令和3年09月13日中野区議会本会議(第3回定例会)
令和3年09月13日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

.令和3年(2021年)9月13日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番     欠  員

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  内  川  和  久       22番  若  林  しげお 

 23番  高  橋  かずちか       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  いながき  じゅん子

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 40番  むとう   有  子       41番  長  沢  和  彦

 42番  来  住  和  行

.欠席議員

 27番  山  本  たかし

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  海老沢 憲 一

防災危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之   区 民 部 長  鳥 井 文 哉

 地域支えあい推進部長 角   秀 行    地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子

 都市基盤部長  奈 良 浩 二      まちづくり推進部長 豊 川 士 朗

 中野駅周辺まちづくり担当部長 松 前 友香子 企画部企画課長  堀 越 恵美子

 総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  松 丸 晃 大      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  五十嵐 一 生      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  本 多 正 篤      書     記  金 木 崇 太

 

 議事日程(令和3年(2021年)9月13日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 令和2年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

午後1時00分開議

○議長(内川和久) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 9月10日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 若 林 しげお

 1 新型コロナウイルス感染症の今後の対策について

 2 令和4年度予算編成について

 3 東京オリンピック・パラリンピック後の中野区スポーツ振興について

 4 ひきこもり支援について

 5 中野区の災害対策について

 6 その他

 

○議長(内川和久) 最初に、若林しげお議員。

〔若林しげお議員登壇〕

○22番(若林しげお) 令和3年第3回定例会において、自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。

 質問は通告どおりで、1番、新型コロナウイルス感染症の今後の対策について、2番、令和4年度予算編成について、3番、東京オリンピック・パラリンピック後の中野区スポーツ振興について、4番、ひきこもり支援について、5番、中野区の災害対策について、6番、その他はございません。

 引き続きの緊急事態宣言下での長期にわたる献身的に尊い使命と責任を果たしていただいているエッセンシャルワーカーの皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。また、新型コロナウイルスによりお亡くなりになった方の御冥福をお祈りするとともに、新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、一日も早く以前の日常生活を取り戻しますよう願い、質問に入ります。

 まず初めに、新型コロナウイルス感染症の今後の対応について伺います。

 中野区は、接種券の発送が早く、また、中野区医師会や中野区薬剤師会をはじめとした医療関係団体の協力の下、他自治体よりも早い段階でワクチン接種をスタートすることができました。様々なトラブルはあり、スタートは早かったものの、接種時には他自治体とあまり変わらなくなりました。考えられる原因についてお聞かせください。

 しかし、感染者数が下がり始めている第5波の中にはいますが、次に、いつ第6波、第7波が来てもおかしくない。まだまだ新型コロナウイルス感染症とは戦い続けなければならないと考えております。改めて災害と考え、今までのことを総括し、備えの体制を考えていかなければなりません。今回ワクチン接種のネット予約でトラブルがありましたが、その原因と検証をお聞かせください。

 また、空の注射接種というトラブルがありましたが、8名に絞り対処したと聞いております。接種者が待機している現場で対応ができなかったのでしょうか。

 また、今回のことを踏まえて、今後は接種を一時中断して、その場でできる限りの対処をすべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 今までの経緯を考え、中野区は、新型コロナウイルス感染症をただ感染症としての対応でしかなかったように思います。この規模は災害として考えなければならないと考えます。9月4日時点で2回目の接種を終えた者を比べてみると、墨田区は、50歳代で70.7%、40歳代で64.1%でした。40歳代の2回目接種に限って見ていくと、世田谷区は29.6%、品川区は32.9%、そして、中野区においては44.2%と、接種率が伸び悩んでいる中、墨田区の進捗状況が際立っています。陽性者数を示すグラフからは、陽性者数の下降している兆しが見て取れます。墨田区は、昨年の1月末の段階から、新型コロナウイルスを新たな災害、それも警戒レベル5の最大級の災害として捉えておりました。ゆえに行政、地元医師会、住民、議会などで危機モードが共有できたとのことです。

 ワクチン接種においては、高齢者枠を使ってでも、まず医療従事者、それから危機モード、そして災害時の頭で、一人でも多くの人がワクチンを接種する。地元住民にも危機モードが浸透しており、ファイザー社製ワクチンは子どもたちに回そうという草の根運動もあり、大人は自衛隊に行ってモデルナ社ワクチンを打つという災害時の地域の助け合いも生まれたそうです。また、あらかじめモデルナ社ワクチンの接種を見越して計画を立てておき、モデルナ社ワクチンの使用が認められたと同時にすぐに手を挙げ、モデルナ社ワクチンを確保したそうです。ワクチン接種のみならず、医療提供体制についても、地域完結型の医療体制の構築と抗体カクテル療法の導入も進んでいます。これは危機モードであること、最大級の災害であることを認識し、また全庁的に区全体が動いた成果であると思います。

 中野区は保健所任せ、健康福祉部任せ、応援要員を出せばいいと考えているのではないかと思えてなりません。保健所の抱える課題を切り出し、全庁的に各部各課ができることを実施していくのが災害時の危機管理だと思います。区の見解をお聞かせください。

 先ほど話した抗体カクテル療法は、治療薬を投与して、新型コロナウイルスワクチン感染症の重症化リスクを低減する治療法です。軽症の患者さんに対して、重症化を防ぐことを目的とした治療になります。抗体カクテル治療法については、中野区はどのような考えをお持ちですか。区の見解をお聞かせください。

 重症化した患者さんが回復された後、移転先の病院確保も困難と聞いております。墨田区のように、地域完結型医療体制についてどのように考えているかお聞かせください。

 危機モードであり、最大級の災害であることを改めて認識し、想定外をなくしていく事前のしっかりとした計画が必要であると考えます。今までの対応を全て総括し、今後の対応を考えていかなければなりません。そこで、3回目のワクチン接種がほのめかされている中、3回目接種の対応も考えておかなければなりません。区の見解をお聞かせください。

 今後の地域活動やイベントの再開に向け、十分な検査体制の構築やルールづくり、ワクチンパスポートの活用など、しっかりと検討していくべきと考えますが、お聞かせください。

 災害として認識すれば、病床不足、自宅療養者の重症化不安などを考え、第6波、第7波が来た際に、災害時の際に仮設住宅設置のような臨時の療養型仮設施設設置なども考えていかなくてはならないと思います。区の見解をお聞かせください。

 この新型コロナウイルス感染症は大規模災害であることを認識し、収束へのロードマップを作成し、事前に備えて全庁的に対策を進めていくことを強く要望し、この項の質問を終わります。

 次に、令和4年度予算編成について伺います。

 8月26日の総務委員会において、令和3年度都区財政調整の当初算定が示されました。令和2年度の当初算定のものよりも減にはなったものの、大幅減でなく済むということです。特別区民税収も令和3年度の当初予算は17億円減としていたものの、当初課税からするとそこまで減ではないとの見通しです。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大はいまだに収束の兆しが見えず、景気の動向も不透明です。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により経済活動も制限を余儀なくされ、令和3年度よりも令和4年度のほうが、新型コロナウイルス感染症の影響が顕著に現れてくると考えます。

 昨年度、区は大幅な歳入減を見越して構造改革に着手し、行政の構造的な改革を3年間集中的に取り組むため、構造改革実行プログラムを作成し対応を図るとのことです。令和4年度の予算編成は、一般財政規模の基準額を忠実に守り、構造改革による財政負担の減を進め、無駄、無理、むらをなくした予算編成を望んでいます。これから手がけていく令和4年度予算編成において、構造改革実行プログラムを取り入れた予算になると考えますが、構造改革実行プログラムの成果が見え、検証ができる資料も示していただきたいと考えます。区の見解をお聞かせください。

 また、令和4年度予算編成に当たっては、経常経費の20%削減を目標とされましたが、来年度以降の財政の見通しはどのようにお考えですか。

 また、令和4年度予算編成については、削減目標をどのように考えているのかお聞かせください。

 さらに、新規事業に対する考え方をお聞かせください。

 とはいえ、区民サービスの低下はできる限り抑えていかなければなりません。コロナ禍で予算編成においてどのように予算編成を考えているのかお聞かせください。

 令和4年度は区長選挙が含まれます。4年前及び8年前の予算編成において、他の会派から、骨格予算を編成するべきではないかとの意見があり、議案に反対までされたこともありました。令和4年度の予算編成においてどのように考えているのかお聞かせください。

 以上でこの項の質問を終わります。

 次に、東京オリンピック・パラリンピック後の中野区のスポーツ振興について伺います。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックは延期から始まり、様々な意見がありながらも、最終的に無観客で開催となりました。マスコミを中心とし、まるで多くの方々が反対しているかのような報道をしていたものが、オリンピック・パラリンピックが開催されると、手のひらを返したように選手をたたえ感動を報道することに違和感を覚えてしまう大会でした。少なからずとも私はこのコロナ禍での開催のオリンピック・パラリンピックで、日頃から努力を重ねてきた選手たちの大活躍に感動し勇気を与えられました。

 東京オリンピック・パラリンピックは、アフターコロナ、ウィズコロナでの地域イベント、地域行事の象徴になったと思います。この東京オリンピック・パラリンピックにおいて、中野区の新体育館、キリンレモンスポーツセンターは卓球練習会場となりました。残念ながら、各国の練習を区民が見学することはできませんでしたが、練習会場になり代表選手が練習したことは事実です。オリンピック・パラリンピックの卓球の練習会場としての成果をお聞かせください。

 また、中野区における東京オリンピック・パラリンピックのレガシーをお聞かせください。

 2020年オリンピック・パラリンピックにおいて注目を浴びたスポーツの一つが、アーバンスポーツ、都市型スポーツです。公式な競技として採用されたBMX、スケートボード、スポーツクライミングになります。アーバンスポーツには、そのほかパルクール、インラインスケートなど、世界中から熱い視線を注がれております。そこで、今後の中野区のスポーツ振興について伺います。

 都市型スポーツとしているだけで、どこでも誰でもできるとしているのがアーバンスポーツではありますが、現実的に騒音や事故などを考えれば、一般の路上で練習するわけにはいきません。中野区では、スケートボードにおいて、毎月1回、第3日曜日に区役所前で会場をつくり、登録制ではありますが、区民に開放しています。また、次期のパリオリンピックの正式種目にブレークダンスが取り入れられました。今中野ZEROホールなどの脇のガラスに映しながらダンスの練習をしている姿を見かけます。都市型スポーツの名のとおり、予約することなく自由にアーバンスポーツを練習できる会場整備を考えてみてはいかがでしょうか。

 例えば新中野体育館の地下にある空間、下水道施設整備の予定地です。将来的に下水道施設を整備する予定と聞いておりますが、いまだめどが立っていないとのことです。現在はスロープもなく、はしごで降りる状況であること、天井が低いこと、床にところどころ穴が空いている、電気や空調設備がないこと、避難路が確保できていないことなど様々な課題はありますが、東京都と交渉し、下水道施設整備の準備行為を前倒しにしてもらい、スケートボードやダンス、MBXなどの練習場として区民に開放するなど検討はできないでしょうか、区の見解をお聞かせください。

 ほかにも中野区内で騒音や事故を回避できる場所があれば調整していくべきと考えます。区の見解をお聞かせください。

 以上でこの項の質問を終わります。

 次に、ひきこもり支援対策について伺います。今までも同僚議員が質問されてきましたが、我々自由民主党の立場として改めて質問をさせていただきます。

 いわゆるひきこもりに関しては、内閣府の調査によれば、15歳から39歳までのひきこもり状態にある方が54.1万人、40歳以上から64歳までの方が61.3万人、さらに、いわゆる8050世代の存在が広く認知されるなど、社会的な関心が急速に高まっております。この新型コロナウイルス感染症の影響で不要不急の外出を避けるなど、自粛生活が長引くことによりひきこもりになりやすい状況で、問題がさらに悪化しているとも言えます。

 従来、ひきこもりは主に若年層の問題として考えられ、その支援も就職や就学をゴールとしてきたものが中心でした。しかし、近年、中高年層のひきこもりの推計値が調査、公表され、これまでの問題の捉え方や支援の在り方が問い直されています。ひきこもり状態に陥るのは自己責任でなく、社会全体で取り組むべき課題として捉えて施策を進めるべきであり、ひいては全ての国民が存在そのものを肯定され、幸福感や生きがい、安心感を持って人生を過ごすことができる社会の構築に向けて取り組むべきと考えます。

 そこでお伺いします。厚生労働省からひきこもり支援の相談窓口の明確化と周知について取り組むように要請がされていると思います。中野区は、すこやか福祉センター、地域包括支援センターなど多くの窓口で対応しているとのことですが、区民はどこに相談に行けばいいのか分からないと考えております。ひきこもり支援相談窓口を明確に専門窓口として設置すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 さらに、この複雑な課題が重なっているケースの多くなっているものに対して、的確なアドバイスや支援ができる人材の確保が必要であると考えます。ひきこもり相談支援のための専門員の人材確保が急務と考えます。区の見解をお聞かせください。

 また、就職氷河期世代支援の取組として、厚生労働省から令和3年度中のプラットフォームの設置が要請されていると思いますが、中野区はどのようになっていますか、お聞かせください。

 ひきこもり支援について、アウトリーチ等により積極的に対象者の把握や支援を行うため、体制の整備や支援事業に係る国庫補助がありますが、中野区の活用状況はどのようになっていますか、お聞かせください。

 また、包括的な支援体制の整備に向け、令和2年度の社会福祉法改正において、新たに重層的支援体制整備事業が創設され、令和3年4月から施行されています。中野区においては令和4年度から実施すると聞いていますが、取組の状況をお聞かせください。

 8050問題の顕在化や、貧困、病気などが絡み合い、内容も複雑化していて、解決は容易でないものが現状です。住民に身近な存在の基礎自治体である中野区が支援の中心的な役割を担うべきと考えます。さらにしっかりと取り組んでいただくことを願い、この項の質問を終わります。

 中野区の災害対策について伺います。

 中野区としての災害は、台風被害、震災、火災が考えられます。災害はいつ発生するか分からないので、備えを常に、が基本だと思います。そこで、発生する被害を想定すると、家屋の崩落と火災が課題になると思います。木造住宅の不燃化、耐震住宅の促進、狭隘道路の拡幅が中野区の課題であると思います。しっかりとしたまちづくりが災害への事前の対策につながります。そこで幾つか伺います。

 まず、中野区における木造住宅密集地域の不燃化促進の進捗状況をお聞かせください。これまでの経緯とこれからの取組について伺います。

 次に、耐震住宅の推進について伺います。昭和56年以前の木造建築物は旧耐震基準であることから、東京都の木造耐震診断の補助制度が適用されており、東京都は令和7年までに終わらせる計画で進められております。中野区においては対象住宅がまだ2万戸もあり、順次進めているとのことです。旧耐震基準は1978年の宮城県沖の地震を受けて、1981年6月に新耐震基準へと改正されました。しかし、その後1995年の阪神・淡路大震災を受けて、2000年6月1日に2000年基準、新新耐震基準が改定されました。

 平成28年4月14日、熊本を中心に、一部で震度7となる激しい揺れが観測されました。これにより新耐震基準で建設された住宅が大きな被害を受けた事例が多く出ていること、まれですが、2000年基準で建築された住宅にも大きな被害があったとのことです。国は、この状況を把握し、新たな改定の有無を検討しているようです。とはいえ、中野区として弱点の一つである崩落しない家屋の推進のため、木造耐震診断を進め、建替えや補修を促していくべきと考えます。旧耐震基準の木造耐震診断補助制度のみならず、区独自で新耐震基準、2000年基準に対しても補助制度を拡充し、耐震化を促進するべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 家屋の建替えを進める際に同時に進められるのは、狭隘道路の拡幅整備の推進になります。整備においては、地域住民の協力が欠かせません。セットバックは法律でありますが、中野区として狭隘道路の拡幅事業を進めていく上で、年間の実績と、どのように整備を進めていくのかお聞かせください。

 建替えでのセットバックにおいて、建築申請をする際の現状の道路の中心線の出し方とまちづくりの道路の中心線がずれているという課題があります。これについて区はどのように考えているのかお聞かせください。

 今年度で3級基準点再整備測量は整うと聞いております。今後のまちづくりに活用できる3級基準点を維持管理していくことはもちろんのこと、さらにまちづくりの精度を上げるためにも、整備が行われている地区の4級基準点の増設や、もしくは3級基準点同士の間の補助基準点の整備を進めていくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 また、地域の安全面、防犯面、そして、災害時の防災で気がかりなのは、管理不全状態の空き家です。空き家は個人の私的財産であり、第三者が勝手に管理したり処分する権限はなく、所有者が適切な管理を行うべきですが、単身高齢者が亡くなったり、急遽施設等に入所されたり、相続人の確定がされないまま所有不明だったりと、何らかの事情で管理が行き届かなくなった場合などは、空き家が周辺地域に何らかの影響を及ぼす状態になります。中野区のような都市部の空き家はそういった管理不全状態とならぬよう、地域住民の安全面、防犯面を考慮し、所有者が早急に除却等の対応へと誘導することが必要であると考えます。

 そこで、令和3年度より、まちづくり推進土地建物協議会と中野区空き家等対策の推進に関する協定を締結し、空き家に関して様々な課題を抱える方に対して相談体制をつくったとのことですが、ここで期待される効果についてお聞かせください。

 また、今後の空き家対策として、管理不全とならぬような対策と同様に、周辺地域に影響を及ぼす可能性のある空き家があった場合、安全な地域社会の実現、災害に強いまちづくりの実現のためにも早期に対応すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 以前より全国的に、空き家も含め所有者不明の土地があることで、公共事業や都市開発だけでなく、災害時の復旧・復興事業などが進まない問題が発生しております。そういった様々な社会問題を解決させるため、相続登記の義務化が3年後の令和6年4月までに施行されます。この法改正は、相続人が取得した土地に関して、正当な理由もなく3年以内に移転登記をしないと、10万円以下の科料が発生するといったものです。こうした法改正などについて、官民で情報を共有しながら課題解決に向け取り組むことが重要だと考えます。

 この項の質問の最初に申し上げましたとおり、区を取り巻く災害には、近年地球温暖化での大型化する台風やゲリラ豪雨、首都直下型地震など大災害、大規模火災などがあり、最近では新型コロナウイルスなどの感染症の流行なども災害対策、危機管理対策の対象になると考えます。今回は防災まちづくりに限定して質問をしてきましたが、災害対策はこれに限りません。取り巻く災害全般に対して、区がどういう姿勢で取り組んでいくのかが重要です。

 災害はいつ起こるか分かりません。あらかじめ想定して準備しておくことも必要ですが、想定外のこともしばしば起こります。その際、区、区民、地域が一体となって、どのように危機に対応していくのかが問われます。国や東京都の動きを待ってから動くのではなく、ハードやソフトの資源を総動員して、組織横断的に対応すべき重要な課題だと考えます。その際、区として、災害対策への姿勢が重要となりますが、区の見解をお伺いし、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 若林議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、新型コロナウイルス感染症の今後の対策についてで、ワクチン接種の進捗についてでございます。

 16歳以上64歳以下の方の接種券を早期に発送したことによって、自衛隊の東京大規模接種センターでも多くの区民が接種を受けることができました。しかし、その後、国からのワクチン供給が減少してしまったため、個別接種の医療機関について、7月19日から8月15日までの1回目接種の新規予約を停止するとともに、8月16日以降の集団接種の新規予約を5割削減せざるを得なかったことは、接種の進捗を遅らせることにつながったと考えております。

 次に、4月当初の予約システムトラブルについてでございます。4月21日に起こったシステムの不具合は、区が提供したマスターデータに不備があったこと、そして、区からの電話による指示が委託事業者内で十分伝達できなかったことが原因であります。区と事業者双方のデータチェック方法を見直すとともに、区と事業者間でメーリングリストを作成し、情報を共有する体制を整えました。その後の予約システムの運用については、マスターデータの登録、確認、事業者との連携を図り、順調に予約受付ができております。

 続きまして、空の注射接種の対象についてでございます。これについては、事故発生時は多くの待機者の中から該当者を特定することができませんでした。今後は事故が判明した時点で接種を一旦停止して聞き取りをすることなど、迅速に対処ができるように改善してまいります。

 次に、感染者急増時の対応についてです。感染者が急増した際には、保健所の実情に応じた機動的な応援職員の配置など、全庁的な対応をしてまいりました。また、これまでのワクチンの集団接種における受付事務においては、全庁的応援体制を組むとともに、会場管理は区民活動センターを所管する地域支えあい推進部が中心となって担うなど、保健所の負担軽減も図ってまいりました。今後も職員体制をはじめ全庁を挙げて、迅速かつ適切に新型コロナウイルス感染症に対応してまいります。

 次に、抗体カクテル療法についてでございます。抗体カクテル療法につきましては、発症早期に投与することで重症化を予防する効果があるとされております。現在、都が対応可能な医療機関のリストを準備しておりまして、診断した医療機関や東京都発熱相談センターへの相談を通じ、入院調整等の対応を行っております。区としては、都や医療機関と情報共有をし、治療の対象となる方が有効活用することで、重症化を防げるよう適切に対応してまいります。

 次に、仮設療養施設等の確保についてでございます。新型コロナウイルス感染拡大に備え、病床や宿泊所等を確保することは、区民の生命、健康を守る上で重要なことであると認識をしております。先般、厚生労働大臣と都知事は、医療機関等に対し、さらなる病床の確保や医療機関における人的体制の強化等について協力要請を発出しましたが、区は今後の医療体制の整備について都に要望を伝えてまいります。

 加えて区においても、他自治体の取組について情報収集を行い、医療機関と意見交換を行うなど、区内における仮設療養施設等の確保について検討してまいります。

 次に、ワクチンの3回目の接種についてでございます。現時点では、国から3回目接種に関する通知は届いておりません。国や都、他自治体の動向など、情報収集に努めているところでございます。今後とも、中野区医師会や中野区薬剤師会など関係機関との情報共有と協議を行い、他の区市町村での事例等も踏まえて、より接種を受けやすくなるような体制を構築してまいります。

 次に、地域活動等の再開への対応でございます。現在、国において、社会活動、経済活動の再開に向けて、地域活動やイベントも含め、様々な検討がなされていると承知しております。御案内の検査体制やルールづくり、ワクチンパスポートの活用などについては、今後示される国や都の方針等を踏まえながら、適切に対応してまいります。

