平成25年09月19日中野区議会決算特別委員会
平成25年09月19日中野区議会決算特別委員会の会議録
平成25年9月19日決算特別委員会(第4日) 1.平成25年(2013年)9月19日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。
1.出席議員(42名)
  1番  若  林  しげお         2番  高  橋  かずちか
  3番  木  村  広  一        4番  甲  田  ゆり子
  5番  小  林  ぜんいち        6番  中  村  延  子
  7番  石  坂  わたる         8番  後  藤  英  之
  9番  石  川  直  行       10番  伊  東  しんじ
 11番  内  川  和  久       12番  ひぐち   和  正
 13番  白  井  ひでふみ       14番  平  山  英  明
 15番  南     かつひこ       16番  森     たかゆき
 17番  いながき  じゅん子       18番  林     まさみ
 19番  小宮山   たかし        20番  浦  野  さとみ
 21番  佐  野  れいじ        22番  北  原  ともあき
 23番  吉  原     宏        24番  いでい   良  輔
 25番  小  林  秀  明       26番  久  保  り  か
 27番  酒  井  たくや        28番  奥  田  けんじ
 29番  近  藤  さえ子        30番  金  子     洋
 31番  長  沢  和  彦       32番  大  内  しんご
 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき
 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭
 37番  やながわ  妙  子      38番  佐  伯  利  昭
 39番  むとう   有  子       40番  か  せ  次  郎
 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中野区長    田中 大輔
 副区長     金野 晃
 副区長     英 直彦
 教育長     田辺 裕子
 政策室長    竹内 沖司
 政策室副参事(企画担当)        海老沢 憲一
 政策室副参事(予算担当)        奈良 浩二
 政策室副参事(広報担当)        酒井 直人
 政策室副参事(情報・改善担当)     中谷 博
 経営室長    川崎 亨
 危機管理担当部長荒牧 正伸
 経営室副参事(経営担当)        戸辺 眞
 経営室副参事(人事担当)        角 秀行
 経営室副参事(施設担当)        石井 正行
 経営室副参事(行政監理担当、債権管理担当) 岩浅 英樹
 経営室副参事(経理担当)        伊藤 廣昭
 都市政策推進室長長田 久雄
 都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 横山 俊
 都市政策推進室副参事(都市観光・商業振興担当) 滝瀬 裕之
 都市政策推進室副参事(中野駅周辺まちづくり担当) 松前 友香子
 都市政策推進室副参事(中野駅周辺地区整備担当)、
 都市基盤部副参事(都市基盤整備推進担当) 立原 英里雄
 地域支えあい推進室長          瀬田 敏幸
 地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 朝井 めぐみ
 地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当)、
 中部すこやか福祉センター所長 遠藤 由紀夫
 中部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 波多江 貴代美
 北部すこやか福祉センター所長      田中 政之
 北部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 天野 秀幸
 南部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 宇田川 直子
 鷺宮すこやか福祉センター所長      小田 史子
 鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 高橋 昭彦
 区民サービス管理部長          白土 純
 区民サービス管理部副参事(区民サービス担当) 上村 晃一
 区民サービス管理部副参事(税務担当)  長﨑 武史
 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  髙橋 信一
 子ども教育部副参事(子ども教育経営担当)、
 教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当、知的資産担当) 辻本 将紀
 子ども教育部副参事(子育て支援担当)、子ども家庭支援センター所長、
 教育委員会事務局副参事(特別支援教育等連携担当) 黒田 玲子
 子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当)、幼児研究センター所長、
 教育委員会事務局副参事(就学前教育連携担当) 古川 康司
 子ども教育部副参事(子ども教育施設担当)、
 教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 伊藤 正秀
 健康福祉部長  野村 建樹
 保健所長    寺西 新
 健康福祉部副参事(福祉推進担当)    藤井 康弘
 健康福祉部副参事(保健予防担当)    坂野 晶司
 健康福祉部副参事(障害福祉担当)    永田 純一
 健康福祉部副参事(生活援護担当)    伊藤 政子
 健康福祉部副参事(生活保護担当)    鈴木 宣広
 健康福祉部副参事(学習スポーツ担当)  浅川 靖
 環境部長    小谷松 弘市
 環境部副参事(地球温暖化対策担当)   鳥井 文哉
 都市基盤部長  尾﨑 孝
 都市基盤部参事(都市計画担当)     豊川 士朗
 都市基盤部副参事(弥生町まちづくり担当) 安田 道孝
 都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 古屋 勉
 都市基盤部副参事(都市基盤整備担当)  志賀 聡
 都市基盤部副参事(建築担当)      小山内 秀樹
 都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 大木島 実
 都市基盤部副参事(生活安全担当、交通対策担当) 中井 豊
 会計室長    浅野 昭
 教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 伊東 知秀
 教育委員会事務局指導室長        川島 隆宏
  監査事務局長  鈴木 郁也
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事務局長     篠原 文彦
 事務局次長    青山 敬一郎
 議事調査担当係長 佐藤 肇
 書  記     関村 英希
 書  記     東 利司雄
 書  記     土屋 佳代子
 書  記     細川 道明
 書  記     江口 誠人
 書  記     永見 英光
 書  記     鈴木 均
 書  記     井田 裕之
 書  記     竹内 賢三
 書  記     遠藤 良太
 書  記     香月 俊介

      午前10時00分開議
○内川委員長 定足数に達しましたので、ただいまから決算特別委員会を開会します。
 認定第1号から認定第5号までの計5件を一括して議題に供します。
 昨日、9月18日(水曜日)の理事会の報告を行います。
 初めに、本日の委員会運営についてです。本日の総括質疑の順番は、1番目に後藤英之委員、2番目に篠国昭委員、3番目に甲田ゆり子委員、4番目に金子洋委員、5番目に佐伯利昭委員の順序で5名の質疑を行うことを確認しました。
 次に、資料要求についてですが、お手元に配付の資料要求一覧(追加分)のとおり、新たに5件の資料要求について整理をしました。

平成25年(2013年)9月19日
決算特別委員会

決算特別委員会資料要求一覧(追加分)

追加分 
◆子ども文教分科会関係
79 再編前後からの小中学校の各年度の推移(学校数、学校予算、行事予算、体験的行事の内容)(平成19(2007)年度から現年度) <自>
80 再編を行った小中学校の教職員・児童・生徒数 <自>
81 学校行事における事故件数(移動教室、校外学習、その他)(前年度までの3年間)<自>
82 中学校における職場体験の実施状況(職業の種類、実施時間)(現年度) <自>
83 中学校におけるボランティアの実施状況(内容、実施時間)(現年度) <自>

○内川委員長 以上が理事会の報告ですが、質疑ありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○内川委員長 ただいまの報告のとおり委員会を運営することに異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内川委員長 御異議ありませんので、さよう決定します。
 続いて、資料要求についてお諮りします。
 お手元の資料要求一覧(追加分)のとおり資料を要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内川委員長 御異議ありませんので、そのように決定します。
 資料は昼休みに配付いたします。
 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようお願いいたします。
 それでは、質疑に入ります。後藤英之委員、質疑をどうぞ。
○後藤委員 おはようございます。みんなの党の立場から総括質疑をいたします。
 1、生活保護行政について、(1)生活保護の不正受給対策と受給世帯の自立対策について質疑いたします。
 生活保護制度は、生活困窮者の自立支援を目的とし、憲法での生存権を保障する最後のセーフティーネットであり、必要な制度とした上で質疑いたします。ただ、生活保護費は24年度決算では150億円強、一般会計歳出の13.4%を占め、継続的かつ増加傾向にある制度としてシビアにならざるを得ない事業です。決算審査意見書には、制度疲労の認識と不適切な保護やサービスの受給については、未然の防止対策の徹底や、発見時の毅然とした対応など、適切な保護給付に留意されたいという指摘があり、財政健全化のためにも、生活保護の本旨を達するためにも、不正受給の根絶と受給者の自立促進は区の大きな命題です。
 また、例えば雇用保険、いわゆる失業保険等では給付期限に明確な基準があり、不正受給とその未遂に対して、以後基本手当等を支給しない、不正受給金額とは別に最大2倍の納付を命ずる3倍返しの規定による厳しい返還制度などでこれを防止しております。
 そこで、まずお尋ねいたしますが、現状、生活保護法78条規定の不正受給は年間何件程度発覚し、それはなぜ発覚し、また、年間の不正受給額をお尋ねいたします。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 平成24年度、不正受給として認定したのは34件でございます。不正発覚の端緒についてですが、定期的な訪問活動等による生活実態の把握や家庭調査等が端緒になっていることが多くなっております。平成24年度の不正受給額ですが、約4,200万円になっております。
○後藤委員 また、生活保護法78条、85条にある不正受給の規定ですが、誰が何をもって不正受給とし、不正受給に対して刑事罰や返還等を含め、ペナルティーはどう規定されていますか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 不正受給かどうかの判断は、事実確認の調査を行ったとき、不正受給の事実が確認できた時点でケース診断会議等で検討を協議し、福祉事務所として不正受給の認定、その後の処理方法を決定いたしております。不正受給と認定した場合で、その事実の悪質性、程度によっては、刑法の詐欺罪、または生活保護法85条の規定によって処罰されることがあります。不正に保護を受けた者から保護費を返還させるように、生活保護法78条は規定されております。
○後藤委員 こうした刑事罰に処せられる可能性と不正受給の意味の重さを受給者に周知し、受給者が十分に不正受給への構成要件や罰則の内容を理解できるよう、どういう方法で努めていますか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 保護の相談や申請時に生活保護のしおりを用いまして、被保護者の権利・義務並びに収入等について正しく申告すること及び虚偽の申告をした場合、罰せられることがあることなど、制度の仕組みを十分説明しております。また、その後も全ての資産や収入などの内容に変更があった場合の届け出義務について、折に触れ説明しております。
○後藤委員 これまでの不正受給者は理解できていましたか。また、区は何をもって理解の度合いを判断していますか。理解の進化を促すさらなる工夫も必要と考えます。御所見を伺います。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 保護の申請時だけではなく、保護の受給中も、収入、資産の申告の際には不正受給に関する説明を行っており、故意に収入申告を怠った場合は不正受給であると被保護者が理解できるようにしております。今後もさらに丁寧な説明指導を徹底していきたいと考えております。
○後藤委員 次に、区では不正が発覚したケースについて、発覚時以前どのような訪問時の観察や支援を行ってきたのか、事例検証はどの程度行い、継続的な運用にどう生かせていますか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 全受給者に対しまして、訪問時に日常の生活状況の確認を行うとともに、課税調査によって未収入申告の把握に努めております。また、官公庁や銀行等に対しまして、資産、収入の調査を行うことにしております。なお、生活保護法の改正案の中では福祉事務所の調査権限の拡大が検討されているため、より実効性のある調査を行うことができるようになると考えております。
○後藤委員 次に、不正受給世帯の返還の現状と返還期間に時効等があるのか。ある場合は、時効までに回収する努力をいかにし、障壁はどんなことで、改善策をどう実施しているか、お尋ねいたします。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 平成24年度の返還収納額は約210万円でございます。不正受給の事実は、月数万円程度の就労収入の発見が多く、一括しての返還が難しい場合は分割により返還を求めております。未申告などの不正受給の発生を防止することが肝要であり、今年度からは収入、資産の調査を徹底するため、この専属の係を設置いたしました。なお、保護費の返還請求に係る消滅時効は5年となっております。
○後藤委員 ありがとうございます。不正受給対策は簡単ではないと感じますが、さきに述べた失業保険等、多くの他のセーフティーネットに対して不公平感を生み出さない運用改善の努力を今後も期待いたします。
 次に、受給者の自立についてお尋ねいたします。特に高齢、傷病、障害、母子以外のその他世帯の中で、自立に転換する能力のある世帯についてお尋ねいたします。
 7月22日、厚生労働省の調査結果について報道があり、内容は、最低賃金で働いたときの手取り額が生活保護の給付水準を下回る逆転現象の拡大傾向についてです。9月10日には北海道を除く都道府県では解消したと発表されましたが、問題なのは、こうした現状が働く者や求職者の勤労意欲を落とし、モラルを低下させることです。国も制度矛盾解消に向け動き出しましたが、区としては、勤労は憲法で定める義務であると同時に権利であるということを肯定的な理解として周知し、自立促進の根幹に据え、区政施策を進めていくべきと考えます。受給者もしくは受給希望者の勤労意欲を高める工夫についてどうであるか、見解をお尋ねいたします。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 受給者の勤労意欲の向上についてですが、担当ケースワーカー、就労支援員及びハローワーク新宿の就職支援ナビゲーターが連携しまして、受給者の就労支援をしております。就労困難な受給者につきましては、中野就職サポートの中で就労支援を行うとともに、就労支援員が受給者とともに求人情報を収集することや履歴書の書き方の指導、採用試験の動向、職場訪問、模擬面接の実施等を行っております。なお、生活保護法の改正案の中で、就職して生活保護を脱却できたときに、まとまった給付金を支給する就労自立給付金制度の創設が検討されておりますので、この制度によりまして受給者の勤労意欲が向上するものと期待しております。
○後藤委員 そこで、まずその他世帯について具体的にどのような事情があるのか、把握されている事情についてお尋ねします。また、この類型世帯は年々件数も構成比率も増加傾向で、24年度は1,152件、構成比率で18.7%です。9年前の15年度は2.9%だったのが、高齢化が進行する今、高齢世帯は比率が下がり、その他世帯は大幅増加しています。全く仕事をしていないその他世帯は、その他世帯の中で何%程度存在していますか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 就労できない事情としましては、この間、雇用環境が低迷していたこともありますが、主に基本的な生活習慣や社会性、コミュニケーション能力など、被保護者側の問題が挙げられると考えております。全く就労していないその他世帯の割合ですが、約67%でございます。
○後藤委員 そうしたその他世帯の受給期間について伺います。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) その他世帯の生活保護受給期間ですが、1年未満の世帯が約2割、1年以上5年未満の世帯が約6割、5年以上の期間の世帯が約2割となっております。
○後藤委員 それぞれ事情があるんでしょうが、若干長いのかなという感じもしなくもないんですけれども、こうした結果をどう受けとめられているか、見解を伺います。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 保護受給期間5年未満の世帯が約80%を占めておりますので、受給期間が長期にならないように就労支援等に力を入れていきたいと考えております。
○後藤委員 生活保護廃止理由として、就労事実が24年度は67世帯あり、すばらしいと思います。特にその他受給世帯が自立するという区の施策等、きっかけとしてどんなことが挙げられていますか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 受給者が自立する理由についてですが、稼働年齢層の自立は就労収入の増加が原因となっており、数は少ないですが、中野就職サポートの事業等の利用により再就職した場合がございます。
○後藤委員 その中野就職サポート事業において、67世帯のうちどれくらいが就労に至ったんでしょうか。
○内川委員長 聞こえていましたか。答弁しますか。できますか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 中間的就労等につきまして、今後の中野就職サポート事業の拡充等の中で検討していきたいというふうに考えております。
○後藤委員 まあ、そうですね。就労事実が67世帯あるということはすばらしいことなんですが、結局、区の施策はどれだけ役に立っているのかということを聞きたいわけですから、ここのところで中野就職サポート等がきっかけになった、これは非常にいいことだと思います。ただ、この検証結果というのも、実際何件かというのを常に把握しておくべきだと思いますし、それをさらにどう改善していけるかということをぜひとも今後も注力して施策を進めていっていただきたいと要望いたします。
