令和3年09月10日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録 1.令和3年(2021年)9月10日、中野区議会議事堂において開会された。 1.出席議員(40名) 1番 市 川 しんたろう 2番 竹 村 あきひろ 3番 日 野 たかし 4番 渡 辺 たけし 5番 間 ひとみ 6番 河 合 り な 7番 斉 藤 ゆ り 8番 立 石 り お 9番 羽 鳥 だいすけ 10番 欠 員 11番 加 藤 たくま 12番 吉 田 康一郎 13番 木 村 広 一 14番 甲 田 ゆり子 15番 内 野 大三郎 16番 杉 山 司 17番 ひやま 隆 18番 小宮山 たかし 19番 い さ 哲 郎 20番 小 杉 一 男 21番 内 川 和 久 22番 若 林 しげお 23番 高 橋 かずちか 24番 小 林 ぜんいち 25番 白 井 ひでふみ 26番 いながき じゅん子 28番 中 村 延 子 29番 石 坂 わたる 30番 近 藤 さえ子 31番 浦 野 さとみ 32番 大 内 しんご 33番 伊 藤 正 信 34番 高 橋 ちあき 35番 平 山 英 明 36番 南 かつひこ 37番 久 保 り か 38番 森 たかゆき 39番 酒 井 たくや 40番 むとう 有 子 41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行 1.欠席議員(1名) 27番 山 本 たかし 1.出席説明員 中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 白 土 純 副 区 長 横 山 克 人 教 育 長 入 野 貴美子 企 画 部 長 高 橋 昭 彦 構造改革担当部長 石 井 大 輔 総 務 部 長 海老沢 憲 一 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 青 山 敬一郎 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子 健康福祉部長 岩 浅 英 樹 都市基盤部長 奈 良 浩 二 企画部企画課長 堀 越 恵美子 総務部総務課長 浅 川 靖 1.本会の書記は下記のとおりである。 事 務 局 長 長 﨑 武 史 事 務 局 次 長 小 堺 充 議事調査担当係長 鳥 居 誠 書 記 立 川 衛 書 記 若 見 元 彦 書 記 鎌 形 聡 美 書 記 松 丸 晃 大 書 記 田 村 優 書 記 細 井 翔 太 書 記 有 明 健 人 書 記 五十嵐 一 生 書 記 髙 橋 万 里 書 記 本 多 正 篤 書 記 金 木 崇 太
議事日程(令和3年(2021年)9月10日午後1時開議) 日程第2 認定第1号 令和2年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について
午後1時00分開会 ○議長(内川和久) ただいまから令和3年第3回中野区議会定例会を開会いたします。 本日の会議を開きます。 この際、議席の一部変更についてお諮りいたします。お手元の議席変更表のとおり変更いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。 議 席 変 更 表
○議長(内川和久) 会議録署名員は会議規則第128条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。 14番甲田ゆり子議員、28番中村延子議員にお願いいたします。 この際、御報告申し上げます。6月16日付をもちまして、いでい良輔議員から議員辞職願が提出されました。よって、地方自治法第126条ただし書きの規定により、同日付をもちましてこれを許可いたしましたので、この旨、会議規則第100条第2項の規定により、御報告申し上げます。 次に、会期についてお諮りいたします。本定例会の会期は、本日から10月15日までの36日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。 この際、申し上げます。本定例会の会期中、略装を許します。 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。 次に、一般質問の時期の変更についてお諮りいたします。一般質問は議事に先立って行うことになっておりますが、別な時期に変更し、質問を許可いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう進行します。 これより日程に入ります。 ────────────────────────────── 第50号議案 令和3年度中野区一般会計補正予算
○議長(内川和久) 日程第1、第50号議案、令和3年度中野区一般会計補正予算を上程いたします。 理事者の説明を求めます。 〔副区長白土純登壇〕 ○副区長(白土純) ただいま上程されました第50号議案につきまして、提案理由の説明をいたします。 第50号議案、令和3年度中野区一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ36億567万7,000円を追加計上するものです。これにより既定予算との合計額は1,526億9,878万8,000円となります。 初めに、この補正の歳出予算の内容を説明いたします。 まず、職員費ですが、ICTスキルの高い外部人材の募集に係る経費50万円を追加計上するものです。 次に、子ども教育施設費ですが、平和の森小学校等建設予定地の現況測量等に係る経費654万5,000円を追加計上するものです。 次に、育成活動推進費ですが、子ども食堂運営助成金に係る補助金120万円を追加計上するものです。 次に、地域包括ケア推進費ですが、新型コロナウイルス自宅療養者支援事業における食料品等の購入経費267万3,000円を追加計上するものです。 次に、介護・高齢者支援費ですが、高齢者施設等の感染症対策設備整備推進事業における簡易陰圧装置設置に係る補助金1,479万3,000円、及び在宅要介護者受入体制整備事業に係る経費597万9,000円を追加計上するものです。 次に、障害福祉費ですが、在宅障害者受入体制整備事業に係る経費478万5,000円を追加計上するものです。 次に、生活援護費ですが、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の申請期間延長に伴う経費792万円を追加計上するものです。 次に、保健予防費ですが、新型コロナウイルス感染症対策経費3億9,341万8,000円、及び新型コロナウイルスワクチン個別接種における休日接種加算及び時間外接種加算等2億6,271万5,000円を追加計上する一方、区立中学校巡回接種に係る経費4,139万5,000円を減額するものです。 次に、生活衛生費ですが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う保健所の電話料金360万円を追加計上するものです。 次に、道路費ですが、通学路等車両速度抑制緊急対策工事に係る経費1,076万2,000円、及び道路拡幅及び電線共同溝整備の執行方法の変更に伴う負担金618万7,000円を追加計上する一方、橋梁長寿命化修繕工事の工期変更に伴う負担金4,715万5,000円、及び道路拡幅及び電線共同溝整備の執行方法の変更に伴う委託料2,368万5,000円を減額するものです。 次に、中野駅周辺まちづくり費ですが、中野三丁目地区における中野駅西口地区地区計画に定める区画道路整備に係る物件移転に要する補償費1,152万4,000円を追加計上するものです。 次に、積立金ですが、財政調整基金への積立金27億2,131万1,000円及び義務教育施設整備基金への積立金2億6,400万円を追加計上するものです。 この補正の歳入予算といたしましては、国庫支出金3億6,774万3,000円、都支出金2,190万7,000円、繰入金1億4,788万9,000円、繰越金29億8,531万1,000円、及び諸収入8,282万7,000円を追加計上するものです。 続きまして、債務負担行為の補正について説明いたします。 上の原跨線橋橋梁長寿命化修繕工事について、期間が2年度にわたるため、令和4年度分経費1億2,023万2,000円、及び弥生町三丁目周辺地区避難道路1号道路拡幅及び電線共同溝の整備について、期間が6年度にわたるため、令和4年度から令和8年度分経費2億8,498万1,000円を追加計上するものです。 以上、本議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。 ○議長(内川和久) 本件について御質疑ありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(内川和久) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。 上程中の議案は、会議規則に従い、総務委員会に付託いたします。 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、森たかゆき議員、大内しんご議員、小林ぜんいち議員、小杉一男議員、渡辺たけし議員、ひやま隆議員、若林しげお議員、久保りか議員、いさ哲郎議員、杉山司議員、高橋ちあき議員、甲田ゆり子議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、竹村あきひろ議員、立石りお議員、吉田康一郎議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
中野区議会議員 森 たかゆき 1 新型コロナウイルス感染症対策について (1)区内の感染状況と今後の対策について (2)区の対応体制について (3)ワクチン接種事業について (4)区立小中学校の夏休み明けの対応について (5)その他 2 財政状況と今後の区政運営について (1)区財政の現状と今後の歳入見通しについて (2)今後の職員定数の考え方について (3)中野区区有施設整備計画(案)について (4)その他 3 子ども施策について (1)保育の質向上に向けた施策について (2)(仮称)中野区子どもの権利に関する条例について (3)その他 4 中野区男女共同参画・多文化共生審議会答申と条例制定に向けた考え方について 5 その他
○議長(内川和久) 最初に、森たかゆき議員。 〔森たかゆき議員登壇〕 ○38番(森たかゆき) 令和3年第3回定例会本会議におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。 質問は、通告のとおりであります。初めてのトップバッターで少し緊張しておりますが、よろしくお願いいたします。 1番、新型コロナウイルス感染症対策について。 (1)区内の感染状況と今後の対策について、お伺いいたします。 この夏の東京は、ピーク時感染者5,773人を数えるなど、これまでにない感染拡大となりました。政府は、緊急事態宣言を発令し、今もそのただ中にありますが、一方で緊急事態宣言が常態化し、オリンピック・パラリンピック開催による気の緩みも相まって宣言の効果が見えづらくなっています。ウイルスは、より感染力の強いデルタ株へほぼ置き換わっており、さらなる変異株も現れています。ワクチン接種が進んではいますが、ワクチン頼みには限界があることも見えてきました。感染者数はピークアウトしたように見えますが、重症者数は思うほど減っていません。学校再開等をきっかけに今後また増に転じることも考えられます。私は、人々が現状に危機感を持ち、自主的に外出抑制を行う、本来の意味での自粛だけが頼りのような状況に強い危機感を感じています。 区長は、先日、世田谷区長らとともに、国政与野党に対して、政治休戦をした上で危機回避に全力で当たるべきと訴える異例の提言を行いました。しかし、区長らの訴えもむなしく、国政は与野党間の政治休戦どころではない展開をたどっています。この危機に際して国民に語るべき自らの言葉を持たない菅総理は、自民党内の支持を失い、事実上の退陣表明に追い込まれ、後任争いが激化しています。「コロナ対策に専念する」と自民党総裁選辞退理由を説明した菅総理ですが、その言葉とは裏腹に、野党が憲法第53条に基づき行った国会開会請求を無視する違憲判断を変えず、国会の場での必要な議論が行われない事態となっています。区長もさらに危機感を募らせていることと思いますが、なかなか区民に伝わっていないようにも思います。今月2日の区長記者会見後のメッセージ動画ですが、コロナ関係の言及が最後に少しだけだったのは残念でした。最初の答弁で、コロナ禍終息に向けた区長の決意、今、区長から区民へ伝えたいことを御自身の言葉で語っていただきたいというふうに思います。また、記者会見やメッセージ動画、あるいは区長個人のSNS等も駆使して、これまで以上に状況に応じたメッセージを発信し続けていくべきと考えますが、いかがでしょうか。 昨日、政府は、緊急事態宣言の今月30日までの延長を決定いたしました。都の宣言解除には1日の感染者数が500人未満になることが必要との見通しが示されていますが、デルタ株の特性を踏まえた上で、宣言が解除できる状況を目指して区として何をしていくつもりで、区民や区内事業者に何をお願いしていきたいと考えているのか、伺います。 また、区としての今後の独自の対策についてはどのようにお考えでしょうか。宿泊療養施設や臨時医療施設の確保、酸素ステーション設置、抗体カクテル療法の体制整備等、東京都に求めているものもあるというふうに伺っていますが、区独自で行えることも追求していくべきと考えます。終息に向け区民の協力を得るには、現状を随時正確に伝えていく必要があります。その点で、区長記者会見でたくさんの数字を出していただいたことは評価しています。日々最も注目される数字は感染者数でありますが、中野区の場合、都全体とほぼ同じ推移をたどっています。 次に、重症者数ですが、こちらの数字は記者会見にはありませんでした。感染症発生動向調査週報にもありません。自治体ごとの重症者数は把握できないのでしょうか。だとすると、それはなぜなのか、改善の方策はないのか、お伺いいたします。 次に、自宅療養者についてです。8月3日、厚生労働省から「現下の感染拡大を踏まえた患者療養の考え方について(要請)」との事務連絡がありました。中等症でも原則自宅療養と報じられたものです。この方針は、大きな批判を浴び、その後見直しがされたような報道もありましたが、私が調べた限りでは正式な文書は確認できませんでした。8月3日の事務連絡を見直すような内容の連絡はあったのでしょうか、伺います。 また、この1か月間、現場では実際にはどのような対応がなされたのでしょうか。記者会見資料を見ると、7月31日時点で自宅療養が急増しており、一方で宿泊療養はむしろ減っています。なぜこうした数字の動きになるのでしょうか。現状ではきちんと入院につながっているのかも併せて伺います。 次に、検査数です。都全体の数字を見ると1万7,000弱ぐらいがピークで、そこからなかなか増えず、陽性率が急速に上昇していました。これが現状の東京都の検査キャパシティーの上限なのかと思っていたのですが、中野区のPCR検査センターの検査数を見ると、昨年7月は1,068件あったものが、今年7月は775件、8月は28日時点で879件です。この状況でなぜ減っているのでしょうか。検査能力が何かの要因で減っているのか、あるいは濃厚接触者の特定まで手が回らず検査につながっていないということでしょうか。伺います。 中野区の検査数については、第3波のときでも多少の余裕があったとのことでしたが、第5波ピーク時の状況はどのようなものでしたか。また、今年の予算特別委員会では検査リソースの戦略的活用を求めましたが、対応状況を伺います。 (2)区の対応体制について。 先日、戸籍住民課マイナンバー交付窓口で複数の職員らの感染が確認され、一時業務の縮小が行われました。感染したということが責められるべきことではありませんが、区職員の感染は区民サービスの停滞や区内感染拡大につながる恐れがあります。基本的な感染防止策の徹底を改めて求めたいと思いますが、いかがでしょうか。 保健所の体制について。 今年度から保健所次長というポストを新設し、部長級職員を配置しました。これにより、私たちのやり取りは随分と改善されたように感じていますが、現場のマネジメントの改善にもつながっているのか、お伺いいたします。 保健所応援体制は、新規感染者数を目安にフェーズ1から5まで分けて備えているとのことで、第5波ではフェーズ5までの対応を行い、全庁から12人の事務職と2名の保健師が応援に入ったとのことです。報道では、保健所が従来やってきた手順を全て行うことが困難になり、一部を飛ばす等の対応が行われていたとも言われていますが、中野区保健所の場合はどのような状況だったのか、お伺いいたします。 また、応援職員は各部から順に出しているそうですが、フェーズ4、5といった厳しい状況の際に、部間の公平性にどこまでこだわる必要があるでしょうか。公平性よりも保健所業務の効率化を最優先に考えた配置を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 (3)ワクチン接種事業について。 中野区のワクチン接種事業は、接種券の送付や予約受付の開始などが非常に早く行われました。その影響で自衛隊の大規模接種センターを利用できた区民も多くおられました。しかし、その後はなかなか予約の取れない状況が続き、接種率も停滞しています。中野区は、週に最大2万8,000件の接種能力を確保していましたが、無駄になっていたのではないかとも思われます。初動が早かったこととその後の停滞の原因はそれぞれどういったものだったのでしょうか。ワクチン接種が滞り始めたのはいつ頃からで、その期間における接種能力に対する接種実績の割合はどの程度だったのか、お伺いいたします。 区長は、記者会見で「ワクチンが来るように国や都に働きかける」と述べていましたが、国や都に働きかけるとワクチンが来るのでしょうか。そうだとすると、この国のワクチン配分は既に合理性を失っていると言わざるを得ません。ワクチンの来る・来ないはどのように決まっているのか、お伺いいたします。 今後の供給見通しについては、記者会見で一定の数字が示されていましたが、1回目、2回目を問わず、いつでも予約が取れるような状況になるめどは立っているのか、お伺いいたします。 区民活動センターと中野区医師会館での集団接種は9月末で終了となっていましたが、これまで述べてきたような状況で終了して大丈夫でしょうか。延長の必要性について、お伺いいたします。 記者会見では、中野サンプラザで1万人分の集団接種を行うと述べられておりました。この集団接種では何がしか優先順位を設けることは考えているのでしょうか。年代別の優先順位という点では40代が置いていかれているような状況です。この年代は就職氷河期世代とも重なっており、ワクチン接種でも冷遇されるのかとの声も聞こえてきます。小・中学生のお子さんがいるような年代でもありますので、優先順位をつける必要がある状況だとすればこの点も配慮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 (4)区立小中学校の夏休み明けの対応について、お伺いいたします。 まず、先生をはじめとした学校で働く大人のワクチン接種状況について、お伺いいたします。 ワクチン接種対象年齢の子どもについては、10代全体から考えるとかなり接種率が低いのではないかと思われます。国の方針もあり、集団接種は行わず、医療機関での接種を進めましたが、夏休みの間のワクチン供給が停滞し、打ちたくても打てない子がまだ相当数いるのではないかと推察されます。ワクチン接種に伴う出欠等の扱いについては、文部科学省の考えが示されておりますが、区教育委員会としても子どものマイナスとならないよう対応していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 我が会派では、夏休み明け前に、教育長、指導室長と意見交換をさせていただきました。その際、分散登校を求めるかどうかで私たちも悩みましたが、子どもにはできる限り普通に近い日常を過ごしてほしいという思いと家庭への負担を考え、そこまでは求めませんでした。区教育委員会としては短縮授業という選択をされましたが、その理由についてお伺いいたします。 感染症学会や小児科学会の提言等を踏まえ、不織布マスクの推奨の保護者への啓発、教室等への常備を求めました。対応状況を伺います。 子どもたちが久しぶりに顔を合わせる、夏休み明けのリスクは、日常とは異なり、より注意が必要です。また、学校の感染は、前を向いて受ける授業や給食よりも体育の着替えの時間や部活のほうがリスクが高いと言われています。現場でどのような対応が行われているのか、お伺いいたします。 オンライン授業については、区長記者会見でも言及があり、かなりの対応がされているようなお話でしたが、実際には学校のネットワーク回線が十分ではなく、改善が必要です。子どもの学習権の保障、学びの継続に関わる問題であり、状況によっては予備費を充当してでも早期に対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。 感染者が出た場合の対応については、文部科学省が学級閉鎖から臨時休校まで基準を示しています。基本的にはこれに従い対応することとなると思いますが、感染の拡大状況によって、例えば保健所の濃厚接触者の特定はやり切れるのでしょうか。そうでない場合も想定する必要があります。6月17日付、文部科学省事務連絡には、そうした場合は全員を検査対象とすることもできるとあります。こうした形でより予防的な対策を取るべき場合もあると思われますが、いかがでしょうか。 学校、また幼稚園には抗原簡易キットの配布が行われるということです。症状のある児童・生徒を対象に自分で検体採取することを想定しているそうです。子どもの採取でどこまで正確性が担保できるでしょうか。くしゃみなどで周辺にウイルスを広げてしまうリスクもあります。文部科学省の説明では、医師が対応できず、すぐに帰宅することが困難な場合の対応とのことですが、そうであればその場合は、帰宅できない間は感染している前提で対応し、帰宅後に医療機関を受診していただくという流れとすべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。 2番、財政状況と今後の区政運営について、伺います。 (1)区財政の現状と今後の歳入見通しについてです。 令和2年度決算には、特別定額給付金330億円超をはじめとした新型コロナ対応経費が含まれています。各種財政指標を単純に経年比較しても精度の高い現状分析ができるとは思えません。区として、こうした点を踏まえた決算状況の分析ができているのか、お伺いいたします。 議会の決算審査はこれからですが、国や都の状況も踏まえると、恐らく想定よりも悪くはない状況ではないかと思います。また、今年度で見ても、特別区民税も財政調整の普通交付金も当初予算より上振れしています。1年前のこの場で、区長の行政報告に対し、92億円の税収減という見込みを示したり「財政上の非常事態」と表現したりするのは時期尚早ではないかと申し上げましたが、今から振り返ってもやや過大評価ではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。 令和2年度の国の税収は、経済成長率がマイナス4.6%であったにもかかわらず、過去最高額を更新したとのことです。詳細な分析は専門家に委ねたいと思いますが、大きな要因の一つが10%になった消費税であることは間違いありません。景気動向に左右されづらい消費税収の割合が増えるということは、今後GDPの伸びと税収の関係が変わってくるということです。先の見通しを立てる際にはこうした歳入構造の変化を踏まえておくべきと考えますが、いかがでしょうか。 歳入が一定程度維持できた要因の一つが逆進性のある消費税だとすると、特に低所得者層やコロナで困窮している人たちにきちんと還元しないといけません。1年前も申し上げましたが、現状を見ると、改めてそのための一定の余力はあると言いたくなりますが、いかがでしょうか。お伺いします。 都区財政調整制度について、配分割合が0.1%動きましたが、当然これで決着ではなく、引き続き協議する事項となっています。配分割合が動いたきっかけでもある児童相談所がいよいよ来年度中野区でも開設されます。配分割合のさらなる見直しに向け、引き続き都への働きかけと強い姿勢での交渉を求めますが、いかがでしょうか。お伺いします。 (2)今後の職員定数の考え方について、伺います。 中野区は、これまで職員定数2,000人で区政運営を行ってきましたが、現在では「2000人体制」が言われ始めた平成18年頃には想定しなかった人員が必要になっています。その最大の要素がさきに触れた児童相談所で、来年度68名、子ども・若者支援センター全体では77名が必要とのことです。今後、ケースワーカーの増員も必要ですし、5か所目のすこやか福祉センターの職員も必要になります。酒井区長の区立幼稚園・保育園、児童館の一定数存続の方針もあります。酒井区政になり、内部管理事務の見直しを相当行い、また一部AI、RPAの導入も進んでいます。もし、酒井区政が区立幼稚園・保育園を残し、児童館も当面直営で運営し、さらに児童相談所を設置してケースワーカーを増員し、5番目のすこやか福祉センターを設置し、それでもなお職員定数2,000人でやっていけると言うなら、これは極めて大きな成果です。しかし、一方では、区政の様々なところに無理が来て、現場を担う職員が潰れてしまうのではないかと危惧します。少なくとも来年度は児童相談所が開設されても2,000人のままですが、全て対応できると判断した根拠はどのようなものなのか、お伺いいたします。 児童相談所は、本体業務以外の設置市事務も大量にあります。先行3区からは想像以上の事務量だという声が聞こえてきます。ここにもきちんと人を充てられるのでしょうか。充てるとしたら、その人員はどうやって捻出するのか、お伺いいたします。 今年1月には、令和5年度から条例定数を2,100人とする方針が示されましたが、6月に示されるはずだった職員定数管理計画案はいまだ示されていません。その後の検討状況をお伺いします。 条例定数2,100人とする方針が示された背景には、雇用と年金の接続により定数外だった職員が定数内に置き換わるということもあります。この制度改正では、今後10年かけて定年が65歳まで延長されます。その10年間、1年ごとに定年退職者のいない年が出ることになり、その年は当然退職金の支出が大幅に減ります。そして、10年の経過措置が過ぎた頃には人数の多い年代の退職が進み、1年に退職する職員の数がこれまでよりも減っていきます。中野区の人件費は、近年おおむね200億円程度ですが、退職金はそのうち1割ほどを占めています。今後、その支出が減るということは、200億円程度という今の水準を大きく動かすことなく、一定数職員を増やす余地が出てくるということです。今後も常勤職員を減らす余地のあるところについては引き続き効率化の努力もしていただきたいですし、また、今、新卒採用数を増やすと年齢構成のいびつさに拍車をかけてしまう等の問題もあります。条例定数を100人増やしたからすぐにどんどん採用していいということではありませんが、今後の職員定数の在り方は今回指摘したことも踏まえて検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 (3)中野区区有施設整備計画(案)について、伺います。 まず、商工会館跡地についてですが、これまでの売却方針を転換し活用していくとなった経緯も踏まえ、前回、中村幹事長の一般質問で利活用により財政負担を軽減との方針では不十分と指摘したところ、区の財政負担なく施設を確保すると一歩前進した答弁をいただきました。しかし、我が会派としては、負担ゼロで満足するのではなく、区の資産形成にプラスになるところまで目指していただきたいです。その可能性のある土地だと考えています。サウンディング調査も行っていると聞いていますが、この点の区の見解をお伺いいたします。 次に、児童館について、お伺いいたします。 新たな機能を備えた児童館や児童館閉館後の跡施設等については、これまでも我が会派から様々な提案・要望をしてまいりました。本定例会でも後日総括質疑の場で議論させていただきたいと思いますので、私からは1点だけ確認いたします。 キッズ・プラザの整備によって近隣児童館の利用者数は減少傾向にありますが、そうした状況であっても児童館廃止するのではなく、一定数存続させた上で機能強化を図り、放課後の子どもの居場所の選択肢を増やすという区長の判断を歓迎しています。区長は、どのような考えから児童館全廃の方針を見直し、存続させることとしたのか、改めて伺います。 次に、学校整備について、お伺いいたします。 先日新設された中野東中学校と併設施設を見学させていただきました。校舎には先週から生徒たちが通い始めました。子どもたちがたくさんのいい経験のできる校舎になることを期待しています。 この中野東中学校の細い道を挟んだ向かいには某中華系ファミリーレストランがありますが、ここが都有地であるということをつい数か月前に知りました。