平成23年06月22日中野区議会本会議(第2回定例会)
平成23年06月22日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録
平成23年第2回定例会本会議第2日(6月22日)

.平成23年(2011年)6月22日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  若  林  しげお         2番  高  橋  かずちか

  3番  木  村  広  一        4番  甲  田  ゆり子

  5番  小  林  ぜんいち        6番  中  村  延  子

  7番  石  坂  わたる         8番  後  藤  英  之

  9番  石  川  直  行       10番  内  川  和  久

 11番  ひぐち   和  正       12番  いでい   良  輔

 13番  白  井  ひでふみ       14番  平  山  英  明

 15番  南     かつひこ       16番  森     たかゆき

 17番  いながき  じゅん子       18番  林     まさみ

 20番  浦  野  さとみ        21番  伊  東  しんじ

 22番  佐  野  れいじ        23番  北  原  ともあき

 24番  吉  原     宏       25番  小  林  秀  明

 26番  久  保  り  か       27番  酒  井  たくや

 28番  奥  田  けんじ        29番  近  藤  さえ子

 30番  金  子     洋       31番  長  沢  和  彦

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  市  川  みのる

 36番  篠     国  昭       37番  やながわ  妙  子

 38番  佐  伯  利  昭       39番  むとう   有  子

 40番  か  せ  次  郎       41番  来  住  和  行

 42番  岩  永  しほ子

.欠席議員(1名)

 19番  せきと      進

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  金 野   晃

 副  区  長  阪 井 清 志      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  竹 内 沖 司       経 営 室 長  川 崎   亨

 都市政策推進室長 遠 藤 由紀夫      地域支えあい推進室長 長 田 久 雄

 区民サービス管理部長 登   弘 毅    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 村 木   誠

 健康福祉部長   田 中 政 之      保 健 所 長  田 原 なるみ

 環 境 部 長  尾 﨑   孝      都市基盤部長   服 部 敏 信

 政策室副参事(企画担当) 小 田 史 子  経営室副参事(経営担当) 髙 橋 信 一

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  篠 原 文 彦      事務局次長    石 濱 良 行

 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  関 村 英 希

 書     記  河 村 孝 雄      書     記  東   利司雄

 書     記  丸 尾 明 美      書     記  土 屋 佳代子

 書     記  鳥 居   誠      書     記  細 川 道 明

 書     記  岡 田 浩 二      書     記  鈴 木   均

 書     記  永 見 英 光      書     記  竹 内 賢 三

 議事日程(平成23年(2011年)6月22日午後1時開議)

日程第1 第53号議案 平成23年度中野区一般会計補正予算

日程第2 第55号議案 中野駅北口駅前広場及び東西連絡路整備工事請負契約

日程第3 第54号議案 中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例

      午後1時00分開会

○議長(大内しんご) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 これより日程に入ります。

──────────────────────────────

第53号議案 平成23年度中野区一般会計補正予算

  (委員会報告)

○議長(大内しんご) 日程第1、第53号議案、平成23年度中野区一般会計補正予算を上程いたします。

平成23年(2011年)6月20日

中野区議会議長 殿

総務委員長 佐野 れいじ

(公印省略)

議案の審査結果について

本委員会に付託された下記案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

議案番号

件    名

決定月日

53

平成23年度中野区一般会計補正予算

620

○議長(大内しんご) お諮りいたします。上程中の議案に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(大内しんご) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。

 本件については討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(大内しんご) 御異議ありませんので、これより採決いたします。

 上程中の議案は、委員会報告どおり可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(大内しんご) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

──────────────────────────────

 第55号議案 中野駅北口駅前広場及び東西連絡路整備工事請負契約

  (委員長報告)

○議長(大内しんご) 日程第2、第55号議案、中野駅北口駅前広場及び東西連絡路整備工事請負契約を上程いたします。

平成23年(2011年)6月20日

中野区議会議長 殿

総務委員長 佐野 れいじ

  (公印省略)

議案の審査結果について

本委員会に付託された下記案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

議案番号

件    名

決定月日

55

中野駅北口駅前広場及び東西連絡路整備工事請負契約

620

○議長(大内しんご) 総務委員会の審査の報告を求めます。佐野れいじ総務委員長。

     〔佐野れいじ議員登壇〕

○22番(佐野れいじ) ただいま議題に供されました第55号議案、中野駅北口駅前広場及び東西連絡路整備工事請負契約に関しまして、総務委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。

 本議案は、中野駅北口の駅前広場及び東西連絡路の整備工事を行うための契約を締結するものです。

 本議案は、6月20日の本会議において当委員会に付託され、同日、委員会を開催し、審査を行いました。審査の進め方としては、本議案を議題に供した後、理事者から補足説明を受け、その後、質疑を行いました。その主な質疑内容を御紹介いたします。

 初めに、当該整備は中野駅地区基盤整備の一環で行われるが、この整備全体にかかわる当初予算はどれぐらいなのかとの質疑があり、今年度は国庫支出金として4億1,800万円、都支出金として1億7,300万円、特別区債で6億2,800万円、このほかに1億1,592万1,000円が繰入金であり、合計で13億3,492万1,000円として予算編成されているとの答弁がありました。

 次に、この整備をもって中野駅地区整備工事の第1期が終了するのかとの質疑があり、当該整備は第1期整備の一環として行われるもので、その他の工事も含めて整備は今年度終了予定であるとの答弁がありました。

 以上が主な質疑の内容でございます。

 その後、委員会を休憩して本議案の取り扱いを協議した後、委員会を再開し、さらに質疑を求めましたが、質疑はなく、質疑を終結いたしました。

 次に、意見の開陳を求めましたが、意見はなく、意見の開陳を終結しました。

 次に、討論を求めたところ、1名の委員が本議案に反対する立場から、中野駅東西連絡路整備については多額の予算が組まれており、その予算の大半が区債によるものであることから大きな問題である。しかも、本整備はこれまでも見直すべきであると述べてきた中野駅西側開発を推し進めてしまうものである。また、3月11日の東日本大震災を受け、都市の防災のあり方などについて根本から問われている時期である。こうした中で、国や都の交付金を使うにしても、もともとは国民の税金であることから、慎重に事を進めるべきである。よって、本議案に反対するとの討論を行いました。

 さらに討論を求めたところ、討論はなく、討論を終結いたしました。

 その後、本議案について挙手により採決を行ったところ、賛成多数で可決すべきものと決した次第です。

 以上で第55号議案に関する総務委員会における審査の経過並びに結果の報告を終了いたします。

○議長(大内しんご) ただいまの報告について御質疑ありませんか。

     〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(大内しんご) 御質疑なければ、質疑を終結といたします。

 本件については討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(大内しんご) 御異議ありませんので、これより起立により採決いたします。

 上程中の議案を委員長報告どおり可決するに賛成の方は御起立願います。

       〔賛成者起立〕

○議長(大内しんご) 起立多数。よって、上程中の議案は可決するに決しました。

 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、市川みのる議員、やながわ妙子議員、長沢和彦議員、佐伯利昭議員、石川直行議員、伊東しんじ議員、小林ぜんいち議員、金子洋議員、森たかゆき議員、後藤英之議員、内川和久議員、平山英明議員、高橋ちあき議員、若林しげお議員、佐野れいじ議員、むとう有子議員、奥田けんじ議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、林まさみ議員、石坂わたる議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

中野区議会議員 市 川 みのる

 1 行政報告について

 2 その他

○議長(大内しんご) 最初に、市川みのる議員。

〔市川みのる議員登壇〕

○35番(市川みのる) 平成23年第2回定例会に当たりまして、自由民主党議員団を代表して一般質問をさせていただきます。

 まず、一般質問に先立ちまして、この場をおかりいたしまして、今回の東日本大震災により亡くなられた皆様方に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 それでは、通告をさせていただきました項目に従いまして質問をさせていただきます。

 初めは、行政報告についてであります。

 お伺いする内容につきましては、最初に、被災地・被災者への区の支援について、2番目に、震災により明らかになった課題と今後の対応について、3番目に、懸念される夏の電力不足への対策について、4番目に、震災を踏まえた区の緊急対策について、5番目に、原発事故に伴う放射線問題について、6番目に、厳しい区財政下における強固で機動的な区政運営について、そして7番目に、今回の震災に立ち向かう区長の決意とその信念についてであります。

 その他といたしましては、新たな教育基本法のもと初めて採択される中学校教科書について、それから、新たに始まる3ポイント制度についてとポイントカードについて、それから、不正転入事件について、そして、私の母校であります中央中学校の体育館についての4点につきましてお伺いしたいと存じます。

 あの日からはや3カ月が経過しました。平成23年3月11日の14時46分、東日本全体を揺らしたのは、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0という未曾有の巨大地震でありました。宮城県栗原市では震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県でも震度6強など、東日本全体で強い揺れを観測しました。さらに、その直後に発生した巨大な津波は東北地方の太平洋沿岸を襲い、沿岸に広がる町々を洗い流しました。東日本大震災と名づけられたこの災害は、被災地に大きなつめ跡を残し、その悲しみと苦しみは今も続いております。

 温かい家庭のあった住居、子どもが通っていた学校、同僚が働いていた会社、津波はこうした平穏な日常生活のすべてを洗い流してしまいました。瓦れきの中で、沿岸の海で、いつ果てるともしれぬ捜索が続く中、かけがえのない命を奪われた方々は、御家族の深い悲しみとともに、今もって日々これがふえ続けているのが現状であります。住みなれた我が家や職場など大切な生活の拠点を失い、あすの生活の見通しも立たず、困窮している方は数え切れません。

 また、続いて発生した福島第一原子力発電所の事故は、終息する見通しが全くつかぬまま、今でも数多くの住民の皆さんが自宅から遠く離れた場所で避難生活を強いられています。その結果、多くの方が仕事や職場を失い、地域社会とのきずなも断ち切られたまま、途方に暮れています。

 以上申し上げたことは、我が自由民主党議員団が先日現地を訪問し、ボランティア活動、視察をする中で、まさに実感をしてきたところであります。今後、日本の国民が一丸となって、被災された皆様への十分な支援と被災地の一日も早い復旧・復興に全力を注ぎ、この大きな試練をともに手を携えて乗り越えていきたいと存じます。

 では、最初に、被災地・被災者への区の支援について伺います。

 中野区は震災直後に、姉妹都市として提携しております福島県田村市への救援物資の輸送、その後は宮城県の岩沼市、亘理町、東松島市への人的派遣を中心に被災地への支援活動を行ってきたところであります。今回の震災について中野区がとった迅速な支援活動は、支援先の各自治体に大変な感謝をされ、立派な成果を上げているものと高く評価をしております。今回の支援は、国や東京都などがつくろうとしていた支援の枠組みにとらわれることなく、区長みずからが被災地に乗り込んで、支援先となる自治体を見定めて支援を実行されたものであります。

 こうした支援は他の自治体へも広まっており、現実的な支援方法として高く評価できると考えております。しかしながら、区長が行政報告で述べられているように、自治体独自の支援活動に国からの財政面での支援や積極的な関与が何もない現状に強い不満と危惧の念を覚えます。国の画一的な基準のみでは、実際の支援活動は機能しません。被災地のさまざまな要望に迅速かつ柔軟に対応できる支援活動を今後も持続していくためには、こうした現状を一日も早く改める必要があります。また、将来、首都圏や国内いずれかの地域で今回のような大規模な震災の発生を想定した場合、こうした支援の現状を抜本的に改善することはまさに急務であります。

 本来は国が的確にリーダーシップを発揮し、国や地方が一体となって迅速に機能する支援態勢を構築すべきと考えます。しかしながら、現実は、自治体の発意による独自の支援については、バックアップするどころか国は知らぬふりを決め込んで、せっかくの自治体の熱意と努力に水を差しているのが現状であります。こうした自治体の支援について、財源面での十分な措置を講じ、必要に応じて的確な助言を行うことで、自治体の支援にかける熱意を物心両面で支えていくのがまさに国の責務ではないでしょうか。この点につきましては、区長の御見解を伺いたいと存じます。

 第2に、震災により明らかになった課題と今後の対応について伺いたいと思います。

 今回、まさに未曾有の規模となった東日本大震災は、津波被害や福島原発の事故だけでなく、関東各地の住宅地でも発生した地盤の液状化、高層ビルを襲う長周期震動など、改めて巨大地震の及ぼす影響や被害の大きさをまざまざと見せつけました。こうした影響と被害が拡大した原因は、地震そのものの規模によることは当然でありますが、現在の施設や住宅などの建築物の安全性など、災害の想定範囲そのもの自体が、過去の関東大震災、阪神・淡路大震災などこれまで経験した内容に沿ったものであったからであります。

 今回の震災が経験した範囲でしか災害の規模を想定しない、人間の身勝手な判断に気づかせてくれたことを真剣に反省するとともに、いつ発生するか全く予測できない今後の震災対応のために、改めて中野区における震災対策の見直しを急ぐべきことは言うまでもありません。今後の災害を想定した区の対策については、中野区地域防災計画をはじめとする各種の計画において、震災の想定規模や準備すべき対策について抜本的な見直しが迫られることになったものと存じます。

 そこで伺います。どのような方針をもって、地域防災計画をはじめとする各種の計画の見直しを行うのか。区民の安全な暮らしを守り抜く決意とともに、その見解を伺いたいと思います。

 第3に、懸念されております夏の電力不足対策について伺います。

 福島第一原子力発電所の事故は発生から、はや3カ月が過ぎました。生々しい建物の残骸をさらした水素爆発事故、さらには炉心溶融を引き起こし、事故が終息する見通しも明確に示せない、そういった姿は国際社会にも大きな不安を招きました。こうした事故の様子は連日新聞やテレビで報道が繰り返されているところでありますが、この事故に伴い、今後懸念される影響の一つとして首都圏の電力不足があります。

 これから電力使用のピークを迎える夏の時期に電力不足を来さないか不安の強まる中、さきに経済産業省は、この夏の電力需要のピークを6,000万キロワットと予測し、5,380万キロワットの供給見通しに対して約600万キロワットの不足を想定しています。これにより、大口の需要家から一般家庭までをも含めて15%の需要抑制が目標として掲げられました。こうした抑制方針に基づき、中野区のような自治体が率先して節電に取り組み、区民の皆さんに模範を示すことは大切なことと存じます。

 区長は行政報告の中で、日本の中枢としての首都東京の機能を停止させることなく、今回の電力危機から守り抜くことは都民・区民の責務であり、区としても節電対策とこれを強力に推進していく、その決意を示されました。こうした決意のもと、区の施設においては、国が示した目標値を上回る25%もの使用量削減を掲げられました。しかしながら、節電対策を本当に有効なものとするには、中野区の努力もさることながら、中野区民の皆さんがその意図を広く理解した上で、中野区の対策を模範として各家庭でも実行されることが大切なことだと思うのであります。そのためには、中野区がこうした高い目標の実現に向けて具体的にどのような対策をとるのか、広く区民の皆さんに示し、真剣に取り組んでいくことを事前にしっかりした約束をした上で、その成果についても区民に丁寧に報告をすることが重要と考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

 第4に、震災を踏まえた中野区の緊急対策について伺います。

 区長は行政報告の中で、中野区施設への緊急地震速報受信機の設置や学校体育館へのヘリサインの設置、区有施設利用者の帰宅困難時対策など、発災時のさまざまな対策を掲げられました。また、被災地の復興並びに被災者への支援としては、被災自治体への派遣職員の継続・充実、被災地域の産業経済への支援、震災により経営面で損害を受けた区内事業者への支援、これについてもその意思を表明されました。こうした支援を時期を逃さず迅速かつ的確に行うことは、まさに必要なことだと考えます。

 本定例会においても補正予算案の審議が行われ、先ほど議決を見、今回の緊急対策は決然と迅速に実行すべきと考えております。国政においては、民主党政権が現下の難局を前に一致結束して立ち向かうどころか、党内の抗争に明け暮れています。今の政府には的確かつ迅速な対応は全くと言っていいほど期待しておりません。したがって、被災地への支援の場合と同様に、中野区をはじめ各自治体が率先して今回のような対策を実行に移すことが必要ではないでしょうか。

 今回の震災に当たり、私たちが復興に向かい、手当てを講じる際に、過去の事例を検証・研究することは大切なことだと考えます。関東大震災のときに、当時の後藤新平内務大臣・復興院総裁の業績を顧みますと、大正12年9月1日発災、2日組閣、その晩には「遷都はしない。欧米に負けない近代都市をつくる」といったメモを書き、「自治はよそにはない。市民の中にある」、そういった後藤新平の持論から、スピード感を持って復興事業に復興院総裁として当たったわけであります。結果、区画整理、住居の建設等、都市の機能更新をもたらす事業は、すべて後藤新平の計画どおりに進んだわけではないようでありますが、最初、大ぶろしきとも言われる計画を広げ、その後、計画が縮小されても、ある一定の結果は残りました。

 現在の中野区においても、区内の防災対策を急ぐとともに、東北地方の自治を素早くサポートし、一刻も早い復興を手助けすることだけにとどまらず、被災に関連した区内事業者に対する支援など、行うべきことは多数あります。自治の精神を発揮して、至急の支援とあわせて、将来を見据えた議論をしながら、スピーディーに対処させなければならないときだと考えます。この点においても、現政府の力量不足、指導力の欠如を痛感するとともに、地方自治体の果たす役割がますます重要と考えますが、区長の見解を伺います。

 第5に、原発事故に伴う放射線問題について伺います。

 これも先ほど申し上げましたが、福島原発の事故により生じた問題でありますが、現在も深刻かつ広範囲に不安と被害を及ぼしております。避難生活を余儀なくされている住民の皆さんだけでなく、放射線量の影響がほとんどない地域であっても、風評被害により経済的に困窮している観光業者や農業生産者の方は数え切れません。先日、福島県においては、原発被害に悩む酪農家の男性が自殺されるという大変痛ましい事件まで起きてしまいました。

 最近、他の自治体において放射線量の計測を行う例がふえていると聞きました。こうしたデータを公開することにも一定の意味はあると存じますが、今、自治体に最も求められているのは、いたずらに放射線に対する不安におびえることのないよう、放射線に対する科学的あるいは医学的に正しい理解を住民の皆さんに広めることではないでしょうか。こうした知識の広まりが風評被害を防ぎ、被災地の観光や農業を救うことになると考えます。中野区が率先して風評被害の防止と被災地の経済復興のために、地域や学校、区民に放射線被害に対する正しい認識が広まるよう積極的に働きかけてはいかがでしょうか。ぜひ区長にこの点の御見解をお伺いしたいと存じます。

 第6に、厳しい区財政下における強固で機動的な区政運営について伺います。

 区長も行政報告で述べられておりますが、今回の震災が我が国の経済に及ぼす影響には深刻なものがあります。震災により、被災地だけでなく、さまざまな産業の重要な拠点として機能していた東北地方の生産がストップしたことで、我が国全体の経済に大きな影を落としています。区の財政運営においても、震災による経済不況の影響を受け、区の税収の落ち込みは避けられません。ただし、今回の震災により生じた課題については、補正予算案を計上し、緊急対策として早急な実行が迫られております。歳入の落ち込みが明らかな状況において、必要な予算執行は果断かつ迅速に実行できるだけの財政面での体力を維持することも必要です。

 区長は行政報告の中で、区の財政体力に応じた区政経営を行うため、事務事業の効率的で効果的な執行の徹底、事業のあり方や執行体制、事業・制度内容の見直しを行うことを表明されました。その意図は適切なことと評価をいたしますが、どのようなプランとかスケジュールで実行に移すのか、具体的な内容を区民の皆さん、我々区議会にわかりやすく示していただきたいと存じます。

 かつてアメリカのケネディ大統領が演説の中で「危機」という言葉を取り上げ、「危機」には危険・リスクという意味と、機会・チャンスという二つの意味が含まれていると紹介したのは有名な話であります。今回のような大きな危機に際しても、強固な意思と決意のもと、機動的かつ柔軟に政策を実行できる区政を実現すること、これが区長の意図ではないでしょうか。まさに今回の危機がこうした強固で機動的な区政運営を実現する機会となれば、中野区は本当の意味で今回の危機を克服したと言えるのではないでしょうか。改めて区長の決意をお伺いいたします。

