

 続きまして、児童養護施設について取り上げます。

 東京都が策定した社会的養護施策推進計画によると、2030年まで児童人口は変わらずに推移するのに、代替養育を必要とする児童数は増加していくと推計されています。児童相談所の設置によって今まで以上に児童養護施設や乳児院、里親家庭などの地域資源を活用した取組が大いに期待されています。中野区には乳児院1か所、児童養護施設が1か所ありますが、児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養育し、併せて退所した者に対する相談などの自立のための援助を行う施設です。

 そこで伺います。現在中野区にある児童養護施設にはどのようなものを期待し、今後連携、協力していこうと考えていますか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 東京都と特別区が協議した結果、都内の児童養護施設につきましては都区双方が入所措置を行うことができるようになりました。とはいえ、児童が地域での生活を継続するためには区内か近隣区の児童養護施設に入所できたほうがよいというふうに考えてございます。区内の児童養護施設とどのような連携が行えるのかにつきましては今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 児童相談所は、保護した児童について児童養護施設等への入所措置を行ったり一時保護委託を行ったりしています。しかし、現状では入所率が高く、なかなか入所に至ることができないと伺っています。児童福祉施設は東京都内での広域で連携し、調整されているようですが、児童相談所と一時保護所を設置する中野区からすると、地域の身近にある社会資源として十分に連携しながら活用していくべきです。

 そこで伺います。児童相談所が都から区に移管されることで児童養護施設の措置費も2分の1が区の負担となります。年間どれぐらいの負担となると見込んでいますか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 措置費につきましては、現在、東京都や先行3館の情報を精査しておりまして、来年度予算に向けて積算を行っているところでございます。措置費のうち、2分の1は国庫負担となり、区負担分は2分の1となります。措置費の予算額につきましては来年度の当初予算におきましてお示ししたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 中野区としての負担も出てくるということですね。子どもたちの生活圏域を大きく変えずに、区内で一時保護から家庭復帰、自立までを支援するために、乳児院と児童養護施設を整備していく必要についてどのように考えていますか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、児童が地域での生活を継続するためには、区内や近隣区の乳児院や児童養護施設に入所できたほうがよいというふうに考えているところでございます。一方で都内の乳児院、児童養護施設につきましては都区双方が入所措置を行うことができるようになりましたため、区が施設を整備した場合には都や他区からも入所措置を行うことができる施設となります。整備の必要性につきましては、今後、入所状況に係る実態などの情報収集を行いながら検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 既にある乳児院には区は土地を提供していますが、新規で施設を誘致する場合に、公有地の提供や補助制度の活用など、区としてのどのような支援の方法があるのでしょうか、伺います。

○半田児童相談所設置調整担当課長 仮に施設を誘致することになった場合には、公有地の提供や補助制度の創設なども支援方法の一つとしては考えられるところでございます。どのような施設が必要なのか、どのような支援方法が考えられるかにつきましては今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○小杉委員 中野区で児童相談所を設置するということは、全ての子どもたちの命と健康を守ることはもちろんですが、乳幼児期から社会的養護下に置かれ、貧困、不利、困難の連鎖を乗り越えなければならない。こうした施設の子どもたちの成長、発達も考えなければなりません。だからこそ子どもの権利条例が今求められているときだと考えます。

 続きまして、GIGAスクール構想とオンライン学習について伺います。

 昨年12月に政府は2023年度までに児童・生徒に1人1台の情報端末を導入するGIGAスクール構想を発表し、2,318億円の補正予算が成立しました。その後、新型コロナの感染拡大となり、学校休業時に子どもの学習保障が連日マスコミで取り上げられました。オンライン授業などのICTの活用へ期待が高まりました。2023年までだったものを前倒しして2020年度に完成させるために2,292億円の予算を追加しました。中野区の第5次補正予算で児童・生徒1人1台の学習用端末の配備及び校内ネットワーク環境整備に係る経費として4億5,000万円が議決されました。次年度からは1年間の端末リースと保守で加えて4億6,000万円と想定されます。国からはこれと別に地方財政措置として3億8,000万円が事業者に支払われるそうです。試算すると、1人年間5万6,000円、合計8億4,000万円にも上ります。小・中学校9年間だと1人当たり50万円超の費用がかかっていくと試算を私がしました。先のことなので区としてははっきり言えないということですけれども、膨大な負担が地方自治体にも課せられますし、間接的には家庭や区民への負担となります。

 そこで伺います。区としても今後の経年負担について国の負担でしっかり賄ってもらえるように求めていくべきではないでしょうか。

○板垣学校教育課長 GIGAスクール構想の実現のための国の補助金としましては、校内通信ネットワーク環境の整備や1人1台の端末整備のための費用が補助されますが、この補助金で全てが賄えるというわけではありません。今後、端末やネットワークの補修経費など経常経費化していく費用があり、区の一般財源の負担額は膨大なものになると認識しているところでございます。こうした区の負担を軽減するためにも、また、国が提唱するGIGAスクール構想を着実に推進し、子どもの学びを保障するためにも引き続き国へ支援を要望してまいります。

○小杉委員 経済産業省はソサエティ5.0(第4次産業革命)により日本経済を復興させようと全力を注いでいるものです。とりわけ沈んだ日本のIT産業を復活させようとしています。IT産業の利益を保障させるために教育予算が圧迫されるのはおかしな話です。オンラインとは別に教育予算の増額を求める必要があると考えます。オンライン授業を実施するよう中野区内の保護者らが区長に要望書を以前提出されていると思います。文部科学省の調査では7月時点で遠隔授業を行っていたのは小・中学校9%にすぎませんでした。オンライン授業に対する認識が保護者、小中学生、区民と中野区では異なるのではと感じています。

 そこで伺います。中野区が目指すニューノーマル学習モデルとはどのようなものでしょうか。

○宮崎指導室長 区が目指すニューノーマルの学習モデルとは、学校での対面学習と家庭でのオンラインを活用した個別学習を融合した学習モデルのことでございます。この学習モデルは、個別学習により子ども一人ひとりが自分のペースで学習を進められることに加え、学校では集団による意見交流や共同作業で互いに高め合い、学びを深めることが期待されております。

○小杉委員 区が進めようとしているのはICT機器の活用とオンラインでの学習を進めるというものです。今言われました。既に個別学習としてのオンライン学習と学校での対面、共同学習を融合させた新しい授業スタイルの導入をできることから施行するとし、進められてきています。ただし、これらが本当に学力の増進につながるのでしょうか。個別最適化教育の名の下で集団学習や対話学習が少なくなるのではと心配しています。さらには、学習進度に個別の児童・生徒の著しい差が出る危険性もあります。家庭での学習で援助できる家庭とそうでない家庭での格差が出ることが懸念されます。見解を伺います。

○宮崎指導室長 オンライン学習を活用した個別学習は、他に合わせたり他と比べたりする必要がないため、劣等感を持つことなく自分のペースで達成感を得ながら学習を進めることができるものでございます。学校での対面学習では、時間的余裕が生まれるため、問題解決に向けてじっくり考えたり、話し合ったり、仲間と貴重な体験学習をしたりする時間ができるものと考えております。各校では、家庭での支援による格差が生じないよう子どもたちへの技術指導等を進めてまいります。また、家庭と連携したオンライン学習の在り方について機会を捉えて保護者との意思疎通を図るとともに、保護者の疑問には真摯に対応してまいりたいと考えております。

○小杉委員 家庭と学校での一体学習となれば、格差は生まれてしまっても、それを埋める努力も求められます。オンライン学習は比べることがないと言われましたが、逆に利用する機会が少なくなれば排除されていくという子どもたちも心配だなと思います。ぜひとも自覚しながら進めていっていただきたいと思います。

 オンライン学習の目的は学習指導要領に記された目標及び内容の実現だと思います。同要領では、主体的、対話的、深い学びの実現、アクティブラーニングの視点などが掲載されている一方で、教師も生徒も忙しい状況だと言えます。標準授業時間の確保や教師の労働環境の改善などの課題もあります。

 一般質問でも長沢議員が取り上げましたが、チャイルドライン中野が開いた講演会で佐藤学東京大学名誉教授は、ICT教育の最大の誤りはコンピュータを教える道具として使用しているところにある、思考と表現の道具、探求と協働の道具、学びの道具として活用されなければならない、しかし、学校においてコンピュータは教える道具として使用されていると指摘していました。

 9月11日、NHKの番組「首都圏情報 ネタドリ!」においては、埼玉県戸田市立の喜沢小学校の手塚浩校長が、臨時休校中に子どもが学びにつながれないのは単純に端末だけの問題ではなく、子どもが自ら学ぼうとする力がないと成立しないことが分かった、子どもにとって学びが楽しいものに、もっと学びたいと思えるように日々変えるとともに、探究型の学びに変わるプロジェクトを学校が取り組んでいかないといけないと語られていました。学びの道具として利用するには教師の努力や負担がかかり大きくなります。パソコンの不得意な教師も少なくありません。したがって、先生への支援が重要になるのではないでしょうか。本来こうしたプランニングは、区の職員だけでなく、情報通信の専門家やICT教育の専門家などを交えたプロジェクトをつくり、計画を検討し、議会や区民に公開して意見を求め、練り上げていかなければ実効性が担保できません。

 そこで伺います。オンライン端末機器などを実効性あるものにするために専門家の力をかりて教員への支援を行うことについて中野区としてプロジェクトを策定してはいかがでしょうか。

 また、現在でも学校間で差が出ています。まして学級ごとに差が出てくることは間違いありません。しっかりと全ての教員に対し支援を行う計画を立てることを求めます。

 また、人的な要員としてICT学習支援員を4人配置する予定ですが、全校に1人配置すべきではないでしょうか。伺います。

○板垣学校教育課長 教員に対する支援につきましては現在配置しておりますICT支援員を活用しているところですが、オンラインの機器を活用した授業を充実、推進するために、各校の教員1人を情報化担当教員として指定し、ICTに関する研修を受講させるとともに、現在活用しているグーグルクラスルームの操作研修なども受講しているところでございます。情報化担当の教員は、こうして研修で学んだことを学校でOJTにより他の教員の指導に役立てるなど、各校のICT教育推進の中心となることを考えております。また、来年度ICT支援員の配置についてですが、ICT機器の操作方法に加え、授業への活用方法についても支援をしていくことを想定しており、配置する人員等につきましては引き続き検討してまいります。

○小杉委員 ICT機器の操作方法に限らず、授業をデジタルに、デジタル機器を活用してよりよいものに発展させていく、そうしたことがやっぱり求められているんだと思います。教師が子どもたちのために授業をつくるプロセスも専門家が関わりながらでないと進まないのではないでしょうか。全面的に教師をサポートする構えが必要と考えます。

 中野区で使うグーグルクラスルームについてです。これは教育機関向けに特化した教室運営ツールで「G Suite for Education」という統合サービスの一機能です。「G Suite for Education」には、ワープロ、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトからMeetというビデオ会議システム、データを収納するファイルサーバーまでそろっています。これは一般的には有料サービスで、中野区で提供されているものと同等のサービスを利用するには、1ユーザー月1,360円、区内の全児童・生徒1万5,000人分で2億4,500万円余の費用がかかるサービスです。

 グーグルがなぜこれらを無償提供するのかは、作成されたデータのみならず、生徒と教師の全てのやりとりが集積されたデータ、いわゆるビッグデータを利用するためのものと言われています。グーグルは最近ではグーグル検索やGメールなどを無料で提供し、その中から得られるビッグデータをAI、いわゆる人工知能で活用するビジネスに主軸を移しています。教育ビッグデータは、生徒の学力データや学習履歴データなどを何十年分も蓄積、多面的分析を行うような使い方で、これとAIを組み合わせることで教育ビジネスとして展開をしています。実際にはアメリカではクラウド事業者が教育ビッグデータとAIを活用した公設民営学校が広がっています。日本でも大阪市が国家戦略特区として公設学校の運営を民間に委託する実例が出てきています。

 そこで伺います。中野区はグーグルに対して情報の公開や監査の受入れ、教育ビジネスへの二次利用の禁止など、区民の利用を守るために契約を交わすべきではないでしょうか。どのような契約となっているでしょうか。

○板垣学校教育課長 現在学校で利用していますクラスルームなどは、グーグルが非営利の教育機関を対象に無料提供している「G Suite for Education」のサービスの一つであり、教育委員会が区立小・中学校を代表して利用規約を確認し、契約をしているものでございます。利用規約に記載されておりますプライバシーポリシーによりますと、外部提供や二次利用はないというふうに認識をしているところでございます。

○小杉委員 現在、中野区はグーグルとは契約をしておらず、利用申込みをしているということです。グーグルの「G Suite for Education」のプライバシーに関するお知らせでは、ユーザーの個人情報はコアサービスを提供する目的でのみ使用されますと書いてある一方で、グーグルサービスから収集した情報も新しいサービスの開発のために利用していますと書いています。グーグルを使うなとは言っていません。使うに当たって情報公開や監査の受入れ、教育ビジネスの二次利用の禁止などについてしっかり契約を行うべきです。ちなみに、このお知らせの頭には、参考和訳で、英語との矛盾があれば英語の本文が優先すると書いてあるもので信用できないなと感じました。

 加えて伺います。私企業のビジネスに公教育の教育情報を渡していいのかが問われていると考えます。中野区としての対策を取っているのか、また打とうとしているのか、いかがでしょうか。

○板垣学校教育課長 グーグルのプライバシーポリシーでは、個人情報を特定できる情報を外部に提供することはできないということになっております。なお、グーグルが提供しているサービスからグーグルが得られる情報は、グーグルのサービスの提供、維持、保護及び改善、新しいサービスの開発、また利用者の保護のために利用するというふうに認識をしております。グーグルが提示しているセキュリティポリシーに基づきサービスを利用していることについて特に対策は必要はないというふうに考えております。

○小杉委員 対策は必要ないということで、一般的に企業がこうしたシステムを利用する際、ガバナンスやコンプライアンスの問題も含めて詳細な契約や仕様書を取り交わします。なぜなら、一旦情報の漏えい、明示がされていない情報の二次利用が起こると、契約の訴訟問題が発生し、場合によっては企業の存続に関わります。まずは中野区としてしっかりと調査をし、リスクについて検討すべきだと考えます。

 そこで伺います。グーグルクラスルームなどの製品やサービスのメリットだけでなく、デメリットや仕組みについて保護者や区民に理解して促していくようにすべきではないでしょうか。こうした問題を教育委員会で検討、議論し、区民に公開すべきではないでしょうか。伺います。

○板垣学校教育課長 区内の学校全体で使用するICTに関する製品やサービス、そして今後の使用方法などにつきましては、必要に応じ教育委員会に報告し、意見をいただいております。また、利用する際の個人情報の保護や利用する上での注意点等につきましては、保護者に説明し、理解を得ながら進めているところでございます。

○小杉委員 明文的な契約がない、そういう場合に区として区民、生徒や父母に対してどのように責任を取っていくのか。トラブルや個人情報の流出事故が起きた場合の対策についてどう準備していくのか、ぜひ検討していただきたいと考えています。

 今、教育が問われています。人と人がつながり、意欲を持って学び、成長ができる。教育課程は各学校で編成し、教員が授業で創意工夫をするということは国も否定できない原則です。いい授業が広がることを誰もが願っています。この中野区でも児童・生徒の学びを再構成し、主体的に人生を生きる人を生み出す教育現場になってほしいと期待をいたします。

 続きまして、少人数学級について伺います。

 6月から半月、各校で分散登校が実施されました。3月上旬から3か月続いた一律休校に続けて生徒・児童を分散させた登校については、教師からは、子どもの健康の確保と学びの充実にどれほど有効な空間であるかを体験したという御意見や、心のゆとりがあると子どもの見方が変わってくるとの御意見も寄せられています。児童・生徒や教師にとって分散授業はどのようなものでしたか。伺います。

○宮崎指導室長 学校からは、分散登校では、3か月の休業期間を経て様々な不安を抱えて登校してきた子どもたちに少人数でのきめ細やかな対応ができたと伺っており、子どもたちの安心で落ち着いた学校生活につながったと考えております。特に慣れるまでに例年時間のかかる小学校1年生は例年になく落ち着いていたと伺っております。

○小杉委員 7月17日、閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2020)では、少人数による指導体制やICT活用など学びの環境の整備を検討することが挙げられました。8月19日、中央教育審議会特別部会の中間のまとめ(骨子案)では、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、少人数学級を可能とするための指導体制や施設整備を図ることが盛り込まれました。骨子案は、身体的距離の確保に向けて、教室などの実態に応じて少人数編成を可能とするなどの新時代の教室環境に応じた指導体制や必要な施設の整備を図ると明記されました。9月8日の教育再生実行会議でも、新たな学習環境に関し、3密の回避やパソコン端末の活用を進める観点から、少人数によるきめ細かな指導体制を計画的に整備する方向性を確認しました。こうした動きは生徒・児童や教員、保護者から出た声に基づくものであり、進んでいくと思います。

 そこで伺います。少人数学級のメリットについてどのように認識していますか。

○宮崎指導室長 少人数での指導は、教師の目が届きやすく、一人ひとりに応じた指導が行いやすいと考えられております。現在、小学校の算数、中学校の数学や英語については習熟度別少人数指導が既に実施され、学力向上の面からも効果を上げているところでございます。一方、授業や学級の取組、行事などによっては一定規模の学習集団による指導が効果的であると認識しております。

○小杉委員 以前から小・中学校での少人数学級の実現を求める運動が高まり、小学校1、2年生、中学校1年生のみ35人学級となりました。今回少人数学級への期待の声が高まったのは新型コロナウイルスの伝播とその対策があったからです。どこでも3密を避け、マスクの着用、そして2メートル、最低でも1メートルのソーシャルディスタンスが求められました。しかし、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル、学校の新しい生活様式では、1クラス40人であれば、前の子どもとの距離は85センチ、隣の子どもとの距離は105センチですが、頭と頭の距離で肩と肩で比べたら50センチぐらいになるのではないでしょうか。政府も少人数学級へようやく動き始めたのは、新型コロナウイルス感染症の感染防止をするために、子どもたちの命と健康を守るためにオンライン学習や少人数学級の推進への世論が広がったと言えます。

 区民からは、小規模校の新山小学校時代は1クラスの人数も少なく、伸び伸びできたし、先生の目も行き届いていた感じがありました、コロナ禍では、感染予防の点でも学習の面でも、統合前だったらもう少し余裕を持って学校生活が送れたと思います、少人数学級大賛成ですという声や、学習現場の過酷さにびっくりします、少しでも教師の負担が減少するような改革が必要と思いますとか、少子化になり先生の数を減らしたのが間違いだった、教師はブラックな職業です、子どもたちだけでなく、先生のためにも少人数制にすべきですなどの声が寄せられています。

 そこで伺います。そのために区として学級編制基準にある1学級の数を引き下げるよう国や東京都に要望することを求めるべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

○宮崎指導室長 学級の編制に関しましては東京都の学級編制基準にのっとり進めているところでございます。今後もより弾力的な少人数指導ができるよう国や都に要望してまいります。

○小杉委員 少人数での指導をしていくということですが、ぜひ全教科、学級自体を少人数にすることを進めていただきたいと要望いたします。

 中野区は40人学級を前提に小学校の再編を進めてきましたが、平和の森小学校や桃花小学校などでは教室が足らずに、結果として校庭や中庭に校舎を増築せざるを得ませんでした。少人数学級の政策への流れは止められません。中野区としても少人数学級に向けて、学級編制や学校の再編、職員体制などを検討すべきです。国や東京都、中野区が少人数学級実施に踏み出し、よりゆとりのある教育環境の実現を、区民の皆さん、保護者や児童・生徒とともに進めることを求めたいと思います。

 続きまして、安心できる住まいの確保について取り上げます。

 住まいは人権です。先日、民間住宅も見当たらない、公営住宅も当たらない方に対して、中野区社会福祉協議会がNPOのつくろい東京ファンドに連絡をして対応された事例がありました。公的段階では対応ができず、ホームレスになる直前でNPO団体が住宅確保要配慮者を救っている現実があります。中野区としても住まいがなく困難を抱えた方に手を差し伸べるべきではないでしょうか。

 まず初めに、生活困窮者住居確保給付金について伺います。

 新型コロナ感染症対策として生活困窮者住居確保給付金が改定されました。これは、離職等により経済的に困窮し、住宅を喪失した方、もしくは喪失するおそれのある方に国や自治体が家賃相当額を支給し、住まいと就労機会の確保に向けた支援を行うものです。4月30日からハローワークで求職活動をするという要件がなくなり、昨年実績が33件であったものが、今年度9月の上旬現在で1,654件の申請があり、1,426件の支給決定がされています。不支給が6件です。それ以外は処理中とされています。

 そこで伺います。新型コロナ感染症の影響で5月には690件の給付申請があり、8月以降も再給付申請をされた方が78%だったそうです。これはなぜこれほどまで増えていると認識していますか。

○中村生活援護課長 新型コロナウイルス感染症の影響により仕事が減ったフリーランスの方ですとか非正規雇用の方の収入が回復していない状況ですとか、離職された方の再就職による収入の回復がいまだ実現していない現状があるため、更新される方が多いというふうに考えてございます。

○小杉委員 対象者は、離職、廃業から2年以内の方、または休業等により収入が減少し、離職、廃業と同程度の状況にあるので、家賃の補助があっても蓄えだけで暮らしている方が多いのだと思われます。また、中には生活保護の受給要件を満たす方もおられると想像します。必要な方を必要なサービスにつなげることも今後とも検討してほしいと思います。これは要望です。

 これから制度拡充の話になりますが、新型コロナウイルスの伝播がまだ止まっていません。今後、第3波、第4波が来る可能性もあります。こうした社会状況はしばらく続くと思われます。

 そこで伺います。この制度の給付期間は3か月で2回延長することができ、最大9か月給付を受けることができます。この制度の期間の延長を国に求めるべきではないでしょうか。

○中村生活援護課長 住居確保給付金を9か月間受給される方の中には、収入が最低生活費を下回り、生活に困窮しているが、生活保護申請を躊躇されているという方もいらっしゃると考えられます。そういった方にとっては住居確保給付金の支給期間終了が生活相談及び生活保護申請の契機になることも考えられますため、現時点では国へ期間延長の要望を出すことは考えてございません。

○小杉委員 この給付金の対象者の中にはいずれ生活保護受給者となる方も多くおられると思います。今言われたように、今後しっかりとした生活保護の申請をされるよう促していってほしいと要望します。

 それから、地方自治体としてあらゆる機会を通じて制度改善は常に必要です。国へ要望することも求めたいと思います。

 続きまして、住宅確保要配慮者への住宅確保についてです。

 住居確保給付金を受給している住宅に困難を抱えた方たちが長期で安定して暮らせる住まいをしっかりと確保していく必要があります。住宅確保要配慮者居住支援協議会は、高齢者や障害者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を協議するために設置されます。2018年2月の段階で中野区は、設置をきっかけにより総合的な居住支援対策の推進を図る構成を、並びに所掌事務等については検討が進められてきました。しかし、その設置がたびたび延期されてきました。設置はいよいよ今年度に行うとのことです。

 伺います。居住支援協議会の設置がたびたび延期されてきましたが、いよいよ今年度設置されると伺いました。発足までどのような準備を行ってきたのでしょうか。

○池内住宅課長 居住支援協議会の設置に当たりましては、様々な住宅確保要配慮者の入居促進、支援を行うとともに、賃貸人が安心して住宅を供給してもらえるよう、入居者、賃貸人の双方に対し切れ目ない支援を行うことを方針としているところでございます。現在は行政と民間の住宅部門のハード面と福祉部門のソフト面の双方が横断的な支援の連携体制を構築するため協議を重ねているところでございます。詳細につきましては設置の方向性がまとまった段階でお示しいたします。

○小杉委員 健康福祉審議会に提出された資料によると、居住支援協議会を設置して重点取組事項として三つを取り組むとしています。それは、一つ目にセーフティネット住宅の確保と情報共有、二つ目に居住支援サービスの創設、三つ目に空き家の利活用、発生予防対策です。セーフティネット住宅の確保としては、民間賃貸住宅の空き部屋と居住確保要配慮者のマッチングを円滑に進め、入居促進体制を整備するとあります。住宅セーフティネット法に基づく登録住宅は耐震化された25平方メートル以上の比較的低い基準の住宅です。その上、賃貸人、いわゆる大家さんに改修費補助、家賃低廉化の補助が行われる仕組みとなっています。

 そこで伺います。セーフティネット住宅の確保のために都内自治体ではどのような補助制度があるでしょうか。

○池内住宅課長 セーフティネット住宅に係る国からの補助制度としまして改修費補助と家賃・家賃債務保証料低廉化補助がございます。改修費補助とは、住宅の間取り変更やバリアフリーの改修工事等に対して戸当たり補助限度額を定め、賃貸人に補助支給する制度でございます。豊島区、練馬区、八王子市の3区市で実施しております。また、家賃低廉化補助とは、入居者の家賃に対して戸当たり月額補助限度額を定め、賃貸人にその額を支給する制度でございます。練馬区、豊島区、墨田区、世田谷区、八王子市の5区市で実施しております。家賃債務保証料低廉化補助とは、入居者の家賃債務保証料に関しまして戸当たり補助限度額を定め、保証会社に支給する制度となっており、墨田区、豊島区の2区で実施しております。いずれの制度も国と自治体の補助を合わせて支給しており、国の補助要件に加え、各自治体独自の要件も付加しているところでございます。

○小杉委員 補助制度を実施している自治体における制度普及に関しての現状課題はどのようなものがあると考えていますか。

○池内住宅課長 改修費補助の実績がございますのは3区市中、練馬区と八王子市の2区市で、家賃の低廉化補助の実績がございますのは5区市中の練馬区と世田谷区の2区でございます。家賃債務保証料低廉化補助に関しての実績はございません。これらの補助制度の利用によりセーフティネット住宅の登録件数の増加へと誘導するものではございますが、利用実績が伸びていないところでございます。また、セーフティネット住宅の登録数が伸びないほかの要因としまして、住宅確保要配慮者のみを入居対象とする専用住宅として賃貸人のオーナーが自ら電子申請により手続を行わなくてはならない負担、それから住宅の登録要件としまして構造、設備、規模、賃貸条件の基準を満たす必要があること、また、登録によって確実な入居者の確保が保証されていないことにあると考えられます。

○小杉委員 公営住宅に比べて住居確保要配慮者向けのセーフティネット住宅は比較的安価に済みます。空き家の実態調査では、中野区内に852棟の空き家があることが分かっており、その活用についても課題になっています。今後、空き家を活用し、セーフティネット専用住宅を確保し、住居確保要配慮者に安心した住まいを提供するには区の決意が何よりも必要と考えます。

 そこで伺います。中野区として発足する同協議会においてセーフティネット住宅の確保に向けた協議と推進を行っていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○池内住宅課長 居住支援協議会の役割としましては、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居促進を図るため、区、不動産関係団体、居住支援団体等が連携し、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対して切れ目のない支援を行うことでございます。そのためには、セーフティネット住宅の確保に向け、居住支援協議会においても検討する体制を構築していくところでございます。

○小杉委員 二つ目に挙げられている中野区あんしんすまいパックについてです。2018年度から実施している居住支援サービスあんしんすまいパックはどのようなサービスですか。また実績、件数について伺います。

○池内住宅課長 あんしんすまいパックは、民間賃貸住宅に入居する単身者に対して週2回の電話での安否確認と死亡時の原状回復、遺品整理費用、葬祭費用を100万まで補償することになっており、入居者と賃貸人の双方が安心して住まいを確保できる支援制度となっております。居住支援法人の提供するサービス加入件数は8月末時点で27件、そのうち区の補助金支給件数は15件となっております。

○小杉委員 何が問題と考えていますか。

○池内住宅課長 現在のあんしんすまいパック契約者は60歳以上の高齢者が大半を占めております。初回登録料の補助がされても、月額利用料が1,980円、支払いを躊躇される方もいると聞きます。月額利用料の価格が原因なのか、サービス内容に問題があるか等は、利用者、不動産店等のヒアリングを基に検証をしてまいります。

○小杉委員 サービス内容についてですが、毎月サービス利用料を支払う入居者にとっては、葬祭費等が補償される死後の補償よりも、生前において安否確認等を含めた生活支援が拡充されることを望んでいるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。サービス内容の変更を検討すべきではないでしょうか。

○池内住宅課長 安否確認の手法を含めまして契約者の生活支援につながるような制度内容についてサービス提供事業者と検討を努めてまいります。

○小杉委員 生活保護が最後のセーフティネットと言われていますが、全ての方に必要な居住の確保をする制度を整備していくべきです。住宅確保要配慮者のニーズに合ったサービス内容にすることを検討すること、それとともに、ぜひとも登録不動産店を増やし、区民への周知を図るよう求めたいと思います。区としても住宅確保要配慮者への支援の立場で協議会とともに推進することを要望いたします。

 続きまして、最後に、西武新宿線の地下化工事と区画街路第4号線の拡幅工事について取り上げます。

 4月に西武新宿線沿線連続立体交差事業の事業認可が変更され、6年延伸されました。西武新宿線沼袋駅の区画街路第4号線の事業化と同時に進みます。駅の地下化もバス通りと一体的に進められます。都事業である西武新宿線沿線連続立体交差事業と区事業である区画街路第4号線では一体に行う事業であると思います。この両事業の完成時期はいつ頃で、一体的に完了するものかを伺います。

