令和4年06月24日中野区議会本会議(第2回定例会)
令和4年06月24日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

.令和4年(2022年)6月24日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(39名)

  1番  生  藤  健  人        2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  8番  立  石  り  お        9番  羽  鳥  だいすけ

 10番  市  川  しんたろう      11番  加  藤  たくま

 12番  吉  田  康一郎        13番  木  村  広  一

 14番  甲  田  ゆり子        15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  内  川  和  久

 22番  若  林  しげお        23番  高  橋  かずちか

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番     欠  員          27番  山  本  たかし

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員(2名)

  7番  斉  藤  ゆ  り       40番  むとう   有  子

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  石 井 大 輔      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 防災危機管理担当部長 石 崎 公 一    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 青 山 敬一郎

 地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子  健康福祉部長  岩 浅 英 樹

 中野駅周辺まちづくり担当部長 松 前 友香子 企画部企画課長  堀 越 恵美子

 総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  林     健

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  髙 田 英 明

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  早 尾 尚 也      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  川 辺 翔 斗      書     記  金 木 崇 太

 

 議事日程(令和4年(2022年)6月24日午後1時開議)

日程第1 第41号議案 中野区事務手数料条例の一部を改正する条例

 

午後1時00分開議

○議長(内川和久) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、中村延子議員、高橋かずちか議員、平山英明議員、長沢和彦議員、ひやま隆議員、加藤たくま議員、小林ぜんいち議員、小杉一男議員、河合りな議員、生藤健人議員、木村広一議員、斉藤ゆり議員、大内しんご議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、渡辺たけし議員、内野大三郎議員、竹村あきひろ議員、立石りお議員、吉田康一郎議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 中 村 延 子

 1 施政方針説明について

  (1)今後の区政運営について

  (2)新たな財政運営について

  (3)新型コロナウイルス感染症対策について

  (4)職員定数および人材育成について

  (5)その他

 2 児童館について

 3 区有施設の貸付について

 4 その他

  (1)がん患者支援について

  (2)その他

 

○議長(内川和久) 初めに、中村延子議員。

〔中村延子議員登壇〕

○28番(中村延子) 令和4年第2回定例会に当たり、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりです。

 初めに、1、施政方針説明のうち、(1)今後の区政運営について伺います。

 酒井直人区長におかれましては、5月22日に行われた区長選挙で5万5,318票を獲得し、2期目の当選を果たされたこと、心からお祝い申し上げます。過去20年間で最高の投票率となった4年前の選挙よりは下がったものの、投票率は33.72%と、さほど下がらなかった印象です。一方で、今回の選挙については政策議論ではない、さらには事実を歪曲した喧伝も公然と行われてしまったことは、民主主義への冒涜であり、非常に残念で仕方ありません。候補者が2人だけだったことにより、消極的に区長へ投票した方も中にはいらっしゃったと考えます。こうした声や、相手候補に投票した声にも耳を傾けていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 今回の選挙戦、区長は「オール中野」を掲げ戦われました。今回の施政方針説明の中でも、「オール中野」の記述があります。「オール中野」とは誰を指しているのか、選挙戦の際の「オール中野」と同じ対象なのか、その定義をお示しください。

 区長は施政方針説明の中で、「私は、『子どもにやさしいまち』、『困っているひとにやさしいまち』は、『誰にとっても住みやすいまち』だと考えています。これからの4年は、『中野区基本計画』に基づき、特に子育て支援に重点を置きながら、区民や団体、事業者の皆様と一緒に、オール中野で取組を進め、『中野区基本構想』で目指すまちの姿の実現を使命としていく所存です」と述べられました。子育て先進区の実現とともに、地域包括ケア体制の確立も区政の重要な課題です。これらの実現に向けて、4年間でどのように取り組み、具体的にどういった成果を上げていくのか、区長の見解をお伺いいたします。

 区長は、区民との対話をどのように続けていくのでしょうか。1期目の4年間は、区民と区長のタウンミーティングのほかに子育てカフェを行ってきました。さらには、区長自らが様々な子ども関連団体や介護福祉の事業所へ足を運び、現場の声を聞いてきました。7月8日には既に子育てカフェも予定されていますが、2期目の4年間を通して、こうした区民の声を聞く取組は続けられるのか、伺います。

 区長は、ボトムアップによる区政運営を基本として、巻き込み型のリーダーシップを発揮し、職員とともに区議会並びに区民の皆様との協働・協創で「つながる はじまる なかの」を実現するべく、全力を尽くすとおっしゃっています。まず、区長の考えるボトムアップ型の区政運営とは具体的にどういったことか、改めてお伺いします。

 また、それを基本として、巻き込み型のリーダーシップを発揮するとのことですが、それは具体的にどういったことなのかお伺いいたします。

 区長は、未来への責任を果たしていく4年にする決意をお話になりました。中野区だけを見ても、まちづくりや少子高齢化など、この先10年間は大きな変化が見込まれています。さらには、世界情勢の変化により、まち、社会、暮らしが大きく変わっていく中で、将来予測を立てることは難しいことと考えます。基本構想で示した目指すべきまちの姿の実現に向けて、中長期的視点を持ちつつ、どのように未来への責任を果たしていく4年にするのか、区長の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 (2)新たな財政運営について伺います。

 第1回定例会で、財政規律を保つ新たな財政運営の考え方について検討するべきとの質問に対し、区は、「基本計画でお示しした財政見通しに大きな変化が見られることから、実態に即した有効な財政規律を確立するため、新たな財政運営の考え方について検討を行い、基本計画の中間見直しを待たずにお示しすることも考えてまいります。」との答弁でした。区長の施政方針説明の中でも新たな財政運営について触れられました。予算編成は9月から始まりますが、いつこの考え方についてお示しいただけるのか伺います。

 施政方針説明では、財政状況の捉え方や予算編成手法、基金の積立ての考え方などを見直すとあります。まず、財政状況の捉え方について伺います。平成24年に財政非常事態宣言をされた際は、予算ではなく決算ベース、見立てではなく結果を受けての宣言でした。こうしたことからも、令和2年第3回定例会の行政報告で財政的な非常事態と言わざるを得ないと認識しているとの発言は、時期尚早であると申し上げました。さらには、令和3年度最終補正予算で歳入の上振れが100億円まで上りました。令和4年度予算でも、令和2年度予算よりも歳入が増加しています。こうした状況を踏まえ、私たち会派は財政非常事態ではないとの認識ですが、改めて区の認識を伺います。

 予算編成手法について、基準となる一般財源規模について改めるべきと申し上げてきましたが、新たな財政運営では廃止とするのか伺います。複数の自治体では、投資的経費を除く歳出に必要な一般財源は標準財政規模で行うこととしていますが、予算編成手法について、区はどのように規模等を定めていくつもりなのか伺います。

 次に、財政調整基金の年度間調整分について伺います。現在、区は年50億円を3年間分の150億円としていますが、リーマンショックの際も今回の新型コロナウイルス感染症蔓延でも結果的に財政調整基金残高は減っていないのが実態です。また、財政状況は3年も経たずに回復しています。こうした状況を見ると、実態に即しているとは思えません。一方で、150億円と定めた頃に比べると、予算規模は大きくなっています。さらに、国際情勢は不透明感を増しています。こうした状況の中で、区は年度間調整分についてどのような認識か伺います。

 現在、ウクライナ危機や中国の都市封鎖などにより物価高騰が進んでいます。さらには、円安が進んでおり、さらなる物価高騰に拍車をかけることが予測されています。物価高騰による区民生活への影響については、ひやま議員から改めて質問いたしますが、円安は区財政へどれだけ影響してくるのか、見解を伺います。

 (3)新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 6月13日には、5か月ぶりに1日の陽性者数が1,000人を下回りましたが、一方で、直近1週間の新規感染者数は、首都圏や九州など20都府県で前週より増加しました。専門家組織は、大都市で短期的に急激な増加は見込まれていないものの、ワクチン接種と感染による免疫が徐々に低下していくことやオミクロン株が新たな系統に置き換わる可能性があることから、今後は感染者数の増加も懸念されるとの見方を示されました。

 ワクチン接種は、全国を見ると、2回目までが80%を超え、3回目接種を終えた人は60%となっています。中野区では2回目接種までは84.5%、3回目接種を終えた人は60.7%となりました。国は、60歳以上の方と基礎疾患をお持ちの方に対し、3回目接種から5か月以上経過した方に4回目接種を行うとしており、中野区でも5月27日より始まりました。6月10日より対象者には接種券の送付が始まっていますが、区が把握していない基礎疾患ありの方々への対応はどうなっているのでしょうか。6月17日より申込制で受付をしているとのことですが、接種券が送付されない場合、御自身が対象と気づかない場合もあります。必要な方々にしっかりと情報が届くよう、様々な媒体を使った広報が必要と考えますがいかがでしょうか。

 6月17日にアメリカFDAは、ファイザー、モデルナ両社製の新型コロナワクチンについて、生後6か月以上の子どもへの使用を認め、翌6月18日にCDCで承認をされました。ファイザー社製は大人の10分の1の量を3回接種、モデルナ社製は1、2回目の大人の4分の1の量を2回接種となります。アメリカではこの年代の子どもが200人以上コロナで死亡しており、待ち望んでいた人も多くいらっしゃいます。今後、日本でも生後6か月以上のワクチン接種が進む方向となることが予想されます。これまで大人のワクチン、小児5歳から11歳のワクチン、その中でもファイザー社製とモデルナ社製、さらにモデルナ社製は3回目の分量も変わるなど、5種類のワクチンを扱ってきており、ここに生後6か月以上が加わると、さらに2種類が追加されます。打ち間違え等の事故を起こさないためにも、医師会との十分な連携が必要です。区の見解をお聞かせください。

 新型コロナウイルスは、変異株により重症化の確率が変わると、政府はこれまでも対応策を適宜変更してきました。昨年度までは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を乱発してきましたが、3月17日にまん延防止等重点措置が終了してからは平常が取り戻されつつあります。一方で、政府はことさらに脱マスクを訴え始めています。特に熱中症のリスクと併せてマスクを外すよう訴えていますが、マスクだけが熱中症を引き起こすわけではなく、マスクを外せば熱中症にかからないかのような言いぶりは、本来の熱中症対策を怠る結果につながりかねず、非常に危険です。改めて、厚生労働省の基準に合わせたマスクの脱着について、どのような場面でマスクを取ってもリスクが高くないのか、分かりやすく説明していく必要があると考えますがいかがでしょうか。

 6月10日には外国人の入国制限も緩和をされ、観光客の受入れを再開しました。新型コロナウイルス感染症蔓延以前に戻るまでには時間がかかると思われますが、止まっていた世界規模の人流が再開することによるリスクもあります。感染症は新型コロナウイルスに限ったものではありません。特に懸念されるのは、麻しんや風しんなどの再流行です。中野区では、子どものMRワクチン接種率は高い水準を保っており、コロナ禍でも接種率も高く維持されています。一方で、男性昭和37年4月2日生まれから昭和54年4月1日生まれが対象の風しん定期予防接種は、接種率が上がらず、今年度クーポンを再送付するに至っています。世界規模の人流に備え、改めて既存のワクチン接種率向上を推進する必要性と、さらなる広報の工夫が必要と考えます。区の見解をお示しください。

 途上国を含めた世界的な収束が見られるまでは、新たな変異株の可能性も否めませんが、ワクチンも接種が進み、日常が戻ってくる日もそう遠くないことが予想されます。改めて新型コロナウイルス感染症対策に関するこの2年半の総括が必要と考えます。東京都は、都内自治体の新型コロナ対策に関する財政的な支援がどのようになっていたか集計をしています。こうしたデータも用いながら、中野区の支援が不足していなかったのか等、検証すべきと考えますがいかがでしょうか。また、保健所体制や全庁応援の在り方の検証も改めて実施すべきと考えます。区の見解をお示しください。

 (4)職員定数および人材育成について伺います。

 施政方針説明の中では、区職員の育成やボトムアップの区政運営の確立について触れられています。まずは職員定数について伺います。

 令和3年1月の総務委員会に職員定数についての報告があり、その報告の中では、令和4年度に条例改正をし、令和5年度から2,100人体制にするとされていました。その報告での今後のスケジュールは、令和3年6月に中野区定数管理計画(案)の策定となっていましたが、いまだに議会には報告されていません。一方で、今年度条例改正をするのであれば、議会に早急に示す必要があります。現在の検討状況はどうなっているのか伺います。

 令和5年度の採用は、既に4月からスタートしています。一方で、定数管理計画はまだ定められておらず、条例も今後提出されるものと思いますが、採用計画と条例の整合性についての区の認識をお示しください。

 定数の上昇要因としては、児童相談所設置に伴う職員の増が100人規模、生活保護、ケースワーカーの増員が将来的に計20人、さらに法改正による定年延長の影響があるとされていました。現在2,000人の定数を100人上昇させるだけでは十分ではないように感じますが、区の見解をお示しください。

 これまでも多くの同僚議員が指摘している、職員の年齢構成についても是正が必要です。定数を増やした影響が、さらに新人職員の増加につながることも懸念しています。これまでも経験者採用を行ってきていますが、年齢構成の是正にまでは至っていません。区としてどのように対応していくのか伺います。

 定数を増やす必要はあると考えますが、一方で業務改善や効率化による適正化も必要です。前区政で民間活力の活用を強力に押し進めてきた中で、民間委託化できる業務はあまりないと予想できますが、民間活力の活用ができないかの検討はさらに進めていく必要もあると考えます。さらに、業務改善や効率化、DX推進により置き換えられるところもあると考えますが、区の見解をお示しください。

 定数の議論と同時に大切なのは人材育成です。区長も、施政方針説明の中でも、「支え、支えられるお互いさまの地域社会とそれを支えるサステナビリティは、区職員の成長なくして、実現は成し得ません」とおっしゃったように、今後の区政運営の中でも人材育成は重要です。今年度から人材育成担当を復活させたことは高く評価しています。喫緊で取り組まなければいけないのは、新庁舎に向けた人材育成です。新庁舎整備では、DX推進を図っていきます。それに伴い、業務改善をさらに進めていく必要もあります。さらにはDX推進室と人材育成の連携が必要です。新庁舎移転に向けたDX推進のための人材育成は、この1、2年が非常に重要です。区としてどのように進めていくのか、見解をお聞かせください。

 さらに、人事の評価について伺います。施政方針説明では、職員の成長を促すため評価の仕組みを工夫しますとおっしゃいましたが、具体的にどのような方策を考えているのか伺います。今年度、人材マネジメントシステムの導入についての予算がついていますが、その運用と同時に適材適所の人材配置のためにも、評価の仕組みが大切と考えます。区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、児童館について伺います。

 令和3年第4回定例会に区は、弥生児童館を閉館、大和西児童館、新井薬師児童館、朝日が丘児童館を学童クラブ施設として転用するため、4児童館を廃止する条例改正案が提案されましたが、賛成少数で否決されました。私たち会派は、一貫して児童館の全廃方針には反対し、一定数の存続を求めてきました。区立で一定数児童館を持つことは、児童館の質の担保にもつながると考えます。児童館は、子どもの遊び場というだけではなく、地域コミュニティの核として非常に重要な施設です。そのための地域のネットワークづくりのための公平性、安定的な事業経営、公共性、継続性から、当面の間、区職員による直営での運営が必要です。一方で、財源に限りのある中では、利用者数も踏まえた適切な施設配置とするべきとの考えは変わりません。条例が否決されてから、区は、今後の児童館運営について検討を行ってきているものと考えます。区長は、6月10日号の都政新報のインタビューでも、今年度中に議案を提案したいと答えています。令和3年第4回定例会における議案の否決により、区は何をどのようにどの程度見直すつもりなのか、そしてそれはいつ示すのか、現在の検討状況と今後のスケジュールについて、区の見解をお示しください。

 区は、キッズ・プラザの設置とともに、近隣児童館の学童クラブを廃止、キッズ・プラザ内に学童クラブを併設してきました。学童クラブがキッズ・プラザへと入った後の児童館の利用実態に変化はあるのでしょうか、伺います。

 区は、条例提案当時は、常勤職員の集約化によって児童館のノウハウの継承をしていくとしていました。今年度は全ての館に常勤職員を配置することができず、会計年度任用職員や人材派遣会社からの職員の派遣を受け運営しています。こうした状況に課題はないのでしょうか伺います。

 廃止するとしていた4館を令和5年度も存続するとなると、より人員確保が困難になるのではないでしょうか。区の見解を伺います。

 さらに、今後の児童館職員の退職状況はどう推移していくのかお示しください。

 賛成討論の中でも申し上げましたが、長期にわたって児童館職員を採用してこなかった歴史から、今後の児童館職員は退職ラッシュになり、早期に集約化を行わなければ、児童館のノウハウの継承ができなくなってしまうことを懸念しています。こうした背景を区としてどう捉えているのか、見解をお聞かせください。

 これまでも、児童館閉館後の跡地の活用については閉館と同時に示すべきと申し上げてきました。地域の核として存在する児童館の閉館後の展開は、地域の大きな課題です。前回の条例提案で閉館が示された4館のうち、弥生児童館は、令和5年度にやよい荘の改修用地としての活用が示されていました。区の検討結果によっては、やよい荘の改修にも影響してきます。やよい荘の改修のための代替施設の検討も進めていく必要も同時に出てきます。早急に結論を出すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 区有施設整備計画のスケジュールでは、令和5年度末に鷺宮児童館と西中野児童館の閉館が示されていました。条例が否決されたことにより、このスケジュールも見直されるのか伺います。この地域では、同時期に鷺宮小学校と西中野小学校が統合新校となる計画です。両館閉館の場合、乳幼児親子の居場所確保は喫緊の課題です。いずれの跡地活用についても、いまだ示されていない状況です。地域の核となる児童館や学校跡施設について活用方法を示さなければ、地域の理解を得るのは難しいとと考えます。跡施設の活用方法を早急に検討する必要があると考えますが、区の見解を伺います。具体的な活用方法が決まらない間は、閉館後も施設の暫定活用を認めるべきです。区の見解をお示しください。

 次に、区有施設の貸付について伺います。

 この項の初めに、本町図書館の暫定貸付けについて伺います。本町図書館は、昨年10月に閉館されてからは閉鎖管理となっていました。昨年10月に策定した区有施設整備計画の中では、「民間施設の誘致をするとされており、児童福祉施設(保育園、児童養護施設など)、介護・障害福祉施設(グループホーム、老人ホームなど)のニーズを踏まえ、誘致を検討します。活用に当たっては子育て支援や地域交流機能の確保を検討します。」とされていました。今年3月の総務委員会に、「旧本町図書館の利活用について」との報告があり、これは、施設の構造上や隣接地との関係において、建て替えるには課題の整理に一定の期間を要するため、当面の間、既存施設の暫定貸付による利活用を行うものであるとの説明でした。区有施設整備計画を定めた直後に暫定活用を図ることが決定され、区有施設整備計画自体の信頼性も揺らぎます。

 閉鎖管理をしていても管理費にコストがかかることも含め、暫定活用することは前向きに捉えていますが、もし暫定活用を促進していくのであれば、まずはその方針を議会に示すべきと考えますがいかがでしょうか。

 現在、区が閉鎖管理をしている施設は、本町図書館以外に複数箇所ありますが、それらも暫定活用を進めていくのか伺います。

 今回の事業者選定方法は、入札ではなくプロポーザルとしましたが、今回の事業者募集には行政目的が定められていない中で、なぜプロポーザルとしたのか伺います。

 さらに、中野区企画提案公募型事業者選定実施要綱の第4条、公募型事業者選定の対象となる案件のいずれにも当てはまるようには読み取れませんが、今回のケースがどれに当てはまるのかお伺いいたします。

 現在、中野区では区有施設を貸付けする際には、中野区行政財産使用料条例及び中野区公有財産規則を根拠規定として貸付料を算定しています。令和4年3月の総務委員会で、これによる貸付料を伺ったところ、本町図書館は年間1,300万円と算定されるとの御答弁でしたが、今回の公募に当たり、区は参考貸付料として年間400万7,000円と定め、参考貸付料以上の金額で事業者の提案を求めることとしています。この金額をどのように算定したのか伺います。

 区有施設の暫定活用を図っていく方針を持ち、行政財産使用料条例に定められている貸付料を逸脱するのであれば、まずは暫定活用をする際の貸付料の算定方法を定め、議会に提示してから公募を開始すべきでした。見解を伺います。

 改めて指摘した箇所を早期に整理し、議会へお示しすべきと考えますがいかがでしょうか。

 今後、中野セントラルパークでの賃借床や、旧商工会館跡施設、中野二丁目や中野サンプラザ跡に再開発によって生まれる権利床に関しても、行政財産使用料条例で定められている貸付料を当てはめることは困難だと総務委員会で答弁されています。事業者の提案を基に貸付料を決定するような方針の権利床もあり、公平性が保たれるのか懸念しています。こうした賃借床や権利床に関しても、近隣相場等を水準とした貸付料の設定が必要であり、考え方を早急に議会に示すべきと考えます。区の見解をお示しください。