今後、移転先を探していた保育園が移ってくるということでそれ自体はよかったと思いますが、中野東中学校の敷地として活用できなかったものかとも思います。区内の学校はどこもなかなか十分な広さを確保できない状況です。今後、多くの学校の建替えを順次進めていくこととなりますが、より良好な教育環境を整えるためにも、民有地も含めた活用できる隣接の土地の調査はしっかりと行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。そうした場合の土地の購入については、財調算定や起債した際の元利償還金の扱いなど、一般財源の負担を抑えられる仕組みもあるようですので、財政的な面も含めて積極的な取組を求めます。 また、区内には、国から土地を借りている学校が複数あります。通常借地権のある土地の場合、不動産評価に当たって借地権割合というものが適用され、その分有利な条件で取得できるそうです。この制度は、国有地や学校、あるいは行政機関同士でのやり取りについても適用されるのでしょうか。そうだとすると、国から借りている間に取得を進めたほうがよいのではないかと考えます。学校跡地の利活用は地域の重大関心事です。早急に活用・購入の検討に入るべきと考えます。対象となる学校がどこなのかと、併せて見解をお伺いいたします。 3番、子ども施策について。 (1)保育の質向上に向けた施策について、伺います。 待機児童についてですが、今年度は25人まで減少したとのことです。来年度新設園の御報告も幾つかいただいています。来年度の待機児童解消の見込みは立っているのか、お伺いします。 待機児童が大幅に減る一方で、800人分を超える空きが発生しています。先日の子ども文教委員会には小規模園の今年度での閉園も報告されました。区は、今年度から地域型保育事業と認証保育所に対し、定員に空きが生じた際の減収を補填する補助制度を創設しました。突然の閉園を防ぐという意味でも重要な施策ですが、現段階の利用状況を伺います。 今後、通常の認可保育園でも経営が厳しくなるところが出てくると思われます。保育の需要と供給をプラスマイナスゼロに調整することは不可能です。継続した待機児童ゼロ状態が実現しているということは常にどこかに空きがあるということでもあり、そこに対して行う補助は必要経費です。他方、どれだけ空きがあっても園が継続できてしまうようでは、保育の質向上など、保護者に選ばれる努力を事業者が怠ってしまうことにもなりかねません。非常にバランスの取り方が難しい施策ではありますが、現時点でのお考えを伺います。 保育士等宿舎借り上げ補助については、今年度から事業者負担を求めることとなりました。今後の財政状況次第では再度区で負担することも選択肢ではないかと考えますが、いかがでしょうか。 再三求めてきた常勤事務職員の採用補助については、事務負担軽減が先との答弁をずっといただいてきましたが、明確に改善されたという声はいまだ聞こえてきません。改めて実現を求めますが、いかがでしょうか。 (2)(仮称)中野区子どもの権利に関する条例について、伺います。 先日、子どもの権利擁護推進審議会からの答申が区に提出され、またそれを受けての区の考え方も示されました。8月23日には、審議会会長の野村武司先生のオンライン講演会も開催され、私も聴講させていただきました。講演や答申から強く感じたのは、子どもの意見表明権の尊重がいかに重要かということです。私は、以前の一般質問でも子どもの意見表明権は大切だという話をしましたが、それは今なかなかそういう機会がないからという問題意識でしたけれども、学べば学ぶほどもっと根源的な意味で子どもの意見表明権は大切なんだと理解するようになりました。子どもの意見表明権の重要性についての区の認識を伺います。 子どもの意見表明権を大切にするということは、子どもの言うことに大人が全て従うということではなくて、大人が子どもの意見を尊重し応答責任を負うということです。この点について、子ども文教委員会の資料では、子ども会議で出た意見に対してのみ尊重することに努めるとも読めるような微妙な表現がされていました。条例上の規定は、あらゆる場面での意見の尊重が求められるような表現とすべきと考えます。いかがでしょうか。 行政計画や個別の施設整備について子どもの意見を聞くことも大切ですが、私はより日常的な場面での対応が重要であると考えます。「育ち学ぶ施設」と表現されていますが、例えば区立学校では区の責務も育ち学ぶ施設の責務も両方を意識した対応が求められると考えますが、いかがでしょうか。 条例の実効性を担保する仕組みの一つとして、(仮称)中野区子どもの権利救済委員を置くとされています。必要に応じて区に対しても厳しい指摘のできる、客観性、第三者性の担保が重要と考えますが、具体的にどのような在り方を考えているのか、お伺いします。 新たな基本構想が策定されたことを受けて、これから教育大綱の策定プロセスも進んでいきます。条例制定のタイミングとの前後関係は不明ですが、いずれにしても教育大綱にも子どもの意見を反映するための取組を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 4番、中野区男女共同参画・多文化共生審議会答申と条例制定に向けた考え方について、お伺いいたします。 この夏、様々な問題がありながらも東京オリンピック・パラリンピックが開催されました。タイミングとしてはたまたまではありますが、中野区はこの間、人権・多様性尊重に関わる条例制定を進めています。後世、これがオリンピック・パラリンピックの一つのレガシーと評価されるような条例になることを期待しています。 先日の総務委員会の報告資料を見ると、審議会答申の「区(行政)・事業者・区民・全体の役割」に当たる部分の記載がありません。条例では、それぞれの主体の責務を定めることになるはずですが、それぞれにどういった役割を定めるお考えか、伺います。 特に区がリーダーシップを発揮し、区内全体の人権や多様性尊重に対する理解促進を進める責務がある、このことを明記すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、それぞれの主体がそれぞれで活動するのではなくて、区が中心となり、大学や団体等との協働・協創を進めていくべきと考えます。そうすることで、区だけで届かない層にもアプローチできるでしょう。見解を伺います。 審議会答申では、推進体制の考え方について、区長が改善を求めることができる仕組みとする必要があるとあります。実効性を担保するために重要な規定となりますが、どのような規定を想定しているのでしょうか。 また、相談体制については、具体的にどのようにお考えでしょうか。人権問題ならばまずはここといった窓口のようなものがつくられるのでしょうか。現在、区から委託で相談事業をやられている方々から、もっと区にも周知に協力してほしいとの御意見もいただいています。既に体制の整っている相談機能をさらに活用していくことも考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。この点をお伺いいたしまして、私の全ての一般質問を終わります。ありがとうございました。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 森議員の御質問にお答えいたします。 最初に、新型コロナウイルス感染症対策についてで、初めに感染症に関する区長メッセージの発信についてでございます。緊急事態宣言が9月30日まで再延長されました。中野区は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に全力で取り組んでおります。また、希望する全ての区民の方がワクチン接種を受けられるように、国や都へ強く働きかけるとともに一層工夫をしてまいります。区民の皆さんには、改めて感染予防策の徹底をお願いしたいと考えております。新型コロナウイルス感染症に関しては、これまでも都度、区長定例記者会見で説明するとともに、動画などによって区長としてメッセージを発信してきたところでございます。今後も感染の状況などを見極めながら、区長として時宜を得たメッセージを発信してまいります。また、その際は私自身のSNSも含めて活用してまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症に関する医療体制についての御質問です。新型コロナウイルス感染対策としての宿泊療養施設や臨時医療施設の確保などの医療体制の整備につきましては、都が実施してまいりました。今後も必要に応じて東京都に要望を伝え、適宜情報収集を行うとともに、区医師会等とも連携を図って、区としてできることを検討してまいります。 次に、自治体ごとの重症者数についての御質問です。都内の新型コロナウイルス感染症の重症者数については、医療機関や保健所の負担とならないよう、都が一括して医療機関から独自のシステムを用いて人数を把握し公表しているところから、区として重症者数は把握しておりません。医療機関において入院患者に対する新型コロナウイルス感染者等情報把握管理支援システムの運用が開始された場合には各区においても重症患者数の把握は可能となりますが、患者数の多い東京においては現時点では困難な状況と認識しております。 続きまして、療養者の状況についてです。御指摘の事務連絡、「現下の感染拡大を踏まえた患者療養の考え方について(要請)」、これについては、8月3日に厚生労働省より発出されまして、その後新たな通知は出されておりません。区は、この間も重症度分類に従って入院が必要な者については速やかに入院調整を行ってまいりました。宿泊療養者数の減少につきましては、7月下旬に都の宿泊療養施設が逼迫したため、従来原則は宿泊療養もしくは入院としていた方針につきまして、宿泊療養は同居者に重症化リスクの高い者がいる等に限定するよう、都から指示があったためでございます。陽性者の減少に伴って、入院が必要な方は速やかに入院することが可能な状況となっております。 続きまして、区PCR検査センターの状況についてでございます。区のPCR検査センターにつきましては、濃厚接触者や医療機関で医師が検査が必要と判断した者を対象に検査を実施しております。昨年の7月時点では自分の医院でPCR検査に対応できる医療機関の数が少なかったことから、PCR検査センターでの検査に頼るところが多く、本年に比べ検査件数が多かったと考えられます。第5波のピーク時におきましても必要な検査は実施できておりまして、現在は福祉施設等での発生時に実施する濃厚接触者に限らない幅広いスクリーニング検査についても対応ができているところでございます。 次に、職員の健康管理と感染予防でございます。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、職員に対して、日頃からマスクの着用やこまめな手洗い、手指消毒といった感染予防を徹底するほか、出勤前に検温を行い、体調不良の場合には出勤しないようにする等、体調管理を徹底するよう周知してきたところでございます。窓口には飛沫防止用のパネルやビニールシートを設置しているほか、カウンターや共用物品の消毒をこまめに実施しております。戸籍住民課での感染状況を踏まえ、マイナンバーカード交付係のパーテーションの撤去工事やキャビネットの配置変更等を行い、空気の循環を改善したところでございます。今後は、職場環境の改善について各職場でチェックシートによる点検を実施する予定でございます。デルタ株は感染力が強く、従来の感染予防では職場における感染拡大を防ぐことができなかったため、これまで以上に徹底して感染予防を実施していく必要があると考えております。 続きまして、保健所次長の設置によるマネジメントについてです。今年度新たに保健所次長を設置し、新型コロナウイルス感染症対策に関する保健所の応援体制の構築や調整、補正予算の調整等に当たらせてまいりました。このため、7月下旬以降の感染者急増において対応が長期化する中でも職員が無理なく持続的に対応できる体制を構築することができたと考えております。 次に、陽性者急増時の対応についてでございます。第5波のピークにおきましても、保健所は全ての陽性者に連絡を取り、感染症法に基づく勧告とともに健康観察を行ってまいりました。積極的疫学調査につきましては、国や都の通知において、陽性者が急増した際に効率化や重点化を行うよう示されており、本区においても業務の効率化を図ってきました。具体的には、事業所や学校等での発生の場合はその健康管理者等に陽性者との接触状況や環境の確認をお願いすることとし、保健所で行う調査は同居者や重症化リスクの高い集団へ重点化するなど、区民の命を守る対応を優先しております。また、陽性者と接触があったとの申告がある方について、検査を御希望の場合は区のPCR検査センターでの検査を実施するほか、保険診療の行政検査を行っている医療機関も御案内しております。 次に、保健所の応援体制です。保健所の応援体制の構築に当たりましては一定の期間連続して従事できる職員を派遣するように調整しているところでありますが、応援する側の所属や職員は本来業務を行いながら保健所の業務に従事するため、特定の職員を長期間派遣するのが困難な状況にあります。その結果、想定以上に入替えが多く、業務の引継ぎが生じて非効率になっている部分もあると認識しております。今後、応援体制を構築する際に保健所の業務効率を最優先し、応援職員を派遣するようにしていきたいと思います。 次に、ワクチン接種についての初動の早さと接種停滞の原因です。区では、75歳以上の接種券を4月15日に、65歳以上を5月14日、16歳以上を6月10日に送付いたしました。こうしたスケジュールは、区の準備状況、中野区医師会など関係機関との事前協議、ワクチンの供給見込みを踏まえて判断してきたものでございます。接種の停滞につきましては、国からのワクチン供給が減少してしまったため、個別接種の医療機関について、7月19日から8月15日まで1回目接種の新規予約を停止するとともに、8月16日以降の集団接種の新規予約も5割削減せざるを得なかったことが原因であると考えております。 次に、8月の接種実績についてでございます。8月の区の集団接種と個別接種を合計した実績は6万1,200回であり、週平均すると約1万3,800回でございます。これは、1週間当たりの最大接種能力2万8,000回の49%となります。 次に、ワクチンの供給の仕組みについてです。国は、10月初旬までに接種対象者の8割が接種できるようにワクチンを供給することとしておりまして、ファイザー社ワクチンのこれまでの供給量と武田モデルナ社ワクチンの接種回数などを推計して、不足分のファイザー社ワクチンを都道府県に割り当てております。その後、東京都は区市町村から希望量や接種状況、予約受付取消しの状況などを聞き取るとともに、都が実施している大規模接種会場におけるワクチンの使用量を含めた調整を行い、区市町村への供給量を決めております。 次に、集団接種の終了についてでございます。9月9日時点で約6割の方が1回目接種を受け、約5割の方が2回目接種も終了しております。10月以降も個別医療機関において一月当たり約2万7,000回程度の接種が可能な体制を築いているほか、区が新たに実施を検討しております中野サンプラザにおける1万人規模の集団接種や国・都の大規模接種、職域接種などの利用によって、接種を希望する全ての区民が接種できる体制を築いております。 次に、武田モデルナ社ワクチン集団接種の優先予約についてでございます。ワクチン接種に当たっては、これまでの各年代の接種状況などを踏まえて、基礎疾患を有する方、高齢者施設等の従事者、保育所などの児童福祉施設の従事者、年齢、それから重症化リスクの高い方や従事する業務の特性、感染拡大抑止の観点から優先順位をつけて実施することを考えております。 続きまして、財政状況と今後の区政運営についてで、最初に決算状況の分析についてでございます。令和2年度は、新型コロナウイルス感染症拡大への対策経費の充実や事業の縮小など新型コロナウイルス感染症による影響が非常に大きかったと認識しております。決算の分析に当たりましては、新型コロナウイルス感染症対策経費だけではなく、従来から実施している経常事業についても行政評価等により効果等を検証しているところでございます。一つひとつの事業の効果等をしっかり見極め、令和4年度予算編成につなげてまいります。 次に、1年前の財政上の非常事態の認識についてでございます。1年前、令和3年度の予算編成のスタート時点では、新型コロナウイルス感染症の拡大が税収等にどれほどの影響があるのか、不明確な部分が大きかったことから、その時点で把握していた勤労統計の情報やGDPの予測などから最も厳しい状況を想定して減収を見込んだところでございます。先が見通せない状況であり、またこれまでに経験したことがない一般財源の減収を想定せざるを得なかったことから、危機意識を持って予算編成を進める観点から財政上の非常事態との認識に至ったものでございます。最大のリスクを想定して予算を組んだものでございまして、適切な判断であったと考えております。 続きまして、歳入構造の変化を踏まえた歳入見通しについてでございます。消費税増税によってGDPの予測と税収見通しの相関関係が変化しつつあるということは御指摘のとおりであると考えております。今後の歳入につきましては、国の経済見通しや税制改正の影響等を適宜検証し、見通しを立ててまいります。 次に、区財政の余力についてでございます。新型コロナウイルス感染症の終息がいまだ見通せない中、区財政の今後も不透明な状況であることから、引き続き緊張感を持って令和4年度予算編成に臨む必要があると考えておりまして、余力があるという状態とは捉えておりません。効果の上がっていない事業の見直しを進め、必要な財源を確保した上で対応すべき課題を整理し、必要な事業に選択と集中を図り、中・長期的な視点を持って予算編成を進めてまいります。 続きまして、都区財調の配分割合についてでございます。令和2年度から配分が0.1%増になりましたが、区側の主張とは乖離があると考えております。児童相談所の開設に伴って児童相談所関連事務が都から区に移管されることは、都・区で合意した配分割合の変更事由の一つであります。都・区の役割分担の大幅な変更に該当するものということで考えております。引き続き他の区と歩調を合わせ、区側の考えに沿った形で配分割合の変更が行われるよう強く求めてまいります。 続きまして、児童館の全廃方針の見直しについてでございます。児童館は、キッズ・プラザ整備によって順次廃止をし、全廃の方向であったと認識しております。しかし、時代や社会の変遷とともに、いじめや不登校、貧困や虐待、孤独な子育てといった社会的課題への対応が喫緊であり、これらに対応するため、児童館全廃の方向を改め、児童館の機能強化を図って新たな機能を備えた児童館を整備していこうとしました。児童相談所の設置と併せて、地域包括ケア体制の推進やセーフティーネットの強化の取組み、地域全体で子育て・子育ちを推進するための取組を進めてまいります。 続きまして、子ども施策についての教育大綱策定における子どもの意見の反映についてでございます。令和3年3月に基本構想が改定されたことによって、教育委員会と検討を現在進めているところでございます。今後、総合教育会議で教育委員との議論を深めて、随時議会への報告も行いながら、10年後のまちの姿や新しい区政の方向性を区民と共有し、今後の中野の教育の在り方について意見交換等を行ってまいります。教育大綱の改定に当たりましては、現在策定準備を進めている子どもの権利条例の理念を踏まえ、子どもたちの意見を聞く機会を設け、中野が目指す教育の姿を描いてまいりたいと思います。 続きまして、中野区男女共同参画・多文化共生推進審議会答申と条例制定に向けた考え方、初めに条例上の区・区民・事業者、3者の役割についてでございます。区は、施策を総合的に推進したり、区民や事業者等と連携してリーダーシップを発揮するべき立場であると認識をしております。区民、事業者に関しましては、環境づくりや助け合い、施策への協力等に関する努力義務を想定しておりますが、答申には3者による連携の重要性も述べられておることから、条例内容にもその趣旨を反映していく方向で考えております。 続きまして、団体等との協働・協創についてでございます。大学や各団体におきましては、条例の趣旨を踏まえながら活動を行っていただくよう働きかけるとともに、区の施策への協力、特に条例の内容を浸透させていくため広報活動に協力いただきたいと考えております。大学等の広報に関するノウハウや発信力を生かして、区民一人ひとりや各事業者にきちんと伝わっていくように調整を図ってまいります。 次に、改善を求めることの条例への反映についてでございます。人権の尊重に反し、差別や偏見を生むような活動を行われている場合などについては、区として、事業者等に対し、人権に関わる条例や規定内容等を伝え、理解を求めたり対応すべき内容を伝えていくことが必要だと考えておりまして、新たな条例においてはその根拠となる条文が必要であると考えております。 最後に、既存の相談体制の活用についてでございます。中野区では、専門相談として、法律相談、人権擁護相談など八つの相談を提供し、また令和元年度からは性的マイノリティーの方を対象としたにじいろ相談を提供しております。この相談内容に応じた窓口や制度等を丁寧に案内するとともに、既存の相談事業をより活用してもらうためにも広報などを充実してまいります。 〔教育長入野貴美子登壇〕 ○教育長(入野貴美子) 私からは、新型コロナウイルス感染症対策のうち、区立小・中学校の夏休み明けの対応についての御質問にお答えいたします。 まず、ワクチン接種で学校を休んだ児童・生徒への配慮についてですが、児童・生徒がワクチン接種で学校を休んだ場合は欠席とはせず、指導要録上、出席停止・忌引き等として子どもたちに不利益とならないよう配慮しております。また、副反応で欠席した場合も同様の対応としております。 次に、9月からの教育活動についての御質問です。子どもたちの安心・安全を守るとともに、学びを止めないこと、様々な家庭の状況を踏まえ総合的に判断して、午前授業、給食ありで教育活動をスタートさせることといたしました。長期休業明けは、特に各学級で少しでも気になる様子が感じられる児童・生徒の状況を一人ひとり丁寧に把握し、不安や悩みの解消に向けて支援していくことが必要でございます。そのため、午前授業とすることで、教職員は午後の時間を活用し、新型コロナウイルス感染症のために登校していない児童・生徒の状況把握や家庭学習に関する対応、オンライン学習のための教材準備等を行えるようにいたしました。 次に、学校におけるマスクの着用についてです。夏休み明けの学校通知において、学校が児童・生徒に対し感染予防などについて指導する際には、飛沫の捕集の効果について不織布マスクが高い効果を持つことや正しい方法で着用することの大切さを指導するように伝えてあります。併せて教職員には、体質等によりマスクが着用できない等の児童・生徒などへの配慮も指導しております。また、保護者へは、子どもたちがマスクの種類や着用の仕方など感染予防策について学んだ資料等を共有することで啓発を図っております。学校では、児童・生徒が登校後にマスクが必要になったり、様々な家庭の状況でマスクを準備できなかったりした際には学校で不織布マスクを配布できるよう準備しております。 次に、指導計画の工夫による感染拡大予防についてです。学校には、緊急事態宣言が発令されている期間は警戒度をさらに上げ、例えばグループによる話合いや体育における身体接触を伴う活動、合唱や管楽器の合奏など、感染症対策を講じてもなお飛沫感染の可能性が高いと考えられる活動を行わないように指導計画を工夫してもらっております。また、児童・生徒に対しましては、様々な機会を捉え、子どもと密な状態をつくらないなど、新型コロナウイルス感染症の予防について正しく理解し、適切な行動を取れるよう、発達段階を踏まえた指導を改めて行うことで感染症拡大防止を徹底しております。家庭の協力の下、学校が感染症対策を徹底し、児童・生徒が適切な行動を取っている結果、これまで学校における大規模な感染症の拡大は見られておりません。 次に、オンライン学習の対応についてです。学校の学習系ネットワークの現状は、使用状況等にもよりますが、同時接続が安定的にできるのは各学校で30台程度でございます。各学校では、この状況を踏まえた上で、登校できない児童・生徒に対する配慮として適宜オンライン授業を行うほか、課題を提示して放課後等に教職員が質問を受け付けて指導するなど、学習の継続に支障が出ないよう努めております。しかし、現在、全学校でオンライン授業をストレスなく実施できる状態にはなっていないため、環境改善に向けた検討を進めております。なお、改善に際しては多額の費用を要するため、補正予算による対応を想定しているところでございます。 次に、保健所との連携でございます。校内で感染者が出た場合、中野区保健所と連携して濃厚接触者の特定を迅速に行い、翌日以降の教育活動に影響がないことを確認し、教育活動を継続しております。また、登校時やその後、児童・生徒に風邪の症状が見られた場合などには、保護者が迎えに来るまでの間、校内の別室で待機させるなどの体制を整えております。今後、感染症拡大等により、保健所業務の逼迫のため従来どおりの調査に時間を要する事態となった場合は一時休校措置を取るなど、適宜関係機関や校医とも連携しながら対応してまいります。 次に、抗原簡易キットの利用についてです。文部科学省は、児童・生徒が登校時に体調不良を起こした場合は、保護者に連絡の上、速やかに帰宅させ、医療機関を受診させることが原則であり、引き続きこの対応を徹底することを求めております。その上で、すぐに帰宅することが困難な場合や地域の実情により直ちには医療機関を受診できない場合における補完的な対応として、4年生以上の児童・生徒に使用することを許容するものとしております。区の各学校においても、以上の原則を踏まえて対応してまいりたいと存じます。 次に、中野区区有施設整備計画(案)についてのうち、学校隣接地の状況把握についての御質問にお答えします。学校施設が広くなることは、児童・生徒にとってより良好な教育環境の確保につながるものと考えております。これまでにも条件が整えば、学校隣接の土地の購入や寄附を受けるなど、学校施設の拡大を進めてきたところでございます。引き続き地域や学校などと連携を図りながら学校敷地に隣接する土地や建物の状況等の把握を行い、良好な教育環境の整備につなげていきたいと考えております。 最後に、(仮称)中野区子どもの権利に関する条例についてのうち、区立学校での対応について、お答えいたします。区立学校は、育ち学ぶ施設として中野区の子どもたちの学びや育ちに重要な役割を果たしていると考えております。子どもたちが多くの時間を過ごす学校においては、子どもの権利が保障されることは重要であると認識しております。区立学校においては、子どもの権利の保障を基に取り組んでいるところでございますが、改めて本条例の内容については教職員への研修などを行っていきたいと考えております。 〔総務部長海老沢憲一登壇〕 ○総務部長(海老沢憲一) 私からは、財政状況と今後の区政運営についてのうち、今後の職員定数の考え方について、お答えいたします。 来年度も2000人体制で対応できる根拠と、また児童相談所で必要な人員の配置についてのお答えでございます。来年度の職員定数の配分に当たりましては、清掃作業や用務、調理等の技能系の職員について退職不補充とする分やオリンピック・パラリンピックの終了に伴う定数の削減などにより、新たな行政需要に対して30名程度の人員を配置できる見込みでございます。各部からの要求を精査し、真に増員が必要な場合に絞り込んで職員定数を増やすよう配分を検討しているところでございます。そうすることによりまして来年度も職員2000人体制のままで対応できる見込みであり、児童相談所設置市事務の増加に伴い必要となる人員については着実に配置をしていく予定でございます。 続きまして、職員定数の検討状況につきましてお答えいたします。1月の総務委員会での報告の後、地方公務員法の改正によりまして定年の年齢が引き上げられるなど、新たに職員定数が増加する要因も生じてございます。令和5年度以降も2000人体制を維持するということは難しい状況ということには変わりがないということでございます。これまでの間、基本計画や区有施設整備計画、構造改革実行プログラムの検討を進める中で業務委託の推進などにより職員定数を削減することができないか検討してきたところでありますが、具体的な削減人員の積算には至っていないという状況でございます。 最後に、今後の人件費の推移と職員定数の在り方について、お答えいたします。今後10年から20年間の人件費を推計いたしますと、職員の年齢構成が変化し、比較的若い世代の人員が増えることや退職者数が減少することから、職員2000人体制を維持することにより人件費の削減効果があるというふうに考えております。一方で、職員定数を増やすことは、30年から40年先まで長期的に見れば将来の人件費の負担を増加させることにつながるということでございます。職員の年齢構成のアンバランスをできるだけ早く解消し、平準化することが世代間負担の公平につながるというふうに考えているところでございます。 〔構造改革担当部長石井大輔登壇〕 ○構造改革担当部長(石井大輔) 私からは、中野区区有施設整備計画(案)についての御質問のうち、商工会館の跡地の活用について、まずお答えいたします。