○川野まちづくり事業課長 西武新宿線沿線連続立体交差事業の認可期間は令和9年3月31日であります。区画街路第4号線の認可期間については令和8年3月30日であります。区画街路第4号線事業は西武新宿線の連続立体交差事業を契機として実施している事業であります。また、区画街路第4号線の沼袋駅前南側の交通広場予定地は、連続立体交差事業の事業促進のため、工事作業ヤードとしての活用予定があります。交通広場を除いた区間においては、区画街路第4号線認可期間内の完了に向け、用地取得交渉及び拡幅工事を進めてまいります。

○小杉委員 6年延伸された連続立体交差事業ですが、まだまだ知らないという方が多いです。町内会などの特定の団体のみならず、区民に知らせるべきではないでしょうか。事業施行期間の延伸については区報等で広報はなされていますが、沿線住民にとっては大きな関心事であり、その経緯等について東京都から説明がなされるべきです。改めて区は東京都に対し、沿線住民への説明会の開催を要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 当該事業におきましては、施行期間の延伸、これについて5月5日号の区報、また、関係各団体、また、各沿線5地区の地域ニュース、これらに掲載をさせていただくなど、広報についてはもう既に終えていると考えてございます。事業の延伸に関わります周知は図られたものと考えておりまして、改めて東京都に対し住民説明会の開催を要望する考えはございません。

○小杉委員 許可取得後、数年が経過し、権利者一人ひとりに現在用地取得交渉が実施されています。まちづくりは地域住民の合意に基づいて丁寧に進める必要があります。そこで、区は、今後、区画街路第4号線の拡幅対象の区有地の用地における拡幅整備についてどのように進めようとしていますか。見解を伺います。

○川野まちづくり事業課長 区画街路第4号線のうち、沼袋駅南側の旧NTT社宅跡地である900平米の一区画については現在解体工事を実施しており、10月中に更地化となる予定です。また、区画街路第4号線沿道の区所有用地である障害者福祉会館及び丸山塚公園については庁内調整により早期の拡幅整備を予定しており、調査や設計等を計画しております。

○山本委員長 総括質疑の途中ですが、質疑時間が超過しておりますので、ここで小杉委員の総括質疑は終了します。

 次に、市川しんたろう委員、質疑をどうぞ。

○市川委員 皆さん、おはようございます。お待たせをし過ぎてしまったのかもしれませんが、令和2年度第3回定例会に当たり、中野区議会自由民主党議員団の立場から総括質疑を行わせていただきますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

 質問に早速入らせていただきますが、質問は通告どおりで、その他の項目はございません。また、時間の関係上、質問を省略する可能性もありますが、理事者の皆様、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、商店街、各個店をはじめとした区内事業者への充実した経済支援対策について伺ってまいります。

 現在、新型コロナウイルスの影響によって地域経済、地域産業は大きな損害を被っております。東京都からの要請もあり、夜の飲食店をはじめとする繁華街においてはとりわけ深刻で、このままこの状態が続けば倒産、閉店が相次ぎ、中野区の地域経済の構造そのものが崩壊してしまう可能性すらございます。そんな現状に対して即効性のある短期対策、そして大きく傷ついた地域経済を根本的に回復させ、さらに強力なものに発展させていくべく中長期的な観点の対策をそれぞれ打っていくべきと考えます。

 まず短期的な観点に立った対策について伺いますが、国や東京都からの協力金、給付金などの支援はもちろん、中野区で言えば独自の融資支援、そして既存の商店街チャレンジ戦略支援事業などに見られるように、商店街や各個店に対して直接的な支援を行っていただいたところでございます。また、先日の企画課長からの我が会派の内川議員への御答弁の中でも、国と東京都の支援、そういったものの後にもしっかり引き続き地域経済への支援を行っていくとの御答弁がございました。加えて、この現状に対して抜本的な解決に向けて極めて重要なのは、消費者の購買意欲の促進、つまり消費行動の増進であります。

 そこで、一般質問の際に我が会派の大内しんご議員からも質問がございましたが、購入金額にプレミアム分が上乗せされるプレミアム付商品券について伺わせていただきます。

 東京都内の各自治体にもプレミアム付商品券について議論がされているところであります。それぞれ自治体の例を見てみると、プレミアムの上乗せを何%するか、それぞれでございますが、各自治体でも議論がされているところです。中野区はこのプレミアム付商品券事業について現在検討がされているのか、まず教えてください。

○堀越産業観光課長 現在、他区の実施状況等も参考に、中野区で行う場合のプレミアム付商品券事業の実施方法等について検討を進めているところでございます。

○市川委員 ありがとうございます。これまでもプレミアム付商品券事業というのは区独自、かなり期間は空いているのかもしれませんが、以前にもプレミアム付商品券事業、また、最近も国からの支援事業ということで行ってまいりましたけども、これまでのそういった事業に対しての課題、改善点、そういった精査をされてきているのか、教えてください。

○堀越産業観光課長 対象者を全く限定せずに一斉に販売いたしますと、販売所に多くの方が並んで密な状況が発生したり一部の方がかなりの数を購入してしまう可能性が生じる状況を感じ取ってございます。また、販売目的を生活支援等とし、対象者を限定して販売手続を煩雑にしてしまいますと売れ残ってしまいまして消費喚起には結びつきにくくなってしまうというような可能性が生じるところを感じ取ってございます。今回行う場合は、安全かつ簡易な方法でより多くの方に行き渡るような販売方法とし、特に苦しい状況にある業種への支援と併せまして区内消費の喚起を目指すことが必要と考えてございます。

○市川委員 ありがとうございます。そういったことを精査していただいているところであるとございました。量的な支援というのも大変重要なんですけども、質の部分、いわゆる商品券の購入者の皆様の側に立った事業構築が極めて重要であると私は考えます。先ほど検討されているというプレミアム付商品券を今後どのように生かしていくのか。また、これを庁内でどういった議論を今後していこうと思っているのか。想定しているのであれば教えてください。

○堀越産業観光課長 今後の検討でございますけれども、まず区民部の中で検討いたしまして、全庁的な会議にのせて検討していくというところを予定してございます。

○市川委員 そういった議論をしていただいて、この中における当該事業については購入者の側が幅広く使えるよう、例えば個店のみで使えるものと大型店舗でも使用できるものと種類を分けつつ、飲食店をはじめ様々な業種で使用できるものがいいと考えますが、いかがでしょうか。

○堀越産業観光課長 委員御指摘のように、商品券の種類を幾つかに分けて販売することも一つの方法であると考えているところでございます。様々な可能性について検討してまいりたいと思っております。

○市川委員 また、その商品券自体がどういったものかも大変重要ですが、これがどういったところで使われていくのか。全域にちゃんと波及効果があるのかということもかなり重要なポイントであると。使われている地域が偏りがないようにしていくということが極めて重要であるかと思いますが、どこで商品券引換え事業をしたり販売事業をしたりとか、使用できるか、これはもちろん消費者が選択することでもありますが、可能な限り区として分析し、対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○堀越産業観光課長 現在も過去のものにつきまして検証を行ってきたところでございます。昨年度とその前に実施いたしましたプレミアム付商品券事業につきましては区内の各郵便局で商品券への引換えを行ったものでございまして、その実施結果については業種、地域別の分析を行ってございます。交通の便がよい本局でございます郵便局での引換えが多少多かった点はございますが、地域での商品券の使用について各商店街からの特段の意見等はございませんで、地域的な偏りが生じている状況にはないものと捉えております。広く区内の各地域で使用されますよう、次回も地域的に偏在のない方法による販売などが望ましいと考えているところでございます。

○市川委員 今、御答弁の中に郵便局という言葉が出てまいりました。各地域に根差して日頃サービスを行っていただいている地域の郵便局を活用して拠点として販売場所として事業を行うことが、先ほど申し上げた商品券の使用地域の区内の波及効果という意味で、平準化という意味で大きく寄与すると思いますが、いかがでしょうか。

○堀越産業観光課長 御指摘いただきました郵便局につきましては次のようなメリットがございます。まず地域的偏在が少ないこと、あとは地域での認知度が高く、誰でも場所が分かりやすいこと、あとは高額金券を扱うに当たりましては金融機関として販売や管理に係る危機管理体制が整っております。また、中野郵便局と一部の局に当たりましては夜間や土曜、日曜、祝日などの窓口開庁も販売が可能であること、様々なメリットがございますので、過去2回のプレミアム付商品券事業でも郵便局を販売場所としていたところでございます。次回の実施に当たりましてもこの状況を踏まえて検討をしてまいりたいと思っております。

○市川委員 ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

 ここでもう一つ気をつけておかなければならないのは、おととい、9月16日ですかね、中央区の区役所でプレミアム買い物券、そういったものを買う際に1,000人以上の列がなされて、密過ぎ、文句を言う人たちで飛沫が飛ぶなんて言われて、1,000人の方々が殺到して3密の状態にあって役所は大混乱になった。こういったこともあったそうです。もちろん発行された商品券が人気が出ることは期待をしていますけれども、販売所において感染症対策は細心の注意を払う必要が引き続きあるかと思います。今後も検討段階からしっかり御議論いただく、そういったことを要望させていただきたいと思います。

 次に、中長期的な観点に立った対策について伺ってまいります。

 前回第2回定例会の一般質問の際にも私は申し上げさせていただいたんですが、これまでの中野区の観光政策、それは来街者、インバウンドに対してのコンテンツありきの取組だったのかなと、こういうふうに思っていた。しかし、この状況下では遠方からの来街者について取り戻すことは容易ではなくて、かつ時間も非常にかかる可能性が高い。そこで内需拡大型の観光需要を創出する必要がある、そういったふうに質問させていただきました。今後、そういった社会情勢に左右されないまちの観光の在り方を模索することが極めて重要になるかと思います。つまり、今回のような感染症だったり有事の際にも中野区内だけでも人の流れを生み出していく、そういった区民の回遊性をさらに高めていく、そういったものが今後の未来の中野の目指すべき形、アフターコロナで──ウィズコロナでもそうですけれども、中野の目指すべき姿であると、そういったものが地域経済の浮き沈みというものの縮小化につながるんではないかと考えます。

 そこで伺いますが、これまで中野において地域経済に寄与してきた来街者に対して様々な施策が行われてきた。また、来街者、インバウンドの皆様の中野区の滞在時間はコロナ前と現状で大きく減少しているかと思うんですが、区の認識をちょっとお伺いしたいと思います。

○堀越産業観光課長 インバウンドの数や滞在時間について区としてのデータは持ってございませんが、日本政府観光局の発表によりますと、今年7月の訪日外国人の数は前年同月比の99.9%減の3,800人でございまして、10か月連続で前年同月を下回ったとされてございます。また、中野区内におきましても、最もインバウンド等が訪れると見られております中野駅北口の商店街におきましては外国人の客は9割程度減っている。従来の1割程度は今でも来ているが、在住者かもしれないとの状況を聞き取っておりまして、区としてもインバウンドの中野区への訪問数は大幅に減少しているという認識でございます。

○市川委員 先ほど来街者という意味ではかなり減少している、こういった認識でいるんだろうと思います。その対策として先ほど申し上げた、日常型の観光、つまり地域住民の方が地域の魅力をしっかり理解し、中野の魅力を中野区民が再発見していくこと、地域内で日常を過ごすことによって、これまで区外に向けられていた消費が区内に向けられていく、そういったことが重要であると考えます。現在こういったことを想定して、区内で行われている事業は平成27年から始まった、そして7年経過したなかのまちめぐり博覧会があると思います。こういった事業の拡大が先ほど申し上げた回遊性を高めていくということにつながると思います。

 そのまちめぐり博覧会ですが、令和元年度の決算説明資料のうち、主要施策の成果の中でも回遊性向上のために新たな取組を行う等の改善を行いとございます。この改善点についてお伺いをいたします。資料の中を見てみると、区外の来場者の数及び来場者に占める割合が35%から42%に増加をした。新型コロナウイルスの影響がいつまで続くか分からない中、区外、要するに区内在住以外の方、来街者の方に来ていただく可能性は今後かなり減少する可能性が高いと思っています。そういったことを考えますと、近隣、特に区内在住の方々に来場していただく、来場増加が見込めるようなさらなる事業展開を目指すべきと考えますが、区の認識と改善策を検討されているか、教えてください。

○堀越産業観光課長 10月から予定されてございます区のGoToトラベル事業で東京都が対象に加わったといたしましても、遠方や海外から多くの観光客の来訪は難しいと予想されておりますため、当面区民や近隣の来街者を中心に観光施策を展開していく必要があると考えてございます。今年度のなかのまちめぐり博覧会は中止となってございますが、来年度以降の開催に向けまして区民の回遊性を高める新たな仕組みが必要と考えております。そのため、現在進めておりますテークアウトの推進、商店街のキャッシュレス化、検討中でございますプレミアム付商品券事業など、区内消費の喚起を目的といたしました取組の効果とつなげていくことなどについても検討していきたいと思ってございます。

○市川委員 ありがとうございます。そういったことで言うと、改善策の中にもあるんでしょうけども、イベントの内容についても精査、さらなるコンテンツの強化、そういったことは必要不可欠であると、そういう認識でいただいていると思います。

 今後イベントの開催ができるかが大きな前提として問題があるわけですけども、ウィズコロナ、そしてアフターコロナに新たな開催基準を明確に示す必要があるんだろうと思います。そういったことを示すことによって、地域のイベント、町会だったり商店街だったり、そういった方たちも安心して、そして安全にイベントに踏み込める、そういったことをする必要があるかと思いますが、今後の見通しをお示しください。

○堀越産業観光課長 新たな開催基準についてでございます。現在、区内で行われておりますイベントにつきましては、おのおのの実施主体が東京都が示しておりますガイドライン等に基づいて運営を行っているものと捉えてございます。今後の新型コロナウイルス感染症の状況によりましてはガイドラインの内容も変わっていくと思われますが、なかのまちめぐり博覧会につきましてもそれを踏まえまして開催基準や運営ルールなど判断を行っていくことになるものと考えてございます。また、区の地域活動推進課が作成しております中野区区民公益活動団体向け新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインについても参考として実行委員にお示しをしていく予定でございます。

○市川委員 ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

 それら今までお話しされたような改善策だったりとかそういったことを実行していくためにはもちろん行政コストの増加を見込んでいかなければならない、このように思います。もちろん中野区からの負担金だけではなくて、団体や企業からの協賛金等の事業費を構成している。そういった中で公民の役割、そして負担のバランスというのは考えるべきだと思うんですが、許容される範囲の中で予算措置の増加を求めていくべきと考えます。そして、今後のまちめぐり博覧会事業のノウハウを生かして、これまで事業に御協力いただいた全ての方々とともに議論をして、ウィズコロナ、アフターコロナに向かって、そして未来の中野にとって何が本当に地域の魅力となっていくのか、地域の魅力を持って回遊性を高めることができるのか、新たに事業を創設させていくべきなんではないかなと思いますが、担当所管としての認識をお示しください。

○堀越産業観光課長 現在、なかのまちめぐり博覧会は区内の各団体、企業を構成員といたしました実行委員会が開催主体となってございます。新型コロナウイルス感染症の影響下では、来街者向けの大規模イベントだけではなく、地域団体等が主体的に実施いたします小規模なイベントなどにつきましてもスケールメリットを生かして発信力を高めるなど支援をしていくこと、また、回遊性向上の視点も持ちながら新たな取組や仕組みを考える必要があると考えてございます。今後、新たな手法を用いた開催方法についても実行委員会とともに検討してまいりたいと考えてございます。

○市川委員 ありがとうございます。

 また、先般の一般質問でも我が会派の若林議員からもございました。先ほど申し上げた区民の皆様に区内でどのように過ごしていただくのか、回遊性を高めていくことについて一つの例としてマイナンバーカードを活用した自治体ポイントの創設が想定できるんじゃないか。中野区内で利用できる自治体ポイントを創設することによって回遊性を高めていくことにも寄与できるかと思いますが、そもそも自治体ポイントについての御見解を教えてください。

○平田情報システム課長(企画部参事事務取扱) 自治体ポイントでございますが、健康増進や区内経済の活性化、また、観光など区内回遊性の向上などへの活用が考えられるところでございます。また、一方でポイントの管理の煩雑さや運用コスト、またポイントを使える場所の確保などに課題があると考えてございます。

○市川委員 そういった自治体ポイントは、このマイナポイント、今、3月までの事業になっていますけど、マイナポイントは大変大きな話題になっていますが、そういったものの上乗せ分としての活用は想定されなかったんでしょうか。

○平田情報システム課長(企画部参事事務取扱) 今回の自治体ポイントにつきましては、平成31年3月、マイナンバーカードを活用した消費活性化策として国から通知がございました。また、令和元年10月から参加店舗の募集を行うスケジュールを示されたという経緯がございます。しかし、先ほどの課題を解決できる目途が立たなかったということから導入を見送ったものでございます。

○市川委員 自治体ポイントをマイナポイントの上乗せ分として取り扱うことはしなかった。そしてその締切りは終わっているということでございますので、今後それを使うことは不可能でありますけども、現在国が使用しているシステムそのもの自体を活用するというのは可能なんでしょうか。

○平田情報システム課長(企画部参事事務取扱) システムにつきましては、情報システム課で総務省に問い合わせましたところ、マイナポイントのシステムの継続使用につきましては現在検討中ということでございます。国が継続してくれれば自治体が利用することは可能でございます。

○市川委員 国が検討中である。どっちに振れるか分からないんですけども、仮にその活用ができなかった場合、独自のシステムを構築しなければならないわけでございますが、そういった場合に想定される費用、スケジュールはどれほどのものでしょうか。

○平田情報システム課長(企画部参事事務取扱) 現在のマイナポイントの仕組みと同じ民間キャッシュレスサービスに連携させようとした場合は、国のシステムが利用できないとしますと、区が独自で自治体ポイントを民間キャッシュレスサービスに変換する仕組みを構築しなければなりません。システム費用につきましては、事業者から現在まだ見積りを聴取していない状況ですので積算はできませんが、スケジュールにつきましては、既に実施している団体に確認しましたところ、商店街との調整なども含めまして準備期間に1年程度かかっているということでございました。中野区が実施する場合にも同程度の期間が必要だと考えてございます。

○市川委員 そういった予算のことも含めて今おっしゃられたスケジュールの話についてはかなりハードルが高いというわけでございます。逆にそういうことであれば、現状で何か行われている事業に組み込んでいくということが予算的にもスケジュール的にも現実的であると思います。本年11月から本格的に開始をされる中野ブロードウェイでのキャッシュレス決済事業、こういったものがございますが、そういった事業と連動させて進めていく、そういったことは想定できるか、教えてください。

○堀越産業観光課長 商店街のキャッシュレス化推進は、中野ブロードウェイ商店街振興組合におきまして東京都の補助制度を活用したモデル事業に着手するところでございます。今後のこの進捗状況や結果等を捉えて他の商店街の導入を促せますよう区内展開を目指していきたいと考えております。このモデル事業は現在は主に新型コロナウイルス感染症対策として導入を進めているところでございますが、キャッシュレス決済の普及は消費者の利便性の向上や区内消費の喚起にもつながるものでございます。このキャッシュレス決済の基盤を活用いたしました自治体ポイント事業について区として研究を進めていくことが必要であると考えてございます。

○市川委員 そういった意味でも今後そういったコロナ禍においての想定の事業だった。しかし、そういったものも組み込んでいけば、さらなるブラッシュアップをされていくんではないか、そういった考えだと思うんですが、こういったものをモデル事業として中野区全域に広げていく、そういったことが重要であると考えます。そのような考えの下で事業継続が行われていくのかということでよろしいでしょうか。

○堀越産業観光課長 当面は区内のキャッシュレス決済が普及することによります利便性向上や消費行動の活性化が主な目的となるところでございます。こうした基盤を構築していく中で自治体ポイントのような付加価値があれば、さらに普及につながると考えてございます。区全体の電子化と併せまして商店街などとも連携しつつ検討してまいりたいと思ってございます。

○市川委員 これまでお話をしていた自治体ポイント以外にも、高齢者がまちを歩いて健康増進を促す健康ポイントだったり、今後、議論にもよりますが、地域活動に若い方々に参加をしていただくために、有償ボランティアポイント、環境活動に伴うエコポイント、それぞれいろいろなポイントの形があって、今後マイナンバーカードのICチップの空き容量を活用していく、こういったことも検討していく、さらに研究がされていく、そういったことであると思いますが、それらの事業はまちの回遊性を高める一つの要因になるかと思いますので、ぜひ御検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、今後の地域経済の発展を願って次の項の質問に移らせていただきます。

 次に、平和の森小学校をはじめとした今後の学校施設の再整備計画について伺ってまいります。

 先般新しく建設された美鳩小学校、みなみの小学校の内覧会に行ってまいりました。校舎は児童数に応じた教室数が確保され、普通教室は既存の寸法よりも大きく整備がされて、音楽室などの特別教室や今までの学校にはあまり見られなかったランチルームと多目的室を一体的に整備するなど多機能なスペースとして活用でき、効率的、効果的な施設の配置であり、大変開放感があった。きれいで、内覧会に行った方々からも感嘆の声が大きかったわけであります。それぞれの校長先生からも、今から校舎を見た子どもたちの笑顔が見れる、本当に楽しみだな、そういったお話もございました。そういった学校施設というのは、やはり教育施設としてだけではなくて、震災、風水害などの自然災害時の避難所としての機能や役割があって、地域のコミュニティの中心でもある。そういった意味で考えると、学校施設は地域の財産、そういうことなんだなということがよく分かった内覧会でした。

 しかし、区は、その新しい学校校舎の建設に対して非常に後ろ向きな対応を最近目にすることが多い。例えば何の前触れもなく事業を停止してしまった本郷小学校、そして計画を示すことができずに地域の方々との溝が埋められず、地域の方々から不信を招いてしまっている桃園第二小学校、不安の残るものが多々ございます。そもそもこういった学校施設の整備計画が進められないことに対して担当課長はどのようなお考えを持っていますか。

○塚本子ども教育施設課長 小・中学校施設の改築時期については見直しをさせていただくこととなりましたが、学校施設における良好な教育環境、これはしっかりと確保していく必要があると考えてございます。そのために必要となる維持補修、そして改修につきましては適切に実施をしていきたいというふうに考えてございます。

○市川委員 根本的なことをお伺いするんですけども、今現在、学校施設の整備については何の計画にのっとって進めておられますか。

○塚本子ども教育施設課長 小・中学校の改築整備につきましては、中野区立小中学校施設整備計画、こちらに基づいて進めさせていただいております。

○市川委員 その今お話しいただいた計画が計画どおりに進んでない理由は何ですか。

○塚本子ども教育施設課長 学校施設の改築につきましては、学校敷地、そして近隣地域、そういった個別の事情等によりまして着手時期の延期ですとか整備期間の延長など、そういった一部の変更はございましたが、基本的には中野区立小中学校施設整備計画に基づいた整備を進めてきたところでございます。今回の中野本郷小学校、そして桃園第二小学校の改築時期見直しにつきましては、今後数年間にわたり財政状況の悪化が見込まれることを踏まえまして、単年度当たりに学校改築が集中する、そういった事態を避けることも含め、今後の学校改築整備スケジュールの全体の見直しを行うこととしたものでございます。

○市川委員 こういったコロナの影響によって財政の見通しが悪くなった、そういったことも要因である、そういうことでお話をいただいたわけですけども、予算編成の中において子どもたちの教育環境の整備というのはどんなものにも代えられないと思うんですね。これまでも様々な委員の先生方から御指摘があったように、未来への投資というお話もございました。そういった中で、先ほど教育委員会から計画について御答弁がありましたけども、しかし、行政報告の中では区立小・中学校をはじめとした区有施設の改築、改修計画の見直しを検討とありますが、教育施設を後回しにしているという、予算がどうのこうのではなくて、それを後回しにするんだよといういうメッセージに受け取れるんですけども、見解はいかがでしょうか。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 学校再編による学校施設の改築につきましては計画どおり進めることとしておりますが、今後の財政負担に鑑み、単独の学校施設の改築につきましては整備スケジュールの見直しを検討しているところでございます。同時期に多くの学校が建て替え期を迎える状況の中、対象となる全ての学校で子どもたちの良好で安全な教育環境を維持していくために必要な見直しであると考えております。

○市川委員 今お話しいただいたことについては、来年の8月の基本構想・基本計画に合わせて小・中学校の施設整備計画、そういったものを策定して提案をするというお話がございました。これは来年できるのかどうかも非常に極めて疑問でございますけども、そのスケジュールについては来年の8月ということで間違いがないのか、確認させてください。

○塚本子ども教育施設課長 新たな基本計画、そして区有施設整備計画の策定に合わせまして、中野区立小中学校施設整備計画、こちらの改定につきましても令和3年8月に進めさせていただきたいというふうに考えてございます。

○市川委員 ということは来年まで、先ほど本郷小学校、桃園第二小学校という例を出ししましたけども、今後の学校施設の改築計画については来年までは中断するということでよろしいですか。

○塚本子ども教育施設課長 改築整備が中断するというよりは、改築整備を進めていくために現在は見直し、検討の期間を設けさせていただく、そういった考え方でございます。

○市川委員 それは止めたということなんだと思うんですけども、学校施設については多額の予算がかかるわけです。それは十分承知していますが、先ほども申し上げたように、子どもたちの教育環境の整備については何よりも優先をされるべきものと考えます。本郷小学校、桃園第二小学校の後にも学校施設の再整備はめじろ押し、そういった状況でございます。今後はコロナウイルスの影響下において税収が減って、厳しい予算編成が強いられるということは、先ほど申し上げたように、これまで多くの先生たちから御指摘があった。それもいつまでこのコロナ影響下が続くか分からない。その中で執行していかなければならない。そういうふうな事業が教育環境の整備なんだろうと思います。それでもアイデア次第によっては学校施設について予算を抑えながら整備を行っていける可能性も私はあると思っています。

 例えば、現在、医療機関の誘致が行われている旧第九中学校の跡地、そういったものがあって、桃園第二小学校付近の町会の方々からも旧第九中学校を仮校舎にしてくれと要望もございます。仮に旧第九中学校を仮校舎で使用する場合、事業費はどれぐらいかかると想定できますか。

○塚本子ども教育施設課長 旧第九中学校の校舎、こちらを小学校の校舎の代替校舎として利用するためには、まず校舎部分耐震補強工事ですとか屋上防水、そういった外装の改修、そして教室や給食室などの内部の改修、あるいは各設備機器等の交換、そういったところが必要になると考えられます。実際には数億円規模の費用が必要となるものと想定してございます。

○市川委員 数億円というかなり幅のある範囲でございますけれども、ただ、数億円というお金はかなり莫大なものになるわけです。この総括質疑の中でも億単位のお金を捻出するのがどれだけ大変なのかという議論をされてきていますので、これは莫大な金額であります。しかし、桃園第二小学校の建て替えのためだけというか、その単独事業のためにその事業費がかかるとすれば、確かに子どもたちの教育環境は何にも代えられないと先ほど申し上げましたけども、さすがにこの規模で考えると尻込みしてしまう、そういうこともあるだろう。

 しかし、この桃園第二小学校以外にこの旧第九中学校の付近には谷戸小学校、桃花小学校、塔山小学校と、今後建て替え、再整備が行われる予定の学校が多数ございます。ということは、桃園第二小学校を皮切りに今挙げた小学校をそれぞれ再整備の際に仮校舎として使用できるハブ校舎のように使用するというのは、旧第九中学校を整備して、それをハブ校舎のように使用するということは御提案できるかと思うんですけども、これについてはいかがですか。

○塚本子ども教育施設課長 まず旧第九中学校校舎の敷地の今後の取扱いにつきましては、来年度策定されます新たな基本計画、そして区有施設整備計画の中で定められていくものというふうに考えてございます。谷戸小学校、桃花小学校、塔山小学校、それらの改築につきましては、それぞれの校舎、そして敷地、周辺道路等のそういった状況を考慮しまして、併せて代替校舎の確保の可能性、そういったものも含めてあらゆる方策を検証して検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

○市川委員 費用の面においても効果的というお話もあると思うんですけども、今挙げた学校については全て現地建て替えが想定されて、お話もございましたけれども、仮校舎がある場合、ない場合、どれくらいの期間が短縮できるのか。予算圧縮だけじゃなくて、スケジュール全体の今言った4校の施設整備の計画の期間をどれぐらい圧縮できると想定できますか。

○塚本子ども教育施設課長 代替校舎を利用しながら学校施設を改築する場合にはおおむね2年半ほどの整備期間を想定しているところでございます。それに対しまして代替校舎を利用しないで学校敷地内に仮設校舎、そういったものを設置して改築を行う場合にはおおむね6年程度の整備期間が必要であると想定してございます。比較しますと、約3年半ほど整備期間が長くなるものというふうに想定してございます。

○市川委員 仮に短縮ができるのではないかという想定のお話があったんですけども、今、来年の8月に学校施設に関する整備計画も出して、そういったことが若干計画を策定するのが遅れているということもあって、そういう計画の遅れを取り戻すことだけではなくて、子どもたちを取り巻く教育環境にもいい影響を与えることが可能になると考えますが、いかがでしょうか。

