1.平成24年(2012年)10月2日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。
1.出席委員(41名)
1番 若 林 しげお 2番 高 橋 かずちか
3番 木 村 広 一 4番 甲 田 ゆり子
5番 小 林 ぜんいち 6番 中 村 延 子
7番 石 坂 わたる 8番 後 藤 英 之
9番 石 川 直 行 10番 内 川 和 久
11番 ひぐち 和 正 12番 いでい 良 輔
13番 白 井 ひでふみ 14番 平 山 英 明
15番 南 かつひこ 16番 森 たかゆき
17番 いながき じゅん子 18番 林 まさみ
19番 小宮山 たかし 21番 伊 東 しんじ
22番 佐 野 れいじ 23番 北 原 ともあき
24番 吉 原 宏 25番 小 林 秀 明
26番 久 保 り か 27番 酒 井 たくや
28番 奥 田 けんじ 29番 近 藤 さえ子
30番 金 子 洋 31番 長 沢 和 彦
32番 大 内 しんご 33番 伊 藤 正 信
34番 高 橋 ちあき 35番 市 川 みのる
36番 篠 国 昭 37番 やながわ 妙 子
38番 佐 伯 利 昭 39番 むとう 有 子
40番 か せ 次 郎 41番 来 住 和 行
42番 岩 永 しほ子
1.欠席委員(1名)
20番 浦 野 さとみ
1.出席説明員
中野区長 田中 大輔
副区長 金野 晃
副区長 阪井 清志
教育長 田辺 裕子
政策室長 竹内 沖司
政策室副参事(企画担当) 野村 建樹
政策室副参事(予算担当) 奈良 浩二
政策室副参事(広報担当) 酒井 直人
経営室長 川崎 亨
危機管理担当部長荒牧 正伸
経営室副参事(経営担当) 戸辺 眞
経営室副参事(人事担当) 角 秀行
経営室副参事(行政監理担当) 岩浅 英樹
経営室副参事(経理担当、債権管理担当) 伊東 知秀
都市政策推進室長長田 久雄
都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 横山 俊
地域支えあい推進室長 瀬田 敏幸
地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 朝井 めぐみ
地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当)、
中部すこやか福祉センター所長 遠藤 由紀夫
中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 松原 弘宜
北部すこやか福祉センター所長 服部 敏信
北部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 大橋 雄治
南部すこやか福祉センター所長 橋本 美文
南部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 松本 和也
鷺宮すこやか福祉センター所長 村木 誠
鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 齋藤 真紀子
区民サービス管理部長 登 弘毅
区民サービス管理部副参事(区民サービス担当) 藤井 康弘
区民サービス管理部副参事(税務担当) 長﨑 武史
区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 古川 康司
子ども教育部長、教育委員会事務局次長 髙橋 信一
子ども教育部副参事(子ども教育経営担当)、教育委員会事務局(子ども教育経営担当)
白土 純
子ども教育部副参事(学校・地域連携担当)、教育委員会事務局(学校・地域連携担当)
荒井 弘巳
子ども教育部副参事(子育て支援担当)、子ども家庭支援センター所長、
教育委員会事務局副参事(特別支援教育等連携担当) 黒田 玲子
健康福祉部長 田中 政之
保健所長 山川 博之
健康福祉部副参事(福祉推進担当) 小田 史子
健康福祉部参事(保健予防担当) 向山 晴子
健康福祉部副参事(健康推進担当) 石濱 照子
健康福祉部副参事(障害福祉担当) 永田 純一
健康福祉部副参事(生活援護担当) 伊藤 政子
健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 浅川 靖
環境部長 小谷松 弘市
環境部副参事(地球温暖化対策担当) 上村 晃一
都市基盤部長 尾﨑 孝
都市基盤部副参事(都市計画担当) 相澤 明郎
都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 田中 正弥
都市基盤部副参事(建築担当) 豊川 士朗
都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 佐藤 芳邦
会計室長 辻本 将紀
教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 宇田川 直子
教育委員会事務局指導室長 川島 隆宏
1.本会の書記は下記のとおりである。
事務局長 篠原 文彦
事務局次長 青山 敬一郎
議事調査担当係長 佐藤 肇
書 記 関村 英希
書 記 河村 孝雄
書 記 東 利司雄
書 記 丸尾 明美
書 記 土屋 佳代子
書 記 細川 道明
書 記 江口 誠人
書 記 鈴木 均
書 記 永見 英光
書 記 竹内 賢三
書 記 香月 俊介
午前10時00分開会
○佐野委員長 定足数に達しましたので、ただいまから決算特別委員会を開会いたします。
認定第1号から認定第5号までの計5件を一括して議題に供します。
10月1日(月曜日)の理事会の報告をまず行います。
本日の運営についてですが、総括質疑の順番は、1番目に若林しげお委員、2番目にむとう有子委員、3番目に奥田けんじ委員、4番目に近藤さえ子委員、5番目にいながきじゅん子委員、6番目に林まさみ委員、7番目に石坂わたる委員、8番目に小宮山たかし委員の順で8名の総括質疑を行うことに決定いたしました。
なお、本日は総括質疑最終日でもあり、午後5時を過ぎることも想定されるため、午後5時を過ぎる場合でも質疑を続行し、委員長判断で適宜休憩を入れることを確認させていただきました。
以上が理事会の報告ですが、何か質疑ございますでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 御異議ありませんので、そのように決定をさせていただきます。
それでは、ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声ではっきりと職名を述べられるようお願いを申し上げます。
それでは、早速質疑に入ります。1番目、若林しげお委員、質疑をお願いいたします。
○若林委員 おはようございます。平成24年度第3回定例会決算特別委員会において、自由民主党の立場から総括質疑をさせていただきます。
自民党最終バッターということですし、実は総括質疑初めてなものですから、暖かい目で見守っていただきながら、理事者の方々にはぜひ前向きな御答弁をいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
平成23年度一般会計総額1,091億円のうち、特別区税は292億円、特別区交付金、いわゆる特別区財政調整交付金が323億円となっており、両者で歳入全体の約6割を占め、うち特別区税は中野区歳入全体の27%弱にとどまっております。このうち特別区民税の収入は271億円となり、歳入全体の25%となっています。特別区民税の徴収率を上げていくことは中野区全体の活力を増し、区民の方々の豊かな暮らしを築き、また、区におけるさまざまな事業、施策を推進していく上でも大変重要なものだと考えております。そこでまず、特別区民税についてお伺いいたします。
財政白書の7ページを見ると、今年度の中野区における特別区の収入状況は、前年度に比べて約5億円減となり、その要因は一人当たりの平均所得と納税義務者数の減少によるものとなっていますが、詳細にはどのように分析をされていますでしょうか、お聞かせください。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 納税義務者につきましては、昨年度と比べて約1,400人、約0.9%の減となっております。これは区の人口の減人数よりも大きな規模というふうな形でございます。
また一方、一人当たりの所得額につきましては、前年度に比べまして約2万円、0.5%の減というふうな形でなっております。この一人当たりの所得額が低い要因といたしましては、20代、それから30代の若年層が比較的多いことが要因であると、このように分析をしているところでございます。
○若林委員 中野区には若年層が比較的多いとのことですが、税収低迷が主な要因とされておりますが、果たして中野区だけが若年層が多いのでしょうか。23区との比較はどのような状況になっておりますか、お聞かせください。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 平成23年度で見てみますと、成人人口に占めます20代及び30代の割合でございますが、23区全体では約36.3%といったものに対しまして、中野区では約40.5%という形で高くなっているところでございます。
○若林委員 差は4.2%ということですね。
次に、徴収率についてお伺いいたします。財政白書の8ページを見ますと、今回現年課税分の徴収率については、昨年に引き続き0.3%上がったとあります。これは滞納繰り越し分をふやさないといった意味合いでは大変喜ばしいことと考えております。しかしながら、23区平均との比較においては約1ポイント、1%の開きがあります。この部分に対してはどのように分析されていますか。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 要因といたしましては、所得階層ごとですとか、それから年齢の階層ごとの人口の分布の違いですとか、産業種別ごとの就業人口の分布の違いなどさまざま考えられるところでございますが、各区ごとにその状況はさまざまでありまして、一概に中野区と23区平均とを単純に比較、分析することは難しいかなというふうには思っております。中野区の場合につきましては、一人当たりの所得が23区平均を下回っているといったようなことから、景気動向の影響を受けやすく、また、人口移動率も高いといったようなところから、これらが税の徴収といったものを難しいものにしている、このような形で分析をしているところでございます。
○若林委員 大変厳しい状況であると感じました。同じ8ページの表を見ますと、平成14年は23区平均と同じだったのが、その後年々徴収率の差は開く一方で、このあたりはどのようにお考えでしょうか。この先も開く一方ではないかと大変懸念しておりますが、いかがでしょうか。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 委員御指摘のとおり、現年課税分の徴収率につきましては、23区平均との差が年々広がっているといったようなところは8ページのとおりでございます。しかしながら、滞納を翌年に繰り越さないといったような観点からも、現年分の徴収率を向上させていくことは大変重要でありまして、23年度につきましては、わずかとはいえども徴収率は上昇しております。何とかこの流れを24年度も継続しなければならないと今考えているところでございます。今後につきましては、現年課税分の滞納者の状況分析、こういったものをしっかりと進めながら徴収対策を強化して、23区平均との差を縮小してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○若林委員 ぜひよろしくお願いいたします。次に、23年度予算との比較についてお尋ねいたします。
今回、現年分96.3%の徴収率ですが、23年度予算編成においては何%の徴収率を見込んでつくられたのでしょうか。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 23年度の当初予算の編成時におきます徴収の目標という形でもっては、約97%を見込んだところでございます。
○若林委員 97%ということですが、すると今回の96.3%とは0.7%の差ということになります。ざっと計算すると約2億円徴収できなかった勘定になりますが、この2億円が見込めなかったことによる区の歳入全体への影響はどのようなものがあったでしょうか、お聞かせください。
○奈良政策室副参事(予算担当) 区民税は歳入全体の25%余りを占める重要な一般財源だというふうに考えてございます。御質問のとおり0.7ポイントの差となりますと、2億円余りの歳入が減少することになりまして、歳出予算に組まれておりますさまざまな事業を安定的に行うためには、その影響は大きいと考えてございます。23年度はこうした徴収率の見込み差とともに、調定額が大きく落ち込んだものの、歳入全体から見ますと財調交付金ですとかその他の歳入が予算よりも増収となったものもございまして、また、歳出の執行状況も勘案しながら最終的には歳入歳出予算全体の中で調整を行ってきたというものでございます。今後、予算編成後において区民税が予算計上額を下回り、また他の歳入が伸びないということがあって、歳出の執行率も高まってくるということになりますと、財政調整基金からの繰り入れをふやさなければならないといった事態も想定され、基金の減少につながるといったことになってまいります。そうならないためにも、予算計上をした区民税額をしっかりと確保しなければいけないというふうに考えてございます。
○若林委員 実は、この23年度予算については、第1回定例会において歳入、とりわけ特別区民税の減収が見込まれ、7億7,000万円の減額補正が行われました。したがって、当初予算上からは97%の徴収は見込めないといった結果にもなっております。こうした厳しい状況がある中、ことし、24年度予算で見込んだ特別区民税の現年分徴収率をお聞かせください。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 平成24年度につきましても、23年度と同様97%を見込んでいるところでございます。
○若林委員 23年度と同じ97%を見込んでいるということですが、このような状況下であるならば、なおのこと徴収強化に積極的に取り組み、目標に掲げる97%の実現に向けた努力をしなければならないと考えます。そのような中、今回全庁を挙げた臨戸徴収強化対策が実施されておりますが、その際の臨戸の対象者と徴収目標額は幾らになりますか、お聞かせください。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 今回の臨戸徴収強化対策でございますが、これまで督促ですとか催告といった文書によるアプローチといったものが中心であった、比較的接触の機会が少なかった累積滞納額、繰り越し額が約20万円未満のものというのを対象としたところでございます。また、その徴収目標額としては、約1億1,000万円を見込んでいるところでございます。
○若林委員 臨戸徴収により、職員がみずから区民のところに足を運ぶのはとても大切な取り組みであります。こんな表現は適切ではないかもしれないですが、この当初予算で組んだ見込みと現実決算数値の差が0.7%、約2億円になりますが、多少前後しますが、税務関係の人件費の職員手当に相当する額でもあります。そんな気持ちを持ちながら職員の方々にぜひ努力をしていただきたいのですが、この臨戸徴収はほかにどのような利点があるでしょうか、お聞かせください。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 今回の臨戸徴収強化対策でございますが、やはり区が本気で滞納対策に力を入れているといったようなことを強くアピールするねらいもございます。また、全庁職員にコスト意識を醸成させるといったようなことですとか、区民との折衝能力、こういったものを高めたりなど、職員の資質向上といったようなものにも結びつくものであるという形で考えているところでございます。
○若林委員 ぜひその効果が発揮され、徴収率がさらに向上されることを切に願う次第です。臨戸徴収以外にもさまざまな取り組みをなされているとは思いますが、どのような対策を講じているか、お聞かせください。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 徴収対策の課題としては、この数年低迷する徴収率、これを何とか好転させることであるという形で認識をしております。ただいま申し上げました臨戸徴収強化対策をはじめといたしまして、滞納整理支援システムを活用して滞納者情報をきめ細かく分析しながら効果的かつ効率的な滞納整理を行ってまいりたいというふうに思っております。
また、浸透しつつあるコンビニ収納の実績を踏まえた納付しやすい環境の整備の促進といったものですとか、一方では区民に対する納付意識の向上に向けた広報ですとか啓発、そういったものも重要であるといったようなところから、積極的なPRにも努めてまいりたいというふうに思っています。
このように、今後ともあらゆる対策を講じながら収納率の向上に向けまして税務分野としては全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○若林委員 いろいろな対策を講じられているということですが、ほかの区とかそういう状況も見ながら、ぜひその対策がいい方向に進みますことをお願い申し上げます。
一方、区全体の債権管理の立場からは、今後収納率向上に向けてどのような方策を考えていらっしゃいますか、お聞かせください。
○伊東経営室副参事(債権管理担当) 区は、平成20年度に区債権の収納率向上対策を策定いたしました。その中では、特別区民税、国民健康保険料、介護保険料、その他の債権ごとに平成23年度の収納率の目標を掲げまして、債権管理担当を中心に進行管理を行いながら、それぞれの所管においてさまざまに対策を実施してきたところでございます。
平成23年度の収納率を見てみますと、目標に達した債権がある一方、ただいまの質疑にもありますように、目標に達しなかった債権もございます。そのため、これまで実施してきました取り組みや対策を分析しまして、未収金を発生させない、そういった滞納整理の強化策につきまして、この間副区長を座長としました債権管理対策会議でさまざまに議論をしてきたところでございます。そして現在、新たな取り組みや対策等を盛り込んだ収納率向上対策、この改定版を策定しているところでございまして、その計画に基づきまして今後とも全庁挙げて収納率のさらなる向上に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○若林委員 新たな強化対策として、全庁的な臨戸徴収をはじめとして、さまざまな取り組みを行っていることはわかります。ぜひさまざまな取り組みを強化される中、区民税の徴収率が上がることを期待しております。ぜひよろしくお願いいたします。
次に、財政白書と決算附属書類との関係についてお伺いいたします。
財政白書の34ページに「中野区では、新地方公会計モデルのうち、基準モデルを基本とした財務処理の作成を目指す。現時点では総務省方式改訂モデルに準じて作成している」とあります。ここで出てくる基準モデルと総務省方式改訂モデル、メリットとデメリットがあると思いますが、お聞かせください。
○岩浅経営室副参事(行政監理担当) 固定資産の算定につきまして、基準モデルでは導入時に原則すべての固定資産をリストアップいたしまして、公正価値による評価をすると。あと、取得日や金額情報、耐用年数等を記載した固定資産台帳を整備する必要があるというものでございます。総務省方式改訂モデルにつきましては、売却可能資産は時価評価する必要ございますけれども、それ以外の資産につきましては、財政状況調査の普通建設事業費の積み上げにより算定をするものです。固定資産台帳は順次整理を行えば可能になります。
基準モデルの特徴といたしましては、財務諸表が出納整理期間後、早期の作成、また開示は可能ということでございます。基準モデルにつきましては、こういう資産台帳からさらに詳細な項目について台帳整理をいたしますので、資産や減価償却など、情報の精度が高くなるというものでございます。
一方、固定資産台帳すべて整備されていることが前提条件になること、また、出納データの変換プログラムが必要になりますので、会計システムの導入が必要ということでございます。
総務省方式改訂モデルの特徴といたしましては、地方財政状況調査を活用いたしまして必要な修正を加えて作成をします。そのために各自治体の取り組みが容易であるということがメリットでございます。
一方、出納整理期間後、地方財政状況調査、並行して作成をいたしますので、開発する時期が基準モデルよりもおくれるというものでございます。
○若林委員 では、基準モデルの考え方を基本に、これから固定資産台帳を整理していくことになるとありますが、現在どんな状況でしょうか、お聞かせください。
○岩浅経営室副参事(行政監理担当) 現在整備が終わっておりますのは売却可能資産、ほか土地、備品でございます。今後建物、工作物、リース物件等の整理が必要ということでございます。
○若林委員 今、固定資産台帳のない中で、財政白書には有形固定資産の償却率なる資料がありますが、この減価償却はどのように行っているのでしょうか、お聞かせください。
○岩浅経営室副参事(行政監理担当) 土地以外の償却資産につきましては、昭和44年度以降取得したものにつきまして、地方財政調査におきます普通建設事業費を取得価格とみなしまして、総務省方式改訂のモデルで設定されました耐用年数に基づきまして、残存価値がゼロとなるという定額法によりまして計算し、減価償却をしているところでございます。
○若林委員 固定資産台帳がないために、減価償却の積算によらず簡易な算定となり、正確さに欠けていると感じます。ほかに拾い切れないデータはあるのでしょうか、お聞かせください。
○岩浅経営室副参事(行政監理担当) 資産計上すべきものすべてを網羅いたします固定資産台帳に比べまして、従来区で管理しております公有財産台帳、建物、土地、備品等、管理が中心となっております。ただ、リース物件ですとかソフトウエアにつきましては、台帳が整理されていないという資産もございます。
あと、個別台帳では金額が記載されていないものがございまして、取得金額を設定する必要があるということになります。
○若林委員 一刻も早く固定資産台帳を進めるということが必要であると考えます。現状課題があるということですが、どのようなものがありますか。
○岩浅経営室副参事(行政監理担当) 資産評価は、総務省が公表いたしました新地方公会計モデルにおける資産評価実務手引に基づいて行っております。評価基準の詳細が示されていないところがございまして、台帳に計上する基準を区独自に策定する必要がございます。
また、既に固定資産台帳を整備した自治体におきましても、評価の基準が統一されていないということのために、他の自治体との比較が十分にできないということも起きております。中野区では現在、東京都が立ち上げました公会計制度改革研究会のワーキンググループのメンバーに入りまして、統一的な基準による整備につきまして検討いたしながら情報を共有しているところでございます。
○若林委員 固定資産台帳ができれば、中野区の財産の把握が確実にできるようになり、計画的な施設管理や資産活用が可能になると思います。ぜひ早急につくっていただければと思いますが、財政白書の44ページ、有形固定資産の償却率、有形固定資産耐用年数などの有形固定資産と減価償却との関係からは、近い将来、耐用年数を経過する施設の改築など、計画的な施設整備が必要になってくると思いますが、学校の改築、大規模改修のための基金積み立てを始めたように、中野区の学校以外の施設で財源準備が必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
○奈良政策室副参事(予算担当) 御質問にあったように、区には義務教育施設整備基金のほかに施設整備に活用できる基金といたしまして、社会福祉施設整備基金に11億円余り、それから区営住宅整備基金に9億円、財政調整基金にも区民施設などの施設改修整備分といたしまして52億円をそれぞれ積み立ててございます。今後の各施設の更新需要を考えますと、十分とは言えないというふうに考えてございます。基金の積立財源には一般財源のほか、土地の売却による収入などを充てることとしておりまして、これら基金への着実な積み立てと計画的な繰り入れ、さらには国や都の包括的な補助制度の積極的な活用によりまして必要な財源を確保していきたいというふうに考えてございます。
また、施設の改修、改築に当たりましては、個々の施設の長寿命化の検討ですとか施設のアセットマネジメントの検討も進めておりまして、これにより財源の効果的、効率的な活用を図っていきたいというふうに考えてございます。
○若林委員 十分とは言えないということです。危機感をさらに持ち、ある程度の目標を、基金の積み立ての目標をある程度決めて、それに向かってぜひ努力をしていただきたいと思います。
中野区各会計歳入歳出決算書の附属書類として、財産に関する調書があります。土地建物物品の一覧がありますが、価格が記載してありません。自治法等で定められた書式とは思いますが、価格を明らかにすることにより、区の財産状況をあらわしたものとなると思いますが、記載について検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。お聞かせください。
○辻本会計室長 ただいま委員御指摘のとおり、決算書の附属書類につきましては、様式は総務省令で定めたものを基準としなければならないので、法令等で定められているところでございます。したがいまして、記載内容に価格等を加えることは難しいと考えているところでございます。
なお、今後とも国の動向を注視いたしますとともに、他自治体の取り組み状況等につきまして情報収集等に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○若林委員 ないということで、わかりました。ただ、決算のためだけで資料をつくるのではなく、将来につなげるために役立つデータとして存在すべきだと考えております。区民、議会、関係者が共有しておく資料として、今後も作成にぜひ工夫を凝らしていただければなと思っております。
貸借対照表には売却可能資産という項があります。有形固定資産との違いはどのようなものでしょうか、お聞かせください。
○岩浅経営室副参事(行政監理担当) 有形固定資産につきましては、公園など土地、道路、橋梁、庁舎、学校、保健施設建物など、長期にわたりまして行政サービスを提供するために使用する資産となっております。売却可能資産につきましては、既に売却することが決定をしている資産ということで、分けて記載しているところでございます。
○若林委員 では、財政白書の46ページに売却可能資産が列挙されています。歳入確保のためには、これらの資産を確実に売却していくことが必要だと考えますが、そこで幾つか確認のため伺います。このうち、既に売却された物件はどれでしょうか。また、売却方法はどのようなものかお答えください。
