1.令和5年(2023年)11月28日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 山 内 あきひろ 2番 武 井 まさき
3番 斉 藤 けいた 4番 井 関 源 二
5番 黒 沢 ゆ か 6番 大 沢 ひろゆき
7番 武 田 やよい 8番 いのつめ 正 太
9番 間 ひとみ 10番 市 川 しんたろう
11番 加 藤 たくま 12番 日 野 たかし
13番 木 村 広 一 14番 吉 田 康一郎
15番 立 石 り お 16番 内 野 大三郎
17番 広 川 まさのり 18番 河 合 り な
19番 細 野 かよこ 20番 斉 藤 ゆ り
21番 高 橋 かずちか 22番 大 内 しんご
23番 甲 田 ゆり子 24番 小 林 ぜんいち
25番 白 井 ひでふみ 26番 小宮山 たかし
27番 羽 鳥 だいすけ 28番 い さ 哲 郎
29番 杉 山 司 30番 ひやま 隆
31番 山 本 たかし 32番 伊 藤 正 信
33番 高 橋 ちあき 34番 平 山 英 明
35番 南 かつひこ 36番 久 保 り か
37番 石 坂 わたる 38番 むとう 有 子
39番 浦 野 さとみ 40番 中 村 延 子
41番 森 たかゆき 42番 酒 井 たくや
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 青 山 敬一郎
副 区 長 栗 田 泰 正 教 育 長 入 野 貴美子
総 務 部 長 濵 口 求 防災危機管理担当部長 杉 本 兼太郎
DX推進室長 滝 瀬 裕 之 区民部長、新区役所窓口サービス担当部長 高 橋 昭 彦
文化・産業振興担当部長 高 村 和 哉 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一
子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子 地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔
健康福祉部長 鳥 井 文 哉 保 健 所 長 佐 藤 壽志子
環 境 部 長 松 前 友香子 都市基盤部長 豊 川 士 朗
まちづくり推進部長 角 秀 行 中野駅周辺まちづくり担当部長 千 田 真 史
企画部企画課長(企画部参事事務取扱) 森 克 久 総務部総務課長 浅 川 靖
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 堀 越 恵美子 事 務 局 次 長 林 健
議事調査担当係長 鈴 木 均 書 記 立 川 衛
書 記 若 見 元 彦 書 記 髙 田 英 明
書 記 鎌 形 聡 美 書 記 田 村 優
書 記 細 井 翔 太 書 記 早 尾 尚 也
書 記 堀 井 翔 平 書 記 金 木 崇 太
書 記 髙 橋 万 里 書 記 川 辺 翔 斗
議事日程(令和5年(2023年)11月28日午後1時開議)
日程第1 第90号議案 令和5年度中野区一般会計補正予算
午後1時00分開議
○議長(酒井たくや) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 南 かつひこ
1 中野駅周辺まちづくりについて
2 中野区区有施設整備計画について
3 成年後見制度の充実について
4 公園整備について
5 文化芸術振興について
6 その他
○議長(酒井たくや) 最初に、南かつひこ議員。
〔南かつひこ議員登壇〕
○35番(南かつひこ) 令和5年第4回定例会において、公明党議員団の立場から一般質問を行います。区長並びに理事者におかれましては、明快で前向きな御答弁をお願いいたします。
1番目に、中野駅周辺まちづくりについて伺います。
11月8日のNHKの報道では、区役所、中野サンプラザ跡地での再開発の建設費が、資材価格や人件費の高騰によって、1年前の建設費の試算より250億円ほど増加すると伝えられました。この増加分の250億円は、これまでの区役所、中野サンプラザ跡地の建設費の1割に相当し、総額2,500億円に上ります。このことで、中野区は再開発事業の計画を一部見直し、現時点で予定している430億円の補助金に加えて、別の補助金の活用も検討しているとの報道がされたところです。補助金については、さらなる確保が必要でありますが、再開発事業の部分や都市計画駐車場及び歩行者デッキの部分において、どのような補助金確保を検討しているのか、区の見解を伺います。
次に、高層棟及び低層棟における権利床について伺います。これまで権利床の想定として、事務所床、展望施設、バンケットを含むコンベンションセンター、子ども遊び場施設を検討中としていましたが、10月31日に開催された建設委員会では、レストラン、屋外空間を含む展望施設、バンケット・コンベンション、低層部の商業施設部分での屋内の子どもの遊び場と、高層階での親子で眺望を楽しみながら過ごせる展望施設を設置すると明確に示したところです。そこで、事務所床をはじめ、それぞれの収益の想定額を伺います。
また、今回の資材価格や人件費の高騰による250億円もの建設費の増加によって、エレベーター等に関わる維持費や共益費にはどの程度の影響があると分析されているのか、区の見解を伺います。
権利床の運用については、所有と運営を分離することを今年の第1回定例会の中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会で示されました。権利床の導入機能については、さきに述べたように、検討段階から設置すると明示されましたが、その権利床の運用についてしっかりとした事業スキームや採算性が取れたと判断した根拠とはどのようなものかを伺います。
11月8日に開催された都市計画審議会では、中野四丁目新北口駅前地区の都市計画案が採択され、決定したところです。その中で追加区域として、荷さばき駐車場を含む都市計画駐車場を整備する中で、中野通りをまたぎ、荷さばき用通路として地下通路を整備し、中野五丁目でエレベーターを整備して地上階に出てくる受け口の場所での土地の収用における地権者との合意形成はどのような状況なのか伺います。
また、中野五丁目の受け口については、歩行者デッキもつなぐ場所になっているため、また、限られた敷地であり、荷さばき用の地下通路の出入口ともなるため、運送事業者と歩行者とが滞留して混乱してしまうのではとの不安を覚えますが、区はどのように考えているのか伺います。
次に、中野四丁目新北口駅前地区の北側につながる歩行者デッキについて伺います。この歩行者デッキについては、中野四丁目西地区の市街地再開発事業に合わせて整備する予定になっています。中野四丁目西地区から新庁舎2階をつなぐ歩行者デッキの計画となっていますが、現在の進捗状況について伺います。
新北口交通広場に関わる街路事業範囲の課題について伺います。新北口交通広場には、バスの乗車場、降車場、待機場所やタクシーの乗降場、タクシープール、さらに身障者用を兼ねた一般車の乗降場を整備することになっています。示された基本設計では、第223号線とけやき通りの交差点で、東西と北側には横断歩道が設置されますが、南側には設置されないことになっています。この新北口交通広場から路線バスやタクシーが出ていくときに、第223号線とけやき通りの交差点の南側で横断歩道を整備した場合に渋滞が発生する予測から、南側には横断歩道を整備しないとしています。
しかし、南側に横断歩道を整備しても、渋滞を引き起こす原因になるとは思えません。また、南側に横断歩道を整備しないとなれば、NTTドコモ中野ビルの北側の中野四季の都市(まち)ゲート広場が孤立した場所となってしまいます。新北口交通広場と中野四季の都市(まち)ゲート広場との回遊性や、歩行者の動線を損なう設計と言えます。この現状を考慮すると、第223号線とけやき通りの交差点の南側にも横断歩道を整備すべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
今年の第2回定例会での中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会で、昨今の物価高騰の影響による事業収支成立のための対応策の検討に時間を要していることや、拠点施設の在り方について区の権利床活用も含め再整理を行っていることから、中野駅新北口駅前エリアに関わる都市計画手続や市街地再開発事業のスケジュールについて見直しを行うとされました。その際にスケジュールの見直しは最大6か月とのことでしたが、現在のスケジュールはどのようになっているのか伺います。
次に、スケジュールの見直しによるまちづくり以外での影響について伺います。毎月かかる経費の目算として、株式会社まちづくり中野21の経費の内訳と想定総額についてどの程度考えているのか伺います。
また、スケジュールの延伸に伴い、これら想定していなかった経費を株式会社まちづくり中野21が支払うことになりますが、区に与える影響をどのように考えられているのか伺います。
さらに、株式会社まちづくり中野21から拠出される西武信用金庫への返済金や新区役所整備費用は、スケジュールの見直しによる影響があるかどうか、区の見解を伺います。
次に、中野駅のホームドアの設置計画について伺います。隣の東中野駅については、スマートホームドアの形式で、12月16日(土曜日)の始発電車から使用開始されることになりました。また、地下鉄東西線の中野駅でのホームドアの設置は、2024年以降に整備予定となっています。中野駅のホームドアの早期設置に向けた取組については、橋上駅舎や南北通路の整備との関連の影響を受けるとは思いますが、現在の設置経過についての進捗状況を伺って、この項の質問を終わります。
2番目に、中野区区有施設整備計画について伺います。
中野区区有施設整備計画は、2021年から2030年の期間を設定している計画です。策定から3年目でありますが、既に現状との整合性が取れていないところが多々見られます。児童館を各中学校区に1施設とする計画から、18館を児童館として存続させる計画へと大きくかじ取りをしました。また、旧商工会館跡地についても、当初は定期借地権を使って民間整備を誘導する計画でありましたが、現在はその計画が頓挫している状況、そして、中野二丁目地区再開発権利床での民間施設への貸付けにおける子ども関連施設の誘致の断念、中野セントラルパークの賃借床の活用の機能転換、さらに今後の保育園や小・中学校の改築へ向けた計画の策定、医療機関誘致の検討など、中野区区有施設整備計画に明記してあることに現状との違和感が生じてきています。この際、区有施設の現状を整理した上での改定が必要ではないかと考えますがいかがでしょうか、伺います。
また、改定するに当たっては、これまでの施設の機能の在り方や配置の在り方を検証していく必要があるのではないかと考えますが、区の見解を伺います。
現在の区有施設の6割以上が建設後30年を経過し、施設の老朽化が深刻さを深めている状況であり、改築、改修のスケジュールを示した計画的な保全が必要であります。そのために施設の更新経費を踏まえた10年間の財政フレームの見込みについても、現在の急激な建築資材や人件費の高騰で大きな誤差が出てきており、軌道修正が必要と考えます。このような外的要因を考えれば、今後の持続可能な財政運営の具体的な計画の策定をしなくてはならないと考えますがいかがでしょうか、伺います。
次に、児童館について伺います。区は前定例会での子ども文教委員会において、中野区児童館運営・整備推進計画(素案)を示しました。その中で中野区は18館の児童館を三つの類型に分けており、基幹型児童館を9館、乳幼児機能強化型児童館を8館、中高生機能強化型児童館を1館としたところです。基幹型児童館は中学校区に1館配置することになっています。
児童館で最も築年数の古いものは48年が経過しており、18館の半数で築年数が40年を超えている状況です。老朽化への対応として、区有施設の建て替え目安として築年数を60年としており、昨年度の建物調査の実施を踏まえて、老朽度や緊急性の高い児童館から順番に大規模改修や施設修繕を行うとしています。大規模改修は、児童館内の学童クラブの廃止の時期に合わせて実施することを基本としており、1館当たり2億円程度の費用がかかると推定しています。
大規模改修の期間を本計画では令和10年までの5年間を示していますが、今後は改修だけでなく、改築も視野に入れなくてはなりません。全て改築となると相当な財政負担となってきます。それには具体的な将来を見据えた精査が求められます。全ての児童館が機能の充実とともに安全・安心して利用できるようにするには、財源の裏付けが十分にされた持続可能な児童館の計画策定が必要ではないかと考えますが、区の見解を伺います。
区営住宅の老朽化の課題について伺います。中野区区有施設整備計画では、区有施設の有形固定資産減価償却率の一部が掲載されています。有形固定資産減価償却率が高いものを挙げると、図書館は75.9%、区立保育園は70.2%、区立幼稚園が80.1%、児童館が73.8%となっています。区有施設整備計画には掲載されていませんが、区営住宅で有形固定資産減価償却率が92%と非常に高い水準になっております。この状況を考えれば、区営住宅の建て替えなど早急な計画的な施設更新や改修を検討しなくてはなりません。すぐにでも区営住宅整備計画の策定をすべきと考えますがいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
3番目に、成年後見制度の充実について伺います。
日本の成年後見制度について、昨年の9月に、国連から障害者への差別的制度との懸念や勧告がなされました。その要因として、特に後見類型に対して厳しい指摘がなされました。この国連からの勧告と併せて成年後見制度に対する課題点について、NHKの特集番組でも放送されました。内容的には、家庭裁判所から選任された後見人に対する利用者の家族からの不満の声などのデメリット部分が強調されたものに感じました。
本来、成年後見制度は、知的障害や精神障害、認知症などの影響によって物事の判断が難しくなった方に、家庭裁判所が後見人等を選定して本人の財産管理や身上保護をすることで、日常生活に困らないようにする必要不可欠な重要な制度であります。国連からの勧告も、成年後見制度そのものを否定するものではないことは明らかです。今回の国連の勧告で、後見類型の問題点が指摘されましたが、障害者権利条約第12条には、「障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有する」と規定されています。その趣旨を踏まえて、総括所見では、意思決定を代行する制度を廃止するよう民法改正を要求する勧告がなされたところです。
政府・法務省では、今回の国連の懸念や勧告に先立ち、令和4年5月に立ち上げた成年後見制度の在り方に関する研究会において、民法改正も含めた制度の見直しについて、これまで14回にわたり議論を進めてきたところです。成年後見制度の見直しに関する主な論点としては、補助、保佐、後見の3類型を廃止して、事案に応じた権限を付与すること、本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容や、その変化に応じた後見人等を円滑に交代できるようにすること、後見人等の報酬の決定について、できるだけ予測可能性の高い制度にすること、任意後見制度の利用が低調であるため、同制度の利用を促進する方策を検討することなどが挙げられています。
このような主な論点の現状や、国連からの懸念や勧告を踏まえて、中野区としての成年後見制度の課題をどのように認識しているのか、区の見解を伺います。
政府は、対日審査での国連からの質問に対して、我が国では成年被後見人の自己決定権を尊重し、成年後見人が本人の意思決定を支援する形での取組を進めていると回答しています。その具体的な取組として、政府が利用促進を進めているのが任意後見制度です。この制度は、本人が十分な判断能力を有するときに、任意後見人となる方と、将来に委任する事務内容をあらかじめ公正証書による契約で定めておくもので、本人の判断能力が不十分になったときに、任意後見が本人に代わって委任された事務を行う制度です。
任意後見制度を活用することで、財産管理や身上保護の在り方に本人の意思を反映、尊重することが可能となります。この趣旨は、2022年3月に閣議決定された第2期成年後見制度利用促進基本計画に沿ったものであり、本計画では、任意後見制度の利用促進が掲げられています。任意後見制度の現状としては、成年後見制度の利用者数、2021年末時点で約24万人の1%にすぎない状況にあります。
任意後見制度の中野区内の実態の把握が必要であり、現状をどのように認識されているのかを伺うとともに、任意後見制度の周知が必要ですが、どのような取組をされているのか、また、その効果の分析はどのようになっているのか、区の見解を伺います。
また、成年後見人等の担い手不足も課題であると考えますが、現在の中野区での市民後見人の養成状況と、現在の受任実績を伺うとともに、市民後見人の意識の現状を伺って、この項の質問を終わります。
4番目に、公園整備について伺います。
令和4年3月に策定された中野区公園再整備計画によると、今後の公園の再整備については、7圏域で中規模公園を1圏域2か所ずつ整備していくと示されたところです。しかしながら、策定された中野区公園再整備計画には計画期間が明記されていません。計画を策定すれば、計画の詳細内容はもちろんのこと、それに合わせた計画期間を明記されなければ計画としては十分なものとは言えません。計画期間を明記すべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
中野区公園再整備計画では、7圏域で14か所の中規模公園を整備することになっていますが、14か所の中規模公園のみしか整備しないように感じられてしまいます。このようにしか見えないのであれば、整備箇所に偏在感があるように思えてしまいます。中野区全体の公園再整備計画であるとするならば、中規模公園だけでなく、小規模公園の整備も計画していくべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
公園再整備計画の基本的な考え方に基づく取組方針の中で、「トイレの老朽化度合や利用頻度等の状況を踏まえて、洋式化やバリアフリー化を含む親子連れに配慮したトイレへの整備を順次進めていきます」とあります。また、区民の意識調査では、公園に不安を感じるという意見が一定数得られており、「そのため、地域や委託業者と連携や見回りなどの安全確保の方策を検討」していくのでと加えて、「要望が多かった防犯カメラの設置について検討」するとしています。さらに公園の街路灯が暗くて防犯上心配との区民からの声もあり、公園の街路灯のLED化による明るくて安全・安心のできる防犯対策等の環境づくりも必要と考えます。
これらの状況を鑑みて、中野区で抱える快適で魅力ある公園として整備するに当たっては、トイレ改修の整備と、防犯カメラの設置、さらに公園の街路灯のLED化も年次目標を立てて計画していくべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
次に、常設プレーパークの設置について伺います。さきの第3回定例会の子ども文教委員会で、常設プレーパークの設置に関わる考え方が示されました。設置場所を中野区立江古田の森公園として、令和6年度より試行実施をして、設置工事の設計を行い、令和7年度に設置工事を実施し、常設プレーパークを開設することになっています。しかし、公園内のどこに設置ゾーンをつくるかは今後検討することになります。
中野区立江古田の森公園は、中野区の公園の中でも昔から自生している自然樹木があり、近隣の区民の憩いの公園であります。園内を散策したり、公園の外周をジョギングしたり、様々な形で利用されて親しまれています。また、園内に隣接する介護施設では、リハビリや気分転換のため、施設利用者が車椅子に乗って介護職員が押しながら園路を利用したりしています。設置ゾーンを決定するに当たっては、区民の利用状況に支障を来さないようにすること、また、地域の方々や公園の自然の観察会などを実施している関係団体との意見交換をして丁寧に進めるとともに、設置工事においては、自然豊かな樹木が生息していることから、樹木の伐採にも十分な配慮が必要であり、設置ゾーンを決定するに当たっては十分に慎重にすべきと考えますがいかがでしょうか。区の見解を伺って、この項の質問を終わります。
5番目に、文化芸術振興について伺います。
今年は、棟方志功生誕120年の年に当たります。生誕120年を記念して、「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」が、富山県立美術館、青森県立美術館、東京国立近代美術館で順次行われており、この時期では東京国立近代美術館で開催されています。私は11月3日に東京国立近代美術館に足を運び、数多くの棟方志功の作品を堪能してきました。「二菩薩釈迦十代弟子」や光徳寺のふすま絵である「華厳松」など、迫力ある作品の数々に感動してきました。
また中野区でも、歴史民俗資料館で、地域展示「大和町」棟方志功生誕120年記念が行われ、大和町にゆかりのある世界的版画家である棟方志功を紹介しており、工業製品ではありますが、棟方志功が描いた十二支の時計も展示されていました。今回の歴史民俗資料館で、地域展示「大和町」棟方志功生誕120年記念の成果は区としてどのように評価しているのか、区の見解を伺います。
