平成24年09月21日中野区議会本会議(第3回定例会)
平成24年09月21日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録
24.09.21 中野区議会第3回定例会(第2号)

.平成24年(2012年)9月21日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(42名)

  1番  若  林  しげお         2番  高  橋  かずちか

  3番  木  村  広  一        4番  甲  田  ゆり子

  5番  小  林  ぜんいち        6番  中  村  延  子

  7番  石  坂  わたる         8番  後  藤  英  之

  9番  石  川  直  行        10番  内  川  和  久

 11番  ひぐち   和  正        12番  いでい   良  輔

 13番  白  井  ひでふみ        14番  平  山  英  明

 15番  南     かつひこ        16番  森     たかゆき

 17番  いながき  じゅん子        18番  林     まさみ

 19番  小宮山   たかし         20番  浦  野  さとみ

 21番  伊  東  しんじ         22番  佐  野  れいじ

 23番  北  原  ともあき        24番  吉  原     

 25番  小  林  秀  明        26番  久  保  り  か

 27番  酒  井  たくや         28番  奥  田  けんじ

 29番  近  藤  さえ子         30番  金  子     洋

 31番  長  沢  和  彦        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信        34番  高  橋  ちあき

 35番  市  川  みのる         36番  篠     国  昭

 37番  やながわ  妙  子        38番  佐  伯  利  昭

 39番  むとう   有  子        40番  か  せ  次  郎

 41番  来  住  和  行        42番  岩  永  しほ子

 

.欠席議員(0名)

 

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  金 野   晃

 副  区  長  阪 井 清 志      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  竹 内 沖 司       経 営 室 長  川 崎   亨

 都市政策推進室長 長 田 久 雄      地域支えあい推進室長 瀬 田 敏 幸

 区民サービス管理部長 登   弘 毅    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 髙 橋 信 一

 健康福祉部長   田 中 政 之      保 健 所 長  山 川 博 之

 環 境 部 長  小松谷 弘 市      都市基盤部長   尾 﨑   孝

 政策室副参事(企画担当) 野 村 建 樹  経営室副参事(経営担当) 戸 辺   眞

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  篠 原 文 彦      事務局次長    青 山 敬一郎

 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  関 村 英 希

 書     記  河 村 孝 雄      書     記  東   利司雄

 書     記  丸 尾 明 美      書     記  土 屋 佳代子

 書     記  細 川 道 明      書     記  江 口 誠 人

 書     記  鈴 木   均      書     記  永 見 英 光

 書     記  竹 内 賢 三      書     記  香 月 俊 介

 

 議事日程(平成24年(2012年)9月21日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 平成23年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

      午後1時00分開議

○議長(大内しんご) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 森   たかゆき

 1 財政状況改善にむけた取り組みについて

  (1)債権管理について

  (2)入札における競り下げ方式の導入について

  (3)その他

 2 自殺対策について

  (1)新しい自殺総合対策大綱について

  (2)その他

 3 その他

 

○議長(大内しんご) 最初に、森たかゆき議員。

     〔森たかゆき議員登壇〕

○16番(森たかゆき) 平成24年第3回定例会におきまして、民主党の立場から一般質問をいたします。質問は通告のとおりです。よろしくお願いいたします。

 まずは1、財政状況改善に向けた取り組みについての(1)債権管理についてお伺いをいたします。

 区長は昨年12月、今年度当初予算の編成に際し、中野区の財政状況を非常事態であるとの認識に立ち、区の事業全体の見直しを行いました。それに先立って公表された見直し方針では、税・国保等の収納率の向上を早急に図らなければならないという問題意識が示されました。収納率の向上については、我が会派もこれまでさまざまな機会を通じて取り上げてきており、例えば財産調査の徹底と納税意思のない者に対して、差し押さえの執行を基本とすることなどを提案してまいりました。また、他の同僚議員からもさまざまな議論・提案がされてきており、区としても力を入れて取り組んできていただいているところだと思います。

 しかしながら、今回示された平成23年度決算における収納率を見てみますと、例えば特別区民税では87.8%と5年連続の減少となっており、国保については67.9%と前年に比べて2.0ポイント上回ったものの、まだまだ改善の余地がある状況であります。財政状況の改善のためにも、またまじめに税や保険料を払っている区民に不平等感を持たれないためにも、収納率の向上は重要です。

 そこでまずお伺いをいたします。

 税や保険料、さらには私債権も含めた債権徴収全体について、平成23年度の結果を区はどのように総括されていますでしょうか、お伺いをいたします。

 続いて、滞納整理支援システムに関連してお伺いをいたします。

 平成22年12月から特別区民税の分野では滞納整理支援システムが稼働し始めました。平成23年度はこのシステムが1年を通して稼働した初めての年度でありました。しかし、先ほども述べたとおり、平成23年度決算においても、特別区民税の収納率の減少傾向には、残念ながら変化はありませんでした。滞納整理支援システムを導入することの意義は、直接の収納率の向上にあるということよりも、着実な進行管理を行いつつ、職員の事務負担を軽減し、作業の効率化を図るところにあるといった議論も、導入検討の時点からなされてきたところです。

 そこでお伺いをいたします。

 導入から1年半以上が経過した滞納整理支援システムについて、区はその効果をどのようにとらえているのでしょうか、お聞かせください。

 また、国民健康保険料の滞納整理支援システムについては、以前の私の一般質問に対して、住民情報系システムを含めた全体最適化を図る中で導入を検討したいといった答弁もございましたが、現在のところの検討状況はどのようになっているのでしょうか、あわせてお答えください。

 我が会派としては、中野区の債権管理については組織編成のあり方にも課題があるのではないかと考えております。現在の組織では、実際に日々の徴収管理の実務を行っている部署は区民サービス管理部にある一方、私債権を含めた全体の調整は、経営室の債権管理担当が行っています。また、その債権管理担当は、他の担当と兼務となっております。税務分野や保険医療分野、それぞれに徴収の担当職員がいて、債権管理対策会議などの場で情報共有は行っているとのことですが、現在の体制は、現場の状況の日常的な把握などの点で十分ではないように見受けられます。

 複数の債務を滞納している重複滞納者への対応、徴収ノウハウの共有といった観点から、債権管理に特化した専門的な部署をつくり、日常的に徴収に取り組むべきではないでしょうか。職員2,000人体制に向かっていく中ではありますが、収入未済額が80億円に迫ろうとしている状況から考えても、専門部署をつくって取り組むべき問題であると思われます。

 まずは、歳入の基幹となる特別区民税、国民健康保険料、介護保険料の徴収を一元的に担う専門的な部署の設置から始めるべきであると考えますがいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。

 次に(2)入札における競り下げ方式の導入についてお伺いをいたします。

 財政状況を少しでも改善するには、収納率の向上などによって歳入を確保するとともに、一層の経費削減も必要です。国においては行政刷新会議のもとに設置された公共サービス改革分科会において、国民に必要な公共サービスをより効率的、効果的に提供することを目的として、幅広い議論、検討が政権交代直後から行われてまいりました。その結果は、公共サービス改革プログラムという提言としてまとめられています。そして、その提言の中で試行が提言され、平成23年度に実際に行われたのが競り下げという調達手法の導入です。競り下げとは、競争参加者が定められた期間内にその時点での最安値を見ながら、システム上で価格提案を何度も繰り返すことのできる物品等の調達手法です。リバースオークションなどとも呼ばれ、従来の一度きりの入札で価格を決める手法に比べて、価格が下がりやすいと言われております。民間企業においては、平成7年ごろから取り入れ始められたとのことで、公共機関においては平成17年にUR都市機構が導入をして以降、国立大学や郵便事業においても取り入れられております。

 前述の公共サービス改革プログラムの中では、中小企業等への配慮をしつつ、試行することが提言され、平成23年度には封筒やコピー用紙、複写機用トナーカートリッジなどの物品を対象とした試行が各省庁で行われました。その結果を見ると、効果の出やすいもの、そうでないものの差もあるようですが、全体としてはかなりの削減効果が出てきています。今年度に入ってからは、神奈川県でも試行が行われていますが、まだ先行事例も少なく、また仮に中野区で導入するとなれば、東京電子自治体共同運営サービスとの関係の整理や、システム業者の選定などの課題もあるかと思います。しかし、国における試行の結果や民間企業での導入の事例を見ると、競り下げは、使い方によっては物品調達の価格を大幅に下げられる可能性があります。まずは競り下げになじみやすいと言われている物品の購入から導入を検討してみてはいかがでしょうか、区の見解をお伺いいたします。

 続いて2 自殺対策についてお伺いをいたします。

 私は、2年前の平成22年第3回定例会で行った初めての一般質問から、この問題を継続して取り上げてまいりましたが、今回は主に本年8月28日に閣議決定された新しい自殺総合対策大綱に関連して質問させていただきます。

 今回新しく改定された自殺総合対策大綱には、基本的な考え方から関係機関の役割分担、当面の重点施策などさまざまな内容が含まれていますが、その中でも私たちがとりわけ注目するべきなのが、自殺総合対策の現状と課題として、地域レベルの実践的な取り組みを中心とする自殺対策への転換がうたわれている点です。地方公共団体は、地域の状況に応じた施策を制定し、実施する責務を有するとされています。区はこれまでも地域での自殺対策の重要性を認識して問題に取り組んできていただいているところと認識していますが、基礎自治体が自殺対策を行うことの意義について、区はどうとらえているのか、この機会にあらためてお聞かせください。

 次に、自殺対策の数値目標についてお伺いをいたします。

 大綱では、平成28年までに平成17年の自殺死亡率を20%以上減少させることを目標としております。この目標は、見直し前と変わらないものではありますが、これまで明確に確認がされたことがないようですので、確認をさせていただきます。区の自殺対策の最終的な目標は、この数値目標を踏襲すると考えてよろしいでしょうか、見解をお聞かせください。

 大綱では、自殺はその多くが追い込まれた末の死であり、防ぐことができる社会的な問題であるという基本的な認識が掲げられております。この点も、見直し前の大綱から一貫したものではありますが、しかし自殺は個人の心が弱いから起こるのだといった誤解もいまだ根強く残っています。また、追い込まれた状態にある人においても、精神科医療機関の受診や相談機関の利用に心理的な抵抗があり、適切な支援とつながるきっかけを得られない、またはつながるタイミングがおくれてしまうといった問題も生じています。こうした誤解や偏見は、追い込まれている人を孤立させてしまったり、自死遺族の自責の念を強めてしまったりすることにつながり、自殺対策を進めるに当たって、大きな障害となります。

 私は、今月15日に開催された日本自殺予防学会総会に参加してまいりましたが、その総会の中でも、多くの専門家がこの誤解・偏見の克服を課題として挙げておりました。その中でもとりわけ印象に残ったのが、みずからも自死遺族であり、学校現場で自殺予防教育を実践されている一般社団法人リヴオンの代表、尾角光美さんの話でした。尾角さんによりますと、学校で自殺予防教育を行うと、授業をきっかけに思い切って先生に相談に行った生徒が、先生から「甘えるな」「死ぬ気でがんばれ」と突き放されてしまい、さらに追い込まれてしまうというケースがあるそうです。そのため、自殺予防教育を行う際には、学校全体で自殺は防ぐことができる社会的な問題だというコンセンサスをつくるところから始めなければいけないが、これがとても難しいといったお話でした。

 区が行う自殺対策の中で大きなウエートを占めているものの一つに啓発活動がありますが、啓発に当たっては、自殺は追い込まれた末のものであり、追い込まれたときはだれかに援助を求めることが適当だというコンセンサスをつくっていく必要があると考えます。この点についての区の見解をお聞かせください。

 自殺対策では、啓発も重要ですが、それだけではなく、背景因子に着目した具体的なアプローチを行うことも必要です。自殺につながる背景因子は多様です。今回の大綱では、いじめ、災害による被災、長時間労働、生活困窮、児童虐待、性暴力被害、引きこもり、性的マイノリティであるといったことが自殺の要因となり得ると例示されています。背景因子が多様であるということは、一見自殺対策とは関係ないように思われる部署や窓口であっても、実は関係しているということです。例えば先ほど取り上げた債権管理の場面でも、窓口や臨戸徴収の際に、払いたくても払えない生活困窮者と接触する機会に遭遇する可能性があります。そのため、こうした部署の職員にも、自殺予防の意識と基礎知識を持ってもらうことが必要となります。

 現在、中野区では保健所関係の機能を持つ施設が幾つかに分散しており、そうした関係部署の職員の間で連絡会をつくるなどの仕組みは当然必要です。その上で、直接は関係ない部署の職員にも、自殺予防の意識を持ってもらうため、庁内の既存のネットワークを活用した連絡会などを設置し、職員を対象とした人材育成や啓発の取り組みを進めていく必要があるかと考えますが、いかがでしょうか、区の見解をお伺いをいたします。

 次に、相談窓口のあり方についてお伺いをいたします。

 前述したとおり、自殺予防の意識や基礎知識を持つ職員は、多様な部署にいていただく必要がありますが、一方で、追い込まれた方が相談をしたいと思ったときに、まず連絡できる窓口は一元化されているべきではないでしょうか。追い込まれている状態にある人にとっては、そうでない人にとっては些細なことであっても、障害になり得ます。例えば現在中野区では総合的な相談は常時4カ所のすこやか福祉センターで行っていますが、自分が住んでいるところは4カ所のうちどのエリアなのかがわからないといったことがあり得ます。とりあえず4カ所のうちどこかに連絡をするとか、自分が住んでいるエリアの担当がどこなのかを調べて連絡をしてきていただければよいのですが、その少しの手間が壁となって貴重な接触の機会を逃すことにもなりかねません。実際には、例えば中野区のホームページで「こころの相談」と検索すると、4カ所のすこやか福祉センターのほかにもこころの相談窓口として、東京いのちの電話、東京都自殺相談ダイヤル こころといのちのホットライン、地域生活支援センターせせらぎなどの連絡先の一覧が表示されます。この一覧には、それぞれの窓口の受付時間などは記載されているものの、各窓口の特徴、違いといったところまでは記載されておらず、どこに連絡すればよいのか、さらに迷ってしまうことが考えられます。

 相談したいと思ったときに迷いなくすぐ電話ができるよう、まずはここにお電話くださいとアナウンスできるような一元化された窓口をつくるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 最後に、地域自殺対策緊急強化基金についてお伺いをいたします。

 この基金は、地域における自殺対策力を強化するために、平成21年度補正予算で創設されました。これまで中野区でも、この基金を活用して啓発活動や人材育成に取り組んできたところです。見直し後の大綱において、地域レベルの実践的な取り組みが対策の中心となると位置付けられている以上、この基金の存在はこれまで以上に重要な意味を持ってくると考えられます。しかし、当基金は今年度末までと期限が定められております。現在は内閣府に地域自殺対策緊急強化基金検証・評価チームがつくられ、効果の検証が行われているところです。私が今の段階で聞いている限りでは、平成26年度までは継続するという流れのようではありますが、それも今後の国全体の予算編成過程の中でどうなっていくか、確かなところはわからないといった状態です。区として継続に向けた働きかけを行う必要があるかと考えますが、区としてはどのように対応されるのでしょうか。

 その他はございませんので、この点お聞きして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 森議員の御質問にお答えいたします。

 財政状況改善に向けた取り組みについて、23年度の債権徴収の結果についてという御質問です。

 税や保険料、そして私債権等を含めた区債権全体の収入未済額は約74億円となり、前年度比で約2億円減少をいたしました。収入未済額の主な増減を見ますと、国民健康保険料については前年度と比べ2億2,400万円の減、そして私債権等は約4,000万円の減となりましたが、特別区民税につきましては7,500万円の増となったものであります。このように、効果の上がった債権もありますが、全体的には収納率が依然として低いということでありまして、区債権全体の収入未済額の縮減に努めて、さらに収納率を向上させたい、このように考えているところであります。

 区民税の滞納整理支援システムの導入効果はどうであったか、こういう御質問がありました。

 滞納整理支援システムの導入によりまして、従来紙ベースで管理をしていた滞納整理情報を電子的に管理できるようになりました。それによって、滞納案件についての進捗状況の管理が容易になったほか、納税交渉でありますとか滞納処分の情報共有化が図れるなど、滞納整理事務全般について、効率化が実現をしました。現在はこの効果を収納率の実績にあらわせるよう取り組みを強めていかなければならない、このように考えております。

 それから、国民健康保険料について、滞納整理支援システムの導入についてはどう考えているかということです。

 国民健康保険料については、積極的に滞納処分の強化を進めているところでありまして、これがある程度功を奏したというようなこともありました。さらに滞納整理支援システムの効果ということも想定をしているところでありますので、この導入についても検討を行っております。

 それから、債権管理にかかわる組織を一元化してはどうか、こういう御質問です。税務分野、保健医療分野及び介護保険分野、これはそれぞれ税や、それぞれの保険の制度、これは異なっております。また、時効の期間ですとか納付勧奨のための仕組みなどもさまざまに異なっております。そうしたそれぞれの制度が持っている特性をそれぞれに活用しながら進めていくことが必要ということでありまして、やはり担当としてはそれぞれの制度ごとの担当ということが欠くことができない、こういうふうに思っております。

 また、経営室の債権管理担当につきましては、債権管理対策会議を通じて、区全体の債権の進行管理を担っているというところであります。このように、全体を統括する組織と実務を担う組織とを連携させながら、全庁を挙げて収納率の向上を目指しているというところであります。したがいまして、あらためて債権管理にかかる組織を一元化することについては考えておりません。

 私からは以上です。

     〔経営室長川崎亨登壇〕

○経営室長(川崎亨) 私からは、入札における競り下げ方式の試行についてお答えをいたします。

 この入札方式につきましては、国が試行を実施をして間もないということを踏まえ、その結果については注視をしながら、今後競り下げ方式の仕組みについては研究をしていきたいと考えております。

   

健康福祉部長田中政之登壇〕

○健康福祉部長(田中政之) 私からは、自殺対策についての御質問にお答えをいたします。

 まず基礎的自治体の自殺対策の意義についての御質問でございます。

 国による今回の大綱の改定は、年間自殺者数が14年連続して3万人を超えているという現状を踏まえ、国を挙げて取り組むべき自殺対策の指針である自殺総合対策大綱を見直したものでございます。改定の基本的な考え方では、自殺は地域・家庭・学校・職域等の社会全般に深く関連する事象であり、国や都道府県・地方公共団体・企業・国民等の役割を明確化しているものでございます。基礎的自治体は、地域に身近であるという特性を生かした相談支援機能を発揮をすることで、自殺の早期発見・早期対応が可能であるということから、区が自殺対策に取り組む意義があるものと考えているところでございます。

 次に、自殺対策の数値目標についてでございます。

 数値目標は、国や東京都全体といった人口の大きな場合には取り組みの評価としては効果的であると考えてございますが、規模の小さな区の場合では、必ずしも妥当であるとは考えておらず、区独自の目標は設定してないところでございます。

 次に、自殺に関する正しい知識の普及と誤解の解消についての御質問でございます。

 自殺にはさまざまな要因があると考えられますが、自殺に関する誤解・偏見は存在すると認識をしているところでございます。ゲートキーパー研修や広報媒体等を通じ、遺族や未遂者への配慮も含めた、よりよき対応についての知識の普及を図っていきたいと考えているところでございます。

 次に、他分野による自殺対策の進め方についての御質問でございます。

 関係分野による庁内ネットワークの設置とともに、職員に対する意識の醸成を図るための有効な手だてにつきましては、検討していきたいと考えているところでございます。

 次に、自殺に関する相談窓口の一元化についてでございます。

 区では個人の生活や悩みなどにつきまして、さまざまな相談場所で対応しているところでございます。そういった相談の中で、自殺の早期兆候のキャッチや助言が行えるようにすることが望ましいと考えておりまして、相談窓口の一元化は効果的・現実的とは考えてございません。東京都及び一部の民間専門相談機関におきましては、夜間や休日の対応を含む自殺総合ダイヤルを設置し、緊急的な相談にも応じておりまして、必要な際には区の関係部署とも連携をとっているところでございます。今後は、リーフレットや広報を通じ、相談窓口の一層の周知を図ってまいりたいと考えております。

 最後でございます。国の基金の継続についてでございます。

 現在国の自殺対策緊急強化基金を活用いたしまして、相談事業や自殺対策関連の講演会、研修会等の事業に取り組んでいるところでございます。自殺対策は、とりわけ継続が重要であるため、区は基金の取りまとめ先であります都の所管部局を通じまして、継続を働きかけていきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○議長(大内しんご) 以上で森たかゆき議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 後 藤 英 之

 1 区立小中学校におけるいじめ対策について

 2 その他

 

○議長(大内しんご) 次に、後藤英之議員。

      〔後藤英之議員登壇〕

○8番(後藤英之) 平成24年第3回定例会にあたり、みんなの党の立場から一般質問をさせていただきます。

 区立小中学校におけるいじめ対策について、お尋ねいたします。

 昨年10月に起きた大津市中学校のいじめ自殺事件とその後報道されるいじめ事件の数々は、学校教育現場におけるいじめの深刻さをあらためて私たちに喚起させ、社会全体に大きな波紋を投げかけています。特に、大人によるずさんないじめ対応の数々が報道されており、あらためて私たちは気持ちを引き締めていじめの問題に対峙しなければならないと考えています。

