令和2年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)
令和2年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

1.令和2年(2020年)11月27日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(42名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  高  橋  かずちか

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  若  林  しげお        22番  内  川  和  久

 23番  いでい   良  輔       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  いながき  じゅん子

 27番  山  本  たかし        28番  中  村  延  子

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

1.欠席議員

      な  し

1.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之    区 民 部 長  青 山 敬一郎

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子 地域支え合い推進部長 鳥 井 文 哉

 地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子  健康福祉部長  岩 浅 英 樹

 都市基盤部長  奈 良 浩 二      中野駅周辺まちづくり担当部長 豊 川 士 朗

 企画部企画課長(企画部参事事務取扱) 石 井 大 輔    総務部総務課長  浅 川   靖

1.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  野 村 理 志

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  五十嵐 一 生      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  本 多 正 篤

 

 議事日程(令和2年(2020年)11月27日午後1時開議)

日程第1 第83号議案 令和2年度中野区一般会計補正予算

 

午後1時00分開議

○副議長(平山英明) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 杉 山   司

 1 中野区の空き店舗情報データベースの整備とマッチング、利活用支援について

 2 中野区産業振興推進拠点の区政課題解決に向けた取り組み協力依頼と運営改善について

 3 才能秘めるギフテッド・チルドレンの認識と特別カリキュラム検討の可能性について

 4 中野駅西口改札南側の広場および桃丘小学校跡地の拠点施設などについて

 5 その他

 

○副議長(平山英明) 最初に、杉山司議員。

〔杉山司議員登壇〕

○16番(杉山司) 令和2年第4回定例会に当たり、立憲民主党無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はございません。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、中野区内の空き店舗情報データベースの整備とマッチング、利活用支援について伺います。

 中野の自慢の飲食店やマニアックな商店などは新型コロナの影響で大きな打撃を受け、苦しい経営を余儀なくされています。第2回定例会でも飲食店や中小企業など区内事業者に手を施すことは、多くの中野区民を助けることとなるはずですので、区独自の「がんばろう中野商品券」を実施していただきたい旨の一般質問を、また、さきの決算特別委員会では、自慢の商店街を今まさに支援するための区独自のプレミアム付商品券の発行をという内容の要望をお話しさせていただきました。結果、区独自の「コロナに負けない!なかのわくわく商品券」の補正予算を組んでいただいたことは大変評価しております。申込み期間も終わりまして間もなく販売開始となると思いますが、今後はデジタル商品券の検討も視野に入れ、今回浮き彫りとなった問題点などは改善していただければと思っております。

 さて、飲食店の件ですが、中野駅北口のれんがのバー、呼び込みが人気だったふれあいロードの焼肉店、中野ブロードウェイの世界的アーティストのカフェなど惜しまれながら店を閉めたところも多々あり、閉店はしてはいないがシャッターを閉めているところもますます多くなっているのは明らかで、個店や商店はなかなか厳しい状況から抜け出せていないのが現状です。中野一のおしゃれ坂、中野レンガ坂も特に平日はお客さんが戻ってきていないですし、新型コロナの影響で閉店してしまった人気焼肉店の跡も、おしゃれ坂のど真ん中にあるにもかかわらず、既に数か月間空いているような状態です。

 区として様々な切り口で経済対策を行っている中、このように空き店舗が増える傾向もあり、商店や飲食店の事業復活の対策の一方で、やはりこのコロナ禍で生まれてしまった空き店舗対策も視野に入れた施策、政策を生み出していく必要があります。空き店舗活性化対策、中野区としては、商店街チャレンジ戦略支援事業、そして東京都も、商店街空き店舗活用モデル事業、東京都中小企業振興公社でも、商店街起業・承継支援事業助成などが用意されています。令和2年6月には、「商店街活性化にかかるサポートについて」として助成をまとめている資料も作成いただきました。この辺りの情報をウェブや区報などで徹底的に周知することが商店などを開業したい方々への喚起となるかと思いますが、いかがでしょうか。

 さらには、東京都が運営する「TOKYO商店街空き店舗ナビ」に関しましても、中野区ホームページの目立つ場所などにバナーやリンクを貼るなど、ナビへの入り口をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 先ほど例として挙げた助成は、商店街そのものや空き店舗として登録されているところを使う場合に有効な助成です。しかしながら、店舗として貸し出しされていないところには使えませんし、よい立地であっても貸し出ししていないわけですから借りる交渉すらできません。貸し店舗となっている店舗が埋まっていても、商店街にはシャッターが閉まっているお店が多く残ってしまうのはなぜか。ここに行政側からは見えづらい店舗家主の考え方があります。

 店舗側の家主が貸し出していない。貸したがらないことの理由として、昔商売していて財をなしているので貸す必要がない。持家で年金暮らしなので貸す必要がない。貸す手続が面倒。奥に住んでいるが、入り口が一つなので改築しないと貸せないなどの声が聞かれます。貸し出しをしていないところをこれからどのように店舗化していくのかがボトルネックとなっていると考えます。商店街の活性化や区内経済の発展には、シャッター店舗に灯をともすことが必要であり、そのスタート地点として、店舗化の推進を視野に入れた施策を考えなければなりません。元店舗を店舗化することにより、お店として借りる対象が増える、店舗を利用するために元気な若者が商店街に入る、商店街も活気づくなどの経済効果のほか、年金暮らしだった老夫婦が貸主となって収入を得られる、区として税収入が増える、扶助費が減る、借りている人が住んでいる高齢者の見守りもできる可能性もあるなどといろんなメリットが生まれてくるはずです。

 そこで伺います。高齢者福祉の観点からも、中野区のアウトリーチチームと産業振興担当と協力して、元店舗だが店舗になっていないところの家主の抱えている事情、例えば貸す気があるない、貸す気はあるがやり方が分からない、貸す気はあるが改装しなければならないなどをヒアリング要素とした店舗化データベースの作成を検討してみてはいかがでしょうか。また、元店舗の家主に話を聞き、助成金の話、貸出し後の生活の話、貸出し手法のアドバイスなどをしてあげることによって、元店舗の店舗化を少しでも推進していけると思うのですが、いかがでしょうか、伺います。

 ほとんどの商店街は高齢化が進んでいますので、高齢者福祉施策と空き店舗対策を含めた商店街活性施策はセットで考えるべきです。産業活性化も加速され、税収も増え、扶助費も削減できる三方よしの施策をぜひ前向きに検討を進めていただきたいです。

 また、人的リソース不足などの理由から、中野区全域を対象とするデータベースづくりはなかなか難しいということであれば、1商店街をモデルケースとして、元店舗にヒアリングをかける、アドバイスしながら元店舗を店舗化する、店舗賃貸を推進する、キャッシュレス化する、ITリテラシーの底上げをする、IT関連の実証実験を行う、イベントなどでにぎわいを創出する、店舗貸主の家主見守りなどを支援するなど、苦戦している特定の商店街を選び、実証実験に活性化推進を行ってみてはいかがでしょうか、伺います。

 10年前には、「中野区の商店街の発展可能性に関する研究」という政策研究報告をしておりますが、コロナのこともあり状況は刻々と変化しています。再び調査研究するよりは、次のステップとして実証実験を行い、実験データ、経験値と手法などを含め、商店街の再生を実現します。もし商店街復活の成功事例ができれば、その手法を支援しながらほかの商店街にも展開できます。キャッシュレス化する、ITリテラシーの底上げをするなどは、その実証実験を待たずして広く展開すべきだと思いますが、その成功例を展開することが日本に誇れる中野の宝、中野の商店街の存続・発展のためになると信じています。ぜひとも御検討いただきたいと強く思いまして、この項の質問を終わります。

 次に、中野区産業振興推進拠点の区政課題解決に向けた取組み協力依頼と運営改善について伺います。

 中野区産業振興推進機構、以下、同機構と言いますが、同機構のことにつきましては、平成31年2月の予算特別委員会及び令和元年9月の決算特別委員会と過去2回質問させていただきました。その内容としては、一般社団法人であるとはいえ、四季の森公園隣接の中野セントラルパークに約100平米の2部屋を格安で借りているわけですので、中野区はしっかりと事業介入すべき、中野区の事業を手伝ってほしい、1年で契約更新すべきで、契約内容も見直すべきであるというものでした。予特・決特での質問の結果、協定書の契約期間更新は残念ながら変更なく3年契約となりましたが、6か月前までに解約ができる条文の追記や中野区として区政課題に取り組んでいただきたい的な条文を入れ込んでいただいたことは評価しております。区と同機構で昨年8月に締結した協定書に追記されたのは、観光振興や商店街振興など地域経済の活性化に関する研究、子育て、介護、医療など区民生活を支え豊かにするサービスに関連した課題に関する研究、その他、区政課題の解決に資する事業の企画及び支援という条文です。これについて、同機構は何か自ら取組みをされた報告は上がってきておりますでしょうか。また、同機構に対して何か区側からのリクエストは行ったのでしょうか。もし行ったのであれば、どのようなことをリクエストしたのかお教えください。

 同機構はサウス側の部屋をキリンに転貸し、イースト側の部屋は直営の産業振興拠点ICTCO(イクトコ)を運営しています。キリンからの家賃収入やICTCOの約50社からの会員収入などで、同機構は令和元年度の収入実績として約5,400万円を計上しています。これは中野区への報告としても上がってきております。中野区は2部屋を東京建物から約1,400万円で借り、それを同機構に約1,400万円で転貸しています。同機構は、収入から家賃約1,400万円を中野区へ、その家賃を含めた光熱費や人件費などを加えた約2,600万円は不動産運営関連として支出しています。そしてそのほかの支出として約2,300万円がマッチングプラットフォーム事業という位置付けで支出されていることは御存でしょうか。その中でもアドバイザー費やプロジェクト推進費という科目は合計で約1,700万円、これは中野区以外の団体に支払われていることが分かっております。同機構の収入までは介入できないと中野区は考えているようですが、産学官金連携の象徴として、また、区内産業の発展のために同機構に貸しているわけですので、貸し先の事業内容や収支内容はしっかりと把握し、借りる側の法人としてふさわしいかどうか吟味しなければならないはずです。同機構の収入や支出内容は把握できておりますでしょうか、伺います。

 中野の産業振興をするのに、どこにアドバイザー費用を払っているのか、プロジェクト推進費って何かなど、疑問に思っていただかなければなりません。そのお金は本来中野区の産業発展に使われるべきだと考えます。費用が区外に流れていることが事実であるならば、中野区にとって大きな損失ですし、中野区の区政課題解決のための研究などにそのお金を使えたはずと思うと残念でなりません。中野区は、同機構の収入をもっと区のために使っていただけるよう働きかけるべきです。同財団は、中野区と切磋琢磨しながら区内産業をICTで下支えしていくのが本来の姿であると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 これからは中野区が抱えている課題を同機構に持ちかけ、技術的な面で課題を解決してくれるような関係性を築くべきです。ICT関連のプロポーザルの作成などを手伝ってもらったり、中野区と共同で新しいてサービスやテクノロジーなど何かを生み出し、そのライセンス料やレベニューシェアフィーなどで、多くの雑収入が中野区にも入るような働きかけを期待したいところです。

 中野セントラルパーク棟の1階にあること、ベンチャーの集合体でもあることを生かせないのであれば、この拠点を別の事業で活用したほうがとも考えましたが、実は2部屋とも水回り設備がなく、手洗い場やトイレがありませんので、コロナ禍のこの御時世、すぐに借手がつかないことも予想がつきます。ですので、今は同機構に何とか内部の組織改革を行っていただき、即効性のある事業でお金を生み出す、または商店街のキャッシュレス化、商店のITリテラシーの底上げ、GIGAスクール構想や教育現場のICTコンテンツ事業推進インフラ、中野区の商品券のデジタル商品券化、監視カメラアーカイブデータの画像解析、プロジェクションマッピングによるイベント開催などなど、これからの区政課題の解決や、これから考えるべき仕様やプロポーザルのたたき台作成など、もっと協力いただくべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 同拠点を利用しているベンチャー企業のほとんどは、立地がいい、安い、便利などを施設利用の理由に挙げています。ですが、これからはしっかりと会員の方々に区政課題に取り組んでいただかなければなりません。しかし、会員規約にそのことはうたわれていないようです。ICTCO会員になるときの前提条件に、中野区の課題解決のために月1回程度、中野区主催のミーティングに参加することなどと追記してもらうなどして、区として費用をかけることなくコンサルやアイデアをいただける流れや環境をつくっていただくことを打診してみてはいかがでしょうか。契約はあと2年以上残っておりますが、この2年、手を打たずに野放しにしておくわけにはまいりません。中野区と同機構でこのまま真の協力関係を築いていけないのであれば、令和元年の第3回定例会でも質問しましたとおり、やはりその拠点はほかの活用方法を模索していくべきであると申し伝え、この項の質問を終わります。

 次に、才能を秘めるギフテッド・チルドレンの周知と特別カリキュラムの検討の可能性について伺います。

 ギフテッド、またはギフテッド・チルドレンという言葉を聞いたことはございますか。区内在住でギフテッド・チルドレン関係の著書を出されている酒井由紀子さんは、2014年2月に行われた中野ビジネスプランコンテストで優秀賞を獲得したリエゾン・デートルの酒井さんと同一人物ですが、著書でギフテッド・チルドレンのことを「才能はみだしっ子」と命名しています。マーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツ、ひふみんこと棋士の加藤一二三さんもギフテッドと言われております。酒井さんによると、得意なことと苦手なことの差が大きい才能はみだしっ子は全国小中高の児童や生徒約1,500万人のうち約90万人いるとのことです。実は私も酒井さんの著書を読んで初めてギフテッド・チルドレンのことを知ったのですが、その直後にこのような内容の相談を区民の方から受けましたので紹介します。「子どもが学校に行きたがらないです。子どもは小学校1年生になりますが、小学校への行き渋りが時に見られるようになり、発達の検査WISC-Ⅳ(ウィスクフォー)を受けさせたところ、IQ130以上であることが分かりました。ギフテッドの特徴にもよく当てはまり、恐らくそういった性質を持つ子どもなのだなと理解しました。行き渋りは勉強がおもしろくないということが原因のようでした」という内容です。不登校の原因は、お子さんがギフテッド・チルドレンの可能性があることで、小学校の教育に違和感を感じていたことにあり、子も親も悩んで困っていたのです。まずは、中野区の教育分野や教育委員会内でギフテッド・チルドレンという言葉そのものの認識はありますでしょうか。また、ギフテッド・チルドレンという言葉は認識していなくとも、得意なことと苦手なことの差が大きい子どもたちに対して何か手を差し伸べるような教育課程や取組みなどは検討されたことはありますでしょうか、伺います。

 アメリカ教育省は、「ギフテッドとは、同世代の子どもと比較して並外れた成果を出せるほど突出した知性と精神性を兼ね備えた子どものことである」と1993年に定義しています。ギフテッドは、知性や精神性のどちらかのみ発達しているということはなく、生まれ持った高い知的能力と強い共感や正義感、倫理観、深い洞察力などの豊かな精神性を個々が育った環境や教育環境に依存することなく兼ね備えていることだといいます。しかし、日本では、英才児、秀才児、天才児などと和訳されていて、飛び級できるような賢い子という一面でしか捉えられていないのが現状です。ギフテッドの子どもたちは規格外にはみ出した才能を持つ一方で、好きなことをまっしぐらに追求するあまり、周りが見えなくなったり自分自身の心身のケアが後回しになったりすることもあります。大切なのは、苦手なことはサポートし、得意なことはチャンスをつくってあげることだと考えます。

 渋谷区では、2017年9月、いわゆるギフテッドなどの特別な才能を有する子どもたちに合わせた新しい教育プログラム、発達障害と優れた才能を併せ持ち、学校で二重に特別な教育ニーズのある子どもたちを2E(トゥーイー)教育すると宣言し、それを始めています。

 中野区ホームページでギフテッド・チルドレンを検索してもヒット件数は0件となります。中野区教育委員会は、残念ながら、ギフテッド・チルドレン関連の取組みはなされておりませんでした。しかしながら、中野区内にも、学校生活に嫌気が差している、勉強しづらい環境が耐えられないというギフテッド・チルドレンが少なからずいるということは揺るぎない事実です。まずはギフテッド・チルドレンのことを知り、存在を確かめ、間違いなく生きづらさを抱えている児童や生徒に対し、これからどのように寄り添い、才能を伸ばしていけるかを検討すべきであると思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 中野坂上に翔和学園という民間のギフテッド教育機関があり、数年前から授業を行っております。障害に焦点が当てられてしまい、才能を伸ばす機会に恵まれなかった子どもたちのためのコースが用意されていて小学生から利用できます。翔和学園のギフテッド教育は、NPO法人ギフテッド研究所と協働し、医療機関や大学などの最新の知見を取り入れながら行われています。これからのギフテッド教育を考えていく上で、一度翔和学園なりギフテッド研究所なりと情報を共有してみることを御提案させていただきまして、この項の質問を終わります。

 最後に、中野駅西口改札南側の広場及び桃丘小学校跡地の拠点施設などについて伺います。

 中野駅西口改札や南北連絡通路の整備が進み、中野サンプラザと中野区役所エリアの整備計画、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画に関してプロポーザル方式で業者の選定を始めているなど、中野駅周辺は大きな動きを見せていて、さきの決算特別委員会では、エリアマネジメントの必要性について問いましたが、今回は中野三丁目地区、中野駅地区、中野駅西側南北通路・橋上駅舎整備辺りに関わることについて伺います。

 まず、2026年12月に完成する予定のJR中野駅西口改札前に通る南北通路の南側にできる都市計画上で「西口広場」という名称、西口改札はまさしく駅の西側にできるもので全く違和感はないのですが、駅の南側に位置する「西口広場」という名称に関してはとても違和感があります。また、西口改札の北側口も南側口も何という名前になるのか住民らはとても気になるところです。ちなみに、その周辺の桃園町会の人たちに西口改札の南側にある都市計画上の名称「西口広場」はどんな名前がよいかと尋ねましたところ、「桃園広場」という意見が多数ありました。ほかには「新南口広場」、「桃の広場」など。また、南側口の名称について伺ってみたところ、第1希望は「桃園口」、レンガ坂商店街のメンバーに伺ったところ、「レンガ坂口」という感じとなっておりますので、意見は様々あることが分かりました。また、新北口と呼ばれている西口改札の北側口の名称も「囲町口」、「四季の森公園口」などがよいという声が聞かれます。駅の「○○口」などはJR東日本が決めることだとは思いますが、区有部分の西口改札の南側広場の名称などは早めに公募で決定していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか、伺います。また、(仮称)西口広場には、桃の花などのシンボルツリーを植樹してほしい、桃園の歴史プレート設置希望などの意見がありますが、それはまたの機会にいたします。

 ところで、桃丘小学校跡地は、もともと地域の避難場所(収容人数4,400人)となっていましたが、既にUR都市機構に売却され、地域の避難所は中央五丁目の桃花小学校となっています。大規模災害時に中野三丁目の住民が桃花小学校に避難するためには、最大で900メートル移動しなければなりません。豪雨時においては、中野三丁目の線路沿いやお屋敷町から桃花小学校に向かうには高台から下り、ハザードマップでも危険度が高いとされている桃園川緑道を渡らなければならず、住民は避難すべきか否かなども含めて、地域の避難場所設定に大きな疑問と不安を抱えています。線路北側の近隣施設などを視野に入れた災害時の避難場所の再考や、ケース・バイ・ケースでケーススタディを作成していただきたいのですが、いかがでしょうか、伺います。

 また、URに売却された桃丘小学校跡地にどこかの事業者が建設する予定の拠点施設に関して、URとの「中野三丁目地区の整備に関する事業実施協定」の桃丘小学校跡地活用事業の概要等項目第6条の三の(2)に記載されている「利便性の向上及びにぎわい創出のための拠点施設整備」という文言があるかと思いますが、平成30年の第3回定例会でも質問いたしましたとおり、UR側が土地を売却する前にこの条文を生かし、地域の意見をしっかりと取り入れるための働きかけをそろそろ中野区側がURに行わなければならないという時期に来ていると思います。

 地域の声を聞きますと、桃丘小学校跡地の拠点には、発災時に活用できる一時避難場所やガス機器などが収められる防災倉庫、備蓄倉庫などのための場所の提供を希望しているようですが、そのような検討はいつどのように進めていこうと考えているのでしょうか、伺います。

 発災時の避難につきましてもう一つ、中野三丁目と四丁目を結ぶ跨線橋があるのですが、過去にこの場所には踏切があり、その跨線橋はその踏切をなくす代わりにできたと伺っております。中野駅西口改札前の南北通路に関しましては、南側口は階段とエスカレーター、エレベーターが設置される予定となっておりますが、大規模災害などで停電してしまった場合、エスカレーターやエレベーターが動かない。または点検しなければ稼働させられないということで、つえの方や車椅子の方など歩行弱者は中野四季の森公園側への避難経路がなくなってしまいます。確かに中野通り、または杉並区との区境のガード下もあるかとは思いますが、かつて稼働していた踏切のところを場合によっては開放する。難しいようでしたら、南北跨線橋の南側の階段はなくしてスロープにするなどの改善についても御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか、伺います。

