1.令和2年(2020年)11月26日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 市 川 しんたろう 2番 竹 村 あきひろ
3番 日 野 たかし 4番 渡 辺 たけし
5番 間 ひとみ 6番 河 合 り な
7番 斉 藤 ゆ り 8番 立 石 り お
9番 羽 鳥 だいすけ 10番 高 橋 かずちか
11番 加 藤 たくま 12番 吉 田 康一郎
13番 木 村 広 一 14番 甲 田 ゆり子
15番 内 野 大三郎 16番 杉 山 司
17番 ひやま 隆 18番 小宮山 たかし
19番 い さ 哲 郎 20番 小 杉 一 男
21番 若 林 しげお 22番 内 川 和 久
23番 いでい 良 輔 24番 小 林 ぜんいち
25番 白 井 ひでふみ 26番 いながき じゅん子
27番 山 本 たかし 28番 中 村 延 子
29番 石 坂 わたる 30番 近 藤 さえ子
31番 浦 野 さとみ 32番 大 内 しんご
33番 伊 藤 正 信 34番 高 橋 ちあき
35番 平 山 英 明 36番 南 かつひこ
37番 久 保 り か 38番 森 たかゆき
39番 酒 井 たくや 40番 むとう 有 子
41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 白 土 純
副 区 長 横 山 克 人 教 育 長 入 野 貴美子
企 画 部 長 高 橋 昭 彦 総 務 部 長 海老沢 憲 一
区 民 部 長 青 山 敬一郎 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸 辺 眞
子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子 地域支えあい推進部長 鳥 井 文 哉
健康福祉部長 岩 浅 英 樹 環 境 部 長 朝 井 めぐみ
都市基盤部長 奈 良 浩 二 企画部企画課長(企画部参事事務取扱) 石 井 大 輔
総務部総務課長 浅 川 靖
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 長 﨑 武 史 事 務 局 次 長 小 堺 充
議事調査担当係長 鳥 居 誠 書 記 立 川 衛
書 記 若 見 元 彦 書 記 野 村 理 志
書 記 鎌 形 聡 美 書 記 松 丸 晃 大
書 記 細 井 翔 太 書 記 有 明 健 人
書 記 五十嵐 一 生 書 記 髙 橋 万 里
書 記 本 多 正 篤
議事日程(令和2年(2020年)11月26日午後1時開議)
日程第1 第83号議案 令和2年度中野区一般会計補正予算
午後1時00分開会
○議長(高橋かずちか) ただいまから令和2年第4回中野区議会定例会を開会いたします。
本日の会議を開きます。
会議録署名員は会議規則第128条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。
9番羽鳥だいすけ議員、32番大内しんご議員にお願いいたします。
次に、会期についてお諮りいたします。本定例会の会期は、本日から12月10日までの15日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
この際、申し上げます。令和2年10月14日付及び11月6日付をもちまして、お手元の文書のとおり、委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。
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人 事 異 動 表
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発令年月日 令和2年10月14日
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【課長級】
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区長発令
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発令権者 中野区長 酒井 直人
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発 令
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氏 名
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旧
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備 考
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子ども教育部子育て支援課長
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滝浪 亜未
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北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長
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子ども家庭支援センター所長(統括課長)
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古川 康司
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子ども教育部子育て支援課長(統括課長)
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北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長
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( 北部すこやか福祉センター所長(統括課長) 杉本 兼太郎 兼務 )
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人 事 異 動 表
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発令年月日 令和2年11月6日
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【課長級】
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区長発令
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発令権者 中野区長 酒井 直人
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発 令
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氏 名
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旧
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備 考
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健康福祉部障害福祉課長
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菅野 多身子
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健康福祉部生活衛生課長
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健康福祉部保健予防課長(統括課長)
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河村 陽子
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健康福祉部障害福祉課長
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健康福祉部生活衛生課長
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只野 孝子
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健康福祉部保健予防課長(統括課長)
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○議長(高橋かずちか) この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、大内しんご議員、ひやま隆議員、久保りか議員、来住和行議員、内野大三郎議員、内川和久議員、杉山司議員、小林ぜんいち議員、浦野さとみ議員、伊藤正信議員、斉藤ゆり議員、日野たかし議員、加藤たくま議員、間ひとみ議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、竹村あきひろ議員、立石りお議員、吉田康一郎議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
中野区議会議員 大 内 しんご
1 中野区が取り組む区政構造改革について
2 西武新宿線沿線まちづくりについて
3 「東北復興応援展なかの」について
4 その他
○議長(高橋かずちか) 最初に、大内しんご議員。
〔大内しんご議員登壇〕
○32番(大内しんご) 令和2年11月26日、中野区議会第4回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から一般質問いたします。
最初に、その他で現在のコロナウイルス感染症の区の対応について、次に、中野区が取り組む区政構造改革について、次に、西武新宿線沿線まちづくりについて、そして、「東北復興応援展なかの」について、最後に、コミュニティ・スクールについての質問をいたします。
新型コロナウイルス感染症は、現在、8月の第2波を超える猛威を振るっており、都内の新規感染者数は、11月19日に初めて500人を超え、21日には過去最多となる539人の感染を確認するに至っております。特に最近の傾向として重症者数が増加しており、11月24日には、重症者は51人に上り、緊急事態宣言解除後の最多を更新する状況となっています。重症化リスクの高い高齢者への感染拡大が大きな懸念材料であり、都は、19日、感染状況の警戒レベルを4段階で最も深刻な「感染が拡大している」に引き上げております。感染被害に遭われた方々、お亡くなりになられた方々には、心からお見舞い、哀悼の意を申し上げるとともに、今後、年末年始に向けてさらなる感染拡大が予想されるところであり、区としても改めて一層の感染を抑制する取組、区民の予防意識の向上が必要と考えます。
その一方で、感染拡大を抑制するために全国的な自粛ムードが広がり、依然として飲食店等を中心とした区内経済への打撃は深刻な状況にあります。感染予防対策を実施しながらの区内経済の立て直しも急務となっていると思います。最近では、国が実施しているGoToキャンペーンの効果としてまちのにぎわいが一定程度戻りつつありますが、中野区でも、区内商業を応援するため、年末に向け、中野区緊急応援プレミアム付商品券を中野区商店街振興組合連合会が発行しました。ただ、現在の感染拡大が心配される中、しっかりと感染拡大防止策を行うことは当然ですが、難しいのは、区がさらなる自粛ムードを助長するような取組を進めると、せっかく戻りかけた経済の立ち直り、まちのにぎわい復活に向けた取組にもストップをかけることになりかねない状況であると考えます。
今後、区の新型コロナ感染症の対応は、感染症拡大の防止に一層注力するとともに、急務である区内経済の立て直しを図っていくという、言ってみれば二律背反的な大変難しいかじ取りが区政には求められていると思います。
そこで伺います。区として現在のコロナ感染症の状況認識と今後予想される感染状況、また、区として区民の健康と区内経済の回復に向けどのような対策を行っていこうとしているのかについてお伺いいたします。
次に、中野区構造改革についてお聞きします。
区長は、さきの行政報告の中で、今後の財政見通しについて、基幹収入である個人住民税や特別区財政調整交付金の財源である法人住民等の落ち込みによって、これまでのような財政規模を維持していくことは難しい状況であり、財政的な非常事態と言わざるを得ないとの認識を示しました。これに対応した歳出の抑制を図るために区民サービスへの影響は避けられず、行財政の構造そのものを見直していく必要があるとし、おおむね3年間、集中的に行財政の在り方を抜本的に見直す構造改革に取り組むと宣言をしています。
今後の行財政運営が危機的状況に陥るかもしれない状況において、区が進める構造改革は、今後の区政運営の根幹に関わる大変重要な内容になると思われます。しかしながら、いまだその具体的内容については伝わってきておりません。先般示された「区政構造改革の基本方針」においても、区が進めようとしている構造改革について、具体的にどこをどう見直すのか、これまで区が行ってきた行政改革とどのように違うのか、十分に伝わってくる内容にはなっていませんでした。そもそも構造改革という言葉をこれまでの区政で使われたことがあるでしょうか。財務的に危機的状況となった2001年に、区は、行財政5か年計画を策定しました。これは、当時の事業の変更、縮小、廃止など、行財政改革を計画化したものでした。区は、今回の取組を区政構造改革として打ち出すとしていますが、構造改革という言葉で思い出されるのは、2001年のいわゆる郵政民営化を含む小泉改革ですが、そういった区政運営の在り方の根幹から変えていく、行政改革を上回る取組を行うことがイメージされているところです。どのような改革を行っていくのか具体的に示さないと、単純に区民サービスを削減して財源を生み出そうとしているかのように区民に誤解されることになりかねません。
そこで改めてお伺いします。区が進めようとしている抜本的な構造改革とは具体的にどんなところをどこまで見直そうとしているのでしょうか。
区政構造改革の基本方針では、構造改革の目的として、令和3年度の予算編成と併せて早急に検討を進めるものと、中長期的な視点からの在り方を検討するものに分けて行うとしています。構造改革の実行プログラムは、令和3年8月に示される新しい基本計画の策定時期と同時期に策定するとしています。しかし、今後の財政の引締めを図り区政運営の礎とするために行う構造改革と、新たな施設展開を図り明日の中野を描く基本計画とでは、おのずと内容的に相反してしまうのではないかとも思います。これを同時に策定するとなると、しっかりと整合性が図られたものになるのか疑問になります。まずは今後の行財政運営の基礎となる部分を抜本的に見直す構造対策の内容をしっかりと定めた後、基本計画を検討すべきではないでしょうか。見解をお伺いいたします。
また、区政構造改革は令和3年度予算編成と併せて早急に検討するとしていますが、令和3年度予算において区民サービスに踏み込んだ見直しを行っていくとすれば、丁寧な調整を行い、十分な区民の理解を得る必要がありますが、そのために残された時間はあまりありません。大胆な見直しを提案するものであれば、もっと早期から協議を進め、幅広い議論を経て進めるべきだったという結果になりかねないか心配になります。
そこでお伺いしますが、令和3年度予算編成において構造改革でどこまで区民サービスに踏み込んだ見直しを行う考えなのか、今後どのように調整していこうとしているのか、お伺いいたします。
次に、区は、令和3年度の一般財源について、92億円の減収が見込まれるとしています。この財源不足に対して、安易に財政調整基金を投入して埋め合わせをしてしまっては、今後の継続的な財政運営に大きな不安をもたらすことになります。
そこで、区は、令和3年度予算編成において、財政調整基金の繰入れを前提とせず、歳出の抑制を図るとしています。経常経費を20%程度削減する目標を立て編成を進めているとも聞いています。現在内容を詰める作業をされていると思いますが、果たして経常的な経費を20%も削減することが現実に可能なのかどうか疑問です。これまでの予算編成でいきなり経常経費を20%も削減したことは記憶にありません。経費の削減を行う上で検討の俎上に上がってくるのが施設改修や道路維持補修などの公共事業の削減です。しかし、コロナウイルス感染症がさらなる猛威を振るい、区内経済が縮小傾向に向かっているとき、公共事業を安易に見送り、凍結してしまっては、区内経済にさらなる影響を与えることになります。公共事業を維持向上させて区内経済を活性化させることも、今、区が行わなければいけない取組であると考えます。
そこでお伺いします。来年度予算ではどのように公共事業を維持し、区内経済の活性化を図りつつ、経常経費の歳出削減を図っていくのか、お伺いいたします。
二つ目に、西武新宿線沿線まちづくりについてお伺いいたします。
西武新宿線については、現認可区間の中井駅から野方駅間において、事業主体の東京都、中野区、西武鉄道株式会社が連携し、踏切の除却による交通渋滞の解消などを目的に進めているところであります。本年4月には、事業用地の取得の遅れに伴い、事業施行期間が令和9年3月31日までの6年延伸となりました。一方で、西武新宿線の野方駅から井荻駅間の連続立体交差事業については、当然地域からも早期の実現を望む声が多く、野方以西のまちづくりについても、早期実現に向けた一層の取組が求められております。
そこで、西武新宿線沿線のまちづくりについて、幾つか質問いたします。
区画街路第4号線の用地取得進捗状況についてお伺いします。区画街路第4号線事業は、沼袋駅から新青梅街道までの延長約560メートル区間を、道路幅員6メートルから14メートルへ両側4メートル拡幅し、延焼遮断帯としての災害に強いまちづくりに資する全体事業費約170億円の都市計画事業であります。そして、令和8年3月31日の完了に向け、庁内組織再編により部内に用地取得事務を担う担当職員を配置し、執行体制を強化し、さらに、本年8月には手続保留区間を解除し、全線にわたり用地交渉を進めているとのことです。
そこで、区画街路第4号線における用地取得交渉の現在の進捗はどのような状況であるかをお伺いいたします。
次に、野方第1号踏切除却の検討の進捗状況についてお伺いいたします。野方駅周辺のまちづくりを進めていく上で、野方駅直近の野方第1号踏切については、その踏切除却が、地域はもとより区としてもまちづくりの生命線であると認識されているかと思います。令和2年第1回定例会における私の質問において、区は、「高架形式を前提とした技術的な踏切除却の可能性について、鉄道事業者に依頼し、調査検討を進めている」と答弁しています。地域からも、野方駅直近の踏切除却を望む声が多くあります。改めて、現在の検討状況についてお伺いいたします。
次に、野方以西のまちづくりの進捗状況についてお伺いいたします。西武新宿線の野方駅から井荻駅間の連続立体交差事業の早期実現には、地元沿線区のまちづくりの機運を高めていくことが重要と認識しております。そのような中、区は本年4月に都立家政駅と鷺ノ宮駅周辺のまちづくりの方向を示すまちづくり整備方針を策定し、野方駅周辺地区については、まちづくり整備方針の素案を地域に示すための検討を進めていると聞いています。野方駅以西の連続立体交差事業の早期実現を目指す上では、野方駅以西のまちづくりの方針を示すだけではなく、さらに熟度を高めていく必要があると考えます。区の現在のまちづくりの取組状況はいかがか、お伺いいたします。
最後に、野方駅以西3駅のまちづくりに向けた地域への情報発信についてお伺いいたします。沿線地域からも野方駅から井荻駅間の連続立体交差事業の早期実現を望む声を多く聞く中、一部の地域から、構造形式について、地下化を求める動きがあるとお聞きしています。一方で、区では、野方駅直近の踏切除却について、過去の検討結果に基づき、高架化を前提とした検討を進めているなどの区の考え方がきちんと地域に伝わっていないところもあるかと思います。今後、連続立体交差事業と併せたまちづくりを進めていくためにも、行政と各地域のまちづくりに協力していただく方々が共通の認識を持って同じ方向に進んでいくことが必要であると認識しています。
そこでお伺いします。今後、3駅のまちづくりを進めるに当たり、野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅の各駅のまちづくりの内容や前提となる鉄道の構造形式について、各地域のまちづくりに協力していただく方々と情報を共有できるように発信していくこと、地域の意見を共有する場をつくっていくことが大切であると考えますが、区の考えをお聞かせください。
3番目に、「東北復興応援展なかの」についてお伺いいたします。
毎年10月に開催され、中野を代表するイベントである東北復興大祭典なかのについては、新型コロナウイルス感染症の影響により、今年度はやむなく開催を見送ることになりました。しかしながら、宮城県人会の中鉢委員長を中心とする実行委員会において、各県人会の皆さんから、これまで中野から発信してきた東北復興の灯を消さないよう、来年度につながるイベントを開催したいとの多くの御意見を頂きました。このような御意見を受けまして、去る10月27日から31日の間、「東北復興応援展なかの」と銘打って、区役所前広場、1階区民ホールにおいて、感染症対策に十分留意しながらも、東北各地の物産展、映像広報やパネル展、在京団体によるおはやし披露などが盛況に開催されました。当日は天候にも恵まれ、御来場いただいた多くの方々に東北の復興支援の取組を知っていただくよい機会となりました。
本イベントはコロナ禍での開催となったわけですが、苦情や御意見は全くと言っていいほどなかったと聞いております。区民の皆さんは、感染防止対策に気をつけつつ、このようなイベントの開催を心待ちにされていたと、期待を改めて実感したところであります。今後とも、行政としても、感染症対策がしっかりと図られ、その上で実施できることを工夫し、今回のような取組、イベントの開催を支援していくことの重要性を改めて再認識したところです。
そこで、今回の応援展の開催に関連して、幾つか伺います。
応援展開催に当たり、イベント開催の決定から当日まで、ひと月程度の準備期間しかなかったわけですが、急遽の参加要請にもかかわらず、快く御参加いただいた在京のおはやし団体や東北絆まつり関係自治体などの皆様からどのような感想が寄せられているのでしょうか、お聞きいたします。
次に、東北復興応援展当日は多くの区の若手職員が精力的に物産展の補助などの活動を手伝っていました。短期間のうちに、ポスター、チラシなどの広報物や各団体を紹介した広報動画の作成、1階区民ホールへのパネルの展示など、随所に様々な工夫が見られましたが、どのような執行体制の下、実施したのでしょうか。感染症対策と両立しながら取り組んだ今回の応援展の評価と併せてお伺いいたします。
第3回定例会の私の一般質問において、「令和3年度は震災から10年目となることから、一定の節目の時期を迎えており、今後の祭りの方向性を検討していく時期に来ている」との答弁がありました。大震災の発生から10年目となる来年度の大祭典開催に向けた展望を改めて伺います。
さらに、後年度についても、人とのつながりや参加自治体との連携を絶やさぬよう、その先を見据えた、中野と東北地方との絆を強化していくためのイベントと位置付け、本祭典を継続して実施していくべきとの考えがありますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、グルメブース等の出店料について、東北など遠方からお越しいただいている出店者には負担になっているとの声を聞いております。本祭典の趣旨から鑑み、地方からより多くの方に参加してもらうためにも、出店料の見直し、減額を検討すべきであると考えます。また、グルメなどの出店について、御飯や麺類など食べ物の種類によっては設備等の要件を調えることが難しく、出店内容が制限されている状況にあります。各地の多彩なグルメブースが参加しやすくなる設備などの対応、備えが必要だと考えております。出店料の見直しや出店しやすいグルメブースの設備の対応について、検討状況はいかがでしょうか、お伺いいたします。
次に、来年度の大祭典開催に向けて、さらなる広報・PR活動の充実が重要であると考えます。例えば東京メトロなどの交通機関に早い段階から広報協力を働きかけることや、大祭典の開催前1週間ないし2週間については、中野から東北復興を訴えかける広報強化週間として、今回の応援展を前例とした企画展、啓発動画、PRコーナーの設置、ねぶた展示などの取組を行ってはいかがでしょうか。
