令和4年09月14日中野区議会本会議(第3回定例会)
令和4年09月14日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

.令和4年(2022年)9月14日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  生  藤  健  人        2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  市  川  しんたろう

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  内  川  和  久       22番  若  林  しげお

 23番  高  橋  かずちか       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番     欠  員

 27番  山  本  たかし        28番  中  村  延  子

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  石 井 大 輔      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 防災危機管理担当部長 石 崎 公 一    DX推進室長  滝 瀬 裕 之

 区 民 部 長  鳥 井 文 哉      文化・産業振興担当部長 高 橋 昭 彦

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 青 山 敬一郎     子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子

 地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子  健康福祉部長  岩 浅 英 樹

 環 境 部 長  朝 井 めぐみ      都市基盤部長  奈 良 浩 二

 まちづくり推進部長 豊 川 士 朗     中野駅周辺まちづくり担当部長 松 前 友香子

 企画部企画課長 堀 越 恵美子       総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  林     健

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  若 見 元 彦

 書     記  髙 田 英 明      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  田 村   優      書     記  細 井 翔 太

 書     記  有 明 健 人      書     記  早 尾 尚 也

 書     記  髙 橋 万 里      書     記  川 辺 翔 斗

 書     記  金 木 崇 太

 

 議事日程(令和4年(2022年)9月14日午後1時開議)

日程第1 第60号議案 令和4年度中野区一般会計補正予算

     第66号議案 中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例

日程第2 認定第1号 令和3年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

     認定第2号 令和3年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第3号 令和3年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第4号 令和3年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第5号 令和3年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

日程第3 中野区の財政の健全化判断比率について

日程第4 議員派遣について

 

午後1時00分開議

○議長(内川和久) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 平 山 英 明

 1 計画行政について

 2 中野区人材育成基本方針について

 3 新庁舎整備と移転について

 4 にぎわいの創出について

 5 若宮・大和町地域のまちづくりについて

 6 その他

 

○議長(内川和久) 最初に、平山英明議員。

〔平山英明議員登壇〕

○35番(平山英明) 令和4年第3回定例会に当たり、公明党議員団の三番手として一般質問を行います。

 質問は通告のとおりで、6のその他では、就労継続支援B型事業について1問お伺いをいたします。

 同僚議員が8分時間を残してくれましたので、最大限有効に使い、場合によっては再質問等も行わせていただきたいと思っておりますので、答弁につきましては、どうか丁寧な答弁をお願いいたします。

 それでは、初めに、計画行政について伺います。

 計画行政とは、文字どおり行政上の目標を達成するために立てられた計画に基づいて行われる行政のことですが、最近の区政運営は、重要なことが計画ではなく方針でとどまったり、組織づくりが先行されたりする傾向が見られるように感じています。都市行政に限らず、区政全般にわたり計画行政であるべきとの立場で伺っていきます。

 まず、行政計画の最上位である中野区基本計画について伺います。

 現在の基本計画は、事業展開のスケジュールが前期と後期に分かれており、前期がおおむね2年、後期がおおむね3年の想定です。そして、多くの事業が前期に集中しており、後期部分は前期の推進との表記が多いことは議会が指摘してきたところです。改定を行わなければ重点プロジェクトの推進も図ることができないのではないでしょうか。

 仮に改定をする場合、後期の事業を具体化するためには、令和6年度には予算化する必要があり、そのためには、令和5年の秋までに前期の事業を検証した上で改定を行わなくてはなりません。

 基本計画改定の必要性について、区は現在どのようにお考えでしょうか。計画途中の改定を行うべきと考えますが、御見解を伺います。また、改定を行うつもりの場合、前期の検証も含めた現在お考えのスケジュールを伺います。

 基本計画の三つの重点プロジェクトについて伺います。

 プロジェクトとは、一般的には目標達成のための計画であり、複数の企画や事業を束ねて集団で行うものと理解をしています。

 基本計画で掲げた重点プロジェクトはそれぞれが広範囲にわたるものであり、プロジェクトごとの具体的な目標とスケジュールを定めた推進計画の策定をまず行い、推進体制の構築を図るべきですが、そのような動きが見えません。

 他方、重点プロジェクトに関わると思われる多数の方針が策定、あるいは策定を予定されています。既に策定された中野区景観方針のほか、今後策定予定の中野区産業振興方針、文化芸術振興に係る基本方針、多文化共生推進に係る基本方針、そして観光に関わる方針などです。方針行政へと変化したのかと危惧をしています。

 また、区政の最重要政策とも言える子育て先進区の全体像を示すものは、基本計画策定の1年半前につくられた「子育て先進区」実現に向けた基本方針のみですが、この方針を例にとると、目標や成果指標3段階の展開イメージがあるものの、達成年次を含むスケジュールがなく、基本計画や他の個別計画とどのようにリンクをしているのかが分かりません。

 一昨日も他の議員から推進会議の様子が見えないと指摘がありましたが、まずは重点プロジェクトごとの計画、アクションプランを策定するべきではないでしょうか。基本計画は総合計画であり、推進体制が先行するのではなく、先にプロジェクトの具体的な目標とスケジュールを示す計画を策定し、その実行のための推進体制とすべきです。

 そこで、伺います。重点プロジェクトの実現のため、プロジェクトごとの計画を策定すべきと考えます。御見解を伺います。

 次に、構造改革実行プログラムについて伺います。

 区は、財政的な非常事態への対処と新たな行政需要に応じた効率的かつ効果的なサービス展開を図るための二つが構造改革実行プログラムの目的であるとしています。

 しかしながら、さきの第2回定例会で、区長は、財政的な非常事態は脱しているとの認識を示されました。結果として、区の認識では、計画の目的の二つのうちの一つが構造改革の推進いかんに関わらず達成されたことになります。このことは、今後の構造改革実行プログラムの推進にどのような影響を与えるのでしょうか。

 総務委員会で、目的がなくなれば手段も必要なくなるのではと伺ったところ、所管は、中長期的に考えると、どの取組も両方の目的に資するようにと考えてつくったので、財政的なところがなくなってもプログラムの必要性があるとお答えになられていました。いまだに理解に苦しみますし、プログラムの推進自体が目的化されることを危惧します。

 さきの定例会で、プログラムに示したとおりの検証作業が行われていないことが問題視されましたが、構造改革実行プログラムの今後の必要性についても検証を行うべきではないでしょうか、御見解を伺います。

 区は、中野区人材育成ビジョンと中野区人事基本構想を統合し、本年3月に中野区人材育成基本方針を定め、中野区職員定数管理計画を今定例会で定められる予定です。人材育成基本方針については次の項でお尋ねをし、ここでは今定例会で策定予定の中野区職員定数管理計画について伺います。

 平成26年に職員2,000人体制を達成した後、今後の定数管理をどのように考えるかは大きな課題でした。平成30年に定めた中野区人事基本構想では、今後10年間2,000人体制を継続していくことを示しました。酒井区政となっても、児童相談所の開設など新たな行政需要の増加にもかかわらず、また、新卒を100人単位で採用しながらも、今日まで2,000人体制を維持し続けてきました。

 さきに示された定数管理計画(案)では、2,000人体制を廃止し、今後10年間の定数の上限を2,100名とすることが示されました。しかし、この2,100名との上限には、区が目指す子ども関連施設の再編やDX推進を含む構造改革による効率化の影響は反映されていないと聞いています。

 計画内で、最小の経費で最大の効果や、組織及び運営の合理化といった地方自治運営の基本原則を前提とするとしながらも、現在見込まれる最大の職員数を上限としたにすぎません。さきに述べた子ども関連施設の再編や構造改革による効率化の方向性を示した上で上限数を示すべきではないでしょうか。

 条例改正も関わるのでこのタイミングということであれば、このタイミングをゴールとして、他の検討の結論をゴール前までに合わせるスケジュール管理が必要だったのではないでしょうか。庁内での全体調整が図られていないように思えます。来年度、条例定数を上回るため、条例改正を行うのであれば、当面の間は見込まれる職員数を定数とした改正を行うことも可能です。何か理由があるのでしょうか。

 そこで、伺います。上限設定は行わない、あるいは上限は後に行うことができたにもかかわらず、今回の上限を2,100名とされた理由を伺います。また、今後、組織及び運営の合理化を行うつもりはあるのかについても併せてお答えください。

 今後の計画的な保育行政についても伺います。

 本年第1回定例会での所信表明で、区長が待機児を25名まで減少させたと言われたことについて、その後の一般質問で、今保育現場で起きているのは、待機児の減少とともに、特に小規模園での定員割れであり、私立保育園の定員割れに対する緊急プランを策定すべきであると求めました。しかし、具体的な答弁はありませんでした。

 区はこれまで、待機児解消のために保育園を誘致し、保育定数の拡大を図ってきました。その結果、本年4月に待機児ゼロを達成したものの、一方で、保育定数に満たない園が増え始めています。今後、保育の質を高めながら待機児ゼロを維持し続けるには、保育定数の空きを一定程度区が保障する仕組みも必要です。

 構造改革実行プログラムでは、「区立保育園10園は、保育需要の調整機能を担っており、今後の保育需要に対し供給過剰になった場合、定員の調整や廃園を検討することとなる。」とありますが、既に供給過剰の段階に入り始めているとも取れます。

 今後も待機児ゼロを維持し質の高い保育を提供していくためには、私立保育園への支援の在り方や空き定員の活用法、区立保育園の適正配置を含めた待機児ゼロ後の保育計画を策定すべきです。御見解を伺って、この項の質問を終わります。

 職員、そして組織の能力向上は、そのまま区民福祉の向上につながります。人事戦略、人材育成戦略は組織経営にとって最重要課題の一つと言えます。職員一人ひとりのパフォーマンスが最大限に生かされる組織となることを願い、次に、中野区人材育成基本方針について伺います。

 令和元年11月15日付の都政新報のインタビューで、区長は、前区政下の会議では発言をするのは一部の幹部で、議論が活発でなく、危機感を持った、現在私はあまり発言せず、基本的に部課長で議論してもらっている、会議は雰囲気が明るくなり、風通しがよくなったと発言されています。このときは区長に就任されてまだ1年半頃の頃ですが、聞こえてくる状況と随分違うものだと感じたのを思い出します。

 そこで、伺います。区長は現在も同じ認識でいらっしゃいますでしょうか、お伺いをいたします。

 当区の一つの課題は、管理職のなり手不足と言われてきました。では、酒井区政となり、その課題は解決されたのでしょうか。

 管理職試験における需要数と申込み者数との比率で見ると、平成29年度Ⅰ類で申込み倍率が3倍に対し、今年度、令和4年度は1倍、Ⅱ類では平成29年度1倍に対し、今年度は0.3倍となっています。年度ごとに見ると、この6年間で管理職試験の申込み者数は需要数に対し減少し続けています。さらに、今年度は23区で最も低い倍率となっており、深刻な状況と言えます。

 先日、情報政策等調査特別委員会がマイクロソフト社を訪れた際、同社が実施している360度評価に話が及んだと同僚議員から聞きました。内容は全く同じではないものの、当区においても360度評価を導入し、実施をしていた時期がありました。平成22年度に幹部職員に対する360度点検として導入し、その後は360度評価と名称を変え、平成29年度までの8年間実施されたものです。

 そこで、当区が360度評価を導入した理由、また廃止した理由についてお伺いをいたします。

 性善説に立ったマイクロソフト社が行う360度評価はそのまま当区になじむとは思えません。改めて、当時の取組を検証し、今の区政に合った360度評価制度を確立してはいかがでしょうか。そして、新たな制度は、結果を人事評価にも反映させる仕組みとしてはいかがでしょうか。

 さらに、当時は副区長までであった評価対象を、区長まで対象を拡大してはいかがでしょうか。もちろん、特別職や区長は人事評価の対象にはなりませんが、自己評価の貴重な参考になると思います。

 また、360度というからには、下からだけではなく、周囲からの評価も必要です。区は、行政評価の在り方を変えたことにより、他部署からの評価の仕組みをなくしています。自己評価のみではなく、周囲から自らの部署の取組を評価するシステムを再構築すべきと考えます。

 新庁舎へ移転する令和6年度からの開始を目指し、新たな中野区版360度評価システムを構築すべきと考えますが、御見解を伺います。

 京セラの創立者である稲森和夫氏が逝去をされました。松下幸之助氏と並び、経営の神様と呼ばれ、数多くの実績を残されました。謹んで哀悼の意を表します。

 稲森和夫氏の人事経営哲学の一つは、信賞必罰です。氏は、経営は信賞必罰でなければなりません、しかし、厳しい姿勢の陰に温かい思いやりがかいま見れるような経営者の行動があって初めて従業員もついてきてくれるのですと語られています。信賞必罰については松下幸之助氏もその必要性を強く訴えており、その信賞必罰の運用に当たっては適切、公平であること、そして私情を挟まないことが大事としています。

 さきの定例会での総務委員会で、令和3年度中野区職員倫理条例の運用状況の報告について、公益通報が1件あったことが報告されました。その内容は、令和4年1月26日に開催されたワンナップチャレンジ発表会の発表者に対する人事評価について、地方公務員法が定める公正な人事評価の規定に反して違法または違法のおそれがあるのではないかというものです。

 これに対する中野区法令遵守審査会の報告の概要は、明らかに違法とまでは指摘できないものと思料されるが、人事評価においていたずらに疑義、疑念を抱かせるようなことがあってはならないことは言うまでもない、人事評価に関する決定、変更等については、決定過程のさらなる透明性を高めるとともに、内容について適切な時期により適切な方法によりさらなる周知を図るべきというものでした。

 明らかに違法とまでは指摘できないものと思料されるとはなかなかな表現であり、区は重く受け止めるべきです。そして、この1件の通報を機に、いま一度、公平公正な人事運営が行われているかを振り返るべきと考えます。

 今回、職員の人材育成を体系的、戦略的に進めていくための基本的な方針として、中野区人材育成基本方針を新たに定められましたが、人材育成を行う経営側が当然行っているであろう信賞必罰や公平公正といった人事経営に関する考えを、あえて職員と区民に示していく必要があるのではないでしょうか。

 そこで、伺います。人事や組織運営に当たり、区の人事哲学というべき考えを示し、定めるべきと考えますが、御見解を伺います。

 中野区人材育成基本方針はあくまで方針であり、実行プログラムが伴っていません。基本計画にも人事や人材育成のための具体的な取組は示されておらず、同方針の四つの戦略による取組の目標とスケジュールを明確にし、目指す人材育成や人材確保、良好な職場環境の構築ができているかどうかをはかる指標を決めるべきです。(仮称)中野区人材育成アクションプランを策定すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 今後も100名近い新卒職員を採用していく予定としていますが、年次ごとによい研修を行えるかが重要です。区の将来を担う人材に成長するためには、区独自の取組も必要ではないでしょうか。

 他区と比して年齢構成のバランスに偏りがある当区において、区政全般を見渡せる若い経営幹部候補生を育てていくことが急務であると考えます。係長以下を対象とした将来の経営幹部養成のための特別研修を行ってはいかがでしょうか。もちろん、特定の職員のみでなく、入れ替わり制として、希望する多くの若手職員への制度となることが望ましいと考えます。

 また、併せて海外の先進的な取組を学ぶ留学制度をつくってはいかがでしょうか、伺って、この項の質問を終わります。

 次に、新庁舎整備と移転についてお伺いをいたします。

 令和6年度の新庁舎移転予定まで、あと1年半となりました。新庁舎は新たに区民を迎える区政のシンボルであり、区民生活を守る本丸です。

 そして、その建設及び移転は区有施設建設の中で最も多額の費用をかける一大プロジェクトであるにもかかわらず、毎定例会ごとに何かしらの報告があってしかるべきと思うところですが、議会や区民への情報発信が少ないのではないでしょうか。

 新庁舎の具体的なレイアウトについては、生活援護課の庁外移転が大きな議論となった昨年第3回定例会での資料要求により初めて示され、さらに、その後の10月25日の閉会中の総務委員会で、6月に完成していた実施設計が、半年が経過してやっと示されました。

 そもそも、生活援護課の庁外移転が、区が意思決定後も長く議会に報告することなく、突然示されたことが混乱した一因です。そして、昨年の決算特別委員会での質疑で、まだ配置が決まっていない、まだ検討中と答弁されていた件について、いまだに議会に報告がありません。何かブラックボックスの中で物事が進められているように感じております。新庁舎内の全体像は一体いつ示していただけるのでしょうか、お伺いをいたします。

 昨年第3回定例会で、新庁舎用の什器などの購入費用や移転作業などに要する費用を伺ったところ、おおむね50億円の想定とされ、また、新庁舎の開設は令和6年5月と答弁されました。

 備品調達で大きなものはDX関係と什器と思われます。昨今、華美な什器が問題となった新庁舎などもあり、区民の関心も高いと思われます。備品調達についての基本的な考え方をまず示すべきと考えますが、御見解を伺います。また、来年度予算には具体的な内容を反映させなければなりません。想定50億円の現段階で示せる詳細と資金計画をお伺いいたします。

 本年第2回定例会で、新庁舎整備事業の検討状況として、1階部分の考え方のみが具体的に示されました。その際、食堂、カフェの整備について、来庁者や職員、四季の森公園の利用者、庁舎周辺に在勤在学の方々を対象とし、平日のランチ営業のほか、カフェ営業や酒類を提供する夜間営業、休日営業など幅広い営業時間帯の対応などの可能性を調査し、公募条件を整理していくと報告がなされ、苦言を呈したところです。

 新庁舎の食堂が来庁者や職員以外に四季の森公園の利用者、庁舎周辺の在勤在学者を対象とすること、また酒類を提供する夜間営業、休日営業も行うこととなると、四季の森公園で同業の営業を行う

店舗などに対する民業圧迫となります。新庁舎の基本方針、基本計画、基本設計、実施設計のどれを見ても食堂、カフェの表記以外見当たらず、ふさわしいとも思えません。

 庁舎内での食堂で一般の方に対し夜間、休日等に酒類の提供を行うことについて、再考を求めます。区長の御見解を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、にぎわいの創出について伺います。

 中野駅周辺のまちづくりが具体化されるにつれ、駅周辺から離れた地域の区民の方から、中野駅ばっかりにお金をかけて我々の地域は大事にされていないとのお声をお受けする機会が増えました。

 もちろん、中野駅周辺の再開発は、区全体の価値を高め、財政面にも貢献し、区民サービスの向上との形で還元ができるので、区民や区内事業者全体への利益に資する事業と考えています。しかし、不公平感を感じる区民や区内事業者の気持ちに寄り添い、中野駅周辺を中心とし新たに創出されるにぎわいの効果を区内全体へ広げることについても検討が必要ではないでしょうか。

 そこで、伺います。より多くの区民が中野駅周辺のまちづくりを理解し、楽しみとできるよう、また、北部や南部のにぎわいにもつながるよう、シティープロモーションの観点から検討してはいかがでしょうか、伺います。

 区内全体でのにぎわいのためには、以前より求め続けている地域FMによる情報発信はまさに中野駅前から中野の隅々へと届くもので、また、中野のあらゆる地域のピックアップも可能とします。今こそ民間活力の活用による地域FM局開設を目指すべきです。中野区内での地域FM局開設の必要性について区の認識を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、若宮・大和町地域のまちづくりについて伺います。この質問については、一部自由民主党議員団の大内議員との重複があることを御理解ください。

 補助第227号線大和町部分の拡張は、都が期間を延長し、令和6年度完成を目指して行っています。多くの沿道住民や土地所有者の協力により、さきの第2回定例会での自由民主党議員団大内議員の質疑によると、令和3年12月末時点で84%の土地について用地買収が進んでいるとのことです。このまま令和6年度中の完成となることを町の方々が願っていることですが、相手方の様々な御事情もあることから、さらに延伸する可能性もゼロではありません。

 収用が進み、視界が開けた沿道ですが、道路幅は従来のままで、同時に進む防災まちづくりもあり、工事車両などは増加し、以前よりも車、自転車、歩行者の往来は危険が増しているようにも思えます。

 そこで、伺います。今後の土地収用の状況によっては、沿道の収用完了を待たず進めるべきと考えます。早稲田通りへの出口付近など特に危険と思われる場所を、警察と区で協議をし都への要請を行ってはと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。

 さらに、第2回定例会で、大和町中央通りと商店街のにぎわいの歴史を残すためのモニュメント設置を求めましたが、その後の検討状況についてもお伺いをいたします。

 補助第227号線若宮地域部分について、平成29年7月の現地調査説明会とその後の測量以降、地域に何の情報も伝えられておらず、沿道にお住まいの方々から不安の声が上がっています。当時、区の説明では、少なくとも令和2年度までには区から何かしらの方針が示されると思っても不思議ではありません。

 そこで、まず、現状でのスケジュールをお伺いいたします。そして、特に沿道住民の方に対し、現状の都立家政周辺のまちづくりの検討状況なども含めた説明会の実施など、丁寧な説明を行うべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 洗心寮の跡地について、これまで道路拡幅とまちづくりのための事業用地としての活用を求めてきましたが、スケジュールが見通せない状況でいつまでも塩漬けにすることは防災上、防犯上の観点からも望ましくありません。暫定利用も含めた活用策を早急に検討してはいかがでしょうか、伺います。

 この項の最後に、新たな公共交通サービスの導入について伺います。

 同事業は長年の地域の要望であり、実証実験実施に当たって若宮・大和町地域の多くの方々から期待を寄せるお声をお聞きします。

 委員会報告では、令和5年1月頃中間評価、令和5年度中に実験結果の分析、検証とあります。仮に正式運行となる場合は、令和5年度ではなく令和6年度以降となるのでしょうか。また、中間評価の結果によっては令和5年度の実証実験の継続もあり得るのでしょうか、お伺いをいたします。

