令和4年02月15日中野区議会本会議(第1回定例会)
令和4年02月15日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録

.令和4年(2022年)2月15日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番     欠  員

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  内  川  和  久

 22番  若  林  しげお        23番  高  橋  かずちか

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 40番  むとう   有  子       41番  長  沢  和  彦

 42番  来  住  和  行

.欠席議員

 14番  甲  田  ゆり子

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      構造改革担当部長 石 井 大 輔

 総 務 部 長  海老沢 憲 一      防災危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之

 区 民 部 長  鳥 井 文 哉      健康福祉部長  岩 浅 英 樹

 保 健 所 長  佐 藤 壽志子      都市基盤部長  奈 良 浩 二

 まちづくり推進部長 豊 川 士 朗     中野駅周辺まちづくり担当部長 松 前 友香子

 企画部企画課長   堀 越 恵美子     総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  松 丸 晃 大      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  五十嵐 一 生      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  本 多 正 篤      書     記  金 木 崇 太

 

 議事日程(令和4年(2022年)2月15日午後1時開議)

日程第1 第7号議案 令和4年度中野区一般会計予算

 

午後1時00分開議

○議長(内川和久) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了願います。

 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、中村延子議員、大内しんご議員、平山英明議員、浦野さとみ議員、渡辺たけし議員、ひやま隆議員、若林しげお議員、小林ぜんいち議員、来住和行議員、斉藤ゆり議員、高橋かずちか議員、日野たかし議員、間ひとみ議員、伊藤正信議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、竹村あきひろ議員、立石りお議員、吉田康一郎議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 中 村 延 子

 1 施政方針説明について

  (1)区長の4年間の実績と総括について

  (2)新型コロナウイルス感染症対策について

  (3)財政運営について

  (4)子育て先進区について

  (5)中野駅周辺の施設マネジメントについて

  (6)新庁舎整備とDX推進について

  (7)その他

 2 その他

 

○議長(内川和久) 最初に、中村延子議員。

〔中村延子議員登壇〕

○28番(中村延子) 令和4年第1回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はございません。

 初めに、施政方針説明のうち、(1)区長の4年間の実績と総括について伺います。

 区長は、4年間の区政運営を振り返り、今後の課題を示された後、「引き続き区政という重責を担うことに全力で臨む決意を新たにいたしました」と2期目の出馬宣言をされました。区長は、就任後初の区議会で所信表明を述べられ、その際に四つの柱として掲げられた一つ目が「中野区を子育て先進区へ」です。子育て先進区を目指すにことを目標に持ったことにより、多くの子育て支援や子ども施策が前進したことは大変評価しています。今定例会で審議予定の子どもの権利に関する条例や、さらには来年度改定予定があり、子どもの貧困対策計画や子ども・若者計画なども含まれる子ども・子育て支援事業計画などにも期待をしています。

 区長は、所信表明で多くの実績を述べられました。それらの事例以外にも、区立保育園の一定数の存続、保育園の医療的ケア児の受入れ、区立保育園使用済みおむつの持ち帰りの廃止、保育園入園案内の冊子見直し、区立幼稚園の存続、就学援助対象者の拡充などがあります。こうした取組の影響もあり、2021年度版「共働き子育てしやすい街ランキング」東京編では、6位に中野区がランクインしました。子育て先進区の実現に向けた道筋は明らかになり、多くの新たな取組に着手することができました。実効性を高めるための工夫に努め、今後もしっかりと進めていただきたいと考えます。

 国は、「こどもまんなか社会」の実現に向けて、令和5年度にこども家庭庁を創設する予定であり、昨年12月に内閣官房にこども家庭庁設置法案等準備室を設置しました。ようやく国が同じ方向を向いてきたことは歓迎します。

 先日、区の子ども・子育て会議において、同室内閣審議官が子ども政策とこども家庭庁創設について講演されました。その中で、子ども政策に関し、他省に属しない事務を担い、各省庁の間で抜け落ちることがないよう必要な取組を行うとともに、新規の政策課題に取り組むことをポイントとして挙げ、そのために予算と人員体制を十分に確保していくと、意欲的にお話をされていました。

 区長は施政方針説明において、子育て先進区を目指し、国や都の政策をリードしていくと述べていますが、そのためにはこども家庭庁創設を見据えて、予算や人員の確保などの体制拡充を進めていくことが必要であると考えます。区長の決意を伺います。

 次に、児童館について伺います。

 1月31日に開かれた子ども文教委員会では、令和4年度児童館運営についてが報告されました。第4回定例会で児童館条例の一部改正が否決されたことを踏まえ、18館の運営をするというものです。令和4年度の運営について、子ども文教委員会では、会計年度任用職員や派遣活用も考えていく旨の御答弁がありました。

 しかしながら、我が会派としては、児童館は地域のネットワークをつくるための公平性、安定的な事業経営、公共性、継続性が必要であり、当面の間、区の職員による直営での運営が必要と考えます。また、児童館を集約化し、中野区の積み重ねてきた直営での児童館運営のノウハウの共有や人材育成のできる環境を早急に整備するべきです。令和4年度も直営の方向性が示されていますが、どのように体制を構築し、ノウハウの継承、人材育成を行っていくのか、区の見解を伺います。

 さきに策定された区有施設整備計画は、計画的に財源を確保しながら、区民のニーズに応じたサービスの提供のための適正配置と安全・安心な施設利用のための更新保全を行うとしています。4年前、区長は、児童館を一定数残すことを公約として区長選に当選されました。第4回定例会において条例は可決されませんでしたが、児童館を含む地域子ども施設の整備を着実に進めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。

 区長は、就任以降、ボトムアップ型の区政を目指されてきました。ボトムアップには、区民との対話によるものと区役所内職員からの提案によるものとがあります。まず、区民との対話について伺います。

 これまで区民と区長のタウンミーティングにとどまらず、児童館で子育て家庭との意見交換会「子育てカフェ」も行ってきました。こうしたタウンミーティングに加え、区長自らが様々な子ども関連団体や介護福祉の事業所へ足を運び、現場の声を聞いてきました。さらに、基本構想策定時の無作為抽出ワークショップの実施なども区民との対話を大切にしてきた姿勢と捉えています。これまで行ってきた対話の効果を区長はどのように捉えているのでしょうか、伺います。

 こうした取組は、前区政では行っていませんでした。以前視察に伺った豊島区では、若年女性施策を推進する際に、NPOや地域団体からの現場の声によりスピーディーに施策を進めることができたと伺いました。日頃から関係を築いていくことの大切さを学びました。区は、こうした団体や事業者との関係構築を今後どのように行っていくのか、伺います。

 区長は、施政方針説明で、区民と区長のタウンミーティングの実施方法を工夫することにより、広聴機能の向上に努めますとのことですが、具体的にどう考えているのか、伺います。

 また、区民との対話の前提として、区政の情報が届いていることが必要だとしています。これまで我が会派からも様々な提案をしてきました。区の情報発信力を高めるとともに、ホームページなどのユニバーサルデザインを進めたことは評価します。最初に取り組んだ区報のカラー化や広報アドバイザーの導入、SNSの充実も図られ、区民によりスピーディーに情報が届くようになりました。こうした取組の積み重ねがコロナ対策での発信にもつながったと感じています。

 令和4年度予算での検討中の主な取組では、ホームページ改修に取り組むとされています。利用する区民目線での改善やさらなる多言語化、またホームページ上のアンケート機能の向上が進むことを期待しています。

 広報の目的は、必要な人に必要な情報が届くということです。以前の区政では、ほとんどの事業について、区報とホームページで案内しているだけの状況でした。ひとり親世帯への給付金や高齢者へのワクチン接種予約支援は、支援が必要な方々に必要な情報を届けようという姿勢が見られ、まさに区長の考えるアウトリーチの考え方に基づいています。今後は、区役所全体がこうした広報マインドを持つことが必要です。若手職員に対する広報の研修は行われていますが、それと併せて広報アドバイザーのさらなる活用も必要だと考えます。区の見解をお聞かせください。

 次に、ボトムアップ型の区政への転換のうち、職員からの提案について伺います。

 施政方針説明では、職員提案制度を改善したと記載がありますが、どのように改善したのか、伺います。

 一方で、各部署発信の政策提案は、その数も質も部署によって差異が大きいのではないかと感じます。庁舎内のボトムアップ型の区政への転換はまだ道半ばであり、課題があると感じています。令和2年度予算は執行停止がありました。本来は、それらの事業は令和3年度予算で最優先に取り組むべきはずなのに、予算化されていないものもあります。ボトムアップできる文化を創るためには、職員のモチベーションを継続することも重要です。現在の評価制度は、企画部や子ども教育政策課など、政策をつかさどる部署と管理系の部署で人事評価の基準が同じです。政策を生み出すことに評価軸をシフトしなければ、長年培った区役所文化は変わらないと考えます。人事評価の仕組みを変えるなど、取り組んでいくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 以上の4点は、成果が上がりつつあると言えますが、課題もあります。基本構想で示した、目指すべきまちの姿の実現に向けて、中長期的視点も持ちつつ、区長が先頭に立って取組をしっかりと進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか、伺いまして、この項の質問を終わります。

 (2)新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 初めに、ワクチンについて伺います。

 まずは、3回目接種について伺います。64歳以下の区民は、3月1日に2回目接種から7か月経過とする予定でしたが、予約状況に余裕が見込まれるため、同日付で6か月経過後に前倒しすることとされました。同時に、中野サンプラザで行われている集団接種の空き枠を利用し、保育士等への接種を促していくこととしました。

 昨年8月、千葉県で起きてしまった陽性妊婦による死産は大変痛ましく、中野区でも妊婦への1、2回目のワクチン接種の優先枠をつくりました。妊婦は、死産や流産の危険性が高くなることだけにとどまらず、感染してしまうと対処法としても飲める薬が限られていること、また重症化リスクも高いことが分かっています。現在は妊婦を受け入れる病床も逼迫しています。特段リスクの高い妊婦に対する優先枠を設けるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 新型コロナウイルスワクチンについては、妊婦以外の対象者は接種が努力義務となっています。一方で、先ほど述べたように、感染をするとリスクが非常に高いのも妊婦です。アメリカCDCは、妊婦へのワクチン接種を強く推奨しています。日本産婦人科学会も推奨しています。さらに、日本産婦人科学会は、1月17日に厚生労働省に対し、妊婦の3回目接種に対する優先接種の要望を出されています。こうした背景がある中で、妊婦に対するワクチンの安全性や、また罹患することへのリスクに関して特段の情報提供が必要だと考えます。ワクチン接種担当でチラシ等を作成し、妊娠届の際や、かんがるー面接時に活用し、広報をしていく必要があると考えます。区の見解をお示しください。

 次に、5歳から11歳の接種について伺います。

 11歳で1回目を接種し、12歳で2回目となった場合の対応などについては、国の動向を見定め、医師会と十分に連携をし、混乱のないよう対応していただくようお願いをいたします。また、11歳以下のワクチンを扱う医療機関は、11歳以下ファイザー社製、12歳以上ファイザー社製、モデルナ社製の最大計3種類のワクチンを取り扱う医療機関も出てきます。くれぐれも接種間違いの事故が起きないよう、徹底していただく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 次に、検査体制について伺います。

 第6波では、医療機関で使用されている抗原検査キットが足りなくなってしまい、発熱外来等でPCR検査にしわ寄せが行き、それにより検査結果の通知が遅くなってしまったケースもあったと聞いています。抗原検査キットの不足は、急激な感染拡大により、全国的に広がり、政府が事業所に増産の依頼をする事態となりました。思い返せば、昨年末に国から学校等へ一定数の抗原検査キットが配布をされ、中野区でも学校で活用されていると聞いています。不安に寄り添うことも必要ですが、こうした急激な感染拡大時には、いかに症状がある人がすぐに検査を受けられる体制を維持できるかが、重症化や死亡事例を出さないことにつながります。行政機関が持ち合わせていれば、区内の発熱外来を実施している医療機関に配布することができたと考えます。一義的には国で検討すべき課題ではありますが、区としても今後さらなる感染拡大が起きた際には必要な備えをしておくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、保健所機能について伺います。

 12月8日の危機管理・感染症対策調査特別委員会には、第5波の検証と今後の課題についてが報告されました。それまでは1日当たりの陽性者数最大250人と想定したフェーズ5までの保健所体制を設定していましたが、第5波を受けて、1日最大500人を見据えて、フェーズ8までを想定した人員体制を整備されました。今回の第6波では、その想定をも上回る感染急拡大がありました。

 2月1日の委員会時点では、フェーズ8の人員体制に、さらに全庁応援も10名追加している旨の御答弁がありました。その前日から、東京都が「うちさぽ東京」を設置し、中野区でも2月1日から活用しています。それを踏まえた保健所体制は、現在どのようになっているのか、伺います。

 第5波では、東京都での感染者数は最大6,000人弱でしたが、第6波では、2万人を超えました。最大1日当たり陽性者数が1,000人規模となってもおかしくなく、フェーズ9以降の設定が早急に求められます。オミクロン株よりも感染性が高い変異株も出てくる可能性もあることから、さらなる感染拡大時のための体制整備も必要と考えます。見解をお聞かせください。

 次に、危機管理体制について伺います。

 2月1日の危機管理・感染症対策調査特別委員会には、オミクロン株感染拡大に係る事業継続計画の緊急点検等についてが報告されました。1月19日のまん延防止措置等重点措置決定とともに、東京都が事業者に対して事業継続計画の再点検が要請されていることから、緊急点検を行った旨の報告でした。

 保健所応援体制等の対応も含めた職員の想定欠勤率は20%で、点検を行った業務の対象期間は2月1日から3月31日です。今回、点検を行った旨の報告はされましたが、その中身については報告されませんでした。必要な区民サービスの着実な確保、継続を図るためとはいえ、その中身には区民サービスに影響を及ぼすものも含まれていることと考えます。区民の皆さんに御理解を頂くためにも公表が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 保健所体制は、12月に報告があったように、第5波を受けて感染拡大に向けた体制整備が行われました。一方で、今回の緊急点検についても公表はされておらず、応援する側の体制整備ができているのか、見えづらい状況にあります。区の職員が行っている業務には、インフラに関わる事業や、保健所の逼迫により業務が増えた部署などもあり、一律に人を出すことはできないと考えます。杉並区では、図書館を閉鎖して応援職員を拠出するなど、思い切った対応を実施しました。

 中野区では、平成30年に中野区政のBCP、中野区事業継続計画を改定しました。その後、組織編成や事務事業が見直される中で、これまでこの計画を改定したという報告は受けていません。今回の新型コロナウイルス感染症は、まさに危機発生時に当たると思いますが、区は現在この計画に基づく対応ができているのでしょうか。計画の見直しが必要と考えますが、いかがでしょうか。

 第6波は感染拡大が急速で、対応が後手に回らざるを得なかった面があることは否めません。しかし、こうした緊急時においては、思い切った対策が必要であり、区長がリーダーシップを取って大胆かつ迅速な対策を実施していくことが求められます。そのためには、危機管理部門が権限を持って対応していくべきと考えますが、区の見解をお示しください。

 (3)財政運営について伺います。

 令和4年度当初予算案は、一般会計が1,579億3,500万円と過去最高となりました。詳細は予算特別委員会での議論となりますが、財政運営について伺います。

 来年度当初予算案は、数字を見ると、令和2年度よりも歳入が増えており、良い予算に見えます。新型コロナウイルス感染症は、様々な変異株の出現により、なかなか収束の見通しが取れないことは事実です。また、今後の扶助費や施設更新経費の増加など、財政的な課題が近い将来に待っていることも事実です。

 一方で、今年度第11次補正予算では、歳入の上振れが計100億円にも上りました。緊張感を持った財政運営が必要だという認識は共有していますが、一方で財政の非常事態と呼べる状況にはないと考えます。いま一度、区の見解をお示しください。

 来年度予算編成においては、基準となる一般財源規模を令和3年度と同様に687億円とされました。歳入の一般財源は803億円で、116億円も超過しています。また、一般財源充当事業費は761億円となり、74億円財調基金からの繰入れを行っています。こうした状況は、基準となる一般財源規模があってないようなものに見えてしまいます。

 新型コロナウイルス感染症の蔓延以前は、基本計画にて財政運営の考え方を整理しお示しする予定でしたが、一般財源は少なくとも10年間は令和2年度の水準には戻らないと予測していたため、基本計画では基準となる一般財源規模の考え方を踏襲し、また687億円と設定されました。その予測は、1年間で大きく乖離しました。

 豊島区では、投資的経費を除く歳出に必要な一般財源は標準財政規模で行うことや、財政調整基金の残高は標準財政規模の2割以上、公債費比率の目標を10%以下と設定し、財政規律を守っています。他区のこうした事例も参考にしながら、財政規律を保つ新たな財政運営の考え方について検討をするべきと考えます。なるべく早期に新しい考え方を議会へ示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 (4)子育て先進区について伺います。

 妊娠・出産・子育てトータルケア事業について伺います。

 1月18日の厚生委員会に、妊娠・出産・子育てトータルケア事業の改善・拡充に向けた考え方についてが報告されました。かんがるー面接時に、全ての妊婦にケアカードを発行することや、利用者自身のニーズに沿ったものを選択しやすくなるように改善されること、また経産婦を対象とした事業を実施することなど、これまで会派として求めてきた改善がされることは高く評価しています。何よりも全ての妊婦が支援を必要とする存在であるとの観点は非常に重要であり、区の姿勢を非常に高く評価しています。

 今回の拡充の中にも、家事・育児支援サポーター養成講座受講費用助成対象規模を拡充など、担い手不足解消のためのものが含まれています。今なお産前産後家事・育児支援事業の予約が取れず、一番必要な産褥期に使えないことがあると聞こえてきます。かんがるー面接時に産前プランニングができるよう案内することも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、ペリネイタルロス、死産や流産による赤ちゃんとのお別れへのケアについて伺います。

 妊娠・出産時の支援は、徐々に増えてきました。一方で、流産は全体の妊娠の15%前後に上ると言われています。また、死産は2%前後と言われています。高齢出産が増える中で、この割合は年々増加傾向にあります。意外と多くの女性が経験しているのにもかかわらず、あまりその実情は知られていません。

 令和3年5月31日に、厚生労働省から各自治体へ「流産や死産を経験した女性等への心理社会的支援等について」という通知が発出されました。この中では、出産には流産及び死産の場合も含まれるとされており、子育て世代包括支援センターにおける支援をはじめとする各種母子保健施策の実施の際には、流産や死産を経験した女性を含め、きめ細やかな支援を行うための体制整備に努めることとされています。

 中野区では、産後ケア等の事業に、流産、死産についての記述はなく、対象とされているように見えません。厚生労働省の通知もある中で、産後ケアの対象に死産、流産の方も含めるべきと考えますが、いかがでしょうか。これまでも例外規定にて対象としてきたのであれば、ホームページやかんがるーブック等の案内にもその旨、記載すべきです。区の見解をお示しください。

 三鷹市や台東区では、「流産・死産を経験された方へ」というページがホームページ上にあり、相談窓口や産後ケアの案内、またピアサポートグループのホームページリンクなどの記載があります。お子様を亡くされた後は、心身ともに疲弊をしている中で、すぐに情報にアクセスできるよう、中野区でもホームページ上にこうしたページを早急に作成すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 国では、令和3年度、流産、死産に関する様々な自治体職員向け研修を行っておりますが、すこやか福祉センターの職員はこうした研修に参加しているのでしょうか。今後、段階を踏んで全ての保健師が研修を受けられるよう検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 区の職員への対応についても伺います。

 職員が妊娠4か月未満で流産した場合、最大で7日間の、妊娠4か月以上で流産、死産した場合は、通常の出産と同じく最大10週の妊娠・出産休暇があります。一方で、男性職員の配偶者が死産した場合、出産支援休暇の2日のみの取得となり、忌引の対応とはなっていません。子どもを亡くしたことに変わりはないのであれば、忌引の対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 (5)中野駅周辺の施設マネジメントについて伺います。

 まず、商工会館跡地について伺います。

 旧商工会館は、前区政の10か年計画では売却となっていたものを、昨年10月に策定した区有施設整備計画で、土地利活用による民間整備を誘導し、施設の一部は産業振興の総合的支援機能の強化を図るものとし、産業振興センターの経営支援機能及び経済団体事務所を移転するとしたものです。1月24日の総務委員会に、中野区立商工会館跡地活用事業に係る事業者募集についての報告がありました。50年から70年の定期借地を設定し、PPPという、これまで中野区が取り組んだことがない仕組みを利用しての活用となります。事業者選定過程はより公平性が求められますが、区の見解をお示しください。

 また、売却をした場合は、およそ15億円になるとの御答弁でした。定期借地権を設定するため、将来的に土地は戻ってくるものの、用地利活用により区の負担を軽減するだけでは不十分と考えます。評価点では価格点を高く設定すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 さらには、17階から18階建ての建物になる見込みとのことでしたが、周辺住民への丁寧な説明なしには事業の成功はありません。いかがお考えでしょうか。

 中野駅周辺の権利床等については、区有施設整備計画の中で、中野駅至近の利便性を生かした区民サービスの向上に資する活用のほか、民間活力も視野に入れ、検討を行いますとありますが、どれも具体的ではありません。

 まず、中野二丁目地区再開発権利床について伺います。

 12月の総務委員会に、区有地の活用方針案についての報告がありました。ここでは、区の権利床を事業者に貸し付け、事業者の本来事業と地域情報交流スペースの一体的運営により、人々が集い、交流し、情報を発信していく空間を検討と示されました。この権利床は、契約期間が上限30年となっており、本来事業は有償、地域交流スペースは無償となります。この地域情報交流スペースはどういった目的で、どのような方を対象に区として必要と考えられているのでしょうか、伺います。

 これまで中野区では、民間活力の活用を掲げ行った事業の中には、桃丘小学校跡地や温暖化防止推進オフィスの活用など、由々しき事態となった案件も複数ありました。当時の反省を生かし、失敗を繰り返さないためにも、十分な検討をすべきです。区の活用方針と方向性が違う場合には、契約条項で解除できるような仕組みの検討も必要と考えます。見解をお聞かせください。

 中野セントラルパークの賃借床、現在のICTCO(イクトコ)について伺います。

 平成25年9月から中野セントラルパークイースト・サウスの一部を、区は一般社団法人中野区産業振興推進機構に対し定期賃貸借し、中野区産業振興拠点事業を進めてきました。現在の協定及び定期賃貸借契約期間は令和4年8月31日までとなっており、今回の期間満了をもって協定契約を終了することとなっています。

 思い返せば、区は、区内産業活性化に寄与する都市型産業の集積、創出を促進する事業を誘致するため事業者を募集、四季の都市(まち)ができた平成24年4月当初から入居をしていただくスケジュールで公募を行いましたが、2次審査において最終選考まで至りませんでした。その結果、このスペースは1年半何も使わずに空いている状態となってしまいました。その間、共益費、年間1,400万円だけが歳出として出ていました。ICTCO(イクトコ)との契約終了については、10月の区民委員会に報告されていますが、その後の活用については議会に報告されていません。計画のみならず、賃貸者が決まっていなければ、無意味に管理費を支払うことが再度発生してしまうことになりますが、現在の検討状況をお示しください。

 区有施設整備計画には、中野四季の都市(まち)の特性などを踏まえたにぎわいに資する機能を誘導するものとしていますが、この賃借床の活用について、早急に考え方の整理が必要です。区の見解をお聞かせください。

 中野駅新北口駅前エリア再開発権利床については、権利変換により保有する資産については、権利床、土地及び床として取得するものとし、民間事業者への貸付など、行政サービスの財源確保を目的とした資産の有効活用を図るとしています。床として持つことは、非常に高い維持管理費が発生するというリスクもあります。そのリスクを最小限にとどめ、できる限り財源を生み出すよう使うべきです。見解をお聞かせください。

 また、権利変換計画は、令和5年度に認可するスケジュールになっていますが、権利床に関する事業者との大まかな合意はいつ頃されるのか、伺います。

 その前に考え方を議会へ示す必要があると考えますが、区の見解をお聞かせください。

 中野駅周辺でどういった機能、どのような施設が必要なのか、全体像があり、それを踏まえた施設マネジメントの観点が重要だと考えます。本来は、区有施設整備計画の中で全体像を示すべきでした。我が会派として、中野駅周辺にも子育て支援施設は必要だと考えますが、全ての施設に必要なわけではありません。この先、中野駅周辺では、これら権利床や賃借床が出てくる中で、改めて全体像を考慮した中野駅周辺の施設マネジメントが必要だと考えますが、区の見解をお示しください。

 現在の考え方のように、それぞれの施設で見ていくことは、全体像が見えなくなってしまう懸念があります。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 (6)新庁舎整備とDX推進について伺います。

 新庁舎の竣工まで2年、その3か月後には開設が迫っています。新庁舎への移転は、これまで業務の効率化や区職員の働き方改革の観点、視点が重点に置かれており、あまり区民にどんなメリットがあるのかという視点では議論されてきていないところもあると感じています。