○伊東経営室副参事(経理担当) 売却した資産でございますが、旧仙石原中野荘と旧丸山児童館、この二つの資産を売却いたしました。売却方法でございますが、まず、旧仙石原中野荘につきましては平成22年6月と9月に一般競争入札を実施しましたが、いずれも申し込みがなく、不成立となりました。その後、翌平成23年2月にインターネットで公売を実施しまして、このとき落札者決定いたしましたが、直後に東日本大震災が発生しまして、落札者がその影響を受けたため、結果的には契約の辞退ということとなりました。今回の売却は、その後普通財産の売り払い申請が出されたため、インターネット公売における最低売却価格と同額で本年、平成24年3月に随意契約を行ったものでございます。
次に、旧丸山児童館につきましては、本年7月に一般競争入札を実施して売却をしてございます。
○若林委員 入札状況を教えていただけますか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 7月に実施をしました旧丸山児童館につきましては、申し込みは二つの事業者による入札でございました。
○若林委員 少し寂しい入札の数字だと思いますが、そのほかの物件については、どのようなものを予定しておりますか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 旧鷺宮詰所につきましては、旧丸山児童館と同じ日程で一般競争入札を実施しましたが、こちらにつきましては申し込みがなかったため、不調となりました。現在2回目の公募を実施してございまして、今月17日に入札を行う予定となってございます。
それと、旧南江古田保育園及び白鷺三丁目幼稚園につきましては、今年度中の売却を予定してございます。売却方法は一般競争入札による実施を予定してございます。そして、旧本郷保育園につきましては、現在隣接する土地との境界確定のための測量ですとか、不動産鑑定評価といったものを行っているところでございまして、それら売却に向けた手続が終了次第、一般競争入札を実施したいと考えてございます。
○若林委員 ここに記載されていない10か年計画策定時に、既に廃止されているにもかかわらず、売却可能資産にも入っていないものがあります。どういうことでしょうか、お答えください。
○野村政策室副参事(企画担当) 10か年計画(第2次)の206ページ、207ページに記載してございます用途廃止済み施設用地で、ただいま御質問のございました財政白書に未記載のものといたしましては、三つございます。一つが旧西中野保育園、それから教職員寮、それと野方一丁目用地でございます。この旧西中野保育園でございますが、現在のところは普通財産といたしまして平成26年3月まで貸し付けを行ってございます。この貸し付け期間が終了後、取り扱いについて検討を行うという予定でございます。
それから、教職員寮でございますが、これは10か年計画(第2次)のステップ3で東中野の区民活動センターの整備を予定してございます。これにあわせて取り扱いを検討しているところでございます。
さらに、野方一丁目の用地でございますが、こちらにつきましては平成23年度の事業見直しの中でお示しをしてございますが、平成27年度までに売却を予定しているというところでございます。
○若林委員 確実な売却を目指すとともに、より高額で売却するには入札者の参加がふえることが望ましいと思いますが、これまでの取り組みと、また今後新たな取り組みを検討しているかお聞かせください。
○伊東経営室副参事(経理担当) これまで区内の土地ですとか建物につきましては、区のホームページですとか不動産関連業界への情報提供により周知をしてきてございました。先ほども御答弁申し上げましたけれども、旧千石原中野荘につきましては、郊外施設ということもございますので、全国から広く売却先を求める必要性がございましたので、特に3回目の入札からは区では初めてのインターネット公売を実施したものでございます。
ただ、このインターネット公売につきましては、落札が決定した場合には一定の利用料が必要となるというものでございます。今後の売却に当たりましては、委員御指摘のようにより多くの入札等への参加者が見込める方法を念頭に、費用対効果を踏まえながら最良の方法で入札等を実施していきたいというふうに考えてございます。
なお、新たな取り組みについてでございますけれども、今後他自治体での先進事例などがあれば、調査研究してまいりたいと考えてございます。
○若林委員 ぜひ歳入確保の一つとして大切でありますから、よろしくお願いします。
次に、海での体験事業についてお伺いいたします。
このことは、我が会派の高橋ちあき議員からも一般質問させていただきました。事務局の方に急いでお願いし、文字を起こしていただいたので、違っていましたらぜひおっしゃってください。御答弁で「現在、学校では移動教室のみでなく、新学習指導要領に定められた生きる力やコミュニケーション能力の育成など、さまざまな活動を工夫することにより、この目的が達成できていると考えている」と記憶しておりますが、さまざまな活動はどのようなものがありますか、具体的にお答えください。
○川島教育委員会事務局指導室長 生きる力やコミュニケーション能力を育成することは、新学習指導要領の主たるねらいでもあり、通常の授業においては問題解決学習の展開やグループでの話し合い活動、それから学習内容を発表し合うパネルディスカッションなどを通して取り組んでおります。
また、宿泊学習においてねらいとしています他人と協調することや団結する力、思いやりの心については、運動会等の学校行事や卒業に向けての各種取り組みの中で育てていけるものというふうに考えております。
○若林委員 宿泊に関しての御答弁もありましたが、運動会などは毎回やっていることであり、当然のことだと思っております。果たしてそれで目的が達成できているのかどうか。例えば「夏季学園は、夏季休業中の生徒に豊かな自然の中で望ましい集団生活を体験させ、生徒の心身の健康保持及び増進を図ることを目標に実施している」と平成23年度版の教育要覧に記載してあります。このほかに、目的として幾日にも及ぶ水泳の強化指導を学校、またクラスの仲間と行うことと、その訓練の末に遠泳での仲間を気遣いながら泳ぎ切った達成感などが最大の教育効果だと考えております。勉強が苦手でも体力には自信があるような子もおりますし、そんな子どもたちにも思い出をつくってもらいたいなと思っております。卒業式で学校生活の思い出を語るとき、必ず夏季学園の思い出が話され、卒業文集でも必ずみんな書いております。今回の海での体験事業はこれに当てはまるとお考えでしょうか。岩井臨海学園と比較しながらお答えください。
○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) 豊かな自然の中での集団生活、これらを通じまして心身の健康保持と増進を図る、こういった点につきましては、海での体験事業、また臨海学園と同様の成果を上げられたのではないかというふうに考えているところでございます。
一方、今回の事業につきましては、海での体験事業でございますが、異なる学校から集まってきた子どもたちが仲間づくりから始めるというところ、こういった過程を経まして、泳力の向上はもとより海での災害から身を守る行動や海での生態系に触れるというような機会を提供するということを新たな目的として実施したものでございます。この事業の実施を得まして、この体験については児童の心に残っていくものというふうに考えてございます。
○若林委員 海での体験事業と岩井臨海学園の事業内容の差というのはあるにしろ、ないにしろ、それなりのものということですが、ただ、中野区全体の子どもに対してということをちょっと伺いたいんですが、現在の小学校五、六年生の総数、臨海学園実施時の参加総数と今回海での体験事業の募集数、参加数及び参加した子どもたちの中野区の小学校五、六年生に対する割合を教えていただけますか。
○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) 本年5月1日でございますが、小学五、六年生の総数は2,949人でございます。平成22年度に実施しました臨海学園の児童の参加総数は1,400人でございました。海での体験事業、この募集定員は150名で募集をしてございます。参加者のほうは82名でございました。この82名の小学5、6年生に対する参加者の割合は2.8%でございます。
○若林委員 2.8%、あまりにも少ない数字かなと。海での体験事業が実のあるものであると言い切るにしては、体験できる人数が少な過ぎると感じております。
それでは、海での体験事業で報告に見当たらなかった参加費2万円程度、1,000万円ほどの予算がついているこの海での体験事業の参加者一人当たりのコストは幾らになりますか。臨海学園での一人当たりのコストも幾らになるでしょうか、お聞かせください。
○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) まず、平成22年度に実施いたしました臨海学園の経費でございますが、現地での水泳指導に当たりました200人を超えます教員の人件費、こういったものが経費の中には反映されてございませんので、一概に比較というのは難しいかと思いますが、そのときの執行額と参加人員で計算いたしますと、臨海学園につきましては一人当たりのコストは約1万4,000円という形になろうかと思ってございます。なお、海での体験事業におけます参加者一人当たりのコストは6万1,000円でございます。
○若林委員 今回募集が150マックスにならなかったということもありますけれども、それに対してもあまりにも差がついているのかなと思っております。臨海学園の廃止の理由の一つで、平成24年1月31日の子ども文教委員会の資料「今後の郊外施設のあり方について」に「平成20年に学習指導要領が改定され、知識、道徳、体力のバランスのとれた生きる力の育成をねらいとし、指導内容とともに授業時間数もふえており、学習時間の確保が課題となっている。こうしたことを背景に、夏休みでの学校内での活動も増加している」とありますが、夏休みの学校内での活動がどう増加したのか、具体的に御答弁ください。
○川島教育委員会事務局指導室長 新学習指導要領の実施により、学習内容が増加をいたしました。そのため、週当たりの授業時間数なんですが、小学校では28時間、中学校においては29時間となっております。そうした中で、平日に補習などの個別指導を行うことは大変難しい状況があります。一方で基礎的、基本的な内容を十分に理解できていない児童・生徒の個別指導も必要になっておりまして、各学校で夏休みなどを通して補習教室の実施や学校図書館を開放するというような取り組みを進めているところです。
一例を申し上げますと、ある小学校なんですが、昨年度までは補習教室を教員と保護者、地域ボランティアで5日間実施していたんですが、今年度は学年によっては12日間実施をいたしまして、延べ1,000人の子どもが参加をしているような取り組みがあります。
○若林委員 授業時間がふえて補習がふえるということもわかりはしますが……。
同じく、子ども文教委員会の資料に「夏季学園は日常生活では得られない自然体験を行うことができるとともに、学校での努力を成果として実感する機会があったが、その実地に向けて水泳指導の事前調査などの事前準備に時間がとられ、通常教科学習に影響を及ぼしている状況にある」とあります。水泳指導は、通常教科学習の中で行っていたのですか。
○川島教育委員会事務局指導室長 体育の授業においては、水泳指導に充てる時間はおおむね10数時間程度になっております。この時間数では、本区の場合、臨海で遠泳を実施してきておりまして、それには十分対応できないということで、体育の授業時間数を増加して対応してきた経緯がございます。
○若林委員 指導時間が大変かかるということでそういう考えをお持ちなんでしょうが、臨海学園で行っている区は7区あります。渋谷区、千代田区、中央区、台東区、文京区、荒川区、葛飾区、これに中野区が加わっていました。23区の3分の1に当たります。ほかの区はどのように時間確保をして、指導する先生をどのように確保しているのか、お聞かせください。
○川島教育委員会事務局指導室長 臨海学園と言いましても、内容の違いはございます。例えば、浜辺で遊ぶ程度のものから遠泳を行うものまで活動に幅があり、一概に比較することは難しいというふうに思いますが、中野区のように遠泳を行っている区はごく少数というふうに承知しています。他区の詳細な実施状況ですとか、それから臨海学園の準備にかけている時間数を把握しておりませんので、正確に御回答できませんが、授業時間数の確保については本区と同様、例えば土曜日の授業の実施ですとか、夏季休業日の縮減等で確保しているというふうに思われます。
なお、指導員につきましては、ライフセーバー等の資格を持った学生ですとか、外部の指導員をつける形で対応しているようです。
○若林委員 ほかの区はいろいろな意味で努力をされて、中野区でそれができないということは寂しいことかなと思っています。本当にそういう指導ができない状況に今の中野区はあるんでしょうか。
○川島教育委員会事務局指導室長 海で遠泳を行うというのは中野区の臨海学園の一つの特徴でありまして、子どもたちの生命と安全を確保するということに最大努めてまいりたいと思います。そうした中で、現在教員のほうも、海での遠泳を前提とした指導ができるという教員はなかなか確保が難しいところもありますので、そのあたりをかんがみますと、いろいろ考えていかなければいけないだろうなというふうに思っております。
○若林委員 今、先生の資格を取るときに、泳げるか、泳げないかわからないという、そんな状況にあることも聞いてはおりますが、今まで皆さんはここの中野区で遠泳をされていた子どもたちが実際、皆さん思い出として残って今中野区にお住まいであるんですが、今の子どもたちにそれを、思い出づくりをさせてあげられないというのは、ちょっと悲しいのかなと思っております。
また違ったお聞きをさせていただきますが、平成24年の体力向上への取り組みとして、夏季学園の廃止に伴う体力低下への懸念を払拭するため、各学校ごとに作成されている体力向上プログラムの改定、充実により、中野区スタンダードの達成に向け、体力向上への取り組みを強化するとあります。夏季学園廃止による体力低下への懸念を払拭するための体力向上プログラムの改定、充実内容はどのように行われていますか、具体的にお答えください。
○川島教育委員会事務局指導室長 体力向上プログラムですが、体育科の授業改善、それから特別活動等の工夫、それから放課後部活動の工夫の三つを柱としております。具体的に申し上げますと、体育の授業において運動量を十分確保することや全校で行ういわゆる体育朝会の実施などに取り組んでいるところです。また、区の統一した種目として、フラッグフットボールを各学校の実情に合わせて位置付けて、体育の授業等で行っています。これに加えまして、毎年度体力調査を実施しておりまして、その結果をもとに体力向上プログラムの改定を行って指導の充実に努めているところでございます。
○若林委員 平成24年3月13日の子ども文教委員会の資料、平成23年度体力調査の結果と体力向上に向けた取り組みの今後の方策の中で、教育委員会は児童・生徒体力向上のために各学校への専門的指導員の配置や教員の体育や運動における指導力の向上を図るための研修会の実施、保護者、地域を対象とした体力向上に向けたキャンペーンの開催など、実効性の高い方策を推進するとありますが、学校への専門的指導員の配置の実態や指導力向上のための研修会の実施状況はいかがですか、お聞かせください。
○川島教育委員会事務局指導室長 平成22年度から東京都教育委員会が指定しておりますスポーツ教育推進校において柔道やダンスの専門的な指導者による授業ですとか、大学の陸上部員を指導補助員として行う授業の実施、そのほか体育科の時間講師を配置いたしまして、複数の教員による指導を行うなど、内容の充実に努めているところです。
また、研修会につきましては、年3回体力向上研修会を実施しております。平成23年度の内容としては、1回目がフラッグフットボールの実技研修、2回目が幼児期からの体力向上、3回目が学校、家庭、地域で取り組む健康づくりと体力向上というテーマで研修会を実施しております。
○若林委員 それで体力向上になるのかちょっと疑問でありますが、夏季学園廃止の背景の一つとして、指導教員の確保、年々難しくなっている現状や遠泳の際に潮の流れを見て実施の判断を行う地元漁師の高齢化など課題が多く、児童の安全確保が困難な状況にある。学校現場からも廃止に向けて強い要望があるとの記述が子ども文教委員会での資料にありましたが、海での体験事業ではこの判断をされる方がいらっしゃったのでしょうか。また、岩井の海での体験と危険性の違いはどのようなものがありますか、お聞かせください。
○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) 海での体験事業、水泳の指導に当たりましては、地元の管内監視、ライフガードとの連携を図っていく中で海の状況の適切な判断が行われたものというふうに考えているところでございます。この結果、期間中でございますけれども、天候の状況によりましてプログラムを一部変更したというような経緯もございます。
また、今回の水泳指導に関しましては、児童二人に一人という割合でライフセービング技術でありますとか救急法の資格を持った指導員を配置するということで、安全性に配慮した形の中での授業の実施が行えるものというふうに考えてございます。
○若林委員 今回の海での体験事業が児童の安全性が確保できるという中野区の思いがあれば、例えば遠泳強化指導は従来どおり学校で行い、学園実施は海での体験事業ということで各学校単位で実施可能ということは考えられますか、お聞かせください。
○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) 先ほどお答えの中で一部出てまいりましたが、やはり海での泳ぎを指導できるという形の中の経験を持っている教員が極めて少なく、通常の教科学習のほうにも一定影響を及ぼしているというような事実もございます。こういったところから、教員によります海での事業に向けた水泳指導は難しいというふうに考えているところでございます。
また、異なる学校から集まってきた児童が、先ほども言いましたけれども、仲間づくりを進めるということも大きな海での体験事業の主眼でございます。事前指導におきまして児童の泳力、状態などを知った上でないと、やはり海での安全な指導というのはなかなか行えないというふうに思ってございまして、学校単位での授業の実施は難しいかなというふうに考えているところでございます。
なお、海での体験事業、募集数が定員を上回るような状況が発生した場合につきましては、事業の拡大について検討する必要があるというふうに考えているところでございます。
○若林委員 これまでさまざま指摘させていただきましたが、中野区の多くの子どもたちに中野区に住んでよかったと思ってもらいたいし、中野区で子育てしたいと、そのように思ってもらいたい。その一つのものとして、もし海での体験事業をこのまま進めていくのであれば、この募集人数、参加人数ではとても中野区全体の子どもに対してのそんな思いをさせることができないと思います。中野区の子どもたちのためにも、先ほどの提案も含め、議会側から強く申し出があるということで、再度御検討いただきますようお願いいたします。要望とさせていただきます。
質問に移らせていただきます。
みなかみ町里・まち連携を締結していただき、感謝いたしております。早速来年度移動教室でみなかみ町の利用を検討している学校もあるとのことで、目的の一つはかなったのかなと思っておりますが、しかし、本来の目的としては、何としても中学2年生の移動教室実施が我々の一番の目的であります。中学2年生の移動教室廃止に関して、生徒たちからは特段不満の声は上がっていないとの御答弁があったかと思いますが、私は残念がっている子どもたちの声を聞いております。ちゃんとした調査を行ったのでしょうか、お聞かせください。
○川島教育委員会事務局指導室長者 ちゃんとした調査を行ったかということなんですが、生徒に対しまして正式な調査は行っておりませんが、中学校の校長先生、副校長先生にお問い合わせをしまして、各学校で担任の先生に確認をしていただいて御回答いただきました。その中では、特に生徒からの不満の声は聞かれなかったというふうに報告を受けております。
○若林委員 聞き方がどうだったかわからないですし、実際聞くかどうかもちょっと不満ですし、ちゃんと子どもたちの声が届いているのかなというのも疑問に思います。(「中学生は夏季学園もなくなっちゃったんだからね」と呼ぶ者あり)中学生は夏季学園もなくなっちゃった、そのとおりです。中学2年生において望ましい社会性、勤労感、職業観を育成するための職場体験やボランティア活動など、地域における多様な体験活動が充実してきているとの御答弁もありました。これらの活動は今までも実施してきており、その目的も移動教室の目的と異なります。区立小・中学校の移動教室の目的は、中野区と異なる環境や地域の特性を生かした体験的な学習を通してみずから学ぶ意欲や態度を身につけさせるとともに、集団による宿泊生活を通じて好ましい人間関係を育てるとあります。中学1年生の移動教室1回だけと修学旅行では目的が達成できないと考えますが、いかがお考えでしょうか。
○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) 宿泊事業につきましては、中学1年生の移動教室、3年生の修学旅行とございます。こういったものを通じまして、今委員御指摘の望ましい態度、人間関係につきましては深めていけるものというふうに考えてございますが、宿泊を伴う行事のみではなくて、学校内における日ごろの活動、これも非常に重要だと考えてございます。望ましい態度、人間関係を養っていけるものは何か、そういうものを通して養っていくべきだというふうに考えているところでございます。
○若林委員 今までも実施してきた事業である中で、中学2年生の移動教室が、宿泊行事がなくなったということで、1個行事がなくなったということになりまして、果たしてこういう子育て環境、目的を達成できているのかなと疑問に思います。平成23年度の教育委員会に係る事業見直しが行われましたが、この見直しにおける平成24年度ベースの財政効果額は全体で幾らあったのでしょうか、お聞かせください。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 事業見直しによる教育委員会事務局の平成24年度ベースの財政効果でございますが、就学援助の見直しと常葉少年自然の家の廃止、体験学習選択制の導入によりまして、4,543万1,000円となってございます。
○若林委員 そういった努力をしておきながら、その割には教育に関して還元が少ないように感じます。教育関連事業に係る効果額は、教育の充実を図っていくことに還元していくべきだと考えます。この見直しによる効果を中学2年生宿泊行事、移動教室の復活に生かすことはできないでしょうか。
○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(学校・地域連携担当) 事業の見直しにつきましては、学校の教育活動の現状を踏まえまして目標に向かって効率的な事業展開が図れる、こういうことを念頭に置いて実施したものでございます。この考え方を踏まえまして、新たな体験事業の体系を構築させていただきました。体験学習につきましては、既にお示ししている新たな体系への着実な移行、これに全力を注ぎたいというふうに考えてございますが、本年度は移行期間ということで御説明をしてございます。この実施状況を踏まえまして、御指摘の事業の実施につきましてはその可否を含めて検討していきたいというふうに考えてございます。
○若林委員 可否を含め検討していただけるということで、可のほうだと信じて検討ということで聞いております。米百俵の精神もありますし、さまざまにこうやって指摘させていただきましたが、ここにいる多くの議員の方が中学2年生の移動教室復活を望んでいると思います。私も応援しますし、もちろんほかの議員の方々も同じだと――私も協力します。ぜひ中野区の子どもたちのために中学2年生の移動教室の復活を強く、強く要望させていただきたいと思います。(「中学だけでいいのか、小学校どうしたんだよ」と呼ぶ者あり)小学校も中学校も子どもたちに今までどおりの思い出をつくってあげたい、そんな強い思いがあります。私たちは区民の代表として皆さんから声を聞いて、それを皆さんにお伝えしております。ぜひ中野区としていろいろな立場もあると思いますが、お考えいただければと思います。もし御答弁をいただけるようであれば、お願いします。
○田辺教育長 教育の目的というのは皆さんも御存じだと思いますし、同じ思いでおられると思いますけれども、どんな境遇にあってもたくましく生きる力を育てていく、そうした能力を学校教育の中で身につけていくということが大事だというふうに思っております。ただし、その方法についてはさまざま工夫しながら、その時代、時代に合った方法で行っていくべきだというふうに思っておりまして、そういう意味では新たな体験事業の体系を組み立てさせていただきました。この事業につきましては、今年度始めておりまして、中学校はまだ冬に実施ということになります。そうしたことも十分検証させていただきながら検討させていただきたいというふうに思っております。
○若林委員 基本が新しい政策とか、そのようなものを取り入れていく間に犠牲になっているのは子どもじゃないかなと思っております。改めて真剣に考えていただいて、子どもたちのためにぜひよろしくお願いします。
その他の項について実は準備していただいたんですが、時間もないので割愛させていただき、別な機会にと思います。
以上で私の総括質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○佐野委員長 以上で若林しげお委員の質疑をこれで終了いたします。
次に、むとう有子委員の質疑を行いたいと思います。
○むとう委員 区民の方からお寄せいただきました御意見をもとに質疑させていただきます。
特別区税収入は2009年度から減少し、2011年度は2010年度からさらに約3億円減少し、292億円となりました。中野区の納税者一人当たりの所得額は、前年度から2万円減少し、373万7,000円となり、23区平均の410万8,000円より37万1,000円も下回っています。その上、納税義務者数も1,390人が減少しました。収入が減り、苦しい生活の中から納められる税金ですから、1円でも大事に使わせていただくという姿勢でなければならないと思います。その視点で入札についてお尋ねいたします。
主要施策の成果の19ページに「入札改革の取り組みについては、区内産業の育成と中野区経済の発展に資するため、区内業者が優先的に受注できるよう地域要件を付加した制限付一般競争入札を工事請負契約において時限的に導入しました」と書かれています。
