令和5年02月14日中野区議会本会議(第1回定例会)
令和5年02月14日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録
平成26年07月01日第2回定例会(第3日)

.令和5年(2023年)2月14日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  生  藤  健  人        2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  市  川  しんたろう

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  内  川  和  久       22番  若  林  しげお

 23番  高  橋  かずちか       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番     欠  員

 27番  山  本  たかし        28番  中  村  延  子

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  青 山 敬一郎

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  石 井 大 輔      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 防災危機管理担当部長 石 崎 公 一    DX推進室長  滝 瀬 裕 之

 文化・産業振興担当部長 高 橋 昭 彦   子ども教育部長、教育委員会事務局次長 濵 口   求

 地域支えあい推進部長 角   秀 行    健康福祉部長  岩 浅 英 樹

 環 境 部 長  朝 井 めぐみ      都市基盤部長  奈 良 浩 二

 まちづくり推進部長 豊 川 士 朗     企画部企画課長  堀 越 恵美子

 総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  林     健

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  髙 田 英 明

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  早 尾 尚 也      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  川 辺 翔 斗      書     記  金 木 崇 太

 

 議事日程(令和5年(2023年)2月14日午後1時開議)

日程第1 第5号議案 令和5年度中野区一般会計予算

 

午後1時00分開議

○議長(内川和久) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、中村延子議員、高橋かずちか議員、久保りか議員、長沢和彦議員、ひやま隆議員、伊藤正信議員、南かつひこ議員、いさ哲郎議員、斉藤ゆり議員、高橋ちあき議員、甲田ゆり子議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、渡辺たけし議員、内野大三郎議員、竹村あきひろ議員、立石りお議員、吉田康一郎議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 中 村 延 子

 1 施政方針説明について

  (1)新型コロナウイルス感染症対策について

  (2)子育て先進区について

  (3)中野駅周辺まちづくりについて

  (4)令和5年度予算(案)について

  (5)男子HPVワクチン任意予防接種費用助成について

  (6)その他

 2 その他

 

○議長(内川和久) 最初に、中村延子議員。

〔中村延子議員登壇〕

○28番(中村延子) 質問に先立ち、2月6日に発生したトルコ・シリア地震やその後の余震で犠牲になった方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆さんの早期の回復と復興を心からお祈り申し上げます。

 令和5年第1回定例会に当たり、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はございません。

 1、施政方針説明について。

 (1)新型コロナウイルス感染症対策について。

 1月27日、政府の新型コロナ対策本部は、5月8日に今の2類相当から5類に移行する方針を決定しました。移行前に改めて専門家の意見を聞き、最終的な確認を行うとしています。第8波は徐々に落ち着きを見せていますが、1月だけで国内の死者は1万人を超えました。相変わらず変異株も出現しており、その中でも感染力が強いオミクロン株の亜系統であるXBB系統がアメリカやイギリスでは急増しています。米国カイザーファミリー財団報告の新型コロナ後遺症の最新調査では、成人人口の5%が後遺症からの活動制限があったと報告されており、社会的影響も大きいと考えます。5類に変更となっても、ウイルスが消えるわけでもなく、こうした状況を踏まえ、状況に応じて感染対策は継続していく必要があると考えますが、区長の見解を求めます。

 本来、感染症法上に5類とされる感染症対策では、緊急事態宣言、入院勧告・指示、感染者や濃厚接触者の外出自粛要請などの行動制限ができなくなります。隔離のためのホテル療養ももちろんなくなります。さらには、入国時の水際対策もできなくなります。また、現在医療費は全額公費負担ですが、5類疾病の場合は一部が自己負担です。当面の間は公費の継続が示されていますが、段階的に見直される方針です。ワクチン接種については、秋から冬にかけて全世代に接種をする方向で調整され、また子どもに向けては継続される見込みです。

 一方で、医療機関の対応について、政府は、5類移行後は幅広い医療機関で対応できるよう、段階的に移行する方針と報道されていますが、果たしてそうなるのか甚だ疑問です。新型インフルエンザ等特別対策措置法第24条第9項による新型コロナ病床確保要請や発熱外来開設要請もなくなります。つまり、すぐに発熱外来にかかることも、入院をすることも難しくなる可能性があります。

 専門家会議では、5類移行目的は、新型コロナに偏った医療を正常化するとしているのは、これまで治療延期を余儀なくされていた新型コロナウイルス感染症以外の疾患へと医療体制を戻すためということであり、新型コロナ対応の病床は減ることを意味しています。政府がこのように国民に対して、来るはずのない未来を示してしまうのは大きな問題です。正しい情報を区としてもしっかりと広報していく必要があると考えます。見解を求めます。

 入院調整について伺います。

 1月の危機管理・感染症対策調査特別委員会にて、本来、5類になれば原則保健所は入院調整を行う根拠がなくなり、医療機関がそれを担うことになるとの答弁でしたが、一方で、現実的には医療機関が入院調整を担うことは難しいだろうとの見解も示されました。病床確保の法的根拠もなくなることから、病床は増えない上に、保健所での入院調整がなくなれば、これまでのように必要な方の入院も難しくなる可能性があるということです。今後、議論をされ、最終決定されると思いますが、現段階での国から示されている入院調整について、区の見解をお示しください。

 5類移行されることにより、保健所や区への影響はどのようになっていくのでしょうか。先に述べたとおり、入院調整がなくなれば、保健所の業務負担はなくなるものと考えます。さらには、臨時交付金等も交付がなくなる可能性もあり、財政措置がない中では、新型コロナによる経済的影響に機動的に対策をすることが困難になるとも考えられます。今考え得る中野区への影響について見解をお示しください。

 本来、感染症法上の分類とマスクは関係ありませんが、政府は一緒に取り扱おうとしております。一部報道では、5月19日から始まるGサミットで、自民党内に記念撮影のときにマスク姿では世界に笑われるとの声があるから、厚生労働省はそれまでの移行を目指したとも言われております。欧米諸国では、ほとんどがマスクを外していると論じる方もいらっしゃいますが、感染拡大が起きていたドイツでは、10月から2月2日まで、屋内でのマスクの着用が義務化されていました。アメリカ政府で新型コロナ対策を指導してきたファウチ博士は、NHKの単独取材に対し、状況に応じてマスク着用の推奨は継続すべきとも語っています。多くの国が感染状況に応じてマスク着用を推奨しており、感染状況を鑑みた判断ならともかく、感染症法上の分類が変わったからといって変えるべきではありません。

 政府は、3月13日からマスク着用を自己判断とする予定です。5類移行により、発熱外来や医療体制がこれまでの規模を維持できないことが見越せることを鑑みても、屋内でのマスク着用の推奨に関しては見直すべきではありません。マスク着用について、区の見解を伺います。

 こうした医療体制等の変化により大きく影響を受けると思われるのは、高齢者や困窮者、子どもといった弱い立場にある人たちです。今後の政府の動きを見ながらも、区独自でできることも考えていくべきです。見解をお示しください。

 子どもについては、オミクロン株の出現以降、重症化率は低いものの、感染拡大が起きると、重症化例や死亡例も増えており、その3分の2は基礎疾患のない子どもです。また、死亡例は、ほとんどの事例で発症から7日以内で急激な経過をたどっています。

 英国では、XBB1.5が急増している状況下、1月最終週での新型コロナウイルス感染者の人口10万人対重症者数では、65歳から74歳と0歳から4歳が同等レベルになっています。現状、子どもに使える薬はなく、ワクチン接種が推奨されています。

 中野区においては、生後6か月から4歳については、11月9日からワクチン接種が開始しています。3回接種が必要であり、1月25日に3回目を打ち終わる方が最速です。

 一方で、11月中の接種可能回数は400回前後との答弁があり、対象乳幼児数約1万1,000人に対して、非常に少ない数にとどまっていました。徐々に接種可能な医療機関も増えていますが、乳幼児はただでさえ体調変化のためスケジュールを変更せざるを得ないことも多く、接種しやすい環境には程遠い体制となっています。

 乳幼児接種に当たっては、手間や人員がかかること、既に大人や小児のワクチン接種を請け負っていることから、乳幼児まで引き受けられない医療機関も多くあると認識しています。当初、最大週1,000回分の接種枠を確保できるとしていたことが実現したのか、現状の接種体制についてお示しください。

 子どものワクチン接種については、公費で継続される方向が示されています。今こそ接種体制を整理し、大人の接種体制を縮小してでも、これまで機会がなかった子どもたちが接種しやすい環境を確保するため、医師会と十分に調整をしていくべきと考えます。区の見解をお示しください。

 (2)子育て先進区について。

 区長は、5年前の初当選以降、最重要課題として、子育て先進区の実現を目指して取り組んできました。国もそれを追うように、今年4月には内閣府にこども家庭庁が設置される予定です。

 その背景には、昨年1年間の出生数が、初めて80万人を割り込むことが確実視されるなど、少子化に歯止めがかからない状況があり、岸田総理は2023年の年頭会見で、異次元の少子化対策に挑戦すると述べました。さらに、2月2日には、政府が児童手当の所得制限を撤廃する方向で調整に入ったとの報道がありました。所得制限撤廃は、これまで長年我が党も訴え続けてきたことであり、また第3回定例会では、中野区議会から意見書も送付されました。大変歓迎するものですが、振り返れば昨年10月に、年収1,200万円以上の世帯に対して特例給付を廃止したばかりです。これにはシステムの改修も伴っており、口座情報等は廃棄しています。

 さらには、民主党政権時代に当時の野党である自民党が子ども手当に対し、真っ向から反対していたことは私の記憶にも鮮明に残っており、中野区議会でも同様に、子ども手当に対し、執拗な質問を繰り返されることもありました。数十年前から叫ばれていた少子化対策ですが、今後どれだけ本気で取り組まれるのか、期待をしていきたいと思っています。

 東京都では、1月30日に「こども未来アクション」を策定、また国に先んじて月5,000円の給付をする「018サポート」や、第2子の保育料無料など、来年度予算で数々の少子化対策を打ち出しています。

 まずは、酒井区長就任からこの5年の子育て先進区実現に向けた取組と成果について伺います。

 さらに、来年度の取組と期待される効果について伺います。

 国や広域自治体である東京都が、現金給付や制度により子育て支援を進めていくことは重要です。一方で、区はより地域の実情に合った施策を進めていく必要性があると考えます。今後は、基本計画の後期の取組を具体化し、実施計画として定める予定です。中野区は家が狭小であり、子どもの居場所が少ないという特徴があります。基礎自治体であるからこそ、こうしたニーズを捉えて進めていくことが重要だと考えます。区の見解を伺います。

 次に、学校給食について。

 昨年9月に、来年度の学校給食費の無償化を発表した葛飾区を皮切りに、北区、台東区、足立区、品川区、荒川区、世田谷区、中央区と23区中8区に広がっています。これまでの議会答弁では、研究するにとどまっていますが、今後も広がりを見せる可能性がある中、中野区も改めて学校給食費無償化について検討をするべきと考えますが、いかがでしょうか。区長のお考えをお示しください。

 国の異次元の少子化対策の二つ目の柱である産前産後の伴走型支援について伺います。

 妊娠届出時、妊娠8か月時点、産後の3回の面談を受けた方に10万円をお渡しするもので、区の負担が6分の1発生します。これまで東京都の「とうきょうママパパ応援事業」や出産・子育て応援事業を活用し、区の負担なしで、かんがるー面接時に1万円分、出産後に10万円分を、ファーストバースデー事業で1万円分をお渡ししていました。都のプレス発表では、東京都が付する条件を実施することにより、区の財政負担なく、妊娠届出時に6万円分、出産後に10万円分、1、2歳前後に6万円分をお渡しすることとしています。

 こうした面談は、ハイリスク妊婦への継続的支援や虐待防止に大きく寄与すると認識しており、重要な取組です。一方で、何度も面談が必要になると、ただでさえ動くのが大変な産前産後に大きな負担となります。これらの面談をかんがるー面接やこんにちは赤ちゃん事業など、既に実施している機会を捉えて、さらなる妊産婦への負担がないよう実施すべきと考えますが、区の見解をお示しください。

 自民党の大家敏志議員の賃金上昇やキャリアアップに向けた産休・育休のリスキリングに関する国会質問に対し、岸田総理が後押しをする旨で答弁したことで大きな批判を受けました。特に、産休は母体保護の観点から制度化されており、その時期のリスキリングを総理大臣が後押しするという答弁は到底受け入れられません。育休中に関しても、リスキリングができる方は、預けられる環境や経済状況、さらには体力を兼ね備えた方のみです。まずは、産後ケアや預かり等の環境整備を整えることが大事です。それがないのにもかかわらず、できる人たちだけ支援をしていくことは、できない人たちをさらに追い詰める可能性すらあります。

 区としては、子どもを預けやすい環境を整えていくことが重要です。現在行っている一時保育や一時預かりの登録や申込みの改善、さらには預け先の拡充など、預けやすい環境整備を進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 令和4年度から区のホームページの改訂作業が進んでおり、令和5年度も引き続き取り組むこととなっています。現在は、特に子育ての情報が関連情報でもまとまっておらず、欲しい情報にたどり着けず複雑です。若い職員が増え、子育て世代も必然と増えていると聞いています。ホームページ改訂に当たっては、職員も含めた子育て世代の意見を十分に踏まえた作りにしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 さらには、来年度子育てハンドブック「おひるね」の改訂が主な取組で報告されています。単なる更新ではなく、実際に手に取っていただけるような子育てハンドブックとなるよう、産前産後の担当も含めたプロジェクトチームをつくり、改訂作業に当たるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 さらに、改訂中のホームページとの相互性や将来的なアプリ導入も検討していくべきです。区の見解をお聞かせください。

 (3)中野駅周辺まちづくりについて。

 新北口駅前エリア再整備事業について、権利床について絞って伺います。

 第4回定例会に、「中野駅新北口駅前エリアの再整備について」が報告されました。その中で、従前資産が当初の550億円から640億円に変更になり、増額分に関しては全て権利床で所有という判断をされたとのことでした。区有施設整備計画では、権利床について、行政サービスの財源確保を目的とした資産の有効活用を図りますとしていましたが、増えた床については、これまで所有としていた事務所床のほかに、公益性の観点として、展望フロア、バンケット等、子どもの遊び場を所有し、具体的な面積等が示されました。また、転出補償金については、まちづくり中野21の清算や新庁舎整備及び移転費用としてかかる約400億円を確保するとのことでした。

 委員会質疑の中では、施行予定者が展望フロアを持つ場合、事業性、採算性の観点から、それほど大きくない規模になってしまう可能性があることから、区が権利床として3,900平米を所有するとのことでした。エレベーターホールを除いた最上階の面積は約3,600平米で、これは現在の中野サンプラザ13階コスモルームの約10倍にもなります。区は、マスターリースでの運営を考えているとのことでしたが、果たしてうまくいくのでしょうか。

 事業の採算性を盾に、将来的なリスクを区が負う必要性はどこにあるのか。行政が所有することによって、一番価値が高い最上階が魅力的ではなくなるリスクすらあるとも考えます。改めて展望フロアについては、民間事業者での所有、運営を求めていくべきと考えますが、見解をお示しください。

 バンケットについては、事業提案時は事業者側で持つことになっていました。こうした背景から、バンケットも事業者側に所有していただくべきと考えます。

 第4回定例会の一般質問で森議員から、権利床の持ち方については、100パターンをも想定し、最適な持ち方を検討するべきと指摘をしましたが、どれだけの検討を進めてきたのでしょうか。

 プロポーザルの条件である民設民営のホールについて変更は難しいと考えますが、例えばホールの規模の変更は余地がないのか。既に容積率は900%から1000%と大きく提案内容から変わっている中で、事業の採算性を確立するために、あらゆるシミュレーションを行いながら、区の将来的リスクを回避するべきと考えます。

 従前資産の増額分については、こうしたリスクを長期にわたって抱えるのではなく、転出補償金として確保する選択肢も検討すべきです。最後の最後まで事業者側と協議を進め、区が、すなわち区民が、将来的なリスクを負わない在り方を模索すべきと考えます。見解をお示しください。

 (4)令和5年度予算案について。

 昨年8月に区は、「新たな財政運営の考え方」を定め、変更後初めて、この考え方に基づいて令和5年度予算編成を行い、一般会計は1,956億円余、過去最大となりました。新庁舎整備に係る経費や平和の森小学校用地の購入費用を含めた学校施設整備費が増大していることも要因の一つです。

 一方で、それを除いても規模は膨らんでいるように見えます。この間、物価高騰が進んでいます。光熱費や施設整備費に大きな影響を与えていることが予想できます。また、令和5年度からは公契約条例が適用され、人件費の増額も予想されます。これらによる影響はどの程度見込んでいるのか、伺います。

 また、今後の財政フレームへの影響について伺います。

 1月20日号の都政新報には、東京都が財政調整制度の配分割合を現在の55.1%から元の55.0%に戻すと主張されているという記事があり、大変驚きました。財政調整制度の配分見直しは、令和2年度当初で、児童相談所の運営に関する都区の連携、協力を一層円滑に進めていく観点から変更となりました。令和2年度からは先行3区が児童相談所を設置、現在は7区に広がっています。

 一方で、今回東京都は、区立児童相談所の設置は、都区の役割分担の大幅な変更に該当しないと考えているとの立場で、その根拠として、設置区数が7区のみであり、他の16区では都児童相談所が役割を担っていること、また、特別区の求めに応じてサテライトオフィスの設置を進めていることや、本来設置区が担う業務の児童自立支援施設を区は設置していない、の4点を挙げたとあります。児童相談所設置7区には、相当な事務負担が生じていることには目もくれず、さらに4番目として挙げた児童自立支援施設については、区は負担金を支払っており、全く根拠とならず、こうした東京都の姿勢は非常に残念です。現在の協議状況と今後の見込みについて伺います。

 今後も区長を筆頭に、妥協することのない、厳しい姿勢で取り組んでいくべきと考えますが、区の見解を求めます。

 (5)男子HPVワクチン任意予防接種費用助成について伺います。

 本事業は、青森県平川市、北海道余市町に続き、全国で3番目の取組であり、人口5万人以上の自治体では全国初の取組です。1月の厚生委員会で初めて議会報告された後、非常に大きな反響があり、来年度予算の目玉の一つとも思っています。

 HPVに感染することを防ぐためには、女性だけでなく男性もワクチンを接種することで、ピンポン感染を防ぐ効果もあり、公衆衛生上、大変有用です。所信表明では、男性の性感染症等を防止するためと述べられましたが、性感染症である尖圭コンジローマだけではなく、中咽頭がん、肛門がん、直腸がんなどを防ぎ、男性自身の命をも守ることにつながるというメッセージを伝える必要があると考えます。対象者にお知らせをお送りする際は、こうした情報を載せるべきです。区の見解をお示しください。

 国では、4価HPVワクチンのみが男子接種への承認を受けており、医薬品副作用被害救済制度にも適用されると考えますが、万が一、重篤な副反応が起きた場合の対応について、区の見解をお示しください。

 現在、女子のHPVワクチンは、9年ぶりに積極的勧奨が再開されたものの、接種率はまだ低迷しています。今回、男子HPVワクチン接種費用助成を実施されることにより、女子の接種率向上の起爆剤ともなり得ると考えます。接種率の高い国では、子宮頸がんやHPV関連がんの撲滅も見えてきています。接種率を上げることは急務です。今回の事業の接種率への効果について、区の見解をお聞きし、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 中村議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、施政方針説明についての感染対策の継続についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染対策は、ウイルスが持つ病原性、感染力などの科学的証拠による評価によって判断されるものでございます。感染症法上の位置付けが変更された後も、場面や感染状況等に応じた対策を行う必要があると考えております。

 続きまして、5類移行後の医療提供体制についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が2類相当から5類へ移行することにより、発熱患者等に対応する医療機関は増えることとなりますが、この感染症に対する警戒等から、新型コロナウイルス感染症のおそれのある患者の受診を引き受けない医療機関が出てくる可能性があるものと考えております。この際に、2類相当であれば特別措置法を根拠として医療機関へ病床確保要請や発熱外来開設要請等を行うことが可能でありますが、5類ではその効力は及びません。このため医師会などを通じて医療体制の在り方を協議するとともに、医療機関へ正しい情報を周知をしてまいります。

 次に、5類移行後の入院調整についてでございます。2月10日現在、5類移行後の新型コロナウイルス感染症の入院に関する方針は明確には示されておらず、保健所が入院調整の責務を担うかどうかは明らかにされておりません。

 次に、5類移行による区の影響についてです。新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行されることによって、行動制限はなくなるものの、物価高騰も相まって区民生活や経済活動においてはしばらく混乱や不安が生じることが想定されます。機動的に対処するための財政出動はいといませんが、国や都に対しては、状況を踏まえて適切に財政措置をするように要望してまいります。

 次に、5類移行後のマスクの着用についてです。マスクの着用は、手洗いなどの手指衛生の励行や効果的な換気と並んで、基本的な感染対策として引き続き重要でございます。

 一方で、国は平常時にマスクの着用を行政が一律に求めるのではなく、個人の判断に委ねることを基本とするとの方針を示していることから、区でもその施策に沿った方針となります。

 次に、5類移行による区独自の対策についてでございます。感染拡大時の医療体制確保や活動の制限、介護施設などでの感染防止策も必要であり、時期を逸することなく対応できるよう体制を整えておく必要があると考えております。さらに、接種などの感染予防対策についても普及啓発を行うなど、国や都の支援内容等と併せて効果的に区の対策を講じてまいります。