 中野駅の新北口側、そして囲町の再開発でその跨線橋の北側はバリアフリーでつながる予定だと思いますので、南側だけ、特に歩行弱者の方々が災害時に避難場所にたどり着けないようなことが起きないよう、様々なシチュエーションに合わせた避難シミュレーションを行っていただきたいと強く願いまして、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 杉山議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、空き店舗活用の施策の周知についての御質問でございます。空き店舗対策としての支援事業については区の事業を区のホームページに掲載しているほか、区内全商店街に対する事業説明会においては、区及び都の支援事業を紹介しているところでございます。今後は商店街のみではなく、区内の事業者や団体等へも情報提供ができるようPR方法等を検討してまいります。

 続きまして、「TOKYO商店街空き店舗ナビ」についてでございます。TOKYO商店街空き店舗ナビは、都内にある空き店舗とその近隣にある商店街を総合的に紹介するものであり、情報も随時更新されており、その有用性は高いと考えております。このウェブサイトの活用をさらに促進するためにも、区のホームページから容易に閲覧できるようにすることを検討してまいります。

 空き店舗のデータベース化についてでございます。区内全域の空き店舗及び空き店舗化可能な店舗数は相当数に及ぶと想定され、随時変動し続けるものであります。また、情報源も商店街関係者、不動産事業者、店舗所有者など様々となり、その情報を常に正確に把握してデータベース化することは極めて困難でございます。しかし、個店への経営支援の一環として、個店や元店舗の家主へのアドバイスや相談業務といった支援を行うことについては今後検討してまいります。

 次に、実証実験的な活性化推進についてでございます。現在区では中野区商店街連合会が希望する商店街に対し、年間を通じてアドバイザーを派遣する商店街スクラム事業や商店街実態調査事業に対して経費の補助を行っております。特定の商店街を対象とした実証実験につきましては、これら既存の事業との関係も含め、空き店舗対策を軸に実施の可能性について中野区商店街連合会とも協議を行ってまいります。

 続きまして、産業振興推進機構の取組みについての御質問です。中野区産業振興推進機構の取組み報告につきましては、中野区産業振興拠点事業の実施に関する協定書、こちらに基づき毎年度の事業実績の報告を受けており、会員事業者の自主的活動に対する支援に関する取組みは、協定において掲げている地域経済活性化や子育て、介護、医療等の様々な分野について、「ライフサポート・地域包括ケア」「観光・地域振興」「多世代学習教育」などの八つの部会を設置して活動しているとの報告を受けております。また、区からの要望につきましては、昨年度実施した区と同機構との連携ミーティングにおいて、私をはじめ子育てや地域包括ケア等の担当者が出席し、区が取り組んでいる課題を説明し協力を求めたところであります。

 次に、産業振興推進機構の収支状況についてでございます。中野区産業振興推進機構の収入、支出については、中野区産業振興拠点事業の実施に関する協定書及び契約書において、事業報告の中で収支状況についても翌年度6月末日までに報告することを定めております。同機構内で税理士によるチェックを受けた収支状況について、区として定めに基づいた報告を受けており、内容を把握しているところでございます。

 続きまして、産業振興推進機構の役割についてでございます。アドバイザー費用は、中野区産業振興推進機構の運営や会員事業者の経営に対する指導助言等を行うコンサルティング業務に関する費用でございます。また、プロジェクト推進費は、主に同機構で進めている「ライフサポート・地域包括ケア」「観光・地域振興」「多世代学習教育」等の八つの部会におけるプロジェクトの推進費でございます。中野区の産業振興施策と同機構の行う取組みとの相乗効果によって区内産業の活性化を促進していくことが重要であり、同機構の活動がより中野区の産業発展や区政課題の解決に貢献するよう協議を行ってまいります。

 最後に産業振興推進機構との連携についてでございます。中野区産業振興推進機構におきましては、例えば、ICT教育では小中学生を対象としたプログラミング講座を行っており、また、商店街キャッシュレス化については今年度実施しているモデル事業のサポートに協力してもらっております。同機構に対しては、これまで以上に区として抱えている様々な課題について説明し、その解決につながるように区と同機構との実務面での連携をより強化してまいります。また、個々の会員企業による区政課題解決への協力についても強く求めていきたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、才能秘めるギフテッド・チルドレンの認識と特別カリキュラム検討の可能性についてお答えいたします。

 まず、ギフテッド・チルドレンの認識と教育手法の検討についてでございますが、いわゆるギフテッド・チルドレンについて、知能が高いにもかかわらず周囲となじめない。その高い知能を発揮できない。また、得手不得手の差が大きい子どもが存在しているということは承知しております。各校では周囲とのコミュニケーションが取りにくかったり、情緒的に安定しなかったりする子どもに対し、スクールカウンセラーが個別相談に応じるとともに、教師や保護者にその対応を助言しております。また、特別支援教室における巡回指導等個別の支援を行っているところでございます。文字の読み書きに困難を抱える児童、いわゆるディスレクシアを早期に発見するために、小学校ではMIM-PM(ミムピーエム)という調査を実施し、一人ひとりの状況に応じた指導に生かしております。

 次に、ギフテッド・チルドレンへの理解とその才能を伸ばす教育手法の検討についてでございます。中野区教育ビジョンでは、特別な支援を必要とする子どもが増えている中、一人ひとりの特性や教育的ニーズを把握し、その可能性を最大限に伸ばすことができるよう、きめ細やかな支援を推進することとしております。今後はGIGAスクール構想により、小・中学校では1人1台端末により個別最適化された学びを実現していくため、そうした環境を利用したいわゆるギフテッド・チルドレンも含めた一人ひとりの子どもの特性や状況に応じた学びの在り方を研究してまいります。また、いわゆるギフテッド・チルドレンについて先進的に取り組んでいる自治体や団体の情報も集めてまいります。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長豊川士朗登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(豊川士朗) 私からは、中野駅西口改札南側の広場及び桃丘小学校跡地の拠点施設などについて何点かお答えいたします。

 まず、西口広場などの名称の公募についてでございます。今後整備予定の新北口駅前広場及び西口広場、それぞれの現在の名称は都市計画の手続などを進める上で使用してきたものでございます。区には道路の愛称制度があり、地域からの要望が寄せられ一定の基準に適合した場合に愛称をつけております。また、大規模公園などにつきましては公募で名称を決定しております。駅前広場につきましても、これらの手法により広く区民から名称を募集していくことを検討してまいります。

 それから、中野三丁目地区拠点施設の防災機能の検討についてでございます。中野三丁目土地区画整理事業の事業区域内に整備される予定の拠点施設は、UR都市機構が拠点施設の整備などを条件とした事業用地の売却を公募で行い、そこで選定された事業者により整備所有されることとなります。拠点施設には、地域の防災機能強化に貢献する機能を持つことも期待をしておりまして、公募をする際の要件の一つとするようUR都市機構に対して要望したいと考えております。今年度中には、拠点施設に求める区の意向を取りまとめ、それを踏まえてUR都市機構がこの事業者公募を実施する予定となってございます。

 それから、大規模災害時における避難についてでございます。大規模災害時における線路補修用通路の通行につきましてJR東日本に確認をいたしましたところ、踏切設備がないため安全を確保することができず、災害時には鉄道の復旧も行われるため、一般の人の線路への立入りはできないとのことでございました。また、跨線橋にスロープを設置することはスペース確保の点から困難であるということです。災害時にエレベーターやエスカレーターが使用できない場合には、バリアフリー基本構想で示されている中野通りを利用し、中野区役所一帯の広域避難場所へ避難することを想定してございます。

危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、中野駅西口改札南側の広場及び桃丘小学校跡地の拠点施設などについてのうち、中野三丁目地区の避難所についてお答え申し上げます。

 中野三丁目地区は、震災時の避難所として迅速に避難ができる桃花小学校を指定しているところでございます。一方、水害時は地域ごとに避難所を指定するのではなく、御自宅の近くで安全に避難できる避難所に避難していただくこととしておりまして、必ずしも桃花小学校への避難を強いるものではないことから、避難所の再考等については現時点では考えていないところでございます。

 なお、水害時における避難所への避難方法につきましては、中野区ハザードマップに掲載しているほか、区のホームページでも案内しているところでございますが、今後も周知や広報の強化を図っていきたいと考えております。

○副議長(平山英明) 以上で杉山司議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小 林 ぜんいち

 1 COVID-19、新型コロナウイルス感染拡大防止対策について

 2 区政構造改革の基本方針について

 3 区有施設のアセットマネジメントについて

 4 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、小林ぜんいち議員。

〔小林ぜんいち議員登壇〕

○24番(小林ぜんいち) 第4回定例会に当たり公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、4番その他で3問お伺いいたします。

 1、COVID-19、新型コロナウイルス感染拡大防止対策について。

 初めに、第1波からこれまでの全庁挙げての総括、評価、検証について伺います。COVID-19、新型コロナウイルスの感染が11月に入り冬型気候とともに感染者が一気に拡大し第3波に入り、中野区の感染者数も連日10人から20人前後報告され、高齢者の重症者の増加と同時にインフルエンザの感染拡大も懸念されています。東京都は先週19日、感染状況の警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大している」に引き上げました。私は5月、第2回定例会から危機管理について問うてきました。それは初動において中野区のBCP(事業継続計画)は、新型インフルエンザ編によって行動できたのか。BCPによって業務選定や体制整備は迅速に行うことができたのか。BCPの執行で顕在化した課題をどう解決し、具体的に進めるのか。BCP全般を見直し、改定を行うべき。危機に対処する首長のリーダーシップを発揮し、全庁的な対応を指示すること。感染拡大防止に関わり、庁内連携や危機認識、危機管理、行政対応の検証の必要性、そして外部の専門家を入れた客観的、専門的な検証を行うことなどです。

 COVID-19、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策は、保健所の積極的疫学調査に関わる業務にとどまらず、区政全体で対応すべき課題と考えます。健康福祉部、保健所では、専門家を招いて検証を具体的に行ったと聞きます。第3回定例会における自民党の大内議員の一般質問に対し、健康福祉部が所管している対応については、福祉推進課を事務局として検証委員会を立ち上げたとの答弁がありました。その検証委員会における総括、評価、検証状況、報告状況について伺います。他の部署での、つまり全庁挙げての事業の取組みの見直しをはじめ、在宅勤務などを含めたBCPの総括、評価、検証状況について、いつごろからどのように行ってきたのか。そしてその結果をどのように区政に反映してきたのか伺います。行っていなければ、なぜできなかったのかその理由は何でしょうか。また、検証は、健康福祉部が先行して実施すればよいというものではないと考えます。全庁各部が足並みをそろえ、これまでの対処の評価・分析を行い、今後の対応に生かしていく必要があると考えますが、区の見解を伺います。

 次に、第3波での全庁的な予防対策について伺います。基礎自治体として今日の第3波、さらに感染が拡大したときに対応できる行政機能としての全庁的な予防対策と仮に発生したときの行政機能の事業継続を図るため、全庁的なBCPの具体的な統一方針はできているのでしょうか。また、どのように考えているのでしょうか、伺います。

 感染拡大の当初、4月、5月の対策はその後の第2波、第3波を見通したものだったのでしょうか。そしてその効果の検証は行ったのでしょうか、伺います。今後の取組みの具体的なロードマップは描けているのでしょうか、伺います。

 次に、緊急設置された会議体の機能と役割、今後の対応について伺います。区で緊急設置した会議体は、2月から健康福祉部が中心となった中野区健康危機管理対策本部、5月からは総務部、企画部が中心となった危機管理等対策会議、緊急経済対策室があります。それぞれの機能と役割、主催者、中心者、参加対象者、会議事項の相違点、そして今後の役割について伺います。

 これまでの対策は、その時々で問題が顕著になったことに対して場当たり的な対応が行われてきたと考えます。今年度当初から緊急に会議体が設置されましたが、区全体の横断的な役割としての機能を果たしているのでしょうか。また、最近の開催実績や決定事項はどのような事柄だったのでしょうか、伺います。

 現在の感染拡大は、いわゆる第1波や第2波と比べて患者数も重症者も危機的な状況で、体制も含め医療や公衆衛生が逼迫し、深刻な事態となっています。この現状に対して、区長をはじめ、会議体の参加対象者はどのような認識を持っているのか伺います。また、区民の生命、健康、生活を守るために、会議体において区長はどのような指針を示し、どのような対処を取ることを指示したのか具体的に伺います。私は、全庁で外部の専門家を入れて、客観的、専門的な指針を示していくべきと考えます。

 次に、予算執行一律2割削減に関わる区執行部の削減目標について伺います。区は10月、コロナ禍において行財政の抜本的な見直しが必要であり、区政の構造改革をうたい、財政的な非常事態に対処するとともに、新たな行政需要に応じた効率的かつ効果的なサービス展開を図るため、行財政の構造的な改革を集中して進め、持続可能な区政運営を目指し、区政構造改革の基本方針を示しました。令和2年度予算執行について、各部一律2割削減を示しましたが、法などに基づき必ず実施すべき事業と政策的な判断で縮小や廃止ができる事業とを同列に扱うことはできないと考えます。各部に丸投げするのではなく、各部での全庁の事業の精査をした上で、縮小・廃止の候補を理由と併せて示すべきであり、また、執行部の自らの削減目標を示し進行管理を行うべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 区長は構造改革に当たり、新たに行いたいことを実施するために既存のものを廃止することをビルド・アンド・スクラップと述べています。この考えでは、節減した経費が新たな事業に回されてしまい、全体として経費削減にならない。むしろ必要な事業の経費に回らないと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 この項最後に、令和2年度予算、補正予算、予備費、流用に盛り込まれた事業とその執行状況、令和3年度予算編成について伺います。令和2年度は、当初予算において今後厳しさが予測される区政運営を鑑み、予算執行に当たり新規・拡充事業においても執行の規模や時期について区民生活に影響を与えない範囲で大胆な経費削減に努めることを強く求める意見を付しました。コロナ禍で行われた本予算の執行状況は、補正予算や予備費、流用などの対応がまちまちだったと思います。施策の中身をはじめ、財源や積算方法など、それぞれの対策に適した妥当なものであったのか伺います。

 さきの総務委員会で報告のあったテレワークの環境整備に至っては、第2次補正予算として、5月1日の臨時議会まで開き、議決した事業内容が大幅に変更され、様々な理由に伴いいまだに事業執行がされていません。ハード面が先行し、テレワークで行うべきソフト面が確立されていないのではないでしょうか。区は9月に、安定した財政基盤の構築は必須であり、今年度、事業実施に当たっては、事業の規模や時期、方法について十分に検討し、見直すべきものは見直し、歳出の抑制に努めているとしました。その検討した見直しは結果どおりに進んでいるのでしょうか、伺います。

 コロナ禍で行われた区の緊急経済対策事業は、国民1人当たり10万円の特別定額給付金約344億円を除き、一般財源の中の約2億3,000万円を超える予備費と第7次までの補正予算と合わせて約41億円を支出してきました。コロナ対策といって際限なく予算執行してよいわけではないと考えます。コロナ対策として、補正予算や予備費、流用などで行った事業の進捗状況と未執行事業や余剰金はないのでしょうか、伺います。

 区政は、構造改革をうたう中で、令和3年度予算編成に当たって目標とする経費の削減額と事業をどのようにお考えでしょうか。区民サービスの影響する事業はないのでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。

 2、区政構造改革の基本方針について。

 初めに、持続可能な自治体として未来を見据えた区政構造改革の基本方針について伺います。区政構造改革について、持続可能な行財政を実現していくための行財政の抜本的な見直しをうたい、構造改革の基本的な考えの一つは、新たに策定される基本計画、令和3年から5年間の区財政が大変厳しい時期と重なるとして、区政サービス、デジタルシフト、働き方改革。二つ目に新型コロナウイルス感染の影響を挙げ、早急に取り組む見直しと中長期的な施策、施設、組織の三つの再編を掲げています。具体的な進捗状況を伺います。

 次に、財政5か年計画策定の取組みについて伺います。20年前の財政緊急事態下において、区は行財政の改革指針となる行財政5か年計画を1年で策定し、行財政改革に取り組んできました。区政の構造改革を取り組むに当たり、財政改革をどのように取り組むのでしょうか、伺います。

 次に、人事・組織再編成について伺います。保健所の保健師など専門職が緊急的に必要な職場、コロナ禍で新たな対応や業務量が増加し、職員が大幅に足りなくなった職場もあると聞きます。また、緊急事態宣言が出された期間、職員が在宅勤務を行った職場とほとんど行えなかった職場もあると聞きます。職場によって業務量や人員の削減ができず、むしろ疲弊していたり、窓口対応業務など増員を考えなくてはならない部署もあると思います。そうした中で、部署任せにするような会計年度任用職員の採用は安易に行うべきではないと考えます。在宅勤務やテレワークを行う場合、ソフト面の仕事内容と考え方について検討状況を伺います。また、構造改革や組織編成にどのように反映していくお考えでしょうか、伺います。組織の再編を行うのであれば、アフターコロナとSDGsの視点を踏まえ、今こそ私心にとらわれず、10年後に目指す区の姿をさらに明確に示し、職員を大事にする長期的な組織編成を行うべきと申し上げ、この項の質問を終わります。

 3、区有施設のアセットマネジメントについて。

 初めに、区有財産の施設整備計画と再編の考え方について伺います。区有財産である施設の廃止や新設などの在り方は、区の財政運営と併せて区有財産全体を視野に入れなければならないと考えます。区は10月、区有施設整備計画策定の考え方について、新しい基本計画と併せて策定する区有施設整備計画については、行財政の構造改革における施設の再編の視点と併せて検討を進めており、令和2年1月及び3月に示した区有施設整備の考え方についても再検討を行い、区有施設整備計画策定の考え方を取りまとめ報告されました。そして具体的な施設配置とその整備計画は今後示される予定となっています。区有施設の在り方は、単にパズルのように玉突きのように行うべきものでないと考えます。区は区有財産のアセットマネジメントの視点を踏まえた整備計画をどのように考えているのでしょうか、伺います。

 構造改革による区政財産全体の跡地活用と施設整備計画の再整備を行うに当たって私は、再編による集約、分散、転用、複合化、高層化、PPPなどを含めた民間活力の活用などにより、新たな施設として再配置、再整備、再編が考えられると思います。こうしても行政の機能を有する施設は現在の二百数十か所から極端に減少することは考えにくいと思います。同じ機能を持つ施設同士の集約、機能の追加または分散、移転による転用と売却、民間活力の活用などをどのようにお考えでしょうか、伺います。現実的に施設数を縮小、削減することはできるのでしょうか、伺います。

 次に、中野駅周辺のまちづくりに伴うアセットマネジメントについて伺います。中野駅周辺のまちづくりが進む中で、新区役所庁舎が現在の場所から北へ移動し、中野駅より南方面の方々の利便性が低下することから、南口への区役所総合窓口の設置を以前から求めてきたところです。中野駅周辺のまちづくりに伴うアセットマネジメントの視点から、区は中野駅南口へ区役所総合窓口機能の新設、設置についてどのようにお考えでしょうか、伺います。

 また、区有施設の移転などが検討されている中で、現在のシルバー人材センターは、建設後52年経過し老朽化の進む中央二丁目都営住宅の1階にあり、事務室をはじめ、会議室、研修室、相談室などの機能や環境は不十分です。シルバー人材センターの会員の活動は、派遣事業をはじめ、なかの区報の全戸配布を通じた見守り支え合い、駐輪場の維持管理、暮らしサポート、空き家点検、生活支援サービスなど公共サービスの一翼を担う活動の幅は多岐にわたり、活躍するシニアの就業の場としてより重要な役割を担っています。中野区シルバー人材センターの本部拠点機能を、中野駅周辺のまちづくり、施設整備計画に合わせ、区と連携の取りやすい中野駅周辺の公共施設や跡地の利用、区所有床への移転を検討してはいかがでしょうか、伺います。

 次に、児童・生徒・子ども施設、高齢者施設の充実について伺います。中野駅周辺のまちづくりにより、これまでの資料を見ますと、10年後、令和12年(2030年)には中野駅周辺だけで約4,000世帯、1世帯二人として8,000人からの人口増になると想定されます。しかしながら、乳幼児施設、小学校、中学校は再編により減少し、桃花小学校では教室不足が深刻化し、既に増築工事が行われています。10年後の中野駅周辺の人口増に対して区は、児童・生徒・子ども施設、高齢者施設をどのように考えているのでしょうか、伺います。