この対象は、予定価格が土木、建築が1億円まで、道路舗装、造園が6,000万円、電気が4,000万円、給排水、空調が3,000万円までの限度額を超えない範囲とし、2011年度に限る時限的実施するものでしたが、2012年度も道路舗装の限度額を1億円までに変更した以外は、そのまま継続して実施されています。しかし、主要施策の成果(別冊)、行政評価結果の69ページ、外部評価のその他の評価内容欄には「入札において区内業者を優先することにより、公正な競争が妨げられ、区民の損失につながる可能性がある」と書かれています。厳しい社会経済状況下で、区内産業の発達、発展のためにも区内業者に適正価格で技術の高いよい仕事をしていただきたいと私も思います。しかし、区財政が厳しい中、外部評価委員が指摘している区内業者を優先することにより、公正な競争が妨げられ、区民の損失につながるような事態にならないよう、公正な入札を行っていただかなければなりません。
そこで、公正な入札となっているのかどうか、2011年度における入札結果を東京電子自治体共同運営電子調達サービスのホームページで建築工事と電気工事に絞り、43件すべての落札率を調べてみました。落札率は予定価格に対する落札額の割合で、100%に近いほど落札業者の利益が大きく、落札率が上がれば一般的には談合や税金の無駄遣いが疑われることになります。そこで、建築工事と電気工事の入札43件について、落札率ベスト3からお尋ねさせていただきます。落札率100%は何件ありましたか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 落札率100%だった入札は、1件ございました。これは1回目の入札で落札者が決まらず、2回目の入札で落札者の入札金額が予定価格と同額になって100%になったというものでございます。
○むとう委員 この入札は制限付一般競争入札であり、落札者も含め参加者はすべて区内業者でよろしいでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 制限付一般競争入札でございましたので、すべて区内の事業者による入札でございました。
○むとう委員 次に、落札率99%は何件ありましたか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 落札率99%だった入札は、3件ございました。
○むとう委員 この入札も制限付競争入札であり、落札者も含め参加者は区内業者だったでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) こちらにつきましても、すべて制限付一般競争入札でございまして、区内事業者による参加でございました。
○武藤委員 次に、落札率98%は何件ありましたか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 落札率98%の入札につきまして、8件ございました。
○武藤委員 この入札も制限付一般競争入札であり、落札者を含め、参加者はすべて区内業者だったでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) こちらにつきましても制限付一般競争入札で、すべて区内事業者による参加の入札でございました。
○むとう委員 では次に、低い落札率ベスト3をお尋ねいたします。一番低い落札率は72%で、1件で間違いないでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 委員御指摘のとおりでございます。
○むとう委員 では、この入札は制限付一般競争入札だったでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) こちらにつきましては、制限付一般競争入札ではございませんでした。
○むとう委員 では、落札者も含め、参加者の内訳をお答えください。
○伊東経営室副参事(経理担当) こちらの入札参加者の内訳でございますけれども、16の事業者の入札参加でございました。うち区内の事業者が8社、区外の事業者が8社でございました。
○むとう委員 では、2番目に低い落札率は73%で、1件で間違いないでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) はい、そのとおりでございます。
○むとう委員 この入札は制限付一般競争入札でしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) こちらにつきましては、制限付一般競争入札ではございませんでした。
○むとう委員 では、落札者も含めて参加者の内訳をお答えください。
○伊東経営室副参事(経理担当) こちらの入札につきましては、20の事業者の参加がございました。うち区内の事業者が8社、区外の事業者が12社でございました。
○むとう委員 3番目に低い落札率は76%で、1件で間違いないでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) はい、そのとおりでございます。
○むとう委員 この入札は制限付一般競争入札でしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) こちらにつきましても、制限付一般競争入札ではございませんでした。
○むとう委員 では、落札者も含め、参加者の内訳をお答えください。
○伊東経営室副参事(経理担当) こちらの入札につきましては、15の事業者の入札の参加がありまして、うちわけは区内の事業者が6社、区外の事業者が9社でございました。
○むとう委員 以上のように、落札率98%以上については参加業者がすべて制限付一般競争入札で区内業者です。72%から76%は区外業者が参加しています。そのほかの落札率のところも含めて、参加業者が区内業者のみの落札は落札率が高い傾向にあり、区外業者が加わることで落札率が低くなる傾向があると言えると思います。この傾向についてどのような認識をお持ちでしょうか。端的にお答えください。
○伊東経営室副参事(経理担当) 御質問のありました入札につきましては、落札率の一番高いほうの入札でございまして、これ以外では90%の前半の落札率の入札もございました。中には、制限付一般競争入札でございますけれども、落札率が77%というものもございました。
また、今回の御質問は建築工事と電気工事に限られてございますけれども、制限付一般競争入札でのその他の工事種別では、平均の落札率が80%程度になっているものもございまして、入札の方式と落札率とを一律に関連づけることはできないというふうに考えてございます。
○むとう委員 私は今回の43件についての傾向をお尋ねいたしましたので、私が取り上げましたような予算の建設工事と電気工事については、やはりこういった傾向があると私は主張したいと思います。これはまさに外部評価委員が指摘した区内業者を優先することにより、公正な競争が妨げられている可能性があると言える現象に当たるのではないでしょうか。どうでしょう。
○伊東経営室副参事(経理担当) 現在、区が実施をしております入札は、制限付一般競争入札を含めましてすべて公平かつ公正に行われているというふうに認識してございます。したがいまして、落札率のみをもって適正さを論じることは適切でないというふうに考えてございます。
なお、今後も引き続き入札の公平性と公正性を確保していくため、実施計画の検証を行いまして入札監視委員会に報告をして御意見などをいただきたいというふうに考えてございます。
○むとう委員 全国市民オンブズマン連合会議は、落札率90から95%は談合の疑いがある、落札率95%以上は極めて談合の疑いが強いと主張されています。その一方、日本建設業団体連合会は、予定価格の積算基準は報道されており、企業側も高い精度で積算できるので、高落札率が談合と決めつけるのはおかしいと主張されています。適正な落札率とは一体何%なのか判断が難しいところですが、区外業者が参入することで公正な落札が働き、落札率が下がり、結果として区内業者が区外業者に競り勝ち、区内業者が落札したケースもありました。公正に競うことで区内業者も発展できる要素があるのではないかと私は思います。
また、落札率95%を超えた場合に高落札率と定め、高落札調査委員会を設置し、落札決定を保留にして工事費内訳書を提出させ、事情聴取し、適切な積算により入札価格が設定されているか、入札価格との間に不自然さがないか、談合の疑いがないか調査する制度を実施している自治体もあります。この制度により、95%を超える落札率はなくなったそうです。こういったものも参考にしていただきたいというふうに思います。
2011年度1年間のはずであったこの区内業者を優先する制限付一般競争入札について、どのような評価をなされた上でさらに2012年度まで延ばされたのでしょうか。端的にお答えください。
○伊東経営室副参事(経理担当) この制限付一般競争入札につきまして、平成23年度の実施結果につきましては、入札監視委員会に御報告をいたしました。委員からは、制限付一般競争入札の実施状況を注視しながら推移を見守っていきたいとの御意見をいただいたところでございまして、区としてもそれを踏まえまして今後入札の実施状況を注視しまして、公正な競争の確保に努めることとしてございます。
今年度の延長理由でございますけれども、まずこの制限付一般競争入札は対象とする期間を、先ほど委員御紹介のように平成23年4月1日から1年間に公告する案件とするものとしたものでございますけれども、同時に経済状況等により更新を可とするという制度でございます。したがいまして、現下の厳しい経済状況を踏まえまして、区内産業の育成並びに区経済の発展に資するという制度の趣旨に鑑みまして、今年度も引き続き実施をしているというものでございます。
○むとう委員 2011年度の工事請負契約100件のうち、75件が制限付一般競争入札でした。そこで、2011年度第2回入札監視委員会の公開されている議事録概要を読んでみました。そこには制限付一般競争入札について、予定価格内の入札が1社のみである入札案件が多いが、この結果を見ると競争性の確保がなされているのかと委員からの疑問が投げかけられています。総合評価制度により、既に区内業者は優遇されていますので、落札率が高くなる傾向を招いている制限付一般競争入札は、客観的に見て公正な競争が妨げられている可能性が高く、区民の損失につながる可能性も高いので、しっかり検証し、廃止に向けて検討すべきではないでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 制限付一般競争入札につきましては、制度の趣旨でございますけれども、それに鑑みまして1年ごとに実施を行うというものでございまして、制度そのものを廃止するということは考えてございません。
○むとう委員 今年度から総合評価制度による入札改革を唱える専門家である法政大学大学院教授の武藤博己先生が中野区の入札監視委員会の委員長になられましたので、私の親戚ではありませんけれども、武藤先生を中心に中野区の総合評価制度をいま一度検証し、よりよい制度となるよう見直しを進めてはいかがでしょうか。
○伊東経営室副参事(経理担当) 区としましては、今後とも総合評価方式につきましては制度の充実をさらに努めていきたいというふうに考えてございます。
○むとう委員 やはりだれが見ても、客観的事実として43件については高落札率が制限付一般競争入札で生じておりますので、そこは冷静に見極めて、より公正な制度や仕組みとなるよう、これからもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますし、結果をしっかり、謙虚に傾向を読んでいただけたらというふうにお願いしたいと思います。
続きまして、会計事務についてお尋ねいたします。
主要施策の成果(別冊)行政評価結果の254ページ、分野の成果指標、会計事務における適正な処理件数の割合が、この指標になってからずっと100%を達成しています。区民の財産である現金を管理する重要な事務ですので、100%適正でなければならないと思います。
ところで、会計事務とはどのような事務を意味しているのでしょうか。また、年間処理件数は何件でしょうか。さらに、いつから適正処理が100%になっているのでしょうか。端的にお答えください。
○辻本会計室長 地方自治法では、会計管理者が司る会計事務の重要な事項といたしまして、現金、これにつきましては証券及び基金に属する現金も含むわけでございますけれども、これの出納及び保管を行うこと並びに現金及び財産の記録管理を行うことを指定しているところでございます。こうした法令に基づきまして、区では規則を定めまして毎日の収支につきまして現金出納簿及び預金明細書を作成いたしております。これと指定金融機関へ提出される収支報告書兼預金明細書と照合を行っているところでございます。会計室では、この会計事務のうち、関係法令に則り、最も基本的かつ客観的に数値で把握できるこの照合件数を処理件数としているところでございます。したがいまして、平成23年度におきましては、業務日数でございます244件ということでございます。
また、この指標は平成16年度から採用してございまして、以来100%を維持しているところでございます。
○むとう委員 決算書には、款、項、目、節まで書かれています。節の中は1から28まで区分され、その使い道がわかるようになっています。節の中の区分22は、補償・補てん及び賠償金ですが、決算説明書と照らし合わせると、2011年度は利子補給金や工事に伴う物件移転補償、災害に伴う指定管理者の休業補償、契約解除に伴う賠償金、区民住宅漏水にかかわる損害賠償、また、区が裁判に敗訴した、教育長が総務課長のときに行った世に言う不正打刻事件の住民側の弁護士費用53万5,000円もこの区分で支給されています。
さて、決算書104ページで会計管理費の22、補償、補填及び賠償金1万円が支出されておりますが、この1万円は少額のため、決算説明書を見ても何の補償あるいは賠償金であるのか記載がされておりませんので、この1万円について簡潔に御説明ください。
○辻本会計室長 委員ただいま御指摘の1万円につきましては、昨年度会計室の出納管理窓口におきまして1万円の不明金が生じたものでございます。これにつきましては、直ちに調査等しまして、最終的に事実確認ができなかったということでございます。そのため、不明金として会計処理を行うことといたしまして、ただいま委員御指摘の22節、補償、補てん及び賠償金により補てんをしたものでございます。
○むとう委員 出納の部分で不明金でわからなかったということですが、どうしてそういうことが発生してしまったのか、もう少しお答えください。
○辻本会計室長 答弁一部繰り返しになりますけれども、現金につきまして会計室出納窓口において不明が生じたということでございます。直ちに現場の検証でございますとか関係職員からの事情聴取等、調査を尽くしたところでございますけれども、最終的には物的証拠等が乏しく事実確認ができなかったため、不明金として会計処理を行ったものでございます。
○むとう委員 出納窓口でということは、例えばお釣り銭が間違っていたとか、世に言う釣り銭詐欺みたいなことであるとか、簡単に言えば釣り銭の行き違いというような、そういうことでの不明金でしょうか。
○辻本会計室長 委員御指摘の点も含めまして、さまざまな角度から調査検証をしたところでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、最終的には事実確認できなかったということでございます。
○むとう委員 これ以上聞いてもそれ以上お答えしていただけないようなんですが、とりあえず不明金が1万円あったということなんですけれども、それは会計事務における不適正な処理があったということになりますので、成果指標の達成度100%は訂正すべきではないでしょうか。
○辻本会計室長 事の次第につきましては以上のとおりでございますが、不明金を生じさせたこと、これ自体は大変大きな問題であるというふうに認識してございまして、十分反省しているところでございます。しかしながら、その後の会計処理につきましては適正に行ったという認識でございます。
○むとう委員 不明金があっても、それを何か補てんをして補えば適正な会計処理だったというふうな御主張は通らないですよ。たった1万円でも、区民の皆様から預かっている税金ですから、きちんと不明のままで終わらせてはいけないと私は思いますし、そういうことがあったんだったらば、窓口での出納事務というのも会計事務の重要な一つの仕事であると思いますので、1万円といえども不適正な処理があったわけですから、100%は謙虚に訂正されたほうがよろしいのではないですか。
○辻本会計室長 繰り返しになりますけれども、会計室におきましては会計事務管理規則に基づきまして現金出納、さらには預金明細書という書式をつくってございます。これにつきましてはさまざまな現金等の出し入れ、振替等を行った合計金額、さらには地方自治法第235条の4に基づきます歳計現金及び基金に属する現金につきまして、その預金の種別等を明確に記入した帳簿でございます。これにつきましては、銀行と毎日の業務の中で照合を行うこととしてございまして、それにつきましては適正に行ったということでございます。
○むとう委員 これ以上時間もないのでやめますけれども、不明金が発生した、でも適正に処理したから100%会計事務はできているんだというようなおごりを持っていますと、また今度は1万円どころの話でなくなる可能性もありますから、会計事務において不適正な処理があったわけですから、これはきちんと謙虚に認められて、100%達成率というのは訂正されることを強く私は求めたいと思います。答弁は結構でございます。
次に、学校図書についてお尋ねいたします。
活字離れが昨今の課題ですが、図書はすぐれた教育方法の一つであり、人間性をより豊かにし、実践的知識を身につけます。中野区では非常勤で1日4時間、週4日と短い時間ですが、司書、あるいは教員免許を有する指導員が全校配置されています。義務教育課程の中で子どもたちが読書の楽しさを知ることができたならと願うばかりです。
学校図書館法では、第1条で学校図書館が学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であるとし、第6条で学校の設置者は学校図書館を整備し、及び充実を図ることに努めなければならないと定められています。主要施策の成果(別冊)、行政評価結果143ページに学校図書の備えるべき基準を達成している割合が成果指標として挙げられています。小学校は2010年度が100%だったものが2011年度には92%へ、中学校は66.7%から58.3%へと悪化をしています。基準を達成できていない状況についてどのような認識をお持ちなのか、さらに悪化の原因についてお答えください。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 確かに委員御指摘のように、文部科学省が定めます学校図書館の蔵書数の標準、これを達成しない学校があるわけですけれども、この標準につきましては、公立中学校等において学校図書館の整備を図る際の目標として、学級数により設定されたものでございます。したがって、全校でこの数字を達成することが望ましく、今後整備に努めていきたいというふうに考えてございます。
また、水準率が下がった要因でございますが、大量に蔵書を廃棄したことや学級数の増加、これは一部でございまして、標準となる蔵書数がふえたことによるものでございます。
○むとう委員 常に新しい情報や内容を加える必要もあり、読まれれば傷むので、図書が古くなったり傷んだりして廃棄するのは当然のことです。問題なのは、廃棄分を新たに購入できないことです。学校図書は校割予算で購入することになっており、校割予算は2009年度を基準に、2010年度は10%、2011年度は12%、2012年度は13%削減されたそうです。
先日、中学校PTA連合会と懇談しましたが、蔵書数の充実も要望の一つに挙げられています。前段で紹介しましたように、学校図書館法で設置者は充実を図ることに努めなければならないと定められていますので、大量に廃棄したとはいえ、廃棄分も補えないような校割予算でよいのでしょうか。基準はあくまで目標とおっしゃいましたけれども、やはり目標は最低限達成すべきであるというふうに私は思いますので、2009年度よりじわじわと減額することで学校に無理を強いているのではないでしょうか。区の現状認識をお答えください。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 区立小・中学校ともに購入と寄附受領を合わせますと、蔵書数の増は年間平均で500冊以上となってございます。また、年度による増減はあるものの、学校フレーム予算の一定額が図書購入費に充てられているところでございます。小学校におきましては、平成22年度に水準達成率が全校で100%に達しております。このため、学校フレーム予算の中で蔵書の購入によりこの水準を維持していけるものと考えてございます。
他方、中学校においては、水準に達していない中学校は、もともと蔵書数が少なく、学校フレーム予算による蔵書の購入だけでは水準の達成が難しい状況にございますけれども、当面は図書館の団体貸し出しを有効に活用していきたいと考えてございます。
○むとう委員 今、校割予算だけではなかなか補えないというような御発言もございましたので、校割予算以外で学校図書購入費をつけるというお考えはあるんでしょうか。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 確かに中学校の場合には校割予算の中からの購入ということではすぐに水準を達成するということは難しいわけでございますが、これにつきましては当面は図書館の団体貸し出しを有効に活用していきたいと考えてございます。
なお、一気に達成するということになりますと、相当な予算が必要になるということでございますので、当面はそういう措置をとっていきたいというふうに考えてございます。
○むとう委員 もしわかれば、相当な予算というのは具体的にお幾らぐらいかかるんですか。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) これは具体的に試算をしてございませんけれども、平成23年度の実績ベースで考えますと、500万円以上の予算がかかるんではないかというふうに考えてございます。
○むとう委員 先ほどの移動教室の課題もございましたけれども、500万円ぐらいで図書の基準が満たされるというのであれば、やはり子どもたちにはしっかり本を読んでいただきたいし、いい本をたくさん与えてあげていただきたいというふうに思いますので、今後検討していただきたいと思います。
高落札率となる制限つき一般競争入札を廃止して、総合評価制度の精度を高めることによって公正な競争による入札が実現することができたならば、学校図書館にもっと本を買うことができるかと私は思いますので・・・
○佐野委員長 むとう委員、時間が過ぎておりますので、これでむとう委員の質疑を終了させていただきたいと思います。
続きまして、第3番目で奥田けんじ委員の質疑を始めたいと思います。奥田けんじ委員、よろしくお願いいたします。
○奥田委員 総括質疑をさせていただきます。今回は、通告では2件の質問をお伝えしましたが、時間の関係で1件目の地球温暖化防止についてのみの質疑とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
まず、環境系のこれまでの区の施策について、どのような動きがあったのかというのを時系列で確認をさせていただきたいと思いますが、平成20年5月に環境基本計画が出されまして、その中で具体的に第1次アクションプログラムというものが示されたわけであります。平成22年3月には10か年計画の第2次というものがまとまりました。また、平成23年7月、地球温暖化防止の条例が策定されたところであります。今般、平成24年9月、平成23年度主要施策の成果というところの中でもさまざまな指標を示してこの環境、地球温暖化防止の取り組みがどのように進んでいるのか、検証ができるような材料として出されているところであります。
まず最初にお伺いいたしますが、10か年計画、あるいは環境基本計画、この中で一番の施策の目標として掲げられておりますのがCO2の削減であります。環境基本計画の中では、平成16年度に94万トン余の国内の総排出量があったものを、10年後の平成29年度、85.3万トンまで削減するという、約9万トンの削減をしようという計画を立てておりました。
一方、10か年計画の第2次では、平成17年度比になりますけれども、92万5,000トンから31年までに13万トン余の削減ということになります。これを比較のために環境基本計画と同じ年度の平成29年で合わせて数字を比較してみますと、基本計画の中では85.3万トンから81.38万トンまで大幅な削減幅の増を予定しているというような表現になっているかと思います。まず確認させていただきますが、平成16年比13.02万トンの削減ということでおよそ4万トン、年数がずれておりますので、削減を均等割した額でお伺いしたいと思いますが、平成29年度の目標に対して約4万トン目標額を増額しているような修正と理解してよろしいでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 環境基本計画では85.2万トンという目標を立てました。10か年計画では78.6万トンという目標を立てたところでございます。区としては、委員御指摘のような平成29年度の均等割での比較というのは行ってございませんけれども、いずれにしましても当時、10か年計画の改定作業を行っていた平成21年6月に、2020年に2005年比で温室効果ガス排出量を15%削減するという日本の温室効果ガス排出量削減に向けた中期目標を国が発表したこともあり、区として環境基本計画よりももう少し高い目標を掲げていく必要があるのではないかという議論もありまして現在の目標値となっているものでございまして、環境基本計画から10か年計画を比較しますと、6.6万トン多く削減することとしたと認識してございます。
○奥田委員 いずれにしても上方修正ということには間違いないわけですけれども、比較のために、これはあくまで私の試算として、削減額の均等割をして29年比較をした場合にどうかということでないと、どの程度上方修正したかというのが明らかになってまいりませんので、あくまで私の試算でありますけれども、平成29年比という形にしますと、4万トンの増額ということになるわけであります。
その内訳を私なりに試算いたしますと、家庭については約2.6万トンの削減幅の増額、それから業務産業系で2.2万トンの削減幅の増額となっているわけでありますけれども、環境基本計画の中では、いわゆる区民風車の売電収益を見込んでの削減計画であったと理解しております。今現在どういう状況になっているのか確認をさせていただきたいと思いますので、基本計画、それから10かね年計画の第2次の基礎的な内容をまず確認させていただきたいと思います。
