平成25年02月20日中野区議会本会議(第1回定例会)
平成25年02月20日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録
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.平成25年(2013年)2月20日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  若  林  しげお         2番  高  橋  かずちか

  3番  木  村  広  一        4番  甲  田  ゆり子

  5番  小  林  ぜんいち        6番  中  村  延  子

  7番  石  坂  わたる         8番  後  藤  英  之

  9番  石  川  直  行       10番  内  川  和  久

 11番  ひぐち   和  正       12番  いでい   良  輔

 13番  白  井  ひでふみ       14番  平  山  英  明

 15番  南     かつひこ       16番  森     たかゆき

 17番  いながき  じゅん子       18番  林     まさみ

 20番  浦  野  さとみ        21番  伊  東  しんじ

 22番  佐  野  れいじ        23番  北  原  ともあき

 24番  吉  原     宏       25番  小  林  秀  明

 26番  久  保  り  か       27番  酒  井  たくや

 28番  奥  田  けんじ        29番  近  藤  さえ子

 30番  金  子     洋       31番  長  沢  和  彦

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  市  川  みのる

 36番  篠     国  昭       37番  やながわ  妙  子

 38番  佐  伯  利  昭       39番  むとう   有  子

 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子

.欠席議員(2名)

 19番  小宮山   たかし        40番  か  せ  次  郎

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  金 野   晃

 教  育  長  田 辺 裕 子      政 策 室 長  竹 内 沖 司

 経 営 室 長  川 崎   亨      都市政策推進室長 長 田 久 雄

 地域支えあい推進室長 瀬 田 敏 幸    区民サービス管理部長 登   弘 毅

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  髙 橋 信 一     健康福祉部長  田 中 政 之

 保 健 所 長  山 川 博 之      環 境 部 長  小谷松 弘 市

 都市基盤部長   尾 﨑   孝      政策室副参事(企画担当) 野 村 建 樹

 経営室副参事(経営担当) 戸 辺   眞

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  篠 原 文 彦      事務局次長    青 山 敬一郎

 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  関 村 英 希

 書     記  河 村 孝 雄      書     記  東   利司雄

 書     記  丸 尾 明 美      書     記  土 屋 佳代子

 書     記  細 川 道 明      書     記  江 口 誠 人

 書     記  鈴 木   均      書     記  永 見 英 光

 書     記  竹 内 賢 三      書     記  香 月 俊 介

 

 議事日程(平成25年(2013年)2月20日午後1時開議)

日程第1 第6号議案 平成25年度中野区一般会計予算

 

午後1時00分開議

○議長(大内しんご) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 平 山 英 明

 1 施政方針にある持続可能な自治体運営について

 2 中野駅周辺まちづくりの今後について

 3 産・学・公連携について

 4 新しい交通システムについて

 5 大和町の防災まちづくりについて

 6 雪の対策について

 7 その他

 

○議長(大内しんご) 最初に、平山英明議員。

〔平山英明議員登壇〕

○14番(平山英明) 平成25年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問をいたします。7項目を通告しておりましたけども、時間の関係で、6の雪の対策についてと、7のその他で伺う予定の1項目につきましては機会を改めます。取材に御協力をしてくださった理事者の皆様、大変ありがとうございました。ほかは通告どおりです。

 初めに、区長の施政方針にある持続可能な自治体運営についてお伺いをいたします。

 区長は、今回の施政方針の中で持続可能な自治体運営について中野のあるべき今後の姿を示されました。行政の持続可能性と住民の側から見た持続可能性、つまりは安心して住み続けられるためのまちであるための施策について、全般にわたり言及されています。中野区が自立した自治体として将来にわたって持続・発展するためには、自治体としての産業振興や地域活性化の取り組みが必要とされ、その取り組みに当たり昨年産業振興ビジョン、都市観光ビジョンの二つを策定したと述べられました。これは、後段でも述べられている地域の資源を生かし、財源を生み出す地域経営との考え方につながるものと思われます。そして、この二つのビジョン共通の狙いとして、一つは区民の雇用や収入をふやすことを挙げられています。産業振興や観光により新たな雇用の創出や地域産業の活性化を生み出すとの考えには賛成をいたしますし、成功を期待するものです。

 しかしながら、成果指標と目標値について、産業振興ビジョンは比較対象となっている現時点での実績がなく、これから調査を行うこととしているため目標値が定まっていないもの、都市観光ビジョンにおいては、現状のデータがなく、今後調査を実施し目標値を設定するとの表記が目立ちます。これではビジョンが実効性を伴うものとなるのか不安視せざるを得ません。何よりPDCAサイクルが回らないことになります。

 そこで、二つのビジョンがより実効性を持つものとなるように何点かお伺いいたします。今後調査の項目については、いつ、どのように示されるつもりなのか。議会への報告や区民への公表は行われるのか伺います。

 また、区民の雇用や収入をふやすことが狙いなのであれば、雇用増や収入増も具体的な指標とし、目標として定めるべきではないでしょうか、伺います。

 観光庁が平成24年に実施した観光地域経済調査は、中野区も調査対象となっており、その結果は本年夏頃の公表と聞きます。同調査は、さらに経済センサスの結果ともリンクさせることも計画されており、平成26年度中には詳細な分析が公表されるとも聞きます。都市観光ビジョンの指標や目標にこの結果を反映されてはいかがでしょうか。指標の追加も含め検討すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 二つのビジョンのもう一つの狙いとして、中野で暮らす生活者としての区民の暮らしを、快適で便利、安心で楽しく文化的な取り組みを進めるとあります。そのための具体的な取り組みの一つとして、区内でのICT産業の振興に力を入れられていく予定ですが、区民の利便性の向上や役所のスリム化のためには、行政自身のICT化推進は欠かせないものです。平成20年3月に10年間の計画として策定された中野区地域情報化推進計画は、ステップどおりの進捗が見られていないように思えます。また、必要に応じ3年ごとの更新が予定されていますが、いまだ行われていないようです。技術革新による環境の変化が著しい分野でもありますので、この際推進計画を改訂されてはいかがでしょうか、伺います。

 計画策定の目的は、2,000人体制へと向かう中にあっても、ICTの活用による業務の効率化と区民の利便性の向上等を同時に図ることにあったはずです。しかし、実際にはホストコンピューターの再構築後に発生したさまざまなトラブルやミスは、使う側の問題とは言いがたいものと思えます。CIOオフィスとの連携強化を含め、ICTの活用による業務の効率化と区民の利便性向上を推進する庁内の体制についても見直しを行うべきではないでしょうか、伺います。

 区民にとって安心して住み続けられるまちであるには、防災も含めた都市基盤整備はもちろんですが、住まうことの一番の基本は住宅であり、良質な住宅ストックの形成が求められます。中でも高齢化が進む中、区内に高齢になっても安心して住み続けることのできる住居の確保は、介護施設とともに喫緊の課題です。都が発案した高齢者のケアつき住宅について、早期に1万戸の実現を目指すとした猪瀬新都知事が昨年誕生いたしました。区も第3次中野区住宅マスタープランの中で、区有地を活用した高齢者住宅を民間活力を活用し整備するとしています。また、建設に当たって子育て支援に配慮したファミリー向け賃貸住宅をあわせて誘導し、多世代住居を実現するともしています。計画的な実施が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 平成22年第3回定例会一般質問において、URの野方団地の建てかえにあわせ、ケアつき高齢者住宅とファミリー向けの賃貸住宅の誘致を求めましたが、その後の状況はいかがでしょうか、伺います。

 また、野方のみならず、中野全体でも誘致を行うべきと考えます。年度ごとの誘致目標を設定し、計画的な誘致を行ってはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、中野駅周辺のまちづくりの今後について伺います。

 中野四季の都市(まち)では、今春2大学が開学し、中野セントラルパークには秋に向けオフィスへの入居企業もふえ、中野駅の1日の平均乗降客数が2万人近くふえるとされています。また、前項でも触れた都市観光ビジョンには、交流拠点各駅の平均乗降客数を平成22年の49万950人から平成26年度には56万8,000人、平成31年度には60万人を目指すとしています。駅や周辺の安全対策は大丈夫なのでしょうか。おくれている新北口改札及び南北通路の完成が急がれます。中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3では、西側橋上駅舎、南北通路、新北口デッキ、駅ビルについては、平成24年から26年に計画調整、都市計画手続、平成27年から31年頃までに段階的整備としています。一方、昨年12月18日の中野駅周辺地区等整備特別委員会での報告では、西側南北通路及び橋上駅舎は最優先で整備していくものとするとありました。最優先の整備とはどのような整備手法をお考えなのでしょうか。グランドデザインにある段階的整備について、より具体的な年次計画を持ったということなのでしょうか。西側南北通路及び橋上駅舎の完成年度はいつを目標とされるのか伺います。

 新たな計画を踏まえ、特に中野駅においてはホームドア等の安全対策を鉄道事業者に求めるべきではないでしょうか、伺います。

 また、同ビジョンの目標とする姿の中には、「中野を訪れる来街者がリアルタイムで必要な情報を受け取れ、気軽にまち歩きを楽しんでいます」とあります。そのためのインフラ整備が必要です。まずは中野駅周辺の公衆無線LAN整備を急ぐべきです。中野区役所内は来年度から公衆無線LANのスポットとなると聞きますが、駅周辺はいかがでしょうか、伺います。

 今回の施政方針の中では、環境への取り組みについて際立ったものが見受けられませんでした。四つの戦略の一つである地球温暖化防止戦略について、新たな目玉政策が必要なのではないでしょうか。本年11月の区役所・サンプラザ地区再整備基本構想、中野駅地区整備基本計画改定の策定に向け、6月にはそれぞれ素案が、10月には案が示される予定となっています。中野駅周辺まちづくりガイドライン2007について改訂は行われないのでしょうか。

 現在のガイドラインは、特に中野四季の都市(まち)の開発を強く意識した内容となっています。新たに策定される区役所・サンプラザ地区再整備基本構想の対象範囲は、区役所街区、中野サンプラザ街区及び補助225号線で構成される約2.15ヘクタールの区域を区役所・サンプラザ地区とし、補助223号線附属公園及び補助221号線の一部、中野税務署とNTTドコモ中野ビルが立地する街区を加えた約4.85ヘクタールを再整備検討範囲とする。また、周辺地区との調和や機能連携を図るため、周辺地区における将来のまちづくりも視野に入れたものとするとされ、これまでの区役所・サンプラザ地区の範囲を大きく超えた、まさに中野の新たな顔としての大型再整備となります。この地域の再整備に当たって、環境への配慮に重きを置くべきであると考えます。中野の玄関口を1歩出ると、緑が立ち並び、対象範囲一帯が環境配慮型、低炭素型のエコシティーとして日本のモデルとなるような再整備を行うべきと考えます。そのために新たな景観及び環境のガイドラインを策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、産・学・公連携について伺います。

 初めに、産・学・公連携の可能性について、特に学・公の連携について伺っていきます。明治大学や早稲田大学では、地域の住民も対象にした生涯教育のための公開講座の設置も検討していると聞きます。既に区内にある大学や短期大学も含め、現在の区の生涯学習事業を大幅に拡充し、区民に活用いただけるような取り組みが可能となるのではないでしょうか、伺います。

 大和町や弥生町の防災まちづくり等、新たなまちづくりにも区内の大学の力を活用できないのでしょうか。これまで西武新宿線沿線で地元住民、中野区、早稲田大学都市地域研究所の3者で連携して進めてきたまちづくりの勉強会のように、地域と行政と区内の大学が連携して区内のまちづくりを考える組織をつくってはと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 公教育と大学の連携も学力・体力の向上に大いに資すると考えます。既に一部準備を進めているとも聞きますが、中学校の部活の支援、英語や理数系の教育支援等が可能なのではないでしょうか、伺います。

 平成26年に新校舎が完成する中野中学校は、同じ中野四季の都市(まち)内での大学や企業との連携を強く行う取り組みを実施してはいかがでしょうか。さきに述べた教育連携や、逆に生徒が大学に赴き、特別授業を受ける機会を設けたり、日本の一流企業での就業体験を行うなど、産・学・公連携によるモデル教育の取り組みを行ってはいかがでしょうか。日本の中でも同じ地域内にこれだけの資源がそろう公立学校はまれだと思われます。であるならば、その資源を最大活用し、日本中のモデルとなるような取り組みを行うべきです。いかがでしょうか、伺います。

 そのほか、介護や子育て、観光等においても連携の可能性が期待されます。昨日、我が会派のやながわ幹事長が産・学・公連携のための新たなセクションの設置を求めたことに対し、区長からは都市政策推進室で行うとの御答弁でした。確認ですが、都市政策推進室に新たな担当を設けるとの意味でよろしいでしょうか。できれば、担当の中に都市経営にたけた民間の人材を活用することが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 4番目として、新しい交通システムについて伺います。

 先日、中野駅周辺地区等整備特別委員会として、日の丸リムジングループが実施している丸の内での無料巡回バスについて視察をしてきました。丸の内地区を周回するバスで、運行等の費用は周辺の企業が出し合うという仕組みで、丸の内ならではの取り組みではありましたが、中野においても手法の工夫により実施可能なのではと感じました。視察先である日の丸リムジングループのホームページには、「新交通システムについて」として、日の丸グループ新交通システム研究室では、地域にマッチした新しい交通インフラの研究・実現に取り組んでおります。環境に優しい交通、地域振興のための交通等、コンセプトづくりや計画立案等、その地域にマッチした運行計画、運行費用捻出の仕組みなどの総合的な提案を行い、実現していきますとありました。区内での新しい交通システムについては、オンデマンド交通のほかに観光や地域活性化の観点からの巡回型の交通システムを検討されてはいかがでしょうか。バスの小型化や、休日やイベント日のみの運行などと考えれば、運行に係る経費も大幅に抑えることができます。また、公共交通を利用しにくい地域の経由も可能とすれば、区の目指す施策の方向とも一致します。一度、日の丸リムジングループの新交通システム研究所に足を運び、中野区版の提案を受けてみてはいかがでしょうか、伺います。

 都市観光ビジョンでは、来場者が5万人を超えるイベントをこれまでの年1件から5件にふやすことを計画しています。まずは、このイベント時に区内の観光をさらに促進するため、無料巡回バスを運行させることを新しい交通システムの社会実験の一つとされてはいかがでしょうか。同様の質問を私が議員になって初めて立った平成19年第4回定例会の一般質問でも行いましたが、6年が経過し、時が来たとの思いで改めて伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、大和町防災まちづくりについて伺います。

 昨年末に行われた都の主催による補助227号線・大和町中央通り拡幅についての住民説明会以降、私も多くの沿道住民の方から不安や不満の声をお聞きします。その多くは、補償内容等具体的な説明が行われていないことに起因していると思えます。私も、都が平成24年1月に策定した木密地域不燃化10年プロジェクト実施方針を改めて確認させていただきましたが、この方針に基づくスケジュールに既におくれが出てきていると思わざるを得ません。

 そこで、初めに、特定整備路線について改めて基本的なことを伺っていきたいと思います。同実施方針には、特定整備路線整備の制度スキームの骨子として、整備地域の主要な都市計画道路の整備を加速するため、関係権利者等に対し生活再建等のための特別の支援策を期間を限定して実施するとし、検討中の支援メニュー例として、都有地、都営住宅等の活用、沿道の用途地域、容積率の変更時期の前倒しなどを掲げています。そして、制度を適用する都市計画道路を特定整備路線として事業化段階で都が指定するとしています。ここでいう制度とは、期間限定で実施する生活再建等の特別な支援策、もしくは、それを含むものと考えますが、区の見解はいかがでしょうか、伺います。

 同方針にあるスケジュールでは、平成24年度中に対象区間の公表、制度案の公表、制度の制定が行われることになりますが、制度案の公表は行われておらず、当然制度の制定にも至っておりません。スケジュールのおくれについて都には確認されていることと思いますが、理由や今後のスケジュールについて都はどのように話をしているのか伺います。都が言う制度の構築及び公表が行われない限り、平成25年度に予定されている特定整備路線の指定も事業実施も行われないことになり、区の計画する大和町の防災まちづくりも進めることができません。都に対し具体的な回答を求めるべきです。伺います。

 大和町の防災まちづくりについて、来年度いよいよ区が地域に入り、地域との協議を開始すると聞きますが、体制やスケジュール等、具体的なことは決定されたのでしょうか。詳細をお教えください。