棟方志功は、大和町時代に「大和し美し」の版画20枚の絵巻物が出世作となり、世界的版画家としての第一歩を踏み出しました。棟方志功の創作活動の原点は中野区大和町であります。中野区大和町にゆかりのある棟方志功の作品のすばらしさをより多くの区民の方に知ってもらうためにも、アーカイブ映像などを活用し、なかの東北絆まつりとのコラボレーションをして、区民参加ができる企画を検討してはどうかと考えますがいかがでしょうか、伺います。
棟方志功とゆかりのある中野区でありますが、所蔵品は全くありません。青森市には8点、倉敷市には1点、隣の杉並区には30点、南砺市には約260点もの所蔵品があります。棟方志功の飛躍の原点である中野区としては、作品の収集に尽力すべきと考えますが、いかがでしょうか。
伺って、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 南議員の御質問にお答えいたします。
初めに、中野駅周辺まちづくりについてで、新北口駅前地区市街地再開発事業の補助金についてでございます。
新北口駅前地区市街地再開発事業につきましては、物価高騰等の影響によって事業費の増加が見込まれておりまして、施行予定者による対応策の検討によって事業収支が成立する見込みであることを区と施行予定者で確認をしております。あわせて、区としても補助金に関して、市街地再開発事業等に対する補助金のほか、公共性の観点から、歩行者デッキや都市計画駐車場について、社会資本整備総合交付金による別の補助制度の活用を検討しているところであります。
次に、権利床の運用想定収支についてです。現時点では、権利床の運用方法が定まっていないため、一定の条件設定を行いシミュレーションした運用の事例となりますが、事務所床で年間約7億5,000万円、事務所以外の各用途で約1,000万円程度の収益を想定しております。維持費や共益費等の支出については、現時点で事業者へのヒアリングや他地区の再開発ビルの事例等を踏まえ試算したものでありまして、今後の物価高騰も含め、竣工時の社会経済情勢等の影響を受けるものだと認識をしております。
権利床の活用検討についてです。区として拠点施設に必要な機能を整理し、施行予定者との協議を経て権利床の活用を検討しているところであります。今後の運用検討に当たっては、適宜に議会等へ報告しながら、収支と区民等が利用するサービスとのバランスも踏まえ検討を進めていく考えでございます。
次に、中野五丁目側歩行者デッキ及び地下通路接続先についてでございます。新北口駅前エリアから中野五丁目への歩行者デッキ、荷さばき用地下通路については、新北口駅前エリア拠点施設整備と併せて整備する予定としております。当該接続箇所については、当初施行予定者より提案を受けたものでございまして、都市計画駐車場の都市計画決定に当たって、区として地権者にも説明を行っております。接続箇所につきましては、今後中野五丁目側のまちづくりの中でも検討を進め、一定の滞留空間を確保し、四丁目から五丁目へつながる円滑な歩行者動線、荷さばき動線となるよう、区として引き続き地権者や施行予定者との協議調整を行ってまいります。
続きまして、中野四丁目西地区から新庁舎へのデッキ整備についてです。中野四丁目西地区から新庁舎へのデッキ整備については、中野四丁目西地区の市街地再開発事業の進捗と併せて整備することとしておりまして、現時点での整備時期は未定でございます。中野四丁目西地区の市街地再開発事業につきましては、現在準備組合が市街地再開発事業の推進に向け地権者の合意形成を図っておりまして、区としてもまちづくりの必要性について説明をしています。
続きまして、けやき通り南側の交差点についてです。現在新北口駅前広場の実施設計を進めておりまして、歩行者の利便性を考慮し、交差点の南側への横断歩道の設置を検討してまいります。
次に、スケジュールの見直しによる影響についてです。新北口駅前エリア拠点施設整備のスケジュールの見通しについては、最大6か月程度にとどめたいと説明してきたところでありますが、11月に関連都市計画を定めて、現在事業計画案の作成を行っておりまして、事業認可等の目標スケジュールはその範囲内に収まっているところであります。
株式会社まちづくり中野21の経費についてです。中野サンプラザの土地建物を再開発事業の施行予定者に引き渡すまでの間、まちづくり中野21は、月額で減価償却費が約740万円、固定資産税が約1,630万円、金融機関からの借入金利息が約540万円、概算で合計約3,000万円の経費がかかると聞いております。スケジュール見直しにより遅れる月数分だけ月額3,000万円の経費がかかると見込んでおります。
次に、株式会社まちづくり中野21の支出増が区に与える影響についてです。スケジュールの延伸によってまちづくり中野21の資産が減少するため、株主である区にとっては、最終的に配当される金額もその分減少すると考えております。
借入金元本返済や区への配当への影響についてです。株式会社まちづくり中野21から支出される西武信用金庫への借入金元本の返済や区への新区役所整備費用分の配当は、権利変換が行われた段階で支払われる転出補償金によって賄うことを予定しております。スケジュールの見直しによって、まちづくり中野21が転出補償金を受領する時期は遅れますが、借入金元本の返済、区への配当等のスキームには大きな影響はないと考えております。新庁舎整備費については、起債及び財政調整基金施設改修分を活用しておりまして、起債の償還、財政調整基金の積立時期への影響はないと考えております。
続きまして、中野駅のホームドアの整備についてです。JR東日本は、2031年度末頃までに、東京圏在来線の主要路線全域にホームドアを整備していくとしております。現在中野駅のホームドア設置時期は未定でございますが、西側南北通路、橋上駅舎等事業の工事と整合を図りながら、本事業完了に合わせホームドア整備を完了するようJR東日本と協議を行ってまいります。
次に、中野区区有施設整備計画についてです。
次期区有施設整備計画の策定について。次期基本計画に合わせて区有施設整備計画も策定することを検討しております。策定に当たっては、各施設の機能や配置について、現計画からの変更等を整理するとともに、今後の行政需要等を見据えて検討し盛り込んでいく考えでございます。
外的要因を踏まえた財政運営計画の策定についてです。急激な建築資材や人件費の高騰について、社会経済情勢を踏まえ、その影響を適切に捉えることが重要であると考えております。現在も学校や児童館の施設整備の経費増については、既に財政フレームに反映しておりまして、今後も適切に反映してまいります。
次に、持続可能な児童館の計画についてです。児童館の果たす機能、役割を実現し、子どもたちが過ごす安全・安心な居場所としていくためには、施設を適切に維持管理していくことが重要です。児童館の今後の展開を踏まえた経費やスケジュールについては、策定中の実施計画に盛り込み、区全体の財政フレームの中で検討を進めております。区有施設の建て替え目安である建築後60年が近づく施設については、今後の基本計画や区有施設整備計画の見直しに合わせて検討を進め、区全体の財政フレームの中で持続可能な財政運営を実現してまいります。
私から最後に、区営住宅の老朽化についてです。区営住宅は区有施設整備計画において建築後70年での建て替えを基本とすることとしております。現在区営住宅につきましては、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインを踏まえ、建物の部位や設備に応じた修繕の周期を設定し、予防保全的な観点から修繕計画を立てるとともに、実際の劣化具合の状況を勘案しながら、屋上防水の修繕や外壁補修などを実施し、適正に維持管理を行っております。将来的な建て替え等に向けた検討に当たっては、民間活力の導入を図ることとしておりまして、今後実施方法や費用等について併せて検討を進め、考え方を整理してまいります。
〔健康福祉部長鳥井文哉登壇〕
○健康福祉部長(鳥井文哉) 私からは、成年後見制度の充実についての質問にお答えをいたします。
まず、成年後見制度の課題についてでございます。昨年9月に国連から政府に勧告があり、障害者の権利を保障するために、意思決定を代行する制度を廃止するという観点から、民法の改正が求められており、国において民法改正に向けた検討を進めていると認識してございます。区といたしましても、成年後見制度の運用を通じ、課題といたしましては、報酬助成の対象とならない被後見人の経済的な負担や、長期的な支援が必要な場合等に後見人等を円滑に交代できるようにすること、任意後見制度の周知等が課題であると考えております。
次に、任意後見制度の現状と周知の取組でございます。中野区における成年後見制度の利用者数は、令和4年12月31日現在で632人でございますが、このうち任意後見の利用者は22人であり、非常に少ない状況にあることから、利用を促進するための周知や啓発の取組が必要であると認識してございます。これまで任意後見制度をテーマとする区民向けの講演会を実施してきたほか、生涯学習大学やオレンジカフェ、区民の会合等に出向き、エンディングノート等を活用して、任意後見制度等の普及啓発を図ってきたところでございます。任意後見の利用者数や成年後見制度の認知度が非常に低い状況が続いていることから、普及啓発の方法につきましては、より効果的な方策を検討する必要があると考えてございます。
市民後見人の実績と意識についての御質問でございます。中野区社会福祉協議会における市民後見人の登録者数は現在25人であり、そのうち後見人等の受任件数は12件でございます。市民後見人の養成講座を終えた方の意識は高く、活躍の場を求める意向を伺っております。区といたしましても、弁護士等の専門職と市民後見人との複数後見等を検討し、受任件数の増加を図るとともに、成年後見制度の普及啓発の場面などでも、市民後見人の経験を生かせる場を創出していきたいと考えてございます。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、中野区公園再整備計画についてお答えをいたします。
まず、公園再整備計画の計画期間の明記についてでございます。現行の公園再整備計画では、中規模公園を再整備の対象としておりまして、令和7年度までに着手する予定の公園のスケジュールを示しておりますが、再整備の対象公園の中には、まちづくりや都市計画道路事業などとの調整が必要な公園もあるため、全ての計画期間は明記をしてございません。関連する事業の状況も確認しながら、計画期間の示し方については検討してまいります。
それから、小規模公園の計画的な再整備についてでございます。中規模公園の再整備に合わせて周辺の公園との機能分担を検討するなど、快適かつ安心して利用できるよう、小規模公園も含めて取組を進めていく考えでございます。
それから、トイレ防犯カメラ、園内灯の計画的改修についてでございます。園内灯のLED化、防犯カメラの設置等につきましては、当面の予定を示しながら進めていきたいと考えてございます。
公園トイレにつきましては、園内のバリアフリー化と一体的整備を図ることといたしまして、年に二つの公園程度の改修等を行っているところでございますが、老朽化したトイレが多数残っていることも考慮いたしまして、トイレ環境の改善、利便性向上に向けた考え方やスケジュール等について検討を進めていく考えでございます。
〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕
○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、公園整備についての御質問のうち、プレーパークの設置ゾーンについての御質問にお答えさせていただきます。
常設プレーパークにつきましては、子どもが主体の遊び場であるということだけではなく、地域住民や地域団体の参画、連携を通じまして、世代を問わず交流ができる場とすることをコンセプトとしております。今後、子どもをはじめ、保護者、地域の御意見等を踏まえまして、設置するゾーン、工事内容などを検討していくこととしておりますが、それに加えまして、広く公園利用者、利用団体などの御意見も伺いながら検討を進めてまいります。
〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕
○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、文化芸術振興についてお答えいたします。
まず、地域展示「大和町」の成果についてでございます。本地域展示は、大和町各所の今と昔を比較する写真展示と、棟方志功生誕120年をひもづけ、9月9日から10月29日まで棟方志功に関連した展示を実施したものでございます。この間、中野区歴史民俗資料館には3,585名の来館がございました。会場に設置したアンケートによりますと、大和町在住の観覧者が最も多く、懐かしさを覚えたという感想が多くある一方、棟方志功と大和町との関係を初めて知ったという回答もあり、今回の展示は、地域と棟方志功を結びつけるきっかけの一助になったと評価してございます。
一方で、棟方志功と中野区の関係をより多くの方、特に区民の皆さんに知ってもらう必要があると考えており、今後区の文化施設や区役所新庁舎1階のイベントスペースでも展示を企画するなど、広く周知していくための工夫に努めてまいります。
次に、棟方志功に関連した区民が参加できる企画の検討についてでございます。棟方志功生誕の地である青森市と、版画家として活動を始めた中野区とが連携した企画は様々な可能性があると認識してございます。青森と文化芸術をキーワードとして、なかの東北絆まつりをはじめ、多くの方が集まるイベントと連動した、また区民の皆さんが参加できる棟方志功に関連した企画を今後検討してまいります。
最後に、棟方作品の収集についてでございます。中野区にゆかりのある棟方志功のすばらしさを多くの区民に周知していく上で、中野区が作品を所有することができれば、それが望ましいものだと考えております。一方で、世界的にも評価されている棟方志功の作品は高額であり、保管や展示に当たって十分な配慮が必要になるなど様々な課題があると認識してございます。中野区が作品を収集することについては、今後も研究してまいります。他方、棟方志功の作品を所有する区民等に対して、棟方志功関連の企画に際し作品をお貸しいただくなどの協力を呼びかけていきたいと考えてございます。
○議長(酒井たくや) 以上で南かつひこ議員の質問は終わります。
中野区議会議員 い さ 哲 郎
1 介護保険について
2 教育について
(1)包括的性教育について
(2)教員不足の対策について
(3)その他
3 自転車駐車場について
4 難民・外国人の支援について
5 文化芸術施策について
6 その他
○議長(酒井たくや) 次に、いさ哲郎議員。
〔いさ哲郎議員登壇〕
○28番(いさ哲郎) 2023年中野区議会第4回定例会本会議において、日本共産党議員団の立場で一般質問いたします。
なお、通告の5、文化芸術施策については、またの機会の質問とさせていただきます。
最初に、介護保険についてお聞きをします。
東京商工リサーチによる2022年の調査では、介護事業者の休廃業、解散は495件、倒産件数は143件と過去最高となっています。介護人材不足と競争激化、コロナ禍以降の利用控え、物価高騰などが理由となっていますが、合計で638事業者がこの1年でいなくなったということで、深刻な事態です。公益財団法人介護労働安定センターの2022年度の調べでは、介護事業所の約8割でヘルパー不足、9割が実際の採用は難しいと回答しています。離職者の増加と人材不足が同時に進行し人材の取り合いになっていること、事業所としても人は増やしたいが、報酬が低いことからこれも厳しいと全方位で行き詰まった様相となっています。厚生労働省は、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人の介護職員を追加で確保する必要があるとしていますが、こうした実情から見通しは非常に厳しいと言わざるを得ません。
区内の介護事業者からは、この間様々な加算の措置が行われたが、そうした応急措置を続けるのではなく、本則の介護報酬そのものを上げてほしいとの根強い要求があります。加算そのものは介護事業所の運営の助けにはなっていますが、事務負担も課題で、少なくない事業所で行政書士に手続を依頼するなどの対応を取らざるを得なくなっています。加配を増やすのではなく、介護報酬の本則を変えること、この点について区の認識を伺います。
介護人材についても伺います。政府は、来年2月から月額6,000円程度の賃上げを行うとしています。介護業界は、もともと他の業界に比べて低賃金であり、物価高騰も加味すると、月額6,000円の賃上げでは到底足りません。介護離職を防ぎ、介護人材不足を本気で解消するためには、思い切った賃上げが必要になります。介護利用料に跳ね返らないよう公費負担を増やすことと併せ、実情に見合った介護労働者の賃上げを国に求めていくことについて、区はどのように考えているでしょうか。
厚生労動省は3年ごとに介護事業者の経営状況について調査をしています。直近の調査で、特別養護老人ホームなど施設系介護事業者の利益率が統計を取り始めた2001年以来初めて赤字になったとの報道がありました。光熱水費や水道代などの高騰が原因であると厚生労動省は分析しています。中野区はこうした施設に対し物価高騰の支援を独自に行っており評価します。大事な支援策ですが、この中野区の対策の結果、区内事業者の経営にどのぐらいプラスの影響があったのか、定量的に測れているわけではありません。先の見えない物価高騰の中、介護事業者にもう余力がないことは倒産件数に表れています。利用者にもその家族にも余力はありません。介護事業者に対し引き続き聞き取り調査などを行い、区でできる支援策をさらに厚くしていくべきではないでしょうか、伺います。
第8期の計画においては、区は介護保険料据置きとしました。その3年前の時点から、経済の状況、区民の暮らしの状況はさらに悪化しています。現時点で来期の介護保険料は示されていませんが、現在の介護給付費準備基金残高は約28億円となっており、第7期3年目の2019年と同じレベルになっています。基金を活用して、第9期の計画においても最低限据置きはするべきではないでしょうか。
また、この基金残高の取崩し次第で介護保険料を下げることができるのではないでしょうか。併せて伺います。
この基金については、ここまでのため込みができるのは、介護保険料の見通しが過大だからではないかとこれまでも指摘をしてきました。取り過ぎた保険料はため込まず、利用者に還元するべきです。介護サービス利用者を支える適正な制度運用を求め、次の質問に進みます。
教育について伺います。まず、包括的性教育についてです。
子どもを守るために必要なのは、早い時期からの包括的性教育です。私の過去の質疑でも、日本には性的コンテンツがあふれており、そうした誤った性の情報に触れる前に、教育により子どもを守るべきと訴えてきました。子どもの性被害を防ぐとともに、加害者にしないことも肝要です。こうした早期の包括的性教育の必要性の認識について、改めて伺います。
現在中野区では、区立の小・中学生に対し、どんな授業の中でどの程度の頻度で性教育を行っているでしょうか。
また、教職員にはどんな研修やフォローの体制があるのでしょうか。これもお聞きします。
包括的性教育を推進するに当たって、保護者も一緒に学ぶということが必要ではないでしょうか。これまでも野方児童館での子どもの性教育について考える情報交換会や、里親登録されている皆さんを主な対象とした乳幼児からの性教育などの企画が開催されてきました。
男女共同参画センターの情報誌「アンサンブル」の44号は、「おうちでのジェンダー・性教育」というタイトルで、保護者がどのように性教育に関わっていくのかという内容でした。ここには保護者の声として、自分自身に十分な知識がないことや、異性の子どもに対して性の問題は話しにくいといった具体的な悩みも寄せられています。こうした声に応えるためにも、中野区が主導して、保護者に対する学びの場をさらに増進していく必要があるのではないでしょうか。日中働いている保護者のためには、夜の時間にZoomでのリモート参加も可能にするなど、参加のハードルを下げ、間口を広げるさらなる努力が必要になります。告知の方法なども工夫の余地があるかと思います。この点について伺います。
性教育はリアルタイムで情報が新しくなっている分野の一つではないでしょうか。時代の流れに学習指導要領が追いついていないこともあり得るかと思います。性犯罪の多発から、法制度が変わるようなケースもその一つです。今年7月、性犯罪に関する刑法の改定が行われ、性犯罪の規定が変わりました。16歳未満の子どもに対して性交等わいせつな行為をすると、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪として処罰されます。