 この項の最後に、既存施設の改修整備の考え方について伺います。コロナ禍において、工事の削減を余儀なくし、改修工事等の計画が縮小している案件もあると聞きます。単年度の工事経費の大小で比較するのではなく、仮に単年度の工事費が大きくなったとしても、工事を短期間に集中することで施設の休業期間が短くなり、区民に不自由をかける期間が短縮される場合もあります。また、委託や指定管理の施設は休業補償の削減にもつながると考えます。先延ばしにした工事計画は、一時的には工事費削減に見えますが、経費や未工事による不具合が長期化することなどを考えると、かえって増加すると思います。施設の改修に当たってもアセットマネジメントの観点から、中長期的な視点での計画を持つことが重要であると考えます。一時的な見かけの経費削減ではなく、施設の将来も視野に入れた総合的な利益を追求すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。

 4、その他。

 最初に中野区のデジタル化とマイナンバーの活用、今後の基盤整備について伺います。菅政権の下、豊かな国民生活と誰一人取り残さない社会の実現をもって、デジタル庁の創設と行政のデジタル化が掲げられました。その基盤となるマイナンバーカードについて、基礎自治体は令和4年度末までに普及率100%を目標としてきましたが、中野区をはじめ、各自治体の普及は思うように進んでいない状況です。先日我が家にマイナンバーカードの更新手続の書類が送られてきたので早々に手続を行いました。現在はあまり時間もかからず手続が行えます。今年度は、マイナンバーカード申請で特別定額給付金の受給が早くなることへの期待感からカードの申請が急増したと聞きます。また、国はカードの普及の進まない状況を受け、総務大臣名でマイナンバーカード普及へより一層の取組みを求める通知を発送し、併せて12月から、カードを取得していない国民に対して個別に申請書を送付するとしており、今後は区民の来庁者の急増も春先以上に増えると考えます。現在の発行状況と適切に対応し、普及を円滑に進める体制はできているのでしょうか、伺います。

 マイナンバーカードを持つことによりコンビニでの各種証明書の取得が容易に行え、今後は運転免許証や保険証などと一本化する動きもあります。区役所新庁舎の設備や業務手続の検討に当たって、マイナンバーカードをさらに活用した申請受付やAI、ロボットなどと組み合わせた活用を導入することで、民間の利便性や業務効率が向上すると考えます。区の検討状況を伺います。

 現在、国の経済対策としてマイナンバーカードを活用したマイナポイント制度が実施されています。区においても、プレミアム付商品券事業を実施しています。コロナ禍を経験したことを考えると、今後は非接触型の電子的な商品券やポイント付与などの導入についても検討すべきと考えます。この実施については電子的な基盤整備が必要であると考えますが、区の検討状況はいかがでしょうか、伺います。

 2番目に哲学堂公園の再整備と都市観光拠点整備について伺います。哲学堂公園再整備基本計画が見直しによって立ち止まったままになっています。哲学堂公園は今年3月国の名勝指定を受けたため、保存活用計画を作成し、文化庁に認められた上でなければ公園の改修や補修工事などが容易に行えなくなっています。地域では中野駅から哲学堂へという流れの中で、新井薬師のまちづくりや商店街の発展を期待している方々もいます。中野北部地域の今後のまちづくりの上でも、名勝哲学堂公園保存活用計画を早急に作成してはいかがでしょうか。また、立ち止まったことにより約1億円を無駄にし、児童遊園の整備や補修工事が大きく遅れています。哲学堂公園再整備の計画を再検討し、中野駅からの回遊性を持った都市観光の拠点として整備を図ってはいかがでしょうか、伺います。

 最後に、地域包括ケア総合計画の策定と見守り支え合いについて伺います。(仮称)地域包括ケア総合計画の策定に当たり、区は1万人を対象としたアンケート調査を行うことにしています。私の住んでいる町会では、敬老の日に訪問して対応しながら記念品をお渡しする見守り活動を行っています。今年はコロナ禍で地域行事も行えず、お会いし、対話をする機会がすっかり減ってしまいました。10月に見守り支え合い活動を兼ねた敬老のお祝い品をお届けした際、はがきで返信していただく日常生活に関わるアンケートを行いました。220人へお渡ししたアンケートは約4分の3、161人の返信を頂きました。返信の中には、相談がある、体調が優れないという方々も多くいました。お一人お一人丁寧に状況を確認し、行政につなぐなど対応をさせていただいています。区は、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、大きな事業費をかけて1万人アンケートを実施するに当たり、何をどのように質問し、どのような対応を想定しているのでしょうか、伺います。町会での結果を見ると、コロナ禍でも、地域での見守り支え合い活動がより大切で、顔の見えるアンケートは大事と思います。区が行うアンケートは記名式なのでしょうか、匿名なのでしょうか。匿名でのアンケートは本音が聞ける反面、支援を必要とする人がいることが分かっても、その人に直接アプローチすることができません。匿名であるならば、そのアンケート結果を支援につなげるため、どのようなお考えでしょうか、伺います。今回のアンケートの結果を、(仮称)地域包括ケア総合計画にどのように生かしていくお考えでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 小林議員の御質問にお答えいたします。

 1問目に、検証委員会での検討状況についてでございます。新型コロナウイルス感染症のいわゆる第1波における公衆衛生の逼迫を受け、健康福祉部では7月31日に健康管理を専門とする大学准教授や公衆衛生を経験した医師、看護学の元大学教授からなる検証委員会を立ち上げました。新型コロナウイルス発生から第1波と言われる5月下旬までの中野区での対応について、保健所や健康福祉部を中心に保健師など現場職員の聞き取りを含めた状況について検証し、改善に向け検討を行っているところでございます。委員の日程や業務状況の関係で十分な検討時間が確保できず、結論を得るまでには至っておりませんが、今後も議論を続け、経験を今後の区政運営に生かしてまいります。

 次に、全庁的な対応、取組みに関する検証についてでございます。新型コロナウイルス感染症の対策事業の取組みについては、進捗管理の一環として行っています実施状況調査の際に、事業の有効性、効率性及び適正性の観点から検証するよう各部に対し指示をしたところでございます。現時点では実施途上のものが多いため、取組み全体に対する十分な検証には至っておりませんが、今後も引き続き取り組んでまいります。また、対策全般に係る組織的対応の課題も整理したところであり、今後の対策における立案から実施までのプロセスに当たっては、それらを踏まえて最適化を図ってまいります。

 次に、事業継続を図るための全庁的な対応についてでございます。昨今の感染拡大局面に当たりましては、これまでの経験を踏まえ、対応策について協議し、今後の状況変化に迅速かつ的確に対応するよう指示したところでございます。引き続き危機管理ガイドラインや中野区政のBCP並びに中野区新型インフルエンザ等対策行動計画等に基づいて、全庁一丸となって必要な対策に鋭意取り組んでまいります。

 続きまして、第2波、第3波を見通した対策と効果検証、今後の取組みについてでございます。感染拡大の当初から、第2波、第3波が来ると言われておりましたが、これまでに区が経験したことのない状況であったことから予測を立てていくことは困難であったと考えております。これまで刻々と状況が変化する中で、常に情報収集しながら感染症に対応してきたところでございます。現在は第3波と言われる感染状況にあり、これまでの対応を振り返りつつ、国・都の対策の動向にも注視しながら、先を見越した対策を講じていく必要があると考えております。今後防疫業務をはじめ、現場における臨機応変な対応が求められることになることから、全庁を挙げたバックアップ体制についても整えておく必要があると考えております。

 続きまして、感染症に関する会議体についてでございます。健康危機管理対策本部については、区長を本部長とし、健康福祉部が主体となって各部長を構成員として主に感染症対策に取り組んでまいりました。その後、感染症への対応が長期間に及びつつあることやより広範囲な事業について庁内調整が必要となったことから、引き続き区長を座長として、総務部が主体となる危機管理等対策会議に移行し、構成員には関係課長等を加え、全庁的な事項について協議・検討しております。また、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策室は、経済対策及び生活支援の政策の総合調整を行う組織体制であり、適宜調整業務を行っております。今後とも新型コロナウイルス感染症への対策が必要とされることから、状況に応じて的確に対応してまいります。

 これまでの対応及び危機管理等対策会議の役割についてでございます。これまでの感染症対策につきましては、私のリーダーシップの下、全庁的な調整を図りながら、状況の変化に応じて適宜適切に対応を行ってまいりました。今年度設置した危機管理等対策会議では、その時々の課題を共有し、協議事項について審議・決定を行うなど、区全体の横断的な事項についても全庁的な総合調整を担っております。開催実績につきましては、原則週1回の定例会議に加え、必要に応じて臨時に開催し、感染症対策など検討を要する事項について協議を行っております。

 続きまして、感染症拡大状況下における認識についてでございます。現在の感染拡大の状況に対して、危機管理等対策会議の参加者一人ひとりが危機感を持ってそれぞれの職務に取り組んでいるところでございます。私は区長として常に区民の生命・生活を守ることを最優先に考え、感染拡大防止対策を行いながらも、経済対策、区民生活支援を両立させるよう取り組んできたところでございまして、第3波に備えた取組みについても時期を逸することなく迅速に講じていく必要があると指示してきたところでございます。

 続きまして、事業の精査と進行管理についての御質問です。構造改革の検討に当たりましては、構造改革プロジェクトチームにおいて検討の八つの視点を設定し、例示を挙げた上で各部へ検討を依頼したところでございます。現在はプロジェクトチームにおいて各部調整のほか、課題の洗い出しや検討を行っており、今後、構造改革実行プログラムとして取りまとめるとともに、新設予定の専管組織において引き続き進行管理を行ってまいります。

 次に、事業実施における全体経費の考え方についてでございます。新たな事業実施については何をすべきかという明確な目的設定が必要であることから、ビルド・アンド・スクラップと示したところでございます。当然に構造改革に当たっては、厳しい財政状況が見込まれることに鑑み、これまで以上に財源の確保に努めるため、新規拡充の事業については真に必要であり優先度の高いものとし、既存事業の統合、再編、見直し等によって財源を生み出していくことや経常経費の削減などに踏み込むことに取り組んでいるところでございます。

 次に、各事業の予算化の適切性についての御質問でございます。当初予算編成時に予測できない経費の必要に迫られたり、予算額に不足が生じたりする場合には、案件の重要性等を踏まえながら、補正予算、予備費の充用、流用等により対応しているところでございます。令和2年度は当初から新型コロナウイルス感染症への対応として様々な取組みを進めているところでございまして、その事業の性質や緊急性、金額などを総合的に判断して、適時適切に予算措置を行ってきたと考えております。

 続きまして、令和2年度の予算の執行状況についてでございます。今年度当初予算で計画した事業の実施に当たりましては、今後の区財政を鑑みて、時期や方法等について改めて検討したところでございまして、検討の中で中止や延期として整理した事業につきましては、予定どおりに未執行として取り扱う考えでございます。

 続きまして、コロナ対策予算の執行状況についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策として、補正予算、予備費及び流用等によって予算措置を行った事業につきましては、区民の安心安全のためにスピード感を持って着実に対応を進めていく必要があると考えております。入札不調などの理由によって補正予算で対応した事業の一部にスケジュールの遅れがございますが、おおむね予定どおりに執行していると考えております。予算は区議会の議決を経て成立することから、区議会への情報提供を十分に行うとともに、適正に執行していきたいと考えております。

 続きまして、構造改革による令和3年度予算編成についてでございます。令和3年度予算編成におきましては、各部に対して経常経費の20%の削減目標を示し、新規拡充事業とともに構造改革の視点を踏まえた事業の見直し、廃止も検討しておりますが、区民サービスに影響することが極力ないように検討を進めております。具体的な内容につきましては、今定例会中の各常任委員会において報告予定でございます。その後、タウンミーティングにおける意見交換や区報、ホームページでの公表を予定しております。

 続きまして、早急に取り組む見直しと中長期的な再編の進捗状況についてでございます。早急に取り組む見直しにつきましては、事業の見直し、廃止なども視野に入れた短期的取組みを検討しており、現在編成中の令和3年度予算に反映してまいります。中長期的な施策、施設、組織、これらの三つの再編につきましては、基本計画を視野に入れた施策展開の検討を行っており、来年8月を目途に構造改革実行プログラムを策定し、新設される専管組織において推進してまいります。

 今後の財政改革の進め方についてでございます。新型コロナウイルス感染症が発生する前の一般財源規模に戻るには数年を要すると考えております。この間も区が抱える課題は山積しており、区民サービスを停滞させることなく財政運営を行っていく必要があります。区民が安心して生活できる環境を整え、経済の再生に向けて取り組んでいくことは区の責務であり、時期を逸することなく進めていかなければなりません。施策、施設、組織、三つの再編に取り組む抜本的な構造改革を進める中で、組織横断的な事業の統合等、区全体を見据えながら歳出構造にメスを入れ、財政面についても改革に取り組む考えでございます。

 続きまして、テレワークの内容と構造改革等への反映についてでございます。新型コロナウイルス感染拡大の緊急事態宣言下において、職場のクラスターの発生を防ぐために出勤率を下げる必要があり、テレワークを行うためのシステムが整わない中にあっても、自宅で実施可能な業務について在宅勤務を開始したところでございます。今後、庁舎外から庁内の情報システムを利用できるような環境整備を行って、ICTを活用した本格的なテレワークが可能となることから、自宅で実施可能な業務の種類が増えることになります。これによって通勤時間の短縮や個人作業が集中して行いやすくなるなど、業務効率の向上やワークライフバランスの推進が図られると考えております。今後、テレワークを実施しやすい職場や業務を整理し、働き方改革を進めるとともに、育児や介護等を行う職員が継続して働きやすくなるように、テレワークを優先的に実施できるような人員配置や事務分担をしていきたいと考えております。

 続きまして、区有施設のアセットマネジメントについて。最初に、区有施設の在り方についてでございます。区有施設の再編などの在り方につきましては、現在検討中の新たな基本計画と整合を図りながら、区有施設整備計画の策定の中で整理しているところでございます。また、区有施設全体のマネジメントを進める上で、施設の集約化や複合化、民間活力の活用、未利用地及び未利用施設の活用、処分に取り組み、アセットマネジメントの視点から施設の整備、管理運営に係るコストの軽減や平準化を図るため検討が必要であると考えております。

 続きまして、施設再編の基本的な考え方についてでございます。区有施設の跡地活用と再整備に当たりましては、未利用地の状況や施設ごとの経年劣化などを把握した上で、機能の集約化、複合化、民間活力の活用、未利用地及び未利用施設の活用、処分に取り組む必要があると考えております。おおむね10年後の配置、活用の考え方や施設につきましては本定例会の常任委員会でお示しをする予定でございます。

 続きまして、中野駅南口方面の総合窓口機能についての御質問です。今後の行政サービスの展開につきましては、基本計画や区有施設整備計画の策定の中で整理をしているところでございます。中野駅南口周辺における窓口サービスの在り方は、課題としては捉えております。

 続きまして、シルバー人材センターの移転についてでございます。高齢者が就労や地域の担い手として活躍するため、シルバー人材センターは大きな役割を担っております。今後区との連携協力体制を整えるとともに、有機的な連携が取りやすい配置を検討していくことが必要であると認識をしております。今定例会の常任委員会において配置の考え方をお示しする予定でございます。

 続きまして、人口増加に伴う区有施設の対応についてでございます。中野駅周辺まちづくりにおける各地区整備に伴い人口増加が見込まれることから、開発概要等から人口推計のシミュレーションを行っているところでございます。乳幼児につきましては、需要と供給を見極め、保育施設の誘導を進めていく必要があると考えております。高齢者については、開発における人口への影響は少ないと見ておりますが、将来的な介護ニーズの変化を捉えておく必要があると考えています。

 最後に、区有施設の改修についてでございます。区有施設の更新や改修に当たりましては、ライフサイクルコストの視点を含めて中長期的に投資判断していくことが重要であると考えており、適正な施設管理を行うための総合管理計画の性格を持ち合わせた区有施設整備計画を策定する考えでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、人口増加に伴う区有施設の対応についての御質問のうち、児童・生徒などの子ども施設についてお答えいたします。

 小中学生の人口増につきましては、小学校の改築や通学区域の見直し等により対応できるものと考えております。

〔区民部長青山敬一郎登壇〕

○区民部長(青山敬一郎) 私からは、まず中野区のデジタル化、マイナンバーの活用と今後の基盤整備についての御質問のうち、マイナンバーカード交付状況及び交付体制についてお答えいたします。10月末現在、マイナンバーカード交付数は約8万7,500枚で、交付率は約26.1%でございます。昨年度1年間のマイナンバーカード交付数が約1万3,400枚に対し、今年度は10月までで約1万6,400枚を交付しております。マイナンバーカードの申請数増加に対して、これまで平日夜間や土曜日、日曜日に臨時窓口を開設したほか、一部の地域事務所でマイナンバーカード交付に対応してきたところでございます。今後も適切な体制を組むことで、マイナンバーカードの円滑な普及に努めてまいります。

 次に、哲学堂公園保存活用計画及び再生整備基本計画の作成についてでございます。哲学堂公園が令和2年3月に国の名勝に指定されたことに伴い、その文化財的価値を後世へ継承し、適切に保存、復元、活用することを目的として、今後哲学堂公園保存活用計画を策定した後、哲学堂公園再生整備基本計画を策定する予定でございます。哲学堂公園やその周辺は中野区の貴重な観光の拠点と考えており、哲学堂公園やその他周辺施設、史跡などを含めた観光モデルコースを提案し、回遊性の向上に努めているところでございます。今後も観光情報サイトやSNS、哲学堂パンフレット等をより一層活用し、哲学堂公園やその周辺の魅力をPRしていきたいと考えております。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 中野区のデジタル化、マイナンバーの活用と今後の基盤整備についての御質問のうち、マイナンバーカードと組み合わせたAI、ロボットなどの活用についてお答えいたします。

 先進自治体では既にマイナンバーカードを活用した書かない窓口を導入しており、AIを搭載したロボット等が来庁者の誘導や担当課を案内するといった実証実験も行われているところでございます。中野区におきましても、昨年度からAIやRPAなどソフトウェアの活用による業務効率の向上に取り組んでいるところでございますが、今後、新庁舎での書かない窓口の実現や移動式ロボットの活用などについても検討してまいりたい、そのように考えてございます。

 もう1点、システム基盤の整備についてでございます。現在、国はマイナンバーカードの普及促進とともにマイナンバーカードのスマートフォンへの搭載など利便性向上について検討しており、今年12月末までに一定の方向性を示すと聞いてございます。区といたしましても、コロナ対策や区民の利便性向上に向けて非接触型サービスの推進は重要だと捉えてございます。国が運用しているマイナポータルや公的個人認証を活用するとともに、新庁舎に向けては電子申請の拡充などにより、できるだけ来庁せずに手続等が完結できる仕組みを整備していきたいと考えているところでございます。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、地域包括ケア総合計画の策定と見守り支え合いについてのうち、1万人を対象としたアンケート調査についてお答えいたします。

 今回の調査は、15歳から64歳までの若年層及び中年層を対象としております。設問は、働き方や人付き合いなど日常生活の実態や生活に対する意識、また中野区の地域包括ケアシステムや相談体制に関することなどであり、これまでの区の調査では把握できなかったことを伺えると考えております。得られた回答は詳細に分析することによって、今後の施策検討の基礎資料とするとともに、地域包括ケアに関係する団体などと共有することによって重層的な相談支援体制の整備や居場所づくりなど具体的な取組みに生かしてまいりたいと考えております。

 次に、アンケート結果を支援につなぐ方策についてでございますが、今回のアンケート調査は匿名で回答していただきます。しかし、今回の調査票を送付する際に心身の健康などに関する相談窓口一覧のチラシを同封して情報提供を図ってまいります。また、アンケート結果は、匿名のため回答者に対する直接の支援はできませんが、調査結果を分析して統計的に捉えることにより、支援を必要としている区民の特性や傾向に最も適した相談支援が可能となるような体制の構築と効果的なアプローチを図ってまいりたいと考えております。

 最後にこの調査と地域包括ケア総合計画との関係についてでございますが、今回の調査結果は必要な支援やサービスにつながっていない区民に最適な支援を行うための方策、また、新たな地域活動の担い手の掘り起こしのための方策など、全世代、全区民を対象とした地域包括ケアの展開に向けた重要な課題を解決するために生かしてまいります。その上で世代を問わず単身世帯が多いなどの中野のまちの特性を踏まえて、(仮称)地域包括ケア総合計画の策定に取り組んでまいります。

○副議長(平山英明) 以上で小林ぜんいち議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時22分休憩

 

午後2時23分開議

○副議長(平山英明) 会議を再開いたします。

 

 中野区議会議員 浦 野 さとみ

 1 コロナ禍で区民のくらし・営業を守ることについて

 2 旧中野刑務所正門について

 3 生活保護行政について

  (1)高齢者居宅介護支援事業について

  (2)その他

 4 医療的ケア児(者)の支援拡充について

 5 上高田地域のまちづくりについて

 6 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、浦野さとみ議員。

〔浦野さとみ議員登壇〕

○31番(浦野さとみ) 2020年第4回定例会におきまして、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告どおりで、その他はありません。