環境基本計画の達成指標について、まずはお伺いをいたします。第1次アクションプログラム終了年度、平成22年度であります。基本計画の終了時が平成29年度となっております。それぞれの指標が実際に検証可能なのかということ、あるいは達成度合いがどうかということについて伺いたいのですが、削減対象の中心である四つの分野についてお伺いをいたします。
太陽光発電機器設置についてであります。目標が平成22年度が470件、平成29年度で4,000件となっております。平成24年度で840件という数字が既に示されたところでありますが、機器設置助成による目標をして4,000件と当初していたものでありますが、現在は基本的には啓発のみで実施しているということでありますから、この乖離が発生したという理解でよろしいでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) まず、平成18年までの実績で290件ありまして、平成20年から22年、3カ年を180件としまして470件という目標を設定したものでございますけれども、平成22年までの太陽光発電設置件数は実績としては620件でありまして、目標としていた470件よりは多くなっているというふうに認識してございます。
○奥田委員 そうしますと、平成29年度4,000件という目標は達成できるものということでよろしいでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 現在はエコポイント制度のPR拡充等で太陽光発電機構との設置などの一助としていくということで進めてございますけれども、4,000件目指しての着実な目標達成をしていきたいと考えております。
○奥田委員 実際に市民の意識も向上していることでありますから、具体的な助成がなくとも達成ができていく可能性というのはもちろんあるわけであります。一方、基本計画では設置経費の一部助成、あるいは10カ年計画(第2次)の中でも機器などの設置助成という表現が使われていたわけでありますけれども、これについてはどのような形に現在はなっているんでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 環境基本計画、10か年計画でのポイント助成をするというような表現になってございますけれども、太陽光発電機器の設置については、今、直接助成金を出しているというのはございません。10カ年計画での地域エコポイント制度を活用するなどして、区民の太陽光、太陽熱利用機器などの設置への助成やCO2削減効果の高い商品への買いかえと記載しておりまして、エコポイントをインセンティブとして活用するということで太陽光、太陽熱利用機器などの設置を促進するための一助とする趣旨でございます。
○奥田委員 表現としては、設置経費一部助成であったり、機器などの設置助成という表現が使われておりますので、私の感覚からすると、機器に対して助成をするのかなという見方が妥当ではないかと思うんですが、一応10か年計画の書かれ方としては、機器への助成は想定していなかったという御説明になろうかと思います。10か年計画時で想定していなかったという説明になろうかと思います。
次に、区民風車についてお伺いいたしますが、現在これは中止ということでよろしいでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) これは検討材料等も区民委員会等に報告させていただきましたけれども、区としては検討は行いましたけれども、持続可能なスキームを描けなかったので、現在のところ事業化に向けての検討は行ってございません。
○奥田委員 中止ということであります。3番目、省エネ家電の買いかえについてお伺いいたします。
省エネ性能を選択した人の割合というのが、目標で平成22年度40%となっておりますが、実績はどうだったでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) これはもととなる数字設定のときに、平成18年の省エネルギーセンター省エネ対策アンケートでは30%を実施しておりまして、その後、国の家電エコポイント制度など、また省エネ対応の製品も多く出回っておりまして、そういうような取り組みで区民の買いかえ行動が促進されたものと考え、平成22年の40%は達成しているものと考えてございます。
○奥田委員 達成しているものと考えているだけで、実際にはかることができている数字ではないという御説明でよろしいですか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) その後の国等の同様なアンケートが出されてございませんので、そのように考えているものでございます。
○奥田委員 次に、エコドライブ、クリーン自動車普及についてもあわせてお伺いいたします。
エコドライブの普及率、目標が平成22年度40%となっております。あわせてアイドリングストップの普及率も目標平成22年度70%となっておりますが、それぞれ現在の達成状況、あるいは確認できているかどうか、お答えください。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 環境省の実施したエコドライブの認知に関するアンケート、平成18年度でございますけれども、エコドライブ実施率20%をもとに40%と設定したものでございます。また、アイドリングストップの普及につきましては、環境基本計画を作成する際に実施した環境行動意識調査のアイドリングストップ実施率50%をもとに設定し、22年度70%にしているものでございます。エコドライブにつきましても、今後幾つかの実践につきましては64%意向がございました。また、アイドリングストップにつきましても、10年後95%が実施するというようなこともございまして、そういうことを踏まえますと、正確に把握することは同様のアンケート等がありませんので難しいんですけれども、今後実践するというのをそういうアンケート調査や意識調査の意向から目標に近づいたのではないかと考えてございます。
○奥田委員 今、指標について確認させていただきましたが、省エネ家電の買いかえについては、外部団体による数字のため、現在は確認できない。エコドライブについても同様でありまして、確認できない。アイドリングストップについては、区が実施した意識調査から明らかになった数字をもとにしたわけでありますが、22年度の実際にどうだったか検証するタイミングの段階で意識調査を行っていなかったために検証できないということが明らかになったわけでありますが、本来であればこうした目標を定めて、検証年度が定まっているのであれば、こうした省エネ機器の選択がどうだったか、エコドライブの実践がどうであるか、アイドリングがどうであるかといったことについて、少なくとも区民意識調査という実践が可能であるという前提ですから、これを項目に入れて取り組むべきではなかったですか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 平成22年のアクションプログラムの2次改定作業を進めていく、その準備等をしていたわけですけれども、特にアンケート調査、意識調査などは予定してございませんでした。
○佐野委員長 今、奥田委員の質疑の途中でございますが、ちょうどきりがいいということでございますので、昼食休憩に入りたいと思います。
午前11時53分休憩
午後1時00分開議
○佐野委員長 それでは、委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き総括質疑を続行いたします。奥田委員、質疑をお願いいたします。
○奥田委員 休憩前に確認させていただきました件でありますけれども、ちょっとお忘れの方もいらっしゃると思いますので確認させていただきますと、CO2の削減の幅については大幅にアップになったということ、それから、削減の目標である4割に相当する家庭での取り組みが中止、または検証が不能である部分が多いということ、それから、10か年の計画の中では太陽光発電についての機器の助成については行わないということが確認されたかと思います。
引き続き質疑させていただきます。環境基金について伺いたいと思います。
基本計画の案の中では、基本計画での基金の原資活用方法が示されておりました。風車3基を含む売電の収益を原資とするとされておりました。風車3基を必要とする3基の根拠でありますけれども、平成21年4月の事業モデルの考え方としては、不足分を風車で売電することによって補うという考え方でありましたが、21年11月の正式なモデルとなった段階では、売電を含む総額、つまり得られるはずの財源の範囲でポイントを分配して、太陽光には1トン当たりの削減に7万円、家庭の取り組みについては1トン当たり5,000円のポイントを付与しようという考え方をとりました。
また、家庭の付与については、当初は3万世帯に対して付与という考え方をとっておりましたけれども、ポイント付与額を当初予定の1万円から5,000円に減額すること、それから、世帯数が全員申請するのではなくて、7割程度の人がポイントを利用するだろうということで、当初3万程度だった世帯数が8万3,000世帯という形で大幅に増となったわけであります。環境基金の年間積み立て予定額は、案の中では太陽光発電では1,000万円から2,000万円とされ、風車で6,900万円とされておりました。10年で5.4億円が見込まれるということでありました。
つまり、年平均にしますと5,400万円程度の予算措置が必要という案でありました。基本計画での環境基金の活用方法については、太陽光発電が、これは助成という形で明確にはなっておりませんでしたが、初期投資段階での付与という形で3.36億円、それから太陽熱利用についても0.168億円という数字が計算できるわけであります。
また、省エネ家電の買いかえについては、1.9億円という予算で考えていたわけであります。また、太陽光の助成初期段階での付与については3.36億円という話でしたが、4,000戸に対して8.4万円と増額、太陽熱助成については、250戸に対して6.7万円の付与、それから省エネ家電買いかえの1.9億円については、年当たり5,810世帯を10年で5万8,100世帯という考え方が示されたと思いますが、間違いありませんか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 4年前の区民委員会資料等でございますけれども、平成21年4月に自然エネルギー活用のための事業モデルの考え方について、そして、平成21年12月の自然エネルギー活用のための事業モデルというので基金の活用例として検討中の試算の数値を示したものでございまして、資料の中ではそういうような説明をしてございます。
○奥田委員 実際その内容は正しいということでお答えいただいたんですが、実際はどうだったかということについてお伺いいたします。
環境基金が10か年計画では自然エネルギー活用や節電料金相当額を積み立てるとありますけれども、平成24年予算の段階ではどのような予算措置をしたのか、また考え方についてはどうであったかお答えください。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 現在の環境基金の原資と考え方ですけれども、平成20年の当初予算額は2,500万円でございます。考え方としましては、温暖化対策推進オフィスの賃料、旧環境リサイクルプラザを廃止したことによる維持管理削減額及び区立施設の省エネ化による電気料金削減額相当分の合計額のうち、一定額や寄附金等を原資として積み立てるという考え方でございます。
○奥田委員 風車であるとか発電という考え方からリサプラの賃料ということに考え方を移した中で、予算措置としては2,500万円程度ということになったわけであります。実際にテナント入りませんでしたので、予算入らなかったわけでありますけれども、この考え方に大きく転換したということであります。
あわせて、エコポイントについても現状どうなっているか伺います。10か年計画でのエコポイントの原資、これ明確になっていないわけでありますけれども、環境基金から投入するということでよろしいでしょうか。また、導入当初世帯が300余ということで理解しておりますが、現在までこの300余の世帯については月平均のCO2削減率はどのようになっていますか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) エコポイントのポイント経費につきましては、全額が環境基金でございます。導入当初の世帯数約300と成果指標にございますけれども、平成23年度の登録者は1,099人となってございますが、その中での月平均削減率ということで見ますと、把握可能なウエブ登録の方の中で自動反映システムで把握できる中から、平成23年7月から平成24年8月の月平均削減率は11.3%でございました。
○奥田委員 11%程度ということは、当初ポイントの考え方からしますと、20%を下回る場合にはポイントを付与しないというような考え方になっていたかと思いますので、現在ポイントの考え方を改めて、1キロ単位の削減に対してポイントを付与していくという考え方に変更されたということについては妥当であったかなというふうに考えておりますが、果たしてその財源措置というのが十分であったかどうかということを考えなければならないと思っております。平成24年予算については、ポイントに限定した、実際にエコポイントの予算の中で、ポイントとして付与するために計上した予算というのが682万円余であったかと思いますけれども、資料によりますと1トン当たり1万円という考え方になっていると思いますが、計画当時は5,000円という考え方をしていたと思いますけれども、これは倍にしたということでよろしいか。また、世帯削減率についても、世帯の削減目標についても、当初は20%ということで試算されていたと思いますけれども、施策の成果等を見ますと、15%が24年度の目標になっています。これも修正したということでよろしいでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 今、1キロ当たり1万円という委員おっしゃられた数値というのは4年前の、先ほど申し上げました自然エネルギーの活用の考え方で示した数値だという認識でございますけれども、現在は1キロ当たり10ポイント、10円相当というふうに設定してございますので、1トン当たり1万円と考え方は同じということでございます。目標につきましては、主要施策の成果に書いてあるとおり、20%という目標設定であります。
○奥田委員 私も、こうしたことからポイントが倍になったということを確認させていただいたわけであります。ポイントの活用世帯についての目標についてお伺いいたします。
平成23年度は、目標300に対して実績が1,099、24年度は目標が2,000となっております。つまり、平成24年度については新規が901世帯の増予定ということになります。今の考え方によりますと、7割ぐらいの世帯がポイント申請してくるということからすれば、901世帯がポイント申請するということは、新規の取り組みをした世帯が1,287世帯ということになります。ここが主要施策の成果からしますと、本来は0.66トンですね。660キロのCO2削減と言っていたものが、15%削減にしますと496キロ、1世帯当たり約500キロの削減ということになります。これを計算しますと、世帯当たりの年間の削減目標が637トンとなります。これは当初の目標、年間6,000トンほど削減するものになっているんですが、1割程度しか削減できないということになりますが、これは合っていますでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) ちょっと委員の試算につきましては検証が難しいかというふうに思いますが、私どもで今把握しているポイントを交付した実績としまして299人ございまして、CO2の削減量は89.84トン、世帯当たり0.3トンいうふうに把握してございます。
○奥田委員 世帯当たり0.3トン、つまり300キロということですから、目標の削減トン数についてはさらに少ないということで、約500トン相当ということになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 今、私が申し上げましたとおり、1世帯当たり0.3トン、300キロという認識でございます。
○奥田委員 数字としては大まかな数字がわかったわけであります。つまり、当初計画していた6,000トンに対して500トン程度の計上しかできないような予定ということが確認されたわけであります。主要施策の成果、平成31年度の目標がエコポイントの利用が3,000世帯になっていたわけですが、24年度は2,000世帯であります。これは今後上方修正していくということでよろしいんでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 24年度の目標世帯を2,000としまして、31年度3,000というふうにしてございますけれども、24年度の目標世帯は2,000で、その後は毎年約200世帯程度の増加を見込んでそうしたものでございます。
○奥田委員 200世帯ずつふやしていくというような形になりますと、残念ながら削減目標としておりました年当たり5,810世帯ずつふえていくというのがもともとの計算でありますから、到底及ばないということが確認されるわけであります。
計画の目標と成果ということについてお伺いいたします。本年度予算からしますと、682万円のポイント付与の計上に対して、計算しますと約1,300世帯から1,500世帯程度にしか付与することができない状況になっております。10か年計画の目標に届くかどうか極めて不安な状況でありますけれども、目標と成果について修正がなされるのかどうか、お伺いいたします。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 平成24年度からポイント交付が始まってございまして、現在新進行中でございます。その実績等を見ながら目標と成果につきましては検討してまいりたいと思ってございます。
○奥田委員 第2次アクションプログラムが平成22年度改定で、23年度スタート予定でありましたけれども、実際はまだスタートされておりません。実際のスタートはいつになりますか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) アクションプログラム第2次の改定につきましては、平成22年度に改定の準備に入ってございましたけれども、その最中、3.11東日本大震災があり、福島原発の停止等ありまして、国のエネルギー政策の方向が大きく変わる議論となり、その経過を見守っていたところでございます。しかしながら、国のエネルギー政策の方向性や基本計画がいまだ固まらず現在に至ってございますけれども、区としてはそれを待たずに改定の考え方をまとめていきたいと考えております。
○奥田委員 先ほど申し上げましたように、10か年計画からすると、CO2の削減自体は大幅に目標を上げているものに対して予算措置もかなり少ない。それから、達成のそれぞれの指標についても10分の1程度しか届かないような形になっておりますから、積み上げていった場合にはCO2削減の達成は不能というような状況に陥っております。アクションプログラム改定の際には必ずこういったことに言及されて、ちゃんと目標と成果はひもづいている形に計画を改めていただきたいと思います。
また、産業・業務についてポイント活用は当初予定されておりませんでした。また、無料省エネルギー診断等、新たな取り組みとしてもわずかでありますけれども、この業務・産業分野でも2万トン程度の削減増となっているんですが、これは達成可能なんでしょうか。
○上村環境部副参事(地球温暖化対策担当) 委員御指摘の産業部門で2万トン増という認識はしてございません。先ほども申し上げましたように、開発基本計画から10か年計画の変更によって、業務部門は5.6万トンの減という目標をしてございます。そういう中でも産業部門の取り組み、これまで行ってきましたISO認証取得経費の一部助成、また、無料エネルギー診断の実施、省エネ研修会等の区としての施策を充実させ、また、国や都の施策と連動しながら産業・業務部門については削減を図っていくものと考えてございます。
○奥田委員 推進方法についてお伺いいたします。
温暖化防止条例は住宅の断熱化もうたわれているわけですが、この際御提案申し上げます省エネ化伝、エコドライブとあわせて削減を促進するために、経済的にインセンティブをしっかりと持った活動団体に働きかける必要があると考えております。現在では消費者、生活者に直接行政から区報、ホームページで情報提供する形になっておりますが、これでは推進の力が非常に弱いと考えております。当初は3ポイント制度というものを前提として商業者のかかわりが想定されていたと思いますけれども、現在3ポイント制度はほぼ消滅したと考えて問題ないかと思うんですけれども、こういった状況とはいえ、計画推進の働きかけの中心とすべきは、エコ商品を取り扱う事業者やガソリン代、電気代のコストを割く事業者だと考えております。国のエコポイントやエコカー減税と同じように、やはり商売としてやっていきたいというふう主体に対して、十分な資料提供をする。何を買えば何ポイントぐらいもらえるのかといったことを伝えていく必要があるかと考えております。
また、新たに設けられた防止対策審議会についても、メンバーの中にエコドライブであるとか断熱の業者を加えていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○佐野委員長 奥田委員、質疑の途中でございますが、質疑時間が既に切れておりますので、これで奥田委員の質疑を終了いたします。
それでは次に、近藤さえ子委員の質疑をお願いしたいと思います。
○近藤委員 無所属の近藤さえ子です。職員の皆様におかれましては、日々区民のために御尽力いただいてありがとうございます。質問の1と2を入れかえて、2から質問させていただきます。
個別事業の決算の考え方について。(1)犯罪被害者等支援について。
主要施策の成果の各分野の行政評価結果によれば、権利擁護推進策にある犯罪被害者等相談支援事業については、相談数もそれほど多いものではないが、全国でも先駆的な取り組みであることを考えて、さらなる充実を検討してほしいとあります。そこでお聞きします。
私は、犯罪被害者のための相談であるので、相談数が多いことがこの事業の成果であるとは考えにくいのですが、区ではどのような認識をされているのでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 委員に御指摘していただきましたように、犯罪被害者に対しまして専門の窓口を設けている、そのような中野区の取り組みは全国でも大変先駆的なものでありまして、犯罪被害に遭われたときの相談や支援を継続的に受けることができるということが重要であるというふうに考えております。
○近藤委員 また、この事業の予算の執行率も77.3%と、執行率としては未消化のように受け取られますが、これは平成23年度から始めた家事サービス事業の緊急生活サポート事業が使われなかったためだと思います。事件が起こらなければ一番よい。けれども、万が一起こってしまったときに対応できるサービスとして、社会福祉協議会の家事サービスを受けられるように予算を確保している事業なので、執行率が低いということは悪いことではなく、万が一のときに事業が用意されているということが大事なことであるという認識でよろしいですね。
○小田健康福祉部副参事(福祉推進担当) 犯罪被害に遭われて被害をこうむった方や御家族は、事件後さまざまな手続で多忙になりまして、心身にも大きな負担がかかるというふうに考えております。一日も早く平穏な生活を取り戻すために、いつでも利用できるこのような事業を用意しているということ自体が大変重要であるというふうに考えております。
なお、平成24年度につきましては、この緊急生活サポート事業の利用実績は、現在のところ1件ある状態でございます。
○近藤委員 行政評価でも全国でも先駆的な取り組みであると書かれていましたけれども、平成23年度から開始したこの万が一のときに備えるサポート事業は先駆的で、全国的に注目されています。8月に群馬県で行われた内閣府主催の犯罪被害者等施策研修会で、群馬県を中心に62人の自治体の職員と警察官、支援団体の方を前に、中野区の職員が中野区のサポート事業をはじめ、病院への付き添い、裁判への付き添いなどの事業を説明しました。群馬県はゴールデンウイークに関越道でバス事故が起こり、多くの被害者対応に追われました。バスは他県の方を大勢乗せて群馬県で事故を起こしました。そのときのあまりにも悲惨で大変であった後始末の様子、被害者たちをそれぞれの自治体に戻していく作業などを支援員の方から聞かせていただきました。そして、その被害者たちが地元に戻ったときに対応してくれる被害者支援の窓口の必要性を口にされていました。そして、内閣府の松尾参事官をはじめ、群馬県の職員たちは中野区のように窓口があることの大切さを高く評価してくださいました。中野区が被害者のためにつくられたこの窓口事業ですが、現在は職員が他県に呼ばれて取り組みを説明している状態です。どの地域でも犯罪被害者に対するサポートが受けられるような連携体制をつくっていくことが重要です。今後の展望をお聞かせください。
○小田健康福祉部副参事(福祉推進担当) 区が実施しております研修会、講演会などを通じまして啓発と犯罪被害に対します共通理解の促進に努めていきますとともに、他の自治体や各専門機関とのネットワークづくりを引き続き推進していきたいと考えております。
○近藤委員 ぜひ全国を引っ張っていくというような気持ちで頑張っていただきたいと思います。
次に、校割予算についてお尋ねします。
区立の小・中学校で使われている予算、一般的に校割予算と呼んでいますが、学校フレーム予算制度というそうですが、どのような制度なのでしょうか。また、これは中野区独自の制度なのでしょうか。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 学校フレーム予算制度でございますが、昭和59年から中野区教育委員会で実施しているものでございまして、学校、学級数、児童・生徒数などを測定単位として学校ごとに算出した金額の総額、これを学校フレームというふうに呼んでございますが、この範囲内で各学校の実情に合わせて校長の裁量により、学校運営にかかる予算配分の計画を立てる方式でございます。これは中野区独自の方式というふうに認識しておりますが、平成19年度の全国調査では、学校の裁量による予算編成方式を取り入れている自治体は約15%となってございます。