 続きまして、令和4年度予算編成についてで、構造改革実行プログラムを取り入れた予算についてでございます。

 次年度の予算編成におきましては、構造改革の観点から費用対効果を見極め、個別プログラムに係る新規事業の検討とともに、既存事業の見直しを一体的に進めていきます。令和4年度予算の中で構造改革関連の予算を明示してまいります。

 次に、次年度以降の財政状況と令和4年度の経常経費の削減目標についてでございます。令和2年度の決算状況や現時点での令和3年度の歳入見込みからしますと、今後の財政状況は想定より上ぶれする状況も見込まれるところであります。また、令和4年度予算編成におきましては、経常経費の5%削減を目標としているところでございます。

 次に、新規事業に対する考え方でございます。令和4年度予算は、新型コロナウイルス感染症対策と様々な活動の支援策、基本計画で掲げる重点プロジェクト、区有施設整備計画に基づく施設整備、構造改革実行プログラムに基づく取組及び新庁舎移転を見据えた業務改善等、この5項目を重点事項として、限られた財源を優先的に配分する考えでございます。その他の新規拡充経費につきましては、関連する既存事業のビルド・アンド・スクラップを行って財源を確保する考えでありまして、めり張りのある予算編成を進めてまいります。

 新型コロナウイルス感染症の現況下での予算編成についてでございます。新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せない中、区財政の今後も不透明な状況であることから、引き続き緊張感を持って令和4年度予算編成に臨む必要があると考えております。効果の上がっていない事業の見直しを進め、必要な財源を確保した上で、対応すべき課題を整理し、必要な事業に選択と集中を図り、区民サービスに影響を生じさせないよう予算編成を進めてまいります。

 続きまして、令和4年度予算における骨格予算の考え方についての御質問です。区民生活にとって欠かすことのできない事業を滞りなく継続性を持って着実に予算に反映させることが区民にとって最も重要なことであると考えております。令和4年度予算につきましては、新たな基本計画を踏まえながら、中長期的な視点を持って編成を行い、必要な区民サービスを提供していきたいと考えておりまして、骨格予算は考えておりません。

 次に、東京オリンピック・パラリンピック後の中野区スポーツ振興についてで、初めに、卓球の公式練習会場としての成果でございます。

 大会期間中、キリンレモンスポーツセンターは卓球の公式練習会場として、いずれも日本を除いて、オリンピックでは57か国、延べ1,300人、パラリンピックでは46か国、延べ約1,000人の選手や関係者に利用されたと聞いております。

 次に、大会後のレガシーについてでございます。中野区基本計画(案)では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会後のレガシーとして、区民の健康づくりやスポーツ活動の推進、障害者スポーツの普及等を掲げております。今年度の取組としては、東北復興大祭典なかのの期間中、区役所においてボッチャの体験会を行うほか、年明けには障害者スポーツの普及啓発を目的としたイベントをキリンレモンスポーツセンターで開催する予定でございます。

 次に、未利用地等のスポーツ施設への活用についての御質問です。一つ目に、キリンレモンスポーツセンターの地下には、将来東京都が下水道施設を整備するための空間がありますが、そこへ入るための安全な動線や避難経路、電気設備等がないことから、活用することは困難と考えております。

 次に、スポーツに対する区民の多様なニーズに対応するためにも、区内の未利用地について、関連部署と連携し、活用等は検討してまいりたいと考えております。

 私から、最後に、5番目の中野区の災害対策についての災害対策に対する区の姿勢についての御質問について、最後にお答えします。

 区では、中野区国土強靱化地域計画を令和2年10月に策定し、中野区地域防災計画を令和3年6月に修正したところであります。区民の生命、財産を守る災害対策につきましては区の最も重要な施策であり、区はこれらの計画に基づいてあらゆる資源を動員し、区民や地域、防災関係機関等と連携しながら、迅速かつ的確な対応をしてまいりたいと考えております。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、ひきこもり支援についての御質問にお答えいたします。

 まず、専門相談窓口の設置についてです。ひきこもり支援専門の相談窓口の設置は、当事者にとって認識されやすいという点ではメリットがございます。しかし、その一方で、当事者の抱える課題の原因や経過、当事者を取り巻く状況などは様々でありますので、その窓口では対応できないケースが多く存在することも考えられます。区では、現在4か所のすこやか福祉センター、中野区保健所をはじめとして、生活援護課の生活困窮者自立支援、地域包括支援センターなど複数の窓口で相談を受けており、それぞれが専門性を生かしつつ連携し、社会福祉協議会などとも協力しながら、当事者にとって最適な支援を包括的に行うことを目指しております。令和4年度は、これらの相談窓口の情報を中野区ひきこもり支援相談窓口一覧として集約し、区ホームページや区報のほか、SNSやリーフレット等でも積極的に周知を図ってまいります。

 次に、ひきこもり支援専門員の人材確保についてです。ひきこもり相談支援のためには、当事者が抱えるそれぞれの課題に関する高度な専門的知識とスキルを有することに加え、当事者の方々の気持ちを理解し、寄り添い型の支援ができることが重要だと考えています。このような観点から、職員の育成について取り組むとともに、専門員等の配置につきましては、他自体の事例も参考にしながら、今後研究してまいります。

 次に、プラットフォームの設置についてです。これまでも区市町村プラットフォームの設置につきましては厚生労働省から要請を受けておりまして、現在令和4年4月に設置できるように準備を進めているところでございます。

 次に、国庫補助金の活用状況でございます。現時点でひきこもり支援体制整備や支援事業に係る国庫補助は受けてございませんが、令和4年度の取組の検討の中で、国庫補助活用を踏まえた事業スキームについて検討してまいりたいと思います。

 私のお答えの最後に、重層的支援、体制整備事業の取組の状況についてでございます。令和3年度は、来年度からの本格実施に向け、移行準備事業に取り組んでおります。具体的には8月に職員向け事業説明会を開催したほか、今後は庁内連携体制の在り方や、国の交付金と各事業との対応関係を検討するための調査の実施等を行う予定でございます。また、多くの支援者が協働する体制づくりとして、区民活動センター圏域を対象とした地域ケア個別会議を設置し、それを重層的支援会議として位置付けるなど、体制整備も進めているところでございます。このほか、実践力を養うための職員研修も予定しております。

〔まちづくり推進部長豊川士朗登壇〕

○まちづくり推進部長(豊川士朗) 私からは、中野区の災害対策についての御質問のうち、木造住宅密集地域の不燃化促進の経緯とこれからの取組についてお答えをいたします。

 木造住宅密集地域の不燃化促進につきましては、不燃化特区制度や都市防災不燃化促進事業によるまちづくりのほか、住宅の耐震化促進事業により老朽木造建築物建替えが着実に進んでおります。その結果、本年3月に一部修正されました東京都防災都市づくり推進計画の基本方針におきましては、区内の木造住宅密集地域が平成28年時点で41町丁目であったものが26町丁目にまで減少してございます。今後につきましては、地域危険度の高い地域につきまして、新たな防火規制の区域を拡大いたしまして、さらに木造住宅密集地域の不燃化促進を図ってまいります。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、中野区の災害対策についての御質問のうち、まず初めに、木造耐震診断補助範囲の拡充についての御質問にお答えいたします。

 現在取り組んでいる木造耐震診断補助制度は、国と東京都の補助金を活用して実施してございます。国や東京都から新耐震基準の建物に対する取組が示されていないことから、区独自の基準の作成や対象範囲の拡充は現時点では難しいと考えてございます。今後、国や東京都から新耐震診断の考え方が示された段階で検討していきたいと考えてございます。

 次に、拡幅整備事業の実績と今後の取組についての御質問でございます。狭隘道路の拡幅整備事業の年間実績は500件程度でございます。狭隘道路の拡幅整備事業の実施に当たっては、建替えの際、建築主と事前協議を行い、セットバック部分につきまして、建築工事の完了前に区で整備工事が実施できるよう手続を行っているところでございます。今後も同様な手続を進めてまいります。

 次に、道路中心線の誤差の問題についての御質問でございます。昭和59年以降、狭隘道路の拡幅整備事業を進めてございますが、それ以前は建替えの案件ごとの対応となっていたことから、中心線に誤差が生じる事例があったことは認識してございます。狭隘道路の拡幅整備事業開始後は、相談者からの情報と区が保管する資料を突き合わせながら協議を行いまして、確認、誤差のないよう努めているところでございます。現在GIS導入の検討を進めてございまして、導入に当たっては地図データ等を活用し、狭隘道路、区道や地区計画道路などの道路データとの整合性を図ることができるよう取り組んでまいります。

 次に、公共基準点についての御質問でございます。本年度で3級公共基準点の再整備が完了します。公共基準点の管理計画を策定し、公共基準点を適切に保全していくことが重要だと考えてございます。区が設置管理する公表基準点は、おおむね200メートル間隔での設置となる3級基準点で、一般的な測量作業には十分対応できると考えておりますが、地籍調査やまちづくり事業の進展に伴う測量におきましては、事業を円滑に進めるために必要な4級相当の基準点を整備してまいります。

 次に、空き家対策における民間団体との協定によって期待される効果についての御質問でございます。まちづくり推進土地建物協議会は、長年空き家等を含む住宅や建築に関する無料相談会を区役所1階ロビーにて実施し、相談実績のある士業団体でございます。令和3年6月に締結したまちづくり推進土地建物協議会との協定は、協議会内における司法書士や建築士等の専門家の連携によりまして、相談者への対応を迅速かつ的確に行うことで、空き家となっている住宅を不動産市場等に誘導するものでございます。こうした相談窓口を多くの方が活用されることで、区内における管理不全空き家の発生予防につながるものと考えてございます。

 最後に、区としての全体を見据えた取組といった御質問でございます。管理不全で、かつ周辺地域に影響を及ぼす可能性がある空き家につきましては、まちづくり推進土地建物協議会の専門的な知見を生かした現地調査を基に、所有者へアプローチし、迅速に解決できるよう連携して取り組んでまいります。また、空き家の状態に応じた多様な課題を解決するため、庁内関係部署とも連携をした対応を進めてまいります。今後も行政と民間が連携し、それぞれの役割をしっかり果たしていくことで、管理不全空き家の発生予防に努めてまいりたいと考えてございます。

○議長(内川和久) 以上で若林しげお議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 久 保 り か

 1 中野区区有施設整備計画(案)について

 2 構造改革実行プログラムについて

 3 女性活躍推進について

 4 多文化共生の推進について

 5 GIGAスクール構想と不登校対策について

 6 介護人材の育成について

 7 その他

 

○議長(内川和久) 次に、久保りか議員。

〔久保りか議員登壇〕

○37番(久保りか) 令和3年第3回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問は、通告どおり、その他で1点、新型コロナウイルスワクチンの接種についてお伺いをいたします。

 初めに、中野区区有施設整備計画(案)について伺います。

 本計画は、基本計画における施策展開に当たり、区有施設整備を財産経営の観点から取りまとめた総合的な行政計画です。しかし、本計画で示された区有施設の配置や再整備が先行し、他の計画にも影響を及ぼし、何のため、誰のための施設なのかという目的や、住民サービスや福祉の向上という視点が後回しになっているように感じています。その傾向が顕著であるのが社会福祉会館、区役所新庁舎における生活援護機能の再編であると考えます。

 計画案についてはパブリックコメントも多く寄せられているとお聞きをしています。私のもとにも、計画案に示された生活援護機能の再編について改善を求める声などが寄せられています。厚生委員会、総務委員会でも、この間様々質疑をさせていただきましたが、計画案で示された生活援護課をめぐる環境について、納得のいく説明や答弁を得られていません。詳細については、決算総括質疑で、我が会派の平山幹事長より質疑をさせていただく予定ですが、私からも確認のために質問をさせていただきます。

 生活援護課が社会福祉会館、新庁舎の2か所に分かれ業務を行わなければならないことにより、社会福祉会館の大規模な施設改修、警備の配置、人員増員、業務上の職員の負担などの課題があると聞いています。7月30日の厚生委員会では、社会福祉協議会が新庁舎に移転した後に、社会福祉会館で生活援護課移転のための改修工事が行われるおおむね3か月間、現区役所庁舎に生活援護の移転する予定の各係だけが引き続き残って業務を行うことが判明し、大変驚きました。再編によりさらなる負担を生活援護課の職員に強いることになり、ひいては区民サービスの低下につながることが懸念されます。

 生活援護機能の再編については、区全体の調整の中で決まったとのことですが、区長はこれが最善の体制であると考えられているのでしょうか。生活援護課を再編することにより生じる財政負担、職員の物理的、精神的負担や、金銭管理に係るリスクなどについて、区長としての責任をどう考えているのか、御見解を伺います。

 次に、合同庁舎整備について伺います。計画案では、教育センターについては、区事務所室として活用後、将来的には跡地に保健所を主体として合同庁舎を整備すると示されています。しかし、現状では、予定されているのは保健所の移転の計画のみであり、何をもって合同庁舎とされるのでしょうか。

 また、教育センターと隣接する野方保育園については、隣接地と併せ検討、旧中野福祉作業所は利活用検討と示されています。敷地を有効的に利活用するのであれば、野方保育園、旧福祉作業所用地と教育センターと隣接する公園も含め一体的に再整備すべきではないでしょうか。合同庁舎については、施設の目的を明確にした上で、整備の在り方も検討されるべきではないかと考えます。お考えを伺います。

 次に、複合交流拠点について伺います。産業振興センター跡施設については、目的を明らかにし、公益的な事業を中心とした複合交流拠点を開設すべきと考えます。新商工会館へ経済団体が移転することで空きスペースができ、施設の移転を検討していたシルバー人材センターが転入、区役所新庁舎に社会福祉協議会の移転に伴いボランティアセンターが転入、中・高生の交流活動支援の場にもちょうどよい、これらの機能を寄せ集めたところ、複合交流拠点になったように見えます。複合交流拠点のコンセプトはどうなっているのでしょうか。シルバー人材センターやボランティアセンターは既存の機能でありますが、中・高生の交流活動支援の場は、これまでの中野区にはない新しい機能であり期待もしています。中・高生も含めた区民の意見と合意形成が重要であると考えます。また、施設の管理運営など、事業のスキームはどう考えられているのでしょうか。複合交流拠点のコンセプト、事業スキームについて、区長のお考えを伺います。

 次に、日常生活圏域における地域バランスと、すこやか福祉センターを中心とした施設の充実について伺います。本計画の参考資料として、北東部エリアも含め日常生活圏域ごとの施設配置が示されています。日常生活圏域ごとに施設配置の状況が異なり、課題もあると感じます。当然のことながら、区有施設だけで日常生活圏域でのサービスが充足されるわけではありません。民間を含め、医療、介護などの施設の充足や連携により、日常生活圏域の地域包括ケアが進められていかなくてはなりません。アクションプラン策定においては、民間施設や活動団体をエリアごとに掌握し、反映させる必要があると考えます。アクションプランには、民間も含めた地域資源について反映されるのでしょうか、伺います。

 子どもの地域包括ケアや施設については、甲田議員が質問をさせていただきます。

 私からは、高齢者会館についてお聞きします。高齢者会館は、築年数が比較的浅い施設が多いため、計画案には鷺宮高齢者会館の移転以外具体的な計画は示されていません。日常生活圏域によっては、高齢者会館の配置に偏りがあるように見えますが、地域バランスやエリアにおける機能の充足について、区はどのように考えているのかお聞きします。

 高齢社会館自体の機能の充実を考えると、施設について大規模改修の必要はないのか、また、オンライン化など、今後の活動を視野に入れたWi-Fi機能などの機能強化も重要ではないかと考えます。高齢者会館の施設と機能の充実について御見解を伺います。

 次に、構造改革実行プログラムについて伺います。

 初めに、職員人件費の予算見直しについてお聞きします。これまで決算総括質疑において、職員人件費の流用、執行残の縮減等について提案も含め質問を行ってまいりました。令和元年度決算では、流用件数は60件、各款の関係人件費の不用額合計は約7億2,600万円余りであり、流用件数の多い理由は、予算を編成する際、職員の人件費を款や項に細分化して計上していることが主な要因で、執行残が多い理由も、款ごとに細かく予算積算をしていることから出てしまう見込み差によるとのことでした。人件費の立て方自体を改善すべきとの私の質問に対し、他区の中には、予算編成時に人件費を款や項に区分せず一括して計上している区もあるが、東京都から指導を受けている。そうしたことが法解釈上問題ないのであれば、中野区でもそうした手法により人件費の予算編成を工夫できないか検討していきたいとお答えになっています。

 今回の予算見直しについては、法解釈上問題のないものなのか。また、予算縮減、流用件数、執行残、加えて事務の効率化の上でどれだけの効果が期待できるのか伺います。

 組織体制の最適化についてお聞きします。人事権限の集約化、機動的な人員配置、専門職の人材育成及び職員配置の検討、適正な職員構成の在り方の検討が示されています。実行プログラムに示された検討課題を進めることにより、職員の働き方や職員体制、区の職員定数についてはどのような影響があり、効果が期待できるのでしょうか、伺います。

 新庁舎移転とペーパーレス化について伺います。ペーパーレス化による効率的な事務執行の観点から、押印廃止の推進や、各種業務の書類を電子化するなど、事務処理の見直しを行うと示されています。新庁舎移転に向け、現在庁内に存在する膨大な各種紙データの電子化をどのように進めていくのでしょうか。

 また、新庁舎では、文書スペースの面積をどれだけ確保しているのでしょうか。

 新庁舎における最小スペースでの保管の在り方についてどう検討されているのかお聞きをいたします。

 次に、女性活躍推進について伺います。

 国の令和3年版男女共同参画白書には、新型コロナウイルス感染症の拡大は、我が国においては男女共同参画の遅れが露呈することになったと記されています。令和2年4月7日に1回目の緊急事態宣言が発出され、ステイホーム、在宅ワーク、学校休校等の影響は、サービス業、とりわけ飲食・宿泊業等を直撃し、非正規雇用労働者を中心に雇用情勢が急速に悪化しました。就業者数の推移は男女ともに大幅に減少していますが、女性は70万人の減少、男性は39万人の減少と、女性の減少幅が大きく、女性は非正規雇用労働者の割合が高く、特に宿泊・飲食業、生活・娯楽業が高い傾向です。

 一方、コロナ禍においても就業者数が増加している産業があり、有効求人倍率を見ると、第1回緊急事態宣言後も、介護サービスの職業については3倍から4倍以上で推移しており、ニーズが高く、IT関連の転職求人倍率も高く推移しています。今後、このようなニーズのある分野や成長分野などへのシフトが重要であり、そのためには職業訓練などの人材育成、人材のマッチング、勤務環境の改善などが必要であるとも示されています。

 この夏、我が党の開催する学習会で、塩尻市の取組をお聞きする機会がありました。塩尻市では、塩尻市振興公社による官民連携による自治体DXとICT人材の育成が進み、子育て、介護、障害など就労に時間的な制約のある人が好きな時間に好きなだけ安心して働ける仕組みとして、クラウドソーシング、テレワーク、コワーキングを組み合わせた官民連携による塩尻オリジナルの地域就労支援モデルが進められています。先進事例を参考に、官民連携による自治体DXと地域テレワーカー育成を視野に入れた女性向けのIT関連の人材育成、IT関連人材の転職と、区内産業とのマッチングなど、中野区オリジナルの女性活躍地域就労支援モデルを構築し取り組まれてはいかがでしょうか、御見解を伺います。

 また、IT分野におけるスタートアップ、キャリアアップの仕組みづくりを推進すべきと考えます。まずはIT女子を応援する企画など、産業振興センターで講座を開き、稼げるIT女子の育成に積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか、お聞きします。

 国が策定するひとり親自立促進パッケージでは、高等職業訓練促進給付金の給付対象を拡大し、現行の1年以上の訓練を必要とするもので国家資格などの取得の場合のみから、6か月以上の訓練を通常必要とする民間資格の取得の場合も新たに給付対象とすることに見直され、デジタル分野などの資格や講座が対象に加えられています。こういった給付金や助成金を積極的に活用すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺って、この項の質問を終わります。

 次に、多文化共生の推進について伺います。

 総務省の令和3年多文化共生の推進に係る指針・計画の自治体別の策定状況によると、23区で21区が既に策定されており、策定されていないのは中野区を含めた2区となりました。ただし、策定しているとされる21区の中には、総合計画の中で多文化共生施策を含めている区が11区あります。中野区においては、多文化共生に関する指針・計画を単独で策定し、実効性のある計画を示すべきと考えます。計画スケジュールも含め、多文化共生指針・計画に対する区の見解を求めます。

 9月4日、社会福祉協議会主催で、鷺宮西住宅コミュニティホールで開催された地域活動応援講座「外国ルーツの子どもの居場所をつくろう」では、地域で暮らす外国人当事者も参加し、外国人同士で連携を取り合い助け合っている状況も知ることができ、有意義な時間となりました。席上、自治会の役員をされている方から、災害時の外国人住民との連携についての課題も語られていました。こういった御意見は他の地域からもお聞きをしています。

 防災だけではなく、ごみ出しや騒音などの地域課題を外国人住民と共有し解決するために連携する必要性を感じているが、どう取り組むべきか悩んでいるとの声も聞かれています。例えば外国人住民が多く暮らす自治会などをモデルに、住民同士が互いの国の文化を知り合うきっかけづくりのイベントなどをコーディネートし、住民間がつながれるようにサポートする必要もあるのではないでしょうか。地域で暮らす外国人の中には、様々なスキルやネットワークを持ち、地域の担い手となることが期待できる人材も多くいます。地域における多文化共生を推進するためには、外国人当事者からの意見を取り入れる必要もあります。地域において外国人人材と連携を図れる仕組みを構築すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、中野で暮らす外国人の支援について伺います。年に1回、国際交流協会主催で外国人向けにリレー専門相談が開かれています。中野区独自の外国人相談窓口の設置や、無料専門家相談会の実施を進めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 まずは、行政書士会など専門家による外国人向けの相談会の実施を検討すべきではないかと考えます。御見解を伺います。

 また、債権管理からも見えてくる様々な課題があると思われます。債権管理の一元化と支援体制を庁内に構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 特にコロナ禍で職を失った外国人からの税金が納められない、保険料が払えないなどの相談と支援をスムーズに進める仕組みが重要であると考えます。御見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、GIGAスクール構想と不登校対策について伺います。