本祭典には、これまでも様々な世代の児童・生徒さんに御参加いただきましたが、今後、区を代表するイベントの一つとして発展させていくためには、一層の区民参加を促進し、地域に根付いたお祭りとして定着させていく必要があると思いますが、区民参加を進めていくためにはどのようなことを考えているのか、見解をお伺いします。
大祭典を継続的に発展させていくためには、さらなる自主財源の確保が必要であります。これまで実施してきたふるさと納税による寄附については、当該自治体にお住まいの方々は寄附することができないことになっておりますが、近年注目されているクラウドファンディングは、その趣旨に賛同される方であれば、その自治体に住んでいる方でも寄附することができます。東北復興支援の取組に賛同いただいている区民の方も多くいらっしゃることから、実行委員会が主体となってクラウドファンディングを立ち上げるなど、自主財源を確保するための取組を行うべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか、お伺いいたします。
4番目に、その他で、コミュニティ・スクールについてお伺いいたします。
中野区の教育は、地域、家庭、学校の連携と協力を基本とし、子どもたちの学びや成長を地域全体で支えているということが大きな特色と言えます。しかしながら、そうした学校と地域との活動に関わっておられる方々には様々な御苦労も多いと聞いています。平成29年の地方教育行政法の改正により、学校運営協議会の設置、いわゆるコミュニティ・スクールの導入が努力義務とされました。これにより、東京都内の公立小学校などのうち約3割がコミュニティ・スクールを導入しています。また、地域の区民や団体が学校と連携・協働する地域学校協働活動については、約7割の学校で実施され、23区でも半数以上の区で導入されているようです。区では、コミュニティ・スクールの導入について検討しているとのことですが、そうした検討においては、これまで学校の活動を様々な形で支えてこられた団体や区民の方々の御意見も伺い、地域にとっても学校にとってもよりよい仕組みとなるよう、今後の検討に生かしていくべきと考えます。コミュニティ・スクールの導入に向けた検討を今後どのように進めていくのかお聞きいたしまして、私は全ての質問を終了いたします。
御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。
まず最初に、コロナウイルス感染症の状況認識と今後の感染拡大状況、区民の健康と区内経済の回復に向けた対策についての御質問です。新型コロナウイルス感染症の中野区の状況は、都の動向と同様に、11月以降は感染拡大をしており、年齢層の拡大や感染経路不明等が上昇し、50%に到達する状況となっております。区といたしましては、区民の健康や病床利用率、重症者数の増加を注視しつつ、区民の健康や生命維持のために、防疫体制や医療調整に取り組んでまいりたいと考えております。流行状況は変動いたしますので、予測は困難でありますが、都の動向と合致しているため、都のモニタリング会議や厚生労働省のアドバイザリーボードの分析結果を注視してまいります。また、今後も区内の感染状況を注視しつつ、区民の生活や区内経済状況の把握に努め、時期を逸することなく、医療・生活・経済支援の側面から、適時適切に対策を講じていく考えであります。
次に、構造改革の取組内容についての御質問です。構造改革の取組は、令和3年度予算編成における事業の見直し、廃止などの短期的取組を検討するとともに、基本計画を視野に入れた中長期的な施策、施設、組織の再編を行っていく考えであります。構造改革に当たりましては、公民役割分担の明確化、区と協働・協創による事業展開、事業成果に基づく事業の廃止、縮小などの八つの視点に基づいて検討を進めてまいります。具体的な取組につきましては、8月に策定を予定する構造改革実行プログラムで示してまいります。
次に、構造改革の策定と基本計画の検討についての御質問です。基本計画におきまして、区政全体を運営していく5年間の方針として示す区政運営の基本方針は、区政構造改革の基本方針の趣旨を踏まえたものとして、その具体的な取組やスケジュールを構造改革実行プログラムとして検討することから、内容の整合性を図った上で、共に来年8月に策定をする考えであります。
次に、構造改革による区民サービスの見直しについてでございます。令和3年度予算編成におきましては、新規・拡充事業とともに、構造改革の視点を踏まえた事業の見直し、廃止も検討しております。具体的な内容につきましては、今定例会中の各常任委員会において報告予定でございます。その後、タウンミーティングにおける意見交換会や、区報、ホームページでの公表を予定しております。
次に、公共事業の維持と経常経費の削減についての御質問です。来年度予算におきましては、歳出削減の観点から全ての事業を点検し、公共事業に係る経費についても、先送りできるものはないか検討しているところであります。一方で、公共事業には区内経済の活性化という側面もあることから、緊急度の高いものを中心に、一定の事業実施も必要だと考えております。優先順位付けを行いながら、選択と集中の視点に立った予算措置を行ってまいります。
次に、西武新宿線沿線まちづくりについて、最初に、区画街路第4号線の用地取得進捗状況についてでございます。沼袋駅南側交通広場用地では、全体面積の2分の1程度を占める旧NTT社宅跡地の契約が成立し、10月に更地化されております。また、駅北側の商店街部分におきましては、一部を除き物件調査等の用地取得交渉を本格的に開始しており、補償契約を締結した案件もございます。また、6月からは、沿道権利者等支援相談窓口を駅北側に開設し、権利者の様々な生活再建等の相談に対応し、用地取得に向けた街路整備の円滑化を図っているところであります。
続きまして、野方第1号踏切除去・除却の検討の進捗状況についてでございます。現在、区では、鉄道事業者に依頼し、野方第1号踏切の除却に向けた技術的な実現可能性の検証について調査検討を進めるとともに、事業の枠組みについて、引き続き関係機関と意見交換を進めているところでございます。
次に、野方以西のまちづくりの進捗状況についてでございます。都立家政駅及び鷺ノ宮駅周辺地区のまちづくりにつきましては、本年4月に策定したまちづくり整備方針に基づいて、具体的なまちづくりに着手できるよう検討を進めているところでございます。また、野方駅周辺地区につきましては、まずは、まちづくりの方向性を示すまちづくり整備方針を策定することが重要であると認識しているため、今年度、素案を地域にお示しできるように検討を進めております。
次に、野方以西3駅のまちづくりに向けた地域との情報発信・情報共有についてでございます。各駅周辺地区のまちづくりにおきまして、駅前広場等、まちの課題解決のために整備すべき機能は構造形式にとらわれることなく進めていくものであると考えており、まちづくり整備方針策定後は、駅前広場等の基盤施設の計画を作成する等、都市計画手続に向けた準備を進めてまいります。その中で、まちづくり等の内容をまちづくりニュースやホームページ等を通じて地域の皆様に情報発信していき、目指すべき方向性を共有していくとともに、意見交換会や説明会等の場で広く地域の皆様の御意見をお聞きするなど、これからも丁寧に合意形成を図ってまいりたいと考えております。
次に、「東北復興応援展なかの」について、まず1点目に、協力団体からの感想についてでございます。「東北復興応援展なかの」に参加いただいたおはやしの団体や関係自治体の方からは、今年は新型コロナウイルス感染症の影響によって各種イベントが軒並み中止になり、中野のイベントがほとんど唯一の参加となった。そして、声をかけてもらって感謝する、来年度の大祭典もぜひ参加・協力したい等の言葉を頂いております。
次に、応援展の運営体制についてでございます。応援展の運営に当たっては、総務部を中心に組織横断的な体制を整えて、短期間で準備したものでございます。中でも若手職員が企画や実行委員会をはじめ、関係団体との調整、作業、当日の運営まで積極的に関わったことは、責任感や達成感の醸成につながったと考えております。新型コロナウイルス感染防止対策の面からも、無理のない規模を定め、感染防止の工夫を行うことで、来場された方や出店者、協力団体も安心して参加できたイベントになったと評価をしているところでございます。
次に、今後の大祭典についてでございます。東日本大震災から来年で10年を迎えます。この間、東北復興大祭典を継続実施できたのは、当初から、この震災を風化させることなく、被災地の復興支援や区民の防災・減災の意識啓発を発信して取り組んできたイベントであったからだと思っております。来年度につきましては、これまで築いてきた東北各県や青森市をはじめ関係各市との協力関係を大切にして、10周年の節目に当たる意義深いイベントとなるよう実行委員会と協議していくとともに、その後の在り方についても検討してまいります。
次に、出店料及び出店設備の対応についてでございます。グルメブース等における出店料の減額は、出店へのハードルを低くするために有効な手段だと思いますが、一方で、区の経費負担を抑える必要もあることから、財政状況も勘案しながら検討してまいります。グルメの出店に当たっては、都内共通の食品衛生基準を遵守していただいており、御飯や麺類等、食中毒事例のあるメニューは、特に設備や調理方法が限定されております。このようなメニューを提供する際には、出店直前では対応が困難なため、来年度は、出店者が出したいメニューと、そのために必要となる設備内容等について、早い段階から総務部と保健所とで確認していく予定でございます。それらを踏まえて、用意できる設備等があるか検討してまいります。
来年度の大祭典の広報についてでございます。今年の応援展は、金曜日、土曜日をメインの開催日としつつ、その週の火曜日から区役所1階で、ねぶたやパネルの展示、また、映像上映等を行っていたため、区役所の来所者にも十分な広報効果があったと感じております。来年度の実施に当たりましては、今年の応援展での成果も踏まえた事前PRや交通機関への協力依頼など、10周年にふさわしい効果的な広報について、実行委員会で検討してまいります。
続きまして、さらなる区民参加促進についてでございます。現在は、会場に近接する明治大学の学生をはじめとした学生ボランティアにステージの司会や運営のほか、各会場で活動いただいているところでございます。これに加えて、次回はさらに多くの区民が積極的に祭りに加わっていただけるよう、ボランティアのねぶた運行への参加や、短時間でも気軽に味わってもらえる参加の在り方など、様々な工夫をしていきたいと考えております。また、当日だけでなく企画段階から多くの区民団体の方々に参加していただく在り方など、実行委員会とも協議してまいります。
最後に、大祭典の自主財源確保に向けた取組についての御質問でございます。区の財政状況同様、新型コロナウイルスの感染状況が収束し、大祭典が開催できるようになっても、景気動向が直ちに回復するかは予断を許さず、協賛企業からの広告料をこれまで以上に確保することも難しい状況があります。また、区の財政状況も勘案しますと、来年度の東北復興大祭典の実施に当たっては、自主財源の確保はぜひとも必要であると考えております。趣旨に賛同する区民の方々から幅広く寄附を募るクラウドファンディングの導入など、効果的な財源確保策についても、実行委員会と調整しながら積極的に検討してまいりたいと考えております。
〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子) 私からは、コミュニティ・スクールの導入に向けた検討についての御質問にお答えいたします。
いわゆるコミュニティ・スクールは、学校運営に保護者や地域の方が参画する学校運営協議会制度と教育活動を保護者や地域の方に支援していただく地域学校協働活動を一体的に推進していくものと認識しております。学校と地域が目標やビジョンを共有して、連携・協働して子どもたちを育む取組として進めていく考えでございます。令和3年度に、中野区としてのコミュニティ・スクールの考え方や導入手順の検討、関係する現行制度の見直しを行い、地域や関係団体等に御説明し、御意見をいただいた上で、計画的に導入を図ってまいりたいと考えております。
〔大内しんご議員登壇〕
○32番(大内しんご) 再質問させていただきます。
野方以西のまちづくりについて、現在、野方駅よりも都立家政駅あるいは鷺ノ宮駅中心のまちづくりのほうが一歩先に進んでいるわけですけども、そのまちづくりにおいて、やはり鉄道の構造形式――地下化か、あるいは高架化か、そういったことをどちらにするかということが非常に、これから先、まちづくりを考えていく上で重要になってきます。区としては、そういった構造形式を抜いた形でまちづくりを進めていただきたいと言っているようですけれども、やはりこの段階に来て、もうちょっと具体的に、まだどちらにするか正式に決まっていないにしても、今現在どのような状況か、そういったことを踏まえたまちづくりというのをそろそろ地域でも考えていかなければいけない時期に来ていると思います。区としてそういった情報提供をしっかりとしていただけるのか、再度確認いたしたいと思います。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 大内議員の再質問にお答えいたします。
野方以西のまちづくりについて、情報提供・共有ということが必要だということで、その前提としての構造形式について、区としてもある程度前提が必要ではないかという御質問だと理解しておりますけれども、区としては、区の独自の調査の結果、高架方式が蓋然性が高いということを一応考えておりますので、それを前提というか、それを想定したもので情報共有を進めてまいりたいと考えております。
○議長(高橋かずちか) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。
中野区議会議員 ひやま 隆
1 今後の区政運営の考え方について
2 新型コロナウイルス対策について
3 子どもの貧困対策について
4 自殺対策について
5 旧中野刑務所正門の取扱いについて
6 食中毒対策について
7 地球温暖化対策について
8 失語症対策について
9 良好な生活環境を確保するための取組について
(1)違法な廃品回収業者対策について
(2)不快害虫対策について
10 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、ひやま隆議員。
〔ひやま隆議員登壇〕
○17番(ひやま隆) 令和2年第4回定例会に当たりまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。
質問は、9番については次の機会に質問させていただきます。その他はございません。
初めに、今後の区政運営の考え方について質問いたします。
新型コロナウイルスの感染拡大は、日本経済にも大きなマイナス影響を及ぼしています。区財政についても、個人住民税や、都区財政調整交付金の財源でもある法人住民税への影響は避けられず、区財政を取り巻く環境は今後ますます厳しくなることが予想されます。こうした厳しい状況に鑑み、区では、今年度予算の執行に当たっては、事業の規模や時期、方法について見直しを実施され、来年度予算の編成においても、歳出の抑制に取り組まれております。特に経常経費については2割削減という非常にストイックな目標額を掲げられておりますが、どの程度削減が達成できているのか、非常に気になるところです。言うはやすく行うは難しという言葉もありますが、現実的には大変厳しい達成度合いであるとも漏れ聞いております。
しかし、仮に区の予想どおり92億円減少し、歳出の抑制もままならないまま、安易に財政調整基金を取り崩すこととなった場合、来年度については耐えしのげるかもしれませんが、コロナ禍が長期化し、次年度についても同レベルの減収となった場合、財政調整基金は枯渇し始めます。さらには、歳入減のみならず、扶助費の急増といったコロナ禍における新たな行政需要による歳出の増加も予想され、区財政は極めて深刻な事態に陥ります。
そうした意味で、今まさに事業の見直し、ひいては行財政の在り方の根本的な見直しに関わる区の本気度が問われています。改めて庁内全体での危機感の共有とともに、区として示された削減目標についても決して形骸化することなく、引き続き実現に向けた不断の取組が不可欠であると考えます。区の答弁を求めます。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今後厳しい財政状況が見込まれる中、区は、行財政の在り方を抜本的に見直し、持続可能な行政運営を実現することを目的として、区政構造改革の基本方針を取りまとめました。この中で、今後の構造改革の進め方として、令和2年度中は庁内に区政構造改革プロジェクトチームを設置し、令和3年度からは構造改革を推進するための組織を新設し、令和3年度からおおむね3か年で、施策、施設、組織の再編に集中的に取り組む構造改革実行プログラムを策定し、推進していくとしています。
新たに組織を立ち上げるからには、決して形骸化することなく、実効性のある形にしていかなければ、立ち上げる意味がありません。今年度予算の事業見直し、ひいては来年度予算の歳出の削減に関わる区の現状を鑑みるに、新組織を立ち上げることで果たしてどこまで成果が見込めるのか、今後しっかりと注視をしてまいりたいと思いますが、まずは、今年度、来年度の見直しの成果をしっかりと見極めた上で、目標と権限を明確にした上で、実効性のある取組を進めていく必要があると考えます。新設される組織の中身と併せて、今後の区の取組について答弁を求めます。
区は、区政構造改革の基本方針の中で、基本的な考え方として、基礎自治体として注力すべき公助とともに、自助、共助の促進に取り組むとしています。菅総理もさきの所信表明演説の中で、目指す社会像として、自助、共助、公助を挙げられていました。しかし、コロナ禍における今ほど公助の力が必要とされるときはないのではないでしょうか。この間、中野区においても、あらゆる場面で、歳出抑制、事業の縮小・廃止の議論が続いてきましたけれども、歳出の抑制という意味では、公助によらず、自助、共助に委ねることで、かえってそのツケが、長期的に見れば、区の財政に回ってくる側面もあります。
例えば中野区でも生活保護費が年々増加していますが、生活保護の御家庭で育ったお子さんの4人に1人が大人になっても生活保護になってしまう、こういった専門家の報告もあります。こうした負の連鎖を断ち切るために学力というのは非常に重要ですが、中野区では、平成23年の行財政改革、そして、平成25年及び平成30年からの生活保護費の引下げに際して、就学援助は縮小され続けてきました。
公助を縮小して短期的には区財政は助かっても、区が目指す持続可能な行政運営という意味では大きなマイナスです。行政の持続可能性と公助の在り方に関わる区の基本的なお考えについて答弁を求めます。
区は、令和3年度中野区予算編成方針の中で、新規・拡充事業は、真に必要であり、優先度の高いものとするとしています。今後の厳しい財政見通しに鑑み、どの施策を優先的に取り組むのかという政策選択は今後ますます重要になります。そして、この政策選択にこそトップの資質が問われます。
明治初期、戊辰戦争に敗れ、厳しい困窮の中にあった長岡藩に救援のための百俵の米が届けられました。食べるものにも事欠く状態であった藩士たちは、これで生活が少しでも楽になると喜びましたが、当時の長岡藩の指導者は、それらを学校設立の費用に使うことを決定します。多くの反対がある中で、百俵の米も食えばたちまちなくなるが、教育に充てれば明日の一万、百万俵となると諭し、自らの信念を貫いたのです。その結果設立された国漢学校は、後に山本五十六ら近代日本を背負う多くの人材を輩出しました。
一方、中野区では、今年度の予算執行に関わる事業見直しの中で、校舎老朽化に伴う区立小学校の改築について、実施時期の見直しを行いました。人づくりの根幹をなす子どもたちの学校環境の整備をこのような形で止めることは、区長が掲げる子育て先進区に逆行するものではないかと大変危惧しています。厳しい状況にあっても、明日の人づくりのためには人、物、金を惜しまない、そうした米百俵の精神こそ今の中野区に必要なのではないでしょうか。人への投資、これこそが本来区長が掲げるべき子育て先進区の本筋なのではないでしょうか。今後の区政運営の中で区が考える真に必要であり優先度の高いものとは何なのか、改めてその基本的な考えについて答弁を求めます。
次に、新型コロナウイルス対策について質問します。
新型コロナウイルスの再拡大が急速に広がっています。今月に入り、国内でも、新規感染者が今年の夏の第2波のピーク時を超え、過去最多となりました。中野区としても、第3波の到来という強い危機感を持って、さらなる対策を進めていかなくてはなりません。
今回の新型コロナウイルスの流行の特徴として、全国一律で流行するだけではなく、局地的に流行するケースも見られます。例えば繁華街や病院などで数十人規模の大規模クラスターの発生により、保健所は、医療機関との調整、濃厚接触者への対応、患者の輸送等の様々な業務に忙殺され、医療機関も、局地的に一気に病床が逼迫するというケースが見受けられました。こうした教訓を踏まえると、コロナ禍における保健所や医療の在り方として、広域連携という発想が重要なのではないかと考えます。そこで、コロナ禍における保健所や医療機関の自治体間あるいは医療圏域といった広域でのこれまでの連携体制の経過並びに現状について答弁を求めます。
特に東京都をはじめとする都市部はクラスターの発生件数が多いという傾向があり、一たびクラスターが発生すると、保健所は一気に多忙になります。しかしながら、現場の最前線で対応する保健師の数も、23区は政令市に圧倒的に劣っているのが現状です。例えば23区で人口が最も多い世田谷区の保健師数は昨年5月時点で119人、同規模人口の北九州市は165人となっており、大きな差があります。コロナ禍において保健所のマンパワーをいかに確保していくのか、これは中野区にとっても喫緊の課題です。コロナ禍にあって、東京都からも中野区保健所に4名の職員が派遣されていると聞いておりますが、目下の状況に鑑み、医師、保健師等の医療専門職を速やかに派遣する制度を構築するよう改めて東京都に要請するべきであると考えますが、区の答弁を求めます。
また、例えば大規模なクラスターが発生した際に、人員に余裕のある近隣の保健所がクラスターを管轄する保健所に協力する仕組みづくり、さらに、医療においても、例えば医療圏域といった広域で迅速に対応できる仕組みを構築する必要があると考えますが、区の答弁を求めます。
我が国において、結核をはじめとする感染症対策は、かつては第一義的に保健衛生行政として実施してきましたが、90年代に入り、薬害エイズ問題等を契機として健康危機管理の重要性が指摘され、自治体に対する健康危機管理体制の確保を求める法令等の改正が行われてきました。感染症対策は危機管理であり、警察行政、消防行政と同様に、広域的に対応する必要があると考えますが、区の答弁を求めます。
広域対応として注目すべきは、10月1日に東京都がコロナ対策の新たな司令塔として開設した「東京iCDC」です。病院や高齢者施設での院内感染などが発生した場合に、医療対策支援チームを設置して機動的に対応するとしています。こうした都の動きと連携しながら、区としても、自治体間の枠にこだわらない機動的な対応が必要であると考えますが、今後の区の取組について答弁を求めます。
次に、子どもの貧困対策について質問します。
新型コロナウイルスは、低所得層、ひとり親世帯、障害者といった、コロナ禍以前から困難を抱えている人たちの生活を直撃しています。コロナ禍にあって、中野区でも、生活保護の相談件数、住居確保給付金の申請件数が急増しています。そうした中で、国は、平成30年から段階的に実施してきた生活保護費の引下げを先月10月に実施しました。今回の引下げは、コロナ禍において苦境に陥った生活困窮者のさらなる生活苦を招き、自殺者の急増や格差拡大、区民生活の最低レベルのさらなる引下げにつながるおそれがあることを大変危惧しています。平成30年から段階的に実施された生活保護費の引下げの結果、生活保護受給者の何人に影響が出たのか、金額と併せて区の答弁を求めます。
生活保護費の引下げは、生活保護制度のみならず、他の事業にも大きな影響を及ぼします。経済的理由により義務教育を受けることが困難な家庭に対し、学校生活に必要な経費の援助を行う就学援助は、生活保護基準を基に適用基準を定めています。平成25年及び平成30年からの生活保護費の引下げの中で、自治体によっては就学援助に影響が及ばないよう認定基準を据え置くケースもある一方、中野区では、就学援助の認定基準が引き下げられました。中野区では、いずれの場合も、認定基準から外れてしまった児童・生徒に対し、3年間の経過措置を実施してきましたが、結果として、中野区では、それまで就学援助を利用していた御家庭が援助を受けられなくなるという事態が生じています。平成25年及び平成30年からの生活保護費の引下げの結果、認定基準から外れてしまった児童・生徒、つまり、経過措置の対象となった児童・生徒は何人いるのか、答弁を求めます。