 続きまして、最後の項の質問となります。その他で、就労継続支援B型事業について伺います。

 先日、就労継続支援B型事業所に通い始めた方から相談を受けました。事業所でもらう1日の日給が150円であり、交通費のほうが高いとのことでした。

 令和2年度のB型事業所での平均賃金は、月額1万5,776円、時間額が222円でありました。国は都道府県や事業所に工賃向上計画の作成を課すなどの取組を進め、令和元年度までの平均賃金の全国平均は年々上昇したものの、いまだ十分とは言いがたい額です。

 別な作業所でスタッフとして働く方にもお聞きをしましたが、個人の能力に加え、事業所で受ける仕事が減ると工賃にも影響するということでした。

 区は、毎年度、区内のB型事業所に対し仕事を発注するなどの支援を行っていますが、事業者と話し合い、工賃アップに資するためにもう少し発注量を増やすなどの努力ができないでしょうか、最後に伺って、以上で私の全ての質問を終わります。

 ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、計画行政についてで、基本計画の改定についてでございます。

 現行の基本計画は、計画期間を2025年度までの5年間とし、区を取り巻く社会経済状況の変化や財政状況、施策の実施状況等を踏まえ、見直しの必要性がある場合には改定を行うこととしております。

 56に及ぶ施策の方向性は大きく変わらないと認識しておりますけれども、基本計画後期の取組につきましては具体化を図っていく必要があり、計画の進捗管理手法を今検討しているところであります。改定のいかんに関わらず、基本計画前期の取組の進捗状況確認や後期の計画化の検討を行う必要がありまして、令和5年度予算編成と並行して進めていく考えでございます。

 次に、重点プロジェクトごとの計画についての御質問です。

 重点プロジェクトにつきましては、対応すべき課題の解決に向けた具体的な取組を計画化していく必要があると認識をしております。現在検討しております基本計画後期の具体的な取組の示し方と併せて整備をしてまいります。

 続きまして、構造改革実行プログラムの必要性についてでございます。

 構造改革実行プログラムは、今取り組むべき区政運営上の課題を取りまとめたものでありまして、それぞれの課題を解決していく必要があると認識をしておりまして、現在行っている更新は進める考えでございます。一方で、検討を進めている基本計画後期の具体的な取組とも整合を図りながら、構造改革実行プログラムの在り方についても検討をしてまいります。

 続きまして、施設配置等、組織運営の合理化を図る前に職員定数上限を変更する理由についてでございます。

 職員定数条例上の職員数を2,000人から2,100人に増加させる要因は、児童相談所の虐待相談対応件数による加算、及び生活保護ケースワーカーの法定による職員配置の必要性、また、雇用と年金の引継ぎの制度改正に伴う再任用職員のフルタイム化によるものでございます。こうした要因から、来年度には定数条例上の職員数が2,000人を超えることが明らかであるため、条例の改正が必要となります。

 組織及び運営の合理化につきましては、現在検討中の施設再編のほか、DX推進による業務の効率化等によって、あらゆる分野で不断の改善を進め、具体化が図られた段階で職員定数管理計画に反映させる予定でございます。

 次に、区の保育行政の考え方についてでございます。

 保育所の保育定員の空きは、区民、運営事業者、区にとって大きな課題であると認識をしております。保育定員に空きが生じても保育士を安定的に確保していくためには、空き定員を活用して提供される新たな保育サービスの仕組みが必要になってくると考えております。

 私立保育園に対する支援や区立保育園の適正配置につきましては、将来的な保育需要の推移と区の財政負担を見通した上で、来年度、区としての考え方をお示しする予定でございます。

 次に、中野区人材育成基本方針についてで、一点目の風通しのよい職場づくりについての御質問です。

 中野区の職員行動指針でも示しているように、対話で解決策を考えようと職員に呼びかけ、組織の縦横の意思疎通を図ることに努め、中野区役所を風通しのよい風土にするよう、庁内会議でもフラットで活発な議論が行われるよう心がけてまいりました。私自身も職員の声に直接よく耳を傾けるとともに、ボトムアップが適切に行われるよう、部課長も含めて指示をしてきたところであります。

 今後とも、組織内の意思疎通に一層留意をして、風通しのよい職場づくりに取り組んでいきたいと考えております。

 次に、360度評価についてでございます。

 以前行っておりました360度評価は、管理職員を対象として、その上司、同僚の管理職、部下によって中野区コンピテンシーモデルの項目を基準として多面的に対象者の行動評価を行い、当該管理職員の意識、行動改革につなげ、能力開発を図ることを目的として実施をしておりました。しかし、コンピテンシーモデルが自己評価を目的として作成されておりまして、他者が評価する基準としてはなじまないことや、上司以外の管理職を評価することが困難であるなどの課題があったため、平成30年度に廃止をしたものでございます。

 部課長の評価は、職務の成果だけでなく、職場のマネジメントや人材育成など多面にわたるため、民間等で導入されている相互評価の事例等も含めて、今後も評価の手法を検討してまいります。

 次に、区の人事施策についてでございます。

 中野区基本構想で掲げる理念や、中野区基本計画の効果的な実現に向けて、組織及び人材育成、人事評価に人事哲学を持って取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、人材育成に係るアクションプランの策定でございます。

 中野区人材育成基本方針で示した人材育成の領域を具体化したものとしては、毎年度、中野区職員研修計画を策定しているところであります。一方で、DX人材のほか、福祉、保健師やまちづくり等の専門職の育成、管理職層に焦点を当てた育成や人材確保等の在り方等については、より具体的かつ戦略的な考えが必要であると認識をしておりまして、個別に各部と連携を図りながら、人材育成基本方針の具体化に向けた人事施策の検討を進めてまいります。

 将来の経営幹部養成のための若手職員研修の実施でございます。

 組織運営において管理職層の役割は極めて重要でございまして、管理職選考受験者数低迷の回復と、管理職層の職務パフォーマンスの向上、これは喫緊の課題であると認識をしております。

 入区初期から管理職層へのキャリアパスを示し、そのための支援メニューを豊富に用意することは、経営幹部を目指す職員へのインセンティブになるものと考えておりまして、その一環として、現在も学識経験者による政策形成に係る研修、これを、内容のレベルを分けて2、3年目職員を対象に実施をしておるところでございます。

 また、中野区職員行動指針や「目指すべき中野区職員の姿」では海外の事例から学ぶことも奨励しておりまして、実体験がステップアップの機会ともなりますので、海外留学制度を含めた他の機関への職員派遣等の可能性についても研究してまいります。

 次に、新庁舎整備と移転についての項でございます。

 まず最初に、新庁舎のレイアウトについてでございます。

 新庁舎のレイアウトにつきましては、各課の配置等について詳細を今調整しているところでございまして、現在の検討状況について今定例会でお示しをしたいと考えております。

 次に、新庁舎の備品調達についてでございます。

 新庁舎で使用する什器及びパソコン等につきましては、新庁舎での働き方を見据えた調達内容を検討しておりまして、整備に向けた考えについて今定例会でお示しをしたいと考えております。

 次に、什器購入等に係る費用及びその資金計画についてでございます。

 新庁舎移転に伴う什器の購入や移転作業などに要する費用につきましては、検討の進捗を踏まえ、現在積算を行っており、精査中であります。おおむね50億円程度と見込んでいる経費のうち、その5割程度が什器購入費用や移転作業費用でございまして、残りが関連工事費用等となる想定でございます。資金計画についても併せて検討しているところでありまして、できるだけ早期にお示ししたいと考えております。

 続きまして、新庁舎の食堂についてでございます。

 新庁舎1階に配置予定である食堂は、区民や来庁者への利便提供機能として設置するものでございまして、内容的にも民業圧迫になるとは認識をしておりません。今後、食堂の運営を検討していくに当たっては、民間事業者の参入可能性を踏まえ、事業性など条件等を整理してまいります。

 次の項で、にぎわいの創出についてで、最初に、今後創出される中野駅周辺のにぎわいを区内全体へ広げることについての御質問です。

 中野駅周辺以外の町は、中野駅周辺とは違った地域の資源や文化があり、それらを区民や来街者に効果的に発信していく必要があると考えております。有識者などで構成する観光施策検討会の中でも、中野の強み、資源を捉え、情報発信を強化することや、関係団体や事業者との連携力を高めることなどを視点に議論しておりまして、中野駅周辺に新たに創出されるにぎわいを区内全体に広げることも含め、検討を進めてまいります。

 最後に、民間活力を活用した地域FM局の設置についてでございます。

 地域FM局はローカルな情報の発信源として都内でも複数開局されておりまして、災害時における地域情報の迅速性や即時性が有効であると認識をしております。

 近年ではインターネットによる放送も行われておりまして、区内をはじめ広く中野の魅力を発信できるメディアの一つとして、民間活力を活用した地域FM局の開設可能性を検討してまいります。

〔まちづくり推進部長豊川士朗登壇〕

○まちづくり推進部長(豊川士朗) 私からは、若宮・大和町地域のまちづくりについてお答えいたします。

 まず、補助第227号線大和町部分の用地買収が進んだ範囲からの道路整備についてでございます。

 東京都によりますと、補助第227号線大和町部分につきましては、既に下水道管の地下埋設物の工事に着手をしておりまして、以後は電柱などの移設後に電線共同溝の工事を実施するとのことでございます。今後も、用地取得の進捗状況を踏まえ、道路の部分的な整備の進め方を検討していくとのことでございます。

 区といたしましては、用地買収が進んだ範囲の道路整備や工事期間中の供用開始につきまして、交通管理者である警視庁と直接協議することはできませんが、都市計画道路事業が推進するよう、可能な支援を行ってまいります。

 それから、大和町中央通りの地域モニュメントについてでございます。

 大和町中央通りのかつての地域のにぎわいの記憶等をどのような形で残せるかにつきましては、大和町まちづくりの会とも相談しながら、引き続き研究をしてまいります。

 補助第227号線若宮地域部分についてでございます。

 令和2年4月に策定いたしました西武新宿線沿線まちづくり整備方針にお示しをしたとおり、西武新宿線の連続立体交差事業と併せて事業化を検討するものでありまして、現在、事業着手済みの区画街路第4号線などの進捗や他の未着手路線の状況を踏まえ、事業の優先順位を検討しているところでございます。

 それから、都立家政駅周辺のまちづくりの検討状況についてでございます。

 まちづくり整備方針策定後は、まちづくりルールの導入や土地利用の誘導などについての検討を関係機関と調整しながら進めておるところでございます。街路事業の優先順位の検討状況も踏まえ、今後、地域の皆様と意見交換を行うなど、適時適切な情報提供を行い、丁寧に合意形成を図ってまいります。

 それから、洗心寮跡地の活用策についてでございます。

 洗心寮跡地につきましては、防災面や防犯面等、地域の状況を踏まえた管理が必要でございます。今後、早期に撤去できるよう検討いたします。引き続き、令和6年度を目途に活用方法を検討してまいります。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、若宮・大和町地域のまちづくりについての御質問のうち、新たな公共交通サービスの令和5年度以降の運行についての御質問にお答えをいたします。

 新たな公共交通サービスの導入に関する実証実験につきましては、地域内に公共交通サービスを実験的に導入することにより、利用実績やアンケート調査結果などから公共交通としての事業性や必要性、正式な運行などに関して、中野区交通政策推進協議会における議論も踏まえ、検証していくこととしてございます。

 まずは評価基準等を作成し、実証実験の中間評価を行い、中野区交通政策推進協議会を通じて有識者や交通事業者等の意見を踏まえながら、令和5年度の事業継続について判断をしていきたいと考えてございます。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、就労継続支援B型事業に関する御質問にお答えをいたします。

 障害者就労支援事業所で働く障害者の工賃向上を図るため、各事業者が共同で仕事を請け負う共同受注の仕組みを活用し、安定的な受注を確保し、工賃の向上を図っているところでございます。また、障害者優先調達推進法に基づき、区内事業所に区の業務の発注促進や、自主制作品の販路拡大に取り組んでおります。

 今後も、中野区内の障害者福祉施設及び関係機関によるなかの障害者就労支援ネットワークと連携や調整を行いながら、障害者の工賃アップに取り組んでまいります。

〔平山英明議員登壇〕

○35番(平山英明) 区長に二つだけ再質問をいたします。

 まず、一個目の最後で伺った、いわゆる待機児ゼロ後の保育計画ですが、我々は計画の策定にまで踏み込んでいただきたいと思っています。

 要は、基本的な考え方を来年度お示しになるというふうにおっしゃいましたが、かなり広範囲な課題を抱えているものでもありますし、このまま区が具体的な手を打たないと、これまで様々な形で中野区の保育行政に御協力をいただいた民間事業者の皆様が、資金力の強いところだけが残っていってしまうような事態は私は避けるべきではないかと思っておりまして、そういう意味で、具体性のある計画の策定をと思っておりますが、考え方を示されたその先に、計画作成の可能性があるのかどうかだけお伺いをできればと思います。これが一点です。

 もう一点は、区役所のいわゆる備品調達について、具体的な資金計画をとお尋ねをしました。

 これは、令和6年5月に移転を考えられているとする場合、ちょうどその頃に例えば支払いが発生するようなことになると、区で一番歳計現金がない時期なんですよね。要はお金がないんです。そうなると、令和6年度の前期は様々な事業が実施できないことになってしまう。

 だから、具体的な資金計画をなるべく早く示していただいて、その上で、場合によっては本当にその5月という時期が移転にふさわしいのかどうかについての議論まで行えればと思って伺いましたので、その辺も含めて、なるべく早くお示しをいただけるのかどうかということをお尋ねいたします。

 その二点です。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の再質問にお答えいたします。

 まず、一点目の保育計画のお尋ねでございます。

 私も、保育の全体像、昨日の質問でもいろいろありましたけれども、幼稚園も含めた保育行政全体の需要、それから今後の見通しについても、しっかり見通しを立てて我々としても取り組んでいく必要があるという認識は同様でございます。保育計画も含めて検討してまいりたいと思います。

 そして、備品のお尋ねでございます。

 これも、資金計画については現金の歳計の話がございましたけれども、そういうものも含めて、なるべく早く出せるように検討してまいりたいと思います。

○議長(内川和久) 以上で平山英明議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後1時49分休憩

 

午後1時49分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 

 中野区議会議員 伊 藤 正 信

 1 令和3年度決算の状況について

 2 防災対策について

 3 産業振興施策について

 4 新型コロナウイルス感染症対策について

 5 その他

 

○議長(内川和久) 次に、伊藤正信議員。

〔伊藤正信議員登壇〕

○33番(伊藤正信) 令和4年第3回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で一般質問をさせていただきます。

 初めに、令和3年度決算の状況について伺います。

 令和3年度の歳入決算額は1,608億円、歳出決算額は1,543億円でした。翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は61億円、実質収支比率は7.4%となりました。

 特別区民税は前年度比0.2%減の340億円で、ほぼ横ばいであります。納税義務者数は減少したものの、納税者一人当たりの所得額が増加しているとのことですが、どのように捉えているのか、伺います。

 特別区民税の現行課税分の徴収率は前年度から0.4ポイント増加し、99%となりました。令和3年度はどのような取組を行い徴収率が向上したのか、どう分析しているのか、伺います。

 徴収率が上がったといっても、まだ23区平均の99.1%を下回っています。さらなる徴収率の向上への取組が必要と思いますが、どのように考えているのか、伺います。

 特別区交付金は前年度比13.9%、50億円増の410億円となりました。過去最高の決算状況かと思いますが、ここまで伸びた原因をどのように捉えているのか、伺います。

 普通会計歳出決算の目的別の状況は、総務費や教育費が減少しましたが、衛生費や土木費は増加しております。衛生費が増加した要因は、新型コロナウイルス感染症への対策を行ったことなどにより、前年度比26.6%増の123億円。土木費は、中野二丁目地区市街地再開発事業補助などにより、前年度比25.5%増の190億円となりました。

 普通会計の歳出決算額を性質別に見ると、義務的経費は、人件費と公債費は減少しましたが、扶助費は増加し、全体としては、前年度より9.5%、28億円増の720億円となりました。投資的経費は、平和の森小学校移転用地及び道路用地取得費や中野区総合体育館整備の減などにより、前年度より29.1%、123億円減の300億円となりました。その他の経費では、物件費が30億円の増、積立金が5億円の増となった一方で、補助費等が330億円の減、繰出金が3億円の減となりました。

 このような歳出の状況をどのように捉えているのか、伺います。

 財政の弾力性を見る経常収支比率は前年度から4.4ポイント減の72.7%となりました。23区平均は78.6%となっており、前年度に引き続き23区を下回っておりますが、子育て支援や高齢化による扶助費や繰出金などの増加が想定されます。また、今後の歳入状況も楽観できるものではありません。経常収支比率が下がった要因と、経常収支比率の状況についてどのように考えているのか、伺います。

 令和3年度末の基金残高は、前年度より24億円増加いたしました。積立金の年度末現在高は666億円で、令和元年度から3年連続で増加しております。今後のまちづくりや施設整備など財政需要を考えると、より計画的な積立てと繰入れを行う必要があります。基金残高が増加した要因と、今後の健全な財政運営に資する基金計画についてどのように考えているのか、伺います。

 原材料費の高騰、物価高騰が続き、賃金の動向により、工事関係経費の増加をはじめ大幅な歳出増加の可能性が考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の収束も見通しが立ちません。経済状況が不透明な中、持続可能な行財政運営を行うために区長は財政をどのように考えているのか、伺います。

 次に、防災対策について伺います。

 今年5月に東京都防災会議が、「首都直下地震等による東京の被害想定」を公表いたしました。中野区での被害想定は、都心南部直下地震では、震度6強以上の範囲は4.5%、建物被害は1,637棟、死者は69人。多摩東部直下地震では、震度6強以上の範囲は15.8%、建物被害は2,339棟、死者は98人と想定されています。前回公表された被害想定とは、想定地震が違うということもあり、単純に比較はできませんが、被害は少なくなっている印象を受けました。しかし、なお、区内でも被害が出ることは想定されています。

 加えて、今回の被害想定では、「身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相」も記述されており、より具体的な被害想定が把握できるものとなっています。

 この被害想定を受け、区も地域防災計画を改定するとの報告を受けていますが、改めて、いつ改定するのか、伺います。また、計画は絵に描いた餅にしてはなりません。区民が理解し、実行できるものにしていく必要があると思います。そこへの工夫があれば、併せてお聞かせください。

 被害を最小限にとどめるためには、区民一人ひとりが備えて行動できるようにしていかなければなりません。ここ何年かは新型コロナウイルス感染症拡大の影響でこれまでのような訓練ができていない状況です。新型コロナウイルス対策も行いながら、実際に訓練を行う必要があると思いますが、今後どのような訓練を推進していくのか、教えてください。

 また、被害想定にこれまでになかったような想定があればその内容を加えるなど、情勢の変化に対応した対策が必要と思いますが、そのような想定もしているのでしょうか。また、ペットも大切な家族の一員として捉えている人も増えております。そうした方々に対して、ぜひ訓練に参加していただくためにペットの同行できる訓練も取り入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、各避難所には防災倉庫や備蓄倉庫があり、災害時に必要となる資機材が配備されていますが、更新が行われておらず、扱いに慣れていない人は使えないような資機材も見受けられる状況です。訓練を行うことを前提とすることは当然としても、より使いやすい資機材が出ているものについては、ぜひ買換えを進めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。

 中野区防災リーダー養成講座について伺います。

 区民一人ひとりの防災力向上のためには、地域の中に、自助、共助について深い知識と技術を有し、防災の知恵袋として、平時は地域の防災訓練や研修などで防災に関する技術や知識を防災会員へと伝える役割、災害発生時には実動的なリーダーとして防災会員を指揮し、初期消火、救出救護、安否確認、避難誘導、減災のための活動の指揮者としての役割を担うため、人材が必要です。

 区は、防災リーダー養成講座を受講し防災士の資格の取得などで防災リーダーの存在を増やして、区全体の防災力向上を図っておりますが、今年度の防災リーダー養成講座はどのように行っているのか、伺います。

 これまで私自身も地域防災住民組織の一員として様々な防災訓練に参加しておりますが、防災会と防災リーダーとの連携がいま一つ明確でなく、地域に浸透していないように感じます。どのように考えているのか、お聞かせください。

 次に、産業振興施策について伺います。

 現在、区内中小企業を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の長期化、ウクライナ情勢の緊迫化によるエネルギー、原材料価格高騰などの影響により厳しい状況が続いております。

 区は、平成24年10月に中野区産業振興ビジョンの策定以降、ICTコンテンツ関連産業及びライフサポート関連産業を区内産業の位置付け、その創出、集積を図ることを目的としてきました。策定から10年が経過し、社会経済情勢が目まぐるしく変化し、人工知能、AIやロボット技術などを軸とした第4次産業革命とも言われる技術革新などにより人々の生活環境も大きく変化し、このような時代を捉え、今後の中野区内の産業を振興し、さらなる発展を目指していかなければなりません。

 このたび、産業振興方針の策定の考え方が示されました。

 東京商工会議所中野支部が2022年1月実施した中野区区内事業所アンケート調査報告書によると、2021年4月から9月の景況感について、新型コロナウイルス感染症前と比較するとやや悪化、非常に悪化との回答が59%を占めており、業種別で見ても、飲食業が85%、旅客運送業82%、サービス業(ジム運営等)73%、理美容業70%、卸売業70%、製造業66%、小売業61%など、悪化との回答が50%超を占めており、幅広い業種で厳しい経営状況が余儀なくされております。