 中野区では、昨年、情報化推進計画を策定しました。今後、令和6年度の新庁舎への移転を契機としたDXを効果的に進めていくためには、行政手続のオンライン化やデジタルデバイドの解消など、主に区民を対象とする取組のほか、庁内の事務効率化や働き方改革など、主に区職員を対象とする取組など、多岐にわたる組織横断的な取組を全庁的に推進する必要があると考えます。

 近年の目まぐるしいICT技術の発展、浸透に伴い、区民生活をよりよい方向に変革するDXの推進は、同時期に新庁舎移転を控える中野区においても、その推進体制の確立が喫緊の課題となっていると認識しています。新庁舎移転は、区民サービスを飛躍的に向上させる、またとないチャンスです。来年度から情報システム課と新区役所整備課により、DX推進室が組織されます。新庁舎開設が2年後に迫る中、集中的に新庁舎移転を契機とした業務改革を実践していくとの決意の表れだと受け止めています。今後、区民の利便性向上と地域の活性化や、効率的で質の高い情報基盤の整備による区政運営の推進など、新庁舎に関連する事項のみならず、庁外施設も含め、全庁的なデジタルシフトなど、多岐にわたる横断的な取組について、どのような検討、実施体制で進めていくのか、区の考えを伺います。

 DX推進室には、令和3年度第4次補正予算で議決された5年間の任期付職員の活用もあります。当初、情報システム課で5名、学校教育課で2名の人員の計7名程度を募集することとしていましたが、2月からの採用はどのようになっているのか、お示しください。

 また、この人材の区のDX推進にもたらす効果をどう考えているのでしょうか、伺います。

 さきの総務委員会において、新庁舎における窓口サービスの概要が示されました。新庁舎では、区民の方の移動や手続の利便性を改善するため、全庁に共通の発券機を導入し、連携の取れた案内を行うとのことです。これにより、窓口連携に係る統計情報が収集でき、業務改善につながるとのことです。来年度から国民健康保険窓口と戸籍住民窓口に先行導入を行うとの報告でしたが、連携等の試行を行い、統計的なデータについても分析を行うことで、新庁舎での窓口サービスのさらなる改善につなげていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 また、新庁舎では、書かないというコンセプトを掲げていますが、現庁舎では、窓口ごとに申請書を作成しており、同じ情報を何度も書く必要があるといった課題を解決するため、申請書作成の負担を軽減するシステム導入を検討するとのことです。これについてはどのような窓口と連携した運用を考えているのでしょうか、現在の検討状況を伺います。

 関連して、お悔やみ窓口について伺います。

 超高齢社会、多死社会にある中で、身内の葬儀や手続で、心身ともにつらい状況にある方が窓口でたらい回しに合うことによる負担低減のための改善が急務です。令和2年第1回定例会で、我が会派の山本議員からも質問をいたしましたが、その際は、案内や相談の方法について検討するとの答弁でした。現在のお悔やみ窓口の検討状況を伺います。

 現庁舎で実践できることから始め、新庁舎移転につなげていただきたいと考えますが、区の見解をお示しください。

 また、窓口サービスの在り方を検証していく中では、今以上に委託できる窓口業務はないかの精査が必要です。反対に、令和3年度から委託を取りやめた保育課の入園相談のように、直営に戻すことにより効率化が進むこともあるかもしれません。特に新庁舎2階には、現庁舎で窓口業務を委託している戸籍住民窓口や国民健康保険窓口が配置されるとのことですが、これらの窓口において、こうした検証はこれまでに実施してきたのか、伺います。

 庁舎移転のタイミングと委託化のタイミングが重なってしまうことは、混乱を招くおそれがありますが、さらなる委託化が可能と判断された場合は、新庁舎移転に向けた委託化計画を検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 次に、ペーパーレスの取組について伺います。

 これまでもペーパーレスの取組を進めてきましたが、まず現在の進捗状況についてお示しください。

 一言にペーパーレスを推進するといっても、これまで行ってきた文化や、やり方を変えていくのは簡単なことではありません。文書の削減に併せ、押印廃止の取組、電子申請の拡充、統合型GIS導入など、関連するそれぞれの取組の時期をにらみながら、計画を進めていく必要があります。これからの取組として、文書種別ごとの量等を調査、分析し、それぞれの部署の特性に応じた課題の抽出、対応策を講じる必要がありますが、具体的にどのように進めていく考えか、伺います。

 また、押印廃止を前提として、電子申請の拡充や窓口サービスの実施など、全庁的に業務改善の取組を推進すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

 オンライン相談の拡充、セルフサービスの充実、窓口サービスのさらなる改善検討など、新庁舎移転に関わる様々なテーマを一つずつ重点的に解決していくためには、全庁的な連携、協力体制の下、集中的に取り組み、区民サービスの向上、職員の業務改善、課題解決につなげていく必要があります。今後どのような検討体制で進めていく考えか、伺いまして、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 中村延子議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、こども家庭庁の設置を見据えた体制拡充でございます。国は、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針において、こども家庭庁の機能として、強い司令塔機能や新規の政策課題、すき間事案への対応などを掲げるとともに、現場のニーズを踏まえた政策展開など、地方自治体との連携強化を進めていくものとしております。

 区は、基礎自治体として、子どもやその家庭の真のニーズや課題を踏まえた政策展開を行い、国や都の子ども政策を牽引していく考えでございまして、そのためには予算、人員などの体制の拡充が必要であります。国のこども家庭庁の設置に向けた動向にも注視をしながら、区の子ども政策の推進体制の拡充について検討を進めてまいります。

 続きまして、令和4年度の児童館の運営についてです。児童館は、令和4年度も区職員により運営を行っていく考えであり、会計年度任用職員や人材派遣も活用しながら、必要な体制を構築してまいります。児童館は、地域包括ケア体制の推進やセーフティネットの構築のための重要な施設であり、福祉職を配置すべき施設と考えております。知識、技能の継承などを見据え、福祉職のジョブローテーション等により、職員自身のスキルアップと子育て支援施策全体のさらなる質の確保向上を図ってまいります。

 次に、今後の地域子ども施設の整備についてでございます。区有施設整備計画に基づく地域子ども施設の整備は、時期の見直しは行いますが、着実に進めていく考えでございまして、地域の皆様や区議会の理解を得ながら取り組んでまいります。

 次に、区民との対話の効果についてでございます。区政の主役は区民の皆さんでございまして、区民との対話に最も力を入れ、区政運営に取り組んできたところであります。これまでの区民との対応において様々な御意見を頂いたところでございまして、ひきこもり支援の強化や地域活動の再開、活性化支援の拡充や、ハイティーン会議の見直し、拡充など、新たな取組に反映したものもあります。対話の効果があったと実感しております。

 次に、区と団体や事業者との関係構築でございます。様々な区政課題への解決に向けて、区と団体や事業者との協働協創が不可欠であると考えております。そのために、まず各部署において積極的に地域や現場へ赴くように促し、団体や事業者との関係構築に努めてまいります。また、公益助成やシティプロモーション事業助成をはじめ、団体や事業者の活動を支援するとともに、それらの活動を区として積極的に広報すること、さらに現在実施している区と区内事業者によるワークショップなどの活動を広げていくことで、団体や事業者とのネットワークを構築してまいります。

 次に、タウンミーティングの実施方法の工夫でございます。現在実施しております区民の無作為抽出によるタウンミーティングや子育てカフェのほか、地域包括ケアに関わる事業者や団体との対話や、学生や児童・生徒との対話、また特定の区政課題について、その課題に関わりが深い地域においてタウンミーティングを実施していくことを考えているところであります。

 次に、区全体の広報マインド醸成に向けた広報アドバイザーのさらなる活用についてでございます。区民に届く情報発信力は確実に向上し、また若手職員の広報マインドが醸成されつつありますが、一方で部署で差がございます。また、発信する情報によっては、区民目線となっていないことも認識しているところであります。他自治体で対象別の研修を企画支援、実施するなど、広報マインドの醸成を工夫して実施している広報アドバイザーの力を最大限利用して、区職員全体の広報マインドの醸成に取り組んでまいります。

 次に、職員提案制度の改善についてでございます。従前は、職員の提案を中野区職員提案審査会にかける職員提案制度と、区長に直接提案するアイデアボックスの二つの制度がありましたが、仕組みが分かりにくいという課題を抱えておりました。そこで、提案内容について所管する課に直接検討を依頼する仕組みに変更し、職員が提案を出しやすく、提案内容が反映されやすいよう改善いたしました。例えば、新規採用職員の名札ストラップの色変更の提案を実践することで、客観的に当該職員の判別がつき、コミュニケーションの活性化につなげました。今後も、こうした取組により、職員提案の実効性の確保を推進し、職員の意欲向上と業務改善の相乗を図ってまいります。

 次に、人事評価の仕組みの見直しです。職務の中で業務改善を行い、新しい取組を進めていく職員を評価することは、管理系のセクションであれ、政策系のセクションであれ、同様であると考えております。職員がボトムアップで事業の見直しや業務改善、新規事業の企画立案等に取り組んだ場合に適切に評価するため、職員の目標の中にチャレンジ目標を設定させることや、能力、態度評価の基準に組み込んでいるところであります。より適切かつ公正な人事評価の実現や、職員のモチベーションの向上につながり、政策立案や業務改善の意欲が高まる人事評価制度に、今後も改善を進めてまいります。

 次に、目指すべきまちの姿の実現に向けた姿勢でございます。これまでに区民との対話を徹底して行ってきたことや、子育て先進区の実現に向けた取組など、さらに加速し、進めていく考えであります。また、新型コロナウイルス感染症の影響や、今後の社会経済情勢の変化を見据え、中長期的な視点に立ち、今後もリーダーシップを発揮して、力強い姿勢で取り組んでいく姿勢でございます。

 次に、新型コロナウイルスワクチンの接種予約における妊婦の優先枠についてでございます。3月1日以降には、区内医療機関においても、18歳以上64歳以下の全ての区民が2回目接種から6か月以上経過後に接種できるようにいたします。中野サンプラザでは、当日受付により6か月以上経過した方への接種を行っておりまして、現時点では希望する方は全て接種できている状況であります。集団接種における妊婦等への優先枠の設定につきましては、3月以降の予約状況を踏まえて判断してまいります。

 次に、妊婦への接種の広報についてであります。接種券に同封するお知らせには、感染予防の効果と副反応のリスクを知った上で、本人の意思で接種を判断いただくよう説明を掲載するとともに、詳しく知りたい方へは、中野区や厚生労働省のホームページを案内しております。妊婦向けのチラシを作成し、妊娠届の際に配布するなど、工夫をしてまいります。

 次に、間違い接種防止対策についてでございます。複数種類のワクチンを扱う場合には、接種する曜日や時間帯、場所などを区分けすること、保管トレイなどを明確に区別化すること、取扱責任者を決めて、複数者での確認を行うなどの対策が必要であります。接種を行う全ての医療機関に対し、間違い接種が起こらないよう、注意喚起を行っており、防止策の徹底を図ってまいります。

 次に、感染拡大時における検査体制の維持についてでございます。国は、昨年の第5波以降、医療機関や福祉施設、学校等に対し、感染者が発生した際に、症状がある方等へ迅速に検査ができるよう、抗原定性検査キットの配布を行っております。都は、今般の第6波において、感染急拡大に伴う医療機関での診療、検査の集中を緩和するため、濃厚接触者へ検査キットを配布する事業を開始いたしました。区は、これらの事業を活用するとともに、PCR検査センターを拡充し、濃厚接触者や医療機関で検査が必要と判断された方などに対し、適切な行政検査を行う体制を維持してまいります。

 全庁応援や都の施策を踏まえた対応状況についてでございます。今般のオミクロン株感染拡大においては、想定を超える状況となったため、全庁応援体制を強化し、発生届を受理後、早期に陽性者への連絡を取る体制を整備しました。また、都が1月末に、東京都自宅療養者サポートセンター、通称「うちさぽ東京」を設置するとともに、東京都自宅療養者フォローアップセンターについても体制を拡充したことで、区は健康観察対応などの負荷軽減を図ることができました。このため、医療専門職は陽性者や施設等からの相談に応じるなど、事務職との役割分担を図り、適切に対応しております。

 次に、感染拡大時に備えた対応体制についてでございます。区は、昨年8月に到来した第5波の2倍規模の感染状況に対応できる体制を整備しましたが、今般のオミクロン株感染拡大においては、想定を超える状況となったため、全庁応援体制を強化したところであります。新たな変異株が発生した際にも対応できるよう、国や都の動向を注視しつつ、区民の健康と生命を守るため、第6波の検証を踏まえ、必要な体制を整備してまいります。

 次に、事業継続計画の緊急点検等の公表についてでございます。オミクロン株感染拡大に係る事業継続計画の緊急点検等については、職員が各所属において20%不足した場合を前提に、あらかじめ事業の休止縮小等を想定の上、必要とされる区民サービスを継続していくために点検したものであります。

 一方、日々の感染状況や職員の欠勤状況、また事業の繁閑などには変動が生じることから、実際に事業を休止縮小する場合は、こうした状況を基に、都度判断することとしております。このため、区民の誤解を避けるためにも、点検結果についての事前の公表は控えております。

 なお、区民生活に大きく影響を及ぼすような事業の休止縮小については、危機管理等対策会議で決定の上、速やかに区民周知を図るなど適切に対応してまいります。

 次に、中野区政のBCPの見直しについてでございます。中野区政のBCPでの流行規模、被害想定は、国や都の計画などを踏まえ、罹患割合が区民の約30%、発生期間は8週間、職員の欠勤率は40%としております。今般の状況とは大きく異なっておりますが、感染症対策に関わる優先業務や事業の休止縮小の対応については、この中野区政のBCPに基づいて実施をしております。中野区政のBCPの見直し、改定については、今後国や都の政策、動向や区の関連計画との整合等を踏まえつつ、適切に進めてまいります。

 次に、緊急時のリーダーシップにおける対応についてでございます。今般の新型コロナウイルス感染症においては、国や都の措置内容等を踏まえ、区として可能な限り区民サービスの確保、継続を図りつつ、保健所業務の応援体制の両立を今日に至るまで確保してまいりました。今後、区民に大きく影響を及ぼす事態や、保健所業務のさらなる逼迫が発生する際は、危機管理等対策会議においてあらゆる対応策を検討、判断してまいります。

 次に、財政的な非常事態の認識についてです。令和3年度の決算見込みや令和4年度予算における一般財源の状況は、当初の想定よりも上振れの見通しであり、当時の状況より好転しているものと捉えております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う景気の下振れリスクは依然としてあり、不透明な経済状況に変わりはなく、引き続き緊張感を持って財政運営に当たる必要があると考えております。

 新たな財政運営の考え方についてでございます。基本計画でお示しした財政運営の考え方においては、新型コロナウイルス感染症の影響によって経済状況が不透明であり、一般財源の見通しも令和2年度当初予算の水準に戻るまで10年以上を要することが想定されたことから、当面の間、これまでと同様、基準となる一般財源規模を設定して歳出の削減に努め、財政運営を行っていくことにしたところでございます。しかしながら、基本計画でお示しした財政見通しに大きな変化が見られることから、実態に即した有効な財政規律を確立するため、新たな財政運営の考え方について検討を行い、基本計画の中間見直しを待たずにお示しすることも考えてまいります。

 次に、産後サービスの産前からのプランニングです。現在は、妊娠20週以降に行うかんがるー面接の際に、かんがるープランを作成し、これに基づいて産前産後のサービスを利用できるよう案内をしているところであります。今後、よりスムーズなサービス利用につなげられるよう、産前から産後のプランニングをしていくことをかんがるー面接において促せるようにしてまいります。

 次に、流産や死産を経験した女性の産後ケア事業利用です。厚生労働省の通知において、死産や流産を経験した方も産後ケア事業の対象とされており、区でも産後ケア事業の対象になります。死産、流産を経験した方は、他の母子と同じ場でケアを受けることに対し精神的負荷を感じるという指摘もあるため、このような方に対して適切な支援となるように御案内の方法を検討してまいります。

 次に、相談窓口の案内等についてです。他自治体の取組を参考にしながら、死産、流産を経験された方に対して、ホームページも含め、きめ細やかな支援となるよう検討してまいります。

 次に、流産や死産に関する研修についてでございます。国や都によって令和3年度に実施された流産や死産に関する研修等について、これまで延べ7名のすこやか福祉センター職員が参加をしております。流産や死産を経験された方からの様々な相談を受け付け、必要なコーディネートを行っていくために、今後すこやか福祉センターをはじめ、より多くの職員が研修機会を得られるようにしてまいります。

 最後に、職員の配偶者が死産した場合の忌引休暇でございます。忌引休暇は、職員の親族が死亡したとき等に取得できる休暇でありますが、その取得要件の解釈上、死産の場合は、親族の死亡に該当せず、忌引休暇が取得できないものとしてこれまでに運用してきたところであります。しかしながら、忌引休暇は、親族を亡くした職員の感情に対する配慮と、葬祭等により職務に服することが困難な事情を勘案して認められる休暇であることからすると、死産の場合にも取得できるように、運用解釈の基準を見直していきたいと考えております。

〔構造改革担当部長石井大輔登壇〕

○構造改革担当部長(石井大輔) 私からは、施政方針説明のうち、中野駅周辺の施設マネジメントについての御質問にお答えいたします。

 まず、商工会館跡地の活用事業における民間事業者の選定についてでございます。商工会館跡地活用事業につきましては、定期借地権方式によって民間事業者が建物整備を行い、そのうちの一部を産業振興の移転先として取得するものでございます。定期借地権方式は、区として初の取組となることから、民間事業者の選定に当たりましては、専門性や公平性を確保するため、外部有識者を含めた選定委員会を設置することとしております。また、選定結果の公表に当たりましては、その過程を含めて説明していく考えでございます。

 次に、選定評価の配点でございます。商工会館跡地活用事業の事業者選定は、価格のみならず、施設全体のコンセプトや概略設計、事業遂行能力など、事業者提案を総合的に評価するため、公募型プロポーザル方式を採用したところでございます。選定評価の配点につきましては、外部有識者を含む選定委員会において定め、公平公正に審査を実施していく考えでございます。

 次に、近隣住民への対応についてでございます。本事業は、商工会館跡地を借り受けた民間事業者が施工主体となり、解体工事や整備工事を行うこととなります。区は事業者に対し、近隣住民等への説明や対応を適宜適切に行うよう求めるとともに、区としても地元の理解と協力が得られるよう、丁寧に対応してまいります。

 続きまして、中野二丁目地区再開発権利床におきます地域情報交流スペースについてでございます。中野駅周辺は、中野の中心地として多くの人々が行き交いますが、ほっと一息つける場や気軽に交流を楽しめる場が少ないと認識してございます。中野二丁目再開発権利床における地域情報交流スペースは、民間活力を活用した誰もが憩える場として誘導したいと考えております。このスペースをはじめ、中野駅周辺はこれまで以上に人々が交流し、中野の情報を発信する場にしていきたいと考えてございます。

 続きまして、商工会館跡地活用事業におけます契約条項でございます。商工会館跡地活用事業は、選定された民間事業者と協議を行い、基本協定や定期借地権設定契約を締結することを想定してございます。協定や契約の内容には、解除条件、契約不履行に関する条項などを盛り込み、法的リスクの適切な管理に努めてまいります。

 続きまして、セントラルパークの賃借床の検討状況でございます。セントラルパークの賃借床につきましては、民間事業者への転貸を行うことにより、イーストの賃借床ではにぎわいの形成に資する事業を展開し、サウスの賃借床では、主に収入を確保していくことを検討してございます。

 なお、セントラルパークの賃借床の活用方針案につきましては、本定例会の総務委員会で活用方針案をお示しする予定でございます。

 次に、新北口駅前エリアに係る権利床の活用についてでございます。新北口駅前エリア拠点施設整備において保有する権利床につきましては、民間事業者への貸付けなど、行政サービスの財源確保を目的とした有効活用を図ることとしております。権利床の保有コストはかかりますけれども、貸付けによって一定の収入が得られることが見込まれており、財産の有効活用の観点から、最適な運用となるよう見定めていきたいと考えております。

 続きまして、新北口駅前エリアにおけます権利変換計画への同意についてでございます。令和4年度に予定されている都市計画手続に向け、区をはじめとする地権者5社と施工予定者との間で協定を締結する予定であり、その時点で市街地再開発事業の枠組みに合意することとなります。その後、施工予定者は、地権者の権利変換の意向を踏まえつつ、事業計画を検討し、令和5年度の事業計画及び権利変換計画の認可を目指すことになります。事業全体の進捗状況や、権利変換の考え方などについて、適宜議会に示していく考えでございます。

 最後に、中野駅周辺の施設マネジメントについてでございます。中野駅周辺において区が取得する権利床や賃借床では、民間活力の活用を基本に、区の政策課題を踏まえた活用を図りたいと考えております。

 一方、権利床や賃借床は再開発ビルの一部であることから、各物件の立地や建物、設備の状況、管理方法、市場動向、財源確保など、様々な条件を整理しながら事業化をしていく必要がございます。区民にとって最適な利活用や運用となるよう、施設マネジメントの体制を整えながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 私からは、新庁舎整備とDX推進についての御質問のうち、一つ目に、DXの推進体制についてお答えをいたします。

 新庁舎整備を契機としたDX推進による働き方、行政事務の効率化につきましては、総務部内にDX推進室を組織して推進してまいります。また、DXの推進に係る組織横断的な区民サービスの向上の取組につきましては、企画部が中心となって所管部と連携を取りながら政策調整を行っていく考えでございます。

 もう一つ、申請書作成の負担軽減のためのシステム導入検討についてでございます。申請書作成の負担軽減につきましては、来年度、マイナンバーカードを活用して、転出転入届の記載の負担を軽減できる転出転入のワンストップサービスの導入を予定してございます。新庁舎におきましては、これに加え、住所、氏名、生年月日などの同じ情報を何度も書く負担を軽減するシステムの導入を検討してございます。

 運用につきましては、新区役所2階、3階に配置する戸籍住民課などの来庁者の多い窓口間での連携を想定してございまして、現在システムの概要について検討しているところでございます。

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、新庁舎整備とDX推進についてのうち、DX推進のための任期付職員の活用についてお答えいたします。

 区役所新庁舎への移転を受けまして、デジタルトランスフォーメーションの取組を短期間で推進していくため、ICTスキルの高い人材を任期付職員として採用したところでございます。採用に当たりましては、民間の人材サービス会社の転職サイトを活用し、多数の応募はございましたが、最終的に係長級1名、主任2名の合格、計3名の採用となったというところでございます。募集人数には満ちませんでしたが、ICTスキルの非常に高い優秀な職員を確保できたということから、各種情報システムの標準化や区役所新庁舎のネットワーク環境の構築、総合窓口システムの導入等を早期に進めていけるというふうに考えてございます。

〔区民部長鳥井文哉登壇〕

○区民部長(鳥井文哉) 私からは、新庁舎整備とDX推進について、3点お答えを申し上げます。

 まず、共通発券機の統計データ分析による窓口改善でございます。現在、戸籍住民課と保険医療課に設置してございます発券機では、窓口ごとの発券数や発券から呼出しまでの時間などの統計データを取得してございます。来年度、両課に共通発券機を先行導入いたしまして、窓口連携を行うことで、複数の窓口で手続を行った件数や、各窓口における手続に要した時間などの統計データを新たに取得することが可能となります。共通発券機で収集した統計データを分析検証することで、繁忙期における各窓口数の増減による待ち時間の短縮など、新庁舎の窓口サービスのさらなる改善につなげてまいります。

 次に、御遺族への案内、相談の検討状況と今後の取組でございます。御遺族の方への対応につきましては、来年度に向けて、死亡後の諸手続の内容や担当窓口等をまとめた冊子の作成を検討しておりまして、御遺族にとって分かりやすい案内となるよう工夫してまいります。

 また、現在、弁護士等によります区の専門相談のほか、宅地建物取引士や行政書士の団体の御協力により実施しております相談会においても、相続等の御相談を受けておりまして、これらを充実させることにより、御遺族の方の負担軽減を図ってまいります。

 お悔やみ窓口等の設置につきましては、これらの取組を進める中で、必要があれば検討していきたいと考えております。

 最後に、戸籍住民等の窓口業務の検証とさらなる委託化でございます。戸籍住民課や国民健康保険の窓口業務につきましては、PDCAサイクルによる事業内容の点検評価や、委託業務の履行評価によりまして、毎年度、業務改善や業務全般の評価、検証を行っているところでございます。この中で、区民サービスの向上や効率化の観点から、委託化を推進してまいりましたが、今後も直営と委託の振り分けについて検討を行い、必要な委託化を進めてまいります。

 新庁舎移転に当たりましては、戸籍住民課、保険医療課、税務課窓口を新庁舎2階フロアへ集中配置することによりまして、さらに窓口相互の連携を強化し、区民サービスの向上を図りたいと考えております。

