令和4年09月12日中野区議会本会議(第3回定例会)
令和4年09月12日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

1.令和4年(2022年)9月12日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(39名)

  1番  生  藤  健  人        2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  市  川  しんたろう

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  内  川  和  久       22番  若  林  しげお

 23番  高  橋  かずちか       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番     欠  員

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

1.欠席議員(2名)

 27番  山  本  たかし        39番  酒  井  たくや

1.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  石 井 大 輔      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 防災危機管理担当部長 石 崎 公 一     子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子

 地域支えあい推進部長 角   秀 行    地域包括ケア推進担当部長   藤 井 多希子

 健康福祉部長  岩 浅 英 樹      保 健 所 長  佐 藤 壽志子

 都市基盤部長  奈 良 浩 二      中野駅周辺まちづくり担当部長 松 前 友香子

 企画部企画課長  堀 越 恵美子      総務部総務課長  浅 川   靖

1.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  林     健

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  若 見 元 彦

 書     記  髙 田 英 明      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  田 村   優      書     記  細 井 翔 太

 書     記  有 明 健 人      書     記  早 尾 尚 也

 書     記  髙 橋 万 里      書     記  川 辺 翔 斗

 書     記  金 木 崇 太

 

 議事日程(令和4年(2022年)9月12日午後1時開議)

日程第1 第60号議案 令和4年度中野区一般会計補正予算

     [1]第66号議案  中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例

日程第2 認定第1号 令和3年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

午後1時00分開会

○議長(内川和久) ただいまから令和4年第3回中野区議会定例会を開会いたします。

 本日の会議を開きます。

 会議録署名員は、会議規則第128条の規定に基づき議長から御指名申し上げます。

 1番生藤健人議員、42番来住和行議員にお願いいたします。

 次に、会期についてお諮りいたします。本定例会の会期は、本日から10月19日までの38日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 この際、申し上げます。本定例会の会期中、略装を許します。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 この際、御紹介申し上げます。7月14日付で本区副区長に就任されました横山克人さんを御紹介申し上げます。

〔副区長横山克人登壇〕

○副区長(横山克人) さきの定例会で副区長を再任することに御同意いただきました。誠にありがとうございます。

 私の職務は、まちづくりをしっかり進めていくということでございますが、中野駅周辺開発しかり、また、西武新宿線連続立体交差事業に関連するまちづくりしかり、そして、木造密集市街地の防災に資するまちづくりしかり、いずれも着々と事業は進捗しているというふうに承知しておりますけれども、また一方で、非常に大きな課題を抱えているかなということも承知しております。特に中野駅周辺につきましては、ここ区役所とサンプラザ地区における市街地再開発事業、こちらのほうの都市計画決定、あるいは、事業計画認可に向けて今まさに正念場を迎えているかなと思います。また、連続立体交差事業につきましても、野方より西側の区間についての都市計画決定に向けて、東京都さんとの協議も含め、非常に重要な局面にあるかなというふうに思っております。これらの大きなプロジェクトを含め、中野では多くのプロジェクトを様々進めておりますが、これらを有機的に連携し、持続可能な魅力あるまちづくり、こういうものが進めていけるように、その道筋というものをしっかり構築してまいりたいというふうに考えております。

 また、これらのプロジェクトをしっかり進めていく上では、組織力の強化ということも非常に重要かなと考えております。土木や建築の技術者のみならず、用地業務を担えるような職員、こちらのほうの人材育成も喫緊の課題となっております。中野は非常に若い職員が多い組織であります。これらのプロジェクトをしっかり支えていけるように、若い管理職をしっかり育て、また、20代、30代の若手職員、こちらの方々に技術の継承をしっかり進めていくように、組織体制の構築というものをしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。

 最後になりますけれども、引き続き議会の皆様方とのコミュニケーションを大事にし、しっかり御指導いただきながら私の職務を全うしてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○議長(内川和久) 以上で紹介を終わります。

 この際、申し上げます。令和4年8月24日付及び8月25日付をもちまして、お手元の文書のとおり委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。

○議長(内川和久) 次に、一般質問の時期の変更についてお諮りいたします。一般質問は議事に先立って行うことになっておりますが、別な時期に変更し、質問を許可いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう進行いたします。

 これより日程に入ります。

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 第60号議案 令和4年度中野区一般会計補正予算

 [2]第66号議案  中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例

 

○議長(内川和久) 日程第1、第60号議案及び[3]第66号議案 の計2件を一括上程いたします。

 理事者の説明を求めます。

〔副区長白土純登壇〕

○副区長(白土純) ただいま上程されました第60号議案及び[4]第66号議案 の2議案につきまして、一括して提案理由の説明をいたします。

 第60号議案、令和4年度中野区一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ18億5,931万3,000円を追加計上するものです。これにより既定予算との合計額は1,619億8,690万8,000円となります。

 初めに、この補正の歳出予算の内容を説明いたします。

 まず、総務費ですが、多機能ユニファイド・コミュニケーション環境等構築のための、庁内情報システム用端末一部先行導入に係る経費1,338万7,000円を追加計上するものです。

 次に、産業振興費ですが、物価高騰に伴うプレミアム付商品券事業に係る経費2億4,215万3,000円を追加計上するものです。

 次に、子ども費ですが、高校生等医療費助成事業の実施に向けたシステム改修に係る経費1,017万8,000円、高校生等医療費助成事業の実施に向けた事前準備に係る経費324万2,000円及び子ども配食事業の見込者による増額分246万4,000円を追加計上するものです。

 次に、教育費ですが、物価高騰に伴う学校給食食材の一部公費による調達に係る経費4,100万円及び小学校社会科見学に係る経費の増額分550万8,000円を追加計上するものです。

 次に、地域支えあい推進費ですが、家事・育児用品の購入支援事業に係る経費1億5,660万円を追加計上するものです。

 次に、保健所費ですが、高齢者等のインフルエンザ予防接種自己負担金の無料化に伴う経費1億8,580万2,000円及び新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業に係る経費の増額分11億9,897万9,000円を追加計上するものです。

 この補正の歳入予算といたしましては、国庫支出金10億1,416万6,000円、都支出金2億8,554万2,000円、繰入金5億3,848万7,000円及び諸収入2,111万8,000円を追加計上するものです。

 続きまして、繰越明許費について説明いたします。これは、今年度内にその支出が終わらない見込みであるプレミアム付商品券事業に係る経費4,897万円について、翌年度に繰越しを行うため追加計上するものです。

 続きまして、債務負担行為の補正について説明いたします。ユニファイド・コミュニケーション環境構築等業務委託について、事業期間の変更等に伴い、期間を令和5年度までから令和6年度までに、限度額を7,845万5,000円から3億5,691万4,000円に変更するものです。

 [5]第66号議案 、中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例は、地方公務員の育児休業等に関する法律の改正に伴い、非常勤職員の育児休業の取得要件等について規定を整備するものです。この条例の施行時期は令和4年10月1日で、一部は公布の日です。

 以上2議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

○議長(内川和久) この際、申し上げます。[6]第66号議案 につきましては、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、お手元の文書のとおり特別区人事委員会の意見を聴取いたしましたので、さよう御了承願います。

 本件について御質疑ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。

 上程中の議案は、会議規則に従い、総務委員会に付託いたします。

 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、ひやま隆議員、若林しげお議員、木村広一議員、浦野さとみ議員、杉山司議員、大内しんご議員、日野たかし議員、羽鳥だいすけ議員、河合りな議員、高橋ちあき議員、平山英明議員、伊藤正信議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、渡辺たけし議員、内野大三郎議員、竹村あきひろ議員、立石りお議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 ひやま   隆

 1 財政について

  (1)新たな「財政運営の考え方」について

  (2)令和5年度予算編成について

  (3)今後の区財政と行政評価について

  (4)その他

 2 新型コロナウイルス感染症対策について

 3 中野駅新北口駅前エリアの再整備について

 4 地域包括ケアについて

  (1)2025年問題と介護人材確保について

  (2)認知症対策について

  (3)歯科保健について

  (4)その他

 5 地域活動の支援について

 6 良好な生活環境を確保するための取組について

 7 その他

 

○議長(内川和久) 最初に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○17番(ひやま隆) 令和4年第3回定例会に当たりまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。

 質問は通告のとおりです。その他はございません。

 初めに、財政について伺います。

 物価高騰による影響が区民生活を直撃しています。いまだ収束が見込めないコロナ禍での今回の物価高騰は、区民、区内事業者、そして、区自身にも様々な影響を及ぼしております。今後も先行き不透明な状況が続くものと推察されますが、どのような状況においても区民サービスを滞りなく提供し、公助の力で物価高騰から区民生活を守ることは区の重要な責務です。そして、そのためにも持続可能性のある健全な財政運営に努めなければなりません。

 先般開会された総務委員会において、新たな財政運営の考え方がお示しされました。これまで区では、予算編成における財政フレームの作成に当たり、税収見込み等を勘案して歳入を見積もるとともに、歳出の一般財源充当事業費を基準となる一般財源規模の範囲内で積算することを目標に、各部の予算要求限度額等を設定し予算編成を進めてきました。基準となる一般財源規模は、歳入の規模に合わせて歳出を管理し、あわせて、基金の繰入れや積立てによる財源調整を通じて歳入規模を一定に保つことを目的として導入されました。結果として予算編成の中におけるスクラップ・アンド・ビルドを促すなど、財務規律として適正な財政運営に一定の役割を果たしてきた側面は評価するものです。一方、歳入歳出の実態を見ると、平成26年度以降、歳入は上振れする状態が続き、歳出にあっては令和2年度を除き基準額に収まることはなく、基準となる一般財源規模と実際の歳入一般財源、一般財源充当事業費との乖離は常態化し、もはや財務規律として機能していない状態であることから、我が会派としては、基準となる一般財源規模の考え方に代わる新たな財政運営の考え方を示されることを求めてまいりました。

 今回、区がお示しされた新たな財政運営の考え方では、これまでの基準となる一般財源規模の考え方を改め、予算編成開始時における歳入一般財源の見込額を一般財源充当事業費の目標額とした上で予算編成を行うとしています。しかし、近年、歳入一般財源は大幅に上振れする状態が続いております。新型コロナをはじめとする不確実性の多い時代であるがゆえの想定外の上振れであると推察いたしますが、逆にそうした時代だからこそ、想定外の下振れリスクも懸念されます。地方財政法第3条には、地方公共団体は予算編成において、「経済の現実に即応してその収入を算定し、これを予算に計上しなければならない」とあります。しかし、新型コロナに加え物価高という、日本経済を取り巻く不確実性がさらに高まる中、歳入一般財源の見込額を一般財源充当事業費の基準とするのであれば、大幅な上振れや下振れといった様々なケースを十分に想定しなければならないと考えます。この点について区の見解を伺うとともに、この間の大幅な歳入増の要因を区としてどのように分析されておられるのか、答弁を求めます。

 さきに、基準となる一般財源規模は、財務規律として適正な財政運営に一定の役割を果たしてきた旨を申し述べました。一方、この間、区財政をめぐっては、基準となる一般財源規模に加え、財政非常事態宣言という薬が効き過ぎて、政策経費の執行が縮小し、政策の創造力が低下してしまうという副作用がなかったか、この点についても十分な総括が必要であると考えます。持続可能な区政運営を考える上で財務規律は不可欠であり、今回区が示された新たな考え方が適正な財政運営に資するものとなることを期待しております。

 他方、新型コロナに加え、物価高騰という状況の中、様々な分野で行政ニーズが増加している今ほど、行政としての政策の想像力が問われるときはありません。財務規律と政策の想像力、この二つのバランスをいかに両立させていくかが重要であると考えます。この点について区の見解を伺うとともに、基準となる一般財源規模の総括についても併せて答弁を求めます。

 長期化するコロナ禍と物価高騰の影響が区民生活に大きな影響を与える中、さきの各常任・特別委員会において、新型コロナウイルス感染症の影響下における原油価格・物価高騰等の緊急対策についての報告がなされました。物価高騰の影響により経済的に厳しい状況に置かれた区民や区内事業者を支援するため、商店街や学校、子育て、介護、障害等に関わる支援が検討中の主な対策としてお示しされました。そして、これらの緊急対策は、国の令和4年度地方創生臨時交付金を活用するとの御説明でした。先般、岸田総理は、地方創生臨時交付金について、増額を政府として考えていきたいと話すなど、今後追加で交付する可能性を示唆しています。他方、長期化するウクライナ情勢はいまだ予断を許さず、世界的なエネルギーや原材料価格の高騰が今後どのレベルまで、いつまで続くのか、さらには、長期化した場合、国からの交付金は今後どの程度見込めるのか。これらについては現時点で見通しは定かではありません。こうした中で、今回お示しされた緊急対策については、令和5年度予算の中でどのように位置付けるのか、現時点での区のお考えをお示しください。

 原油価格・物価高騰の見通しについては、専門家の間でも様々な見解がありますが、少なくとも早々に収束しないことでは一致しており、今後も少なからず区民への影響が続くものと推察されます。長期化するコロナ禍と物価高騰が広く区民生活に様々な影響を及ぼす中、限られた財源の中でどの施策を優先的に取り組むのかという政策選択は今後ますます重要になります。そして、この政策選択にこそ公平性と透明性が問われます。それらの点を踏まえ、コロナ禍における原油価格・物価高騰等の対策については、区としての一定の考え方をお示しする必要があると考えますが、区の答弁を求めます。

 また、今回の物価高騰は、区民、区内事業者のみならず、区自身にも様々な影響が及ぶものと推察します。区有施設における光熱費から新庁舎整備といった大型公共事業に至るまで、果たして今後どれくらいの影響が出てくるのか非常に懸念されるところです。現時点での物価高騰による区自身への影響と、来年度予算編成におけるそれらの見込みについて区の答弁を求めます。

 コロナ禍が始まった当初、区からは一般財源92億円減という見込みが示され、区長からも財政的な非常事態との認識が示されました。一方で、リーマンショック時の一般財源の歳入減は、予算編成時に約50億円の見込みでしたが、実際には25億円程度の減でした。こうした過去の事例も踏まえ、当時我が会派からは92億円減という見込みを示したり、「財政上の非常事態」と表現したりするのは時期尚早ではないかと申し上げましたが、結果としては約78億円の減となりました。こうした過去の教訓からも、現在のコロナ禍における原油価格高騰と物価上昇が区財政に与える影響については、拙速に判断されるのではなく、結果である決算の数字等も踏まえた上で慎重に見極める必要があると考えますが、この点について区の認識をお示しください。

 一方、今後の区財政の行方は決して楽観視できるものではなく、むしろ厳しい状況がそろっていると考えております。新型コロナと物価上昇に加え、今後増加する見込みの区有施設の更新、さらには、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税制度の拡大といった不合理な税制改正等により、区の貴重な財源が奪われ続けている現状もあります。こうした中で、どのような状況においても区民サービスを低下させることなく、持続可能な区政運営を進めていく上で、歳出の抑制、行政の効率化に努めることは不可欠です。今回区が示された新たな財政運営の考え方では、一般事業費について決算分析や行政評価を基に費用対効果を十分に検証し、事業の見直し・改善に取り組み、事業経費の縮減に努めるとあります。

 このうち行政評価については、酒井区政発足後、令和2年度から現在の行政評価に変更され、従前の区政目標から、政策体系に基づく事業の効果を、自己点検、内部評価、外部評価のいずれかの方法により測定し、次年度予算に反映することとなりました。行政評価制度が事務事業点検方式に変わり、施策評価ではなく事業評価になったことで、事業の効果が見えやすくなったという点については評価をいたします。他方、外部評価については、令和2年度はそれまでの区民委員を廃止し、専門機関に委託して1事業を実施、令和3年度は外部評価を実施せず、そして、今年度については、企画部選定事業について外部評価者による評価を実施し、区民は外部評価モニターにより参加するという方針が示されました。外部評価の在り方そのものについても、適宜適切に見直されることは一定理解いたしますが、PDCAサイクルの要である行政評価の性格上、その時々で方針を変えるのではなく、腰を据えて取り組むことが大切です。改めて、新たな財政運営の考え方を踏まえた中野区における行政評価の在り方を伺うとともに、一般事業費の縮減に向けた今後の取組について区の答弁を求めます。

 伺ってこの項の質問を終わります。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 初めに、子どものワクチン接種についてです。新型コロナの感染拡大が続く中、第7波においては子どもの感染も急増しております。従来は比較的軽症と言われておりましたが、第7波では重症例も増え、小児病棟も逼迫するなど、子どもの感染が大きな課題となっています。こうした中、厚生労働省は、5歳から11歳の子どもの新型コロナウイルスワクチン接種について、「接種を受けるよう努めなければならない」とする努力義務の適用を今月6日から開始しました。対象は2回目から5か月以上経過した子どもで、厚生労働省は速やかに希望者への接種を開始するよう自治体に求めています。中野区では3月12日に1回目の接種を開始しており、既に2回目接種から5か月を経過している子どももいる中で、今回の厚生労働省通知は遅過ぎるとも感じます。今回の努力義務の適用を受けての、中野区としての5歳から11歳の子どもの3回目ワクチン接種に関わる接種体制について伺います。

 また、9月2日付で「生後6か月以上4歳以下の者への新型コロナワクチン接種に向けた接種体制の準備について」の厚生労働省からの事務連絡が出されましたが、これを受けて中野区の対応も併せてお聞きいたします。

 次に、新型コロナワクチンの住所地外接種について伺います。新型コロナワクチンは住民票所在地の市町村で接種を受けることが原則ですが、状況に応じて住所地外でも接種をすることができます。住所地外で接種した場合、通常は、接種情報は接種をした医療機関、もしくはその保健所がシステムに入力し共有されるものですが、自治体によってはそうしたことを実施せず、中野区民の接種情報を区が把握できず、結果として接種券の送付の遅れにつながった事例が実際にありました。改めて、住所地外でワクチン接種した場合の接種情報の共有体制についての現状を伺います。

 また、当該事例のように、本来接種券を送るべき方に送付されていない、こうした事例について区の現状を伺うとともに、その防止策について答弁を求めます。

 次に、新型コロナ感染者の全数把握の見直しについて伺います。岸田総理は、6日、新型コロナ感染者を全て把握する全数把握を、今月26日から全国一律で見直し、発生届の対象者を高齢者や重症化リスクの高い人に限定する方針を表明しました。コロナ禍にあって、特に急激な感染拡大が見られた第7波にあっては、医療機関や保健所が慢性的なマンパワー不足に陥り、負担軽減が大きな課題となりました。そうした中で今回の全数把握の見直しは、医療機関や保健所の負担軽減につながり、医療機関が受け入れられる患者が増えたり、重症化リスクの高い患者の治療により専念できたりするといった効果が期待されています。一方で懸念されるのが、保健所等による健康観察の対象から外れた軽症者が、自宅療養中に体調が急変しても気づきにくくなってしまうという点です。軽症者の中には、軽症と診断されても容体が一気に急変し、その後死亡するといったケースもあり、健康観察の対象から外れた方のケアは大きな課題です。全数把握の見直しに関わるこれらの課題について、区の認識と対策を伺います。

 新型コロナ対策でもう1点、後遺症について伺います。区内の新規感染者は減少傾向にあるものの、依然として高い水準が続いております。そうした中で、新型コロナに罹患後、回復したにもかかわらず、その後も倦怠感や呼吸困難などの症状が続くなどの罹患後症状、いわゆる後遺症により苦しむ方も急増しております。私の地域でも、倦怠感や頭痛、せき、息切れといった症状から、症状が重い方では、感染から3か月以上経過した現在でも身の回りのことができず、終日横になっていなければならない方もおられます。こうした、特に後遺症の症状の重い方については、医療のみならず、就労支援や生活援護、地域支えあいといった横断的なサポートをしていくことが必要であると考えます。現在の新型コロナの後遺症のケアに関して、特に重症な方への対応状況を伺うとともに、区内の後遺症患者の実態について区の答弁を求めます。

 伺ってこの項の質問を終わります。

 次に、中野駅新北口駅前エリアの再整備について伺います。

 今回の物価高騰は、新北口駅前エリア再整備事業にも大きな影響が出てくるものと思われます。今年3月の総務委員会では、今年度都市計画決定が行われ、令和5年度に市街地再開発事業の認可というスケジュールがお示しされておりましたが、現時点でスケジュールや事業収支、整備内容等にどのような影響があると見込んでいるのか、区の見解を伺います。

 また、建設資材価格も高騰が続いており、当該エリアの再整備に関わる工事費にも影響が出てくるものと思われます。施行予定者からの相談など、現在の状況を伺います。

 この状況下で事業者からの相談に応じることは必要ですが、整備スケジュールをこれ以上遅らせないことだけにこだわり、事業者に言われるがままになることは区民が不利益を被ることになり、避けなければいけません。事業者にも相応の努力をしていただく必要があると考えますが、今後の交渉にどのような姿勢で臨むのか、区の見解を伺います。

 中野駅周辺の大規模再開発に押し上げられる形で、中野駅周辺の地価の上昇が続いております。今年3月に公表された都内の公示価格では、中野三丁目36付近は上昇率が4.5%で、都内の商業地で最も高くなりました。こうした地価の上昇に伴い、区が保有することとなる床の面積は、当初の想定よりも増えることが見込まれるのではないかと考えますが、今後の見込みについて区の答弁を求めます。

 また、仮に増えることとなった場合、現在の活用方針を改めて見直す必要があると考えますが、現在の検討状況について伺います。

 中野駅周辺まちづくりに関して、さきの定例会で施政方針説明において、区長から「中野駅周辺に子どもの遊び場となる施設の誘致を図ってまいります」との御発言がございました。また、中野駅周辺各地区で進められている再開発について、「区が子育て先進区を掲げていることに理解と協力を求め、子どもの遊び場や親子がほっと一息つける場の整備を促していきたいと考えている」との御答弁もありました。これまで我が会派としては、中野駅周辺のエリアにも子どもの遊べる室内空間の整備を求めてまいりましたが、現在の検討状況を伺います。