 また、担当される職員については、地域に張りつき、地域の方々に信頼され、地域の皆様と一緒にまちの未来を考える、よい意味でまちづくりのためにばかになって働く人材が必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 この事業は、都と区が一体となっての事業となるため、お互いの連携が欠かせません。現在の計画線から中は東京都、計画線の外は中野区などと、あしき縦割りの進め方ではなく、同じ庁舎に第三建設事務所を置く意義を十分に踏まえ、定期的な協議の場の設置が必要ではないでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 平山議員の御質問にお答えをいたします。

 産業振興ビジョン、都市観光ビジョンに関連しての御質問であります。産業振興ビジョン及び都市観光ビジョンでも示しているとおり、それぞれの指標につきましては今後定期的に調査を行い、把握していく考えであります。結果についてはまとまり次第御報告をしていきたい、こう考えております。

 雇用増や収入増ということも数値目標として持つべきではないかと、こういう御質問でありました。両ビジョンとも目標とする姿についてさまざまな角度から表現し、そのそれぞれの角度から事業の効果を考えて事業を組み立てていくといった構成になっております。そうしたことから、それぞれに数値指標を設定しておりますが、雇用、収入といった総合的な指標については定めていない、そういう形になっております。しかし、この二つのビジョンの目指すところが実現すれば、雇用数や区民の収入といったことにも当然波及するものでありまして、このこと自体も私どもが大きな目標としていくべきことだと考えてもおります。当然参考値としてこれらが大きな意味を持つというわけでありますので、今後雇用や収入などの状況についても適切な方法で把握をしていきたいと、こう考えております。

 それから、環境地域経済調査、この結果を活用すべきではないかと、こういうことであります。基本的に、先ほど言いましたように都市観光ビジョンの指標、目標については、適切、妥当なものと考えておりますけれども、また、調査結果の具体的な項目について、現在はまだ明らかとなっておりませんが、区内観光関連産業の売り上げにおける観光客向けの割合や生産供給構造といった、この調査の結果を区内産業と観光の実態把握に活用していきたい、こう考えております。

 それから、地域情報化推進計画の改定についてであります。現在の地域情報化推進計画策定の段階では想定していなかった、マイナンバー制度をはじめとした社会の変化や技術の進歩などもありました。また、新たな庁舎でのICT利活用なども含めて計画の改定が必要になっている、そういう認識をしております。また、庁内のICT利活用推進については、現在もCIOオフィスが業務所管部と連携して取り組んでいるところであります。こうした取り組みについては、これからもさらに業務の効率化や区民サービスの向上に向けたICT利活用の推進ということで引き続き取り組んでまいりたい、こう思っております。

 それから、ケアつき高齢者向け住宅の誘致についての御質問がありました。区有地を活用した高齢者向け住宅の整備については、本町四丁目の区有地を貸与して、民間事業者が高齢者向け優良賃貸住宅とファミリー向け住宅を整備したところであります。他に波及する計画をつくるということは、現時点ではできておりません。現在できているものとこれから誘致していくべきものとが、どういう形で同じであったり違ったりするのか、そういったようなことも検証が必要だというふうに思っております。今後活用可能な区有地でありますとか、それから、誘導すべき住宅のあり方、そうしたことについてまず考え方を整理していきたいと、こう考えております。

 それから、UR野方団地ですが、UR賃貸住宅ストック再生再編方針によって建てかえるとされておりますが、具体的な年次建てかえ計画は明らかになっておりません。引き続きその推移を見守っていきたいと、こう思っております。

 また、サービスつき高齢者向け住宅の整備についてですが、現時点ではまだ計画的な誘致目標を立てるということが難しい状況でありますが、国や都の新たな建設に係る助成制度の運用状況なども見ながら、民間事業者への必要な情報提供を適切に行いながら、区としても必要な推進策を検討していきたい、こう思っております。

 それから、中野駅周辺まちづくりの今後について、南北通路等の段階的整備についてであります。橋上駅舎及び南北通路の整備は、駅周辺の開発が進展する中、最優先で整備しなければならない、こう認識しております。平成26年度の都市計画手続に向けて鋭意取り組んでいるところであります。また、都市計画決定後に事業に着手し、できるだけ早期の開設を目指してまいります。

 それから、駅の安全対策についてであります。区内各駅の安全対策については、それぞれ実態を踏まえ対策を講じていくこととしております。中野駅につきましては、乗降客数の多さから特にホームドア等の設置が必要である駅という認識を持っております。今後JR東日本に対して働きかけを行ってまいりたいと、こう考えております。

 それから、中野駅周辺の公衆無線LANの整備を急ぐべきであると。どう考えるかということであります。公衆無線LANについては、民間事業者の取り組みを活用するなどして、できるだけ早い時期に整備をしていきたいと考えております。

 それから、区役所・サンプラザ地区再整備のガイドラインについてであります。区役所・サンプラザ地区再整備において、中野駅直近のにぎわいや次世代都市の骨格形成に貢献していくものとなるよう検討を進めているところであります。御提案のありました環境への配慮、また、景観、環境のガイドラインといったようなことについても、再整備基本構想の中で考え方を明らかにしていきたい、こう考えております。

 それから、大学連携による生涯学習の取り組みの拡充についてであります。大学や短期大学は人的・物的・知的資産を擁する高等教育機関でありまして、区民の生涯学習、これもそうでありますし、生涯学習のみならず産業振興や都市観光振興などでも区としてこれらの資産を積極的に活用するべきと考えております。今後、中野四季の都市(まち)に新たに進出する三つの大学をはじめ、区内の大学、短期大学、専門学校などとも一層の連携を図っていきたいと考えております。

 それから、大学の持つ人材蓄積をまちづくりに活用するべきではないかと、こういった御質問であります。新たに中野に立地してくる大学の教授陣の中には、我が国における都市研究、都市整備に関するすぐれた知見を有する人材が多くいると聞いているところであります。区で今後取り組む新たなまちづくりに対して、それらのすぐれた知見を活用することなどについて今後研究し、協議をしていきたい、こう思っております。

 それから、産・学・公連携のための新たな部署と民間の人材活用についての御質問であります。四季の都市(まち)へ進出する大学や企業との連携は、さまざまな分野における中野の発展可能性を秘めているものと考えております。このため区としても産業都市振興やエリアマネジメントなどで関係性の深い都市政策推進室の産業都市振興分野を連携の窓口として、今後も一元的な対応を図っていくこととしております。これは、今既にこの産業都市振興分野が連携の窓口として一元化した対応を行っているということを申し上げているわけでもあります。今後四季の都市(まち)における産・学・公連携の具体的な取り組みを進める中で、区として求められる人材について民間の人材活用なども含めながら検討を進めていきたい、こう思っております。

 私からは以上です。

    〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 産・学・公連携について、区立の学校と大学との連携ができないかということでした。中野区に開設される予定の大学とは、既に理科や体育の学習支援について準備を進めておりますが、今後それ以外の部活動など幅広い分野に関しても連携を進めていきたいと考えています。

 次に、中野中学校と四季の都市(まち)の大学でモデル的な取り組みができないかということでした。中野中学校に限らず、今後区内の学校においてどのような取り組みが可能か、研究してまいりたいと考えております。

都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、初めに新しい交通システムについて、巡回型交通サービスの検討についてお答えをいたします。

 御提案のような特別委員会で視察された巡回型の交通サービスについて、運行事業者から直接話を聞いた上で今後の検討に当たっての参考としていきたいと考えております。

 次に、イベント時の無料巡回バスの運行についてでございますけども、イベント時の無料巡回バスにつきましては、イベント主催者や交通事業者との協議、調整等が必要なことでもあり、実施可能かどうか今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

 続きまして、大和町の防災まちづくりについてお答えいたします

 まず、特定整備路線の制度についてでございます。東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトの実施方針に本年度末に制定する予定と記載されている特定整備路線の制度には、生活再建に対する特別の支援策も含まれているものと、そのように認識しております。

 それから、この10年プロジェクトのスケジュールについてでございます。平成24年1月に公表された実施方針においては、平成24年末に特定整備路線制度案を公表し、平成24年度末に制度を制定するとされております。東京都では、平成24年12月に特定整備路線整備を加速するための生活再建に対する特別の支援策、骨子案を取りまとめ公表しておりますが、その内容は具体的なものではなく、関係権利者の生活再建に向けたサポート体制の充実を図るなど、特別の支援策を設けるなどとしております。また、今後のスケジュールについて都に確認したところ、関係権利者の生活再建のための特別の支援策は、新年度に向けて確定作業を行っているとのことでございました。

 制度の構築、公表についてでございます。都市計画道路の拡幅事業における生活再建等の支援策は、沿道権利者の皆さんの関心の高いところであり、東京都による内容の丁寧な説明や相談を聞く会を持たれるものと思っております。区としても東京都に対して速やかな制度の構築及び公表をし、権利者の皆さんに十分な説明を行い理解を得るよう、積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 大和町まちづくりの区の体制やスケジュールについての御質問でございます。地域まちづくり分野では、平成25年度に大和町まちづくりを新たな施策と位置付け、専従の職員を配置する方向で検討しております。平成25年度に大和町まちづくりの職員体制を整え、地域の皆さんに対してまちづくりの呼びかけを行いたいと考えております。また、まちづくりに取り組むに当たって地域の皆さんに丁寧に説明し、十分な意見交換を行い、地域の皆さんの信頼と理解、協力を得られるような人材、体制で取り組みたいと考えております。

 最後に、区と都との連携についてでございます。区は、東京都が実施する拡幅事業と緊密な連携をとりながら大和町地域のまちづくりを進めていくことを考えており、都も区と緊密に連携しながら事業を進めたいとしております。既に区と都の連絡調整の場を設けており、今後とも継続的に開催し、地域の理解を得てまちづくりを進めていくことができるように連携を図ってまいりたいと思います。

 以上でございます。

○議長(大内しんご) 以上で平山英明議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 金 子   洋

 1 脱原発及び再生可能エネルギーへの転換について

 2 中野駅周辺の開発について

 3 生活保護行政について

 4 介護保険と高齢者福祉について

 5 保育の充実と子育て支援について

  (1)子育て世帯の区外流出について

  (2)認可保育園待機児の解消について

  (3)その他

 6 交通不便地域・交通弱者への対策について

 7 その他

 

○議長(大内しんご) 次に、金子洋議員。

〔金子洋議員登壇〕

○30番(金子洋) 2013年第1回定例会本会議におきまして、日本共産党議員団の立場から一般質問をいたします。

 第1項、脱原発及び再生可能エネルギーへの転換について、まず伺います。

 大震災と原発事故から間もなく2年になります。福島県の子どもたちに甲状腺がんが見つかっています。昨年9月に1人が判明したのに続いて、今月13日には新たに2人が報告されました。ほか7人に甲状腺がんの疑いが持たれています。子どもの甲状腺がんは通常100万人に1人と言われていますが、これを大きく上回る発生率です。チェルノブイリ原発事故では、その年のうちに2人の子どもに甲状腺がんが見つかり、翌年以降4人、5人、7人と徐々にふえて、4年後から29人、59人と激増しました。福島の子どもたちもこれからが心配です。命を脅かし、故郷を奪う原発事故は絶対に繰り返してはなりません。地震国日本で絶対安全な原発はあり得ません。事故を繰り返さないためには原発をなくすしかありません。急速に再生可能エネルギーに転換していかなければ、私たちの生存と子どもたちの未来は守ることができません。首相官邸前には今も毎週金曜日、多くの人々が集まり声を上げています。前民主党政権は、国民的議論の結果を分析して、国民の過半数が原発に依存しない社会の実現を望んでいるとの認識を示しました。昨年12月の総選挙では、ほとんど全ての政党が脱原発や脱原発依存を政策に掲げました。選挙後に成立した安倍政権も、できる限り原発依存度を低減させていくと言わざるを得ない状況です。

 そこで区長に伺います。今こそ原発ゼロと再生可能エネルギーへの抜本的転換が必要です。安倍政権に対してこの転換への政治的決断を求めるべきではありませんか。

 次に、環境基本計画とアクションプログラムについてお尋ねします。東京が他の地方に危険な原発を押しつけながら電力を過剰消費する、そういう体制から私たちは脱却しなければなりません。再生可能エネルギーを活用して、自分たちの使うエネルギーはできるだけ自分たちの地域でつくり出す、そういうエネルギーの地産地消が必要です。電力買い取り制度もできて、一般家庭や公共施設、民間事業所で小規模発電を普及させる条件は広がっています。新聞報道によれば、杉並区ではまちづくりや防災と関連づけた基本指針として、(仮称)地域エネルギービジョンの策定を進めています。東日本大震災で既存の電力供給システムの脆弱さが露呈したことから、地域分散型の供給体制のあり方を検討し、住宅都市としての機能を高めようというものです。杉並区は、この基本指針のために再生可能エネルギーの普及に向けたアイデアを募集しています。行政が実施することに限定せず、個人や事業所で可能な取り組みも含めて幅広く募っています。中野区は2008年に環境基本計画を立てました。2017年度までに二酸化炭素の排出量を、2004年と比べて約10%減らすことを目標に掲げています。そして、具体的な取り組みを示すアクションプログラムを3年ごとに見直すことになっていますが、2011年度から2013年度の第2次アクションプログラムが決まらないまま今に至っています。東日本大震災と原発事故を受けて、国のエネルギー政策を見きわめるということで2年間も見送られています。中野区は自主的に目標と計画を持つべきです。杉並区の例も参考に、区民の発想と知恵を生かし、率先して再生可能エネルギーの活用と二酸化炭素排出削減を進める必要があります。早急に脱原発に見合った環境基本計画の見直しと第2次アクションプログラムの策定を求めます。いかがでしょうか。

 続いて、区内の再生可能エネルギーの活用についてお尋ねします。最も有力なのは太陽光発電と考えられます。現行の環境基本計画は、太陽光発電機や太陽熱温水器の設置で2017年度までに二酸化炭素の排出を5,200トン減らす目標を立て、区内の小・中学校全校、区有施設30施設、区内の1戸建て住宅の10%、4,000戸に設置するとしています。計画期間の前半が終わろうという現在の到達は、小学校5カ所、区有施設など10カ所で、目標の半分に達していません。住宅への設置は昨年3月末で840件で、着実に増加してはいるものの、達成率は21%であり、目標にはまだまだ遠い現状です。太陽光発電、太陽熱温水器は、初期投資の大きさが普及の妨げとなっています。国や東京都の補助制度に加え、区も助成することが有効ではないでしょうか。お答えください。

 また、風力も重要です。環境基本計画は、里・まち連携で区民風車3基の建設を計画しました。調査検討に1,000万円をかけ、遠いところに大型の風車の設置を考えましたが、風況調査までいって計画倒れとなりました。扇風機サイズの小型風力発電機の屋上設置など、区内で可能な風力発電について調査検討が求められると考えますが、いかがでしょうか。

 また、公共施設の地下に地中熱利用の設備をするなど、その他の再生可能エネルギーの利用についても検討が必要ではないでしょうか。

 第2項、中野駅周辺の開発について伺います。

 初めに、都市間競争力論についてお尋ねします。区は、昨年6月の中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3の策定に向けた議論や、ことし1月の区役所・サンプラザ地区再整備基本構想の構成案の中で都市間競争力の強化を強調しています。業務床が不足していることから、中野区内の事業所数は23区の中でも少なく、商業床も需要はありながら供給が不足しています。あるいは、業務集積はもとより商業、教育、文化を集積していくため、各地区の特性に合わせ土地の有効利用を進めていきますとVer.3は述べています。また、構成案では、人や企業、団体、情報、文化などさまざまな資源の集積によって都市間競争力を強化していくと記しています。前項の質問にも関連しますが、低エネルギー社会、エネルギーの地産地消を進めるためには、東京一極集中の是正、地方と地域産業の再生が求められ、東京のダウンサイジングは避けられません。オフィスビルの供給過剰も問題となり、港区、千代田区などでは再開発に伴い既存ビルで空きフロアがふえています。そうした中で高層ビルをふやし、業務、商業の集積、集客力の強化を他の区や駅、まちと競い合う結果は、弱肉強食か、共倒れか、さもなくば一層の東京一極集中とエネルギーの過剰消費ではないでしょうか。個々の施設で省エネルギーや低炭素化を図るとしても、開発によって全体としてエネルギーの消費が拡大することに変わりありません。建設工事でも、完成後の企業活動でも二酸化炭素の排出は確実にふえます。東京23区が全て港区や千代田区のようになる必要はありません。高層ビル中心の開発を競い合うのではなく、住宅都市としての中野の特色を生かし、他区とのすみ分けや役割分担を考えたまちづくりを考えるべきではないでしょうか。区の見解を伺います。

