令和4年02月16日中野区議会本会議(第1回定例会)
令和4年02月16日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録

.令和4年(2022年)2月16日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番     欠  員

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  内  川  和  久

 22番  若  林  しげお        23番  高  橋  かずちか

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 40番  むとう   有  子       41番  長  沢  和  彦

 42番  来  住  和  行

.欠席議員(1名)

 14番  甲  田  ゆり子

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 防災危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子

 地域支えあい推進部長 角   秀 行    地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子

 健康福祉部長  岩 浅 英 樹      環 境 部 長  朝 井 めぐみ

 まちづくり推進部長 豊 川 士 朗     企画部企画課長  堀 越 恵美子

 総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  松 丸 晃 大      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  五十嵐 一 生      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  本 多 正 篤      書     記  金 木 崇 太

 

 議事日程(令和4年(2022年)2月16日午後1時開議)

日程第1 第7号議案 令和4年度中野区一般会計予算

 

午後1時00分開議

○議長(内川和久) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 若 林 しげお

 1 酒井区政の4年間の実績について

  (1)施政方針説明について

  (2)子育て先進区の実現について

  (3)施設整備について

  (4)その他

 2 その他

 

○議長(内川和久) 初めに、若林しげお議員。

〔若林しげお議員登壇〕

○22番(若林しげお) 令和4年第1回定例会において、自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。

 質問は通告どおりで、酒井区政の4年間の実績について伺います。その他で、喫煙所の設置についても伺います。

 初めに、施政方針説明について伺います。

 まず、率直な感想として、酒井区政の特徴である有言不実行のキャッチフレーズがふんだんに使用されている施政方針説明であったと感じました。少しずつ伺っていきたいと思います。

 酒井区政が掲げる区民の皆さんとの対話とありますが、どのくらいの成果があったのか、どのくらい区民と対話ができたのか、見えてきません。胸を張って言えるものなのでしょうか。区民との対話は非常に重要なことであり、政策形成を行う場合に必要な要素の一つであると思います。区長はそれを成果のトップに挙げておられますが、果たして本当に成果があったと言えるのでしょうか。

 今年度の決算特別委員会の資料によると、就任直後の平成30年度は737人の参加があったものの、翌年度には392人と半減、令和2年度以降は、新型コロナウイルス感染症の影響があったとはいえ、107人となっています。今年度は参加が増えたようですが、中野区基本計画や中野区区有施設整備計画など、今後の区政の方向性に関わるテーマであったためではないかと思っております。無作為抽出で区民に参加案内を送付するなど、工夫もされているようですが、それをもってしても、新型コロナ感染症の影響下であったとしても、この参加数などで区民と対話したと言えるのか疑問に思います。

 そもそも田中区政のときは、一問一答式で区長が区政を担う責任者として直接区民に答えていましたが、酒井区政では、区民同士でのグループディスカッション方式を多く取っていたと聞いております。これで対話をしたと言えるのでしょうか。この実施した区民と区長のタウンミーティングの成果をお聞かせください。

 公約にもなっていた区民との対話の代表的な事例である中野サンプラザの件では、公約を実施できなかったものとして、中野サンプラザ1万人アリーナ計画全面見直しがあります。2018年6月15日の区長就任記者会見において、今のサンプラザを建て替える、建て替えないを含めて、かつ1万人アリーナ全体について考えてもらえばいいとの発言があり、8月21日、既存の区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議で議論を始めたが、1か月もたたない9月11日の中野区議会本会議において、区長より再整備方針が打ち出されました。結果、代案も、それを進めるプロセスも立てられないまま、前区政の進めていたものに戻っております。アリーナ計画の件では、区民の声を一時的に聞き入れ、区民に期待を持たせ、結果、裏切っているようには見えないでしょうか。区の見解をお聞かせください。

 区民から要望があった一時預かり拡充事業について伺います。

 区民の声を拾うということは重要なことだと考えますが、きちんとしたニーズ調査や、地域環境などを調べて事業の組立てをすべきなのではないでしょうか。民間でも進めている事業を把握せず、官民がダブって進めた事業になりますが、実施した成果はどのくらいだったのでしょうか。

 区民の皆さんから頂いた意見について、十分に現状を把握せず、検証や予測などが足りないまま事業化し、委員会報告によると、13%の稼働率のことです。エビデンスベースからいえば廃止となるべき事業です。以前、度々使っていたエビデンスベースということを言わなくなりましたが、都合がよ過ぎるのではないでしょうか。事業見直し、構造改革、PDCAサイクルの概念はどこへ行ったのでしょうか。区の見解をお聞かせください。

 また、子ども関連団体や介護・福祉事業所など現場に赴きとありましたが、例えば私立保育園は、新型コロナウイルス感染症の対応や日々の業務に関して、区から命令に近い指示は来るが、相談、要望には乗ってもらえないとの声を聞いております。どこの現場に赴いたのか、きちんと課題の大きい現場に行っているのか、疑問に感じております。対話の区政はどこへ行ったのでしょうか。区の見解をお聞かせください。

 区政運営4年間を振り返ってとあり、4年間の成果として多く並べられておりますが、少し疑問を感じております。施政方針説明には、全て自身の実績のように述べられていますが、そのほとんどが前区政から引き継がれて進められてきたものであります。認可保育園の新設支援、私立保育園の建て替え支援、中野区新庁舎建設、子ども・若者支援センター、児童相談所開設、区立小・中学校の建て替え、ICT環境の整備や体育館の冷房化、トイレの洋式化、そして、中野東図書館開館は、全て前区政から進められてきたものであります。子育て先進区を掲げている酒井区政が最後に仕上げたにすぎないものであります。実績と言えるのか、甚だ疑問を感じております。おのおのの整備に関する方針決定などは、酒井区政になりゼロから策定したハードの事業は何がありますか。区の見解をお聞かせください。

 中野区基本構想、中野区基本計画、中野区区有施設整備計画について伺います。

 4年間の実績と言えば4年以内に策定したものであるのは確かですが、策定するまでの過程に問題があると感じております。策定まで3年半は、前区政の基本構想・基本計画に従って進めてきているものです。当初の策定予定を何度も変更し、遅れて策定してきているものです。スケジュール感の問題、また、やる気の欠如も感じてしまいます。

 中野区の憲法となる完成した基本構想においては、他自治体でも使用できるような基本構想となり、中野区の個性が欠如したものになっております。中野区基本計画においては、新規性や具体性がなく、計画とは言い難いものであります。田中区政では、5年、10年以内に何が実現するのかイメージできる計画でしたが、昨年策定された計画では、中野区の未来を読み取ることができません。対話の区政と掲げ、区民の力でつくられたことを理由とし、区長の思想、アイデアが見えないものになっています。一般区民から苦情が出ない、玉虫色の計画となり、合計特殊出生率など重要な指標を計画に盛り込まず、中野区が抱える課題から目を背けています。

 区有施設整備計画においては、財政の裏付けやランニングコストの運用などを含んでいない、パズルのような施設移動だけということが露呈しました。また、事業の休止、延期、見直し、経常経費の削減努力で歳出の抑制とありますが、どの事業のことを指しているのか、十分説明できているとは思えません。

 以上のことを踏まえると、今後、他の計画を策定する際に区政の停滞に招くのではないかと危惧されます。改めて、中野区基本構想、中野区基本計画、中野区区有施設整備計画がそれぞれなぜ当初より遅れたのか、お聞かせください。

 第1の柱である子育て先進区の実現について伺います。

 令和3年第4回定例会において子育て先進区に向けた施策について伺いましたが、実績や成果が見られなかったので、改めて伺います。

 さきの御答弁では、どこの自治体も当たり前のようにやっている具体性のない施策の説明でありました。3年間は子育て先進区を目指す基礎づくりとも答弁していますが、改めて伺いますが、子育て先進区を目指している中野区は、他自治体もやっていない先進的な子育て施策を行わなければなりませんが、何も見当たりません。方向性やイメージではなく、もし具体的な施策があれば御紹介ください。

 さきの一般質問において、子育て先進区を掲げてからの合計特殊出生率の変化については、現状の数値しか答弁していただけませんでした。施政方針説明では合計特殊出生率の向上と記載してありますが、酒井区長在任中の中野区は、23区中最下位で、全国でも最下位を争う低さとなっています。子育て先進区を目指すと言っている中野区が国や東京都のひもづきの予算事業、他自治体の後追い事業が多い状況の中、どのように先進性を見いだすのか、理解できません。よほどリーダーの創造性、指導力を発揮しなければなり得ないと思いますが、現状は全く見えません。その中で子育て先進区を目指す中野区が国や東京都をリードすると言い切れることに疑問を感じます。何を実現すると国や東京都をリードすると言えるのか、その定義、解釈について、区長の見解をお聞かせください。

 次に、第2の柱である地域包括ケア体制の確立について伺います。

 地域包括ケアシステムの構築は、前区政から進めていたことです。着実に進んでいたものと思われますが、酒井区政に代わり、担当部長を民間から採用し、重点項目の一つとして本腰を入れて進めていくプランであるように見えましたが、2年間は進み具合が全く見えずに、3年目の遅いタイミングで1万人アンケートを実施し、4年目にようやく中野区地域包括ケア総合アクションプラン(案)として出てきました。前区政で着々と進んでいた歩みにブレーキをかけたようにしか見えません。なぜそんなに遅れているのか、お聞かせください。

 構造改革の推進について伺います。

 当初、議会日程まで変更し、新型コロナウイルス感染症拡大による財政危機から、構造改革実行プログラムを策定し、50億円不足している区財政の立て直しを図るものとしていましたが、1億円足らずの効果しか生みませんでした。3年間短期集中と言っていたものですが、本格実施の1年目の今年度予算ではどのぐらいの効果を生んだのでしょうか。区政の構造改革は財政の体力を高めることばかりに注目されがちと施政方針に記載されており、前年度を上回る令和4年度予算は構造改革のかけらも見えずに、ただ言い訳にしか聞こえません。自ら財政の危機を乗り越えるための構造改革と言っていたことを鑑みると、区長の誠意が全く感じられません。

 そもそも財政規律がなくなり、一般財源規模を平成31年度に690億円から710億円、令和2年度に750億円まで引き上げました。当時、歳入が堅調なため一気に増加させたが、財政規律上問題があると指摘してきました。余剰となる予算は、財政危機が訪れることを想定し、基金に積み立てておくべきことも指摘しました。にもかかわらず進めてきた酒井区政での新型コロナウイルス感染症による財政危機は、酒井区長の失策であると考えます。実現目標としては程遠い基準となる一般財源規模を設定している意味、必要性の有無をお聞かせください。

 令和4年度歳出基準は687億円としておりますが、その積算根拠をお聞かせください。

 施設整備計画について伺います。

 財政の裏付けやランニングコストなどの運用を含んでいない、パズルのような施設の移動だけということが露呈したのは、生活援護課をどこに配置するかという問題の件です。教育センターから始まり、社会福祉協議会も巻き込み、結果、新庁舎に戻ったという過程で、職員が入る規模や施設の運営方法などを事前に調べもせず、結果、後から適合しないという不始末によるものです。

 他の施設においても、児童館や地域開放型学校図書館など、考え方がはっきりしないまま進めようとしていて、現状に至っています。地域開放型学校図書館においては、評判がよいというエビデンスがもう既に出ているにもかかわらず、いまだ検証するとのことです。施設整備に関する政策判断の基準がどこにあるか分かりません。例えば稼働率の伸びない一時預かり事業を継続し、検証の結果、評判のよい地域開放型学校図書館を進めないというエビデンスの活用は都合によるものにしか見えません。区の見解をお聞かせください。

 施設整備については、以前から、地域の環境、他施設とのバランス、職員の配置に至るまで、全てのこととリンクしており、できるだけ早く着手すべきと指摘してきました。はっきりせずに濁しているものが散見される中野区区有施設整備計画は、まるで職員のために施設整備計画をしているように見えてしまいます。

 酒井区政のこの4年間においてできなかったこと、また、失敗ではないかと思われるようなことが幾つかあります。主に、区民の声を聞くと言って計画を停止し、そして、何もなかったように元どおりの計画に入るというものです。仲町保育園の建て替えの件も、入札に入っていたものを止めてまで計画にストップをかけたものです。最終的には、時期をずらして再度申込みスタートという始末でした。昭和区民活動センターの建て替えにおいては、当初の計画の桃二小学校改築が突然変更したことに伴い、昭和区民活動センターの建て替えの時期の変更も検討をすることとなり、さらに、旧温暖化対策推進オフィスの改築にすこやか福祉センターが入る予定も遅れることとなりました。当時、旧温暖化対策推進オフィスに昭和区民活動センターの仮事務所として設置する予定だったものが中止となり、混乱を招きました。方針が定まらずに、区民、議会、また、行政内部に朝令暮改なことを続け、混乱を招いていることに対して、区長の見解をお聞かせください。

 平和の森公園においては、総合体育館建設に伴い、広大な草地に300メートルトラック等の整備をすることとなっていたが、公約で草地広場をそのまま残すと掲げていましたが、その代替の事業の指針が立たないまま工事延期をさせ、現場を混乱させ、その延期期間で4,500万円余の税金を無駄にしました。結果、元どおりの計画の内容となり、計画が進みました。パブリック・コメントを実施せず事業を変えることはおかしいと指摘をしていましたが、それを受け、行動も起こさず、何の変化もないまま、ただ止めただけという結果になりました。代替のプロセスを持たずに、ただ反対しただけしかない公約の結果であったとも感じております。

 前区政で失策をした場合、区長自ら責任を感じ、給与のカットなどを自主的に行いました。酒井区政において、平和の森公園工事で4,500万円余の税金を無駄にしたことに関して、区長の反省の色も見えません。区長の見解をお聞かせください。

 失策と思えることについては、さきに質問した構造改革実行プログラム、そして、子育て先進区のほか、中野大好きナカノさんプロジェクト、すこやかによるオンライン相談事業、保育園における事務効率化のためのシステム購入等は全て失敗と見えるものです。子育て先進区のように、思いつき、他自治体の物まねによるキャッチフレーズばかり追い求めて中身のない区政に見えてしまいます。例えば、スクラップ・アンド・ビルドを進めると宣言して、事業のスクラップを決断できないため、ビルド・アンド・スクラップと名前を変え、スクラップを先延ばしにしました。構造改革も、事業の見直しレベルにしか見えないプログラムであり、ほとんど財政効果がないものになりました。

 今まで述べてきたように、言葉やキャッチフレーズをパフォーマンスのみで使うのではなく、真の中野区民の幸せを考えた実現可能な区政を改めて目指すべきと考えます。

 以上でこの項の質問を終わります。

 その他で、受動喫煙防止を進めるための喫煙所設置について伺います。

 中野区の令和4年度予算にも、税収のうちたばこ税は20億円余と見込まれています。新型コロナウイルス感染症の影響のためなのか、テレワークや自宅で過ごすことが多くなったためなのか、東京都23区全体で前年度比90.6%である中、都心部のたばこの売上は減っている傾向にあります。前年度比、千代田区は67.4%、中央区は74.6%、港区は74.8%、新宿区は84.7%となっています。中野区においては、99.6%でほぼ変わらず、たばこ税の収入があるということになっております。以前から質問させていただいたとおり、この税収は色もつかず、一般財源として活用できるたばこ税であり、たばこを買うなら中野区で買ってもらいたいと考えるものです。これから、吸える場所の減少やたばこの値上げ等により、収入が減っていくと予想されます。

 日本たばこ産業が中野駅東西連絡通路下の喫煙所のたばこの本数を調査していました。調査方法は、吸い殻総重量から、1本1.5グラムとし、本数を測定したものになります。調査時期は、昨年の12月中旬の1日で、吸い殻の回収事業者による調査ということでした。中野駅東西連絡通路下は、1日約1万1,753本になるとのことです。ちなみに、新宿駅東口では1万6,660本、高円寺北口では5,420本、高円寺の南口では4,413本、1本約6.1円の市町村たばこ税とすると、中野駅東西連絡通路下では、1日約7万1,693円相当が消費され、年間約2,616万円相当が消費されていることになります。これがそのまま中野区の税収になるものではありませんが、駅前周辺に喫煙所環境を整備している自治体はたばこ税収が上がっているというデータもあります。

 これは自治体間競争であり、財源確保の上でも、以前から申し上げているように、完全分煙を進める上でも、一定数の的確な場所に喫煙所を整備すべきと考えます。年間20億円余入るたばこ税の一部を使って喫煙所の整備を進めるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 若林議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、区民と区長のタウンミーティングの成果についてでございます。4年間を通じてタウンミーティングを60回開催しておりまして、区民との対話の中で様々な御意見を頂いたところであります。グループ討議においては、各グループを回り、区民の方々の議論に参加し、意見交換を行うなど有意義な対話を行うことができたと感じております。ひきこもり支援の強化や地域活動の再開、活性化支援の拡充や産後ケア事業の拡充など、提案を受け、区政運営に反映したものもございます。

 次に、新北口駅前エリアにおけるアリーナ計画の再検討についての御質問です。中野駅新北口駅前エリアの再整備については、区長就任後、区民会議やタウンミーティングにて区民と対話を行うとともに、課題について検証を行い、新区役所、新北口駅前広場などとの一体的な計画による再整備であることや、西側南北通路・橋上駅舎整備の早期開設の取組から、再整備を推進するものといたしました。アリーナの計画につきましては、中野サンプラザの後継施設としてのホールの必要性を踏まえつつ、1万人という規模を再検討し、民設民営の可能性や適正な施設規模という観点から、最大収容人数7,000人程度を上限といたしました。再整備の基本的な方針を示す中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画の策定に当たっては、区民との意見交換会や意見募集、パブリック・コメントを行って策定をしておりまして、区民と対話を行いながら再整備事業を進めてきていると考えております。

 次に、事業見直し、構造改革、PDCAについての御質問です。政策形成を行っていくに当たって、総合的な判断をするためのエビデンスの収集・分析に努めているところでございます。エビデンスに基づく政策形成は基本でございます。今後も続けていく姿勢であります。区では、事業見直し・改善、予算編成などのPDCAサイクルによる区政運営を行うとともに、新たに取り組んだ事業の実績等についても検証を行い、エビデンスの収集・活用方法についても研究を重ねてまいります。

 次に、対話の区政の現状についてでございます。就任以来、子育て先進区や地域包括ケア体制等の実現に向けて、プレーパークや子ども食堂での活動の視察及び特別養護老人ホームなどの高齢者施設に赴き、そこで伺った意見を区政に反映できるよう取り組んできたところであります。また、感染症対策に当たっては、医療の最前線である病院や保健所に赴き、刻々と変わる現状を把握し、実際の対応への指示も行ってきたところであります。御質問にあった私立保育園の件につきましても、所管において、感染症の対応を含め、日々、保育園の運営に関する相談に応じるほか、毎月連絡会を開催し、要望や質問に答えているところであります。今後も区民の生活や区内の経営活動の状況などを把握するため、地域や団体等を訪問し、現場を重視し、区民の皆さんとの対応を重ね、議論を行いながら区政の課題に取り組んでまいります。

 酒井区政で新たに示したハード事業についてという御質問です。行政の継続性という点で、計画されていた施設整備をよりよい形で実現する一方で、政策的に計画の見直しを行うことも首長の責務であると考えております。昨年10月に策定した区有施設整備計画では、今後の施設整備の方針や配置計画を取りまとめたところでありまして、売却から活用に方針変更した商工会館跡地の整備をはじめ、この計画に基づいて施設の再編を進めてまいります。

 次に、中野区基本構想等の策定時期の遅れについての御質問です。基本構想につきましては、改定作業の過程で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、区民生活や地域経済に大きな影響を及ぼしたことなどから、改めて今後の社会経済情勢の変化を見据え、目指すまちの姿を描く必要があったため、改定時期が遅れました。基本計画や施設整備計画の策定については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた財政見通しを立て、区民の方々に丁寧に御意見を伺うことが必要であったことから、当初のスケジュールを見直したところであります。

 続きまして、先進的な具体的施策についての御質問です。区が目指す子育て先進区は、子どもが健やかに育ち、子育てをする上で必要な環境が整っているまちであるとともに、その子育て環境が広く認知され、子どもと子育て家庭から選ばれるまちであります。これを実現するために、中野区基本計画の重点プロジェクトの一つとして子育て先進区の実現を位置付け、全庁を挙げて取組を進めていくとともに、子育てカフェなどでの区民の声を踏まえて、これまで実施している事業などの改善も進めてまいりました。なお、区民の方から、他区と比較して、妊娠・出産・子育てトータルケア事業の内容が充実しているなどの評価も頂いているほか、区民アンケートを踏まえた公園遊具の更新、大規模な子どもと子育て家庭の生活実態調査などの新たな試みについても実施してきたところでございます。