 2022年の利益見通しについて、2021年と比較して好転すると回答されたのが14%にとどまって、引き続き厳しい状況が続くと予想されていますが、区としてこのアンケート調査報告書をどのように分析しているのか、見解を伺います。

 アンケートの内容としては、事業の概要、事業に関する景況感、収益状況、直面する経営課題や取組、政策や事業環境の整備など幅広い項目となっており、今後はアンケート結果を基に企業支援策や産業経済政策の検討、地域活性化への取組などに活用できるものと考えております。

 また、中野区への政策・事業環境の整備についての設問では、事業所継続・競争力強化のため、どのような区の支援が必要と思われるかに対し、制度融資の拡充などの資金繰り支援が35%、新規取引先・販路拡大などの取組支援が28%と多く、どのような事業環境整備が必要と思われるかに対し、多様な政策を迅速に届ける環境整備が37%、感染防止対策強化が32%でした。これだけ中野区に対しての支援や環境整備に臨んでいることがうかがえます。このことについてどのように考えているのか、伺います。

 中野区は、アニメやサブカルチャーをはじめとするコンテンツ産業のイメージが強く、大手アニメーション制作会社やコンテンツ制作会社が立地しており、アニメ、コンテンツ関連の仕事を手がける事業者も集積しております。

 東商中野支部では、地域特性を最大限に生かし、地域のPR、ブランド化と外来者誘致のため、中野・杉並・豊島アニメ等地域ブランディング事業を実施しており、2021年からは区内コンテンツ事業者と連携し、区内アニメ関連施設など地域の魅力を国内外に発信するPR動画を作成、YouTubeにて配信するなど、オンラインを活用し国内外へ向けた情報発信に取り組んでおります。

 アニメやサブカルなどコンテンツ産業を軸にした地場産業の魅力を国内外に発信し、来街者を誘引することで地域経済活性化につながることと思いますが、区の取組を伺います。

 区は、平成25年より中野セントラルパークイースト、サウスの一部を定期賃貸借し、産業振興拠点事業を進めてきましたが、区と機構で協議した結果、この8月で協定、契約を終了されました。

 ICTCOについて、当初の目的であるICT・コンテンツ産業の集積という視点で捉えると、起業後に他事業者と連携して区内産業への相乗効果を生み出すといった成果を出すには至らず、一部の事業者は区内には定着せず、他自治体等に流出し、想定した事業者数の増加に至らなかったようです。このことについて区としてはどのように考えているのか、伺います。また、この施設をどのように今後活用していくのかも併せて伺います。

 旧商工会議所跡地は産業振興センターの経営支援機能及び経済団体を移転するように計画されていますが、現在、地域との説明会をしている状況です。建設計画が遅れる可能性があるとも考えます。

 現在の産業振興センター跡施設は複合交流拠点に転用し、シルバー人材センター及びボランティアセンター等の移転も検討している予定ですが、イーストの場所を経済団体事務所機能もしくはシルバー人材センター事務所として活用してはいかがでしょうか、お伺いをいたします。

 次に、商業支援について伺います。

 商店街は、高齢化による廃業、ネット取引の拡大により組織会員数が減少しており、まちづくり事業を契機とした商店街の再生、活性化を図ることと、組織支援に加え、空き店舗の解消など個店に対する支援も必要と考えます。各種補助金などをイベント事業に支援するだけではなく、安定的な経営と地域経済の活性化を図ることが必要です。考えを伺います。

 最後に、区の産業振興施策をどのように考えているのか、伺います。

 次に、新型コロナウイルス感染対策について伺います。

 今年の1月から感染者数が急増し、2月の上旬にピークを迎えましたが、その後は減少に転じ、6月中旬にはピーク時の7分の1まで減少し、このまま収束するのではないかと期待しておりましたが、オミクロン株のBA.5に変化し、これは人間の細胞との相性がよく感染力が非常に強く、第7波が訪れ、6月中旬頃から感染者数は再び急激に増加傾向に転じ、都内では第30週の7月28日には1日4万406人、過去最高値に、区でも7月27日に1,189人、1日当たりの最多感染者数を記録いたしました。

 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は減少傾向に転じておりますが、まだまだ予断を許さない状況と考えています。保健所の体制は現在どのようになっているのか、現状をお伺いいたします。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、全数把握の簡略化や陽性者及び濃厚接触者の療養、待機期間が短縮になり、緩和されてきております。新型コロナウイルス感染症の主流になっているオミクロン株は、先ほども言いましたが、感染力は強いものの重症化率は低いとされており、入院勧告や就業制限措置などに当たる医療機関の、保健所の負担軽減の観点から、分類について2類相当から5類への引下げを求める声が出ております。新型コロナウイルス感染症法上の位置付けについては、季節性インフルエンザと同等の扱いで、就業制限のない5類相当の変更を望む企業が51.1%に上がっている調査結果が出ております。

 国の動向として、分類について2類相当から5類への見直しが検討されておりますが、このことをどのように区は捉えているのか、認識を伺います。

 次に、ワクチン接種について伺います。

 オミクロン株に対応した新型コロナウイルスワクチンの接種開始に向けた準備が進められております。これまでのワクチン接種を2回まで完了した方を対象として実施するようですが、現在のワクチン接種率はどのようになっているのか、また具体的にどのように準備を進めているのか、伺います。

 また、5歳から11歳までの子どもを対象とする新型コロナワクチンの接種が努力義務化され、5歳未満の小児に対するワクチン接種に向けた動きもあります。現在の小児に対する新型コロナワクチンの接種状況はどのようになっているのか、伺います。

 今後の状況を注視していかなければなりませんが、第8波はこの冬に来るのではないかと言われております。今年の場合は、インフルエンザが新型コロナの流行以降、感染が激減し、ほとんど発症がない状況です。これは日本だけではなく、世界で同じようなことが起きております。

 しかし、今、冬を迎えている南半球ではインフルエンザが流行しており、そういうときは、北半球が冬になると同じようなことが起きると言われております。ほとんどの方が過去2年ほどインフルエンザに罹患していないため、インフルエンザに対する耐性が弱まっているのではないかと考えます。

 インフルエンザがやってくると、感染が急拡大するおそれがあります。新型コロナとインフルエンザの波が同時に流行しツインデミックになると、最悪のパターンとして、検査もパンクする可能性があります。どちらにかかったか分からなくなり、医療機関も戸惑うことになるだろうと言われております。

 インフルエンザと新型コロナの両方を一度に検査する方法や、一つのワクチンで両方に対応できるものをつくろうという動きもあるようです。そうした開発を加速させて、インフルエンザと新型コロナウイルス両方が来た場合に備えていかなければならないと思っております。

 これで私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、私からは、令和3年度決算の状況についてで、持続可能な行財政運営についての質問でございます。

 どのような状況においても区民サービスを滞ることなく推進していくために、予算編成手法の見直しや基金の積立ての考え方をまとめた新たな財政運営の考え方をお示ししたところでございます。財政運営の考え方に基づいて、財務規律を保ちつつ、必要な政策を打ち出し、中長期的な視点を持って行財政運営を進めていく考えでございます。

 続きまして、私からは、新型コロナウイルス感染症対策についての御質問で、初めに、保健所の応援態勢についてでございます。

 新型コロナウイルス感染症への対応に当たりましては、医療機関等から新型コロナウイルス感染症と診断された方に早期に対応する一方、保健所の職員に過度の負担がかからないように、新規感染者数に応じて九つの局面に分けて保健師や事務職員の応援態勢や人材派遣の活用などを図ってきたところであります。

 第7波は7月下旬にピークを迎えまして、現在の新規感染者数は300人前後で推移しておりまして、九つの局面の中間に当たる5番目相当の応援態勢を取っているところでございます。

 次に、感染症法上の分類についての御質問です。

 現在、国において新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同等の位置付けに引き下げることについて検討しているということは報道によって承知しておりますが、国や都からの通知は発出されていないため、検討内容の詳細は明らかになっておりません。

 9月26日より発生届の対象が65歳以上の方、入院を要する方などに限定されることになっておりまして、区としては、引き続き都と連携して、発生届対象外の方についても必要な支援が届くよう体制を整備してまいります。

 続きまして、新型コロナウイルスワクチン2回目、3回目の接種率についてでございます。

 本年9月6日時点での2回目の接種を終えた12歳以上の区民は26万554人、接種率は84.9%になります。また、3回目の接種を終えた区民は20万743人で、接種率は65.4%でございます。

 最後に、小児に対する新型コロナウイルスワクチンの接種状況でございます。

 本年9月6日時点での2回目の接種を終えた5歳以上11歳以下の小児は2,367人、接種率は17.0%になります。

〔区民部長鳥井文哉登壇〕

○区民部長(鳥井文哉) 私からは、令和3年度決算の状況についてのうち、特別区民税についてお答えをいたします。

 まず、令和3年度特別区民税の決算状況でございます。

 令和3年度の特別区民税の決算額は約340億円であり、前年度の約341億円と比べ0.2%の減となってございます。

 納税義務者数につきましては20万3,322人となっており、昨年度の20万4,098人と比べ776人減少したものの、納税者一人当たりの所得額については410万3,420円であり、昨年度の398万2,820円と比べ12万600円増加してございます。

 ここ数年続いてきた特別区民税の増収が減収に転じたものであり、厳しい決算状況であったと分析してございます。

 次に、令和3年度の徴収率向上の取組でございます。

 令和3年度の特別区民税の現年課税分の徴収率は99.0%と、前年度の98.6%と比べ0.4ポイント増加しております。これは、高額滞納者に対して個別に担当者を配置し、国税局OBである滞納整理専門員と協力して滞納整理を推進したことや、前年度の結果を踏まえた精度の高い財産調査を実施して滞納処分件数を増加させたこと、また、督促状の発付時期繰上げによる滞納処分催告の早期着手を行ったことが成果につながっていると分析してございます。

 最後に、さらなる徴収率向上の取組でございます。

 さらなる徴収率向上に向けまして、既読の有無の確認や区のホームページの納税相談ページへの誘導を行うことができるショートメッセージサービスを活用して効果的な納付勧奨を行うとともに、スマートフォンでいつでもどこでも口座振替申込手続が行えるウェブ口座振替サービスを新たに開始したところでございます。

 今後とも、さらなる徴収率の向上に努めてまいります。

〔企画部長石井大輔登壇〕

○企画部長(石井大輔) 私からは、令和3年度決算の状況につきまして、まず、特別区交付金の決算状況についてお答えいたします。

 令和3年度の当初予算編成におきまして、新型コロナウイルス感染症の影響により減収を積算したところでございますが、想定以上の企業収益の堅調な推移により、財源となる市町村民税法人分をはじめとした調整税等が前年度比7.5%、1,377億円伸びたことが特別区交付金の増になった要因であると考えております。

 次に、歳出の決算状況についてでございます。

 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対策や、これまで進めてきた施設整備やまちづくりを着実に進めてきた結果、目的別歳出では民生費や衛生費、土木費が、性質別歳出では扶助費や物件費が増となりまして、歳出の決算状況として現れたと考えております。

 今後も、子育て支援対策の拡充や超高齢社会への対応に伴いまして扶助費の増が見込まれ、区役所新庁舎整備や学校施設整備、中野駅周辺まちづくりや西武新宿線沿線まちづくりといった投資的事業への起債充当によりまして公債費の増も想定されることから、特に義務的経費の状況については留意が必要であると考えております。

 次に、経常収支比率についてでございます。

 経常収支比率が下がった要因でございますが、分母である歳入の経常一般財源等が特別区交付金や地方消費税交付金により47億円の増加となった一方、分子である歳出の経常経費充当一般財源等が人件費や公債費などにより2億円の減少となったためであると捉えております。

 経常収支比率につきましては、一般に70%から80%が適切な水準と言われておりまして、また、区においては、昨年度策定した構造改革実行プログラムにおきまして、経常収支比率が23区平均を下回ることを基本指標の一つとして考えております。財政の健全性が保たれていることを表す結果であると考えております。

 次に、基金残高の増加要因と基金計画についての御質問にお答えいたします。

 一般財源が充足したことによりまして義務教育施設整備基金や社会福祉施設整備基金からの取崩しを抑制した一方で、財政調整基金やまちづくり基金等を着実に積立てを行ったことが基金残高が増加した要因であると考えております。

 基金計画につきましては、新たな財政運営の考え方におきまして、財政調整基金と特定目的基金の積立てや残高目標の考えをお示ししたところでございまして、将来世代の負担にならないよう基金残高を意識し、財政的な余力を持って財政運営を進めるために計画的な基金の積立てと繰入れを行っていく考えでございます。

 次に、産業振興施策のうち、中野セントラルパークの賃借床の今後の活用についての御質問にお答えいたします。

 中野セントラルパークの賃借床につきましては、その活用方針において、イーストをにぎわい形成に資する事業を展開する床、サウスを両賃借床を担保する床と位置付けております。

 サウスの賃借床につきましては、令和4年9月から西武信用金庫への転貸を開始しており、区の施策推進への協力を求めているところでございます。イーストの賃借床につきましては、基本計画の重点プロジェクトの方向性に沿った取組を事業者選定の基本的要件として考えており、サウンディングの調査結果も踏まえて、現在、事業者公募に向けた条件整理を進めているところでございます。

 なお、経済団体の事務所につきましては、現在地元調整を行っているところではございますが、旧商工会館の跡地に移転の計画をしておりまして、その間は現在の産業振興センター内での事務所を継続していく考えでございます。

〔防災危機管理担当部長石崎公一登壇〕

○防災危機管理担当部長(石崎公一) 私からは、防災対策についての質問についてお答えいたします。

 初めに、地域防災計画の改定及び実効性を高めるための工夫についてでございます。

 首都直下地震等による東京の被害想定を反映させた中野区地域防災計画の改定につきましては、中野区防災会議を開催し、令和5年度中に改定をする予定でございます。

 また、実効性を高めていくためには区民の理解が欠かせないことから、中野区地域防災計画の策定に当たって、パブリックコメント等の実施を通して広く区民の声を聞くとともに、策定後には、ホームページや区報、啓発冊子として作成している中野区民防災ハンドブックによる周知をはじめ、様々な団体の防災活動や訓練実施時などの機会を捉えて計画の理解の促進を図ってまいりたいと考えてございます。

 続きまして、今後の防災訓練についてでございます。

 各地域の集合形式による実動型防災訓練は、感染防止対策の徹底を図った実施により、令和2年度が60回であったのに対し令和3年度は235回となり、今年度はさらなる回復傾向が見られているところでございます。

 一方で、集合形式以外での訓練方法として、リモートでの防災講演会のほか、中野区防災YouTubeや東京消防庁作成のリモート訓練用DVD活用により、自宅で空いた時間に安全に防災学習ができる動画教材コンテンツが充実し、防災会においても普及が進んでいるところでございます。

 今後も、集合形式による実動型訓練とリモートでの防災学習を併せて展開し、地域防災力向上のための取組を止めることなく継続的に推進してまいります。

 続きまして、情勢の変化に対応した対策についてでございます。

 新たな被害想定では、トイレやエレベーターの使用不能期間が長期化した場合、集合住宅での在宅避難の困難化が懸念されてございます。

 このことから、区内の再開発により建物の高層化等の情勢変化を踏まえ、中高層マンション向けの防災対策パンフレットの更新や、東京備蓄ナビの活用による災害への備えと防災行動力の向上を図ってまいります。

 続きまして、ペットの同行避難訓練でございます。

 区といたしましても、災害発生時のペットの同行避難の重要性については認識しているところでございます。各避難所の避難所運営会議でのペットの受入れ方法を検討した上でマニュアルに記載しているところでございます。さらに、実際の同行訓練につきましては総合防災訓練で実施しておりまして、今年度も訓練を通して同行避難についての普及啓発や課題の抽出、改善を図ってまいります。

 次に、災害時に必要となる資機材についてでございます。

 避難所の資機材として、炊き出し用バーナー、太陽光発電池などを備えてございます。避難所の訓練でも資機材の取扱いについて実施しているところでございます。資機材の変更につきましては、機能が改良され利便性の向上が見込まれる際に検討してまいりたいと思います。

 今年度の防災リーダー養成講座の実施内容でございます。

 養成講座の主な内容は、座学として、防災士の資格取得のほか、防災リーダーの必要性や在り方、区の災害特性について学んでいただくとともに、実技では、避難所配置資機材の取扱い訓練や普通救命講習の資格取得等を行っているところでございます。

 私から最後に、防災会と防災リーダーの連携についてでございます。

 防災リーダーには継続して地域に根付いた活動をしてもらうため、認定後も毎年防災リーダーのためのフォローアップ講座を年8回程度実施し、実技訓練や防災講演会等を通して最新の防災に関する知見等を深めてもらっております。

○議長(内川和久) 質問時間が過ぎておりますので、御答弁は結構です。

 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 むとう 有 子

 1 清掃事業について

 2 学習支援事業の拡充について

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、むとう有子議員。

〔むとう有子議員登壇〕

○40番(むとう有子) 区民の方からお寄せいただきました御意見を基に質疑をいたします。

 清掃事業について。

 一点目、プラスチックの資源化についてお尋ねをいたします。

 プラスチックは安くて軽くて便利とされ、私たちの生活にあふれています。しかし、きちんと処理されず捨てられると、川から海に流出し、半永久的に分解されないため、生態系に大きな影響を及ぼします。紫外線や波の力などで細かく砕かれたマイクロプラスチックは、既に私たちの食べ物にも含まれていることが分かっています。

 こうした海洋プラスチックのごみ問題をはじめ、プラスチックが関係する地球環境問題に対応するため、遅ればせながら日本でもプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が今年の4月に施行されました。

 中野区では、プラスチック容器包装廃棄物は、略称、容器包装リサイクル法に基づいて分別収集し、再資源化を図ってきましたが、それ以外のプラスチック使用製品廃棄物は燃えるごみとして処理されていました。なお、サーマルリサイクルと称するプラスチックの焼却は世界ではリサイクルとは認められていないことを指摘しておきます。

 略称、プラスチック資源循環法の施行により、プラスチック製容器包装廃棄物以外のプラスチック使用製品廃棄物も再商品化できる仕組みがつくられました。市区町村は分別の基準を策定し、分別収集されたプラスチック使用製品廃棄物を市区町村の状況に応じて、1、容器包装リサイクル法に規定する指定法人、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会に委託し、再商品化を行う方法と、2、市区町村が単独でまたは共同して再商品化計画を作成し、国の認定を受けることで、認定再商品化計画に基づいて再商品化実施者と連携して再商品化を行う方法が示されています。

 努力義務にすぎない法律ですが、プラスチック使用製品廃棄物についてどのように取り組むお考えなのでしょうか。回収方法や排出予測量、廃棄物を原材料として再利用するマテリアルリサイクルや、環境先進国の主流である、廃棄物に化学的な処理を施し他の物質に転換してから再利用をするケミカルリサイクルがあります。どのリサイクル方法を選択するのか、再商品化の経費負担の在り方も含めてお答えください。

 重要なことは使い捨てプラスチック製品を減らすことであり、製造者責任を追及しつつ、資源循環の促進となるような区の取組の構築を求めます。

 次に、二点目として、清掃職員の作業着についてお尋ねをいたします。

 今年は、日本中で猛暑日が過去最多となるなど、記録的な暑い夏でした。そんな猛暑の中、私たちの衛生的な生活を支える清掃作業員は、過酷な炎天下でごみの収集作業を行っていました。

 私の家の前が集積所であり、ある日、35度を超える猛暑の中で、収集作業を、御苦労さまと感謝しつつ、私は申し訳ありませんが涼しい家の中から何気なく見ていました。そこで、収集作業を行っている二人の作業員の作業着が異なっていることに気づきました。お一人の方は作業着の上に蛍光黄色のラインつき反射チョッキを着ていました。特にチョッキの方は作業着が汗でびしょ濡れになっていることが分かり、あまりにも暑そうでした。チョッキを着ていない方と作業着に付着する汗染みに大きな差がありました。

 後日、清掃職員の方に作業着の違いについてお尋ねをしたところ、今年から派遣職員の作業着が変更になったとのことでした。チョッキを着ている方が派遣職員であり、常勤職員の夏の作業着との違いは、派遣職員の作業着には脇の下から腰にかけてのメッシュがなく、背中に熱を逃がす切り込みもなく、布地も厚い上に、さらにチョッキを重ねて着ているということでした。派遣職員からは、暑いし、チョッキが作業中に引っかかり作業しづらいとの意見が出ており、派遣会社からも変更の要請があったと聞きました。

 以前は全職員がチョッキを着けていたそうですが、作業中に様々なものに引っかかり危険であること、動きづらく暑いとのことで、現場職員の要望でチョッキはなくなり、現在の作業着になったそうです。

 同じ収集作業という労働を行うにもかかわらず、派遣職員の作業着を常勤職員より品質低下させたことや、常勤職員が危険で暑いとして改善し、やめたチョッキを復活させ、派遣職員に着させることはあってはならない差別的な取扱いだと言わざるを得ません。

 8月25日付で清掃事務所長の人事異動があったことから、前任の管理者の対応だとは思いますが、今年の夏、派遣職員の作業着を常勤職員が改善してきた作業着から逆行するような暑さが抜けにくいものにし、さらにその上に作業しづらく危険なチョッキの着用に変更した理由をお聞かせください。

 来年の夏には派遣職員も常勤職員も同じ品質の作業着にするべきだと考えます。区の見解をお答えください。

 過酷な炎天下の労働が少しでも快適に、安全に、効率よく行えるように、さらなる改善を目指し、来年度の夏には常勤職員、派遣職員ともに、文京区や足立区で貸与している扇風機のついた空調服の採用の検討を求めます。お答えください。