この法改定で、法務省は、小学生、中・高生及び大学生を対象としたリーフレットをそれぞれで3種類作成しました。内容はそれぞれの年齢層に合わせ、漫画で性犯罪の実例を紹介し、相談先の電話番号とQRコードも記載されています。このリーフレットは、法務省から11月7日に東京都へ送付されているものの、活用方法についての連絡等はまだないとお聞きしました。都からの連絡を待たなくともリーフレットの活用はできるのではないでしょうか。配布して持ち帰って保護者と一緒に見てもらう、学校内に貼り出すなど、区立小・中学校の性教育の中で活用することはできないでしょうか、伺います。
包括的性教育を推進する上で、学習指導要領における歯止め規定がネックになると言われています。歯止め規定とは、教育の中で性交そのものを扱えないとする規定のことです。しかし、2020年の臨時国会の中で、文科省初等中等教育局長は、歯止め規定そのものは決して教えてはならないというものではない、学校において必要があると判断する場合に指導したり、あるいは個々の生徒に対して教えるということはできると答弁しています。したがって、歯止め規定は乗り越えられます。中野区と教育委員会がこうした立場で包括的性教育の積極的な推進へと踏み出すことを求め、次の質問に進みます。
教職員不足の対策についてお聞きをします。
日本全国で深刻な教職員不足が起きていることは、この間様々なメディアで報道されているところです。教職員不足の一番の原因は、教職員の働く実態にあります。長時間労働をなくし、教職員が教育に専念する環境を整備するための抜本的な教職員の待遇改善が求められています。労働基準法に基づく8時間労働を実現させるための抜本的な定数改善の計画とすること、そのために不要不急の業務を削減すること、部活動顧問の強要をなくすこと、非正規の教職員を正規採用することなど、日本共産党として、政府に対し具体的な改善提案を行っているところです。本来は、こうした根本的な改善により教職員不足を解決するのが筋ですが、ここでは中野区が今取り組める改善についてお尋ねをします。
中野区では、週当たりの授業のこま数削減の努力をされているとのことです。減らした授業のこま数は、始業式や終業式の日にも授業をする、年間のこま数の余剰分も使うなどで賄っています。こうした週当たりの授業のこま数を減らすことは、教職員の負担を軽減することに直結します。様々な研修や授業の研究、先生同士で話し合う時間など、必要な時間を確保することが可能になります。教職員の待遇改善を進めるため、もう一回り週当たりこま数を削減するということは検討できないでしょうか。
中野区では、子どもの学力向上のため3年の任期付き職員を採用しています。こうした任期付き職員が不足する教職員を補っているとも聞きますが、その任期付きも見つからないというのが現状とのことです。こうした任期付きの教職員については、定年して退職済みの元職に活躍してもらうケースが多いとのことですが、茨城県守谷市では、子育てで退職した女性教職員にも声をかけているとのことです。中野区にもこうした子育てが一段落した元教員がいるのではないでしょうか。子育てを理由として退職した元教員に積極的に働きかけるのはどうでしょうか。
また、守谷市の場合は、こうした任期付き職員の採用について、任期は3年ではなく5年としているとのことです。とりわけ年齢の若い教職員では、過密労働により退職することもあると聞きます。定年前の退職でも、燃え尽きのような格好で過密労働から逃れるように、早期に辞めていく方もいると聞いています。しかし、そうした退職済みの元教職員の中には、一、二年すると再び教育の場に戻ることを考えるケースもあるそうで、正規職員ほどの時間的拘束はなく、そこまでの責任は負わなくていいが、5年という期間、その身分が保障されるという働き方でかみ合うケースもあるのではないでしょうか。こうした採用方法について検討はできないでしょうか。
次に、自転車駐車場についてお聞きをします。
中野駅周辺に一時駐輪場をつくってほしいという近隣住民の要望は少なくありません。改定された中野区自転車利活用計画には、ただ駐輪場を増やすことだけでなく、小規模な駐輪場を点在させることなど、これまで議会で求めてきたことが盛り込まれており、評価します。この自転車利活用計画に沿って幾つかお聞きします。
自転車利活用計画の第4章、実施施策の中の「自転車の多様化に合わせた整備」のところに、電動自転車、親子自転車、子ども用自転車、シェアサイクル等多様な車両に対応した設備の改善を進めるとあります。現実的な対応として歓迎しますが、多様な車両に対応するには、平置きの自転車駐輪場や自転車ラックのようなものが必要になるはずです。区はこうした駐輪場の整備や改善についてどのような考え方を持っているのか伺います。
計画の取組内容の中に「民間自転車駐車場の整備促進」とあります。この点では、既に報告されているみんちゅうSHARE-LINの連携事業が始まったところです。どのような場所で展開していくのか、この先の見通しはどうなっているのか伺います。
みんちゅうSHARE-LINの仕組みを使って自転車を止める場合には、システムそのものに対する登録と、空き駐輪場を探してどれだけの時間を使うのかという使用時の登録の二つのステップが必要になります。特に、使用の際の登録については、買物等で今その場所に止めたいというような一時利用のケースにそぐわない場合もあると考えます。計画の取組内容のところには、「駅周辺の未利用地や道路空間の活用」と記載があります。一時駐輪のニーズを満たすためのみんちゅうSHARE-LINのサービスの次の取組については検討しているのでしょうか。
近隣の新宿駅や代々木駅には、街道沿いに自転車ラックが点在しています。1か所10台程度、もしくはそれ以下の駐輪場が並んでおり、自転車を利用しやすい環境が保障されています。中野区では、幹線道路であっても歩道が狭い場所が多く、こうした条件に見合う場所は現状ではまず見当たりません。他方、中野駅周辺まちづくりの計画の中で新たに整備される道路などには、そうした歩道の自転車ラック設置の可能性があると考えます。現在のまちづくりの方針の中では、基本的に中野駅周辺には自転車を流入させないとしています。こうした考え方を改め、再開発地域の中でも一時駐輪場を敷設することを検討するべきであることも述べておきます。
自転車利活用計画の中にも、区民の自転車利用は57%と半数以上であることが記されています。日常的に自転車を利用されている方にとっては、駐輪場がないことは、中野駅前を生活の場として利用できないことを意味します。自転車駐車場の問題は、近隣住民の日常生活と中野駅周辺まちづくりを切り離すことになりかねず、区の計画ともそごを来すことを改めて指摘して、次の質問に進みます。
難民・外国人の支援についてお聞きをします。
今年の7月29日、中野区は難民を支える自治体ネットワークのキャンペーンに署名しました。この署名については、第3回定例会で、我が会派の広川議員が質疑をしていますが、具体的な政策について改めてお聞きをします。
難民とは、様々な事情により自国にいられなくなって日本に残っている人のことを指します。自国に強制送還されれば命を失うことになりかねない境遇の人もいます。例えばミャンマーから日本に流れてきたミョーさんは少数民族のロヒンギャで、自国ではひどい迫害と差別に苦しめられていました。強制送還されれば、軍に拷問され命を奪われると言われています。難民の中には、仮放免という無権利状態に置かれている人がいます。本国への強制送還は免れたものの、住民票がなく、働くこともできません。にもかかわらず、医療は全額自費となります。県境をまたぐ移動では入管の許可が必要です。家族連れでこんな境遇に置かれる難民もいます。これでは自力ではどうすることもできません。
こうした難民の実情について、日本ではあまり知られていないと感じます。日本にいる難民の方一人ひとりがミョーさんのようにそれぞれ自国に帰れない事情を抱えています。そもそも日本には、国籍を問わず外国人全般に対する偏見が少なくありません。ましてや難民となると、正しく知られていないことによる偏見がどうしても強くなります。
このたびのキャンペーン署名をきっかけに、中野区ができることの一つが区民への周知です。中野区が毎年行う平和の集いの中で、難民を支える自治体キャンペーンのセレモニーを行ったのは、区民の周知という点で重要でした。この周知という点で、私からも具体的に提案します。UNHCRのアクションの中には、民間企業、大学、市民団体とのコラボなど様々な連携が記されています。既に明治大学とは、多文化共生フォーラムなど在住在勤の外国人の理解や知るための取組で連携しています。こうした大学や団体などとの協働で、難民を正しく知るための機会を検討してはどうでしょうか。
宗教食についても伺います。中野区立小中学校調理業務委託の仕様書の別紙2-2、調理業務の詳細というところには、食物アレルギーや宗教上の理由等の配慮の必要な児童・生徒の給食については、調理業務手配表に沿って、学校栄養教職員等からの情報等を基に、除去食や代替食など適切に対応することと記載があります。イスラム教では豚、ヒンドゥ教では牛が禁止されているのは有名ですが、厳しい場合は五葷というニンニク、タマネギなど5種類の根菜も禁止です。大乗仏教やジャイナ教、一部のキリスト教系宗教の中でも、食べられないものや忌避されるものがあります。だしや調味料などに入っていても駄目なこともあり、丁寧な対応が必要です。中野区では、こうした宗教食について現在どのような対応となっているのか伺います。
ヘイトスピーチについてもお聞きをします。2023年の現在でも、ネットを中心に間違った情報が拡散され、外国人や難民への差別が横行しています。こうした状況を変えるためにも、行政からの発信で差別を打ち消す努力が必要だと考えます。私が最初にヘイトスピーチを質疑で取り上げたのは2017年第1回定例会です。区役所内と共に区民活動センターなど区有施設でも、法務省作成の差別を許さないというポスターの掲示について質疑してきましたが、この機会に改めて広範な掲示を求めます。いかがでしょうか。
また、人権週間に合わせてこうした打ち出しを強めていくなど、さらなる取組を求められていると思いますが、この点はいかがでしょうか。
第3回定例会での質疑でも取り上げましたが、100年前の関東大震災では、デマによる虐殺があったわけです。虐殺の事実は様々な公文書や私文書で明らかになっているにもかかわらず、事実を認めず、歴史を修正しようという試みがネット上では後を絶ちません。いたちごっこのていをなしていますが、だからこそ正しい情報を発信することをやめるわけにはいかないのではないでしょうか。望むと望まざるとにかかわらず、経済的にも文化的にもグローバル化は避けがたいのが現代社会です。どこの出身者であろうと、どこの国のどこの民族の人であろうと、差別なく共に生きる仲間として迎える社会をつくっていく必要があります。多文化共生を掲げる中野区がその先頭に立つことを求め、全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) いさ議員の御質問にお答えいたします。
初めに、介護保険について、介護報酬の増額についてです。
国においては、次期の介護報酬の改定に向け、介護サービス事業所の事務負担の軽減や報酬体系の整理、簡素化を進めていこうとしております。その際、介護保険制度の安定性や持続可能性を確保していくとしておりまして、介護報酬の基本部分の増額も含め、国において適切に対応がなされるものと考えております。
続きまして、国に対して公費負担の増加等を求めることについてです。特別区長会では国に対して介護保険制度を円滑に運営するために必要な財政措置を求めるとともに、介護人材の確保と定着に向けた抜本的な解決を要望しているところであります。
介護サービス事業所への物価高騰対策についてです。介護サービス事業所への物価高騰対策につきましては、社会経済情勢を見定めながら機動的に対策を講じることができるよう、利用者への影響や事業所の経営状況などの把握に努めてまいります。
次期の介護保険料の設定についてです。令和6年度より始まる第9期の介護保険料の設定につきましては、今後国から示される報酬改定の内容等を踏まえ、計画期間中の介護給付費等の推計に基づいて適切に設定をしたいと考えております。
続きまして、包括的性教育についてで、保護者向けの性教育を学ぶ場についてです。
現在改定を行っている男女共同参画基本計画には、性に関する知識の普及啓発のための取組を盛り込むことを考えております。この取組の中で、子育て家庭だけでなく、広く区民を対象とし性教育をテーマとした講演会の実施などを検討するとともに、実施方法についても参加しやすいよう工夫してまいります。
続きまして、難民・外国人の支援についてで、難民の周知についてでございます。
難民を正しく知るということは重要でございます。難民を支える自治体ネットワークの加入自治体においても、世界の難民の写真展示等を通じた普及啓発活動などを行っているところであります。大学や団体などとの協働も含め、難民を正しく知る、世界の難民問題を知るための機会の提供を検討してまいります。
最後に、ヘイトスピーチ解消に向けた取組についてです。ヘイトスピーチ解消に向けたポスターについては、区役所内のほか、毎年12月の人権週間には、中野駅ガード下ギャラリーでの人権パネル展において掲示しているところであります。ホームページにおいても、ヘイトスピーチ解消に向けた啓発を行っておりまして、今後も効果的な啓発について工夫してまいります。
〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子) 私からは、教育についての御質問にお答えをいたします。
早期の包括的性教育の必要性についてでございます。現在包括的な性教育につきましては、区立幼稚園、小学校、中学校で、発達の段階や様々な指導場面を想定した性教育の年間指導計画を作成し、計画的に指導を行っております。今後も、子どもたちの発達の段階を考慮し、社会的背景に合わせて包括的な性教育を実施していくことは重要であると考えております。
次に、性教育の実施及び教員への研修等についてでございます。幼稚園、小学校、中学校では、体育科の時間を中心に、家庭科や特別活動のほか、関連の教科や特別の教科、道徳、総合的な学習の時間も含めた学校の教育活動全体を通じて包括的な性教育を確実に実施しております。教員研修では、各校の養護教諭や保健主任対象の研修会で包括的性教育について扱っており、適切な性教育の実施に向けて、文部科学省の教材例や指導の手引、東京都教育委員会の性教育の手引などを活用して、全ての教員が活用できるように指導をしているところでございます。
次に、性犯罪に関する刑法等改正法が施行されたことの周知についてでございます。性犯罪に関する刑法等改正法が施行されたことにつきましては、教職員は7月、8月の服務事故防止月間で周知を行ったところでございます。今後、児童・生徒や保護者へは、法務省が作成した小学生向け、中・高生向けリーフレットを活用して周知してまいります。
次に、教員不足の対策についての御質問です。週当たりの授業時数削減についてでございます。これまでも今年の8月に文部科学省から出された教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策を基に、年間の標準授業時数を大幅に上回っている数校につきましては、直接指導したところでございます。各学校は年間の授業時数を見直す中で、週当たりの授業時数を削減する等柔軟に取り組んでおります。確保した時間につきましては、子どもと触れ合う時間や研修、授業準備等の時間として有効に活用しているところでございます。
教員確保に向けた取組についてです。本区においても、教員確保に向け、元教員や教員免許を持っている方に声が届くよう、既に教育委員会や各学校で働きかけているところでございますが、教員を確保するのは大変困難でございます。任期付き短時間教員につきましては、任期期間も含めた働き方の要望に沿うような採用の方法を検討してまいります。
最後に、難民・外国人の支援についてのうち、学校給食における宗教食への対応についてです。学校給食においては、アレルギー対応等医師の指示によるケースを優先した上で、給食室の設備や規模、食数、アレルギー対応の数など、各学校の状況に応じて、可能な範囲で宗教食についても対応しているところでございます。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、自転車駐車場についてお答えをいたします。
まず、自転車駐車場の整備や改善の考え方についてでございます。電動自転車や親子自転車等の多様な車両に対応するために、既存の自転車駐車場につきましては、利用実態や利用率を鑑みまして、可能な範囲で2段ラック等の平置きスペースへの変更や、シェアサイクルスペースの確保を行ってまいります。
また、再整備する自転車駐車場につきましても、利用実態を踏まえ、多様な車両に対応できる駐車設備を検討してまいります。
それから、民間自転車駐車場のシステム提供会社との連携に関する今後の展開についてでございます。アイキューソフィア株式会社とは、11月20日に協定を締結して間がありませんので、まずは区内における放置自転車に関する課題共有を行い、今後の進め方を検討してまいります。
具体的な場所につきましては今後の検討とはなりますが、区内でも放置自転車が多い中野駅周辺等の規制区域におきまして、事業者が設置する駐車スペースの確保、促進をしてまいります。
それから、このアイキューソフィア株式会社との連携以外の取組についてございますが、まずは同社との連携による自転車駐車場の設置を促進いたしまして、自転車駐車場の利用実績や撤去自転車の実績などから、事業の効果について分析、検証するとともに、さらなる対応の必要性等についても見極めてまいります。
○議長(酒井たくや) 以上でいさ哲郎議員の質問は終わります。
中野区議会議員 黒 沢 ゆ か
1 障がい児の日常生活と保護者の支援について
2 オンライン行政サービスについて
3 おくやみ窓口の対応について
4 東京2025デフリンピックの開催について
5 その他
○議長(酒井たくや) 次に、黒沢ゆか議員。
〔黒沢ゆか議員登壇〕
○5番(黒沢ゆか) 令和5年第4回定例会に当たりまして、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問を行います。
質問は通告のとおりの4点で、そのほかはございません。
初めに、障がい児の日常生活と保護者の支援についてです。
先日の決算特別委員会にて、障害のあるお子さんの保護者から、区長とのタウンミーティングの機会があれば参加したいというお声があったことをお話しさせていただきましたが、早速11月9日に障害のある子どもたちへの支援というテーマで開催いただきましたこと、この場合をお借りして御礼申し上げます。
今回区が行った事前アンケートの結果で、中野のまちは、障害のあるお子さんとその家族にとって住みやすいまちだと思いますかとの問いに対して、住みにくいと思う方が7割を超えていることが分かりました。多くの回答者が挙げた住みづらさの課題としては次の2点です。
一つ目に、お子さんが外出や外遊びできる場所や機会が少ないということです。タウンミーティングの当日、ファシリテーションを行ってくださった帝京平成大学人文社会学部、伊藤准教授からは、中野駅周辺のまちづくりとともに考えてはどうかという話題も挙がったと参加者の方から伺いました。中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画の拠点施設の導入機能の一つに、子育て支援施設、屋内遊び場などが計画されています。まさに子育て先進区を発信する複合型子育て支援機能として準備され始めた段階と認識しています。障害のある子もない子も安心して使うことができる施設となるよう、区民の皆様の声や専門家の意見を取り入れながら、インクルーシブな環境整備を進めていただきたいと考えますが、区の見解を伺います。
二つ目に、お子さんの養育、介護のために保護者の就労が制限されているということです。現在障害のあるお子さんを育てる共働き世帯の方を特に就労困難にさせる要因は、まずもって、学校の長期休暇中に子どもを日々預かってもらえない時間帯が生じてしまうということです。授業の休業日に支援が必要と認められたお子さんを対象に、お子さんの生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流促進やその他必要な支援を行う放課後等デイサービスという制度を使えることになっていますが、放課後等デイサービスの開業条件としてのサービス提供時間は、開所日において6時間以上となっているため、大幅な延長をしてサービス提供を行うところはほとんどありません。
実際に区内放課後等デイサービスを調査したところ、保育園や学童のように早朝から夜までを網羅してくれるところはなく、不足していることが明らかでした。区立施設も使いたい日に使えない状態で、定員オーバーとなっているようです。このような中、東京都は、都型放課後等デイサービスの制度を独自でスタートし、19時まで利用できる事業者も増え始めました。また、新宿区では、区の地域生活支援事業の一環で、8時半から19時の間、障害児を預かっています。当施設は平成19年に開所されましたが、最近になって近隣区からの視察も舞い込んでいるというお話も伺い、現在の社会的背景から、改めて注目されているのではないかと推察いたします。
なお、地域生活支援事業とは、障害者総合支援法上の位置付けとなっているため、区が独自に事業を設定できるものとなっています。