○塚本子ども教育施設課長 代替校舎を利用することによりまして整備期間につきましては大幅に短縮することができる。そして仮設校舎の設置が不要となる。整備にかかる費用の縮減も同時に可能であるというふうには考えられます。結果といたしまして、各学校施設の改築整備にもそれぞれ効率的に取り組むことができるものというふうに考えられますので、小中学校施設整備計画全体の推進にも資するものであるというふうに考えております。また、仮設校舎を設置する場合と比較しまして、代替校舎を利用することによってより良好な教育環境が確保できる、そういったことから児童・生徒にとっても望ましいものであるというふうに考えてございます。

○市川委員 一つのアイデアとして今お話をさせていただいたんですけども、今言った4校以外にもそれぞれ今後も学校施設があるので、それも同じように現地建て替えの学校とかもあるんで、そういったことで言えば、同じような共通項の多い部分のお話なのかなと思いますので、今後も検討を進めていただきたいと思います。

 これまで聞いていても、今後の子どもたちの未来の教育環境の整備については不安が残るわけでございますが、もう一つ、今後重要な判断が求められる学校がございます。それは平和の森小学校の土地買収、そして新校舎の建築であります。これまでも幾度となく整備が遅れてきた経緯のある平和の森小学校でございますので、地域の方々も一日も早い整備を心待ちにしております。用地買収については今後どのような過程で行われるのか。また、いつまでに買収を完了させなければならないと考えているか、教えてください。

○吉沢経理課長 旧法務省矯正管区敷地の取得につきましては、国による地下埋設物等の掘削調査、本調査及びその撤去対策費用の第三者チェックが終了しまして、土地の売買に係ります国の予定価格決定手続が本年11月に終了予定、見込みになったことから、令和3年1月下旬以降に売買契約の締結の見込みとなったものであります。国の予定価格の有効期限が令和3年3月末ということでありますことから、今年度内には売買契約締結を完了させなければならないというふうに考えてございます。

○市川委員 今年度までに用地買収を済ませる、売買契約を済ませるということでございますが、今後、議会にはどんな形で報告する予定なのか。もしくはいつまでに議決をする必要があるのか、教えてください。

○吉沢経理課長 用地の取得につきましては今定例会の総務委員会におきまして報告をさせていただく予定でございます。また、第4回定例会におきまして、用地購入に係る補正予算及び用地取得の議案を提出しまして、その後に国と用地購入に係る見積もり合わせを行います。その後、国の売却決定手続につきまして、見積もり合わせから売買契約締結まで約1か月半の期間を要するということですので、今年度内に売買契約締結をするためには第4回定例会での議決が必要ということになります。なお、用地取得の議案につきましては第4回定例会の一般議案として御提出をさせていただく予定でございます。

○市川委員 今、一般議案というお話があったんですけど、きのう高橋ちあき議員からも御指摘があったように、先議、そういったお話がありました。一応確認なんですけども、先議が最近非常に多くなってきているんですけど、第4回定例会において補正予算を組んで先議するということはないですよね。それは確認のために教えてください。

○森財政課長 先議につきましては、昨日の御質疑等にもございましたが、当然早期に対応する必要がある案件があると、そういった必要があるということでお願いするということで補正予算についても対応してきたところでございまして、当然そういったことを踏まえて適切に対応する必要があると考えております。

○市川委員 先議にするということはない、要するに一般議案を想定しているということでしたので、今後、第4回定例会までに議決をしなければならないということでございますんで、しっかり議会に提示をして議論をする時間をしっかり取って議決にまで行けばいいなと思っています。確認ですが、どちらでしょうか。

○森財政課長 そこは当然適切に対応する必要があるとは考えてございますので、ちょっと今この段階でまだ補正予算の編成は行っておりませんので、どうするかということについてはあれでございますが、当然先議の要件ということもしっかり踏まえて対応していきたいと考えています。

○市川委員 先ほどは一般議案でと御担当の方はおっしゃっていて、財政課の御担当の方はいろいろな要素を踏まえてというお話があったんですけど、これは結局決まっていないということですか。先ほど一般議案でという話をしていたんですけど、まだそれは査定の中で決まっていないということですか。

○吉沢経理課長 先ほど御答弁申し上げました一般議案につきましては、用地の取得の議決についてを一般議案でということで想定しているということで御答弁さしあげました。今、財政課長のほうから御答弁申し上げたのは補正予算の議案についてということで認識してございます。

○市川委員 分かりました。時間もちょっとないんで次に。しっかり検討して進めていただくように要望したいと思います。

 購入する際には区が国に対して土地の利用方法、利用計画、つまり校舎のアウトラインなどを示す必要性があるかと思うんですが、これは間違いないでしょうか。

○吉沢経理課長 平成30年度におきまして区が国に提出をしました当該財産に係る取得要望におきまして、用地取得後の利用用途は学校用地及び道路用地としてお示しをしました。また、令和元年度財務本省によります国有財産中央審議会への付議に向けた区の提出資料の中では旧中野刑務所正門を含めました校舎等の配置案をお示ししております。

○市川委員 そのアウトラインをお示しいただいているものの中に門の保存方法についての計画、そういったものを示されていますでしょうか。

○吉沢経理課長 国のほうに示しました校舎のアウトラインの中では、旧中野刑務所正門を現地保存とした平面図等の案として御提出をしております。

○市川委員 そのお示しいただいているものの中で校舎建築についても伺わせていただきたいんですが、校舎、グラウンドの形状については旧中野刑務所正門の保存方法が大きく形状に影響するかと思います。先般我が会派の伊藤正信議員の一般質問の中で、平和の森小学校の校舎建築の計画に関する質問への答弁の中で、門の取扱いに関しては再検討している、そういった御答弁もございましたが、そこで伺わせていただきます。この平和の森小学校、今後、新校舎建設完成までのスケジュールの見込みをお示しください。

○塚本子ども教育施設課長 平和の森小学校新校舎につきましては、今、委員御指摘ございましたように、建設予定地内にある旧中野刑務所正門、こちらの取扱いについて再検討を行っているところでございまして、新校舎整備計画の策定作業についても中断をしているところでございます。そのため、新校舎の整備スケジュールにつきましては現時点では未定ということでございます。

○市川委員 今申し上げた中にも再検討という言葉が出て、再検討というのは何を検討しているのか教えていただきたいと思います。

○塚本子ども教育施設課長 旧中野刑務所正門の今後の取扱いについての再検討でございます。

○市川委員 再検討というのは教育委員会でも再検討されているんだと思うんですけども、例えば旧中野刑務所正門についての門に係ることで何か検討していることがあったら教えてください。

○矢澤文化国際交流担当課長 旧中野刑務所正門の取扱いにつきましては、議会におきまして曳家移築を含めた多角的な検討をするべきではないかという御議論がありました。その後、昨年実施しました旧中野刑務所正門学術調査によりますと、正門の曳家につきましては技術的に可能であることが分かり、当初の方針決定に係る前提の一部に変更が生じたため、取扱いについて現在再検討しているところでございます。

○市川委員 検討している期間が非常に長くなってきていて、去年の第4回定例会一般質問の際にも、またそして第1回定例会の総括質疑のときにも区長からも現地保存、曳家を含めて多角的に検討する、そういった御答弁があったと思うんですけども、これは結論が出るのは何をもって結論を出すのかちょっと教えていただきたいんですが。

○矢澤文化国際交流担当課長 区として改めて方針を決定するに当たりまして、文化財保護審議会で出された答申、それから教育委員会で出された意見回答文、そして議会の意見などを踏まえまして、第4回定例会におきまして旧中野刑務所正門の取扱い方針案をお示しする予定でございます。

○市川委員 第4回定例会、お話がございましたので、ぜひしっかり議論させていただきたいなと思っております。

 曳家建築というお話、現地保存と曳家建築といろいろなことを検討しているということがあったんですけども、曳家の移築をした場合、新校舎建築までにかかる費用、期間、これはどれぐらいを想定しておりますでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 詳細な調査を行わなければ確定はいたしませんが、現時点の想定ですと、曳家移築の場合、基本計画、基本設計、実施設計、曳家移築工事などで約5年から5年8か月の期間が見込まれ、概算経費として4億9,596万円と見込んでおります。

○市川委員 ということは曳家移築した場合は約5億円要することになります。これはあくまで移築、そういったものの費用だと思うんですけど、これは門を保存だったりとか公開をするための経費というのは5億円の中に含まれているんですか。

○矢澤文化国際交流担当課長 曳家にした場合の概算経費の中に門の保存や公開に関する経費は含まれてございません。

○市川委員 そうした場合に特定財源が使えるのかどうかということもあると思うんですけど、それはいかがでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 現状ですと全て一般財源になると見込んでおります。

○市川委員 保存、公開の経費というのは全て一般財源で負担するとのことがありましたけども、経常経費を20%削減するという目標を掲げながら門に5億円プラス後年度負担経費、曳家移築だった場合、それを要することになると思うんですけども、今後の財政の観点から考えると非常に難しいと思いますが、担当の課長からはどう思いますか。

○矢澤文化国際交流担当課長 今回文化財保護審議会から出された答申におきましては、旧中野刑務所正門は文化財的価値があると述べられております。そのため、文化財の担当といたしましては旧中野刑務所正門は保存の必要があると考えておりますが、その取扱いにつきましては他の条件も踏まえまして全庁的に検討し、方針を決定していくことと考えてございます。

○市川委員 全庁的、恐らくその経費がかかる、予算措置をしなければならないということから様々なところからの意見も聞くということだと思いますが、これは通告していないんですけども、財政に関わる話ですので財政課の観点を教えていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○森財政課長 先ほど担当課長が申したとおり、全庁的にしっかり議論をしていくということでございます。当然予算編成にあってもさまざま条件等を議論しながら予算編成の中で検討していくということになろうかと思います。

○市川委員 ぜひ議論していただきたいと思います。この新型コロナウイルスの影響下においてはかなり難しい。保存方法はいろいろあるんですけど、いずれにしても難しい判断になるんではないかと思います。先ほど御答弁いただいた費用、期間、費用対効果としての妥当性があるのかどうかも検討しなくてはならない。どんな結論が出ようとも検討結果を納得を得られる説明をする時間が必要となります。先ほどの土地の買収の議決がされる前にそういった議論もしっかり行っていただきたいと思いますが、担当の方のお考えをお聞かせください。

○矢澤文化国際交流担当課長 旧中野刑務所正門の取扱いにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、文化財保護審議会の答申や教育委員会からの意見回答文、そして議会での御意見、議論も踏まえまして、費用や期間等の条件も検討した上で区として方針案を決定し、報告したいと考えてございます。

○市川委員 ここまで質問させていただいてきまして感じたのは、行政としての責任というのは、計画をしっかり定めて、スケジュールを明確に示し、そしてそれを着実に進めていくことこそが区民からの信頼につながる、そのように思います。現在そういった状況であるとは私は思えません。このような混乱には終止符を打っていただきたい、そのように思います。

 酒井区長は子育て先進区を選挙公約として掲げて当選を果たされた。その子育て先進区というのは、子育て世代のお父さんやお母さん、そういった方たちのため、子育てしやすい環境をしっかり整備していく、そういうこともあるんでしょうけども、一番基本にあるのはやはり子どもたちの未来のため、そういったことがあるんだろうと思いますので、ぜひ今後は子どもたちを取り巻く教育環境を最優先にして学校施設の整備を行っていただきたいと願って、次の項の質問に移らせていただきます。

 次に、職員の働き方についてお伺いさせていただきます。

 中野区役所だけではなく、全世界で新型コロナウイルスの影響によって働き方の見直し、検討、そして様々な対策が取られており、今後も新型コロナウイルス感染症を踏まえた働き方については長期化していくのであろうかと思います。中野区でも在宅勤務がコロナウイルスの影響によって開始をされておりますが、現在の職員の皆さんの在宅勤務の運用状況について教えてください。

○中谷職員課長 緊急事態宣言下では、職場における密集を避け、クラスターの発生を防ぐ必要性の高さから、自宅でできる仕事がある場合は原則として在宅勤務することとしていたため、ピーク時には1日につき全庁で300人程度の職員が在宅勤務をしておりましたが、緊急事態宣言解除後は運用の基準を改め、原則在宅勤務ではなく、在宅勤務ができるようにしたところ、8月の実績では1日につき全庁で15人程度の運用状況となってございます。

○市川委員 在宅勤務、数は徐々に減ってきている。それはパソコンを自宅に持ち帰れない。個人情報だったりそういった観点から考えてですね。役所で働くときに比べて効率がどうしても悪くなってしまう。そういったことも大きく関わってくるんだろうと思います。その中でこれまでの在宅勤務の成果、そういったものはどういったものがあったのか、伺います。

○中谷職員課長 これまで在宅勤務は全庁で合計で4月から8月までの実績で約1万3,000件やっているところなんですけれども、職場の出勤率を抑え、新型コロナウイルスの感染拡大や職場におけるクラスターの発生を防止するために一定の効果があったというふうに考えてございます。

○市川委員 効果があった、そういったことも御議論があったんでしょうけども、普通の正規の職員の方以外にも多くの会計年度任用職員の方も中野区役所で働いていただいています。そういった方々も在宅勤務を行っていたのか。もし在宅勤務を依頼したのであれば、その数、在宅勤務の業務内容と成果、これもさらにお示しいただきたいと思います。

○中谷職員課長 会計年度任用職員につきましては、その職務の内容に応じて、在宅勤務が可能な業務の場合に所属長の判断により在宅勤務をすることができることとしてございます。ほとんどの会計年度任用職員が対象にはならないと考えておりますが、専門職の一部には対象になるものもあると考えてございます。実際の運用では各所属長の判断になりますので全て把握しているわけではございませんが、財務分析等会計専門員や広報アドバイザーで実施したということを聞いてございます。財務分析等会計専門員は財政白書の作成に関する業務を行い、広報アドバイザーは区報原稿やホームページ、チラシ、ポスターなどのデザインの調整や作成、修正のアドバイスといった業務を行ったというふうに聞いてございます。

○市川委員 今、専門性の高い職務、そういった会計年度任用職員の方もいらっしゃるというお話もあったんですけども、令和2年度の第3次補正予算の中で保険料減免、そういった手続や確定申告の申請期限の延長に伴う保険証の差し替え等に対応するために、ほかの職員でもカバーできるような業務、そういったものを行っている会計年度任用職員の方もいらっしゃいます。今、担当課長のほうからはかなり詳しく分析がされていると思いましたので、今後、会計年度任用職員の採用、そういった数も含めてバランスをうまく検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中谷職員課長 会計年度任用職員の採用に当たりましては、業務量や人件費を精査するとともに、常勤の職員で対応できないのかといったことを十分検討した上で判断していく必要があるというふうに考えてございます。

○市川委員 ちょっと質問を省略させていただきたいと思いますが、先ほどの成果の話にちょっと戻らせていただくんですけども、各部での取扱いが多い、そういうお話だったんですけども、それぞれに報告がされているとのことでしたが、報告の方法については統一がされているんでしょうか。

○中谷職員課長 所属長に対して復命書を提出することになってございまして、様式など報告の方法は統一をしているところでございます。

○市川委員 その各部の報告については管理はどのようにされておられますか。

○中谷職員課長 在宅勤務を行った職員が上司である所属長に報告することになってございますので、各所属長が管理をしてございます。

○市川委員 先日の質疑の中でもあったように、今後11月から新たにテレワークに関する環境整備が行われる。そういった意味では、報告の方法だったり報告の管理、そういったものを一括管理する必要があるかと思います。各部課ごとに在宅勤務率に差が出てきている。そういった現状があるかと思うんですが、部内、課内でどなたが在宅勤務を職員に指示し、管理しているのか、教えてください。

○中谷職員課長 在宅勤務をしようとする職員が上司である所属長と相談をして、自宅で行う業務の内容や量を確認した上で在宅勤務の可否を判断しているところでございます。

○市川委員 ちなみに、この部内、課内において誰を本庁勤務、そして誰を在宅勤務、これを分ける基準というのはどういった基準になっているんでしょうか。

○中谷職員課長 特にこういった基準でやるということはございませんでして、職員が自宅でできる業務とそうではない業務がございますので、職員の所属や担当する業務の内容によって個々に判断をしているところでございます。

○市川委員 そういったことがあると、職員間での働き方に対して格差というか、隔たりというか、乖離性が生まれると思います。そうすると、不満が募る方もいるかと思いますので、そういったことがないように今後検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中谷職員課長 どうしても職員が自宅でできる業務とそうでない業務がございますので、職員の所属や担当業務の内容によっては在宅勤務できるかどうかに差が出てしまうということは一定程度やむを得ないというふうに認識はしてございます。今後はテレワーク環境の整備によって自宅などでできる業務の種類を増やすとともに、在宅勤務を希望する職員を在宅勤務しやすい職場へ配置をしたり、在宅勤務しやすい事務分担とするような配慮ができるような仕組みを検討していく必要があるというふうに考えてございます。

○市川委員 今後もさらに検討を進めていただきたいと思います。これで状況を監査、チェック、そういったものをちゃんとしっかり行っていくということが重要だと思いますので、ぜひ担当課長には今後も前向きに検討していただきたいと思います。

 この項についてはまだ質問があったんですけども、時間の関係上省略をさせていただいて、後の加藤たくま委員の質疑、それに託して、私の全ての質問を終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

○山本委員長 以上で市川しんたろう委員の質疑を終了します。

 ここで休憩にしたいと思います。

午後0時00分休憩

 

午後1時00分開議

○山本委員長 それでは、委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 次に、河合りな委員、質疑をどうぞ。

○河合委員 令和2年度第3回定例会決算特別委員会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。質問は通告のとおり、その他はありません。

 令和元年度決算について、まず財政白書の2ページの表1、普通会計決算の財政指標等を確認しても大変堅調な財政運営が数字から読み取れました。ありがとうございます。多くの同僚議員がここまで決算の堅調性を確認してきましたが、私からはまた別の視点で同誌の22ページ、財政指標にみる健全性・弾力性と28ページからの普通会計決算の比較分析と、都ホームページより令和元年度東京都特別区普通会計決算の概要を交えて質疑させていただきます。

 31、32ページを見ますと、特別区の中でも、実質収支比率、経常収支比率ともにおおむね安定的な範囲です。変化を追うと、ここ5年間は振れ幅も少ないようです。他区と比較した場合をどうお考えでしょうか。

○森財政課長 まず実質収支比率でございますけれども、令和元年度の数字というのは23区中2番目に低い数値というふうになっているところでございます。元年度については望ましいとされる範囲を下回っておりまして、今後、新型コロナウイルス感染症の拡大により一般財源が落ち込むことが想定されることから、そういった実質収支の数字なども意識しながら財政運営に努めていく必要があるかなと考えております。

 経常収支比率については23区においては平均的な数値というふうに言えるかなと思っておりますが、扶助費や物件費が増加傾向にあることから経常経費の見直しなども考えていく必要があると考えております。

○河合委員 財政の全体の伸びなどの動きも東京都と近いので、歳入歳出は特段中野区の状況が上向きというわけではなく、東京都全体で上がっているようです。令和元年度東京都特別区普通会計決算の概要より、実質収支比率が渋谷区は11.8%や葛飾区10.2%、適正範囲のおおむね3から5%より大きく外れている区も多くあります。区の適正な財政運営に努める姿勢をそこから読み取れます。不安に感じましたのが、中野区監査委員の意見書の7ページより債務負担行為が右肩上がりになっているところです。詳細は会派の酒井議員より質疑させていただきました。急増しているようにも見えますが、平成28年につくられた新しい中野をつくる10か年計画(第3次)にも記載のこれまで計画されてきた事業の影響、要するに予定された増加ということでよろしいでしょうか。

○森財政課長 区立小・中学校の学校再編に伴います新校舎の整備、また新庁舎の整備ですとか中野駅周辺のまちづくりなど、今10か年計画に基づく規模の大きな事業の進捗が本格化してきた結果ということ、そう捉えているところでございます。

○河合委員 行政報告では財政的な非常事態であるとおっしゃっていましたが、令和元年度の決算時点においては監査委員の財政状況においてもおおむね健全となっていますし、区としても健全であるという認識でよろしいでしょうか。

○森財政課長 令和元年度決算におけます各種の財政指標についてはおおむね健全性を示しておりまして、区の財政状況についておおむね健全であると考えているところでございます。一方で新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして今後の区の歳入状況は大きな影響を受けることが想定されることから、次年度は非常に厳しい財政状況が予想されているところでございます。このため、事業見直しなど歳出削減を進め、危機意識を持って来年度予算編成に取り組んでいく必要があると考えております。

○河合委員 決算を評価したところで、未曽有の危機と言われる新型コロナウイルスの感染拡大による経済的な影響を鑑みると、来年度予算には、単年度の状況だけではなく、これまでの決算分析から検討していかなければいけないと思います。区長行政報告においては、歳入状況より次年度の一般財源は現時点で今年度当初予算の92億円減を見込んでいるとおっしゃっていました。この見込みについて特別区税と特別区交付金が大きく影響していると思います。それぞれ見込額と減収額、詳細を教えてください。

○森財政課長 特別区税につきましては、毎月勤労統計などのデータから納税義務者数や納税義務者の給与収入の減等を想定しまして26億円減の325億円余というふうに見込んだところでございます。特別区交付金につきましては、リーマンショック時のGDPの成長率と減収額を踏まえて、今年度のGDPの成長率の予測値から来年度の減収額を推計しまして、特別区交付金は48億円減の320億円余と見込んだところでございます。

○河合委員 納税義務者の給与収入の減とはどのような根拠になりますか。

○矢島税務課長 令和3年度の納税義務者の平均給与収入につきましては、東京都の毎月勤労統計を基に平成31年と令和2年の給与収入を比較し、伸び率、下落率を算出し、前年の中野区の平均給与収入に乗じて見込んだものでございます。

○河合委員 勤労統計の伸び率、下落率とのことですが、何月のものになりますか。

○矢島税務課長 令和2年5月分と令和元年5月分の数値を基に算出を行いました。

○河合委員 5月ということで、これは多分経済の状況がストップしていたりしてよくなかった頃の数字だと思うのですが、であるならば、この92億円はこれより悪くならないという一番最低の数字という認識でよろしいでしょうか。

○森財政課長 今後の新型コロナウイルス感染症の状況による経済の影響により、この92億減収というところについては変動する可能性はございます。ですので、ちょっと不透明な状況ではございますが、下振れする可能性もあると考えております。

○河合委員 ありがとうございます。歳入で大きな影響を及ぼす特別区税と特別区交付金ですが、この二つのバブル崩壊とリーマンショックの時期の決算時の落ち込みを確認します。額と差は幾らでしょうか。

○森財政課長 まずバブル崩壊後の平成5年度、こちらの特別区税については339億8,468万円でございまして、その前年、4年度と比べますと23億8,501万4,000円の減となっております。同年の特別区交付金、5年度の特別交付金につきましては246億9,011万6,000円でございまして、前年度と比べると3億2,098万5,000円減となってございます。リーマンショック発生後の平成21年度の特別区税については313億3万2,000円でございまして、前年度と比べますと2億6,246万7,000円の減となってございます。また、特別区交付金でございますが、平成21年度319億1,563万3,000円でございまして、前年度と比べますと33億6,520万5,000円の減となってございます。

○河合委員 次に、それぞれの前5年の平均値を教えてください。

○森財政課長 バブル崩壊期間前の昭和62年度から平成3年度まで、こちらの5年間の特別区税の平均は320億5,053万7,000円でございまして、特別区交付金の平均は230億1,267万2,000円でございました。リーマンショック前の平成16年から平成20年度までの5年間の特別区税の平均は290億971万2,000円で、特別区交付金の平均は326億9,428万7,000円でございました。

○河合委員 平成12年、清掃移管があるために単純比較はできませんが、直前に景気が上向いていたためのそのままだと差額が大きいように見えます。しかし、前5年平均と比較すると大きな差には感じません。

 次、36ページ、決算状況一覧表より財政力指数が示されています。この財政力指数は、特別区においてほか自治体と違い、特別区財政調整交付金の算定に要した基準財政収入額を基準財政需要額で割った値の直近3か年の平均値とのことで、指数が高いほど財源に余裕があり、財政力が強いと言えます。直近3か年の平均値を取るので、長期的な財政の落ち込みの変化を見るにも優れた値と思います。

 それでは、中野区の財政力指数直近5年の数字を全て教えてください。

○森財政課長 まず令和元年度、昨年度については0.51、平成30年度につきましても0.51、平成29年度も同様に0.51でございます。平成28年度は0.50、平成27年度は0.49でございます。

○河合委員 では、こちらの値はバブル崩壊とリーマンショックの時期には落ち込みましたか。数字で教えてください。

○森財政課長 バブル崩壊時の平成3年度から平成5年度の財政力指数でございますが、平成3年度と平成5年度が0.59で平成4年度が0.60ということで、0.59から0.60の間ということでございます。リーマンショック後の値でございますが、平成20年度は0.49なんですけれども、リーマンショック後の平成21年度と平成22年度については0.50でございました。

○河合委員 ありがとうございます。どちらの数字からも職員の皆様の努力があったとは思いますが、実のところ決算時の数字の落ち込みは極端かつ長期的に続いていないとも思います。

 次は国と都の動向についてです。令和2年7月21日の閣議にて令和3年度予算の概算要求の具体的な方針について財務大臣の発言要旨がまとめられ、財務省のホームページに掲載されました。そこでは、新型コロナウイルス感染症への対応が喫緊の課題で、概算要求は前年度同額、その上で新型コロナウイルス感染症への対応など緊急な経費については別途所要の要望を行うことができるとしています。また、内閣府は7月1日に、「選択する未来2.0」の中間報告で、今起こりつつある変化を後戻りさせずに10年分の変革を一気に進める、この数年の取組が未来を左右、今が選択のときと言っています。東京都は9月補正で3,413億円と、1,473億円の都債を積んでまで大幅な予算編成をしました。要するに大きくお金を動かしています。この動向についてどのような見解をお持ちでしょうか。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 国や東京都において新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済再生の両立を図ることは最優先課題として財政出動が行われているところでございます。区においても同様の考えでございますが、区民生活に最も近い位置にある区は同時に持続可能な行政運営を求められており、将来を見据えた堅実な財政運営の中で最優先課題の解決と基本構想に描く将来像に向けた取組を推進すべきと考えております。

○河合委員 区として慎重な姿勢を取ることは理解できますが、区財政の健全性、極端な落ち込みが長期間続かないこと、国と都の動向、以上3点より現時点で私は財政の非常事態と殊さらに財政危機を強調するべきときではないと考えます。

 それでは、予算時の起債をかける基準について教えてください。

○森財政課長 一時的に多額の費用を必要とする施設建設などの投資的事業につきましては、基金と起債を計画的にバランスよく活用していくことが必要だと考えておりまして、予算編成時、起債活用に当たっては、区民サービスに影響を及ぼさないよう、中野区方式の公債費負担比率をおおむね10%以内で運用するよう努めているところでございます。

○河合委員 決算時一般会計では3年連続起債発行はゼロ円でした。起債を抑制してきたということでしょうか。

○森財政課長 予算編成時におきましては、先ほど申し上げました公債費負担比率がおおむね10%を超えないように財源として起債活用を行ったところでございます。一方、決算に向けた執行段階におきましては、利率の高い民間債の事業のほか、一般財源の収入状況や歳出の執行見込みなどを勘案しまして起債発行を取りやめたということでございます。

○河合委員 ならば、抑制した分の余裕があると考えます。起債そのものは区民の世代間の負担の公平のための観点から一概に悪いものではなく、これからの施設配置を考えれば抑制していきたいものも一定間理解できます。しかし、財政が危機ならば、起債でできるものは起債を、庁内で見直せるものは見直し、一定程度の基金を取り崩すことで一時的な一般財源の落ち込みをカバーしてはいかがでしょうか。

○森財政課長 来年度の予算編成の考え方といたしましては、新規・拡充事業については真に必要である優先度の高いものとし、関連する事業の統合、再編、見直し等の事業のスクラップにより経費を生み出していく必要があると考えております。また、経常経費についても経費の削減を原則として取り組んでいくという考えでございます。そういった事業の見直し等を進めた上で基金と起債をバランスよく活用し、適切な財政運営を進めていくという考えでございます。

○河合委員 区民サービスを削ることなく、今一番困っている方にしっかりと手を差し伸べること、その上で、将来的な効率化につながることには取り組み、区政を停滞させることなく持続的な成長につなげ、新しい時代の変化を迎えるべきと考えます。いかがでしょうか。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 構造改革を進める中におきましても、区民の生活と健康を守り抜くことを最優先に取り組み、区民サービスへの影響を最小限に抑えなければならないと考えております。区民サービスを効率的かつ効果的に提供するためにも、業務プロセスを分析し、不要な手続や内部事務を省くことや働き方改革により生産性を向上させるなど、持続的な区政運営を目指してまいりたいと考えております。

○河合委員 ありがとうございました。会派の酒井議員の質疑より、行財政5か年計画時は6.9億円の見直しで一般会計の0.7%、リーマンショック時で4.3億円、一般会計の0.4%の見直しでした。今回の経常経費の20%の見直しは一般会計の5%に当たり、現実性がありません。財政調整基金を極力取り崩さないという考え方ですが、それにも無理があります。長期的なスパンをもって事業の見直しと財政調整基金の適時適切な取崩しを行いながら財政危機を乗り越えるべきではないでしょうか。今後も来年度予算に向けて様々な観点からの検討を要望し、この項を終わります。

 子育て支援について、(1)一時保育事業について、ここから決算説明書を使わせていただきます。328ページ、在宅家庭支援サービス内、一時保育の執行率は低くなっています。現在、一時保育を実施している場所、区立と私立の保育園、それぞれの利用率と合計平均利用率を教えてください。