 次に、今後の議会の関与について伺います。中野駅新北口駅前エリアの再整備に関して、我が会派としては今後3度の議会の議決を経る必要があると考えています。

 1点目は、サンプラザ地区に係るまちづくり整備方針です。平成17年3月、区は中野サンプラザ取得・運営等事業の重要性から、サンプラザ地区の整備方針、まちづくり中野21の解散などについて、議会の議決すべき事件等に関する条例により定めております。サンプラザ地区に関わるまちづくり整備方針には、「3、区は、株式会社まちづくり中野21に「区役所・サンプラザエリア」周辺一体のまちづくりの中心として主体的に取り組ませるものとする」、「4、区は、株式会社まちづくり中野21に将来にわたって同社の所有地を保有させ、中野駅周辺のまちづくりをけん引させるものとする」とあります。新北口駅前エリア市街地再開発事業では、事業者である野村不動産が主体的に事業を推進しております。また、区役所・サンプラザ地区用地は、転出補償もしくは権利変換する計画であり、まちづくり中野21が将来にわたり土地を所有するのではなく、サンプラザ地区に関わる整備方針3、4には、現計画との間には無理があり、早期に議会の議決を経て整備方針を変更する必要があると考えますが、具体的なスケジュールを伺います。

 2点目は、財産の処分についてです。議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例において、第3条では、「財産の取得又は処分は、予定価格2,000万円以上の不動産若しくは動産の買入れ若しくは売払い又は不動産の信託の受益権の買入れ若しくは売払いとする」とあります。区はこれまで、主な転出補償はサンプラザ部分であり、議決要件に該当するかどうかは権利変換計画等の内容が明らかにならないと判断できないとの見解でありました。しかし、大切な区民の財産である区役所をはじめとする区所有地の処分については、都に事業認可の申請を行う前に議会の議決を経る必要があると考えますが、具体的なスケジュールと見解をお聞きします。

 また、まちづくり中野21は、権利変換後に財産の処分を行った後、解散予定となっており、こちらも議会の議決対象となります。これらのスケジュールについてもお聞きします。

 伺ってこの項の質問を終わります。

 次に、地域包括ケアについて伺います。

 人生100年時代における大きな課題の一つが、いわゆる2025年問題です。団塊の世代約800万人全員が75歳以上の後期高齢者となる2025年が3年後に迫っています。2025年問題とは、超高齢社会が訪れることで生じる様々な影響のことを指します。2025年に向けて、住み慣れた地域で1人でも安心して暮らし続けられる地域包括ケア体制の構築が今まさに急務となっています。とりわけ介護人材をはじめとした人材確保の問題は、多くの自治体において大きな課題となっております。厚生労働省の試算によると、2025年には32万人、2040年に69万人の介護人材の不足が発生するとされております。今後、中野区でも介護ニーズが急増することが予想される中、介護人材の確保に向けて事業者のインセンティブが働く仕組みづくりや財政的な措置が必要であると考えます。例えば、介護従事者のモチベーションを高め、地域に向けて介護の魅力を発信するための表彰制度の創設や、令和3年度より区が実施している介護に関する入門的研修の受講生のフォローアップなど、介護人材の確保及び人材育成に向けた取組を改めて求めます。区の見解をお示しください。

 次に、認知症対策について伺います。日本における65歳以上の認知症高齢者数は、2020年時点で約600万人と推計され、2025年には約700万人、高齢者の約5人に1人が認知症になると予想されており、認知症対策に向けた取組が今後ますます重要になります。中野区では、今年度から新たに中野区認知症地域支援推進事業がスタートし、区内4か所に認知症支援の拠点が開設されました。当該会場においては、認知症に関する相談はもちろんのこと、脳活プログラム、エンディングノートの勉強会など、様々なイベントが開催されております。一方で、現場からは、潜在的なニーズがあるはずなのに認知度がまだまだ足りない、報告書などが細かい上にメールでの提出は認められず、紙での提出になるので手間がかかるといった声が上がっております。こうした声を踏まえ、当該事業については、区としてもさらなる周知に努めるとともに、報告書のオンライン提出を認めるなど、委託を受けた介護事業所の事務負担の軽減に努めるべきであると考えますが、区の答弁を求めます。

 また、当初の計画では、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターといった関係機関との連携を示されておりましたが、これまでの実績も含め、現状をお示しください。

 認知症対策についてもう1点お聞きします。現在中野区では、17か所のオレンジカフェが登録されております。なかのオレンジカフェは、様々な場所でそれぞれの特色を持って運営されており、認知症の方やその御家族のみならず、御近所の方が気軽にコーヒーやお茶を飲みながら参加できる貴重な交流の場となっております。しかし、今般の新型コロナウイルス感染拡大による利用者の利用控えやスタッフ等の人材確保の困難、さらには物価高騰による食材費の高騰など、区内のオレンジカフェは大変厳しい運営を強いられております。新型コロナの拡大が高齢者の心身の健康に大きな影響を及ぼす中、特に長期化する自粛生活による間接的な2次被害を予防する上でも、オレンジカフェの意義・役割はますます大きくなっております。一方で、オレンジカフェに参加する多くは高齢者であり、新型コロナ感染による直接的な1次被害も当然ながら大きな課題です。コロナ禍、そして、物価高騰という現在の状況において、区内のオレンジカフェを安定的に運営する体制を確保するためにも、光熱水費や食材費の補助、抗原検査キットをはじめとする感染症対策物品購入のための経費の補助といった支援を区としても実施する必要があると考えますが、区の答弁を求めます。

 さらには、オレンジカフェのさらなる周知、ボランティアの養成やマッチングの支援、実施状況の継続的な把握とフォロー、こうした部分も区として実施する必要があると考えますが、区の答弁を求めます。

 次に、歯科保健について伺います。私たちが健康で質の高い生活を営む上で、お口の健康は基礎的で重要な役割を果たしております。8020に代表される高齢者のお口の健康を保つためには、日常的に歯に関わる虫歯や歯周病といった病気の予防に向けた取組が極めて有効です。そうした中、都内では、フレイル予防、認知症予防の観点から、高齢者を対象とした歯科検診事業が行われておりますが、中野区は出遅れた状態にあります。お口の健康が高齢者のQOL向上に大きく寄与すること、さらには、日常における歯科検診の受診が歯科疾患の予防と口腔の健康の保持に極めて有効であることに鑑み、80歳の区民への歯科検診受診票の送付を実施するべきであると考えますが、区の答弁を求めます。

 また、高齢者のみならず、全ての区民のお口の健康を保つために、成人歯科健診の受診率向上に向けたプロジェクトチームを立ち上げ、区と歯科医師会とが緊密に連携を取る体制づくりも必要であると考えますが、区の見解をお示しください。

 伺ってこの項の質問を終わります。

 次に、地域活動の支援について質問いたします。

 地域コミュニティの中核として重要な役割を担う町会・自治会が、コロナ禍において活動の自粛・縮小を余儀なくされる中、町会活動を支援し、新型コロナに負けない強い絆で結ばれた地域社会をつくることは、ウィズコロナ・ポストコロナ社会を見据えた上でも重要であると考えます。中野区では、令和元年度より町会・自治会活動を支援するための取組として、町会・自治会による掲示板の新設・移設に関わる経費を助成する制度を始めました。しかし、現行の助成制度は、令和元年度から令和5年度までの5年間という時限的な制度であり、来年度がその期限となっております。また、各町会・自治会が申請できる回数は5年間で2回まで、1申請当たりの上限は20万円までとなっております。しかし、コロナ禍にあって町会・自治会が地域住民に対して行う広報活動を支援し、地域活動の活性化を図ることの意義を鑑み、5年間という時限的な制度については、令和5年度以降も制度を利用できるよう見直しを行い、また、現行の1申請当たりの上限額及び申請回数についてはさらなる拡充をするべきであると考えますが、区の答弁を求めます。

 最後に、良好な生活環境を確保するための取組として、ユスリカ対策について伺います。

 ユスリカとは、河川や水路等の近くでたくさんの虫が集まって柱状に飛んでいる、蚊によく似た昆虫です。私が住む地域でも、河川周辺には毎年大量に発生します。ユスリカは、一般的には水中の有機物を食べることから、害虫ではなく益虫とされていますが、近年では大量発生による死骸が風化し、粉状になって大量に飛散した場合は、ダニと同様にアレルギーやぜんそくの原因にもなることが指摘されております。小さな虫ですが、その健康被害は決して無視できない問題です。ユスリカによる健康被害について、区の実態と区の認識について答弁を求めます。

 他の自治体では、水路の消毒や清掃、電撃殺虫器の設置といった対策を実施している事例も見受けられますが、これらの事例も参考にしつつ、区としても対策を実施する必要があると考えますが、区の答弁を求めます。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、財政についてで、一般財源の見込み差への対応と歳入増の要因分析についてでございます。新たな財政運営の考え方においては、歳入一般財源が減少した場合でも、一般財源充当事業費は、都区財政調整制度における基準財政需要額の直近3年の平均額を下限とし、急激な行政サービスの低下を招くことがないよう予算編成を行う考えでございます。一方で、財政状況によって一般財源を確保できた場合は、将来に備え、義務教育施設整備基金への積み増しを考えております。令和3年度の歳入につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によって企業収益や個人所得等の大幅な減が想定されたことから、一般財源の減収を積算したところでありますが、想定以上の企業収益の堅調な推移や個人所得等の伸びによって歳入増となったものであります。予算編成過程において経済状況を見極め、関連するデータを活用し、適切に歳入計上できるよう取り組んでまいります。

 続きまして、財務規律と政策の想像力のバランス及び基準となる一般財源規模の総括についてでございます。社会や経済が大きく揺れ動いている中、持続可能な行財政運営を行っていくためには、財務規律を保ちつつ、中長期的な視点を持って政策形成を行っていく必要があると考えております。今後の財政見通しを見定めながら、将来のまちの姿に向けて今なすべき取組を構築してまいります。これまで示してきた基準となる一般財源規模は、景気動向による歳入の増減に左右されず、歳入規模を一定に保つことを目的に導入したものでありますが、平成26年度以降歳入が上振れする状況が続き、歳出にあっては令和2年度を除き基準額に収まることはなく、財務規律として機能しているとは言えない状態であると認識しておりまして、新たな財政運営の考え方をお示しするに至ったところであります。

 続きまして、原油価格・物価高騰等の緊急対策の令和5年度予算への反映についてでございます。今回お示しした原油価格・物価高騰等の対策は、急激な物価高騰等に対応するための区民や事業者への臨時的な緊急対策でございまして、令和4年度の補正予算等で対応していきたいと考えております。令和5年度予算においてどのように対応していくかについては、物価高騰の状況や国や都の動向を注視しながら編成過程で判断してまいります。

 次に、原油価格・物価高騰等の対策の考え方についてでございます。区では、新型コロナウイルス感染症の影響下において、原油価格や電気・ガス料金を含む物価の高騰の影響を受けた生活者や事業者の状況を把握し、負担軽減を図るための緊急対策を検討してきたところであります。緊急対策は、区民に対する金銭給付的な生活応援のほか、公共的サービスのうち急激な原油価格・物価高騰等によりサービスの量や質の確保に影響を及ぼすおそれのあるものについて、事業形態に応じた補助等を行う考えでございます。今後も区民生活や経済状況を注視し、こうした考え方に基づいて調査を行うとともに、時期を逸することなく必要な対策を講じてまいります。

 次に、物価高騰の区への影響についてでございます。区への影響としては、区役所本庁舎のほか、各区有施設の光熱水費への影響が懸念されるところであります。また、資材高騰による各施設整備工事等への影響も想定されます。現在の高騰がいつまで続くか見通せない状況であることから、今年度の影響額を想定するのは難しいところでありますが、例えば今年7月の消費者物価指数から試算をすると、区有施設の光熱水費への影響は1億6,600万円程度になります。来年度予算への影響についても、現時点においては具体的な想定は難しいと考えておりますが、今年度の執行状況や物価高騰の状況などを注視し、適切に予算に反映していきたいと考えております。

 次に、原油価格・物価高騰に対する区財政への影響の判断についてでございます。物価高騰に対する区財政への影響につきましては、令和3年度の決算とともに、令和4年度に入ってからの状況も捉えていく必要があります。今後求められる区民生活を支えるための財政出動も併せて見定めていく必要がありまして、社会経済状況や国・都の動向の把握に努めてまいります。

 次に、行政評価の在り方と今後の取組についてでございます。新たな財政運営の考え方では、一般事業費についてPDCAサイクルによる事業の見直し・改善、事業経費の縮減に努めるとの考え方を示したところであります。行政評価は、区のPDCAサイクルにおける重要なチェック機能の一つでありまして、あらゆる事業が適切に評価できるよう、現行の枠組みを基本としながら取組方法におけるさらなる工夫を行ってまいります。一般事業費の縮減に向けましては、ICTの活用やペーパーレス化など業務の効率化を進めるとともに、事業の分析や評価を行った上で、手法や執行体制の見直し、改善、縮小、廃止の検討を継続的に取り組んでまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策についての項で、まず5歳から11歳までの3回目ワクチン接種に係る接種体制でございます。令和4年9月6日付厚生労働大臣通知に基づいて接種計画を策定するとともに、中野区医師会と調整しながら円滑に実施できるよう準備を進めているところであります。本年5月末までに2回目接種をした方については、今月中に接種券を送付し、3回目接種を開始することを見込んでおります。

 続きまして、生後6か月以上4歳以下の方への新型コロナワクチン接種の準備でございます。生後6か月以上4歳以下の方への新型コロナワクチン接種については、現時点では詳細が示されていないため、予約受付システムの改修や接種券の印刷・発送、中野区医師会等との接種体制の調整などの準備を行っている段階でございます。接種の開始につきましては、今後の通知に基づいて早期に実施できるよう適切に対応してまいります。

 次に、住所地外でワクチン接種した場合の対応でございます。新型コロナウイルスワクチンの接種会場では、専用の端末で接種記録を入力することとなっております。しかしながら、他の区市町村においては入力がなされていない場合があり、こうした場合には区で接種状況を把握するまでに3か月程度を要します。このため区では、本人からの申出があった際は、接種日等を確認の上、接種券を発行するなどの対応を行っております。

 次に、全数把握の見直しに係る課題についてでございます。届出の重点化によって、届出対象外となる方の情報を区は把握できず、これまでショートメール等で送付していた相談窓口の案内等を送れなくなるなどの課題があると認識をしております。今後、届出対象外となる患者につきましては、24時間の健康相談など、東京都や医療機関と連携して体制整備に努め、さらに、相談窓口等の広報を充実させるなど、必要な人に必要な支援が届くよう努めてまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてでございます。療養期間の終了後については、感染症法上、区が患者の状況を把握する仕組みにはなっておらず、全ての患者の療養期間終了後の状況を把握することはできません。現在、区立病院が新型コロナ後遺症相談窓口を開設しておりまして、個別に相談があった場合にはそちらを案内しているところであります。

 続きまして、中野駅新北口駅前エリアの再整備について。

 初めに、新北口駅前エリア再整備における原油価格・物価高騰の影響についてでございます。原油価格・物価高騰等によって建設コストが上昇しておりまして、中野駅新北口駅前エリア再整備事業におきましても、再開発事業における工事費の増大などの影響が想定をされます。現在、施行予定者と今後の都市計画手続に向けて拠点施設の詳細を検討しておりまして、整備内容、事業収支、スケジュール等に関する影響についても、対応の方策等、整理を進めているところであります。

 次に、施行予定者に対する今後の交渉姿勢についてでございます。現在、区と施行予定者で進めている拠点施設の検討の中で、建設コスト上昇の状況については施行予定者から報告を受けております。一方、区としては、こうした事業リスクの状況においても、中野駅周辺各地区のまちづくりの事業進捗を踏まえ、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりを確実に進める必要があると考えております。市街地再開発事業の推進に向けましては、本事業の各関係者が一丸となって取り組む必要がありまして、区としては施行予定者に対し、当然に応分の負担努力を強く求めてまいります。

 次に、権利床の見込みと活用方針についてでございます。現時点で提案時点より地価が上昇しておりまして、土地の従前資産評価額の増加が見込まれますが、最終的には権利変換の評価基準日時点での評価額となります。権利床の活用につきましては、財源確保に加え、財産の有効活用や公益性の観点から、最適な運用となるよう検討しているところであります。

 次に、子どもの遊べる室内空間の整備についてでございます。中野駅周辺における子どもの遊べる室内空間の整備については、各地区で進められている再開発において、区が子育て先進区を掲げていることに理解と協力を求め、子どもの遊び場などの整備を促しております。また、区が取得する権利床における活用も視野に入れ、検討を進めているところであります。

 次に、新北口駅前エリア再整備に関する議案提出についてでございます。新北口駅前エリア再整備の関連議案の提出時期につきましては、事業の進捗を踏まえて検討中であります。財産処分については、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例の要件に該当する場合、事業実施の見込みが担保される事業認可の申請に同意する前の定例会に議案を提出することになると考えております。サンプラザ地区に係るまちづくり整備方針に関する議決についても、財産処分に関する議決と同時期になると考えております。株式会社まちづくり中野21の解散に関する議決につきましては、権利変換が行われて以降、おおむねの債権・債務が整理されたときを考えております。

 次に、地域包括ケアについて。

 初めに、介護人材の確保等についてでございます。介護事業所で働く職員への表彰制度の創設につきましては、介護サービス事業所連絡会と意見交換を行い、表彰基準などの調整を行っているところであります。これまで区は、介護に関する入門的研修と介護事業者とのマッチングを一体的に実施しているほか、事業所職員の研修費用や資格試験の受験費用を助成するなど、介護従事者のキャリアアップと定着性に取り組んでおります。

 次に、認知症地域支援事業の周知等についてでございます。地域支援拠点は、中野区版認知症ケアパスや通いの場マップに掲載し、区民活動センターやもの忘れ検診等でも配布しております。今後も区ホームページや区報のほか、多くの機会を捉えて継続的な周知に努めてまいります。報告書につきましては、補助金申請や会計事務処理上、簡略化できないものがございますが、受託事業者の負担軽減のため、可能な限り提出書類等の簡略化を図ってまいります。

 次に、地域包括支援センター等の連携についてでございます。地域包括支援センター職員が事業に参加しているほか、地域支援拠点で相談があった方を地域包括支援センターにつなぐなど、連携して事業を進めております。また、認知症疾患医療センターでも周知を行っているほか、医師から利用勧奨を行い、参加につながったケースがございます。

 次に、オレンジカフェに対する支援についてでございます。今後、事業所に対するヒアリングを行うなど、各事業者の状況を把握して支援の在り方等を検討してまいります。

 次に、オレンジカフェに対する運営のフォローについてでございます。認知症サポートリーダー養成講座でオレンジカフェの活動を紹介しているほか、メーリングリストを活用して情報提供を行っております。今後も継続して活動の周知に努めてまいります。ボランティアの養成などの支援につきましては、認知症サポートリーダー養成講座やフォローアップ講座等にオレンジカフェを立ち上げた講座の修了者が参加し、活動を紹介するなどボランティア参加を進めております。今後も継続して活動をフォローし、運営方法等の支援を行ってまいります。

 次に、成人歯科健診の対象年齢の引上げについてでございます。高齢者の口腔の状態は個人差が著しくなることから、76歳以上についてはかかりつけ歯科医への定期的な受診が適切であると考えております。成人歯科健診の対象年齢のさらなる拡大については、他の自治体の取組について情報収集しつつ、有効性について研究をしてまいります。

 歯科医師会との連携体制づくりです。成人歯科健診の受診率向上は課題であると認識しておりまして、中野区歯科医師会と連携をし、検討を行う場を設けていきたいと考えております。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、地域活動の支援について、町会・自治会の掲示板設置等助成拡充についてお答えいたします。本事業は令和5年度までの助成としているところでございますが、今年7月から運用を一部見直し、これまでは1団体当たり申請回数を2回までとしていたところ、新たに3回目の受付を開始したところでございます。これまでに15の町会から3回目の申請をいただいております。新型コロナウイルス感染のリスクから回覧板が利用しづらくなっているなど、地域住民への広報手段として掲示板の重要性が増していることは認識しているところであり、令和5年度までの進捗状況を見据えながら、令和6年度以降の在り方について検討を進めてまいります。

〔保健所長佐藤壽志子登壇〕

○保健所長(佐藤壽志子) 私からは、良好な生活環境を確保するための取組についての質問にお答えいたします。ユスリカによる健康被害についてでございます。ユスリカによる健康被害について、これまで区へ寄せられた相談事例はございませんが、ユスリカが大量に発生し、空気中に浮遊している風化した死骸を吸い込んだ場合などに、アレルギー疾患が引き起こされる場合があると言われていることは認識しております。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、ユスリカの発生抑制対策についての御質問にお答えいたします。ユスリカの発生源となるような河川において、清掃や除草により藻や雑草の除去など、発生を抑制する対策を実施しているところでございます。今後も継続して対策を実施していく考えでございます。

○議長(内川和久) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 若 林 しげお

 1 物価高騰、コロナ禍から区民生活を守ることについて

 2 働き方改革に焦点をあてた構造改革実行プログラムの抜本的改編について

 3 区民に寄り添ったスポーツ施策について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、若林しげお議員。

〔若林しげお議員登壇〕

○22番(若林しげお) 令和4年第3回定例会において、自由民主党議員団の立場から質問させていただきます。

 質問に先立ちまして、イギリス・エリザベス2世女王陛下の御崩御の報に接し、深い悲しみを禁じ得ません。会派として英国王室、英国政府及び英国国民の皆様に対し、心から哀悼の意を表します。

 また、7月8日、安倍晋三元内閣総理大臣が凶弾に倒れ、御逝去されました。御冥福をお祈り申し上げます。

 それでは、質問に入ります。質問は通告どおりで、1番、物価高騰、コロナ禍から区民生活を守ることについて。2番、働き方改革に焦点をあてた構造改革実行プログラムの抜本的改編について。3番、区民に寄り添ったスポーツ施策について。4番、その他で子どもの医療助成について伺います。