認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむが9月に行った調査では、母子家庭のうち約2割が経済的理由により食事の回数を1日2回に減らしているという、コロナ禍における深刻な状況が明らかになりました。貧困の連鎖と格差の固定、これらを断ち切るためには、教育の力が最も重要です。しかしながら、中野区では、平成23年に、行財政改革の名の下、就学援助認定基準が生活保護基準の1.2倍から1.15倍に縮小され、さらには、平成25年及び平成30年からの生活保護費の引下げに連動して認定基準を引き下げるなど、この間、区の就学援助は縮小され続けてきました。文部科学省の最新のデータでは、就学援助認定基準を生活保護基準の1.3倍としているのが他の自治体のボリュームゾーンとなっています。コロナ禍において子どもの貧困問題がさらに深刻化している状況を鑑み、認定基準の拡大をするべきであると考えますが、区の答弁を求めます。
また、あわせて、中野区子どもと子育て家庭の実態調査結果に基づく子どもの貧困対策を速やかに実施するべきであると考えますが、今後の取組について答弁を求めます。
子どもたちの将来が生まれ育った環境によって左右されることなく、全ての子どもたちが夢と希望と志を持って健やかに成長していける、そのような中野区の実現を切に願い、この項の質問を終わります。
次に、自殺対策について質問します。
新型コロナウイルス感染拡大による影響は、健康問題にとどまらず、生活不安、経済不安などから自殺リスクの増加にもつながっています。今年に入り、前年比で減少が続いていた国内の自殺者数が、7月以降、増加に転じています。警察庁及び厚生労働省のデータによると、7月から9月の自殺者数は3か月連続で1,800人を上回り、前年同期より計419人の増となりました。さらに、10月の自殺者数は2,153人で、前年同期に比べ約4割増加したことが警察庁の速報値で明らかとなりました。1か月の死者が2,000人を超えるのは、平成30年3月以来、2年7か月ぶりの高水準です。コロナ禍が長期化する中で、今後、日本でも自殺者が増加していくことも想定され、中野区としても喫緊の社会問題として取組を進めていく必要があります。
そこでまず、コロナ禍における中野区での自殺者数の現状について答弁を求めます。
また、それらの現状も踏まえ、新型コロナが自殺リスクに与える影響について区としてはどのようにお考えなのか、答弁を求めます。
コロナ禍における自殺者の増加に関して、特に女性の自殺が増えていることが特徴として挙げられます。厚生労働省のデータによると、7月の統計では前年比15.6%増、8月は40.3%増、9月は27.5%増で、特に40歳未満の若い女性の増加が顕著です。厚生労働省の指定法人で自殺対策に取り組むいのち支える自殺対策推進センターが10月21日に発表したコロナ禍における自殺の動向に関する分析の中間報告によると、女性の自殺の背景には、生活・経済問題や勤務問題、DV被害や育児の悩み、介護疲れや精神疾患など様々な問題が潜んでおり、コロナ禍においてそうした自殺の要因になりかねない問題が深刻化し、これらが女性の自殺者数の増加に影響を与えている可能性があるとしています。
区が昨年10月に策定した中野区自殺対策計画によると、区内の女性の死亡率は、20歳代から30歳代、50歳代から60歳代で全国より高くなっています。コロナ禍における区内の女性の自殺者の現状と、その要因について答弁を求めます。
中野区では、従来の手段ではアプローチが困難な若年層に対する相談体制を強化するため、今年7月より自殺対策メール相談事業を開始しました。この事業は、インターネット検索エンジンと連動した広告を活用し、自殺ハイリスク者への臨床心理士によるメール相談を24時間対応で実施するものです。さきの厚生委員会では、7月から8月の段階で既に16名の相談実績を上げているとのことでしたが、最新の実績について、年齢や性別、相談内容の傾向や支援の状況も併せて区の答弁を求めます。
自殺は、健康問題や経済的な問題、家庭問題といった様々な問題が複雑に関係した複合課題です。コロナ禍においてはそれらの問題が深刻化し、今後さらなる自殺リスクの増加、自殺者の増加も予想されます。中野区としても、生きづらさを抱えた人への支援や自殺対策を支える人材育成、区民への普及啓発など、さらなる取組の強化が必要であると考えますが、今後の区の取組について答弁を求めます。
次に、旧中野刑務所正門の取扱いについて質問いたします。
旧法務省矯正管区敷地内にある旧中野刑務所正門は、大正期の建築家、後藤慶二氏によって設計され、れんが造りの姿が今も良好な状態で保存されています。この正門の取扱いについては、平成31年1月、区は現地での保存方針を決定しましたが、今月、区が新たにお示しされた旧中野刑務所正門の取扱い方針(案)では、正門の保存と良好な教育環境の確保との両立を図るため、正門は曳家により移築し、保存と公開を図っていくという方針を示されました。今回、区が示された方針(案)では、正門と平和の森小学校新校の整備スケジュールがお示しされております。新校の供用開始は令和9年度とありますが、今回、現地保存から曳家移築に方針を変更されたことにより、新校舎開設時期に具体的にどのような影響が出るのか、答弁を求めます。
我が会派としては、正門の取扱いに関して、保存と良好な教育環境の確保の二つの両立を求めてきましたが、平和の森小学校新校舎開校までの期間、子どもたちは狭小な校舎と校庭での生活を余儀なくされます。この間、狭小な校庭を補完するための場所の確保をはじめとする良好な学校環境を子どもたちへ確実に保障すること、また、それと併せて新校舎開設をできる限り早期に実現できるよう、区としてもさらなる努力が必要であると考えますが、教育委員会の見解について答弁を求めます。
今回の取扱い方針(案)では、曳家移築による関連工事等に係る概算経費として約4億9,600万円が示されております。コロナ禍にあって、区財政を取り巻く環境は今後ますます厳しくなることが予想されます。こうした中にあって、約5億円の費用をどのように捻出するのか、この点についても大きな課題です。文化財保護に関わる資金調達については、自治体のみならず、文化財所有者や関係する民間企業など多くが頭を悩ませているところです。文化財保護に関わる資金調達について、他の事例をお調べすると、クラウドファンディングや指定寄附金制度、ふるさと納税、PFI方式やコンセッション方式を用いた方法など様々な事例があります。区としてもそうした事例を参考にしながら、保存に関わる資金確保について多角的な手法を用いるべきであると考えますが、区の答弁を求めます。
次に、食中毒対策について質問します。
中野区内の小学校で給食を食べた103名の児童が、先月12日から22日にかけ、発熱、腹痛、下痢などの症状を訴え、中野区保健所による調査の結果、当該小学校が提供した給食が原因の食中毒であることが判明しました。先月開会された厚生委員会における区の説明では、今月22日、区内の医師から通報を受け、当該小学校に対し、施設調査及び患者検査を実施した結果、患者検便からカンピロバクターが検出され、保健所では、当該小学校が提供した給食が原因の食中毒と断定しました。もっとも重要な食中毒が発生してしまった原因については調査中とのことでしたが、その後の調査で原因は明らかとなったのでしょうか、区の答弁を求めます。
厚生労働省の平成30年食中毒発生状況によると、食中毒被害の原因施設で最も多いのが飲食店で、全体の半数以上を占めています。一方で、学校を原因施設とする食中毒患者は1,075人で5番目に多い数字となっており、そのうちの大多数が学校給食によるものです。学校給食はまとめて調理してから提供するケースがほとんどで、1回の調理につき提供する人数が多いため、大規模な集団食中毒が発生するリスクが高いと言えます。学校給食の食の安全の確保に向けては、平成8年に発生したO157食中毒、また、近年増加しているノロウイルス食中毒の発生などにより、この間、国による様々な法改正やマニュアルの改正が重ねられてきました。学校給食法第9条第2項には、「学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は、学校給食衛生管理基準に照らして適切な衛生管理に努めるものとする」とありますが、今回の当該小学校における学校給食の衛生管理はどのようになっていたのか、また、そのうちのどこに問題があったのか、区の答弁を求めます。
厚生委員会における区の説明では、今回の保健所の調査で、原因食品は当該小学校が調理・提供した食品で、原因物質はカンピロバクターであることは判明しましたが、なぜそれが発生したのかという根本的な原因については調査中とのことでした。そうした中で給食を食べる児童や保護者、学校関係者の心境はいかばかりかとお察しします。速やかな原因の究明と調査結果の公表、そして、関係者への誠意ある説明を強く求めます。答弁を求めます。
今回のような大規模な集団食中毒は中野区においても前例がなく、行政及び学校教育の信頼を揺るがす大問題です。調査結果に基づく衛生管理マニュアルの見直しや作業工程、作業動線の見直し、学校給食用物資の選定・保管の見直し、調理作業の見直しといった抜本的な衛生管理の改善と再発防止策を速やかに講じるべきであると考えますが、区の答弁を求めます。
今回の件を教訓として、改めて学校給食の食の安心・安全の確保を求めるとともに、栄養価が高く、おいしい給食を子どもたちに提供することを強く要望し、この項の質問を終わります。
次に、地球温暖化対策について質問します。
近年、気候変動による影響が深刻さを増しています。東京では、一昨年、観測史上初めて40度を超える暑さを記録し、日本各地でも経験したことのない大雨による豪雨災害の発生など、自然災害による甚大な被害が相次いで発生しております。今後もこのような自然災害のさらなる頻発化、激甚化が予想され、中野区としても強い危機感を持って具体的な戦略に基づく実効性のある対策を講じていく必要があると考えますが、区の認識について答弁を求めます。
平成28年に改正された地球温暖化対策の推進に関する法律では、都道府県及び市町村は、その区域の自然的・社会的条件に応じて、温室効果ガス発生の抑制等のための総合的かつ計画的な施策を策定し、実施するように努めるものとするとされています。これを受けて中野区としては現在どのような取組を行っているのか、区の現状について答弁を求めます。
平成27年に合意されたパリ協定では、平均気温上昇の幅を2度未満とする目標が国際的に広く共有されるとともに、平成30年に公表されたIPCCの特別報告書においては、気温上昇を2度よりリスクの低い1.5度に抑えるためには、2050年までにCO2の実質排出量をゼロにすることが必要とされています。
こうした目標の達成に向けて、昨今、脱炭素社会に向けて、2050年CO2排出実質ゼロに取り組むことを表明する自治体が増えています。環境省は、2050年にCO2を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが、または自治体として公表した自治体をゼロカーボンシティとしていますが、今年の11月11日時点で、世田谷区、葛飾区を含む全国171の自治体がゼロカーボンシティ宣言を行っています。国は、ゼロカーボンシティを宣言した自治体への支援として、2021年度当初予算案の概算要求で、ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の気候変動対策基盤整備事業などを計上しました。今後は、宣言した自治体については、気候変動対策や温室効果ガス排出量等の見える化支援、ゼロカーボンシティ実現に向けた計画策定の支援等を優先的に行うこととしています。中野区としても速やかにゼロカーボンシティを宣言し、区民、行政、企業、そして、区議会が一丸となって気候危機に立ち向かうことを強いメッセージで発信するべきであると考えます。区の認識について答弁を求めます。
繰り返しになりますが、宣言と併せて具体的な戦略に基づく実効性のある対策が重要です。現在、区では環境基本計画の改定作業を行っていますが、その中でも、ゼロエミッションやSDGsの考え方を活用しながら、区の目指す持続可能な社会像を示すことが必要であると考えます。その上で、なかのエコポイントやカーボンオフセット事業、リサイクル事業といった既存事業の費用対効果の十分な検証と見直し、それと併せて、蓄電システムの導入支援や区内緑化のさらなる推進等のスクラップ・アンド・ビルドに基づく新たな施策展開を行っていく必要があると考えます。これらについて、区の答弁を求めます。
最後に、失語症対策について質問します。
失語症とは、脳卒中やけがなどによって大脳にある言語機能の中枢が深く傷ついたため、言語がうまく使えなくなる状態を言います。失語症という言葉を聞くと、話すことができない状態と思われがちですが、失語症になると、話すことだけではなく、聞く、読む、書くことも難しくなるとされています。高齢化が進み、日本の脳卒中患者は170万人を超え、失語症で困難な生活を余儀なくされる方は今後ますます増加することが予想されます。中野区としても取組を進めていかなくてはいけない社会問題であると考えますが、この問題に対する区の認識と、これまでの失語症に関わる区の取組について答弁を求めます。
我が国では、失語症者は全国で推定20万人から50万人いるとされていますが、これまで失語症の実態についてはほとんど明らかにされてきませんでした。これに関して、区内における失語症者の実態について答弁を求めます。
平成24年にNPO法人全国失語症友の会連合会が実施した失語症の人の生活しづらさに関する調査によると、失語症者の発症年齢は、20歳代から50歳代の就労年齢において発症した人が約6割、主たる生計維持者であった人が約7割を占め、しかし、これらのうち仕事に就いている人は約2割にすぎず、極めて多くの人がその社会的役割を喪失していることが明らかとなりました。さらに、発症後、生活がしづらいと感じている失語症者は約9割に上り、コミュニケーションの困難という一時的な問題にとどまらず、公共機関や金融機関の利用など日常生活での困難、就労の困難、趣味を楽しむ活動への参加への制約といった2次的な問題にも広がる深刻なものであることが分かりました。
このように、失語症は、家庭生活のみならず、社会生活にも深刻な影響を及ぼす障害でありながら、失語症に関わる福祉制度や社会インフラは極めて脆弱であるのが現実です。こうした中、厚生労働省は、失語症者の意思疎通を助け、社会参加を促すことを目的として、平成30年から失語症者向け意思疎通支援者の養成を開始し、平成31年度は、養成した支援者を派遣する事業も始めました。しかし、事業の中心となる都道府県では、講師の確保や運営体制など課題は多く、制度の定着にはさらなる時間を要することが現状です。この失語症者向け意思疎通支援者の養成・派遣事業に関わる区内における利用実態について答弁を求めます。
失語症者が尊厳を保持し、自立した日常生活を送るためには、上記の人材育成のみならず、失語症者にも優しいコミュニケーションバリアフリーの環境づくりといった社会インフラの整備、必要な言語リハビリテーションを受ける機会の保障、復職援助や言語聴覚士などによる復職・職業リハビリテーションなどの就労支援、失語症者の家族を支える仕組みづくりや失語症に関する区民への普及啓発など、多角的な取組が必要であると考えます。これらの失語症対策に関する区の認識と今後の取組について答弁を求めます。
以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。
最初に、今後の区政運営の考え方についての事業見直しの必要性についての御質問でございます。区政構造改革は、今後厳しい財政状況が見込まれる中、区民が将来のまちの姿を望みながら、安全・安心に暮らすことができるよう、持続可能な行政運営を実現していくために、行財政の在り方を抜本的に見直すことを目的としております。本年9月に設置したプロジェクトチームを中心に全庁的な取組を進めているところでございますが、抜本的な見直しに当たっては、庁内での危機感の共有、職員の意識改革が不可欠であり、明確な目標を示し、リーダーシップを発揮して推進してまいります。
次に、構造改革の実効性のある取組についてでございます。令和3年度予算編成に当たっては、主な取組の検討と併せて構造改革の視点から見直しを行っておりまして、これまでの実績等を検証するとともに、事業の再編や見直し等に努め、予算に反映させてまいります。また、中長期に取り組む見直しにつきましては、課題の洗い出しを行っており、来年8月を目途として構造改革実行プログラムとして取りまとめ、推進していく考えでございます。なお、専管組織の在り方については現在検討中でございます。
次に、行政の持続可能性と公助の在り方についての御質問です。現在、区政構造改革につきましては全庁で検討しているところでございますが、その基本方針において、自助、共助、公助の役割分担を明確にし、基礎自治体として注力すべき公助とともに、自助、共助の促進に取り組んでいくこととしております。区は、区民の命と財産を守るセーフティーネットとしての役割を全うすることに予算、職員等の経営資源を集中させ、その上で、区民が自立的に、また、支え合いながら暮らすことのできる安全・安心の地域づくりを目指すべきと考えておりまして、そのことが持続可能な区政運営につながっていくものと捉えております。
続きまして、区政運営の優先度についてでございます。子育て先進区の実現に向けて持続可能な区政運営を行うためには、限られた人的資源や財源を適切に配分することが必要であると考えております。小・中学校の改築につきましては、学校再編に伴う改築が最終段階となっており、今度は、老朽化に伴う単独校での改築を進めていくことになります。その先頭を切ることとなる中野本郷小学校、桃園第二小学校につきましては、両校に続く改築校への影響も大きいため、改築計画全体を確実に進めることができるよう、一旦立ち止まり、中長期的な財政状況なども踏まえ、その後の改築整備の進め方を検証することとしたところであります。様々な行政需要がある中、人への投資、次世代への投資、これらは優先度の高い施策として推進していく考えでございます。
次に、新型コロナウイルス対策について、最初に、広域での連携体制の経過と現状でございます。これまで、陽性者や濃厚接触者の対応、施設調査やクラスター対応につきまして、他区や医療機関と連携し、積極的疫学調査や入院調整等を行ってきたところでございます。特に区内には入院受入れを行う重点医療機関が少ないことから、新宿区、杉並区の西部圏域の医療機関や隣接圏域の医療機関に優先的に受入れ調整を行ってまいりました。しかしながら、都内全域の急速な患者数の増加に伴って、東京都における広域調整や、軽症者には一層の宿泊療養の活用が必要な状態となっていると認識しております。
続きまして、東京都への医療専門職派遣要請についてでございます。新型コロナウイルス感染症の拡大とともに、医療専門職の確保は喫緊の課題となっております。庁内の保健師や会計年度任用職員、派遣職員によりこれまで確保してまいりました。東京都から、11月18日付発出、新型コロナウイルス感染症対応人材バンクの実効性を確認の上、その活用を図るとともに、機会あるごとに医療専門職派遣制度の構築について都へ働きかけていく考えでございます。
次に、広域での保健所間協力体制についてでございます。東京都、都内保健所、健康安全研究センター間の専用掲示板を活用して、発生情報の共有や相互に広域のクラスター対応の依頼を行う等に現在努めております。また、保健所のみで対応が困難な大規模なクラスターが発生した際には、東京都の疫学専門チームやクラスター対策班に対し、協力を要請しております。今月末には、区西部圏域医療構想会議において、感染症対応についての情報交換と課題の検討を行うこととしております。区としても、直近の区内の検査や医療の状況、課題を伝え、さらなる連携の強化を働きかけてまいります。
次に、危機管理としての協力体制についての御質問でございます。感染症対策は、御指摘のとおり、危機管理対策でございまして、警察や消防などの関係機関と連携し、迅速、適切に対応することが重要であると考えております。新興感染症対策に当たりましては、とりわけ広域的な専門的な情報の収集や、専門医療機関、検査機関、疫学などの専門性を持つ研究機関との連携が必要であり、特に実事例への対応を積み重ねていくことが重要であると考えております。医療機関、保健所、地区医師会で構成され、感染症についての発生情報の共有や研修等を定期的に実施しております中野・杉並感染管理ネットワークや、東京都が主催している各種の医療連携の会議の場において、自治体間連携の必要性に関する提案をしてまいります。
続きまして、子どもの貧困対策についてのうち、最初に、10月の生活保護費引下げの影響でございます。本年10月の生活保護基準の引下げでは、約6,400世帯の約7,100人が影響を受けました。33歳男性、29歳女性、4歳の子どもで構成される標準3人世帯の場合、1か月当たりの金額は1,220円の減少となりました。
続きまして、子どもの貧困対策の推進についての御質問です。子どもと子育て家庭の実態調査の実施結果を踏まえて、子どもの貧困対策に関する区の考え方を取りまとめ、学びや体験の支援、生活の支援、体制づくりと連携促進などの取組を進めていくことを考えております。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う子どもと子育て家庭の生活実態等を注視しながら、子どものためのセーフティーネットの充実に資する取組について迅速に実施し、困難な状況下にある子どもと子育て家庭を支えるために尽力してまいりたいと考えております。
〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子) 私からは、初めに、子どもの貧困対策についての御質問にお答えいたします。
まず、就学援助経過措置対象者数でございますが、平成25年度の生活保護費の認定基準の引下げに伴う経過措置を平成26年度から同28年度までの3年間実施いたしました。対象者数は、平成26年度が154人、平成27年度が201人、平成28年度が104人でございました。また、平成30年度から3年間かけて行われる生活保護費の認定基準の変更に伴う経過措置は平成31年度から3年間となりますが、対象者数は、平成31年度が29人、令和2年度が24人でございます。
次に、就学援助認定基準についてでございます。就学援助世帯の認定基準については、生活保護の基準額に一定の係数を掛けて算出しております。この係数について、文部科学省の就学援助実施状況等調査の結果についてによりますと、約4割の自治体で、1.2から1.3倍を係数としております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により世帯の所得基準が低下していることは予想されるところでございます。就学援助世帯の認定基準の見直しにつきましては、他自治体の動向を踏まえ、判断してまいります。
次に、旧中野刑務所正門の取扱いについての御質問にお答えをいたします。
平和の森小学校新校舎開設時期への影響でございますが、旧中野刑務所正門の取扱いについて、従来の現地保存から曳家移築に方針が変更されることで、平和の森小学校新校舎整備の基本計画(案)の見直しが必要となります。また、旧正門の曳家移築の際には、新校舎整備に着手できない期間が生じると見込まれております。これらを合わせますと、今回の方針変更により、平和の森小学校新築校舎開設時期は、最長で約2年半、後ろ倒しになるものと想定しております。
次に、平和の森小学校の良好な教育環境の確保及び新校舎の早期開設についての御質問でございますが、平和の森小学校現校舎は、児童数が多く、手狭な状況となっておりますことから、新校舎開設までの期間においては、学校の意見を十分に聞き、適宜校舎の改修を適切に行ってまいります。あわせて、近接する平和の森公園施設の活用を図るなど、引き続き、良好な教育環境の確保に向けた対応を進めてまいります。また、旧中野刑務所正門の保存・活用に関する計画策定の段階から新校舎の早期開設に向けた調整を十分に行っていきたいと考えております。
次に、食中毒対策についての御質問にお答えをいたします。
このたびは、食中毒の発生により、当該小学校の児童の皆様や保護者の皆様に心身ともにつらい状況や御不安、御迷惑をおかけいたしましたことに対し、お詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