 その他の項で1点、がん患者支援について伺います。

 がんは日本人の死亡要因で一番高く、人口の半分ががんに罹患し、3分の1ががんで死亡します。その死亡率を下げるために、国は5大がんの検診等を推進、自治体が検診事業を行っています。また、ワクチンで防げるがんも存在し、今年度4月からはHPVワクチンの積極的勧奨が約9年ぶりに再開されました。こうした一次予防策や二次予防策が非常に重要であり、これからも検診率の向上やワクチン接種率の向上には取り組まなければいけません。一方で、罹患してしまった方々が生活する上で困っている状況を解決することも大切です。前立腺がんや膀胱がんが原因で尿漏れパッド等を使っている方々が、外出先で捨てる場所に困っている状況があります。女性の個室トイレにはサニタリーボックスが設置されていますが、男性トイレにはありません。埼玉県さいたま市や福岡県古賀市では、こうした状況を鑑み、区有施設の男性個室トイレにサニタリーボックスを設置しました。中野区でも同様に、区有施設の男性個室トイレにサニタリーボックスを設置すべきと考えます。区の見解を伺い、私の全ての質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 中村議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、施政方針説明について、投票した方の声についてでございます。選挙活動等の際にも各所で意見を聞く機会がございましたが、区民の皆さんの声は多種多様であり、全ての区民の皆さんの声に耳を傾けていく考えでございます。

 次に、「オール中野」という言葉についてでございます。「オール中野」は、中野区に住む全ての人々や、このまちで働き、学び、活動する人々も含め、中野区に関わる人なら誰でもが参加できる地域社会の理念そのものでございまして、中野区基本構想においても必要な体制として捉えています。選挙活動の中で使用した「オール中野」と施政方針説明で使用した「オール中野」については、特に使い分けていたものではございません。

 次に、地域包括ケア体制の確立についてでございます。これまで支援に結びつかなかったSOSを発信できない人に対しては、民間企業や大学なども含めた産官学協働による支援体制を構築してまいります。さらに、これまでに構築してきた医療・介護などの専門職を中心とする支援ネットワークと地域の見守り支え合いのネットワークを一層強化するとともに、すこやか福祉センターと区民活動センターの体制の見直しを図り、アウトリーチの機能強化と広域活動を推進してまいります。こうした体制を整備することで、中野区地域包括ケア総合アクションプランで達成指標に掲げる、誰一人取り残されることのない支援体制が整っていると思う区民の割合などの目標値を達成してまいります。

 次に、区民の声を区長が傾聴する取組についてでございます。まち・社会・暮らしが大きく変化していく中で、基本構想の実現に向けて実効性のある施策や事業を実施していくためには、区民や団体、事業者の皆さんとの対話が欠かせないものと認識をしております。子育てカフェをはじめ区民の皆さんとのタウンミーティングを充実するなど、区長である私自身が、さらにまちや現場に赴き対話に一層努めてまいります。

 次に、ボトムアップと巻き込み型リーダーシップについての御質問です。これまで区の政策決定におきましては、タウンミーティングなどを通じて区民の意見を聞き、また、職員からの提案や改善運動などを生かしたボトムアップ型の取組を行ってきたところであります。自治体における行政課題や地域課題は多様化・複雑化しており、区民や職員が主体的に関わって協働・協創によって解決していくことが不可欠であります。このため、ボトムアップに加え、参加を促す巻き込み型のリーダーシップを発揮していきたいと考えております。

 次に、未来への責任についての御質問です。区政運営は今期の4年だけでなく、さらにその先の社会の変化や中野のまちの姿を見据えた上で取り組むべきと考えております。子育て先進区をはじめ、地域包括ケアの推進、各地区のまちづくりや環境対策などにおいて、今すぐに対処すべきもの、未来に向けて基盤を整えていくもの、この両方の視点に立ちながら区政運営を行い、未来への責任を果たしてまいります。

 次に、新たな財政運営の考え方を示す時期についてでございます。新たな財政運営の考え方につきましては、今定例会で案を示して議会の意見を伺い、8月下旬には新たな考え方を確立させ、9月からの令和5年度予算編成は新たな考え方により進めていきます。

 次に、財政的な非常事態の認識についてでございます。令和3年度決算の速報値は、当初予算編成時より歳入が上振れの状況でございまして、令和4年度予算における一般財源の状況も、令和2年度予算よりも増加しているということから、令和2年第3回定例会の行政報告において示した財政的な非常事態と言わざるを得ないという状況からは脱しているものと捉えております。しかしながら、いまだ収束が見込めない新型コロナウイルス感染症や緊迫する世界情勢等によって、日本経済はもとより世界経済は先行き不透明な状況が続いているということから、引き続き緊張感を持って財政運営に当たる必要があると考えております。

 続きまして、予算編成の規模等の基準についてでございます。令和4年度予算編成をもちまして基準となる一般財源規模は廃止をし、規模等の基準につきましては、予算編成開始時における歳入一般財源の見込額を一般財源充当事業費の目標額とし、歳出削減に努め、予算編成を進める考えであります。この一般財源充当事業費につきましては、あらかじめ各基金の目標積立額を含めるものとして、将来の財政需要を想定した基金残高の確保に努めていく考えであります。

 財政調整基金年度間調整分の残高についてでございます。いまだ収束が見込めない新型コロナウイルス感染症や緊迫する世界情勢等によって、日本経済はもとより世界経済は先行き不透明な状況が続いております。どのような状況においても区民サービスを滞ることなく推進していくためには、将来世代の負担にならないよう基金残高を意識し、財政的な余力を持って財政運営を進める必要があると考えております。こうした認識を踏まえて、新たな財政運営の考え方においては財政調整基金年度間調整分について、年度末残高200億円を確保し、単年度50億円、3年で150億円の残高に、さらに余力を持たせていく考えであります。

 続きまして、円安の区財政への影響についてでございます。円安は、一般的に海外から物やサービスを調達する際に影響が出るとされ、食料やエネルギー資源などの多くを輸入に頼っている日本においては、材料費の高騰による製造コストの増加や光熱費の増加などが想定されます。現時点において一般財源への影響は予見はできませんが、区が実施している各種事業の経費が増となっていくことも想定されることから、適時適切に対応できるよう状況について注視してまいります。

 次に、ワクチン4回目接種の対象者への周知でございます。新型コロナウイルスワクチンの4回目接種の対象者のうち、基礎疾患等により重症化リスクの高い方には、接種券の交付申請をしていただくよう、区報、ホームページ、SNSでの周知のほか、中野区医師会を通じて各医療機関での周知を行っております。今後も必要な方に情報が行き渡るよう工夫してまいります。

 次に、間違え接種を防ぐための医師会との連携でございます。新型コロナウイルスワクチンについては取扱いの異なるワクチンの種類が増えておりまして、間違え接種の防止は重要な課題であります。これまでも時間や場所を分けることで間違え接種の防止を図っておりますが、医師会等は各医療機関への情報提供と併せて、随時情報の交換及び共有を行っておりますので、今後も連携に力を入れてまいります。

 次に、政府のマスクの着用に関する見解と対応状況についてでございます。マスクの着用は、新型コロナウイルス感染症における感染症対策の基本であります。ただし、国は夏季について熱中症防止の観点から、屋外の着用の必要はない場面においてはマスクを外すことを推奨しております。熱中症予防策としては、暑さを避ける、体を涼しくする、水分の補給を行うことが重要でありまして、併せてマスクの着脱については、国のマスク着用の考え方に基づき分かりやすい周知に努めてまいります。

 次に、既存のワクチン接種率向上の推進についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、基本的な感染対策が行われている現状から、麻しん、風しんなどの発生件数は低い水準で推移をしております。また、麻しん、風しんを含めた小児における定期予防接種の接種率は高い水準を維持できております。45歳から59歳の男性を対象とした風しんの予防接種は、抗体保有率を90%に引き上げるという目標を下回る現状を考慮して、改めて該当者に通知したところでありますが、広報の工夫などによって、さらなる接種率の向上を図ってまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策に関する検証についてでございます。今般の新型コロナウイルス感染症におきましては、今まで経験したことのない様々な対応を即時に行っていくことが必要でありました。また、実施した各対応についても、適切であったか、見直しが必要な事項はなかったかなども振り返り考えていくことが重要です。今後の危機に迅速に対応し、区民生活を安全・安心に維持していくために、国や都の政策、動向などを踏まえて、各所管部と連携をして、今般の新型コロナウイルス感染症に関する検証について適切に進めてまいります。

 次に、職員定数の管理計画の策定状況でございます。職員定数管理計画は、個別事業の具体化に向けた検討状況を見ながら、これまで策定に向けた作業を継続して進めてきたところでありますが、雇用と年金の接続に関わる制度変更等によって、令和5年度には条例上の定数2,000人を超える見込みであります。本年度中の条例改正が必要であって、本定例会において職員定数管理計画の考え方を示す予定であります。8月に計画案を示して、9月に計画を取りまとめ、それに基づき職員定数条例の改正を提案する予定でございます。

 次に、定数条例改正と採用活動の関係でございます。現在の職員数の想定では、定年延長や雇用と年金の接続に係る制度変更に伴い、定数にカウントされる60歳を超える職員の数が増加することが予想されておりまして、今年度中の条例改正が必要となります。今後の政策の方向性を見定めた上で、来年度の必要職員数を策定しなければならないことから、第3回定例会での条例改正が適切であると考えております。令和5年度における実際の採用数につきましては、その後、必要に応じて採用人数の増減を調整して確定します。

 次に、条例上の職員定数の考え方でございます。構造改革実行プログラムで課題とされている児童館等の施設の在り方について、内容の具体化に併せて職員定数管理計画に反映させていきたいと考えております。その際には、施策の優先順位を見極めた上で、職員総数及び人件費を管理、統制しながら、2,100人の範囲内で適切な職員配置を行い、安定した組織体制を築いていけると考えております。

 次に、いびつな職員年齢構成の是正策でございます。これまでも経験者採用を活用してきたことによって、年齢構成の適正化には一定程度寄与しておりまして、また、数年前の採用試験の受験資格の年齢要件が緩和されたことに伴って、採用者の平均年齢は上昇している状況です。今年度の採用試験では、さらに経験者採用の枠を拡大することを考えておりまして、状況を見ながらこの採用方針を継続、拡大していくことで、年齢構成のいびつさを徐々に解消させていきたいと考えております。

 続きまして、DX推進に伴う業務効率化と職員数の適正化です。引き続き民間活力の活用を進めるとともに、DXの推進に併せて仕事の進め方を変えていくことで、行政手続のオンライン化の強化やAI・RPAの本格活用、導入を図るなど、業務の効率化、組織の合理化を進めながら、人員の適正配置を進めていきたいと考えております。

 続きまして、DX推進に併せた人材育成です。DXの推進に当たりましては、情報システム課においてデジタルツールやシステムインフラを整備し、職員課において人事制度や運用ルールの変更、人材育成の取組など、部署間の役割分担、連携を強化しながら進めております。統合型GISやテレワークシステムといった新たに導入されるツールを活用しながら、管理監督者を中心とした意識改革、職員全体のICTスキルやリテラシーの向上、働き方や仕事の進め方、考え方の変革など、新区役所の移転に向け、またその後も含めて職員の育成を継続的に進めていきます。

 次に、職員評価の仕組みの在り方でございます。職員評価は、目標管理の仕組みを通じて職員の指導、育成、モチベーションの維持向上、キャリアデザインの構築など、様々な人事施策に影響、関連するものであり、評価制度の仕組みや評価者の育成について不断の改善を続ける必要があると考えております。具体的な評価の在り方につきましては、今後継続的に検討していくことになりますが、導入予定の人材マネジメントシステムを活用することによって、評価結果を適正配置や人材育成等につなげていく仕組みを構築できると考えておりまして、それに合った評価の仕組みを検討してまいります。

 次に、児童館についてで、条例否決による見直しの状況についてでございます。令和5年度以降の児童館の事業内容や施設配置、運営方法について現在検討しているところでありまして、検討の内容はできるだけ早期に示していきたいと考えております。

 次に、利用実態の変化についてでございます。学童クラブが配置された児童館では、児童館の小学校低学年の利用が大きく減少する一方で、乳幼児親子の利用が増加し、小学校高学年や中学生の利用が微増しております。

 令和4年度の運営の課題についてでございます。会計年度任用職員につきましては、勤務時間の上限が週31時間であり、常勤職員と勤務時間数において差があるという課題がありまして、館の職員体制を工夫し運営をしております。

 また、会計年度任用職員の活用や人材派遣を前提とした体制では、子どもの成長支援や子育てに関する相談対応、関係機関との連携等、児童館職員がこれまで担ってきた役割を十分には果たせなくなるものと認識をしております。

 児童館職員の退職の状況についてでございます。現在の職員の定年退職年や再任用終了年から推計した場合、令和4年度末には2名、令和5年度末には7名、令和6年度末には7名、令和7年度末には5名と、今後4年間で合計21名が退職する想定でございます。なお、これは職員が再任用を65歳まで続けた場合の推計でございまして、実際には早期退職等もあって、人員の確保は難しいものと考えております。

 次に、職員の役割の継承と児童館の集約化についてでございます。職員の大量退職が想定される中、これまで児童館職員が担ってきた役割を継承していくことは大変重要な課題であると認識しております。現在の職員配置では新たな事業展開は困難であり、児童館機能を集約し、体制を強化していきたいと考えております。

 次に、やよい荘の改修について。やよい荘の改修に伴う代替施設として建物の立地や規模等の条件に合うのは弥生児童館と考えておりまして、候補であることは変わっておりません。やよい荘の改修や利用者への影響を極力抑えるためにも、児童館の在り方や代替設備以降の活用の方向性を早急に示す必要があり、検討を進めております。

 次に、鷺宮児童館及び西中野児童館の閉館についてでございます。区有施設整備計画に基づいて令和6年度に鷺宮小学校、西中野小学校の統合新校内にキッズ・プラザを開設する予定でございまして、現時点では令和5年度末で鷺宮児童館及び西中野児童館を閉館する考えでございます。

 最後に、閉館した場合の児童館の活用方法についてでございます。児童館を閉館した場合、主に乳幼児親子の居場所や交流の場の確保が課題となっておりまして、子育てひろばの展開と併せて検討していく必要があると認識をしております。閉館を検討している児童館の活用につきましては、利用者の声を聞き、子育てサービスなどのニーズを把握した上で、早急に検討を進めてまいる考えでございます。

〔企画部長石井大輔登壇〕

○企画部長(石井大輔) 私からは、区有施設の貸付けについての質問についてお答えいたします。

 まず、暫定活用についてでございます。令和3年10月に策定した中野区区有施設整備計画では、資産の有効活用として、相当期間空くことが見込まれ、施設の安全性が確保できる場合、支障のない範囲で別用途として暫定貸付けをしていく考え方を示しているところでございます。その上で、令和4年第1回定例会におきまして、旧本町図書館の暫定活用を行う旨を報告したところでございます。

 次に、閉鎖管理施設の暫定活用についてでございます。現在、閉鎖管理している旧本町図書館以外の施設につきましても、個々の施設の状況等を踏まえた上で暫定活用を検討してまいります。

 次に、プロポーザル方式による事業者の選定でございます。旧本町図書館の暫定貸付けに当たりましては、応募者が提案する貸付料だけではなく、応募者の相手方の適格性、信頼性、地域貢献等を総合的に判断する必要があるため、公募型事業者選定により貸付けの優先交渉権者を決定することとしたものでございます。今回のケースは、企画提案公募型事業者選定実施要綱第4条第3号の競争入札の方法では、契約の相手方を選定することが困難であると認められる業務に該当しまして、同要綱第3条第2号に定める部長に契約締結権限が委任されている契約に該当するため、同条の規定に基づき企画提案公募型事業者選定を実施する手続を募集要項として定めたものでございます。

 次に、暫定貸付けの参考貸付料の設定でございます。旧本町図書館の暫定貸付けの参考貸付料につきましては、施設の状態や貸付け条件等を勘案し、民間において貸付けを行う場合の必要経費の一部となる土地・建物の固定資産税及び都市計画税相当額を試算して、応募者の貸付料の提案の最低価格として設定をしたものでございます。

 次に、暫定貸付けの貸付料手順等についてでございます。貸付料は、公有財産規則第33条第1項本文において、適正な時価をもって定めることとしております。旧本町図書館の貸付けは、企画提案公募型事業者選定の方式により貸付額の提案を基本に総合的な評価を行うこととしておりまして、競争性が働いていることから、公有財産規則等に適合するものと考えております。

 また、旧本町図書館の貸付けにつきましては既に公募を開始しているところでございまして、公募の状況につきましては、本定例会中の総務委員会におきまして報告をする予定でございます。

 最後に、賃借床、権利床の貸付料の設定についてでございます。今後、未利用施設の利活用や権利床の所有など、これまで経験のない貸付け案件が増えていくことを見込んでおりまして、貸付料設定の考え方を含め、普通財産の利活用に係る指針が必要であると認識してございます。現在進行中の事例を整理しながら指針を取りまとめ、議会に示してまいります。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、がん患者支援、男性用トイレのサニタリーボックス設置についてお答えをいたします。

 前立腺がんや膀胱がん等の病気が原因で、尿漏れパッド等を使用している方がいることは認識をしております。処分するためには、多機能トイレを利用しているのではないかというふうに考えているところでございます。今後、比較的来庁者の多い区役所本庁舎の1階から3階のエレベーターホール前の男性用トイレにサニタリーボックスを試行的に設置をいたしまして、その利用状況を踏まえ設置の必要性について検討をしてまいります。

○議長(内川和久) 以上で中村延子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 かずちか

 1 施政方針説明について

 2 スポーツ振興施策のあり方について

  (1)スポーツ振興における地域資源の活用について

  (2)中野ランニングフェスタへの区の支援について

  (3)その他

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、高橋かずちか議員。

[1]高橋かずちか議員登壇

○23番(高橋かずちか) 令和4年第2回定例会に当たりまして、自由民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。質問内容は通告のとおりであります。

 まず初めに、施政方針説明について伺います。

 教育の充実について。人間形成において全ての基本となるものであり、自治体の役割は本人にとっても、地域社会にとっても非常に重要で大切なものであります。未来を担う子どもたちの将来の活動の全ての基礎となる教育の充実について、あまり多く語られていないことにびっくりいたしました。そこで、教育の充実という視点で幾つかお聞きします。

 まず、ICT教育の取組について。区長は、学校教育に関しては唯一、ICTについて述べられておりますので、そのことについてお聞きします。

 ネットワーク環境や機材などを充実させ、子どもたちのインターネットリテラシーを高める取組を進めるとしていますが、学校におけるICT化については、政府を挙げて取組が進められているGIGAスクール構想が、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、構想実現に向けた準備が前倒しで進められてきた経緯があります。中野区の教育現場では、コロナ禍の中、なかなか実現に向けて混乱があったようですけれども、令和3年4月に中野区教育の情報化推進計画を策定し、教育の現場で展開してきたと思っております。中野区は、この1年間で、中野区教育の情報化推進計画に沿って、教育の現場では実際どのようにICTの活用を進めてきたのか、現在の進捗状況を伺います。

 ただ、ICT教育は、新しいスタイルの教育方法であり、実際に取り組んでいく中で、多くの課題もあったと考えます。そこでお聞きします。ハード整備はおおむね順調に進んできたと考えることができますが、指導する側、教員側の資質、ITリテラシーの向上とスキルアップの方策はどのように進めてきたのでしょうか。また、ICT教育において、主体的に考える力や協働的に学ぶ力などを身につけた次世代の人材をどのように育成しているのかを伺います。

 この新たな取組について、受ける側の子どもたちはどのように受けとめているのかが非常に気になるところであります。学校におけるICT活用について、当事者である児童・生徒はどのようなことを課題と感じているのか、また、保護者からはどのような意見が寄せられているのでしょうか。教育委員会として調査しているのでしょうか。また、実際どのように捉えているのかお示しください。

 海外での、特に中国におけるICTを活用した教育の充実は驚くべき進歩と、また資金投入が見られます。国の体制に違いがあると認識していますが、将来AIを活用した教育の現場が想像できます。そこで、国の動きに関連したことについてお聞きします。

 今年4月に、文部科学省の専門家会議が、学校教育情報化推進計画案を策定して、学校教育での情報化の推進について、今後の施策の方向性を示しました。国が新たに示した学校教育情報化推進計画を受けて、今後の環境整備への取組や中野区教育の情報化推進計画の見直し等はどのように取り組まれていく予定なのかお聞きします。

 未来を生きる中野区の子どもたちに、デジタルデバイドを発生させることなく、教育の質と環境を担保していくことは極めて重要であると考えております。学校教育の情報化をさらに前に進め、誰一人取り残すことのない、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を期待しています。

 最後に区長にお聞きしたいと思います。子育て先進区として今後4年間で、学校教育の情報化をどのように支援していくつもりなのかお示しください。

 次に、幼児教育について。区長は、子育て先進区を標榜しながら、幼児教育の充実については全く触れておりませんでした。幼児教育の必要性と幼児教育の充実についてどのようにお考えか、また、これからの4年間でどのよう進めていかれるおつもりなのかをお聞きします。

 また、これまで我が会派は、幼児教育の重要性と、これまで区と幼児教育の進展に取り組まれてきた私立幼稚園に対する支援については、幾度となく求めてきた経緯があります。このような経緯の中で区は、私立幼稚園に対して、研究活動や研修経費などへの補助を行っていますけれども、閉園する幼稚園もあると聞いています。少子化による園児数の減少など社会情勢に伴うことであるかもしれませんが、これまで区とともに幼児教育の推進に取り組まれてきた私立幼稚園のこのような状況と私立幼稚園における幼児教育の重要性について、区はどのような認識を持っているのでしょうか。また、私立幼稚園への支援については今後どのように考えているのか、区の見解をお示しください。

 地域開放型学校図書館についてお聞きします。子どもたちの読書習慣の向上に向けての環境整備に関しては、学校図書館や区立図書館の蔵書について述べられていますが、地域開放型学校図書館については触れられておりませんでした。区は、乳幼児親子や小中学生への身近で良好な読書環境と居場所を提供するということ、小学校区にて区立図書館蔵書の貸出・返却を行えるということで、全区民にとって利便性が向上されるとして設置されたというふうに認識しております。