○古川子ども家庭支援センター所長 昨年度の一時保育の利用率でございます。区立保育園は76.4%、私立保育園56.5%でございまして、事業全体では60%となっているところでございます。

○河合委員 特に私立保育園の利用率が少ないようですが、原因を教えてください。

○古川子ども家庭支援センター所長 新規保育所等の整備が徐々に進んでまいりまして、保育園の利用待機者となっている児童が減少していることが利用率減少の一要因であると捉えているところでございます。

○河合委員 実際に利用できなかった方のお話を聞いたところ、その日は保育士が足りないからお受けできないと施設側都合のキャンセルを聞きました。また、枠の少なさから利用者がひとまず多めに押さえて土壇場で使わないという話も耳にします。依然として一時保育の需要は声を上げられています。助産師会からも、2人目以降の出産の場所に上の子を預ける場所がなく、産後ケアを利用できない方がいると一時保育拡充の要望が来ています。核家族化が進み、ちょっとした預け先がない方が増えている中で、この先コロナにおいては就職活動の面接、少しだけ働きたいを後押しできます。また、たまにはお出かけに使っていただければ経済活動の支援にもつながります。区は保育園型の一時保育だけを拡充してきましたが、経年での利用率の低さが問題を表面化させています。なぜ改善されないのでしょうか。

○古川子ども家庭支援センター所長 利用手続の煩雑さが原因としてあると認識しているところでございます。利用手続の利便性を図るため、区立保育園の一時保育に関しましては令和2年1月から電子申請による利用予約を開始したところでもございます。

○河合委員 経年で改善されていかない部分にはもっと問題意識を持っていただきたいと思います。2019年第3回定例会一般質問でお伝えしましたが、ほか自治体では児童館や福祉施設にてリフレッシュ目的短時間預かりなど前日予約に対応できる柔軟な体制を整えているところもあります。その際、答弁では、身近な場所での一時保育の拡充については他区事例を参考にして検討するとおっしゃっておりました。検討状況を教えてください。

○細野育成活動推進課長 現在、自主グループによる一時保育を一部児童館で行っているところでございます。今後の拡充ということでございますが、保育園利用型の一時保育の利用状況や地域のニーズの把握に努め、今後についてさらに検討を進めてまいりたいと考えてございます。

○河合委員 ありがとうございました。多くのアイデアは伝え済みですので、ニーズがあるのに利用率が低い一時保育の改善を引き続き検討いただきますよう強く要望いたします。

 ひとり親支援について伺います。328ページ、ひとり親のホームヘルプサービスについて、こちらも経年で数字が上がっていないようです。原因を教えてください。

○古川子ども家庭支援センター所長 こちらに関しましては、保育所等の整備や、あと病児・病後児保育等のほかの子育てサービスの充実が図られてきたことによりまして利用が減少傾向にあるというふうに考えているところでございます。

○河合委員 私もいろいろ考えたんですが、これは緊急時の備えということもあるのかなと思いますが、やはり周知が弱いのではないかとも感じております。これまでどう改善してまいりましたか。

○古川子ども家庭支援センター所長 ひとり親家庭の相談時における事業の紹介のほか、ひとり親を対象といたしました児童扶養手当の毎年の更新時において、ひとり親向けのサービスの情報提供を行ったり、また、ホームページでひとり親を対象にしたしおり等の掲載を行っているところでございます。

○河合委員 対象の方だけでなく、保護者、幼児施設、地域全体が施策を知り、困っている方に声をかけられるようなパンフレット、ホームページの分かりやすい表示など、機会を逸しないよう周知の充実と情報提供をしてはいかがでしょうか。

○古川子ども家庭支援センター所長 身近な地域のすこやか福祉センター等においてひとり親家庭のしおりを配布させていただいているところでございます。また、ホームページにできるだけ分かりやすいひとり親を対象としたサービスの概要版を掲載するなど周知に努めているところでございます。個別には相談の機会を捉えて事業の周知を図っていきたいというふうに考えてございます。

○河合委員 ありがとうございます。

 その下段、母子家庭自立支援給付は執行額が100%となっております。これは逆に足りなかったのではと心配になります。申し込まれたのに断ったという事例はありませんか。

○古川子ども家庭支援センター所長 母子家庭等自立支援給付につきましては、就労につながる講座等を含め、要件確認をした上で申請の受付を行っているところでございまして、申請を断った事例はございません。

○河合委員 前年度、平成30年度は執行率が低かったようです。令和元年度が上がった理由を教えてください。

○古川子ども家庭支援センター所長 ひとり親の家庭相談におきまして就労に関わる相談が前年度より20%ほど増えてございました。自立支援教育訓練給付金事業で2名、それから高等職業訓練促進給付金等事業では1名の支給対象者が増加になったことに伴うものでございます。

○河合委員 今年度は新型コロナウイルス感染拡大のため、休園、休校、テレワークでの家族の距離感が変わったりDVや虐待の増加も言われています。その中でひとり親支援として養育費の講演会をされたことは大変感謝いたします。より弱い立場の方に影響が出ていると言われている中で、NPO法人シングルマザーズフォーラムのアンケートより、コロナ禍で母子家庭の18.2%が1日の食事回数が減り、14.8%もの人が1回の食事量を減らしていることが分かりました。また、6割が収入減、11%の人の収入がないそうです。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが行った食料品などを提供したひとり親家庭応援ボックスは、詳しくお話を伺ったところ、区内でも利用した方が何人もいたそうです。中野の区内にも実際にお困りの方がいたということです。2020年第1回定例会一般質問にてひとり親家庭の支援拡充についてお話をさせていただきました。生活の困窮の一端は、子育てをしながら働くことへの理解のない職場と、そして養育費にも大きくあります。

 厚生労働省の調査によると、離婚家庭で養育費の支払いを受けているのは約25%、4人に1人の割合でしか受け取れていません。区財政が厳しい中でも養育費立替え保証のために都の養育費確保事業は10分の10全て都補助となり、導入しやすい支援です。政府は7月、女性活躍に関する重点方針2020を決定し、養育費確保に向けた法改正の検討を明記しました。法務省と厚生労働省は6月から定期的に支援策を議論、国による養育費立替え払いや強制徴収の制度化などについて年内をめどに取りまとめる方針だそうです。財政危機の中でも貧困の連鎖を生んでいかないよう、ひとり親家庭の施策を充実してはいかがでしょうか。

○古川子ども家庭支援センター所長 ひとり親家庭の中には経済的な困窮等、生活の課題を抱えた世帯が少なくないというふうに考えてございます。区はこれまでも母子生活支援施設の運営、母子父子自立支援員等による相談支援、各種給付制度を通じまして総合的な支援に努めてきたところでございます。養育費につきましては、新たな取組として、今年度、養育費の取決め等の講演会及び個別相談を実施したところでございます。これまでの取組の見直しやほかの自治体の取組を踏まえ、ひとり親家庭の生活支援につながる有効的な施策について研究してまいりたいと考えてございます。

○河合委員 同じく第1回定例会の質問の中で、ひとり親に限らず配慮を要する区民など、住宅確保への支援と連携を研究すると答弁いただきました。そこに当たるのが526から529ページで、住宅ストック活用調整が住宅施策は今後どう考えていくか。住宅支援は実際の支援策の数字ですよね。どちらも執行率が低くなっています。理由を教えてください。

○池内住宅課長 住宅ストック活用調整につきましては、予算積算当初、窓口対応や事務補助を担う臨時職員を2名配置する予定でございました。その後、正規職員1名の配置が決まり、臨時職員は1名の雇用となったため、1名分の賃金、旅費が不要となりました。住宅支援につきましては、台風第15号及び第19号による住宅被害への緊急支援に係る補助金の見込み差が生じたことがございます。

○河合委員 区でも要配慮者に対する居住支援を担う居住支援協議会について地域包括ケア推進委員会で報告があったかと思います。現在の進捗状況を教えてください。

○池内住宅課長 区では現在、居住支援協議会の年度内設置に向け関係団体等の調整を進めているところでございます。居住支援協議会では、様々な住宅確保要配慮者の入居促進支援を行うとともに、賃貸人が安心して住居を提供してもらえるよう、住宅部門のハード面と福祉部門のソフト面の双方が横断的な支援・連携体制を築けるようにしているところでございます。居住支援協議会の取組、内容等の詳細につきましては、設置の方向性がまとまった段階でお示ししたいと考えております。

○河合委員 ありがとうございました。生活に困窮している方への住宅支援を福祉の観点を持って考えていただくことは重要です。引き続きの御検討をよろしくお願いいたします。国のひとり親世帯臨時特別給付金に対象者が追加され広がっています。ひとり親の困窮は待ったなし、しっかりとした認識でよろしくお願いいたします。

 地域で見守る子育てについて、336ページ、子ども食堂の推進について執行率があまりよくありません。過去の答弁でも原因は補助金の使いにくさにあったとおっしゃっておりましたが、その後改善はありましたでしょうか。

○細野育成活動推進課長 多くの団体は社会福祉協議会の助成制度や民間団体の助成制度を活用して事業を実施しておりますが、区の子ども食堂の運営助成は東京都の助成制度を活用していることから、他の助成制度を受けている場合は申請できないなどの利用上の制約があり、昨年度は1団体のみの申請にとどまったところでございます。今年度につきましては、東京都が新型コロナウイルス感染拡大の防止の観点から、補助の対象に宅食や宅配の経費なども加えるとともに、事業1回当たりの助成上限額の廃止や1団体当たりの助成額の引上げなどを行うなどの制度の一部変更がなされております。このような都の変更を受け、区も制度の変更を行ったところ、現時点で9団体から申請がございまして、予算額でございますが、9割程度は執行できる見込みでございます。

○河合委員 私の家の近所でも、コロナ禍の中で十分な対策を行い、子ども食堂が再開いたしました。地域の方に久しぶりにお会いできたこと、子どもたちや参加者の笑顔の場を作っていただいたことを大変ありがたいと思いました。先ほどお伝えしたように、コロナ禍ではひとり親困窮家庭は食料確保が困難になるほどの影響が出ています。現時点では補助金以外では区はどのように関わりを持っていますか。

○細野育成活動推進課長 新型コロナウイルス感染拡大によって活動を休止している運営団体に対して、活動再開のための支援策として、マスクや手指消毒剤等の配布を行いました。また、活動場所の提供、支援が必要と思われる子どもや家庭への相談支援、食堂運営上の衛生管理指導を行うとともに、家庭で余った食材等を活用するフードドライブなどの取組を行っております。

○河合委員 より支援をつくっていくこと、支援の必要な方や子どもをキャッチアップできる場になっていくこと、子ども食堂自体が対貧困の対策とするのではなく、人が集まるコミュニティの中で必要な支援につなげていくきっかけづくりの場にしてはいかがでしょうか。例えばスタッフの方は地域コミュニティづくりに関心があると思いますので、そうした地域の力を生かし、利用者の中で要支援の方を見つけられるようアウトリーチチームによる積極的な取組を検討してはいかがでしょうか。

○村田南部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 アウトリーチチームは、地域社会資源である子ども食堂の活動に参加するなどし、活動状況や参加者の様子などの把握に努め、個別支援が必要な方を発見した際には適切な支援につなげております。子ども食堂スタッフの方々からも、支援が必要と思われる親子などの情報がアウトリーチチームに寄せられるよう協力関係を強化していきたいと考えております。

○河合委員 ありがとうございました。新しいコミュニティとして成立しつつある子ども食堂に今後も積極的な支援を継続していただきたいと思います。

 障害児の支援について、次に、338ページ、子ども発達支援調整に関して執行率が低い理由を教えてください。

○石濱子ども特別支援課長 当該事業の執行率が低かった理由ですけれども、障害児相談支援事業運営費補助金の執行残が影響してございます。障害児通所支援を利用するためには相談支援専門員による障害児支援利用計画の策定が必要ですが、相談支援専門員のいる事業者が少ないこともありまして、利用児童の保護者による利用計画の策定が4割近くございました。保護者自身による利用計画の策定から事業者における相談支援専門員による策定に誘導するために当該補助金を平成元年度に創設しましたが、平成元年度は事業者の参入が少なく、執行残となってしまったものでございます。

○河合委員 こちらはどのように改善されていかれますか。

○石濱子ども特別支援課長 今後は、現在、区内で障害児通所支援を実施している事業者等に趣旨を丁寧に説明していくなど、事業の活用向上に向け取り組んでまいりたいと思っております。

○河合委員 障害を持つお子さんの保護者は声をそろえて障害に対する情報は自治体よりも保護者の方が持っているとおっしゃっています。保護者同士がつながって情報交換することはもちろん大事ですが、甘んじることなく職員の支援レベルを上げていくことが重要です。サービスのコーディネートには専門の知識が必要で、家庭などの大きな負担になっています。2020年第1回定例会一般質問にて、介護保険のケアマネジャーのような動きをしていただける相談支援員育成を要望いたしました。そして、専門員を支えていくには職員の知識も必要です。東京都では今年度、東京都医療的ケア児支援者育成研修を行っています。このような機会を捉えて積極的な職員の知識向上をしてはいかがでしょうか。

○石濱子ども特別支援課長 現在、障害児のケアマネジャー的な役割としての相談支援は、すこやか福祉センター職員とすこやか相談支援事業所の職員が対応に当たっていますが、特に重症心身障害児や医療的ケア児への支援は重要と認識しております。重症心身障害児の支援や医療的ケアを行うには、専門的な知識や多職種との連携など役割を果たすことが求められております。東京都の研修については、現在、受講対象者である保健師がコロナ対応のため派遣が厳しい状況でございます。来年度東京都で実施している医療的ケア児支援者養成研修などへの職員派遣についても検討していく予定でございます。

○河合委員 未就学児の障害児レスパイト問題について預かり先がない話では課題に認識があり、区としてできることを検討するとの答弁でした。何か進捗はありますか。

○石濱子ども特別支援課長 区立障害児通所施設で実施しています一時保護事業につきましては、同施設で実施する他事業等の調整が調わず、今年度は拡充できておりません。来年度に向けて一時保護事業に対応する職員配置等を工夫し、拡充していく予定でございます。

○河合委員 障害児のサービスを構築していくためには、今どんな状態の子どもが何人いて、どんな問題があって、増えていくのか減っていくのか傾向を捉えていく必要があります。なかなか個々の障害の状態がそれぞれ大変かと思いますが、医療的ケア児や重症心身障害児の数や状態の把握はしていますか。

○石濱子ども特別支援課長 対象児の把握につきましては、今年度、障害福祉課及びすこやか福祉センターと連携をいたしまして、重症心身障害児や医療的ケア児の数や状態について情報の集約を行ったところでございます。

○河合委員 コロナ禍の中で通所支援を受けている子どもたちやその家族も外出できなかったそうです。子どもの障害の状態によっては健康のリスクがあったり、また、本人や家族が罹患することでどうなるのか不安が大きいと家から一歩も出られず、今も不安の真っただ中であるとのことでした。せめて画面越しに声をかけてもらうだけでもよいからオンラインの療育機会が継続してほしいとの要望がありました。子どもの成長は待ったなし、療育は社会性を学ぶ大きな機会です。中野区肢体不自由児者父母の会・中野区重症心身障害児(者)を守る会合同企画、中野区コロナアンケート調査において在宅学習でのICT活用を求める声も大きくありました。事業所によってはオンライン療育を取り入れたところもあると聞いております。療育にICTを取り入れることができれば、平時でも障害の状態で今日は外に出られないから画面でなら会えるなど、キャンセルをしないでも済む日が増えるのではないでしょうか。積み上げた療育を止めないためにもいかがでしょうか。

○石濱子ども特別支援課長 コロナ禍の中で通所の支援が受けられない時期や状態があったことにつきましては把握してございます。継続的な支援を行うため、ICTを活用したオンラインでの療育などの工夫は必要であるというふうに考えてございます。一方、コロナ禍において認められているICTを活用したオンラインでの療育が今後も児童福祉法によるサービスとして認められていくかどうかは現段階では示されておりません。区立障害児通所支援施設におきましてどのような形でICTの環境整備が行えるか、セキュリティ対策も含めまして、その時期や規模も含め対応を検討してまいりたいと考えております。

○河合委員 検討してもらえるとのこと、大変うれしく思っております。より精度の高いサービスの提供、支援のためにもよろしくお願いいたします。

 さて、福祉団体連合会の皆様も懇談の中でコロナ禍において買い物も困難であったという話を聞きました。先ほども外出困難な話をしましたが、ご不安な面では多くの同僚議員から質問があったので割愛し、危機のときこそ24時間ケアをする家族の負担軽減をするべきと考えます。コロナ禍では一定の基準を設けて高齢者への宅食サービスが始まりました。職員の皆様も大変な中ですばらしい取組だったと思っております。ぜひこのスキームを高齢者だけではなく、ケアする家族支援に広げていただけませんか。障害者の家族の方は実費負担もいとわないとおっしゃっていました。現時点での想定される課題を教えてください。

○河村障害福祉課長 高齢者への食事支援を通じた介護予防及び見守り支援は、ケアマネジャーのような支援者や緊急時のバックアップ体制を必要とすることから、そのまま障害児者や家族へ運用することは難しいと考えてございます。

○河合委員 ぜひこちらのほうは要望で結構ですが、これからも家族支援のほうはしっかり考えていただきたいと思っております。コロナ禍で困り事を聞いてもらえないという要望、機会がなかったとのお話も伺いました。適切なサービスを提供するために当然ニーズを把握する必要があります。福祉団体を通じてでも電話でも声を集めることができたのではないでしょうか。

○河村障害福祉課長 新型コロナウイルス感染症拡大により緊急事態宣言が出されて以降、直接対面による意見交換が難しい状況でございましたが、各福祉団体から要望をもらい、ニーズの把握に努めてきたところでございます。しかし、障害のある方や御家族等へ直接声かけを行うまでには至っておらず、今後の課題として検討してまいります。

○河合委員 ありがとうございました。いまだに不安な日々を過ごされ、障害を持った方やその家族への支援は全然不十分だと思っております。いま一度しっかり検討いただくことを強く要望いたします。

 子どものよりよい環境づくりについて、(1)幼児教育無償化について、令和元年度の区財政、また子ども関連で大きな変化が幼児教育の無償化でした。一時期歳出の増加が見込まれるとも言われていましたが、実際はどうでしたか。

○渡邊保育施設利用調整担当課長 令和元年10月に開始されました幼児教育無償化につきましては、公定価格の上昇等の影響もあり、歳出額は平成30年度比で24億5,000万円余が増加したところでございます。

○河合委員 数字を見ますと持ち出しが増えたように感じます。令和元年度は保育園の数も増えているので、もし平成30年度で園児数が同程度とみなした場合の数字も教えてください。

○渡邊保育施設利用調整担当課長 施設等の規模を補正して前年度と比較した場合、令和元年度の一般財源は1,600万円余の減であったものと見てございます。

○河合委員 今のことを逆に言うと、無償化ではなく従来どおりの保護者負担のままだった場合は決算額は今よりも一般財源が増加していたということでしょうか。

○渡邊保育施設利用調整担当課長 幼児教育無償化による制度改正に当たっては国と都が相応の財政負担をしております。従来どおりの制度であれば十分な特定財源の確保ができず、一般財源が増加したものと考えております。

○河合委員 ありがとうございました。無償化を語るときにはやはり保育の質の議論も必要かと思います。令和元年度に保育の質ガイドラインの策定がありました。272ページ、保育施設指導の執行残が多くなっています。保育の質ガイドラインの印刷費等が高額です。「など」とは何が含まれますか。執行残の多い理由も教えてください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 中野区保育の質ガイドラインの予算は編集委託料と冊子印刷費を計上いたしました。印刷費等残の「等」は委託料でございます。作成に当たっては、職員が本文の作成、校正から写真、イラスト、図表の作成、挿入、デザイン、編集に至るまで行った結果、委託料が未執行となったものでございます。また、印刷部数を精査して経費削減を図った結果、印刷費が執行残となったものでございます。

○河合委員 ありがとうございます。中野区の子どもたちの安心安全の環境をつくっていくことは最優先です。区では園庭のない認可保育園がかなり増えていると聞いています。現在、認可保育園の数とそのうち園庭のない保育園の数を教えてください。

○藤嶋幼児施設整備課長 認可保育所の数は83園で、うち園庭がない保育所は35園でございます。

○河合委員 ありがとうございます。園庭がない保育園で地震など広域で災害が起きて園舎が使えなくなった場合、避難所に行く前の一時的な退避所はどこになりますか。

○藤嶋幼児施設整備課長 各保育所の消防計画上の一時避難場所として定めてございます近隣の学校や公園等でございます。

○河合委員 ありがとうございます。その一時的な待避所がかぶったために後から来た保育園児が避難できなかったということはあってはなりません。場所の広さなどを想定しながら近隣保育園同士で過度に重ならないよう、一定の管理や調整が必要になってきていると考えます。いかがでしょうか。

○藤嶋幼児施設整備課長 各園の消防計画上の一時避難所につきましては、複数の園が同じ学校などの施設を一時避難場所として指定している状況がございます。一時避難場所が同じ園につきましては、合同の避難訓練を実施するなど、一時避難場所が重複しても混乱が起きないような指導を行ってまいりたいと思います。また、新規に保育所を開設する場合は、その近隣の一時避難所の情報などを基に、可能な限り重複を避けるように保育事業者と調整を行ってまいりたいと思います。

○河合委員 ありがとうございます。災害時には保育のBCPを用意しておくことも現場の混乱を防ぎ安心につながります。今年度、区立保育園にBCPを策定、私立保育園はそれを参考のために共有するとのことです。町田市では認可保育所、幼稚園等の災害対策ガイドラインを策定しました。それまで各園が個別にマニュアルを整備していたため、災害時の対応レベルに差があり、災害想定や事前の準備体制、地震発生時の具体的な対応が不十分であったと聞いております。そのために設置されたということです。どの幼児施設でも中野区の子どもにはひとしく安全な環境であってほしいと考えます。ぜひ区も一歩踏み込んで幼児施設全体でのBCP策定の検討をしていただけませんでしょうか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 区では今年度、中野区政のBCPを参考に、保育園防災マニュアルに散歩中の災害発生を想定した安全なスポットの確認、引き渡し訓練の実施や非常用品の確認、保育所を再開するまでの流れなど、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段をBCPとして盛り込んだところでございます。今後、他自治体の事例も参考にしながら認可保育所等のBCPについて研究してまいりたいと考えてございます。

○河合委員 保育の質の担保に欠かせないのが保育士の労働環境の向上です。子どもの命を預かり育ちを支える保育士が大事にされなくて安心できる保育ができるのでしょうか。以前保育士の待遇改善に踏み込むこと、保育の質ガイドラインの活用について質問させていただきました。コロナ禍の中でお集まりいただけないことは承知の上で、保育の質ガイドライン浸透に今何をしているのか、教えてください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 昨年度末に策定いたしました保育の質ガイドラインにつきましては区内保育園及び幼稚園に配布をいたしました。また、認可保育所や認証保育所等の職員や事業者を対象に、保育の質ガイドラインの策定に携わった学識経験者や園長等を講師に研修会を実施いたしました。保育士の労働環境の向上を図るため、保育所に対する指導検査の結果をホームページで公表しているところでございますが、委託費に占める人件費の割合が5割以下の保育所等に対しましては職員の賃金を改善するよう強く指導しているところでございます。

○河合委員 現場の保育士の負担を軽減していくためにも事務員の常勤化が継続して求められています。検討状況はいかがでしょうか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 事務職員の配置につきましては、事務処理の方法や保育所の規模等により事情が異なることから、事務職員の配置だけでなく、事務処理方法等も含め、保育士の負担軽減等を検討してまいりたいと考えてございます。

○河合委員 ありがとうございます。今の答弁でございますけれども、申請書類の改善も要望したいと思っているのですが、それについてはいかがでしょうか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 保育園からの補助金申請につきましては、支出の際に実績等を審査する必要があるため、必要な書類の添付を求めているところでございます。補助金申請等の書類の簡素化につきましては検討してまいりたいと考えてございます。

○河合委員 ありがとうございます。待遇改善の一端として区では保育士の借り上げ社宅事業の補助を行っております。しかし、都の補助が導入時5年と設けられた期限も近づき、その上、コロナ禍の都財政の影響により補助金が終了するのではと懸念されております。都の予算編成の動向が気になりますが、現時点で令和3年度、大田区、千代田区を含む4区が継続を検討しております。当区でも前向きに検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 保育職員のための宿舎借上補助金は保育者の確保等において効果的な補助事業であると認識しております。中野区としても国や都の動向を注視しながら検討してまいりたいと考えてございます。

○河合委員 今年度、保育園の申込み案内や申込用紙の簡素化など大きな変化がありました。表現に問題もあり、会派同僚議員からもお話しさせていただき、ホームページに分かりやすい補足説明を載せていただいたことを感謝いたします。

 なお複雑な申込みに丁寧な対応が必要ですが、改善する方法がございます。電子申請です。昨年度、私は初めて確定申告にe-Taxを利用しましたが、とても簡単でした。新申込用紙により押印が任意になったことは評価、より電子申請に一歩近づいたと感じております。さらに保護者と現場負担軽減のために申請導入はいかがでしょうか。

○渡邊保育施設利用調整担当課長 保育園の転園申込みなど添付書類が不要な申請につきましては電子申請が可能でございます。保育園の入園申込みには就労証明書など添付書類が5枚以上必要になりますが、電子申請で使用する総合ネットワークLGWANには添付書類の数や容量に制限があることから、入園申込みについては電子申請だけでは完了することができない状況でございます。今年度入園申請書類の簡素化を図ったところでございますが、電子申請に対応できるようさらに研究してまいりたいと考えております。

○河合委員 ありがとうございました。このコロナ禍の中で幼児施設の中で対応が異なったという話も聞いております。全ての中野区の子どもがひとしく安全で伸び伸びと育てる環境づくりを引き続き責任を持って推進いただけますようお願いいたします。

 医療的ケア児の受入れについて、272ページ、障害児支援において医療的ケア児の受入れ経費の執行残が多いようです。たしか実際の医療的ケア児の受入れは今年度からだったかと思いますが、執行残の理由を教えてください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 令和元年度は、施設改修や医療的ケア実施ガイドラインの策定など、医療的ケアが必要な児童を受け入れるための調整等が調わなかったため、受入れ開始には至らなかったものでございます。このため、労働者派遣による看護師の人件費等が執行残となったものでございます。令和2年度は正規職員の看護師を配置することができたため、派遣看護師の予算は計上せず、受入れを開始したところでございます。

○河合委員 ちなみに、今年度実施が始まってから反応はありましたでしょうか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 医療的ケアが必要な児童の保護者からは、集団の中に入っていろいろな経験ができた、友達の名前を覚えた、みんなと一緒に活動や経験ができ、ありがたいなどの言葉をいただいております。

○河合委員 ガイドラインの保育士さんから話を聞く機会があり、子どもが保育園に通えるようになって毎日大変刺激を受けている、生まれて初めて膝を擦りむいた、保護者の方から感動と感謝の言葉で伝えられたそうです。これまで社会の制度が追いついていないために医療的ケア児の対応ができる施設が不足しており、集団の場に通わせてもらえない状態などが続いてきました。安心して健やかで地域で成長していける環境が進んでいくことは大変喜ばしいことです。受け入れる保育園は2園、どちらも北部、拡充の要望をしてまいりました。検討状況をお願いします。

○渡邊保育園・幼稚園課長 今年度はしらさぎ保育園と沼袋保育園での医療的ケアが必要な児童の受入れを開始したところでございます。来年度は中部、南部地域の保育需要に応えるため、区立保育園での受入れを検討しているところでございます。

○河合委員 ありがとうございます。障害を持つ子どもも分け隔てなく受け入れ、同じ地域で共に育ち合うことは、未来において障害を持つ子にとっては大きな支援に、周囲でも障害を持つ子への理解を深めることでしょう。ぜひこれからも中野区をつくる子どもたちのために今後もインクルーシブな育ちの場をつくっていただけるようお願いします。

 ICT推進についてお伺いします。令和元年度もICT推進の予算がありますが、環境整備やGIGAスクール構想などは多くの同僚議員から質問しておりますので別な話をいたします。

 オンラインでの欠席報告についてです。コロナ禍ではICT活用によって連絡を密に取れることが証明され、有用性と利便性が一般に広く浸透したことは不幸中の幸いです。私の下にも以前より多くの保護者から欠席連絡をオンラインでできるようにしてほしいと要望が届いております。先生方の事務負担も減りますし、現に先生からの御要望もいただいております。導入は検討していますか。課題がありましたら同時に教えてください。

○宮崎指導室長 オンラインでの欠席連絡につきましては、感染症拡大時には人との接触を避けることができる上に、時間を選ばずに送信できるなど、その利便性や効率性について注目されているところでございます。一方、オンラインでの連絡は文字のみでの一方向の連絡方法となるため、ケースによっては正確な情報が読み取りにくいこと、緊急を要する対応に遅れが出てしまうことなどに課題があると考えられております。一方、電話連絡は連絡が取りにくい保護者との貴重なコミュニケーションの機会になっている場合もございます。システムの導入につきましては、このようなメリットとデメリットを考えながら、セキュリティ面の安全性も含めて検討していく必要があると考えております。