 次に、西側南北通路と橋上駅舎・駅ビル誘致についてお尋ねします。警察大学校跡地を4ヘクタールの防災公園にするという区民との約束を反故にして、区は三つの大学施設や二つのオフィスビルを誘致しました。その結果、中野駅の乗り降り客がふえるということで、西側橋上駅舎と南北通路の構想が出てきました。区役所・サンプラザ地区につくる大規模複合施設や中野三丁目に人を回遊させたいともいいます。さらに、橋上駅舎の上に駅ビルを誘致したいと言い出し、南北通路を東西にまたぐ巨大な駅ビルとなる可能性も考えられています。こうした警大跡地開発から雪だるま式に開発計画が拡大してきました。中野駅地区第1期整備の結果の検証もなく、区民の合意もない中で、駅地区第2期整備と駅南側の地区整備が計画され、その検討業務だけで来年度1億1,000万円の予算が計上されています。第2期整備の区の財政負担はどこまで膨らむのでしょうか、お答えください。また、区民の合意もなしにこのまま進めるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

 続いて、区役所移転とサンプラザ・区役所地区再整備についてお尋ねします。昨年8月から区は事業者提案ヒアリングを行っています。区役所・サンプラザ地区の周辺一帯の開発整備と事業展開、そして、中野区役所、中野体育館、防災空間など公共施設の立地や整備がテーマです。三つの企業グループと九つの単独企業が、このテーマについて提案を携えてヒアリングに応募しました。区は8月末、提案内容と企業の実績、概要を基準としてヒアリング対象事業者を選定し、一つのグループと一つの単独企業に絞り込みました。この時点で区は新区役所などの配置や整備手法、区役所・サンプラザ周辺の開発についてある特定の提案を選択したはずですが、どんな提案を採用したのかを明らかにしていません。区役所の配置を含めた駅周辺開発の問題が、広く区民から意見や要望を集約することもなく、大手不動産、開発・建設会社からの提案には耳を傾け、庁内の論議だけで進められています。区民不在、大手企業主導で区役所の移転や区役所・サンプラザ地区開発計画を推進すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

 そもそも区役所の移転は、区役所・サンプラザ地区の一体開発のために要請されたものです。区民が望む区役所の機能や建物の構造や位置を検討した結果ではありません。また、耐震性の問題が移転・建てかえの理由に挙げられていますが、これも後からとってつけられたものです。東日本大震災以前には、区は区役所の耐震性はBランクであり、大丈夫だと言っていました。大震災後、防災拠点としての区役所はIS値1.2ぐらいが必要だ、耐震補強ではこれは難しい、移転・新築しかないなどと言い出しています。区民の中には、金がないと言いながら立派な庁舎を建てかえる必要はない、木造住宅の耐震補強の助成は渋るのに区役所だけ頑丈につくるのかといった声も根強くあります。区役所の機能、構造、立地を決めるのは区民です。区役所は、現地耐震補強、免震化も考えられます。移転と一体開発を前提とせず、区役所をどうするのか、区民参加による検討が必要ではありませんか。

 また、これまでも我が党議員団は、サンプラザは民間に委ねるべきだと主張してきました。区はサンプラザから手を引いて、民間に任せるべきではありませんか。

 第3項、生活保護行政について伺います。ここでは、生活保護基準の引き下げとその区民生活への影響について伺います。

 政府は、来年度予算案で生活保護の生活扶助基準の見直しを決めました。ことし8月から段階的に引き下げ、生活扶助費の国庫支出を3年間で総額670億円削減するとしています。これにより生活扶助基準は、3年後には平均で6.5%引き下げられます。都市部では、夫婦と子ども2人の家族で月2万円、10%の引き下げ、20歳から40歳のひとり暮らしでは7,000円、9%の引き下げになります。削減額670億円のうち90億円は、社会保障審議会生活保護基準部会での検討結果を踏まえた、年齢、世帯人員、地域差による影響を調整した結果だと説明されています。それぞれのタイプごとに、最下位10%の低所得層の消費水準に生活扶助基準を合わせたものです。日本の生活保護の捕捉率は2割から3割程度にすぎず、生活保護を実際に受けている214万人の何倍もの人々が生活保護基準以下の生活を強いられています。そうした人たちが大半を占める低所得層の消費水準に生活扶助基準を合わせるというのは、初めから引き下げという結論を用意しているようなものです。これは際限のない基準引き下げにつながります。

 残りの削減額580億円は、平成20年以降の物価下落を勘案して全体を切り下げたものだといいます。このデフレ調整論も平均6.5%の引き下げを正当化する理由にはなりません。現行の生活扶助基準が定められた2004年と比較すると、昨年の消費者物価指数は1%しか下がっていません。しかも、物価が大きく下がっているのは、低所得層で保有率の低いテーブルセットなどの家具類や、パソコン、カメラ、オーディオ・ビジュアルなどの電化製品です。低所得者の生活費に占める割合の大きい衣類や履物は0.4%上昇、食料は2%上昇、水道・光熱費は14%上昇しています。低所得層はデフレの恩恵を受けていません。格差が拡大する中、このような大幅な生活扶助基準の引き下げは、多くの区民を最後のセーフティーネットから追い出し、生活保護利用者には貧困を強いることになるのではありませんか。区の見解を伺います。

 次に、このような生活保護基準の大幅な引き下げは、生活保護利用者以外の低所得層にも大きな負担増や給付の後退をもたらします。区が生活保護基準の1.15倍などと定めている諸制度の適用基準が連動して下がります。就学援助や国民健康保険の保険料と医療費の申請減免がこれに当たります。第2のセーフティーネットとして期待されている離職者支援の住宅手当も、支給要件の中で一時的収入の上限として生活保護基準を採用しています。政府は、就学援助には影響が及ばないようにすると言っていますが、就学援助は自治体の一般財源によって行われています。国は自治体に対応を要請するだけです。

 それから、国が生活保護基準を参考にして決めている各種制度の基準が引き下げられる可能性があります。住民税の非課税限度額、国民年金の保険料の申請免除、そして、最低賃金がこれに当たります。政府は、住民税の非課税限度額について平成26年度以降の税制改正で、つまり消費税を8%、10%に引き上げるときに対応を検討すると言っています。今回の生活保護基準の見直しの考え方を踏まえてといいますから、同じように非課税限度額を引き下げるものと考えるべきでしょう。住民税が非課税になると、高額療養費の自己負担限度額や介護保険料、保育料が値上がり、障害者福祉サービスが有料となり、その他各種の減免措置が受けられなくなります。例えば、中野区の来年度予算案には非課税世帯の後期高齢者健診と国保特定健診の自己負担免除が盛られていますが、これも受けられなくなります。こうした保護世帯以外の低所得層への影響と国の対応について、区の見解を伺います。

 第4項、介護保険と高齢者福祉について伺います。

 初めに、特別養護老人ホームの増設について伺います。重複を除いても1,200人の区民が特別養護老人ホームの入所を待っています。しらさぎホームには600人の区民が待機しています。4月に開設される小滝ホームでも、50人の定員に対して400人が申し込んでいます。区外の老健施設から特養に移るように求められているあるお年寄りは、しらさぎホームとあわせて小滝ホームに申し込みましたが、優先順位Cランクと判定され絶望しています。Aランクでも数多くの高齢者が特養に入れません。第5期介護保険事業計画では、100床のホーム開設が目標とされていますが、1,200人の待機者の解消にはほど遠い状況です。こうした現状について区はどう考えますか。見解を伺います。

 介護保険料や東京都の補助金との関係で、区の介護保険事業計画の目標以上の増設はできないと区はいいます。しかし、目標との関係でも整備は遅れています。第4期介護保険事業計画分の富士見中跡地のホーム50床が開設されるのは第6期の2016年度です。事業計画で計画した施設はその期間中に開設できるようにするべきです。少なくとも僕は、第5期計画の目標100床は期間内に開設を目指すべきだと考えますが、いかがですか。

 次に、高齢者福祉について伺います。高齢者福祉における介護給付以外の在宅サービスの支援制度について、我が党区議団ではこれまでも拡充を求めてきましたが、二つの制度について改めてお聞きします。

 一つ目は、在宅で高齢者世帯が生活を継続していくための生活支援としてのホームヘルパー派遣についてです。杉並区は、65歳以上のひとり暮らしや高齢者のみの世帯の方で、退院直後または捻挫等の緊急時に家事援助のヘルパー派遣を実施し、23年度、158人の方が利用されています。また、練馬区は129人の方に延べ2,448回の派遣を行っています。杉並区は、上記に加え、さらに介護している家族の休息やリフレッシュを目的とした支援サービスにもホームヘルパーを派遣し、240人が活用しています。中野区は、社協のほほえみサービスで実施しているといいますが、支援する側の協力会員の確保が大変だと聞いています。中野区は、在宅高齢者世帯へのホームヘルパー派遣を区として実施すべきと考えます。見解を伺います。

 二つ目は、高齢者の布団乾燥・洗濯サービスです。中野区は、介護保険外特別給付として、要介護4・5で寝たきりの方を対象に限定しているため、23年度は21件と利用は減少しています。杉並区は、介護保険の認定の有無に関係なく対象者を拡大していることから、布団乾燥サービスは年間2,195人で、5,129枚の実績です。練馬区は、対象者を介護保険要介護度1以上に認定された方で、65歳以上のひとり暮らしの方、または65歳以上の高齢者のみ世帯の方を対象に、乾燥消毒は年間10回無料で行っています。中野区も対象を拡大するとともに、制度の充実を求めます。見解を伺います。

 第5項、保育の充実と子育て支援について伺います。

 初めに、子育て世帯の区外流出についてお尋ねします。区の保育需要への対応方針の中で、0歳から4歳にかけて中野ではおよそ15%程度社会的に減少する傾向にあると記しています。社会的に減少とは、子どもが生まれ、育つとともに他の自治体へ移っていく世帯が多いことを示しています。保育など子育て支援の政策の立ちおくれのほか、住宅事情なども要因として考えられますが、区はこの状況をどう受けとめていますか。また、子育て世帯が中野区に定着できるように、保育や子育て支援の充実が必要ではないでしょうか。見解を伺います。

 次に、保育園待機児童の解消について伺います。認可保育園の待機児が、昨年4月で442人、ことし1月で607人に上っています。区は、区立認可園の民営化・建てかえ、認証保育所の誘致、家庭福祉員やグループ型家庭的保育によって保育需要に対応するとしてきました。この方針にもかかわらず、私立認可保育園の新設に踏み切ったことは評価するものです。しかし、認可園待機児の解消にはまだまだ追いついていません。区は、認証保育所を優先的に希望する保護者もいるから、認証保育所を認可保育園の代替とは考えていない、多様な保育ニーズに対応していくなどといいますが、ことし1月で認証保育所に通いながら認可保育園に申し込んで待機している子どもが401人、認証保育所などに行かずに、行けずに認可保育園を待機している子どもが206人にも上っているのです。0歳児、1歳児だけで387人が認可園を待機しています。多様なニーズに応えるというなら、まずこのニーズに応えるべきではありませんか。自治体には認可保育園において保育を実施する義務があります。子ども・子育て新システム関連の法改正でもこの実施義務は残されました。

 そこでお尋ねします。認可園待機児童をなくすことを目標として、認可園のさらなる増設を進めるべきではありませんか。

 続いて、認証保育所の保育料補助と認可園の保育料について伺います。対応方針は、来年度中に保育サービスの保護者負担の公平化について見直しを求めるとしています。昨年9月から保育サービス利用者負担額適正化審議会が設置され、認可保育所保育料の改定の考え方についてと、各種保育サービス等の利用者負担額の適正化について審議中です。公開されている第3回までの会議録によると、認証保育所の保育料補助の拡大と抱き合わせに、認可保育園の保育料の値上げの方向で議論が進められているようです。保育料の値上げは、長期不況の中で厳しい子育て世代の生活に追い打ちをかけるものです。区はこのような保育料値上げへの誘導をすべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

 最後に、第6項、交通不便地域と交通弱者への対策についてお尋ねします。

 関東バスから区に対して、3月頃から「なかのん」減便の意向が伝えられ、再考を求めるという区の申し入れに対して、関東バスは、経営状況が厳しき折、難しいと答えたと聞きます。区議会からの申し入れにも、現在までのところ回答はないということです。鷺宮・上鷺宮地域では、中野駅の周辺の病院への通院、友愛クラブの活動、福祉作業所への通所などで、「なかのん」は高齢者、障害者などに不可欠の交通手段となっています。1時間1本では困るという声が数多く寄せられています。減便が利用者減少を生み、さらなる減便につながるという悪循環の心配があり、これを放置すれば路線廃止に行き着きかねません。関東バスには公共交通としての責任があり、単路線ごとの収支で減便や路線廃止をするのではなく、黒字路線も含めた全体で収支を図るべきです。同時に、中野区の支援は現在行われておらず、「なかのん」は関東バスの一営業路線にすぎません。関東バスは、区に対して何ら義務を負わない、責任を負わない体制になっています。成功している武蔵野市の「ムーバス」は、赤字は市が全額補助するという体制で進められています。杉並区の「すぎ丸」も同様です。

 そこで伺います。現在の運行体制の維持を関東バスに求めるとともに、区が継続的支援をして関与し、関東バスに責任を果たさせる仕組みを再構築する必要があると考えます。それによって運行の安定と充実を図るべきではないでしょうか。

 また、「なかのん」を含めた公共交通のバス停や鉄道駅から遠い交通不便地域の高齢者、障害者など交通弱者への対策として、オンデマンド交通が期待されています。区は、以前に詳細な計画、検討をしています。上鷺宮地域では、オンデマンドから乗り継いで利用できるようにしてこそ「なかのん」もより多くの交通弱者が利用しやすくなります。また、白鷺、若宮、大和町では、「なかのん」は利用しにくく、中野へ直行できる交通手段が求められています。オンデマンド交通の導入計画を棚上げせず、実証実験へ向けた具体的検討を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 以上をもって私の全ての質問といたします。御清聴、御協力ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 金子議員の御質問にお答えいたします。

 原発ゼロと再生可能エネルギーについてであります。今後の原子力発電については、十分な検証やそれを踏まえた安全対策の再構築が必要であり、代替エネルギー供給の可能性なども踏まえ、その行方を見守っていくべきだと考えております。

 環境基本計画とアクションプログラムについてであります。区としての二酸化炭素削減目標や再生可能エネルギーの普及などについては、環境基本計画・アクションプログラム改定の中で検討してまいりたいと考えております。

 太陽光発電機器等の補助制度についてですが、区として太陽光発電機器や太陽熱温水器の設置そのものへの補助は考えておりません。国や都の補助制度については、区ホームページによって周知を図っております。また、中野エコポイント制度の拡充を通じて、太陽光発電機等の機器の導入につながるインセンティブづくりができると考えておりますので、努めてまいります。

 風力発電や地熱利用などの普及についてであります。中野区で考えられる再生可能エネルギーの活用については、環境基本計画・アクションプログラム改定の中で検討してまいります。

 都市間競争力についての御議論がありました。中野駅周辺のまちづくりは、中野駅周辺の立地特性を生かし、都市機能の集積を図ることによって都市間競争力を強化し、東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点の形成を目指すものであり、今後も着実に推進をしてまいります。

 それから、西側南北通路と橋上駅舎、駅ビル誘致を進めるべきではないと、こういう御質問でありました。中野駅地区第2期整備については、現在最優先課題として都市計画手続に向けた計画検討と関係機関の調整を進めているところであります。この西側南北通路と橋上駅舎の整備でありますが、今後も特定財源をしっかりと確保しながら着実に事業を推進してまいります。

 中野駅地区第2期の基本的な方向性についてですが、中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3において示しているところであります。既に幅広い意見交換会など参加の手続を経たものであります。

 私からは以上です。

〔都市政策推進室長長田久雄登壇〕

○都市政策推進室長(長田久雄) 区役所移転と区役所・サンプラザ地区再整備の進め方について御質問がございました。事業者提案ヒアリングにつきましては、区役所・サンプラザ地区再整備や公共施設の立地のあり方などについて提案を求めたものであって、それぞれの課題検討の参考としているものでございます。

 次に、サンプラザ事業について御質問をいただきました。区役所・サンプラザ地区再整備については、サンプラザ地区に係るまちづくり整備の方針として議決をされておりまして、中野サンプラザの所有会社である株式会社まちづくり21を介して一体的整備を推進してまいります。