 時間の関係もございまして、次に、中野就職サポート事業において、また質疑させていただきますが、中間的就労や社会人インターンシップ等を活用していくことについてお尋ねいたします。特にインターンシップは対価も責務も基本的に伴えて、なおかつ職業訓練の効果や企業とのつながりも得られる方法で、業務未経験者に人気です。企業側でもその性質上敷居が低く、生活保護から自立への導入施策としてなじむと考えます。御所見を伺います。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 委員の御提案の件でございますが、中野就職サポート事業の拡充の中で今後検討していきたいというふうに考えてございます。
○後藤委員 個人の生産性を向上させ、真の自立に結びつく動機づけとして、キャリアコンサルタント等との連携も重要です。当事者が高い動機づけを持って就労を望むことはまず重要で、その動機づけのあり方は人によってさまざまです。就労に結びつきにくい人が就労し、就労後に定着することに困難な場合があり、そこに専門家の支援が有効です。24年度、就労支援員によるサポートの実績検証はどうですか。また、生活援護分野ではどういう相談援護が行われていますか。その相談の中では、まずは対象者みずからがキャリアを選択する際、周囲にかかわらず最も大切で譲れない本人自身の価値観や欲求、すなわちキャリアアンカーを自覚させるコンサルティングを行われているでしょうか、お尋ねいたします。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 区の就労支援でございますが、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士などの資格を持っておりまして、相談支援の経験者でもございます。相談者一人ひとりに丁寧な面接を行うほか、履歴書の書き方から面接のノウハウ、模擬試験の実施、さまざまきめ細かい支援を行っております。特に就労が難しい若年層につきましては、平成24年度において、支援者数69名のうち就労決定者は22名という成果を上げてございます。今後も受給者の就労や、就労への希望や価値観などを酌み取りつつ、個人個人に合った就労支援を行っていきたいというふうに考えてございます。
○後藤委員 同時に必要なのが、就職したい先に就職できる能力の獲得ですが、キャリアアンカーを就労前職業訓練に結びつけ、形にすることはどの程度できていると検証されていますか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 現在、相談の中で受給者から職業訓練の希望があった場合は、ハローワークの職業訓練につなげておりますが、件数としてはごくわずかでございます。就労支援員は当然のことながら、当人の価値観や欲求に基づきましたマッチングを視野に入れて支援を行っているところでございます。ただ、そうした段階に至らない就労困難者がふえる傾向もございまして、基本的な習慣やマナーなどからの支援を提供している状況でございます。
○後藤委員 私は、生活保護その他世帯の自立を促す方策は、事業者とのマッチング、就職活動の事務的支援以前に、キャリアアンカーの自覚を促すことが最重要で、次に、したい仕事ができる力を獲得する支援をしていくことと考えています。経験の中で自然に自覚し、身につけていくことがかなわない場合――そうした人も多いと思いますが、かなわない場合、公益に資するためにもそうした支援が必要と考えます。ぜひとも、自立する能力があり、動機づけや専門的スキルに乏しい人たちを少しでも多く生産世帯に転換できるように、今後も取り組んでいただきたいと要望し、この項の質問を終わります。ありがとうございました。
 それでは、2、雇用創出支援について、(1)就労・求人支援サイト「ぐっJOBなかの」について。産業・都市振興分野、予算中の雇用・就労支援事業についてお尋ねいたします。
 雇用対策は区からは財政力の向上が期待されると同時に、求職者にも求人企業にも需要の高い対策です。今回の24年度決算では、雇用・就労支援事業として、ハローワークと杉並区との合同就職面接会、就労・求人支援サイト「ぐっJOBなかの」管理運営委託費があり、決算小計は86万3,000円強となっています。いかにも少ないと感じます。雇用対策法第5条には、地方公共団体は国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならないとあり、中野区も依然失業率は高く、扶助費が歳出を圧迫する中、雇用対策に実効力が必要です。まずは、この決算金額の根拠と妥当性、その検証結果を伺います。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 雇用対策の予算についての根拠でございます。現在、直接的な区の雇用・就労支援といたしましては、合同就職面接会、これと就労・求人支援サイト「ぐっJOBなかの」、この運営の二つを行ってございます。
 決算の数字の中身でございます。合同就職面接会につきましては、主たる事務や、それの経費は共催するハローワークが出してございまして、区のほうは会場としての区立施設の提供、それから、広報を担当してございます。したがいまして、これにつきましては、ポスターやチラシの印刷経費約20万円ほどとなってございます。なお、こちらの面接会は年2回でございまして、それぞれ求人事業者は40社、求職者は約200人の参加を得てございます。合わせまして25件の雇用の採用に至っているというものでございます。
 次に、就労・求人支援サイトでございますが、これはシステムの運営管理経費といたしまして約75万円ほど執行してございます。こちらの登録事業者は約300件、それから、アクセス件数は約9万件ということでございます。
 以上の取り組みの成果と経費の関係については、おおむね妥当というふうに考えているところでございます。
○後藤委員 今回は費用対効果の見やすい施策、また求職者に便利な方法を採用した中野区の就労・求人支援サイト「ぐっJOBなかの」の活用についてお聞きしますが、このサイトは本年6月17日にリニューアルされました。これは歓迎すべきことと思います。そこで、サイトの仕組み、ユーザー数、登録事業者数、あっせんの成功数もしくはサイトからの応募者数、ユーザー属性、登録料ほか収益モデル等、リニューアル後の改善点等、気になるところです。改善に当たって重視した点と、改善後の変化、今後の展開について伺います。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) まず、リニューアルに当たって重視した点でございますが、このサイトは平成19年に開設して以来、特に大きな修正等してございませんでしたので、まずは見やすく、使いやすくすることを第一にリニューアルをさせていただきました。具体的には、事業所のPRを兼ねました画像情報でありますとか、人事メッセージなどを掲載できるようにいたしました。このほか、自動表示をするポップアップ機能を追加し、そしてまた業種や職種に加えまして、雇用形態や住所地などによります絞り込み検索機能、こういったものを付加してございます。
 次に、改善後の変化ということでございますが、必ずしもリニューアルによるものだけとは言えませんけれども、現在、前年同月比としまして、閲覧数、アクセス数が約2倍、それから、求人件数のほうも2.3倍に増加しているところでございます。
○後藤委員 そこで、まず企業側の掲載料は無料ということです。民間の人材紹介会社は高額な手数料相場、マッチング相場、マッチングサイト掲載料も、成果を出すためには一般的に高額です。ですので、特に成長途上の中小企業には、人手は欲しいが、求人に高額経費は割けない。でも、ハローワークでは必要な人材は見つからなかったという事業所が多く存在するのではないかと感じます。ここに区が補助する意味があります。潜在的な求人と求職がマッチしておらず、ミスマッチ以前に出会えないでいる。特に比較的有望な成長二次段階でのベンチャー企業や、イノベーション投資に資金を使いたい事業所にその傾向が顕著であることは想像にかたくなく、産業振興、雇用、所得、また区財政向上の面でも明らかに大損失です。政府は完全失業率の改善や、有効求人倍率の上昇を発表していますが、その継続性についてはいまだ予断を許さず、雇用問題と所得の問題は依然大きな問題です。そこで、失業率を抑えるためにも雇用対策は重要ですが、産業振興の面でも、事業者の採用による人材力強化の問題は切り離せません。御所見を伺います。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 先ほどの就労支援につきましても、区といたしまして――直接的には先ほど御紹介した事業でございますが、区といたしましては、主として産業振興によりまして雇用機会の創出を図っていこうというふうに定めているところでございます。この産業振興を図るための経営支援の重要なテーマの一つといたしまして、人材の採用確保というものを位置付けとして考えております。
○後藤委員 私はその企業、産業振興と雇用政策というのは車の両輪であるというふうに考えているんですけれども、そこで企業側の掲載料は無料の「ぐっJOBなかの」の潜在的な競争力は圧倒的です。人材採用経費が割けない企業でも掲載可能で、企業数を集めるポテンシャルが高く、結果、基本的に人材が集まる最重要な要素を満たすことになります。ただ、24年度決算説明書では、登録事業者数は年間311社にとどまり、参考までに民間転職サイト、リクナビNEXTは、9月での週当たり新着・更新求人数が千数百件と大きな違いがあります。申し上げたいのは、性質や目的の異なる二つのサイトの単純比較ではなく、それだけの求人ニーズがあるという例示です。区としては、区の就労・求人支援サイトと民間求人サイトとの差別化をどのように捉え、恒常的、定性的にどのような成果を目指していますか。御所見を伺います。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 民間求人サイトとの差別化ということのお尋ねでございました。一般に民間の求人サイトにおきましては、莫大な広告経費をかけて求人企業や求職者を募っていると。そしてまた、実際に利用いただく企業のほうからの掲載料や成約料などを収入として求職者に企業を紹介しているというのが、一般的に承知してございます。対しまして、区内の大半は中小事業者でございまして、おのずと人材確保に割ける経費や人手も制約があるというふうに考えてございます。こういった事情に鑑みまして、経営支援の一環として求人活動の場を提供するというのが、このサイト「ぐっJOBなかの」の意義というふうに考えているところでございます。この点が民間のものとは異なるというふうに考えているところでございます。
 次に、これによって目指す成果ということでございますが、指標としては捉え切れないために、数値目標というふうにはなってございませんが、求人と求職者との雇用契約の成約件数が本当の成果ということになると考えてございます。
○後藤委員 そうですね。今申し上げたのは、同じかもしれないんですけれども、中小企業は広告経費にお金は割けない。ただ、人は欲しいというもとの中で、この無料サイトに載せたい人は多い。ただ知らない人が多いだけなのではないかという趣旨なんですけれども。
 また関連しまして、次の質問ですが、産業・都市振興分野の成果指標として、ICT・コンテンツ、生活産業の区内事業者数があり、24年度の目標は1,130件ですが、結果は、経済センサスの結果を待つ上で未記載です。この三つの重点産業について、10か年計画における成果指標はこれだけなのに、4年に一度しか状況の成果が書かれないということになります。実際、行政評価の成果指標、目標達成度(成果指標の妥当性を含む)の評価も5.6と低いです。そもそも重点産業の成果がリアルタイムに書かれていないこの状況下、ただでさえスピード勝負と言われているICT・コンテンツなどの重点産業の振興をいかに推進していけるのか、PDCAサイクルの手法が使えるのか。成果指標の変更やはかり方の変更をし、事業者を確実に把握すべきと考えますが、いかがですか。関連してお尋ねいたします。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 成果指標の適切化ということのお尋ねでございました。成果指標につきましては、既に行政評価の取り組みの中におきまして、より適切なものにするよう見直していくこととなっております。御質問にありましたICT・コンテンツ関連事業者の事業所数につきましては、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)、これの指標ともなっているところでございます。したがいまして、これはこれでカウントして、適宜捕捉をしていく必要があると考えてございますが、毎年度の区の取り組みを見る指標の工夫をいたしまして、毎年度測定ができるものとなるよう検討しているところでございます。
○後藤委員 ありがとうございます。また、せめて重点産業であるこうした産業の求人は、その産業を重点的に振興しようとしているのですから、その事業所が拒否する場合を除いて、このサイト上に網羅的に掲載すべきと考えますし、重点産業に属する事業者については、サイト上でも目立たせる等の工夫をすべきかと考えますが、どのような働きかけと工夫をされていますか。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 重点分野の事業者については網羅的にサイトに載せるべきではないかとの御質問でございますが、区といたしましては、重点分野はもちろんのこと、より多くの事業者が求人できるよう、活性化した状況になるようにしていきたいというふうに考えているところでございまして、産業振興ビジョンを定め、これによってさまざま施策を講じていくことで進めていきたいと思ってございます。
 サイト上でさらに目立たせてはということのお尋ねにつきましては、先ほどのとおり、重点分野についてはほかに施策を講じているところでございまして、また、新しいリニューアルしたサイトでは業種による絞り込み検索機能もありますので、さらに特別な扱いをするということは考えてございません。
○後藤委員 いずれにせよ、事業者が集まらないと、やはり求職者も集まらず、誰も使わないサイトになってしまうという懸念がございますので、事業者を集める今まで以上の努力をしていただきたいと要望いたします。
 また、サイトの運用モデルとして掲載料を新たに設定し、税外収入とする方法もありますし、行政ならではの圧倒的価格競争力を生かし、区外含め掲載事業数で民間を凌駕しマッチングを推進していくか、どちらかは行うべきですが、私は後者と考えます。区内の生産人口、企業の生産性を向上させることが歳出・歳入の両面から見ても効果的で、なおかつ公益的であると考えられるからです。御所見を伺います。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 現在の区のサイトは無料と、こういった特性を生かして継続すべきではないかとのお尋ねだったかと思います。先ほど御答弁差し上げたとおり、産業振興施策、あるいは経営支援策の、これの一環として位置付けての求職活動の場の提供というふうなものでございます。したがいまして、無料といった料金のことも含めまして、現行の仕組みを継続していく考えでございます。
○後藤委員 また、サイトの利用事業者は、基本的に区内の登録事業者ですが、就労・求人支援サイトと銘打っているにもかかわらず、これは事業者を登録制にし、求職者を登録制にはしていません。理由があるのだと思いますが、財政や区民サービスの向上を考えれば、求職者は区内在住を優先すべきと考えます。今後も事業者を集めていくとともに、例えば求職者を登録制にし、履歴書の住所入力欄の基本仕様で中野区を固定設定しておく、もしくは中野区と入力した登録者には事業者からスカウトメールを送れるなどのインセンティブを与える等の技術的な仕組みの変更は考えられますが、いかがですか。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 区内在住者の方を優先すべきということで、求職者を登録制にしてはどうかといったお尋ねでした。区民の雇用拡大も区といたしましては大事だというふうに考えてございます。しかしながら、仮に求職者をこのサイトの上で登録制にしたといたしましても、それが直ちに区内在住者の雇用成約に直結するものとは考えにくいというふうに考えてございます。かえって不便だとの印象を持たれないとも、そういった懸念もございます。区内産業振興の観点からやっているサイトでございますけれども、その点からすれば、区内外にかかわらず有能な人材を求めるのが事業者側のニーズであるというふうに考えてございます。したがいまして、区内在住者を優先するという目的のために求職者を登録制にするということは考えてございません。
○後藤委員 そういう意味では、求人者から見れば、登録企業についても、いろんな企業にやはり可能性を見出したいという意味では同じだと思うんですね。ただ、これは区のサイトでございますから、やはり区の事業者、区の中でもたくさんあると思います。そうしたところを、その事業者をたくさん集めることによって、中野独自の経済圏というのが一つ形になると。その中で中野区民がそこに対して、職住近接の意味もあって応募したくなるのではないかというふうに考えているんですが、いかがでしょうか。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) さきの御答弁に関連いたしますけれども、区内産業振興を図る、区内事業所等についての――区内産業の集積・創出を図っていくというのが大きな区の目標になってございます。そういった点では、さまざまな産業振興ビジョンに基づく施策をこれから進めているところでございまして、これによって区内に産業が集積、あるいは新たに生まれてくるということを期待しているものでございます。その結果として、この求人・求職サイトのほうの登録利用企業もふえていくというふうに考えているところでございます。
○後藤委員 そうですね。今後はそういう予定があるんでしょうけれども、現状ではちょっと十分ではないのかな。事業者集め、特に十分ではないのかなという感じがしております。事業者を集めなければ、当然求職応募者は集まりませんし、これを中野区に絞るともっと集まらないと思います。
 そこで、求職応募者数は成果指標となっていませんが、24年度、何件でしたか。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) このサイト上では、実際の求職応募をしているということについては把握できないものでございます。アクセス数といたしましては、約8万9,000件強ということでございます。
○後藤委員 決算説明書には、このサイトの事業実績として、アクセス件数と登録事業者数が明記されております。おっしゃったとおりです。マッチングの成果は、サイトのアクセス数ではないと考えます。最終的には雇用契約数ですが、サイトではそこまでは把握できないにしても、その前段である応募の状況は把握していく。そういう意味でも、求職者登録制は有効で、登録者が応募フォームを使い応募できる仕組みを機能実装することで応募実態を把握するなど、実効的なPDCAとしていただきたいと考えます。御所見を伺います。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) このサイト上で実際にアクセスした方が、さらに応募しているかどうかを把握すべきだとのお尋ねでございました。今回、サイトをリニューアルしたことによりまして、このサイト上からメールによって登録している事業者のほうへアクセスできるというふうに改善してございます。実際に、応募なのか資料請求なのかといった詳細まではつかめませんけれども、求職者の積極的な行動履歴が件数としてつかめるのではないかということで、現在、サイトの運営事業者と調整をしているところでございます。