商工会館跡地は、今年7月から8月にかけてサウンディング型市場調査を実施し、民間事業者から市場の動向や活用アイデアなどの提案を受けたところでございます。区の財政負担なく、施設を整備することが可能との提案もあり、今後、調査結果を踏まえて活用方針を定めた上で民間事業者の公募を行う考えでございます。区で活用する部分につきましては、産業振興の総合的支援機能の展開を図るとともに、地域経済活性化に資するよう施設機能の検討を進めてまいります。 続きまして、学校用地に関連いたしまして、借地権付国有地の活用について、お答えいたします。一般的に借地権付の土地につきましては、借地権割合を適用した不動産評価となりまして、国有地や学校用地においても同様の取扱いになるものと認識してございます。国有地を借りている学校のうち、今後学校用途を廃止するものとしては、現在南台小学校の代替校舎として使用している旧新山小学校と鷺宮小学校がございます。今後、旧新山小学校跡地はまちづくり用地として活用し、鷺宮小学校跡地では複合施設を整備することとしており、国有地の取扱いも含め検討を進めてまいります。 〔子ども教育部長青山敬一郎登壇〕 ○子ども教育部長(青山敬一郎) 私からは、子ども施策についての御質問のうち、保育の質向上に向けた施策について、お答えいたします。 まず、来年4月の待機児童数の見込みについてでございます。認可保育所の整備を進めていることから、来年4月の待機児童数は今年4月より減少するものと見込んでおります。地域の保育需要に見合った整備を進めることで待機児童の偏在を解消し、待機児童数ゼロを目指してまいります。 続きまして、減収補填を受けている保育施設についてでございます。減収補填を受けている地域型保育事業は、家庭的保育事業が8園中1園、小規模保育事業が15園中5園でございます。認証保育所については、10園中7園が減収補填を受けてございます。 続きまして、認可保育所への支援についてでございます。認可保育所の入所率は、令和2年度実績で約88%でございます。認可保育所への支援につきましては、年齢ごとの定員調整のほか、運営事業者の経営状況と区の財政状況を長期的に見通しながら検討する必要があると考えております。 続きまして、宿舎借り上げ補助金の事業者負担についてでございます。保育士等宿舎借り上げ事業は、国・東京都・区が経費の8分の7相当、運営事業者が8分の1相当を負担する制度でございます。従来は区がこの8分の1相当を負担しておりましたが、区の財政見直しの一環として運営事業者に本来の負担をお願いしたものでございます。この事業者負担につきましても、認可保育所への支援と同様に、運営事業者の経営状況と区の財政状況を長期的に見通しながら検討する必要があると考えております。 最後に、常勤事務職雇用の補助についてでございます。区が保育所に各種給付費等補助を行うに当たっては、公正な事業執行のため、申請手続等について保育所が一定の事務処理を行う必要が生じてまいります。保育所の事務負担の軽減につきましては、押印の省略、書類の削減など事務手続の簡略化と併せて総合的に検討してまいります。 〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕 ○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、子ども施策についての御質問のうち、(仮称)中野区子どもの権利に関する条例について、お答えさせていただきます。 初めに、子どもの意見の尊重についての御質問です。子どもの意見表明につきましては、児童の権利に関する条約の中でも重要な要素の一つであるというふうに認識してございます。審議会の答申の中でも、子どもの意見の尊重、とりわけ参加の仕組みを条例で規定する必要がある旨の御提案をいただいております。区といたしましては、子どもに優しいまちを実現する上で子どもの意見の尊重が重要であると考えておりまして、この考え方を条例の基本理念として規定していくことを考えております。 次に、子どもの意見の尊重の規定についてでございます。あらゆる場面において子どもが意見を表明し、それが尊重されることが重要であるというふうに認識してございます。その中で、子ども会議は区政などへの意見表明及び参加の機会の一つとして開催するものとして検討してございます。こうしたことを踏まえた上で条例の規定を検討しているところでございます。 最後に、子どもの権利救済委員の設置についての御質問でございます。子どもの思いに寄り添い、子どもの意見を尊重し、その子どもにとって最善の利益の実現を図るための相談及び救済の仕組みが必要であると認識しております。条例におきましては、区長の附属機関として(仮称)中野区子どもの権利救済委員を設置し、子どもの権利に関する相談及び救済を図っていくことを想定してございます。必要な調査、調整及び関係者への要請などの所掌事項を定めることなどを通じまして、救済委員の客観性を確保していくことを考えております。 ○議長(内川和久) 以上で森たかゆき議員の質問は終わります。
中野区議会議員 大 内 しんご 1 「東北復興大祭典なかの」について (1)今年度の大祭典について (2)今後の展望について (3)その他 2 中野区構造改革実行プログラムについて 3 PayPayを利用したキャッシュレス決済推進事業について 4 その他
○議長(内川和久) 次に、大内しんご議員。 〔大内しんご議員登壇〕 ○32番(大内しんご) 令和3年9月10日、中野区議会第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から質問をいたします。 最初に、「東北復興大祭典なかの」について、お伺いいたします。 今年は、東日本大震災発災から節目の10年目の年を迎えました。大祭典については、東北地方への継続した復興支援と位置付け、これまで継続してきたことによって多くの団体、関係者から新たな絆が深められてきました。前回、2019年の大祭典には2日間で30万人の来場者がありました。近隣で行われている高円寺の阿波踊りや阿佐ヶ谷の七夕まつりに並ぶ中野における最大級のイベントとなっております。大祭典開催に当たり、これまでの開催に要した区の負担金ですが、2012年から大祭典として8回、昨年度の応援展も含め、9回の開催でおおむね6,000万円程度です。そのうち、ふるさと納税は特別区全国連携プロジェクトなどにより1,500万円程度の歳入があり、直接の歳入ではないものの、財政調整特別交付金で5分の4が復興支援として算定されております。開催1回当たりの負担金として平均すると500万円程度です。中野区内の経済の波及効果や区民への満足度を考えれば、この経費でこのような大規模な祭典が開催されていることは大変すばらしいことだと思います。 今年度の大祭典の開催については、10月23日、24日の開催に向けて準備をしているということですが、一方で9月になっても新型コロナウイルスの猛威は収まらず、緊急事態宣言も9月末まで延長される事態となっている現状では、今からおよそ1か月半後に区民の方に安心して楽しんでもらうイベントとして大祭典を開催することは困難だと思います。本来であれば、東日本大震災から10年目の節目の年であることから、大祭典を通じて改めて復興支援の意義や趣旨を多くの皆さんに理解していただき、祭典を楽しんでいただけるようなイベントとしてさらに内容も充実した大祭典であることを期待しておりました。ただ、一方で、東北復興への祈念を継続するとともに、コロナ禍で沈滞している区民生活を元気づけることも考えていくことが必要です。例年御協力いただいている東北の出店ブースの方たちやステージの関係者、在京のおはやし団体の方々からも、感染症対策をしっかりと行い、準備を進めている数少ないイベントとして中野区の取組に感謝をしている。昨年と同様に、どのような形でも知恵を出し合い、協力をし、工夫しながらぜひ今年度も開催してほしいとの声もいただいております。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会では、今後ワクチンが行き渡った後の経済社会活動の制限緩和について議論されていますが、秋以降には接種証明書や検査の陰性証明書を活用することで県境をまたぐ旅行や大規模イベントの制限を緩める取組も検討されております。大祭典を心待ちにしている区民の皆さんや開催に御協力いただいている関係者の皆さんの期待に応えていくためにも、今年度については、一定程度ワクチン接種が進み、感染者数が収まると予想される秋以降に、今後の新型コロナの状況、国等の規制の制限の緩和の方向を注視しながら、開催日程を変更してみてはいかがでしょうか。さらに、昨年同様に実施内容も見直していくなど、実行委員会と協議し準備を進めていくフォーマットを考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。 来年は、新型コロナが一定程度落ち着けば、まちのにぎわいも盛り上げていかなければならない年になります。来年度こそは今まで以上の大祭典が開催できればと願っております。 次に、今後の展望について、お尋ねいたします。 現在まで東北復興大祭典なかのについては、年々参加団体も増加し、ねぶたをはじめ、各地の特色ある踊りなどを一堂に楽しめる中野を代表するイベントへと発展してきました。中野区では、令和6年度に新庁舎への移転も予定されております。同時に中野駅周辺では再開発のための工事が開始され、サンプラザ前の広場などが使用できなくなります。イベント開催などにぎわいの中心は区役所の中心として行われていくことになると考えます。新庁舎には1階にイベントスペースも開設されます。そういったものを活用し、庁舎に隣接している広場、四季の森公園、その前の道路で一体的なお祭りが展開できれば新庁舎も区民に身近な存在になってくると思います。例年、秋には様々なイベントが企画されていますが、東北復興大祭典を中心とし、例えば同時期に行われているイベントと連携することや周辺の大学も巻き込むことなどによってさらに大きなにぎわいを生み出し、より多くの区民に楽しんでいただけるイベントにしていくことも可能だと思います。 そこで、大祭典の今後の展望についてですが、これまで育んできた東北と中野の絆をより深めていけるよう、復興のコンセプトを踏まえつつ、震災後10年が経過したことを契機としてお祭りの装いを発展させる。令和6年に開設を予定している新庁舎や四季の森公園周辺スペースを中心として多くの区民もさらに参加でき、多種多様な団体も参加できるイベントとしてさらに発展していけば、中野のまちを大いに盛り上げていけるのではないかと思います。いかがでしょうか。お伺いいたします。 次に、中野区構造改革実行プログラムについて、お伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の猛威は、8月13日に東京都の1日の感染者数が過去最大の5,773人となるなど、ワクチン接種を加速度的に進めているものの、いまだ衰えるところではありません。ここ数日間の新規感染者数の傾向を見るとピーク時を乗り越えた感もありますが、医療体制が逼迫し、自宅療養を余儀なくされている多くの方々がおります。従来どおりの対応では区民の生命、健康を守り切ることが困難な状況に陥っています。さらに新しい変異株が次々に現れるなど、次元の異なる緊迫した状況では今まで以上に踏み込んだ区の対応が求められると思います。 また、区内経済に目を向けると、4回目の緊急事態宣言も今月末まで延長されることにより、感染症拡大の長期化による飲食業を中心とした区内経済への打撃はかなり深刻度を増しています。区は、区内経済の早期立て直しのため、力強い支援策を継続的に実施していく必要があります。感染拡大防止対策、区内経済対策に財源を振り向けながらも安定した区政運営を維持継続するための財源も確保していく必要があり、今後の財政運営は極めて重要な局面を迎えていると言えます。区は、新型コロナウイルスの感染拡大が進んだ昨年6月に財政への影響が単年度で100億円以上の減収もあり得ると想定していました。事業の一部執行停止、歳出抑制を行い、このままでは財政調整基金が数年で枯渇するとし、財政的な非常事態との認識を示しました。令和3年度予算においては、前年度当初予算比で68億円の一般財源の減収を見込んだ編成を進め、その上でこの財政非常事態に鑑みて、おおむね3年間で集中的に取り組む行財政の構造改革を進めるとしました。 そこで、構造改革を進める上で、現在の財政状況等の認識について、お伺いいたします。 まず、財政上の非常事態との認識を示してからおおむね1年が経過し、新型コロナウイルスの感染拡大によって大きな影響が想定された令和2年度の歳入の状況は実際にどうだったのでしょうか。歳入一般財源の状況について、令和2年度当初予算との対比で教えてください。 次に、区の基幹収入である特別区税の状況、特別区交付金の状況についても併せてお伺いいたします。 新型コロナウイルスの感染拡大による令和2年度の歳入の減少は当初予定したものよりも限定的であったと見てよいのでしょうか。いかがでしょうか、お伺いいたします。 9月7日付の都政新報の記事によると、2020年度の特別区決算において、景気動向の影響はそれほどでもなかったが、税制改正による影響が大きく数値に現れ、各区とも経常収支比率が軒並み80%台に悪化したということでした。中野区の状況を見ると、数値は77.1%と3.2ポイント減少しており、そもそも財政状況が良好である都心の3区を除くと最も財政が弾力的とも言える数値となっています。このような結果となった理由は何でしょうか。区は、構造改革実行プログラムを作成する前段階において、令和2年度の財政状況の悪化を予測して幾つかの執行予定事業を停止、凍結しました。言い過ぎかもしれませんが、その結果行き過ぎた執行停止が行われ、経常収支比率が減少したとも考えられます。お伺いいたします。 さきの総務委員会で報告のあった、令和3年度都区財政調整の東京都の当初算定では対前年度比約17億円の減との報告がありました。算定残等が今後追加配分されることを含めると、今年度当初想定していた影響額には及んでいないように見えますが、いかがでしょうか。 そこで再度伺いますが、新型コロナウイルス感染症拡大による財政への影響は、当初区が想定したものと比べてどのような状況であると認識しているのか、今後どのように推移すると考えているのか、お伺いいたします。 現時点においても、財政非常事態との認識を持っているのかについてもお伺いいたします。 構造改革実行プログラムは、8月中に策定され、今定例会の常任委員会で報告される予定であると聞いております。この構造改革実行プログラムは、検討を始めた当初は、財政の非常事態に対応し、行財政の改革を断行し、新しい区の基本計画を前に進めるための財源を生み出すことを目的としていたと認識しています。しかし、本プログラムの実施によってどのくらいの一般財源充当事業費の削減につながるかについて、さきの第2回定例会で質問しました。区の回答は、予算編成において歳出の一般財源充当事業費を基準となる一般財源規模に近づけるよう努めると述べたのみであり、削減効果がどのぐらいあるのかについてはいまだ具体的に示されておりません。一体このプログラムによってこれからの行財政の難局を乗り切ることができるのか、大いに懐疑的であると思います。プログラムの項目内容についても、事務改善レベルの細かな内容のものや、実施内容が具体性に欠け、今後の検討に委ねられているものが散見され、本当に区の新しい基本計画の下支えになる取組となるのか、疑問に思わざるを得ません。 そこで改めてお伺いいたしますが、構造改革実行プログラムの実施によって本当に持続可能な行財政運営につながるのか、基本計画を下支えするための財源を生み出すことはできるのでしょうか、お伺いいたします。 構造改革で実施する内容は、完成したプログラムの内容が全てなのでしょうか。お伺いいたします。 令和2年度の決算状況等を踏まえると、構造改革実行プログラムの各項目に記載された取組の方向性も変わってくるものがあるのではないでしょうか。プログラムの項目を具体的に進めるに当たって、今後どのように検討していくかについてもお伺いいたします。 構造改革実行プログラムの内容の大きな柱の一つにデジタルシフトによる区民サービスの向上と効率的な行財政運営の推進があります。2020年12月に国の自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画を示され、自治体システムの標準化、行政手続のオンライン化、AI・RPAの利用促進、テレワークの推進等を進め、住民の利便性の向上、業務の効率化を進めることとされました。また、新型コロナウイルスの感染拡大対応の中で行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れが浮き彫りとなり、日本を変えるためにも思い切ったデジタル化を推進することが必要とし、9月1日にはこれを強力にリードする司令塔としてデジタル庁が創設されました。今後は、国を挙げて加速度的に行政のデジタルシフトを進めていくことになると思います。行政のデジタルシフトによる業務改善や区民サービスの向上は、長期スパンで事業費の削減効果、人件費の削減効果につながっていくと考えますが、区の推進内容はまだ具体的にはなっておりません。そんな大きな転換となるのが新区役所への移転であると思います。新区役所の移転に合わせて仕事の進め方を見直し、デジタルシフトによる区民サービスのさらなる向上、効率化による経費削減を目指すべきです。一定程度先を見越しての業務の改善や区民サービスの向上につながる取組を費用対効果を十分に考慮しながら積極的に検討する必要があると思います。現在、新区役所で仕事を進めるための基幹的なシステムとなるネットワークシステムの導入の検討を行っています。新しいネットワークシステムの導入が業務改善に大きな効果があるとの報告がありました。最新のビジネスツールの導入には、その構築と運営に当たって相当な経費が見込まれることも想定されます。費用対効果を十分に整理するとともに、本当に将来の区民サービスの向上や人件費の削減につながっていくのかどうかということをしっかりと吟味し、導入の必要性については判断していく必要があります。 そこでお伺いしますが、区が想定している新しいネットワークシステムの導入によって、どのような業務改善や区民サービスの向上が図られると考えているのでしょうか。また、どのような財政効果が生み出せると考えているのかについて、お伺いいたします。 また、新しいシステムを導入して仕事の改革、効率化、サービスの向上を進めていくのであれば、そのシステムに精通した職員の確保、使いこなすための職員教育を実施しなければ思ったような効果が発揮されることにはなりません。区にはそのような能力を備えた職員は十分いるのでしょうか。しっかりと進められるマンパワーがあるのでしょうか。システムは導入したが、使いこなせないということになるのではないかといった懸念もあります。使いこなすためには外部人材の支援も必要になってくると思いますが、お伺いいたします。 3番目に、PayPay(ペイペイ)を利用したキャッシュレス決済推進事業について、お伺いいたします。 新型コロナウイルスの感染症拡大の長期化、緊急事態宣言の延長などにより、区内経済は大きな打撃を受けており、その下支えが急務となっています。そこで、中野区では、9月1日から東京都の生活応援事業を活用したポイント還元事業を実施しています。この事業は、区内商業のデジタル化の推進、地域経済の活性化を図ることを目的とし、本年6月、第2回定例会の補正予算で4億9,000万円余が計上された事業です。東京都の補助率は、ポイント還元分の4分の3であり、区は残りを4分の1として1億4,000万円余の一般財源で予算を組んでおります。中野区では、電子マネーPayPay(ペイペイ)を利用した事業が9月1日から9月30日までの1か月限定で実施されています。しかしながら、補正予算議決後、9月1日事業開始について、直前まで実施内容の詳細を議会に明らかにはされておらず、開始直前の8月25日になって初めて区民委員会で報告がありました。さらに、その報告でも対象店舗などの詳細情報は明らかにされませんでした。極めて説明の仕方に問題があると言わざるを得ません。事業の実施を知らない区民が大多数なのではないかという印象があります。時間をかけて十分な広報をして開始するのが事業の効果を高めると思いますが、区民周知を十分に行ったのか、大変疑問です。先ほども述べましたが、本事業の財源としては、事業費のうち4分の3、約3億5,000万円を東京都生活応援事業の補助金を活用し、約1億4,000万円を一般財源を投入して行う事業です。この事業は5億円近い税金を投入している事業です。多くの区民に実施をしっかりと周知し、当然今まで以上に消費が喚起されなければ税金の投入は無駄になってしまいます。例えば、PayPay(ペイペイ)での購入時に購入者がボーナスポイント付与を知らずに利用してしまっているとすれば、さらなる消費が喚起されずにあまり効果のない事業になってしまうのではないかと思います。また、本事業では、中野区民以外も隔てなく、1回につき上限2,000円分、トータル1万円を上限にボーナスポイントが翌月に還元される仕組みになっています。ボーナスポイントが区民に還元されることにより、事業者支援に加えてさらに効果の高い事業になります。そのためには、実施に当たっては十分な区民周知が、再三申し上げておりますけれども、不可欠だと思います。 そこで質問しますが、事業効果を高めるためには早い段階から広く事業実施を区民に周知することが必要な事業であったにもかかわらず、区はそれを怠ってきたのではないかと思います。4億9,000万円もの税金を使う事業であるからには、区民への十分な周知を図り、誰もが内容を理解し利用できるよう、特に高齢者など普段スマートフォンを使い慣れていない方々にも配慮した丁寧な周知を行うべきだったと思いますが、お伺いいたします。 また、今回のキャッシュレス決済推進事業については、第2回定例会での先議による補正であり、詳細が決まっていないことから常任委員会への報告は当初案という説明でした。その後、8月2日の閉会中の委員会では口頭報告をしただけで事業の周知に入り、議会に対しては事業実施内容の報告を行ったのが事業開始直前の8月25日の常任委員会でした。4億9,000万円余の税金を投入する事業の進め方として区議会への説明を十分に行ってから事業を実施するべきだったと考えますが、なぜ事業内容について議会での説明が十分に今回なされていなかったのか、改めてお伺いいたします。 以上で全ての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。 1点目、東北復興大祭典なかのについてでございます。 まず最初に、今年度の東北復興大祭典についてでございます。今年度の東北復興大祭典につきましては、現段階における新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえると、区としても当初予定しておりました10月23、24日の日程での開催は難しいと認識しております。今後の感染拡大状況を注視し、国等の規制の動向も見極めつつ、誰もが安全かつ安心してイベントに参加できるように、時期や内容については柔軟に考えて実行委員会とも協議していきたいと考えております。 続きまして、大祭典の今後の展望についてでございます。東北復興大祭典は、東日本大震災からの復興を中野から支援するために区も含めた実行委員会により開催しており、東北の各自治体や関係者との絆を深めながら回を重ね、ねぶた等の伝統文化や多彩なグルメ等を楽しめる中野を代表する祭典の一つになっていると考えております。また、将来予想される大地震などの災害への啓発の意味においても、多くの区民が年1回東日本大震災を思い起こす機会は重要であると考えております。また一方で、震災から10年が経過し、復興支援としての大祭典の在り方も変えていく時期にあると思います。どのような実施内容にしていくのかは検討してまいります。 次に、2番目の中野区構造改革実行プログラムについてで、最初に令和2年度一般財源の状況についてでございます。一般財源全体では、当初予算額805億1,700万円余に対して809億6,800万円余となり、およそ4億5,100万円、当初予算額を上回る結果となっておりました。 次に、特別区税及び特別区交付金の状況についてです。令和2年度の特別区税につきましては、当初予算額351億1,400万円余に対して360億8,500万円余と、9億7,100万円余の増となっております。一方、特別区交付金につきましては、当初予算額368億円に対して360億2,000万円余と、7億7,900万円余の減となっております。 続きまして、令和2年度歳入の減少についてでございます。令和2年度と元年度の一般財源を比較しますと、令和2年度は809億6,800万円余、令和元年度は809億2,700万円余であり、微増となっております。昨年の第2回定例会では40億円から45億円程度の減収規模を想定しているとお答えいたしましたが、結果としては、特別区交付金の減など、当初想定よりも限定的となったと考えております。 続きまして、経常収支比率が下がった要因についてでございます。経常収支比率が下がった要因は、特別区税や地方消費税交付金などの増によって分母である経常的に収入される一般財源が約13億円増となった一方で、公債費の減などによって分子である経常的な一般財源を充当する経常経費が約15億円減となったためと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症の財政への影響についてでございます。特別区税につきましては、6月末現在、調定額において、前年同期調定額344億円余よりも1億6,000万円ほど増加している状況でございます。また、特別区交付金の普通交付金につきましては、当初算定額が327億円余となり、当初予算額317億円と比較して10億円余上回っている状況でございます。現時点におきまして、新型コロナウイルス感染症の財政への影響は想定よりも小さいと捉えております。令和3年度の歳入も当初予算額よりも上振れする状況も見込まれるところでございます。 続きまして、財政非常事態の認識についてでございます。令和2年度の歳入状況は想定よりもよく、令和3年度も上振れの状況も見込まれますが、新型コロナウイルス感染症の終息はいまだ見通せない中、引き続き緊張感を持って持続可能な財政運営に向けて取り組む必要があると考えております。 次に、持続可能な区政運営についての御質問でございます。構造改革実行プログラムにおける28の個別プログラムは、いずれも取組による成果を想定して構築しておりまして一つひとつの取組が持続可能な区政運営に寄与するものと考えております。また、基本計画に基づく施策の着実な展開のためにも、より効率的で効果的な区政運営が不可欠でございまして、財源確保の観点を重視しながら構造改革を進めてまいります。 続きまして、構造改革の取組についての御質問です。構造改革実行プログラムにつきましては、評価検証及び更新を毎年度実施し、新たな課題についてもプログラムに位置付けて取り組んでいく考えでございます。 続きまして、構造改革実行プログラムの進行管理についてでございます。個別プログラムの進行管理につきましては、適宜進捗状況を把握し、方向性を確認していく考えでございます。また、次年度の予算編成におきましては、構造改革の観点から費用対効果を見極め、個別プログラムに関わる新規事業の検討とともに既存事業の見直しを一体的に行ってまいります。 次に、ネットワークシステムの導入効果についての御質問です。新しいネットワークシステムの導入をはじめ、デジタルシフトを進めることによって窓口での手続の簡易化やオンライン化など区民サービスが向上するとともに、業務の効率化や働き方改革につながると考えております。業務の効率化は、人件費や事務経費の抑制といった財政効果が見込まれますが、これまでに手続や業務などに費やしていた時間を区民サービスの充実や施策形成に充てることで区民の満足度やよりよい区政運営につなげて費用対効果を高めていく効果もあると考えております。 次に、外部人材の活用の必要性についてでございます。新しいネットワークシステムの導入に当たりましては、どの職員も使いこなせるよう、一部機能を先行して利用する段階的な導入やマニュアルの整備のほか、外部人材の活用や民間事業者との連携を検討するなど、新システムへの円滑な移行を図ってまいりたいと考えております。 続きまして、3番目のPayPay(ペイペイ)を利用したキャッシュレス決済についてでございます。 まず1点目の区民等への丁寧な説明についての御質問です。この事業につきましては、新型コロナウイルス感染症に係る緊急経済対策として地域経済の活性化と新しい日常における生活応援を図るために第2回定例会での補正予算で議決をいただいた事業でございまして、早期の実施が必要と考えておりました。区が行うキャッシュ決済推進事業は、区民にとっても新たな事業でありますから、区民への説明と周知を十分に行う必要があると考えておりました。事業の周知としましては、一般的な区報や区のホームページ、区有施設へのポスター掲示に加えて、対象店舗でのポスター等の掲出、JR中野駅北口での横断幕の掲示、関東バスの車内広告、ユーチューブを活用したウェブ広告の配信等も行っております。また、事業者においてもホームページやアプリ上での告知を行っております。また、高齢者等、スマートフォンに不慣れな方への説明につきましては、一部高齢者会館や区民活動センターで説明会を開催したほか、24時間365日対応している事業者のコールセンターの活用や区内提携する携帯ショップにおいても設定支援などを行っております。なお、事業終了後、事業者から利用者の年代別利用状況等をはじめとした分析用のデータの取得を予定しておりまして、今後の事業にもこれを生かしてまいりたいと考えております。 最後に、PayPay(ペイペイ)に関する議会への説明についてでございます。第2回定例会での補正予算成立後、区民委員会において事業の概要案を報告したところでございます。その後、契約手続を経て、7月21日に事業者との契約が成立し、さきの委員会報告から特に変更がなかったことから、8月2日の区民委員会では契約事業者決定の口頭報告を行ったものでございます。その後、契約に基づいて対象店舗等詳細な調整が8月中旬に終了したことから、直近の8月25日の区民委員会において除外する業種などを含めて実施の報告を行ったものでございます。事業の概要案から特に変更がなかったため、8月2日の区民委員会報告を口頭で行ったものではございますが、その時点で決定していた事業内容について資料でお示しして御説明するべきだったと考えております。今後は十分な説明、報告を行ってまいります。 〔大内しんご議員登壇〕 ○32番(大内しんご) 再質問させていただきます。 最後のPayPay(ペイペイ)の事業説明なんですけれども、色々契約だとかが終わったという話なんですが、では、いつから区民に対して周知が始まったのか。区民への周知期間が短かったんじゃないかということを言っているので。契約の時期等々は分かりましたけど。では、区民に対してそういったポイント還元のことで区内経済の活性化を呼び起こすといったことを、分かる範囲で結構ですけれども、いつからそういった周知を行ったのか。8月25日の常任委員会で概要の改めて説明を行ったと、それから始まったのか、あるいはその前に行ったのか、そういったことを。 また、区議会への中身の説明として、やはり4億9,000万円余の税金を投入する事業で、補正のときにはまだ何も固まっていなかった。でも、大筋の内容は説明されて、急を要することだからということで議会側も可決したわけですけれども、やはりそれだけ大きなお金を投入する事業についてはもう少し丁寧なしっかりとした説明をしないと。4億9,000万円ですよ。ねぶたの東北復興大祭典、1回やったって600万円ぐらいですよ。これ、1か月の事業で4億9,000万円ですからね。もうちょっとそこのところの、まあ金額の多い少ないだけではないんですけども、やはりもう少ししっかりと説明をしていただきたかったかなと思いますので、再度質問させていただきます。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 大内議員の再質問にお答えいたします。 詳しい、細かい数字はちょっと私も把握しておりませんけれども、周知の開始、区のホームページにつきましては7月27日ということで1か月以上前からの周知が始まっていたと記憶しております。また、事業者の説明会については、8月5日ということで約1か月前ということでございます。横断幕等、その他の周知につきまして詳しい数字は分かっておりませんけれども、1点、議員の御指摘の中で私が感じるところでは、やはり店舗の一覧というものがまず作られていなかったということで周知が浸透していないかもしれない、その原因になるかもしれないというのは考えております。PayPay(ペイペイ)の実際のこの画面を見て、そこから検索をすると店舗が出てくるということで、そこを見て初めて自分たちの生活の中でどの店舗が使えるかというイメージが沸くのだろうなと思っておりますので、これについては今後工夫してまいりたいと思います。 ○議長(内川和久) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。