 私からは以上でございます。

経営室長川崎亨登壇〕

○経営室長(川崎亨) 区役所整備の検討への区民参加についてお答えいたします。新しい区役所整備の基本方針につきましては、新しい区役所に求められる機能や、その機能を実現する空間デザインなど、長期的視点での専門的な検討が必要であることから、学識経験者による委員会で検討することを予定しております。区民の皆さんには、区の考え方を十分説明し、計画の各段階で意見交換会などを通じて広く御意見をいただきたいと考えておりますが、多様な区民の意見を一つに決定するに当たりましては、最終的には区民の代表である区議会に、区役所の位置や建設予算などを通じて御判断をいただくことになると考えております。

健康福祉部長田中政之登壇〕

○健康福祉部長(田中政之) 私からは、生活保護基準見直しに対する区の評価についての御質問と、介護保険、高齢者福祉についての御質問にお答えいたします。

 まず、生活保護基準見直しに関する区の評価についてでございます。このたびの見直しにつきましては、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が図られているかという検証と、社会経済状況を踏まえ決定されたものと理解しているところでございます。生活保護制度が国民の信頼のもと、我が国のセーフティーネットとして持続的に役割を果たしていくために必要な見直しであると考えております。

 次に、特別養護老人ホームの増設についてお答えいたします。特別養護老人ホームは計画的に整備を進めていく施設でございます。区が需要の全てを充足すべきものとは考えてございません。区といたしましては、第5期中野区介護保険事業計画の中で整備目標を示しており、介護保険事業計画に基づき誘導整備を行っているところでございます。入所を待っている待機者につきましては、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービスを充実させることにより対応を図っているところでございます。

 次に、介護保険施設の開設時期についてでございます。第4期介護保険事業計画で計画いたしました富士見中跡施設での特別養護老人ホームにつきましては、中野富士見中学校跡施設整備基本計画に基づき整備をするということから、校舎の解体時期や埋蔵文化財調査等の制約がございまして、平成28年度開設の予定でございます。介護保険事業計画に掲げた目標は、当該期間中に達成できることが望ましいと考えておりまして、それに向けて努力してまいります。

 最後に、ホームヘルプサービスと寝具の乾燥サービスについてでございます。介護保険の対象とならないホームヘルプサービスにつきましては、社会福祉協議会のほほえみサービス、あるいは、シルバー人材センターの家事援助サービスを御利用いただいているところでございまして、区独自のホームヘルプサービスの実施については考えてございません。

 また、寝具乾燥サービスにつきましては、平成18年度から介護保険サービス特別給付の中で実施しているところでございます。近年、介護用品の性能の向上もあり、必要な方にサービスを提供できていると判断しておりまして、対象者の拡大については考えてございません。

 以上でございます。

〔政策室長竹内沖司登壇〕

○政策室長(竹内沖司) 生活保護基準の見直しに伴う影響についての御質問にお答えいたします。保育所のように法令に基づくもの以外で区が単独で実施する事業のうち、生活保護世帯であるか否かをサービスの適用や利用料免除の基準としているサービスは30以上ございます。しかしながら、見直される生活保護基準が明らかではない現時点において、その影響の範囲はわからないところでございます。

〔子ども教育部長髙橋信一登壇〕

○子ども教育部長(髙橋信一) 私からは、保育の充実と子育て支援についてお答えいたします。

 初めに、子育て世帯の区外流出についてでございます。保育サービスを利用します就学前児童数の比率は23区平均よりも高く、一方で、就学前児童数に対します保育園待機児数の比率は23区の平均より低い。このことから保育サービスの充実度が低いという認識は持ってございません。

 続きまして、認可保育園の待機児の解消でございます。これまで誘致を進めてきました認証保育所、この設置基準につきましては認可保育所に準じてございます。さらに、長時間保育に対応しているなど、認可保育園にはないサービスを実施していることから、優先的に選択している保護者も多いという認識を持ってございます。今後とも保護者のニーズに合いました多様な保育サービスを充実し、保育需要に応えてまいりたいというふうに考えます。

 最後に、認可保育所保育料の値上げについてでございます。審議会では、認可保育園保育料の前回改定時でございます平成17年以降の状況変化として、国で定めた徴収基準との乖離が大きくなっていることや、認証保育所の保護者負担などにつきましてさまざまな立場の方から御意見や御議論をいただいているところでございます。審議会からは適切な答申をいただけると考えてございます。

 以上でございます。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、「なかのん」の運行についてお答えいたします。「なかのん」は、区の補助によりコミュニティバスとして発足しましたが、現在は民間バス事業者が経営するバス路線の一つとして運行しており、区が補助金を支出することは考えておりません。

 次に、オンデマンド交通の具体化に向けた検討についてでございます。オンデマンド交通の導入については、利用者のニーズや運行形態、それに伴う経費面の課題等を中心に引き続き検討を行っているところでございます。

 以上でございます。

○議長(大内しんご) 以上で金子洋議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 中 村 延 子

 1 区有施設の光熱水費について

 2 子宮頸がん対策について

 3 おもてなし運動について

 4 その他

 

○議長(大内しんご) 次に、中村延子議員。

〔中村延子議員登壇〕

○6番(中村延子) 平成25年第1回定例会に当たり、民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。質問は通告のとおり、1、区有施設の光熱水費について、2、子宮頸がん対策について、3、おもてなし運動についてです。4のその他はございません。

 まず、区有施設の光熱水費について質問をさせていただきます。

 一昨年の東日本大震災、福島第一原発の事故以降、電力不足のため節電への取り組みが行われてきました。原子力発電所の再稼働問題では、電力供給の安定化や電気料金の値上げもあり、中野区でも特定規模電気事業者(PPS)の導入が決まりました。また、区が管理する街路灯のLED化も平成25年度で全て完了する予定となっています。京都議定書における二酸化炭素削減目標などもあり、エネルギー問題の注目はとても高いのが現状です。中野区でもさまざまな節電努力が行われていることは高く評価いたします。しかしながら、エネルギーは電気だけではありません。中野区が所有する施設における光熱水費には、電気以外にガスや水道があります。そこで、中野区ではガスや水道に関して削減に取り組まれているのかお伺いをいたします。また、区有施設の中には空調設備でもガスを使用しているところがありますが、全体の何割ぐらいになるかお答えください。

 電気は、今までの使い方のままで必要に見合ったアンペア数の見直しなど、契約の見直しをすることによって基本料金の削減ができます。ガス料金に関しても全く同じく、使用上一定の条件をクリアすることにより契約の見直しができます。契約の見直しだけで料金を削減することが可能です。各区有施設においてガス会社との契約見直しが行われたことはあるのか、また、行われているのであれば、どれくらいの期間で行われているのでしょうか、お答えください。

 今回、本庁舎と小・中学校、保育園、区民活動センター、それぞれ1カ所ずつのガスの年間使用量と使用金額のデータをいただき、民間のコンサル会社にお願いをして契約形態の変更による削減ができるかどうか調べていただきました。結果、削減率で5%から14%、5カ所で概算合計190万円以上のガス料金の削減ができるという数字が出ました。小・中学校でもそれぞれ20万円前後の削減ができるという結果でした。行政ではなかなか着目できないところかもしれませんが、こういう形で民間を使い削減していくということこそが民間活用だと思いますが、区の見解をお聞かせください。

 区は、財政難の中、事業見直しを行い、区民の皆様に御理解をいただいているところです。一つひとつを見れば小さい金額かもしれませんが、小・中学校は計36校、全ての区有施設になると170以上もあります。電気だけではなく、全ての施設でガスや水道の経費節減ができれば大きな削減となります。ぜひ契約の見直しを検討実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、子宮頸がん対策についてお伺いをさせていただきます。

 まず、検診率向上のための取り組みについて質問をさせていただきます。現在、日本では、がん検診は死亡率減少を目的としておりますが、世界では子宮頸がんに関しては予防を目的として検診を行っています。その意識の違いというものは非常に大きく、何よりも子どもを宿し産むことのできる女性の子宮を温存するということを目的として、私自身もこれからも大切さを訴えていきたいと思っております。その観点から、昨年の決算特別委員会総括質疑でも取り上げさせていただきましたが、再度この問題について取り上げさせていただきます。

 子宮頸がんは、がんの原因が解明されており、予防できる唯一のがんと言われています。また、早期発見により子宮全体を切除しなくても一部を切除するだけでほぼ100%治り、その後に妊娠・出産が可能です。ただ、細胞の異形成や前がん病変は検診でしか見つけることができません。この点からも検診での早期発見がとても重要だと言えます。しかしながら、日本での子宮頸がん検診の受診率は24%。中野区では平成23年度で21%となっています。欧米諸国の受診率70から80%とは比べ物になりませんが、検診率の向上は取り組まなければならない課題だと考えます。区としても受診率向上のために、西武信用金庫、アフラックとのがん協定に基づいた子宮頸がんの講演会、がんパネル展などさまざまな取り組みをされていることについては評価しています。それでもなかなか受診率の向上は難しいのが現状だと思います。全国のさまざまな自治体では、検診未受診者をなくすべくコール・リコール制度の導入が始まっています。欧米諸国では、受診率向上の対策として地域住民に対するコール・リコールが有効であると報告されています。東京都でも平成21年度より医療保険政策区市町村包括補助事業、がん検診受診率向上事業の中でその有効性について検証を行ってきており、その成果が区市町村に拡大されることを期待しております。

 昨年10月20日の日経新聞に、子宮頸がん制圧をめざす専門家会議の自治体調査では、42.8%の自治体が未受診者に対し受診勧奨をしているとの結果が出たとの報道がありました。豊島区では、平成22年度から検診の無料クーポンを20歳の女性に送った約4カ月後、未受診者に対し女子大生らの啓発グループが作成した小冊子と手書きのメッセージを送る取り組みを開始し、受診率は前年度の約2倍になったそうです。東村山市もそれまでは広報紙などで受診を呼びかけるだけだった従来の方法を変更。21年度から25歳と30歳の女性のうち、無料クーポンを送っても未受診の方に対しチラシを送付するようになり、受診率が10から20倍になったそうです。全ての受診者に対して個別勧奨することには財源的にも人員的にも限度がありますが、無料クーポン対象者は区で把握できます。無料クーポン対象者の未受診者に対して個別勧奨するべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 また、ある団体が行っている検診受診率向上の啓発活動の中にはとてもユニークなものがあります。検診で子宮頸がんが予防できるということをもっとたくさんの子育て中のお母さんたちに知っていただきたいという思いから、子どもたちから大好きなお母さんに子宮頸がん検診を呼びかける「母の日ありがとうカード」というものを作成し、保育園、幼稚園、小学校や児童館に無料でプレゼントしています。このカードには、「おかあさんだいすき!子宮けいがんのけんしんをうけてね!」というメッセージが書いてあり、塗り絵ができるようになっています。これであれば保育園や幼稚園に通っている、まだ字の書けない子どもたちでもメッセージを伝えることができます。また、裏面には予防に関する情報がきちんと盛り込まれています。行政からの呼びかけにはなかなか心が動かないものかもしれませんが、自分のかわいい子どもたちとずっと楽しく暮らしたいと思うお母さんたちには、子どもたちからこのようなカードを送られるとメッセージが心に届くのではないかと思いますし、とてもすてきな啓発活動だと思います。費用もかからず取り組める一つの方法だと思いますが、いかがでしょうか。区の見解をお伺いいたします。

 中野区の子宮頸がん検診受診率は、平成23年度、21%でしたが、国が掲げている受診率目標は50%です。しかしながら、実際に受診率が50%まで達すると、マンパワー、インフラ、財源、全てにおいてパンクしてしまう状況にあります。そこで、精度の高い検診への移行というのが重要になってきます。2月5日の朝日新聞に子宮頸がんの原因ウイルスに感染しているかを調べるHPV検査について、厚生労働省は新年度から試験的に始める方針を決めたとの報道がありました。200程度の市町村に費用を全額補助し、効果を検証するとのことです。政府の新年度予算案に関連予算1億5,000万円が盛り込まれており、30歳、35歳、40歳を対象に実施をする方針だそうです。昨年の決算特別委員会総括質疑でも御紹介いたしましたが、島根県出雲市ではHPV検査と従来の細胞診の併用検診により、検診助成費用を30%削減できたという実績があります。もちろんそれだけではなく、併用検診でほぼ100%の精度が認められています。今回国が目指している併用検診の本格実施に向けた試験的な取り組みについては大変歓迎いたします。200程度の自治体は、恐らく手挙げ方式で決定されるだろうとのことですが、中野区はそうなった場合実施されるのでしょうか、お答えください。

 いずれにしても、今後に向けたインフラ整備は重要と考えます。本格実施に向けた受け入れ態勢を今から検討すべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。

 次に、おもてなし運動について質問をさせていただきます。

 中野区は、平成15年度に庁内の意見交換会を複数回経て、平成16年度からおもてなし運動を始めました。おもてなし運動の基本理念は、「職員の主体的な取り組みによって、組織及び職員を活性化し、中野区にかかわる一人ひとりにとって満足度の高い区役所をつくります」とあります。この基本理念を実現するために日々意識する行動目標を、「お」、お客様一人ひとりの身になって一歩踏み込んで考えます、「も」、目標に向かって持てる力を最大限に発揮します。「て」、手際よく丁寧な対応に徹します、「な」、何事もわかりやすく責任を持って説明します、「し」、新鮮かつ柔軟な発想で取り組みます、と設定しています。全国的に住民の税金によって運営されている役所で顧客満足度を向上させる運動がさまざまな形で展開されている中、中野区もこのような取り組みがされていることは高く評価いたします。職員の方々の日頃の努力にも敬意を表します。

 さて、中野区では、おもてなし運動発表会が毎年行われ、ことしも2月1日に実施されました。私も初めて発表会を見学させていただきました。多くの区の職員の皆さんが見学に来ていたほかにも、全国さまざまな自治体の職員の方も会場に多数見えられていました。ことしは六つの職場の発表が行われ、南台保育園がおもてなし大賞を受賞されました。発表ごとに特色がありましたが、保育園など顧客イコール保護者の声が直接職員の耳に届く職場は、顧客のニーズを把握しやすく、顧客満足につながっているのではないかと感想を持ちました。

 まず、おもてなし発表会そのものについて質問をさせていただきます。おもてなし発表会では、課長級の職員が職場の紹介及び応援メッセージを発言した後、各職場が6分間で発表を行いました。その後コメンテーターが発表についてコメントをするという形式がとられていました。コメンテーターには、尼崎市、所沢市、川崎市の職員の方々が務められていました。今後このコメンテーターに民間人を入れられる考えはあるのでしょうか。確かに同じ立場で顧客満足度向上を目指している他自治体の職員の方の視点というのは大切かもしれませんが、全員自治体職員である必要はないかと思います。むしろ民間で行われている取り組みを取り入れるためにも、民間企業の方を入れることでより活性化されると思いますが、区の見解をお伺いいたします。

 また、中野区では、区有の施設でありながら指定管理者が入り、運営は民間で行われている施設も多く存在します。おもてなし運動に参加しているのは、区有の施設で、区が直接運営を行っている部署だけになります。今後民間が運営する施設がふえることが予想できますが、公的な施設であることに変わりはなく、区民は今までどおりに利用をしていくことになります。それらの施設のおもてなしを実現していくことも中野区としては必要だと考えます。おもてなし運動発表会にそのような民間運営の施設も加えるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 もちろんおもてなし運動のような職員主体の取り組みはとても大切だと思いますし、今後も続けていくべきだと思います。しかしながら、区民のニーズがどこにあるのか、顧客満足に本当につながっているのか、ひとりよがりな取り組みになっていないか、少し疑問に思えた発表があったことも事実です。区役所の職場には直接フィードバックがある部署ばかりではない中、区はどのように顧客満足を図っているのでしょうか、お答えください。

 また、おもてなし運動はスタートしてから約10年経過いたしますが、この取り組みにより区民から区に対する苦情やクレームは減少傾向にあるのでしょうか、お聞かせください。

 2月12日に長野県須坂市を視察してまいりました。須坂市では、平成17年から日本一の市役所づくりを目指し、須坂市役所の理念を定め、平成19年からは日本一の市役所づくりに向けた行動目標検討委員会にて、一度来たクレームに学び、クレームをなくすことをあるべき姿と捉え、「クレームに学ぶクレームゼロ運動」を行動目標とすることに決定され、平成20年度から実施しています。クレームといってもさまざまな種類のクレームがありますが、須坂市ではクレームが発生した時点で、1、提案や要望としてのクレーム、2、その場で解決した簡易なクレームで再発性のないもの、3、市民の勘違いによるクレーム、4、対応する必要のない悪質なクレーム、5、市の落ち度によるクレームで2以外のものと五つに仕分けをし、それぞれに対処しています。クレームゼロ運動の中で取り扱われるのが5の市の落ち度によるクレームで、発生時に内容を記録し、担当理事者だけではなく総務課長へ報告することとしています。担当課では素早く適切な対策を実施するのですが、それと同時に総務課長はクレーム内容を分析し、第2、第3のクレームを防ぐために必要に応じて全庁的な対策を実施します。これらのクレームは、約2カ月に1回開会される日本一の市役所づくり推進委員会にて内容を検証し、再発防止に努め、全庁的に共有します。