 いじめ対策を考える場合、さまざまなパターンを想定することが必要かと思います。例えばいじめの存在を把握をし、対策し、解決される場合と解決されない場合、把握後対策しないが解決される場合とされない場合、把握できず対策しないが解決する場合とされない場合と、この六つのパターンに加えて、把握していないが対策し解決する場合としない場合の2パターンがあり得るかと思います。この中で採用すべきパターンは、いじめの存在の把握の有無にかかわらず対策し解決する場合しかありません。把握していないが対策したものの解決しない場合も含め、他は採用してはならないパターンです。いじめの存在を大人に見える化することが非常に大切であることがわかりますが、同時にここが最も難しいと言えます。私たちはまずいじめを見える化する努力と、把握の有無にかかわらず対策を常に打ち出しておくことが基本であり、また重要かと思います。大津市のいじめの事件は、いじめを把握していたにもかかわらず対策せず、解決しなかったという最悪のパターンを選んでいたと言えます。

 お聞きしますが、中野区でも大津市と同様あるいは類似の事例がないかをきちんとケース検証されていますでしょうか。

 8月1日の区長メッセージでも、大津いじめ自殺事件を受け、幾ら立派なマニュアルができていても、実践できないのではないのと同じ、いや、周囲がマニュアルの存在で安心している分、ないよりも悪い状態ですとありますように、マニュアルの実効性こそが大切だと考えます。また現状、マニュアルの実効性をどう検証し、また実効性を高めるためにどのような努力をされているかお尋ねいたします。

 学校内でのいじめは、先生がなかなか気づかない点が問題です。この点、いじめに対する早期発見や対応に資する教員研修や日常的な動機づけ、これはどう行われていますでしょうか。

 例えば、担任教師が着任する初めの3日間の間に生徒に対し、いじめを許さないなどの断固たる姿勢を示すことが重要だとの意見もあり、実効性のある現場の研修は、具体的な行動にフォーカスした形であり、座学よりも実技を十分に取り入れた形になるべきだと思います。同時にまた、研修の振り返りはどう行われているかもあわせてお尋ねいたします。

 さらに近年、いじめにインターネットを利用するケースがしばしば報道されます。そもそもインターネットの特徴に匿名性や情報の拡散性の大きさ、掲示板等の書き込み履歴や、第三者では基本的に削除できないなどがあり、悪意をもって利用された場合に、個人での対応は困難をきわめます。この点東京都教育委員会による学校非公式サイト等の監視の委託事業があり、定期的に区教育委員会に情報提供と支援があるそうですが、具体的に東京都とはどのように連携できていますでしょうか。

 また、トラブル発生時の初期対応にはITリテラシーの一定の高さが必要であり、教育にかかわる大人たちには対応策の知識は欠かせないと考えます。そこで中野区として、インターネットいじめに関する研修や啓発はだれに対してどういう機会に行っていますでしょうか。

 また、いじめ総合対策に、学校や行政だけで取り組めることには限りがありますように、私も地域や特に保護者の役割は大変大きいと考えています。報道の多くは、何かが起こったときに学校や教育委員会を糾弾しますし、行政にももちろん責任の一端があるという前提をもって、保護者や地域の役割意識の醸成も欠かせないと思うのです。そこで、地域や保護者に対する啓発活動や学習会なども大切と考えますが、現在、中野区での活動の現状と今後の展開についてお尋ねいたします。

 また、区の教育相談につきまして、いじめ等で悩んでいる子どもたちのための電話相談、「子ども110番」があり、教育相談室の存在も非常に心強いと思います。これらの存在は子どもたちや保護者たちにどの程度周知され、信頼されているでしょうか。見えないいじめを把握し、対処するため有効だと考えられるものに、スクールカウンセリングをはじめ第三者的な相談員の存在があります。特に臨床心理士は、高度な心理アセスメントの専門家であり、生徒が言い出せなくても子どものうつ状態をだれよりも見つけるスキルのある頼もしい存在です。同時に、こころの教室相談員、スクールソーシャルワーカー等の存在も、いじめの発見と対策に非常に有効と思い、これらの専門家たちがいじめ対策に積極的にかかわることが重要かと考えます。

 そこで、これら専門家たちの活用状況と連携の状況について、具体的な実績についてはどのように検証されているか、お尋ねいたします。

 また、教育相談室へは現在、生徒たちや保護者たちから、一旦学校経由で電話を取り次ぐというシステムを採用しているようですが、中には学校を経由せずに直接相談員に電話したい方も存在すると思います。相談員に直接電話をする仕組みをつくることはできないでしょうか。同時に、こころの教室相談員の相談時間数の増加を促進することも重要かと考えますがいかがでしょうか。

 次に、学校サポートチームの派遣ですが、発見から対策へのスピードは非常に重要かと思います。発見してから24時間以内に対策する程度のスピード感があるべきで、早ければ早いほど良いと思いますが、実際発見から対策開始への時間はどれくらいの実績、あるいは想定でしょうか。

 また、いじめを続ける児童・生徒を出席停止にする措置への注目が集まっており、措置には慎重な対応が必要であることを前提に、私は賛成です。排除の論理ではなく、いじめる児童とその親とがともに改善の必要性を痛感する機会になると考えるのが主な理由ですが、いかがお考えですか。

 刻々と変化する社会情勢とともに、いじめが多様化していくゆえに、一朝一夕に解決すると思うことなく、PDCAの対策の輪を回し続けていくことが重要と思います。中野区にはぜひともいじめ根絶への継続的な強い覚悟を持ってこの問題に取り組んでいただきたく、決意をお聞きして、私のすべての質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手)

     〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 区立小・中学校におけるいじめ対策についてお答えいたします。

 まず中野区の現状です。

 大津市の事案につきましては、報道等でのみ状況を把握しているため、見解を申し述べる立場にはございませんが、一般的な認識として、早期対応が重要であると考えています。

 中野区では、いじめの未然防止、早期発見、早期対応を大原則として取り組んでおります。個別のケースにつきましては、継続調査を実施し、いじめ解決に至るまで関係者が連携した取り組みを継続して行っております。

 また、いじめ対応マニュアルの実効性等についてです。

 本区では、対応マニュアルに記載されている内容について研修で取り上げるほか、それらの内容について事例研究を行うなど、より実効性のある内容にしているところでございます。今回の事案を踏まえて、マニュアルをさらに充実したものにしていきたいというふうに考えてございます。

 次に、教員研修の状況等です。

 副校長研修や主任研修などの職層研修や10年経験者研修、初任者研修などの年次研修において、事例に基づいた研修などを行っています。ほかにも夏季休業中にいじめ防止研修を行い、教員の対応力の向上に努めており、研修後は報告書の確認等を行うなど、フォローをしています。

 次に、インターネットのいじめに関する東京都との連携などについてです。

 東京都からインターネットへの不適切な書き込み等の情報を得た場合は、即時に学校に情報提供し、情報の削除や関係生徒の指導等対策を講じています。情報モラル教育につきましては、夏季休業中のICT研修で取り上げ、研修者が研修内容を各学校で周知をしたところでございます。

 地域保護者への啓発についての御質問もございました。

 これまでいじめアンケートは全児童・生徒に加え、保護者を対象として行うなど、保護者に対しても意識を高める方策をとってきてございます。そのほか、各学校で行っております道徳授業地区公開講座などにおきまして、保護者や地域の方々ともいじめを含む心の教育のあり方について意見交換等を実施しています。今後は、全家庭にいじめ防止についてのリーフレットを配布するなど、さらなる啓発に努めてまいります。

 次に、子ども110番や教育相談室の周知についてです。

 学校や教育施設に子ども110番や教育相談室についてのポスターやリーフレットを配布するなど、周知を図っています。教育相談については、相談件数が増加している状況がございます。

 スクールカウンセラー等専門家の活用状況についての御質問でした。

 スクールカウンセラー、こころの教育相談員、スクールソーシャルワーカーなどは、情報を共有し、連携しながらいじめ問題を含め、児童・生徒の相談を中心に、学校の状況把握に努めており、早期解決を目指して対応しています。23年度は、いじめを含む相談件数は、すべてで233件ございました。すべての相談について詳細な分析をし解決に努めております。それぞれの活動の状況は定期的に報告を求め、必要に応じて指導主事等が助言を行っています。

 次に、教育相談室の相談員に直接コンタクトをとる方法はないかという御質問でした。

 学校の教育相談は、基本的には電話による相談を行っておりませんで、面談によって実施しています。相談員に直接コンタクトをとる方法としては、直通電話などを教育相談室に設置する方法がございますが、相談者の名前を学校に知られずに、その場合は相談予約が受けられますが、その効果等については研究をしていきたいというふうに思っています。

 次に、学校サポートチームの派遣についてです。

 現在までサポートチームの派遣要請の実績はございませんが、要請があれば即時に対応できる体制で整えております。

 次に、出席停止の措置についてです。

 加害児童に対する指導上の効果などを十分検討し、必要があれば出席停止の適用を考えていく所存でございます。

 最後に、いじめ根絶へ向けての覚悟という御質問でした。

 児童・生徒に命の大切さを伝える心の教育の充実を図っていくとともに、学校や教育委員会はいじめの状況を保護者・地域に正しく伝え、学校・保護者・地域が子どもたちの抱える問題点を共有し、大人全体が問題の解決に向けて協働して取り組んでいく、そういう覚悟でこれからも努めてまいります。

○議長(大内しんご) 以上で後藤英之議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 いでい 良 輔

 1 行政評価について

  (1)PCDAサイクルについて

  (2)行政評価について

  (3)事業見直しについて

  (4)職員2,000人体制について

  (5)その他

 2 公共性のある私道の管理について

 3 災害時における医薬品及び調剤用資材の調達について

 4 その他

 

○議長(大内しんご) 次に、いでい良輔議員。

     〔いでい良輔議員登壇〕

○12番(いでい良輔) 平成24年第3回定例会に当たりまして、自由民主党議員団の立場で一般質問をいたします。

 今定例会は、決算議会ということでさまざまな資料が議会に示されました。中野区各会計決算書、決算説明書、決算説明資料である主要施策の成果、財政白書、そして監査委員からの意見が付された決算審査意見書、各基金運用審査意見書です。この監査委員から指摘をされている意見の中で、区税については徴収率が昨年度を下回り、5年連続の減少、国民健康保険料の不納欠損額は増、財政運営については、経常収支比率が一般的に望ましいとされている値から乖離が進み、11年ぶりに90%台となり、さらに公債費比率も12年ぶりに15%台となるなど、予断を許さない状況にあると指摘をされ、その大きな原因には、経常経費充当一般財源において大きな割合を占める義務的経費のうち公債費が50.5%と大きな増加していることにあるとされています。公債費については、今後も仮称本町五丁目公園用地、仮称南部防災公園用地など、引き続き多額の地方債の償還を予定し、区立学校の施設整備にかかる用地取得、公園の整備、中野駅周辺地区整備などの事業においても、起債の活用を予定していることから、地方債の発行・償還と基金への積み立て・取り崩しを組み合わせ、健全で効果的な財政運営に努められたいと、いずれも厳しい指摘を受けています。

 また、財政調整基金の年度末残高が11年ぶりに減となり、204億円となり、財政運営上の非常事態宣言に基づき、事業見直しを行ったが、それでも基金の取り崩しを行わざるを得ない状況であるとされています。このような状況で歳入の減が続けば、区が基準としている一般財源規模650億円をさらに下回り、歳出面から見ても扶助費の増、事業見直しの効果が限定的なレベルにとどまり、加えて過去の臨時的投資的経費の経常支出化が進めば、区が基準としている一般財源規模を大きく上回ることになり、いずれにしても財源不足が深刻化することとなる。その結果、財調基金の取り崩し額がふくらみ、年度間の財源調整が機能不全に陥る事態も想定される。こうした事態を回避するためには、抜本的な改革を講ずるように、さらに検討を求められています。

 この監査委員の指摘に基づいて、何点か質問をいたしますので、区長をはじめ理事者の皆さんには明確明瞭に御答弁いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず第1、行政評価についての(1)PDCAサイクルについて伺います。

 新しい中野をつくる10か年計画(第2次)では、区民により高い価値を提供するために、目標と成果による区政経営を進め、具体的な区政目標の設定、成果指標と目標値による取り組み結果の評価、評価結果の施策や事業への反映といった品質の維持向上や継続的な業務改善活動を推進するマネジメント手法であるPDCAサイクルを区政経営の基本とするとうたっています。しかし、中野区の行政評価制度は、平成13年度の導入から12年、平成15年度の外部評価導入から10年が経過しており、この間さまざまな試行錯誤を繰り返しながら現在に至っていますが、いまだにこの行政評価から見直し、改善や予算・組織編成にどのようにつながっていくのかが見えづらいものがあります。決算説明資料として主要施策の成果別冊があり、その中に行政評価の結果が記述されていますが、その行政評価が翌年度の予算や組織、施策にどのように反映されているのか、これまでの事業見直し結果や予算の説明の中には、具体的に示されておりません。

 そこで伺います。PDCAのチェックによる行政評価結果がアクションの見直し、改善及びプランとしての区政目標に反映できているのでしょうか。PDCAサイクルによりますと、次年度の区政目標を決定した後に予算・組織編成を行うことになると思いますが、スケジュール的にかなり無理があるように推察しますがいかがでしょうか。

 区長はPDCAサイクルを基本として区政運営を行っていますが、私は最近、中野区のかじ取りである大切な政策決定までのプロセスにこのPDCAサイクルがあまり関係がなくなっていて、内部では検討していたのかもしれませんが、手をつけやすい施策、どこにも議論を尽くしていない政策が出されていると感じています。新しい施策を打ち出す過程も明らかにするべきと思いますが、御所見を伺います。

 次に、(2)標題では行政評価制度となっていますが、あわせて外部評価についても伺います。

 PDCAサイクルを有効に機能させ、区民により高い価値を提供するには、行政活動を評価し、施策や事業の見直し、改善につなげるというC、評価とA、改善の取り組みが非常に重要になります。Cの行政評価は、目標の達成状況を検証するものとして導入しています。中野区の行政評価は、すべての施策について職員がみずからの仕事の達成度や効率性を評価し、見直し、改善につなげる内部評価、区民や学識経験者の委員から、仕事の達成度や効率性に加えて、区の改善の方向性まで評価を受け、さらなる見直し、改善につなげる外部評価から成り立っています。行政評価制度は、事業仕分け的な手法ではなく、外部評価委員と行政が互いに建設的な意見を出し合い、区の事業の効果や効率を高める仕組みとなっています。

 平成23年度は、「平成23年度事業見直し方針」に基づき、76件の事業見直しが行われました。昨年度の見直し項目の検討、決定に当たって、行政評価の仕組みは活用されているのでしょうか。現行の行政評価が事業見直しにつながっているのか、行政評価を行うことで効果が上がっていると評価しているのか、伺います。

 区政経営のシステムとしてPDCAサイクルを動かすには、行政評価の仕組みをより有効な仕組みとすることが必要となります。今年度の行政評価の結果を見ると、5段階評価のうち上から2番目の評価となる「改善の余地はあるが推進すべき分野」というAの評価が4分野、情報改善分野、保健医療分野、介護保険分野、障害福祉分野のみです。上から3番目の評価となる、「内容的に概ねいいが課題があり、継続に当たっては工夫すべき分野」というB評価が41分野であり、最上位の評価と、下位二つの評価に該当する分野はありません。これは、昨年度の行政評価でも同様の結果となっています。各分野が毎年の改善を行ってきた結果だとしても、例年同じような評価結果が出る仕組みというのはいかがでしょうか。

 さらに厳しくつけ加えると、行政評価についてはまず内部評価で数値化できないものが混在し、目標値や達成率の設定に無理が生じている分野もあり、毎年このような評価が出てくると、本当に機能しているのか、内部の評価で甘い目標値、緩い達成率を設定しているのではないかと疑問を持たれる可能性は否定できないものと思います。また、外部評価においても同様に、外部評価委員に提出されるさまざまな資料も、各分野内で調整がされて外部評価委員受けのいいものを出せば、評価の対象はおのずから評点の高いものばかりになる可能性があります。角度を変えて見ていくと、これは果たして本当に機能しているのか、ただ自己肯定のための制度が存在しているのではないかと思われても仕方がないと考えます。

 厳しい財政状況の中、新たな課題に対応していくには、事業や施策の再構築をどのように行っていくのかが大きな課題となります。行政評価の仕組みについても改めて評価し、見直し、改善を行うことが必要だと思いますがいかがでしょうか。

 次に(3)事業見直しについて。

 昨年度中野区では、区財政の根幹である区民税や都区財政調整交付金などの大幅な収入見通しの悪化に対応するためという理由により、実に76項目に及ぶ事業見直しを行いました。その中の一部には、あまりにも唐突という感想を免れないものがあります。昨年12月、区長は、区財政の直面する課題についてのメッセージの中で、「区民のための区政は真に必要な区民サービスを損なうようなことがあってはなりませんし、区民の安心・安全と未来を守るための取り組みはこれからも将来にわたって堅持していかなければなりません」と述べています。しかし、昨年度の行政評価では、全く触れられていない事業が突然見直し項目として挙げられており、実際は行政の都合でやりやすいものだけを見直しているのではないか、計画性に欠けるのではないかとの疑問が残ります。

 そこで伺います。昨年度の見直し項目を選定した基準や見直しの視点はどのようなものだったのでしょうか、あらためて伺います。

 また東日本大震災の影響が税収にあらわれてくる平成24年度は、昨年度以上に厳しく見直しを行っていくと聞いていましたが、現時点での見直しの状況はどの程度進んでいるのでしょうか。限られた財源の中で、新たな課題に対応するための施策を行うためには、これまでの事業のスクラップは必要です。スクラップ・アンド・ビルドで施策を進めていくためには、トータルでの区民サービスが向上すること、スクラップの対象となる事業が客観的に納得のいくものであることが必要です。

 そこで伺います。平成24年度はどのような視点で事業を評価し、見直し事業の選定を行い、優先順位をつけているのでしょうか、伺います。

 次に(4)職員2,000人体制について伺います。

 職員2,000人体制は、昨年度の事業見直しにより、計画を1年前倒しし、平成27年度までに達成することとしています。コストの削減や区民サービスの向上につながる業務委託や施設の民営化は、積極的に取り組むべきと思いますが、一方では税金の徴収や生活保護のケースワーカーなど、区の職員でなければできない仕事は当然残るものと考えます。今年度から新たに国民健康保険の窓口の委託化を行うなど、中野区はこれまでも委託や民営化を進めています。現在、区の行っている業務のうち、2,000人体制になったとき、どの業務を直営で行うのか、どの業務を委託や民営化により行うのか、または撤退するのか見極める必要があると考えますが、現時点での取り組み状況を伺います。

 私は、再任用職員などベテラン職員の知識や経験を否定するものではありませんが、今後年金制度改革により再任用職員が増え続けることが想定されていますが、2,000人体制での再任用職員の状況はどのようになるのでしょうか、お答えください。

 また、現行の2,000人体制には、再任用短時間勤務職員が含まれていますが、週4日勤務である再任用短時間勤務職員を1人分とすることに、仕事上の支障は出ないのでしょうか。例えば、窓口配置などで常勤職員は週5日なので1人で済むところを、再任用短時間勤務職員では週4日勤務のため、残りの1日を補う職員が別に必要となります。職員2,000人体制とは、言いかえれば2,000人分の仕事を担う職員の体制と思いますがいかがでしょうか、御見解をお聞かせください。

 次に、今後の職員の採用についてです。

 ここ数年、区のまちづくりは中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりをはじめ、仮称南部防災公園や仮称本町五丁目公園など、都市基盤整備でも事業が目白押しです。また、今回東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトにエントリーしていた弥生町三丁目周辺地区は、先行実施地区に決定し、ほかにも都が実施する大和町三丁目から四丁目にある補助227号線の拡幅にかかる周辺まちづくりへの取り組みなど、2,000人体制策定当初にはありませんでしたが、今後大幅にまちづくり要員が必要となる状況が出ています。区は、これまでも任期付職員や経験者採用など柔軟な採用によりその需要を賄ってきた経緯があります。しかし、まちづくりは今後20年、30年のスパンで形となっていくものであり、職員を新規採用しても、十分に活躍できるフィールドがあると思っています。私はやはり職員は若いうちから採用し、10年、20年かけてさまざまな現場を経験させながら育てていくことが大切だと思います。これにより、区民の期待にこたえられる職員の育成や、将来管理監督者となれる職員の養成につながるのではないでしょうか。計画にあるように、今後新規採用10人など、いわゆる採用抑制が続くと、まちづくりをはじめ他の事業の進捗にも影響を生じさせかねないかと危惧しています。いかがお考えでしょうか、伺います。

 最後に、職員が少なくなると、職員一人ひとりの育成や能力開発、職員配置にこれまで以上の配慮が必要だと思いますが、どのように進めていくと考えているのでしょうか、お答えください。

 以上でこの項の質問は終わります。

 次の質問に移ります。

 2 公共性のある私道の管理について伺います。

 中野区内で一般に通行ができる道路の総延長は約515キロありますが、そのうちの117キロは区や都などの公共側が管理していない私道となっており、総延長23%にもなります。区内全域が市街地となっている中野区においては、すべての道路に面して住宅や店舗、事務所など多くの建物が建設されていることから、道路は居住者や建物利用者が日常的に通行するとともに、建物に出入りする自動車も通行します。加えて消防車や救急車などの緊急車両の通行、さらには大震災時、区民が避難所等に向かったり、近所の人を救助するためにも道路は利用されます。その利用には、公道・私道の区別はありません。私道の中には行き止まりとなっていて、延長も短く、利用する人が限られているものもありますが、通り抜けのできる、ある程度の幅を持った私道は、日常あるいは非常時の利用に関して、区道とは区別なく利用されます。