 次に、新型コロナウイルスワクチン乳幼児接種の体制です。乳幼児接種実施計画では、最大で週1,000回としておりましたが、乳児への接種については特別な配慮が必要なため、対応可能な医師が限定的であったことや、同時期に成人への接種を進めていたことから、当初の予定回数の実施はできておりません。現在、区の予約システムを利用している個別医療機関における接種体制については、本年2月の予約枠は約580回分でありまして、1週間当たり145回分でございます。なお、予約率は2月9日時点で49.4%となっております。

 次に、接種しやすい環境のための医師会との調整です。新型コロナウイルスワクチン接種の実施に当たっては、これまでも中野区医師会と調整し、協力を頂きながら進めてきたところであります。子どもたちが接種しやすい環境を確保するため、今後も機会を捉えて中野区医師会と調整を図ってまいります。

 次に、子育て先進区について。子育て先進区実現に向けた取組です。私は、区長就任以来、子育て先進区の実現を区政運営の柱として掲げ、組織横断的かつ重点的に取組を進めてまいりました。これまで中野区子どもの権利に関する条例の制定、児童相談所の開設と社会的養護の推進、子どもの貧困対策、妊娠・出産・子育てトータルケアの拡充、待機児童数ゼロの達成と保育の質の向上、ICT教育をはじめとした教育環境の整備などに取り組んできたところであります。

 令和5年度においては、子ども・子育て家庭に対するセーフティネットの強化をさらに進めるとともに、子育て・子育ち環境の整備などに重点を置いて取組を進めてまいります。

 次に、子どもの居場所づくりでございます。安心して過ごすことができる居場所が十分に確保されていることは、子どもが健やかに成長するために重要であると認識をしております。基礎自治体として、区の現状を十分に捉えた上で、全ての子どもが安心して過ごすことができるよう、多様な居場所づくりに向けて検討を進めてまいります。

 次に、学校給食費無償化の検討についてでございます。現下の経済情勢を踏まえ、物価高騰に対応した給食費への補助については、引き続きの実施に向けて検討しているところであります。

 給食費の無償化につきましては、導入の手法と影響を精査しながら研究を進めているところであります。全ての子どもの学びを支えていくためには、現在のところ給食費無償化の実施よりも、区として優先的に取り組むべき課題があると考えております。

 次に、出産・子育て応援交付金事業の実施方法についてでございます。伴走型支援と経済的支援を一体的に行う出産・子育て応援交付金事業につきましては、東京都から補助条件等の詳細が示されたところでありまして、これを受け、区としての実施方法を検討しているところであります。事業の実施に当たっては、既に行っている面談や訪問などの機会を活用し、妊産婦の負担を極力増やすことのない形で開始をしていきたいと考えております。

 次に、サービスの登録や予約の改善についてでございます。区では、区民サービスの利便性向上と事務効率化を図るため、LINEの運用支援ツールを活用した行政手続のオンライン化を進めておりまして、区立保育園の一時保育利用予約については、令和5年7月からLINEで登録や予約ができるよう準備をしております。

 一時保育につきましては、利用数に対して十分な確保数があるため、拡充は考えておりませんが、利用者の利便性向上のため、空き情報の周知など、利用しやすい環境整備を行ってまいります。

 次に、子育て世代の意見を反映した区ホームページについてでございます。本年10月の稼働に向けて、区のホームページのリニューアルに着手をしておりますが、ユーザーや職員の意見を聞きながら事業者や広報アドバイザーとともにデザインや配置、コンテンツなどについて検討を進めているところであります。

 また、子育てに特化したサブサイトを作成したいと考えておりまして、当サイトにおいては、特に子育て世代の意見や意向を伺いながら利用しやすいページ作りを進めてまいります。

 次に、子育て支援ハンドブック「おひるね」の改訂についてでございます。「おひるね」は、お母さんの妊娠・出産から、子どもの中学校卒業までの子育て支援サービス情報を掲載したハンドブックです。改訂に当たっては、リニューアルする区ホームページに掲載する子育て情報と二次元コードで関連づけるとともに、作成予定のサブサイトのコンテンツなどと連動を図りながら、使いやすいものにしたいと考えております。

 このハンドブックのスマートフォン用アプリの導入については、今後研究をしてまいります。

 続きまして、中野駅周辺まちづくりについて。

 初めに、中野駅新北口駅前エリア再整備における展望フロアについてでございます。中野駅新北口駅前エリア再整備における展望フロアについては、区民が楽しめて、来街者を呼び込むシンボル空間となるよう、施設計画や所有・運営の在り方を施行予定者と協議してきたところであります。展望フロアは民間所有では収益性に課題もあり、区が権利床として取得し、民間が運営することで魅力的かつ採算の取れる空間を創出できると考えております。所有と運営を分離し、リスクを抑えたスキームを検討してまいります。

 次に権利床のリスクについてです。再開発の権利変換に当たって、転出補償金は、当初の方針どおり新区役所整備費等に必要な財源を確保し、それ以外は権利床として資産を保全し、再整備事業の着実な推進を図ってまいります。

 権利床は資産運用のための事務所床のほか、公益に資するバンケットや展望フロア、子どもの遊び場といった機能を確保したいと考えておりますが、将来的な管理運営も含め、区の所有リスクを最小限にするよう、施行予定者との協議を進めてまいります。

 次に、令和5年度予算案についてで、物価高騰等による影響額についてでございます。物価高騰による光熱費施設整備費や公契約条例の適用による経費の増など、これらの全体的な経費の比較は難しいところでありますが、例えば光熱費の影響額は前年度比およそ4億9,200万円余の増、指定管理料については前年度比およそ3億3,700万円余の増となっておりまして、影響が生じているところであります。

 次に、物価高騰等の財政フレームへの影響についてです。今後も物価高騰は続いていくことが想定されまして、人件費の増も想定をされます。具体的な財政フレームへの影響額等の想定は難しいと考えますが、令和4年度や令和5年度の執行状況や物価高騰の状況などを注視するとともに、今後求められる区民生活を支えるための財政出動も併せて見定める必要がありまして、社会経済状況や国、都の動向の把握に努め、適切に財政運営を進めてまいります。

 次に、財政調整協議の現況と今後の見込み、区の姿勢についてでございます。都から55.0%に戻すことが適切という考え方が示されたことに対し、区側は反発をし、現在協議が中断している状況であります。水面下での交渉が続けられていると考えておりますが、協議再開は不透明な状況であります。

 特別区の児童相談所設置は、大幅な役割分担の変更に当たりまして、都区の配分割合の見直し事由に当たることは明白でありまして、55.1%に積み増していくべきものと考えております。特別区一丸となって早期に協議を再開することを求めるとともに、需要に応じた適切な区民サービスを提供していくための財源確保に向け、強い姿勢で主張をしてまいります。

 続きまして、男子へのHPVワクチン接種の案内についてでございます。HPVワクチン任意予防接種対象者へは、令和5年7月頃、ワクチン接種の案内はがきを送付する予定であります。案内はがきには、男性がHPVワクチン接種をすることによって、男性自身が様々ながんや感染症から身を守ることができることと併せて、女性を子宮頸がんから守れることも記載をし、積極的な接種を促していく考えであります。

 次に、重篤な副反応が起きた場合の対応についてでございます。男子への4価HPVワクチン接種は任意予防接種となるため、ワクチン接種に伴い健康被害が生じた場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく医薬品副作用被害救済制度の対象となります。

 次に、男子の4価HPVワクチン接種による女子のHPVワクチン接種向上への効果についてです。女性のHPVワクチンの接種率が高い国は、軒並み男子へのワクチン接種が行われている国であります。これらの国では、HPVワクチンの接種率は男女とも高く、併せて子宮頸がんの罹患率も低い傾向にあります。これらのことから、女子のHPVワクチン接種率を上げるために、男子の接種率を上げることは、相乗効果を期待する上で大変重要な施策であると考えております。

○議長(内川和久) 以上で中村延子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 かずちか

 1 施政方針説明について

 2 新型コロナウイルス感染症の2類から5類への分類の変更について

 3 地域の安全・安心について

  (1)防犯カメラの設置拡充について

  (2)区民・高齢者の情報セキュリティについて

  (3)その他

 4 幼児教育の更なる充実について

 5 ユニバーサルデザインの具体的展開について

 6 その他

 

○議長(内川和久) 次に、高橋かずちか議員。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○23番(高橋かずちか) 令和5年第1回定例会に当たりまして、自由民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。質問内容は、通告のとおりであります。

 質疑に先立ちまして、このたびのトルコ・シリア大地震では、両国合わせての犠牲者が3万5,000人を超えているとの報道があります。犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災している方々、多くの方々へのお見舞いと、一日も早い復興をお祈りを申し上げます。

 初めに、施政方針説明についてお聞きします。

 コロナ禍によって地域経済活動が停滞し、今後の歳入危機対応を迫られた2020年第3回定例会において、区長は、歳出削減に全力を傾けることにとどまらず、あえて議会日程を変更してまで行った行政報告の中で構造改革を掲げました。その構造改革が3年の時を経た本定例会での区長の施政方針説明において、総括をしないばかりか、内容について一言も触れられていないことには驚きを隠せません。

 構造改革について、これまでに示された内容は、短期的、一時的な経費削減や個別事業部の事務改善といった、平時より当然取り組むべき歳出削減と創意工夫のレベルを超えておらず、議会として構造改革を検証できるだけの情報提供、説明はいまだにないと考えております。

 長期的、継続的な真の構造改革の目的は何だったのか、具体的な内容、その成果は何か、それによって将来にわたってどれだけの財政効果を期待できるのか、議会に説明し、総括をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 ビルド・アンド・スクラップについてお聞きします。

 新規事業を実施するに当たっては、ビルド・アンド・スクラップを基本とするとしています。少子高齢化対策や地域活動、経済などの活性化、安全・安心なまちづくりなど、区民にとって真に必要な施策には十分な予算を措置してしっかり取り組むべきであります。

 一方で、何を優先するかの見極めが重要でございます。今回の予算について、策定時の指針となる昨年8月の予算編成方針を見ますと、重点プロジェクト、区有施設整備、構造改革を踏まえた取組、新型コロナウイルス感染症対策と活動活性化策、新庁舎移転を見据えた業務改善等、限られた財源を優先的に配分するとして、これら重要事項は例外としています。

 重要事項といえども、財政規律、一定のルール、ビルド・アンド・スクラップの思想が必要ではないでしょうか。なぜ重要事項だけ例外としたのかを教えていただきます。

 こうした視点から、中野区基本計画の重点プロジェクトに掲げる子育て先進区、地域包括ケア、活力ある持続可能なまちづくりなどにおいても、新規事業を行うに当たっては、それに伴って休止、廃止した事業を示すべきではないでしょうか。具体的な組合せを示すべきと考えますが、区の見解をお示しください。

 次に、基本計画の重点プロジェクトについてお聞きします。

 子育て先進区の実現につきましては、この後、高橋ちあき議員が触れるということでお任せするといたします。

 地域包括ケア体制の実現については、その実現のため、包括的な相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援の三つを柱として、相談支援の質の向上と、区民団体と連携した地域づくりや、関係機関を巻き込んだ基盤づくりを進めるとあります。しかし、実際、区民サイドからすると、区の顔が見えないなどの声があり、区の考え方と具体的取組が区民に十分理解されていなかった部分もあるのではないかと思います。こうした体制づくりを進めるためには、令和4年度から開始した重層的支援体制整備事業を契機とし、複雑化、複合化する区民の生活課題の解決に向け、三つの柱を一体的に取り組んでいく必要があると思います。

 そこで伺います。包括的な相談支援のためには、すこやか福祉センターや区民活動センター、またアウトリーチチームの体制を強化し、相談機能を強化していくことが重要であると考えますが、どのように進めるのか、教えてください。

 次に、地域づくり支援は、地域に任せきりにせず、区の支援は必要であると思います。地域づくりの要となる既存の地域活動団体や、これから地域活動を始めようとする区民等への支援についてどのように考えているのか、お示しください。

 また、関係機関を巻き込んだ基盤づくりには、地域包括ケア体制の意義や理念を区民に広く周知し、支援を必要とする人が相談できる体制や、支援する側の人を増やすといったことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、活力ある持続可能なまちの実現に関連して、幾つか伺います。

 まず、エリアマネジメントについて。

 先日、特別委員会での中野駅周辺エリアマネジメントビジョン検討状況の報告内容は、あたかもこのビジョンが区の計画であるかのような印象を与えるものでありました。協議会へ深く関与し主導しているかのような印象を受ける区の関わりについて、区の目的は何か、何を成果とするのか、教えてください。

 今年度予算でどのように取り組んだのか、そしてその課題はどういうものがあったのでしょうか。

 また、現在、事務局として関わっているようですが、来年度予算案をにらんでどのように取り組んでいくのか、組織体制を含めた形のお示しを頂きたいと思います。

 中野駅周辺整備に関しては、中野区はまちづくり施策を進める行政の立場と、地権者という立場と、二つの顔を持っている地区がありますが、それぞれの立場について中野区はどのように関わっているのか、伺います。

 本来、各エリアの権利者が開発竣工後のエリアの課題、ブランドイメージの向上、また防災を含めた地区のありようや収益をにらんだ活性化策を当該エリアについて展開するのがエリアマネジメントだと思っております。その各地区のエリアマネジメントを包含する関係地権者で構成されるべき協議会の検討結果については、区はそれを受け止めて、内容を踏まえた上で、駅を中心としたにぎわいや活性化策について、区としての独自のビジョンや将来を見据えて誘導すべき計画を策定するものであるはずであります。

 伺います。エリアマネジメントについての改めての区の見解を伺います。行政は行政として、そのエリアに求める課題や全体のまちづくりにおける位置付け、使命を指示し、また行政でしかできない規制緩和策の策定やその実践、国や東京都との交渉に尽力して取り組むべきものではないかと思いますが、お答えを頂きたいと思います。

 重点プロジェクトの中で、中野駅周辺開発は活性化、にぎわいとサステナビリティを訴える最も中心となる事業であり、100年に一度のプロジェクトとして、中野全体の発展につながるまちづくりの理念を発信する一丁目一番地であり、モデル事業であるにもかかわらず、そうしたことが施政方針説明では、基盤整備と各地区の整備事業名が並べられているだけで、あとは中野サンプラザ閉館に際しての対応が簡単に述べられているだけであるというのには驚きました。

 ここで区長がまちづくりにかける理念、決意と覚悟を発信し、リーダーシップを発揮して、区職員の先頭に立って民間事業者と渡り合い、区民に熱く訴えかけなくて、どうして東京都内屈指の開発プロジェクトとして成功に導くことができるのか、非常に不安を抱くと同時に、残念でなりません。

 第4回定例会の委員会報告では、中野駅新北口駅前エリア再整備の権利変換案の説明があり、権利床については、財源確保としての事務所床のほか、公益的機能としての展望フロア、エントランス、バンケットなどの検討をしているとの説明がございました。

 前にも申し上げましたが、区の権利床は財源確保だけにとどまらず、中野サンプラザの機能を継承するため、また中野駅周辺、中野のまちのにぎわいをより一層豊かなものとするためには、公益的機能の確保にも活用すべきと考えております。東京屈指の眺望が期待できる展望スペースやレストランを整備するために、民間での所有が難しいのであれば、区が公益的機能として、展望フロアを権利床として所有することも必要であると考えておりますが、その検討状況はどのようになっているのか、お示しください。

 商工会館跡地の活用については、区が計画を策定する前に、周辺住民の意見を聞くなどの調整が行われなかったために、計画が進んでおりません。議会からも申し上げた意見がございます。地域住民の意見聴取結果はどうだったのか。また、意見を踏まえて区はどのように進めていこうとしているのか、教えてください。

 地域の意見を聞く前に、財政の負担を極力抑えることを前提とした民間に言わば丸投げしたような事業スキーム構築ありきではなく、区が商工会館跡地に産業振興機能を移転、整備していく前提として、今後の産業振興のため、地域の活性化のために、経済支援や企業支援、また産学公金連携の施策を具現化するような、どのような機能がどれくらい必要であり、どういった施設としていくのかといった施設展開が先にあるべきと考えます。その上で必要な機能を施設に落とし込んでいくべきと考えますが、区のお考えをお示しください。

 また、具体的にはどういう機能を考えているのか。それを教えてください。

 2番目としまして、新型コロナウイルス感染症の2類相当から5類への分類変更についてお聞きします。

 新型コロナの感染症法上の位置付けについて、政府は原則として5月に、季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行する方向で検討を進めるということであります。国や東京都の具体的検討はこれからということになりますが、新たな課題や医療体制に係る関係機関との事前の協議、準備を急ぐ必要があるとの考えから、現時点で考えられる幾つかの懸念事項について確認をしておきたいと思います。

 初めに、報道には周知されていますが、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が2類相当から5類に変更されることによって、具体的に何がどう変わるのかをお示しください。

 2類相当から5類に移行されたことによって変わる内容の中で、保健所が中心となって担ってきた内容についてお聞きします。

 5月8日以降、感染者の把握が定点把握に移行することによって、保健所が中心となって行っていた入院調整などの業務は今後どうなるのでしょうか。

 医療体制について、利用者にとってのメリットと、実際の現場で想定される懸念事項について伺います。併せて、国や都が医療機関に対して行っている財政支援について、現時点ではどのように変わる見込みなのかを伺います。

 通常であれば、5類になれば経済地域活動が活発化し、コロナ禍前の状況に戻っていくということになるのでしょうけれども、ハイリスク者を多く抱え、接触度合いも濃厚な高齢者や障害者施設への配慮、対応には十分注意が必要と考えます。高齢者施設や障害者施設、また介護施設などでの感染管理などへの影響については、どのような見解をお持ちでしょうか。お聞きします。

 また、今後、医療機関との調整はさらに連携を密にしていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。

 3番目、地域の安全・安心について。

 まずは、防犯カメラの設置拡充について伺います。

 警察庁が2月2日に、昨年1年間の犯罪情勢統計と治安に関するアンケート結果を公表いたしました。刑法犯認知件数は5.9%増と20年ぶりに増加、また多くの高齢者が被害者となる特殊詐欺対策については、かねてよりその対策を我々は訴えてまいりましたけれども、残念ながら、高齢者を狙う特殊詐欺認知件数は前年比2割増し、被害額も8年ぶりに増加をしております。アンケートでは、「治安が悪くなった」が67.1%となり、体感治安も悪化しています。また、最近、世間を震撼させる強盗事件など、犯罪も凶悪化しており、こうした命に関わる凶悪犯罪を未然に防ぐ対策は急務であります。

 我々自由民主党議員団は、治安対策として、防犯カメラの設置拡充と普及のためのランニングコストの助成、また空白地区を把握するためのマッピングを含めた各部署にまたがる設置状況の一元管理と空白エリアへの対策、さらには、交差点における区による防犯カメラの設置を強く要望し、実現できたことは一定の成果だと認識しております。

 しかしながら、先ほど申し上げたとおり、最近の凶悪事件、強盗事件等の発生が多発し、区民は非常な不安を抱えております。

 そこで、改めて防犯カメラのさらなる設置拡充についてお聞きしたいと思います。

 区内の防犯カメラは、町会や商店街だけでなく、区が設置する交差点防犯カメラ、公園や通学路カメラ等があり、それらの設置場所は防災危機管理課で把握をし、防犯カメラの空白地帯は少なくなっていると認識しています。現状はどのようになっているのでしょうか。

 区内での防犯カメラの設置が進んだことにより、犯罪認知件数の減少など数字で明らかになっているものはあるのでしょうか。

 住宅地域に空白地域がいまだ存在していると想像できますが、こうした空白地区について、早急に防犯カメラの設置をすべきと考えます。併せて、設置が進んでいる地域においても、再度警察等関係機関と協議を進め、検挙に有効であり、それが結果的に防犯体制の強化につながるように、防犯カメラの設置拡充を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 防犯カメラの設置拡充については、特に住宅地においては、行政だけでなく、住民自身も積極的に取り組み、地域全体の防犯体制の構築をすることが理想であります。昨今の凶悪犯罪事件についてのマスコミ報道によって、住民の防犯、自己防衛策への意識が高まり、防犯機器設置への関心につながっています。住民自ら防犯カメラなどの防犯機器設置が進めば、行政による防犯カメラ設置拡充と併せて、より効果的な犯罪抑止につながると考えます。

 他区においては、荒川区、港区など、区独自で防犯対策の補助金を出している自治体もあるようですが、中野区として、新たな助成制度の設立を早急に行うべきと考えますが、区の見解をお示しください。

 次に、情報セキュリティについて伺います。

 先ほど申し上げた高齢者を狙った特殊詐欺や凶悪犯罪には、名簿の存在が確認されています。何らかの手だてで違法に入手した個人情報が流通し、名寄せを行われ、ターゲットにされているとの報道もあります。

 そこで、個人情報について幾つかお聞きします。

 昨今、高齢者をターゲットにした凶悪犯罪が増えています。昨年には、区が条例に基づき、野方消防署に提供した見守り対象者名簿の一部、個人情報の漏洩があり、報道でも大きく取り上げられました。この事件を区としてどう考え、対応策をどうしているのか、お示しください。