 初めに、コロナ禍での区民の暮らし・営業を守ることについて伺います。今月初め、コロナの影響で仕事を失った方が見込みも含めて全国で7万人を超えたと報道がされました。これはハローワークなどを通じての調査のため、実際に仕事を失った方はさらに多いと見られています。日本共産党区議団が行っている区民事業者アンケートは、昨日現在4,400人を超える方から回答をお寄せいただいていますが、この1年で暮らし向きが悪くなった方は全体の約半分にも及んでいます。昨年秋の消費税10%増税の影響に加え、コロナ禍で深刻な事態がより一層浮き彫りになっています。既に自助・共助ではどうにもならない。皆さんが本当に踏ん張って生活、なりわいをされています。

 また、自殺に追い込まれた方の増加も深刻です。先月10月には全国で2,158人、昨年の同じ時期と比べ40%増。特に女性が大幅に増加をしています。20代、40代の女性は、昨年の同じ時期の2倍以上にもなっています。これは本人や周囲の問題ではなく公助の弱さの反映であり、まさに政治の責任です。今こそ公助の役割を発揮すべきです。

 PCR検査体制等の拡充については、昨日来住区議から提案をさせていただきましたので、ここでは検査体制以外の問題で伺います。

 国の持続化給付金や家賃支援給付金、東京都の協力金など、現時点で使える支援策は全て活用した方も、既にそのお金は使い果たし、さらなる支援策がなければ商売を継続できないとの声も少なくありません。区内でも老舗のバーをはじめ、少なくない店舗が閉店に追い込まれました。また、都の協力金は対象外で、売上げ自体は減少しているものの、持続化給付金や家賃支援給付金の対象にはならない事業主の方も多くいます。区はこうした区内事業者の現状をどのように把握されているのか伺います。

 中野区の今年度第7次補正予算で、プレミアム付商品券が予算化されたことは評価をいたします。その効果を見極めながら、今後さらなる区としての支援策を検討すべきです。また、東京都や国に対しても第二弾の持続化給付金や家賃支援給付金などの支援策を求めるべきです。見解を伺います。

 個人の方への家賃支援としての住居確保給付金は最長で9か月のため、4月に支給開始となった方は年内には支給打ち切りとなります。現在、この住居確保給付金を頼りにしている方が、今後仕事に就くことが難しい場合には住まいを失うことになってしまいます。こうした最悪の事態を避けることがどうしても必要です。国に対し、住居確保給付金の期間延長を求めるべきです。答弁を求めます。

 国民健康保険料の減免制度についても伺います。この制度は、他の支援制度に比べてもさらに知られていないのが実態であり、第3回定例会において羽鳥区議が区としても積極的な制度周知をするよう求めたところです。国保料の通知とともに減免制度をお知らせした自治体や電話での問合せがあった方全員に申請書を送付した自治体では制度利用者が増えています。さきに紹介したアンケートで、国保減免制度については知らない、対象となるのであれば申請したいとの回答があった方に制度の説明に伺ったところ、対象となることが分かり、その場で申請書を一緒に記入し、後日無事に保険料が減額となりました。区は、国民健康保険料の減免制度についてきちんと周知をすべきです。具体的対応策について答弁を求めます。

 他の支援制度の周知についても伺います。中野区では、「区民のみなさんへ」、「事業者のみなさんへ」と題した支援制度一覧を適宜更新し、ホームページ上で情報発信と併せて15の区民活動センターなどの区有施設、また民間スーパーにも協力をいただきながら紙ベースでも周知をしています。スーパーに置かせていただいたものについては受け取っていく方がとても多いと伺っており、様々工夫をされているとは思います。しかし、それでも複雑な制度も多く、自分がどの制度に該当するのか、申請方法が分からないなどの相談はとても多く寄せられています。年内いっぱい、もしくは年明け早々に申請期限が迫る制度もあります。改めて様々な媒体を活用し、支援制度の周知を図るべきです。見解を伺います。

 新型コロナウイルスの影響は新たな問題を生むと同時に、既に存在していた格差や社会システムの脆弱さもあらわにしています。その一つに女性への暴力の問題があります。東京都内の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は、今年3月から5月の合計で6,125件であり、昨年の同月期から645件増加をしました。国のDV相談+(プラス)をはじめ、民間シェルター、警察などへの相談を合わせれば相当な件数になることが推測されます。中野区では、中野区女性相談(婦人相談)がその対応窓口となっていますが、今年3月以降の相談件数と、またその傾向について、それを踏まえた区の対応について伺います。

 相談があった方のお一人は、男性パートナーと子どもと3人で住んでいますが、パートナーから日常的な暴力がエスカレートしたため別居をしたい。しかし、コロナの影響で仕事がなくなったので収入が途絶え転居費用もない状況とのことでした。パートナーが在宅勤務になったために常に監視をされているような状況で、電話での相談は困難とのことで、フェイスブックのメッセンジャーを通じて相談が寄せられました。これまでに経験したことのないコロナ禍の下、相談体制の整備、相談先の周知が急務となっています。区としても当事者がより相談しやすくするためのホームページの充実とともに、それ以外の媒体でも相談先の周知に一層力を入れるべきと考えます。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に2、旧中野刑務所正門について伺います。所管委員会に旧中野刑務所正門の取扱い方針(案)が報告されました。区は、正門の保存及び公開と平和の森小学校における良好な教育環境の確保との両立を図る観点で正門は曳家により西側へ移築した上で保存と公開を行っていくという考え方を示しました。旧中野刑務所正門は大正4年に建てられ、日本の建築史上大変に高い価値を持つ建物です。区内平和史跡の一つでもあり、中野平和マップや教育委員会発行の「中野を語る建物たち」などにも掲載され、れんが造建築としても最も成熟した遺構との評も寄せられています。これまで会派としては、旧中野刑務所正門の保存と様々な専門家や区民の声を聞きながら、門を生かした平和の森小学校新校舎建設をと提案をしてきました。門を保存した上で広く公開し、門の歴史や価値が十二分に生かされる保存活用計画になることを強く要望いたします。

 その上で、以下3点伺います。旧中野刑務所正門は、歴史的、文化的、教育的など多角的な価値を有しています。文化財保護審議会答申でも触れられていますが、改めて区が認識しているこの門の価値について伺います。また、今後その歴史や価値が生かされる保存活用計画にしていくべきです。地域特性を生かし、区としてどのように保存活用を進めていくのか現時点での考えについて伺います。同時に、その際、専門家や地域住民などの参加もきちんと保障していくべきと考えます。併せて答弁を求めます。

 最後に、中野区としての文化財指定について伺います。用地取得が年度内に予定されていますが、区としての文化財指定をどのように考えているか、時期についてどう検討されているのか、併せて伺い、この項の質問を終わります。

 次に3、生活保護行政について、高齢者居宅介護支援事業について伺います。

 政府は2019年末、生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化方針を閣議決定し、今年度中に必要な措置を講じ、法改正に要する業務についても外部委託を可能とする方向で検討しています。令和3年度中に結論を得るという外部委託に対し積極的な方針を示しています。中野区では2010年度から生活保護利用の65歳以上の方を対象に、高齢者居宅介護支援事業の名でケースワークの一部外部委託を開始しました。当時23区では初めての委託事業で、事業開始の経過と必要性については次のように説明をしていました。「生活保護受給者が増加する中、ケースワーカーの支援業務が精神疾患を持つ方や若者の支援に追われ、安定した高齢者世帯への支援がやむを得ず後回しになる実態がある。そのため、高齢者世帯の生活状況、健康状態の把握、年金の調査などの業務を検討した結果、相談や見守り、提出資料作成の補助業務などは民間の事業者による実施が可能であると判断し、業務を委託して支援充実やサービスの適正化を図ることとした。また、この事業を始めることで、高齢者以外の受給者の生活状況把握や自立援助などのケースワーク業務に力を入れることができるようになると考えている。」というものでした。

 そこで伺います。この事業について、現在も区としては同じ目的で事業を継続していますか。答弁を求めます。

 この事業は、中野区高齢者居宅介護支援事業実施要綱に基づき行われており、対象者は、生活保護利用者のうち65歳以上の方の中で、中野区福祉事務所長が本事業を実施する必要があると認める者とされています。2010年の開始当初は、約3,200万円の委託費で600世帯を対象とし、翌年度には委託費を5,600万円、対象世帯も1,200世帯といずれも倍増させました。さらに、委託開始3年目には、委託費6,100万円、1,350世帯とさらに増やし、2014年度以降は7,400万円を超える委託費で1,650世帯の高齢者を本委託事業の対象としています。生活保護を利用している65歳以上の高齢者のうち、おおよそ何%の方が本委託事業の対象となってきたのか。事業開始年度と2019年度について、それぞれの割合について伺います。

 今年度は14名の高齢者ケースワーク専門員、以下、専門員と呼びますが、1,650世帯の方に年2回の訪問を行っています。専門員の構成について、委託の仕様書では、アからウの三つの区分が示されています。アは介護支援専門員、イは介護福祉士、社会福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかの資格があり、社会福祉法に規定される社会福祉事業で実務経験のある者、ウはその他区が適当と認めた者となっています。ウの区が適当と認めた者では、特に資格の有無は問うていません。今年度14名の専門員の資格所有の内訳がどうなっているのか。社会福祉士は4名のみ、専門資格がない方は5名となっています。

 先月、本事業の対象となっていた70代男性のAさんについて相談が寄せられました。Aさんは長い路上生活から中野区内の支援団体のサポートにつながり、現在はアパートにて一人で生活をされています。Aさんは倹約家で月々の保護費から少しずつ貯金をしていました。そのAさんに対し、専門員は今年7月に支給されたアパートの更新料について、Aさんはお金があるようだから更新費用は返還してくださいと述べたそうです。その後、専門員の名前でAさん宅に約10万円の更新料を返還するための納付書が送られてきたため、Aさんは相当追い詰められてしまいました。Aさん宅を定期的に訪問している医療関係者が疑問に思い、今回の問題が発覚しました。早速調べたところ、本来は返還する必要のないものであることが判明しました。Aさんの異変にサポートの方が気づくことがなければ、Aさんは毎月の保護費から生活を切り詰め、心身ともに追い込まれながら約10万円を返還することになっていたと思います。また同じ専門員はAさんに対し、そんなにお金があるのだったら、特別定額給付金も要らないのではとも言い、Aさんは自分が給付金を受け取ってよいのか悩んでしまったといいます。これは絶対にあってはならないことです。

 生活保護法第56条では、「被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない」と定めています。私はこの問題が判明した際、もしかするとこれは氷山の一角にすぎないのではないか。これまで11年間、約1万6,000世帯の方が本委託事業の対象となってきましたが、ほかにも同じような方がいた、もしくはいるのではないかとさえ感じています。今回なぜこのようなことが起きたのか。また、生活保護法第56条と照らしてどうなのか。委託している区の責任の3点について併せて答弁を求めます。

 また、生活保護法第19条第4項では、保護の実施機関が「保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる」と規定されています。そのため、委託の仕様書でも、保護費の返還、徴収に関わる事務は区が実施する業務とされており、委託の範囲からは外されています。公務員の生活保護ケースワーカーにある権限や決定権は、当然ながらこの委託事業の専門員にはありません。しかし、Aさんへの返還決定通知書や納付書、送付された封筒には専門員の名前が書かれており、保護費の返還徴収の決定と実際に返還を求める事務、つまり保護の決定及び実施そのものを委託先の専門員が直接行っている点において、生活保護法第19条4項の根幹に違反しているのではないでしょうか。また、委託仕様書の委託内容の範囲からも明らかに逸脱していると考えます。ケースワーカーと専門員の名前を併記することが通例となっているのか、併せて伺います。

 現行の生活保護法の立法担当者、当時の厚生省保護課長であった小山進次郎氏は、第19条4項の趣旨について、福祉事務所において行われるところの本法関係の現業業務、つまりケースワーク業務と保護の決定、実施の権限との行使とを有機的に一致することをもって、本法の実施、運営の効率的能率化を期し、その円滑、適正を図るということと説明をしています。つまり、適正に保護を実施しようと思えば、ケースワーク業務と保護の決定、実施業務を一体的に福祉事務所が担う必要があり、ケースワーク業務だけを切り分けて外部委託することは法の趣旨に反します。また、社会福祉主事の現業員以外にケースワーク業務を行わせている点では、社会福祉法第15条及び19条にも違反をしているのではないでしょうか、伺います。

 また、これらの業務について、福祉事務所の職員から委託先の専門員に直接の指示があり、事務を行っていた場合には、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準の違反、つまり偽装請負と認定される可能性が高くなります。委託仕様書の委託内容(1)の②には、生活保護受給者の求めに応じ、相談・助言を行う事務、生活保護法第27条の2に関わる事務が含まれています。通常のケースワークはほとんどがこの第27条の2に位置付けられ、利用者のニーズを把握し、必要に応じて生活保護の給付を行うためのヒアリングや助言・調査になります。また、相談や助言で終わるわけではなく、例えば利用者さんから体調が悪いとの訴えを把握した上で、医師の診察を受ける必要があればそれを助言し、医療券を発行し、医療扶助を提供することになります。このように、27条の2に基づく支援は、具体的な給付決定、つまり行政処分を常に意識しなければならないため、実際に必要な決定をする可能性を常に秘めています。委託仕様書では保護の決定に伴うものを除いた事実確認等の業務と記されていますが、例えば、収入申告書や賃貸契約書などの保護の決定に必要な書類の徴取という項目が委託内容に含まれており、これは実際に保護決定に必要な調査事務となります。そのため、こうした調査は決定権を有する委託元、つまり、中野区福祉事務所長と常に連携をし、指示を得ながらでなければ業務を進めることはできず、この点でも偽装請負の疑いが非常に濃厚となります。見解を伺います。

 区は、本事業を開始する際、事業者の選定に当たっては、行政機関等から委託して生活保護受給者や生活困窮者の相談支援業務を既に行った実績のある事業者から選定すると説明をしていました。改めて調べたところ、導入年度のみ指名競争入札でしたが、2年目から4年目までは業者指名の随意契約、5年目からは5年間のプロポーザル契約となりましたが、NPO新宿ホームレス支援機構という同じ事業者が11年間本事業を受託し続けています。この事業者は今年5月、国のホームレス支援事業をめぐり不正が発覚した案件を主導していた疑いがある事業者です。当NPO理事長は、NPOの資金繰りが厳しく、不正で受け取った分のお金を事務所の家賃や職員給与に充てていたと東京新聞の取材に答えています。区は今回の案件を把握されていましたか、伺います。

 さらに、NPO新宿ホームレス支援機構の事業報告書を調べてみました。平成29年度、中野区からの委託契約額は1年間で7,425万円ですが、同支援機構の事業報告書では、本事業の経常費用合計は2,841万円となっています。差額の約4,583万円は経常増減額として記載されています。経常費用は全てが人件費関係ですが、単純にこの費用を専門員14名で割り返すと、1人の専門員当たり1年間で賞与も含め約200万円、1か月約16万9,000円となります。事業報告書では福利厚生も含んでの額となっており、専門員自身の処遇はまさにワーキングプアです。さらに驚いたことに、同年度同支援機構が中野区の所管課に提出した参考見積書では、人件費と明らかに分かる部分は6,250万円となっており、事業報告書の約2,841万円と大きな乖離があります。事業報告書記載の金額が事実とすれば、本事業の受託が事業者にとってもうけの事業となっていることも明らかです。この実態について区の認識を伺うとともに、まずは事業者に説明を求め、区としても調査を行うべきです。答弁を求めます。

 区は、こうした経過も踏まえ、委託事業者、委託事業自身についても見直すべきです。生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化は生活保護法の基本原理である国の責任に反し、必然的に偽装請負と官製ワーキングプアを生み出すことにつながります。ケースワーク業務の外部委託がもたらす先を今回のAさんのケースが如実に示しているのではないでしょうか。福祉事務所の実施責任の空洞化、生活保護利用者の権利侵害、また貧困ビジネスそのものではないでしょうか。これはまさに生活保護行政の構造的な問題と考えます。

 現在中野区では地区担当ケースワーカー1人当たり平均で155名の利用者を担当しており、負担は相当なものとなっています。国からの監査でも実施体制の整備について指摘されています。外部委託によっても人員不足は解消されていないのが現状です。非常に残念なことに、中野区は悪い自治体事例として何度も紹介をされています。そもそもケースワークという高い専門性が求められています。また、相談者に寄り添い粘り強い働きかけや信頼関係を構築することは欠かせません。ケースワーカーの業務過多と専門性欠如という問題への対応は、生活保護問題対策全国会議でも指摘されているように、外部委託や非正規化の推進ではなく、正規公務員ケースワーカーの増員と専門職採用などによる専門性の確保、調査事務や徴収業務等の簡素化や効率的な生活保護システムによる負担軽減によって行われるべきと考えます。見解を伺います。

 冒頭に述べた政府が進めようとしている生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化方針は撤回すべきであり、中野区の現在の状況についても総括、見直しを求めて次の質問に移ります。

 次に4、医療的ケア児(者)への支援拡充について伺います。

 現在中野区は、医療的ケア児(者)への支援として、障害児通所支援、居宅型訪問保育や区立保育園での保育、重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業などを実施しています。区立保育園における保育は、今年度沼袋保育園、白鷺保育園での受入れを開始し、来年度4月からは本町保育園を加えた計3か所で1名ずつの受入れ予定となっています。また、在宅レスパイト事業については、2017年7月から医療的ケア児も対象となり、今年9月末現在30名が登録し、19名が利用しています。今回中野区が独自の対応として、重症心身障害児(者)等の在宅レスパイト事業の利用上限時間を120時間に拡充したことは高く評価いたします。しかし、医療的ケア児(者)の方々の実態と照らせば、決してこれで十分とは言えません。現在、素案が示された中野区障害者計画、第6期障害福祉計画、第2期障害児福祉計画において医療的ケアが必要な方への支援拡充の必要性について明記されていますが、個々の状況は様々です。個別性の高い状況だからこそ支援の選択肢を増やし拡充していくことが急務となっています。現在区は、区内の医療的ケア児(者)の人数は把握されていますが、個々の状況はどのように把握をしているのか。また、継続した実態把握とともに個々のニーズ把握も欠かせないと考えます。見解を伺います。

 その上で素案にも示された医療的ケアが必要な方への支援拡充の必要性をどう具体化していくのかが重要と考えます。同計画は来年3月に策定予定ですが、今後区として具体的な支援拡充についての考え方を伺います。

 現在、重症心身障害児(者)の判定基準の一つに、一般的に大島分類が使われています。大島分類は、座位が取れる、立てるなどの身体をコントロールする力と知的能力(IQ)がどの程度あるのかという二つの軸によって構成され、1から4に該当する場合に重症心身障害児と判定されます。しかし、この大島分類は約50年前につくられたもので医療的ケア児は考慮されていません。例えば、経管栄養のチューブをしていても知的な遅れがなく自分で歩くことができる医療的ケア児は、この分類では重症心身障害児には判定されません。そのため、いわゆる動ける医療的ケア児は制度のはざまに置かれてしまい、利用できるサービスが非常に限られてしまいます。現在区では、重症心身障害児(者)の判定は何を基準としているのか伺います。

 厚生労働省の障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について通知の中では、通所給付決定の際の注釈として、「年齢や疾患等の状態により、知的障害及び肢体不自由の程度判定が難しいこともあるが、医師や児童相談所等と連携し、大島分類を参考にしつつ、個々に判断する必要がある」と明記されています。この注釈についてはどのように考慮されているのか伺います。

 私が御相談をいただいたBさんのお子さんは現在5歳で人工呼吸器と酸素を使用し、1時間に3回から6回のたんの吸引や気管切開部の管理が欠かせません。身体障害者手帳は、心臓機能障害で1級、身体機能障害で3級、愛の手帳で3度です。座位が保て、手をつなぐと歩くことも可能ですが、自分の手で酸素チューブや気管切開部に触ってしまうので目が離せません。しかし、運動機能やIQからは重症心身障害児の判定はされません。そのため、中野区内の通所支援は利用することができないため、現在武蔵野市内の通所支援を車で片道60分かけて週1回利用している状況です。動ける医療的ケア児を在宅でケアする保護者にとっては、高い医療依存度に加えて、見守り度も高く、非常に負担が大きいにもかかわらず、現在の障害福祉サービスの短期入所や通所支援での受入れは極めて困難な状況です。中野区や東京都内に限らず、全国的なサービス不足となっています。現在、日本医師会の障害福祉サービス等報酬改定検討チームでの議論では、新年度の報酬改定において動ける医療的ケア児の通所支援や医療型短期入所の整備促進のために、医療的ケア児(者)の明確な位置付けや報酬の引上げ、各種加算、医療的ケア児判定スコアの見直しについても意見が出されています。区として医療的ケア児の実態、ニーズ把握に基づいて東京都や国に対しても支援の拡充を求めていくべきです。見解を伺います。