 しかしこのように公共性の高い私道であっても、基本的には私有地の一部であることから、私道の管理は基本的には個人、あるいは複数の所有者が共同で行うことになります。管理の内容としては、日常的には通行に障害となる物品の無断放置の防止、破損した部分の維持補修などに加え、大規模な改修工事が必要となる場合もあります。その負担は決して軽いものではないと思います。それぞれの私道は、開設された経緯が違い、一概に言えることではないかもしれませんが、本来公共側で負担すべきコストを区民が負担していることに疑問を感じる人も多いのではないでしょうか。

 そして、これら公共性の高い私道について、一定の要件を満たすものは区が引き取って、区道として区が管理するということも行われていますが、それほど多くの事例はありません。その理由としては、そもそも道の幅が4メートル未満であったり、必要な隅切りがとられていないなど、道そのものの構造の問題もありますが、特に多くの人が共有している私道の場合、所有者全員の合意が取れない、あるいは連絡がつかない所有者が存在するなどの理由で、区道への移管がかなわない事例もあると聞いています。

 そこでお伺いします。中野区内において、ここ5年間の間に私道を区道に実際に移管した事例は何件あるのでしょうか。また、移管の相談があったとしても、実際に先ほど述べたような理由で移管ができなかったものもあると思いますが、それら移管が実現できなかったものは、同じくここ5年間で何件あるのかお答えください。

 また、移管に当たっての私道の所有者への説明や合意形成、あるいはその後の区への手続等に関しては、土地の測量等に関する専門家に動いてもらう必要があります。そこで例えばその私道、沿道である程度まとまった敷地の建築計画があり、土地の測量や設計の専門家がかかわっているときをとらえて行えば合理的だと思われます。逆に言いますと、そのような機会を逃した場合、区道移管に関する手続などの実行は困難となるのではないでしょうか。

 そこで、私道の区への移管について、区にあらかじめ相談している道路でこのような事例が実際にある場合には、区もその機会をとらえて、地域の公共空間の適正な維持管理の推進のためにも、私道の区道移管に向けて積極的にかかるべきと考えますが、御見解を伺います。

 次に3 災害時における医薬品及び調剤用資材の調達について伺います。

 東日本大震災を踏まえ、区では中野区地域防災計画の第39次修正を検討しているところですが、災害時における医療救護体制の確保が重要なテーマであることは言うまでもありません。中野区薬剤師会によると、現在の区の医療救護活動にかかる備蓄のうち、医薬品については外傷に対応するものが中心となっていて、高血圧症や糖尿病等の慢性疾患用の常用薬についてはほとんど備蓄されていないと伺っております。また、災害時の救護活動に必要な調剤用資材の備蓄も十分ではないと伺っております。現在、医薬品卸の物流センターは、湾岸地域や隣接県に立地しているため、災害時には交通網は寸断され、調剤用資材や医薬品の供給は滞り、医療救護活動に支障を来すことが十分に想定されます。区として調剤用資材や慢性疾患用の常用薬の備蓄を早急に行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。

 また先日、緑野中学校、第十中学校を会場に中野区総合防災訓練が実施されました。あいにく途中から降雨となりましたが、多くの区民、防災関係団体が参加したと聞いております。中野区薬剤師会も、医療関係団体として、中野区医師会、東京都柔道接骨師会中野支部とともに参加して、災害時の医療救護体制や救護所についての解説や医薬品、お薬手帳に関する啓発の活動を行っており、災害時の医療や救護体制に関する区民の理解等がさらに深められたことと考えます。

 日ごろから区は医師会、薬剤師会などと、災害時の医療救護について個別には情報交換や協議の場を持ち、発災時に備え話し合いをしているということも聞いております。しかしながら、個別の協議にとどまらず、各団体が一堂に会して、災害時に区内の医療活動を統括する拠点について、各団体の連携推進などをテーマに、例えばワーキンググループのような協議をする場を設けてはいかがでしょうか。

 さらに、災害時の医療救護体制を万全なものとしていくためにも、ぜひ検討していただきたいと思いますが、御見解をお聞かせください。

 以上で私の質問は全部終わります。御静聴ありがとうございました。

    

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) いでい議員の御質問にお答えいたします。

 行政経営のPDCAサイクルについての質問が幾つかありました。

 PDCAサイクルのスケジュールに無理があるのではないかといったような御質問がありました。狭い意味で言うPDCAサイクルによります経営システムは、年間のスケジュールを立てて実施をしております。行政評価結果の区政目標への反映についても、見直し改善の結果として、次年度以降の組織や予算編成に努めているところであります。一方、幅広くPDCAサイクルをとらえれば、基本構想、10か年計画によって計画した事業を評価改善しながら、よりよい目標達成に向けて区政運営を行ってもいるところであります。単年度の日程におきますPDCAの動きが多少窮屈な感じになることもありまして、年度を越えたPDCAの大きな流れを見失わないことが肝要だと、このように考えております。

 よくあります政策的な議論あるいは新規政策をどのようにつくっていくかといったようなことについては、このPDCAの大きな流れ、基本構想、10か年計画を、どのように進捗状況をとらえ、どのように進めていくかといった議論の中から進めていくべきもの、このように考えております。

 それから、行政評価についてということで、効果が上がっているというふうに評価しているかどうかと。行政評価の仕組みについて、見直し改善を行う必要があるのではないかといった御質問です。昨年実施した事業見直しにおきましても、中野区災害対策基金や保健医療の収納対策につきまして、外部評価における指摘も踏まえて検討したというところでして、そういった意味で、区政のPDCAサイクルの中で行政評価は、一定程度具体的な機能を果たしているという面はあるというふうに思っております。

 また、行政評価の実施に当たりましては、これまでも外部評価の体制でありますとか、ヒヤリング方法の変更など、さまざまに工夫を重ねてきたところです。行政評価を含めまして、区政運営の日程全体もやはり必要な見直し改善を図っていくものというふうに考えておりまして、今後も評価の基準であるとかスケジュール、それから対象の見直しなど、より充実した仕組みとなるよう、改善に取り組んでいきたい、このように考えております。

 昨年度、事業見直しとして76項目出てきたわけですけれども、これについての見直しの視点はどういうものであったかという御質問がありました。昨年度は、リーマンショック以降の歳入減少と義務的経費の増加を踏まえ、非常事態に置かれた区財政の立て直しのために、年次的な経営サイクルによる見直しではなく、これまで手をつけることのなかったものを中心に、23年度事業見直し方針を特に定めて事業見直しを実施しました。

 そこで、見直しの考え方としては、次のような五つの視点を設けたものです。一つ、時代の変化と目標体系の再編に対応した施策や事業の再編、それから各事業の意義について、ゼロベースでの確認、また単なる経費削減ではなく、効率と効果の高い経営体質への強化、四つ、今後の財政需要と新たなサービス創出に備えた施策体系の再構築に着手、五つ目、これまで見直しの対象外とされてきた事業の検討と、目を向けられなかったニーズへの着目といったことであります。

 かなり大くくり、大幅な視点というふうになっておりますので、そういった意味では、これまで行政評価等では触れられてこなかったことについてもあえて手を伸ばしたというふうに認識をしているところです。

 24年度はどのような視点で事業を評価し、見直しをしていくのか、優先順位をつけていくのか、こういったことであります。

 今年度は、区政運営のPDCAサイクルの中で、内部評価、外部評価などの行政評価結果に基づいた事業等の見直しに取り組んでおりますが、それとともに、23年度の見直しの中で、今年度以降継続して取り組むというふうにした項目について、具体化するための作業を行っているところであります。さらに、中長期の財政見通しを厳しく受けとめ、前例では見られないことにも踏み込んだ対応を検討していきたい、このように考えております。

 それから、2,000人体制となったときの区の業務のあり方について、現在の取り組み状況も含めてということでありました。

 サービスの担い手そのものが公務員であるかどうかということは、定まった基準があるわけではない、そのように思っています。区としてはこれまでも「民間にできることは民間に」を原則として、サービスの向上と経費の削減に努めてまいりました。区の果たすべき役割というのは、区民の暮らしを守り、向上し続けられる、持続可能な区政運営をつくり上げることにある、このように思っております。こうした考え方の上に立って、事業の目標、必要性を吟味し、必要な事業は最も効果的・効率的な方法で実現するよう改善を加えていくということであります。2,000人体制となりましても、区として必要な人的支援が十分に得られるよう、業務と組織を整合化するための調整を常に行っていく必要がある、こう考えております。また現在、財政状況や全体の業務量、職務執行能力などを勘案しながら、2,000人体制に向けた組織・人事のあり方の検討を行っているところであります。

 2,000人体制で再任用の状況はどうなっているのかということです。

 現在の再任用は、希望する職員のうち選考に合格すれば、短時間週4日程度での任用となっております。24年4月1日現在、常勤再任用職員合わせて2,337人のうち再任用職員が169人、構成比で7.2%となっております。今後、年金制度改革によりまして、定年退職後の無年金期間への対応として、勤務可能な希望者に対して、再任用をすることを義務化するといったようなこととか、一般職へのフルタイム再任用の導入が要請をされております。したがいまして、再任用職員の割合が、現在よりもやはり増加すると考えているところです。

 この再任用も含めて、2,000人体制ということは、言いかえれば2,000人分の仕事を担う職員の体制だと思うという御質問でした。

 これまで職員2,000人体制に向けての方策では、職員数を確かに常勤職員と再任用短時間勤務職員の合計で示してきました。再任用短時間勤務職員の勤務時間は、常勤職員の0.8人分になります。この辺を調整して正確に表現するということが必要と思っておりまして、今後は定数管理上も短時間については0.8人とカウントしていきたい、このように考えております。

 それから、新規採用の抑制の事業への影響についての御質問がありました。

 職員2,000人を達成する平成27年度までの3年間は、採用を抑制していくわけですが、その後は毎年、その2,000人を保つわけですから、退職する人の分は採用するということになりますので、毎年相当数の採用を見込むということに当然なってまいります。また、向こう3年間でも、抑制する3年間にあっても、まちづくりの進捗など、状況の変化によって必要となる職員の需要については、適宜対応していきたい、このように考えております。

 それから、職員一人ひとりの能力開発・育成、これらへの配慮はどうなっているかということです。

 区ではこれまでの職層別集合型研修のほか、今年度からコンピテンシーモデルを活用したN'mapスキル研修を導入しております。これによって、職員一人ひとりの行動特性に合わせた能力開発を実践しています。また、職員がより高い専門性を身につけて、長期間にわたってその能力を最大限に発揮するため、エキスパート職員認定制度を導入しました。これによって、従来のゼネラリストとして組織に貢献する職員とともに、複線型の人事制度を実施しております。

 また、職員の人事異動や配置につきまして、新人のローテーションや昇任時の異動を基本としながら、職員の専門性を育てる育成型の人事配置も行っていくこととしているところです。また、そうしたことと加えて、そもそも職員が自己の能力を高めていくためには、個々の成果に見合った処遇や、あるいは適切な制度運用に基づく信賞必罰、そうした取り扱いも欠かせないものと考えておりまして、こうしたことに配慮しながら、職員の育成を図ってまいります。

 私からは以上です。

    〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、公共性のある私道の管理についてまず御質問にお答えいたします。

 私道から区道への移管状況について御質問がございました。平成19年度からの5年間で、区の管理道路になったものは16件でございます。私道から区道への移管には、基本的な条件といたしまして、道路の幅員が2.1メートル以上ある道で、両端が公道に接している、あるいは一端が公道に接し、他の一端が公共施設または重要な私道に接している、または延長が50メートル以上あり、一端が公道に接し、沿道に住民が密集する公共性のあるもの、のいずれかに該当することが必要でございます。このほかにも、寄付による道路と接している宅地の境界が確定していること、土地の所有者や隣接する土地との境界等について争いがないこと、私道を区へ寄付することについて、所有者全員の合意が得られていることなど、条件を満たすこととともに、道路境界図、登記関係書類を提出いただく必要がございます。

 次に、この5年間に相談を受けた案件のうち、権利者の合意形成が得られない等、私道を区に移管するための条件を満たさないため、区の管理道路となっていないものにつきましては、17件ございました。

 次に、私道から区道移管への区のかかわりでございます。まとまった土地の建設計画で敷地が私道に面している場合、区では当該私道を区の簡易道路にできないか、そういった相談を受けることがございます。このようなときは、土地家屋調査士など境界確定の専門家がかかわっていることが多いことから、区に移管する意向がある私道につきましては、寄付需要の条件に関する相談についても行いやすくなると考えております。区といたしましては、まとまった土地の建築計画があり、前面道路の私道を区の管理にしたい意向がある場合には、道路や建築など関係ある所管が連携して、情報提供をスムーズに行い、私道の移管手続が円滑に行われるよう、適切な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。

 次に、災害時における医薬品及び調剤用資材の調達についての御質問にお答えをいたします。

 調剤用資材や常用薬の備蓄に関しまして、慢性疾患用の常用薬や調剤に必要な資材の備蓄のあり方につきまして、今後中野区、薬剤師会と検討してまいりたいと考えているところでございます。

 また、災害時の医療体制を協議する場の設定についての御質問がございました。今回の中野区地域防災計画の見直しの中で、東京都の地域防災計画の修正を受けて、区の災害医療救護体制につきましても、必要に応じた見直しを行う予定でございまして、その検討に当たっては、中野区医師会、歯科医師会、薬剤師会などの関係団体が集まり、協議を行う場を設けたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○議長(大内しんご) 以上でいでい良輔議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩をいたします。

      午後2時18分休憩

 

      午後2時35分開議

○副議長(久保りか) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。記事の都合上会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 小 林 秀 明

 1 防災情報のIT活用について

 2 商店街に防災行政無線を導入することについて

 3 区有施設や区立小中学校の屋上貸出の展開について

 4 待機児童の改善策について

 5 中小企業支援について

 6 その他

 

○副議長(久保りか) 小林秀明議員。

      〔小林秀明議員登壇〕

○25番(小林秀明) 平成24年度第3回定例会におきまして、公明党の立場から一般質問をさせていただきます。質問は通告のとおり、その他の項目はありません。

 最初に、防災情報のIT活用について伺います。

 東日本大震災を経て、地域における防災力の向上のためにさまざまな取り組みが進められております。その中の一つにITを活用した防災減災への取り組みがあります。政府IT戦略本部では、民間IT関連企業と連携し、IT防災ライフライン推進協議会を設置し、本年6月末にはIT防災ライフライン構築のための基本方針及びアクションプランが取りまとめられました。民間の先進的な優れたノウハウで、特に防災アプリと政府のポータルサイトに取り込んだIT防災ウェブサイトがあります。官民一体となった災害時のコミュニケーションのプラットホームを構築するための準備が進められております。また、東京都では首都直下型など大規模地震が発生した際、カーナビやスマートフォンを活用して、通行中の自動車を避難誘導する仕組みについて検討を始めました。GPSや衛星などで自動車の位置を特定する高速道路交通システム(ITS)を利用して、ドライバーに周辺の道路状況や安全な通行ルート、火災発生場所などをカーナビやスマートフォンで知らせるようにする計画であります。来年の秋までにこの情報伝達システムを構築する方針です。

 また、他の自治体では、スマートフォンのアプリで避難誘導するための取り組みを進めている自治体もあります。

 地理空間情報活用推進基本法の第5条では、地方公共団体の責務として地理空間情報の活用の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有するとあります。わかりやすく言えば、区は電子地図やGPSの活用の推進をすべきという意味であります。また今年6月27日には、災害対策基本法の一部を改正する法律が公布されました。第51条では、情報の収集及び伝達等として、地方公共団体の長及び災害応急対策責任者は、地理空間情報の活用に努めなければならない、また災害に関する情報を共有し、相互に連携して災害応急対策の実施に努めなければならないとあります。今月の9月2日、中野区では総合防災訓練が実施されました。朝9時にサイレンが鳴り、我が沼袋三丁目地域では一時集合場所である防災活動拠点の公園に70名ほど集合しました。私もカメラを抱えて記録係を担当し、防災訓練の場所であります緑野中学校へ向かいました。そもそも災害はいつ、どこで起きるかわかりません。被災した場所から近くの一時集合場所や避難所、広域避難場所、またその場所への避難経路など、防災アプリの活用ができれば、スマートフォンで情報が把握可能となります。

 そこで、中野区においても中野区防災地図を取り入れた防災アプリの取り組みを進め、地域情報の掌握や避難所等への誘導ができるようにするべきと考えます。仮称中野防災安全アプリをつくって、無料で入手できるようにするべきと思いますが、区のお考えを伺います。

 また、このたびの総合防災訓練では、初めての試みで避難所へ向かう途中でサプライズと称して、事前に知らされていない課題が設けられています。一つ目は、けが人の発生のため、防災倉庫から車いすを取り出しての移動、二つ目に、道路の寸断により、予定の避難経路からの迂回、そして火災発生に対し、消火器による消火活動の三つのうち、どれかがそれぞれの地域の課題となりました。私の地域では、消火活動を行いましたが、用意されていた消火器による消火活動でありました。災害時には街頭消火器がどこにあるのか、いち早くわかるようにしなければなりません。そこで、街区に設置されている街頭消火器の位置も、この仮称中野防災安全アプリに取り入れてはいかがでしょうか。例えばアプリの消火器のマークのボタンをタッチすれば、近くにある消火器をマップ上ですぐにわかるようにするべきと考えます。ぜひとも推進すべきと考えますが、御見解を伺います。

 続いて、中野区に設置されているAEDの活用について伺います。

 自動体外式除細動器、通称AEDは、心室細動の際に機器が自動的に解析を行い、必要に応じて電気的なショックを与え、心臓の働きを促すことを試みる医療機器です。人間の脳には酸素を蓄える能力がありません。2分以内に心肺蘇生が開始された場合の救命率は90%程度と言われています。4分では50%、そして5分では25%程度と言われます。したがって、救急隊到着までの数分間、5、6分ぐらいですけれども、現実に居合わせた人による行動が救命率を大きく左右することになります。現在の中野区の区有施設等のAEDの設置数は120台あります。区民の施設等に設置されている数は数百に及ぶと思われますが、区として把握はされているのでしょうか。

 中野区便利地図では、民間も含め251台となっています。他の民間事業者が把握しているAEDの設置台数は338台となっていました。まずはまだ把握されていない民間施設設置のAEDの情報も、この中野区便利地図に更新掲載すべきと考えますが、お考えを伺います。

 また、区有施設や民間施設にAEDが設置されていても、夜間や休日においていつでも利用できるわけではありません。夜間や24時間利用できるAEDの設置箇所をわかりやすく表示すべきと考えますがいかがでしょうか。

 また、街じゅうですぐに区民が発見できるように、AEDが利用できる施設にはAED設置のステッカーを掲示してもらい、よりわかりやすくする取り組みが大事です。現在も取り組まれていると聞いておりますが、より一層の取り組みを進めるべきと思いますが、お考えをお伺いいたします。

 この項の最後に、先ほど述べたスマートフォンのアプリにこのAEDの設置情報も掲載すれば、多くの方にも利用できるようになります。災害時や緊急時では、今いる最も近い場所で速やかにAEDをゲットできます。ぜひスマートフォンの仮称中野防災安全アプリにもAED設置状況をわかるように加えるべきと考えますが、区の御見解を伺い、この質問を終わります。

 次に、商店街に防災行政無線を導入するということについて伺います。

 災害発生時には、正確・的確な情報を区民に提供することは重要であり、区でもさまざまな媒体を活用して情報発信の充実を図ってきております。その主役が防災行政無線であり、区民に聞こえないと困ります。ビルの谷間で音声が反響し、何を言っているかわからないという苦情も絶えません。この点については、我が会派の同僚たちが一般質問で改善策を主張してきました。区はこの要望にこたえて、一つはビルなどの反響の対策で、スピーカーの向きと位置を改善していただきました。また、防災無線音声ガイダンス専用の電話番号にかければ、防災無線の内容が音声で聞くことができるようになりました。人が集まる商店街は、人込みで車などの騒音や雨や風に影響されやすく、さらに防災無線の声は届きません。また、大きな商店街は、帰宅困難者の集中することになり、情報伝達の重要性は最も大切です。

 そこで、商店会がふだん利用している放送設備に防災行政無線の受信機を取りつけてはいかがでしょうか。品川区は、大きな商店街が数ある区として知られています。ことしに、北品川本通り商店会の放送設備に受信機を取りつけました。防災行政無線が流れると、自動的に商店街の放送に情報が流れる仕組みになっております。はっきりした音声で聞こえることが安心につながっています。7月には荏原商店街、今月の9月には戸越銀座商店街に設置する予定です。明年の春には、中野駅周辺の新しい大学が開校されます。まずはモデルとして、中野駅周辺の大きな商店会の放送設備に防災行政無線の受信機を設置してはいかがでしょうか。区の御見解を伺います。

 防災行政無線の受信機の設置には、1カ所100万円ほどの費用がかかります。そこで、放送設備に防災行政無線の受信機の設置を希望する商店会に対しては、商店会と区民の安全のために、区が助成金を出す制度をつくって推進すべきと考えますが、区の御見解を伺います。