 まず、1番、物価高騰、コロナ禍から区民生活を守ることについて伺います。

 ロシアのウクライナ侵攻によって、また、3年目にもなる新型コロナウイルス感染症の影響により、食品やエネルギー、物価の高騰が進んでいます。今、身の回りの物資やサービスの値上げの動きが止まりません。物価上昇率を品目別に見ると、6月分の消費者物価指数のデータとなりますが、去年の同じ月に比べると、食品では、食用油が36%、小麦粉が15.5%、それに伴い、身近な食品も値上がりをしています。エネルギー関係でも、電気代が18%、ガス代が17.1%など、いずれも大きく値上がりを示しております。もっとも、先日閉会中の各委員会で報告があった、物価高騰等の緊急対策についての資料には、東京都区部消費者物価指数の数値として、7月分のガス代は26.6%、電気代が25.5%とのデータが示されており、中野区での上昇は全国平均以上に深刻な状況にあります。8月分ではさらに数値が上昇しているとの答弁もありました。同じ消費者物価指数の推移で見ると、7月の生鮮食品を除いた指数は去年と同じ月を2.4%上回りました。上昇率が2%を超えるのは4か月連続で、消費税率引上げの影響を除けば、13年と10か月ぶりの水準となります。

 政府は、物価高騰対策を最優先で取り組む姿勢を示し、夏には電力会社などが行っている節電プログラムに登録した家庭に2,000円分のポイントを支給する対策を行いました。また、燃料価格の高騰を受け、今年1月からガソリンの平均価格が170円を超えた場合、石油元売会社に1リットル当たり最大5円分の資金補助をする仕組みを導入しました。補助金の額も上積みされ、現在ではガソリンの場合、1リットル当たり上限を35円としていますが、これを超える分についても半額補助することになっております。政府与党は、ガソリンなど燃料の価格高騰対策においては、9月末が期限となっているガソリン補助金を年末まで延長し、物価高騰の国民生活への影響緩和を目指すとしています。しかし、期間こそ延長されるものの、この上限35円を5円ずつ縮小する方向での調整も開始しております。状況が改善される見通しがない中で、補助縮小には不安を感じざるを得ません。

 さらに、政府は、住民税が非課税の低所得世帯を対象に、1世帯当たり5万円の給付金を配ることを正式に決めました。一方、東京都は、急激な為替変動により中小企業における経営状況がより一層深刻化しているのを受け、業種問わず、専門家派遣や補助金によるエネルギーコストの削減に向けた取組を支援する緊急対策事業の受付を開始しています。さらに、先週末、約6,000億円の緊急経済対策として補正を組む具体策も打ち出されました。国や都の目まぐるしく変わる対策を見極めながら、区として対策を取り組んでいかなければなりません。

 そして、中野区では、住民税非課税世帯等への給付など行っている事業等についても、閉会中の各委員会での報告がありましたが、資材価格の急激な高騰の現状を鑑み、単品スライドの条項運用の運用基準を策定することとし、インフレスライド条項においても新たな適用案件が生じる可能性を考慮し、再周知を行うとしています。区では、平成20年8月1日に単品スライド条項を適用し、その具体的な取組については東京都の運用基準を準用してきたが、現時点では国の改定を踏まえた改定版の東京都運用基準が公表されていません。しかし、区は、今後も資材価格の高騰が引き続く可能性があるため、東京都の公表を待つことなく、区独自で運用基準を定め、工事受注者へ速やかに周知するとしたことは評価いたします。建設関係の業種は、この手法で速やかに支援が行えると考えます。今後、公共事業の予算に資材高騰の予算は反映され、公契約条例に定める最低賃金も考慮に入れ、適正な価格編成を行うことを強く求めます。

 この物価高騰により、中野区における様々な計画も大きくずれるのかと懸念をしております。対策は、目先のことだけでなく、中長期的にも行わなければなりません。大きく変わると考えられるのが学校再編です。毎年1校ずつ、約52億円をかけ再編を進めていく計画ですが、資材価格が上がることにより積算が大幅に増になることが予想され、財政フレームも考え直さなければいけないのではないかと考えます。区の見解をお聞かせください。

 コロナ禍での物価高騰の影響は、さきに述べた建設関係業者だけではありません。燃料費、材料費などの価格上昇により、中野区が委託、指定管理をお願いしている業者にも大きく影響してくると考えられます。委託や指定管理事業者については、国の地方創生臨時交付金の物価高騰対応分の活用が難しく、今のところ区の一般財源となる見込みとはいえ、事業者の負担が大きいものとなり、区民サービスに影響が出てしまうような状況は避けなければなりません。例えば、私立幼稚園、介護・障害福祉サービス事業者など、各施設への支援は考えているとのことですが、介護、福祉、子育て、環境衛生など、民間の事業者、団体が区民に対して行っているサービスは数多くあり、それらを取り残すことのないような支援体制をつくる必要があると考えます。もし声を上げた事業者のみ、また、区役所の担当者が聞き取れたもののみを対象としているのであれば平等とは言えません。その際には、担当によって支援が変わらぬよう、平等性を担保するためにある程度の基準を設けなければいけないと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 行政が関わりを持っているのは、委託や指定管理だけではなく、町会や商店街、中野区で活動されている各団体などがあります。日頃の活動、防災や災害時に区に協力をいただく要請をしている方々に対し、安定的な運営に対する支援を行わず、区が行ってもらいたいことばかりお願いを続けていくのでは協力体制が成り立たないと考えます。区民に負担がかからぬよう、支援の方法、どこまで支援をするのか検討していただきたいと考えます。区の見解をお聞かせください。

 特に、区と災害協定を結んでいる団体には支援をするべきと考えます。日常、中野区にとって大切な交通手段であるバス業界や、新型コロナウイルス感染症に関わった方々の移動手段として活躍していただいているタクシーやハイヤーの輸送業も燃料の高騰の影響を受けております。ガソリン代等について国などが補助を続けている状況とはいえ、感染症拡大により、ただでさえ大きな打撃を受けているこれらの業界について、せめてガソリン代等については支援を行うべきではないでしょうか。バスの便数が減るなど、運行上サービスが低下したり、実際の災害発生時に協力が難しくなるなど、区民生活に大きな影響が出てくる状況は避けなければなりません。ほかにも、災害時備蓄品の輸送に関わるトラック業界、日常の生活衛生から災害時の水源の確保まで御協力いただいている浴場組合など、様々あると思います。公衆浴場への支援は検討しているようですが、検討中の内容で区民の衛生確保等に影響はないかなど、いま一度確認する必要があるのではないでしょうか。多岐にわたって区が協力要請をしている団体や施設には手を差し伸べるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 子どもたちの給食について、中長期的な目線で質問をさせていただきます。閉会中の委員会では、給食費の一部補助を行うとの検討案が示されましたが、材料費の高騰により給食の質の低下や給食費の増額などが懸念されます。9月7日に葛飾区が、来春から区立小・中学校の全74校で学校給食の全額を区が負担すると発表しました。これにより保護者の負担はゼロになります。給食費の完全無償化は、他県では例があるが、東京23区では初めてです。中野区としても給食の質の確保や物価高騰による区民の負担軽減のために、給食費無償化について具体的に数字を出して検討していくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 次に、働き方改革に焦点をあてた構造改革実行プログラムの抜本的改編について伺います。

 区は、予定を大幅に遅れ、3年の月日をかけて基本構想・基本計画を策定しました。出てきたものは、中野区の特色がほとんど反映されず、どこの自治体でも通用するような、玉虫色の当たり障りのない内容であったことは指摘をさせていただきます。基本計画の実効性を支える仕組みとして三つの重点プロジェクト、子育て先進区の実現、地域包括ケアの実現、活力ある持続可能なまちの実現があり、その後構造改革実行プログラムが策定されました。構造改革実行プログラムには、施策の再編、施設の再編、組織の再編とあり、中野区構造改革推進本部で検討されているようで、構造改革実行プログラムの進捗状況については、異論は多いですが、これまで何度か報告があり、今定例会の中でも報告があると聞いております。

 一方、基本計画の三つの重点プロジェクトについては、これまで委員会報告が一切ありません。このプロジェクトの着実な進展と進捗管理を行うため、推進会議を設置し、課題の解決に向けて効果的かつ効率的にプロジェクトを実行していくとあります。しかし、今この会議体がどのように進んでいるのか、我々には見えてきません。中野区構造改革推進本部と重点プロジェクト推進会議、部署間に横串を通すという意味において、同じ会議が二つあり、どちらも成果がよく見えてきません。特に、地域包括ケアという同一の課題には幾つも会議が存在しています。会議が重複すれば機動力が低下し、判断が遅れることになります。

 そこで、重点プロジェクトと構造改革実行プログラム、それぞれ開催頻度や会議の成果など、どのようになっていますか、お聞かせください。

 一方、構造改革推進本部と重点プロジェクト推進会議の検討の違いが分かりません。この二つの会議は、重複するテーマをなくし、役割を明確に分けて開催すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 組織の報告をよく受けていますが、職員配置がどのように進んでいるのか疑問を感じています。構造改革実行プログラムの項目には、施策の再編があります。施策の再編では、「基本構想で描く「10年後に目指すまちの姿」を実現するため、策定中の新しい基本計画において政策・施策体系の構築を行います」と明記されています。そもそも2021年9月に策定された基本計画よりも1か月前に策定された構造改革実行プログラムで基本計画の再編に触れているということ自体が、基本計画の不備を自ら指摘しております。また、冒頭に指摘したとおり、基本計画は玉虫色で、今後中野区政をどのように進めていくのかが見えてきません。区長がおっしゃる羅針盤がどの方向を示しているのか分かりづらく、このことは区職員のやる気にもつながる重要なことです。玉虫色の大まかな施策ではなく、具体的に示していくべきと考えます。

 施設の再編について、施策がはっきりしない中、ハードをどう整備していくのか決められるものではありません。我が会派の同僚議員がこの後質問をさせていただく予定ですが、児童館、地域開放型学校図書館、日本銀行洗心寮、学校跡地など、棚上げの状況のものがたくさんあります。施設配置が決まらなければ、職員配置が決まるわけがありません。ビルドばかりでスクラップが全くできず、組織ありきの施設配置になっているのではないかと懸念をしております。

 新庁舎に入る前のこの2年間がとても重要であると考えます。これまで持続可能な区政運営のために、平成26年度、2,000人体制の大方針により少数精鋭の組織運営を行ってきました。これまでの30年は、財政再建を目的として主に民間活力の活用が手段でした。昨今は、区民サービスの増加や、区や東京都からの移管事業の増加などで職員の負担も増え、職員定数も考え直す時期になったことは理解しています。区は職員定数管理計画を策定し、10年間の人的資源の側面から、区の行政管理統制する仕組みを新たにつくったことは評価いたします。しかし、今後、人件費ばかりに予算を費やすわけにはいきません。そこで、今後の組織体制に欠かせないのがDX推進になります。職員定数管理計画では、DX推進によって人員を生み出すとしています。区は、DXの推進によって向上させる生産性・効率性の効果や、その結果生み出される人員数等の数値を具体的に算出しているのかお聞かせください。

 DX推進では、人材が鍵を握っていることは言うまでもありません。先日、3歳の女児がバス内に閉じ込められ、熱射病で亡くなった痛ましい事件がありました。幾つかの原因がありましたが、一つとしてずさんなアプリを活用した登園管理がありました。登園などに関する情報を入力することばかりが目的となり、その情報を活用した登園確認を怠ったことで事件が起きました。手段の目的化による最悪なケースです。区もDXが目的とならず、あくまで区民サービスの向上という目的のための一手段であることを肝に命じてDX推進を図らなくては、重大事件を起こす可能性もあります。

 そこでお伺いします。DX人材はどのように獲得し、また、どのように育成していくのか、区の見解をお聞かせください。

 DX推進の本質は、働き方や仕事の仕方を変えていくことであり、そのためには職員の意識改革が必要であると考えます。今般、協定を締結したマイクロソフトの働き方は、未来を先取りしている参考事例であったと、情報政策等調査特別委員会の視察の際、参加委員が感銘を受けていました。特に人事評価の考え方は、今後の区のDX推進の成果が飛躍的に高まる重要な指針だそうです。その人事評価のベースの考え方は、個人の成果よりもチームの成果を重視することです。マイクロソフトの人事評価制度は、評価者個人の能力に加え、他者をどれだけ助けたか、他者からどれだけ助けられたかといった、行動とその行動で得られた成果が評価の対象となります。評価はランク付けでなく、上司、同僚がコメントをフィードバックするだけとのことです。これが実現すれば、わざわざ横串を通すための会議体がなくとも、それぞれ部署が必要なコミュニケーションを取ります。

 例えば、EBPM(Evidence Based Policy Making)が重要といっても、各部署で統計処理が得意な人材がいるわけではなく、現状においては全くできないのが実情です。「他者からどれだけ助けられたか」という指標があることで、総務部の統計係にいる職員に相談しやすくなります。今後、DXも相談しやすい雰囲気になります。各部署に必要なスキルを持った人たちを配置する必要もなくなり、部署間をまたいだアイデアが生まれるすばらしい環境づくりが人事評価から生まれるわけです。マイクロソフトの人事評価などを参考に、働き方や仕事の仕方を変えていくには職員の意識改革が必要と考えます。特に管理監督者に必要であると考えますが、区の見解をお聞かせください。

 いろいろと申し上げさせていただきましたが、構造改革実行プログラムは、その存在意義は希薄、脆弱となっております。ここは目の前に迫った新庁舎移転のために特化した内容に変える必要があると考えます。DX推進、そして、そのDXを使いこなすための人事制度などを検討する働き方改革は、本来であれば基本計画の重点プロジェクトに含むべき重要な課題でしたが、ありません。現在の区の体制、会議体において、働き方改革に直接言及できるのは構造改革実行プログラムのみであります。現在の構造改革実行プログラムを大幅に見直して、DXの推進を切り口とした働き方改革に焦点を当てたものに改編してみてはいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。

 次に、区民に寄り添ったスポーツ施策について伺います。

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、新しい生活様式を実施し、中長期にわたり感染症対策と向き合う中で、運動不足から身体的及び精神的な健康を脅かす健康2次被害も懸念されています。子どもの健全な発育・発達、テレワークの推進に伴う身体活動量の低下のほか、特に中高年齢者については生活習慣病等の発症や体力・生活機能の低下、骨や筋肉等運動機能の衰え、認知症等を来すリクが高まります。意識的に運動・スポーツに取り組むことは、健康の保持・増進だけでなく、ストレス解消、自己免疫力を高めてウイルス性感染症を予防することにも役立ちます。そのようなことを踏まえて、区として区民の健康維持のためにも、コロナ禍でもできるスポーツの推進を進めなければなりません。

 この取組の大きな柱となるのが、区のスポーツ振興の中心的組織として長年にわたり活動を継続している中野区体育協会であると思います。中野区体育協会は、各種スポーツ教室や体験会、競技大会の開催を通じて、区民の皆様にスポーツのすばらしさを伝え、運動の機会を提供することで、中野区内のスポーツ振興、健康増進に大きく貢献してこられました。また、中野区の競技力の向上にも熱心に取り組んでおり、都民体育大会において毎年様々な種目で中野区の代表選手が優秀な成績を収めています。区として、体育協会との連携・協力を強固なものとするために様々な手立てを講ずるべきと考えます。

 そこで、何点か伺います。現在、春夏冬に行われている都民体育大会等の選手派遣業務は区が行っています。区の職員が区内でスポーツを一緒にやっているわけではなく、現状を全て把握できているとは思えません。そこで、都民体育大会を主催する東京都体育協会の加盟団体であり、区内の競技団体を統括する立場である中野区体育協会に選手派遣業務を任せてはいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。

 中野区のスポーツ環境が変化した一つが、キリンレモンスポーツセンターです。1980年から地下式の下水道処理場とともに整備を進め、2017年、再整備工事を実施、2020年4月1日に平和の森公園リニューアルオープン、10月1日にキリンレモンスポーツセンターがグランドオープンしました。それ以来、広く多くの区民の方々に利用されております。その中でも区内の各スポーツ団体、健康的な汗を流し、交流を深めております。特に各種大会は、日頃の成果を試す場として多くの区民が参加しております。その大会を開くため、実行委員の方々の準備があります。キリンレモンスポーツセンターは開設したばかりであり、特にスポーツ器具も新しいものであり、扱いにとても気を遣っている。大きな施設、設備なので、皆さんが長く使っていただけるよう慎重に作業するため、非常に時間がかかっているとの声を聞きました。

 そこで、会場をよく分かっている、管理をされている方のお手伝い、指導があれば設置がスムーズに進むと考えられます。旧中野体育館運営時と同様、中野区体育協会の加盟団体をはじめとする社会体育団体が区民大会等を開催する際、会場設営等の支援を継続すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 先般、我が会派が中野区体育協会と来年度の予算について懇談した際、スポーツ施設の使用料の見直しについて、区民が利用しやすい使用料の設定を検討してほしい旨の要望がありました。スポーツ施設はもとより、区立施設の使用料は受益者負担や税負担の適正化を図る観点から総合的に検討し、納得性の高い結論を導く必要があるものであると考えます。区は、現在取り組んでいる中野区構造改革実行プログラムにおいて、使用料・手数料の適正化に取り組むとしていますが、現在の検討体制や検討状況はどうなっていますか、お聞かせください。

 また、スポーツ施設の使用料については、2018年7月から2024年6月まで半額としていますが、この取扱いも併せて検討する必要があると考えますが、条例改正等のスケジュールはどのようになっているのかお聞かせください。

 関連として、スポーツ施設において収益性を高めることで、その財源を区民の施設使用料の低減に生かすという考え方も必要であると思います。キリンレモンスポーツセンターは、開園から丸2年が経過し、良好な運営が図られていると聞いておりますが、旧中野体育館と異なり、興行の使用を想定した料金体系が設けられていません。プロスポーツの試合など開催すれば、イベントとしてにぎわいの創出だけでなく、身近な環境でトップアスリートの躍動する姿を見る機会が増え、区民スポーツに対する関心が非常に高まると考えます。これまでスポーツに興味のなかった層に対しても、スポーツの実施を促す有効なアプローチの方法であり、中野区のスポーツ実施率を向上させるために有効な手段であると考えます。また、小さい頃にキリンレモンスポーツセンターで観戦した試合をきっかけに競技に熱心に取り組んだ子どもが、将来、中野区出身のトップアスリートとして活躍する姿を同じ会場で見せてくれるといったことも、もしかしたらあるかもしれません。区民団体等の優先利用の考え方は維持しつつ、空きが生じた場合には興行目的の使用を可能とするよう新たな料金体系の条例化を、今回使用料見直しと併せて検討していくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 次に、その他で、子どもの医療費助成について伺います。

 子どもの医療費助成の対象を現在の中学生から高校生まで拡大するとの方針をめぐり、特別区長会では、23区で来年度から全ての高校生の医療費を無償化にすることとしています。都は、所得制限を設けた上で、通院1回当たり200円を自己負担とする3年間限定の補助を行います。これに対し23区では、所得制限を超える世帯の医療費や自己負担の200円を区の自主財源で補い、中学生までと同様、一律無償化にすることを決めています。中野区もこれに準ずることとなり、来年度から3年間自主財源で運用することとなります。

 課題は4年目以降の運用になります。特別区長会では、4年目以降も都が2分の1ではなく全額負担すべきと協議を続けていく予定ではありますが、2026年度以降の財源が不透明であることは変わりません。都が4年目以降全額補助をやめた場合は、区の持ち出しが増えることになります。1度開始した制度は安定的に運営を続けていくべきと考えます。しかし、その運営費は持ち出しがどのくらいになるのでしょうか。今後の推計を見ながら、都が全額補助をやめた場合の自主財源の費用の試算を検討していくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 以上で私の全ての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 若林議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、物価高騰、コロナ禍から区民生活を守ることについて。

 初めに、物価高騰による学校施設整備費への影響と財政フレームの見直しについてでございます。資材価格の高騰によって学校施設整備への影響も想定されるところでございますが、現時点において具体的な影響額を想定するのは難しいと考えております。物価高騰の状況や工事における契約金額の変更などを注視しながら、今後の財政フレームにどのように反映していくか検討してまいります。

 次に、物価高騰対策に関する基準についてでございます。区の緊急対策は、区民に対する金銭給付的な生活応援のほか、公共的サービスのうち急激な原油価格・物価高騰等により、サービスの量や質の確保に影響を及ぼすおそれのあるものについて、事業形態に応じた補助等の実施を検討してまいりました。今後も区民生活や経済状況を注視し、こうした考え方に基づき調査を行うとともに必要な対策を講じてまいります。

 次に、区民生活への支援の方法等についてでございます。今後も生活者や事業者を取り巻く状況を踏まえ、国や東京都の対策などを注視しながら、関係団体等からも情報収集を行い、区として必要な支援策について検討してまいります。

 次に、区が協力要請等をしている団体や施設への支援についてでございます。区が締結している災害協定は、現時点で123件に及び、それに基づいて支援対象とすることは困難であると考えております。燃料油に対する激変緩和につきましては、既に国が原油価格高騰対策の中で実施されており、ガソリンの補助金制度の期間延長なども行われると聞いております。区民生活に影響する介護福祉施設などの公共的サービスや交通インフラへの支援につきましては、今後の状況を見極めて判断してまいります。

 続きまして、働き方改革に焦点をあてた構造改革実行プログラムの抜本的改編について。

 初めに、基本計画の重点プロジェクトと構造改革実行プログラムについてでございます。基本計画に係る重点プロジェクト推進会議は、関係所管を集めて必要な検討、協議及び調整を進めているところであります。この間、重点プロジェクト推進会議を2回、プロジェクトごとに開催する部会を13回開催いたしました。現在の検討状況につきましては、本定例会における常任委員会において報告をする予定であります。構造改革実行プログラムに係る構造改革推進本部会議は、これまでに8回開催しております。策定までに至る検討、個別プログラムの進捗確認や今後の取組の方向性、更新について議論をしております。それぞれの会議の目的や視点は異なっております。今後も内容を整理しながら進めてまいります。