 国や都の施策をリードすることについての御質問でございます。子どもや子育て家庭を取り巻く課題は複雑・多様化しており、それぞれの課題に応じたきめ細かい支援が求められることから、これまで以上に基礎自治体の役割が重要になると考えております。区は、区民に最も身近な基礎自治体として、子どもや子育て家庭のこれまで顕在化していなかったニーズや課題を把握し、施策に反映していくことを通じて、国や都の子ども施策を牽引していくことができると考えております。また、必要な支援を必要な人に届けるための情報発信や連携等の取組についても基礎自治体の重要な役割であり、国や都への働きかけができる立場であると認識をしております。子育て先進区の実現に向けて、不退転の決意の下、リーダーシップを発揮していく所存でございます。

 続きまして、総合アクションプランの策定時期についてでございます。新しく策定しました中野区基本構想・基本計画、地域福祉計画における区の取組との整合性を図るとともに、新型コロナウイルス感染症感染拡大によって大きく変化した地域課題に対応し、できるだけ多くの区民や関係団体との意見交換を行うプロセスを踏むために、総合アクションプランの策定時期を延期いたしました。本定例会における常任委員会において、中野区地域包括ケア総合アクションプランの策定について報告をする予定であります。

 次に、基準となる一般財源規模についての御質問でございます。基準となる一般財源規模は、一般財源の歳入見合いで身の丈に合った財政運営を行うために設定したものでございまして、基準の範囲内で一般財源充当事業費を抑えるという考え方で予算編成を行ってきたところであります。基準となる一般財源規模を設定することによって一定の歳出抑制につながったと考えておりますが、一方で、基本計画でお示しした財政見通しに大きな変化が見られることから、実態に即した有効な財政規律を確立させるため、新たな財政運営の考え方について検討を行ってまいります。令和4年度予算における基準となる一般財源規模の687億円は、令和3年度予算編成開始時における令和3年度の一般財源の収入見通しから設定したものでございまして、令和4年度予算編成において歳入の見通しを立てることが困難と判断したことから、同様の687億円を設定したところであります。

 次に、区有施設整備に関する政策判断の基準についてでございます。昨年10月に策定した区有施設整備計画において、区有施設整備の再編及び更新・保全の基本方針を定めたところでございます。今後は、この方針に基づいて、施設整備の検討を進めてまいります。その過程において、区民の声に耳を傾けるとともに、データを分析し、事業の有効性や発展性、費用対効果などを見定め、総合的に判断してまいります。

 続きまして、施設の建て替えについてでございます。これまで幾つかの施設計画や整備に当たって方針の見直しを行ったことは、その必要性を認識したためでございますが、進め方について、反省すべき点もございます。真摯に受け止めて今後に生かしてまいります。

 最後に、平和の森公園の再整備についてでございます。平和の森公園再整備工事では、工事延期に伴い、現場維持経費を要したところでございます。再整備の工事内容について様々な意見が寄せられたことから、変更が必要であると考えておりました。整備内容について再度区民の声を聞くために生じた必要な経費であったと考えております。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) その他の御質問で、たばこ税を使った喫煙所の整備についてお答えいたします。

 特別区たばこ税は、現状、一般財源の扱いとなり、特定財源のように直接たばこに関わる事業に充当する性質のものではございませんが、受動喫煙防止対策を進める上で駅周辺に完全分煙の環境を整備することは有効な取組だと考えておりまして、課題として捉えてまいります。

〔若林しげお議員登壇〕

○22番(若林しげお) 再質問をさせていただきます。

 先ほど答弁の中でいろいろされていましたけれども、子育て先進区について、国、東京都をリードする定義というか、どういったものをやっていけばリードと言えるのか、言葉だけじゃなくて、どういう考えをお持ちなのか、もう一度聞かせていただければと思います。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 若林議員の再質問にお答えいたします。

 子育て先進区において、東京都や国をリードするということの具体的な考えということでございます。現場を持っているのは地方自治体でございます。中野区も、子育て世代の直接の声を聞き、また、いろんな施設の管理をされている方の声も直接伺って、現場で今一番課題になっていることは何かというものを知る立場にあるのが我々基礎的自治体でございます。それを、声を上げて制度化するのが、例えば国であったり東京都がその範囲で制度を新しくつくるということですけど、それは、やっぱりきっかけは、最初は自治体なのでございます。ということで、我々としては、自治体が最初に課題を捉えるということで、我々はその役割を担うということで考えております。

○議長(内川和久) 以上で若林しげお議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小 林 ぜんいち

 1 「中野区基本計画」について

 2 区政の構造改革について

 3 区の危機管理対策について

 4 子育て先進区について

 5 「中野区地域包括ケア総合アクションプラン」について

 6 すこやか福祉センターについて

 7 新型コロナウイルス感染症対策における医療態勢の支援について

 8 その他

 

○議長(内川和久) 次に、小林ぜんいち議員。

〔小林ぜんいち議員登壇〕

○24番(小林ぜんいち) 令和4年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問をさせていただきます。

 質問は通告のとおりですが、7番は、時間の都合上、次の機会にさせていただきます。8番、その他で2問お伺いをいたします。

 初めに、中野区基本計画について伺います。

 区は、基本構想を昨年3月に策定し、引き続き9月に中野区基本計画を策定しました。これまでの新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、年次ステップを設け、施策の進捗の見える化など、分かりやすく作成されていましたが、昨年策定された中野区基本計画では、令和3年度から令和7年度の5年間で事業の展開を前期・後期としたのみです。そして、5年の計画期間に中間見直し及び次期の計画策定の検討、あるいは急激な状況変化の場合には5年を待たずに改定を行うとしています。しかし、中間見直しなどの変更となる計画、基となる計画、事業の展開は前期・後期の大雑把なスパンであり、抽象的な記載では変える要素すら見いだせないと考えます。御見解をお伺いします。

 また、5年という短いスパンの中で、策定したばかりにもかかわらず、すぐに次の見直し・改定作業に取り組むことになり、十分な取組や検証を行うことができないのではないかと考えます。何を具体的に改定しようとするのか、お伺いします。

 今回の基本計画策定に当たっても、当初は令和2年10月としていましたが、結局、予定よりも約1年遅れました。同様なことがまた起きるのではないかと考え、伺います。

 区役所全体が、本来の業務に加えて、新型コロナウイルス対応に追われたこの2年間、基本構想・基本計画、構造改革実行プログラム、区有施設整備計画の策定などに関わる部署の業務量の負担は相当に大きかったと思われます。今後、短いスパンで見直し・改定作業などが行われると、職員が常に机上の計画の策定作業に労力と時間ばかりを取られることになり、区民サービスなどの事業展開がおろそかになってしまうと考えます。御見解を伺います。

 区政は、区民の生活と、その場、そのとき、適切な対応をしなければならない、まさに区政は生き物であり、机上の計画を策定して終わりにするのではなく、策定のタイムリーな実施を求めて、この項を終わります。

 2番、区政の構造改革について伺います。

 区長は、令和2年9月、第3回定例会の行政報告で、構造改革について、行財政の構造改革は、財政的な非常事態に鑑み、おおむね3年間で集中的に取り組み、新しい区政を展開するための体力を養い、その後については、経済や財政の回復状況を見極めながら、刷新された持続可能な区政を推進していくことを想定、財政的な非常事態を乗り切るため、経常的な経費の歳出構造にメスを入れ、中長期的な施策・施設・組織の三つの再編に取り組む抜本的な構造改革を行っていくことが不可欠、施策・施設・組織のビルド・アンド・スクラップを行い、構造改革を機動的に進めていく、また、構造改革には職員の意識改革が大変重要と語り、構造改革の目的は財政的視点を主目的としていたはずです。今回の施政方針説明では、区政の構造改革は財政体力を高めることばかりに注目されがちですが、社会や経済などの状況変化が不可避な中でも、新たな行政需要に応じた効率的なサービスを提供し、基本構想で描くまちの将来像を実現していくために取組を進めていきますと言っています。

 私は、財政的視点から行政需要への対応に視点が変わり、区政の構造改革が本来の目的と乖離していると考えます。区政の構造改革の当初の設置目的と、設置したことによる令和3年度の構造改革によって令和4年度の予算で生み出された財政効果とその内訳を伺います。

 構造改革というよりはむしろ働き方改革、業務改革が必要ではないかと考えます。御見解を伺います。

 構造改革は、そのために新たな組織をつくり、人員を投入し、削減を図ってきたはずです。しかしながら、その効果は少なく、むしろ増大していると考えます。目的が曖昧な構造改革に加えて、酒井区長の就任以来のこの4年間で、見直し、変更し、混乱した主な事業には平和の森公園再整備があり、一度止めて再開した主な事業には本郷小学校や仲町保育園民営化などがあり、取りやめた主な事業には哲学堂公園内の学習展示施設などがありました。中でも新庁舎への生活保護課の移転については、二転三転したところです。区は、これらの事業の変更で億単位での大きな損失、税金の無駄を発生させています。

 こうした中、構造改革実行プログラムに基づき、令和4年度の予算編成を行っています。予算規模の増大に応じた全庁的な経費削減は行っているのでしょうか、伺います。

 令和4年度予算でのビルド・アンド・スクラップによる総額及び内容と内訳を伺って、この項を終わります。

 3番、区の危機管理対策について伺います。

 新型コロナウイルス感染拡大への対応について、1月24日の総務委員会、2月1日の危機管理・感染症対策調査特別委員会で、オミクロン株感染拡大に係る事業継続計画の緊急点検等について報告がありました。区は、この調査を通じて、必要な区民サービスの確保・継続を図ることとしています。

 しかし、報告の内容は非常にお粗末と言わざるを得ません。危機意識のかけらも感じられないものであります。緊急点検は、三つの視点、項目で、1、必要な区民サービスは着実に実施・継続していく、2、保健所への応援職員を着実に確保していく、3、職員の欠勤率を考慮した業務の優先順位を計画し、事業に反映していくといった、今さら言うまでもない当たり前のことを並べているだけであり、具体的に何をするのか示せていないと考えます。しかも、場当たり的な考えで実施するのでは、事業継続計画とは言えないと考えます。

 計画策定のプロセスで、職員の想定欠勤率を20%とした場合の中止や縮小する業務などを各部ごとに提出させているものの、調査結果は、当面の保健所へ応援を行う職員の人数割当てを決める事だけにしか使っていない。本来であれば、この調査結果を基に、区全体として業務の優先順位を決め、やむを得ず中止・縮小する業務や休業する施設などについては、想定される感染拡大の段階、フェーズごとにあらかじめ区民にお知らせし、理解と御協力を得るべきところではないかと考えます。お考えを伺います。

 あわせて、想定欠勤率20%は、全庁か、各部か、また、根拠についても伺います。

 私は、こうした危機管理への全庁を挙げての取組については、令和2年6月、第2回定例会、新型コロナウイルス感染拡大の当初から、庁内の連携や危機に対する認識の強弱、想定外の感染症対策を含めた区の組織全体に関わる危機管理について、全庁的な行政対応に関する検証を行う必要がある、また、外部から専門家を入れた客観的かつ専門的な検証を行うべきと、至急に検証し、課題を見つけ、体制を整えるべきと再三再四申し上げてきました。しかし、担当はこれまで、権限がないと言うだけです。全庁を挙げて、人員確保のため、思い切って事業を大きく休止する、施設を閉じるなど、行うべきことがあると考えます。事業を続ける危機管理の脆弱さについてどのようにお考えなのか、伺います。

 令和3年9月、第3回定例会で、新型コロナウイルス感染症を経験している今、中野区のBCPを災害発生時から時間を追ってフェーズに合わせた仕様に改定してはどうかと伺った際、区長は、今般の感染症に関する検証やBCPの見直し・改定には、国や都の施策動向や保健所の業務等の関連も踏まえ、区民生活を維持するために必要不可欠な非常時優先業務を継続の観点から迅速かつ適切に進めてまいりますとの答弁でした。

 区はこれまで、新型コロナウイルス感染症対策について、場当たり的な対応に終始してきています。遅くとも昨年の夏から感染拡大、第5波が一段落していた昨年末までに検討・決定する時間が充分あったにもかかわらず、いまだに何も決定されていません。なぜ具体的に行ってこなかったのか、理由と併せて伺い、この項を終わります。

 4番、子育て先進区について伺います。

 区長は、施政方針説明、子育て先進区の実現に向けた主な取組で、各分野への取組が満遍なく進んだと言っています。学校教育への充実も当然子育て先進区として取り組むべきと考えます。それは、子育て先進区の実現に向けて、先進区とうたうからには、他の区よりも突出した独自性のある政策・施策があってのことと考えるからです。

 地域開放型学校図書館においては、既に開放した3館の運営状況を検証した上で今後の方針を決めると言っていましたが、今年4月に新校舎に移転する令和小学校については、当面、開設を見送ることとし、令和4年度に必要な予算措置をしていません。1月31日の子ども文教委員会に報告された地域開放型学校図書館の運営状況によれば、未就学児とその保護者や児童などの利用が多く、好評であったことの結果が出ています。それにもかかわらず、区は、令和小学校について、構造改革の図書館全体の在り方と併せて検討するため、当面、開設を見送ることとしています。

 見直しをするなら令和小学校の工事施工前にストップをかけるのが普通であり、建物が整備されてから、運営上の備品、書籍をストップするのはどういう理由なのか、また、地域開放型学校図書館を待ち望んでいた子育て世帯の期待を裏切ることにはならないか、伺います。

 ストップをかけた図書館設備の活用方針は示されていません。極めて場当たり的と考えます。御見解を伺います。

 中野区の子育てや教育環境は、子育て先進区どころか、構造改革や財政非常事態の名の下に後退しているのではないかと考えます。例えば学校施設において、不足する教室や狭い校庭などの環境下で不自由な学校生活を送る児童・生徒が多く、早急な対応が必要にもかかわらず、しっかりとした見通しやエビデンスもなく、歳出削減のみを目的として、既に計画が進行していた学校の改築をストップさせています。既に計画が進んでいる学校の改築計画を先延ばしにして教育環境の改善を遅らせ、子どもたちや保護者、地域の方々などの期待を裏切り、無用な混乱を生じさせたことや、明らかに子どもや保護者から歓迎されているという検証結果が出ているにもかかわらず、構造改革を理由として、子どもに有益な施策を後退させた区の責任は大きいと考えます。区長の見解をお伺いし、この項を終わります。

 5番、「中野区地域包括ケア総合アクションプラン」について伺います。

 アフターコロナにおける地域包括ケア体制の構築は、住み慣れた地域で安心して生活できる地域づくりを目指す取組と考えます。新型コロナウイルスの感染拡大によって区民生活は大きな影響を受けました。現在も感染が収束していないため、直近の新型コロナ対策は重要と考えます。一方で、新型コロナの感染から2年が経過していることから、そろそろパンデミックが収束した後の地域包括ケア体制のあるべき姿を議論するときではないかと考えます。

 コロナ禍を経験したことによって顕在化した、区が目指す地域包括ケア体制のあるべき姿はどのようなものか、また、新型コロナ前と新型コロナ後では、区の地域包括ケア体制について何が変わったのか、もしくは何を変えようとしているのか、併せて伺います。

 アフターコロナの地域包括ケア体制のあるべき姿を実現するための課題は何か、伺います。

 課題解決のため、区はどのような対策を取るのか、現在作成中のアクションプランにアフターコロナを認識した具体的な対策を明記するのか、伺います。

 私は、2025年問題の令和7年までに完成しておくべきであった在宅医療が目標と考えます。地域包括ケア体制のあるべき姿に在宅医療・療養を強化する必要があると考えます。具体的に明記すべきではないでしょうか、お伺いします。

 私が令和3年3月、第3回定例会において、将来はさらに高齢者が増え、在宅医療・介護の支援を受けながら生活する区民が増えてくる、コロナ禍の状況は、将来の在宅療養に関わる課題を先取りしていると思う、超高齢社会への備え、地域包括ケア体制の構築という観点から、現状に対する区の課題認識と今後の取組について伺ったところ、区長は、今後は必要とされる、病院と病院、病院と診療所との連携の在り方や、地域医療支援病院との連携なども視野に入れて、医療・介護関係者等と検討を進めてまいりますと答弁されました。地域医療支援病院とはどのような病院を指すのか、現在、中野区にはあるのか、伺います。

 アフターコロナを意識したとき、在宅療養・医療の充実が必要であり、本来は地域医療体制を2025年までに完成しておくことが備えだと考えます。アフターコロナの視点に立ったアクションプランには、在宅療養・医療・介護の取組を充実させ、具体的に明記すべきと考えます。御見解を伺い、この項を終わります。

 6番目に、すこやか福祉センターについて伺います。

 初めに、すこやか福祉センター5か所目開設について伺います。

 平成22年に中部すこやか福祉センターが開設され、すこやか福祉センターの運営は10年を超えました。現在4か所で運営されており、今後は、より身近な地域で開設が望まれており、私たち公明党が主張してきた5か所目の開設を令和3年10月に策定された中野区区有施設整備計画に盛り込まれたことは評価します。

 5か所目の開設をする前に、これまでのすこやか福祉センターの平常時の運営・取組、コロナ禍のような緊急時・非常時の取組を総括・検証し、課題は何か、その課題の解決の方策は何か、5か所目の開設の課題解決につながることを示すべきと考え、伺います。

 次に、保健師、医師について伺います。

 中野区の保健師の多くは、健康福祉部、保健所とは別に、地域支えあい推進部のすこやか福祉センターに配属されています。新型コロナ感染拡大によって、改めて保健師の重要性が浮き彫りになりました。確認のために、すこやか福祉センターにおける保健師はこれまでどのような職務を担ってきたのでしょうか、伺います。

 中野区の地域包括ケア体制を構築するに当たって、今後、すこやか福祉センターの保健師はどのような役割を期待されているのでしょうか、伺います。

 保健師が自ら役割を果たせるように、すこやか福祉センターにおいて実施する取組はあるのでしょうか、伺います。

 保健師が地域支えあい推進部と健康福祉部、保健所とに配属されていることにより、コロナ禍のような緊急時の対応に支障が生じたのではないかと考えます。中野区の組織上、一元管理が難しいのであれば、すこやか福祉センターの保健師は、機能を残しながら、健康福祉部と連携を深め、管理するほうがよいのではないでしょうか、伺います。

 中野区のすこやか福祉センターは診療所機能を有し、開設者に医師の確保が欠かせないと考えます。現在、医師は、保健所長をはじめ、東京都から来ていただいておりますが、今後、医師の確保をどのように考えているのか伺い、この項を終わります。

 最後に、その他で、初めに、視覚障害者用ナビシステムの導入と支援について伺います。

 視覚障害者の歩行を支援するナビゲーションシステムをスマートフォンのアプリに連動させた機器を左右の靴に装着し、目的地を設定すると、直進、左折、右折、停止などの情報を靴の中の機器の振動で知らせ、移動をサポートする仕組みがあります。視覚障害者の方々が周りの音に注意をそがれることなく外出を楽しみながら行えるようにしたサポート機器の活用に期待が高まっています。区は、視覚障害者の歩行を補うための振動機器の導入と支援を行っていくのでしょうか、伺います。

 最後に、特殊詐欺対策アダプター、AIを活用した機器導入と設置支援について伺います。

 高齢者の詐欺防止に、私が平成25年に提案し、導入が図られた、電話機の隣に設置する自動録音装置が役立っています。今、自動録音装置に代わる一つに、特殊詐欺対策アダプターに録音した通話記録データをクラウドに転送し、特殊詐欺解析サーバーでAI――人工知能が解析し、特殊詐欺だと思われる場合には、本人や親族の電話やメールアドレスに注意を促す連絡が入る新たな仕組みが詐欺防止や検挙にもつながっており、注目されています。区民の財産と命を守るため、巧妙化している特殊詐欺の防止や抑制をさらに強化した対策を図るため、特殊詐欺対策アダプター、AIを活用した機器導入と設置支援をすべきと考えます。伺って、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 小林議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、中野区基本計画の改定の必要性、改定内容についての御質問です。中野区基本計画では、社会経済状況の変化が激しい近年の状況を踏まえ、計画期間を5年間とし、事業の展開を前期おおむね2年、後期おおむね3年としたものであります。新型コロナウイルス感染症の影響によって特に計画期間の後期の財政見通しが不透明な状況にあったことから、令和5年度の財政見通しが明らかになった際には、前期2年間の進捗、さらには構造改革の進捗状況等を踏まえ、基本計画の見直しの必要性を判断する考えであります。

 中野区基本計画の策定時期の遅れについての御質問です。基本計画の策定時期の遅れにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって、基本構想の改定に係る区民意見交換会の実施を延期としたこと、また、新型コロナウイルス感染症への対応に注力することなどの状況を踏まえ、策定時期を変更したためであります。次の見直し・改定に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の影響等による社会経済状況の動向や財政見通しなどをしっかりと見定める必要があると捉えておりまして、今回の策定過程やプロセスも踏まえ、改定時期を判断してまいります。