そこで伺います。中野区では、他区自治体の調査研究を行いながら、障害のあるお子さんの育児と保護者の仕事が両立できるよう、学校の休業日を含めた新たな居場所整備を検討してほしいと考えますがいかがでしょうか。伺って、次の項に移ります。
次に、オンライン行政サービスについてです。
区民の利便性向上のため、来庁せずに好きな場所で行政サービスを提供できる体制を拡充していくためには、行政手続のオンライン化の拡充は重要な課題であり、組織横断型のクロスファンクションを組成し、手続の内容や申請件数、実績などを総合的に検討しながら、効率的にオンライン化を進めていっていただきたいと考えています。これまで区の電子申請導入は、東京共同電子申請・届出サービスを中心に進められてきましたが、これからは新たな電子申請サービス、LoGoフォームへの移行がなされ、オンラインの申請ができない手続は随時拡充していくということを令和5年8月の総務委員会で報告をいただきました。
そこで伺います。手続のオンラインカバー率、いわゆる全ての手続件数のうち、何%をオンラインでできるようなカバー率を目指し、庁内ではどのように進められていくのでしょうか。
また、オンラインサービスは行政のあらゆる手続や窓口をオンライン化されるだけにとどまらず、オンライン上でもリアルと同等のサービスと体験を提供し、利用者をワンストップでサポートすることと考えます。そして、区の公式ウェブサイトやLINEは各種オンライン手続の入り口となるとも言えると思います。アクセスすれば個々の手続に遷移できるより一元的な導線が必要です。区が目指すべきオンラインサービスは、利用者側に複数の選択肢を用意し、各自が使いやすい方法で利用できるようにすることではないでしょうか。
そして、オンラインサービスが定着していくことで、情報発信や情報提供の形も変化していく必要があると考えます。例えば区の公式ウェブサイトやLINEなどの媒体に御自身の関心領域を登録していただく機能があると、アクセスした際に関心領域に沿った情報が提示され、情報を取りこぼしづらくなります。今後は情報発信にとどまらず、区民の困り事をより解消できるオンラインサービスを目指してほしいと考えますが、いかがでしょうか。情報発信や情報提供の在り方について、区の見解を伺います。
一方、複雑で複合的な問題を抱えた方の相談などは、対面でのコミュニケーションの中で問題の真の原因を発見し、行政からの援助や早期介入につながっていくケースもあると考えます。このようにオンラインとオフラインの行政サービスは、どちらか片方ではなく、それぞれの特性を最大限活用し、相互に補完していくものだと考えます。その点、申し添えさせていただき、次の項に移ります。
次に、おくやみ窓口についてです。
中野区は、死亡届提出後の遺族の事務手続等に関する情報を掲載したおくやみガイドブックを活用するおくやみ窓口を新庁舎に配置することが予定されていると報告がございました。また、身近な人を自死で亡くされた方が相談できる窓口や、気持ちや思いを分かち合う場、遺族の集いの情報を掲載し提供されるということで、手続の効率化のみならず、心に寄り添いサービスを提案する発想に共感するところです。
一方で、亡くなられた方の手続に来られる方の中には、配偶者を亡くされたばかりの高齢者も多く、長年一緒に暮らしたパートナーが旅立たれ、1人での生活が始まるという高齢者も少なくありません。配偶者を亡くされたことをきっかけに、生活の変化から、家に閉じ籠もりやすくなる方もいらっしゃいます。閉じ籠もりがちになると生活不活発になり、食欲の低下、栄養の偏り、筋肉量減少、筋力低下など様々な症状が見られやすくなり、フレイルの状態にも陥りがちです。
また、日常的な悩みを気軽に相談できる人がいなくなってしまうと、お金や健康、将来などの不安を抱えやすくなり、消費者トラブルに巻き込まれやすくなることも報告されています。区では地域包括ケアシステムを進めており、横のつながりを生かした支え合いの輪をつくっていると認識しています。また、介護予防事業や通いの場の情報をまとめた「あなたの近くの通いの場マップ」や、けあプロ・naviなどのツールも用意されています。
一方で、健康福祉審議会の中でも、介護予防事業や地域の居場所、相談窓口などの情報がそれを必要としている人に届いていないということが課題として挙げられています。おくやみ窓口は、亡くなられた方の手続のみならず、残された方のこれからの人生にも寄り添い貢献できるよう、生活支援コーディネーター、地域包括支援センター、アウトリーチチーム等と連携した窓口サービスの展開を目指してはいかがでしょうか。区の目指す「つながる・はじまる・なかの」の姿をぜひおくやみ窓口からも体現してほしいと考えます。区の見解を伺います。
最後に、東京2025デフリンピック開催についてです。
2025年、100年近くの歴史を持つデフリンピックが日本、東京で初めて行われます。デフリンピックは、デフアスリートによる総合的な国際大会で、アスリートが躍動する姿は、ろう者やろう文化への理解を深め、人々の交流をますます促していくものになると期待されています。全日本ろうあ連盟がデフリンピックの大会ビジョンとして掲げているのは、誰もが個性を生かし力を発揮できる共生社会の実現です。現在聴覚障害のある学生や次世代を担う中高生の思いがぎゅっと詰まった大会エンブレムも完成し、東京2020大会のレガシーも生かしながら準備が進められています。
また、中野区はテコンドーの競技会場として選ばれており、大会をきっかけに多様性の大切さをさらに力強く区内に発信し、共生社会の実現に大きく貢献するものとなると考えます。特に障害のある人とない人のコミュニケーションや情報バリアフリー、情報アクセシビリティを推進することは、誰一人取り残さない世界の実現へのさらなる前進となるものです。
障害のある人とない人のコミュニケーションや情報バリアフリー、アクセシビリティを推進するには、手話言語のさらなる普及に加え、言語が異なる聴覚に障害のある多国籍の方でもやり取りができる新たなデジタル技術を活用することも取り入れていっていただけたらと考えます。区役所や区民活動センター、すこやか福祉センター等でも、手続や相談時に展開できるよう、デジタルを活用したユニバーサルコミュニケーションの社会実装をしていくことを検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
なお、パラリンピックに比べてデフリンピックは認知度が低いのが現状です。大会までに2年を切った今、区としても機運醸成を行い、誰もが暮らしやすい地域社会への実現を目指していただきますよう要望し、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 黒沢議員の御質問にお答えいたします。
まず初めに、障がい児の日常生活と保護者の支援について、拠点施設の環境整備についてでございます。
子どもの屋内遊び場については、区の権利床を活用して運営事業者を誘導することを考えておりまして、子育て支援施設は施行予定者が整備する予定であります。誰もが利用しやすく、ユニバーサルデザインに配慮したインクルーシブな施設となるよう、施行予定者や運営事業者に求めてまいります。
続きまして、育児と仕事が両立できる居場所整備についてです。区内では、障害や発達に課題がある小学生から高校生までが通所する放課後等デイサービスが28事業所あり、多くの事業所が、平日は18時まで開所しております。そのうち5事業所は、平日は19時まで運営しておりますが、十分に足りているとは言えない状況であると考えます。放課後等デイサービスの新規事業所の開設相談の際に、時間延長の働きかけを行っていくとともに、長期休業中の居場所に関する他自治体の調査研究や、事業者や利用者のニーズの把握を行った上で、新たな居場所整備を検討してまいります。
続きまして、オンライン行政サービスについてでございます。
行政手続のオンライン化の進め方について。区役所等に来なくても手続が済ませられる区の手続のオンラインサービスの拡充は喫緊の課題と捉えております。現在、区民向けの手続のうち、オンライン化できていない手続は約1,500件ございまして、法令等によるものが約600件あるほか、対面での説明や署名、支払いなどが必要であるものが挙げられます。今後、区の全ての手続数について全件調査を行うこととしておりまして、その結果を踏まえ、区の手続のオンライン化率の目標を定め、計画的にオンライン化を推進していきたいと考えております。
区ホームページ及びLINEにおける情報発信です。区は区民サービスの利便性向上と事務効率化を図るため、LINEを活用した行政手続のオンライン化と、区民のニーズに合った情報をお届けするセグメント配信を7月から開始したところであります。区公式ホームページにおいては、今年10月にリニューアルを行い、アイコンのピクトグラム化や各カテゴリーの階層を整理するなど、必要な情報にたどり着くための工夫をしております。今後も、例えばホームページのアクセス解析を行うなど、区民ニーズを的確に把握するとともに、ユニバーサルデザインにも配慮しながら、全ての人に届きやすい情報の発信を行ってまいります。
続きまして、おくやみ窓口の対応についてで、他の相談支援機関等との連携についてです。
現在発行しているおくやみガイドブックでは、各種手続の案内のほか、御遺族の状況に応じた相談機関や、今の思いを話すことのできる場などについて記載しておりまして、新たに設置するおくやみ窓口においても御案内をしていきたいと考えております。加えて相談者に寄り添った対応ができるよう、地域の身近な相談窓口である地域包括支援センターやすこやか福祉センターとも連携させていきたいと考えておりまして、情報共有等の仕組みや実施方法等について今後検討してまいります。
最後に、東京2025デフリンピック開催について、デフリンピック開催をきっかけとしたコミュニケーション支援の充実についてです。
2025年デフリンピック東京大会のテコンドー競技が中野区で開催されることを契機として、地域共生社会の実現に資する施策の充実を図りたいと考えております。手話言語につきましては、日本語の手話講習会を推進するほか、国際手話についても都の補助を受けて実施されている民間団体の国際手話の講座の情報提供を行うなど、手話言語の普及に努めてまいります。
また、コミュニケーション支援につきましては、現在区の窓口等において、音声筆談機能を有するAI多言語通訳システムを導入し、聴覚障害者等への対応に活用しているところでありますが、今後「中野区障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例」の理念を踏まえ、新たなICT技術の活用について検討するなど、環境の整備を推進してまいります。
○議長(酒井たくや) 以上で黒沢ゆか議員の質問は終わります。
中野区議会議員 杉 山 司
1 中野区のDX戦略について
(1)ホームページリニューアルについて
(2)MS365導入について
(3)区民サービスについて
(4)自治体情報システムについて
(5)キャッシュレス化について
(6)その他
2 中野駅周辺再整備の今後の課題について
(1)ガード下の整備について
(2)桃園広場側線路壁面の整備について
(3)北口繁華街の課題解決について
(4)その他
3 その他
○議長(酒井たくや) 次に、杉山司議員。
〔杉山司議員登壇〕
○29番(杉山司) 令和5年第4回定例会におきまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問を行います。3のその他はございません。どうぞよろしくお願いします。
1、中野区のDX戦略についてのうち、(1)ホームページリニューアルについて伺います。
10月20日に9年ぶりに中野区のホームページがリニューアルされました。過去の一般質問で言及した今の時代に合わせたネットにおけるユーザー心理プロセス(AISCEAS)の考え方などを御理解いただいた上でリニューアル、大変うれしく思っております。デザイン、レイアウト、UI、レスポンススピード、見やすさ、階層構造、構成、スマホ閲覧を意識したレスポンシブ対応などはすばらしく、利用者もうれしく思っているのではないでしょうか。
一方で、ローンチとしては多くの問題があったことを指摘します。コンテンツやバックヤードの検索部分などが不完全のままリリース、このことはたくさんの利用者から区や私たちにもお叱りの御連絡がありました。正しい情報が届かない、欲しい情報にたどり着けないなど、行政のウェブサイトとしてはあり得ない状態です。サイト内検索からリンク先に飛ばない事象も多発しましたが、不具合解消のために委託業者が行った手段は、リダイレクト処理以外に、リンク切れをトップページに飛ばすという暴挙とも言える信じられない対応内容でした。単純に構成が崩れているページも散見されていました。
10月中に完成しサイトをオープンすることは、確かに契約書内には記載されておりますが、行政のホームページとしては完成度に欠ける状態だったにもかかわらず、なぜリリースに踏み切ったのか、まずはお聞きします。
今回のリニューアルの範囲全てを区として受入れテストを実施して、不具合修正をしてから検収したのか大きく疑問が残ります。委託業者サイドがどこまでを行い、中野区側がどこまで責任を持つのかが明確ではなかったのではと考えますがいかがでしょうか、伺います。
多くのページを新サイトにコンバートする中で、3,200もの過去のコンテンツは移行しない、データはサーバーにあるが、これを誰がどう処理するのか、検索エンジンへの再反映は誰がクリア申請をするのか、テストリストの最終チェックは誰が行うのか、責任の範囲があやふやな状態では、今後も同じことが起きます。
ホームページのリニューアルのプロポーザルのための仕様書は中野区で作成しているわけですが、その中の項番は10、導入支援の中に、(11)検収、項番13がデータ移行、項番14の中に検査、項番15に保守運用、項番18に契約不適合責任、項番21に瑕疵担保責任となっています。このような順番で書かれているということは、基本コンテンツとCMSを納品して検収、その後は区がデータ移行してみて、システムに不具合があるかどうかを検査し納品するという流れに見えますが、検収の順番が違います。本来、全てのシステムとコンテンツを納品し、区がコンテンツの振る舞いやCMSの挙動が正しいかなどのユーザーテストを実施、不具合があれば委託業者にフィードバック、このやり取りを何度も繰り返して納品物の精度を上げさせ、100%に近づけられた状態で納品、検収するという形を取るべきです。
検収は、委託業者が最も手にしたいエビデンスです。委託業者側の納品完了となり、売上げ計上可能な状態となりますし、中野区としては納品を受領したことになり、容易に出してはいけない代物となります。これからこの手のコンテンツの納品に関して、仕様書を作成する場合、税金や知的財産などの区の財産を守る上でも、検収のタイミング、責任の範囲、サービスレベルアグリーメント、瑕疵担保責任など、基となるテンプレート類をしっかりと改定した上で、これからプロポーザルなどの募集をかけていただくことを強く希望しますがいかがでしょうか、伺います。
今回のホームページ、最終的なコンテンツの流し込み、または旧コンテンツの移行後の内容チェックは各所管が行うという内容となっていますが、無理があるように感じます。ちなみに、ローンチ後のコンテンツ更新も各所管が自由に行える形です。この運営方法、各所管が自由に情報発信する手法は、情報がタイムリーに出せるというメリットはあるものの、情報統制や広報戦略が立てづらいというデメリットもあります。今回のように各所管に最終チェックをお任せする手法は、今後は再考すべきです。運用フェーズに入った今、イベントや情報発信のタイミングなどを戦略的に考えられ、さらには発信情報の正確性を担保できるよう、ホームページのトータル管理を広聴・広報課に一元化すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
この手の大きなコンテンツ制作を行う際には、納品が間に合わなかった場合、または納品物に大きな不具合があった場合に、サブコンテンツに切り替え正しい状態にしてからリリースまたは再リリースするという手法が一般的です。将来を見据え、このことも仕様書テンプレートに記載しておくべきと付け加えておきます。
同時に、データセンターのデュアル化なども必要ですが、莫大なコストもかかります。であれば、新しい区役所のサーバールームに、コールドスタンバイでも構いませんので、簡易的なホームページをつくり、IDC側に何か不具合が起きてホームページが閲覧できなくなった場合に、バックアップ用のホームページサーバーを立ち上げられるよう準備をしておいたらいかがでしょうか、伺います。
一旦リリースしたホームページ、これから大事なのは、よりよいホームページにブラッシュアップしていくことです。中野区として、広聴・広報課にその道のスペシャリストの配置、または職員の育成などを行いつつ、グーグル社の新アナリティクスGA4を利用したサイト分析・解析の重要性を捉えていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、しつこいようですが、レコメンド機能を入れてみてはいかがでしょうか、伺います。
この項の最後に、今年の6月16日に施行された改正電気通信事業法のことに触れておきます。区の新ホームページの制作前には施行されていない法律ですが、情報通信インフラの提供確保、安全な通信サービス・ネットワークの確保などが改定点となります。自治体のホームページにはあまり関係がない部分が多いとは思いますが、念のため踏襲しておくことをお願いいたしまして、次の質問に移ります。
(2)MS365導入について伺います。
ワードやエクセルなどが使え、コミュニケーションツールTeamsや、情報共有ツールSharePoint、メールやスケジューラーがオールインワンで使えるクラウドサービスがMS365、庁内イントラネットとして幅広く利用できる環境が整い、BIツールなどの機能も使いこなせると、業務の底上げや効率化が図れるようになるはずです。既に11月から現庁舎で運用を開始、来年5月には新庁舎の稼働と同時に本格運用開始です。
このMS365をストレスなく使っていくためには、全職員に対しての研修が必要となるはずです。今のところ、延べ約400人に対しての研修を実施、現在は映像とベンダーによるヘルプデスクで対応しています。しかしながら、ITリテラシーの格差、業務内容の違い、職場環境など様々ですので、初級編、中級編、上級編と研修内容を分け、スキルや業務内容に合った形で、どの研修を受けるべきなのか、段階的に受けるべきなのかなど、再度研修内容を戦略的に考え直すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
MS365は、いずれメーカーなどの支援から離れ、自走していかなければなりません。庁内でMS365の操作、活用などを教えられるレベルまで達した職員にMOS(Microsoft Office Specialist)365試験などを受験いただき、合格者には一時金などを支給する、エキスパート職員として認定するなど、MS365を高度に活用できる人材を養成する仕組みを構築すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
次に、生成AIについて伺います。既に庁内で生成AIの検証が行われたと聞いています。最近では、GPT4が同胞されたBingChatEnrerpriseをマイクロソフトがMS365利用者に無償で提供することを発表していますが、業務の効率化を図るために、今後どのような形でMS365の導入に合わせて戦略的にGPT4を利用していくべきなのかを早急に検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
この項の最後に、BYODについて伺います。今の決め事としては、スマホまたはタブレットのみの利用に限られています。安全な環境がつくりやすいというのは分かりますが、PCを使っての業務がほとんどですので、現実的にはBYOD導入後、セキュリティを強めにした上で、PCも利用できるよう検討を進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
伺いまして、次に、(3)区民サービスについて伺います。
我が会派の中村議員からも質問させていただいております書かない窓口サービス、絶賛検証中だと思いますが、フローの完成度などを上げていかないと、区長のおっしゃる最先端のサービスまでにはたどり着けない状況だと聞いています。私からは、完成後の書かないサービスのことをお話しします。
完成後、大事なのはサービスを止めないこと、つまり、窓口サービスのシステムがハングアップした際に、簡単にリブートできるようなプログラムのつくり方ができているのか心配するところですが、それはさておき、稼働後の窓口サービスでは、システムの改定やサービス向上に生かしていけるよう、利用時間や個々の処理に要した時間、操作ステップ情報など、窓口サービス向上のための個人情報以外の様々な分析のためのデータを取得し、日々システム改修を進め、ブラッシュアップしていくことを見据えた運営が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
続きまして、(4)自治体情報システムについて伺います。