 個人情報の漏洩により、区民の安全・安心な生活が損なわれないよう、区として具体的にどのような個人情報保護の対策を考えているのでしょうか。

 また、令和5年4月1日に個人情報の保護に関する法律が施行されることにより、区民の生活はどのように守られるのか、教えてください。

 昨今の凶悪事件は、事の重大性、また、全国各所で起きている凶悪な犯罪に何らかの方法によってひも付けされて作成された個人情報が存在することに関して、多くの区民が不安を抱えていることを考えますと、区の対応策や個人情報のセキュリティについての区の取組をしっかり区民に周知、広報すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 4番目、幼児教育のさらなる充実についてお聞きします。

 子育て先進区を標榜する区長の施政方針説明で、幼児教育の重要性とその施策について全く言及がなかったことは大変残念でなりません。中野区の幼児教育の施策展開に中野区私立幼稚園が深く関わり、協働して取り組んできたことは、質疑の都度申し上げてきました。幼児教育の環境を充実することは必須だと考えます。

 私立幼稚園では、幼児教育振興のため、教育時間外にお子さんをお預かりする預かり保育を進めてきました。また、平成27年4月に創設された子ども・子育て新制度では、幼稚園型一時預かり事業が創設されたこともあり、私立幼稚園はさらに一層預かり保育を充実させてきたところであります。

 そこでお聞きします。区内には18の私立幼稚園がありますが、預かり保育及び幼稚園型一時預かり事業を行っている幼稚園は何園あるのでしょうか。

 また、今後、区は預かり保育を充実させていく予定はあるのでしょうか。

 私立幼稚園は幼児教育充実のため、預かり保育の推進に努めていますが、残念ながら、様々な事情から、預かり保育を行うことができない園もあります。また、預かり保育の時間は、保育園の保育の時間より短いことが多く、共働き家庭の場合、時間的な制限から幼稚園に通わせたくても通わせることができない可能性もあります。現在、預かり保育を行っている園では、朝は早ければ8時から、夕方は遅いところでは18時まで園児をお預かりしており、各私立幼稚園においては様々自助努力を行っています。

 ただ、預かり保育を行っていない園もあり、共働きの家庭では利用は難しい状況ではないかと考えます。また、幼稚園としても利用者数が見込めない中、早朝から夕方まで預かり保育を行う体制を整備することは難しいと思われます。

 千葉県松戸市では、送迎保育ステーションを設置する事業を行っており、先日視察をしてまいりました。そこでは、幼稚園を利用する園児についても、朝7時から19時までと、土曜日の保育が確保されています。中野区も子育て先進区として幼児教育を受けさせたいと考える保護者の視点に立ち、共働きの夫婦に、保育園だけでなく、幼稚園という選択肢を用意することが必要なのではないでしょうか。

 区は、待機児童ゼロを達成し、今後は少子化の進行により、保育園に空きが生まれてしまう状況が懸念されています。

 そこでお聞きします。区立保育園の空き定員を利用して行っている一時保育を拡充し、幼稚園への通園を希望する園児について、朝と夕方は保育園でお預かりし、日中は幼稚園に通園するために送迎を行うなど、土曜日も含めて、幼稚園と保育園が連携することにより、幼稚園児に対しても、保育園児同様の保育を確保し、保護者に様々な選択肢を用意するような取組を進めるべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 最後に、ユニバーサルデザインの具体的展開についてお聞きします。

 高齢者や障害をお持ちの方が、何をするにも介護者に依存しなければできないのではなく、自分のやりたいことが、誰でもいつでも自分自身で安全にできる、こうしたことを進めるのがユニバーサルデザインの理念だと思います。

 ユニバーサルデザインを実効性あるものにするポイントとして、企画段階から、また整備するときから取り組むということがあります。完成後の改修では膨大なコストがかかった挙げ句、不具合が生じ、結果、利用されない施設になってしまうこともあります。また、具体的整備の前に、ユニバーサルデザインに知見のある専門家による検証を受けることで、計画に反映させ、より効果のあるものとする。また、事後の検証において、さらに次に生かすスパイラルアップの仕組みを構築することが必須です。2020オリンピック・パラリンピックのときにも、この仕組みが展開されました。

 新庁舎では、最先端のユニバーサルデザインの思想を取り入れた整備を目指すのは当然のことであるから、ユニバーサルデザインの具体的展開について伺います。

 トイレ、エレベーター、サイン計画、点字ブロック、身障者用駐車スペースなど、具体的に取り組む内容のうち、トイレ、多機能トイレについて伺います。

 昨今の多機能トイレは、多くの機能を詰め込み過ぎている上に、様々な利用者で混雑していることも多いと聞いています。その結果、本来使うべき人が使えない状況となっています。

 国土交通省は、今後のトイレ整備の方向性として、一般の利用者のマナー向上と、多機能トイレの機能分散、トイレ空間の充実を示しています。一般的なトイレについて、個室ブースの間仕切りの位置を調整し、個室面積を広くすることにより、車椅子利用者やベビーカー利用者の方も、多機能トイレでなくても利用できるよう、新庁舎では対応すべきと考えますが、区の見解を教えてください。

 事前チェックについて。

 先ほど申し上げたように、具体的ユニバーサルデザインを展開していくためには、コストをかけて、知見のある方に図面や現場を見てもらい、事前チェックを受ける仕組みと、事後チェックにより、さらに有効なユニバーサルデザインを進めるスパイラルアップの展開を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 商店街での心のバリアフリー計画の取組についてお聞きします。

 心のバリアフリーとは、様々な心身の特性や考え方を持つ全ての人々が相互に理解を深めようとするコミュニケーションを取り、一人ひとりが具体的な行動を起こし、支え合うことであります。心のバリアフリー理念を具体的に展開した事例に、ココロのバリアフリー計画というものがあります。民間商業レベルで賛同する店舗同士が、スロープなど資機材を融通し合って、ユニバーサルデザインを実践している活動であります。

 バリアフリーは進んできました。しかし、例えば商業店舗については、車椅子や障害があると、まだまだ行けない店、入れない、断られる店がたくさんあります。店をバリアフリーにするのは、コストがかかるので経済的に難しい。でも、一、二段の段差であれば、店員が手伝うので、車椅子や障害のある方も近隣店舗同士が連携してヘルプをするのでウエルカムですよという考え方で取り組んでいます。賛同店舗が分かるウェブサイトも立ち上がっており、集客にも貢献しています。

 中野区でも、ココロのバリアフリー計画により、サポートを実践する店舗が増え、障害があっても、高齢者でも、ベビーカーでも気軽に使える優しい店が広がれば、地域商店街の活性化につながり、すばらしいユニバーサルデザインの先進区になるのではないでしょうか。

 お聞きします。駅周辺の開発などを契機として、やがて区内全域へ展開していけるよう、区が地域や商店街と連携を取り、積極的にアドバイスや情報提供を行い、商店街がそうした取組を行うことで、商店街自身のイメージアップにもつながり、地域活性化にもつながっていくと考えますが、こうした取組についてどうお考えでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋かずちか議員の御質問にお答えいたします。

 初めに構造改革についてでございます。構造改革は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を踏まえ、令和2年度事業の見直しや、令和3年度から3か年に及ぶ構造改革実行プログラムを策定し、取組を進めてきたところであります。長中期的な課題の解決に向けた施策、施設、組織の再編に着手をし、今後も区政運営の中で取組を継続することによって、行政サービスの改善や業務効率化といった成果につなげていく考えでございます。構造改革につきましては、実行プログラムの計画期間である令和5年度末の状況を踏まえて総括をしたいと考えております。

 続きまして、ビルド・アンド・スクラップについてでございます。令和5年度の予算編成において重点事項として掲げた5項目につきましては、既存事業の統合再編、見直し等の事業のスクラップにより財源を生み出すというより、区政課題への対応のために優先的に取り組み、財源を配分していくという位置付けで進めてきたところであります。重点事項につきましても、他の事業と同様、客観的なデータ等に基づき、事業効果や効率的な事業手法、事業実施に伴うリスク、後年度負担を踏まえた持続可能性や、関連事業の見直しの可能性などを十分に検討し予算計上をしております。

 次に、重点プロジェクト事業に関わる休止廃止事業の説明についてでございます。新規拡充事業を検討する際は、既存事業の見直し等と一体的に議論するビルド・アンド・スクラップにより進めることが基本であると考えております。一方で、区政課題を解決するため、施策に優先度をつけ、限られた経営資源を優先的に配分していくことも必要と考えております。重点プロジェクトに掲げる事業を実施する際に、全ての事業についてビルド・アンド・スクラップの組合せを示すことは難しいと思いますが、その事業を実施することによる効果の見える化など、説明の仕方については工夫をしてまいります。

 次に、地域包括ケア体制の実現について、包括的相談支援体制についてでございます。各すこやか福祉センターの相談機能を強化するため、本庁に基幹機能を担当する所管を設け、事務事業の効率化、計画調整機能の集約化を図ります。また、すこやか福祉センターと区民活動センターの機能や役割を整理し、ケースワーク、アウトリーチ型支援の強化を図ります。同時に、職員の継続的な相談支援や関係機関、社会資源のコーディネート能力を高めるため、人材育成プログラムを併せて実施をいたします。

 次に、地域づくりに向けた取組です。既存の地域活動団体の課題は、メンバーの減少や高齢化、新型コロナウイルス感染症の影響による活動の停止、活動場所の確保などと認識をしております。一方、子ども食堂などテーマ別活動の新規立ち上げの機運も高まっておりまして、既存団体、新規団体、それぞれに対応する支援が必要であります。地域における公益活動の活性化に向けた取組として、区民活動センターにおける中間支援組織と連携した伴走的支援の強化や、誰もが利用しやすいウェブアプリケーションの導入による活動情報の発信、スタートアップ期から活用できる広域活動助成制度への改善、利用しやすい政策助成制度の見直しを考えております。

 次に、基盤づくりについてでございます。行政のみでは解決困難な課題に対応するため、民間企業や団体などの知見を活用できるよう、産官学共同コンソーシアムを整備をいたします。また、支援が必要な人だけでなく、支援する人、団体などに対しても、それぞれに効果的な広報活動を行い、理念を周知していくことで、支援する側を増やし、オール中野で相談しやすい環境づくりを進めます。

 続きまして、エリアマネジメントについて。

 初めに、中野駅周辺エリアマネジメント協議会における区の関与についてでございます。中野駅周辺エリアマネジメント協議会は、市街地再開発事業等によって新たに生まれる各開発地区間や新旧のまちづくりの担い手、官と民をつなぐプラットフォームとして発足し、まちの機能や価値を持続的に維持向上させ、ブランド力を創出、強化することを目的としております。令和4年度は協議会として、まちの将来像、その実現に向けた取組アイデア等について議論を行ってまいりました。今後は、将来像の実現に向けた施策やその役割分担について議論を深めていく必要があると考えております。令和5年度も、区は構成員及び事務局としてアクションプランの検討など、協議会の運営を支援していく予定でございます。

 次に、中野駅周辺整備における区の関わりについてであります。中野駅周辺では、中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3などで示したまちの将来像の実現に向けて、新たな活力とにぎわいのシンボルとなる先進的なまちづくりが進められております。今後もまちづくり施策を進める立場として、市街地開発事業や都市基盤の整備等、ハードのまちづくりの着実な推進を図っていくとともに、地権者という立場として、まちのブランディング、シティプロモーション活動の強化など、ソフトの取組を総合的に推進してまいります。

 次に、エリアマネジメントに係る区の考え方についてでございます。エリアマネジメントとは、地域における良好な環境や地域の価値を維持向上させるための住民、事業主、地権者等による主体的な取組であると認識をしております。民間主導のエリアマネジメント活動を推進するには、人材や資金のほか、様々な活動を展開できる空間確保もありますが、公共空間の活用には法的制約等が存在していることから、運用ルールの確立など、行政として適切な支援が必要です。エリアマネジメント活動の初動期において、区は協議会の事務局も担っておりますが、その後は協議会に参加する民間団体に移行するなど、まちづくりの進捗に応じてふさわしい関与を持ち、中野駅周辺のまちの機能や価値の持続的な維持向上を目指してまいります。

 次に、中野駅新北口駅前エリア再整備における展望フロアについてでございます。中野駅新北口駅前エリア再整備における展望フロアについては、区民が楽しめ、来街者を呼び込むシンボル空間となるよう、施設計画や所有運営の在り方を施行予定者と協議してきたところであります。展望フロアは、民間所有では収益性に問題もあり、区が権利床として取得し、民間が運営することで、魅力的かつ採算の取れる空間を創出できると考えております。所有と運営を分離し、リスクを抑えたスキームを検討してまいります。

 次に、商工会館跡地の活用について。商工会館跡地活用事業についてでございます。この商工会館跡地活用事業につきましては、民間事業者募集手続を停止後、近隣の町会や商店街と複数回にわたって意見交換を行ってきました。主な御意見としては、新産業振興施設に対して地域貢献等に資する機能の導入や、高層建築物に対する反対等の御意見を伺ったところであります。今後の進め方につきましては、地域や商店街、議会からの御意見を踏まえ、効果的な跡地活用を図るために、当初スキームからの変更も視野に再検討を行っているところであります。

 次に、新産業振興施設の機能についてであります。経営環境が目まぐるしく変化する中では、資金調達や人材確保、販路拡大などの支援メニューのほか、ビジネスサポートのトータルデザインを描いた上で、支援策を提供していくことが重要であると考えております。新産業振興施設においては、その点を踏まえ、新たな機能として、個店や創業に向けた伴走型支援を行う(仮称)中野ビジネスサポートセンターや、区内事業者のネットワーキング支援などを検討しているところであります。

 次に、新型コロナウイルス感染症の2類から5類への分類の変更について。

 まず、変更点についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けの変更によって、感染症法に基づく行動制限を伴う入院等の措置の終了や、患者が幅広い医療機関を受診できるようになること、治療や入院に要する医療費に自己負担が発生する可能性があること、サーベイランスについては、定点医療機関による発生動向把握に移行することなどの方針が示されております。

 次に、5類への変更後の入院調整の役割についてです。これまでは原則として患者に入院の勧告を行い、入院治療をしていたため、保健所は各患者の発生届に基づく患者のトリアージを行い、指定医療機関への入院調整を行っておりました。5類に引き下げられる場合には、発生届はなくなり、勧告入院の措置は終了することになりますが、現時点で今後の入院調整の在り方は示されておりません。

 次に、医療体制の懸念及び医療機関に対する財政支援についてです。5類への移行によって、これまでの指定医療機関による治療入院という制限がなくなり、幅広い医療機関での診療が可能となりますが、これまでに新型コロナウイルス感染症の患者を診療してこなかった医療機関が移行日をもって速やかに診療を開始できるのか、課題があるものと考えております。医療機関への財政支援については、国や都が様々な形で実施しておりますが、今後の財政支援については、現時点では示されておりません。

 次に、高齢者施設等の影響についてでございます。国は、5類への移行後についても、重症化のハイリスクを抱える高齢者や障害者施設などにおける感染拡大を防ぐ方針を示していることから、感染拡大防止に向けた支援を継続していくことで、感染管理上の影響は最小限に抑えられるものと考えております。

 次に、医療機関との連携についてです。これまでも中野区医師会等と適時に情報交換や協議を重ね、連携をしてまいりました。今後も新たな新型コロナウイルス感染症の対応についても、引き続き連携の強化を図ってまいります。

 続きまして、地域の安全・安心についてで、区民、高齢者の情報セキュリティについてでございます。

 初めに、消防署の個人情報の漏洩に対する区の対応です。野方消防署の個人情報の漏えい案件については大変遺憾でございまして、区としても重く受け止めております。区は、漏えいの可能性がある名簿掲載者に対し、詐欺被害等への注意喚起や問合せ専用コールセンターの設置など、迅速に対応してきたところであります。また、再発防止対策として見守り対象者名簿を提供している関係機関に対し、個人情報の適正管理について依頼を行うとともに、区内警察署、消防署の名簿管理状況の把握もいたしました。今回の事件を機に、地域の見守り支えあい活動が停滞することのないよう、個人情報管理を徹底した上で、引き続き関係機関、団体と連携した見守り支えあい活動を推進してまいります。

 次に、個人情報の具体的なセキュリティ対策についてでございます。区では個人情報を中野区情報安全対策基本方針及び同対策基準から成る情報セキュリティポリシーにおいて、特に守るべきものと位置付けております。具体的には、施錠できる場所での保管、持ち出し運搬時における不正利用防止や複製禁止、さらには廃棄の際には復元不可能となる措置等を講ずること等を定めた上で実施をしております。引き続き、ISO27001の認証に係る毎年度の全庁を対象とした監査や、全職員を対象とした研修など、PDCAサイクルによって継続的なセキュリティ対策を行ってまいります。

 次に、改正個人情報保護法施行の影響についてです。本年4月1日の改正個人情報保護法の施行により、全国自治体の個人情報保護制度はこの法律の定めに従うこととなりますが、区における具体的な策としては、今後とも情報セキュリティポリシーによって厳格に保護してまいります。

 また、改正法では、自治体が1,000人以上の個人情報を収集する場合、新たに個人情報ファイル簿に記載し管理することになりましたが、本区ではさらに徹底をし、1,000人未満の個人情報も管理の対象とするなど、区民の個人情報保護に万全を期してまいります。

 最後に、個人情報保護に関する区の取組についての周知でございます。区における個人情報保護の取組につきましては、区民が不安に感じることのないよう、今回の法施行や、今定例会で議案を提出する予定の法律施行条例の内容も踏まえ、ホームページ等を活用して丁寧な説明を行ってまいります。

〔防災危機管理担当部長石崎公一登壇〕

○防災危機管理担当部長(石崎公一) 私からは、地域の安全・安心についてのうち、防犯カメラの設置拡充についてお答えします。

 まず初めに、防犯カメラの空白地帯についてでございます。区内の防犯カメラ設置状況は、区民の防犯意識の高まりに伴い、増加傾向にあり、多くの町会、商店街等で助成金制度を活用した防犯カメラを設置しているところでございます。また、区でも交差点、公園、通学路等に犯罪の予防等を目的とした防犯カメラを設置しており、空白地帯は減少しているものと認識してございます。

 次に、防犯カメラ設置による効果についてでございます。令和4年中の区内の刑法犯認知件数は明らかとなっていない状況でございますが、町会や商店街等に対する防犯カメラの設置助成を始めた平成20年に5,042件であった区内の刑法犯認知件数は、令和3年には1,843件にまで減少するなど、着実に効果は表れていると認識してございます。

 次に、防犯カメラの設置拡充についてでございます。防犯カメラについては、今後も警察等の関係機関と連携を図りながら、各町会等に向けて、犯罪の抑止効果等を周知するほか、きめ細かな相談対応により、一層の設置拡充に取り組みたいと考えてございます。

 最後に、新たな設置助成制度の設立についてでございます。区内は依然として特殊詐欺の被害が多く、自動通話録音機の貸与事業を中心に防犯対策を推進しており、直ちに個人宅への防犯設備の助成制度を設立を予定しているところはございません。今後、区内における侵入窃盗や強盗事件の多発など、犯罪状況の変化があれば検討をしてまいりたいと考えてございます。

〔子ども教育部長濵口求登壇〕

○子ども教育部長(濵口求) 私からは、幼児教育のさらなる充実についてのうち、まず預かり保育の推進についてでございます。区内にある18の私立幼稚園のうち、13園が預かり保育を、4園が幼稚園型一時預かり事業を行っております。預かり保育については、令和5年度に保育時間や日数を増やした園に対する補助を増額することにより、各園の預かり保育の取組への充実を推進していくと考えてございます。

 次に、一時保育の拡充についてでございます。区では、私立幼稚園に通園する園児について預かり保育を拡充推進することによりまして、保育を確保したいと考えております。区立保育園においては、ほとんど定員に空きがない状況であり、また送迎に必要な人員をどのように確保するかなど、多くの課題がございます。こうした課題はございますが、保護者の選択肢を増やす取組について、今後研究してまいります。

〔DX推進室長滝瀬裕之登壇〕

○DX推進室長(滝瀬裕之) 私からは、ユニバーサルデザインの具体的展開について。まず、新庁舎のトイレについてでございます。新庁舎の多機能トイレは、現庁舎の3か所から各階ごとの12か所とすることとし、これとは別に、親子トイレを1か所、授乳室おむつ替えスペースを2か所設置することとしてございます。こうして多機能トイレの大幅な増設に加え、様々な機能の拡充や分散などにより、多機能トイレに利用が集中しないようにすることで、利用者の利便向上に資するよう取組を進めているところでございます。

 一般トイレの間仕切りの調整による個室面積の拡張につきましては、個室数の減少につながることから現時点では考えてございませんが、新庁舎開設後の利用状況などを踏まえ、適切な対応を図ってまいります。

 次に、ユニバーサルデザインのチェックの仕組みについてでございます。新庁舎の設計段階から関連の法令や都立建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインなどに基づいて整備を進めており、適正な水準は満たしているものと認識してございます。御案内の事前、事後のチェックにつきましては、内容や方法などを含めまして今後検討してまいります。

〔文化・産業振興担当部長高橋昭彦登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高橋昭彦) ユニバーサルデザインの具体的な展開についての御質問のうち、商店街における心のバリアフリーの推進についてお答えいたします。