 また、若干精度は落ちますが、やはり今回のリニューアルで追加しましたダイレクトメール配信機能、これによりまして区内事業者へのアンケート調査なども活用して、捕捉に努めたいというふうに考えております。
○後藤委員 そうですね。正確な事業者数、それから「ぐっJOBなかの」に、せっかくリニューアルしたんですから、反応して応募していく人たちの数、そうしたものを把握しながら計画を進めていってもらいたいと思います。
 また、そもそもサイト上の事業者の数をふやすのみならず、前提として実際の事業者数をふやしていくこと、成長させていくこと、すなわち産業振興が雇用と生産性の対角において根本的に必要であることは言うまでもなく、地域経済活性化と産業振興にさらなる注力が必要と考えますが、いかがですか。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 産業振興、経済活性化ということでございますが、これは10か年計画等に基づいて今進めているところでございます。さらに昨年度、産業振興ビジョンを定めまして、重点分野も定め、さまざまな施策を講じまして、区内事業者の集積・創出を図るというふうにしていくというふうに考えているところでございます。
○後藤委員 ちょっと視点を変えますが、サイト上での産業振興、雇用促進については、例えば民間活力を活用し、サイト運営を予定されている産業振興センター等の業務に重点的に組み入れることにより、より成果が上げられるということは考えられますか。また、産業振興センターで予定される就労支援事業との相乗効果はどうなりますか、お尋ねいたします。
○横山都市政策推進室副参事(産業・都市振興担当) 来年度、勤労福祉会館を閉館して開設することとしてございます産業振興センター、こちらのほうで、この「ぐっJOBなかの」のサイト運営もといったお尋ねでございましたが、このサイトにつきましては、開発事業者の著作権などの関係から、直ちに指定管理者に任せられるということにはなりません。
 なお、後段のお尋ねのとおり、産業振興センターの開設に当たりましては、就労支援の拡充も目指しているところでございます。指定管理者の選定過程で、この「ぐっJOBなかの」のことも含めまして、区の取り組みも踏まえた企画提案を求めたいというふうに考えているところでございます。
○後藤委員 それでは、「ぐっJOBなかの」は、費用対効果と競争力の高い実効性のある産業振興、雇用対策サイトになられると思います。それらの産業振興と雇用対策を両輪と捉え、ぜひともしっかり実施してほしいと要望し、私の全ての質疑を終了いたします。ありがとうございました。
○内川委員長 以上で後藤英之委員の質疑を終了します。
 次に、篠国昭委員、質疑をどうぞ。
○篠委員 毎回、総括質疑はやらせていただいておりますが、自民党の2番バッターとして、通告順に質問させていただくつもりです。通告のタイトルでかなり過激なタイトルもありますが、タイトルを読んだだけで、ある程度内容がわかるように工夫したつもりでございます。
 最初に、厳しさを増した一部の財政指標についてお尋ねいたします。
 普通会計における平成24年度に起債した52億円、償還した102億円の内訳をまずお聞きしたいと思います。
○奈良政策室副参事(予算担当) 起債をいたしましたのは、一般地方債としまして、四季の森公園11億円、それから、本町五丁目公園用地13億円、南部防災公園用地5億円、中野中学校整備5億円、公共用地先行取得債で17億円ということでございます。
 その他、償還をいたしましたのは、本町五丁目公園用地の公共用地先行取得債38億円、警察大学校等跡地整備13億円、それから、江古田の森4億円ということで、利息を含めますと――これが残金でございます。残金102億円、それから、利息を含めて総額で109億円ということでございます。
○篠委員 今、本町五丁目公園、幾らとおっしゃいましたか。
○奈良政策室副参事(予算担当) 本町五丁目公園、起債をいたしましたのは13億円、償還をいたしましたのは、用地先行取得債の分ということで38億円ということでございます。
○篠委員 今回の経常収支比率の上昇は、用地先行取得債の償還に伴うものという説明が丁寧になされたわけですが、平成19年度以降、用先債を活用したものはどのようなものがありますか。そしてまた分割償還の例はあるのか、お聞きしたいと思います。
○奈良政策室副参事(予算担当) 公共用地先行取得債を使ったものにつきましては、本町五丁目公園用地、それから南部防災公園用地のほか、中野中学校の拡張用地、それから中野五丁目用地、四季の森公園拡張用地、本一高齢者会館用地などで活用してございます。分割償還を行ったものにつきましては、本町五丁目公園用地と南部防災公園用地の2件でございます。
○篠委員 経常収支比率を高める要因となっている用地先行取得債の分割償還、これは本町五丁目用地、南部防災公園用地のみとの答弁でございましたが、平成27年度で経常収支比率を高めていく要因がなくなるということでよろしゅうございますか。
○奈良政策室副参事(予算担当) 用地特別会計から一般会計への用地の引き取りにつきましては、27年度で終了することになってございます。そのことから、公共用地先行取得債の分割償還に伴いまして、経常収支比率を引き上げている要因はなくなるものと見込んでおります。
○篠委員 本町五丁目の公園用地、南部防災公園用地、いずれも都市計画交付金を活用することで、一般財源を痛めないで取得していると説明されているわけですが、本町五丁目公園用地は1.2ヘクタール、南部防災公園用地は1ヘクタールです。以前は都市計画交付金の対象ではなかったわけですが、都市計画交付金の対象は2ヘクタール以上から1ヘクタール以上に変更になったのはいつですか。
○奈良政策室副参事(予算担当) 変更になりましたのは平成19年度からでございます。
○篠委員 これは区長会では平成2年あたりから20年近くにわたって、このようにしてくれという強い要望を出していたんですが、平成19年度からということです。これは、さきの都議選においても我々が推した川井候補、もう候補じゃないんですが、ぜひ力強くこの交付をとるという、辣腕を振るうようにという強い何年にもわたる後押しをしたんですが、中央線以南に公園用地を取得することは大変難しい。何としてもここで変えるのだという、ここで大変力を発揮したと区長自身が高く評価した案件なんですが、この本町五丁目公園用地、都市計画交付金を活用し、整備は整っているわけですが、仮に今でも都市計画交付金の基準が2ヘクタールのままであれば、この交付金は使えなかったわけです。この場合、整備にかかる財源142億円、どのような対応をすれば実現できたのか。
 私が議員になったころ、まだバブルのはじけなかったころですが、何としてもここを開発したい。収入役になられた藤原さんが、前、予算課長のときでしたが、最初の予算にどうしても500億円積み上げて、貯金をつくって対応するんだという、総務委員会で披瀝されまして、そんな調子がいいことばっかりあるわけないだろうと。1年生か2年、2回生ぐらいだったんですけど、世の中そんな甘いはずないという強い意見を申し上げたことがありました。仮にそういうものの場合、まんまでしたら、どんな数字のシュミュレートができますか。
○奈良政策室副参事(予算担当) 仮に都市計画交付金と特別区交付金の財産費の仕組みが使えないと、活用できないといたしますと、特定財源は国庫補助金のみとなりまして、用地取得費の3分の1ということになってまいります。用地取得費が142億円といたしますと、国庫補助金は3分の1の47億円余り、残り95億円余りを区の一般財源で賄うといったことになってまいります。この区の負担分、通常は起債で対応してまいりますので、起債残高が高まってくるといったことですとか、長期にわたって償還を行ってまいりますので、一般財源の負担が重くなるということが考えられるというふうに思います。
○篠委員 平成24年度当初予算では、財政調整基金取り崩しが57億円、決算では取り崩しが15億円となっているわけですね。長沢委員がかなり踏み込んで質問されていたようですが、なぜこのような見込み差が出たのかを再度お聞きしておきます。
○奈良政策室副参事(予算担当) 予算の執行段階におきまして、さまざまな執行方法の工夫によりまして経費の節減に努めたといったことがございます。また、当初予算で見込むことができなかった補助金を獲得するといったことなど、歳入の着実な確保を図ったということで、結果といたしまして、当初予算に計上した57億円余の財政調整基金からの繰り入れを15億円に抑制することができたということでございます。この結果、財政調整基金の年度末残高としまして199億円余りを確保することができまして、持続可能な財政運営につながっていくというふうに考えてございます。
○篠委員 また一般会計において、特別区債も当初は63億円の発行を予定していたわけですが、決算では35億円となっておりますね。この見込み差は何ですか。
○奈良政策室副参事(予算担当) 24年度に起債の発行を予定してございました本一高齢者会館整備におきましては、年度途中において都の補助金が確保できたといったことから、起債を取りやめてございます。また、四季の森公園拡張用地の取得に当たりまして、国庫補助金をより多く確保するため、2年間での一般会計の引き取り、2年間で分割して引き取るといったことに変更したことから、起債の発行を一部見送ったといったものがございます。そのほか、事業規模の変更に伴いまして起債発行を抑制したものもございます。こうしたことによりまして、当初予算の段階で63億円発行を予定してございましたが、決算では35億円になったということになりまして、これによりまして、起債に伴う利子の負担軽減ですとか、起債発行の手数料の縮減、または翌年度以降の公債費負担比率を抑えることにつながっているといったことになってございます。
○篠委員 この分だけ、今まで申し上げた質問の部分だけで、さらにいろいろな部分で踏み込まなきゃいけないんですが、監査委員の意見、これだけごらんになった区民の方は、かなり厳しいという捉え方をする可能性があるわけですね。我々、きのう、きょうの話を聞いていますと、かなり丁寧なやりとりで、必ず乗り切れると、乗り切ったという認識も持てるわけですが、監査意見のまとめの部分をどのように評価していますか。
○岩浅経営室副参事(行政監理担当) 監査委員の意見書におきましては、経常収支比率、公債費比率の上昇について書かれておりまして、区債の発行や償還、基金の積み立てと取り崩しにつきまして説明を行うことで、より健全で効果的な財政運営に努められたいというような意見をいただいております。また、財政の体力強化といたしまして、基金の取り崩しの抑制ですとか、歳入確保の取り組みについても記述をいただいているところでございます。経常収支比率ですとか公債費比率といった指標が高い数値をあらわしているということは事実でございまして、これまで区の健全性は担保されているという御説明をさせていただいておりますけれども、財政が厳しい状況にあるということはあり、監査委員の意見書にあるような区債や基金の計画的な活用、歳入確保の取り組みというものが必要であるというふうに区も考えておりまして、取り組みを進めていると。その内容といたしまして、公園整備に向けた用先債の活用、その分割償還することによって、国・都の補助金等を確保していこうという、この取り組みの内容について説明をさせていただいております。
 意見書に記載のあります区の財政体力の強化につきましては、必要はございまして、中長期的な視点で取り組む必要があるという認識は監査委員、区の意見としても同じ認識をしているというものでございます。
○篠委員 やはり我々も乗り切るための心配といいましょうか、議会としても鋭くお互いに突いて、中野区の運営にぜひいきたい、このように思っております。ありがとうございます。
 職員2,000人体制下の人材確保について質問させていただきます。
 区の一般、技術職の現状について、他の23区との比較で傾向をお教えください。また今後、一般、技術職をふやしていく予定はあるのかもお話しください。
○角経営室副参事(人事担当) 平成24年度の土木、建築、機械、電気の技術職が総職員数に占める割合で比較させていただきますと、23区平均が7.2%でございます。中野区はこの数値が5.6%となってございます。平均を下回っているということですので、他区と比べると、こういった技術職の数が少ないという状況がございます。
 それから、二つ目の今後の技術職の見込みについてでございますが、例えば中野駅周辺のまちづくりだとか、西武新宿沿線まちづくり、それから、弥生町だとか大和町で行います防災まちづくりの事業に伴いまして、これらの状況に的確に対応するため必要となります技術職数を確保していくという考えでございます。
○篠委員 区の業務の中で民間活力が入ってくる傾向がふえているわけですが、そういった大きな社会状況となっている時代であるとも認識しているんですが、具体的な例として、建築確認申請の業務についてお伺いしますが、建築確認申請の件数、区の件数と民間の件数の比較でお教えいただけますか。
○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 平成24年度の実績で見れば、民間確認検査機関の取り扱い件数は1,276件、中野区の取り扱い件数は116件でございます。
○篠委員 今までは全部中野区でやっていたんだと思うんですが――今までって、去年までという意味ではなく。この審査期間が民間のほうが早いとかというような状況は出ているんですか。
○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 建築主事を置く行政庁の法定審査期間としましては、4号物件と呼ばれる主として木造2階建てについては7日間、それ以外の1号から3号までの物件については35日以内に審査するということになっております。民間検査機関にはこのような建築基準法上の規定がございませんので、契約約款によるところが多いと考えております。このため、民間検査機関では事前に申請書類等のチェックを行い、修正等が終了した時点で正式な受付を行うところが多いとも聞いており、そのために統計的には審査期間が短くなっているというような形になっております。
○篠委員 手数料はどうですか。
○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 手数料についても、各検査機関で独自の体系を築いているというふうに聞いております。そのため、区よりも安い検査機関があるというのも事実でございます。
○篠委員 最終の検査は区が行うんですか。
○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 原則、中間・完了検査につきましては、建築確認を引き受けた機関で行っているところでございます。
○篠委員 問題になった姉歯の件なんかが思い出されるわけなんですが、ああいったときの責任は、区に出されたものだったら区が責任者、民間に出されたものだったら民間が責任者、こういう認識でよろしいんですか。
○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 原則、民間検査機関が確認したものは区の建築主事が建築確認をしたものとみなすというのが、これまでの裁判所の判例でございます。
○篠委員 ということは、判例に基づけば区が責任をとるの。
○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 場合によってはそのような事態が生じることもあります。
○篠委員 かなり危ないですね。じゃあ、何で民間が行うようになったか、この理由は何。
○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 民間開放前は年間約1,200件前後、建築確認を担当者6人、係長2名で処理してきたところですが、建築確認の中には、いわゆる典型的な審査の部分、法律に照らし合わせればすぐ照合ができるような内容等も多い部分もございますので、そういった部分にあっては民間でもできるのではないかということで開放されたと。そして、行政庁における建築行政の役割を違反建築の取り締まりに振り向けるべきだというのが当時の考え方だと聞いております。
○篠委員 今はあまり問題ない……。間違いを起こしたら区が責任をとるというのはどこの判決、出た判例ですか。
○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 横浜で起きた事件でございます。
○篠委員 この2,000人体制下の人材確保ということで質問を立ち上げていますので、あまり今のやりとりを詰めていきますと、裁判所が判断するぐらいの問題になる可能性もございますので、それ以上は立ち入らないことにいたしまして、今後とも、現在区が行っている業務を今後とも、現在区が行っている業務を人海戦術で行っていく流れというのはもうないというふうに私は思うんですが、例えば、区の受付部分だけを外部委託化するというようなこともあり得る、想定はできるという時代が来るんだと思うんですが、そうなっても、人件費は減りますけど、委託費の物件費となって、やっぱり体力を圧迫する材料になることは確かなわけですね。今後の業務の進め方について、区はどのような認識に立っていらっしゃるのか。
○中谷政策室副参事(情報・改善担当) 業務の委託化や民営化、指定管理者制度の導入などによりまして、民間活力を活用し、効果が出ると考えられるような業務につきましては、積極的に外部委託化などを進めていく必要があるというふうに考えてございます。
○篠委員 また、今後どのように検討、事業見直し等行っていくのかをお伺いします。
○中谷政策室副参事(情報・改善担当) それぞれの業務ごとに、外部委託化の手法ですとか、委託料などコスト、それから、職員数がどのぐらい削減できるかといった効果、それから、法的な問題点がないかなどを検討いたしまして、外部委託化の諾否を検討してまいります。
○篠委員 また、平成27年4月で職員2,000人体制を達成するという行動をとっているわけですが、その後の職員数についてはどのように示されるのかをお伺いしたいと思います。
○角経営室副参事(人事担当) 2,000人体制達成後の職員数などにつきましては、現在検討しております中長期的な職員定数計画によりましてお示ししたいというふうに思ってございます。
○篠委員 精力的に議会にもぜひ提出していただきたいと思うわけです。よろしくお願いします。
 それでは、次に、首都直下地震への備えについて質問させていただきます。
 中野区のまず現状についてですが、中央防災会議では首都直下地震の被害想定について、焼失家屋数は65万棟、火災による死者は6,200人と想定しているんだそうです。実災害を見ると、1995年、阪神・淡路大震災では7,000棟が焼失して500人が亡くなり、最も比率が高い27年の北丹後地震の京都府峰山町では1,000棟が焼失して800人が焼死された。こうした実態から、1,000棟が燃えると100人の犠牲になる可能性があるという研究もあるんですが、中野区の被害予測はどの程度なんでしょうか。
○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 平成24年4月に東京都が公表いたしました首都直下地震等による東京の被害想定によりますれば、中野区の地震火災による被害は、最も大きな被害が想定される東京湾北部地震におきまして、焼失棟数が7,222棟、火災を原因とする死者数は133名とされております。死者の発生要因といたしましては、出火家屋からの逃げおくれ、倒壊後に焼失した家屋内の救出困難者、延焼拡大時見守り等を想定されております。過去の災害における数字等を用いて推計されると聞いております。
○篠委員 東京都では地震に関する地震危険度調査結果を公表していますが、中野区の場合、注目すべきなのは火災危険度であろうと思われます。中野区の火災危険度の状況はいかがですか。
○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) 今、委員御指摘の地域危険度、火災危険度等でございますが、これは昭和50年から東京都がおおむね5年ごとに内容の見直し、公表しているものでございます。これは実は今週火曜日、第7回目が公表されたばかりでございまして、内容は多岐にわたりますので、本定例会中の所管委員会で詳しく説明をさせていただきたいと考えております。