閣議決定したデジタル・ガバメント実行計画に引っ張られる形で、令和4年に策定された地方公共団体情報システム標準化基本方針により、令和7年度までに標準化・共通化対応が急務となっています。標準化対応は現行ベンダーのみという大きな、そして理不尽な縛りがある中で、区として、児童手当や戸籍、国民健康保険などの業務システムの標準化移行についての見通しをつけるために、現在どのような取組を行っているのか伺っておきます。
続きまして、(5)キャッシュレス化についてのうち、中野区独自のデジタル地域通貨について伺います。
我が会派としては、令和4年第4回定例会から継続して独自地域通貨の必要性を説いてきています。区民の皆様からお預かりした税金を区民に限って還元するためです。飛騨市のさるぼぼコイン、世田谷区のせたペイ、渋谷区のハチペイやハチポ、板橋区のいたばしPay、そして区民委員会では、魚津市のミラペイの視察に行かれました。これらは実現手法やベンダー、サービサーなどがまちまちです。飛騨市の商工会や世田谷区や板橋区などの商店街連合会が運営する手法、渋谷区や魚津市のように行政直営のものなどがあり、さらにデジタル地域通貨と行政系ポイントの並行サービスも行っています。
渋谷区はハチペイとハチポが相互乗り入れできていませんが、魚津市のミラペイは行政系ポイントが通貨と同じように利用できます。これは二つの仕組みが同じベンダーが一緒か否かに大きくよるところがあります。魚津市は非接触ICカード業者がオールインワンの開発をしています。このようなスキームを参考とし、中野区としては、御当地ペイ部分と健康増進活動推進などによる行政系ポイント還元部分を同じベンダーで取り組んでいくべきで、さらに双方を同時に進めるのであれば、経済の活性化、行政系、どちらも推進していけるよう当区が直接運営をしていく手法を取るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
続きまして、キャッシュレス決済によるキャッシュバックキャンペーンについて伺います。
商店街応援団としては、今年度のキャンペーンの予算化、感謝しております。しかしながら、昨年は1決済業者で1人約1万円、今回は4決済業者で1人総額1万6,000円のキャッシュバックです。予算がほぼ同じなので、単純計算で、利用者が約3分の2となります。リテラシーの高い人、マルチ決済手段が満遍なく使える方が得をしてしまうという形、これに関しては、12月実施となるために手を打つことはできませんが、せめて今までこのキャッシュバックキャンペーンを利用したことのない人を対象に、利用講習会やポスターによる啓発などを行っていただき、全体の利用者数を拡大していただきたいと考えますがいかがでしょうか、伺います。
最後に、住民税などのキャッシュレス徴収について伺います。近年は、所管の努力などにより、税の徴収率などは上がってきています。住民税や軽自動車税などの税の徴収は、LINE PayやPayPay、楽天ペイなども利用できるとのことですが、人的リソースが要因なのか、キャッシュレス徴収導入が要因なのか、その要因が分析できないのが残念です。まずはキャッシュレス決済による税の徴収率の効果を分析する、また分析できないのであれば、分析に必要な情報を付加して、近い将来には、分析した上でどの部分に注力していくのかを検討すべきだと考えますがいかがでしょうか、伺います。
今後、徴収率の向上や利便性の向上を目的に、まだキャッシュレス徴収に手をつけていない保育費や学童の利用料の徴収、施設利用料などの徴収もキャッシュレス徴収をできないか検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。そのことをお伝えして、この項の質問を終わります。
次に、2、中野駅周辺再整備の今後の課題についてのうち、(1)ガード下の整備について伺います。
大雨の際、雨水が線路から滝のように流れ落ち、歩行者が非常に迷惑しています。中野通りには水がたまり、南口ロータリーは間もなく始まる改修工事で雨水の貯水タンクが埋め込まれる形だと思いますが、この部分の雨水もロータリー側で対処できる形となりますでしょうか。それとも、ほかに対処方法は検討されているのでしょうか、伺います。
周辺の再開発に対して、ガード下部分の改修は進んでいないように見えます。区民が使えるアートスペース夢通りはうまく残しつつ、区としてこのガード下をどのようにしていきたいのかを早急に検討し、議会や地域に示しながら東京都に意見を述べていってほしいと考えますが、いかがでしょうか。
続きまして、(2)桃園広場側線路壁面の整備について伺います。
令和4年第4回定例会でも質問させていただきましたけれども、南口の中野通りから西側線路沿いの石積み部分の改修計画も、中野駅周辺のまちづくりから取り残されている部分の一つです。石積み擁壁耐震補強工事などで景観も改善したいところですが、早急に中野区としての修繕案を検討し、JR東日本側に提出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
この線路沿いの道路から中野通りに出る車両、これは中野三丁目地域の住民の方々からの嘆願によって、現在は時間帯によっては右折できます。周辺の整備事業が完了しても、現在の交通ルールを踏襲した形とさせていただきたいと願いますが、いかがでしょうか。
最後に、(3)北口繁華街の課題解決について伺います。
かつて警察大学校があった時代、北口の繁華街は、お客さんが警察官の可能性が高かったので店側も悪いことはできず、客引きもいない、日本で最も安全な繁華街だったと言われていました。今、中野の誇る北口の繁華街は一段とにぎわいを増してきて、活気にあふれています。それと並行して、治安上の様々な課題が浮き彫りとなってきております。現在、北口の繁華街では、通行人に迷惑を及ぼす客引きやごみの不法投棄、違法駐輪、テーブルを路上に出して客に飲食させている店舗などの諸問題がありますが、このような状況は区としてどの程度把握しているのか、また、どのように介入して対応しているのか伺います。
北口の繁華街では、最近、制服の警察官がパトロールする姿をあまり見かけませんが、警官が姿を見せているだけで、様々な犯罪の抑止につながると考えます。ぜひこのエリアでの制服警察官のパトロール強化を行っていただけるよう中野警察に要請いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
このことを最後に伺いまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 杉山議員の御質問にお答えします。
初めに、中野区のDX戦略についてで、区ホームページリニューアルの時期です。
区ホームページをリニューアルするに当たり、他自治体のリニューアル工程の確認を行うほか、CIOオフィスによる専門的見地からの評価を事前に受けることで、一定のクリティカルパスを明らかにしておりました。結果として、旧サイトからのデータ移行及び新サイトのページ構築は、事前のテストを通じて、当初の予定どおり行われたものと捉えております。しかし、ページへたどり着く方法の一つとしての検索機能については、グーグルからの反映に数日の時間を要したこと、当初実施したリダイレクト処理の件数が少なかったことから、リニューアル当初は検索画面から情報にたどり着けないという事象は発生しました。しかし、このことは実際に公開後でないと確認できないことでもございました。
次に、リニューアルに当たっての対応についてです。今回のリニューアルは、サイト構成やURLも9年ぶりに全面的に変更するということで、区としても新CMSへの接続確認など動作テストを重ねて行うほか、旧ページとの並行稼動期間の設定などを通じて、検収する前に十分な対応は行ってきたものと考えております。
次に、次のリニューアルに向けての整備です。次回の更新に際しても、仕様書を作る際に他自治体の事例を参考にし、またCIOオフィスとも表記について十分に協議するなど、諸条件や工程を整理した上で募集を行ってまいります。
ホームページの一元管理化です。区民に届く情報発信力は確実に向上し、また、若手職員の広報マインドが醸成されつつある一方で、部署によって情報発信力に差があり、また発信する情報によっては区民目線となっていないことも認識をしております。広聴・広報課によるホームページの一元管理化については、他自治体での事例を参考にしながら、今後の研究課題としてまいります。
次に、バックアップコンテンツサーバーについてです。現状のサーバーでは定期的に委託業者がバックアップを取っているほか、JIPサーバーによる保存、遠隔地による保存を行っております。御指摘を踏まえ、バックアップ用サーバーについては様々な手法があるので検討を進めてまいります。
次に、サイト分析を踏まえた情報発信です。ホームページのアクセス解析を行う際は、グーグル社のGA4というアナリティクスを活用し、職員が区民ニーズを的確に把握することで、利用者にとって分かりやすく探しやすい情報の発信を行ってまいります。区民の方に必要な情報を届け、理解いただくためには、レコメンド機能は有効であると考えていることから、機能追加できないか、費用対効果も踏まえて引き続き検討してまいります。
続きまして、キャッシュレス化についての項です。
デジタル地域通貨事業の運営主体について。中野区が検討しているデジタル地域通貨事業の実施目的は、区内経済・産業を活性化するとともに、区の政策・施策を側面から推進することでございまして、コミュニティポイントの付与とその利用は必須であると考えております。デジタル地域通貨のプラットフォームを構築する段階から、様々なコミュニティポイントと連動できる仕様にすることを前提としたいと考えております。
また、区の政策・施策を進める性格を有することから、中野区商店街連合会と十分に連携しながら、区が主体となって事業を実施運営していく手法を検討してまいります。
次に、デジタルリテラシーの向上について。キャッシュレス決済ポイント還元事業において、より多くの人に参加していただくためには、スマートフォンの操作に不慣れな方へのサポートが欠かせないと考えておりまして、これまでも利用者向けの説明会や相談会を実施してきたところであります。デジタルリテラシーを高める機会にもなり得ると捉えておりますので、今後同様のキャンペーンを実施する場合や、現在検討しているデジタル地域通貨を実施するに当たっては、利用者向けの説明会やサポート窓口を開設するなど、スマートフォンの操作が不慣れな方への支援を丁寧かつ工夫して行ってまいります。
キャッシュレス決済の効果分析です。キャッシュレス決済が徴収率の向上に一定程度寄与しているとは考えておりますが、ほかにも徴収対策の成果や景気の動向による納税者の収入状況の変化など、複数の理由が考えられまして、それらの要因を取り除かなければ、キャッシュレス決済のみによる効果を測定することは困難でございます。徴収率が上がっている理由について、何がどれだけ影響しているのかを特定するのは難しいところでありますが、どのような分析が可能なのかどうかも含めて、今後も研究してまいります。
最後に、キャッシュレス決済の拡大についてです。キャッシュレス決済につきましては、利便性向上の観点もあり、現在導入していない収納への拡大についても検討してまいります。
〔DX推進室長滝瀬裕之登壇〕
○DX推進室長(滝瀬裕之) 私からは、中野区のDX戦略についてのうち、MS365導入についての御質問でございます。
まず、MS365の研修についてでございます。MS365の操作につきましては、マニュアルやパソコンを操作しながらの研修、さらに動画配布などによりまして職員は徐々に操作等に慣れてきておりまして、ヘルプデスクへの問合せも減少傾向にございます。MS365は業務の自動化やアプリの作成、高度なデータ分析などの応用的な機能も備えており、これらを活用できる人材の育成に向け、庁内から公募した職員に対し応用研修を実施していく考えでございます。今後も初級、中級といった研修の展開も含め、活用状況を踏まえつつ効果的な研修体系を検討してまいります。
続きまして、MS365の導入に合わせた生成AIの活用についてでございます。この間庁内の公募職員や管理職により、生成AIの区業務への活用について検証を行ってまいりました。検証の結果を踏まえて検討した結果、生成AIの導入により業務の効率化を図ることができるものと考えてございます。本定例会中の総務委員会におきまして、生成AI導入方針を報告する予定でございまして、議員御案内のマイクロソフト社のBingChatEnrerpriseの活用も含め御報告させていただく予定でございます。
続きまして、職員の私物パソコンのBYODでの活用についてでございます。BYODにつきましては、間もなく管理職等の一部職員を対象に試行を開始する予定でございまして、現在マニュアルの整備や関係者等の調整を進めているところでございます。BYODで使用できる機器は、セキュリティの関係上、私用の領域と公用の領域を明確に区分することは必須でございますが、私物パソコンにつきましては区分が困難であることから、スマートフォン及びタブレット端末のみとしたところでございます。
続きまして、自治体情報システムについてで、自治体情報システム標準化・共通化の進捗についてでございます。
区では、これまで自治体情報システムの標準化・共通化の取組を推進するため、令和4年度に推進本部を設置するなど、全庁的に取組を進めてまいりました。今年度は各所管におきまして、国が定める標準仕様と区の事務との比較分析を行い、調達仕様書を作成するなどの取組を進めているところでございます。令和7年度を期限とした自治体情報システム標準化・共通化の実現には令和6年度からシステム工事を行う必要があり、今後も着実に取組を推進してまいります。
〔総務部長濵口求登壇〕
○総務部長(濵口求) 私からは、中野区のDX戦略についてのうち、MS365を高度に活用できる人材の育成についてお答えいたします。
組織として、MS365の機能を最大限に活用し続けるためには、操作技術の習得や拡張する機能への対応など、職員が継続的に身につけていく環境を整備することが大切となります。その役割の中心を担うのが、今年度から本格的に育成の取組を始めているDXリーダーであり、早期に一定数を一定レベルまで育成していくことが必要となります。今後もDXリーダーをMS365活用の推進役として明確に位置付け、対象を拡大した資格取得支援制度の活用なども含め、その育成に向けた取組を強化し、人的資源の側面からのDXを戦略的に推進させ、MS365の高度な活用につなげてまいりたいと考えております。
〔新区役所窓口サービス担当部長高橋昭彦登壇〕
○新区役所窓口サービス担当部長(高橋昭彦) 私からは、中野区のDX戦略についてのうち、窓口サービス向上のためのデータ分析についてお答えいたします。
新庁舎の窓口サービスにおきましては、発券による来庁者数や来庁者の滞在時間のほか、セルフレジによるキャッシュレスの収納の種類、件数、フロア案内人への来庁者からの問合せ内容など、様々なデータが取得できる見込みでございます。日々の業務から得られるこれらの情報については、業務システム標準化に合わせた業務フローの見直しなどに反映していきたいと考えています。今後も必要に応じたシステム改修も視野に入れながら、区民サービスの向上に向けて取り組んでまいります。
〔中野駅周辺まちづくり担当部長千田真史登壇〕
○中野駅周辺まちづくり担当部長(千田真史) それでは私から、中野駅周辺再整備の今後の課題についての一部をお答えいたします。
まず、中野通りの雨水処理についてですが、中野駅南口駅前広場に設置予定である雨水貯留施設は、当該駅前広場に降った雨が中野通りの下水管へ一気に流れ込まないよう対策を行うもので、中野通りに降った雨水は対策に含まれておりません。
なお、東京都下水道局では、浸水対策の一環として、中野通りの地下20メートルから40メートルに第二桃園川幹線を整備予定であり、当該幹線の整備後は、中野駅周辺の雨水排水能力は改善されると聞いております。
次に、中野通り鉄道高架下部分における整備についてです。当該鉄道高架下部分は、東京都建設局第三建設事務所が管理していることから、これまでも歩道が暗いといった課題を同事務所と情報共有し、照明の取替えなどを行ってまいりました。現在、区では、中野駅周辺の歩行者ネットワークを構築し、歩行者利便性の高い安全快適な空間を実現するため、中野通りの一部を区が管理することについて、東京都と調整を行っております。
また、アートスペース夢通りは、JR東日本の所有する壁面に区が整備を行ったもので、当該部分の整備については、JR東日本や東京都と連携し、必要な方策を協議調整していきたいと考えております。
次に、中野通り西側線路沿い石積み部分の整備についてです。当該石積み部分はJR東日本の敷地内に設けられていることから、コケや草などが生えている、建物の陰で暗いといった現状について、同社と情報を共有し、改善要望があったことについても申し伝えております。現時点では、石積み部分の整備について方針は示されておりませんが、引き続き管理者であるJR東日本と連携し、必要な方策を協議調整していきたいと考えております。
最後に、中野三丁目から中野通りに至る自動車の交通動線についてです。中野駅南口駅前広場の拡張整備の一環として、中野通りにおける交差点を一つに集約し、駅前広場に右折で入る車両の滞留長の確保など、中野通りの一部についても改良工事が必要です。御質問の箇所は、交通管理者との協議において、2車線をまたぐ車両の右折が中野通りを北上する通過交通への安全性に対して懸念が示されている一方、中野三丁目から中野通りに至る自動車の交通実態についても考慮する必要があると認識しております。これらを踏まえて、引き続き交通管理者と協議を行ってまいります。
〔防災危機管理担当部長杉本兼太郎登壇〕
○防災危機管理担当部長(杉本兼太郎) 私からは、北口繁華街の課題解決についてお答えいたします。
まず、中野駅北口繁華街における課題の対応についてでございます。中野駅北口の繁華街における客引きやごみの不法投棄、違法駐輪、道路不正占有などの諸問題は区でも把握しておりまして、その都度対応しているほか、事案に応じて警察等に連絡して対応を依頼しているところでございます。
次に、繁華街におけるパトロールの強化についてでございます。区では、中野駅北口の商店街が中心となった夜間防犯パトロールに、警察や消防などの関係機関と共に参加しておりまして、これまで制服警察官にも同行していただいているところでございます。今後も警察署に対してパトロール強化を依頼していくとともに、関係機関との連携による夜間防犯パトロールの実施により、中野駅北口繁華街における犯罪抑止と課題解決に取り組んでまいります。
○議長(酒井たくや) 以上で杉山司議員の質問は終わります。
議事の都合により暫時休憩いたします。
午後3時04分休憩
午後3時26分開議
○副議長(木村広一) 会議を再開いたします。
この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 山 内 あきひろ
1 不登校・いじめ対策について
2 東中野地域の区有施設跡地活用について
3 認知症施策について
4 希少がん検診について
5 医療体制の充実について
6 その他
○副議長(木村広一) 山内あきひろ議員。
〔山内あきひろ議員登壇〕
○1番(山内あきひろ) 令和5年第4回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から一般質問を行います。
質問項目の4、希少がん検診については取り下げて、時期を見て改めて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
不登校・いじめ対策について。
令和4年度児童・生徒の問題行動、不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査において、国立、公立、私立小・中学校の不登校児童・生徒数が約29万9,000人、うち学校内外で相談を受けていない児童・生徒数が約11万4,000人、小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数が約68万2,000件、うち重大事態の発生件数が923件などと、いずれも過去最多の結果が明らかにされました。本調査を受け、本年10月17日に、文部科学省は不登校・いじめ緊急対策パッケージを公表いたしました。それを踏まえ、まずは中野区における児童・生徒のいじめについて伺います。
中野区では、平成30年度以降、令和2年度を除けば、いじめの発生状況は小・中学校共に増加の一途であり、多くの児童・生徒たちが心身の苦痛を感じていると思います。そういった状況で中野区はいじめ解消に向けて今までどのような取組をしてきたかお聞かせください。
先日、子ども文教委員会にて令和5年度のいじめの対応状況についての中間報告があり、小・中学校においては800件以上のいじめが認知されており、対応としましても、悪口、軽い暴力、無視、仲間外れが多くを占めており、ひどい暴力や金品をたかられるなどのいじめもいまだあります。児童・生徒たちが安心して学べる環境づくりが必須であり、そのためには学校内部だけではなく、民生・児童委員や地域包括ケア、医師会などとの連携を強化していく必要があると考えますが、区の考えをお聞かせください。