 この項最後になりますが、今回の震災に立ち向かう区長の決意と信念についてお伺いしたいと存じます。

 今回の震災は、1,000年に一度の災害として日本人全体が直面した重大な試練であるとともに、日本の政治の力量、直面した日本人全体のきずなの強さ、それが問われているのではないでしょうか。震災の貴重な教訓を心に刻み、どうすればよりよい未来を次の世代に託すことができるのか、国民全体でともに考え、前に向かい、歩みを進めていこうではありませんか。私たち一人ひとりがそうした自覚と責任を今後も強く持ち続けていくことが、一日も早く被災地には活気あふれる町並みを取り戻し、被災者の皆さんには幸せな笑顔と地域社会の温かいきずなを取り戻すことにつながるのだと思います。原発事故も終息しないまま、海外から日本に渡航される旅行者は急速に減少し、日本人自身の消費意欲も減退する中で、日本各地の観光業や小売業への打撃もはかり知れません。風評被害の防止は当然でありますが、私たち自身が希望を失い、生き抜いていく意欲まで失ってはならないと存じます。

 ここで区長に伺います。今後も被災者への支援、被災地との連携のためには、迅速かつ柔軟な対応により取り組んでいくべきと存じます。また、現在の危機を希望の見えない困難な状況として社会全体が暗くなるのではなく、希望に満ちた未来へ生まれ変わる機会に転じていくことが私は大切なことだと思います。以上申し上げた点につきまして、改めて区長の決意と信念を伺いたいと思います。

 その他といたしまして、最初に述べましたように、新たに制定されました教育基本法のもと初めて採択される中学校教科書についての質問をいたします。

 新しい教育基本法では、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛することが教育の目標の一つとして示されました。これら教育法規の改正に基づき、学習指導要領の改訂が行われ、教科書会社は教科書の編さんを行いました。しかしながら、ことし3月末に検定合格となった教科書を調べてみますと、新しい教育基本法、学習指導要領に沿っていない教科書が検定をクリアしていることがうかがえます。

 例を挙げれば、国土防衛や災害派遣で活躍する自衛隊を憲法違反と疑える集団との紹介をする教科書。拉致問題は国民的課題であり、許されない人権侵害、国家犯罪であるとする政府の方針どおりに記さず、拉致問題を北朝鮮との関係好転を阻害している問題であるかのような記述をする教科書。竹島や尖閣諸島を教えず、外務省の公式見解と異なる領土見解を唱える教科書。国旗・国歌の意義と相互にこれを尊重することが国際的儀礼であることを理解させることを求める学習指導要領に反し、これらを数行でごまかし、きちんと教えていない教科書。日本人の勤勉の象徴であり、かつ報徳思想を唱えた二宮尊徳や勝海舟や高杉晋作、上杉鷹山、こういった歴史上の重要人物を重要人物として取り上げず、教えようとしない教科書。南京事件など歴史上明確に疑われる事案について、片方の説のみ取り上げ、それを用い、日本側を一方的に極悪非道に扱う教科書。

 こうした教科書が新教育基本法、学習指導要領のもとの教科書検定に合格しているのであります。まことにこれは憂うべきことであります。これら自虐史観に貫かれ、自国の歴史、伝統、文化をないがしろにする教科書によって教育を受ける子どもが、果たしてみずからをとうとび、他を愛し、先祖から子孫へと連綿と続く国を守り、地域を愛する国民に育ち得るか、甚だ疑問であります。

 このたびの未曾有の災害の被災者支援、復興において、家族、地域、日本人のきずな、これが改めて再認識をされています。こういったきずなは一朝一夕に成るものではなく、教育において不断に培われることが重要と考えます。そうした意味で、既に行き過ぎた個の偏重により、失われた社会への帰属意識、連帯・協力などの美俗・美風の喪失が指摘される現代日本の再生を意図して行われた今回の教育基本法の改正の意義を重視すべきであります。

 そこで伺います。新教育基本法に貫かれた精神と、先ほど例として挙げさせていただいた数点の教科書の存在について、区長並びに教育長の御所見を伺いたいと思います。

 その他の2点目、ポイント制度及びポイントカードについてお尋ねをいたします。

 中野区では今年度からエコポイント、地域支えあいポイント、お買い物ポイントの三つのポイント制度を、相互協力の機運を高め、地域の活性化を図る一つの手法として実施していくこととなっております。特にこの夏の電力需要を見据え、節電対策の一つとして、エコポイントは7月から先行実施すると「緊急対策中野2011」にも記載されております。

 エコポイントは、電気の使用量の削減についてはウェブ上での管理を主としますが、環境関連のイベントへの参加者には紙のシールを配り、これを台紙に貼ると、こういった方法をとるとも聞いています。地域支えあいポイントとかお買い物ポイントも、当面は紙のシール、紙媒体で始めて、将来的に電子媒体へ移行するということも考え、ポイント制度をスタートさせていくということでありますが、私の知る限り、地方自治体、住民、近隣の商店、大学、NPO法人、ボランティア団体等が一体となった持続可能なネットワークシステムも一部見られます。

 あるシステムを紹介いたしますが、有効期限が切れたポイントを全額有効活用して、地域の活性化に取り組んでいる例があります。統計によりますと、企業が発行したポイントの約3割から4割近くが失効するのだそうであります。失効したポイントは、通常ポイントを管理している会社の利益に計上されますが、その失効したポイントの原資を自社の利益に計上するのではなくて、さまざまな社会貢献団体、地域、地方自治体へ寄附しているといった例であります。平成16年にこの事業をスタートして以来、その額は累計で4,000万円に上っているのだそうであります。その特徴や社会貢献が大きな評価を受け、メディア、これは「ガイアの夜明け」という番組でもありますが、それでも取り上げられています。

 また、このポイントシステムでは、たまったポイントが航空券や旅行券と交換できるほか、約1万2,000品目のカタログ商品との交換も可能で、さらに、失効したポイントを社会貢献団体や地方自治体に寄附できるので喪失感がないなど、利用者側のメリットがあります。また、導入する事業者にとっては、利用データの分析結果をオンラインで活用することができるほか、何より導入のコストが安いというメリットがあるのであります。

 さらに、現在、地方自治体、大企業、中小企業、個人商店、大学、NPO法人、ボランティア団体等と連携して、約400種類のカードを発行していると聞いています。全国共通のポイントカードシステムを提供し、失効ポイントを寄附することにより、持続可能な社会づくりに取り組んでいるわけであります。

 そこでお尋ねをいたします。中野区におけるポイント制度に、さきに例としてお示ししたような大変すぐれたポイントカードシステムを取り入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか、区長の見解を伺います。

 その他の項の3点目として、区長が行政の中でも触れられた不正転入事件について質問をいたします。

 4月25日に区議会議員選挙の開票が行われ、中野区議会の第21期を構成する顔ぶれが決まった翌々日に、不正転入に基づく不正投票が行われたという衝撃的な報道がされました。区長の言われるとおり、事件の全容とか経過などについては明らかにされていませんが、記事が掲載された翌日には日本共産党中野地区委員会の見解が示されています。その内容は新聞報道を前提としたものであって、さらには現職区議会議員の関与を思わせる記述もありました。その内容については疑問を感じる点も多々あるものの、中野区議会史上に残る不名誉な事件の発生に、我々はただただ驚愕するばかりでありました。

 当該議員からは道義的責任を理由に辞職願が出されましたが、さきの臨時会において辞職は許可されませんでした。我が会派も事実関係が不明な段階で判断すべきでないと考え、賛成はいたしませんでした。捜査機関へ情報提供を求めることは難しいと思いますので、関係者から改めて明快な説明がなされるべきであると考えていたところ、何らの説明もないままに再び当該議員からこの定例会が始まる直前に辞職願の提出がありました。あまりのその無責任さに対する憤りの声が広まる中、本事件に関し、当該議員が刑事上の責任を問われているという話が関係者から伝わってきました。道義的責任などと言って片づけられる問題ではないことがようやく明らかになってきました。事件が報じられてから今日に至るまでの当該議員自身及び所属政党の無責任きわまりない言動に対し、厳しい批判の声が寄せられるでありましょう。

 区長は中野区で不正転入事件が起きたことに対し、議会、そして、区民の皆様に向けて謝罪の言葉を述べられていますが、現職議員の関与がほぼ確実視される状況になったことも踏まえて、本事件に対する区長の所見を改めてお聞きいたします。

 また、今後に向けて再発防止策を検討されるとのことでありますが、具体的にどのような手だてをお考えなのか、お答えください。

 その他の項の4点目として、私の母校、中央中学校体育館の安全性について伺っておきます。

 中央中学校は、今年度をもちましてその輝かしい歴史に幕をおろします。その最終年度に当たり1点気がかりなことがありますので、この際触れさせていただきたいと思います。

 来年の4月に中野区立第九中学校と統合されることになっている中央中学校の体育館、これは耐震強度がDランクと危険性が大変高い施設であります。わずか1年の使用ではありましょうが、心配であります。今回の東日本大震災を受け、生命、財産、生徒の生命、安全、こういったものを確保するために、短期間ではあっても、わずか1年ではあっても中央中学校の体育館の使用を取りやめ、代替の対策を至急講じるべきと考えますが、この点につきましてはいかが思いますでしょうか、伺いたいと存じます。

 以上、大変長くなりましたが、自由民主党議員団を代表しての質問とさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

     

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 市川議員の御質問にお答えをいたします。

 被災地・被災者への区の支援についてという御質問がありました。

 自治体の独自の支援活動に対して、国から何ら支援や積極的な関与がないということであります。この非常時に自治体が幅広い国民連帯の先頭に立って行っている支援を、これを受けとめ、さらに、後から支援をするということが私は国の責務だと考えているわけであります。

 全町避難を強いられているある自治体の長と電話でお話をしたときも、国はいろいろ要求するばかりで、何の手助けもしてくれない。中野区はこの自治体に対しても職員派遣を行っているところでありますけれども、さまざまな形で多くの自治体に力強く支えていただいているといったことを話しておられました。そうした自治体同士の幅広い支援、つながりというものが、今、この復興支援の中で大きな役割を果たしていると、このように考えております。国としてもそうした自治体の動きを一刻も早くきちんと位置付けて支援をするような枠組みをつくるべきである、こう考えているところであります。

 各種計画の見直しが迫られているのではないか、このような御質問もありました。

 今回の東日本大震災は、御質問にもあったとおり、これまでの想定を超える被害をもたらしたのであります。この大震災の教訓を踏まえることが、今後、さまざまな関係する計画、方針の見直しに当たっての前提となると考えております。

 今回の災害対応で顕在化した問題点や職員の被災地派遣などを通じて把握することができた情報や、被災者対応で確認できた課題などを検証した上で、今回の災害対策に関する知見を取り入れながら、各種計画等の見直しを行っていかなければならない、こう考えております。特に地域防災計画については、その前提となる被害想定、これの見直しが国のほうでも行われるのではないかということが予想されるところであります。しかしながら、この国・都の防災計画の見直しというものにはかなりの日数がかかるだろう、こういうふうに予想されるところであります。

 中野区は現在、ことしの3月まで作業しておりました第38次地域防災計画というものの改定を行おうと、完了させようと思っているところでありますが、この38次を踏まえ、さらに今回の大震災の教訓を加えた、しかし、39次の改定は国・都の改定を待っているとかなり時間がかかるということから、いわば38.5次とも言うべき中間的な考え方について、中野区としての防災計画についての改定の方針、そういったものを検討してまいりたい、そうした計画を早目につくっていきたい、こう考えているところであります。

 それから、節電対策の周知についてということであります。

 この夏の節電対策については、区が率先して取り組みながら、区民、事業者にも積極的に働きかけを行ってまいります。御質問の中でも例示をしていただいたエコポイントについても動かし始めてまいります。こうした区の節電の取り組みの周知と区民、事業者の皆さんへの働きかけは、7月5日号の区報をはじめ、区のホームページやJCNなどを通じて積極的に行ってまいります。また、7月以降ですが、電力供給が限界に近づいた場合など緊急の場合には、固定系防災行政無線スピーカーや庁有車など臨時の広報も行うこととしているところであります。区の節電対策の結果等につきましても、時期を逸することなく区民の皆様に御報告をしたい、こう考えております。

 国政の現在の状況等を踏まえて、中野区の緊急対策のような自治体の役割が一層重要になるという御趣旨の御質問もありました。

 被災者へのきめ細かな直接的支援というものは、基礎自治体こそがなし得るものであります。また、各自治体による独自の支援が現在、被災地の復旧・復興になくてはならない、そうした成果も上げております。こうしたことによって、基礎自治体の役割の重要性について、国民の間に広く再認識される結果となったと考えております。今後の被災地復旧・復興においては、より一層自治体の役割が重要になるものと認識をしており、また、この震災対応を契機として、地方分権が推進されていくよう、区としても積極的な働きかけを行ってまいりたいと、こう考えております。

 それから、放射線に関する正しい知識の普及が必要である、この御質問がありました。

 区は今回策定した「緊急対策中野2011」で、放射線に関する知識の普及のための小冊子の配布等を通じ、正しい理解による風評被害等の抑制を図っていくこととしているところであります。また、風評被害を防止するための被災地からの物産の販売等々といった事業にも乗り出していく考えでもあります。こうした事業のほか、区のホームページ、区報等によりまして、放射線に関する知識でありますとか、都の測定結果、また、区が独自に行います試測結果の分析と公表など、放射線にかかわる情報について、随時わかりやすい形で情報を提供していきたいと考えているところであります。

 それから、事務事業見直しの具体的な内容とスケジュールについてという御質問もありました。

 今年度の新しい目標体系のもとで再編成された組織、執行体制における事業について、目標達成の取り組みである事務事業の有用性の確認、また、その事業を行う事業の執行体制の妥当性、また、施策や事務事業を統合して、その統合による効率性の確保など、そうしたことを検討していきたい、こう考えております。また、所得制限や自己負担など、受益者負担のあり方についても見直しを図っていく考えであります。10月ころまでに検討、見直しの案を取りまとめ、12月までにはこの案を取って成案とし、平成24年度予算に反映をさせていきたい、こう考えております。

 現在のこの危機こそがチャンスととらえていくべきではないかと、こういう御質問もありました。

 中野区の持続可能な未来をつくるための施策展開を着実に進展させていく、このことと同時に、今回の震災対応を進めていく、このことが重要だと考えております。大震災の発生により、区財政はさらに厳しくなることが見込まれていますが、こうした時期であるからこそ、区の財政体力に応じた区政運営を行うため、事務事業の見直しを着実に実施して、目標と成果による区政運営を強固で機動的なものとし、業務運営の効率化を図ると同時に、必要なサービスを維持できるよう、強力な足腰を持った区政を実現するよう努力をしてまいりたいと、こう思っております。

 震災復興に向けた決意と信念についてという御質問もありました。

 被災地や被災者の支援に当たっては、今後もきめ細かで柔軟な対応が必要であると考えております。今回お示しをさせていただいた緊急対策に基づいて、継続的な取り組みを行ってまいります。そして、目の前の危機を収束し、被害から立ち直っていく、そうした中から新しい国の形を構築し、新しい日本の未来をつくり出していくことが私たち一人ひとりに問われており、また、それが可能であると考えているところであります。

 教科書問題についての見解をという御質問がありました。例示をされた内容などのお話もお聞きをしたところであります。

 戦後教育と言われる我々も受けてきた教育の中で、日本の歴史のよい面やあるいは国というものについて、必ずしも十分な教えられ方ではなかったような実感を私も覚えているところであります。日本の歴史を正しく子どもたちに伝えていくことは、私たち大人の極めて重要な責務である、こう考えております。そのような意味から、教科書選定に当たっては十分に配慮をし、適切な選択をしていただきたいと考えているところであります。

 ポイント制度、ポイントカードについてであります。

 ポイント制度の設計、カードの電子化、カードはやはり電子化をしていくということが適切であろう、こう考えているところですが、こうしたことについて、さまざまな他の先進事例等を踏まえ、区民、事業者、区にとって参加しやすく、かつ使いやすいものとなるよう、さまざまなメリット・デメリットなどを検討してまいりたいと、こう考えております。

 それから、不正転入事件についての見解を改めてという御質問でありました。

 これまで新聞報道や発表された文書等から、現職議員の住所に当該議員と意を通じて虚偽転入が行われたこと、また、届けられた投票所の入場整理券が手渡されて不正投票が行われたこと、すなわち同議員側から手渡されて選挙違反に利用された、このことは疑う余地のないところであります。これらのことから、当該議員が刑事上の責任を問われる立場にあると聞いております。区民の代表を選ぶ選挙においてこのような不正な行為が行われたということで、中野区の自治の営みが大きく傷つけられたことに強い憤りを感じております。本事件に現職議員がかかわっていたということであれば──そうだということですけれども、もっと早い時期に区民、議会に対して御本人から事実を明らかにする説明があってしかるべきだったのではないかとも考えております。事ここに至っては、道義的責任といった言葉では到底済まされない重大な問題であると私も考えているところであります。

 こうした不正転入が実際に起きてしまったわけでありまして、こうした不正な転入を防止するために、住民基本台帳の居住の実態調査の強化を図るとともに、転入届の窓口での受け付けのあり方などを検討しながら、住民登録の正確性の確保に努めてまいりたいと考えております。

 それから、中央中学校体育館の安全性の問題についての御質問がありました。

 この東日本大震災のマグニチュード9、震度7という事態を踏まえ、中央中学校の体育館については、生徒の生命・安全確保の観点から、現在、体育の授業や部活動、全校行事等、代替施設での使用の可能性等について検討をしているところであります。早急に結論を出してまいりたい、こう考えております。

     

教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 教科書採択に関する御質問にお答えをいたします。

 さまざまな教科書がある中で、採択の対象となるすべての教科書について十分な調査及び研究を行い、我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせ、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深めることができる教科書を選定できるよう、採択に取り組んでまいりたいと考えております。

     〔市川みのる議員登壇〕

○35番(市川みのる) 再質問をさせていただきます。

 今、不正転入事件の問題で区長のほうから御答弁をいただきました。その中に、今、ちょっとメモをしておいたので、確かかどうかわからないんですが、区民の代表を選ぶ選挙において不正な行為が現職の議員に絡んでいた、こういったことに区の自治の営みが大きく傷つけられたことに強い憤り、これを感じていらっしゃる、こういうこととか、また、現職の議員の行為についても、道義的責任といった言葉では到底済まされないという答弁がありました。

 これは私ども自由民主党議員団が先般の5月24日の臨時議会で、今、区長が述べられたような考えを持ちつつ、会派として、選挙で選ばれた議員の身分と責任は大変に重たいものがあるんだと、それから、選挙民に託された期待と責務というものには大変重たいものがあるんだと、そういった認識から、一定の司法の判断、これが示されるまでは、軽々にこの辞職は認めるべきではないんだという姿勢を私ども自由民主党議員団は今日まで堅持してきたわけであります。しかしながら、議会の中では、先ほども私、質問しましたが、現在の状況もわからない、司法の判断もまだ出ない、もう第2回定例会を迎えるこの6月には出るものかと思っていたところがまだ出ない。そして、これ以上この問題に時間を費やす、この不明な中、これが適切なことなのかどうかといった会派の中での議論も出てまいりました。

 会派としても、私たちもやはり重たく考えているのは、この中野区議会という約80年にわたる歴史を有する議決機関、この歴史の中でも、こういうまれな不祥事というのがやはり許されることじゃないし、また、議会としてもそれに対しての自浄作用、自浄機能というものもこの際は行使して、それで辞職の議決ということがあるべき姿かなと思うんだけど、今のままいくと、うやむやのうちに幕が引かれてしまうというのか、そういったことに強い懸念を覚えるわけであります。