 商店街は、地域のコミュニティの核であり、そこでの心のバリアフリーへの具体的な行動に取り組むこと、それはとても意義があることだと思います。区の商店街では、現在も認知症サポーター養成講座を積極的に受講するなど、いわゆる心のバリアフリーに類する取組も行っていただいております。今後、区からも情報提供をするなどして商店街の取組を支援してまいりたい、そのように考えてございます。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○23番(高橋かずちか) 二つ再質問させていただきます。

 一つは、今ユニバーサルデザインの新庁舎のトイレの件ですけども、多機能トイレはそれぞれに展開していくと、これは当たり前の話であって、その分散化について聞きました。で、通常の個室を減らせという話ではなくて、間仕切りを工夫することによって、居室の空間が広がって、そこで車椅子の方が利用できる、そういう展開を工夫してやっていけという話であります。

 それと、防犯カメラについて、補助金、助成をするので防犯抑止、展開したらどうかって話があったんですけど、答弁で、その事案が起きてから考えるような趣旨の言い回しだったと思うんですけど、そもそも防犯カメラの設置拡充をしたのは、検挙するためでもあるけども、それよりも犯罪抑止という面で、何か起きる前にやったことによって治安を確保していこうと、こういう趣旨での質問なので、事件が起きてから考える旨の趣旨というのはちょっと違うんじゃないかということで、その辺の見解をお示しください。

〔DX推進室長滝瀬裕之登壇〕

○DX推進室長(滝瀬裕之) 高橋議員の再質問にお答えいたします。

 新庁舎のトイレでございます。多機能トイレにつきましては、これは大幅な増設をするということもございます。一般トイレの間仕切りの調整につきましては、個室の数の減少につながるといったおそれもあるので、現時点では考えてございませんが、新庁舎開設後の利用状況を踏まえて、適切な対応を図っていきたいと考えております。

〔防災危機管理担当部長石崎公一登壇〕

○防災危機管理担当部長(石崎公一) 高橋議員の再質問にお答えいたします。

 新たな助成制度の設立について、犯罪が起きてからでは遅いんじゃないかという再質問だというふうに認識してございます。現在の犯罪につきましては、特殊詐欺の被害が多いという現状でございます。侵入窃盗や強盗事件については、ごく少数発生しているところでございます。今後の新たな助成制度につきましては、犯罪状況の発生状況をきちんと把握しながら、それに適した助成制度というものを設立したいというふうに考えてございまして、発生状況等の状況を的確に判断してまいりたいというふうに考えてございます。

○議長(内川和久) 以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後2時22分休憩

 

午後2時22分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 

 中野区議会議員 久 保 り か

 1 区長の施政方針について

  (1)物価高騰・経済対策について

  (2)中野駅周辺・西武新宿線沿線まちづくりについて

  (3)教育相談体制の充実について

  (4)健康づくりについて

 2 鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについて

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、久保りか議員。

〔久保りか議員登壇〕

○37番(久保りか) 令和5年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問に先立ち、トルコ・シリア大地震により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。

 質問は、一部順番を入れ替え、2番の鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについては、1番の施政方針説明の中でお聞きします。

 初めに、区長の施政方針説明について伺います。

 物価高騰経済対策について伺います。

 施政方針では、物価高騰経済対策について、区民生活にどのような影響を及ぼしていくかを見極め、必要に応じて機動的に対策を講じていくことが必要であると考えていますと述べられています。必要に応じて、いかに機動的に対策を講じるのか、具体的に示す必要があるのではないかと考えます。御見解を伺います。

 この間、給食食材の高騰が直接給食費の値上げにつながることのないよう、我が会派として対策を求め、その結果、給食の牛乳代助成が行われました。この対策が継続されることは評価をしています。一方、23区では、学校給食の無償化に向けた動きが加速化しています。他の自治体の動きについて、区長はどこまで把握し、どう認識されているのでしょうか。区立学校の給食費無償化へ踏み出すべきと考えますが、区長のお考えを伺います。

 公明党議員団として、物価高騰の影響を受けた区民の方への生活応援及び地域経済の活性化のため、キャッシュレス決済によるポイント還元キャンペーンなどの実施を一貫して求めてきました。区は、令和5年度にも商店街キャッシュレス普及キャンペーン事業を実施するとしています。その際、キャッシュレス還元キャンペーンを同時進行で進めていく必要があるのではないかと考えます。これまでのキャンペーンの効果と今後の取組について御見解を伺います。

 次に、中野駅周辺西武新宿線沿線まちづくりについて伺います。

 初めに、中野駅周辺まちづくりについて伺います。

 中野駅周辺エリアマネジメントを推進するため、民間主体の中野駅周辺エリアマネジメント協議会の運営などを支援しますと述べられています。現在、中野駅周辺エリアマネジメント推進業務委託が応募されているところです。令和5年度当初予算の概要には、中野駅周辺エリアマネジメントビジョンの推進として、中野駅周辺エリアマネジメントを推進するため、中野駅周辺エリアマネジメント協議会の運営及び中野駅周辺エリアマネジメントビジョンに基づく具体的方策を検討しますと説明されています。区が事務局を担い、業務委託し、作成したエリアマネジメントビジョンは、あくまで協議会内で作成されたビジョンとのことですが、行政計画ではないのか、判断が難しい状況にあります。さらにビジョンに基づくアクションプランを作成し、具体的な事業を展開するのであれば、それは行政計画とすべきではないでしょうか。

 エリアマネジメント協議会の立ち上げ前の中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会報告では、エリアマネジメントの取組ステップとして、ステップ1、エリアマネジメント準備初動期では、協議会設立、ビジョン策定、ステップ2では、ビジョンに基づく事業展開、構成員の拡大、ステップ3では、2030年の再整備事業の完了以降は、法人組織の設立、収益事業の実施と示されています。

 私は、民と官をつなぐプラットフォームの構築については、災害時の協力体制やシティプロモーションを横展開する際にも重要であり、関係団体が同じテーブルで意見交換が行える、円卓テーブルのようなものが必要であると考えています。また、具体的にエリアマネジメントを推進する際、民間主導の組織体が立ち上げられ、区は補助金という形で財政的支援を行うのが望ましいとも考えます。協議会の組織が構成され、走り出すまでの間、区が事務局として組織を支えることは理解ができますが、その後は段階的に運営体制を変更し、区が事務局を退くことが望ましいのではないでしょうか。

 協議会の在り方、また今後作成されるエリアマネジメントアクションプランの位置付けを明確にするためにも、ビジョン策定後に一度立ち止まり、協議会組織の再構築も含め、課題を整理する必要があるのではないかと考えます。エリアマネジメント協議会の位置付けと、中野区のエリアマネジメントの推進について、区長のお考えを伺います。

 次に、西武新宿線まちづくりについて伺います。

 野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりでは、連続立体交差化の早期実現を目指し、各駅周辺まちづくり、駅周辺の拠点づくり及び基盤計画の検討を進めますとのことです。野方以西の連続立体交差の構造形式について、これまで高架化が優位性があるとの答弁が繰り返されています。区長は、野方1号踏切も含め、連続立体交差事業を進めるとの意思を示されていますが、すなわち連続立体交差事業の構造形式は高架化以外にあり得ないことを示しているのではないでしょうか。

 連続立体交差事業の構造形式を決定し、事業を進めていくのは東京都であることは承知をしていますが、構造形式に対する区長の認識を改めて伺います。

 また、中井-野方駅間の連続立体交差事業が完了する前には、野方以西の事業化が決定されるべきであると考えます。開かずの踏切解消のための連続立体交差化計画の早期事業化をいつまでに目指すのか、区長の御決意を伺います。

 2番の鷺ノ宮駅周辺まちづくりについても、併せてこの項で伺います。

 鷺ノ宮駅周辺は、西武新宿線の連続立体交差事業、妙正寺川、中杉通り補助133号線といった東京都所管の課題が多く、鷺宮公社西住宅の建て替えについても課題があることから、まちづくりを進める上で、東京都と連携を図ることが必須であることは、これまで度々申し上げてきました。公社住宅の建て替えの課題も含め、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについて、東京都や関係機関と協議する場を改めて設け、その上で妙正寺川沿いの区有施設の利活用と、公社西住宅一帯の再整備についても具体的な計画を示すべきと考えます。区の見解を求めます。

 次に、教育相談体制の充実について伺います。

 子どもたちが学校生活に関わる問題などを相談しやすい体制を充実するとともに、児童・生徒一人ひとりに必要な支援を行うため、スクールソーシャルワーカーの体制を整備しますとのことです。様々な学校現場での課題に対応できるための体制が整備されることが重要であり、スクールソーシャルワーカーの体制整備について評価をしています。

 同時に、多様な学校現場の課題に取り組むための教員の負担は大きく、メンタル面の不調も目立っています。教員のメンタル面でのサポートは急務であると考えます。学校任せにせず、教員の悩みを聞き、支える体制を強化すべきではないでしょうか。教育委員会の見解を求めます。

 増加している不登校傾向の児童・生徒に対応したGIGAスクールの充実などをこれまでも求めてきました。学校には行きづらくとも、授業を受けたいと望んでいる児童・生徒は数多くいます。また、フリーステップなどにも様々な事情を抱え、行くことのできない児童・生徒もいます。子どもたちの学ぶ権利を奪ってはいけません。教育相談を充実するとともに、コロナ禍で進められたオンライン授業についても、不登校傾向の児童・生徒の状況に配慮し、積極的に活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 また、区内4か所の教育支援室、フリーステップルームについては、利用者が増加傾向にある一方で、北部については利用者が少ない状況であると聞きます。通級の利便性を考え、北部については、さらに北西部に開設することを検討すべきではないでしょうか。

 さらに、スポーツや音楽、美術などの学習機会も充実するために、フリーステップルームの機能の充実を図るべきと考えます。今後のフリーステップルームの充実について、教育委員会の見解を求めます。

 次に、健康づくりについて伺います。

 食育の一環として、子どもから高齢者までの各ライフステージに合わせた食育リーフレットを作成し、関係各課や関係機関と連携して、健康的な食習慣などについて講座などを実施しますとも述べられています。

 国の食育推進基本計画には、食育を国民運動として推進していくためには、全国各地でその取組が推進されることが必要であり、食育基本法においては、都道府県及び市町村に対して、食育推進計画を作成するよう努めることを求めている。いまだに食育推進計画が作成されていない市町村があることから、引き続き食育推進計画を作成、実施している市町村の割合を100%とすることを目指すと示されています。東京都では既に79%以上の市町村が作成済みとのことですが、中野区食育推進計画は、いまだ策定されていません。食育に関する事業を進めるのであれば、区の計画を示すべきではないでしょうか。食育推進計画策定に関する区の見解を求めます。

 食べることは生きることであり、食を通して区民の健康をいかに考えるのかは非常に重要です。中野区では、フリー活動栄養士会が専門家集団として、これまで離乳食からフレイル予防など、各ライフステージに合わせた中野の食育をリードしてきてくれています。こうした専門家の力も借りながら、食育推進計画の策定や区民に食育を広める活動を推進すべきではないでしょうか。お考えを伺います。

 その他で2点伺います。

 初めに、区立公園の犬の同行入園について伺います。

 昨年の予算特別委員会でも公園の犬の同行入園について質問をさせていただきました。公園ルールに関する意識調査では、公園への犬の連れ込みに関して、「公園ごとに考えるべき」が一番多く、犬を飼っている人の意見としては、「全公園で認めるべき」が最も多い結果となっていたことから、利用ルールを定め、一定規模の公園から犬の動向入園を試験的に行うことを求めました。その際の答弁は、現在、大規模公園を中心に園路において犬の散歩ができることとしているところです。中規模公園の再整備におきましては、ワークショップやオープンハウスなどにより、地域住民や公園利用者の意見を踏まえながら、適切な利用ルールなどの検討を行ってまいりたいと考えているとお答えになっています。

 ちなみに、この質問の私の指摘により、「犬の連れ込み」との表現を「犬の散歩ができる」などに文言を改めていただくことになりました。1年が経過しましたが、適切な利用ルールの検討は進められたのでしょうか。また、地域の要望があった場合、公園ごとに犬の散歩ができることを認めるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、医療的ケアを必要とする人の通所施設送迎バスへの看護師同乗について伺います。

 先日、この春から通所施設を利用する医療的ケアを必要とするお子さんを持つ保護者の方から御相談を受けました。現在、中野区障害福祉会館、こぶし園の送迎バスには、看護師の同乗がされていないことから、利用者の状況によっては介護ヘルパーを頼んで同乗してもらう、または保護者が同乗することになっています。

 医療的ケア児の特別支援学校通学時の送迎バス看護師同乗については、保護者の方から要望があり、都議会公明党が推進してきた経緯があります。その生徒たちが卒業し、通所施設を利用する際には、当然同様のことが求められます。区として、医療的ケアが必要な方の通所施設送迎バスの看護師同乗について前向きに検討し、看護師の確保も含め、送迎バスの看護師同乗に取り組むべきと考えます。御見解をお聞きします。

 以上を伺って、全ての私の質問を終わります。御清聴、大変にありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 久保議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、物価高騰経済対策について。具体的な物価高騰経済対策についてでございます。昨年来からの原油価格・物価高騰等は、最近の物価指数が示すとおり、家計の負担や事業活動等に影響を及ぼしている状況は認識をしております。現時点で具体的な対策はございませんが、これまでも生活に困窮している方々のニーズや、区内事業者に対してヒアリングを行うなど、状況把握に努めてきたところでありまして、事態に応じて素早く対処できるよう対策を講じていく考えでございます。

 次に、学校給食費の無償化についてでございます。23区の給食費無償化については、関係課長会を通しながら適宜取組状況把握をし、実施方法や課題について情報共有をしているところであります。給食費の無償化につきましては、導入の手法と影響を精査しながら研究を進めているところであります。全ての子どもの学びを支えていくためには、現在のところ給食費無償化の実施よりも、区として優先的に取り組むべき課題があると考えております。

 次に、ポイント還元事業の効果と今後の取組についてです。区では、都の補助事業を活用したポイント還元事業を実施をし、令和3年度に約16億円、今年度の事業では約22億円の総決済金額となりまして、一定の消費喚起効果を上げてきたと考えております。ポイント還元事業につきましては、多額の経費を必要とすることから東京都や国の動向を注視しながら検討してまいります。

 次に、中野駅周辺西武新宿線沿線まちづくりについてで、エリアマネジメント協議会の位置付けと中野駅周辺エリアマネジメントの推進についてです。中野駅周辺エリアマネジメント協議会は、市街地再開発事業等によって新たに生まれる各開発地区間や新旧のまちづくりの担い手、官と民をつなぐプラットフォームとして発足し、まちの機能や価値を持続的に維持向上させ、ブランド力を創出強化することを目的としております。

 エリアマネジメントとは、地域における良好な環境や地域の価値を維持向上させるための住民、事業主、地権者等による主体的な取組と認識をしておりまして、また現在策定中のビジョンは、官民連携の取組方針として協議会で取りまとめるものであります。エリアマネジメント活動の初動期において、区は協議会の事務局も担っておりますが、その後は協議会に参加する民間団体へ移行するなど、まちづくりの進捗に応じてふさわしい関与を持ちながら、中野駅周辺エリアマネジメントを官民連携で推進してまいります。

 次に、西武新宿線の野方以西の構造形式についてでございます。野方1号踏切の除却は、まちづくりを進める上で重要な課題であると捉えております。なお、区が過年度に行った鉄道の立体化の検討におきまして、当該踏切を含めた本区間の構造形式は、高架形式が優位であると認識をしているところであります。

 次に、野方以西の連続立体交差化計画の事業化時期についてでございます。現在事業中の中井駅から野方駅間の連続立体交差事業から切れ目なく進められるよう、区としてスピード感をもって進めてまいります。

 次に、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについてでございます。鷺ノ宮駅周辺では様々な事業や計画がありまして、関係機関と緊密に連携を図っていくことが重要であります。まずは、関係機関との協力体制の構築に向けて調整をしてまいります。

 続きまして、健康づくりについて。食育推進計画についてでございます。区では、基本計画において健康的な生活習慣が身につく環境づくりの1施策として食育の推進を位置付けておりまして、その具体的な取組につきましては、スポーツ・健康づくり推進計画に記載しておりまして、これを食育推進計画に位置付けております。令和5年度はスポーツ・健康づくり推進計画を改定するため、食育の推進についてもより一層充実した内容としてまいります。

 最後に、専門家集団の力を借りた食育の推進でございます。令和5年度は中野区健康福祉審議会の委員の改選がありまして、新たに食育の専門家を委員として委嘱することを考えております。その中で、中野区フリー活動栄養士会からも委員の推薦を依頼する予定でございます。健康福祉審議会の議論の中で食育推進の計画の在り方についても検討を頂き、食育を広める活動にも専門家集団の力を借りながら、より一層効果的な食育の推進を図ってまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、教育相談体制の充実についての御質問にお答えをいたします。

 まず、教員の悩みを聞き、支える体制の強化についてです。これまでも教育委員会は、研修会や学校訪問の折などで教員の心身の状況を把握してきており、教員のサポートをするために支援員を学校に派遣するなど、支える体制づくりを行ってまいりました。また、長時間労働が確認された教員については、医師に面接指導を受ける機会を設けております。悩みを抱える教員が区の教育相談室の相談や校内のスクールカウンセラーなどに相談できる体制を整えておりますが、改めて区や都の相談窓口と併せて一覧表にまとめ、周知するなど、さらに相談しやすい体制を強化してまいります。

 次に、不登校児童・生徒の実態に合った支援体制の強化についてです。今年度、教育委員会で不登校児童・生徒一人ひとりの詳細な実態把握を行ってまいりましたが、現在学校への支援や関係機関とつながっていない子への支援など、支援の在り方や子どもたちの学ぶ機会について見直しをしているところでございます。

 オンライン授業につきましては、各学校が工夫して実施しており、登校できているが、教室で授業を受けられない子どもたちの学びの場として活用されております。今後さらに、子どもの状況やニーズに応じた配信方法の工夫が必要であると考えております。

 最後に、今後のフリーステップルームの分室の充実についてです。中野区の北側に住む不登校傾向の児童・生徒は、旧教育センター内にある中部分室を利用するケースが増えてきておりますが、北部分室や中部分室に通いづらい児童・生徒がいることは認識しております。また、フリーステップルームでは、他の施設を利用してのスポーツや陶芸体験などを行っておりまして、様々な学習や活動の機会をさらに充実させることは大変重要であると考えております。今後、安全に通ったり、活動をより充実させたりすることのできるフリーステップルーム分室の開室や整備について検討していく予定でございます。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、区立公園の犬の同行入園についての御質問にお答えをいたします。

 犬の散歩ができる公園は、遊具から一定程度離れている園路がある公園で、リードの着用等のルールを基本として、公園整備等の機会を捉えた、地域との話合いによって増やしてきたところでございます。現在、中野区公園再整備計画の取組として、大和公園の再整備を進めており、オープンハウスやワークショップ等により、犬の同行入園についての意見を聞いているところでございます。引き続き再整備に合わせて、地域の声に耳を傾けながら検討を行ってまいりたいと考えてございます。

 また、再整備をしている公園以外においても、広く地域の声を集約できる町会などから、犬の同行入園の要望がある場合には、ルールの見直しについて検討していきたいと考えてございます。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、医療的ケアを必要とする方の通所施設送迎バスの看護師同乗についてお答えをいたします。

 看護師の同乗につきましては、配置が難しい状況が続いておりまして、代替手段も含めまして、現在事業者や保護者の方と調整を進めているところでございます。今後、個々の必要に応じて看護師が同乗できる仕組みづくりや看護師の確保についても検討をしてまいります。

〔久保りか議員登壇〕

○37番(久保りか) 3点再質問をさせていただきます。

 初めに、区長に物価高騰経済対策についてお伺いをいたしました。必要に応じて機動的に対策を講じていく必要があるというふうに施政方針では言われていますが、今お伺いしたところ、具体的なものはなく、素早く対応するということではあります。しかし、この必要に応じてというのが、どういった場面を想定して区長が必要に応じてそれならば機動的に対応するのかというところが見えてまいりません。具体的にお示しを頂きたいと思います。

 次に、野方以西の連続立体交差事業、区長は、野方1号踏切も含め、連続立体交差事業を進めるとの意思を示されています。これは私は区長の意思そのものではないかと思っています。ということであるならば、これは連続立体交差事業の構造形式は高架化以外にはあり得ないということを指しています。そういった意味で、優位性があるというよりも、区がそういったことを考えてこれまで調査を行ってきたわけですから、連続立体交差事業のこの構造形式は高架化が望ましいというこの区長の意思そのものではないかということで認識を改めて伺ったところです。その点についてはっきりと御答弁をお願いしたいと思います。

 最後に、医療的ケアの方が通所をされる際の看護師のバス同乗について伺います。

 先ほど、今後という言葉がありましたが、この春から利用される方たちにとっては、大変切羽詰まった状況であります。この機会をしっかり的確に捉まえて、今後ということではなく、今回の機会にしっかり取組を示していただきたいと思います。

 以上、3点再質問をさせていただきます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 久保議員の再質問で、まず1点目、物価高騰経済対策についてで、必要に応じてというのが具体性がないということの御質問だというふうに捉えております。実際に、現在の物価高騰につきましては、全体的に影響を及ぼしているというふうに認識をしているところでございます。その中で、区民生活を維持するためにどこに注力するか、どこの範囲をカバーして対策を講じるか、そこも含めてしっかりと注視をしていかなきゃいけないということで、そこを見極めて、必要に応じて経済対策を講じていくという考えでございます。