 このほど、デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省により取りまとめられたGIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケートの結果及び今後の方向性についてでは、7月に実施した教育関係者のアンケートの主な意見に対し、施策の方向性も示されています。主な意見には、ネットワーク回線が遅い、教職員の端末が未整備、古いなどがあり、どの自治体でも同じような課題を抱えていることがうかがえます。中野区では、GIGAスクール構想を推進する上で、学校からはどのような声が上がっているのでしょうか、伺います。

 また、現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の局面において、ICTを活用した遠隔・オンライン教育は、非常時にあっても子どもたちの学びを止めないために極めて重要です。学校から在宅の生徒に授業を配信する際のネット環境や周辺機器については、現在十分な状況ではないと考えますが、改善策についてどう検討されているのか伺います。

 令和3年予算特別委員会総括質疑では、学校に行くことのできない不登校の生徒・児童の学びの補償について質問し、新しい教育センターにおいては、Wi-FiなどのICT環境が整備をされていくため、通室できない児童・生徒に対しても、遠隔で学習課題を提示したり、学習コンテンツを活用したオンライン学習などを実施していく予定であるとの答弁があり、この点について期待をしているところです。現在、全ての生徒・児童にタブレット端末が渡され、適応指導教室にも持参する生徒がいると聞いています。新しい教育センターのみならず、教育センター分室や教育支援室でもオンライン授業を進めるためにWi-Fi機能を充実させるべきではないでしょうか、お考えを伺います。

 また、不登校児の場合、必ずしも学校や教室とつながることを求めているとは限りません。対面での授業を得意とする教職員と、ITを得意とする人材の共同により、学校や学年にとらわれない教育センターを中心とした新しい中野の教育のモデル授業を推進してはいかがでしょうか。

 ICT人材を活用した教育センターからの不登校生徒・児童向けの授業の配信に取り組むべきではないでしょうか、御所見を伺います。

 また、教育センター分室は、Wi-Fi機能の充実に加え、地下の研修室を生かし、生徒自らが動画作成やユーチューブ配信に取り組むことができる中高生の居場所として整備してはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、介護人材の育成について伺います。

 区は、これまで独自で行っていた区長の決定する中野区認定ヘルパー制度を国の入門研修に切り替えることとしました。認定ヘルパー制度は、訪問介護人材を育成することを主眼に進めてきた事業ですが、入門研修は、通所、居住、施設系の介護人材を育成することに重きを置いています。訪問介護の人材育成も視野に入れた入門研修とすべきと考えますが、区の見解を求めます。

 また、入門研修では、介護人材のステップアップも進める仕組みとなっています。これらの研修を訪問介護にも適用すべきと考えますが、お考えを伺います。

 中野区認定ヘルパー制度を導入する際には、中野区介護サービス事業所連絡会とも連携を図り進めた経緯があります。連絡会に対し、今回の入門研修導入について丁寧に説明し、さらに連携して事業を進めるべきと考えます。御見解を伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、その他で1点、区外在住保育士、幼稚園教諭等を対象としたワクチン接種についてお聞きします。

 新型コロナワクチン接種の対象とならない乳幼児と日々接触をする保育士や教員へのワクチン接種を急ぐことをこれまで会派として求めてきました。先日の厚生委員会では、中野サンプラザでの集団接種の報告がありました。区に供給されるワクチンは区民のものであり、対象は区民に限定されることは承知をしていますが、連日続く区内の子ども施設での感染を鑑みると、区内の私立園に従事する区外在住の職員、スタッフに対しても、今回の集団接種の対象とすることで、園内や家庭内の感染拡大防止につながると考えます。園に対し希望を確認し、集団接種の接種枠を設置することを検討すべきではないでしょうか。御見解を伺い、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 久保議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、中野区区有施設整備計画(案)についてで、生活援護機能の再編についてでございます。

 区では、生活保護担当のケースワーカー不足が生じておりまして、今後10年間で約20人増員していく考えを9月の定例記者会見において表明したところでございます。また、生活保護受給者は今後も増加していくと見込んでおりまして、それに応じたケースワーカーの執務スペースを確保していくため、新庁舎のみならず社会福祉会館の活用も選択したものでございます。2か所となっても円滑に相談支援が行われ、財政負担や職員負担が抑えられるよう、実務上の運用の検討を進めているところでございます。生活保護を希望する区民がためらわずに来庁でき、安心して相談支援を受けられるよう体制整備していくのが区長としての私の責務であると考えております。

 続きまして、教育センター跡地の合同庁舎についてでございます。教育センター跡地につきましては、隣接する野方保育園、旧中野福祉作業所用地を活用すると大型の施設整備が可能であることから、保健所を主体とした庁舎用途を想定し、合同庁舎としたものでございます。具体的な部署や機能は今後検討してまいります。また、隣接する早稲田通り公園は都市計画公園であるなど、一体的整備の制約はございますが、施設整備を計画する際には一まとまりの街区と捉えて、よりよい空間となるよう検討してまいります。

 次に、複合交流拠点についての御質問です。産業振興センター跡施設に整備する複合交流拠点につきましては、区民の公益活動を推進するため、地域の担い手育成や世代間交流、中・高生の活動支援などの展開を想定しておりまして、基本構想のキャッチフレーズである「つながる はじまる なかの」のシンボル的拠点としていきたいと考えております。複数の団体が同居する形になるために、それらを融合させていくハブ的役割が必要であると考えておりまして、施設管理と併せて有機的な運営方法を検討してまいります。

 次に、民間施設や活動団体のエリアごとの掌握とアクションプランへの反映についてでございます。現在、地域包括ケア総合アクションプランの策定に向けて、地域活動団体等の掌握に努めているところであります。エリアにおける公共施設や福祉施設などの施設整備に加え、民間団体等の活動の場を含めた社会資源についても、地域包括ケア総合アクションプランの中で、エリアごとの状況を示す工夫をしてまいります。

 続きまして、高齢者会館の施設と機能の充実についてでございます。高齢者会館につきましては、既存施設を継続して活用していくことを基本としまして、地域バランスなどを勘案して、区民活動センターや民間施設を活用した介護予防事業の展開などを図ってまいります。施設については、トイレの改修などを順次進めてきたところでありますが、大規模改修は現時点では考えておりません。施設利用者のためのWi-Fi環境の整備など、機能の充実については検討を進めます。

 続きまして、構造改革実行プログラムについてで、最初に人件費の項への一括計上の法解釈についての御質問です。

 地方自治法では、歳出にあっては、その目的に従ってこれを款項に区分しなければならないとしておりまして、総務省の基準に基づく目的や組織の性質などを踏まえ、款項を整理し、各項への人件費の計上を予定しているところであります。款項の区分については、最終的には自治体の裁量によるものでございまして、法の範囲内での運用であると考えております。

 続きまして、予算科目見直しの効果についてです。人件費を計上する項の数を減らしたことによって、予算計上額として人件費の余剰分がおよそ1億円程度縮減できると見込んでおります。項間流用等における事務処理、システムへの当初予算入力や毎月の執行管理など、年間で370時間程度事務負担の軽減が図れるものと考えております。また、令和元年度の人件費の流用件数は88件でございましたが、件数においても50件程度は削減できると考えております。さらに科目を統合することによって、消耗品費などの事業費についても縮減が図れるものと考えております。

 続きまして、女性活躍推進についてで、最初に、女性の活躍支援についてでございます。

 現在は、東京しごと財団との連携によって、女性の再就職支援のためのセミナー等を行っておりますが、女性の人材育成、地域での活用、就労支援については区としても取り組んでいくべきと考えております。経済団体が実施した調査においても、区内事業者でITスキルを身につけた人材が不足しているという結果が出ていることから、女性をはじめとした区内人材へのITスキル習得支援や、その後の区内産業とのマッチングなども含めて、女性が活躍しやすい環境を整備していくことについて、先進事例等も参考にしながら検討してまいります。

 続きまして、女性のスタートアップ、キャリアアップの仕組みづくりについてでございます。IT人材は将来的にも大幅な不足が見込まれているところでありまして、ITスキルの習得は就職につながる有効なスキルであると考えております。今後女性活躍に向けた産業振興センターでの講座など、女性を含めたIT人材育成に向けた事業実施に向けて検討してまいります。

 続きまして、高等職業訓練促進給付金等の活用でございます。ひとり親家庭の支援策の一つとして、平成20年度より、母子家庭等に対する高等職業訓練促進給付金事業を実施しておりまして、毎年利用されております。非正規雇用労働者等に対する緊急支援策として、令和3年度に限って給付対象が拡大されたため、区でも現在対応を進めているところでございます。

 次に、多文化共生の推進についてで、多文化共生に関する指針の策定についてでございます。

 中野区基本計画(案)では、政策1「多様性を生かし新たな価値を生み出す」を実現するため、多文化共生のまちづくりの推進を施策の一つとして掲げております。その主な取組の事業として、多文化共生推進に向けた基本指針を計画前期の期間中に策定するとしております。多文化共生の推進に向けた基本指針を策定することで、外国人住民が地域で安心して暮らすことができ、また地域においても様々な参画や交流が生み出されるまちをつくってまいりたいと考えております。

 続きまして、お互いの国の文化を知るイベントや外国人人材との連携です。これまで中野区国際交流協会を中心として、日本語教室の充実や外国人との相互交流イベントを実施することで、地域とのつながりを深めるとともに、外国人住民を支援してまいりました。また、近年では、区は明治大学国際日本学部、山脇ゼミとの連携によって、外国人住民との懇談会を年に1回行うことで、日本で暮らす上での悩みや要望も聞いてまいりました。このように外国人住民が日本人住民とともに、地域を考え参加、活躍することで生まれる多様性の力は、地域社会や経済を活性化させる重要な方策の一つであると考えております。今後も外国人住民の意見を取り入れながら、外国人住民が地域社会の一員として様々な活動に参加し、活躍できる場を創出する取組について、御提案のような内容も含めて検討してまいります。

 次に、外国人住民に対する相談体制の充実です。区では、昨年度より、税務課や保険医療課をはじめ、各窓口等において、行政手続や各種相談業務に活用できるAI多言語通訳システムを導入しております。また、今年度からはやさしい日本語の習得を目的とした職員向け研修を実施することで、各職場における在住外国人に対するきめ細かい相談体制の充実を図っているところであります。在住外国人に対する医療、福祉、出産、子育てなど、総合的な相談機能の在り方については、今後も引き続き検討してまいります。また、専門家による外国人向けの無料相談会につきましては、行政書士会等との連携によって、来年度以降実施できるかどうかを検討してまいります。

 続きまして、債権管理の一元化についてでございます。複数債権滞納者や外国人への統一的なアプローチや生活再建を視野に入れた相談体制の構築など、債権管理の一元化は有効な手段と考えております。構造改革実行プログラムにおいても、個別プログラムの一つに挙げておりまして、令和4年度に向けて、関係所管による検討を行い、債権管理対策会議において検討を進めているところであります。議会に対しても、一定の方向性が出た段階で検討状況の報告をしたいと考えております。

 続きまして、税や国民健康保険料が支払えない外国人に対する相談と支援の仕組みについてでございます。区では、新型コロナウイルス感染症の影響で職を失い、区民税や国民健康保険料が払えないなどといった相談について、適時適切な対応を行っているところであります。納税相談におきましては、相談者の状況を丁寧に聞き取り、様々な支援制度を案内する生活支援型相談を行っております。国民健康保険料につきましては、懇切丁寧な納付相談と併せて、国の制度を活用した新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料の減免を令和2年度より実施しております。

 外国人の方々からの相談を円滑に受けられるように、13か国語に対応したAI多言語通訳システムを導入し、行政手続や各種相談業務に活用しているほか、制度の周知に当たりましては、区ホームページにおいて多言語対応を行うなど、スムーズな相談と支援を進めるよう心がけております。

 最後に、その他で、区内保育所等の区外在住従事者の接種についてでございます。

 これまで区内の保育所や幼稚園に従事している区外在住の職員等については、東京都が設置している職域接種を案内しておりました。保育従事者等への新型コロナウイルスワクチン接種を推進することによって、施設を利用する乳幼児やその保護者等への感染拡大を防止する効果も見込めることから、区が新たに検討している集団接種における区外在住者も含めた区内保育所等に従事する職員の接種枠について検討していきたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、GIGAスクール構想と不登校対策についての御質問にお答えいたします。

 初めに、学校現場からの要望と環境整備についてでございます。教育委員会では、教育情報化専門員を置き、全小・中学校を訪問して、ICT機器の活用に関わる現状と課題を把握しております。学校現場からは、全校児童・生徒が同時にインターネットにつなぐことができるような回線整備や、ウェブカメラやマイクなど周辺機器の充実はもとより、学校間や教員間で差が生じないよう、アプリや機器の活用に関する学校現場での細やかな人的支援が求められております。今後、教育の情報化推進計画にのっとり、学習系ネットワークについて、区役所の庁舎内を経由しない直接のインターネット回線を整備していくとともに、短期的対策として、授業配信を目的とした既存の回線を使わないインターネット通信を検討しているところでございます。

 次に、教育センター分室等でのWi-Fi環境の充実についてです。不登校傾向のある児童・生徒には、学習支援を含め学校に代わる安心できる居場所を確保し、心のケアを行うことが必要です。1人1台端末を利用し、在籍する学校の教員やスクールカウンセラー等はもちろん、教育相談員やスクールソーシャルワーカーなど様々な人とオンラインで関わりを持つことで、居場所としての選択肢を広げることができると考えております。そのため、教育センター分室や教育支援室分室ではWi-Fi環境の整備を行い、子どもの教育支援などで活用することを検討しております。

 次に、不登校児童・生徒に向けたモデル授業の推進についてです。教育支援室は、教育センター以外に、区立図書館や区民活動センターに分室を置き、不登校の児童・生徒の特性や居住地など、それぞれの状況に応じて使う場所を選択できるようにしてきております。現在、NPO法人と連携し、学校や教育支援室にもつながることが難しい生徒に個別の支援を始めたところでございます。さらに新しい教育センターでは、Wi-Fi環境が整っていることで、在籍学級の授業動画や教材、個人で学習を進められる学習アプリなどを活用することができるようになります。今後は、新しい教育センターの研究機能の中で様々な専門家からの意見をいただきながら、不登校の児童・生徒に向けた中野区独自の学習教材の提供や授業配信などを検討してまいります。

 最後に、教育センター分室の中・高生利用についてです。新しい教育センターの開設後、現在の教育センターを教育センター分室として、教育支援室分室や教職員の研修室、社会教育、その他公共のための利用もできるように検討を進めているところでございます。今後、子どもの学習や活動の場所としての活用についても検討してまいります。

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、構造改革実行プログラムについてのうち、職員の働き方や職員体制、職員定数の変化についてお答えいたします。

 構造改革実行プログラムに掲げる取組を実施することによりまして、業務の効率化、省力化、デジタルシフト等を推進いたしまして、これまで以上に生産性の高い働き方に変わっていくものというふうに考えてございます。また、業務の効率化や業務量の削減、業務委託の推進などに伴い職員配置を見直し、適正な職員体制の構築や職員定数の管理を行っていく考えでございます。

〔新区役所整備担当部長滝瀬裕之登壇〕

○新区役所整備担当部長(滝瀬裕之) 私からは、構造改革実行プログラムについてのうち、新庁舎移転のペーパーレス化について、まず紙データの電子化についてお答え申し上げます。

 新庁舎移転を契機として、紙文書の電子化などペーパーレスを推進していくことは、区民サービスの向上や職員の業務の効率化を進めていく上で必要不可欠な取組であると認識しております。取組を効果的、計画的に進めるため、区では、令和2年12月にペーパーレス推進本部を立ち上げ、ペーパーレス推進基本方針を定めるなど、全庁的に取り組む体制を整備したところでございます。令和6年の新庁舎移転に向け、各部においてペーパーレス推進計画を策定し、対象文書の策定、電子化の実施、事務改善の取組などを全庁で共有、確認しながら推進してまいります。

 続きまして、新庁舎での文書保管スペースについてでございます。新庁舎では、各課執務室などで管理している文書について、現行から6割削減することを前提といたしました保管スペースを計画しているところでございます。今後も文書の電子化、ペーパーレスを効果的に推進していくことと併せまして、スペースの有効活用を図れるよう、さらに検討を進めてまいります。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、介護人材の育成についてお答えいたします。

 まず、入門的研修の実施と訪問介護人材の育成についてです。令和3年度より実施する国が定める入門的研修につきましては、区独自の緩和型サービスの提供者の要件である区長の指定する研修に位置付けることで、引き続き訪問系介護サービスの人材育成も行ってまいります。入門的研修の受講者は、修了証を得ることにより、初任者研修や生活援助従事者研修の課程の一部が免除されるため、訪問介護を含めて介護職員としてのステップアップが容易になります。

 次に、事業所連絡会との連携についてです。事業所連絡会に対し、早々に入門的研修事業について丁寧に説明を行い、研修と同時に開催する就職相談会への参加を依頼することなど、事業所連絡会と連携して事業を進めてまいります。

○議長(内川和久) 以上で久保りか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 い さ 哲 郎

 1 コロナ禍から区民や事業者を守る施策について

 2 生活保護行政と区民の困窮対策について

  (1)制度の活用について

  (2)新庁舎での生活援護課のあり方について

  (3)その他

 3 行政のデジタル化について

 4 中野駅周辺まちづくりとエリアマネジメントについて

 5 地球温暖化とヒートアイランドについて

 6 その他

 

○議長(内川和久) 次に、いさ哲郎議員。

〔いさ哲郎議員登壇〕

○19番(いさ哲郎) 2021年度中野区議会第3回定例会一般質問におきまして、日本共産党議員団の立場で質問いたします。

 なお、5番、地球温暖化とヒートアイランドについては、時間の関係で次回以降の質問とさせていただきます。

 最初に、コロナ禍の影響から区民や事業者を守る施策について伺います。

 この間のコロナ禍により区内事業者も大きな影響を受けていることを質問してきました。国や東京都からは支援事業が打ち出されましたが、主に飲食店を対象としたものであること、給付が遅かったり、理由が不明確なまま不支給となるケースも多く、こうした制度の不備についても都度指摘してきました。これまでも区内事業者の経営状況などの実態について調査すべきということを求めてきましたが、区は、商店街などへの聞き取りは行っているものの、個別の事業者、個人商店などへの実態調査は行わない姿勢です。コロナ禍による緊急事態宣言も長期化していることから改めてお聞きします。今からでも区内事業者の実態を調査すべきではないでしょうか。

 本年第1回定例会での総括質疑では、文化芸術施設の支援も求めてきました。アルバイトで生活を立てながら私財を投入して踏ん張っているという実態や、支援制度がない中、先が見えず希望が見出せない状況にあることなど、区内事業者から聞き取った厳しい現実について示し、文化芸術の振興策はコロナ後では遅い、今支援をしなければ、文化芸術の場だけでなく、文化芸術の幾つかの分野を失うことになると求めてきました。区は、演劇、映画、ライブ、DJなど、主に民間が担う分野においても区の支援の対象であることを認めましたが、具体的な支援策については示されていません。

 改めてお聞きします。文化芸術の分野において、区として具体的な支援などの検討はどうなっているでしょうか。

 次に、2番、生活保護行政と区民の困窮対策についてお聞きします。

 (1)制度の活用について。

 生活保護申請に当たり、利用者にはどこに住まうか選ぶ権利があります。定住する住まいのない無宿者の方が生活保護の申請をする際、住居については生活援護課が選択肢を示すとしています。どのような選択肢があるのでしょうか。その一つは、無料低額宿泊施設ですが、この施設は環境が劣悪であることから、度々メディアで問題となってきました。区は選択肢を示すとしたものの、実際には無料低額宿泊所に入るように言われたという相談者は、残念ながら存在します。

 住所のない方の申請について、中野区の現状がどうなっているかというと、2020年度が申請183名、うち無料低額宿泊所に入ったのは51名で、本年度8月までの数字も申請82人、うち無料低額宿泊所に15人と同様の割合です。無料低額宿泊所を利用しなかった多数がネットカフェなどの利用となっています。金銭管理は困難であることなど、生活再建へ向けた支援が必要である方がいるのは事実です。しかし、無料低額宿泊所やネットカフェがそうした目的にふさわしいのか疑問があります。中野区には、居宅生活支援事業という独自制度がありました。運営は事業者に委託するものの、支援員2名を区の予算でつける上乗せ制度でした。このたびの法改正や都条例制定を受けて、この事業はどうなったのでしょうか。

 23区には、特別区人事・厚生事務組合の一時保護施設が4か所、宿所提供施設は9か所あります。こうした施設が機能し十分な数があるなら、無料低額宿泊所へ依存することもなくなっていくと考えます。区長会などを通じ、公的な施設の増設、拡充を求めるべきではないでしょうか、伺います。

 区は、住居確保給付金にも補正予算をつけながら利用を促進してきました。区民の困窮に応える施策として、これは重要でした。ピークは過ぎたものの、今でも月80件から90件の申請があると聞いており、区民の困窮が長引いていることが見て取れます。中野区社会福祉協議会での緊急小口資金や総合支援金の貸付けの件数も増えたと聞いています。改めてそれぞれの件数をお示しください。

 こうした貸付けを利用される方は限度額に達している方も少なくなく、そうした方を対象とした新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金においては、区は7月1日現在で2,863人が対象だとしています。現在審査中の第4次補正予算では、この支援金の申請期間延長に伴う経費の増額も計上されました。貸付けを利用する方の約半数は両方の制度を使っているとのことで、ここにも深刻さが現れています。こうした方には、生活の改善が見られない場合は、生活保護の利用についても見据える必要があります。一人ひとりに寄り添った丁寧な対応が必要となりますが、この点での区の認識をお示しください。

 生活保護の広報についてもお聞きをします。現在、区のホームページでは、生活保護についての説明が記載されていますが、これは制度の概要を網羅的に説明するのではなく、誰でも気軽に相談できるような記載が望ましいかと考えます。生活保護の捕捉率は20%程度と言われています。誰もが気軽に相談しやすい表現の修正をすべきと思いますが、いかがでしょうか。

 また、北海道札幌市、滋賀県野洲市では、生活保護は国民の権利ですというポスターを自治体で独自に作成し掲示を進めています。特に野洲市では、全戸ビラのポスティングという思い切った方法も取っています。生活保護に対する誤解や偏見を解消する意味でも、中野区において、あらゆる手段を検討して広報に力を注ぐべきではないでしょうか。