 中野区では、現在それぞれの部で苦情を処理していますが、クレームを全庁的に把握し、顧客満足につなげるべきと考えますが、いかがでしょうか。区へ寄せられたクレームを分析し、同じクレームを防ぐことも、区民のニーズを把握し、顧客満足度向上のための取り組みだと思います。これもまた区民に対するおもてなし運動だと思いますが、区の見解をお聞かせください。

 以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 中村議員の御質問にお答えいたします。私のほうからは、おもてなし運動についてであります。

 おもてなし運動のコメンテーター役として、民間の方や区民などに参加していただくということはどうなのかという御質問でありました。おもてなし発表会のコメンテーター役としては、同じ取り組みを行う自治体間での競争によるサービスの向上、比較、お互いに比較し合って向上するという考えから、他自治体職員へ依頼をしてきた経緯がありますけれども、さらにおもてなし運動を推進していく上では、民間企業の見方、区民からの見方といったようなことも取り入れていくということは可能性が大いにあると、こういうふうに考えております。おもてなし講演会というのもやっておりまして、その中では民間のコンサルタントの方の講演を受けたりなど、民間の視点を取り入れることにも意を用いているところですが、今後コメンテーターへの民間人の参加といった──「民間人」て変な言い方ですね。民間の方の参加をお願いするということについても検討していきたいと、こう思っております。それから、区立施設の指定管理者、これについても当然区民にサービスを同じように提供している立場ですので、区として顧客満足度を含めた運営状況の評価を行っておりますが、発表会への参加についても働きかけてみたい、このように考えております。

 それから、顧客満足度、区民の満足度をどのように把握しているのかということです。区民の満足度を施策や事業の成果指標として活用しているという分野もあります。区民の意識、実態調査や施設窓口で実施するアンケートなどで把握しているところであります。なかなかそういう形で把握し切れない満足度ということについても、さまざまな方法でできるだけ感じ取ることができるように、常に研鑽に努めていきたい、こう考えております。

 また、苦情の傾向と庁内体制についてということでの、須坂市の例を挙げての御質問がありました。中野区の場合には、これはずっと昔から区民から寄せられる御意見、あるいは苦情、御要望、いろんな声については区民の声ということで、これは苦情である、これは意見である、これは要望であるといったような分類を必ずしもしておりません。区民から寄せられる声は全てがやはり改善の種の、本当に全てが中野区にとって改善の種が含まれている、改善の種の宝庫と言ってもいいようなものだというふうに考えておりますので、そういう意味では分類をするというような考え方は行っておりません。この区民から寄せられた声について、各部で対応するもの、そのほか、庁内調整が必要なものにつきましては、行政監理担当が集約をして、その対応について調整を行って対応する。その対応を含めてグループウエアに掲載して全庁共有することで、再発防止に努めるとともに未然の改善に努めていくということを行っております。

 私からは以上です。

〔経営室長川崎亨登壇〕

○経営室長(川崎亨) 区有施設の光熱水費で削減への取り組みについてお答えいたします。

 まず、電気のほか水道、ガスについてはいかがかということでございますが、水道に関しましては節水コマの採用や節水型トイレへの変更などによりまして、節水を意識した整備を行っているところでございます。

 次に、ガスについてでございますが、現在区が管理する区有施設で空調用の熱源としてガスを採用している施設は107施設あります。全体の6割程度となります。これらの空調機の間欠運転などを行い、温度調整を行うことによりまして使用量の削減に努めているところでございます。こうした取り組みによりまして、区役所本庁舎を例にとりますと、平成17年度に比べて平成23年度では、水道・ガスともに約2割ほどの削減となっております。

 次に、契約の見直しでございますが、これまでも施設所管におきまして、空調機器の種別や規模によりまして空調夏期割引制度や小型空調機専用割引制度を活用した契約の見直しを行いまして、費用の削減に向けた取り組みを行ってきております。

 また、光熱水費を削減するためコンサルタント会社に委託をしたらどうかとの御提案もございましたが、そのためには新たな費用を要するということもありまして、供給事業者と協議を重ね、独自に経費の節減に今後とも努めていきたいと考えております。

 以上でございます。

〔健康福祉部長田中政之登壇〕

○健康福祉部長(田中政之) 子宮頸がん対策についての御質問にお答えいたします。

 まず、子宮頸がん検診におけるコール・リコールについてでございます。がん検診におけるコール・リコールシステムにつきましては、国のがん対策推進協議会におきましても有効な受診率向上対策であるとしているところでございます。未受診者に対するコール・リコールシステムにつきましては、財政的な負担も伴うものでございます。実施に当たりましては、他の自治体の実績等を踏まえ検討してまいりたいと考えているところでございます。

 続きまして、無料啓発カードの活用についてでございます。区は、子宮がんの意識啓発といたしまして、9月のがん制圧月間や3月の女性の健康週間などでパネル展などの開催に取り組んでいるところでございます。このカードにつきましては、子宮頸がん制圧を目指す専門家会議という団体が、子宮頸がん予防母の日キャンペーンとして、保育園、幼稚園、小学校、特別支援学校、児童館などに対して無料で配布しているということでございまして、区として承知をしているところでございます。こうしたカードの活用の効果等につきまして調査研究をしてみたいと考えているところでございます。

 続きまして、子宮がん検診における新たな検査手法についてでございます。子宮がん検診におけるHPV検査と細胞診との併用検診につきましては、国からの正式な通知が来ていないため詳細は不明でございます。新たな検査手法につきましては、検査の実施だけでなく、その後のフォロー体制も重要でございます。実施に当たりましては、関係団体を含め十分な検討を行う必要があると考えているところでございます。

 以上でございます。

○議長(大内しんご) 以上で中村延子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 後 藤 英 之

 1 中野区職員のモチベーション・マネジメントについて

 2 その他

 

○議長(大内しんご) 次に、後藤英之議員。

      〔後藤英之議員登壇〕

○8番(後藤英之) 平成25年第1回定例会に当たり、みんなの党の立場から一般質問をさせていただきます。

 中野区職員のモチベーション・マネジメントについてお尋ねいたします。

 新政権への期待感とともに、円安、株高と日本経済に私は明るい兆しを歓迎しますが、民間給与への反映は未定で、いまだ厳しい状況です。また、政府債務残高は対GDP比200%を突破するなど危機的な水準で、支出の削減が求められています。中野区も財政緊急事態であり、事業見直しが継続中です。当会派では、かねてより職員、特別職の給与、報酬に対し、人事委員会勧告、特別職報酬等審議会の答申内容では不足としてきました。現在、政府からもさらなる地方公務員の給与改定が要請されています。

 中野区は、かねてより独自でも職員数と給与の削減努力を行ってきており、さらに厳しい風向きかと思いますが、行政サービスの質を落とさず、職員2,000人の少数精鋭体制をつくっていく必要があります。その実現に必要な根幹は、職員の皆様方の使命感であり、勤労意欲の高さであると思います。そんな状況でもやる気は生まれると信じています。モチベーション・マネジメントは組織を活性化し、働く者の生きがいを保持する永遠のテーマと思います。採用、評価、能力開発、給与、福利厚生を伴う組織・人事戦略など、さまざまな人事制度もモチベーション・マネジメントなくしては機能しないと考えますが、順次御所見をお尋ねいたします。

 そこでまず、給与に関する事例として、佐賀県武雄市は職員給与の一部を税収に連動して増減させる制度を検討中という報道があります。税収という市の活力を職員給与に連動させることで、市民の理解を得やすくすることを狙いとしています。また、やる気のある職員にとってさらなるやりがいを生むプランと感じました。異なる事情はあろうと思いますが、こうした取り組みについてどう考えられるか、御所見をお尋ねします。

 また、モチベーションのあり方を考える際に、マズローの自己実現理論が有名です。「人間は自己実現に向けて絶えず成長する」とし、人間の欲求を5段階で理論化したもので、下位から生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、承認欲求、自己実現欲求としています。このうち中野区職員についての課題は、承認欲求と自己実現欲求をいかに満たすかということかと思います。努力してもこれらが満たされない環境下ではモチベーションの維持が困難で、心理的問題のリスクすら生じるとされています。

 そこでまず、職員のメンタルヘルスについてです。平成23年度行政評価では、メンタルヘルス相談事業において多数の職員が問題を抱えており、メンタル専門医による相談件数は、平成23年度延べ285件、前年度比で約1.27倍、前々年度比では約1.88倍です。多くの職員が気軽に相談できる風土は評価できる一方、対策も求められています。

 そこで質問です。「メンタル相談は、メンタル専門医2名、臨床心理士1名、保健師1名で対応しているが、現在はメンタル面で問題を抱える職員の対応で枠がいっぱいの状況である」という外部評価の指摘に関して、専門家の増員やシフトの見直しによる受診体制の拡充については検討されているのでしょうか。

 平成24年度外部評価結果に対する考え方または改善の方向性の中では、専門家の役割分担を明確にし、重点集中化を図り、新規面談者や未然防止対応について充実させるとありますが、現状の役割分担をさらに明確化することは可能なのか、重点集中とはどういうことかお尋ねします。

 また、24年度は研修、対応マニュアル等の配布が予防対策とありましたが、効果的か疑問です。年度途中でありますが、対策の効果が実感できているかどうかについてもお尋ねします。

 同時に、増加し続ける相談件数について、人事制度運用との因果関係についてはどう分析しているか。人事配置のみならず人事制度運用全体からの視点でお尋ねいたします。

 次に、人事考課について質問いたします。自治体のモチベーション・マネジメントに最も関連性が深い人事機能は、承認と自己実現の欲求をダイレクトに満たし得る人事考課だと私は考えます。中野区人材育成ビジョンにも、目標と成果による管理をマネジメントの根幹とし、個人、組織に定着させ、常にPDCAサイクルを意識した行動へとつなげていく。また、成果を上げた者、努力した者が報われる公平・公正で納得感のある評価を処遇へとつなげ、チャレンジ意欲を高め、職場の活性化を図るとあり、非常によい人事考課の方針と思います。中野区では、規程により勤務評定、自己申告、人材活用情報により人事考課が行われ、評定結果が作成されます。また、コンピテンシーモデルによる人材育成を進めており、昇任の基礎資料としてコンピテンシーを活用するとしています。同時に、目標管理、意向調査、自己採点等も重要な考課要素になっていると認識しています。

 ここでまず、これらの制度が昇進、異動、昇給や勤勉手当等にどのように反映されているのか、モチベーション・マネジメントにきちんと役立っているのか、御見解をお尋ねいたします。

 現状の勤務評定では、平成23年度、管理職は5段階評価で、5が10.3%、4が20.5%、3が39.7%、2が29.5%、1がゼロであり、ここまでは妥当かと思いますが、一般職員は、5が12.4%、4が9.2%、3が78.3%、2と1が合わせて3名とごくわずかとなっています。見た目上、実質5段階評価が3段階評価に見えてしまいます。処罰より評価する方針があらわれており、私もこういう方針には賛意を示しますが、逆にめり張りの少ない運用になっていないかとの懸念も感じます。御所見を伺います。

 また、考課においては、基本的に目標管理面接や中野区コンピテンシーモデルの達成度合いが主要基準になっていると認識していますが、いずれにせよ中野区人事制度は自己点検型の評価を重視しており、多面的な方法論の活用にも好感が持てます。そこで、前回能力開発人事についても質問させていただいた考課面接についてでありますが、自己点検型の人事考課においては、考課者、つまり管理職が職員に求められる能力や行動を正しく把握し、指導できることが前提になります。そして、その前提は、何のためにこの仕事をしているのかという目的意識の共有です。コンピテンシーで模範行動様式、事業部目標や成果指標の達成によって事業部ごとの目標や目的意識があり、目標と成果による区政運営理念やPDCAによる行動規律の設定とマネジメント体制がかなり体系化されている感があります。しかし、肝心な制度目的への理解不足による形骸化のおそれは常に存在します。このため目的意識の共有を常に徹底させる仕組みと、人材育成ビジョンでも描かれているチャレンジを歓迎する風土がなければ理想とする組織は生まれてこないと考えます。御所見を伺います。

 新しい中野をつくる10か年計画(第2次)には、新しくつくり出すべき中野の姿が描かれており、私は総論を捉えて夢のある計画だと思っています。ただ、ここには職員の目的意識、つまりは区全体におけるビジョンの共有とチャレンジ精神が不可欠と思います。そこで、考課者訓練において大きな目的意識の共有とチャレンジを尊重する考課の仕方を訓練しているのか、また、それらの視点での考課は実際に行われているのか、現状と御所見を伺います。

 以上、厳しい経済・財政状況のもとにあって、成果を上げた者、努力した者が報われる公平・公正で納得感のある評価が処遇へとつなげられ、チャレンジ意欲が高まる、そんな中野区職場の持続的な実現への強い決意をお聞きし、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 後藤議員の御質問にお答えいたします。

 中野区の人事マネジメントのシステムについて、大変専門的な立場から分析をしていただいているということでありまして、大変ありがたい、こういうふうに思っております。

 まず、佐賀県武雄市の税収への職員給与の連動についてという御質問であります。職員の給与制度は、民間企業の賃金水準、また、国や他団体職員との均衡、あるいは、地域の経済事情などの要素を加味して、社会経済情勢に適時・適切に対応していくということが原則となっております。そういう意味で、特に民間企業との賃金比較が一番大きなウエートを占めているわけでありまして、それはその民間企業との連動ということを通して税収にもおのずと連動している仕組みだと、こう考えております。税収の短期的な変動を捉えて連動させるという仕組みについては、この公務員の給与制度とは余りなじまないのではないか、私はそんな考えを持っております。

 それから、人事考課の各制度の給与等への反映の仕方についてであります。目標管理シートにより確認された仕事の成果は、昇給及び勤勉手当の決定や昇任選考における勤務評定で業績評価として反映しております。コンピテンシーモデルは、毎年管理職との面接時に個々の職員の能力開発のツールとして使用するほか、職務意向申告は本人の適性をより生かす人事配置を行うための基礎資料としております。自己採点は、仕事の成果につながる能力、態度の自己評価を上司に伝え、これをもとにヒアリングを行った上で評定者が評定をするということで、評定の納得性の向上ということも配慮しているところです。このように職員が仕事で成果を上げた場合にはきちんと評価をして、それを処遇に反映する。このことによって職員のモチベーションの向上につなげていきたい、こう考えているところであります。

 人事考課の勤勉手当の加算についての御質問がありました。御質問でも引用されましたように、勤勉手当の加算措置を受けられる成績段階の5と4、これは、管理職では30.8%、一般職員では21.6%ということになっております。この管理職を見ると、2以下を30%つけるということもやっておりますので、かなりめり張りがあるということが言えるのかなと思っております。一般職員につきましては、組織の成果に対する寄与度が管理職と比べるとなかなか把握しにくい面もある。これは公務労働の一つの特性でもあろうかというふうに思っておりますが、そういったようなところから、管理職ほどにははっきりしためり張りというのがつけにくいというのも一つの実態であろうかというふうに考えております。

 それから、目的意識の共有とチャレンジを歓迎する職場風土が肝要ということについての御質問もありました。目標管理シートでは、部やその所属する分野の組織目標を達成させるための職員自身の具体的な取り組みを記載するように指導しております。つまり、共通目標、自分の所属しております組織単位の共通の目標ということをしっかりと意識する。目標を共有するところから始まるというふうに考えております。また、この目標管理シートでは、チャレンジ項目というのを設けておりまして、年度当初に職員がより困難な課題を目標として設定し、これに取り組んで成果を上げた場合には通常より高い評価をする仕組み、これを導入しておりまして、職員のチャレンジを促しております。

 それから、公平・公正な人事考課実現に向けた決意についてであります。自分の仕事の成果が組織目標の達成にどれだけ貢献しているのか、納得性の高い評価を行い、より高い成果を出した職員はきちんと処遇に反映させるなど、やりがいや手応えを感じながら仕事に邁進できる環境をつくり上げていく。このことが何よりも大事だと考えております。これによって職員2,000人体制となっても少数精鋭の職員による区民にとってよりよいサービスの提供となるよう、これからも努力してまいりたい、こう思っております。