 以上、この項を終わります。

 次に、区有施設や区立小中学校の屋上貸し出しの展開について伺います。

 再生エネルギーの買い取り制度は、太陽光などの5種類を使って発電した電気の全量を電力会社が国が定めた価格で買い取る制度です。新しい法律の施行で、ことしの7月1日に始まりました。経済産業省によると、ことしの6月28日までにこの制度の買い取り対象と認定された発電設備は、全国で44件です。そのうち太陽光発電が43件、風力発電が1件です。同省は今年度中に新たに導入される再生可能エネルギーの発電設備は、自家消費分も含めて250万キロワットと見込まれています。太陽光の電力は、1キロワット時当たり42円で電力会社が買い取り、その負担は家庭や企業の電気料金に既に8月から上乗せされております。自治体は直接売電することはできません。しかし、屋上を民間事業者に貸し出し、その事業者が売電する事業スキームは成り立ちます。また、自治体の設備投資を抑制し、電力利用や屋上の貸出料が見込めます。神奈川県は県立高校の屋上を民間事業に貸し出します。民間事業者は1,000平方メートルの太陽光パネルを設置し、年間300万円の売電収入が見込めます。この一部が屋上使用料として県の収入になります。公募したところ11社が応募しました。栃木県の足利市では、地域防災にも役立てたいと考えて、市立学校や市庁舎など十数カ所の屋上を貸し出す方針で、停電時は市の施設に電気を供給することを条件としています。

 中野区でも、今、電力料金など軽減する方法の検討を進めています。そこで、中野区のこのモデル事業として、新たにできる中野中学校屋上の太陽光パネルを民間事業者で設置をしてもらい、設備投資を軽減し、区は屋上を貸し出しして収入を得ることができます。また、災害時の停電のときは、中野中学校や四季の森公園に電力を供給することもできます。太陽光発電の発電状況を液晶画面で見える化にし、子どもの教育環境も推進することもできます。災害時には、子ども達や区民の安心感も高まります。ぜひこの事業を推進すべきと思いますが、区のお考えを伺います。

 以上、この項を終了いたします。

 次に、待機児童の改善策について伺います。

 中野区は、待機児童の推移に沿って、毎年施設の定員の拡充のために、改築推進の努力をしています。しかし今年度当初の4月の待機児童数は、旧定義で442名、新定義では114名であります。改築でのハード面、そうした努力では、待機児童の増加には追いつけないと考えます。

 そこで、ソフト面でも力を入れなければならないと思います。昨年ソフト面で成功した例を紹介いたします。横浜市は、2010年の4月、認可保育所の待機児童が全国の市町村で最も多い1,552人を記録しました。2011年度から市内全18区に専門相談員、保育コンシェルジュを配置しました。この保育コンシェルジュは、従来市が把握していなかった子どもを預けられるあらゆる施設の地域情報を把握しております。潜在化している保育のニーズをきちっと聞き取って、事情に合わせて認可保育所以外の選択肢も提案をしております。例えば認可保育しかわからない親は、週2、3日のパートを無理してわざわざ週5日以上働き、保育所に預けようとします。情報提供だけでは、待機児童になってしまうことを防ぐために、この保育制度の説明会も毎月開いております。さまざまな対策が功を奏した結果であります。ことしの2012年4月には待機児童は1,552人から179人まで減少しました。88.5%の減です。市でもコンシェルジュの存在が大きく寄与したと考えています。中野区庁舎の3階には、特設のワンストップの保育相談コーナーがあります。保育のコンシェルジュの役割をしていますが、4つのすこやか福祉センターにはありません。保育利用の申し込み取り次ぎの役割だけであります。初めて子どもを儲ける若い家族は、グループ型家庭的保育児童や幼稚園の預かり制度など実態がわかりません。育休明けの1歳児の増加も目立っております。横浜市は、コンシェルジュの配置で制度とのミスマッチの解消に力を入れたようです。今後、4カ所のすこやか福祉センターに子どもを預けられる、あらゆる地域保育施設の情報把握と親御さんへのアドバイスをする専門相談員の配置を実施すべきと思いますが、区のお考えを伺います。

 中野区人材育成ビジョンでは、区の将来像を実現するために、専門性の高い特定の分野で活躍するエキスパート職員の人材育成を実施しております。中野区版の仮称保育エキスパート職員を配置してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 各地域の保育エキスパート職員は、多種多様化する地域の保育ニーズにこたえ、地域の家庭福祉員、グループ保育やあるいは私立幼稚園の3歳以上の預かり保育の推進、また保育所の部屋割りの0~2歳児枠の拡充など、定員の弾力化にも対応する人材を期待します。身近にある地域現場を支え、区民に頼られるすこやか福祉センターでありたいと思います。区政の目標の実現のために、保育相談コーナーを各すこやか福祉センターに常時設置すべきと考えますが、区のお考えを伺います。

 次に、仮称中野区保育士人材バンクについて伺います。

 待機児解消には、民間保育の施設側への支援や保育士の人材支援も大切です。厚生労働省は、都市部を中心に保育士不足が深刻であると指摘しております。現在、全国で36万7,000人あまりの保育士が働いておりますが、保育ニーズの増加に伴い、5年後には7万人以上の保育士が不足する見通しであります。広島県では、保育現場で働いていない県内の有資格の1万8,000人に着目し、ことしの7月に人手不足の保育所に紹介する保育士人材バンクを開設しました。保育所勤務を希望する有資格者がバンクに登録。そして県内の保育所からは求人情報を寄せてもらい、勤務地や出勤日の条件が合う人を紹介する制度になっています。広島県の人材バンクのように、中野区の多種多様な民間保育所のための中野区版保育士人材バンクを開設するべきと思います。

 応募する保育士の生活に沿うように、曜日、午前午後の時間帯など、一人ひとりが働きやすい環境で登録ができるようにし、多種多様の保育サービスが展開されていく保育環境に沿った雇用対策が可能になります。例えば、私立幼稚園の預かり保育には、午後の時間帯を希望する人を雇用できます。子育てなどで退職した保育士の職場復帰の支援もできます。人材雇用が安定すれば、民間幼稚園や保育所では保育士が働きやすい環境の整備に意欲も出てきます。この保育士人材バンクは、NPO等の民間管理運営の委託の方法もあります。今こそ中野区は多様な保育を必要とする子育てのために、良質なサービスを利用できる政策を進めるべきです。中野区の多種多様な民間保育所のために、中野区版保育士人材バンクを開設すべきと思いますが、区のお考えを伺います。

 以上、この項は終わります。

 最後に、次に中小企業支援について伺います。

 先日、中野区産業振興ビジョン案が示され、産業振興に関する区の目標や課題が明らかになりました。さきに選定された都市観光ビジョン、今回の中野区産業振興ビジョン、今後策定される予定の三つ目の仮称商店街振興ビジョンがそろって、新しい中野をつくる10カ年計画に挙げられた目標を具体的に進めることになります。産業振興ビジョンの位置付けによれば、各年度の産業振興施策の具体化とその実施に向けた予算編成を行っていくとしております。

 そこで伺いますが、このビジョンをもとに中長期的な産業振興計画は策定されるのでしょうか。都市観光、産業振興、商店街振興には共通する施策が幾つもあり、産業振興ビジョンの体系図を見ても、この3つを切り離して考えることはできません。都市観光振興策や商店街振興策の具体的施策を取りまとめて、実効性のある仮称中野区産業振興プラン計画を策定するべきではないでしょうか、区のお考えを伺います。

 次に、今後の中小企業支援のために重要な役割を担う専門コーディネーターの設置について伺います。

 区内事業者の発展のためには、単発的な支援からより継続性のある支援体制の構築を目指すべきではないでしょうか。また、事業者間のマッチングを推進する縁結び的な役割を担う人材も必要とされております。特に中野区が重点分野として掲げるICTコンテンツ関連産業と区内の団体や事業者とのコラボレーションやライフサポート関連産業と地域団体や大学などのマッチングには、コーディネーターの役割が欠かせません。今後展開するセントラルパークの約1,000平米の仮称ICTコンテンツ関連産業振興拠点において専門コーディネーターを配置し、区内の産業に資する事業展開を目指すべきではないでしょうか、お考えを伺います。

 新しい中野をつくる10カ年計画には、「区内の大学などとの連携によって、区内企業の経営者が従業員に対し経営能力・職務能力の向上、習得を支援していきます。また、若年層から高齢者まで幅広く社会人に対する職業教育の場を拡充するとともに、養成した人材と区内事業所のマッチングを行って、区内産業の活性化と雇用の拡大を進めます」と示されております。これらの施策は、現在どのように推進されているのでしょうか。

 私は、仮称産業振興センターを活用し、事業展開をすべきと考えます。新しい中野をつくる10カ年計画には、勤労福祉会館を経営者と働く人のための区内産業の支援拠点、仮称産業振興センターとして再整備との記述があります。ステップ1では体制整備、ステップ2では開設の予定になっております。現在、産業振興センターの整備について、進捗状況はどのようになっているのでしょうか。例えばさきに述べた職業教育の場を拡充することや、区内の事業者の雇用のマッチング、区内産業の活性化に資する中核施設として、この勤労福祉会館が産業振興センターの役割として再整備をするべきと考えますが、区の見解を伺います。

 また同じく10カ年計画の中には、「制度融資の拡充と経営相談の充実に努め、区内企業の経営基盤の強化を図っていきます」とあります。制度融資の拡充と経営相談の充実については、具体的にはどのように拡充と充実を図っていくのか、区のお考えを伺います。

 例えば、中小企業診断士による経営診断や創業診断も拡充し、中小企業の求めに応じて現場へ出向き、経営相談を行う中小企業診断士による派遣制度を充実させるべきではないでしょうか。区のお考えを伺います。

 以上、すべての項を終了いたします。御静聴ありがとうございました。(拍手)

    

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 小林議員の御質問にお答えいたします。

 防災情報のICT活用についての御質問です。

 中野区防災安全情報アプリをつくってはどうかという御質問でございました。御提案のアプリにつきましては、ダウンロードされたスマートフォンを持っていれば、避難所や広域避難場所の情報をいつでもすぐ知ることができるという点で有効だと思っております。ただ、実際の災害時には、延焼火災の発生状況によって、指定の広域避難場所以外の場所に避難することや、建物の倒壊などによって道路が通行不通になって、迂回して避難しなければならないなど、さまざまなケースも想定をされています。そのような状況が起こり得ることも踏まえた上で、他の自治体での先進事例等を研究しながら、導入について検討していきたいと考えております。

 それから、街頭消火器の位置を、このアプリをつくるとすれば、マッピングすればいいのではないかという御質問でした。区内に6,200本の街頭消火器を設置しております。この消火器につきましても、仮に御提案のアプリを導入するということになるとすれば、街頭消火器また後ほど出てまいりますAEDの設置、これらについてもデータ化して登載することが適当であろう、このように考えております。

 それから、民間施設のAEDを便利地図に登載していくべきではないかという御質問がありました。御質問の中にもありましたが、中野区便利地図には、区の施設に設置をした120台のほか、駅、医院、スポーツクラブや企業など民間施設に設置された約130台について情報を掲載しております。民間企業からの問い合わせ等によりまして、設置箇所が把握できた場合には、AED設置情報を追加していますけれども、なかなか民間施設の設置状況をすべて把握できているわけではありません。民間施設の設置状況の把握、そして区民が使いやすい地図となるように、民間企業からの情報提供方法について検討をしていきたい、このように考えております。

 また、御質問でありました24時間使えるAEDがどこにあるかといったことの表示、そういったことも重要であるかな、このように考えております。

 それから、AED設置ステッカーの掲示についてであります。AEDのステッカーの掲示のない民間施設におきましては、区が設置をしたAED設置ステッカーの掲示の協力をお願いしてまいりたいと思っております。

 それから、商店街の放送設備に防災行政無線の受信機を設置してはどうか、こういう御質問でありました。商店街の放送設備に防災行政無線の受信機を設置する、このことは一定の効果が期待できると思います。区内の商店街でどのくらいの設置が可能であるのか、調査して検討を行いたいと思います。

 仮につけることができるといった場合に、助成金を設けて推進するべきではないか、こういった御質問であります。商店街に受信機を設置する場合には、維持管理につきまして、その責任の所在と負担の割合など、十分に調整した上で設置のほうは区がさせていただくといったような形になろうかと考えております。

 私からは以上です。

     〔経営室長川崎亨登壇〕

○経営室長(川崎亨) 区有施設の屋上貸し出しについてお答えいたします。

 この事業を導入するには、建築基準法上の制約や収益性などの課題があり、今後研究をしていきたいと考えております。

 また、具体的な御提案のあった中野中学校の新校舎につきましては、既に建設が始まっており、今から設計変更をすることはできないと考えております。

 なお、新校舎に設置を予定をしている太陽光発電は、停電時の活用や環境教育など、学校教育の中での活用を想定した仕様となっております。

          〔子ども教育部長、教育委員会事務局次長髙橋信一登壇〕

○子ども教育部長、教育委員会事務局次長(髙橋信一) 私からは、待機児童の改善策ついてお答えいたします。

 初めに、保育コンシェルジュの配置についてです。

 横浜の場合には、市の範囲も広く、人口も多い中で、保育需要と供給がミスマッチの状態になって、待機が発生する状況にありまして、御指摘のとおりコンシェルジュが効果を上げたと聞いてございます。中野区におきましては、待機児の主な要因につきましては、子どもを預ける施設の不足にございまして、現在子どもの総合相談窓口でさまざまな保育所の紹介等、きめ細やかな対応で、ミスマッチはほとんど生じていない状況でございます。そうした地域事情の違いを考えますと、横浜の事例を直ちに中野区で採用するという状況には、現在のところ考えてございません。

 続きまして、保育エキスパート職員の配置についてでございます。

 現在子育て支援分野におきまして、ケースワーク業務につきましては、エキスパート職員として認定しているところでございます。今後は保育士のさらなる人材の育成を図るとともに、必要があれば措置について考えてまいりたいと思います。

 続きまして、保育士人材バンクの開設についてでございます。区は都が進めてございます保育士資格取得者の掘り起こしによります保育人材確保の取り組みと共催いたしまして、9月30日に中野区勤労福祉会館におきまして、中野区・杉並区・武蔵野市の民間保育園がブースを出展する就職相談会を開催する予定でございます。保育士の確保策につきましては、広域的な対応が効率的であることから、都の取り組み等を活用して支援をして進めていきたい、このように考えてございます。

 以上です。

   〔都市政策推進室長長田久雄登壇〕

○都市政策推進室長(長田久雄) 私からは、中小企業支援についての御質問にお答えいたします。

 まず、中野区産業振興プランの策定についてでございますが、産業振興全般にわたる計画的な内容は、中野区産業振興ビジョンで示すことができたというふうに考えているところでございます。具体的な施策化に当たっては、都市観光ビジョンで掲げた総合的な都市観光推進計画や、商店街振興にかかるビジョン等を策定し、各年度の事業構築と予算化によってビジョン実現の実効性をもたらせていく考えでございます。

 次に、専門コーディネーターの設置についてでございます。産業振興拠点については、ICTコンテンツを活用した区内産業振興に向けて、新たな事業、サービスの創造・創出等を促進支援することを目指し、さまざまなサービスをワンストップで提供するビジネス拠点とすることとしているところでございます。こうした機能を効果的・効率的に発揮させるため、民間活力を活用することとし、これを担う事業共同体の結成の呼びかけに向けて、現在中野区ICTコンテンツ産業振興協議会の意見等を聞きながら検討を進めているところでございます。

 産業人材の育成と供給についてでございます。これまで就労・求人支援サイト、いわゆる「ぐっJOBなかの」の運営や、早稲田大学と連携した経営者支援セミナー、区内事業者向けの合同新任者研修、杉並区ハローワークとの合同就職面接会などを実施してきたところでございます。今後は、さらに区内の事業者と大学、専門学校等とが企業情報や必要な人材情報を共有できる機会であるとか、効果的な人材育成や就労体験、人材マッチングのあり方等について検討する場などを設けるよう、区内商工団体や教育機関等に働きかけ、具体化を進めていきたいと考えております。

 仮称産業振興センターについてでございます。仮称産業振興センターの整備のあり方については、今後商工3団体と具体化に向けた検討を進めていきたいと考えているところでございます。

 最後に、制度融資の拡充と経営相談の充実についてでございます。ICTコンテンツやライフサポート関連など、融資対象分野の重点化とあわせ、融資相談に中小企業診断士の経営診断や事業者育成支援の力を活用できる制度にしていくことを検討しているところでございます。

 以上でございます。

○副議長(久保りか) 以上で小林秀明議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 浦 野 さとみ

 1 脱原発に向けた区の姿勢について

  (1)放射能汚染から区民を守る対策について

  (2)再生可能エネルギーの普及・促進について

 2 生活保護行政について

  (1)貧困の拡大について

  (2)ケースワーカーの増員について

  (3)窓口対応について

 3 高齢者施設の拡充について

  (1)入浴事業について

  (2)孤独死・孤立死をなくすことについて

 4 地元業者の仕事確保と地域経済の発展について

  (1)公契約条例について

  (2)住宅リフォーム助成について

 5 その他

 

○副議長(久保りか) 次に、浦野さとみ議員。

     〔浦野さとみ議員登壇〕

○20番(浦野さとみ) 2012年第3回定例会本会議において、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。

 初めに、脱原発に向けた区の姿勢について。放射能汚染から区民を守る対策について伺います。

 東京電力福島第一原発事故によって飛散した放射性物質による汚染の影響は、事故から1年と6カ月が経過した現在も、決して収束したとは言えない状況です。先日、東京電力福島第一原発から200キロ離れた日本海側の信濃川河口の海底にも、事故によると見られる放射性セシウムが堆積していることが、近畿大学などの調査で明らかになりました。濃度は、東京湾の荒川河口と同程度のもので、水深30メートル地点では海底面から深さ2、3センチの濃度が最も高く、乾燥した重量1キログラム当たり480ベクレルとのことでした。ことし3月にも東京大学の研究チームが、東京電力福島第一原発事故の事故後1年間に摂取した飲食物による内部被爆で、都内に住む乳幼児の場合、10万人当たり2人から3人の確率で、一生のうちに甲状腺がんになるとの推計を発表しました。これは、この事故の影響が、東京の子どもにまで及ぶことを示す結果となっています。海洋や河川、食品、土壌、空間の局所的な汚染など、区民の不安は続いています。

ことし4月から食品に含まれる放射性セシウムの線量が年間1ミリシーベルトに引き下げられ、新規制値が適用されています。しかし、これまでも繰り返し申し上げてきたように、チェルノブイリ原発事故後、年間0.4ミリシーベルトの低線量内部被爆を受けた欧州でも、数年後からがんの発症率の急増、免疫力の低下などの健康被害が報告されています。また、多くの専門家も、飲食と呼吸での長期の低線量内部被爆を指摘し続けています。この長期の低線量内部被爆について、区としてはどういう認識であるのか見解を伺います。

 中野区は、給食食材の放射性物質検査について、東京都が実施している安全安心のための学校給食環境整備事業を活用するかどうか、検討の結果実施しないこととしました。その理由には、前日までに食材を持ち込むことが難しいこと、万が一基準値を超えた場合の対応が難しいこと。保育園が東京都の事業対象には入っていないことなどを挙げました。事業の活用に当たり、財政的な面も検討されたと思いますが、実施しないとした理由には、財政的なことも含まれているのか、見解を伺います。

 また、今、申し上げた理由とあわせて、国や各都道府県が実施、発表している検査体制、データで安全を十分に確認しており、安全の確保ができているとして、区独自の測定はしないこととしています。しかし、各都道府県の検査体制やデータで安全を十分に確認していると言いつつも、万が一基準値を超えた場合の対応が、という点で矛盾する見解が生まれています。以前も指摘したように、流通している食品からも基準値を超えるものが出ていることからも、国や都の検査体制が十分とは決して言えません。だからこそ23区内でも自治体独自で給食食材検査を実施したり、民間の検査機関などを活用したりしている自治体が多数あると認識しています。放射線防護の原則に立てば、しきい値はありません。少なければ少ないほどよいというのが大原則です。だからこそきめ細かな測定が求められており、区内の学校で使われている食材がどうなのか、きちんと測定し、データを公開することが必要です。何より区民の不安にどうこたえるのかという区の姿勢が問われ続けています。中野区において、区民の健康を守るという立場で、学校給食食材についての検査を実施すべきです。答弁を求めます。

 土壌汚染と空間の局所的な汚染について、1点伺います。

 都内において、雨水が流れ込み、たまりやすく水はけの悪い地点では、比較的高い測定値が出ています。土壌については、街路樹や植え込みなど、放射性物質が蓄積、集中している箇所で、1キログラム当たり8,000ベクレルを超える高濃度の放射性物質が散在していることが、日本共産党の都議団の調査で明らかになりました。葛飾区の都立水元公園においては、1キログラム当たり25万ベクレルが測定された土壌もありました。また、空間においても、東京都が示す測定の高さ1メートルで毎時1マイクロシーベルト以上という除染基準を超える、地上1メートルの高さで毎時1.16から1.22マイクロシーベルトの箇所も複数発見されました。これは、さきの調査をもとに、東京都建設局立ち合いのもとで明らかになったものです。このように、都内でも土壌や空間の局所的汚染箇所があることは明らかであり、定期的な測定が不可欠です。ことし7月、特別区区長会では、東京都に対し、都立公園等の各施設で定期的な調査を実施して公表することや、除染目安を超える線量が測定された場合の速やかな措置を講ずること、また放射性物質の対応で地方自治体の対策に要した費用は国が全額負担することを要望しています。これは当然のことだと思います。中野区としても、このことを踏まえた上で区有施設、特に保育園や幼稚園、児童館などの子どもたちが日常的に過ごす場所において、放射性物質が蓄積、集中している可能性が高い雨水升等の土壌を中心に測定を積極的に行うべきではありませんか。ここで遊ぶ子どもたち、また清掃している人の安全、健康を守る上でも必要と考えます。答弁を求めます。