 労働内容に即した快適で安全な作業着は仕事の効率を高め、区民サービスの向上につながります。同じ仕事を担う現場で派遣職員の作業着の品質を落とすなどの区の対応は、まさに差別的人権意識の表れだと指摘しておきます。

 次に、三点目として、清掃職員の採用計画についてお尋ねをいたします。

 区移管から23年、職員の採用をしていない区は、中野区を含めて5区だけです。職員の採用を求めてこれまで何度となく質疑をし、1年前の決算総括質疑では、大規模災害の発生時にも安定した清掃事業を確保していくためには一定規模の直営を維持する必要があるとの認識を示され、2023年度以降の採用を検討していきたいとの答弁でした。

 区のホームページに、8月29日付で清掃職員2名の募集が載っています。移管当時、再雇用職員を含め約240人いた職員が、現在122人ですので、待ちに待った採用ですが、2名の採用は一歩の前進にすぎません。次年度以降の長期的な採用計画についてお答えください。

 毎日生活の場から排出するごみは、地球規模の環境問題、世界経済へとつながっています。まずは暮らしの場である地方自治体から課題を認識し、しっかり取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。

 学習支援事業の拡充についてお尋ねをいたします。

 前回の第2回定例会一般質問で質疑いたしましたが、8月26日に開催された子ども文教委員会で、学習支援事業の拡充に係る考え方についての報告がなされました。

 私は、質疑の中で、しいの木塾の対象学年は小学6年生から中学3年生ですが、算数でのつまずきが顕著になる小学校3年生から、高校中退者が多い高校1年生を含めた対象学年の拡大を求めました。示された報告では、小学生は4年生、5年生が対象となり、中学生は週1回から2回へ、新たに児童扶養手当を受給するひとり親家庭が対象に加わり、一歩前進と受け止めましたが、小学校3年生と高校1年生が対象にならなかったことは大変に残念でした。

 小学3年生のつまずきの解消、及び高校進学が到達点ではなく高校卒業を目指す支援策について、区の見解をお答えください。

 学校の勉強は学校で理解させることが基本ですので、任期付短時間勤務職員の拡充を求めるとともに、家庭の経済状況による学力格差を生み出さない施策展開を願い、誠意ある答弁を求め、質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) むとう議員の御質問にお答えします。

 私からは、学習支援事業の拡充についてのうち、高校卒業までを見据えた施策についてでございます。

 高校生に対する支援策の検討に当たって、しいの木塾を利用していた高校生の実態把握を行うことを予定しているところでございます。また、東京都立大学が区内の高校2年生年齢の子どもと保護者を対象とした生活実態調査を行うこととしておりまして、当該調査結果を踏まえ、さらに検討を重ねていきたいと考えているところでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、学習支援事業の拡大についてのうち、いわゆる小学3年生のつまずきの解消についてお答えいたします。

 教育委員会では、さらに多くの学年、学級で少人数指導や教科指導などの充実を図ることができるように、任期付短時間勤務教員の増員について検討を進めているところでございます。

 一人1台の端末や、東京都の施策等も活用いたしまして、低学年のうちから一人ひとりの学習状況に合った支援が充実できるよう体制を強化してまいります。

〔環境部長朝井めぐみ登壇〕

○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、清掃事業についての御質問にお答えいたします。

 初めに、製品プラスチックの資源化についてでございます。

 製品プラスチックの回収につきましては、容器包装プラスチックとの一括回収を検討しており、排出予測量は年800トンから900トン程度を想定しております。

 再商品化につきましては、容器包装プラスチックとの一括による安定的かつ効率的なリサイクルにつなげるため、区独自のルートではなく、国の指定法人を活用する容器包装リサイクル法ルートを検討しております。その場合、容器包装リサイクル協会が入札により委託する再商品化事業者のリサイクル方法となり、ケミカルリサイクルよりマテリアルリサイクルが優先される仕組みとなっていますが、不確定でございます。

 製品プラスチックの再商品化に係る経費は、現在のスキームでは自治体の負担となっていますが、今後、拡大生産者責任などによる事業者負担を国などに要望してまいります。

 次に、清掃事業者の作業服についてでございます。

 作業服は発注してから納品に4、5か月かかるため、日々メンバーが変わる派遣職員につきましては汎用性のある市販品を貸与しているところでございます。今後は、派遣職員の作業服につきましても、発注方法の工夫などにより区の職員と同じものにできるかどうか検討してまいります。

 空調つき作業服につきましては、他の自治体の事例を参考に、機能性、安全性を検証してまいります。

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、清掃事業についての御質問のうち、清掃作業員の採用計画についてお答えいたします。

 清掃作業員の新規職員につきましては、年度ごとの退職者数等を考慮しながら、欠員に応じて一定数を採用していく考えでございますが、具体的な採用計画については未定でございます。

○議長(内川和久) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 近 藤 さえ子

 1 重層的支援体制の整備について

 2 デジタルデバイドの解消について

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、近藤さえ子議員。

〔近藤さえ子議員登壇〕

○30番(近藤さえ子) 無所属の近藤さえ子です。

 まず、重層的支援体制の整備について伺います。

 重層的な支援が必要な家庭には様々なケースがありますが、今回は、いわゆる8050問題、80代の親が50代のひきこもりの子どもを抱える問題に対して、区はどのように取り組んでいるのか、または今後どのように取り組むのかを質問させていただきます。

 一般に8050問題と言われますが、現実には9060問題、7040問題等、どの世代にも厳しい状況が見られます。少子高齢化で子どもの人数は減っているものの、親と未婚の子だけという家庭は増え続けています。

 厚生労働省の2019年国民生活基礎調査の概況によると、65歳以上の者のいる家庭は2,558万4,000世帯、全世帯の49.4%。世帯構造を見ると、夫婦のみの世帯が827万世帯、65歳以上の者のいる世帯の32.3%で最多、単独世帯が736万9,000世帯、同28.8%、親と未婚の子のみの世帯が511万8,000世帯、同20%となっています。親と未婚の子のみの世帯は、調査を開始した1986年に11.1%だったのが、30年後の現在では20.7%と倍近くに膨れ上がっています。

 高齢化する自身の生活に対する不安から、親の世代は早期の支援を望んでいます。今年度から、社会福祉協議会と連携してひきこもり対策を本格実施したといいますが、現在の状況を教えてください。

 先日、8050問題を抱えていた御家庭の60代のお子さんが亡くなりました。高齢のお母様は御近所の方とは交流がありましたが、同居中のお子さんのことはほとんど知られていませんでした。お母様から御自身の生活上の相談を持ちかけられた近所の方は、すこやか福祉センターに相談したり地域で話しながら高齢の彼女を見守ってきました。介護保険の訪問介護のヘルパーさんも入り、近所の協力もあり、二人の生活は成り立っていました。

 しかし、しばらくお母様を見かけなくなり、近所の方も分からず、離れて暮らす家族に事情を聞くと、お母様は入院され、一人になったお子さんは亡くなってしまったということです。

 確かに高齢の母親にはヘルパーさんがついて日々生活は何とか回っていました。しかし、母親が入院し医療の対象となり、介護事業所のヘルパーさんが家に来なくなった段階で、ひきこもりであった子どもは一人置き去りにされてしまったのです。高齢の母親を見守ってきた地域の人たちは、まだ自分たちと同じか、むしろ若い方が亡くなってしまった悲しい結果に大変心を痛めています。私自身もお二人を助けてあげられなかったことが残念でなりません。

 このケースの場合、親子だけで暮らしていて、長い間自宅に引き籠もっていた人を一人にしてしまうことは実に危険なことです。ましてや、地域の方はすこやか福祉センターにこの御家庭のことも相談されているのです。このような重層的な支援が必要な家庭について、区は、令和3年度に重層的支援体制整備事業として本格実施に向けて準備をし、今年度から本格実施してきたと思いますが、なぜ支援の手は届かなかったのでしょうか。

 介護事業所とすこやか福祉センターが連携し、残された方の支援に速やかに入るべきだったと思いますが、おそらくその連携は取れていなかったのだと思います。重層的支援、他機関連携と言葉では言いますが、速やかな連携が取れる体制は築かれていなかったと感じます。

 重層的な支援体制で最も大切なことは、支援が必要な家庭を中心に、関係部署、地域の方が顔の見える関係を築くことです。

 先日、犯罪被害者当事者、自治体職員、福祉の専門家、介護職員、保健師、マスコミなどの支援者たちで、例えば家族の中で誰かが交通事故に遭ったときなどの事例を幾つも挙げ、様々なケースを想定し、事故で入院したのが父親、母親、子どもなど家族の誰であるかにより、それぞれどのような支援が必要なのか、この家族のキーパーソンは誰になるのか、キーパーソンが家族にいない場合は誰に連絡を取ればよいのかというケース会議を行いました。

 私は、このようなケース会議を度々経験し、被害者家族を支援することを学んでいますので、多くの自治体、警察、法務省などの職員研修に呼ばれても支援の仕方を語ることができます。区でも、重層的な支援が必要な家族それぞれのケースが違っても、多くの事例から適切な対応を学び、関係機関がつながり、すぐに支援に入れるような体制をつくっておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 ひきこもり状態の方がこれまで頼ってきた親と離れる事態になってしまってすぐに、母親の入院からわずかな期間で亡くなってしまうとは思わなかったというのでは、ひきこもり対策への不勉強としか言いようがありません。ひきこもりの方が少しでも早い段階で社会とつながりを築けるようなひきこもり対策も重ねてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 次に、デジタルデバイドの解消について伺います。

 区では、スマートフォン・タブレット相談会、初心者向けタブレット講習会等を開催し、高齢者のデジタルデバイド対策を行っています。

 私も、区役所で開かれたスマートフォンの相談会に参加させていただきましたが、大変好評のようで、1時間待ってようやく相談を受けることができました。その待ち時間に相談されている方の様子を拝見していますと、そのレベルに差があるように見えました。また、待っている人同士で話をしましたが、次のような声がありました。

 御高齢の方をPCR検査にお連れしたが、その方はスマホを持たずに自分のアドレスがないため検査を受けることができなかった、新国立競技場の見学会に行くのにホームページから予約をしようとしたが、スマホがないため予約ができなかった、パソコンはあってもスマートフォンを持っていないので行きたいところに行けなかったなどでした。

 高齢者の中でも格差があり、大変上手にモバイル機器を使いこなしている方もいれば、苦手で尻込みをしている方、全く興味のない方もいらっしゃいます。このような状況で高齢者のデジタルデバイドを解消するには、このような相談会を継続することも大切ですし、もっと細かい地域の単位で気軽に相談できるような環境をつくっていくことも必要であると考えます。いかがでしょうか。

 また、行政が高齢者に対して積極的にデジタル化を進めるのであれば、消費者センターの横に高齢者が気軽に相談できる相談窓口を設置してほしいとの要望もありました。いかがでしょうか。高齢者の中でも格差があるデジタル機器への対応、何をゴールとして取り組んでいるのか、教えてください。

 次に、仕事のデジタル化全般について伺います。

 区は、庁舎の中でもデジタル化、ペーパーレス化を進めています。ワンナップチャレンジで優勝した総務部は、既にサンプラザ5.4個分のペーパーレス化に成功したとの報告もありました。

 しかし、先日お会いした私立保育園園長会の方のお話では、以前より提出書類が増えて、これまでの非常勤職員では対応できないほどの手続書類があり、人件費の増額を求めていました。行政組織の中でも格差が大きくあると思います。

 介護サービス事業所連絡会の方からも、書類の多さに疲弊する、紙を保管する量が増えている、他区では作成していない文書の提出もあるとのことでした。

 どちらも日々子どもたちや高齢者の命と向き合う大切な仕事をされている団体からの切実な願いです。ぜひ事務負担の軽減に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、保育園、介護サービス事業所などの事務手続のデジタル化、ペーパーレス化をどのように考え、事務の効率化を進めていくのでしょうか。事務の簡素化を進めて、子どもたち、高齢者などの利用者に向き合う時間の確保に努められるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 これで私の全ての質問を終わります。ありがとうございます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 近藤議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、まず最初に、デジタルデバイドの解消についてで、定期的な相談会の実施についてでございます。

 今年度は、区が主催するスマートフォン・タブレット相談会のほかに、東京都と共催で実施するスマートフォン相談会を実施しておりまして、参加者から定期的な開催の希望を多く受けているところであります。今後、東京都と連携をし、区民の多くが利用しやすい区役所本庁舎などでの定期開催や、地域における相談会の開催回数の拡充などを検討してまいります。

 次に、高齢者の不安を解消する事業の在り方についてでございます。

 今年度、区が主催しているタブレット講習会や相談会におきましても、モバイル機器の購入時の注意点等契約トラブルに関する内容を盛り込んでおりまして、啓発や不安の解消に努めております。次年度以降の事業の開催場所につきましては、今年度の実績も踏まえてこれから検討してまいりますが、引き続き、事業の周知及び不安の解消に向けて手法を検討してまいります。

 次に、高齢者のデジタル機器への対応についてでございます。

 現在のデジタルデバイド対策事業は、一人でも多くの高齢者がオンラインで利便性の高いサービスを利用できるよう、モバイル機器への苦手意識や不安解消をゴールに取組を行っています。東京都と共催する事業の実施状況や、区が主催する事業における参加者や相談内容の傾向を注視するとともに、参加者からの意見、要望等を踏まえながら今後の事業の展開を検討してまいります。

 次に、保育園の事務負担の軽減についての御質問です。

 事務手続の効率化につきましては、保育園から要望いただいて順次手続の簡略化を行っているところでございます。今年度は補助金などの申請書類の押印を廃止し、メールで提出できるよう改善するとともに、提出書類の削減も行っておりまして、今後も保育園の事務負担の軽減に常に努めてまいります。

 最後に、保育の質の向上についてでございます。

 保育園に関する事務手続を簡素化して、保育士が保育に専念できる時間と心のゆとりを生み出すことで、さらに子どもたちに寄り添った温かい保育が行われると考えております。現在、私立保育園に対してオンラインを活用した保護者との連絡や登降園管理等に活用するICT機器の導入に係る補助、これを行っているところであります。今後もより一層保育園事務のICT化を進め、保育の質の向上に努めてまいります。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、重層的支援体制の整備についてまずお答えいたします。

 初めに、ひきこもり支援事業の現状についてです。

 区では、令和4年度から中野区社会福祉協議会に委託し、ひきこもり相談窓口の設置、ひきこもり支援に対する情報発信、居場所づくり、家族会の支援等を行っております。

 令和4年8月末現在、新規の相談件数は34件、対象となるひきこもり当事者の人数は23人となっております。相談の多くは家族の方からとなっておりまして、そのほかは地域包括支援センターなど関係機関からの相談となっております。

 次に、速やかな支援のための連携についてです。

 今回のケースにつきましては、以前からすこやか福祉センターに本人の家族から御相談があり、ケアマネジャーや地域包括支援センター、医師等と連携して支援が行われるよう進めていたところでございました。

 ひきこもりの当事者やその家族に対する支援として、地域の関係機関等と連携し、発見から速やかに支援につなげ、見守ることができる重層的な支援体制を整えてまいります。

 次に、ひきこもりの方の社会参加支援についてです。

 これまでの相談ケースを見ると、ひきこもりの当事者にアプローチすること自体がとても難しく、長期化するケースが多くなっております。社会福祉協議会のほか、地域の関係機関が連携し、当事者へのアプローチを継続して行うとともに、それぞれの人に合った多様な居場所づくりや社会参加支援を行ってまいります。

 続きまして、デジタルデバイドの解消についての御質問のうち、介護サービス事業者との事務手続のデジタル化等についてお答えいたします。

 事務手続のデジタル化につきましては、新庁舎移転に伴う紙ベースの削減という観点からも大変重要であると考えております。これまで区は事業者との情報共有のためのシステムの導入等を行ってまいりましたが、今後も、事業者の利便性の向上のため、電子申請の推進や事務の簡略化等に努めてまいります。

 最後に、介護サービス事業者の事務の簡素化と質の向上についてです。

 介護サービス事業者において、事務の簡素化を進めることは、介護職員の負担の軽減やサービスの向上につながります。事務の効率化により生じた時間を高齢者やその家族からの相談等に使うことができるよう、区としても事業者の負担軽減に努めてまいります。

○議長(内川和久) 以上で近藤さえ子議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時01分休憩

 

午後3時20分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 石 坂 わたる

 1 災害対策について

  (1)内閣府のISUT(災害時情報集約支援チーム)との関わりや区の情報収集について

  (2)区の情報システム及びMicrosoft365の災害時の活用について

  (3)新庁舎での災害時の動き、BCP及び災害対策マニュアルについて

  (4)その他

 2 子ども・高齢者・障がい者など全ての人が暮らしやすい地域生活の支援について

  (1)「にも包括」(精神障がいにも対応した地域包括ケアシステム)の構築と重層的支援につ

いて

  (2)物価高騰と施設・事業者への支援について

  (3)区が行う情報発信のユニバーサルデザインについて

  (4)その他

 3 その他

 

○議長(内川和久) 石坂わたる議員。

〔石坂わたる議員登壇〕

○29番(石坂わたる) 質問いたします。

 1、災害対策について。

 (1)内閣府のISUT(災害時情報集約支援チーム)との関わりや区の情報収集について伺います。

 内閣府等のメンバーで構成されるISUTは、災害時に各組織が所有する情報を集約し、ISUTサイト上で重ね合わせと地図化を行い、それが様々な会議や現場で共有できるようにします。区は、ISUTから入手した地図情報などについて、災害対策本部や災害時に立ち上がる各班、各部署にどのように共有させるのかを考えておくべきではないでしょうか。

 また、ISUTでは、平時から各機関が実施する防災訓練での地図作成や、ISUTに関する講義への講師派遣、ISUT活用のための研修を開催しています。平常時からISUTとの連携をした訓練をはじめ災害への備えが必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 (2)として、区の情報システム及びマイクロソフト365、以下MS365と述べます、の災害時の活用について伺います。

 現在の区の情報システムは、バックアップなどの関係で、23時から7時の間は職員間のコミュニケーションに利用しているグループウェアが使用できないという問題があります。しかし、災害は昼夜を問いません。現行では23時から7時に災害が起きた場合にどのような問題が起こり得ますでしょうか。また、MS365導入でどう変わるのでしょうか。加えて、現行の情報システムとは異なり、区役所が大きな被害を受けた場合にもMS365ならば場所を選ばず活用できると思いますが、いかがでしょうか、併せてお答えください。

 さらに、2021年度5月13日の総務委員会で報告をされたとおり、現行では、災害時の情報連絡態勢において、区行政では区長ほか特別職、管理職を中心とした災害対策本部員約60名がLINEワークスを活用することになっています。これについて、MS365導入でLINEワークスからどのように変わるのでしょうか。

 また、先日の情報政策推進調査特別委員会でMS365の導入についての報告がありましたが、個人が私物として所有をしているパソコンやスマートフォンあるいはタブレット端末を業務に使うBYODや、防災担当や各部署所有のスマートフォン端末などの活用も災害時には必要と思われますが、いかがお考えでしょうか。

 その際には、MS365に対応する端末を持たない管理職への対応をどうするのかの検討や、MS365が入れられない端末しかない部署では少なくとも今後の買換えの際にMS365が入れられる端末に順次切り替えていくことが必要となると思われますが、どのように考えていますでしょうか、併せてお答えください。

 (3)新庁舎での災害時の動き、BCP及び災害対策マニュアルについて伺います。

 新庁舎では、現庁舎よりも機能が強化された災害対策本部の部屋が設けられ、1階シティホール部分は区民向けに活用できるようになります。しかし、ハードだけではなくソフト面も新庁舎に合わせたものにし、また、各所管の災害時のマニュアルも新庁舎移転に伴うオペレーションの変化に合わせたものにすることが必要です。

 災害対策マニュアルは現在各所管で作られていますが、一つひとつの手順をチェックしていけるようなマニュアルの体裁にはなっていません。何年か前に視察をしました大阪府四条畷市では、各部署の作成したチェックリスト方式のマニュアルがBCPの冊子に全てまとめられ、各マニュアルは、チェック項目を確認して最低限必要なことがどの職員でも行えるようになっています。こうした四条畷市のようなチェックリスト方式のものを作成し、冊子にまとめるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、新庁舎移転前に新庁舎での災害に備えた訓練を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 続きまして、2、子ども、高齢者、障がい者など全ての人が暮らしやすい地域生活の支援について伺います。

 (1)「にも包括」と重層的支援について伺います。

 厚生労働省は、平成29年度より「にも包括」と言われる精神障害者にも対応した地域包括ケアシステム構築推進支援事業を立ち上げ、その報告書では、地域共生社会の実現を視野に入れ、医療、障害福祉や介護、住まい、就労やその他の社会参加、地域の助け合い、教育を含む普及啓発が包括的に確保された地域包括ケアシステムの構築を目指すとしています。

 中野区では重層的支援の枠組みで考えられていますが、北区では、「にも包括」の構築に当たっては、計画的に地域の基盤整備を進めるとともに、協議の場を通じて、重層的な連携による支援体制を構築していくとしています。中野区では「にも包括」をどのように進めようと考えていますでしょうか。

 また、コロナ禍以前から、本人が希望しても精神障害者に対する保健師の訪問がなかなかしてもらえないとの声を聞きます。保健師あるいは支えあい推進部のアウトリーチチームや、その他の地域支えあい推進部の職員が適宜精神障害者のところへ訪問する体制を整備することや、それらの担当者が精神障害者と地域や様々な機関とのつなぎ役になることが必要と思いますが、いかがお考えでしょうか。