○河合委員 ありがとうございます。懸念される虐待や親の都合、また子どもの心の問題などで欠席が続くようであれば、電話対応や家庭訪問が必要でしょう。これはオンラインの問題ではなく、根本的に別に解決する問題があるかと思っていますが、いかがお考えですか。

○宮崎指導室長 配慮を要する児童・生徒の安全確認には一刻を争う場面もございます。迅速な確認と対応により大事に至らなかったケースもございます。子どもの背景にある課題の解決には保護者との信頼関係づくりが重要であり、そのためにも直接の対話によるコミュニケーションの機会を大切にする必要があると考えます。直接の対話とオンラインのよさを生かしたコミュニケーションの在り方を今後も研究していきたいと考えております。

○河合委員 導入校は全国的に増加しており、先生と保護者、両者の時間が削減できたなど、外国人や障害を持った方にも使いやすくなったと多くのメリットを聞いております。引き続きの導入検討を強く要望いたします。

 また、欠席連絡といえばインフルエンザの治癒証明の話もよく伺います。厚生労働省インフルエンザQ&Aより、学校において予防すべき感染症の解説平成30年3月発行によると、要するに学校で治癒証明を一律に求める必要はないとされています。また、治癒証明のために再受診せねばならず、コロナ禍の中で改めて感染症をもらうリスクが高まっています。調べたところ、昨年の冬時点で23区中10区、学校での治癒証明を不要としています。この状況下ではさらに増加するでしょう。中野区での検討状況はいかがでしょうか。

○板垣学校教育課長 インフルエンザに関する治癒証明書の取扱いにつきましては、厚生労働省の通知によりますと、治癒証明書を取得させる意義はないとしているものの、インフルエンザが流行している場合は、発症した日の翌日から7日を経過することが望ましいと記載があります。また、学校長がインフルエンザによる出席停止を判断する場合、発症した日と解熱した日を特定する必要がありますが、いずれも確認は難しい状況にあります。こうしたことから中野区では、学校医、校長、保健所が構成員となっております中野区学校保健会において治癒証明書を取得することを確認し、学校にも周知しているところであります。コロナ対応を含め、治癒証明書の取扱いにつきまして、中野区学校保健会の場で再度検討していきたいと考えております。

○河合委員 ありがとうございます。このコロナ禍で大変な中、様々子どもたち、保護者に寄り添い検討いただいていることを感謝いたします。引き続き教育の現場、子どもたちを支えていくためにもよろしくお願いいたします。

 4、公園について、一番最初の質問は飛ばします。広町みらい公園について、令和元年度、南中野地域に広町みらい公園ができました。中野区初公園全体の指定管理者運営を始めた公園です。管理が行き届いてきれいであっという間に地域や子どもたちから愛される公園となりました。すてきな公園をありがとうございました。しかし、日陰が少なく夏の盛りにはぐっと人が減っています。せめてベンチの上にパーゴラでも布でも張れないか公園事務所の方に直接お願いしてみたところ、区と協議しますとのことでした。来年の夏に向けてぜひ検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。

○林公園緑地課長 パーゴラの件も含め日陰が少ないという意見は承知しているところでございます。今後どのように日陰を増やしていくか検討してまいりたいと考えているところでございます。

○河合委員 まだ新しい公園ですが、少しずつ植木が折れているところが見受けられます。今後の経年経費の負担の考え方を教えてください。

○林公園緑地課長 植栽の管理も含め、日常の維持管理業務は指定管理者が行うものでございます。区と指定管理者との協定で修繕に関する役割分担を定めており、原則130万円を超える修繕が発生した場合には区の負担となるものでございます。

○河合委員 草地の下の緑のプラスチックが斜面など以外ではあまり他区の公園では見かけません。入れた理由とこちらは耐用年数何年で張り替えし、また、公園の草を一度抜くのかなど教えてください。

○林公園緑地課長 イベント利用時により草地が傷まないように多目的広場には緑色の草地を保護するマットを設置したものでございます。マットの耐用年数は10年を想定しているところでございます。

○河合委員 子どもたちが転げ回るにはいささか硬いのではないかと思っていましたが、にぎわいを創出する公園ということで区内の公園とまた違った考え方ということを認識しておきます。これからも地域の方を大切にした公園運営を指定管理の皆様とともによろしくお願いいたします。

 公園再整備計画について、先日の城山公園と新井薬師公園においての遊具の緊急入替え、意見募集の場を設けていただき、ありがとうございました。これからも公園づくりはもっと子どもや地域の人の声、利用者の目線で利便性が上がるよう一緒になってつくり上げる場を積極的に設けていただきたいと思います。

 これまで我が会派の間議員からも、令和元年第3回定例会にて区民の声でつくる公園について一般質問させていただきました。ちなみに、お隣新宿区は平成10年度より公園の大規模改修の際に地域の方と一緒に公園の見直しを行い、地域の特性や要望を生かした計画づくりを進めています。昨年も一つの児童遊園リニューアルのために地域アンケートを取り、実態調査をし、意見交換を4回も重ね、さらには児童館でのヒアリングもしています。そういう中で環境関連NPO団体とつながったり、愛着からボランティアの方が出てきたり、区と地域との連携ができるのではないでしょうか。ルールにおいては、地域の声を聞くと、令和2年第1回定例会建設委員会で再整備計画の策定に向けた考え方に記載していただきましたが、今後の公園リニューアルに向けては、地域、そして子どもたちの声を反映していく旨を検討してはいかがでしょうか。

○林公園緑地課長 現在行っている遊具の更新に当たっては、子どもたちを含めた利用者の意見を伺って設置遊具を決めているところでございます。今後も公園整備に当たっては子どもたちを含めた利用者の意見や地域の声を伺いながら丁寧に進めてまいりたいと考えているところでございます。

○河合委員 令和2年第2回定例会の建設委員会にて公園再整備計画策定スケジュールの再検討の話がありました。財政で先が見通せない中では一定理解するところですが、必須である公園トイレ改修やバリアフリー化などやるべきことに段階をつくって整理し、早期に計画を進めませんか。

○林公園緑地課長 現在もトイレの改修や公園の段差改修等に取り組んでいるところでございます。今後とも優先的に実施すべきものなどについて整理を行い、区の財政状況を勘案しながら計画的に進めてまいりたいと考えているところでございます。

○河合委員 我が会派からもこれまで公園の在り方には多く要望してまいりました。それだけ地域の方の注目が高く、愛されている事業だと思っております。ぜひ職員の方はこの仕事に就かれていることを誇りに感じていただき、よりよい公園になるように今後ともよろしくお願いいたします。

 広報について、令和元年度は中野区区報がリニューアル、カラー化しました。今年度の東京都広報コンクールの広報紙部門では里親制度を特集した10月5日号が入賞し、話題となったことは職員の皆さんのリニューアルにかけた努力があったからこそだと思っております。情報は出せばいいというのではなく、ぱっと見て面白そうな雰囲気や興味を引かせる特集の充実、より多くの方が手に取るようになったことが結果的に多くの方へ情報を届けることにつながります。主要施策の成果も目を通しましたが、納得のいく評価でした。しかし、新型コロナ感染症が流行し始めた3月、区報では直ちに感染症にまつわる有効な発言ができず、即時性のない印刷物の難しさを感じました。4月からは広報アドバイザーの方の活躍があったからか、区ホームページは少しずつ改善されています。まずは4月からの広報アドバイザーの主な活動を教えてください。

○高村広聴・広報課長 委員から御説明のあった区のホームページのトップページや防災ページの構成の見直しとデザインをはじめ、新型コロナウイルス感染症の注意喚起などの動画制作や各種支援の一覧の作成、それから各課が作成するポスターやチラシの助言、デザイン、区報の編集助言、取材同行、SNSによる情報発信やシティプロモーション事業への助言など様々に力を発揮してもらってございます。

○河合委員 特にコロナ禍の中では必要な情報が手に入らない、各課からもっと分かりやすい情報を届けてほしい、困り事を聞いてほしいと多くの団体から要望が寄せられていました。各課ホームページに掲載する場合は利用者を優先する思考を大切にしていただけるよう一層の努力をお願いいたします。さらに広報担当でこちらのフォローをしていただきたいと思っております。動画づくりなど様々フォローをしていただいていると思いますが、気軽に各課から広報に対する相談に乗れる仕組みづくりの充実、さらに広報マインドの醸成をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

○高村広聴・広報課長 各課が作成するポスターやチラシなどの広報クリニック、グループウェアを活用したホームページ作成のポイントやアンケート機能利用の周知、各課の動画制作やその補助をはじめ各部署の広報を支援することに力を注いでいるところでございます。10月からは、広報アドバイザー支援の下、各課の広報に携わっている職員を対象としたセミナーやアクセシビリティ、ユニバーサルデザイン、動画の制作、写真撮影のポイントなど、テーマ別のセミナーをグループウェアを活用した動画配信と質疑応答の形式で順次実施していく予定でございます。これらによって職員が情報の受け手である区民の視点に立った広報の意識とスキルを向上することを図っていく考えでございます。

○河合委員 窓口への不満の声もよく耳にします。究極のところ、窓口に立って同じサービスを提供していく必要があり、そのためにはマニュアルとともにツール整備が有効と考えます。電話で問合せの多い案件はホームページでQ&Aを充実させ、行く行くは申込み、複雑なものはAIを活用していくようにできれば、利用者側も職員側も問合せの負担を軽減できるのではないでしょうか。

○高村広聴・広報課長 現在もホームページ上にQ&Aが一定程度掲載されておりますが、階層が深く探しづらかったり内容が分かりづらいものがあるなど、見直す必要があると認識しております。各所管課と協議しながらQ&Aの充実を図っていく考えでございます。AIの活用につきましては、AIチャットボットを導入した自治体が出てきていることから、費用対効果や運営上の課題などを調査し、今後検討してまいりたいと考えてございます。

○河合委員 また、施設利用の動画をつくって窓口紹介時に使用したり、ホームページや例えばすこやか福祉センターの待合で産後ケア施設の動画を流すなど、利用イメージを湧きやすくすることは窓口負担を軽減し、施設の利用率も上がるのではないでしょうか。

○滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 安心して子育てできるよう、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援を行うためには、個々のニーズに応じたサービスの提供と併せて広報を充実することによりサービスの必要な方に内容を知ってもらい、十分に活用していただくことが重要であると認識しております。このため、より利用時のイメージが分かるように動画の活用についても検討を進めてまいります。

○河合委員 コロナ禍での情報コーナーを目の当たりにしました。見る側に合わせたメディア特性をより生かした情報発信が必要です。LINEは2020年に月に1度以上使うユーザーが8,400万人を超え、日本の人口の66.7%がアクティブユーザーです。年齢別で見ると、40代までの利用者割合は、その年齢人口の約75%は若い方から子育てをしている世代に大変親和性の高いツールとなっています。子育て情報関連からLINEアカウントを使用してはいかがでしょうか。現在行っている妊娠期や子育て応援メールなど情報発信、そしてセグメント配信機能を使っての情報提供などもよいでしょう。また、24時間365日、どこからでも気軽に相談できる相談チャット、最終的にはLINE上から各種申請ができるところまでを目指していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○高村広聴・広報課長 御指摘のとおり、LINEのユーザーは子育て世代が多いことから、まずは子育て関連情報に特化して情報発信することが有効であると考えてございます。現在、今年度中をめどにLINEを活用した情報発信を開始できるよう準備を進めているところでございます。LINEによる相談チャットや子育て関連手続への活用につきましては、先行的に実施している自治体や総務省がオブザーバーとなっている子育てオープンデータ協議会の協議、その報告なども参考にして今後検討してまいりたいと考えてございます。

○河合委員 ありがとうございました。子育て時に成長に寄り添った発信があれば、より様々な支援につなげていただけるかと思います。子育てのLINEを運用してメリットを研究し、区の広報の充実を図っていただくことを期待いたします。

 介護について、最後に、コロナ禍での特に苦労された福祉の現場にいらっしゃるエッセンシャルワーカーと呼ばれる皆さん、感染症の不安に立ち向かい職務に取り組んでいらっしゃったこと、この場をかりて心より感謝いたします。同僚議員から様々お伝えしたと思いますので、私からは介護書類の簡素化、効率化、ICT導入について要望させていただきます。先日事業所にお伺いしたところ、介護の現場では特に書類が多いとの話でした。人手不足の現場においては今後担い手の一翼になるかもしれない外国人の方でも分かるところまで書類を簡素化していく必要があるということでした。業務負担を軽減することが介護の質を高めます。令和元年度12月4日、厚生労働省より、社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会中間取りまとめが公表されました。提出書類を役所提出ではなくメール添付ができるなど軽減できるポイントはたくさんあります。実現できない理由を教えてください。

○葉山介護・高齢者支援課長 お答えします。介護保険業務につきましては、国が定める制度に基づき手続方法や様式が定められており、過去の不正やトラブル等の事例を踏まえ、手続の厳格化が進んできたこと、また、制度や介護報酬が複雑化してきたことという経緯がございます。こうしたことから必要な手続や記録、書類などが多いことは負担を大きくしているところと考えております。また、小規模な事業所の中にはICT化への対応が困難な場合があることや、また、規模にかかわらず、事業所の事情によっては、メールでなくファクスによる連絡を希望する場合もございまして、情報のやりとりにおけるデジタルツールの浸透度にもかなり差があると感じております。

○河合委員 導入を個別事業者に押しつけるのではなく、区側からも改善しながら事業所の支援をしていくべきと考えます。また、導入がすぐできない場合は簡素化、効率化を進めていただけませんでしょうか。

○葉山介護・高齢者支援課長 介護分野の文書に係る負担軽減につきましては国の社会保障審議会において議論が行われている段階であり、ICT等の活用についても検討項目に挙げられているところでございます。保険者である区としても、今後、国の示す方向性を参考にしてICT化の支援を含めた業務の効率化を進めていきたいと考えております。

○河合委員 ありがとうございました。これから未来の介護の在り方を考え、まずはできることから少しずつ現場の皆様の声を聞いて進めていただけるよう強く要望しまして、私の全ての質問は終わりにいたします。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で河合りな委員の質疑を終了します。

 続いて、久保りか委員、質疑をどうぞ。

○久保委員 令和2年第3回定例会決算特別委員会にて、公明党議員団の3番手として質問をさせていただきます。

 今定例会では、一般質問にて、白井幹事長、南議員、甲田議員が区政の喫緊の課題について提案を含め質問を行いました。また、決算総括質疑では木村議員が令和元年度決算についての安定感を持って総括的な質問を、そして昨日、日野議員は得意分野を生かしての令和元年度に発生したシステムの課題について区をただしました。日野議員は、質問直後からデジタル刑事とかシステム刑事と呼ばれております。既に会派として質問をしなくてはいけないことはほとんど行われておりまして、最後に質問に立つ私が白井幹事長より好きに質問してよいと言っていただきましたので、理事者の皆様も肩の力を抜いて、落ち着いて答弁席に立ち、分かりやすい御答弁をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問は通告順に、その他はございません。他の会派の議員と重複をする質問もありますが、御了承ください。

 それでは、初めに、令和元年度決算についてお伺いをいたします。

 最初に、特別区民税について伺います。令和元年度特別区民税徴収について、過去最高額の特別区民税の傾向についてどう分析をされているのか、伺います。

○矢島税務課長 令和元年度特別区民税の収入額は前年度比1.4%増の327億円となりました。この理由といたしましては、納税義務者の増加と1人当たりの所得額の増加が主な要因であると分析してございます。

○久保委員 次に、滞納繰越徴収の評価についてということで、国税OBによります滞納整理が行われておりますが、その効果についてはどう評価をされているのか、伺います。

○矢島税務課長 国税OBの滞納整理専門員5名は、高度な専門知識により長期困難案件や高額案件の滞納整理を担っており、年間6,000万円の収入額を目標に設定し、滞納繰越分の圧縮に取り組んでおります。これまで職員の手の及ばなかった営業所得、事業所得、不動産所得があるものの決算書を読み解き、収入と支出の流れをつかみ、財産調査を効果的に行うことで毎年の収入額は9,000万円を超えてございます。長期困難案件や高額案件の滞納整理は着実に進んでおり、年間目標収入額も超えておりますことから高く評価できると考えてございます。

○久保委員 次に、令和元年度分の納付猶予の件数や状況についてお伺いいたします。

○矢島税務課長 令和元年度分の徴収猶予の件数は、分割納付は6,184件、保留猶予は360件、執行停止は679件、合計7,223件でございます。

○久保委員 ここまでが令和元年度のことについてお伺いをいたしました。

 コロナ禍におけます徴収猶予の特例制度というのがスタートしてございます。この特徴と現状についてお伺いいたします。

○矢島税務課長 徴収猶予の特例制度は、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、財産に相当な損失を受けた納税者への対応策といたしまして、令和2年2月以降の1か月以上の任意の期間におきまして、収入が前年同期間と比べおおむね20%以上減少した場合、収入の減少があるものとして住民税の徴収の猶予の対象となり、延滞金も免除されるものでございます。現状といたしましては、令和2年8月現在で納税相談は3,250件、うち分割納付件数は1,184件、保留猶予件数は288件、執行停止件数は66件となってございます。

○久保委員 令和2年度の徴収額への影響はどうなっていくのか、お伺いいたします。

○矢島税務課長 徴収猶予の増加に伴う令和2年度の徴収額への影響といたしまして、分割納付の増加分のうち、約4割、保留猶予の増加分のうち、約9割、執行停止の増加分は現年度中に徴収ができないと見込んでございます。

○久保委員 次に、中野区の即時消滅につきまして現状をお伺いいたします。どうなっているのでしょうか。

○矢島税務課長 即時消滅は、地方税法15条の7の規定により、滞納処分の執行停止後、徴収金を納付または納入する義務を直ちに消滅するものでございます。中野区では、毎年度別に定める特別区民税、都民税の即時消滅基準にのっとり、前年度以前の事案につきまして、即時消滅判定会議による即時消滅対象事案の承認を経て即時消滅を行ってございます。令和元年度の即時消滅は4,174件、6,394万7,000円でございます。

○久保委員 令和2年度には新型コロナの影響によりまして徴収猶予が増大をしております。これまでの区の即時消滅の方針を改めなくてはいけないということもあるのではないかと思いますけれども、即時消滅の手続上の課題についてお伺いいたします。

○矢島税務課長 現年度分の即時消滅につきましては、税負担の公平性の観点から、現在は区の即時消滅基準によりできないこととなってございます。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、失業等により執行停止となったもので、今後も税の納付ができないことが明らかで、法が定める即時消滅の趣旨に該当する場合があるため、現行の基準の見直し、改定が必要と考えてございます。

○久保委員 現在は現年度分については中野区では即時消滅を行ってはいないわけですよね。

 徴収猶予と不納欠損についてお伺いをいたします。不納欠損についての予測を立てる必要があり、滞納繰越分や分割納付として次年度以降の徴収可能な額と徴収し難いものを明らかにする必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○矢島税務課長 令和2年8月末現在で納税相談全体件数は1万4,887件、うち分割納付は3,998件、保留猶予は620件、執行停止件数は317件となっており、対象区民税額は5億1,960万円でございます。現時点で分割納付の前年比増加分のうち、約4割、保留猶予の前年比増加分のうち、約9割、執行停止の増加分は現年度中に徴収ができないと見込んでございます。

○久保委員 徴収猶予の相談体制、手続における事務量の増加と人員体制についてお伺いをいたします。新型コロナの影響により、相談件数は今お伺いをしましたように激増をしております。また、これまで以上にきめ細やかな相談が必要とされることと思います。手続上の事務量も激増しているのではないかと思いますが、これまでの人員体制で万全なのか、伺います。

○矢島税務課長 令和2年8月末までの納税相談件数は1万4,887件と、新型コロナウイルスの影響により、前年同期と比較し56%増加してございます。通常期は納税相談の職員9名と納税案内センター職員3名の合計12名で対応してございますけれども、令和2年度は、納税案内センターの電話対応職員を4名増加したほか、ほかの担当の職員が応援に入り、1日平均17名で相談対応に当たらせていただきました。しかし、納税相談は、窓口や電話での相談業務に加えて、相談内容に伴う事後処理等もございます。また、応援の職員には自身の本来業務もあるため、現在の職員体制では十分とは言えず、職員課に対して人員要求を行っているところでございます。

○久保委員 相談件数だけではなくて、それに合わせて事務量も伸びていっているということで、当然のことながら、なかなか今の人員体制では厳しいという状況だと思います。特別区区民税は区の基幹収入であります。しかもこの数年は好調で徴収率も伸び、滞納繰越についても力を入れ、成果が見えてきているということが先ほど御説明がございました。新型コロナの影響により減収が見込まれるとしても、徴収率の向上については決しておろそかになってはいけないと思います。これまで以上に徴収に力を入れていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

○矢島税務課長 区の基幹収入である特別区民税の収納率向上に向けた取組につきましては、これまで以上に力を入れていく必要があると考えてございます。令和2年度は、滞納額30万円未満の滞納整理を強化するとともに、滞納繰越を圧縮するためにも、より効果的な現年度対策と滞納者の実態に応じた滞納整理に取り組んでまいりたいと考えてございます。そのために必要な人員の確保につきましても引き続き努力してまいりたいと考えております。

○久保委員 しっかり頑張っていただきたいと思います。

 平成27年度不納欠損について事務監査が行われております。その際、特別区民税の平成26年度の不納欠損について、滞納処分の執行停止後、直ちに納付義務を消滅させたものが前年度と比較し、件数、金額共に大幅増となったことから、徴収不能の判断をより一層厳格に行うことが公平かつ公正な執行を確保していく上で必要であるとの監査委員の指摘がありました。その指摘を重視し、取り組んできたこととは評価をしております。ちなみに、このときの監査委員には私も名を連ねておりました。しかし、コロナ禍では、総務省からの納税困難な方への対応に関する事務連絡にもあるように、これまでとは状況も一変をしております。人員体制を万全にした上で徴収率向上にはより一層の努力を図りながら、即時消滅における基準の見直しも必要であると考えております。厳しい判断に迫られる場合もあるかと思いますけれども、納税をする区民の置かれている現状に寄り添いながら相談、徴収に取り組んでいかれることを望み、この項の質問を終わります。

 次に、流用と不用額についてお伺いをいたします。ここでは人事に絞って伺います。

 令和元年度決算における人件費に関する流用件数は何件だったでしょうか。

○中谷職員課長 人件費に関する流用の件数は60件でございました。

○久保委員 毎年多数の流用が起きる理由はどういったことでしょうか。

○中谷職員課長 予算を編成する際、職員の人件費を款や項に細分化して計上していることが主な要因と考えてございます。職員の給料等の額は一人ひとり異なりますが、予算積算時点では見込額で計上するしかなく、4月以降の実際の人員配置に基づく人件費との見込み差が生じてしまうものでございます。ある程度余裕を持った予算額とすれば流用の件数は減らすことはできますが、その分は執行残となり、他の事業で活用することができなくなってしまうため、金額を精査し、予算積算を行ってございます。そうしたことなどから必然的に人件費の流用が多くなってしまう仕組みになってございます。

○久保委員 予算と人事発令の時期の不一致といいますか、そういったことが大きいかと思います。しかし、今、不用額が大きな要因とおっしゃったんですが、毎年毎年多額の不用額が生じていますね。人件費に関する不用額の総額は幾らだったでしょうか。伺います。

○中谷職員課長 各款の関係人件費の不用額を合計すると約7億2,600万円余りでございます。

○久保委員 私たちの手元に総務の資料がございまして、そこには総額は出ていないんですね。主な不用額が高くなったものということで記されていて、それをちょっと足して計算をしてみるのとは随分額が違うものだなというふうに思っております。この人件費における不用額が多額な理由は何なんでしょうか。

○中谷職員課長 人件費の予算規模が非常に大きいということと、人件費を款や項に細分化して計上していることが主な要因と考えてございます。令和元年度の人件費の予算現額は211億800万円余りで、執行率は96.6%でございました。人件費の予算規模からすると、見込み差により一定程度の執行残が出てしまうことはやむを得ないと考えてございます。また、人件費を款や項に細分化して予算計上していることから、それぞれの科目ごとに足りなくならないよう予算計上する必要があり、その分不用額も多めに出てしまうということになってございます。

○久保委員 この点については昨年の決算特別委員会でも質問させていただいたところでございます。人件費予算の枠組みを見直して款別に一括して人件費予算を組むということができるのかどうか。これは自治法上は問題はないのでしょうか。伺います。

○森財政課長 地方自治法におきましては、歳出にあっては、その目的に従ってこれを款項に区分しなければならないとされておりまして、同施行規則で定める基準においては各項に人件費を計上するものとされているところでございます。また、地方財務実務提要におきましても、各項に人件費を計上しないということは自治法の規定の趣旨に反するものと思われるとされておりまして、そういった考えに従って中野区においては各款の各項にそれぞれ人件費を計上しているというところでございます。

○久保委員 自治法上は問題があるということですか。他の自治体で、例えば中央区などはこういった形で予算を立てていらっしゃるかと思いますけれども、そういった点ではいかがですか。

○森財政課長 今御紹介がありました中央区につきましては款ごとに人件費を計上しているということは情報は得ているところでございますが、それ以外はほとんど中野区と同様に項ごとに計上している自治体のほうが多いということでございます。法律に明確に反しているかどうか、例えば款ごとに計上することが反しているかどうかということについては、判例があるわけではないので明確なことは申し上げられませんが、先ほど御紹介しました実務提要、こちらのほうにおいては各項に人件費を計上するということが自治法の趣旨だというようなことも記載があるものでございますので、そういったところを参考にしながら実務は行っているというところでございます。

○久保委員 参考にしながら実務を行っているというところでしょうけれども、実際にそういった形で予算を組んでいる自治体もございまして、そこでは特にその自治法上の問題があるというふうにはみなされていないのではないかと思っています。逆に、款だけで一つのこの人件費というような枠組みをつくってしまうこと自体はそれは問題があるとは思いますけれども、もし例えば各自治体の判断によってそこが委ねられるという裁量があるのであれば、これは一つ考えるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。

○森財政課長 先ほどの答弁と重なるところもございますが、基本的には各款、各項に計上する、人件費はそういう形で目的別に区分するといったことが適切であると考えておりまして、同様の運用をしていきたいと考えております。

○久保委員 人件費予算の枠組みを変えるというふうに例えばしたとしてもですけれども、人員削減とかシーリングに直結するものではないんですね。今後の財政状況を踏まえると、多額の不用額が出ているという、この現状は回避しなくてはならないと思います。その一つの策として今御提案をさせていただいているわけですけれども、その点についてはいかがお考えでしょう。

○森財政課長 今の御提案については御提案として受け止めたいと思います。当然不用額ということについて申し上げますと、今後の厳しい財政状況におきましては、これまで以上に正確な予算積算を行い、計上された予算を計画的に執行し、不用額をなるべく発生させないよう全庁挙げて取り組んでいく必要はあると考えております。

○久保委員 これは例えばのことなので、もし分かれば教えていただきたいんですけれども、款別に一括して人件費の予算を組むといたします。その場合に例えば予算の絞り込みといいますか、どの程度期待ができるものなのかなと、その辺のことをもしお分かりだったら教えていただきたいんです。

○森財政課長 すみません、今の御質問は、款別に計上したときに事務の部分がどのように変わってくるかというような御質問でよろしいでしょうか。当然例えば款別に人件費がまとまってくるとなりますと、予算説明書上ではそれぞれの各課ごとの人件費等が見えにくくなるというようなこともございますので、例えば予算特別委員会等での審査に当たってそういった課ごとの人件費を詳細なところで説明をする資料というような作成ということはまず一つ発生するかなと思います。

○久保委員 予算説明書の在り方が変わってくるというところかと思いますけれども、実際にはほかの補足をするような資料でそこは示すことができるのではないかなと思っております。この点につきましては、私は可能性があるならば、こういった形で予算を編成するということも考えるべきではないかなと思っております。これについては同じ御答弁になるかと思いますので要望としてお伝えをしてまいります。

 次に、業務改善についてお伺いをいたします。

 指定管理者施設労働環境調査委託の調査結果についてはどのように活用されているのか、お伺いいたします。

○藤永業務改善課長 労働環境調査委託の結果の活用につきましては、区は、調査を受けた指定管理者施設に対し、評価結果に対する改善の実行を年度の事業報告と併せて確認し、実効性を担保してございます。また、調査を受けなかった指定管理者施設に対しても調査結果を共有し、セルフチェックを行うことにより指定管理者施設の適切な労働環境の確認手段として有効に活用しているところでございます。

○久保委員 労働モニタリング調査も3年目となりまして、この調査に関する効果、どのように評価をされているでしょうか。

○藤永業務改善課長 当該労働環境モニタリングについては、専門的な知見を有する者の評価を受けることにより、指定管理者施設の職員の労働環境がよりよいものに改善が図られていると認識しております。労働環境モニタリングを通じて適正な労働環境の下に管理運営が行われることにより、区民に良質の公共サービスが安定的に提供されることにつながっていく効果があるものと考えてございます。

○久保委員 中野区は他の自治体に先駆けて指定管理者制度を導入いたしました。けれども、このモニタリング調査については他の自治体よりも取組が大分遅れておりまして、議会から求めに応じてスタートをしたというような流れがあったかと思っております。そういった意味では、私はこの効果というのがあるということを今お伺いをして、本当に推進をしてきてよかったなというふうに思いました。またしっかりと進めていただきたいと思います。