 最後に、重症心身障害児(者)在宅レスパイト事業について伺います。今回区として独自の拡充に至ったことは、当事者からも歓迎の声が寄せられています。さきに触れた計画素案では、当事業においては、今後はさらに利用者の声を反映した施策展開を図っていくべきと記しています。今週24日の都議会厚生委員会の質疑で東京都は、各自治体からの声があれば柔軟に対応していきたいと答弁をしました。やはり区としての実態を東京都へ伝えていくことが重要です。来年度以降、利用回数制限の見直しや上限時間の拡充について東京都へも働きかけると同時に、区としても今回の対応のような実態に即した対応拡充が必要と考えます。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 最後に5、上高田地域のまちづくりについて伺います。

 上高田地域は中野区内でも住宅密集度が高く、木造住宅も多くある地域です。この地域では、古くからまちづくりや防災について熱心な議論や独自の取組みが重ねられており、様々な機会を通じて地域住民の方の思いが伝わってきます。西武新宿線地下化や新井薬師前駅周辺のまちづくり、都市計画上の用途や補助第220号線道路の問題などはもちろんのこと、今後この地域の児童館や図書館はどうなるのか。また、旧上高田小学校(現令和小学校)や上高田五丁目公有地跡地などについても地域住民の方々の関心は非常に高いものとなっています。「たきび」の歌の発祥地域でもあり、歴史や文化など、地域資源や環境をいかに保全するかも地域の皆さんが大事にされていることの一つです。

 ここでは、旧上高田小学校跡地と上高田五丁目公有地の活用について伺います。今後区では区有施設整備の考え方が示される予定ですが、区民の、また地域の財産である区有地は、地元住民の声をきちんと踏まえた検討をすることが何よりも大切です。特に学校跡地は、これまで地域の拠点となってきた場所であり、安易な売却や地域の声を踏まえない活用はすべきではありません。見解を伺います。

 また、上高田五丁目公有地については、上高田宿舎1号棟は解体され更地となっています。今後の大規模公園整備の基本的な考え方においては、スポーツ機能としてのサッカー場を、また防災機能として広域避難場所にすることが記されていますが、現時点では今後の活用方針は未定となっています。現時点の区の考え方はどうなっているのか。また、地域での有効活用のため、住民参加での検討を行っていくべきと考えます。見解を伺い、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 浦野議員の御質問にお答えいたします。

 最初に区内事業者の現状把握についてでございます。東京商工会議所中野支部や中野中小企業診断士会、金融機関等と連携し、聞き取りを行うなどして区内事業者の現状の把握に現在努めているところでございます。今後予定されている東京商工会議所中野支部が行う事業者調査の結果等も活用して、より現状を深く把握してまいりたいと考えております。

 事業者へのさらなる支援策についてでございます。新型コロナウイルス感染症により影響を受けている事業者への支援策として、現在区としてもプレミアム付商品券の発行や産業経済融資の一部資金における新型コロナウイルス対策緊急応援優遇などの事業を展開しているところでございます。これらの効果を見極めながら、国や都の支援策との協調を図りつつ、区としてさらに実施すべき支援について検討を進めてまいります。

 次に、東京都、国の支援策の継続についてでございます。現在実施されている支援策の効果や今後の新型コロナウイルス感染症の影響、区内事業者の状況を踏まえて、必要に応じて東京都や国に対して継続的な支援策を求めてまいります。

 次に、住居確保給付金についてでございます。長期にわたって給付を受けている方の多くは生活費も十分でない方が多いと考えられますので、生活保護の利用により生活を維持していただくことになると考えております。しかしながら、生活保護の対象とならない方の支援につきましては課題であり、期間延長について要望することを考えてまいります。

 続きまして、国民健康保険料の減免制度の具体的な周知方法でございます。中野区では、なかの区報、中野区ホームページ及びなかの国保だよりなどによってコロナ減免制度について周知を行っており、申請書用紙はホームページから印刷することができるようになっております。このほかにも区役所本庁舎内、庁外施設、地域事務所、区民活動センター、すこやか福祉センター、中野区保健所などにポスターの掲示やSNSの発信を検討しているところでございます。また、外国人向けに5か国語、英語、中国語、ハングル、ベトナム語、ネパール語の案内チラシや記載例等を作成し、窓口での配布や中野区ホームページへの掲載を予定しております。

 次に、コロナ対応支援制度の様々な媒体による周知についてでございます。各支援制度について年末や年始が申請期限となっているものがあることから、できる限り区民に対して事前周知できるよう、中野区報の区長コラムや支援制度一覧を配布している区内スーパーなどでの注意表記、ツイッター、シュフー、LINE公式アカウントによる情報発信などクロスメディアによって注意喚起を工夫して行います。

 続きまして、配偶者暴力の件数及び対応についての御質問です。婦人相談で受けた女性への暴力に関する相談件数は、本年3月から10月までは455件ございました。昨年の同時期は418件であったため37件増加しております。最近3年間における婦人相談の件数は増加傾向で増加しており、現時点では新型コロナウイルスの影響は顕著ではありませんが、新型コロナウイルスの問題が長期化すれば、今後その影響が出る可能性があります。引き続き関係機関と連携し、解決のための助言などを行うとともに、緊急避難が必要な方の一時保護などを適切に行ってまいります。

 配偶者等の暴力に関わる相談体制についてでございます。必要な方が相談先にアクセスできるよう、分かりやすい周知が必要だと考えておりまして、ホームページの掲載方法など工夫をしてまいります。

 続きまして、旧中野刑務所正門についての御質問で、1点目に正門の価値についてでございます。文化財保護審議会の答申で述べられているとおり、旧中野刑務所正門は、後藤慶二の設計による唯一残された作品であり、我が国のれんが造り建築の技術的、意匠的到達点を示すものとして極めて重要であると認識をしております。また、関東大震災や第二次世界大戦の戦災をくぐり抜け残されたことも地域の遺産として重要であると考えております。

 続きまして、正門の保存活用計画についてでございます。旧中野刑務所正門の取扱い方針が決定し、予算の議決をいただいた後には、正門の保存活用計画について文化財的価値に基づく管理、修理、環境保全、活用等の整備を検討する予定でございます。策定に当たりましては、専門的な検討を要することから、建築の学識経験者を中心とした検討を行いながら進めてまいりたいと考えております。

 私からは最後に、正門の区文化財指定についてにお答えします。旧中野刑務所正門の区文化財指定につきましては、旧法務省矯正管区敷地の用地を区が取得し、旧中野刑務所正門の取扱い方針を決定した後に検討してまいります。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、まず、生活保護行政についてお答えいたします。

 初めに、高齢者居宅介護支援事業の目的でございます。高齢者居宅介護支援事業委託は2010年度の事業開始当初と同じ目的で現在も行っているものでございます。

 次に、高齢者居宅介護支援事業の対象となる割合でございます。高齢者世帯のうち、高齢者居宅介護支援事業の対象とした世帯は、事業開始年度であります2010年度は22%、2019年度は45%となっております。

 生活保護法第56条との関係でございます。条文にあるとおり、正当な理由がなければ既に決定された保護を不利益に変更されるものではございません。今回の事例では、支給済みの住宅更新料の返還を求めたことにつきましては、福祉事務所として事実把握に誤認があり、誤った返還請求を行ってしまったものでございます。既に返還請求を取消し、御本人には担当課長から謝罪を行っております。

 通知への専門員の名前の記載についてでございます。利用者の利便のために専門員の名前をケースワーカーの名前とともに記載をしております。保護の決定は区職員によって行われており、生活保護法第19条第4項に違反しているとは考えておりません。

 社会福祉主事でない専門員についてでございます。現業員には区の職員を配置しておりまして、委託事業者である専門員は福祉事務所の現業員ではないため、社会福祉法第15条及び第19条には抵触をしていないという認識でございます。

 偽装請負の疑いについてでございます。保護の決定を伴う調査につきましては、区の職員が直接行っているため委託の対象とはしてございません。収入申告書や賃貸契約書などの事務的な書類の受け取りは、区職員からの直接指示が必要でないため事業者に委託を行っているというものでございます。このことから本件委託は偽装請負ではないという認識でございます。

 新聞報道についてでございます。新聞で報道された内容につきましては、法人からの報告があり把握をしてございました。

 専門員の処遇についてでございます。専門員は受託法人に雇用されたものであり、その処遇については、法人と雇用される者との間で締結された雇用契約によるものと考えております。また、法人の事業報告書につきましては、今後確認をしてまいりたいと考えております。

 生活保護ケースワーカーに係る課題の対応でございます。適切な支援を行うためには、専門性と人員の確保や効率化が必要であると考えております。効率的で適切な生活保護行政の進め方につきましては引き続き研究してまいります。

 次に、医療的ケア児(者)の支援拡充についてでございます。まず、医療的ケア児(者)の継続した個々の状況把握と個々のニーズ把握についてでございます。医療的ケア児(者)の支援に当たりましては、個々の状況とニーズを把握することが重要と認識しております。医療機関等の関係機関からの情報提供や災害時個別支援計画の作成、障害福祉サービス等の申請に係る障害支援区分認定や勘案事項調査により状況を把握しております。サービス更新時の調査や関係機関等からの情報提供によりまして、個々のニーズについても把握を行っているところでございます。

 医療的なケアが必要な方への支援の拡充についてでございます。重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業や医療的ケアが必要な方を対象とした短期入所事業、生活介護事業、グループホームの設置など利用者の声を反映し、支援の拡充を図ってまいります。また、重症心身障害児や医療的ケアが必要な方に対しまして、地域において必要な支援を円滑に受けることができるよう、支援機関が有機的に連携し、対象者についての情報や支援内容を共有し、対象者、その家族も含めた総合的な支援を行うための医療的ケアコーディネーターの配置について検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、重症心身障害児(者)の判定基準でございます。重症心身障害児につきましては児童福祉法第7条第2項において、重度の知的障害者及び重度の肢体不自由が重複している児童と定義されておりまして、その判断基準としましては、障害の状態像は大島分類を根拠としているところでございます。

 次に、障害児通所給付決定に係る判断についてでございます。判断に当たりましては、障害の状況だけでなく、特に低年齢の児童の場合には、その方の特徴であったり、疾患等の状況も考慮しております。判断が困難な場合には、医師等に確認し、個別に判断をしているというものでございます。

 次に、重症心身障害児(者)レスパイト事業についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響による利用状況を踏まえ、今年度限りの対応として10月から年間利用上限を120時間に拡充したところでございます。今後も利用者の声や利用状況、感染の状況を注視しながら、引き続き必要な支援について区として検討するとともに、東京都にも意見を上げていきたいと考えております。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、実態ニーズ調査に基づく医療的ケア児等に関する支援拡充に関する御質問にお答えをさせていただきます。

 これまでも医療的ケア児等受入れ施設に対する報酬の見直しや施設の安定運営のための補助制度の充実等を東京都や国に求めてまいりました。今後も医療的ケア児の実態やニーズ把握に努め、必要に応じて東京都や国へ支援の拡充を求めてまいります。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 上高田地域のまちづくりについての御質問のうち、旧上高田小学校跡地の活用についてお答えいたします。

 旧上高田小学校跡地の活用につきましては、今後の小・中学校の改築を進める上で代替校舎としての活用を想定したところでございます。その点を踏まえ今後の区としての活用を検討しているところでございます。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、上高田五丁目公有地の御質問にお答えをいたします。

 現在取得済みの上高田五丁目用地につきましては都市計画公園として整備することを目指して令和3年度にかけて東京都と調整を行い、広域避難場所の機能充実等を図ることを考えているところでございます。公園整備を行う際は、地域の声を伺いながら丁寧に進めてまいりたいと考えてございます。

〔浦野さとみ議員登壇〕

○31番(浦野さとみ) 生活保護行政の高齢者居宅介護支援事業のところで再質問をさせていただきます。今回起きたAさんの事例で、生活保護法56条との関係でどうなのかということと、なぜ起きたのかということについては事実誤認があったということなんですが、もう1点、そのときに委託している区の責任についても質問をさせていただきましたので、もう一度区の責任のところについて、また事実誤認だけの問題だったのか、その点改めて答弁を求めたいと思います。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 再質問にお答えいたします。

 先ほどの答弁でも申しましたけれども、区として福祉事務所として誤った返還請求を行ったということで、区の責任があるということで担当課長が謝罪を行ったというものでございます。

 あと今回の返還請求に関しましては事実誤認があったというものでございます。

○副議長(平山英明) 以上で浦野さとみ議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時11分休憩

 

午後3時30分開議

○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。

 議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 伊 藤 正 信

 1 新型コロナウイルス感染症対策について

 2 新しい基本構想と基本計画策定について

 3 区の財政運営について

 4 教育行政について

 5 鍋横区民活動センターの施設整備について

 6 その他

 

○議長(高橋かずちか) 伊藤正信議員。

〔伊藤正信議員登壇〕

○33番(伊藤正信) 令和2年第4回定例会に当たりまして、自由民主党議員団の立場で一般質問をさせていただきます。

 先の見えないコロナ禍の状況においても感染リスクと向き合いながら、私たちの生活維持のために御尽力いただいている多方面の方々に感謝申し上げるとともに、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、罹患され闘病されている皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

 最初に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 東京都では警戒レベルを最大級に引き上げており、第3波と言われている新型コロナウイルス感染者数においては、本日も都内では570名の感染者が確認されており、1日の感染者では最多数を占めております。そういった報道が連日なされており、第3波はクラスター発生の状況も多様化しており、都市圏の歓楽街などを中心に感染が広がり家庭内感染も増え続けて、このまま放置すればさらに急速な感染拡大が起きるとの懸念が日に日に強まっております。これからいよいよ年末に向けて一層寒くなる季節であり、インフルエンザなどほかの病気の流行と同時に新型コロナウイルスへの対策を行っていくことが求められます。区民の皆様への引き続き3密回避やマスクの着用、手指の消毒、換気の徹底など基本的な感染対策の周知徹底を行うことはもとより、国や都の対策、動向をしっかりと見極めながら、先手先手を打って適切な対策を講じていくことが急務であると考えます。

 先ほども小林ぜんいち議員がこの質問をされていますけれども、何点か伺います。

 まず、中野区内における最近の新型コロナウイルス感染症の発生状況や傾向、今後どのような感染拡大防止のための対策が必要であると認識しているのか伺います。

 庁内には危機管理等対策会議や緊急経済対策室などの組織があると認識しておりますが、それぞれどのような開催状況や検討を行っているのか、現状について伺います。

 次に、区民生活を守る経済対策や政策の検証状況について伺います。コロナ禍といった誰も経験したことのない状況の中、区でも補正予算などにより様々な政策を適時適切に展開していくのは大変重要なことだと思いますが、一方でその検証がどのようにされているかが明らかではありません。検証なくして効果的な政策実施はできないと考えております。第3回定例会では、区長から、医療・生活・経済の三つの柱を掲げて取り組んできた対策の検証を行うことは今後より的確な対策を打ち出す上で必要であると認識しており、対策の実施状況と併せて事業の効果や実施のタイミングなども取りまとめていくとの答弁がありましたが、各政策、対策についてどのような検証を行い、どのような課題が見いだされ、それを新たな対策へとつなげていったのか。第3波、第4波が来ることを想定したどのような取組みを進めていくのか。考え方を伺います。

 次に、感染症対策、防疫業務の検討状況について伺います。新型コロナウイルス感染症に関する感染症防疫業務については、福祉推進課を事務局として検証委員会を立ち上げ、危機管理や公衆衛生の専門家にも来ていただき、疫学調査などの実績記録をもとに課題の抽出、対策等の検証を行っているとのことですが、そこではどのような議論がなされ、実効的な対策に生かされているのか伺います。

 次に、年末年始の対応について伺います。年末年始、多くの医療機関などが休みになる中で不安を抱えた区民に対して区はどのように対応していくのか。現在、区はコールセンターを設置していると思いますが、年末年始はどうするのか。きちんと区民の不安に応えられる体制を整えるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、保健所の体制も重要であります。年末年始にも多くの感染者が予想される中、保健所の役割も大きくなります。これまでも保健所で働く皆様に重い負担を長期間強いてきていると思いますが、保健所の皆様方には大いに感謝するところでありますが、このまま保健所に負担をかけ続けることはできないと思います。特に年末年始は区が総力戦で臨む必要があると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、感染が拡大することで医療機関が逼迫することが懸念されます。区民が安心して医療機関を受診するためには、医療体制が継続することが必要であります。国や都への働き方を含め、区はどのようなことをしていくのか伺います。コロナウイルス感染症はいまだ有効な治療方法が確立されないまま拡大を続けております。区民は不安を抱えたまま日常生活を続けている状態です。区民の不安を少しでも和らげるための取組みを続けていくことが重要と思います。

 次に、新しい基本構想と基本計画策定について伺います。

 第3回定例会では基本構想の改定検討素案が示され、10月18日から11月1日にかけて8回の意見交換会を実施すると報告されました。本定例会では意見交換会の結果などを踏まえ、基本構想検討案が示される予定となっております。区長は対話と参加の区政を進めるとしておりますが、意見交換会での区民の意見は、検討案にどのように反映されているのか。形式的に意見を聞いただけではないのか伺います。

 基本構想を実現するための基本計画についても骨子が示される予定となっております。骨子とはどのようなものなのか伺います。

 基本構想を策定するためには区議会の議決が必要であり、議決に当たっては基本計画の内容が事前に議会に示されることが必要であると考えます。骨子だけではなく具体的な中身が示されることが必要であり、1月に予定されている素案は予定どおりに示されるのか伺います。

 今後予想される厳しい財政状況下において、基本計画と同時に示される予定となっている区有施設整備計画は、区財政や区民生活に与える影響の面では基本計画以上に重要であるとも考えます。こちらも予定どおりに示されるのか伺います。

 一方で、区は構造改革を進めるとしております。17日の総務委員会での報告によると、令和3年度からおおむね3年間で取り組む構造改革実行プログラムを基本計画と同じ来年8月に策定することとし、その案を6月に示すとしております。基本計画素案の報告は1月を予定しております。構造改革の内容が示される前に基本計画の素案が示されるスケジュールとなっているが、基本計画素案には構造改革の内容は盛り込まれないということなのか。基本計画素案と構造改革実行プログラムの関係性について伺います。

 次に、区の財政運営について伺います。区は、来年度の予算編成に当たって、一般財源の歳入見込みを今年度当初予算と比較して92億円の減収とし、基準となる一般財源規模を今年度の750億円から一気に687億円まで下げ、経常経費を20%削減するという目標を掲げております。20%削減といっても、区民生活に影響がある経費の削減は許されません。行政にある無駄、無理、むらを削減することを優先するべきと考えております。区長はどのような考えで予算編成を進めているのでしょうか、伺います。

 今年度、行政評価が抜本的に見直され、その結果が第3回定例会で主要施策の成果として示されました。行政評価の見直しの目的は、事業の効果を測定し、事業の継続、改善、統廃合などを判断し、翌年度の予算編成に反映することだと思いますが、第3回定例会でその結果が報告されて以来、どのように予算編成につながっているのか全く動きが見えません。厳しい財政状況の中、新しい行政評価にどのような考えで取り組んだのか。また、その結果をどう来年度の予算に反映しようとしているのか伺います。

 厳しい財政状況の中、歳入確保は重要な取組みでもあります。特に基幹収入である特別区民税の収入率向上対策はより強化が必要であります。昨年度の特別区民税の収入は95.9%で、率は平成30年度と同じだったものの、23区順位は22位と20位から下がってしまいました。今年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により徴収業務は困難な状況にあると思いますが、今年度の見通しはどうなのか。また、来年度はどのような目標を立てて、どのような取組みを考えているのか伺います。

 次に、教育行政について伺います。

 学校給食における食中毒について伺います。10月12日から22日にかけて区立小学校において公表の時点では105名の児童などが発熱、腹痛、下痢などを発症しました。このたびの集団食中毒は、中野区政始まって以来の大きな事件であり、事故であると考えます。多数の発症者が確認でき、検便からカンピロバクターが検出されました。さらに、大半の患者は発熱、下痢、腹痛を主とする症状であり発症時間に一峰性が見られたこと、発症者の共通食は給食のみであったことから、保健所は学校が提供した給食を原因とする食中毒と断定し、区は10月29日から11月4日まで7日間の食事の供給停止の行政処分を行いました。10月15日、16日、17日にかけて児童の欠席者が多いと19日の月曜日に学校から教育委員会に連絡があったようですが、教育委員会としてはどのような対応をされたのか。学校、保健所も同じ情報を共有していながら、なぜ原因を追求しようと思わなかったのか。関係者の中で誰一人集団食中毒の疑いがあるのではないかとの想定をされなかったのか伺います。初動対応が遅かったことによって、集団食中毒の被害の全容を把握することが難しくなったのではないでしょうか、伺います。