○篠委員 かなり前に発表されたままということですが、特に火災危険度の高い地域では、地域危険度調査結果を積極的に継続的に地域防災会議等に情報提供して、地域の実情に応じた訓練を行うなど、震災時の取り組みに役立たせることが必要と考えるわけです。事実、北区のあるまちでは、毎月ポンプの訓練をするというほど、危険度は5とか言っております地域ですけど、やはりそういった具体的な行動に結びつく例もあるわけですが、この辺をどう考えていらっしゃいますか。
○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 現在では平成20年のデータを使っておりますが、東京都が公表しております地震に関する地域危険度調査結果、こちらは避難所や広域避難場所を地図上に明記いたしましたパンフレット、中野の防災というものにあわせて記載をさせていただいております。また、ホームページにも一覧表を掲載して周知を図っていたところでございます。従来から、特に火災危険度の高い地域には街頭消火器を増設するなどの対応を進めているところですが、今年度は一層の充実を図りますため、危険度の最も高いランク5の地域の防災会様に消火栓を活用いたしました初期消火資機材でありますスタンドパイプを整備することとしたところでございます。
 今後も、地震に関する地域危険度調査結果を活用いたしまして、危険度の高い地域防災会へは積極的な情報提供を行いまして、整備したスタンドパイプ等が有効に活用されるような訓練を実施する等、取り組んでいきたいと考えているところでございます。
○篠委員 もう既に具体的な行動をされているという認識でよろしゅうございますね。
 次に、広域避難場所へ避難する場合は、避難所等に集合してから広域避難場所に皆がそろって避難すると認識している住民の方が多いようです。火災が迫っている状況では、自分の判断により直接広域避難場所に避難することの重要性をもっと指導すべきであると思うんですが、いかがですか。
○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 延焼拡大等によりまして、身に危険が迫っている状況に際しましては、各自の判断により、指定された避難場所等に限らず、安全な方向へ避難することが非常に重要であると考えております。中野区の地域防災計画(第39次修正)に当たりましても、この点について記載を追加したところであります。さらに区民への周知に努めていきたいと考えているところでございます。
○篠委員 よろしくお願いします。
 広域避難場所の選定には、区域面積おおよそ5ヘクタール以上が目安となっているそうですが、実際に重要なのは避難有効面積と避難計画人口であると思います。この部分について、中野区が関係する13カ所の広域避難場所についてはどのような状態であるのか。また、そもそも5ヘクタールという目安でよいのかというところもあるわけですが、さらに区民の安全のために指定を受けるよう都に働きかけていくべきではないかと思いますが、いかがですか。
○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 中野区に割り当てられました区外の広域避難場所を含めました避難有効面積は約80.7ヘクタール。計画では、他区の区民を含めまして避難する人口は54万人余りとなっております。本町五丁目公園周辺一帯が広域避難場所に指定されましたように、適地がある場合に、身近な地域で身の安全が図れますように広域避難場所の指定を図っていきたいと考えているところでございます。
○篠委員 次に、高齢者、障害者の支援強化についてお伺いしますが、中野区では避難所の開設は収容救援者が多数見込まれるとき、区長が必要と認めたときとありますが、震度5以上で防災会等避難所の関係者が必要と認めたときは区長が認めたものとみなし、開設することとなる、こういうことです。しかし、東日本大震災のときは震度5であったにもかかわらず、避難所を開設しようとする動きは全く見られませんでした。被害は少なかったが、意識としては区の職員も防災会も、被害状況の把握と避難所の開設等に向けて積極的に活動を始める必要があったのではないかと考えているところです。内閣府が公表した避難所における良好な生活環境の確保に向けた取り組み指針によれば、避難所運営について、市町村が中心となり、学校等施設の管理者、自治会、防災会との間で日ごろから協力関係を構築しておくことが望ましいとされています。この部分について見解、日ごろからの取り組みについて確認いたします。いかがですか。
○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 発災時に円滑な避難所運営を行うためには、日ごろからの関係者間の連携が非常に重要であると認識しております。区では、学校等の施設管理者、地域の防災会、区職員などにより構成されます避難所運営会議の開催を推進しております。避難所の運営マニュアルの作成や避難所開設訓練の実施など、平常時からの取り組みを実施しているところでございます。今後もこうした取り組みを進めていきたい、このように考えてございます。
○篠委員 内閣府から、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取り組み指針が公表されたわけです。避難所における高齢者、障害者への支援強化が求められていますが、東日本大震災では高齢者、障害者の助けが必要な人ほど避難所にいづらかったとの報告もあるわけです。区では、避難所の開設に当たって、災害時要援護者に対する対策はどうなっておりますか。
○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 避難所におきまして、災害時要援護者の方が安心して生活できる一定の環境整備が必要であると考えているところです。各避難所の避難所運営会議に当たっては、できるだけ下の階に災害時要援護者用の部屋を男女別に設けることや、運営に当たりまして、高齢者、障害者などの災害時要援護者の方への配慮を行うこと等につきまして、地域の理解を求めまして、避難所運営マニュアルにも記載するように進めているところでございます。
○篠委員 もう、この部分についてはかなり具体的ですので、相当しっかり取り組まないと、いざというときにはなかなかこの対応が一番難しいようにも思われます。
 次に、備蓄についても、高齢者、乳幼児、女性に配慮したおむつや生理用品、食物アレルギーに配慮したアルファ米等の白米や、牛乳アレルギー対応ミルク等の備蓄が求められているということですが、区の対応はいかがでございますか。
○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 現在、おむつや生理用品等の生活用品、あと、おかゆ、アルファ米、粉ミルク、流動食など、食料を災害時要援護者の方々のための備蓄用物資として用意しているところでございます。区としても、必要な品目や量、確保の方策につきまして引き続き検討してまいりますが、あわせて、区民の方自身の備蓄についても普及・啓発に努めてまいりたいと考えております。
○篠委員 よろしゅうございます。ありがとうございました。
 次に、教育問題に入らせていただきます。
 今年度の東京都の結果は改善が見られるとの報道があったわけです。また各新聞、上位が固定化、あるいは――東京は上位には入っていないんですが、それでも東京は改善が見られたと報道がありました。中野区の結果はどうだったんでございますか。
○川島教育委員会事務局指導室長 平成25年度の全国学力学習状況調査におきましては、実施した教科は国語と算数、それから意識調査が行われたわけなんですが、結果は、今、委員が御案内のように東京都の正答率は全国の正答率を上回っております。中野区の結果を東京都と比較いたしますと、小学校、国語、算数、それから中学校の数学で東京都の正答率を上回っております。また、中学校の国語は東京都の正答率とほぼ同等という形になっております。
○篠委員 いいことだとは思うんですが、中野区では学力向上のためにどのような取り組みをしていらしたかについてお願いいたします。
○川島教育委員会事務局指導室長 中野区では、学力向上の取り組みなんですが、主なものとして、都の加配教員を活用した習熟度別の少人数指導、それから、区の学力向上アシスタントを活用した個に応じた対応、それから、学力調査の結果を分析して、各学校ごとに授業改善推進プランというものを作成しております。また指導資料として、幾つかあるんですが、「家庭学習の手引き」、それから「学習規律の手引き」などを作成して、各学校での活用、それから、保護者への啓発にも取り組んでいるところです。
○篠委員 中野区のメインテーマである小中連携についてはいかがですか。
○川島教育委員会事務局指導室長 今年度から小中連携教育を進めまして、その中で学びの連続性、小学校と中学校の学習のあり方について、現在取り組んでいるところです。この成果が見られてきますと、学力向上にも資するというふうに考えております。
○篠委員 各新聞も社説で全国学力テストについては取り上げて、それぞれコメントを出していますですね。やはり今、指導室長がおっしゃられた家庭での授業の復習をしている部分、これは読売の社説ですけど、調査開始以来、家庭での授業の復習をしている子どもの割合が増加していると。今回、小・中学校とも5割になったのは一定の前進だ。学校や自治体がテスト結果を保護者に丁寧に説明し、課題を共有する。それが保護者の理解を深め、家庭学習の充実にもつながると、社説の結びに使っているぐらいですが、中野区では既にこういった取り組みがされているようなお答えを今いただいたところです。
 ただ、この学力テストと同時に行われた意識調査というのがあるんですよね。ですけど、読売の社説によれば、中学生の1割近くが授業でわからないことがあったとき、先生にも友達にも尋ねずにそのままにしておくと答えた。義務教育の最終段階の大事な時期だけに、気がかりな調査結果であるというくだりがあるんですが、中野区の教育委員会のほうでは、この部分に触れて何かコメントありますか。
○川島教育委員会事務局指導室長 まず、学力調査が返ってきますと、一人ひとりの個票というのが戻されますので、その個票を示しながら、足りない点だとか、今後の改善点などは個別に指導しているところであります。また、先ほど申し上げた「家庭学習の手引き」には、家庭でどういう勉強をしたらいいか、またはどのくらいの時間を目安にしたらいいかということを細かく例示しまして、それは子どもに対する指導もそうなんですが、保護者にもお伝えして、学校と家庭と連携した形で子どもの学力向上に努めていきたいというふうに考えております。
○篠委員 意識調査のことにも触れていただきたかったんですけど、それについてはいかがですか。
○川島教育委員会事務局指導室長 意識調査は、先ほど委員がおっしゃったように、家庭で学習しているお子さんと、そうでないお子さんとでは大きな差があるということを、先ほど申し上げた「家庭学習の手引き」には、なぜ家庭で勉強する必要があるのかというところで強く訴えているところであります。
○篠委員 これまでの全国学力調査、中野区独自の学力調査では、全国のほうは6年生と中学3年生ですよね。中野区独自の学力調査では、これも必ずやっているわけだと思うんですが、中学校の学年が進むにつれて成績が下がるという傾向が今も続いているのか。それで対応をされているのか、その辺に触れてお答えください。
○川島教育委員会事務局指導室長 全国学力調査は小学校6年生と中学校3年生ですが、区の学力調査は小学校2年生から中学校3年生まで毎年行っています。今、委員御指摘のように、中学校になると少し成績が下がる傾向というのが見られる教科が複数あることは事実であります。それに対する対応なんですが、先ほど申し上げた習熟度別指導、特に中学校は数学だけではなくて、その他の教科についても教員の配置を都のほうに申請しまして、現在、全体で英語が7校、理科が5校、国語は1校、数学は9校という形で複数の教科で配置をする形で、少しでもきめ細かい指導に取り組んでいるところです。
○篠委員 大切なことですので、引き続きしっかりと取り組んでいただきたい、このように思います。
 次に、改正教育基本法“無視"の教科書検定についてと。これはかなり過激な題ですが、私が読んだ論文の中からそのまま使わせていただいただけで、中野区がそうやっているということを強く指摘しているわけではないんですが、実際に教科書をつくられた方のお話の中に、教育基本法改正の前から編集趣意書というのはあったんですが、それまでは一種の宣伝パンフレットのような役割だった。改正後は検定手続の中で、詳しくなった教育基本法第2条に書かれた条項、公共の精神とか、国を愛する態度などの内容と、それを取りあげた教科書のページとの対照表を書かなければならなくなったと。室長、これを見せていただいたんですが、編集趣意書というもの。教育基本法第2条第1号、「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」。教科書に書いた、何ページの何行目で書いたと。特に意を用いたページや特色という欄もあって、それにも記入して出さなきゃいけない。この作業を全教科書会社がしたんだそうです。
 ところが、室長もその内容を入手できなかったとおっしゃっていますが――内容自体ですよ、こっちのね。書式は日本工業規格A列4番とかって出ているんですけど。このページと特色について、文科省の審議官自体が全然無視しちゃった。要するに、誠実にそれに対応していないという見解を――自分で教科書を出したから、ほかのところは誠実にやっていないというその人の見解なんだとは思うんですが、この部分にも触れて、中野区の教科書を採択するに当たっての部分に触れさせていただきますが、最近、高校の教科書で教育委員会が、要するに各学校に何らかの指令を与えたということが、これも各新聞社の社説で取り上げるような部分になったわけですけど、根本的には、最終的に教科書採択の最終権限は教育委員会にあるのだ、これは小学校、中学校でもそうです。高校の現実もそうなのかどうか、まずそこからお答えください。
○川島教育委員会事務局指導室長 高等学校は私の管轄じゃないんですが、地教行法で定められておりますように、教科書の採択権限は、学校を設置する地方自治体の教育委員会にあるというふうにされておりますので、東京都の場合であれば、東京都教育委員会が最終に決定するというふうに考えます。
○篠委員 学界自体に、いや、そうじゃないんだという――小・中学校についてそれに反論する学者はいないんですけど、高校については、そうじゃないんだという、慣習的に各学校が決めるんだといったような論陣を張る学者もいることは事実なんです。ですけど、今、指導室長がおっしゃったように、普通に解釈すれば、教科書を選ぶ権利は誰にあるのか。地方行法、教育委員会では、教育委員会の職務権限として、教科書その他の教材に関することを挙げており、県教委は採択権の根拠としていると。しかし、神奈川大学大学院の安達教授は、これは具体的な権限を示す規定ではない。学校は教育委員会の下部組織でなく、教材を選ぶ自由は教育機関である現場にある。教委は上に乗ってくるんじゃなく、各学校をサポートすべきだという指摘をする学者もいることはいるんです。
 我々は、今までも教科書選択、教科書を選ぶということに関しては、高校のレベルの考え方じゃなくて、中野区が誠実に教育委員会の、教育委員の責任において選び切ったかということについて的を絞って、今からお話しさせていただきますけど、質問させていただきますけど、新しい教育基本法ができたのは平成19年の12月ですよね。それで教育三法もそのときに変わって、文部省の検定の書式自体を、変わった部分については、こういうページにこういう趣旨で書いてあるという書類を提出させているわけです。それぞれ、それを提出しなければ検定は通らないという状況ですね。
 我々も、変わったその部分、具体的に言うと、教育委員会が定める中野区学校教育図書の採択に関する規則に出ているわけですけど、これが平成12年12月22日につくられているんですが、平成19年に文科省も要するにリニューアルした。何十年も手つかずだった教育基本法が変わったことにより学習指導要領も変わったということで、それに中野区はフィットした規則になっていないという指摘をさせていただいたんです。文科省でもそういうふうに、変わった部分について誠実に取り上げているかどうかは、やはり具体的には教育指導要領の、指導要領の目標にいかに誠実に対応した教科書であったか。あの膨大な教育委員会の、教育委員の選定に対する資料を読ませていただいても、そこに立ち向かう誠実な姿は私には受け取れなかった。その受け取れなかった最大の原因が、この規則を変えないで教科書選定に臨んだことであるだろうというふうに指摘させていただいたんです。
 そして、その2条の2に至っては、2の2の4に至っては、区民並びに区立学校の校長、副校長及び教諭の意見の反映に努める、こう書いてあります。これはまさに陳情合戦をしたときの、我々と立場を別にする方々の最終結論だと。これをこういう書き方のままで教科書採択に臨んだことについて、私は大変危惧をしたわけです。もっと具体的に、そして何百冊というものを読むことはほとんど不可能であろうから、法律的に認められた委員会での誠実な審議を事務局が、少なくとも事務局がもう少し丁寧に詳しく教育委員が選べるような状況をつくり出す。ただ議論だけじゃなくて、そういったところが私はぜひ欲しかった。そういった書式にまで立ち、まずこれを変える意思があるのか。
 それから、もう一つは、教育委員が500冊以上の本に目を通すことはなかなか難しいと思うんですけど、その比較が短い時間でも、期間も短いし、あの期間にできるような行動をとる意思が教育委員会事務局、あるいは教育委員会にあるのかどうか、ちょっとその辺についてコメントを。
○川島教育委員会事務局指導室長 まず、教科書の採択については、今、委員がお出しになりました規則、中野区立学校教科用図書の採択に関する規則というのがありまして、その第2条第1項には、どういう教科書を採択すべきかということが書いてあるんですが、学習指導要領の目標達成に適したもの、それから、教育委員会が定める目標達成の実現を図るものということが示されています。ここで言う学習指導要領ですが、当然、教育基本法を受けた、編集された学習指導要領ですので、教育基本法、改正されたものの趣旨に基づいた教科書が採択できるというふうに考えます。実際に採択に当たっての教育委員会の手順等、細かく調べてみますと、冒頭に調査委員会の委員長のほうから、改正教育基本法の第2条、教育の目標が新たに加わった内容が欠かせない観点であるということが示されていまして、その詳しい内容について、例えば、第5項のどこかについてはどうだとかということで、領土問題も含めまして細かなことが報告されていますので、一応、この現行の規定においても十分に対応できているというふうにも考えますが、多角的視点から確認をしていきたいなというふうに考えます。
○篠委員 いずれにしましても、教育委員さんのところに陳情合戦なりがある場合は、激しい意見と激しい意見の戦う場面になる可能性は十分あるんです。ですけど、教育委員さん自体が選ぶという本当の趣旨の中には、選挙で選ばれた区長が任命して、さらに議会の承認を乗り越えて教育委員になられるというシステムは何を意味するだろう。激しい方々の意見を体にしょって決断を下すんじゃなく、本当に落としどころはここなんだということが教育委員さんに任せればできるという状況を狙っているものなんです。やっぱり教科書選びについても最終決定者とされているのであれば、検定が通ったからみんな同じだなんていう粗っぽい議論じゃなくて、いかに誠実に、どの教科書がいかに誠実にそこに迫っているかということが区民にも開示できるようなシステムをぜひ構築していただきたい。これを要望しておきます。