〔新区役所整備担当部長滝瀬裕之登壇〕

○新区役所整備担当部長(滝瀬裕之) 私からは、新庁舎整備とDX推進についてのうち、まずペーパーレス推進の進捗状況についてお答えいたします。

 新庁舎に向け、今年度インターネット等で外部に公開する文書や職員間で共有する文書など、各部で優先順位を定め、電子化対象文書の選定を行いました。新庁舎移転までの60%削減の目標達成に向けまして、来年度以降も各部作成のペーパーレス化実施計画書に基づきまして、引き続き全庁で進捗を確認しながら取組を進めてまいります。

 続きまして、ペーパーレス推進の取組についてでございます。新庁舎移転に向け、例えば閲覧頻度が高い文書や、スキャンによる電子化を基本とするなど、業務の実施方法を見直し、移転までの間に計画的にペーパーレス推進に取り組んでいく考えでございます。

 押印廃止につきましては、今年度基準を策定し、全庁的に関係規定の改正手続や各手続の電子申請の拡充など、見直しを進めているところでございます。新庁舎での窓口対応につきましても、新庁舎各フロアでの職員、PTにより、組織横断的な業務改善について検討をしているところでございます。

 続きまして、新庁舎整備の検討体制でございます。新庁舎への移転に向けまして、新庁舎でのフロアごとの運用を検討するPTや職員の働き方を検討するPTを立ち上げまして、それぞれにリーダーとなる部長を配置し、組織横断的な課題検討を進めております。今後は、各種相談窓口を集約する新庁舎4階のPTではオンライン相談の導入を、またまちづくりなどに関する窓口を集約する新庁舎9階のPTではセルフサービスの導入など、重点的に取り組む課題を定めた上で検討を進めてまいります。

 全庁的な窓口サービスの改善の検討につきましては、区民部が中心となり、ICTの活用を含めてDX推進室が支援をしながら検討を進めてまいります。

○議長(内川和久) 以上で中村延子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 大 内 しんご

 1 施政方針説明について

 2 令和4年度の財政運営について

 3 中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再開発にかかる区の資産活用について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、大内しんご議員。

〔大内しんご議員登壇〕

○32番(大内しんご) 自由民主党議員団の大内しんごでございます。一般質問をさせていただきます。

 ロシア軍がウクライナと国境周辺に大規模な部隊を集結させ、ウクライナ侵攻の危険が日増しに迫る、緊迫化する中、2月4日に第24回冬季オリンピック北京大会が始まりました。20日までの17日間の雪と氷の熱戦が繰り広げられています。

 中国による新疆ウイグル自治区、香港における人権弾圧問題を理由に、アメリカやイギリス、オーストラリアなどが政府代表をオリンピックに派遣しない、外交的ボイコットに踏み切りました。日本は、海外の冬季オリンピック史上最大となる124選手を派遣しましたが、日本もこの外交的ボイコットに事実上の参加を決めました。強権化が進む中国の習近平政権とアメリカ、欧米諸国との対立が鮮明な五輪となりました。

 オリンピック開催国である中国武漢を起源とする新型コロナウイルスとの闘いですが、国内での感染症の動向は、昨年12月まではワクチン接種などの感染症対策の努力が実り、まちにも安心感が広がる兆しが見えつつありました。しかし、今年に入ると、懸念されていたオミクロン株の感染が急速に広がり、東京の1日当たりの新規感染者が1万人から2万人前後で推移する危機的な状況となっています。

 中野区では、2年間で2万3,000人以上の方が罹患され、区民15人に1人の方がコロナウイルスに感染したことになります。区は、区民の3回目のワクチン接種率を加速度的に高めるなど、対策に力を尽くす必要があります。

 区民生活においても、感染の拡大による小・中学校の学級閉鎖、保育園、幼稚園の一部休園など、日常生活に混乱が生じています。先の見えない状況下の中、区民の不安を払拭し、区民の安全、区内経済を支えていくことに最大限の力を注ぐべきです。

 最初に、順番を変えまして、中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再開発にかかる区の資産活用についてお伺いいいたします。

 区は、昨年の令和3年5月に、野村不動産を代表とした事業グループを施工予定者として、中野駅新北口駅前エリアの拠点施設整備の事業化推進に関する基本協定を締結しました。そして、6月の中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会では、区有地資産等の考え方について報告がありました。また、12月には同拠点施設整備に関わる計画検討案の変更について報告がありました。

 しかし、いずれの報告も、区の主体的な姿勢、考えは見いだせません。特に拠点施設整備に関する資産活用の在り方については、大きな懸念を抱かざるを得ないと考えています。区は、権利変換により取得する権利床の活用方針については、具体的な検討が進められているのでしょうか。

 本来であれば、この中野で圧倒的な一等地に整備誘導すべき施設や機能は、まず区の政策的な観点があり、ここでこそ実現できる施策は何なのか、そのために権利床をどう活用するのかというような、事業をどう構築していくかを示すことが、本来の区政運営で大切なことです。さきの報告では、権利床の活用方法は民間事業者へ貸付けするなど、民間の提案任せに感じられ、その目的も単なる財源確保が主となっています。そこには区の政策の意図や戦略、主体性、何より熱意が全く感じられません。当然、区民目線の考えもなく、事業提案者からの提案のみで検討をされています。

 例えば渋谷に新しくできた渋谷スクランブルスクエアの360度見渡せる展望台とか、展望レストランなどの飲食店街、東京ドームにある温泉のスパゾーン、ショップとレストランもあるラクーア、神奈川県辻堂にできたテラスモール湘南は、ショッピングモールや同一の施設に複数のスクリーンがある映画館があります。区民にとって集い楽しめる、夢のある施設を盛り込むよう、区民の立場に立った交渉を早急に行うべきだと考えます。

 私は、区民にとっての利益を第一に考えるべき、区民が欲している施設、楽しめる施設を誘致するといった考えは、区からは見えてきません。現在のサンプラザホール以上の公共貢献がなくては、区民のための再開発になりません。可能性を無限に秘めた拠点施設内の権利床の利用方法は、区民の側に立ち、区は政策的な視点を持ち、活用方法を明示すべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 また、拠点施設に区が権利変換で取得する権利床の広さは相当な規模の面積になるものと考えられます。現在、権利床の活用内容が民間任せであり、これだけの規模の権利床は活用可能性が高い一方、毎年数億円の規模の管理コストが発生するのではないかと考えます。管理方法や戦略を間違えると、負の遺産にもなりかねません。早急かつ綿密な検討が必要ではないかと危惧しております。

 区の目的が財源確保であるならば、権利床への権利変換ではなく、土地のみの権利変換とした上で、全部あるいは一部を定期借地権として事業者に貸付けをし、財源を確保する方法も可能であり、合理的ではないかと考えます。現に、商工会館跡地活用では、定期借地権による土地活用手法を採用しました。区としての見解をお伺いいたします。

 12月の中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会での報告にあった、拠点施設整備に係る計画検討案の変更についてもお伺いをいたします。

 今回の変更については、提案時の容積率が900%であったものが1000%、建築物の高さが同235メートルであったものが262メートルと、大幅に上昇しています。1年前、中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備に関わる民間事業者として野村不動産株式会社グループが選ばれ、東京建物株式会社グループが僅差で次点となりました。選考過程の詳細は分かりませんが、両者の提案から察するに、事前に計画容積率900%を前提にしたような提案でした。選考後に事業者が900%では厳しいため、1000%にしてほしいという提案を中野区は簡単に認めたのでしょうか。次点のグループ、また審査員からすれば、900%という前提条件が崩れた選定結果が妥当だったのか、疑いたくなると思います。

 容積率や建築物の高さは、施設計画のまさに重要な要素であるということは言うまでもありません。ただ、このことだけを問題視するのではなく、区として、今後はこうした変更をどこまで許容するものなのか。事業者選定の公平性、公正性とともに、この事業に対する区の関与の在り方が懸念されます。

 当然、事業者側がこれまで様々に検討され、事業を実現させるために提案したものであると思いますが、単に事業性を高めるためのものなのか、投資額以上にプロジェクトの価値を高めるものなのか、区としての考えも同時に持つ必要があると思います。今後、都市計画や再開発事業の手続とともに、基本設計、実施設計と施設建築物や事業計画の詳細が決まっていく中、今回の変更以上に重要な要素の変更がこれからあるかもしれません。その際、事業者側の意向ばかりを先行しないよう、事業計画変更等に当たっては、区としての考え方なり、方針や基準なりを示しておく必要があります。区の見解を伺いいたします。

 中野駅新北口駅前エリアの再開発事業は、中野駅周辺におけるメインプロジェクトであって、ここに区に対する区民の期待と不安が集中し、多様な都市機能という要素がそれに拍車をかけています。中でも、世界はコロナ禍を経験し、今後エンターテイメント産業のビジネスモデルや興行の在り方も変化を見せる中、区長は施政方針説明の中で、最大1万人収容のアリーナ計画を検証した結果、最大で7,000人規模の大ホールに見直し誘致をしたと述べていますが、そもそも7,000人サンプラザアリーナのほうが分かりやすいのではないでしょうか。アリーナという言葉は嫌いなのでしょうか。

 北口再開発事業のコア機能でもある7,000人規模のアリーナの是非については、様々意見があるところであります。改めて、コロナによるエンターテイメント産業の未来について、しっかりと事業者と協議をし、必要によっては規模感などを含めた大幅な見直しを含めた検討をするべきです。しっかりと中野の将来を考え、進める必要があります。この事業に対する区の明確な方針、政策的意図の明示と、主体性の発揮を期待して、この項の質問を終わります。

 次に、施政方針説明について質問いたします。

 今回の施政方針ですが、残念ながらその内容や表現に乏しいと言わざるを得ません。本来、この4年間に自分自身が取り組んだ施策の一つひとつを分析し、これらの施策を行ったことで区政がどのように好転したのか、また区民の満足がどのくらい向上したのか、そういった4年間の総括を区長自ら言葉で訴えるべきではなかったかと思います。4年間の実績の羅列ではなく、区政全般や社会情勢等も振り返りながら、区政に対する熱い思いや、自らが描いている区の将来像など、明確に区民に伝えてしかるべきだと考えます。それが真摯に伝わってこない区長の所信表明であったことは、残念でなりません。

 現在、新型コロナウイルス感染症との闘いがいまだに続き、厳しい区政のかじ取りを強いられていることは十分承知していますが、今後の中野区政をどのように展開していくつもりなのか、まずは区長の素直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 次に、区長の最初のオリジナル施策という「中野大好きナカノさん」に関しての記述が施政方針説明にありません。知らない方もおられますけれども、これが広報から借りてきたものです。「中野大好きナカノさん」とは、「中野はあらゆる個性を受け入れるまち。自分が好きなものを持ち、好きでつながり生きている。ナカノさんはそんな中野にあこがれて中野にやってきた人形です。自分が好きだと思うこと以外は気にしないのがナカノさん」。「中野区で出会う様々な日常をナカノさんの無垢な眼差しで見つめ、区民とともに地域の魅力を発信していきます」といった紹介をされているのが、区長が大好きなナカノさんです。

 平成30年度は、「中野大好きナカノさん」の関連事業として、人形制作、動画、ポスター等の作成及びSNS発信費用等で約2,000万円。また平成31年度は「中野大好きナカノさん」の関連の事業として、PR制作物及びSNS発信費用で約2,800万円もの税金が使われております。区長はいつも行動をともにしている姿をSNSで随時発信していましたが、酒井区政の最初の施策と紹介されていません。「中野大好きナカノさん」はどこに行ってしまったんでしょう。施政方針における4年間の振り返りの中で、毎年数千万円の経費を大手広告代理店に委託して実施してきた「中野大好きナカノさん」プロジェクトについて全く触れていないのはなぜでしょうか、お聞きをいたします。

 次に、区長が度々発言している子育て先進区についても、改めて伺いたいと思います。

 施政方針説明の中で、新たに取り組もうとしている主な子どもの施策の紹介は幾つか挙げられていますが、残念ながら酒井区政独自の目玉政策と呼べる取組は乏しい限りです。待機児童の減少や、子ども・若者支援センターの開設などは、先代の区長が道筋をつけてきた施策であり、単に敷かれたレールの上を歩んできただけとしか思えず、その結果がここに来て花開いたにすぎません。

 また、児童館の見直しについてもしっかりとした方向性が示せずに迷走状態が続いており、さきの定例会において区長が提案された児童館条例の一部を改正する条例、朝日が丘児童館、新井薬師児童館、大和西児童館及び弥生児童館の4館を廃止する内容でしたが、子育て先進区とは真逆な内容の議案は、当然議会から否決される結果となりました。まずは財務規律を守り、無駄を省く予算組みができないならば、児童館の廃止はするべきでないと思います。区長は実際に子育て先進区ではどのようなまちをつくろうとしているのか、どのようなまちを目指しているのか、その具体的な考えも一度も聞いたことがなく、一貫性がない、行き当たりばったりの取組を繰り返しているように見えて仕方ありません。このことこそ、まさにこの4年間の実績を振り返り、子育て中の区民の皆さんへ、ただ実施した結果の羅列ではなく、今後の中野区が目指す子育て先進区としての区長自身の考えを、未来に向けて何をこれから行っていきたいのか、簡潔に分かりやすく説明すべきと考えます。お伺いいたします。

 区長のリーダーシップと職員の人材育成についてもお聞きをいたします。

 新型コロナウイルスの影響により、この2年間、組織としての仕事の在り方や、職員の仕事に取り組む姿も大きく変化をしてきました。長期間にわたる新型コロナ対応により、職員の疲労感も蓄積されてきています。区長は、施政方針説明の中で、職員育成の重要性について述べています。確かに理想は分かりますが、この新型コロナウイルス感染症拡大の状況では、地域や区民との協働や協創を行う場面も限定的になり、また各職場における新型コロナウイルス対応に気を使わなければなりません。この状況で、ミスや失敗を恐れず突き進もうとする職員はどのようにして育成していくのでしょうか。区長としては、これまでの4年間、人材育成においてリーダーシップをどのように取ってこられたのか、総括をしていただきたいと思います。お伺いいたします。

 また、こうした新型コロナウイルス感染症という状況下の中で、この難局を乗り越え、職員一丸となるためにどのように職員一人ひとりのモチベーションを高め、前向きに職務に取り組む姿勢をつくり出そうとしているのか、お伺いいたします。

 次に、令和4年度の財政運営についてお伺いいたします。

 区長の所信表明では、感染症の長期化により傷んだ区民生活、子どもたちへの支援を拡大し、活力と経済を回復させることを目指すとして、多くの新規拡充事業に取り組もうとしています。令和4年度予算案は、報道によると、一般会計の予算規模は1,579億3,500万円という、前年度比7.3%増で、過去最大の予算規模まで膨れ上がっています。

 第4回定例会の一般質問において、令和4年度の歳入の見込みは想定よりも上振れする見込みであるとの答弁がありましたが、予算編成開始当初の財政的な緊急事態との認識から大きく外れ、予算規模が大幅に膨れ上がっています。この新型コロナの影響が計り知れない状況の中で編成する令和4年度予算です。いつ終わるとも分からない新型コロナウイルスへの対策に対して、まさに危機的状況に瀕している区民生活を今後立て直していくために、また新型コロナ以外にも学校の建設、施設の老朽化への対応、高齢化の対策など、将来的な課題は山積みしており、財政的な余力をしっかりと今蓄えておくことが重要ではないかと私は考えています。

 そこで質問しますが、今後区民の暮らしを守る財政運営のために、令和4年度予算案で最も優先すべきものは何と考えているのか、お伺いをいたします。

 また、今年度、令和3年度予算では、当初、削減目標を79億円と見込んでおりましたが、結果、実質8億円しか削減できませんでした。第4回定例会の一般質問で示した令和4年度予算編成について、区の認識は、「厳しい財政状況下の認識は変わりはない。令和4年度予算は構造改革の八つの視点から事業の廃止、縮小、手法の検討、執行体制の見直しを進める」としていました。

 さらに、区長は「経常経費5%削減により、令和4年度の基準となる一般財源規模は687億円に収める。687億円は単なる数字ではなく、これは我々が目指している目標ということで、現在予算の編成途中ですけれども、各所管担当、一生懸命既存の事業の見直しについて取り組んでいるところであり、組織全体での目標達成を目指してまいりたいと思います」と、私の質問に対して、力強くこれを実現させると、区長は答弁をしていました。

 一般財源規模687億円に収めるために、前年度予算における経常経費5%を削減させることを目標として予算編成を進めたということですが、果たして過去最大の予算となる令和4年度予算案では、これが実行されたのでしょうか、甚だ疑問です。この予算規模から想像するに、経済状況が想定よりもよかったために、構造改革実行プログラムを策定して厳しい姿勢で挑んだ予算編成にゆるみが出たと思わざるを得ないところです。

 そこで質問しますが、厳しい財政状況であり、財政的な非常事態であるとの従前の認識について、現時点ではどのように考えているのか、お伺いいたします。

 実際、令和4年度予算案は、基準となる一般財源規模687億円の範囲内に収まったのか、お伺いいたします。また、収まっていないとすると、財政調整基金からどのぐらい繰り入れることになるのかもお伺いいたします。

 区長は、構造改革の2本の柱として、構造改革実行プログラムの策定により、新しい基本計画を前に進めるための財源を目指すこと、ビルド・アンド・スクラップを徹底し、新規拡充事業の財源を既存事業の見直しで生み出すとも言っていました。しかし、新しい基本計画の実質的な初年度となる令和4年度の予算編成によって、実際にその取組が行われたのかは疑問です。区長の所信表明では、構造改革は区政の体質改善を図るための改革だとし、目的を転換したかのような発言をしていますが、これでは新しい基本計画の下支えとなる構造改革実行プログラムが何のために策定されたのか、分かりません。構造改革実行プログラムの財政効果では、令和4年度の財政効果5億5,000万円余り。この取組に対して6億5,000万円余りを投資する。差し引きすると1億円の赤字になります。

 また、ビルド・アンド・スクラップの結果では、令和4年度予算案、7,000万円余りの削減に対し、1億5,000万円の事業費をかけて8,000万円余りのマイナス、赤字です。何のための構造改革なのか、全く分かりません。

 そこでお尋ねしますが、令和4年度予算案で新規拡充に費やす経費は合計で幾らぐらいになるのか、お答えください。

 ビルド・アンド・スクラップの下での令和4年度予算編成において、新規拡充事業は既存事業の削減とセットで行うとしています。構造改革によるビルド・アンド・スクラップもマイナス、赤字になっていますが、どのように評価しているのか、お伺いいたします。

 仮に構造改革による成果が報告されたレベルの財政効果しか生み出せないのであれば、先行きは不透明であり、将来的に区の課題に対応すべき余力が必要とされる中、財務規律が機能しない放漫経営と言わざるを得ません。令和4年度予算の編成に当たり、歳入増が見込まれるのであれば、新規拡充事業に費やしてしまうのではなく、財政調整基金への積立てに回し、余力を確保すべきと考えますが、いかがでしょう。

 区は、中野区版のデジタルトランスフォーメーションの推進を構造改革実行プログラムの柱の一つに位置付けています。私も新区役所への移転がデジタルシフトのチャンスであると感じています。しかし、取組には相当な費用が必要です。それに見合う区民サービスの向上や業務効率化がなければ、新たな無駄をつくり出すことになります。総務委員会で報告された構造改革の取組状況では、デジタルシフトの項目で、令和4年度及び令和5年度に投入する事業費に対して、財政効果が下回っている状態です。投入する経費に見合う成果があるのか、検証しないと大変不安であると思います。導入を予定しているユニファイド・コミュニケーションですが、初期投資で5億円、ランニングコストで年間3億円が必要とのことです。いわゆる宝の持ち腐れにならないか、区の身の丈に合った取組であるのか、十分吟味する必要があると思います。

 そこで、ユニファイド・コミュニケーションの導入によってもたらされる成果について、改めてお伺いいたします。

 システムを活用するのは職員です。職員が今までにない効率的な働き方や新しい区民サービスをつくり出していくことこそ、成果が得られることになります。新区役所への移行時に職員が十分活用できるのか、不安です。相当な努力をしていかないと、成果を上げることは難しいのではないでしょうか。

 区は、来年度、DX推進室を設置するとしていますが、短期間で具体的にどのように取り組むのでしょうか。さきの定例会では、先進事例や専門的な知見を持った民間企業の力も借りたいと答弁がありましたが、ユニファイド・コミュニケーションシステムの導入も含めて、DXの推進に当たり、どのように職員に根づかせ、働き方を変えていこうとしているのか、お伺いをいたしまして、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再開発にかかる区の資産活用についてで、新北口駅前エリアに係る権利床の活用についての御質問です。新北口駅前エリア拠点施設整備において保有する権利床につきましては、民間事業者への貸付けなど、行政サービスの財源確保を目的とした有効活用を図ることとしております。権利床の保有コストはかかりますが、貸付けによって一定の収入が得られることが見込まれておりまして、財産の有効活用の観点から最適な運用となるよう見定めてまいります。

 また、新たな施設における展望フロアや商業空間など、区民の期待に応えるものとなるよう、施工予定者との交渉に臨んでいく考えでございます。

 次に、土地のみの権利変換についての御質問です。中野駅新北口駅前エリア再整備は、民設民営の多目的ホールやバンケットなど、民間が取得することを条件としておりまして、事業成立性や他の権利者との合意形成などを勘案し、一般的な権利変換方式の市街地再開発事業を採用したところでございます。仮に土地のみに権利変換をし、定期借地権方式で事業を進める場合、現在の計画内容の大幅な見直しが発生するとともに、まちづくりや都市計画の在り方、関連事業を含む全体のスケジュールなどを見直すことになり、区が総合的に進めている中野駅周辺まちづくりの実現が困難になると考えております。

 次に、新北口駅前エリア拠点施設整備における事業計画等の変更についてへの御質問です。中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備につきましては、まちづくり方針や再整備事業計画の中で区としての考え方や方針を示しております。区と施工予定者で締結した基本協定では、再整備事業計画等の遵守及び提案内容の継承を求めておりまして、提案内容を変更する場合には、区の承諾が必要となります。事業計画変更等の協議に当たりましては、区の考え方や方針に基づき、区民にとってよりよい内容、計画となるよう、施工予定者と交渉をしてまいります。内容については適宜議会報告を行い、丁寧に説明しながら進めてまいります。

 続きまして、施政方針説明についての今後の区政の展開についての御質問です。組織横断的かつ重点を置いて進める政策課題について、基本計画の重点プロジェクトとして位置付けたところでありまして、今後は重点プロジェクトや主な取組の内容を中心に、おのおのの事業を展開してまいります。

 特に子育て先進区の実現につきましては、区民との対話を徹底して行ってきたことや、これまでに子育て先進区の実現に向けて取り組んできた基礎固めを踏まえ、さらに加速をし、貧困対策など具体化に向けて進めていく考えでございます。

 続きまして、施政方針で「中野大好きナカノさん」プロジェクトに言及をしなかった理由という御質問です。区のシティプロモーションにつきましては、令和2年7月に、それまでの取組の検証結果等を踏まえ、区内事業者、団体の活動や区民のつながりに焦点を当て、これらの情報発信、活動支援、区との協働、協創の取組に重点を置く事業に再構築したところであります。この考えに基づいて施政方針では、「ナカノミライプロジェクト」と称した区内事業者と区のワークショップによる企画や区内塗装事業者とアーティスト、JR中野駅などと区が連携して制作した「ミューラル」について説明をしたところであります。

 一方、令和2年7月の事業再構築後の取組によって、ナカノさんのSNSのフォロワー、関連商品やイメージ使用が増え続けておりまして、ナカノさんの認知が徐々に広がっていると感じております。中野らしい多様性を感じさせるナカノさんによる情報発信などを今後も事業費を要することなく行ってまいりたいと考えております。

 続きまして、子育て先進区に対する考えでございます。私の考える子育て先進区は、子どもが健やかに育ち、子育てをする上で必要な環境が整っているまちであるとともに、その子育て環境が広く認知をされ、子どもと子育て家庭から選ばれるまちでございます。これを実現するために基本計画で示す重点プロジェクトに基づき、子どもと子育て家庭に対するセーフティネットの強化、子育て・子育ち環境の整備、地域全体で子育てを応援する体制の整備に重点を置いて取り組んでまいります。子育て先進区の実現に向けて不退転の決意の下、リーダーシップを発揮していく所存でございます。

 次に、これまでの人材育成についてへの御質問です。区長に就任してからこの4年間の中で、目指すべき職員の姿を行動指針として定め、職員に周知をするとともに、それらを具体的な行動に移して成果を上げた職員が適正に評価されるよう、人事評価の基準の見直し等を行ってきたところでございます。また、職員行動指針に基づき、目指すべき職員の姿の実現に向けた取組方針や、職員に求められる役割、能力等を明示するとともに、人材確保、人事配置、人事評価、職場環境の整備といった観点から戦略を立て、人材マネジメントシステムの導入や研修の充実、人事評価制度の見直し等、具体的な取組を推進していく考えでございまして、これらをまとめた人材育成基本方針を今年度中に策定をする予定でございます。