中野区議会議員 小 林 ぜんいち 1 中野区の区政課題について 2 新型コロナウイルス感染症対策における医療的な取り組みについて 3 地域包括ケア体制の構築について 4 中野駅新北口駅前エリアの再整備について 5 その他
○議長(内川和久) 次に、小林ぜんいち議員。 〔小林ぜんいち議員登壇〕 ○24番(小林ぜんいち) 令和3年第3回定例会において、公明党議員団の立場から一般質問をいたします。 質問は通告のとおりで、5、その他はありません。 1、中野区の区政課題について。 初めに、全庁を挙げた新型コロナウイルス感染症対策について、伺います。 私は、令和2年6月、第2回定例会において、今後、早期に感染症の拡大防止に係る庁内の連携や危機に対する認識の強弱、想定外の感染症対策を含めた区の組織全体に関わる危機管理について、今回の全庁的な行政対応に関する検証を行う必要がある、また第2波に向けて外部から専門家を入れた客観的かつ総合的な検証を行うべきと、検証と次への業務改善を図るよう提案させていただきました。全庁で業務の見直し、優先順位など、全庁として検証をどのように行い、以前と比較して業務にどのように生かしているのか、報告はいついただけるのでしょうか。伺います。 区は、中野区政のBCP、中野区事業継続計画に基づいた全庁を挙げた危機管理下で計画的な責任ある職員体制が築けているのでしょうか。伺います。 BCPにおいて区の業務全体を時には段階的にフェーズを設けるなど見直し、全庁的体制強化と大胆に不要不急な事業の一旦停止、優先順位の高い業務に職員を手厚く配置するなどしてはいかがでしょうか。新型インフルエンザ編の中には、保健所の人員体制を強化するとともに、適切な医療・救急体制を確保し、区民生活に直結する事業へと傾注するよう改定が必要と考えます。新型コロナウイルス感染症を経験している今、中野区政のBCPを災害発生時から時間を追ってフェーズに合わせた仕様に改定してはいかがでしょうか。伺います。 2番目に、テレワークシステム導入について、伺います。 庁内情報テレワークシステムの環境整備は、職員の平時の働き方の多様性に寄与することも多く、また大規模災害時や現在もなお続く新型コロナウイルス感染症の拡大時には行政事務の執行に当たって必要不可欠であると考えています。新型コロナウイルス感染症の拡大は、昨年5月の第1波から、現在は第5波に及んでいます。テレワーク導入は、昨年5月、緊急的に補正予算で組みながら、運用などの課題を抱えて未執行のまま終わっています。区は、テレワークシステム導入に当たって、実務として行政機能を維持していくための活用について具体的な活用方針は定まっているのでしょうか。伺います。 また、どのような活用をお考えでしょうか。使用時間や場所、使い方、制度面の課題はないのでしょうか。伺います。 区は、現在、テレワークが同時に使用可能な職員数を50人と想定しています。現在の職員数は約2,000人弱で、管理職全員にも行き渡らない台数であると考えています。また、テレワークを在宅勤務と捉えている側面があり、働き方改革をうたう構造改革の下、多様な働き方を実現するという意味合いにおいて、場所を選ばない働き方としてモバイルワークを実現していくべきではないかと考えます。新庁舎への移転計画がある中で、テレワーク環境整備と今後の方向性について、伺います。 使用者や台数など、区はテレワーク環境の整備についてどのように考えているのか。また、テレワークは在宅勤務のみを想定していますが、例えば出張先などの活用も想定しているのでしょうか。併せて伺います。 テレワークの本格的な実施に当たっては、区が現在行っている新庁舎整備におけるネットワーク環境の検討や今後見込まれる新たな事務用端末の導入の検討と密接に関係していると認識しています。今後、新庁舎整備に向けた検討を進めるとともに、整合性を持って進められるよう、テレワークシステムについても早期に導入を図り、試行と検証を行い、運用面や制度面に係る課題を改めて示した上で今後の本格導入に係る検討を行うことを要望しておきます。 3番目に、令和2年度決算総括と令和4年度、令和5年度以降の予算編成について、伺います。 今年8月に出された監査委員の決算審査意見書によると、令和3年度の当初予算の概要において、今後数年は特別区債の発行が続き、令和3年度に2.0%であった公債費負担比率は令和6年度以降7.0%を超え、基金については取崩しが積立てを上回り、令和6年度以降には財政調整基金及び特定目的基金残高が大きく減少することを想定している。これらのことからも、今後は財政状況を見据えた基金と特別区債の計画的かつ効果的な活用がこれまで以上に重要となると、留意すべき点が挙がっています。区は、8月末に、令和4年度中野区予算編成方針についてを示しました。区財政は、分かりやすく言えば、預金残高より借金が、債務負担行為や償還金が増大する構造となっていくことは明らかです。そこで、これまでに行った起債などを基に、現在も続いて増大する特別区債、起債、償還、債務負担行為を含め、今後の予算編成の考え方について、伺ってまいります。 公債費は、新区役所庁舎、平和の森小学校移転用地など、今後新たに行われる大きな起債が足されると考えます。今後、令和6年度、令和7年度、10年後の令和12年度の償還額、公債費は幾らになっていくのか、また公債費負担比率はどのように推移するのか、伺います。 令和3年度当初予算(案)の概要の財政運営の考え方で示された財政調整基金の積立てと繰入計画を見ると、令和3年度で財政調整基金241億円、その内訳は経常経費分として、施設改修分83億円、退職手当分9億円を除くと、年度間調整分は149億円です。3年後の令和6年度の財政調整基金は77億円、経常経費として退職手当分を仮に10億円とすると、施設改修分は約65億円になり、年度間調整分はゼロ円となってしまいます。これら経常経費をゼロ円としても残高は77億円、年度間調整分を目途150億円としてきたこれまでの考えが大きく崩れ、区民サービスへの影響が大きくなると考えます。この内訳をどのように考えているのでしょうか、伺います。 また、新区役所権利変換までの費用などをどのように賄うのか、財源不足をどのように認識しているのでしょうか、伺います。 令和3年度に一般財源の基準額を687億円とし、25億円の積立てを行い、財政調整基金を49億円繰り入れ、差引き24億円の実質基金を取り崩し、予算編成を行いました。令和4年度の基準となる一般財源規模はさらに大きくなると考えます。令和4年度の基金の活用、また財政について、区の認識を伺います。 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に国からの補助金とともに予備費を活用してきました。令和2年度まで3億円であった予備費は、令和3年度に5億円としたところです。私は、予備費とは、予算外の支出または予算超過の支出に充てるため、あらかじめ使途を特定せず、予算の議決後に執行機関にその使用を委ねるもの。その使途は、補正予算で問われない緊急を要する項目に限ると認識しています。令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策に補正予算を組んだ事業と予備費を充用した事業があり、例えばタイミング的に補正予算で間に合うものなど、本来の予備費の考え方とは異なる支出があったと考えます。区は、予備費の定義をどのように考えているのか、伺います。 予備費は、今後も、令和3年度同様、決算報告を待たず、議会へ報告をお願いいたします。 補正予算は、当初予算後に生じた事由に基づくものであることから、その項目は緊急性、具体性を持つもので直ちに執行するものとして計上されたものと考えます。補正予算を組んだ中に、テレワーク、すこやか福祉センターのオンライン相談など、未執行、執行実績ゼロがあり、当初計画とは内容を大きく変えた事業を行うことになった、これらの予算査定を区はどのように行ったのか、またなぜこのような予算を認めたのか、二つの事業について個別に伺います。 未執行、執行実績ゼロの事業は、今後事業を大きく見直す必要があると考え、区の認識を伺います。 今後、コロナ禍における歳入確保の見通しが定まらない中で持続可能性のある区政実現のためにも、令和4年度、そしてさらに大きく影響が予想される令和5年度以降の予算編成をどのように考えているのか、1次経費、2次経費の考え方も含め、伺います。 2、新型コロナウイルス感染症対策における医療的な取り組みについて。 初めに、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種「中野モデル」の今後の取り組みについて、伺います。 中野区のワクチン接種は、昨年12月18日、国のワクチン接種に関わる説明会を待たず、12月初旬から、10月23日付、厚生労働省からの事務連絡に基づき、準備作業を開始しました。練馬区に次ぎ、早期に準備作業の着手をしたことにより、医師会と連携を十分に行い、区内の医師約240人のうち、最終的に約140人に御協力をいただいた個別接種と、区が医療機関に委託をした中野区医師会館と身近な区民活動センターで行う集団接種の2面によって早期に接種開始を行いました。また、接種券の配付も早期に取り組み、区民への送付を他区よりいち早く行うことができました。こうした中野モデルにより、他区に先駆けてワクチン接種が開始されました。8月に入り、ワクチン供給の供給量の減少で区民に接種できないのではとの不安が広がっています。新型コロナウイルスの感染拡大に対応するために、迅速に必要なワクチンの供給量を確保するとともに、早期に接種を受けたいという区民の要望に応える必要があると考えます。区は、今後どのように区民の要望に応えるワクチン接種を推進していくのでしょうか、伺います。 これまでワクチンの個別接種で御尽力いただいた医師会の先生方が中野モデル体制を維持するために必要な支援を行ってはいかがですか、伺います。 2番目に、中野区内へコロナ治療ステーションの設置について、伺います。 COVID-19、新型コロナウイルス感染症の発生状況は、9月6日現在、区内の感染者は1万1,512人、自宅などの療養者1,017人、60歳以上の陽性患者の割合は発生全体の約4%、亡くなられた方も8月31日現在で50人となっています。新型コロナウイルス感染症の区民への拡大は、7月後半以降急激に増え、重症化する患者さんも出ています。保健所の職員の皆さんが1年半を超える長きにわたり、終わりの見えない中で昼夜をいとわず任に当たってくださっている御努力に心より感謝申し上げます。しかしながら、最大級の災害に対し、自宅待機者へ保健所による疫学調査等業務も滞り、逼迫し、その状況は極めて危機的であります。感染者の中には、自身の病状と保健所とつながらないことからさらなる不安を抱いている方も多くいます。体内の血中酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターの活用は全ての自宅療養者に貸出しすべきと考えます。また、治療には、既に軽症者へは診療初期に重症化予防を目的とした可及的な中和抗体薬・ロナプリーブなどの投与によって抗体カクテル療法の実施、中等症患者へは酸素投与などを行う拠点施設が区内に求められており、8月25日、公明党中野総支部として区長へ緊急要望させていただきました。 自宅療養者は増大し、その事態は深刻で、レムデシビルやステロイドを投与しなければならない患者もおり、医師会の有志が治療に当たっています。拠点施設では、現在の医師会主体の在宅療養患者への電話診療や往診によって覚知した中等症及び重症化の兆しのある患者の治療はもちろん、感染初期の患者への早期治療の介入により中等症や重症化への移行を予防する効果が期待できると思います。また、保健所の業務量が多く、職員の疲弊も明らかで、保健所の業務量が増えないよう事前協議なども検討すべきと考えます。国や東京都と連携し、区内の新型コロナウイルス感染患者に対し、酸素ステーションや抗体カクテル療法の拠点として中野版コロナ治療ステーションを設立してはいかがでしょうか。また、保健所の負担軽減のため、同センターで治療すべき患者の選定や入院調整が必要な患者の判別を行う在宅療養者管制センターの開設も必要と考えますが、いかがでしょうか。 多くの陽性患者が最優先に利用可能となるよう、区は、既存の医療機関の活用なども視野に入れ、コロナ治療ステーション等の即時設置を柔軟な対応で至急検討してはいかがでしょうか。併せて伺います。 3、地域包括ケア体制の構築について。 初めに、孤独の防止、地域包括ケア体制の構築について、伺います。 区は、新たに示した中野区地域包括ケア総合アクションプランで、これまでの高齢者を中心とした中野区地域包括ケアシステム推進プランを変更し、支援が必要な全ての人を対象にした地域包括ケアを構築するとしました。コロナ禍の現在、外出自粛などにより、育児ママ、子育て中の方、若者、単身の高齢者などが孤立し、孤独な方が確実に増加していると考えます。孤立した孤独な高齢者に地域での見守り・支えあい活動、地域包括ケアシステムによる支えあいは重要と考えます。私の町会で高齢者220人に行ったアンケートの結果、孤独な方ほど、友人・知人、地域、社会とのつながりと居場所を求めています。中野区社会福祉協議会の区内各地で行っているサロン活動は、コロナ禍でも工夫を凝らし、とても参考になります。孤独の解消は今後大きな課題と考えますが、区は課題解消に向けてどのような取組をしていくのでしょうか。また、コロナ禍、条例化された地域での見守り・支えあい活動を今後どのようにしていくお考えか、伺います。 医師の西智弘氏は、著書「社会的処方」の中で、つながりのない孤立した個人を地域とつなぐ社会的処方として、地域とつながりを処方することで問題を解決していく。そのために、リンクワーカーがいることが重要と述べています。リンクワーカー、コミュニティソーシャルワーカーの役割を区はどのように考えているのでしょうか、伺います。 区は、これまで区全体とすこやか福祉センター担当区域の2層で開催してきた地域ケア会議を区民活動センター担当区域で開催する3層目の新たな地域ケア会議を設置するとしています。すこやか福祉センター、区民活動センターのアウトリーチ、保健師、地域包括、社会福祉協議会、町会、民生委員等の体制で実施してきたすこやか地域ケア会議の取組と何が変わり、変わることで支援が必要な方への対応はどのように変わるのか、伺います。 2番目に、在宅療養の充実について、伺います。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、在宅療養を余儀なくされる区民が増えてきています。2025年、2040年問題と言われており、将来はさらに高齢者が増え、在宅で医療・介護の支援を受けながら生活する区民が増えてくると思います。そのような事態に備え、区は、安心して住み慣れた地域での生活ができるよう、支援体制を早急に構築する必要があると考えます。現在のコロナ禍の状況は、将来の在宅療養に係る課題を先取りしているのではないかと思います。超高齢社会への備え、地域包括ケアシステムの構築という観点から、現状に対する区の課題認識と今後の取組について、伺います。 アフターコロナの観点に立ったアクションプランには在宅医療・介護の取組を充実させるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。 3番目に、町会で行う掲示板の設置費用助成について、伺います。 中野区町会連合会は、中野区と町会連合会がより一層連携を深め、地域の様々な課題への取組を進めていくため、令和2年6月、区と「中野区町会連合会と中野区の協働によるまちづくりパートナーシップ協定」を締結しています。各町会は、中野区からの情報チラシをはじめ、東京都、警察署、消防署、日赤などから来るチラシを掲示板に張り出しています。その数は年間で町会の掲示物を除いても100枚以上、100種類以上になります。掲示板数は、町会により異なりますが、10台から30台ほど設置されています。老朽化した掲示板の交換に多額の費用がかかり、区の掲示板設置等助成金制度を活用して交換を行っています。この助成金制度は、令和元年度から5年間と期限付きで2回申請まで、1申請当たり上限が20万円であるため、1台20万円を超える掲示板は2台しか交換または新設できません。そこで、申請期限を廃止し、1回目の申請の上限も増額してはいかがでしょうか。伺います。 4、中野駅新北口駅前エリアの再整備について。 中野サンプラザ所有会社「株式会社まちづくり中野21」に関わって、伺います。 中野駅新北口駅前エリアの再整備について、民間の施行予定候補者が令和3年1月に決定し、区は6月に基本協定を締結し、正式な施行予定者としました。締結により、区と施行予定者が協力し事業化を進める条件等の事項について定めました。この協定は、国、東京都、中野区、中野サンプラザの所有会社である株式会社まちづくり中野21、それから土地開発公社が地権者と考えます。地権者全員の合意がないと前へ進まないと考えますが、資金計画を含む事業計画などの合意は得られたのか、協定の有効性と併せて伺います。 株式会社まちづくり中野21を解散する際には株主総会で決定することになりますが、平成17年に制定した議会の議決すべき事件等に関する条例の規定では、株主である中野区がこの議決権を行使するに当たり、あらかじめ議会の議決を得ることになっています。株式会社まちづくり中野21の今後の在り方について、令和元年第3回定例会の私の一般質問において、酒井区長は、中野駅新北口駅前エリア拠点施設の再整備事業が始まり、中野サンプラザが解体されることになれば、設立目的が達成されますので会社の存続意義はなくなると考えております。今後、公募による市街地再開発事業の施行者が決まり、事業計画が固まった後、しかるべき時期に議会の議決すべき事件等に関する条例に基づく議会の議決の手続及び会社法に基づく会社の解散手続を取ることになりますと答弁されております。再整備の進捗に伴い、株式会社まちづくり中野21の設立の趣旨から役割を終え、解散するものと考えますが、区はどのような認識を持ち、解散のスケジュールを想定しているのか、伺います。 株式会社まちづくり中野21は、金融機関から借入金があると思います。現時点の借入残高は幾らでしょうか。伺います。 全額を返済する場合の財源として、新北口駅前エリアの市街地再開発事業における転出補償金を充てる考えでよいのでしょうか。伺います。 また、その転出補償金の入金のタイミングはいつになるのでしょうか。伺います。 事業に遅れがあった場合は新区役所の建設計画に影響しないのでしょうか。伺います。 今後の中野区の財政運営に影響はないのでしょうか。しっかりと財政計画に盛り込まれているのでしょうか。併せて伺います。 市街地再開発事業における転出補償に伴い、評価益課税として税金がかかると考えます。令和元年12月の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会に提出された定期借地権を設定した場合の試算資料によれば94億円と示されています。多額の税金をどのようにして賄うのでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 小林議員の御質問にお答えいたします。 1点目、中野区の区政課題について。 最初に、新型コロナウイルス感染症の全庁的な対応についての御質問でございます。2020年4月当初、中野区事業継続計画に基づき、継続の必要性の高い業務を確認し、業務の休止や縮小を適宜行い、新型コロナウイルス感染症に関わる応急対策業務を実施してきたところでございます。その後、危機管理等対策会議において、感染状況や国との措置内容に応じた事業の休止・縮小等の判断をするとともに、保健所の実情に応じた機動的な応援職員の配置など実効性のある業務遂行体制を確保してまいりました。今般の感染症に関する検証やBCPの見直し、改定につきましては、国や都の施策動向や保健所業務等の関連も踏まえて、区民生活を維持するために必要不可欠な非常時優先業務の継続の観点から迅速かつ適切に進めてまいります。 次に、テレワークシステムの活用方針についてでございます。テレワークシステムにつきましては段階的導入を想定しているところでございますが、平時においては、在宅勤務を希望する職員がテレワークを実施するだけではなく、各所属においてシフト制のような形としてテレワークシステムを使用することとなる職員全員が活用方法を習熟できる運用を考えております。非常時においては必要とする所属に集中的に設置するなど、柔軟な運用を行ってまいります。 続きまして、テレワークシステムの活用に関わる制度面の課題でございます。これまでに暫定的に実施していた在宅勤務では、1日を単位として自宅での勤務に限って運用してきたところでございます。テレワークシステムの活用によってテレワークの本格実施を開始するに当たりましては、東京都や他自治体の事例も参考にして制度の見直しを実施していく予定でございます。これまでの検討の中では、テレワークを実施する際に半日単位でも実施したいというニーズを把握しておりますが、在宅時と出勤時の勤務時間の間に通勤時間に入ってしまうことから、勤怠の管理やシステム上の制約等が課題となっているところでございます。 続きまして、新庁舎移転に向けたテレワーク環境整備と今後の方向性についてでございます。区役所新庁舎整備に向けて段階的導入を想定しておりまして、当初は導入台数を必要台数に絞り込んだ形で導入し、テレワーク環境の本格導入に向けた試行導入をしたいと考えております。その上で、区役所新庁舎整備に向けて検討を行っています電話やウェブ会議、チャットなどを統合したコミュニケーションシステム、これらの導入や庁内情報ネットワーク端末の調達などと整合を図りながら、導入規模の拡大について引き続き検討を行ってまいります。 続きまして、テレワーク環境の整備と活用についての御質問です。テレワーク環境の整備に当たりましては、全ての職員が場所にとらわれずにモバイルワークやテレワークを行い、効率よく生産性の高い働き方を実現することが理想的な状態であると考えております。50台の端末につきましては、需要のあった各課に配置し、課内や部内で共用し活用してもらう想定でございます。その後、対象を拡大する場合には、導入や運用のコストを勘案し、費用対効果を十分精査した上で対象範囲を見極めていく必要があります。また、テレワークシステムについては、在宅勤務に限って使用するのではなく、情報セキュリティー対策等必要な措置を講じた上で出張先等も含めて有効に活用できるようにしていきたいと考えております。 続きまして、公債費と公債費負担比率の推移についての御質問です。公債費につきましては、令和6年度が49億円、令和7年度が212億円、令和12年度は59億円になると推計しております。また、公債費負担比率につきましては、令和6年度が6.8%、令和7年度は26.4%、令和12年度は6.6%になると推計しております。 続きまして、財政調整基金についてでございます。厳しい財政状況が続く中でも必要な区民サービスに対しては財源を投入し推進していく必要があると考えていることから、区民の命と健康を守るための施策に最優先で取り組むための歳出を見込んで基金活用を計画したところであります。一方で、基金は現状の計画では減少していく状況ではありますが、区民サービスに影響が及ばないよう財政運営を考えてまいりたいと思います。 続きまして、新区役所権利変換までの費用についての御質問です。新区役所の整備については、一時的に多額の経費が発生するため、権利変換までの経費につきましては起債及び基金の活用を行う考えでございます。 次に、令和4年度の基金の活用と財政についてでございます。新型コロナウイルス感染症への対応や新しい基本計画の推進など必要な区民サービスを実施するため、令和4年度においても適宜適切な基金活用を図る考えでございます。新型コロナウイルス感染症の影響によって今後の区財政はいまだ不透明な状況にあることから、新たな行政需要に応じた効率的・効果的なサービス展開を図るために、行財政の構造的な改革を集中的に進めて持続可能な区政運営を確立しなければならないと考えております。 続きまして、予備費の充用についての御質問です。予備費の充用につきましては、緊急性があり、補正予算を組むいとまがないときに行うものであると考えておりまして、令和2年度は新型コロナウイルス感染症への対応のため、様々な施策を迅速かつ効果的に進めていくという観点から予備費充用を行ってきたところでございます。 次に、補正予算での提案にかかわらず、未執行だった事業についての御質問です。テレワーク環境整備につきましては、新型コロナウイルスなどの感染症対策や災害時への対応、職員の働き方改革を進めるため、早急に環境を整備する必要があると判断し、提案したものでございます。すこやか福祉センターのオンライン相談につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大によって来所による相談が制限される中、相談者の様子等を映像で確認しながら相談できる環境を構築する必要があると判断して提案したものでございます。いずれの事業も事業の必要性と経費の妥当性の観点から査定を行って、事業の必要性と経費の妥当性を判断し、補正予算に計上しております。 