 次に、中野区基本計画の改定スパンについてでございます。基本計画の改定につきましては、社会経済状況の変化やその変化のスピードを踏まえ、新たな行政ニーズや区政課題に対応していくために、その必要性を考えているところでございます。

 区政の構造改革の当初の設置目的と財政効果についてでございます。構造改革は、財政的な非常事態に対処するとともに、新たな行政需要に応じた効率的かつ効果的なサービス展開を図るため、行財政の構造的な改革を集中的に進め、持続可能な区政運営を目指すものであります。令和4年度予算編成における財政効果額は、総額5億5,000万円余と試算をしております。そのうち経費削減による効果が7,000万円余、歳入確保による効果が3億2,000万円余、労働時間削減による効果が人件費相当への換算で1億6,000万円余と試算しております。

 次に、構造改革における働き方改革や業務改革についての御質問です。構造改革の成果を上げていくには、組織の縦割りを打破し、前例にとらわれることなく、常に業務を改善していくマインドが不可欠であります。こうした職員の意識改革を進めるため、働き方改革や業務改善運動を積極的に活用してまいります。

 続きまして、予算規模増大に応じた全庁的な経費削減についてでございます。予算編成に当たりましては、基準となる一般財源規模を設定し、これを歳出の基準として予算編成を進めているところであります。具体的には、現年度の経常経費の予算額を基準にした要求限度額を部ごとに定め、要求限度額内に経常経費を収めるよう、編成作業を進めたところであります。

 次に、令和4年度予算におけるビルド・アンド・スクラップについてでございます。令和4年度予算編成におけるビルド・アンド・スクラップによる削減総額は6,800万円余でございます。主な内容として、観光事業の見直しによるNakano Free Wi-Fi等の廃止、そして、AI-OCR導入による住民税収納事務の効率化による人件費及びデータ作成委託費の削減などが挙げられます。新規・拡充事業の構築に当たって事業の見直しを行った結果でございまして、内容的には妥当であると認識をしておりますが、次年度はさらなる事業の見直しに向け、行政評価と連動した取組を進めてまいります。

 次に、危機管理対策についてで、休止・縮小する事業や欠勤率20%の想定についてのお尋ねです。今回の緊急点検等につきましては、都の要請による10%を超える従業員の欠勤及び保健所等への応援要員を踏まえ、各部、各課ごとに20%の欠勤を想定し、点検をしたものであります。一方、日々の感染状況や職員の欠勤状況、また、事業の繁閑などには変動が生じることから、実際に事業を休止・縮小する場合は、点検結果やこうした状況を基に、その都度判断することとしております。このため、区民の誤解を避けるためにも、事前の公表は控えております。なお、区民生活に大きく影響を及ぼすような事業の休止・縮小につきましては、危機管理等対策会議で決定の上、速やかに区民周知を図るなど、適切に対応してまいります。

 事業や施設運営の継続についてでございます。区として区民の生命、財産を守るため、区民サービスの確保・継続を図ることは極めて重要であると考えておりまして、新型コロナウイルス感染症下においても、可能な限り事業の継続と保健所業務の応援体制の両立を図り、今日に至るまでほとんどの事業を休止することなく対応してまいりました。今後もこのような考えの下、さらなる感染拡大や保健所業務が逼迫する際には、あらゆる対応策を検討・判断してまいります。

 次に、第5波以降の対応についてでございます。中野区政のBCPで想定する流行規模は今般の状況とは大きく異なっておりますが、感染症対策に関わる優先業務や事業の休止・縮小の対応につきましては、現在の中野区政のBCPにより実施をしているところであります。これに基づいて、第5波以降、感染が拡大した場合の保健所業務へのさらなる応援体制の確保に向けた各部・各課の事業の休止・縮小などを事前に検討し、今般のオミクロン株の感染急拡大につきましても、事業継続計画の緊急点検や保健所応援職員の派遣など、具体的かつ迅速な対応を図ってまいりました。なお、中野区政のBCPの見直し・改定につきましては、今後、国や都の政策・動向や区の関連計画との整合等を踏まえつつ、適切に進めてまいります。

 私から最後に、子育て施策と構造改革についてでございます。小・中学校施設整備計画や地域開放型学校図書館の見直しは、施設整備や運営を中長期的に見て、一旦立ち止まり、検証することが必要と判断したことによるものであります。こうした子育て先進区に資する施策や事業を着実に進めるためには、持続可能な区政運営が不可欠でございます。構造改革における施策・施設・組織の再編によって、その実現を目指してまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、令和小学校の地域開放型学校図書館についての御質問にお答えをいたします。

 地域開放型学校図書館につきましては、今年度4月20日に開設いたしました3施設の利用状況などの検証を行い、今後の整備について決定していくこととしております。検証結果から、地域開放型学校図書館は一定の評価を得ていると認識しておりますが、蔵書数、学習・研究の用途には不十分である等の課題もございました。こうした課題も踏まえ、区立図書館全体の在り方を検討する中で今後の整備方針を決定し、改めて区民に周知してまいります。

 次に、令和小学校に整備した施設の活用方針についてでございます。令和小学校に整備した施設の当面の活用方針については、現在、令和小学校とも調整を図りながら検討を行っております。第2図書室や児童の活動スペースにするなど、当該校の児童にとって有効な活用方法を考えてまいります。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、中野区地域包括ケア総合アクションプランにつきましてお答えいたします。

 まず、地域包括ケア体制が目指すべき姿についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響下におきましては、医療病床の不足や在宅療養が困難であった状況のほか、特にかかりつけ医のいない区民の健康不安などが顕在化いたしました。今後の地域包括ケア体制が目指すべき姿としましては、新たな感染症の発生や大規模な地震などの災害への備えを強化し、安心して住み慣れた地域で暮らし続けることが必要であると考えております。

 次に、新型コロナウイルス感染症による変化でございますが、生活困窮や外出自粛による孤立や孤独のほか、子育ての不安、高齢者のフレイルなど、支援が必要な人の生活課題は、これまで以上に多様化と複合化が進行しております。これらの課題に対応するためには、関連機関との連携を図り、早期発見し、支援につなげるための相談支援体制を一層強化する必要があると考えております。

 次に、あるべき姿を実現するための課題についてです。平時だけでなく、災害時でも安心して地域で暮らし続けられることを目指すために、これまで以上に相談支援体制やセーフティーネットの整備を進めていくことが課題であります。そのためには、区や区民、関係団体や民間の事業者などが支援を必要とする人の早期発見や継続的に見守り合いを重層的に行うなど、自助、互助、共助、公助を組み合わせて、オールなかので地域包括ケア体制を強化していくことが重要であると考えております。

 次に、具体的な課題解決策の掲載などについてです。総合アクションプランは、区や区民、関係団体等の取組をより一層発展・充実させ、オールなかのの取組を推進するための活用本と位置付けております。策定後も引き続き周知を行い、地域包括ケア体制の理念や取組を広げることも重要であると考えております。これまでの中野区地域包括ケア推進会議や説明会などでの区民や関係団体からの御意見も踏まえ、今後の具体的な取組といたしましては、地域における活動者の交流の機会をつくるほか、説明会や理念共有事業の実施、SNSを活用した広報活動にも力を入れてまいる所存です。

 次に、在宅療養に関する取組についてです。総合アクションプランでは、第4章、第5章に課題と取組について掲載をしておりまして、在宅療養に関する取組については、主に柱5、生活を支えるサービス、生活を豊かにするサービスと、柱6、地域医療の中で具体的にお示ししているところでございます。今後のあるべき姿としての今後の取組の方向性の部分では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による課題として、居場所づくりや活動支援強化については記載していることもありまして、在宅療養体制の強化についても、記載方法について調整を図ってまいります。

 次に、地域医療支援病院についてです。医療法第4条に基づく医療機関でございまして、身近な地域で医療が提供される体制を確保するための地域のかかりつけ医等の医療機関を支援する役割を担うものでございます。現在、中野区内医療機関において設置に係る準備を行っていると聞いております。

 私からの御質問に対する最後に、在宅療養の取組についての具体的な記載についてです。第5波のときに実現した新型コロナウイルス感染症自宅療養者への医療支援体制は、これまでに構築してまいりました地域包括ケア体制における医療関係者、訪問看護・介護等の従事者の方々の連携・協力体制があったからこそと認識しております。これらの連携や協力体制により、様々な疾病による在宅療養者や今後の在宅療養を希望する方に対する支援体制は一層強固なものになったと考えております。総合アクションプランへは、平時だけでなく、災害時も念頭に置いた医療・介護連携の強化を中心とする在宅療養の取組について、関係機関との調整を図り、より具体的な記載にしてまいります。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、すこやか福祉センターについてお答えいたします。

 初めに、すこやか福祉センターの検証と課題についてです。平常時においては、全ての人を対象とする地域包括ケア体制構築のための職員体制の充実及び庁内外の各所管、各種機関との役割分担との連携強化が差し迫った課題であると認識しております。緊急時・非常時につきましては、今般の長期にわたる新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、保健所を含む全庁的な健康危機管理体制をより円滑に対応できる仕組みづくりが課題であると認識しています。すこやか福祉センターが担当する地域の範囲の抑制と人口規模の平準化が大きな課題となっており、このため、四つの日常生活圏域のうち、最も人口規模が大きい中部圏域と、次いで大きい北部圏域を見直しして三つの圏域とし、新たな5か所目のすこやか福祉センターを設けることとしたものでございます。

 次に、保健師の重要性とすこやか福祉センターにおける職務についてでございます。すこやか福祉センターにおいて、保健師はこれまで、保健、福祉及び子育てに関する相談支援、各種事業の実施、担当地区制における個別ケース対応、さらには、妊娠・出産トータル支援事業や乳幼児健診事業の企画調整など幅広い業務を担ってきております。

 すこやか福祉センターの保健師の役割と取組についてでございます。中野区の地域包括ケアシステムの構築のために、保健師には、地域の実情に精通した医療の専門職として、保健、福祉、医療、介護の連携の要としての役割を担うことが期待されております。また、すこやか福祉センターの保健師は、アウトリーチチームの一員として、今後、重層的支援体制整備事業の実施に伴い、区民活動センター圏域ごとに設置する地域ケア個別会議において、専門性を生かし、複雑化・複合化した個別の対応の解決を図ってまいります。

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、すこやか福祉センターについてのうち、保健師の配置と管理体制についてお答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、組織が分かれていることにより支障が出ないように、保健所以外の保健師も保健予防課の兼務とし、連携をして対応してきたところでございます。感染症蔓延等の緊急的な対応が必要な際に臨機応変かつ迅速な対応ができるように、平常時から保健予防課への兼務発令をしておくほか、ジョブローテーションにより感染症対応に必要なスキルを保健師が習得できるよう、育成を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 続きまして、すこやか福祉センターにおける医師の配置についてでございます。すこやか福祉センターへの医師の配置につきまして、これまでも都に対して要求してきたところでございますが、保健所以外の機関について、医師でなければ対応できない業務が比較的少ないことなどから、都は、原則として医師を配置しない方針であるということでございます。一方、すこやか福祉センターを診療所として開設する場合には、本来であれば専任の医師を管理者として配置すべきところでありますが、現状といたしましては、保健所長等の兼任をしているというところでございます。今後も必要な医師を確保できるよう、都に対して要求をしていきたいというふうに考えております。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 視覚障害者用ナビゲーションシステムについてお答えをいたします。

 靴に装着した機器で振動を知らせる視覚障害者用ナビゲーションシステムは、開発元の発表によれば、現在開発中でございます。2022年度中の製品化を目指すとされておりまして、今後、製品化された際には、ニーズや他自治体の状況を参考に、導入等について検討したいと考えております。

 私からは以上でございます。

〔防災危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○防災危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、特殊詐欺対策アダプターについてお答え申し上げます。

 特殊詐欺対策アダプターの設置導入及び支援につきましては、他区の動向等を注視しながら、費用対効果等について調査・研究してまいります。

○議長(内川和久) 以上で小林ぜんいち議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時16分休憩

 

午後2時17分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 

 中野区議会議員 来 住 和 行

 1 区長の選挙公約と2022年度予算案について

  (1)平和行政と人権擁護について

  (2)子育て先進区の取り組みについて

  (3)文化財の保存・活用について

  (4)その他

 2 環境・気候危機打開について

 3 障害児の療育について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、来住和行議員。

〔来住和行議員登壇〕

○42番(来住和行) 2022年第1回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。

 区長の選挙公約と2022年度予算案について伺います。

 予算案は明日上程される予定のため、2月3日の区長定例記者会見での新年度当初予算案の概要を中心に伺います。

 まず、平和行政と人権擁護についてお聞きします。

 2022年の中野区区民意識・実態調査の行政サービス満足度で、平和が76%に次いで、人権、国際化がトップ3を占めました。今年は憲法擁護・非核都市宣言から40年、核兵器禁止条約発効1周年の年に当たります。夏に行われる区の平和のつどいでは、一昨年はICAN――核兵器廃絶国際キャンペーンの川崎哲さんの講演会、昨年はペシャワール会医師の故中村哲さんの企画が行われました。2020年11月には、中野区平和資料展示室がオープンし、年間を通して企画展示が工夫されています。

 そこで伺います。

 平和事業が行政サービスの満足度を高めてきていることについてどのように評価されていますか。答弁を求めます。

 区長が就任直後に加盟された平和首長会議は、1月7日に核軍縮に関連して五つの核保有国が発表した共同声明に対し、核兵器国が共同声明を発表したことは、被爆者が核兵器廃絶を長年訴えてきた思いに通ずるものだと評価した上で、核軍縮の具体的行動とつながるようにと訴えています。

 お聞きします。

 新年度予算で平和事業は、憲法擁護・非核都市宣言の40周年に合わせて172万円を予定しています。平和首長会議の核軍縮の呼びかけとつながるような企画となることを期待しています。現在の検討内容について答弁を求めます。

 40周年を迎える憲法擁護・非核都市宣言は、区議会への請願や区民の皆さんの平和への思いが形となって実現したものです。体験を通し核兵器の廃絶を訴え続けてこられたのが被爆者の方々です。中野区内では、被爆者健康手帳所持の方が2021年には101名となり、10年前の半数となっています。区は、原爆被爆者見舞金も、財政事情から半額にしてきました。

 伺います。

 憲法擁護・非核都市宣言40周年の記念の年に当たり、区民の被爆者の方々に区長から心を込めたメッセージを届けることも検討してはいかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に、人権擁護についてお聞きします。

 現在、区は、(仮称)中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例案に盛り込むべき事項に係るパブリック・コメントの手続を終えました。条例の案では、法の下の平等と差別の禁止を理念として、具体的には、男女共同参画社会の実現に加え、中野区に住んでいる性的マイノリティーや現時点でも120の国と地域から来ている人々、年齢や世代、障害など、人々が違いを感じやすいことに関して、お互いの人権や多様性に関する理解を深めていくことによるさらなる地域社会の発展が望まれていますと説明、さらに、それぞれの能力を発揮し、地域社会の一員として暮らすことができることを基本理念とするとし、施策の推進のための広報活動と調査・研究などの取組が示され、人権施策推進審議会を設置するとしています。

 お聞きします。

 区長は、公約で、既に審議会については実効性のある仕組みについてを示されています。そこで、条例の案に示された人権施策推進審議会の役割と、そこへの期待について答弁を求めます。

 予算では、多文化共生推進基本方針を策定するとして53万円が計上されました。現在、多文化共生社会の推進を担っているのは、中野区国際交流協会です。都市間の友好交流、市民同士の交流、日本語講座、国際理解講座など多様な事業を展開しています。国際交流協会は、かつて中野区の財団として位置付けられていました。財政事情を理由に、3億円の基金を引き上げ、区設立の法人格のない任意団体としました。よって、国際交流協会の位置付けは極めて弱いものです。

 伺います。

 今回策定される多文化共生推進基本方針では、国際交流協会の位置付けを明確にすべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 今後、区がさらに多様性の尊重、多文化共生を進める上で検討すべきことについて、1点、伺います。

 中野区自治基本条例では、住民投票の請求及び発議において、区民のうち選挙権を有する者と定めています。永住外国人には地方参政権がないため、住民投票の請求者になることを認めていません。地方参政権については、1995年2月の最高裁判決では、永住外国人に地方参政権を保障することは憲法上禁止されているものではないとの判断が示されています。既に、大阪府豊中市では、市民投票の実施を請求できる者として、18歳以上で、外国籍も含むとなっています。住民投票資格については、2020年12月の時点で、住民投票を常設の条例としている全国の78自治体のうち42の自治体が外国籍を認めています。地方自治体の運営は、本来そこに住む外国籍を含む全ての住民の参加によって進められるのが憲法の定める地方自治の根本精神です。外国籍の方々も地方自治体の担い手として迎える自治体となるべきです。

 伺います。

 中野区自治基本条例の住民投票の請求及び発議について、外国籍も含むことへの研究・検討を求めます。

 人権に関連して、中野区パートナーシップ宣誓についてお聞きします。

 中野区は、23区で、渋谷区、世田谷区に次ぎ、同性カップルの2人からパートナーシップの関係である宣誓を行うことで、区長が受領証を交付する制度を2018年8月にスタートさせました。私は、同年2月の議会で、息子がゲイであることを紹介し、一日も早い制度の立ち上げを求めました。中野区での受領証の交付が1月で100件を超えたと聞き、とてもうれしく思います。

 伺います。

 受領証の交付によって、婚姻関係により近い形でサービスを受けられるメリットが期待されています。受領証によって受けるサービスは広がってるのでしょうか。答弁を求めます。

 酒井区長も、性的指向・性的自認に関する相談窓口を公約され、既に月1回の対面による相談が実施され、受領証のカード化やアンケートの実施も行われてきました。当議員団は、この間、豊島区での多様な性自認・性的指向の人々をカバーする条例の紹介をするとともに、宣誓書類の簡略化と交付までの期間の短縮などについて提案してきました。

 お聞きします。

 検討はどうなっているのでしょうか。答弁を求めます。

 パートナーシップ宣誓の制度は、現在、全国130自治体に拡大し、東京都もパートナーシップ宣誓制度の素案を公表するとともに、この秋の制度開始を予定しているとのことです。足立区では、昨年4月から、宣誓した方に未成年の子どもがいる場合、併せて宣誓することができるパートナーシップ・ファミリーシップ制度を実施しています。制度では、戸籍上の性にもとらわれないとなっています。

 お聞きします。

 同性パートナーシップ・ファミリーシップ制度への動きは既に全国九つの自治体で始まっています。中野区も要綱を見直し、同性パートナーシップ・ファミリーシップ制度への充実を図ることを検討すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 自然災害で家族が亡くなったとき、法律には最大500万円が支払われる災害弔慰金制度がありますが、国の解釈は、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者には同性パートナーは含まないとの判断です。そのことから、世田谷区では、同性パートナーに対する災害弔慰金支給の新設を決めたということです。対象の条件はパートナーシップの宣誓を行った者などで、財源は区が負担するとしています。

 お聞きします。

 中野区においても、災害弔慰金について検討をすべきではないでしょうか。他の自治体での新たな取組や改善を区としても常に検討していくことが大切です。併せて答弁を求めます。

 次に、子育て先進区の取組について伺います。

 区長の公約の一つに、保育園待機児童ゼロを目標に掲げています。新年度の予算案では、民間保育施設の新規開設と今までに開設した保育園の家賃支援などで、合計13億8,000万円が予算化されています。区長就任時の4月1日の中野区内の保育所定員数5,805人から、2021年4月は7,516人と、1,711人の定員増となり、待機児童数も、171人から25人に減らすことができました。4月からの保育園入園申請の第1次が締め切られ、第2次募集が始まっています。

 伺います。

 昨年の第1次申請と今年度との比較では、申請者数はどうなっているのでしょうか。待機児童ゼロの目標達成の見通しはどうなっているのでしょうか。答弁を求めます。

 区長が残すと公約した区立保育園の役割は、園庭が確保されていること、医療的ケア児の受入れも行って、さらに、保育士など職員が働き続けられる条件が整っていることから、経験の蓄積を積み重ねることができます。したがって、職員を安定的に確保できることから、保護者の子育て相談にも対応できていることです。区立保育園が区民の身近に存在することが、区民の保育ニーズを的確に捉え、直接に応えることとなります。区長の区立保育園10園存続の決断は、このことからも評価できます。児童福祉法第24条第1項の自治体の保育実施義務の規定にのっとり、それを直接果たしているのが区立保育園であり、地域における保育のスタンダードです。

 一方、区内の私立保育施設が約130か所と急増する中で、保育所の運営維持と質が今問われています。東中野地域に限っても、4月までに、二つの認可園がオープンし、1か所の認証保育園が認可園となることから、この地域だけで認可園の定員が140人増となります。現状では、4月1日の認証予定は、三つの保育園とも定員の約半数程度となっています。区の南部地域においては、3月いっぱいで小規模保育園施設と認証保育所が閉園する予定と聞きます。