 次に、新型コロナウイルス感染症の影響下における職員のモチベーションアップについての御質問です。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、保健所の業務の増加や自宅療養者の支援、各種給付金の支給等といった新たな業務の増加や、様々な施設における利用者や職員の感染への対応等によって、職員の負担が大きくなっていると認識をしております。そうした中でこそ、職員が公務員としての職責と使命を自覚し、高い意欲を持って業務に従事できるように、私から職員へ直接メッセージを発信するとともに、ワンナップチャレンジ等の改善運動も実施をして、意識の啓発を図っているところであります。その上で、適切な人事評価や適切な指揮監督などを通じて、職員のモチベーションを向上させていきたいと考えております。

 続きまして、令和4年度の財政運営についてで、令和4年度予算においての最優先事項についての御質問です。令和4年度予算は、新型コロナウイルス感染症との闘いを乗り越え、活動を力強く再開し、未来へつなげる予算とするために、新型コロナウイルス感染症対策と様々な活動の支援策、そして基本計画で掲げる重点プロジェクト、区有施設整備計画に基づく施設整備、構造改革実行プログラムに基づく取組及び新庁舎移転を見据えた業務改善等、これらを重点事項とし、限られた財源を優先的に配分したところでございます。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による経済状況の先行きが不透明であることから、中長期的な視点を持ちながら、経常経費の削減や歳入確保、将来に備えた基金への積立てと起債発行の抑制にも取り組んだところでございます。

 次に、財政的な非常事態の認識についての御質問です。令和3年度の決算見込みや、令和4年度予算における一般財源の状況は、当初の想定よりも上振れの見通しでございまして、当時の状況より好転しているものと捉えております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う景気の下振れリスクは依然としてあり、不透明な経済状況に変わりはなく、引き続き緊張感を持って財政運営に当たる必要があると考えております。

 次に、一般財源充当事業費の規模についてでございます。基準となる一般財源規模687億円の範囲内に収めるよう、経費の削減に努めたところでございますが、インターネットデータセンターの再構築、子ども・若者支援センターの運営や教育保育施設給付などの増要因がございまして、一般財源充当事業費は761億円となりまして、687億円を74億円超過することになりました。この結果、財政調整基金からは74億円を繰り入れることになりましたが、一方で、一般財源は803億円であることから、基準となる一般財源規模との差額、116億円を財政調整基金等に積み立てることにしておりまして、歳入歳出の実態から見ると、歳入超過であることから、財政調整基金の残高は、令和3年度末見込みよりも増加する想定をしております。

 次に、4年度予算における新規拡充経費についてでございます。一般財源ベースでおよそ19億7,000万円ということでございます。

 次に、ビルド・アンド・スクラップの評価についてでございます。ビルド・アンド・スクラップにつきましては、新規拡充事業の構築に当たって事業の見直しを行った結果でございまして、内容的には妥当であると認識をしておりますが、次年度はさらなる事業の見直しに向けて、行政評価と連動した取組を進めていく考えでございます。

 次に、財政調整基金等への積立てについてでございます。令和4年度予算は、新型コロナウイルス感染症との闘いを乗り越え、活動を力強く再開し、未来へつなげるために必要な事業の予算化をしているほか、一般財源と一般財源充当事業費の差額である42億円を将来に備え、財政調整基金等へ積み立てておりまして、放漫経営をしているとは考えておりません。

 次に、ユニファイド・コミュニケーションの導入によってもたらされる成果についてでございます。定性的な効果として、ペーパーレスの推進や政策形成における資料の充実、リモートワークの促進などを見込んでおります。また、附帯的な効果として、内部の連絡にかかる時間や会議録作成にかかる時間の縮減、定型的作業の自動化等によって、年間で5万時間程度を見込んでございます。生み出した時間は、直接の支援を必要とする区民へのより丁寧な対応や政策の充実に向けた検討に充てるなど、さらなる区民サービスの向上につなげてまいります。

 最後に、DX推進による成果を上げるための取組についてでございます。DXの推進に当たっては、デジタル技術の活用に向けた職員全体のスキルの底上げが必要となると捉えております。研修環境や支援体制を充実させ、区全体でのスキルアップを図るとともに、より有効な活用に向けた提案などが可能となる専門人材の育成や確保に努めてまいります。

 また、中野区基本構想の実現に向け、専門的な知見や様々な経験を持った先進的な事業者と区のDXを推進することを目的に、協定を締結することを検討しております。事業者と協力、検討体制を構築することで、外部の力も借りながら、より効果的に職員に浸透させる仕組みや新しい働き方環境が構築できると考えております。

〔大内しんご議員登壇〕

○32番(大内しんご) 再質問をさせていただきます。

 まず最初に、中野駅新北口駅前エリア再開発なんですけれども、要は、区民の目線といいますか、区民の立場に立った再開発、そういったものを区が主導で行わなければいけないと考えております。今までは事業提案者からの提案、それをただ受けるだけという形に見えます。ぜひとも区民目線に立って、区民にとって何が必要なのか、どういったものが望まれているのか、そういったものをもう一度しっかりと考え直していただきたいと思いますし、私が先ほど言いました、いろんな渋谷にある360度見渡せる展望台とか、レストラン、そういった区民が集える、夢のあるまちをつくるといった視点が、ほとんど今まで語られていなかったので、もう一度その辺について区長のお考えをお聞きしたいと思います。

 また、このコロナ禍での職員のスキルアップといいますか、そういうところのお話のところで、たしかワンナップチャレンジ運動という言葉が出てきました。これは以前、おもてなし運動のことだと思うんですけれども、これは本当にモチベーションアップにつながったのか、たしか発表会が1月26日、1月下旬に行われていたと記憶しております。区役所7階で行われたわけですけれども、その当時、東京では1日の感染者が約1,000人を超えている時期で、第6波の真っただ中であったと思います。保健所がパンクして、数多くの職員が様々な部署から動員されて必死に働いているときに、のんきに発表会をしていた、そういったお声も聞いております。

 クラスターのおそれがあった時期に、職員を新型コロナ対策ではなくて発表会に動員していたというふうなことについて、職員は本当にモチベーションアップしたのか、モチベーションは下がったんではないのか。職員の多くは、こんなときに発表をしていて、それどころではなかったといった声も聞いております。それよりも、区民の健康を守る新型コロナ対策をしっかりとやる時期だったのではないでしょうか。

 区民もやはり新型コロナ対策が一番であり、中野区役所の常識を疑うと、そういった声も聞いております。新型コロナで疲弊した職員のモチベーションアップ、ワンナップチャレンジ運動が本当に寄与したのか、もう一度伺いたいと思います。

 そして三つ目に、687億円の基準となる一般財源規模、それに抑えるといったことで、たしか昨年の11月、区長はそれに向かって今全所管で懸命に取り組んでいる、だからそれを実現するんだとおっしゃっていました。そのときに、児童相談所のこととか、頭になかったんでしょうか。先ほど児童相談所と幾つかの理由を挙げていましたけれども、その時点で児童相談所にお金がかかるということも分かったはずです。それなのに、今頃になって、児童相談所が今度4月に開所する。それにお金がかかる。かかってしまったと。11月の時点でそんなこと分かっている話だと思うんです。だったら、その時点で、そもそも基準となる一般財源規模を見直す、そういったことをおっしゃればよかったと思うんですけれども、その当時はそれに向けて全職員で取り組んでいるというふうにおっしゃっていました。ここに来て、児童相談所だ、幾つかの理由を挙げられましたけれども、その時点で既にその出費というか、予算は分かっていたはずですけども、それについてどうお考えなのか、お聞きをしたいと思います。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の再質問にお答えいたします。

 まず1点目、駅前の新北口駅前エリアの再開発において区民の視点を重視すべきという御質問でございます。区としても、今後、床の活用について区民の視点からどういう活用が望ましいかということを検討してまいります。その視点においては、それを区の権利床を活用してやるのか、事業者の努力によって実現するのか、そこについては事業者との交渉も関係してくると考えております。いずれにしろ、区民の視点を重視していくということは、私たちとしても同様に考えております。

 それから、2点目のワンナップチャレンジの発表会についての御指摘もございました。この発表会につきましては、感染拡大している状況ではありましたけれども、他の区の行事と同様に、感染拡大の防止対策を十分に徹底をして、換気等もしっかり行いながら行ったものでございます。このコロナ禍の中でも職員が努力をし、改善をしていると、そのことについて褒める文化というものをやっぱり維持するということは、コロナ禍の中でも私は必要なことだと思っておりますし、それが職員のモチベーションアップにつながると考えております。

 それから最後に、基準となる一般財源の規模についてでございます。この増要因につきましては、御指摘のとおり、子ども・若者支援センターのほか、インターネットデータセンターだとか、幼児施設整備の費用など、様々なものが増要因として考えられております。努力はして、職員一丸となって削減に取り組んで、基準となる一般財源規模を目指してはおりましたけれども、増要因として様々なものが考えられ、結果的には達成できなかったということでございます。

〔大内しんご議員登壇〕

○32番(大内しんご) 再々質問をさせていただきます。

 新北口駅前エリアの再開発について、今区長は、提案事業者ともいろいろ相談しながら様々なレストラン街あるいは区民が集える施設について検討していくと。もし事業提案者が提案されなかった場合はどうするんですか。採算が合わないという理由で事業提案者が提案されなかった場合、区としてはそういったものを造らなくていいというお考えなのか。私はそのときは、区がそういった部分の権利床を持っていても、区民が集える夢のある、そうしたビルというか建物を造っていただきたいと思います。あくまでも、事業提案が提案しないとやらないんだと、そういったことでは、やはり私はこの一等地にある区民の大切な財産、それを守ることはできないと思いますので、しっかりと区民の立場に立って、区民の目線で、こういったものが必要なんだと。事業提案者が、そういうことはやりたくないというのであれば、中野区がその床を持つぐらいの覚悟を持っていただきたい。そして、そういったもので夢のある、この中野のまちづくりをしていただきたいと思います。

 また、あともう一点、児童相談所のこと、それは私は11月の時点でもう分かっていたんじゃないかと言っているんです。その時点で、もう一般財源規模で収まるはずもなかったものを、今一生懸命取り組んでいるといったことをおっしゃっていたんで少しは期待していたんですけれども、そもそもその時点で分かっていたことをなぜ言わなかったのかなと。それについて、もう一度お答えいただきたいと思います。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の再々質問にお答えします。

 まず1点目が、新北口駅前エリアの施設についてでございます。御指摘のとおり区民の視点にとって重要な施設というものがこの駅前の一等地に私としても必要だと思っております。それについては、区の床を使う使わないというよりも、まずは区民の視点でそれが必要かどうかというのは議論するべきだと思いますし、それについて事業者が実現できないのであれば区がどうするかということも、時点で考えることだと思います。

 それから、基準となる一般財源規模のお話でございます。確かにその増要因というのは、11月の時点で、私は答弁の中でも、子ども・若者支援センター含めて、増要因としては理解していたところでございます。結果的にその基準となる一般財源規模、これを目指したわけではございますけど、やはりその増要因が大きかったということで説明したものでございます。

○議長(内川和久) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 平 山 英 明

 1 施政方針説明について

  (1)区政運営4年の振り返りについて

  (2)3つの柱と持続可能な区政運営について

  (3)令和4年度の区政運営方針と取り組みについて

  (4)その他

 2 コロナ禍における学校教育の諸課題について

  (1)学力と体力の変化について

  (2)子どもたちの心のケアについて

  (3)不登校児童・生徒への支援について

  (4)その他

 3 西武新宿線連続立体交差化と野方・若宮地域のまちづくりについて

  (1)野方駅周辺のまちづくりについて

  (2)洗心寮跡地の活用について

  (3)踏切の安全対策について

  (4)その他

 4 高齢者等のお出かけ支援について

  (1)高齢者等のための新交通システムについて

  (2)歩行者にやさしい道路整備について

  (3)その他

 5 その他

 

○議長(内川和久) 次に、平山英明議員。

〔平山英明議員登壇〕

○35番(平山英明) 令和4年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問を行います。

 質問は通告どおりで、その他はありません。また、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症への対応は、当局の負担を考慮し、続く小林議員、日野議員から、それぞれ伺います。区長、理事者におかれましては、簡潔で誠実な答弁に努めていただきますようにお願いをいたします。

 [1]初めに、施政方針説明について伺います。

 任期中最後となる今定例会の施政方針説明で、区長は、引き続き区政という重責を担うことについて全力で臨む決意を新たにしたと、2期目についての立候補を宣言されました。そのためか、区政運営4年の振り返りと、中野の今、そして未来として、区政運営の3本の柱に基づいた展望が中心の内容でした。幾ら改選を控えているとはいえ、来年度予算を提案する議会での施政方針であり、令和4年度の区政運営方針と取組について述べられるべきでした。議会と区民に対し、新年度の取組を伝えない施政方針がかつてあったのか、甚だ疑問です。

 時代認識や国や都の現状とこれからの方向性の現状認識、また世界情勢についての認識も語られることなく、ただ中野区のことだけが述べられる施政方針は、酒井区長らしいと言えばそのとおりですが、国や都のビジョンと区の政策が密接であることはもちろん、情報化社会の中で世界の変化が区民生活に影響を及ぼすことは言うまでもありません。区長が近視眼的であっては、区政も小さくまとまってしまいます。地に足をつけつつも、日本や世界の中の基礎自治体として、俯瞰的な視点から中野を見つめる区政運営が必要ではないでしょうか。

 では最初に、区政運営4年の振り返りから伺っていきます。

 区長就任直後から、新しい基本構想と基本計画を2年で策定すると述べられていましたが、1年以上遅れ、それまでの間の区政運営は、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)に基づき、多くの事業が行われました。振り返りに当たり、旧基本計画の施策まで成果として語られたことはやり過ぎの感があります。基本計画策定の遅れは、他の計画などの改定に大きく影響を与え、区政の推進を遅らせた、あるいは停滞をさせた側面もあったと考えます。むしろ成果とともに、達成できなかったこと、やり残したことも併せて述べていただければ、次への決意が伝わったようにも思えます。

 また、対話の区政の下、時には立ち止まって見直しながら行ったともありました。では、見直したものは何なのか。平和の森公園再整備か。それとも生活保護窓口の庁内移転なのか。こちらは具体的に語っていたいただきたかったところです。

 そこで、4年間の成果と見直しから何点か伺います。

 「児童館の全廃を見直し、新たな機能を備えた児童館を区立幼稚園とともに一定数存続させる方針を示した」とありました。方針を示すことが成果と言えるのでしょうか。しかも、新たな機能を備えた児童館への転換を含む施設の再編に伴う児童館廃止の条例は、さきの議会において、賛成少数で否決されたばかりです。これが成果であれば、かつて整備内容変更の方針を定め、整備中止を含む工事内容の変更案を議案として提出されたものの、議会の理解を得られず否決となった平和の森公園再整備も、300メートルトラック及び100メートルコースはつくらないとの方針を示したことも成果として語られるべきです。児童館再編の方針を定めただけで、区民に成果として受け入れられると思われるのでしょうか。改めて、成果とされた理由を伺います。

 2月1日に発表された学童保育の第1次募集での待機状況は深刻です。区が提案した、学童クラブを併設しない新たな機能を備えた児童館の配置案が適切であったか、分析が求められます。さきの子ども文教委員会で担当課長から、「今回の児童館条例の一部改正条例の否決により示された議会の意思は、令和4年度をもって4館の児童館を廃止することについては否定するものと捉えている」との答弁がありました。これまで様々な計画や方針の案を変更する際に、議会での議論を踏まえてとしてきたにもかかわらず、本件については、表面のみの結果を捉えており、あまりにもの御都合主義にあきれるばかりです。我々が主張したのは、多くの区民から寄せられた声も、まさに時には立ち止まって見直すことです。

 そこで伺います。児童館廃止のための条例が否決されたことへの区長の認識を伺います。

 最大1万人収容のアリーナ計画を最大で7,000人規模の大ホールに見直したこと、新たなシンボル拠点を整備するとしたことも成果とされました。区長就任直後の施政方針説明に対し、市民団体と結ばれた政策協定にある、1万人アリーナなど、巨大開発偏重の都市整備事業の区民参加による全面的な検証と見直しについて尋ねました。区長は、巨大開発偏重の都市整備事業とは、中野四季の都市(まち)を含む中野駅周辺などの大規模開発事業を指し、今後の都市整備事業については、区民の理解を得ながら推進するとの趣旨でお答えになりました。

 しかし、現在のサンプラザを取り壊すか否かについては、区民の声を聞く場とした区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議での十分な議論がないまま、突如議会で取壊しを発表され、ホール規模の想定についても、区民意見を聴取し理解を得たとは言い難く、さらには決定した開発事業者との協議で、シンボルタワーの整備を当初の事業計画案である高さ235メートルから六本木ヒルズ、サンシャイン60、東京都庁をも超える250メートルへの変更を検討中と報告がありました。これらについては開発事業者の声のみで、区民の声を聞いた形跡すらありません。

 そこで伺います。中野駅新北口駅前エリアの再整備について、区民参加で全面的に検証し、見直すことができ、今も区民理解を得ながら推進できているとお考えでしょうか、伺います。

 中野駅周辺再開発は、今後の区の50年、100年先までを決定づけるものです。少子高齢化が進む中で、新たにできるまちの形とそこから生み出される価値は、これから中野で暮らす方々にとって大きな影響を与えます。しかしながら、これまでの区長の発言からは、文化の発信と活力の創出以外の展望が見えません。中野駅周辺一帯の再開発を巨大開発偏重の都市整備事業などとは言わず、区政の最重要課題の一つと位置付けられてはいかがでしょうか、伺います。

 次に、三つの柱と持続可能な区政運営について伺います。

 第1の柱は、子育て先進区の実現に向けてです。コロナ禍の影響が最も大きなものの一つが学校教育ではないでしょうか。子育て先進区をうたいながら、教育大綱の改定について言及がなかったことは大変残念です。教育大綱は、国の教育振興計画に基づくものであり、必ずしも各自治体の総合計画に準ずる必要がなく、先んじて教育大綱の改定を行うこともできたはずです。これまでの間に教育大綱の改正を行われなかったのはなぜか、その理由を伺います。

 第2の柱、地域包括ケア体制の確立に向けてでは、中野区地域包括ケア総合アクションプランを策定し、都市部における地域包括ケアの一つのモデルとなることを目指すとされました。区長就任時の施政方針説明でも、「全ての区民を対象とした地域包括ケアシステムを着実に構築してまいります。都市部における地域包括ケアシステムは、まだその完成イメージや、構築の工程が十分に見えておりません。全国の都市部においてのモデルとなるような取組を目指す」と述べられています。

 4年で実現としていたものが、検討を進めただけで成果のごとく述べられ、さらに次の4年のビジョンとして語られることは大きな違和感を覚えます。未来を語る前に、就任当時から区政の柱と位置付け、外部から担当部長を置きながらも今に至るまで区の目指す地域包括ケア体制が確立されていない現状を、どう分析されているのか。また、確立までの具体的なスケジュールを併せて伺います。

 第3の柱、活力ある持続可能なまちの実現に向けてでは、種々の取組で経済を回復の軌道に乗せると言及されました。しかし、一連の取組の具体策や及ぼす効果とそのスケジュール感が見えません。しかも、今後の日本経済や区財政について不透明とされ、将来の見通しもありませんでした。区長が考える経済が回復の軌道に乗った状態とはどのような状態なのか。また、どのようなスケジュールで回復の軌道へ乗せていくのか、具体的に伺います。

 最後に、三つの柱を進めるためとして、持続可能な区政運営の実現に向けて述べられましたが、「構造改革は財政体力を高めることばかり注目されがち」との発言が気になります。その後に述べられた、社会や経済などの状況変化が不可避な中で新たな行政需要に応じ効果的なサービスを提供するためには、安定した財政体力の維持が必要です。あえて「構造改革は財政体力を高めることばかりが注目されがち」と述べられたのはなぜでしょうか。また、ここで言う財政体力以外のこととは、具体的に何を指すのか、伺います。

 この項の最後に、令和4年度の区政運営方針と取組について伺います。

 さきにも述べましたが、施政方針では、令和4年度の区政運営方針と取組が語られませんでした。我が会派が目指す令和4年度の区政運営方針と取組の具体的な姿は、昨年区長に提出した予算要望、あるいは緊急要望として示しており、ここではその中から4点だけ伺います。

 まず、子ども・子育て支援についてです。保育園の待機児を25人まで減少させたことを成果として述べられましたが、そもそも就任直後は翌年に待機ゼロを目指すとされていました。それはそれとして、今保育現場で起きているのは、待機児の減少とともに、特に小規模の園での定員割れです。両面から見て対策を講じないと、需要と供給のアンバランスがさらに進むことを懸念します。そして、学童保育の待機は増加の一途です。

 そこで伺います。私立保育園の定員割れに対する対策と、学童保育の待機児解消に向けた緊急プランの策定を求めます。御見解を伺います。

 都は、令和5年度から高校3年生までの医療費無償化の方針を決め、区市町村のシステム改修費を令和4年度に予算化したと聞きます。区も令和5年度からの実施に向け、来年度システム改修を実施すべきと考えます。また、実施に当たっては、所得の制限なく、18歳までの全ての子どもたちを対象とすべきことを求めますが、御見解を伺います。

 中野区立公園再整備計画が素案までまとまりました。しかし、求め続けてきたプレーパークについて、いまだ事業の扱いで、機能としての常設のプレーパーク設置には至っておりません。公園の一部を活用した常設のプレーパーク設置を公園再整備計画に盛り込んではいかがでしょうか、伺います。

 活力の再生と創出に向けたまちづくりとして述べられたことは、具体性も斬新さもないように思います。四季の都市(まち)の開発当時から求め続けていますが、活力の再生と創出のために、中野駅周辺再開発に合わせ、地域FM局の開設を行ってはいかがでしょうか。区全体の防災性の向上にもつながります。御見解を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、コロナ禍における学校教育の諸課題について伺います。

 施政方針をお聞きすると、区の主要な教育施策は、貧富の格差による教育格差の解消が中心に見えます。確かに重要な一面ではありますが、コロナ禍がもたらす学校教育の課題を児童・生徒の経済的背景だけで見ては、光が当たらない存在が生まれます。

 小児脳学者である成田奈緒子氏は、個人の乗り越える力、いわゆるレジリエンスは、自己肯定感、社会性、ソーシャルサポートの三つのパーツからできていると述べています。この場合のソーシャルサポートとは、周りの人に助けられているのを実感できる力のことです。これらは家庭や学校、そして社会の育てる力によって身についていくものではありますが、特にソーシャルサポートについては、助けられていることを実感できる支援体制がなくてはなりません。そのことを踏まえて伺っていきます。

 まず、学力と体力の変化について伺います。

 文部科学省の調査によると、コロナ禍の一昨年度と昨年度、全国的に学力については低下が見られず、体力については低下が見られます。当区においては学力テスト、体力テストとともに大きな変化が見られません。しかし、本当に実態を表しているのでしょうか。一昨年の一斉休校や、相次ぐ体験学習の機会の損失、部活動の制限や外遊びの制限など、児童・生徒を取り巻く環境は急変しており、そのことで学力や体力、心に大きな変化が生じていないとは思い難く、物差しを変えて実態を再調査する必要があるのではないでしょうか。

 感染拡大の落ち着きを待つことなく、手遅れになる前に、学力、体力や生活習慣などを含む総合的な分析を急ぎ行うべきと考えます。御見解を伺います。

 教育ビジョンの改定が大幅に遅れており、改定を急ぐべきです。本年第2回定例会を待っても、教育大綱改定スケジュールが示されない、あるいは年度内の改定が見込めない場合は、先んじて教育ビジョンの改定作業を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、子どもたちの心のケアについて伺います。

 文部科学省が令和2年2月15日に示した「コロナ禍における児童・生徒の自殺等に関する状況について」によると、令和2年度の自殺者数は急増しており、特に原因・動機別では、病気の悩み・影響、心の問題が増えています。区立小・中学校でも、コロナ禍でのスクールカウンセラーへの利用状況は増加傾向です。一方、スクールカウンセラーへの相談件数だけで見ると、学校によってばらつきが見られます。相談に訪れる多感な児童・生徒は、場合によってスクールカウンセラーとの相性で継続した相談を受けないこともあるとも聞きます。現在の固定のスクールカウンセラー体制について、セカンドオピニオンのような、新たな支援体制を検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 子どもたちにとって大きな心の支えは、真剣に向き合ってくれる教員の存在です。教員がより子どもたちと向き合う時間を確保するためには、働き方改革を進めなければなりませんが、現在はテレワークを行おうにも、校内システムに自宅などからアクセスできる仕組みがありません。区立小・中学校にも、区長部局側と同様に、自宅などからアクセスを可能とするシステム構築を行うべきと考えます。お伺いをいたします。

 この項の最後に、不登校児童・生徒への支援について伺います。

 全国的に不登校児童・生徒数が急増をしており、当区も同様と聞きます。子どもたちの学びの機会を失わせてはなりません。フリーステップルームの在籍者数は増えていますが、実際の活用状況は、在籍後必ずしも利用につながっていない場合もあるようです。一方、GIGAスクール構想の推進により、学校に行けない事情を抱える児童・生徒にも、在宅で学べる環境が整備されています。