 (2)新庁舎での生活援護課の在り方についてお聞きをします。

 昨年度、区は区庁舎建替えに伴い生活保護の窓口を庁舎外へと移転する方針を示しました。教育センター廃止に伴い、その空き施設に移転するというものでしたが、その後社会福祉会館、通称スマイルなかのから中野区社会福祉協議会が新庁舎へ移転し、空いたフロアに生活保護窓口を設置するというものに変わりました。この件について、幾つかお聞きをします。

 最初に、なぜ生活援護課を庁外へと出すことになったのか。その理由と、教育センター跡地からスマイルなかのへと移転先が変わった経緯をお示しください。

 こうした方針は、業務に当たっている生活援護課職員にはいつ伝えたのでしょうか。また、こうした計画の作成に当たり、職員から聞き取りは行ったのでしょうか。職員からはどのような声が出ているでしょうか。

 中野区区有施設整備計画(案)には、「多様化・複雑化する生活相談に対応するため、生活相談・自立支援窓口は区役所新庁舎に配置し、庁内窓口や社会福祉協議会、すこやか福祉センター等との連携強化を図る」とあります。続けて「また、生活保護受給者の増加に伴うケースワーカーの増員に対応するため、生活保護窓口は社会福祉会館に配置する」となっています。しかし、移転先のスマイルなかのにはケースワーカー全員が入れないと聞いています。つまり、職員が新庁舎とスマイルなかのを行き来することになります。区として、これまで一つの部署を別々の施設に分割した実績もなかったと聞いています。窓口を利用する区民の立場からも、このことで区民サービスの上でプラスになるとは考えられません。お聞きします。

 一つの課が別の建物に分断されることで業務フローはどう変わるのでしょうか。それぞれで業務が完結するのか、それとも職員の行き来が発生するのか、どのように想定していますか。

 この点では、現場職員はどのように評価をしていますか。

 また、職員だけでなく、区民も新庁舎とスマイルを行き来することになります。区民サービスが低下するのではないでしょうか。仮にこの計画どおりだったとして、中野区社会福祉協議会が転出した後のスマイルについては、生活保護窓口を設置するに当たり、相談室を造るなどの改修が必要になります。このため、生活保護窓口移転に当たっては数か月のずれが生じ、改修を待つ間は現在の区庁舎の2階に居続けざるを得ないということになりますが、このタイムラグのために、現区庁舎に警備員を配備し他のフロアへの出入りを抑制するなど、当初の想定になかったコストがかかるのではないでしょうか。このコストについて、区はどの程度と見積もっていますか。

 安全性という点でも、ほとんど人がいない旧庁舎の警備を十分にできるかなど、疑問があります。この点についても区の認識をお聞きします。

 生活援護課の人員については、区からは、この先10年で20名へと増員する考えが示されています。そもそもこの計画では、今人員が不足しているという状況に対し不十分ですが、それを棚上げしたとしても、庁舎移転に伴うスマイルなかのへの移転において、ケースワーカーの全員が入れないという状況で、将来的な人員増を受け入れる余裕があるのでしょうか。

 他の部署と同様に、生活保護行政においても、一つの部署が一体的に業務を遂行するのが前提と考えます。行政サービスの質の担保という点で、この計画案が示す方向ではマイナスになるのではないでしょうか。計画案では想定されていない多額のコストも発生することになります。また、新庁舎移転までまだ3年あります。職員からよく聞き取り、計画を立て直す努力をすべきです。業務を一番知っているのは現場職員なのですから、職員の知恵を借りるのが一番の近道です。この点について区の認識をお示しください。

 次に3番、行政のデジタル化について伺います。

 中野区は、国の示す方針に基づき、自治体でのデジタルトランスフォーメーションを推進すべく、中野区地域情報化推進計画(素案)の策定や、新庁舎移転に伴うデジタル化推進などの取組を示しています。私たち日本共産党議員団は、デジタル化一般に反対するものではありません。例えば保育園入所選考システムなど、業務改善や区民サービスに直結する分野についてはデジタル化を推進すべきです。

 しかし、政府主導のデジタルトランスフォーメーションには多くの疑問や懸念があります。政府の目的は、デジタル関連法の個別の法律を読み解くと明らかになります。政府は、この文脈でビッグデータの利活用を掲げていますが、ビッグデータというものの定義の一つは、官民データ活用推進基本法では、行政が持っている住民情報を指します。同法でその住民情報を民間が活用できるよう放出、流通させる道筋がつけられていますし、行政機関個人情報保護法でも、個人を識別できないよう情報を加工するとしているものの、民間に情報を提供することが明記されています。つまり、官民連携とは、民間企業に行政が持っている住民情報を明け渡すことを指します。これが行政におけるデジタルトランスフォーメーションの正体です。政府が示した方針とはいえ、行政がこのような露骨な民間企業への住民データ明渡しをしてしまってよいのか大いに疑問があります。

 この官民連携の橋渡しとして機能するのがマイナポータルです。デジタル関連法の中では、マイナポータルとマイナンバーが大きな位置を占めています。マイナンバーの危険性についてはこれまでもただしてきたところです。情報漏えいなどの懸念を抱いている区民は少なくなく、一定数はマイナンバーカードを申請しない人は必ず残ります。こうした人たちにマイナンバーカードの発行を強要しないことを確認したいと思います。いかがでしょうか。

 また、カードを持たない区民に今までどおりの行政サービスを提供するかどうかということも伺っておきます。

 今回のデジタル関連法の中の一つが個人情報保護法の改定です。国が示すとおり、今回の改定で、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の3法を1本の法律に統合し、地方公共団体の個人情報保護制度についても、統合後の法律において全国的な共通ルールを規定する全体の所管を個人情報保護委員会に一元化するなどの措置を講ずるものです。現在中野区には個人情報保護条例があります。法改定において、この条例がどう変わるのかお聞きをします。

 今期設置された情報政策等調査特別委員会での質疑でも、海外と日本とで個人情報の扱いに大きな違いがあることを指摘しました。例えばGDRP、EU一般データ保護規則では、インターネット端末のIPアドレスやサイトへのアクセス記録などが保存される場所であるクッキーも保護対象となっているなど、個人情報の規定の幅が広く、どこまで公開するか、1度公開したものを取りやめるかなど、個人情報の扱いについて個人で決定できることなど、日本とは大きく異なります。損害賠償の額も桁違いです。個人の人権を守る姿勢が大きく違い、そこに現れています。

 これまで述べたように、デジタルトランスフォーメーションには、デジタル関連法により住民情報が民間に放出される上、個人情報を守る仕組みそのものが弱く、マイナンバーに情報が集積することで情報漏えいの危険が増大していくという看過できない大きな懸念があります。基礎自治体として区民を守る姿勢が求められる踏ん張りどころではないでしょうか。このたびの個人情報保護法改定では、国の用意したフレームに自治体が合わせる立てつけとなっており、自治体独自の施策が打ち出しにくくなっています。しかし、国の示す法整備では区民を守れないと判断した場合には、自治体として条例や要綱などで必要な上乗せをしていくべきではないでしょうか。区の認識を伺います。

 補正予算についても伺います。先日上程され審査中の第4次補正予算において、ITスキルの高い外部人材の募集に係る経費50万円が計上されています。情報システム課に5人、教育委員会に2人の会計年度任用職員を採用することを検討しているとのことですが、情報システム課に配属される計画の職員には、庁内で導入するシステムの折衝や要件定義など高いスキルが求められることになります。しかし、そうした高いスキルの人材は相応に高い収入を得ています。国の号令で、各自治体でデジタルトランスフォーメーションの推進が加速することで人材の取り合いになります。採用のめどは立つのでしょうか。

 また、民間企業は利潤追求を目的とする団体ですが、行政は住民の福祉向上を目的としています。民間での人材登用の際には、そうしたマインドの切替えが必要になるのではないかと懸念します。加えて区職員へのスキル継承という任務も担うものとなり、負う任務も相当量であるし、責任も重くなると考えています。これらについてまとめてお聞きをします。

 中野区のワクチン予約システムについてもお聞きをします。4月末のワクチン予約システム開始日には、システムが停止して、大手メディアに報道されたところですが、この間いただいた区民の方からの相談により別の事象が明らかになりました。このシステムは、ワクチン接種1回目、2回目と、それぞれ接種希望者が入力する仕様となっています。しかし、2回目接種の入力に当たり、1回目の接種をしたかどうかのチェックもなく、また、1回目に入力済みの情報を引用することができません。したがって、1回目接種をしなくても2回目の入力ができてしまうし、2回目も手入力することからミスする可能性があります。実際に2回目の入力でメールアドレスを入力し忘れたという方から、接種の連絡が来ず困ったとの相談がありました。入力後に修正もできない仕様のようです。

 区は、ワクチン接種に関して、コールセンター業務とシステム開発について、トランスコスモス社に一括発注をしています。システム部分はチョイスリザーブという既存システムをトランスコスモス社が調達、カスタマイズしたものです。この予約システム準備経費は730万円、予約システムの運営費は1,650万円です。これは今述べたような仕様のシステムと見合っているのでしょうか、伺います。

 これは部署独自発注とのことです。しかし、こうしたときこそ情報システム課の出番だったのではないでしょうか。ワクチン接種事業そのものが急だったことは理解します。しかし、発注に当たり要件定義もほとんどなく事業者任せにしていたこと、運用開始までの間に事業者との調整で改善できなかったことは反省すべきことです。そもそも一括発注でなく、コールセンター事業とシステム開発のそれぞれで発注する必要があったのではないかなど疑問が尽きません。庁内で利用するシステムについては、システム調達ガイドラインが適用されますが、今回のようなケースではガイドラインの対象外となります。少なくともこのガイドラインに沿った発注であれば、こうした事態を避けることができたのではないでしょうか。つまり、今回のような区民との橋渡しになるようなシステムの発注についても、現行のガイドラインに包含するか、新たなガイドラインをつくることが必要になると考えます。伺います。

 このシステムの先行きについてもお聞きをします。山形県酒田市では、今述べた中野区と全く同じシステムで運用を開始したものの、現在は別のシステムに乗り換えています。酒田市の担当に確認したところ、住民からのシステム不備の指摘、仕様変更の改修費用が高額であること、スケジュール内で改修ができないことなどの理由をお聞きできました。この間、政府からは、ワクチンの3回目接種についても可能性が示されているところです。現在使用しているシステムについては、接種の情報がひもづいていないため、もし3回目接種が開始されると対応できません。ワクチン接種を行う医療機関のところには、接種開始直前に政府からVRSというシステム端末が配付されています。ここには、個人名、接種券番号、接種1回目、2回目の情報など、3回目接種の際に必要なデータがそろっています。このデータは自治体側がダウンロードし活用できる仕様となっています。VRSからのデータ取得と活用についても視野に入れつつ、先々の様々な事態を想定し、現在のワクチン予約システムについて入替えを検討すべきではないでしょうか、伺います。

 次に、4番、駅周辺まちづくりとエリアマネジメントについてお聞きをします。

 この間、中野駅周辺の再開発は、地域住民とのトラブルが多発をしています。中野駅新北口西エリアでは、準備組合からの地権者の脱会が議会でも話題となりましたが、この件では、裁判にまで発展し、東京新聞に報道されるに至りました。なぜこうしたことが起きているのか。性急に事業を進めてきた結果ではないでしょうか。開発側が手続上の不備があるかないかではなく、実態的に区民の声を聞いてこなかったこと、住民の理解が得られるような説明をしてこなかったことが原因ではありませんか。区の認識を伺います。

 囲町東地区では、組合認可をめぐって住民から行政不服審査請求が提出される事態となっています。現在、この地区では、再開発後の生活権を守れとののぼりが多数上がり、今月から始まる土地の測量について、合意がないまま進めるなとの住民運動に発展しています。この新囲町地権者実行会議の皆さんは、再開発そのものに反対しているわけではありません。権利変換後の生活を支えてほしいと求めているだけです。再開発が進行している中でこうした声が出てくることに対し、区は真摯な対応をすべきです。行政としての役割を発揮し、地域住民の声をしっかり聞き、地域住民に寄り添う支援をすべきです。伺います。

 エリアマネジメントについてもお聞きをします。7月14日には、産学公金の連携による中野駅周辺エリアマネジメント研究会の研究成果発表会がありました。私もオンラインで参加しましたが、日大理工学部建築学科助教の泉山氏からは、住民参加が前提との報告がされました。本来のエリアマネジメントとは、地域住民と一体となってまちづくりを行う住民参加こそ肝なのだと私も学びました。現在、中野駅周辺で起きている住民の不信と反発は先ほど述べたとおりです。このことは、区が現在進めているエリアマネジメントの在り方の根本が問われているということではないでしょうか。端的には、住民参加、住民合意をどう取り戻すかにかかっていると考えます。区が現在進めているエリアマネジメントにおいては、町会や商店会、区内団体の参加をもって区民参加であるとしています。しかし、これでは多くの区民の理解を得られません。公募など具体的な区民参加の仕組みが必要と考えます。この認識を伺います。

 2019年の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会では、区の関係する再開発において、駅周辺の人口が昼間2万人、夜間1万人増加するとのやり取りがありました。最新の数字では、中野二丁目地区、区役所・サンプラザ地区、中野四丁目西地区、囲町東及び西地区、中野三丁目地区の合計で昼間人口2万人、夜間人口1万4,000人が増えるとのことです。こうした人口増に伴い、教育、区民サービスなど様々な行政需要の増をどう考え、どう対策を取るのでしょうか。

 また、中野駅周辺再開発に便乗する格好で、区内でマンション建設が増加しています。この民間部分の人口増については予測ができないものと考えます。そうなると、区の見立て以上の行政需要を見込まなければいけないことになると考えますが、区の認識を伺います。

 以上で全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いさ議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、コロナ禍から区民や事業者を守る施策についてで、1点目の区内事業者実態調査についてでございます。

 区は、区内経済団体や中野中小企業診断士会、金融機関等と情報交換し、区内事業者の現状の把握に努めているところでございます。また、区内経済団体等が実施した事業所調査の結果等も共有し、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を踏まえて、区内事業者の実態について区内経済団体等との連携などによって把握もしてまいりたいと考えております。

 続きまして、文化芸術施設に対する支援でございます。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、文化芸術活動は様々な制約を受けており、区としても、文化芸術施設などにおける状況を把握しつつ、効果的な支援策について引き続き検討してまいります。

 続きまして、生活保護行政と区民の困窮対策についてで、最初に、住所不定の方の住居施設についてでございます。

 定住する住まいのない方が生活保護申請をされたときには、住民登録をするまでの間の住居となる施設候補を幾つか提示をし、御本人に選択していただいているところであります。主なものとして、無料低額宿泊所、ビジネスホテルなどを提示しております。

 続きまして、居宅生活移行等支援事業についてでございます。区では、定住する住まいのない方に対して、生活を安定させ自立を目指して居宅生活へ移行するための支援として、無料低額宿泊所に支援員を配置する居宅生活移行等支援事業に取り組んできたところでございます。社会福祉法や都の条例により、無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準が定められて、さらに生活保護法等の改正によって、令和2年10月より、日常生活支援住居施設認定制度が開始されました。これは、支援員の配置などの基準を満たす無料低額宿泊所を都知事が認定する制度でございまして、区が実施してきた居宅生活移行等支援事業とほぼ同じ内容であるため、同事業は令和2年度末をもって終了といたしました。

 次に、23区が共同設置、運営する施設についてでございます。特別区では、生活保護受給者や生活困窮者が利用する施設を相互に広域で利用する必要性から、特別区人事・厚生事務組合において、宿所提供施設などを共同設置し運営しております。特別区では、利用者の生活課題により柔軟に対応するため、共同処理施設について検討を重ね、平成30年度に厚生関係施設整備計画を策定し、特別区長会で了承したところでございます。計画では、令和4年度から令和10年度にかけて、生活保護法上の施設である厚生施設1か所を建替えによって救護施設に転換をし、被保護者に対してより手厚い支援を行っていく予定でございます。

 次に、緊急小口資金や総合支援資金貸付の件数です。新型コロナウイルス感染症の影響による特例貸付は、令和2年3月26日から実施しております。令和元年度は緊急小口資金のみで39件、令和2年度の緊急小口資金は7,254件、総合支援資金貸付は延長貸付、再貸付を含め1万418件の申請がありました。令和3年度は8月末までに緊急小口資金が1,388件、総合支援資金貸付は3,760件の申請がありました。

 次に、制度の案内と一人ひとりに寄り添った対応についてでございます。各種支援策を利用して、なお収入が回復せず生活困窮された方には、生活保護の案内など個別に丁寧に対応していく考えでございます。

 次に、生活保護の広報についてでございます。生活保護は権利であり、誰もが利用する可能性のある制度であります。ホームページを見た方が相談を躊躇することのないよう、分かりやすく親しみやすい表現を工夫してまいります。区のホームページや区報のほか、効果的な広報については、他自治体の例も参考にしながら研究をしてまいります。

 次に、生活保護窓口の庁外移転の経緯についてでございます。生活援護窓口につきましては、当初区役所新庁舎1階への配置を想定しておりましたが、今後の生活保護受給者増への対応などの観点から、庁外移転とすることといたしました。その後、教育センター跡を移転先としましたが、区議会での御意見、高度なプライバシー性の確保、関連窓口との連携強化、新庁舎との至近性による区民の利便性等を考慮し、社会福祉会館へ移転することといたしました。

 次に、生活援護課職員に方針を伝えた時期についてでございますが、生活援護課事務室について、教育センターに移転する案について、令和2年6月から一部職員の中で検討を行ってきたところでございまして、現在の配置方針につきましては、本年第2回定例会においてお示しした中野区区有施設整備計画(改定素案)の策定に合わせて検討を進めてきたところでございます。

 次に、職員からの意見でございます。区有施設整備計画(改定素案)でお示しした内容につきましては、生活援護課内で検討しておりまして、職員から効率的な配置や必要なコスト等について様々な意見が出されたと聞いております。

 次に、生活援護課事務室の業務についてでございます。事務室を分割することにはなりますが、生活援護課としての業務は一体的に実施していくことになるため、効率的な業務の進め方について現在検討しているところでございます。業務を行う上で職員の行き来は発生するものの、社会福祉会館と区役所新庁舎は至近距離にあり、支障が生じないように努めてまいります。

 次に、職員の評価です。2か所に分かれることによって、これまでの事業の進め方を変えていく必要があることや、事務フローを見直していく必要などがあると聞いております。いずれにせよ、職員が働きやすくなるような対応を取ってまいります。

 次に、生活援護課事務室の分割についての区民の視点でございます。用件によって、区役所新庁舎においでいただく場合と、社会福祉会館においでいただく場合がございます。区民が新庁舎と社会福祉会館を行き来しなくて済むように、ICTの活用や関係部署の連携を強化するほか、来庁しなくても手続ができる方法も検討してまいります。

 次に、生活援護課が現庁舎に残る期間の経費でございます。開所についての設計は来年度に行うことを考えております。生活援護課が現庁舎に残る期間の対策も含め、具体的な費用については今後明らかにしてまいります。利用する区民及び職員の安全を確保するための経費についてはしっかり積算してまいります。

 次に、ケースワーカー増員に伴う執務スペースの確保についてでございます。生活保護受給者の増加に伴い、確実にセーフティネットの役割を果たしていく上でケースワーカーの増員が必要となるため、区役所新庁舎や社会福祉会館において、必要となる執務スペースを確保していく考えでございます。

 次に、計画中の配置における行政サービスの提供についてです。生活援護機能につきましては、計画している配置の中で機能を充実させるとともに、職員の提案を引き出しながら工夫を重ね、さらなるサービス向上に努めてまいります。

 続きまして、行政のデジタル化についてで、マイナンバーカードの交付と行政サービスの提供についてです。

 マイナンバーカードは、住民の申請により交付することとしておりまして、カードの取得は義務ではないことから、取得を強要することはございません。マイナンバーカードの普及に合わせて直ちに窓口サービスを削減するといったことは考えておりません。オンライン手続の活用状況や窓口サービスの需要を見極めながら、引き続き適正な行政サービスの提供を検討してまいります。

 次に、個人情報保護法の改正による区条例への影響でございます。個人情報保護法では、これまで各自治体の条例等に委ねてきたルールを原則全国統一化し、個人情報の保護と利活用の両立を図るとともに、運用を国の個人情報保護委員会に一元化するのが今回の改正の主な趣旨でございます。現在、中野区を含めほぼ全ての自治体で独自の個人情報保護条例を定めておりますが、法との整合を図るために、令和5年4月の改正法施行に合わせて条例改正をする必要が出てまいります。現行の中野区個人情報の保護に関する条例の内容を改正法と照合すると、中野区個人情報保護審議会の機能や各事業ごとの個人情報収集事務登録票の在り方について再検討が必要となると認識しております。

 次に、区独自の上乗せ規制の必要性についての御質問です。政令や国のガイドラインの内容は来年示される予定と聞いておりまして、実際の裁量権がどこまで及ぶかなど、現段階では不明な点が多いと考えております。国の動向を注視しつつ、区として個人情報を適切に保護する規定の在り方について検討してまいります。

 続きまして、ICTスキルの高い人材の確保についてでございます。ICTスキルの高い人材を任期付職員として採用する予定でございますが、その募集に当たって、各自治体での実績がある民間の人材サービスを活用することを考えておりまして、多数の応募が期待できると考えております。また、民間企業の経験者を区の職員として採用するに当たりましては、公務員としての使命と責任をしっかりと自覚するように育成をしてまいります。さらに、5年間の任期の中で、実務を通じて、他の区職員のスキル向上についても担わせる予定でございます。

 続きまして、ワクチン予約システムの経費の妥当性についてです。国からの説明を受けて、3月中旬の接種開始に向けて予約システムなどを整備する必要があったため、緊急の必要によって競争入札に付することができないものとして随意契約を締結したものでございます。契約に当たりましては、複数社からの提案を受け、業務内容や価格、受託実績などを総合的に勘案して決定したものであって、適正なものと考えております。

 次に、業務委託におけるシステム調達支援についてでございます。調達ガイドライン上の手続では、今回のワクチン接種予約事業のように、業務委託を主とし、事業者が利用するシステムを含めた一括発注については適用範囲としておりませんが、CIOオフィスでは、調達ガイドラインの適用範囲外のシステム調達においても支援を実施しておりまして、契約仕様の策定に当たっては、業務委託契約事項の提供や仕様調整に当たっての相談も行っております。今回のワクチン接種予約システムにおいて発生したシステム障害なども踏まえ、より適切な情報システム等の調達支援の在り方について検証していきます。