 そこで伺います。

 保育園への運営費については、現員現額制でなく定員定額制に給付の基本を改めることを国に求めるとともに、東京都には、コロナ禍の中で運営費への緊急支援を求めるべきです。区としても、独自に運営費補助を検討すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 子ども・子育て支援法では、区市町村の保育実施義務に基づき、私立保育園は区市町村からの委託とされ、委託費として運営に要する費用が支弁されるとしております。区は、区立保育園の設置運営に責任を持つだけでなく、私立保育園においても、同様の配置基準や運営において充実を図れるよう責任を果たさなくてはなりません。中野区は、保育の質ガイドラインを作成し、その周知に努力しています。子どもたちの健やかな成長を保障し、安全を確保する上で、保育所職員の定着と保育レベルの向上は必須です。

 伺います。

 私立保育園の園舎借り上げの継続と全額補助を実施すべきです。さらに、常勤事務職員と用務職員配置のための補助を図るべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 次に、児童館について伺います。

 中野区の児童館は、そもそも「新しい中野をつくる10か年計画(第3次)」において、全ての18館を最終的に廃止することにしました。廃止計画に対し、区民の中から、児童館全廃計画は見直すべきとの声が広がり、前回区長選挙の争点の一つにもなりました。酒井区長は、児童館全廃計画の見直しを公約し、中野区区有施設整備計画において、児童館の配置は各中学校区に一つ、全体で9館としました。さらに、児童館を館として残すだけでなく、新たな機能を備えた児童館は、開館日の拡大、学習支援活動や子ども食堂との団体支援ネットワークの推進、地域の見守り、相談対応などから成るものです。児童館の役割強化は、区長の公約の柱である子育て先進区の実現の要の一つでもあります。

 お聞きします。

 新年度の予算案は、児童館機能の拡充として1億1,500万円が予算化されています。18館全ての児童館を対象とした拡充の内容になっているのでしょうか。その内容について答弁を求めます。

 児童館の児童厚生職職員は、26年間、採用を行ってきませんでした。4月からの18館運営に必要な職員を緊急に確保する必要があります。四つの児童館廃止が否決されたことにより、庁内での福祉職やかつての経験職員の配置なども含めて体制を取る必要があります。今後は、新たな機能を備えた児童館の実現には、子ども施設や学校教育施設、地域の子育てネットワークと連携していくことが重要です。開設される児童相談所などとの連携強化も課題です。地域活動支援や、課題を抱える子どもと家庭を包括的に支援できるのは、区の職員です。民間委託の児童館では、連携は困難ではないでしょうか。

 伺います。

 存続することになった四つの児童館の職員体制と、さらに、新たな機能を備えた児童館構想を進めるために、区職員の新規採用を行うこと、区職員による直営での運営を堅持すべきです。答弁を求めます。

 次に、文化財の保存・活用についてお聞きします。

 哲学堂公園保存活用計画の策定に1,240万円が予算化されました。哲学堂公園の再生整備については、2018年1月の哲学堂公園再生整備基本計画を基に、東京オリンピック・パラリンピックを当て込んで、観光拠点の核として整備する計画で、当時、既に約12億円の予算が立てられていました。これに対し、酒井区長は、計画を立ち止まって精査し、見直すことを公約しました。2018年10月には、見直しの考え方を示して、インバウンドを目指す考え方を改め、歴史文化を守り、区民や来街者が憩い、楽しむ利活用を目指し、国の名勝指定を目指すとして、計画を白紙に戻す決断をしました。

 お聞きします。

 公約どおり、計画を抜本的に見直し、区民との約束を貫き通したことへの区長の所見を伺います。

 新年度は、文化財の保存・活用について、学識者を交えた検討委員会での検討を経て、哲学堂公園の保存活用計画を策定するとしています。

 伺います。

 検討委員会への公園利用者をはじめ区民の参加を保障するとともに、区民の意見はどのように反映されるのでしょうか。答弁を求めます。

 次に、旧中野刑務所正門の修復と移築について、新年度は、2021年度策定予定の基本計画、保存活用計画に基づき、基本設計、実施設計を行う予算として、1,420万円が予定されています。建築家の後藤慶二によるれんが建築物としての価値、また、中野刑務所が持つ治安維持法等で投獄された歴史的教訓を残す文化財です。保存・活用については、区議会や区民の中でも議論をされ、中でも「平和の門を考える会」を中心に、粘り強い保存運動に取り組まれました。保全に力を尽くされた全ての方々に深く敬意を表します。現地での保存はかなわなかったものの、曳家による保存・活用に道を開きました。文化財としての評価は、さきの現地見学会に5,000人を超える方々が参加されたことを見ても、旧中野刑務所正門への歴史的建造物としての期待が大きいことがうかがえます。中野区と区議会は、区民と関係者の期待に応える保存活用計画にする責任があります。

 伺います。

 基本設計、実施設計の段階で、その中に区民と関係者の意見をどのように反映させるのか、どのような仕組みをつくるのか、答弁を求めます。

 次に、環境・気候危機打開について伺います。

 気候危機が深刻化する下、毎年繰り返される豪雨や台風被害、夏の熱中症、新たな感染症の出現など、気候変動の影響によることが指摘されており、区民にとっても、気候危機の打開は、命と暮らしが守れるのかが問われる問題です。中野区でも、2021年10月に、二酸化炭素排出量実質ゼロを目指して、「中野区ゼロカーボンシティ」宣言を行いました。区民からは、宣言には賛成だが、削減に向かう具体的なロードマップが重要ではないか、環境基本計画での2030年度までの46%削減は目標としては低いとの批判があり、会派としても指摘をしてきたところです。大切なことは、宣言を実現するための具体的な行動にあります。新年度の予算の考え方が昨年12月の区民委員会に示されました。そこでは、住宅の省エネルギー化を推進するため、既存住宅への断熱の効果の高い窓・ドアへの助成制度についての質疑で、課長は、「なぜ今まで個別の御家庭に助成などをしてこなかったのかというのは、区の考え方としては、各御家庭などに対して資産の形成に資するような補助はしないということで、環境部門だけでなく、他の部門でもあまり個別の補助制度はなかったと記憶しております」との答弁でした。区長は、選挙公約に従い、太陽光パネルと連携した蓄電システムに対する助成を実施しました。温暖化防止、気候危機の打開に向けた施策を実行しようとの積極性の現れであり、これまでの区政との姿勢の変化を評価します。

 お聞きします。

 助成制度の活用は、これまでとは違う考えを持って取り組むとのことでしょうか。新年度は高断熱窓・ドアの助成事業の757万円となっていますが、この助成制度による環境負荷への低減効果について答弁を求めます。

 新年度の予算案で、2050年脱炭素社会の実現に向けた地球温暖化・気候変動などに関する基調講演パネルディスカッションを行うとして、269万円が予算化されました。このことは評価し、期待したいと思います。近隣区では、既に再生可能エネルギー・省エネルギー機器設置補助制度を多岐にわたり進めています。杉並区では、エコキュートへの助成、既存住宅への高日射反射率塗装など九つのメニューが並んでいます。新宿区、練馬区とも、七つのメニューが紹介されています。中野区の地球温暖化対策の一覧には、選べるメニューの紹介はありません。

 伺います。

 新年度を環境元年として、今後、家庭に対する様々な省エネルギー機器などに対する助成メニューを増やしていくべきではないでしょうか。

 近隣区で既に助成している、雨どいの雨水を貯留し、活用する雨水タンク助成は、安価で環境を身近に考える機会ともなります。検討してはいかがでしょうか。答弁を求めます。

 中野区は、早くからプラスチックごみの資源化に取り組んできました。さらに、事業者に対し、2015年度から区が収集する廃棄物排出について、事業系廃棄物収集届出制を開始しました。届出書を提出している事業者は、8,800件を超えています。23区で届出制を実施しているのは中野区だけです。今後は、環境対策をごみの分野から捉えることが重要ではないでしょうか。第4次中野区一般廃棄物処理基本計画では、地球温暖化に伴う気候変動や、天然資源の枯渇など、環境への大きな負荷を低減させることが課題と位置付けています。家庭から排出されるごみ、飲食店の多い中野区の特性からも、環境とごみ対策は一体のものとして取り組む必要があります。

 そこで伺います。

 環境対策の中にごみ問題を位置付け、中野区ゼロカーボンシティ宣言の達成に向け、区民参加を呼びかけ、環境団体の協力を得て、区民と行政が一緒に環境問題に取り組む仕組みとして、(仮称)環境ネットワーク区民会議を検討してはいかがでしょうか。答弁を求めます。

 最後に、障害児の療育について伺います。

 昨年12月3日に行われた区長のタウンミーティングでは、出席者の複数から、児童の発達療育が十分受けられないとの発言がされました。私の孫も、3歳児健診で言葉の遅れを指摘され、昨年12月3日に専門医から自閉症スペクトラム障害と診断されました。診断書には、療育への配慮をお願いするとも記されております。これを受け、保護者は、療育、すなわち児童発達支援と保育所等訪問支援の申請に入りました。中野区では、昨年4月から、保育所等巡回訪問指導を法内化することで、保育所等訪問支援と保育ソーシャルワーク事業へ切り替えました。4月以前の保育園巡回訪問指導のときには、利用者は約1,000人でした。切替えによって、保育園、幼稚園などの集団生活への適応のための専門的な支援を受けるには、受給者証が必要となりました。

 お聞きします。

 昨年4月以降の保育所等訪問支援事業と保育ソーシャルワーク事業の保育園、幼稚園のそれぞれの利用件数はどうなっているのでしょうか。制度変更1年を迎えるに当たり、事業の検証が必要ではないでしょうか。答弁を求めます。

 新規に受給者証を申請するには、すこやか福祉センターの区から委託された障害者相談支援事業所で申請の受付を行います。受付で受理された申請書類は区の障害福祉課に回され、受給者証の交付決定を待ちます。障害福祉課には、児童発達や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援利用希望者から支援事業支給決定の申請書類が集中します。昨年の制度の変更から、障害福祉課には、保育所等訪問支援だけで4月に305件の申請があり、12月末で562件の申請となっています。すこやか福祉センターでは、申請受付の際に、受給者証交付まで1か月かかると伝えています。

 お聞きします。

 昨年4月から保育所等訪問支援が法内化され、受給者証の交付件数が増加しました。新規受付申請時には障害児同伴を求めながら、すこやか福祉センターでは、障害児に対応する専門職員の同席もありません。受給者証の交付を担う障害福祉課でも、発行業務を担当する職員は1人と聞きます。申請受付から受給者証の発行の期間を短縮するためにも、区の体制を強化すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 障害者にとって、区の最初の窓口となるすこやか福祉センターの障害者相談支援事業所では、全ての障害に関する受付をします。事業所が2017年度に対応した実人数は1万3,000人で、2021年度は1万6,000人と、3,000人増え、電話相談も、延べ2万件から3万件と急増しています。区の「障害者福祉のしおり」には、適切な支援方法を一緒に考えますとありますが、これでは、当事者に寄り添う対応ができているのでしょうか。児童の療育の受付申請提出後は、事業者との契約をはじめ全て保護者がやるべきこととされています。支援サービスなどで事業者と契約を結ぶまでに八つのハードルを越えなくてはなりません。

 お聞きします。

 新規の申請者が何を準備し、何から用意をすべきなのか、申請者本人がチェックできるよう、チェックリストを用意し、受付時に説明すべきではないでしょうか。区のホームページも、これに沿った改善が必要です。併せて答弁を求めます。

 問題なのは、受給者証の交付を受け、療育を受けようとしても、療育事業所が少ないのが実態です。すこやか福祉センターの相談事業所にも、療育を受ける場所が見つからないとの苦情が寄せられています。昨年末の段階で、療育事業所の新規の予約は4月以降にならないと約束できないとのことです。療育を必要とする児童に支援が行き届いていないのではないでしょうか。

 そこで伺います。

 療育を受けたくても受けられない状況についてどう把握しているのか、アポロ園、ゆめなりあの療育センターに次ぐ療育施設を区の中央部に増設する必要があるのではないでしょうか。障害児一人ひとりの療育の成果と成長を民間任せにするのではなく、区がワンストップで就学前から就学後まで責任を持つべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 障害児の療育においても子育て先進区を誇れる中野区となることを願い、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 来住議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、平和事業の満足度が高いことについての御質問です。平和事業の行政サービスとしての評価は、2020年度に実施した中野区区民意識・実態調査において76.2%の満足度という評価を頂きましたが、これは、これまでの区の様々な平和事業の取組が総合的に評価されたものであり、平和を強く願う区民の皆さんの心を反映させていただいた結果であると捉えております。中野区の平和事業につきましては、昭和57年の憲法擁護・非核都市の宣言、平成2年の中野区における平和行政の基本に関する条例及び当該条例に基づく平和基金の創設など、区民の皆さんと共に取り組んできたところでございます。今後も継続して、区民の視点に立った取組を進めてまいります。

 続きまして、宣言40周年事業の平和首長会議との連携についてでございます。憲法擁護・非核都市の宣言から40周年を迎えるに当たって、令和4年度は、平和のつどい事業の内容を拡充して開催するほか、宣言日である8月15日に平和首長会議を通じて受け取る予定である被爆2世の樹木、こちらを平和の森公園に植樹したいと考えております。また、植樹式の式典当日は、キリンレモンスポーツセンター内の平和資料展示室におきまして、平和首長会議提供のパネル展示なども実施したいと考えているところであります。

 次に、区内被爆者への区長メッセージについてでございます。憲法擁護・非核都市の宣言から40周年を迎え、戦後76年となり、被爆された方が減ってきている現状において、戦争や原爆の悲惨な経験を風化させず、平和の大切さを考えるために、被爆された方を含む戦争被害に遭われた方々に対して、区長としての感謝と慰労のお言葉をお届けしたいと考えております。

 次に、人権施策推進審議会の役割についての御質問でございます。(仮称)人権及び多様性を尊重するまちづくり条例で予定しております人権施策推進審議会におきましては、条例等の運用状況及び相談事例等の報告を受けること、諮問に応じて答申すること、必要があるときは区長に意見を述べること、人権及び多様性の尊重に関する重要な事項についての調査・審議等を予定しております。実効性を担保してまいりたいと考えております。

 次に、多文化共生推進基本方針の策定と国際交流協会の位置付けについてでございます。中野区国際交流協会は、市民レベルでの国際交流を推進することを目的として1989年に設立して以降、多言語による情報の提供や日本語支援など、ボランティアの協力を得ながら、地域の国際化に貢献してまいりました。また、近年においては、国際交流だけではなく、多文化共生のまちづくりにも取り組んでいるところであります。今後も、外国人住民が地域で安心して暮らすことができるよう、来年度策定予定の多文化共生推進に関する基本方針の中で、中野区国際交流協会の位置付けや区との役割分担について改めて整理をしてまいります。

 次に、住民投票の請求及び発議に外国籍の方を含める研究・検討についての御質問です。区では、中野区自治基本条例によって、住民投票の請求及び発議を区長に請求できる区民を選挙権を有する者と規定しておりまして、現在、外国籍の方については含まれておりません。これを直ちに外国籍の方を含めることについての研究や検討することは考えておりませんが、他自治体の動きについては注視をしてまいります。

 次に、中野区パートナーシップ宣誓の対応サービスについてでございます。現在、中野区パートナーシップ宣誓による受領証を提示することで受けられる中野区の行政サービスは、中野区犯罪被害者等緊急生活サポート事業実施要綱に基づく各種相談の支援、生活支援及び遺族支援金などの支給があります。また、宣誓を行ったことで、携帯電話契約の家族割引適用、住宅ローンの審査、生命保険の受取人指定、医療機関での親族としての取扱い、民間会社の福利厚生手続で役に立ったなどの声も聞こえてきております。今後も、区サービスへの適用拡大に向けた検討を進めるとともに、東京都が予定していますパートナーシップ制度とも連携を図りながら、制度の改善及びPRに一層力を入れていきたいと考えております。

 次に、パートナーシップの宣誓方法についてでございます。宣誓書類の簡略化につきましては継続して検討を行っているところでありますが、審査については、事務手続を整理し、これまで2週間ほど時間を要していた審査期間を、宣誓当日にも受領証を交付できるよう大幅に短縮いたしました。当日の交付は好評を得ているところでございまして、新型コロナウイルス感染症の影響下にあっても宣誓件数は増加しているところであります。また、先週、2月7日に都内の先行12自治体で構成され東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワークは、連名で、東京都における同性パートナーシップ制度導入に係る要望書、これを都知事へ提出をしまして、都が先行自治体との迅速な情報共有を行うことや、制度上の十分な配慮、先進的取組への支援と連携、さらなる人権推進に向けた働きかけや情報発信の連携、この3点について申入れを行ったところであります。今後、都や他自治体との制度連携を進める中で、広域利用の課題も解決をしていくとともに、多様な性自認・性的指向の人々への対応の実現に向けた検討を進めていきたいと考えております。

 次に、パートナーシップ制度の拡充についてでございます。同性カップルだけでなく子どもも対象となり、公営住宅等に入居できるなどのファミリーシップ制度をパートナーシップ制度に加える動きは全国の自治体で広がりを見せているところであります。他の自治体間での導入の状況も捉えつつ、パートナーシップ制度の対象の拡大について検討してまいります。

 次に、パートナーシップ宣誓者への災害弔慰金支給についてでございます。宣誓をした方々に対する行政サービスの拡充については、他自治体の取組状況なども随時確認しているところであります。世田谷区がパートナーシップ宣誓を行った方々に対して災害弔慰金を支給することとしたことは、報道等により認識をしております。今後も、よりよい制度とするため、検討を進めてまいります。

 次に、子育て先進区の取組について、令和4年4月入園の1次選考の申請者数についてでございます。令和4年4月入園の1次選考の申請者数は1,833人でございます。前年の1,876人と比較して43人の減でございます。

 次に、待機児童解消の見通しについてでございます。認可保育所の整備を進めていることから、待機児童数は減少するものと見込んでおります。地域の保育需要に見合った整備を進めることで、待機児童の偏在を解消し、待機児童数ゼロを達成してまいります。

 次に、保育所に対する給付費の増額についてでございます。園児数に応じた給付は公定価格支給の原則であり、制度趣旨を超えて区で補填することは困難であると考えております。公定価格の増額について、国、都への要望の機会に働きかけてまいります。令和4年度も、新型コロナウイルス感染症対策を講じる保育所に対する補助を継続してまいります。

 次に、宿舎借り上げ支援制度の継続等についてでございます。宿舎借り上げ支援制度につきましては、令和3年度に、国・都制度にのっとり、経費の8分の1相当を事業者に御負担いただく改正を行ったところでありまして、現時点では制度の拡大は難しいと考えております。令和4年度も、事業者に同様の負担を頂きながら、本制度を継続する考えであります。当面、常勤事務職員等の配置のための補助について導入する予定はございません。補助金の申請書類の押印廃止や提出書類の簡素化による事務負担の軽減、これらを順次進めることによって対応しているところでございます。

 次に、児童館機能の拡充予算の内訳についてでございます。令和4年3月末に児童館の4館を閉館または学童クラブ施設へ転用する計画を見直し、令和4年度は18館を継続することにいたしました。予算の内容は、全館で乳幼児用おもちゃのリニューアルを行うほか、一部の児童館でトイレ洋式化改修、中高生の活動支援、学習スペースの設置、乳幼児親子を対象とした日曜日の開放事業の実施等を考えております。また、児童館の建物調査を行い、施設改修計画を策定することとしております。

 次に、児童館の運営と職員の配置についてでございます。令和4年度の児童館運営に当たっては、区の直営による運営としていくため、会計年度職員や人材派遣も活用しながら、必要な体制を構築してまいります。引き続き福祉職を配置し、新たな機能を備えた児童館として充実させていく計画でございます。今後も、児童館の運営に合わせて必要な区職員を確保できるよう努めてまいります。

 次に、哲学堂公園の再生整備基本計画の見直しについてでございます。哲学堂公園再生整備基本計画につきましては、学習展示施設の規模や樹木の保全などについて様々な御意見がありましたので、見直しが必要だと考えました。国の名勝指定を得られたことで、哲学堂の文化的価値が高まりました。これを踏まえて、哲学堂公園の歴史、背景を酌んだ、哲学堂が持つ文化財としての本来的価値を高めるための新たな議論を進めてまいりたいと考えております。

 次に、哲学堂公園保全活用計画における区民等の意見の反映でございます。来年度策定を予定しています哲学堂公園保存活用計画は、現地調査や現況把握、資料の再収集、整備や活用の在り方の検討など、広範囲で専門性を要する事項が含まれていることから、学識経験者、行政関係者のほか、公園を利用されている区民や公募による区民等で構成する検討委員会を立ち上げる予定でございます。検討委員会での議論等を踏まえ、哲学堂公園保存活用計画を策定してまいります。