 私からは以上です。

〔経営室長川崎亨登壇〕

○経営室長(川崎亨) 私からは、メンタルヘルスに関する御質問にお答えします。

 まず、メンタル相談における役割分担のことでございますが、これまで精神科医が中心に担っていた職場復帰後の経過観察者のフォロー、これは今年度より臨床心理士に振り分け、医師は初期相談を重点的に行うなど、改めて役割の明確化をしたところでございます。このことにより早期に適切な医療機関への受診に結びつけているところでございます。

 次に、メンタルヘルス対策の効果ということでございますが、今年度改めまして管理監督者のためのメンタルヘルス対応マニュアルを配布したわけでございますが、これはただ配布をするということではなく、内容を監修した精神科医により管理監督者を対象に研修を行い、理解の浸透を図っております。受講した研修生からは、具体的な対応の方法を学べた、また、早期発見と早期ケアが大切だと理解できたなど反響がございまして、実践につながっているものと考えております。

 次に、メンタルヘルスと人事制度の関係でございますけれども、メンタルヘルス不調の原因は人事制度全般との関係も、これは当然あることと考えております。相談体制や職場運営等を含め、人事管理全体にわたる視点からの対応の強化が必要だと考え、努めているところでございます。

 以上でございます。

○議長(大内しんご) 以上で後藤英之議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時03分休憩

 

      午後3時25分開議

○副議長(久保りか) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 吉 原   宏

 1 都市観光事業の推進について

 2 大規模防災訓練について

 3 (仮称)本町五丁目公園について

 4 新政権がもたらす区政への影響について

 5 その他

 

○副議長(久保りか) 吉原宏議員。

      〔吉原宏議員登壇〕

○24番(吉原宏) 平成25年第1回定例会に当たりまして、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。

 まず最初に、都市観光事業の推進について伺います。

 この「都市観光」という名称ですが、名所・旧跡を見るといった従来型の観光ばかりだけでなく、芸術、アミューズメント、ショッピング、飲食を楽しんだり、その都市の町並みや文化遺産など歴史・文化に触れ、都市のさまざまな魅力を体験することを総称した概念で、「アーバンツーリズム」とも呼ばれ、最近大都市を中心に政策目標に掲げる地域や地方自治体も見られるようになってきたところです。国では昨年3月末に新たな観光立国推進基本計画を定め、震災からの復興、国民経済の発展、国際相互理解の増進、国民生活の安定向上を主眼として、平成21年に25.5兆円であった国内での旅行消費額を平成28年には30兆円にすることや、平成22年に861万人であった訪日外国人旅行者数を同じく平成28年に1,800万人にするなど、国を挙げての観光立国の実現に向けた施策を推進することとしました。

 一方、区では、昨年6月に都市観光ビジョンを策定し、中野の持つ文化、商業、娯楽、サービスといった多様な都市機能の魅力を来街者が気軽に楽しむ形態を都市観光と捉え、さまざまな取り組みを推進することとしました。また、1月28日の建設委員会では、今後の都市観光推進の考え方について、都市観光の方向性と区が担う今後の主な取り組みについて報告がございました。震災からの復興、旅行消費額の増加による地域の経済活性化など、国や区を取り巻く状況や区が目指す観光の取り組みなど、さまざまな現状を踏まえ何点か質問させていただきます。

 まず、都市観光の方向性について伺います。過日の建設委員会では、都市観光の方向性として区内商業、産業団体をはじめとする各主体が有する強みを生かした集客・観光事業の自発的・自立的組成などを目指した一体的な取り組みが重要であり、今後産・学・公のネットワークづくりを進めるとの報告がありました。

 そこで改めて伺います。各主体とはどのようなものを想定しているのか。また、それぞれが有する強みとは何かお聞かせ願います。

 続いて伺います。集客・観光事業の自発的・自立的組成については、どのように各主体の強みを生かし進めようと考えているのか、見解をお聞かせ願います。

 次に、産・学・公のネットワークづくりとして意見交換会、交流会の開催を3月に予定されていますが、どのような構成を考えているのでしょうか。構成員と参加の要件やその募集方法について伺います。

 過日の建設委員会では、区が担う今後の主な取り組みとして、地域資源を生かした来街者の増加や回遊性向上を目的とした区内全域で展開するまち歩きイベントの開催誘導や、観光人材育成の講演会、さらに、公民協働による都市観光情報発信事業の展開などを進めると報告がありました。

 そこで改めて伺います。このまち歩きイベントの内容はどのようなものなのでしょうか。実施時期や開催エリアなど具体的な内容をお聞かせ願います。

 また、このイベントについては開催誘導とのことですが、実施主体は区ではないのでしょうか。どのような実施主体の構成を想定されているのか。また、どのように誘導するのか、あわせて伺います。

 続いて、観光人材の育成の講演会について伺います。既に地域では太鼓演奏などさまざまな表現活動を通じて、イベントへの参加を主体的に担う人も相当数いるものと認識していますが、どのような講演会を考えているのでしょうか。また、どのような人材像をもくろみ、何を担う人材を育成しようとしているのでしょうか。あわせて伺います。

 次に、情報発信による来街者誘致について伺います。今後公民協働による都市観光情報発信事業として、中野区都市観光ホームページの開設や、協定企業が行う講座・教室等のイベントやフリーペーパーの発行、協定企業が運営するウェブサイトとのメルマガやSNSでの連携が予定されています。この事業は、単に観光ホームページの開設だけではなく、このホームページと連動するイベントや紙面、SNSなどの活用、効果促進事業によってより効果を高めていくといった、全国でも珍しい取り組みでもあります。

 そこで伺います。この効果促進事業については、協定企業がみずから行うものとのことでしたが、区の関与はどの程度を考えているのでしょうか。例えば、区が計画しているまち歩きイベントと協定企業が行うイベントとの連携などは考えられていないのでしょうか。あわせて伺います。

 また、区では、にぎわいフェスタや東北復興祭など、秋にイベントが集中して行われる状況であります。さらに、今後の新たなまち歩きイベントの予定など、いろんなイベントが重なることになるわけでもあります。

 そこで伺います。それぞれのイベントの開催趣旨を踏まえた適切な情報発信が必要と考えていますが、これらのイベントを公民協働事業でどのように効果的に発信していくのか、見解を伺います。

 中野駅周辺では、この4月から2大学の開校や大手企業の進出などにより約2万人の昼間人口がふえ、多くの人でにぎわうこととなります。しかしながら、区全体の地域経済の活性化を考える場合においては、区内全域においてより多くの来街者の増加や区内回遊の向上を目指す取り組みが必要です。それには、区のさらなるイメージ向上のためにも、地域資源をより魅力的に磨き上げ、効果的に発信していく必要があります。いよいよ来年度から本格的に動き出す区の都市観光の推進ですが、この取り組みが効果を上げ、内外を問わずより多くの人が絶えず中野のまちに訪れるなど、活気とにぎわいあふれる中野のまちの実現が早期に結実することを祈念いたしまして、この項の質問を終わります。

 次に、大規模防災訓練について伺います。

 間もなく日本人一人ひとりにとって決して忘れ得ぬ日、3月11日を迎えようとしています。早いもので2度目の3月11日ではありますが、東日本大震災による被災地の状況を伺うと、まだまだ本格的な復旧・復興にはほど遠く、被災者をはじめ多くの方々は今なお不自由で不便な生活を強いられているとのことであります。こうした甚大な被害をもたらす大地震の発生を人間の力で未然に防ぐことはできませんが、万が一にも発生した場合に、いかに人的な被害、物的な損害を最小限に食いとめられるか、そこに行政の果たすべき役割があるということは言うまでもありません。

 東日本大震災を踏まえ、区では中野区地域防災計画の第39次修正を検討しているところであり、年度末には修正が完了すると聞いております。その中では、今回の大震災を踏まえ明らかになった多くの課題について検討がなされ、従来の対策の見直しや新たな取り組みが盛り込まれているとのことであります。しかしながら、どんなに立派な計画であっても、確実に取り組まれ、実効性が担保されなければ何の意味もありません。

 そこで、大規模防災訓練の実施について御提案させていただきます。地域防災計画の中には、区をはじめとする各防災機関の任務や応急対策においてどのように活動するかが明らかにされています。しかしながら、個々の機関の活動とともに、各機関相互の連携や協力体制なども確認しておく必要があるのではないでしょうか。災害時を想定し、実際に合同で訓練を実施してみてわかってくることもあると思います。その意味で、関係防災機関が参加する大規模な防災訓練の実施が大変重要になってくると思います。区では、防災対策の点からも区内各所に公園整備を進めており、今後も(仮称)南部防災公園や(仮称)本町五丁目公園などが整備される予定になっております。そこで、これらの場所を活用し、消防、警察、災害時の協定団体など、より多くの機関が参加する大規模防災訓練を実施していくべきだと考えます。

 また、区では毎年総合防災訓練を実施しております。今年度は第十中学校と緑野中学校を会場に、それぞれの地域の皆さんに参加していただきながら、降雨での内容変更もありましたが、地域の防災力向上を目指し、初期消火訓練や避難所運営訓練などが実施されました。防災会によっては、宿泊訓練など独自の取り組みを行っているところもあると聞きます。地域防災会は、こういった総合防災訓練や単独での訓練のほか、地域での合同訓練など、毎年訓練に取り組んでいただいているところではあります。それに対して企業や事業所、学校などは、ほかと連携した訓練はまだまだ少ないように思います。そこで、地域の企業、事業所や学校にも大規模防災訓練に参加を働きかけ、より連携を広げた形で実施することが、防災に対する意識の高揚も図られ、より有意義な効果の上がる訓練になると考えますが、いかがでしょうか。

 こういった企業、事業所等に参加してもらうことは、エリアマネジメントという考え方にもつながっていくのだと思います。先ほども申し上げたように、消防、警察、災害時の協定団体など、より多くの機関が参加する大規模防災訓練を、企業、事業所等とも連携した形で実施すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 また、実施の日程についてですが、総合防災訓練など従来の大規模な訓練は日曜日に実施されることが多かったと記憶しておりますが、今述べたように企業、事業所等と連携した訓練を行うことを考えれば、平日に実施するような工夫が必要と考えます。単純に言えば、大地震も土日より、週のうち5日ある平日に起こる確率のほうが高いわけですから、実施日にもそういった考慮が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 大地震の発生を想定した場合、被害を最小限にとどめるための重要な対策の一つとして、建物の耐震化や木密地域の不燃化プロジェクトに代表されるような不燃化の促進、いわゆる「防災に強いまちづくり」のさらなる促進などによる震災予防対策が挙げられます。このことにより多くの命や財産が守られ、被害が軽減されることは誰もが疑う余地のないところであります。そして、もう一つの重要な対策が発災時の応急対策であります。この応急対策活動の熟度、レベルによって被害の程度をさらに小さなものとすることができるのです。そういった観点から、より広範で大規模な訓練を実施する必要に迫られていると考えるところであります。ぜひとも多くの関係機関、団体等の参加する大規模防災訓練の実施に向け積極的な取り組みをお願いいたしまして、この項の質問を終わらせていただきます。

 次に、(仮称)本町五丁目公園の整備について伺います。

 (仮称)本町五丁目公園ですが、昨年の12月に基本計画(案)について意見交換会がありました。そこでは、少年野球やサッカー、グラウンドゴルフなど多目的に利用できる運動広場ゾーンの設置案に対して、この場所に少年野球等ができる運動広場をつくるのは不適当である、つくると一部の人しか利用できなくなる、防球フェンスの高さ30メートルは高いなどの反対意見や、ぜひここに少年野球等ができる運動広場をつくってもらいたいといった賛成の意見があったと聞いております。現在、区内には少年野球やサッカーなどで利用できる大規模公園は、平和の森公園や中野上高田公園などがありますが、区の北部地域に偏っており、南部地域には現在一つもありません。少年野球の指導者などからは、南部地域だけでメンバーが約300人ぐらいおり、練習場所の確保に苦労しているので、ぜひここに少年野球のできる運動広場をつくってほしいという声や、子どもの保護者からは、わざわざ自転車を使って遠くまで練習に行っているので大変だとも聞いています。

 ここでちょっと昔を思い出してほしいのですが、我々が子どもの頃はちょっとした空き地でキャッチボールや三角ベースで野球をしていました。当然空き地の周囲には高いフェンスなどはありませんでしたから、隣の家の窓ガラスを割って叱られたこともたびたびでした。今では懐かしい思い出として記憶に残っております。野球やサッカーを想定した運動広場となれば、周囲への安全を考えるとフェンスの高さもボールが飛び出さないように一定の高さが必要となるのは当然と考えます。

 そこで質問ですが、ここの防球フェンスの高さは約30メートルぐらいとのことですが、先般、基本設計をまとめた大規模公園の一つである(仮称)鷺の宮調節池上部多目的広場内における運動広場の防球フェンスの高さはどのくらいかお伺いします。

 また、最近は男の子だけでなく女の子のサッカー人気も高いと聞いており、将来ここで練習していた子どもがワールドカップやオリンピックなど世界で活躍する選手になるかもしれません。子どもたちは次世代を担う貴重な人材であり、まちに子どもたちの歓声がこだまするまちづくりを進めることは大変意義のあることだと思うと同時に、そうしてあげることが私たち大人の責任であると思っております。そうしたことから、私はこれまでの計画案に沿った整備をぜひ進めていくべきと考えていますが、今回の計画案に変更はないのかお伺いします。また、今後の整備予定を確認の意味でお伺いいたしまして、この項の質問を終わります。

 最後に、新政権がもたらす区政への影響について質問させていただきます。

 「日本を、取り戻す」。我が自民党が今回の国政選挙に当たって掲げたキャッチフレーズであります。このキャッチフレーズのとおり、国政において我が自民党が見事に政権を取り戻したのであります。そして、安倍新政権が発足し、機動的な財政出動、大胆な金融緩和、民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」と位置付ける新たな経済政策、いわゆるアベノミクスが動き出しました。大胆な金融緩和策を強化した期待感から、昨年の暮れ以降、円相場は下落し、株式市場は上昇しています。さらに、機動的な財政政策として1月に総事業費20兆円強の緊急経済対策が発表されました。今や経済界をはじめ日本中がデフレ脱却、景気回復への期待感に沸いていると言えます。

 新政権がまず財政出動として景気刺激策の中核に据えたのが公共事業です。平成24年度の大型補正予算と25年度当初予算とを組み合わせて、いわゆる「15か月予算」として、切れ目のない予算編成の中から経済政策を実行しようというものであります。1月に発表された日本経済再生に向けた緊急経済対策の一つとして、平成24年度補正予算では、地方の資金調達に配慮し、経済対策の迅速かつ円滑な実施を図るため、今回限りの特別の措置として「地域の元気臨時交付金」が創設されました。この「地域の元気臨時交付金」は、地域経済の活性化と雇用の創出を図ることを目的に交付されるものであります。区が目指す方向と一致しているように思いますが、区においても区内経済の活性化と雇用の創出に向け積極的に活用し、投資的事業を前倒しして実施していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、他の自治体からは、補正予算を編成する時期や年度内に行わなければならないさまざまな手続など、とても時間が短く対応できないとの声も聞こえてきます。区の対応状況とあわせ、その課題などがありましたらお聞かせください。

 「コンクリートから人へ」のスローガンのもと、八ツ場ダム建設工事をはじめ、公共事業は全て悪であるかのごとき対応を行い、公共投資を縮小してきたのが前政権であります。その結果、高度成長期に建設したインフラの老朽化対策や、首都直下型地震への備えなどが後手に回ってしまったと言えるのではないでしょうか。今回の緊急経済対策では、自治体が管理するインフラの点検や耐震化などに限定して使う約1兆円の「防災・安全交付金」が創設されました。自治体がインフラの維持計画をつくり、国がその事業を支援するというものです。「防災・安全交付金」は、自治体が管理するインフラ全般の老朽化対策として、維持管理や修繕、改修、更新の各事業に加え、点検業務や長寿命化計画の策定などに使途を限定して交付するとしています。公共施設の耐震化や密集市街地の防災対策、通学路の交通安全対策など、自治体が住民の安全確保を目的に行うハード事業を幅広く支援するとともに、避難訓練など地域の防災力向上につながるソフト施策にも使うことができると聞いております。公共施設の耐震化や密集市街地の防災対策などは区が抱える大きな課題でもあります。この交付金を有効に活用し、区民の命と安全を守るための施策を加速していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、子どもたちの安全を確保するための通学路の交通安全対策については、平成24年の第4回定例会において補正予算が編成され、区として素早く対応されたことは高く評価しておりますが、安全対策は1度きりで終わりということではないと考えています。今回の防災・安全交付金を活用した、さらなる通学路の交通安全対策を検討してみてはいかがでしょうか。お答えください。