 次に、ワクチン予約システムの切替えについてでございます。今後3回目接種等の検討を行う中で、より利便性の高いシステムについて、費用対効果も含めて考えてまいります。

 最後に、中野駅周辺まちづくりとエリアマネジメントについてで、人口増による行政需要の増加への対応についてでございます。

 現在策定を予定している基本計画では、これまでの人口推移や再開発によるまちづくりの進展などの要素も踏まえ人口推計を行っておりまして、この推計に基づいて様々な施策の方向性や主な取組内容をお示ししているところであります。現在の推計では、2035年をピークに、その後人口は減少に転じていくものと見込んでおります。今後、人口に大きな増減があった場合に備え、中野駅周辺の地区にかかわらず、その影響を受ける可能性のあるエリアについても動向を注視し、常に長期的な視点も持ちながら、適切な行政サービスを展開してまいります。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長松前友香子登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(松前友香子) 中野駅周辺まちづくりとエリアマネジメントについてお答えいたします。

 まず、中野四丁目西地区及び囲町東地区の市街地再開発事業について、市街地再開発事業の推進に当たっては、適切な事業管理とともに、権利者の生活再建を実現できるよう丁寧な合意形成の取組が重要であると考えております。区は引き続き再開発組合及び再開発準備組合に対し適切な手続の遂行と権利者への丁寧な対応を求めてまいります。

 次に、区民参加によるエリアマネジメントの推進について、今後設立予定の中野駅周辺エリアマネジメント協議会は、各地区の開発事業者間や地域の関係者等を有機的につなぐことを目的の一つとしております。地域の関係者等として協議会構成員となる方は、地域団体等からの推薦者を考えております。広く区民の意見を求める機会などについては、協議会を運営していく中で検討していきたいと考えております。

○議長(内川和久) 以上でいさ哲郎議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時05分休憩

 

午後3時25分開議

○副議長(酒井たくや) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 杉 山   司

 1 区債権の未収金対策について

 2 中野駅周辺まちづくりについて

 3 コロナ禍での経済政策について

 4 自治体DXと学校教育DXについて

 5 その他

 

○副議長(酒井たくや) 杉山司議員。

〔杉山司議員登壇〕

○16番(杉山司) 令和3年第3回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 質問は、5のその他で、JR東中野駅西口線路沿い桜並木の件につきまして伺います。他の議員と質問内容が重なりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めに、区債権の未収金対策について伺います。

 今年8月2日に区民委員会で報告された令和2年度までの区債権の状況と令和3年度における収入率向上に向けた取組について、によると、国庫支出金等債権管理対象外の歳入を除く区全体の収入未済額は約52億円で、前年度から約1億5,000万円の圧縮、不納欠損額は約11億円で、前年度から2億円の増となっています。また、収入未済額の8割は特別区民税、国民健康保険料、介護保険料の主要3債権で約41億円とのことでした。

 今回の報告によりますと、特に注力してきた滞納繰越額28万円以上の高額滞納者に対して、財産調査件数を拡大する、督促状の早期発付を行うなどの対策が実を結び、約1,100人いた高額滞納者を約900人まで減少させ、担当部署の方々の努力が報われた形となりました。その結果、現在未済額の残高としては約11億円程度まで減少し、そのうち28万円未満の少額滞納者分の金額はこの11億円のうち約9割を占めています。件数は約1万件とのことですが、高額滞納者の件数に比べたら桁が1桁違う感じで、かなりの人海戦術が必要となってきます。

 我が会派の酒井たくや議員も、平成29年9月の決算特別委員会でお話しされておりましたが、未収金対策は財源の確保と税の負担の公平性の観点からも非常に重要であると考えております。短期的に人的リソースを投入することで、現年度分の収入未済額を大きく減らし、あとは滞納対応に注力していけばよいと考えます。まずは、今特に主要3債権の債権回収に係る短期的な人的リソースの集中が急務であると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、中野区には中国人や韓国人などが特に多く住んでおりますが、その次に多いと言われているベトナム人やネパール人には、所得税は理解できていても、住民税に関しては理解していただけないところがネックとなっています。現在外国人の滞納者は約3,000人で、滞納額は約3億円です。そもそも母国に住民税の概念がない外国人に対して、しっかり必要性の説明をしていかない限り、外国人人口の増加とともに、この滞納額は増える一方であると考えます。令和2年度は、新規事業として、在住外国人のための多言語生活ガイドブックを作成し活用を図っているところは評価します。一方で、それでは納税の仕組みについての記載が不十分であるため、外国人が読んでも分かる納税の必要性などを記載したハンドブックなどを作成し、制度周知を徹底していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、タブレット活用なども進んでいる中、我が会派が以前から提案してきた外国人相談窓口の設置や、外国人専門相談なども実現させることが収入率向上を加速させる手段の一つと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 現在、中野区は特別区民税、都民税は口座振替で徴収できます。また、今年の3月からは、住民税、軽自動車税、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料がPayPayなどのキャッシュレス決済システムで支払えるようになりました。利用者はまだあまり増えていないと聞いておりますが、人を増やして人海戦術で対策を講じることと並行して、このようなICTを駆使した債権の一元管理や回収手法のさらなる検討を進めていかなければなりません。

 ただ単にキャッシュレス決済ができる、口座振替ができるだけでは、債務者とのつながりが常設的にできるわけでもなく、債権回収率の向上にはあまり直結しないと考えます。先ほどの体制強化の検討とは別に、督促や催告がネットや電話回線を介したメッセージで即座に送ることができ、未払い者からもメッセージが受け取れ、通告を何回行っている状態かが分かるなど、ICTを活用した新たなサービスの導入が急務です。23区内でも、品川区や渋谷区、港区などが何らかの形で銀行口座と連携したサービスを導入し、実績を上げていると聞きます。債務者との双方向連絡が大きな強みとなり得る債務ステータス管理などが可能な新たなサービスを導入し、一気に債権回収を加速させるべきであると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 限られたリソースの中で、さらなる未収対策を加速させ、このコロナ禍の不安定な状況の中でも少しでも多くの財源を確保していくことが、よりよい区民サービスにつながっていくはずです。ぜひとも前向きな検討と実現をお願いし、次の質問に移ります。

 中野駅周辺まちづくりについて伺います。

 中野駅のまちづくり事業は、現在11もの事業が並行して進められています。区役所・サンプラザエリアの再開発となる中野四丁目北口地区の第一種市街地再開発事業や中野駅新北口駅前広場の街路事業、西側南北通路や橋上駅舎事業、中野区役所新庁舎整備事業、囲町の東西市街地再開発事業など多岐にわたっています。まだ都市計画決定がされていない事業もありますが、多くの事業が何らかの形で並行して進められています。

 2012年に中野セントラルパークが開業し、キリンや栗田工業ら大手企業がテナントとして入居、四季の都市全体としては、東京警察病院が完成、翌年には明治大学、帝京平成大学、さらには早稲田大学の学生寮も完成しました。このことで昼間人口は2万人増えたと言われています。実は、このとき中野駅の西口改札ができるという話もあり、大手企業や大学もいずれは西口改札がと期待しながら四季の都市に入られたとも伺っています。

 この中野駅周辺まちづくりでは、既に完成している中野二丁目のコーシャハイムが約200戸、2024年完成予定の中野二丁目の住宅棟には約400戸、今のところ同時期に完成予定の囲町東地区のビルには約700戸、2029年に完成予定の中野サンプラザシティエリアのシンボルタワーにできるレジデンスは約700戸、また都市計画決定されていないが、中野四丁目西地区に計画されている集合住宅や、現在土地区画整理事業が進んでいる旧桃丘小学校跡地も恐らく集合住宅となり、この辺りの部屋数を加味すると2,000戸から3,000戸が増え、2012年以降の昼間人口2万人の増加に加え、さらに昼間人口2万人、夜間人口も1万人増えるという試算です。今建設中の西口改札も、そして、周辺の集合住宅もでき上がったと仮定した場合、JR中野駅全体はこの昼間人口の増加に耐え得る処理能力があるかどうか伺います。

 また、駅周辺の道幅や人流密度など、どのような試算で安心・安全な歩行空間が担保されようとしているのか、併せてお教えください。

 この西口改札の完成は、バリアフリー化も含めて、周辺企業や学校の通勤・通学者や来街者、区民の方々が熱望してきたものです。しかしながら、中野駅の橋上駅舎や西口改札の設計、周辺の西口広場、さらには中野サンプラザシティの概要検討の時期には、まだ昨今の新型コロナウイルスは発生してなかったと思います。有事の際、ロックダウン対応や隔離政策、いざというときに空地がワクチン接種会場にできるなどの取組が議論されたり、既に実施されている国や地域もある中で、中野駅周辺におきましては、こうしたことにも対応可能な公共空間等を柔軟に活用できるようなルールづくりが必要であると考えられますが、いかがでしょうか、伺います。

 人口減少の傾向が見え隠れしていた前区政の時代、進められてきた学校の統廃合で小・中学生が通う学校のキャパシティが大きく減ってしまった中で、これからの5年10年、同時ではないにしろ、子どもたちがこのエリアでかなり増えることは容易に想像できます。今回の再開発に関わる中野駅周辺の小学校区は、駅の南側は桃花小学校、北側は平和の森小学校となります。また、駅南側も北側も中野中学校の学区となります。区として、今回の一連の中野駅周辺まちづくりにおいて、児童や生徒の増加数を想定し、それぞれの学校で増加した児童や生徒を受け入れられるだけの余力をちゃんと確保しているのでしょうか。

 文部科学省は、小学校の学級編制の標準を35人に引き下げますが、新たに建設される平和の森小学校のキャパシティは、児童が増えて、さらに35人学級となる辺りは想定をされているのでしょうか、伺います。

 大都市や再開発エリアの周辺は、光と影が顕著に現れることがあります。名古屋テレビ塔の久屋大通の1本裏道や、六本木駅周辺の路地裏など、犯罪などが多発して治安が悪くなることが多々あります。夜間人口も1万人増え、にぎわいを見せていくであろう新たな中野駅周辺の施設の外側に位置する中野二丁目千光前通りや、中野五丁目打越エリア、中野三丁目桃園エリア、中野四丁目西側の東高円寺エリアなどの治安の悪化も心配され、にぎわいも薄れていくことが懸念されます。再開発エリアのすぐそばに位置する商店街のにぎわいを高めたり、まちの明かりの強化や防犯カメラなどのさらなる設置などで、あらかじめ防犯力も高めておく対策が必要であると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 現在の中野駅周辺には大型ビルがそれほどなく、空とビルの織りなす空間やウォールに囲まれた空間を意識したことは少なかったと思いますが、現在進行中の中野駅周辺まちづくり全てが収束に向かった場合、ビルの壁面や屋根あたりの空間など、景観構成だけでなく、複数の建造物により多くの空間が生まれます。中野駅の橋上駅舎をはじめ中野二丁目、三丁目、四丁目はそれぞれ市街地再開発などで大きな変化を遂げ、中野サンモールやブロードウェイ、自慢の繁華街、飲食店街のある中野五丁目を加えて、それぞれの特徴やよさを引き出しつつ、俯瞰して見た場合に、全部が中野らしいと思えるような横串の統一ブランディング、いわゆるエリアマネジメントが大切であるということは何度も申し伝えてまいりました。

 そこに概念として加えなければならないのが、新たに生まれてくる空間のマネジメントです。駅と目的地の程よい距離感を保つことは、来街者のわくわく感を生み出します。ディズニーランドや鎌倉、鶴岡八幡宮、ブロードウェイもある意味そうです。残念ながら、新しくできる中野駅の南北通路と新たなサンプラザシティは妙に近く位置しているため、来街者にそのわくわく感をどのように感じていただくのかが大切です。

 そこで、先ほどお話しした空間マネジメントの考え方です。物理的な距離は短いが、中野駅と中野駅周辺から生まれた空間をうまく利用し、ICT技術で中野のサブカル的なコンテンツをバーチャル空間に配す、タイムリーなエリア情報を空間に映すなど、空間に有益な情報を降らす仕掛けを取り入れて気持ちの醸成を図るなど、空間マネジメントの要素もエリアマネジメントの検討内容に加える必要があるかと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 サンプラザシティの新たなランドマークができ上がるまで、あと7年から8年かかります。その間、中野駅周辺は至るところで工事が進み、いつか中野サンプラザや区役所なども解体に至ります。ランドマークを失い、区民や商店の気持ちは落ち込みがちです。そこで、変わる前の今の中野駅周辺を3D技術やドローン技術などを活用したデジタルデータでネット上にアーカイブしていただきたいのですが、いかがでしょうか。

 特に現在の中野サンプラザは三次元で現物のようにつくった上で、ステージや自慢の音響なども再現し、過去のコンサート映像などの配信、アイドルのリアルタイム有料コンサートなども行え、アバターとしてライブに参加できるなど、アイドルコンサートの聖地としての地位も保ち続けられます。将来的にバーチャル渋谷のように、サイバー上のまちづくりができると、コロナ禍でもネット上に展開されている中野に遊びに来ていただけると思うのですが、いかがでしょうか、伺います。

 バーチャル中野をつくっておけば、アール・ブリュットのバーチャル美術館、サイバー中野区伝統工芸展などにも利用でき、ネット上で中野の文化を常に発信できます。中野区として構築し、中野駅周辺エリアマネジメント組織に事業ごと引き継ぐなどすれば、将来の中野駅周辺はリアルもバーチャルもどちらからも情報発信が可能となりますし、マネタイズまで持っていければ、なおよしと考えます。ぜひとも前向きな御回答をお願いして、次の質問に移ります。

 続きまして、コロナ禍での経済政策について伺います。

 中野区独自のプレミアム付商品券の発行、そして、区内飲食店のテイクアウトやデリバリーの支援、中野の逸品グランプリのオンラインでの復活、キャッシュレス決済キャンペーンなど、我が会派が提唱してきた様々なコロナ禍における経済対策事業を進めていただいたことには深く感謝しております。また、産業経済融資や感染症対策、クラウドファンディングなどで支援費を獲得するなど、引き続き対策を推し進めていただければと思います。

 しかしながら、まだコロナに影響されて経済は下降の一途をたどり、中野区内の事業者も倒産も増えつつあります。今年の6月、東京商工会議所中野支部が行った緊急アンケート調査によりますと、コロナで大きな影響を受けたと回答した事業者は、旅客運送業や飲食店が90%以上、卸売業や貨物運輸業も80%以上という結果となっています。同時に前年に比べて業績が非常に悪化した、やや悪化したという回答も多く、区内の事業者や飲食店は本当に疲弊していることがこのアンケートでうかがえます。さらには助成金や補助金の申請なども課題として多く挙げられています。

 新型コロナに打撃を受けた企業や商店に対して、国や東京都、中野区としても、助成や無利子貸付けなど、様々なメニューが用意されています。区内の経済団体や金融業者も、よろず相談やICT専門家助言コーナーなどいろいろな相談窓口を開設しています。しかしながら、幅広く用意されているコロナ関連の助成金などがあまり活用されていないのが実情と区内金融トップがお話しされており、区内の零細企業はこのコロナ禍で大変困っているが、実は様々な助成や補助があることが伝わっていないことが分かりました。使える助成をちゃんと欲しい方に伝えることが急務です。

 先日、耐震助成などの情報が全戸配付され、新たな相談も区に届いたと聞いています。区内の零細企業のほとんどは区内在住者であるという数字も出ていますので、区内全戸に対して、国や都、区のコロナ関連の事業に対する助成金関連をまとめたチラシを配付する、区報に事業者向けコロナ関連助成金を掲載する、区のウェブでも特集を組む、区関連の建物や区の掲示板に常時貼りつけるなど、区民に対してあらゆる手を尽くして周知徹底すべきだと考えますが、いかがでしょうか。ここ二、三日で、この辺りの情報発信が活発になっておりますが、一応伺います。

 感染状況に配慮しながらも、停滞していた経済を再び動かしていかなければなりません。事業者や飲食店らを支援することは必須、消費者のお財布も助けていかなければなりませんし、アフターコロナの反動需要も予測されます。キャッシュレス決済キャンペーンが、まさに今絶賛実施中だと思いますが、令和2年第4回定例会の一般質問でも、キャッシュレスによるポイント還元事業の実施と並行して、中野区独自のプレミアム付商品券をデジタルチケットで実現するための仕組みづくりも考えておくべきではないかとお伝えしました。中野の経済再生に拍車をかけるべく、年末あたりには、再度プレミアム付商品券の発行やキャッシュレス決済キャンペーンなどの経済政策を行うべき、補正予算を組むべきだと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、コロナに起因し、商売をやめてしまったお店が空き店舗となっております。中野区では、現在、空き店舗を活用するための助成などは用意されておりますが、もともと店舗と住居が一体化している建物に関して、店舗と住居の入り口を分けるための助成などは設定されておりません。まずは区として、空き店舗としては見えていない物件も含めて、どの程度がこのコロナ禍でいわゆる空となってしまった店舗なのかを1軒1軒訪問し、シャッター商店となった理由やこれからどうしていきたいのかなどをヒアリングする調査を早急に進めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 また、その中で、店舗にして貸し出したいが居住スペースとの分離が難しいと答えた家主に対して、何かしらの助成金が使えるよう、新たに店舗化改築助成を加えるべきだと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 コロナ禍である今、そして、アフターコロナにおける経済政策が急務であるため、提案させていただいた支援策を前向きに進めていただくことを強く願い、次の質問に移ります。

 次に、自治体DXと学校教育DXについて伺います。

 政府が進めるGIGAスクール構想によって、中野区内の小学校、中学校に1人1台の端末が配られ、オンライン授業もICTも活用した学習環境も一気に加速し、順風満帆に見えますが、まだまだ実運用には程遠いです。我が会派の森議員の一般質問にもありましたとおり、脆弱なネットワークインフラのためになかなかデジタル教材の活用が行えていないのが現状です。校内でのタブレット授業を行う際に、特にインターネットで外部コンテンツを閲覧する場合には、中野区が庁内インフラとして使っているインターネット回線の一部を介していることから、各校で同時に行われるなどした場合には、庁内のインフラがパンクする可能性があります。校内インフラを整備するのとは別に、今後、自治体DXを強く推し進めていくためには、庁舎が今契約しているインターネット回線の帯域を分離する、または庁内インターネット回線と学校で使用するインターネット回線そのものを分離するなど、対策を講じなければならないと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 コロナ禍でこれからの授業の在り方を考える際、児童や生徒が在宅でオンライン授業を受けられる状態に環境整備を積極的に考えていかなければならないと思います。各校で同時にオンライン授業を実施すると仮定した場合や、家で受けられるオンライン授業を実施しようとした場合、今考えられるボトルネックはどこで、解消するためにはどのような手を打たなければならないのか、区の見解をお聞かせください。

 また、GIGAスクール構想の環境が整いつつある今、自治体DXと並行して学校教育DXを強く推し進めなければなりません。デジタルトランスフォーメーションとは革命であり、単なるデジタルシフトではありません。学校側の必要な人材として、インフラにたけたITスペシャリストというよりも、どの授業にどのような動画コンテンツが最適なのか、この分野の学力を向上させるためにどんなICT授業をすべきなのかなどを考えることができるスキルセットが求められます。強化すべき人材は、コンテンツプロデューサー的な観点を持ったカリキュラムコーディネーターが必要であると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 中野区の情報システム側が、いつ何どき、どのぐらいのデータ量を通す校内インフラが必要となるのか、どの時間帯にどの程度インターネット回線の帯域を使うのかなどが初めて仮説を立てられるかと思いますし、学校教育DXがやっとスタートラインに立って、子どもたちのICTによる教育を加速させられることを信じて、最後の質問に移ります。

 最後に、その他として、JR東中野駅西口線路沿いの桜並木について伺います。

 令和元年第4回定例会で、JR東中野駅西口線路沿い桜並木の今と未来について伺った際、酒井区長は、桜並木の適切な維持管理ができるようJRと粘り強く協議を進めてまいります、また、今後桜山通りの景観の在り方についても検討していきたいと考えておりますと御答弁いただいておりますし、令和3年2月の予算特別委員会でも、除草しなければ栄養が桜に行き渡らず雑草に取られてしまうが、寿命を全うさせてあげられるよう除草作業を年2回に戻していただくことを強く希望するとの質問に対し、公園緑地課長は、菜の花の種まき前と花が終わった後に除草することで、桜の枝に巻きつく雑草を防ぐことができる。そうした考えの下で、JR東日本と調整をしていきたいと御答弁、また、住民の多くは、この桜並木を今後どのように後世に引き継いでいくのかを区やJR東日本と話したいと話している。そうすべきではという質問には、地域との話合いの場については、JR東日本の参加が必要不可欠である。今後もJR東日本に働きかけをしていきたいと御答弁をいただいております。

 その桜並木の線路側ののり面が今どのような状態になっているのか把握されておりますでしょうか。桜の幹ものり面も全て雑草に覆われていて、蚊やネズミが大量発生してしまっています。年2回の除草はいつ実施するのですか。

 そして、桜山通りやこの桜並木の将来像、中野区と近隣住民で話し合う機会を設けていただけるのはいつとなりますでしょうか。

 区長の答弁と即座の除草作業の実施を求めまして、私の全ての質問を終わります。御清聴いただきましてありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 杉山議員の御質問にお答えいたします。

 1点目の区債権の未収金対策についてでございます。

 まず最初の主要3債権への短期的な人的リソースの集中についてでございます。令和2年度の主要3債権の収入未済額は約41億円でございまして、特別区民税の収入未済額を約1億5,000万円減少させるなど一定の成果を上げているところであります。今後の未収金対策につきましては、構造改革実行プログラムの中で債権管理体制の強化として取り組むこととしておりまして、債権管理対策会議を中心に、全庁的に検討し、主要3債権を中心とした体制強化を進めてまいります。

 次に、外国人への住民税の制度周知についてでございます。母国に住民税などの制度がない外国人の方々に対しましては、まず制度を分かりやすく説明し、理解していただくことが重要と考えております。今年度の取組として、ネパールやベトナムなどの住民税の制度がない外国人の方々を対象に、住民税や国民健康保険料に関するハンドブックを作成し、町会などの協力を得て配付することで、制度の周知を図り納付につなげてまいります。