 地域活動や交流の拠点としても活用が可能であるこの地域開放型学校図書館については、今年度4月に新校舎が開校した令和小学校については開設が見送られておりますけれども、その理由はなぜか、改めて確認をいたします。

 地域開放型学校図書館が担う機能、役割を改めてお示しください。

 現在、3施設が開設しておりますけれども、議会報告では、利用者アンケートによる分析結果などを踏まえ、利用人数に関して小規模の図書館として一定の成果があり、乳幼児親子や小学生への貸出しに関しては十分に効果が発揮されたとしています。こうしたことからも、今後の整備検討に際しては、乳幼児親子や小学生、また高齢者や障害者の方々に身近に利用できる小規模でもサービスとしての配置が望ましいと考えますが、今後の整備については、令和5年度末に配置の在り方を策定するとしております。計画を策定してから実際に整備されるまで、さらに年月がかかることを考えますと、もっとスピード感を持って進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、地域開放型学校図書館については、今後、具体的な整備計画を持って取り組むべきと考えますが、どのような計画を持って整備をする方針か。学校の校舎改築が計画されている中で、その中で整備していくことを検討すべきと考えますが、改めて確認をいたします。

 次に、中野駅周辺まちづくりの中野駅新北口駅前エリアの再整備についてお聞きします。施政方針説明では、2029年竣工を目指して進めている、この2行しか述べられておりません。その他、文化芸術の発信拠点として整備するというところでも、2行程度の記述になっております。「中野駅新北口駅前エリア」、「シンボルタワー」、「多目的ホール」と、そのキーワードと単語だけが記されている状況となっていました。警察大学校移転構想をきっかけに脈々と続くまちづくりの流れを、区が地域発展と区政進展、また区民のために取り組み、グランドデザインVer.3、そしてその後のまちづくり方針、さらには再整備事業計画を策定して進めてきた経緯があります。

 数ある国内アリーナの中で、優位性のある駅直近のグレードの高い恒久施設としての大規模アリーナ、都心と郊外をつなぐ東京西部都市圏の新たなシンボルとなる景観形成、都庁を超える中野のシンボル・顔となるランドマーク、地元と取り組むこれまでにないエリアマネジメント。都心の一等地で進められている開発と勝負するつもりはもちろんありませんが、東京全体を見たときには、都心と多摩地域を結ぶ結節点である中野、駅前直結の東京を代表する世界に誇れるプロジェクトであると私は思いますし、そのように成功させなくてはいけないと強く思っているところであります。

 総事業費1,800億円を超えるビッグプロジェクトに、そこに再開発の権利者として中野区が関わっているわけです。その自治体の長が、その単語を並べるだけの、その何の熱い思いや意気込み、また、まちづくりに関する区長の理念、情熱、覚悟というものが全く感じられないのは驚きでもあり、残念でなりません。本来、区長自らが先頭に立って、こうした理念や開発意義を、区民・区政を意識したまちづくりのゴールを示し、先頭に立って取り組んでいくべきで、施設概要の説明をすることが役割ではないと考えております。

 そこでお聞きいたします。このプロジェクトは何のために開発をするのか。区が目指す開発の理念は何なのかをお示しください。

 当該プロジェクトのまちづくりとしてのゴールは何なのでしょうか。また、それが中野駅周辺まちづくりにどのような影響、効果をもたらすのか。また、そこで区長は何をすべきと考えているのか教えてください。

 また、整備の完了後、5年、10年、そして20年、30年後と、どのようなまちの姿をイメージしているのかお示しください。そして、中野区が進めるほかの地域でのまちづくりに対して、どのようなそのプラス効果があるのかを教えてください。

 次に、権利床の考え方について伺います。本年3月14日の総務委員会において、中野駅新北口駅前エリアの再整備についての報告で、権利床活用の検討に関してある上位指針が示されております。それによると、昨年10月に策定された中野区区有施設整備計画では、権利床について、民間事業者への貸付けなど、行政サービスの財源確保を目的とした資産の有効活用を図るものとしていると示されております。計画施設用途構成から、事務所、高層棟最上階、低層部商業空間を想定し、検討中とのことでありますが、それぞれの収益性や施設マネジメントの評価についても示されました。収益の最大化という観点からすれば、事務所、オフィス床を取るということになるのでしょうが、果たして区の資産活用として、収益の最大化だけが目的となってよいのでしょうか。もちろんそこで得た収益をほかの区民サービスに充当するという考え方は分かりますが、恐らくオフィス床を取ったところで、区の意思を反映させることはできないと考えております。不動産業は区の本業ではないからであります。さきの本会議一般質問において、我が会派の大内議員からも、権利床の活用においては、区民にとっての利益を主眼に、区民が楽しく利用できる施設のために区が政策的観点から活用を考えるべきとただしています。中野区区有施設整備計画の権利床の活用等での記述では、同時に、中野駅至近の利便性を生かした区民サービスの向上に資する活用方法も視野に入れ検討を行うとも述べています。

 そこで、改めて権利床の活用についてお聞きします。当該計画での権利床の活用については、財源確保を目的とした資産の有効活用を図るという方針に加えて、区民サービスの向上と区の施策実現に資する活用とすべきと考えますが、区の見解を教えてください。

 区民サービスの向上に資するということは、区民が直接開発による果実を受け取る、つまりプロジェクトの完成を喜び楽しんで誇りに思ってもらうことが必要だと考えます。つまり、直接施設を利用してもらうことが一番であり、それには景観を遮られることのない高さ250メートルである高層棟最上階での展望ロビーや展望レストランなどの展望エリアを利用してもらえる施設整備をすることが必要ではないでしょうか。こうした政策的観点から権利床活用を考えてはいかがでしょうか。

 区長は当該プロジェクトについて、現在の中野サンプラザのDNAを引き継ぐ、サンプラザのレガシーを残すとおっしゃっています。現在の中野サンプラザにおいて、区民が自ら直接利用、活用している施設の中で、新たに出来るサンプラザシティに引き継ぐことのできる施設は、最上階の展望レストランしかありません。それを実現することこそが、区長のおっしゃる中野サンプラザのレガシー、DNAを引き継ぐことになるのではないでしょうか、見解をお示しください。

 区の施策展開ということであれば、オフィス床で財源確保をしつつ、区の政策目的実現のために高層棟最上階の展望エリアとしての活用や、子育て関連施設やインキュベーションセンターやスタートアップ支援、低層階での区民が利用できる小ホール、規模の小さなバンケット、会議室など、区民の利益となる活用方法を展開すべきと考えます。多目的ホールを民設民営に導いた点は評価いたしますが、そもそも多目的ホールも区民がふだんから利用する施設ではありません。今挙げたこれらの施設は、民間では採算が合わない。全て民間にということで可能であればよいですが、施設の条件もあるでしょうから、全部とは言わないけれども、区が所有しているということからこそ手ごろな料金設定もでき、区民にとって愛着が増す施設になるのではないかと考えます。

 このプロジェクトを必ず成功させなければならないと考えております。それが区民の利益につながります。また、区にとっての利益とはお金だけではないはずであります。区民への最大の価値の提供であり、これこそ未来への責任を果たすことではないかと思います。現在のサンプラザのように、所有と経営を分離すればリスクを抑えることができるはずであります。権利床の活用の考え方をいま一度見直すべきと考えますが、見解をお示しください。

 構造改革及びDX推進に伴う人事・組織についてお聞きします。構造改革実行プログラムでは、施策、施設、組織の三つの再編を柱としていますが、DXを推進するに当たって特に重要となるのは組織の再編であると考えております。しかし、これまで区が示してきた構造改革実行プログラムにおける組織再編とDX推進の考え方については、ICTを活用した業務の効率化や省力化、それによる職員配置の見直しを図るというレベルにとどまっており、人事・組織構造の変革にまで踏み込めていないのは明らかであります。これでは構造改革ではなく、単なる業務改善ではないでしょうか。DX推進の本質は、業務のICT化ではなく、仕事や組織そのものを変革していくものであり、そのためのツールとしてデジタルを活用していくというものにあると思います。この仕事の考え方やそのための組織の在り方を変革することこそが構造計画ではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。

 新区役所への移転を区のDX元年とする2024年までには、もうまさにその2024年は目の前に迫っています。DXを推進する前提として、またそれを実現したその先に、区の人事・組織構造や仕事の在り方をどのように変革すべきと考えているか、区の見解をお示しください。

 持続可能な区政運営についてお聞きします。施政方針説明の持続可能な区政運営の確立において、区が構造改革を行っているのはサステナビリティのためだと述べていますが、令和4年度予算では、施設更新など今後重くのしかかる財政負担への対処は見られず、経営資源の集中ではなく、あらゆる事業への財産投入など、持続可能性は全く感じられておりません。令和3年度予算については、編成当初の令和2年度予算からの削減目標額57億円に対して、削減額は一般財源充当事業費で8億円でありました。令和4年度予算については、令和3年度予算からの削減目標は、編成当初目標額49億円に対して、実績はプラスの25億円となっています。

 財政計画への危惧として、歳出を一例に挙げれば、一般事業費については、構造改革実行プログラム・歳出削減実行中にもかかわらず、令和4年度、新規拡充、新規推進事業によって、その後続く経常経費約20億円が財政を圧迫し、令和5年度以降、当該新規事業による経常経費が20億円増加するのに、財政計画には反映されていません。

 また、構造改革にしても、構造改革実行プログラムに基づく財政効果として、経費削減、歳入確保、人件費と三つの効果をうたっているものの、令和4年度7,016億円、令和5年度2,492億円と、2年間で1億円に満たない効果しか出せておりません。

 そこで、お聞きいたします。構造改革を進めることによって、どうサステナビリティを確立させていくのでしょうか。

 今年の第1回定例会において、令和4年度予算編成時における区が示した財政フレームは甘い見通しだと我が会派は指摘してきました。歳入では30億円程度過大であると考えています。ロシアによるウクライナ侵攻により、原油や穀物などの物価高騰が止まらない状況において、厳しい歳入の見通しも想定されます。今後の歳入状況はどのような見通しを持っているのかお示しください。

 また、この持続可能な区政運営の確立の項目の中で、新たな財政運営方法を確立してまいりますということがありました。これまでの財政運営方法のどこに課題があると認識し、それを具体的にどのように変えていこうとしているのかお示しください。

 施政方針説明について幾つか伺ってまいりましたけれども、全体を通して、田中区政時代に進めてきた施策の果実を述べているところが散見されたり、取り組むべき重要事項についての明確な姿勢が感じられなかったり、数値目標が示されずスケジュール感のないものであったり、こうしたものを感じました。

 今後の施策立案や事業執行や検証、PDCAの実践について、ぜひとも組織を動かし、組織間調整を緊密に行うことで機能する行政運営、行政展開を望むものであります。組織を使い、生かすことで、区として総合的な知見が結集でき、瑕疵を未然に防ぐと同時に、優秀な職員の能力を最大化することができ、人材育成にも効果が見込め、結果、区政の進展と区民の利益につながると考えています。

 以上申し上げ、この項を終了いたします。

 次に、スポーツ振興施策について伺います。

 スポーツ振興における地域資源の活用についてお聞きします。先般、スポーツ庁が設置した運動部活動の地域移行に関する検討会議から提言が提出されました。学校における運動部活動においては、深刻な少子化の中、生徒数の減少が加速している。競技経験のない教師が指導せざるをえなかったり、休日も含めた運動部活動の指導が求められるなど、教師にとっての負担が発生している。地域スポーツ団体や指導者との連携が十分取れていないなど課題がクローズアップされています。こうしたことを背景に、国の提言では、令和5年度から令和7年度を目途に、3年をかけて、休日の運動部活動から段階的に地域移行していく考え方が打ち出されています。今後、国において、これらを踏まえ、さらに具体的な施策が打ち出されるものと受け止めていますが、これに関連して中野区での現状はどのようになっているのかお聞きします。

 まず、区立中学校の運動部活動の現状はどうなっているのか、部活動の活動実績やクラブの種目や数は生徒のニーズに沿った内容となっているのか、現在の課題はどうなのかをお聞きします。

 また、地域移行を図る上で、生徒や保護者の意向を確認する必要があると考えますが、どうお考えでしょうか。

 次に、今回の提言では、地域移行の受皿として総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、クラブチームなど民間事業者なども含めて、また保護者会や同窓会、複数の学校運動部が統合して設立する団体など、学校と関係する組織団体も想定しています。さらに、指導を希望する教師の兼職・兼業の運用についても言及しているところです。

 そこでお聞きします。区内の学校は、PTAをはじめ地域の様々な方々との良好な関わりの中で安定した運営を図っており、地域移行に当たっては、個々の学校の置かれている地域の実情に合った対応を求められていると考えますが、対応方針は学校ごとにつくるのかお聞きします。

 また、文化系の部活動への対応も考えなくてはいけません。これらの対応についてどのように考えているのか併せて伺います。

 また、受皿となる地域資源についてお聞きをいたします。総合型地域スポーツクラブは、子どもから高齢者まで、様々なスポーツを愛好する人々が、初心者からトップレベルまで、それぞれの志向、レベルに合わせて参加できる、多世代、多種目、多志向を基本理念としていますが、現在の運営状況はどのようになっているのか伺います。

 また、同条例では、地域スポーツクラブの事業として学校部活動の支援をうたっていますが、これまでの取組状況を教えてください。

 今後、運動部活動の地域移行の受皿の一つとして期待されることとなりますが、これに対してどのような手立てを講じるのか教えてください。

 次に、2番目として、ランニングフェスタへの区の支援について伺います。

 御承知のとおり、中野ランニングフェスタは、区内経済団体を中心とした実行委員会により平成26年から開催されてきました。子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方々が参加できる大会として、広く区民に親しまれた一大スポーツイベントとなっております。ここ数年は新型コロナウイルス感染症の影響により開催できませんでしたが、中野区議会のスポーツ議員連盟においても、当初から本会の趣旨に賛同し、多くの議員が選手として出場してきたところであります。

 2019年の実績では、親子参加、区内小・中学校より生徒や生徒と教員混合参加、特別学級の生徒さんや障害をお持ちの方々など4,800名を超える参加者があり、その中で最年少者は3歳、最年長者は85歳でありました。そして総来場者数は3万人となっています。こうした参加者の実績についてどのように認識しているのか伺います。

 また、スポーツを通しての健康増進の観点、健常者と障害者が垣根を越えて一緒に楽しむソーシャルインクルージョンを民間実行委員会主催の大会ではありますが、区としてどのように認識しているのでしょうか。

 主催者側からは、来年こそ区民の期待に応え開催できないか検討しているところということであります。ただ、有力なスポンサー企業が区外に転出したことなどにより運営体制が弱体化しており、区に支援を求める声が上がっているとも聞いています。区は、これまで後援の形で関わってきましたが、区民のスポーツの振興や教育の観点、ソーシャルインクルージョンの観点をはじめ、大会を通じた区民交流の活性化などに大いに貢献する本大会が今後も継続して開催できるよう、区として実行委員会の主体性を尊重しつつ、財政負担を含む支援策を講じるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋かずちか議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、最初に教育の充実についてで、学校教育の情報化についてでございます。さらなる人口減少やデジタルトランスフォーメーションなど、変動性が高く将来の予測が困難なこれからの地域社会に対応するためには、子どもたち一人ひとりの情報活用能力や国際社会で活躍できる能力を伸ばしていくことが必要と考えております。子育て先進区の取組を推進していく中で学校教育の情報化は大変重要であり、区長として教育委員会の取組を全面的に支援していく考えでございます。

 次に、幼児教育の方向性についてでございます。幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでございまして、公立・私立保育園、幼稚園を問わず、幼児教育の充実について取り組んでいく考えでございます。

 次に、私立幼稚園における幼児教育の重要性と園への支援についてでございます。私立幼稚園は、それぞれの理念と経営方針に基づき特色のある幼児教育を実施されており、中野区の幼児教育に大変重要な役割を担っていただいていると考えております。また、園児数の減少によって、今年3月に閉園した幼稚園や今後閉園を考えている園もあることは認識をしております。区は、これまでも私立幼稚園における幼児教育について、研修や研究活動への補助のほか、支援を要する幼児の受入れや教育時間終了後の預かり保育などに対する支援も行ってきているところでございまして、今後も継続して支援を行っていく考えでございます。

 次に、中野駅周辺まちづくりについてで、初めに新北口駅前エリア再整備の理念及び効果についてでございます。新北口駅前エリアの再整備は、中野駅周辺まちづくりの要でございます。国際競争力強化、地域経済の発展、回遊性の向上、防災性の強化を実現し、中野区を持続可能なまちへと牽引する最大のプロジェクトであると考えております。中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3では、目指すべき将来像として、東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点を掲げ、その実現に向け各地区でまちづくり事業が進んでおります。新北口駅前エリア再整備は、中野駅周辺まちづくりの効果をつなぎ、発展させる集大成でございます。中野の未来を築く責任者として再整備を着実に進めることで、安全・安心で活力に満ち、区民が愛着と誇りを持てるまちづくりを実現してまいります。

 次に、新北口駅前エリアの再整備完了後のイメージ、効果についてでございます。新北口駅前エリア再整備を含む現在進行中の各地区まちづくりは、おおむね今後3年から8年の間に完了する見込みであります。整備完了後には、中野駅周辺一帯がユニバーサルデザインに配慮された歩行者ネットワークでつながり、人々は様々なイベント、活動を楽しみ、多様な人、文化、産業、情報が集積をし、国内外へと発信をされています。また、まちづくりによって生み出された緑豊かな空間は人々に潤いを与え、まち全体の防災性も高まっております。このように、中野駅周辺は年数を経るごとに持続可能な都市の成長モデルとして成熟をし、エリアマネジメントによる取組と併せて継続的に付加価値の高まるまちをイメージをしております。こうした中野駅周辺の姿を通じ、区民がまちづくりがもたらす効果を実感し、中野区のほかの地域においてもまちづくり機運が高まり、プラスの相乗効果が期待できると考えております。

 続きまして、権利床の活用についてでございます。新北口駅前エリア拠点施設整備の権利床については、財源確保に加えて、財産の有効活用や公益性の観点から最適な運用となるよう検討しているところでございます。

 続きまして、拠点施設、最上階への展望レストランの設置についてでございます。新北口駅前エリアの拠点施設整備に当たりましては、拠点施設整備のコンセプトとして、中野サンプラザのDNAを継承した新たなシンボル拠点を創るとしておりまして、多目的ホールだけではなく、人々の交流の場などの継承についても区として必要なことと考えております。最上階について、施工予定者からは展望広場、展望ロビー、店舗等が提案されておりまして、拠点施設に対する区民意見を踏まえると、区としては展望レストランを設置することで、より区民に愛される施設になると考えております。この最上階の在り方について、施工予定者との協議を進めてまいります。

 次に、権利床の活用の考え方についてでございます。中野駅新北口駅前エリアの権利床の活用につきましては、公益性を踏まえた財産の有効活用の観点、事業全体の成立性や採算性の観点、施設所有におけるリスクマネジメントの観点など、総合的に判断して考え方を示してまいります。

 次に、構造改革に踏み込んだDX推進についてでございます。DX推進は、業務の効率化や省力化のみならず、統合型GISの活用などによる政策立案のプロセスそのものを変えていく契機になるものであります。DXを推進することで職員の意識改革を図り、これに合った仕事の仕方や適した組織の在り方を検討し、見直しを進めることは、構造改革の視点からも極めて重要であると思います。

 次に、DX推進で実現する人事・組織構造や仕事の在り方についてでございます。チャットやテレワークシステムなどを活用し、多様な職員間のコミュニケーションをつくり出して、いわゆる縦割りの弊害をなくし、効果的な政策立案が図れるよう、組織構造や仕事の進め方を変革していきたいと考えております。そのためにはDX推進の前提として、管理監督者の意識改革、職員のICTスキルやリテラシーの底上げを進めていく必要があると考えております。

 次に、構造改革の推進によるサステナビリティの確立についてでございます。将来にわたって必要な区民サービスを提供し続けていくためには、景気変動においても揺るがず、安定的に財源を確保していく必要があります。施策、施設、組織の再編を進める構造改革と併せて財政運営を見直して、不測の事態や将来的な行政需要に備え、計画的に基金を積立て、持続可能な区政運営、サステナビリティを確立させていく考えでございます。

 次に、今後の歳入見通しについてでございます。令和4年度予算編成時にお示しした財政フレームの歳入の見通しは、国の経済財政諮問会議に提出された中長期の経済財政に関する試算に基づき立てているものでございまして、それを踏まえて令和5年度以降の一般財源の伸びを見込んでいるところであります。しかしながら、最近の物価高によって経済の回復への影響も懸念されているところでありまして、経済動向等を注視し適切な歳入積算に努めてまいります。

 最後に、財政運営方法の見直しについてでございます。これまでの基準となる一般財源規模による財政運営方法は、景気動向による歳入の増減に左右されず、安定した財政運営を行うために、基金の繰入れや積立てによる財源調整を通じて歳入規模を一定に保つことを目的に導入したものでございますが、平成26年度以降、歳入が上振れする状況が続き、歳出にあっては、令和2年度を除き基準額に収まることはなく、財務規律として機能しているとは言えない状態であったと思います。このため、令和4年度予算編成をもって基準となる一般財源規模は廃止をし、規模等の基準につきましては、予算編成開始時における歳入一般財源の見込額を一般財源充当事業費の目標額とし、歳出削減に努め、予算編成を進める考えでございます。この一般財源充当事業費には、あらかじめ各基金の目標積立額を含めるものとし、将来の財政需要を想定した基金残高の確保に努めていく考えでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、施政方針説明の御質問のうち、教育の充実についてお答えいたします。