 続きまして、DX推進に伴う業務効率、人員削減効果の数値化についてです。既にRPAを導入している業務や今後予定しているユニファイド・コミュニケーションの導入による効果につきましては、削減できたとみなした労働時間数やその見込みを概算で算出をしております。現時点では、人員削減効果の見込みまでは至っておりませんが、今後のDXの取組をさらなる業務改善や効率化の視点を持って進めていき、その効果を適切に把握した上で、業務効率化の効果を今後策定する職員定数管理計画の見直しに反映させてまいります。

 次に、DX人材の獲得・育成についてでございます。DXを推進するに当たっては、その中心となる人材を確保・育成することや、全職員のICTスキルやリテラシーを底上げすることは必須であると考えております。中野区人材育成基本方針におきましても、ICTスキルの高い人材の確保や育成は、今後のデジタルシフトや働き方改革への対応の重要な要素として捉えております。今後、協定を締結した日本マイクロソフト社との連携も含め、DX人材の獲得や育成の在り方について引き続き検討を進めていきたいと考えております。

 次に、管理監督職員の意識改革でございます。DXの推進にかかわらず、組織の活性化や組織文化の変革を進める上では、管理職の役割は極めて重要であると認識をしております。管理職の育成につきましては、キャリアや年齢等で対象を分け、統合型GIS等のICTツールを活用した業務改革のスキルを身につけるとともに、ユニファイド・コミュニケーションツールの活用を前提としたスピーディーかつ多様なコミュニケーションによる組織運営ができるよう、意識改革を進めていきたいと考えております。

 構造改革実行プログラムの大幅見直しについてでございます。構造改革実行プログラムは、令和3年度から令和5年度までに集中的に取り組むこととして策定したものでございます。現時点では働き方や仕事の仕方改革にのみ焦点を当てて、大幅に見直すことは考えておりません。しかしながら、働き方や仕事の仕方の改革は重要であることから、新たな働き方を実現する人事制度構築と職員育成について、個別プログラムの一つに位置付ける考えでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、給食費の無償化についての御質問にお答えいたします。現下経済情勢を踏まえ、物価高騰に対応した給食費への補助につきましては、実施に向けた検討を行っているところでございます。給食費の無償化につきましては、区が負担すべき総額のほか、様々な影響を精査しながら今後も研究を進めてまいります。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、区民に寄り添ったスポーツ施策についての御質問のうち、初めに、中野区体育協会への選手派遣業務の委託についてお答えをいたします。都民体育大会等への選手派遣業務を中野区体育協会に委託することは、業務運営の効率化を図る意味からも意義があるものと考えております。中野区体育協会におきまして、これらの業務が円滑に進められるよう協議・検討をしてまいります。

 次に、区民大会等を開催する際の会場設営等の支援についてでございます。キリンレモンスポーツセンターにおきましても、区民大会が今後も安全かつ安定して開催されることが大切であり、開催者に過度な負担とならないよう、社会体育団体や施設指定管理者と相談し、支援の方法等について十分検討してまいります。

 最後に、キリンレモンスポーツセンターの興行使用についてでございます。キリンレモンスポーツセンターは、条例に興行使用の料金体系を設定しておりません。今後、区のスポーツ振興を図る観点から、区民団体等の利用を最優先する考え方を基本に、これを妨げない範囲で興行での使用を想定することも必要かと考えております。施設を利用する区民やスポーツ団体、近隣住民等の意見を十分に踏まえながら、使用料見直しと併せて検討をしてまいります。

〔企画部長石井大輔登壇〕

○企画部長(石井大輔) 私からは、区民に寄り添ったスポーツ施策のうち、使用料・手数料の適正化に向けた検討状況についての質問にお答えいたします。証明書等交付手数料など各種事務手数料につきましては、昨年度各区の状況を把握したところ、中野区と同額の手数料を徴収している手続が多く、他区と比較して適正な手数料であることを確認したところでございます。使用料につきましては、現在各区の算定方法の把握や、令和3年度決算による各施設の運営経費に基づく使用料の試算の作業を行っているようでございます。使用料改定に向けた今後のスケジュールにつきましては、今年度中に新たな算定の考え方の案をまとめて議会へ報告し、議会や関係団体、区民の意見を踏まえて算定の考え方の検討を進め、来年の第4回定例会での関係条例の改正、令和6年7月に新たな使用料の施行を考えており、スポーツ施設の使用料の取扱いも含め検討してまいります。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、高校生等医療費助成事業に係る費用についての御質問にお答えいたします。令和8年度以降、都が全額補助をやめ2分の1の補助とした場合は、約8,800万円の持ち出しを見込んでおります。事業の実績を踏まえながら、今後必要が見込まれる自主財源の費用につきまして試算していきたいと考えてございます。

○議長(内川和久) 以上で若林しげお議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 木 村 広 一

 1 物価高騰対策について

 2 区民生活の支援について

 3 ワクチン接種について

 4 防災対策について

 5 交通施策について

 6 旧本町図書館暫定貸付事業について

 7 鍋横区民活動センターについて

 8 その他

 

○議長(内川和久) 次に、木村広一議員。

〔木村広一議員登壇〕

○13番(木村広一) 令和4年第3回定例会におきまして、公明党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問は通告のとおりで、その他はございません。質問が重複することもありますが、我が会派の立場で質問をさせていただきます。

 初めに、物価高騰対策についてお伺いいたします。

 いまだに続く新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として区民の生活や経済は大きな打撃を受けています。そうした中、ロシアのウクライナ侵略による影響もあり、我が国の経済は、原油や穀物等の価格が高い水準で推移し、今後のコロナ禍からの経済や社会活動の回復に向けて非常に大きな足かせになっています。こうした状況を踏まえ、公明党では、国民や中小企業などの声をしっかりと受け止め、地域の実情に応じたきめ細やかな対策を講ずる必要があることから、岸田内閣総理大臣に対し、物価高騰から国民生活を守る新たな経済対策に向けた緊急提言を行ってきたところです。この公明党の提言などを踏まえ、5月に可決された令和4年度補正予算では、各自治体が生活者や事業者の負担の軽減について、地域の実情に応じ、きめ細やかに実施できるよう、地方創生臨時交付金が拡充され、中野区では約6億6,000万円余が交付される見込みとなっています。さらに、先週の9月9日、政府は地方創生臨時交付金の6,000億円の追加を発表しました。経済的に厳しい状況に置かれている区民や区内事業者を支援するため、これらの交付金は最も必要なところへ適切に活用されるべきです。

 それを踏まえ、何点かお伺いいたします。

 公明党議員団は、8月、9月にかけて各種団体と懇談会を開催し、事業者から様々御要望を伺いました。事業者の皆さんはもちろん、事業者を通して、この物価高騰による区民の皆様の悲痛な声を伺っています。区としても、地方創生臨時交付金を活用し、物価等の動向も想定しながら、生活者や事業者の支援に向けた物価高騰対策を講じていくべきではないでしょうか。その際に、公正・公平性を担保するために、支援の基準を明確にすべきではないでしょうか。お伺いいたします。

 区の物価高騰対策は、7月時点での物価上昇を基準として支援を検討しています。8月以降、特に秋頃にさらなる物価高騰が予測されています。一定の基準を設ける際に、今後の影響分への支援も盛り込む内容とすべきではないでしょうか。お伺いいたします。

 工事案件は、単品スライド条項では1%という制限をかけるなど基準を明確にしましたが、区の事業を請け負う委託事業者への支援基準も明確にすべきではないでしょうか。また、どのような状況であれば約款に基づいて契約変更に対応できる場合かを各事業者にしっかり周知をすべきではないでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、2、区民生活の支援についてお伺いいたします。

 先の項目では、物価高騰への全体的な対策、方針を確認させていただきました。この項では、区民生活に関わる具体的な対策について何点かお伺いいたします。

 初めに、町会掲示板助成制度についてお伺いいたします。町会掲示板の設置等に要する経費への現行の助成制度は、令和元年度から令和5年度までの5年間という期間限定の制度で、来年度がその期限となっています。各町会・各自治会が申請できる回数は、5年間に2回まで、1申請当たり上限20万円となっています。制度創設後4年がたち、1申請当たりの上限が20万円では低過ぎる、申請回数を増やしてほしいなど、制度の改善を要望する声も伺っています。私も町会の広報担当として初年度に2回分申請をさせていただきましたが、2回分の40万円では17か所の掲示板の経年劣化の修繕しかできず、新しい掲示板を設置することができませんでした。風雨があれば掲示物も飛び、色も落ち、重要な掲示板だけでもガラス扉がついた掲示板にしたいと実感したところです。近年、新型コロナウイルスの感染防止対策として、行政あるいは町会・自治会内の情報を会員へ周知する際の掲示板への依存度が高くなっている状況です。令和6年度以降も町会掲示板設置の助成制度を継続すべきではないでしょうか。また、ニーズに合わせ、申請当たりの上限と申請回数の制限を見直すべきではないでしょうか。お伺いいたします。

 次に、ごみ収集・運搬事業者への対応についてお伺いいたします。ごみ収集・運搬事業者は、生活環境の保全と公衆衛生の向上のため、区民の日常生活に密着し、かつ、1日たりとも怠れない収集業務を行っていただいております。しかし、原油価格の高騰により燃料代の値上げ、コロナ禍等の影響に伴う鋼材の値上げや半導体不足による車両価格の上昇など、大変厳しい社会情勢に直面しています。継続雇用による質の高い人材の確保が不可欠で、そのための人件費や新たなニーズに対応するための車両購入経費などの更なる増加が避けられない状況です。ガソリン代の高騰などを受け、ごみの収集・運搬事業者の負担への配慮が必要ではないでしょうか。ガソリンのほか、車両購入費や人件費の増加に区がしっかり対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 次に、私立幼稚園保護者補助についてお伺いいたします。私立幼稚園入園に際し、保護者に対する私立幼稚園入園料補助金は、平成27年度より入園料補助金を4万5,000円とし、交付されました。しかし、現在、中野区内の私立幼稚園の入園料は平均で約9万8,000円であり、23区では、中野区の補助金は低い基準とのことです。私立幼稚園は中野区の幼児教育に大変重要な役割を担っていただいていますが、入学金がない保育園と比べると保護者の負担が大きいと言わざるを得ません。保護者の負担軽減のため、保護者に対する私立幼稚園入園料補助金の増額を検討すべきではないでしょうか。お伺いいたします。

 次に、介護予防事業についてお伺いいたします。本年、令和4年には、団塊の世代、昭和22年生まれの方が75歳を迎え、今後高齢の方が更に増えてまいります。中野区民の健康寿命を延ばす、医療費のかからない体づくりのためにも、より「介護予防」という考えが重要視されてまいります。元気アップセミナーなど、介護予防事業の拡充をすべきではないでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、3、ワクチン接種についてお伺いいたします。

 初めに、帯状疱疹ワクチン接種についてお伺いいたします。帯状疱疹ワクチン接種については、さきの第2回定例会で我が会派の平山議員から、地方創生臨時交付金活用による帯状疱疹ワクチン接種補助制度を早急につくるべきと質問をさせていただきました。それに対し区長は、「帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹の発生率を低減させ、重症化を予防する効果があることは承知をしております。効果的な対象年齢や使用するワクチンの種類、他自治体の情報等を収集しつつ、中野区医師会の意見も聞きながら検討してまいります」と前向きな答弁をされました。以降、中野区においても多くの区民から帯状疱疹ワクチン接種助成を求める声もあり、8月24日には公明党議員団で中野区長に緊急要望をさせていただき、中野区医師会からも要望が出ております。帯状疱疹に苦しむ区民を減らし、コロナ禍での健康不安を払拭するためにも、他自治体に先駆け、早期に帯状疱疹ワクチン接種の公費助成をすべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 次に、季節性インフルエンザワクチン接種についてお伺いいたします。南半球のオーストラリアでは、今シーズンにおいて季節性インフルエンザの患者数が例年より増加していることから、北半球においても秋冬に季節性インフルエンザの流行の可能性が指摘をされています。今後、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念をされています。8月18日、都議会公明党は、小池東京都知事に対し、65歳以上の方等を対象とする季節性インフルエンザワクチンの定期予防接種の自己負担分について、都として助成する緊急要望を行いました。中野区としても、今年度自己負担分を無料にすると報告があり、評価をしております。近年では、ワクチンの供給不足により、優先者を決めて接種を進めたこともありますが、今年度のワクチン供給は十分なのでしょうか。また、今回の接種率の見込みはどのように設定しているのでしょうか。お伺いいたします。

 また、小児に対するインフルエンザワクチンの予防接種も重要です。中野区では、生後6か月から小学校に入学するまでのお子さんに対する助成が始まっていますが、学級閉鎖など学校教育、そして、保護者に大きな影響を及ぼす小学生の感染を避けるため、このワクチン接種の推奨が必要です。医療機関の負担軽減にもつながる小学生へのインフルエンザワクチン接種の公費助成を検討すべきではないでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、4、防災対策についてお伺いいたします。

 今年も各地で記録的な豪雨に見舞われ、これまでの記録を更新した地域が相次ぎました。気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化は、人命に直結しかねない脅威です。特に近年は、積乱雲が次々と発生して局地的な大雨をもたらす線状降水帯が要因となり、各地で甚大な被害を引き起こしています。今夏は、私の出身地の青森県でも集中豪雨に見舞われ、特に鯵ヶ沢町では400世帯以上が浸水する被害があり、私も鯵ヶ沢町に災害ボランティアとして参加してまいりました。ほとんどが床下の泥を撤去する作業でありましたが、復旧するには数か月、復旧すら見込めない御家庭もあり、水害による被害を目の当たりにしました。鯵ヶ沢町での浸水は、河川決壊による被害はほんの一部であり、多くは都市型の内水氾濫によるものでした。河川決壊がなくても洪水ハザードマップどおり、浸水想定区域は各所で浸水が発生しました。中野区においても、河川決壊を注視するだけではなく、行政においても、住民においても、浸水想定区域での事前の備えは十分に行うべきです。

 令和3年9月の決算特別委員会で、浸水想定区域における要配慮者利用施設の避難確保計画作成と避難訓練の実施を要望させていただきました。要配慮者利用施設は169施設で、避難確保計画の作成状況は、その時点で107の施設が作成済みとのことでした。現在の作成と避難訓練実施状況はいかがでしょうか。お伺いいたします。

 また、避難訓練を実施する中で、実際に入所者を避難させられるのか、施設ごとの課題を抽出し、施設関係者以外の支援が必要な施設があるのかどうかを掌握し、その支援の計画も検討すべきではないでしょうか。お伺いいたします。

 同じく決算特別委員会で、要支援者の災害時個別避難支援計画書では水害時の想定がされていないことも確認をしました。震災時と水害時の避難場所が異なるケースもあり、誤って認識すると人命に関わる危険性もあります。風水害版の要支援者用の防災マニュアルを作成し、要支援者、支援者に配布し、適切な支援、また、避難の検討をする機会をつくるように要望いたしましたが、その検討状況はいかがでしょうか。

 また、要支援者の水害時の避難場所を検討する場合には、避難場所を明確に認識していただけるよう、要支援者避難計画書には水害時の避難場所も記載するようにしてはいかがでしょうか。お伺いいたします。

 要支援者避難計画に関連してですが、ケアマネジャーが災害時避難計画を作成した場合、他区では7,000円の委託料を支払うところもありますが、中野区では3,000円と低額とのことでした。ケアマネジャーに委託する場合の金額設定を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 次に、外国人のための防災訓練についてお伺いいたします。9月4日に開催された外国人のための防災訓練は、都内でも珍しいイベントで、「やさしい日本語」を活用した新たな取組でもありました。外国人対応としての「やさしい日本語」の様々な場面での活用は、私からも何度か要望させていただきました。表示板や口頭での説明を「やさしい日本語」で行うことで、様々な言語がある中で外国人の方に効果的に理解していただけることを体験させていただきました。区では、その外国人のための防災訓練をどのように評価しているのでしょうか。また、今後も継続し、発展させるべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 また、各地域では、中野区国際交流協会が主催となり、外国人との懇談会など、コミュニケーションを取る機会が増えつつあります。外国人の総合防災訓練への参加だけではなく、そういった機会を活用し、防災や避難所なども一つのテーマとして行い、顔の見える防災対策ができる機会をつくってはいかがでしょうか。お伺いいたします。

 次に、障害者への情報提供についてお伺いいたします。本年5月25日に公布・施行された「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」は、日常生活や災害についての情報取得を支援するため、国や自治体に財政面などの措置を講じるよう義務付けています。成立の背景には、災害が激甚化する中で災害弱者への対応が遅れていることもあります。例えば、音声・点字版などの障害者向けの水害ハザードマップ作成や災害ニュース等での字幕や手話通訳の活用があります。施行に伴う障害者への災害時の情報提供を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、5、交通施策についてお伺いいたします。

 令和2年度から開始した自治体間の広域連携を活用したシェアサイクル事業は、令和4年度末に3年間の実証実験が終わることになっています。シェアサイクル事業については、令和元年第3回定例会で我が会派から要望させていただき、導入が始まりました。この間の実証実験の成果をどのように評価しているのか、お伺いいたします。実証実験においての成果を踏まえ、来年度以降は、区はどのように関わっていくのでしょうか。

 また、中野区での実証実験の事業者はドコモバイクシェアであり、都心からエリアを拡大してきていますが、一方で、多摩地域ではハローサイクリングという事業者が中心で、都内へエリアを拡大しています。中野区と隣接する練馬区、杉並区は、その両事業者の実証実験が行われています。中野区内でも、この多摩方面への活用が見込まれるハローサイクリングを含め、他のシェアサイクル事業者のポートが点在しています。これまで以上に区民にとって利便性のある移動手段とするため、他の事業者とも連携しながら今後もシェアサイクル事業を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 次に、6、旧本町図書館暫定貸付事業についてお伺いいたします。

 優先交渉権者となった事業者は、全国で約40か所に施設、約6,500人が学んでいる広域通信高校を母体としています。不登校だった生徒に限らず、飛び級的な学びをする生徒、通学しにくい、世界で戦うトップアスリートなど、多様な才能を発揮させるなどの成果を上げています。旧本町図書館においては、小・中学校のフリースクールなどを運営することを提案しています。また、地域には様々なスペースや学びの機会を提供し、貢献する意向も示しています。区としても、事業者と地域の連携をサポートしていただきたいと要望いたします。

 教育に関して様々なスキル、知見を持っている事業者ですが、運営開始後は区の子ども・子育て関係の連携も進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。

 最後に、7、鍋横区民活動センターについてお伺いいたします。

 令和3年12月の厚生委員会の報告では、鍋横区民活動センターの整備基本方針について、令和4年度に改めて策定するとしています。前回案は地域との合意が得られませんでしたが、今回の作成に当たり、地域とどのように調整をしていくのでしょうか。通常、学校整備に関しては、学校改築推進委員会を設定し、広く情報提供するなど丁寧に地域との合意を図っています。これまでの経緯と地域との信頼回復を踏まえ、学校改築推進委員会の進め方も参考にし、地域との丁寧な情報提供、意見集約をすべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 12月の報告では、少なくとも1,700平米程度を確保する方向とのことでした。前回の基本計画案では、4階までの合計が1,731平米であり、恐らく4階建てを想定されることと考えます。前回は7階建てで計画しておりましたので、4階建てでいいのかということも地域の声をしっかりと伺うべきです。一方で、基本計画案で示した床面積は機能別に集計したものであり、区民活動センター部分の床面積には、1階から3階に設置される高齢者施設の専用出入口や階段、エレベーター、避難設備などといった部分の面積は含まれていないと思われます。仮に4階建てにした場合、最大の床面積はどのようになるのでしょうか。現在の鍋横区民活動センターの延べ床面積は1,375平米ですが、最大床面積はそれよりどれくらい広い想定になるのでしょうか。お伺いいたします。

 通常の区民活動センターよりも広い床面積を活用し、商店街の中心部という立地環境に適応する施設にすべきではないでしょうか。例えば、以前から提案し、地域からも要望がある文化施設としての活用を含めたホール機能を持つ多目的ホール、1階を商店街に合わせたにぎわいに対応できる施設づくりなどにするなどを検討してはいかがでしょうか。お伺いし、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 木村議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、物価高騰対策についての対策支援についてでございます。区では、新型コロナウイルス感染症の影響下において、原油価格や電気・ガス料金を含む物価の高騰の影響を受けた生活者や事業者の状況を把握し、負担軽減を図るための緊急対策を検討してきたところでございます。緊急対策は、区民に対する金銭給付的な生活応援のほか、公共的サービスのうち急激な原油価格・物価高騰等により、サービスの量や質の確保に影響を及ぼすおそれのあるものについて、事業形態に応じた補助等を行う考えでございます。今後も区民生活や経済状況を注視し、こうした考え方に基づき調査を行うとともに、時期を逸することなく必要な対策を講じてまいります。

 続きまして、さらなる物価上昇への対応についてでございます。現在検討している緊急対策につきましては、7月時点の物価指数やそれぞれの事業者の状況や実績などを把握した上で、その後の影響を想定して積算したものでございまして、妥当なものであると認識をしておるところでございます。今後の経済状況によっては対策の追加も視野に入れて検討してまいります。

 次に、物価高騰対策における委託事業者との契約についてでございます。委託業務は契約案件ごとに仕様が異なり、物価高騰等の影響が及ぶ範囲も業務ごとに異なるため、一律の判断基準を作成することは極めて困難であると認識しております。このため、契約約款に規定する、経済情勢の激変により当初の契約条件では履行が困難となった場合で、かつ、区民サービスが低下するなどの不利益を回避する必要があると認められる場合、これに当たるか否かについて個別の案件の実情を確認の上、判断することとなります。個々の委託事業者に対しては、発注元の所管部署において業務の履行状況を定期的に確認しておりまして、こうした機会を通じて物価高騰等による事業者の影響や要望を把握することができると考えております。