 そこで伺います。不登校児童・生徒に対するオンラインでの教育支援の状況をお伺いいたします。また、特筆すべき事例があれば御紹介をください。

 基本計画には、「不登校児童・生徒一人ひとりの状況に柔軟に対応するため、学校、教育支援室、教育相談室、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、子ども・若者支援センター、すこやか福祉センターなど、教育や福祉に係る関係機関が一層連携し、継続した相談支援体制を推進します」とあります。具体的な内容を、スケジュールを含め、伺います。また、家庭へのアウトリーチも必須と考えますが、御見解を伺います。

 現在、全国での不登校特例校の設置状況は、公立8校、私立9校の計17校で、23区では、大田区に公立が1校、葛飾区に私立学校のみとまだまだ少ない状況です。交通の利便性に優れた地理的条件で考えれば、中野区内に特例校があれば、区内の児童・生徒のみならず、希望する東京の多くの子どもたちに役立つことができます。区内に民間誘致による区有施設を活用した不登校特例校の設置を目指すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、西武新宿線連続立体交差化と野方・若宮地域のまちづくりについて伺います。

 初めに、野方駅周辺のまちづくりについて伺います。

 西武新宿線沿線まちづくり整備方針(野方駅周辺地区編)が策定されました。進む高齢化社会にあって、連続立体交差化を見据え、地域とまちの未来図を描くことができることは千載一遇の機会です。野方のまちの歴史とにぎわいを残しながら、次の50年に向けた新しいまちの形をつくっていかなくてはなりません。課題である移動の円滑化と、伝統と文化を残しながらも、まちの安全性を向上させ、ゆとりある豊かなまちの形成には、拠点施設を中心とした集約化が必須で、今回の整備方針でも、駅前拠点ゾーンの形成に踏み込んでいます。

 そこで伺います。駅前拠点ゾーンの整備については、交通アクセスの面から考えても、駅南部を中心に行うよう検討することが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 環境対策として、緑や自然との調和の方針は見られますが、脱炭素社会に向けた取組の視点が欠けているように思えます。野方駅周辺は、地元商店街が早くからLED型、一部は太陽光パネル設置型の街路灯への転換を図るなど、まちとして積極的に環境対策に取り組んでいます。今後の推進に当たり、これまでのまちの取組も踏まえ、中野駅周辺に次ぐ環境配慮型のまちづくりとなることを目指してはいかがでしょうか。伺います。

 次に、若宮地域のまちづくりにとって重要な洗心寮跡地の活用について伺います。

 補助第227号線、川北橋以北の整備に当たっては、南側の大和町部分同様、現時点では、代替地のない中での整備となるため、特に高齢者への具体的な対応策が必須であることはこれまでも述べてきました。洗心寮跡地については、若宮地区の防災機能の向上とともに、沿道整備に当たってのまちづくり用地としての、特に高齢者の地区内移転を支援するための整備を行ってはいかがでしょうか。伺います。

 この項の最後に、野方-都立家政間の踏切の安全対策について伺います。

 昨年4月13日、国土交通省が、改良すべき踏切道の第1弾として93か所を新たに指定し、野方第1号踏切も含まれました。特に高齢者等の安全確保が求められたと認識をしていますが、何らかの対応は行われたのでしょうか、伺います。

 野方第4号踏切では、昨年痛ましい事故が発生しました。踏切への進入角度が急な同踏切では、度々線路に自転車の車輪が落ちる事故が起きています。私も当時幼稚園生の娘の自転車の車輪が落ち転倒したときに、警報機が鳴り、遮断機をかいくぐり、泣き叫ぶ娘と自転車を抱えて救出したこともありました。区には、注意喚起の看板を設置していただきましたが、効果が十分ではありません。根本的な解決は、連続立体交差化実現ですが、それまでの間、再び痛ましい事故が起きることを防がなくてはなりません。

 そこで、野方第4号踏切を区として特に危険な踏切として指定し、安全対策を講じるべきと考えます。いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、高齢者のお出かけ支援について伺います。

 初めに、高齢者等のための新交通システムについて伺います。

 平成19年に初当選させていただき、最初の一般質問で、同じく「高齢者等のための新交通システムについて」というタイトルで質問いたしました。あれから15年、来年度、区が若宮・大和町地区でコミュニティバスの実証実験を行われることは大変感慨深く、実験を踏まえ、同地域の方々のみならず、区内全体の移動支援として喜ばれる事業となることを願います。区が示した検討案の巡行ルートは、実線部分と点線部分が存在しますが、公共交通機関との連結を踏まえると、野方地域は点線の野方駅とアクセスしやすいルートが望ましいと考えます。

 そこで伺います。今後事業者が決定し、調整の際には、より駅に近づくルートでの調整を望みますが、いかがでしょうか。伺います。

 実証実験に当たり、AIオンデマンド交通の導入は検討されたのでしょうか。また、今後検討される予定はあるのでしょうか。伺います。

 最後に、歩行者に優しい道路整備について伺います。

 高齢者の安全な移動のためには、道路整備、特に歩道部分の整備も欠かせません。補助第227号線大和町部分の整備が再来年度以降、いよいよ始まります。ここでは同路線に絞って、伺います。

 新たな道路の整備は都施工となりますが、自転車走行帯は歩道部分ではなく、車道部分に設置されると考えてよいでしょうか、伺います。

 補助第227号線の整備に当たり、今後区のモデル道路となるようなベンチなどの設置を求めてきました。その後の状況を伺って、私の全ての質問を終わります。

 先ほどのところ、すみません。自転車走行帯のところ、もしかすると歩道部分に設置されるみたいな通告になっていましたら、逆でございますので、大変申し訳ございません。

 以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、施政方針説明についてで、児童館の全廃見直しを4年間の成果とした理由についてでございます。児童館の役割を再整理し、これまでに計画化された施設等の方針について、区民との対話によって新たな方向性を示したことは、区民の声の具体的な反映であり、成果があったと捉えております。

 方針の具体化につきましては、児童館条例の一部改正が否決されたことによって、道半ばの状態でございますが、区民との対話の内容を議会にも丁寧に説明し、実現に向けて取り組んでいくことが必要であると考えております。

 次に、児童館条例否決に対する認識についてでございます。今回の児童館条例の一部改正条例の否決により示された議会の意思は、令和3年度末をもって4館の児童館を廃止することについて否定するものと捉えております。したがって、令和4年度は否決という議決結果を受けて、現在の児童館数を維持して運営していくものとしました。令和5年度以降どうするかについては、今後改めて検討を進めてまいります。

 次に、新北口駅前エリア再整備における検証、見直しについてでございます。中野駅新北口駅前エリアの再整備につきましては、区長就任後、区民会議やタウンミーティングにて区民と対話を行うとともに、課題について検証を行って、新区役所、新北口駅前広場などとの一体的な計画による再整備であることや、西側南北通路橋上駅舎整備の早期開設の取組から再整備を推進するものといたしました。

 1万人収容のアリーナの計画につきましては、規模を再検討した結果、最大収容人数7,000人程度を上限といたしました。

 再整備の基本的な方針を示す中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画の策定に当たっては、区民との意見交換会や意見募集、パブリック・コメントを行って策定をしております。また、現在、施設計画の詳細の検討段階でございますが、検討内容についての区民説明会も行っております。区民の理解を得ながら再整備を進めていると考えております。

 次に、中野駅周辺再開発の最重要課題としての位置付けについての御質問です。中野区に住む全ての人のより豊かな暮らしを実現するためには、まちのにぎわいの創出も重要な課題となると認識をしております。中野駅周辺各地区のまちづくりにつきましては、基本計画の重点プロジェクトの一つの取組として位置付けておりまして、活力ある持続可能なまちの実現に向けた区の最重要課題として捉えております。

 次に、教育大綱の改正時期についてでございます。基本構想は区政運営の指針でありまして、区の基本目標として位置付けていることから、基本構想の改定を待って教育大綱の改定の議論を進めるべきと考えたところであります。

 教育大綱では、基本構想の理念でもある、誰一人取り残されることのない地域社会を実現するため、今後の中野の教育が目指す姿を描いていきたいと考えております。

 次に、地域包括ケア体制の現状と分析及びスケジュールについてでございます。支援が必要な全ての人を対象とする地域包括ケア体制を構築するために、これまでにすこやか福祉センター圏域の見直しを行い、5か所目のすこやか福祉センターの設置を検討するとともに、区民活動センター圏域を地域包括ケアの最も基礎的な単位と位置付け、地域ケア個別会議の設置を決定するなど、圏域や会議体制といった基盤を整備してきたところであります。今後は、対象者の広がりや生活課題から八つの柱を掲げ取組を進めることとしておりまして、区、区民、関係団体や事業者などによる柱に沿った取組を進め、広げることで、社会の変化にも柔軟に対応できる地域包括ケア体制を構築できると考えております。地域包括ケア総合アクションプランの5年間の計画期間の中で、支援が必要な全ての人を対象とする地域包括ケア体制や取組を定着させてまいります。

 次に、経済を回復の軌道に乗せていくための取組についてでございます。経済が回復の軌道に乗った状態とは、基本計画で掲げる重点プロジェクトの一つであります活力ある持続可能なまちの実現の取組によって、区内中小企業及び商店街各個店へのニーズを捉えた支援や、魅力的な地域資源を活用した地域ブランドづくり等によって、事業者や消費者などの経済活動が再び活性化をし、安定した動きがつくられている状況と認識をしております。

 具体的な取組の内容につきましては、現在、庁内に重点プロジェクト推進会議を設置し、検討を進めているところでございまして、スケジュールについても今後検討してまいります。

 次に、構造改革の財政体力以外のことについてでございます。財政体力を高めて、健全な財政運営を行うことはもちろんでございますが、効率的かつ効果的なサービスを提供し、基本構想で描くまちの将来像を実現していくための取組として、施策、施設、組織のこの三つの再編が必要であると考えております。

 次に、私立保育園の定員割れ、学童待機児対策についてでございます。私立保育園の在園状況につきましては、例年、年度当初は保護者の育児休業取得との関係で定員割れが生じやすいんですが、年度途中から入所率が徐々に定員近くまで上昇する傾向にございます。私立保育園の定員割れに対する個別支援につきましては、運営事業者の経営状況等を踏まえて検討する必要があると考えております。

 学童クラブは、キッズ・プラザ併設型を基本に整備をし、民間誘致、または閉館する児童館を転用して需要を満たしていく考えでございます。喫緊の対応としては、学童クラブの利用待機となった児童を対象に、保護者へ入退館をお知らせするシステムを活用した児童館の特例直接利用を計画しております。

 次に、高校3年生までの医療費無償化についてでございます。現在、中学3年生までの医療費については、東京都では所得制限を設けておりますが、23区では一律、所得制限なく、医療費助成を行っております。高校3年生までの対象拡大や所得制限につきましては、今後、東京都から詳細な事業設計が示される予定でございまして、区の方針については他区の動向も注視しながら検討してまいります。

 システム改修の時期につきましては、事業設計を踏まえながら適切に対応してまいります。

 次に、常設のプレーパークの設置についてでございます。現在策定中の公園再整備計画では、公園施設の一部でプレーパーク事業などができる空間整備について想定しているところであります。また、利用ルールの見直しの中でも、プレーパーク事業などの支援を行うための新たな公園利用の提案制度について盛り込んでいるところであります。設置につきましては、周辺住環境への影響などを総合的に検討する必要がありまして、全庁的に検討を進めてまいります。

 私から最後に、中野駅周辺におけるコミュニティFMの設置についてでございます。区政情報の発信に当たりましては、クロスメディアなど工夫をして行っているところでありますが、コミュニティFMだからこそ発信できる情報や、リスナーに訴求する情報があると認識をしております。また、災害時には、リアルタイムできめ細かく情報を発信できる点で有効であるとも考えております。中野駅周辺でコミュニティFMを設置するためには、様々な課題がございますが、設置の可能性を検討してまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、コロナ禍における学校教育の諸課題についての御質問にお答えをいたします。

 まず、新型コロナウイルス感染症拡大の体力、学力や生活習慣等への影響についてでございますが、これからの学校教育を考えていく上で、新型コロナウイルス感染症拡大が子どもたちに与えた影響を総合的に見ていくことが重要であると考えております。体力につきましては、現状の調査においても、生活習慣に関わる結果を把握することができるため、相関関係について今後分析してまいります。また、学力につきましては、現在実施している区の学力に関わる調査のうち、意識調査の項目に生活習慣に関わる内容を追加し、学力と生活習慣の関係性についても把握できるようにしていく必要があると考えております。

 次に、教育ビジョンの改定についてでございます。教育委員会では、教育ビジョン改定に向け、今年度、教育事務の点検評価に係る外部委員会において、学識経験者から教育ビジョン改定に関わる意見等を聴取しております。教育大綱の改定につきましては、現在、総合教育会議で議論が進んでおり、教育ビジョン改定に当たっては、教育大綱の趣旨を踏まえ、改定していきたいと考えております。

 次に、子どもたちの心のケアについてでございます。学校における心の相談の体制の検討についてですが、中野区では全小・中学校にスクールカウンセラー以外にも、心の教育相談員を配置しております。さらに、今年度より中学校区に週1回教育相談室の心理士を派遣し、相談できる窓口の選択肢を増やしました。現在、子どもたちが様々な相談窓口により、相談相手も選択できる体制を整えているところでございます。

 次に、教員の在宅での業務についてでございます。教員がより一層子どもと向き合う時間を確保するために、中野区教育の情報化推進計画に従い、在宅で行うことが可能となる業務の仕分けや、ルールの策定など、学校外から安全に業務を行えるよう検討してまいります。

 次に、不登校児童・生徒への支援についてでございます。不登校児童・生徒に対するオンラインでの教育支援の状況と効果的な活用事例についてでございます。各学校では、不登校傾向の児童・生徒に限らず、教室で授業を受けることができない場合には、授業のオンライン配信を行っております。担任がグーグルクラスルームなどを活用して、課題や時間割の配信を行った結果、不登校傾向の児童・生徒から「分かりました」と、短い文章ではありますが、返信が来るようになったなど、学校とつながり、学習への意欲が見られるようになった事例がございます。また、家庭訪問等でも直接会うことが難しかった不登校の児童・生徒に対して、オンラインで面談を行うことができた事例もございました。

 次に、不登校児童・生徒一人ひとりに対応した支援についてでございます。新たに教育センターが開設され、教育支援室と教育相談室の職員、スクールソーシャルワーカーが同じフロアで勤務することになりました。移転後は、日常的に情報交換を行い、連携しながら支援を進めております。

 また、保護者の了承が得られた場合は、学校がすこやか福祉センターへ情報提供を行うことで、中学校卒業後も不登校傾向の生徒への支援が継続できる体制を整えております。

 不登校傾向の児童・生徒や福祉的な支援が必要な家庭には、スクールソーシャルワーカーが直接家庭訪問し、児童・生徒本人や保護者への支援を行っております。令和4年度からは、スクールソーシャルワーカーを増員することで、さらに支援を充実していく予定でございます。

 最後に、不登校特例校の設置についての御質問です。現在、中野区では、教育支援室等で一人ひとりの不登校児童・生徒に対して、教育相談員による学習指導と心理職による相談、カウンセリングを行っております。

 不登校特例校は学校であるため、通学を希望する児童・生徒は、その学校に在籍し、その学校の教育課程に基づき、個々の学習状況に合わせた教科指導を受けることになります。不登校特例校につきましては、今後も他区市の状況を踏まえて研究してまいります。

〔まちづくり推進部長豊川士朗登壇〕

○まちづくり推進部長(豊川士朗) まず、西武新宿線連続立体交差化と野方・若宮地域のまちづくりについてお答えいたします。

 初めに、野方駅駅前拠点ゾーンの整備についてでございます。駅南北において多様な都市機能の導入を図るとともに、ユニバーサルデザインに配慮した広場や駅へのアクセス道路の整備を検討してまいります。

 それから、野方駅周辺における環境配慮型のまちづくりについてございますが、都市機能の集約化と公共交通の利用促進など、脱炭素社会の実現に向けた都市づくりに資するよう、改定される都市計画マスタープラン等を踏まえ、今後具体的なまちづくりを検討してまいります。

 それから、洗心寮跡地の活用につきましては、補助第227号線整備用地をはじめ、防災性向上や緑の創出のためのオープンスペース等、地域の課題やニーズを踏まえて考えてまいります。

 それから次に、高齢者等のお出かけ支援についてのうち、歩行者に優しい道路整備についてでございます。

 まず、補助第227号線大和町中央通りの自転車通行帯につきましては、東京都により、道路設計及び交通管理者協議を行っている状況でございますが、現時点では車道部分に自転車通行帯を設ける方向で検討していると聞いてございます。

 それから、補助第227号線のベンチ等の設置についてでございますが、東京都が取得した都市計画線外の残地等を活用してベンチ等を設置することにつきましては、大和町まちづくりの会とも意見交換しながら、事業施行者の東京都とも引き続き協議をし、どのような対応が可能かなどを高齢者等の歩行者の利用や地域の実情も踏まえまして決定していきたいと考えてございます。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、まず踏切の安全対策についての御質問にお答えをいたします。

 初めに、野方第1号踏切の安全対策についてでございます。これまで区では、野方第1号踏切について鉄道事業者と協議の上、歩車道を分離するための歩道部分のカラー化などを実施しているところでございます。

 踏切道改良法の改正を受けまして、区と西武鉄道株式会社は情報交換を行い、改良すべき踏切道の指定を受け、高齢者等の安全対策として、踏切支障検知装置の高機能化を行ったところでございます。

 次に、野方第4号踏切の安全対策についての御質問でございます。野方第4号踏切は、道路と斜めに交差しており、警視庁、西武鉄道株式会社、区の3者で安全対策の検討を行ってきた経緯がございます。区では、歩道部分のカラー化などを実施しており、西武鉄道株式会社も注意喚起看板の設置などの安全対策を実施しているところでございます。今後も引き続き国土交通省や西武鉄道株式会社と連携をしながら、さらなる踏切事故防止の対策について検討を進めていきたいと考えてございます。

 次に、高齢者等のための新交通システムについての御質問でございます。

 初めに、若宮・大和町地域における地域公共交通のルートについての御質問でございます。現在の運行計画案は、地域アンケートや勉強会を踏まえ、検討しているものでございまして、野方駅に近いところまでアクセスできることを望む声があることは認識しているところでございます。区としましても、このような事情を考慮しつつ、引き続き運行事業者や交通管理者などとの協議を進めていく考えでございます。

 最後に、AIオンデマンド交通の検討についての御質問でございます。若宮・大和町周辺地区における地域公共交通の実証実験の検討におきまして、AIを活用したオンデマンド交通なども一つの案として検討をしているところでございます。現在作成中の交通政策基本方針におきましても、新技術やICTを活用した取組の推進を掲げているところでございまして、区民の移動利便性の向上及び移動手段の改善に向けまして、区民の意見を聞くとともに、交通事業者等と連携しながら、交通環境の整備を推進していく考えでございます。

〔平山英明議員登壇〕

○35番(平山英明) 再質問いたします。1問だけです。端的にお答えください。

 教育大綱のための教育総合会議が遅れていると言われましたけど、もう2年以上空白が空いて、この前、やっと再開した状況なんです。このまま教育大綱の改定が遅れると、教育ビジョンはもう改定年度をずっと過ぎていて、限界を迎えているんです。それを今現場で一生懸命工夫しながらやっていただいているのは分かっているんですが、私はもう来年度がリミットじゃないかと思っていますので、そこら辺の覚悟を持ってやっていただきたいという意味での質問ですので、最後、再度答弁をお願いします。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 平山議員の再質問にお答えをいたします。

 教育ビジョンの改定に当たりましては、今まで積み上げてきましたものも含めて、その辺のお話にありましたリミットということも含めて、今後改定をしてまいりたいというふうには思っております。学校におきましては、毎年、学校の指導目標ということを教育委員会がビジョンを受けて定めておりますので、学校の教育におきましては不具合がないものというふうに捉えております。

○議長(内川和久) 以上で平山英明議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時30分休憩

 

午後3時50分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 浦 野 さとみ

 1 区長の政治姿勢と所信表明について

  (1)公約実現と区政運営について

  (2)新型コロナウイルス感染症対策とコロナ禍で浮き彫りとなった課題について

  (3)その他

 2 生活保護行政の改善・拡充について

  (1)制度活用を周知することについて

  (2)扶養照会について

  (3)職員体制の強化と育成について

 3 聞こえの支援について

 4 痴漢をなくすことについて

 5 その他

  (1)(仮称)上高田五丁目公園について

  (2)その他

 

○議長(内川和久) 浦野さとみ議員。

〔浦野さとみ議員登壇〕

○31番(浦野さとみ) 2022年第1回定例会本会議に当たり、日本共産党議員団を代表し、一般質問を行います。

 新型コロナウイルス感染拡大が甚大な影響を与える中、お亡くなりになった方々にお悔やみを申し上げるとともに、罹患された方々にお見舞いを申し上げます。また、医療や介護などの最前線の現場で働かれている皆さんをはじめ、ライフラインを維持するために昼夜問わず尽力してくださっている全ての方々に感謝を申し上げます。

 質問は通告どおりです。

 初めに、1、区長の政治姿勢と所信表明について、公約実現と区政運営について伺います。

 区長就任から3年9か月、任期終了前、最後の区議会定例会となりました。区長は所信表明で、就任以来の主な取組とこの間の成果について述べられました。私たちは、区長自身の公約や政策協定に基づく施策として、区立保育園全園民営化方針を撤回し、区立園を存続させながら、保育の質ガイドラインを作成したこと、区立幼稚園廃止の見直し、児童館全廃計画を見直し、職員増員による開館日拡大や機能充実を打ち出したこと、子どもと子育て家庭への実態調査を踏まえた子どもの貧困対策や子どもの権利に関する条例制定へ向けた取組をはじめ、哲学堂公園再生整備計画を見直し、国の名勝指定を得ながら保存活用計画策定へ動き出したこと、旧豊多摩監獄表門の保存活用、公契約条例制定へ向けた取組、男女共同参画や多文化共生の推進などについて評価をいたします。

 これらは、前区政の下で示された10か年計画に対し、各分野での見直し、撤回を求める区民の声を受けたものが多く含まれています。コロナ禍において、2020年度に区民の暮らしと状況の意識に関する調査を実施し、今後の施策展開に生かそうとされていることも重要です。

 所信表明の中で、「区政の主役は区民の皆さん」と、区長就任時に述べられた言葉に改めて触れていますが、区政運営で大事な姿勢と考えます。対話の区政のため、開催方法などを工夫しながら区民とのタウンミーティングなどでの対話も重ねてこられました。区政の主役である区民の皆さん、区政をともに進める現場職員の皆さん、そして区議会などと対話と議論を重ねていく姿勢は、これからも変わることがないか、伺います。

 「時には立ち止まって、当初の想定や方針、方法を見直しながら区政を進めてきた」とも触れていますが、新庁舎における生活援護課の配置案見直しもその大きな一つであり、今後の区政運営で大事なことでした。

 一方で、区長の大きな公約の一つであった平和の森公園再整備計画の見直しが実現できなかったことは痛恨の極みです。私たち会派としても、区民の方々に公約として掲げた問題であり、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。様々な困難があったにせよ、示し続けられた民意に背を向けることは絶対にあってはいけないと考えます。できる限りの力を尽くしても、議会の力関係などで、時には実現できないこともあると思います。しかし、区民の方との約束は守っていくという姿勢が貫かれてこそ、信頼は築いていけるものだと考えます。区長が公約として実現できなかった課題について、また不十分だったと感じていることについても、区長御自身の言葉でぜひ見解を述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 中野駅周辺のまちづくりにおいても、アリーナ規模の見直しは図られたものの、組合施行の市街地再開発については、区が前のめりとなっていることで、開発事業の在り方によっては、地権者や住民の皆さんの生活と権利が損なわれかねず、住民合意を大前提としたまちづくりが求められます。西武線沿線、野方以西の連続立体交差事業や西武新宿線区内各駅の周辺のまちづくりも同様であることは重ねて強調したいと思います。

 財政運営に関わって、1点伺います。今年度当初予算では、歳入で特別区税や特別交付金等は前年度からの大幅減が見込まれていましたが、前年度を超える見込みとなっています。来年度の一般財源の歳入も想定以上の増収幅となり、2020年度を上回る規模となります。こうした状況を踏まえると、財政が非常事態という認識は、今後の財政出動にも影響を与えかねず、今後の施策展開を見誤る可能性もあります。この認識は改めるべきと考えますが、見解を伺います。

 今後、(仮称)中野区子どもの権利に関する条例案や(仮称)中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例案が議会へ提案される予定です。これらが理念にとどまらず、確実に施策を前進させていくための具体化が重要となってきます。これから改定された中野区基本構想と新たな基本計画に基づいて区政運営を進めていくことになります。所信表明の中でも、基本計画で定めた三つの重点プログラムを区政運営の柱としていくことが述べられましたが、この三つの柱を進めることが、誰一人取り残さない社会の実現へ重要であると考えます。