また、学校現場では、教職員が足りていないとの声がPTAの方々から寄せられております。いじめ発見のきっかけの多くは学校の教職員であることから、現在の体制では不十分であり、改善にはスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの適切な配置が重要だと考えますが、現在の中野区での配置状況、人員をお聞かせください。
また、早期発見、早期相談、早期解決に向けて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの増員をしていくべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
次に、不登校児童・生徒の居場所について伺います。中野区では、不登校児童・生徒の状況も年々増加傾向にあり、令和4年度では428名の児童・生徒が不登校になっており、今年度も増加傾向と聞いております。不登校の原因は多様であり、主な理由は、無気力や不安とされております。中野区では、既に様々な支援をしており、例えば令和4年に、我が会派、加藤議員が質疑した学校内に教室とは別室での個別指導や授業が受けられる体制は、令和4年度の利用者数は小・中学校合計で62名であり、実施率も小学校では61.9%、中学校で100%となっております。
学校外の居場所としましては、フリーステップルームなどがあり、フリーステップルームは分室も含め4か所あり、児童・生徒に相談や学習支援などを行っていますが、現在の利用状況をお聞かせください。
また、通いたくなるような安心できる環境づくりに向けての創意工夫が必要だと考えますが、区の考えをお聞かせください。
不登校・いじめ問題は、児童・生徒だけでなく、保護者の心のケアの観点を持って問題に取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移らせていただきます。
東中野地域の区有施設跡地活用について。
次に、東中野地域の区有施設跡地活用についてお伺いいたします。東中野地域では、区立の小・中学校、図書館がなくなり、子どもの学びの場所、区民が利用する施設が他の地域に移りました。旧東中野小学校は一部民間に売却され、区民活動センターとマンションになり、旧中野第三中学校は令和12年度末まで都立中野特別支援学校仮設校舎用地として東京都に貸し出されることが決まっており、一部残地については暫定活用として、区立ひがしなかの幼稚園の第2園庭としての利用が決まっております。
旧東中野図書館建物については、1階部分を使用している民間保育園が令和6年4月に移転すると聞いております。また、2、3階の図書館部分に関しては、令和3年10月31日で閉館して以降既に2年以上の月日がたちますが、未活用になっております。こうした用途廃止後に閉鎖管理されている施設が区内に五、六か所あり、限りある資産が有効活用されていないのは、早期に活用方法を見出せない区の失策だと考えます。
旧東中野図書館は築57年ではありますが、建て替えまでの暫定的にでも、子どもの居場所や町会・自治会、商店街の利用など、一定の需要があると考えます。旧東中野図書館の暫定活用について区の考えをお聞かせください。
また、区有施設整備計画では築60年をめどとしており、数年後には建て替えが必要になります。この地域ではマンションの建設などもあり、人口が増えており、多様なニーズが出てくると思いますが、今後どのような方針での活用を検討しているかお聞かせください。
次に、旧中野第三中学校跡地ですが、先ほど申し上げたとおり、令和12年度末まで都への貸出しが決まっており、その後は中野区に戻ってきます。地域では既に数回にわたり議論されており、十分な防災機能、文化・スポーツ施設などの意見が挙がっております。私自身もこの地域の住人として、防災に関して不安がございます。中学校があった時代はそこが避難所となっていましたが、現在では、山手通りや早稲田通りを越えての学校が避難所となっており、乳幼児や高齢者、介護が必要な方々の避難が困難だと考えます。
そういったことから、非常時は避難所機能として利用でき、平常時は周辺地域の住民が利用できるスポーツ施設、交流できる場所などが望ましいと考えますが、区の考えをお聞かせください。
認知症施策について。
次に、認知症施策についてお伺いいたします。令和5年6月に、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が制定されました。そういったことから区民への理解増進、認知症の予防及び相談体制、認知症の方の社会参加という視点から質疑をいたします。
まずは、予防についてお伺いいたします。昨年より中野区ではもの忘れ検診が始まりました。ある一定程度の受診率だと聞いておりますが、予防に大切なのは、検診のみで終わらず、その先を見据えての継続的な対応が必要だと考えますが、区の考えをお聞かせください。
次に、区民への理解の増進についてお伺いいたします。中野区は、2025年には区内におけるMCIを含めた認知症高齢者が約2万5,000人を超えると推計されております。共生社会の実現には区民皆様の認知症への偏見なく正しく理解していただく必要があると考えます。小・中・高生など認知症の知識のない世代へも普及啓発をしていく必要があると考えますが、区の考えをお聞かせください。
次に、相談体制の整備についてお伺いいたします。区の成果指標の高齢期も地域で安心して過ごすことができる体制が整っていると思う区民の割合並びに誰一人取り残されることのない支援体制が整っていると思う区民の割合が共に下がっております。これは、区民が人生100年時代に向けて不安な気持ちで暮らしていることを意味します。安心して暮らしていただくには相談体制の整備が必要であり、今後地域包括支援センターの人員の拡充を予定しているとのことですが、相談を望む認知症の人や家族への支援や連携の強化へとつながることになるのかお聞かせください。
また、認知症の方々の相談、交流の場としてオレンジカフェがあります。現在、中野区には19か所ありますが、区は2025年度までの目標を25か所としております。増やしていくならば、安定的な事業の継続性と参加者が固定化しないような取組が必要であると考えます。そのためには、財政のつぎ込みではなく、区の後方支援の在り方を検討していくべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
さらに認知症の方だけでなく、ケアラーが同じような境遇の方と気兼ねなく交流できる場所も必要だと考えますが、区の考えをお聞かせください。
次に、認知症の方の社会参加活動についてお伺いいたします。厚生労働省は2018年に、若年性認知症の方を中心とした介護サービス事業所における地域での社会参加活動に関する通知を出しました。認知症の方が社会参加活動をすることは、意欲向上やフレイル予防、症状の進行を緩やかにしたり、QOLの向上にも寄与すると言われております。しかしながら、介護サービス事業所だけでは、人手不足や仕事量の増加などで、定期的な活動につなげるのは困難だと考えます。中野区にいる認知症サポーター、サポートリーダーの方々に御協力いただき、認知症の方を有償ボランティアなどを含め社会参加活動につなげることを検討するべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
様々申し上げてまいりましたが、認知症施策の推進には、区や地域の方々だけでなく、民間企業との連携強化も必要だと考えますが、区の考えをお聞かせください。
医療体制の充実について。
次に、医療体制の充実として、(仮称)口腔ケア政策協議会設置についてお伺いいたします。現在、中野区の成人歯科健診率が低いことから、口腔ケアの重要性が広く理解されているとは言えない状況です。特に今後高齢者が増える中、誤嚥性肺炎の防止や、高齢者が抱える多くの疾患の重症化予防などが重要であり、そのためには歯科医師、歯科衛生士の確保とともに中野区、歯科医師会、医療従事者、介護サービス事業者を構成員とする(仮称)口腔ケア政策協議会の設置が必要だと考えますが、区の考えをお聞かせください。
次に、スマイル歯科診療所の労働環境整備についてお伺いいたします。開設27年になる障害者歯科診療、摂食嚥下指導などを行っているスマイル歯科診療所は全国でも先駆けであり、現在でも自治体などの障害者歯科事業立ち上げに際し、質問や見学が多く見られるようです。近年では、職務内容が広がり専門性が高いため人材の確保が困難であり、労働環境の整備が必要と考えます。中野区は、スマイル歯科診療所の重要性についてどのように考えているか、区の考えをお聞かせください。
また、歯科衛生士には、日本障害者歯科学会認定歯科衛生士、日本障害者歯科学会指導歯科衛生士など様々な資格があり、障害者歯科診療、摂食嚥下指導をする上で重要な資格になっています。ですが、日本障害者歯科学会認定歯科衛生士に関し、歯科衛生士が自ら学び取得してきた資格に対する評価をすべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 山内議員の御質問に、私からは、2番、東中野地域の区有施設跡地活用についてお答えいたします。
まず、東中野図書館の暫定活用についてです。今後の暫定活用につきましては、建て替え更新期が迫っているため、施設の老朽化等の状況を踏まえた上で、有効活用が図れるかどうかを検討してまいりたいと考えております。
旧東中野図書館の跡地活用についてでございます。区有施設整備計画では、介護・障害・福祉施設等のニーズを踏まえて誘致を検討することとしております。具体的な活用方法の検討はこれからでございまして、必要な機能や用途、建て替え方法等について方向性を検討してまいります。
旧第三中学校用地の活用についてでございます。区有施設整備計画では、立地条件や規模などを考慮し、区有施設等用地としての活用を検討することとしております。中野特別支援学校への貸付け終了後の具体的な活用方法の検討はこれからでございまして、今後の財政状況や行政需要、地域の御意見等を踏まえながら必要な機能や用途など活用の方向性を検討してまいります。
〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子) 私からは、不登校・いじめ対策についてお答えをいたします。
本区におけるいじめ解消に向けたこれまでの取組でございます。中野区教育委員会は学校と共にいじめ解消の対策を施策の中心に置いて取り組んでまいりました。中野区教育委員会いじめ問題対策委員会を設置し、教育、心理、福祉等の学識経験者によって、学校の対策が実効的なものであるかを確認しており、中野区いじめ問題対策連絡協議会において、教育委員会、学校、警察、児童相談所、児童委員が連携して情報を共有しております。
各学校では、自校の学校いじめ防止基本方針を基に、学校いじめ対策委員会を定期的に開催し、組織的な取組によっていじめ解消に当たっております。また、令和3年3月に中野区いじめ防止等対策推進条例を制定し、いじめの防止のための対策に関する基本理念や、区教育委員会、学校、保護者、区民、関係機関等の責務を、そして、今まで行ってきたいじめ防止の取組を改めて整理いたしました。
次に、いじめ対策における関係機関との連携強化についてです。中野区いじめ防止対策推進条例では、関係機関等はいじめの防止等に関する啓発活動等を積極的に実施するとともに、区及び学校との連携、協力に努めること、いじめに関する情報を入手したときは速やかに区、学校に報告することと定めており、様々な連携を行っているところでございます。各中学校区における地域学校運営協議会において、今後の地域の関係機関と学校関係者の連携の充実の中で、いじめの早期発見、早期対応にも取組が強化されていくものと考えております。
次に、スクールカウンセラーの増員についてです。現在東京都のスクールカウンセラーが各小・中学校に週1日、併せて区独自のスクールカウンセラーが各中学校区に週1回、半日派遣しております。スクールソーシャルワーカーは今年度からチーフを含めて10名で支援を行っております。相談したくても予約が埋まっており相談が受けられない状況があったため、現在、区独自にスクールカウンセラーを増員することを検討しております。また、スクールソーシャルワーカーは、今後各中学校区へ配置日数を増やし、学校と連携した支援を行っていくことを考えております。
最後に、フリーステップルームの利用状況についてです。10月現在、教育センターに24名、中部分室に10名、南部分室に4名の計38名の児童・生徒が通室しております。フリーステップルームは、学校に通いづらい児童・生徒に対して、教科の学習、集団活動、行事や相談を通して社会的自立のための支援を行っておりまして、一人ひとりが自分に合った利用の仕方をしているところでございます。不登校児童・生徒の意見を聞き、さらに学ぶ時間、方法、内容を自ら選んで取り組むことができるような場所となるように今後していくことを検討しております。
〔地域包括ケア推進担当部長石井大輔登壇〕
○地域包括ケア推進担当部長(石井大輔) 私からは、認知症施策についての御質問にお答えします。
認知症予防に必要な対応についての御質問です。令和4年度から実施しているもの忘れ検診の受診券送付時に認知症安心ガイドを同封し、認知症になる前から診断された後まで、段階的に応じた相談先や活動の場を案内しております。また、もの忘れ検診受診者には、医師から通いの場マップを手渡し、認知症予防に取り組むことができる通いの場の情報提供を実施しているところでございます。
次に、若者世代への認知症の普及や啓発でございます。認知症サポーター養成講座を受けた中学生から、認知症について知ることができてよかったなどの肯定的な意見を頂いております。今後、中・高生や若者世代が参加しやすい認知症サポーター養成講座の設定の工夫や周知に努めてまいります。
次に、認知症の相談支援体制でございます。地域包括支援センターにつきましては、令和6年度に向けて人員体制の見直しを予定しており、相談支援体制の強化のほか、社会参加の支援や権利擁護の取組を進めてまいります。
次に、オレンジカフェ支援についてでございます。区内では、在宅診療を行う医療機関がオレンジカフェを立ち上げたり、チェーン店のカフェが協力して行うなど好事例が出てきている一方、利用者が減少傾向のところもあり、オレンジカフェ間の情報や課題の共有、今後の在り方を考える場を設定するなど後方支援に努めてまいります。
ケアラーの交流の場についてでございます。現在区では、認知症をはじめとする介護の必要な人のいる家族に、介護を学ぶことや、家族間の交流を図る機会を提供しております。その他必要に応じてNPOや家族支援を行う民間での交流機会の紹介を行っており、今後もケアを担う人の置かれている状況を踏まえて、ケアラーが気軽に相談できる場の確保と周知を行っていきたいと考えております。
次に、認知症の人の社会参加についてでございます。認知症の人の社会参加は認知症の進行を遅らせ、生活の質の向上につながるものであり、有償ボランティアなどの働く場の創出に向けて、関係機関との課題共有を行ってまいりたいと考えております。
次に、民間との連携強化でございます。認知症施策に関心を寄せている民間事業者や教育機関もあることから、自らの資源やノウハウを活用した取組を区内で展開してもらえるよう、連携や協力関係の構築を図ってまいります。
次に、医療体制の充実についての御質問にお答えいたします。
口腔ケアの政策協議会についてでございます。地域包括ケア推進会議の部会である在宅療養推進部会は、歯科衛生士会のほか、医師会、薬剤師会、介護サービス事業者など医療介護分野の委員で構成されており、この部会を活用して、今後の口腔ケア施策の在り方について協議を進めていく考えでございます。
〔健康福祉部長鳥井文哉登壇〕
○健康福祉部長(鳥井文哉) 私からは、スマイル歯科診療所についての御質問にお答えをいたします。
まず、スマイル歯科診療所の重要性についての御質問です。スマイル歯科診療所は平成7年度に事業を開始いたしまして、一般の歯科医療機関では診療が困難な障害のある人や、要介護高齢者に対する歯科診療等を中野区歯科医師会に委託をして実施をしてございます。当初は歯科診療や指導、相談を行ってまいりましたが、その後、摂食嚥下リハビリテーションや、診療所では処置不能な全身麻酔を要する利用者が大学病院等で治療を受ける際に同行する業務など、職務内容が広がり、専門性が必要な職務を多く担っていただいております。障害者歯科診療等を行っているスマイル歯科診療所の存在は全国でも先駆けであると認識しており、障害者等の口腔の健康向上を図ることを目的とした歯科診療所として今後も運営をしてまいります。
次に、スマイル歯科診療所の歯科衛生士の取得されている資格に対する評価でございます。現在歯科衛生士を確保できていない一般の歯科医院、これも多い状況であると認識をしてございます。また、障害者等への専門的な知見を備えた歯科衛生士はさらに不足しているということでございますので、スマイル歯科診療所における人材を確保していくため、区内の歯科診療所の求人における時給ですとか、専門的な資格、これを踏まえた適正な評価を検討してまいります。
○副議長(木村広一) 以上で山内あきひろ議員の質問は終わります。
中野区議会議員 日 野 たかし
1 DX推進の取り組みについて
(1)新庁舎移転を契機に導入するシステムについて
(2)ペーパーレスの取り組みについて
(3)生成AIの導入に向けた検討について
(4)電子申請の利用について
(5)デジタルデバイドの取り組みについて
(6)その他
2 地域通貨について
3 動物との共生ついて
(1)多頭飼育について
(2)地域猫共生推進員の活動について
(3)その他
4 ユニバーサルデザインの取り組みについて
(1)インクルーシブナビについて
(2)窓口への軟骨伝導聴覚補助イヤホンの設置について
(3)その他
5 妊産婦の支援について
6 その他
○副議長(木村広一) 次に、日野たかし議員。
〔日野たかし議員登壇〕
○12番(日野たかし) 令和5年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。
質問は通告のとおりで、その他はありません。
初めに、DX推進の取り組みについてのうち、新庁舎移転を契機に導入するシステムについて伺います。
自治体が抱える課題を解決し、区民サービスを向上させるために、これまでDX推進の取組や方向性が示されてきました。来年5月の新庁舎への移転を契機として、全庁共通発券機やフルセルフレジが導入されます。また、職員の業務効率化のために、マイクロソフト365の導入もこの11月から始まり、業務の在り方や区民に対する新庁舎での窓口対応が大きく変わります。改善される要素がある一方で、業務効率化や区民サービス向上のためのシステム導入費と併せて維持管理費の固定費は増大しています。DX推進のために要するコストについて、費用対効果のバランスをどのように見ていくかということはこれから大きな課題になると思っています。DX推進として、業務効率化のためにシステムを導入することは手法として必要なことであるとは思いますが、最小の費用で最大の効果を生み出すとの行政としての根本的な理念の下に遂行されなければなりません。
そこで伺います。事業であれば、内部評価や外部評価を入れて検証を行ってきていますが、新庁舎移転を契機として新たに導入したシステムの運用についても、第三者によりシステムごとに検証していくことも必要と考えますがいかがでしょうか、伺います。
今後、庁内業務をマイクロソフト365に大きく依存することになるため、システムの稼働停止による影響は極力小さくしなくてはなりません。以前、自治体クラウドサービス、JIP-Baseの障害が発生した際には、バックアップデータをリストアすることができず、区民サービスにも大きく影響を及ぼしました。マイクロソフト365については、マイクロソフト社の環境にSaaSを構築してサービスを利用していると伺っていますが、バックアップやリストアの対応について、区は十分に確認をしているのでしょうか、伺います。
マイクロソフト365では、OneDriveのストレージを活用することができます。ストレージは、職員個人で利用ができるのか、あるいは部や課で共有して利用するのかなど、庁内ルールは決められているのでしょうか。
SharePointというツールもファイル共有することが可能になり、これまでの業務では定められていなかった活用についても新たにルールづくりが必要かと思いますが、どのように運用されるのでしょうか、伺います。
現在は電話統合を除いた運用が開始され、一定期間の間は職員からの問合せにも対応するとのことですが、より効果的に活用するためには、職員のスキルアップも含めた取組が必要になってきます。しかしながら、導入したシステムやツールを効果的に活用しなければならない一方で、使うことが目的となり、逆に負荷がかかってしまうことも避けなければなりません。DXの考え方とは、業務効率化を目指すという視点に立って行わなければならないと考えますが、改めて区としてのDXの考え方について伺います。
ペーパーレスの取組状況についても伺います。