 そして次が、野方以西の連続立体交差化の――野方以西の構造形式についての御質問でございます。私は1号踏切の除去については重要な課題だと認識しておりまして、これを前提とした場合には、高架形式が、区が決定するわけではございませんので、極めて優位な形式であるというふうに考えております。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 再質問にお答えをいたします。

 この春から利用できる方の通所の方法につきましては、臨時的に対応する方法も含めまして、現在、4月から通えるように調整を進めているところでございます。今後につきましては、きちんとした仕組みとして、どこの施設も使えるようなものを構築をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○議長(内川和久) 以上で久保りか議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後2時50分休憩

 

午後3時10分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 区長の政治姿勢と区政運営について

  (1)施政方針説明について

  (2)羽田空港新飛行ルートについて

  (3)区有施設の活用について

  (4)ハラスメントゼロについて

  (5)その他

 2 学校給食費の無償化について

 3 保育行政について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 長沢和彦議員。

〔長沢和彦議員登壇〕

○41番(長沢和彦) 2023年第1回定例会本会議に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。

 質問に先立ち、トルコ・シリアで発生した大地震によりお亡くなりになられた皆様にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

 初めに、区長の政治姿勢と区政運営について、施政方針説明について伺います。

 現在開会中の国会では、軍拡を巡って質疑が交わされるなど、焦点となっています。今年に入ってから、軍拡についての世論が変わりつつあります。増税や負担増をはじめとした防衛費の増額に反対の世論が増えています。抑止防衛の名による軍事力の強化ではなく、外交による紛争と緊張の解決を求めています。これまでの専守防衛の考えを投げ捨てる敵基地攻撃能力の保有は、日本を戦争に巻き込みかねない本質を持っています。速やかに撤回させて、東アジアを敵対と分断から平和と協力の地域にするため、今こそ威嚇でなく、平和の外交ビジョンが必要です。

 区長は施政方針説明の結びにて、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした国際紛争とその緊張に触れ、私たちが安全に安心して生活し、営むことができる日常の尊さとその重要性を再認識したとし、平和行政を政策目的としている中野区は平和への思いを馳せながら、今、区としてできる平和への取組が何かを改めて考えるときなんだと思うと述べられました。重要な意思の表明だと思います。

 昨年中野区では、憲法擁護・非核都市の宣言40周年に当たり、記念植樹や平和の集いの拡大など記念事業を行ってきました。来年度には被爆地への平和の旅の実施など、平和事業の拡充が予定されています。未来を担う次世代、子どもたちを対象とした取組として評価します。平和教育といった観点からも、子どもたちへの継続的な平和事業の取組を期待するものです。見解を伺います。

 区長は、物価高騰・経済対策についても言及しています。東京都区部における今年1月の消費者物価指数速報値は前年同月比で4.3%上昇し、高い水準で物価の上昇が続いているとし、区民生活にどのような影響を及ぼしていくのかを見極め、必要に応じて機動的に対策を講じていくことが必要であると述べています。2023年も引き続き多くの商品サービスが値上げし始めて、特にこの2月は4,200品目以上が値上げとなる見込みです。価格を変えずに内容量を減らす実質値上げも多数あります。大幅な賃上げが必要です。このままでは、実質賃金はマイナスです。

 区は当初予算案で、区の施設等については、原油価格・物価高騰分を計上しています。しかし、区民が利用する民間の施設については、当初予算案では計上せず、状況を見て補正予算で対応するとしています。既に商品サービスの値上げにより、区民事業者は悲鳴を上げています。少なくとも今年度の補正予算前に実施した区内事業者への聞き取りなどを改めて行う必要があるのではないですか。

 また、国や東京都の意向を把握し、迅速な対応を図ることも必要です。さらに、物価高騰から区民生活を守る手だてを検討しておく必要があるのではないですか。見解を伺います。

 施政方針説明では触れていませんが、現在都区間で焦点となっている都区財政調整交付金の配分割合について伺います。

 都政新報の記事によれば、都区財政協議が児童相談所開設に伴う都区間の配分割合を巡って、1月の協議会で中断して以降、継続協議となっています。2023年度財政調整交付金に関する条例改正案は、都議会第1回定例会での上程議決には間に合わない見通しです。現行の区側55.1%の積み上げどころか、55.0%に引下げを求める都側の主張が協議中断の原因です。

 3年前、2020年の協議の上での都区間の合意は一体何だったのか。既に7区目の児童相談所が開設されています。にもかかわらず、3年前の配分割合に戻すことなど、全く道理がありません。そもそも我が会派は、現在の23区における行政需要の増加から見れば、抜本的な区側の配分割合の見直しが必要であると考えます。少なくとも2020年の協議での合意を起点に、特別区長会として55.1%からの積み上げを強く求めるべきではないですか。見解を伺います。

 次に、羽田空港新飛行ルートについて伺います。

 我が会派は、都心低空飛行ルートそのものを中止することを求めています。同時に、昨年12月22日に羽田新飛行ルートの中止を求める中野の会から提出した区長への要望書では、国土交通省による教室型の説明会の開催、新飛行ルート変更の検討結果をいつまでに示すのかを国に求めるよう要望しています。その場で区長からは、騒音や落下物への不安は承知している、具体的なことは検討したいと応じられました。改めて2点について国に要望することを求めます。区としての検討はいかがですか。伺います。

 区民からは今も不安や心配の声が聞かれます。品川区では、15歳以上の全区民を対象に、新飛行ルートの生活への影響を問うアンケートを実施する予定だと聞いています。中野区においては、区内2本の飛行ルートにより、南風が吹くときに15時から19時の間、1,000メートル前後の低空を飛行しています。町田周辺やマンション居住、ビル内で業務を行う事業者等への影響調査を検討してはいかがですか。伺います。

 次に、区有施設の活用について伺います。

 中野区区有施設整備計画では、施設の移転建て替えや行政目的を置いた施設及び土地の転換、貸付け並びに処分などが示されています。10年間の計画の中で、その施設の行政目的を終えても、代替地、施設の活用なども視野に検討されています。しかし、既に売却を基本方針としている施設、土地がありますが、この点はよくよく検討しておく必要があると考えます。将来における行政需要の高まりを考慮することが肝要です。近年では、保育園の待機児童の解消が大きな課題となりました。現在においても、介護・高齢者の施設不足は喫緊の課題です。防災のまちづくりについても、まだまだ用地の取得は必要です。土地の貸付けを含め検討すべきです。売却ありきでは禍根を残すことになります。施設、土地の活用は、住民参加で検討すべきではないですか。見解を伺います。

 区立小学校の跡地の活用について伺います。

 中野区立小中学校施設整備計画によれば、既存校舎の整備期間中は、旧学校施設の代替校舎としての活用が図られる予定です。一方、統合校の大規模化については注視する必要があります。例えば、平和の森小学校はいよいよ移転先での整備が始まりますが、並行して中野駅周辺の開発事業や通学範囲内での人口動態を想定しても、決して余裕があるわけではないでしょう。中野駅南側に位置する桃花小学校においても、教室不足にさらされています。まして今後、全学年35人学級が実施され、さらに少人数学級の推進が図れるとなれば、教室数が足りなくなることは想像に難くありません。谷戸小学校、塔山小学校では、校舎内に設置されている学童クラブ室が満員のため、別棟に整備した例もあります。そもそも人口動態及び子育て世帯の流入を見誤って、学校統廃合を進めてきたことが問題です。区教育委員会は、これまで学校統廃合についての検証を行ってきたと言いますが、学校評価と同様の確認にとどまってはいないでしょうか。通学に時間を要す、通学路で踏切や幹線道路を渡ることは避けたいなどの意見は多数あります。

 現在は、都心回帰により、人口増はしばらく続き、子育て世代の流入も見込まれます。酒井区長は、学校統廃合の計画については、見直しを掲げてきたわけではありません。既定路線のままに進めてきました。しかし、今後学校施設が必要になるということも考えられます。中央区では現在、児童・生徒数の増加が見込まれることから、晴海地区において新たな小・中学校施設の建設が計画されています。中野区でも旧学校施設については、代替校舎の活用後に当たっては、弾力的な対応ができるよう検討しておくべきではないですか。伺います。

 暫定利用について。具体的には、旧令和小学校と、移転後の明和中跡地施設について伺います。

 小・中学校の代替校舎としての活用が図られる前に、施設改修などが施されるまでの一時において、住民が使用できないか、検討しておくべきではないでしょうか。例えば、哲学堂公園でのテニス場の整備が始まります。整備が終了するまで代替の利用の場が求められています。個人・団体に対して、運動場の使用を認めることは可能ではないでしょうか。施設ごとに精査して、暫定利用について検討することを求めますが、いかがですか。伺います。

 次に、ハラスメントゼロについて伺います。

 中野区では、2018年2月に中野区職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針を定めています。2020年の第3回定例会本会議で、立憲民主党・無所属議員団の森議員から、区長にゼロハラスメント宣言を行ってほしいとの要望を重ねて求めてきた旨の質問が行われ、区長からは宣言に向けた検討を進めているとの答弁がされています。その翌年の2021年3月に酒井区長が、セクハラやパワハラなど一切の暴力を許さない社会にするために、できることを考え、行動していくためのプラットフォーム「We Too Japan」のゼロハラ宣言に賛同を表明しました。

 杉並区では、昨年の11月9日、記者会見の場で、区役所におけるハラスメントの根絶に向けたハラスメントゼロ宣言を発表しました。岸本杉並区長は、ハラスメントの実態を把握するために、区として初めて会計年度任用職員を含む全職員約6,000人にアンケート調査を実施、2,701人から回答がありました。「過去3年間にハラスメントを受けたことがある」が411件、「目撃したことがある」が470件と回答があったと報告されました。内訳では、パワーハラスメントが圧倒的に多く、上司からのハラスメントが多かったと指摘しています。

 中野区においても区職員等を対象にアンケート調査を実施することを検討してはいかがですか。伺います。

 さきに触れた中野区職場のハラスメントの防止に関する基本方針では、ハラスメント防止のための研修や相談・苦情の窓口対応、苦情処理委員会の設置及び制裁措置として、懲戒処分を規定しています。それにのっとった取組が行われてきたと思います。しかし、この基本方針が定められて5年が経過しています。2020年6月には、パワハラ防止法も施行されました。この5年の間での取組を踏まえ、中野区職場のハラスメントの防止に関する基本方針の見直しが必要になっているのではないでしょうか。今後の具体的な取組と、その強化を展望し、酒井区長自らがハラスメントゼロ宣言を行うことを求めます。見解を伺います。

 次に、学校給食費の無償化について伺います。

 本来、学校給食費の無償化は、国の制度として行うべきです。昨年の第3回定例会で中野区議会として全会一致で国に求める意見書を提出できたのは喜ばしいことです。

 教育行政研究所主宰の中村文夫氏によれば、学校給食が主に貧困対策として取組がされて、戦後においても法令的な根拠がなく、実態が先行する形で広がりました。学校給食法は1954年にようやく成立。しかし、実態を後追いした法律であったため、学校給食が義務化されることなく、奨励法という位置付けにとどまりました。食材を保護者の負担とする学校給食の基本的な枠組みは、このときに定められたと言います。その後、2009年に施行された改正学校給食法においては、食育の観点が明確にされ、学校給食は保護者の負担を残したまま、教育活動の一環として位置付けられるようになりました。教材でもある食材を公費で仕入れることなく、保護者から徴収する費用で賄うという変則的な在り方が定着してきたのは、授業で使うほかの教材にも保護者負担があることが影響していると指摘しています。

 しかし、自治体レベルでは無償化の動きが活発です。無償化を実施している自治体が、2014年には21でしたが、2022年時点で全国で1割近い市区町村が学校給食を無償化し、一部補助している自治体を合わせると、4割弱が独自の財政負担によって保護者負担を軽くしています。

 学校給食は、食育として教育の一環である以上、学校給食費もまた外食で支払う代金などとは違い、教育費に含まれると考えるべきです。国が学校給食法の第11条第2項の、食材費等を学校給食を受ける児童または生徒の保護者の負担とする、の規定を削除し、学校給食費の無償化を実施するよう、特別区長会を通じて要望すべきではないですか。伺います。

 昨年5月の葛飾区による23区初の学校給食の完全無償化の表明は、その後、他区においても広がりを見せています。来年度からの実施表明や予算化したところは、品川区、北区、中学校で足立区、今月に入って荒川区、続いて中央区、さらに来年度1年に限り、世田谷区、台東区と次々と発表されています。国への要望にとどまらず、全国の自治体での広がりと、特に23区内の実施の動きは、国の制度としての実現を早めることになると考えます。同時に、中野区においても実施検討を急ぐべきです。

 そこで、区が食材費を負担した場合に幾らの支出となるのか、伺います。

 全国での少子化対策にとどまらない、教育と子育て支援としての取組の広がり、とりわけ23区の実施を区はどのように捉えているのでしょうか。中野区では、議会で、他自治体の情報収集、区が負担すべき総額のほか、様々な影響を精査しながら、今後も研究を進めてまいると答弁しています。区が負担すべき総額や様々な影響については、どのように継続的に実施を図るのかなど、検討すべき課題ではありますが、実施による効果等についても研究と検討を行う必要があります。見解を伺います。

 現在、中野区においては、就学援助を受けている児童・生徒の学校給食費は無償化されています。各区においても同様ではありますが、世田谷区のように学校給食の費目だけ基準を引き上げているところもあります。また、多子世帯において負担軽減や無償化を実施している区もあります。

 さきに紹介した来年度に実施予定の複数の区では、これまで第2子は半額、第3子以降は無償化などの取組を行ってきたところであり、今回完全無償化へと大きく踏み出したと言えます。23区内においてこれまでに実施してきた区があるのですから、中野区においても多子世帯への負担軽減及び無償化を前向きに検討することを求めます。

 次に、保育行政について伺います。

 保育所等での事故や虐待行為、不適切行為等を巡って、様々な報道がされています。こうした事故や行為があってはならないことは言うまでもありません。再発防止のためには、なぜ起きたのか、日常保育はどのような状況だったのか、なぜ防げなかったのかなど、きちんとした検証がなされなければなりません。同時に、これら保育現場での事故や行為は、一部の保育園の問題として片付けられない構造的な問題として捉え、条件整備に向き合うことが必要です。

 全国知事会が昨年の11月7日に、子どもの健やかで安全・安心な育ちのための提言を発表し、その中で、子ども・子育て支援新制度の質の向上に向けた取組に掲げられている1歳児及び4、5歳児の職員の配置基準の見直しを早期に実現することを求めています。

 昨年の議会では、保育士等の配置基準の引上げを国に求めることをただしたところ、国に対し、職員の配置基準の引上げについて様々な機会を捉えて要望していくとの答弁がありました。その姿勢は大切ですが、特別区長会による令和5年度、国の施策及び予算に関する要望書では、保育士等の人材確保のための財政措置として、処遇改善に要する財源を確保することが要望されているものの、配置基準についての記述はありません。特別区長会で、保育士の配置基準についての改善を要望事項に取り入れるよう、議題に付して、改めて国に求めるべきではないですか。伺います。

 認可保育所で、特に区立保育園で、区独自の配置基準を持つことも必要です。中野区では、1歳児クラスが、国基準が子ども6人に対して保育士1人のところ、5対1と保育士1人当たりの負担を減らしていますが、それ以外は国の基準と同じです。しかし、それでは実際の保育に影響を及ぼすために加配をして保育に当たっています。

 横浜市では、1歳児クラスは4対1、2歳児も国や中野区は6対1ですが、5対1に、3歳児も15対1に、4、5歳児では30対1を24対1に、保育士の負担を減らしています。23区内においても、練馬区では、産休明けの乳児に対しては2対1の保育士を配置していると聞きます。認可保育所の運営においては、区立保育園の基準や実践がスタンダードとなり、私立の保育施設の基準や実践にも影響を与えることになります。区立保育園において保育士の配置基準の改善を図るべきではないですか。伺います。

 現在、私立保育園に対しては、区による補助金の支出により保育士の加配を行っていますが、私立保育園においても区の基準に準じた保育士等の配置ができるよう支援を図ることが必要です。そのためにも、現在私立保育園間で生じている保育士等職員の処遇改善を図ることが欠かせないわけですが、保育所等を運営する事業所に弾力運用を認めているため、保育士等職員の処遇改善に生かされない事業所が散見されます。国がこの弾力運用を制度として認めている以上、区が指導監督によって是正を図ることはできないとしています。しかしながら、放置していてよいはずがありません。私立保育園を運営する事業所は、決算等の報告が義務付けられています。保育士等の職員の人件費にどのくらいの法定価格や区の補助金が充てられているのか、公表することを検討すべきではないですか。

 最後に伺って、全ての私の質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 長沢議員の御質問にお答えいたします。

 まず、施政方針説明についてで、子どもたちに向けた平和事業についてでございます。今後の平和事業は、今までの語り継ぐものという趣旨を尊重しつつ、世界恒久平和などをテーマとし、次世代である子どもたち自らが考えてつくるものとなるように内容を充実させていきたいと考えております。

 次に、物価高騰・経済対策についてで、区内事業者への聞き取りについてでございます。物価高騰が続いている中で、区内の保育所や介護サービスなど、区民が利用する施設運営においてどのような影響が出ているのかを適宜把握する必要があると考えております。また併せて、区内事業者の経営状況なども聞き取りを行い、必要な対策を講じていく考えでございます。

 次に、国や東京都の意向の把握についてでございます。国や都が行う物価高騰・原油価格対策につきましては、その動向に注視するとともに、情報収集等も行いながら効果的に区の対策を講じていく考えでございます。

 次に、区民生活を守る手だてでございます。物価高騰による消費への影響など、区内の経済状況について引き続き把握に努め、必要時に機動的に対応できるよう対策の検討も進めてまいります。

 次に、都区財政調整協議に対する区の姿勢でございます。特別区の児童相談所設置は、大幅な役割分担の変更に当たると考えております。都区の配分割合の見直し事由に当たることが明白でありまして、55.1%に積み増ししていくべきものと考えております。これについては、特別区一丸となって早期に協議を再開することを求め、需要に応じた適切な区民サービスを提供していくための財源確保に向けて強い姿勢で主張をしてまいります。

 次に、羽田空港新飛行ルートについて。まず、新飛行ルートに関する国への要望についてでございます。区は、令和2年1月に国土交通大臣に対して、国の取組状況等について様々な媒体、形式による広報や説明会を国の責任において積極的に実施することを要望しております。区としては、今後も様々な機会を通じて区民や関係自治体に国の検討状況等を速やかに情報提供するよう国に求めていく考えでございます。

 次に、区民等への影響調査の実施についてでございます。国土交通省は、新飛行経路の運用に当たって、中野区内においても騒音測定を常時実施するほか、様々な騒音対策や落下物対策に取り組んでおります。また、羽田新経路の固定化会議に係る技術的方策検討会を実施するなど、最新の知見や技術に基づいた騒音対策の検討等を行っているところであり、区としてもその動向を注視していきたいと考えております。区独自に影響調査を実施することは考えておりません。

 次に、区有施設の活用についてで、区有地の売却についてでございます。区有施設整備計画で売却を検討している施設、土地につきましては、新規で整備する区有施設の財源確保を見据えた売却を検討することとしておりまして、今後の財政状況や行政需要、地域の御意見等を踏まえながら判断していく考えでございます。

 続きまして、ハラスメントゼロについてで、まずアンケート調査の実施についてでございます。区は職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針において、職場のハラスメントは人権を侵害するだけでなく、勤労意欲やメンタルヘルス不調の原因となり、職場の士気を低下させ、区政運営にも影響を及ぼすことから、ハラスメントを防止し、意識啓発に努めるものとしておりまして、私自身もあらゆる職場のハラスメントをゼロにすることに賛同し、ゼロハラ宣言をしているところであります。今後、区のハラスメントの実態を把握するためにも、アンケート調査の実施については検討したいと考えております。

 次に、方針の見直しとハラスメントゼロ宣言についてでございます。区は、基本方針によってハラスメント防止に対する職員の意識啓発等の取組を進めているところでありますが、5年を経過して、振り返ることが必要な時期であると考えます。また、その取組を進めるためにも、区の組織として、ハラスメントゼロを宣言することも検討してまいります。

 最後に、学校給食の無償化についてで、国への要望についてでございます。学校給食費については、義務教育であるということから本来、国がこれを負担するべきものだとの認識でございます。全ての子どもの学びを支えていくためには、現在のところ給食費無償化の実施よりも、区としては優先的に取り組むべき課題があると考えております。特別区長会を通して、国が負担すべきものとの要望をしていこうと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、まず、区有施設の活用についての御質問にお答えをいたします。

 旧校舎の活用についてでございますが、現在区では、中野区立小中学校施設整備計画に基づき、旧校舎を活用しながら、老朽化した校舎の改築を進めているところでございます。この計画の計画期間は令和12年度までのため、その後の旧校舎活用については、将来の人口推計等を踏まえ、関係部署と調整を図りながら、適宜適切に検討してまいります。

 令和小学校跡施設及び移転後の明和中学校跡施設についてでございます。令和小学校跡施設は、地域団体や閉校前に利用していたスポーツ団体が、現在も跡施設を利用しているところでございます。明和中学校につきましては、北原小学校改築に係る代替校舎として活用する予定でございます。明和中学校の移転から代替校舎として活用するまでは2年間であり、この間、現明和中学校移転後の整備作業や北原小学校受入れのための整備工事などを予定しており、個人や団体の暫定利用については、可能な限り検討してまいります。