 次に、再生可能エネルギーの普及促進について伺います。

 東日本大震災と福島原発事故は、日本のエネルギー政策の脆弱さを悲劇的な形であらわにしました。原発に頼らないエネルギー政策について、国民的議論が必要です。その大きな柱となるのが、再生可能エネルギー、自然エネルギーの活用です。地球温暖化を加速する二酸化炭素はもとより、放射能汚染など環境負荷をふやすエネルギーは避けるべきということ、そしてエネルギー生産を電力会社などの地域独占、利潤追求型から、過疎の山間地から人口過密の都市部まで、それぞれの地域の実情に合った地産地消型に転換をし、装置の生産や設置工事によって地域の中小企業にも仕事を確保していくという視点が重要です。現時点でこの再生可能エネルギー、自然エネルギーに対する認識、地産地消型にエネルギーを転換していくことについての区の見解を伺います。

 石炭・石油・天然ガス・核燃料は、やがて枯渇します。しかし、地球に降り注ぐ太陽は埋蔵ウランのすべてを原発で燃やした熱量の500倍もの熱量があると言われ、太陽起源の再生可能エネルギーの活用は、将来の可能性を切り開くと言われています。中野区においても、この太陽光熱が一つのエネルギー資源として有用ではないでしょうか。

 区の環境基本計画では、多くの区民、事業者が環境負荷の少ないエネルギーの効率的な利用が進んだまちを目指すとされ、その取り組みの柱として、住宅や事業者への自然エネルギーの設備の普及促進、また区有施設への自然エネルギー設備の設置促進が示されています。具体的には、2017年度までに区内の太陽光発電機器の設置件数目標は4,000件、また区内小・中学校の全校、区有施設30施設に太陽光発電機器設置が目標化されています。しかし、区内住宅への太陽光発電機器等の設置は2010年度までで470件、区内小・中学校等への設置も1けた台にとどまっています。昨年、今後の自然エネルギーを含めた国のエネルギー政策の方向性を見極めながら、目標や計画について検討していきたいと答弁されていますが、目標達成のための今後の具体的な計画について答弁を求めます。

 太陽光発電機器の設置を区内へ普及促進していく上では、財政的支援が必要です。現在区独自での助成制度はありません。各家庭用の国による助成制度とあわせ、区としての助成制度を開始すべきです。また、国による補助制度の継続もあわせて求めるべきです。答弁を求めます。

 次に、生活保護行政について伺います。

 貧困の拡大について。ことし5月時点での全国での生活保護受給者数が211万人を超え、現行生活保護法のもとで過去最高と言われています。しかし、人口も1.5倍にふえており、人数の単純比較ではなく、人口に対して利用されている方がどの程度なのかという利用率で比較されるべきです。日本弁護士連合会の資料によれば、利用率はむしろ減少しており、1951年度の3分の2程度となっています。中野区では6月現在、生活保護を利用している方は6,092世帯、7,074人、人口の2.25%となっています。決算資料からも、利用者及び率ともに増加をしており、近年は高齢者世帯、その他世帯での増加が顕著となっています。しかし、そもそも非正規雇用の拡大による収入不安定や低賃金、また失業率が高止まりをしていること、景気の悪化に伴い、国民の生活実態は年々悪化していることがこの大きな要因と考えられます。中野区においても、国民1人当たりの平均給与収入は減少し続けています。2011年の厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、1世帯当たりの平均所得が前年より11万6,000円減っており、生活が苦しいと感じる割合は61.5%で過去最高となりました。日本の相対的貧困率は16%に及び、6人に1人が貧困ラインとなっています。これは、OECD加盟の30カ国中、メキシコ・トルコ・アメリカに次いで貧困者の割合が高くなっていることを示しています。社会保障の基本は、貧困を取り除くことです。

2012年に入ってから全国で起きている餓死・孤立死事件の発生の背景には、生活保護の利用率、捕捉率の低さが影響していると、日本弁護士連合会をはじめとした有識者は指摘をしています。しかも、生活保護を利用する資格のある人のうち、現に利用している人の割合、捕捉率は2割程度にすぎません。残りの8割、数百万人もの人が生活保護から漏れているのです。生活保護受給者がふえている背景には、こういった貧困の拡大があること、また利用率や捕捉率が低い状況にあることについて、区の見解を伺います。

 生活保護受給者がふえていることが、国や地方財政を圧迫しており、これを引き下げないと財政が破綻するかのように言われることがあります。しかし、日本の生活保護費のGDPにおける割合は0.5%であり、OECD加盟国平均の7分の1にすぎません。諸外国に比べ極端に低いのです。財政面においては、特別区区長会が国に要望しているように、全額国費負担で行われるべきです。区としてもこれが実現されるよう、国に国費負担の増額を求めるべきではありませんか。見解を伺います。

 次に、ケースワーカーの増員について伺います。

 野田政権は、2013年度政府予算案をつくる際の基本方針となる概算要求基準を示しましたが、この中で生活保護費を削る方針を打ち出しました。また、有期性の導入、現物支給化、扶養義務強化等も検討をされています。自立生活サポートセンターもやい代表理事の稲葉剛氏は、「例外的な事例をもとにムード先行で議論を進めるのではなく、生活困窮者の実情を踏まえた冷静な議論を求めたい。また、扶養義務強化という方針は、国が目指す貧困の連鎖防止という政策理念に真っ向から矛盾している」と指摘しています。さきに述べたように、貧困なのに受けられない人が膨大にいることが実態です。現在の貧困の状況を正確にとらえ、困窮者はしっかり制度を活用することができるような、最後のセーフティネットとして十分に機能するような取り組みが求められています。そのためにも、充実した人員体制でのきめ細かな対応が必要です。

 ケースワーカーの職務内容は、社会福祉法で規定され、被保護者の生活困難の実情を把握、理解し、扶助の支給を迅速に行うとともに、対人援助の技術を用いて被保護者の生活課題を解決することとなっています。だからこそ、1人当たりのケースワーカーが受け持つ世帯数の標準数は80世帯とされています。中野区では、昨年度、地区担当では平均96世帯、高齢者担当を含めれば平均111世帯と標準数をいずれも上回っています。これでは本来の果たすべき役割を行うにも、かなり大変な状況があることが推測されます。よりきめ細やかな対応を行う上でも、ケースワーカーの配置数をふやすべきです。見解を伺います。

 次に、窓口対応について伺います。

 厚生労働省は、不正受給に対する告訴などの手続の円滑化、申請者などのうち暴力団員と疑われる者の早期発見などの効果が期待されるという理由で、不正受給者対策に関する予算事業を活用し、警官OB等を福祉事務所へ配置することを積極的に検討するよう指示しました。しかし、全国公的扶助研究会会長の吉永氏は、「福祉事務所に警官OBを常時配置すると、生活保護利用者や相談に訪れる人を犯罪者視し、結果としてセーフティネットである生活保護が機能しなくなる恐れが強い。生活困窮者がふえている中、今以上に福祉事務所から住民を遠ざけ、相次いでいる餓死・孤立死をふやすことにもなりかねないと危惧している」と警鐘を鳴らしています。既に警官OBを雇用している自治体においても、福祉事務所の窓口で相談者に威圧的な対応をするなどの問題が起きています。警官OB配置は、福祉行政の変質にもつながりかねません。これらの危惧されていることについて、区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、高齢者施策の拡充について伺います。

 初めに、入浴事業について。中野区における入浴事業は、1970年代から開始され、全国的にも非常に特化した事業でした。身体機能の低下により、入浴機会の確保が困難となった高齢者に対して、入浴の場を提供し、高齢者の健康増進と福祉の向上に寄与することが目的の入浴困難高齢者支援事業もその一つでした。しかし、ことし6月いっぱいでこの事業は廃止されました。区は、介護保険内の日常生活総合支援事業への移行によってその受け皿をつくっていくと繰り返し述べていました。しかし、廃止を決定した後に利用者へ説明し、結果的に新事業移行希望者が少なく、これまでに当議員団が指摘してきたとおり、従来の事業を利用されていた方の行き場が失われました。そのことについてどう認識をされていますか。また、この方たちに対してどう対応されていくのか、あわせて見解を伺います。

 現在区は、高齢者福祉センターの廃止を予定し、今議会で条例提案がされる予定ですが、結局は高齢者サービスの後退、同じようなことが起きるのではないでしょうか。高齢者福祉センターにおける入浴事業は継続すべきです。答弁を求めます。

 次に、孤独死・孤立死をなくすことについて伺います。

 ことしに入り、障害者や高齢者を抱える世帯が社会保障の手が届かないまま家族ごと倒れる孤立死が相次いでいます。東京都監察医務院が都内23区における孤独死の実態をまとめた統計によると、年齢が上がるとともに孤独死の発生率は上昇し、男性については完全失業率が高い区ほど発生率が高く、また生活保護率が高く、平均所得が低い区ほど、男性の孤立死率が高いことがわかりました。区内におけるひとり暮らしの方で自宅で亡くなられた方は、5年前の2008年には160人、昨年の速報値で212人となっており、年ごとに増加をしています。男性が全体の4分の3を、また70歳以上の方は97人と、全体の約半数を占めています。現在区では、年1回民生委員が訪問し、健康状態や家事全般の自立度などの調査を行うひとり暮らし高齢者調査が行われています。2009年度からは従来の70歳以上のひとり暮らしの方に加え、75歳以上のみで構成されている高齢者世帯も対象に加えられました。状況に応じて地域包括支援センターへの引き継ぎも含めた必要な支援を行っていると伺っています。訪問件数は年間1万件以上ということで、非常に意味のあることだと感じています。東京都港区では、東京都の高齢者見守り拠点の補助を活用し、社会福祉士や主任介護支援専門員などの専門資格を持つ相談員が、介護保険や高齢者向けのサービスを受けていない単身世帯の高齢者を対象に、区全域で訪問する取り組みを開始しています。担当課長は、地域とのかかわりが少ないひとり暮らしの高齢者に、行政の側から手を伸ばして出向く、困りごとなどの相談を受けて、関係機関と連携し、必要な支援につなげるのが目的と話されています。

 区としても現在行われている民生委員による調査をはじめ、区内のいろいろな機関と連携をしながら、現状を把握し、その実態の中から孤独死・孤立死をなくしていくことにどう生かし、取り組んでいくのか、見解を伺います。

 最後の項、地元業者の仕事確保と地域経済の発展について伺います。

 初めに、公契約条例について伺います。

 公契約条例を制定する自治体は、野田市、川崎市に続き昨年12月には多摩市、相模原市で、またことしに入り国分寺市が、6月末には渋谷区で予定価格が1億円以上の工事請負契約という制限はあるものの、23区では初めて制定されました。近年問題にもなっているのは、価格競争の激化により落札額の低下が進み、質の低下やそこで働く人たちがワーキングプアとなる労働条件の悪化です。こういった問題に対し、公契約条例は、自治体にとっては公共サービスの質が確保されること、区民にも安全で良質な公共施設、公共サービスが提供されるというメリットがあります。労働者にとっても、適正な労働条件、賃金を保障するだけでなく、事業者にも適正な価格でより公平な受注競争による会社の安定的運営を保障するものです。また、何より地域経済を元気にする力となります。23区においても、さきの渋谷区をはじめ足立区では、昨年度から区職員と有識者による入札制度全般に関する検討会が立ち上がり、ことし4月からは入札制度の一部改正が、世田谷区においても昨年9月に公契約のあり方検討委員会が設置され、区内の労働環境の実態把握等を行い、検討を進めています。中野区も、公契約条例の設定に向け、踏み出すべきです。そのための検討委員会の設置も含め、条例制定に向けた検討を開始すべきです。見解を伺います。

 最後に、住宅リフォーム助成制度について伺います。

 全国商工新聞の調査によれば、住環境の整備や地域経済対策などを目的とした住宅リフォーム助成制度は、この1年で200の自治体で実施され、全国533の自治体へ広がっています。東京都でも、品川区や大田区をはじめ6区7市町で実施され、地元の中小建設業者の仕事の確保、雇用の拡大、地域経済への大きな波及効果を生んでいます。震災対策の面からも有用であり、耐震補強工事をする際に、内装・外壁・断熱その他の改修を行う例も多くなってきているようです。この観点からも、住宅リフォーム助成について、中野区でも実施を検討すべきです。答弁を求めます。

 以上ですべての質問を終わります。(拍手)

    

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 浦野議員の御質問にお答えいたします。

 長期の低線量被爆についての御質問です。

 国が定めた食品の基準は、低線量内部被爆による健康影響に関して、幾重にも安全側の想定を重ねて設定されたものです。また、国の調査報告でも、低線量内部被爆は食品が中心で、呼吸や皮膚からの吸収はほとんど考慮しなくてよいとされております。現在の国や都の空間線量測定や食品のモニタリングや監視体制下においては、呼吸や飲食による長期の低線量内部被爆を心配する状況にはないと考えております。

 雨水升など特定箇所の土壌測定についてであります。

 国は、空間放射線量の値を除染の目安としており、東京都でも空間放射線量の測定により、土壌からの影響の参考とすることができるものとしております。雨水升などの特定箇所について、区では区民等からの情報提供があった場合に、国の除染等の方針に基づいて測定等の対応を行うこととしております。現在までこの除染基準に該当するような情報は寄せられていないことから、区としても特定箇所の土壌の測定を行うことは考えておりません。

 それから、再生可能エネルギーの普及促進についてであります。

 区内で地産地消型エネルギーと考えられるものは、太陽光、太陽熱などでありますが、これらの再生可能エネルギーの普及促進に今後も努めてまいりたいと考えております。

 太陽光発電機器の目標についてということであります。

 区有施設の太陽光発電につきましては、小学校5カ所、母子支援施設、勤労福祉会館、野方駅南北自由通路、四季の森公園管理棟など計10カ所に設置をしております。また、区ホームページによりまして、国や東京都の実施する住宅用太陽光発電システムなどの補助制度について、情報提供も行っております。この太陽光発電施設の設置件数ですが、着実に件数が増加をしておりまして、平成24年、ことしの3月末で840件にのぼっているところです。

 新たな目標達成の姿や数値目標につきましては、今後環境基本計画アクションプログラムの見直しを行う中で検討してまいります。

 それから、太陽光発電機器の補助制度についてであります。

 来年度の国の補助がどうなるかについては、情報収集してまいります。

 区として太陽光発電機器の設置への補助は考えておりません。

 国や都の補助制度については、区のホームページによって周知を図るとともに、なかのエコポイント制度の拡充を通して、太陽光発電機器の導入等につながるインセンティブづくりに努めてまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

     〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 脱原発に向けた区の姿勢についてのうち、給食食材の測定についてお答えをいたします。

 国や各都道府県などが公表している産地での検査結果や流通段階での検査結果、平成24年4月からの国の新たな基準や、それに基づく検査の実施体制など、総合的に判断して、給食食材の測定を現在のところ行わないこととしております。したがいまして、財政的な理由で実施が困難と判断したわけではございません。給食食材の測定は行いませんが、今後とも各学校と教育委員会とできめ細かく国や都道府県が公表している検査結果等を確認しながら、安全性の確保に努めてまいります。

   

健康福祉部長田中政之登壇〕

○健康福祉部長(田中政之) 私からは、生活保護行政についての御質問にお答えいたします。

 まず生活保護の増加の要因と背景でございますけれども、高齢世帯と傷病、障害のない稼働世帯を中心とする、いわゆる「その他世帯」の増加率が高いということから、高齢化の進行、景気の低迷が大きな要因と考えております。

 それから捕捉率についてでございますけれども、世帯の収入が把握できないということから、中野区として生活保護の捕捉率のデータはございません。

 次に、生活保護費の全額国庫負担についての御質問でございます。

 特別区長会、全国市長会ともに平成25年度の予算要望におきまして、生活保護費の費用負担について見直し、全額国庫負担とすることを要望しているところでございます。区として独自に要望していく考えはございません。

 それから、ケースワーカーの増員についての御質問がございました。

 今後も景気の回復がすぐに見込めない状況と高齢化の進行などから、保護世帯は増加していくものと考えております。研修による職員の能力の向上や収入資産調査の専門員、臨時職員の配置などによる業務の効率化を図るほか、必要に応じて職員の配置についても考えていきたいと思っております。

 最後に、警察官OBの配置についてでございます。

 窓口や相談室訪問時など、暴力的な行為や言動などが発生している状況でございます。職員と執務環境の安全を確保し、適正な業務運営を行うために、警察官OBの配置について検討していきたいと考えております。警察官OBの配置によりまして、生活保護の相談や申請が抑制されるというような事態は起きないものと考えているところでございます。

 以上でございます。

  〔地域支えあい推進室長瀬田敏幸登壇〕

○地域支えあい推進室長(瀬田敏幸) 私からは、まず高齢者会館における入浴事業についてのお尋ねにお答えいたします。

 同事業の利用者のうち、新規事業への移行の希望が少ない、また多くの利用者が見込めないことに加えまして、事業者にとっても事業の採算性が見込めず、本年7月からの開始は見送らざるを得なかったものでございます。現行制度の廃止に当たりましては、利用している方に対して個別に相談を行い、お一人お一人の状況に合ったサービスの御案内などを行ったところでございます。また、入浴サービスの提供につきましては、施設維持や運営経費に多額の経費を要することもありまして、区としてこれまでの入浴事業を継続する考えはございません。

 また、孤立死・孤独死についてのお尋ねがございました。

 区は民生委員の訪問活動の実態を把握しつつ、加えましてすこやか福祉センター職員みずからによる訪問活動などを行ってございます。また、地域での支えあい活動を行っている方からの異変通報を24時間365日受け付けてきているところでございます。さらに電気・ガス・水道などのライフライン事業者など、区内169事業者との情報連絡会の開催や、日常的な緊急通報の連絡体制を設けております。今後も、生活援護分野などの関連所管や地域包括支援センター、ライフライン事業者などとの連携をさらに強化しつつ、孤独死・孤立死をなくすよう努めてまいります。

 以上でございます。

     〔経営室長川崎亨登壇〕

○経営室長(川崎亨) 公契約条例制定に向けた検討会の設置についてお答えをいたします。

 労働者が適正な労働条件で働き、賃金の支払いが保障されるということは、労働基準法や最低賃金法などの法体系によって守られるべきものであると考えております。したがいまして、区として公契約に関する条例の制定に取り組む考えは持っておりません。したがいまして、条例制定のための検討会の設置も考えておりません。

 以上です。

    〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、住宅リフォーム助成についてお答えいたします。

 住宅の改修に当たっては、住宅の改修を行う際に資金の調達が困難な方に対して、民間金融機関の融資あっせんを行っております。住宅リフォーム工事費に対する助成は、公共的な見地からの必要性は低く、助成は考えておりません。

 以上でございます。

○副議長(久保りか) 以上で浦野さとみ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 酒 井 たくや

 1 すこやか福祉センターと区民活動センターについて

 2 生活保護制度について

 3 その他

 

○議長(久保りか) 次に、酒井たくや議員。

     〔酒井たくや議員登壇〕

○27番(酒井たくや) 平成24年第3回定例会におきまして、民主党議員団の立場から一般質問いたします。

 質問は通告のとおり、1点目にすこやか福祉センターと区民活動センターについて、2点目は生活保護制度についてです。3点目のその他についてはございません。区長並びに理事者の皆様におかれましては、前向きな御答弁をお願い申し上げ、質疑に入らせていただきます。

 まずはすこやか福祉センターについてお尋ねいたします。

 区は地域における保健福祉及び子育てに関する総合的な支援、地域活動や支えあい活動を推進するため、保健福祉センターと地域子ども家庭支援センターを統合し、22年7月に仲町小学校跡地に中部すこやか福祉センターを先行的に開設しました。その後北部・南部・鷺宮にも開設され、現在では区内4カ所に整備されております。このすこやか福祉センターでは、保健福祉の総合相談に個別支援、地域の子育て支援、区民活動センターの運営支援、支えあい推進に高齢者の健康づくり等と、非常に多岐にわたる事業を展開しております。区民にとっては子育てから高齢者の保健福祉まで、ワンストップの窓口で相談することができることに関しては、非常に住民満足度の高い施設であり、すこやか福祉センターの今後の展開が大きく中野区民の住民福祉の向上につながることは言うまでもありません。しかし一方で、気になるところもあり、幾つかお尋ねいたします。

 先ほど事業内容のごく一部を紹介いたしましたが、業務内容が非常に広範であるとともに、地域の最前線の窓口ということもあり、業務が何でもかんでも本庁からすこやかにというふうにおりてきてしまう可能性もあるのではないかと考えます。

 今後、高齢化が加速する中、支えあい活動や高齢者、障害者への虐待防止など、区政の最前線に位置するすこやか福祉センターの仕事量が大幅にふえていくことが予想されます。また、区が進める24時間365日対応型の行政サービスの一貫として、すこやか福祉センターにおいても窓口開設時間を拡充しており、現在中部と北部のすこやか福祉センターにおいて、土曜日の窓口開設を実施し、残る南部や鷺宮のすこやか福祉センターにおいても、施設整備とあわせ同様の対応を図っていくと伺っています。こうした対応を図る一方で、区は職員2,000人体制も進めており、現場では職員配置の面でも厳しい側面があるのではないかと考えます。

 すこやか福祉センターが有効に機能するよう、業務内容の交通整理を行い、そして本庁から仕事がおりてくるというようなイメージではなく、最前線の区民のさまざまな声を吸い上げて、本庁での所管する分野の施策に生かしていくような体制づくりが求められると考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。

 また、子育てから高齢者の保健福祉まで、ワンストップの窓口で相談することができるすこやか福祉センターは、非常に住民満足度の高い施設であるにもかかわらず、施設が開設されてからわずかということを差し引いても、地域における認知度が低いところが気がかりです。また、中野区を4分割し、対象エリアが非常に広範であるためと感じております。例えば中部すこやか福祉センターは中央三丁目に位置しておりますが、上高田、東中野地域も管轄している状況です。これらの課題の解消に関して、区としてはどのようにお考えかお聞かせください。