 ICT活用に関する進捗状況についてですが、中野区教育情報化推進計画に定めているインターネットの高速化への再構築を1年前倒しして実施したことによりまして、令和4年度当初から各学校で、全学級分の端末の一斉使用が可能となり、学習の場面で1人1台端末をストレスなく活用しております。

 また、再構築の期間中におきましても、モバイルルーターと配信用端末を導入することで授業のオンライン配信を行い、欠席している子どもへの対応を行ってきております。各学校では1人1台のタブレットを活用しながら、新しい学習スタイルの実現を目指して取り組んでまいりました。現在は全ての学級でICT機器を活用しながら授業が実践されております。

 次に、教員側の資質、ITリテラシーの向上とスキルアップの方策についてです。昨年度から全小・中学校にICT教育推進リーダー教員を新たに位置付けてもらい、教育の情報化推進に向けて組織的に取り組めるようにいたしました。年3回実施したリーダー教員対象の研修で、各学校の取組や効果的な活用について共有するとともに、各学校に還元しております。また、ICT教育の充実をテーマとした研究指定校の発表会で、その先進的な成果を多くの教員が共有することで研さんを積むことができております。併せて、校内でも区のICT支援員を活用し、校内研究等で教員のICT機器活用能力の育成やスキルアップを図ってまいりました。

 次に、次世代の人材育成についてです。自分自身の課題について、子ども自身が自分で解決するためにタブレットを活用して進んでドリル学習に取り組んだりすることや、必要な情報を取捨選択して自分の考えをまとめたりすることで、より主体的に学ぶ力がついてきております。また、探究的な学習や体験的な活動等を行う中で、協働学習支援ソフトを活用し、子ども同士の考えを交流することで協働的な学びを進めることもできてきております。今後もICTを活用した新たな教材や学習活動等を積極的に取り入れ、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に取り組み、次世代で活躍できる人材の育成を図ってまいります。

 ICT活用に関する課題についてでございます。保護者からの意見は、各学校が行っております学校評価の結果から把握しております。児童・生徒につきましては、ICT教育の充実をテーマとした研究指定校の令和3年度の調査によりますと、タブレット端末の操作や情報モラルについて、児童・生徒は課題と感じていることが分かりました。令和2年度までは端末操作を難しく感じる児童・生徒もいましたが、令和3年度、1人1台端末が貸与され活用が進むにつれて、タブレット端末の操作を課題と感じる児童・生徒の割合は少なくなってきております。情報社会における正しい判断や適切なコミュニケーションなどの情報モラルにつきましては、児童・生徒自身に考えさせる指導を引き続き継続していく必要があると捉えております。

 次に、今後の環境整備や推進化計画の見直し等についてでございます。技術革新のスピードが速いICT分野の特性を踏まえ、文部科学省が案として示した学校教育情報化推進計画と同様に、中野区教育の情報化推進計画の見直しも、策定から3年を経過する令和6年度を目途にして見直しを行う予定でございます。今後、教育現場での課題を整理するとともに、国や都の計画との整合性を図りながら環境整備に取り組んでまいります。

 次に、地域開放型学校図書館についての御質問です。令和小学校の地域開放型学校図書館の開設見送りについてでございます。令和小学校の地域開放型学校図書館につきましては、今後の区立図書館全体の配置、サービスの在り方と併せ検討する必要があると判断し、開設を見送ったものでございます。

 地域開放型図書館の機能、役割についてでございます。地域開放型図書館は、子ども、高齢者、障害者など様々な区民の身近な図書館としての役割があり、乳幼児親子などが読書を楽しみ、交流できる場所としての機能、学校図書館と併せたライブラリーとして小学生などが学習できる居場所としての機能もございます。

 次に、地域開放型学校図書館整備方針についてです。今後の区立図書館の配置、サービスの在り方については、区民、関係団体の代表者等をメンバーとする検討会を組織して検討していく予定でございまして、地域開放型学校図書館につきましても、その検討の中で整備の方向性を明確にしてまいります。検討スケジュールにつきましては、当初の予定を前倒しいたしまして、令和5年度10月までに検討結果を示す予定でございます。

 次に、スポーツ振興における地域資源の活用についての御質問でございます。運動部活動の現状についてです。現在、野球、バスケットボール、卓球は全校で、その他、サッカー、バレーボール、バドミントン、ソフトテニス等の部は多くの中学校で活動実績がございます。どの学校も複数の教員で一つの部活の顧問を受け持つ体制を取っております。生徒のニーズに応じて、できるだけ多くの部活動を行っております。課題としては、部活動の開設数は学校規模や教員数によって制限されるため、生徒のニーズに十分には応じられていないことや、競技種目によっては所属する生徒が少ないため、他校と連合チームをつくる必要が出てきていること、練習試合や大会は土日に行われており、引率する教員が休日に勤務する場合が多くなることなどがございます。

 次に、運動部活動の地域移行に向けた生徒や保護者の意向の確認についてです。運動部活動の地域移行を進めるに当たっては、生徒や保護者の理解を得た上で、地域全体で連携して取り組んでいくことが大切であると認識しております。国の方針が固まった折には、生徒や保護者等を対象とした説明会を開くなど、保護者からも意見を聞く機会を持つことも検討してまいります。

 次に、中野区としての運動部活動の地域移行の在り方や対応方針についてです。運動部活動の地域移行の目指す姿の一つは、地域全体で子どもたちの多様なスポーツ環境やスポーツ体験を確保し、子どもたちの望ましい成長を保証することでございます。そのため中野区では、対応方針を学校ごとにつくるのではなく、国や東京都、23区の動向を把握しながら、中野区としての運動部活動の地域移行の在り方や対応方針について、関係部署と連携して検討してまいります。

 次に、文化部活動の地域移行についてです。文化部活動の地域移行につきましては、7月に出される予定でございます文化庁の文化部活動の地域移行に関する検討会議の検討結果や方向性も注視しながら検討してまいります。

 最後に、中野ランニングフェスタの参加実績への教育委員会の認識についてでございます。学校教育においては、生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための資質、能力を育成するという視点で、体育や保健体育の教育活動を行っております。このことからも、子どもたちが運動に取り組める機会が学校外にもあることは大切であると認識しております。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、スポーツ振興施策の在り方について、スポーツ振興における地域資源の活用についての御質問のうち、初めに、地域スポーツクラブの運営状況についてお答えいたします。地域スポーツクラブでは、区民により構成された運営委員会が主体となり、地域のニーズを踏まえ、区内3か所のスポーツ・コミュニティプラザを拠点に、区民の健康づくり、地域住民の交流、障害者スポーツの普及・推進等を目的とし様々な事業を行っております。また、スポーツ推進委員等の協力を得ながら、乳幼児からお年寄りまで、初級者から上級者まで参加しやすい豊富な事業メニューを用意して、多くの区民の方に利用いただいているところでございます。

 次に、地域スポーツクラブの学校部活動支援でございますが、地域スポーツクラブでは、学校部活動支援事業として学校部活動等の指導者養成講座を開催し、指導技術やトレーニング法、スポーツ医療、安全管理等の講習を行ってまいりました。また、中学校部活動支援窓口を実施し、部活動の施設優先枠確保等も行っているところでございます。

 続いて、地域スポーツクラブによる部活動支援の手立てでございます。地域スポーツクラブでは、クラブを代表し、方針等を決定するための理事会を設置しておりまして、先月の理事会におきましても部活動支援の在り方について課題として取り上げられたところでございます。今後、教育委員会や学校と連携を図りながら、部活動指導者を養成、紹介等を行うことや、アスリートの招聘による合同部活動指導等、地域スポーツクラブとしてどのようなことが可能か検討してまいります。

 次に、中野ランニングフェスタに関する御質問のうち、中野ランニングフェスタについての区の認識でございます。中野ランニングフェスタは、区内経済産業団体や企業を中心に、ランニングを通じて区民スポーツの振興や区の発展を願う多くの関係団体等の協賛を得て実施されている恒例のイベントと認識をしております。区が政策目標として掲げている区民一人ひとりがスポーツを通じてつながり、お互いの個性が尊重されることで、地域に新たな活力を生み出すことや、生涯を通じ楽しく健康に過ごせる社会の実現にも合致するものであり、区としても後援をしてきたところでございます。

 最後に、ランニングフェスタへの区の支援でございます。ランニングフェスタが今後も持続・発展をするために、区としてどのような手立てを講じることが可能か、同大会の実行委員会関係者等と協議しながら検討してまいります。

○議長(内川和久) 以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 平 山 英 明

 1 酒井区政2期目の施政方針について

  (1)区長の時代認識と政治姿勢について

  (2)物価高騰から区民を守ることについて

  (3)子育て支援と教育支援について

  (4)中野駅周辺と西武新宿線沿線のまちづくりについて

  (5)人事戦略と人材育成戦略について

  (6)その他

 2 新たな防災・減災対策について

  (1)新たな被害想定から見る対策について

  (2)水害対策について

  (3)その他

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、平山英明議員。

〔平山英明議員登壇〕

○35番(平山英明) 令和4年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告どおりで、その他はありません。明解で誠実な答弁をお願いいたします。

 まず、2期目の当選を果たされた酒井区長にお祝いを申し上げます。前区政との比較が目立った1期目と違い、今後は酒井区政のこれまでとこれからが評価をされます。区長御自身の姿勢もそうであっていただきたいことを願います。

 また、同僚議員も1名誕生しました。歓迎申し上げます。よろしくお願いいたします。

 それでは質問に入ります。

 初めに、酒井区政2期目の施政方針について、まず、区長の時代認識と政治姿勢について伺います。

 施政方針の冒頭では、2期目の区政運営に当たり、昨年示された予算編成方針、また、さきの第1回定例会での施政方針と同様に、新型コロナウイルス感染症を乗り越え、活動を力強く再開し、経済と活力を取り戻すと決意を述べられました。

 この間、本年1月から、第6波となる新型コロナの感染拡大はかつてない感染者数を生み、いまだ予断を許さない状況です。さらには、2月24日から始まったロシアによる非道なウクライナへの軍事侵略は終息が見えず、その影響は急速な物価高騰の形で区民生活にも影響を及ぼし始めています。コロナ禍が及ぼした生活方式や働き方の変化、さらには経済活動を含む様々な活動の制限、資材不足や物価高騰などに加え、国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアの軍事侵攻は、世界に安全保障の在り方やさらなる原材料の高騰、そしてエネルギーと食料の不足を突きつけています。未来から振り返ったときに、時代と価値観の転換点に立っていると感じます。

 今回の施政方針からは、今というときの区長の時代認識や区を取り巻く環境、そして区民生活に対する認識をうかがい知ることができず、むしろ変わらぬ認識かと疑問さえ持ちました。現在の世界的な物価高騰による経済と生活への影響を見極めながら、区として必要な策を講じていきたいと考えているとは述べられましたが、他の施策では具体的な言及が見られたのに比べ、この事態から区民生活を断じて守るとの覚悟はうかがえませんでした。これより当面の間は、より困難に直面している区民や区内事業者への支援強化の政策転換が必要です。他方、区財政はこれより数年で厳しい局面を迎える可能性もあり、より合理的な区政運営を行うべきとも考えます。区長の御認識をお伺いいたします。

 新たな財政運営方法を確立するとの発言もありました。基準となる一般財源規模については、近年の運用を見ると、もはや基準としての役割を失っていると考えます。新たな手法を確立することに異論はありません。しかし、基準となる一般財源規模の歳入の上振れ時の基準との乖離を強調されましたが、下振れが続いた際に、まさに一定の行政需要の水準を保つ役割を果たしてきたことも事実です。

 そこで伺います。新たな手法では、今後歳入が落ち込んだ場合にあっても、一定の行政サービスの維持をすることを、何をもって担保されるお考えでしょうか。その時々の判断となれば、時の区長の裁量次第となり、大幅な区民サービスの削減すら可能となります。現在のお考えを伺います。

 区長の選挙公報のトップには、「ALL中野 支え支えられるお互いさまの社会へ」とありました。基本構想にも「オール中野」の表現があり、文面を見る限り、ここで言うオール中野とは、区を中心とし、事業者や地域、そして区民も含む支える側の体制と取れます。

 一方、5月21日、「ALL中野!応援演説会」と銘打たれた街頭演説会での自らの発言を、区長はツイッターで、「中野の課題解決に、政党や団体、今まで分断されていた人たちが、『中野を良くするためには協力してやっていこう』必要なのは対話の区政です。色々な考えを持った人たちが一つのテーブルに座って、対話によりながら解決できる区政を実現していきます。」と紹介されています。区長が選挙戦で使われた「ALL中野」とは、区長を応援する、あるいは区長の目指す区政に共感する政党や団体、区民の総称なのでしょうか。それとも、区長選挙で酒井区長を支援しなかった我々も入るのでしょうか、伺います。

 政党や団体、今まで分断されていた人たちが一つのテーブルに座って、対話によりながら解決できる区政を実現する、その中心を区長が担うのであれば、団体や個人はもちろん、全ての政党に対し中立的な立場を取られることと思います。オール中野の区政を目指す今後は、特定の政党や個人の選挙などの応援は行わないと理解してよろしいんでしょうか、伺います。

 次に、物価高騰から区民を守ることについて伺います。

 国は物価高騰から国民生活を守るため、新たな地方創生臨時交付金を含む補正予算を成立させ、都もこの交付金を活用し、区市町村が行うデジタルや紙によるプレミアム付商品券事業への補助を決定しました。当区も物価高騰から区民を守るために、都のこの補助制度をいち早く積極的に活用すべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。

 今回は、国の交付金の趣旨も鑑み、デジタルの活用が難しい区民、特に高齢者層を対象とした紙の事業も実施すべきと考えます。御見解を伺います。

 帯状疱疹は50歳を過ぎると発症率が上がる病気で、日本人が一生涯のうちでおよそ3人に1人が経験する疾患です。コロナ禍によるストレスなどから帯状疱疹罹患者が増えることが懸念されています。予防のためにワクチン接種が効果的ですが、非常に高額です。国はこれらの事態を踏まえ、地方創生臨時交付金の帯状疱疹ワクチン接種補助としての活用も認めています。当区も、交付金活用による帯状疱疹ワクチン接種補助制度を早急につくるべきです。御見解を伺います。

 物価高騰から区内事業者を守る観点からも伺います。例年2月に国が示す設計労務単価は、これまでの賃金及び物価水準の変動を反映させた新単価となっています。対象は、これから行う入札案件と、インフレスライド条項の適用となる工事案件で、今回補正予算を行い契約変更する案件は4件となっています。現下のような急激な資材高騰や今後さらなる高騰が予測される中では、この賃金及び物価水準の変動を反映させた次の新単価が来年度に示されたとしても、これから入札を行う案件で、今年度に完了となるものは新単価の対象外となり、資材高騰は事業者の負担となってしまいます。そこで伺います。区内事業者を支援するため、また、区の入札不調を防ぐためにも、資材の高騰を勘案した制度や基準を検討すべきと考えます。お伺いいたします。

 次に、子育て支援と教育支援について伺います。

 先週21日、特別区長会の山崎孝明会長は記者会見で、来年度から、所得制限なく、23区内の高校生までの医療費を無償化する考えを明らかにしたと報道がありました。特別区長会でこのような検討があったのであれば、施政方針でも触れていただきたかったところです。中野区として、高校3年生世代までの医療費無償化を所得制限なしで実施することでよろしいでしょうか。改めてお伺いをいたします。

 「人間は教育によってはじめて人間となる」とはカントの有名な言葉です。子育て先進区を目指すのであれば、子どもたちの未来のために、まずは教育の拡充を目指すべきと、これまで訴え続けてきました。東京で一番と言われる中野の教育を目指し、幾つかお伺いをいたします。

 京都大学前総長で、現在は総合地球環境学研究所所長を務める人類学者の山極寿一氏は、本年2月の新聞社のインタビューの中で、人間がコロナ禍で受けた制約の中でも深刻なものが、食事という文化が対面でできなかったことと述べています。氏は続けて、本来動物社会では争いの源である食べ物を前に食事の席を囲むというのは人間が最初に始めた文化であり、それを社会化して、皆で絆をつくる席にしたのが人間の最初の工夫としています。そして、それを抑制するということは、社会を壊してしまう危険すらもあると述べられています。

 先月13日、公明党議員団として教育長に対し、物価高騰に伴う学校給食の負担軽減を求める緊急要望を行いました。早々に教育委員会として現場にヒアリングを行ったと聞きます。当面の間は、現状の給食費で賄えるとのことですが、今後さらなる物価の高騰も懸念されます。給食費を上げないための食材の工夫は評価をしますが、長く続く黙食の中で、子どもたちが驚くような献立の提供も検討してはいかがでしょうか。地方創生臨時交付金の積極活用により、給食費の値上げを行わないことはもちろん、さらにおいしい給食の提供を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 愛知県東郷町は令和2年度から、小学校が月額3,400円、中学校が月額3,600円とする学校給食定額制を導入しました。当区でも、東京で一番おいしい給食を目指し、来年度から学校給食定額制を導入してはいかがでしょうか。予備費の科目を活用すれば、一般財源から必要な額のみの執行とできます。御見解を伺います。

 併せて、北区が行っている1家庭に同時に2人の児童・生徒がいる場合の2人目は半額、3人目以降は無料とする負担軽減策を当区でも行ってはいかがでしょうか。これにより多子世帯の子どもが学校に通う間は、給食費が最大でも1.5人分となり、給食定額制とセットで東京を牽引する給食への取組となります。御見解を伺います。

 国際教育交流についても伺います。平成30年第1回定例会で、1984年から始まった中野・ウェリントン友好子ども交流事業について、当時で33年間、今では37年間交流が続いているにもかかわらず、先方が民間団体が窓口であるため両自治体間での直接の交流がこれまでなかったことに触れ、区及び教育委員会のウェリントン市への表敬訪問と自治体間の交流を求めました。その後、特に進展がないままコロナ禍となり、子ども交流事業自体も2年間休止を余儀なくされ、今年度の再開も厳しいと聞きます。来年度こその再開を望みますが、今後の新型コロナウイルスを含む感染症の世界的なリスクは常に考えておかなければなりません。これまでの交流は継続しながらも、新たな交流の在り方も検討すべきではないでしょうか。

 中野区とウェリントン市、互いの子どもたちの教育交流をさらに進化させるために、正式に両自治体間での教育交流協定を締結してはいかがでしょうか。教育交流については、現下の状況も踏まえ、また、より多くの子どもたちの交流も可能とするため、オンライン交流事業の検討も行ってはいかがでしょうか。伺います。

 平和教育についても伺います。ロシアがウクライナに対し軍事侵攻を開始し、報道もそのこと一色となった頃、衝撃的な場面を目にしました。それは近隣の子どもたちが、おもちゃの武器を持ち、ロシアとウクライナの戦争ごっこをしている姿です。長く続くコロナ禍の中で、ただでさえ子どもたちの心に不安が広がる中、テレビやネットから否応なしに悲惨な戦禍の情報が入り込む、子どもたちの心が心配です。今こそ平和教育に力を入れるべきです。

 5月31日付の読売新聞には、「被爆の悲惨さ学ぶ、中3が広島へ平和学習旅行…大妻中野」と題した記事がありました。大妻中野中学校の3年生が5月12日から14日にかけて行った平和学習旅行について、爆心地に近い本川小学校平和資料館や原爆ドーム隣の広島平和記念資料館などを見学。被爆の悲惨さを知り、平和への思いを強くしたと紹介するものです。

 私は、ふるさとの長崎で受けてきた平和教育を踏まえ、これまで幾度となく区立小中学生の代表による(仮称)ヒロシマ・ナガサキ平和の旅の実施を求めてきました。平成30年第3回定例会の一般質問では、他の自治体での取組なども参考に実施すべきかどうか検討したいと、酒井区政になって少しだけ前向きな答弁でしたが、その後の検討状況は伝わってきておりません。4年間、真剣な検討は行われたのでしょうか。(仮称)ヒロシマ・ナガサキ平和の旅の実施を改めて求めます。御見解を伺います。

 次に、中野駅周辺と西武新宿線沿線のまちづくりについて、まず、中間駅周辺まちづくりから伺います。

 施政方針では、今後、文化芸術の象徴的な場所となるのは、現中野サンプラザのDNAを継承した、中野駅新北口駅前エリアに整備するシンボルタワーや多目的ホールです。音楽、サブカルチャー、スポーツ、地域の文化の4分野を中心として、新たな文化芸術の発信拠点にしてまいりますとありました。音楽、サブカルチャー、スポーツ、地域の文化の4分野を中心との方針はいつ決まったのでしょうか。施工予定者側の資料には同様の表現が見受けられますが、これまでの区の計画にはありません。区側からこの4分野について、施工予定者に事前に協議や要望した事実があるのでしょうか。そうでなければ、施工予定事業者の提案を丸のみにしたとも取れ、開発に当たり区の意思を反映するため、権利変換の手法を取ると説明してきたことと矛盾をします。