次に、未執行及び執行実績のない事業についてでございます。決算の状況や行政評価結果等を十分に踏まえて事業の改善・見直しに取り組み、事業の再構築をする必要があると考えておりまして、令和4年度予算に反映してまいります。 令和4年度以降の予算編成についてでございます。経常経費である1次経費につきましては、義務的な経費を除いて決算分析や行政評価等を踏まえ必要な見直しを行って削減に努め、新規拡充経費である2次経費につきましては、ビルドアンドスクラップも行いながら財源を確保し、時期を逸することなく必要な事業に選択と集中を図っていく考えでございます。新型コロナウイルス感染症の影響によって先が見えない中ではございますが、新たな基本計画を踏まえながら中・長期的な視点を持って予算編成を行い、必要な区民サービスを提供してまいります。 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策で、初めにワクチンの確保と今後の接種についてでございます。ファイザー社ワクチンの確保につきましては、引き続き国や東京都に対して区の接種状況に応じたワクチンを供給するよう求めて個別医療機関における接種を推進してまいります。また、武田モデルナ社ワクチンを1万人分確保できる見通しとなりましたので、10月から新たな集団接種を実施する方向で検討を進めております。今後、希望する方全てが早期にワクチンを接種できるようにワクチンの確保や接種体制の整備に努めてまいります。 次に、個別医療機関の接種体制に対する支援の御質問です。区は、これまでもワクチンの供給量や供給スケジュール等を踏まえた医療機関への配送予定などを速やかに共有し、個別接種の医療機関が計画的に接種を進められるように努めてきたところでございます。今後を見据えた接種体制の維持につきましては、中野区医師会等と協議してまいりたいと考えております。 次に、コロナ治療ステーション等の設立についてでございます。現在、東京都をはじめ、各自治体で酸素ステーション等が設置されておりまして、患者の治療方法として酸素投与や抗体カクテル療法が有力な手段であるということは認識をしております。ただし、コロナ治療ステーションや在宅療養者管制センターの設立に際しましては、患者の容体の確認について24時間対応が必要であると考えられますので、医療従事者の確保など、患者の安全性を担保する体制を整備するには様々な課題があると考えております。今後、区は、新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえて、コロナ治療ステーション等について情報収集に努めるとともに、保健所の負担軽減策について検討を行ってまいります。 次に、地域包括ケア体制の構築について、孤独の解消のための区の取組についてででございます。新型コロナウイルス感染症影響下におきましては、社会的に孤立している人の状態の把握や状況に応じた支援が必要であると認識をしております。一方、社会的に孤立していなくても孤独に苦しむ人を見つけ、必要な支援を行うことも重要であると考えております。具体的には、高齢者や障害者、若者や子育て世帯などの特性に合わせて声掛け、SNSなどの使い分けによってより効果的なアプローチを行い、交流や活動の場、就労など必要な支援につなげてまいります。取組に際しましては、地域の活動団体、専門機関等と協働しながら相談支援やアウトリーチ活動によって進めてまいります。 次に、今後の見守り・支えあい活動についてでございます。地域支えあい活動の推進に関する条例は、支援を必要とする者の早期の発見及び地域における支えあい活動の推進を図り、誰一人取り残さない地域社会を実現するために制定されました。民生・児童委員による日常的な見守り活動、区と町会連合会とのパートナーシップ協定書に基づく協働、さらには民間事業者との協定や覚書の締結など、地域の支えあい活動は区関係機関、地域住民、事業者等が相互に連携しながら協力して行っておりまして、今後もその推進に努めてまいります。また、新型コロナウイルス感染症が蔓延する状況下において、これまでのような顔の見える関係づくりが難しくなっております。ICTを活用した見守り・支えあい活動の仕組みづくりも進めてまいりたいと思います。 次に、コミュニティソーシャルワーカー等の役割についてでございます。コミュニティソーシャルワーカー等は、医療や介護など治療や支援が必要な人の相談に対して個別支援につなげたり、地域のネットワークづくりに取り組む役割を担うものと認識をしております。孤立の防止や孤独の解消のための取組を進める際にもコミュニティソーシャルワーカー等の果たす役割は重要でございます。区では、すこやか福祉センターのアウトリーチチーム、中野区社会福祉協議会、民生・児童委員や町会・自治会などの地域団体等が連携しながら重層的にその機能を果たしていると考えております。 続きまして、地域ケア会議の体制の変更についてでございます。これまで区民活動センターの担当地域で実施してきた個別支援会議を来年度からは地域ケア個別会議とし、国の進める重層的支援体制における重層的支援会議へと位置付けることといたしました。この地域ケア個別会議では、支援が必要な人の生活や身体上の課題を直接支援につなげるための具体的な方策を多くの機関の関係者が検討し、支援プランが適切であるかどうかを評価するとともに、支援の成果についても評価し、支援の終結時期も検討することになります。これまでそれぞれに開催されてきた個別支援会議を地域包括ケア体制で進めてきた地域ケア会議の中に位置付けることで、複雑化、複合化した支援が困難なケースへの対応力を高めてまいります。 次に、在宅療養に係る区の課題認識と今後の取組についてです。昨年度からの相談傾向として在宅で治療や介護を希望する方の相談が微増している中で、退院後の在宅生活への移行期における体制や病院と診療所、介護事業所関連の情報共有などについて充実・強化を図る必要があると認識しております。今後、必要とされる病院と病院、病院と診療所との連携の在り方や地域医療支援病院との連携なども視野に入れて、医療・介護関係者等との検討を進めてまいります。 次に、アクションプランにおける在宅療養・介護の取組の充実についてでございます。新型コロナウイルス感染症陽性者の自宅療養体制を構築する現在の取組は、今後、様々な疾病の療養者が住み慣れた地域で安心して生活を続けるための在宅療養体制の基盤づくりにもつながる取組であると認識しております。これらを踏まえて、今後は高齢者だけでなく障害児・者等の在宅療養・介護の取組の充実策について、中野区地域包括ケア推進会議、在宅療養部会における議論も含め盛り込んでいきたいと考えております。 次に、町会・自治会の掲示板設置等助成の拡充についてでございます。現行制度は、5年間で全ての町会・自治会が2回の利用が可能なスキームとして構築したものでございます。しかしながら、昨年度までに利用した町会数は54でありまして、中野区町会連合会105町会の半数程度にとどまっておりますので、より一層の周知が必要であると考えております。新型コロナウイルス感染のリスクから回覧板の利用ができなくなっておりまして、地域住民への広報手段として掲示板の重要性が増していることは認識をしております。地域活動の再開・活性化を支援するための方策について、現行制度の見直しを含めて来年度に向けて検討を進めてまいります。 最後に、中野駅新北口駅前エリアの再整備についてで、中野駅新北口駅前エリア再整備事業の遅れによる区財政の影響についての御質問にお答えします。新区役所整備に係る経費の財源につきましては、基本計画の財政フレームでお示ししているところでございまして、事業進捗に遅れがあっても建設計画に影響はないと考えております。一方で、区有資産の活用により得られる見込みの転出補償金を財源に基金積立てと新区役所整備に係る起債の繰上償還を予定していることから、事業進捗の遅れによって基金計画と起債の償還計画に影響が生じることも考えられるため、そういったリスクも想定して財政運営を行う必要があると考えております。 〔構造改革担当部長石井大輔登壇〕 ○構造改革担当部長(石井大輔) 私からは、中野駅新北口駅前エリアの再整備の御質問のうち、地権者の合意形成について、お答えいたします。中野駅新北口駅前エリアの拠点施設整備事業につきましては、基本協定に基づきまして区と施行予定者で協力して事業化を推進しているところでございます。基本協定では、施行予定者の役割として、本事業における関係権利者との合意形成や権利変換計画や資金計画に係る検討などを定めてございまして、施行予定者はこれを根拠として協議や調整の業務を行っているところでございます。本事業で想定しております個人施行の再開発事業では権利者の全員同意が必須でございまして、今後、都市計画手続前、事業計画認可申請前、権利変換計画認可申請前などの節目で権利者の同意を得ながら事業を進めていくことになるものでございます。 〔総務部長海老沢憲一登壇〕 ○総務部長(海老沢憲一) 私からは、中野駅新北口駅前エリア再整備についてのうち、株式会社まちづくり中野21の解散について、お答えいたします。株式会社まちづくり中野21の設立目的は、将来の中野駅周辺のまちづくりの推進に寄与するため、中野サンプラザを取得、所有することにありまして、市街地再開発事業が始まり、中野サンプラザが解体されることとなれば、設立目的が達成され、会社の存在意義はなくなると考えてございます。今後、地権者の同意により市街地再開発事業が進み、権利変換が行われた後、会社解散の条件が整った時点で、議会の議決すべき事件等に関する条例に基づく議会の議決の手続及び会社法に基づく会社解散の手続を取ることになると考えてございます。 続きまして、株式会社まちづくり中野21の借入金の返済についてでございます。現時点の借入金の残高は43億2,400万円でございます。返済原資には市街地再開発事業における転出補償金を充てることを考えてございます。転出補償金は、都市再開発法の規定に基づきまして、権利変換計画の認可後、権利変換期日までに支払うものとされておりまして、具体的な期日は市街地再開発事業の施行者との協議により決定することとなります。 続きまして、株式会社まちづくり中野21への法人税の課税についてでございます。法人税は、企業の一会計年度の収益と費用の差額である利益、税法上は益金と損金との差額でございますけども、これに課税されるものでございます。法人税法上、転出補償金もその評価額が収益、益金とされまして、現時点ではその税金への影響は90億円程度になると想定されてございます。法人税の返済原資としても、借入金返済原資と同様、市街地再開発事業における転出補償金を充てることを考えてございます。 ○議長(内川和久) 以上で小林ぜんいち議員の質問は終わります。 議事の都合により暫時休憩いたします。 午後3時36分休憩
午後3時55分開議 ○議長(内川和久) 会議を再開いたします。 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。 一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 小 杉 一 男 1 区長の公約について (1)公契約条例について (2)(仮称)中野区子どもの権利に関する条例について (3)木造住宅耐震改修助成について (4)その他 2 新型コロナウイルス感染症への対策について (1)自宅療養者への対応について (2)ワクチン接種の推進について (3)検査の拡充について (4)その他 3 子ども子育て施策について (1)児童相談所の開設準備について (2)少人数学級の推進について (3)自殺予防対策について (4)その他 4 その他
○議長(内川和久) 小杉一男議員。 〔小杉一男議員登壇〕 ○20番(小杉一男) 2021年第3回定例会本会議において、日本共産党の立場で一般質問を行います。 質問内容は、通告のとおりです。2のその他の項で、小中学校でのコロナ対応についてを取り上げ、それ以外のその他の項はございません。 まず初めに、区長の公約について、取り上げます。 酒井区長になって3年、任期満了まで9か月となりました。区長が公約に掲げた事項から3点について、意義と決意などについて、伺います。 初めに、(2)を先に取り上げます。まず、(仮称)中野区子どもの権利に関する条例についてです。 子どもの権利擁護推進審議会の答申を踏まえ、区は、条例の考え方(骨子)を所管委員会に報告しました。昨年12月から今年6月までの6回に及ぶ熱心な議論とともに、同委員会構成員による小・中学校、高等学校などへの出前講座やアンケート聴取など構成員の活躍をオンラインで拝見し、頭の下がる思いでした。同委員会の議論でも、同条例を理念としてつくっておしまいにするのではなく、子どもの権利を保障し続ける仕組みをいかにつくれるのかなどが活発に議論されていました。次代を担う子どもたちが人格を形成させ、健全な大人になるために全ての区民が最善の努力を行い続ける必要があります。私は、1区民として、そういう自覚と責任を持たなければと感じました。 そこで伺います。区長は、条例を制定するに当たって、子どもを含めた区民に対し、どのように呼びかけ、協力を求めますか。 実効性ある相談・救済の仕組みを条例で整えることも指摘されています。私は、これらを評価いたします。子どもたちの生活におけるストレスフルな環境によっていじめや虐待、不登校、自殺など様々な問題を解決させる一つの方途だと思います。他自治体の権利擁護委員のお話を伺っても、事業を定着させるためには大変な労力が必要ですが、これはとても重要な取組と考えています。 そこで伺います。実効性ある相談・救済の仕組みについてはどのような仕組みを考えていますか。 条例制定から21年が経過した川崎市ですが、制定当時には子どもの権利と責任について関心の的となったそうです。議論や審議の結果、子どもは権利の主体者であることを前提にした上で、子どもは権利の学習や権利を実際に行使する中で権利を尊重する力や責任を身につけることができ、併せて自分の権利と同様に他の者の権利を同時に尊重し合うことができる。そうした視点が権利保障の取組では欠かせないと制定当時を振り返られています。川崎市の子どもの権利に関する条例は、現在では国内外から関心を受け、参考とされる自治体の一つです。一つひとつテーマについて、区や関係者、子どもたちも含めた区民らが議論し、考えながら制定していく必要があると考えます。 そこで伺います。他自治体の到達を踏まえ、条例制定に取り組んでいますが、他自治体の活動にも学びながら、どのように子ども施策を発展・推進させていくことを考えていますか。区長としての決意を含めて伺います。 この条例制定は、子どもに関わる諸問題を根本から解決していく道になると期待をして、次の項に移ります。 続きまして、公契約条例についてです。 公契約条例とは、自治体が公契約を締結する際に、企業や団体に対して、自治体が定めた賃金額よりも高い賃金をそこで働く労働者に支払うことを義務付けるものです。労働者、使用者、学識経験者、3者からなる審議会が賃金下限額を規定し、元請責任を明示し、末端の下請業者による労働者の賃金のさや抜きを規制する仕組みです。今までの公契約市場では、財政効率優先主義の下で下請重層構造がつくられ、末端の下請企業は元請企業から労働者の賃金保証ができない下請契約を押し付けられてきたこともあったようです。その結果、技能継承の断絶や雇用の不安定化、官製ワーキング・プアの増加など弊害を生んできました。同条例制定によって雇用の安定化や公共事業の品質の確保などが期待されています。 そこで伺います。公契約条例は、どのような目的をもって制定を目指すのでしょうか。 区は、今年度中の条例制定を目指し、昨年度アンケートを実施して関係団体から意見を聴取、また先日は事業者向けの学習会の開催と意見交換会を実施しています。同条例制定に向けての課題は、一つに労働賃金台帳など作成に関わる事業者負担の軽減、二つ目に労働報酬下限額の設定に合わせた予算の確保、三つ目に条例の効果検証と周知とされています。一つ目については、理念的な条項にとどめるのであれば実効性が伴いません。事業者からの提出資料を簡略化するのか、工夫をすべきだと思います。二つ目には、不公正なゆがみの是正を行うことを優先させた上で予算の確保を行うべきです。三つ目には、関係者を含めた区民に周知をする中で制度への理解と協力を得られるようにすべきです。効果検証も必要です。 そこで伺います。公契約条例制定に向け、幾つかの課題があると思いますが、区はこうした課題の解決を目指し、関係者から理解をどのように得ようと考えていますか。 条例の実効性を担保させるにはどのような規定を盛り込むのかも重要です。条例が理念的な条項であれば実効性が伴いません。 そこで伺います。区は、他自治体の到達を踏まえ、どのように条例の実効性を担保しようと考えているのでしょうか。 同条例制定で、働く人たちの雇用の安定化や公共事業の品質向上につながることを期待して、次の項に移ります。 続いて、木造住宅耐震改修助成についてです。 8月末に、危機管理・感染症対策調査特別委員会での学習会で跡見学園女子大学の鍵屋一さんをお呼びいたしました。鍵屋さんは、地震災害のボトルネックは弱い木造住宅の耐震化と木造住宅密集市街地への対策であり、住宅耐震化が一丁目1番地であるとおっしゃられていました。地震で家屋を倒し圧死させないために、耐震化を促すことが必要だと思います。 そこで、耐震化を促進させる意義について、伺います。 区耐震改修促進計画の改定を今年度に予定しています。住宅の耐震化目標は95%です。2014年時点で耐震化は84.6%にとどまっています。木造住宅耐震改修助成制度として、耐震診断と補強工事、建替工事・除却工事があります。 そこで伺います。この制度を利用し、耐震改修工事がこの5年でどれほどの利用実績がありましたか。また、耐震化された住宅のうち、制度を利用した割合はどれほどでしょうか。補強工事が追加された2019年度から全体の件数が増加しています。しかし、補強工事は残念ながらゼロ件です。制度の対象が1981年5月以前の旧耐震基準の建物であるため、耐震後の除却・建替えか補強かを判断すると、結果として建替えをする方が多かったということです。 そこで伺います。これらの要因とともに、改善の方向について、どのように考えていますか。 阪神大震災では支援をし、熊本地震では事後に視察に行きました。地震があっても家屋を倒さない、まずは区民の命を守る、それをどう実現するのかだと思います。区や都の力を借りながら制度の拡充を行うことを求め、次の項に移ります。 次に、新型コロナウイルス感染症への対策について、伺います。 まずは、自宅療養者への対応についてです。新型コロナウイルス感染症の拡大期、第5波は4月下旬から現在までで、今までにない感染者が出ており、再拡大への懸念もあり、予断を許さない状況です。中野区内においても療養中の方が1日1,500人を超え、そのうち多くの方が自宅療養を強いられました。自宅療養中に重症化し死亡する事例も報道され、当事者はもちろん、区民にとっても不安が広がっています。 そこで伺います。現在ではどのような状況となっていますか。自宅療養者数や宿泊療養施設や入院施設の人数はどれほどになっていますか。 私のところにも、「息子が自宅療養している。何とかならないか」との問合せや、「宿泊療養できる場所を紹介してほしい」との問合せが寄せられました。感染者数の増加で保健所からの連絡が遅れ、感染者に情報提供が遅れたために感染後の対応について分からずに混乱されている方がおられました。私から緊急連絡先や食事の提供、訪問診療やかかりつけ医の電話再診などを伝えて、何とか落ち着く場合もありました。杉並区は、9月から3か所の保健センター内に自宅療養者支援ステーションを設置しました。医師会や訪問看護ステーションと連携し、自宅療養者への訪問等による診療や看護等を行う体制を整備しました。私は、杉並区が同ステーションを開設したとの報道を見て、中野区でも同様の取組をしているのに区民には全く伝わっていなかったのではないかと感じました。自宅療養者への支援する仕組みがあることを区民にもっと知らせるべきであったのではないでしょうか。 そこで伺います。区民が安心できるように自宅療養者を支援する仕組みについて、目に見えるようにしっかりと示していくことが今後必要になるのではないでしょうか。 日々感染状況が変わる中で、都と区や医師会と委託事業者との役割分担が変わらざるを得ない状況であったと事後に伺いました。また、保健所への応援体制も新規感染者数の増加に伴い、フェーズ5(応援体制強化)にステージが引き上げられました。全庁応援強化がされ、事務職や保健師が派遣されました。これらを超える感染者数の増加が今後予想され、フェーズ6のステージも部内では検討がされたと伺いました。 そこで伺います。今後、より一層感染拡大期が訪れる可能性があるため、区の対応体制などを想定しておくべきではないでしょうか。第5波での自宅療養者の増加や医療機関の逼迫は今後も起こり得ることだと思います。これからにつなげていただくことを期待して、次の項に移ります。 次に、ワクチン接種の推進についてです。 接種計画では、11月までに67%の想定接種率の達成を目指しています。現在、ワクチン接種を2回目完了した方の接種率がようやく5割に近づいていると聞きました。しかし、ワクチンの納入は予定されたよりも限られたものとなっており、希望者の多くの区民がワクチンを打ちたくても打てない状況にあります。 そこで伺います。国や都への要請や自治体間の連携などが考えられますが、区はどのようにしてワクチン接種計画にある想定接種率の目標を達成しようと見通していますか。医師会館や区民活動センター15か所で行われてきた集団接種は9月末をもって終了します。まだまだワクチン接種の目標達成が見通せていません。 そこで伺います。区民活動センターなどで実施する集団接種は、当面の間実施期間を延長すべきではないでしょうか。 6月、70歳以上の高齢者に対し、ワクチン接種の予約支援によって、架電により242人が接種につながりました。勧奨はがきも2万2,000通送付いたしました。これは、ワクチン接種に関わる格差是正の大切な取組であり、評価いたします。その一方で、高齢者の2.5%程度の方が1回目接種で終わっており、2回目接種までたどり着いていません。介護サービス事業所連絡会との懇談の中でも、接種券に限らず、紛失してしまう方への書類再送付の際、ケアマネジャー宛てに送付していただきたいとの要望が寄せられるなど、認知症など何らかの理由で2回目接種につながっていません。 そこで伺います。ケアマネジャーなど本人の同意が確認できた場合には接種券を代理の方に送付するなど、柔軟に対応していただきたいのですが、いかがでしょうか。 新型コロナウイルスのワクチン接種は、個々人の感染予防に効果があり、接種者が一定数を超えると集団免疫の効果もあります。その一方で、ワクチンへの副反応とアナフィラキシーショックへの不安によって接種を拒む方も多くおられます。任意接種であるが、情報がしっかり伝わらず、ゆがめられる傾向があると感じました。医療団体からは、ワクチン接種時に健康診断と混同して通常服用している降圧薬や心不全薬、喘息薬などを休薬、退薬して会場に来る事例なども報告されています。 そこで伺います。ワクチンへの正確な情報を区としても周知しつつ、必要な情報を適宜提供していくことが今後も必要と思われますが、いかがでしょうか。 ワクチン接種予約申込みのコールセンターにはつながりにくく、つながってもそのときには予約枠がない状態も多いと聞きます。そして、ナビダイヤルであるため、長時間待たされた上、電話代を支払うことになります。他自治体の中には無料のフリーダイヤルとしているところもあります。 そこで伺います。区においてもフリーダイヤルにし、区民の負担を軽減させるべきではないでしょうか。 ワクチン確保は、区としても苦労している問題です。新たな手だての実施にも期待をして、次の項に移ります。 続きまして、検査の拡充についてです。 我が党は、感染を終息させるためには無症状者も含めて検査の徹底が重要であることを指摘し、昨年から一貫してPCR検査の拡充を求めてまいりました。ようやく少しずつですが、検査は拡充されてきています。東京都においては、居住系施設の職員に対して週1回のPCR検査を実施するまでになってきています。日本財団が訪問・通所系事業者の職員に対し、無料PCR検査を8月31日まで行っていたものですが、これを10月末までに延期いたしました。 伺います。その後どうするのか、区として実施を検討すべきではないでしょうか。 ある介護サービス事業者から、うちの事業所は職員に対してPCR検査を行わない。それは、もし陽性者が発見されれば、濃厚接触者が出て事業が継続できないからと伺いました。感染者を把握し、保護するための検査なのに、陽性者が出たら事業が継続できないから検査をしないというのは本末転倒です。前年度補正予算で実施した在宅要介護者受入体制整備事業というものがありました。在宅で要介護者(高齢者・障害者)を介護している家族などが新型コロナウイルス感染症に感染した場合に、要介護者が住み慣れた地域での生活を継続し、感染した家族等が安心して療養に専念できるよう、ヘルパーを派遣する事業でした。しかし、実績がなかったものです。この対象を一定の介護サービス事業所にまで拡大させることで、事業所で陽性者や濃厚接触者が出ても代替ヘルパーを派遣し、事業を安定して継続させることができます。 そこで伺います。ぜひ区は、在宅要介護者受入体制整備事業の対象を拡大させて実施することを検討すべきではないでしょうか。 区市町村の小・中学校に対して、国から抗原キットや東京都からPCR検査キットの支援が示されています。従来の国の濃厚接触者の定義を超えて、例えば墨田区では念のためPCR検査を実施するなど、子どもの命を守る取組を行っています。無症状感染者がいたり、陽性者が確定するまでに時間がかかったりするため、濃厚接触者を狭く見ずに陽性者と非陽性者の峻別をしていく必要があると考えます。 そこで伺います。区立の幼稚園、小・中学校にPCR検査キットを配備し、濃厚接触者を狭く見ず、実態に応じ、学級、学年、学校全体など柔軟で対象者を拡大したPCR検査を行うべきではないでしょうか。また、無症状感染者からの感染を防ぐために、できるだけ頻回に自宅で行える迅速検査の体制を整えるべきではないでしょうか。 この第2回定例会で、羽鳥議員が、無症状の感染者からの感染拡大を防ぐ目的で行う大規模な検査について、区の認識と無料で検査を受けられる体制について伺うと、国は基本的対処方針において無症状の方へのモニタリング検査の必要性を指摘しており、区としては流行状況を踏まえて国と都と連携しながら実施について検討していくと答えています。杉並区では、若年層に感染が広がっている傾向にあることから、街頭にて、陽性や発生割合の高い若年層(30歳以下)を中心とした無症状者を対象に、PCR検査バスを使ったモニタリング検査を実施しています。結果は、陽性率が4月は0.9%、7月は1.5%と無症状者を洗い出しました。 そこで伺います。無症状の方へのモニタリング検査の実施について検討を行ったのでしょうか。行ったのならば、その内容はどのようなものでしょうか。 現在の国の考えに、どうしたらいいのか、区としても悩みながら実施をされているのだと思いますが、区民の命をどう守るのかが第一です。そうした視点で改めて検討していただくことを期待して、次の項に移ります。 加えて、その他として、小中学校でのコロナ対応についてです。 従来株よりも格段に感染力が強いとされる新型コロナウイルスのデルタ株は、子どもの感染をめぐる状況を大きく変えました。これまで感染しにくいとされてきた子どもへの感染が区内でも顕著に増えています。こうした状況で、全国の学校が夏休み明けを迎えました。このまま学校を開けて大丈夫か、子どもが感染し家庭内に感染が広がることが心配、授業の持ち方などを工夫できないか、などの不安が広がっています。オンライン授業の実施については各学校で対応が異なっているとも伺っています。 そこで伺います。登校見合わせの選択や分散登校、オンライン授業などを柔軟に組み合わせて対応することができないでしょうか。加えて、教育委員会として、こうした学校、学級の対応をしっかり把握して、必要な支援を行うべきではないでしょうか。 昨年から、区は、学校での対面学習と家庭でのオンラインを活用した個別学習を融合したニューノーマル学習モデルを進めてきました。区では、学校でのインターネット環境の整備が次年度になったことから、オンライン授業の活用は部分的にとどまっています。 そこで伺います。教育委員会として、ICT機器を活用した学習モデルの到達として、学校での活用状況とともに、家庭でのWi-Fi環境の整備と活用状況について、学校任せとせず、把握しながら前に進めていくべきではないでしょうか。ニューノーマル学習モデルという理念の具体化について、区民とともに共有しながら進めていくことを期待して、次の項に移ります。 続きまして、子ども・子育て施策についてです。 まず、児童相談所の開設準備についてです。2022年4月に、中野区の児童相談所が設置される予定です。あと半年余りと迫っています。虐待ケースが増加する中で、児童相談所の児童福祉司が専門性を保ちながら適切な運営が求められています。中野区で児童相談所を設置することで関係機関同士がネットワークを通してつながり、地域環境の実情に即した支援計画の立案、実施を進めていく上でとても重要です。