 その上で、職員体制の在り方が大切です。前区政の下での行き過ぎた職員削減が各部署で大きな弊害となっています。これは基本構想や基本計画を前へ進めることが困難になることだけでなく、現状の課題解決も難しい状況にあるとも考えます。2,000人体制については根本的な見直しが必要ではないでしょうか。見解を伺います。

 次に、(2)新型コロナウイルス感染症対策とコロナ禍で浮き彫りとなった課題について伺います。

 私たちは、これまでも感染拡大を抑えるための大規模検査、迅速なワクチン接種、事業継続の補償をセットで行うことを繰り返し求めてきました。新たな変異株が猛威を振るう中、中野区内でも、1月28日には新規陽性者が500名を超え、想定していたフェーズ8を上回る状況となりました。

 昨年末、政府が発熱外来の体制支援のための補助金をなくし、年末の診療分から新型コロナに関わるPCR検査や抗原検査の診療報酬点数の引下げを行ったことは看過できません。第6波に備え、体制づくりを行ってきた医療機関にとっては、これ自体が大きな打撃となっています。「感染リスクを背負いながら検体を取る手技代や、検査に必要な手袋やマスク、消毒液などの物品代を考えると赤字になります。検査の強化こそ必要なこの時期に、医療現場を苦しめるようなことはやめてほしい」との声も届いています。検査をすればするほど赤字になるため、検査を行うことをやめざるを得ない医療機関もあります。発熱外来への体制支援、補助金の復活、検査に係る診療報酬の引上げを国に求めるべきです。見解を伺います。

 神奈川県海老名市では、こうした事態を踏まえ、市内医療機関に対し、PCR検査1回につき5,000円の補助金を出すことを公表しました。市内の検査体制を維持することが目的です。中野区でも、この事態を踏まえ、区内の検査体制維持のために実施を検討すべきです。答弁を求めます。

 小・中学校や学童、幼稚園や保育園などの子ども関連の施設での感染が広がり、学年、学級閉鎖や休園が相次いでいます。オミクロン株の特性を踏まえれば、クラス単位での速やかな検査が重要です。この間、東京都教育委員会が順次通知を出しています。1月19日付では、部活動の大会や移動教室などの前後において、参加する児童・生徒及び教職員を対象にPCR検査が活用できるようになりました。1月25日付では、学校内に感染が広がっている可能性が高いと判断された場合には、これらの施設でも定期検査が可能となりました。また、今月2日付で出された通知では、区立学校の教職員等が抗原検査を週1回受けられることとなり、学校ごとに登録し、検査キットが発送される仕組みで、7日から受付が始まっています。迅速な情報提供とともに、これらの通知も踏まえ、子どもや教職員などの安全を守るために検査体制を拡充すべきです。見解を伺います。

 東京都は、昨年12月からPCR等検査無料化事業を開始しました。当初の予定期間から延長されたことは重要です。中野区内でも、複数の薬局などで検査が可能で、東京都モニタリング検査も中野駅北口で幾度にわたり実施されています。杉並区では、事業者と連携し、1月24日から2月20日までの期間、区内の大規模公園を会場に、無料でPCR検査を実施しています。中野区でも、一定規模があるところなどを活用し、検査体制の拡充を検討すべきではないでしょうか、伺います。

 検査実施にて陽性者となった方への対応について、2点伺います。

 中野区内でも自宅療養の方が増えています。症状のある感染者が医療や適切な健康観察を受けられずに自宅に放置されることがないようにしなくてはいけません。有症状、無症状の感染者それぞれを保護するために、宿泊療養施設を大規模に確保することも東京都へ改めて求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、医師が入院の必要がないと判断した方に対しても、医療機関との連携を強めながら、十分な健康観察を行うこと、保健所の負担軽減の観点からも、東京都の自宅療養者フォローアップセンターや自宅療養サポートセンターへ迅速につなぐことが重要です。現状の対応と今後について伺います。

 この項の最後に、コロナ禍で浮き彫りとなった課題について、1点伺います。

 新型コロナ以前から問題となっていた非正規や低賃金、ケア労働の在り方などの社会的構造の問題が一気に表面化しています。長引くコロナ禍、生きづらさが他者への寛容さを失い、死を選ばざるを得ない現状も生まれています。一人ひとりの皆さんが、本当に懸命に今を生きています。

 区長は所信表明で、感染症の長期化により、増加している生活困窮者への支援、教育格差が拡大したと言われる子どもたちへの支援策を講じることや、長期化により貧富の格差が大きくなったことを実感しているとも述べました。社会全体の在り方、行政の在り方が問われる中、住民に一番身近な自治体としての公助の役割を発揮し、自治体としてできることに力を尽くしていくことが大切です。住民と行政の間にはまだまだハードルがあり、困ったときには区役所へという意識は弱いと感じます。困り事を具体的に例示し、各相談窓口の周知をより分かりやすくするなどの工夫も行いながら、コロナ禍で生きる全ての方に行政の姿勢を伝えていくことが大切であると考えます。答弁を求め、この項を終わります。

 次に、2、生活保護行政の改善・充実について、まず制度活用を周知することについて伺います。

 長期化するコロナ禍、2度目の年末年始が過ぎました。今回の年末年始も、都内では支援団体や有志スタッフ、民間ボランティアの方々が連日様々な場所で食料支援や生活相談などを行いました。各場所を1度目の年末年始を上回る方が訪れたとのことです。

 昨年11月の生活保護申請件数は、全国でおよそ2万1,000件となり、前年同月より10.6%増えたことが厚生労働省のまとめで明らかになりました。申請件数が前年と比べて増加したのは7か月連続で、生活保護開始となった方も前年同月比で9.1%増え、再就職が難しいことなどから、生活が苦しく追い詰められる人が増えていることが見てとれます。コロナ前の2019年度と2020年度、2020年度と2021年度、それぞれについて、生活援護課で受けた生活相談数、生活保護の受理件数について、増減率と併せ、答弁を求めます。

 食料支援などを訪れる方が絶えないことや、私たちに寄せられる様々な相談の状況を鑑みると、実際には生活保護基準以下で生活をされている方はさらに多数と想定されます。これまでも求めてきましたが、「生活保護の申請や利用はみんなの権利」と、ポスターなどを作成し、区のお知らせ板や公共施設への掲示など、積極的に発信すべきです。また、短い時間の動画などで、相談の流れをイメージしやすくする工夫なども必要ではないでしょうか。現在の検討状況と今後の手だてについて答弁を求めます。

 一つの手段として、「生活保護のてびき」をもっと目に触れやすくすることを昨年9月の決算特別委員会総括質疑で求めましたが、11月からホームページにも掲載いただいたことは評価いたします。より手に入れやすく、目に触れやすくする手だてを重ねて要望いたします。

 次に、扶養照会について伺います。

 生活保護を利用する上で扶養照会が大きな壁となっていることについても、繰り返し指摘をしてきました。実際に扶養照会によって金銭的な援助が可能だった割合は、2019年度、中野区では僅か0.1%でした。生活保護申請数、保護開始件数、扶養照会を実施した件数、そのうち金銭的支援につながった件数について、2020年度と2021年12月までの実績について伺います。

 この間、扶養照会廃止を求める世論が高まり、厚生労働省は昨年3月、扶養照会の運用を変更する通知を各自治体へ出しました。その中身は、親族に問合せが行くことを拒否したい方は、申請時にその意思を示し、一人ひとりの親族に対し扶養照会をすることが適切ではないことや、扶養が期待できる状態にないことを説明すれば、実質的に扶養照会を止めることができるというもので、今年度4月1日から運用されています。現場ではこの通知がどのように周知され、相談に来られた方に対してもきちんとアナウンスされているのか、伺います。

 この運用の変更は、一般的にはほとんど知られていません。首都圏の自治体議員グループが福祉事務所が設置されている首都圏1都3県の全自治体から、生活保護のしおりを入手し、扶養照会がどのように説明されているかを精査する調査を実施をしました。その結果、今回の運用変更について触れている自治体は少数にとどまっています。

 一方、文京区では、昨年9月、生活保護の案内に、「DVや虐待などの被害があり、親族に居場所を知られたくないといった特別な事情がある場合には扶養照会を見合わせることもできる」との記載を追記し、また港区でも、記載の改善がされました。中野区でも、「生活保護のてびき」やホームページなど、今回の厚生労働省通知を反映させた記述に改めるべきです。答弁を求めます。

 全国の自治体の中には、今回の通知に従わないだけでなく、法律をねじ曲げて親族による扶養照会を強要する自治体もあります。中野区内に拠点を置く一般社団法人つくろい東京ファンドは、生活保護問題対策全国会議の方々とともに、扶養照会に関する申出書を作成しました。この申出書は、厚生労働省の通知内容をそのまま落とし込んでいます。

 昨年末、滋賀県議会で、この申出書の活用について質問をした際、県の担当部長は、「自分の意思をうまく伝えられない方などが福祉事務所に対し自分の意思を伝える上で、こうした様式を活用することも一つの有効な手段と考えられる。今後各福祉事務所へ情報提供していきたい」との見解を示しました。扶養照会は、福祉事務所職員にとっても多大な時間と労力を費やす業務です。こうした申出書の活用は一つの有効な手段と考えますが、区の見解を伺います。

 次に、職員体制の強化と育成について伺います。

 社会福祉法では、都市部での生活保護世帯80に対し、ケースワーカー1人の配置を標準数と定めています。しかし、中野区では、ケースワーカー1人当たり平均で150世帯から160世帯にも及び、この間取り上げてきた高齢者居宅介護支援事業を実施している高齢者保護係に至っては、1人当たり330世帯という状況です。ケースワークの肝となる家庭訪問で生活実態が把握できなければ、適切な支援を行うことができないのは周知のとおりです。

 昨年の決算特別委員会で指摘した高齢者居宅介護支援事業を実施している世帯には、今年度からようやく訪問計画が策定されました。個別の支援プログラムを活用しているため、国の実施要領に基づき、年1回のケースワーカー訪問が位置付けられていますが、1月末現在の家庭訪問状況について、答弁を求めます。

 ケースワーカーの配置は、標準数を保っている自治体もあり、行政の姿勢が問われます。中野区では、ケースワーカー不足が常態化しており、今後10年間で20名のケースワーカー増員計画が示されていますが、10年待たずに前倒しも含めて検討すべきであることを重ねて要望いたします。

 また、体制強化とともに、多岐にわたり専門性が求められるケースワーカーの育成も欠かせません。現在中野区では分業制を取っているため、ケースワーカーの育成に課題があるとも伺っています。また、利用者や支援団体の方を通じて、明らかなモラルハラスメントやパワーハラスメントでの対応がされているケースについても情報が寄せられています。非常に残念であり、中には耳を疑うような対応もありました。一方で、本当に親身に寄り添いながらすばらしいケースワークをされているケースワーカーの方々も、中野区にはたくさんいます。その姿勢には、私も学ばされることが大変多くあります。利用者は、担当ケースワーカーを選ぶことができないため、やはり専門性の発揮のために育成が重要です。ケースワーカー育成の観点で、現在の課題と今後の対応について見解を伺います。

 この項の最後に、その他で生活保護世帯の大学等への進学について伺います。

 現在の法制度では、子どもは高校卒業後は働くことを前提としているため、原則、生活保護を利用しながら大学等の進学は認められていません。そのため、進学する場合には世帯分離を行うことになります。例えば、両親と子ども1人の3人世帯で生活保護を利用している場合、そのお子さんが大学等に進学する場合には、同居を続けていても、両親と子どもは別世帯として世帯分離をすることになります。当然ながら、その分保護費は減少し、分離をしたお子さんは生活扶助の対象外となるため、生活費や学費などはお子さんが自分で工面することになります。

 2018年の法改正で、世帯分離をしても住宅扶助は減額されなくなり、進学準備給付金として転居しない場合には10万円、親と別居して転居する場合には30万円が支給されることになりましたが、生活保護世帯の子どもが進学を諦めざるを得ない状況は続いています。中野区で進学準備給付金を利用している方はどの程度か、2018年からの3年間の実績について伺います。

 神奈川県横須賀市では、昨年、両親から虐待で避難する女子大学生から生活保護の申請を受けましたが、大学生は対象外となっているため、新年度、同じ境遇の大学生に対し、生活保護と同程度の金額を支給する独自制度を設けることが表明されました。ひとしく学ぶ権利を保障するためにも、厚生労働省が運用を改めることが必要であることを述べ、この項の質問を終わります。

 次に、3、聞こえの支援について伺います。

 これまで聞こえの問題に関しては、加齢性難聴への支援として、補聴器補助制度の創設や聴力検査を検査項目に加えることなどについて繰り返し取り上げてきました。補聴器補助は、来年度から新たに港区や三鷹市でも事業開始のための予算計上がされるとのことです。改めて中野区での制度実施を強く要望いたします。

 今回は、聞こえの支援を行う上で、聞こえの問題への理解を深めることの重要性について伺います。

 軽度から中等度難聴は、推定で1,300万人とも言われています。障害者手帳に該当しない人、該当していても取得していない人も多数います。軽度、中度の難聴は社会でも認識が浸透しておらず、誤解も多いと言われています。そのため、当事者が孤立することにもつながっています。原因は多岐にわたり、幼少期からも起こります。しかし、日本では聞こえについて学ぶ機会がほとんどないため、子どもに軽度の難聴がある場合でも、気づかずに発見が遅れることがあります。また、発見されても大きな問題とみなされないことも少なくありません。子どもの成長にも影響を与えることから、適切な支援はもちろん、聞こえの問題についての理解を深めていくこと、学校教育の中でも取り組んでいくことが重要と考えますが、認識を伺います。

 自らも幼少期から軽度の難聴があるクリアジャパンの宮谷真紀子さんは、聞こえの教育は不可欠とし、聞こえの問題について理解普及のために独自調査なども行いながら精力的に取り組まれています。「耳にやさしい、かきくけこ」として、「か」書く、「き」希望を聞く、「く」口元を見せる、「け」掲示をする、「こ」言葉を言い換えることが大切ともおっしゃっています。聞こえの問題はコミュニケーションの基礎となります。聞こえの問題を年齢問わず共有していくことが大切です。聞こえのチェックリストを作成したり、聞こえに関する講座を開催したりするなど積極的に行うべきです。見解を伺います。

 次に、4、痴漢をなくすことについて伺います。

 痴漢は性暴力であり、人権を侵害する明確な性犯罪です。絶対に許されるものではありません。法務省の2019年度版犯罪白書で、性的事件の被害内容を見ると、痴漢が最も多くなっています。現在、中野区として、痴漢をなくすために警察などと連携し取り組んでいることは何か、まず初めに伺います。

 一昨年、日本共産党の東京都議会ジェンダー平等委員会が痴漢被害に関する実態調査を行ったところ、1,435人の方から回答が寄せられました。その中で性的接触などの痴漢被害やハラスメント被害を受けたことがあるとの回答が全体の96%、被害を受けた年齢として、18歳以下が71.5%、小学生以下が34.5%にも上り、中学生や高校生が多く狙われている傾向も示されました。

 ある小学校1年生は、「図書館で男性に髪の毛を引っ張られて性器を押し付けられた」。また、高校生は、「電車の中で性器を触られ、抵抗したら相手のものを触らされた。ほぼ毎日通学時に痴漢被害に遭った。同級生でも被害に遭っている子が多く、自分だけではないと思い、ただ黙って耐えた」など、その被害状況はあまりにも深刻で、日々加害が繰り返されていることの実態が改めて浮き彫りとなりました。

 痴漢被害は子どもや若者被害が多いと言われており、私たちの調査でもそうした傾向が見てとれます。子どもの被害状況が深刻であることについてどのように認識されているか、伺います。

 一昨年、政府が発表した性犯罪・性暴力対策の強化の方針では、文部科学省が子どもを性暴力の当事者にしないための命の安全教育を具体化し、今後教育現場に取り入れるとしています。加害者も被害者も生まない教育が必要と考えます。中野区の教育現場でどのように具体化されていくのか、答弁を求めます。

 アンケートでは、被害に遭ったときに「何もできなかった」、「怖くて反応できなかった」が圧倒的でした。また、被害を受けた後には「電車が怖くなり乗れなくなった」、「道を歩くという普通のことに過剰な緊張や警戒感が強くなり、心理的負担が大きくなった」、「頻繁なフラッシュバックで受験勉強に支障が出た」など、深刻な後遺症に苦しんでいる方が多いことも明らかになりました。同時に、「初めて詳細を書きました。ほとんど人に話したことがありません」、「書くこと自体、心がしんどい」など、被害を受けた方への影響は計り知れません。口にすらできないことが膨大にあり、アンケートに寄せられた被害実態は氷山の一角であると考えられます。

 痴漢被害が身体的にも精神的にも被害者を苦しめ、その後の人生にも影響が及ぶ実態があることについて、どのように認識されているかも伺います。

 痴漢被害に遭った場所は、電車の中76.5%、路上62.7%、駅構内34.6%、図書館などの公共施設11.2%、バス9.3%の順でした。いずれも身近な場所で起きています。受験シーズンには、受験生を狙った痴漢行為をあおる悪質な投稿がインターネット上で行われたことも看過できません。

 そうした中、東京都が都営地下鉄で、「痴漢、盗撮、暴力は犯罪行為です。何かお困りのお客様やお気づきのお客様は、駅係員、乗務員、警備員、または巡回中の警察官までお知らせください」という加害を防止するアナウンスを流し始めたことは重要です。

 JR中野駅は、1日の平均乗降客数が30万人を超え、関東バスや京王バス路線など多数行き交います。痴漢被害場所の状況を鑑み、JR東日本やバス運行会社などとも連携し、痴漢をなくす取組を強めるべきです。見解を伺います。

 さきのアンケートで、「どのような支援があると、ひとりで抱え込まずに状況を伝えてみようと思えるか」と伺うと、「話を聞いてくれる場所、人」が求められていることも明らかになりました。その際、寄り添いながら一緒に考える支援が重要です。そのため、痴漢被害などの相談先についての情報発信がより大切になってきます。

 中野区では、犯罪被害者等相談支援窓口があり、そちらでも被害相談を受けていますが、より周知が必要です。また、若年層の女性を対象とした性的な暴力について」もホームページにまとめられていますが、この中にはデートDVやJKビジネス、アダルトビデオ出演強要問題などについての被害事例や相談窓口が掲載されていますが、ここに痴漢被害についても明記することが必要ではないでしょうか、伺います。

 アンケートの中で、痴漢被害を誰かに話せたかどうか、またその結果どうなったかについてもお聞きしましたが、相談してもまともに対応されない事例やセカンドレイプの事例も多数記述されていました。被害者側を責める社会をなくし、セカンドレイプをなくすことも重要です。そして、痴漢は再犯率が高く、加害者は痴漢依存症のケースも多いことから、再犯防止プログラムを早い段階から長期にわたり実施することも大切です。

 痴漢が性犯罪、性暴力であるにもかかわらず軽視されてきた現状を変えるために、高校生や大学生も声を上げています。一般社団法人日本若者協議会のジェンダー政策委員会は、これまで日常化し、「仕方ない」と言われてきた痴漢を本気で問題解決したいと呼びかけた署名には、僅か2週間で2万人近い方から賛同が集まったとのことです。

 今年度、内閣府において、痴漢を含む若年層の性暴力被害の実態調査が行われています。この調査結果も注視しながら、区としてできることを積極的に検討すべきことを要望し、この項の質問を終わります。

 最後に、その他で、(仮称)上高田五丁目公園について伺います。

 同敷地は、公務員宿舎が解体され、現在は更地となっています。中野区の大規模公園整備の基本的な考え方において、スポーツ機能としてのサッカー場を、また防災機能としての広域避難場所にすることが記されています。一昨年の第4回定例会本会議で、地域での有効活用について伺った際、「都市計画公園としての整備を目指し、令和3年度にかけて東京都と調整を行い、広域避難場所の機能充実等を図ることを考えている」との答弁でした。その後、委員会報告などは行われていませんが、現在の状況はどのようになっているのか、活用に当たっては、地域の声を丁寧に伺いながら進めていっていただきたいと思いますが、併せて答弁を求め、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 浦野議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、区長の政治姿勢と所信表明についてで、対話を重ね、議論を重ねていく姿勢についての御質問です。区政の主役は区民の皆さんでございまして、対話を徹底し、現場主義で政策を立案し、実行することに取り組んできたところでございます。今後も区議会や区民の皆さん、職員との対応を重ね、議論を行い、区政の課題に取り組んでいく姿勢でございます。

 次に、実現ができなかった課題と不十分に感じている点でございます。私が掲げてきた政策のうち、子育て先進区の実現につきましては、特に力を入れて取り組んできたところでございます。子どもの権利に関する条例の制定などの考え方の整理、土台となる部分の整備を進めてきたところでありますが、具体的な施策の展開については道半ばと捉えております。現在の新型コロナウイルス感染症の影響や今後の社会経済情勢の変化を見据え、子育て先進区の取組の具体化を加速させていくことが課題であると認識をしております。

 次に、財政的な非常事態の認識についてでございます。令和3年度の決算見込みや令和4年度予算における一般財源の状況は、当初の想定よりも上振れの見通しでございます。当時の状況よりも好転しているものと捉えております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う景気の下振れリスクは依然としてあります。不透明な経済状況に変わりはなく、引き続き緊張感を持って財政運営に当たる必要があると考えております。

 次に、職員2,000人体制の見直しについてでございます。職員定数につきましては、DXの推進や、さらなる業務委託の推進など、業務改善を行い、事務量の削減をしていく取組を行った上で、児童相談所の開設や生活保護のケースワーカーの増員など、新たな行政需要に対応した必要な人員の確保を進めていく考えであります。定年年齢の引上げ等の制度変更もあり、令和5年度以降には2,000人体制を維持するのは難しい状況にあると考えております。これらの状況を総合的に勘案して、適切な職員定数を見極めていきたいと考えております。

 次に、発熱外来への体制支援等に関する国への要望についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対処するために、医療機関の果たす役割は重要であると考えております。区は、これまで特別区長会を通じて国に対して経営支援の実施など、医療機関への支援を求めてまいりました。今後も新型コロナウイルス感染症の感染状況や医療機関の置かれている現状などを踏まえ、必要に応じて国に要望してまいります。

 次に、PCR検査の実施に対する補助金の支給についてでございます。昨年実施されたPCR検査についての診療報酬の減額は、国が実勢価格を踏まえて保険点数を検証して見直しを行ったものであります。また、減額幅に応じて経過措置が設けられており、医療機関に対する一定の配慮もなされていることから、区として医療機関に補助金を支給することは考えておりません。

 続きまして、無料検査体制の拡充についてでございます。都は、昨年から都内各所において無料のモニタリング検査を実施しておりまして、区内においても、中野駅北口駅前広場や中野マルイにおいて実施をされております。また、オミクロン株の市中感染を受け、12月から感染の不安を感じる無症状の方が薬局や民間検査機関等で無料でPCR等検査を受けられる体制を整備し、区内にも本事業に対応している薬局は4か所ございます。区は、陽性者急増時においても、引き続き濃厚接触者や医療機関で検査が必要と判断された方などに対し、適切に行政検査を行う体制を維持してまいります。

 次に、宿泊療養施設の確保についてでございます。都は、現在軽症者用26施設の宿泊療養施設を運営しておりまして、陽性者本人から直接申し込む体制も整備されております。また、1月31日からは無症状の陽性者を対象として、感染拡大時療養施設も開設をいたしました。このような取組によって、現在、陽性者は症状に応じて隔離できておりますが、今後感染状況に合わせ、必要となった際には、さらなる確保を都へ要望してまいります。

 都の施策を踏まえた自宅療養者への対応状況についてでございます。オミクロン株の流行を受け、都は1月末に東京都自宅療養者サポートセンター、通称「うちさぽ東京」を設置するとともに、東京都自宅療養者フォローアップセンターについても体制を拡充しました。区は、これらの事業を周知し、活用することで、健康観察対応などの負荷軽減を図ることができました。このため、現在は発生届を受理後、早期に陽性者の状況を把握し、必要に応じ、適切な医療につなぐことができていると考えております。

 次に、困り事や相談先の分かりやすい周知でございます。困り事の相談先などがすぐ分かるように、区民視点で区ホームページの掲載内容やカテゴリーを工夫するとともに、相談先が分からない場合は、広聴広報課へお問合せいただくよう周知に努めたいと考えております。また、ホームページのリニューアルに当たっても、これらについて十分配慮してまいります。

 私からは、最後に、上高田五丁目公園についてでございます。現在の状況と今後の進め方についてでございます。都市計画公園の整備に向けて、現在都と調整を行っており、一定の方向性を確認したところでございます。来年度、都市計画手続の事前準備を行っていく予定であります。公園整備を行う際には、地域の声を伺いながら、丁寧に進めてまいりたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、新型コロナウイルス感染症対策に関わる学校の検査体制についてお答えをいたします。