 今後、このような食中毒事故がないように、再発防止に努めることや、学校、教育委員会、保健所などとの連携、協力体制を強化し、迅速に対応できる仕組みを再構築することが重要であります。今回の事故は教育委員会の指導力不足や機能の低下があらわれているのではないでしょうか。学校現場の情報を把握することや学校長との密な連絡を取ることが必要であると考えます。

 改めて言います。このたびの集団食中毒の発生に関しては、中野区政始まって以来の大変大きな事件であり事故であると思います。教育長として、保護者と児童の皆様に対しておわびのメッセージをホームページで発信しておりますが、1週間しか掲載されておりません。しかし、区長は、ふだんから食の安全や食育の大切さなど子育て先進区とうたっていながら、また、学校設置者としての責任、学校給食調理業務委託をしている責任、給食の栄養業務委託をしている責任など最高責任者であるにもかかわらず、何らメッセージやコメント、謝罪は記者会見などで発信されておりません。不都合を隠蔽しているとしか思えませんし、何もしていないことが大問題であると思います。せめてこの場で説明責任を果たすべきと考えます。いかがでしょうか、お答えください。

 最後に、鍋横区民活動センターの施設整備について伺います。

 鍋横区民活動センターは、令和2年3月に基本計画策定、令和2年度から3年度で基本設計、実施設計策定、令和5年度開設予定でした。地域の建設検討委員会の要望書には、鍋横らしさを一番の理念として掲げ、鍋横のど真ん中の立地条件や商店街の買物帰りのお客さんも気軽に立ち寄れ、多世代が集うセンターにしてほしいとされております。基本計画案に対し、高齢者施設の整備がふさわしいのかどうか。区民活動センターの規模や施設の配置など様々な意見があり、地域の合意が得られなかったことや新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今後の予算執行においては歳出抑制に向けた取組みが必要となり、令和2年度以降に実施を予定していた整備における基本計画の策定を当面見合わせ、また、その後に予定していた基本設計及び実施設計を行う時期については見直しをされました。見直しをすることを区は地域に対してどのように説明され、地域からはどのような意見があったのか伺います。

 現在の基本計画案では、1階から3階の区民活動センター用エレベーターと4階から7階の高齢者福祉施設専用のエレベーターが2基設置されており、非常用階段も別々に設置されております。そのために区民活動センターの床面積が狭くなっており、各階では十分なスペースがありません。特に1階には区民コーナー、地域交流スペースを設けて、イベントや展示やカフェもできる地域の集いの場であることによって活気が外にあふれて気軽に立ち寄ることができる区民活動センターにしてほしいと思っております。施設整備の基本計画案にある地域包括支援センター、障害者相談支援事業所の機能と高齢者福祉施設の整備をすることを根本的に見直していかなければならないと思います。他の民間活力の活用も踏まえるとともに、地域の方々が納得できるようにしてほしいと考えます。今後、鍋横区民活動センター施設整備はどのように検討され、どのような計画と見通しになるのか伺います。

 鍋横地域では、現在でも鍋横区民活動センター運営委員会や地元商店街などが中心となって、見守り支え合い活動や地域の活性化に寄与するイベントなどの取組みが行われております。新たな施設整備により、これらの活動がさらに活発になり、地域活動、自治活動に参加する方が増えることも期待されております。

 次に、当該地は中野警察署駐車場として貸し出しをしておりましたが、施設が整備されるまでの間はどのような活用を検討されていくのか。以前は民間に駐車場として貸出しし、利用率も高く、貴重な区の収入となっておりました。区有地活用として、また、鍋横商店街の利便性を高めるためにも、民間に駐車場とするなど貸出ししてはいかがでしょうか、伺います。

 最後に、現在の鍋横区民活動センターの跡地の活用はどのように検討されているのか。基本計画案に示されている福祉施設の整備や鍋横保育園を民営化するなど民間の活力を活用する施設整備をすることを考えてはいかがでしょうか、伺いまして、私の一般質問を終了いたします。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。

 1点目に新型コロナウイルス感染症対策について、区内の感染状況と今後の対策についてでございます。11月25日に開催された新型コロナウイルス感染症対策を検討する政府の分科会は、感染者の急増を示すステージ3に相当するとして極めて深刻な状況となっております。中野区の状況も11月以降は感染拡大しており、年齢層の拡大や感染経路不明の割合が上昇し、50%に到達する状況になっております。区としては、区民の健康や病床利用率、重症者数の増加を注視しつつ、区民の健康や生命維持のために防疫体制や医療調整に取り組んでまいります。流行状況は変動するため予測は困難ではございますが、都の動向と合致をしているため、今後も都のモニタリング会議や厚生労働省のアドバイザリーボードの分析結果を注視してまいります。

 続きまして、感染症対策に関する各会議等についての御質問です。危機管理等対策会議は、原則週1回の定例会議に加えて必要に応じて臨時に開催をし、感染症対策など全庁的に検討を要する事項について協議を行っております。新型コロナウイルス感染症緊急経済対策室は、経済対策及び生活支援の政策の総合調整を行う組織体制でございます。適宜調整業務を行っております。

 続きまして、対策の検証についてでございます。危機管理等対策会議におきましては、感染状況やそれまでの対策に係る課題を共有しながら協議を行っており、その時点の感染状況を注視しつつ、感染拡大防止と経済再生の両立を図る対策の検討を進めてきたところでございます。現在の感染状況におきましては、家庭内感染や3密になりやすい会食の際の感染リスクが高いと捉えておりまして、感染拡大防止の啓発とともに、感染した場合のサポート体制を整備する必要があると考えております。特に年末年始にかけて人の移動や会食が増えることが想定されますので、区として区民に対する広報活動を強化するとともに、関係機関等との連携を強化し、迅速かつ適切な対策を講じてまいります。

 検証委員会での検討状況についてでございます。新型コロナウイルス感染症のいわゆる第1波における公衆衛生の逼迫等を受け、健康福祉部では7月31日に危機管理を専門とする大学准教授や公衆衛生を経験した医師、看護学の元大学教授からなる検証委員会を立ち上げました。新型コロナウイルス発生から第1波と言われる5月下旬までの中野区での対応について、保健所や健康福祉部を中心に保健師など現場職員の聞き取りを含めた状況について検証し、改善に向け検討を行っております。委員の日程や業務状況の関係で十分な検討時間が確保できず、現在も検討途上でありまして具体的な対策を提案するには至っておりません。

 次に、年末年始の体制についての御質問です。東京都の発熱相談センターは、年末年始も回線を増設して対応を予定しているところでございます。区の保健所におきましても、12月29日から1月3日までコールセンターを開設するほか、職員が出勤し医療調整等を行うなど体制を整えてまいります。

 次に、区の新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。特に、区内には入院受入れを行う重点医療機関が少ないことから、新宿区、杉並区の西部圏域の医療機関や隣接圏域の医療機関に優先的に受入れ調整を行ってきたところでございます。しかしながら、都内全域の急速な患者数の増加に伴って東京都における広域調整や軽症者には宿泊療養及び安定している方の一部は自宅で療養していただくことが必要な状態となっております。区民が安心して医療にかかることができるよう、病床や宿泊施設の確保について国や都へ引き続き働きかけてまいります。

 続きまして、新しい基本構想と基本計画策定についてのうち、意見交換会における区民意見の反映についてでございます。意見交換会におきましては、御参加いただいた方のうち多くの方に御発言をいただき、今後の区政運営に当たって参考になる意見も多く、区民との対話という意味においてもとても有意義な機会になったと考えております。意見交換会に限らず、メールなどで頂いた意見や関係団体からの意見も含め全ての意見について全庁的な検討を行った上で、基本構想検討案に反映をしたところでございます。検討案に反映しなかった意見についても、事業の実施等において必要に応じて生かしていく考えでございます。

 続きまして、基本計画の骨子についてでございます。基本計画骨子は、基本計画素案に掲載することを予定している項目に沿って、各項目の概要を示す資料として作成しているところでございまして、基本計画の概要、策定の背景、政策、施策、重点プロジェクト、区政運営方針などについて記載をする考えであります。政策、施策については、基本構想改定検討素案で描くまちの姿に沿って20の政策のもとに56の施策として体系化をし、各施策の方向性を示すとともに、組織を横断する重点プロジェクトを設定する考えでございます。

 続きまして、基本計画と区有施設整備計画の予定についてでございます。基本計画は、基本構想で描くまちの姿を実現するための政策、施策の方向性や主な取組みを示すものであり、区有施設整備計画はその方向性に基づいて、区有施設の整備、更新、再編、配置の方針を示すものでございます。両計画は一体的に策定を進めていく考えでございまして、これまで示してきたスケジュールのとおり、来年の第1回定例会で基本構想の議案を提案する前に、1月に素案としてお示しする考えであります。

 次に、基本計画素案と構造改革実行プログラムの関係性についての御質問です。基本計画におきましては、区政全体を運営していく5年間の方針として区政運営の基本方針を示す予定でございます。構造改革の基本方針の趣旨を踏まえ来年1月に素案を示す考えであります。構造改革につきましては、区政構造改革の基本方針及び区政運営の基本方針を踏まえて令和3年度からおおむね3か年で施策、施設、組織の再編に集中的に取り組む構造改革実行プログラムを策定するものとして、来年6月に案を示す考えでございます。基本計画と構造改革実行プログラムは、内容の整合性を図った上でともに来年8月に策定する考えでございます。

 続きまして、予算編成の取組み方についての御質問です。予算編成に当たりましては、区民の意向やニーズを的確に捉えるとともに、既存の取組みの効果の検証、各種データ分析等から区の課題を把握し、その課題解決に向けた政策を形成していくことが必要だと捉えております。厳しい財政状況が見込まれる令和3年度の予算編成においては、より精度の高い検討を進めていく必要があると考えております。持続可能な区政運営の実現や厳しさを増す財政状況を見据え、構造改革の観点から事業の効率化・合理化の検討を進める中では、まず区自らが区政を進める上での無駄、無理、むらの解消、改善を図ることが必要でございます。その上で区民生活を支える目線を持ちながら、対応すべき課題を整理し、選択と集中を図り、必要な事業に財源を投入していく考えでございます。

 続きまして、新行政評価による結果の予算編成の反映についての御質問でございます。新行政評価制度におきましては、内部評価について事業の効果を有効性、効率性、適正性の観点から総合的に評価し、評価は当該年度のほか、前年度、前々年度の事業結果も含めて行うものとすること。また、効果を測定する指標については事業結果を示す指標とコストを示す指標とし、二つの指標を合わせて事業効果を測定するよう制度見直しを行ったところでございます。主要施策の評価の対象事業につきましては、将来の区の財政状況を踏まえて事業の課題を浮き彫りにできるよう、事業結果とコスト等の指標設定をすることとして多角的な分析評価を実施いたしました。当該分析と評価につきましては、その後の構造改革をはじめ、令和3年度予算編成の検討資料として活用しております。

 続きまして、特別区民税の今年度の収入率の見通し、来年度の目標と取組みについての御質問でございます。収入率の向上策として、今年度から督促状の発送時期を納期限後30日から20日に早めたこと、納税案内センター業務の拡充による財産調査の強化、督促状、催告書などの送付に併せ、ショートメッセージを活用した納付勧奨などに取り組んでいます。新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって徴収業務は困難な状況にありますが、9月末現在、特別区民税の収入率は前年度同期と比べ0.55ポイント増加し、23区中現在18位となっております。来年度については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を最小限にとどめ、歳入を確保することを目標とし、今年度までの取組みをさらに強化するとともに、キャッシュレス収納環境を拡充し、新たにスマートフォン決済の導入、クレジットカード決済範囲の拡大を行うなど収入率の向上に取り組んでまいります。

 続きまして、教育行政について、学校給食における食中毒についての区長の説明責任についての御質問でございます。今回の食中毒については、起きてはいけないことを起こしてしまい、保護者の皆様、特に児童の皆様につらい思いや御迷惑をおかけしたことについて、学校設置者の区長として大変遺憾であるとともに深く反省しているところでございます。食中毒の再発防止の対応につきましては、教育委員会が中心となって学校給食における食中毒事故検討会議、これを設置し、徹底した再発防止策を検討することとしておりますが、区としても最大限協力するとともに、再発防止策を区全体で共有し、二度とこのような事故を起こさないように努力してまいりたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 学校給食における食中毒についての御質問にお答えいたします。

 欠席児童が増加し始めました10月15日、16日の時点で学校は学校医に相談をしておりますが、教育委員会、保健所への情報提供に至っておらず、対応の遅れにつながったと考えております。また、教育委員会におきましても、食中毒の可能性も含め保健所と連携すべきでございましたが、情報共有ができておらず、そのことも対応の遅れの一因だったと認識してございます。学校、学校医、保健所、教育委員会等との連携協力体制については、学校給食における食中毒事故検討会議を立ち上げ、この中で初動体制の判断基準などを明確にし、迅速に対応できる仕組みを構築するなど、しっかりとした体制をつくってまいりたいと存じます。

〔地域支えあい推進部長鳥井文哉登壇〕

○地域支えあい推進部長(鳥井文哉) 私からは、鍋横区民活動センターの施設整備についての御質問にお答えを申し上げます。

 まず、地域に対する説明と頂いた御意見についてでございます。今年度実施予定としてございました鍋横区民活動センターの基本設計及び実施設計の執行時期の変更につきましては、今年の9月に施設検討委員会委員への説明を行ったところでございます。その際、執行時期の変更に対する御意見はございませんでしたが、併設する施設等について御意見をいただいたところでございます。

 次に、施設整備の検討状況と計画の見通しでございます。今後、地域の御意見を踏まえまして、併設する施設の考え方や区民活動センターの整備内容を見直しまして整備を進めていきたいと考えております。

 建設予定地の活用についての御質問でございます。地元商店街からは、民間駐車場として貸出しをしてほしいとの御要望をいただいているところでございます。こうしたことを踏まえまして、新しい区民活動センターの工事が着手されるまでの間、未利用地として活用してまいりたいと考えてございます。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 鍋横区民活動センター跡地の活用についてお答えいたします。

 現在の鍋横区民活動センターは鍋横保育園を併設しております。新施設移転後も当面の間現施設を残す想定としてございます。現施設の駆体の状況や立地条件なども踏まえまして、活用の方法の検討を行っておりまして、児童や介護、障害施設などへの転用も候補としているところでございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 斉 藤 ゆ り

 1 「子育て先進区」における予算編成について

 2 次世代育成委員と学校支援ボランティア制度について

 3 野方駅以西の西武新宿線沿線まちづくりについて

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、斉藤ゆり議員。

〔斉藤ゆり議員登壇〕

○7番(斉藤ゆり) 令和2年中野区議会第4回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問いたします。質問は通告のとおりで、その他はございません。

 [1]最初に、「子育て先進区」における予算編成についてお伺いします。

 新型コロナウイルス感染症により、区財政は大きな影響を受けることは確実です。来年度の予算編成に当たっては、全庁で事業を見直し、経常経費一律20%の削減を図っているところです。言うまでもなく人を育てることは社会の責任です。事業見直しの中で、教育の効果は客観的な論拠を見いだして数字として評価するのになじまない側面がありますが、教育費も一律の削減とするのでしょうか。未来を生きる子どもたちのために、こうした教育を実施していくのだという方針を持った教育予算を確保してこそ子育て先進区中野です。予算編成も詰めの段階となりました。改めて区長の考えをお聞かせください。

 10月16日に教育委員会にて可決された「令和3年度に向けた教育予算編成に向けての基本姿勢について」によると、重点課題として、授業改善、GIGAスクール構想に基づくICT環境の構築、学校支援等が挙げられています。昨年実施された中野区子どもと子育て家庭の実態調査によると、塾に通っている児童・生徒の状況は、小学校5年生で57.5%、中学校2年生で55.7%、ともに半数を超えています。学校以外での学びの場を否定するものではなく、塾に通う理由も家庭により様々ではありますが、全ての子どもたちにとって塾ありきではない学校教育こそが義務教育の本来のあるべき姿だと考えます。授業改善に取り組まれるとのことですが、原則として基本的な学習内容習得は塾に行かなくても学校教育の中で進めるべきです。見解を伺います。

 GIGAスクール構想は、今後予算の中で大きな割合を占めます。先行して端末配備をしている渋谷区などにはICT教育担当係が設置されています。中野区においても、かねてより申し上げているとおり、滞りなく業務が進むよう、教育委員会に専任の担当が配置されることは必要不可欠だと思います。その後の御検討はいかがでしょうか。

 ICT機器はツールです。機器を配備しても活用できなければ意味がなく、どのように使うかが大切です。端末が活用できるデジタル教材配備がセットで必要と考えますが、配備検討について状況をお聞かせください。また、個別に最適化された学びは対面とデジタルとバランスを持つことが必要です。教員の教材研究の研修も含め活用が進められていきますよう望みます。

 昨日も同僚議員が取り上げていましたが、来年度より幼児施設等にて発達に課題のある特別な配慮がいる子どもに対し、保育所等訪問支援の事業が新規でスタートします。実際に発達に課題があると認定された子どもには、保護者了解の後、支援が実施されますが、一方で発達に課題が感じられても、保護者未了解、また、行動上の課題はあっても保護者への家庭環境指導など適切な対応によって改善が可能なケースがあり、こうしたケースが制度の網からこぼれてしまわないようにする必要があります。就学前に適切に対応されるかどうかは、その後のその子の育ちに大きく影響します。園や保育士支援の観点からも、幼児施設等への新たな巡回の仕組みを考えることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 みなみの小学校、美鳩小学校の新校舎が完成し、9月から供用が始まりました。教育環境を整えることの大切さを改めて実感したところですが、一方で、新校舎整備には1校当たり40億円以上の多額の費用が必要だということは認識しなければなりません。これから再編対象校以外の学校施設整備が始まります。今年に入り、新型コロナにより区財政が厳しくなるとの説明で、区は中野本郷小学校の新校舎整備への準備を一旦止めました。中野本郷小学校は保護者をはじめ、地域との調整を重ね、基本設計、実施設計の段階まで来ていました。これから再検討される整備スケジュールでは最優先して取り組まれるべきですが、いかがでしょうか。そもそも毎年2校ずつ新校舎整備が組まれていた学校施設整備計画自体に変化する社会情勢に対応する余裕がなかったのではないでしょうか。今後はそうした状況も考慮してスケジュールを組むべきです。区のお考えをお聞かせください。

 次に、次世代育成委員と学校支援ボランティア制度についてお伺いします。

 次世代育成委員制度は平成20年に設置され、中学校区ごとに数人の委員が配置され、地域における子育て・子育ち支援活動、家庭、地域及び学校の連携を促進することを目的に活動しています。この委員がどのような活動をしているのか分かりにくいため、元次世代育成委員として論点を整理してから質問に入ります。

 次世代育成委員の活動には大きく三つの側面があります。一つ目は、育成支援に関する活動です。児童館行事の手伝いや青少年育成地区委員会ほか様々な子育て支援団体の活動に協力するなど、次世代育成のための直接的な活動です。区の子育て施策に課題を感じた場合は、行政に対して意見を表明することもできます。

 二つ目は、児童館や学校で気になる子どもや家庭を見つけたり、相談を受けたときに関係部署につなげるなど、要支援者に対するアウトリーチ的活動です。要保護児童サポート会議へ出席もします。

 三つ目は、学校支援に関する活動です。学校やPTAからの要望を受け、人材の紹介や校外活動支援等を行います。昨今学校を取り巻く課題は多く、地域と学校はパートナーとして連携・協働していくことが求められており、その窓口の一つが次世代育成委員であるとも言えます。

 そして、以上の三つの役割のための横断的な活動として、校区ごとの地区懇談会の開催があります。小中高の学校長、PTA、幼児施設、町会の代表者、子ども関連委員などが一堂に会する貴重な機会で、通常は年に2回程度開催されます。学校再編を控えた地域で、校区を超えて合同で開催したり、地域防犯をテーマに取り上げ、パトロールなど実践的な取組みにつなげるなど多くの実績が生まれています。そこの地域に次世代育成委員がいることで人と人とがつながります。地域の潤滑油にもなっています。他自治体の例を見ても地域に根付いたこうした育成委員の活動例はあまりなく、中野区ならではの制度です。

 以上を基にお伺いします。

 まず、この活動に全て取り組もうとすると、1人当たり大変な活動量となります。今期は欠員が3名も発生しています。地域や委員個人によって活動に差が出ている状況があります。活動内容が整理されていない部分があるのではないでしょうか。委員の活動が円滑に進むよう、研修等で分かりやすく活動事例を示すなどの工夫や区民にも周知されるよう広報にも力を入れるなど、区には一歩進んだサポートを求めたいと考えますが、いかがでしょう。