学校給食における安全衛生管理につきましては、毎年度、各学校長と調理事業者宛てに中野区学校給食安全衛生管理基準を通知し、各学校は、この基準に基づいて、食中毒等の発生防止に取り組んでおります。また、保健所の一斉監視指導、区の定期衛生点検や衛生講習会、食材検査などを実施しているところでございます。今回の食中毒につきましては、保健所の調査結果からも、調理において記録上では手順を逸脱した行為は確認されなかったとあるものの、ヒューマンエラーを前提としたリスク管理が不足していたことや、大量の給食を時間内に調理することに適したメニュー等の検討などが今後の改善点と認識しております。
次に、食中毒の原因の公表についてでございます。保健所から、今回の食中毒についての調査報告書を出されたところでございます。今後、当該小学校保護者に対し説明するとともに、公表してまいります。
最後に、再発防止策についてでございます。全学校長及び栄養士に給食用物資の保管や調理場における衛生管理の再徹底を、全調理業務委託事業者及び栄養業務委託業者へ食中毒防止についての再教育を行い、全学校の給食室への巡回指導、全校の厨房機器の点検及び作業動線の確認の徹底等に取り組んでいるところでございます。また、食中毒の再発防止については、学校給食における食中毒事故検討会議を設置し、検討することといたします。検討会議には、学校関係部署に加え、中野区医師会、保健所をメンバーとし、食中毒発生における様々な観点から検証をすることといたしております。
〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕
○健康福祉部長(岩浅英樹) 初めに、自殺対策についてのうち、中野区の自殺者の現状についてでございます。厚生労働省、地域における自殺の基礎資料の暫定値によりますと、区内の自殺者は、令和元年3月から5月は4名、8月から9月は6名でございましたが、令和2年3月から5月は13名、8月から9月は10名と増加傾向にございます。令和元年1月から9月までの自殺者の傾向と令和2年の同時期の傾向を比べますと、特に30代、50代、60代、80代で増加傾向にございます。新型コロナウイルス感染症拡大によりまして、経済生活問題、就業・学業への影響、家族関係、健康問題等、様々な要因が連鎖し、自殺の要因となる問題が深刻化、長期化していると考えられます。自殺者の現状を注視するとともに、今後の施策に生かしてまいります。
次に、区内の女性の自殺の現状についてでございます。厚生労働省、地域における自殺の基礎資料の暫定値では、区内の女性の自殺者数は、平成31年1月から令和元年9月までが8名、令和2年の同時期では18名となり、倍増しております。警察庁のまとめでも、令和2年10月の自殺者数速報値によりますと、女性は前年比82.6%増となっており、女性の増加が目立っております。いのち支える自殺対策推進センターで自殺の動向について分析をしておりますけれども、背景には、経済、生活、就労、DV被害、育児の悩み等、様々な問題が連鎖し、問題の深刻化、長期化が懸念されているところでございます。区といたしましても、アクセスのよい相談体制を整備し、対応してまいりたいと考えております。
最新のメール相談の実績についてでございます。メール相談の件数は、9月が6件、10月が8件の新規相談がございます。年齢区分は、20歳未満が2件、20歳代が8件、30歳代が3件、40歳代が1件となっております。性別では、男性4名、女性10名でございます。相談内容といたしましては、対人関係、経済的な問題、就労、被虐待経験、家族関係等となっております。支援につきましては、メールでやり取りする中で、自殺リスクのアセスメントと相談者の潜在的な悩み等の相談を促し、課題の整理を行っております。また、適切なタイミングを捉えた受診勧奨や相談窓口へつなぐほか、相談が途切れてしまった方には、時間を置いて再度メールを送り、継続的な支援を行っているところでございます。
次に、今後の区の自殺対策についてでございます。自殺対策の普及啓発事業として、9月と3月の東京都の自殺対策強化月間に合わせまして、区役所ロビーでのパネル展示、横断幕の掲示、中野駅ガード下展示、図書館での教育展を行っております。人材育成といたしましては、区民、区職員、地域関係者、介護支援者、それぞれに向けたゲートキーパー研修を実施しております。今年度末には、区民、地域関係者向けの講演会はユーチューブ配信での研修に変更し、実施をする予定でございます。また、若年層向けには、区内学校の自殺対策ミュージカルのDVD配布等を検討しているところでございます。また、区民1万人を対象とした地域包括ケア総合計画策定に係る調査に相談窓口のチラシを同封し、情報提供を図ってまいります。
次に、食中毒対策についてのうち、食中毒の発生原因についてでございます。原因食品は当該小学校が調理・提供した給食で、原因はカンピロバクターでございます。食品の原材料である鶏肉と複数の受診者からカンピロバクターが検出されておりますが、調理の加熱工程において加熱不足が発生したと推定しております。当該小学校の記録上はマニュアルどおりの工程であることを確認いたしましたが、職員間のコミュニケーション不足等、ヒューマンエラーがあったか、メニュー自体に問題があり、調理時間に余裕がなかった等が考えられます。なお、調査の結果、最終的に発症者数は計109名となっております。
最後に、失語症対策についてでございます。まず、失語症に対する認識と取組について、失語症は、高次脳機能障害の一種であり、主には脳出血や脳梗塞などの脳血管障害や頭部外傷により言語機能に障害が起きると言われております。そのため、高齢者に多い傾向があるものの、比較的若い年代層の患者も認められ、社会復帰に向けた支援なども必要であると認識をしております。平成26年度より障害者地域自立生活支援センター「つむぎ」において高次脳機能障害の専門相談等を行っており、障害者福祉会館におきましては、日常生活または社会生活の自立や社会復帰に向け、言語聴覚士による機能訓練を実施しております。また、失語症当事者と家族会の活動の場を提供するなどの支援も行っております。
失語症の実態についてでございます。区におきまして、言語機能障害により身体障害者手帳を取得している方のうち、脳出血や脳梗塞などによる言語機能障害のある方は37名でございます。
意思疎通支援者の養成・派遣事業の利用実態についてでございます。失語症に対する意思疎通支援者の養成につきましては、平成30年度から都が実施をしております。失語症者に対する意思疎通支援者の派遣は、令和元年度から障害者総合支援法に基づきまして地域生活支援事業の都道府県の必須事業と位置付けられましたが、都ではまだ実施に至っておらず、区内では利用ができない状況でございます。
失語症に対する区の認識と今後の取組についてでございます。今後も、現在実施しております専門相談や機能訓練等を継続するとともに、都が実施する意思疎通支援者派遣事業や就労支援の状況把握に努め、失語症に関する効果的な普及啓発の方法や区としての支援の在り方など、関係機関と連携しながら検討してまいります。
〔企画部長高橋昭彦登壇〕
○企画部長(高橋昭彦) 文化財保護に係る資金調達についてお答えをいたします。
旧中野刑務所正門の保存に当たっては、移築や公開に係る区の費用負担を見込んでいるところでございます。資金調達の手法については、負担軽減を図るため、特定財源の方策についても様々な角度から研究してまいります。また、検討に当たっては、文化庁の資金調達ハンドブックに示されている活用事例なども参考にしていきたい、そのように考えてございます。
〔環境部長朝井めぐみ登壇〕
○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、地球温暖化対策についての御質問にお答えいたします。
まず、気候変動による影響への区の認識でございます。日本全体で台風の大型化や集中豪雨などによる風水害の頻発など自然災害が激甚化するとともに、猛暑による熱中症の増加など、気候変動の影響が深刻化していることを十分認識しているところでございます。区では、気候変動への対策につきまして、現在検討しております第4次中野区環境基本計画を地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地方公共団体実行計画(区域施策編)及び気候変動適応法に基づく地域気候変動適応計画にも位置付け、総合的に取組を推進していくことを検討しております。
次に、温室効果ガスの排出抑制等の区の取組の現状でございます。区のこれまでの取組としましては、地球温暖化対策を中心とした第3次中野区環境基本計画を平成28年に策定し、環境負荷の少ない低炭素社会を将来像としまして、「スマートエコシティなかの」をスローガンに、四つのプロジェクトといたしまして、低炭素なまちづくり、地球環境に優しい快適なライフスタイル、緑を守り育てる都市緑化、大規模事業者としての区の環境配慮率先行動を定めております。さらに、この四つのプロジェクトごとにアクションプログラムを策定し、総合的に地球温暖化対策を推進しております。
次に、ゼロカーボンシティ宣言についての区の考えでございます。中野区基本構想改定検討素案におきまして、脱炭素のまちづくりを進めることを盛り込んでおります。今後、区といたしましてゼロカーボンシティの宣言をし、取組を進めていくことを検討していきたいと考えております。
最後に、宣言と併せた具体的な戦略に基づく対策についてでございます。今後新たに策定する第4次中野区環境基本計画の中で、これまで実施してきた事業については必要な見直しを行うとともに、重点的に取り組むべき事業を盛り込むなど、新たな施策展開を明らかにする予定でございます。
○議長(高橋かずちか) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。
中野区議会議員 久 保 り か
1 基本構想・基本計画について
2 新庁舎整備と周辺まちづくりについて
3 西武新宿線沿線まちづくりについて
4 特別なニーズをもつ子の支援について
5 子育て支援について
6 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、久保りか議員。
〔久保りか議員登壇〕
○37番(久保りか) 令和2年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。
質問は通告どおり、その他はありません。
東京都では新型コロナウイルス感染症により重症者が増加傾向にあり、昼夜を問わず職務に御尽力いただいている医療、介護に従事する皆様に心より敬意を表します。
改めまして、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様にお悔やみを申し上げます。また、罹患された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
それでは質問に入ります。
初めに、基本構想・基本計画について伺います。
現在改定中の基本構想については、そもそもスケジュールが遅れていたものが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、さらに策定スケジュールに遅れが生じています。審議会の議論や基本構想改定スタート時には想定されなかった新型コロナウイルス感染症が、基本構想で描く10年後に目指すまちの姿についても影響を及ぼすのではないかと考えます。いかがお考えでしょうか、伺います。
基本構想の素案の「誰もが生涯を通じて安心して自分らしく生きられるまち」では、「誰一人取り残されることのない支援体制を構築します」、「障害や生活困窮、生活上の複合的な課題などを抱えている人が、適切な相談や支援につながり、誰一人取り残されることのない体制が整っています」としています。誰一人取り残されない支援体制についてはどう構築されていくおつもりなのか、御見解を伺います。
区長は、平成30年第2回定例会において、我が会派の平山議員の自治基本条例の改正に関する質問に対し、「政策の企画立案・検討の段階から区民が意見を表明し、それを施策に反映するように今後改善してまいります。区民参加による会議において、条例改正が必要かどうかは含めて検討していきたいと考えております」とお答えになっています。基本構想を改定する中で、自治基本条例の改正の必要性については検討がなされたのか、また、区民が意見を表明し、施策に反映される仕組みは構築されたのか、伺います。
中野区自治基本条例には、第8条、「区は、区議会の議決を経て、区政運営の指針となる基本構想を、財政見通しを踏まえた上で定めるものとする」、「執行機関は、基本構想の実現を図るため、基本計画を策定し、総合的かつ計画的な行政運営を行うものとする」と定めており、自治基本条例の考え方では、「第2項は、執行機関は、基本構想の実現を図るために、基本計画を策定し、総合的かつ計画的な行政運営を行うことを定め」、「基本計画は『新しい中野をつくる10か年計画』とし、将来像がどれだけ実現されてきているかを測るための具体的な指標を設定し、指標ごとの目標値を定めるとともに、将来像の実現に向けて区が取り組む施策について明らかにします。総合的かつ計画的な行政を行うことは、地方分権時代の自立した自治体の責任であり、そのことを明確にしています。」としています。基本構想は財政見通しを踏まえた上で定めることが現在のスケジュール上可能なのか、伺います。
区は、基本構想・基本計画の改定とともに、区有施設整備計画策定や区政構造改革にも取り組まれています。区有施設整備計画は、基本構想において描く10年後に目指すまちの姿や長期にわたる都市構造の変化を見据え、区が所有する施設及び土地に関わる改編、整備、利活用等の計画及び施設の更新、保全の方針を示すものです。また、区政構造改革は、財政的な非常事態に対処するとともに、新たな行政需要に応じた効率的かつ効果的なサービス展開を図るため、行財政の構造的な改革を集中的に進め、持続可能な区政運営を目指すものです。基本計画は、構造改革や施設再編計画と併せて総合計画とするのでしょうか。基本計画が総合的かつ計画的な行政運営を行うことを定めるという点については変わりないのか、基本計画が最上位計画である総合計画となり得るのか、伺います。
新型コロナウイルス感染症という想定し得ない状況下で改定作業に遅れを来すことはやむを得ないと理解をいたしますが、上位計画が策定されないことにより、他の個別計画においても、改定スケジュールに遅れを来しています。区の最上位計画である基本計画策定の遅れが個別計画改定の遅れにつながり、区政の停滞につながることはないのか懸念します。お考えを伺い、この項の質問を終わります。
次に、新庁舎建設と周辺まちづくりについて伺います。
10月5日の総務委員会報告、新庁舎整備事業の進捗状況についてでは、実施設計について、基本設計からの主な変更点、新庁舎1階の生活保護に関する窓口及び上層階の生活保護に関する執務スペースは別施設へ移転することとし、4階の会計室及び金融機関、文書集配室は1階へ配置するとの報告がありました。唐突感が否めません。この意思決定に至る経緯と区の福祉サービスの方針について、何点かお聞きします。
中野区新庁舎整備基本設計では、「ゾーニングの考え方」として、「1階から4階を主に区民が利用するコミュニティゾーンとし、様々な手続きや相談ができる総合窓口を設置するとともに、区政情報の収集や区民同士の交流・活動する機能を集約します」、「6階から9階は主に職員が執務を行うオフィスゾーンとします。職員の執務スペースを集約することで、効率的で創造性の高い執務空間を整備します」と示されています。
しかし、今回の報告では、変更理由として、生活保護に関する窓口は、高度なプライバシー性を確保する等の観点から新庁舎1階の独立した区画に配置することとしていたが、今後の生活保護受給者増に対応できるようスペースを柔軟に変更できる施設へ移転する、生活保護に関する執務スペースは、配置レイアウトの関係上、上層階へ配置していたが、窓口スペースとの分離により事務効率の低下が見込まれることから、窓口と執務スペースを近接配置できる施設へ移転するとしています。
基本設計の段階から生活保護受給者の増加がどれだけあったのか、また、今後どの程度の増加を見込まれているのか、現在の基本設計段階の床面積ではどれだけ足りないと算出されたのか、お聞きします。
また、「職員の執務スペースを集約することで、効率的で創造性の高い執務空間を整備します」と基本設計ではゾーニングについてお考えが示されていましたが、なぜ今になって、窓口スペースとの分離により事務効率の低下が見込まれると判断されたのか、お聞きします。
あわせて、それは生活援護のみにおける特段の事情なのか、他の業務においては支障がないのか、お聞きします。
次に、実施設計の段階でなぜ方針が変わったのでしょうか。今後の職員の働き方改革やリモートワークの導入などにより業務効率化を図る中で、必要とされる床面積も最小化が図られるのではないかと考えますが、レイアウトの変更では本当に解消することができないのでしょうか、伺います。
新しい区役所は、障害のある方、高齢の方、お子様を連れた方、外国の方など、来場した全ての方が不自由なく手続や相談ができる利便性の高い区役所としますと庁舎整備基本方針には示されていますが、今回の変更点は基本方針との整合性は図られているのか、お聞きします。
また、新庁舎整備を検討される中で、中野区の福祉サービスの向上についてはどのように検討されてきたのでしょうか。施設の在り方は、その機能の充実が最優先に検討されるべきと考えます。生活援護に関する福祉サービスの手続は、障害福祉、高齢福祉、医療、介護など様々な住民サービスにも関連しています。これらの福祉の手続をワンストップで行えるための庁舎の建て替えではなかったのでしょうか。また、社会福祉協議会も新庁舎には入ることになっていますが、社会福祉協議会も含め、これからの中野区の福祉サービスについてはどのような検討がなされてきたのでしょうか。区長は、中野区の福祉サービス向上に資する区役所庁舎の在り方についていかがお考えでしょうか。私は、今回の報告については、住民福祉について十分に検討がされず、床面積の確保という視点を重視し判断されてきたように思えて仕方ありません。新庁舎の建設については、議会でもこれまで、区役所及び体育館整備調査特別委員会を立ち上げ、様々な視点で検討を積み重ねてきました。これらのプロセスを無視し判断されているようにも見えます。本当に住民福祉の向上という視点で意思決定がされたとも思えず、理解に苦しみます。また、住民サービスの低下や弱者の排除につながらないのか懸念しています。区は、福祉サービスの向上に関する方針をきちんと示すべきではないでしょうか。まずはその方針が示された上で、福祉事務所の在り方を検討するのが筋ではないでしょうか。
中野区の福祉サービス向上に資する区役所庁舎の在り方についてはどう検討されるのか、意思決定に至る経緯と区長の住民福祉に対する御見解を伺います。
福祉事務所の在り方を含めた福祉サービスの向上の方針をきちんと示すべきではないでしょうか。その方針が示された上で、福祉事務所の在り方を検討されるべきです。中野区の福祉サービスの向上に関する方針を示すことを求めます。御見解を伺います。
次に、周辺まちづくりの進捗と庁舎建設の関係性についてお聞きします。
新庁舎2階部分には、将来、接続デッキやエレベーター設置位置も示されています。今後のまちづくりの進捗に合わせ、中野四丁目西地区の開発によりデッキを接続し、スムーズに新北口駅前広場からの動線を確保するものであり、将来設置するデッキが担う役割は大きいと考えます。新北口駅前広場から区役所までの動線確保とデッキの果たす役割についてはいかがお考えでしょうか、お聞きします。
中野四丁目西地区の担う公共性と容積緩和などの都市計画上の関係性について、また、中野四丁目新北口西エリアのまちづくりの進捗の状況について伺います。
次に、西武新宿線沿線まちづくりについて伺います。
本年10月27日、野方WIZで開催を予定していた西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟決起大会は、新型コロナウイルス感染症対策に関する社会情勢を鑑み、中止との決定がなされ、期成同盟決議文案についての賛同を加盟団体等から確認し、国、都、西武鉄道株式会社への要請活動そのものは行うことになりました。今後要請活動で提出する決議文について、前年からはどのような前進が見られたのか、変更点をお聞きします。
令和2年10月18日に、東京外郭環状道路本線トンネル工事現場付近である調布市東つつじケ丘二丁目の市道等で陥没が発生しました。早急な原因究明を行うとともに、地域住民の安全確保、不安の解消に万全の対策を講じるよう、国土交通大臣と事業者に対し、調布市から要請書が提出されていますが、陥没の原因はまだ究明されていないようです。中野区においても、西武新宿線地下化工事において、道路の陥没など何らかの影響が出るのではないかとの不安の声をお聞きすることがあります。中井-野方駅間については、事業用地取得の遅れのため事業施行期間が6年間延伸されましたが、早期事業完了に向け、安全の確保を行った上、工事を進めていくことが重要です。調布市の陥没事故を踏まえ、今後の西武新宿線地下化工事の安全対策については万全を期していく必要があると考えますが、御見解を伺います。
本年4月、都立家政、鷺ノ宮の両駅周辺地区では、まちづくり構想の内容を踏まえた行政計画であるまちづくり整備方針が示されました。私はこれまでも、都立家政駅、鷺ノ宮駅のまちづくりについては繰り返し質問をしてきておりますが、今回は、公社鷺宮西住宅一帯のまちづくりについて伺います。
建設委員会での大規模団地の建て替えの必要要件についての質疑に対し、担当課長は、道路がないと建て替えができず、建て替えが遅れる可能性も出てくる、ほかにできるようなやり方を検討していきたいとお答えになっています。まちづくり整備方針策定から約半年が経過しておりますが、その後の検討状況はどうなっているのでしょうか。住宅の建て替えを含め、公社鷺宮西住宅一帯のまちづくりを今後どのように進めていくのか、御見解を伺います。
新型コロナウイルスによる社会経済の停滞は、鉄道会社にも大きな影響を及ぼしています。このことが連続立体交差事業にも影響を及ぼすことが懸念されます。野方以西の連続立体交差事業のスケジュールやまちづくりについての影響をどう想定されているのかお聞きし、この項の質問を終わります。
次に、特別なニーズを持つ子の支援について伺います。
初めに、保育園等巡回訪問指導の見直しと保育園支援について伺います。
この点については、第3回定例会の一般質問で南議員が取り上げ、決算特別委員会で私も質問をいたしました。いわゆる気になる子の療育の必要性、障害の有無について特定できず、児童の対応に苦慮していることから、巡回訪問指導の継続を望む声が保育園の現場からは聞かれます。事業転換と保育園の支援体制構築を同時進行で行っていく必要があることから、特別委員会の質疑では、保育ソーシャルワーク事業の導入を提案いたしました。その後、保育ソーシャルワーク事業の導入についての検討は進んでいるのでしょうか、お聞きします。
また、園支援として、特別支援保育に関するスキルアップも望まれています。特別支援保育の質の確保に資するキャリアアップ研修の充実についてはいかがお考えでしょうか。保育士等キャリアアップ研修ガイドラインには、研修の実施について、eラーニングで実施することも示されています。コロナ禍で研修等が思うように進められない中で、保育の質の向上を図るために、区もオンライン等による保育士等キャリアアップ研修を積極的に取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
特別支援保育について、埼玉県越谷市では、障害や心身の発達の遅れ等があるために集団生活の中で特別な支援が必要な児童の保育を実施しています。申込み時に活用できる特別支援保育入所申込みのしおりを発行し、お子さんの発達状況や個性を踏まえ、健やかな育ちを支える保育を行うことへの理解を求めています。中野区でも、特別支援保育入所申込みを策定し、入園募集段階から特別支援保育の在り方を明確にし、特別支援保育を充実すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
この項の最後に、インクルーシブ教育の推進について伺います。今回の事業の見直しの中では、毎年、気になる子が多く、支援の必要性があり、各保育園の負担が大きい、現在、未了解で訪問指導を受けている子どもへの指導、支援がなくなってしまうのではないかと不安である、保育所等訪問支援でこぼれてしまう子どもたちや現場の先生たちの支援をというお声が保育の現場から上がってきています。集団生活の中では、気になる子がどうしても困った子として感じざるを得ない状況や、保護者の了解を得て保育の中で療育に取り組んでいくことが困難ある状況が見えてきます。同時に、社会的にインクルーシブ教育への認知度は低く、中野区におけるインクルーシブ教育も定着をしていないという現実の課題を感じます。区におけるインクルーシブ教育の推進についてはいかがお考えでしょうか。御見解を伺って、この項の質問を終わります。
次に、子育て支援について伺います。