 中野サンプラザでは、むしろこれまで民族音楽や民俗芸能など世界の文化の発信拠点の役割がありました。また、仮に中野の地域の文化の発信に税を投入するとなると、発信すべき文化内容の選定も慎重にならなくてはなりません。区民のためを思えば、日本中、世界中の文化と区民が触れ合う機会があることも望ましいのではないでしょうか。区として発信すべきと考える文化の内容は、いま一度整理が必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 中野サンプラザ閉館後と後継施設誕生までの間の工事期間中の安全確保策は重要な課題です。同時に、約6年間にわたり囲いの中を行き来する区民にとって、これから出来上がるまちの進捗状況や未来図、そして最新情報などをタイムリーに伝え、駅周辺の制約に御協力をいただくことも大切と考えます。工事期間中の安全確保策について、区と事業者との役割分担、また、エリアマネジメントとの関係はどのようになっているのでしょうか。区、事業者とともに中野駅新北口駅前エリアだけではなく、駅周辺全体のエリアマネジメント組織が一体となり、区民にとって行き来が楽しくなるような取組を行ってはいかがでしょうか、伺います。

 西武新宿線沿線まちづくりについて伺います。先日、同僚議員とともに、下北沢を中心とする地下化後の鉄道上部空間を活用したまちづくりを視察しました。全体のコンセプトの下、統一的なブランドイメージでまとまりつつも、個性的で非常に魅力的なまちづくりでした。中井-野方間の地下化の完成は令和8年度の予定ですが、新たに生み出される上部空間の活用は、中野にとっても地域にとっても絶好のまちづくりの機会です。そこで伺います。上部空間活用について、計画策定の予定はあるのでしょうか。まず区が考える活用イメージを示した上で、区民の多様な意見を聴取すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 野方以西のまちづくりについても、一点伺います。野方第1号踏切について、除却を目指すのか、それとも残したままでまちづくりを検討するのか。地元でもある区長の現時点でのお考えを伺います。

 次に、人事戦略と人材育成戦略について伺います。

 第3回定例会までには定数管理計画が示されると聞きます。構造改革実行プログラムでは、適正な定数管理による人件費の抑制が将来にわたりずっと財政運営上の課題とされています。職員2,000人体制とは、行政改革の一つの到達目標であり、合理化により2,000人まで職員を縮小させていくものでした。今後は行政需要に応じ、むしろ定数を増やす場面が多くなります。どのような定数管理計画をつくるかは区の未来に対しての重要な課題であり、行政サービスの低下を招かないか、また将来に大きな負担を残さないか、真剣な議論が必要です。そこで伺います。これまでのように上限人数のみでなく、合理的な定数管理のための新たな基準が必要と考えます。また、DXを含む行政改革による合理化とセットでなければ、定数の妥当性が判断できません。御見解を伺います。

 区長は自らの経験からとし、地域や現場に出ることが職員の成長には欠かせないとされましたが、職責や職員の特性などを考えると、評価基準とされることには慎重であるべきです。私はむしろ、職員の成長には教育が欠かせないと考えます。人材育成のための既存の研修のみならず、職員が自ら学び、力をつけることへのバックアップをもっと積極的に行ってはいかがでしょうか。そこで伺います。これまでの研修に加え、様々な資格取得を手助けするメニューをつくってはいかがでしょうか。例えば簿記やTOEICなど区が推奨する資格の枠を広げ、受講に対し4分の1、資格取得など当初目的が達成されればさらに4分の1で、合計半額補助など、直接職責と関係ない資格であっても、職員の学びの意欲と能力向上を支援する新たな制度をつくってはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、新たな防災・減災対策について、まず、新たな被害想定から見る防災・減災対策について伺います。

 都は、10年ぶりに首都直下地震による新たな被害想定を発表しました。特筆すべきは、身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相が新たに加えられたことで、中でも高層マンションの中高層階ではエレベーターの停止により地上との往復が困難となり、十分な備えがない場合、在宅避難が困難化すること。電力が復旧しても、保守業者による点検を終了するまではエレベーターが使用できず、復旧が長期化する可能性があることなど、高層マンションの災害リスクが具体的に明示されたことです。中野全体の防災や危険度の高い地域の対策は当然とし、これから中野駅周辺に出現する多数の高層ビルを含む、これまで中野になかった新たなまちの実態に合わせた新しい防災の取組の準備が急務です。今後、再開発により、中野駅周辺に移り住む新住民の現段階での想定は、駅南側でおよそ2,000人、駅北側ではおよそ1万2,000人です。この新たな地域独自の防災性の向上を図らなければなりません。そこで伺います。中野駅周辺エリアマネジメントビジョンが今年度中に策定され、将来像実現に向けた取組の主たるテーマには、安全・安心(防犯・防災)も入っています。区の防災担当と防災の専門家も交え策定に当たるべきと考えますが、御見解を伺います。

 新築される高層マンションの在宅避難などの課題解決のためには、物資の運搬などを含め、ドローンの活用を積極的に図るべきです。これまで我が会派の小林議員をはじめ他の議員も、災害時のドローン活用を提案されていましたが、人材育成など、今から始めなければ間に合いません。来年度、まず10台のドローンを購入し、併せて職員の中で、今後免許制となるドローンのスペシャリストチームを構成してはいかがでしょうか。最先端の技術を使って、再開発地域の住民の安全と区内全域での災害対応力の向上を図るべきです。御見解を伺います。

 最後に、水害対策について伺います。

 今年度から線状降水帯予測の活用が開始され、都道府県単位の情報は令和6年度から、市区町村単位の情報は令和11年度からが予定されています。しかしこれらは、当初計画から1年前倒しで進んでおり、技術の進歩いかんでは、さらに前倒しの可能性もあります。これらの情報を活用し、区民の安全を守るには、専門的知識を有するエキスパートが必要です。気象防災アドバイザーの活用は、23区ではまだ葛飾区しかありません。当区も活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いをいたしまして、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、合理的な区政運営についての御質問です。区では、人口減少や少子高齢化の課題のほか、新型コロナウイルス感染症への引き続きの対応や、物価高騰の影響等に関する緊急対策などにも取り組んでいかなければならないと認識しております。こうした社会や経済の変動に対して機動的に対応できる区政運営が求められておりまして、PDCAサイクルによる区政運営を行うとともに、新たな財政運営方法の確立や構造改革実行プログラム、DX推進による区民サービスの向上と業務改善を進めていく考えでございます。

 次に、行政サービスの維持についてでございます。区の歳入が減少した場合においてもできる限り行政サービスが滞ることなく円滑に進めていく上での担保として、財政調整基金の年度間調整分の残高を200億円確保していく考えでございます。財政調整基金を適切に活用し、歳入減少があった場合でも区民サービスへの影響が生じないよう取り組んでまいります。

 次に、選挙戦における「ALL中野」についての御質問です。「ALL中野」は、中野区に住む全ての人々やこのまちで働き、学び、活動する人々も含め、中野区に関わる人なら誰でもが参加できる地域社会の理念のそのものでございまして、中野区基本構想においても必要な体制として捉えております。これは様々な価値観や主義主張があることを前提とするものでございまして、議会の皆さんとも議論を交わしながら共に中野のまちをつくっていきたい、そういう思いでございます。

 なお、政治活動につきましては、私自身の政治スタンスと照らし合わせながら判断をしてまいります。

 次に、物価高騰に直面する区民生活への応援についてでございます。区では、今般の急激な物価高騰を踏まえ、今回の都の補助制度を活用した区民や区内事業者への積極的支援を行うことを考えているところでございまして、キャッシュレス決済方式による実施を考えております。一方で、今回の生活応援という事業目的に勘案をしますと、キャッシュレス決済を利用できない高齢者等のデジタルデバイドの方々に対する配慮も必要でございまして、紙商品券の実施も視野に入れて区としての対応を検討してまいります。

 続きまして、帯状疱疹ワクチン接種費用助成についてでございます。帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹の発生率を低減させ、重症化を予防する効果があることは承知をしております。効果的な対象年齢や使用するワクチンの種類、他自治体の情報等を収集しつつ、中野区医師会の意見も聞きながら検討してまいります。

 続きまして、工事請負契約における資材の高騰を勘案した制度や基準の検討についてでございます。設計労務単価の改定に伴う賃金及び物価の変動に基づく請負代金の変更は、工事請負契約約款に定めるインフレスライド条項で対応しているところであります。単価改定の時期によって適用されない工事であっても、急激な資材価格の高騰が起きた場合には、このことを要因として単品スライド条項で対応できる旨、約款に規定されております。しかし、区には単品スライド条項の適用に必要な具体的な運用基準がないため、今後検討してまいります。

 次に、高校生等医療費助成の所得制限についてでございます。今年3月の記者会見で、中野区では16歳から18歳についても独自に上乗せすることによって、所得制限を設けず、対象となる全世帯の医療費を2023年度中に無料化することに向けて検討していきたいと発表しているところでございます。今回、特別区長会の会長からも、23区は所得制限なし、自己負担なしで医療費助成を実施することが発表されまして、中野区としても同様に実施する予定でございます。

 続きまして、中野区とウェリントン市との交流についてでございます。ウェリントン市との交流は、ホームステイを通じた交流を通じて、双方の子どもたちが互いの文化や歴史を学び、相互理解を深めることを目的として、区の委託を受けた中野区国際交流協会がウェリントンの民間団体を窓口としてきたところであります。今後も子どもたちが国際的な視野を持つきっかけとなるような交流を継続するとともに、行政間交流の課題として、交流の深化について具体的に検討してまいります。

 続きまして、平和の旅についてでございます。平成4年以降、広島、長崎などへの平和の旅は実施をしていない状況でございます。終戦から77年を経て、平和の大切さをより深く知ってもらうための機会として、平和の旅は意義があるものと考えておりまして、再開の検討を進めているところでございます。

 続きまして、区として発信すべき文化についてでございます。区の文化芸術につきましては、音楽、サブカルチャーなどに限らず、有形無形の伝統文化など、多様で魅力的な文化芸術が数多く存在していると認識しております。これらの多様な文化芸術の特性を整理した上で、今年度中に策定予定である文化芸術振興基本方針において、環境整備や機会の創出、魅力の発信、保存・活用など取組の方向性について示してまいります。

 次に、中野駅周辺と西武新宿線沿線のまちづくりについてのうち、工事期間中の安全確保等についてでございます。工事期間中の安全確保につきましては、原則として各事業者の責任において主体的に取り組むものと考えております。しかしながら、中野駅周辺で複数の事業が展開することから、エリアマネジメントとは別に、今年度、事業間での工事の情報共有と一定の調整を行う場を設け、区としても連携を図ってまいります。

 中野駅周辺エリアマネジメント協議会では、今後の市街地再開発事業完了後の状況を見据え、官民がまちの将来像を共有し、その実現に向けた取組を協議、検討してまいります。また、地区ごとに事業完了年度が異なっているため、工事期間中の行き来が楽しくなるような取組についても、協議会の場で構成員が意見交換ができるように働きかけてまいります。

 続きまして、西武新宿線鉄道上部空間の活用についてでございます。中井駅-野方駅間の鉄道上部空間は、駅前の商業地域や戸建て住宅が建ち並ぶ第一種低層住居専用地域など、多様な市街地環境を結ぶ長大な空間であることから、地域との連携や調和を図るために、上部空間の活用に関する計画等が必要であると考えております。

 また、鉄道上部空間は、東京都が事業主体である連続立体交差事業により創出される西武鉄道株式会社の事業用地であること、そして、その活用に当たっては鉄道施設への影響を考慮した様々な制約があることから、東京都西武鉄道株式会社、中野区で活用に関する諸要件を整理した段階で、区民との意見交換を行っていきたいと考えております。

 次に、野方駅周辺地区のまちづくりについてでございます。野方第1号踏切の除却は、鉄道による地域分断を解消し、歩行者が歩きたくなるまちづくりの実現に必要でございます。今後も、関係機関と意見交換を行いながら、野方第1号踏切の除却も含めた鉄道の立体化について積極的に取り組んでまいります。

 続きまして、人事戦略と人材育成戦略についてで、定数管理のための基準設定とDX推進による合理化についてでございます。職員定数管理計画は、長期的な人員の在り方の大枠や方向性を庁内各課の指針として示すことで、条例上の定数を上限として職員数を管理、統制する仕組みであります。計画で示す期間は10年としますが、毎年度、最新の情報を加味していく予定でございまして、その際幾つかの指標を設定し、その数値を確認しながら、必要に応じて見直しを図ります。

 また、DXを進めるに当たって、組織の在り方や仕事の進め方の改革についても検討を進めているところでありまして、組織や人員についての効果を見定め、職員定数管理計画に反映していく予定であります。

 最後に、職員の資格取得支援についてでございます。資格取得の支援は、職員の専門性の強化や職務意欲の向上に資する人材育成の取組の一つであって、区では現在、一級建築士及びITパスポートの資格取得、また、エキスパート職員を対象とした業務に関連する資格取得の支援を行っているところであります。今年度、庁内各部に改めて職務に必要となる資格に係る調査を実施しているところでございまして、支援すべき対象の資格や対象者を拡充していく予定であります。また、将来的に職務のレベルアップに資するような資格取得も後押しするなど幅広く捉えて、職員、組織のさらなる専門性の強化、意欲の向上を図っていきたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、子育て支援と教育支援についての御質問にお答えいたします。

 まず、地方創生臨時交付金の活用についてです。学校給食費は、毎年、給食費算定作業を行い、次年度の1食単価を決定しております。年度の途中で値上げすることは考えておりません。国の交付金の有効活用も含め、おいしい給食の充実と食育を推進してまいります。

 次に、学校給食定額制についてです。保護者の負担を加味しながら充実した給食の提供を行うために、学校給食費の徴収方法と支援の在り方については研究を進めてまいります。また、御提案の取組を含め給食に係る様々な取組について検討してまいります。

 最後に、オンライン交流事業の検討についてです。様々な国の人々とのコミュニケーションや異文化交流などを行う機会を通して、グローバルに活躍できる人材を育成することは、学校教育において重要であると認識しております。これまでも海外の学校とオンラインによってつながり、学習を展開する実践が行われてきておりました。今後も、学校がオンラインなどの様々な手法を活用して、充実した国際交流に取り組めるよう支援してまいります。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長松前友香子登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(松前友香子) 新たな防災・減災対策についてのうち、中野駅周辺エリアマネジメントビジョンについてお答えいたします。

 エリアマネジメントにおける将来像実現に向けた取組のテーマとして、安全・安心、防犯・防災を掲げており、警察署や消防署にも、中野駅周辺エリアマネジメント協議会へ参画していただけるようお声がけをしております。

 中野駅周辺エリアマネジメントビジョンの策定におきましては、他地区の活動事例を参考にしながらまちの課題を抽出し、その課題解決を図るために協議、検討を行っていくことを考えております。ビジョン策定に当たりましては、区の防災担当と情報共有を図るとともに、必要に応じて外部の専門家の御意見も伺ってまいりたいと考えております。

〔防災危機管理担当部長石崎公一登壇〕

○防災危機管理担当部長(石崎公一) 私からは、新たな防災・減災対策についてのうち、初めに、新たな被害想定から見る対策について、ドローンの導入についてお答えいたします。ドローンは荷物の運搬だけでなく、情報収集などの様々な場面で活用できると認識してございます。一方で、国による操縦ライセンス制度の導入や飛行に関する法改正など整備段階の部分もございます。現在、ドローンにつきましては、セミナーや展示会等に参加するなど最新の情報を収集しているところであり、今後、活用の方法や安全に運用するための方策について、さらに調査研究をしていきたいと考えてございます。

 続きまして、水害対策について、気象防災アドバイザーの活用についてでございます。現在、中野区では、東京管区気象台とのホットラインを区長と防災危機管理課が結んでおり、災害につながる重要情報の提供を受けて、水害時の態勢や避難情報の検討に役立ててございます。

 また、区役所開庁日には、東京管区気象台から毎日ウェブ会議により、天気の解説などの気象情報の提供を受け、活用してございます。

 気象防災アドバイザーにつきましては、今後、他自治体での活動内容等を調査し、効果的な活用について研究して参ります。

〔平山英明議員登壇〕

○35番(平山英明) 何点か再質問をいたします。まず、最初の時代認識のところでは、1問目は私の質問の仕方が悪かったんですが、区長から半分の答弁しか来てなくて、要するに、困っている人に向けた政策転換も必要なんじゃないかということも含めてお尋ねをしたんですが、これは問い方が悪かったということで、再質問はいたしません。

 財政調整基金のところの話、財政運営の話で、その財政調整基金を入れますと、しかも一定の財政調整基金を保ちますと話されていたんですが、基準となる一般財源規模で、区長になられてからずっと上振れが続いている。だけど下振れの時代もあったわけなんですね。下振れの時代に一定のサービスの水準を保つという役割もあった。これを足りなかったら財政調整基金から入れますよというだけでは、予算編成の段階でどこまで守るっていうものを担保できないわけなんですよ。なので新たな担保となるものは何ですかというふうにお聞きをしたんですが、もしお答えになれたらお願いをいたします。

 政治活動の部分のお答えは、大変残念な気がしたというか、実際に「オール中野」を掲げて選挙活動も政治活動もなされているので、そのときの政治スタンスに合わせて判断をされるということであれば、行政活動の中での「オール中野」に参画をしても、政治活動の中では「オール中野」の扱いを受けないようなことも出てくる方々も出てくるのではないかという懸念があるんですが、もしそれ以上のお答えがあればお願いをします。

 最後に一つだけ、ドローンなんですけれども、私はもう来年度から始めるべきだと言ったんです。だけれども、調査研究してまいりますというんだったら、いつになるか分からないじゃないですか。いつを目指して答えを出しますぐらいの答弁をいただけませんか。やる、やらないじゃなくても結構なんで、調査研究して一定いつまでに答えを出しますぐらいのお答えをいただきたい、そうしないと間に合わないです。お願いします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の再質問で、1点目が、歳入が下振れした場合のその財政、区民サービスを担保するものということの御質問だと思います。ここ直近というか、ここ近年は上振れして基準となる一般財源規模というのが機能しなかったというのは共有認識をされたと思っています。これが右肩下がりというか、下がってきたり、急に下がった場合という状況でございます。急に下がって、これが複数年、短い、短期的に続くという場合につきましては、先ほど申し上げたとおりに、財政調整基金の活用によってそこを乗り越えるという考えで、そこは皆さんとも共有できると思います。それが右肩下がりというか、縮小傾向が続くであろう局面になったとき、それについては、またこの区民サービスの確保等を維持できないという状況も当然想定できるわけでございまして、それについては全体の歳出の削減をする中で、やはりその歳入の規模の縮小に伴った歳出の縮小というのも当然考えていかなければいけないということなので、そこについての財政基準については改めて皆様と議論したいと思います。

 そして、2点目の「オール中野」についての話でございます。もちろん区政運営の中で様々な皆様のお声をいただきながら、「オール中野」で組んでいくという思いについては全く変わりもございませんし、そのとおりでございます。選挙の応援につきましては、その時々の政治情勢等もございますし、私もまだまだこの先の選挙のことでもございますので、ちょっとこの段階でこの姿勢でいくということをはっきり申し上げることはなかなか難しいかなと思います。

〔防災危機管理担当部長石崎公一登壇〕

○防災危機管理担当部長(石崎公一) ドローンの導入につきまして、一刻も早くという再質問かというふうに承知してございます。ドローンにつきまして、防災・減災対策に対して大変重要だということについての認識はあるところでございます。一方で、ライセンス制度でありますとか、安全に関する法改正というものがまだ途中でございます。ですので、区としては一刻も早く導入したいという考えはございますけれども、その法整備、整備段階であるものについて、ある程度、一定程度の見通しがついた段階で導入してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○議長(内川和久) 以上で平山英明議員の質問を終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時19分休憩

 

午後3時39分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 区長の政治姿勢と区政運営について

  (1)区長公約について

  (2)自治体DXと個人情報保護について

  (3)その他

 2 保育行政について

 3 介護保険と高齢者施策について

 4 包括的性教育について

 5 コミュニティタクシーについて

 6 その他

 

○議長(内川和久) 長沢和彦議員。

〔長沢和彦議員登壇〕

○41番(長沢和彦) 2022年第2回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。

 酒井区長の2期目の当選に当たりお祝いを申し上げます。4年前に図られた区政転換の下で、区民に寄り添う施策展開と公約の実現に取り組んできたことが一定評価された結果であったと認識をしております。同時に、基本構想と基本計画でうたわれた政策の実現は、これからが本番とも言えます。区民の期待もそこにあるのだと思います。公約実現に向けては、区民への説明責任を果たし、慢心することなく、引き続き区民参加と職員のボトムアップを大切にした区政運営を進めていただくことを期待します。我が会派としても、チェックアンドバランスという議会の機能を働かせつつ、区民要求実現と区政の民主的発展に力を入れてまいります。

 最初に、区長の政治姿勢と区政運営について伺います。

 区長公約についてです。日本経済は20年ぶりの円安に襲われています。輸入物価が高騰し、輸入に依存した食料品、日用品、ガソリンなど生活必需品の値上がりが相次いでいます。長期的な経済停滞が続く日本は、物価高にも直撃されている状態です。物価が上がっているのに賃金は伸びず、賃金水準はOECD平均を下回っているばかりか、最低クラスです。物価高騰への対策には、賃金を引き上げる政策を取ることや消費税を5%に減税することで消費を暖め、実態経済の充実を図ることが必要です。

 ここでは、物価高騰による区民生活への影響について伺います。6月7日に我が会派から、深刻な物価高騰から区民のくらしと営業を守る緊急要望書を区長に提出いたしました。区民や区内事業者の影響や実態を把握し、区内の医療機関、社会福祉施設、介護施設、民間の保育園・幼稚園、公衆浴場など公益性の高い事業者に対し、食材料費や光熱水費、燃料費など経費の支援、区立小・中学校に給食を提供している委託事業者に対し食材料費の支援を行うことなど、7項目について要望しました。その場で区長からは、区内の事業者等への影響については把握したいとの言及があったところです。また、所信表明では、世界的な物価高騰による経済と生活への影響を見極めながら、区として必要な策を講じていきたいと述べられました。改めて、区民と区内事業者への影響把握と対策・支援について答弁を求めます。