 最後に、旧中野刑務所正門の設計における区民等の意見の反映でございます。旧中野刑務所正門の基本設計、実施設計の段階においても、区ホームページでの意見募集や区民等との意見交換会の場を設けることなどを予定しておりまして、これらの意見も踏まえて検討してまいりたいと考えております。また、令和3年11月に開催した旧中野刑務所正門公開見学会において来場者から頂いた御意見を参考とする予定でございます。

〔環境部長朝井めぐみ登壇〕

○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、環境・気候危機打開についての御質問にお答えいたします。

 初めに、高断熱窓・ドアへの助成制度と環境負荷低減効果についてでございます。中野区では、家庭からの二酸化炭素排出量が全体の5割以上となっているため、住宅の環境性能を高めることが重要であると考えております。こうした考え方に基づいて、区は、家庭における省エネルギー化を推進するため、高断熱窓・ドアへの助成制度を創設することといたしました。家庭では、冬には約6割の熱が窓から逃げていき、夏には約7割の熱が窓から入ってくると言われており、高断熱窓・ドアに改修すると、冷暖房に係る二酸化炭素排出量を3割程度削減できるとの試算もございます。

 次に、家庭への助成メニューについてでございます。家庭におけるエネルギー使用の主なものは電気、都市ガスとなっており、給湯や冷暖房のための機器などを新しく買い替えることにより、省エネルギー化を図ることができます。区としても、家庭の省エネルギー化を進めていくために、限られた財源の中で効果的な助成を行うことを検討してまいります。

 次に、雨水タンクへの助成についてでございます。雨水タンクは、雨水を災害時にトイレ洗浄水として代用でき、節水にも役立つこと、また、気候変動による集中豪雨により雨水が一気に下水へ流れ込むことを防ぐ効果が知られています。雨水タンクへの助成制度は、15区において実施しているところでございます。区としても、今後、雨水タンク助成についても助成メニューの一つとして検討してまいります。

 最後に、(仮称)環境ネットワーク区民会議の検討についてでございます。ごみやリサイクルも含め、環境問題に取り組む団体相互や区と団体との連携を強化していくために、区民団体のネットワーク化に取り組んでいくこととしており、情報交換の場の設置についても検討をしてまいります。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、障害児の療育の御質問のうち、初めに、保育所等訪問支援等事業の検証の御質問についてお答えいたします。

 令和3年12月末時点の保育所等訪問支援の利用者は489名、保育ソーシャルワーク事業の利用者は525名でございます。今後も、障害児の療育を中心として実施する保育所等訪問支援と、療育が必要か否かの判断が難しいお子様を対象とする保育ソーシャルワーク事業、それぞれの定着を図りながら、事業の検証を進めてまいります。

 次に、申請者の立場に立った説明と改善についてでございます。療育相談全体の流れや申請時の書類の流れ等につきましては、申請者が一覧で把握し、チェックリストとして活用できる障害児支援利用計画案等の作成の流れにつきまして、御案内をホームページに掲載しているところでございます。今後も、申請前相談からサービス受給に至るまで、申請者の立場に立った理解しやすい御説明と案内書等につきまして、関係機関で連携し、工夫をしてまいります。

 最後に、障害児療育に対する区の責務でございます。現在、区立障害児通所支援施設が4か所、そのうちの区立療育センター2施設は、区の発達支援センターの位置付けとして障害児支援の中核を担っております。療育の希望者が多いことにつきまして、関係機関との連携の中で認識してございまして、区の障害児支援の強化においては、区立に限らず、民間事業所の誘致に努めております。令和3年度に新たに5事業所が開設し、今後も複数事業所が開設する予定でございます。成長段階に応じました切れ目のない一貫した支援のため、関係機関の連携の仕組みを構築いたしまして、スムーズな移行支援に力を入れているところでございまして、継続して取り組んでまいります。

○議長(内川和久) 質問時間を過ぎておりますので、御答弁は結構です。

 以上で来住和行議員の質問を終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時04分休憩

 

午後3時25分開議

○副議長(酒井たくや) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 斉 藤 ゆ り

 1 「地域包括ケアの輪」について

  (1)すこやか福祉センターの体制と地域包括ケア総合アクションプランの策定について

  (2)子どもと子育て家庭の地域包括ケアと新たな機能を備えた児童館について

  (3)生涯学習と地域共生社会について

  (4)その他

 2 生きる力を育むための基礎的な学力をつける公教育の責任について

  (1)学びへの取組みについて

  (2)学校再編の検証について

  (3)教育大綱について

  (4)その他

 3 「子ども・若者支援センター」について

  (1)児童相談所開設について

  (2)若者支援について

  (3)その他

 4 その他

 

○副議長(酒井たくや) 斉藤ゆり議員。

○7番(斉藤ゆり) 令和4年第1回定例会において、立憲民主党・無所属議員団の立場で質問します。

 3、(2)若者支援の質問は次の機会とさせていただきます。それ以外は通告どおりで、その他はありません。

 1、「地域包括ケアの輪」について。

 (1)すこやか福祉センター体制と地域包括ケア総合アクションプランの策定について伺います。

 中野区はこのたび地域包括ケア推進プランを改定し、年齢や課題の種類を問わず、支援が必要な全ての区民を対象とする中野区地域包括ケア総合アクションプラン――以下「総合プラン」――を策定します。昨年度実施した「暮らしの状況と意識に関する調査」の分析結果や、関係者や活動団体へのヒアリングを基に策定が準備され、第5章には、区内の多くの取組や地域資源のリストが掲載されました。前区政では行われてこなかったこうした取組は新しく、地域団体とのつながりは、今後の他の施策にも生かされるものと評価しています。

 中野区では、四つの日常生活圏域ごとにすこやか福祉センター――以下「すこやか」――が配置され、包括ケアを支える地域の拠点となっていて、23区の中でも特徴ある体制となっています。すこやかでは、様々な相談をワンストップで引き受けることが目指されています。ところが、区民の方から、相談したのだけれど、他の窓口を紹介されただけだった、産後ケアの質問をしたら、別のすこやかに問い合わせてくださいと言われるような声を聞いています。

 組織上、各すこやかでは、すこやかが担う事業の企画調整やその他庶務的な業務をそれぞれが分担する体制になっています。今、こうした企画調整ほかすこやかでの業務量が多くなり、地域における相談や支援に注力することに苦労しているといった状況になっていないかと心配されます。

 さらに、各すこやかごとの業務の偏在も課題です。すこやか福祉センターが構築されて10年がたちました。包括ケアの対象は拡大し、相談支援体制については、さらなる強化が必要です。対象者は複合的な課題を抱えていることが多くなってきており、伴走支援は時間を要することが多く、対応が一筋縄ではいきません。

 総合プランを支えていくために、企画調整部署の在り方など、速やかにすこやか体制の検討をすべきだと考えます。区の見解を求めます。

 これまでの推進プランでは区内全域とすこやか単位の日常生活圏域の2層構造でしたが、総合プランでは、区民活動センター圏域の取組を新たに設定し、3層構造の体制となりました。アウトリーチチームは、区民活動センターの職員が核となっており、通常業務と兼務する形となっています。来年度から、地域コーディネート構築強化も担うとされ、さらに業務量が増となります。

 地域をよく知る職員が区民活動センターに駐在し、区民の声をじかに聞いていることが大事なポイントとなります。区民活動センターもすこやか同様に、開設されて10年、人員体制等の見直しが必要と考えます。区の見解を求めます。

 職員向けのアウトリーチハンドブックがありますが、平成30年度につくられたままで更新されていません。ハンドブックにプラスして、事例を集めて分類した事例集をつくることを提案します。ハンドブックが教科書なら、事例集は問題集や参考書と言えるかもしれません。このたび総合プラン策定に合わせて、ハンドブックの在り方を検討し、改定する必要があると考えます。区の見解を求めます。

 (2)子どもと子育て家庭の地域包括ケアと新たな機能を持った児童館について伺います。

 このたびの総合プランでは、子育て世代包括支援センター事業として、子どもと子育て家庭に対する包括ケアについての取組が盛り込まれました。これまでも、すこやか福祉センター、子ども家庭支援センター、また、中学校区では次世代育成委員と児童館を事務局に地区懇談会が開催され、子どもを取り巻く課題を共有し、ネットワークをつくってきました。ところが、このたびの総合プランには、こうした子どもの包括ケアの全体像が示されていません。どのように取り組まれていくのでしょうか。支えられる側にとっても、支える側にとっても、分かりやすく記載されることが大切だと考えますが、いかがでしょうか。

 区有施設整備計画で、児童館は今後、館数を集約して中学校区に1館ずつ配置し、新たな機能を備えた児童館として機能を強化していくという考えが示されています。現在の区の職員体制を考えると、さきの定例会での児童館の一部改正条例が否決されたことで、機能強化が進まないのではないかと危惧しています。

 地域で長年育成活動をしてきた身としては、多様な子どもの居場所が適正に配置されていることが何より必要だと感じています。ただ単に箱があるだけでは不十分です。子どもと一緒にしゃがみ込んで話をし、児童館まつりで6年生になったらお化け屋敷をやるんだと何年も楽しみにしている子どもたちに、イベントを企画し、運営していく体験・機会をさせる、そうした育成活動が何より大切で、ここ2年、コロナで難しい状況ではありましたが、それは思いを持った職員がいてこそ実現するものです。経験のある職員は、来館する気になるあの子を見つけて、必要な支援につなげたり、親たちの子育ての悩みを聞いたりといった予防の役目を果たします。地元町会や子育て支援の団体との連携や子育てリーダー養成など、今後、子育て支援機能も期待されます。

 児童館は、子どもと子育て家庭にじかに関わるところであり、最大のセーフティーネットであるとも言えます。包括ケアの場において児童館はどのような役割を担うのか、区の見解を求めます。

 (3)生涯学習と地域共生社会について伺います。

 なかの生涯学習大学の事業については、一昨年より検討が続いています。私が特に申し上げたいのは、この事業が、シニアに対する生涯学習の機会が準備され、地域で学ぶことが大事にされ、そこで受講者がその学びを地域で生かしていくことが目指されている点が他に例のないすばらしい事業だということです。これは、地域共生社会の実現においても大事な取組でもあります。さきの厚生委員会では、学識経験者も加わった検討会で、在校生や卒業生を含めた区民の意見を取り入れながら、来年度、引き続き検討していくという報告がありました。歴史があり、外部からも評価が高いこの事業の検討に当たって大事に考えることは何か、改めて区の見解をお示しください。

 包括ケアが目指す地域共生社会の実現には多くの関係者が関わっていくことになり、個人情報の共有の問題など、解決しなければならないことはまだ多く残されています。総合プランが区民に十分周知され、活動の活用本となっていくには、多少時間がかかるのかもしれません。走りながらにはなりますが、「できることから始めよう」をキャッチコピーに、オールなかのの包括ケアの輪が優しく強固なものになっていくよう期待しつつ、この項の質問を終わります。

 2、生きる力を育むための基礎的な学力をつける公教育の責任について。

 公教育について考えるとき、そもそも学校教育で子どもたちが身につけるべき学力とは一体何かという問題があります。教育に関する幾つかの法律や学習指導要領などを総括すると、生きる力を育むために、豊かな心、健やかな体に加えて、確かな学力を身につけることが必要とされると読み取ることができそうです。

 学力とは、学ぶ力、つまり、知識・技能のほか、思考力、判断力、表現力、主体的に学習に取り組む態度なども含めたものであり、ペーパーテストだけではかれるような性格のものではありません。その点を確認した上で、質問に入ります。

 (1)学びへの取組について。

 最初に、教育設備の整備について伺います。

 間もなく新年度となります。学級数は4月に確定するため、急な転出入があると、年度当初に必要な教室設備を整えるのが難しくなる場合があります。様々な事情があることは分かりますが、例えばこちらの教室には電子黒板があるのに隣の教室にはないというようなことがないようにしていただきたいと考えます。区の見解を求めます。

 次に、学力に関わる調査について伺います。

 毎年4月に、区は、独自の学力に関わる調査を実施しています。12月の子ども文教委員会で、令和3年度の結果が報告されました。ペーパーテストの結果は学力をはかる一つの指標ですが、生きる力を育むためのものである確かな学力の定義が狭まらないように扱う必要があると考えます。区として、一人ひとりの児童・生徒に身につけさせたい学力をどのように考えているのか、伺います。

 また、一昨年は、新型コロナのため、3か月もの間、学校が休校となり、その後も通常の授業ができない期間が続きました。それについての影響の分析が見えません。学力に関わる調査の結果を受けてどのような問題意識を持っているのか、伺います。

 学習が定着しておらず、何らかのすくい上げが必要である児童・生徒が一定数いることがこの調査で分かります。本来、勉強とは楽しいものです。私は区内小学校の放課後の学習教室でボランティアをしていましたが、通分が分からないという6年生と、丸いケーキを用意して――もちろん絵に描いたものですけれども、1対1で一緒に勉強しました。理解が進んだときの笑顔を今も覚えています。授業が分からないまま教室に座っていることの苦痛は想像に難くありません。

 また、こうしたデータにある児童・生徒には、家庭に支援が必要だったり、学校生活に困難を抱えているケースが多くあります。誰一人取り残さないよう、全ての子どもたちに対して生きる力を育む基礎的な学力は、公教育の責任において身につけられるように取り組むべきだと考えます。集団指導がなじまないケースもあるでしょう。学級担任だけでは対応できない課題もあります。地域人材の活用も必要でしょう。放課後学習教育の拡大や少人数指導などのさらなる拡充・充実など、工夫を考えるべきです。例えば現在、任期付短時間勤務教員は各学校1名ずつの配置となっており、これ自体は評価されるものですが、学校規模によって加配するなど、公平になるように配置すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 学びへの取組の最後に、小学校の外国語活動と外国語科について伺います。

 外国語によるコミュニケーション能力は、今後、一部の職種だけではなく、全ての人にとって必要となることが想定されます。小学校3・4年生では外国語活動が、5・6年生では教科としての外国語がスタートしています。

 研究を進め、ALT――外国語指導助手の配置を充実してきたことは評価する一方で、言語活動を通じた小学校外国語指導に長けた教員がいるかどうか、ALTがどのように関わっているかにより、各学校での取組に差が出ていることは否めません。小学校大学教職課程で外国語科の指導法や専門的事項といった単位が必修となったのがまだ平成元年度からであることを考えると、小学校外国語科への指導体制の強化が必要です。中野区独自の取組の工夫や検討中の取組があるのか、伺います。

 現在、外国語活動と外国語科、それぞれ年1回ずつ、スーパーバイザーが学校を回っていますが、この体制では十分とは思いません。教材研究や実際の活動例、効果的な教員研修など、より身近にアドバイスが得られるような体制の検討が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 また、年齢の早いうちから外国語の音声や文化に触れることの大切さは周知のことです。全区で、小学校1学年から外国語に楽しみながら親しむ活動を実施してはいかがでしょうか。

 (2)学校再編の検証について伺います。

 前区政から引き継がれてきた大きな取組の一つが学校再編です。平成17年度に策定された中野区立小・中学校再編計画は、令和6年度の鷺宮小学校と西中野小学校の統合で完了となります。最初の統合校の開校から16年間で、小・中学校数が43校から29校となる大変な計画でした。再編計画により、みなみの小学校ほかすばらしい校舎が竣工しました。ICTや少人数学習などの新しい教育機会にも対応できるように設計され、評価されるものです。

 とはいえ、再編計画は、期待どおりに進んだとは言えません。学校再編の目的は学校の適正規模の保持ですが、実際のところ、再編校はいずれも想定より学級数が増えてきています。教室が足りなくなり、平和の森小学校、桃花小学校は、両校とも学校敷地に追加の校舎が建てられています。平和の森小学校の新校舎への移転計画は延期が続きました。該当校ではない谷戸小学校も、再編の影響で校舎増築の計画を立てないとなりません。

 これまで人口推計を基に計画を立てられてきたわけですが、この見込み差の要因については検証が必要です。現在、中野区では子育て世帯の誘致も考えられており、今まで以上に、しばらくの期間は、児童・生徒の人数が増えることが予想され、35人学級体制により、学級数はさらに増えることが考えられます。子どもたちの教育環境を保持していくことが必要です。今後の児童・生徒数の推計をどのように捉え、その影響をどう解消しようと考えているのか、お聞きします。

 また、子どもたちが放課後を過ごすキッズ・プラザも再編の影響を受けています。スペースが足りず、学校の教室を借りているところがあり、対応が必要です。公共空間の有効活用の観点から、例えばキッズ・プラザのスペースを学校と相互活用することもできるのではないでしょうか。学校とキッズ・プラザが連携・協力し合える関係が強化されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 (3)教育大綱について伺います。

 去る1月20日、総合教育会議が2年半ぶりに開催され、教育大綱策定について議論されました。教育大綱は、区としての教育政策に関する方向性を明確にするものです。会議を傍聴しておりましたが、未来ある子どもの育ちを地域全体で支えるとした理念が示され、保幼小中連携など、学びの連続性や多様性を尊重した中野らしい取組が話し合われていました。

 一方で、社会教育についての議論が見えませんでした。資料にてキーワードでは触れられていましたが、学校教育に加え、地域共生社会の実現に資する組織的な社会教育に対しても考えを示されることが大切だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

 教育大綱についての区長の思いと策定スケジュールをお聞かせください。

 子育て先進区中野において、生きる力を育む、誰一人取り残されることのない教育が地域全体で実現されるよう取り組まれることを期待して、この項の質問を終わります。

 3、子ども・若者支援センターについて。

 中野区児童相談所は、いよいよ4月から開所となります。設置により、新たに処理することになる事務の一つに、児童福祉施設の認可や検査等の実施があります。また、それに伴い、施設退所者――ケアリーバーへの支援の視点も必要になってくるでしょう。

 中野区には、聖オディリアホーム乳児院と児童福祉施設「愛児の家」という歴史ある2園があります。聖オディリアホーム乳児院では子育てひろばが開設され、多くの方に利用されています。近隣の区立かみさぎ幼稚園との交流もあります。愛児の家では、地域の子どもたちも参加できるハロウィンのイベントが開かれ、交流の場となっています。今後、施設へ区としてどのような支援を行っていくのか、伺います。

 大切な地域資源として、地域連携の視点を大事にしていかれたいと考えますが、いかがでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 斉藤議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、すこやか福祉センターの体制の検討についてでございます。令和4年4月から実施する地域共生社会実現のための重層的支援体制整備事業にも取り組む予定でございまして、これらの取組を進めるためにも、今後、取扱業務や事業の企画調整の在り方を含めて、すこやか福祉センターの体制を見直していく考えでございます。

 次に、区民活動センターの職員等の体制の見直しです。区民活動センターの職員は、運営委員会との調整、災害時対応なども行っております。今後、地域包括ケア体制の構築に向けて、アウトリーチチームの一員として、その役割の重要度が増しておりまして、職員2,000人体制の下、期待される役割と職員体制について見直しを検討してまいります。

 アウトリーチハンドブックの在り方の検討についてでございます。アウトリーチハンドブックは、職員が研修に使用するとともに、アウトリーチ活動を行う際に活用しているところであります。令和4年3月には地域包括ケア総合アクションプランを策定し、4月からは重層的支援体制整備事業等の取組も始まることから、ハンドブックの見直しを図る予定であります。事例集の作成に関しても検討していきます。

 次に、子どもの地域包括ケアの全体像の記載についてでございます。地域包括ケア総合アクションプランは、中野区地域包括ケア推進会議での議論を経て、現在、意見を取りまとめ、修正中であります。中野区の地域包括ケアは、子ども、障害者、高齢者等の差で対象者別に進めるものではございませんので、支援が必要な全ての人を対象とした地域包括ケアのイメージ図を現在掲載しているところであります。子ども・子育て家庭に係る相談支援等については、区民目線に立った分かりやすい図表等を掲載する予定であります。

 次に、地域包括ケアシステムにおける児童館の役割です。児童館では、子どもの遊びの援助や子どもの主体的な成長を支援するとともに、特に支援が必要な子どもや子育てに関する相談対応を行っておりまして、今後はさらにその機能を強化していく考えであります。支援が必要な子どもや子育て家庭を早期に発見し、関係機関につなぐことができるよう、児童館職員の資質の向上を図り、地域包括ケアに資する役割を充実させてまいります。

 次に、なかの生涯学習大学の検討で大切と考えていることについての御質問です。なかの生涯学習大学につきましては、中野区基本構想の改定及び中野区基本計画の策定を受け、生涯学習を支援する機能と地域での活躍を応援する機能をそれぞれ充実することを目的として、再編の検討を進めているところであります。検討に当たりましては、オールなかので地域共生社会の実現を目指す視点が大切だと考えております。生涯学習の在り方を専門家も交えて検討してまいります。特に学びを通じて人と人とのつながりをどう広げるか、学びを健康・生きがいづくりにどうつなげるか、学んだ成果をどう地域での活躍に活かすかなどについて検討し、これを踏まえて見直しをしてまいります。