現在までにペーパーレス化は全体で40%程度まで進んでいると伺っています。また、実施方法については所管ごとに異なるということも伺っています。既存の紙媒体の書類をデータ化する際、後々の活用についても考慮してデータ化しているのでしょうか。例えばPDF文書にして検索する際には、OCRで読み込んでPDFにしておく必要があります。ペーパーレス化の方法やデータ化後のファイル管理や活用法については、全庁的に統一したルールは定められているのでしょうか、伺います。
紙文書をファイルにすることで、過去のデータ集計や所管内外での閲覧が容易になるなど、今後はデータ化したファイルをいかに活用していくかということを検討すべきではないでしょうか。現在はペーパーレスや押印廃止などの業務改善の役割を新庁舎担当が担っています。さきの第3回定例会の決算特別委員会総括質疑では、我が会派の久保議員から、新庁舎移転後の業務改善を担う新たな組織編成についての質疑があり、適切な組織、人員体制について対応していくという旨の答弁がありました。
DX推進や新庁舎移転を契機として、ペーパーレスの推進やマイクロソフト365の導入などが一気に進められる一方で、導入後の適切な活用や管理などが明確でないまま進められているものもあるように思います。本来は様々なDX施策を取り入れると同時に、活用についても明確にされていかなければならないと思いますが、新庁舎移転後は業務改善を担う新たな組織編成を行い、業務改善を強力に推進していただきたいと思いますがいかがでしょうか、伺います。
生成AIの導入に向けた検討について伺います。
今年の第2回定例会において、私は、生成AIの活用を検討し地域情報化推進計画にも盛り込んではどうかと質問しました。現在、第2次中野区地域情報化推進計画改定版(素案)の中に、今年度は生成AIの活用について検討、令和6年度に稼働というように記載されました。第2次中野区地域情報化推進計画改定版は素案の段階ですが、検討はいつ頃から行われるのでしょうか。既に検討している内容があれば伺います。
全国では、生成AIのチャットGPTを導入する自治体が増えてきました。相模原市では、今年の6月からチャットGPTを活用する実証実験を行ってきましたが、行政用語については十分に対応できなかったという声もあったそうです。そこで、相模原市では、日本語の専門用語にも対応できる国産の生成AIを導入することを決めたとのことです。第2回定例会で質問した際に、拙速な導入を進めるつもりはないとした上で、しっかり検証することを求めました。各自治体での導入はまだ日も浅いため、当区では効果的で適切な運用ができるよう、十分な検証、検討を行った上で導入するよう求めます。また、導入後もよりよい活用ができるよう継続した検証を求めたいと思いますがいかがでしょうか、伺います。
電子申請の利用について伺います。
電子申請の手続については年々増加しており、中野区では、令和元年度の電子申請の利用率は全体で62.23%でしたが、令和4年度には73.46%と10ポイント以上増えています。今年度も電子申請手続数は増えていると思われますが、昨年度と比較して電子申請手続数はどの程度増えているのでしょうか、伺います。
電子申請の利用率が増えることで、窓口対応の負荷は軽減されると思われます。新庁舎では、さらに区民サービスの向上と窓口対応の負荷を軽減するために、全庁共通発券機やフルセルフレジの設置と、フロアマネジャーによる区民に待たせることのない窓口サービスを目指すとしています。電子申請による来庁者の縮減と新庁舎での窓口対応の負荷軽減の効果は、どの程度効果があると見ているのでしょうか。取組による効果があれば、窓口対応の人員を減らすことができるのではないでしょうか。区はどの程度の効果を見込んでいるのか伺います。
デジタルデバイド対応についても伺います。
DX推進によって、これまでデジタルデバイスを使い慣れていなかった方々が便利に使えるようになること、そして、より区民サービスが向上することが、デジタルデバイド対応を含めたDXの目指すべきものの一つであると私は思います。これまで国ではデジタル活用支援員、都ではスマートフォン体験会、相談会などの事業を行ってきており、区ではデジタルデバイドの解消の取組として、区と連携してデジタルデバイドの解消に向けた取組を行う団体を増やすということも行ってきました。ここまでの取組によって、どの程度デジタルデバイド解消が進んだと把握されているのでしょうか、伺います。
私が地域の皆さんと接して感じるのは、町会や友愛クラブなど地域の中でつながっている方々は、比較的スマートフォンなどのデジタルデバイスを利用されている方が多いように思われます。そうした方々は、ある程度使い方などの情報を得られる機会があり、日常生活の中で使い方に慣れていくのではないかと想像できます。その反面、単身高齢者で、特に地域との関わりが少ない方はこうした機会が少なく、デジタルデバイドにある状況が見られるのではないでしょうか。ふだんから地域の情報や区の情報を得にくい方々こそ、DXによる恩恵を受ける必要があるのではないでしょうか。
そこで伺います。今後は、こうした単身高齢者など地域との関わりが少ないと思われる方に対してのデジタルデバイド対策について、DX推進室と地域支えあい推進部とが連携しながら対策を考えていくべきと思いますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
次に、地域通貨について伺います。
さきの第2回、第3回定例会の区民委員会の報告において、デジタル地域通貨の方針が示されました。地域通貨については、我が会派として20年以上前から議会で取り上げてきたものです。今年度、いよいよ地域通貨の検討が始まったとのことですが、スケジュールでは、早ければ来年度からデジタル地域通貨の導入とされています。デジタル地域通貨の導入の考えについては、今年になって初めて報告されたばかりですが、議会においては、所管の委員会でもまだ十分な議論がされていないのではないでしょうか。我が会派としても、これまで地域通貨の必要性を訴えてきましたが、検討が十分にされていない状況ですぐに導入されるということには不安を感じます。ここまでの検討については、いつからどのように進められてきたのでしょうか。議会でも十分な議論がされてから導入を進めるべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
デジタル地域通貨の導入は、地域経済や区民にも大きなインパクトがあります。十分な議論と検証してからの導入が望ましいと考えますが、導入に当たっては、地域通貨の持続可能性と区民にとっての利便性は特に重要なポイントではないかと考えます。持続可能性について、事業継続のためのコストをどこまで抑えられるか、地域通貨の流通量をどこまで増やせるか、導入当初から多くの利用者を増やせるかというような見込みはどの程度想定されているのでしょうか。導入に当たっては、より具体的な数値が必要と考えますがいかがでしょうか、伺います。
利便性については、決済やチャージのしやすさ、利用できる加盟店の多さ、既存の電子決済との差別化などが考えられます。その上で、デジタルデバイドに該当する方に対しての支援も必要です。例えば初めて地域通貨を利用する方には、ポイント付与などのインセンティブを与え、さらにデジタル地域通貨を利用したい方への相談、支援を充実していくことで、デジタルデバイドの取組も大きく後押しできるかと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
次に、動物との共生についてのうち、多頭飼育について伺います。
ペットが増え過ぎて適正に飼育することができなくなる多頭飼育崩壊は、近年全国で発生しており、中野区においても、昨年度と今年度、多頭飼育崩壊の現場が発生してしまいました。多頭飼育崩壊に陥る要因の一つには、猫のような高い繁殖力を持つ動物への理解がないままに、不妊、去勢をせず飼い始め、管理ができなくなることなどが挙げられます。また、こうした飼い主の方には、社会的孤立状態にある方や、経済的に困窮している方など、何らかの課題を持たれている方が多いと言われています。
多頭飼育崩壊は、ペットの問題というより、問題を抱えた飼い主をいかにして支援につなげていくかということが大きな課題です。そのためには、関係各所の連携を密にすることが必要と考えます。飼育動物については保健所が担いますが、飼い主が社会的孤立状態にあり、生活が困窮しているのであれば、すこやか福祉センターや生活援護課が連携を取り支援につなげる必要が出てくる場合もあります。このような課題に関係各所がしっかり連携することができるよう、多頭飼育崩壊などの課題についても地域包括ケアの中に盛り込み、重層的な支援が行えるよう取り組むべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
一般社団法人ペットフード協会による調査結果では、令和4年の犬の推計飼育頭数が705万3,000頭、猫の推計飼育頭数が883万7,000頭とのことです。このうち60代以上の方がペットを飼っている割合は20%程度になるそうです。ペットを飼うことは、飼い主の精神面や健康面によい影響を与えるとの調査結果も出ており、高齢者にとっても生活の質の向上になるかと思います。しかしながら、昔と比べて、ペットフードの改善などにより、ペットとして飼われる犬や猫の平均寿命は15年から20年と長くなっており、その間に飼い主が入院や施設への入所、あるいは亡くなった場合など、飼育ができなくなった場合の備えが十分にされていないケースも多いと聞きます。
そうした中、ペットと暮らすシニアへの支援として取組を行っているNPOや自治体もあります。福岡県古賀市では、要支援、要介護認定者がペットを飼っている場合、担当のケアマネジャーがチェックリストに沿って飼育の状況を確認し、備えに不安があると感じた場合には関係所管に連携し、支援につなげやすくするサポートをしているそうです。ペットに関する備えを必要としている高齢者の方の把握をどう行うのかがポイントです。ペットに関する支援を必要とする高齢者を把握するために、例えば要支援、要介護認定時のチェックリストを行うことは効果的な手法と考えます。当区でもこうした機会を活用しながら、関係所管と連携し、支援につなげる取組を行ってはいかがでしょうか、伺います。
次に、地域猫共生推進員の活動について伺います。
今年の8月より、区は地域における飼い主のいない猫対策活動を推進するため、地域猫共生推進員制度を立ち上げ、事業を始めました。具体的な活動としては、猫を増やさないための不妊、去勢手術実施、餌場の管理、猫トイレの設置と周辺地域の清掃、活動地域での認知、周知活動とされていますが、実際の活動については、活動可能な場所がないということや、推進員が個別で動くにはハードルが高いなどの課題もあると聞きます。地域猫共生推進員制度開始からこれまでの実績や活動状況について伺います。
これまで不妊、去勢手術等の助成の対象外であった個人ボランティアにも助成を行うということについては、地域猫に対する取組の幅が広がるものになると思います。しかしながら、本制度の区内の周知はまだ不十分ではないかとも感じています。共生推進員が活動しづらいという意見もあり、活動環境を改善するためにも、町会に対する周知の仕方や、区民に知ってもらうためのパンフレット作成、あるいは担当職員によるセミナーの実施など、より多くの推進員さんの活動の場をつくり周知を広めることが必要ではないでしょうか。今後の取組について区のお考えを伺い、この項の質問を終わります。
次に、ユニバーサルデザインの取組についてのうち、インクルーシブナビについて伺います。
区役所新庁舎への移転もいよいよ間近に迫り、中野駅周辺はさらに大きく変貌していきます。今後、中野駅の南北で高低差のある歩行者動線が整備され、ユニバーサルデザインに配慮した道路、空間整備が進められることになっています。今年の第3回定例会では、中野区ユニバーサルデザイン推進計画(第2次)素案が示されました。本計画の主な取組31項目のうち、最初に挙げられている項目が「安全で快適に通行できる道路・空間の整備」です。
私は、令和2年第4回定例会の一般質問で、誰もが快適に移動できるまちづくりのため、音声ナビゲーションシステムの導入を検討してはどうかと求めました。このナビゲーションは、日本橋の東京メトロ三越前駅地下道及び地下道に直結する周辺施設で、インクルーシブナビとして、ベビーカー利用者、車椅子利用者、視覚障害者の移動をサポートするために導入されております。私も実際に使ってみましたが、まだ位置情報の正確性など改善の余地はあると感じたものの、これから高低差のある歩行空間となる中野駅周辺においては必要な機能であると実感しています。
中野区ユニバーサルデザイン推進計画(第2次)素案の現状と課題の中には、特に多くの人々が往来する中野駅周辺では、全ての人が使いやすいよう配慮された施設や空間整備が望まれています。公共施設は多くの人々に利用されるため、施設整備には最新のユニバーサルデザインを取り入れることが重要ですとされており、こうしたインクルーシブナビのように移動の支援を必要とする方のため最新の技術を用いて円滑な歩行空間としていくことが必要と考えますがいかがでしょうか、伺います。
中野区ユニバーサルデザイン推進計画(第2次)素案の主な取組には、円滑に利用できるサービスの充実があり、窓口への適切な案内や、分かりやすい窓口サービスなどについても示されています。東京都狛江市などでは、軟骨伝導イヤホンを役所の窓口に導入しているところがあります。窓口では個人情報を扱うため、軟骨伝導イヤホンを使用してもらうことで、耳の聞こえにくい方が大きな声で話す必要がなくなり、個人情報が漏れてしまうリスクも軽減できます。当区においても、庁舎の窓口に軟骨伝導イヤホンなど、耳の聞こえにくい方が窓口を利用しやすくなるよう機器を導入してはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
最後に、妊産婦の支援について伺います。
中野区では、トータルケア事業を始めて8年がたちます。国では昨年より、伴走型相談支援が始まり、子育てクーポン券を交付するための面談回数が充実されました。このことにより、さらに切れ目ない支援が拡充されるはずですが、今年度に入って、産後ケア事業、家事・育児支援事業の存在を知らずに利用できなかったという方が多くなっていると聞きます。
そこで伺います。かんがるー面談時には、トータルケア事業について分かりやすく説明がされていたとの認識ですが、現状では、かんがるー面接について十分な説明がされているのでしょうか、伺います。
産後ケア事業を利用する際のケアカードについては、昨年よりかんがるー面接で全員に施行されることとなりました。一方で、家事・育児支援事業については、面接時に利用チケットをもらえるわけではなく、トータルケア事業者一覧という書類だけが渡されるとのことです。利用したい際には、すこやか福祉センターでチケットを受け取って利用することができるそうですが、説明がほとんどなく、使いたいときはすこやか福祉センターに行ってくださいとだけ言われるとも聞きました。実際に、最近では、利用可能な産後1年の期限間近になってから、家事・育児支援のサービスを知ったという方の声も幾つか伺っています。
産後の利用者が利用したいときは困難な状況のときであり、必ずしも本人や家族がチケットを取りにいけるわけではない場合があると思います。そこで、例えば出生届提出時に改めて家事・育児支援事業を紹介するということも効果的と考えますがいかがでしょうか、伺います。
特に産後直後の行政の支援についての周知は、妊産婦本人だけではなく、その家族や友達、医療機関やその他子育て支援者など、周囲の人からも勧めてもらえるくらいに広める必要があります。産後ケアの各事業、また家事・育児支援の各事業がどのようなサービスなのか、写真や動画のQRコードなどを取り入れた分かりやすい紹介パンフレットなどを作り、妊娠届、かんがるー面接、出生届など、機会を捉えて配布し説明することが重要と考えますがいかがでしょうか。伺って、以上で私の全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 日野議員の御質問で、初めに、DX推進の取組についてで、ペーパーレスの取組について。
1番目にペーパーレスに係る全庁的なルールについての御質問です。区ではペーパーレス推進の取組として、全庁的に紙資料を電子データに変換する際にファイル名の基準を設けることで検索性の向上を図ってまいりました。また、今般MS365の導入及び現行グループウェアの運用停止後の庁内情報システムにおける電子文書の取扱い方針等全庁的な基準を定めたところであります。こうした取組によって、全庁的なファイル管理や活用の利便性は飛躍的に向上しておりますが、個々の運用については、業務実態に即して各所管が適切に実施していくことが効果的だと認識をしているところでございます。
次に、業務改善を担う新たな組織体制についての御質問です。新庁舎移転及びDX推進の一環として、押印廃止やペーパーレスに加え、統合型GISや新しい電子申請サービスであるLoGoフォーム、MS365の導入、さらには生成AIの活用検討など、新たなデジタル基盤整備を推進してまいりました。しかし、移転後にも、紙を前提とした業務やデジタル化できていない事務が相当数残っていることから、それらを抜本的に見直す業務の改善やデジタル化は継続して取り組んでいく必要があります。
また、こうした取組と併せて、この間整備を進めた新たなデジタル基盤の利活用によって、さらなる区民利便の向上や業務の効率化を図っていくには、これらを総合的な視点で推進していく組織が重要であると認識しております。移転後は、こうした点を踏まえ、業務の改善とデジタル化、新たなデジタル基盤の利活用を総合的に統べる組織体制について検討を進めてまいります。
続きまして、項目4番、ユニバーサルデザインの取組についてお答えいたします。
インクルーシブナビについてです。現在改定を行っているユニバーサルデザイン推進計画では、目指すべき将来像として、安全で快適な歩行空間が整備されている、一人ひとりに合ったサービスが提供されているなどを挙げております。御提案のインクルーシブナビを含め、最新のユニバーサルデザインを研究し活用していくことで、これら目指すべき将来像の実現に取り組んでまいります。中野駅周辺のまちづくりにおいては、民間事業者と共にユニバーサルデザインに配慮した安全で快適に通行できる歩行者動線の整備を検討、誘導してまいります。
次に、軟骨伝導イヤホンなどの導入についてでございます。
耳の聞こえにくい方に対してはゆっくり大きな声でお伝えするほか、来庁者が筆談を希望することを職員に伝えるための耳マーク、筆談ボードを配備し、対応しているところであります。軟骨伝導イヤホンなどについては小さな声でも聞き取りやすいことから、他自治体の窓口での活用事例も増えてきていると聞いております。区においても、耳の障害の状況に応じた利用しやすい窓口の実現に向けて導入を検討してまいります。
〔DX推進室長滝瀬裕之登壇〕
○DX推進室長(滝瀬裕之) 私から、DX推進の取組についてのうち、まず新庁舎移転を契機に導入するシステムについてで、第三者によるシステムの運用検証についてお答え申し上げます。
区では、現在情報システム調達ガイドラインに基づく運用評価により、調達結果や今後のライフサイクル見通し、導入したシステムの評価、運用上の課題の整理などを行っているところでございます。ガイドラインの運用に当たりましては、民間企業でシステム開発などの経験があるIT専門社員が複数名関わっており、ICTガバナンスの適切な管理に取り組んできているものと認識してございます。新庁舎移転を契機として導入したシステムごとの第三者による検証につきましては、他自治体の事例などを調査してまいりたいと考えてございます。
続きまして、MS365のバックアップについてのお尋ねです。MS365のデータは、地理的に異なる二つのデータセンターで保管されておりまして、バックアップやリストへの対応など、データの冗長性につきましては十分に確保されていると認識してございます。
続きまして、MS365におけるツール利用時の庁内ルールについてでございます。OneDriveとSharePointにつきましては、どちらもMS365で利用できるストレージ及びファイル共有ツールでございまして、OneDriveは職員個人用、SharePointは部課などの組織単位で使用する運用としているところでございます。
続きまして、行政事務の効率化に向けましたDX推進の考え方についてのお尋ねです。区のDXを着実に推進していくことによって、一層の区民サービスの向上や行政事務の効率化が達成可能であり、こうした観点で様々な取組を行っていくことが重要と考えてございます。こういった一環として、本年10月に新たな電子申請ツールであるLoGoフォームや、今月からのMS365の導入、さらに生成AIの活用検討などを進めてきたところでございます。また、職員全体のスキルの底上げが必須であることから、連携協定を締結した日本マイクロソフト株式会社の支援を受けるなど、DX人材の育成にも鋭意取り組んでまいります。
続きまして、生成AIの導入に向けた検討についてのうち、まず生成AI導入の検討についてのお尋ねです。
生成AIの導入に向けた検討は、令和5年7月頃から実施をしてまいりました。この間、庁内の公募職員や管理職によりまして、生成AIの区業務への活用について検討するための検証を行ってきたところでございます。検証の結果を踏まえて検討した結果、生成AIの導入により業務の効率化を図ることができるものと考えてございます。