 区長は、区長選の中で、「子どもにやさしいまち」、「困っている人にやさしいまち」、「安全で活力あるまち」を公約に掲げて選挙を戦いました。子育て先進区中野の実現に向けて、子どもにやさしいまちを目指すことは大切です。

 東京都は2023年度から、所得制限を設けた上で、現在15歳までとしている医療費の助成対象を18歳、高校3年生まで拡大することを決めました。区長は3月の記者会見の場で、中野区では16歳から18歳についても、独自に上乗せをすることによって、所得制限を設けず、対象となる全世帯の医療費を2023年度中に無料化することに向けて検討していきたい旨を述べられたことは重要です。報道によれば、特別区長会会長は、23区は所得制限や自己負担なしで無償化を実施すると発表。その上で、都が助成開始から3年間は23区側の費用を都が負担する提案を暫定的に受け入れることを決定し、23区は上乗せ分だけ負担すると報じられています。

 東京都が18歳医療費助成に踏み出すこと、期限付きではありますが一部費用負担を行うことは歓迎しますが、この機会を捉えて、東京都が通院費の自己負担や所得制限についても撤廃するよう特別区として働きかけるべきではないですか、区長の見解を伺います。

 困ってる人にやさしいまちについては、この後の介護保険と高齢者施策についての項でお聞きします。

 安全で活力あるまちについてです。ここでは文化芸術に関わってお聞きします。区長は所信表明で、「中野駅周辺での各地区の整備事業、再開発事業との関連で、今後、文化芸術の象徴的な場所となるのは、現中野サンプラザのDNAを継承した、中野駅新北口駅前エリアに整備するシンボルタワーや多目的ホールです。音楽、サブカルチャー、スポーツ、地域文化の4分野を中心として、新たな文化芸術の発信拠点にする」と述べられました。多目的ホールが音楽やスポーツに供することは想定できますが、シンボルタワーでの文化芸術に関わることは何を指しているのでしょうか。現在示された計画概要でも、情報発信の場となる文化の交差点と位置付け、サイネージやスタジオ等を活用し文化を集積・発信と記されています。ここではサブカルチャーの集積・発信を想定しているのでしょうか。

 新たな文化芸術の発信拠点とは、ここ中野駅新北口駅前エリアを中心とした総体としての位置付けであるとは思いますが、より具体的には、どこで何を新たな文化芸術として捉えて、この地で展開されようとしているのか伺います。

 地域の文化について触れているのであれば、例えば、演じ手と観客という形での文化芸術の推進だけでなく、区民が演じ発表できる場が、この中野駅新北口駅前エリア内において造られてもよいのではないでしょうか。また、中野駅南口のなかのZERO西館だけでなく、中野駅北口もギャラリーなど美術、芸術に触れられる場があってもよいと思います。事業者による公共貢献として誘致し、整備することを検討してはいかがですか。見解を伺います。

 財政運営についてお聞きします。区長は所信表明で、「どのような状況においても区民サービスを向上させていくことができるよう新たな財政運営を確立したい」と言い、「これまでの基準となる一般財源規模の長所、短所に触れながら、財政状況の捉え方や予算編成手法、基金の積立ての考え方などを見直し、新たな財政運営方法を確立してまいる」と述べられました。基準となる一般財源規模については、実際の歳入歳出とに乖離が見られ、年々財政規模が大きくなることで、この考え方を基本に予算編成を行うことは難しくなっていると思います。

 基金の積立てについては、減価償却費相当額の25%を基金に積み立てることを構造改革実行プログラムで示しています。ただ、区有施設整備計画で施設数や配置などはほぼ決めてきたものの、学校施設以外の施設については、施設改修等の計画がないため、どのくらいの改修経費がかかるのかは明らかにされていません。今後、目安となる金額は極力示していくことを求めておきます。

 ここでは、基金積立ての在り方について質問します。財政調整基金の積立てについては、前年度の決算剰余金の一部を毎年度、第3回定例会の時期に積立てています。実質収支を3%から5%の範囲と捉えれば、想定できる一定額を積んでいくことは可能であると考えます。

 他方、特定目的基金の積立ては、仮に財政が下振れや規模が縮小した場合においても、年度当初から一定額を積み立てることになると、予算編成の上で、区民サービスの後退を招かないか懸念されるところです。区民サービスを後退させず、歳入での財政調整基金の繰入れはもちろん、歳出での年度当初からの特定目的基金の積立てについては柔軟な対応が求められるのではないでしょうか。年度末に生じる減額補正などの機会を捉えて、特定目的基金への積立てについては柔軟な積立ての計画とすることは可能であると考えます。見解を伺います。

 公契約条例の施行に当たってもお聞きします。さきの第1回定例会において、中野区公契約条例が制定されました。令和4年8月に条例第13条に則り、中野区公契約審議会が設置されることになります。この審議会で、区長の諮問に応じ、労働報酬下限額について調査・審議し、答申することとしています。

 公契約条例第6条の適用範囲に関わって伺います。第6条第1項第2号、工事又は製造以外の請負契約及び業務委託契約のうち、その予定価格が1,000万円以上のもので規則で定めるものとあります。以前、我が会派の質問で、生活保護の高齢者居宅介護支援事業について、事業者への委託契約額と、その事業者の事業報告書の人件費において乖離が見られ、ワーキングプアの可能性について指摘をしました。公契約においてこのような事象や疑義が生じないことを期待するものです。条文では、1,000万円以上を与条件とし、かつ、規則で定めるとしていますが、委託契約の種類はどのようなものを予定しているのでしょうか。また、2021年度の実績でいえば、その委託契約の種類は何種類あったのか伺います。

 同じく、第6条第1項第3号、指定管理者協定については、原則として全ての指定管理者による施設を対象とすることにしています。区の業務の委託契約の場合、再委託は禁止されています。しかし、指定管理者の場合はそうではありません。区は指定管理者と協定を締結して、公の施設の管理運営を任せているわけですが、ビルメンテナンスやエレベーター設備の保全などは、その指定管理者から委託されているものと理解しています。その場合、指定管理者が委託した受注関係者における労働者等については、労働報酬下限額以上の適正な支払いがされることになるのか伺います。

 次に、自治体DXと個人情報保護について伺います。2021年、デジタル改革関連法が制定され、この法制度に基づき個人情報保護法が改正されました。その下で、自治体の個人情報保護条例を2023年4月施行までに改正しなければなりません。

 世田谷区においては、昨年の10月に区の審議会において、法改正に伴う条例への影響についてが報告、説明され、法改正により、通常諮問している事項について、改正個人情報保護法と個人情報保護条例の扱いを対比表の形で提示しました。その上で、示される予定の国のガイドライン等の内容を精査した上で区の方針を立て、その後、審議会から意見を聞き、適正に進める必要があるとして、今年2月に審議会へ諮問したと聞いています。

 中野区においては、自治体DX推進に関する報告はあるものの、改正個人情報保護法に伴う個人情報保護条例改正に係る報告はされていません。どのようなスケジュールで検討していくことになるのか。議会に対しては情報の共有や議論する機会をいかに保障していくのか。また、条例改正に当たっては、個人情報審議会への諮問、答申は考えていないのか伺います。

 改正個人情報保護法では、これまで各自治体の条例等に委ねてきたルールを、原則全国統一のルールに変えるというものです。各自治体の自主的、主体的な行政運営に国が縛りを課して、データ利活用のために自治体の個人情報保護の規律を緩和しようとしています。

 デジタル化の大前提は、政治と行政の透明性と説明責任が確保されていることです。とりわけ、機微に触れる個人情報を適切に管理し、住民に安心と安全性を確保するものでなければなりません。個人のプライバシーは基本的人権であり、改めて個人情報を保護し、自己情報コントロール権を保障する制度を整備し、住民の命と暮らしを守ることに貢献するデジタル技術の活用が求められます。

 仮に利活用のための全国共通のルールの策定という立法事実があるとしても、法令の規定の意図する目的と効果を特に阻害しない条例の規律を定めることは可能ではないでしょうか。例えば、本人から情報を収集する規定については、改正個人情報保護法で、それを禁止する規定はありません。自己情報コントロール権の保障、そして区民の信頼を得た事務処理の観点から原則を条例に明記していくことは、法律違反とは言えないと思われます。また、要配慮個人情報の取得制限規定についても、条例で記しておくことも、目的と効果を阻害しないのではないでしょうか。個人情報の収集を制限する規定は、自治体内部に関する管理のルールの問題であって、全国共通ルールが問題になるものではないと考えます。見解を伺います。

 デジタル社会形成基本法では、国と自治体の情報システムの共同化・集約の推進を掲げ、地方公共団体情報システム標準化法では、自治体に対し、国の基準に適合したシステムの利用を義務付けています。国会では法案審査の際に、システムの共同化・集約が自治体の政策判断を制約するものではないと担当大臣が答弁し、自治体独自の施策が対応可能であるかのように述べました。しかし、現に複数自治体が共同でシステムを利用する自治体クラウドにおいて、カスタマイズを認めず、自治体独自の施策が阻まれている例があります。自治体クラウドでは、カスタマイズを抑えた自治体には助成金を出す仕組みまでつくってノンカスタマイズを推進、自治体独自の施策が抑制されています。国と自治体の在り方を大きく変え、地方自治の多様性をなくし、自治体の自立性を失わせるおそれがあります。地方自治体の本旨を侵害するものではないでしょうか。そこで伺いますが、個人情報保護については、中野区の政策判断は維持され、多様性や自立性が損なうことにならないと言えるのか、区の見解を伺います。

 その他の項で1点、会計年度任用職員に関わって伺います。

 第1回定例会で、職員の不妊治療のための休暇の新設がなされました。先日、中野区職員労働組合のニュースを目にする機会がありました。そこでは、不妊治療による休暇は会計年度任用職員には及ばない、つまり有給とはならないことが記されていました。中野区当局と中野区職員労働組合の協議の中では、会計年度任用職員の給与の取扱いについては、常勤職員等については有給であるのに、会計年度任用職員を一律に勤務時間数の多少にかかわらず無給とするのは合理的な理由がないこと、勤務時間や日数が一定時間以上の職員は国も有給としており、他区においても同様の方向であることが組合側から示されています。会計年度任用職員についての有給取得の求めに対して、この扱いについては引き続き協議することとなったようです。不妊治療のための休暇については、会計年度任用職員の給与の取扱いを有給とすべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 次に、保育行政について伺います。

 保育施設の整備、誘致により、待機児童がこの4月にゼロとなったことは評価いたします。同時に、依然として特定の地域で生じている待機児童の解消には、引き続き取組を行うことを求めておきます。

 定員割れの状況と支援を求め、お聞きします。2022年4月時点の認可保育所の0歳児の入所率は82.2%だと伺っています。0歳児の定員に満たない認可保育所が複数あることがうかがえます。0歳児の保育士の配置基準は、子ども3人に対して1人で、事業者は雇用している保育士の賃金を保障しなければならず、厳しい状況にあると思われます。定員に満たない私立の認可保育所に対して、子どもの年齢や期間を限定してでも補助を検討すべきではないですか。伺います。

 小学校は35人学級になりますが、保育所の4歳・5歳児の配置基準は70年以上変わっていません。国は、新制度になってから、1歳児を5対1、4歳・5歳児は25対1に改善する必要性を認めていますが、進んでいません。3歳児配置改善、15対1や、主任保育士専任などの加算はあるものの、保育士配置の基準には手がつけられていません。このことが保育実践と保育士等の労働環境を厳しくしています。区として、職員配置基準の引上げによる改善を国に求めるべきではないですか。

 また、保育の質をいかに確保するかは大きな課題であり、そのためにも、職員の配置基準の改善は欠かせません。根本的には国の制度改正を待つところですが、区による支援を含め、充実を図っていただきたいと考えますが、区の見解を伺います。

 区内では、私立の認可保育所が圧倒的に多数となっています。各保育園において保育理念や保育カリキュラムに違いがあることは問題ないと思います。しかし、人員体制やスキルの差は放置できない課題だと考えます。研修への支援や年度途中からの障害児や気になる子どもの受入れのための補助金など、現在も区として独自の支援を実施しているところです。しかし、例えば研修への支援はあっても、対象となる保育士等がその日に現場を離れられないであるとか、保育士の募集をかけても応じる人がいないなど、根本的に保育士不足が深刻です。改めて課題を抽出することが必要ではないでしょうか。

 今年度において中野区保育の質ガイドラインの改訂が予定されていると聞きます。中野区の保育の質の向上を目指す取組として、その実効性を担保するためには、子どもをめぐる状況とともに、保育現場の実態の聞取りは必須であると考えます。ガイドラインの改訂に当たっては、保育をはじめ関係者を交えての検討はどのようなスケジュールと構成にて進めようとしているのか。また、どのような内容によって充実を図るのか、伺います。

 この項の最後に、保育士の処遇改善について伺います。昨年度末に補正予算にて対応した保育士処遇改善については、国からの支給額に加え、練馬区では、国の処遇改善事業の対象から外れる施設や、認可保育所の看護師など専門職、加配保育士など国補助の対象外の職員に対して支援を行うことを決めています。中野区においても区が独自の上乗せ支援を行うべきであったと考えます。

 今般の保育士処遇改善事業は令和4年9月までとされ、令和4年10月以降は公定価格により処遇改善を行うことになると聞いています。現行制度で考えれば、人事院勧告によって年度途中に国家公務員給与が減額されると、その年の公定価格が4月に遡って減額される仕組みになっています。事業者から見れば、これではとても怖くて賃金引上げに踏み切れないと思います。人事院勧告を基準としている公定価格において、国はいかにして増額を図ろうとしているのでしょうか。また、この際、公定価格における費目ごとの金額を明記し、人件費を確保するための規制を強化することが必要ではないですか。区の見解を伺います。

 次に、介護保険と高齢者施策について伺います。

 昨年の第4回定例会でも質問しましたが、高齢者が増え、介護サービス利用の増加傾向が続く下で、介護保険制度の存続が危ぶまれています。保険料は、介護保険が始まった2000年から現在の第8期計画に至るまで、中野区においても第1期計画の保険料基準額、年額3万6,300円から、現在の第8期計画では6万8,700円と、1.89倍に増えています。第1号被保険者である65歳以上の高齢者の多くは、現在年金収入が減り、医療費等の負担も増えています。

 介護サービスを提供する事業者はどうか。介護に携わる人材確保でどの事業者も頭を悩ませています。打開策は、介護報酬の大幅な引き上げです。一方、保険料や介護サービス利用者の負担増に連動するため、必要な介護サービスを受けることを遠ざけている実態があります。

 しかし、現在、国で検討されている内容は、給付抑制策として要介護1・2の訪問・通所介護の地域支援事業への移行、利用者負担を原則2割に、ケアプラン作成の有料化など、国が公的責任を果たさず、自治体と介護サービス利用者及び家族に負担を押しつけています。これでは介護保険に対する国民の信頼を失うことになりかねません。持続可能な制度とするならば、抜本的な見直しが必要であり、そのために国庫負担の引上げは避けられません。あらゆる機会を通じて国に求めるべきではないですか。伺います。

 介護保険の制度は、発足以来、目まぐるしく変わってきています。そのたびに自治体も事業者も学び直すことになります。国から自治体に示された改変の内容を、事業者、特にケアマネジャーにきちんと説明をしていくことが欠かせません。中野区では、数年前まで制度改正や介護報酬が変更となったときだけに限らず、毎年、ケアマネージャー等を集めて説明会を開催していたと聞きます。コロナ禍で開催ができず、オンライン開催に変更した場合もあったとは思いますが、分からないことがあれば聞いてという姿勢でなく、関係者を集めての開催や、その場での質疑応答を基本とすることが大切ではないでしょうか。伺います。

 紙おむつサービスの対象拡大を求め、伺います。紙おむつサービスは、2021年度より介護保険の特別給付事業となりました。要介護1以上で、常時失禁状態の65歳以上の方や、身体障害者手帳1・2級、または愛の手帳1・2度で常時失禁状態の方に月1回、紙おむつを配達するサービスです。

 介護保険では、40歳から65歳未満の第2号被保険者のうち、加齢が原因とされる特定の16疾病、特定疾病により介護を要する状態になり、要介護認定を受けた方は介護サービスを受けられます。例えば、50歳代の末期がん患者の方、要介護1以上で常時失禁状態のためおむつが必要です。しかし、区では紙おむつサービスは65歳以上が対象のため受けられません。障害者手帳は所持しておらず、その対象でもありません。中野区の第2号被保険者で、特定疾病による介護サービスを受けている方は、2021年3月時点で235人。要介護1以上の方は152人います。要件として所得制限は設けられていますが、紙おむつサービスを受けたくても受けられない区民は相当数いるのではなでしょうか。板橋区では、対象を40歳以上としています。中野区においても40歳以上の第2号被保険者を対象とするなど、要件緩和が必要ではないですか。実施検討を求めます。

 区では、2006年度より、要介護4・5の在宅で寝たきりの方などに寝具乾燥サービスを特別給付として実施しています。実績は、利用延べ人数として、2019年度79件、2020年度49件、2021年度も49件と、延べ件数で見ても多くありません。要介護度別の居宅サービス利用者数は2021年3月末で、要介護4の方は948人、要介護5の方は642人。この分母に比して寝具乾燥サービスの利用が少ないのは、要介護が重度の方は介護ベッドを利用しているため頻回利用は多くないとも考えられます。他方、要介護1から3の高齢者や家族及びケアマネジャーなど事業者からは、頻繁に布団の水洗いと乾燥消毒が必要との声が聞かれます。軽・中度の方の中には、介護ベッドを利用していない、利用できない方もいます。認知症など頻回に失禁されることで布団を汚してしまう方も少なくないと聞きます。杉並区では寝たきりに限らず、寝具を干すことが困難な方も対象としています。要件を緩和して対象の拡大を図ることを検討すべきではないですか、伺います。

 短期入所、ショートステイに伴う送迎費用の支給に関わっても伺います。こちらも特別給付事業として、ショートステイ利用時の送迎の際にタクシー及び寝台車を利用しなければならない場合、支払った送迎費用のうち、利用者負担の限度額を超える額を給付するというものです。介護保険施行当初は、区内のショートステイの数が少なく、区外での利用が大半であったと思われます。現在は、ここ5年間の利用実績を見ても、利用延べ件数で6件から13件と大変少ない状況です。要介護の方や家族にとって、移送サービスは欠かせないものです。ただ、福祉サービスとして実施することも可能ではあります。

 紙おむつ、寝具乾燥、ショートステイの送迎サービスと、特別給付事業についてただしてきましたが、介護保険制度発足当初から特別給付事業として実施してきたサービスや、もともと高齢者福祉サービスとして実施してきたのを特別給付事業に移行してきたサービスもあります。何を基準にそのように変更してきたのか伺います。

 配食サービスについても伺います。区は、2010年度に委託で行っていた配食サービスを廃止しました。理由としては、民間のサービスが増えて供給体制があるとのことでした。現在、配食サービスの提供は民間業者により充足しているようでもありますが、独り暮らし高齢者が生活していく上で課題も散見されます。

 ケアマネジャーからは、独り暮らし高齢者の食生活の実情を聞く機会がありました。介護保険で生活援助のヘルパーの時間が短縮され、調理提供は難しいと聞きます。現在、区では、民間業者による配達の際に、声かけと見守りを行っていると聞いています。しかし費用負担が重く、1日3食を取らない、小分けにして食すなど、回数を減らしてしのぐなど、生活の厳しさがうかがえます。そのことで見守りの機会を失ってもならないと思います。社会的に高齢者の栄養失調が取り上げられ、フレイルへの視点からも支援が必要であると考えます。配食サービスを1食だけでも区として補助することを検討してはいかがですか、伺います。

 次に、包括的性教育について伺います。包括的性教育とは、国際的に広く認知・推進をされている性に関する知識やスキルだけでなく、人権やジェンダー観、多様性、幸福を学ぶための重要な概念と言われています。包括的性教育については、ユネスコが中心となって作成された「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」が公表されており、国際的な標準的指針として利用されています。

 1、人間関係、2、価値観、人権、文化、セクシュアリティ、3、ジェンダーの理解、4、暴力と安全確保、5、健康と幸福、6、人間の体と発達、7、セクシュアリティと性的行動、8、性と生殖に関する健康と、主なコンセプトとして8個が掲げられ、その中にトピックが記され、このキーコンセプトとその中のトピックを繰り返し学び続けていくというのが、ユネスコが定義している包括的性教育と言われています。

 この包括的性教育は、一つ目に、乳幼児期から思春期、青年期、さらに成人期、高齢期まで、人生における様々な課題に向き合っている全ての人にとって学ぶ意義があること。2つ目に、性的発達と人生の歩みにおけるあらゆる局面に賢明な選択と対応ができ、自らと他者の尊厳を大切にできる知識・態度・スキルを育むこと。三つ目は、人間関係において様々な共生能力を獲得し、喜びを共有できる能力を獲得していくことが柱となっています。