 続きまして、学校再編の検証についての学校とキッズ・プラザの連携・協力についてでございます。キッズ・プラザは、専用の活動室だけでなく、学校の校庭や体育館を活用して行う放課後の遊び場であり、校庭や体育館を利用した活動は、のびのびと遊ぶことができ、児童や保護者に大変好評でございます。平日の午前中等、キッズ・プラザが活動していない時間帯については、キッズ・プラザの活動室を学校の教育活動にも御利用いただけると考えておりまして、学校と連携しながら進めてまいります。

 次に、教育大綱の検討状況についてでございます。現在、教育大綱の改定に向けて、基本構想の理念である「誰一人取り残されることのない」を実現するため、今後の中野が目指す教育について、総合教育会議において、教育委員会と議論を行っているところであります。今後の教育を考える上では、社会教育や生涯学習の場を通じた家庭や地域との協働を支えるための人材づくりが不可欠であると考えておりまして、さらに総合教育会議で議論を深めていく考えであります。子育て先進区を目指す中野区として、未来ある子どもの育ちを地域全体で支えるため、しっかりと議論を重ね、令和4年度末までに教育大綱の策定を進めてまいります。

 次に、子ども・若者支援センターについて。児童福祉施設に対する支援についてでございます。令和4年4月の児童相談所設置に伴い、区は、愛児の家及び聖オディリアホーム乳児院に対する指導・検査等を行うこととなりますが、両施設とは情報共有や意見交換を行うとともに、施設の職員に対して区が実施する研修を案内するなどして連携を深めて、相互の専門性を高める関係性を構築してまいりたいと考えております。また、両施設が地域と培ってきた連携や交流については、今後も引き続き良好な関係が維持できるよう、必要な支援を行ってまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、生きる力を育むための基礎的な学力をつける公教育の責任についてにお答えいたします。

 まず、電子黒板等の整備についてでございます。電子黒板などの必要な教育機材につきましては、新年度における学級数の増加を見越して配置を調整しておりまして、年度当初には不足がないように準備を進めているところでございます。

 次に、学力の定義と新型コロナウイルス感染症の影響についてでございます。一人ひとりの児童・生徒に身につけさせたい学力とは、様々な事象から解決すべき課題を見出す力、物事を主体的に考える力、他者と協働し、議論し、納得する答えや新たな価値を見出す力など、予測困難な時代の中でも持続可能な社会のつくり手となるために必要な力と捉えております。新型コロナウイルス感染症の影響で活動が制限された中でも、繰り返しドリル学習を行う時間が確保されたことにより、基礎・基本の定着には成果が見られました。一方で、学び合う力や思考力、判断力、表現力などを高めるためには、感染症に配慮しながらも、対話的な活動や協働的な活動についてさらに工夫・改善していく必要があると考えております。

 次に、放課後補充教室と任期付短時間勤務教員の拡充についてです。任期付短時間勤務教員は、少人数指導や教科指導などの充実を図り、一人ひとりの学力向上に資するために、中野区立小・中学校に配置し、効果を上げております。また、学習に困難さがある児童・生徒への支援にも成果が上がっておりますが、人員の確保などの様々な課題がございますので、増員配置については、今後検討してまいります。放課後学習教室の運営については、地域のボランティアの方に御協力いただいている例もございます。放課後学習教室の拡大につきましては、地域人材や大学生の活用など、様々な視点から検討してまいります。

 次に、外国語活動・外国語科における指導体制の強化についてです。これまで中野区では、教員一人ひとりの外国語活動・外国語科の授業力向上を狙いとして、英語の研究指定校を指定したり、英語教育の専門家である英語教育アドバイザーを派遣する事業を行ってきました。また、英語科の指導教諭やマイスター教員、英語科専科教員からより身近に助言が得られるような指導体制を整えてきております。今後は、区の特色である連携教育の中で、小学校と中学校の外国語科の指導を一貫して行うことについても研究してまいります。小学校3年生から中学校3年生までの7年間の学びの連続性を整えることができるよう、教員研修の内容も充実させ、体制を強化してまいります。

 次に、小学校1年生からの外国語への取組についてですが、現在、小学校低学年において、英語に親しむ活動を区内の半数以上の学校が年間5時間から10時間程度の時間数で実践しております。今年度は、江古田小学校が先進的に研究を行った成果を発表したところでございます。また、外国語や外国の文化に触れる活動は、オリンピック・パラリンピック教育を契機としまして、低学年でも全校で充実してきたと承知しております。低学年から外国語に親しむ活動を行うことは豊かな国際感覚を育む上で重要であると考えており、高学年から始まる英語学習への円滑な導入という視点からも、低学年から外国語に親しむ活動を充実していけるよう、体制づくりを行ってまいります。

 最後に、学校再編における必要な教育環境の保持についてです。教育委員会では、区内在住の幼児・児童数等を基に、これまでの実績値及び人口動態等も踏まえながら、児童・生徒数の将来推計を行っております。今後数年間は区立小・中学校の児童・生徒数は微増が続くものと想定しております。こうした児童・生徒数推計値や小学校35人学級の運用を考慮した上で、全ての学校において必要な教育環境が保持できるよう、各学校と協議をしながら、学校施設の改修等を計画的に進めてまいります。

○副議長(酒井たくや) 以上で斉藤ゆり議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 かずちか

 1 沼袋駅周辺のまちづくりについて

  (1)区画街路第4号線の進捗について

  (2)駅前拠点空間整備について

  (3)その他

 2 中野駅周辺における地域経済活性化について

  (1)商工会館跡地活用事業について

  (2)その他

 3 公園整備について

  (1)哲学堂公園再整備について

  (2)中野四季の森公園について

  (3)中野区公園再整備計画(素案)について

  (4)その他

 4 火山噴火に対応した防災・減災対策について

 5 その他

 

○副議長(酒井たくや) 次に、高橋かずちか議員。

○23番(高橋かずちか) 令和4年第1回定例会に当たりまして、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。

 質問の内容は通告のとおりでございます。

 まず初めに、1番、沼袋駅周辺のまちづくりについて。

 (1)区画街路第4号線の進捗について。

 西武新宿線中井駅-野方駅間の連続立体交差事業については、令和2年4月に6年の事業延伸がなされて、それから約2年ほど経過しておりますけれども、鉄道の地下化に対しての地域の期待は大きく、連立事業はいつ終わるのかといった声が聞かれております。事業主体である東京都や鉄道事業者とのこれまでの協議内容等を踏まえまして、事業期間等について、現時点で状況に変化はないかをお聞きします。

 区画街路第4号線については、令和2年8月に手続保留区間を解除した以降、全線にわたり用地取得交渉を進めており、交通広場部分である1期区間や、商店街部分の2期区間から4期区間において、複数箇所の土地が更地化され、事業の進捗から目に見える形となっております。

 そこでお聞きします。

 現在のそれぞれの区間における契約件数について、物件等調査の進捗率とともに教えていただきます。

 用地取得が進んでいくと、一件一件、スポット的に道路拡幅部分に空地が発生していくと思われます。この空地が生じると区画街路第4号線権利者にとって現実的な進捗を肌で感じ始めるため、空地のイメージが重要となってきます。この空地は、地域の実情により異なるかもしれませんが、一般的に、管理柵を設置し、閉鎖的に管理しているケースが多いと思われます。この区画街路第4号線は、一般的な都市計画道路と異なり、商店街という特異性があり、歩行者、交通量が多い路線でもあります。そのため、この商店街というにぎわいや歩行者の安全という観点から、道路として取得した空地の有効活用について、区の見解をお聞きします。

 区画街路第4号線完成後の道路では、現在の歩道のない一方通行の道路から、相互通行となり、両側に歩道が設置されます。その結果、両側の商店の距離が離れる状況となります。区画街路第4号線の商店街においては、両側の商店に歩行者が行き来しやすいにぎわい空間の工夫が必要であると考えます。令和元年度に警視庁との計画協議を完了していると聞いております。委員会等、議会報告で、経緯や内容については承知をしておりますが、これまでの地域のにぎわいの核となっていた商店街への影響が非常に大きく、いまだ地域からは心配と不安の声が寄せられている現状があるため、改めて当該道路の具体的な構造や周辺住民への周知はどのようにしているのか、お聞きします。

 (2)駅前拠点空間整備についてお聞きします。

 沼袋駅の乗降客数は、ここ数年、1日当たり2万人程度で推移していますが、今後の社会状況を鑑みると、大きく乗降客が伸びるとは期待できません。一方で、沼袋駅周辺には魅力的な商店や中野区のキリンレモンスポーツセンターなど、まだまだ地域の活性化が期待できる施設も多いと感じております。今後、連続立体交差事業や区画街路第4号線が完成すると、駅前の交通結節点である交通広場を拠点として、このような施設へのアクセスも変わることが想定されます。

 そこで、事業完了後、バス等の交通網整備の見通しについて、区としてどのように考えているのか、お聞きします。

 区ではこれまで、沼袋駅北側で市街地再開発や共同化等による街区再編の検討を行っており、地域の方々とまちづくりの勉強会を開催していると聞いています。コロナ禍においてこういった取組は難しいとも考えられますが、これまでの地域の勉強会の取組状況をお聞きします。

 駅前については、これからますます少子高齢化や人口減少に対応した空間が求められます。沼袋には区施設として沼袋区民活動センターがありますが、こういった区施設と連動して人々が行き交う、交流する仕組みづくりが必要と感じています。地域のにぎわい創出や回遊性の向上に向けて、区施設の活用や民間施設の活用も含め、駅前拠点空間の考え方についてお聞きします。

 2番目、中野駅周辺における地域経済活性化についてお聞きします。

 旧商工会館跡地活用事業について。

 この活用については、我が会派の当時いでい議員、また、内川議員の一般質問でも取り上げており、私も、平成30年第3回定例会の一般質問で、周辺商店街の振興や地域の活性化、民間経済団体との協働による活用、民間の開発ノウハウの導入などによってより付加価値を高めて次の展開を進めるべきという考えを示してまいりました。その後、区の方針は、売却から区による活用へと変更が示されました。

 令和3年10月に作成された中野区区有施設整備計画において、旧商工会館については、土地利活用による民間整備を誘導し、施設の一部は産業振興の総合的支援機能の強化を図るものとし、産業振興センターの経営支援機能及び経済団体事務所を移転するとの方針が示され、我々が主張してきたことが実ったと捉えております。現時点では、既にこの活用事業の事業者公募を開始していると聞いております。

 そこで、まず確認しておきたいのが、活用事業の趣旨であります。私が以前質問したように、周辺商店街の振興や地域の活性化も狙ったものであるのか、この活用事業が単に産業振興センターの移転先として配置しただけであるとすれば、それは検討が足りず、まちの中の地域経済活性化の拠点と捉えるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 この立地は、早稲田通りに面した、中野でもポテンシャルの高い土地であります。この土地を手放すことなく定期借地権方式としたことは評価をいたします。今回の定期借地権方式では、区の負担なく、新たな施設の整備ができるということでありますが、その財源というのは、土地活用から生み出されるものであると考えます。どのような性質のお金と考えたらいいのか、お伺いをいたします。

 この新たな施設は、拠点であるがゆえ、中途半端なものであってはならないと考えます。事業者公募ではどのような条件を設けているのか、改めて確認をいたします。

 また、サウンディング調査では住宅が多かったということも聞いておりますが、この拠点性のある施設の上部が住宅というのではお粗末ではないでしょうか。中野駅周辺のまちづくりにおける住宅開発によって、新たな夜間人口は、各地区の合計で約1万4,000人という推計も出ている中で、区が底地を活用する拠点事業で、また住宅供給かという疑問を持たざるを得ません。拠点施設としてふさわしい機能を誘導すべきではないか、民間活用部分の条件も併せてお聞きします。

 ここで整備される新たな産業振興施設は、中野駅周辺における経済活性化の一翼を担うものとなります。一方、事業承継や世代交代などの課題を抱える商店街の再生にも取り組んでもらいたいと思います。融資あっせんなどの経営支援も大切ですが、次世代を担う後継者の育成やスタートアップの促進、インキュベーションセンターや、産学公金連携は非常に重要であります。四季の都市(まち)には大学が3校もあり、地域活性化に貢献しております。こうした学生の活動や、今後まちづくりが進展していく中で、地域のにぎわい創出に係る活動を応援したり、中野の活性化につながる起業を支援するための場所の提供などは考えられないのか、中野の将来像を見据えた取組を行うべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

 そうした展開を行うことを考えるのであれば、施設の立地やその性質を鑑み、中野区の経済・産業政策を具現化する拠点、中野区の産業振興の顔として、産学公金が連携し、政策形成から事業展開まで一気通貫した拠点となるべきと考えます。そのためには、産業振興課をこの施設に配置し、区や経済団体が緊密に協働しながら、この新たな施設を最大限に活用していくことが重要であると考えますが、いかがでしょうか。

 3番目、公園整備についてお聞きします。

 (1)哲学堂公園再整備について。

 これは、国の指定名勝などにより、現在、哲学堂公園の再整備については事実上止まっている状況であります。国の指定名勝となった哲学堂公園などの文化財は、区が誇るものであるとともに、重要な観光資源でもあります。こうした文化財の価値を高め、都市観光拠点の形成を図るとともに、周辺地域のまちの活性化につながるよう、面的なまちづくりを含め、全体的なストーリーをつくる必要があると考えます。今後、区は、こうした文化財の活用についてどのように考えているのか、お聞きします。

 また、地域が切望するみずのとう公園の面的整備について、本会議、総括質疑で再三伺っているところでありますが、都道補助第26号線拡幅整備によって削られる当公園の再整備は、隣接の都有地の扱いが必須となっており、単純に敷地拡張という話では東京都と協議が進むとは考えられません。中野駅から中野通りを通って当該エリアに至る都市観光の視点と哲学堂公園再整備を含めた面的整備の中で議論していくべきと考えます。地域の重要な活動拠点となっているみずのとう公園や哲学堂公園を含めた周辺地域の面的なまちづくりを今後どのように進めていくのかを教えてください。

 順番を一つ上げまして、(3)の中野区公園再整備計画(素案)についてお聞きします。

 この素案は、今年度中に策定予定と聞いております。どのような公園を対象に再整備するのかをお聞きします。

 中野区公園再整備計画(素案)の考え方の一つに、公園運営の視点があります。今後、公園の魅力を高めていくためには、民間事業者、地域団体等と連携しながら公園運営に取り組むことは重要であると考えます。民間活力の導入についてどのような方策を考えているのかをお聞きします。

 (2)中野四季の森公園について。

 この公園は、広大な芝生広場があり、誰もが憩える空間として親しまれています。同時に、防災公園として位置付けられている、中野区を代表する大規模公園であり、立地環境やアクセス性の観点からも、オープンスペースとの連続性を持つにぎわいの創出拠点や緑の空間として多彩な活用の展開が期待されております。

 昨年の第4回定例会中の建設委員会で、中野四季の森公園における民間活力の導入について報告がありました。にぎわいの創出、多彩な空間活用を推進する一方、四季の森の公園の大きな魅力である芝生を含めた植栽の管理、公園全体の美観の保持など、現在の公園の維持管理水準をできるだけ上げながら、区の負担するコストを縮減していくことは重要であります。また、公園だけでなく、四季の都市(まち)全体の景観形成も必要だと考えます。現在、区はどのような管理運営体制を想定しているのかをお聞きいたします。

 4番目、火山噴火に対応した防災・減災対策について伺います。

 1月、皇室と古くから親密な交流のあるトンガ王国の海底火山の大規模な噴火のニュースはまだ記憶に新しいところでございます。被災し、犠牲となられた方々には心からお見舞い、お悔やみをを申し上げる次第です。

 火山噴火災害について、首都圏では、富士山の噴火が想定されます。内閣府による富士山ハザードマップ、その噴火想定が昨年3月に17年ぶりに改定されました。そこで、富士山噴火に備えた防災対策についてお聞きします。

 私は、2012年の第3回定例会の一般質問で、首都圏、東京が直撃を受ける火山災害として富士山噴火を取り上げ、その災害に対する準備として、災害備蓄品に降灰に備えてのマスク常備を訴え、それが同時に感染症対策になると述べさせていただきました。また、活用備蓄品の継続的なグレードアップと、23区自治体間や関係団体とのネットワークづくりの必要性を主張してまいりました。

 富士山噴火がかつて経験したことのない甚大な影響を首都・東京に及ぼす、その主なものは、ガラス質で粒子が硬くとがり、雨水など水を含むと電気を通し、時間がたつと固まる性質を持つ火山灰の降灰であります。被害想定では、東京電力管内40万戸の大規模停電、JRでは数日から数週間の路線運休、道路でのスリップや通行不能、上下水道の機能停止、重みによる建物倒壊、人体は粘膜と眼球、角膜の損傷、また、東日本大震災の瓦礫の10倍の降灰の処理など、かつて経験をしたことのない災害に見舞われるということです。ハザードマップによりますと、降灰は噴火から数時間後には東京に到達、2センチから10センチメートルの降り積もる降灰を予想しております。

 そこでお聞きします。

 降灰の処理は原則個人対応という習慣は、一朝一夕でできるものではありません。住民の協力の下、そうした訓練も防災訓練の中に盛り込み、区は、降灰を処理するための必要な装備を準備すべきと考えます。また、それを回収する清掃部門とも協議を進めるべきと考えますが、どうでしょうか。

 あわせて、降灰によって道路上でのスリップ事故を防ぐための道路の灰を処理する方策を、企業、団体など関係機関と協議を進めるべきと考えます。また、降灰により交通網の麻痺が長引き、物流が滞ることで、大抵の災害では3日程度で給水車――水の補給が受けられますけれども、水を含め、物資は1週間たっても届かない場合があります。その備蓄の量も考え直さなければいけないと思います。中野区民への啓発により住民自身での準備を促すと同時に、区の災害備蓄品と装備、また、そのストック量について、火山災害を想定した新たな検討をすべきと考えます。火山灰を防ぐ服装や装備、ゴーグル、密着して隙間のない防じんマスク、家庭において換気口から灰の侵入を防ぐための換気口用のフィルター、灰を集める袋など、具体的に検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 中野区民への降灰被害に関する知識の周知、避難時の注意事項の周知等、徹底が必要と考えますが、区の見解を求めます。

 また、区のBCPについてお伺いします。

 不動産最大手の三菱地所は、東京丸の内に約5万人のオフィスワーカーが勤務する丸ビル・新丸ビルについて、電子機器を守るために、通常は年に1回程度の交換をしている空調機のフィルターを、富士山噴火による降灰に備えて、最短30分ごとに交換できるよう、予備のフィルターを備蓄する計画を立てているそうです。

 そこでお聞きします。

 中野区では、業務継続に必須の執務環境、PC・ITネットワーク環境、データセンターなどを守るために、この保全策をどのように考えているのか、お示しください。

 富士山の噴火については、5、600年前から平均で30年に1回噴火しているということが分かっております。最後の噴火は、御承知のとおり、300年前の江戸時代の宝永噴火であります。平均噴火頻度の10倍の期間、噴火がないということは、次に来る噴火の大きさを想像することは易しいものと思われます。マグマだまりが満杯である状況、また、2011年の大震災以降の地盤の状況から、いつ噴火してもおかしくないとも言われております。

 区は、防災関係機関との調整はもちろんのこと、地域住民、個人、組織、協定締結先、企業、団体との連携を一層密にし、火山災害の特性を踏まえた災害予防計画を策定することが急務であると考えます。また、その実行に当たっては、地域全体で対応する体制が必要であります。

 火山、そして、とりわけ富士山噴火災害への対応について、現時点では、中野区地域防災計画に盛り込まれておりません。中野区地域全体で対応できるように同計画に位置付け、防災施策を展開すべきではないか、今後どのように反映させていくのか、お聞きします。

 また、今後、区民が参加する防災訓練において、火山噴火災害に対応した内容を取り入れ、啓発、準備につなげることを求めますが、いかがでしょうか。

 火山災害に対する対応について、区と災害協定を結んでいる企業・団体と協定内容に反映させるべく協議をし、シミュレーション訓練も含めた実効性ある対応が必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか。

 また、自衛隊との連携に向けた協議も開始すべきと考えます。あわせて、火山災害の知見に先んじている鹿児島市などの自治体と連携を取って有事に備えるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋かずちか議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、沼袋駅周辺のまちづくりについてで、連続立体交差事業のスケジュールについてでございます。西武新宿線の中井駅から野方駅間については、事業に必要な土地の取得状況などから事業認可期間が6年延伸され、事業終了が令和9年3月31日となりました。事業に必要な土地について、現在、面積ベースで9割を超える権利者の協力を得られた状況でございまして、可能な箇所から工事を進めていると聞いております。こうした進捗状況を踏まえ、事業主体である東京都からは、事業認可期間までに事業完了を目指していると聞いております。