地域資源を十分に活用した取組や迅速な対応が求められています。 そこで伺います。地域の中でどのような取組を行い、子どもの命を迅速に救うことにつなげようと考えていますか。 1年前に安定的な職員体制について取り上げました。現在、児童福祉司を25人、児童心理司を13人確保し、そのうち5年以上の経験がある児童福祉司スーパーバイザー5人の配置を計画しています。定期的に他区の児童相談所との人事交流を行い、経験と専門性を積む仕組みづくりを昨年提案し、開設後の人事交流についても可能かどうか、今後検討してまいりたいと返答をいただきました。福祉職の人材育成プランなどもあるそうですが、長く働き続けられる環境を整えていく必要があると思います。 そこで伺います。開設後の人事交流については、どのようなことを検討していますか。 中野区に設置する一時保護所定員は12名で、小規模な施設です。その特性を生かし、児童に寄り添った支援を行っていく必要があります。2018年に厚生労働省が示した一時保護所ガイドラインでは、一時保護所の閉鎖的環境を指摘し、学校に通学できないため、入所している子どもたちの学習権保障を求めています。在籍校と密接な連携を取り、どのような学習を展開していくことが有効か協議するとともに、取り組むべき学習内容や教材などを送付してもらうなど、創意工夫をした学習を展開する必要があるとされています。 そこで伺います。在籍校や教育委員会の連携については具体的に検討してきているそうですが、検討状況はどのようになっていますか。 児童相談所を含めた子ども・若者総合支援センターの開設によって、子どもが心身ともに健やかに育つ環境が一層整備されていくことを期待して、次の項に移ります。 続いて、少人数学級の推進についてです。 政府は、個別最適な学びと協働的な学びを実現することが必要であることから、小学校の学級編制の標準、いわゆる少人数学級を40人から35人に、今年度、小学校2年生から段階的に引き下げました。中野区では、来年4月から小学3年生から実施予定です。区民が少人数学級制に期待するのは、学級の人数が減ることによる教育指導の効果と思われます。新型コロナウイルス対策のための休校から学校を再開した際、学校で行われた分散登校は一時的で特別な措置でしたが、20人以下の学級の大規模な社会実験となりました。そこでは、「発言や活躍の機会が増えた」、「じっくり話が聞いてもらえた」、「大声を出さなくても過ごせた」などの声が上がり、長年求められてきた少人数学級の運動と結びつき、政府・文部科学省を動かしました。感染症のための密回避にとどまらず、学習指導要領に掲げる「主体的・対話的で深い学び」を実際に広げていくことと少人数学級の方向性は合致しています。対話的な学びでは、40人学級では1人1分話せば授業が終わってしまう。5人グループに分けても、1グループ3分発表すれば24分、討論は15分となるとの指摘もあります。ICT化で効率化が図られる一方で、いじめ認知や不登校、自殺の増加など、指導上の諸問題もあります。 そこで伺います。少人数学級の推進に当たって、その意義と必要性についてどのように考えていますか。 学校教育法施行規則によると、学校規模の標準は小・中学校で12学級以上18学級以下とされ、中野区においても12年間区立小中学校再編計画が実施されてきました。35人学級が実施されることで、学級数が増加することになります。 そこで伺います。今年5月時点での児童数と学級数から見て、新年度の新小学校3年生は40人学級の場合と比べて何クラス増える見込みですか。そして、新小学校4年生から新小学校6年生でも二、三割が現時点で35人を超えています。普通教室を確保するために教室等の改修や増設についてどのように見通していますか。 現在、東京都では、国庫加配は2019年で1,408人分活用されております。そのうち、小学校2年生の少人数学級で329人分活用されています。義務標準法改正法案の附帯決議では、必要な加配定数を削減することなく、安定的な財源によって措置することと付されています。 そこで伺います。習熟別指導や少人数指導、チームティーチングなどの加配定数では必要な教職員定数を引き続き確保されていますか。 現在、学級数と教員数は義務標準法で規定されている標準点数により決まっています。一定規模以上でないと学級担任教員以外の教員が確保できないゆがんだ仕組みになっています。教職員の安定的な確保のためには中・長期的な教職員定数改善計画を立てる必要もあります。そして初めて計画的に教職員の養成を行い、正規採用を増やし、待遇を改善し、施設を準備することができます。 そこで伺います。教職員を増やし、教育予算を増やすことはもちろんのこと、標準定数を見直すよう、国に要望し、義務標準法などの改定を行うとともに、教職員定数改善計画を立てることを求めるべきではないでしょうか。 少人数学級の実施は評価しますが、小・中学校を再編してきた経緯を振り返ると区民として釈然としません。今までの経緯をしっかりと検証する視点も大切と考えます。そして、着実に子どもが学ぶ環境がよくなることを期待して、次の項に移ります。 続いて、自殺予防対策についてです。 コロナ禍の中で児童・生徒の自殺・自死が増えています。昨年1年間に自ら命を絶った児童・生徒の人数は499人、特に女子中・高生の自殺者は前年と比べて1.7倍と増加しました。前年比で増加しているのは、学校の一斉休業、夏季休業の短縮、中止となった学校行事の時期と重なっています。文部科学省は、家庭内の緊張が高まり、文字どおり一触即発の状況ではいら立ちの矛先はともすれば子どもに向かいやすいと記しました。文部科学省は、6月、学校として、保護者、地域住民、関係機関等と連携の上、長期休業の開始前から長期休業明けにおける児童・生徒の自殺予防に向けた取組を積極的に実施するよう通知しました。取組の内容としては、学校における早期発見に向けた取組、保護者に対する家庭における見守りの促進、学校内外における集中的な見守りの活動、ネットパトロール強化が示されました。 そこで伺います。区では、具体的にどのような取組を行っていますか。 早期発見の取組では、学校が把握した悩みや困難を抱える児童・生徒やいじめを受けたまたは不登校となっている児童・生徒等について、長期休業期間中においても全校・学年登校日、部活動等の機会を捉え、また保護者への連絡、家庭訪問等により継続的に様子を確認することとされています。 そこで伺います。長期休業期間中において継続的に様子を確認されたのでしょうか。不登校の御家庭からは、学校からは連絡が来ないとの不満も寄せられています。 そして、長期休業の終了前においては、当該児童・生徒の心身の状況の変化の有無について注意をし、児童・生徒の自殺を企図する兆候が見られた場合には、特定の教職員で抱え込まず、保護者、医療機関等と連携しながら組織的に対応することと留意するよう求めています。区では、中学校生徒3,000人が自分のICT端末にSNS「STOPit(ストップイット)」を7月にインストールし、その利用の説明を受けました。 そこで伺います。生徒から相談件数は延べ何件寄せられ、どのような相談があったのでしょうか。また、緊急対応が必要な相談は何件で、どのような対応をされましたか。 委託事業者がサイトを管理し、毎日教育委員会に報告がされ、指導主事らが必要に応じて学校にも伝える対応をされています。事業者が日常的に相談の対応をして、相談申出者ごとにリスクレベルを低・中・高と判断しているそうです。今年度はまだ低レベルのみだそうですが、中や高になれば夜間・休日でも教育委員会に連絡が入り対応される仕組みになっています。7月以降の相談事例の中で、事業者が低レベルであったが、教育委員会の指導主査や教員に直接連絡する事例もあったそうです。文部科学省の通知では、特定教職員で抱え込まず、保護者、医療機関等と連携しながら組織的に対応することになっています。 そこで伺います。学級担当教員だけで済ませずに、事例の評価や検証も含め、教職員集団で検討し対処ができているのでしょうか。 SNS「STOPit(ストップイット)」は、匿名性が低いため、限界があることを認識するべきです。教育委員会等が実施するネットパトロールについては、長期休業明けの前後に集中的に実施することが示されています。都が事業者に委託をして実施しており、これらも随時連絡が来る仕組みになっています。 そこで伺います。ネットパトロールの取組の状況はいかがでしょうか。 こうした自殺予防の取組が一層進められ、結果として子どもたちの命が守られることを期待し、私からの全ての質問を終えます。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 小杉議員の御質問にお答えいたします。 最初に、子どもの権利に関する条例についてで、普及啓発についてでございます。子どもの権利を保障し、子どもに優しいまちを実現するためには、区に関わる全ての人が子どもの権利の尊重の理念を共有し、それぞれの生活及び活動に生かすことが必要でございます。このため、子どもの権利に関して、区民の理解や関心を深めるための普及啓発の取組が重要となります。様々な機会を捉えて広く区民に対して周知を行うとともに、子どもにとって分かりやすい手法等を検討し、子どもを含めた区民に対する理解促進を図っていくことを考えております。 次に、相談・救済の仕組みでございます。子どもの思いに寄り添い、子どもの意見を尊重し、その子どもにとっての最善の利益の実現を図るための相談及び救済の仕組みが必要であると認識しております。条例におきまして、区長の附属機関として(仮称)中野区子どもの権利救済委員を設置し、子どもの権利に関する相談及び救済を図っていくことを想定しております。 次に、子どもの権利に関する条例についての私の決意でございます。私は、中野の最大の財産は人であり、全ての人の人権とあらゆる生き方、個性や価値観を尊重することを大切にしております。その中にあって、子どもの権利を保障し、子どもに優しいまちづくりを進めることは区民に最も身近な基礎的自治体として重要な責務であると認識しております。全ての子どもの権利が保障されるように、虐待や体罰の防止、子どもの意見表明の機会の確保、貧困の防止などの取組に尽力してまいります。 次に、公契約条例についてで、最初に目的についてでございます。公契約条例の目的につきましては、公契約に従事する労働者の適正な労働環境の整備を推進し、公契約の適正な履行及び品質の確保に資するとともに、地域経済の活性化と区民福祉の向上に寄与するものと考えております。 公契約条例の課題についてでございます。公契約条例の制定に伴って事業者に事務的な負担が生じることが一番の課題だと考えております。そのためにも、条例の実効性を担保しつつ事業者が提出する書類の簡素化を図るなど、できる限り事務負担の軽減を配慮する、そのことで関係者の理解を得たいと考えております。 続きまして、条例の実効性の担保についてでございます。公契約条例につきましては、いわゆる理念条例ではなく、実効性が担保できる条例にしたいと考えております。そのために労働報酬下限額を客観的かつ公平な議論を踏まえ設定し、事業者に下限額以上の報酬を支払う義務等を求め、その確認のための立入調査や違反事実があった場合の是正措置等を定めることで条例の実効性を担保したいと考えております。 続きまして、木造住宅耐震改修助成についてで、耐震化の意義についてでございます。地震による建築物の倒壊等の被害から区民の生命、身体及び財産を保護するため、建築物の耐震改修の促進のための措置を講ずることで建築物の地震に対する安全性の向上を図り、もって公共の福祉の確保に資することであります。現在、新型コロナウイルスによる避難所運営の在り方や働き方改革の一環としてテレワークの推進が求められ、自宅を避難所や職場として安全性を確保するため、住宅の耐震化を進めることにも意義があると考えております。 次に、令和2年度末の住宅の耐震化率については90.3%であります。そして、平成28年度からの5年間で4.2%の上昇となっております。 次に、制度の利用実績です。建替助成は5年間で27件、除却助成は2年間で44件、補強助成は1年間でゼロ件でございます。この5年間で上昇した4.2%に対する寄与率は0.28%となっております。 耐震改修助成の方向性についてでございます。木造住宅の耐震補強助成の新設に合わせ、建替・除却事業については補助率や限度額の見直しを行ったところであります。その結果、選択肢が広がり、利用者増につながっております。今後も相談者の意向を踏まえ、適切な制度の選択ができるように丁寧な説明と助言を行ってまいります。また、改定作業中の中野区耐震改修促進計画におきましては、課題の検証を行い、制度の見直しに取り組んでまいります。 続きまして、新型コロナウイルス感染症への対策について。初めに、自宅療養者の数、自宅療養者への対応に係る周知についてでございます。区の陽性者につきまして、9月7日の時点で、自宅療養者数は401名、宿泊療養者施設入所者数は58名、入院者数は193名となっております。自宅療養者の支援につきましては、必要な方へパルスオキシメーターを配付するとともに、日々の健康観察を行い、状況に応じて医師会等による往診や電話診療といった在宅での医療サービスを提供するとともに、悪化した場合には入院調整を行っております。これらの対応につきましては、発生届を受理次第、陽性となった方へ御案内するとともに、一般の方向けにもホームページで周知を行ってきたところでありまして、今後もさらに区民に分かりやすい情報提供の方法を検討してまいります。 次に、感染拡大期に備えた対応、体制整備についてでございます。令和3年度の新型コロナウイルス感染症の保健所人員体制につきましては、新規感染者数に応じて保健所内協力体制や労働者派遣強化、全庁応援体制など、5段階の体制を築いております。この体制につきましては、当初4段階としておりましたが、7月下旬以降の感染者急増を受けて体制を強化したものであります。今後も新型コロナウイルス感染症の発生状況に応じて感染された方に早期に疫学調査を実施し、健康状態を把握できるよう時宜にかなった体制を築いてまいります。 想定接種率達成のための取組についてでございます。9月9日時点で、約6割の方が1回目接種を受け、5割の方が2回目接種も終了しています。区民活動センターなどにおける集団接種につきましては、会場や医療従事者の確保、ワクチンの供給量の関係もあって、当初の計画どおり9月末をもって終了します。10月も個別接種の医療機関において約2万7,000回程度の接種が可能な体制を築いているほか、区が新たに実施を検討しています中野サンプラザにおける1万人規模の集団接種や、国・都の大規模接種、職域接種などの利用によって想定接種回数を達成する見込みを持っております。 続きまして、代理人への接種券送付についてでございます。現在も、本人の同意が確認できた場合には代理の方に接種券を送付するなど柔軟に対応しているところであります。今後も一人ひとりの状況を聞き取って丁寧な対応を図ってまいります。 次に、ワクチン接種の正確な情報の周知、提供についてでございます。区のホームページにはワクチンに関する情報を分かりやすく整理してQ&A形式で掲載するとともに、詳細を知りたい方に向けて国のホームページなどを案内しているところであります。今後とも、ホームページ、SNSなどを活用して正確な情報提供に努めてまいります。 次に、予約のコールセンターについてでございます。区の新型コロナウイルスワクチン接種相談窓口で採用しておりますナビダイヤル方式は、自動音声案内によって区民からの問合せの内容に応じて専用の担当者につなげることができることなどから採用したものであります。今後、予約システムを再構築する際にはフリーダイヤルとすることも含めて検討してまいります。 続きまして、PCR検査についてでございます。東京都及び公益財団法人日本財団が実施しているPCR検査の実施計画やワクチンの接種状況、区内の感染状況等を見極めながら判断してまいります。併せて、東京都などに対し、PCR検査の事業継続を要望してまいります。 次に、在宅要介護者受入体制整備事業の対象拡大についてでございます。在宅要介護者受入体制整備事業は、在宅で介護している家族が入院などとなる場合に、残される要介護者に対して家族の代わりに支援を行うことを目的とした区民を対象とする事業であって、東京都の10分の10の補助金を活用して実施しております。介護サービス事業所で従事者が感染した場合に代替のヘルパーを派遣するという、事業所に対する支援として当事業を拡大することは、都の補助要件と異なるため、考えておりません。介護サービス事業所が事業継続するために必要な支援につきましては、区内の感染状況や国などの動向を見極めながら区としても考えてまいります。 最後に、無症状の方へのモニタリング検査についてでございます。モニタリング検査につきましては、国や都が行っている事業を活用し、必要と思われる事務所等が実施したところでございます。感染拡大防止に有効な検査とするには対象者の選定方法や実施体制に工夫が必要であると考えておりまして、効果的と思われる事業所等を中心に実施していく予定でございます。 〔教育長入野貴美子登壇〕 ○教育長(入野貴美子) 私からは、新型コロナウイルス感染症への対応のうち、区立学校におけるPCR検査の実施について、お答えいたします。区立幼稚園及び小・中学校におきましては、日常の感染対策を引き続き行い、濃厚接触者として特定されていない体調不良の児童・生徒につきましては出席しないよう周知するとともに、教職員においても出勤しないことを徹底しております。したがいまして、現時点では御提案の検査の対象の拡大や自宅における検査の実施は考えておりません。 次に、新型コロナウイルス感染症への学校及び教育委員会の対応についての御質問です。統一的な方針である学級閉鎖等の基準につきましては、教育委員会として決定し、各校に通知済みでございます。また、各学校は、感染状況に基づき、学年ごとに登校時間をずらしたり、オンライン授業を実施するなど、柔軟な対応を取ることとしております。特にオンライン授業を実施する際には、教育委員会として指導主事等が当該校を訪問して助言したり、オンライン授業に関する指導資料を提供したりするなどの支援を積極的に行ってまいります。 次に、ICTの学校及び家庭での活用の推進の把握のことについてでございます。学校での活用状況につきましては、指導主事や教育情報化専門員による学校訪問、ICT支援員からの月例報告、ICT教育推進リーダー研修での協議等により把握しております。ICT教育推進リーダー研修等で各校が把握している学校での活用状況についても聞き取りを行っております。家庭と学校とのオンラインでの接続状況や何らかの理由でインターネットにつながらない場合のオフラインを活用した指導方法などについて、詳細に把握しております。各校で取り組んでいる効果的な実践事例を全校で共有・展開することで、さらにICTの活用を進めてまいります。 次に、子ども・子育て施策のうち、少人数学級の意義及び必要性についてでございます。少人数による指導については、教師の目が届きやすく、一人ひとりに応じた指導が行いやすいなどの利点があるものの、多様な考えを出し合う授業や行事によっては一定規模の集団による指導も効果的であると認識しております。学級の編制については、東京都の学級編制基準にのっとって進めているところでありますが、今年度から小学校で段階的に導入された35人学級については必要な措置であったと考えております。 次に、来年度における小学3年生の学級数についてです。来年度から小学校3年生の学年が新たに35人学級の対象となることを受け、現在の40人学級の考え方と比較した場合は区全体で小学校3年生の学年で3学級分増えると想定しております。 次に、必要な教室数の確保についてです。小学校35人学級の運用により新たに必要となる普通教室につきましては、各学校と協議の上で別の用途で使用している空き教室等を活用しながら整備していく予定でございます。どの学校におきましても良好な教育環境が十分に確保できるよう、各校と協議しながら学校施設の改修等を計画的に進めていきたいと存じます。 次に、教職員定数の加配についてです。国が小学校学級編制標準について、令和3年から5年にかけて35人学級にすることにいたしましたが、その教員の確保については、児童の減少に伴う自然減と加配定数の基礎定数への一部振替による対応を検討していると報道がなされたことは承知しております。加配教員の配置は、学校からの申請に対し、東京都が決定し配置しているものでございます。現在、加配教員の定数の変更はないと聞いております。 次に、教職員定数の改善についてでございます。教育長会といたしましても、教職員定数の見直しに向けて義務標準法の改定や教職員定数改善計画の早期の決定を国や東京都に様々な機会を捉えて要望してまいります。 次に、子ども・子育て施策のうち、学校の自殺防止対策の取組についての御質問にお答えいたします。5月の大型連休前や長期休業前には、児童・生徒の自殺防止に関わる取組としてSOSの出し方に関する教育の指導資料を活用した授業を実施するよう、各校へ依頼しております。併せて、中野区立学校の相談連絡先一覧を児童・生徒へ配布するとともに、中学校に関しましてはSTOPit(ストップイット)アプリの活用を促しております。夏休み前までに小学校5年生と中学校1年生を対象にスクールカウンセラーによる個人面談を実施しまして、積極的に相談できるという安心感を持たせております。また、SOSの出し方に関する教育では、不安や悩みを抱えたときに身近にいる信頼できる大人に相談することの大切さを考えさせております。各学校には、長期休業中も補習授業などで登校した際には子どもたちの様子を丁寧に見守ることや、長期休業中や学校再開前に子どもたちに連絡を入れるようお願いしておりますが、一部連絡の取れない御家庭があったことの報告も受けております。学校再開後も、不登校をはじめ、様々な理由で登校できていない児童・生徒は必ず学校から連絡を入れ、状況を確認しております。 次に、STOPit(ストップイット)の相談件数と相談内容についてでございます。毎朝STOPit(ストップイット)の担当者から教育委員会に前日の相談内容報告書が届きます。そして、内容を確認しております。7月の相談件数は306件、8月の相談件数は101件でございました。現在まで、今年度は緊急対応が必要な相談内容はなかったと報告を受けております。今後、自殺等につながる可能性がうかがえるものにつきましては、学校に情報提供をし、丁寧に連携して対応してまいります。 次に、緊急対応が必要な事例への組織的な対応についてです。学校は、朝や夕方の打合せ会等で児童・生徒の状況を教職員全員で確認できる体制を整えております。いじめに起因する緊急対応が必要と思われる事例については、各学校は学校いじめ対策委員会を開いて学校全体で共有しております。また、学校のいじめ防止基本方針にのっとり、担任一人に対応を任せず、役割を分担し、組織的に対応しております。再発防止に向けた事例研修を必ず行い、対応について改善点等がある場合は管理職を中心に組織的な体制の在り方を再検討し、迅速な対応が取れるように改善を図っているところでございます。 最後に、ネットパトロールによる自殺予防対策についての御質問です。教育委員会は、関連部署や区内警察署と連携し、児童・生徒のネットへの書込みについて確認しておりますが、長期休業明け前後で危険度の高い書込みは報告されておりません。今後もネット上の書込みを普段から注視してまいります。また、学校との連携が不可欠であるため、学校生活での様子に変化がないかについても確認し、児童・生徒の生命と身体の安全を守ってまいります。 〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕 ○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、子ども・子育て施策のうち、児童相談所開設準備の御質問について、お答えいたします。 初めに、専門機関のネットワークとしての要保護児童対策地域協議会の充実について、お答えさせていただきます。子どもの命を迅速に救うためには、児童相談所に有する専門性を地域の関係機関と共有することによりまして迅速な虐待通告の重要性につきまして区民や関係機関の御理解を深め、また地域の対応力を強化する必要があると考えております。関係機関が連携を図りまして、児童虐待等への対応を行います要保護児童対策地域協議会におきましては、児童相談所の開設を契機といたしまして、支援対象別会議の開催、また実務者研修の充実などを新たに行うことによりまして機能の強化を図り、併せて迅速な虐待通告へつなげていきたいと考えております。 次に、児童相談所開設後の児童相談所にいる職員の他区との人事交流についての御質問です。既に児童相談所を開設している区では、一時保護所の職員に関しまして3日間程度の短期の派遣研修を予定しているところでございます。区といたしましても、安定した一時保護所の運営を確保した上で、同様の派遣研修が実施できるよう職員体制等を検討してまいります。また、児童福祉司や児童心理司につきましても、児童相談所開設後、他区との人事交流について検討を進める予定でおります。 最後に、一時保護所と在籍校との連携についての御質問です。一時保護所におきます学習支援につきましては、できる限り在籍校での内容を引き継いでいくことが必要であると考えております。来年度の設置に向けまして教育委員会とも連携しながら、学習指導体制の整備、使用教材や機器の配備、個々に応じた学習の進捗状況等のきめ細かな情報共有の実施等につきまして検討を進めているところでございます。一時保護所におきましても、子どもが安心して継続的に学習に取り組むことができる環境整備に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(内川和久) 以上で小杉一男議員の質問は終わります。
中野区議会議員 渡 辺 たけし 1 新型コロナウイルスのワクチン接種について 2 令和2年度決算について 3 区内スポーツ施設の利活用について 4 新たな機能を備えた児童館について 5 コミュニティスクールを見据えた学校運営の在り方について 6 その他