 教育委員会にお聞きします。学校での性教育についての課題は何だと考えますか、伺います。

 東京都教育委員会は、2018年8月に、都内の全公立中学校等624校に、性教育の実施状況調査を行い、その結果を9月に発表しました。校長名で回答がされています。「学習指導要領に示されていない内容を指導することも必要だと思う」という項目に対し、4%が「とてもそう思う」、42%が「そう思う」と回答しており、あわせて46%となっていました。また、「生徒は性に関する正しい知識を身につけているか」については、約半数が「身につけているとは思わない」とする現状が明らかになりました。現在、中学生にも性交、避妊、人工妊娠中絶、性感染症、性暴力等、大切なことをしっかり教えるべきという声は増えています。こうした声に応えて、子どもたちや青年たちに、包括的性教育を学ぶ権利を保障していくことが重要であると考えます。性教育の実践を国際的スタンダードに準拠してつくり上げていくことが必要になっているのではないでしょうか。教育委員会の見解を伺います。

 2019年3月に、東京都教育委員会編の「性教育の手引」が改訂され発行されました。「性教育の手引」では、学習指導要領に示された内容を全ての児童・生徒に確実に指導するとともに、性情報の氾濫等の現代的な課題を踏まえながら、保護者の理解を得て必要な指導を行っていくなど、適切な性教育の実施に向け改訂したことが目的とされています。改訂の主な特徴を4点にまとめ、1点目の指導の系統性・関連性を重視の観点からすると、例えば、中学生に中絶は教えるべきではなく、高校段階の課題であるとするなど、性的発達の視点から見て機械的に教育委員会が学校現場に指導・助言するとすれば、改訂の趣旨は生かされないと思います。

 中学校学習指導要領では、学校において特に必要がある場合には、各教科の章以下に示していない内容を加えて指導することができるとされています。教育課程の編成において柔軟な内容等の取扱いができることがうたわれています。

 2点目に、性をめぐる現代的な課題に対応として挙げられているのは、情報化の進展に伴う課題、妊娠・出産に伴う課題、性感染症に関する課題、性同一性障害等に関する正しい理解の4項目です。しかし、提示されている現代的な課題は限定的であり、学識者や学校関係者からは、性的トラブルを防ぐという問題対応と道徳的な教え込みに力点が置かれているとの指摘があります。

 手引で示されていることはあくまで事例であり、子どもたちの性的発達状況の把握と、子どもたちの質問や疑問に正面から答えていく実践の基本姿勢が問われていると考えます。子どもたちの性的発達を保障することが基本的な獲得目標です。包括的性教育に真剣に向き合うべきではないでしょうか。教育委員会の見解を伺います。

 次に、コミュニティタクシーについて伺います。この間、住民の参加を得ながら検討を重ね、秋頃からの実証実験を目指していると聞いています。実証実験を行う上では課題があることも分かってきたとも伺っています。初めに、現在の検討状況についてお聞きします。

 今後、関係機関との調整や、ルート周辺の住民と利用者の声を聞いて調整を図ることも出てくると思います。実証実験を実施していく中でさらに課題が見つかり、新たな策を講じることも出てくると思われます。実証実験の実施時には、駅までのアクセス、病院、公共施設、買物など、何を目的とした利用なのかをしっかりと把握してほしいと思います。また、交通不便地域解消の一環として、若宮・大和町地域を走らせることにしているため、地域住民の意見は大切です。ルートや運賃の額によって利用しにくい事態は避けることが必要です。そのことも実証実験にて利用者の意見として把握してほしいと思います。そのためにも、実証実験の実施前には、住民への周知徹底を図って、多くの方々に利用してもらうよう努めることが必要だと考えます。区の見解を伺います。

 以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 長沢議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、区民と区内事業者への影響把握と対策・支援についてでございます。現在の原油価格や物価高騰が区民生活や事業活動にどのような影響を及ぼしているか、状況を把握するための調整をしているところでございます。今後、生活者や事業者の負担軽減を図るため、地方創生臨時交付金等を活用し、地域活動の活性化と生活者支援を目的とした事業など必要な支援について検討し、適時適切に対策を講じていく考えでございます。

 次に、高校生等医療費助成についてでございます。高校3年生までの医療費助成について、23区では所得制限なし、自己負担なしで実施することとしましたが、東京都の基準には所得制限や自己負担があるため、区の財政負担が生じます。引き続き、所得制限と自己負担の撤廃や財源保障について東京都へ働きかけてまいります。

 次に、中野駅新北口駅前エリアにおける文化芸術の展開についてでございます。中野駅新北口駅前エリアの拠点施設は、中野のシンボルとなる新たな文化芸術等発信拠点として、多目的ホールを中心に施設全体で構成することとしておりまして、中野駅周辺における文化集積地の中心地として、駅周辺のにぎわいや中野の魅力の発信において貢献する中心的な役割を担うことを想定しております。中野駅新北口駅前エリアにおける文化芸術の展開につきましては、中野駅周辺における再開発に関連するハード面の動きを捉えながら、今年度に策定予定の文化芸術振興基本方針において取組の方向性を示してまいります。

 次に、中野駅新北口駅前エリアにおける区民の発表の場の整備についてでございます。文化芸術の振興を進めるに当たりましては、区民の文化芸術活動の発表の場を整備するなど、区民が身近に文化芸術に触れる機会を増やし、区全体として文化芸術を応援する風土をつくり出していくことが重要だと考えております。中野駅新北口駅前エリアの拠点施設整備に当たりましては、区の文化芸術等に関する方針や現在の中野サンプラザの状況を踏まえて、事業者に対し、区民に利用され、親しまれる施設機能となるよう誘導してまいります。

 次に、特定目的基金への積立てについてでございます。新たな財政運営の考え方におきましては、特定目的基金への積立ては、将来多額の経費の発生が見込まれる事業について円滑に事業を遂行できるよう当初予算編成時から計画的に行っていくことを考えております。歳入が大幅に減となった場合については、区民サービスの低下を招かぬよう財政調整基金の活用も想定しているところでありまして、特定目的基金への積立てについても、その時々の状況に応じて適切な対応を取ってまいります。

 次に、公契約条例における条例施行規則で定める委託契約についてでございます。予定価格が1,000万円以上の委託契約のうち、人件費が委託の主要な部分を占めるものを規則で定める予定でございます。具体的には、施設の総合的な管理、受付、警備のほか、施設や公園等の日常的な清掃、学校または保育所における用務や給食の調理、学童クラブ及びキッズ・プラザの運営、廃棄物収集、資源回収などの業務を予定しております。規則で定める予定の委託契約の種類につきまして、令和3年度の実績で考えますと9種類が該当いたします。

 続きまして、指定管理者における労働報酬下限額についてでございます。区の公契約条例に基づいて契約を締結する受注者は、受注関係者が労働者等に支払った賃金が労働報酬下限額を下回るときには、その差額を受注関係者と連帯して支払う義務を負うことになります。この義務は委託契約下においても指定管理協定下においても等しく生じるものであります。したがって、指定管理者が委託した受注関係者に雇用され、公契約に係る業務に従事する労働者についても、委託契約に係る労働者と同じく労働報酬下限額以上の適正な支払いが担保されることになります。

 次に、個人情報保護条例の改正スケジュールについてでございます。令和4年9月までには新たな個人情報保護制度の主な考え方を議会にお示しし、議論いただき、その結果を踏まえて条例素案を策定し、区民意見交換会、パブリック・コメントの手続を経て、令和5年第1回定例会で個人情報保護条例の改正案を提出したいと考えております。

 次に、個人情報保護審議会への諮問についてでございます。中野区個人情報保護条例では、同審議会の役割として、あくまで制度の運営に関する重要な事項について諮問に基づき調査、審議するものとされておりますが、新たな制度の在り方については諮問事項に入っていないと認識をしております。同審議会に対して新たに諮問することは考えておりませんけれども、検討過程の各段階において適時適切な情報提供を行ってまいります。

 次に、改正法による区の個人情報保護制度への影響についてでございます。今回の法改正の趣旨は、各自治体の個人情報保護の在り方を統一し、データ利活用を促進することとされ、自治体における改正条例は法の施行条例としての位置付けになります。これまで条例の規定により保護してきた自治体の個人情報は、今後は国の法律で守られることになり、基本的には各自治体の独自の取組や判断は制限されると考えております。一方、区政運営において区民の個人情報を適切に保護していくことの重要性に何ら変わりはありません。この観点から、区としてこれまで行ってきた個人情報保護の取組を踏まえて、どのような内容を条例案として盛り込めるか、現在検討しているところであります。

 次に、不妊治療のための休暇制度についてでございます。新設された不妊治療のための休暇における会計年度任用職員の給与については、今年度は無給の扱いとしましたが、他区での扱いに鑑み、今後は有給とする方向で検討してまいります。

 次に、コミュニティタクシーについてでございます。現在の検討状況について。令和4年2月から3月にかけ運行事業者の公募を実施し、企画提案内容について選定した上で、4月に事業者は関東バス株式会社に決定をいたしました。現在は、運行経路及び停留所に関して、警視庁等の関係機関との調整や停留所候補地周辺の住民との調整を行っておりまして、実証実験の運行に関する手続に向けた検討を進めております。

 次に、利用意向の把握と周知についてでございます。令和3年度から若宮・大和町地区におけるアンケート調査の実施や地域勉強会を開催しております。今後も地域勉強会を通じて地域との連携を図るとともに、実証実験の実施に当たっては、利用者の利用目的、運行内容に対する利用者の意見等を把握するための方法について検討を進めてまいります。

 また、実証実験の実施前には、地域勉強会を通じた住民への周知や、区と事業者で協力をし、直接住民に事業の説明をするなど、様々な方法で地域への事前周知を行って、多くの方に利用してもらえるように努めてまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、包括的性教育についての御質問にお答えいたします。

 まず、学校における性教育の課題についてでございます。性教育につきましては、学校は学習指導要領に示された内容を確実に実施しております。一方、社会状況や情報化社会の進展など、子どもたちを取り巻く環境が急激に変化する中においては、性感染症や避妊、人工妊娠中絶、性自認、性的志向等への正しい理解の必要性、地域、保護者の理解を得て共に指導を進めることなど様々な課題があると認識しております。

 次に、性教育の実践についてです。本区では、中学校1校が、令和元年度から東京都が実施した性教育の授業実施指定校10校として、学習指導要領に示されていない内容を含む授業を、保護者の理解や了解を得た上で専門家と協力して実施いたしました。産婦人科医を講師として避妊法や人工妊娠中絶を取り上げ、発展的な学習として実施いたしましたが、今年度は他校での実施も予定しております。これからも、幼稚園、小学校、中学校を通して、子どもたちの発達段階や社会的背景に合わせた性に関わる指導を確実に推進してまいります。

 最後に、性教育に向き合う姿勢についてでございます。学校は性教育も含め、子どもたちが自分事として考える場を大切にしながら、適切な意思決定や行動選択の力を身につけられるように努めております。現在、中野区立幼稚園、小学校、中学校では、発達の段階や様々な指導場面を想定した性教育の年間指導計画を作成し、包括的に性教育を実施しております。今後とも子どもたちの状況や社会的背景に合わせて指導内容を工夫して指導してまいります。

〔子ども教育部長青山敬一郎登壇〕

○子ども教育部長(青山敬一郎) 私からは、保育行政についての御質問にお答えいたします。

 最初に、私立認可保育所の定員割れに対する補助についてでございます。私立認可保育所の令和4年4月時点の0歳児入所率は82.2%でございますが、令和4年6月時点では87.8%と、比較的高い水準になっております。例年の0歳児入所率の推移を見ますと、年度末にはほぼ100%近くまで上昇しております。仮に昨年度から実施しております小規模保育事業所等への減収補填と同様の補助制度を創設したとしても、対象となる認可保育所はほとんどないと推測しておりまして、現時点では補助は予定してございません。

 次に、職員配置基準の引上げの国への要望についてでございます。保育士の労働環境改善は、保育の質の向上を図る上で重要と認識しております。保育士の労働環境を根本的に改善するため、国に対し、職員の配置基準の引上げについて様々な機会を捉えて要望してまいります。

 次に、職員配置基準の改善に向けた区の取組についてでございます。区では毎月、国が定めた公定価格のほかに、区が独自で定めた加算額を合わせ運営費として給付しております。認可保育所につきましては、11時間保育のための保育士や延長保育のための保育士等、国の基準を超えて職員を増配置した場合の加算も行っております。今後も、区の長期的な財政状況を踏まえつつ、保育の質向上に努めてまいります。

 次に、中野区保育の質ガイドラインの改訂についてでございます。ガイドラインの改訂に当たりましては、各保育施設へのアンケート調査を実施し、学識経験者、区立・私立保育園長、区立・私立幼稚園長をメンバーとするガイドライン改訂検討会を設置するなど、1年をかけて検討を行ってまいります。アンケート結果で寄せられた意見や提案を積極的に反映するほか、各保育施設の優良な保育実践例を多数掲載して内容の充実を図る考えでございます。改訂版の作成につきましては、令和5年3月を予定しております。

 次に、令和4年10月以降の保育士の処遇改善加算についてでございます。令和4年10月以降の取扱いにつきまして、国は令和4年夏頃の人事院勧告の内容を踏まえて検討するとしておりますが、令和3年度と比較して3%程度の処遇改善を実施できるように対応していく予定とのことでございます。令和4年10月以降の取扱いにつきましては、国からの提示があり次第、各園に周知を行ってまいります。

 最後に、公定価格における人件費についてでございます。区では子ども・子育て支援法に基づき、人件費、管理費、事業費等を運営に要する費用として、国の公定価格に基づき給付しております。公定価格の改定に合わせて出される国からの通知、「私立保育所の運営に要する費用について」では、人件費を含め積算上の内訳が示されており、区では各保育所に周知を行っております。

 また、人件費関係のうち、職員の経験年数に応じた昇給に要する費用への加算や、技能の向上に応じた賃金の改善に要する費用への加算につきましては、対象者の賃金の改善に充てることが要件となっております。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、介護保険と高齢者施策についてお答えいたします。

 まず、国庫負担の引上げを求めることについてです。国では次期の計画期間に向けた議論が開始されたところであり、能力に応じた負担や軽度者への給付の在り方、ケアマネジメントの質の向上等について検討が進められる予定でございます。安定的で持続可能な制度とするための国庫負担の引上げについては、特別区長会等を通じて国に要望してまいります。

 次に、ケアマネジャーへの支援についてです。これまで区では、ケアマネジャーへの集団指導として、令和2年度までは会場での説明会を開催し、質疑応答の機会を設けてまいりました。しかし、令和3年度は、新型コロナウイルス感染症への配慮から、区のホームページで資料を公開し、提出された質問とともにその回答を閲覧できるようにしておりまして、事業者からはおおむね好意的に受け止められているものと認識しております。今後も現場の意見を丁寧にお聞きしながら、ケアマネジャーへの支援を行ってまいります。

 次に、紙おむつサービスの対象者の拡大についてです。紙おむつサービスにつきましては、国の通知に基づき、令和4年度より、それまでの地域支援事業の中の任意事業から特別給付へと変更いたしました。保険者として継続的に制度を運営していくため、ほかの自治体の状況等も把握した上で、事業対象者の範囲の在り方について研究してまいります。

 次に、寝具乾燥サービスの対象者の拡大についてです。サービス利用者の実態やニーズの把握に努め、サービスの内容や対象者の範囲等について研究してまいります。

 次に、介護保険の特別給付についてです。高齢者が在宅生活を送る上で、必要であるにもかかわらず介護保険法で定められた給付の対象外であるサービスについて、独自に給付する必要があると判断したものについて特別給付としております。財源は全て第1号被保険者の保険料で賄われております。

 最後に、配食サービスへの補助についてです。民間による配食サービスの提供が一般的となった現在では、区による補助の必要性は低いものと考えております。

○議長(内川和久) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 ひやま 隆

 1 物価高騰による区民生活への影響について

  (1)高齢者・生活困窮世帯への影響について

  (2)学校給食への影響について

  (3)区内経済への影響について

  (4)その他

 2 震災対策について

  (1)新たな被害想定に対する認識について

  (2)新たな課題と今後の取組について

  (3)その他

 3 旧中野刑務所正門について

  (1)保存活用計画について

  (2)良好な教育環境の確保に向けた取組について

  (3)その他

 4 中野駅新北口駅前エリアの再整備について

 5 その他

 

○議長(内川和久) 次に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○17番(ひやま隆) 令和4年第2回定例会に当たりまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。質問は通告のとおりです。その他はございません。

 初めに、物価高騰による区民生活への影響について質問いたします。

 物価高騰が、私たちの生活を直撃しています。先月5月の企業物価指数は、前月4月と並び過去最高となりました。そうした中、日本銀行の黒田総裁は、今回の相次ぐ値上げに対して、家計の値上げ許容度も高まってきていると発言されたそうでありますが、少なくとも私の住む地域では、家計が値上げを受け入れているとは到底言い難く、むしろ受け入れるどころか、値上げに悲鳴を上げているというのが実態であります。他の自治体では、長期化するコロナ禍や物価の上昇で貯蓄が底をつき、食費や医療費を払えないといった生活相談が増加しているケースも見受けられますが、中野区の現状と区の認識について答弁を求めます。

 物価高騰により、高齢者の生活に与える影響も非常に懸念されます。小泉政権下で導入されたマクロ経済スライドと安倍政権下で成立した国民年金法等の改正により、現在の年金制度は、物価が上昇しても、それに見合うだけの支給額の増額が行われない仕組み、言わば「物価に負ける年金」になっております。今月15日に4月分、5月分の年金が高齢者の皆さんの口座に振り込まれているかと思いますが、多くの方が大変驚かれていると思います。物価が上がり家計が悲鳴を上げている、こうした状況にもかかわらず、今年4月からの年金受給額は0.4%減額されております。特に懸念されるのは、高齢者の身体への影響です。例えば年金が下がる一方で電気代が上がるとなれば、当然エアコン等の使用控えにつながりかねません。新型コロナウイルスの影響により、マスクの着用や自宅で過ごすことが多い生活となりがちな状況の中、エアコン等の使用控えとなれば、高齢者の熱中症による死亡リスクは今後さらに高まることが予想されます。単身高齢者世帯、高齢者のみ世帯の中でも特に支援が必要な高齢者については、生活状況をよりきめ細かく把握し、必要に応じて生活保護等の公的支援の活用も含め、プッシュ型で支援につなげる取組の強化が必要であると考えますが、区の答弁を求めます。

 また、近年の中野区における熱中症による緊急搬送状況などの現状を伺うとともに、これからの季節、特にエアコンといった空調設備は我慢せずに利用するといった、正しい熱中症の予防、対処法の普及啓発を改めて求めますが、区の答弁を求めます。

 もう一つ懸念しておりますのは、子どもたちへの影響です。さきの定例会でも取り上げさせていただきましたが、昨年12月、国は子どもの貧困に関する初めての全国調査の報告書を公表しました。それによると、食料が買えなかった経験の有無について、全体では約1割に対して、ひとり親世帯では約3割、貧困層に至っては約4割が、過去1年間に必要な食料が買えなかった経験があると回答しております。この調査からは、本来であれば公的支援の対象となる方に公的支援が利用されていない、すなわち制度の捕捉率の低さが明らかとなりましたが、長期化するコロナ禍と物価高騰という危機的な状況の今こそ、本来支援が必要な方を速やかに支援につなげていかなければなりません。

 さきの定例会において、生活保護や就学援助、児童扶養手当をはじめとする公的支援については、アウトリーチチームをはじめとする区の取組をさらに拡充させながら、プッシュ型で支援につなげる取組の強化を求めましたが、それらについて改めて区に求めます。さらには、地域で展開されている子ども食堂事業、フードパントリー事業などについては、子ども教育施設と連携をしながら、さらなる周知に努める必要があると考えますが、区の答弁を求めます。

 関連して、生活保護についてお聞きをいたします。長期化するコロナ禍と物価高騰が区民の生活に深刻な影響を及ぼす中、我が国の社会保障制度における最後のセーフティネットである生活保護の意義が改めて問われています。生活保護制度をめぐっては安倍政権において戦後最大の削減が行われましたが、削減の根拠の一つが物価でした。消費者物価指数の動向を機械的に当てはめ、物価が下がった分を反映させるとの理屈ですが、そもそもこの中身自体も非常に問題ですが、一方で、今回、生活必需品の多くが値上がりする中で、現在の生活保護費には、それらの物価の影響が何一つ反映されておりません。既にぎりぎりの生活をしている受給者には、コロナ禍において感染防止のためのマスクや消毒液などの新たな出費が重くのしかかっております。さらにそこに、食料品や電気代まで値上がりとなれば、猛暑でもエアコンを我慢したり、水道代を節約するためシャワーや入浴の回数を減らしたり、食事を制限せざるを得なかったり、受給者のQOLが下がるのみならず、場合によっては命と健康に関わる大きな問題につながりかねません。

 昨年の第3回定例会における私の一般質問において、区からは、ケースワーカー体制の強化にも今後取り組むとの答弁がありましたが、区民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する、その要としての生活保護制度の水準を担保し、受給者の生活実態をよりきめ細かく把握し、必要な支援につなげるためには、ケースワーカー体制の強化は不可欠です。その後の進捗状況について伺うとともに、物価高騰が続く中での生活保護の相談件数、申請件数の状況について、区の答弁を求めます。

 今回の物価高騰は、学校給食の現場にも大きな影響を与えております。小麦や油、牛乳など、給食に欠かせない材料の値上がりが相次ぎ、現場では対応に非常に苦慮しているとの声が漏れ聞こえます。今後も価格の上昇が続けば、さらなる安価な食材の使用も想定され、栄養バランスの偏りや栄養量の基準を満たすことが困難な事態も懸念されます。そうした中、他の自治体では、原材料価格の上昇により、学校給食費の値上げの動きが広がっておりますが、値上げにより保護者負担が増加すれば、コロナ禍において苦境に陥った世帯のさらなる生活苦を招き、子どもを取り巻く環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。物価高騰による学校給食の原材料価格への影響、栄養量の基準を満たさないケースの有無といった物価高騰による中野区の学校給食への影響について、中野区の現状を伺います。