 こうしたことから、議会としては今後とも、この事件の経過については、まだまだ検察当局の判断というものがきちっと出ない現在においては、しばらくの間、当分の間は、経過などについて、関係する会派とか、それから、関係者から十分な説明を求めるとともに、議会と執行機関がより連携を深めて、先ほど区長が答弁されたような区側の責任というのもあるわけですね。やはり事務執行のあり方や今後の区が行う経緯の把握とか、再発防止策の確立を今しっかりと推進していくことが大切だと私は思います。もう一度そういった観点から区長のお考えを再質問として伺いたくて、登壇させていただきました。よろしくお願いをいたします。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。

 今回のこの事件の重大さというものを考えますと、議員本人が辞職をされたいといった御意向であると、このことも無理からぬものと思うところではあります。そのことについてはしかるべき議会側の判断が示されるものだろう、このようには思っておりますが、必ずしも辞職によって問題が消え去るわけではないのであります。区の事務をめぐって違法行為が行われたにもかかわらず、まだ私どもには事実関係すら明らかになっていない、こういう現状であります。議会とも連携をとりながら、当事者及び関係者等に明確な説明を求めるとともに、再発防止に向けた取り組みに努めてまいりたい、こう考えております。

     〔市川みのる議員登壇〕

○35番(市川みのる) もう1点、じゃあ、ちょっと再質問させていただきます。区長ね、区の責任って何でしょうかね。我々は議会ですから、これから議会というこの機関の中にあって、議会人として、こういった問題が二度と起こらないように我々も経過を見守り、関係者からも意見を聴取し、そして、我々も自浄作用を果たしていかなければいけません。そういったことも痛感しております。

 さて、それでは、もう一度尋ねますが、簡略に、的確にあらわすならば、区の責任は何でありましょうか。よろしくお願いいたします。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 区の責任と、こういう御質問でありました。この案件は、法に違反をした刑法上の犯罪でありますから、直接的な責任がその事件を起こした人たち、その者たちにあるということは言うをまたないことである、こう考えております。しかしながら、公的な記録の大もとになる住民記録というこの制度がそうした犯罪にさらされることを、区として結果として守り通すことができていなかったこと、そうした事務を行ったということについては区としての責任があるだろうと、こう考えております。今後は、こうしたことが起きた経過というようなものも十分に把握をしながら、二度とこうしたことが起きないような対策を区としてどのように構築していくか、このことが大変重要になると、こう考えているところであります。

○議長(大内しんご) 以上で市川みのる議員の質問は終わります。

中野区議会議員 やながわ 妙 子

 1 震災対策及び中野区における防災対策について

 2 区長の行政報告について

 3 特別支援教育について

 4 その他

○議長(大内しんご) 次に、やながわ妙子議員。

     〔やながわ妙子議員登壇〕

○37番(やながわ妙子) 平成23年第2回定例会に当たり、公明党の立場から一般質問をさせていただきます。

 質問項目は、項目順に1、震災対策及び中野区における防災対策について、2、区長の行政報告について、3、特別支援教育について、4、その他、国際交流について、ひとり親家庭における在宅就労支援策についてを伺います。

 初めに、本年3月11日に発生した東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、その御家族の方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復興をお祈り申し上げ、私たちも全力で復旧・復興支援に力を注いでまいります。

 初めに、震災対策及び中野区における防災対策について伺います。

 未曾有の大震災から3カ月以上が過ぎました。被災地の復旧・復興への取り組みが長期化する中で、国民の意識の中から薄れていくことが心配です。余震もひところほどではなくなり、被災地の情報も断片的になりつつある中で、記憶を風化させないことも自治体として大事なことだと思います。中野区として被災地の支援は施策の大事な柱と位置付け、区民とともに継続して取り組んでいくことが重要です。

 今回の東日本大震災で、市内の約85%が液状化の被害を受けた千葉県の浦安市では、液状化の影響で地上に1メートル以上飛び出した耐震貯水槽のマンホールを災害モニュメントとして保存することとしました。市長は、日々震災の記憶は風化していく、被害の象徴として残したいと言っています。風化させない、そして、復興を見届けるまで支援を継続することが国民としての使命ではと思っております。

 5月26日、私は公明党の区議団の同僚とともに被災地の宮城を訪れ、さまざまな要望を聞いてまいりました。訪問した中の一つに、「まどか荒浜」という知的障害者の授産所に店舗と併設した施設がありました。仙台市若林区荒浜にありましたが、津波でなくなり、現在は違う場所で活動を再開しています。訪問のきっかけは、中野区内のある介護施設の通所者とスタッフが被災地を元気づけたいと、大きなこいのぼりの張り絵の作品をつくりました。完成させたもののどこに届けたらいいのかと相談を受けた南議員が、仙台市の公明党市議と連携をとり、こいのぼりの完成品を障害者施設に届けたことがきっかけです。

 まどか荒浜は、プロの指導で和菓子や和紙、手打ちそばをつくっていましたが、今回の津波の被害ですべてを失い、現在、繭玉で「福幸だるま」という小さな工芸品をつくっていました。これが福幸だるま、障害者の方々がつくっている作品です。現物は繭玉ですから小さいんですが、こういう作品をつくっているところに行ってまいりました。現地は被災しているので、販路の開拓に大変苦労しております。東京でぜひとも販路の応援をしてほしいという要請がありました。被災地を応援する取り組みの一つとして、被災地の障害者がつくった作品を区役所の福祉売店など区内で販路拡大につながる応援をしてはいかがでしょうか、伺います。

 また、被災地と中野区や区民がかかわりを持ったさまざまな団体等で被災地・被災者支援をすることに対し、スピード感を持って区は対応すべきです。例えば被災地の直産物の特売会や郷土伝統行事の交流イベントの開催など、また、身近な例では、区内の小学校のPTAの保護者が夏祭りに被災地の子どもたちを招待したいという声も上がっています。中野区は被災地の特産物の直売会を検討していますが、単発的な取り組みだけではなく、継続的な支援が必要です。柔軟な対応がとれる仕組みをつくるべきと考えますが、御見解を伺います。

 次に、被災者支援システムの導入について伺います。

 今回の震災で、避難所などで厳しい生活を強いられている被災者の支援を進めるには、被災者の情報把握と各種行政サービスの迅速な提供は欠かせません。阪神・淡路大震災の被災地である兵庫県西宮市は、被災者の被害状況や避難先などの基本情報を一元化した被災者支援システムを開発しました。罹災証明書の迅速な発行や緊急物資の管理、倒壊家屋の管理など、災害時に必要な行政事務に力を発揮しております。国は今回の震災で、各都道府県に避難している避難者情報を把握し、被災自治体に情報提供する全国避難者情報システムへの協力要請をしていますが、行政サービスに結びつけるには、西宮市のようなシステムとの組み合わせが必要です。

 人口密度も極めて高い中野区において、被災者支援システムは欠かせません。例えば今回、住居表示台帳を電子化して、内容の正確性も大幅に向上したと聞いていますが、このようなシステムをはじめ、個人情報の保護に十分配慮した上で、各種情報資産の活用をするなどして、平常時に被災者支援システムの導入のための準備が必要と考えますが、いかがでしょうか、御見解を伺います。

 次に、災害ボランティア活動支援について伺います。

 区民とともに被災者・被災地支援を進めていく上で、区民ボランティアの力は重要です。区はいち早くボランティアチームを職員とともに派遣しました。ゴールデンウイークなどにも多くのボランティアが現地に行きました。復旧・復興にはいまだ多くの時間を要するとともに、これからも多くの人々の力が必要不可欠です。ボランティアに参加される方々の負担の軽減策や支援策を講ずることは、被災地や被災者の方々のための大きな力になると思います。ボランティアに行きたいという区民や区民のボランティア活動を促すため、参加に当たっての負担軽減の策を考えてはいかがでしょうか。そのため、中野社会福祉協議会に対して、区として人件費など必要な助成を行ってはいかがでしょうか、御見解を伺います。

 我が会派の白井議員は、日本防災士会から派遣隊のボランティアとして、被災地である宮城県山元町に行きました。がれきの撤去作業をする中で、これからの時節柄、感染症のことが大変心配になったそうです。ボランティア活動中の事故やけがに備えて、ボランティア保険の加入が推奨されています。この保険内容は6プランあります。感染症の拡大が懸念される中、感染症に対応するプランは保険料がアップします。現在、ボランティアに参加する区民は自分で加入しますが、区民が被災地支援のためボランティア活動に参加される際の支援として、感染症対応を含めた保険料の助成を行うべきと考えますが、御見解を伺います。

 冒頭で述べた福祉施設まどか荒浜の施設長さんのお話の中で、大変感銘したところがあります。「東北にボランティアとして入られた方はものすごい数です。そして、その中には、今どきの若者はという批判を覆して、健康で健在だなと、また、ボランティア精神にあふれる方がたくさんいます。これから第2、第3の被害を受ける地域にとっても大きな救いです。支え合い、きずなづくり、そういうものの先達を務めたのがこのボランティアであります。その方々への何らかの正当な評価が政治の場として絶対に必要であると思っています」と語っておりました。

 ボランティアの方々の善意と行動が被災者の多くの方々に大きな希望となったことを改めて実感いたしました。さまざまな立場で被災地支援に行った区民のボランティアの方々の体験手記やエッセーなどを募集してホームページで紹介したり、区報でもボランティア体験記を掲載してはいかがでしょうか。一部では中野ボランティアセンター情報誌「そよかぜ」に掲載されていましたが、多くの区民の目にはとまりません。それらを小冊子にしてはいかがでしょうか。

 職員も震災直後から被災地への支援をさまざまな分野で続けています。私たちも被災地に行った折、中野区の職員が現地の職員と一緒になって、大変な状況の中で働いている姿を拝見してきました。また、貴重な体験をしていると思います。

 独立行政法人の防災科学技術研究所では、災害直後から自治体やボランティアに呼びかけ、被災地の過去・現在・未来の記録を集めて、ウエブ等で公開する計画を始めるようです。震災を風化させないためにも、未曾有の大災害にかかわった方々の記憶を記録することが今後の防災対策や防災教育に貴重な資料となります。職員記録史として、中野区政の歴史として残してはいかがかと思いますが、御見解を伺います。

 区報も絶えず震災関連情報を掲載する必要があると思います。今回、震災直後の区報を見ると、震災についての情報提供が不足していると感じるものが幾つかありました。区民から、中野区は被災地支援をどうしているのかとの問い合わせが多くありました。そのたびに私は災対本部に聞き、お伝えしたことがあります。区報は区民にとって身近な自治体の情報源です。こうした非常事態に対応した危機管理意識の伝達と情報提供は極めて大事だと思います。御見解を伺います。

 次に、節電対策について伺います。

 区施設の運用形態の工夫の一つとして、例えば高齢者施設を熱中症対策として涼む場の提供として、例えば「なかの軽井沢村」などのネーミングをして、区民に開放してはいかがでしょうか。検討されていると思いますが、区民が気軽に立ち寄れるようにすべきです。お考えをお聞かせください。

 区民の電力消費についてもアイデアや創意工夫が大事です。区民の節電意識を高める取り組みとして、家庭や地域でできる具体的な事例を募集し、簡単なリーフを作成してはいかがでしょうか。また、区報に載せるなどしてはいかがでしょうか、伺います。

 区は街路灯の消費電力の削減について、商店街街路灯の経費の補助やLED化の支援、また、区管理街路灯のLED化を平成25年度末までに100%達成するとしています。私はあわせて、一般家庭におけるLED化への支援や各家庭でのLED化促進の啓発も大事だと思っております。お考えをお聞かせください。

 現在、区では、節電のため、道路沿いの街路灯を部分的に消灯しており、場所によっては暗いところもあるため、交通事故、とりわけ人身事故の発生が懸念されています。特に、防犯パトロールを実施している区民団体に対しては防犯グッズ等の支援が必要です。LEDつきベストのような、暗いところでの使用に効果的な防犯グッズを配布してはいかがでしょうか。また、区内を走る青色灯防犯パトロールカーによる夜の巡回なども考えてはいかがでしょうか、御見解を伺います。

 区有施設の停電時の対応について伺います。

 区有施設で停電が発生した場合、一定の時間及び期間、施設を運営できるような設備を設置する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 電力需要のピーク時に、その状況を区民に知らせ、少しでも区民から節電の協力を得られる対応策を検討すべきです。ピークを迎える時間に、各世帯にわかりやすく協力を呼びかけたり、防災無線や区所有の車等、また、携帯メールなど、とり得る手段を駆使して情報提供に努めるべきであると考えますが、御見解を伺います。

 次に、区長の行政報告について伺います。

 区長は、区議会公明党の要望も十分反映させ、被災地の支援、中野区への避難者への支援、区内の防災対策などについて、具体的な取り組みを緊急対策として明確にしたことは評価いたします。行政報告の中で区長は、地域防災計画の見直しの着手も明言されましたが、ぜひ今回の取り組みを含めて、抜本的な見直しを進めてほしいと思います。

 しかし、区の地域防災計画は国や都の計画との整合性も考慮する必要があり、見直しには一定の時間を要するはずです。今回発表した緊急対策は当面必要な取り組みであり、この後、来年度予算も視野に入れた被災地支援や区内の震災対策を切れ目なく進めるには、その指針となるような今後の取り組み方針を年内の早い時期に策定する必要があると考えますが、区長の御見解を伺います。

 次に、自治体との協力について伺います。

 震災発災後、区長は、中野区と姉妹交流関係にある福島県田村市を支援したほか、宮城県岩沼市、亘理町、東松島市と協定を交わし、迅速に支援しました。各自治体からは大変感謝されています。国の震災対応が後手に回る中で、自治体による支援が被災地の復旧・復興に大きな役割を果たしている姿は、今後の防災対策に重要な視点を提示していると思います。中野区のように、今後、全国の自治体ですべての被災市町村に職員を派遣するなど、直接的な支援が計画的に継続されるならば、復旧・復興は大きく加速すると思います。今回の震災直後での関西広域連合の動きなどは注目されるところだと思います。

 行政報告の中で区長も指摘していますが、現在の国や都道府県を通じての支援だけでは、スピード感ある取り組みが望めない面があることは明らかです。自治体同士による広域的な相互交流が広がる中で、国の中央と一体化した縦割り行政の打破、ひもつき行政からの脱却などが進み、まさに新しい地方自治を創出する可能性が出てきていると思います。区長は今回の自治体による被災地支援の推進と新しい自治の可能性についてどう考えているのか、御見解を伺います。

 あわせて、今後、中野区としても、遠方も含めた自治体との連携や交流を進めることについての区長のお考えをお聞きいたします。

 区長は、この震災不況と区の税収減について具体的な見通しはお持ちでしょうか。また、より一層の踏み込みと述べていますが、税収減の規模によっては大きな見直しも予想されるような印象を持ちます。私は、区民サービスを後退させることがあってはならないと思います。より一層の踏み込みについての区長のお考えをお聞きいたします。

 行政報告の中で、区有施設の耐震改修計画も改定しますとあります。大変重要な視点です。公明党区議団は、まず、耐震改修は子ども関連施設を最優先に取り組むべきと主張してまいりました。区長はどのようにお考えになっているのでしょうか、お聞かせください。

 次に、特別支援教育について伺います。

 特別支援教育の推進とその充実について、私はたびたび議会や委員会でさまざまな角度から提案や質問をしてまいりました。平成19年度からスタートした特別支援教育での体制はおおむね整備されてきたと思います。しかし、学校現場での実態は年々深刻な問題を抱えているのが現状ではないでしょうか。配慮を要する児童に対する指導のあり方や保護者に対するかかわり方に悩む教師が多いと思います。区内の小・中学校で学習や集団生活に困難さや配慮を必要としている児童・生徒がふえているのではないでしょうか。現状の推移はどのようになっているのか、伺います。

 また、教育委員会はこうした状況にどのように対応しているのか、お聞かせください。

 私の近くに、発達障害のあるお子さんを抱えて大変苦労しているお母さんがいます。現在は区外の私立幼稚園に通園していますが、来年には中野区内の小学校へ進学します。中野区の小学校でどのような教育や支援が行われているのか尋ねられましたが、十分なアドバイスができませんでした。ここ数年、地域の中で発達障害を持つ親御さんからの御相談が多くなっていることを実感しています。

 先日、会派の同僚議員とともに特別支援教育を先進的に実践している日野市に行ってまいりました。特に、日野市全教職員、小・中学校合わせて25校650人の指導の工夫と実践事例を1冊の本「ひのスタンダード」としてまとめました。その中心的な役割を果たされた日野市立第三小学校校長の京極澄子先生にお話を伺ってまいりました。

 日野市では、特別支援教育が19年にスタートする前年に市の重点施策として位置付け、特別支援教育推進計画を策定、計画に沿ってシステムを構築。教育委員会の中では特別支援教育推進チームをつくり、学校の悩みを行政と専門家が支え、ハード面とソフト面の両面にわたって充実に取り組み、各教員が通常の授業の中で実践できる手引き書をつくり上げてまいりました。経験年数の少ない教員がふえている学校現場において、だれもが自信を持って子どもたちと向き合える、極めてすぐれた内容になっています。

 中野区は今後、特別支援学級の増設や特別支援教室(リソースルーム)の設置や巡回相談の強化を図るとしています。しかし、その両面を最大に活用できるシステムの構築とマニュアルが必要です。中野区も通常学級でできる特別支援教育の具体的実践方法の仕組みを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 今回の新学習指導要領改訂では、教育内容の増加、授業日数増などが盛り込まれています。こうした環境の中で、特別支援教育の充実こそ学校教育全体の充実につながると思います。教育委員会の御見解を伺います。

 その他の項として、初めに、国際交流についてお尋ねします。

 平成23年度の当初予算では、昭和61年に友好関係を結んでから25年を迎えた北京市西城区との25周年記念事業が予定されておりました。また、昨年度姉妹都市関係を締結したソウル特別市陽川区との交流では、今年度中野区から訪問団を派遣する予定でした。

 今回の東日本大震災を受け、策定された緊急対策においては、その他の緊急対応として、北京市西城区及びソウル特別市陽川区への訪問団派遣の中止が示されました。25周年の記念行事として予定されていた中野区訪問団及び区民交流団の派遣の中止や、姉妹都市締結直後のソウル特別市陽川区への訪問団の派遣の中止は大変残念であると思いますが、震災後の緊急対応として区がさまざまな取り組みを行っている現状から、やむを得ない判断であると思っております。

 その一方で、北京市西城区との友好関係25周年、そして、ソウル特別市陽川区との締結直後のこの時期は、自治体間交流を一層深めていくために大切な時期であるとも考えております。緊急対策では、西城区、陽川区両区からの中野区への訪問団があった場合には受け入れ、友好交流の充実を図る旨の記述がありますが、やはり来年度以降につながる具体的な取り組みを今年度行っていくことが必要であると考えます。今年度、区としてどのような交流を行っていくのか、また、来年度以降の西城区、陽川区との交流の方向性はどのように考えているのか、区長の御見解を伺います。

 次に、ひとり親家庭における在宅就労支援策について伺います。

 さまざまな事情でひとり親となり、子育てをしている家庭が多くなっています。ひとり親家庭においては、子どもが小さい場合、特に外での就労が困難です。区は、ひとり親の自立支援として、資格取得のため通学や講座の受講について、生活費や受講料を給付する事業を行っていますが、十分活用されているとは言えないようです。

 東京都は、安心こども基金によって、ITの分野を活用したひとり親家庭などの在宅就労を支援する事業を実施しています。また、この事業は障害者、高齢者も対象になっていると聞いております。中野区でもこのような事業を積極的に活用し、自宅での就労に意欲のある方への支援を行ってはいかがでしょうか。

 震災の影響等で経済状況が悪化する中、ひとり親の方々に一日でも早い就労機会の提供のため、取り組みを強化すべきと考えますが、区の見解を伺い、私のすべての質問を終わります。御清聴大変ありがとうございました。(拍手)