 次に、庁内での電子決裁の進捗状況についてお伺いいたします。各部の電子決裁の割合はどうなっているのでしょうか。伺います。

○浅川総務課長 令和元年度におけます区全体の電子決裁率は少しずつ向上してまいりまして76.0%となってございます。各部ごとの電子決裁率を申し上げますと、企画部が97.5%、総務部が74.2%、区民部68.1%、子ども教育部・教育委員会事務局83.9%、地域支えあい推進部81.3%、健康福祉部81.4%、環境部87.9%、都市基盤部44.4%、まちづくり推進部31.9%、会計室98.3%、選挙管理委員会事務局33.4%、監査事務局77.4%、区議会事務局35.2%という状況でございます。

○久保委員 令和元年度の行政評価の仕組みが変わりまして、電子決裁の向上についてなかなか議会では状況を把握することができなくなっております。この部によって電子決裁の進捗に開きがあるようですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

○浅川総務課長 一概には言えませんが、図面など電子化しにくい書類がある等、部の業務によって個別の事情はあると認識はしてございます。しかし、電子化できる文書につきましては、業務の効率化やペーパーレス化の観点から積極的に電子化していくよう一層促してまいりたいと思っております。

○久保委員 やはり図面などということを言われていて、今回のこの数字はコロナ禍におけるテレワークの在り方とかそういったところにも影響を及ぼしているのかなというふうに思っております。今、議会のほうにはなかなかこの電子決裁の向上については明らかになっていないということを申し上げましたけれども、今後もこの取組を強化すべきではないかというふうに思っております。今しっかり取り組むということではございましたが、この議会への示し方も併せて取組の強化についてお伺いをいたします。

○浅川総務課長 取組でございますけれども、全庁の庶務担当課長会で電子決裁率のさらなる向上の取組を議題といたしまして、部内各課の電子決裁率を通知するほか、紙決裁文書が回付されてきたとき、決裁者等が起案者に対して電子決裁としない理由を確認し、指導するなど、実際の決裁場面における取組の実施を要請しているところでございます。また、今年度からは、電子決裁率が低かった課に対しましては総務課においてヒアリングを実施しまして、改善のための支援をしていく予定でございます。また、議会への示し方ということにつきましては、行政評価にまた現れるような形が取れないかということで検討していくということで考えてございます。

○久保委員 ありがとうございます。酒井区長になられてからこの各部の電子決裁は大変進んでいるというようなお話も伺っております。コロナ禍において行政手続についてもデジタル化というのは急務でございます。国は、地方公共団体における書面規制、押印、対面規制の見直しを進めています。さきに質問した特別区民税の徴収猶予については、総務省より、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた地方税関係手続における押印の省略等についてとの事務連絡が5月28日付で来ております。他の事業におきまして関係省庁及び東京都からこういった通達等はあったのでしょうか。お伺いいたします。

○藤永業務改善課長 押印省略等に関する通知でございますが、内閣府の規制改革推進本部において、テレワーク等の推進とデジタル時代に向けた見直しの一環として、書面規制、押印、対面規制の見直しが取りまとめられました。この内容を踏まえて整理された地方公共団体における書面規制、押印、対面規制の見直しについてを7月13日付で東京都総務局より通知を受けているところでございます。

○久保委員 私の下にも、緊急事態宣言下に区と契約をしている事業者の方から、新型コロナによりテレワークを進めているのに、区役所への提出書類に押印をするために出勤しなくてはならない、改善できないのかとのお声がございました。業務改善として押印、対面規制の見直しについてどのようにお考えでしょうか。伺います。

○藤永業務改善課長 区の事務のうち、国の法令等に基づいて区が実施する手続について、具体的には区民が利用する窓口手続等が該当すると思われますが、今後、各府省から発出されるガイドライン等の内容を踏まえ、適切に対応していく予定でございます。また、区が独自に実施する手続について、具体的には御指摘の契約や支払い等も該当すると思われますが、国の対応方針や技術的助言を参考にしつつ、関係所管と調整をして進めていく予定でございます。

○久保委員 業務改善におけるメインテーマをデジタル化とした上で、書面規制、押印、対面規制を具体的に取り組むべきではないかと考えますけれども、御見解を伺います。

○藤永業務改善課長 行政手続における書面規制、押印、対面規制の見直しを行うことは、新型コロナウイルス感染症の感染防止だけではなく、業務そのものの見直しや効率化が図られ、行政サービスの効率的、効果的な提供に資するものであると認識してございます。区民サービス向上と業務改善の両方の視点から庁内を取りまとめて区として取り組んでいきたいと考えてございます。

○久保委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、区内事業者支援についてお伺いをいたします。令和元年度の区内事業者支援として実施をされている中小企業診断士による相談事業の成果についてお伺いをいたします。

○堀越産業観光課長 中小企業診断士の相談事業の成果についてでございます。区内事業者の支援のため、現在、産業振興センターにおきまして中小企業診断士による経営相談、創業相談や出張による相談、どこでも出張相談などの事業を行ってございます。中小企業診断士は、区内事業者の支援に必要な経営や操業の課題の分析から解決のための手段等について有効なアドバイスを行っており、令和元年度の相談実績は融資のあっせん時なども含めまして296件でございました。その他、産業振興センター指定事業としての相談も行っているところでございます。

○久保委員 コロナ禍における中小企業診断士の需要が非常に伸びているというふうに伺っております。現状について伺います。

○堀越産業観光課長 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、経営悪化、事業縮小を余儀なくされている事業者が数多くおられる中で、適切な融資制度、助成金の申請や新たな事業展開、IT導入等、その事業者に対して必要かつ有効なアドバイスを専門性を持って行っているところでございます。また、国や東京都の融資のあっせん申請時に必要なセーフティネット保証制度に関わります認定審査業務におきましてもその専門性を生かし、対応を行っているところでございます。このセーフティネット保証制度に係る認定件数につきましては、昨年度年間での合計が77件でございましたところ、今年度につきましては、中野区しんきん協議会や東京都からの派遣協力も得ているところではございますが、4月から8月末までで1,360件を扱っているところでございます。

○久保委員 やはり大変需要が伸びているところですね。また、コロナ禍で充実をされた東京都や国の事業者の支援策、この士業派遣等、また無料相談、この充実については承知をされているでしょうか。

○堀越産業観光課長 国が専門家による相談窓口を設置したり、東京都では東京都中小企業振興公社等にての派遣制度ですとか無料相談を実施しているということは把握をしてございます。これらの事業につきまして、区でもチラシ配布や区ホームページによる紹介などにより広報を行っているところでございます。

○久保委員 また、他区での社会保険労務士や行政書士の派遣制度や相談制度の状況を把握されているでしょうか。それらの事業の必要性については認識をされているのか、伺います。

○堀越産業観光課長 板橋区などで社会保険労務士や行政書士の派遣、相談制度を設けていることは認識してございます。区内事業者がそのような専門家に相談することのできます環境の整備につきましては必要があると認識をしているところことでございます。

○久保委員 現段階では融資制度のための中小企業診断士の活躍というのが中野区においては目覚ましいというところだと思います。しかし、今後、新型コロナの影響が様々な段階を迎えると考えられます。事業継続や雇用状況、働き方改革等を視野に入れた新たな士業派遣制度を検討されるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

○堀越産業観光課長 中野区の商店街連合会におきまして、5月末からの約3週間、行政書士による東京都の協力金等の申請書類の書き方について個別相談を実施し、好評であったとお伺いしています。今後はこうした経済団体等の活動とも連携を行いながら専門家の活用を図っていくことも必要と考えております。あと、区といたしましては、東京都等の派遣制度の案内と併せまして、区役所1階で行っております区民や区内在住の経営者向けの無料相談につきましてもPRを充実させるなど、新型コロナウイルスの影響を受けている事業者のニーズに合わせました相談体制の在り方を検討していきたいと考えてございます。

○久保委員 しっかりとこの区内の中小企業の皆様、また個人事業主の皆様のニーズに応えて的確に施策を組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、施設再編計画についてお伺いをいたします。

 私は、先日の区長の行政報告で述べられたビルド・アンド・スクラップという言葉に違和感を覚えております。特に施設再編はスクラップ・アンド・ビルドで考えるべきではないかというふうに思っておりますけれども、行政報告で述べられたビルド・アンド・スクラップとは何を意味しているのか。また、あえてそう表現されたのはなぜなのか、伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) ビルド・アンド・スクラップは、最初にやりたいこと、やるべきことを決めて、そのために必要な資源を確保するために不要なものを廃止する考え方でありまして、改革においてスクラップから始めるのではなく、目標を設定することで進みやすくすることをイメージしているものでございます。施設の再編におきましても目標を明確にして検討を進めていくことが必要であると考えております。

○久保委員 目標を明確にするというところもあって、この基本計画と一体的に進めるということをおっしゃっているのかなというふうに思っておりますけれども、最初に目標を明確にするということはもちろん重要であるかと思います。私は今回なぜ違和感を覚えているかというと、これは区長が就任したてのそのときの所信表明などでこういった表現をされるということであるならば、何となく理解もできるところであるんですけれども、今そういう段階なのかなと。むしろビルド・アンド・スクラップ・アンド・ビルドとか、スクラップ・アンド・ビルドとか、ちょっと今違う段階に入っているのではないかなというふうに認識をしております。

 令和元年度には区有地等活用検討業務委託が実施をされています。執行率は32.6%と低いけれども、これは何を検討されましたか。また、どのような検討の成果があったのか、お伺いいたします。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 令和元年度は、区有地である旧商工会館と北部すこやか福祉センターの2件においてボリュームチェックを行ったところでございます。各用地において建築可能な規模を把握し、当該用地での施設更新の概算経費や民間活力による整備などの可能性を判断するための検討に生かしたところでございます。

○久保委員 商工会館も北部すこやかも施設の老朽化が顕著でありまして、課題も多い施設です。また、今後の施設再編計画でも検討がされなくてはならない施設であると思っております。ほかにも、今後の利活用を考えると、活用検討業務委託の必要な施設があるのではないかと考えますけれども、今年度以降の当該事業の実施については計画的に行われるのか、伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 区有地等活用委託業務につきましては、主に区の未利用地の活用検討や国・都有地の払下げ、民間などからの売却の申し出があった場合に早急に区の活用可否を検討するための調査、ボリュームチェックを行うためのものでございます。今年度も予算計上しておりまして、未利用地の活用検討に当たって発注をする考えでございます。

○久保委員 施設の再編計画におきましては、まずは未利用地、未利用施設の利活用について優先的に検討すべきと考えますけれども、いかがでしょうか、伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 未利用地、未利用施設の利活用につきましては、改築のための仮施設、仮設用地や移転用地としての活用のほかに、財政負担軽減のため、売却や貸付けすることも検討しているところでございます。歳入確保のためにも優先的に検討を進めてまいりたいと考えております。

○久保委員 未利用施設を売却する際ですけれども、施設の解体についての基本的方針は示されるのか、伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 土地の売買は原則的に更地取引でございますが、個々の事情によりましてこれまでも現状維持の形で取引した例もございます。売却する場合における既存施設の解体につきましては、財政負担なども考慮し、個々の施設ごとに判断していきたいと考えております。

○久保委員 学校跡施設の利活用につきまして伺います。今後手に入れることは難しい大規模用地であることや、また、地域にとっては防災拠点を確保するためには大変重要なこの土地でございます。地域にとってのメリット、デメリットを精査し、慎重に利活用を検討すべきと考えます。学校跡地の利活用についての方針を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 学校跡施設の利活用に当たりましては、御指摘のとおり、大規模用地、防災拠点といった点に配慮して検討する必要があると考えております。今後長期にわたり小・中学校建て替えの代替校舎が必要であることも踏まえながら、区有施設整備計画及び区立小中学校整備計画の検討を進めてまいります。

○久保委員 沼袋小学校跡地については用途地域は第一種低層住居専用地域でありまして、新しい中野をつくる10か年計画で示されたすこやか福祉センターなどの建設には様々な制限があることを2年前の決算総括質疑でお聞きをいたしました。令和元年度末に示された今後の主な区有施設の配置の考え方についてでは、北部すこやか福祉センター等の整備をまちづくり用地とする。当面区有施設の仮施設やスポーツ広場として活用し、まちづくりの進展に合わせてまちづくり用地として活用するとなっています。まちづくり用地の活用とは何を意味しているのか、伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 旧沼袋小学校跡地周辺につきましては4メートル未満の道路も多く、良好な住居環境の保全に向けたまちづくりや道路整備が必要であると考えております。具体的な利活用方法につきましてはさらに検討を進めているところでございます。

○久保委員 先ほど申し上げましたように、やはり学校跡地という、そういったこの沼袋の在り方、しっかりとそれも検討段階で視野に入れて進めていただきたいと思っています。

 また、北部すこやか福祉センターについてはどこで展開をするつもりなのか。例えば現在の沼袋区民活動センター、障害者福祉会館の位置などでの検討はされているのか、お伺いをいたします。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 北部すこやか福祉センターは築58年で更新期を迎えておりまして、立地につきましては、北部日常生活圏域の中で建物容積や交通利便性などを勘案し総合的に検討しているところでございます。

○久保委員 では、まだどこの位置でというようなこととかどこの施設でというようなことは検討されていないということでしょうか。それともまだ検討報告の段階にないということでしょうか。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 北部日常生活圏域の中にある区有地ですとか他の施設、そういったところの再編も含めまして検討を進めているところでございまして、御案内のあった沼袋区民活動センター、障害者福祉会館、こういったものも検討の一つだと考えております。

○久保委員 分かりました。

 また、配置の考え方では、鷺宮小学校移転跡地については、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりの進展に合わせて、鷺宮区民活動センター、鷺宮図書館、鷺宮すこやか福祉センター等の機能を集約した複合施設を整備すると示されています。まちづくりの進展とはどのようなことでしょうか。伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 鷺ノ宮駅周辺地区で進められているまちづくりにおきましては、補助第133号線沿線も含めた鷺宮小学校跡地周辺の土地利用の誘導及び一体的なまちづくりルールの導入を推進すると想定されておりまして、これを踏まえて鷺宮小学校移転跡地の利活用を検討していく考えでございます。

○久保委員 まちづくりの進展がなければ鷺宮小学校跡地の複合施設は整備できないのでしょうか。お伺いいたします。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 鷺宮小学校の用途地域でございますが、第一種低層住居専用地域でございまして、想定している複合施設を建設する場合には周辺地区の一体的なまちづくりルールの導入などの検討が必要であると捉えております。

○久保委員 地域の皆様が鷺宮小学校の跡地に対して様々な夢や希望を描かれています。なので、やはりスケジュールというのがどの程度のものなのかということが非常に重要になってくると思うんですね。まちづくりというと、どうしても息の長い話になってまいりますので、やはりその関係性を明確にした上でまた地域の説明には入っていただきたいと思いますので、これは要望でございます。

 次に、中野二丁目地区第一種市街地再開発事業の中野区権利床の活用について伺います。権利床を取得し、区民のニーズに合ったサービスの展開を検討すると示されておりますけれども、取得予定の権利床の規模、共益費など維持する際の財政負担はどう見込まれているのか。お伺いいたします。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 中野二丁目地区再開発権利床の面積でございますが、住宅棟2階の公益用途部分が683.27平方メートル、地下自転車駐車場部分が814.13平方メートルでございます。不動産オーナーは管理費や共益費を負担することになりますけれども、金額は再開発建物の管理組合が組成した後に決定されると聞いております。負担額の見込みでございますが、セントラルパークサウス・イーストで区が借りております産業振興拠点は合わせて約700平米になります。ここにつきましては共益費相当額を支払っておりまして、与条件の違いはございますが、参考にしているところでございます。

○久保委員 区民のニーズに合ったサービス展開についてはどう検討されているのでしょうか。また、いつまでに結論を出されるおつもりなのか、伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 中野二丁目地区の再開発権利床でございますが、中野駅直近で区内でも交通利便性の高い立地でございまして、今後の区民サービスの展開の中で最も有効な使い道を検討しているところでございます。再開発の建物の竣工予定は2024年でございまして、方針を定める時期は到来しており、区有施設整備計画の検討に合わせて結論を出したいと考えております。

○久保委員 ということは来年の8月までには遅くても示されることになるということですね。素案も含めると議会にはもっと早くに示されるということかと思います。

 四季の森エリアには公共貢献として、先ほど御紹介がされておりましたけれども、提供されている産業振興拠点がございます。権利床を検討する段階で、まずは中野駅周辺の開発に生まれたこの施設について検証をすべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 中野区産業振興拠点は民間建物を区が共益費相当額で借りている物件でございます。区の財政負担のないスキームで展開してきたところでございます。活用を開始してから6年が経過をしておりまして、今後の中野駅周辺各地区再開発における権利床の利活用を図る上で参考にすべきでございまして、その効果や課題、実績を踏まえた今後の可能性、有効性、また妥当性などを検証していきたいと考えております。

○久保委員 この産業振興拠点につきましては様々な区の重要施策等、これも相まっての計画であったと思っておりますので、そういった点も大変重要ではないかと思いますので、そこも検証の中に含めていただきたいと思っております。

 施設再編計画の策定においては基本計画とセットで示される予定です。基本計画との整合性を図るとともに、財政負担についても明らかにしなくてはいけないと思います。施設や土地の利活用は様々な視点で検討し、区民の財産を最大限に活用し、区民サービスを充実することに生かされるべきであると考えます。計画策定のための十分なバックデータはあるのか、伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) これまで区が所有する全ての施設につきまして、現状及び将来の見通しを把握、分析するために施設白書を作成し、また、長期的な視点に基づく区有施設の管理に関する基本的な方針を定める公共施設総合管理計画建物編を策定してきたところでございます。さらに、施設の再編や未利用地の利活用など、実効性を高めていくために様々なシミュレーションや民間事業者のサウンディングなどの手法を組み合わせながら検討を進めていきたいと考えております。

○久保委員 土地や建物の調査を怠ることでその後大きな代償につながるというおそれもございます。思いつきではなく、施設計画においてはその計画一つひとつに正確なデータが必要であると考えますけれども、いかがでしょうか。お伺いいたします。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 今後の再編、未利用地の活用、こういったことではやはり正確なデータに基づいて、その根拠に基づいて進めることが大事だろうというふうに思っております。その点におきましても、正確なデータ、また市場の動向の把握、こういったことに努めてまいりたいと考えております。

○山本委員長 久保委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

午後3時00分休憩

 

午後3時20分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。久保委員、質疑をどうぞ。

○久保委員 次に、児童相談所開設の課題についてお伺いをいたします。

 これまで23区の議長会でもこの児童相談所の移管について等の要望を出してきておりまして、その過去の経緯について先ほど伊藤正信議員に伺いましたところ、伊藤正信議員が議長であったときの平成21年度には児童相談所の増設と機能を充実することについてですかね、そういった要望を出されていて、その後に児童相談所の移管をということを議長会としても動かれたというお話でございました。長い年月を立てましてここまで来ておりまして、そして、本当に今取り組んでいらっしゃっている職員の皆様の御努力には敬意を表するところでございます。

 児童相談所開設における乳児院、養護施設、自立援助ホームの連携について、この点についてはさきに他の委員からも質問がありましたが、私からも伺わせていただきます。どのような方針を示されているのか、お聞きいたします。

○半田児童相談所設置調整担当課長 東京都と特別区が協議した結果、乳児院、児童養護施設、自立援助ホームにつきましては、都区双方が入所措置、委託を行うことができるようになりました。区では、乳児院、児童養護施設、自立援助ホームを必要とする児童が入所、利用できるよう体制を整備する方針でございます。

○久保委員 乳児院、養護施設、自立援助ホームの中野区内の設置状況と連携の状況についてお伺いいたします。

○半田児童相談所設置調整担当課長 中野区内には乳児院が1か所、児童養護施設が1か所ございます。自立援助ホームにつきましては中野区のほうにはございません。区内の2施設につきましては児童相談所の開設に向けて情報交換を行っているところでございます。

○久保委員 今後区が連携すべき養護施設には治療的養育の機能、養育の個別化などが求められると考えております。現中野区内の養護施設は開設当初からの信念により長年地域に根差した家庭的な養育を行っています。それはその法人の理念であり、尊重すべきところと思っております。しかし、児童相談所として求める要件とは一致をしない部分もあるのではないでしょうか。お伺いをいたします。

○半田児童相談所設置調整担当課長 国の新しい社会的養育ビジョンにおきましては施設養育に高度な専門性を求めておりまして、治療的養育を基本とすべきであるとされてございます。また、一人ひとりの子どもに合ったケアを提供する個別化の視点を重視しなければならないともされております。多くの児童養護施設につきましては新しい社会的養育ビジョンを参考に運営を行っているものと考えてございます。

○久保委員 この中野区内の養護施設についてはどうなのかという点では、これは区は認識をしていないというところですか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 今現在、中野区のほうでは児童養護施設は中野区の所管ではございませんので正式なことは今把握していない状況でございます。

○久保委員 承知をいたしました。

 東京都では、複数のグループホームやファミリーホームと児童養護施設の方面機能の一部を併せ持つサテライト型児童養護施設を設置し、家庭的養護を推進するとしている。こういった制度については検討されたのか、お伺いをいたします。

○半田児童相談所設置調整担当課長 サテライト型児童養護施設につきましては制度としては承知してございます。家庭的養護の推進につきましては、里親、グループホーム、ファミリーホームなど、様々な可能性につきまして検討しているところでございます。

○久保委員 自区で誘致した施設であれば、優先的に入所枠を確保でき、一時保護委託先としての連携も可能であります。何よりも子どもの生活圏の保障や家庭復帰の促進につながります。さらには、地域に密着をした子育て支援施設としての可能性も増えてきます。児童養護施設の誘致を検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

○半田児童相談所設置調整担当課長 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、東京都と特別区が協議した結果、児童養護施設につきましては、都区双方が入所措置、委託を行うことができることとなったため、優先的に入所枠を確保することは難しいというふうに考えてございます。一方で児童が地域での生活を継続するためには区内の児童養護施設に入所できたほうがよいと考えてございまして、また、区内施設であれば様々な形での連携が可能であるというふうにも考えてございます。今後、近隣の児童養護施設の運営状況などの情報収集も行いながら、児童養護施設の必要性について検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○久保委員 児童養護施設の必要性について検討という段階なんですね。私は先ほど中野区内にある児童養護施設においては児童相談所を区が行っていく上での連携をするという、そういった施設ではないのではないかということを申し上げまして、それは私自身が感じている点も含めて言ったところでございます。そうした中で、他の隣接区ですとか広域連携でというようなことをということで、その段階であって、区自体に誘致をするか否かについてはまだ検討もされていないという、そういったことですか。

○半田児童相談所設置調整担当課長 児童養護施設の必要性につきましては、東京都、特別区、基本的に東京都内では施設のほうが不足している状況でございまして、東京都、各特別区のほうで検討しているところでございます。中野区につきましても今現在検討をしている段階というところでございます。

○久保委員 分かりました。

 建て替えを控えているような児童養護施設が近隣区にもあると聞いております。23区で児童相談所が順次開設することにより、広域連携だけでなく、自区内に施設があることが重要になってきます。未利用施設や未利用地の活用も視野に入れ、積極的な誘致を推進すべきと考えますけれども、改めて区の見解を伺います。

○半田児童相談所設置調整担当課長 先ほどの繰り返しになりますけれども、児童が地域での生活を継続するためには区内の児童養護施設に入所できたほうがよいというふうには考えてございます。また、区内施設であれば、様々な形での連携が可能であるというふうにも考えているところでございます。児童養護施設の必要性を検討した上で、例えば未利用施設ですとか未利用地の活用も含め、また、誘致も視野に入れて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○久保委員 よろしくお願いいたします。かつて私はオデリア・ホーム乳児院の建て替えに際しまして区の未利用地の活用を提案させていただきました。様々なお声もありましたけれども、乳児院が現在も中野の地にとどまることができたことは本当によかったと思っております。そういったことも踏まえて今回のことを前向きに御検討いただきたいと思います。

 次に、子育て支援についてお伺いをいたします。

 保育所等訪問支援について初めに伺います。今定例会で我が会派の南議員からも保育所等訪問支援について質問をさせていただいております。私からも詳細をお聞きいたします。今なぜ法内事業に転換をしなくてはならないのか、理由を伺います。

○石濱子ども特別支援課長 保育所等訪問支援は、平成24年の児童福祉法改正によりまして障害児支援施設として創設された事業でございます。平成30年から2年間で全ての市町村において保育所等訪問支援を利用できる体制構築と併せまして、区の障害児福祉計画に保育所等訪問支援の推進体制整備の記載が求められております。一方、区では、現在実施している保育園等巡回訪問指導の体制整備といたしまして、巡回をする区立療育センターの職員の拡充を図るなど、広く子育て支援として取り組んできたところでございます。しかし、今般の中野区障害児福祉計画の改定に当たりまして、健康福祉審議会において、障害児支援の在り方や現在の保育園等巡回訪問指導の抱える課題等の議論がなされまして、併せて厚生労働省通知により保育所等訪問支援の円滑な実施を基本とするよう示されたことなどにより法内事業へ転換するものでございます。

○久保委員 実際に今この保育園等巡回訪問指導が行われておりまして、今やっているのに何で変えるのというお声があるかと思うんですよね。法内事業に転換をすることによって現在実施されている保育園等巡回訪問指導と何が大きく変わるのか、具体的にお示しください。

○石濱子ども特別支援課長 現在の保育園等巡回訪問指導は、保育士等に対するいわゆる気になる子への助言のみを区立療育センターの職員が担う事業になっております。本来の保育所等訪問支援は、障害児を抱える保護者、対象児への児童福祉サービスであることが大きな違いです。保育所等訪問支援は、対象児童への直接支援及び訪問支援施設への助言等の間接支援、そして保護者への報告を行うことで、対象児、保護者、保育所等施設、3者の継続的支援と連携の強化を行うことを目指した事業であり、保護者の権利保障として位置付けられているものでございます。

○久保委員 法外事業と法内事業、これを転換することによりまして事業費等の影響はあるのか、お伺いいたします。

○石濱子ども特別支援課長 現在実施している保育園等巡回訪問指導は地域生活支援事業補助金の対象事業として実施しております。保育所等訪問支援の実施によりまして障害児通所給付費というふうになります。一方、区立障害児通所支援施設の指定管理料でございますが、事業費から障害児通所給付費収入予定額を控除した額となっております。そのため、給付費の収入予定分の指定管理料が削減されるという、仕組みとしてはそのようになっております。

○久保委員 保育園等巡回訪問指導の事業実績は、アポロ園62園496人、ゆめなりあ55園457人に上ります。アポロ園への登録人数230人、ゆめなりあの登録人数191人となっています。法内事業に転換することにより未登録の児童は新たな事業の対象とならなくなるのではないかと懸念をしております。保育所等訪問事業の転換により利用人数はどの程度減少すると思われていますか。

○石濱子ども特別支援課長 児童福祉法サービスを現時点で利用していない児童につきましても、療育の必要な児童に対しては保育所等訪問支援事業の勧奨を行い、対象としていく予定でございます。保育園等巡回訪問指導では、保育園等への支援として、いわゆる気になる児童への助言等も行ってきたことから対象児童が拡大してきた経緯がございます。専門的支援や療育が必要な児童への支援を強化していくための転換であり、現時点で転換する具体的な人数はお示しすることはできませんが、療育の必要な児童に対しては適切な支援が届くというふうに考えてございます。

○久保委員 今の時点では人数がどうなるかというところはまだ示せないということですね。これまで保育園等巡回訪問指導が果たしてきた役割というのは非常に大きいと思っておりますけれども、その効果についてはどのように評価をされているのでしょうか。伺います。

○石濱子ども特別支援課長 区では、障害児の早期発見、早期療育を目指して平成2年より当該事業を実施してきた経緯がございます。障害や発達に課題のある児童を専門的な支援につなげるきっかけとして大きな役割を果たしてまいりました。また、保育園等での障害児や発達に課題のある児童への支援としてインクルージョンの推進に寄与したというふうに認識しております。さらに、保育園等の職員に対して、日々の保育の中で対応に困っていることについて専門的な助言を行うことで保育士等の対応力の向上にも効果があったというふうに認識しております。しかし、昨今の状況を踏まえますと、一つ一つの課題への対応力だけではなく、さらに保育士等の総合的な対応力向上が求められており、そのための事業の実施を検討しているところでございます。

○久保委員 一方、保育園の現場では、今、保育士のほうのサポートもということを言われていましたけれども、今回の転換について理解ができずに不安の声が相次いでいます。この現実について保育園を所管する保育課としてはどのように考えているのか、伺います。

○渡邊保育園・幼稚園課長 支援を必要とする子どもが増えている状況にあって、個別のケースに適切に対応して、保育園や幼稚園の保育士を支援する巡回訪問指導が果たしてきた役割は大きいと認識しております。法内事業への転換に伴い、保護者への支援に加え、保育者に対する研修や経過措置として保育者に対し個別ケースの相談、助言を行うことが必要であると考えております。

○久保委員 法内事業も法外事業もどちらも継続的に行うべきじゃないかというような声もあったりするんですけれども、例えば法内事業を受託した事業者が法外事業として継続的に今のような事業を行うということはできないのか、お伺いいたします。