 オミクロン株への置き換わりに伴い、感染者が急増する中、各学校では教育活動の継続のために適時、国から送付された抗原簡易キットなどを活用して、児童・生徒と教職員の健康状態を把握しております。お話の東京都からの通知は、既に学校へ情報提供しており、教育活動におけるPCR検査は校外活動などの際に活用しております。また、教職員向けの定期的抗原定性検査は、直接各学校は東京都に申込みを始めているところでございます。今後もさらに周知を図ってまいります。

 次に、聞こえの質問のうち、学校教育における聞こえの支援についてです。本区では、「きこえとことばの通級教室」を桃花小学校に設置し、難聴の子どもたちに障害についての理解や、聞こえの支援方法、コミュニケーション手段などの指導を行っております。併せて保護者や教職員の障害に対する正しい理解が必要と考えており、各学校の特別支援教育、コーディネーターを対象とした研修会等を通して、難聴に対する一人ひとりのニーズに合った支援や合理的配慮についての理解を深めてまいります。また、周囲の子どもたちの理解も重要であるため、全校で取り組んでいる障害者理解教育の中で、難聴についても取り組むよう促してまいります。

 次に、痴漢をなくすことについての御質問です。痴漢の被害状況に対する認識についてお答えをいたします。

 性犯罪や性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、特に被害に遭った子どもたちにとって、その心身に長期にわたり重大かつ深刻な影響を及ぼすことから、速やかに、かつ丁寧に対応していくことが重要であると考えております。児童・生徒の心のケアを第一に考え、周囲の大人がそれぞれの立場で児童・生徒に寄り添い、守っていくことが重要でございます。併せて、被害に遭わないように、様々な機会を捉えて安全指導をさらに充実させていくことが重要であると認識しております。今後も、関係機関と連携いたしまして、性犯罪や性暴力の根絶に向けた取組とともに、被害者支援を強化してまいりたいと存じます。

 最後に、性犯罪、性暴力をなくすための学校の取組についてです。性犯罪、性暴力の防止には、性教育と安全教育の両面から、加害者も被害者も生まない教育を進めていくことが大切であると考えております。文部科学省の通知の趣旨を踏まえ、生命の安全教育及び指導の手引を各校に周知しております。今後は、若年層の性暴力被害予防月間等で、文部科学省の教材例や指導の手引等を活用して、プライベートゾーンやSNS上での性犯罪被害を含む危険についてなどの指導を行うよう周知してまいりたいと思います。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、生活保護行政の改善・拡充についてお答えをいたします。

 初めに、生活相談件数と生活保護の受理件数でございます。生活相談の件数は、2019年度は3,625件、2020年度は4,350件であり、20%の増でございました。2021年度は、12月までの相談件数が2,977件であり、2020年度12月までの3,325件と比較すると、10%の減少となっております。

 生活保護の受理件数は、2019年度が765件、2020年度は918件であり、こちらも20%の増でございました。2021年度は、12月までで587件の申請受理があり、2020年度の12月までの689件と比べ、こちらは15%の減となっております。

 次に、ポスターや動画などでの周知でございます。生活保護の申請は国民の権利であることを明示し、ためらわずに相談するよう呼びかけるポスターを作成中でございまして、今年度中に区内に掲示をする予定でございます。

 相談の流れを分かりやすくお知らせする方法等につきましては、他自治体の事例なども情報収集し、取り組んでまいります。

 次に、扶養照会等の件数でございます。2020年度は生活保護申請件数は918件、保護開始の件数が889件でございました。扶養照会は186件行い、金銭的支援につながったものは1件でございます。2021年度は12月までに保護申請件数587件、保護開始件数563件で、扶養照会は56件について行い、金銭的支援に結びついたものはございませんでした。

 次に、扶養照会の運用変更の周知でございます。扶養照会の運用の変更は、生活相談係や保護開始事務を行う担当の係だけでなく、生活援護課内で全員に周知をいたしました。相談者に対しましては、生活相談や保護開始時の調査で扶養照会について丁寧に説明した上で、聞き取りを行っているところでございます。

 「生活保護のてびき」やホームページの記述についてでございます。「生活保護のてびき」は改訂作業中でございまして、現在の扶養照会の取扱いについて記載し、ホームページにも掲載することを予定をしております。

 次に、扶養照会についての申出書でございます。これまでも扶養照会についての申出書が申請者から提出された場合、それを受け取り、その後の支援等の対応に活用しているものでございます。生活相談や保護開始の調査の中でも、丁寧に聞き取りを行っておりますけれども、個人の状況に応じて対応することが生活保護業務の適正化につながると考えております。

 高齢者居宅介護支援事業を実施している世帯の訪問です。今年度、高齢者居宅介護支援事業を実施している世帯に対するケースワーカーによる家庭訪問は、1月末現在で229件でございます。

 ケースワーカー育成の観点での課題と今後の対応でございます。世帯のケースワーク業務全てを1人のケースワーカーが行っているのではないことと、訪問を担当する各地区のケースワーカーの担当世帯数が平均で約150世帯と多いことにより、各世帯の状況を把握し、個別援助方針の策定及びきめ細やかな助言指導の実施に課題があると認識をしております。しかしながら、現在、一時扶助や収入認定など、保護費の計算及び給付を担当する専門の係を設置しているため、それらの事務処理を遅滞なく行えている点は分業制の利点でもございます。人員について、今後増員することを予定しており、よりよい生活保護業務ができる体制について検討をしてまいります。

 最後に、進学準備給付金の支給実績でございます。2018年度は15件ございまして、全てが転居しない場合の10万円の支給です。2019年度は、転居しない場合の10万円が8件、転居を伴う30万円の支給が1件の合計9件、2020年度は11件ございまして、全てが転居しない場合の給付でございました。

〔保健所長佐藤壽志子登壇〕

○保健所長(佐藤壽志子) 次に、聞こえの問題の共有についてでございますが、聴力に支障がある場合は、円滑なコミュニケーションが困難になるなど、日常生活において様々な影響が生じることから、聞こえの問題は区民が抱える健康課題の一つであると認識しております。今後、聞こえに関する講座の開催などについては、他自治体から情報収集を行うなど、適宜工夫に努めてまいります。

〔防災危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○防災危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、痴漢をなくすことについて、2点お答えいたします。

 まず、警察などと連携した取組についてでございます。区と警察が連携協力して実施する痴漢撲滅キャンペーンでは、区本庁舎内のデジタルサイネージにより、痴漢撲滅の広報活動を行っているところでございます。また、警察が痴漢被害を認知した際には、併せて区でも、中野区安全・安心メールによる被害情報の発信を行うなど、被害に遭わないための注意喚起に努めているところでございます。さらに、地域団体交流会などでの防犯講話の際には、警察と協力して、痴漢撲滅に向けた情報を発信しているところでございます。

 続きまして、痴漢をなくすための取組についてでございます。痴漢をなくすための有効な取組につきましては、他の自治体や民間の事例なども調査研究を進めつつ、JR東日本やバス運行会社などとの連携についても視野に入れていきたいと考えております。

 私からは以上でございます。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 痴漢をなくすことについての御質問のうち、区のホームページにおけます痴漢被害相談窓口の案内についてお答えいたします。

 区のホームページにおける若年層女性を対象とした性的な暴力についてのページにおきましては、デートDVやJKビジネスなどについて概要を御紹介するとともに、具体的な被害事例や相談窓口を案内するためのリンクを掲載してございます。痴漢の被害につきましても、相談窓口が分かりやすくなるよう、関連情報等へのリンク先を掲載するなど工夫を図ってまいりたい、そのように考えてございます。

○議長(内川和久) 以上で浦野さとみ議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後4時41分休憩

 

午後4時42分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 

 中野区議会議員 渡 辺 たけし

 1 施政方針説明について

  (1)DXの推進について

  (2)持続可能なまちづくりについて

  (3)その他

 2 令和4年度予算編成の考え方について

 3 区役所・サンプラザ跡地の利活用について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、渡辺たけし議員。

〔渡辺たけし議員登壇〕

○4番(渡辺たけし) 令和4年度第1回定例会において、都民ファーストの会中野区議団の立場から、一般質問を行います。

 先月、航空自衛隊のF15戦闘機が石川県沖の日本海に墜落した事故で、捜索の結果、当時戦闘機に乗っていた隊員2人の死亡が確認されたというニュースが昨日報道されました。殉職された2名の自衛官に哀悼の意を捧げますとともに、国を守るために御活躍いただいたことに改めて深く感謝申し上げます。

 日々の日常を安心・安全に暮らすことができるのも、誰かが汗を流し、有事の備えをしているからであります。そして、中野に住んでいる方々も様々な仕事を通して汗を流し、社会活動を営んでおります。そのような区民の方々に議員として何ができるのか、日々の日常生活の中での区民目線、区民感覚から見て、区政に対して正すべきことはしっかりと正していかなくてはならない、改めて昨日の報道を見て、そのように強く思った次第であります。

 それではまず[2]初めに、施政方針説明について伺います。

 区民サービス向上のために取り組む施策の柱をどこに置いているのか、このような観点で今回の施政方針説明の内容について目を通していく中で、新庁舎建設に伴う庁舎内のDX化推進の部分で気になる点が幾つかありましたので、伺ってまいります。

 DXを推進していくことで押さえておかなくてはならない視点は、DXの推進とともに、区民サービスの利便性向上に資する方向性を見失わないことであると考えております。新庁舎の建設が進んでいく中で、庁舎内のペーパーレス化やテレワークの推進、新たなITインフラの構築など、職員の働き方もITツールを利活用したスタイルに変化していくことになるわけですが、区の職員の働き方の変化に伴って、行政に対する区民サービスがどのように向上するのか、委員会などで何度質問しても、「業務効率が軽減され、空いた時間を区民に向き合って支援していくことができる」という答弁を繰り返すだけで、具体的な内容が全く示されておりません。

 業務効率が軽減されることで、今まで人員不足のため十分に区民と向き合うことができなかった部署はどこなのか、IT化が進み、どのような課題が解決されて区民と向き合えるようになるのか、具体的な事例を挙げてお答えください。

 ITツールを通して区民に対する行政サービスを向上させるツールの一つに、マイナンバーカードを利活用する方法が考えられます。国もカードを取得した人にマイナポイントを付与するという手法などで普及率を高めておりますが、区内のマイナンバー普及度はおよそ42%と、まだ半分にも達していません。新庁舎のITインフラ整備も必要なことと理解はしますが、区内全域にITインフラを整備するという意味合いの中に、マイナンバー取得率を100%に近づけていくということも含まれるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 もし仮に、区内在住者のマイナンバーカード取得率が100%に近い数値となった場合、中野区独自の地域通貨の発行や、行政が持っている個人情報とマイナンバーカードを紐づけして、行政サイドから一人ひとりの区民に対してきめ細やかな支援をしていくための体制を整える基盤をつくっていくことなどが考えられます。もちろん希望者のみのサービス提供になりますが、新庁舎のIT化に伴って新たな予算を増額する方針を示しているのであれば、その分、区民に還元されるものを具体的に提示しなくては、理解を得られることは難しいのではないでしょうか。

 マイナンバーカードを持つことで、住民票、印鑑登録証明書を区役所に行かずともコンビニで取得することができるようになるなど、マイナンバーカードと行政サービスの連携は一部実現しており、今後のさらなる連携に期待がかかるところであります。今後、自治体独自のマイナンバーカードを活用した行政サービスの利便性向上の可能性についてどのように考えているのでしょうか。区の見解を伺います。

 続きまして、持続可能なまちづくりについて伺います。

 施政方針説明の中では、区は、区政運営の3本の柱の一つに、持続可能なまちの実現に向けて取り組むことを掲げております。こちらの政策を実現していく上で、ハード面の大きな課題の一つにマンション問題があります。区内でも築50年以上を経過している上高田四丁目エリアの大型マンションや中野駅北口のブロードウェイのマンションは建て替えをしたくても、相続後に権利者が分割されていき、地権者が分からなくなるなど、様々な事情で合意形成を得ることが難しい状態になっており、持続可能なまちづくりを進めていく上で大きな課題になっていくものと思われます。

 今新築で見栄えのよいタワーマンションなども、いずれは老朽化し、建て替えを余儀なくされる時期が訪れます。区は、実際にそのような集合住宅の建て替え問題について具体的にどのように取り組んでいくことを考えているのでしょうか。

 また、新たな大型の集合住宅が中野区に建設される際に、次の世代の負の遺産とならないように取り組んでいることなどがありましたら、お聞かせください。

 続きまして、令和4年度予算編成の考え方について伺います。

 昨年度の一般財源規模736億円と比較して、今年度は25億円増の761億円と聞いております。主な増の要因としては、インターネットデータセンターの再構築による機能強化、児童相談所の開設に伴う運営費、教育保育施設給付費などが主に挙げられるかと思いますが、今後もこちらの運営費は継続して発生してまいります。このような状況の中で、基準となる一般財源規模の数値を687億円に設定しているのは一体何の意味があるのでしょうか。既に74億円もの乖離がある数値目標を達成することは、事実上不可能であります。私は、基準となる一般財源規模の数値を687億円にするという考え方はやめ、決算ベースで予算編成の在り方について考えていくべきであると思いますが、改めて区の見解をお聞かせください。

 続きまして、構造改革について伺います。

 1月24日の総務委員会で構造改革の取組状況についての報告がありました。提出された資料に目を通しましたが、構造改革に投じた事業費、およそ16億6,000万円に対して、財政効果はおよそ17億6,000万円、実質1億円の成果と読み取れるわけでありましたが、およそ11億円の財政効果があると記載されていた区有施設の財産経営の内容について、詳細な中身を担当者に確認したところ、各総務委員会のメンバーからの指摘もありましたが、見せかけの数字ということが明らかとなりました。構造改革に取り組む姿勢を示して、既に2年以上が経過しているわけですが、今の時点でこのような報告内容であれば、これ以上のことを期待することはできないと言わざるを得ません。私は、これ以上の構造改革は諦めるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 税外収入の確保について伺います。

 構造改革ができないのであれば、どのように歳入を増やしていくかということを考えていかなくてはなりません。広告収入、ネーミングライツ、区有地の利活用による地代の収入など、税外収入の確保に今後もさらに力を入れるべきと考えておりますが、各部署ごとで、税外収入の確保に力を入れるよりも様々な区民ニーズを拾うためのマーケティング調査に基づいた新たな税外収入などを確保する手段を企画、立案、実行していく部署を作ることも検討してみてはいかがでしょうか。区の見解を伺いまして、この項の質問を終わります。

 続きまして、区役所・サンプラザ跡地の利活用について伺います。

 こちらの質問については、自由民主党議員団の大内議員も同様の質問をされておりましたが、私も同じような質問、そして自分自身の違った観点からの質問を幾つかさせていただきます。

 まず、議案についてお聞きいたします。

 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画は、株式会社まちづくり中野21の解散に関する議決、道路の廃道に関する議決、財産処分に関する議決と、少なくとも3回の承認を議会から得られなくては、この事業を進めることはできません。これらの議案をいつ議会に提出するのか、具体的なスケジュールをまずお聞かせください。

 令和5年3月に予定している都市計画決定を過ぎると、事業を止めることはより困難な状況となります。その前に議会に対して必要な情報を示しながら、新北口再整備事業計画についての議会の承認を得るべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 もし仮に議会で否決をされた場合は、どのような見直しを行うことになるのでしょうか。当然、そのようなことも想定していることと思いますが、議会で否決された際のその後の対応について区の見解をお聞かせください。

 続きまして、容積率について伺います。

 昨年の12月6日に開催された中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会の中で報告があった中野駅新北口駅前エリアの再整備の内容についてお伺いします。

 この報告の中の資料を見てみますと、施設計画の中での容積率が900%から1000%に変更となっており、大変驚いているところです。資料の中には、1000%に変更した経緯が一切記載されておらず、区民目線から見る限り、一見、数字が900%から1000%に変わっただけで、大きな変更があるようには見えませんでした。実際に容積率が900%から1000%に変わることで、どこがどのように変わるのか。区民からこのような質問が来たときに、区はどのように答えるのでしょうか。お答えください。

 容積率が100%上がるということは、延べ床面積が敷地分およそ2万3,000平米増えるという計算になります。土地の所有者である中野区にとって、今回増えた分の延べ床は、中野区にとって、また区民にとって有益な利活用をされなくてはなりません。肝心の中身の部分について詳細な説明がされないと、区は事業者の言いなりのまま容積率を上げたのかと判断せざるを得ません。区は、容積率を上げて、区民のためにどのような利活用することを考えているのでしょうか。お答えください。

 続きまして、資金計画について伺います。

 12月6日に中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会で報告された中野駅新北口駅前エリアの再整備の中で、資金計画についての記載が記されておりました。もともと野村グループ側から出された提案書の中の資金計画について、補助金の割合が高いと審査会から指摘されていたわけですが、こちらの資料の中では、当初提案時より低く抑えると記載されております。補助金を低く抑えた分の負担は、当然事業者側が持つものであると考えるのですが、区はそのような交渉を事業者と行っているのでしょうか。もしくは、突然上がった容積率の中で得られる保留床によって補助金を減らした分を補填するということを考えているのでしょうか。資金計画の修正方法について、具体的な内容をお聞かせください。

 最後に、7,000人のホールについて伺います。

 新型コロナ前に中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会などで示された資料によりますと、2,000人から3,000人のホールにおいて民設民営は難しいと記載されておりました。果たして新型コロナ前と新型コロナ後の、ホールに対する考え方について変更はないのでしょうか。

 ライブエンターテイメント業界は、政府からのイベント中止、延期、規模縮小の自粛要請を受け、多くの事業者が自主的判断の下、音楽コンサートや舞台公演等の開催中止、ないし延期措置を講じた結果、2020年2月以降から3月末までの中止、延期公演数は1,550公演、損害額推計で約450億円に上ると報告されました。

 一方で、新型コロナによる活動制限や変化は、音楽ビジネスに転換の兆しをもたらしています。最も大きな変化だったのが、オンライン配信が大規模な形で実現・普及したことであります。会場という空間に限定されていたライブが、空間に縛られなくなった結果、座席数の上限がなくなったことで、より多くの人が参加できるようになりました。突出した例ではありますが、2020年6月に敢行されたサザンオールスターズの無観客ライブは、18万人が視聴券を購入し、売上げは単純計算で6億円以上になっております。日本で一番大きなライブ会場とされる日産スタジアムの収容人数が約7万2,000人なので、オンライン配信だからこそ実現できた数であったと言えます。物理的な障害を越えてライブを楽しめる手段が登場したのは歓迎すべきことですし、精神的な側面においても、ライブがより一層身近なものになりました。オンライン配信の実現により、ちょっと気になるというくらいの関心であっても、気兼ねなくライブに参加できるようになったことは、新たな価値観が生み出されたと言ってもよいと思います。

 以上を踏まえると、オンライン配信のメリットを多くの人が享受した今、かつてのライブの形態に完全に戻ることはないのではないでしょうか。リアルな場での再開催と並行して、オンライン配信をいかに魅力的なものにしてビジネスを構築できるかが、これからの音楽エンターテイメントにおける当面の課題になるかと思われます。

 私は、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、イベント業界が受けた打撃は、新たなイベント手法を生み出さなくてはならないくらい大きなものであったと考えております。それは区が掲げている7,000人ホールでの開催を考えているeスポーツなどのコンサート以外の他のイベント全般についても、同様のことが言えるのではないでしょうか。

 その中で、今区が示している7,000人ホールの妥当性が本当にあるのか。イベント業界や音楽業界にサウンディング調査をかけて、改めて事業を見直す必要があるのか、検証すべきと考えますが、区はそのような調査をした上で今の事業計画を進めているのでしょうか、お答えください。

 7,000人のホールを諦めれば、数百億円規模の駅前超一等地の土地を手放す必要はなくなります。今の事業者のままで、二、三千人のホールに縮小して、定期借地権方式で土地を手放すことなく事業計画を修正することは可能でしょうか。

 二、三千人のホールに縮小して、定期借地権方式で事業を進めていくためには、この事業計画に係る議案を議会で否決するという方法も考えられます。それ以外の手法で、今の事業計画を修正する方法があればお聞かせください。

 私は今、中野駅北口で進めている再整備事業計画を一旦白紙に戻し、ホールの大きさを二、三千人規模に縮小し、土地を手放すことなく、定期借地権方式の形で募集要項を修正して、新たに事業者を募集すべきであると考えております。100年に1度の大事業と言われている中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画において、本来は様々な事業計画をシミュレーションした上で、中野区にとって、区民にとって本当に必要な施設というものを検証していくべきではないでしょうか。

 私は、アフターコロナの社会の中で、数百億円規模の区民財産である区有地を手放してでも、7,000人のホールが中野駅前に必要だという理由が、いまだに理解することができません。当然、同じような質問を区民の方に聞かれても、答えることができません。数百億円規模の区有地を手放してでも、7,000人のホールが必要な理由を、区民の理解が得られるように説明していただくことを最後に区に求めまして、私の全ての一般質問を終了いたします。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 渡辺議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、DXの推進についてで、業務効率化による区民サービスの向上について。現状では、事務連絡、職員不在時の電話の取次ぎ、会議の開催準備や会議録の作成などの業務に時間を要しているといった課題があると認識をしております。新庁舎に向けては、ウェブ会議や業務チャット等のユニファイド・コミュニケーションの導入などにより、全庁的に業務を効率化させ、生産性の向上や業務の迅速化を図っていく考えであります。それによって生み出された時間をより良い政策形成に向けた検討や、さらなる地域・現場での区民との協働に充てることで、区民サービスや地域との協働体制がより向上し得るものと考えております。

 次に、マイナンバーカードの普及促進についてでございます。国は、令和4年度末にほとんどの国民がマイナンバーカードを所持する方針を決定し、マイナンバーカードの普及促進に努めております。区でも交付体制の強化を図るほか、積極的な広報活動を行い、国の方針に沿ってマイナンバーカードの普及促進に努めてまいります。

 マイナンバーカードの独自利用についてでございます。マイナンバーカードの活用については、行政手続等での利用拡大、地域活性化、民間サービスにおける利活用拡大などが想定されるところであります。マイナンバーカードと健康保険証の一体化など、取り巻く状況は常に変化しているところであり、国の動向に注視するとともに、他自治体や事業者などの先進事例等の情報収集に努め、区独自の活用の可能性についても研究してまいります。

 次に、区内のマンション問題についてでございます。集合住宅の空き家問題は、戸建て住宅の空き家問題と同様に、区民生活への影響が大きいと認識をしております。現在、地域のまちの課題を改善し、魅力あるまちへの更新を図りながら、老朽マンションの建て替え支援にもつながる取り組みとして、中野区で初めてとなる「地区まちづくり条例による地区計画の申出制度の活用」を地域住民と区で進めております。この取り組みを通じて、まちづくり手法による老朽マンションの建て替え支援について検討してまいります。

 最後に、マンション管理適正化の推進でございます。国は、建物の老朽化と居住者の高齢化といった課題を抱えるマンションの増加を抑制するため、マンションの管理の適正化の推進に関する法律を改正しました。今後、法に基づき、マンション適正化推進計画を作成し、国、都と連携しながら、積極的にマンションの管理適正化を推進していくとともに、新築の大型マンション等の円滑な建て替えに有効なまちづくり手法についても、区として研究を行ってまいります。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 令和4年度予算編成の考え方についての御質問のうち、一つ目に、新たな財政運営の考え方についてでございます。基本計画でお示しいたしました財政運営の考え方におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、経済状況が不透明であり、一般財源の見通しも令和2年度当初予算の水準に戻るまで10年以上を要することが想定されたことから、当面の間、これまでと同様、基準となる一般財源規模を設定して歳出の削減に努め、財政運営を行っていくこととしたところでございます。

 令和4年度予算編成におきます基準となる一般財源規模につきましては、予算編成開始時において歳入の見通しを立てることが困難と判断したところから、令和3年度予算編成と同様の687億円を設定したところでございます。しかしながら、基本計画でお示しした財政見通しに大きな変化が見られることから、実際に即した有効な財政規模を確立させるため、新たな財政運営の考え方について検討を行っていきたい、そのように考えてございます。

 もう一つ、税外収入の確保についてお答えいたします。

 区では、これまでもネーミングライツや公有財産の貸付けなど、税外収入の確保に努めてきたところでございます。今後も他自治体の事例を参考にしつつ、マーケティングの視点も持ちながら、新たな歳入確保に向けて取り組んでまいります。各部における検討を促すとともに、企画部で全体調整をしながら推進していく考えでございまして、新たに税外収入の担当部署を設ける考えはございません。

〔構造改革担当部長石井大輔登壇〕

○構造改革担当部長(石井大輔) 私からは、令和4年度予算編成の考え方についての質問のうち、構造改革の成果についてお答えいたします。

 構造改革実行プログラムは、中長期的な取組として取りまとめたものでございまして、個別プログラムの取組を実施することによって成果は漸次的に上がるものと考えております。新庁舎の移転も踏まえ、令和5年度まで集中的に取り組み、その後も改革のマインドを持ち続けていく考えでございます。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長松前友香子登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(松前友香子) 区役所・サンプラザ跡地の利活用についてお答えいたします。