なお、本定例会中の総務委員会におきまして、生成AIの導入方針を報告する予定でございます。
続きまして、生成AIツール導入後の継続的な検討についてでございます。生成AIは技術の進歩が非常に早いことから、導入後も他の生成AIの情報収集を引き続き行うなど、最善最適な生成AIを活用することができるよう適時適切に調査検討を進めてまいります。
続きまして、電子申請の利用についてでございまして、まず電子申請の手続数についてでございます。
各種システムにおける手続数は年度によって増減していることから、年度途中での数の把握は難しいところではございますが、ぴったりサービスにおいて、本年4月から19手続増えたところでございます。また、10月に導入いたしました新たな電子申請サービスであるLoGoフォームは、職員が簡便に作成可能であり、各種アンケートや相談予約などで活用されるなど、手続数は着実に増加しているものと認識してございます。
続きまして、電子申請の増加に伴う窓口対応の負荷軽減についてでございます。電子申請の割合が増加をして来庁者数が減少した場合には、窓口対応の負担が軽減され、ひいては窓口人員を他の業務に振り向けることは想定できるところでございます。現状では、混雑で待ち時間が発生している窓口や、法令等により電子申請に対応できない手続が相当数あり、一部の事務の電子申請化をもって、個別具体の人員削減を換算することは難しいところでございます。今後、DX全体の取組を進め、来ない区役所の実現や、待ち時間などの削減など、区民利便の向上を図りつつ、窓口の混雑や事務の効率化の実態を総合的に勘案していく必要があると捉えているところでございます。
続きまして、デジタルデバイドの取組についてでございます。。
まず、区内団体と連携したデジタルデバイド対策についてでございます。ICTを利用して恩恵を受ける側と、利用できずに恩恵を受けられない側で生じる知識、機会、貧富などの格差の解消は重要な課題であり、区ではデジタルデバイド対策として取り組んできてまいりました。それには東京都や区内団体と連携協力を図りながら、高齢者向けのスマホやタブレット、通信機器等の貸し出し、またスマホ相談会や体験会の開催など幅広く進めてまいりました。相談会や体験会などは、今年度延べ200回以上開催を予定し、参加者数は延べ1,200人を超える見込みであり、こうした機会を通じてスマートデバイスを積極的に使いこなすようになった方が、その知見によりまして教える側に回るといった波及効果も期待しているところでございます。
続きまして、人とのつながりが希薄になっている高齢者へのデジタルデバイド対策についてでございます。区のタブレット講習会では、地域支えあい推進部と連携して、ためまっぷなかのや、なかの元気アップ体操、オンライン体操ひろばなどの紹介や利用方法の案内を実施してきたところでございます。今後は、地域との関わりの少ない単身高齢者にも、これらのデジタルデバイド対策に確実につなげていくことができるよう、地域支えあい推進部との連携を密にして取り組んでまいりたいと考えてございます。
〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕
○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、地域通貨事業についてお答えいたします。
まず、デジタル地域通貨導入に向けた検討と進め方についてでございます。これまで区はキャッシュレス決済ポイント還元事業やプレミアム付商品券事業を実施し、それらの結果について検証してきたところでございます。また、中野区商店街振興組合連合会では、紙商品券の電子化を検討してきたところでもあります。
こうしたことも踏まえ、これまでの事業における課題への対応と区内経済産業の活性化と区の政策・施策の側面的促進の両面から、デジタル地域通貨の導入が必要であるとの認識に至り、今年度、中野区商店街振興組合連合会をはじめ、経済団体等と協議を重ねながら庁内で議論し、新たな産業振興方針と併せて検討を進めてきたところでございます。本定例会の区民委員会において、デジタル地域通貨導入に向けた考え方等をお示しし、議会の御意見を伺い、それらを踏まえながら、デジタル地域通貨事業についてさらに検討、調整を進めていきたいと考えてございます。
次に、持続可能性を担保するための見込みについてでございます。持続性を担保するために、事業コストが増大とならないようにすることが不可欠であると認識してございます。利用するシステムによって導入維持経費が大きく変わる可能性があることから、実績のあるプラットフォームを利用することを検討してございます。また、コミュニティポイントを導入していく際を含め、国や都の補助金を活用することは必須であると考えてございます。
区内での経済効果の最大化を図り、また区の政策・施策を側面から促進し、コミュニティ活動の活発化につなげていくためには、地域通貨の流通量を増やすことが最大のポイントであると考えてございます。このため導入初期の段階では、期間限定のプレミアム付デジタル地域通貨を発行し、初年度は利用可能店舗数800店、利用者登録数2万人を仮の目標とし、それらを実現するための方法を今検討しているところでございます。
また、コミュニティポイントの付与、利用をできるだけ早い段階で順次実施し、利用者の拡大を図っていく考えでございます。
私からの最後に、デジタルデバイド対応の後押しとなるデジタル地域通貨事業についてお答えいたします。デジタル地域通貨事業を実施するに当たっては、利用者や利用店舗を増やしていくことが必須であると認識しておりまして、導入時などにプレミアム付デジタル地域通貨を発行することを検討しております。また、デジタル地域通貨事業の実施は、デジタルリテラシーを高める機会にもなり得ると捉えており、利用者向けの説明会やサポート窓口を開設するなど、特にスマートフォンの操作が不慣れな方への支援を丁寧かつ工夫して行っていきたいと考えてございます。
〔地域包括ケア推進担当部長石井大輔登壇〕
○地域包括ケア推進担当部長(石井大輔) 私からは、動物との共生についての御質問にお答えいたします。
まず、多頭飼育についてでございます。多頭飼育崩壊という事象は地域包括ケアそのものの課題ではございませんが、その要因となっている飼育者本人や家族が要支援の状態にある可能性もあることから、地域や関係機関との連携を密にし、必要に応じて支援体制を構築していく考えでございます。
次に、ペットに関する支援を必要とする高齢者についてでございます。ペットを家族の一員とする人も少なくなく、ペットを飼う高齢者の生活課題を飼育状況から把握することは有効であると考えております。アウトリーチチームや地域包括支援センターなど、相談支援機関が把握しているペットを飼っている要支援者の事例を集約し、アセスメント手法の一つとして研究していきたいと考えております。
次に、妊産婦の支援についての御質問にお答えします。
まず、かんがるー面接時の説明についてでございます。かんがるー面接は、妊娠から出産、子育て期に適したサービス等を紹介し、対象者に適した支援プラン、かんがるープランを作成して説明しておりますが、サービスを使えなかったという声も届いております。
○副議長(木村広一) 質問時間を終了しております。答弁は結構です。
以上で日野たかし議員の質問は終わります。
中野区議会議員 大 沢 ひろゆき
1 中野駅新北口駅前エリア再整備における区権利床関連事業内容、採算及び算定根拠に係る詳細
説明について
(1)区から議会への詳細説明時期について
(2)関連する委員会における事前の情報共有について
(3)その他
2 公園トイレの改良について
(1)和式トイレへの補助用握り棒設置について
(2)その他
3 令和6年度予算編成の考え方について
(1)実績ベースでの積み上げを原則とすることについて
(2)実績を超える予算計上を認める条件の設定について
(3)その他
4 東京都教育委員会による「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」の中野区における活
用方針について
(1)中野区が「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」に参加した経緯について
(2)「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」の対象となりうる児童、生徒の把握状況
について
(3)対象となりうる児童、生徒への情報伝達の方法について
(4)その他
5 その他
○副議長(木村広一) 次に、大沢ひろゆき議員。
〔大沢ひろゆき議員登壇〕
○6番(大沢ひろゆき) 令和5年第4回定例会に当たり、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問を行います。
質問は通告どおりの4点でございます。その他はありません。
まず1点目です。1点目は、中野駅新北口駅前エリア再整備における区権利床関連事業内容、採算及び算定根拠に係る詳細説明について質問をいたします。
10月から11月にかけての常任委員会及び特別委員会において、区が所有権を保有する権利床については、オフィス用の事務所床、そして展望施設、バンケット・コンベンションセンター、子どもの屋内の遊び場として検討を行っているということ、そして、事業ごとの年間の想定収支として、事務所床が収入が9.5億円、支出が2億円で、7.5億円の利益であり、ここで主な区としての収益を上げていくこと、そして、展望施設が1,000万円の利益、収入が1.7億円、支出が1.6億円、そしてバンケット、コンベンションセンターも1,000万円の利益、収入が3,500万円、支出が2,500万円、そして、子どもの遊び場が1,000万円の利益、こちらは収入が1,800万円で支出が800万円、このような説明がありました。
これらの3事業については、区民への還元を考慮して大きな利益は想定していない、そのようなことが示されましたが、ここまでは数字は出ているんです。その詳細や、一体全体どうやってこれを算定したのかというような事業根拠のようなものはまだ示されていない。このような状況であると認識しております。
そして、その際、令和6年の第1回定例会、来年の第1回定例会において、区の財産処分に関する議案の提出及びサンプラザ地区に係るまちづくり整備方針変更に関する議案の提出がなされるというその旨の説明があり、その際質問をしたところ、そこまでの間に今申し上げたような事業詳細の説明を議会に対して行うと、このようなお話がありました。その後、11月8日に都市計画審議会における承認があったということでございます。
そこで伺います。新サンプラザシティの区権利床関連の事業内容、採算及び算定根拠の詳細説明につきましては、令和6年第1回定例会における議案提出の前になされるという認識で正しいでしょうか。
100年に1度の再開発という重要案件でございます。孫子の代まで残していくようなものでございますので、二元代表制の一翼を担う議会の関連する委員会において十分な精査が必要だと考えております。そのため今定例会及び令和6年第1回定例会までの閉会中における委員会での事前説明を含め、令和6年第1回定例会までの間に、新サンプラザシティ区権利床関連の事業内容、採算及び算定根拠について十分な情報共有を望みますが、どのようなスケジュールで、どのような内容で実施いただけますでしょうか。こちらが1点目の質問です。
続きまして2点目でございます。2点目は公園トイレの改良について質問をいたします。
現在、中野区内169の公園があります。そのうち100の公園の中にトイレがあります。しかし、そのうち37の公園はいまだに和式トイレしかない、こんな状況となっています。和式トイレは、使用に慣れていないお子さんもそうだし、若者も実はもう子どもの頃から使ったことがほぼない。そして、足腰の衰えてきた高齢者の方、昔は使えたけどと、こんな声もよく聞きます。いずれにとっても使用が厳しい状況であると言わざるを得ないということでございます。
年間2園程度改修するという現状、和式から洋式に変えていくという中で、すぐに全ての和式トイレの洋式化は困難だという状況だと思っています。その中で緊急対策として、今ある和式トイレにせめて補助用の握り棒を設置する。これによって高齢者の方等が使えるようにする。このようなことをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。こちらが2点目となります。
続きまして、3点目の質問でございます。3点目は、令和6年度予算編成の考え方について質問をいたします。
今まさしく令和6年度予算の検討が庁内で進んでいるものと思います。令和4年度の決算において、歳出の執行率が92.7%にとどまり、115億円が不用額として計上されました。決算特別委員会総括質疑で確認いたしましたので、一部の事象につきましてはお聞きいただいているかとも思いますけれども、予算と決算額との乖離が大きかった事業に関連する30名以上の課長職の皆様と直接お話をさせていただく中で、多くのケースで、予算策定時に足りなくならないようにバッファを積んでいることが分かりました。多く聞かれたのが、区民の皆様へのサービスを止めてはならないので、過去の実績比に1.1倍している。冬場に急増した年が何年か前にある。そのときに慌てて補正予算を組んだので、以降はその数字をベースに予算としているなどなど、気持ちは痛いほど伝わってきます。しかし、一つひとつの予算にバッファを乗せている、そのような様子がうかがわれました。
これまで対象者の90%程度の給付実績である給付金であったりとか補助金、このようなものについても念のため対象者全員100%分積んでおく、このようなケースも見られます。ほかにもごみ処理の際、遠くの処理場への輸送を前提として予算を組んでいるケース、予防接種の接種率を実績よりも大きく見込んでいるケースなども見られました。このようなことの積み重ねが執行率の低下、115億円の不用額の発生につながっているように思います。区長も、令和6年度中野区予算編成方針において、毎年度経常的に実施している事業についても、エビデンスを基にした分析により、適切な需要推計を行い、適切な予算規模とし、決算時の見込み差残額の縮減に努めるというふうに明記をされています。
そこで伺います。令和6年度予算策定においては、基本は実績ベースの積み上げとすべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、給付金、補助金、予防接種など、より多くの区民に行き届かせるべき政策については、実績を引き上げる具体的な施策とセットの場合に限り多めの計上を認める、このような運用を徹底すべきと考えますが、いかがでしょうか。
どういうことかというと、例えばよく質疑の中で、広報の仕方を工夫するというような答弁がなされますが、そのような定性的な話ではなく、具体的にどのように工夫するのか。例えば広報の話で言えば、メディアを増やすのか、それとも頻度を増やすのかなどなどを明確にちゃんと庁内で議論していただいた上で、これだったら確かに伸びるというものをしっかりと予算として策定していく。このような運用を徹底していくことを通じて、より精度が高く、筋肉質な、そして同じ金額でも区民のためになる施策がより濃密に詰まっている予算、そして、その執行率の向上のために、職員が創意工夫するような予算、このようなものがつくり上げられるというふうに考えております。
最後に4点目です。バーチャル・ラーニング・プラットフォームの中野区における活用方針について質問いたします。
中野区は、本年9月22日から運用が開始された東京都教育委員会によるバーチャル・ラーニング・プラットフォームに参加されました。運用を開始するに当たり、参加に名乗りを上げた8市区の一つであるということで、非常に先見性のある取組であると評価しています。
私自身も、10月19日に中野区の教育センターにて実体験したのですけれども、バーチャル・ラーニング・プラットフォームは、インターネット上の仮想空間、メタバース上に自らの身代わりであるアバターをつくり、メタバース上で友人と交流をしたり、オンライン相談を受けたり、授業を受けたりすることができるというもので、そのメリットとして、登校渋り、不登校、病気で登校できないなどの状況にある子どもたちがいろいろな人たちと交流が可能になる。また、日本語指導が必要な子どもたち、これは各校では数は多くないのかもしれないんですが、それらをまとめてしっかりと日本語教育の場を提供することができる。このようなメリットがあるというふうに挙げられています。
そこで伺います。中野区がバーチャル・ラーニング・プラットフォームにいち早く参加された背景及び初動の状況をお聞かせください。
また、中野区において東京都の教育委員会におけるバーチャル・ラーニング・プラットフォームの対象として、今ターゲットとしている登校渋り、不登校、病気で登校できないなどの状況にある生徒はどのぐらいいらっしゃるというふうに把握しているでしょうか。
また、このプラットフォームの対象となり得る日本語指導が必要な生徒数はどのぐらいと把握されているでしょうか。
これらの対象となり得る生徒たちにどのような手段でこのバーチャル・ラーニング・プラットフォームの存在を伝える御予定でしょうか。
以上で私からの全ての質問を終わります。御清聴いただきありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 大沢議員の質問にお答えいたします。
まず1点目、中野駅新北口駅前エリア再整備における区権利床関連事業内容、採算及び算定根拠に係る詳細説明について、権利床の運用についてでございます。
現時点では権利床の運用方法が定まっていないため、一定の条件設定を行いシミュレーションした運用の一例ということになりますが、本定例会中の関係委員会においてお示しをする考えでございます。
次に、今後の情報提供についてです。本定例会中では権利床の運用検討の進め方を、令和6年第1回定例会前の閉会中に再開発事業の事業計画の概要を報告したいと考えております。その後、令和6年第1回定例会において、区関連財産の従前資産評価額などもお示しした上で、財産処分の議案を提出する予定でございます。
次に、令和6年度予算編成の考え方についてで、実績ベースでの積み上げを原則とすることについてでございます。
予算編成方針においても過去の決算の状況を十分に踏まえ、関連する既存事業費の廃止、統合、縮小についても検討や進捗状況を踏まえた予算要求を行うことと示しているところであります。令和6年度予算編成においても、令和4年度決算額や令和5年度決算見込額などを基本に歳出予算額を積算してまいります。
最後に、実績を超える予算計上を認める条件の設定についてでございます。政策の実施に当たっては、実績を上げていくための具体的な施策も併せて精査をしておりまして、令和6年度予算編成でも徹底させていく考えでございます。
〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子) 私からは、東京都教育委員会によるバーチャル・ラーニング・プラットフォームの中野区における活用方針についての御質問にお答えをいたします。
バーチャル・ラーニング・プラットフォームに参加した背景及び初動の状況についてでございます。支援が必要な児童・生徒の居場所や学びの場の選択肢の一つとして、仮想空間という場を提供することによりまして、不登校の子どもたちには社会とのつながりを持つこと、日本語指導が必要な子には新たな学び方を提供すること、その両方ができると考え参加いたしました。しかし、本事業を効果的に進めるには、利用する子どもたちの状況をしっかりと把握していくことが必要であると考えております。まずは、教育支援室に通室できている児童・生徒から導入を進めることで、課題を整理しているところでございます。現在、不登校の生徒4名、日本語指導の生徒1名が利用しております。
最後に、バーチャル・ラーニング・プラットフォームの対象となり得る児童・生徒数とその周知についてでございます。バーチャル・ラーニング・プラットフォームの対象となり得る児童・生徒数につきましては、昨年度の状況で言いますと、区全体の不登校や病気などによる30日以上の長期欠席の児童・生徒が約600名、日本語指導が必要な児童・生徒は約50名となると考えております。
周知については、各学校で児童・生徒の意思や保護者の考えを丁寧に聞き取って把握した上で、タイミングを見計らい、学校や教育支援室で児童・生徒一人ひとりに直接説明するなど、活用について伝えてまいります。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 公園トイレの改良についてお答えいたします。
和式トイレの環境改善についてでございますが、老朽化した全ての和式トイレの改修には時間を要しますが、補助用の握り棒等を含め先行的に必要な環境改善については検討してまいります。
○副議長(木村広一) 以上で大沢ひろゆき議員の質問は終わります。
お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木村広一) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時42分延会
会議録署名員 議 長 酒井 たくや
副議長 木村 広一
議 員 井関 源二
議 員 むとう 有子