○近藤委員 毎年校割予算は減り続け、学校では先生方が大変苦労されています。先日、中P連の会長さん方と懇談したときも、学校図書の充実や雨漏りや危険を伴う施設の改善など、学校現場の厳しい現状を改善してほしいと要望がありました。そして、いつまでそのようにひどい状況をほうっておかれるのですかという厳しい趣旨のお言葉もいただきました。子ども教育経営担当が各校に配分する学校フレーム予算のほかに、維持補修費として各校に配分していると聞きましたが、それはどのような制度なのでしょうか。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 各区立小・中学校に配当する維持補修費でございますが、子ども教育施設担当が所管しております維持補修関係の予算の一部を建物の延べ床面積に応じて各学校に所管がえをいたしまして、校長の判断で維持補修ができるようにしているものでございます。この維持補修については、おおむね10万円前後までの簡易な修繕を想定しておりまして、多額な費用を要する修繕については、子ども教育施設担当で執行しているところでございます。
○近藤委員 そのような制度があっても、ほとんどの学校の校舎がかなり老朽化している現状では、補修したいところがたくさんあり、施設整備の改善がなかなか進んでいないように見受けられます。校長先生たちは常に優先順位を考え、予算を立て、配分された学校フレーム予算でやり繰りをされています。学校フレーム予算制度は中野区が早くから始め、他の自治体が近年この制度を取り入れ始めているということも聞いたことがあります。この制度で校長先生たちが大変使いにくいと感じていることがあります。それは、予算を立てるときにはこのフレームに沿って1年間のその学校の実情に合った予算立てをするのですが、報償費、交際費などという節に分かれていて、例えば一度決めた交際費で3万円計上したとします。これは保護者が亡くなったときのお線香代などにとっておく経費です。そうすると、この交際費が使われなかった場合、他の節、例えば備品購入費のような別の節の事項に使うことはできないのです。節内での移動は認めるのですが、節をまたがって使うということはできないという認識でよろしいですか。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) そのとおりでございます。
○近藤委員 節間に移動ができないというのは、いわゆる流用という形になってしまうということです。そして、予算のときに決めた節の中で使わなかった、または使えなかった予算は、その年度が終われば返還しなければならないのです。
私は、区立中学校の校長先生に校割予算についてお聞きしました。すると、校長先生は流用が厳しく制限されているため、使い勝手があまりよくないことを残念がっていました。毎日大勢の児童・生徒が過ごす学校では、予算の段階では予想できなかったことも起こります。ガラスが割れる、備品が壊れる、施設に補強が必要になるなど、事態が多く起こることも、全く起こらない年もあります。しかし、毎年同じように起こるとは限らない事態に柔軟に対応する予算がないのです。逆に、お線香代のように用意はしておいたほうがよいけれども、使わなかった予算は返還しなくてはなりません。流用がよいことであるとはだれも思っていませんが、児童・生徒の教育環境が少しでも改善されるのであれば、教育フレーム予算内で流用を認める弾力的な運用はできないのでしょうか。また、校長先生の裁量で自由に使える予備費的な予算を5万円でも10万円でも設けておくことができれば、予算のときに想像ができなかった案件に対応することができると思いますが、いかがでしょうか。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 学校フレーム予算につきましては、前年度立てるわけでございますが、年度当初に校長の異動等による学校運営方針の変更や児童・生徒数の増減等によりまして各節の予算額を変更する必要がある場合には、分野や学校間の所管内予算の流用により調整をしてございます。ただし、予算の流用につきましては、予算執行方針において真にやむを得ない場合にのみ行うとされてございます。このため、政策室予算担当と事前協議をし、認められたものについてのみ予算の流用をしているものでございます。
○近藤委員 中P連の方の広報紙では、プールのところのトイレのドアが壊れた写真が出ていました。そのように何年も直すことができなかったというような状態をほうっておかれるよりは、本当に教育委員会と相談をされてこの流用を認めていただくということを考えていかないと、本当にみっともない話であって、この学校を小学生が見に来たときに、入りたいというふうに思わないと思うんですね。そういうことも思って、きちんと教育委員会と、これは本当に必要な予算なのかということで流用の弾力性のある運用を考えていっていただきたいと思いますし、それと校長先生の裁量で予備費的な予算を、5万円でも10万円でもあれば、そのみっともない状態を緩和してできるんではないかと思いますけれども、いかがですか。
○白土子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 限られた予算の効率的な執行と学校現場での柔軟な対応のために、学校フレーム予算の中に校長の裁量で執行できる予算枠を設定してほしいという学校現場の声は私ども十分承知しておりますけれども、仮に学校フレーム予算の中で真にやむを得ないものかどうかという理由を問わず、一定の範囲内で節間の流用を認めるということにつきましては、予算執行方針の例外を認めることになりますので、慎重な検討が必要であるというふうに考えてございます。
○近藤委員 ぜひ慎重な検討をしていただいて、現在の他の自治体でも校長先生の裁量権を求めるという動きはかなり出ています。少ない教育フレーム予算の中で児童・生徒たちの教育環境が少しでもよくなるように、日々努力されている校長先生たちを応援するのが教育委員会の仕事だと私は思います。校長会でも予備費的な予算の要求があったと伺っています。現場の声にもっと耳を傾けていただきたいとお願いしてこの項の質問は終わります。
次に、区民公益活動について伺います。
私は今年の予算特別委員会で、区民公益活動に関する助成制度についてお聞きしました。時間がなくなり、質問が途中になってしまったのですが、そのときの私の質問は、区民公益活動の助成制度で、これまで助成対象費用であった交通費が対象外費用になってしまったことを懸念して質問しました。子どもたちをキャンプに連れて行く団体などは事前の実踏が欠かせないので、その団体に助成金として認められた予算の枠の中であれば、交通費として使ってもよいのではないか。柔軟な対応ができるようにならないでしょうかという趣旨の質問をしました。区の答弁は、この助成事業の多くの団体の事業は区内で催されていて、交通費を特に必要としていないと。そういった事業が多いので、最大公約数的な経費のところに助成対象とするということで改めさせていただいたと答弁がありましたが、公益活動をする団体への交通費の対象外措置については、ほかの方面からも意見があり、毎年PDCAサイクルで見直しているので、この点やあるいは助成の手続の簡素化、こういったところで見直しを図っていきたいというふうに考えてございますとの答弁がありました。PDCAサイクルで見直しは行ったのでしょうか。実踏にかかる経費は認めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 子どもたちの安全確認のために、子ども会のキャンプなどにおきまして実踏が必要であり、実踏の交通費などについて補助対象になるかどうかにつきましては、現在も検討中でございます。
○近藤委員 子ども会、地区委員会などの子どもたちをキャンプに連れて行く団体の中には、バザーなどをしてその資金を稼いでいるところもあります。今年度全体的に助成金自体も減りましたが、中野まつりもなくなり、助成金外のバザーの収入から実踏費に充てることもできなくなっている団体もあると聞きます。ますます子どもたちを野外活動に連れて行くような団体はなくなってしまいます。小学校の岩井臨海学園が廃止になり、中学校2年生の宿泊行事もなくなり、さらに区民による宿泊行事もできにくい状態になってしまっては、子どもたちの野外活動の機会はどんどん狭まってしまいます。区民がボランティアで行う政策助成金の制度の中に実踏費は認めないなどという枠をわざわざつくらず、弾力的な運用を求めます。
また、助成金の申請、報告の書類は税金を支出しているのですから、一定の内容を満たすものでなければならないのは理解しますが、この書類作成に大変苦労されているという声も聞きます。団体の活動、そして申請者はボランティアであり、会計業務のなり手はなかなかいないのが現実です。予算特別委員会の答弁にありましたが、手続の簡素化の検討はどのように進んでいるのでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 本年度の申請書類におきましても、申請する方の手間を少なくするために、過去の助成の実績を記入する欄につきましては削除いたしました。今後も書類作成の御負担が少しでも減らせるよう、改善をしていきたいと考えております。
○近藤委員 ぜひよろしくお願いいたします。より多くの区民が楽しく公益活動に参加できるように、弾力性のある助成金の運用への理解と助成の手続の簡素化を求めまして次に移らせていただきます。
次に、業務委託提案制度について伺います。この制度の趣旨は何なのでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 平成18年に中野区区民公益活動の推進に関する条例を制定しまして、区民公益活動の支援策の一つとして区の業務の一部を公益活動団体に委託することにより、参入の機会の提供に努めることとしたものでございます。区民を対象に公益活動を行う団体の発意により、区が行うべき新たな業務が発掘されること、また、区民公益団体が区の業務を行うことを通じて公益活動が発展していくことをねらいとしているものでございます。
○近藤委員 過去4年間実績がありませんが、実績がないことをどのように分析していらっしゃるでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 区の政策目標を押し進めるような提案が少なかったこと、また、区が業務委託することができるような具体的な事業計画、事業の執行方法等が確立されたものが少なかったということが業務の委託にまで至らなかった主な原因であるというふうに分析をしております。
○近藤委員 提案された事業は、100万円単位の高額な事業が多いのですが、団体の提案に限度額はあるのでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 限度額については、設定はしておりません。
○近藤委員 これまで採用された事業は、どのようなものなのでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 平成18年度に健康づくりのための講習会の事業、それから平成19年度に食育の講座の事業について採用しています。
○近藤委員 採用された事業は、これで採用されたんだなという思いはありますけれども、不採用であった事業を見ますと、やはり各団体ともイベント系の提案が多いように私は感じます。私の理解では、区が提案に限度額を設けていないところなどから、区にかわり、区にとってかなり必要性の高い事業の提案を望んでいるように思えます。区の思いと提案団体の思いがかなり乖離しているように感じます。本来の趣旨を生かした制度にするためには、この制度の本来の趣旨の周知、政策助成制度からの移行ができるというような可能性、公益活動団体への柔軟性を持った、継続性を持った場所の提供など、もっとかなりの工夫が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) これまでの御提案には、いろいろな課題に対する区民の交流事業、それから啓発事業などが多くあったような状況です。先ほども申し上げましたように、具体的な事業の執行方法がなかなか確立されたものが少なかったということから考えましても、事業の実施内容を具体化して、行政サービスとして委託すべき業務を区民公益団体に御提案いただく、そういったことのためには、団体で企画、検討されている段階から区が相談をお受けしつつ、その業務の執行方法についても御相談に乗っていくということが必要であるというふうに考えております。庁内の各部署に対しましても、そのような意識啓発をしていきたいというふうに考えております。
また、年1回実施しています募集説明会についても、その実施方法を工夫し、進めていきたいというふうに考えております。
○近藤委員 いい制度があったとしても周知度も少ないですし、各部署がどんな施策があればいいのかとかということをそこから出していったりする形もとれると思うので、本当にいろいろ工夫していただきたいと思います。
その他で空き家対策について改めて伺います。
先日、この問題を一般質問させていただきました。しかし、区の答弁では空き家の近隣で悪臭や不法投棄の被害に苦しむ区民の思いに少しでもこたえるためには、全く不十分なお答えであったといわざるを得ませんでした。これまでも取り組みはさまざまにあったと思いますが、目に見えた成果が上がっているわけではなく、空き家問題はむしろ深刻化しているのが実態です。実際に効果のある空き家対策を早急に求めたいと思いますが、改めて見解を伺わせてください。
○豊川都市基盤部副参事(建築担当) 空き家対策でございますが、これは差し迫った当面の問題の解決とあわせまして、法制度の見直しなど抜本的な対応も必要であると認識をしております。当面の課題と解決といたしましては、区だけではなく警察や消防等、関係機関と連携を強化いたしまして役割分担をしながら迅速に対応していくこととしております。
なお、法制度の見直しのほうにつきましては、日ごろより23区で課題を共有しながら連携して取り組んでいきたいと考えております。
○近藤委員 一般質問のときよりは少し前に進んだのかなと思います。本当に区民の方が困っていて体の状態が悪くなるなど、皆様が思っているよりかなり深刻です。皆様の努力によって解決していく知恵を出し合って皆様でやっていただきたい。私たちも頑張っていきますので、どうか本当によろしくお願いいたします。もう一度答弁をお願いいたします。
○豊川都市基盤部副参事(建築担当) 空き家対策につきましては、各区ともなかなか即効的な対応がないと。各区とも悩みを抱えております。そういったことからも、各区で十分情報交換、連携等しながら少しでも解決に前進すればと、努力をしたいと思います。
○近藤委員 以上で私の質問は終わります。どうもありがとうございました。
○佐野委員長 以上で近藤さえ子委員の質疑を終了いたします。
続きまして、いながきじゅん子委員の質疑に移ります。いながき委員、質疑をお願いいたします。
○いながき委員 無所属のいながきじゅん子でございます。本定例会一般質問やさきの総括質疑でもがん検診について複数御質問がありましたが、私は今回、その中の乳がん検診に特化して伺います。
国内における乳がんの患者数とその死亡率はふえ続けており、女性がかかりやすいがんの第1位となっています。しかし一方で、早期発見、早期治療すればほとんどが治るがんとしても知られています。よって、乳がん検診の果たす役割は非常に大きく、受診率を高めていくことは重要な課題と言えます。しかし、区の受診率の推移を見ますと、以前に比べて多少は上昇してきたものの、今後の目標値を含めてもまだ20%台ということで、決して高い数値とは言えません。まず、この受診率と受診費用との関係について伺います。
乳がん検診については、中野区では視触診とX線検査、いわゆるマンモグラフィの二つを合わせて自己負担金が1,000円となっています。23区内で見てみますと、無料の区から2,000円の区まで、この金額にかなりのばらつきがあるのですが、例えば自己負担金が無料の区は有料の区よりも受診率が明らかに高く、負担金が多い区は受診率が低いといったような傾向はあるのでしょうか。お答えください。
○石濱健康福祉部副参事(健康推進担当) 23区の自己負担金につきましては、区によって異なります。自己負担金、23区のホームページを見ましても、半数以上の区で自己負担金を徴収しているというのが現状でございます。自己負担金が受診率を上昇したり下げたりする要因の一つとして考えられるということは認識しておりますが、23区全体を見てみましても、自己負担金を無料にしている区が必ずしも受診率が高いというようなことは言えないというふうに認識してございます。
○いながき委員 そうしますと、受診率がなかなか向上しない大きな理由というのは何だとお考えでしょうか。また、未受診者の受診しない理由というのは、どういったものがあるのでしょうか。
○石濱健康福祉部副参事(健康推進担当) 未受診者の理由につきましては、本定例会でもお答えをさせていただいているところでございますが、平成21年9月、内閣府が行ったがん対策に関する世論調査につきましても、やはりたまたま受けていない、必要なときにいつでも医療機関を受診できる、健康に自信がある、そういったような回答が多い状況になってございます。
また、区の保険福祉の意識調査によりましても、忙しい、面倒という理由が多くなっているという実態でございます。東京都全体につきましても、現在受診率が低迷しているということが非常に問題になっておりまして、受診率向上についてさまざまな指針等出てございますが、いずれにしましても、一つこれをやればというようなものがございませんので、いろいろな組み合わせの中で検討しているという状況でございます。
○いながき委員 私は、昨年初めて区独自の乳がん検診を受けました。それまでは当たり前のように視触診とマンモグラフィを同時に受けてきたのですが、中野区の検診では基本的にそれができず、マンモグラフィを受ける前に別の医療機関で事前に視触診検査を済ませておかなければなりません。結果的に検査に2日要し、非常に不便だと感じました。先ほど受診しない理由の中にも忙しい、面倒だというものがございましたが、そういった皆様にとっても、これは受診率向上を妨げる要因にもなっているのではないでしょうか。
また、昨年度の区の乳がん検診受診者7,632名のうち、視触診検査のみ受け、マンモグラフィを受けなかった方が838名、全体の1割強いらっしゃいました。この結果は問題ではないでしょうか。なぜなら、乳がん検診は視触診検査とマンモグラフィの両方を受けて初めて効果があると言われているからです。そもそも乳がん検診の目的は、まだ症状のあらわれていない早期がんの発見にあります。しかし、視触診だけでは小さながんや乳房の奥にあるがんは見つけられず、発見できるのは進行がかなり進んでしまっている場合に限られてしまいます。厚生労働省も、視触診単独では死亡率減少効果が認められないということで、マンモグラフィとの併用を推進するようになった経緯があります。さらに、視触診検査を受診できる医療機関として区が指定している病院は、乳がんの専門である乳腺外科ではなく、内科や産婦人科、整形外科といった専門外の病院ばかりであり、厚生労働省が求める視触診検査の精度管理がなされているのかについても疑問が残ります。昨年度、視触診検査しか受診しなかった838名の中には、マンモグラフィも同時に受診できたらしたという方も少なくなかったのではないでしょうか。しかし、中野区では区独自の機器と常勤職員である放射線技師3名を抱えているため、受診者は基本的に保健所と北部すこやか福祉センターでマンモグラフィを受けなければならず、これが同時受診できない要因となっています。
また、今年度のマンモグラフィの検診日程もすべて平日であり、受け付け時間も午前中は9時から10時半まで、午後は1時15分から2時45分までと役所側の都合を受診者に押しつけているとしか思えない時間帯です。また、この機器はリースで、機能的にも相当古くなっていると聞いています。契約期間は来年3月までということですが、リース期間が切れた後はどのようになさるのでしょうか。最新の機器を導入する場合、リース料も上がるようですが、検診精度を高めるべく、新しいものを導入なさるのか、それとも現在の古い機器を使い続けるのか、お答えください。
ただ、機器の問題以前に、受診者の利便性や検診精度、経費の問題など、総合的に考えますと、今後はできるだけ早期に区が行うマンモグラフィを取りやめ、他区のように民間医療機関に全面的に委託して専門医が視触診を行い、マンモグラフィも同時に受診できる検診環境を整えていくべきではないでしょうか。それはひいては受診率の向上にもつながるのではないかと思いますが、そのことについてもあわせてお答えください。
○石濱健康福祉部副参事(健康推進担当) 今、委員から御指摘がありましたように、厚生労働省が示すがん検診実施のための指針におきましては、乳がん検診は原則として視触診検査とマンモグラフィを同時に実施することとしてございます。ただ、中野区はマンモグラフィの検査機器を保有いたします医療機関が少ないこともございまして、現在視触診とマンモグラフィを別々に実施しているというところでございます。現在、中野保健所と北部保健福祉センターに設置しておりますマンモグラフィにつきましては、平成25年4月で5年間のリース契約が満了するという状況になってございます。2カ所のマンモグラフィとも、使用頻度が高いことから故障等も多くなっていることも事実でございます。これらのことを踏まえまして、今後受診率の向上等を含め、今後のことについては検討していきたいと考えております。
○いながき委員 ありがとうございました。以上でこの項の質問を終わります。
次に、国民健康保険に加入している外国人住民への対応ということでお聞きします。
外国で歯の治療を受けたり、手術を受けたりすると非常に高いお金がかかるというのはよく聞く話です。一方、日本には国民皆保険という世界に類を見ない独自の制度があり、国民健康保険をはじめ、だれもが何らかの公的保険に入って、保険料を支払うことでだれでも、いつでも、どこでも国内の高い水準の医療を受けることができます。
さて、ことし7月9日に住民基本台帳法が改正され、それまで1年以上の国内滞在で国民健康保険に加入していた外国人の方々が、3カ月以上の滞在で加入できることになりました。そこでお聞きします。毎年の国民健康保険料は、日本人の場合、前年度の所得に応じて決定されるわけですが、新たに入国してきた外国人の場合、保険料はどのように算定されるのでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 基本的に保険料の算定に関しましては、日本人と同様に均等割額と所得割額の合計でございますが、新たに来日した場合に関しましては、前年度の所得が判明していないということもございまして、均等割だけとなるものでございます。具体的には、介護分のない40歳未満の方は年4万200円、介護分のある40歳以上64歳以下の方は年5万4,300円となるものでございます。
なお、1月1日に日本にいなかった人については申告書を送っており、申告があった場合、海外の所得は保険料算定の対象とならないために均等割の減額を行います。
○いながき委員 収入の低い方の場合は、その均等割から減額が行われるということで、最大7割減額されると聞いております。ということで、母国でどんなに収入があっても、加入時には均等割分しかかからない一方で、例えば収入ゼロと申告した場合はそこからさらに7割の減額があり、介護保険なしの人の場合、年額約1万2,000円、月に直せば一月1,000円程度負担すればよいということになります。そこでお聞きしますが、申告の際には何か御本人の収入を証明する書類の添付を求めているのでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 申告ですけれども、御本人の申告のみで、資料の提出は求めてはございません。
○いながき委員 自己申告のみでオーケーということは、収入があってもゼロと申告し、保険料を安くすることも簡単にできてしまうということで、これは改正すべきだと思います。
さて、日本では国保はもちろんのこと、保険治療の範囲内であれば、どの健康保険に加入していても、医療機関や薬局の窓口で支払った金額が1カ月のうち一定額を超えると、その差額が支給される。つまり、どんなに高額の治療費、入院費がかかっても、一月の限度額を超える分は支払わなくてもよいという高額療養費制度というありがたい制度があります。そこで伺いますが、海外から入国し、国保に新規加入された外国人の方にもこの制度は適用されるのでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 外国人の方にも、日本人と同様にこの制度が適用されるものでございます。
○いながき委員 つまり、国保加入要件を1年以上から3カ月以上の滞在にした今回の法改正により、非常に低い保険料で高額な医療を安く受けられる外国人がふえることになります。このような高額療養費制度も含め、だれもが安心して安く医療が受けられる日本の国民皆保険は、加入者の支え合いの精神で成り立っている制度であり、当然のことながら日本人同様、外国人の方にも保険料を適切に納めていただく必要があります。
さて、国民健康保険に加入してから保険料納付までの流れについて確認させていただきますが、基本的には保険証を受け取った後に保険料を支払うということでよろしいでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) そのとおりでございます。
○いながき委員 国保の窓口には、外国語を話せる方はいらっしゃるのでしょうか。また、外国人世帯に送る納付書は日本語のみの表記なのでしょうか。日本語が話せても、読めない外国人の方も少なからずいらっしゃいます。外国人の国保加入世帯に対し、どのような保険料納付の啓発活動を行っているのか教えてください。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 窓口に来庁される外国人の方ですけれども、実情といたしましては、日本語で対応できる方がほとんどかなというふうなところがございます。また、そうでない場合でございましても、日本語で会話ができる方が一緒に来庁されるので、基本的には日本語で問題なく対応できているといったところでございます。
また、納付書等のこちらの通知類でございますけれども、日本語だけの表記ということでございます。ただ、3カ国語対応の外国語版のガイドブックもございまして、それを適宜配付しているところでございます。
また、外国人の方に関する啓発活動といたしましては、ただいま申しました外国語版のガイドブックのほかに外国語版の区報、これは年4回発行しているものでございますが、こちらに納期のお知らせですとか口座振替等の記事を毎号掲載させていただいているといったところでございます。
○いながき委員 一定期間保険料を払い続けないともらえない年金とは違い、医療の場合は保険料を払わずとも、保険証さえ持っていれば安い自己負担で治療が受けられたり、薬がもらえたりします。ここでお聞きしますが、外国人世帯の国民健康保険料の調定額と収納額、収納率というのは区で把握していらっしゃいますでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 外国人の方だけを抽出したデータは作成しておりませんので、今委員の御質問にあったところは区としては把握しておりません。