 まず、新北口駅前エリア再整備に関する議案提出につきまして、新北口駅前エリア再整備については、現在施設計画の詳細を検討中であり、関連議案の提出時期についても検討中であります。

 株式会社まちづくり中野21の解散に関する議決については、権利変換が行われて以降、おおむねの債権債務が整理されたときを考えております。

 廃道の議決については、拠点施設の建築確認申請の前に行う必要があると考えておりますが、具体的な時期については検討中でございます。

 財産処分に関する議決については、「議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」の要件に該当するか、権利変換計画等の内容が明らかにならないと判断できないと捉えておりますが、条例の要件に該当する場合、議案を提出する時期については、権利変換計画への同意前になると考えております。今後、他の権利者や施行予定者等と協議を進め、検討状況について適宜議会報告を行い、具体的な議決の時期を決定してまいります。

 続いて、再整備に関する議案が否決された場合について。議会で否決された場合については、その理由や経緯を踏まえ、対応を考えてまいります。

 続いて、再整備における容積率変更に伴う計画の変更点について。提案時からの追加検討として、歩行者ネットワークの強化や地域交流・防災機能の強化などが施行予定者より提案されており、これらの内容は、いずれも区民や利用者の利便性向上に資するものであると考えております。

 また、容積率の緩和によって床面積が増加することとなりますが、特定の用途を増やすのではなく、昼間・夜間交流人口等のバランスの取れた用途構成を維持することとしております。

 容積率の緩和に見合った公共貢献が提案されているか、増える床面積と貢献内容のバランスを見ながら、来年度の都市決定に向け、引き続き協議を行ってまいります。

 続いて、再整備における資金計画について。資金計画は、都市計画決定を踏まえ、建物等の詳細が定まり、事業認可を受ける段階で確定することとなります。市街地再開発事業の資金計画は、保留床処分金、補助金などの収入と、設計費、工事費、補償費などの支出がバランスするものであります。今後の事業計画の検討の中で、資金計画全体の収入と支出のバランスを見ながら精査してまいります。

 続いて、7,000人規模の多目的ホールの検証について。中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画では、多目的ホールの整備・誘導方針として、民間事業者による整備・所有・運営とし、最大収容人数7,000人程度を上限としております。現在、施行予定者が7,000人規模の大ホールという提案内容に基づき、事業計画の検討を進めております。区としては、多目的ホールはあくまで民設・民営によるものと考えておりまして、事業の見直しや検証は考えてございません。

 最後に、事業計画の修正と多目的ホールの規模について。定期借地権方式で事業を進める場合、まちづくりや都市計画の在り方、関連事業を含む全体のスケジュールなどを見直すことになり、区が総合的に進めている中野駅周辺まちづくりの実現が困難となります。このため、区としては、市街地再開発事業により事業を進め、区有資産については、一部を転出した上で、残りの資産については権利変換し、共有の土地及び区分所有の床を保有することで引き続き事業に関与してまいります。

 また、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画では、拠点施設整備のコンセプトとして、「中野サンプラザのDNAを継承した新たなシンボル拠点をつくる」を掲げておりまして、多目的ホールの整備・誘導方針として、最大収容人数7,000人程度を上限としています。区としては、施行予定者の提案に基づき、7,000人規模の多目的ホールを中心とした文化・芸術等発信拠点機能を実現していきたいと考えております。

〔渡辺たけし議員登壇〕

○4番(渡辺たけし) 再質問いたします。

 まず、容積率の部分について、「事業者からの提案があって」といった文言がありましたけど、本来は、区がこういう共有スペースが欲しい、公園が欲しい、子育て応援スペースが欲しい、高齢者、障害者のために必要なそういったスペースが欲しい、だから容積率を上げたい、そういった交渉をしていくのが本来あるべきものだと思います。

 要は、事業者が提案するものじゃなく、区がしっかり主導権を持って、こういった共有スペースが欲しいんだ、いや事業者は、それだと赤字になっちゃう、だったら利益のあるレジデンスやオフィス、そういったものをつけてあげてもいいよ、そういった交渉が全くされていないように聞こえたんですけども、それはもう事業者の言いなりというふうに私は認識するんだけど、それでよろしいのかというのが一つ。

 あと、数百億円規模の土地を手放してでも、7,000人のホール、必要な理由を述べてもらいたいといった中で、提案者がそういった最大規模7,000人というふうなホールを提示してきたから、それで受けましたというふうにしか聞こえないですけれども、そういった認識でいいのか、改めてお答えください。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長松前友香子登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(松前友香子) 再質問にお答えいたします。

 まず、容積率を1000%にすることに関連いたしまして、そもそも中野区は、新北口駅前エリア再整備事業計画におきまして、この整備に関して必要なコンセプト・考え方をしっかり打ち出しております。その中には、中野のシンボルとなる新たな文化・芸術拠点の発信の形成、公共性・公益性の向上につながる空間構成、持続可能性を高める用途構成や機能、これらをしっかりと明示をした上で募集をしたところでございます。

 そもそもの提案内容につきましても、これらを踏まえて、十分に民間事業者のほうで実現できるという規模の広場や公共空間、また基盤の整備ネットワークが提案をされていたところでございます。それにさらに加えての今回の提案であったということ、これは区としてもさらにこのまちづくりに対してプラスに働くということで、これを獲得するという視点から、決して民間事業者の言いなりになっているというものではございません。

○議長(内川和久) 質問時間を過ぎておりますので、御答弁は結構です。

以上で渡辺たけし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 ひやま 隆

 1 施政方針説明について

  (1)子どもの貧困対策について

  (2)2025年問題について

  (3)その他

 2 新型コロナウイルス感染症対策について

  (1)予防接種健康被害の現状について

  (2)中野区予防接種健康被害調査委員会について

  (3)その他

 3 コロナ禍における火災対策について

  (1)中野区内の火災発生状況について

  (2)区民・事業者等における防火対策の推進について

  (3)その他

 4 西武新宿線沿線まちづくりについて

  (1)新井薬師前駅周辺地区まちづくりについて

  (2)西武新宿線(中井駅~野方駅間)連続立体交差事業について

  (3)その他

 5 その他

 

○議長(内川和久) 次に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○17番(ひやま隆) 令和4年第1回定例会に当たりまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。

 質問は1の(2)と4の(2)については、次の機会に質問いたします。また、4の(3)その他で、用地業務に関する職員の育成について質問いたします。

 初めに、施政方針説明について質問いたします。

 区長は、施政方針説明において、「新型コロナウイルス感染症の長期化により貧富の格差が大きくなったことを実感している」、「子どもの貧困対策を充実する一方で、子どもを分断、孤立させずに、教育機会や体験の格差の解消に努めます」と述べられました。区長就任以来、この4年間で、実態調査の実施、学習支援の拡充、就学援助の拡充、子ども食堂支援など、子どもの貧困問題に真摯に取り組まれてこられた酒井区政を高く評価します。この問題に対する今後のさらなる取組を期待する次第です。

 内閣府は、昨年12月、令和3年子どもの生活状況調査の分析をまとめた報告書を公表しました。この調査は、日本で初めて全国規模で実施した子どもの貧困に関する調査で、中野区の子どもの貧困対策を考える上でも、多くの示唆に富む貴重なデータと言えます。報告書では、子どもたちを世帯収入が相対的に最も低い貧困層、次に低い準貧困層、それ以上の非貧困層の三つのグループに分け、生活状況を分析しています。

 この調査から明らかとなった大きな特徴としては、第1に、貧困層のみならず、収入が生活保護の基準は上回るものの、地域の収入の中央値には達しない準貧困層でも、貧困の連鎖のリスクが現れ、多様な課題が生じていることを明らかにしている点。そして第2に、本来支援が必要な方に公的な支援制度が利用されていないという点です。貧困層の支援制度の利用状況については、就学援助、児童扶養手当が5割前後の利用になっている一方で、生活保護は6.0%、生活困窮者の自立支援相談窓口の利用は1.0%、母子家庭・自立支援センターは1.4%にとどまっています。

 注目すべきは、制度を利用していない理由です。就学援助、生活保護、生活困窮者の自立支援窓口、児童扶養手当はどれも7割から8割の人が、自分は「制度の対象外だと思うから」と回答しています。貧困層は収入基準だけで言えば生活保護の対象となる可能性のある層であり、実際の生活保護や生活困窮者の自立支援相談窓口において7割を超える人たちが制度の対象外となることはあり得ません。つまり今回の調査からは、多くの困難に直面している貧困層ですら、公的支援が利用されていない、すなわち制度の捕捉率の低さが明らかとなりました。

 今回の国の調査から明らかとなったこれらの二つの特徴について、中野区の実態と、それに対する区の認識について答弁を求めます。

 コロナ禍の長期化、オミクロン株の感染急拡大により、低所得層やひとり親世帯といった、コロナ禍以前から困難を抱えている人たちの生活は、さらに厳しい状況に追い込まれていることが予想されます。

 大阪市が実施している生活困窮者自立支援事業、子ども自立アシスト事業では、対象者を学校との連携により新たに発見し、市がプッシュ型で支援につなげる事業を展開しております。一方、中野区では現在、地域包括ケアシステムの構築に向けて、アウトリーチチームを配置し、地域での取組を推進しているところではありますが、その主たる役割としては、潜在的な要支援者の発見、継続的な見守りとあります。今回の国の調査で明らかとなった捕捉率の状況を鑑み、生活保護や生活困窮者の自立支援相談窓口をはじめとする公的支援については、こうした区の取組をさらに拡充させ、プッシュ型で支援につなげる取組の強化が必要であると考えますが、区の答弁を求めます。

 昨年新たに策定された中野区基本計画施策14、子どもの貧困対策の推進では、「令和元年度に実施した中野区子どもと子育て家庭の実態調査の結果を踏まえ、子どもの貧困対策に関する計画を策定します」とありますが、この調査はコロナ禍以前の生活実態を反映したものであり、コロナ禍において事態はさらに深刻化していることが予想されます。今回、国が公表した調査は、新型コロナの感染拡大が子どもの生活実態に与える影響を示した貴重なデータです。今後、子どもの貧困対策に関する計画を策定するに当たり、今回の国の調査も計画に反映させていく必要があると考えますが、区の答弁を求めます。

 内閣府の報告書の総括では、「新型コロナウイルス感染症によって弱者への影響がより深刻化している可能性もある。そのため、継続的に子どもの貧困に関する調査が全国的に実施されるように努めるべき」とあります。この点について、中野区としても、子どもの生活実態に関して、今後も継続的な調査の実施を検討するべきであると考えますが、区の答弁を求めます。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策のうち、新型コロナウイルスワクチン接種に関わる予防接種健康被害救済制度について質問いたします。

 予防接種法に基づく予防接種を受けた方で、副反応による健康被害が生じた場合、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときには、予防接種法に基づく救済を受けることができます。今回の新型コロナワクチンについても、健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく救済を受けることができます。今年1月に開催された厚生労働省の直近の審議では、新たに115名の健康被害の救済が認定されることになり、これまでの認定の累計は515件となりました。これまで中野区では、12歳以上の区民のうち、約8割が2回目接種を終え、現在3回目接種の実施を鋭意進めているところではありますが、この間の接種を受けた区民からの健康被害の相談件数及び健康被害救済制度の認定件数についてお示しください。

 ワクチン接種による健康被害の認定に関して、昭和52年の厚生省局長通知によって、各自治体は予防接種健康被害調査委員会を設置しております。それによると、主な任務として、予防接種による健康被害に際し、当該事例について医学的な見地から調査を行うものとすることとあります。同委員会の設置の状況に関して、東京23区においては、多くの区で要綱により設置をしているのが現状です。しかし、お隣の新宿区では、令和3年第2回定例会において、新宿区予防接種健康被害調査委員会条例を制定し、区長の附属機関として同委員会を設置しました。今後、日本においても、新型コロナワクチン接種の対象年齢が広がる中で、ワクチンの安全性や有効性、リスクとベネフィットを議会としてもしっかりとチェックし、区民に広く周知することは極めて重要であります。そうした観点から、現在は要綱で設置されている中野区予防接種健康被害調査委員会を条例に基づいた附属機関として設置することを検討するべきであると考えますが、区の見解をお示しください。

 現段階で、新型コロナ収束に向けた唯一と言っても過言ではない手段がワクチンです。現在、日本で接種が行われている新型コロナワクチンは、発症を予防する高い効果があり、また感染や重症化を予防する効果も確認されています。しかし、一方でワクチン接種によるアナフィラキシーの発生事例や、珍しいタイプの血栓症、また心筋炎や心膜炎を疑う事例も報告されています。未知のウイルスのワクチンであるがゆえに、今後の中長期的な人体への影響など、現時点で明らかにされていない部分もあり、接種によるリスクとベネフィットを包み隠さず区民に説明することは、中野区の重要な責務です。新型コロナワクチン接種による副反応を含め疑い事象については、相談窓口のさらなる周知に努め、迅速な対応と情報提供を徹底するとともに、健康被害救済制度についても、さらなる周知が必要であると考えますが、区の認識について答弁を求めます。

 次に、コロナ禍における火災対策について質問いたします。

 年末年始にかけて、私の住む野方消防署管内では、住宅での火災が連続して発生し、複数の方が亡くなりました。犠牲となられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。また、御遺族の皆様にも、謹んでお悔やみ申し上げます。改めて火災の恐ろしさを実感するとともに、火災から区民の命を守るためのさらなる取組の必要性を痛感いたしました。

 東京消防庁によると、コロナ禍において、外出自粛により事業所がテレワークや業務時間を短縮し、事業所火災が減少した反面、在宅時間が多くなったため、住宅火災の割合が増加していることが明らかとなりました。

 そこでまず、コロナ禍における中野区内の火災発生状況について伺うとともに、それらの状況と新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動変化との因果関係を区としてどのように分析されておられるのか、答弁を求めます。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、新たな火災リスクも指摘されております。例えば感染予防対策として、オフィスや飲食店などで使われている飛沫防止シートは、白熱電球やハロゲンランプを近づけるだけで火元になる可能性もあります。さらに、設置する位置によっては、火災発生時に煙が妨げられ、火災報知機の感知が遅れたり、スプリンクラーの散水が妨げられたりするおそれもあります。また、手指のアルコール消毒液は、火気により引火しやすく、火の元の近くで取り扱う場合には十分な注意が必要になります。

 昨年、新たに策定された中野区地域防災計画(第42次修正)では、火災の予防対策に関して、出火防止及び初期消火の要領等について、教育訓練を実施し、区民の防火意識と防災行動力の向上を図るとありますが、コロナ禍における新たな火災リスクを踏まえた防火意識の啓発、防災指導を区民及び事業者に対して行う必要があると考えますが、区の現状と今後の取組について答弁を求めます。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動変化により、新たな火災リスクの高まりが指摘される一方で、プラスの側面も挙げることができます。火災の早期発見や初期消火は、地域における共助、地域での防災力が極めて重要であることは言うまでもなく、年末年始における区内の火災においても大きな力を発揮したと聞いております。事業所がテレワークや業務時間を短縮、休業したことによる在宅率の高まりは、すなわち、平時より地域に人がいるという状態であり、潜在的な地域防災力の高まりを意味するものと考えます。コロナ禍における行動変化の結果として生まれたそれらの地域資源を今後の防災対策にどのように生かすのか、まさに区の手腕が試されております。これらについて区の認識と今後の取組について答弁を求めます。

 次に、西武新宿線沿線まちづくりについて質問いたします。

 区画街路第3号線、交通広場に関わるスケジュールについて、令和3年第2回定例会での一般質問においてただしたところ、区からは、「令和4年度末までの用地取得完了に向けて、各権利者との交渉を進めている」との答弁がありました。その後、令和3年第4回定例会建設委員会において、事業区域内の薬師駅前協同ビルについては、権利者数が多数の上、様々な業種に使用されており、全員同時の契約が困難な状況があることから、土地及び区分所有権を中野区土地開発公社が先行取得する方法により取得を進めていくとの御報告がありました。区画街路第3号線の交通広場について、区分所有権の取得状況と併せて、現在の進捗状況をお示しください。

 西武新宿線沿線まちづくり推進プラン(新井薬師前駅周辺地区編)に基づき、新たな顔となる駅前拠点整備に向けては、この間、権利者を対象とした勉強会を実施し、令和2年8月には、権利者主体による市街地再開発事業推進のための組織である新井薬師前駅地区再開発協議会が設立されました。今後は、市街地再開発事業の事業化に向け、事業計画案の作成、改善を重ねながら、権利者との合意形成を図り、おおむね2023年を目途に準備組合設立に向け活動を進めると聞いておりますが、現在の進捗状況について答弁を求めます。

 この項のその他で、用地業務に関する職員の育成について質問いたします。

 現在中野区では、まちづくりの基盤となる都市計画道路の整備事業が複数同時に進行しております。しかし、用地の交渉、取得を要する都市計画道路の整備事業については、これまで平成の初期の財政の厳しい状況下において、中野区の取組は鈍く、用地業務に関する専門的知識や経験に基づくノウハウの蓄積が乏しいことから、現状、用地業務の専門的な知識や経験のある管理職を外部からの派遣により対応している状況にあります。優秀な管理職が派遣されていることは大変にありがたいことですが、これからも常に派遣していただけるのか、また、事業施行期間に対して個々の派遣期間が短く、派遣者の入れ替わりによる事業停滞の懸念もあります。今後も都市計画道路補助第220号線の2期、3期工事、野方駅以西の西武新宿線連続立体交差事業に伴うまちづくり等、多くの事業が控えており、用地業務も継続的に実施をしていくことが見込まれます。これらの状況を鑑み、即戦力である派遣管理職を受け入れながら、用地業務を担える正規職員を育成し、いずれは管理職として業務を担えるような人材確保をまちづくり推進部として計画的に行っていく必要があると考えますが、区の認識について答弁を求めます。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。

 私から、子どもの貧困対策について。初めに、国の調査結果と区の現状についてでございます。区が令和元年度に実施した子どもと子育て家庭の実態調査では、子どもの生活困難度別に、困窮層、周辺層、一般層と分類をし、生活実態の分析を行ったところ、困窮層だけでなく、周辺層においても、子どもや保護者において課題が生じている様子が見られました。また、生活困難度が高くなるほど支援サービスを認知していないために、利用していない割合が高くなる傾向にあるなど、制度の捕捉率に差が生じている様子が見られました。区の調査は、新型コロナウイルスの影響が生じる前のものではございますが、これらの調査結果から、国の調査結果における特徴と同様の状況が生じているものと認識をしております。

 次に、子どもの貧困対策におけるアウトリーチの取組の拡充です。支援が必要な子育て家庭に関しては、子どもや子育てに関わる部署が支援内容や支援方法の検討を行い、共有し、進めてまいりました。地域には、様々な事情でSOSを発信できず、相談につながらない家庭も少なくないと認識をしております。これらの家庭に対しては、多様な場での早期発見の取組のほか、相談窓口や様々な支援策の積極的な情報提供を行うことが効果的であり、訪問やなかの子育て応援メールの活用による情報提供と、すこやか福祉センター、子ども・若者支援センター、児童館ほか、子どもたちに関わる関係者によるアウトリーチ活動について、連携を強化しながら推進してまいります。

 次に、計画への国の調査結果の反映でございます。子どもの貧困対策に関する計画につきましては、区内の子どもや子育て家庭の生活実態を踏まえ、必要な支援策を盛り込むことが重要であると認識をしております。計画の策定に向けて、区の実態調査の結果や、令和2年度に取りまとめた子どもの貧困対策に係る考え方、これを踏まえ、検討を進めているところでありますが、今回の国の調査結果についても参考にしてまいります。

 最後に、継続的な調査の実施についてでございます。子どもの貧困対策については、子どもの最善の利益を実現するため、必要な取組を時期を逃すことなく実施することが重要になることから、区内の子どもや子育て家庭の生活実態を適宜把握していくことが必要であります。区の施策の効果を図ることや、大きな社会環境の変化による影響を把握するために、定期的に子どもと子育て家庭の実態調査を実施していく考えでございます。

〔保健所長佐藤壽志子登壇〕

○保健所長(佐藤壽志子) 続きまして、新型コロナウイルスワクチン接種に係る健康被害救済制度についてでございますが、2月1日までに具体的な相談が50件、申請が6件ございました。この申請案件を調査する中野区予防接種健康被害調査委員会は、現在開催準備を進めており、国から認定された事例はまだございません。

 次に、予防接種健康被害調査委員会の条例設置についてでございますが、本委員会は、予防接種法に基づく定期予防接種による健康被害救済制度の申請があった場合に、当該事例を医学的な見地から調査するものです。委員は、中野区医師会長が推薦する医師や、発生した症状等に関する専門分野の医師等で、極めて専門的な知見が必要なため、現在のところ、要綱設置に基づく柔軟な対応としております。条例設置による附属機関として位置付けるかどうかについては、今後の状況を踏まえ、検討していきたいと考えております。

 次に、副反応等の情報提供と相談窓口の周知についてですが、接種券に同封するお知らせには、感染予防の効果と副反応のリスクを知った上で本人の意思で接種を判断していただくこと、東京都の副反応相談コールセンターを掲載しており、詳しく知りたい方へは、中野区や厚生労働省のホームページを御案内しております。

 健康被害救済制度の申請に必要となる手続などの相談については、個別に保健所のワクチン担当職員が対応しており、その旨も掲載しているところです。区のホームページの情報を適宜に更新するなど、広報の充実を図ってまいります。

〔防災危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○防災危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、コロナ禍における火災対策についての御質問で、まず中野区内の火災発生状況についてお答えいたします。

 令和3年中の中野区の火災発生状況は、速報値で、火災件数が63件であり、そのうち建物火災が50件で79%を占め、建物火災のうち34件、68%は住宅火災となってございます。火災による死者は4人で、いずれも住宅火災で発生をしているものでございます。また、主な出火原因の上位でございますが、電気関係18件、ガステーブル等14件、たばこ10件でございます。

 新型コロナウイルス感染拡大以前の令和元年と比較いたしますと、出火原因に占めるガステーブル等の割合が11.8%から22.2%と倍増しておりまして、中野区でも、東京消防庁の分析推定どおりの傾向が見られる状況となってございます。

 続きまして、区民、事業者等における防火対策の推進についてでございます。中野区内において、年末年始にかけ、複数の方がお亡くなりになる火災が連続した際、区と中野、野方両消防署が対策会議を開催いたしまして、区民への緊急の火災予防広報として、広報紙の配布のほか、ホームページやSNSを活用した広報、防災行政無線による注意喚起を行ったところでございます。今後も両消防署と連携をいたしまして、新型コロナウイルス感染拡大下、特有の出火危険についても、あらゆる広報媒体を活用した広報を実施するとともに、防火防災訓練の場においても、普及啓発に努めてまいります。

 私から最後になりますが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動変化による地域人材資源の認識と今後の取組についてでございます。区民の在宅時間が増えることは、潜在的な防災の担い手が増え、地域の防火防災力が向上する機会と認識してございます。区では、こうした機会を捉え、区民の防災意識を高めていくための取組がますます重要と考えておりまして、そのためには、紙面や動画など様々な媒体による普及啓発と併せて、魅力ある防火防災訓練を推進するなど、区民が関心を持って主体的に参加し得る環境整備を進め、防災の担い手の参加促進や育成に努めてまいります。

〔まちづくり推進部長豊川士朗登壇〕

○まちづくり推進部長(豊川士朗) 西武新宿線沿線まちづくりについてお答えいたします。

 まず、薬師駅前協同ビルの取得状況と交通広場全体の用地取得状況についてでございます。現在の薬師駅前協同ビルの取得状況につきましては、土地については、22筆のうち5筆を取得いたしまして、進捗率約22%。部屋数については、67部屋のうち25部屋を取得いたしまして、約37%でございます。また、テナント47名のうち、13名と契約済みでありまして、約27%の進捗率となってございます。

 区画街路第3号線である交通広場全体の用地取得の進捗率は、面積ベースは約16%でございまして、画地ベースでは約46%でございます。

 それから、新井薬師前駅地区再開発協議会についてでございます。この協議会では、会員のより一層の事業への理解を深める取組を行うとともに、合意形成を図りながら、2023年度、令和5年度の準備組合の設立を目指していると聞いてございます。区は引き続き関係機関との協議を行うとともに、協議会の運営を支援をしてまいります。

 最後に、まちづくり推進部での用地業務に関する職員育成についてでございます。現在、用地業務に関する専門的知識や経験に基づくノウハウを兼ね備えた外部からの派遣管理職員により用地担当職員を育成しながら用地業務を推進してございます。今後も一定期間派遣を継続する必要はありますが、その間に用地担当職員の技術力向上を図りながら、管理職へ育成していく考えでございます。今後の事業計画や管理職の充足状況等から、派遣管理職の在り方について判断をしてまいります。

○議長(内川和久) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時43分延会

 

 

会議録署名員 議 長 内川 和久

       議 員 小宮山 たかし

       議 員 小林 ぜんいち