 次に、今後進めていく全世代型地域包括ケアシステムにおいて、次世代育成委員のネットワークはアウトリーチの部分で極めて大きな力となるのではないかと考えます。次世代育成委員は、子育てについて、相談先はどこになるかとの相談を受けたりもします。現在出されている子どもと子育て家庭を取り巻くネットワーク相談体制イメージ図には、次世代育成委員の名のみが書かれていますが、次世代育成委員の在り方をシステムの中でどのように位置付け、どのような役割を求めていくのでしょうか。こちらは部課を超えた検討が必要と考えますが、見解を伺います。

 そして学校支援において、次世代育成委員には学校支援ボランティア制度のコーディネーターという役割が示されています。こちらの質問の前に、学校支援ボランティア制度について現状の確認をさせてください。

 まず、新規登録者について。現在区のホームページにボランティアの募集要項が掲載されていますが、実際に教育委員会に直接新規に登録を求めた方は、平成30年度は1人、令和元年度は4人のみです。また、運営に関しては中学校区ごとに学校長やPTA会長を委員とした調整のための学校支援会議が開かれることになっていますが、この会議体は10校区のうち、平成30年度は6校区、令和元年度に至っては4校区しか実施されていません。さらに、事務方についてですが、マニュアルによると、この体制を支えるに当たり、区の学校地域連携担当の職員が学校側の運営事務等を担うことも想定されていますが、機能していない学校もあります。次世代育成委員はコーディネーター役であるはずなのに、ボランティア登録者名簿を見ることができません。それでは、地域人材の学校での活用ニーズが全くないのかというとそうではなく、令和元年にてボランティア登録者265人、ボランティアの数ではなく地域人材ニーズという観点での数字になりますが、学校における授業等で活動された地域人材の人数は、同年小・中学校合わせて延べ7,000人以上にもなります。人材は学校が独自のルートで探されていることが多いのです。つまり、ニーズや実績はあるのに制度がうまく機能していない事実がここにあるのです。私自身、小・中学校で学習支援のボランティア活動をしていましたが、子どもたちは地域の方々との交流により豊かな体験をしている様子を存じております。ここで学校支援、地域で学校を支えることについて考えることが必要になってきます。

 国は平成29年に、令和4年度までに保護者や地域住民が学校運営に参画する仕組みである学校運営協議会の設置を努力義務化し、地域と学校が連携協働し、地域全体で子どもたちの成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動が全国的に推進されるよう社会教育法を改正しました。学校運営協議会が置かれたコミュニティスクールについては、以前、民主党時代の会派で取り上げましたが、今後基本的には学校は国の方針により地域とともにある学校へ転換していくと考えられます。

 確認してきたとおり、中野区の学校支援ボランティア制度や次世代育成委員の学校支援活動の目指すところは、まさに地域学校協働活動です。この地域運営協議会制度、地域学校協働活動の詳細についての議論は他に譲ることにいたしますが、今後、中野区ではどのように取り組まれる予定なのか、検討状況についてお伺いします。

 現在の学校支援ボランティア制度は今の状態では形骸化していると言っても過言ではない。再構築をされた方がよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。次世代育成委員に対しても一層の支援が必要です。

 この項の最後になりますが、今後、これまでPTAや町会などで活動していた女性も高齢者も一層就業率が上がり、地域の担い手が少なくなっていくことが予想されます。20年以上前になりますが、中野区にはおひさまCOCOさんという地域リーダーを育むすばらしいプログラムがあり、その卒業生の多くはPTAや育成委員、その他地域リーダーとして活躍されました。地域の担い手としての人材は一朝一夕で育っていくものではありません。地域は、施設などハード、「モノ」と、会議体や祭りなどのソフト、「コト」と、そして各種団体や「人」で成り立っています。三位一体となって地域が成り立ち、そこの真ん中にみんなの学校がある。その中で地域をコーディネートする役割は要となります。地域で学校を支えていく取組みを進めるに当たり、中長期的な視点を持って地域で活動してくださる人材育成について検討されるよう提案をします。いかがでしょう。

 最後に、野方駅以西の西武新宿線沿線まちづくりについてお伺いします。現在、野方駅以西については、着工準備採択を受けて事業化に向けて進んでいます。中野区では今年度、西武新宿線沿線まちづくり整備方針「鷺ノ宮駅周辺地区編」「都立家政駅周辺地区編」が策定されました。まちづくりについての計画を確実に進めるために、西武新宿線連続立体交差事業の構造形式の決定が待たれるところです。地下化なのか、高架化なのかによってまちの様子は大きく変わります。構造形式の決定や公表について、その後、都へどのように働きかけていらっしゃるでしょうか。

 また、野方駅周辺地区の整備方針についての策定準備はいかがでしょうか。こちらの地区では、野方第1号踏切の除却が課題となっています。東京都との意見交換は進んでいるのでしょうか。

 鷺ノ宮駅の南西に約5万3,000平方メートルにわたり広がるJKK(東京都住宅供給公社)鷺宮西住宅は築約60年となり、老朽化が進み、自治会は早期の建て替えを区にも、都やJKKにも要望されています。建て替えはJKKの事業ですが、この土地は広域避難場所でもあり、防災拠点としての整備も必要です。建て替えには区が幅員6.5メートルの接続道路を設置することを望まれているとも聞いています。区とJKKと今後双方でどのような役割を持ち進めていく予定でしょうか。

 鷺ノ宮駅周辺地区については、主体の異なる事業が多数予定されています。鷺宮のまちの姿が大きく変わっていくことが予想されます。まちづくりというのは、そこに住む人々の人生をも変えるという重い大きな事柄です。戦後の都市基盤を整備していく時代からフェーズが変わっています。防災や環境、経済や公共性などの多様な観点から、住民参画によりまちづくりが進められ、機能面だけではなく景観も重視してまちをデザインしていくことが期待されます。昨年2月に住民団体、鷺宮小学校跡地を考える会から跡地利用についての要望書が出されています。今後区民とともにまちづくりが進められ、整備に関する情報は広く正確にタイムリーに出されるよう強く要望いたします。区の見解を伺います。

 以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 斉藤議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、子育て先進区における予算編成において、子育て先進区に係る予算の確保についての御質問でございます。厳しい財政状況の中におきましても、必要な区民サービス等に対しては財源を投入し推進していく必要があると考えております。子育て先進区としての良好な子育て、教育環境の実現に向けて適時適切な予算措置を行ってまいりたいと思います。

 次に、ICTの環境整備についてでございます。GIGAスクール構想の実現に向けて必要となる体制については、来年度の区全体の組織や定数の検討を行う中で必要な人員を配置できるよう検討しているところでございます。

 続きまして、保育所等訪問支援の対象にならない子への支援についてでございます。来年度から実施が予定されております児童福祉法の保育所等訪問支援では、発達に課題があっても保護者が了解していないケースや、家庭での養育に課題がある子に対してはサービスの対象にはなりません。このため区では、保育所の運営支援の一環としてソーシャルワーカーである(仮称)地域連携推進員が区内の保育所を訪問して、各家庭の状況や子どもの発達状況に応じた助言等を行うとともに、必要な支援やサービスにつなげる事業を検討しているところでございます。

 続きまして、次世代育成委員へのサポートについてでございます。次世代育成委員は、2008年に発足して以来、多くの方にその委員として御尽力いただき、区としても心から感謝をしておるところでございます。次世代育成委員への期待は多くのものがあり、その期待に応えていただき、区としてもそれを伝えるため周知に努めてまいりましたが、いまだ十分に浸透していないことは課題と考えております。今後も次世代育成委員の皆さんがスムーズに業務を行っていけるように、その活動をサポートする研修等を実施していくとともに、その活動を伝えるための区民への周知方法を工夫して行ってまいりたいと思います。

 続きまして、包括ケアにおける次世代育成委員の位置付けについてでございます。次世代育成委員は、地域人材の活用の状況に精通しており、地域包括ケアシステムを構築、運営していく上で重要な役割を担っていただいていると考えております。子どもと子育て家庭を対象とした地域包括ケアシステムの構築に向けて、次世代育成委員をはじめ、児童館、すこやか福祉センター、子ども・若者支援センターなどの関係者の具体的な役割について分かりやすくお示しできるようにしていきたいと考えております。

 続きまして、野方以西の西武新宿線沿線まちづくりについて。まずは、野方以西の連続立体交差事業についてでございます。過年度に区が実施した検討においては、高架方式の優位性が高い結果となっておりますが、構造形式については事業主体である東京都が選定するものでございます。また、構造形式につきましては、都市計画の素案の段階で東京都から説明されると聞いております。区としては構造形式にはとらわれることなく、一日も早く連続立体交差事業が実現するように、関係機関と協力しながらまちづくりを進めてまいります。

 続きまして、野方駅周辺地区のまちづくりについてでございます。野方駅周辺地区のまちづくり整備方針につきましては、今年度素案を地域にお示しできるように検討を進めております。また、野方第1号踏切の除却については、鉄道事業者に依頼し、除却に向けた技術的な実現可能性の検証について調査検討を進めるとともに、事業の枠組みについて関係機関と意見交換を進めているところでございます。

 公社鷺宮西住宅一帯における防災機能強化に向けた区と東京都住宅供給公社の役割についてでございます。本年4月に策定した鷺ノ宮駅周辺地区のまちづくり整備方針において、公社鷺宮西住宅一帯における広域避難場所の機能強化については、オープンスペースの確保や補助第133号線から広域避難場所へ接続する道路の整備等、防災機能の強化に向けてまちづくりの検討を進めているところでございます。公社鷺宮西住宅は、東京都住宅供給公社の平成31年改定の公社一般賃貸住宅の再編整備計画において順次建て替える計画となっております。一方、区は、東京都住宅供給公社の再編整備計画と整合性を図って広域避難場所の機能強化に資するまちづくりルールの導入や土地利用の誘導、道路の整備など関係機関と調整しながら進めてまいります。

 最後に、鷺ノ宮駅周辺地区のまちづくりの情報発信についてでございます。鷺ノ宮駅周辺のまちづくりは、本年策定した鷺ノ宮駅周辺地区のまちづくり整備方針を踏まえて進めてまいります。具体的には、駅前広場整備など区が進める事業におきましては関係機関と調整を図り、今後まちづくりの進捗状況に合わせて地域の皆様と意見交換を行うなど、適宜適切な情報提供を行いたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、子育て先進区における予算編成のうち、まず塾に行かなくても済む学校教育についての御質問にお答えをいたします。

 各校では児童・生徒の人間としての調和の取れた育成を目指し、学校教育の中で学習指導要領に示されている目標が児童・生徒に達成できるよう教育課程を実践しております。区として、一人ひとり状況の異なる児童・生徒に対して少人数指導や補充教室等を実施し、その学びを支援しているところでございます。今後1人1台端末が実現し、様々な学習アプリをより広く活用していくことができるようになることで、学校や家庭での一人ひとりの状況に応じた学びがさらに充実していくものと考えております。

 次にデジタル教材の活用についての御質問ですが、新型コロナウイルス感染症対策として家庭での学びを支援するためにドリル形式の教材を導入しております。ドリル形式の教材は、自習や復習に有効であることから、次年度についても今年度と同様の教材を導入していくことを考えております。

 次に、中野本郷小学校の整備スケジュールについてでございます。各学校施設の改築時期や順序につきましては、施設の建築年数や代替校舎の利用状況とともに、児童・生徒数の動向や地域事情等を総合的に勘案しまして判断していくこととしております。中野本郷小学校の改築につきましても、これまでの経緯等を踏まえて整備スケジュールを検討してまいります。

 次に、今後の新校舎整備スケジュールについてのお答えをいたします。複数校の改築が集中することになる単年度当たりの過度な経費負担を避ける必要があること、また執行体制確保のことなどから、今後の新校舎整備は原則として1年につき1校の工事着手としていく考えでございます。また、社会情勢の変化にも対応できるよう、小・中学校施設整備計画は5年ごとに見直しを行いたいと考えているところでございます。

 次に、次世代育成委員と学校支援ボランティア制度についての御質問のうち、学校支援ボランティア制度の見直し、学校運営協議会制度、地域学校協働活動の検討についてお答えをいたします。区ではこれまで学校支援ボランティア制度を基本として、家庭、地域、学校が一体となり、地域ぐるみで子どもたちを育むとともに、地域に開かれた特色ある学校づくりを進めてまいりました。学校と地域が目標やビジョンを共有し、連携、協働して子どもたちを育む取組みとして、今後は学校運営に保護者や地域の方が参画する「学校運営協議会制度」と教育活動を保護者や地域の方に支援していただく「地域学校協働活動」を一体的に推進することが必要と考えております。令和3年度に中野区としての学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティスクールの考え方や導入手順の検討とともに、学校支援ボランティア制度など関係する現行制度の見直しを行い、地域や関係団体等に御説明し、御意見をいただいた上で計画的に導入を図ってまいりたいと考えております。

 最後に、地域の担い手の人材育成についてですが、地域学校協働活動は幅広い地域の方々の参画をいただき、地域と学校が一体となって多様で継続的な活動を通じて地域全体で子どもの成長を支える取組みでございます。こうした取組みを進めていく中で、コーディネーターの育成や交流、学校支援活動に係る情報交換の場を設けるとともに、保護者や地域への周知を図ることなどを通して人材育成にも努めていきたいと考えております。

○議長(高橋かずちか) 以上で斉藤ゆり議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 日 野 たかし

 1 業務改善について

 2 誰もが使い易いICTの取組みについて

 3 感染症対策を踏まえた災害対策について

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、日野たかし議員。

〔日野たかし議員登壇〕

○3番(日野たかし) 令和2年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はありません。

 初めに、1番、業務改善について伺います。

 区が導入を目指すテレワークについて、昨年12月2日の総務委員会において「新庁舎整備を契機としたICTの利活用による業務改善の推進について」の報告があり、職員の働き方改革実現に向けたテレワークの施行を今年度中に開始する予定としていました。しかし、4か月後の本年3月12日の総務委員会では、「中野区地域情報化推進計画改定の考え方について」の報告において、改定する地域情報化推進計画の中でテレワークによる働き方改革について具体的な方途を示すと方針変更され、今年度の当初予算にはテレワークに関する予算は計上されていません。その後、新型コロナウイルスの感染者が急増したことから国から緊急事態宣言が発令されました。この事態を受け、5月1日にコロナ対策第一弾の補正予算のための臨時会を開催したところです。そして緊急事態宣言下の中で、庁内での感染拡大防止のためにテレワークによる在宅労働の環境を一刻も早く構築するための予算も盛り込まれ、その内訳は回線の使用料、環境構築作業委託、専用端末50台の購入経費でした。しかし、予算議決後、一向にテレワークの構築の動きは見られず、半年以上が経過した11月17日、「庁内情報テレワークシステムの構築状況について」の報告がなされ、企業等におけるテレワークなどの急激な需要拡大により世界的なノートPCの供給不足が発生し、スケジュールに変更を余儀なくされたということを理由に、本年12月にテレワークシステムを構築し、2021年3月に正式運用開始と、大幅なスケジュール変更をすることが示されました。内容も当初専用端末調達50台分を200台分のリースと変更され、かつ区独自でサーバー構築を行うとされていたものが、J-LISのサービス利用と変わっています。しかも、委員会の質疑の中で既にJ-LISの実証実験に申込み済みであると聞きます。これほど大がかりな変更があったにもかかわらず、先日の総務委員会までの間、一度も委員会報告がなかった理由は何でしょうか。コストを抑えようとの努力は認めますが、議会での議論の機会をつくらないまま、議決した予算の内容を大幅に変更されることは、区民の声を聞くとの現区政の基本的な方針に反することにならないのでしょうか。

 そこで伺います。50台のパソコン調達について、いつ、どの事業者に相談し、困難と判明したのか。また、困難とした事業者はどこなのか。具体的に困難な時期はいつまで続いていたのか伺います。

 また、J-LISの実証実験の情報を得たのはいつで、J-LIS側が示した申込み開始日と締切日はいつだったのか。実証実験について正式にエントリーした日付はいつか伺います。

 テレワークは働き方改革を進めるツールの一つですが、働き方改革については、1月31日の総務委員会で、中野区職員のワーク・ライフ・バランスと女性活躍推進計画(案)で示されただけです。同計画の中では、働き方改革についても、そのためのテレワーク導入についても検討するとしているのみで、導入、実施の具体的な内容や時期は示されておらず、今日までその後の報告はありません。コロナ禍の中でテレワークが導入できないまま感染拡大防止のために在宅勤務制度を導入されたと聞きますが、このことについても具体的に報告されていません。そもそも補正予算は、予算の調整後に生じた事由に基づき提出されるもので、臨時会の時点で生じた事由については、「今回の非常事態ということがございまして、今回の補正をお願いしている」と答弁なされています。緊急事態宣言下の5月1日に議決した予算の内容を大幅に変えてこれから執行しようとするのは、執行方法の変更で済まされる範囲を逸脱しており、行政の裁量権を超えているのではないかと懸念します。

 そこで伺います。テレワークの導入については、これまで行ってきた在宅勤務の検証と今後の施策について議会への報告を行い、議論を経た後に当初の予定どおり4月に改訂される地域情報化推進計画の中で具体的な内容を示すべきと考えます。結果として、J-LISの実証実験の機会を逃すことも考えられますが、施策の立案と予算について議会や区民の意見を徹して聞くことが行政の本来の在り方です。御見解を伺います。

 区が目指しているテレワークの在り方は、外部から庁内情報システムに接続する環境を整備するというものです。在宅勤務でもLGWANに接続できるのであれば、そもそも新庁舎の環境やレイアウトにも大きく影響する話なのではないでしょうか。テレワーク等による働き方改革が新庁舎整備事業にもたらす影響についてはどのようにお考えでしょうか。

 その他の業務改善についても触れます。東京都は内部で起案した書類について、2021年度に電子決裁率を100%に引き上げる方針を発表しました。押印や印刷などの事務処理を削減し、業務効率化や利便性向上を目指すとのことです。都民や事業者からの申請といった行政手続についても、今年度内に都が権限を持つ119件全てで押印の原則廃止やデジタル化に着手するとしています。第3回定例会の総括質疑で我が会派の久保議員から業務改善におけるメインテーマをデジタル化とした上で、書面規制、押印、対面規制の見直しに積極的に取り組むべきとの質疑に対し、区民サービス向上と業務改善の両方の視点から、庁内を取りまとめ、区として取り組んでいくとの答弁でした。区が権限を持つ押印が必要な書類はどの程度あるのか。また、国や都の主導による制度改正がなければ、廃止や変更ができない書類はどの程度あるのか等、現在の把握状況を伺います。

 区が権限を持つ押印が必要な書類の精査については、全庁的に速やかに取り組んでいくべきと考えます。今後どのようなスケジュールで調査、見直しを進めていくのでしょうか、伺います。

 電子署名やタイムスタンプ、eシールなどのトラストサービスの法制化を目指し、法務省が開催していたワーキンググループが昨年12月に出した最終取りまとめでは法制化が見送られるという結論になりました。その後、今年2月に、タイムスタンプやeシールなどについて国が一定の関与を行うことにより認定する仕組みについて提言され、8月には民間14社が連携し、主に電子文書が法人により発行された真正のものであることを示すeシールの基準づくりを議論するデジタルトラスト協議会が設立されました。中野区では、東京電子自治体共同運営の電子調達サービスにより電子入札を利用していますが、こうした入札以外にも今後タイムスタンプ、eシールなどのトラストサービスを活用することにより、現時点では判こを必要とする書面においてもデータでの受渡しが可能となり、業務の効率化につながると考えます。今後の動向を見ながら、区としてトラストサービスの活用についても積極的に検討してはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、誰もが使い易いICTの取組みについて伺います。

 超高齢社会の日本において、高齢者もデジタル端末を所有し、利用する割合が多くなってきています。モバイルに特化した調査研究機関であるモバイルマーケティングデータ研究所の調査では、2020年における60歳から79歳の男女1万人を対象にモバイル端末の所有について聞いたところ、所有率は92.9%、そのうちスマートフォンは77%。8年前との比較では64.3ポイント増加したとのことです。コロナ禍で情報システム活用の必要性が高くなっているものの、高齢者にとって利用するにはまだハードルが高いサービスも多く、利便性については提供する側があらゆる人が使うことを想定した工夫をしていく必要があります。現在では高齢者のみならず、視覚や認識に何らかの困難を抱える人々がひとしくICTを必要とする時代となりました。欧米ではかなり前からICTをユニバーサルデザインとする法律が整備されていましたが、日本にはそれに該当する法律はありません。