初めに、子ども宅食について伺います。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、中野区ではこれまで、感染拡大防止対策とともに、医療、生活、経済を支援する対策を講じてきました。その一環として、子どもと子育て家庭への相談支援の充実を図るための子ども配食事業がスタートしました。この事業は、子ども家庭相談における支援策として、配食による食の支援が必要であると認めた子育て家庭に対し、食事を個別に宅配するとともに、配達時に家庭の状況等の確認を行うことを目的とし、対象は、子ども家庭支援センターが支援している家庭のうち、食の支援が必要であると認めた18歳未満の子どもがいる家庭としています。
コロナ禍の支援として子ども配食事業がスタートしたことには一定の評価をしています。一方で、我が会派としては、子ども宅食事業の導入をこれまで求めてきました。私は、コロナ禍において対象を限定した子ども配食事業だけではなく、子ども宅食事業を導入し、行政サービスにつながっていない家庭を支援していくことの必要性を感じています。困っているが、そのサインを出すことができない家庭に対して、子ども宅食のように出張っていく形の出前型福祉、いわゆるアウトリーチを行い、必要な場合は行政サービスにつなげていくことが大事だと考えます。国の支援対象児童等見守り強化事業を活用し、子ども宅食を実施することについて、区の見解を求めます。
現在、区は、子ども配食事業、子ども食堂支援、学習支援事業等、子どもの貧困に関わる施策に取り組んでいます。様々な事業が進められていますが、子どもの貧困対策を進める組織体制は、明確には示されていません。平成26年第1回定例会において、私は、子どもの貧困対策について早急に取り組むべきと質問し、子どもの貧困対策について取り組むための組織体制が重要であり、実質的な組織体制について検討することを求めました。しかし、いまだ子どもの貧困対策を進める区の組織体制は構築されていません。子育て先進区を掲げ、子どもの貧困対策を進めるとしている酒井区長に改めて子どもの貧困対策を進める組織の構築を求めます。区の見解をお示しください。
次に、不妊治療について伺います。
中野区では、東京都特定不妊治療費助成事業の承認決定を受けている方に対し、特定不妊治療及び男性不妊治療にかかった保険適用外の治療費の一部について助成を行っています。また、中野区不妊専門相談・ほっとピアおしゃべり会も開催され、妊娠を望む方たちへのサポート体制が進められてきました。厚生労働省は、不妊治療の実施件数や費用などの実態調査を10月から始めていますが、区の実施状況はどうなっているのか、伺います。
助成制度があるといっても、不妊治療を行う方々にとっては過重な経済負担であり、保険適用の拡大及び所得制限の撤廃も含めた助成制度の拡充は早急に解決しなければならない課題であると考えております。公明党全国大会に出席した菅総理は、不妊治療の保険適用について、できるだけ早く進めていきたい、それまでの間は助成金を思い切って拡大したいと述べられています。10月から行われている厚生労働省の不妊治療の実施件数や費用などの実態調査は、今後の事業拡大につながるものであると考えます。区の実施状況はどうなっているのかと併せ、区は国の動きを的確に捉えた事業の拡充についても検討を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。
以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 久保議員の御質問にお答えいたします。
最初に、基本構想・基本計画についてで、基本構想への新型コロナウイルスの影響についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、人々の生命や健康、日常生活における外出や移動、学校教育、地域経済、地域医療など、様々な分野に影響が生まれるとともに、働き方、住まい方、人と人とのコミュニケーションなどにおける新しい生活様式への移行や、社会全体の価値観や行動の変化も進んでおり、区政運営においても対応が求められていると考えております。人と人とのつながりや協働・協創の大切さなど、これまで示してきた基本構想の大きな方向性が変わることはありませんが、こうした変化を踏まえて、安全・安心な暮らしやまちのにぎわいを守りながら、10年後に目指すまちの姿の実現に向けて取り組んでいく必要があると考えております。
続きまして、誰一人取り残されることのない支援体制についてでございます。基本構想改定検討素案におきましては、大切にすることにおいて、「人と人との交流やつながりを広げ、誰一人取り残されることのない安心できる地域社会を築きます」と記載しております。誰一人取り残されることのない支援体制の構築に向けて、区としては、組織横断的な課題に対して、全庁における効果的・効率的な連携を進めてまいります。また、人と人とのつながりを広げながら、区民や関係機関との協働、協創を深めていくことで、区全体として支援の網の目をより一層細かくしていくことが必要であると考えております。
続きまして、自治基本条例の改正の必要性についてでございます。自治基本条例につきましては、施策の企画立案・検討の段階から区民が意見を表明し、それを施策に反映するため、改正の必要性を検討してきたところでございます。この間、基本構想の改定をはじめ、基本計画策定などにおいて、企画立案・検討の段階から区民意見を集約する工夫を行っており、自治基本条例の改正を行わずともガイドラインなどによって区民の意見表明の機会を設けることができると考えております。
次に、基本構想のスケジュールについてでございます。基本構想につきましては、本定例会において改定検討素案に関する意見交換会等の結果を反映した検討案を示し、検討案に関するパブリックコメント手続を実施した上で、来年の第1回定例会において議案を提案する予定でございます。基本構想の議案の提案に先立って、来年1月に基本計画素案として、施策の内容と併せて財政見通しを示す予定であり、財政見通しを踏まえた上で基本構想を策定したいと考えております。
次に、自治基本条例における基本計画の位置付けについてでございます。新しい基本計画におきましても、自治基本条例第8条第2項に基づき、基本計画を策定し、総合的かつ計画的な行政運営を行うとともに、各個別計画の上位計画として基本計画を位置付ける考えでございます。区有施設整備計画におきましては、基本計画における政策、施策の方向性に基づいて区有施設の整備、更新、再編、配置の方針を示すものとして、基本計画と一体的に策定する考えであります。また、構造改革につきましては、基本計画における区政運営の基本方針の中で、その趣旨を踏まえて記載するものとし、具体的な内容は、構造改革実行プログラムとして基本計画と同時期に策定する考えであります。
続きまして、個別計画改定スケジュールの遅れについてでございます。個別計画につきましては、原則として基本計画と策定時期及び内容について整合性を図っていく考えでございます。一方、法令等において別に定めがあるなど特段の事情のある個別計画につきましては、基本計画の検討段階において整合性を図った上で、基本計画の策定前においても策定しているところであります。来年8月に予定している策定に向けて、基本計画の検討及び準備を着実に進めてまいります。
続きまして、新庁舎整備と周辺まちづくりについてのうち、今後の生活援助受給者の増に対応するための検討についての御質問でございます。新しい区役所整備基本設計を策定した平成31年3月時点から現在まで、生活保護受給世帯数は約100世帯程度の増加でありますが、今後の区内の人口推計によりますと、受給世帯数も相当数増加するものと見込まれております。床面積の不足について、具体的な数値をお示しすることは難しいですが、受給世帯数の増加は、区の職員体制の強化が必要となり、結果として相当のスペースの確保を要することとなります。こうしたことから、生活援護の機能は庁外に移転することとしたものでございます。
次に、生活援護の窓口と執務室の配置、検討についてでございます。生活援護課におきましては、基本設計において、高度なプライバシー性を確保する必要があることから、窓口スペースは1階に配置しておりましたが、執務スペースについては、窓口スペースとの近接配置は面積の都合上困難であることから、別フロアに整備することとしておりました。実施設計段階で改めて詳細に業務の流れを検討したところ、業務効率上、窓口スペースと執務スペースを分離せず、可能な限り一体的に配置することが望ましいと考えて、庁外移転を図ることといたしました。
次に、業務の効率化による生活援護窓口面積の確保についてでございます。基本設計の段階において、生活援護の窓口は、利用者に配慮した高度なプライバシー性を確保する必要があることや、出入口からの動線等を考慮した結果、上層階ではなく1階への配置が適切であると判断しておりました。ICT環境の整備など業務の効率化により床面積の有効活用が図られたとしても、今度の受給世帯数の増加を踏まえると、1階で必要な窓口面積を確保することは難しいと考えております。
続きまして、新庁舎整備と区の福祉サービスの向上についてでございます。新庁舎整備に当たっては、基本計画でお示しした、来庁者が不自由なく手続や相談ができるという理念を基に検討を進めていたところでございます。新庁舎には、子ども、高齢者、障害者など、様々な方に対応する窓口を整備する計画でありますが、生活援護の窓口は高度なプライバシーを確保する必要があり、1階への配置を計画していたところでございますが、今後の受給者数の増に柔軟に対応できるよう、庁外移転をすることとしました。住民福祉の向上は区の重要な責務であり、とりわけ生活援護機能は、区民の生活を守るセーフティーネットとして重要な役割を果たしていると認識しております。区の自立相談支援を含めた福祉サービスの在り方については、新庁舎やすこやか福祉センターなど区全体の機能分担や地域展開などを踏まえ、今後、整理して改めてお示ししたいと考えております。
続きまして、中野四丁目西地区のまちづくりについてでございます。中野四丁目西地区を介して新北口駅前エリアと新区役所がデッキで接続されることは、駅から新区役所に至る歩行者動線として、ユニバーサルデザインの観点からも重要であると認識しております。同地区の市街地再開発事業は、この周辺地区と接続するデッキのほか、公共自転車駐車場、大型バス乗降場、広場や歩道状空地など公共性の高い施設整備を踏まえ、容積率緩和など必要な都市計画を変更し、あるべきまちづくりを実現するものでございます。現在、市街地再開発準備組合では、地権者の合意形成や事業化に向けた推進承認がなされており、区は、このような状況を適切に捉えながら、着実にまちづくりを進めていく考えでございます。
続きまして、西武新宿線沿線まちづくりについてで、期成同盟決起大会と要請活動についてでございます。決議文では、新井薬師前駅と沼袋駅周辺でのまちづくりの取組状況のほか、今年4月に策定した都立家政駅、鷺ノ宮駅両駅周辺地区のまちづくり整備方針に触れた上で、地域ではまちづくりの検討も進んでいることから、連続立体交差事業の早期実現への期待がより一層高まったとしております。国、東京都、西武鉄道株式会社への要請活動については、今後の新型コロナウイルス感染の拡大状況にもよりますが、現在のところ実施する方向で調整を行っております。
次に、シールド工事に伴う安全性の確保についてでございます。西武新宿線中井駅から野方駅間の連続立体交差事業の地下工事に係る安全対策につきましては、適切な施工管理や品質管理を行うとともに、地下水位などのモニタリング、作業員への安全教育などを実施しており、今度予定しているシールド工事につきましても、適切な計測、管理に基づき、安全に十分配慮しながら進めていくと東京都より聞いております。区は、連続立体交差事業の早期完了に向けて、引き続き必要な協力や支援を行っていくとともに、安全対策について万全を期すよう、様々な機会を通じて東京都等に要請をしていく考えでございます。
続きまして、公社鷺宮西住宅一帯のまちづくりの検討状況についてでございます。公社鷺宮西住宅一帯は、広域避難場所として火災から区民を安全に守る空間であることが求められており、オープンスペースの確保や、補助第133号線から広域避難場所へ接続する道路の整備等、防災機能の強化に向けて、まちづくりの検討を進めているところでございます。まずは、年度内に広域避難場所周辺地区のまちづくりの基本的な考え方、これを地域の方々にお示しする機会を設けたいと考えております。その後、地域の方々との意見交換や住宅供給公社等の関係機関と調整を重ね、まちづくりの基本計画を策定していきたいと考えております。
最後に、新型コロナウイルスによる野方以西の連続立体交差事業やまちづくりへの影響についての御質問でございます。区のまちづくりにおきましては、本年2月末に予定していた都立家政駅及び鷺ノ宮駅周辺地区のまちづくり整備方針(案)の説明会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止とし、地域の方々から直接御意見を聞く機会が設けられなかったところでございます。そのため、今後は、意見交換会や説明会等の開催方法を工夫するなど、地域に対して丁寧な対応ができるように検討してまいります。また、本年9月に西武鉄道株式会社が公表している2020年度の鉄道事業整備投資計画では、安全対策として新宿線連続立体交差事業の推進が記されており、野方-井荻駅間も含まれているところでございます。
〔子ども教育部長戸辺眞登壇〕
○子ども教育部長(戸辺眞) 私からは、特別なニーズを持つ子の支援についてお答えいたします。
まず、保育ソーシャルワーカーの配置についてでございます。来年度から実施が予定されております児童福祉法の保育所等訪問支援では、発達に課題があっても保護者が了解していないケースや、家庭での養育に課題のある子に対しては、サービスの対象にはなりません。このため、区では、保育所の運営支援の一環として、ソーシャルワーカーである(仮称)地域連携推進員が区内の保育所を訪問して、各家庭の状況や子どもの発達状態に応じた助言等を行うとともに、必要な支援やサービスにつなげる事業を検討しているところでございます。
次に、オンライン研修の推進についてでございます。区では、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、密閉、密集、密接を避けるため、オンラインによる会議や研修の導入に向けて検討を進めているところでございます。東京都が実施しているキャリアアップ研修についても、オンラインによる研修の導入が検討されていると聞いてございます。区としても、こうしたキャリア研修の一部実施や、また、研修等のオンライン化に向けて、さらに検討を進めてまいります。
次に、支援を要する子どもの保育でございます。区が発行する保育所等の御案内の中で、疾病や障害により支援を要するお子さんの保育に関して、対象や人数、申込手続についてお知らせするとともに、入園手続の際に、保護者の方からお子さんの御様子や家庭の状況について個別に聞き取りを行っております。他の自治体においては、特別支援保育入園の案内も別途作成し、保育士の追加配置や専門職の定期的な巡回訪問についても案内している事例がございます。今後は、他自治体の取組も参考にしながら、支援を要するお子さんが利用しやすい保育と入園案内をさらに充実してまいります。
最後に、インクルーシブ教育の推進についてでございます。現在、幼稚園や保育園では、子どもたちが生活に慣れ、安心して過ごせるよう、心身の発達や家庭環境による個人差に配慮した教育、保育を日常的に展開してございます。発達に課題のある子どもの保育に当たっては、必要に応じて保育者等を加配の上、一人ひとりの発達過程や障害の状況を把握し、課題のある子どもが他の子どもの遊びや生活を通して共に成長できるよう、指導計画の中に位置付けて保育を進めております。保育園や幼稚園の積極的な取組を支援するため、保護者や地域に向けてインクルーシブ教育の考え方を積極的に発信し、理解促進を図っていく考えでございます。
〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕
○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、子育て支援に関する御質問についてお答えさせていただきます。
初めに、子ども宅食事業についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響により支援を必要とする家庭が増えることが想定され、そうした家庭を適切な支援サービスにつなげていくことがこれまで以上に求められていくと認識しております。区はこれまで、子ども配食事業によりまして、養育困難家庭に対して、食の支援と配食時における家庭の状況把握を行ってきたところでございますが、支援を必要とするより多くの家庭をサービスにつなげていくことも重要であると考えておりまして、国の補助事業などの活用も含め、検討を進めてまいります。
次に、子どもの貧困対策の推進体制についての御質問でございます。子どもの貧困対策の推進に当たりましては、子どもと子育て家庭の実態調査の実施結果を踏まえ、子どもの貧困対策に関する区の考え方を取りまとめ、学びや体験の支援、生活の支援、体制づくりと連携促進などの取組を進めていくことを考えております。子どもの貧困は、その背景に様々な社会的な要因があるため、その対策につきましては、総合的に取り組んでいくことが重要であり、組織体制の整備が必要であると考えております。今後、その体制につきまして検討を進めてまいりたいと考えてございます。
次に、不妊治療についての御質問でございます。
初めに、特定不妊治療費助成の実績についての御質問でございますが、令和元年度の実績は、助成件数が182件、助成金額は802万8,490円でございました。令和2年4月から10月までに助成した件数は247件、助成金額は1,041万2,945円でありまして、助成件数、金額とも既に昨年度を上回ってございます。
最後に、特定不妊治療費助成制度の拡充についての御質問でございます。少子化対策として、不妊治療に関わります経済的負担の軽減が必要であるということは十分認識してございます。現在の区の助成制度は、東京都の不妊治療助成の承認を受けた方を対象としておりまして、国や東京都の動向を見据えながら、区の対象者の拡充についても検討していきたいと考えております。
○議長(高橋かずちか) 以上で久保りか議員の質問は終わります。
議事の都合により暫時休憩いたします。
午後3時15分休憩
午後3時35分開議
○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。
この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 来 住 和 行
1 区長の政治姿勢について
2 子育て先進区を実現することについて
3 羽田空港新飛行経路の問題について
4 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、来住和行議員。
〔来住和行議員登壇〕
○42番(来住和行) 2020年第4回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。
区長の政治姿勢についてお聞きします。
初めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
新型コロナウイルス感染者が連日増加し、第3波の感染拡大に政治がどう対処するのかが厳しく問われています。検査、保護、追跡で爆発的感染抑止の対策を急ぐべきです。無症状感染者の発見、保護のため、感染急増地域に大規模な地域集中的なPCR検査とともに、病院、介護施設などへの社会的検査を政府の責任で強力に推進することが必要です。政府の新型コロナ対策本部資料では、大規模地域の集中的なPCR検査を実施したことにより、無症状の陽性者を拡大前に把握することで、陽性者数が減少したことが統計的分析で明らかになっています。広くホットスポットになる危険があるところに、積極的に面の検査を行う必要があります。中野区においても、さらなるPCR検査の体制強化を図ることです。中野区のPCR検査センターの結果は、週単位で公表されています。第3回定例区議会の補正予算で追加された診療所における検査も、20診療所で可能となっています。
お聞きします。区内の医療機関における1日のPCR検査数を中野区は把握していないと聞きます。重要なPCR検査数を中野区としてどうして捉え切れていないのか、答弁を求めます。
検査し、陽性者が確認されたら、感染者と濃厚に接触した人を探し出し、検査や保護を進める接触追跡者を組織する体制の強化が必要です。中野区保健所では、資格を持つ看護師を追跡者として派遣会社から派遣を受けています。今後さらなる感染拡大によって、各自治体が追跡資格者の取り合いになることが予測されます。
お聞きします。現在の保健所における追跡者は何人確保されているのか、対応は全部できているのか、体制の現状と今後の見通しについて答弁を求めます。
政府は、病院、介護施設への社会的検査を国の責任で実施することに本気ではありません。しかし、地方自治体にとっては、国の財政的支援は欠かせません。世田谷区では、介護事業所、特別養護老人ホームの入居者と職員のPCR検査を大規模に実施しました。その結果を受け、無症状の陽性者を確認し、自宅やホテルに隔離する対策を積極的に行っています。
お聞きします。中野区でも、介護事業所、高齢者施設でのPCR検査を大規模にやるべきではないでしょうか。東京都には、学校をはじめ教育現場、保育所、医療機関などの検査対象の拡大を求めるべきです。併せて答弁を求めます。
コロナ禍の中で暮らしを守ることについて伺います。
コロナ関連の支援制度の一つである持続化給付金は、1回限りで、申請も1月で打ち切られます。特例小口貸付けは終了となります。生活保護の相談件数は、半年間で昨年比562件増え、そのうちコロナ関連は443件となっています。住居確保給付金も、昨年は年間で30件の申請が、今年は4月から10月までに1,852件です。給付金は、原則3か月、延長しても9か月と期限が決められています。年始には家賃を払えなくなる方が多く出てきます。失業、倒産、廃業などの状況が予測されます。
お聞きします。厳しい年末年始に備え、中野区として、なんでも相談窓口の開設が必要ではないでしょうか。電話による相談受付は早期に開始する必要があります。答弁を求めます。
リーマンショックのときには、年越し派遣村が立ち上がりました。今回は、そのとき以上の事態に備え、食料品、住居、医療提供を整えておくことが重要です。東京都も、年末年始の医療機関への協力や、住まいを失った人へのビジネスホテルの提供などを用意していると聞きます。
お聞きします。中野区も、解雇、失業などで生活困窮に陥る人を出さないために、早めの生活・居住支援を補正予算などの対応も含めて準備することを求めます。見解をお聞きします。
次に、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、今後の中野区を展望し、区政の方向を区民にどう示すかについてお聞きします。
中野区は、来年度予算編成と併せて構造改革について検討し、行財政の構造的な改革を集中的に進め、持続可能な区政運営を目指すとしています。歴代政治が進めてきた構造改革は、自助と共助、自己責任を強いるもので、貧困と格差が拡大し、消費を落ち込ませ、国民の暮らしを疲弊させました。官から民への構造改革路線は、社会と経済にゆがみをもたらし、基盤を弱らせ、壊すこととなりました。そこに新型コロナウイルス感染拡大が襲い、命も暮らしも脅かされる状況になっています。この政治と社会のありようが今問われています。
伺います。さきに紹介した歴代政治の構造改革と区が示した基本方針の構造改革はどこがどう違うのか、答弁を求めます。
新年度予算編成に当たり、区民の暮らしの実態をどう捉えるかが重要です。当議員団の区民アンケートへの返信は、約4,400通を超えています。40代のパートの女性からは、給与が夫婦ともに下がりました。特に正社員である主人の給与は10万円台、マンションは賃貸で10万円、収支が全く合いません。切り崩しての生活、小学生の子どももおり、すぐに地方に引っ越すなどできません。中野区で暮らすのはお金がかかります。八方塞がりです。子ども2人をどう育てていけばいいのか、将来はあるのか、明日が見えません。アンケートに返信された方々の約半数が生活が苦しくなったと回答を寄せています。中野区は、「子どもと子育て家庭の実態調査」を行い、その結果を分析中と聞きます。生活の困難度が子どもの育ちにどう影響が出ているのか、実態調査に関連して、2点をお聞きします。
子どもの成長に欠くことのできない栄養摂取、食事内容への影響はどう反映しているのか、学校の授業と生活困難度の関係について答弁を求めます。
子どもの成長にとって、この二つの分野は欠くことのできない大切なものです。子どもの育ちは、社会と政治の責任です。