 また、現場すこやか福祉センターでは、多種多様な行政ニーズへの対応をしており、研修制度のより一層の充実が必要です。従来職員はさまざまな人事ローテーションで幅広い業務を経験するゼネラリスト育成型でキャリアを積まれてきましたが、今年度からは専門人材を組織的に育成するため、特定の専門領域に関連する部署に継続して職員が従事するエキスパート認定制度を導入されております。職員2,000人体制下、すこやか福祉センターの広範な専門知識のニーズと窓口の行政知識の継承の確立を考え、研修制度の充実とこのエキスパート認定制度の活用をしっかりと押さえていく必要があると考えますが、いかがでしょうか、区の考えをお聞かせください。

 次に、区民活動センターについてお尋ねいたします。

 去る8月1日、地域支えあい特別委員会におきまして、中部すこやか福祉センターに視察に行き、その中で中部すこやか福祉センター管内にある五つの区民活動センター運営委員会の会長さんと懇願する機会を設けていただきました。各運営委員会の会長さんからさまざまなお話をお聞きすることができ、時間は短いものでしたが、大変に有意義でありました。お話をお聞かせいただく中で、地域センターから区民活動センターへの転換により、住民自治の向上を図るという区のねらいは想像以上に早く芽が出ているように私自身は感じました。転換から1年が経過した今、区はどのように評価し、また今後の課題に関してどのように認識しているのか、お聞かせください。

 次に、私自身が感じる区民活動センターの今後の課題について、お尋ねさせていただきます。

 まずは、事務局員の雇いどめについてであります。区民活動センター運営委員会に雇用されている事務局スタッフの雇用に関しましては、1年ごとの契約更新で、現状2回までの更新、すなわち連続して3年を上限としております。これは区民活動センター運営指針に明記されているとはいえ、この運営指針は転換の直前に示されたものです。このため、中には既に選考を実施し、雇用契約をしている地域があったほか、この突如として示された運営指針により、事務局員をやめられた方もいると聞いております。特別委員会で中部すこやか福祉センターを視察したことに前段で触れましたが、中部すこやか福祉センター管内の五つの運営委員会の会長さん、皆さんが事務局員の雇いどめについて問題視されておりました。また、区内全体の運営委員会会長連絡会でも、このような声があったと聞いております。そして中野区町会連合会との懇談の中でも、同様の心配をお聞きしました。例えばさくら祭りなどの大きな事業を抱えている運営委員会では、事務局員が3年スパンでかわるのは、現場に混乱を来すという具体的なお話もされていました。また、事務局員と事務局長の引き継ぎに関しても、事務局長をやりたくない人もおり、悩ましい問題であるそうです。契約更新期間について3年を上限とすることは、有期雇用契約が反復更新されるような場合に、契約期間の意義は徐々に薄れ、契約期間の満了のみを理由とした雇いどめができなくなり、解雇に相当する理由がなければ、雇いどめができなくなるということになります。

 被雇用者の更新期待権との兼ね合いの問題、そして同じ事務局員が長期にわたり仕事を続けることの問題点に関しては理解するところもありますが、一方で労働契約法において、法律の条文の中には、雇いどめに関し3年という数字は設けられておらず、厚生労働省労働基準監督署に雇いどめ法理「期待権」について確認してみたところ、3年以内の更新においても期待権が発生したこともありますし、3年以上の更新に関して期待権が発生しない場合もあるとの見解でありました。また、平成24年8月に公布されました労働契約法の改正では、無期労働契約への転換というものがあります。これは、有期労働契約が反復更新されて、通算5年を超えたときには労働者の申し込みにより期間の定めない労働契約、すなわち無期労働契約に転換できるルールであります。すなわち、5年と1日を超えると無期労働契約に転換できるものです。

 このようなルールを別の観点から読み取ると、事務局員の雇用に関しましても、連続して5年までとするような考え方もあるのではないのでしょうか。更新を2回3年を上限としたこの数字の根拠をまずはお聞かせください。

 また、運営委員会からこの雇用の問題についてさまざま声が上がっている中、区としても何らかの方策を講じるべきではないでしょうか、お考えをお聞かせください。

 次に、地域間格差の解消についてお聞きします。

 視察により区民活動センターへの転換による効果が想像以上に地域に浸透していることを肌で感じたことはさきに触れましたが、この転換を先行実施した地域がある一方で、立ち上げに時間を要した地域もありました。こうした状況をかんがみますと、今後各運営委員会によるさまざまな工夫のもとで、区民活動センターが運営されていく中、地域間格差が生じてくる可能性があるのではないかと危惧します。質の高い住民サービスを維持し、発展させていくためには、運営委員会へのフォロー、支援を区として具体的に考えていく必要があると考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。

 次に、区民活動センターの現場の職員に関してお聞きします。地域センター当時は職員が6名から8名、現場に配置されておりました。その中で特に若い職員が地域と触れ合い、地域の諸課題を把握することが、その職員の血と骨となり、その経験がその後のさまざまな仕事において生かされるという、一つの庁内の人材育成的な側面もあったのではないかと私は考えております。しかし、現在の区民活動センターは、係長級の職員と再任用職員の2人の職員配置となっております。今後もこのような体制が続くようでは、若手に限らず職員が地域と触れ合う機会が減っていくことになります。職員がこれまで地域と触れ合うことで培ってきた知識と経験が途絶えてしまうことについて、行政としてどのように考えているのかお聞かせください。

 この項の最後に、災害時の避難所運営体制についてお聞きいたします。

 区民活動センターへの転換後も、引き続き災害時の対応は区の職員が行うということで、区の職員による災害時は地域本部体制が組まれております。地域本部長、地域副本部長のほか、避難所についても避難所班長、副班長として地元在住の職員が指定されておりますが、顔を合わせる機会は避難所運営会議や避難所訓練に限られております。防災会はじめ地域住民とお互いに顔が見える関係をつくれば、災害発生時にもより円滑な対応ができるのではないでしょうか。避難所班長・副班長が地域の行事に参加する等、より地域と触れ合う機会を設けるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 以上ですこやか福祉センターと区民活動センターについての質疑を終わります。

 次に、生活保護制度についてお尋ねいたします。

 厚生労働省は、12日、5月の全国の生活保護受給者が前月比8,735人増の211万816人、受給世帯が8,572世帯増の153万8,096世帯になったと発表し、ともに過去最多を更新しております。中野区におきましても増加傾向で、現在8月時点で6,154世帯7,152名が受給している状況下であります。平成23年度の数字では、人件費を含み151億円の事業費であります。一般会計の実に14%という状況であり、保護費の増加はどこの自治体財政をも圧迫しているのが現状で、中野区も同様であります。

 生活保護制度に関する国と地方の協議に関する中間取りまとめの開催趣旨の中には、「貧困ビジネスや医療扶助の不正受給等の不正行為も依然として発生しており、制度への信頼が揺るがしかねない状況にある」とあります。お笑い芸人の親族の生活保護受給や、マスコミで報じられる数々の不正行為も大きな影響を及ぼしているのだと考えますが、私自身はこの制度への信頼というものは、既に大きく揺らいでいると考えます。

 生活保護制度は、昭和25年の創設以来抜本的な改革がなされておらず、制度自体が破綻しております。保護費と最低賃金と国民年金との兼ね合い、医療費の一部自己負担や保護費の現物支給、現場への調査権の拡大等、早急に抜本的な見直しが求められるのは言うまでもありません。まじめに働き、まじめに税を納めていることがばかばかしいと感じてしまうようでは、このままでは日本が、日本人がだめになってしまいます。

 一方、行き過ぎた報道などが散見される中、最後のセーフティネットとして、本当に生活に困っている方を支えることができる制度に。そして区民から信頼される制度の実現を中野区として目指していかなければなりません。保護費のうちの約半分近くを占める医療扶助については、昨年度の予算特別委員会におきまして幾つか提案をさせていただきましたので、今回は現場のケースワーカーの保護世帯数の担当受け持ち件数や、仕事を整理することによる適正保護や不正受給の防止、それから医療費のチェック機能などの向上も図れるはずで、このような観点から、国の全額補助によるセーフティネット支援対策等事業費補助金の活用について、以下3点お伺いいたします。

 職員2,000人体制下のもと、生活援護分野の現場においては、受給者が右肩上がりでふえる一方で、ケースワーカーを大幅に増員することは難しいのが現状であります。社会福祉法第16条において、被保護世帯80世帯につきケースワーカー1名を標準として配置すると定められております。7月時点で中野区のケースワーカー1人当たりの担当数は98世帯であり、さらに過去の法律制定時と比べ、介護の問題に複雑な年金制度や雇用の不安定化、精神疾患の増など、生活保護を取り巻く問題は多様化・重層化しており、この被保護世帯数80という数字も、大変に困難な担当受け持ち件数と考えます。ケースワーカーが多くの案件を抱えていることにより、調査の手が足りない現実により、不正受給や不適切支給の発生や適正保護ができないということが起こり得ます。

 そこで1点目、現場窓口での不正受給防止といった場合は、申請者が受給資格を有するか詳細に調査し、正しく判断することに尽きます。例えば年金は制度自体が複雑で、制度が毎年のように見直されるため、個々のワーカーがすべてを理解するのは難しい状況下、各区では、先ほど紹介させていただきました、国の事業を活用し、資産調査員などの専門人材を現場にて活用しています。中野区といたしましても検討してはいかがでしょうか、お聞かせください。

 2点目、この国の事業のメニューとして、先ほども質疑にありましたが、警察官のOBの活用も行うことができます。こちらはケースワーカーが威圧的・暴力的な受給者を訪問する際に同行したり、窓口に訪れた相談者が大声を出すなど暴れた場合に対応してもらい、ワーカーの負担を軽減するのがねらいです。暴力団の締め出しにより廃業した元暴力団員が生活保護を申請するケースもあると聞きます。職員を守るという観点やメンタル面での支援のための警察官OBの活用も行うべきではないでしょうか。

 また、先ほども質疑がありましたが、こちらに関しては申請抑制につながるのではないかという懸念がありましたが、活用している自治体ではそのようなことは起きているのでしょうか。他自治体の実情を把握しておりましたら、あわせてお聞かせください。

 次に3点目、増加しております稼働世帯への就労、自立支援についてでありますが、この稼働世帯を対象に、板橋区は働ける年齢の生活保護受給者を対象にしたアンケートを実施しました。生活保護受給者への生活再建支援に役立てようとの観点ですが、このような自治体による受給者への大規模調査は全国初であります。暮らしの様子や仕事について17項目を郵送で質問調査したものですが、内容は、問題を抱えたときに相談できる相手がだれもいないと回答した人が4人に1人、人づきあいができないと回答した人が3人に1人にのぼるなど、社会とのかかわりが希薄、社会適応能力が低いという人が多かったそうです。このような板橋区の結果というものは、中野区でアンケート調査を実施しても、それほど変わらないのではないかと考えます。こういった方々は、まずは社会に慣れてもらうために、ボランティアや中間的な就労から始めることが必要であると言われております。社会適応能力が低い、孤立した被保護者の就労に関しては、丁寧な訪問支援活動が必要であります。豊島区では、就労支援を要する方の自立には段階が必要であるとし、この国の事業を利用し、就労支援基礎コース、就労支援ステップアップコースを設け、きめ細かな支援を行っております。中野区でもこのような制度を活用することにより、なかなか就労に結びつかない、社会適応能力も低い方を就労につなげることも取り組むべきだと思いますがいかがでしょうか、お聞かせください。

 以上、国のセーフティネット支援対策等事業費補助金の活用により、現場の負担の軽減を図り、適正保護、不正受給の防止、チェック機能の向上につながるという観点から3点お尋ねさせていただきました。

 最後に、次に現場職員のモチベーションについてでありますが、生活援護分野への異動希望は非常に少ないというふうに聞いております。また、制度が疲弊しているのとあわせ、困難な案件が多数ある上、法定受託事務により、現場にほとんど権限がない等、これでは現場職員のモチベーションが低下してしまうのではないかと危惧するところです。区として現場の状況をどのように把握しているのでしょうか。またモチベーションを低下させないためにも、特昇による評価、メンタル面での双方の支援も必要であると考えますが、あわせてお聞かせください。

 以上で私のすべての質問を終了いたします。御静聴ありがとうございました。(拍手)

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 酒井議員の御質問にお答えいたします。

 まず、すこやか福祉センターの体制についてということです。

 すこやか福祉センターは、地域における総合的なサービス拠点として幅広い相談業務やさまざまな地域団体への支援の活動を行っております。本庁の事業所間とも役割分担を明確にしつつ、目標、成果の達成に向け、さらなる機能充実を進めていきたい、このように思っております。

 相談支援など現場で得た情報をもとに、必要な施策の企画立案につなげるといった政策の窓口としての役割も私は重要だと考えております。また、それを受けとめる本庁側の組織のほうとしても、現場での意見をしっかりと受けとめて、現場で運用しやすい制度、施策づくりを行っていくといった、相互の組織の強みを相互に生かす取り組みを進めていくことが重要である、このように考えております。

 それから、すこやか福祉センターがあまり知られていない、それから立地がやはり区内のある場所からは遠くなってしまう、こういうことについての御質問です。

 すこやか福祉センターは、高齢者会館や児童館、また区民活動センターなど、地域の施設や活動拠点を所管しております。すこやか福祉センターがやはり遠くて困難だ、こういうふうに言った方のためには、これらの地域施設を活用して、担当する地域の全域において介護予防や子育て相談など、職員のアウトリーチによる事業展開を強化をして対応していくことが重要、このように考えているところです。

 それから、職員の研修制度とエキスパート職員認定制度の活用についてであります。

 すこやか福祉センターと区民活動センターに勤務する職員は、広範な知識や地域の中でのコーディネーター能力など、幅広い能力を必要としております。こうした専門性の向上を図るため、エキスパート職員認定制度によります高齢・障害・子ども等を対象にした総合福祉相談などに対応し得る専門知識やスキル・経験を兼ね備えた職員の人材活用を図ってまいりたい、このように考えております。

 また、部内研修の工夫でありますとか、事業所管部と連携しての人材育成強化など、能力開発に積極的に努めてまいりたい、こう考えております。

 次に、区民活動センターについてであります。区民活動センターへの評価と課題についてということです。各区民活動センター運営委員会の皆さんには、住民自治の確立を目指すという設立の趣旨を十分理解していただけたことで、円滑な転換が図られたと認識をしております。どの地域でも楽に転換ができているということとは全く思っておりませんけれども、それぞれの運営委員会がさまざまに工夫、努力をしていただいた結果として、こういうことになっているというふうに思っております。今後とも継続して安定した運営をしていくためには、各運営委員会が地域自治の担い手の主体となって取り組んでいただくことが重要だと思っております。区としてもその趣旨に沿った側面支援を行っていきたい、こう考えているところです。

 それから、事務局職員の契約についての御質問です。区民活動センター運営委員会事務局員の採用に当たっては、運営指針の中では、同一の者が採用される場合にあっては、連続して3回を越えないものとしております。こうしたことですが、当然1回1回においても継続して雇用される期待権が発生するような取り扱いになると、私は考えておりません。それで、この3回ということなんですけれども、運営委員会自体が固定的なものではなく、一定の任期のもとに人も入れ代わりながら運営されてまいります。そうした組織の事務局が長期に固定化するということは、運営委員会の自由で活発な活動の制約にも、ときによってはなりかねないことがあるというふうに私は思っています。また、そうした運営委員会の成り立ちから見て、長期に反復される雇用を行うということ自体、やはり好ましくないというふうに判断したということもございます。運営指針としてこのような考え方で定めたということの趣旨、十分御理解いただければと思っております。

 それから、区民活動センターごとに地域格差が出てくるのではいけないのではないか、こういう御質問でありました。行政サービスとしての格差、これはいけないと思うのですが、地域での自治的な活動というもので見れば、その地域それぞれによって活動の形や活動の重点ということに違いが生じてくるというのは当然なんだろうなというふうに思っております。その結果として各地域ごとに差が生じていくということ、これはむしろあって普通の姿なのかな、このように私は思っております。

 各運営委員会に対しましては、今後とも地域自治の担い手の主体という趣旨に沿いまして、すこやか福祉センターを中心に、必要に応じた側面支援を適切に行って、同じ条件の中で皆さんが活動される、こういったことについてしっかりと区として保障していきたいと思っております。

 それから、区職員の地域での学びについてということです。かつての地域センター時代に職員が地域で学ぶことができたといったようなことについての御質問でありました。区職員であります以上、どの分野の職員でも、区民の視点に立って地域の課題を把握し、施策形成をしていくということは大切だと思っております。どの仕事をしている人間でも、やはり地域の方と交流をしながら、地域の声を受けとめながら仕事をしていくという、そういった姿勢をつくっていくことが大事だと、このように考えております。区民活動センターの配置中職員だけではなくて、庁内外におきますさまざまな分野の職員が積極的にアウトリーチもして、地域動向や課題を積極的に把握していく、そうした全庁的な体制、風土づくりをさらに進めていかなければいけない、このように思っております。

 それから、避難所班長・副班長の地域行事への参加にかかわる御質問です。避難所ごとに開催されます避難所運営会議には、避難所班長・副班長は地域防災会の役員や施設管理者とともに参加をしております。また、避難所運営会議で確認した避難所の開設・運営を実践するために、避難所運営開設訓練を実施していただくよう働きかけをしているところですが、この訓練にも当然避難所班長・副班長は参加をしているところであります。今後とも地域の皆さんとこの避難所班長・副班長が接触して一緒に備えていく、避難所の開設に備えていくという機会をふやして連携を一層強め、発災時にしっかり対応できるように取り組んでいきたい、このように考えております。

 私からは以上です。

    〔健康福祉部長田中政之登壇〕

○健康福祉部長(田中政之) 私からは、生活保護制度についての御質問にお答えいたします。

 まず、不正受給防止のための資産調査員などの活用についてでございます。

 専門知識のある職員が年金や収入などの調査を行うことにより、的確に資産などを把握でき、不正受給の防止につながるとともに、ケースワーカー業務の効率化が図れると考えていることから、配置につきましては検討を進める予定でございます。

 次に、警察官OBの活用についてでございます。

 受給者の増加に伴いまして、職員のみでは職場の安全を確保することが難しい状況となっていることから、警察官OBの配置についても検討したいと考えているところでございます。23区で既に配置している区は4区ございますけれども、申請抑制などの問題は全く起きていないというふうに聞いてございます。

 それから、就労意欲喚起等支援事業についてでございます。

 現在中野区では、就労支援員等ハローワークナビゲーター職員、ケースワーカーとの連携によりまして、就労支援に取り組んでいるところでございますけれども、就労阻害要因のある方に対しましても、必要な支援を行うよう、現在努力をしているところでございます。

 それから、職員のモチベーションについての御質問がございました。

 保護世帯の増加による事務量や困難ケースの増加など、非常に厳しい現場であると認識をしてございます。精神保健福祉士の配置や高齢者世帯の委託など、民間の力を活用しながら業務運営の効率化を図っているところでございます。また、職員が知識や情報を共有し、支え合う精神を醸成するように努めておりまして、制度の課題や業務の困難性からモチベーションが下がるということのないように留意していきたいと考えております。

 それから、職員の評価とメンタルへの支援についてでございます。

 生活援護のケースワーカーということであることをもって特段の評価を与えるということは考えてはございません。区の評価制度の仕組みにのっとり適正な評価を行っているところでございます。

 メンタルケアにつきましては、執行責任者、統括管理者が常に一人ひとりの職員の状況をよく注意して把握をし、一人で問題を抱え込まないように配慮をしているところでございます。職員の状況に異変を感じた場合には、統括管理者が個人面談を行いまして、必要に応じて職員健康管理室や専門医につなぐこととしているところでございます。

 私からは以上でございます。

○27番(酒井たくや) 再質問させていただきます。

 区長、区民活動センターのところの事務局員の雇いどめのところなんですけれども、もちろん区民活動センターが転換されてからまだ1年が経過して、この運営指針をすぐに見直すとなると、現場の混乱も来すというのもあるんだろうというのは重々に区長、理解しておるんですが、一方で運営委員会の母体の組織である町連から、町会連合会からもこういった声があって、そしてまた、期待権の3年というのは、僕は判断でこの3年に落とされたんだろうと思うんですけれども、労働契約法が改正されて、取り方によっては5年というのもあるのかなというのは、私自身は感じておるんですね。それからまた、この事務局員の雇いどめの3回以内3年という上限に関しまして、決算特別委員会で当時鈴木地域支えあい推進室副参事に、見直しについてお尋ねさせていただいたところ、ちょうど1年前です。区は何事もPDCAを行政運営の基本にしており、当然検証して必要だと思えば改善を行っていくつもりというような御答弁があった中、なかなか今は難しくても、しっかり検証していただいて、それからまさに運営委員会で、自治を向上するために各運営委員会でやっている中で、そういう声がある中、ぜひとも前向きに考えていただきたいなと思っておりますが、御所見いかがでしょうか。

 以上で再質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 期待権の話は、それはもう例外的なことなんだろうと思います。もともと契約のあり方自体が期待権というものを想定していないと私は思っております。そういうことなんですけれども、運営委員会なり町会長さんたちなりの受けとめ方は、酒井議員さんのおっしゃったように一様ではないというふうに思っています。いろいろな考え方の方がいらっしゃるというふうに思います。私、先ほど言いましたように、いろいろな考え方の方もいるし、また運営委員会のメンバーもかわっていくんですね。事務局長が同じ方がずっとやっている間に、運営委員会の委員長は2回もかわりましたなんていうようなことになりましたらば、だれが主になっている運営委員会かということも起きかねないということがあるというふうに思います。そういうようなことから、いろいろ御説明をしてきたところです。