 続きまして、外国人相談窓口の設置や外国人専門相談の実施についての御質問です。在住外国人の日常的な相談は国際交流協会が行っておりますが、総合的な相談の在り方につきましては、これまで他区の相談窓口の設置状況を調査するとともに、やさしい日本語の活用なども含め検討を進めているところであります。

 区では、昨年度より税務課や保険医療課をはじめ、各窓口等において、行政手続や各種相談業務に活用できるAI多言語通訳システムを導入しております。また、今年度からはやさしい日本語の習得を目的とした職員向け研修を実施することで、各職場における在住外国人に対するきめ細かい相談体制の充実を図っているところであります。在留資格など専門的な相談の必要性も含めて、在住外国人に対する医療、福祉、出産、子育てなど、総合的な相談機能の在り方については今後も引き続き検討してまいります。

 次に、区民との双方向連絡可能な新たなサービスについての御質問です。現在、区では、住民税の徴収に当たってデジタルツールを活用し、区民に対して効果的にアプローチする手段を検討しているところであります。来庁不要で、区民との双方向連絡が可能なより利便性の高いサービスの提供を視野に入れて検討を進めてまいります。

 次に、中野駅周辺まちづくりについてで、最初に、中野駅や周辺道路の交通処理能力についての御質問です。

 中野駅周辺まちづくりに当たっては、国土交通省の大規模開発地区関連交通計画マニュアル、これに基づいて、現況交通量に、開発に伴い生じる交通量を追加して算定した将来交通量を推計し、主要な交差点及び歩道の安全性の検証を行っております。中野駅西口改札におきましても、将来交通量をJR東日本と共有した上で橋上駅舎を計画しておりまして、問題は生じないものと考えております。

 なお、駅周辺道路につきましては、将来交通量によって主要な歩道部分での歩行者サービス水準を算定し、自由に歩行が可能な水準が確保できることを確認しております。

 続きまして、非常時に対応できる公共空間活用の在り方についてです。中野駅周辺における公共空間活用の在り方や、安心・安全の取組については、エリアマネジメントで検討すべき重要なテーマであると考えております。今後設立予定の中野駅周辺エリアマネジメント協議会の中で具体的な検討を進めてまいります。

 次に、再開発エリア周辺部のまちづくりについてでございます。中野駅周辺における各地区の市街地再開発事業が具体的に進展する中、これらの事業の完成を見据えながら、各地区周辺部のまちづくりについても検討を進めていくことが重要です。具体的には、中野二丁目の市街地開発事業、区域周辺部のファミリーロードや、千光前通り周辺のまちづくりについて、再開発エリアからのにぎわいの連続性や、安心・安全、防犯・防災といった観点を含め、権利者や地域と共にまちづくりの検討を進めているところであります。また、中野三丁目土地区画整理事業区域周辺や、中野五丁目のまちづくりについても、具体的な検討を進めていく予定でございます。

 続きまして、中野駅と各開発地区をつなぐ動線の仕掛けについてです。中野駅新北口駅前エリアでは、拠点施設整備における施行予定者の施設計画の中で、駅からホールや広場等につながる動線に様々なイベントや情報発信の仕掛けが提案されております。エリアマネジメントの観点からも、他地区の先行事例も参考にしながら、にぎわい創出の具体的な取組の一つとして検討します。

 次に、中野サンプラザのデジタルアーカイブ化についてです。中野サンプラザの歴史等をアーカイブする取組については、中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備における施行予定者が文化芸術等発信拠点の形成の取組として提案しておりまして、今後具体的に検討を進めるものと考えております。区としても、中野の文化振興の観点から、関連部署と共にその検討に関与していきます。

 私から最後に、その他の東中野駅西口線路沿いの桜並木についてでございます。

 JR東中野駅西口線路沿いの桜並木につきましては、年2回の除草を行うことで、JR東日本と合意しております。今年度はJR東日本から東京オリンピック・パラリンピックの終了まで作業を控えたいと求めがあったことから、除草作業は菜の花の種まき前の10月に実施をすることになりました。桜並木はJR東日本の敷地内にあるため、桜並木の将来について地域と話すには、JR東日本の参加が欠かせない状況でございます。地域の話合いの場に参加するよう引き続き働きかけをいたしてまいりたいと思います。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、初めに、中野駅周辺まちづくりについての御質問のうち、中野駅周辺の小・中学校の状況についてお答えいたします。

 教育委員会事務局では、中野駅周辺のまちづくりについて、まちづくり推進部と定期的に情報共有を行っております。中野駅周辺の小・中学校についても、再開発等の進展により想定される人口増加数を踏まえながら、計画的に学校施設の改修等を進め、必要な教室数を確保しております。平和の森小学校の新校舎整備においても、中野駅周辺まちづくりの影響並びに35人学級の運用を踏まえた学級数の将来推計値を考慮しながら、基本計画の検討を進めているところでございます。

 次に、自治体DXと学校教育DXの御質問です。

 初めに、学校におけるインターネット回線について、学校において接続数を確保しながらインターネット回線を利用する場合は相当の通信量が必要となります。現状の区の統合ネットワーク環境は、その通信量の使用を想定してはいないため、学校のインターネット回線を増強するためには、統合ネットワーク全体の対策が必要となるとのことでございます。また、統合ネットワーク環境におけるインターネットの接続に当たっては、都のセキュリティクラウドを介する必要がありますが、区の意向で自由に増強することはできないとのことでございます。このため、既存の統合ネットワーク環境とは別に、学校用のインターネット環境を整備する必要があると考えております。

 次に、オンライン授業実施の課題についてです。現在、各学校から出力されるインターネット回線の通信量は、在宅の児童・生徒に向けたオンライン授業をストレスなく実施するためには、十分な容量とはなっておりません。長期的対策としては、学校の学習系ネットワークについて、区役所の庁舎内を経由しない直接のインターネット回線を整備していくことが必要であります。また、直接回線が整うまでの短期的対策としましては、授業配信を目的とした既存の回線を使わないインターネット通信を検討しているところでございます。

 最後に、学校教育におけるICT支援に必要な人材についてでございます。GIGAスクール構想の導入期では、主にICT機器の使用方法や環境整備などの支援が求められておりました。これからは数あるコンテンツの中からよりよいものを活用して、最適な学びにつなげたり、教室にいながら子どもたちが地域や社会と交流し学びを広げたりするなど、ICTをより効果的に活用した新しい授業デザインを提案、支援できる人材が求められます。中野区の児童・生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出せるようにするために、現在も教員経験のある教育情報化推進員1名が各校を巡回しておりますが、今後はさらにそのような人材を多く確保し、学校を支援していくことが必要であると考えております。

〔区民部長鳥井文哉登壇〕

○区民部長(鳥井文哉) 私からは、コロナ禍での経済政策についての御質問にお答えをいたします。

 まず、事業者への経済支援策の周知についての御質問でございます。現時点では、事業者向けのチラシにつきまして全戸配付することについては考えてございませんが、経済支援策の広報につきましては、これまで区報での特集や区ホームページにまとめて情報を掲載するなどの工夫に加え、区本庁舎や産業振興センター、区内金融機関等でのチラシ、パンフレットの配布により周知を図っているところでございます。今後も支援を必要としている全ての区内事業者へと情報が行き届くよう、御提案のような内容も含めまして、周知方法についてはさらに工夫してまいります。

 次に、経済再生のための経済政策の実施についての御質問でございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による新しい日常における生活応援を図り、地域の経済活動の活性化を図っていくためには、非接触型のキャッシュレス決済を活用した消費喚起策は今後も有効であると考えてございます。現在のところは、昨年度のような紙のプレミアム付商品券の実施は考えてはございません。しかしながら、現在9月末までの予定でキャッシュレス決済推進事業を実施しているところであり、その実施状況等も踏まえつつ、さらなる経済対策についても検討を行ってまいります。

 次に、店舗化改築助成制度の創設についての御質問でございます。御提案のような個々の店舗への店舗化改築助成は、個人の財産形成に資するため慎重な検討を要すると考えてございます。現在、商店街を対象とした空き店舗対策に活用可能な事業といたしまして、東京都と区の補助制度であります商店街チャレンジ戦略支援事業と商店街空き店舗活用モデル事業などの制度がございますので、御活用いただきたいと考えてございます。空き店舗をはじめとする商店街の状況などにつきましては、今後とも把握に努めてまいります。

○副議長(酒井たくや) 以上で杉山司議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 ちあき

 1 中野区区有施設整備計画(案)について

  (1)児童館・保育園について

  (2)その他

 2 危機管理体制について

  (1)コロナ禍における自宅療養者への対応について

  (2)その他

 3 新庁舎の進捗状況について

 4 その他

 

○副議長(酒井たくや) 次に、高橋ちあき議員。

〔高橋ちあき議員登壇〕

○34番(高橋ちあき) 令和3年第3回定例会において、自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。

 質問は通告どおりでございまして、その他はございません。よろしくお願いいたします。

 まず、中野区区有施設整備計画(案)における保育園と児童館についてお伺いをいたします。

 保育園についてですが、計画の中では、改修や改築検討に関することが記載されております。保育園については、令和2年3月の第1回定例会中の子ども文教委員会において、今後の区立保育園のあり方について(案)が報告されております。その報告では、進行中の区立保育園民営化が終了すると、区立保育園は10園となることと、今後の区立保育園が担う機能、役割が四つ示されております。一つ目に指導検査、二つ目が就学前教育の充実、三つ目が医療的ケアが必要な子どもへの対応、四つ目が民間保育施設との連携という内容でした。今後の区立保育園施策については、これらの機能、役割を踏まえ進めていくということであったとも理解しております。また、同じ報告の中では、保育需要と保育定員に関する記載もありました。

 子ども・子育て支援事業計画(第2期)案における保育需要は微増と推計されていますが、中野区の人口推計では、2030年度以降0歳から14歳の人口が減少に転じると推計されております。将来的には少子化が進み、保育需要が減少して待機児童が解消され、保育需要に対する保育定員が過度に確保されている状況が想定されることから、区立保育園の定員縮小や閉園により区全体の保育定員の調整を図っていくとされております。

 こうした状況を踏まえ、保育定員と保育需要との均衡が図られている間は区立保育園を存続させ、さきに述べた機能、役割を担うことで、区として子育て環境の充実を図り、将来の少子化により保育定員の調整が必要となった場合においても、区立保育園は6園から7園程度存続させるとしています。しかし、この報告からはや1年と6か月もたっております。区有施設整備計画(案)にうたっているからということでよいというものではないと考えます。区立保育園のあり方の報告をされてから検討を継続されてきていたのでしょうか。公立保育園の中には、園舎の老朽化などで建替えをしなければならない施設もあるかと考えます。仮設園舎確保など、どのような方法で進めていくのか早急に検討をしなければ、保育園の利用者等に多大なる影響を与えることになりかねません。いつ判断していくのかお示しください。

 また、保育施設の利用状況については、1、2歳児以外の年齢で待機児童は解消され、区全体で空き定員が800人以上となっています。こうした状況は民間保育施設の経営にも影響が及ぶと考えますが、今のままの施策の考え方でよいのでしょうか。

 このような状況をどのように分析しているのかお伺いをいたします。

 さらに区立幼稚園については、以前は認定こども園を進めていくという案があったように思いますが、区有施設整備計画(案)の中では、その他改築検討となっております。これも所管での検討もされていないのか、計画の中に載せていますということだけではよくないのではないでしょうか。

 区立幼稚園が認定こども園へ移行すれば、幼稚園、保育園と両方の需要対応が可能となると考えます。もともと中野区は幼児教育を私立幼稚園に委ねてきた歴史と経緯があります。それは、区としても認識をされていることと考えますが、現状はそのような経緯も軽視され、計画が策定されているように思えてなりません。民間施設との連携が、この先今までのように保っていけるのかとても心配でなりません。区立幼稚園のあり方についても、どのように進めていくのか、早急に決めていかなくてはならない問題だと考えますが、お考えをお示しください。

 次に、児童館についてもお伺いいたします。令和元年10月、第3回定例会の子ども文教委員会にて、地域の子ども施設のあり方についてという報告で、新たな児童館の配置の考え方が示されました。支援活動の拠点として、子育て家庭に対する相談、支援や、区民、団体などの地域交流を推進する新たな児童館として、主な機能、役割として八つの整備をしていく。1、乳幼児親子の交流、居場所、2、子どもたちの多様な遊び場、3、地域の子育て団体の育成活動支援、4、子育てに関しての情報提供や関係機関と連携して相談、応援、5、潜在的な要支援者の発見や虐待の発見、子育て家庭の状況把握、6、子育て団体やボランティアの育成、人材発掘、7、子育て団体や地域の声を聞き、応える。8、地域団体同士や利用者同士のマッチング交流の促進。これらを踏まえ、児童館は中学校区に1館とし、子どもと子育て家庭への支援や、ほかの子ども関連施設や関係機関との連携を基本に、さきに示した機能が十分に発揮できる運営形態を民間活用も含め検討していくという内容の報告でした。

 また、今月2日の子ども文教委員会では、新たな機能を備えた児童館についての検討内容が最初の報告から2年もかけてようやく示されましたが、報告されるたびに、児童館に求められる機能、役割が変更されており、今回は新たな機能を備えた児童館の総称まで、学校でもない、家でもない、誰もが立ち寄れる第3の居場所として、(仮称)サードプレイスという名称と、さらに各館ごとに愛称を公募することがいつの間にか決まっておりました。新たな機能を備えた児童館は居場所機能だけなのでしょうか。

 また、その報告では、令和4年度から新たな機能を充実し展開していく予定ではあるとしていますが、2年以上もかけて検討していた間、開始時期については示されていませんでした。内容が様々に変更となっているにもかかわらず、中学校区1館とし、施設整備や改修で機能充実を図るとともに、中学校区内において、効果的に事業を実施し、併せて新たに強化する事業を展開していくために、児童館の人的資源を確保した上で、セーフティネットの強化に取り組み、地域全体で子育て、子育ちの取組を進めていくと大きく語っておりますが、この新しい機能を備えた児童館というのは9館だけという理解でよいのでしょうか。

 学童クラブとして機能を転換する児童館はどのような形態となるのでしょうか。

 報告の内容からは、学童クラブ事業と子育てひろばを行うようですが、児童館廃止後、地域や近隣の民間学童クラブとの連携はどのように考えているのでしょうか。

 保育園のところでも指摘しましたが、今後の学童クラブの利用者数の見込みを検討しているのでしょうか。

 なぜ新しい機能を備えた児童館というものにこだわっているのか理解できません。中学校区に1館という配置で新たな機能を担っていけるとしているのかも全く理解できません。児童館の本来の目的から外れることなく運営していくことが大事なことだと考えます。学校でも家でもない、誰もが立ち寄れる第3の居場所となるようですが、児童館はあくまでも児童館です。行政の勝手な理解や都合で進めていくことに懸念を持ちます。お考えをお示しください。

 次に、危機管理体制についてお伺いいたします。

 コロナ感染拡大の状況がいまだにどのようになるか先が見えない中、区では、昨年から危機管理等対策会議を持たれていますが、いつ、どのように開催されているのか、また、どのような会議をされているのか、全容が見えてこないような気がしております。本来議会にも報告があり、区民にも見える形で、区がコロナ禍の中どう対応しているのかをお知らせすることが大事だと考えます。中野区ホームページを見ると、ワクチン接種や支援等の情報は検索しやすく、トップ画面に表示されていますが、新型コロナウイルスへの対応を協議する重要な場である中野区危機管理等対策会議の記録は極めて分かりづらく、検索を行わないと見つけることができません。今や区における最重要課題である新型コロナウイルスに対する対処方針等の議論の状況は中野区民も大いに知りたい内容であると思います。ワクチン接種や支援の情報はもちろん重要でありますが、そこに行き着く議論の経過もしっかりと区民に分かりやすく伝えるべきと考えます。どうお考えですか。

 さらに、危機管理等対策会議は、9月3日までに既に57回の会議を重ねているようでありますが、その会議記録の内容を見ても文章ばかりで、いま一つ切迫感が伝わってきません。全てとは言いませんが、区民に向けて有用な資料等も併せて掲載したらどうかと考えます。いかがお考えですか。

 区として、現状をどのように捉えているのか、あまり危機感を持っていないように感じ取れてなりません。中野区のコロナ感染者数は現在1万1,600人以上となっており、自宅療養者の方も急激に増え、医師会、薬剤師会の先生方の負担も相当大変なことだと考えます。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、入院ができない自宅療養者が増える中、各区が自宅療養者への支援を強化するという記事が8月31日の都政新報に載っておりました。

 お隣の杉並区は、自宅療養者支援ステーションを3か所の保健センターに開設し、9月から業務を開始しています。毎日2回自宅療養者に電話を入れて体調の変化を把握し、必要な医療支援につなげるということです。保健所の負担を減らすため、自宅療養者支援ステーションには事務職を中心に66人の職員を配置し、これにより法律、税務相談や図書館のレファレンスサービスを休止までし、障害児のための子どもサポートセンターも一部を臨時休業するということにしております。ステーション配属の職員は自宅療養者の健康観察をスマホのアプリと電話で行い、体調の異変を感じた場合、保健師や看護師に引き継ぐとしています。

 また、品川区は、医師会と連携して、体調が悪化した自宅療養者を往診する医療機関の調整を請け負ってもらい、医師の手配を医師会に行ってもらうような体制を図り、保健所の負担軽減につなげています。

 さらに荒川区は、保健所内に自宅療養者の健康観察を専門で行う3人の看護師チームを新たに配属して支援を行っているようです。保健所での専門職の負担が増しているため、人材派遣会社の看護師に依頼し、自宅療養者の容体急変に対応する相談体制を人数を拡充して対応しているとのことです。

 以上のように、保健所の負担を軽減するために様々な対応を他区はしておりますが、中野区はどのような対応をされているのか、改めてお伺いいたします。

 また、現状の対応以外、これから行おうと考えている対応があればお示しください。

 今中野区の保健所の皆さんはとても大変な中、中野区民を支えてくれております。健康福祉部、保健所だけに任せず、全庁を上げて区民の支援をする体制を考えるのが危機管理等対策会議だと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 また、8月19日の産経新聞に、コロナ禍の保健所に密着という題で、新型コロナウイルスの対応で繁忙を極める保健所の現場を描いたドキュメンタリー映画「終わりの見えない闘い」が完成した記事が載っておりました。撮影は昨年6月から今年の3月まで、中野保健所にて行われたそうです。自宅で療養するコロナ患者の健康観察や入院調整に当たる職員に密着した貴重な記録となったようです。感染拡大の第3波の最中だった今年の1月、職員の方が、自宅療養者を死亡させてはならない、そして、命の選択ですと患者さんに入院を促したり、つてを頼りに入院先を探したりと、まさに現場の逼迫した状況が詳細に記録された映画だそうです。8月27日に完成披露上映会が行われ、あいち国際女性映画祭での上映も決まっているそうです。

 このような区の現場が取り上げられ、全国的にも発信できることを区としてなぜ大きく広めないのでしょうか。区民に伝えられる大事なツールだと考えますが、どのように考えているのでしょうか、お示しください。

 今の危機管理体制は、この危機の状況を危機とも感じていない体制にしか思えてなりません。区民への今の区の状況や対応をきちんと正しく伝えるということは当たり前のことだと考えます。どのようにお考えなのかお示しください。

 最後に、新庁舎の進捗状況についてお伺いをいたします。

 現在の庁舎は、昭和43年に竣工し、昭和57年に、業務拡大により執務スペース等の不足を解消するために、7階建ての庁舎に、8、9階部分を増築し、今に至っている状況です。既に50年以上経過した庁舎は、施設や設備の老朽化が進み、バリアフリーについての課題や耐震も万全でないなどの課題がありまして、平成26年1月に新しい区役所整備の基本方針を定め、検討が進められてきたと認識しています。現在は新区役所整備課がこのプロジェクトを進めている中、現在の進捗状況がどのようになっているのか、所管の委員会では報告されているとは理解しておりますが、改めて現状を教えてください。

 平成28年に策定された新しい区役所整備基本構想では、1階には、コミュニティの中心となる区役所として区民が主体的にまちづくりに参加し協働していくための拠点として、コンサートや講演会、展示会など、区民活動を推進する様々なイベントが開催できるスペースを確保し、映像、音響設備など必要な機能を整備することとしていました。また、飲食スペースや売店の設置や隣接する集い広場と一体的な活用を図ることでにぎわいの拠点となるよう、休日や閉庁時も利用できるようにするとなっていました。

 これらの内容については、区民に親しみを持ってもらえる新庁舎として、基本設計、実施設計をと段階を追って検討を進めてきていると思いますが、現在の検討はどうなっているのでしょうか。

 新庁舎1階に設置される飲食スペースについては、単なる食事を取るだけのスペースではなく、利用者や職員が親しみや愛着を感じ、会話が進むスペースとしてのコンセプトを持ち、誰もが利用したくなるダイニングカフェ、またはダイニングレストランというイメージを持ち、利用者の健康面にも配慮した内容となるよう検討を進めていただきたいと考えますが、いかがお考えかお示しください。

 今後、サンプラザが解体され、新たな機能が整備されるまでの間について、区民のコミュニティの場となる運用を考えていくことも必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 イベントスペースについては、隣接している広場と新庁舎が一体的に活用できることで、平常時、災害発生時など、様々な状況、場面に応じて利用できるよう検討しているのかもお示しください。

 スペースの活用の視点から、平常時については誰もが気軽に休息、学習ができるオープンスペースとして検討を進めていただきたいと考えますが、お考えをお示しください。

 様々なことで調整をしているようでありますが、最終的なレイアウトの確定はいつ頃になるのかもお伺いいたします。

 新庁舎整備においては、現在行っている実施設計、施工の本体工事のほか、ほかにも什器、備品などの経費が必要となっていると考えます。現段階では、当然それらの経費についても把握できていると思いますが、お教えください。

 新庁舎移転には、これまでの区民サービスの在り方や職員の働き方を見直す最大の好機であり、その内容も多岐にわたることから、一つひとつの課題をしっかり検証し解決していくために、新区役所整備課だけに任せるのではなく、全ての部署が課題を我が事として主体的に取り組んでいくことが必要不可欠であると考えます。令和4年度、令和5年度は、いよいよ新庁舎移転に向け、さきに触れた事業費の内容も踏まえ、予算編成を行っていく重要な年となります。組織横断的な課題については、関連する部署で構成し、部長級の責任者を配属した検討プロジェクトチームを配置しているとのことですが、実際はどのように役割分担を行い、課題の検討、実務的な作業が進められているのかお伺いをいたします。