お聞きします。就学援助の基準の見直しは緊急の課題とすべきです。新年度の予算編成に当たり、子育て先進区の施策について何を検討しているのか、併せて答弁を求めます。
予算編成に当たり、既に予定されている事業についてもスケジュールの先送りを検討する区の方向性も示されています。
お聞きします。新年度予算編成では、区役所建て替えなどの大規模プロジェクトは後年度に先送りし、コロナ禍の中で何とか耐え、あえいでいる区民を支える、暮らし第一の予算とすべきです。答弁を求めます。
次に、平和行政を推進することについてお聞きします。
核兵器禁止条約を批准した国が50か国を超え、来年1月に正式に条約が発効することが確定しました。核兵器禁止条約は、史上初めて、核兵器を違法化し、全面禁止するとともに、完全廃絶までの道筋を明らかにした画期的なものです。「世界中の人びとと手をつなぎ核をもつすべての国に核兵器をすてよ」の中野区憲法擁護・非核都市宣言から38年、大きな一歩を踏み出すこととなりました。区長は、憲法擁護・非核都市宣言を推進していくことを公約され、平和市長会議にも加盟をされました。
お聞きします。国連で核兵器禁止条約の発効が決まったことに対して、区長の見解をお聞きします。
11月22日には、中野区主催の「平和のつどい2020」が開催されました。川崎哲さんの講演は、核兵器禁止条約発効のために力を注いでこられただけに、感動と勇気を与えるものとなりました。つどいでは、広島で2歳のときに被爆した佐々木禎子さんの折り鶴が区に貸与され、新しくオープンした平和資料展示室に展示されています。
お聞きします。核兵器禁止への区民の関心も高まるときだけに、平和資料展示室で、核兵器禁止条約発効の企画展を開催してはいかがでしょうか。答弁を求めます。
今年度は、児童の広島、長崎の平和の旅は検討されましたが、コロナ禍で実施は見送られました。
お聞きします。平和資料展示室を生かした、小学生の親子が参加し、関心を持ってもらえる内容などを実施してみてはいかがでしょうか。答弁を求めます。
また、平和資料展示室における企画の在り方として、準備の段階から区民参加型で取り組んでみてはいかがでしょうか。併せて答弁を求めます。
次に、人権、民主主義についてお聞きします。
住民投票について伺います。11月1日投開票で、大阪市を廃止・分割する大阪都構想の是非を問う住民投票が執行されました。結果は、2015年に続き、再び都構想の制度案は廃案となりました。今回の住民投票では、投票の権利は日本国籍を持つ人に限られました。条例で住民投票を定めている自治体では、広島市が永住者、川崎市は在日3年を超える人、大阪府豊中市は住民登録した全員に投票権を認めています。中野区基本構想改定素案では、国籍や文化、年齢、性別、性自認や性的志向などにかかわらず、誰でもが地域の一員としています。中野区は、自治基本条例第15条で、住民投票は事案ごとに住民投票を規定した条例を定め、住民投票を実施するとしており、投票の資格要件もその都度定めるものと理解します。中野区に住所を有する外国籍の人は、2020年2月現在で2万174人です。
お聞きします。区は、住民投票を行う際に、外国籍の方々にも投票権を付与する考えを原則として持つべきではないでしょうか。見解をお聞きします。
人権に関連して、区立中学校の校則についてお聞きします。2015年第4回定例会において、羽鳥議員が、子どもの権利条約第12条、子どもは自分に関係あることについて自由に自分の意見を表す権利を持っている、いわゆる意見表明権を示し、区立中学校の校則の決定に生徒を関わらせることを検討すべきと求めました。中野区は、1997年3月、中野区教育行政における住民参加に関する条例を施行しています。第4条に、「区民参加においては、権利の主体としての子どもの参加と意見表明の機会が保障されるよう配慮されなければならない」としています。2019年に女子中学生が中野区に提案した女子のスラックス着用が、2月には中野区立の全ての中学校でスラックス着用が認められることになりました。当事者中学生の提案を中野区が受け止めたことに全国からも注目が集まりました。中学生の提案を受け止めた区長の判断が評価されます。しかし、提案した本人の中学校生徒手帳には、女子は学校指定のブレザーとスカートとなっており、変更されていません。ほかにも変更のない学校もあります。
お聞きします。重要な変更を新学期に間に合うようにすべきではないでしょうか。生徒手帳の費用負担は、4校が保護者負担はなし、6校は保護者負担ありとなっています。学校によってどうして違うのか、杉並区、渋谷区では公費で負担しています。中野区も一律に保護者負担なしにすべきではないでしょうか。答弁を求めます。
校則には、服装の決まりとして、スカートの長さは膝の頭が出ないこと、下着のシャツは白色とすること、ソックスの長さや色、頭髪や髪結びのゴムの色まで指定しています。学校ごとの違いはほとんどありません。小学校までは、ファッションも髪型も下着の色も自由であったのに、中学生は校則によってなぜ縛られるのか、その理由や根拠の説明のない中で決められてしまうのか、標準服の男性、女性と区別することによって、トランスジェンダーへの配慮に欠けてしまうのではないかなどの声も聞かれます。
お聞きします。中学校の校則について、一番の当事者であり、主体者である生徒が決定の過程で意見を述べる機会が保障されることは、子どもの権利条約、教育行政における区民の参加条例の視点から検討されるべきではないでしょうか。所見を伺い、次の質問に入ります。
子育て先進区の実現を目指すことについてお聞きします。
中野区は、この間、待機児童ゼロを目標に掲げてきました。
そこで伺います。4月の保育所待機児童は73人でした。来年4月には、認可保育所の創設は何か所となるのか、定員増は何人を予定しているのか、答弁を求めます。
次に、保育の質について伺います。
昨年3月に、区は、子どもの最善の利益を守る、一人ひとりの子どもの発達に適切な援助を行う指針となる「中野区保育の質ガイドライン」を策定しました。ガイドラインでは、子どもを中心とした基本的な指針として、行政や事業者の果たすべき責任と役割を定めるとなっています。であるならば、保育の質の向上には、保育士の配置が低過ぎる国基準にどれだけ加配するかが欠かせません。
お聞きします。保育の質ガイドラインには、保育士の配置基準となる数字も何も示されていません。現行の保育士配置基準に加えて、中野区独自の配置基準を保育の質ガイドラインに明記すべきではないでしょうか。答弁を求めます。
保育士の賃金はどうなっているのでしょうか。当区議団が行っている区民アンケートにも、世代を越えて、保育士の待遇の改善を求める声が幅広く寄せられています。都内で最近、認可園が突然閉園となったり、中野区内のある園では、2歳児クラスで3人の保育士のうち2人が同時に退園するなども起きています。
お聞きします。増え続ける中野区内の株式会社経営の保育園で、委託費に占める人件費の平均と人件費の割合が最も低い保育園の人件費率は何%か、答弁を求めます。
11月20日付発売の週刊朝日誌によると、保育士は消耗品と豪語するブラック保育園経営者もいて、保育園運営費を賃金に回さず、経営者の私腹や財テクに回していると報じています。中野区の増え続ける私立・民営化保育園への運営支援、給食などへの安全衛生管理、コロナ禍の中で保育士への賃金の未払いはないのか、賃金の格差は是正されているのか、委託費は適正に支出されているのかなど、実態を把握することが大切です。
お聞きします。実態把握の期間と人的体制はどのように取られているのか、答弁を求めます。
次に、保育園等巡回訪問指導についてお聞きします。
中野区では、現在、保育所及び幼稚園に通所する園児で発達に課題のある子どもを早期療育につなげること、療育の専門家から保育士が助言を受け、クラス運営に効果をもたらすものとして、要綱によって、2か所の療育施設に委託し、巡回指導を実施しています。今回、区は、これまでの巡回訪問指導を、児童福祉法の改正に伴い、来年7月から法内の事業である保育所等訪問支援事業に変更すると説明を行っています。これまでの巡回訪問指導との違いは、保護者からの依頼、受給者証の交付を受け、指導を直接その場で受けること、1歳児から2歳児までは利用料金が発生することとなります。
お聞きします。実施している巡回訪問指導の成果についてどのように評価をしているのでしょうか。今回の説明に対して、保育園・幼稚園関係者から区にどのような懸念の声が上げられているのか、答弁を求めます。
巡回から訪問支援への変更によって、特別に配慮が必要な子どもへの支援が届かなくなってしまうことへの不安が大きいのではないでしょうか。今回の変更に当たって、区の説明が保育園現場からの疑問や不安に応え切れていないのではないか。現場の声に寄り添い、そのための時間的余裕を保障することが重要です。新宿区では、2016年から巡回訪問支援を法内の訪問支援事業に転換した際には、受給者証の交付がなくても、保育園からの申出があれば、今までと同じ巡回訪問支援を児童心理司などが無料で実施しています。利用率は高いと聞きます。
お聞きします。区は、この事業において、受給者証の交付を受けていない児童の最善の利益をどのように保障していくのか、答弁を求めます。
次に、児童館についてお聞きします。
児童館は、前区政の下で、新しい中野をつくる第3次計画によって、全ての児童館廃止が計画されました。児童館は、あらゆる年代の子どもの育ちを継続的に支える地域の子育てのセンターです。直接的に子どもに関わる中で、子どもの個性に寄り添い、抱える課題に対応しつつ、子育てを支援し、地域活動、育成者の支援を行っています。また、民間委託運営のキッズ・プラザや学童クラブの運営の支援を行うとともに、虐待予防など、すこやか福祉センターや関係機関と連携し、地域の子育てネットワークの中心的な役割を担うものとなっています。各児童館には、各地域・団体、子ども関係組織を束ねる形で運営協議会が組織され、年間平均6回の会議が開かれています。この役割が果たせるのは、児童館の区の職員です。
伺います。児童館が地域で果たしている役割と意義について答弁を求めます。
今後さらに児童館機能を高める職員体制の強化を図って、区民団体によって担われている一時保育事業や不登校児童対策への対応事業などへの支援も求められています。子育ての地域の課題を把握し、区政に反映させていくアウトリーチ機能も重要性を増しています。地域の住民組織・団体、個人をつなぎ、ネットワークを掘り起こし、サポート体制を図れるのは、児童館を拠点とした職員の役割にかかっています。
お聞きします。中野区では、児童相談所も開設されます。今後は、地域児童館との連携も強く求められてきます。これまで児童館廃止が前提とされてきたため、児童館の職員は、この20年間、1人も採用されていません。今後、児童館が培ってきたこれまでの豊かな経験は継承されなければなりません。急がれます。児童館新規職員の採用を図るべきです。答弁を求めます。
次に、羽田空港新飛行経路問題についてお聞きします。
羽田新ルートについては、これまで国、東京都は、地元自治体や住民の理解を得ることが新飛行経路の前提条件だと言いながら、品川、渋谷区議会の反対決議も無視し続け、運用を強行しています。品川区では、住民投票の実施を求める署名が提出されました。港区では、さきの第3回定例区議会で、「羽田空港新飛行経路固定化回避を求める意見書」が全会一致で可決をされました。当議員団アンケートにも、騒音や落下物への不安と怒りの声とともに、飛行中止やルートの変更の声が寄せられています。国土交通省が公表した3月29日から1か月間の騒音測定結果では、中野区唯一の測定局である中央一丁目小淀ホームは、中型機では平均で67.8デシベルで、説明会での推計平均値の66デシベルを超えました。国土交通省は、新飛行経路直下の平和の森小学校で、9月下旬に2週間の短期騒音測定を実施しています。
お聞きします。関係区と連携し、新飛行経路を固定化せず、ルートの変更を検討することを国土交通省に求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。
最後に、その他についてお聞きします。
東中野駅西口に関係して、2点伺います。
東中野駅西口の桜山通りの桜並木と菜の花は、地域の春の風物詩です。この3年ほど、菜の花を咲かせることができていません。その理由は、中野区とJRとの協定が遅延することによって、菜の花の種まきができていないことにあります。今年度は、幸い、例年より少し早めの協定書の締結、調印と聞いております。菜の花を見ることができる春となることを地元では楽しみにしています。一方、桜の樹木についても、手入れが十分でないために、朽ちてしまう危険もあります。桜についてはどのように保存していくのかが求められています。
お聞きします。来年春の菜の花を咲かせることができるのでしょうか。いつ頃の開花を予定しているのか、さらに、現在の桜の木23本については、樹木の管理を行い、咲かせ続けるということでJRとも確認がされているのでしょうか。課題とされている地域、JR、中野区、三者による協議の復活の場はいつ頃になると考えておられるのか、区長に答弁を求めます。
東中野駅西口の駅ピアノについて伺います。
西口は、JRから大江戸線に乗換えもあって、1日の利用者が約2万8,000人です。既に都内の幾つかの駅に駅ピアノが置かれ、楽しまれています。西口改札を出ると、一角からピアノの旋律が流れてくる広場になれば、学校や仕事帰りの駅利用者の方々も癒すことになるでしょう。
伺います。ぜひ地域の方の提案が実るよう、中野区としてJRと協議をしていただき、実現することを求めます。答弁を求め、全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 来住議員の御質問にお答えいたします。
1点目に、新型コロナウイルス感染症対策についてで、PCR検査の体制強化についての御質問です。区は、令和2年4月にPCR検査センターを設置するとともに、医師会の御協力を得ながらPCR検査を行う区内の医療機関を増やしていくことによって、PCR検査体制の強化に努めてまいりました。本来、PCR検査は、発熱患者や濃厚接触者など、検査前確率の高い集団で、検査を受ける必要性が高い方に対して遅滞なく実施することが肝要であると考えております。加えて、区は、重症化リスクの高い集団やクラスター化しやすい活動場所において陽性患者が発生した場合には、濃厚接触者以外にも、保険診療の一環として幅広い検査を実施することを推奨しております。医療機関におけるPCR検査につきましては、保険診療や自由診療で実施されていることに加え、唾液の輸送による検査は都道府県を越えて広域で行われていることから、区として検査数を把握することは困難でございます。
次に、保健所の体制についてでございます。新型コロナウイルス感染症の拡大とともに医療専門職の確保は喫緊の課題となっており、庁内の保健師や会計年度任用職員、派遣職員により確保してまいりました。現在、専従で新型コロナウイルス感染症に従事している保健師は、1日5名から6名でございます。そのほか、派遣による看護職は、対応が増える月曜日、木曜日、金曜日は1日13名を必要としておりますが、都内全域で派遣看護師を活用していることもあり、必要数全てを満たすことはできておりません。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、東京都から11月20日付発出、積極的疫学調査における優先度についての趣旨を勘案して、重症化リスクを優先して取り組むとともに、人材確保に向け、努力をしてまいります。
続きまして、社会福祉施設等でのPCR検査についてでございます。高齢者施設等での大規模なPCR検査につきましては、精度や頻度、陽性時の事業継続の問題や防疫業務との連携の在り方、地域での検査体制の影響など多くの課題があるところから、慎重に判断してまいりたいと考えております。本来、PCR検査は、発熱患者や濃厚接触者など、検査前確率の高い集団で、検査を受ける必要性が高い方に対して、遅滞なく実施することが肝要であると考えているため、東京都に対して検査対象の拡大を求めることは考えておりません。
続きまして、なんでも相談窓口開設についてでございます。生活相談や中野くらしサポートでは、生活保護や住居確保給付金のみならず、生活に関する困り事の相談に電話でも応じておりますし、必要に応じて関係機関等との連携を図っているところでございます。今後も、電話対応も含め、丁寧な相談に努めてまいります。
続きまして、生活・居住支援についてでございます。住居を失った方への年末年始の対応については、特別区と東京都で調整を行い、年末年始の閉庁期間は東京都のTOKYOチャレンジネットで相談を受け、東京都が用意したビジネスホテルに滞在していただき、1月4日以降に各区の福祉事務所で生活保護申請を受け付けることといたしました。生活支援、居住支援に関わる予算については、適切な時期に対応してまいります。
次に、これまでの構造改革と今回の構造改革の違いについてでございます。平成13年に策定された行財政5か年計画は、長引く経済不況による歳入の減少などから区財政の危機的な状況を回避するため、区民サービスの見直しをはじめ、行政システムの改革などに取り組むために策定されたものであります。今回、基本方針をお示しした構造改革は、今後、厳しい財政状況が見込まれる中、区民が将来のまちの姿を望みながら、安全・安心に暮らすことができるよう、持続可能な行政運営を実現していくために、行財政の在り方を抜本的に見直すものであります。
続きまして、栄養摂取、学校の授業と生活困難度の関係性についてでございます。実態調査において栄養分の摂取状況に着目すると、生活困難度が高くなるほど野菜の摂取の頻度が少なく、また、カップ麺、インスタント麺の摂取の頻度は高くなる傾向が見られました。このことから、生活困難度により栄養分の摂取状況に差が生じている様子が見られました。また、学校の授業の理解度に着目すると、生活困難度が高くなるほど授業が分からないと答えている割合が高く、生活困難度により、子どもの授業の理解度に差が生じている傾向が見られました。
次に、予算編成における子育て先進区の施策についてでございます。令和3年度予算編成に向けて、子ども・若者支援センター及び児童相談所等の開設準備、事業運営、妊娠・出産・子育てトータル支援事業の拡充、学校における地域学校協働活動の推進などを想定し、検討を進めているところでございます。
続きまして、区民を支える暮らし第一の予算編成についての御質問でございます。新区役所整備やまちづくりなどは、持続可能性を高めるための未来への投資的事業であり、着実に進めていきたいと考えております。あわせて、厳しさを増す財政状況を見据え、構造改革の観点から、事業の効率化、合理化の検討を進め、選択と集中を図り、必要な事業に財源を投入してまいります。新型コロナウイルス感染症対策やセーフティーネットの取組は、区民が安心して日常生活を送るため最優先に取り組むべき施策と認識しており、令和3年度予算編成に盛り込んでまいります。
次に、平和行政の推進について、核兵器禁止条約発効に対する私の見解についてでございます。核兵器禁止条約の発効が決まったことについては、国際的な核廃絶の動きとして一定の前進であると認識しております。今後も、憲法擁護・非核都市の宣言自治体として、核兵器禁止条約の動向について注視するとともに、核兵器の廃絶について発信をしてまいりたいと考えております。
次に、核兵器禁止条約発効に係る展示についてでございます。新しい平和資料展示室におきましては、平和の意義の普及や戦争体験の継承等、幅広い視点から捉え、平和問題を考える機会となるよう、適宜企画展を開催することとしております。核兵器禁止条約など核廃絶に係る国内外の動向等を取り上げた展示についても、平和の意義普及の一環として実施を検討してまいります。
次に、親子向け事業及び企画の在り方についてでございます。新しい平和資料展示室では、平和資料の展示や書籍閲覧などに加え、新たにプロジェクターやタッチモニターなどを設置いたしました。このような設備を活用しつつ、次代を担う子どもたちに平和資料展示室をできるだけ多く訪れていただきたいと考えており、企画展の実施なども検討しているところでございます。平和事業等への区民意見の反映方法については、引き続き、平和事業実施時や平和資料展示室におけるアンケートなど、区民意見や要望を参考にしながら、今後も工夫してまいります。
続きまして、住民投票についてでございます。住民投票を実施する際の投票資格などの考え方につきましては、その事案の性質等に応じて、実施すべきかどうか、どのような方法により実施すべきかなどについて議論を尽くすべきであると考えるところから、事案ごとに条例を制定する際に、投票資格者や投票に付すべき事項、投票手続などを定めることと考えております。
続きまして、子育て先進区を実現することについての中で、来年度の認可保育所の定員増についてでございます。今年4月と比較して来年度の認可保育所は、新規誘致により、4園、142名の定員増を予定しております。
次に、保育の質について、保育士の配置基準のガイドラインへの明記についてでございます。昨年度策定した保育の質ガイドラインは、保育環境や保育の内容、子どもの健康支援や健康教育、食育といった保育の現場ですぐに活用できるものとして作成したものであります。中野区の配置基準につきましては、認可保育所開設事業者募集要項で示しているところでありますが、保育の質ガイドラインの改定に併せて掲載していく考えでございます。
次に、委託費に占める人件費の割合についてでございます。区が把握している株式会社経営の保育園で委託費に占める人件費比率の平均は54%でございます。人件費比率が最も低い保育園は、比較的若い保育士が多く、経験年数に応じた賃金体系のため、36%にとどまっております。今後、適切な賃金が支払われるよう、園名の公表等についても検討していくなど、指導を強化してまいります。
次に、実態把握の人員体制等についてです。区は、私立保育所に対し、保育園が適正に運営されるよう、衛生管理や栄養指導等の点検を行うとともに、施設ごとに日程を定め、適切な会計処理などについて立入検査を実施しております。人員体制は、助言等を行う運営支援係の職員が8名、指導検査を行う検査係が3名ということでございます。
次に、保育園等巡回訪問指導の効果と評価でございます。区では、障害児の早期発見、早期療育を目指して、平成2年より当該事業を実施してまいりました。障害や発達に課題のある児童を専門的な療育につなげるきっかけとして大きな役割を果たしてまいりました。また、保育園等での障害や発達に課題のある児童への支援として、インクルージョンの推進に寄与してきたと認識をしております。さらに、保育園等の職員に対し、日々の保育の中で対応に困ったことについて専門的な助言を行うことで、保育士等の対応力の向上にもつながったと認識しております。しかし、昨今の状況を踏まえると、一つひとつの課題への対応だけでなく、さらに保育士等の総合的な対応力の向上が求められており、そのための事業の実施を検討しております。
次に、保育所等訪問指導の転換についての意見でございます。私立指定管理園で令和元年度に巡回訪問した77園のうち25園から、保育所等訪問支援のメリットや巡回訪問指導を転換する際の課題について御意見を頂きました。懸念の声としては、サポートが受けられないことで担任が一手にその負担を受け、離職につながること、また、対象児が受給者証を持っていないことで支援を受けられないのではないかなどでございました。
次に、保育園等への支援についてでございます。通常の保育園で行う保育や保護者支援では対応し切れない児童については、保育園等への支援として、研修その他具体的内容について検討を進めているところでございます。
次に、区立児童館について、児童館の役割と意義についてでございます。児童館は、児童福祉法に基づく施設であり、児童の健全育成のために、地域の方々の支援も頂きながら運営を行っております。地域で果たしている役割としては、地域の子育ての支援拠点として、健全育成を進める協働の場、活動の拠点としての役割、また、遊びの体験や仲間づくり、乳幼児親子の居場所の提供や仲間づくり活動への支援などを実施しております。
次に、児童館職員の採用についてでございます。子どもと子育て家庭を対象とした地域包括ケアシステムの推進のためには、福祉職の役割が必要だと考えており、すこやか福祉センター、児童相談所等の職場間の積極的な交流等により、子育て支援施策全体のさらなる質の確保、向上を図ってまいります。
次に、羽田空港新飛行経路の問題について、常設の騒音測定局の設置の要望についてでございます。現時点で、平和の森小学校における短期騒音測定についての結果は公表されておりません。国は、新飛行経路直下の住民から多くの問合せがあることから、丁寧な情報提供とさらなる騒音発生状況の把握の一環として、騒音測定の固定局の設置地点等との全体バランスなどを考慮し、新飛行経路直下に位置している平和の森小学校を短期騒音測定地点として選定したと考えております。国から固定局を増設することは予定していないと聞いておりまして、現段階でA滑走路到着経路直下における固定局の設置を要望することは考えておりません。