 次に、区画街路第4号線のⅠ期区間からⅣ期区間の進捗についてでございます。現時点におけるⅠ期区間の権利者ベースでの契約件数は16件で、物件等調査の進捗率は約70%、以下、Ⅱ期区間は3件で約61%、Ⅲ期区間は9件で約43%、Ⅳ期区間は5件で約15%となっております。

 次に、区画街路第4号線整備事業により取得した空地の有効活用についてでございます。沿道商店街の機能維持等に配慮し、各区間ごとに時期を分け、用地取得交渉を展開しておりますが、今後の用地取得の進捗によっては、道路用地としての空地が点在していく可能性もあります。本路線は、歩行者交通量が多く、バスも通行しております。そのため、歩行者がより安全に通行できるよう、都市計画道路として取得した用地は、歩行者通行が可能となる暫定整備を検討しております。また、事業期間中の商店街の活性化やにぎわいの創出につきましては、権利者を含めた地域住民や各商店街の意向、道路用地の一時的な活用の可否も確認しながら、丁寧に事業を進めていきたいと考えております。

 次に、区画街路第4号線完成後の道路構造や周辺住民への周知についてです。完成後の道路構造は、商店街であることから、集約した荷さばき場、車両速度抑制及び横断歩行者の待避場所となる交通島、歩道と車道の段差を抑制した歩道構造等、にぎわい空間に配慮した計画としております。この道路構造につきましては、令和2年7月に実施をした事業説明会や地元のまちづくり検討会議で、イメージ動画を含めて提示し、共有を図っております。また、沿道権利者等支援相談窓口のホームページ等で周知を図っております。

 次に、区画街路第4号線完成後のバス等の交通網整備についてでございます。事業完了時には、車両が相互通行となり、交通動線に変化が生じます。そのため、バス、タクシー等による駅前交通広場の利用方法や交通網等につきましては、今後、事業者と協議し、検討を深めていく予定であります。

 次に、沼袋駅北側の駅前拠点空間整備の検討状況についてでございます。これについては、平成30年度より10回の勉強会を実施してきております。新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中にあって計画的な実施が困難な状況ではありますが、今後も実施時期や方法等の工夫をしながら継続してまいります。

 次に、沼袋駅駅前拠点空間の在り方についてです。沼袋駅の北側地区には区施設以外にも病院や文教施設もあり、こういった地域資源を含め、回遊性の向上につなげていくことが必要でございます。駅前拠点空間の検討に当たっては、地権者との勉強会等を開催する中で、にぎわいや回遊性の向上に資するまちの在り方等を検討してまいります。

 次に、商工会館跡地活用事業についての事業の目的についてでございます。商工会館跡地活用事業は、産業振興の総合的支援機能の強化を図るため、民間活力を活用して、拠点として整備するものであります。旧商工開館の立地は、早稲田通りに面し、中野ブロードウェイやふれあいロード、昭和新道、薬師あいロードなど、個性豊かな商店街の結節点となるところでございまして、経済団体等の交流の場として活用され、地域経済の活性化にも寄与することを目指してまいります。

 次に、土地活用に伴う歳入についてでございます。区は、定期借地権設定に伴う権利金相当と引換えに、新産業振興施設を取得することを想定しております。その権利金は、民間活用部分に係る前払い地代などの一時金に相当するものと見ております。

 次に、提案に関する条件についてでございます。新産業振興施設については、様々な区民が訪れる公共施設としてふさわしい施設計画や安全・安心、快適に利用できるよう、ユニバーサルデザインへの配慮などを求めるとともに、事務室や会議室などの必要な機能の占有面積として1,000平米以上を確保することを条件としております。一方、民間活用部分につきましては、都市計画や建築物等に係る関係法令等を遵守すること以外、具体的な用途の条件は付しておりませんが、整備の財源になる部分でもあり、採算性の合う用途が提案されると見ております。民間活用部分を含む施設全体のコンセプトの提案も求めておりますが、新産業振興施設は、地上4階程度の大きさが見込まれておりまして、拠点施設としても遜色ないものとなることを想定しております。

 次に、新たな産業振興施設の機能についてでございます。新たな産業振興施設では、これまでの産業振興センターで行っていた経営支援機能に加え、事業承継や世代交代などの商店街の抱える課題に寄り沿った支援なども行ってまいります。また、その立地条件を生かし、再開発の進む中野駅周辺エリアで多様な主体と連携しながら、起業支援をはじめとした商業・経済の活性化に資する活動への支援にも取り組む必要があると考えております。また、起業支援としての場所の提供などにつきましては、民間の活力による面的な機能整備を考えてまいります。

 次に、新たな産業振興施設へ職員配置についてでございます。新産業振興施設につきましては、産学公金をはじめとし、商店街などの様々な主体が協働しながら、中野区の地域及び経済の活性化に資する活動を行っていくための中心的な役割を果たす拠点としたいと考えております。そのため、区の産業振興部門と経済団体等との連携を促進することを目的として、新産業振興施設内に区の関係部署を配置し、行政と民間とが車の両輪として区の経済政策を強力に推進していく仕組みについて検討してまいります。

 次に、公園整備についてで、哲学堂公園を拠点とした文化財の活用についてでございます。哲学堂公園は、令和2年3月に国の名勝に指定されたことに伴い、その文化財的価値を後世へ継承し、適切に保存・活用する必要があると考えております。令和4年度に哲学堂公園保存活用計画策定を検討する中で、並行して今後の観光施策の在り方を検討していく中でも、御指摘の周辺地域のまちの活性化も含め、考えてまいります。

 みずのとう公園などを含めたまちづくりについてでございます。みずのとう公園内の文化財建造物である旧野方配水塔は、旧野方配水塔保存活用計画の中で、地域のランドマークとしての活用を位置付けているところであります。文化財としての活用や地域の中での観光資源としての位置付けなどを踏まえ、観光拠点づくりがにぎわいづくりといったことにつながるよう、まちづくりにも取り組んでまいります。

 次に、再整備する公園の対象についてでございます。区内を七つの地域区分に分け、地域区分単位で公園づくりを計画的に考えているところであります。地域区分単位の公園づくりでは、地域の中心的な意見を担う核となる公園とその周辺公園を一体と考え、取り組むこととしております。核となる公園とは、平成21年度に策定した今後の大規模公園整備の基本的な考え方などで役割・機能が設定されている公園については対象とせず、地域区分ごとに二つの中規模公園を対象に考えているところであります。

 次に、民間活力の導入についてです。区民の意識調査では、公園を魅力的な空間にするための施策として、カフェ等の飲食店運営やイベント実施等のニーズが高まっていたところであります。官民連携の仕組みづくりとして、公園を活用する新たなプロジェクトを民間事業者と連携しながら模索してまいります。また、公園の魅力を高めていくため、指定管理者制度、公園施設設置管理許可制度、公募設置管理制度――パークPFIなどの手法も視野に入れて検討してまいります。

 最後に、中野四季の森公園の管理運営体制についてでございます。区を代表する大規模公園として、さらなるにぎわい創出や多彩な空間活用、効果的な管理運営を行うため、民間活力を導入することを考えております。民間の創意工夫を発揮した施設運営とともに、維持管理費の縮減を図るには、指定管理者制度と公園施設設置管理許可制度を活用した管理運営が有効と考えます。また、樹木や広々と見通しの利く芝生広場は、多世代の憩いの場となっているほか、土ぼこりを防ぎ、ヒートアイランド現象の緩和に寄与しており、適正に緑を保つことで、中野四季の都市(まち)の魅力を高めております。植栽管理につきましては、複数年契約により周辺街路樹等と一括して専門的技術を持つ事業者が管理を行うなど、民間のノウハウや豊富な経験を生かした景観形成の手法を検討してまいります。

〔防災危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○防災危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、火山噴火に対応した防災・減災対策について、まず、降灰に伴う様々な対応の検討についてお答え申し上げます。

 東京都地域防災計画では、火山灰の収集は原則として土地所有者または管理者が行い、宅地等に降った火山灰の運搬については区市町村が行う、宅地以外に降った火山灰の収集・運搬については各施設管理者が行うものとされているところでございます。収集・運搬等の具体化には、公民の役割分担や地域での対応はもとより、必要な装備や訓練なども併せて検討する必要があると考えておりまして、今後、関係所管などと協議してまいります。また、道路上に堆積した火山灰の除去及び処理の方策についても、事例などを参考に、関係機関と協議を進めてまいります。

 続きまして、火山災害の災害備蓄品と装備についてでございます。火山噴火による被害を想定した備蓄や装備につきましては、区民に備えて頂くマスクや眼を守るゴーグル、水、食料、衣料品、携帯ラジオなどの非常持ち出し用品も含め、自治体が備えるべき備蓄や装備品等につきましては、他の地域防災計画なども参考に、今後、調査・研究を進めてまいります。

 続きまして、降灰被害等の周知等の徹底についてでございます。降灰被害につきましては、電車の運行停止、道路の通行不能や人体への影響など、多岐にわたるところでございます。それぞれに適した方法により、火山噴火、降灰に関する知識の普及活動は重要だと考えてございまして、具体的な周知方法等については、今後検討してまいります。

 続きまして、地域防災計画への反映及び訓練での啓発についてでございます。区といたしましても、次回の中野区地域防災計画修正時には、東京都や他区の動向を踏まえ、火山編の掲載についても検討してまいります。火山噴火災害に対応した防災訓練や啓発につきましても、次回の地域防災計画の修正に合わせ、検討してまいります。

 続きまして、火山災害における各団体等との連携についてでございます。区が締結している災害協定は、震災や風水害に限らず、火山災害を含む様々な災害を想定したものでございまして、シミュレーション訓練を含めた実効性ある対応につきましては、必要に応じて各協定団体などと協議してまいります。自衛隊は、中野区防災会議の構成メンバーであることから、中野区地域防災計画へ火山編を反映する際に助言や意見を伺うとともに、近隣区をはじめ火山災害対策を講じている自治体と情報共有していくなど、有事に備えた連携を図ってまいりたいと考えております。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 火山噴火に対応した防災・減災対策についての御質問のうち、業務継続のためのITインフラの確保策についてでございます。区が利用いたします大半のシステムは、震災・火災等の対策を行っている庁舎から離れた強固なデータセンターを利用してございます。データセンターにおきましては、火山噴火による被災へのリスク評価が実施されておりまして、対策を検討中でございます。また、庁舎内に設置している住民情報系の重要なシステムのデータにつきましては、当該データセンターにおいてバックアップをするとともに、定期的にデータを媒体にバックアップいたしまして、遠隔地において保管するなど、データの分散保管により、有事の際も迅速に復旧できるよう対策を講じているところでございます。

○副議長(酒井たくや) 以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 日 野 たかし

 1 施政方針について

 2 新型コロナウイルス感染症対策について

 3 障害者施策について

 4 子育て支援について

 5 南部地域の防災まちづくりについて

 6 その他

 

○副議長(酒井たくや) 次に、日野たかし議員。

〔日野たかし議員登壇〕

○3番(日野たかし) 令和4年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問は通告のとおりで、その他はありません。

 初めに、施政方針について、特に構造改革に絞って伺います。

 令和2年、新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延し、中野区においても財政的な非常事態を鑑みて構造改革に取り組むということを、令和2年第3回定例会の冒頭、行政報告の中で区長が初めて示されました。この際、区長は、この財政的な非常事態を乗り切るためには、経常的な経費の歳出構造にメスを入れるとともに、中長期的に施策・施設・組織の三つの再編に取り組む抜本的な構造改革を行っていくことが不可欠と発言されています。

 一方で、今回示された施政方針では、財政的な危機感をきっかけとして取り組んだ構造改革ですが、持続可能な区政運営を実現するためには、健全な財政運営を図りつつ、デジタルトランスフォーメーションによる行政サービスの変革や業務の効率化など、費用対効果を高めていく区政の体質改善を図っていかなければなりませんとされており、構造改革の役割が、経費の削減よりも効率化や費用対効果を高めるとシフトしたとも受け取れます。

 令和3年度当初予算では、前年度からの大幅な減を見込んだものの、決算では前年度を超えることが想定されることが示されており、施政方針では、財政の危機や非常事態といった発言はなく、昨年ほどの危機感は感じられません。令和2年の時点では、経常的な経費の歳出構造にメスを入れるとまで言われていましたが、経常経費の削減はこれ以上できないと判断されたのでしょうか。もしくは、経常経費の削減は当初の想定ほどの削減は不要と判断されたのでしょうか。御見解を伺います。

 施政方針では、オミクロン株による感染者数急増により景気の先行きは不透明であるとしつつも、来年度予算を見ても、構造改革によって行財政の抜本的な改革が行われたというようには見えません。DXによる行政サービスの変革や業務の効率化というところに関しても、費用対効果を高めていく区政の体質改善を図るとありますが、これは、昨年策定された地域情報化推進計画を遂行することで進められるのではないでしょうか。構造改革の下支えがないと実現できないのであれば、地域情報化推進計画だけでは不十分ということなのでしょうか、伺います。

 また、4月からはDX推進室が設置されることになっており、DX推進は今後DX推進室が担っていくことになるとの認識です。

 改めて伺います。

 今後、構造改革はどのような役割を果たすのでしょうか。逆に、構造改革がなければ、今後の区政運営にはどのような影響が出るのでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 オミクロン株による感染者が今年に入って急増し、2月3日には、全国の1日当たりの感染者数が初めて10万人を超えました。現在は東京でのピークアウトを迎えたかのような状況ではありますが、感染者が急増した先月末には、厚生労働省から、今後感染がさらに継続して急拡大した場合に備え、患者の症状や重症化リスク等に応じて適切な医療の提供が確保されるよう、自治体の判断で次のような対応をしてもよいとの通知が出されています。一つ目は、発熱等の症状がある場合でも重症化リスクが低いと考えられる方については、医療機関の受診前に抗原定性検査キット等で自ら検査していただいた上で受診することを呼びかけること、二つ目は、地域の診療・検査医療機関以外の医療機関の協力も得て、電話診療、オンライン診療の遠隔診療を積極的に活用すること、三つ目は、同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により、検査を行わなくとも臨床症状で診断することということが可能とされています。このようなケースで陽性判断をするのは、いわゆるみなし陽性となります。

 このみなし陽性の場合、医療機関と保健所との間で基準が明確に共有されていない場合、自治体によっては、陽性判定の結果が差し戻しされるケースもあると聞きます。みなし陽性の基準については、保健所と医療機関とで明確に基準の共有はできているのでしょうか。また、国からの通知への対応も含め、現在の区内の医療機関の状況について区はどのように把握しているでしょうか、伺います。

 東京都は、1月31日より、50歳未満で、無症状か軽症の自宅療養者は自分で健康観察を行う仕組みに切り替え、自宅療養サポートセンター「うちさぽ東京」を開設しました。これらの方が支援を必要とする場合には、御自身が直接ウェブや電話などで配食やパルスオキシメーターの要請などを行うことになります。現状では、東京都からの配給に遅れはないのでしょうか。また、今後も感染者の急増などにより配食等の遅延が発生した場合、これまで行っていたように、区として独自の支援を行うことが必要と考えますが、確認のため伺います。

 1月より3回目のワクチン接種が始まりました。当初は2回目接種以降8か月後に接種が可能とされていましたが、7か月、6か月と、前倒しのスケジュール変更が都度出ています。また、ワクチン接種券が届いてもすぐに接種予約ができる方と期間を待たなければ予約できない方もおり、分かりにくいとのお声もかなり出ていました。我が会派としては、1月14日にワクチン接種の前倒しとともに区民が安心してワクチン接種ができるよう緊急要望を行い、1月28日の接種券発送分からは、接種時期や接種までの流れなどの説明を接種券と同封していただくようになりました。

 そこで、現在のファイザー、モデルナ、それぞれの3回目のワクチン接種について、区内の接種状況を伺います。

 中には、交互接種に不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。政府も、交互接種の安全性と有効性について広報していますが、区として区民に安心して接種してもらうよう、どのような対策を考えているのでしょうか、伺います。

 第6波と言われる感染者急増の中では、区内の小・中学校、保育園、幼稚園では、学級閉鎖、学年閉鎖、休園などが相次ぎました。こうした中、各学校においては、オンラインも積極的に活用されていると聞きます。これまで我が会派としても要望してきた学校のインターネット環境の整備状況と、第6波における学校でのオンライン活用状況について伺います。

 学校では、特に受験を控えた児童・生徒が感染症対策のためにオンラインで授業を受けていたというケースも聞きます。しかしながら、教職員の先生方にはオンライン活用のための十分な準備時間があったわけではなく、現場の先生方が必死で努力されていたというお話も伺いました。学校でのオンライン活用について、今後も急に必要となった場合のためにも、教育委員会としてこれまでの状況をしっかり検証し、学校現場に適切な支援をしていくことが必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 小・中学校の児童・生徒の場合には、学級閉鎖や学年閉鎖になった場合でも、オンラインを活用することにより学びの機会を継続している一方で、学校教諭や事務員などが陽性者、濃厚接触者となった場合には、学校運営や授業の実施にも影響が出てしまうことが考えられます。教職員に対するワクチン接種については、既に文部科学省から2月7日付で優先接種に関する通知が出されており、東京都の大規模接種会場では、教員の接種予約もできるようになりました。しかし、教職員の方が平日の日中に接種をすることは困難なことから、大規模接種会場においても、教職員の方が予約する日時や場所に偏りが出るのではないかと思われます。

 そこで、中野サンプラザの集団接種会場において、教職員の方に優先的に打っていただくために、打ちやすい時間帯の枠を確保する等の配慮も必要と考えますがいかがでしょうか、伺います。

 東京都のフォローアップセンターやうちさぽ東京では電話によるサポートもありますが、感染者が急増したときには、なかなか電話がつながらない状況もあったと聞きます。電話がつながらず、仕方なくウェブでの申請を行ったという高齢者から操作が分からないという相談を受けたり、ワクチン接種についても、3回目接種からはタイプ1の個別医療機関が増えたことから、こちらも高齢者からネットの申込みのやり方が分からないという声も聞きました。現在、都が行っているスマートフォン体験会は感染状況が収まるまでしばらく中止や縮小となっていますが、今後、区で実施するデジタルディバイド対応には、例えばこのような区民が必要とする申請など、具体的な支援も含めて体験会を行う必要があるのではないでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、障害者施策について伺います。

 1月18日の厚生委員会の報告において、江古田三丁目重度障害者グループホーム等整備事業の第4回公募の結果が報告され、4回目の公募も不調に終わったとのことでした。その前の3回目の募集が不調になったときの理由は、福祉人材の確保が困難ということが主な要因とのことでした。4回目の公募では、ユニット数を減らすなどにより、課題だった福祉人材確保の課題を解消させていくというものになっていました。しかし、今回、手挙げのあった事業者は、1ユニット最大7名で2ユニットの想定だったところ、重度障害者グループホームの基準では1ユニット最大で6名にしなければならないとのことで、事業者側としては採算が合わず、辞退したというように聞いています。募集時点で人員配置の基準が満たされないということでしたが、基準については東京都とどのような調整が行われてきたのでしょうか、伺います。

 グループホームについては、以前から重度障害者の御家族の方から、家族の高齢化も伴い、一刻も早く整備を進めてほしいとの切実な要望を伺っておりました。今回、4回目の公募も不調に終わったことで、大変落胆された声を伺いました。

 世田谷区にあるグループホームでは、入所者12名、ショートステイ4名に対し、常勤7名、非常勤17名の計24名の職員で運営をしているとのことです。ここでは、グループホーム、ショートステイに加え、サテライト型居住として、施設近くに5名が居住し、合わせて17名が入所しているとのことです。サテライト型の場合、生活上で何か困ったことがあった場合に、グループホームから支援員がサポートする仕組みとなっております。ここは重度障害者グループホームではありませんが、運営が持続できるようサービスを組み合わせて行う方法も検討すべきと思います。今度こそ確実な整備を行うために、事業者の意見も調査の上、例えばサテライト居住型も視野に入れた整備についても検討してはいかがでしょうか。今後の整備について、区の考えも含めて伺います。

 障害児の就学についても伺います。

 区では、発達の特性や状態から特別な支援を必要とするお子さんに対し、保護者と共に学校入学前に就学相談を行っています。就学相談では、子どもの成長のためどのような支援が必要かということを基に就学先を決めていくとされています。こうした就学相談において特別支援学校を勧められた保護者からは、できる限り地元の学校に通わせたいという切なる声を伺うこともあります。就学相談専門員等が十分な支援を提供するために提案する進路と当事者が望む進路が異なることはやむを得ないことも理解はできます。