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) やながわ議員の御質問にお答えをいたします。

 被災地の障害者がつくった作品を福祉売店で販売できるのではないかという御質問でありました。

 被災地では、障害者施設の支援や運営においてもさまざまな困難があると認識をしております。御指摘のあった施設の製品のほか、区が支援をしている被災地の障害者施設等でつくられた製品を、障害者福祉事業団が運営する区役所の福祉売店などで販売するといった支援について検討してまいります。

 それから、被災地や被災者に対する継続的な支援の取り組みをということであります。

 被災地の産業経済活動の活性化支援を目的として、ことし7月に区が主体となって、中野区商店街連合会などの協力を得て、被災地及び風評被害を受けている地域の食材を扱った産直フェアや出店自治体を紹介するパネル展などを中心とした支援イベントの開催を計画しているところです。これを機に、支援活動の情報共有や区と各団体との自主的な被災地支援活動、団体相互間等の協力・連携を推進して、継続的な支援につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 それから、被災者支援システムの導入についてであります。

 被災自治体の状況を見ておりますと、被災者の名前や住所、また、被災状況の把握といったようなことが被災者相談やさまざまな申請を受け付けるといったような事務の中で大変重要になってきているし、また、場合によってそれが円滑に進んでいないといったようなことも見られるわけであります。そうしたことを勘案いたしますと、中野区においても、大きな災害が発生した場合に備えて、区内の被災者の情報を一元的に管理・処理できるような、そうしたシステムをつくっていくことが大事だと、このように考えております。御提案がありました西宮市の例なども十分に調査をしながら検討を進めてまいります。

 それから、ボランティアの負担軽減についてであります。

 被災地支援や区民の防災意識の増進のためにも、今後さらにボランティアの派遣を充実する必要があると、こう考えております。派遣の調整業務を行っている社会福祉協議会に対しまして、より強力な支援体制が確保できるよう、経費等の必要な支援を行うこととしているところであります。御質問にありましたボランティア保険の取り組みにつきましては、社会福祉協議会で対応できるかどうか、こうした区の支援とあわせて調整を図っていきたい、こう考えております。

 それから、震災の記憶を記録にとどめておくべきであるといったような御質問もありました。

 ボランティアの皆さんの体験記やあるいは報告といったようなことなども、区報やさまざまな場面で紹介をしていくといった取り組みを心がけてまいります。また、区が被災地に派遣をした職員、これらの職員からは被災地の大変詳しくわかりやすい報告であったり、あるいは復興計画に対する自分なりの提案であったりといったような、記録やさまざまな発信が出されているということもございます。そうした派遣した職員の経験等を記録としてまとめて、区の防災計画の見直しにも生かしていきたいと、こう考えております。また、区民の皆様に対しても、区報やホームページ等で内容をお知らせできるようにしていきたい、こう思っております。

 それから、震災関連の情報が区報ではまだまだ十分でないのではないかと、こういう御質問もありました。

 4月5日以降、ページをめくってみますと、毎号震災の関連記事を掲載してきているところでありますが、現在行っている被災地支援や緊急対策の中で行う取り組み、こうしたことも今後さらに重要になってまいります。こうした区の考えやさまざまな事業などについて、よりきめ細かくお知らせをしていくように努めてまいります。

 それから、熱中症対策に関連しての御質問でありました。

 高齢者施設を活用した避難場所の確保は、ハイリスクな高齢者層を熱中症から守ることと同時に、一般家庭での地域的な節電効果にも貢献できる事業として企画をしているところであります。そのためには、ふだん施設を利用していない高齢者の方に気軽に来館をしていただくということが大変重要になってまいります。そうしたことから、親しみのあるネーミングであるとか、あるいはキャッチコピーの設定、こうしたことも大きな効果を持つというふうに考えるところであります。御提案をいただいた例なども参考に工夫をしてまいります。

 それから、節電のリーフレットの作成と区報の掲載等についてであります。

 節電の取り組みを進めるために、家庭版のなかのエコチャレンジを作成するとともに、東京都が作成をした節電のリーフレットなどを地域センターや図書館などの窓口での配布や町会・自治会での回覧をお願いするなど、周知を図っていく予定であります。また、5月20日号で、家庭でできる節電対策などについて特集をしたところであります。これからも区報で適宜情報提供してまいります。今後さらに、区のホームページやなかのエコポイント専用のホームページなどもありますので、区民の皆さんの取り組み事例も紹介をしてまいります。

 それから、LED化に関連いたしまして、LED化による節電につきましては、区報やさきに触れましたリーフレットでも周知を図っております。家庭でのLED化の普及につきましては、なかのエコポイントが本格的に動き出します来年度からは、商品に対するポイント交付のような形で支援をしていきたい、こう考えてもおります。

 それから、節電下の中での防犯対策についての御提案もありました。

 現在、区では、防犯パトロール団体の活動に対して、パトロール用の上着や誘導電灯をはじめとした必要な資機材の支給を行っております。御提案をいただきましたLEDつきベストにつきましては、現在、東京都が支給について検討中と聞いております。今後、正式に通知があった時点で各団体の皆さんにお知らせをしていきたい、こう考えております。

 それから、青色灯防犯パトロールカーは、現在、街路灯の部分消灯に対応いたしまして、運行時間を通常より1時間繰り下げて、午後6時までとしているところです。さらに、7月から9月の夏季は2時間繰り下げて、午後7時までに変更すると、このように考えております。

 区有施設の停電時対応設備の設置についてであります。

 今回の大震災及びその後の計画停電などを通じ、電力確保の重要性を再認識したところであります。今後の対策見直しの中で、施設の用途に合わせて、ガスタービン発電機であるとか蓄電池の導入など十分検討してまいります。

 それから、電力需要のピーク時の状況の区民への周知についてであります。

 電力需要のピーク時におきます区民への節電の呼びかけについては、ホームページや防災情報メールマガジンなどさまざま工夫して行うとともに、JCN中野にも協力を要請いたします。さらに、電力不足が逼迫するような状況、こういった状況が起きた場合には、固定系の防災行政無線のスピーカーや庁有車などによる臨時的な広報なども行うこととしてまいります。

 それから、次年度以降の被災地支援、また、区内の震災対策の方針の策定についてであります。

 緊急対策の中では、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害に強く、より安全な中野のまちを実現していくための抜本的な対策を充実していくための課題として、地域防災計画の見直し等を明らかにしているところであります。これらの検討は年度内に実施をする予定であります。特に、次年度に具体的に実施する対応につきましては、24年度予算の編成に合わせて明らかにできるよう検討を早めてまいります。

 それから、自治体間の連携・交流が新しい自治の可能性を開いているのではないか、こういった御質問であります。

 被災者へのきめ細やかな直接的支援は、基礎自治体こそがなし得るものであります。また、各自治体の独自の支援が実際に復旧・復興になくてはならない成果を上げているというところでもあります。こうしたことが基礎自治体の役割の重要性について国民の間に広く再認識される結果となったと考えております。中野区においても、今回の震災で協定を締結した岩沼市と亘理町、東松島市との連携は、今後の自治体間連携を考えていく上で非常に参考になると考えております。

 地方分権を推進していく中で、それぞれの自治体がそれぞれに自己決定、自己責任で、いいまちづくりを競争するという視点も大事でありますけれども、いざ危機に及んだときには、お互いに助け合いながら、お互いの足らざる部分を互いに補い合って、お互いに反映をしていける、そうした自治体同士の関係というものをつくっていくことも大変意味のあることだと感じているところであります。区としては、これらの3自治体のほか、従来から友好姉妹提携の関係にあります田村市との連携・協力、また、里・まち連携で連携している自治体など、距離を超えた自治体間交流の新たな可能性を今後とも追求してまいりたいと、こう思っております。

 それから、事業見直しについての御質問もありました。

 中野区の持続可能な未来をつくるための施策展開、これを行っていくということと、今回の震災対応でさまざまな取り組みを進めていくこと、いずれも重要であります。また、大震災の発生によって、区財政がさらに厳しくなることが見込まれております。そうした中でも、区の財政体力に応じた区政運営を行って、そして、区の区民サービスを着実に維持していく、必要なサービスはきちんと守っていく、こうした足腰の強い区政をつくっていくためにも、目標と成果による区政運営を強固で機動的なものとしながら、業務運営の効率化と区民サービスの維持、これらを実現していきたいと考えています。

 子ども関連施設の耐震改修についてです。

 これまでもBランク評価を受けております区立小・中学校等の子ども関連施設について、耐震改修を実施してきたところであります。今年度も谷戸小学校及び東中野幼稚園の耐震化を予算化しています。今回の大震災を踏まえて、未実施の施設であります小・中学校7校及び保育園5園についても早急に取り組めるよう、現在の耐震化計画の見直しをすることとしております。

 それから、陽川区、西城区との交流についての御質問もありました。

 今年度は震災への対応という非常時的な事態のため、こちらからの訪問につきましては中止のやむなきに至りましたけれども、今後は来年度以降の具体的な交流の内容について協議を行い、行政交流や民間交流がさらに円滑に発展していくように努めていきたいと考えております。その際ですけれども、来年度以降でありますが、復興の状況も勘案しながら、今年度交流事業を十分に行えない、こうしたことを踏まえて、来年度は着実に交流の実を上げるような事業の充実を図ってまいりたいと考えております。

 それから、ひとり親の在宅就業支援についてであります。

 ひとり親という状況から、在宅就業ということも大きな意味のあることだと考えております。現在、ひとり親への就業支援事業はまだまだ十分ではないと、こう考えております。ハローワークなどとも連携をとりながら、効果的な事業執行に努めてまいりたいと考えております。

 安心こども基金によります在宅就業支援事業については、現段階では詳細がまだ不明でありますので、明快になった時点で積極的に検討してまいります。

 私からは以上です。

     〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 特別支援教育に関連して、支援を必要とする児童・生徒数の推移と教育委員会の対応状況についての御質問がありました。

 通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童・生徒を対象に行っている巡回相談の延べ対象人数は、平成19年度は約1,400人でございましたが、平成22年度は約1,900人と増加をしております。こうしたお子さんへの対応でございますが、小・中学校へ臨床心理士や医師が巡回し、特別な教育的支援を必要とする児童・生徒の観察を行い、児童・生徒への指導・支援方法や保護者への対応の仕方などについて教員へ助言を行う巡回相談により学校を支えてございます。

 また、すべての区立小・中学校で特別支援教育コーディネーターを置くとともに、校内委員会を設置し、支援を必要とする児童・生徒の具体的な対応について検討を行う体制をとっております。さらに、特別支援教育コーディネーターのほか、全教員を対象として研修を実施し、資質の向上を図っているところでございます。

 また、通常の学級における特別支援教育のシステムの構築ということ、また、新学習指導要領のもとでの学校教育の充実に特別支援教育の充実がというふうな御質問でした。

 現在、学校では、授業の目当てを黒板にわかりやすく表示したり、掲示物を工夫したりするなど、児童一人ひとりに見通しが持てる指導に取り組んでいるところです。学校教育向上事業の指定校、第二中学校でございますが、特別支援教育の視点に立った通常教育における指導の工夫となる授業のユニバーサルデザインについての研究に取り組み、検討しているところです。

 新学習指導要領の示す児童の発達段階を考慮した調和のとれた育成は、特別支援教育の基本理念とも一致するものでございまして、教育委員会としても特別支援教育の充実、特別支援教育の視点に立った指導が学校教育の向上につながるという認識を持っております。今後も指定校の取り組みを継続し、その成果普及啓発に努め、区内各学校での指導の充実に図ってまいります。

○議長(大内しんご) 以上でやながわ妙子議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

      午後2時51分休憩

      午後3時15分開議

○議長(大内しんご) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 大震災・原発事故からの復興と中野区の震災対策及び区政運営のあり方について

  (1)東日本大震災からの復興について

  (2)原発依存からの脱却について

  (3)中野区地域防災計画の見直しについて

  (4)密集住宅市街地における災害対策について

  (5)区政運営のあり方について

  (6)その他

 2 区立小・中学校と保育園の耐震化について

 3 「地域主権改革」について

 4 介護保険制度の改定と第5期介護保険事業計画の策定について

 5 その他

○議長(大内しんご) 長沢和彦議員。

      〔長沢和彦議員登壇〕

○31番(長沢和彦) 2011年第2回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して質問をいたします。

 質問に先立ち、東日本大震災で被災をされた皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。

 また、我が会派の議員が不正転入事件にかかわったことに対し、区議会並びに区長、職員、そして、区民の皆さんにおわびを申し上げます。

 大震災・原発事故災害からの復興と中野区の震災対策及び区政運営のあり方について。

 初めに、東日本大震災からの復興について伺います。

 中野区の岩沼市や東松島市、亘理町など被災地の救援と復興支援については、高く評価し、敬意を表するものです。また、我が党議員団は独自に石巻市に行き、救援・復興支援を行ってきました。引き続き救援・復興支援に力を尽くす決意です。

 復興に当たっては、被災者の生活再建と地域社会の再建を復興の土台にすべきです。復旧・復興の課題は山のようにありますが、すべての被災者がもとの生活を取り戻し、立ち上がることを復興の基本理念に据えなければならないと考えます。計画をつくるのは住民合意で、実施は市町村と県・国が連携して、財政の大半は国の責任でを原則にすべきです。被災地の実情を無視した上からの青写真の押しつけはとるべきではありません。

 ところが、衆院で可決した民主・自民・公明3党提出の復興基本法案は、生活の基盤である住まいと生業の再建が復興の土台であるにもかかわらず、こうした肝心の点はあいまいで、大企業の要求にこたえる新成長戦略を進めるものとなっています。

 例えば漁港の集約と企業参入を進める水産復興特区。現在、漁業権は優先的に漁業協同組合に与えられています。漁業者は、とり過ぎたりしないよう丁寧に漁獲高や種類を管理し、漁場を耕してきた。とれるだけとり、もうからなくなると撤退する、そんな大企業の参入を許せば、復興どころか漁場は荒廃してしまうと憤っています。

 阪神・淡路大震災のときにも、住民の意見も聞かずに国が勝手に急いで都市計画の線引きをやったり、神戸空港をつくったりしました。それが今日では、新長田地区再開発事業を見ても、建物は建ちましたが、もともとあった長田のよさは失われてシャッター通りとなり、神戸空港も赤字に陥っています。

 今度も被災者が置き去りにされようとしていますが、この轍を踏んではいけません。被災地にも赴いた区長に、復興に当たっての御所見を伺います。

 大震災の復興財源には復興税を、復興財源に消費税増税をといった議論があります。折しも社会保障改革集中検討会議が社会保障改革案を発表し、消費税を2015年までに10%に引き上げることを明記しました。将来的には社会保障給付に係る公費全体を主として消費税で賄うことを打ち出すなど、社会保障を消費税収の範囲に抑え込む暴論です。同時に、国民生活と日本経済の活力を奪うことによって、国を挙げての復興にも大きな障害となります。

 行政報告の中で区長は、復興増税も社会保障負担の増加も最終的には避けて通れないと言います。しかし、国民に増税と負担増を強いることでしか財源を確保できないのでしょうか。復興財源をどのように確保すべきか、国民的な議論が必要です。

 私どもはまず、金額的にも最も大きい大企業や大資産家への減税を中止することで2兆円。歳出では、不要不急の大型公共事業の見直しや米軍への思いやり予算、グアム移転などの経費の削減など、歳出の無駄を削って復興に回すことが必要と考えます。

 国の1次補正予算で、国会議員の歳費を半年間30%削減することになりました。これ自体は当然ですが、わずか22億円で、復興財源に比べたらスズメの涙にもなりません。政党助成金は年間320億円にもなります。血税分け取りのこの制度こそ廃止が求められます。

 ただ、こうした無駄をすべて削ったとしても、20兆円を超える震災復興財源のすべてを賄うことは不可能です。したがって、一時的には国債発行によって復興財源の一部を賄うことも必要です。震災復興のために発行する国債は、通常の国債とは別建てにして、市場を通さずに売り出すことを我が党は震災復興国債として提案しています。個人だけでなく、大企業に購入してもらうようにする。余剰資金の有効活用になり、経済全体にプラスに影響をもたらすことになります。もちろん借金であることには違いがありません。何年か後には返済財源を確保する必要があります。ただ、そのときには震災復興の一定のめどが立ちますし、景気回復を見込むことも可能になるでしょう。区長の見解をお聞かせください。

 次に、原発依存からの脱却について伺います。

 東日本大震災により引き起こされた東京電力福島第一原発は、これまで経験のない過酷事故を引き起こしました。これは、国や電力会社などが原発の大事故は起きないとしてきた安全神話による人災です。福島第一原発事故はまだ続いており、危険で困難な原発の処理、引き続く放射能の被害への対処と災害復旧対策は何年にもわたり長期化すると言われています。原発事故の危機収束の展望を政府が責任を持って示すことが大切です。その上で、政府が放射能被害への国民の不安にこたえる措置をとることが求められています。

 私ども議員団は、独自に区内の公園など59カ所68地点の放射線量の測定を行ってまいりました。区は今後、本格的に放射線量の測定が必要となる場合に備え、区内の小学校、保育園等で試測を行って、計測器の精度や実用性を検証するなどの予備的対応を行うとしています。試測とはいえ、子ども施設の測定を決めました。加えて、子どもたちが通う公園、広場などでの測定も必要ではないでしょうか。定点での測定と公表の実施を求めます。お答えください。

 当面の過酷事故に対する原子力防災と緊急時対策、独立した規制機関の確立が求められるとともに、今後、原発依存からの撤退と再生可能エネルギーへの転換は避けられません。そもそもこんなに狭い島国で、しかも地震多発の日本で54基もの原発が存在すること自体が異常です。今の原発技術は本質的に未完成で危険なものです。核燃料棒の中に蓄積される放射性物質を原子炉の内部に絶対かつ完全に閉じ込める技術を持っていません。加えて、我が国のほとんどの原発で使われている軽水炉は構造上の問題があります。さらに、使用済み核燃料を後始末する方法が見つけ出されていません。これらの課題が未解決のまま推進されているのが原発行政の現状です。

 福島第一原発事故を機に、原発の縮小・廃止を求める国民世論が鮮明となっています。各界の有識者などから原発政策を転換すべきだとの発言も相次いでいます。世界でもスイスやドイツに続いてイタリアが国民投票で原発からの撤退を決めました。

 エネルギー政策のあり方や低エネルギー社会の取り組みは、国民的な議論と合意形成が必要です。資源エネルギー庁の資料をもとに見ても、日本の太陽光と風力、バイオマスなどのエネルギーを合計した潜在量は12兆キロワット時ほどあり、原発の総発電電力量の40倍程度にもなります。地域特性に応じて、風力、太陽光、地熱、小型水力発電など新エネルギー開発を推進すべきです。日本でも原発ゼロへ、期限を決めた原発撤退の取り組みが必要ではないでしょうか、御所見を伺います。

 次に、中野区地域防災計画の見直しについて伺います。

 3月11日の大震災と原発事故災害を踏まえ、地域防災計画の見直しが求められています。どう見直すのかが重要であると思います。

 防災対策の理念として、自助・共助・公助が強くうたわれるようになりました。市民の側からではなく、政府を含む行政側から強調されています。自助・共助が社会を営む限りでは本来的役割と考えられても、自治体行政がわき役でよしとしているのであれば問題です。区民の責務で防災の基本を自覚し、みずから災害に対して備える手段を講ずるよう努めなければならないとしても、行政がそのための環境を整えることや支援を行うことに責任を果たさねばなりません。災害に備えることも身の安全やまちを守ることも難しい住民と地域の状況があることを知るべきでしょう。

 また、自助・共助・公助は、地域社会に生じている災害危険の現状が行政の手に余る状況にまでなっていることのあらわれとも言えます。しかし、そのことも都市政策の失敗や社会システムのゆがみの結果を地域に押しつけるものと見ることができます。コミュニティー自体が崩壊しかねない地域事情と、なぜコミュニティーが衰退するのかを直視することなく、自助・共助の美名のもとに住民に過大な防災活動を分担させる考え方では、結局、地域防災力の充実には結びつかないのではないでしょうか。行政が補助的な支援者としての位置付けでは、防災に関する責任の後退であると考えます。区が果たすべき役割など、公的責任を具体的に計画に明記することを求めます。