続きまして、その他で、東中野駅西口の桜山通りの桜並木についてでございます。東中野駅西口の桜並木の適切な維持管理を行うため、これまでJRと協議を重ねてきたところでございまして、今年度は昨年度よりも早く協定を締結できる見込みでございます。来年の桜の開花時期に合わせて少しでも菜の花を咲かせることができるよう、既に種まきを行ったところでございます。今年度に引き続き、樹木の維持管理や適切な時期に菜の花の種まきを行うため、来年度の早い段階で協定を締結することを区とJRで確認したところでございます。地域との話合いの場については、JRの参加が必要不可欠であり、今後もJRに働きかけをしてまいりたいと思います。
最後に、東中野駅西口へのピアノ設置についてでございます。東中野駅構内は、区有通路を除きますとJRの管轄となるため、ピアノを設置することについては、JRが判断し、行う事項であると考えております。
〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子) 私からは、新型コロナウイルス感染症拡大の中で、今後の区政の方向性についてのうち、就学援助認定基準についてお答えをいたします。
就学援助世帯の認定基準の見直しにつきましては、他自治体の動向を踏まえて今後判断してまいりたいと思います。
次に、区立中学校の校則についてお答えいたします。
まず、生徒手帳の変更時期及び一律公費負担についてでございますが、生徒手帳は、身分証明書であるとともに、学校生活の様々な決まりや手続を示した大切なものと考えております。変更のあったことは確実に書き換えるよう学校に働きかけております。生徒手帳の費用負担については、一般的には、個人の持ち物になるため、私費負担としている学校が多いようでございますが、本区では、校長の判断で公費負担にしている学校もございます。今後、学校による差が出ないよう対応してまいります。
次に、校則に対する生徒の意見表明についてでございます。一般に、中学校では、生徒総会や専門委員会などにおいて、学校生活に対する意見や要望を表明する機会を設けており、生徒会本部や関係する委員会がその対応を検討して意見を提出しております。また、標準服や体操服などを変更する場合も、生徒から意見を集め、その選択の参考にしております。校則については、こうした様々な意見も含めて学校が検討し、最終的な判断は校長が行っております。その際、学校の実態や生徒の考えを踏まえることは大切であると考えております。
○議長(高橋かずちか) 以上で来住和行議員の質問は終わります。
中野区議会議員 内 野 大三郎
1 新型コロナウイルス感染症対策について
2 SDGsについて
3 区内の樹木管理について
4 専門職士業の活用について
5 乳幼児保護者に対しての救命知識の普及について
6 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、内野大三郎議員。
〔内野大三郎議員登壇〕
○15番(内野大三郎) 令和2年第4回中野区議会定例会において、都民ファーストの会中野区議団の立場から一般質問いたします。
新型コロナウイルス感染症の拡大に歯止めがかからず、医療・介護従事者の皆様やエッセンシャルワーカーの皆様方の献身的な貢献に心から敬意と感謝を申し上げます。
昨日、小池百合子東京都知事が記者会見をして、さらなる感染拡大防止策について発表いたしました。東京都としては、今まで同様、死者を出さない、重症者を増やさない、医療体制を守るの3本柱を堅持する考えを示し、飲食店関係者への時短営業の要請や中小企業に対する換気工事などの助成メニューが発表されました。引き続き、区民の皆様へは、御自身での感染予防策の徹底をお願い申し上げます。
質問は通告のとおりです。その他はありません。
新型コロナウイルス感染症対策について、財政運営についてお尋ねします。
現在、来年度予算を編成中とは思いますが、厳しい財政状況が目に見えている中で、来年度の予算には20%減のシーリングを各部署にかけているとのことですが、この進捗はどの程度なのでしょうか。恐らく毎年度予算編成に当たり一定のシーリングをかけていると思いますが、その目標と実績との差はどの程度なのかをお示しください。
このたびの新型コロナウイルス感染症による税収減は恐らくリーマンショックを上回り、歳出の削減が過去最大になるべく鋭意御努力をされているかと思いますが、この歳出削減の目標を実現するために区はどの程度本気で取り組んでいるのか、改めてお聞きいたします。
税収入の不足分を財政調整基金で賄うことは避けていただきたく、第3回定例会で当会派の渡辺議員からも強い要望がありましたが、財政調整基金があることを前提とした歳出削減計画であると、最終的には基金で穴埋めをすればよいという安易な削減幅しか出てこないと思われます。議会側でも思い切った歳出削減の議論をしているので、車の両輪でもある区側もその本気度を見せていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
また、目標と実績との間にどれぐらいの乖離があった場合に誰がどのような責任をお取りになるのか、その点もお聞かせください。
次に、年末年始の医療体制についてお聞きします。
今年の夏休み同様、年末年始は人の移動が例年と比べて極端に少なくなると思われます。ただ、その分だけ移動時の感染リスクは下がっても、地元での感染リスクは変わらず高い状態になる可能性もあります。第1波とは状況が異なりますが、第3波と言われている現状において、年末年始を迎えるに当たり、区内の医療機関の開設状況はどのようなものになるのでしょうか。
この項の最後に、区内の飲食関係者以外の事業者への支援についてお尋ねします。
中野区商店街連合会からの要望を受けて実現したプレミアム付商品券の一部ですが、区内飲食事業者への特別の仕組みを御用意いただきました。東京都の協力金のほかにも、テラス営業やテイクアウト支援事業など、飲食事業者は区内産業の大きなウエートを占めているため、厚みのある支援により、徐々にではありますが、立ち直りつつある側面も見えてきました。しかし、区内の事業者は飲食関係だけではありません。その他の事業者に対する具体的な施策は、これまでにどのようなものがありましたでしょうか。また、この第3波を迎えている中で、今後、年末年始にかけて支援することを検討されているのでしょうか、お尋ねします。
次に、SDGsについてです。
菅総理大臣は、10月26日の所信表明演説において、次のように述べました。「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。鍵となるのは、次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションです。実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進します。規制改革などの政策を総動員し、グリーン投資の更なる普及を進めるとともに、脱炭素社会の実現に向けて、国と地方で検討を行う新たな場を創設するなど、総力を挙げて取り組みます」ということです。政府として、環境政策が次世代の成長を促すと高らかに宣言をしました。これは、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsを加速化することにほかなりません。
既に報道にあるとおり、今月に入り、英国ではガソリン車全廃を5年前倒しして2030年までに、その他の欧米各国で、CO2排出抑制の計画を前倒しして実行に移し始めました。私は、以前、一般質問で、新区役所整備に当たり、水素ステーションの設置を提案しました。当時は今ほど国際世論が高まっておらず、国内にもあまりCO2削減についての問題意識が浸透しておらず、まだまだ区民、国民の理解が得られていない状況でした。便利なものをつくり続けてきた結果、人間にとり都合のいい社会になったものの、地球の存続のためにはなっておりません。便利さを損なわないように技術開発をしていくことこそが、次なる人類の大きな課題であり、その技術革新によって成長を推し進めていくことが地球の存続のためになると考えられます。東京都も、昨年12月に、ゼロエミッション東京戦略を策定し、2050年にCO2排出実質ゼロを目標に、行動計画を示しました。
こうした世界の潮流と東京都との流れに乗り、新区役所建設に当たっては、ゼロエミッション社会実現のため、水素ステーションの設置や電気自動車の充電ステーションをさらに充実させる必要があると考えています。環境エネルギー活用の技術の進歩は日進月歩であり、新庁舎ができたときには今の技術が陳腐化されていることも十分可能性があります。新庁舎を契機にして、カーボンオフへの流れを区主導で進めていくためにも、その時代、その時代の状況にしっかりと対応していくためにも、柔軟で可変性のある内容の設計となるよう検討すべきであると考えますが、区としてはどのように認識しているのでしょうか、お尋ねします。
また、新区役所整備と同時に、区の庁有車についても二酸化炭素を排出しない技術を導入したものにするなど、世界的な潮流の中で、今後はどんどん自動車の性能が上がるのと同時に、費用が下がっていくことが容易に想像できることから、これからは、当然に環境性能の高い基準を持った車を庁有車として導入を推進すべきであると考えます。早急に区として環境性能に配慮された庁有車の在り方、考え方を整理し、導入計画を整備するなど、新庁舎を契機にして、全ての庁有車をCO2を排出しないものにするといった意気込みで検討を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。お尋ねし、次の質問に移ります。
次に、区内の樹木管理についてです。平成28年、決算特別委員会で自民党の加藤議員から、部署横断的に樹木台帳をつくるべきだという提案があったことを記憶しております。道路や公園、さらには、学校敷地や公共施設内にある樹木の管理が複数部署に分かれていると、樹木の専門管理の目が行き届かないおそれもあります。適切な管理に基づき、自然との共生を図ることにより、都会での自然の恵みを享受できるようにするべきであると考えています。そこで、区が管理している樹木の中で一番多い、街路樹と公園の樹木について、樹木台帳作成の進捗についてお尋ねします。
本年3月に、アグリアブルグリーン研究会という団体が、中野区のみどり環境文化に関する検討提案というプレゼンテーションを酒井区長に行いたいという申出があり、私も同席して、その提案を聞く機会がありました。アグリアブルとは、「賛同できる」という意味だそうです。アグリアブルグリーン研究会は、中野区をはじめとする都市の緑について、緑がその価値をより発揮でき、住民がより緑を愛することができるようになるための提案をしていこうと、緑化業界の有志と有識者とで勉強会を始めたということでした。
その提案の中で、仙台市の緑がすばらしいという話を聞いておりました。区長への提案の後はコロナ禍で活動が滞っていたとのことでしたが、仙台市の街路樹や公園を視察に行くとの話を先日耳にし、私も同行させていただきました。現地では、仙台市建設局百年の杜推進実行メンバーの民間の方が3時間にわたって御案内をしてくださいました。仙台市では、明治24年に街路樹の植栽が始まるも、昭和20年の仙台空襲で焼失してしまいました。その後、戦災復興事業に取り組み、青葉通り、広瀬通り、定禅寺通りなどの道路が整備され、市民らによりケヤキなどが植えられたとのことです。これらの道路は、広い幅員を確保し、電線地中化が進んでいます。その条件を生かしながら、その樹木らしい姿に整えつつ大きく育て、しかも、管理費を軽減するような技術の蓄積や工夫をされてきたとのことでした。イチョウはきれいな円錐形、トウカエデはきれいな卵円形の姿で、この時期は目をみはるような紅葉葉や紅葉がまちを彩っていました。では、ただ単に広い幅員があって、電線がなければ、美しい街路樹になるのでしょうか。仙台市では、枯れ枝や支障のある枝については、毎年確認しながら取り除く作業をしているそうです。丁寧な剪定によって枝先まで柔らかで美しい姿へと育て、基本的な樹形ができているので、管理費もむしろ抑制されているとのことでした。
今回の視察を通じて、緑の存在によってまちがこんなに輝いて見えるのだとは思いもよりませんでした。また、仙台市のほか、フランスなどのヨーロッパ諸国でも見られるとのことですが、樹木に優しく丁寧な剪定を行うことにより、樹木を大きく育て、まちには樹木の大きな日傘ができています。地球温暖化が進む中で、路面の温度上昇や照り返しを防いでくれる木陰のある環境がしっかり評価され、大切にされています。
一方、中野区を含めた多くの都市では、緑の存在を台なしにするような管理が横行しているように見えます。落ち葉が困るとの訴えに、紅葉する前に剪定してしまったり、強い剪定によるこぶだらけの醜い街路樹が多く目につきます。強い剪定をすると、切り口から腐朽菌が侵入して、倒木の原因にもなるようです。また、生き物である樹木は、強い剪定を受けると、生き続けるために光合成などに必要な枝葉を確保しようと、細い枝を一気に多数出すため、樹形が崩れ、むしろ剪定の頻度が増えてしまいます。落葉する前に剪定すると、モミジの美しさを楽しめなくなるばかりではなく、美しい町並み、環境に貢献するはずの緑の本来の価値を見失い、税金を無駄にしてしまっている本末転倒の状況だとも言えるのではないでしょうか。道路幅員などに関して、中野区の条件は決していいとは言いませんが、仙台市内にも、電線があり、道路幅員が狭いところもありました。そこでは、電線にかかる幹の先端を一度詰めて、その環境に応じた樹形の仕立て直しをしていました。落ち葉などの困り事には、対策と理解を求めることを改めて検討していくことが必要だと考えます。
杜の都と言われる仙台市の街路樹を今日まで育成し、守られてきているのは、市民、業界、行政が一体となり取り組んできた協働活動によるものです。今回の視察は、私にとって大変有意義なものでありましたが、今はコロナ禍の対応が第一のときであります。コロナ免疫力を高め、次世代の誇りを持って引き継ぐことができる緑の在り方を先行して中野区長に提案されたアグリアブルグリーン研究会などの民間団体と共に、中野区の部署を横断した御担当が勉強会を開催してみてはいかがでしょうか。緑の保護と育成に関する条例の第5条には、「区長は、みどりの保護と育成に関する知識の普及及び緑化思想の高揚に努めるとともに、みどりの保護と育成に関する区民の提案及び意見を尊重し、適切な措置を講じなければならない」とあります。したがって、これらの御提案、御提言の区民の緑化思想高揚の成果と捉え、積極的に推進することをお願い申し上げます。
次に、専門職士業の活用についてお尋ねします。平成28年7月14日の台風のさなか、中野区役所8階で、第1回中野区災害時に対応するための専門職会議というものが開催されました。これは、中野区法曹界と東京都行政書士会中野支部の皆様が、士業のネットワークを平時から構築していくことにより、いざ災害が発生したときには復旧のワンストップサービス窓口を構築できるという発想から、台東区の事例を参考に発足したものです。このときの区民サービス管理部長は、現在の白土副区長でした。その後、この会合は5年以上行われておりませんが、その間に、国内では、大規模自然災害が頻発しております。平時のネットワークこそが災害時に機能するという事例は、こうした士業のネットワーク以外に山ほどあると思います。災害復旧の局面ではまず人命、その後に住まいや食料の確保でありますが、一段落すれば当然法律問題の整理などが課題となってまいります。そのため、専門職を確保するためにかなりの時間と労力を要するため、こうした平時からのつながりのある士業に、災害復旧のスピードアップに役立ててもらえるよう、区からの積極的なサポートを続けていただきたく考えますが、いかがでしょうか。
また、専門職士業というのは、区民だけでなく、中野区在住の外国人にとっても大変心強い存在であると言われております。昨今のコロナ禍において、国家間の移動が制限されている状況において、家族の危篤などで国外に出た場合に再入国の許可は得られるのだろうか、勤めている会社が傾いてきた場合には在留資格が失われてしまうのではないかなど、安心して眠れない日々を過ごしている外国人も多くいると聞きします。もはや区内には1万7,000人以上、人口比にして約5%以上いる外国人にとって、こうした専門相談が受けられる環境があるということの周知を強化するべきであると考えますが、いかがでしょうか。
最後に、乳幼児保護者に対しての救命知識の普及についてです。昨年暮れに厚生労働省より発表された2018年度の家庭用品等の小児の誤飲事故に関する報告によると、全国8施設の小児科のモニター病院の報告事例は626例であった。原因と推定された製品別に見ると、たばこが130例で最多、医薬品等が109件、食品類などが77件、玩具67件、プラスチック製品44件などとなっており、上位10品目の占める割合は実に85%でありました。初期の段階で症状ありとして発見が比較的早い事例が273件と全体の43%であるものの、残りの56%は症状なしで、誤飲に気がついていない、または気がつくのが遅くなってしまう事例でした。子どもから目を離しやすい玩具については67件中26件が早期に症状が認められたものでありますけれども、小児は、成長するに従って多種多様な玩具で遊ぶようになるので、一瞬でも目を離すと誤飲の可能性が大きくなります。
こうした事例では、初期に手当てをするのは保護者であります。その保護者への乳幼児の誤飲による救命知識の普及は不可欠であると考えています。私は消防団で応急手当普及員として活動していますが、たった3日の講習を受けるだけで救える命がたくさんあるということがよく分かります。こうした技能は、区の職員がまず率先して取得し、すこやか福祉センターなどの窓口に来た保護者にスキルを少しずつ教えていくことも可能になるかと思います。多少の費用はかかりますが、人の命を守るための知識を取得して、乳幼児保護者の大切なお子さんを守る助けができるなら、これほど心強い子育て窓口はなく、他の区からも相談に来るくらいになるのではないでしょうか。毎年1回程度の防災訓練や不定期の予防講座よりも、現場の窓口の方々のスキルを上げて、頼りになる窓口担当を育てることが結果としてこうした事故の防止にもつながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。お尋ねして、全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 内野議員の御質問にお答えいたします。
初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてで、シーリングの目標値と実績値についてでございます。来年度予算の状況につきましては現在査定中でございますが、今年度予算編成までの直近5年で見ますと、平成28年度、29年度、30年度においては、それぞれ2%、4%、20%、目標額を超過しておりましたが、令和元年度と2年度におきましては、それぞれ2%、5%、目標額から下回ったところでございます。
次に、今後の構造改革の進め方についてでございます。令和3年度予算編成における事業の見直しにつきましては、今後の大幅な歳入減が複数年続く危機感を全庁で共有するとともに、職員の意識改革も進め、全庁挙げて構造改革の視点から検討し、経費削減を図っているところでございます。現在はプロジェクトチームを中心に行っておりますが、今後も中長期的な改革を確実に進めるため、次年度は専管組織を設置し、構造的な課題に切り込み、権限を持って取り組んでいく考えでございます。構造改革につきましては、区長自らがリーダーシップを取って進める考えでございまして、不退転の覚悟で取り組んでまいります。
次に、年末年始の医療体制についての御質問でございます。新型コロナウイルス感染拡大に対応するための病院での診療等に関しましては、東京都が病院に対して要請を行うことになっております。区としても、年末年始の診療等については、医師会及び薬剤師会の協力を得ながら、診療所については1休日当たり6か所、薬局については1休日当たり4か所の開設をしていただくなど、医療体制を整備していく予定でございます。
続きまして、飲食店以外の事業者に対する今後の支援についてでございます。現在事業展開を行っている中野区緊急応援プレミアム付商品券事業は、飲食店への優遇措置があるものの、区内商業全体の振興を目的として実施しているものでございまして、その効果を見極めたいと考えております。また、業種に限らず、区内事業者に対する総合的な支援としては、中野区産業経済融資の一部資金について、新型コロナウイルス対策緊急応援優遇を実施しているところでございます。このほか東京都が実施している支援策として、事業者等の感染予防対策に直接必要な内装費、設備工事や備品購入費に対する助成制度等もあり、区としては、区内事業者や区内商店街等への周知を図ってまいります。
続きまして、SDGsについてで、最初に、新庁舎におけるクリーンエネルギーの活用についてでございます。持続可能なまちを実現するため、クリーンエネルギーの活用による脱炭素社会の推進は重要な取組であると認識をしております。水素ステーションにつきましては、燃料電池自動車の普及状況や建設コストなどを踏まえ、新庁舎への整備は予定しておりません。電気自動車の充電設備につきましては、新庁舎竣工時に一定程度の設置を計画しておりますが、今後の需要増に備え、設置台数を拡充可能な計画としてまいります。
次に、庁有車についてでございます。区は、大規模事業者の環境配慮率先行動として、庁有車の電気自動車への代替を進めてまいりました。今後は、脱炭素化に向けた庁有車の在り方を検討し、環境に配慮した電気自動車等への代替をさらに推進していきたいと考えております。
〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕
○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、区内の樹木管理についての御質問にお答えをいたします。
初めに、樹木台帳の作成の進捗についてでございます。公園の樹木台帳につきましては、江古田の森公園など、樹木が多い一部の大規模公園以外、取りまとめが終わっているところでございます。また、街路樹につきましては、既に樹種や幹周り等を把握しており、来年度に台帳として取りまとめていく予定でございます。
次に、民間団体等との協働についての御質問でございます。日々の生活の中で身近なところに緑があることは、四季の変化や潤いを感じるきっかけとなるだけではなく、快適な生活環境を形成する上でも重要なものであると考えてございます。一方、限られた空間の中で樹木を育てていくためには、落ち葉の対応や周辺の安全管理のための剪定などを行っていく必要がございます。今後、御質問にございましたような、仙台市のような他の自治体の取組を参考にしながら、関連所管や民間団体と連携しながら、区の将来の緑の在り方について研究していきたいと考えてございます。
〔区民部長青山敬一郎登壇〕
○区民部長(青山敬一郎) 私からは、専門職士業の活用についてお答えいたします。
まず、士業による専門職会議への区の支援についてでございます。中野区法曹界とは平成12年5月1日から、東京都行政書士会中野支部とは本年9月15日に、災害時の支援について協定を締結しているところでございます。今後とも、災害等に備え、区及び関係団体相互の連携が円滑に進むよう、必要な支援について検討したいと考えております。
次に、外国人への専門相談の周知でございます。区内在住の外国人への専門相談の広報につきましては、多言語アプリやホームページにより行っているところでございます。また、現在作成しております在住外国人向け生活ガイドブックにおきましても、やさしい日本語を活用し、分かりやすく案内を行う考えでございまして、今後とも広報について工夫していきたいと考えております。
〔地域支えあい推進部長鳥井文哉登壇〕
○地域支えあい推進部長(鳥井文哉) 私からは、乳幼児保護者に対しての救命知識の普及についての、すこやか福祉センター職員の乳幼児の救命に関するスキルアップの御質問にお答えをいたします。
各すこやか福祉センターにおきましては、乳幼児健診の際に、転落や誤飲などの子どもの事故に関する冊子を配布してございます。また、乳幼児保護者向けに、消防署職員によるAEDの操作や心臓マッサージ実習等の事故予防講座をそれぞれ年1回程度実施しているところでございます。こうした乳幼児保護者向けの事故予防講座は、すこやか福祉センターの職員も毎年受講してございまして、知識や技能を習得しているところでございます。今後も引き続き、講座等を通じまして、救命に関するスキルアップを図り、乳幼児保護者に対し日頃から知識と技能の普及ができるよう努めてまいります。
〔内野大三郎議員登壇〕
○15番(内野大三郎) 再質問させていただきます。