 (2)物価高騰と施設・事業者への支援について伺います。

 先日、各常任委員会で報告された物価高騰への対応について、障害者施設や高齢者施設の光熱水費や高齢者施設のガソリン代の値上がり分への支援を行っていくとの報告がありました。

 しかし、食品類の値上がりも深刻です。子どもに関しては、学校給食への支援策が補正予算に盛り込まれています。しかし、介護事業者から、大規模施設では何とかなっているようだが、小規模施設では食事の材料となる食品の値上がりが経営を圧迫しているとの話があり、障害者施設からは、利用者の昼食の材料となる食料品の値上げも、施設の自主製品であるお菓子類の材料となる食品類の値上がりも影響が出始めているとの話を耳にしています。早急な手だてが必要ではないでしょうか。

 (3)区が行う情報発信のユニバーサルデザインについて伺います。

 前任の広報アドバイザーの方が退職され、2代目の方が採用となりましたが、区の広報の改善を次のフェーズで考えることが必要です。

 その一つは、これまで改善されたことの検証があります。ユニバーサルデザインに配慮をされたフォントを例に取りますと、区報の文章について、先日私は、放送大学の伏見清香先生に指導をいただきながら、実際の区報の文章を用いたMSゴシック、BIZ UDPゴシックMedium、A-OTF UD新ゴNT Pr6N L、以下UD新ゴと述べます、の三つのフォントスタイルについて、それぞれ11ポイント、9.60ポイント、8.89ポイントの3種類、計9種類のフォントを用意し、14人の発達障害者に読み比べをしてもらいました。

 そうしたところ、当事者が読みやすいとぱっと見で感じる主観的評価では、UD新ゴが明らかに読みやすい結果が出ました。しかし、音読による誤読数、再読数、所要時間などの客観的評価については有意差がない結果となり、わずかな差ながら、UD新ゴが読みやすいという傾向が示唆されたレベルにとどまりました。

 また、以前、区の元職員の方から、高齢者はUDフォントよりも一般的な教科書体が読みやすいと主観的には感じるが、実際に読んでもらうとUDフォントのほうが誤読が少ない印象だったとの話を聞いたこともあります。

 主観的評価と客観的評価の双方を調べる形でのフォントの検証が求められますが、いかがでしょうか。

 また、ホームページについて、必要な情報にたどり着けないと発達障害者の方から数多く耳にします。ホームページのレイアウトや階層等についての見直しも必要ではないでしょうか。

 それから、先日たまたま、中野区在住の、欧米系で日本に帰化をした、日本語での会話には不自由はないが読み書きが難しい方が、自力で読めない区の発行物を友人に読んでもらっている場面に遭遇をし、彼らと知り合いになりました。単なる読み上げだけならよいのですが、行政用語などは平易にしてあげる必要が生じ、読んであげている友人の主観がかなり介在しているように思われました。

 日本語が不自由な外国人に対して、外国人が多く行う手続や生活情報を想定したユニバーサルデザインに加えて、日本語が不自由な日本人へのユニバーサルデザインをどう進めていくのかも大切であると思われます。こうした日本語が不自由な人に対応するガイドラインの作成をすべきと思いますが、いかがでしょうか。

 私の質問は以上です。答弁をお願いいたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 石坂議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、災害対策について、ISUTの関わりについてでございます。

 ISUTの情報につきましては、災害時のライフラインをはじめ、都道、国道を含めた道路状況等、重要な情報が集約されるため、積極的に活用することを考えております。区はこれまでも、内閣府ISUTチームが主催する研修会に参加しているところでありまして、今後も、活用状況も踏まえて適切な備えを行ってまいりたいと考えております。

 続きまして、災害時のマイクロソフト365活用についてでございます。

 現行のグループウェアは深夜など使用できない時間がありまして、災害時等の職員間の情報共有に課題があることから、現在、本年6月に試行導入をした庁内チャットシステムにより補完をしております。

 一方、マイクロソフト365は24時間稼働可能なサービスとなっております。また、クラウドを活用したサービスであることから、職員の自宅など庁外からでも職員が接続できる環境の構築が可能となります。具体的な活用や運用ルールにつきましては、引き続き検討してまいります。

 次に、LINEワークスとMS365の比較についてでございます。

 LINEワークスは、主に幹部職員の災害時等の連絡、情報共有用として活用している外部サービスでございます。現行のグループウェアなど区の情報基盤とは接続、連携しないところであります。

 MS365では、業務ファイルへの外部からのアクセスや、これと連動したウェブ会議やチャットなど、連続かつ一体的な運用が可能となりまして、災害時の迅速な対応にも資すると考えております。

 次に、職員の私用端末の業務への活用についてでございます。

 緊急時の連絡体制の確保などの視点から、特別職、管理職を中心とした私用の端末や、現在職場で利用している端末を引き続き活用することが必要であると考えております。端末を保有していない職員につきましては、従前の電話等による連携とともに、テレワーク用端末の活用を検討するなど、より強固な連絡体制の確保を行いたいと考えております。

 既に利用している端末の買換えにつきましては、職場ごとの活用状況も踏まえて適切に行ってまいります。

 私から最後に、新庁舎での災害時の動き、BCP及び災害対策マニュアルについてでございます。

 災害対策マニュアルは分かりやすく必要なときにすぐに取り出せるよう配備することが必要であると考えておりまして、全職員が見られる場所に格納してまいります。

 職員の防災訓練につきましては、新庁舎移転までに新庁舎での想定も盛り込んだ図上訓練の実施を考えてまいります。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、子ども、高齢者、障害者など全ての人が暮らしやすい地域生活の支援についてお答えいたします。

 まず、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの進め方についてです。

 精神障害者の地域包括ケア体制の構築につきましては、すこやか福祉センターのほか、医療、福祉の専門機関、その他地域の関係機関等が連携して包括的な相談支援と地域の基盤づくりを重層的支援体制の中で進めてまいります。

 次に、精神障害者の重層的支援についてです。

 精神障害者に対する訪問支援は、すこやか福祉センターの保健師が必要に応じて行っております。本人に寄り添いながら、様々な機関と共同し、訪問を含めた継続的な支援を適切に行っていくため、すこやか福祉センターを中心とした重層的な支援体制を強化してまいります。

 次に、物価高騰と施設、事業者への支援についての御質問です。

 食材費に対する支援につきまして、介護や障害者施設におきましては、食事等の提供状況が様々でございまして、事業者が食材関連業者と調整を図りながらやりくりしているとの声も聞いております。そのため、現時点では統一的に光熱費上昇分の支援を検討しているところでございます。今後も、事業所の状況を聞き取りながら、ほかの支援についても必要な対応を考えてまいります。

〔企画部長石井大輔登壇〕

○企画部長(石井大輔) 私からは、区が行う情報発信のユニバーサルデザインについてお答えいたします。

 まず、フォントの主観的評価と客観的評価の双方による検証についてでございます。

 区報などの広報物につきましては、ユニバーサルデザインに配慮したフォントを使用しておりますけれども、フォントの読みやすさにつきましては、区報のアンケートなどを通じて読者の意見を聞くとともに、フォントの違いによる影響の研究結果を参考にしながら、より多くの方が読みやすく認識しやすいフォントの使用に努めてまいりたいと考えております。

 続きまして、区ホームページのレイアウトや階層の見直しについてでございます。

 現在の区の公式ホームページにつきましては、できる限り見やすくなるよう、都度改善しているものの、階層構造など根本的な見直しが必要であることから、来年秋の稼働に向けて全面リニューアルに着手しているところでございます。スマートフォン対応も含め、特にアクセシビリティに配慮したものとしていく考えでございます。

〔文化・産業振興担当部長高橋昭彦登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高橋昭彦) 区が行う情報発信のユニバーサルデザインについてのうち、日本語が不自由な方に対するガイドラインの作成についてお答えいたします。

 区は、行政手続などの情報について、多言語のほかに、易しい日本語による発信を行ってございます。易しい日本語は日本語が不自由な方に対する情報伝達手段としても有効であると認識しているところでございます。

 昨年度より、職員向けに易しい日本語研修を実施してございますが、職員がより易しい日本語を活用できるような環境を整備するため、ガイドラインの作成についても今後検討していきたい、そのように考えてございます。

○議長(内川和久) 以上で石坂わたる議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小宮山 たかし

 1 教育委員の選任について

 2 特別支援教育等について

 3 保育園について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、小宮山たかし議員。

〔小宮山たかし議員登壇〕

○18番(小宮山たかし) 私たち区議会議員は、区民の負託を受けて、区民の代表として区民の幸せのためにこの場に立っております。何が幸せかというのは人それぞれですけれども。

 区議会議員として選ばれるに当たっては、まず、自分が何者であるのか、そして何をしたいのか、それを区民の皆様に訴え、理解していただき、選挙で投票していただかなくてはなりません。

 一方、教育委員の選任は、区長が決める、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関して識見を有する者のうちから議会の同意を得て任命するとされています。

 では、中野区の5人の教育委員の先生方が何者であるのか、何をしたいのか。私も議会でこれまで教育委員の選任の同意は入野教育長以外の4人にはしてきましたけれども、改めて今回区のホームページを開いて、今、中野区の5人の教育委員は一体どんな方が務められているのか、一体何を考えているのか、この中野区の教育行政をこれからどうしていきたいのか、そういったことを知りたいと思いましたが、区のホームページに載っている情報は非常に限られておりました。例えば、村杉寛子、医師、現職、田中英一、歯科医師、現職、伊藤亜矢子、大学教授、現職、あとは任期が書いてある、それだけですよ。

 村杉委員が現職の医師であるということは理解しました。寛子というお名前ですからおそらく女性なんでしょう。しかし、それ以上の情報が何もないんですね。医師って何科の医師ですか、新人ですかベテランですか、区立小中学校とは関係あるんですか、中野区とは関係あるんですか。伊藤委員の大学教授って何ですか、どこの大学ですか、何が専門ですか、どんな優れた識見をお持ちなんですか。

 区長は、もちろんそういったプロフィールを全て承知の上で、適任だと思って選任していらっしゃる。

私も、議会で教育委員選任の同意は5人中4人にはこれまでしてきましたので、ある程度は知っています。けれども、区民が教育委員のプロフィールを知りたいと思ってホームページを開いても、何も情報が載っていないんですよ。

 教育委員会に傍聴に行くと、夜の教育委員会などで傍聴者の発言が許可されるときが年に何回かある。区民からの発言自体は許可されるんですけれども、教育委員の先生からのお返事は何もない、一言もお返事いただけないんですよ。この場では返事はしないのがルールなので返事はできません、そう言い放つだけですよ。区民は教育委員会の偉い偉い先生のお言葉を直接頂戴することさえできない、区民は教育委員の先生と言葉を交わすことができないんですよ。手も届かない、声もかけてもらえない、プロフィールも分からない、どこの誰かも分からない、まさに雲の上の雲上人だ。

 私たち区議会議員は、この中野区のために働きたい、働かせていただきたい、そう考えたときに、まずは自分が何者であるか、そして何をしていきたいのか、そういうことを駅に出て、町に出て人々に直接訴えてきた。そして、いろんな人からいろんな話を聞いてきた。メールアドレスや電話番号を公開している人もいる。区の管理職だってそうでしょう。区民との意見交換会や説明会で人前に出れば、時として吊るし上げのような集中砲火を浴びながらも、公務員としての使命を果たしてきたじゃないですか。

 こうやって人前に出れば、小宮山は商店街の金をポケットに入れているとか、あることないこと言われて、嫌なこと言われたことだってありますよ。ここにいる全員がそんな試練を乗り越えて、それでもよりよい中野区をつくっていきたいという希望と覚悟を持ってここにいるんですよ、今。

 教育委員の皆さんに同じ覚悟を持って同じことをやれとは言いませんけれども、せめて自分が何者であるのか、この中野区の教育行政をどうしていきたいのか、そういった決意表明ぐらいはホームページの上でしていただけませんか。10年ぐらい前にはちゃんとやっていたはずなんですよ。顔写真とともにホームページに挨拶文が載っていました。どうしてやめちゃったんですか。

 中野区の教育委員会は、長いこと暗闇の時代にあった。給食食材の放射能測定を求める区民が何千もの署名を集めて教育委員会に提出しても馬の耳に念仏であった。23区の全ての区が、中野区以外の全ての区が給食食材の放射能測定をする中で、中野区だけがそれをかたくなにしなかったことを私は決して忘れません。

 教育長は民間人を登用すると公約して初当選した酒井区政の下、新しい教育長が誕生し、今までとは違う区民に開かれた教育委員会ができると私は期待した。しかし、蓋を開けてみれば、非公開の会議を連発する、区民の問いかけには答えない、今までと一緒だったじゃないですか。私が区議会議員の中でただ一人入野教育長の再任に反対をしたその理由が、今の教育委員会の情報隠蔽体質ですよ。

 教育委員会はもっと区民に対してオープンであるべきです。ある程度以上のプロフィールを明らかにすべきだし、教育にかける情熱があるのかないのか区民に伝えるべきだし、雲の上の雲上人であってはならない、象牙の塔に籠もっていてはならない。時として区民と意見交換をする機会があったっていいじゃないですか。子どもの権利、子どもの権利と言うんだったら、中学生と校則について話し合ったっていいじゃないですか。

 そして、もう一つ、今の教育委員会のメンバー5人の構成に私は疑問を感じています。

 5人の中には医師が1名と歯科医師が1名いらっしゃる。たった5人の教育委員会のメンバーの中に医療の専門家が二人もいらっしゃる。コロナ禍の今、医療に詳しい方が最低一人は教育委員会にいらっしゃると心強い、それは理解します。でも、二人も必要ですか。5人中二人、多過ぎる。例えば文化や歴史や芸術に詳しい教育委員の方はどなたかいらっしゃるんですか。誰もいないじゃないですか。今までいたんですか。ほとんどいなかったじゃないですか。

 中野区はこれから文化芸術振興に係る基本方針をつくって文化芸術の振興に取り組もうとしている。中野区のような土地が少ない、自然が少ない、緑が少ない地域において、生活者の満足度を上げてシビックプライドを醸成していくためには、私は文化芸術こそが重要だと思っています。でも、教育委員のメンバーの中に文化に詳しい人、誰かいるんですか、歴史に詳しい人、誰かいるんですか、芸術に詳しい人、誰かいるんですか。誰もいないじゃないですか。区の職員にだってろくにいませんよ。

 教育委員会のメンバーはたった5人、特定の業界や団体からの指定席みたいなものをつくってはいけない。医療の専門家が5人中二人もいるのはおかしい。おかしいことはおかしい。

 くしくも、歯科医師の委員が11月には任期満了となる、その後任として医療関係者をまた選ぶようなことはしていただきたくない。

 今までの教育委員にはいなかった人材、例えば音楽や絵画や写真やその他アートの専門知識を持つ人材、あるいは文化や歴史や文化財などの専門知識を持つ人材、あるいはその他学術やスポーツや、これからの時代に必要となるであろうビジネスや経済や経営やプログラミングとかに関する深い知識を持つ人材だっていいと私は思っています。

 医療関係者以外の優れた人材、今までいなかった新たなジャンルの専門家を選んでいただいて、中野区の教育行政に今までなかった新しい風を吹き込んでいただきたい。そして、万が一、後任人事において新たな二人目の医療の専門家が再び選出されるようであれば、私はたった一人で入野教育長再任に反対したように、たった一人でも反対をしていくつもりです。

 任期更新を迎える教育委員の選定においては、既に一人いる医療の専門家とは別ジャンルの優れた人材を選んで加えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 次に、中野区の特別支援教育についての質問を予定していたのですが、いろいろ調べてみたところ、今、教育現場でそもそも教員が不足している。区内でも副校長が担任を長期間務めていたケースとか、新学期が始まるのに専科の先生が決まっていないケースとか、あるいは育休、産休の補充がなかなか決まらないというケースがあちこちの学校で起きている。そもそも数が足りていないのに質を求めてもなかなかそれはうまくいかないでしょうから、今回この質問は取り下げることとしました。

 教員不足に対して基礎自治体ができることは多くないのですが、数が足りないことにはにっちもさっちもいかないですから、優れた人材はほかの自治体との奪い合いになるでしょうから、ほかの自治体が対策を取り始める前に中野区独自の対策を早急にしていただきたいと思います。

 事情により、3番も取り下げます。

 その他の質問として、中野区の就労・求人支援サイト「ぐっJOBなかの」について伺います。

 「ぐっJOBなかの」は、中野区が公式に独自に運営する求人サイトで、年間の委託管理コストは80万円、2007年からこれまで15年の長きにわたり運営されてまいりました。

 ここ2か月ほど、私は「ぐっJOBなかの」を観察してまいりました。7月に掲載された新規求人数は10件余り、8月に掲載された新規求人数も10件余りでした。1日じゃないんですよ、1か月の新規の求人数が、パートも正社員も全て数えて十数件でした。

 例えば、7月に掲載されていた保育士の求人数は1件、同時期に杉並区「就職応援ナビすぎなみ」に掲載されていた保育士の求人は78件ありました。

 今月「ぐっJOBなかの」で保育士の求人を見ようとしたんですが、「保育士」と文字を打ち込んでフリーワード検索することができない。ジャンル検索しかできないんですね。じゃ、保育士は教育・学習支援ジャンルかなと思って見ても1件もない、医療・福祉のジャンルかなと思って見ても1件もない。自分が希望する職業をフリーワード検索することも今どきできないんですよ、「ぐっJOBなかの」。

 結局、「ぐっJOBなかの」で9月の保育士の求人数はゼロ件でした。中野区の保育園はどこも人が足りているのかなと思って、「中野区 保育士」とグーグル検索してみると、100件以上の求人情報がずらずらっと出てきた。その全てが区内の有効な求人情報とは限りませんけれども、中野区にざっと100園ある保育園のどこも「ぐっJOBなかの」を使っていない。中野区が区として求人を出す場合にも、区として保育園を募集する場合にも、「ぐっJOBなかの」を使っていないじゃないですか。月にたった十数件の区内事業者しかこの「ぐっJOBなかの」を使っていないんですよ。今月、杉並区の求人サイトで保育士を検索すると71件ヒットしました。「ぐっJOBなかの」はゼロ件ですよ。

 民間の大手の求人サイト、例えばインディードとか、松本人志がコマーシャルをやっているエアワークとかには無料で求人の掲載ができる。無料で求人広告が掲載できるサイトはそれだけじゃない、ほかにもいろいろとある。求人広告掲載無料でできるというのが、「ぐっJOBなかの」が立ち上がった15年前とは違う、今の時代の流れなんですよ。

 仕事を探す側だって、「中野区」とエリア指定検索をすれば、区内求人は簡単に入手できるというこの時代に、区が独自の求人サイトを運営する意味が一体どれだけあるのか。15年前に必要とされたサイトが今も本当に必要なのかどうか。月に十数件の求人しか載らない「ぐっJOBなかの」がインディードやエアワークに勝てるかのどうか、勝るのかどうか、よく考えた方がいいですよ。

 そもそも、中野区内の求人を幾ら載せたところで、南台に住んでいる人が江古田まで通勤するのは大変ですよ、鷺宮の人が弥生町まで通うのは大変ですよ。だったら新宿や都心に通勤したほうがよっぽど楽なんです。そういう都心へのアクセスがいいから中野区に住んでいるという人だっていっぱいいる。区内の南北移動がしにくい中野区で、中野区限定求人情報に一体どれだけの需要があって、一体どれだけの価値があるんですか。どうしても中野区内で仕事を探したい、中野区でなきゃ駄目だという人が一体どれだけいるんですか。どうしても「ぐっJOBなかの」で仕事を探したい、インディードが使えないという人が一体どれだけいるんですか。

 運営を続けてもう15年、こんな腐ったサイトに一体いつまで税金をじょぶじょぶと注ぎ込むつもりですか。「ぐっJOBなかの」は作り直す価値もない、税金の無駄なので、即刻廃止すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 小宮山議員の御質問で、私からは、教育委員の選任について、任期終了する教育委員の後任の選任についてお答えいたします。

 11月末日で任期終了となる教育委員の後任につきましても、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第2項の規定に従って、本区の教育委員にふさわしい適切な方を候補として選定し、議会の同意を賜りたいと考えております。

〔文化・産業振興担当部長高橋昭彦登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高橋昭彦) その他の御質問で、「ぐっJOBなかの」の運営についてお答えいたします。

 中野区就労・求人支援サイト「ぐっJOBなかの」につきましては、区内で就労を希望する者や、独自で求人を行うことが困難な区内中小企業者に対して、地域に密着した情報を提供する手段として、現在も役割を果たしているというふうに捉えてございます。

 一方で、区内の中小企業者に対するアンケート調査からは、人材確保の難しさや、区に対する採用活動を支援する声が大きい結果も出てございます。

 こうしたことを踏まえまして、現在、求人、就労の両面からニーズを捉え、サイトの充実も含め、施策の充実強化について検討しているところでございます。

○議長(内川和久) 以上で小宮山たかし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 渡 辺 たけし

 1 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画について

  (1)資材費、人件費等の高騰に伴う影響について

  (2)資金計画について

  (3)区民目線、区民感覚から見た区有地の取り扱いについて

  (4)区有財産処分における区の方針について

  (5)情報公開の在り方について

  (6)その他

 2 その他

 

○議長(内川和久) 次に、渡辺たけし議員。

〔渡辺たけし議員登壇〕

○4番(渡辺たけし) 令和4年第3回定例会におきまして、一般質問を行います。

 質問は通告どおりでありますが、その他の項目で、介護事業者に対する感染症対策への仕組みづくりの見直しについて伺います。

 まず初めに、中野駅新北口エリア再整備事業計画、資材費、人件費の高騰に伴う影響について伺います。

 現在、アメリカや主要ヨーロッパ諸国を中心に物価上昇率が予想を上回り、インフレ抑制のため、金融環境の引締めを行っております。一方、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンを受けて中国の景気が予想以上に減速し、また、ロシアとウクライナにおける戦争の影響によって、世界経済にさらなる負の波及効果がもたらされました。