 一方で、中野区では、国際規格と一致規格となる日本工業規格の高齢者・障害者等配慮設計指針に基づいて、中野区ホームページの適合診断を2016年に行っています。この指針に基づく診断というのは、今後定期的に実施し、ユーザビリティやアクセシビリティ向上のために都度見直しが必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、区民が利用するサイトには、区が直接管理するサイト以外にも指定管理が運営するサイト等もあります。これらについても同様な基準を持ってもらうべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 高齢者など、ふだんあまりウェブサイトを使い慣れていない方にとって大事な視点は、ユーザビリティやアクセシビリティ、ユニバーサルデザインを考慮していくことで、見た目や使い勝手といったICTのユーザーインターフェースを向上させていくことと、知りたい情報を簡単に分かりやすく知る体験をしてもらい、情報システム活用による利便性を共感してもらうためのユーザーエクスペリエンスを向上させることも必要と考えます。

 総務省は今秋、デジタル活用支援員が高齢者らにデジタル機器の操作や行政などのデジタルサービスの利用法を教える実証事業を全国11か所で始めました。中野区においても、コロナ禍になって初めてデジタル端末を利用するようになった高齢者も多いと思います。そこで、主に高齢者向けにデジタル端末の使い方や初期設定方法など、一般的なICT関連について相談できる窓口など支援の方法について検討してはいかがでしょうか、伺います。

 また、今後すこやか福祉センター、すこやか障害者相談支援事業所、地域包括支援センターに導入予定のオンライン相談サービスについても、子育て世帯から高齢者、障害者と幅広い年代の方が対象となります。こうしたインターネット等を活用したオンラインサービスを実施するに当たり、高齢者や障害者の方でも利用しやいすよう考慮することも重要です。とりわけコミュニケーションに困難がある方も平等に利用できるよう検討するべきです。

 今年の6月、耳の不自由な人が電話を利用しやすくする電話リレーサービスを制度化する聴覚障害者等電話利用円滑化法が成立しました。電話リレーサービスは、手話通訳などの通訳オペレーターが聴覚障害者と健聴者の間に入って通話をサポートする仕組みです。オンラインでのビデオ通話機能を通じ、手話や文字で仲介することで電話による即時・双方向の意思疎通を可能にするものです。こうしたサービスにより聴覚障害者の方は自由に電話での問合せを利用することができるようになります。

 これから区で実施するオンライン相談サービスは予約制になると聞いています。例えば、聴覚障害者の方や難聴者の方が相談を希望する場合、手話通訳を区の相談窓口側に派遣して聴覚障害者の方も手話通訳を介したオンライン相談サービスを活用できるようにしてはいかがでしょうか、伺います。

 誰もが使いやすいICTの利用促進にはインフラ整備も欠かせません。中野区では、平成27年より、区内主要駅周辺を中心にNakano Free Wi-Fiの提供が開始され、平成28年には区内の民間店舗等で利用できるNakano Free Wi-Fi Plusが提供されました。当初は海外からの観光客も視野に入れた集客効果を目的として、さらには区内全域に面的な整備を進めるということでした。整備されてから今年で6年目となります。現在はコロナ禍にあり、外国人観光客はほぼいない状況ではありますが、当初の目的どおり観光客の集客につながってきたのか。実際にどのような人に多く使われているのかなど、これまでの検証はされているのでしょうか、伺います。

 Nakano Free Wi-Fiは、接続の都度、メールアドレス、またはSNSアカウントで登録する、もしくはアプリをインストールする必要があります。アクセスポイントが少ないため、とどまっているときでなければ使えないなどの課題もあります。他のフリーWi-Fiでは、一度登録すれば常時自動で接続されるものも多く、これまでの利用状況などを踏まえ、利便性についても見直しを検討してはいかがでしょうか、伺います。

 Nakano Free Wi-Fi Plusは、現在では新規追加は行われていないと聞きます。中野区公式観光サイトまるっと中野に掲載されているアクセスポイントマップには、Nakano Free Wi-FiとNakano Free Wi-Fi Plusを合わせたアクセスポイントを見ることができますが、現状ではとても面的に拡張されているようには見えません。面的な拡張を行っていくとされていたNakano Free Wi-Fiについて、区はいつまでにどのような方法で進めていくお考えなのでしょうか、伺います。

 総務省が今年7月31日に公表したインターネットトラフィックの集計を見ると、固定系ブロードバンドサービス契約者による総ダウンロードトラフィック、総アップロードトラフィック、ともに倍近く急増しました。これは在宅勤務での通信量が増えたことが大きな要因になっているようですが、一方で55歳から87歳を対象とした市場調査の結果では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、PCやスマホなどによるインターネットの利用時間、YouTubeの視聴時間などが増加しており、シニア層にもインターネットが確実に浸透していることが分かります。コロナ禍において、今まで以上にシニア層もインターネットを活用するようになってきた今、観光客のみならず、区民の地域の中でも利用もできるような面的な整備が必要ではないでしょうか。フリーWi-Fiの設置については、初期費用のみ必要とし、月額料金が無料のWi-Fiを提供しているところもあります。例えば、初期費用を一部区が負担して地域内にWi-Fiを活用できる環境を整備していけば、地域活性化にも貢献できると考えます。Nakano Free Wi-Fi Plusがこれ以上拡大できない以上、別のサービスを利用して区内商店街などの店舗を中心に整備を進めてはいかがでしょうか、伺います。

 また、今後シニア世代もフリーWi-Fiを利用していく場合には、フリーWi-Fiの危険性についても十分に広報をしていく必要があると思っています。きちんと管理されたフリーWi-Fiを利用する場合には基本的に安全に利用できますが、悪意のある人が偽のフリーWi-Fiスポットを展開していた場合、様々な情報を読み取られてしまうおそれがあります。特にシニア世代にはこうした危険性についても、区として今後周知し、注意喚起を促すようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 この項の最後にICTの環境整備についてもう1点伺います。区は平成30年にユニバーサルデザイン推進条例を、昨年は推進計画を策定しました。計画の目的には、「全ての人が、自らの意思により、自立して活動し、自己実現できる環境を段階的・継続的に整備することを通じて、全員参加型社会と地域の活性化を実現することを目的として定めています」とされています。中野区では、今後新区役所や中野駅西側南北通路橋上駅舎、中野駅北口拠点施設の整備等が行われ、にぎわいのまちづくりが進んでいきます。こうした新たな施設を視覚に障害をお持ちの方や車いす、ベビーカーなど、移動に配慮を必要とする方々も不自由なく利用できる施設としていくことは、ユニバーサルデザインを掲げる区として必要なことと考えます。

 清水建設と日本IBMが共同開発した屋外・屋内の区別なく目的地までの経路を詳細に案内する高精度な音声ナビゲーションシステムが三井不動産が運営する都心商業施設コレド室町で昨年サービスを開始しました。このサービスは、清水建設と日本IBMが共同開発したビーコンによる屋内外音声ナビゲーションシステムとIBMが提供する対話機能サービスを連携し、車椅子利用者、ベビーカー利用者、視覚障害者を含む来街者に日本語、または英語にてそれぞれに適した誘導方法により目的地まで快適に案内するというものです。中野区の中心拠点、中心施設にこうしたICTによるバリアフリーを整備することは、ユニバーサルデザイン推進の大きな一歩になるものであると考えます。誰もが快適に移動できるまちづくりのためにも、この音声ナビゲーションシステムの導入を検討してはいかがでしょうか、伺います。

 この項では、誰もが使いやすいICTの取組みとして、ICTの技術を活用することによって、より生活を豊かにしていく、障害者の方を含めたあらゆる人の活動を支援していく施策について、提案を中心に質問させていただきました。中野区の基本構想素案には、「高齢者が、地域のつながりやICTの活用による見守り・支えあいと公的サービスをはじめとした包括的な介護・福祉サービスや医療に支えられるとともに、最期まで自分らしく生きることができるオール中野の体制が整っています」とあります。この項の最後に、区として、この基本構想素案に描いたビジョン実現のためにどのような思いで取り組んでいかれるのかを伺って、この項の質問を終わります。

 次に、感染症対策を踏まえた災害対策について伺います。

 全国の20政令市と東京23特別区のうち、6割が内閣府が市区町村に要望する災害発生時のトイレの確保・管理計画を策定していないことが毎日新聞のアンケート調査で判明したことが掲載されていました。このうち特別区で策定しているのは、墨田区、荒川区、世田谷区、杉並区、練馬区の5区だけとのことです。内閣府は東日本大震災などの経験を踏まえ、平成28年に避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを策定しており、都道府県を通じて市区町村に計画の策定が望ましいとする通知を出しています。災害時におけるトイレの適切な数の確保・管理は重要です。当区でもトイレの確保・管理計画を策定すべきだと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 区では、令和2年6月に避難所における新型コロナウイルス感染症への対応方針を策定し、新型コロナウイルス感染症対策を盛り込んだ避難所運営マニュアルを示されました。この中でトイレについては、感染者と健康な方を分けることや、トイレの定期的な消毒について記載されていますが、密を避ける避難所運営をするに当たり、一つの避難所での避難者に対するトイレ配備数や配置箇所などについても明記することが望ましいと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 今月21日に東京都と北区が合同でコロナ禍での大震災を想定した避難所開設訓練を実施しました。この訓練では、区民ら約40人が参加し、コロナ禍を想定した避難所の設営、被災者を受け入れる際の段取りの確認をしたそうです。また、入所前の検温により確認された発熱した人を専用スペースに誘導する訓練などにも取り組むなど、感染症対策を講じた訓練を少人数で実施、確認を行っています。先ほども述べたとおり、区では感染症対策を盛り込んだ避難所運営マニュアルを策定しました。複合災害など、あらゆる状況を想定して訓練を実施することで具体的な手順を確認することが可能になると考えます。コロナ禍の状況で大規模な避難所開設訓練は難しいと思いますが、中野区でも区民の協力の下、小規模でも感染症対策を講じた避難所開設訓練を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 災害発生時の避難の考え方として、必ずしも避難所に避難するのではなく、身の安全が確保できる場合には、在宅での避難も一つの避難の在り方です。特にこれまで避難行動要支援者については、災害時にどういう支援体制で避難所まで避難するかということが課題でしたが、実際には自宅が安全であれば在宅避難を望まれる方も多いと考えます。政府の防災対策に関する基本的な計画である防災基本計画には、「やむを得ず指定避難所に滞在することができない被災者に対しても、食料等必要な物資の配布、保健師等による巡回健康相談の実施等保健医療サービスの提供、正確な情報の伝達等により、生活環境の確保が図られるよう努めることとする」とされています。今後、避難所を開設するほどの大規模災害が発生した場合、感染症による複合災害を危惧して、多少の家屋被害があっても在宅避難を選択する場合も考えられます。こうしたことから、今後避難行動要支援者が在宅避難されている場合の支援についても検討していかなければならないと考えますが、いかがでしょうか、伺って、以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 日野議員の御質問にお答えいたします。

 業務改善について。最初にテレワーク用パソコンの調達についての御質問です。予算成立後、これまで区と契約実績のある国内事業者3社に対して見積り依頼を行ったところ、在庫がないことから見積りが困難であるという回答でございました。見積り依頼をしていた事業者によると、今年の8月から9月頃まで在庫不足が続いていた状況でございました。

 続きまして、J-LISの実証実験についてでございます。地方公共団体情報システム機構の行う実証実験の公募については、10月23日に東京都を通じて情報提供があったものでございます。申込み開始は今年の10月15日で、締切は11月11日でございました。区が正式に申込み手続を行ったのは11月10日ということになります。

 施策の立案と予算計上についてでございます。テレワークにつきましては、職員の働き方改革や在宅勤務時の業務効率の向上、パンデミック時のBCP確保及び災害や緊急事態発生時の対応の迅速化などを目的として導入を予定しているものでございます。今回の新型コロナウイルスの流行などから早期の運用開始が必要だと考えているところでございます。今定例会中の常任委員会で、執行内容の想定及び金額、システム運用に当たり、職員の勤務等の取扱いについての考え方を御報告した上で今年度中の運用開始を目指してまいりたいと考えております。

 続きまして、テレワークの普及による新庁舎への影響でございます。将来的にテレワークが普及をしたとしても、レイアウトの変更に大きく影響するような出勤職員の減少には至らないものと現時点では想定しているところでございます。

 続きまして、区の手続事務の現状についてでございます。主に区民、事業者向けの手続について2017年に全体調査を実施しておりまして、その調査の中で押印の有無や押印の根拠等について結果を得ているところでございます。当該調査によりますと、区の事務1,296件を調査して、そのうちに押印を必要とする事務が671件ありました。また、そのうち324件が、法律、政令等、区の判断では改正できない根拠に基づいている国や都の事務でございまして、それ以外が区の事務で決めているという結果でございます。

 押印見直しに関わる今後についてでございます。年内を目途として2017年の手続調査を基とした追跡調査を業務改善課から全庁に対し実施し、年度内に当該調査を取りまとめ、その後区としての取組み方針を示す予定でございます。

 次に、トラストサービスの活用についてでございます。トラストサービスは、データの真正性やデータ流通基盤の信頼性を確保し、インターネット上における人、組織、データ等の正当性を確認し、改ざんや送信元のなりすましなどを防止する仕組みでございます。ペーパーレスを推進し、デジタルデータによる業務を行っていくためには、データやデータの発出元の正当性を確保することは重要であると考えております。今後、実際業務におけるトラストサービスの活用可能性について検討してまいります。

 続きまして、ホームページの見直しとガイドラインに基づく診断についてでございます。区のホームページにつきましては、御指摘の指針や中野区情報発信のユニバーサルデザインガイドライン、これに基づいてホームページ作成マニュアルを策定するとともに、広報アドバイザーの助言を受けながら、ウェブアクセシビリティやユニバーサルデザインの観点から見直しと改善に取り組んでいるところでございます。今後は、障害のある方などの意見もお聞きしながら、ホームページの改善を重ねるとともに、防災情報などについて、やさしい日本語によるページの作成と充実にも努めていく予定でございます。そうした中で、御指摘のガイドラインに基づく診断を活用し、客観的な評価を受けることについても検討してまいります。

 指定管理者サイトへのガイドラインの適用についてでございます。中野区からの情報発信につきましては、ウェブアクセシビリティやユニバーサルデザインに配慮されたものであることが必須であり、指定管理者のサイトにおいてもウェブアクセシビリティ規格やガイドラインに基づく情報発信に努めるよう都度促していくこととします。

 続きまして、高齢者向けのICT相談などの支援についてでございます。これまでも区民生活における情報格差をなくすため、民間事業者との共催による初心者向けパソコンやスマートフォン操作、LINE教室を開催しておりまして高齢者の方々も参加をしていらっしゃいます。また、地域の高齢者会館等においても同様の事業を行ってまいりました。今後は、さらに生活の様々な面でICT利活用が進むことから、高齢者等へのデジタル活用に関する支援の取組みについて進めてまいります。

 次に、オンライン相談における聴覚障害者への対応についてでございます。今後実施予定のすこやか福祉センター等におけるオンライン相談は、広く子育て世帯から高齢者、障害者を対象としており、障害者の方にも利用しやすいようにしていくことが重要だと認識しております。聴覚障害者の方がオンライン相談を希望する場合、これまで窓口で筆談を用いている方につきましては実施可能と考えております。御提案の手話通訳者等派遣を利用したオンライン相談の実施については、今後の利用者の状況や希望を踏まえ検討してまいります。

 続きまして、Nakano Free Wi-Fiの利用分析についてでございます。Nakano Free Wi-Fiにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大の状況下において利用数は減少いたしましたが、昨年度までは年々利用者数は増え、多くの人が利用してまいりました。利用実績につきましては、毎月委託事業者から報告を受けているところでございます。昨年度の実績によりますと、言語別利用数において99.37%が日本語であり、外国人の利用割合は少ないことが分かります。また、平日と休日の利用数を比較したところ、観光客や来街者が多く訪れると思われる休日に比べ平日の利用数が約1.25倍多いということが分かりました。このような結果等の分析から、現在観光客や来街者の利用と比較しますと、在住・在勤・在学者等の日常的な利用が多いのではないかということが推測されます。

 Nakano Free Wi-Fi、登録方法の見直しについてです。一度登録することにより常時自動で接続されることは利便性の向上につながるものと考えますが、一方セキュリティ面での不安も残ります。セキュリティ対策を十分に講じながら実施することが技術的に可能かどうかを検討してまいります。

 続きまして、Nakano Free Wi-Fiの面的な拡張についてでございます。これまでの利用実績を考えると、観光を主たる目的として利用するNakano Free Wi-Fiとしての拡張は考えておりません。現在、周波数等の課題もあり、今後の活用については利用実態を踏まえ、中野区全体の情報化の課題として全庁的に検討を行っていく必要があると考えております。

 続きまして、商店街などへのフリーWi-Fiの設置についてでございます。Nakano Free Wi-Fi Plusは、NTT東日本の光ステーションに加入している店舗が参加しておりますが、光ステーションへの新規加入は既に終了しておりまして、Nakano Free Wi-Fi Plusには新たに参加することができません。商店街などが設置する無線LANに対しては商店街チャレンジ戦略支援事業助成等が活用できるため、今後こうした助成を活用した整備を促してまいります。

 次に、フリーWi-Fi利用時の注意喚起についてでございます。フリーWi-Fiは、無料でインターネットに接続できる便利なサービスではございますが、セキュリティレベルや提供元の信頼性については必ずしも保証されているものではありません。特に日頃インターネット環境にあまり接していないことの多いシニア世代には、適切な注意喚起が必要だと考えており、広報に努めてまいります。また、区が東京テクニカルカレッジと共催で開催しているスマートフォン教室などを通じて、セキュリティに関する項目を教えることも検討してまいります。

 中野駅周辺におけるICTを活用したバリアフリー環境の整備についてでございます。ユニバーサルデザインに基づく整備は、まちづくりを進める上で前提となるものであり、中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3においても、空間整備の考え方として円滑な歩行者動線や利用しやすい施設などのハード整備とともに、ソフト面のユニバーサルデザイン化を進めることとしております。御案内の民間事例のように、加速度的に進歩するICT技術を活用することについては、区としてはユニバーサルデザインの考え方を高めることになると考えております。新北口駅前エリアの拠点施設整備等、中野駅周辺の施設整備に当たっては、民間事業者とともにICT技術の活用も含め研究し、ユニバーサルデザインにより配慮した安全な施設、円滑な歩行者動線となるよう整備を誘導してまいりたいと考えております。

 最後に基本構想検討素案のビジョンの実現についてでございます。今後さらに進展する超高齢社会におきましては、これまで地域社会を支えてきた地域住民による見守り支え合いに加えて、ICTを積極的に活用していくことで区民の安全安心な暮らしを守っていくことができると考えておりまして、その効果を十分に検証した上で導入を図っていく考えでございます。基本構想検討素案におきましては、新型コロナウイルスの影響も踏まえ、行政サービスのデジタル化を加速することとしておりまして、社会の変化を見据えた質の高い行政サービスを全ての人に提供していきたいと考えております。

〔危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、感染症対策を踏まえた災害対策について何点かお答えいたします。

 まず、トイレの確保・管理計画についてでございます。避難所のトイレでございますが、避難所に既に設置されているトイレの利用のほか、仮設トイレや簡易トイレなどを備蓄してございまして、おおむね男性50人に1基、女性20人に1基としたトイレ数を確保しているところでございます。今後、災害状況に応じた避難所におけるトイレの設置種別や利用時期などを盛り込んだ中野区としてのガイドラインの策定について検討してまいります。

 続きまして、マニュアルへの配置数等の明記についてでございます。避難所ごとに定めております避難所運営管理マニュアルには、仮設トイレやマンホールトイレの配備数や設置場所等について記載をしているところでございます。今後、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、各避難所のマニュアル見直しを検討していることから、感染者や濃厚接触者専用のトイレの設置場所や設置方法などについて明記する予定でございます。

 続きまして、避難所開設訓練の実施についてでございます。区において避難所の新型コロナウイルス感染症対策に関わるマニュアルを策定したことから、避難所運営管理マニュアルの見直しや避難所開設訓練の実施は重要なことと認識してございます。現在、各避難所の避難所運営会議や防災会の会議などを通じて策定したマニュアルの概要や避難所の運営方法について周知を行っているところでございまして、感染症対策を講じた屋外での訓練や参加者を限定した避難所開設訓練の実施を促していきたいと考えております。

〔地域支えあい推進部長鳥井文哉登壇〕

○地域支えあい推進部長(鳥井文哉) 私からは、避難行動要支援者の方の在宅避難についての御質問でございます。避難行動要支援者につきましては、災害発生時に支援者が避難所への避難を支援することを前提といたしまして、個別避難支援計画書の作成を進めているところでございます。引き続き避難所への避難支援を前提とした取組みを進めてまいりますが、様々な事情から避難所への避難が難しく、在宅避難する方も想定されることから、今後在宅避難する避難行動要支援者への支援についても検討の必要があると考えてございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で日野たかし議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は11月30日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時09分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 高橋 かずちか

       議 員 羽鳥 だいすけ

       議 員 大内 しんご