財政運営についてのところなんですけれども、目標と実績との間にどれぐらいの乖離があった場合に誰がどのような責任を取るのか、これについては、具体的に踏み込んだ話がなかったんですけれども、不退転の覚悟でもって臨むというのが、実際に実績として、20%の目標を掲げている、その目標が達成できないのに誰も責任を取らないという、そういうことはあり得ないと思います。区長の給与、報酬を減らすというのであれば、議会としては様々な議論の中で、その条例改正には協力していかなきゃいけないというふうに思っておりますし、さらなる議会費の削減に向けて真剣に議論をしている最中であります。その不退転の覚悟がどの程度のものか、お聞かせいただきたいと思っております。
それから、最後の乳幼児保護者に対しての救命知識の普及なんですけれども、年に1回とか定期的なものではなくて、そもそものスキルをきちんと持った上で、それが窓口でどうやってスキルとして窓口に来られる方に生かせるのか、その点を実は聞きたかったんですけれども、それ以外に、年1回の講習以外に考えていることはないのか、それをお尋ねします。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 内野議員の再質問にお答えいたします。
構造改革についての目標からの乖離について、誰がどのような責任を取るかということについての具体的な言及がないということでの御質問でございました。構造改革については、本当に職員の組織の中での危機感を共有し、全庁一丸となって取り組んでいく必要がございます。これについては、短期的な目標もあれば、長期的な目標もございます。これらを併せて不退転の覚悟で取り組んでいく所存でございます。
〔地域支えあい推進部長鳥井文哉登壇〕
○地域支えあい推進部長(鳥井文哉) 再質問にお答えをいたします。
すこやか福祉センターの職員の中で、乳幼児親子に接する職員は、多くは保健師、医療職あるいは福祉職の者でございまして、そもそも学校で学び、また、就職した後も様々なこういったことを含めまして習得をしているところでございますけれども、議員の御指摘も踏まえまして、充実に努めてまいります。
○議長(高橋かずちか) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。
中野区議会議員 内 川 和 久
1 補正予算の検証について
2 区有施設再整備の考え方について
3 保育行政について
4 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、内川和久議員。
〔内川和久議員登壇〕
○22番(内川和久) 令和2年第4回定例会におきまして、自民党の立場で一般質問をさせていただきます。
質問は通告どおり、その他はございません。
1番、補正予算の検証について。
新型コロナウイルス感染症の拡大が止まりません。東京都では、今月、1日500人を超える感染者数を数え、都独自の警戒レベルを最高に引き上げました。全国においても、最多となる1日2,000人以上を数え、国においても、感染防止に全力を挙げて取り組む方針です。中野区においては、新型コロナ感染症対策等として追加補正予算を第1次から現在第7次まで、総額380億円を超える規模で計上してきました。今後も、新型コロナウイルス感染症に伴う補正予算が予定されていることから、現時点で議決されている補正予算を一度検証する必要があると考え、幾つかを例に挙げて質問させていただきます。
まず、第7次補正予算において議決されたPCR検査等準備金交付事業についてお聞きします。これは、PCR検査等を実施する診療所に対し準備金を交付し、検査体制を確保するというもので、コロナ感染拡大第3波と言われている昨今、早急な実施が待たれます。現状をお答えください。
次に、現時点において執行が遅れているものに関してお聞きします。第4次補正予算において議決されたすこやか福祉センター等のオンライン相談について、これは、顔の見えるオンライン相談を実施するというもので、コロナ禍の中、外出を控え、オンラインでの相談を希望する方が一定数いるのではないかということです。支援方法の一つのツールとして活用が考えられ、760万円余の予算が計上されています。契約が不調に終わったとのことですが、当初の見込みが甘かったのではないのか、その理由と今後の進め方についてお答えください。
次に、同じく執行が遅れている第2次補正予算において議決をされたテレワーク環境整備についてお聞きします。内容としては、新型コロナウイルス等感染症対策や災害時への対応、働き方改革を進めるため、テレワークの環境を整備するというものです。初期設定費用と、それから、外から取得するものとしてパソコン350台を想定、新しく用意する端末50台、残り300台に関しては職員の自宅のパソコンを使用するとのことで、予算としては総額1億3,000万円余です。
先日の総務委員会においてこの補正予算の報告が実に半年ぶりにされましたが、パソコンの供給不足によるスケジュールの変更、システムの変更等により構築スケジュールを見直すとのことでした。報告資料には、調達するパソコンの台数、予算額は一切示されておらず、質問の過程で、当初の補正予算の内容から大きく変更されていることが判明しました。本来であれば、執行前であることから、一旦減額補正をし、改めて出し直すことが当然であると考えます。区の説明としては、当初の目的からは逸脱していないとの考えから、この総務委員会の報告をもって進めたいとのことでした。補正予算という緊急性のある内容であることは理解しますが、それでも内容の精査というのは事前にしっかり行うべきです。しかも、補正予算議決後半年の間、何ら内容の変更等、議会側への一切の説明も報告もなく現在まで来たことに関しては、議会軽視も甚だしいと感じます。今後の補正予算の編成や、さらには、来年度予算編成にも関わる重大な問題ではないでしょうか。目的さえ変わらなければ内容の変更は認められているとの区側の姿勢はとても受け入れることはできません。議決に沿って進めるべきであり、内容等の変更がある場合には、その都度、議会側へ丁寧な説明、報告があるべきです。区の見解をお聞かせください。
次に、この補正予算は役所の働き方改革を進めるためとありますが、区民サービスを主体とする役所において、具体的にどのような内容が検討されているのか、何か具体的に示されているものがあるのか、また、テレワークはどの部署のどの職員がどのような仕事内容にために行うものなのか、お聞かせください。
2番、区有施設再整備の考え方について。
区は、今後の財政難を理由に、区有施設の新規整備スケジュールの見直しをするとのことです。基本構想において描く10年後に目指すまちの姿はいまだ見えておりません。区有施設の6割は建設後30年以上経過しており、今後更新時期が集中するため、施設の改築や改修に多くの費用がかかることとなります。新型コロナウイルス感染症の影響による財政的な非常事態に鑑み、施設の再編に関しては、より一層、民間活力の活用、未利用地・未利用施設の有効活用が必要と考えますので、幾つか質問をさせていただきます。
まず、医療機関誘致が計画されている旧中野中学校跡地についてお聞きします。
新しい中野をつくる10か年計画において、旧中野中学校――旧第九中学校ですけれども、旧中野中学校跡地に医療機関を誘致するという計画に基づき、医療機関事業者の公募が昨年行われました。1医療機関より応募があったものの、企画提案書審査の結果、不調となっております。中野区を含む区西部2次保健医療圏においては、東京都保健医療計画により基準病床数が定められており、既存の病床数が基準病床数を上回っているため、新規の病院開設や既存病院の増床はできません。現在保有する病床数を上限として、旧中野中学校跡地に病院を建設し、移転することが応募の条件となっていました。事実上、施設の老朽化等による既存の病院が移転してくるか、もしくは既存病院の病床数を分割しての病院建設となり、厳しい条件と考えます。貸付条件としては、50年間の定期借地権設定契約を締結し、貸付料としては、中野区行政財産使用料条例に基づき、減額・免除規定はあるものの、月額約1,700万円と示され、非常に高額となっております。さらに、今回の区側の条件において、診療科目、回復期医療、救急医療、災害時医療、地域医療への支援、施設整備など11項目が挙げられており、実に多くの条件が求められています。今回、この公募が不調となった経緯からしても、中野区が求める条件と医療機関からの提案には相当看過できない開きがあったことは明白です。今後、再募集をかけるにしても、結果は同じではないかと危惧されます。医療機関誘致の考え方は見直す必要があると私は考えます。中野区医師会とも十分に協議の上、今後の方針を示すべきです。区の見解をお聞かせください。
結果、候補地であった旧中野中学校跡地の利活用は現在でも未定であり、来年1月の区有施設再整備計画(素案)の中で示されることとなりますが、このまま旧中野中学校跡施設を遊ばせることなく、資産の有効活用を考える時期ではないかと考えます。第3回定例会決算特別委員会総括質疑において、我が会派の市川議員の質疑に対する区の答弁において、医療機関の誘致が不調となった旧中野中学校跡地に関して、桃園第二小学校近隣の方々より、その跡地を桃園第二小校舎建て替え期間中、仮校舎として利用できないかとの要望があったとのことです。その場合、事業費として、耐震補強工事や屋上防水、教室や給食室等、内部の改修、設備機器等の交換に数億円規模の費用が必要とのことでした。旧中野中学校付近には、桃園第二小学校以外にも、谷戸小学校、桃花小学校、塔山小学校があります。これらは、今後、建て替え、再整備が行われる予定であり、今後10年の間に建て替えを迎える学校が地域にあることから、早期に現実的な改築計画を策定する必要があります。
決算特別委員会の市川議員の質疑の答弁においては、それぞれの校舎、敷地、周辺道路等の状況を考慮し、代替校舎の確保の可能性を検証し、検討を進めていきたいとのことでした。また、仮校舎がある場合、ない場合での工事期間の大幅な短縮、仮校舎の設置が不要となることにより予算圧縮、各学校施設の改築整備に効率的に取り組むことができる、さらには、小・中学校施設整備計画全体の推進にも資するものであり、代替校舎を利用することにより、良好な教育環境が確保できるとのことで、実にメリットは多いということです。ただし、旧中野中学校校舎の改修にそれなりの費用がかかること、また、通学距離が延びることによる児童の安全をどう確保していくのかなど課題もあると思われますので、これらの点も十分に考慮した上で、基本計画、区有施設整備計画策定までの間、資産の有効活用、効果的・効率的な施設整備の観点から十分に検証検討を進め、方向性を示していただきたいと考えます。区の見解をお聞かせください。
次に、旧商工会館の利活用についてお聞きします。
旧商工会館の利活用については、平成29年第1回定例会の一般質問において、我が会派のいでい良輔議員から、施設売却の方向性が示されている商工会館を、ファシリティーマネジメントによる跡地有効活用などの手法を検討しながら、区内企業や経済団体との協働による当該エリアの振興と経済活性化のための開発、展開の提案がなされました。また、平成30年第3回定例会の一般質問では、高橋かずちか議員から、周辺商店街の振興や地域の活性化、民間経済関係団体との協働による活用、民間の開発ノウハウの導入などによって、より付加価値を高めて次の展開を進めるべきとの考えを示し、商工会館用地は中野駅に近く、早稲田通りに面する、区民にとって利用価値の高い土地であり、今後、跡地については、区民の意見を聞いた上で活用の方針を検討していくとの答弁を頂いています。
その後、旧商工会館をめぐっては、令和元年8月26日の子ども文教委員会において、子ども家庭支援センターの仮事務所にすることが示され、令和2年第1回定例会の総務委員会では、当該用地を10か年計画で示していた売却から区の活用への方針転換が唐突に示されました。また、本年第3回定例会の決算特別委員会において、改築する場合のボリュームチェックが行われたことが明らかになるなど、旧商工会館に関する十分な情報提供もなく、明確な方針も示されないまま、貸し会議室機能は廃止、低層階は児童相談所準備室として利用するなど、急場しのぎの対応ばかりが目立つ状態が続いています。今後、区有施設の多くが更新の時期を迎え、改築には多額の経費がかかり、区の財政を圧迫する要因となります。旧商工会館のようなポテンシャルの高い土地では、民間による整備を誘導し、区の財政負担をなるべく抑えていくべきと考えます。どのような整備手法を考えているのか、ボリュームチェックを行った理由と併せてお答えください。
この間、経済団体から、商工会館の建て替えと移転の要望があったとも聞いています。中野区経済支援の拠点にすべきという我が会派の提案に関しても、結果的に放置した状態になっていると言わざるを得ません。経済団体からの旧商工会館に関する要望の内容はどのようなものだったのか、お答えください。
今般の新型コロナウイルスの感染拡大によって、区内の経済は大打撃を受けており、区が制度融資の拡充やプレミアム付商品券の発行などに取り組んできたことは、一定の評価をするところでありますが、区の産業振興部門と地元の経済団体が今以上に緊密な連携を取っていれば、もっと早くにもっと適切な対策が取れたのではないかと思います。産業振興センターとして一体感はあるものの、庁内の産業振興部門とはどこか隔たりがあるように感じます。旧商工会館の建て替えは、単に施設配置の問題ではなく、区の産業振興施策に対する姿勢が問われている象徴的な問題であると考えます。商工会館を建て替えるにしても、経済団体の移転先の単なる箱と考えるのではなく、ビジネスサポートやスタートアップの機能を強化した地域経済活性化の拠点と中野区経済の中核施設としての顔を併せ持つ施設へとするべきと考えます。見解をお聞かせください。
3、保育行政について。
区長の目玉政策である子育て先進区を掲げる中野区においては、どこの保育園に子どもを預けても安心で安全な保育が行われる環境をさらに拡充、推進していくことが求められます。そのためには、区と園の運営側との協働はなくてはならないものであり、その要望には真摯に応えるべきと考えます。ここでは、保育現場から上がっている幾つかの課題に対して質問をさせていただきます。
まず、認証保育所・地域型保育事業における定員割れに関する補?についてお聞きします。待機児童対策として、区においては、認可保育所の数が急増しています。そんな中、認証保育所から認可保育所の転園が多数あり、児童数に応じた補助と保育料収入の減により園運営が圧迫されている現状があります。保育制度上発生するこうした在籍児童数と定員児童数の差分において、園の体制維持と安定運営に対する区独自の加算補助金を求める声が上がっています。区の見解をお聞かせください。
次に、保育士宿舎借上げ支援事業の継続についてお聞きします。保育所運営にとって、保育士確保は不可欠な問題です。現在、宿舎借上げ制度が実施されていますが、もしこの制度が廃止された場合、宿舎借上げの中止や多額の家賃負担を余儀なくされる事態が生じかねません。また、一人暮らしや世帯主として賃借料を負担している職員に対しては、賃料を補助する制度がないため、この制度が廃止された場合の負担は大きいものとなります。結果、保育士の離職や他区への流出といった問題につながりかねず、安定、安全な園運営に影響を及ぼすことは必至です。現在の国の制度が廃止された場合においても、区独自の補助制度を設けることが現場から求められています。区の見解をお聞かせください。
次に、保育園等巡回訪問指導の継続についてお聞きします。公明党の久保議員、共産党の来住議員からも質問がありました。本年8月に行われた民間保育所・認定こども園等連絡会におきまして、現在、区で行っている保育園等巡回訪問指導はなくして、国の保育所等訪問支援に来年度7月より転換するとの方針が区側から示されたとのことです。保育園運営に関わるこの変更については、現場からは、唐突で不安と憤りを感じているとの意見が上がっています。これにより、特別な配慮が必要な児童を受け入れる際の申込要件のハードルが高くなり、申込みを躊躇する保護者が増え、結果、特別な配慮が必要な子どもへのきめ細やかな支援ができなくなると同時に、保育士への負担も増えるという懸念があります。政策上、国の制度へ移行せざるを得ないのであれば、それに代わる区独自の支援策が必要と考えますが、区の見解をお聞かせください。
最後に、行政報告からは「子育て先進区」という文言は消えてしまいましたが、区長が子育て先進区を本当に進めるつもりであるのならば、区と保育現場との双方の理解や協力関係が十分に取れていることは不可欠です。特にこのコロナ禍の中、保育現場への十分な情報提供と協力体制の徹底を求めて、全ての質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 内川議員の御質問にお答えいたします。
1点目に、補正予算の検証についての中で、PCR検査等準備金交付事業についてでございます。PCR検査等の実施に関する準備金につきましては、現在、23の診療所から準備金の交付申請を受け付けておりまして、申請を行った診療所、区内4病院及び保健所における検査の実施状況を記載した一覧表を作成して医師会等と共有するなど、検査体制の充実に向けた取組を推進しているところでございます。今後も、医師会の御協力を得ながら、新型コロナウイルス感染拡大に対応できるような検査環境の整備に努めてまいります。
続きまして、区有施設再整備の考え方についてのうち、医療機関誘致についてでございます。超高齢社会を迎え、区民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように区が地域包括ケアシステムを構築するためには、医療機関の果たす役割は極めて重要であり、医療機関を誘致することが必要であるとの認識は変わっておりません。加えて、今回の新型コロナウイルス感染症などの新興感染症に対して的確に対処するためには、区内に地域医療支援の拠点となる中核的な病院が不可欠となっていると認識しております。今後、医療機関誘致につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に対する医療機関の対応状況を見極めつつ、中野区医師会等の関係機関とも協議の上、考え方について検討を重ねてまいります。
続きまして、旧中野中学校跡地の活用についてでございます。旧中野中学校跡地の活用につきましては、近隣小学校の改築時における代替校舎活用の可能性も含め検討を進めているところでございます。検討に際しては、跡地活用の効果、効率性だけではなく、利用者の安全性の確保などについても十分に検証を行って、総合的な観点から跡地活用策を判断してまいります。
続きまして、旧商工会館の土地利活用についてでございます。旧商工会館の活用に当たっては、土地利活用による民間整備を誘導し、区の財政負担の軽減を図ることを考えております。施設配置の内容に係る想定については、今定例会の常任委員会で報告を予定している区有施設配置の考え方の中で示してまいります。ボリュームチェックにつきましては、跡地の利活用方法を検討するに当たっての基礎資料とするため、建築可能な規模や用途を把握するために調査を行ったものでございます。
続きまして、旧商工会館に関する要望についてでございます。経済団体からは、跡地を売却せず、産業振興施設として、経済団体事務所や貸し会議室機能を維持し、中野区産業関連部署の拠点として整備することなどについて、また、民間事業者が実施する定期借地権活用型による建設、運営の手法の採用についての要望がございました。区としては、このような要望を踏まえ、旧商工会館の土地利活用の方策の検討を進めてきたところでございます。
次に、旧商工会館の利活用についてでございます。区として産業振興施策を進めていくに当たって、現在の産業振興センターにおける支援機能をさらに強化した施設の必要性については認識しているところでございます。旧商工会館の利活用につきましては、今後、区有施設配置の考え方の中で示してまいりますが、創業・経営支援を行うとともに、区内経済団体の事務所と併せた総合的な地域経済活性化の拠点施設としての機能についても検討してまいります。
〔地域支えあい推進部長鳥井文哉登壇〕
○地域支えあい推進部長(鳥井文哉) 私からは、補正予算の検証についての御質問のうち、執行が遅れているオンライン相談の契約の不調の理由と今後の進め方についての御質問にお答えいたします。
すこやか福祉センター等におきますオンライン相談につきましては、早期に開始できるよう準備を進めてまいりましたが、地域BWAの利用によるコスト削減の可能性の検討に時間を要したところでございます。また、御指摘の入札につきましては、辞退や不参といったことがございまして不調となったことで、遅れることとなってございます。現在、契約手続を進めてございまして、令和3年1月中の運用開始を目指しているところでございます。相談のツールとして有効に活用していきたいと考えてございます。
〔企画部長高橋昭彦登壇〕
○企画部長(高橋昭彦) 補正予算の検証についての御質問のうち、テレワーク導入に係る補正予算についてお答えいたします。
テレワークシステムの導入につきましては、世界的なパソコンの供給不足により、パソコン調達に係る見積り聴取などに相当の時間を要したことから、スケジュールの変更を余儀なくされたところです。また、その間の検討の過程において、当初の導入目的、機能を充足した上で、最も効果的で効率的な方法を模索いたしまして、現段階で最適な方法による構築を行いたいと考えているところでございます。区としては、今回、変更点について議会に報告いたしまして、執行に臨みたいと考えたところでございますが、当初御提案の中では10月に運用開始を想定していたことなどを踏まえれば、都度丁寧な報告に努めるべきであったと捉えてございます。その点、今後、改善をしてまいります。
〔総務部長海老沢憲一登壇〕
○総務部長(海老沢憲一) 私からは、テレワークによる働き方改革について回答いたします。
本年4月には、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中、職場におけるクラスターの発生を防ぐために出勤率を下げる必要があり、暫定的に、ICTを活用しないで行える業務について、在宅勤務を進めてきたところでございます。今後、テレワークの環境整備が行われることによりまして、庁舎外から庁内の情報システムを利用できるようになります。ICTを活用した本格的なテレワークが可能になるというところでございます。これによりまして、職員が自宅で実施可能な業務の種類が増えるため、通勤時間の短縮や個人作業が集中して行いやすくなるなど、テレワークの活用による業務効率の向上やワーク・ライフ・バランスの推進が図られるというふうに考えているところでございます。今後、テレワークを実施しやすい職場や業務を整理し、情報共有をすることで、育児や介護等を行う職員が継続して働きやすくなるように、テレワークを優先的に実施できるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
〔子ども教育部長戸辺眞登壇〕
○子ども教育部長(戸辺眞) 私からは、保育行政についてお答えいたします。
最初に、認証保育所等の定員割れに対する支援についてでございます。近年、認証保育所及び地域型保育所の一部において、年度前半に定員割れが生じてございます。保育施設は、入所者が定員を満たしていない場合でも定員分の保育職員を確保しておかなければならないため、収入が不足し、安定的な運営が難しくなっている状況でございます。このため、区では、定員が充足した場合の給付費を基に最低基準を設け、当該保育施設の当月実績額との差額を補?することを現在検討しているところでございます。
次に、宿舎借上げ支援事業についてでございます。宿舎借上げ事業は、保育人材の確保、定着及び離職防止のため、保育従事者の宿舎の借上げを行う事業者に対し、宿舎1戸当たり8万2,000円を限度に、10割補助してきたところでございます。この補助金について、来年度も国が継続する見込みであり、区としても継続の方向で現在検討を進めてございます。これまで事業者への負担は求めてきませんでしたが、来年度におきましては、東京都の補助基準に合わせ、一定程度事業者にも負担を求める必要があると認識してございます。
最後に、保育園等巡回訪問指導についてでございます。来年度から実施が予定されております児童福祉法の保育所等訪問支援では、発達に課題があっても保護者が了解していないケースや、家庭での療育に問題がある子に対しては、サービスの対象にはならないものでございます。このため、区では、保育所の運営支援の一環として、ソーシャルワーカーである(仮称)地域連携推進員が区内の保育所を訪問して、各家庭の状況や子どもの発達状況に応じた助言等を行うとともに、必要な支援やサービスにつなげる事業を検討しているところでございます。
○議長(高橋かずちか) 以上で内川和久議員の質問は終わります。
お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後5時19分延会
会議録署名員 議 長 高橋 かずちか
議 員 羽鳥 だいすけ
議 員 大内 しんご