 現在、地域防災計画の見直しが進んでおりますが、これにあわせ今回の「防災・安全交付金」を視野に入れながら、公共施設の耐震化や密集市街地の防災対策、通学路の交通安全対策などを含め、実効性ある取り組みとしてハードとソフトを合わせた総合的な実行プログラムを策定することも必要ではないかと考えます。区の見解をお伺いしまして、私の全ての質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 吉原議員の御質問にお答えをいたします。

 都市観光事業の推進について、産・学・公のネットワークについてであります。各主体とはどのようなものを想定しているか、また、それぞれが有する強みとは何かといったことから始まります。

 各主体とは、区内商工団体、区内企業、区内大学など、都市観光の推進に幅広く影響を持つ団体等を想定しております。それぞれの主体は専門的な能力、体制やさまざまな情報の発信手法など、都市観光の振興の取り組みに資する知見を有していることが強みであると認識をしております。

 集客・観光事業の自発的・自立的組成について、どのように進めようと考えているのかということであります。各主体の単独の取り組みだけでは、まちの魅力を面的に広げていくことはできないわけであります。都市観光の振興を適切かつ効果的に図っていくには、各主体の強みや知見を生かした連携や協力の誘導を促進することが不可欠であると考えております。それには各主体の情報提供や交流の場を設定し、都市観光推進にかかわる事業の醸成に向けた機運を促す中で、集客・観光事業の発展・拡大を進めていきたいと考えております。

 意見交換会、交流会の参加の要件や募集方法などについてであります。区内商工団体、観光にかかわる団体、区内企業、区内大学など、さきにお答えした団体等を主に想定しているところであります。参加の要件としては、都市観光ビジョンにおける観光資源の発掘・開発、観光受け入れ態勢の整備、情報発信による来街者誘致など、何らかの取り組みをみずから、または共同で実施する予定がある企業または団体を考えており、今後区のホームページ等を通じて広く募集を図っていきたい、こう考えております。

 大規模防災訓練についての御提案がありました。区では、主に総合防災訓練や災害時医療救護訓練などにおいて関係機関と連携した訓練を実施しております。しかしながら、御提案のような大規模公園を活用して、かつ多くの機関が参加する大規模な訓練というのはこれまで実施してきたことはありませんでした。今後こうした訓練について実施に向けて検討する必要があると、このように考えております。利用できる大規模公園の整備状況などとあわせながら、実施に向けての検討を行っていきたい、こう考えております。効果的に実施するためには、事前の十分な調整が必要であり、実施日時も含めてどのような形での訓練の実施が適切なのか、御提案の内容も踏まえて協議をしていきたい、こう考えております。

 それから、(仮称)本町五丁目公園であります。まず、鷺の宮調節池上部多目的広場の御質問がありました。(仮称)鷺の宮調節池上部多目的広場におきましては、防球フェンスの高さは30メートル、これを基本にしております。奥行きのある北西部分のみ20メートルということで、現在実施設計を行っているところであります。(仮称)本町五丁目公園につきましては、現在意見交換会での意見などを取り入れながら基本計画を取りまとめておりますが、少年野球あるいはサッカーといった少年スポーツの振興というのは大変、区全体にとって大きな課題だと、こういうふうに考えております。少年野球等の可能な運動広場を確保するという計画案について変更することは考えておりません。今後の予定といたしましては、平成25年度に基本設計、実施設計を行い、26、27年度で整備工事を行い、27年度中の開園を予定しております。

 それから、国の平成24年度補正予算において創設された「地域の元気臨時交付金」ということについての御質問であります。地域経済の活性化と雇用の創出を図ることを目的に新たに創設された「地域の元気臨時交付金」は、国の補正予算に呼応して実施する追加の公共事業の地方負担分を補填するものであり、対象事業の国費の充当率が高まることから財政的にメリットがあります。しかし、交付金の詳細な事業スキームの情報などが不足していることに加えて、追加の公共事業の選定に当たっては24年度中に事業費が確定し、年度内に契約等の事業着手が必要なことや、翌年度以降に事業を繰り越すに当たっても、明確な繰り越し事由が求められるなど、交付金活用に当たっての制約が厳しいと。これも事実であります。また、24年度の補正予算を編成して対応することになるため、これは時間との勝負、時間的な制約も大変強いということになります。こうした状況ではありますけれども、国が進める地域経済の活性化と雇用の創出は、区としても重要な取り組みであります。国を挙げての喫緊の課題であります経済対策、せっかく動き出した政策「3本の矢」の重要な一つである機動的な財政政策と。この重要な位置を占めているこの政策について、区としてもぜひとも国とともに政策の実施をして、政策効果を上げる一助となりたい、こう考えているわけであります。

 こうしたことについて国や都ともより機動的に利用しやすいように、区としてもこれから協議をしていかなければならないわけですが、政治主導の立場から出てきた政策ということであるわけでもありまして、この交付金がよりスムーズに活用できるように地方議会の皆様の一層の御努力もお願いしたいと、このように思っているところでございます。

 私からは以上です。

〔都市政策推進室長長田久雄登壇〕

○都市政策推進室長(長田久雄) 都市観光事業の今後の主な取り組みについてお答えを申し上げます。

 まず、まち歩きイベントの実施時期等についてでございます。来街者の増や地域交流の活性化を図るものとして、区内のさまざまな場所における食文化、歴史的資源を活用したまち歩きや、食、漫画、スポーツ、音楽、ダンスなどをテーマにしたイベントなどを取りまとめ、一体のイベントとして実施することを考えており、おおむね11月の中旬から下旬の開催を予定しているところでございます。このまち歩きイベントの実施主体でございますが、民間団体と事業者を中心とした実行委員会を想定しているところでございます。なお、区といたしましても協定に基づく負担金の拠出など、さまざまな支援により適切に開催誘導を図っていく考えでございます。

 次に、観光人材の育成についてでございます。区内の観光推進の核となり得る人材を対象に、観光推進における地域活性化や先進事例紹介などの講演を通じて、さまざまな観光施策を担う人材の育成を図る事業を行っていきたいと考えているところでございます。

 それから、公民協働による都市観光情報発信事業のうち効果促進事業についてでございます。効果促進事業における区の役割は、協定企業が行う取材への協力でございます。協定企業が担う効果促進事業については、今後区と協定企業が締結する年度ごとの協定の中で計画化することとしておりまして、公民の適切な役割分担を踏まえつつ、適切かつ効果的な事業の計画を協議してまいります。

 また、公民協働による都市観光情報発信事業のイベントの効果的な発信についてでございますが、にぎわいフェスタの、中野駅周辺のにぎわい創出や東北復興祭の、被災した各自治体への継続的な復興支援といったそれぞれの開催趣旨が十分に伝わるよう、ホームページや効果促進事業の双方の活用を図ってまいります。

 私からは以上でございます。

都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、「防災・安全交付金」の活用についてお答えいたします。

 地域住民の命と暮らしを守る施策等を推進するため、新たに創設されることとなる「防災・安全交付金」を最大限活用できるよう取り組んでまいります。具体的には交付金の適用条件や区の想定できる事業など、国からの正確な情報を待って検討していきたいと考えております。

○副議長(久保りか) 以上で吉原宏議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 南 かつひこ

 1 高齢者施策について

  (1)高齢者の見守りについて

  (2)その他

 2 成年後見制度の充実について

 3 自転車の交通対策等について

 4 障害者施策について

  (1)色覚障害者への対応について

  (2)障害児の通学支援について

  (3)重度・重複障害児施設等の整備について

  (4)その他

 5 西武新宿線立体交差事業に伴うまちづくりについて

 6 その他

 

○副議長(久保りか) 次に、南かつひこ議員。

〔南かつひこ議員登壇〕

○15番(南かつひこ) 平成25年第1回定例会に当たり、公明党の立場から一般質問を行います。区長並びに理事者におかれましては、明快で前向きな御答弁をお願いいたします。

 最初に、高齢者施策について伺います。

 初めに、高齢者の見守りについて伺います。区長は、区政方針説明の中で、地域支えあいネットワークづくりの推進をする一つに、地域の要支援の方の情報を区として集中管理するシステムを稼働させるとありました。このシステムで得た情報は、すこやか福祉センターや地域包括支援センターなどと共有できるものでなくてはならないと思いますが、このシステムとはどのようなものなのか、その内容について伺います。

 要支援者を見守るためのこのシステムが、実際の災害時に生かされなければなりません。災害時におけるシステムの活用方法はどのようになるのかを伺うとともに、防災訓練での活用も必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 今月2日に江古田二丁目にある区営住宅で、ひとり暮らしの男性の高齢者が亡くなられているのが発見されました。新聞配達の方が、新聞がたまっているのを不審に思い、管理人に連絡したことから区の職員と警察官、消防署員が部屋に入り発見に至りました。ひとり身の高齢者の孤独死は今後も身近なところで起こり得ることで、単身者の高齢者の見守りは必要不可欠なことであると痛感いたしました。高齢者の見守りについて有効な方法として緊急通報システムがあります。このシステムについては、我が会派の白井議員が東京都のシルバー交番事業を活用することで対象者の拡充を機会あるごとに訴えてまいりました。来年度の予算案には緊急通報システムについて対象者の拡充の方向で計上されておりますが、希望者が優先されることから、緊急通報システムの利用促進について、まずは区営住宅の高齢者を対象に積極的に働きかけてはと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 最近では、高齢者の見守りとしてタブレット端末による安否確認の導入が注目されており、岐阜県の白川町では独居世帯の見守りサービスとしてタブレット端末を配布しています。自治体から「朝食を食べたかどうか」などの見守りメッセージを定期的に送信するもので、各世帯では画面上の「はい」「いいえ」のボタンに触れるだけで様子を知らせることができ、きめ細やかな見守りに最適です。昨年より35世帯で利用が開始され、今後独居世帯のさらなる見守り事業を計画しています。区としても、区営住宅での高齢者の見守り事業としてタブレット端末による安否確認の導入をすべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、高齢者の見守りの一環として、区営住宅や福祉住宅などの区の管理する公的住宅にAED(自動体外式除細動器)を設置してはどうでしょうか。高齢者の方が急にぐあいが悪くなり緊急を要する事態に陥ったときには、救急車が到着するまでAEDを使用することで救命率を数倍上げることができます。高齢者の見守りとともに、高齢者の命を守るためにも公的住宅の集会所や管理人室などにAEDを配備すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、緊急医療情報キットについて伺います。平成23年度からひとり暮らし高齢者等の医療情報の確保のために、それまでの緊急連絡カードから緊急医療情報キットに切りかわりました。現在、緊急医療情報キットの配布総数は約4,700件となっています。また、ひとり暮らし調査の対象者はおよそ1万件ですが、民生委員が実際に訪問する中には2世帯住宅などもあり、対象者の実数は約6,000件になります。今後の課題としましては、緊急医療情報キットがあるということすら知らない高齢者がいることや、緊急医療情報キットについての理解が乏しく、受け取らない高齢者もいることが挙げられます。また、日中独居の高齢者はひとり暮らしの調査対象になっていない実情もあり、その実態を把握することが急がれます。区として緊急医療情報キットの存在の周知を図るとともに、高齢者の日中独居の実態をどのように認識し取り組もうとされているのか見解を伺って、この項の質問を終わります。

 2番目として、成年後見制度の充実について伺います。

 初めに、認知症などの高齢者、知的・精神障害者などの生活や財産、権利を守るために成年後見制度を利用するときにかかる費用の助成制度導入について伺います。

 港区の社会福祉協議会では、申立人及び本人が住民税非課税または生活保護受給者、かつ、申し立て費用を負担することが困難と認められる場合には、申し立ての経費である収入印紙、登記印紙、切手代、診断書作成費用、鑑定費用など、上限を15万円までとして助成制度を実施しています。また、豊島区でも同様に社会福祉協議会で、経済的理由等により法定後見制度の利用が困難な方に、収入や資産の基準を設けた上で申し立てにかかる費用を助成しています。中でも鑑定費用については、医療機関によって費用にばらつきがありますが、3万円から10万円となっており、低所得者にとってはかなりの費用負担になります。中野区でも成年後見制度の利用を進める上で、申し立て費用や鑑定費用の助成制度を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 中野区では、区長の成年後見等開始の申し立ての場合に限って、後見人等への報酬の支払いが困難な低所得者に対して区が助成金を支給しています。その助成額は、在宅生活者には月額2万8,000円以内、施設入居者は月額1万8,000円以内となっています。しかしながら、区長申し立て以外の低所得者への助成制度は現在のところ実施されておりません。京都市では、申し立て費用や後見人等報酬の負担が経済的に困難な高齢者や障害のある方については、市長申し立てに限らず、本人または親族等による申し立てによる場合においても、成年後見制度利用支援事業による公費支給の対象とすることとして、昨年の4月1日より導入されました。中野区でも成年後見制度がもっと利用しやすくするために、後見報酬の助成制度について区長申し立てに限らず対象者の拡充をすべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 平成24年4月1日に成年後見制度に関する老人福祉法が改正され、第32条の2が新設されました。その趣旨は、成年後見人を確保するために市民後見人養成のための研修の実施、後見人の家庭裁判所への推薦、その他の必要な措置として市民後見人の名簿等への登録、専門職による市民後見人の支援等が新たに設けられました。現在中野区では、東京都が実施している社会貢献型後見人の養成講座を活用しておりますが、これは来年度で廃止になることが決定しております。老人福祉法の改正を受けて中野区でも独自の市民後見人の養成を実施しなくてはならなくなりましたが、区の検討状況はどのようになっているのかを伺います。

 最高裁によると、成年後見人などに選ばれた親族による財産の着服は、平成22年6月から平成23年9月までの16カ月間で計306件、被害総額は約35億4,000万円に達します。弁護士や司法書士らによる着服も8件、被害総額は約1億6,000万円に上るとされています。こうした事態に最高裁は、昨年の2月に被後見人の財産の大半を信託銀行に預ける後見制度支援信託を開始しました。後見人は日常生活に使うお金だけを管理し、そのほかの大口の金銭については家庭裁判所の指示書に基づいて信託銀行が管理することになるので、被後見人の財産を安全かつ確実に保護することができます。今後、成年後見制度を利用しようとする方に対し、後見制度支援信託の広報、周知をさらにしていくべきと考えますが、いかかでしょうか。伺って、この項の質問は終わります。

 3番目として、自転車の交通対策等について伺います。

 初めに、自転車の押し歩き推進区間の導入について伺います。九州の福岡市では、平成24年12月27日に福岡市自転車の安全利用に関する条例を制定し、ことしの4月1日より施行されることになっています。その条例では、押し歩き推進区間について定められており、「市長は、歩行者の交通安全を確保するため特に必要があると認める歩道の区間を、押し歩き推進区間として指定することができる」とあります。条例での押し歩き推進区間の指定は全国でも初めてで、天神地区の渡辺通り西側歩道の天神交差点から渡辺通り四丁目交差点までの約400メートルを、自転車に乗らず歩道を押して歩く押し歩き推進区間の指定に向け、関係機関と調整し準備を進めております。中野区においてもこのような取り組みを参考にして、自転車事故の抑制効果のためにも中野通り沿いの歩道で押し歩き推進区間を指定してみてはと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、自転車利用のヘルメット着用について伺います。道路交通法では、13歳未満の児童にヘルメットを着用させることが保護者の努力義務としていますが、福岡市では条例でその年齢を引き上げ、15歳以下の子どもに対してヘルメットの着用を促す規定にしています。中野区でもこのような規定により、15歳以下の子どもへのヘルメット着用の規定へと年齢を引き上げるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、自転車運転免許の交付制度の導入について伺います。福岡市では、福岡市自転車の安全利用に関する条例の中で、市内の中学校、高等学校の学校長は自転車運転免許証を交付して、自転車の安全利用を確保するように求められています。福岡市の柏陵高校では、条例施行に先行して自転車運転免許証の交付制度を導入しており、導入前よりも自転車による交通事故が大幅に減少したことや、マナーの向上で成果を上げています。また、この制度では自転車によるルールやマナーの違反があった場合には減点方式を採用しており、持ち点を全て失うと免許の取り消しなどペナルティーが科せられる仕組みになっています。既に都内でも荒川区や町田市で、警察署、町会、PTA等と協力して自転車の運転免許証の交付制度を導入しており、交通事故防止と放置自転車をなくすための取り組みとして、安全な自転車の乗り方や交通ルール、自転車マナーを学び、子どもの頃から社会ルールを守ることの大切さを身につけることを目的に、自転車運転免許証の交付制度が実施されています。このような取り組みを参考にして、中野区でも小学生や中学生を対象に自転車運転免許証の交付制度を実施してみてはどうかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、自転車走行空間の確保について伺います。現在、中野区内では、山手通りや中野四季の都市(まち)地区で自転車の通行帯が整備されていますが、整備区間は非常に少なく、さらなる自転車走行空間の拡充整備が望まれているところです。今後は、けやき通りや早稲田通り、さらには、西武新宿線沿線などでの道路の拡幅工事や地区の再開発の際には、自転車道や自転車通行帯など自転車走行空間の確保を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、都道における自転車通行帯の整備について伺います。都道において路肩など道路の幅員に余裕のある箇所については、カラー舗装にすることによって自転車通行帯を整備するように区として東京都に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、自転車駐車場の防犯対策について伺います。中野駅北口自転車駐車場では、月に三、四件、自転車の盗難事件が発生していると聞いています。区の運営する駐車場で自転車の盗難に遭った利用者からは、区への防犯対策や対応に不満の声も聞きます。その他の自転車駐車場を含め、このような犯罪を未然に防ぐためにも、「防犯カメラにより監視中」との警告表示を大きくしたり、警備などの人員配置を充実させるなど、自転車駐車場における防犯対策の徹底を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。 伺って、この項の質問を終わります。