 続きまして、町会・自治会の掲示板設置等助成の拡充についてでございます。本事業は、令和5年度までの助成としているところでありますが、今年7月から運用を一部見直して、これまでは1団体当たりの申請回数を2回までとしていたところを、新たに3回目の受付を開始したところでございます。これまでに15町会から3回目の申請をいただいております。新型コロナウイルス感染のリスクから回覧板が利用しづらくなっているなど、地域住民への広報手段として掲示板の重要性が増していることは認識をしているところでありまして、令和5年度までの進捗状況を見据えながら令和6年度以降の在り方について検討を進めてまいります。

 次に、ごみの収集・運搬事業者の負担への配慮についてでございます。ごみの収集・運搬は区民の生活に欠かせない事業でございまして、安定的な継続が必要であります。燃料費、人件費、車両の経費等について、その推移を把握しつつ適切に対応してまいります。

 次に、私立幼稚園入園料補助についてでございます。私立幼稚園の保護者に対しては、入園料のほか、毎月の保育料についても一部補助をしているところであります。この3年間の合計した補助額は特別区の中でも高い水準にありまして、現時点では増額は考えておりません。

 次に、介護予防事業の拡充についてでございます。区は、地域の高齢者会館やスポーツコミュニティプラザなどを会場として、なかの元気アップセミナーのほか、体操ひろば、カラオケ機器を用いた能力向上プログラム、住民主体によるミニデイサービスなど、多様な主体による様々な介護予防事業を実施しております。介護予防事業の対象者数は、平成30年度の約5,200人から令和3年度までの間に約500人増加しているところでありまして、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮しても、介護予防事業は区民に浸透しつつあると考えております。事業を委託している事業者や団体からの要望、利用者からの意見等を踏まえて、介護予防事業の拡充を進めてまいります。

 続きまして、帯状疱疹ワクチン接種助成制度の創設についてでございます。帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発生率を低減させ、重症化を予防する効果があることは承知しているところでございます。効果的な対象年齢、使用するワクチンの種類、他自治体の情報等を収集しつつ、引き続き検討してまいります。

 次に、高齢者インフルエンザワクチン接種についてでございます。今年度のインフルエンザワクチン供給見込量は過去最多の約3,521万本で、成人が接種する場合の約7,042万回分となっておりまして、十分な量が供給されるものと認識をしているところでございます。前回、高齢者インフルエンザワクチンの自己負担額が無料となった令和2年度、この接種率が64.6%でございまして、令和元年度の46.2%と比較して18.4ポイント増加をしております。今年度の接種率につきましても、令和3年度の接種率から同程度増加すると見込んで、71%と試算をしているところであります。

 続きまして、小学生のインフルエンザワクチン接種の公費助成についてでございます。インフルエンザは高齢者と乳幼児が重症化のリスクが高く、また、乳幼児はインフルエンザ脳症の罹患リスクが高いと言われていることから、現在は就学前の乳幼児を助成の対象としております。小学生を公費助成の対象にすることにつきましては、今後接種率や他区の実施状況等を踏まえ検討してまいります。

 次に、防災対策についてで、要配慮者利用施設への避難支援についてでございます。避難確保計画作成が必要となる要配慮者利用施設は現在167施設で、そのうち161施設が作成済みということでございます。また、要配慮者利用施設の避難訓練は現在79施設が実施済みとなっておりまして、未実施施設につきましては直接連絡をして実施を促しているところであります。施設ごとの課題につきましては、計画作成時に相談を受けた際や、訓練実施結果報告において安全で確実な避難の課題が見受けられる場合には、施設管理者等に必要な助言を行い、計画の実効性を高める支援をしております。浸水危険度の高い施設や水害が発生した際に配慮すべき施設には、避難の開始・完了の報告など相互に情報共有を図ることを区の活動マニュアルに定め、適切な避難支援を実施してまいります。

 次に、水害時を考慮した災害時個別避難支援計画書についてでございます。水害時の避難がスムーズに行えるように、次年度の災害時個別避難支援計画書には水害時の避難所を掲載する方向で現在進めております。あわせて、風水害マニュアル及び要支援者ごとに該当する水害時の避難所が記載されたエリアの中野区ハザードマップの配布も検討しているところであります。

 続きまして、ケアマネジャーへの委託料についてでございます。委託料につきましては、他区の状況を調査し、また、受託をしている事業所にもヒアリングを行いながら検討してまいります。

 次に、外国人のための防災訓練についてでございます。今回実施した外国人のための防災訓練は、中野消防署、野方警察署、中野区国際交流協会との共催により実施したもので、7か国、約150人以上の参加者がありまして、「やさしい日本語」で緊急時や地震の際に身を守るための方法等について学んでもらいました。訓練を通して震災発災当初等の緊急時におきましては、通訳ボランティアや翻訳アプリ等に頼る間がなく、「やさしい日本語」でコミュニケーションを図ることが重要であることを参加者と行政の双方が理解できたところであります。現在、区内の外国人登録者数は1万7,000人を超え、災害発生時には多くの外国人が避難所に集まることが想定されていることから、今後も身を守るための訓練を関係機関と継続するとともに、区の総合防災訓練や避難所運営訓練等にも発展させて、外国人と日本人の避難者が相互に協力し、正しい情報伝達や互いの文化を尊重した適正な避難所生活が送れるように普及・推進をしてまいります。

 次に、外国人に対する防災対策の機会充実についてでございます。現在、中野区国際交流協会では、地域における日本語学習機会の充実と、外国人の様々な相談に対応できる拠点づくりを進めておりまして、今年4月に鷺宮地域において日本語教室相談拠点を開設し、10月には弥生地域においても開設を予定しているところであります。今後は、各地域の日本語教室相談拠点においても、関連所管と協力しながら防災に対する知識や心構えを学ぶ機会としても取り組めるよう、中野区国際交流協会に対して働きかけてまいります。

 続きまして、障害者への災害時の情報提供についてでございます。障害のある方への災害時の情報提供は、視覚情報として防災情報メールマガジンやエリアメールなどの携帯電話への情報発信をはじめ、中野区ホームページ、ツイッター、フェイスブック、LINEなどのSNSで情報提供を行っているほか、聴覚情報として中野区防災行政無線で伝達をしているところであります。視覚障害者に対する個別の情報提供が少ないことから、今年度、一斉情報配信システムを導入し、電話による音声伝達を進めていく予定でございます。今後、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の趣旨を踏まえた上で、情報発信方法についてもさらに検討してまいります。

 次に、交通政策についてで、シェアサイクルの実証実験の成果についてでございます。自治体間の広域連携を活用したシェアサイクルについては、区内の公共交通の補完及び区民の移動利便性の向上などを目的としているところであります。令和2年度及び令和3年度の利用実績や利用者アンケート調査結果より、利用回数の大幅な増加が見られることや、鉄道や路線バスなどの公共交通機関と合わせて利用されていることが分かっておりまして、事業の有効性は確認しているところでございます。引き続き令和4年度の利用状況等の分析や事業の検証を進めてまいります。

 最後に、令和5年度以降の方向性についてでございます。区内にはドコモバイクシェア以外の事業者もおりまして、区内の利用者が目的に合ったシェアサイクルの利用ができる環境整備が必要と考えております。また、シェアサイクルを含めた自転車の活用の推進には、区がシェアサイクルのポートとして区有地を貸すなどの協力も必要であると考えております。このため、他の事業者との連携も含め、令和5年度以降のシェアサイクル事業への区の関わり方について、令和4年度までの実証実験の成果を踏まえて方向性を決めてまいります。

〔企画部長石井大輔登壇〕

○企画部長(石井大輔) 私からは、旧本町図書館暫定貸付事業についての御質問にお答えいたします。優先交渉権者となりました事業者には、区の施策推進への協力を条件に貸付けを行うこととしておりまして、事業者から地域の方へのスペース開放日や学習会、講演、ワークショップの設定、地域のイベントへの参加などの提案を受けているところでございます。学習会、講演、ワークショップなど、子ども・子育てに関して連携できることもあると考えておりまして、今後事業者と協議をしてまいります。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、鍋横区民活動センターについてお答えいたします。

 初めに、整備に係る地域との調整についてでございます。鍋横区民活動センター整備に関しましては、地域において鍋横区民活動センター建設検討委員会が組織されております。この建設検討委員会は、町会のほか、地域で活動する団体、商店街関係者等で構成されており、要望書を取りまとめるなど、活発に活動を展開されてきたところでございます。区は、この建設検討委員会を軸に地域との合意形成を図ってきたところでございますが、前回の基本計画案策定の際の反省を踏まえまして、これまで以上に綿密な情報共有を図り、地域の方々の意見集約に努めてまいります。

 次に、区民活動センターの床面積についてでございます。区民活動センター単独で整備した場合、前回は上階に設置を予定しておりました高齢者施設の専用出入口や階段、エレベーター、避難設備といった部分が不要となります。こうしたことから、仮に4階建てとした場合、約1,700平米を確保できる見込みでございます。この場合、現在の区民活動センターよりも約300平米広くなることとなります。

 最後に、立地環境に適応する施設づくりについてでございます。整備に当たって、その立地条件を生かすことは大変重要であると考えております。整備用地は、商業地区としてのにぎわいのほか、多くの通勤・通学者が行き交う地区に立地しております。こうした周辺地域の特性を踏まえ、魅力ある施設づくりを検討していきたいと考えてございます。

○議長(内川和久) 以上で木村広一議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時20分休憩

 

午後3時40分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 浦 野 さとみ

 1 区長の政治姿勢とくらしを守る施策について

  (1)物価高騰対策について

  (2)新型コロナウイルス感染症にかかわる各支援策の状況について

  (3)中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例について

  (4)平和行政について

  (5)その他

 2 生活保護行政の改善と拡充について

  (1)ケースワーク業務の外部委託について

  (2)制度のさらなる周知について

  (3)就労支援のあり方について

  (4)その他

 3 聞こえの支援について

 4 その他

  (1)上高田四丁目17番~19番地区地区計画等案について

  (2)哲学堂公園などにある運動施設の管理について

  (3)その他

 

○議長(内川和久) 浦野さとみ議員。

〔浦野さとみ議員登壇〕

○31番(浦野さとみ) 2022年第3回定例会本会議におきまして、日本共産党議員団を代表し、一般質問を行います。質問は通告どおりです。

 質問に先立ち、7月8日、安倍元首相が参院選の街頭での応援演説中に銃撃され亡くなられました。いかなる理由であれ、民主主義に対する重大な脅威であり、絶対に許されるものではありません。改めて御冥福をお祈りいたします。

 一方で、岸田内閣は、今月27日に安倍元首相の国葬を行うと閣議決定しました。国葬実施の理由について、歴代最長の任期期間であることや内政・外交での実績などが挙げられていますが、政治家に対する評価は主権者である国民が判断すべきことです。法的根拠もなく、憲法14条が規定する「法の下の平等」にも反する問題です。同時に、個人に対する敬意と弔意を国民全体で表す儀式である国葬は、国民に対して弔意を事実上強制することから、憲法19条の思想・良心の自由にも反するものです。現在示されている費用総額は16億円を超え、今後さらに膨らむ可能性も指摘されています。多くの世論調査でも「反対」が「賛成」を上回り、憲法違反の国葬に税金を使うことは民主主義国家においてあってはならないことです。最後まで国葬実施の中止を求めていきますが、予定どおり実施された場合においては、区庁舎や学校などへの半旗・弔旗掲揚は行わないこと、区職員並びに学校などの現場において弔意を強制せず、黙とうの協力呼びかけを行わないことなどを区長及び教育委員会に対し強く要望いたします。

 それでは、質問に入ります。

 区長の政治姿勢とくらしを守る施策について。

 初めに、物価高騰対策について伺います。長期化するコロナ禍に加え、物価高騰が暮らしやなりわいに甚大な影響を与えています。給料は変わらないのに電気代などは2割以上、食料品も軒並み値上がりし、生活が成り立たなくなっている。ラーメン1杯80円の値上げを余儀なくされたが、客足は以前のようには戻らず、利益全体は下がっているとの悲痛な声も寄せられています。今般の物価高騰は、ウクライナ危機の影響のみならず、アベノミクスの失敗、日本銀行の異次元の金融緩和政策が円安を誘導し、輸入物価を押し上げて物価上昇に拍車をかけていることは明白です。このような危機に、野党の求めにも応じず、国会を開かない政府与党にも怒りの声が広がっています。直ちに臨時国会を開き、新たな予算措置も含めた対策が急がれます。

 区議会では、8月の常任委員会などで、物価高騰に対する区の緊急対策として検討中の主な対策が示されました。区が発注する工事における資材価格高騰に伴う経費の上昇分の増額、プレミアム付区内商品券事業、区立小・中学校給食費負担軽減をはじめ、私立幼稚園、保育所、民間学童クラブや、介護や障害者福祉サービス事業所に関わる光熱費の負担増に対する補助など、会派として6月に行った区長への緊急要望の内容が多く含まれており、こうした対策が示されたことは評価をいたします。一方で、物価高騰の影響はスピードが増しているだけに、迅速な対応、さらなる対応が求められます。その観点から次の4点について伺います。

 まずは、区民や区内事業者などの状況について実態を丁寧に把握することが重要です。8月下旬から9月にかけて、会派としても区内の様々な団体の皆さんと懇談をさせていただきましたが、例えば建築関係の団体からは、2週間前に取った見積りと現在とでも大きく価格が変動しているとの声を伺いました。また、障害者団体からは、コロナ禍で作業所販売の機会が減り、減収となっている。その分を一人ひとりの工賃を下げることで事業所の運営をせざるを得ないとの声も伺いました。あらゆるところへしわ寄せが及んでいます。この間、区としても実態把握のための調査やヒアリングを行ってきたと伺っていますが、より実態を丁寧に把握する手立てを取るべきです。見解を伺います。

 影響が深刻なだけに、基礎自治体として国や都の交付金・補助金活用にとどまらず、一般財源を投入しながら住民の暮らしを守る施策が求められます。23区内では文京区で、物価高騰の状況を踏まえ、子ども1人3万円の給付を所得制限なしで実施されます。また、杉並区では、国の住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金の対象外となった生活困窮世帯に対し、区独自での臨時給付金支給を行うことが示されました。現在、国でも住民税非課税世帯への5万円の給付金支給が検討されていますが、中野区独自として低所得者や子育て世代などへの臨時給付金などの支給を検討すべきです。見解を伺います。

 燃料費高騰も深刻です。取引価格などに転嫁することが困難な中小事業者も多いと伺っています。江戸川区で実施しているような運送事業者等燃料費高騰対策支援金などを参考に、区内に本社を置くトラック運送事業者やタクシー事業者などへの支援を検討してはいかがでしょうか。今回示された検討中の対策においては、介護や障害者福祉サービス事業所に係る光熱費の補助は示されましたが、例えば通所系のサービス事業者は、利用者の送迎は基本的には車を利用します。医療機関による往診などの訪問診療も、医師や看護師など複数のスタッフで行うため車を利用することが多くあります。私立幼稚園などもバスでの送迎です。大田区では、私立幼稚園への支援として、バス1台当たり月に4,500円の燃料費助成を行っています。さらに、移動手段が自動車のみという障害の方もいます。荒川区では、自動車を運転する心身障害者等の負担軽減を図るため、燃料費助成の上限を引き上げる対策を実施しています。区としても燃料費高騰への対策を検討する必要があると考えます。見解を伺います。

 あらゆる食品が高騰する中、先週、葛飾区では、23区で初めて区立の小・中学校の給食費を来年春から完全無償化する方針が示されました。会派としてもこれまで中野区での実施を求めてきましたが、改めて検討を強く要望いたします。

 介護や障害福祉サービスの事業所では、食事提供があるかないかでも影響が大きく異なります。大田区や文京区では、介護の通所系サービス事業所への支援として、食事の提供あり・なしによって助成額に変化をつけています。現在、食費の負担軽減対策としては、区立小・中学校の給食費のみとなっています。ここも対象を広げ、対策を検討すべきです。答弁を求めます。

 次に、新型コロナウイルス感染症にかかわる各支援策の状況について伺います。高止まりが続く新型コロナウイルス感染症への対策については、明日、羽鳥議員から質問いたしますので、私からはこの間の各支援策の状況について伺います。

 国や都の事業者支援としての給付金や協力金は、全てが収入認定となるため、今年度の個人事業税や住民税、国民健康保険料など全てに跳ね返り、税や保険料の新たな負担だけで400万円以上になる方も生まれています。感染防止対策のためと協力し、休業や営業時間短縮を余儀なくされる中で、売上減少に伴う支援であるはずが、これでは何のための支援金なのか、協力せずに受け取らないほうがよかったとの声も多く寄せられています。税や保険料にとどまらず、収入や所得によって決まるあらゆるサービス、例えば御家族の方が利用していたおむつサービスやシルバーパスなどにも影響が及び、これまで使えていたサービスも対象外となる事態です。医療費負担も1割~3割となり、必要な医療にかかれないという方もいます。各税金や保険料を払うために借入れを検討している方もいるほどです。本来の支援が、かえって支援を利用した人をさらに追い詰めている現状があります。区としてこうしたことが起きていることを実態把握しているのか伺います。

 公営住宅の家賃算定については、第2回定例会で小杉議員も取り上げましたが、国は家賃算定に関わる所得金額の認定に当たっては、持続化給付金等は一時的な収入として扱い、認定から除外することは可能であるとの見解を示しています。実際に兵庫県では、国のこの見解に基づき、県営住宅の家賃算定の際に各種給付金は収入から除外するとしました。区営住宅においても、来年度家賃算定に当たり、各給付金や協力金を除外することを改めて求めます。同時に都営住宅についても、東京都へその判断を要望すべきです。答弁を求めます。

 国民健康保険料に関する、いわゆるコロナ減免制度も、比較する対象年度が前年度となっているため、国保加入の個人事業者にとっては、コロナ禍で収入が落ちた中で、さらにそこからの3割減でなければ本制度の対象となりません。毎年売上げが3割減を続けていれば、それは既に商売の継続はできず、廃業する状況にあります。制度として成り立っていないことは明らかです。こうした現状についても対策を取るべきではないでしょうか。見解を伺います。

 社会福祉協議会などの貸付けを繰り返し利用しながら何とかしのいできた方も、いよいよ1月から償還が始まります。給与が増えていない中での返済は、現実的には困難です。住民税非課税であれば償還免除となりますが、このことを知らない方も多くいます。こうした方が区の相談窓口に来た際などには、免除制度の周知やほかに利用できる制度がないかも含め、より丁寧に正しく対応をすべきです。見解を伺います。

 基礎自治体として区民の暮らしを支え、公助の役割がしっかりと果たされることを重ねて要望し、この項の質問を終わります。

 次に、中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例について伺います。中野区では、本条例が今年1月1日から施行されました。9月1日には中野区人権施策推進審議会が設置され、9月6日に第1回目の審議会が開催されました。条例の第1条では、「この条例は、人権及び多様性を尊重するまちづくりを推進するための基本理念を定め、中野区、区民及び事業者の責務を明らかにすることにより、人々が心豊かに安心して暮らし、共に新たな価値を生み出していくことのできる中野のまちを実現することを目的とする」と記されています。まさに文字どおり、これを今後どのような形で具体化し、実現していくかが問われてきます。前文や基本理念を定めた第2条では、「全ての人が差別をすることや差別をされることのない環境を」という記述と同時に、「差別をされている状況を見過ごさない環境を整備することが必要」とされています。この「差別をされている状況を見過ごさない環境」を区としてどう整備をしていく考えか、見解を伺います。

 第3条第1項では、「区は、第2条で規定する基本理念にのっとり、区民一人ひとりが人権及び多様性を尊重し、これを認め合うために必要な施策を総合的に推進する」とあります。第6条では、これを推進するための取組が記されています。「普及及び広報活動などを行う」とは、具体的にどのようなことを想定しているのか伺います。

 特定の民族や国籍の人々を追い出そうとしたり、危害を加えようとしたりする差別的言動、ヘイトスピーチに対する区の毅然とした対応も求められます。条例制定を機に、ヘイトスピーチは許さないという区の認識を改めて広く示していくべきです。これまで、いさ議員も取り上げてきましたが、ヘイトスピーチは許さないという法務省作成の啓発ポスターを広く貼り出すことの意味も大きいと考えます。啓発ポスターの掲示場所は現在どのような状況か、今後拡充していく手立てについても併せて答弁を求めます。

 本条例の第10条では相談に対する対応が記されていますが、ヘイトスピーチなどに関する相談があった場合も、必要な調査を行い、解決のための支援を行うことで間違いがないか、確認の意味を含めて伺います。

 また、第9条に規定される相談等に対する体制整備の状況についても伺います。本条例が生きたものとなるように強く求めます。

 この項の最後に、平和行政について伺います。今年は、中野区憲法擁護・非核都市宣言から40周年という記念の年となりました。夏には平和のつどいをはじめに、平和の森公園では広島市から寄贈された被爆2世のアオギリの苗木の植樹式が行われました。20年前に植樹された公園西側のアオギリも大きく育っており、この夏に植樹されたアオギリも平和の象徴として共に育てていきたいと強く思います。植樹式では、6歳のときに長崎で被爆した区内在住の方から、核兵器禁止条約の発効を歓迎するとともに、日本政府が本条約に署名・批准していないことへの悲しみも語られました。改めて、日本が核兵器禁止条約を批准することを求めるものです。

 「核を持つ全ての国に核兵器を捨てよ」と訴えた中野区の「憲法擁護・非核都市」の宣言は、今の時代に輝いていると思います。この宣言を改めて広く伝えていくことが求められます。区長は、さきに紹介した平和の森公園での植樹式の際、自らが今年の夏に広島市を訪れたことにも触れながら、広島の被爆地の小学校に戦争の遺構が残されていることの大事さを語られていました。映像や資料で残すことと同時に、実際の被爆建造物などを通じて歴史を正しく学ぶことはとても大切と考えます。中野区でも平和マップを作成していますが、区内の平和史跡について現地での説明板などの様式を統一しながら、多言語表記も含めて明示することを検討していくことが必要ではないでしょうか。見解を伺います。