 このような世界経済の状況が国内にも影響を及ぼしています。戦争の長期化や日銀の金融緩和政策に対するアメリカFRBによる金利引上げ政策により円安ドル高が加速し、輸入品目の物価が上昇する中、身近な日常生活の中では、ガソリン価格や食料品の値上げ、飲食店事業者でも原材料費の高騰に伴う価格改定が行われており、日常生活に少しずつ影響が出てきております。

 当然、このような経済状況が総事業費1,812億円と言われている中野駅新北口エリア再整備事業計画にも暗い影を落としていることが考えられます。

 建設業界では、コンテナ不足による運送料金の高騰、円安による鉄鉱石の輸入費の増加で資材費が上昇していると聞いております。また、ロシア・ウクライナの戦争の影響により原油価格が上昇しているため、塩化ビニール樹脂などの様々な化学製品が建築費用高騰に拍車をかけています。人件費もまた、職人不足や外国人労働者の賃金相場上昇の影響により、今後さらに高くなっていくと予測されています。

 果たして、当初計画のままで中野駅新北口エリア再整備事業計画が進められるものなのでしょうか。物価高騰に伴う影響について、具体的にどのような状況になっているかを説明願います。そして、その対応策をどのように考えているのか、区の見解を伺います。

 続きまして、資金計画について伺います。

 事業者がどのような資金計画を作成したのか、いまだに詳細な内容は明らかにされておりません。その中で、議会から様々な質問をしてきて分かっていることは、競合相手よりもおよそ100億円低い従前資産額を提示した事業者を選定したこと、法定限度20%まで要求できる補助率については提案当初から10%を大きく超えていること、さらに、容積率を900%から最大値1,000%へ変更したことなどであります。

 資材費、人件費の高騰によりさらに工事費が膨らんだことにより、果たして今の事業計画が成立するのでしょうか。資金計画について大幅な変更が生じるのであれば、早めに議会へ報告すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 続きまして、区民目線、区民感覚から見た区有地の取扱いについて伺います。

 私は、今年の3月に独自のアンケートを作成し、中野駅前北口の区役所・サンプラザの跡地について、7,000人ホールの区民ニーズについてなどの調査を行いました。はがきとウェブからの回答方式で450名からの御協力をいただいたことに、改めてこの場をお借りして感謝を申し上げます。

 このアンケートの中で興味深かったのは、土地を手放すことのない再開発を希望する方々が全体のおよそ6割を占めたことでありました。7,000人ホールは必要ないという回答も全体の76%となっており、区が進めている事業計画が区民目線、区民感覚と大きくかけ離れていることが見えたわけであります。

 この結果が区民の総意とまでは言いませんが、一定の割合で区有地を手放すことに違和感を感じていたり、7,000人のホールを建設することに必要性を感じていない方がいることは明らかになったのではないでしょうか。

 私はやはり、今進めている事業計画が区民目線、区民感覚から見て大きな賛同を得られている事業計画であるとは思えないのですが、区の見解を伺います。

 続きまして、区有財産処分における区の方針について伺います。

 私がどうしても納得のできない部分の一つが、区有財産の処分方法が複数ある中で、今進めている手法にした根拠がいまだに明確にされていないところであります。

 区は、時価数百億円規模の駅前超一等地を最大限利活用する手法が今進めている事業計画であるという根拠をいまだに示しておりません。現在進めている一部売却、一部権利変換という形で区有地を処分変更する以外にも、例えば定期借地権方式であったり、全て権利変換にした場合、例えば全て売却した場合など、様々複数な手法が考えられます。それぞれの手法についての財産運用シミュレーションも行わない、財産価格審議会にも諮らない、区の独断で財産処分を進めていくのであれば、区の財産を最大限に利活用するための仕事をおろそかにしていると思われても致し方ないのではないでしょうか。

 私は、複数の財産運用の手法があるのであれば、あらゆるパターンについてシミュレーションを行い、根拠のある数値を示し、議会や区民に理解を求める姿勢を示すべきと考えるのですが、区は今後も区役所・サンプラザ跡地の手法と同様に区の一存で処分方法を決めていくつもりなのでしょうか、区の見解を伺います。

 この項の最後に、情報公開の在り方について伺います。

 2023年3月の都市計画決定を目指し、区は施行予定事業者である野村グループと交渉していると聞いております。事業者と交渉していく過程で、事業内容についてある程度の修正、変更が出てくることは理解できますが、当初の計画とどの部分がどのように変更されたのか比較する資料がないと、議会の中で判断することは困難であります。

 少なくても審査会に提出された野村グループの当初計画の内容は可能な限り公開すべきでありますし、その資料を基に変更された点について議会の中で議論していくことで、議会の中の意見も反映されていくのではないでしょうか。今まで何度も要望していることではありますが、区は審査会に提出された野村グループの当初計画の内容をできる限り公開し、当初との変更点について議会や区民に説明する姿勢を示すべきではないでしょうか。

 また、都市計画決定を目指している2023年3月まで残り6か月となりましたが、いまだに詳細な内容が議会に報告されておりません。もし、現在の社会状況の影響などで時期がずれるのであれば、速やかに議会や区民に報告するべきかと考えますが、今の進捗状況についてお聞かせください。

 最後に、その他の項目で、介護事業者に対する感染症対策への仕組みづくりの見直しについて伺います。

 現状、同居する家族が新型コロナ陽性になって、要介護者から隔離され、介護ができなくなった場合の支援の仕組みを中野区独自で構築しています。

 訪問介護事業者が主にその支援を担っているところですが、第7波の感染爆発の影響で、介護される側の人が新型コロナ陽性となった際に、空きベッドがなく入院できずに、自宅療養となったりグループホームなどで待機せざるを得ない要介護者が出てきているという事象が発生していると聞いております。

 現在は、訪問介護事業者やグループホームなどのスタッフが、防護服を着用して高齢者や要介護者の身の回りの世話をしているということですが、感染リスクを伴いながらの作業をしているにもかかわらず、危険手当などの報酬は出ておりません。

 本来は国が支給するべきかと思い、厚生労働省にも確認をしたのですが、国としても支給したいという考えはあるが、なかなか予算が取れない状況であるという話を伺いました。国は、コロナに感染して自宅療養をしている要介護者への支援の継続を求めてはいますが、実際は、介護現場の方々のボランティア精神に頼っている状況であります。

 今こそ区は、区独自で構築した既存の仕組みの範囲内でリスクを冒して仕事をしている介護事業者への支援の拡充、検討をすべきではないでしょうか。区の見解を伺いまして、私の全ての質問を終了いたします。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 渡辺議員の御質問にお答えいたします。

 まず一番目に、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画についての中で、区民目線、区民感覚から見た区有地の取扱いについての中で、新北口駅前エリアの区有地の取扱いや多目的ホールについての御質問にお答えします。

 中野駅新北口駅前エリアの再整備を進めるに当たっては、区役所・サンプラザ地区再整備基本構想、そして区役所・サンプラザ地区再整備実施方針、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画と段階を踏んで計画を進めてきておりまして、その都度区議会に報告もし、区民との意見交換を行ってきたということをまず申し上げたいと思います。

 区としては、こうした説明の中で区有地等資産活用の考え方や多目的ホールの整備・誘導方針等を示してきておりまして、区民の理解を得ながら進めてきていると考えております。

 私からもう一点、その他の、自宅療養中の高齢者への介護サービスについてでございます。

 今後の感染状況や国や都の動向、他区の対応状況等を把握し、自宅療養となった高齢の陽性者に対する支援の在り方を今後検討してまいります。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長松前友香子登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(松前友香子) 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画について、残る御質問にお答えいたします。

 まず、新北口駅前エリア再整備における資材費、人件費等の高騰に伴う影響につきまして。

 原油価格、物価高騰により建設コストは上昇しており、中野駅新北口駅前エリア再整備事業におきましても、再開発事業における工事費の増大などの影響が想定されます。現在、施行予定者と今後の都市計画手続に向けて拠点施設の詳細を検討しており、物価高騰による工事費への影響についても、対応の方策など整理を進めているところでございます。

 続いて、新北口駅前エリア再整備における資金計画について。

 物価高騰による資金計画への影響についても、拠点施設の詳細検討の中で現在対応の方策など整理を進めているところでございます。今後の都市計画手続や事業認可申請手続と併せて、事業計画についても区議会や区民に対し説明をしてまいります。

 続きまして、まちづくりを実現するための手法の選択について。

 中野駅新北口駅前エリアの再整備を着実に推進するため、事業手法として、土地区画整理事業と市街地再開発事業の一体的施行が妥当であると判断をして進めてきたものであり、区有地等の財産の運用と整備事業を併せて検討してきたものでございます。今後とも、区がまちづくりの実現性などを総合的に判断する中で、事業手法と区有財産の活用方法を検討し、区民や議会への説明、意見を伺いながら進めていく考えでございます。

 続きまして、新北口駅前エリア再整備における情報公開の在り方について。

 新北口駅前エリアの再整備につきましては、区といたしまして、民間事業者募集選定結果の公表時に、提案内容を可能な限り公表、説明しており、施行予定者とともに区民に対し拠点施設整備の説明会を行っております。また、環境影響評価の手続に入る段階でも、施設計画の追加検討事項について報告をし、説明会を行っております。

 現在、拠点施設の詳細の検討を進めており、今後、都市計画手続や事業認可申請手続を進めるに当たりましては、施設計画の内容や当初からの変更点につきましても、区議会や区民に対し丁寧に説明をしてまいります。

 最後に、新北口駅前エリア再整備のスケジュールにつきまして。

 現在、拠点施設の詳細を検討しており、都市計画の内容についても関係機関と協議を進めるとともに、スケジュール等について整理を進めております。拠点施設の整備内容などと併せて、都市計画の内容について今後区議会に報告するとともに、まちづくりの説明会等を開催する予定としてございます。

○議長(内川和久) 以上で渡辺たけし議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後4時10分休憩

 

午後4時11分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 

 中野区議会議員 内 野 大三郎

 1 令和3年度決算について

 2 中野駅周辺エリアマネジメントについて

 3 区と区内の三師会との連携について

 4 新区役所移転に向けたデジタル化の進捗について

 5 きれいな空気の中野と樹木政策について

 6 中野区都市観光ビジョンの改定について

 7 労働環境モニタリングについて

 8 その他

 

○議長(内川和久) 次に、内野大三郎議員。

〔内野大三郎議員登壇〕

○15番(内野大三郎) 質問に先立ちまして、本年7月8日午前11時31分、安倍元総理が参議院選挙の応援演説中に凶弾に倒れました。衷心よりお悔やみを申し上げ、哀悼の意を表します。

 また、今月8日に英国エリザベス2世女王陛下が崩御されました。日英協会の会員として、在位70年の長きにわたる御功績をしのび、謹んで哀悼の意を表します。

 質問は通告のとおりで、その他はございません。

 はじめに、令和3年度決算について。

 基金の運用についてお聞きします。

 これまでの基金の運用はどのような考え方に基づいているのでしょうか。その上で、現在の低金利の状況下においてどの程度の運用元本で、どの程度の運用益を得ているのでしょうか。

 今後は、積極的に運用益の好評な情報を集めたり、内規を見直したりして、攻めの運用を図ってもらいたいと思います。

 もちろん、地方自治法241条2項にあるとおり、基金は確実かつ効率的に運用しなければならないので、ハイリスクな投資などは今のところ採用できないことにはなっていますが、金利と配当とでは運用利回りが時には数百倍の差になることにもしっかり目配りをしてポートフォリオ管理をするべきだと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 次に、中野駅周辺エリアマネジメントについてです。

 本年4月に、中野駅周辺の各開発地区の事業者や地域の関係者などをつなぐプラットフォーム機能として、中野駅周辺エリアマネジメント協議会が設立されました。このエリアマネジメント協議会では、今後の市街地再開発事業完了後の状況を見据え、新旧のまちづくりの担い手や官民が将来像を共有し、その実現に向けた取組の方向性を一つにするための指針として、エリアマネジメントビジョンを策定することが決まりました。

 初めに、このビジョンを策定する構成メンバーについて伺います。

 次に、そのメンバーとビジョン策定に向けた協議、検討を行っていくことになると思いますが、まちの将来像やその実現に向けた取組については、今後その練度を高めていくことになろうか思います。そこで、現時点におけるこのビジョンの方向性についてお尋ねします。

 最後に、エリアマネジメント協議会では、今後、区が事務局運営を担っていくと思いますが、様々な団体が参画されているということで、参考となるような知見やアドバイスによりこのビジョンが策定されることを期待しています。今後のスケジュール感についてお聞かせ願います。

 続いて、区と区内の三師会との連携についてです。

 現在、区と区内の医師会、歯科医師会、薬剤師会のいわゆる三師会との連携事業はどのぐらいありますでしょうか。

 この三団体は、区民が日常生活に支障が生じた場合に、生死に関わる事業を預る団体として、命と健康を守るために様々な区の連携に携わっていただいていると思います。当然、介護事業者、学校、幼稚園、保育園など、同じように命を預かる仕事もたくさんありますが、これらの団体と違って、三師会の団体は特に高度な専門性が求められる団体だと認識しています。ゆえに、区の各事業と状況に応じての打合せなどは、できるだけ短時間で負担が少なくなるよう格別な配慮が必要であると認識すべきものと考えます。

 そこで、各三師会の団体さんが区の事業としてどの程度の関わりがあるのかをお聞かせください。

 また、係る事業の数だけでなく、担当する窓口も様々であると思います。例えば、学校医、学校歯科医は子ども教育部、休日医、休日歯科診療は健康福祉部など、事業に応じて窓口が多岐にわたっています。これらの個々の事業については、直接担当者同士の打合わせが比較的スムーズに行われていると聞いています。ただ、新しい事業や制度または他の自治体での先進的な新しい取組など、新規事業の窓口は内容に応じて区の窓口を探し回らなければなりません。

 こうした取組について、各団体と担当部署とをワンストップでつなげる仕組みをつくる、つまり、団体さんからの窓口は、区の1か所に連絡すれば、区のほうで窓口や会議などの調整が一元化できる、それによってお互いの作業効率が上がるのではないかと考えます。

 こうすることによって、各団体の皆さんも、区の担当者も入れ替わった際に窓口だけを伝え合うだけで引継ぎも容易になされるものと思われますが、区の見解をお聞かせください。

 続きまして、新区役所移転に向けたデジタル化の進捗についてです。

 現在、中野区では、令和6年5月の新中野区役所開庁に向けて準備を進めています。

 新庁舎では、新たにユニファイドコミュニケーションツールとしてマイクロソフト365を導入するとともに、執務室内はユニバーサルレイアウト等、執務机の上には紙媒体が残置されないクリアデスク化が図られるなど、ペーパーレス化の実現とともに、執務空間の見え方は一変し、職員の働き方も大きく変わる方向へとシフトしています。

 一方で、幾ら執務環境を改善し、先進的なデジタルツールを導入する等ハード面を整備しても、職員のマインドがその環境の変化に追随し、働き方を意識とともに変えていかなくては、ハード面の整備は無意味なものになってしまいます。

 個々の職員が効果的に新しいツールを使いこなし、生産性を向上させ、その持ち得る能力や創造性を最大限発揮しなくては、区民サービスのさらなる向上にはつながりません。ハード面の整備とともに、行政実務において新たな執務スペースやツールの効果的な活用方法などソフト面の取組を充実化させることが重要であると考えます。

 こうした認識の下、モデルオフィスを設置し、ユニファイドコミュニケーションツールを導入するとともに、ペーパーレス化や執務空間のフリーアドレス化に取り組むなど、先進的かつ多様な取組を行い、ハード面とソフト面の様々な知見を有する東京都と中野区が日常的に連携し、一定程度支援を受ける必要性について、私はこれまで議会で何度が言及をしてまいりました。

 効果的なツールの活用方法などを研究し、職員が一律に使いこなし、生産性を向上させることで、その持ち得る能力や創造性を最大限発揮していけるよう取り組んでいただきたいと思い、次の三点、質問をいたします。

 昨年度末の状況では、東京都デジタルサービス局の支援を一定程度受けながら新庁舎移転に向けた諸課題の検討ができるように調整しているとのことでありましたが、その後、都とどのような取組を行ってきたのか、伺います。

 そして次に、さきに述べたデジタル技術の導入により職員の働き方が格段に効率化されると思いますが、具体例を示しながら、どのようなところが効率化されるのか、伺います。

 最後に、新庁舎への移転に合わせ、区民サービスが大きく向上することが期待されていますが、区役所での窓口サービスがどのように変わるのでしょうか。新庁舎に向けた窓口サービス改善に向けた取組状況について伺います。

 続いて、きれいな空気の中野と樹木政策についてです。

 中野駅南口の町会・商店街から、平成29年1月に喫煙所の再設置をしないように要望書が出されています。一方、中野駅北口の橋の下にある中野通り沿いの喫煙所は、駅のホームにまで煙がたなびいている現状です。以前も質問しましたが、駅周辺の喫煙環境は、サンプラザの角の喫煙所が廃止になったほかは変化が見られません。

 子育て先進区の施策として、特に人の集まる駅周辺の空気をきれいにすることに重点を置いていただき、きれいな空気の中野を目指してもらいたいと思います。

 中野駅北口から中野通りを渡る橋を、平成24年の開通以来、年に一度清掃していると聞きます。今年度からは区が自ら清掃しているとのことですが、橋の下にある喫煙所を取り囲むつい立てはどうでしょうか。令和2年3月の改修に併せて設置されたこのつい立ては、新設当時は白かったものが、今ではやに色に茶色く変色しています。このつい立て自体から発せられる臭いで、歩道を通る非喫煙者に多大な迷惑をかけている状態です。子どもも含めて多数の非喫煙者が通るこの道を、ぜひとも子育て先進区として、次世代を担う子どもたちにきれいな空気の中野を残していってください。区の見解を伺います。

 次に、街路樹についてです。

 都市化の進展に伴い、都会にはとかく樹木がなくなりがちです。だからこそ、行政が率先して街路樹などで歩道に日陰をつくり、自然の風を人工的につくり、少しでも都市に安らぎを提供してきたのです。したがって、街路自体は人工的であっても、樹木は自然に近い状態で手入れや管理をするべきものなのです。

 樹木を切ること自体がすべて悪であるかのように誤解している方も多いと感じていますが、道路や公園整備に当たっては、よりよい環境のために樹木を切ることもやむを得ないことがあります。樹木や草木の伐採が悪なのではなく、適切な手入れや管理をしないことのほうがよほどたちの悪いことだと思いますし、手入れ、管理を行き届かせることによって驚くほど素晴らしい景観や都市環境ができるということは、以前から指摘をさせていただいています。

 四季の森公園の芝生では相当御苦労されているようですが、公園の緑地や街路樹の手入れ、管理について様々な手法があることも御存じかとは思いますが、こうしたことの成功事例をもっと深く、広く研究を進め、以前勉強会を進めていたような民間の力を借りて、さらなる適正な樹木政策を充実させていただきたいと思いますが、区の見解をお聞かせください。

 次に、中野区都市観光ビジョンの改定について。

 8月31日の総務委員会で、中野区都市観光ビジョンの改定についての報告をいただきました。ただ、地元出身の一人として、何となくぼやっと加えてもらいたいと思う視点がありましたので、御提案をさせていただこうと思います。

 先ほどの質問でも、中野駅周辺のエリアマネジメントが盛んであると指摘をしましたが、中野駅周辺がこれほどドラスチックに変わっていながらも、中野五丁目だけはいまだに「ALWAYS 三丁目の夕日」の面影を残しています。おそらく東京でこれだけの規模の昭和感を満喫できる場所は残らなくなっていくのではないかと思います。

 東京のどこにもない昭和ノスタルジーに浸れる町、中野五丁目。そして、御代替わりして平成のランドマークになった四季の都市(まち)としての中野四丁目。まだまだ区役所・サンプラザ地区が変わるので平成の町とは言いにくい側面がありますが、令和時代前後に建設が始まった中野駅南口、これほど時代とともに変化を生じてきた駅周辺の開発は、東京ではほかに見当たりません。

 それは、この町に長く住んでいる方々一番感じているのではないでしょうか。だからこそ、都市観光のビジョンとして一番に取り上げられるべきものは、そこに住まう人々の居心地なのではないでしょうか。そして、そこに住まう人々の居心地の際たるものは安心・安全です。それらの調和が取れて初めて来街者の共感を得ることができ、にぎわいにつながっていくのではないでしょうか。

 このような視点を都市観光ビジョンのベースに持っていただいた上で、有識者など検討会の委員の方々に御議論いただき、ビジョンもしくは方針の策定に当たっていただきたいと思いますが、区の見解をお知らせください。

 最後に、労働環境モニタリングについてです。

 社会保険労務士会の皆様によって、平成30年より労働環境モニタリングがスタートしたために、各区有施設の指定管理による事業として安定的な労働環境が整備されてきており、区民サービスの維持向上に資する事業として定着をしてきているところであります。

 モニタリングの実施による効果測定は難しいものと理解をしていますが、指定管理者に対しては、区民サービス向上の視点も入れた適正な評価などを外部から実施するべきと考えますが、区の見解をお知らせください。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 内野議員の質問にお答えします。