○いながき委員 中野区ではできないということですが、お隣の新宿区では外国人世帯の収納率を調べています。平成23年度で言いますと、全体の収納率が81.74%であるのに対し、外国人のみ世帯の収納率は55.73%とかなりの差があることが明らかになっています。あくまで推測ですが、保険料を払わないまま母国に帰られた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。中野区でも、国保加入要件が3カ月以上に短縮されたことによって保険料を払わないまま国外へ出てしまう方が今後ふえる可能性もあるのではないでしょうか。新宿区の数字を見る限り、中野区でも一度現状把握のために外国人世帯の収納率を調査してみる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 滞納案件につきましては、国籍を問わず実情調査した上で厳正に対応しているといったところでございます。このため、今のところ外国人に関して調査をする予定はございません。
○いながき委員 国民健康保険証には顔写真がついておらず、外国の名前は男女の区別がつきにくいことなどから、仲間内で保険証の貸し借りをして第三者が本人に成り済まし、不正利用できてしまうのではないかという指摘があります。実際よその自治体では、不法滞在者が他人の保険証を不正利用し、出産育児一時金をだまし取ろうとした事件が複数発覚しています。国民健康保険証の有効期限は最大2年間ですが、期限途中で外国人加入者が帰国する場合、あるいは国保を脱退する際には区に返却していただきませんと、保険料を払っていない不法滞在者への譲渡など、不正の温床にもなりかねません。区から保険証の返却のお願いはなさっているのでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 海外に転出される予定で手続に来た場合などは、出国するまでは国民健康保険の資格があるといったところもございますので、返却していただくように返信用の封筒を渡すなどして保険証の回収には努めているところでございます。
○いながき委員 返却率がどのくらいかは把握していらっしゃいますでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 先ほども申しましたとおり、外国人というところでの区切りは全くできておりませんので、そういったところの把握もできておりません。
○いながき委員 医療費膨張だの、削減だの言われている中で、外国人をより健康保険に入りやすくした今回の法改正は、本格的な移民受け入れへの第一歩なのだろうかと個人的には感じてしまうところでありますが、それはさておき、日本人、外国人問わず、ルールを守り、保険料をまじめに払っている人たちがばかを見ないよう、公平公正で適正な制度運営に向け努力を続けていただくことを願って、この項の質問を終了します。ありがとうございました。
その他で、生活保護行政について伺います。
一般質問から既に多くの方がお聞きになっている件ではございますが、私からも不正受給対策について改めてお聞きしたいと思います。
不正受給のほとんどが、受給した保護費以外の収入を申告しない収入未申告であり、年金や勤労による所得を申告しないケースが一番多いと聞いております。中には詐欺のような手口で金銭を得たり、生活保護受給者は借金ができないにもかかわらず、ヤミ金などに手を出してお金を得たりしているケースもあります。ことし私が通報を受けて福祉事務所に調査を依頼し、不正が発覚した中には、受給者が返せるあてもないのに、ありとあらゆるところからお金を借りまくり、福祉事務所が気がついたときには既に自己破産に向けて手続中だったというケースもありました。この場合はもちろん貸す側にも問題があるわけですけれども、なぜこうなるまで役所が気がつかなかったのかというのが一番の問題です。
さて、生活保護受給者にはギャンブルをする方がいらっしゃいますが、これで金銭を得た場合にも、その金額を一時所得として福祉事務所に申告しなければならない。そして、その分は保護費から減額されるということでよろしいでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 委員の御質問にありましたとおり、どのような手段であっても、受給者に入ったお金は収入として認定いたします。
○いながき委員 逆に言いますと、申告しないと不正受給になるということですね。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) そのとおりでございます。
○いながき委員 昨年度そのような理由による収入申告は何件ございましたでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 昨年度におきまして、ギャンブルに関する収入申告は1件もございません。
○いながき委員 ゼロということはあり得ないのではないでしょうか。ギャンブルをしているとわかっている受給者の方には、申告義務についてきちんと説明をなさっているのでしょうか。この件について区の見解をお願いいたします。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) もともと最低限度の生活費でございますため、ギャンブルを行うことは好ましくないということは指導しておりますが、娯楽としてギャンブルを行う受給者もいることも承知しております。今後ともギャンブル以外の娯楽を探すような助言とあわせまして、収入申告の必要性につきましても指導徹底していきたいというふうに考えてございます。
○いながき委員 その日投入した金額のいかんに関係なく、ギャンブルで得た収入は全額申告義務があり、その分は保護費からも差し引かれると本当にわかっているのであれば、保護費でそのようなことをしようという気持ちは通常は起こらないのではないでしょうか。今後の区の適切な対応をお願いしたいと思います。
不正受給の大きな問題は、それが発覚したときには既に全額使い切ってしまっているケースがほとんどで、返せても月に500円とか1,000円とかのレベルで、結果的にほとんどの不正受給分が返却されないということです。また、自立が困難という理由で不正を行っても、保護費を減額したり、保護自体を打ち切ったりといったペナルティーを課すこともできません。つまり、今生活保護制度は、不正をやった者勝ちになってしまっているということです。よって、不正受給対策とは対症療法ではなく、未然防止策を徹底することが重要だと考えます。
先日、悪質な場合は刑事告訴も辞さないという御答弁がありましたが、それも対症療法の一環なのではないでしょうか。私はこういうところにこそ個々のケースワーカーの力量が問われるのだと思います。不正の予兆を見逃さないのはもちろんのこと、相手の心を開くのが上手で、あのケースワーカーにはうそをつけない、悪いことはできないという気持ちを受給者の方に抱かせ、心から信頼されるような人材を育て、ふやしていくことが重要だと思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) さまざまな困難な課題を持つ人と接しまして信頼関係を築きましたり、適切な指導をしましたり、時には厳しい指導もいたしまして、また不正を見抜く眼力というような力を持つことは簡単なことではないというふうに考えてございます。しかしながら、査察指導員としての係長、また、エキスパート職員などの助言、指導を受けながら経験を積むことによって、そのような力を獲得できるように支援していきたいというふうに考えております。
○いながき委員 ほんの少しの収入でもまじめに申告なさっている受給者の方もたくさんいらっしゃいます。その方々との公平性を担保し、制度への皆様の信頼を深めていただくためにも、少ない人数で大変だとは思いますが、優秀なケースワーカーの育成や全体のレベルアップにも今後ぜひ力を入れていっていただくことを希望して、私のすべての質問を終了いたします。
○佐野委員長 以上でいながきじゅん子委員の質疑を終了いたします。
続きまして、林まさみ委員の質疑を行います。林委員、質疑をお願いいたします。
○林委員 平成23年度決算特別委員会において、総括質疑を行います。
中野区各会計歳入歳出決算審査意見書の財政運営についての意見書には「予断を許さない」とか「一般的に望ましいとされる値から乖離している」などの言葉が並んでいるように、財政の弾力性を示す経常収支比率が93%となるなど、中野区の財政は悪化の一途をたどっています。今後4年間、(仮称)本町五丁目公園、南部防災公園の用地を引き取る計画があることから、平成27年度までは経常収支比率が90%を超えることが想定されます。その上、10か年計画(第2次)には温水プール建設を予定している地域スポーツクラブや新庁舎の建設などが示されています。経常収支比率が90%を超えながら、これらの計画を着実に実現することが健全な財政運営と両立するとは思えません。その上、低成長経済、少子高齢化などの社会状況も行政としては対策を考えなければなりません。その点を踏まえて総括質疑を行います。
初めに、職員2,000人体制と組織について伺います。
平成23年度の中野区の決算、歳出決算額のうち、義務的経費の状況を見ると、人件費総額は前年度より9億円減少しています。これは10か年計画(第2次)にある「小さな区役所で質の高い行政を実現するまち」という目標に向けて、平成28年に職員2,000人体制を目指し、退職不補充などの定数管理を続けてきたためです。その上23年度事業見直しにおいて職員2,000人計画を1年前倒しし、平成27年に実現することを決めました。義務的経費の圧縮にもなる人件費の削減は、健全な行財政運営には欠かせないと考えられています。
しかし、職員が2,000人になればよいのかというと、そうでもありません。社会状況が大きく変わる中、複雑にそして高度化するさまざまな行政課題に的確に対応できなければなりません。そのため、少数精鋭の職員体制を確立することが職員2,000人体制に向けての方策に示されています。主要施策の成果にも、能力の高い職員の活用、いわゆるエキスパート職員の認定、配置が成果としてありました。そこでまず、区民サービスの質の確保がされるための施策の一つであるエキスパート職員について伺います。
区民満足度の高い小さな区役所の実現のために、複数型人事制度を確立することが10か年計画の主な取り組みに示されています。これは、幅広い知識と経験を有する従来のゼネラリストとして組織に貢献する職員と、高度な専門知識を有するエキスパート職員が共存する仕組みです。主要施策の成果にも平成23年度のエキスパート職員認定制度を導入したことが示され、5人のエキスパートが配置されました。そこで伺います。エキスパート職員を配置された部署は、職務目標の見直しなどを行ったのでしょうか。行ったのであればその説明を、ないのであれば、なぜ新たな職務目標を立てないのでしょうか。また、人事としては、新たな職務目標の作成などの指導を行ったのかをお答えください。
○角経営室副参事(人事担当) 職員は、毎年個人目標というものを定めまして仕事に取り組んでいるという状況がございます。とりわけエキスパート職員が意欲的に高い目標を設定することでほかの職員によい影響を与えることを期待してございます。このため、各所属長にはエキスパート職員としての適切な目標管理を指導するように指示をし、設定した目標については人事でも把握してございます。
○林委員 エキスパート職員の役割に、全庁に対する政策、計画策定の支援という項目があります。これはどのようなことを想定しているのでしょうか。想定している事例、政策、計画策定の支援など、今後予定されているものがあれば御説明ください。
○角経営室副参事(人事担当) 例えば、会計の類型であれば、管理会計視点におけます業務改革の構想などを期待してございます。また、類型の情報では庁内におけるシステムの構築、運営の管理の支援をし、また、法務では政策法務に対する指導、助言を担うなどと考えてございます。具体的には、今年度から配置しております情報のエキスパート職員は、来年度以降予定されております全庁情報システムのパソコンとシステムの更新計画の中心的な役割を担ってございます。
○林委員 人事分野への行政評価を見ると、複線型人事制度、いわゆるエキスパート職員制度について目的、位置付けを明確にして取り組むべきである。高い意欲的推進及び実績は認められないと外部評価委員から指摘がありました。今おっしゃったことがきちんと実現されるように望みますし、ただエキスパート職員を認定し、配置するというようなことではなく、エキスパート職員を配置したことで全庁に対する計画策定がよりよいものになり、困難な区政課題がしっかりと解決していくかどうか周知していただきたいと思います。
最後に、10か年計画のステップ1に複線型人事の活用推進(エキスパート職員10人)とありますが、今年度は半分の5人だけの認定となっています。この点について、担当としてはどのように考えているのでしょうか。平成28年にはエキスパート職員を50人と計画していますが、非常に困難な数字だと思います。平成28年にエキスパート職員を50人とするために、今後どのような対策を立てられるのかお答えください。
○角経営室副参事(人事担当) 現在、初年度としまして5人のエキスパート職員を認定しており、今後そういった先輩エキスパート職員たちの活躍する姿が伝わりまして、これにより希望者がふえていくものと考えてございます。引き続き各部と連携を図りながら専門性を持つ職員を発掘していきたいと考えてございます。
○林委員 エキスパート職員を確保し、目に見える形で区民サービス向上につなげていくよう要望します。今後もエキスパート職員がどのような効果に結びついていくのか、注目していきたいと思います。
次に、中野区の組織について。中野区は、組織改正で管理会計室でも債権管理分野と税務分野とに分けました。そこで、一般質問において歳入の確保、特に特別区民税収入率について触れましたが、今回は債権管理分野に区債権の収納について質問したいと考えております。
まず、経営室の債権管理担当の分野目標である各所管の区債権の収入未済を縮減し、収納率を向上させるようにどのような取り組みを行っているのか伺います。
○伊東経営室副参事(債権管理担当) 特別区民税、国民健康保険料、介護保険料、そしてその他の私債権等の徴収でございますけれども、それぞれ債権を所管しています分野においてさまざまな対策や取り組みを実施しているところでございます。
経営室の債権管理担当でございますけれども、区全体の債権につきまして、副区長を座長としました債権管理対策会議を通じまして、年間徴収計画の進行管理を行い、また、私債権等を抱えております各所管への徴収に係る指導助言、こういったことを行うなど、区債権全体の収入未済の縮減に現在取り組んでいるというところでございます。
○林委員 平成20年度に当時の管理会計室は区債権の収納率向上対策の策定をし、区の課題などを分析し、23年度に達成させる数値目標を設定しました。数値目標を見ると、国民健康保険は幾らか目標を達成できていますが、特別区民税は現年度課税額も滞納繰り越し分も基準となる平成19年度の数値すら割り込んでいます。つまり、スタートの数値より悪い収納率となっています。今回の結果を債権管理分野としてはどのように評価していますか。
○伊東経営室副参事(債権管理担当) 特別区民税につきましては、収入未済額が増加する傾向にある中、現年度課税分につきまして早期の納税相談を実施するなどの取り組みを実施してきました。また、滞納繰り越しにつきましては、滞納額に応じた専任の担当を中心としました進行管理、こういったことを徹底をして滞納整理に取り組んできたところでございます。しかしながら、景気悪化の影響を受けました平成22年中の所得に対する課税が翌23年度に実施されたことなどの影響等によりまして、現年度分の収納率は前年度よりも若干上回ったけれども、目標には達成しなかったというふうに分析してございます。
なお、委員御紹介のありましたように、国民健康保険料につきましては現年度分及び滞納繰り越し分ともに目標を達成しまして、またその他の私債権につきましても、各分野でのさまざまな徴収の取り組みが定着しまして、区の債権全体としては収入未済額が前年度比で減少となっており、一定の成果を上げているというふうに認識してございます。
○林委員 その中で、特に特別区民税に関して伺いたいと思います。
向上率対策には電話催告の業務委託や現年度課税分の収納対策の強化というものが示されていましたが、それが数年間全く強化されていないような状況ですが、その点について担当としてはどのようにお考えですか。債権管理の長としての評価をお願いします。
○伊東経営室副参事(債権管理担当) 担当の税務としましては、これまでも御説明しましたようにさまざま対策取り組んできましたが、先ほど言いました理由等によりまして、若干数値は上がったものの目標には達成しなかったというところがございますので、それを踏まえましてこれまでの取り組み、そういったものを分析して新たな対策、こういったものを税務含めまして全庁的に策定をしましてさらなる収納率の向上に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
○林委員 今、新たな対策とおっしゃいましたが、平成23年度で終わったしまった対策です。24年度以降の計画の方針を今後出すそうですが、前回対応できなかった現年度課税分の強化や高額滞納者対策、また、分業化などについてはどのようにお考えでしょうか。
○伊東経営室副参事(債権管理担当) 今、委員御指摘のこれまで取り組みを行って足りなかった部分、これについてまさにこの間、債権管理対策会議で議論、検討してきたところでございまして、そういった取り組みを、今、新たな収納率の向上対策策定中でございまして、その中に新たな対策、目標数値を立てまして、今後とも税だけでなく、その他の債権につきましても全庁挙げて収納率のさらなる向上に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
○林委員 計画を策定して進行管理するだけでは収納率向上というものには結びつかないと思います。それこそ債権管理という分野を一部縮小して、その分税務などにしっかり職員をつけたほうが成果が上がるのではないかとも考えられます。管理会計室を税務と債権管理と分けたのでは、組織改正の目的である組織のスリム化にも反すると感じます。
次に、先行き不透明な経済環境であるため、生活保護受給者数も過去最多となっています。平成23年度の中野区の被保護者世帯数は月平均5,787世帯、被保護人員は6,739人となっております。平成19年からの区分別推移状況を見ると、同居者がすべて65歳以上の高齢世帯、障害世帯、病床世帯は微増、母子世帯は減少している中、高齢でも傷病でも障害でもないその他世帯は、平成19年の584人から1,108人と倍増しています。
また、受給者の年代も平成19年の1月と比較して40代が470人から738人と稼働年齢層、いわゆる働ける世代の受給者がふえています。そこで伺います。最近増加しているその他世帯に対して、早期に就労につなげるなどの就労支援プログラムを行っていると聞いています。就労支援による自立した生活保護受給者の23年度の実績を伺います。また、結びつかなかった場合、その他世帯に対してその後どのような対応をされているのか教えてください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 平成23年度就労支援を行いました全世帯数は444人、そのうちその他世帯は327人でございます。その中で就職決定した者は136人、そのうち107人がその他世帯でございますが、委員の御質問にありました自立という意味で生活保護を廃止された世帯は、去年度におきましては2世帯でございます。
○林委員 その後の対策についてお答えください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) その後、就労支援のプログラムに乗らない、または乗ってもなかなか就職に結びつかないという人に対しましては、ケースワーカーが継続して、繰り返し働きかけを行いまして、状況によりましては当分野の精神保険福祉士につなぎまして、精神的なケアもしながら就労意欲を引き出すように努めております。
○林委員 生活保護受給申請をされるところで機会を逃さずに対応でき、働く意欲を持ってもらうよう工夫がされている。また、そのために就労に結びつけていますが、しかし、その他世帯がふえているということで、ケースワーカーの方の負担が重くのしかかっていると思います。そこで伺いますが、中野区のケースワーカー一人当たりの生活保護受給者の担当世帯数、生活保護受給者をケースワーカーで割った数となりますが、平成23年度、平成24年度直近では何世帯となっているか、お答えください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 担当にかかわらず、全世帯数、全ケースワーカーということで見ますと、平成23年度ではケースワーカー一人当たり111.2世帯、平成24年7月時点では一人当たり116.5世帯というふうになります。
○林委員 半年でケースワーカー一人当たりの対応世帯数が5世帯もふえているとは驚きです。中野区は就労などの支援を行わない高齢世帯、いわゆる安定世帯1,144世帯分に対しては、相談及び助言などの自治事務の部分を委託しています。そこで伺います。相談及び助言などを委託している高齢世帯、いわゆる安定世帯1,144世帯を除いた場合のケースワーカー一人当たりの担当世帯数を平成23年度と24年度直近でお答えください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 委託しました高齢世帯数と、その担当しております区のケースワーカーを除いて算出いたしますと、平成23年度では96.7世帯、平成24年7月時点では98.8世帯というふうになっております。
○林委員 ケースワーカーのみによる担当世帯数の23区の平均は95世帯、23区で最多の生活保護受給者が暮らす足立区では86.1世帯、80世帯台は板橋区、北区、文京区、千代田区、港区は70世帯と別格、反対に100世帯を超えているのは江東区、墨田区、荒川区、110世帯を超えているのは中野区と練馬区でした。110世帯を超えている練馬区の担当に話を伺ったところ、ケースワーカー一人110.9世帯を受け持っていますが、一部を業務委託しているので、社会福祉法に基づく標準数としては83世帯ということでした。
つまり、社会福祉法に基づく標準値においても、直近で98世帯担当している中野区は練馬区よりも15人も多く、23区としてとても負担が多いことがわかりました。職員削減のために安定世帯の業務委託などは有効です。しかし、保護の開始や廃止、世帯の確認、変更などの行政処分は職員でなければできません。また、その他世帯が急増している社会状況から、困難案件がふえたからこそ就労に結びつくように受給者に沿った対応をしなければなりません。
そこで、区では受給者の状況に合わせて訪問回数を五つに分けて対応しています。まず、月1回訪問するAタイプ、2カ月に1回のBタイプ、4カ月に1回のCタイプ、そして半年に1回、いわゆる最低年2回訪問するDタイプ、そして入院、入所しているため、年1回訪問するEタイプです。安定世帯を除く困難世帯に対して、以上のように五つに分類し、訪問回数を設定しています。そこで伺います。五つのタイプに分類してケースワーカーが訪問していますが、平成23年度の訪問実績、いわゆる達成率は何%でしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 今、委員の御質疑ありましたような中野区で定めました訪問類型に基づいて訪問計画を立てております。23年度におきましては、全ケースワーカーの平均の実績で計画に対しましておよそ5割の達成率でございました。
○林委員 実績率50%で訪問されているということですが、その訪問達成率で自立支援や不正受給の対策など、効果を上げられるとお考えでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 訪問率の向上につきましては、日々努力しているところでございます。適切な実態把握に基づく指導が一番有効であると考えておりますので、今後とも訪問率の向上には努めてまいりたいと考えております。
○林委員 一般質問で特別区民税の収納率は23区で下位にいることについて、徴収職員の人員体制に問題があると指摘しました。ケースワーカーの人員体制も、その他世帯が急増している中、早急な対策が必要と考えます。外部評価の指摘にも、ケースワーカー一人当たりの保護世帯数が中野区は110.8と社会福祉法に基づく標準世帯数80と比較して著しく厳しい状況にある。区全体の施策を再度総点検し、必要な人材と予算を考慮すべきと考えるとあります。そこで人事担当に伺います。10か年計画には事務事業の整理、委託化など、これまで進めてきた取り組みによって確立された財務の見直しを踏まえて職員2,000人体制の実現を目指すとしていますが、事務事業の整理、委託化などが税務や生活援護分野に関してはまだまだ対応し切れていないと考えます。景気の先行きは依然不透明な中、税や生活保護受給者などの対応案件は複雑となり、増加しています。つまり、税務、生活援護分野など公権力の行使に係る業務など、公務員でなければできない仕事が増え続けているのです。社会状況の変化を見据え、適正な人員配置をすることと職員2,000人体制を進めることが両立するのか、検証されているのかお答えください。
○角経営室副参事(人事担当) 職員2,000人体制に向けての方策は、民間活力の活用などにより最少の職員体制としながら、あわせて先ほど案内しましたエキスパート職員の活用などにより、少数精鋭の職員体制の確立を目指すものでございます。
なお、各年度の職員配置につきましては、さまざまな社会状況を勘案し、各部と協議しながら必要な配置を行っているところでございます。毎年度の職員配置状況を検証しながら2,000人体制の達成を目指しているところでございます。今後も2,000人体制の枠をとらえながら翌年度の職員定数配置の中で、例えば生活保護の件数の増加やまちづくりの進展など、諸般の事情を勘案し、補強する必要があるところは増員し、事業の統合や執行方法の見直しなどで効率が図れるものは職員を引き上げるなど、柔軟な対応をとっていきたいと考えてございます。
○林委員 職員を削減することは、人件費削減として効果があるように見えますが、区民サービスが適正に提供できなければなりません。職員削減だけが進み、税務分野の改革がされないために収納率が向上せず、不能欠損がふえることは問題です。ケースワーカーの担当世帯が多過ぎて対応し切れないため自立支援がおくれ、不正受給が発覚されないことも考えられます。職員2,000人体制が本当に中野区にとって適正か検証するべきと申し上げて、この項の質問を終わります。