 平和の森公園内にかつて植樹されたアオギリやポプラなどの案内板は、いつの間にかなくなり、樹木に紙が巻きついた形で、近づかないと何の木か分からない状況となっています。また、その紙も高い位置にあるため、子どもの目線には入らず、改善が必要ではないでしょうか。同公園内の平和記念碑は、広島市庁舎の被爆敷石を譲り受け、原爆のすさまじさが刻まれた石に、中野区の憲法擁護・非核都市の宣言が記されています。宣言を記した銘板を区内に増やしていくことも検討すべきではないでしょうか。併せて答弁を求めます。

 新体育館内に平和資料展示室が開設された年度は、テーマを変えながらほぼ毎月様々な企画展示が行われていました。しかし、その後、企画展示は減少しています。区が直営で行っているものであり、様々な工夫を重ねながら歴史を伝えることが重要です。中野区に資料がないものについては、東京都などからの貸出しも含め、様々な企画展示を行うべきと考えます。見解を伺います。

 また、その際に、日本の被害の実態だけではなく、植民地支配や侵略戦争など、日本の加害についても様々な機会を通して伝えていくことが重要と考えます。併せて答弁を求めます。

 冒頭にも述べたように、核兵器禁止条約発効という、核兵器をめぐる状況には大きな変化が生まれています。中野区所有の平和資料である原爆や被爆のパネルは、25年以上更新がされていません。順次更新するとともに、被爆を経験された方が年々少なくなる中、平和の語り部の映像記録(DVD)も、区内被爆者の方に御協力をお願いしながら更新すべきではないでしょうか。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 2番、生活保護行政の改善と拡充について伺います。

 今年8月31日の総務委員会で、中野区の職員定数管理計画案が報告され、その中で生活援護ケースワーカーが5年間で18人増を予定し、法定標準数に基づいた増員計画が示されました。当初は10年での計画だったため、前倒しされて増員計画が示されたこと、この間の指摘を受けての改善が図られようとしていること、大きく評価いたします。また、先日、扶養照会に関することが新聞報道されましたが、これまでの運用に加え、国の通知に基づいた運用がされていることも重ねて評価をいたします。その上で、今回は以下3項目について伺います。

 初めに、生活保護ケースワーク業務の外部委託について伺います。中野区での高齢者居宅介護支援事業がこれに当たるとして、2020年の第4回定例会以降、繰り返し取り上げてきました。政府によって検討されてきた方針に一定の結論が出されたため、整理をして改めて伺います。

 政府は、2019年末に生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化方針を閣議決定し、現行制度では違法とされてきた業務も外部委託を可能とすることについて、法改正も含め、検討をしてきました。この方針に対しては、生活保護問題対策全国会議をはじめ、日本弁護士連合会、日本ソーシャルワーカー連盟などが反対の声明や意見書を発表し、様々な問題が指摘されてきました。政府は、2021年度中に結論を出し、必要な措置を講ずるとしてきましたが、今年7月26日付で各自治体に通知が出されました。その内容について、現行制度ではできないとしてきたケースワーク業務の外部委託についての結論部分に限って、簡潔に答弁を求めます。

 この問題は、今年の社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会の中でも議論がされてきました。6月17日の同審議会では、公権力のある自治体が命を守ることを自ら担うことが重要であり、職員が市民の困窮を肌で感じるケースワークを手放して、重要な生活ニーズを把握するすべを失ってはいけない。どんどん民間委託が進む中、最後のとりでの生活保護分野までもが民間委託化していくことに非常に不安がある。まず行うべきは職員の充足であり、正規職員の増員を基本とすべきなど、雇用の在り方も含めてケースワーク業務の外部委託について、多くの反対や懸念が出されたことは非常に重要と考えます。

 今回、厚生労働省は、同審議会において、ケースワーク業務の外部委託については検討している状況にはないとしており、一層中野区での実態が問われることとなります。高齢者居宅介護支援事業を実施している生活援護課の高齢者保護係においては、正規ケースワーカーによる家庭訪問計画が立てられておらず、家庭訪問がほぼ皆無だった実態はやはり異常な状態でした。この間の質疑で、まずは訪問計画をきちんと策定することや、正規ケースワーカーによる家庭訪問を適切に実施することを繰り返し求めてきました。今年度から高齢者保護係における正規ケースワーカーを増員し、改善を進めてきたと思います。今年度の高齢者保護係の職員体制及び1人の正規ケースワーカー当たりの担当世帯数、今年8月末時点での訪問計画に基づく家庭訪問の実施状況について答弁を求めます。

 偽装請負や官製ワーキングプアを生み出す懸念についても指摘をしてきました。2021年の第1回定例会での総括質疑では、委託事業者が中野区に提出した人件費見積りと事業者自身の事業報告書において、人件費で約3,400万円の乖離があることを指摘しました。働く方に賃金が適切に支払われているかも非常に心配しています。中野区では今年4月に公契約条例が制定され、8月に中野区公契約審議会が設置されました。12月にかけて4回の審議会開催が予定されており、労働報酬下限額や公契約に関する必要な事項など調査・審議され、12月に答申が出るとされています。8月31日の総務委員会で公契約条例施行規則が示され、その中で高齢者に係る居宅介護支援に関する公契約が盛り込まれました。これはまさに当該の委託事業です。この適用によって労働報酬下限額以上の賃金の支払いがあったことを確認することができるということでよいのか、確認の意味で伺います。

 次に、生活保護制度などのさらなる周知について伺います。制度は利用されてこそ意味があります。今年3月に中野区が独自のポスターを作成し、「生活保護の申請は権利です。ためらわずにご相談ください」と周知したことについては、都内・都外問わずに他自治体から問合せが来ていると伺っています。この間、電話などでの問合せなど、他自治体からどのような反応が寄せられたのかについて伺います。

 足立区や新宿区でも周知のポスター作成が検討されていると伺っています。中野区の1歩が他自治体へいい波及効果を示していることを歓迎いたします。今後の継続した周知を要望した際には、SNSなどでの継続した周知とともに、今回作成したポスターも定期的に活用していくとの答弁がありました。今年度はどのような形で引き続き周知をしていくのか伺います。

 3月作成のポスターは約300か所へ掲示されました。職員の方が自ら貼り出しに回ってくださったこと、敬意を表します。現在、区有施設への掲示は継続されているものの、区のお知らせ板は2週間という範囲の定めによって、なかなか届いていない現状もありました。先日御相談があった30代のAさんは、この間のコロナ支援制度や住居確保給付金、困窮者自立支援金などを活用してきましたが、今年5月に住まいを失い、ネットカフェでの生活を余儀なくされていました。体調を崩されたことで就労できなくなり、手持ち金も僅かとなったときに、SNSで調べる中で、私のツイッターで発信した当該ポスターを目にして連絡をくださいました。無事に生活保護の申請を終え、生活保護利用開始となりましたが、例えばネットカフェや漫画喫茶などとも連携し、掲示の範囲を広げることも検討し、さらなる周知に努めるべきと考えます。見解を伺います。

 Aさんは、中野区に電話で相談をした際、本人としては、いわゆる水際作戦をされていると感じたとのことでした。日々様々な相談がある中、職員の方々が尽力されていることは承知をしていますが、改めて正しい制度の説明と丁寧な対応を重ねて求めます。

 この項の最後に、就労支援のあり方について伺います。現在、生活保護を利用しているBさんの事例を基に伺います。Bさんは50代前半で、中学生と高校生4人のお子さんを育てるシングルマザーです。Bさんは、お子さんが小学校を卒業したことを機に、自身が被害に遭ったDVの経験を少しでも生かした仕事をと、今年4月から二つの自治体の女性相談、DV被害者支援の相談員としてパートで働いています。今後、仕事を継続しながら通信制の大学に通い、心理士の資格を取得し、仕事の幅を広げ、なるべく早く自立したいと考えています。Bさんは、担当ケースワーカーに社会福祉協議会の教育支援資金の貸付けをしたいと相談をしました。しかし、担当ケースワーカーからは、資格を取っても就労に結びつかない可能性があるとの理由で、社会福祉協議会の貸付けを担当ケースワーカーが認めず、自らの生活保護費を工面することで学費を捻出するように言われました。しかし、相次ぐ生活保護費の引下げにより、学費を工面する余裕は生活保護費にはありません。このことは担当ケースワーカーも分かっていたはずです。生活保護利用の方は、原則お金を借りることはできません。それは、お金を借りた場合、資力として収入認定されるからです。しかし、Bさんのように就労及び技能習得を目的に社会福祉協議会の貸付けを利用することは、自立更生に資するということから、事前に自立更生計画書を提出し、貸付けの利用を福祉事務所が妥当と判断をすることにより認められているはずです。この認識に間違いはないか伺います。

 就労に結びつかない可能性があるから貸付けを認めないという運用は、自立をしようとする方の芽を摘んでしまうことになります。実施要領上もそのような運用の根拠はありません。むしろ生活保護の大きな目的の一つには、自立の助長があります。福祉事務所自らがそれを拒むことはあってはならないと考えます。再度貸付けを認めない理由を問うた際には、稼働年齢ではないとの説明を受けたとも伺いました。しかし、Bさんは50代前半であり、65歳までを稼働年齢とする基準からも誤った説明です。貸付けを利用すれば先々分割で返済することになり、福祉事務所が新たな費用を出すわけではありません。自ら借金をしてでも学びたいという意欲を認めない理由はないはずです。まして、Bさんはこの4月から就労もしているため、学習をすることはより重要です。最終的にはケース診断会議の後、社会福祉協議会からの貸付けが認められ、先日手続が終わりました。通信制の大学の合格も決まり、新たな出発を迎えることができました。

 Bさんは自らの強い意志を持ち、おかしいのではないかと声を上げて相談をいただいたことで、一つひとつの誤った対応が正されましたが、私は今回の件を通じて、これまでもケースワーカーの誤った対応や説明によって自立の芽が阻まれてきたのではないかと危惧しています。一人ひとりにはその方の人生があります。誤った対応によってその方の人生が左右されるようなことがあってはならないと強く思います。背景には、ケースワーカー不足から一人ひとりの職員への負担が大きく、十分な研修が実施できていないことが要因の一つとも考えます。繰り返し求めている職員体制の整備とともに、この件を通じても、今後福祉事務所として職員教育をどのようにしていくのか、就労支援の在り方についてきちんと生活援護課内での研修や認識の共有が必要です。今後の対応について答弁を求め、この項の質問を終わります。

 3番、聞こえの支援について伺います。

 この間、当議員団としても、認知症との関係や早期からの支援、アフターフォローの重要性など、加齢性難聴への支援として補聴器購入の助成制度や聴力検診の必要性を繰り返し提案してきました。補聴器の助成は、今年度、港区、三鷹市、荒川区で新たに開始され、23区では約半数の自治体を含め、都内18自治体で実施されています。

 今年の第1回定例会で聞こえの問題に関する講座の開催などを提案した際、他自治体からの情報収集を行い、工夫に努めていくとの答弁がありました。また、聞こえの問題の認識を伺った際には、聞こえの問題は区民が関わる健康問題の一つであるとの答弁もありました。これは非常に重要な認識だと考えます。区が聞こえの問題を健康問題の一つと認識する具体的な理由について答弁を求めます。

 中野区では、介護保険の改定に合わせ、3年に1回、高齢福祉・介護保険サービス意向調査が実施されています。直近では2020年(令和2年)5月に実施されました。その中で、外出が減っている理由を尋ねる問いに対し、「耳の障害(聞こえの問題)」と回答した方が、特に要支援1の方では12.9%に及んでいます。また、現在治療中または後遺症のある病気についての設問では、同じく要支援1の方で「耳の病気」を挙げた方は13.5%となっており、高血圧、心臓病、糖尿病、目の病気に次いで高い割合となっています。この結果からも、聞こえの問題は区民の健康問題の一つであると言えます。今後、高齢福祉・介護保険サービス意向調査を実施する際などには、聞こえの問題を一つのテーマとして調査項目に加え、聞こえに関する実態把握をしていくべきと考えます。見解を伺います。

 西東京市では、医師会が公益事業として認知症予防のための聴覚検診を立ち上げ、65歳以上の高齢者1,156名を対象に、市民の健康診査に合わせ、認知症スクリーニングと聴力検査が実施をされました。昨年8月には、特別区議会議長会が、国への施策・予算に関する要望として、加齢性難聴の早期発見、及び補聴器を必要とする人が適切な補聴器を購入し、継続して利用できる仕組みづくりを進めることや、補聴器の購入費用の助成を進めることが要望として出されています。こうした点からも、聞こえの支援の必要性は誰もが認めるものではないでしょうか。ぜひ中野区においても実施されることを重ねて要望し、この項の質問を終わります。

 その他で2点伺います。

 一つ目に、上高田四丁目17番~19番地区地区計画等案について伺います。上高田四丁目団地管理組合法人は、団地の耐震性などの課題から、マンション再生を契機としたまちづくりをと、2004年に勉強会を発足し、区と相談しながら学習会や意見交換などを重ねてきました。その後、都市計画も含めた検討がされ、2019年3月、地区が抱える課題解消を目指し、上高田四丁目17番の地区計画の住民原案の申出を検討するとの届出書が中野区に提出されました。継続した区との協議が行われ、今年4月、中野区に対し、地区計画住民原案の申出がされました。現在、区は申出内容を踏まえた地区計画決定に向け、当該地区計画原案の手続が進められ、今週には地区計画等の案について地域での説明会が開催される予定です。

 当該計画に対しては、権利者及び周辺の方などからも様々な声を伺ってきました。権利者に対しては数年にわたり説明会などが重ねられ、現在、個別相談が継続して行われていると伺っています。お一人お一人の方の不安に寄り添い、合意形成がきちんと図られていくことが大前提と考えます。また、これまで関係権利者を対象とした話合いが中心でしたが、近隣の方では当該計画案を知らない方も多く、案の中で示されている区画道路整備などについて不安や心配の声も寄せられています。当該計画案を広く近隣住民の方にお知らせをし、丁寧な説明を行い、一つひとつの疑問や不安には真摯に対応し、合意形成を大前提としたまちづくりとしていただきたいと思いますが、区の見解を伺います。

 最後に、哲学堂公園などにある運動施設の管理について伺います。現在、哲学堂公園及び上高田公園と妙正寺川公園の運動施設は、日本体育施設グループが指定管理者として運営しています。当該運動施設の野球場は、当然ながら当日の天候不良等によって利用できない場合があり、また、当日の天候が良好であっても、前日までの大雨や降雪などの影響でグラウンドコンディションが不良な場合も利用ができません。その利用の可否については、当日の利用開始時間のおおむね2時間前に施設管理者側がグラウンド状況を確認した上で決定するとされています。そのため利用開始時間までに各利用者が各施設に問合せすることになっていますが、哲学堂公園の野球場の早朝枠は6時~8時のため、2時間前の4時には施設管理者はまだ現地に到着していません。現状は当日の朝5時までに複数名が出勤をし、公園全体の開門、清掃、各設備の点検、道具出しなどを行い、そのうちの1人がグラウンドキーパーとして使用の可否を決定していると伺っています。大型台風などが明らかな場合には、前日に利用中止の判断をしたことも過去に例があるとのことですが、天気が予報どおりにいかないこともあるので、原則は当日の朝に判断するとされています。

 早朝枠で6時から使用する方は、5時に施設に電話で問合せをしますが、電話がなかなかつながらず、5時半を過ぎても電話に出ないこともあったと伺っており、利便性の観点から問題があると考えます。例えば、当該施設のホームページに5時の時点でグラウンドの利用可否を掲載することや、電話で自動音声にするなどで対応し、特に早朝枠の利用者に対するグラウンド利用の可否のアナウンスについて改善する必要があるのではないでしょうか。見解を伺い、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 浦野議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、物価高騰対策に係る実態把握調査についてでございます。区では、原油価格や電気・ガス料金を含む物価の高騰の影響を把握するため、今年7月末までの状況について区内の事業者等に聞き取りを行ったところであります。今後も原油価格・物価高騰の状況を注視するとともに、区民や区内事業者の声を聞いてまいります。

 次に、低所得者や子育て世帯などへの給付金等の支給についてでございます。物価高騰による家計への影響は、低所得世帯ほど厳しいと言われておりまして、国も追加対策として非課税世帯に対する給付金を予定しております。国や区において様々な対策が講じられている中、今後の追加対策に当たっては、真に支援が必要なところを見定めて適時適切に取り組んでまいります。

 次に、燃料費助成についてでございます。国が現在実施をしております燃料価格高騰対策の状況を踏まえながら、地方創生臨時交付金の活用例や他自治体の取組も参考にしながら、区内の実情を勘案し、対策を検討してまいります。

 次に、食費負担の対象についてでございます。区では、原油価格・物価高騰等による給食食材費の値上がりを見据え、給食の水準を保てるように現物支給の形で区が負担する考えでございまして、本定例会において補正予算を提案しているものでございます。事業形態や経費がまちまちな介護や福祉関連の事業所などに対しては、統一的に支援するため、光熱費上昇分を根拠として積算し、事業運営経費の一部を補助する形で検討しているところであります。

 次に、給付金等の受け取りによる影響と実態の把握についてでございます。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う給付金等の受け取りによって、収入認定や課税対象になる場合があることは承知をしておりまして、支払いや納付が負担になっていると聞くことはございますが、実態を把握するまでには至っておりません。それぞれの窓口での納付相談に当たっては、家計や生活の状況を丁寧に伺い、適切なアドバイスができるように対応してまいります。

 次に、給付金等の収入認定からの除外及び都への要望についてでございます。区営住宅入居者の収入認定につきましては、所得税法の例に準じて算出した課税所得を基に行うため、事業所得者の場合に課税対象の給付金については所得に含めることとしております。事業所得として課税されているものについて収入認定から除外する考えはございませんが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のみならず、様々な要因で収入が減少、またはなくなった場合には、随時相談に応じ、収入の再認定や使用料の減免などの制度の周知を丁寧に行い、適切に家賃負担の軽減を図ってまいります。都営住宅の収入認定につきましては、事業主体である東京都において判断するものでございまして、要望することは考えておりません。

 次に、国民健康保険料の減免制度についてでございます。新型コロナウイルスの影響による国民健康保険料の減免制度は、国の通知に基づいてその財政支援を受けて実施をしております。本制度は、今年度で開始から3年目になりまして、中野区では7月から申請受付を開始しました。8月末現在では、過去2年間と比較すると申請件数は減少しておりますが、約300件となっております。区独自の対策を取ることは難しいと考えますが、今後も積極的に周知を行い、制度利用を促すとともに、これまで同様、国・都に対して要件の緩和及び財政支援の継続に関して要望してまいります。

 次に、各支援策の区の相談窓口での対応についてでございます。生活保護や自立相談支援などの相談窓口では、一人ひとり聞き取りを行いながら抱える問題を解きほぐし、それぞれの状況に合った支援や利用できる制度の案内を行っているところであります。各支援策の中には特例措置などが取られているものもあるため、常に新たな制度や支援策の情報収集に努めながら、償還免除の案内も含め、適切な対応を行ってまいります。

 次に、中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例についてでございます。当条例は、全ての人が差別を受けることなく地域社会の一員として暮らすこと、これを基本理念としておりまして、まずはこの理念を共有すること、また、様々な相談に対し的確に対応していくことが必要であると考えております。先般、この条例に基づく人権施策推進審議会を設置し、開催したところでありまして、今後も人権や多様性に関する課題の議論を行っていく予定であります。また、差別をされている状況を見過ごさない環境、これは全ての人が人権を大切にする意識を持つことによって実現するものと考えておりまして、条例の趣旨を広く知ってもらうことがこの環境整備に寄与するものと考えております。

 次に、条例における普及及び広報活動等についてでございます。広報活動等について、今年度はリーフレットや動画の作成、11月には明治大学の協力を得てのシンポジウムの開催などを予定しておりまして、区報の巻頭特集、ユーチューブやSNSなど様々な媒体によって周知をしてまいります。

 続きまして、ヘイトスピーチ防止啓発ポスターの掲示等についてでございます。ヘイトスピーチ防止のための啓発につきましては、チラシを企画課の窓口に設置して常時配布を行っておりまして、人権週間などにポスター掲示などを行っているところであります。イベント時期以外のポスターの掲示につきましては、区の施設や中野区お知らせ板の活用なども検討してまいります。条例の理念を広く周知していくことに併せて、ヘイトスピーチは許されるものではないということも伝わっていくよう、様々な機会を捉えて広報活動を行ってまいります。

 そして、次に、ヘイトスピーチの相談体制等についてでございます。条例第10条の相談等の処理は、相談等への対応として、ヘイトスピーチに関しても状況を聞き取り、解決に向けた適切な支援を行っていくものであります。また、条例第9条の相談等に対する体制の整備、これは国や東京都との役割分担を踏まえ、ヘイトスピーチも含めた相談等に的確に応じる体制整備を定めているものでございまして、ヘイトスピーチ解消法や東京都の関連条例の周知も含め、今後も適切な対応を図ってまいります。

 次に、平和行政について、平和史跡の説明板の多言語表記、そして、掲示の工夫等についてでございます。平和マップに掲載している平和史跡の現地における案内板は、現在、多言語表記には対応しておりませんが、同じ情報を中野区ホームページで提供しておりまして、中野区ホームページでは約100言語の翻訳機能を提供しております。今後は、これらのデジタルツールの活用と外国籍の区民等への周知の工夫によって対応してまいります。また、平和の森公園は、現在は指定管理者が来園者の意見などを踏まえて案内板などの作成など対応しているところでありますが、今後は、現在情報の整備を進めておりますGISのシステムによって位置情報の提供など、デジタルツールの活用も行うほか、案内板の見やすさについても改善を図ってまいります。