 4番目として、障害者施策について伺います。

 初めに、色覚障害者への対応について伺います。気象庁は、ホームページ上の防災情報を色覚障害者の方にも判別しやすいように配色の見直しをして、注意・警戒を喚起できるような色合いにするために、昨年、気象庁ホームページにおける気象情報の配色に関する設定指針を定めました。この指針に基づき、気象庁では既にホームページの色合いの統一・見直しを実施しております。私は、平成24年第2回定例会において、色の識別の難しい色弱者や高齢者、ロービジョンの方の色覚障害への対応として、中野区のホームページや防災地図などの防災情報の配色を見直すように質問をしました。それに対し区長は、「色覚に障害のある方々においてもそうした情報を活用して災害に備えていただけるよう、気象庁の出した気象情報の配色に関する設定指針、これを参考にしながら現行の配色について検証し、可能なものから順次見やすくする工夫を行ってまいります」と答弁されておりますが、現段階での検討状況はどのようになっているのか伺います。

 次に、障害児の通学支援について伺います。平成24年4月に都立練馬特別支援学校が高等部単独の知的障害特別支援学校として開校し、都立中野特別支援学校の通学区域の一部を変更して北部地域の通学区域となり、生徒が通うようになりました。現在、区立第七中学校には知的障害の生徒が通う特別支援学級のD組があります。卒業後には通学区域の変更により都立練馬特別支援学校に通うことになりますが、スクールバスは小型のマイクロバスを1台運行させているのが現状です。スクールバスには少人数しか乗車できないことから、スクールバスを利用するためには、一般の交通機関を利用することでほかの方に迷惑をかけてしまうなどの理由がない限り乗車できないことになっています。保護者からは、通学支援を手厚くするためにバスの台数をふやしてほしいとの要望を東京都にしているところです。また、障害児の生徒がスクールバスを利用できない場合には、通学するために路線バスを2回乗り継ぎしてさらに10分程度歩くことになり、保護者からすれば不安感が拭えない状況にあります。都立練馬特別支援学校に通う生徒の通学の状況について、バスの運行状況を含めてしっかりと把握すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。

 また、通学に支障を来すようなことがある場合には、通学手段に対して何らかの手だてをして、保護者の方の不安感を解消するためにもしっかりと不安を受けとめ対応していくべきではないかと思いますが、いかかでしょうか、伺います。

 次に、重度・重複障害児施設等の整備について伺います。区長の施政方針説明では、重度・重複障害児等を対象にした施設整備を進めていくと触れられておりますが、どのような事業内容になるのか、また、どのような施設にされるのかを伺います。

 重度・重複障害児の子育てでは、子どもからいっときも目を離すことができないなど大変御苦労も多いと聞いております。レスパイト機能を充実させることも大事な側面ではありますが、施設を利用するに当たっては、保護者同士が気軽にお互いの情報交換や励まし合いができる時間や場所があることが大切な支援につながると考えます。重度・重複障害児の事業において、保護者支援としてさまざまな工夫をしていくべきと考えますが、区の見解を伺ってこの項の質問を終わります。

 5番目として、西武新宿線連続立体交差事業に伴うまちづくりについて伺います。

 西武新宿線連続立体交差事業は、平成20年5月、西武新宿線の中井駅から野方駅間で新規着工準備採択がなされ、西武新宿線連続立体交差事業が現実のものとなり、平成23年8月には都市計画決定となりました。西武新宿線の中井駅から野方駅間は、平成24年度中には東京都が連続立体交差事業の事業認可を取得することになっていますが、事業認可に向けた現在の手続の状況はどのようになっているのかを伺います。

 連続立体交差事業にあわせて、区画街路第3号線及び第4号線も都市計画決定がなされ、新井薬師前駅及び沼袋駅の各駅前広場も区が整備することになりました。各駅前広場を整備するに当たっては、交通結節点の機能だけでなく、防災上の安全面や情報提供の機能も備えた広場とすべきと考えますが、区の見解を伺います。

 野方駅東側に位置する沼袋第4号踏切は、連続立体交差事業の開削区間に当たるため、事業が完成した後には平面での通行が遮断されてしまいます。沼袋第4号踏切の除却後も、バリアフリーに配慮し南北をつなぐ交通動線を確保するため、連続立体交差事業にあわせて歩行者と自転車用の立体横断施設を整備すると聞いていますが、現在の検討状況はどのようになっているのかを伺います。

 野方駅以西については、野方駅から井荻駅間が連続立体交差事業の事業候補区間に位置付けられていますが、事業の実現のためにはまちづくり勉強会の日頃の活動が重要と考えます。しかしながら現在、野方駅、都立家政駅及び鷺宮駅の各駅周辺のまちづくり勉強会は休止状態にあります。区としては、杉並区との連携を図るとともに、各駅周辺のまちづくり勉強会が活発な活動になるよう積極的な支援をすべきと考えますが、いかかでしょうか。 伺って、この項の質問は終わります。

 最後に、6番目として、その他で防災用キャビネットについて伺います。

 防災用キャビネットとは、震災発生時などによりエレベーター内に閉じ込められた際に、パニックを起こさずに安心して救助が待てるように、飲料水、懐中電灯、簡易トイレ、トイレットペーパーなどの備蓄品を配備してある三角コーナー型の非常用備蓄キャビネットのことです。この防災用キャビネットが、ことしの1月23日より本庁舎のエレベーター4基に設置されました。私は、震災対策の一環としてこの防災用キャビネットの設置について、これまで2回一般質問で取り上げてきましたので、本庁舎のエレベーター内に設置されたことは大変喜ばしいことであると思っています。さらなる震災対策を考えれば、この防災用キャビネットを小学校や中学校、そして、区民活動センターなどの区有施設にも設置していくべきと考えますが、いかかでしょうか。 伺って、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 南議員の御質問にお答えいたします。

 要支援者情報台帳システムについてであります。要支援者情報台帳システムは、65歳以上の方、65歳未満で介護認定を受けている方、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・愛の手帳をお持ちの方、以上約7万人の情報を搭載するシステムで、ことしの1月4日から稼働しております。このシステムの導入は、支援を必要とする方の情報を一元管理し、関係施設間で情報共有をすることで、支援を必要とする人からの相談等に対して迅速で正確な対応を行うとともに、町会、自治会などとの連携のもと、全ての要支援者を支援していくことを目指すものであります。

 要支援者台帳システムの災害時の活用についてであります。災害時に要支援者台帳システムの情報を町会、自治会等とどのように共有していくのか、そのあり方等について現在検討をしているところであります。防災訓練等における活用に関してもあわせて検討していきたい、こう考えております。

 それから、区営住宅への緊急通報システムの導入等についてであります。区営住宅は、居住者の高齢化が進んでおり、見守りの強化が必要であると考えております。区営住宅の高齢者の見守りについては、団地内自治会の見守りや区の各担当部局の相互連携を強化しているところでありますが、区の緊急通報システムの活用についても居住者に積極的に働きかけていきたいと考えております。

 岐阜県白川町でのタブレット端末の活用についての例示もありましたが、高密度に人口が集積している中野とこの地方との、共通ということにはなかなかいかないのかなというふうに思っておりまして、状況をよく把握してみたい、このように考えております。

 それから、区が管理する住宅へのAEDの設置であります。AEDの設置に当たりましては、設置場所、また、管理体制の検討や、それから、できるだけ多くの方にこの救急講習を受けていただくということも必要になってまいります。各住宅の自治会等と協議をしながら検討してまいりたいと思っております。

 それから、救急医療情報キットの普及についてであります。現在、民生委員によります70歳以上のひとり暮らし高齢者及び75歳以上のみ世帯の調査において、救急医療情報キットを周知しております。現在もすこやか福祉センターの訪問活動や相談業務においても、必要と思われる方にこのキットを提供しておりますが、町会、自治会へも情報提供して見守り・支えあい活動の中で紹介してもらうなどの普及策を図ってまいります。

 それから、区としての日中独居世帯の把握についてであります。現在、地域支えあい活動の推進に関する条例では、70歳以上のひとり暮らしと75歳以上の高齢者のみ世帯を対象に見守り・支えあい活動を行っていますが、日中独居となる高齢者への見守りも必要だという認識は持っております。すこやか福祉センターでは、地域の実態把握のために職員による訪問活動を行っております。この訪問活動の中で今後日中独居となる高齢者の方も対象としていきたい、こう考えております。

 それから、成年後見制度の申し立て費用の助成についてということであります。成年後見制度は、今後より一層重要になっていく制度だと考えております。現在、成年後見制度の利用について社会福祉協議会において支援する事業を行っており、申し立て費用の助成の必要性について社会福祉協議会とも協議をしながら検討していきたいと考えております。

 それから、費用助成の拡充についてであります。中野区の成年後見人等報酬費用助成制度は、区長申し立てで被後見人が生活保護法に規定する要保護者、または生活保護相当の収入、資産の方を対象としております。成年後見制度の必要性は今後拡大するものと考えております。低所得者等への支援のあり方については、実態を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。

 それから、市民後見人の育成についてであります。都の社会貢献型後見人養成講座は、平成25年度をもって廃止となる方向であります。今後の社会貢献型後見人の養成については、社会福祉協議会と調整を図りながら、どのように行っていくか現在検討しております。

 成年後見支援信託についての御質問もありました。成年後見支援信託は、被後見人の財産を守るための方法の一つであると認識をしております。成年後見支援センターが行う成年後見制度事業の一環として、後見制度支援信託についても確実に取り上げるようにしていきたいと、このように考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 障害者施策のうち障害児の通学支援についての御質問がありました。都立練馬特別支援学校は、高等部ということもございまして、御質問にもありましたように自立に向けて1人での通学を原則としておりますが、それができるようになるまでの間、また、困難であると判断した場合にはバスによる送迎を行っているというふうに聞いております。現在、区立の特別支援学級を卒業して通学している生徒につきましては、通学が難しい状況ではないというふうに認識をしております。今後、通学に支障が生じるような状況になった場合には申し入れなどを行っていきたいと考えております。

都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、初めに自転車の交通対策等についての御質問にお答えいたします。

 まず、自転車押し歩き推進区間の設置についてでございます。歩行者の安全を確保するため、御提案の自転車押し歩き推進区間の設置につきまして、交通管理者や都道を管理する東京都等と協議し、研究してまいりたいと考えております。

 次に、自転車利用者のヘルメット着用についてでございます。ヘルメット着用につきましては、道路交通法により児童または幼児を自転車に乗せるときには乗車用ヘルメットをかぶせるよう努めなければならないとされております。保護者の努力義務として規定されております。これに加えてその対象者を中学生にまで拡大するということは、区として考えておりません。小学生以下のヘルメット着用推進については、ホームページや区報等を通じた意識啓発に今後も努めてまいる所存でございます。

 次に、自転車運転免許証の交付についてでございます。新たに区が来年度実施する自転車安全利用講習会では、受講者への修了証の交付を予定しているほか、中野・野方の両交通安全協会が来年度実施する講習会でも、区の助成により自転車安全運転宣言シールの交付を行うこととしております。そのように考えておりますので、御提案の内容と目的は共通するものであり、こうした取り組みを通じまして交通事故の減少につなげていきたいと考えているところでございます。

 次に、自転車走行空間の確保についてでございます。自転車走行空間の確保につきましては、再開発や道路の拡幅等の時期を捉えまして、安全で快適な自転車走行空間の確保ができるように努めてまいりたいと考えております。また、都道における自転車走行空間の確保につきましても、可能と思われる箇所があれば東京都へ働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、自転車駐車場における防犯対策についてでございます。自転車駐車場の防犯対策につきましては、現在の管理人による巡回や防犯カメラ、照明設備の設置等、防犯対策に努めているところでございます。防犯カメラの警告表示を目立たせる工夫や、利用者への施錠徹底の呼びかけ等、できる限り今後も防犯対策の充実を図ってまいります。

 続きまして、障害者施策についてのうち、色覚障害者への防災情報の提供についての御質問でございます。区ホームページの防災に関するサイトについて、内容等の見直しの機会を捉えまして、気象庁の気象情報の配色に関する設定指針などを参考にしながら、色覚障害者に配慮した配色とするよう、現在具体的な協議・検討をしているところでございます。また、来年度、中野区防災地図や地域防災地図を更新する際にも、色覚障害者に配慮した配色に留意していきたいと考えております。

 エレベーター内の防災キャビネットの設置についての御質問がございました。各区有施設において施設利用者等の安全確保を進めることは必要であると考えております。エレベーターの閉じ込め事例等が発生しており、有効性や効果を検証することも想定して、今回多くの区民が利用しており使用頻度も高い本庁舎のエレベーターに設置をいたしました。今後、本庁舎以外の区有施設のエレベーターへの設置についても、各施設管理者と検討してまいりたいと考えているところでございます。

〔子ども教育部長髙橋信一登壇〕

○子ども教育部長(髙橋信一) 私からは、障害児施策についてで、重度・重複障害児施設等の整備についてお答えいたします。重度・重複障害児の施設整備につきましては、現在緑野小学校内にありますたんぽぽ学級の跡施設を利用して実施する予定でございます。事業内容につきましては、就学前の子どもたちが通所します児童発達支援事業、小学生から高校生までの放課後デイサービス、保護者のレスパイトを確保する一時保護事業などでございます。保護者の情報交換や交流につきましては、保護者会を通じて工夫してまいりたいというふうに考えてございます。

都市政策推進室長長田久雄登壇〕

○都市政策推進室長(長田久雄) 西武新宿線立体交差事業に伴うまちづくりについてお答えいたします。

 まず、連続立体交差事業の事業認可についてでございます。西武新宿線の中井駅から野方駅までの間は、事業主体である東京都がこれまで用地測量や設計を実施するなど、事業の早期着手へ向けた取り組みを進めているところでございます。現在、今年度中の事業認可取得のための準備を国と調整をしながら行っていると聞いているところでございます。

 次に、駅前広場の機能についてでございます。駅前広場は、鉄道とバスとの乗り継ぎなど交通結節点としての機能のほか、広場を利用する人々に情報を提供する機能や交流のための機能、防災活動に資する機能など、それぞれの駅及びその周辺地域の特性に応じた機能を確保して整備を行っていく必要があるということでございます。新井薬師前駅と沼袋駅の駅前広場の整備に当たりましては、これら必要な機能を備えた広場とするため、事業の実施段階において具体的な施設配置を検討してまいります。

 次に、沼袋4号踏切除却後の交通動線の確保についてでございます。連続立体交差事業の開削区間に当たる沼袋4号踏切につきましては、歩行者や自転車の通行が可能となる施設を新たに整備する予定でございます。今後、東京都や西武鉄道との協議を行いながら、高齢者や障害者など誰もが利用しやすい施設となるよう検討を進めてまいります。

 最後に、野方以西のまちづくり勉強会についてでございます。連続立体交差事業の候補区間に位置付けられている野方以西の区間につきましては、今後杉並区とも連携を図り、事業の早期実現に向けて取り組んでいく考えでございます。野方駅、都立家政駅、鷺宮駅周辺のまちづくり勉強会に対しましては、引き続き地元のまちづくり活動に必要な情報提供や支援を積極的に行ってまいります。

 以上でございます。

○副議長(久保りか) 以上で南かつひこ議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(久保りか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

      午後4時38分延会