 「はだしのゲン」についてなんですが、これも各新聞の社説の取り上げるところとなったわけですが、下村文科大臣のコメントは至って温厚なもので、どこかでとめちゃうとかというものじゃなく、それぞれしっかりとした姿勢で判断して、年齢に即した行動がとれているかというようなところもしっかり目を届かせてくれというコメントを出されていますね。まさにそのとおりだと思うんですが、内容については、読売新聞もかなり穏健な発言の中にも、3,000万人殺したとかという、やはり事実の裏付けがないことが野放しになっちゃうということは、表現としてはわかる。こういう激しいものである。実数を言っているんじゃなくてね。ですけど、やはり我々が考えても、世界的にそれが、これは600万冊以上売れた本ですから、英語版にもなっているとお聞きしていますし、世界中に回れば――事実ではないとかということじゃないものがひとり歩きするおそれもあるし、またそうじゃなく、描写の激し過ぎる部分については小学校ではいかがなものかなというような部分もあるかもしれない。そういったことについて、中野区の教育委員会で議論に上がったことがあるかだけお聞きします。
○川島教育委員会事務局指導室長 この本が全国的に関心を呼んでいるということは承知していますが、本区の教育委員会において、特定の書籍に関して何らかの議論があったということはこれまでもないというふうに考えております。
○篠委員 教育委員会は、例えば一つの陳情が出ると、それを誠実に対応しなきゃいけないという場所でもあるんですが、また、それに負けじと陳情合戦になる場所にも事実なっているわけですね。法律に則っていますから、教育委員会、何しているんだという切り込みはなかなか難しいんですが、やはり、こういうときには中野区としても姿勢を問われたときには答えられるように、中野区は何にも考えていなくて、放ってありますという答えしか出てこないようでは、いかがなものかなとも思えますので、個別については云々というところもわかりますけど、今後の対応を期待したいと思います。
 お昼までやります。それで全部終わるようにしますので。その前に聞いておきたいことがあって、時間があるようでしたらまた、その他にも触れるということで、先に進みます。
 中杉通りのことなんですが、私はかなり何回も切り込んでいるんですが、いつも答えの途中で、都議会でまだ発表していないので、その答えは勘弁してくれという答えしか返ってきていない。今回も多分にそういうところなんですが、私が入手した三建の7月22日の書類では、7月下旬から測量作業契約に係る公表を行う。測量作業をもとにして国の事業認可を平成26年、27年度に取得することを目指す。27年度ときったところは、恐らく第3次事業化計画なんだろうと。それから、中杉通りの安全面での課題解消と防災機能の強化に向け、白鷺区間を鷺宮区間に先行して事業化を図る。鷺宮区間については、西武新宿線連続立体事業やまちづくりが具体化した時期を捉えて事業化を図る。これだけ具体的であるけど、不思議に中野区には――中野区が入手していないのに、私が入手したんです。というのが意外に、東京都と中野区の連絡、事実なんだそうです。
 ところで、ここで言う第3次事業化計画優先路線、第3次ですからね。1期が何年で、この第3次は何年から何年までで、どんな内容のものかをまずお話しください。
○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) 都内の都市計画道路につきまして、おおむね12年間で着手または完成すべき路線を選定した事業計画を、これまで東京都と特別区が共同して策定してきております。昭和56年に第1次事業化計画を策定して以降、平成16年に第3次事業化計画を策定しまして、平成27年度までに優先的に整備する路線を選定したものが、今、委員御指摘の第3次事業化計画優先路線でございます。
○篠委員 この中野区内の――あと2年ですよね、26年、27年。中野区内の第3次事業化計画優先路線というのはどれとどれで、内容はどのようなものだったんでしょうか。
○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) 中杉通り以外の第3次事業化計画優先路線でございますが、都の施行する路線としましては、青梅街道、中野通り、早稲田通りなど五つの路線及び交差点部分の9区間、計4,060mがございます。ちなみに現在、事業認可の区間でございますけども、例えば中野五差路ですとか、中野通りの杉山交差点、それから早稲田通りの大和陸橋から新青梅の入り口まで、そういった区間がございます。それから、区が施行する路線としましては、もみじ山通り、本郷通り、四季の都市のF字道路等4路線がございます。
○篠委員 中杉通りの整備については、何かありますか。
○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) 中杉通りの今後の整備の予定でございますが、東京都から具体的なスケジュール等聞いてはおりませんけども、申しましたように、第3次事業化路線になっていることから、平成27年度までには事業着手されるものと認識をしてございます。
○篠委員 ありがとうございます。恐らく、もう少し具体的な情報が都議会の定例会が終わったころには我々も全員の知るところとなるんだと思います。地元説明会についても、具体的に我々、その地域にいてもなかなか情報が入ってこないような状況ですので、近いうちに、今後とも見守っていきたい、このように思っております。ありがとうございます。
 子宮頸がんワクチン予防接種について、幾つか質問いたします。これはむとう議員もやっていたんですが、私は平成22年第4回定例会で、疑問だらけの子宮頸がんワクチンを問うという質問をさせていただいたんですが、私の後援会からかなり怒られ――そんな過激なことを言ってどうする。私は反対ですという役員の女性に激しく怒られたことがあるんですが、私はそういう意味で申し上げているんじゃなくて、要するに、性道徳が乱れなければ――結婚はこっちへ置いておいて、性道徳が乱れなければ、関係ないだろうと。そっちに本気で取り組むのが学校現場の役割だろうという趣旨の説明――それはもう乱れ過ぎちゃってどうしようもないというんであれば別なんだけど。いや、そうじゃないだろうという趣旨の質問をさせていただいたんです。それで、いや、もう直ちにやめちゃえという――。大新聞も取り上げざるを得ないような状況にまで、地方議会発で陳情。23区は継続はあっても採択というところはないんですけど、23区以外ではあるんですよね。それで全国的にもある。
 そんな中で、このワクチンというのは、現実問題、日本人にはどのぐらいの割合で効果があるんですか。
○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 平成22年4回定例会で答弁いたしましたとおり、大体50%から70%ぐらいというふうには言われております。
○篠委員 50%。大分下がりましたね、私と話しても。50%から70%で、間ぐらいだという認識でいいですね。はい。うなずいておりますので。
 要するに、この問題については、本気で、講演会があるから来たらどうですかという誘いも受けたんですが、この方、佐藤荘太郎さんという先生は、かなりこれについて厳しい見解を持っている方で、子宮頸がんワクチンの重篤反応が相次ぎ、厚生労働省ワクチン検討部会は、このほど接種の積極的勧奨を中止した。今回、厚生労働省専門部会の決定で子宮頸がんワクチンの積極的勧奨をしないことになったと。これは5人の委員の間で決をとったら3対2だったそうです。それで、副反応の被害が出たら、具体的にはどこが責任をとるんですか。
○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 現在のHPVワクチン、子宮頸がんのワクチンは、いわゆる予防接種法上の定期接種となっておりますので、国がそれは補償するスキームとなっております。
○篠委員 ことしだけですか。
○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 今年度からそういうスキームになっておりまして、昨年度より前は医薬品医療機器総合機構というところの救済スキームがということです。
○篠委員 やっぱり一言一言で責任の場所が違っちゃうんですね。
 それはちょっとおきまして、混乱しているのはむしろ接種を一、二回受けている人たちだと言われています。似たようなケースとして、2011年3月上旬にヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンで4人の赤ちゃんが立て続けに亡くなり、一時接種中止となったわけですが、その年の4月になったら、なし崩し的に再開され、現在も続けられている。このような経過をたどりかねないかと、佐藤荘太郎医師はおっしゃるわけですね。
 厚労省の専門部会の判断で、疼痛に限って症状を絞り、情報収集を行うことになった。数カ月で結論を出すということになっていますけど、佐藤医師が言うには、本当は脳の障害のほうが深刻だという指摘を、かなり世界の実例を通して論陣を張っているんですが、国民を心配させたくないから、痛さのほうに限ってだけ数カ月で結論を出すと言っているんだという指摘なんですが、本当に疼痛に限った症状で数カ月で結論を出すという認識でよろしいんですか。
○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 厚労省の専門部会での議論が組まれるのかと思いますが、その辺の技術的な面についてはちょっと承知しておらないところでございます。
○篠委員 それでは、中野区の現状として、積極的勧奨は一時中止となったわけですが、この際の中野区の対応について、いかにして区民に周知を図ったのかをお知らせください。
○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 6月14日、これは金曜日だったんでございますが、金曜日の夜、かなり遅い時間に情報が入ってまいりました。ということで、6月15日、土曜日だったんですが、職員が出てまいりまして、その日の午前中に区のホームページに記載、また、医師会等医療機関への周知もその日の、その次の15日の午前中に済ませております。週明けの17日には全ての医療機関に、厚労省から送られてきましたリーフレット、これを送付するという対応をとっております。なお、区報への掲載は7月20日号に掲載となっております。
○篠委員 定期接種化された今年度における補助内容についてはいかがですか。
○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) ことしの4月に定期接種がスタートして2カ月半ほどで積極的勧奨中止ということになったわけでございますが、ことしの4月の医師会分の支払い実績、113件、5月が72件、6月が43件、うち6月は月の真ん中で積極的勧奨がストップしたわけなんですが、その積極的勧奨をやっていた14日までで27件、中止後で16件、7月は22件というふうに減ってきておるということです。
○篠委員 定期接種化前の平成23年、平成24年度の接種件数と、いわゆる今お金に触れられた補助内容はどのような内容だったのかをお聞かせください。
○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 大変失礼いたしました。25年度、定期接種になってからは、23区は全て全額公費負担というスキームになっております。23年、24年度の接種補助でございますけども、これは3回接種なんですが、1回につき8,000円の助成でございます。23年度、24年度は8,000円の助成。23年度が5,868件でございます。24年度が2,712件でございます。
○篠委員 我が会派と医師会との話し合いの中でも、この子宮頸がんワクチンについてはお話にのせたんですけど、医師会の先生にはもうほとんど、危機意識というものはほとんど感じられない。そんな状況で、恐らく副作用で大変人生を失ったぐらいのところまで来ている方々には、その場面は見せられないような雰囲気の中でのお話になってしまったんですが、やはりこの問題はしっかり周知して、今後も見守っていかなきゃいけないと、このように思っております。ありがとうございます。
 その他で何件かあるんですが、その他でそんな重い質問をされては困るというような直訴もいただいたんですが、またそれについては別の機会で質問をさせていただく、このようなことで私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。
○内川委員長 以上で篠国昭委員の質疑を終了します。
 ここで休憩にしたいと思います。1時まで委員会を休憩します。
      午前11時57分休憩

      午後1時00分開議
○内川委員長 委員会を再開します。
 休憩前に引き続き総括質疑を行います。
 甲田ゆり子委員、質疑をどうぞ。
○甲田委員 平成25年第3回定例会決算特別委員会におきまして、公明党議員団の立場で質問をさせていただきます。理事者の皆様におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。質問の順番は通告どおりです。
 まず初めに、1番、新たな生活困窮者支援について伺います。
 24年度の決算を見ますと、依然、厳しい区財政の状況がうかがわれます。その中でも、施策に関係なく義務的経費としてどうしても歯どめがかからないのが生活保護費の増大です。24年度の中野区歳出決算額は1,125億円でした。そのうち生活保護費の歳出は前年より9億円増の151億円となりました。過去20年をさかのぼってみますと、中野区の生活保護費はずっと右肩上がりで推移しております。20年前の平成4年には年間42億円であったものが増大し続け、ついに平成24年度は4倍近い金額になっております。決算資料の厚生30に、生活保護を受けている人数は24年度で月平均7,179人とあります。区の人口の2%以上です。ここ数年では新たな保護開始となる方が1,000人を超えています。反対に保護廃止となる方は600人から700人います。したがって、毎年三、四百人を超える増となっております。毎年8億円から9億円ずつふえる生活保護費、このまま増大し続ければ、区財政はとても立ち行かなくなってしまいます。
 昨今、不景気による収入の減少、離婚等によるひとり親家庭の増加、高齢、身体の障害や難病、精神的な病により就労が困難な方が多くなってきております。私も、よくそのような方の御相談を受けますが、核家族化により、支援してくれる身内も少なく、生活が大変な方がふえております。そこで、生活困窮者の支援についてお伺いいたします。
 生活困窮者というのは、一般的に経済的に困窮している人を指します。失業、倒産、離婚、詐欺の被害、配偶者との死別など、誰しもが陥る可能性のある状態です。まずは生活保護費受給になる前に適切な支援が受けられるようにすることが大切と考えますが、現状、中野区では生活相談の窓口に来られた方をどのような形で対応しているのか、伺っていきたいと思います。
 初めに、24年度、生活相談に来た方の人数と、そのうち生活保護受給となった方の人数と割合を教えてください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 24年度、生活に関する相談窓口にいらっしゃった方、実数で2,352人でございました。そのうち生活保護の受給となった人の数は1,027人、43.7%でございます。
○甲田委員 43.7%ということは、残りの56%ぐらいが、およそ半分の1,000人余の方が、生活相談には来たけれど、生活保護の対象外として帰られるということになります。相談に来られた方というのは、ある程度生活に困って来た方なので、生活困窮者ということになると思いますが、受給になった人は、ある意味よかったかもしれませんが、その帰られた困窮者の方たちはその後どうされたのでしょうか、伺います。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 経済的に窮迫の状態になっていらっしゃらない場合におきましては、主に精神的な課題をお持ちの方につきましては、すこやか福祉センター、また貸し付けの利用ができる方につきまして社会福祉協議会、それから、高齢者で住居の住みかえ等で御相談であれば住宅手当など、相談者のそれぞれの主訴によりまして、適切な部署や機関を御案内しております。
○甲田委員 生活援護から他のサービスに連携するなどの適切な対応で受給にならなかったのでしょうか。それを考えると、やはり保護に至る前の困窮者の時点で適切に手だてをしていくことが大切と言えます。反面、それでもやはり一歩手前の生活困窮者が受給しなければならない状況になるのは早いと感じます。
 生活相談には来たが、生活保護申請に至らなかった人というのはどういう理由が多いのでしょうか。把握されておりますでしょうか。あわせて、一旦帰っていただいても、結局また数日後に再度相談に来られるという場合も多いのではないでしょうか。伺います。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 生活困窮での御相談者で、初回の相談で生活保護の申請に至らないというケースのほとんどは、まだ預貯金をお持ちで生活保護の基準を上回っているというケースが大変多くございます。このような場合は、一定程度預貯金を消費した時点で再度の御相談を御助言しておりまして、かなりの御相談が繰り返されるという状況がございます。
○甲田委員 第2回定例会の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、生活困窮者自立支援法があります。一度、参議院選挙の前に廃案となった経緯のある法案ではありますが、この法案は再度、秋の国会で成立が見込まれていますので、成立すれば、平成27年度から施行がされます。既に各自治体でも準備が始まっております。この新法の対策では、生活保護に至る手前の生活困窮者の自立を促す支援のために、家賃補助の制度化、子どもへの学習支援、中間的就労の場の提供、きめ細やかな相談体制の創設、住居がない生活困窮者に衣食住を提供する事業の創設など、このような新たな支援策を各自治体の任意ではありますが、立ち上げていくことになります。自立相談支援事業、いわゆる生活困窮者のためのワンストップ型相談窓口の設置についてだけは、どの自治体も任意ではなくて必須の事業と伺いました。その他の事業についても、任意事業だからやれる範囲でということではなく、生活保護費の増大に歯どめをかけ、困窮者を救うきっかけとなる支援がうまく組み合わせられるよう、ぜひ積極的に、効果的に取り組んでいただきたいと思います。
 そして、もうじきこのような支援事業が本格的に始まることを考えると、今も毎日のように生活相談に来ている方々を他のサービスに連携した後が大事になると思います。連携する、つなぐというのは、単に他のサービスを案内するということではないと思います。
 そこで伺いますが、現在、生活相談の窓口から連携された他の部署、例えばすこやか福祉センターや住宅相談などにつなげた場合など、継続支援のためにどのような対応を行っておりますか。連携先の結果などは把握されていますでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 個別のケースの状況によりまして、連携先との情報交換を行いながら問題解決を図っております。また、他機関を連携する際には、また再度お困りの際はおいでくださいという御案内をしております。
○甲田委員 今後、新法の中で実施していくこととされています個人のシートをつくって個別にケアをするというところまではしていないということでよろしいでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 相談記録につきましては、紙の記録を作成いたしまして、再度の御相談があれば、またそこに書き加えながら、ケースの継続はございますけれども、その個人について、関係機関とのケースカンファレンスなどをするというような制度についてはできておりません。
○甲田委員 どんな支援によって生活保護に至らずに済んだのか、また、生活保護に至ってしまった場合、どんなサービスがあればよかったのかなどを個別に的確に把握していくことで、何が必要かが見えてくるのではないかと思います。生活保護受給に至る前の支援をしていくためには、他の部署とも連携する意味で、今後、生活相談の窓口においては、せめてどの部門に連携したのかなど統計的に把握ができれば分析もでき、今後の区の相談支援の強化につながると考えますが、いかがですか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 先ほど御答弁させていただきましたように、現在の相談記録は紙ベースでございまして、システム上で他機関の紹介先、また、その結果等について大くくりな集計しかできない状況でございます。今後は全体状況の把握、分析のためにデータの取りまとめ等について工夫を行っていきたいというふうに考えております。