 次に、平和記念碑等の増設についてでございます。現在、新庁舎の移転整備に際して、憲法擁護・非核都市の宣言を刻んだオブジェの設置などを検討しているところであります。平和記念碑に関しましては、平和の森公園内にある記念碑のほか、銘板記念碑が区内の公園に設置されております。現在と同じ仕様の記念碑を公園等に増設することは考えておりませんけれども、設置済みのものにつきましては適切に維持管理をしてまいります。

 次に、平和企画展示についてでございます。平和資料展示室の開設年度は、同展示室の周知も兼ねて、例年の約2倍となる7回、企画展示を集中して実施しておりましたが、現在は従来どおり年4回の企画展示を実施しています。企画展示は様々な団体から資料の貸出しを受けて実施しているところでありますが、現在の資料館開設後は、常設のみの展示期間にも小学生などお子さんも多く訪れておりまして、明るい、見やすいなど好評を得ていると感じております。来場者アンケートなどの内容も参考にしながら、常設・企画展示ともにさらに工夫を図ってまいります。

 次に、さきの大戦を伝えることについての御質問です。さきの大戦における国内外の出来事につきましては、人的・物的被害とともに、戦争の悲惨さや愚かさを伝えていくことが重要であると考えております。戦争を過去のものとするだけではなく、現代にもつながっていることも捉えていく必要がありまして、今後の催しや展示において工夫してまいります。

 次に、平和資料等の更新についてでございます。平和企画展示等に使用しているパネルなどについては、経年劣化を生じているものについては、見やすくなるよう更新を図るとともに、若い世代にも伝わりやすい内容のものを考えていきたいと考えております。語り部の方の映像記録は、その当時の状況を語った貴重な資料でございまして、更新するという考えはございませんけれども、他の自治体における取組なども参考にしながら、語り継ぐ手法について検討してまいります。

 最後に、私から、上高田四丁目17番~19番地区地区計画等案に関する近隣住民への説明についてでございます。当該地区計画案につきましては、近隣住民等を対象とした区の説明会を今年9月15日(木曜日)、そして、9月17日(土曜日)に開催する予定であります。今回、区で作成した地区計画案は、近隣の皆さんからの御意見を踏まえ、区画道路の整備方針に、歩行者の通行に配慮した歩車共存道路とすること、これを住民原案に追記したものであります。今後も丁寧な説明を重ねながら区民の皆さんの声に応えていきたいと考えております。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 初めに、生活保護行政に関する御質問にお答えをいたします。

 ケースワークの外部委託についてでございます。今年7月の国通知では、「生活保護法による保護の実施要領について」が一部改正され、訪問計画に基づく訪問の取扱いが見直しされました。家庭訪問とみなすことができる要件が拡大され、委託による個別自立支援プログラムを活用する場合に加えて、法定事業や支援関係者が参集する会議体の活用も適用されることになったというものでございます。

 次に、高齢者保護係の職員体制等でございます。高齢者保護係につきましては、前年度からケースワーカーを2名増員し、査察指導員1名、ケースワーカー7名の職員体制といたしました。ケースワーカー1名当たりの担当世帯数は約230名、令和4年4月から8月末までの訪問計画に基づく家庭訪問件数は466件でございます。

 続いて、生活保護のポスターなどによる制度の周知についてでございます。都内や関西など複数の自治体から、具体的な掲示場所や掲示数について問合せがございました。中には、中野区のポスターを参考に作成をしたいという自治体もございました。ポスターは、区ホームページで常時公開しているほか、今年度も3月頃の掲示を予定しております。また、区のSNS等の活用も図ってまいります。支援を必要としている方がためらわず相談いただけるよう、有効な情報発信や周知の手段等につきまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。

 次に、就労支援のあり方でございます。

 初めに、社会福祉協議会の貸付利用についてです。生活保護利用の方が社会福祉協議会から生活福祉資金を借り入れる場合には、福祉事務所が借入れの必要性を認めていることが前提となります。貸付利用につきましては、事前に福祉事務所に相談があった際には、現在までの就労状況や家庭状況などを踏まえ、利用の必要性について判断を行っているものでございます。

 次に、就労支援と職員教育についてでございます。今後も受給者に対しまして、生活保護制度を分かりやすく丁寧な説明や就労支援を行っていくとともに、職員に対する課内研修の充実も図ってまいります。また、就労支援に際し、慎重な判断が必要な事例に対しましては、積極的に福祉事務所内の事例検討会議を活用し、生活保護制度を適切に運用してまいります。

 最後に、その他の御質問で、哲学堂公園野球場の利用可否の周知についてでございます。利用可否に関する周知は電話による問合せに答える形で行っておりまして、固定電話のほか、携帯電話を活用するなど対応しているところでございます。特に早朝利用の対応につきましては、ホームページや電話の自動音声等による案内など、他の自治体の事例も参考に費用対効果を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、生活保護行政に対する質問のうち、高齢者居宅介護支援事業に係る労働者の賃金の支払い状況の確認についての御質問にお答えいたします。公契約条例の適用対象となる契約案件につきましては、労働報酬下限額以上の賃金を支払っているかどうかを確認する報告書の提出義務が受注者に発生いたします。この報告書によりまして、労働報酬下限額以上の賃金の支払いがあったか否かについて確認することができると考えてございます。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 最後に、私からは聞こえの支援についてお答えいたします。

 まず、高齢者の聞こえの問題についてですが、聴力の低下等により他者との円滑なコミュニケーションが困難になるなど、日常生活において様々な影響が生じることから、聞こえの問題は高齢者が抱える健康課題の一つであると認識しております。

 次に、聞こえに関する実態把握についてです。高齢者を対象として区が実施している調査に関して、これまで聞こえの問題を独立した調査項目とするものはございませんでした。過去に実施した調査の結果を新たな視点から分析し直すことも含め、高齢者の聞こえに関する実態把握の方法について検討を進めてまいります。

○議長(内川和久) 以上で浦野さとみ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 杉 山   司

 1 経済支援政策について

  (1)中野区産業振興方針について

  (2)商店街支援について

  (3)その他

 2 中野駅周辺について

  (1)エリアマネジメント協議会の運営について

  (2)中野サンプラザお別れ会イベントについて

  (3)中野サンプラザ3Dデータの公開について

  (4)中野駅南口の自転車走行想定ルートについて

  (5)桃園通りの中野三郵便局の復活について

  (6)その他

 3 ギフテッド・チルドレン等の支援強化について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、杉山司議員。

〔杉山司議員登壇〕

○16番(杉山司) 令和4年第3回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をさせていただきます。4のその他はございません。どうぞよろしくお願いします。

 初めに、1、経済支援政策についてのうち、(1)中野区産業振興方針について伺います。2012年10月に策定された中野区産業振興ビジョン、「産業と人々の活力がみなぎるまち」を掲げ、区内産業の現状と課題を踏まえながら、産業振興の目指すべき方向性を将来像として明らかにするとともに、その実現に向けた戦略と主な取組についてまとめ、施策の効果的な実施を図るものと定義付けていました。特にICT、コンテンツ、ライフサポートという三つの産業を重点分野と捉え、将来像や戦略等について産業界や区民の方々と共有し、その実現に向けて互いの役割を理解し、協調・連携して取り組んでいく関係を構築していくためのものとしています。そして、昨年中野区は、この改定を進めている中で、策定は1年先延ばしにする、さらには、「ビジョン」ではなく「方針」とするとのことでした。中野区全体の大きな将来像=ビジョンから、考えていく道筋を決める=方針というサイズに縮小されたように感じます。しかしながら、やはり5年後、10年後の中野区の産業はどのような成長を遂げ、経済界は生き生きとし、希望に満ちているというビジョン、中野区の明るい未来を照らすための構想、青写真が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。策定までの期間を1年延ばした上に、考えの幅を小さくした理由を伺います。

 中野区の産業振興、10年後に中野区はどうなっていたいのか。産業の軸は生産なのか、流通なのか、商業なのか、サービス業なのか。どんな業種を増やしたいのか。目標値は年間起業数なのか、倒産件数の減少なのか、企業の事業継続年数なのか。地域が培ってきた歴史、置かれている立地や風土などにしっかりと目を向け、地域の財産・経済の特定産業への依存度がどの程度あるのかなどを客観的に分析していくことも必要であると考えますし、基幹産業や衰退傾向にある地場産業、雇用の傾向、にぎわいの時間帯、エリア別の昼夜間人口などの情報収集や、地域ごとに下支えしている産業の軸が何なのかなども考察していく必要があります。

 例えば、渋谷区にあるNHKなどに程近い南台辺りには、カメラマンや音声クルー、そして、テレビ業界関係者などが多く住んでいるために、制作系産業が盛んであると言えます。東中野には小さなステージのある歌声喫茶的なカフェやスタジオが多くあり、音楽が産業を支えているといっても過言ではありません。中野駅周辺もアニメやサブカルの聖地であるブロードウェイ内だけが古物商売が盛んなだけで、周辺はやはり飲食店や小売業が産業を支えていることは明白です。地域を細分化して見ることで、それぞれの地域での経済が見えてきます。中野坂上のブシロードの周辺には、モバイルゲーム開発会社やイベント興行会社が集積をしています。経済の観点から、地域ごとの特性を調査したことはありますでしょうか。私はその調査の必要があるのではと思っておりますが、区の見解を伺います。

 民生委員や保護司、次世代育成委員などは、地域ごとに個々の課題に取り組んでいます。それと同じように、それぞれの地域の産業特性を把握し、発展に貢献できる人材、地域経済アドバイザーを地域ごとに配置する、または支援していくことで、地域それぞれの経済のニーズやネットワークが形成されていきます。地域の特性を生かした狭小エリアでの産業の底上げが図っていけるはずと考えます。東商中野あたりと一緒に検討を進めてみてはいかがでしょうか。伺います。

 中野区や東商中野は、よく中野はサブカルのまち、漫画、アニメ、コンテンツ産業を軸にと言っているのを聞きます。私もその産業軸は一押ししている基幹産業だと思っておりますが、実はその産業を支える企業は、TMSさん、ブシロード、マッドハウス、さいとうプロやあだちプロ、ufotable、そして、東京工芸大学なども含めて、そこそこ大きな企業ばかりで、そこを軸とする必要もないですし、あえて支援をする必要もありません。日本全国や世界を向いている企業ばかりです。その大きな企業に区内産業や零細企業にうまく御協力いただき、産業の発展や底上げ、新産業の創出などに一肌脱いでいただくよう、行政としても区内企業への協力要請をプッシュしていくべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 中野区内には、様々な地域に様々な産業の軸があることは先ほどお話しいたしました。ですので、ピンポイントでこの産業を軸にとは言いづらく、業種などを限定しない切り口の方針を打ち出す必要があるのではと思います。私は、よく中野区のことを「はじまりのまち」と言っております。お笑いも、ITも、落語家も、劇団員も、中野から始まる。だからといって、創業者がたくさん集まるまちと短絡的に決めつけてはなりませんが、それも案の一つです。そのほか、企業が面でつながれるまち、零細企業が潰れないまち、どの業種でも活躍できるまちなど、明確な産業振興方針を打ち出していくべきだと考えますが、区の見解を伺います。

 策定までの期間を1年延ばしている間に、ITの世界はドラスチックに変化いたしました。このWEB3時代を席巻しつつある仮想通貨業界やNFT、メタバース、ブロックチェーンなどの新しい経済領域が拡大しました。1年延ばしたがゆえに、これらを産業振興方針の検討にしっかりと組み入れる機会が生まれたと前向きに捉えるべきです。15年後にはリアル市場のGDPをメタバースやNFTなどのバーチャル市場が逆転する可能性があるとも言われておりますので、単なるICTテクノロジーが拡大して可能性が増えてきたではなく、新しい経済領域が生まれたものと捉え、しっかりと産業振興方針に組み入れるために調査し、議論し、加筆していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 この項の最後に、大きな注目を集めている組織形態、新しい働き方「DAO」についても触れておきたいと思います。「分散型自律組織」と訳されるDAOですが、DAOには中央集権的な権力を持つリーダーがおらず、参加者全員が平等な立場で組織を運営していきます。多くのDAOでは、意思決定を行うための投票権というものを獲得できるガバナンストークンという仮想通貨が発行されているのが特徴で、従来の株式会社などと比較しても非常に民主的に組織が運営されます。意思決定の投票結果は全てブロックチェーン上に記録されていくために、オープンソースで透明性が高いこともDAOの特色の一つです。この産業振興方針で触れる触れないは別にして、ぜひとも新しい働き方であるDAOにつきましても、中野区全体でお考えいただきたいとお願いをさせていただきまして、次の質問に移ります。

 (2)商店街支援について伺います。昨年に引き続き、キャッシュレス決済によるキャッシュバックキャンペーンの実施を決定されたことに、商店街は大喜びをしています。今回、東京都生活応援事業の補助金を活用していることもあり、消費者支援が目的で、キャッシュバック分の中野区予算約6億円、全決済額の総額である経済規模は約21億円以上となります。コロナ禍で疲弊している区内の小売業や飲食店を応援しながら、お財布にもキャッシュバックされることは大変ありがたいことですし、提案してよかったなとも思っております。ただ、今回区の方針として、このキャッシュレス決済でのキャッシュバックキャンペーンの補完事業として、デジタルデバイドを解消するためのプレミアム付きの紙の商品券も検討を進めているとのことです。2年前に紙のプレミアム付商品券事業を行った際、事務費が約1億円、経済規模約7億円くらいだったかと思いますが、この事業、慎重に考えていかなければなりません。役所内でも紙からデジタルへ、区にもDX(デジタル・トランスフォーメーション)を強力に進めようとしている中で、でもやっぱりチケットのような紙の商品券を作るよりも、デジタルに弱い人たち一人ひとりにデジタルの山を越えられることによるメリットをしっかりと伝えていくことに時間と労力を費やしたほうが、紙の印刷によるコスト、店側のチケットの換金の手間、そして、何よりもデジタルに苦手な方々自身が住みやすい社会に変化していくと思うのですが、いかがでしょうか。

 今回のPayPayの全決済額の合計が約21億円以上。お店が払う決済手数料が2%だとしたら、PayPayの純利益に近い決済手数料は少なくとも4,000万円以上となります。自分もネットショップの業界にいたので分かりますけども、これは手数料という名の利益です。今回、確かに消費者支援が目的で、店舗も支援され、応援されるという形ですが、店舗側に売上拡大の可能性以外に何かメリットがあると、なおよかったかなと思っております。区民委員会でも、商店側の負担となる決済手数料の値引きなどの交渉をすべきだと思い、そのような交渉はしましたかと伺いましたところ、交渉はしませんでしたという答弁でした。本来、その辺りまで考えられるようになるべきであると思いますが、その後何かアクションを起こし、店舗側にもメリットが生まれたことがあればお教えください。

 世田谷区は、独自のセタガヤPay――通称セタペイですね――で「せたがや全力応援祭」が始まっています。対象店舗でコイン支払いをすると、支払額の30%を翌週に付与するイベント。今年の7月22日から来年の1月31日までという長い期間で、予算上限に達し次第終了という形で実施をしています。約2,400店舗が対象店舗とのことで、このイベントでは、消費者へのポイント還元だけでなく、5%が現金で店舗にも還元されるというのが特徴です。運営は世田谷の区商連です。また、岐阜県高山市・飛騨市・白川村で使える電子通貨アプリ「さるぼぼコイン」は、地域住民が能動的に使っている御当地通貨で、1,800店舗で使える地域密着型の強烈な御当地通貨です。先ほどの決済手数料の規模がこの御当地ペイや御当地コインに当てはまるかどうか分かりませんが、PayPayなどの仕組みで独自の店舗還元など、何かやりにくいことがあれば、地域通貨、仮称「中野ペイ」も1度視野に入れ、イニシャルやランニングがどのぐらいかかるのかなども検討してみてはいかがでしょうか。

 商店街のキャッシュレス化を徐々に進めていただいていることはすばらしいことですし、これからも継続していっていただきたいと思っております。しかしながら、このコロナ禍で売上げが減少、シャッターを閉めている店もどんどん増えてきています。行きつけだった老夫婦がやっている町中華も最近閉店してしまいました。聞けば、やはりコロナ禍で今までどおりの営業ができなくなった、お客様が帰るたびにテーブルや椅子を消毒するのが大変になったなどの声が聞かれました。新型コロナのせいで手間がかかって店を閉めてしまうなんてもったいないなと思いました。御夫婦は納税者ですが、引退してしまったら年金生活者となります。そこで、特に御高齢の方が運営している実店舗に対して、シャッターを閉めていても注文が入って店として成り立つよう、Uberや出前館などのデリバリーサービス企業の利用を1軒1軒紹介してみてはいかがでしょうか。納税者を減らさない施策の一つとして捉え、ぜひとも中野区商連と区で検討を進めていただきたいと考えておりますが、伺います。

 現在、中野区は、商店街チャレンジ戦略支援事業を実施いただいております。地域の交流拠点としてのにぎわいと活力のある商店街づくりを支援するために、区内の商店街が行うイベント事業や街路灯設置、多言語対応ホームページ作成、空き店舗等を活用した事業などの活性化事業に対して支援を行っていただいており、大変ありがたいと思っております。しかしながら、このコロナ禍、イベントについてある調査で、商店街のイベントは年間平均1回、3分の1となりましたとのことでした。イベントの助成について上限を決めるなどすれば、今の時期に限り10割負担でもよいのではと思うのですが、いかがでしょうか。伺います。

 また、電気代高騰による街灯の電気代の補助には感謝しておりますが、事務所機能の助成も検討を進めていただきたいと考えております。大型商店街には大体事務所はありますが、ほとんどの商店街では事務所がありません。また、商店会長の自社ビルのお店の一部を倉庫や事務所として使っているため、賃貸でお店を借りている若手の経営者では、商店街で利用するための事務所などを借りることもできず、商店会長を若い世代に引き継げず、そのままとなっているところもあると聞きます。これから商店街事務局の若返りを図っていくために、ぜひ商店街関係の備品などが置ける事務所を借りる際の助成を検討してはいかがでしょうか。

 伺いまして、次の項目に移ります。

 2、中野駅周辺についてのうち、(1)エリアマネジメント協議会の運営について伺います。先日、中野駅周辺エリアマネジメント協議会に、区商連第8ブロック商店街のオブザーバーとして参加させていただきました。会の仕切りは中野区が選定したエリマネのコンサル企業で、参加者は野村不動産、三井不動産、住友不動産ら駅周辺に大規模な建物を建てるディベロッパー、既存の中野セントラルパークを持つ東京建物のほか、東商中野、観光協会、工産会の各選出代表者、中野四丁目の丸井グループ、そして、区商連第7ブロック長や第8ブロック長などでした。オブザーバーの中野警察署や野方消防署は不参加、エリマネのスペシャリストと言われている泉山教授はオンラインでの参加でした。

 まずお聞きします。このエリアマネジメント協議会は何のためにつくったのかお教えください。

 参加者について、地域の人たちもこの一連の再開発で整備される空地を利用した何かを考えているかもしれません。各ディベロッパーが地域に開放する空地の共有化を目的の一つとするならば、メンバーに町会などの地域の住民が入っていないのはなぜでしょうか。区の見解を伺います。

 また、この会は、空地の効率的かつ効果的な利用、活用方法やそのレギュレーションを共有するだけでは意味がないと考えます。ディベロッパーはそれぞれプロフィットセンターですから、この場所はみんなでお使いください、あとは自分たちの拠点で自分たちのビジネスを自由に進めさせていただきますと、腹の中では考えていると思います。そこをそれだけでなく、何とか中野区の発展のために、地域企業や区民、行政と肩を組んで、最大のにぎわいや経済効果を生み出していただけるような仕掛けづくり、関係づくりがさらに必要だと思いますが、区の見解を伺います。

 区内参加メンバーを見ますと、建物データ取得のスペシャリストも、空き家再生のスペシャリストも、エリマネのスペシャリストも、もちろん商売の達人やまちづくり経験者もいます。当然ながらディベロッパーは、自分たちの領域がこの会を利用してさらなる発展を遂げられるように考えてくるわけですから、そのような方向性ではなく、参加している方々のスペシャリスト性を最大限に活用し、もともといた商店や飲食店、住んでいる区民たちが発展し、幸せになり、住み続けたくなるよう、ゴールを明確にしていきたいところです。区長は、このエリマネ協議会のゴールはどこに置くべきとお考えでしょうか。

 続きまして、(2)中野サンプラザお別れ会イベントについて伺います。解体前に、区民に数日間開放して大きなお別れイベントをやったらいかがでしょうか。区民団体それぞれ30分ずつ、朝10時から夜8時まで3日間ステージに立てるチャンスなどです。サンプラザのステージに立ったことが思い出になる、自信になる、後世につながるはずと考えられますが、いかがでしょうか。

 そして、以前も要望させていただきましたバーチャルサンプラザの検討は進んでおりますでしょうか。中野メタバースなのか、サンプラザに特化したネット上でのリアルビジネス拠点なのかは別にして、お別れイベントを実施し、最後のコンサートが終わったら速やかにバーチャルサンプラザに移行し、中野サンプラザが生き続けられることを進めていただきたいと願うばかりです。

 続きまして、(3)中野サンプラザ3Dデータの公開について伺います。アノニマス・コードという任天堂スイッチやプレステのソフトが先日発売されました。未来の中野のまちを舞台としたハッキングアドベンチャーゲームです。そこには今の中野サンプラザが頻繁に登場してきますし、物語の始まりもサンプラザ前からです。ゲームを見る限り、建物は忠実に再現しているように見えます。しかしながら、とても苦労してサンプラザデータをつくったのではないでしょうか。ゲーム内の建物データなどは、今3DCGツールを使ってつくるのが一般的ですが、そこに元データがなかったわけですから。そこで、中野サンプラザの3次元データ化をして、それをオープンデータとして公開してはいかがでしょうか。「ナカノさん」のように著作権フリーにし、レギュレーションを決めて、誰もがその3Dデータが利用できるようにしたいところです。ゲーム、メタバース、映像制作などに生かせれば、現在の中野サンプラザがサードパーティなどの手によって後世で使われて、結果、アーカイブされていく。中野サンプラザは永遠に引き継がれていくとなると思いますが、いかがでしょうか。伺います。