 では絶対に見直しはしないのかというふうに言われたらば、紹介のありました答弁にもありましたように、区はPDCAでやっているわけですから、それが必要だというふうに判断すればいつでも見直しを行う、こういうことでございます。

○副議長(久保りか) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 石 川 直 行

 1 再生可能エネルギーの推進について

 2 中野区役所移転について

 3 中野区地域防災計画第39次修正について

 4 その他

 

○議長(久保りか) 次に、石川直行議員。

      〔石川直行議員登壇〕

○9番(石川直行) 平成24年度第3回定例会に当たり、みんなの党の立場から一般質問をさせていただきます。質問は通告どおりで、その他はございません。

 まず、冒頭に当たり、9月2日から予定をされておりました北京市西城区への訪問を、諸般の事情から延期されたことに賛意を表します。

 さて、昨年の3.11東日本大震災以降、国民の間では防災意識の変化とともに、今までのような原発に依存してきた体質から、代替エネルギーとしての再生可能エネルギーのさらなる研究開発と普及促進活動は避けて通れない国策であると言えます。脱原発と言っても、日本の将来を左右するエネルギー政策でありますから、国会にて十分な国民的議論がされることを願ってやみません。一方で、中野区として再生可能エネルギーの普及促進は進めていかなければいけない政策課題と認識をしております。国会では8月29日、混乱の中、都市の低炭素化の促進に関する法律案を与野党賛成の中、可決成立しました。この法案の背景は、「都市の低炭素化を図り、市町村による低炭素まちづくり計画の作成、低炭素建築物の普及促進のための措置を講じる」となっております。中野区としても今後この法律に基づき、低炭素まちづくり計画の策定に取り組むことが求められると思いますが、この法律をどのように受けとめているのか、御所見をお伺いいたします。

 また、法案の概要では、さきに申し述べました低炭素まちづくり計画の策定、低炭素建築物の認定のイメージとして、低炭素化に資する蓄電池等設置による床面積の容積率の不参入や、太陽光発電パネル、天井・外壁の断熱、認定低炭素建築物の所得税の軽減など、具体的に示されております。

 そこで今回、太陽光発電パネル普及について質問をさせていただきます。

 地域内のエネルギー循環は、送電時におけるエネルギーロスを軽減することから、エネルギーの地産地消を進めるべきと考えます。再生可能エネルギーとして太陽光エネルギーの利用・普及促進について、現在どのような御所見か、また具体的取り組みがあれば御説明願います。

 さらに、太陽光発電パネルの普及に伴い、今後予想される地域トラブルについてお伺いいたします。

 経済産業省資源エネルギー庁が進めている太陽光発電システムの設置に対する一部補助制度やエネルギー固定価格買取制度により、利用・設置者の増加が考えられます。当然固定買取制度、いわゆる売電が普及することに伴い、年間を通した平均晴天日の日数や1日の日照時間を基準として、年間の売電価格と初期投資費用、減価償却、メンテナンス、ランニングコスト等勘案して設置するものと思われ、従来の日照権とは別の権利が発生することが懸念をされます。実際に神戸市や名古屋市では、近隣に中高層建築物が建てられたことにより、今まで得られた太陽光エネルギーの減少に伴い、中高層建築物所有者に対する損害賠償訴訟や地域との協定に基づき損害金が発生するといった事例も出てきております。

 そこで、太陽光エネルギーの利用の観点から、都市計画法の用途地域のあり方、考え方について、新たな観点と発想で見直しを図る必要があると考えます。もちろん、災害に強いまちづくりとの整合性をとりつつ、従来の日照権とは別の視点による議論が必要であると考えます。御所見をお伺いいたします。

 次に、中野区役所建てかえに関して質問させていただきます。

 中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.2では、新庁舎の位置を中野体育館と庁舎予定地として公社が取得したその南側の土地としていました。しかしVer.3では、区役所の位置について、「周辺地域へのにぎわいへの配慮やまちづくりに寄与する最適な配置を検討していく」となっております。従前の考え方は、区役所、サンプラザ一体の再整備を通じた土地活用により、財政負担を軽減した上で、新庁舎の建設を進めることであったと認識しております。しかしながら、中野駅南口周辺も含めた位置変更は、区有地でない限り、厳しい財政状況の中、新たな土地取得の手当てをしなくてはなりません。また、Ver.2では、現中野中学校の跡地は新中野体育館となっておりましたが、Ver.3では中学校跡地として明記され、新中野体育館の位置については「最適な位置を検討していく」と示されております。学校再編により地域住民に親しまれた学校を失うことは大きな悲しみでありますが、それ以上によりよい学校教育の環境が確保されることを、地域として受け入れ、理解されたものと考えます。

 また、新しい中野をつくる10カ年計画第2次では、中学校跡地には新区立体育館と示されております。中野中学校の移転跡地の活用は、区有地として区民が集い、学びあるいは楽しめる、遊べる場として考えているのでしょうか、御見解をお伺いいたします。

 さて、隣接区の豊島区では、中野区と同様大変厳しい財政状況の中、新庁舎建てかえに関し、本年2月2日に新庁舎建てかえの起工式が行われ、翌日には日経・読売・産経の3紙が取り上げておりました。この新庁舎建設で特出していることは、財政負担ゼロであるということです。詳細については述べませんが、区庁舎と住宅という異なる用途のビルであり、いわゆる合築建築物であります。中野区と今回の豊島区とでは、スキーム自体あるいは諸条件に対する相違があるとは思いますが、この豊島区の新庁舎建てかえのように、民間と共同の再開発の手法に関し中野区としてどうとらえているのでしょうか、お伺いいたします。

 また、この豊島区の例を見るまでもなく、余談をはさむことなく、あらゆる事例を検討し、財政負担を軽減する新たな中野モデルをつくり上げていくことが重要と思われます。御見解をお伺いいたします。

 次に、中野区地域防災計画第39次修正についてお伺いいたします。

 スケジュールを見ますと、本年11月に素案の策定後、区議会、防災対策連絡協議会に対する報告、区民意見交換会となっております。その後、来年1月中旬に案となり、区議会、防災対策連絡協議会報告、パブリックコメントを経て3月作成となっております。また、修正における検討体制として、「中野区防災対策連絡協議会により、地域の声を反映させる」となっておりますが、地域の声を反映する仕組みが十分であったとは言いがたいのが現状であります。ことし3月26日に行われた中野区防災対策連絡協議会の議題では、来るべき大地震に備えた中野区の具体的な取り組み案の中でスケジュールが示され、その場で委員が2、3意見を述べただけで、地域の声を反映させる構図には至っておりませんでした。御承知のようにこの中野区防災対策連絡協議会の委員は、区民活動センター別防災住民組織、町会連合会、商店街連合会、小中PTA連合会をはじめとして、中野区を網羅している団体推薦及び区議会、消防団で構成されております。早急に中野区防災対策連絡協議会を開催し、地域の意見を集約するよう要請を試み、それぞれの声を聞き、反映させて、中野区地域防災計画素案としてのぞまれることが、結果として災害時に大きな力を発揮することになるのではないでしょうか。特に地域防災力の向上は、地域の声を聞いて具現化してはじめて成り立つものと思われます。中野区地域防災計画(素案)が出てくる前に取り組むべき課題と考えます。御見解をお伺いいたします。

 また、今後は防災対策連絡協議会が開催される前に各団体に対して、議題に関するテーマを伝えるなどして事前に各団体による協議をしてもらい、意見集約をする必要があると考えます。さらに、防災分野みずから、各団体の定例会にのぞみ、防災に特化した時間を設けていただき、防災に関する問題点をくみ上げることも重要であると考えます。今後の防災対策連絡協議会のあり方について御所見をお伺いいたします。

 以上をもって一般質問を終了させていただきます。(拍手)

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 石川議員の御質問にお答えいたします。

 中野区防災対策連絡協議会への地域の声の反映についてという御質問です。

 災害に強いまちづくりを推進するためには、地域の防災力の向上を図り、防災対策に関する地域の声を反映していくことが大変重要だと思っております。中野区防災対策連絡協議会につきましては、より実質的な協議が行われるように、適切な開催の時期でありますとか資料の作成でありますとか運営方法などについて工夫をしていくことが必要だと、このように認識をしております。これまでも、地域防災計画の改定に向けて、中野区では、来るべき大地震に備えた中野区の具体的な取り組み等について、避難所運営会議や中野区防災対策連絡協議会などで御意見は伺ってきたところです。現在、防災関係機関の取り組みを含めて、地域防災計画の第39次修正素案の策定作業を進めているところですが、その素案について御意見を伺うために、中野区防災対策連絡協議会の開催を予定をしております。また、一定の期間を設けて、この協議会の委員を通じて、地域の御意見を提出していただけるような機会をつくって、そうした御意見を集約をするという予定にもしております。そうした運営を行いながら、実効性のある中野区地域防災計画第39次の修正に取り組んでまいりたい、こう思っております。

 ただ、ことの性質上、あまり長い時間、計画をつくるために長い時間をかけているということでもないと思いますので、皆様の御協力をいただきながら、効率的に積極的に御意見を集めさせていただければ、このように考えているところです。

 私からは以上です。

    〔環境部長小谷末弘市登壇〕

○環境部長(小谷末弘市) 私からは、再生可能エネルギーの推進につきまして、まず都市の低炭素化の促進に関する法律でございます。区では既に昨年7月に地球温暖化防止条例を定めまして、区、区民等及び事業者の地球温暖化防止対策を推進するための措置を講ずることによりまして、区における温室効果ガスの排出の量を削減し、もって地球温暖化の防止に資するということとしてございます。具体的には、建築物の断熱性の向上のための認証制度の実施や、街路灯のLED化、それから区有地施設の太陽光、太陽熱利用機器の設置などを実施しているところでございます。

 国は、この法律に基づきまして、都市の低炭素化の促進に関する基本的方針を定めるということとしてございまして、年内を目途にその策定予定というふうに聞いてございます。区といたしましても、その情報収集に努めてまいりたいと考えてございます。

 それから、太陽光エネルギーについてでございます。区有施設の太陽光発電につきましては、現在小学校で5カ所、それから母子生活支援施設、勤労福祉会館、野方駅南北自由通路、四季の森公園管理棟など計10カ所にこれを設置してございます。また、区のホームページによりまして、国や東京都の実施いたします住宅用の太陽光発電システムなどの補助制度につきまして、情報提供を行っておりまして、この件数につきましては着実に増加をしておるというところでございます。

 また今後につきましては、学校や区有施設の改築等に合わせまして、太陽光発電、太陽光エネルギーの活用につきましては、これを積極的に推進してまいりたい、そのように考えてございます。

    

都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、再生エネルギーの推進についてのうち、太陽光発電の普及に伴う地域トラブルについてお答えいたします。

 御質問にもありましたように、係争中の事例もございまして、現状では発電量の減少被害が直ちに権利の侵害に当たると認められるものではなく、裁判においても「受任の限度内にとどまる」との判断がされていると聞いているところでございます。

 基本的には、現行の都市計画諸法に基づいて議論すべきものであると考えているところでございます。

  

都市政策推進室長長田久雄登壇〕

○都市政策推進室長(長田久雄) 中野区役所移転に関する御質問のうち、中学校跡地活用についてお答えいたします。

 現中野中学校跡地につきましては、新しい中野をつくる10カ年計画第2次では、中野体育館建設用地としていたところですが、区役所・中野体育館について、最適な施設配置の検討を行っているところであり、その検討結果を踏まえて、最適な活用方法を見出していきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

     〔経営室長川崎亨登壇〕

○経営室長(川崎亨) 新しい区役所の整備手法についてお答えいたします。

 豊島区の新庁舎建設の場合は、区有地を活用した市街地再開発事業としたことに伴い、従前資産である底地の権利変換により必要となる床の4割程度が再開発ビルに確保されると聞いております。不足する床の取得費用につきましては、現区役所敷地に定期借地権を設定することにより得られる収入を活用することで、新たな一般財源の投入や区債発行を抑制することが可能と聞いております。

 中野区といたしましても、新しい区役所の整備につきましては、区役所、サンプラザの再整備の中で必要な財源を確保することを想定をしており、基本的には豊島区と同様な考え方でございます。

○副議長(久保りか) 以上で石川直行議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 髙 橋 ちあき

 1 教育関係について

  (1)いじめについて

  (2)乳幼児を見守る防災対策について

  (3)海での体験事業及び移動教室について

 2 その他

 

○副議長(久保りか) 次に、髙橋ちあき議員。

     〔[1]髙橋ちあき議員登壇

○34番(髙橋ちあき) 平成24年第3回定例会において、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。本日、私が最後でありますので、もうしばらくのおつき合いをしていただきたいと思います。質問は通告どおりで、その他の中で二つほど、すこやか福祉センターと区歌についてお伺いをさせていただこうと思っております。

 まず、いじめについてであります。

 私の前にお2人ほどが質問されましたけれども、私は自由民主党の立場で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 大津市でいじめが原因とされる不幸な事件が起きました。子どもたちを取り巻く環境において、大きな地域差があるとは思えず、中野区でもいじめの問題が常に存在すると考えるのが妥当だと思いますが、中野区においての実情はどうなのでしょうか。今回のような不幸な事件を起こさないためにも、兆しを見逃さない取り組みが求められていると思います。教育委員会や各学校では日常どのような対応をしているのでしょうか。他区においては、今回の事件を契機に、あらためて教職員の臨時研修を行ったと聞いております。中野区ではどのような対応をされたのでしょうか。

 いじめには教師や学校だけで対応することは困難であり、保護者はもとより広く地域やさまざまな関係者と力を合わせた取り組みが欠かせないと思います。その前提として、いじめを隠さないことが鉄則のはずだと思いますが、この考え方は各学校や教師に対して徹底されていらっしゃるのでしょうか。

 また、学校は丁寧な対応も求められ、現場を支援する具体的な考えはあるのでしょうか。

 そのために教育委員会はどういう対応をされているのか、お伺いいたします。

 よく言われることですが、いじめを受けている子どもは仕返しを恐れる、心配をかけまいとするなどの理由で、家族や友人にはそのことを隠そうとするものの、何らかのサインを出しているということを専門家の方々は言っています。他区では、子どものサインを見逃さないチェックリストを作成し、家庭へ呼びかけを行ったと聞いております。中野区でもそのようなことを行っているのでしょうか。

 また、行っていないとしたら、早急に行うべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 いじめは重大な人権侵害行為であります。こうした認識を関係者ばかりでなく、保護者や地域も含め、共通認識にする必要があると考えますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

 平成16年地方教育行政法改正で、学校運営協議会制度というものが法制化されました。学校評議員制度が評議員の意見を学校が採用する保証がないのに対し、学校運営協議会は、学校運営の議決機関と位置付けられているのが特徴で、文部科学省では、全小・中学校での導入を促しています。しかし、さまざまな課題もあり、進んでいないのが実情のようです。そんな中でも8月21日の産経新聞の記事によると、三鷹市ではこの制度を取り入れ、複雑化する子どもの問題に地域住民の多様な価値観を学校教育の中に取り入れ、学力向上やいじめ、不登校などの問題解決につなげていると書かれておりました。教育委員会としては、この制度をどのように受けとめておられるか、お聞かせください。

 また、これも他区の事例になりますが、いじめを繰り返す子どもに出席停止制度を活用して対処するとの方針を決めた区があるそうです。これまでは適用に慎重な学校が多かったとも漏れ聞いております。これにはどのような課題があるのか、また中野区ではどのようなお考えをお持ちなのでしょうか。決定した区、いわゆる品川区でありますけれども、いじめに対する抑止力になることを期待していると、大いに理解を示しているそうです。

 さらに暴力や金銭恐喝などと結びついた悪質な事例では、加害児童・生徒の更生のためにも、警察との連携が欠かせないと思いますが、中野区ではどのように取り組んでおられるのでしょうか。

 被害を受けた子どもがみずから命を絶つというような不幸な事件は何としても避けなければならないことです。子どもたちに寄り添い、SOSを発している先を何としても確保、充実していかなくてはなりません。そのために教育委員会ではどのような対応をしていらっしゃるのでしょうか。今回の大津の事件報道において、葬式ごっこなどという言葉を聞いて、四半世紀前の不幸な事件を思い出し、唖然といたしました。関係者がこの事件から得た教訓は大変大きかったはずです。自治体が協力し合ってこうした教訓を日本全体の共通認識にする取り組みは行われていなかったのか、中野区が率先して教訓を広める取り組みを進めていくべきではないでしょうか。

 有識者の中には、いじめをする側の子どもたちの表面的な行為だけを責めても解決は難しく、子どもたちの心の奥底に潜む不満や悲哀といった鬱屈した感情にも目を向けないと、真の解決はあり得ないという見解を述べる方もおります。教育委員会では、こうしたことについてどのように受けとめておられるのでしょうか。

 今回の事件を受けて、文部科学省は国直轄で総合対策を進めると言い出しています。平野大臣は、これまでの受け身の姿勢を転じ、積極的な役割を果たすとおっしゃっておりますが、脱官僚などと言いながら、官僚を使いこなせずに、国政の停滞を招いた二の舞にならなければよいがと心配をしております。むしろ国は、全国一律の施策を推し進めるのではなく、地域の自主的・柔軟かつ弾力的な取り組みに人材や財政の面などで強力に支援すべきであります。区長や教育委員会は、機会あるごとにそうした主張を国に伝えるべきと思いますが、どうお考えでしょうか。

 今回の事件が起こったことをきっかけに、教育委員会という制度に批判を加える政治家やマスコミの論調が目立つようになった気がします。中には、教育委員会の廃止を公約に挙げる地域政党さえ出てきました。私も、現在の仕組みや運用に問題が全くないとは思っておりませんし、必要な見直しをためらってはならないと思います。そもそもいじめと教育委員会の仕組みとは別次元の問題であって、みずからの政治的主張を正当化するために今回の不幸な事件を利用するようなことはあってはならないことと思います。

 若い議員の皆さんは御存じないかもしれませんが、かつて当区でも教育委員の選任のあり方をめぐって大きな政治的な争いが起こり、他の自治体では採用しない制度が条例化されたことがありました。そしてその条例にのっとって選ばれた委員で構成された教育委員会のもとで、先ほど述べた事件が発生するという、それこそ不幸な歴史を持っている当区であります。本来教育委員会とは、教育に対する深い思いと豊かな人生経験を持ち、常識ある数人の識者に地域の教育行政を委ねる趣旨で設計されたものと思います。それぞれの委員に期待されるのは、ときどきの政治権力の所在や政局の動向によらず、区の教育の大綱を定め、教育環境を整えることであると思います。教育委員会が期待される働きをしないのだとすれば、真の適任者が得られていないからであり、選任に当たる首長の怠慢、努力不足が問われるべきだと考えます。また、同意を行う議会の責任も大変重要なものだと考えております。都内のある区では、区長が全幅の信頼を寄せて信任した教育長が10年以上もその職を務め、多くの成果を残していると聞いております。

 そこでお伺いをいたしますが、区長は教育委員会制度についてさまざまな問題を抱えているというお考えをお持ちのようですが、今回のこのことを踏まえてどのような御所見をお持ちでしょうか。私は決して中野がよくないと言っているわけではありませんので、誤解のないように御答弁をお願いいたします。

 また、8月31日に開かれた総務委員会で、教育委員候補者にかかる人材推薦登録の仕組みを実施するということの報告があったようです。要綱の規定で、4年ごとに実施することになっていますが、何だか恒例のイベントのようになっているものを実施するねらいは一体何なのでしょうか。私は、先ほど申し述べた制度設計の趣旨に立ち返るなら、区長が全力をもって適任者を探し、ふさわしい報酬や待遇で委員に迎えるという方法に切りかえることが最も理にかなっていると考えますが、どうお考えでしょうか。

 いじめの問題から教育委員会のあり方にまで進んでしまいましたが、これは中野区の将来を担っていく子どもたちにとって重要な課題だと思っております。中野のまちが日々さま変わりをしていって、希望の抱けるまちにかわってきている今だからこそ、教育に対してもぶれない体制や姿勢が必要です。あらためて教育委員会からもお答えをお願いいたします。

 次に、乳幼児を見守る災害対策について伺います。

 9月4日の都政新報に、「保育士が備蓄品セットを考案」という記事がありました。その内容は、地震や津波など大規模な災害が起こり、多くの人が長期間の避難所などでの生活を送らなくてはならない場合、乳幼児と保護者、妊産婦は災害弱者として特段の配慮や支援が必要であり、飲料や食料、おむつや衛生用品などの不足が生命にかかわる深刻な問題となりかねない。その一方、自治体の備蓄品や避難所運営などでの配慮は進んでおらず、早急な対応が求められているという記事でした。幼稚園や保育園が災害時に果たす役割はとても重要なことだと考えます。まず現在、区がどのような取り組みを行っているのかをお聞かせください。

 東京都公立保育園研究会では、乳幼児の備蓄パッケージセットの普及と啓発を図っているとのことです。パッケージ化は対策として有効だと私も思いますが、区としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

 従来の妊産婦や乳幼児は、災害時要援護者としての対象になってはいなく、防災対策は各家庭の自助に頼る部分が大変大きく、行政側の役割分担も明確ではないのが現状だと思います。幼稚園や保育園が防災対策で担う役割は大変大きいと思います。区として検討されているのでしょうか、お尋ねいたします。