 次に、学校給食の無償化についての御質問です。食材費を負担した場合の総額についてですが、令和4年5月1日の人口推計によりますと、令和5年度において区が食材費を負担した場合は総額約8億7,000万円になると見込まれております。

 最後に、給食無償化による効果についてでございます。無償化の導入によって、保護者負担の軽減や食材と献立の平準化などがもたらされる反面、生じ得る課題もございますので、引き続き併せて研究してまいります。

〔子ども教育部長濵口求登壇〕

○子ども教育部長(濵口求) 私からは、保育行政についてのうち、まず、保育士の配置基準に係る国への要望についての質問にお答えいたします。

 児童の安全を確保し、質の高い保育を行う上で、保育士を適切に配置することは重要であると考えてございます。令和5年度の要望書では、保育士等の人材確保のための財政措置として、処遇改善に要する財源の確保及び保育士等宿舎借り上げ支援事業の補助の継続を要望したところでございます。

 令和6年度以降の要望書における要望事項として、保育所の廃止基準を要望することにつきましては、今後検討してまいります。

 次に、区立保育園における職員配置基準についてでございます。区立保育園における職員配置については、国基準に加え、延長保育や一時保育、医療的ケア児への対応など、必要に応じて職員を配置しております。今後も区立保育園の運営状況を鑑み、適切な職員配置を行ってまいります。

 次に、人件費率の公表についてでございます。私立保育施設の保育士の給与水準は、必ずしも人件費率とは一致しないと認識しており、人件費率の公表については慎重に検討してきたところでございます。東京都は既に保育士等キャリアアップ補助金等の交付を受けている保育施設に係る財務情報及びモデル賃金を公表しております。東京都が公表している情報を活用するなどにより、人件費率を明らかにすることについて、準備を進めているところでございます。

○議長(内川和久) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 ひやま   隆

 1 コロナ禍における原油価格・物価高騰等の対策について

 2 西武新宿線沿線まちづくりについて

  (1)新井薬師前駅周辺まちづくりについて

  (2)中野区画街路第3号線街路事業について

  (3)西武新宿線(中井駅~野方駅間)連続立体交差事業について

  (4)その他

 3 新区役所整備について

  (1)窓口サービス向上に向けた取組について

  (2)おくやみ窓口など区民に寄り添った窓口設置について

  (3)移転に向けた全庁的な連携、協力体制について

  (4)その他

 4 哲学堂公園再整備について

 5 その他

 

○議長(内川和久) 次に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○17番(ひやま隆) 令和5年第1回定例会に当たりまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。質問は通告のとおりです。その他はございません。

 初めに、コロナ禍における原油価格・物価高騰等の対策について質問いたします。

 新型コロナによる厳しい状況は徐々に緩和されつつあるものの、物価高騰等による区民生活や地域経済への影響は依然として続いております。この間、区では影響を受けた生活者や事業者に対し、負担軽減を図るための様々な緊急対策を実施してきましたが、今後も状況を注視し、時期を逸することなく、必要な対策を講じていかなくてはなりません。特にコロナ禍にあって、絶えず厳しい状況が続いている医療機関や社会福祉施設では、食材費や光熱費の高騰に加え、診療材料費も軒並み値上げの動きがあることから、厳しい経営を強いられております。また、建築資材の高騰等により、改修工事の着工を延期するなど、サービス、医療提供基盤の整備に影響が生じているケースもあると聞いております。利用者、患者等に安心・安全で質の高いサービスや医療の提供の維持ができるよう、物価高騰等によるこれら施設等に対する影響を最小限に抑えるための対策を講じる必要があると考えますが、区内の現状と今後の取組について、区の答弁を求めます。

 長期化するコロナ禍とそれに追い打ちをかけるかのような物価高騰により、生活困窮世帯やひとり親世帯といったコロナ禍以前から困難を抱えている区民の生活は、さらに厳しい状況に追い込まれています。私が地域の仲間とともに立ち上げた子ども食堂においても、1日の食事を2食に節約する日もある、病院の通院すら節約せざるを得ないといった切実な声が漏れ聞こえます。

 区長は施政方針説明において、子どもの貧困問題について、学習支援事業や子ども食堂への支援等、子どもの貧困対策をさらに推進していきますと述べられました。酒井区政のこの問題に積極的に取り組む姿勢を評価するとともに、さらなる前進を期待するところです。

 令和3年、内閣府は、我が国初となる子どもの貧困に関する調査の分析をまとめた報告書を公表しました。この報告書の総括では、継続的に子どもの貧困に関する調査が全国的に実施されるように努めるべきとありますが、この点については、中野区としての継続的な調査の実施をこれまで繰り返し区に求めてまいりました。

 昨年8月の子ども文教委員会において、東京都子どもの生活実態調査2022への協力についての所管事項の報告がなされました。この調査の注目すべき点は、調査対象が高校生であるという点です。令和元年に区が実施した中野区子どもと子育て家庭への実態調査は、調査対象、調査対象数ともに大規模な調査でしたが、対象に高校生は含まれておりませんでした。また、この間、区が実施してきた子どもの貧困対策についても、主な対象は中学生までであり、それ以上の子どもについては、リーチが届きにくいという課題がありました。中学までは中野区、高校からは東京都、この典型的な縦割り行政の問題については、我が会派として繰り返し指摘をしてまいりましたが、子どもたちのそれぞれのライフステージにおける生活上の課題を中野区として切れ目なく把握し、必要な支援につなげていくことは、子育て先進区を掲げる当区にとって当然の責務です。これに対する区の認識を伺うとともに、今回の調査結果を今後の中野区の施策展開にどのようにつなげていくのか。今後の取組について、区の答弁を求めます。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、西武新宿線沿線まちづくりについて質問いたします。

 先月開催された中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会において、新井薬師前駅周辺のまちづくり及び西武新宿線鉄道上部空間についての所管事項の報告がなされました。この中で、駅北側街区については、今後まちづくり検討組織の設立も含めた、区域内の町会、商店街をはじめとする地域住民との協働によるまちづくりを推進していくとのことでした。今後、駅北側街区は、連続立体交差事業に合わせて、鉄道敷地が北側へ移ること、また、踏切除去による鉄道上部空間の創出、駅南北の一体化など、駅周辺の環境が大きく変わっていきます。地域住民をはじめとする区民の皆さんとの対話を通じて、区民の声をしっかりと形にしていく、区民が主役のまちづくりとなることを期待するところです。

 こうした中、現在、新井薬師前駅周辺では、空き店舗の増加や用地取得の進展により、商店街のにぎわいが「近隣駅と比較すると寂しいね」という声が多く寄せられます。鉄道敷地が北側へ移った際、敷地と接することとなる駅北側街区は、現在多くが第一種中高層住居専用地域に指定されておりますが、今回の駅周辺まちづくりを契機として、駅前という好立地を生かした新たなにぎわいの創出、そして住環境の向上に資する新たな土地活用の考え方を検討する必要があると考えますが、区の見解をお示しください。

 新井薬師前駅周辺のまちづくりに関して、もう一点伺います。

 新井薬師前駅周辺は、開かずの踏切、狭隘な歩道、バス通りといった地理的条件により、特に朝のラッシュの時間帯は通勤通学の歩行者、自転車、車の動線が入り乱れ、非常に危険な状態にあります。駅周辺のこうしたふくそうの解消は、開かずの踏切と併せて長年の地域課題であり、一刻も早い改善が求められています。鉄道地下化に伴い創出される鉄道上部空間について、区は、各駅のまちづくり整備方針と連携したまちのにぎわいに資する土地利用の誘導を図っていくとのことですが、長年の地域課題でもある駅周辺のふくそうの解消という観点からも、上部空間の活用の検討が必要であると考えます。改めて、新井薬師駅周辺のふくそうの問題に関する区の認識を伺うとともに、現在進行している駅周辺まちづくりの中で、ふくそうの解消に関わる今後の取組について、区の答弁を求めます。

 中野区画街路第3号線交通広場については、現在整備に向けた用地交渉が行われております。これに関するスケジュールについて、区はこれまで、令和4年度末までの用地取得完了と示してきましたが、先月の特別委員会において、7年延伸し、令和11年度末までとすることとし、東京都へ事業認可の変更手続を行った旨の報告がありました。この7年という延伸期間の根拠についての説明を求めます。

 当該事業については、この間、整備に向けた用地交渉が行われてきましたが、気になるのは、いまだ契約に至っていないケースです。この間の交渉で御協力いただいた権利者の皆様は、長年にわたり御商売を営んできた店舗を立ち退かなければならない、あるいは自らの土地を手放さなくてはならないことに複雑な思いを抱えておられます。今回、事業期間が延伸という方向になりましたが、既に契約をしていただいた権利者の皆様が不公平だと感じることがないよう、取組を進めていただくことを求めます。この点について、区の認識を伺います。

 この項の最後に、連続立体交差事業について質問いたします。

 長年にわたる地域課題である開かずの踏切の問題については、当初の計画では、令和3年3月の事業完了予定でありましたが、その後、事業期間が6年延長され、現在、令和9年3月の事業完了に向けて事業が進んでおります。地域住民の最大の関心は、事業の進捗状況です。事業期間延長の大きな理由として、当時、用地取得の進捗を挙げておられましたが、その後の進捗状況はどのようになっているのか、現在の工事の状況と併せて、区の答弁を求めます。

 連続立体交差事業における地下化は、高架化と比較して、シールド工事における地下水対策や地中埋設物の出現など不確定要素が多く、工期の見通しが立てづらいという指摘もあります。加えて最近では、建設資材価格の高騰や建設資材不足など、本事業を取り巻く環境はより一層不透明な状況にあります。しかし、長年の中野区民の悲願でもある開かずの踏切の除去を遅滞なく着実に実現することは、区の重要な責務です。改めて区長の決意を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、新庁舎整備について質問いたします。

 区長は、施政方針説明において、技術革新や新たなサービスを活用して、区民の皆さんの利便性を向上することにチャレンジしていくと述べられました。窓口サービスの抜本的な改善は、新庁舎整備に当たり、大きなテーマの一つです。昨年の第4回定例会における我が会派の森議員からの一般質問の中で、区からは最先端の窓口サービスを提供していくとの答弁がありました。今後、新庁舎移転を契機として、区民サービスが飛躍的に向上されるよう、これまで報告のあった取組の検討の深度化、ブラッシュアップを行い、さらなるサービス向上に向けた不断の取組を進めるとともに、その内容を区民に対して分かりやすく周知広報し、区民に伝えていく取組も重要であると考えますが、区の答弁を求めます。

 今年1月の区民委員会において、窓口における書く負担の軽減については、申請書自動交付機を現庁舎1階の戸籍住民窓口に先行導入し、当該交付機を利用する来庁者への案内方法や申請書自動交付機の対象となる申請手続について検証していくとの報告がありました。書く負担を軽減させようとする区の姿勢は評価をいたしますが、書かないサービスの究極はウェブ申請であり、例えばお隣の渋谷区では、日頃から使い慣れたLINEで住民票の写しを請求できるシステムを既に導入しています。こうした他の自治体の取組と比較すると、現在区が考えておられる取組では、最先端の窓口サービスの実現は難しいのではないかと考えます。この点について区の認識を伺うとともに、窓口における書く負担の軽減に向けたさらなる取組が必要であると考えますが、区の答弁を求めます。

 昨年末には、新区役所窓口サービス改善推進本部が設置され、先月の総務委員会では、来年度の組織編成の中で、区民部の中に新区役所窓口サービス担当部長、新区役所窓口サービス担当課長、新区役所窓口サービス準備係長を設置するとの報告がありましたが、今後もDX推進室と一体となった推進本部体制を継続し、縦割りではなく、横断的な体制で、区民サービスの向上に向けた検討を進めるべきと考えますが、区の答弁を求めます。

 また、最先端の窓口サービスを目指すためには、まず現時点の技術で何が実現できるのか。目標を設定した上で、それに向けた課題解決をどのように進めていくのか。区民の目線に立って検討を進めていくことが重要であると考えます。この点について、区の認識を伺います。

 次に、おくやみ窓口など区民に寄り添った相談窓口の設置について伺います。

 おくやみ窓口の設置については、これまで我が会派としても繰り返し求めてまいりました。現状では、身内に御不幸のあった方が、悲しみに打ちひしがれている状態で、複数の窓口を回り、手続を行い、場合によっては複数回、役所に手続に訪れなければならず、とても負担に感じたなどの声も聞いております。区には、ぜひ悲しみの中にいる方々に寄り添って、丁寧に相談や対応を受けられるおくやみ窓口の設置に向けた検討を進めていただきたいと考えております。

 また、新型コロナウイルスが今年の連休明けには5類感染症となり、その後はインバウンドなどで日本に訪れる外国人や区内在住外国人も増加する見込みであることから、外国からお越しになった方々が、日本、中野で分からないことや困ったことを相談できる窓口の設置を検討する必要があると考えます。

 区には、新庁舎移転を契機として、それぞれの状況、立場の方に寄り添って、総合的に案内、サポートできる窓口を設置できるよう、新庁舎での窓口サービス拡充の観点から、精力的に検討を進めていただきたいと考えておりますが、区の見解を伺います。

 全国的に自治体情報システム標準化の整備が進む中、中野区においてはその間に新庁舎移転といった一大イベントを迎えることになります。令和5年度の本格的な移転準備を実施するに当たり、その中心は総務部DX推進室になろうかと思いますが、引っ越しに関わる本来的な移転業務に加え、その広報や、新庁舎1階で展開されるにぎわい機能、先に触れた区民サービスのさらなる向上、移転後の廃棄物の処理など、取り組む事項は多岐にわたることが想定されます。このような取組を着実に進める上でも、移転後の運営体制を見極めながら、庁内での役割分担を適切に行うなど、全庁的な体制で新庁舎移転事業を事故なく漏れなく実施していただきたいと考えておりますが、区長の御認識を伺います。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、哲学堂公園再整備について質問いたします。

 哲学堂公園は、平成21年の東京都の名勝指定を経て、令和2年3月、公園全域が国の名勝に指定されました。現在、国名勝として哲学堂公園を適切に保存、活用及び整備を行うための保存活用計画の策定に向けて取組を進めていると聞いております。

 哲学堂公園は、井上円了博士が哲学をテーマにした精神修養の場として創設した、世界でも珍しい公園であり、加えて都内でも有数の花の名所として四季折々の風情を楽しむことができます。哲学堂公園の魅力をさらに高め、多くの来場者に親しまれ、その文化的価値を後世へと継承するための計画となることを期待するところです。一方で、哲学堂公園周辺には、リニューアルされた中野区立歴史民俗資料館や旧野方配水塔、新井薬師梅照院、春には中野通りの桜など、多くの観光資源が近接しております。計画策定に当たっては、単なる公園の再整備という単体の視点ではなく、これらの地理的条件を生かし、今後の周辺まちづくりや交通戦略の中で、より回遊性を高め、地域全体の新たなにぎわいの創出につなげる俯瞰的な視点が必要であると考えます。この点について、区の認識を伺います。

 今年1月に開会された区民委員会において、哲学堂公園保存活用計画の策定に関わる進捗状況についての報告がありました。同報告では、哲学堂公園の本質的価値の一つとして、現在もなお、哲学の概念を伝えながら、都市公園としても、様々な地域活動や運動、遊びの利用に応え、また、周辺一帯が市街地化された中においては、貴重な緑を確保した都市公園として地域に愛されているとの記述があります。

 開設から100年以上の年月が経過した哲学堂公園は、現在では緑豊かな多くの生き物も生息する、哲学と自然が織りなす、類いまれな公園として多くの人々に親しまれています。今後の哲学堂公園の緑に関わる検討の中で、文化財の価値に影響を及ぼす樹木や、倒木をはじめとする来場者の安全性に関わる樹木など、現在ある樹木の精査については、その必要性を理解いたします。他方で、長い年月をかけて成長した哲学堂公園の緑は、現在では哲学と自然の共生という新たな価値を創造しております。整備に当たっては、こうした自然を保全しつつ、建物と樹木の調和の取れた、現在ある緑を最大限生かす計画にするべきであると考えますが、区の答弁を求めます。伺って、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、コロナ禍における原油価格・物価高騰等の対策についてで、医療機関等の影響に対する対策についてでございます。昨年来からの原油価格・物価高騰等は、最近の物価指数が示すとおり、家計への負担や事業活動等に影響を及ぼしている状況は認識しているところであります。特に医療機関や福祉施設については、サービスや運営に影響が及ばないよう、必要に応じて機動的に対策を講じていく必要があると考えております。

 次に、実態調査の結果を踏まえた高校生の支援でございます。子どもの貧困対策については、乳幼児期から義務教育、高校段階と子どものライフステージに応じて切れ目のない支援を行うことが重要であると考えております。本調査は、これまで区が把握し切れていなかった高校生年代の生活実態を把握できる貴重なデータであると考えておりまして、来年度詳細な分析を行うことを予定しております。当該分析結果を踏まえた上で、高校生年代に必要な支援策を検討してまいります。

 次に、新井薬師前駅北側街区のまちづくりについてでございます。新井薬師前駅周辺では、連続立体交差事業で踏切が除却され、南北の市街地が一体となること、連続立体交差事業以外にも、中野区画街路第3号線の整備や再開発事業の検討などが進められていることによって、駅周辺の環境が大きく変わってきます。そのため駅北側街区でも、地域住民と協働し、駅前にふさわしい土地利用の在り方などについて検討し、新たな顔となる駅前空間の実現に向けて取り組んでまいります。

 続きまして、新井薬師前駅の駅利用者の動線のふくそうと問題解決に向けた今後の取組についてでございます。新井薬師前駅周辺はバス停が分散していること、また、バス、タクシーなど車両の乗降場所がないことから、利用者に合った通行空間が確保されていないことが課題であるということでございます。このような課題を解決するため、中野区画街路第3号線街路事業は、西武新宿線連続立体交差事業の整備に合わせて、周辺の土地利用の状況等と整合を図りながら、交通広場を整備するものであります。ユニバーサルデザインを導入した、誰もが利用しやすい交通広場の整備に向けて、東京都や西武鉄道株式会社と連携しながら検討を進めてまいります。

 次に、中野区画街路第3号線の事業期間についてでございます。西武新宿線(中井駅-野方駅間)連続立体交差事業の事業期間は、令和9年3月31日までの予定でございまして、中野区画街路第3号線交通広場の整備完了時期は、連続立体交差事業の完了後になる見込みでございます。事業区域が鉄道用地と一部重複していることや、電線類の地中化に関わる工事及び交通広場整備工事が連続立体交差事業完了後、約3年間要する想定であることから、事業完了を7年延伸した令和12年3月31日までとしております。

 次に、中野区画街路第3号線街路事業についてでございます。権利者の方々におきましては、補償内容及び移転の時期に御納得を頂き、生活再建もめどがついた時点で契約に応じていただいております。まだ契約ができていない権利者とは、引き続き早期の契約を目指すべく取り組んでまいります。

 次に、連続立体交差事業の用地取得や工事の現況についてです。連続立体交差事業の事業主体である東京都によると、用地取得は約9割を超えておりまして、引き続き必要な土地については取得に向けて、地権者と折衝を進めているとのことであります。

 また、工事につきましては、駅部を中心に進めておりまして、地下構造物を構築するための仮設土留め工や掘削工、線路を借り受けるための工事桁の設置などを実施しているところであります。

 次に、開かずの踏切の解消に向けた決意についてでございます。中野区としては、地域の健全な活動や発展を妨げている開かずの踏切の一日も早い解消に向けて、東京都や西武鉄道株式会社とより一層連携協力するとともに、まちづくりの実現に向けて努力をしていく決意でございます。

 次に、新区役所整備についてで、区民サービスの取組の推進と広報です。新庁舎における区民サービスの展開は、区民生活に直結する重要な取組でありまして、フロアごとにプロジェクトチームを設置するなど、全庁体制で検討を行っております。全庁共通発券機やセルフレジなどの新たな機能は、全庁で連携を取って活用することでサービス水準が大きく向上できると考えておりまして、移転に向けて詳細な運用方法の検討を進めてまいります。これらのサービス向上に向けた取組が区民にしっかりと周知され、実際に利活用いただけることが大切であると考えておりまして、今後も広報の中で内容を工夫してまいります。

 続きまして、書かないサービスについてでございます。区役所窓口では、来年度導入予定の申請書自動交付機でマイナンバーカードを読み取ることで、氏名、住所等の4情報を記載した申請書が印刷できるようになります。また、スマートフォンから事前に必要な情報を入力することで、申請書自動交付機から4情報のほか、世帯員、本籍等の情報を記載した申請書が印刷できるようになります。さらに、区役所に来なくても住民票の写しなどの証明書の交付が受けられるよう、東京電子自治体共同運営電子申請サービスやコンビニ交付サービスなども実施をしております。区は、住民票の写し等の請求について、申請書自動交付機の導入の検討や電子申請等を実施し、さらに簡便な利用方法も検討するなど、最先端の窓口サービスを目指して、今後も書く負担のさらなる軽減の取組を進めてまいります。