○議長(内川和久) 次に、渡辺たけし議員。 〔渡辺たけし議員登壇〕 ○4番(渡辺たけし) 令和3年第3回定例会におきまして、都民ファーストの会中野区議団の立場から、一般質問を行います。 まず初めに、新型コロナウイルスのワクチン接種について、伺います。 新型コロナウイルスの新規感染者数を減らすため、そして自由な経済活動を可能にさせるために、緊急事態宣言が東京都でも9月30日まで延長することが昨日決まりました。一部規制を緩和することも検討していくようですが、引き続き不要不急の外出を控える生活が続いていくようであります。 その中で、都内の人流を生み出している多くの方は仕事をするために職場と家を往復している人、いわゆる経済を回している人であります。先月8月23日に、16歳から39歳までを対象としたワクチン接種会場が渋谷駅近くの渋谷区立勤労福祉会館に開設されました。オペレーションの中身については様々な議論が出たところではありますが、若者が集まる場所に若者向けのワクチン接種会場をつくるという発想は、仕事のために外出している人が集まる場所にワクチン接種会場をつくるという考え方にも応用できるのではないでしょうか。各自治体の立場としては、在住者へのワクチン供給を行うことが優先度として高いことは理解いたしますが、都心の経済を回していく人たちの中でワクチン接種を希望している方々に対して速やかにワクチンを打てる環境を整えていくことも、東京都の中心部を担う自治体の一つの役割と考えているところであります。最近は、デルタ株に次ぐ新たな変異株であるミュー株というものも出てきております。今後、新たな変異種が出てくることも予測されており、ワクチン接種を継続的に続けることになるのであれば、長期的な視点から都心部のワクチン接種会場について考察する必要があるのではないでしょうか。 そこで伺います。新宿駅、池袋駅、上野駅、東京駅、品川駅など、交通の利便性の高いところにワクチン接種会場をつくることを23区長会から東京都に提言してみてはいかがでしょうか。 東京都では、ワクチン接種会場をつくろうとすると、自治体側で、人が集まることを理由になかなか協力してくれないという理由を挙げてくるという話も漏れ伝え聞いております。真偽は不明ですが、23区長会から東京都へ、交通結節点となるターミナル駅など利便性の高い場所を中心にワクチン接種会場の開設の協力を表明することで、都と区が一丸となって東京都内をコロナ対策に取り組む姿勢や覚悟を示す手段になるのではないでしょうか。もし仮に新宿駅近くに職域や年齢制限など関係なく誰でもワクチンを打てる会場ができれば、区内在住者はもちろんのこと、在勤・在学の方もワクチンを打つための負担が少なくなり、中野区内での感染者減少の一助にもなるはずです。各自治体の首長が総力を挙げてコロナ終息に取り組む姿勢を打ち出す決意を、区長自身の思いとともにお聞かせください。 続きまして、令和2年度決算について、伺います。 財政白書を見てみますと、令和2年度決算の概要からはコロナの影響がまだ区財政に大きく及ぼされていないことがうかがえる数字となっております。内容についてはこれから議論していくところもあるかと思いますが、一般財源の内訳を見てみますと、特別区税361億円は前年度に比べ14億円増となっており、納税義務者数の増加により歳入が増えている状況となりました。一方で、特別区交付金が前年度と比べ25億円減となっており、特別区税や地方消費税交付金が増となったにもかかわらず、前年度と同程度の金額となっております。 歳出の中で気になる部分が、扶助費であります。待機児童解消のために毎年保育園を新たに整備し、年々扶助費が増加してまいりましたが、今年度の待機児童数は25人まで減少いたしました。待機児童が少なくなると、新規保育園の建設も今後の子育て世帯の動向を注視しながら必要に応じて対応していくことになり、扶助費の増加率も減少していくことが予測されます。今後の新規保育園の整備計画はどうようになっているのでしょうか。今後の計画について、お聞かせください。 待機児童数が少なくなると、今後は定員割れの保育園への予算補助について検討していかなくてはなりません。今年度の中野区私立保育園長会からも既に定員割れをしている保育園が出ているということを示され、そのような保育園に予算補助を実施してもらいたい旨、要望書に記載されております。認証保育園や小規模保育園には既に定員割れとなった園に補助金を出しておりますが、その基準が曖昧なままですと公平性の担保が図れなくなります。保育園以外の幼児施設への配慮も検討していかなくてはなりません。今後、小規模保育園や認証保育園以外の認可保育園などにも同様の支援を行うことは考えているのでしょうか。もし検討するのであれば、経営に支障が出る基準を示す必要があると考えますが、区の見解をお聞かせください。 続きまして、区立保育園の在り方について、伺います。 区は、将来的に子どもの人口が減り、保育園等の経営に支障が出てきた場合、一定数の区立保育園を廃止することによって私立認可保育園の存続を図る考え方を示しております。待機児の減少、保育園の定員割れが出てきている中、そのような時期が少しずつ近づいてきているのではないかと感じているところであります。民営化を予定している大和東保育園を除き、現在10園ある区立保育園の在り方について、区は今後の方針について本格的に検討するべきではないでしょうか。 区有施設整備計画(改定素案)で10年後の施設数は10施設と記載されておりますが、実際の認可保育園の定員割れは、今年4月時点で、ゼロ歳児は34名、3歳から5歳までの定員割れはおよそ580名程度発生しております。区立保育園の在り方についても、区は今後の方針について今から検討していかなくてはならないと考えますが、区の考えをお聞かせください。 今年度の決算については、経常収支比率、実質収支額、公債費負担比率などを見てもおおむね健全な財政運営がされているように見受けられます。引き続き健全な財政運営を行っていく中で、区立保育園の在り方は重要な課題となるはずですので、具体的な計画を立てるための情報収集を行っていただくことを要望いたしまして、この項の質問を終わります。 続きまして、区内スポーツ施設の利活用について、伺います。 第2回定例会の一般質問の中で、中学校総合体育大会をキリンレモンスポーツセンターで開催することができるように要望いたしました。担当部署で中野区体育協会との調整を行っていると聞いておりますが、ぜひ来年度から実施できるように折り合いをつけていただきたいところであります。 また、年1回、高等学校の先生を招いて行われる進路説明会を行う場所としてキリンレモンスポーツセンターを使用したいという要望も併せて受けていると聞いております。現状の進路説明会は、各中学校ごとに行っておりますが、年々進路説明会の参加数も増えてきており、コロナ対策についての課題が挙がっておりました。キリンレモンスポーツセンターであれば、サブアリーナを含めるとスペースは現状の3倍ほどの広さとなり、今まで会場が狭いという理由で参加ができなかった進学先の学校なども会場に来ることができるようになります。 体育大会や進路説明会は、ともに土日の使用を希望していることもあり、中野区体育協会との調整に担当者も苦労するところもあるかとは思いますが、子どもたちの一生の思い出になるかもしれないスポーツ競技の舞台を新体育館に用意したり、未来を担う子どもたちが進路説明会を通し、家族と相談しながら自主性を持って自分自身の将来を決めるためのよりよい環境を提供することが子育て先進区を掲げている区の責務であるかと思われます。一方で、中野区体育協会に所属している各団体が行っている区民大会の開催日も土日であり、体育協会側との調整は難航することが考えられます。折り合いをつけることが困難な場合、区長自らの考えをしっかりと示し、子育て先進区としての在り方に理解を求める必要性も出てくるのではないでしょうか。区長自身の考えと決意をいま一度お聞かせください。 平成28年度に、中野区体育協会は一般社団法人となり、法人格を取得しました。これにより委託事業を行うことができるようになり、体育協会もそのような状況を強く望んでいるところであります。区が現在行っている仕事の一部を体育協会に委託することは可能かと思われます。これまでの補助金に加え、区からの委託を新たに増やすことで区の財政負担がどのように変わるのか、また職員の負担軽減につながるものなのか、区として検討してみてはいかがでしょうか。区の見解を伺います。 中野区体育協会が中野区の子育て先進区の取組に協力する姿勢を示し、土日のキリンレモンスポーツセンターの使用に理解を示すのであれば、以前から体育協会が要望している廃校となる小・中学校の有効活用についても改めて真剣に検討していくべきではないでしょうか。特に旧沼袋小学校跡地のグラウンド使用については積極的に取り組んでいくべきかと思います。こちらのグラウンドは広い敷地面積であるため、毎年グラウンドの使用について体育協会から要望が出されているところであります。区民の健康維持を図るために、旧沼袋小学校のグラウンドを開放するための働きかけを改めて前向きに検討すべきではないでしょうか。区の見解を伺いまして、この項の質問を終了いたします。 続きまして、新たな機能を備えた児童館について、伺います。 先般の子ども文教委員会で新たな機能を備えた児童館についての報告がありました。資料を見てみますと、インターネット環境を整備し、中・高生対象学習スペースの設置、遊具のリニューアル、自由に交流、おしゃべりができるロビーや地域スペースを設ける等、地域交流ロビーの整備など、新たな設備投資を行わなくては実現できないような内容になっているように見受けられます。また、今まで日曜日、月曜日と休館していた児童館を毎日開館することとなっておりますが、その分の人員も増やしていかなくては実現できる話ではありません。実現可能と言えるだけの財源の確保と人の配置もセットで行うめどは立っているのでしょうか。区の見解を伺います。 また、報告資料の中では、障害児など課題のある子どもへの対応についての記載が見受けられませんでした。新たな機能を備えた児童館の中には障害児など課題のある子どもやその家族に対しての居場所、そういったものは含まれていないのでしょうか。区内には課題のある子どもたちが通っている指定障害児通所支援事業所が27か所あります。様々な特性を持っている子どもたちに対応するためには専門的な知識のある職員が個別で対応していく必要があり、多くの子どもたちが集まる児童館で支援が必要な子どもにまで目をかけることは現実的には難しいところがあるかもしれません。ただし、来年4月から、今まで都が管理していた指定障害児通所支援事業所が児童相談所の開設に合わせて区の管理に移行することが決まっており、児童館施設と指定障害児通所支援事業所との交流については区の権限で実現させることは可能となります。 そこで伺います。区は、新たな機能を備えた児童館の中にインクルーシブな観点を取り入れ、児童館側で障害児など課題のある子どもたちも参加できるイベントなどを企画し、指定障害児通所支援事業所などと連携・交流する機会を設けることを検討してみてはいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。 また、子育てに関する悩みを聞き、問題解決につながる助言をしたり、場合によっては様々な支援機関につなげていくことも児童館の大きな役割かと思われます。特に不登校や様々な支援が必要な特性が出る時期は、児童館の対象年齢である小学校低学年ではなく、中学年、高学年時に出てくることが多く、そのような課題を持った親御さんへの対応についても児童館職員のさらなるスキルアップを求めるところであります。区は、新たな機能を備えた児童館の中に、不登校や支援を必要とする子どもを抱えた親御さんの悩みや課題などにも対応できるような職員育成を図っていくべきではないでしょうか。区の見解を伺います。 地域の子どもたちが家や学校以外の場所でも、「ここにいてもいい」、「ここに来ると安心できる」と思える居場所づくりを区がどこまで本気で取り組もうとしているのかは、予算のつけ方、または人員の配置、そういったものを見て判断できるとは思っております。キッズ・プラザと差別化していくためにも、あらゆる子育てに関する悩みを聞くことができる体制をつくるという目標を定め、地域の新たな居場所を区が本気でつくることを強く要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。 最後に、コミュニティスクールを見据えた学校運営の在り方について、伺います。 区は、コミュニティスクール導入の方針を打ち出してから、具体的な制度設計に着手していると聞いております。ほぼ全ての自治体が国のガイドラインに従って制度設計をしておりますが、主に自治体が主導して自治体内の小・中学校を統括する品川方式や学校ごとの運営方式に委ねる手法などがあります。どのような運営手法であっても、地域コーディネーターの役割が非常に大きいというところが一致した見解であると聞いております。学校と地域の橋渡し役として地域と学校を結ぶ地域コーディネーターが、学校が持つ課題を共有していくために学校運営協議会のメンバーと連絡を取り合い、活発な議論を通して地域独自の学校運営を行っていくことが目指すべき姿と考えておりますが、こちらの地域コーディネーターを含め、学校運営協議会のメンバーをどのように考えているのか、区の見解をお聞かせください。 また、来年度からコミュニティスクールを導入したいと考えている学校があれば、区としてもサポートをして、実際の運営内容を検証しながら中野区独自のコミュニティスクールの制度設計を構築していくべきではないでしょうか。手挙げ方式で来年度からコミュニティスクールの導入を希望する学校があれば、区は積極的に支援し始めていくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。 続きまして、来年度に向けた校割予算の拡充について、伺います。 第2回定例会でも区長に要望いたしましたが、今年度の校割予算が前年度と比べおよそ10%の減となっており、来年度に向けて校割予算の拡充を求めてまいりました。新型コロナウイルスの感染状況は区内小・中学生にも及び、学校内での感染対策についてもさらに検討する必要が出てきております。国や都の感染症対策に係る補助金もいつまで出るのか、先が見通せない状況の中、学校独自で使える予算を拡充していくのは区の必須課題であります。担当部署も学校からの要望を強く受けていると聞いておりますが、ここは区長自ら、前年度並みかさらに上乗せ拡充していく姿勢、こういったもの学校現場の関係者の方々へ示していくべきではないでしょうか。改めて区長の意気込みをお聞かせください。 続きまして、教職員の負担軽減につながる学校運営の改善について、伺います。 毎年行われている移動教室、子どもたちにとって楽しみな校外学習の一つであります。この移動教室の宿泊先の確保は各学校ごとに行われているのですが、以前より一部の現場から旅行代理店に委託してもらいたいという声が挙がっておりました。大人数での宿泊先はある程度の場所が絞られ、時期を逸すると予約時期が重なることもしばしばあり、先方から断られるケースも出てくるなど、現状の仕組みでは様々な課題が出ているところであります。旅行代理店にこちらの業務を委託すれば、各学校で行っていた移動教室に係る業務負担がなくなり、旅行業者独自のルートで獲得している様々な施設への宿泊が可能となります。今回の緊急事態宣言などの不測の事態が発生した際、日程変更の調整なども全て各学校の教職員が行っており、スケジュール調整が難航したケースもあると聞いております。このような業務を委託し、教職員の負担軽減をしていくためにも、いま一度現体制を見直す必要があるのではないでしょうか。区の見解を伺います。 待機児童の減少、児童相談所の設置、新たな機能を備えた児童館の設置の計画など、子育て先進区に向けて取り組んでいる姿勢が具体的に出ているように見えますが、中身が伴ってこその真の子育て先進区であります。区内在住の子どもたちが安心して過ごすことができる居場所をつくるために、区が全力でサポートしていくことを改めて強く要望いたしまして、私の全ての一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 渡辺議員の御質問にお答えいたします。 1点目の新型コロナウイルスワクチン接種についてで、初めに、交通結節点における大規模接種とコロナ終息に取り組む首長としての決意についてのお尋ねです。交通結節点での接種環境の整備は、区民にとって接種を受けやすくなると考えられますが、現在区内の接種能力は供給量を大きく上回っている状況でございます。来月上旬には新たに中野サンプラザにおいて集団接種が開始できるよう準備を進めておりまして、まずは区民が身近なところでワクチン接種を受けられる環境整備に注力する必要があると考えております。新型コロナウイルス対策は、特別区、東京都、国を挙げて取り組んでいくことが大切と考えておりまして、首都・東京の有志6首長で政府等に対して緊急提言も行ったところでございます。今後とも首都・東京の自治体の首長として、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでいきたいと考えております。 続きまして、区内スポーツ施設の利活用についてでございます。 1点目、キリンレモンスポーツセンターの利用調整についてでございます。来年度の中学校の進路説明会や総合体育大会の会場としてキリンレモンスポーツセンターを使用できるよう、関係団体との最終的な調整を行いました。中野区体育協会に対しましては、子どもたちの未来に必要な取組への協力について理解が得られるよう、引き続き意見交換や協議等を行ってまいります。 次に、中野区体育協会への支援についてでございます。これまで区が行ってきた業務のうち、委託を行うことで区の財政負担を軽減しつつ、職員の業務量の削減が可能なものについて精査を行っているところであります。今後、中野区体育協会に対してその業務内容を提示し、委託の可能性について協議を進めたいと考えております。 次に、旧沼袋小学校跡地の活用についてでございます。沼袋小学校跡地には北部すこやか福祉センターを整備する予定でございまして、旧校庭部分は整備を開始するまでの暫定的な利用・活用をしております。平日は、地域のゲートボール、グラウンドゴルフに貸しておりまして、日曜日は地域の一般の方々に開放しております。また、プール部分では夏季に地域の皆さんが釣り堀を運営されているなど、スポーツ施設ではなく、地域の皆さんの広場的な施設として活用しております。今後、スポーツ振興のための施設として利用することを近隣に御理解いただいた上で、区内の他のスポーツ施設と併せて管理運営していくことも検討してまいります。 次に、新たな機能を備えた児童館について。最初に、予算及び人員確保についてでございます。児童館を新たな機能を備えた児童館として機能を拡充し、事業を展開することに区として重点的に取り組んでまいります。予算編成につきましては、その実現のために必要な措置を行い、設備投資も含めて進めていく考えであります。人員の確保につきましては、中学校区単位での地域の見守り機能をきめ細やかに効果的に実現していくためにも、新たな機能を備えた児童館へ人的資源を集約していく考えでございます。 続きまして、児童館における誰もが参加できるイベント・交流についてでございます。児童館は、児童福祉法に基づき、児童に健全な遊びを与え、健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とした施設でございまして、様々な子どもたちが来館しております。インクルーシブの視点は重要であると考えておりまして、御提案の内容も含め、連携する事業等について検討してまいります。 続きまして、職員のスキルアップ等についてでございます。新たな機能を備えた児童館は、子どもの居場所、交流等の基本機能に加えて、子育て支援や地域の見守り、ネットワーク支援といった機能も強化し、すこやか福祉センターや子ども家庭支援センター、児童相談所と連携した継続的な見守りを行うことで子どもの地域包括ケアに資する役割を担ってまいります。身近な相談支援機能の強化のためにも、職員のより一層のスキルアップに取り組んでまいります。 最後に、令和4年度の校割予算についてでございます。令和3年度の予算編成に当たりましては、新型コロナウイルス感染拡大等の影響によって一般財源が大きく減収すると見込まれたことから、教育委員会にも御協力いただき、時限的な措置として校割予算を10%削減したところでございます。令和4年度の校割予算については、令和2年度の規模まで増額していきたいと考えております。また、新型コロナウイルス感染症の影響によって多くの教育活動が制限を強いられている状況の中、感染症対策を進めながら様々な教育活動を後押しできるよう重点的に予算を配分していきたいと考えております。 〔教育長入野貴美子登壇〕 ○教育長(入野貴美子) 私からは、コミュニティスクールを見据えた学校運営の在り方についての御質問にお答えいたします。 まず、地域コーディネーター及び学校運営協議会メンバーについてでございます。地域コーディネーターは、学校が求める登下校の見守り、花壇の手入れ、授業補助などに協力していただける地域人材を熟知し、学校と地域をつなげる地域学校協働本部の中心的な存在であるとともに、さらに学校運営協議会のメンバーともなると考えております。学校運営協議会は、学校、地域、家庭が協働し、子どもの豊かな成長を支え、地域とともにある学校づくりを推進するものでございます。また、学校運営協議会メンバーは、地域住民、保護者、PTA、学校管理職のほか、学校や地域の実情に応じて学識経験者、企業団体などの幅広い人材が候補であろうと考えております。教育委員会では、来年度からの導入に向けて小・中学校の校長の代表もメンバーとする検討会を立ち上げ、モデル校の指定を目指してまいります。 次に、移動教室の業務委託についての御質問です。移動教室における宿泊先の予約については、旅行代理店への委託により希望する日程における宿泊施設の確保が可能となり、現地情報の収集、体験施設の予約調整などの職員の業務軽減が図られると認識しております。校長会からも希望が寄せられておりまして、導入に向けた検討を進めてまいりたいと存じます。 〔子ども教育部長青山敬一郎登壇〕 ○子ども教育部長(青山敬一郎) 私からは、令和2年度決算についての御質問のうち、まず、今後の新規保育園の整備予定について、お答えいたします。保育園の整備については、令和2年度を初年度とする中野区子ども・子育て支援事業計画(第2期)において保育の需要見込みと確保方策を定め、進めているところでございます。この計画は、令和6年度までの整備計画でございまして、今後は人口推計や地域における保育の需要を踏まえ、計画の見直しを検討してまいります。 続きまして、認可保育所への支援についてでございます。認可保育所の入所率は、令和2年度実績で約88%でございます。認可保育所への支援については、年齢ごとの定員調整のほか、運営事業者の経営状況と区の財政状況を長期的に見通しながら検討する必要があると考えております。仮に支援を行う場合には一定の基準が必要であると考えております。 最後に、区立保育園の在り方についてでございます。区立保育園につきましては、構造改革実行プログラムでもお示ししているとおり、保育の質の維持向上、障害児保育など、区立保育園が担うべき役割などを踏まえ一定数存続させることとしております。今後、地域ごとの保育需要を見込み、施設の耐用年数も考慮して、廃止や建替整備の考え方を検討してまいります。 〇議長(内川和久) 以上で渡辺たけし議員の質問は終わります。
中野区議会議員 ひやま 隆 1 新型コロナウイルス感染症対策について (1)新型コロナウイルスワクチン接種について (2)自宅療養者の支援について (3)その他 2 高齢者支援について (1)介護サービス事業者の支援について (2)高齢者健康支援について (3)その他 3 地域活動の支援について 4 住宅の耐震化促進について 5 生活保護について 6 その他
○議長(内川和久) 次に、ひやま隆議員。 〔ひやま隆議員登壇〕 ○17番(ひやま隆) 令和3年第3回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問いたします。 質問は、6番のその他で歯科口腔保健について質問いたします。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策のうち、新型コロナウイルスワクチン接種について、質問いたします。 現在、我が国で接種が行われているワクチンは、いずれも発症を予防する高い効果があり、また重症化を予防する効果が期待されております、中野区では、想定する接種率67%のうち、今年11月までに希望する全ての区民の接種が完了する見込みです。一方、ワクチン予約をめぐっては、予約開始当初から、「予約のために電話かけてもつながらない」、「インターネットで予約しようとしても予約できない」といった多くの苦情が寄せられました。現行の中野区のワクチン予約は先着順方式を取っておりますが、他の自治体では予約抽選申込方式や事前登録方式といった事例などがございます。ワクチン予約については、特に予約開始時などの需要が供給に対してはるかに大きい状況において、どのような予約方式が望ましいのか、これまでの経過も踏まえ、中野区としても検証し、今後のブースター接種を見据え、改善を行っていく必要があると考えますが、区の認識について、答弁を求めます。 中野区における接種率を見ると、9月6日時点で、2回接種を完了した人の割合は区民全体で48.9%となっております。年代別で見ると、10代で18.2%、20代で27.4%、30代で34.8%となっており、若年層の接種率の低さが目立ちます。現在、中野区の接種体制は集団接種と個別接種の二つの柱からなっておりますが、集団接種については9月末で終了し、10月以降は個別医療機関での個別接種が接種の基本となります。しかし、基礎疾患などがなく、かかりつけ医を持たないケースが多い若年層の場合、どこに申し込めばいいのか分からないと感じる方が少なくないと推察します。実際に他区では、「初診の患者には接種できないと断られた」、「かかりつけ医だと思っていたのに接種予約を断られた」、こうした事例も報告されております。こうした実態を踏まえ、他区では初診でも接種してもらえる医療機関のリストを公表するなどの対策を実施している事例もございますが、中野区としても若い人たちが接種を申し込みやすい環境を整え、接種率の向上を図っていくべきであると考えますが、区の現状と認識について、答弁を求めます。 次に、自宅療養者への支援について、質問いたします。 8月31日に行われた危機管理・感染症対策調査特別委員会における所管事項の報告では、8月26日時点で、区民における陽性者のうち、入院中の方が177名、宿泊療養の方は56名、自宅療養の方は951名とのことでした。現在では陽性者の減少傾向が認められると聞いておりますが、第5波におけるピーク時において中等症以上にもかかわらず自宅療養となってしまったケースの有無について、中野区内の実態をお聞きします。 東京消防庁によると、東京都内で8月29日までの1週間で全体の25%が病院への搬送に3時間以上かかっており、受入れ先が見つかりにくいという実態が明らかになりました。第5波のピーク時における中野区内でのそうした緊急搬送困難事案の実態について、現状も併せて答弁を求めます。 自宅療養者が急増する中、東京都は自宅療養者フォローアップセンターを立ち上げ、対応に当たっております。しかし、自宅療養者の急増により機能がパンクし、30代以上の自宅療養者の支援は急遽区で支援を実施することになったと聞いております。保健所業務のさらなる逼迫とマンパワー不足が大変危惧されるところですが、現在の保健所の人員体制の実態についてお聞きするとともに、体制の強化に向けた区の取組みについて、答弁を求めます。 感染急拡大により病床が逼迫し、中野区においても本来は入院すべき方に入院先が見つからず自宅療養となるケースも見受けられたと聞いております。軽症と診断されたにもかかわらず、無自覚に肺炎が進行し、急速に重症化するケースも確認されており、中野区としても、保健所、医師会、薬剤師会といった関係機関との緊密な連携によるさらなる体制強化が必要であると考えます。自宅療養者に対するフォローアップ体制について現状をお聞きするとともに、自宅療養者への訪問診療やオンラインの健康観察に関する区の現状、また軽症で重症化リスクの高い患者への抗体カクテル療法の実施の現状についても、併せて答弁を求めます。 次に、高齢者支援のうち、介護サービス事業所の支援について、質問いたします。 新型コロナウイルス感染拡大により、区内の介護現場においても、利用者やその家族、事業所の職員などが感染するケースが発生しております。介護従事者を対象とした検査については、現在東京都のほか、民間団体で無料PCR検査事業を実施しております。検査の上限は1週間に1回、基本的にはあらかじめ決められた日にちで検査を受けることになっております。しかし、介護現場では、例えば利用者が陽性となった場合、訪問介護員が濃厚接触者に当たるかどうかといった保健所の判断に時間がかかり、急を要する事情がある場合には事業所の判断により自費でPCR検査や抗原検査を実施しているという実態があります。ただでさえ人手不足の介護現場において勤務できない訪問介護員が一人でもいた場合、事業者にとっては大きな痛手となり、結果として利用者のQOLの低下にもつながりかねません。介護サービス事業者が自費で実施したPCR検査や抗原検査については、検査費用を区が補助し、介護従事者が安心して働ける環境を整える必要があると考えますが、区の答弁を求めます。 令和3年度介護報酬改定において、全ての介護サービス事業者を対象にBCP等の策定、研修・訓練の実施等が義務付けられました。感染症や自然災害が発生した場合においても利用者に対して必要なサービスが安定的・継続的に提供できる体制を構築することは極めて重要です。一方で、新型コロナウイルス感染拡大により現場の介護職員は通常の業務に加えて感染症対策も行っており、職員の業務負担は増えることがあっても減ることはないというのが現場の声です。こうした状況の中で、さらにBCPを策定し、研修・訓練を実施するとなると、介護サービス事業者のさらなる負担増となり、区としても支援を実施する必要があると考えます。介護サービス事業者がBCPを策定するに当たっては、区として簡易で実効性のあるBCPモデルを提示し、防災情報の提供や研修会を開催するなど、策定支援を実施する必要があると考えますが、区の答弁を求めます。 中野区では、自宅で要介護者を介護する家族等が新型コロナウイルス感染症に感染した場合においても、要介護者が住み慣れた地域での生活を継続し、感染した家族等が安心して療養に専念できる環境を整えるため、在宅要介護者受入体制整備事業を実施しております。当該事業は、令和3年1月から事業を開始しておりますが、肝心の実績が非常に低調であると聞いております。改めて当該事業のこれまでの実績と、それに対する区の認識について、答弁を求めます。 現場の事業者からは、当該事業について存在を知らなかったという声も寄せられております。当該事業はどのような手段で周知をされたのか。また、現状の利用実績を鑑み、さらなる周知が必要であると考えますが、区の認識について、答弁を求めます。 また、要介護者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合においても支援が必要であると考えますが、現状の支援体制について、答弁を求めます。 次に、高齢者健康支援について、質問いたします。 新型コロナウイルスの感染拡大は、高齢者の心身の健康に大きな影響を及ぼしております。特に懸念されるのは、感染症による直接的な1次被害よりも大きいとされる、長期化する自粛生活による間接的な2次被害です。時事通信社が昨年行った調査によると、コロナ禍において介護保険の要介護度が進んだ場合などに出す、区分変更申請の件数が全国的に急増していることが分かりました。これは、高齢者がコロナの感染を恐れ、外出や介護サービス利用を控えたことで心身機能に悪影響が生じている可能性を示しております。自粛生活の長期化により事態はさらに深刻化していることが予想されます。そこで、コロナ禍における中野区の要介護認定の区分変更申請の動向についてお聞きするとともに、それに関する区の認識について、答弁を求めます。 