○石濱子ども特別支援課長 現在、区立療育センターの障害児の支援のための療育相談や児童発達支援に数か月にわたる待機期間が発生しておりまして、区民から早期の対応の要望も出ているところでございます。障害児通所支援事業のニーズが拡大する中で、区立療育センターの役割は心身の発達に配慮が必要な対象児への専門的な支援であり、受託事業者には専門性を生かした取組を強化していただきたいというふうに考えてございます。また、児童福祉法の法内事業につきましては、東京都へ人員体制等の届け出を行い、指定を受けて実施するものでありまして、東京都は類似事業の法内事業と法外事業を同施設内で行うことは望ましくないという見解を示しております。こうしたことから療育センターでの事業継続はできないものと認識しております。

○久保委員 そういった事情があって今まで長く関わってきたアポロ園、またゆめなりあではこの事業を受託することは難しいということですね。しかし、30年間ということでこの事業は中野区では大変評価をされてきた事業です。保育園では、いわゆるグレーゾーンといいますか、中野区でいう気になる子の療育の必要性、また障害の有無について特定をすることができなくて児童の対応に大変苦慮していると。また、現在のこの巡回訪問指導に対して期待をする声もとても大きい。継続を望む声も高いんですけれども、事業転換と保育園の支援体制構築を同時進行で行っていかなければならないかと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。伺います。

○石濱子ども特別支援課長 昨今、子育てをめぐる状況は、養育不安や養育者の病気や障害、貧困やDV、多国籍化する家族の問題など多様化、複雑化して、通常の保育園で行う保育や保護者支援では対応し切れない場面も少なくないと認識してございます。事業転換によって保育園への相談支援が滞ることのないようにする必要があると認識しております。

○久保委員 今のお話にあったように、保育園で多角化した課題というのがあります。これまでの相談の中には、必ずしも療育ではなく、他の要因があって保育園での生活が順調にいかなかったという場合もあるかと思います。特別支援、保育園、またすこやか福祉センターが連携を図りながら、これまでの事業に代わる相談体制を構築させていく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

○石濱子ども特別支援課長 すこやか福祉センターはこれまでも保育園等からのいわゆる気になる児童についての相談窓口となっております。今後の保育園等への相談体制につきましては、すこやか福祉センターを中心として(仮称)総合子どもセンターを含む関連所管で連携し、検討してまいりたいと思います。

○久保委員 今までアポロ園やゆめなりあがやってきた、そういった事業におけるスキルというのは、これはやはり保育園もかもしれませんけれども、区も学ぶものが大きいのではないかなというふうに思っています。やはり保育園の現場では今目の前にいるこの子に対してどうしたらいいのかというところで皆さん悩まれているわけですよね。また、もしかしたら障害があって療育を必要とするお子さんかもしれないけれども、それをやはり保護者に対してそういったことをじかに伝えることははばかられる場合もあるわけです。そうした中で本当に今まで保育園を助けてきたというのがこの巡回訪問の大きな意義であったんではないかと思っておりますので、やはりそれに代わるような形での事業というのをしっかり、今おっしゃっていただきましたけれども、構築をしていただきたいと思いますし、やはりそのめどが立たないうちに今の事業自体を転換するというのは大変難しいのではないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。お伺いいたします。

○渡邊保育園・幼稚園課長 保護者の養育不安や子どもの虐待といった親子の問題、貧困やDV、保育士と保護者のコミュニケーショントラブルなど、保育所においては多様な子育て問題への対応が求められております。今年度、国は、保育士、社会福祉士、精神保健福祉士等の資格を有する(仮称)地域連携推進員を配置して、要支援児や保護者、保育所からの相談対応や医療機関、児童相談所、民生児童委員等、関係機関との連携を強化するための支援事業を開始いたしました。区では、保護者や保育所のニーズを踏まえ、国の支援事業の活用も視野に入れ、相談体制の強化を検討してまいります。

○久保委員 ありがとうございます。相談体制を強化させるための今構築ということで言っていただきまして、保育ソーシャルワーク事業というものもございまして、これも導入をすることも検討すべきではないかなと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。お伺いいたします。

○渡邊保育園・幼稚園課長 同様に検討してまいりたいと考えてございます。

○久保委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 今回保育所等訪問支援についての取材を行う中で、先ほどインクルージョンの推進ということで大きく貢献してきたというお話がありましたけれども、やはりまだまだこういったところが保育の現場で根付いていないのではないかなというようなことを感じたところでございます。しっかりと全ての子どもの育ちを応援していくという、そういった体制ができてくることを願いまして、この項の質問を終わります。

 次に、小規模保育園支援についてお伺いをいたします。小規模保育園からの連携保育園の進捗状況についてお伺いをいたします。

○渡邊保育施設利用調整担当課長 2歳児までの保育を行う小規模保育事業と家庭的保育事業は区内に計23施設ございます。2歳児が卒園するに当たり、5歳までの保育を受けるには保育所での受入れが必要となります。中野区においては区立及び私立の認可保育所において受入れ体制は整っております。

○久保委員 年度初めの小規模保育園の定員割れの実態についてはどのように認識をされているでしょうか。

○渡邊保育施設利用調整担当課長 4月1日時点で、小規模保育事業と家庭的保育事業を合わせ、ゼロ歳から2歳の定員274名に対して210名の利用、利用率は76.6%でございます。

○久保委員 10月募集を見ますと、ゼロ歳児に4人の空きがある小規模保育園もあります。地域によっては保育園の開設が充実し、小規模保育園の定員に影響を及ぼしている場合もあるのではないでしょうか。小規模保育園の事業継続についてはどのようにお考えでしょうか。伺います。

○渡邊保育施設利用調整担当課長 ゼロ歳から5歳まで切れ目なく同じ保育所に通わせたいという保護者の方の希望はありますが、異なる年齢の子ども同士で過ごすことや保育士の目が行き届きやすいことなどメリットもあることから、小規模保育事業と家庭的保育事業を継続することの意義はあると考えております。入園相談を受ける際に連携施設の案内や小規模保育事業のメリット等を紹介するなど、利用率の向上に努めてまいります。

○久保委員 小規模や家庭的保育の意義というのがあるということですよね。しかし、先ほど4月の時点で70%ちょっとの利用率ということでございまして、小規模保育園の財政的な負担というのはかなり大きいのではないかと思っております。こういった財政的な負担を支援する仕組みというのも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

○渡邊保育施設利用調整担当課長 定員に対して空きのある小規模保育事業、家庭的保育事業の運営を財政的に支援する仕組みを研究してまいります。

○久保委員 研究ということで、今、中野区も非常事態というようなことが言われている中で新規事業を要求するのは大変難しいところかと思いますけれども、しっかりとこの事業継続ということを視野に入れて検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、西武新宿線沿線まちづくりについてお伺いをいたします。主に野方以西の沿線まちづくりについて伺います。

 野方駅の構造形式及び野方第1号踏切除却に関する調査は行われているのか、お伺いいたします。

○狩野野方以西担当課長 平成26年度の区議会建設委員会におきまして、区が行いました野方第1号踏切を含む鉄道の立体化の検討では高架形式が有利であると報告しているところでございます。このことを踏まえ、昨年度より2年間の計画で高架形式を前提とした技術的な踏切除却の可能性について鉄道事業者に依頼し、調査検討を進めているところでございます。

○久保委員 調査結果とその後の協議はどうなっているのか、伺います。

○狩野野方以西担当課長 野方第1号踏切除却に関する調査につきましては現在検討を進めているところであり、今後、その結果を基に東京都と踏切の除却を含め鉄道の立体化について意見交換を行ってまいります。

○久保委員 先ほど高架化のほうが優位性が高いというお話がありましたけれども、構造形式調査の結果によって高架にはできないという、そういった結果が出る可能性というのはあるのでしょうか。伺います。

○狩野野方以西担当課長 野方第1号踏切の除却につきましては、区といたしましては、施工性などの技術的な実現可能性の検証が必要であることのほかに、事業の枠組みが最適であるかなどを検討する必要があると認識してございます。そのために、引き続き東京都と意見交換を行いながら野方第1号踏切の除却について積極的に取り組んでまいります。

○久保委員 次に、鷺ノ宮駅周辺まちづくりについてお伺いをいたします。

 先ほど施設再編計画でもまちづくりについて触れました。連続立体交差事業と中杉通り、補助133号線の関係性について伺います。西武新宿線野方以西の連続立体交差事業認可の際には、鷺ノ宮第1号踏切でクロスをする補助133号線の北側についても同時に事業認可がされるのか。西武新宿線の連続立体交差事業との関係性について御説明ください。

○狩野野方以西担当課長 連続立体交差事業は沿線地域のまちづくりが着実に進んでこそ、その効果が高まるものでございます。補助第133号線のうち、東京都が施行する白鷺一丁目の妙正寺川から新青梅街道までの区間の整備につきましては、交通の円滑化や快適な歩行空間の確保、自転車通行空間の整備により利便性や安全性の向上が期待できると認識しております。そのため、連続立体交差事業と併せて事業が進んでいくことが望ましいと考えております。

○久保委員 補助133号線事業認可の整備がされることによりまして沿道のまちづくりにはどのような影響があるのか、お伺いをいたします。

○狩野野方以西担当課長 補助第133号線は、東京都の防災都市づくり推進計画におきまして延焼遮断帯に位置付けられております。区といたしましては、補助第133号線の整備に合わせて、沿道の土地利用の誘導やまちづくりルールの導入により建物を不燃化することで延焼遮断帯を形成し、防災性の向上を図ってまいります。

○久保委員 ありがとうございました。

 以上で私の全ての質問は終了いたしますが、先ほど施設再編計画の質問の冒頭にビルド・アンド・スクラップについての意味のお伺いをいたしました。その際に、区長に就任したての所信表明等でその考え方を示されるのは理解できるがということを申し上げましたけれども、今回の行政報告では、財政における非常事態を訴え、庁内には厳しいスクラップを命じています。そんなときにこの言葉に違和感を覚えたというところでございます。何を必要としなくなったのか、今は時期尚早であると判断するのか、その決断をせずには予算は肥大化をし、財政の健全性は保たれなくなります。今、区長が示されるのはスクラップ・アンド・ビルド、もしくはビルド・アンド・スクラップ・ビルドなのではないかと思っております。選挙公約として示されたことが今すぐに達成できなかったとしても、新型コロナ感染症による社会状況を考えれば、一旦は立ち止まらなくてはならないものもあるのではないでしょうか。今何をなすべきか、優先順位を明確にし、次期予算編成や今後の計画策定に臨まれることを期待いたしまして、区長の賢明な判断を望み、全ての質問を終わります。

 ありがとうございました。

○山本委員長 以上で久保りか委員の質疑を終了します。

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 自由民主党の立場から総括質疑させていただきます。河野太郎行革担当大臣がいろいろと規制改革のところを打ち破るということで、ちょっと与えられたこういった仕組みの中でやれることをやっていきたいなということで、こういったフリップを今回つけさせていただきました。いろいろ御協力いただき、ありがとうございます。また、インターネット中継が今回からやられるということで、こういった質問項目が多数ありますけれども、こういったところも見やすいものを作っていったほうがいいのかなということでの試みでもありますし、今回の行政報告に挙げられているのが3、4に全て項目として書いております。つまり、これは行政報告で今後やっていくもののチェックリストとして見ていただきたいという趣旨もございます。そういった観点からいろいろと質問させていただきます。

 それでは、1、令和元年度決算および基準となる一般財源規模の増加の理由について、決算についてはほかの委員が質疑されましたので、申し訳ないですけど、割愛させていただきまして、基準となる一般財源規模について示します。

 左が令和元年度のものであります。右が令和2年度で編成されています。大きな違いとしましては、基準額を超えた財源超過分を貯金して、足りなくなれば取り崩す手間をかけておりました。しかし、令和2年度よりその手間をなくしました。例えば分かりやすいのが体育館整備です。要求資料の総務105番、令和元年度、令和2年度における基準となる一般財源規模が増額になった主な要因と事業一覧を見ると、令和2年度750億円になった理由に中野区立総合体育館の開設があります。しかし、平成31年度の予算概要で見ますと、(仮称)中野区立総合体育館整備14.64億円は臨時的な経費として基金の繰入れで行ってあり、基準となる一般財源規模に入っておりません。平成30年度においても同様でありました。つまり令和2年度は臨時的経費を基準となる一般財源規模に入れて計算しています。一定の規模を超えないような手間を省きました。

 一般家庭で言えば、お小遣い制度だった会計が、令和2年度から給料の全てを財布に入れて、パソコンが欲しかったら買った、余ったから貯金する、そんなイメージになるわけです。自民党、我が会派としてはこれが財政支出のたがが外れたと指摘しているわけであります。別に規模を来年度下げれば40億生まれるとは思っていないですけれども、こういった基準を上げたことによって経常経費が臨時的経費に隠れてしまって増加が分からなくなってしまうというところに疑義を感じているわけであります。なぜこの基準額を上げて基金を一財にため込む、この手間をなくしてしまったのか、お伺いいたします。

○森財政課長 基準となる一般財源規模でございますが、その規模、基準を上回った歳入は基金に積み立て、歳出が基準を上回った場合は基金を繰り入れて財源の調整を行っているということでございまして、この運用について変更はしていないところでございます。今、委員が少しお話しいただいた臨時的経費の取扱いという部分については、確かに御説明という部分については一部変更しているところではございますが、基準額を上げることにより経常経費の増加を見えにくくしているといったような認識は持ってございません。令和2年度は歳出の一般財源充当事業費が750億円の基準の範囲内に収まったことから基金からの繰入れを行わず、従来の考え方に基づいた編成をしているということでございます。

○加藤委員 そうしましたら、体育館の経費を平成30年度と平成31年度は基金の繰入れでやっていて、令和2年度ではこの750億の中に入れているというこのやり方の差というのはどこから生まれてくるんですか。

○森財政課長 先ほどの答弁の繰り返しになるところでございますが、令和2年度については一般財源充当事業費が750億円の基準の範囲内に収まったと。それは臨時的であっても経常的でも同じということでございます。ということなので基金からの繰入れは行っていないということでございます。令和元年度、平成31年度当初の予算編成においては基準額を超えたということでございますので基金からの繰入れは行ったということになります。

○加藤委員 やり方を変えたというのはお認めになるということでよろしいんですか。

○森財政課長 やり方を変えたというよりも、説明のところで基準となる一般財源規模を超えた部分が臨時的な経費の一部が当たっていたといったようなことは確かに令和元年度の予算の概要のところでは御説明をしているというところでございます。そこのところはおっしゃるとおりなんですけれども、繰り返しになるんですけれども、令和2年度については750億円の基準の範囲内に収まっているということですので、臨時的経費であっても経常的経費であっても基金を取り崩すことなく予算編成を行ったということになります。

○加藤委員 こういったところを、ちょっと自分が夫婦の話というと変ですけど、こういった会計制度を家庭内でいきなり変えちゃうとやっぱりもめごとの要因になるわけですよ。この辺の説明をしっかりと説明してもらわないとやっぱりもめてしまうので、議会にこういうふうにちょっと趣旨を変えました、方法を変えましたという説明はしっかりと丁寧にやっていただかないと信頼関係が失われるということで、来年度はまた全く異なった方法でやらざるを得ないところもあると思いますけど、その辺の説明はしっかりしていただきたいと思います。

 それでは、次の社会情勢を踏まえた令和3年度歳入見込みについて、特別区税についてお伺いいたします。

 これは過去のリーマンショック前後の特別区税の推移で、リーマンショックにより翌年度以降減収して、3年後が減収のピークとなります。翌年度じゃないんですね。平成23年、東日本大震災があったせいか、その税収が復活するまでには5年ぐらいかかっておりますけれども、コロナショックによるこの影響というのはどのように見込んでおりますか。

○矢島税務課長 新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、多くの納税相談の実情から区民の所得の減少が推測され、来年度につきましてはそれに伴う収納率の低下や課税額の減少などの影響があると見込んでございます。長期的な影響につきましては、経済の回復には新型コロナウイルス感染症の今後の状況も関係してくるため、現時点では見通すことは難しいと考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございます。

 次に、特別区の交付金についてお伺いします。リーマンショック後2年後が減収のピークとなっております。コロナショックによります特別区交付金についてどのような予測をされておりますでしょうか。

○森財政課長 令和3年度の特別区交付金につきましては、リーマンショック時のGDPの成長率と減収額を踏まえ、今年度のGDPの成長率の予測値から来年度の減収額を推計し、特別区交付金といたしましては48億円の減を見込んでいるところでございます。令和4年度の推計につきましては、令和2年7月の経済財政諮問会議提出資料であります中長期の経済財政に関する試算に示された地方税収等の伸びを参考に推計をしておりまして、令和3年度から約1.1%の伸びを見込んでおります。

○加藤委員 ところで、特別区交付金は各区の基準財政需要額から収入額を差し引いた金額で、基準財政需要額は、人口、学校数、生徒数、道路面積、いろんなものから算出して、収入額のほうは、特別区税、交付金、地方譲与税から算出されます。リーマンショックで中野区の特別区交付金が平成20年度、353億円から319億円へ翌年度下がるほど人口や区民税の変化があるわけではありません。私はオープンデータから、基準財政収入額からその金額を試算しましたけど、おおむね妥当な数字は出せました。基準財政需要額はちょっとそこで計算方法が全く分かりませんでした。この金額の差が出てくるのは何でかなというところで、リーマンショック時の基準財政需要額と交付金の算定方法について教えてください。

○森財政課長 基準財政需要額につきましては、今、委員少し御紹介いただきましたが、それぞれの項目について単価等が決められておりまして、そこから各区の状況、規模等に応じて算出をしているところでございます。リーマンショックの際の算定なんですけれども、平成21年、また平成22年において普通交付金の総額の減額が大きく見込まれたということでございまして、そのため、都区財調協議による基準財政需要額の計算におきまして、投資的経費の圧縮や臨時的に起債を充当するなどの財源対策を行った上で交付金を算定したというところでございます。

○加藤委員 つまり需要額というのは、結局23区で調整3税をどういうふうにパイを分けるかという計算式で、毎回区で起債をしたからお金が足りるんだろうというような、そういった想定で金額が大きく変わってしまうということで、結局このパイが少なくなってくるということは中野区に対して交付金が結果減少してしまうということでよろしいですか。

○森財政課長 リーマンショック時の平成21年度、また平成22年度についての基準財政需要額の算定方法については先ほど御説明をしたところでございますが、そういったことの変更により普通交付金のほうの減額にもつながったということになります。

○加藤委員 そうすると、結局パイを増やす以外にないということになりますので、区長には特別区長会で、現在、区が55.1%という割合になっていますけれども、これを引き上げるように強く要望していただきたいなということをここで要望させていただきます。

 次の今年度と比較し92億円減収が予測される次年度の一般財源についてです。リーマンショック前後の一般財源の推移を示します。この水色──色はないです。すみません、カラーにすると、全部で8万円するとか言われてやめちゃいましたけど。ここで足りない部分はこういう色になっていますけれども、2年後が一番減収となります。リーマンショックが9月ぐらいにあったというのと、コロナが今回年度初めから財政的には大きな影響というのがあるので、リーマンショックのように2年後が一番厳しいのかというとなかなか分からないところではありますけれども、一応そのリーマンショックのときと同じような計算をしますと、リーマンショック翌年からどのぐらい減収があったかというのがこの図になります。この前、9月1日の総務委員会の財政フレームの資料を使って今回のコロナショックを見ますと、92億円が来年度、そして徐々に低下するということで、合計215億円の減収ということが見込まれていますけれども、区は来年度だけでこういった穴埋めをすべきではなくて、他の委員も言っていましたけれども、中長期的にこの穴埋めをすべきと考えますけど、区のお考えをお伺いします。

○森財政課長 一般財源の歳入が今年度の当初予算並みに回復するというのは複数年要すると見込んでいるところでございます。ですので、令和3年度予算における見直しだけでなく、中期的な取組が必要だと考えております。

○加藤委員 次に、この215億円をどうやって穴埋めするかというのが行政報告で伝えられたと思いますけども、僕はこの行政報告を読んでこういったイメージを描きました。まず来年度予算、横が期間で、縦が財政効果です。つまりどのぐらい歳出を抑制したかというところになります。最初の令和3年度の予算規模を圧縮できれば、それを5年間続ければ、この5年間ずっと同じ金額を抑制できる。これはかなり厳しいですけど、区長の覚悟が一番重要になってくるところかなと思います。行政報告の中では行財政の構造改革というのも書かれていますけども、それは時間がかかるんで、効果としてはこういうふうに徐々に増えてくるもんだなと思っています。つまり、12月までに、この後聞きますけど、まずはここで、こういったところで行政報告の中身を僕はこういうふうなイメージを持って読んでいたんですけども、区としてはどういったイメージをお持ちか、お伺いします。

○森財政課長 行革の効果が徐々に現れてくるといった部分についてはそのとおりだろうなと思います。おっしゃられるように、今後の財政状況についてしっかりイメージを共有することが必要だと思いますので、財政、企画部門だけでなくて全庁的にそういった取組は必要だろうと考えております。

○加藤委員 では、大きい3の行政報告に示された令和3年度歳出抑制について、つまりここの下のバーのところになります。主に四つの手法が示されており、やり方によってはこういった5年間続く財政効果が得られると思います。来年度予算の編成はおおむね12月までに決定すると思いますけど、この四つの手法を残り2か月で実施するというスケジュール感でよろしいですか。

○森財政課長 12月には区長査定を行っていくということになりますので、令和3年度に向けました歳出削減などの取組、また、それを踏まえた各部の予算要求作業ということについて言いますと、残り2か月ということになろうかと思います。

○加藤委員 残り2か月間程度しかない中で、ちょっと取材をすると、まだ現段階でほとんど何も決まっていないということなんで、各項目の具体的な内容というよりはアウトラインだけ伺っていきます。

 (1)区立小中学校をはじめとした区有施設の改築・改修計画見直しについてですけれども、具体的には言えないんでしょうけども、これは全体的に施設整備を遅らせていくというイメージのものなんでしょうか。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 学校再編による学校施設の改築を計画どおり進めるため、令和3年度の予算には計上することになりますけれども、施設全体の整備のスケジュールにつきましては、今後の財政見通しや事業の重なりの分散化の観点、改修等の必要性や計画の進捗状況などを見極め、慎重に判断をしていきたいと考えております。

○加藤委員 後にも行財政の構造改革のほうでありますので触れますけれども、瞬間的な経済危機に対して持続可能な行政運営に資する区有施設の更新をやめるべきではないということをここでは指摘させていただきます。

 そうしましたら、次、(2)から(4)、取材を通じて同等のものだということでしたので、ちょっと質問通告しておきながら申し訳ないんですけれども、まとめて伺わせていただきます。廃止、縮小、先送りすべき事業、既存事業の統合、再編、見直し等事業のスクラップ、事業の評価、見直しは区長査定に至るまでどのようなプロセスとなるのか、お伺いいたします。

○森財政課長 まず既存事業につきまして各部において事業の効果等を評価する。その中で見直しができるかどうか等ということの検討を行っていきます。その結果、予算要求として上がってきて、まず企画部に対してその内容が示されるというようなことになります。企画部においては予算査定において部から示された要求内容、また見直しの状況などを踏まえて、事業の実施方法及びその経費についてさらなる精査、検討を行い、区長査定に上げていくということになります。新規・拡充事業については各部において検討、区長への説明を行い、区としての各事業の方向性を確認し、当然実施時期の見直し等、判断できるものについてはしていく必要がございますし、また、既存事業の再編、スクラップ等が反映されているかどうかというようなことについても確認をして、企画部においてチェックをし、最終的な区長査定に至るということになります。

○加藤委員 各部からそういった予算要求が上がってくるということで、予算要求前に事業を見直すかどうか、その辺のこれは継続すべきだ、縮小すべきだみたいなリストでABCDとかそういうランクがついてくると思いますけれども、そもそも各部一律に事業費2割カットというのが妥当なのか。子育て先進区だから子ども関係は1割で、ほかは2割とかそういうふうな、そういう意味でのむらはあっていいかなとは思いますけども、それがまず妥当なのかというのが気になる点と、あと、各部がこの無理難題に対して2割ちゃんと言ってくる部と、結局、いや、うちはもう増加しかあり得ないとかそういうふうに言ったときに同じ土俵で評価ができるのかなということがすごい気にかかるんですけれども、でも、それは企画部が調整しないといけない内容なのかと思うんですけども、そういった評価がばらばらな各部から上がってきたものをどうやって一律の基準に乗っけていくのか、その作業について教えてください。

○森財政課長 当然各部の要求、上がってきたものについては予算編成方針にのっとっているかどうかということを企画部のほうで確認をいたします。重なる部分もございますが、新規・拡充事業については、事業の優先度や関連する既存事業の統合、再編、また見直し等事業のスクラップにより経費が生み出されているかどうかの確認、また、当然見込まれる効果などデータ等も含めた計画がなされているかどうかの確認も行います。経常経費については、効果を分析した上で経費削減の状況ですとか、また実際の至った効果の原因の分析状況などを確認して精査をしていくということでございます。

○加藤委員 いろいろと基準がばらばらなところ、それをまとめるのはかなり時間がかかると思いますけども、その辺はしっかりと各部のむらを企画部のほうで調整していただきたいと思います。

 それでは、上がってきた企画部で評価をある程度一律にしたものをその後区長が査定していくというプロセスでよろしいですか。

○森財政課長 そのようになります。

○加藤委員 来年度予算編成まで待ったなしという状況ではありますけれども、ある事業はなくなってしまうかもしれない。スクラップされるかもしれないという事態、これまで政策立案プロセスをちゃんと公表していくというような話もありましたけれども、逆になくすというところも流れを、プロセスを出していただきたいと思うわけですけれども、議会や区民にそういった詳細に示していただけるんでしょうか。

○森財政課長 そういった事業の見直し等の検討過程、またどういった評価によってそういう考え方に至ったのかなど、そういった検討状況につきまして区議会や区民に対して時期を逸することなくお示しをしていきたいと考えております。

○加藤委員 それでは、次の項目、4番、行政報告に示された行財政の構造改革の推進について、これで言う三角形で示しているところでありますけれども、この効果が出るには時間がかかるものかなとは思っております。そういった観点でお伺いいたします。

 この行財政の構造改革の推進は施策と施設と組織の三つの歳出抑制が指針のようなもので示されておりますけれども、それぞれの内容、実現性、財政効果について伺います。

 (1)施策の再編について、(ア)施策の統合・再編について、取材をしたところ、この施策全体の統合、再編というのは基本構想・基本計画に関連するということでしたので、御担当からその内容、実現性、財政効果についてお伺いいたします。

○永見基本構想担当課長 新しい基本計画における施策につきましては、現在の新しい中野をつくる10か年計画(第3次)における施策の体系を新しい基本構想で描くまちの姿の体系に沿って全体的に再編をする考えでございまして、具体的な内容につきましては第4回定例会で骨子としてお示しをする考えでございます。また、新しい体系に基づいて基本計画に定める施策を実施するに当たりまして、民間活力や外部資源の活用、また効果的、効率的な組織体制、内部事務の効率化、そういった構造改革に取り組むことで財政効果を含めて持続可能な区政運営を行っていくものであると考えてございます。

○加藤委員 今後、組織とか施設の再編をどうやっていくかという根本的なところになってくると思います。もちろんこういった基本構想・基本計画が重要というところにはなりますけれども、ここでは財政効果を生むわけではないということですよね。

○永見基本構想担当課長 施策の再編を行いまして、その事業の実施をするに当たっての様々な取組で財政効果を生んでいくものと考えてございます。

○加藤委員 では、続きまして、(イ)公助の役割と自助・共助、例えば町会、自治会、防災会などはいろいろと関係の中で自助、共助、公助の連携を区とやってきたわけでありますけれども、今後さらにそういったところから自助、共助を引き出す、強化するというのはなかなか難しいことです。またそこから、つまり財政効果を生み出すということは難しいだろうなということです。新たに自助、共助を強化できるとしたら、今まさに地域包括ケアを構築しているというところで、そういったところから期待されるわけでありますけども、現在の地域包括ケアシステムで自助、共助の力を引き出して歳出抑制ができると考えられる事業はあるか。またその財政効果についてお伺いいたします。

○高橋地域包括ケア推進課長 自助、共助、公助等の適切な役割分担が将来にわたり持続可能な地域包括ケアシステムの構築のためには重要であり、歳出抑制はその成果の一つとして考えられるところでありますが、具体的な事業の財政効果として申し上げるということは難しいところでございます。

○加藤委員 医療、介護、そういったところの費用をこれ以上増やさないためにそういった自助、共助の力、あとこれに関しては互助とかもありますけれども、そういったところを考えますと、イメージとしては、歳出抑制をするけれども、歳出を削減するというところまでにはなかなか至れないのかなということで、この自助、共助についても構造改革の中でなかなか財政効果を生むのは難しいのかなというふうに理解しました。

 続きまして、(2)施設の再編について、(ア)施設の集約化・複合化を踏まえた適正配置について、例えば小学校内にキッズプラザ、学童クラブを整備することにより児童館を廃止していくということで、こういったところでどのぐらい財政効果を生むのか、お伺いいたします。

○細野育成活動推進課長 施設の廃止を行った場合には、その施設の運営経費等の減少という面では財政上の効果はあると考えます。幾らかというところにつきましては、財政白書には児童館全体で5.5億円というようなことを掲げているわけなので、そこから今のところは試算するしかないですが、廃止を行える場合には最低限運営経費等の減少という効果はあるというふうに考えます。

○加藤委員 5.5億円というのは年間ということですか。

○細野育成活動推進課長 財政白書に示させていただいたところで、現状の行政コストの計算手法によりまして平成31年4月から令和2年末までで5.5億円という試算をしております。