 次に、区民サービスの検討体制についてでございます。今年度DX推進室及び区民部を中心とした新区役所窓口サービス改善推進本部を設置し、新庁舎での窓口サービス向上に向けた様々な取組の検討を組織横断的に進めてまいりました。次年度においても、今年度と同様の体制を継続的に確保していくことが重要であると考えておりまして、必要な体制について検討してまいります。

 最先端の窓口サービスに向けた取組についてでございます。窓口サービスの目指すべき姿は、区民が電子申請等により、簡易に手続を行うことができ、仮に窓口申請が必要な場合にも、負担が少なくスムーズに手続ができる環境を実現することであります。そのためには区民ニーズを常に把握し、その時点で活用可能なICT技術の情報収集、導入準備を計画的に行うなど、課題解決に向けたプロセスを進めていくことが重要だと考えております。今後、新庁舎移転での様々な窓口サービスの展開をはじめ、その後の自治体情報システム標準化に係るサービスの拡充など、段階ごとに着実に窓口サービスの拡充を図ってまいります。

 次に、おくやみ窓口や外国人の相談窓口の開設についてでございます。区は、御遺族の負担軽減を図るための窓口を設置することは重要であると考えておりまして、現在新庁舎での開設に向けて準備を進めております。また、外国人の相談につきましては、AI多言語通訳システムを活用した窓口対応に加え、東京都行政書士会中野支部に御協力いただき、外国人向け無料相談会を開催するなど、様々な取組を推進しております。今後も、個々の来庁者の状況に応じたきめ細やかな窓口対応を行うとともに、新庁舎においても区民の利便性をさらに向上させるため、窓口の在り方について検討を重ねてまいります。

 私から最後に、移転に向けた全庁の協力体制についてでございます。移転に向けては、什器、備品の調達や各種システム整備、広報物の作成、落成式等の開催など業務が多岐にわたるということから、総務部を中心に全庁応援体制を組むなどして着実に取り組んでまいります。新庁舎での窓口サービスや1階の区民利用スペースの活用については、移転後の運営主体を見据えて庁内で役割分担を行うなど、遅滞なく新庁舎への移転に向けて取り組んでまいります。

〔まちづくり推進部長豊川士朗登壇〕

○まちづくり推進部長(豊川士朗) 哲学堂公園再整備についての質問のうち、哲学堂公園周辺地区の回遊性についてお答えをいたします。

 西武新宿線沿線まちづくり推進プランでは、新井薬師前駅から哲学堂公園周辺を含めた地域において自然や歴史文化資源を活用したまちづくりを進めるとしてございます。まちの回遊性を誘導するために、道路の整備に合わせて緑化や歴史・文化資源への案内表示等の環境整備を行ってまいります。

〔文化・産業振興担当部長高橋昭彦登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高橋昭彦) 哲学堂公園保存活用計画についてお答えいたします。

 現在、哲学堂公園保存活用計画検討委員会では、文化財である古建築物のみならず、樹木を含む風景との調和も大事な視点ということで議論が進められてございます。さらに、文化財への影響や来場者の安全性なども踏まえ、現在ある緑を保全することで、哲学堂公園保存活用計画の策定を進めていくものと捉えているところでございます。

○議長(内川和久) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 伊 藤 正 信

 1 令和5年度予算の概要について

  (1)都区財政調整について

  (2)主な取り組み事業について

  (3)その他

 2 安全で安心して住めるまちづくりについて

  (1)特殊詐欺・振り込め詐欺の対策について

  (2)交通安全の取り組みについて

  (3)見守り支えあい活動について

 3 小中学校校舎改築整備について

 4 鍋横区民活動センター等整備について

 5 その他

 

○議長(内川和久) 次に、伊藤正信議員。

〔伊藤正信議員登壇〕

○33番(伊藤正信) 令和5年度予算の概要について、初めに都区財政調整について伺います。

 都区財政調整における都と区の配分割合については、令和2年度の協議において、特別区からの要請と児童相談所の運営に関する都区の連携協力を一層円滑に進めていく観点から、今回特例的な対応として、特別区の配分割合を令和2年度から0.1%増やし、55.1%とする、今回の特例的な対応により変更した分も含め、令和4年度に配分割合の在り方について改めて協議することとするとされ、令和5年度に向けて昨年末から協議を進めていたが、1月16日の区長会総会において東京都から55%に戻すことが適切という考えが示され、協議が中断している状態であります。この0.1%は20億円程度になり、23区平均で1億円程度と、決して小さくない減額です。区長会側は、信頼関係を果たせなくなる、児童相談所開設に合わせて55.1%から積み上げていくべきなのに、下げるとはけしからんなどと反発しています。当然のことだと思います。

 例年であれば、予算案の提案時期である2月上旬には協議が調い、都における条例改正の手続も進められているはずだが、今回についてはどのように進んでいくのかが不透明な状況です。特別区長会は、また区長は、今回の都の対応について、率直に言ってどのような見解を持っているのか、伺います。

 都だけではなく、各区においても、今後、来年度の予算の議会審議が進んでいますが、今後の見通しをどのように捉えているのか、伺います。

 都区財政調整については、財源確保のため強く求めていくことを切望いたします。

 次に、主な取組事業について何点か伺います。

 中野サンプラザ閉館を契機としたシティプロモーション事業について、先日、予算のプレス発表がされ、この事業が多く報道されて、全国的にも有名なサンプラザの閉館に当たってのイベントなので、注目度も高いと思いますが、区の事業として行うのだから、区だけではなく、区民や関係団体も巻き込んで進めていく必要があると思っております。この事業の目指す効果と、どのような体制で進めていくのか、伺います。

 もみじ山文化センター本館の旧レストランスペースを活用した、身近に文化・芸術を親しみつながりが生まれる機会の創出事業について、先日の閉会中の区民委員会で報告があり、様々議論されました。旧レストランのスペースの活用は理解いたしますが、文化・芸術振興の施策としてこのような取組が突発に出てきたような印象があります。区は文化・芸術についてどのような課題があると捉え、この施策によりどのような効果を期待しているのか、伺います。

 区立小学校の選択制移動教室について、貸切バスや宿泊施設の手配、実地踏査日や当日の添乗・行程調査など、移動教室の準備作業及び実施時の諸業務を委託するとのことですが、これまで担任の先生などが担っていたものを委託することだと思いますが、教員の負担軽減については理解いたしますが、委託業者への丸投げのようにも見え、ふだんの学校教育の課題などを踏まえた移動教室の実施ができるのか、区の見解を伺います。

 太陽光発電システムの設置に対する補助については、先日の東京都議会では、住宅への太陽光パネル設置義務化の条例が可決されましたが、都議会自民党はこの条例に反対したわけですけれども、区が太陽光発電システム設置補助を始めるのは、都の取組と関係があるのでしょうか。この事業を始めるに至った理由と、この事業を実施することにより、区が目指すゼロカーボンシティの実現にどれだけの効果があるのか、伺います。

 安全で安心して住めるまちづくりについて伺います。

 特殊詐欺・振り込め詐欺の対策について。令和3年中の区内の特殊詐欺被害は、被害件数が87件、被害総額は1億6,000万円であり、昨年についても高い水準で被害が発生しているようです。また最近、テレビや新聞では毎日のように全国で相次ぐ強盗事件に関する報道がされており、犯行グループは、特殊詐欺事件との関連も疑われるなど、また昨年12月に中野区内で発生した強盗事件も関連しているとのことで、区民は詐欺被害に不安を感じています。

 今年に入って詐欺電話、いわゆるアポ電話の件数が昨年同時期に比べて増加しているとのことです。特に金曜日の10時から14時の日中に多く、金融機関などをかたり、「あなたのクレジットカードを使った人がいる」などと電話があり、金曜日に多いのは、翌々日が土日になるため、電話を受けた方が焦ってしまい、家の中にも誰もいない時間で相談する方もいなくて信じ込んでしまうようです。こんな弱みにつけ込んだ犯行は、決して許してはなりません。こうした犯罪は1件でも減らすためには、平成29年から自動通話録音機の貸出事業が行われて効果があると聞いていますが、そこで区としては、区民の重要な財産を奪う特殊詐欺被害を撲滅するために、今後どのような対策を取っていくのか、伺います。

 また、区内では、特殊詐欺や振り込め詐欺以外でも、住宅への侵入盗や自転車の盗難など事案が多く発生しております。区は、平成18年度から青色灯防犯パトロールカーの運行が導入され、犯罪の抑止効果が発揮されていると思います。改めて運行に携わる関係者の方々に敬意を表するものです。最近では、小学校の6年生の総合学習の一環として、児童による地域貢献活動をしたいとの申出に基づき、児童による防犯交通安全の広報音源を作成し、同音源を用いて、青色灯防犯パトロールカーで広報活動を行っている地域があります。こうしたことで青色灯防犯パトロールカーの運行による犯罪抑止の効果は、区はどのように評価されているのか。また、運行時間にも、通勤通学時間の早朝や夜間にも運行時間を拡大するなど、運行体制の充実を図っていく考えはないのでしょうか、伺います。

 次に、交通安全の取組について伺います。

 区内のある小学校の児童の見守りの仕事をしている方が、日頃から自転車の違法通行がとても多いと感じています。このような状況から自転車の危険運転の取り締まりが必要だと常々感じているとのお話を伺いました。区内では自転車が関与する交通事故が多く、交通事故の64.5%が自転車が関与している事故だそうです。自転車利用者による交通法令の遵守やマナー向上が大きな課題となっています。

 そこで、区としては今後どのような形で区民に対して自転車の安全利用に関する啓発を行っていくのか、伺います。

 見守り支えあい活動については、先ほど我が会派の高橋幹事長からも質疑がありましたので、私からは、見守り対象者名簿の一部個人情報の漏洩案件については大変遺憾であり、このようなことが二度とあってはならないと思っています。

 私自身も一町会の名簿の管理者として、地域の見守り支えあい活動は、大変重要なことだと思って活動をしております。名簿を提供している関係機関に対しては、個人情報の適正な管理を徹底していただきたいことを要望いたします。

 次に、小中学校校舎改築整備について伺います。

 昨年12月の子ども文教委員会において、中野本郷小学校の再度の供用開始の遅れが報告されました。かつて区は、突如として新型コロナウイルス感染症の影響により財政が逼迫すると、財政の緊急事態宣言を出し、中野本郷小学校の設計を一方的に止めました。本来であれば、改築工事を令和4年に開始し、令和6年4月には開校していたはずの学校は、いまだそのままとなっております。

 中野本郷小学校の設計停止の理由は財政を守るためだった。しかし、そういった財政的危機を乗り越えるために、財政調整基金を積み立てたのではないでしょうか。感覚的、感情的な区政運営で地元は大混乱いたしました。数年前の区の考え方は何だったのかと、唖然といたします。

 さらに、区は昨年末、止めていた間、測量が不十分であることを放置し、さらに開校日程を遅らせるという、景気や財政に対する見通しや、改築に係る仕事ぶり、全てがずさんであるのではないでしょうか。

 一体、中野本郷小学校の設計停止は何だったのか。そんなに中野本郷小学校は軽く見られているのか、地元選出の議員として非常に遺憾であります。昨年末の報告によれば、測量が不十分なままに放置したせいなどのために新校舎の供用開始が遅れてしまったということであります。測量、ほかの理由のために遅れることとなった中野本郷小学校の供用開始はいつになるのか、改めて伺います。

 また、新校舎供用開始の遅れの責任をどう考えているのか、区の再発防止策について伺います。

 ウクライナの戦争の影響などで、工事経費がこの間増加しています。中野本郷小学校は、当初の改築工事開始は令和4年度でありましたが、それが3年程度遅れると聞いています。しかし、今般の状況を見ると、これからの3年間でも資材や人件費が高騰し、工事費が増大するのではないかと危惧しています。学校建設中の中野本郷小学校は約8,000平米前後の施設と聞いております。大きな施設であるため、もし工事費の高騰があれば影響は非常に大きくなります。もし設計を止めずに既に建設していれば安く建てられたのではないでしょうか。財政のために止めた中野本郷小学校は、あのとき止めたせいで、財政的には逆効果になっているのではないでしょうか。そう思ってしまいます。

 そこで、過去の区の学校建設を参考に伺います。

 例えば、平成30年着工のみなみの小学校と令和3年着工の南台小学校は、建築で3年間開いています。両校の建築平米単価はどのくらい上昇しているのか、一つの参考として、平米単価について伺います。

 そこで仮の話でありますが、そのみなみの小学校から南台小学校との建築単価上昇を現在設計中の中野本郷小学校新校舎に当てはめると、どのくらいの経費増になるのでしょうか、伺います。

 また、中野本郷小学校はグリーンガーデンという貴重な教材農園があります。地域の人たちが愛着を持ち、また子どもたちの貴重な学びの場として大切にしてきたものであります。昨年12月の改築推進委員会において、グリーンガーデン整備の方向性について議題に上がったと聞いております。グリーンガーデンの整備について、区は、地域の意見を聞いて進めているのか、現在の状況を伺います。

 仮校舎として旧向台小学校への通学の際に、区として近隣の弥生地区の町会などに働きかけ、子どもたちの通学の安全の協力を図るべきではないかと考えますが、区の対応を伺います。

 学校建設では、1月の子ども文教委員会においても、桃園第二小学校についても、新校舎整備と代替校舎である旧中野中学校について、工事が遅れると報告がありました。また、代替校舎については、その整備は区は議会に対して数億円から10億円程度の工事費と説明していましたが、35億から36億円かかるということでした。スケジュール、経費も既に見積りが甘過ぎるのではないでしょうか。

 旧中野中学校の代替校舎整備について、議会に説明した整備費、数億円から10億円程度と説明したその根拠は何か、伺います。

 最後に、平和の森小学校ですが、この学校も本当に長い間、新校舎の建設が遅れています。平和の森小学校統合から既に10年以上経過し、その後、法務省矯正研修所の移転や刑務所正門の問題などで、改築計画が遅れに遅れています。一方では、子どもたちは増加しており、校庭を広々と使うこともできず、狭い校舎で窮屈な思いをして学校生活を送っています。平和の森小学校新校舎の整備の進捗状況についてもお伺いをいたします。

 小・中学校整備は、区にとって大切な子どもたちやその保護者の生活、未来に大きく影響する重要な事業であることを忘れてはなりません。それが現在、事業経費やスケジュールの見積りはずさんであり、その執行体制は貧弱なものであります。これは、区として本気で子どもたちの将来を考えているのか、区民は区を信用できなくなってしまうと考えております。今後の学校建築については、しっかりとした対応を要望いたします。

 最後に、鍋横区民活動センターの整備について伺います。

 新たな鍋横区民活動センターは、令和5年度開設予定の複合施設として計画されましたが、区民活動センターの規模や、施設の配置など様々な意見があり、地域の合意が得られなかったことや、新型コロナウイルス感染拡大の影響で見直しを行うことになりました。その後、令和3年には、区は整備を再開することを決定し、今年度中に鍋横区民活動センター等整備基本方針を策定するとしています。

 整備基本方針(案)には、今回の整備内容は前回と異なり、区民活動センター、地域包括支援センター及び自転車駐車場であるとしています。鍋横区民活動センター整備の移転先は、鍋屋横丁通りの商店街など、商業地区としてのにぎわいや新中野駅に近く、鍋横地区の地域コミュニティの中心に位置しており、新しいセンターを従来の利用者のみならず、多様な地域住民の方によって活用されると期待しております。地域住民に愛着を持って長く利用してもらうためには、地元合意が得られなかった前回の反省を踏まえ、区が地域の意見をよく聞き、十分な調整を行いながら進めていくべきだと考えますが、区としての考えを伺います。

 整備基本方針(案)によれば、自転車駐車場の収容台数は250台程度とされています。駅や商店街に近いことから、その必要性は理解できますが、限られた敷地を有効活用していくためには、収容台数を改めて精査すべきと考えますが、区の考えをお伺いいたします。

 現在、整備予定地は時間貸しの駐車場として貸出しされていますが、それはいつまでなのか、工事の開始に影響がないのか、伺いまして、私の全ての質問を終了いたします。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、都区財政調整について。財政調整協議の都の対応への見解と今後の見通しについてであります。特別区の児童相談所設置は大幅な役割分担の変更に当たり、都区の配分割合の見直し事由に当たることは明白であります。55.1%に積み増していくべきものと考えておりまして、都の対応は納得できるものではありません。現在、水面下での交渉が続けられておりますが、協議再開は不透明な状況です。特別区一丸となって早期に協議を再開することを求めるとともに、需要に応じた適切な区民サービスを提供していくための財源確保に向け、強い姿勢で主張してまいります。

 続きまして、サンプラザ閉館を契機としたシティプロモーション事業の効果と実施体制についてであります。次年度に計画している中野サンプラザの外壁を活用したプロジェクションマッピングは、区の認知度向上や地域経済の活性化を目的として、10万人程度の来街者を見込んでおります。事業の実施に当たりましては、東京観光財団の補助金やガバメントクラウドファンディングの実施など、歳入確保に努めながら、中野駅周辺の商店街をはじめ、区民団体、区内事業者など多くの参画を得ながら、庁内での応援体制も組んで波及効果の高い企画を立案し、実施していく考えでございます。

 次に、もみじ山文化センター本館の旧レストランスペースの活用についてでございます。区として、区民が文化・芸術活動を行う機会が十分ではないことや、区民が文化・芸術によって心の豊かさを育むことができる環境整備などが課題であると考えております。スペースを活用して区民や区内文化・芸術団体の作品展示事業やワークショップなどを実施することで、区民が身近に気軽に文化・芸術に親しんで、つながりが生まれる機会を創出していく考えでございます。

 次に、太陽光発電システム補助の効果等についてでございます。令和5年度に実施を予定している太陽光発電システム設置への補助については、区がゼロカーボンシティを目指すための一環として実施するものでありまして、東京都が事業者に対して太陽光発電システム設置の義務化等、これを行うことに伴って区が事業化するものではありません。太陽光発電システム1台当たりのCOの年間削減効果は約1.7トンを見込んでおりまして、令和5年度予算案に計上している35台に補助を実施した場合の年間削減効果は約60トンを見込んでおります。

 続きまして、安全で安心して住めるまちづくりについてで、特殊詐欺・振り込め詐欺の対策についてでございます。区内の特殊詐欺の発生件数は、令和元年で68件、令和2年77件、令和3年87件、高齢者を中心に多くの被害が発生しております。来年度につきましても、自動通話録音機の対応事業を継続するとともに、中野・野方両警察署と連携して特殊詐欺被害撲滅に向けた広報啓発活動を推進してまいります。

 次に、青色灯防犯パトロールカーの運行体制についてでございます。区では、青色灯防犯パトロールカーの乗務員に警察OBを採用し、現役時代の知識と経験を生かしたパトロール活動は高い犯罪抑止効果があると自負をしております。現在は、子どもへの声かけ事案が多い下校時間帯を重点的に運行しておりますが、区内の犯罪情勢に応じてパトロールの重点地域を選定するなど、より一層区民の安全・安心の確保に効果が上がるよう取り組んでまいります。

 最後に、交通安全の取組についてでございます。区では自転車の安全利用の啓発を目的とした自転車安全利用講習会を中野・野方両警察署と連携して開催をしております。今後は高齢者や子育て世代など自転車事故の多い年代の区民に向けて講習会を開催するほか、各種キャンペーン等を通じて一層の効果が上がるよう取り組んでまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 初めに、主な取組事業についての御質問のうち、小学校選択制移動教室の事業者委託についてお答えをいたします。

 選択制移動教室の業者委託は、諸業務を一体的に委託することで、教員の業務を軽減し、移動教室の安全かつ確実な実施を図るものでございます。それぞれの学校の教育課程に沿った計画に基づくもので、委託事業者と教育委員会の支援を受けることによって、移動教室がより一層充実した内容になると考えております。

 次に、小中学校校舎改築整備についてでございます。中野本郷小学校供用開始についてですが、昨年12月及び本年1月の子ども文教委員会で報告いたしましたが、半年遅れとなる令和9年4月を予定しております。

 次に、供用開始の遅れについての区としての再発防止策についてです。新校舎供用開始の遅れについては、子どもたちやその保護者の生活への影響につながるものであり、区として大変重く受け止めております。本年1月の子ども文教委員会で報告いたしましたが、小中学校校舎改築整備の再発防止策として、学校施設整備の計画と予算について常に整合性を取ること、改築予定校の進捗管理及び代替校舎整備等に係る取組の強化、各所管部署との連携強化、学校整備に係る知識、ノウハウの蓄積の4点について取組を強化してまいります。また、これらの取組強化のため、執行体制の充実、強化についても検討してまいります。

 次に、みなみの小学校、南台小学校の建築平米単価についてでございます。平成30年の着工、みなみの小学校の建築平米単価は41万3,000円、令和3年着工の南台小学校の建築平米単価は65万4,000円でございます。両校の整備に違いがあるため、単純な比較は難しいのでございますが、建築平米単価のみで比較した場合は、平米単価14万1,000円、約31%上昇しております。

 次に、中野本郷小学校新校舎整備の経費増のシミュレーションについてでございます。現在建築中の中野本郷小学校の延べ床面積は約8,800平米でございます。現在急激な円安も落ち着いているなど、将来的な工事費高騰については不透明な状況でございますが、経費増につきましては、単純に過去の建築平米単価増と建築中の延べ床面積をシミュレーションした場合、約12億4,000万円増となります。