 地震規模(マグニチュード)の見直しにより、被害想定とその対策が求められています。東京都も見直しの検討に動き始めました。見直しの際、区有施設の安全対策として、現在の耐震改修計画を早急に見直すことは当然ですが、マンション、アパート、一戸建てなど個別の被害想定と安全対策が必要ではないですか、伺います。

 また、例えばいわゆる住宅団地を含めて中高層共同住宅への居住が一般的となり、区内でも30メートルを超える高層マンションは多数存在します。これまでの大地震でも、住戸内における負傷者の多数発生、ドアの開閉不能、給排水設備や供給処理設備の損傷、あるいはエレベーターの停止と閉じ込めなどの防災課題が明らかとなりました。また、今回の大地震では、都心の超高層ビルで長周期地震動による大きな揺れが発生しました。区内でもオフィスだけでなく、住宅の高層階での家具の飛散による事故や居住者の孤立、ライフライン事故など、超高層ビルの安全は未知数です。長周期地震動の対策が急がれると考えますが、見解を伺います。

 現行の中野区地域防災計画では、第3編の大規模事故等対策計画で予防・応急対策などを記していますが、原発事故を想定した対策の記述はありません。当然、改定の際には原子力防災対策についての記述が必要と考えますが、いかがですか、お答えください。

 次に、密集住宅市街地における災害対策についてお聞きします。

 中野区では、これまでも木造住宅密集地域整備促進事業などを行ってきています。大震災後、防災についての関心も高くなっていると思われます。したがって、住宅密集地域の多い区内での独自事業の創設も研究・検討すべきだと考えます。例えば神戸市では阪神・淡路大震災後、数年を経た段階で、幅員4メートル未満の細街路に対して、住民合意で道路中心線を確定すれば、4メートル未満であっても舗装整備を行うという路地・まち再生事業を行いました。必要とされる住宅の建てかえがなかなか進まないのは、市道を中心とする幅員4メートル未満道路での敷地境界と道路中心線が確定していないことに原因があるとの認識から、制度化に踏み切りました。これは被災地域だけでなく、都市に普遍的に見られる細街路敷地が抱える大きな整備課題であり、都市計画の問題として重要との指摘があります。木造密集地域の改善は、将来に向けて大きな、しかも困難な課題です。改善のためには多様な選択肢が必要ではないですか、伺います。

 もう1点伺います。現在、西武新宿線の地下化に伴うまちづくりの検討が行われています。地下化後の上部利用については、緑の遊歩道などを整備し、災害時には緑の防火遮断帯と避難路として活用が図られるよう、関係機関と協議をしていただきたいと思います。答弁を求めます。

 次に、区政運営のあり方について伺います。

 行政報告では、区の財政体力に応じた区政運営を行うため、新しい目標体系に基づく事業のあり方や執行体制、事業・制度内容の見直しを行うと述べています。別のところで、財政問題についても、具体的には今年度以降の課題としていた事務事業の見直しについて、より一層の踏み込みを図ると、これまでの行革と区民負担を改めるのではなく、一層切り込むことを宣言しています。しかし、これまでも、そしてこれからも進める職員削減による人手不足と施設の廃止・売却が、震災をはじめ災害や大規模事故時には応急対策、復旧・復興を進める上で障害になりかねないのではないですか。さらに、ごみの有料化や保育料、区有施設の使用料の値上げなど区民に新たな負担を押しつけるのでは、この不況の中、福祉と暮らしの後退になりかねないのではありませんか、伺います。

 今日の被災地での住民同士の支え合いは確かに本物であり、力強いものを感じます。行政報告では、この震災の経験から、いざというときの安心・安全を守るためにも、地域の支え合いのネットワークをさまざまな取り組みで強化していくことが欠かせないと述べています。そのことはそのとおりだとしても、一方で区民負担や福祉の削減を行うのでは、支え合いの基盤を弱めてしまい、本当に地域の支え合いを推進するつもりがあるのか、疑問を抱かざるを得ません。区が行おうとしている支えあいネットワークも、一部の人たちだけで取り組むのでは長続きはしないし、疲弊してしまいます。いざというときのために、区民の暮らしをしっかりと応援する中で、支え合いの取り組みを図ることが肝要ではないですか、見解を伺います。

 また、今回の大地震では、小・中学校での帰宅困難者対策として避難所の開設に加え、地域センターが避難者を受け入れました。余震が続く中で、地域住民の方の自主避難に対応したと伺っています。防災拠点としての役割を発揮したと言えます。区民活動センターになっても、地域での防災拠点としての機能と役割が求められています。その点では、地域活動の推進を図ることを目的とした運営委員会や、集会室の貸し出しや管理運営を受託した民間事業者にその役割を担わせることはできません。職員が担うことになると思いますが、緊急時・災害時のために、地域の住民と職員との防災体制の確立と防災訓練を実施すべきではありませんか、伺います。

 次に、区立小・中学校と保育園の耐震化について伺います。

 そもそも当初の計画では、今年度中にすべての区立小・中学校の耐震化は終了するはずでした。耐震化を先延ばししたことへの批判は免れません。大地震もあり、保護者、関係者から早急な耐震工事の実施が求められています。

 これまでの安全・安心交付金にかわり、学校施設環境改善交付金要綱が今年度よりつくられました。また、東京都が補正予算で、耐震化のための補助の基準を、Is値0.3未満の対象をIs値0.3以上の施設についても単価差の2分の1の補助を実施することを決めました。子どもたちが通う学校の安全確保、そして、地域の避難所としても耐震化は欠かせません。国と都の交付金の活用を図って、残された7校13施設の耐震化を急ぐべきです。答弁を求めます。

 中央中は、今年度いっぱいは現在の校舎、体育館を使用することになります。ここの体育館の耐震性能評価はDランクと危険が高いままです。生徒の安全を確保するためにどのような対策をとるのか、伺います。

 関連して、旧第六中学校についてお聞きします。廃校により既に教育財産ではありませんが、避難所に指定をされています。ここの体育館の耐震性能ランクはやはりDです。地域防災組織の方からも心配と不安の声が出されています。現在、売却なり等価交換なり東京都との協議の内容が明らかにされないもとで、いつまで避難所として使用するかもわからない状況です。地域住民の避難所として安全対策を図るべきではないですか。なお、体育館はほこりだらけで、すぐに使用できる状態になっていません。管理についても対応を図るべきです。お答えください。

 保育園についても同様のことが言えます。10か年計画で示している民営化予定の区立園の耐震化は行われていません。民営化それ自体に問題はありますが、次元の違う話として、耐震化による安全を確保しなければなりませんが、どうされるのか伺います。

 また、この間、既存の区立保育園施設を民営化した私立保育園から耐震改修が求められてきました。今年度、やっと1園での実施が予算化されたところです。改修を望む他の私立保育園からは、区による具体的な計画と支援が求められています。園舎の耐震強度については、当該民営化園から本当に大丈夫なのかと指摘をされてきたところです。社会福祉施設等耐震化促進事業を活用して、独自に耐震診断を施してきたといいます。改修に向けて区がきちんと見通しを示すべきではないですか。

 しかも震災の関連で見ても、災害時における児童等を対象とした避難所施設利用に関する協定書を平成16、17年に区長とそれぞれ既存施設を譲り受けた私立保育園で締結をしています。震災時など二次避難所として施設を提供することにしている点からも急ぐ必要があるのではないですか、答弁を求めます。

 次に、「地域主権改革」について伺います。

 地域主権改革一括法案が成立をしました。我が党議員団はこの間、法案の問題点を指摘し、ただしてきたところですが、改めてお聞きをします。

 国はすべての国民にナショナルミニマムを保障する責任があります。このため、保育所や高齢者・障害者施設、公営住宅などについて、運営や設備の最低基準を定めています。地域主権一括法は、その最低基準の決定を地方にゆだねるもので、関係41法律の改定に及びます。これには当然見直しをされるべき条例の委任化や事務手続の簡素化につながるものも含まれますが、ナショナルミニマムを保障する国の責任を投げ捨てるものが中心で、住民生活と命に直結する部分が多いことが問題です。議論されている法令の義務付け、枠づけの見直しも、今まではこれを守りなさいと国が課してきた基準を、従うべき基準と標準と参酌すべき基準に分け、標準、参酌すべき基準になるにつれて自治体の裁量で決められる度合いが強くなるものです。

 特徴は、地方自治の充実がナショナルミニマムと切り離されて、あるいはそれと対抗する形で出されていることです。マスコミでも、ナショナルミニマムとは基本的に官僚の既得権益というものと完全にイコールでくくられてしまっています。しかし、求められる地方自治とは、国家による基本的人権保障と強く結びつき、その責任の上に築かれるものであるはずです。国のナショナルミニマム保障の上に、住民に身近な各自治体の創意工夫が上積みされて、よりよいサービス提供が生まれます。あるいは、自治体の先進的な取り組みが中央政府の政策を充実させることにつながります。それこそが日本国憲法が求める地方自治の姿ではないですか、見解を求めます。

 保育園を例に伺います。東京都などの大都市では当分の間標準でいいという附則が入ったことで、実質的に面積基準の緩和が行われることになりかねません。待機児対策としての詰め込み保育を今まで以上に強くすることになります。

 震災との関連で防災基準も重大です。保育所の防災基準は、一般の建物よりもかなり厳しい基準が課せられています。2階に保育室がある場合には準耐火建築でなければなりません。屋内階段のほかに、火が回らないように区画された避難用階段か滑り台をつけなければならないのです。しかし、これを参酌基準にしてしまうというのです。現行の水準を後退させてはなりません。改善こそ必要です。

 その点で、定員の弾力化や認証保育所での待機児解消は、人員配置や施設整備など保育の質や、今回のような大地震が起きた際に問題となります。14日に、面積基準の緩和を検討してきた東京都児童福祉審議会・専門部会が事実上態度表明を断念しました。特別区区長会の代表や認可保育所の責任者の代表が、面積基準の緩和は子どもにしわ寄せがいく施策だとそろって反対したことによるものです。

 今年度においても、認可保育園を希望して入れなかった子どもさんが356名もいます。区は待機児をゼロにすると区民と議会に述べてきましたが、弾力化や認証保育所の誘致などでは解消されないことが明らかになりました。そもそも認可保育園を希望する区民の願いにこたえられていません。必要なのは認可保育園の大幅な増設と充実です。答弁を求めます。

 次に、介護保険制度の改定と第5期介護保険事業計画の策定について伺います。

 制度改定では、要支援と認定された軽度者への介護サービス切り下げを打ち出しています。一つは、介護予防・日常生活支援総合事業を創設し、市町村の判断で、要支援者のうちの一定部分を総合事業に移すことを可能とするものです。

 もう一つは、2種類以上の在宅サービスを組み合わせる複合型サービスの創設です。法律が明示するのは、訪問介護と小規模多機能型居宅介護の組み合わせだけですが、省令で対象の拡大ができることになっています。問題なのは、複合型サービス事業者への報酬を市町村の判断で国の基準より低くすることが可能とされています。そこで伺いますが、中野区の判断となった場合、少なくとも現行の介護サービス水準を後退させることなく維持すべきではありませんか、答弁を求めます。

 今度の改定の目的は、公費抑制と重度者向けに重点化することにあります。在宅での重度者の受け皿として法律に盛り込まれたのが巡回型訪問介護・看護です。これを高齢者専用の集合住宅とセットで整備すれば、特養ホームの待機者解消も図れると説明がされています。しかし、介護も看護も人材不足の中、巡回型訪問介護・看護が成り立つかどうかは不透明です。しかも、サービス量をふやしても、事業所への報酬は一定の包括払いとされるのでは、必要な介護を必要な時間提供できないおそれがあります。特養ホームには低所得者向けに食費と居住費の軽減がありますが、高齢者住宅には家賃助成もなく、低所得者は入れません。在宅も施設もサービスの拡充が必要です。

 さて、現行の第4期介護保険事業計画では、特養ホームの増設により700床の見込みを設定していました。しかし、現在630床にとどまっています。中部圏域の東中野に1カ所50床が増設される予定ですが、第4期の計画で掲げていた南部圏域での整備については計画さえありません。第5期介護保険事業計画で、不足している南部圏域での特養ホームの建設をはじめ、希望する区民の願いにこたえるためにも、増設を計画に盛り込むべきであります。お答えください。

 その他のところで2点伺います。

 野方から高円寺駅間のバス路線が廃止をされて2年半以上が経過をいたしました。今も野方地域の方々からバス路線の復活を求める声を聞きます。環七にある野方駅南口から商店街までの坂道がつらいなど、高齢者の方からそうした声が強く出されています。以前と同様の運行ダイヤでなくても、1時間に一、二本でよいから運行してほしいとも言います。区からも関東バスに野方-高円寺駅バス路線の復活を求めていただきたいと思います。答弁を求めます。

 もう1点、関東バス野方停留所に雨よけの屋根を設置していただきたいと思います。雨の日などは運行ダイヤが乱れがちになります。当然、バスを待つ人たちがバス乗り場で並ぶことになります。土地は中野区の所有です。運転に支障が生じぬよう関東バスと協議をして、実現を図っていただきたいと思います。お答えください。

 以上ですべての質問を終わります。(拍手)

    〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えをいたします。

 東日本大震災からの復興の考え方についてということであります。神戸市の例なども引いての御質問でした。

 将来に向けた復興については、国の復興再生基本計画にのっとり、県または市町村が主体的に地域の実情を踏まえ、住民の意見を聞きながら、きめ細やかな復興計画を策定するものとされております。市町村が作成する復興計画の実施について、県・国は責任を持って連携・協力し、必要な財源を確保し、支援していくべきだと考えているところです。

 それから、復興財源について、震災復興国債というお考えをお聞きいたしましたけれども、どういう形であろうと返さなくてよい借金はないのであります。国債である以上、国民が負担して償還することに違いはないということです。復興したら景気は回復しているかもしれないから、このぐらいの借金は返せるんだと、こういったような御発言もあったですけれども、私はそういう簡単なことではないだろうと、こういうふうに思います。

 それから、放射線量の試測及び定点での測定ということであります。

 放射線の測定については、広域的かつ継続的、十分な精度管理に基づいた対応が必要であると考えております。そのため、区に近接をし、また、測定実績のある東京都健康安全研究センターにおける測定値を参考にしております。同センターの測定値は、6月15日に東京都が区内2カ所で実施をした空間放射線量、この測定結果とほぼ同じ値でありますことから、区として定点的な測定を現在行う予定はありません。

 また、今回の試測につきましては、学校、保育園等の校庭や園庭を対象に行うことを考えております。試測結果についてはどう取り扱っていくのか、公表の仕方を含め今後検討していきたい、こう考えております。

 それから、原発依存からの脱却についてという御質問がありました。

 経済や社会システムを維持する上で原子力発電への一定の依存というのは急速には転換できません。また、原子力発電をゼロにするという判断は、原発事故の収束過程や今後の安全対策などが明らかでない現時点で語ることはできない、こう考えております。

 原子力発電の安全性の再構築の道筋や代替となる発電方法の実現可能性、太陽光には資源的制約、また時間的制約が、風力にも時間的な制約があります。地熱、小型水力などについては、立地可能な箇所数がそう多いわけではありません。そうした実現可能性などを地球なども含め、地球温暖化防止の視点、これも踏まえながら、幅広く議論していく必要がある、こう考えております。

 私からは以上です。その他、それぞれ担当のほうからお答えいたします。

    〔都市基盤部長服部敏信登壇〕

○都市基盤部長(服部敏信) 私からは中野区の地域防災計画見直しにかかわる質問ほか、数点の御質問にお答え申し上げます。

 まず、地域防災計画の見直しの項で、自治体防災の責務・役割についての御質問がございました。

 災害から区民の命やまちを守るためには、自助、共助、そして公助の三つの柱が大事であると考えてございます。この三つの柱がそれぞれの役割を果たしていくことが地域防災の基本と考えてございます。

 続きまして、建物種別ごとの被害想定という御質問がございました。

 地域防災計画では、地域におけます安全性の度合いや建物の構造等を踏まえまして、被害想定を算出しているところでございます。個々の建物の安全対策につきましては、耐震診断等別な他の施策が必要と考えてございます。

 続きまして、長周期地震動の対策の御質問がございました。

 長周期地震動につきましては、これまで明らかにされてこなかったものでございますが、さまざまな現象が起きていることは認識してございます。区内にも中高層の建築物がございますが、それらに対する長周期地震動の影響につきまして、今後解明していく必要があると考えてございます。

 続きまして、原発被害の想定の御質問もございました。地域防災計画にかかわりましての想定がございました。

 地域防災計画は、区内で発生いたしました大災害や事故に対応するものでございます。遠隔地で発生しております今回の原発事故などにつきましては、計画の対象として扱うものではないと考えてございます。

 次に、密集市街地におけます災害対策の御質問でございます。密集市街地の改善の事業についての御質問がございました。

 木密事業や不燃化促進事業を行っております区域に対しましては、これまでもパンフレットやまちづくりニュースの配布、建てかえ相談会の開催などを通じまして周知を行ってきてございまして、今後ともさまざまな手法を用いながら事業の周知を図っていきたいと考えてございます。

 御指摘の密集市街地の改善につきましては、事業の規模、また、多くの部門にわたる事業であることから、国や都の役割があるものと考えてございます。したがいまして、区独自の事業の創設は考えてございません。

 区政運営のあり方の項で、地域住民と職員との訓練の実施という御質問がございました。

 地域センター再編後も災害対策は区の職員が責任を持って行ってまいります。地域住民と区職員とが連携・協力する訓練といたしましては、避難所の開設や運営を協力して行う訓練をこれまでも行ってまいりましたが、引き続き内容を充実させまして行っていきたいと考えてございます。

 また、小・中学校並びに保育園の耐震化にかかわりまして、旧第六中学校の体育館についての御質問がございました。

 旧第六中学校は避難所として指定されておりますので、用地売却後におきましてその機能を引き継ぐことを東京都に求めてきてございます。体育館は原則として、避難所として使用する考えはございません。

 その他の最後の項に2点ございました。関東バスの路線復活の御質問でございます。

 関東バスは平成20年9月に路線の再編等を行いまして、高円寺駅-野方間の路線を廃止し、さらに先の練馬駅まで行く高円寺駅-練馬駅間の路線に統合してございます。関東バスからは、バス停の位置以外は路線のルートが完全に重なっていることから、採算上復活は困難との意向を確認してございます。区といたしましても実現は困難と考えてございます。

 最後に、野方停留所の屋根の設置の件でございます。御提案の停留所につきましては、屋根のような構造物を道路上に設置することは、道路関連法令に定める要件を満たすことが難しいことから、設置できないと考えてございます。

 以上でございます。

  〔都市政策推進室長遠藤由紀夫登壇〕

○都市政策推進室長(遠藤由紀夫) 私からは西武新宿線の地下化後の上部利用についての御質問にお答えいたします。

 西武新宿線の連続立体交差事業による鉄道の上部空間の活用につきましては、これまでの地元のまちづくり勉強会などの成果を踏まえながら、連続立体交差事業の進展に合わせ、地域とともに検討し、西武鉄道をはじめ関係機関と協議を行ってまいりたいと考えております。

    〔政策室長竹内沖司登壇〕

○政策室長(竹内沖司) まず、区政運営のあり方についてのうち、事業見直しによる災害対応及び区民への影響についての御質問にお答えをいたします。

 災害時にあっても、区民の安全で安心な生活を守るためには、地域支えあいネットワークなどの施策を着実に進展させていくと同時に、今回の震災対応を進めていくことが重要であると考えております。一方で、大震災の発生により、区財政がさらに厳しくなることが見込まれており、区の財政体力に応じた区政運営を行うためには、事業見直しを着実に実施し、目標と成果による区政運営を強固で機動的なものとすることにより、業務運営の効率化と必要な区民サービスの維持を実現していきたいと考えております。