 職員の働き方についても、新庁舎移転を契機とし、組織横断的なプロジェクト型の働き方を取り入れ、職員の創造性を引き出し、効率的かつ迅速に政策形成に係る意思決定を行える働き方を目指しているということがさきの情報政策等調査特別委員会にて報告されました。職員の創造性を引き出す執務環境として、ユニバーサルレイアウトによるデスク配置、職員が業務内容に合わせ適切なスペースを選択して効率的に働ける環境を整備するとあり、打合せスペース、相談室等を共用化するほか、消耗品や複合機を集約設置し、執務室を効率的に活用するとのことです。

 考え方としては理解できることもありますが、新庁舎に移転することで現庁舎と何が変わり、どうよくなっていくのかが分かりにくいようにも感じます。固定された場所だけにとらわれない働き方によって、どのような効果が期待できるのかについてきちんと検討して進めていただきたいと思います。今どのような課題があり、新庁舎ではどのような執務環境が働き方に好影響をつくるのか、それによってどのような効果が得られるのか、それがどう区民サービスの向上につながるのかをきっちりとお示しいただきたいと思います。

 以上で私の質問は全て終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋ちあき議員の御質問にお答えいたします。

 まず1点目に、中野区区有施設整備計画(案)についてのうち、初めに、区立保育園の配置計画についての御質問です。

 区立保育園につきましては、構造改革実行プログラムでも示しているとおりに、保育の質の維持・向上、障害児保育など、区立保育園が担うべき役割などを踏まえて一定数存続させることとしております。保育需要が減少した場合には、区立保育園は定員調整の役割を担う必要もあることから、直ちに閉園するのではなく、中長期的な視点で適正な配置を検討する必要があると考えております。今後、地域ごとの保育需要を見込んで、施設の耐用年数も考慮して、廃止や建替え整備の考え方を検討してまいりたいと考えております。

 次に、区立の幼稚園についての御質問でございます。かみさぎ幼稚園、それから、ひがしなかの幼稚園は、当分の間、区立の幼稚園として継続をする考えでございます。利用者の様々なライフスタイルに対応できる幼稚園型認定こども園の検討を続けることといたしまして、認定こども園の検討に当たっては、円滑な運営となるよう先行自治体の運営状況等も十分把握して検討を進めるところでございます。

 次に、児童館について、最初に児童館の配置数についてでございます。新たな機能を備えた児童館の配置は、地区懇談会の開催など、これまでの地域での子どもと子育て家庭を取り巻く支援、見守り活動が中学校単位で行われてきたことや、保育園、幼稚園、小学校、中学校の連携教育の中で継続した子どもたちの育成を行っていることを踏まえて、中学校区ごとに1館として、キッズ・プラザの整備に合わせ、最終的には9館としていく考えでございます。今後、施設整備や改修を行うなど、施設としての機能充実を図るとともに、中学校区内において効果的に事業を展開する考えでございます。

 続きまして、学童クラブ施設に転用する児童館についての御質問です。今後多くの待機児童が想定される小学校区において、閉館する児童館を学童クラブ施設に転用することで待機児童の解消を図る考えでございまして、転用後は児童館ではなく学童クラブ事業及び子育てひろば事業を行う区の施設という位置付けになります。主な利用対象者は、学童クラブ在籍児童と保護者、子育てひろばの利用の乳幼児親子、保護者を考えておりますが、地域全体で子育てを支援するため、地域の活動団体等と連携した運営に努めてまいります。今後5年間は小学生数が増加する見込みでありますので、学童クラブ需要も引き続き増加傾向にあると考えております。

 続きまして、今後の児童館の方向性についてでございます。新たな機能を備えた児童館は、子どもの居場所、交流等の基本機能に加え、子育て支援や地域の見守り、ネットワーク支援といった機能を強化し、すこやか福祉センターや子ども家庭支援センター、そして、児童相談所と連携した継続的な見守りを行うことで、子どもの地域包括ケアに資する役割を担っていく考えでございます。また、地域の学童クラブ、キッズ・プラザ、子育てひろば等への運営支援、そして、連携を進めることによって、子育て支援施策の向上を図ってまいります。

 続きまして、危機管理等対策会議についての記録等の掲載についての御質問です。

 危機管理等対策会議では、新型コロナウイルス感染症への対応に係る全庁的な協議、確認を行っておりまして、区民に伝える内容については各所管で取りまとめ、ホームページの各種お知らせや、新型コロナウイルス関連ページ及び各種SNS等の媒体で広報をしてまいりました。御指摘の会議記録の掲載等につきましては、区民が真に必要とする情報を適切に提供する観点から、様々な新型コロナウイルス感染症の情報との調整を図りつつ検討してまいります。

 続きまして、保健所の負担軽減策についてでございます。新型コロナウイルス感染症への対応で保健所の負担が大きくなっておりまして、その状態が長期化していることは認識をしております。そのため、中野区においても、これまで人材派遣や会計年度任用職員を活用し、保健師や看護師、事務職員の体制を強化してきたほか、業務委託も活用して保健所の負担を軽減できるように努めてきたところであります。そのほかにも、地域支えあい推進部において、自宅療養者の支援事業を実施するなど、区独自の対応も実施してきたところであります。また、第5波のように急激に想定していたレベルを超えて新規感染者数が増加した際には、迅速に全庁的な応援体制を構築し、保健所の業務をサポートしてきたところであります。今後も新規感染者数の動向に応じて、臨機応変に対応し、保健所に過度な負担がかからないよう、危機管理等対策会議において判断の上、適切に対応してまいります。

 最後に、ドキュメンタリー映画についての御質問がございました。本ドキュメンタリー映画は、昨年度の区保健所における新型コロナウイルス感染症対応の現状を捉えた貴重な映像と認識しておりまして、公衆衛生施策の推進や学生教育への活用も検討していると聞いております。区は、映画制作会社の取材、撮影に協力した立場でございまして、著作権は映画会社にありますが、区民への周知方法については、今後工夫してまいりたいと考えております。

〔新区役所整備担当部長滝瀬裕之登壇〕

○新区役所整備担当部長(滝瀬裕之) 私からは、新庁舎の進捗状況についてお答えいたします。

 まず、新庁舎の飲食スペースについてでございます。新庁舎1階はイベントスペースや飲食スペースなどを設置し、区民に開かれたにぎわいの空間として整備することとしており、手続や相談で区役所を訪れる方はもとより、公園利用者や近隣の方にも御利用いただける内容となるよう検討してまいります。飲食スペースにつきましては、誰もが安心して利用でき、くつろげる空間として整備する考えでございまして、利用者の健康にも配慮したメニューの導入など、今後検討してまいります。

 続きまして、飲食スペースの活用についてでございます。今後も中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業の進捗によりまして、中野サンプラザの宴会場が利用できなくなることにつきましては承知をしているところでございます。新庁舎1階の飲食スペースにつきましては、イベントスペースなどとの一体利用ができるような運用も想定し、検討してまいります。

 続きまして、新庁舎のイベントスペースの活用についてでございます。新庁舎1階は、区民に開かれたにぎわいの空間として整備することとしておりまして、イベントスペースにおいては、講演会や演奏会、スポーツイベントのパブリックビューイング会場など、様々なイベントの開催を想定してございます。イベントが開催されていない時間帯につきましても、誰もが気軽に休憩や学習などができるオープンスペースとしてイベントスペースを開放したいと考えております。

 災害時につきましては、災害情報の発信や被災者の相談機能などに活用していく計画でございまして、今後も様々な場面を想定してスペースを有効活用できるよう検討してまいります。

 続きまして、新庁舎の情報発信機能でございます。新庁舎1階には、ギャラリーやパネル展示スペース、区政情報や観光情報のコーナー、区民や各種団体の活動情報を発信するスペースの設置を計画しており、デジタルサイネージも活用しながら、情報発信の拠点として整備をしていく考えでございます。ギャラリーやパネル展示スペースでは、区民や各団体の作品の展示を開催できるよう整備するとともに、多くの方が気軽に立ち寄り楽しんでいただける催しを企画、検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、本体工事費以外の経費及びレイアウトの確定時期でございます。建物の本体工事費以外の経費といたしましては、窓口カウンターや机、椅子などの什器購入費、防災アンテナ移設経費及び会議室等に設置するAV機器などの別途工事費、引っ越し費用などを想定してございます。

 新庁舎のレイアウトにつきましては、今後継続的に更新作業を行い、令和6年度の組織体制の決定に合わせて確定をしていきたいと考えてございます。

 続きまして、新庁舎整備に係る課題検討の進め方についてでございます。新庁舎への移転に向けまして、新庁舎でのフロアごとの運用を検討するプロジェクトチームや、職員の働き方を検討するプロジェクトチームを立ち上げ、それぞれにリーダーとなる部長を配置して、その指揮の下、組織横断的な課題検討を進めているところでございます。それぞれのプロジェクトチームでは、各フロアにおける新庁舎での窓口サービスや、働き方について具体的な内容を検討し、それを実現するために必要なオフィス環境やICT環境などについて整理をしているところでございます。プロジェクトチームで検討を行い、方向性を決定し、課題整理を終えた内容については、新庁舎移転後にそれぞれの内容を所管して運用する部署において、予算編成や仕様調整など、実務的な作業を行うこととしてございます。

 この項の最後でございます。新庁舎での職員の新しい働き方についてでございます。新庁舎では、多様化する区政課題に対して適切に対応できるよう、職員間のコミュニケーションを活性化させ、所属する組織の枠組みを超えた組織横断的なプロジェクト型の働き方の実践を目指しております。現庁舎では、部署ごとに執務スペースは仕切られており、打合せスペースの不足やシステム環境の制約があり、部署を超えた働き方は難しいことから、新庁舎では、職員が業務に合わせて適切なスペースを選択し効果的に働ける環境を整備し、それを支える無線LANやユニファイドコミュニケーションといったICT環境の導入を検討しております。これにより幅広い視点に立った政策立案や迅速な合意形成を実現し、組織横断的な課題解決を図っていくことで、質の高い区民サービスをスピーディに展開していきたいと考えてございます。

〔高橋ちあき議員登壇〕

○34番(高橋ちあき) 再質問をさせていただきます。

 まず、保育園の件でありますけれども、御答弁の中には、中長期的に考えていかなくてはならないということをおっしゃってくださっておりました。これは、中長期的ではないと、物事を考えていくのになかなか進まないと思いますけれども、区有施設整備計画(案)の中ではなくて、保育園をどうするのか、公立保育園だけではなくて、私立保育園にも今委ねているところがあるので、しっかりとお願いしている私立保育園の皆さんにも影響のないように、そして、流れがどのようになるかということを示すためにも、保育園の計画性を持って作成をすることが大事ではないかなというふうに思いますので、学校再編のようにはいかないかもしれませんけれども、学校改築、再編、何年と年次で表せるようなことを考えられないのでしょうかとお尋ねいたします。

 それから、新区役所についてでありますけれども、本体工事以外の経費として、什器とか備品とか様々な経費があるのではないでしょうかということに対してのお答えは、想定しているで終わっていらっしゃるので、どれぐらいかかるかということを現在把握されているのかどうかお伺いをしたかったんです。

 それから、最後のいろいろ新庁舎になれば質の高い区民サービスを考えてというふうにおっしゃっていましたけれども、質の高い区民サービスはどのようなものを考えていらっしゃるのかお示ししていただければと思います。よろしくお願いします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋議員の再質問にお答えいたします。

 保育園については、私立保育園も含めて、将来的な区の保育園の考え方についてのビジョンをお示しするべきではないかという質問趣旨だと理解しております。今回の区有施設整備計画(案)においては、まだ子どもが徐々に増加している。まだ待機児童も一部発生しているということで、区立の保育園の施設整備も含めてお示しするにはもう少し時間がかかるというふうに考えております。次の区有施設整備計画の改定、見直しの際には、何らかの考え方を示せるように検討してまいりたいと思います。

〔新区役所整備担当部長滝瀬裕之登壇〕

○新区役所整備担当部長(滝瀬裕之) 高橋議員の再質問にお答えいたします。

 まず一つ目でございますけれども、本体工事費以外の経費につきまして、どの程度かといったようなことかと思います。様々な御案内した経費がございますけれども、現在積算をしているところでございまして、また、改めて別の機会に御案内をさせていただければと考えてございます。

 それから、質の高い区民サービスはどのようなものかということでございまして、こちらも先ほどの御答弁で、スピーディな展開とございますけれども、やはり区民の方にとりますと満足度の高いサービスというふうなことでございまして、その辺の具体的な内容も今後検討の上お示ししたいと考えてございます。

○副議長(酒井たくや) 以上で高橋ちあき議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 甲 田 ゆり子

 1 子どもの地域包括ケアと児童館について

 2 障がい児の地域包括ケアについて

 3 子ども・若者支援センターについて

 4 産前産後の支援について

 5 すこやか福祉センターについて

 6 西武新宿線沿線まちづくりについて

 7 その他

  (1)学校における動物飼育の推進について

  (2)その他

 

○副議長(酒井たくや) 次に、甲田ゆり子議員。

〔甲田ゆり子議員登壇〕

○14番(甲田ゆり子) 令和3年第3回定例会に当たりまして、公明党議員団の立場で一般質問を行わせていただきます。質問は通告どおりですので、よろしくお願いいたします。

 初めに、1、子どもの地域包括ケアと児童館について伺います。

 9月2日の子ども文教委員会において、新たな機能を備えた児童館についてと題し、令和4年度以降の児童館の具体的な事業案について報告がありました。この中では、児童館のこれまでの経緯を踏まえ、時代や社会の変遷とともに、いじめや不登校、ひきこもり、貧困、虐待といった社会的喫緊の課題、乳幼児期、高学年の児童や中・高生の学校、家庭以外の居場所の確保といった社会的課題に対応するため、新たな機能を備えた児童館は、子どもの居場所機能に加え、子育て支援や地域の見守り、ネットワーク支援機能を強化し、すこやか福祉センターや子ども家庭支援センター、児童相談所と連携した継続的な見守りを行うことで、子どもの地域包括ケアに資する役割を児童館が担っていくとしています。

 そこで、まずは、子どもの地域包括ケアについて伺います。私は、以前から子どもの地域包括ケアを構築すべきと訴えてまいりました。区の答弁は、いつも、全世代型の、もしくは全ての人への地域包括ケアをつくると言い、子どもの包括ケア体制については、すこやか福祉センターや子ども家庭支援センターが連携して行うと答えています。しかし、個別のケースワークの連携だけでなく、現在の社会的課題に対する予防策や、切れ目ない支援策の拡充について、子どもの地域包括ケアとして体系立てて構築する必要があると考えます。

 国は、自治体に対し、子育て世代包括支援センターの仕組みをつくるよう促し、フィンランドのネウボラに倣って、妊娠期から切れ目ない支援体制を構築する自治体は増えてきました。中野区の妊娠・出産・子育てトータルケア事業も同様のものですが、まだ道半ばで、妊娠期から乳幼児期ぐらいまでしかカバーできていないのが実情であると考えます。乳幼児期から就学期、中・高生、そして、成人までと、支援が必要な場合には一人も置き去りにすることなくキャッチアップできる体制づくりが必要であると考えますが、中野区では、子どもの地域包括ケアを体系化するつもりはあるのでしょうか、伺います。

 一方、支援対象者に対し適切な支援をコーディネートできる人材の配置も重要です。世田谷区では、世田谷版ネウボラ事業として体系化し、総合支所健康づくり課にネウボラチームをつくり、チームの構成員としては、地区担当の保健師のほか、母子保健コーディネーター、子育て応援相談員が非常勤職員として配置をされています。中野区も、国の補助事業である利用者支援事業をさらに活用し、民間活力も取り入れるなどして、母子保健と子育て支援、教育、障害分野、民間サービスをコーディネートする役割の人材を配置し、要支援の子どもだけでなく、広く一般の子どもにも、いざというときに切れ目ない支援が行えるシステムを構築し、見守りネットワークを強化すべきではないでしょうか、見解を伺います。

 児童館が子どもの地域包括ケアに資する拠点というのであれば、子育て世代包括支援センターの役割を持たせるということでしょうか。そうであれば、地域子育て支援コーディネーターを配置し、すこやか福祉センター、子ども家庭支援センターとの連携をしっかりと取れる体制にすべきで、子どもの包括ケアを構築、制度管理していく担当部署も明確にすべきではないでしょうか、伺います。

 次に、児童館の機能と施設配置について伺います。同委員会の報告では、新たな機能を備えた児童館は、持続可能な区政運営の観点や、子どもの日常生活圏域等を踏まえ、中学校区に1館とするとしたとの報告がありました。また、新たに強化する事業を展開するために、児童館の人的資源を確保した上で、地域包括ケア体制の推進やセーフティネットの強化に取り組むとしています。本来、地域包括ケアの拠点とするならば、区が区民の日常生活圏域としているすこやか福祉センターとの連携を最優先に考えた拠点配置や運営体制とすべきではないでしょうか。学校単位で考えるということは、従来の児童館のような子どもの放課後を中心とした居場所機能がメインと考えられているということなのではないでしょうか、伺います。

 児童館が地域包括ケアの拠点として連携支援する団体数は、もし1中学校区当たりとすると十数団体の町会・自治会、ほか地区単位にある青少年地区委員会など、かなりの広い範囲となります。子ども教育部所管の児童館職員がそれだけの地域団体ほか民間団体とも連携して支援するのは難しいのではないかと考えます。

 今後の児童館の運営についても、当初は区による直営なのか委託なのかが曖昧で、子ども文教委員会では、職員をどうするかで答弁が二転三転する場面がありました。今は、現在の職員を新たな機能を備えた児童館へと集約し、当面の間区が行うとされましたが、持続可能な観点についてどう考えたのか、全く見えないままの児童館半減計画となります。質疑の中では、今後3年間の構造改革の中で、委託も含めて検討すると答弁していますが、結局3年後になったら委託をする可能性もあるということなのでしょうか。近い将来の運営主体が不明確なままであることは極めて問題です。今回の児童館機能の考え方や施設配置と併せセットで考えるべきことではないかと考えますが、見解を伺います。

 今回の計画案は、必要なサービスの具体的な検討よりも先に、幾つ残すかとの数が先行したところから矛盾が生じています。子育て政策の大転換にもかかわらず、本当に現在の社会課題に対応できるとは思いがたく、我が会派は、児童館施設の再配置についてはいまだ検討が不十分であり、再検討を求め、この項の質問を終わります。

 次に、2番、障がい児の地域包括ケアについて伺います。

 本年6月、医療的ケア児支援法が成立し、今月より施行されます。医療的ケア児は全国的に増加傾向にあるとのことです。私は、生活全般に最も支援が必要な医療的ケア児、難病や小児がん、そして、障害のあるお子さんにとっての地域包括ケアの仕組みを順次構築すべきと考えています。中野区の医療的ケア児と難病や小児がんの子どもはそれぞれ何人ほどいて、どのように把握しているのでしょうか、伺います。

 それら当事者に対するワンストップの相談と支援の仕組みをつくるべきではないかと考えます。国は医療的ケア児のために、関係機関が協議の場を設けている松戸市のモデルを参考に協議の場を確保、及びコーディネーターの配置を求めています。中野区は、第2期障害児福祉計画において、対象児のための連携の場の確保、同じくコーディネーターの配置については、令和5年度までに完了するとしていますが、今後どのように進めていく検討をされているのか伺います。

 患者の基幹病院だけでなく、地域におけるかかりつけ医、訪問看護・介護などの在宅医療のネットワークがあれば、災害時や感染症など、いざというときに安心です。行く行くは保育所支援や通学支援、親の会のピアサポート支援などにおいても、地域で包括的なケアができることが理想的であると考えます。中野区医師会の中には、有志で小児在宅メーリングリストを作成して、こうした支援を開始されようとした小児科の医師がいらっしゃり、先日、会派の久保議員とともにお話を伺ってまいりました。このような医師等にも協力を仰ぎながら、医療的ケア児の在宅医療・介護のネットワークの構築を支援し、まずは可能なところからモデル地域をつくってみてはいかがでしょうか。

 障害児施策と一口に言っても、発達に課題のあるお子さんから、身体の障害、そして、重症心身障害児までと幅があります。その中で、特に重症心身障害児、医療的ケア児については、強力に支えていく施策を推進することが必要であり、そのために国の障害福祉政策にも精通した責任を持って推進する部署をつくるべきと考えます。その上で、障害児を支える地域医療、生活支援を含めたリソースを洗い出し、情報を常に更新しながら、障害児から障害者となっても一貫して切れ目なく支援できる体制づくりを急ぐべきと考えますが、区の見解を伺います。

 3番、子ども・若者支援センターについて伺います。

 いよいよ待望の子ども・若者支援センター等複合施設、みらいステップなかのが11月29日にオープンする運びとなりました。児童相談所の開設は来年4月からとされておりますが、子ども家庭支援センター、教育センターの機能は、この複合施設の中に入ります。開設を機に、これまで支援が十分でなかった義務教育終了後から40歳未満の若者の施策も行うとしていますが、実際にどのような施策を行う予定なのか伺います。

 不登校、ひきこもり生徒は近年増加傾向にあり、今後の支援策拡充が必要と考えます。現在は不登校生徒が中学校を卒業した後、どのような状態になっているのか区は把握していないと思います。進学先等での実態を把握し、相談できる窓口や、高校卒業に向けて支援をすべきではと考えますが、どのような相談体制、支援体制を考えているのでしょうか。

 また、高校、大学、就労先での悩みを相談できる場所、発達障害等の生きづらさを抱えた人の相談は、窓口だけでなく、居場所支援も大切です。義務教育終了後から高校、大学、就職という一番転機の多い多感な年代において、カフェやサロンといった居場所、また、同じような悩みを持つ人たちや先輩などの体験談が聞ける場をつくるなど、間口を広くした上で専門機関やカウンセリング相談に結びつくような、気軽に立ち寄れる工夫をしてはいかがでしょうか、併せて見解を伺います。

 また、来年の児童相談所設置に当たり、中野区の里親家庭が区の所管となります。現状、中野区の里親は十数家庭と聞いていますが、里親の普及啓発、認定前研修、養成とともに、里親の活動を側面から支える里親支援機関による包括的支援が重要です。里親支援機関について、どのような形で進めていくのか伺います。