 中野本郷小学校のグリーンガーデンについてです。中野本郷小学校は、校舎北側に約2,200平方メートルのグリーンガーデンと呼ばれる教材園があり、現在、地域の方々の協力を得ながら、小学校の貴重な学習の場として活用されているところでございます。昨年12月、中野本郷小学校改築推進委員会において、地域、学校、PTAの委員の方々と区はグリーンガーデンの整備についての御意見と方向性についての共有を行ったところでございます。今回頂いた意見を参考にするとともに、地域、学校、PTAの方々の御意見を聞きながら、引き続きグリーンガーデンの整備に係る設計作業を進める予定でございます。

 次に、子どもたちの通学時の安全対策についてです。中野本郷小学校の児童は令和6年度から3年間、校舎改築工事のため、代替校舎となる旧向台小学校へ通学することになります。通学する児童の登下校時の安全を確保するため、交通安全指導員を配置するとともに、代替校舎のある町会を含め、近隣町会等には見守り等の協力をお願いしていきたいと考えております。

 次に、旧中野中学校代替校舎の当初想定改修経費の根拠についてでございます。旧中野中学校代替校舎の改修については、耐震補強工事と内装工事が必要であることは、当初想定していたところでございます。そのため、それぞれの工事について、中野区における過去の工事実績から改修経費を想定したところでございました。

 最後に、平和の森小学校新校舎整備の進捗についてでございます。平和の森小学校新校舎整備については、現在基本設計を実施しているところでございまして、本年3月に設計作業が終了する見込みでございます。本定例会において、議会に報告する予定でございます。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、鍋横区民活動センター等の移転整備についてお答えいたします。

 初めに、地域との十分な調整についてです。鍋横区民活動センター等整備に関しましては、地域において、町会のほか、地域で活動する団体、商店街関係者等で構成されます建設検討委員会が組織されております。より丁寧な合意形成を図るため、この建設検討委員会における協議の場を増やすとともに、適宜、より広く地域住民の方々の意見を伺う機会を設けていきたいと考えてございます。

 次に、時間貸し駐車場としての貸出しと工事開始時期についてでございます。時間貸し駐車場の運営事業者への貸付は、令和7年9月末までとしてございます。一方で、工事開始は基本設計、実施設計完了後の令和7年10月以降を予定しているため、期間が重なることはありません。今後とも十分なスケジュール管理の上、整備を進めていく考えでございます。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、鍋横区民活動センター等整備についての御質問のうち、自転車駐車場の収容台数についての御質問にお答えをいたします。

 中野区自転車等放置防止条例の規制区域を設定する際に、新中野駅周辺における自転車駐車場の必要台数を490台とし、自転車等の放置の規制を行ってきたところでございます。直近3年間は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、自転車駐車場の利用率が減少傾向にある一方、放置率は区内の規制区域で最も高くなっている状況でございます。こうしたことから、自転車等の放置を適正に規制するため、今後も新中野駅周辺に490台の収容台数が必要であると考えてございます。また、他に代替地がない状況におきましては、鍋横区民活動センターに250台程度の自転車駐車場の整備が必要と考えているところでございます。

○議長(内川和久) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後4時42分休憩

 

午後4時42分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 

 中野区議会議員 南   かつひこ

 1 沼袋駅周辺まちづくりと西武新宿線鉄道上部空間の活用と整備について

 2 空き家対策について

 3 ごみ収集・資源回収事業について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、南かつひこ議員。

〔南かつひこ議員登壇〕

○36番(南かつひこ) 令和5年第1回定例会におきまして、公明党議員団の立場から一般質問を行います。区長並びに理事者におかれましては、明快で前向きな御答弁をお願いをいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 1番目に、沼袋駅周辺まちづくりと西武新宿線鉄道上部空間の活用と整備について伺います。

 沼袋駅周辺では、西武新宿線連続立体交差事業、中井駅-野方駅間が地下化事業として進められており、同時に沼袋商店街通りである区画街路第4号線の拡幅事業も本格的にスタートしているところです。中野駅周辺まちづくりが100年に一度のまちづくりと言われていますが、ここ沼袋駅周辺まちづくりも、鉄道の連続立体交差事業と商店街通りの拡幅事業とが並行して進行する極めてまれな事業であり、100年に一度のまちづくりに匹敵する事業となるものであります。

 連続立体交差事業の地下化が6年延伸され、令和8年度完成予定で進められており、完成年度まであと4年という現時点で、駅ビルの姿が示すことができていないことに理解に苦しむところであります。連続立体交差事業の工事が始まる前の沼袋駅の敷地内には、2階建てのスーパーがあり、地域住民にとっては買物の利便性もよく、商業的なにぎわいもありました。連続立体交差事業の工事が始まってからは、沼袋駅周辺ではスーパーや銀行などの利便性のある生活商業施設がなくなり、にぎわいの活気がなくなってしまった感が非常に強く感じます。特に高齢者にとっては品ぞろえに十分に満足することができずに、遠く離れたスーパーにまで買物に出かけなければなりませんが、遠い距離を重い荷物を持って帰らなければならず、買物に出かけることを諦めてしまう、いわゆる買物難民状態になっております。

 沼袋駅の駅舎上部空間は、スーパーを誘致するなど利便性のある生活商業施設を整備することが、地域の利便性の向上や経済の活性化につながり、何といっても降りてみたくなるような魅力ある駅ビルの整備をして、沼袋駅周辺の玄関口としての役割を大いに果たすようにしなくてはならないと考えます。

 にもかかわらず、いまだに沼袋駅駅舎の上部空間の駅ビルなどの明確な構想や計画が見えてきていません。イメージ図すらも示されておりません。中野区として、西武鉄道に一日も早く駅ビルの姿を示すように求めるとともに、事業主体である東京都にも、駅ビル構想や計画を示すように求めるべきと考えますが、区の見解を伺います。

 今後の沼袋駅の駅舎整備が進んでいく中、沼袋駅周辺の住民の皆様からは、新たな駅舎の出入口や改札口の位置がどこになるのかとの問合せをたくさん受けているところです。特に改札口の位置については、地域住民の皆様からの関心も高く、改札口を地上部に整備してほしいとの声が多くの方から届いている状況です。駅舎の出入口や改札口の位置について、現在の計画概要がどのようになっているのか。中井駅-野方駅間の連続立体交差事業の完成年度が令和8年度であることを考えれば、計画概要が現時点で示せないわけがないと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、区画街路第4号線の交通広場の具体的な整備について伺います。

 現在、区画街路第4号線の第1期区間にある交通広場の用地の収容が進められているところです。区画街路第4号線整備は、令和7年度の完成を目指して進められており、整備が進めば、現在の一方通行から双方通行ができるようになり、バス路線も中野駅方面の1路線しかなかったものが、中野駅から沼袋駅への路線の拡充も期待されるところです。バス路線の拡充と併せて、沼袋駅南側に整備される交通広場の活用の充実を図らなくてはなりません。今後の区画街路第4号線整備により、まち並み誘導型地区計画による新たな沼袋商店街通りの活性化を見据えて、交通広場からの人の流れをつくるためにも、降りたくなるような交通広場に整備していくことが欠かせないと考えます。さらに便利で利用しやすい工夫が求められます。

 その意味から、バスの運行状況がすぐに分かるバスロケーションシステムの導入や、バス停や駅までの動線には日差しや雨を避けるためのシェルターの整備や、風よけのための透明なフードの設置など、バス利用者の利便性の向上や、LED街路灯の設置による防犯対策の強化、さらにはデジタルサイネージの整備による地域周辺の案内表示や発災時の防災情報の提供などが期待されます。現在、区画街路第4号線の交通広場の大まかな平面図が示されていますが、より具体的な景観の分かるイメージ図を示していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、西武新宿線鉄道上部空間の活用と整備について伺います。

 昨年の8月10日に中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会の視察で、下北沢にある北沢タウンホールにて、小田急線の地下化による上部活用について説明を受けました。その後、下北沢から世田谷代田駅間の上部活用部分を徒歩で視察、緑豊かな空間や通路、さらに保育園、温泉施設の整備など、魅力あふれる上部活用が行われておりました。大変に有意義な委員会視察となりました。

 小田急線地下化による上部活用の説明のときには、平成16年3月に小田急小田原線代々木上原駅-梅ヶ丘駅間の連続立体交差事業の事業認可がなされ、9月には事業着手が実施されております。その翌年の平成17年3月には、世田谷区として、上部利用方針を策定しています。その後、小田急線上部利用区民意見検討委員会を設置や、オープンハウス、ワークショップ、シンポジウムなどを重ねて、民意を反映した形で平成27年8月には世田谷区小田急線代々木上原駅-梅ヶ丘駅間の上部利用計画を策定しています。その3年後の平成30年度には、小田急小田原線代々木上原駅-梅ヶ丘間連続立体交差事業が完了しています。

 一方、西武新宿線連続立体交差事業、中井駅-野方駅間では、事業完了が6年延伸され、令和8年度に完了予定になりましたが、間もなく令和5年度を迎えるに当たり、いまだに鉄道上部空間活用計画が示されていないことはあまりにも遅過ぎるとの感が否めません。早急に示すべきです。

 1月19日の中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会での西武新宿線鉄道上部空間についての委員会資料では、地域貢献や地域環境との調和を鉄道事業者に求めていくとありますが、駐輪場や緑道といった整備だけでなく、商業的な活性化を誘導する整備が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 新井薬師前駅から沼袋駅までの上部空間の活用と整備については、中野駅周辺との回遊性を含めた商業的な活性化が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。伺うとともに、国の指定文化財になっている哲学堂公園などの文化財の活用も必要ではないかと考えますが、区の見解を伺います。

 世田谷区では、区民からの意見を十分に取り入れ、東京都と調整をして、上部利用計画を策定してきています。中野区でも、鉄道上部空間活用計画の策定については、区民からの意見を十分に取り入れる必要から、意見交換会やオープンハウス、ワークショップなどを開催していくべきと考えますが、区の見解を伺って、この項の質問を終わります。

 2番目として、空き家対策について伺います。

 令和3年の第4回定例会での一般質問の際には、中野区では空き家の利活用の事例はないとのことでした。中野区として空き家の利活用を進めていくに当たり、一つの事例として、今年度よりセーフティネット専用住宅登録促進モデル事業を新規事業として開始したところです。事業内容としては、住宅確保要配慮者を対象としたセーフティネット専用住宅の登録を促すため、民間賃貸住宅のオーナーに対して必要となる改修費の一部の助成するものです。

 今年度より始まったセーフティネット専用住宅登録促進モデル事業のこれまでの実施状況と、空き家の利活用としての対策としても有効との認識であったと考えますが、現時点での当事業の分析をどのように考えられているのか、区の見解を伺います。

 次に、空き家の利活用の条例について伺います。

 中野区では、空家法に定めるもののほか、必要な事項を定め、区民等の生命、身体または財産を保護するとともに、生活環境の保全を図り、もって安全な地域社会の実現に寄与することを目的として、中野区空家等の適切な管理、利用及び活用の推進に関する条例を平成30年10月19日に制定し施行しています。しかし、内容を見てみますと、中野区としての責務や事業者との連携、緊急安全措置などは明記してあるものの、中野区として、空き家対策に講ずる具体的な施策や空き家の発生予防などは明記されておりません。条例の現状を考えたときに、空家等対策の実施体制として、中野区空家等の適切な管理、利用及び活用の推進に関する条例の施行による成果が出ているのか、伺うとともに、その分析について区の見解を伺います。

 次に、中野区空家等対策基本計画の中で、空家等対策の今後の実態体制が明記されています。その中で、条例施行により地域の実情に応じた区独自の空家等対策を進めるとありますが、具体的にどのような対策をしていくのか、区の見解を伺います。

 昨年の9月に豊島区が行っている地域貢献型空き家利活用事業の視察に、我が会派の久保議員とともに行ってまいりました。空き家の所有者とNPO法人などの事業者等、豊島区がマッチングをさせて、空き家の利活用を形にしていく事業です。

 豊島区では、平成29年12月6日に、豊島区空家活用条例が公布され、空き家の活用の登録が明記されています。空き家をどうにかしたいと考えている所有者と、活用を考えている事業者が条例上の登録制度を利用して、豊島区が双方の思惑がマッチングしていくようにする手法です。空き家の所有者にとっては、改修費用の負担がゼロ、もしくは一部の負担で済むことになっています。また、活用事業者には改修費用を全額負担、もしくは一部負担してもらう反面、低廉な家賃で借りることができる利点があります。

 このように自治体が空き家の所有者と活用事業者との間を取り持ち、マッチングする手法が重要と考えますが、中野区としてはどのように対応しているのかを伺います。

 今後、空き家対策に中野区として本腰を入れていくとの姿勢を示すためにも、空き家の所有者と活用事業者の登録制度などを加えた、より具体的な条例改正が必要ではないかと考えますが、区の見解を伺います。

 令和3年3月に、東京都耐震改修促進計画が都民の生命と財産を保護するとともに、首都機能を維持するため、建築物の耐震化を計画的かつ総合的に促進する目的として、一部の改定がされました。主な改定項目の一つに、戸建て住宅等に対して、老朽化の進行を踏まえ、除却による耐震化を積極的に促進するとともに、区市町村による所有者への積極的な働きかけをさらに推進との方針が示されて、除却による耐震化について防災都市づくり推進計画に整備地域以外も助成対象に加えるとされました。

 そのような状況から、令和4年度の当初予算に耐震化促進を図るための木造住宅耐震化促進事業の対象範囲も区内全域に拡大し、耐震化促進助成事業の拡充を進めたところです。令和4年度における木造住宅耐震診断助成事業の実績について、現時点での全体の件数を伺うとともに、そのうちの空き家の件数についても伺います。

 また、今回の対象地域の拡充による効果や、今後の見通しについて、中野区としてどのように分析されているのかを伺います。

 さらに、木造住宅耐震診断の後、木造住宅除却工事助成に結びついた申込件数と、そのうちの空き家での件数の実績を伺います。

 また、対象地域の拡充における空き家の除却工事助成件数も併せて伺います。

 今回の木造住宅除却工事助成事業は、中野区の空き家対策として非常に効果があり、より一層周知徹底していき、空き家の解消に活用していくべきと考えますが、区の見解を伺って、この項の質問は終わります。

 3番目として、ごみ収集・資源回収事業について伺います。

 プラスチックに関わる資源循環の促進等に関する法律が2022年4月より施行されました。これに先立ち、中野区では、容リプラの資源化に力を入れるため、今後、プラスチック製品の回収業務において、東京都環境衛生事業協同組合中野区支部の委託業者に対して、増車要求をしております。それに応えるためには、人員確保が必要不可欠ですが、待遇面から運転手や作業員の確保が困難な状況にあります。

 そこで、プラスチック製品の回収業務の増車要求に当たり、人員確保をするためにも、運転手、作業員の賃金増額をすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 昨年より、原油価格の高騰による燃料費の値上げや鋼材等の急激な値上がりにより、車両価格の上昇等で経営的にも大変厳しい状況になっております。令和5年度以降も円滑な事業運営を実施していくためにも、継続雇用の質の高い人材不足への支援としての区契約単価の増額をすべきと考えますが、伺って、私の全ての質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 南議員の御質問にお答えいたします。

 1点目に、沼袋駅周辺まちづくりと西武新宿線鉄道上部空間の活用と整備について。

 初めに沼袋駅周辺の生活利便施設の導入についてでございます。西武新宿線沿線まちづくり整備方針では、駅前において新たなにぎわいの創出として、生活拠点にふさわしい機能の充実を図っていくこととしております。区としては、沼袋駅の拠点空間整備の中で、生活利便施設の導入を検討するとともに、併せて鉄道上部空間の活用も含め、東京都や西武鉄道株式会社と連携をし、生活拠点にふさわしいまちづくりを進めていく考えでございます。

 次に、沼袋駅の駅出入口や改札の位置についてでございます。沼袋駅の駅出入口や改札の位置につきましては、西武鉄道株式会社にて設計を行っているとのことであります。内容が決まり次第、地元に周知するように要望をしてまいります。

 次に、区画街路第4号線交通広場についてであります。区画街路第4号線の交通広場は、バス、タクシー乗降場の位置や交通処理の検討を進めているところでありまして、広場内の施設配置や機能などについては、今後、鉄道上部空間の活用検討状況や社会情勢等を踏まえ計画し、地元にもイメージを示していきたいと考えております。

 続きまして、地域の活性化に寄与する上部空間の活用についてでございます。西武新宿線沿線まちづくり推進プラン沼袋駅周辺地区編、こちらでは駅前周辺エリアにおいて新たなにぎわいの創出をまちづくりの施策に掲げております。したがって、駅周辺に位置する鉄道上部空間は、地域の活性化を含め、新たなにぎわいの創出に寄与する活用を誘導したいと考えております。

 続きまして、回遊性を視野に入れた上部空間の活用についてであります。新たに創出され整備される鉄道上部空間は、より多くの人に利用されることで、地域やまちの発展につながると考えております。したがって、鉄道上部空間の活用を検討する際には、文化財などの地域資源や中野駅周辺と連携する人の動線を視野に入れた魅力ある空間の創出を目指したいと考えております。

 最後に、上部空間の活用における区民意見の反映です。鉄道上部空間は、新たに創出される貴重なまちの資源になり得るものでありますから、地域の皆さんに親しまれ、愛される空間にしていかなければならないと考えております。したがって、区民意見の反映は極めて重要であるということから、地域の皆さんのまちづくりの取組と連携しながら、最も有効な区民意見の反映手法を講じていきたいと考えております。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、空き家対策についての御質問にお答えをいたします。

 まず、セーフティネット専用住宅改修補助の実施状況等についての御質問でございます。事業開始を契機に、区報やホームページのほか、空き家相談やリフォーム相談、居住支援協議会と連携し、セミナー等において、セーフティネット住宅制度の周知に取り組んできたところでございます。

 改修費助成の申請には至ってございませんが、オーナーや不動産店からの問合せはありまして、セーフティネット住宅制度の普及啓発の機会は増えているというふうに考えてございます。

 次に、空家等の適切な管理、利用及び活用の推進に関する条例の成果についてでございます。条例において所有者等を都、区、区民等の責務や事業者等との連携等について定めたことで、空き家対策の体制が明確になり、庁内連携体制を構築して、所有者等に対する調査や適切な管理の要請、空き家情報の集約管理を行っているところでございます。また、民間団体事業者等と連携をしまして、所有者等が法律や不動産、建築等の専門的な内容も相談可能な窓口を開設したところでございます。

 次に、地域の実情に応じた独自の空き家対策についての御質問でございます。町会関係者や民生児童委員、高齢者に関連する団体や窓口を通じまして、また居住支援協議会とも連携し、空き家だけではなく、持家等の所有者に対して、セミナーやチラシ等により、持家の有効活用や管理不全予防の働きかけを行っているところでございます。今後も引き続き空き家相談窓口等とも連動しまして、地域の中での空き家対策を推進してまいります。

 次に、空き家の利活用の手法と条例改正についての御質問でございます。中野区は、不動産の市場性が高く、一般的に売却や賃貸が行いやすく、利活用されない空き家には、老朽化、耐震性や接道条件、権利関係等の要因が考えられるところでございます。平成28年度の空き家実態調査では、行政等に貸す意向のある所有者は少なかったところでございます。

 中野区では、空き家総合相談窓口におきまして、空き家の所有者等からの法律や不動産、建築等の様々な専門的な相談にも民間団体等が連携をして対応し、賃貸や売却等の利活用にもつなげているところでございます。そうした体制になっているというものでございます。区が登録制度を行うことや、条例改正につきましては考えてございませんが、他の自治体の事例を参考に、空き家の利活用の促進策を研究していきたいと考えてございます。

 次に、木造住宅耐震診断助成についての御質問でございます。令和4年度における木造住宅耐震診断助成は、本年1月末時点で116件の申請がありまして、そのうち31件、約27%が空き家でございました。

 なお、耐震診断を行った31件の空き家のうち、今年度より拡大した区域のものは9件でございました。拡大区域においても、引き続き事業の周知を進めていくことで、今後の申込み件数の増加につながるものと考えてございます。

 次に、木造住宅除却工事助成についての御質問でございます。令和4年度における木造住宅除却工事助成は、本年1月末時点で57件の申請があり、そのうち27件、約47%が空き家でございました。

 なお、拡大区域内での空き家の除却工事助成は6件でございました。

 最後に、耐震化促進事業の推進についての御質問でございます。木造住宅除却工事助成を含めた耐震化促進事業は、建築物の耐震性向上を図ることにより、震災から区民の生命と財産を守ることを目的としており、対象となる建築物には空き家も含まれてございます。引き続き耐震化促進事業を推進し、災害に強い安全なまちの実現を目指していく考えでございます。

〔環境部長朝井めぐみ登壇〕

○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、ごみの収集・資源回収事業についての御質問にお答えいたします。

 ごみの運搬契約は、23区が連名で事業者と契約をしております。ペットボトルなどの資源回収事業者への委託につきましては、ごみの運搬契約の単価を基準とし、各区が契約をしております。この単価は原価計算によりまして、毎年度必要経費を科目ごとに積み上げ、各種経済指標を適用した金額としているため、社会情勢に見合った単価となっているところでございます。

○議長(内川和久) 以上で南かつひこ議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時12分延会

 

 

会議録署名員 議 長 内川 和久

       議 員 日野 たかし

       議 員 むとう 有子