 まず最初に、基金運用益の確保策についてです。

 基金運用につきましては、地方自治法の規定に基づいて、安全性を重視して、元本が確保される金融商品により歳計現金残高や予算額、運用可能な基金の金額や期間等を総合的に勘案して運用を行ってきたところであります。

 令和3年度の運用実績は、年度末の積立基金運用残高669億円余りに対して、運用益は3,479万円余で、運用利回りは0.05%でございました。預金のみでなく、株式配当など複数の金融商品を組み合わせてリスク分散をするポートフォリオ管理は確実性の面で基金運用にはなじみませんが、今後は、大口定期預金中心の運用に利率の高い特約付定期預金、債券など元本割れのおそれがない金融商品をバランスよく組み合わせで運用益の確保に努めてまいります。

 次に、エリアマネジメントで、ビジョンを策定する構成メンバーについてでございます。

 同協議会は、ビジョン検討のための運営会議を設置し、まちの将来像やその実現に向けた取組について議論しております。構成メンバーは、エリアマネジメント協議会と同様、中野駅周辺各地区の開発事業者、地域の関係者を中心に、そのほかオブザーバーとして警察、消防、アドバイザーとして学識経験者が参加しております。

 次に、現時点におけるビジョンの方向性についてでございます。

 駅周辺の各地区で複数のまちづくり事業が進む中、事業完了までの期間及び事業完了以降のまちの価値、魅力を持続的に維持向上させるために、在り方を官民連携で検討してまいります。

 エリアマネジメントの取組を通じ、まちのブランディング、にぎわい創出や活性化、そして安全・安心なまちづくりを実現することで、区民や企業、開発事業者の地域への愛着や満足度が向上し、まちの定住性や事業継続性を高めていくことを目指しております。

 次に、ビジョン策定に向けた今後のスケジュールです。

 令和4年8月にビジョン検討のための運営会議を開催したところであります。今後も、同会議を複数回開催し、意見交換を重ねながら、年度末のビジョン策定を予定しております。

 最後に、区と区内の三師会との連携についてでございます。

 医師会、歯科医師会、薬剤師会には、区の公衆衛生をはじめとして、地域包括ケア推進や災害対策、学校保健など様々な領域で協力をいただいております。

 新規事業の実施に当たっては、担当が明確な場合には原則として所管部署ですけれども、所管が不明な場合には、これまでも保健所が窓口として連絡調整を担ってきたところであります。今後も、より円滑な三師会との連携が図れるよう工夫をしてまいります。

〔DX推進室長滝瀬裕之登壇〕

○DX推進室長(滝瀬裕之) 私からは、新区役所移転に向けたデジタル化の進捗について、まず、新庁舎に向けた東京都との連携についてお答え申し上げます。

 今年度から東京都デジタルサービス局の支援を受け、ユニファイドコミュニケーションの活用方法や、フリーアドレスでの働き方などの情報提供を受け、新庁舎に向けた検討に生かしているところでございます。

 年度当初は、都と中野区で現状の課題の共有や改善に向けた方向性の整理を行い、6月以降は、東京都デジタルサービス局の先進的なオフィスに赴き協議を進めているところでございます。今後も、新庁舎移転に向け、東京都の知見を生かしつつ、有効なデジタルツールや効果的な働き方について検討を進め、新庁舎での効率的な働き方につなげてまいりたいと考えてございます。

 続きまして、新たなデジタル技術の導入効果についてでございます。

 既にユニファイドコミュニケーションを導入した東京都では、対面で行う会議とウェブ参加を併用した会議を併用するなど、会議の開催目的に合わせ臨機応変に形態を調整しているとのことでございます。これにより、例えば必要な時間だけ会議に参加し、ほかの時間は事務作業に充てるなど、職員が長時間会議に拘束されない方法も可能であり、業務の効率化に効果があると考えてございます。

 また、チャットでのリアルタイムの情報共有、資料の同時編集などの機能を使いこなすことで、職員の作業効率が向上するものと考えてございまして、その機能を最大限発揮できるよう取組を進めてまいります。

○議長(内川和久) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 竹 村 あきひろ

 1 多文化共生政策と安全・安心な区民生活について

  (1)政策の推進と危機管理について

  (2)政策の優先順位と経済的影響について

  (3)日本社会への適合性と日本文化について

  (4)その他

 2 その他

 

○議長(内川和久) 次に、竹村あきひろ議員。

〔竹村あきひろ議員登壇〕

○2番(竹村あきひろ) 令和4年第3回定例会に当たりまして、所属政党は、国政政党、正式名称NHK党、会派の所属はありません、無所属議員の立場から一般質問をいたします。

 質問は通告どおりで、その他はございません。

 早速、多文化共生政策と安全・安心な区民生活について伺います。

 私は、区の行う多文化共生政策に強い懸念を持っています。その理由は、主権者である中野区民、日本国民の権利、すなわち区民の安全、安心、安定した生活が脅かされるのではないだろうか、区民の穏やかな生活に強い影響や変化があるのではないだろうか、厳しい言い方をすれば、今以上に区民が我慢を強いられるのではないかと思えるからです。

 我慢を強いられるという表現に違和感をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、あえてこの言葉を使った理由は複数あります。

 昨年、令和3年決算特別委員会で私は、多文化共生のまちづくりを進めていくに当たって発生するリスクについて質問し、区の回答は、外国人住民がここ数年で増えたことに伴い、マンションやアパートで騒音のトラブルやごみ出しにおけるルールが徹底されていない、言葉が通じにくいことで外国人住民との関わり方が分からないなどといった声があるとの回答をいただきました。

 警察統計やマスコミ報道にも外国人犯罪が多数にわたることから、犯罪に至らない程度ではさらに多くの区行政に届かない声が埋もれているのではないだろうか、区民が我慢を強いられている日常が現在進行形で起こっているのではないだろうかと強く懸念しております。

 平成18年、2006年3月に総務省から多文化共生の推進に関する研究会報告書が出されました。端的に申せば、外国人材を受け入れろ、その体制を国や自治体は整備せよといった極めて残念な提言が盛り込まれたものでした。そして、外国の方を労働力と捉え、国や自治体の努力として、コミュニケーション支援、生活支援及び多文化共生の地域づくりの三つの観点を挙げており、いずれも的外れなものと指摘せざるを得ません。

 なぜ、国外からの来訪者に対しコミュニケーションや生活を支援し、主権者である我々日本国民、中野区民の住む地域をつくり変えなければならないのでしょうか。外国に訪れるのであれば言葉、文化、通貨など不便にならないように準備をする、当然のことだと思います。しかし、このような感覚とは異なる姿勢や文化で日本に訪れるとしたならば、当然摩擦は起き得るでしょう。

 そのとき、手を差し伸べる、思いやる、こちらから施す、時には必要でしょう。しかし、常にとなるなら話は変わってきます。国として、自治体として、主権者である区民、国民の負担にならないような体制づくりは当然ではないでしょうか。来日する外国の方に対する国の施策がそのスタートから方向性、方針を誤り、今現在、我が中野区でも深刻な影響を与えていることに深い憂慮を覚えます。

 そこで、伺います。区が把握する住民トラブル、外国人住民との関わり方に関し、どのような対策を講じたのでしょうか、お示しください。また、これ以外で区に寄せられた多文化共生政策を進めるに当たり想定される区民生活への悪影響、生活を脅かす事例、変化を強いられる実態など、具体的事例をお示しください。

 さて、さきに発刊された冊子、中野区基本計画の中に、多文化共生のまちづくり推進という項目があります。その「現状と課題」の中で、外国人住民は直近5年間で約2倍に増加、全国的に見ても高い増加率、在留資格別にみると留学が全体の4割、年齢層は20歳代が全体の約5割と特徴が記載されています。これを素直に解釈すれば、若い方が日本に学びにいらっしゃって、我が中野区に多く住まわれていると受け取れます。

 本当でしょうか。この方々は、学びではなく、アルバイトなどの就労につき、日本での出稼ぎを主目的にしてはいないでしょうか。それが日本の労働環境を低賃金のまま低迷させる一因となってはいないでしょうか。

 区が進める多文化共生政策が進めば、外国の方の生活は充実するのかもしれません。では、主権者である中野区民の生活は充実するのでしょうか。

 区民の生活とは、例えば、中野区に住み、中野区で働き、中野区を拠点として生きていく、そのようなものかと思います。その中には、昼間人口である、他自治体からいらして中野区で働き、学び、さらには楽しむために区に訪れる皆様も含まれるものです。そこに影響が出ないように、仮にあったとしても受忍限度を超えることがないように、自治体の政策とは、主権者である中野区民、日本国民に資するものであるべきではないでしょうか。

 そこで、伺います。区の取り組む多文化共生政策で区民が受け得る行政サービスはどのようなものがありますか、具体的にお示しください。また、区は多文化共生政策の優先度を他の政策と比較しどの程度の位置付けと認識または設定していますか、伺います。

 区の限られた財源を基に行われる多文化共生政策は、行政サービスの一環として、優先度を含め税金の使われ方に関し再検討し、他の区民サービスに注力すべきではないかと改めて指摘いたします。

 さて、経済的な観点からも多くの問題があると考えます。

 区の進める多文化共生政策、外国の方が働くことを推奨していますか。であるなら、主権者である中野区民、日本国民の就業環境はどうなるのでしょうか。

 そこで、伺います。多文化共生政策を進めるに当たり、主権者である日本国民、中野区民の雇用に関する区の見解を伺います。また、区は、中野区内の労働、就労環境についてどの程度把握しているでしょうか、区の見解をお示しください。

 労働人口が不足する、だから労働力を国外に求める。極めて安直な考えで、近視眼的発想ではないでしょうか。日本に働きに来て、日本で生活の基盤をつくった外国の方は、家族をつくり、人生を日本で終えるかもしれません。そのようなときに起こり得る他文化との摩擦、生活習慣などのトラブルを区は十二分に把握しているのでしょうか。

 世界にはそうした失敗事例が数多く存在し、一方で、参考となる事例もあります。

 人種のモザイクと言われるカナダは移民受入れ大国で、年間の移民受入れ目標数を設定し、経済移民、家族受入れ移民、難民などに区分け。注目すべきは、昭和42年(1967年)に導入されたポイント制度で、必要な高度人材獲得が目標。近年は、移住後のカナダ社会への適応性をも評価され、本審査に進む前に1,200点満点のスクリーニングが実施されているとのことです。

 これら政策により、カナダは、経済協力開発機構(OECD)加盟国、平成27年(2015年)調査の中で、高学歴の技術移民の割合が最も高く、現地生まれの者と移民との失業率も比較的小さいと評価。令和元年(2019年)に実施された調査では、移民の経済的影響について約80%が肯定的に捉えられているとのことです。

 一方で、自国民の雇用と価値観を最優先としたオーストラリアの事例もあります。平成27年(2015年)5月、オーストラリア連邦政府は、オーストラリア人の雇用を最優先するとの考え方から、長期就労ビザを廃止し、発給条件を厳格化した新たなテンポラリー・スキル・ショーテッジ・ビザ、(TSSビザ)導入を発表。当時のターンブル首相は、オーストラリア人の雇用と価値観を最優先すると述べ、増加する若年層の失業対策のために、これまでの移民政策を見直し、より自国民の雇用を優先させる方針を目指すとのこと。

 いずれの政策も、姿勢は異なりますが、国の価値観、国民の雇用、経済的影響、地域への適応性などについて主軸を置いています。

 では、中野区が進める多文化共生政策はどうでしょうか。国の価値観を共有し、区民、国民の雇用を考え、経済的影響や地域への適応性などに配慮した政策になっているでしょうか。

 そこで、伺います。区が進める多文化共生政策は、日本社会への適合性を担保していますか。具体的な内容、対策をお示しください。また、適合性を問わないのであれば、日本国民である中野区民との摩擦が想定されますが、それをどのように解決するでしょうか。区の解決策、対応策及び基本的な考え方をお示しください。

 他国に訪れ、自国の文化、生活習慣を押しつけるならば、それは文化侵略と言えるものです。古くは西洋諸国の植民地政策に対して使われ、江戸時代の日本では、外国の文化流入に対する危機感から鎖国政策が取られたとも考えられています。区の多文化共生政策、一字も見られなかった日本文化、そして日本文化を守っていく姿勢、ここに危機感を感じます。

 そこで、伺います。生活習慣などを含めた日本文化を守るための施策、条例の制定などを含めたその具体策について、区の見解をお聞きし、以上で私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 竹村議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、多文化共生政策と安全・安心な区民生活について、日本文化を守るための条例の制定等について、一点お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、摩擦が起こり得る、その中で多文化共生を推進するということが必要であると我々は考えております。

 日本文化を守るための条例を制定することなどは予定してございません。

〔文化・産業振興担当部長高橋昭彦登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高橋昭彦) 多文化共生政策と安全・安心な区民生活についてお答えをいたします。

 初めに、外国人住民とのトラブルに関する対策などについてお答えします。

 区にはマンションやアパートでの騒音やごみ出しルールの不徹底などといった声は寄せられておりますが、区民生活を脅かすまたは変化を強いられるといった事例については把握してございません。

 区としては、在住の外国人などが地域で安心して生活できるよう、AI多言語通訳システムの運用や生活ガイドブックの発行のほか、中野区国際交流協会においても、地域における日本語学習機会の充実と外国人の様々な相談に対応できる拠点づくりを進めることなどを通じて、対策を講じているところでございます。

 続きまして、区が取り組む多文化共生政策についてでございます。

 区では、国が示す三つの柱、コミュニケーション支援、生活支援及び多文化共生の地域づくりに沿って施策を展開しているところでございます。日本人の区民が受ける行政サービスとしては、中野区国際交流協会が行っております外国人と日本人の両方が参加できる国際交流イベントなどが挙げられます。

 区の多文化共生は、中野区基本計画においても、政策1、多様性を生かし新たな価値を生み出すための施策として明確に位置付けられているところでございまして、政策間の優先順位は想定してございません。

 続いて、区内の日本人の労働、就労環境についての御質問でございますが、現在、雇用状況等に関する区独自の調査は行ってございませんが、国の調査により、都道府県ごとの雇用状況については把握しているところでございます。

 最後に、外国人の日本社会への適合性の担保についての御質問です。

 区として、日本社会への適合性を担保するというような考えは持ってございません。区としては、中野へ住むことになった外国人住民が地域社会の一員として生活できますよう、また地域住民との相互理解が醸成されますよう環境整備を行っていきたい、そのように考えてございます。

○議長(内川和久) 以上で竹村あきひろ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 立 石 り お

 1 持続可能な区政運営について

 2 自治体DXの推進について

 3 中野駅周辺の施策について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、立石りお議員。

〔立石りお議員登壇〕

○8番(立石りお) 令和4年第3回定例会に当たり、一般質問をいたします。

 質問は通告どおり、その他はありません。

 1、持続可能な区政運営についてです。

 8月の総務委員会で新たな財政運営の考え方について報告がされ、その中で、基準となる一般財源規模を廃止する方針が示されました。予算編成開始時における歳入一般財源規模の見込み額を一般財源充当事業費の目標額とし、歳出削減に努め、財政状況によりさらに一般財源の確保ができた場合は、義務教育施設整備基金の積立てを行うとあります。

 先日の総務委員会の質疑のやり取りから推測するに、この時点での財政フレームの令和5年一般財源の歳入額は約820億円で、基金積立金を約50億円見込んでいるということでしたので、基金積立てを除く一般財源充当事業費は770億円程度です。令和4年度予算では761億なので、前年から9億円増加する見立てです。

 これまで予算編成の際には、基準となる一般財源規模から、各部に一般財源要求限度額を設定していましたが、新しい予算編成手法では、歳入一般財源見込み額に応じて一般財源充当事業費が膨らむ懸念があります。令和4年の歳入状況を見る限り、令和5年度の歳入は820億円を大きく上回る可能性もあるわけですが、新規事業費の上限の設定と経常経費の抑制をどのように行うのか、見解を伺います。

 令和4年度当初予算で示された財政フレームの経常経費は5年間据置きになっておりますが、実態としては、新規事業が2年目から経常経費化されるため、年々膨らむ傾向にあります。新規事業が経常経費化する2年目の予算編成過程で、対象の事業を集中的に精査し、経常経費を抑える必要があると考えますが、どうか、見解を伺います。

 中野区構造改革プログラムの戦略Ⅴの2に「使用料、事務手数料の適正化」があります。想定する成果として、区有施設整備計画に基づく施設再編、維持管理、更新・保全等による財政負担の軽減、公有財産の貸付け等による使用料の減額、免除基準等の在り方を検討し、区有施設の適切な資産活用が図られることとしています。

 中野区の受益者負担比率は3%で、特別区平均4.5%に対して大きく下回ります。中野区は23区と比較し受益者負担比率が低いが、この結果をどのように分析しているのか、見解を伺います。

 令和2年度の総務委員会で、施設使用料の考え方が報告されました。

 その際、減価償却費の半額を使用料の算定に含むという考え方が示されましたが、新しい施設もあれば古い施設もあります。特定財源が含まれている施設とそうでない施設もある中、同じ基準で一律に計算するのは適切なのか、疑問が残ります。今後はどのように施設使用料の考え方を整理していくのか、見解を伺います。

 スポーツ施設については、令和6年まで施設使用料を半額にする措置がとられています。スポーツ施設を利用している人々からしたら、以前の価格に戻した場合、現状から2倍になるので、使用料が大幅に値上げされたと感じてしまいます。使用料算定の考え方については区民の方々にも分かりやすく伝えていくとともに、適正な料金を算定するため、議会においても説明を果たし、議論を尽くすべきと考えます。

 財政白書では、文化施設、児童館など施設ごとにグルーピングして受益者負担比率を示していますが、スポーツ施設については示されておりません。施設使用料改定に向けて検討材料としてスポーツ施設の受益者負担比率を示すべきではないでしょうか。

 2、自治体DX推進についてです。

 DXは、法定DXと自主的DXに分類できます。法定DXとは、自治体情報化システムの標準化のように法律により義務付けられているものです。自主的DXとは、各自治体がそれぞれの実情に合わせ創意工夫しながら進めるDXです。

 既に、ペーパーレス化や押印など、根拠とする関連制度が見直されており、中野区としても、創意工夫によってオンライン化ができる手続や業務は広がっております。

 制度上はオンライン化できるものでも、区として考え方が整理できていない分野もあります。

 その例の一つとしては、施設予約のオンライン化です。

 現在、中野区の施設でオンライン予約に対応しているのは14施設と小中学校の開放事業です。

 区民活動センターのオンライン予約については、施設ごとに部屋の形状やルールが異なるということで対応できていないと伺っています。地域団体の方が打合わせできる部屋を最低限確保し、まず抽選日以降の一般受付期間のみオンライン化するなど、段階的に進めるべきと考えます。一般の方々が利用しやすい環境を目指すため、区民活動センターの抽選終了後、一般受付期間についてオンライン予約に対応してはどうか、見解を伺います。

 施設の回転率、利用率を上げるためには、会議室の空き情報が確認できるような取組も必要です。先ほど、施設利用料金の考え方についても質問しましたが、利用率が向上し収益が上がれば、維持管理にかかる区の負担を抑制し、受益者負担比率も上がるので、予約方法に限らず施設の利用率向上と施設管理費の抑制について工夫していただくよう要望いたします。

 また、施設予約システムの「ないせす」は団体登録に対応していません。新規の利用者が施設を利用する際には窓口に行く必要があります。施設予約のシステムを更新する際には、オンライン団体登録に関するまずニーズの調査をした上で、導入について検討していただくよう要望いたします。

 中野区が利用している東京都電子自治体共同運営電子申請サービスが、第4期からスマートフォンの公的個人認証に対応したシステムの構築を検討しているというふうに伺っておりました。しかし、8月の時点で、東京都電子自治体共同運営協議会が第4期での対応を見送りました。

 第5期のシステムが構築されるのは令和7年になります。東京都電子自治体共同運営電子申請サービスは、スマートフォンの公的個人認証に令和7年まで対応しないということですが、その前に、民間サービスを使って中野区独自のシステムを構築してはどうでしょうか、見解を伺います。

 東京都電子入札システムについての検討状況について、特別委員会の私の質疑の中で、電子契約サービスについては東京都の共通プラットフォームを活用して運用できるように検討していくとの答弁がありました。また、今後区としても契約、会計、監査の業務においても電子化に向け検討している旨の答弁をいただいております。

 契約の業務が電子化しても、その後に発生する会計、監査において紙が必要になるようでは、ペーパーレス化が進みません。電子契約サービスについての現在の検討状況を伺うとともに、契約、会計、監査などの一連の内部管理事務についてもペーパーレス化を進め、電子的に事務処理が行えるよう、新庁舎移転と併せて改善に向けた取組を進めてほしいと考えます。どのような状況か、併せて伺います。

 3、中野駅周辺の施策についてです。

 総務委員会で令和5年7月2日に中野サンプラザが閉館するという報告がありました。権利変換期日までの間、株式会社まちづくり中野21が閉鎖管理をするとのことです。

 中野サンプラザは、区民の方々だけではなく、アーティストや文化人にも非常に愛されてきた施設であり、閉館前から建て替え期間中の町並みや後継施設の様子も含めて記録映像を残して資産化を図っていくべきと考えます。

 そういった映像を区がホームページへの掲載やSNSで発信するにも、著作権が理由で自由に活用できない可能性もあります。映像制作者と施行予定者の間に入り中野区が交渉や調整をすることで、区が映像作品を活用できる可能性も高まります。中野サンプラザ閉館に当たってドキュメンタリーを作成したいという声もあると聞いています。区が映像を二次利用させてもらう可能性も出てくるので、区も協力し、施行予定者に働きかけてみてはどうでしょうか。