○甲田委員 今はまだ記録をしているということにとどまるのだと思いますが、やはり分析のためのデータ化の準備は必要ではないかと思いますので、大変だとは思いますが、工夫をお願いしたいと思います。また、この新法の概要やモデル事業について、既に厚労省主催で自治体の担当者レベルの説明会があったようですが、その内容について簡単にお示しいただくとともに、主な課題は何か、教えていただけますか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 8月2日に全国の自治体を集めまして説明会があったところでございます。内容といたしまして、生活困窮者自立支援法で規定される新たな制度の概要の説明とモデル事業の概要の説明でございました。福祉事務所設置自治体において必須の事業とされる相談支援事業についてはアセスメント、また支援計画の作成、モニタリングなどを行い、複合的な課題を持つ困窮者への包括的な支援を的確に行うためにどのようにしたらよいか、全国68自治体で今年度モデル事業を行い、検証が行われます。また、任意事業とされます就労準備事業、学習支援など各種の事業につきましても、やはりモデル事業によりまして効果的な事業展開についても検証が行われる予定になっております。
 現時点で主な課題といたしましては、困窮者の規定をどのようにするか、また、その把握方法、また、全ての事業について委託が可能ということが想定されておりますが、受託できる事業者が果たしてあるかというようなことが現時点での課題というふうに認識しております。
○甲田委員 課題はさまざまあると思いますが、新たな事業だけでは救えませんので、既存のサービスを受け持つ担当部署それぞれの連携も重要と考えます。私はこれまでも何度か、担当間の連携、民間のサービスとの連携も含めて、困窮者、受給者の相談に総合的に応じられる部署なり室が必要と申し上げてまいりました。自立支援の相談窓口をつくる場合には、生活援護分野だけではなく、連携する部署が一緒になって考える横断的な組織、自立支援室のようなものが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 複合的な課題を抱える困窮者への支援は十分なアセスメントと関係機関の柔軟な連携が必須であるというふうに考えております。今後、生活困窮者への支援や組織のあり方について検討していきたいというふうに考えております。
○甲田委員 御承知のとおり、生活保護受給になる方の多くはさまざまな障害や病気を抱えている場合がありますので、金銭面だけでない生活全般にわたる支援をしていくことが重要です。まさに複合的な問題が絡み合っている場合があり、行政の既存のサービスで救えない問題を解決する仕組みをつくり出してでも支援をしていくということが必要です。相談窓口よりも、重要なのは、むしろこういった仕組みのほうかもしれません。
 昨年第3回定例会の私の質問で、豊中市のコミュニティソーシャルワーカーを紹介いたしました。いわゆる地域福祉のコーディネーターであるコミュニティソーシャルワーカーの設置も、この困窮者自立支援法のモデルとなっております。コミュニティソーシャルワーカーが社会から孤立する人を救っていくという強い意思を持って行動できるのも、課題解決を任され、解決のために仕組みをつくり出す総合調整会議など、力を発揮できる場を持たせてもらっているなど、行政のバックアップがあるからこそです。こういった人材の確保とともに、まずはその人材を支える仕組みを構築していくことが重要ではないかと思っております。それを統括する目標体系をぜひつくっていただきたいと思います。
 例えば川崎市では、生活保護の増大に何としてもストップをかけようと、全庁挙げて副市長が旗振りをして自立支援対策方針を策定した上で、自立支援室をつくりました。中野区も困窮者自立支援策を効果的に推進していくために、このような全庁挙げて現状を分析し、課題を洗い出し、方針をつくっていく。また、連携の仕組みをつくっていくことが必要だと思いますが、区長のお考えをお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
○田中区長 部門を超えたさまざまな窓口の段階での連携と、それから、部門を超えた柔軟な政策づくりと、それから、そうした政策を決定していくための高度な政策判断と、こうしたところが必要になってくると、こういうふうに思っております。
 川崎市の例示を言われましたけれども、川崎市は大きな行政組織ですから、局制をしいて縦割りでマネジメントしておりますので、そういった副市長が中心になった支援室のようなものが必要になったということもあろうかと思っておりますけれども、それと同じことが中野区に必要かというと、中野区のマネジメントの考え方とは必ずしも一致しないというふうに思っておりますので、どういうあり方がいいのか。もちろん組織の中に位置付けしていくことは間違いありませんけれども、どういうあり方がいいのか検討していきたいと思います。
○甲田委員 ありがとうございました。中野区に合った形で困窮者支援、この右肩上がりの受給に歯どめをかける支援を、ぜひともこの機会に思い切ったかじ取りでお願いしたいと思います。
 次に、2番、就労困難者の就労支援について伺います。
 (1)生活保護受給者の就労支援について。現在の生活保護制度は、60年間ほとんど変わっていない制度と言われております。資産があれば使い切り、何もなくなった状態になって初めて住宅の家賃を全額補助し、生活費を出す。そこまでは金銭面では全く面倒を見られない。条件が合えば丸抱えの保護という支援しかありません。中間支援のない、1かゼロの支援しかないと言えます。ですので、一度保護になった人がこの制度から脱却するのは大変なことです。それゆえ、受給者は仕事もしないでのんびりしているなどと言われてしまいがちで、そのような声もあり、ことしから生活保護法の改正により、給付の切り下げが行われましたが、制度疲労を起こしていると言われるこの制度の改善には全く至っていないと言えます。
 中野区の生活保護分野事務室内に23年度、平成24年2月からハローワークの職員が常駐して、中野就職サポートを行っております。24年度、この施策によって就職ができた受給者の人数を教えてください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 中野就職サポート事業は、受給者のほかに住宅手当、児童扶養手当などの受給者も対象としておりますが、受給者に限りますと、支援者数は247人、就労決定者数は121人でございました。
○甲田委員 生活保護受給者の内訳は、高齢者、障害、母子、家族の傷害、そして、このどれにも当てはまらないその他世帯と分類されます。なかなか就労が難しい高齢者、母子、障害などに比べて、その他世帯は働ける年齢であり、障害者というわけでもない人たちです。就労による保護からの脱却ができれば、当然ながらこの人たちが税金を支払う側に回ってくれます。中野区ではその他世帯、いわゆる働ける能力のある方は現在何人ですか。
○内川委員長 委員会を休憩します。
      午後1時19分休憩

      午後1時19分開議
○内川委員長 委員会を再開します。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 失礼しました。平成24年度のその他世帯数は、年間平均で1,152人でございます。
○甲田委員 1,152人ということで。この、その他世帯に対する就労意欲を喚起する事業が今後の喫緊の課題と思われますが、先ほども言いました川崎市では、その他世帯を保護から脱却するため、先進的な取り組みを行っております。このことは第2回定例会の一般質問で申し上げましたが、今回、川崎市に行ってもう少し調べてまいりましたので、紹介したいと思います。
 川崎市でも人口約143万人中、生活保護受給者は約3万5,000人、一般会計約6,000億円ですが、その約1割の600億円が生活保護費に流れております。その他世帯などの4,500人を就労支援の対象とし、昨年より新たな就労意欲喚起事業や求人開拓及び雇用の創出事業に自立支援室を中心に取り組んでいます。ただし、従来のハローワークを活用した事業では、長年生活保護受給をされてきた方の就労支援としてはあまり向かないと思ったとのことでした。それは、ハローワークを通じての就職の場合、本人たちが望まないこともあり、受給者であることをオープンにしない場合があり、そうすると、結局職場でつまずくことが多くなり、定着しないなどの問題点がありました。その他世帯のボリュームゾーンは40代、50代の単身男性ですので、一般にこれまでの人生に失敗経験があったり、1人で誰も相談できる人がいなく、家に引きこもりがちという人が多いようです。諦め感も強く、精神疾患を患っている場合も多い。そのような人がすぐに普通に働くというのは難しい面があるということです。
 川崎市の今回の特徴的な取り組みとして、一つは民間企業に求人開拓と就労意欲喚起事業を委託しております。20名程度を同時に一定期間採用してもらい、グループワーク研修を行います。そこで行うのは、仕事というより仲間づくりやコミュニケーション力の向上、お互いに励まし合う中で就労への意欲を高めていく事業です。人間、働かないでいると、どんどん負のスパイラルで心も体も健康も害してしまう。1人ではなかなか決意も継続できにくく、励まし合える仲間ができてこそ、生きる意欲、働く意欲が向上します。そういったことを行政が行うのは本当は違うのかもしれませんが、血縁、地縁が切れた状態でいる人たちに人との縁をつくらせ、目的を持った集合体とさせることに意味があり、必要なことではないでしょうか。1年近くやってみた結果、参加者は皆、この研修で表情がとても明るくなったそうです。自立に向かって前向きになることができ、就職した後も励まし合える友人ができたと喜んでいる人もいるとのことです。
 中野区も就労意欲喚起のためには、先ほどもありましたとおり、本当にいろいろと手だてをされていることと思いますが、こういった就労意欲喚起事業についても実施してみてはどうかと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 区においても、現在ハローワークと取り組みをしております。なお、またそのハローワークの就労支援になかなか乗りにくい難しい方につきましては、39歳以下の方につきましては、若年層支援と申しまして、経験のある、また資格も持っている就労支援員が個別に丁寧な就労支援を行っているところでございます。その中で意欲を喚起できるようにという取り組みはしているところでございます。
○甲田委員 ただし、川崎市ではこれだけでは足りないということで、もう一つ大きな事業をやっています。川崎市いわく、就労支援には大事なことが二つあり、一つはこういった就労の意欲を喚起していくことや求人の開拓であるが、もう一つは、マッチング及び雇用の創出だと言います。これができていないと、結局、就職してもすぐやめてしまい、継続できないとのことです。そこで、マッチングを市の職員がやるわけにもいかないので、また別のある企業にお願いをしました。新聞報道もされており、これも第2回定例会でも触れさせていただきましたが、詳しく紹介しますと、川崎市とこの企業が結んでいる協定は、未知識、未経験の人を採用して、3カ月なり6カ月の時給制アルバイト期間の後に必ず正社員で雇用するというものです。正社員になると、月額16万9,000円から19万9,000円が支払われます。基本はその他世帯ですが、もし障害者の場合には別枠で障害者総合支援法にのっとって、同企業のグループ内にある就労移行支援事業所にて受け入れが可能です。まだ始まったばかりのため、8月時点では13名の採用とのことでした。1年間で100人の採用を見込んでいるとのことです。
 その他、この企業は知的・身体・精神障害、引きこもりなど、あらゆる困難状態の人たちをたくさん雇用して大きくなってきた会社ですので、そういう人たちを扱うノウハウを持っています。3カ月の研修期間ではそのノウハウを生かし、ビジネスマナーなどではなく、まず「楽しい、仲間ができる、会社が好きになる」をテーマとした研修を行ってもらっているそうです。担当者いわく、これまでいろいろと試行錯誤して就労支援をやってきたが、仲間ができずに続かないケースがほとんどだった。会社に愛着を持てるような研修にするよう依頼をしているとのことでした。それを受けて研修ができ、その後、本人がやる気さえあれば必ず雇用してもらえるのがこの会社だったので、何度も確認をしながら、最終的にこの会社をパートナーに選んだと言われておりました。
 川崎市は生活保護受給者に焦点を当てて、このような思い切った施策を実施していました。中野区も川崎市の動向に注視し、このような取り組みを取り入れてみてはいかがでしょうか。御見解を伺います。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 川崎市の雇用創出の取り組みは、契約事業者が自社に職員として雇い入れるというような大変興味深い取り組みであるというふうに注目しているところでございます。雇用の創出につきましては、求人開拓を行ってのマッチングなどを行う事業が多く他自治体で行われておりますので、そのような手法も含めまして、新たな就労支援策について総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。
○甲田委員 ありがとうございました。今後の生活困窮者自立支援法の対策の中にも就労支援事業がありますので、そういった中で考えていただければと思います。ありがとうございました。
 (2)その他で、次に、ひとり親の就労支援について伺います。まず、ひとり親の定義を教えていただけますでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) ひとり親の定義でございますが、母子及び寡婦福祉法第6条に規定されております。6項ございまして、配偶者と死別、離別もしくは生死が明らかでない状態になった方、配偶者から遺棄されている方、配偶者が長期間海外にいる。また、配偶者が拘禁されていて扶養を受けられない場合、配偶者が精神または身体障害者のために長時間働くことができない場合、あと、結婚によらないで母になった方のいずれかに該当した場合を言うというふうに規定されております。
○甲田委員 それらひとり親の世帯は中野区に何世帯ありますでしょうか、伺います。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 平成25年4月現在、3,410世帯でございます。
○甲田委員 次に、ひとり親といっても、母子、父子、シングルマザー、未婚の母があるということですが、中野区において、それぞれ何世帯か掌握はしているのでしょうか、伺います。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) まず母子世帯でございますが、2,964世帯ございます。父子世帯は446世帯。そのうち未婚世帯でございますが、これは児童扶養手当の受給者世帯に限ってという数字でございますけれども、210世帯ございます。
○甲田委員 ひとり親で乳幼児がいる場合、就職活動をしようと思っていても、子どもを預ける場所がない、子どもを預けないと就職活動すらできないということがあります。認可保育園は働き先が決まっている人が優先の仕組みです。本来はひとり親こそ安心して子どもを預け、就職活動ができる支援も必要であると思います。私が相談を受けた方はこういった状況で、仕方なく、お姉さんが経営していた飲食店の手伝いをしながら2歳の子どもを一日中厨房の中で遊ばせながら、しばらく大変な思いをしておりました。この場合、見ながら就労できているとみなされ、認可保育園の点数はかなり低く、仕方なく認可外保育園に無理をして子どもを預け、数カ月後にようやくアルバイトの仕事を決めることができました。こういったケースに対応できるものも含め、何か就労の支援策があればと思いました。
 そこで伺います。ひとり親の就労支援策にはどんなものがあるのでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) ひとり親の就労支援策でございますが、まず児童扶養手当の受給者には、母子生活支援員とハローワークが協力しまして就労支援を行うものや、ほかに、ひとり親家庭のための自立支援教育訓練給付や高等技能訓練の促進費などの支給がございます。
○甲田委員 今言いました、子どもを預けるような支援というものはないんでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) ひとり親に限ったものではございませんが、一時保育といったようなものがございまして、月に5日間の限度がございますけれども、そういったものを利用して求職活動を行っていただくことは可能であると思います。
○甲田委員 一時保育に保護者が求職活動をする場合にも預けられる制度があるということですが、保育園の入園希望申し込みの際に、就職活動中の保護者がいた場合、そのような案内も積極的にすべきだと思います。現在は認可保育園の入園が難しい理由だけを説明され、それならばどうしたらよいのかというアドバイスについては不十分な部分もあるのではないかと思います。そういったことも今後は保育コーディネーターや保育コンシェルジュなどの必要性があるとして声を上げておきたいと思います。
 これに付随して、認可保育園の基準が現在は多様な働き方に対応していないという問題があります。今の認可保育園の入園基準の指数は、フルに勤務する方優先で点数が高くなっております。パート勤務などの短時間労働しかできない。それでも家計のために働かなければならない場合もあり、そのような人が認可に入れず、認可外を選択せざるを得ないという問題が生じています。そういった保護者でも認可保育園に子どもを入園させることのできる仕組みも必要です。今後、子育て会議の中で論じられていく点ではあると思いますが、多様な働き方に対する問題として、区はこの課題をどう認識されているのか、また、今後の会議の論点としてきちんと検討をしていただけるのか、伺います。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 多様な働き方に対応するというところでございますが、子ども・子育て支援新制度におきましては、親のフルタイム就労を想定した保育標準時間利用といったものと、あと、パートタイム就労を想定いたしました保育短時間利用という2区分で保育の必要量を認定することが検討されておりまして、これに沿った入園基準を設けることも今後必要になってくるというふうに認識しておるものでございます。また、こういった制度の詳細につきましては、現在、国も検討を進めているところでございまして、その状況を踏まえまして、今後、新制度で募集が始まるまでには適切に対応を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○甲田委員 ありがとうございます。中野区内のニーズをきちんと把握していただき、検討をお願いしたいと思います。
 この項の最後に、父子家庭の就労支援について伺います。先ほど、中野区の父子家庭の世帯数は446世帯とお聞きいたしました。母子世帯のほうが圧倒的に多いとはいえ、把握しているだけでこれだけの世帯が父子世帯になっているということは、非常に多いと感じます。東日本大震災においても、父親または母親を亡くした子どもの数が1,482人、うち父子家庭は600人にも上ると新聞報道で伺っております。突然、家や職を失い、家族を失った家庭では、日々どれだけの困難が続いているか。ましてや、幼くして母親を失った子どもを抱えて、仕事をしながら父親が育てていかなければならないということは、想像を絶する苦労があると思います。こういった家庭が意外に多く存在することを知らねばならないと思います。