 次に、「地域主権改革」についてのうち、ナショナルミニマムに関連する御質問にお答えをいたします。

 地方分権として、補完性の原理に基づく国の責務、それから、セーフティーネットとして定める基準、こういったものを守った上で、地方がみずからの地域に責任を持ち、都市地域間競争を行っていくことによって、住民にとっての価値や満足度を高め、国全体の活力を高めていくことになると考えております。住民にとって必要な施設の運営ですとか、設備の基準などについては、地域の実情に応じて住民の意見を聞きながら、地方自治体が主体的に定めていくことができることこそ、真の地方自治の実現につながるものだと考えております。

    〔子ども教育部長村木誠登壇〕

○子ども教育部長(村木誠) 私からは区立小・中学校と保育園の耐震化についての中で、まず、区立小・中学校の耐震化のお尋ねに対してお答えをさせていただきます。

 区立小・中学校において耐震性能がBランク評価とされた、耐震改修が実施されていない学校が7校ございます。今回お示しをいたしました緊急対策中野2011の中で、区有施設の耐震改修計画の改定をすることとしてございます。この計画によりまして、区立小・中学校につきましても早急に見直しを行い、耐震改修を早期に完了するよう取り組んでまいります。なお、改修に当たりましては、国などの交付金を活用していきたいと、このように考えております。

 次に、中央中学校体育館の関係でございますが、中央中学校の体育館につきましては、生徒の生命・安全確保の観点から、現在、体育の授業や部活動、全校行事等、代替施設での使用の可能性について検討しているところでございます。早急に結論を出していきたい、このように考えております。

 続きまして、区立保育園の耐震化でございますが、今後、民営化を予定している区立保育園5園につきましても、区立小・中学校と同様、早急に見直しを行い、耐震改修を早期に完了するように取り組んでまいります。

 続きまして、私立保育園の耐震化でございますが、既存の区立保育園を民営化した私立保育園につきまして、都補助のほか、区の補助金を活用して行った耐震診断におきまして、強度上補強をすべき箇所が見つかった園があるということは承知をしてございます。新しい中野をつくる10か年計画(第2次)におきましても、区立園の施設改善につきまして支援を行うこととしております。保育園を設置・運営する社会福祉法人の判断に基づき、都が実施している補助制度等を活用し、改修支援を行ってまいりたい、このように考えてございます。

 次に、地域主権改革にかかわります認可保育園の増設にかかわる御質問にお答えをいたします。

 認可保育園の定員の弾力化につきましては、児童福祉法最低基準におけます1人当たりの面積基準を遵守した上で、可能な範囲での定員増を行っているところでございます。区は区立保育園の建てかえ民営化による定員の拡大を計画的に進めるとともに、認証保育所や家庭福祉員などのさまざまな保育サービスを複合的に組み合わせまして、保育園の待機の解消に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

  〔区民サービス管理部長登弘毅登壇〕

○区民サービス管理部長(登弘毅) 私からは介護保険制度の改定とサービス水準の確保についての御質問にお答えします。

 今回の介護保険制度の改定により新たに創設された介護予防・日常生活支援総合事業あるいは複合型サービスの詳細な内容につきましては、国からまだ提示されておらず、引き続き情報収集に努めたいと考えております。

 また、これらの制度の導入については、中野区保健福祉審議会での審議も踏まえ、適正なサービス水準の確保や給付と負担のバランスなどを十分勘案しながら検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

    〔健康福祉部長田中政之登壇〕

○健康福祉部長(田中政之) 私からは特別養護老人ホームの増設についての御質問にお答えをいたします。

 第4期介護保険事業計画で整備することとしております南部・中部圏域での特別養護老人ホームの整備につきましては、引き続き可能性を追求してまいります。

 また、第5期介護保険事業計画の策定に当たりましては、現在審議が行われております保健福祉審議会での施設整備における検討を踏まえ、計画を策定してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○議長(大内しんご) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

中野区議会議員 佐 伯 利 昭

 1 区長の行政報告について

  (1)大震災による区政への影響について

  (2)復興に向けた区長のスタンスについて

  (3)中野区政のBCPの改定について

 2 震災後のスポーツ施設の利用制限について

 3 区民活動センターの準備状況について

 4 区立小・中学校の第二土曜日の授業実施における影響について

 5 その他

  (1)わたしの便利帳について

○議長(大内しんご) 次に、佐伯利昭議員。

      〔佐伯利昭議員登壇〕

○38番(佐伯利昭) 2011年(平成23年)第2回定例会に当たり、中野区議会民主党議員団の立場から一般質問をいたします。

 3月11日の東日本大震災からおよそ3カ月余りが経過しました。現地ではいまだ復興作業が進まず、厳しい生活を強いられている被災者の皆様には改めてお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復興に向けて私たちもできる限りの協力をしていきたいと思います。

 さて、今定例会冒頭に区長から、東日本大震災以降明らかになってきている諸問題として、大震災の被害や節電による財政の悪化、原子力発電所の事故などについて強い危機感を示す行政報告がありました。

 公益社団法人日本経済研究センターは6月14日、東日本大震災によって向こう10年間の日本経済の姿はどう変わるのかとして、電力不足、津波による破壊と復興需要などの要因を織り込み、ことし2月に公表した中期経済予測を改訂しました。それによりますと、福島第一原子力発電所の重大事故を受け、原発の安全性には厳しい目が向けられている。定期点検に入る原発が順次停止をした場合、電力不足で生産能力は2012から20年度の平均で年1.2%押し下げられ、7兆円の経済損失を生む。需要面からは東北地方のインフラ復旧などで成長が押し上げられるが、生産を支えるために原発が火力発電に代替されれば、化石燃料輸入が急増、貿易、サービス収支は今後恒常的な赤字となる。経常収支は17年度以降赤字となる。温暖化防止に削減が不可欠であるCO2排出量は、20年度には1990年度比でむしろ14%増え、国際的な温暖化ガス削減目標を達成することは極めて難しくなる。復興費用に加え、成長の下振れによる税収減少で財政は一段と悪化。財政破綻を避けるため、負担増が避けられない見通しだとしています。

 こうした状況は中野区政への影響も甚大と考えられます。中野区は昨年、100年に一度の金融危機を理由に、平成17年度から始まった10か年計画を改定し、第2次10か年計画を策定しました。しかし、今、100年に一度と言われる大震災と津波、想定をしていなかった長期化が予想される電力不足、こうした状況を踏まえ、この10か年計画についても見直す必要があると考えます。

 まず、財政の見通しについてです。現計画の財政見通しでは、基準となる一般財源を650億と設定し、平成25年度までは不足分を財政調整基金からの繰り入れ、26年度以降は剰余分を積み立てと想定していますが、この想定が大きく変わると考えられます。直ちにこの財政の見通しについて見直すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 財政の見通しが変われば、事業計画にも影響が生じます。とりわけ今後多量の電力を必要とする施設建設などは、財政面、節電という観点からも見直さなくてはならないものと考えます。区民に節電を呼びかけ、現存の施設等の利用を制限する中で、多額の経費と多量な電力が必要となる開発事業などだけ優先して進めていくことは、区民の理解を得られないものと考えます。10か年計画の中で時期をずらす、あるいは規模を縮小するなどの検討も必要と思いますが、いかがでしょうか。

 次に、復興に向けた区長のスタンスについて伺います。行政報告ではやや理念的なことが多く、具体性に欠ける部分がありますので、ここでは具体的にお聞きします。

 区長は、復興のための直接・間接の負担は結局国民全体が負うものであり、避けて通ることはできません、と述べています。全くそのとおりであります。そして、復興増税も社会保障負担の増加も避けては通れない、そのためには日本社会全体の新しいビジョンとその実現に向けた改革の道筋を描くことは不可欠だ、としています。

 まず初めに、区長が考える日本社会全体の新しいビジョンとは具体的にどのようなものかをお答えください。

 また、復興増税に関し、どの税をその財源としていくべきとお考えか、お聞かせください。

 また、震災は、これまで現実をトータルに直視することなく、目先の給付を追い求め、真に必要な改革から目をそらす議論に振り回され続けてきた私たちに、いや応なく待ったなしに根本問題に向き合うことを強いていると私は考えます、さらに、真の改革に逡巡し続けることは許されないと思います、と「真に必要な改革」という言葉を二度使っています。改革とは言葉で言うのは簡単ですが、ここで言う真の改革とは、具体的にお示しください。

 さて、今回の大震災、そして原子力発電所の事故は、これまでの私たちの社会生活、経済活動を見直し、これからの社会のあり方の選択を迫る機会となったと思います。これまでの私たちの社会生活は、原子力発電を含めた電力の供給に支えられていたことは事実です。もし今後定期点検に入る原子力発電を順次止めるとすれば、電気の供給量は大幅に減り、成長のスピードは必然的に下がります。一方、そのためにより多くの電力量を確保しようと火力発電に切りかえるならば、今度は地球温暖化防止の取り組みにブレーキがかかります。経済成長、原発、温暖化防止、相入れないものの中から今後の政策選択が迫られています。区長は何を優先すべきとお考えか、お聞かせください。

 事業継続計画について伺います。

 緊急対策中野2011では、個別の業務マニュアル等の早期策定が掲げられています。しかし、これは平成21年11月発行の中野区危機管理ガイドラインで既に作成が予定されていたものなのではないでしょうか。現在までの進行状況についてお答えください。

 次に、震災復興マニュアルについて伺います。

 私は平成21年第1回定例会において、震災復興マニュアルの現状、さらに区民への周知について伺いました。これに対して当時の都市整備部長からは、「震災発生後、まちを早期に復興することを目的として、行政内部の行動指針、これを示した中野区震災復興マニュアルを平成16年3月に作成したところでございます。ただ、今、東京都では、新たな区市町村向け震災対策マニュアルの標準モデルの作成を進めております。区といたしましても、これを踏まえて新たなマニュアルを作成してまいりたいと考えております」という答弁がありましたが、その後のマニュアルの作成状況、区民への周知の状況はいかがでしょうか、お聞かせください。

 区の地域防災計画では、震災時の初動期における緊急対応についてはかなり細かく定めがありますが、復興の取り組みについては、その内容、具体的な規定などが明確になっていないように見受けられます。被災市街地の復興については、多くの区民との協働作業はもとより、合意形成が不可欠となります。そのためには、進め方の骨格として規定しておくことが必要です。首都直下型地震が迫っていると言われる中で、万一の際には区と区民が協働して復興対策を総合的に推進し、被災後の速やかな復興を実現することを目的に、その根拠規定となる条例を制定し、明らかにしておくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、震災後のスポーツ施設の開放制限について伺います。

 中野区では、震災発生の翌3月12日から区立学校の球技開放を直ちに中止し、4月16日までの約1カ月間グラウンドの使用ができませんでした。一方で、上高田グラウンド、哲学堂グラウンド、平和の森公園少年スポーツ広場、妙正寺川公園運動広場、鷺宮運動広場については通常どおり利用することができ、3月13日には、上高田グラウンドでは中野教育委員会が後援する学童野球大会の公式試合も行われました。まず、これらグラウンドによって対応が違った理由についてお聞かせください。

 また、学校の校庭については、隣接する練馬、杉並などでは4月にはグラウンドの利用が再開され、当然球技の開放も始まっていました。ところが、中野区ではその判断が遅れ、中学校では春休みの部活動すらできないという状況でした。他のグラウンドは通常どおり使われているのに、学校施設だけ早々に春休み中も利用中止を決めてしまった判断について、誤りはなかったと考えるか、お聞かせください。

 こうしたちぐはぐな対応があると、余震、放射能汚染の危険の中、子どもたちに屋外でスポーツをやらせるのかという声と、せっかくグラウンドがあるのに子どもたちに試合、練習をやらせないのかという声が交錯し、指導者は苦悩します。そこで提案ですが、施設利用についての一定のガイドラインを定め、区発行の冊子「生涯学習&スポーツ」に掲載されている施設については、学校施設を含め、利用の可否の決定を一元化すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 6月13日付緊急対策中野2011には、7月から9月の3カ月の間、屋外スポーツ施設の週1回の夜間利用を中止しますとあります。しかし、これらの施設利用受け付けは2カ月前の月の10日から19日ですから、7月分については既に5月中に利用団体が決まっていたのではないでしょうか。もともと施設の少ない中野区においては、夏の間の夜間は利用のない日はないはずです。既に利用が決まっている団体にはどのように説明をするのか、また、8月、9月についてはどのように利用中止日を決めるのかをお聞かせください。

 節電のため、区民も協力することは当然と思いますが、せっかく確保できたグラウンドが後になって利用ができなくなったのでは、区民も納得しづらいでしょうし、利用中止日が偏った曜日になれば、職業によっては利用ができなくなることもありますので、十分な配慮をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 区民活動センターの準備状況について伺います。

 7月19日の地域センターから区民活動センターへの転換へ向け、各センターでの準備が進められているようです。一方で、区民への周知度はまだまだ低く、転換当初の混乱は避けられないものと考えます。中でも窓口での手続や証明書類の発行については、住民票と印鑑証明の発行を地域事務所からの取り次ぎサービスで行うことは広報されていますが、その他の証明類の扱いについてはほとんど区民に知らされていません。また、来年からのコンビニの証明書発行についても、住民票と印鑑証明に限られるということを御存じない区民も多く、特定の時期に必要になる課税証明をコンビニでは受け取れないことを理解していない区民もいます。

 転換まで1カ月を切りましたが、これまで地域センターでできていた手続もできなくなることが数多くあります。そこでまず、今後、区民活動センターではできなくなる手続、受け取ることができなくなるものを挙げてください。そして、それは区民に対し、丁寧な説明と広報が必要と思いますが、いかがでしょうか。

 来年2月のコンビニでの住民票と印鑑証明書発行までの間については、地域事務所の臨時職員が区民活動センターにおいてその取り次ぎサービスを行うということです。そこでまず、臨時職員ということですが、個人情報の取り扱いについて十分な研修等行われるのでしょうか。また、この職員が休んだり、急にやめてしまった場合には、どのような措置がとられるのでしょうか。さらに、この職員の仕事が取り次ぎのサービスだけということになると、極めて仕事の少ない時期もあり、区民の目から見れば不効率なものと映ると思いますが、いかがお考えでしょうか。

 転換当初は、事情のわからない区民からさまざまな苦情が寄せられることが予想されます。そんなとき、窓口には部屋の貸出業務を行う委託業者、そして、地域事務所からの臨時職員しかいないわけです。これでは、おもてなし運動の行動目標である「手際よく丁寧な対応に徹します。何事もわかりやすく責任を持って説明します」という対応ができるのでしょうか。苦情対応についての区のお考えをお聞かせください。

 この項の最後に、3月の大震災においては、中野区政史上初めて避難所の開設が行われました。これまで地域センターは、地域防災活動や避難所開設等の支援に役割を果たしてきました。さらなる地域防災体制の強化が求められる中、今後の地域防災への支援、また、避難所開設への支援はだれが行うことになるのか、お聞きをします。

 区立小・中学校の第2土曜日の授業における影響について伺います。

 ことし5月から、中野区においては第2土曜日に午前中3時間の授業が行われています。私はこれが始まる前から、中学校の部活動が都大会、関東大会、東日本大会などいわゆる上部大会に勝ち進んだ場合の影響について懸念をしていました。第2土曜日の授業実施は中野区独自の制度です。ですから、区内の大会の日程の調整はできても、上部大会は待ってくれません。教育委員会はこうした意識、認識はあったのでしょうか、お答えください。

 私のところへは外部指導員、保護者などから、予選を勝ち進んだ場合、上部大会に参加できるのかと心配する問い合わせがありました。そこで伺いますが、こうした場合の参加の可否については、どこでだれの判断となるのでしょうか。

 6月11日はことし二度目の土曜授業日となりましたが、予定どおり大会が行われた種目もあります。この日行われた競技では、教育委員会の寛大な御判断と御配慮で、大会参加のためのバスを出していただいた競技もあります。大変感謝をしております。しかし、そこに至るまでの間も、選手たちは勝ち進んでも上部大会に出場できるのかどうかわからないという思いの中で予選を戦うのでは、よいプレーはできません。今後、秋に向けては、スポーツ競技以外にも、吹奏楽など第2土曜日に上部の大会が行われる可能性があるものもあります。

 土曜日の授業は時代の流れとして、それをやめてくださいとは言いません。しかし、少なくとも生徒たちが予選の段階から心配をすることなく、勝ち進んだ場合には上部の大会に出場できる、また、大会参加の際にも、授業を休んで来ているなどという後ろめたさを持たずに、自信を持って出場できるよう、区として工夫と配慮をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 さて、学校の部活動とは別に、地域のクラブスポーツにも影響が出ています。クラブチームの場合、中学校も小学校も複数の学校の選手でチーム編成をするため、学校ごとの判断というわけにはいきません。また、大会によっては全国大会までつながるものもあり、予選を勝ち抜きながら本大会辞退では、子どもたちの意欲を奪うものです。

 地域のクラブチームといえども、青少年の健全育成には大きな貢献があるもので、さらにそこで勝ち抜いていくということは、子どもたちの勇気と自信につながるものです。来年度以降、土曜日については、各区がどのような対応になるのか、大会の主催者がどのような方針をとるのかわかりませんが、せめて現段階では、子どもたちが心配なく試合に出場できる環境を整えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 その他として1点伺います。

 ことし2月、当区においては大規模な組織改正が行われ、区民からは、また区役所がわかりにくくなったという声が聞こえてきます。そうした中で、区民にとっての最大の情報である「わたしの便利帳」が、新組織になってからいまだ発行されていないのは理解できません。これだけの組織改正を行うのであれば、また、あわせてことしは議会の改選もあり、議員の構成も変わっているのですから、一日も早く便利帳を発行し、区民に手渡すべきです。発行はいつごろになるのか、お答えください。

 さらに、便利帳の内容を充実させるため、庁内の各担当窓口が何階の何番窓口にあるのかを表記したほうがより便利かと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。

 以上で私の質問はすべて終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

     

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 佐伯議員の御質問にお答えをいたします。

 行政報告に関連して、財政見通しの見直しが必要ではないかと、こういう御質問であります。

 財政運営につきましては、10か年計画を踏まえて、毎年度予算編成ごとに中長期の財政運営の動きを具体的に定める財政運営の考え方として、公表しながら進めているところであります。10か年計画という一定の長期的な見通しを踏まえながら、時点ごとに修正を加えて、5年間の財政運営の考え方として修正を加えていくと、こういった方法で24年以降についても適切に対応していきたい、こう考えております。

 それから、税収が大幅に下がる中で、10か年計画への影響が大きいだろうと、こういう御質問でありました。

 10か年計画については、年次的に事業計画を固定的に定めて区民にお約束しているものではなく、区政としての目標を定め、適切に成果を上げるよう計画をしているところです。財政状況や社会状況、これまで達成してきた成果などに応じて、常に適切な見直しを行いながら進めております。今後も財政問題や電力事情なども勘案しながら計画を進めてまいりたい、こう思っております。

 それから、私が申し上げました行政報告の中での日本社会の新しいビジョン、それから、復興増税、真に必要な改革についてといったことについての御質問がありました。

 私はことし2月の施政方針説明の中で、国民の未来にわたる暮らしを支え続けることのできる社会設計に向けての議論ということで、五つの論点を示させていただいています。第1に、国内産業における成長分野の創出と生産性の向上、高付加価値なものづくりの振興、そして、海外への投資の活性化といったことであります。第2に、定年の延長や女性の就労率の向上などによります働き手の確保、こういうことであります。第3に、年金、医療、介護など給付と負担のバランスがとれた持続可能な社会保障制度の構築であります。第4に、国民のそうした負担を無駄にしない、効率的な行財政システムの確立、行政システムの効率化ということであります。第5に、国の権限、財源、事務を大幅に地方に移譲し、地方が自由闊達に自己決定、自己責任でよりよい地域づくりを行う地方分権の推進であります。これらの五つの論点をしっかりと議論しながら、具体的に前に進めていくということが必要だと考えております。