 中野サンプラザの広場はこれまで、東北復興大祭典なかの、中野チャンプルーフェスタ、中野駅前大盆踊り大会など、たくさんの来場者でにぎわうイベントの会場として使われてきました。この広場は駅から近いことで人通りが多く、目立つ立地のため、イベントの利用ニーズも非常に高いです。

 これまで株式会社まちづくり中野21の子会社に当たる中野サンプラザの職員が広場の管理をしておりましたが、閉館後は管理する人がいなくなってしまいます。閉館から権利変換までの間、区が広場の管理をして公益性のある団体、地域のにぎわいに資するイベント等に利用できるような体制を維持すべきと考えています。

 中野サンプラザが閉館して建物が解体するまでの間、閉鎖管理と聞いていますが、サンプラザ前の広場を区民などに貸し出す考えはないのか、また、その場合どの部署が管轄するのか、併せて伺います。

 新北口駅前エリアについて、中野サンプラザの後継施設ができるまでの間、エリアマネジメントによってにぎわいを継続するとしています。

 中野サンプラザの価値は、シンボルタワーとしてだけではなく、ホール、バンケット、会議室、ホテルなどの機能を備えております。これまでたくさんの方々に利用されてきました。後継施設ができるまでの間、これらの機能が一時的に失われてしまいます。例えば、バンケットについては、東中野にあった日本閣がなくなってしまったので、中野サンプラザの閉館後はこれに代わる施設がなくなります。地域団体の方から、バンケット機能がなくなっては困るという声も伺っております。

 中野駅周辺には複数の権利床があります。例えば、二丁目権利床は地域交流スペースとしての公共貢献を条件とした貸出しをする予定になっています。こういった駅周辺の権利床などを活用することも考えられます。

 NAKANOサンプラザシティが完成するまでの間、時限的にでも中野駅周辺にバンケットの代替機能を持たせることはできないのか、見解を伺います。

 以上で私の全ての質疑を終了します。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 立石議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、自治体DXの推進についてまずお答えいたします。

 初めに、区民活動センターの予約方法についてでございます。

 施設予約のオンライン化につきましては、区民の利便性が高まるとともに、施設の有効活用にもつながるものと考えております。区民活動センター集会室の予約方法の見直しや空き情報の可視化について現在取り組んでいるところでございまして、より多くの人が快適に利用できるよう、オンライン化を含め検討してまいります。

 次に、民間サービスを活用した電子申請手続についてでございます。

 スマートフォンを利用した公的個人認証サービスへの早期対応に向けて、他自治体の事例なども研究しながら、民間サービスの試行、検証を行うなど、導入に向けた検討を進めてまいります。

 次に、契約及び会計事務の電子化の検討状況についてでございます。

 電子契約サービスにつきましては、記名押印に代わる電子署名に関する規定の改定や、電子契約サービスの対象とする契約の種類などについて検討を進めておりまして、新庁舎移転後に一部の契約について導入を目指したいと考えております。

 契約、会計、監査など一連の内部事務処理につきましては、一部紙で処理している事務を電子的な対応ができるようシステム改修を進めておりまして、新庁舎に向けて効率的な運用方法になるよう検討を行っております。

 次に、中野駅周辺の施策について、中野サンプラザの映像作成の協力についてでございます。

 中野サンプラザが取り壊されてから新しい拠点施設が完成するまでの間のまちのにぎわい継続につきましては、拠点施設の施行予定者がエリアマネジメントの一環として取り組む予定でございます。施行予定者は現在取組の詳細を検討中でございまして、映像作成の申し出等エリアマネジメント活動の一環となるような提案があれば、区としても施行予定者に働きかけてまいります。

 次に、中野サンプラザ閉館後の前面広場についてでございます。

 中野サンプラザ閉館後の建物は所有者の株式会社まちづくり中野21が閉鎖管理をすることになります。前面広場につきましては、権利変換期日まで閉館前と同じように使用できないか、株式会社まちづくり中野21と協議しているところでございます。広場を区民等が占用使用する場合は、窓口は区の総務部が所管する方向で調整中でございます。

 最後に、中野駅周辺のバンケット機能についてでございます。

 サンプラザ閉館後の中野駅周辺のバンケット利用につきましては、大規模なものでは民間のコンベンション施設、小規模なものでは飲食店等を御利用いただくことになります。飲食を伴わない会合であれば区有施設の利用も考えられますが、いわゆるバンケットの代替施設を確保するということは難しいと認識をしているところでございます。

〔企画部長石井大輔登壇〕

○企画部長(石井大輔) 私からは、持続可能な区政運営についての御質問にお答えいたします。

 まず、新規事業費の上限設定と経常経費の抑制についてでございます。

 新規事業費は、拡充事業費も合わせまして、国・都支出金や基金、起債を充当後の一般財源ベースで例年50億円程度で推移しており、来年度予算においても同程度を見込んでいるところでございます。

 経常経費につきましては、今年度予算の経常経費と同規模に抑えることを目標としており、各部の予算の上限もそのように設定しているところでございます。

 次に、新規事業における経常化した経費の抑制についてでございます。

 今年度予算に計上した新規事業のうち、来年度予算においても経常化する事業につきましては、特に金額の大きいものを中心に別枠で査定するなど、経常経費化する経費の精査に努めたいと考えております。

 次に、施設使用料の考え方について、受益者負担比率の分析についての御質問にお答えします。

 受益者負担比率が低くなる要因といたしましては、分母である行政サービス提供に係る経費が高い場合と、分子である使用料、手数料等の受益者負担が低い場合の二つが考えられます。

 23区平均より受益者負担比率が低いからといって、他区よりも行政サービス提供に係る経費が高い場合も考えられ、直ちに他区と比較して使用料、手数料等の受益者負担が低いとは言えないと考えておりますが、使用料の見直しに当たりましては、参考数値になり得るため、詳細な分析をしていきたいと考えております。

 次に、使用料の見直しの考え方の検討の方向性についてでございます。

 令和2年の第1回定例会で施設使用料の見直しの考え方について報告し、算定に当たって算入する減価償却費の見直しなどの考え方をお示ししております。その後、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い区財政への影響が懸念されたことから、減額の可能性がある使用料の見直しにつきましては、令和3年度改定を見送り、令和6年度改定としたところでございます。

 今後、令和6年度改定に向け検討を進めてまいりますが、令和2年にまとめた考え方を基本に、この間いただいた議会や区民からの御意見、他区の状況なども踏まえながら考え方を整理してまいります。

 最後に、スポーツ施設の受益者負担比率についてでございます。

 財政白書の施設別財務書類につきましては、令和元年度から掲載を始め、順次施設の分析内容を追加してきたところでございます。

 スポーツ施設につきましては、今後、財務諸表の作成対象に加え、受益者負担比率の算出や使用料の検討の参考としてまいります。

○議長(内川和久) 以上で立石りお議員の質問は終わります。

 以上をもって質問は終了いたしました。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後4時59分休憩

 

午後5時00分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 これより日程に入ります。

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 第60号議案 令和4年度中野区一般会計補正予算

 第66号議案 中野区職員の育児休業に関する条例の一部を改正する条例

(委員会報告)

 

○議長(内川和久) 日程第1、第60号議案及び第66号議案の計2件を一括議題に供します。

 

令和4年(2022年)9月12日

 

中野区議会議長 殿

 

総務委員長 ひやま 隆 

(公印省略)

 

議案の審査結果について

 

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

 

 

議案番号

件    名

決定月日

60

令和4年度中野区一般会計補正予算

912

66

中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例

912

 

○議長(内川和久) お諮りいたします。上程中の議案に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。

 これより討論に入ります。

 石坂わたる議員から討論の通告書が提出されていますので、通告議員の討論を許します。

〔石坂わたる議員登壇〕

○29番(石坂わたる) 第60号議案、令和4年度中野区一般会計補正予算に賛成の立場で討論をいたします。

 本議案は、2022年度予算の第5号補正です。

 長期的に超過勤務の圧縮などが期待されるマイクロソフト365導入による多機能ユニファイドコミュニケーションの構築を行うことに一般財源から1,338万7,000円を費やすこと、一時的な経費であるオミクロン株に対応した新型コロナウイルスワクチンについて、2回の初回接種を完了した区民に新型コロナワクチン接種体制確保事業を行うことなどは、今回の予算案のとおりしっかり進めていただきたいと思います。

 一方で、今回の補正予算には、18歳以下を対象とする高校生等医療費助成事業に係る準備のための子育て相談支援システムの改修1,017万8,000円や、事前準備の費用324万2,000円が計上されています。この合計1,342万円について、10分の10、すなわち全額が都支出金で行われることになっています。

 高校生等医療費助成事業の本格実施は来年度からとなりますが、東京都は、高校生の医療費について、来年度から3年間に限って所得制限を設けた上で、全ての市区町村で通院1回当たりの費用が200円になるよう残りは都が全額を負担し、子育て世帯の負担を軽減することにしています。

 これに対して、23区区長会では、各区がそれぞれ費用負担する形で所得制限や自己負担を設けず無償化を実現させる方針を示しました。そして、所得制限や自己負担を設けないため、必要な経費は23区で合わせておよそ13億円程度と考えられています。

 しかも、制度開始後、東京都は3年に限って行うとしていますが、3年たった段階で各区がこの制度を止めるとは考えられず、3年を超えた恒常的な事業継続をせざるを得ないことになると考えられます。3年間の都の助成が終わる2026年度以降についての制度設計については、都と基礎自治体がどのように負担するのか協議中とのことですが、区が経常経費として都の財政調整交付金で見てもらえないまま一般財源で捻出し続けるようになる可能性がないとは言えない状況かと思います。

 現在の中学生の子ども医療費無料においても、膝を擦りむいた中学生がバンドエイドを買うよりも病院に行くほうが安いと言うのを耳にすることがあり、当時、ワンコインでも取ると多少は違うんじゃないかと思ったことがあります。

 また、平成24年2月16日の子ども文教委員会で私が質疑させていただいた中で、生活保護の場合ですと、区のほうで改めてレセプト点検をして適正なものかどうかのチェックをし、実際に返戻額も発生していますけれども、子ども医療費については区のほうでその内容をチェックするという仕組みがないとの答弁があり、また、一つ目の病院の診察に満足がいかず、二つ目の病院に行ったけれども同じようなことを言われ、また別の病院に行くというドクターショッピングを防ぐ手だてもないという答弁をいただいています。

 そのため、18歳までの医療費無料化の実施に伴う負担額は、毎年8,800万円を超えた、無償化によるニーズ増やモラルハザードによる増も考えられます。

 区に経常経費負担が生じるのであれば、その費用をどのように捻出するのかを考えることが必要ですし、ビルド・アンド・スクラップというのであれば、制度を開始する前にスクラップできるものがあるのかを考えることが必要です。

 新たな制度を始めるために、どの施策を取りやめたり費用の圧縮をするのか、以前のように区の人件費を削減するのか、子ども教育部の予算でやりくりをするのか、全庁的に目標額を定めて経費削減を行うのか。新たな経費捻出のための実効性のある構造改革を進めるのかも決めた上で、今回の準備のための予算を計上して取りかかるべきであったと思います。あるいは、歳出増を何かしら考える必要があったのではと思われます。少なくとも、制度開始のための条例の整備や、本格実施に向けた来年度予算の審議までに明確にすべきです。

 なお、近年のビルド・アンド・ビルドになりがちで、現行の構造改革実行プログラムの進捗を見ても、スクラップができるのかについては疑問が拭い切れません。3年後は税収が増えているかもしれない、3年後のことはそのときの職員や議員が考えればいいという無責任なスタートは避けるべきです。

 なお、私は、今回の冒頭に述べました二つの事業になどついては推進する立場であること、本格実施までにはまだ時間があり、それまでにできることもあることから、本議案に反対まではしないと考えるに至り、賛成をいたしますが、早急にビルド・アンド・スクラップのスクラップをどう考えるのか、ドクターショッピングやモラルハザードが生じないような、最低限でも生活保護の医療扶助と同じようなチェックシステムの構築による対策を検討すべきであることを申し上げ、賛成の討論といたします。

○議長(内川和久) 他に討論がなければ、討論を終結いたします。

 これより採決いたします。

 上程中の議案を委員会報告どおり可とするに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

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 認定第1号 令和3年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 認定第2号 令和3年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第3号 令和3年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第4号 令和3年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第5号 令和3年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

 

○議長(内川和久) 日程第2、認定第1号から認定第5号までの計5件を一括上程いたします。

 理事者の説明を求めます。

〔副区長白土純登壇〕

○副区長(白土純) ただいま上程されました認定第1号から認定第5号までの5件につきまして、一括して説明いたします。

 初めに、中野区一般会計決算について説明いたします。

 令和3年度一般会計の歳入総額は1,598億1,801万6,116円、歳出総額は1,533億3,835万880円で、前年度と比較しますと、歳入で14.2%の減、歳出で15.1%の減となりました。歳入から歳出を差し引いた形式収支額は、64億7,966万5,236円となり、翌年度へ繰り越すべき財源23億5,267万2,000円を差し引いた実質収支額は41億2,699万3,236円となりました。

 それでは、歳入につきまして、主な款について説明いたします。

 第1款特別区税は、360億8,300万円余で、前年度と比較して100万円余の減となりました。

 第2款特別区交付金は、410億2,200万円余で、前年度と比較して50億100万円余、13.9%の増となりました。

 第7款地方消費税交付金は、77億800万円余で、前年度と比較して7億2,600万円余、10.4%の増となりました。

 第13款国庫支出金は、特別定額給付金給付事業費補助金の皆減などにより、前年度と比較して232億3,500万円余、36.5%減の404億8,200万円余となりました。

 第17款繰入金は、財政調整基金繰入金の増などにより、前年度と比較して4億2,500万円余、5.7%増の79億1,900万円余となりました。

 これらの結果、歳入決算額の予算現額に対する収入率は96.3%となり、前年度より1.5ポイント下がりました。

 次に、歳出につきまして、主な款について説明いたします。

 第3款総務費は、特別定額給付金の皆減などにより、前年度と比較して285億2,000万円余、71.1%減の116億1,000万円余となりました。

 第5款子ども教育費は、子育て世帯臨時特別支援給付金や教育・保育施設給付費の増などにより、前年度と比較して24億1,800万円余、4.5%増の565億8,100万円余となりました。

 第7款健康福祉費は、中野区立総合体育館の整備が終了したことなどにより、前年度と比較して25億7,100万円余、7.2%減の333億4,600万円余となりました。

 第10款まちづくり推進費は、中野二丁目地区及び囲町東地区の市街地再開発に係る経費の増などにより、前年度と比較して21億5,800万円余、32.6%増の87億6,900万円余となりました。

 これらの結果、歳出決算額の予算現額に対する執行率は92.4%となり、前年度より2.4ポイント下がりました。

 この歳出決算額を性質別に見ますと、人件費、扶助費及び公債費を合わせた義務的経費は720億9,200万円余で、前年度と比較して8.8%の増となりました。また、投資的経費は288億8,600万円余で、前年度と比較して10.1%の減となりました。

 なお、令和3年度決算では、実質収支額が41億2,600万円余となり、前年度決算に比べ7億4,100万円余の増となりました。

 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対策を進めるとともに、9月に策定した基本計画を着実に進め、子育て先進区に向けては、子どもの権利に関する条例の検討、子ども・若者支援センター等開設準備等に対応したほか、まちづくりや地域の防災、安全の推進などに幅広く取組を進めました。また、8月には、構造改革実行プログラムを策定し、令和5年度までの3年間をめどに事務の効率化等の検討を進めております。

 今後も、超高齢社会への対策、子育てサービスの質の向上、老朽化した公共施設の建て替えや大規模改修など、歳出の増加が見込まれます。

 持続可能な区政運営を確保し、区民満足度の高い区政を維持するため、基金や起債をバランスよく活用し、将来を見据えた財政運営を行っていく必要があると考えています。

 以上が一般会計決算の説明です。

 続きまして、中野区用地特別会計決算について説明いたします。

 歳入歳出の決算額は同額で、11億6,085万1,018円、前年度と比較しますと、歳入歳出ともに88.6%の減となりました。

 歳入は、第1款繰入金が6,200万円余で、前年度と比較して5,600万円余の著しい増、第2款特別区債が10億9,800万円で、前年度と比較して90億7,500万円余、89.2%の減となりました。

 歳出は、第1款公債費が6,200万円余で、前年度と比較して5,600万円余の著しい増、第2款用地費が10億9,800万円余で、前年度と比較して90億7,400万円余、89.2%の減となりました。

 歳入総額及び歳出総額が減となった要因は、平和の森小学校移転用地及び道路用地取得に伴う財源としての特別区債発行と用地購入費が減となったことによるものです。

 次に、中野区国民健康保険事業特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は334億121万4,789円、歳出総額は330億2,073万2,806円で、前年度と比較しますと、歳入で2.9%の増、歳出で2.8%の増となりました。

 歳入の主なものは、第1款国民健康保険料が85億400万円余で、前年度と比較して3,800万円余、0.5%の増、第4款都支出金が208億6,100万円余で、前年度と比較して12億7,900万円余、6.5%の増、第5款繰入金が34億9,300万円余で、前年度と比較して3億4,000万円余、8.9%の減となりました。

 歳出の主なものは、第2款国保給付費が204億2,400万円余で、前年度と比較して13億6,400万円余、7.2%の増、第3款国保事業費納付金が112億4,000万円余で、前年度と比較して6億200万円余、5.1%の減となりました。

 次に、中野区後期高齢者医療特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は69億9,895万4,293円、歳出総額は69億1,750万2,793円で、前年度と比較しますと、歳入で0.8%の減、歳出で1.0%の減となりました。

 歳入の主なものは、第1款後期高齢者医療保険料が39億2,800万円余で、前年度と比較して4,700万円余、1.2%の減、第2款繰入金が28億5,400万円余で、前年度と比較して3,100万円余、1.1%の減となりました。

 歳出の主なものは、第1款広域連合納付金が68億1,300万円余で、前年度と比較して6,900万円余、1.0%の減となりました。

 最後に、中野区介護保険特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は243億1,365万944円、歳出総額は237億6,809万6,338円で、前年度と比較しますと、歳入歳出ともに2.7%の増となりました。

 歳入の主なものは、第1款介護保険料が47億6,500万円余で、前年度から微増、第3款国庫支出金が55億6,500万円余で、前年度と比較して9,600万円余、1.8%の増、第4款支払基金交付金が60億1,100万円余で、前年度と比較して1億1,300万円余、1.9%の増、第5款都支出金が33億7,000万円余で、前年度と比較して1億700万円余、3.3%の増となりました。

 歳出の主なものは、第1款制度運営費が6億2,900万円余で、前年度と比較して2,100万円余、3.5%の増、第2款保険給付費が212億3,200万円余で、前年度と比較して6億9,300万円余、3.4%の増、第3款地域支援事業費が13億6,200万円余で、前年度と比較して9,900万円余、6.8%の減となりました。

 以上、令和3年度各会計決算について説明いたしました。

 なお、詳細につきましては、あらかじめ送付いたしました「中野区各会計歳入歳出決算書」、「各会計事業別明細書」及び「各調書」、「主要施策の成果」並びに「中野区各会計歳入歳出決算説明書」によりまして御確認いただきたいと思います。

 また、監査委員におかれましては、本決算につきまして慎重に審査をいただき、別冊のとおり、「中野区各会計歳入歳出決算審査意見書」及び「中野区基金運用状況審査意見書」の提出をいただきました。御指摘のあった点については十分に対処していく所存です。

 最後になりましたが、ここに令和3年度決算につきまして議会の認定をお願いする運びとなりましたことは、区議会の適切な御指導と御協力によるものと深く感謝申し上げる次第です。

 以上、認定第1号から認定第5号までにつきまして、よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げ、令和3年度中野区各会計決算の説明とさせていただきます。

○議長(内川和久) 本件について御質疑ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。

 上程中の認定第1号から認定第5号までの計5件は、議員全員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに審査を付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定します。

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 中野区の財政の健全化判断比率について

 

○議長(内川和久) 日程第3、中野区の財政の健全化判断比率について報告いたします。

 本件については、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、区長から9月12日付のお手元の文書のとおり報告がありましたので、さよう御了承願います。

 

4中総総第1869号

令和4年(2022年)9月12日

 中野区議会議長 内 川 和 久 様

中野区長 酒 井 直 人

中野区の財政の健全化判断比率の報告について

 地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定により、別添のとおり報告します。

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 議員派遣について

 

○議長(内川和久) 日程第4、議員派遣について報告いたします。

 お手元の文書のとおり、7月25日付で申請のありました議員の派遣については、会議規則第129条第1項ただし書の規定に基づき、申請どおり承認いたしましたので、さよう御了承願います。

 

令和4年7月25日

 中野区議会議長

  内 川 和 久 殿

中野区議会議員 中 村 延 子

        高 橋 かずちか

        平 山 英 明

        長 沢 和 彦

議 員 派 遣 承 認 申 請 書

 中野区議会会議規則第129条第1項ただし書の規定により、下記のとおり議員の派遣を承認されるよう申請します。

1 派遣目的

  第60回東京河川改修促進連盟総会及び促進大会に参加するため

2 派遣場所

  練馬文化センター

3 派遣期間

  令和4年8月9日

4 派遣議員

  議長において決定する9名以内の議員

5 派遣経費

  1,500円(中野区議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例附則第17項の規定によ

 り読み替えて適用する同条例第5条第2項)

6 その他

  なし

 

○議長(内川和久) 本日はこれをもって散会いたします。

午後5時20分散会

 

 

 

会議録署名員 議 長 内川 和久

       議 員 生藤 健人

       議 員 来住 和行