 聞くところによると、各園での備蓄は自前、いわゆる自分たちで準備をしているのが現状のようです。昨年の東日本大震災の教訓から、防災に対して得たものはたくさんあると思います。区としての対応はどのようになっているのでしょうか。任せきりではなく、公私立ともに行政を交えての検討会が必要だと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 また文京区では、全国初の母子救護所を整備することを決めたそうです。区内の大学と協定を結び、妊産婦や乳幼児の受け入れを要請し、大学病院などの協力も呼びかけているようです。高齢者や障害者の方々と同様の災害弱者として、中野区も前向きに取り組むことが大切だと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

 さらに、中野区地域防災計画の冊子を確認してみますと、備蓄物資の中に哺乳瓶、紙おむつ、粉ミルクなどは備蓄されてはいます。しかしミルクも今は粉ではなく、個装のミルクに転換することが望ましく、離乳食なども検討課題だと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 さらに、中野区防災対策連絡協議会にはさまざまな団体の代表者の方が入っておりますが、乳幼児関係の団体が入っていないのはどうしてなのでしょうか。この会議体の中に、例えば私立幼稚園、または私立保育園関係の方も入れるべきと思いますが、お考えをお伺いいたします。

 この項の最後になりますが、乳幼児期からの防災教育はとても大事なことだと考えます。震災に遭った釜石市では、小さいときから防災教育を徹底していたおかげで、あの大津波からも逃れられたとも聞いております。このことについても、区では何かお考えでしょうか。

 次に、海での体験事業について伺います。

 8月30日の委員会で報告をいただきましたが、実施した結果は大変実のあるものだということでした。しかし本当にそうでしょうか。今年度廃止となってしまった岩井臨海学園こそ、実のあるものだと私は思っております。ここで歴史を振り返ってもよいのですが、話すまでもなく昭和27年から始まり、歴史は60年近くにもなっているわけです。継続は力なりと言います。この岩井臨海学園は、中野区の子どもたちにとって大切な青春の1ページでありました。このことはしつこく質問をしているので、教育委員会も十分に理解されていることだと思います。今回の事業では、参加人数も応募者数よりはるかに下回り、内容も決して満足度の高いものではないと考えます。そのことについてどのようにお考えでしょうか。安全を重視してとのことでしょうが、岩井に匹敵するとは思えません。来年度に向けても同様な内容になってしまうと心配でなりません。来年度に向けて検証をされているのでしょうか。

 また、今までお願いをしてきていた岩井の関係者の方々には、十分な説明をされてきたのでしょうか。聞くところによると、いまだにことしは休止となっているだけと思っている関係者もおられます。その点はどう対応していらっしゃっていたのでしょうか。今までほぼ全員が参加できた夏季施設であったのが、希望する子どもたちだけというのも納得できません。安全安心を確保でき、一応海の事業を無事に終えたという教育委員会の自己満足でしかないように思えてなりません。私は、どんなに厳しい意見を言われても、これだけは続けていくのが中野の大切な事業ですと、自信を持って施策を考えていく教育委員会であってほしいです。その上で、岩井臨海学園の復活を希望いたします。御答弁があればよろしくお願いいたします。

 また、中学2年生の移動教室が今年度から廃止となりました。現状、子どもたちの反応はどうなのでしょうか。わかっていることだけでもよろしいのでお答えください。中学2年生という一番のびのびと活動できるこの時期に、ここでも青春の1ページを中野が奪ってしまっているのです。本当にこのまま職場体験という移行でよいのでしょうか。

 中野の教育も新しく変わっていかなくてはならない施策もあるでしょう。しかし、教育の原点は、すべての子どもたちが同じ立ち位置にいるということだと思います。区の都合で子どもたちの大切な思い出を削ることは、決してよいことではないと考えますがいかがでしょうか。中野区の大切な宝である子どもたちにとって、この区で生まれ育ち、ここに住み続けてよかったと、自信と誇りを持ってもらうためにも、教育施策は大切なものであります。すべての区民が大切と言っておられる区長において、いま一度中野の教育をどうしていくのかをお伺いいたします。

 次に、その他の項に入ります。

 その他の項で、すこやか福祉センターについてお伺いいたしますが、先ほど酒井議員がお尋ねをしていた点と重複する点もありますので省きますけれども、まずは設置の目的として、さまざまな問題というか、中野区の設置目的をうたっているところがございます。そして平成22年の7月に中部が開設しました。2年がたちましたけれども、現在すこやか福祉センターへの中部の区民への周知度、また利用率などはどのようになっているんでしょうか。私が知る限りでは、区民には周知は低く、利用も、活発に使用されているようには思えません。また、すこやか福祉センターが果たすべき機能として三つの項目がうたってあります。一つ、総合的な保健福祉サービスの提供とアウトリーチによる包括ケア、二つ、支え合いの地域づくり、三つ、地域自治体の推進となっております。この果たすべき機能は、中部すこやか福祉センターが開設してきてから果たされてきているのでしょうか。この機能の検証もされていらっしゃいますか、お伺いいたします。

 区は、四つのすこやかを整備していくと言っている中、二つ目の富士見中学校跡地に整備を進めているところですが、現状を見ている中において、大変不安を感じております。目的どおりに推進していくには、常に検証し、改めることも必要と考えますが、いかがお考えですか。すこやか福祉センターという構想が将来区の負担にならないようにしていくためにも、真剣にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 最後、中野区歌についてお伺いいたします。

 私はことしの第1回定例会において、区歌について質問させていただきました。数カ月たったこの夏、さらに区歌に対する思いが強くなりました。それはなぜか。オリンピック・パラリンピックの応援をしている中、メダルを取った日本選手の喜びあふれる姿と一緒に流れる国家を聞き、胸がとても熱くなる思いでした。国には国家、また身近で言うと学校には校歌というように、必ず大事な場面で流れる歌は必要不可欠なものであります。やはり中野区にも区歌は必要です。区が行う事業やセレモニーなどにおいて、区民が共感し、一体感をとらえ、より一層の区民のアイデンティティを高めるものと考えます。中野区も区歌をしっかりと広報戦略として位置付け、多くの場面で活用すべきです。たしか区長の御答弁では、区歌について検討できる場を考えたいとお答えをいただいたと受けとめております。来年の賀詞交換会に区歌のお披露目があることを期待いたしまして、前向きな御答弁をいただきたいと思います。

 以上で私のすべての質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手)

区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 高橋議員の御質問にお答えいたします。

 教育委員会制度についての考えをということでした。

 大津市のいじめ事件における教育委員会の対応の問題を、教育委員会制度全体の問題として結びつけることは、私は反対でございます。はなはだ短絡的だと思います。

 それで教育委員会ということなんですけれども、区長が政治的プロセスで選任される職でありまして、教育について必ずしも幅広くバランスの取れたものの見方や専門的な見地で判断できるとは限らないわけです。それを補うという意味で、幅広く人材を得て、区長との強い連携によって教育活動を進めていく、そういう教育委員会制度の意義は失われていないと考えております。一方、いじめ問題は学校教育の現場だけの問題でなくて、家庭や地域など教育全体のあり方にかかわることですから、中野区としても教育委員会と連携して対応していきたい、こう考えております。

 それから、教育委員候補者にかかわる人材推薦登録の仕組み、やらなくてもいいのではないか、こういう御質問だったと思います。

 「野に遺賢あり」という言葉もあったり、自民党でも候補者を公募したりというようなことも行ったりとか、やはり幅広く人材を求めるというようなことは、私はあってしかるべきことだなと思っております。もちろん私が全力を挙げていい人材を探し出す、このことには間違いはありませんので、その方法の一つとしてこうしたことも行っていきたい、こう思っているところであります。

 それから、今後の中野の教育についてということです。

 今後の中野の教育について、子どもたちが自分の住んでいる地域や通っている学校に誇りを持って成長できるように、家庭・地域・学校の連携をさらに強化をする中で、地域に根ざした質の高い公教育の実現を目指していきたいと考えております。とりわけ、子どもたちを健全に育むために、体験学習の充実も欠かせない、こう思っておりますが、現段階では教育委員会が、最近の新しい考え方に基づいて、体系的に体験学習の体系を組み立てたところでありまして、それがどういう形で成果を上げるのか、まずはそこに着実に移行するということを見つめていきたいということだと思っております。

 それから、区歌のことについてですけれども、区歌について、来年の賀詞交換会は恐らく無理かなと思っておりますが、ぜひ私としては推進していきたいと思っております。やはり区歌は長い期間にわたって、すべての区民に愛唱していただきたい、そういうものになりますので、やはりその制定も慎重に検討していく必要があると思っております。区民の代表、学識経験者あるいは芸術関係者など、しかるべき検討の場をつくって、あるべき区歌の姿を議論していただいた上で制定へというふうに運んでいきたい、このように思っております。これからそうした具体的な取り組みを進めてまいります。

 私からは以上です。

     〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 教育関係の御質問につきまして、はじめにいじめにつきましてお答えをいたします。

 中野区のいじめの実情の質問がございました。

 ことし7月17日に行った東京都のいじめ緊急調査において、中野区の児童・生徒でいじめと確認できた件数は37件、いじめと疑われる件数は72件であり、いじめの様態としては、悪口が54%で半数以上、物隠しが21%となっています。

 また、大津市の事件とその後の研修ということの御質問でした。

 中野区では毎年いじめ発見のためのアンケート調査を児童・生徒と保護者を対象に実施し、早期発見に努めております。また、日ごろから未然防止、早期発見、早期対応に重点を置いて、いじめの対応について研修を、10年研修や初任者研修等で実施するとともに、夏季休業中にいじめ防止研修を実施し、事例研究を行うなど、いじめの兆しを見逃さないよう、教員の資質向上に努めております。学校では生活指導の会議を週1回程度実施し、指導や対応が必要な児童・生徒の情報を共有し、具体的な手だてを協議し、対応しています。

 次に、学校を支援する方策につきましては、いじめを見つけたらまず教員1人で抱え込まずに、組織的な対応を図ることを校長会やいじめ対応研修で教員に周知しており、学校全体で取り組む体制を組んでおります。

 学校への支援策としては、未然防止の観点で、児童・生徒の相談窓口としてスクールカウンセラーやこころの教室相談員等の配置をしております。また、いじめが起きて支援が必要な場合には、指導主事の派遣等、管理職経験者と臨床心理士によるサポートチームによる支援を行う体制を整えております。

 次に、サインを見逃さないチェックリストの活用についてです。

 東京都教育委員会が作成したいじめ発見のためのチェックリストを全校に配布し、教員が児童・生徒の指導に活用しておりますが、保護者等へも積極的に周知を図り、学校・保護者・地域の連携を図ってまいります。また、いじめの認識につきましては、教育委員会ではいじめは重大な人権侵害の行為であるという認識を持って対応しております。現在、いじめ防止リーフレットの掲示や配布を進めておりますが、今後も保護者や地域と協力して対応できるよう進めてまいります。

 次に、いじめ対応について、学校運営協議会制度の考え方はということでした。いじめに限らず、学校が抱える問題を保護者・地域に正しく伝え、学校・保護者・地域が問題点を共有し、大人全体で問題の解決に向けて共同して取り組んでいくことが重要であると認識しておりまして、現在中野区で行っている学校評議員制度を積極的に活用したいと考えております。

 また、出席停止ついても御質問がございました。出席停止の措置がいじめの抑止になるという認識を持っており、中野区立学校の管理運営に関する規則に定めてございます。該当案件があれば、出席停止の適用もあり得ますが、そうした措置を積極的に活用するよりも、まず未然防止、早期発見、早期対応に力点を置くべきだと考えております。

 次に、警察との連携につきましては、現在も児童・生徒にかかわる問題行動の中で重い案件につきましては、児童・生徒の健全育成に関する警察と学校の相互連絡制度というものがございまして、これを活用し、警察と密接な連携を図っております。

 次に、子どもたちのSOSを見逃さないためにということで、これにつきましては、子ども110番をはじめスクールカウンセラー等の相談体制を整えているところでございますが、教員をはじめ児童・生徒にかかわる大人がいじめの兆しを見逃さないことが重要であると考えています。今後、いじめの未然防止、早期発見のため、臨床心理士を含む巡回チームを各学校に派遣していくことを考えてございます。

 富士見中の御紹介がありましたけれども、この事案を踏まえた取り組みについてということです。中野富士見中の事案や、この対応した経過などについては、さまざまな場面で必要な情報提供を行ってまいりました。また、学校・保護者・地域が一体となった取り組みを進めて、非常に成果が得られたという経験もございます。こうした経験を踏まえて、これからも必要な情報発信を行っていきたいというふうに思っています。

 さらに、いじめをする側の子どもへのケアということもございました。いじめ問題について、スクールカウンセラーやこころの相談員を活用し、こうした子どもたちが必要な支援が受けられるようなつなぎに対して取り組んできたいというふうに思っています。

 次に、国の総合対策についての御質問です。

 いじめ問題の対策は、全国一律の総合対策というよりも、地域の特性や学校の取り組みの経過などを踏まえて、各学校としてきめ細かな対応をしていくことが大切であるというふうに考えています。区や学校としての自主的な取り組みを支援する役割を国に期待をしておりまして、そうした主張をさまざまな場面でしていきたいというふうに思っています。

 最後に、教育に対してぶれない体制や姿勢が必要ではないかということでした。子どもたちの健やかな成長は区民の願いであり、中野区教育委員会としては、いじめを絶対に許さないという確固たる姿勢で未然防止、早期発見、早期対応に努めてきました。今後も、教育委員会・学校・保護者・地域が一体となり、中野区の子どもたちのために教育施策をさらに充実し、いじめを含むさまざまな問題解決のために取り組んでいく所存でございます。

 次に、海での体験事業及び移動教室についての御質問がございました。海での体験事業の満足度と検証についてということです。参加人員については、定員を下回ったものの、参加児童や保護者からは、事業内容について好評を得ており、本事業の満足度は高かったというふうに考えています。

 来年度については、早期に実施時期の周知を図るとともに、参加者から寄せられた意見などを踏まえ、さらに充実した事業展開が図れるよう検討してまいりたいというふうに考えています。

 岩井の民宿について、臨海学園の廃止について説明をしたのかということでした。岩井の民宿の方々には、現地を訪問し、今までの御好意に感謝の意を述べるとともに、今後の校外施設のあり方、これは教育委員会で定めたものですが、これを説明する中で、23年度をもって臨海学園の廃止をする旨の御説明をし、御理解をいただいているという認識をしております。

 それから、臨海学園の復活についての御要望がございました。

 臨海学園は、同じ学校、クラスの仲間との集団活動、宿泊生活を通じて、社会生活を営む基礎を培うとともに、遊泳を通じて心身を鍛練し、その発達を促すことが目的でございました。現在学校では、移動教室のみでなく、校外活動など新学習指導要領に定められた生きる力やコミュニケーション能力の育成など、さまざまな活動を工夫することによって、こうした目的が達成できているというふうに考えています。一方、海での体験事業は、泳力の向上はもとより、さまざまな困難に対処できる力を培うという観点から、異なる学校の子どもたちが仲間づくりを進め、事業を通じて災害から身を守る行動や海の生態系に触れる機会を提供するとういことを新たな目的として掲げ、実施したものです。したがいまして、臨海学園につきましては、今後同様の事業の実施は考えていないところでございまして、御理解をいただきたいというふうに思います。

 次に、中学2年生の移動教室の廃止について、子どもたちの反応やこの事業の復活ということでした。

 中学2年生の移動教室に関しましては、子どもたちから特段不満の声は聞いていないところです。中学2年におきましては、望ましい社会生活、勤労観、職業観を育成するための職場体験やボランティア活動など、地域における多様な体験活動が充実してきている状況にございます。また、新学習指導要領の完全実施に伴う授業時数の確保も重要な課題でございまして、これらを総合的に勘案し、中学2年生における移動教室は廃止したものでございます。児童・生徒の発達段階に応じて構築した新たな体験学習の体系に基づく授業の実施結果を見極め、その効果などを含めて今後十分に検討してまいりたいというふうに考えております。

    

都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、乳幼児を見守る防災対策についてお答えいたします。

 保育園・幼稚園の災害時の役割についてでございます。大規模災害の発生時は、保育園・幼稚園の在園児の安全を確保し、保護者に引き渡しを行うことが第一の課題であり、公私立を問わず、情報連絡体制をとっているところでございます。また、一部の保育園につきましては、避難所生活が困難になった乳幼児親子等の保護を目的として、状況に応じて災害対策本部の決定に基づき、二次避難所として開設、運営する機能を担うこととなっております。幼稚園については二次避難所の役割は想定しておりません。保育園では、保護者が帰宅困難になることに備え、在園時に対応するための飲料水、非常食などを備えており、状況によっては二次避難所開設の際にも活用が図られると考えております。今回の地域防災計画の修正においては、二次避難所の強化や役割の充実を視野に入れて検討しているところでございます。

 次に、乳幼児向けの備蓄品の導入についてでございます。

 区では、紙おむつや哺乳瓶、粉乳などについて、乳幼児向けの備蓄を行っているところでございますけれども、御紹介のあった乳幼児向け備蓄セットの内容を参考にし、現行の備蓄品との整合性を踏まえながら今後検討してまいりたいと思います。

 次に、妊産婦や乳幼児への対応についてでございますけれども、区では救援・救護活動の拠点として、区内49カ所の小・中学校等を避難所に指定しており、避難者の救援・救護活動は原則として避難所で行うこととしております。また、避難所での避難生活を続けることが困難となった乳幼児親子等について、避難所では十分に救援救護活動が実施できないと認めた場合は、乳幼児親子等を対象とした二次避難所を開設して救援救護活動を行うことになっており、保育園13園を二次避難所に指定しております。二次避難所となっている保育園につきましては、園長と協議し、運営マニュアルを園ごとに定めるとともに、より実効性のある内容に改定していくなどして、開設・運営がスムーズに行われるようにしてまいりたいと考えております。

 次に、妊産婦等受け入れの協定締結についてでございます。文京区の母子救護所の事例等をよく研究した上で、中野区でも同様の協定が締結できるか、検討してまいります。

 次に、粉ミルクや離乳食の備蓄についてでございます。粉ミルクは320グラムの缶単位で備蓄しておりますが、今後避難所等で実際に粉ミルクを使用する場合を想定するなどして、どのような備蓄方法がふさわしいか検討してまいります。また、離乳児の乳幼児対応といたしまして、おかゆやシチューなどを備蓄しているところでございます。

 中野区防災対策連絡協議会についての御質問がございました。

 中野区防災対策連絡協議会は、区民及び関係団体の意向を反映させ、防災対策事業の推進や地域の防災意識の向上を図ることを目的に、防災準備組織、町会、関係団体等の推薦による委員で構成されております。現在は、乳幼児に関係する団体については、推薦団体としてございませんけれども、乳幼児に関係のある防災対策を検討する際は、子ども・幼稚園・保育園関連部署を通じて、団体からの御意見を伺う等の対応を図ってまいります。

          〔子ども教育部長、教育委員会事務局次長髙橋信一登壇〕

○子ども教育部長、教育委員会事務局次長(髙橋信一) 私からは、乳幼児を守る防災対策ということで、震災で保育園としての対応はどうかということ、または防災検討会の開催及び乳幼児からの防災教育の徹底についてお答えいたします。

 まず、東日本大震災の発生時には、保育園におきまして保護者が帰宅困難となり、その間、乳幼児の保育を継続しなければならないことが教訓として得られたところでございます。したがいまして、区立保育園・幼稚園につきましては、在園児に対して緊急に必要な物資の備蓄を行い、私立園に対しては適切な情報提供を行ったところでございます。

 また、区立・私立を問わず保育園・幼稚園全園に対しまして、地震による被害の軽減を図るため、緊急地震速報受信機を配布したところでございます。災害時の対応につきましてはさまざまな対応が必要でございまして、日常的に保育園・幼稚園との連絡会を通じまして情報共有を図ってまいりたいと考えてございます。

 次に、乳幼児からの防災教育についてでございます。保育園・幼稚園においては、ほぼ月1回避難訓練において起震車体験、非常食体験、震災時を想定した訓練など、各園で工夫を凝らして災害体験を行っているところでございます。今後も幼児期にさまざまな体験を通じまして、防災意識の生まれるよう進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

  〔地域支えあい推進室長瀬田敏幸登壇〕

○地域支えあい推進室長(瀬田敏幸) 私からは、すこやか福祉センターについてのお尋ねにお答えいたします。

 まず中部すこやか福祉センターの利用状況や周知度についてでございます。

 窓口の利用状況でございますが、23年度福祉相談件数で延べ529件、障害者の相談件数で延べ5,366件となっております。いずれも22年度保健福祉センターでの一部取り扱った期間の件数も含めました前年度の比較では増加傾向となってございます。

 一方、中部すこやか福祉センターの場所のわかりにくさから、高齢者の方や障害者の方などの区民が行きづらい状況があることは承知してございます。今後、地域の保健福祉や支え合いを推進する拠点といたしまして、引き続きわかりやすい誘導サインによる御案内ですとか、また施設のPR、周知について、工夫検討してまいります。

 次に、すこやか福祉センターについて、その機能が果たされているかといったお尋ねでございました。

 すこやか福祉センターは、区民の地域活動の支援と保健福祉や子育てに関する総合的な相談窓口機能との連携強化によりまして、御指摘のあった三つの機能につきましては、着実に果たしてきていると考えてございます。

 地域の見守り、支え合い活動の推進や区民活動センターの取り組み強化などにつきましては、地域の御理解や御協力を得ながら、区としても行政評価も含めまして、検証を進めつつ、取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

○副議長(久保りか) 以上で高橋ちあき議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(久保りか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、9月24日午後1時より本会議場において開会することを、口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

      午後5時25分延会