次に、区有施設の有効活用について伺います。
2010年の一般質問で公共施設の有効活用について質問し、ことしの12月から公務員宿舎2カ所でグループ型保育事業が行われます。質問のとき、公務員宿舎のほかにまちづくり事業住宅の入居率について質問しました。伺います。そのときの入居率は35%だったと記憶しておりますが、まちづくり事業住宅、23年度の入居率は何%でしょうか。
○田中都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 39.7%です。
○林委員 なかなか40%の壁が超えられないという状況です。
次に、これは家賃7万6,000円の1DKが12戸、11万4,100円の2DKが12戸、14万4,500円の3DKが1戸のまちづくり事業住宅、仮に入居率が100%だった場合は、2,910万円と8,400円の使用料が歳入となるところですが、今年度の使用料、つまり家賃収入は幾らだったでしょうか。
○田中都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 使用料は651万円余、共益費70万円余、歳入合計722万円余です。
○林委員 次に、地域まちづくりの歳出を見ると、まちづくり事業住宅指定管理業務経費と光熱水費が計上されています。つまり、まちづくり事業住宅の維持管理費ですが、平成23年度はお幾らでしょうか。
○田中都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 光熱水費を含めまして1,077万円余になってございます。
○林委員 木造住宅密集地域の整備促進事業のための住宅であり、国や都から補助金を受けているために、その事業に関する地域住居者であるなど、入居要件が定められていることは承知しています。しかし、歳入である使用料がまず700万円余で、歳出のほうが大きく上回っているということは問題です。今後弥生町三丁目の不燃化促進事業が始まれば、入居率が上がることも考慮しながら有効活用を図らなければなりません。そこで伺います。入居率の低いまちづくり事業住宅の空き室がより有効に活用できるよう、事業見直しでも検討されていると伺っております。木造住宅密集地域整備促進事業のための入居以外に利用できるよう、国や都に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○田中都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 利用率を上げるために国や都と補助金の取り扱いを調整しながら今年度の事業見直しの中でも有効活用について検討しております。この中で利用可能な範囲を拡大するなど、施設の有効利用につきまして一定の方向を出していきたいと考えています。
○林委員 目的外使用ができることで公務員宿舎での保育事業のように有効活用ができるよう、粘り強く交渉していただけるよう要望いたします。
次に、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づき、オーナーが都知事の認定を受けて建設した中堅所得者層のファミリー層向けの住宅である九つの区民住宅の今年度の使用料について伺います。
○相澤都市基盤部副参事(都市計画担当) 住宅の使用料、共益費を含めまして2億1,100万円余でございます。
○林委員 では、中野区がその九つの区民住宅のオーナーに支払う家賃と、指定管理業務経費を合わせて幾らになりますでしょうか。
○相澤都市基盤部副参事(都市計画担当) 維持管理費は3億3,300万円余でございます。
○林委員 約1億3,000万円余の差額分を中野区が支払っているということは問題です。九つの区民住宅の入居状況を調べましたところ、南台と野方にある区民住宅には空き室が集中していることがわかりました。区として中野区住宅条例を改正して、長期に空き室状態になっている区民住宅について対策をとられていると聞いていますが、御説明ください。
○相澤都市基盤部副参事(都市計画担当) 区民住宅の空き室対策としましては、平成22年度から入居要件の緩和、使用料の据え置き、通年での入居募集などを行ってまいりました。しかしながら、空き室の多い住宅につきましてはオーナーと返還交渉を行い、協議が整ったため、昨年度区民住宅条例を改正し、契約期間の20年を待たずに一定数の返還を行ったところでございます。今後とも空き室の多い住宅については、オーナー側と粘り強く交渉していきたいと考えてございます。
○林委員 貴重な税金が1億円もだれも住まない家賃に支払われていくということは問題です。オーナーと話し合いながら空き室数を縮小していくとのことですが、空き室ゼロになることは困難と考えます。そうであれば、さきのまちづくり事業住宅同様、NPOや地域の保育活動などに協力してくれているボランティアの区民への貸し出しや保育事業の場、高齢者の居場所など、有効活用に利用することを考えるべきだと思います。区の見解を伺います。
○相澤都市基盤部副参事(都市計画担当) 区民住宅、これはファミリー世帯向けの住宅としてオーナーから借り上げていること、また、契約期間満了後はオーナーに返還することが契約に定められているため、区独自の活用は難しいというふうに考えてございます。しかしながら、区民住宅の空き室対策、これは23区共通の課題でもございます。連携して協議していきたいというふうに考えてございます。
○林委員 最後に、東中野の教職員住宅について伺います。
区有施設の有効活用として一般質問のときに東中野の教職員住宅について伺ったところ、売却を予定しているので活用は不可能との答弁でしたが、今回の質問の答えで、ステップ3までの間は東中野小学校の活用にあわせて売却をしないというお答えでしたが、それでよろしいんでしょうか。
○野村政策室副参事(企画担当) 教職員寮につきましては、東中野小学校跡地の一部でございまして、10か年計画(第2次)のステップ3で予定をしてございます区民活動センターの整備、これにあわせて売却の時期を検討しているところでございます。
○林委員 では、ステップ3の平成26年、27年の間、ずっと空き室にしておくというお考えなのでしょうか。
○野村政策室副参事(企画担当) 売却を予定している物件でございます。現在のところ活用の考えはございません。
○林委員 まちづくり事業住宅も区民住宅も、空いているところに対していかに有効に活用しようかとしている中、企画担当が3年も4年もそのまま空き室にするというようなお答えは、ちょっと問題ではないかと思います。歳入の確保の考えからも、教職員住宅の有効活用は必要であると思いますが、地域に開放するなどというようなお考えはないのでしょうか。
○野村政策室副参事(企画担当) 地域についての御要望につきましては、暫定活用ということで小学校部分、校舎部分の活用で十分に足りているというふうに考えてございます。
なお、この教職員寮でございますが、用途廃止後は維持管理経費を極力抑えてございます。これを地域に開放する、あるいは他の目的に活用するということになりますと、電気ですとか水道、これの開設、火災、防災等の感知機器の設置、維持管理が必要になってございます。
○林委員 2,000人体制を進めている人事分野や区有施設の有効活用を考える企画分野がコスト意識を持ち、綿密な計画を立てて行政がやるべきことをしっかりと行える体制を構築し、区財政を立て直していくことを要望して総括質疑を終わります。
○佐野委員長 以上で林まさみ議員の質疑を終了いたします。
それでは、続きまして石坂わたる委員の質疑を続行したいと思います。石坂委員、質疑をお願いいたします。
○石坂委員 総括質疑をお伝えします。
1点目、HIV・エイズの予防啓発と早期発見のための抗体検査について伺います。
平成24年8月19日に改正されましたエイズ予防指針では、地方公共団体と患者団体を含むNGO、NPOなどとの連携強化や普及啓発や教育における保健所、医療機関、教育機関等の連携の促進、連携を可能とする職員等の育成が取り上げられています。これらについては、中野区も当然その責任を負っていると考えてよろしいでしょうか。お答えください。
○向山健康福祉部参事(保健予防担当) 区もこの指針の中では啓発、検査、相談を中心にその役割を担うこととされております。
○石坂委員 1990年代の半ばくらいまでは、HIV感染は致死的疾患でした。私の知人でもHIV感染とその後のエイズ発症により命を落とした友人、知人がいました。しかし、近年は抗HIV療法(HAART)の進歩により、早期発見、早期治療を始めれば、免疫低下を防いだり回復をさせたりしながら進行がコントロール可能な疾病となりました。薬の副作用や差別、偏見等に大変な思いはしつつも、早期にHIV感染がわかって抗HIV治療を開始した人の場合は、2年半後の生存率は99%だそうです。現に私の身近でも、慢性疾患に近いような安定した状態で過ごしている友人、知人が多くなってきました。例えば、現在ですと25歳でHIVに感染すると、かつては平均余命は7年だったものが40年と言われるまでになったのです。
しかしその一方で、東京や大阪などの都心部では約20から25%程度がHIVの早期発見ができず、エイズが発症してから感染していたことに気づくいわゆる「いきなりエイズ」で感染を知る状況にあります。この「いきなりエイズ」と呼ばれる状況から抗HIV治療を行った場合、5人に1人は2年半以内に亡くなっています。早期発見、早期治療が有効であること、治療は早期でなければ功を奏しないことがあることの周知によって「いきなりエイズ」という状況を防ぐことについて周知等を強化すべきであると考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
○向山健康福祉部参事(保健予防担当) 御指摘の早期発見、早期治療の有用性につきましては、区では現行ではホームページやリーフレット等を活用しました啓発を行ってきてございます。今後はお話がございました治療開始のおくれによる重症化の問題、あるいは患者、感染者の方自体の生活の質の低下の問題といったことに加えまして、気づかないうちにパートナーに感染を広げるリスクも含めまして、さらなる周知の充実を検討してまいりたいと考えてございます。
また、あわせまして早期発見の重要性につきましては、地域の医療機関等への周知につきましても検討してまいります。
○石坂委員 続きまして、一部データがない区もありますけれども、障害者手帳所有者を調べてみますと、他区と比べて中野区はHIV・エイズによる障害者手帳の所有者数も所有率も高くなっていて、しかもその率が右肩上がりで高くなっています。こうした状況において幅広く区民に関心を持ってもらうこと、予防の知識を持ってもらうこと、積極的に検査を受けてもらうこと、検査を受けた後の予防に向けた行動変容を促すことが必要です。
まず、関心を持ってもらうことについてです。10月の乳がん啓発運動に関するピンクリボン、11月の児童虐待防止の啓発に関するオレンジリボンといったキャンペーンリボンがあります。中野区でも昨年、議員や職員がそれぞれ胸につけるということが行われてきましたし、ことしもまたピンクリボンが配付をされています。これについて、12月のエイズ予防月間にはHIV感染予防の啓発とエイズ患者への理解支援のシンボルであるレッドリボンを胸につけるようにし、区役所の窓口等にレッドリボンの意味がわかるような掲示をするなどできませんでしょうか。
○向山健康福祉部参事(保健予防担当) お話ございましたように、区にはピンクリボン等の先行する取り組み事例がございますので、こういったものを参考にいたしまして、予防月間を中心とした啓発の一環として検討してまいりたいと考えます。
○石坂委員 次に、予防の知識を持ってもらうことについてです。エイズ予防指針では、個別施策が必要な層として、青少年、同性愛者、外国人、性風俗産業の従業員とその客について、人権や社会的背景に最大限配慮したきめ細かく効果的な施策を追加的に実施することが重要であると明記しています。青少年の中には、HIV感染リスクの高い行為と低い行為について知識があいまいであったり、不十分である場合も多いようです。また、外国人の場合は言葉の問題があったり、同性愛者や性風俗産業関係の方の場合だと、自分の身を守るという意識が不十分で知識が十分に浸透していない、あるいは行動が伴いにくかったりする場合も少なくありません。
なお、こうしたことについて例えば新宿区では、NPO法人と連携して同性愛者が多く集まる店舗にHIV検査情報などについて区が作成したチラシを配布し、置きチラシにしてもらったりしているようです。青少年や同性愛者、外国人等が多く集まる場所や多く訪れる窓口などに啓発のためのリーフレット等を置いたりポスターを掲示するなど、一層の工夫を進めていくことが必要であると思われますが、いかがでしょうか。また、日本語が読めない外国人にも外国語版の区報での情報提供など、広報の工夫をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○向山健康福祉部参事(保健予防担当) お話しの指針でも、広く国民に対して啓発を実施することに加えまして、いわゆる個別施策層に応じた啓発教育、あるいは効果的で効率的な検査相談を組み合わせて実施するようにというように示されてございます。今後は各個別施策層に対しましてより効果的な啓発のあり方に関して情報を収集し、その充実に向けて検討してまいりたいと存じます。
○石坂委員 次に、検査についてです。厚生労働省科学研究費エイズ対策研究事業であるHIV検査相談体制の充実と活用に関する研究班でつくられたHIV検査相談マップやエイズ予防財団のAPI-Net、エイズ予防ネットなどが提供する検査に関する情報をより多くの区民に知ってもらい、検査を受けてもらうことが必要であると思われます。新宿区や豊島区のように、区のホームページからこうしたサイトにリンクを張るなど、情報提供の工夫をしてはいかがでしょうか。
○向山健康福祉部参事(保健予防担当) 現在、検査相談にかかわる情報につきましては、中野区では区報やホームページの掲載など、また、区立施設や管内の大学、専門学校でのポスター掲示等によって実施をしてまいりました。受診者のアンケートでは、お話しございましたようにインターネットによる情報のオストプレスが特に高くなってございますので、そのさらなる活用について検討を進めてまいります。
○石坂委員 そして、検査後の行動変容について伺います。感染予防という観点では、検査で結果を知るだけでなく、検査を通じて知識や理解を高め、適宜受検者の行動変容を促していくことが必要です。中野区の即日検査は、他区の検査と比べ、検査結果を聞いた後、部屋を移動することなくその場でNPOの相談員と話ができるということについて定評があるようです。こうした仕組みについてはどのような評価をされていますでしょうか、お示しください。
○向山健康福祉部参事(保健予防担当) HIV検査につきましては、御案内のように不安ですとかちゅうちょなど、受診者の心的な負担が大きい検査であるというように認識をしてございます。区がNPOに委託実施してございます迅速検査は、動線やカウンセリング等、受診者の心理的な負担の軽減と受診しやすい環境に配慮された事業であるというふうに認識をしてございます。
○石坂委員 これまで中野区ではエイズ相談、検査人数を成果指標と掲げ、検査を着実に促進してきました。これは主要施策の別冊のほうにも書かれています。検査の先の予防啓発の効果も視野に入れた取り組みが必要であると思われます。
エイズ予防財団の木村哲さんは、8月28日の日本記者クラブでの記者会見において、HIV抗体検査数を倍増させる、エイズ発症者を25%減少させると述べていました。短期的なアウトプットとして、HIVの抗体検査の件数を目標とすることももちろん重要ですが、障害福祉で把握をしている免疫機能障害による障害者手帳の所有者数、あるいは厚生医療の件数も踏まえて新規感染者数、手帳所有者数等の増加を抑えていくようなことを目指したHIVの予防戦略を立て、定期的に検証していくことが必要であると思われますが、いかがお考えでしょうか。
○向山健康福祉部参事(保健予防担当) 区では、エイズ対策を効果的に進めるためには、都市部の特性を踏まえた継続的かつ広域的な対策が重要ではないかというふうに考えてございます。東京都は国の指針に対応する形で、予防から療養支援までの総合的な東京都としてのエイズ対策の指針を策定してございまして、その中では重点的な取り組みについても示しております。区はその指針に沿って対策を進めまして、また、区の取り組み結果等を東京都へ還元することによって検証が行われているものと考えてございます。
○石坂委員 次の項の質問に移らせていただきます。2番の要配慮児童と成人後に福祉的支援が必要な方の支援について伺います。
まず、ひきこもり・不登校について伺います。
ひきこもりとは、さまざまな要因の結果として原則的には6カ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状況であり、他者とかかわらない形での外出をしている場合も含む概念です。ひきこもりは単一の疾患や障害の概念ではなく、さまざまな要因が背景になって生じます。平成18年度の厚生労働科学研究によると、ひきこもりの方のいる世帯数は全国で約26万世帯と推計されています。また、厚生労働科学研究主任研究者、齋藤万比古氏によると、16歳から35歳のひきこもりの方の26%に発達障害や知的障害が見られ、55%にそれ以外の統合失調症、うつ病、適応障害等の精神障害が見られたそうです。なお、特に精神障害等の障害がその第一の原因と考えにくいものを社会的ひきこもりと言います。
厚生労働省では、平成21年にひきこもり対策支援事業として、各都道府県、指定都市に一時相談窓口のひきこもり地域支援センターを整備し、学校や保健所などと連携することとしています。また、東京都の場合はひきこもり地域支援センターとしてのひきこもりサポートネットがありますが、具体的な支援機関として中野区に関しては中野区保健所、4所のすこやか福祉センター、中野区立教育センターがホームページなどに掲載されています。しかしながら、区のホームページのほうを見ますと、ひきこもり対策について何らかの部署で専門的な対策をしているようには見受けられません。そこでまず、社会的なひきこもりに関連して伺います。
国立精神神経センター・精神保健研究所の伊藤順一郎さんらによると、社会的ひきこもりをしている方の33.5%で、小・中学校いずれかでの不登校経験が認められるとしています。現在、小・中学校における不登校ということでスクールソーシャルワーカーや教育センターがかかわっている件数などはどのようになっていますでしょうか。また、現在は適応指導教室などには来られているものの、今後ひきこもりとなりそうなケースなどについて、中学校卒業に向けて何らかの機関へ支援の引き継ぎが必要であると思われますが、いかがお考えでしょうか。お教えください。
○川島教育委員会事務局指導室長 現在、不登校状態にある児童・生徒に対しまして、スクールソーシャルワーカーがかかわっている件数は4件、教育センターの教育相談室がかかわっている件数は51件です。また、不登校等の情報についての中学卒業後の引き継ぎについては、生徒や保護者の意向も含めた個人情報等の扱いなど、整理をしなければならない問題が多数ございます。必要があれば教育相談室で対応するなど、相談に応じていきたいというふうに考えております。
○石坂委員 ぜひ必要な支援をしていただけるよう、お願いしたいと思います。
私は以前、オルタナティブ・スペース・ネッコというグループを訪問させていただきました。このグループは、新宿区にあるゆあフレンズという発達障害者のための就労継続支援B型事業所と成人発達障害者の居場所であるNeccoカフェを運営していて、近々グループホームも立ち上げる予定でいます。先日、甲田委員も発達障害とひきこもりの関係に触れていましたが、オルタナティブ・スペース・ネッコでも、ここに来る前はひきこもりやそれに近い状況であった発達障害者が多い。また、虐待を経験している人も少なくないとのお話を伺いました。
また、成人の場合は長期間のひきこもりを脱した後の展望が持てない、親子の力関係が逆転してしまっている場合も含めて、家庭内の関係調整や生活リズムの立て直しなどがうまくできないなどの不安を抱えているケースも少なくありません。こうしたケースについて、家族を含めた支援が必要だと思われますが、学齢期の不登校、ひきこもりと比べ、状況の把握がしづらいのではないかと思われます。成人の発達障害者の施設などの話では、ひきこもりが主訴でない場合でも、ひきこもりが絡むケースが数多くあると思われます。ひきこもりの対策をする上で、ひきこもりが絡むケースを集約し、事例を把握しておく必要があると思われますが、現在把握している件数と合わせて教えてください。
○齋藤鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) すこやか福祉センターでは、ひきこもり御本人様や御家族の方々につきまして、精神保健相談事業などを通じて把握に努めております。平成23年度新規相談事例におきまして、ひきこもりが主訴であったのは32件ありました。把握した事例につきましては、それぞれの相談に応じて支援を行っているところでございます。
○石坂委員 不登校や発達障害など、学齢期に何らかの配慮が必要とされた子どもについて、引きこもり対策において焦点を当てるべき対象層と考え、学校だけでなく、多方面から成長過程の段階で本人や子育てをする両親の支援をしていくべきであると思われます。学校教育、卒業後の支援、成人後の支援について、部署の垣根を超えた施策の方向性をどのように考えていますか。
また、平成17年10月6日の文教委員会において、元区議会議員のはっとり幸子さんが不登校について、足りない、あるいはこういうものがあったらいいというふうに考えられている事業というものはあるんでしょうかと質問しまして、この結果、理事者から家庭との連携も必要になってまいりますという答弁がなされています。やはり子育て中の親御さん向けに不登校、ひきこもりについて知ってもらうとともに、未成年の、あるいは成人後も含めて子どもがひきこもりになった際に、どこに相談に行けばよいかの理解を促す普及啓発の講座なども行うべきであると思われますが、いかがでしょうか。お教えください。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 不登校や発達障害などの心の支援等が必要な施策については、これまでも発達支援推進会議において関連した部署が集まり、成長のステージごとに相談支援をつなぐことの検討を行い、保育園や幼稚園から小学校、中学校までの支援の申し送りという仕組みを実施しております。今年度は思春期や18歳到達時の支援のその後の引き継ぎについて、継続して検討を行う予定でおります。
また、相談窓口の普及等につきましては、すこやか福祉センターをはじめとしまして、関連する部署の相談窓口について、手引などを更新する際によりわかりやすくしていきたいというふうに考えております。
○石坂委員 こうしたさまざまな取り組みの中で、特に家庭を支援するための普及啓発等も必要になってくると思いますが、そのあたり、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) そういった地域のことも含めまして、会議等で検討しまして、必要な措置を講じていきたいというふうに考えています。
○石坂委員 要望といたしますが、ぜひそうした親御さんが現にひきこもりの子どもを抱えている、あるいは将来子どもがひきこもりになった際に困ることがないように、しっかりと普及啓発を進めていただければと思います。
次に、発達障がい児・者について伺います。
7月30日、大阪地方裁判所において、発達障害である被告に対し、「障害に対応できる受け皿が社会になく、再犯のおそれが強く心配される。許される限り長期間刑務所に収容することが社会秩序の維持に資する」という判決がなされました。この判決における障害に対応できる受け皿が社会にないという理由は、本人の問題に加え、社会の側の課題もあると思われます。中野区でも知的障害のない発達障害児・者の受け皿について、昨年10月発行の障害者福祉のしおりで調べますと、区の窓口等ではなく、東京都発達障害者支援センター(TOSCA)が紹介されているのみです。しかし、TOSCAは区外にあり、相談希望者がとても多いために申し込みから実際の相談に至るまで長く待たなければならず、当事者や家族の急を要するニーズに十分対応し切れていない状況にあり、実際に私も不安の声を聞いております。
その一方で、先日の夜の教育委員会で取り上げられた特別支援教育等の連携について、中野区における発達支援の取り組みは、傍聴された方からとてもいいお話が聞けたと好評でした。支えあい推進室の平成24年度の事業概要によると、23年度のすこやか福祉センターのデイケア登録者数の5%近くが発達障害であるようです。また、同資料によると、23年度の精神保健相談におけるケースの実人員数はこころのクリニックが62人、訪問指導が345人と書かれております。すこやか福祉センターにおける精神保健相談事例のうち、発達障害の事例は何人でしょうか。また、その中には子ども時代に特別支援につながっていた人も、成人になってから発達障害が明らかになった方も含まれていると考えてよろしいでしょうか。お教えください。
○齋藤鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 平成23年度にすこやか福祉センターの保健師が相談支援を実施した事例におきまして、発達障害は42例ありました。その中には、子ども時代に特別支援につながっておられた方も、成人になってから発達障害が明らかになった方も含まれております。
○石坂委員 また、決算特別委員会資料の子ども文教60によりますと、小・中学生で発達障害児等を受け入れている情緒障害特別支援学級の通級の児童・生徒が70名いることがわかります。また、同じく子ども文教16によると、子ども家庭支援センターにおいて、自閉症の相談が47件あることがわかります。47件の中には高機能自閉症やアスペルガー症候群など、知的障害のない発達障害児も含まれているとの認識でよろしいでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 高機能自閉症やアスペルガー症候群など、知的障害のない発達障害児等も含まれております。
○石坂委員 障害者地域自立生活支援センターつむぎや精神障害者の地域生活支援センターせせらぎ、すこやか福祉センターに入った相談支援事業所も現在発達障害の受け入れができると聞いております。もっと胸を張って、中野区では発達障害についてここまで対応できます、あるいはできるようにしますということを打ち出すべきです。発達障害に関して、どういう年齢のどういう相談であればこの窓口ということについて、だれもが見てわかるようにすることが必要です。まずは区報等で発達障害について取り上げ、その中で窓口等を紹介してはいかがでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 年齢や相談内容にかかわらず、お問い合わせがあれば、すこやか福祉センター、子育て支援、障害福祉担当でまずはお話を聞き、その後、必要に応じて支援に合った専門の相談や機関につなげているところでございます。