 社会的養護のお子さんを家庭的な場所で育てていくことが子どもの権利擁護の最重要視点だと考えます。その鍵を握る里親さんに勇気と希望を与え、力を発揮していただくためにも、温かく適切な支援がされていくことを願い、この項の質問を終わります。

 5番、すこやか福祉センターについて伺います。

 すこやか福祉センター内での縦割りと基幹部署のバックアップ体制が取れていないことが大きな課題になっています。その証拠に、福祉のワンストップであるはずのすこやか福祉センターに行っても解決できないことが多く、連携もしてもらえなかったというケースが散見されているように思います。高齢者関連については、地域包括支援センターのバックに基幹型の包括支援センターがあるため機能していますが、問題は子どもと障害者の分野です。例えば育児疲れの親からの相談の際、支援メニューはないですと断られたという声を複数聞いています。たまたまそれを聞いた私が関係機関につなぎ、支援したこともあります。

 また、すこやか福祉センターが委託をしている障害者相談支援事業においては、一般相談から、事務手続、計画相談、勘案調査まで、多岐にわたる業務を行うに当たり、障害福祉課が基幹支援センターとして十分に機能できているのか疑問です。国からも重層的支援の体制強化が示される中、早急に組織としてバックアップを強化する体制に改革すべきと考えます。区は、すこやか福祉センターのバックアップについてどのような認識で、どのように改善するつもりなのか伺います。

 また、窓口の職員は、たとえ支援策がないと思ったとしても、相談を断らずに適切なサービスにつないでいくことが求められます。入り口で総合相談を受ける人のさらなる人材育成のため、研修の充実が必要と考えますが、見解を伺います。

 さらには、行政で解決できない問題を民間サービスにより解決させていくことも、孤立を防ぐ地域包括ケアの取組の一つであると考えます。私も区民相談を受けると、行政サービスだけでは解決できないものがたくさんあると感じています。そこで、相談事例を共有し、現在区役所で行っている無料専門相談の活用も促進していくべきではないでしょうか。

 現在区役所で民間各種団体の協力を得て行われているいわゆる専門相談は、最近利用が増えていると聞いています。弁護士による法律相談、社会保険労務相談、不動産相談、登記相談、行政書士による暮らしの手続と書類の相談、そして、LGBTにじいろ相談等について、実態把握と区民ニーズの把握を行い、マッチングと質、量の確保、拡充、そして、周知にも努めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、すこやか福祉センターの窓口等においては、このような民間資源も地域包括ケアの大切な担い手であると認識していくことが重要と考えます。役所内の連携だけではなく、社会福祉協議会や民間支援団体、民間サービスも含めた支えあいの資源を見える化し共有すべきと考えますが、見解を伺います。

 次に、4番、産前産後の支援について伺います。

 初めに、産前産後ケアの周知について伺います。産前産後の支援のメニューと流れについては、いま一度一般区民にも分かるよう周知、広報をすべきではないかと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、産後ケアを必要な人が受けることのできる体制づくりについて伺います。産後ケア事業の利用者について、厚生労働省のガイドラインでは、支援が必要と認められる者とされていますが、まだまだ必要な人に届いていない実態があります。産後ケアが必要かどうかの認定や承認は、主に産前のかんがるー面接時に申請を受けて行われています。すなわち、面接時のヒアリングにより必要があると確認された場合に申請ができ、ケアカードが発行される仕組みです。しかし、そのときは産後ケア事業が必要ないと感じていても、その後の変化で必要になるケースも多いことから、産前産後の体調や環境の変化にも的確に対応できるよう、面接や説明方法などを改善すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 改善方法の一つに、産後ケア事業を利用するために必要となる産後ケアカードについては、面接が行われた際には全員に一旦渡し、体調等の変化に応じて必要となった場合、本人がすぐ利用できるようにするべきではないでしょうか、伺います。

 全員に渡すことで利用者が増え、予算が膨らんでしまうから難しいと考えるのか。それとも、中野区が先進的に進めてきた大事な事業として、全ての必要な人、必要なときに利用していただき、中野区で子育てしてよかったと思っていただくのか。このどちらかの選択であると考えます。面接時に産後支援を必要と認めず、ケアカードは渡さずに、困ったらそのときはすこやか福祉センターに来てくださいと言われた例が少なからずあると聞いています。妊娠中期の面接時にはよく分からずに、そんなものかと思ってしまうことが多いようですが、産後、本当に困ったときというのは、体調も悪く、再度自分から面接に行くことは困難な状況であります。また、産後鬱や虐待のリスクを生んでしまいます。このことから、困ったらすぐに産後ケアの利用につながるという仕組みをつくるべきと考えますが、区長の見解を伺います。

 次に、6番、西武新宿線沿線まちづくりについて伺います。

 ここでは、工事が目に見えて進んできている新井薬師前、沼袋の駅周辺まちづくりについて伺います。地下化の完成時期は令和2年度末の完成予定でしたが、昨年の3月に、令和8年度末までと延伸されました。この計画どおりなら、あと5年で完成の運びとなります。区民の皆様からの声を代弁し、改めて伺いますが、地下化に伴う鉄道上部空間活用に関する西武鉄道との話合いは現状どのようになっているのでしょうか。

 あわせて、区は最新の区民ニーズを収集し、反映していくことが必要ではないでしょうか。見解を伺います。

 まちづくりを進めるに当たっては、地域住民と共に考え意見を交わすことが大切と考えています。その中で、西武新宿線沿線の新井薬師前駅、沼袋駅周辺地区では、地域住民によるまちづくり検討会やまちづくり協議会など様々な主体が中心となってまちづくりの検討を進めてきています。一方で、新型コロナウイルスの影響もあり、会議時間や参加者が限定的となっているケースもあると聞いており、このような制約のある状況下では、広く意見を募ることとなりにくく、発展的な議論となっていないと推察されます。今後、西武新宿線の地下化や駅前拠点や街路の整備が進んでいく中、ますます地域住民との協働のまちづくりが必要となってくるため、コロナ禍であっても、まちづくりの議論は加速させることが大切だと考えています。例えばオンラインを活用するなど、現在よりもさらに対策を強化して、地域との検討を定期的に行うようにしていくべきと考えますが、見解を伺います。

 現在、連続立体交差化の計画に沿って土地の買収などが進められていますが、沿線駅周辺のまちづくりは、商店街をはじめとした地域の活性化に向けた抜本的な再構築をするチャンスであり、まちづくりと連動して効果的な施策を打つべきと考えます。例えば高松市の丸亀商店街では、外部の専門家を活用して、商店街の課題の洗い出しから始め、課題解決のコンセプトとして、「人が住み、人が集うまち」を掲げて、斬新な商店街全体のレイアウトや改革に取り組んだことで有名です。中野区としても、このタイミングを逃さずに、専門家を活用し、効果的な商業振興及び地域の活性化に資する施策を行うべきと考えますが、伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、その他で、学校における動物飼育の推進について伺います。

 昨年度から、白桜小学校において、学校動物飼育推進校として2か年で行われている取組がありますが、現状について、教育委員会としてどのように把握しているのか伺います。

 白桜小学校で行った研修を基にして、今後区内で獣医師等との連携について検討すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 コロナ禍にあって、命の大切さを学ぶ大事な機会となった動物飼育推進教育を今後もさらに区内に広げていくべきと考えますが、教育委員会としての見解を伺いまして、以上で、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 甲田議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、子どもの地域包括ケアと児童館について、最初に、子どもの地域包括ケアの体系化についての御質問です。

 支援が必要な子どもや子育て家庭の抱える課題に関しましては、個別支援会議等において、主にすこやか福祉センター、子ども教育部の子育て関連部署、関係機関、関係者との連携によって支援を行っているところでございます。今後は、この個別支援会議を3層目の地域ケア個別会議に位置付け、支援プランの作成や共有、支援内容の評価を行う中で、解決のための仕組みや切れ目ない支援体制を強化していきたいと考えております。

 子どもや子育て世代の相談支援に係る区や関係機関の役割を明確にしつつ実施体制の検討を進めて、子どもや子育て世代の支援にしっかり取り組んでいけるよう、これは体系化を図っていこうと考えております。

 次に、民間活力も含めた切れ目ない見守りネットワークの強化についての御質問です。中野区においても、個別の子育て家庭のニーズを把握して、適切な施設、事業等を円滑に利用できるよう支援する利用者支援事業の国庫補助を活用しておりまして、すこやか福祉センターでは、利用者支援担当職員や母子保健支援コーディネーター職員を配置しているところであります。妊娠、出産、子育てにおいては、身近で寄り添ってくれる相談支援者や民間サービスも含む多様な支援につないでくれるコーディネーターの存在は、不安の解消や孤立の防止につながることからも、子どもの地域包括ケア体制の構築に向けた検討の中で強化を図ってまいりたいと考えております。

 次に、子どもの包括ケアの組織体制についてでございます。区における子育て世代包括支援センターの役割はすこやか福祉センターが担っているところでございまして、現時点では新たな機能を備えた児童館においては想定しておりません。子どもの地域包括ケアの構築に向けて、子どもに関わる部門がそれぞれの役割に基づき検討を進めておりますが、組織体制も含めた円滑な連携方法について、今後検討してまいります。

 地域包括ケアにおける児童館の役割についてでございます。小学生の放課後の居場所機能につきましては、キッズ・プラザに移行していく計画でございます。地区懇談会の開催など、これまでの地域での子どもと子育て家庭を取り巻く支援や見守り活動が中学校単位で行われてきたこと、また保育園、幼稚園、小学校、中学校の連携教育の中で、継続した子どもたちの育成を行っていることを踏まえて、新たな機能を備えた児童館は中学校区に1館の配置といたしました。児童館を中学校区に1館の配置とすることで、人的資源を集約し、機能の強化を図って、子どもの地域包括ケアに資する役割を担うものと考えております。

 次に、児童館の委託の検討についての御質問です。新たな機能を備えた児童館は、地域で活動する団体の活動支援や課題のある子どもの見守り、各地域での子育て課題の発見、地域の子ども施設の運営支援や関係機関との連携を進めていくものでございまして、福祉職員を配置して、区による運営を行っていく考えでございます。今後、構造改革の検討において、新たな機能を備えた児童館の担う役割と効果を検証し、委託の可能性も含めて効果的効率的な運営方法を検討してまいります。

 なお、3年後にすぐに委託をすることはないと考えております。

 なお、令和4年度より、学童クラブ事業及び子育てひろば事業を行う施設へ転用する児童館は、民間委託による事業運営を予定しております。

 続きまして、障害児の地域包括ケアについてで、医療的ケア児の数とその把握でございます。

 医療的ケアが必要な子どもは50名おりまして、障害児通所支援や訪問看護ステーション、障害福祉サービスの利用等により状況を把握しているところでございます。小児慢性特定疾病は厚生労働大臣が指定する疾病であり、必ずしも難病に指定された疾病ではございませんが、小児慢性特定疾病医療費助成の令和2年度の申請者数は、区で97名でございます。小児慢性特定疾患医療費助成の対象者のうち、がんに該当する方を抽出しますと、令和2年度の申請者数は14名でございます。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、受給者証の更新が自動更新となったことから、例年より少ない申請数となっております。

 次に、対象児の連携の場とコーディネーターの配置の進め方でございます。医療的ケア児や、難病や小児がんの子どもには、地域において必要な支援を円滑に受けることができるよう医療機関、訪問看護、障害福祉サービス事業者、保育、教育等、多くの支援機関が有機的に連携をし、対象児についての情報や支援内容を共有するための体制整備が必要でありまして、そのための連携の場については、関係部署内で協議を進めてまいります。保護者支援も含めた総合的な支援を行うためのコーディネーターの配置につきましては、すこやか福祉センター等の保健師による東京都の医療的ケア児コーディネーター研修の受講を計画しているところでございます。

 次に、医療的ケア児の在宅医療、介護ネットワークモデル地域の構築についてでございます。中野区医師会の小児在宅医療に取り組むネットワーク活動については承知をしているところでございます。今後、中野区としてのモデルケースを構築していく際には、中野区医師会をはじめ、中野区で先駆的活動をしている方たちの御意見を参考にしてまいりたいと考えております。

 次に、障害児支援の体制づくりを統括する部署についてでございます。区は、利用者の声を反映した重症心身障害児者在宅レスパイト事業の拡充等によって、医療的ケアが必要な方への環境整備や支援の拡充を図ってきたところでございます。障害児支援につきましては、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立し、施行されることもありまして、区としての喫緊の課題であります。すこやか福祉センター、障害福祉課、子ども特別支援課が中心となって支援体制づくりを進めてまいります。

 次に、子ども・若者支援センターについてで、まず若者支援の事業内容についてでございます。

 子ども・若者支援センターで実施する若者支援事業につきましては、就学や就労に課題を抱えている若者や、その家族の悩みや心配事などを聞き取り、他人や社会との関係性が再構築できるように助言、支援を行う考えでございます。また、すこやか福祉センターや学校、医療機関などと連携し、多面的な支援を行うとともに、中野くらしサポートなどとも連携し、自立に向けた就労支援を行います。さらに、若者の悩みや心配事などを把握するために、社会福祉協議会やNPOなどと情報交換を行い相談支援に生かしてまいります。

 次に、不登校児童等の中学校卒業後の支援についてでございます。中学校在学中、不登校傾向があった生徒に関する情報については、区立中学校とすこやか福祉センターで共有し、卒業生に対する支援を行っております。子ども・若者支援センター開設後は、子ども・若者支援センターでも情報を共有しまして、進学先の高校とも連携をしながら、継続的な支援を行っていく考えでございます。

 次に、若者に対する居場所支援についてでございます。若者及びその家族に対する継続的な支援を行っていくためには、気軽に来所することができて、どんな小さな相談でもためらうことのないような雰囲気のスペースを設けることが必要だと考えております。子ども・若者支援センター内に若者が気軽に立ち寄ることのできるスペースを設けることについて、現在検討を進めているところでございます。

 次に、里親支援機関についてです。子どもの最善の利益を達成するために必要な質の高い里親養育を実現するためには、里親制度の普及啓発、里親に対する研修やトレーニング、相談支援などを一貫して継続的に提供できる体制を構築することが必要であります。里親支援の実績がある民間団体に里親支援業務を包括的に委託することによって、里親支援機関を設置し、里親に対して質の高い支援ができる体制を構築してまいります。

 次に、産前産後の支援についての項で、最初に、産前産後の支援メニューの周知についてでございます。

 現在、妊産婦に対しては、母子手帳の交付や妊娠中期のかんがるー面接のほか、妊娠後期の経過確認の際も含め、産前産後ケアサービスに関する情報提供を行っておりまして、妊産婦以外の方に対しても、区報やホームページへの掲載を通じて広報を行っております。今後も産前産後ケアサービスの内容や利用の流れなどについて、多くの方に御理解をいただけるよう、区報などを通じて広報に努めてまいります。

 続きまして、産後ケア事業の説明方法の改善でございます。産後ケア事業の利用承認につきましては、かんがるー面接時以外にも、妊娠32週に行う保健師からの状況確認のほか、妊産婦からの申出に応じて、訪問やオンラインによる面接により状況を確認し、逐次行っているところでございます。助産師会にも御協力をいただき、かんがるー面接時に支援が必要な方への利用承認が的確に行えるよう、面接の進め方や説明方法の改善を進めているところでございます。

 私からの最後に、産後ケアカードの交付方法についてでございます。厚生労働省のガイドライン等によれば、産後における心身の不調や育児不安、その他支援の必要性を市区町村が認定し、産後ケア事業の対象者として決定するものとされております。かんがるー面接時に全ての方に産後ケアカードをお渡しすることによって、必要時早期にサービスが利用でき、利便性の向上につながると考えられますが、支援を必要とする方が適切にサービスを受けられるよう、担い手側の体制も踏まえて、子育て先進区実現の観点から検討してまいりたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、その他の学校における動物飼育の推進についてお答えいたします。

 まず、学校動物飼育推進校の現状でございます。東京都教育委員会の学校動物飼育推進校に、令和2年から2年間、中野区では白桜小学校が指定されております。教育委員会でも指導主事が学校を訪問したり、東京都の連絡会に同席するなど、白桜小学校の取組を支援しております。白桜小学校では、モルモットやチャボを飼育しており、獣医師から、1年生、2年生はモルモットの育て方について、5年生、6年生は生態や飼育環境、衛生についての講義を受けました。白桜小学校では、日々の飼育を通して、児童が命の大切さを学んでおります。白桜小学校は、東京都指定校10校の代表として、令和3年9月12日に、全国学校動物飼育研究会にてこれまでの研究の成果を発表いたしました。

 次に、獣医師会との連携でございます。推進校におきましては、担当獣医師に係る費用は東京都で予算化されており、白桜小学校では、飼育動物が病気になった際には、担当獣医師の治療を受けることができております。獣医師会が作成した飼育方法や病気の予防などの資料につきましては、教育委員会を通して区内全校へ配付しております。今後、白桜小学校の2年間の研究成果を踏まえ、獣医師会との連携の可能性について研究してまいります。

 最後に、今後の動物飼育推進教育についてです。現在白桜小学校以外の学校では、ウサギやモルモット、小鳥、亀などを含めた小動物が飼育されております。動物を飼育することは生命を大切にする心や他人を思いやる心を育む上で教育的効果は大きい一方、長期休業中の世話、子どもたちのアレルギーや衛生面での問題などもありまして、全ての保護者の同意を得ていくには難しい面もございます。動物飼育につきましては、学校の環境や児童・生徒の状況、保護者の理解などを踏まえながら、各校が判断していくものでございます。今回の白桜小学校の研究成果を区内全校で共有し、動物飼育を実施する学校に対しましては、必要な支援を行ってまいります。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、すこやか福祉センターについてお答えいたします。

 初めに、すこやか福祉センターのバックアップ体制の強化についてでございます。子どもの分野に関しましては、子ども家庭支援センターと、虐待が疑われるケース等について、日々の情報共有や年4回のケースに関する進行管理会議において連携を図ってございます。障害者につきましても、障害福祉課と障害福祉サービスに関し日々情報を共有し、また、定期的な情報連絡会を通じ連携を図ってございます。今後、子どもの分野においては、これから開始いたします子ども・若者支援センターや児童相談所との役割分担を明確にして、寄り添い、支援の強化を図ってまいります。

 また、障害者の分野につきましては、障害福祉課と事業の進め方を再確認しながら、役割分担を明確にし、すこやか福祉センターのバックアップ体制や連携を強化してまいります。

 次に、人材育成の充実についてでございます。相談者のニーズに的確に対応するため、相談を受ける者には、支援のための専門的な知識やスキルのみならず、コミュニケーション力も必要でございます。こうした努力を兼ね備えた人材を育成するため、研修を充実させる必要があると考えています。また、保健師等の専門職については、その担うべき役割を明確化した上で体系的な研修を実施するほか、関係部署間、または、すこやか福祉センター間で、ジョブローテーションを実施することなどにより、計画的に人材育成を行ってまいります。

 続きまして、区役所で行っている専門相談等の拡充等についてでございます。現在、すこやか福祉センターでは、相談窓口に訪れた方の相談内容に応じまして、区の専門相談や行政、民間団体が実施している相談窓口を案内し、解決に結びつけているところでございます。また、地域包括支援センターの相談業務におきましては、従事者に対して、法律相談や不動産会との情報共有の機会を持つなど、多様な視点で課題解決が図れるよう努めているところでございます。区民が抱える課題は生活全般にわたり、支援が必要なケースも少なくないことから、地域包括ケア体制においても、これまで支援してきた事例を通して、社会保険、労務管理、登記相談、ほか専門相談が必要な方へは確実にマッチング等ができるよう連携の仕組みを考えてまいります。

 最後に、支えあい、資源の見える化についてでございます。支援を必要とする方がどこの窓口に最初に訪れたとしても、その人にとって適切な支援につながることが重要です。そのために、区や関係機関、民間の社会資源が地域のどこにあり、どんな支援やサービスが実施されているかが一目で分かるよう、地図情報なども用いて分かりやすく集約し、関係者間で共有するとともに、区民に対しても周知していくことが必要であると考えてございます。

〔まちづくり推進部長豊川士朗登壇〕

○まちづくり推進部長(豊川士朗) 私からは、西武新宿線沿線まちづくりのうち2点お答えいたします。

 まず、鉄道上部空間活用の検討についてでございます。鉄道上部空間の活用に関する西武鉄道株式会社との調整につきましては、本年度中協議体制を構築していく予定でございます。一部公共利用が可能な鉄道上部空間は、西武鉄道株式会社の事業用資産であることから、資産活用に関する企業方針との調整を図りながら、並行して区民意見を集約し、調整に反映していきたいと考えてございます。

 それから、新型コロナウイルス感染拡大の状況下におけるまちづくりについてでございます。新井薬師前駅、沼袋駅周辺地区では、まちづくり協議会や検討会や協議会をはじめとする様々な団体がまちづくりの検討を重ねてございます。昨年度より、新型コロナウイルスの感染拡大により、会の運営も影響を受けておりますが、感染対策をしながら、短時間の会議開催や書面による開催など、様々な工夫をしながら検討を進めるようにしてございます。区は、引き続きオンラインも含む様々な手法を活用し、広く区民の意見を聞く機会を設け、まちづくりの検討が深まるように努めてまいります。

〔区民部長鳥井文哉登壇〕

○区民部長(鳥井文哉) 私からは、西武新宿線沿線まちづくりにつきまして、専門家の活用による商業振興等についてお答えいたします。

 まちづくりは地域の活性化に向けてよいきっかけとなると考えておりまして、商店街を中心としたまちのにぎわいや地域コミュニティの活性化など、ソフトな面でも様々な可能性があると考えているところでございます。商店街に対する支援制度では、国、東京都、区においても、専門家の派遣や現況の調査、分析業務への補助など、現在でも様々な制度がございますが、まちづくり事業では、商店街を中心とした地域活性化に加えて、さらに広く地域に波及させていくことが必要だと考えているところです。

 支援に当たりましては、道路拡幅事業完了後の商店街の再生や地域の活性化、さらに新たな課題への対応など、幅広い課題があることから、専門家の活用など、今後の商店街を含めた地域活性化の在り方について検討してまいります。

○副議長(酒井たくや) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(酒井たくや) 御異議ありませんので、さよう決定します。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時28分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 内川 和久

       副議長 酒井 たくや

       議 員 甲田 ゆり子

       議 員 中村 延子