 ひとり親世帯は子どもたちの状況に合わせた働き方を緊急的に求められます。保育園への送り迎え、子どものけがや病気、学校行事など、職場を休まざるを得ない、早退する、当然のことです。しかし、男性は現実はなかなか休むことができません。日本社会において、父親たちがどのように追い詰められたとしても、要支援者と認められない現実が存在すると、全国父子家庭支援連絡会の理事が言われておりました。実際には母子家庭と同じか、それ以上に困難の多い父子家庭に対する支援が必要です。しかし、これまで父子世帯に対する行政支援サービスは皆無に等しい状態でした。
 公明党は昨年、国に対し、全国の多くの地方議会から父子家庭への支援拡充を求める意見書を提出しました。中野区議会においても、24年第1回定例会にて全会一致で採択していただきました。その中で求めていた就労支援策は早くも国で拡充がなされ、母子家庭だけでなく、父子家庭にも支援ができるようになりました。そこで、この支援策について御説明をいただきたいと思います。また、現在の利用実績はいかがでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 平成25年、今年度の4月から意見書を踏まえまして、自立支援教育訓練や高等技能訓練の促進費につきまして、母子家庭の対象を父子家庭にも拡大したところでございます。こちらのほうはいろいろ、例えばヘルパーの資格を取るとか、そういったときに講座や学校に行っていただく際に、生活費や教材費について給付ができるというものになってございます。
 現在のところですが、父子家庭の方は実績はございません。
○甲田委員 やはり、周知される機会がまだまだ少ないのではないかとも考えられます。父子家庭の実態を把握することが必要ではないでしょうか。さらに、地域にあまり接点のない父親への支援の拡充の一歩として、相談体制の確立が必要ではないでしょうか。御見解を伺います。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 父子家庭の方は児童扶養手当の現況届等の折に、区役所の3階の子ども総合相談窓口にもよくお見えになります。そういった際にさまざまなお話を聞きまして、サービスの情報提供も行っているところでございます。そういったことから、今現在、父子家庭の実態調査等を行うことは考えておりません。
○甲田委員 まず、一歩踏み出すということが大きなことになりますので、体制の整備をどうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 次に、3番、障害者施策について伺います。
 (1)中等度難聴児発達支援事業について伺います。中等度難聴児に対する支援、補聴器購入助成についてであります。日本では両耳で聴力レベル70デシベル以上になると、聴覚障害の手帳交付がされます。しかし、40デシベル前後を超える場合は、常に話すのにやや不便を感じるレベルとなります。身体障害者手帳が交付されない40から70デシベルの人たちも含めると、聴覚障害者は全体で約600万人いると言われております。そのうち約75%は加齢に伴う老人性難聴でありますが、ここでは子どもの難聴について伺います。
 先日、私は、国立成育医療研究センター、耳鼻咽喉科医長の守本倫子医師に難聴の子どもの発達に関するお話を聞いてまいりました。30デシベル以上69デシベル以下の軽・中等度難聴児は一見普通に見えるため、本人も周囲も困っていない様子に見えてしまいますが、実は年齢とともに語彙力や読解力にも問題が生じてくることが多いそうです。要は、聞こえているように見えるが、周りが騒がしいと理解ができない。口の動きが見えないと理解しにくい。相手が大人だと理解できるが、子ども同士だと理解しにくいということがあります。結果、語彙力がふえないため、学習能力に支障を来し、コミュニケーションがとりにくく、社会性が育ちにくいため、引きこもりの原因の一つになることも多いと言います。このようなとき、補聴器をつけることによって、その問題点が解消されます。
 身体障害者手帳を持たないため、補聴器購入に当たり補助制度がありません。補聴器は片耳で9万5,000円から17万円もします。安いものだとチャンネルの数が2チャンネルと少なく、聞こえ方はあまりよくありません。17万円するようなものであれば6チャンネルとなり、より精度が高くなりますが、高額となり、親御さんにとってかなりの負担であり、手が出ない御家庭もあると思います。欧米では25デシベル以上は補聴器装用を推奨し、40デシベル以上であれば聴覚障害と判定しています。
 そこで、今年度、東京都では軽度・中等度難聴児発達支援事業が予算計上されたそうですが、この事業の概要を説明していただけますでしょうか。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 中等度難聴児への支援でございますが、東京都が今年度4月より中等度難聴児発達支援事業としまして開始した事業でございます。対象は18歳未満の児童で、身体障害者手帳の交付の対象とならない方で、両耳の聴力がおおむね30デシベル以上であり、補聴器の装用により言語の習得等の一定の効果が期待できると医師が判断する児童であることが条件となります。それで、補聴器の購入費用の一部を助成するものとなっております。財源につきましては、東京都と区で2分の1ずつ負担をするということになってございます。
○甲田委員 既に東京都内の自治体では、この事業に手挙げをして取り組んでいる市区町村もあると聞いており、中野区も早急に手挙げをしていただきたいと思いますが、このような事業を求める声は届いておりますでしょうか。また、中野区としてどのように取り組んでいくのでしょうか、あわせて伺います。
○黒田子ども教育部副参事(子育て支援担当) お問い合わせにつきましては、医療機関などから数件ございました。東京都の実施要項に準じて実施するための検討を始めたところでございます。事業を開始するに当たりましては、難聴の通級学級の児童等が対象として想定されますので、対象者に周知等を丁寧にやっていきたいというふうに考えております。
○甲田委員 ありがとうございます。子どもは、褒めて伸ばすことが大事と言われますが、聞こえないことがわかってもらえず、引きこもりがちになってしまう原因が聴覚障害によるものというお子さんがいるのであれば、早いうちにその障害をカバーしてあげることがとても大切ではないでしょうか。子どもの可能性を最大限に引き出してあげられるすばらしい事業であるという思いで、どうか積極的な取り組みをお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 次に、(2)内部障害者のためのハートプラスマークについて伺います。
 心臓病等の内部疾患の方は、日常生活でさまざまつらい思いをされております。さらに、その障害は目に見えないため、周囲に理解されにくく、大変に御苦労をされております。まず、中野区における全ての障害者の人数と内部障害者の人数を教えてください。
○永田健康福祉部副参事(障害福祉担当) 中野区におけます身体障害者手帳の所持者数は、平成25年3月末現在8,050人で、そのうち内部障害のある方は3,057人でございまして、身体障害者手帳所持者全体の38%でございます。
○甲田委員 3分の1以上の方が内部障害者ということで、非常に多い割合です。内部疾患の方は、一見、障害者とは思われず、電車の中で席を譲ってもらえない、または車で出かけても、障害者用駐車場を使用しにくいというようなことから、理解の普及が望まれております。中野区の庁舎駐車場に身体障害者のための車椅子のマークがあり、トイレでは人工肛門、人工膀胱の方のためのオストメイトマークはついておりますが、内部障害者をあらわすハートプラスマーク、このハートプラスマークですが、これについては、まだ庁舎のどこにも設置をされていないのではないかと思われます。庁舎の裏口に障害者専用駐車場があります。一般に知られる車椅子の形をしたマークがあります。この車椅子のマークは全ての障害を含むマークだそうですが、身障者用駐車場と表示されていることもあり、一般的には身体障害者用と思われている方が多いと思います。
 そこで伺います。中野区では、もし障害のある人が庁舎に車で来た場合、一見、見た目には判断のつかない障害者の場合、区はどのようにして確認をしているのでしょうか。
○石井経営室副参事(施設担当) 今、御質問の中で、見た目では一見わからないという御質問がございました。我々、警備員がそれを見た目で判断できませんので、当然、ドライバーさんの申し出、これを伺うことによって対応をさせていただいているというところでございます。
○甲田委員 車両での移動が欠かせない内部障害のある方は、区役所にも車で来られると思います。都庁や他の区では、内部障害者の理解とマークの普及のため、また利便性向上のために、あえてこの車椅子の形のマークとともに、ハートプラスマークを並べて駐車場に大きく表示をしている自治体もあります。中野区でも二つのマークを並べて表示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○石井経営室副参事(施設担当) 区庁舎だけのことでいきますと、それほど、そのつけるということについてはスペース的にも問題ないかなと思いますけれども、このハートプラスマークをつけるつけないという区の方針、これは現在のところまだ定まっていない。それから、他の区有施設も数多くございます。それらの関係もございまして、果たして並べて表示が可能かどうかというようなところの調査も必要になってきますので、今後検討してみたいなと思います。
○甲田委員 早急に調査をしていただき、早急に検討をしていただきたいと思います。
 内部障害者のマークによく似た東京都のヘルプマークというのがあります。これがヘルプマークです。このマークは、義足や人工関節を使用している方や、内部障害者、難病の方、妊婦さんなど、援助や配慮が必要な方に配布し、周囲の方に援助が必要であることを知らせるマークです。昨年の10月から都営地下鉄等で配布されております。このマークを持っている人は堂々と優先席に座れるということです。この東京都のヘルプマークと内部障害者のハートプラスマークはよく似ております。ハートとプラスですので、よく似ております。また、今回中野区でもつくり、配布し始めましたこのヘルプカードというものも大変よく似たマークです。
 そこで、内部障害者のハートプラスマークを庁舎駐車場に表示した際には、こういう東京都のヘルプマーク、警備員さんに障害者手帳のかわりにヘルプマークやヘルプカード等を車につけるなどして見せることにより、説明なしで気兼ねなく駐車できるようになるとよいと思いますが、いかがでしょうか。
○石井経営室副参事(施設担当) 今、御質問にもございましたように、障害者手帳、それからヘルプマーク等を提示いただければもちろんのことでございますし、また、当日のお体のぐあいの症状、あるいは突然けがしたとか、そういう状態の方もお見えになるかというふうに思っておりまして、障害者用駐車場の利用、これを希望するという場合につきましては、警備員に御遠慮なくお声をかけていただければ、対応してまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 ありがとうございました。
 次に、(3)番、バリアフリーマップについて伺います。
 先日、私のもとに車椅子の方から、中野駅周辺で公共施設だけでなく、民間の建物も含めて車椅子でも入れるトイレのある場所の一覧はないのでしょうかという問い合わせがありました。その方は何カ所かは自分で調べて承知をされておりました。中野区のホームページも見たが、わからないとのことでした。調べたところ、「なかの便利地図」というものがホームページにあり、その中にバリアフリーマップというものがあることを知りました。住所で検索ができるようにもなっており、大変便利なものでした。しかし、これを見ますと、せっかくつくられているバリアフリーマップなのですが、例えば、昨年完成した四季の都市のオフィスビル内の誰でもトイレなどの情報がありませんでした。よく見ますと、ずっと更新されていないように見えます。区民の方からも情報をお寄せいただけるような形式にもなっておりますが、この1年間、情報が寄せられたものは一件もなかったと伺いました。この「なかの便利地図」の更新についてはどのような方針、ルールになっているのでしょうか。また、周知されていないせいか、わかりにくいということもあります。もう少しわかりやすくリニューアルするなどということは考えられていますでしょうか、あわせて伺います。
○酒井政策室副参事(広報担当) 「なかの便利地図」については、掲載の施設の新設だとか廃止、位置の変更等については所管分野からの連絡によって、広報分野のほうで修正を行うことになっております。また、バリアフリーマップのように所管分野で更新を行うものもございます。地図の情報に変更があった場合に、更新が必要なことについては、改めて庁内で十分周知を図っていきたいと思います。
 「なかの便利地図」のリニューアルについては現在のところは考えておりませんけれども、ホームページと一体的で使いやすいものとなるよう検討したいと思います。
○甲田委員 ありがとうございました。分野ごとということですので、ここではバリアフリーマップのことを聞いておりますが、全体的にはすぐに変わらないとしましても、ベースがあり、地図部分は中野四季の都市もあり、更新されている部分もあるようですから、特にバリアフリーマップについては、障害者の方への情報として、完璧ではないにしても、不十分なままではなく、より現在に近いものへと早急に更新すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○藤井健康福祉部副参事(福祉推進担当) バリアフリーマップにつきましては、区の施設に関しましては、職員が随時把握した段階で更新されます。そのほか民間施設につきましても、ホームページ上で登録フォームを用意してありまして、そういうもの、あるいは、別途、手紙やファクス等でもたらされた情報につきましては適宜更新しております。ただ、先ほどのフォームについて、あまり使われていないというふうな紹介もございました。今後、情報提供の呼びかけについても工夫いたしまして、情報を充実させていきたいというふうに考えております。
○甲田委員 ぜひよろしくお願いします。もたらされた情報ではなくて、こちらから働きかけをぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ホームページの更新とともに、先ほどもありました紙ベースでの提供も大事であると思います。昨年、厚生委員会の視察では岡谷市に行き、バリアフリーマップの作成状況を見させていただきました。岡谷市のバリアフリーマップ、薄いものですが、このような冊子で、地域ごとにとてもよくできておりました。こういったものを参考に、例えば駅周辺だけでもわかりやすいものをつくっていただきたいと思います。また、障害者の方が訪れるような公共施設、区役所、すこやか、区民活動センターなどの窓口にもそのエリアの地域版バリアフリーマップがあるとよいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤井健康福祉部副参事(福祉推進担当) 現在、ホームページで提供しておりますバリアフリーマップの情報全てを盛り込んだ形で紙のそういうふうなものをつくろうといたしますと、かなり分厚いものになってしまうと。持ち運びもしにくいというふうなこともございます。施設窓口において、それぞれのエリアごとの情報について案内できるような形のものを今後提供していきたいということで、各施設とは調整していきたいと思います。
○甲田委員 ありがとうございます。障害者施策については、より一層きめ細かい施策を充実していただきたいと思います。
 区長は以前、我が会派の先輩議員の質問に対し、「障害は人にあるんじゃなくて、それぞれ個別性を障害にしてしまうのは社会の障害なんだと考えていくべきだ」また、「そういう社会の障害を一つひとつ取り除いていきながら、誰もが生きがいを持って、分け隔てなく同じような参加の機会を持ちながら社会で生きていける、そういう地域社会をつくっていきたい。中野をそういう地域社会をリードしていける地域にしていきたいと思っている」と答えられています。私はこの言葉に賛同いたします。人一倍つらい思いをされている障害者や難病の方々から私たちが学ぶことも大きいと思います。ぜひ、社会の障害を取り除くのは行政の力が必要だということで、より一層取り組んでいただきたいと思います。要望しまして、この項の質問は終わります。
 次に、4番、地域の見守り・支えあいについて。
 高齢者の孤独死の問題、孤立の問題は深刻さを増し、中野区内でも年間200人を超える人が、誰にもみとられずに自宅で孤独死をしているという現実があります。また、血縁や地縁のないお年寄りが孤立し、不安な思いを抱えて過ごしている場合が多いと感じます。そのため、地域の見守り・支えあいを推進することは年々ますます重要になってきています。中野区の地域支えあい活動の推進に関する条例は、全国にその名はとどろいておりますが、中身はまだまだ充実していかなければならないと私は思います。現場では今もなお、町会に名簿を渡すことだけが見守りのように思われているという感が否めず、地域の見守りを推進しようという人の裾野はあまり広がったとは言えません。地域の見守りは町会・自治会に名簿を渡してやらせることがメーンではないはずですが、やはりまちの人たちからは、区は支えあいを推進すると言いながら、名簿を渡して町会にやらせるというだけで、区がどこまでバックアップしてくれるのかが見えないという話をいまだに耳にするのは残念なことだと思います。
 地域支えあい条例には基本理念に、区が主体的に推進を図るとなっております。しかし、現状では、まちの人たちからはそのようなふうには思われていないというのが実態ではないでしょうか。区の見解をお伺いいたします。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 区は支えあい活動を進めていく体制をつくるために、すこやか福祉センターと区民活動センターを整備いたしました。すこやか福祉センターでは、見守り・支えあいを推進する責任を果たすために、地域での見守り活動を行っている方からの異変発見通報を24時間受け付ける体制を整備しています。また、すこやか福祉センターと区民活動センターに配置をされた職員が地域で訪問活動を実施し、区みずからも地域の実態把握に努めています。これらの区の取り組みによりまして、地域で支えあい活動をしている区民の皆さんが安心して活動できるような体制をつくっているところであり、地域における支えあいの機運も少しずつ高まってきていると認識しています。
○甲田委員 現在、区民活動センターの職員が各センターに2名ずつ配置されておりますが、日ごろどんな仕事をしているのでしょうか。支えあい活動についての仕事を具体的に教えてください。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 区民活動センターの職員は町会・自治会や民生委員の会議などに参加しまして、それらを通じた情報交換などにより、地域の課題を把握するとともに、町会などからさまざまな相談を受け、解決に向けた取り組みをしています。また、職員として、地域の中の支援の必要な方を訪問し、生活上お困りのことはないかなどをお聞きしています。今年度は日中独居の高齢者の生活実態についても把握するために、80歳以上のおひとり暮らしではない高齢者を訪問しています。さらに、地域でさまざまな活動者が情報交換を行う支えあいネットワーク会議にも参加し、地域の支えあい活動が進むように事例の紹介なども行っております。
○甲田委員 今、高齢者の訪問調査をしているということですが、目的を伺いたいと思います。例えば、私が先日視察に行きました群馬県太田市では、孤独死の増加を受けて、全庁挙げて見守り隊を結成しました。全高齢者を回った上で、リスクの高い見守りが必要な人、ひとり暮らし高齢者のうち約1割に当たる約450人程度を絞り込み、全75課から2人ずつの市職員の見守り隊が月2回、第1週と第3週に見守りのための訪問をしておりました。第2週は民生委員さん、第4週はふれあい相談員という行政管理公社の職員が訪問をしております。訪問後、見守り隊は報告書に安否、健康、生活、心、その他気づいたことを簡単に書き込んでおります。