○石坂委員 今、区報についてお答えいただけませんでしたけれども、今の答弁を聞いている限り、できる体制は整えているというところができているのであれば、できていることをやはりアピールすべきではないかと思われます。そうしたことについて区報で取り上げるということ、特に夜の教育委員会でもあれだけアピールしたわけですから、ぜひ区報等でもしっかりアピールしていただきたいところですが、いかがでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 区報等で発達障害等について企画する等も検討しておりますので、そういった機会があれば、わかりやすい窓口を相談していきたいというふうに考えております。
○石坂委員 続きまして、私自身が養護学校の教員や教育センターの職員をしていたときに、児童虐待やマルトリートメントの事例の中で、発達障害のお子さんが多いという印象がありました。
ちなみに、このマルトリートメントという言葉ですけれども、虐待には至っていない場合も含む、大人の子どもに対する不適切な対応を示す言葉、これがマルトリートメントです。このマルトリートメントのケースについても、注意深く対応するという考え方が全国的に広がってきています。中野区の児童虐待として子ども家庭支援センターが把握している件数、これにおける発達障害を含む、発達に課題のある児童の件数は何件でしょうか。また、マルトリートメントの把握の状況についてもあわせて教えてください。
○黒田子ども家庭支援センター所長 児童虐待に関連する発達に課題のある障害児数は、おおむね40名となっております。マルトリートメントは、区では養育支援ケースというふうに把握しておりますが、平成24年度9月末現在でおおむね200件程度というふうになっております。
○石坂委員 200件という、とても多いケースですね。虐待と合わせれば240件ですけれども、こうしたマルトリートメント、虐待に関してしっかり取り組んでいただきたいと思うところです。虐待やマルトリートメントが絡む場合、もともとの発達障害としての困難さ、もちろんそういったものもありますけれども、それに加えて二次障害として、虐待による関係上の障害、つまり、自己肯定感の低さ、感情コントロールができず、周囲とトラブルが絶えなくなってしまうような不適応的な行動が見られるようになってしまう場合がありますし、また、こうした状態が成人後の生活にも悪影響を与える形で続いてしまう場合もあります。就労になる場面でつまずいてしまったり、家族の中がうまく関係が築けなくなってしまったりと、そうした影響が出てくる場合もあります。
以上のような理由により、発達障害児が二次障害に至る前に適切な支援に結びつけることが必要であると思われます。発達障害と虐待、マルトリートメント、不登校、ひきこもりやその他の二次障害との関連性と対策の必要性をどのように認識されているのかということをお教えください。
また、発達障害児・者やその家族が困り感を抱えたときに、最も身近な自治体である区が対応することの意義と今後の取り組みについての覚悟についてお聞かせください。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 子どもの行動が発達障害などによるものであっても、保護者が気づかずしつけが厳しくなるなど、虐待につながるケースが少なからずあることは認識しております。発達に課題のある子どもの保護者への支援を充実させていくことも大切であるというふうに考えております。今後も臨床心理士の行う子ども家庭専門相談など、子ども家庭支援センターやすこやか福祉センターで実施をしております専門相談の機会を十分に活用しながら対応を行っていきたいというふうに考えてります。
○石坂委員 中野区がしっかりと取り組んでいただける方向性について伺えて、安心できる部分が多々ありました。障害や生きづらさ、あるいは不便を抱えている人が大人になった、あるいは大人であるという理由で、子ども時代であれば受けられた支援や補足の網の目から漏れてしまうことがないようお願いしつつ、私のすべての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○佐野委員長 以上で石坂わたる委員の質疑を終了いたします。
ここで質疑の途中ですが、進行についてお諮りしたいので、暫時休憩にさせていただきたいと思います。
午後3時06分休憩
午後3時06分開議
○佐野委員長 それでは、委員会を再開いたします。
休憩中に確認しましたとおり、そのまま質疑を続行いたします。
続きまして、小宮山たかし委員、質疑をお願いいたします。
○小宮山委員 大変長らくお待たせをいたしました。ただいまより、小宮山たかしの決算特別委員会総括質疑をさせていただきます。通告した質問のうち、1番と2番を入れかえ、そして3番の道しるべにつきましては既に他の委員の質疑応答の中で有意義な答弁が出ておりますので、今回は割愛をさせていただきます。その他の質問はございません。
まず、中野富士見中学校跡施設整備基本計画について質問をさせていただきます。
今回の計画を見てみますと、乳幼児広場、一時保育室という名前の施設がそれぞれ設置されています。この施設の利用方法、設置目的は何でしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 乳幼児広場は、乳幼児親子が安心してのびのびと遊び、地域の乳幼児親子の交流できるスペースであり、利用時間内は自由に利用できる施設でございます。一時保育室は保護者の方が事業に参加している間、お子さんを一時保育するための部屋です。また、南部すこやか福祉センターの一時保育室につきましては、乳幼児の遊びや行動を隣接する相談室から観察できるようにすることを考えております。
○小宮山委員 中野区は、児童館の年間休日が23区の中で一番多く、実に年間の3分の1も休んでいるという区であります。また、それだけでは飽き足らず、児童館の数も今後ますます減らされようとしています。児童館以外の子どもたちの遊び場も少ない中で、新たな乳幼児向けのスペースが新設されるということは、これは大変楽しみな話であります。
今回の乳幼児広場のお手本になるようなモデルケースとしては、先行開設されている中部すこやか福祉センターの乳幼児広場、通称どんぐりが挙げられると思います。中部すこやかでは一時保育室と乳幼児広場を合わせることでその有効面積を広げ、広さは約110平米。私も何度か足を運んだことがありますが、南向きの明るく開放的なスペースとなっています。ハードの面では児童館に劣るものの、利用者の評判は非常によく、中野富士見中跡施設においても中部すこやかと同じような明るく開放的な空間を確保していただくことが重要であると思います。しかし、本計画を見てみますと、富士見中跡施設の乳幼児広場は北向きの1室50平米、職員用のロッカー室よりも狭く、幼児トイレ2個強分ぐらいの広さしかありません。延べ床面積が違いますので、中部すこやかと同じ広さを求めることはしませんが、せめて中部すこやかのように一時保育室と乳幼児広場を合わせることで有効活用面積を広くして、さらにできれば南向きや東向きの明るい部屋を用意してあげられないものでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 中部すこやか福祉センターは乳幼児広場と一時保育室を隣接して整備しておりますけれども、南部すこやか福祉センターにつきましては、乳幼児検診等での一時保育室の利用が見込まれることから、検診ゾーンと同じ3階に一時保育室を整備する予定としております。同じフロアに乳幼児広場を整備するスペースがないため、乳幼児広場につきましては2階に整備をすることを予定しているものでございます。
また、予定しております乳幼児広場につきましては、北東の角を予定していますので、採光において不十分であるというふうには考えておりません。
○小宮山委員 現在の計画ですと、南向きの部屋、東南の部屋は内科の診察室や健康診断のための計測の部屋となっています。私もそうなんですが、できればあまり明るいところでは体重とかウエストとかを計測したくない。聴診器を当ててもらうためにおなかは出したくないという人もいると思うんです。長い人でも30分程度しか滞在しないような内科や計測の部屋がどうしても明るく日当たりがよくならなければならない理由は特にないと思うんです。その一方で、子どもたちが長時間遊ぶ一時保育室に至っては、窓が一つもないと思われる建物の中央部分に設けられています。計測や内科のためには明るい部屋を用意して、子どもたちのためには窓のない部屋や北向きの暗い部屋を用意する、この設計理念は一体何なのでしょうか。すこやか福祉センターでは子どもたちの健やかな成長は大して望んでいないということなんでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 検診室、乳幼児広場ともに適度な採光が必要でありまして、また、区としては乳幼児の健やかな育成のために乳幼児検診の部屋、乳幼児広場を整備するものでございます。一時保育室は隣の相談室から乳幼児の遊びや行動を観察する際にも利用することができるようにしていることから、全体の設計の中でフロアの真ん中の配置というふうに考えております。直接採光がないことに関しましては、廊下との間の壁に窓をつくるなどの工夫によりまして開放感のある設計にすることは可能でございます。開放感を持たせるのか、プライバシーの配慮を優先させるかなど、基本設計の段階で検討をしたいと考えております。
○小宮山委員 今、全体の設計という言葉もありましたけれども、そもそもこの施設の全体の設計そのものがちょっとおかしいのではないかと思うところがございます。今取り上げた乳幼児広場と一時保育室のほかに、子育て支援室、支えあい交流室、地域交流室、多目的ルーム、さまざまな名目の部屋が多数あるんですけれども、子育て支援室は子育て支援にしか使えないし、支えあい交流室は支えあい交流にしか使えないし、地域交流は地域交流にしか使えないようなものなのでしょうか。例えば、商店街の会合のために子育て支援室を使うことは可能なんでしょうか、それとも不可能なんでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 各部屋の具体的な利用方法などは、今後検討することになります。そのため、現時点では具体的なルールについてお示しできる状況ではございません。
○小宮山委員 利用方法は今後検討するというのに、部屋の名前だけがしっかりと細分化されている。私は縦割り行政の弊害がここにあらわれていると思っています。だれもが自由にいろいろな目的で使える多目的ルームということにしてしまえば、一つの部屋でもいろいろな使い方ができるし、もしかすると部屋の数もこんなにたくさん要らなくなるかもしれない。それぞれの部屋の目的と名称と数を改めて見直すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) すこやか福祉センターは介護予防や子育て支援など、幅広い機能の拠点としての役割を果たしていきます。子育て支援室、地域交流室、支えあい交流室など、いずれも必要なものとして必要な数を限られたスペースの中で整備をするものであり、基本計画でお示しした数が必要であるというふうに考えております。
○小宮山委員 必要なものを用意したという話ですが、その割には利用方法は未定というのはおかしいと思っております。ぜひもう一度見直してもらうことを要望いたします。
では次に、中野富士見中学校跡施設整備基本計画のうち、地下のプールについて質問をさせていただきます。
地下に建設が予定されているプールは、一体どのような施設になるのでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 中野富士見中学校跡施設整備基本計画におきましては、25メートルの温水プールであり、コースは6コース、水深は1メートルから1.2メートル、障害者や高齢者に対応したスロープを設けること。それから採暖室、監視室、用具倉庫を備えること等を計画しているものでございます。
○小宮山委員 年間の維持費用は、幾らぐらいになると想定していらっしゃるでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) プールの具体的な運営方法につきまして今後検討することになりますので、現時点の想定を申し上げるのは難しいと思ってございます。
○小宮山委員 中野区内には鷺宮体育館のほか、旧第九中学校、中野中学校と第二中学校のプールで、学生が使わない土日や夜間にプールの一般開放を行っています。学校内にあり、学生と共用している施設のため、プール単独の維持管理経費は算出困難というお話ですが、旧九中と二中のプールを一般開放するに当たっては、事業委託コストを含めて年間約5,270万円の維持管理費用がかかっています。単純に2で割ってしまえば、プール一つ当たり年間2,600万円以上のコストということになります。さらに、この2,600万円という数字には照明のための電気代、冷暖房のための空調費、温水のためのボイラー代、上下水道代が含まれておりません。
ちなみに二中プール1杯分の上下水道代を私が試算してみたところ、低く見積もってもプール1杯30万円以上という結果になりました。他区で25メートルの温水室内プールの維持管理のため、年間どのくらいのコストがかかっているかも調査してみました。25メートルプールだけを単独で維持管理しているケースそのものが少なく、2件のケースしか調べることはできなかったのですが、墨田区の両国屋内プールの場合、年間1億500万円、台東区の清島温水プールの場合、年間6,249万円の維持管理コストがかかっているというお話でした。先ほど私が取り上げた数字と他区のデータを総合して勘案すると、25メートル温水プール一つを年間開放するに当たっては、どんなに少なく見積もっても軽く3,000万円以上、下手をすると5,000万円を超すような維持管理コストが発生するはずです。財政運営上の非常事態を区長みずからが宣言し、各種の事業見直しを行ったばかりのこの中野区において、プール一つを新設すると、今後半永久的にどんなに少なくても年間3,000万円以上、下手をすると5,000万円を超すかもしれない維持管理コストがかかり続けるという認識はお持ちでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 施設の内容や運営内容によりまして異なってくるものでございますが、一般論としては通常プールの運営にはその程度コストがかかるものだと認識してございます。ただし、高齢者や障害者を含めまして、区民がいきいきと地域で元気で暮らしていくためには、スポーツ習慣が大きく役立つということは全国各地で行われている調査からも明らかでございまして、そのための条件整備を行っていくことが区の大きな責務であると考えております。長期的に見れば、それが医療費や介護予防費の削減につながっていくものと考えているところでございます。そのために水の中で過度の負担をかけずに体を動かすことができるという点で、それぞれの体力に応じた健康づくりができるプールは極めて有効なものだと考えてございます。プール設置により一定程度のコストはかかりますが、できるだけ経費を抑えて効率的、効果的に運営していきたいと思っております。
○小宮山委員 ちなみにですね、じゃぶじゃぶ池の委託管理費用は、区内10カ所の合計で約600万円、じゃぶじゃぶ池も子どもたちの健康管理には役立っていると思うんですが、あと1週間でもいいから期間延長してほしいという区民の思いは、なかなか聞き入れていただけないのに、プール一つを新設して、まさに湯水のように何千万円ものお金、イコール税金が消費されていくというこの財政運営上の非常事態を私は見逃すわけにはいきません。
そもそもこのプール、本当に必要なんでしょうか。富士見中跡地から700メートル、徒歩9分の場所には区立第二中学校があり、昼間は年間82日、夜間は年間289日も稼働している25メートルの室内温水プールがあります。さらにそれだけではなく、富士見中跡地からわずか400メートル、徒歩5分の場所には民間のスポーツクラブがあり、そこにも25メートルの温水プールがあります。リハビリや訓練のためにプールを使う人も中にはいらっしゃるでしょうけれども、プールで泳げるような元気のある人や、昼間からプールに行けるような時間のある人は歩いて9分、走って4分の二中のプールに行ってもらえばいいんじゃないでしょうか。こんな目と鼻の先に本当に二つのプール、民間も入れれば三つのプール、しかも年間維持管理コストが5,000万円を超す可能性もあるようなプールが本当の本当に今の中野区に必要だとお考えでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 二中のプールは、学校施設の開放として土曜、日曜、休日、それから平日は夜間区民に開放しているもので、利用時間の制約を受けるものでございます。一方、富士見中跡施設のプールは、今後運営方法の詳細を詰めていくものではございますが、1日のうち長時間利用できることに加えまして、さまざまな年齢や体力に応じて健康づくり、体力づくりができるよう、健康教室や介護予防教室、あるいは泳力を向上させるための水泳教室など、地域スポーツクラブとしての各種教室事業等に使用するものでございます。このように、新たな需要を積極的に喚起していくものでございます。
中野区全体といたしましても、学校開放以外の常時利用できる区立プールは鷺宮体育館のみであり、年間を通じて恒常的に使用できるプールの設置が望まれていたところでございますが、特に区が平成16年に行いました地域住民の運動に対する実態を調べた調査によりますと、南中野地域は全くスポーツを行っていないという層が最も高く、50.5%でございました。ただし、その理由につきましては、スポーツが好きではないからという理由は13.6%に過ぎません。忙しくて時間がない、場所や施設がないなどが主な理由でございました。この地域に全く運動習慣のない人でも抵抗なく、少しでも体を動かすところから始められ、効果的な健康づくりを行っていただくために有効なものとして、富士見中跡施設にプールを整備するものでございます。
○小宮山委員 今の新しい利用を喚起するだとか健康づくりをするというのは、二中のプールでも可能なものだと私は考えております。例えば、利用券を共通化するなどの方法で地域スポーツクラブに二中のプールを組み込んでしまえば、富士見中跡地のプールは必ずしも必要なくなるのではありませんか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 先ほどお答えいたしましたように、これまでプールを利用していなかった高齢者等、幅広い層の需要を掘り起こしつつ、健康づくり等の事業を進めるためのプールが必要でございます。一方、二中は学校として使用しない時間帯のプールを一般の利用者に開放するものであり、障害児水泳教室以外は教室事業等を行ってございません。地域スポーツ事業の運営内容は現在検討中ではございますが、学校開放としての二中プールを地域スポーツクラブとして利用するよりも、健康づくり等の目的のもと、屋内運動場やトレーニングルーム等、富士見中跡施設に設置する他のスポーツ施設と一体として運営していくことが望ましいと考えております。
○小宮山委員 これだけお願いをしてもなかなか御理解いただけないようであれば、次善の策として新たに別の角度から前向きな提言をさせていただきたいと思います。
先ほども申し上げたように、このままいくと旧中野富士見中近辺は日本でも有数のプール密集地帯となります。それでもなおかつ、どうしてもプールをつくるのであれば、プールの機能に差を持たせ、利用者の住み分けをしていく必要があると思います。中野富士見中跡施設は、近くには中野児童館も南中野児童館もありますし、すこやか福祉センターや乳幼児広場、子育て支援室などが併設され、乳幼児及び保護者の施設利用が見込まれます。そこで、現在計画中の25メートルプールに加えてもう一つ、乳幼児向けのプールを新たに併設してはいかがでしょうか。私が知る範囲では、乳幼児をターゲットとした公営の温水室内プールは中野区の近隣には一つもありません。さらに、もし仮に現行のじゃぶじゃぶ池のようにおむつをして行っても利用可能な施設にすれば、公営温水室内プールとしては都内でもまれな施設となるため、駅から離れた場所にあっても来場者、来街者の増加が見込めますし、地域経済への波及効果もあるでしょう。また、現在区内プールでは無料とされている未就学児への利用料金を設定することも可能になります。
先ほども申し上げたように、富士見中跡施設のプールは年間5,000万円を超す可能性もある維持管理コストが発生しますし、二中のプール開放で代替がききますので不必要であるというのが私の基本的な考え方です。しかし、現在の計画を即座に中止することが困難なのであれば、次善の策、苦肉の策として乳幼児向けのプールを併設して、その利用価値を上げることはできませんでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 中野富士見中学校跡施設全体の中で、それぞれ必要とする機能を盛り込んだ上で、25メートルプールのほかに乳幼児用プールを設置するというのは困難だと考えております。
○小宮山委員 何とかしてプールを中止、もしくはせめて乳幼児向けのプールをつくってほしいと要望をしておきます。
では次に、弥生町三丁目周辺地区のまちづくりについて質問をさせていただきます。
質問を一つ飛ばしまして、阪神・淡路大震災では、倒壊家屋などから自力で脱出できなかった被災者のうち、80%近くの方が近隣の人たちの協力によって救い出されているそうです。いざというときに地域コミュニティの力が問われるということは言うまでもありません。今回不燃化特区の先行実施地区に指定された弥生町三丁目周辺地区の地理的、地縁的な中心には川島商店街があり、商店街には対象地域でも数少ない6メートル道路が走っています。
川島商店街に限った話ではありませんが、商店街は地域コミュニティの核として町会に劣らぬ組織力や団結力があり、地域住民とフェイス・ツー・フェイスのコミュニケーションを日常的にとっています。そのため、路地裏のどこにひとり暮らしの老人が暮らしているのかということまで把握をしている商店主も少なくありません。また、商売人はサービス精神やボランティア精神も旺盛ですし、平日の真っ昼間でも商店街には働き盛りのいい大人が大勢います。さらに、食料や水や米や飲み物やラジオや電池や懐中電灯などの物資も、商品という形をとっていますが、大量にストックされています。商店街によっては、独自の事務所や集会室などを持っているところもあります。
さらに、川島商店街の場合、年間を通じてお汁粉や豚汁の炊き出しや夜店の屋台で飲食物の提供を行っていますので、非常時に炊き出しをできるだけのノウハウや機材も整っています。こうしたもろもろの条件を考えてみますと、商店街を防災拠点として活用すれば、人がいて、食料や飲み物があって、避難場所や炊き出しの機材やノウハウがあって、これ以上のものはなかなかないぐらいに理想的な防災拠点として、お金をほとんどかけずに今すぐにでも活用できるのではないかと私は考えています。
しかし、その一方でこれまで商店街や商店主自身に防犯の意識はあっても、防災の意識はあまりありませんでした。また、行政の側からも特別なアプローチはなかったように記憶しております。今回、弥生町三丁目地区が不燃化重点プロジェクトの先行実施地区に選考されたことを受けて、新たにこれまで全国的にもほとんどなかった試みとして、地域コミュニティの核である商店街を町会と並ぶ新たな地域防災コミュニティの核として、ハードでもソフトでも整備活用していくことはできないものか、そう私は考えております。ハード面の整備としては、今まで行ってきた不燃化事業を促進するとともに、電柱の地中化による事実上の道路拡張や放送設備の向上、改善、非常時のための電源やプロパンガスや木炭等の非常用燃料の確保や配慮、ソフト面の整備としては、商店が常時ストックしている食料品や飲み物や乾電池等の物資の優先的な確保や買い上げの協定を区や地元町会と締結することや、いざというときに必要があれば、飲食店の店主や有志による炊き出しを行うことのできる体制を今のうちに構築しておくことなどが考えられます。
以上を踏まえて質問をいたします。弥生町三丁目周辺地区の防災まちづくりを行うに当たり、地元商店街の持つ秘めたるポテンシャルを引き出せるようなハードとソフト両面でのアプローチや連携が必要であると思いますが、いかがお考えでしょうか。
○田中都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 狭隘道路が非常に多い弥生町三丁目周辺地区の中で、川島商店街通りは比較的広い幅員を有しておりますので、地域の皆さんが安全に避難できる避難経路ネットワークの一翼を担うこと、また、どんなときにも地域の生活を支えるサービスを提供する商業地として魅力を高めていくこと、そういったところが期待されるところでございます。川島商店街の皆さんにぜひ協力をいただけるよう、働きかけてまいりたいと思っております。
○小宮山委員 こちらとしても、商店街の一員としてよろしくお願いしたいと思います。
商店街が有事の際に役立つ可能性が高いということは、弥生町三丁目や川島商店街に限った話ではありません。また、商店街のメンバーと町会のメンバーの一部は重複しているものの、必ずしも完全一致しているわけでもありません。中野区として災害時の商店街はどうあるべきか、有事の際に商店街に何ができるのか、これまでに考えたことや今後何らかの方針を策定する予定はありませんでしょうか。
○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区では、中野区商店街連合会と協定を結び、災害時における食料品や日用品等の応急物資の調達について協力をお願いしているところでございます。今後個々の商店街について地域における災害対応力向上のためにどのような協力や連携ができるのか、どのようなことが可能なのか、検討してまいりたいと考えます。
○小宮山委員 ぜひよろしくお願いいたします。以上をもちまして私の総括質疑を終了とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○佐野委員長 以上で小宮山たかし委員の質疑を終了いたします。
以上で総括質疑はすべて終了いたしました。お疲れさまでございました。
明日、10月3日(水曜日)からは各分科会が予定されているため、本日の委員会終了後、会場設営を行います。各委員がお持ちになった資料は、机の中を含めてすべてお持ち帰りをいただくようお願い申し上げます。
次回の委員会は、10月11日(木曜日)午後1時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告いたします。
以上で本日の決算特別委員会を散会いたします。
午後3時33分散会