 そして、このような課題への取り組みは、社会のさまざまな面での変化を伴う改革なくしては実現しない。私の言う真に必要な改革とはこのことであります。これまでの聞こえのよいばらまきや実現性のない財源論などで、これらの改革を伴う議論から国民の目がそらされてきたことを憂えております。また、復興増税に限らず、消費税の増税が検討されることになると思いますが、その時期や率、関連諸制度の問題など、経済に過度な影響を及ぼさない手法であること、また、成長戦略や社会保障制度改革など、増税に耐えられる基礎体力づくりを踏まえたトータルな視点が必要である、こう考えているところであります。

 今後の政策選択の優先順位についての御質問もありました。

 新たな成長ビジョンというのは、現在日本社会が有しているさまざまな有用な資源を活用しながら、生かしながら、持続可能な経済成長を描いていくことと考えております。そうした持続可能な経済成長を描いていく、その前提となる話ということでもあろうかと思っておりますが、経済や社会システムを維持する上で、原子力発電への一定の依存は急速には転換できないと考えます。原子力発電を順次停止するか否か、将来的な全面的な停止の方向に向けてということだと思いますが、順次停止するか否かについて、原発事故の収束のプロセスや今後の安全対策の再構築などが明らかではない現在の時点では判断できない、こう考えております。当面の代替手段として、天然ガスなどを用いた火力発電などの比率が高くなることは、一定程度仕方のないものだと考えております。その場合、地球温暖化防止の対策についても、日本全体としては従来よりも緩やかな歩みとならざるを得ないのではないか、そのことも覚悟するべきだと考えております。

 私からは以上です。

     〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 震災後のスポーツ施設の利用制限について、春休みの部活動の中止について、教育委員会の判断はという御質問でした。

 3月11日の大地震の以後も大きな余震が続いておりました。教育委員会といたしましては、余震の状況や中学生の部活動時における安全確保の体制、教員の確保等を検討し、的確な判断を行ったと考えてございます。

 次に、区立小・中学校の第2土曜日の授業実施における影響について、部活動の上部大会、また、地域のクラブチームについてのお尋ねがございました。

 部活動の一環として参加する都大会や全国大会は、第2土曜日に重なる場合があるということは認識をしておりました。今までも中学校体育連盟や中学校吹奏楽連盟が主催し、部活動の一環として参加する大会は、授業日に行われる場合も、教育活動に準ずる活動として、学校として参加を承認しておりました。第2土曜日についても同じ扱いをしております。中学校体育連盟のような学校が直接かかわる大会は問題はございませんが、社会教育団体が主催する大会を含め、地域のクラブチームの大会に参加する場合は、具体的な状況を把握している校長が実情に応じて判断をしてございます。

     

経営室長川崎亨登壇〕

○経営室長(川崎亨) 危機管理マニュアルについてお答えをいたします。

 中野区危機管理ガイドラインでは、自然災害だけではなく、武力攻撃、健康被害、行政運営上の事件・事故など、想定される危機の分類ごとに危機管理マニュアルを策定することとしており、これに沿って整備を進めてきているところでございます。しかしながら、このたびの東日本大震災では、従来の想定を超える被害と影響が出ており、停電の長期化であるとか交通機関の復旧の遅れへの対応など新たな課題も明らかになってきました。これらを教訓に、現行のマニュアルを再検証するとともに、不足しているマニュアルを早急に策定しなければならないと認識をしているところでございます。

   

都市基盤部長服部敏信登壇〕

○都市基盤部長(服部敏信) 私からは震災復興マニュアルの作成状況並びに何点かの御質問にお答え申し上げます。

 震災復興マニュアルの作成状況等でございます。東京都が平成21年3月に市町村向けの震災復興標準マニュアルを作成しておりまして、区はこれを踏まえて、現行の職員向け震災復興マニュアルの改定に向け作業を進めているところでございます。今回の東日本大震災の復興対応で見えてきた課題もありますので、これらも検証しながら、さらに作業を進めていきたいと考えてございます。

 また、区民への周知につきましては、区民向けの震災復興に関するパンフレットを昨年3月に作成し、配布したところでございます。今後、震災復興マニュアルを改定した際には、新たに区民啓発用パンフレットを作成し、区民への周知を図ってまいりたい、そう考えてございます。

 次に、復興への取り組みの根拠となるような条例制定はという御質問でございます。

 地域防災計画では復興の基本的手順について触れているのみでございまして、具体的な復興の手順のプロセス等について定めているものではございません。区は今後、震災復興マニュアルを改定する中で、市街地の復興にかかわる手続の条例のようなものが必要かどうか見きわめてまいりたいと考えてございます。

 最後に、区民活動センターの準備状況にかかわりまして、防災体制についての御質問がございました。

 地域センター再編後も、災害時には区の職員が15カ所の区民活動センターに参集し、地域防災体制の拠点となる地域本部を開設して、災害対応を行ってまいります。この地域本部は、当該地域を所管するすこやか福祉センターの職員に当該地域本部を担当する本庁舎の職員を加えて構成するものでございます。地域事務所が設置される予定の5地域、南中野、東部、江古田、野方、鷺宮では、地域事務所の職員も地域本部を構成するものでございます。避難所運営会議の運営などこれまで地域センターが担ってまいりました地域防災の支援につきましても、この新しい地域防災体制の中で地域本部を構成いたします職員が責任を持って行ってまいります。

 以上でございます。

    〔健康福祉部長田中政之登壇〕

○健康福祉部長(田中政之) 私からは震災後のスポーツ施設の利用制限に関する幾つかの御質問にお答えをいたします。

 まず、グラウンドの利用制限の対応についてでございます。

 球技開放は、本来学校教育目的に使用する施設として、区立小学校の校庭を授業等に支障のない日曜日・祝日及び第1・第3・第4土曜日に限り、原則午前9時から午後1時半まで、小学生10名以上の団体に抽選の上、開放しているものでございます。今回の震災対応では、3月12日から使用中止をいたしましたけども、再開につきましては、利用抽選会を経ること、及び直近の土曜日・日曜日は東京都知事選挙の投票所になることから、4月16日からの利用となったものでございます。

 一方、上高田及び哲学堂グラウンドの野球場におきましては、指定管理者が管理するスポーツ施設といたしまして、毎日午前7時から3月の場合は午後5時まで、4月は午後9時まで、一般団体を対象に有料で供しているものでございます。震災対応といたしましては、照明に多くの電力を消費する夜間の使用を中止した上、電力需給状況が比較的安定してきた4月18日以降、夜間利用を再開したものでございます。

 このように、施設本来の設置目的や利用対象者、利用方法、管理体制が異なるため、災害対応につきましては、それぞれの要素を勘案して、全体として判断したため、利用制限や再開のタイミングが異なってきたということで御理解をいただければと思います。

 次に、スポーツ施設の利用可否判断の一元化についてでございます。

 学校教育施設の目的外利用としての球技開放と指定管理者が運営する本格的なスポーツ施設の違いなど、施設本来の設置目的や管理体制、利用対象者、日時等がそれぞれ異なる上、災害時においてはその影響が一律でないこともあり、利用休止及び再開に向けたガイドラインをあらかじめ示すことは難しいと考えてございます。施設の利用の可否につきましては、そのときの状況に応じた最善の対応となるよう区として決定し、迅速な区民周知を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 最後に、屋外スポーツ施設の週1回夜間利用中止についてでございます。

 予約に際しましては、電力の需給状況により利用できない可能性があることをあらかじめお知らせしてきたところでございます。7月分の利用団体に対しましては、施設を管理している指定管理者や区の担当より個別に連絡し、中止の趣旨を丁寧に説明し、御理解いただくよう努めているところでございます。屋外スポーツ施設につきましては、複数の施設が同一日に休止せず、また、同じ曜日に偏らないように調整し、利用中止日を設定することにより、不利益が一部の利用者に集中しないように配慮してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

  〔区民サービス管理部長登弘毅登壇〕

○区民サービス管理部長(登弘毅) 私からは区民活動センターの準備状況のうち、窓口関連の御質問に関してお答えいたします。

 区民活動センターで取り扱わなくなる業務でございますけども、地域センターの区民活動センターへの転換後の区民活動センターでは、証明書発行や行政手続等のいわゆる窓口業務、細かいものを含めますと100業務近くございますけども、暫定的に行う住民票の写しと印鑑登録証明の取り次ぎ交付以外は取り扱わないことになります。今回の地域センターの転換に関する区民の方への周知につきましては、ポスターやチラシによる周知のほか、ホームページへの掲載、区報などさまざまな方法で丁寧に行ってまいりたいと考えております。

 次に、臨時職員の研修や休暇時の対応でございます。

 職員への個人情報等に関する研修は、正規・臨時職員を問わず、事前の業務研修の中でしっかりと行っていくこととしています。また、従事職員の休暇取得などに際しましては、地域事務所や戸籍住民分野全体でカバーするなどの対応を図っていきたいと考えております。また、それぞれの地域や取り扱う時期などによって窓口の業務量に差が出ることも見込まれておりますが、従事職員は、証明書交付の窓口サービス業務に加え、関連する業務なども行う予定であり、効果的な業務の執行に努めていく考えでございます。

 次に、転換当初の窓口での苦情対応でございます。区民活動センターの委託事業者や、また、証明書の取り次ぎ業務を行う職員につきましても、転換当初のさまざまな苦情に対応できるよう、事務引き継ぎや研修を行うようにしていきます。また、苦情や質問が多岐にわたるような場合は、それぞれの内容に応じまして、区民活動センターや地域事務所に配置される職員、あるいは区の該当する所管の職員に引き継ぎ、対応することといたしたいと考えております。

 以上でございます。

     〔政策室長竹内沖司登壇〕

○政策室長(竹内沖司) 「わたしの便利帳」についての御質問にお答えをいたします。

 例年10月からその年度の改訂版を配布しておりますが、今年度は9月から配布できるよう準備を行っているところでございます。区民の皆さんが来庁することを考慮に入れて、担当窓口などわかりやすい内容となるよう工夫したいと考えております。

○議長(大内しんご) 以上で佐伯利昭議員の質問は終わります。

中野区議会議員 石 川 直 行

 1 東日本大震災における被災地向けボランティアの支援体制について

 2 非常災害時救援希望者登録制度について

 3 避難所開設時における「地域本部」のあり方について

 4 避難所の設置基準の見直しについて

 5 「中野まつり」開催に際しての中野区の支援体制について

 6 その他

○議長(大内しんご) 次に、石川直行議員。

      〔石川直行議員登壇〕

○9番(石川直行) 平成23年第2回定例会に当たり、みんなの党の立場から一般質問をさせていただきます。

 まず、3月11日に発生した東日本大震災に際し、被災地、被災された方々及び関係各位に対し、改めてお見舞いを申し上げます。この震災を教訓として、救援・救護活動の担い手である防災会を中心とした地域の支え合いの重要性を再認識いたしました。私は過日、6月9日に東松島市を中心に被災地を訪れ、区議個人として合計1,700枚の土のう袋を寄附させていただきました。今、中野区として何をしなければいけないのか、そして、来るべく災害に対して、自助・共助・公助の連携のあり方を中心に質問をいたします。

 現在、中野区は東日本大震災被災地に職員を送り、継続的な支援を行っております。この支援体制を中野区民に広めるため、例えば体験型ボランティアを募り、被災地へバスで日帰り送迎するなど、ボランティアの啓発活動を行ってはいかがでしょうか。行政報告の中で区長は、社会福祉協議会と協力して支援の充実を約束しておりますが、現在の社会福祉協議会が行っている災害支援ボランティアは3泊4日となっており、体験型とは言えません。ボランティア精神をはぐくむとともに、被災地を五感で感じることは、人生において大変貴重な体験になると考えます。また、災害時の大きな担い手となるのではないでしょうか。御所見をお伺いいたします。

 次に、現在中野区が行っている非常災害時救援希望者登録制度、いわゆる手挙げ方式についてお伺いをいたします。

 申請書には、地域防災会へ配備することを承諾することと記載されております。私の認識では、防災会の構成員は中野区民であり、防災会への配備は、広義的には防災会会員の共有の情報であると考えております。日ごろより各防災会は、軽可搬ポンプ、発電機、消火器点検はもちろん、防災訓練の開催等、自主的活動を行っているところであります。先般、防災会連絡会議が開催され、この手挙げ方式について改めて説明がありましたが、登録者ごとの救援支援者を決め、情報の共有は救援支援者に限るとのことでした。これでは災害時に実効性があるのか疑問を感じざるを得ません。名簿の責任の所在は中野区であるとはっきりと明示した上で、少なくとも防災会役員一同の情報の共有とし、地域防災会はもとより区民に対し、中野区から災害弱者はもちろん、1人たりとも死者を出さないとの強い決意を示していただきたいと切望いたします。

 次に、私の母校でもある谷戸小学校では、現在耐震工事が行われております。この耐震工事期間中に避難所開設をした場合、避難者規模によっては他の避難所へ振り分けをする旨、関係する各地域防災会へ説明をしていただきました。

 さて、この避難所開設時における手続として、各地域センターが地域本部となり、地域本部に連絡することとなっております。7月から地域センターが区民活動センターへ衣がえをいたしますが、区の職員はおおむね2名センターに恒常的に常駐すると聞いております。区民活動センターへ移行した後も、引き続き地域本部はセンターであり、センター職員がその任に当たると理解しておりますが、いかがでしょうか。

 また、避難所の実際の収容可能人数と、避難所が割り当てている避難予定者数に大きな差異が生じております。昭和地区を例に挙げますと、桃園第二小学校と明治大学附属中野中・高等学校は距離にして300メートルしか離れておりません。明中の収容人数は9,100名に対し、桃二小が3,500名。一方、割り当てている防災会は、明中が二つの防災会で2,410世帯、対する桃二小は三つの防災会で4,005世帯となっております。計算上、明中は1人当たり2.5人分のスペースがある一方、桃二小は1人当たり0.6人分のスペースしかありません。

 中野区地域防災計画では、地域人口を考慮し避難所を設置するとなっており、避難所の1人当たりのスペースは1.65平米となっております。最低でも東京都や中野区が設けているスペースを確保できるよう、また、教育上の観点はもちろん、安全・安心なまちづくりを進めるため、桃二小周辺及び隣接の昭和地域センターの建てかえ等、環境配備に御配慮いただけるようお願いを申し上げます。

 さらに、東部地域の防災会では、学区域である避難所を通り越して、別の離れた避難所が指定されている例もあり、実際の災害時に、防災会役員は別としても、区民が冷静な判断のもと、指定避難所へ避難できるとは思えません。これらの事例は一例にすぎないと思いますので、各避難所の収容可能人数と予定避難者のデータを作成し、各避難所運営管理マニュアルに追加していただくことを希望いたします。

 さらに、各避難所備蓄物資の備蓄数量は中野区避難所一律であります。一見公平に見えますが、避難予定者数に違いがあるのであれば、それに見合った備蓄数量などの検討も必要ではないでしょうか。従前の中野区の説明では、区備蓄倉庫から補充するとのことですが、初期活動として、避難者への備蓄配布がスピーディーに行われないことは明白であります。

 これらの問題は、あす起こるかもしれない震災に対し喫緊の課題であるとともに、各地域、各防災会同士の信頼感や地域性もあり、長期的な視点に立った計画が必要です。大変難しい問題ではありますが、履き違えた政治主導ではなく、地に足のついたリーダーシップを発揮し、全方位の観点から安全・安心なまちづくりに取り組んでいただきたいと考えております。

 平成20年1月28日に、昭和地区町会連絡協議会9町会の要望として、災害時の避難所開設における救援・救護活動をスムーズに行うため、避難所運営本部長及び施設管理者、各担当部長の腕章を作製してほしい旨、要望書を提出させていただきました。この要望書に基づき、各腕章を中野区50カ所の避難所に設置していただき、ありがとうございました。また、中野一丁目町会防火部の要請を受け、消火器の増設を決定され、設置の準備をしていると承知をしております。今、まさに地域自立の息吹が芽生え始めております。この自助・共助の流れを酌み取り、各地域防災会及び町会・自治会並びにNPO団体等、現場の意見を取り上げ、公助に反映していただきますようお願いを申し上げます。

 最後に、中野まつりについてお伺いをいたします。

 過日6月13日、区役所にて中野まつり実行委員会臨時総会が開催され、本年度第36回中野まつりの開催が決定されました。中野駅前広場が使えないなど、規模を縮小しての開催になることは承知しております。本年度における区の支援体制をお聞かせください。

 また、今まで理事の1人は区民生活部長、事務局次長のうち1人は区民生活部の統括管理者がその任に当たってきましたが、組織変更に伴い、引き継ぎの担当部署をお聞かせください。

 結びとして、ある大学の入学式において創立者は「創造的人間たれ」と呼びかけ、「知恵の人」「勇気の人」「慈悲の人」とうたっております。当議会においても、寛容の精神で私たち新人議員を育てていただけると確信をしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 石川議員の御質問にお答えいたします。

 区主催の日帰りボランティアについてという御質問がありました。

 区のボランティア派遣支援は、社会福祉協議会を通じて行っているところであります。現在は協議会がバスを用意して、1組10人、3泊4日ということで募集を行っております。今後ともこの派遣時期や規模などについて、さまざまな形で充実を図っていく考えであります。

 体験の日帰りボランティアということでありました。中野区の社会福祉協議会に集まられるボランティアの方の人数などのことから、体験的な日帰りといった御要望については、直接はおこたえができておりません。ただ、社会福祉協議会では、御相談に応じてそういったことが可能なところに適宜御案内をしているという状況であります。

 それから、非常災害時救援希望者登録制度についてであります。防災会役員までは名簿を共有するべきではないかと、こういうことでありました。

 この制度は、災害発生時の自力で避難することが困難な高齢者や障害者など、あらかじめ希望して登録された方を、地域の方が中心となって安否確認や避難の支援などに当たっていただく制度であります。その方のどういった支援が必要なのかというニーズをきちんと把握していただき、十分な体制をとっていただくということを御期待しているところであります。したがいまして、必要な範囲で名簿についても共有していただきたいと、このように考えております。

 それから、地域本部のあり方という御質問もありました。

 地域センター再編後も災害時には区の職員が15カ所の区民活動センターに参集をして、地域防災体制の拠点となる地域本部を開設して災害対応を行います。地域本部は避難所の開設状況や活動状況を把握し、避難所の職員に指示や連絡を行うこととなっております。地域本部は、当該地域を所管するすこやか福祉センターの職員に当該地域本部を担当する本庁舎の職員を加えて構成をいたします。地域事務所が設置される5地域では、地域事務所の職員も地域本部を構成いたします。

 それから、中野まつりへの区の支援体制についての御質問でありました。

 中野まつりにつきましては、広範な区民の交流と連帯の場という開催趣旨にかんがみ、中野区も共催という立場で参画をしてきておりました。現在、中野駅北口整備に本格着手した現段階で、区役所の周辺に全体のシンボルとなる会場を確保できず、まつりの開催は困難となっております。そうした理由から、本年度の中野まつりは休止すべきものと区は判断をいたしました。このことについてぜひ御理解を賜りたい、このように思っております。したがいまして、区として現在、まつりの開催のための体制はしいてはおりませんが、事務所管という意味では、地域支えあい推進室が担当しているということであります。

 私からは以上です。

    〔都市基盤部長服部敏信登壇〕

○都市基盤部長(服部敏信) 私から避難所の指定及び備蓄物資にかかわります備蓄の方法についての御質問にお答え申し上げます。

 まず、避難所の指定でございます。

 地域防災会を単位として指定しているため、避難所ごとに人数のばらつきは確かにございますけども、避難所の収容能力等を考慮して指定してございます。今すぐに指定の見直しを行うことは考えてございません。なお、ある地域が大きな被害を受けるなどして、指定の避難所で被災者を収容し切れない場合、そういった想定があった場合には、近隣の避難者の少ない地域の避難所に収容することで対応していきたいと考えております。