○加藤委員 金額算出は難しいということですけれども、ちなみに、児童館の配置の今後の在り方はどのようになっていますか。

○細野育成活動推進課長 令和元年第3回定例会の子ども文教委員会で御報告申し上げたとおり、現時点では中学校区に1館の配置としていく考えでございます。

○加藤委員 今、児童館は一例ですけれども、例え話ですけれども、そうしたら、区はほかに具体的にそういったことができる施設、どこら辺にイメージを持っておられるのか、お伺いいたします。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 区では現在区有施設は約270ございますけれども、それぞれの施設についての再編を考えているところでございます。その中で施設の集約化や複合化によってスケールメリットを生かした施設の運営が可能となると考えております。施設の管理費や人件費の軽減による財政効果が見込まれる組み合わせを現在検討しているところでございます。

○加藤委員 5年間というのは例えの話ですけど、コロナショックを考えたときに、そういったのを今から計画して集約とかする中で財政効果が生まれるにはちょっと時間がかかるのかなというようなイメージは持ちました。

 次に、(イ)の民間活力の活用について、1年前の決算資料になりますけれども、平成30年度の財政白書79ページに保育園の行政コストの割合が示されておりました。金額もありました。直営である14の区立保育園の行政コストは32億7,000万円、すみません、今回の数字じゃないですけれども、その脇の参考に私立園での行政コストが3割程度国と都の補助金が入っているという図でありました。単純計算でありますけれども、この32.7から3割程度掛けると10億円の補助金が入るということになって、行政コストとして10億円程度圧縮できるというふうに理解したんですけど、例えばそういうことをしたらそういう計算でよろしいんでしょうか。お伺いたします。

○渡邊保育園・幼稚園課長 財政白書でお示ししているコストと同規模の保育所であると仮定した場合、単純計算で国、都の補助等により約10億円の運営コストを圧縮できるものでございます。

○加藤委員 ちなみに、保育園は今後民営化とかそういったところの方針はどのようになってますか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 区立保育園は区全体の保育定員と保育需要の調整機能を担うこととしております。民営化し、残る区立保育園10園については、地域的にばらつきがあるため、この調整機能を果たすためには10園全園を残しておく必要があり、現在の区立保育園10園は民営化しない方針でございます。

○加藤委員 区立園を残すというと、もう一回改めてお伺いいたします。

○渡邊保育園・幼稚園課長 区立保育園は、将来的に少子化により保育需要が減少する状況になった場合の調整機能の確保や民間保育施設に対する指導、検査や助言等を行う際の経験とノウハウの蓄積、就学前教育の充実、医療的ケアが必要な子どもへの対応など役割機能があり、6~7園存続させることとしております。

○加藤委員 区立園存続理由としてそういった医療連携とかもありましたし、過去の委員会答弁の中では、保育現場で培った豊富な経験、ノウハウを最大に活用する必要があるとか、そういったことをおっしゃられているんですけども、こういったコロナ危機において区立園がそういったところでイニシアチブを取って何かガイドライン作成に一役買うとか、そういったことも全くなくて、そのノウハウをどうやって私立園に生かしていくのか、そういったところも見えなくて、区立園の役割として、残すならもう少し役割というものを持たせないと、言っているところで区立園だからこそこういうのができたみたいなところをもう少し示していただきたいと思うんですけど、御見解はどうでしょうか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 区立保育園の保育士は経験を蓄積しております。コロナ禍にありましても感染症マニュアル等を作成し、私立保育園に配布したところでございます。あるいは小規模保育所に対して合同保育をするなど、区立保育園の保育士の経験を提供しているところでございまして、そんな活用を考えてございます。

○加藤委員 ちょっと時間がないんであまり詰めませんけども、それでは、保育園は一例ではありますけども、ほかに民間活力が使えそうな施設というのはどこがあって、どんな財政効果を見込んでいますでしょうか。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 民間活力の活用といった場合、ただいまあったような民営化ということもございますが、そのほかにも施設建設に当たっての民間活力といった観点もございます。今後の施設建設に当たりましては、PFIやPPPなどによる民間活力の活用も視野に入れているところでございます。再編する施設の整備のほか、未利用地、未利用施設の利活用でも検討してまいります。

○加藤委員 では、次に、(ウ)未利用地及び未利用施設の活用・処分について、総務の資料108に作っていただきましたけれども、財政効果を生むとしたら、その家賃収入や売却をするしかないですけれども、このコロナ危機に対して5年以内にというのは、5年は勝手に僕が定めたところですけども、危機として行政報告に3年から5年とは書いてあるんで、それに間に合わせるとしたらそういったスパンだと思うんですけれども、そういったところにこの項目がどうやって当てはまっていくのか、お伺いをいたします。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) ただいま御案内があったように、やはり貸付けですとか売却、そういったことで収入を得ていくということは大きな点であるかと思います。また、資料にある施設のうち、今後、区民サービスを提供する公共施設として整備する場合には、ただいま御案内したとおり、PFIやPPPの活用といったことがございます。区として使用しない場合には売却や貸付けを行うことになると考えております。

○加藤委員 大きな億単位のお金を捻出しようとすると処分しかないのかなというところで、その辺は議会としても注視していかないといけないかなというふうに思います。

 次に、(エ)で区有施設の新規整備スケジュール見直しというところですけども、スケジュールの見直しの前に、まず区が進めている公契約条例について触れます。というのは、平成30年度に東京都知事がオリンピック施設の落札結果に納得いかないと入札契約制度改革をしたところ、不調、不落が続出し、工事が進まず大失敗、結局元に制度を戻すという事態がありました。契約制度の改革というのは本当に難しいもので、ある種職人技だと私は思っております。というところを心配するからこそ、この構造改革の中で公契約条例もセットで考えていくものとなってくるのかなというところで、ちょっと課題についてまとめましたので、その辺についてお伺いいたします。

 2000年頃に最低賃金が生活保護以下になるなど官製ワーキングプア問題がありましたけれども、最低賃金の引上げ、厚生労働省の命令によって解消しました。しかし、品質確保にはまださらなる賃上げが必要だという議論がありまして、引き上げるためにはこの重層構造を直していかないといけないというような指摘をする人がいるわけです。下請に仕事を回すたびに中間搾取をこのところでやっていく。これは管理する側からすれば管理費とも言えますし、でも、その厚生労働省の基準で最低賃金は保障されております。ちなみに、一人親方、小規模事業者さんなど、小学校工事とかだと5次まであるような現場も認められますので、3次、4次とかにこういった一人親方さんが入るようなことになっております。

 これを公契約条例でやっていくということで、フルスペックでやっていくと、最終的には首長が各元請さんと下請さんの間に介入して契約をするような状況にもなっていくわけです。それをやるとかなり大変ですし、そのためには労務管理をするために労務台帳が必要になりまして、事務作業が激増して、その作業が工事に積算されるのか、そして誰が作成するのかというのを押しつけ合うような状況になってきます。最終的には公契約条例をやるとこういった絵になりますけれども、下請さんがいなくなるというのはいいんですけども、一人親方さんとかそういったところがなかなか公共事業を請け負えなくなる。そして、ここでは非常に労務台帳を作る事務作業が激増するようになるために、こういったところで、質は向上しますけれども、非常に求めていた形になりづらいのかなと思っていますけれども、この辺、私というか、自民党はこういう見解を持っているわけですけれども、区はこの公契約条例についてどのような御見解をお持ちなのか、お伺いいたします。

○吉沢経理課長 現在、公契約条例につきまして意見聴取をしておりますけれども、事業者並びに関係団体からは、労働状況に関する確認書類の提出や複雑な労務管理が事業者に求められるなど、事務負担の増を懸念する声が多数寄せられているところでございます。公契約条例の制定につきましては事業者の御協力が必要不可欠でありまして、十分な御理解を求めていくことが重要であります。スピード感を持った制定が必要ではありますが、一方で事業者や関係団体の御理解、また諸課題等につきましてもその課題解決に向けまして慎重に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 行財政の構造改革とともにこういったところも考えられるのかなと思いますけれども、しっかりと研究をしていただきたいと思います。

 話を行財政の構造改革に戻します。

 それでは、区有施設の整備スケジュール見直しとは何を意味しているのか。そしてその財政効果についてお伺いいたします。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 今後、多くの区有施設が更新時期を迎えることによりまして区財政に大きな影響を及ぼすため、主に改築を要する施設の整備スケジュールの見直しを検討しているところでございます。今後の財政負担の平準化を図ることも視野に入れながら検討を進めているところでございます。また、区の財政負担といったこともございますけれども、地域経済への影響といったことも踏まえながら慎重に判断していきたいというふうに考えております。

○加藤委員 持続可能な行政運営について、先ほども言いましたけど、区有施設の更新というのも一つ重要になってくるわけであります。昨日高橋ちあき委員から質疑がありましたけれども、中野区公共施設総合管理計画建物編の考え方について、踏襲はするけども、金額とかが変わってくるというような話でしたけど、再度確認ですけども、常にそういった更新費用というのを区としてはちゃんとため込むなり起債なりをしてしっかり確保していかないといけないという認識はあるということでよろしいですか。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 中野区公共施設総合管理計画建物編は平成29年3月に策定したものでございますので、削減の割合や金額については、対象となる施設の増減の反映や経費の算出根拠の見直しなど時点修正が必要であると考えております。現在検討中の区有施設整備計画との整合を図りながら改定の作業を進めてまいりたいと考えております。

○加藤委員 分かりました。

 次に行きます。(3)組織の再編について、(ア)新型コロナウイルス感染症対策・児童相談所開設について、行財政で財政効果を生むというよりは、むしろ歳出が増加するのかなというところでしたけれども、おとといの羽鳥委員への答弁で保健所体制の強化をするということで、ここは歳出はちょっとあるんだろうなというところで財政効果は出ないかなと思います。なので、今度は児童相談所についてお伺いしますけども、さらに増員されると思いますけれども、その辺の最終的な人数、開設時期をお伺いいたします。

○中谷職員課長 現在、児童相談所の開設に向けて準備を行っている職員や他自治体の児童相談所に派遣研修している職員は48名でありますが、令和3年度の開設時には70名程度の職員が必要というふうに所管からは聞いてございます。今後、虐待件数が増加した場合の配置数の増加を推計すると、100名を超える規模になる可能性もございます。職員定数の配分に当たりましては、専門職の配置基準を満たすとともに、業務量に応じた真に必要な職員数を精査していきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 いずれにせよ、この項ではマイナス効果を生むどころか、しっかりと今後検討していかないといけない財政支出のところだというふうに認識しました。

 (イ)の業務・手続・施設の管理・運営方法などの効率化・省力化・デジタル化推進による業務量削減・職員配置の見直しについてお伺いいたします。業務改善の観点から効率化、省力化についての財政効果について伺います。

○藤永業務改善課長 業務改善の観点から、効率化、省力化を進める手段としまして、従来から取り組んでいる施設の管理運営の指定管理者化のほか、複数施設の業務を一括で事業者に委託する包括管理委託があり、現在研究しているところでございます。包括管理委託のメリットとしましては、施設の維持管理水準の向上による安全安心の確保や不具合対応の迅速化による区民サービス向上のほか、発注や契約事務などの事務負担が効率化され、業務の省力化につながるというものであります。この取組により行政コスト軽減による財政効果が見込まれますが、現時点では具体的な効果額を算出するところというまでには至ってございません。

○加藤委員 システムの観点からデジタル化推進による財政効果についてお伺いいたします。

○平田情報システム課長(企画部参事事務取扱) デジタル化によります財政効果の例としまして現在想定している取組を御紹介いたします。まずペーパーレス化につきましては、紙のほかに廃棄のコスト、また紙が遷移することによる事務処理の時間ロス、そういったものの削減が見込めるとともに、電子データ化することによりまして情報システムを活用した事務処理が可能となるということでございます。また同時に、事務フローの見直しを行うことで業務処理の効率化も見込めるところでございます。また、RPAやAIなどの省力化ツールにつきましては定型業務の生産性向上に効果が期待できるものでございまして、例えば今年度構築中の保育園入園業務では年間約5,500時間の削減を見込んでいるところでございます。

○加藤委員 5,500時間で、アルバイト代2,000円だとしても億単位を生むということではないのかなということで、入れたほうがいいとは思いますけども、そこまで億単位を生み出すというものではないということを認識させていただきました。

 (ウ)適正な定数管理の実現について、区は2,000人体制維持を堅持するようですけども、その人数が必要かというのはちょっと疑義はありますけれども、といいながらも、自分の部署が暇で人が要らないというわけもありませんし、もし要らなかったとしても公務員のところから解雇するというのはあり得ません。そう考えると、人事の人数、2,000人をどうコントロールするかといったら、新しく採用枠を狭めるしかないのかなと思います。そういう中で新卒採用というところに注目しますけれども、現在、新卒は何人程度採用していますか。

○中谷職員課長 平成27年度以降、毎年100人に近い職員を採用しているところなんですが、そのうち経験者採用を徐々に増やしておりまして、昨年度は24名、今年度は30名程度経験者採用を行う予定でございます。必ずしも新卒というわけではないんですが、経験者以外の採用は今年度は60名程度を想定しているところでございます。

○加藤委員 新卒から定年ぐらいが40歳ぐらいの幅があるとなりますけども、2,000人体制を維持しようとしたら、そうすると40世代あるわけですから、40で割ると50人が適正な人数というか、必ずしもずんどうがいいかというのはありますけども、今のロスジェネが少ない状態よりは理想だというふうに考えると、50人ぐらいが妥当で、60人を採用というのはちょっとその世代だけ多いのかなと感じます。先ほども言っていましたけど、児童相談所などでそういった職員というのは新卒で有資格ではないわけで、有資格者を入れようとしたらある程度の年齢で入ってくる可能性もあるということを考えると、新卒採用をある程度狭めて、その年の入れられるキャパというのを残すべきだと思うんですけども、この40人ぐらいにするというのは可能なんですか。

○中谷職員課長 新規採用者数を減らせるかどうかといったことにつきましては、今後の退職者数の見込みと様々な定数の増減要因を十分見極めた上で判断をしていきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 そうすると、お伺いしますけど、行政コストというのは職員1人1,000万ぐらいで計算してよろしいんですか。

○中谷職員課長 概算で言うと、毎年人件費が200億円程度全体でかかりますので、それを2,000人で割り返すと1人当たり1,000万円程度というのが平均的な金額であります。

○加藤委員 こちらの提案ですけれども、もし今60人新卒を採っているのを20人に抑えるというと、そうすると、年間20人の1,000万で2億円、それを5年間やると、2億円、4億円と増えていくと、5年間抑えると20億円ぐらいの行政コスト、かつ、今後その年代に必要だというのを入れたいといったときにその年代にキャパがある、そういったような状況になるのかなということで、これは一つの提案ということですけれども、区としてここの項について具体的な案があったらちょっと教えていただけますか。

○中谷職員課長 今後、事業の廃止、縮小や組織の統廃合、また職員の適正配置などを全庁的に検討することで人員を削減できないか、また、捻出した人員を充てるべき新たな行政需要がないかといったことにつきまして内容の検討を進めてまいります。その結果として職員数を削減することになれば、その分人件費が財政効果として生み出すことができるというふうに考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございます。

 (4)の構造改革の推進体制について、内容、スケジュール、基本計画等との関係について伺います。

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 構造改革の具体的な取組の内容やスケジュールにつきましては、今後プロジェクトチームに引き続き立ち上げる推進体制によって別途取りまとめていく考えでございます。一方、基本計画におきましては区政運営の基本方針を定める考えでございまして、その中で今後取り組む構造改革の趣旨についても記載をする考えでございます。

○加藤委員 分かりました。

 では、次の5、コロナショックを踏まえた今後の財政運営について、(1)経常経費の削減目標額2割の実現可能性について伺います。これまで区長が事業評価から事業のスクラップを判断してくということですけど、改めてですけど、伺いますけど、間違いないでしょうか。

○森財政課長 最終的にはそのようになります。

○加藤委員 そうすると、タイトルの2割の削減の実現の可能性というのは区長の覚悟そのものになってくるのかなというところで、非常に大変な決断をされる必要があるのかなということをここで確認しておきます。

○酒井区長 新規・拡充事業については、真に必要であって優先度の高いものとして、関連する既存事業の統合、再編を見直す等事業のスクラップによって経費を生み出していく考えでございます。経常経費につきましても削減を原則とし、全ての事業について、事業の成果、効果及びその原因の分析を行った上で、効果が上がっていないものについては事業の廃止、統合、縮小、休止、執行方法の変更等について検討を行っていきます。また、構造改革を進める中で組織横断的な事業の統合等、区全体を見据えながら歳出構造にメスを入れる考えでございます。

○加藤委員 すみません、ちょっと(3)で区長にお出まししていただく予定だったんでちょっとあれなんですけど、こちらの提案というか、一案ということで次の項へ行きますけど、人件費カットについてということですけど、伊藤議員が行財政5か年計画で挙げた区長級20%カット、一般職4%カットとかそういったことをやったんですけど、もしそれをやった場合、どういった財政効果が生まれるのか、伺います。

○中谷職員課長 当時と同様の給与カットを現在実施した場合には1年で3億5,000万円程度の人件費の削減効果がございます。

○加藤委員 そういったところで、一番分かりやすい財政効果というか、そこの身を切る改革というのはほかの議員も言ったとおり必要であると感じます。

 (3)全取り組みによって生み出される財政効果ということで、ここで区長にお出まししていただきたかったんですけれども、質問がなくなっちゃったんでちょっとこちらから提案というか、一言言わせていただきますけども、平時はボトムアップで、有事というのはトップダウン、どこかで聞いたよくあるセリフですけれども、こういった危機的状況において、やはり区長はトップダウン、それでリーダーシップを発揮していかないといけないところだと思います。このコロナショックにおいて誰が悪いわけでもないですし、ちゃんと決断していただければみんなついていくと思います。本当に覚悟を持ってしっかりとやっていただければ、我々議会としても応援していきますので、その覚悟というのをというのでここで質問する予定だったんですけど、そういったところを申し伝えておきます。

 6の新型コロナウイルスによる社会変革に対する対応でございますけれども、ちょっと何問かあったんですけども、申し訳ございません、時間がなくて割愛させていただきます。取材に応じていただいた理事者の方々、本当にありがとうございました。ここで挙げる内容に関しましては都市計画マスタープランとかの変更においてコロナショックを入れていただきたい。あとサンプラザアリーナにおいては、いろいろとコロナによってアリーナは必要なのかみたいな議論もありますけれども、バーチャルリアリティがこのさなか入ってきました。そういったところで、そういうコト消費みたいのが弱くなっちゃうんじゃないかなと思いますけれども、最近の技術だと、例えばフィギュアスケートだと、エキシビジョンだと、GPSをスケーターがつけて、それでライトがついているわけですね。そういった技術とかを含めてアリーナの事消費がバーチャルリアリティを超える、そういったものを入れてほしいと、そういったような内容を含めておりました。コロナ時代のこの社会の変革がある中で、逆にこれを契機に中野区政が前進できるようにみんなで知恵を出し合って前に進めればいいなということで、私からの全ての質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

○山本委員長 以上で加藤たくま委員の質疑を終了します。

 次に、杉山司委員、どうぞ。

○杉山委員 令和2年第3回定例会決算特別委員会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。少しの時間ではございますが、どうぞお付き合いくださいますようよろしくお願いします。すっきりした連休が過ごせるかどうかは最後までできるかどうかにかかっておりますが、張り切ってまいりますのでよろしくお願いいたします。時間の関係で1番、2番、4番、最後に3番という形にいたしまして、5番のその他はございません。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず1番、プレミアム付商品券販売の反省と区独自の実施についてです。

 昨年度、中野区プレミアム付商品券の事業が行われました。決算説明書237ページにあるプレミアム付商品券事業に関する業務委託費等、そして中野区プレミアム付商品券事業補助金を見ますと、この事業のための業務委託には委託予定額の予算のほとんどを使っておりますが、いわゆるプレミアム分につきましては不用額が多く、あまり消化はできていませんよね。繰越明許も2,800万円余ありますが、そもそもこの事業、いつからいつまでの事業で、どのぐらいの数を販売する予定だったのでしょうか。

○堀越産業観光課長 本事業は、国の定めにより商品券の使用期間は昨年度中となります令和元年10月1日から令和2年3月31日までの6か月間が最大とされておりまして、中野区はその最大期間で実施をいたしました。商品券の換金業務や回収、集計等の業務もありまして、業務全体では今年度、令和2年度まで継続をしているものでございます。販売冊数の算定対象となりますのは、国の規定により、令和元年度の住民税非課税者及び3歳未満の子どもの人数分とされておりましたため、その合計人数7万3,200人分に対する販売数を確保するため、36万6,000冊の販売及び換金を予定していたものでございます。

○杉山委員 不用額を見ますと、販売数は目標にはほど遠い結果となったわけでございます。3歳未満児子育て世帯主、それから非課税世帯が対象で購入できる人が限定されて、最低でも4,000円かかる。5,000円分を4,000円で買わなければいけないと、低所得者にはハードルが高かったということもあって目標数を販売するのは難しかったとは思います。より多くの対象者に使っていただくために区として工夫したことはございますでしょうか。

○堀越産業観光課長 事業期間中、計10回の区報掲載や町会等の回覧板、ポスターやホームページ等で事業の各段階に応じた広報を行いました。区民や各店舗への対応につきましては、区と中野区商店街振興組合連合会がそれぞれコールセンターを設けたり、10月末には未申告者に勧奨はがきを送付するなど丁寧な案内を行いました。また、12月には申請期限の延長も行っております。また、商品券購入の引換券を郵送する際に使用可能店舗が一覧できますリーフレットを同封、各店舗には取り扱っていることが分かるようポスターを掲示してもらうなど、商品を購入しやすくする工夫も図っていたものでございます。

○杉山委員 いろいろと御尽力いただいたということで、ありがとうございます。確かに購入条件は厳しかったのは事実でございますが、これを何とか2段階販売などの手を打ってこの商品券が予定どおりの数販売できていれば、今のこの新型コロナウイルスで大打撃を受けている商店街に対して経済効果の上乗せがあったのではと思います。その商品券を今まさに区の商店街で利用できればと思うと残念ではありますが、区としてどのようにこの件に関してはお考えでしょうか。

○堀越産業観光課長 今回の主な事業目的は景気回復そのものではございませんで、消費税率の引上げによる低所得者と子育て世帯の家計に与える影響緩和でございましたが、例えば商品券そのものを給付するというのではなく、実際に商品券を購入するかどうかは各対象者の判断によるという制度ではございました。区としては当該商品券の申込みや利用等について最大限の周知等に努めたとは考えてございますが、商品券の販売等において、なるべく利用者、購入者にとっての負担を減らしていくことなど、今後実施する際に生かしていくべき点はあると考えてございます。一方で、今回、商品券発行総額そのものは約3億4,000万円でございまして、人口等が同規模である区ですとか一大消費地を抱えている近隣区とも同額程度となってございまして、当区において一定の経済的効果はあったものと捉えてございます。

○杉山委員 さきの第2回定例会でも、飲食店や中小企業、区内事業者に手を施すということは多くの中野区民を助けることにつながるという趣旨の一般質問をさせていただきました。無利子で融資あっせんを受けた、国や都の助成金で綱渡り経営などを余儀なくされている。さらに利用者が今のところ少なくて待ったなしの状態でございます。三鷹市では10月1日からデジタル商品券と紙の商品券の混合で独自の50%のプレミアム付商品券の発売を開始します。さきの一般質問でも強く要望させていただきました。人的コストも抑えられるデジタルチケットの概念を含めた中野区独自のプレミアム付商品券、すぐにでも検討いただきたいのですが、いかがですか。

○堀越産業観光課長 新型コロナウイルス感染症対策としてのプレミアム付商品券事業につきましては、他区での実施状況や効果などを注視しつつ、中野区商店街連合会からの要望もございますことから、その実施について検討を行っているところでございます。デジタル商品券、いわゆる電子商品券につきましては、商店街等におけるキャッシュレス決済が行える店舗等の範囲拡大や区独自のポイント制度など、区全体の電子化への取組状況等を勘案しながら研究を行ってまいりたいと思ってございます。

○杉山委員 バラエティに富んでいる中野の商店街は日本に誇れる自慢の宝物でございます。今日から実は中野駅南口のレンガ坂も、道路の占有許可基準の緩和のタイミングに合わせて外飲みイベントが何か月間もスタートします。これだけやっぱりコロナを心配しても一生懸命やっている商店街を何とか区商連とじっくりと相談しながら今回の中野独自のプレミアム商品券を今こそ全力で応援していただきたいと強く願いまして、この項の質問を終わります。

 次に、2番、中野駅周辺エリアマネジメントの必要性について伺います。

 現在、中野駅西口改札や南北連絡通路の整備が進み、中野サンプラザと中野区役所エリアの整備計画、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画に関してプロポーザル方式で業者の選定を始めているなど、中野駅周辺は大きな動きを見せています。事業としては、中野二丁目、三丁目、四丁目の新北口西エリア、囲町五丁目、中野駅地区、もろもろ、橋上駅舎も含めて中野駅周辺の全エリアでそれぞれのまちづくりが進んでいる。100年に一度と言っていいほどの大規模な再開発と言われており、未来の中野を左右する大事なまちづくりはそれぞれのディベロッパーがあらゆる面から渾身の力でアピールしてくる、そういうふうに思います。

 そこで大事となってくるのがエリアマネジメントの考え方です。あの有名な夢の国も、真ん中にシンボルがあって、周辺にはそれぞれコンセプトの違ったエリアが幾つも存在している。どの場面を切り取っても、俯瞰して全体を見渡してもそこは紛れもなく夢の国である。まさに中野駅周辺もその夢の国と同じような俯瞰したブランディングや統一感があるイベント開催など、しっかりとしたエリアマネジメントが必要です。

 私も委員会などでも何度かエリアマネジメントの必要性を伝えさせていただいてはおりますが、昨年度、中野駅周辺におけるエリアマネジメントに関しての支出はございますでしょうか。

○石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 昨年度の中野駅周辺のエリアマネジメント推進に係る事業経費でございますが、予算の計上及び経費の支出共にゼロでございます。

○杉山委員 ちなみに、今年度組織はできたとの認識ですが、エリアマネジメント予算に関してはいかがでしょうか。

○石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 今年度につきましても具体的な事業についての予算は計上してございません。

○杉山委員 ということは、組織はできて予算なしということですよね。エリアマネジメントではまちづくりのためのルールを策定、そして景観やイベントレギュレーション整備などなど、あと防犯防災体制基盤づくりなどのソフト面を固めていくものだと思います。駅周辺にそれぞれディベロッパーが混在している今、そのグリップを握るのは中野区しかいないと思います。すぐにでも区が旗を振って中野駅周辺エリアマネジメント協議会を立ち上げ、中野駅周辺ブランドを壊すことなくまちづくりを進めていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 中野駅周辺全域のエリアマネジメントの推進に当たりましては、各開発地区の事業者や地域の関係者等をつなぐプラットフォームとしての協議組織の設置を検討してございます。一般的にエリアマネジメントの組織は民間が主体となることが基本ではございますが、殊に初動期につきましては区の主体的な関与が必要であるというふうに考えてございます。そうした区の関与の在り方も含め、具体的な協議組織の内容につきましては今後検討していく予定でございます。

○杉山委員 今、具体的に検討していくというお話だったですが、検討の内容はどのように考えていらっしゃいますか。

○石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 協議組織等々につきまして、今年度区として策定予定のエリアマネジメント基本方針、基本的な方針を定める予定でございます。この中身についてでございますが、エリアマネジメント推進に係る中野駅周辺の各開発地区のエリアマネジメントの誘導であったり、あるいは支援の在り方、中野駅周辺全域のエリアマネジメントの仕組みや進め方、あるいは協議組織の内容、また庁内の組織体制等について考え方を示していく予定でございます。

○杉山委員 令和元年9月2日には、中野駅周辺をとても大事に思う区内の経済界の団体が集まって、中野工業産業協会の溝口会長を座長に中野駅周辺エリアマネジメント研究会が立ち上がりました。立ち上げるべき協議会には、中野の将来を真面目に考えているこの研究会のような形で地域の声が反映されるようなスキームを考えるべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 中野駅周辺全域のエリアマネジメントに係る協議組織についてでございますが、その構成を含め今後具体化をしていくことでございます。そこには、委員おっしゃるとおり、地域の声を吸い上げる、あるいは地域の意見を調整する仕組みが必要であるというふうに考えてございます。その際、多様な区民の方や企業、地域団体等が関与できる公平な仕組みとなるよう検討していくことが重要であるというふうに考えてございます。

○杉山委員 これからサンプラザ区役所エリアの業者も決まってきますので、エリアマネジメントは待ったなしとなります。区主導で、さらにはオール中野でぜひ前向きに検討し、後世の中野区民らにすばらしい中野駅周辺が引き継げるように御尽力いただきたいと願い、次の質問に移りたいと思います。

○山本委員長 委員会を休憩します。

午後5時00分休憩

 

午後5時03分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 ただいまの理事会の報告をします。杉山委員の質疑の途中ですが、本日は終了し、次回、杉山委員から始めることを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 なければ、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 御異議ありませんので、そのように決定し、本日の総括質疑を終了します。

 次回の委員会は、9月23日(水曜日)午前10時から当委員会室で開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の決算特別委員会を散会します。

午後5時04分散会