 2022年4月5日に文部科学省から発出された「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の取扱いについて」の事務連絡では、活用が可能な事業例として、物価高騰に伴う学校給食等に関する負担軽減を行う事業が示されております。これを受け他の自治体では、地方創生臨時交付金を財源に、学校給食の食材費を補助する動きも見受けられます。こうした国の動向も注視しながら、中野区としても学校給食に係る物価高騰への対策を実施し、学校給食法にもうたわれている適切な栄養の摂取による健康の保持増進、この学校給食の根幹を区としても揺るぎなく保障する必要があると考えますが、今後の取組について区の答弁を求めます。

 この項の最後に、区内経済への影響について質問いたします。物価高騰は、区内経済にも大きな影響を及ぼしております。地域で商店を営まれている方々からは、新型コロナも落ち着きはじめ、経済活動の本格的な再開に向けて明るい兆しが見え始めた矢先に、今度は物価の高騰と、まさに泣きっ面に蜂状態との声も聞こえます。コロナ禍における区内経済の活性化に向けては、区はこの間、令和2年度のプレミアム付商品券の発行や、令和3年度に実施したポイント還元事業など、新型コロナにより打撃を受けている商店街に対する直接的な支援策を実施してきました。区内経済振興については、我が会派の杉山司議員が、これまで一貫して支援の必要性を訴えてまいりましたが、新型コロナに加え、今回の物価高騰によって影響を受けている区内経済の状況を鑑み、中野区としても、商店街支援など区内経済の活性化に向けた継続的な支援が必要であると考えます。現在の区内経済の状況に係る区の認識を伺うとともに、今後の支援策について区の答弁を求めます。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、都の被害想定見直しを踏まえた震災対策について質問いたします。

 東京都は先月25日、防災会議を開き、首都直下地震が起きた場合の被害想定を10年ぶりに見直しを行いました。条件が異なるため単純に比較はできませんが、前回、10年前の想定で最も大きな被害が出るとされた東京湾北部地震と比較すると、死者数、建物被害数ともに約3割から4割程度減少する結果となりました。この点について都は、耐震化率が約9割に上昇したことや、木造密集地域の面積が約半減したことなどを理由として挙げております。一方で、今回の被害想定では、東京都全体の被害は、都心南部直下地震が最も大きな被害が想定されておりますが、区市町村別の被害想定を見ますと、中野区では、首都直下型の多摩東部直下地震が発生した場合に最も大きな被害が想定されております。今回の見直しによる中野区の被害想定に対する区の認識を伺うとともに、その要因について、区としてどのように分析されておられるのか、現時点での区の見解をお示しください。

 新たな被害想定では、建物、人的被害等が大幅に減少したものの、しかし、依然として死者数は阪神・淡路大震災に匹敵するレベルが想定されております。想定される死者の要因別では、建物の倒壊など揺れ・火災、この二つの要因が大半を占め、耐震化と不燃化という旧来からの課題が改めて浮き彫りとなりました。多摩東部直下地震における中野区内の被害想定では、火災による焼失棟数、死者数ともに前回と比較して大幅に減少しているものの、依然として火災による被害は区の大きな課題です。中野区地域防災計画、令和3年修正時点において、東京都が定める木造密集地域は、区内に約470ヘクタール存在し、特に甚大な被害が想定される整備地域は約381ヘクタールに及び、区総面積の約25%を占めております。

 また、令和4年3月時点で、区内の木造住宅の約82.9%、非木造住宅の約92.9%弱の耐震化が進んでおり、防災上重要な区有建築物については100%の耐震化が行われているものの、今回の被害想定では、区内において約1,000棟の建物倒壊(全壊)が想定されております。新たな被害想定を踏まえた、中野区における木造住宅密集地域の不燃化と建築物の耐震化に係る区の認識を伺うとともに、今後の見通しについて区の答弁を求めます。

 今回の被害想定では、震災発生後に起こり得る都民生活への影響を時系列で示した震災シナリオが盛り込まれたことも大きな特徴です。これらのシナリオの中では旧来の課題に加え、避難生活等が原因で亡くなる災害関連死といった新たな課題も指摘されております。想定では発災直後には、停電により人工呼吸器などが停止し死亡するおそれがあるほか、数日後からは、車中泊によるエコノミークラス症候群などによる死亡が、そして1か月を超えると、慣れない環境での心身の不調による自殺などが想定されるとしています。さらに、避難所に来る避難者は、家庭の備蓄がなくなる4日後から1週間後までにピークを迎え、約300万人に上るほか、タワーマンションなどではエレベーターの停止で中高層の移動が困難な人が取り残され、孤立するおそれも指摘されております。これらの災害関連死に係る今回の被害想定で盛り込まれた新たな課題について、現在の中野区内での想定を伺うとともに、区としての対策について答弁を求めます。

 また、都は、こうした想定を基に、具体的な対策を盛り込んだ地域防災計画を今後改定し、来年度、令和5年度の早い時期に取りまとめたいとしておりますが、新たな被害想定を踏まえた中野区の今後の取組について答弁を求めます。

 次に、旧中野刑務所正門について質問いたします。

 令和3年6月、中野区教育委員会は、旧中野刑務所正門を旧豊多摩監獄表門として中野区有形文化財に指定しました。令和4年4月25日の区民委員会において、旧中野刑務所正門の基本計画・保存活用計画についての報告がなされました。今回お示しされた保存活用計画では、門の外観は常時公開とし、さらに、門の公開に伴い、駐車場、駐輪場、説明板、標識の設置といった公開、活用に係る整備も示されております。門の移転先である、旧法務省矯正管区敷地内の西側部分は、面積にして1,894平方メートルとなっておりますが、今回の計画において、門の保存と活用に係る土地利用面積はどれくらいの広さが想定されるのか、また、それは当該部分においてどれくらいの割合を占めるものなのか、答弁を求めます。

 令和3年2月、区は国と旧法務省矯正管区敷地の売買契約を締結いたしました。その際、西側部分の買入れの目的は、平和の森小学校移転用地とあります。しかし、今回お示しされた計画における門の保存と活用に係る土地利用、さらに常時公開という性格を鑑みれば、平和の森小学校移転用地として活用できる余地はかなり限定的になることが予想されます。そうしたことからも、西側部分については、区としての新たな土地利用の考え方を検討する必要があると考えます。

 文化財保護法第1条では文化財の保護と活用がうたわれておりますが、文化財はその保存と同じく活用が重要です。令和3年11月に2日間にわたり開催された中野区主催の公開見学会では、区内外から約5,500人もの見学者が訪れ、関心の高さが伺えました。新たな土地利用の考え方の中には、多くの方に文化財の魅力と価値を体感できる、そうした文化財の保存と活用に係る機能を盛り込むべきであると考えます。

 また、当該エリアは、木造の戸建て住宅や古いアパートが密集しており、地震発生時における地域危険度が高い地域でもあります。中野区の平和の森公園周辺地区計画では、西側部分も含めた地区計画の目標について、平和の森公園を生かした緑豊かで快適なまち、広域避難所を中心とした防災拠点地区の形成と示されておりますが、西側部分の土地利用には、こうした防災機能の拡充という視点も不可欠です。門の移転先である西側部分については、これらの文化財の保存と活用に係る機能、そして地区計画を踏まえた防災に係る機能、さらには今後の都市計画交付金の活用、こうした視点を鑑み、公園用地として活用する新たな土地利用の考え方を検討するべきであると考えますが、区の答弁を求めます。

 また、仮に土地利用の目的を変更する場合、学校用地を目的として取得した国との売買契約との齟齬が発生する可能性はあるのか、この点についても答弁を求めます。

 我が会派としては、門の取扱いに関して、保存と良好な教育環境の確保の二つの両立を一貫して求めてまいりました。当初の平和の森小学校新校舎整備の基本計画(案)では、2023年度に新校舎の供用開始の予定でしたが、曳家移築の方針により、供用開始は2027年度に後ろ倒しとなりました。平和の森小学校現校舎は、児童数が多く、手狭な状況となっており、新校舎開設までの間、子どもたちは狭小な校舎と校庭での生活を余儀なくされます。この間、子どもたちへの影響を最小限に抑えるべく、近接する平和の森公園といった施設の活用を図るなど、良好な教育環境の確保に向けた取組を進めていかなければならないと考えますが、区の認識と現在の状況について伺うとともに、新校舎開設の早期実現に向けて、区としてもさらなる努力が必要であると考えますが、答弁を求めます。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、中野駅新北口駅前エリアの再整備について質問いたします。

 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画では、区有地等資産について、その一部は市街地再開発事業において転出し、転出補償金を新区役所整備等の財源として確保し、残りの資産は権利変換し、事業への一定の関与を保持するものとしております。その上で、権利変換により取得した権利床は、中野区区有施設整備計画に基づき、民間事業者への貸付けなど、行政サービスの財源確保を目的とした資産の有効活用を図るものとしております。中野100年のまちづくりとなる駅前エリア再整備の中で、そのシンボルタワーとなる拠点施設に権利床を持つことで、今後のまちづくりに区としての関与を残しておきたいという区の考えは理解するところです。

 一方で、その活用については、これまでのところ、行政サービスの財源確保を目的とした資産の有効活用を図るとだけしか示されておりません。拠点施設整備への区としての関与として取得し、区民の財産でもある権利床の活用が財源確保のみという現在の区の考え方については、さらなる主体的な姿勢を区に求めたいと思います。財源確保となれば、権利床の活用を考える上で、当然ですが収益性を主眼に置かざるを得なくなります。もちろん将来への禍根を残さぬよう、収益性や採算性を否定するものではありません。しかし、そもそも地方公共団体の責務は住民の福祉の増進を図ることにあり、収益性、採算性以前に、公益性や共益性、これら行政としての本分を忘れてはなりません。

 さらには、行政サービスの財源確保とありますが、一体区民にとってどのような行政サービスが提供されるのか、それらの明確な区の姿勢がないままに財源確保だけが独り歩きしてしまえば、区民の理解を得ることは難しいのではないかと考えます。財源確保が手段であり、行政サービスが目的ということであれば、手段より先にまず目的を明確にするべきであり、財源確保、それ自体が目的化することがあってはなりません。現在の計画では、拠点施設の竣工は令和10年度、実際に権利床の活用により歳入を見込めるのはそれ以降であり、中野区基本計画の計画期間で見ると、次期基本計画での位置付けとなります。つまり、どのような行政サービスを提供するのかを検討するに当たっては、現在の基本計画の枠を超えた長期的な視点で、区を取り巻く社会経済状況、財政状況、行政ニーズを見極めなければなりません。これらの点を踏まえ、改めて拠点施設整備への権利床の活用方法に関して、公益性という観点から区の見解を伺うとともに、権利床の活用により得られた財源によりどのような行政サービスを提供することを描いておられるのか、次期基本計画での位置付けも含めた今後の区のビジョンについて答弁を求めます。

 中野駅周辺まちづくりに関連して、区長の施政方針説明において、中野駅周辺に子どもの遊び場となる施設の誘致を図ってまいりますとの発言がございましたが、その中身について、区の説明を求めます。

 昨年12月の中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会において、中野駅新北口駅前エリア再整備についての所管事項の報告がございました。その中で拠点施設の容積率については、事業者公募の提案時の900%から1割積上げし、1000%に変更するという御説明がありました。変更の理由として、空地の確保や歩行者ネットワークの整備等といった公共貢献に関わる事業者からの追加の提案を挙げております。しかし、これらの公共貢献に関わる事業者からの提案の中身が、果たして今回の容積率の緩和に見合ったものなのか、この点については慎重に見極める必要があると考えます。

 そもそも区の中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画では、拠点施設整備の基本方針として、公共公益性の向上につながる空間構成を掲げております。今回の事業者からの追加の提案が容積率の大幅な緩和に資するだけの価値があるものなのであれば、なぜ当初の提案の段階からそれらのメニューが盛り込まれていなかったのか疑問が残ります。事業者からの提案が容積率の積上げに資するものなのか、区民にどのようなメリットがあるのか、総事業費にどれぐらいの影響を与えるものなのか、周辺環境にどれぐらいの影響を与えるのか、これらの点について区の見解を伺うとともに、事業全体のなお一層の説明責任と透明性を区に求めます。

 区長は、施政方針説明において、区民の皆様や関係者の方々の意見を反映した再開発を実現してまいりますと述べられておられましたが、区民のためのまちづくりという原点をこれからも忘れることなく、区民の福祉の増進に資する、区民が主役のまちづくりとなることを求め、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、生活困窮の相談の現状と区の認識についてでございます。生活に困窮した方からの相談件数は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い令和2年度に増加、令和3年度は、前年に比べ減少したものの、家賃の支払いや収入の減少などに関する相談は多く、以前の水準には戻っていない状況でございます。令和4年度に入っても同様の傾向が続いております。新型コロナウイルス感染症の影響による雇用情勢や経済動向は、住居や生活の困窮への影響が大きいため、状況を注視しながら必要な支援につなげてまいります。

 次に、高齢者への支援の強化についてでございます。75歳以上の単身高齢者世帯、高齢者のみ世帯に関しては、毎年、民生児童委員による高齢者訪問調査を行っているところであります。この調査は、個別宅へ訪問し、対面による聞取りで生活状況を把握し、支援が必要な世帯につきましては地域包括支援センターやすこやか福祉センター、生活援護課、社会福祉協議会などの支援につなげております。今後もアウトリーチの機能強化や多機関協働などによる重層的支援体制を整備し、強化を図ってまいります。

 次に、熱中症による緊急搬送状況とその対策についてでございます。東京消防庁の緊急搬送に関するデータでは、令和3年の区内の搬送を要する熱中症の発生件数は64件であり、高齢者が62.5%を占めております。都内高齢者の熱中症発生場所は、室内が約50%を占め、次いで道路や駅などが約34%となっております。熱中症予防策としては、暑さを避ける、こまめに水分の補給を行うことが重要でございますが、これから熱中症が増加していく季節を迎える上で、特に体温調整機能が低下している高齢者への熱中症予防策の周知を、区報、ポスター、区のホームページ等で行ってまいります。

 次に、アウトリーチ活動の拡充についてでございます。支援が必要な家庭に対して多様な場での早期発見に取り組むことが重要でございます。すこやか福祉センターによるアウトリーチ活動の充実や、子ども・若者支援センターや子どもに関する施設の関係者との連携の強化を進めてまいりたいと考えております。

 また、子ども食堂やフードパントリーなどの地域での支援活動も含め、様々な支援策や相談窓口の周知も重要でございます。積極的な情報提供を行ってまいります。

 生活保護のケースワーカー体制と申請状況等についてでございます。適正な生活保護の実施に当たって必要な人員の確保を進めているところでございまして、今年度は2人定数を増やし、今後、数年をかけて20人ほどの増員を見込んでおります。令和元年度の相談件数は3,625件、申請件数は765件、令和2年度相談が4,350件、申請が918件、令和3年度の速報値では相談3,942件、申請794件でございまして、令和4年度も前年とほぼ同様の件数状況でございます。今後、新型コロナウイルス感染症の影響がなくなったとしても、高齢化の進展などによって増加傾向は続くものと考えております。

 続きまして、区内経済の現状認識と今後の支援策についてでございます。新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢などに起因した世界的な物価高騰によって、電気料金や建築資材などが急激に値上がりし、区内中小企業が大きな打撃を受けておりまして、商店街では会員の収益の悪化から会費の徴収が困難となるなど、区内経済は厳しい状況にあると認識をしています。今後の支援策につきましては、東京都が、昨年度に引き続き本年度も実施を決定した東京都生活応援事業を活用し、区民の生活を支援するとともに、消費拡大により区内商業の活性化を図れる事業の実施を検討してまいります。

 また、現在、電気料金の急激な値上げによる商店街街路灯の電灯料金への影響を調査しているところでございまして、その結果を踏まえて必要な対応策も検討してまいります。

 続きまして、震災対策についてで、中野区の被害想定に対する区の認識についてでございます。東京都防災会議から示された今回の中野区の被害想定につきましては、前提条件が異なるため単純な比較はできませんが、示されたどの項目においても、前回の数値よりはおおむね下がっている状況でございます。現時点では、数値を導き出した詳細な根拠データを都に求めている段階でございます。今後、示されたデータを分析し、さらなる減災対策に努めていく考えでございます。

 次に、不燃化及び耐震化に係る区の認識と今後の見通しについてでございます。都の防災都市づくり推進計画に位置付けられている整備地域や不燃化特区等における防災まちづくり事業のほか、区内全域を対象とした木造住宅の建て替え、除却費助成等による耐震化促進など、区のこれまでの取組によって、木密地域の不燃化及び建築物の耐震化が効果的に推進できているものと考えております。今後も引き続き、都との連携強化や地域の市街地状況に即した防災まちづくりの取組を推進していくことで、首都直下地震等による被害をより一層低減させることができるものと考えております。

 次に、災害関連死に係る中野区の想定についてでございます。災害関連死は、エコノミークラス症候群や誤嚥性肺炎など様々な要因から発生します。現在は、人工呼吸器などの生命を維持するための機器への充電や避難所での慣れない環境での生活のストレスや不安、運動不足等を解消するための保健師の巡回などを計画しているところであります。災害関連死を出さぬよう、要因別に多角的な視点から検討し、さらなる対策を講じてまいります。

 また、近年増加している高層住宅への取組や災害弱者への備えについても強化に努めてまいります。

 次に、新たな被害想定を踏まえた区の今後の取組についてでございます。中野区地域防災計画の改定につきましては、令和5年度には改定をする予定でございます。

 最後に、旧中野刑務所正門について、西側部分の土地活用と売買契約との関係についてでございます。正門の保存活用計画では、旧法務省矯正管区敷地内の西側部分を中野区文化財保護審議会で示された保存公開必要範囲と、活用のために必要な整備を行うことができる区域として確保することを想定をしております。正門の保存・活用のほか、平和の森公園の防災機能を阻害しないような視点を持って土地利用を考える必要があると考えております。また、平和の森公園の開設の経緯や価値向上の視点も踏まえながら、現在土地活用の目的の整備を進めているところでございます。

 なお、学校用地及び道路用地を目的として取得した土地ではございますが、売買契約上、利用用途は制限されていないため、区の判断において、当初の活用目的を変更することは可能であると認識をしております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、まず、物価高騰による区民生活への影響についての御質問のうち、学校給食への影響についてお答えいたします。学校給食の現状でございますが、現在、価格変動の影響を受け、食材の購入先に加え、使用する食材や調理法など献立を工夫することで、中野区学校給食献立作成方針により定められた適正な栄養の摂取を最優先にして提供しているところでございます。

 次に、学校給食の今後の取組についてでございます。現在安定している食材価格につきましても、今後高騰が見込まれるものもあり、価格の変動と給食への影響については十分注視しているところでございます。地方創生臨時交付金の活用など、適切な対応について時期を逸することなく実施できるよう十分検討してまいります。

 最後に、旧中野刑務所正門についての御質問のうち、良好な教育環境の確保に向けた取組についてです。平和の森公園の利用についてです。現在の平和の森小学校は児童数が多く、校庭については旧法務省矯正研修所内の広場を第2校庭として利用しております。旧法務省矯正研修所の解体が始まりますと、第2校庭を利用できなくなるため、近接する平和の森公園施設の活用を図るなど、良好な教育環境の確保に向けた対応を検討しております。

 新校舎整備につきましては、4月に基本構想、基本計画を策定し、現在、基本設計・実施設計等の準備を進めております。今後実施される旧中野刑務所正門の移設工事とも十分に連携、調整を行いながら、可能な限り早期に新校舎の供用開始が実現できるように取り組んでまいります。

〔企画部長石井大輔登壇〕

○企画部長(石井大輔) 私からは、中野駅新北口駅前エリアの再整備についての質問のうち、まずは、新北口の権利床についてお答えいたします。新北口駅前エリア拠点施設整備の権利床につきましては、財源確保に加え、財産の有効活用や公益性の観点から最適な運用となるよう検討しているところでございます。得られた財源につきましては、保有する財産の管理経費や余剰金につきましては、今後、長期にわたって必要となる区有施設整備の財源活用などを想定しておりまして、基金の創設も含めて様々な可能性を検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、中野駅周辺における子どもの遊び場の誘致についての御質問です。中野駅周辺では、子どもや子育て家庭の居場所が欲しいという声も聞いておりまして、各地区で進められている再開発におきましては、区が子育て先進区を掲げていることに理解と協力を求め、子どもの遊び場や親子がほっと一息つける場の整備を促していきたいと考えております。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長松前友香子登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(松前友香子) 中野駅新北口駅前エリアの再整備について、施工予定者からの提案内容についてお答えいたします。新北口駅前エリアの拠点施設整備につきましては、現在、関係機関と協議を進めながら施設計画の詳細について検討を進めております。検討における施工予定者からの提案内容は、区の示す新北口駅前エリア再整備事業計画を踏まえつつ、歩行者動線の強化、地域交流の促進、防災機能の強化などが提案されており、区として本エリアに求める機能の強化に資するものと認識をしております。

 一方で、現在、環境影響評価の手続中であり、また、事業収支につきましても施設計画の詳細とともに検討中でございます。区としては引き続き、事業全体につきまして、検討の進捗に応じて丁寧に説明をし、拠点施設整備を進めてまいります。

○議長(内川和久) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、6月27日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時06分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 内川 和久

       議 員 小杉 一男

       議 員 若林 しげお