また、コロナ禍における高齢者の生活不活発を基盤とするフレイル化及びフレイル化状態の悪化に関して、中野区の実態について、区の認識をお示しください。 日本総合健診医学会と全国労働衛生団体連合会が実施した調査によると、令和2年度の特定健康診査受診率は対前年比88.6%の減、人数にして32万2,398人と大幅な減少となりました。特にコロナ禍にあって医療機関での健診に不安を抱き、受診を抑制している高齢者が少なくないと推察します。定期的に医療機関を受診している高齢者については早期の段階で病気などの発見が可能ですが、健診のみで健康管理を行っている高齢者の場合は病状が進行して発見が遅れてしまう懸念があります。高齢者の健診の受診抑制に関して、昨年度の中野区の健診受診率の実態についてお聞きするとともに、中野区としても高齢者に対する健診の受診勧奨を実施する必要があると考えますが、区の答弁を求めます。 いわゆるコロナフレイルを予防するためには、生活習慣の改善が何よりも重要です。特に歩行、散歩といった運動習慣は、サルコペニアや筋力の低下、歩行速度の低下といった様々な機能障害を予防することにつながります。中野区内の高齢者施設においても、人数を分散させるなどの工夫を凝らしながら限られた人数で散歩を実施している施設もあります。しかし、そうした施設には、高齢者が複数で外出していることに対して苦情に近い声が寄せられたケースもあると聞いております。感染による直接的なリスクを懸念することは論をまたないところですが、長期化するコロナ禍にあって同じようにおそれなくてはならないのは自粛生活による高齢者の健康2次被害です。改めて、地域での高齢者の散歩を含めた身体活動については地域の理解を得られるよう、中野区としても普及啓発を行う必要があると考えますが、区の答弁を求めます。 高齢者のフレイル予防の基本としては、「栄養」、「身体活動」、「社会参加」の三つの要素が重要であり、中でも栄養については単に食だけではなく口腔機能も含まれます。現在、中野区では、35歳から70歳までの方を対象とした成人歯科健診を実施しておりますが、76歳以上の高齢者は対象に含めておりません。歯の病気は、誤嚥性肺炎、糖尿病、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などの心疾患、認知症などの病気とも密接な関係があることが明らかとなっており、お口の健康を守ることは単に高齢者の口腔内の健康を保つことのみならず、全体の健康を守り、QOLの維持向上にもつながります。高齢者の健康支援として、中野区成人歯科健診の対象年齢のさらなる拡大が必要であると考えますが、区の答弁を求めます。 次に、地域活動の支援について、質問いたします。 自粛生活が長期化する中、停滞している地域コミュニティをどのように再構築していくのか、これはコロナ禍における中野区の大きな課題です。地域コミュニティの中核として重要な役割を担う町会・自治会もコロナ禍において活動の自粛・縮小を余儀なくされております。しかし、コロナ禍にあって新しい生活様式を取り入れるなど、試行錯誤しながら何とか地域活動を再開させようとする、そうした町会・自治会の動きもございます。コロナ禍における今こそ、そうした活動を支援し、コロナに負けない強い絆で結ばれた地域社会をつくることは、ウィズコロナ・ポストコロナ社会を見据えた上でも重要であると考えます。 中野区では、令和元年度より、町会・自治会活動を支援するための取組として、町会・自治会による掲示板の新設・移設に係る経費を助成する制度を始めました。事業開始3年目となり、町会・自治会からは制度の改善を求める声が寄せられております。現行の助成制度は、令和元年度から令和5年度までの5年間という時限的な制度であり、また各町会・自治会が申請できる回数は5年間で2回まで、1申請当たりの上限は20万円までとなっております。しかし、コロナ禍にあって町会・自治会が地域住民に対して行う広報活動を支援し、地域活動の活性化を図ることの意義を鑑み、5年間という時限的な制度については令和5年度以降も制度を利用できるよう見直しを行い、また現行の1申請当たりの上限についてはさらなる拡充をするべきであると考えますが、区の答弁を求めます。 2020年中野区区民意識・実態調査によると、区政情報の入手先として「街なかの掲示板」と回答した割合は70代以上で高くなっております。長期化する自粛生活において、一人でも多くの高齢者に情報を届け、希薄化しつつある地域社会とのつながりを確保する意味でも、コロナ禍における掲示板の果たす役割はますます大きくなっております。しかし、町会・自治会の掲示板は、修繕等も含めた設置がなかなか進展せず、設置数も年々減少しているのが実態です。そうした現状を踏まえ、区内342か所に設置されている「区のお知らせ板」を町会・自治会に関わる情報周知の媒体として使用することを可能とし、高齢者をはじめとする地域住民により多くの地域情報が伝わるよう、区としても支援をする必要があると考えますが、区の答弁を求めます。 次に、住宅の耐震化促進について、質問いたします。 中野区では、旧耐震基準により建築された木造住宅の所有者に対し、耐震補強工事等に要する費用の一部を助成する木造住宅耐震改修等助成事業を令和2年度よりスタートさせました。当該事業がスタートしたこと自体は評価をいたしますが、事業開始から1年以上も経過し、様々な課題も見受けられます。当該事業の助成の対象となる住宅は、区が定める6項目の全ての項目を満たす住宅となっておりますが、むしろこれらの要件を満たすためにかかるコストが助成金額を上回ってしまい、利用を諦めたという声が複数寄せられました。近隣区の状況をお調べすると、助成要件のハードルがここまで高いのは中野区だけです。当該事業の昨年度の利用実績は非常に低調であると聞いておりますが、昨年度の利用実績について、当初の区の見込みと併せて答弁を求めます。 潜在的には高いニーズのある古い木造住宅の耐震改修等助成の利用実績が低調である背景には、助成要件のハードルが大きなネックになっているのではないかと考えますが、この点に関する区の認識について、答弁を求めます。 また、木造住宅の耐震化のさらなる促進に向けて、助成要件については、昨年度の利用実績等も踏まえ、今後は要件の緩和を実施するとともにさらなる周知が必要であると考えますが、区の答弁を求めます。 住宅の耐震化促進について、さらに質問します。 平成28年、国土交通省は、熊本地震における建築物被害の原因に関する報告書を取りまとめました。それによると、木造建築物の被害の状況に関して、県の中部に位置する益城町中心部では新耐震基準の木造住宅に比べて旧耐震基準の木造住宅の被害率が顕著に大きいことが分かりました。一方で、新耐震基準の木造住宅については、2000年以降の現行の耐震基準により建てられた建築物では被害の出なかった建築物の割合は約6割。しかし、1981年から2000年の新耐震基準で建てられた建築物は全体の8割に被害が出ております。現行の新耐震基準は、2000年の建築基準法改正により、耐力壁の配置バランスの数量化が行われたほか、多くの規定が盛り込まれました。しかし、それ以前の1981年から2000年の新耐震基準にはそれらの規定はなく、新耐震の条件を十分にはクリアしていないことから「耐震のグレーゾーン」とも呼ばれております。 そこで、この新耐震基準のいわゆるグレーゾーンの問題について、区の認識をお聞きするとともに、区内における1981年から2000年の新耐震基準で建てられた建築物の全体の数及び耐震化の現状について、答弁を求めます。 また、現在、中野区の木造住宅耐震診断助成制度の要件は1981年5月31日以前に建築されたものとなっておりますが、さらなる耐震化の促進のため、要件をいわゆる耐震のグレーゾーンを含む2000年まで拡大することも検討する必要があると考えますが、区の答弁を求めます。 次に、生活保護について、質問いたします。 長期化するコロナ禍は、私たちの生活に深刻な影響を及ぼしております。こうした状況の中で、我が国の社会保障制度における最後のセーフティーネットである生活保護の意義が改めて注目されております。 厚生労働省の調査によると、令和2年度の1年間の生活保護申請件数が速報値で22万8,081件となり、前年比で2.3%増加したことが明らかとなりました。生活保護の申請件数が前年度より増加したのは、リーマンショックの影響を受けた平成21年度以来です。厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大により失業や収入減となった働き手世代の申請や受給が増えたと見ております。そこで、中野区における令和2年度の生活保護申請件数及び保護開始の理由、世帯類型別被保護世帯数について、答弁を求めます。 また、これらの実態から、新型コロナウイルスの感染拡大が中野区の生活保護にどのような影響を及ぼしたと考えられるのか、区の見解をお示しください。 リーマンショックが発生した平成20年度の決算を見ると、生活保護費は受給世帯数が増加したことによって3億円の増となっております。その後の数字を見ると、リーマンショック発生から5年間にわたって総額41億円の増加となっております。また、この間の被保護世帯数の推移を世帯類型別で見ると、高齢・傷病・障害・母子の類型に当てはまらない、「その他世帯」の増加が顕著に見られます。これらの実態を踏まえると、リーマンショック時における生活保護費の増加は景気や雇用をはじめとする経済的要因によるところが大きいと推察しますが、これに関する区の見解をお示しください。 厚生労働省によると、今年7月時点で新型コロナウイルスの影響で解雇・雇い止めされた人は見込みを含めて11万人に上り、民間の調査によると、コロナの影響を受けた倒産が今月時点で全国2,000件に上っております。これらの景気や雇用の動向は、今後の被保護人数・世帯の増加とそれに伴う生活保護費の増加に大きな影響を与えると考えられます。一方、一般論として、社会保障・社会福祉制度の拡充・充実は相対的に生活保護を受ける者を低下させます。コロナ禍にあって、国・自治体、さらには民間に至るまで、様々な機関による支援金・給付金をはじめとするコロナ支援策が実施されてきました。これらの支援は、リーマンショック時を上回ると言われております。こうした制度的要因により、この間の景気や雇用の動向が生活保護に及ぼす影響が抑えられているという見方もあります。しかし、リーマンショック時のケースと同様に、これらの制度的な条件がなくなった後、生活保護の増加が顕著になる可能性もあります。これらの経済や整備をはじめとする変動要因を鑑み、今後の中野区における生活保護の動向について、区としてはどのような想定されておられるのか、区の見解をお示しください。 そもそも生活保護とは、私たちの命と生活を守る最後のセーフティーネットであり、その先には死が待っていると言っても過言ではありません。そうした性格であるがゆえに、我が会派としては、その取扱いについては極めて慎重に判断をしなくてはならないとこれまで繰り返し申し上げてまいりました。そうした中、現在、中野区では生活援護課事務室の配置やケースワーク体制など、中野区の生活保護行政の根幹に関わる部分が大きな課題となっております。新型コロナウイルスの感染拡大によるひずみやしわ寄せが区民生活に大きな影響を及ぼし、最後のセーフティーネットとしての生活保護の真価が切実に問われる中、改めて中野区としての生活保護の意義と在り方について、区の見解をお示しください。 「生活保護の申請は国民の権利であり、コロナで生活に困ったときはためらわずに相談を。」、中野区としてこのメッセージを改めて強く発信し、コロナから区民の命と生活を守るためのさらなる取組を実施することを求め、この項の質問を終わります。 最後に、その他で、歯科口腔保健について、質問いたします。 私たちが健康で質の高い生活を営む上で、お口の健康は基礎的で重要な役割を果たしております。お口の健康を一生涯保つためには、日常生活を送る上で歯に関わる虫歯や歯周病といった病気の予防に向けた取組が極めて有効です。中野区では、区内にお住まいの35歳から75歳までの方を対象とした成人歯科健診を実施し、歯科口腔保健を推進してきましたが、コロナ禍にあって、成人歯科健診の受診控えが大きな課題となっております。こうした状況を鑑み、昨年度中野区では、成人歯科健診の受診控えを防ぐため、受診勧奨対象者を拡大し40歳から50歳までの区民に受診券の送付が行われました。その結果、例年より2か月短い期間でありながら、受診率は大幅に増加したと聞いております。日常における歯科健診の受診が歯科疾患の予防と口腔の健康の保持に極めて有効であることに鑑み、40歳から50歳までの区民への受診券の送付を継続するべきであると考えますが、区の答弁を求めます。 東日本大震災においては、被災県を含め全国の歯科医師会から出動した延べ2,600名の歯科医師が、約5か月間で約8,750体もの御遺体の歯科所見を採取して、身元確認に大きな貢献を果たしました。その後、平成24年には、死因究明関連二法の成立により、身元確認に関わる歯科医師の役割が明確となりました。大規模災害ともなれば、避難所での口腔応急措置や身元確認作業等、歯科医師の役割が極めて重要です。平成7年、中野区は、中野区歯科医師会との間で「災害時の歯科医療救護活動についての協定書」を締結しております。締結から25年以上が経過し、協定内容についても今後精査が必要ですが、その中で薬品等の備蓄については原則として中野区が定める場所に備蓄する医薬品等を使用するとなっております。しかし、備蓄している器具器材といった備えは老朽化が進んでいると聞いております。現在の避難所における器具器材に関わる備えの現状をお聞きするとともに、さらなる歯科用器具器材の充実が必要であると考えますが、区の答弁を求めます。 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。 最初に、新型コロナウイルス感染症対策についてで、最初のワクチン接種についての対応についてでございます。現時点で国から3回目接種に関する通知は届いていないため、国や都、他自治体の動向などの情報収集に現在努めているところでございます。今後、3回目接種等が実施される場合には速やかに接種を開始できるように準備を進めていきたいと考えておりますが、御指摘の予約システムについても必要な見直しは行っていこうと考えております。 次に、若い人が申し込みやすい環境整備についてでございます。接種券に同封した個別接種の一覧に掲載されている医療機関は、かかりつけ医を持たない方の接種予約が可能であるということでございます。国や東京都の若い世代を対象とした大規模接種会場の案内などを行い、接種率の向上に努めてまいります。 自宅療養中の中等症以上の方への対応についてでございます。国の研究班による「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」において示されている重症度分類に基づき、中等症Ⅱ以上の方については入院の対象となっております。区は、この基準に基づき、都の入院調整本部に調整を依頼するとともに、区としても病院選定を行っておりましたが、入院までに時間がかかり、自宅で一定期間療養する方もいらっしゃいました。重症の場合は速やかに救急要請し、対応可能な医療機関に入院できるよう、消防庁と共に入院調整を行っておりましたが、入院医療機関が決まるまでに10時間から12時間を要した事例も一部ありました。陽性者数が減少傾向にある現状において、このような状況は生じておりません。 続きまして、現在の保健所の人員体制と体制強化に向けた今後の取組についてでございます。令和3年度の新型コロナウイルス感染症の保健所人員体制につきましては、新規感染者数に応じて保健所内協力体制や労働者派遣強化、全庁応援体制など、5段階の体制を築いております。保健所の人員体制につきましては、7月下旬以降の感染者急増を受けて一時最上位の応援体制を取ってまいりましたが、現状は新規感染者数が減少してきたことを反映して、上から2番目の体制として、全庁より事務職、医療保健師の応援体制を取っております。今後も新型コロナウイルス感染症の発生状況に応じて、感染された方に早期の疫学調査を実施し、健康状態を把握できるよう、時機にかなった体制を築いてまいります。 続きまして、自宅療養者に対するフォローアップ体制についてでございます。東京都自宅療養者フォローアップセンターでは、基礎疾患のない65歳未満の陽性者について健康観察を行うとともに医療相談対応を行い、必要に応じて電話診療や往診を行っております。区で健康観察を行っている自宅療養者についても、区医師会を通じ電話診療や往診を行い、重症度に応じて入院調整を行っております。抗体カクテル療法につきましては、都が対応可能な医療機関のリストを準備しておりまして、診断した医療機関や発熱相談センターへの相談を通じ、対象となる方に対応しております。 次に、PCR検査等の補助についてでございます。高齢者及び介護サービス従事者のワクチン接種状況や区内の感染状況、また国の検査に対する見解や支援などを見極めて慎重に判断してまいります。 続きまして、介護サービス事業所へのBCP策定支援についてでございます。国では、入所、通所、訪問などの介護サービス類型ごとにBCP作成に向けたポイントなどをまとめた動画やガイドライン、サービス類型ごとの計画書のひな形などをホームページで公開しております。また、区では、計画作成に必要なハザードマップや避難場所などの防災情報を公開しております。今後、区は、BCPに関する制度改正や国の作成支援を案内するとともに、個別の相談にも応じてまいります。 次に、在宅要介護者受入体制整備事業についてでございます。事業開始に当たりましては、保健所、地域包括支援センター及び中野区介護サービス事業所連絡会に説明し、区内各介護事業所宛てに本事業への協力依頼の通知を発出しているところであります。これまでの実績はございません。介護者が感染した場合、陰性である要介護者が自宅に残るケースは想定されるため、必要な事業とは考えております。状況によっては、要介護者本人が感染したときの在宅での支援が必要となる場合も考えられますが、重症化リスクの高い要介護者が入院できないほどの感染状況下でも対応できる事業者を探すことは難しく、現状では感染した要介護者の在宅支援に対応できておりません。 続きまして、要介護認定における区分変更申請の動向についてです。区の要介護認定における区分変更申請数は、コロナ前の平成30年度から令和2年度まで2,507件、2,375件、2,536件と推移しておりまして、区は今のところ区分変更申請数からは高齢者へのコロナの影響は判断できないという認識であります。 次に、高齢者のフレイルに対する区の認識でございます。昨年度、介護予防事業の参加者にアンケートを行ったところ、運動習慣のある高齢者は自ら運動を維持しておりましたが、普段から運動の機会が少ない高齢者は外出自粛等でさらに運動機会が減っておりました。また、緊急事態宣言期間中の活動量が少ない方のほうが体力の低下を感じていることも分かりました。このことから、高齢者の体力維持、虚弱防止のためには日常生活での活動量や運動機会の確保とその継続は重要であると認識しております。そのために、高齢者が家でもできることの紹介やICTを活用したオンライン体操広場なども取り入れながら、介護予防、フレイル予防の取組を推進してまいります。 次に、高齢者の健診受診率と受診勧奨についてでございます。高齢者を対象とした健診の受診率については、令和2年度は43.1%でございまして、前年度に比べて1.9ポイント減少しております。区は、これまで区報、ホームページでの掲載、区や町会・自治会掲示板へのポスター掲示などの周知を行うことによって健診受診のための普及啓発を行ってきたところであります。健診は、自己の健康状態を把握するとともに、疾病の早期発見につなげることで健康寿命の延伸に資する重要な取組であることから、今後も効果的な受診勧奨に取り組んでまいります。 次に、高齢者の身体活動の重要性についてでございます。高齢者にとって軽い運動や人とのコミュニケーションを取ることなどの活動は、身体機能の維持、健康の維持にとって大変重要です。屋外での活動や少人数で短時間の活動など、感染予防対策を徹底した上での継続が必要であると考えております。今後とも感染予防対策を踏まえた介護予防、健康維持に必要な活動の普及啓発を進めてまいります。 次に、成人歯科健診の対象年齢の拡大についてでございます。現在、成人歯科健診の対象年齢は35歳から75歳となっておりますが、高齢者の口腔の状態は個人差が著しくなることから、76歳以上についてはかかりつけ歯科医による定期的な検査を受けることが適切であると考えておりました。成人歯科健診の対象年齢のさらなる拡大については、他自治体の取組も参照しつつ検討を行います。 次に、町会・自治会の掲示板設置等助成の拡充についてでございます。現行制度は、5年間で全ての町会・自治会が2回の利用が可能なスキームとして構築しています。しかしながら、昨年度までに利用した町会は54であり、中野区町会連合会105町会の半数程度にとどまっております。より一層の周知が必要であると考えております。新型コロナウイルス感染のリスクから回覧板の利用ができなくなっておりまして、地域住民への広報手段としての掲示板の重要性が増していることは認識しております。地域活動の再開・活性化を支援するための方策について、現行制度の見直しを含め、来年度に向けて検討を進めてまいります。 次に、町会・自治会による区のお知らせ板の使用です。区のお知らせ板は、区や国・都の行政情報のほか、区が共催または後援する事業などを掲示しておりますが、公益性の高い地域の情報を掲載することも掲示板設置の趣旨に沿ったものであると考えております。一方で、区のお知らせ板という性格や掲載スペースに限りがあることから、例えば町会・連合会のような区と協定を締結している公益性の高い団体の活動や行事などに限るなど、対象を明確にするとともに、掲示板の適正な管理と利便性の向上を図り、運用方法を含め、管理規程等を見直す考えでございます。 次に、私から、成人歯科健診の受診券の追加送付についてでございます。区は、これまで前年度、もしくは前々年分に受診歴がある区民や35歳から75歳までの5歳刻みの年齢に該当する区民に対して受診券を送付してまいりました。令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大による成人歯科健診の受診控えの対策として、40歳から50歳までの区民に対して受診券の追加送付を行ったところであります。歯科疾患の予防と口腔の健康には40歳から50歳への取組が重要と考えておりまして、今後の受診勧奨に努めてまいります。 最後に、避難所における歯科用器具器材についてでございます。避難所における口腔応急措置や身元確認に使用する器具器材については、石膏やステンレストレーといった検診に使用する器材を備蓄しているところであります。今後はさらに必要な歯科用器具器材等の備蓄について、関係団体等から意見を聴取し、適切に調整を図ってまいりたいと考えております。 〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕 ○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、住宅の耐震化促進についての御質問にお答えいたします。 まず初めに、耐震改修等助成の実績と要件についての御質問でございます。住宅の耐震改修等助成事業は、耐震補強、建替えと除却事業の三つの柱で構成されてございます。耐震補強工事に関しましては、当初見込みとしまして、整備地域内1件、整備地域外5件を見込んでおりまして、現時点におきまして実績はゼロでございます。耐震補強は、整備地域の内外を問わず、区内全域を対象としており、公共性の観点から防火性能の向上を要件の一つとしてございます。防火性能の向上を助成要件としている区は3区ございまして、中野区だけが要件が厳しいとは考えてございませんが、他区の状況も把握しながら制度の検証を行ってまいりたいと考えてございます。今年度、木造住宅の耐震補強助成の新設に合わせまして、建替・除却事業につきまして補助率や限度額の見直しも行ったことから、区民にとって選択肢が広がり、事業全体として利用者の増につながっていると考えてございます。 次に、助成要件の緩和についての御質問でございます。現在、事前相談の段階で相談者の意向を踏まえ適切な制度の選択ができるよう、丁寧な説明と助言を行ってございます。その結果、メリットを感じた相談者の選択によりまして事業全体としましては利用者が増えているというふうに思ってございます。今後も事業を進めていく中でさらなる検証を行いまして、令和5年度以降の事業見直しにつなげていきたいと考えてございます。引き続き区民に対しまして、様々な機会を捉え、啓発と周知を図ってまいります。 次に、新耐震基準のいわゆるグレーゾーンの問題といった御質問でございます。令和2年度末までの新耐震基準の建物は約4万8,000棟となっておりまして、そのうち昭和57年から平成12年に建てられた新耐震基準の住宅系の建物は約2万5,000棟となってございます。平成12年に建築基準法の改正が行われましたが、基本的な考え方の変更はなかったというふうに思ってございまして、新耐震基準で建てられた建物の耐震性は一定程度確保されていると考えてございます。 次に、木造住宅耐震改修助成の対象範囲の拡充についてといった質問でございます。新耐震基準で建築された建物に対する耐震性は一定程度確保されていると考えているところでございまして、現時点において国や東京都では木造住宅耐震改修助成の対象範囲の拡充についての考え方が示されていないことから、区として拡充することは難しいと考えてございます。国や東京都は、旧耐震基準の住宅系の建物の耐震化に向けて令和7年度までにおおむね改修すべく、施策を進めることとしてございます。区としましても、この方針に沿って国や東京都と連携いたしまして取組を推進していきたいと考えてございます。 〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕 ○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、生活保護についての御質問にお答えいたします。 初めに、令和2年度の生活保護申請件数などについてでございます。令和2年度の生活保護申請件数は919件でございます。保護開始の理由のうち、主なものは、世帯主の疾病、手持ち金の減少、収入減少でございます。また、世帯類型別被保護世帯数は、高齢世帯が3,655件、障害世帯が884件、傷病世帯が1,420件、母子世帯が132件、その他世帯が776件でございます。 次に、生活保護申請などの状態についてでございます。令和2年度の保護申請件数は、前年度に比べ約20%増えております。また、生活保護開始世帯889件のうち、手持ち金や収入減少を理由として保護を開始した世帯の割合は67.2%であり、前年度より約10ポイント上昇しております。また、令和2年度の東京都の完全失業率は3.1%で、例年に比べ0.8ポイント上昇している状況でございます。このことから、新型コロナウイルス感染拡大の影響により仕事を失い、収入が減少し、生活保護開始となった区民が増加していると考えております。 生活保護に対する新型コロナ感染拡大の影響でございます。区の生活保護費は、リーマンショックの翌年度である平成21年度から平成25年度にかけ毎年平均6.5%の増加となっております。これは、国も分析しておりますとおり、リーマンショックによる景気の停滞、完全失業者数の増加といった経済的要因により区の生活保護費が増加したものと考えております。 生活保護の動向予測についてでございます。令和3年度厚生労働白書によりますと、新型コロナウイルス感染拡大による経済の影響はリーマンショック時を上回るとされております。しかし、国は、緊急小口資金や総合支援資金などの生活資金福祉貸付や住宅確保給付金の規模拡大、生活困窮者自立給付金の支給など、リーマンショックを上回る様々な経済対策を実施しており、区の生活保護受給世帯は微増にとどまっている状況でございます。雇用や景気の影響より生活保護を受けることになった世帯数の増減は今後の景気動向や経済対策に影響を受けることから、国の対策等を注視してまいります。 最後に、区における生活保護の在り方についてでございます。生活保護は、生活保障制度の根幹であり、区民にとって生活保障を支える基盤であるべきと考えております。また、生活保護は区民の権利でもあり、区としてはいつでも生活が困窮した区民の相談に応じ、区民が窮迫した状況にあるときには速やかに保護を開始し、その自立を助長していくことが重要であると考えております。区は、保護の実施機関として生活保護制度を適正に運営していくためにケースワーカー体制の強化にも今後取り組んでまいります。 〇議長(内川和久) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。 次の会議は、9月13日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。 本日はこれをもって延会いたします。 午後6時09分延会
会議録署名員 議 長 内川 和久 議 員 甲田 ゆり子 議 員 中村 延子 |