 次に、備蓄物資の備蓄の方法でございます。

 区では避難所を開設後、直ちに備蓄物資を配布できるように、原則として各避難所に備蓄物資を分散備蓄してございます。御指摘のとおり、地域の被害の状況によりまして、避難所ごとに収容者の数が異なることを想定されてございますが、実際の災害発生時におけます収容者の数を事前に予測することはなかなか難しいことから、備蓄倉庫の広さも基本的に各避難所等同じでございますことから、備蓄数につきましては、現在、各避難所とも均等の数としてございます。避難所ごとの調整が必要となった場合には、区の災害対策本部の指示によりまして、輸送を担当する職員ができるだけ速やかに備蓄物資を輸送することとなっておりますが、今後、収容想定者数を考慮した備蓄物資の配分を行うことを検討していきたいと考えてございます。

 以上でございます。

○議長(大内しんご) 以上で石川直行議員の質問は終わります。

中野区議会議員 伊 東 しんじ

 1 中野区地域防災計画の見直しの必要性について

 2 区の業務継続性の確保について

 3 復興に関する事前の備えについて

 4 その他

○議長(大内しんご) 次に、伊東しんじ議員。

     〔伊東しんじ議員登壇〕

○21番(伊東しんじ) 平成23年第2回定例会に当たりまして、自由民主党の立場で質問させていただきます。

 質問項目は、1、中野区地域防災計画の見直しの必要性について、2、区の業務継続性の確保について、3、復興に関する事前の備えについて。その他はございません。

 質問に先立ち、このたびの東日本大震災により亡くなられた方の御冥福をお祈りし、被災された多くの方々にお見舞い申し上げます。すべての人が被災地復興へできる限りのことを行い、力強い日本の足どりを取り戻すため、力を合わせていかなければなりません。同時に、私たちはこの震災から多くを学び、減災のための備えを固め、災害からのいち早い復興に今できることを考え、取り組まなければなりません。

 さて、我が自由民主党議員団はこのたび、中野区が被災自治体支援に職員を送っている宮城県東松島市、岩沼市、亘理町などへ視察・支援に行ってまいりました。このうち東松島市は、市域約1万ヘクタール、人口4万1,415名、世帯数1万4,673世帯といった一般的な市でした。この東松島市が津波により市域の3分の1が浸水し、死者1,038名、行方不明者149名、住宅の全半壊6,296戸と大きく被災されました。発災当初、89カ所の避難所に市民の4割に近い1万5,000人ほどが避難を余儀なくされ、人口の3%が死亡あるいは行方不明となり、家屋に至っては43%が全半壊となったわけです。これほどの大きな被害の中、被災者支援や復興作業を300名の職員で行うことは極めて困難で、中野区をはじめ全国各地の自治体から支援の職員が現地入りし、現在も支援を続けています。

 この視察で感じたことは、区の地域防災計画の被災想定が現状のままでいいのか、実際の被害が想定をしのぐことがあり得ないか、また、自治体はいかに平時からの備えを尽くし、発災後の被災者支援、通常業務との両立をいかに円滑に行うべきか、さらに、自治体は被災想定に基づく復興の備えを平時から行うべきといった点を感じました。

 こうした考えに基づき、最初に、中野区地域防災計画の見直しの必要性についてお伺いいたします。

 1点は、地域防災計画の被災想定が現行のままでよいのかです。

 中野区の地域防災計画では、マグニチュード7.3の首都直下地震が発生し、区における震度は6弱、全壊棟数1,855棟、焼損棟数2万113棟、死者291名、負傷者4,202名、1日後の避難発生者数16万4,086名と想定しています。この数値はあくまでも東京湾北部を震源に想定したもので、都心西部地震では中野区の震度は6強が予想されており、さらに、今回の巨大地震の影響で、立川断層帯での地震発生確率が高まった可能性があるとの指摘もあります。一方で、区内では、建物の更新や耐震補強などにより、建物の不燃化・耐震化が進んでいることも確かですが、逆に、敷地の細分化により建て詰まりも進んでいます。

 こうした諸条件を加味・分析し、被災想定を再検討した上で、地域防災計画を見直すべきと考えます。御答弁をお願いいたします。

 また、中野区地域防災計画の見直しの必要性について別の視点から質問いたします。

 私はかねがね、震災時の避難所における避難者支援、在宅被災者、とりわけ災害時要援護者の救援・支援についてもっと踏み込んだ対策の必要性を感じ、今回の震災でなおさらその感を強くいたしました。このことについて地域防災計画では、避難所を地域の救援・救護活動の拠点と位置付け、その運営を区、施設管理者、地域防災会が避難所運営本部を組織し、運営に当たるとしています。また、その役割を避難所・避難所外の被災者への物資の配布、給水・給食等避難者の救援活動、医療救護所の開設及び運営補助、介護が必要な避難者のケア、住民の安否確認等の情報の収集及び提供、避難者の把握・登録及び所管地域センターへの報告と定めています。

 しかし、区の職員は他の業務に忙殺され、十分に手が回らず、被災者みずからこうした役割に取り組まなければなりません。混乱する現場で避難所の避難者支援、災害時要援護者の救援・支援を行うために、作業の軽減と情報整理の方策や支援体制の強化策を講じ、役割の実施手順を明確化すべきです。その一つとして、避難者情報等の収集・伝達の円滑化を図るべきで、現在の地域防災計画では十分とは言えていません。後の区の業務継続性の項にも関連しますが、災害時、正確かつ迅速な情報の収集・伝達は、被害の最小化、被災者への的確な支援、復興計画につながり、極めて重要となります。

 このたび中野区では、証明書のコンビニ交付に備え、住基カードの無償交付を始めますが、その際、同時に被災者情報システムを導入し、避難者情報の収集の円滑化を図るため、避難所である学校のパソコンを入力端末に、既存のLANを通信手段に活用するなどの具体的方策の策定と訓練を実施されてはいかがでしょうか、御答弁をお願いいたします。

 続いて、危険、不便さを押してでも自宅にとどまらざるを得ない災害時要援護者の救援制度の充実について伺います。

 地域防災計画に同制度について記載されていますが、当時と現在では区の組織も変わり、今年より地域支えあいネットワークが全区展開され、日常の見守り支援の拡充が目指されています。災害時においてもこうした組織・制度の変更に伴う見直しが必要となります。区の御見解をお聞きいたします。

 さらに、今回の震災においても、ペットの避難について議論がありました。区では地域防災訓練において、ペットの同行避難訓練を実施した地域があると聞きますが、肝心の避難所でのペットの収容は認められておらず、根本的な解決策も示されていません。こうした点についても、地域防災計画の見直しが求められます。区の御見解をお示しください。

 続いて、区の業務継続性の確保、いわゆるBCPについてお伺いいたします。

 自治体にとって、住民情報は自治事務のかなめであり、システム運用においては、災害や停電からこれらの重要なデータを保護すること、万が一の際にはバックアップからデータを素早く確実に復旧できる体制をとっておくことが重要です。

 今回の原発事故に見られるように、予備を含むすべての電源喪失が、安全を大前提とした原子炉の機能を麻痺させるだけではなく、原子炉自体の崩壊を招く結果となりました。また、今回の震災では多くの自治体が津波により住民情報を喪失し、被災者支援に支障を来す事態が生じています。災害時、区においては、全電源喪失による住民情報系システム、行政情報系システム、通信手段への影響が懸念されます。区のBCPにおいても、情報システムの維持・早期復旧を目指し、無停電電源装置やデータバックアップなどの対策を講じているようですが、念には念を入れた対策が不可欠かと考えます。

 そこでお尋ねいたします。ハードウエアの耐震性、無停電対策、データバックアップと復元といったシステムの維持対策の現状と、さらなる安全策の必要性についてお伺いいたします。

 また、情報システムを十分に活用するためには通信手段の確保が重要であり、その中核をなすLANや防災行政無線、インターネットなど、通信手段の確保に向けた具体的対策について現状をお聞かせください。

 続いて、携帯電話のメール機能を活用し、地震発生直後の職員の安否・所在確認、参集の可否、周辺状況の情報収集を行う緊急一斉情報伝達・収集システムについてお伺いいたします。

 今回の震災でも固定電話はつながらず、携帯電話もつながりにくい状態が数時間続き、メールの送受信もタイムラグが生じ、街角の公衆電話ボックスでは長蛇の列が発生しました。利便性・機動性が高く、比較的災害時の安全性も高いとされてきた携帯電話も、音声通信の過大な負荷によるシステムダウンやシステム保護のための通信規制、基地局の無停電対策の限界による機能停止などの弱点が存在します。無論、携帯電話会社もこうした弱点克服に大ゾーン方式の基地局設置や基地局のエンジンによる無停電化やバッテリーの24時間化、衛星回線を利用した移動中継局の増設、音声のパケット化などの対策を講じようとしていますが、すべての課題が克服されるわけではありません。

 こうした状況下、今回の震災でも安否確認メールが自動配信されましたが、発災から1時間半を経過していました。こうしたタイムラグを解消するため、緊急一斉情報伝達・収集システムの状態選択画面の携帯電話機ブックマークへの登録を関係者に奨励し、発災後、速やかに自発的に登録を行うよう提案いたします。御答弁をお願いいたします。

 続いて、通信を補完する手段についてお伺いいたします。

 今回の震災発災当日、インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」が安否確認などに多く活用され、さらに、震災から約1週間は、地震や津波による被害状況や安否情報、計画停電など震災関連の利用が七、八割に達したと聞きます。こうしたツイッターや、さらにはIP電話などのインターネットを活用した情報伝達手段を携帯電話の弱点を補完する手段として検討されるべきではないでしょうか、御答弁をお願いいたします。

 続いて、復興に関する事前の備えについてお伺いいたします。

 復興に当たっては、被災状況に応じて復興への道筋を極力早く示すことが肝要なことが今回の震災でも指摘されています。その復興の第一歩であり、被災者支援の要ともなる仮設住宅についてお伺いいたします。

 今回の震災においては、あまりにも広範囲に浸水が及ぶとともに、多くの平坦な土地をのみ込んでしまい、仮設住宅の候補地選定に被災自治体職員の方々が大変苦労されたようです。それでなくても応急対策業務、通常業務に追われる職員の方々に大きな荷が負わされました。

 中野区では東日本の被災地と違い、一定の面積を持つまとまった土地が限られ、建設予定地確保に困難が伴います。あらかじめ区有地を仮設住宅建設地と定め、仮設住宅計画を策定しておくことの重要さを再認識しました。その際、従来の2階建てを改め、3階建ての検討を進めるべきと考えます。

 建築家の坂茂氏は、コンテナを互い違いに重ねて、コンテナ部分を寝室に、すき間の部分を居住空間にとの提案をしています。このワンセットで面積は平均的な仮設住宅と同じ約30平方メートルになり、強度的にも3階建てまで可能だそうです。

 地域防災計画では区内17カ所の公園などを予定地に定め、災害救助法適用後、都が社団法人東京建設業協会及び社団法人プレハブ建築協会があっせんする建設業者に建設工事を発注して行うこととしていますが、この17カ所の予定地に2階建て仮設住宅を建設しても、恐らく2,000戸に届かず、また、区内の公共住宅の空き室を加えても、被災想定から類推する需要に大幅に届かないと考えます。

 そこでお尋ねいたします。現時点で想定される応急住宅の需要数と仮設住宅の建設並びに区内公共住宅の提供等による応急住宅供給数を提示願います。

 確実に生じる供給不足を少しでも補うために、新たに取得した区有地や機能転換した旧学校施設の土地を建設予定地に定めたり、東京都と協議し、3階建て仮設住宅の計画を進めたりしてはいかがでしょうか、御答弁をお願いいたします。

 最後に、防災まちづくりについて伺います。

 阪神・淡路大震災の折、至るところで発生した火災の消火を住民の連携で行った地域、事前のまちづくりの議論が震災後の早期復旧につながった話がいまだに私の記憶に残っております。一方で、中野区には火災危険度の高い地域が散見され、その改善に向けた取り組みもかなりの温度差を感じられます。今回の震災で地域のきずなの重要性が再認識される中、中野区で防災まちづくりに向けた地域住民が協議・実践していくことが地域のきずなを高め、防災力の向上、震災後の早期復興につながると考えます。

 区では、中野区地域まちづくり条例が制定されました。この条例に基づき、地域の防災まちづくりに対する支援の具体化が求められます。また、議論の始まっていない地域に対する問題提起などの取り組みも必要と考えます。区の御見解をお聞きいたしまして、私のすべての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 伊東議員の御質問にお答えをいたします。

 地域防災計画の見直しについてであります。

 今回の巨大地震の発生を受けまして、防災計画におけます被害想定が国や都をはじめさまざまな場面で論じられているところであります。区としても、この被害想定の見直しということを視野に入れていかなければならない、このように考えております。

 国や都の想定の見直しといったようなことが現実的に防災計画見直しの指針として示されるのは、相当後になってからだというふうに思われますので、区としてはその指針を待つまでもなく、区としての一定の想定を行いながら、災害対策を見直しながら、同時に、国や都の検討の内容を注視していきたいと、このように考えております。

 それから、避難者情報システムの導入と住基カードの活用についてということであります。

 被災者情報収集への住基カードの活用ということについては、住基カードを多目的活用していくという可能性の一つとして認識をしているところであります。また、避難所運営における避難者の名簿や情報管理については、現在は手書きによる管理しか考えられていないというところですが、適切に避難者に対して、また被災者に対して支援を行ったり、さまざまな御相談を受けたりといったような場面では、やはりこの避難者の情報システムを導入するということが重要だというふうな認識に立っております。その際には、LANの活用などについても十分に視野に入れていかなければならないと、こう考えているところであります。

 それから、災害時要援護者の支援対策についてであります。

 この災害時要援護者については、現在は地域防災会が中心となって実施をしていただいております。しかしながら、この制度でカバーされている要援護者の数というのは、実数に比べればやはりまだ少ないものと認識を持っております。今後、区として、地域における要支援者の実態把握に努めるとともに、支え合い活動を担う町会・自治会等と連携をしながら、災害時の対応についてもきめ細かく対応していきたいと、こう考えております。そうした支え合いと災害時の支援が円滑に結びつくことによって、条例で定めた要支援者の情報提供の仕組み、これも有効に活用できるようになると、こう考えております。

 ペットの同行避難についてですが、これは広く区民の理解を得た上で行う必要があると考えております。現在、東京都獣医師会中野支部とも協議を行いながら、総合防災訓練で犬の同行避難訓練を行うとともに、パンフレットを配布するなどして区民の御理解を深めるよう努力をしているところであります。今後、こうした総合防災訓練での結果の検証等を行いながら、ペット同行避難についてのルールづくり、これと区民合意の形成を進めていきたいと、こう考えております。

 それから、情報システムのBCPについてであります。

 現在、区の保有する情報システムにつきましては、月1回、定期的にバックアップデータを遠隔地に保管しております。この保管倉庫は、首都直下型による東京の被害想定報告書で想定される予想震度に耐える強度を有することというふうに仕様で定めているところであります。住民情報システム及び庁内情報ネットワークシステムのサーバーには免震装置が設置されておりまして、震度6強の地震に耐えるよう、対策を施してあります。今回の東日本大震災におきましても、免震装置が作動して、システムの停止はありませんでした。

 区の保有する主要なシステムについては、導入時に無停電電源装置を設置しておりまして、急な停電に備えてシステムを安全にシャットダウンすることができるようになっております。また、無停電電源装置を有していなかったサーバー等につきましても、今回の補正予算で導入を図ることとしております。

 今回の震災を踏まえて、免震装置のあるサーバー室への区のサーバーの集約を行っていきますとともに、データの遠隔地保管の仕様等につきましても見直しを行い、情報システムの業務継続を図ってまいります。

 それから、通信手段の確保であります。

 今回の震災では、区の業務を継続していくために主要な情報システムの稼働確保とともに、通信手段の確保が大きな課題であることを強く認識いたしました。インターネットを通じた主要な情報通信手段の業務継続性の確保について早急に検討を行ってまいりたい、こう考えております。

 また、移動系の防災行政無線につきましても、デジタル化によって音声のほかにファクス通信等が可能となっております。震災時には活用を図っていきたいと、こう思っております。

 それから、安否確認メールに関しまして、携帯電話のブックマークに速やかに状態登録を行うことを職員に徹底するべきだという御質問でありますけれども、現在の安否確認メールの情報登録の仕組みは、職員側からの接続に対応できない仕組みになっているところであります。今回の震災の教訓を踏まえ、システムの改善について検討してまいります。

 それから、ツイッター、IP電話などについてであります。

 今回、ネット系での情報交換が有効だったということについて承知をしております。そのネット活用の手段といたしまして、ツイッターでありますとかIP電話の活用などについても検討してまいります。

 それから、応急仮設住宅の需要に関連する質問であります。

 現在の計画では、応急仮設住宅については、区が用地を提供し、都が建設を行うことになっております。被害想定によりますと、中野区の全壊棟数は1,855棟、焼失棟数は2万113棟となっております。しかしながら、東京都が実際に区内に建設する棟数については明らかになっておりません。東京都といたしましても、複数の区でどのような範囲で被災するかといったような状況に適時適切に対応していくといったようなことから、必ずしも中野区には何棟というふうな固定的な計画にはなっていないというふうに理解をしているところです。

 区内の公共住宅ですが、区営のものが750戸ありますが、入居率はほぼ100%に近い状態です。都営住宅、公社住宅等の公的住宅については4,200戸ありますけれども、空き室の数については常時変動しておりまして、計画上供給可能な数というのを推測することがなかなか難しいのが現状です。

 こうしたことを踏まえながら、御提案のありました3階建ての活用といったようなことについても検討して、できるだけ中野区内に仮設応急住宅を確保していくという方策を考えていくことが必要であるかというふうに考えております。

 また、一方、今回の震災でも既に行われております民間賃貸住宅の空き家、これの借り上げというようなことも始まっております。こういった制度についても選択肢として検討していく必要があるかと、このように考えております。

 私からは以上です。

    〔都市基盤部長服部敏信登壇〕

○都市基盤部長(服部敏信) 私からは、まちづくり条例に基づきます防災まちづくりにつきまして御質問にお答え申し上げます。

 災害に対する安全性に課題を有する密集市街地を多く抱えます当中野区におきましては、防災まちづくりの推進が極めて重要であると認識してございます。その観点から、このたび制定いたしました地区まちづくり条例は、その防災まちづくりにも十分活用できるものと考えてございます。災害に強いまちづくりの構想、地区計画の案など、まちづくりのルールや事業を検討しようとする地域に対しまして、防災やまちづくりに関する情報提供、職員あるいは専門家による人的な支援など、さまざまな形で今後とも支援を行っていきたいと考えてございます。

 以上でございます。

     〔伊東しんじ議員登壇〕

○21番(伊東しんじ) 再質問させていただきます。

 1点御答弁漏れがございましたようで、その点について伺いたいと思います。

 仮設住宅建設予定地の確保、選定なんですけれど、私、新たに取得した区有地、あるいは機能の転用によりまして学校でなくなった旧学校のグラウンドといいますか、校庭ですね。そうしたものを予定地に加えて、今ある17カ所の公園等を中心にしているものではなく、さらに建設予定地を確保していく方策を求めたんですけれど、ちょっと御答弁がなかったように記憶しております。その点について改めて御答弁を求めます。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。失念いたしまして失礼いたしました。

 新たに取得した区有地や機能転換した学校施設の土地ということでありますけれども、それらの土地のうち、利用目的が明確で利用時期が近接しているもの、そうしたものを予定地というふうに定めるということは難しいだろうと考えております。しかしながら、実際に起きてしまった場合の候補地としては柔軟に考えていかなければならないと、このように考えておりますので、実際に起きてしまった場合の対応としては、さまざまな土地、可能なあらゆる土地を候補として念頭に置いて対応していくという考え方であります。

○議長(大内しんご) 以上で伊東しんじ議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(大内しんご) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

      午後5時24分延会