 一方で、今定例会には、中野区子どもの権利に関する条例が提案される予定となっております。既に示されている(仮称)中野区子どもの権利に関する条例案に盛り込むべき事項では、前文の冒頭から、子どもは権利の主体であり、1人の人間としてその尊厳が尊重され、その権利が保障されますと始まっています。また、基本理念には、子どもは一人ひとりの個性が尊重され、誰一人取り残されることなく、その権利が保障されることとされています。子どもの権利を保障するということは、親子が望む進路についても、区が尊重し、適切に判断していくことが必要だと思います。今後、子どもの権利条例が施行された際には、障害や支援を必要とする児童が学校生活を送る際、どのように子どもの権利が守られていくのでしょうか、伺います。

 平成28年に施行された障害者差別解消法では、行政機関の法的義務として、不当な差別的取扱いの禁止、合理的配慮の不提供の禁止が求められています。こうした概念を具体的に現場で適用するために、目黒区では、合理的配慮の提供に関する基本的な考え方、提供プロセス及び事例を教職員に分かりやすく紹介するため、合理的配慮の提供事例集が作成されています。子どもの権利条例が出されるに当たり、当区においても、子どもの権利が具体的に現場に適用されるよう、教職員や区民に対して、事例等も含め、分かりやすく紹介するなどの検討をしてはどうでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、子育て支援について伺います。

 東京都では、低出生体重児の増加や核家族化など子育て環境の変化等により、妊娠、出産、子育てに関して不安を抱える妊産婦や保護者が増加していることを踏まえ、母子健康手帳を基にして、学齢期までの子どもの成長と健康に関する必要な記録欄や子育て情報等を盛り込んだ都独自モデルを策定し、子ども手帳モデルとしています。

 母子健康手帳は、母子健康法に基づき、国が様式を規定し、区市町村が妊婦に交付をしていますが、様式は、国が必須内容を規定する部分と、項目のみを規定し、内容を例示する任意様式で構成されており、中野区においても、任意様式の内容が工夫されてはいます。

 子ども手帳モデルにおいてさらなる充実が期待できる内容には、成長・健康の記録欄や出産後の母親の心身の不調に早期に気づくためのチェック項目、父親の役割等の記載のほか、低出生体重児に対応する成長の記録や発育曲線も盛り込まれています。早産や、発達に遅れ・違いがある場合でも記録しやすいよう配慮され、低体重児用の発達曲線や支援情報一覧を掲載したほか、成長をチェックするのではなく、できた日を記録できるページも作成されていることで、子どもに応じた記録を残せるようになっています。

 中野区においても、区の特性を考慮し、現在の母子健康手帳の内容をさらに充実し、中野版子ども手帳を作成すべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。

 都では、子ども手帳モデル活用支援事業として、モデルをアプリとして新たに作成する経費も補助対象としています。我が会派としてこれまでも母子手帳アプリの導入を求めてきましたが、アプリでは、予防接種の事前お知らせ、スケジュール管理、忘れ防止アラート機能など、面倒な予防接種調整のサポートが可能です。さらには、デジタル予診票や接種記録管理ツールの活用、また、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援を実現するために自治体独自の子育てDXサービスを様々活用することなどが期待されます。既に多くの自治体で導入が進んでおり、当区も、先進自治体の事例を見習い、母子手帳アプリを早急に導入すべきではないでしょうか。区の見解を伺います。

 1月13日の厚生委員会で、妊娠・出産・子育てトータルケア事業の改善・拡充に向けた考え方についての報告があり、その中で、産後ケアカード発行方法、産後ケア事業の利用回数の改善が図られることが示されました。この点については、利用されている区民、また、産後ケア事業を行っている助産師会の声を受け、会派として度々改善を求めてきたものです。令和4年度以降、全ての妊産婦が支援を必要とする存在であるとの観点に立ち、初回の面接時に全ての方に産後ケアカードを発行し、必要となった際には、早期に産後ケア事業を利用できるようになります。さらに、産後ケア事業全体で利用限度回数を設定できるよう改善されるというものです。この改善を踏まえ、今後の産後ケア事業のさらなる充実を願い、何点か伺います。

 1点目は、これまでも改善を求めてきた初回の面接時の在り方です。産後ケアカードが全ての方に発行されるだけでなく、効果的に利用していただくためには、事業の目的や効果を分かりやすく伝えることも重要と考えます。これまでにも、かんがるーブックなどで工夫をされてはいますが、委託事業者によって説明の仕方が違うようなことがあっては、平等なサービス供給とはなりません。また、現在適切に行えていたとしても、次年度は委託事業者が替わる可能性もあります。委託事業者に対し、かんがるー面接について、区がどう指導するのかがポイントと考えます。

 そこで、委託事業者が利用者に対して適切な説明や対応を取れるよう、区が責任を持って指導すべきではないでしょうか。お考えを伺います。

 2点目は、産後ケア事業の拠点整備について伺います。

 産後ケアを充実させるためには、受け皿をいかに増やしていくのかも重要な課題です。既に産後ケア事業を受託しているしらさぎふれあい助産院がさらなるサービスの拡充を目指し、現在の助産院から移転し、この春の開院を目指し、施設整備を進めています。しかしながら、開院に当たり、施設整備費に関する助成金がないことから、クラウドファンディングにより寄附を募って、事業費の捻出に奮闘されております。これまで中野区が産後ケアの先進区として事業を展開することができたのは、助産師会の助産師の皆さんの多大なる強力に支えていただいていることが大きいと感じています。

 そこで、産後ケア事業について、施設整備や事業委託についてもさらに踏み込んだ支援が必要と考えますがいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 私の住む南部地域では産後ケア事業を行う助産院等がないことから、北部地域の助産院や他区の助産院にタクシーなどで乳児を抱えながらデイケアやショートステイを利用されているのが現状です。身近な場所で産後ケアを受けることを希望する声が多く聞かれ、南部地域での産後ケア事業の拠点整備を進めるべきと痛感しています。

 国の妊娠・出産包括支援緊急整備事業では、産前・産後サポート事業、産後ケア事業の実施場所の修繕を行うことにより、より身近な場で妊産婦等を支える仕組みに必要な体制を緊急に整備することを目的とするとしているものの、事業対象は、妊娠・出産包括支援事業を実施または実施を予定して要る市町村、委託先の民間事業者等が所有する施設と限定されています。これでは、賃貸で事業を行っている助産院等は対象とはならず、区は、国に対し、要件緩和を求めるとともに、助成金拡充や新設について、国や都にも働きかけを行うべきです。

 子育て先進区を目指すのであれば、産後ケア事業の充実は急務であるはずです。南部地域の拠点整備を検討するとともに、国や東京都に働きかけ、施設整備費などの充実を求めるべきと考えます。区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 最後に、南部地域の防災まちづくりについて伺います。

 弥生町三丁目周辺地区防災まちづくりについては、不燃化特区整備プログラムが令和7年度末まで延伸され、不燃領域率70%以上を目標に、避難道路ネットワークの形成と不燃化建て替え等を推進している状況です。避難道路拡幅に伴い、権利者用代替地として、都営川島町アパート跡地活用事業が行われていましたが、昨年、この事業は完了しました。跡地について、今後はどのような活用が可能なのでしょうか。また、現状は活用についてどういった検討がなされているのでしょうか、伺います。

 弥生町三丁目地区地区計画については、地区全域に拡大し、令和4年度に地区計画が決定される予定です。当地区では、東京都の無電柱化チャレンジ支援事業により避難道路2号から工事が進められており、今後、同事業により、避難道路7号も無電柱化の計画が進められる予定となっています。地区計画には、避難道路は災害時の円滑な避難活動、消防活動等に資するため、無電柱化による有効幅員を確保することで防災機能の向上を図るとされています。当地区内の避難道路は1号から9号まで無電柱化の整備予定とされていますが、現在まだ計画されていない避難道路の無電柱化についてのスケジュールや整備計画の考え方について伺います。

 まちづくり住宅についても伺います。

 南台にあるまちづくり住宅では、木造住宅密集地域整備事業等のまちづくり事業により住居を必要とされる方、区内で耐火建築物に建て替える方、区内の整備地域において準耐火建築物に建て替える方が仮入居もしくは本入居することが可能となっています。

 しかしながら、南台まちづくり住宅の利用について御存じない方も多いと感じます。これまでは、区のまちづくり事業に該当しない場合であっても耐火建築物に建て替える方は仮入居の資格がありましたが、昨年からは、区内の整備地域において準耐火建築物に建て替える方も仮入居が可能となりました。まちづくり住宅を効果的に活用していただくためにも、建て替えを予定している方に対して、まちづくり住宅の情報が行き届くように、改めて周知を徹底してはいかがでしょうか、伺います。

 また、以前、仮入居を検討されていた方が入居を見送った理由として、インターネット回線がないため回線工事をしても、わずかな期間しか入居しないにもかかわらず原状復帰しなければならず、余計な費用がかかるということを伺いました。まちづくり住宅として一定程度の空きは確保しておく必要があると思いますが、さらに仮入居の利用が増えるよう、原状復帰の在り方の見直しやインターネット回線の整備など、時代に即した対応をしておく必要があるのではないでしょうか。

 伺って、以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 日野議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、経常経費の削減についての御質問です。人、物、金などの限られた経営資源をより有効に活用するため、必要とするものには集中して投入し、それ以外のものは徹底的に効率化を図るといった基本姿勢は変わってございません。今後も、実行プログラムに位置付けた取組を推進するとともに、事業全般にわたって見直しを行うなど、経常経費の抑制に努めてまいります。

 次に、構造改革の下支えについての御質問です。構造改革実行プログラムと地域情報化推進計画は、一部内容や計画期間が重なる部分もありますが、それぞれの目的や視点の違いもあり、どちらも推進体制を整え、進捗管理を行っていくことが必要であると認識しております。

 次に、構造改革の役割についてでございます。構造改革実行プログラムに位置付けた28の個別プログラムは、持続可能な区政運営に向けて中長期的に取り組むべき区政課題であります。これらの課題を解決していくことが構造改革の役割であります。新庁舎整備を契機としたDX推進による働き方・行政事務の効率化については、総務部内にDX推進室を組織して推進していきます。また、DXの推進に係る組織横断的な区民サービスの向上の取組については、企画部が中心となって、所管部と連携をしながら政策調整を行っていく考えであります。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について。

 初めに、感染急拡大に備えた医療機関での対応についての御質問です。国は、感染急拡大時の外来診療において、①本人が提示する自主検査結果による確定診断、②遠隔診療の積極的な活用、③有症状の濃厚接触者への臨床診断を自治体の判断で行うことが可能であることを1月24日に通知いたしました。東京都は、医師会や保健所等と調整の上、1月28日からこれらの対応を取ることとし、都内の診療・検査医療機関へ通知をいたしました。このため、区内の医療機関においても、みなし陽性の判定を含め、保健所と医療機関とで情報共有を行い、統一した対応を行っているところでございます。

 次に、今後の自宅療養者への区独自支援についてでございます。東京都の食料配達について、遅延が生じているといった連絡は受けておりません。また、区に対しても、区民からそのような問合せはございません。東京都の食料配達の状況や自宅療養者の状況を注視しておりまして、感染者の急増によって遅延が発生した場合を想定し、区の独自の支援を行うため、体制を取っているところでございます。

 次に、新型コロナワクチン接種の状況についてでございます。ワクチン接種記録システム――VRSを確認したところ、2月13日までに3回目接種を終えた区民は3万580人でございます。その内訳としては、医療機関で接種しているファイザー社製が2万6,212人、主に中野サンプラザで接種している武田/モデルナ社製は4,368人となっております。

 次に、交互接種についてでございます。3回目は、ファイザー社製、武田/モデルナ社製のいずれを接種しても、安全性が確認されておりまして、予防効果も見込まれております。また、武田/モデルナ社製の3回目のワクチン接種量は2回目接種に比べると半分であるため、発熱や疲労など接種後の症状が少ないことなど、国からの最新情報に基づき、適宜、区ホームページを更新し、広報の充実を図ってまいります。

 私から最後に、デジタルディバイド解消に向けた具体的な支援についてでございます。区が来年度実施を予定しているデジタルディバイドの解消に向けた講習会におきましては、受講者の実際の活用につながるよう、具体例として、区でそのときに実施しているウェブ等を活用した取組を紹介するほか、ウェブ等の利用に関して個別に質問を受ける時間を設けるなど、その時々によって柔軟に対応してまいりたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 新型コロナウイルス感染症対策のうち、学校のインターネット環境とオンライン環境、オンライン活用状況についてお答えいたします。

 区では、11月までに、全校、全学級でオンラインによる授業配信ができるよう、授業配信用端末とモバイルルーターを配備いたしました。各校では、これらの機器を活用し、新型コロナウイルス感染症に対する不安や不登校傾向などで登校できていない児童・生徒に対して、教室での授業をオンラインで配信し、視聴できるようにしております。また、学級閉鎖時には、オンラインを双方向で活用し、朝の健康観察や授業も行っております。学校の高速大容量のネットワーク環境につきましては、令和4年度から全校で活用できるよう整備を進めております。

 次に、今後のオンラインの活用についてです。学級閉鎖時のオンラインの活用については、指導主事が学校を視察し、状況を把握しております。オンラインの活用により、学習指導のほか、生活リズムの乱れの防止、教師や友達とのやり取りによる心のケアなどの効果が見られたと聞いております。また、効果的な活用方法につきましては、各中学校区に派遣しているICT支援員と情報を共有し、各学校に適切な支援を行っているところでございます。今後は、オンラインでの授業の質の向上が重要だと考えておりまして、教員への研修を通して、授業力の向上を図るなどの支援を行ってまいります。

 最後に、教職員に対するワクチンの優先接種でございます。これまで2回のワクチン接種については、希望する教職員が7月・8月に都内2カ所の大規模接種会場にて優先接種ができました。3回目のワクチン接種につきましても東京都の大規模接種会場にて優先接種できることになっておりまして、会場も4カ所に増え、教職員が利用しやすくなっております。教職員から学校の近くの会場で打ちたいなどの希望がある場合、中野サンプラザの接種会場でワクチンが接種できるよう調節していただけることになりました。今後、学校に周知してまいります。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、障害者施策についてのうち、江古田三丁目重度障害者グループホームに関する御質問にお答えいたします。

 初めに、基準についてでございます。厚生労働省の基準には、地域生活支援拠点に併設する施設は1ユニット6人以下とすることが望ましいと書かれていたこと、区といたしましては、1ユニット6人で試算いたしましても整備・運営ができると考えたことから、募集時点で東京都との調整は行っておりませんでした。基準が義務的なものかにつきましては、改めて区から東京都に確認をしているところでございます。

 次に、今後の整備についてでございます。整備事業者がサテライト型住居等も整備することは可能でございます。江古田三丁目重度障害者グループホームは、身体介助の必要な重度障害者の支援を主な目的としておりまして、単身生活を目指すサテライト型住居も整備した場合には、必要とされる専門性の幅がさらに広がることから、事業者の負担が大きくなることも見込まれるものでございます。他区の状況や当事者、事業者からの要望、意見を踏まえまして、事業者が実施可能な整備の在り方について検討をしてまいります。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、障害者施策の御質問のうち、子どもの権利に関する部分の御質問についてお答えをさせていただきます。

 初めに、子どもの最善の利益の実現についてでございます。子どもの権利に関する条例は、区に関わる全ての人が子どもの権利の尊重の理念を持ち、それぞれの生活及び活動に生かすことにより、子どもの権利を保障することを目的とするものでございます。特別な支援を要するお子さんたちも含めまして、全ての子どもが学校生活を送る上で権利を保障されることにつきましては、既に取り組まれているところではございます。本条例施行後は、さらに条例の基本理念である子どもの最善の利益や子どもの意見の尊重などの考え方が広く浸透するよう、区全体で対応を図っていくことが必要であると考えております。

 次に、子どもの権利の普及啓発についてでございます。区内で活動する全ての人が子どもの権利を尊重することが、それぞれの生活及び活動の基盤となるよう、条例制定後の普及啓発が重要であると考えております。あらゆる人々に条例の内容を浸透させていくためには、普及啓発におきまして、対象年齢や立場に応じたリーフレットやパンフレットを作成するとともに、学校とも連携した取組を進めてまいります。さらに、広く区民に対しましても、適切な機会に様々な媒体を使いまして、普及啓発の取組を実施していきたいと考えております。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、子育て支援についてお答えさせていただきます。

 初めに、中野区版子ども手帳の作成についてです。現時点で現行の母子健康手帳を大幅に改定・充実することは予定してはおりませんが、今後、妊産婦に対しまして切れ目のない支援を強化するために、より使いやすいものとなるよう検討を進めてまいります。

 次に、母子手帳アプリの導入についてでございます。紹介がありました母子手帳アプリの導入は、情報の発信のほか、利便性、区民サービス向上といった観点から効果のあるものであると考えております。今後、先進自治体の事例を参考にしながら、区が活用している様々なシステムやサービスとの連動した活用方法や費用対効果などについて検討してまいります。

 次に、かんがるー面接委託事業者への指導についてでございます。これまでも、委託事業者の変更や制度が改正された際には、制度や面接の仕方などについて、かんがるー面接に携わる事業者を一堂に集める方法のほか、各すこやか福祉センターごとに説明・指導を行ってございます。今後も、産後ケア事業等の改善・拡充内容に適切に対応できるよう、かんがるー面接に携わる事業者とその従事者への十分な説明を行い、委託事業者が説明を果たせるようにしてまいります。

 産後ケアを行う施設への支援についてでございます。産後ケア事業を行う施設の整備につきましては、国や都の補助制度や他の施設の整備方法などを研究しながら、どのような支援ができるか検討してまいります。また、委託事業の実態を踏まえ、利用者の利用1回当たりの委託料を増額するなど、円滑な事業運営を支援していく考えでございます。

 最後に、施設整備に関する補助制度の検討と要望についてでございます。産後ケア事業等に関わる施設につきましては、区内における偏在の解消を含め、適切なサービス提供を図ることができるよう、どのような支援が可能か、検討を進める考えでございます。また、施設整備に関する補助制度の充実につきましては、賃貸物件も補助対象とするよう、国や東京都に働きかけてまいります。

〔まちづくり推進部長豊川士朗登壇〕

○まちづくり推進部長(豊川士朗) 南部地域の防災まちづくりについてお答えいたします。

 まず、都営川島町アパート跡地活用事業の用地についてでございます。当用地は、東京都からUR都市機構が取得をいたしまして、権利者用代替地などの用地として活用するものでございます。公共整備型の避難道路拡幅にほぼめどがついているという状況もございまして、現在の閉鎖管理から快適な住環境の創出や地域の防災性にも寄与する暫定利活用をUR都市機構により検討してございます。

 それから、弥生町三丁目周辺地区における避難道路の無電柱化のスケジュールなどについてでございますが、基本的に、中野区無電柱化推進計画におきまして、無電柱化優先整備路線、または、今後に無電柱化整備すべき路線に位置付けられております。現在、避難道路2号は無電柱化工事に着手をしておりまして、避難道路1号及び避難道路7号は詳細設計中でございます。残りの路線につきましては、整備スケジュールは未定でございますが、順次無電柱化を推進する計画としてございます。

 それから、南台まちづくり住宅の申込情報の周知についてでございます。令和3年8月に仮住居の使用対象を拡大いたしまして、防災都市づくり推進計画の整備地域において準耐火建築物に建て替える方も使用対象に加え、区のホームページで周知を図ったところでございます。引き続き窓口にまちづくり事業住宅のチラシを設置するとともに、関係部署の窓口にも設置をいたします。改めて、区のホームページや区報を活用して周知も行います。

 同じく南台まちづくり住宅の仮入居の入居促進についてでございます。まちづくり事業住宅は、まちづくり事業の施行により住宅に困窮する方や防災まちづくりに資する耐火建築物等への建て替え予定のある方に対し、使用を認めるものでございます。一般的な賃貸住宅とは異なりまして、まちづくり事業の進捗に対して機動的に対応するため、一定程度の空き室の確保は必要と考えております。仮住居の使用者が申込みしやすくするためにどのような取組が効果的か、今後研究してまいります。

〔日野たかし議員登壇〕

○3番(日野たかし) 1点、再質問をさせていただきます。

 障害者施策のところで、子どもの権利条例が出されるに当たり、現場で分かりやすく事例を紹介するなど、そういった対応をしてはいかがかという質問をしました。これは、子どもの権利条例を区民に周知するということではなくて、子どもの権利条例が出るに当たって、現場でしっかりと対応していただくために、事例等を含めて、現場に適切な判断をしていただくための対応をしてはいかがかという質問でしたので、改めて伺います。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 日野議員の再質問にお答えさせていただきます。

 子どもの権利条例や子どもの権利そのものを様々普及啓発していく中で、議員の御指摘にございましたような事例等、どのようなものが作成できるか、今後検討させていただきながら、より学校現場につきましても、内容等が浸透していくような取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

○副議長(酒井たくや) 以上で日野たかし議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(酒井たくや) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時11分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 内川 和久

       副議長 酒井 たくや

       議 員 小宮山 たかし

       議 員 小林 ぜんいち