 さらに、建物そのもののデータはオープン化しますが、サンプラザで行われた過去のコンサート映像や音源などもアーカイブデータとして保管し、中野区やバーチャルサンプラザ運営会社、またはメタバース内ステージなど、将来その映像などをビジネスとして利用できるようにしておくのはいかがでしょうか。映像を使ってコンサートができる。そのために映像を貸し出せる。演者や著作権者と著作権処理なり契約なりを行っておき、NFT化するなどして、利用されるごとにフィーが支払われるような整備ができるとなおよしだと思うのですが、いかがでしょうか。

 伺いまして、(4)中野駅南口の自転車走行想定ルートについて伺います。中野駅南口ロータリーの改修について、過去には中野二丁目市街地再開発の工期中の歩行者動線の安全性の担保はどうするのか、中野通りも含めて雨水処理能力の脆弱性はテコ入れすべきでは、などを指摘してまいりました。新しく整備するロータリーにつきましても、雨水処理の脆弱性の解消、交番の場所などについても答弁をいただいております。

 今回は、新しく整備する南口ロータリーについて伺います。大規模な整備の開始は令和6年にスタート、令和8年3月に完成予定です。形状としては、中野通りの中野駅側と飛び地を結ぶ横断歩道がなくなり、車の出入口が不二家さんの前の一つとなります。そこには、中野駅側から岬のように飛び出たような形で、人の滞留エリアと仮設の交番がそこにはある形です。今懸念されているのは、ずばり自転車走行についてです。歩行者が多いこの場所で、自転車と歩行者の接触事故が多発するようなことがあってはならないと考えています。現在のロータリーや中野駅南口改札付近でも、自転車の危険走行問題が多々ありますが、新しく整備するロータリーや歩道について、自転車の走行ルートシミュレーションなどを行った上で設計を行っておりますでしょうか。例えば、中野通りの東側歩道脇を通る自転車が千光前通りに行くとき、どのような走行ルートを想定して新ロータリーを設計しているのかなど教えていただければと思います。

 ロータリー機能が整備され、拡張される中で、バスなどの公共交通と歩行者が集中するこの駅前広場では、安全性を担保するという視点から、自転車の進入抑制を図るべきと考えますが、区の見解を伺います。

 また、現行ロータリーの自転車走行、新ロータリーの自転車走行は、ほかの地域と違って特殊な形状をしています。道路交通法上の自転車走行ルールが基本であることは間違いありませんが、特に中野駅周辺の自転車走行につきましては、この場合はこう走り、こういう場合はこう走るなど、自転車走行教習セミナーに組み入れてみる。または、中野区のホームページに、特殊な形状をしている中野駅周辺エリアだけでも走行シミュレーションを図つきで掲載してはいかがでしょうか。伺います。

 今の中野駅南口改札前やロータリーで自転車と歩行者の接触事故、自転車と車両の事故などが起きない、起こさせないという観点から、しっかりと議論、検討を願いまして、次の質問に移ります。

 この項の最後に、(5)桃園通りの中野三郵便局の復活について伺います。桃丘小学校跡地のURへの土地売却、そして、中野三丁目の土地区画整理事業が進んでいます。そのあおりを受け、中野三郵便局がなくなってしまいました。桃園通りはかつて中野駅南口のメインストリートだったので、恐らくこの郵便局は中野区内でもかなり古いのではと思いますが、閉鎖となってしまいました。そもそもこの郵便局を閉鎖した経緯を教えてください。

 郵便局のウェブサイトで中野三郵便局を検索すると、ページには2019年1月19日から一時閉鎖となっています。「閉鎖」ではなく「一時閉鎖」となっている理由は把握されておりますでしょうか。

 もともと郵便局があった場所は、桃園通りの線路に近い場所。この地域の人が郵便局に行くには、一番近い郵便局は中野五差路の中野郵便局です。ここに行くためには坂を下り、うちに帰るには坂を上らないといけません。中野三郵便局のあった場所の近隣は、高齢者の住む一軒家が多く、多くの高齢者が坂を下り、坂を上っています。何とかこの郵便局を復活できませんでしょうか。この郵便局を復活させるためにはどのようなハードル、ステップがあるのかお教えください。

 近隣住民は、中野三郵便局の復活を熱望しております。どのような形でも構いませんので、ぜひ復活させていただき、「中野三郵便局」なだけに「中野大好きナカノさん」とコラボしたプロモーション企画を実施いただきたいと付け加えさせていただき、次の質問に移ります。

 最後に、ギフテッド・チルドレンなどの支援強化について伺います。

 令和2年第4回定例会の一般質問でギフテッド・チルドレンのお話をさせていただいて、2年近くがたちました。内容としては、才能を秘めるギフテッド・チルドレンの周知と特別カリキュラム検討の可能性について、さらには、理解とその才能を伸ばす教育手法の検討の話です。入野教育長の答弁では、その認識と特別カリキュラム検討の可能性について、周囲とのコミュニケーションが取りにくかったり、情緒的に安定しなかったりする子どもに対し、スクールカウンセラーが個別相談に応じるとともに、教師や保護者にその対応を助言、また、特別支援教室における巡回指導等、個別の支援を行っているところとのことでした。また、理解とその才能を伸ばす教育手法の検討について、特別な支援を必要とする子どもが増えている中、一人ひとりの特性や教育的ニーズを把握し、その可能性を最大限に伸ばすことができるよう、きめ細やかな支援を推進する。ギフテッド・チルドレンも含めた一人ひとりの子どもの特性や状況に応じた学びの在り方を研究するほか、先進的に取り組んでいる自治体や団体の情報も集めるとの答弁でした。

 先日、とあるファミリーから声をかけられました。「自分たちの娘はギフテッドです。IQは高く、小学校には行きづらさを感じていました。数年前、中野区内の娘が通っている小学校の先生に相談してもなかなか理解してもらえず、支援もなかったのですが、昨年くらいから「ギフテッド」というキーワードにも熱心に相談に乗ってくれたり、子どもが学びやすいようにサポートしてくれたりするようになりました。中野の教育現場に「ギフテッド」というキーワードが浸透しつつあることに安堵を覚えています」とのことでした。

 そこで伺います。令和2年第4回定例会でギフテッド・チルドレンの支援をお願いした後、教育委員会としてどのような対策を講じましたでしょうか。伺います。

 文部科学省は、来年度から特異な才能のある子ども、いわゆるギフテッド・チルドレンへの支援を進めるとの公表がありました。支援の必要性が指摘されている中で、大学や教育委員会に支援策の検討を委託し、民間の先行事例も含め、効果的な支援策を全国に広げていくといいます。個々の才能に応じた柔軟な授業づくり、学校になじめない子どもを支援するNPOなど学校外組織との連携、才能と障害を併せ持つ児童・生徒への対応などに取り組み、2023年度中にも効果的な指導法や支援策をまとめるとのことです。国が動き出したことは大変すばらしいことですが、国の動きを待っている間にも支援が必要な子どもたちが苦しんでいることを忘れてはなりません。学校に通いづらい、学びづらい、同調できないなど、子どもたちの声なき声をどのような手法で吸い上げていくのか、見解を伺います。

 先生やスクールカウンセラーが子どもたちの発している何かの信号を発見し、どのような支援が必要なのかを考えながら子どもの特性を見極めていくことが、これからの教育には重要です。ギフテッドに限らず、個々の課題を見極め、それぞれに合わせて支援をしていく旨、学習指導要領にも記載があります。しかしながら、その信号を見つければ見つけるほど、多くの子どもたちそれぞれにきめ細かい支援が必要となってきます。ずばり、今の支援体制でどのようにカバーしていくのか伺います。

 個々に複数年にわたり先生が感じ取ってきたこと、個性、特徴、そのほかの支援が必要と思われるきっかけなどの個人データは、対象の子にとって、サポートを考える、続けていくためには必要不可欠な情報です。さらには、その子の成長とともにデータを常に付け足していく、更新していく、見続けていくことが大事だと思いますが、クラス、先生、同級生、学校環境が変わるなどは避けては通れません。その辺りから受ける影響をどのように考え、どのように変化の影響を最小限に抑えていくのか、お考えをお伺いして、私の全ての質問を終わります。

 御清聴いただきましてありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 杉山議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、経済支援政策についてで、方針策定の幅が縮小した理由についての質問でございます。策定を進めている産業振興方針は、現行の産業振興ビジョンにおける区内産業の振興の方向性、将来像を更新するとともに、中野区基本計画における「人と人とがつながり、新たな活力が生み出されるまち」、この実現に向けて組織横断的な政策及び効果的な経済対策を示す内容としたいと考えております。方針の策定につきましては、関係団体や議会、学識経験者との十分な意見交換をした上で策定する必要があることから、策定スケジュールの変更をしたところであります。

 次に、経済の観点における地域ごとの調査分析についてでございます。東商中野支部と連携して、実情はこれ把握しておりますけれども、区独自での調査は行っていないところであります。一方で、中小企業や商店街支援の充実に向けて、ビッグデータの収集・分析・活用を含め、区内の実情を踏まえた施策の展開が必要だと考えております。効果的な手法について検討し、充実を図ってまいります。

 次に、地域の産業特性を把握した人材配置についてでございます。区内で活躍する様々な人材について、その得意分野や特性を生かした活躍の場をつくったり、そうした人材のネットワークを形成していくことは必要だと考えております。中小企業の経営改善、新分野開拓に際しましては、人材のマッチングや継続的な伴走型の支援が必要だと考えております。そのための仕組みづくり、人材育成などについて関係機関と連携して検討してまいります。

 次に、区内産業の発展、底上げの創出についてでございます。アニメコンテンツ等の関連する大企業の協力を得ることは、区として必要だと考えております。東商中野支部とも連携しながら、協力の働きかけをすることで、中野区の産業として、また、まちの活性化の重要なコンテンツとして、漫画、アニメの活用を図ってまいります。

 次に、産業振興の明確なビジョンを打ち出すことについての御質問です。基本構想では10年後に目指すまちの姿として、「つながる・はじまる・なかの」、これをスローガンに掲げておりまして、そういった面から区内産業を見ても、既存企業の結びつきの強さ、多様な文化芸術活動や魅力ある商店街など、区の産業には多くの強みがあります。そうした点を踏まえながらビジョンを打ち出してまいります。

 次に、新たな経済領域の方針への組入れについてでございます。ここ一、二年で新たなICTテクノロジーや仮想空間の概念が生まれ、急速な発展を見せていることは産業に様々な可能性が広がることだと考えております。一方で、まだルールや商習慣などの整備が追いついていないという面もあることから、今後の動向を注視するとともに、産業としての可能性を研究し、新しい動きをつくり出していけるように検討してまいります。

 次に、商店街支援についてのデジタルデバイド対策についてでございます。本年度の生活応援事業につきましては、デジタルデバイド対応として区が消費者向けスマートフォンの使い方相談会を併せて実施しておりまして、買物支援としてのデジタル化にも取り組んでいるところであります。消費者、事業者、両者の意識改革、対応促進等が必要だと考えておりまして、デジタル活用のメリットも伝えながら継続して取り組んでまいります。

 次に、生活応援事業による店舗側へのメリットについてでございます。決済手数料は各加盟店と決済事業者との契約に基づいて個別に設定されているものであることや、店舗はキャンペーン実施に伴い、売上自体の増加が見込めることから、区としてはポイント還元分を負担することで事業者への支援につながると考えておりまして、決済手数料の補助については実施をしなかったものでございます。区としても決済事業者に対して手数料優遇の申入れを行いましたが、キャンペーンに基づく取引に限定した決済手数料の優遇はできない旨の回答を受けております。今後は、自区内での使用を想定する電子商品券に切り替えていくことを考えております。

 次に、地域通貨導入に当たってのコスト負担についてでございます。地域通貨の導入につきましては、区として総合的な検討が必要でありますが、現在区では電子商品券の導入とキャッシュレス決済の推進に取り組んでおりまして、今年度、区振連が行う電子商品券導入に向けた検討事業に補助をしているところであります。区としてはプレミアム付商品券の発行につきましては、早期に電子商品券への切替えを行いたいと考えておりまして、その際にはコスト負担の軽減策なども促進策として検討する必要があると考えております。

 次に、デリバリー企業導入の案内・啓発についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策としてもテイクアウトや出前は推奨されておりまして、令和2年度の逸品グランプリオンライン版、こちらでは区商連が希望する店舗へデリバリー企業のあっせんも行った実績もございます。今後も区商連と協力しながらテイクアウト等の案内に努めてまいります。

 次に、商店街に対する助成金の補助率の引上げについてでございます。地域のコミュニティ活性化のためにも、商店街のイベントは大切な役割を担っておりまして、区としても多くの補助を行っておりますが、一方で、店舗の販促事業としての一面も併せ持っているということで、一定の負担を求めることは妥当であると判断しているところであります。しかし、昨今の商店街が新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響によって打撃を受けている現状を踏まえれば、内発的発展を促すための支援などを検討していく必要があると考えておりまして、区としてもさらなる方策を検討してまいります。

 商店街事務所機能への助成についてでございます。区が単独で商店街事務局経費の補助を行うことは考えておりませんが、商店街事務所を整備する際の施設の改装等の初期費用に関しては、東京都の補助があります。地域のコミュニティ施設とすれば一定期間の運用経費も補助対象となることから、商店街の事情をよく聞きながら補助金申請などの支援をしてまいります。

 次に、エリアマネジメント協議会の運営についての項で、最初に設立目的についてでございます。中野駅周辺では様々な事業主体による複数の市街地再開発事業等が進められております。こうした動きを契機として、事業完了までの期間及び事業完了以降のまちの価値・魅力を持続的に維持・向上させるため、エリアマネジメントの仕組みや推進体制の確立といったソフトの取組を総合的に進めていく必要があるということで、令和4年4月に中野駅周辺エリアマネジメント協議会を設立したところであります。

 この協議会への地域住民の参画についての質問です。中野駅周辺エリアマネジメント協議会設立時の構成員は、まちづくりの担い手として各開発主体や地域経済団体などが参画をしているところであります。地域住民の参画につきましては、エリアマネジメントビジョン策定過程において意見を求める機会を設けたいと考えております。また、協議会の構成員につきましても、まちづくりの進捗に応じて個人や企業などを含む参画者の拡大も検討してまいります。

 次に、にぎわいや経済効果を生み出していく仕掛けづくりについてでございます。市街地再開発事業で創出される公共施設や敷地内の公開空地を活用して、集客性が高まり、にぎわいを創出する仕掛けづくりは協議会で取り扱うテーマの一つでございます。今後の協議会におきましては、それぞれの構成員が団体の垣根を超えて活発な意見交換ができるように、区が事務局運営を担ってまいります。

 次に、中野駅周辺エリアマネジメント協議会のゴールについての御質問です。エリアマネジメントとは、対象となる都市空間を一体的に管理運営し、様々な人々の参加と協力によって、まちの活力を高め発展させるための手法の一つと考えております。エリアマネジメント協議会を中心にまちのブランディング、まちのにぎわい創出や活性化、そして、安全・安心なまちづくりを実践することで、区民や企業、開発事業者の地域への愛着や満足度が向上し、まちの定住性や事業継続性を高めていけるように取り組んでまいります。

 続きまして、中野サンプラザ閉館イベントについてでございます。中野サンプラザの閉館に当たりましては、施工予定者が行うエリアマネジメントの一環として、閉館に際しての様々なイベント実施を検討しておりまして、その中には区民に御参加いただくイベントも含めて考えております。また、区が検討している閉館後の施設見学会でも、参加した区民の方々にホールの舞台に立っていただき、サンプラザの思い出を心に刻んでいただくことを考えております。

 次に、バーチャル中野サンプラザの検討状況についてでございます。中野サンプラザの閉館後の取組につきましても、拠点施設の施工予定者がエリアマネジメントの一環として取り組む予定でございます。中野サンプラザのデジタルアーカイブ化などによるバーチャルサンプラザの取組につきましては、適宜区とも打合せを行い、現在施工予定者が検討しているところであります。

 次に、3Dデータのオープンデータとしての活用についてでございます。中野サンプラザの3Dデータ化とその活用につきましては、中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備における施工予定者から提案がありまして、適宜区と打合せを行いながら、エリアマネジメントの一環としてのデジタルアーカイブ化などの実施可能性を検討しているところであります。区としてもオープンデータ化した場合の活用の可能性、そして、費用負担の在り方などについて検討しているところであります。

 私から最後に、コンサートなどの映像データのアーカイブ化についての御質問です。中野サンプラザで行われたコンサートなどの映像をアーカイブ化し、また、それらを有料で配信することにつきましては、映像などのデータに係る著作権の関係などから、区で実施することは難しいと考えております。一方で、中野サンプラザのメタバースによる活用につきましては、メタバースの普及状況や効果等を見極めながら、その必要性について研究をしてまいりたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、ギフテッド・チルドレン等の支援強化についての御質問にお答えいたします。

 初めに、ギフテッド・チルドレンに対する検討状況でございます。これまで定例校長会等の機会でギフテッド・チルドレンについて伝え、教員の理解促進を図ってきております。さらに、教育委員会としては、23区の対応状況の把握や、中野区が連携協定を結んでいる大学との支援に向けた研究を行っているところでございます。また、区が貸与している1人1台端末の活用や新しい学びの中で、ギフテッド・チルドレンも含めた子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に伸ばせるような学習を進めてきております。今後も先進的な事例等の研究を続けてまいります。

 次に、学校に通いづらい等の子どもたちの声を聞く体制についての御質問です。スクールカウンセラーによる全員面接をはじめ、学校では教員や養護教諭など、全ての教職員が児童・生徒を見守ったり、相談に応じたりするなど、子どもたちとの関わりを通して、つらいと感じていることや悩みなどを把握するようにしております。あわせて、教員研修等を通して、一人ひとりの教職員が子どもたちの表面に現れにくい特性や困難さに気づく力を高め、適切な指導や支援に結びつけられるようにしてきております。今後も教職員の資質の向上と子どもたちへの対応、適切・迅速な支援体制を強化してまいります。

 次に、子どもたちへのきめ細やかな支援についての御質問です。様々な困難さや特性により支援が必要な児童・生徒が増えている中、学校は一人ひとりの子どもたちの特性や状況によって柔軟な対応を行ってきております。教育委員会におきましても、今ある体制の中でも迅速に子どもたちの支援ができるよう、教育相談室や教育支援室の相談員を学校に派遣すること、支援内容を変更すること等をしてきており、今後も柔軟で適切な対応を行ってまいります。

 最後に、年度が変わる際に子どもたちが受ける影響を最小限に抑える取組についての御質問です。進級や進学の際には、学校生活支援シートや記録等に基づき、一人ひとりの状況や配慮事項を引き継ぐようにしております。前年度までの支援を踏まえ、児童・生徒に大きな影響が出ないよう、継続的に合理的配慮を行っております。また、保幼小中連携教育の取組等の機会に、異校種の教員が話合いや互いの授業を見合うなど、子どもたちが進学した先でも円滑な学校生活が送れるような環境づくりを行っております。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長松前友香子登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(松前友香子) 中野駅周辺についての御質問のうち、中野駅南口の自転車走行想定ルートについてお答えします。

 まず、中野駅南口駅前広場における自転車走行について。中野駅南口駅前広場の設計に当たっては、公共交通及び歩行者の安全の視点から、南口駅前広場内での自転車走行を抑制することを前提としております。このため、中野通りから千光前通りに行く場合は、原則として南口駅前広場を経由するのではなく、中野通りの中野二丁目信号の交差点を東へ向かい、中野二丁目土地区画整理事業で新設する主要区画道路を経由して千光前通りに至ることを想定しております。

 続いて、中野駅南口駅前広場への自転車の進入抑制について。中間駅南口駅前広場内においては、公共交通及び歩行者の安全の視点から、原則的に自転車の進入を抑制することが必要であると考えており、具体的な対策については今後関係機関とも連携し、検討してまいります。

 次に、桃園通りの中野三郵便局の復活についてお答えします。

 まず、中野三郵便局がなくなった経緯について。中野三丁目で進めている土地区画整理事業では、道路等の公共施設を整備・改善し、宅地の利用増進を図るため、公共施設の新設または変更及び土地の区画形質の変更を行っております。このうち土地の区画形質の変更においては、住民が所有している個々の土地について再配置が行われるとともに、建物の移転が生じることになります。このため、建物の移転に伴う建物除却に当たり、借家人だった中野三郵便局が退去したものでございます。

 次に、郵便局のウェブサイトの表記について。日本郵便株式会社のウェブサイトでは、郵便局の開局・一時閉鎖等の情報を掲載しており、中野三郵便局については、その営業を休止したことを受けて「一時閉鎖」として表記しているとのことであります。また、将来的に業務を再開するかどうかについても、現時点ではそのような情報はないと伺っております。

 最後に、中野三郵便局の復活について。郵便局の開設につきましては、日本郵便株式会社の意向と郵便局に必要な要件を満たした建物及びその所有者の意向が合致する必要がございます。このため、日本郵便株式会社と建物所有者が調整することとなってまいります。

〔防災危機管理担当部長石崎公一登壇〕

○防災危機管理担当部長(石崎公一) 私からは、中野駅周辺についての御質問のうち、中野駅南口周辺の自転車走行についてお答えいたします。中野駅南口周辺の自転車走行の危険性につきましては、区でも認識しており、これまで中野駅南口改札前の歩道上に自転車利用者に対する注意喚起の路面表示を貼付するなどの対策を行ってまいりました。今後は、区で実施している自転車安全利用講習会の際、参加者に対して中野駅南口周辺の自転車走行の留意点について指導していくほか、区のホームページ等を活用し、自転車走行の留意点についてより一層の周知を図ってまいりたいと考えてございます。

○議長(内川和久) 以上で杉山司議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時21分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 内川 和久

       議 員 生藤 健人

       議 員 来住 和行