 中野区におけるこの高齢者訪問業務については、どんなことを目的にしているのでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 区の職員の行っている高齢者調査は、区として地域の高齢者の実態を把握することを目標にしています。訪問活動などで発見された問題点に関しましては、必要なサービスにつなげたり、地域の支援を必要とする方が安心して生活できるようなさまざまな仕組みの考案ですとか、いろいろなものに役立てていくつもりでおります。また、職員が訪問することで区民の生活実態を現場で肌で感じることができ、支えあい活動全体を進めていく仕事をする上でも大変有意義なことであるというふうに考えております。
○甲田委員 実態把握のためということですが、何の実態把握なのでしょうか。職員は言われたとおりに懸命に回ってくださっていると思いますが、全て職員が回り、把握することは不可能です。確かに、肌で感じることは大切です。何かあったらと相談が来るのを待っているのではなくて、みずから訪問し、肌で感じることで課題の急所がどこにあるのかをつかむことができるのだと思います。それはそれで有意義だと思いますが、区としては何のために職員に高齢者訪問をさせ、何のために現場に人を置いているのでしょうか、伺います。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 高齢者訪問は、区として区民の生活実態を把握するために実施をしているものです。地域の支えあい推進における区の役割は、地域で発生するさまざまな課題に対して最終的な責任を持って解決し、セーフティーネットの機能を果たしていくことであると考えています。そのために職員が地域を回り、町会・自治会の方や民生児童委員の方々をはじめとする関係者と連携を深め、異変を発見したとき、また課題を発見したときなどに区の職員に相談していただけるように、信頼関係を築いていくことが大切だと考えております。そのため、15の区民活動センターの現場に職員を配置し、地域の中で相談を受けられる体制をつくっているところでございます。
○甲田委員 そのように責任を持って信頼関係を築くためにとの思いで高齢者訪問調査活動もされていると伺い、すばらしいことだと思います。しかし、それがまだ区民の目にはそのように映っていないのではないかと思います。
 2年前に視察をした北九州のいのちをつなぐネットワーク事業でも、担当係長16人を各地域に配置し、この職員の役割はとにかく地域に出ることで、見つける、つなげる、見守るの三つしかないということでした。孤立しがちな人を見つけ、把握した人の家庭訪問を通し、各人の状況に応じたサービスにつなげ、近隣住民につなげながらその人を見守るネットワークをつくっていくというきめ細かい職務です。地域の情報が全てのため、民生委員さんとの連携を小まめにとって動いているということです。その結果、地域で信頼され、どんなことでも相談されるようになったとのことでした。係長クラスでないとできない大変なお仕事でもあると思いますが、懸命に動く姿に感銘を受けました。やはり、地域で顔が見えないと意味がないと思います。
 中野区でも職員が訪問活動、支えあい活動をしているのであれば、もっと見えるように、このように回っているんですよという周知をしてはどうでしょうか。その際、区として一体感を持ち、支えあい活動を一緒に推進していただける地域の皆さんの下支えをしていくという姿勢がわかるように周知することが必要ではないでしょうか、伺います。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 区の職員が地域の実態把握を行って課題の発見に努めていることは区民の方々にも理解されることも大事であるかというふうにも思います。区民活動センター職員が地域における支えあいの推進にしっかりと取り組んでいくとともに、高齢者訪問の際に区民活動センターの活動を知っていただくことや、また、地区町会連合会、地区の民生児童委員協議会などにおいても、区民活動センターの役割を御説明するなどにより、広く区民に理解をしていただけるようPRをしていきたいと思っております。
○甲田委員 支えあいには人間関係が一番です。会議やイベントへの参加で話をしただけでは、人の心は本当に開くものではありません。支え手となる重要な方との人間関係、信頼関係を築くことが大事です。常に最前線にいらっしゃる地域のリーダーが何を考え、どこを支援してほしいのかを明確にキャッチしていけば、おのずとしっかりとしたバックアップの仕方も見えると思います。
 そこで提案です。職についたらすぐに、まずは一番大事な町会長さんや民生委員さんを回り、顔と名前を覚え、話をすることに力点を置いてはいかがでしょうか。何もなくても定期的に御用聞きに回ることで、区に対する疑念をある程度払拭することができると思いますが、いかがお考えでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 信頼関係を築き、連携を進める上で、町会長の方、民生委員の方との関係を深めることは欠かせないというふうに考えております。地区町会連合会などの町会長がお集まりになる場、民生委員などの会議にも出席し、積極的に情報提供をしているところではございますが、日常的にも情報交換が行えるような信頼関係を築くことはまず必要であり、また、地域が直面している問題をしっかりと捉え、ともに解決していく姿勢を持つことが大事であると考えております。このような役割や仕事への姿勢について、御指摘のとおり、配属後すぐに確実に身につけていくことは必要であり、研修の充実などを進めていきたいと考えております。
○甲田委員 ありがとうございます。1対1の雑談の中でも信頼関係が築けると思いますので、定期的な訪問をお願いしたいと思います。
 相談を受けるときには、できることとできないことをより分けず、できる限り相手に寄り添っていくことが肝要であると、私は常々自分に言い聞かせています。それは行政も同じであると思います。行政のサービスだけでは解決できない問題は地域にたくさんあると思いますが、それを放っておくのでは支えあいにはならないし、支えあい活動のバックアップにもならないと思います。
 では、どのようにするかというときに、例えば社会福祉協議会や民間の事業者、有識者などにつないだり、協力を仰いだりすることもあると思います。そこで地域の物的・人的資源については積極的に把握、収集をしていらっしゃると思いますが、支えあいに役立つものや、よく聞かれることなど、ニーズの高いものに関しては地域へのわかりやすい情報発信などをしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 現在も、区の職員は地域資源の把握に努めまして、それを有効に活用するために情報の整理をしているところでございます。こういった情報を常に最新のものとして更新していくとともに、区民に必要な情報は職員が高齢者などを訪問する機会を利用するなど、確実に伝わるようにしていくことが大切だと考えております。これまでも職員が高齢者を訪問する中で、そのニーズをつかみ、社会福祉協議会の高齢者困りごと支援事業のチラシを訪問時にお配りするなどした事例もございます。さまざまな地域資源の情報発信に今後も努めてまいりたいと考えております。
○甲田委員 そういうことが非常に大事だと思います。実際に訪問しているからニーズが見えた一例だと思います。そういった情報発信はどんどんやっていただきたいと思います。高齢者困りごと支援事業や地域包括への相談等、どこに電話していいのかわからない、事業すら知らないという高齢者はたくさんおります。区の職員みずからが、今、皆さんが一番困っていることはどんなことかという現場のニーズをつかみ、地域の方々から、来てくれた、うれしい、ありがたいと思われ、区がここまでやってくれるのなら、私たちも頑張ろうと思ってもらえるような、主体的、積極的な推進をぜひぜひお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 次に、5番、自転車対策について伺います。
 危ない自転車対策については、誰もが案じているところです。若い人がスピードを出して高齢者等にぶつかり、被害者が重傷になるケースがふえています。警視庁のホームページを見ますと、中野区内の自転車関連事故はとても多く、特に幹線道路沿いで事故が多発しております。危ない自転車ベストファイブは、私の主観ですが、スピードの出し過ぎ、無灯火、傘差し運転、携帯を見ながらの運転、そして車道の逆走だと思います。この五つが改善されるだけでも、相当に自転車事故が減るのではないかと思います。
 中野区では、この状況の打開のためでもあると思いますが、自転車安全講習会を今年度から始め、7月7日(日曜日)の午前、午後と、13日(土曜日)の午前、午後と、2日間で4回行ったと聞いております。自転車安全講習会ではどのような内容をやっているのでしょうか、伺います。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 本年7月に開催の自転車安全利用講習会におきましては、警察署による交通安全講話、啓発ビデオ鑑賞、それから、東京都青少年治安対策本部の協力によります自転車シミュレーター体験を実施したところでございます。
○甲田委員 この自転車安全講習会、聞きますと、参加者数はそれぞれ12名、6名、3名、15名の合計36名ということですので、ちょっと少ないと感じます。1回につき20名にも満たない講習会では、開催するのがもったいないと思います。まだ始まったばかりですので仕方がありませんが、広報の仕方にも問題があると思われます。この講習会参加者の年齢層はどうなっておりますでしょうか。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 年齢層につきましては、30代が1名、40代2名、50代が5名、60代9名、70歳以上は17名、未記入の方が2名でございまして、2日間で計36名の参加者でございました。
○甲田委員 若い人が加害者になるケースが多いのに、20代、30代がほとんど参加しておりません。若いときは怖いもの知らずで、スピードを出して車よりも速く走ろうとする場合があり、事故の怖さを知ることが大切と考えます。けれども、若い人たちはお知らせをしたとしても、あまり関心がなければ来ないと思います。今後、特に加害者となるケースが多いと思われる若者の参加者をふやすために、何かお考えはありますでしょうか、伺います。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 今後は、さらに受講しやすい環境のもと、幅広い年齢層の区民に参加してもらうために、町会、それから自治会への講習会参加の勧誘や、各区民活動センター運営委員会へ働きかけを行いまして、各種イベントが行われる場所へ出向きまして実施することを予定している次第でございます。
○甲田委員 町会・自治会や学校関係などの団体で捉えやすい人たちというのは、この若い年代ではないと思います。一方、毎日駅まで自転車に乗り、公共交通機関に乗りかえて通勤・通学をする人たちは10代から30代が非常に多いと思います。このような人たちにマナーやルールを徹底する努力が非常に大事であると考えます。私は、昨年の第4回定例会の一般質問でも申し上げましたが、区が運営する駐輪場利用者に魅力的なインセンティブを与えることによって、講習会に参加する人は格段に上がると考えます。
 先日、三鷹市の取り組みを視察して聞いてまいりました。三鷹市では、平成16年より自転車安全教室を行ってきました。一般向けに年8回、小学校3年生向けに16校、それぞれ1回ずつ、3人乗り自転車のレンタルを行っておりますので、その利用者に向けた講習会を年2回実施しています。そのほかに、中学生には市内に7校ある各中学校に3年に一度ずつめぐってくるようにして、スタントマンがリアルな事故現場をさまざまな場面構成で見せてくれるスケアードストレート式の自転車教室を実施しており、全中学生が一度は見ることになります。担当者いわく、この方式で見せると、まだ感受性豊かな年代である中学生は、わあとか、きゃあとか言いながら、真剣に食い入るように見ているということです。生身の人間の実演は臨場感にあふれています。スケアードストレート式講習会の取り組みにつきましては、これまで中野区内で実施された実績はどれくらいあるのでしょうか。また、これからこうした取り組みを行おうとしている予定を把握していればお聞かせいただけますでしょうか。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 中野区内で過去3年間でございますが、中野、野方両警察署主催で7回、中学校、高等学校を会場に、スケアードストレート式自転車安全教育を実施してございます。これからの予定でございますが、今年度6月に第四中学校で、それから9月に第七中学校で野方警察署主催により実施をしているところでございます。今後も中学校での実施や町会主催での実施も予定されているというふうに聞いてございます。
○甲田委員 警察署の主催による開催が結構あるということで、これから実績を検証していただければと思います。
 さて、本題ですが、三鷹市の安全教室のインセンティブは三つあります。一つは、自転車の安全運転証がもらえます。一見、自動車の免許証のようなカードです。二つ目は、TSマークつきの自転車保険と自転車点検・整備費用合わせて1,000円助成してもらえる割引券、そして三つ目が、定期利用駐輪場を申し込みの際の抽選時やあき待ち時における優先的な取り扱いです。この最後の駐輪場の優先は功を奏し、駅前駐輪場が全面有料化になった平成23年は、年間1,300人を超える方がこの教室に来たということです。自転車関連交通事故数については顕著な数字とはなっておりませんが、自転車関連の死亡事故については、約5年間ゼロを更新しているそうです。ただ、これらのことを平成16年当初は自転車の事故が年間457件だったのに対して、300件ほどとなり、30%以上の減です。ちなみに、三鷹市がこの事業につけている予算は150万円だそうです。
 私は、三つ目のこの駐輪場の優先的な取り扱いについて、もしこれが中野区でもできるのであれば、20代、30代の若者層の講習会参加者がふえ、ルール、マナーを学ぶよい機会になるのではないかと考えます。このような区営自転車駐輪場における講習会参加者への優先的なインセンティブをつけるということについては、運営上可能なことでしょうか。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 定期利用の優先受け付けにつきましては、区の利用受け付け方法などを工夫することによりまして、定期利用の多い自転車駐車場においては、インセンティブの可能性が生まれることが考えられると思ってございます。区としては、実効性のある定期利用の優先受け付けについて検討していきたいと思ってございます。
○甲田委員 自転車安全教室の参加者数の伸びだけで事故数が減るとは思いませんが、マナー、ルールの徹底が図られることが大事な取り組みだと思っております。そのためには何らかの思い切った手だてが必要と思います。条例をつくって取り締まりを強化するという方法については、たばこのポイ捨て同様、それこそもっとコストがかかり、実現が難しいのではないかと思います。
 今せっかく開催している講習会に多くの区民、特に若い人が集まるよう、中野区版お得な自転車教室として開催すべきではないでしょうか。再度、見解を伺います。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) ルール、マナーを守らない若年層がふえてございます。効果的な啓発を行う必要性について非常に感じてございます。受講を促すため、特に若い人たちへの呼びかけや参加しやすい方法について今後も検討してまいりたいと、このように考えてございます。
○甲田委員 ぜひ、目に見えて講習会参加者がふえ、危険な自転車が減ったと実感できるよう取り組んでいただきたいと要望しまして、この項の質問を終わります。ありがとうございました。
 最後に、6番、文化芸術の促進について伺います。
 文化芸術には大きな力があります。人と人とをつなぎ、共感を生み出し、地域のきずなを深める力、そして、世界を結ぶ力です。心を癒やす芸術は被災地の復興にも大きく役立ってきました。中野の象徴的な文化芸術とは何でしょうか。最近はよく、アニメ、サブカルのまちと言われておりますが、それだけでは中野区民は納得しない方も多い気がします。お笑い、音楽、演劇、舞踊などについてもすばらしい芸術家が数多く存在し、また、毎年開催されている伝統工芸展の作品なども目を見張るものがあり、私も楽しませていただいております。また、本年、本格的に開催される東北復興大祭典のねぶた祭りもその一つになっていくものと期待しております。
 まちの中に自然と息づき、人々から注目され、称賛される文化芸術については、そこに集ってくる人がいる。そういう意味で、まちの活性化という観点からも、行政として存続ができる後押しの支援があってもよいものと思います。
 中野区には文化芸術の発信拠点として、なかのZERO、中野サンプラザという二大ホールがあります。さまざまな発表の場として、区内外、全国からも人を引きつけてきました。また、主としてお笑い系のイベントがめじろ押しで披露されるなかの芸能小劇場も、表現する楽しさを共有することに大きな役割を果たしております。ほかにもさまざまありますが、これらの大切な文化芸術資産があることにより、中野には日常的に文化芸術を愛する人たちが集まってきているとも言えると思います。この文化芸術資産は中野区民の心でもあると思いますので、今後、将来にわたって、こういった拠点を大切にし、ますます繁栄・発展させていくことが大切と考えますが、区としての御見解をお聞きしたいと思います。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 国の文化芸術振興基本法の前文では、文化芸術を創造、享受し、文化的環境の中で生きる喜びを見出すことは人々の変わらない願いである。芸術文化は人々の創造性を育み、心のつながりや相互理解を育む土壌を提供し、心豊かな活力ある社会の形成や世界平和に寄与するものという趣旨が述べられてございます。中野区内に文化の拠点施設がありますことは、区民が身近な場所でこうした文化芸術に触れることができるだけではなく、みずから活動に参加する契機となるものでもありまして、区民の生涯学習支援の面から大変重要であると考えてございます。また、まちのにぎわいにも寄与するものでございまして、今後ともさらに充実・発展させていきたいと考えてございます。
○甲田委員 ありがとうございます。一方、中野区には美術館がありません。聞くところによると、23区の中で美術館がないのは杉並区と中野区だけということです。美術館がないのであれば、今後、中野駅周辺整備にもあわせてギャラリーなどの区の芸術家の作品を披露する場も設置を検討されてはいかがでしょうか。そういったことも含めて、文化芸術の発展に寄与できるような区の将来の展望をお聞きしたいと思いますが、御見解を伺います。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 芸術作品等、制作活動の披露の場があることは、区民の日ごろの制作意欲をさらに喚起し、新たな参加者をふやすことにもつながると考えてございます。現在、なかのZEROの本館には展示ギャラリーが、また、西館には1階、2階にそれぞれ美術ギャラリーがございまして、絵画、写真、陶芸などさまざまな作品展、展示会の会場として御利用いただいております。利用率は時期によっても異なるものではございますが、年間平均すると5割から6割といったところでございまして、区民の日ごろの文化芸術活動の発表の場として有効に利用してもらえるよう、さらに積極的なPRに努めたいと思っております。区といたしましては、今後さらに文化芸術の発展を推し進めることにより、これまで以上に芸術文化活動に主体的に参画し、地域の仲間と触れ合い、ともに生きがいを見出す区民がふえていくことを目指したいと思ってございます。
○甲田委員 本年、文化庁は文化芸術の予算を大きくふやし、海外への発信力の強化をしていく意向です。中野区には多様な文化芸術を受け入れる土壌と発展させる力を持った芸術家、人材が多いと感じます。このような人材、芸術を伸ばしていくことで、今後、海外などからのお客様を受け入れる際のおもてなしが実現できるのではないでしょうか。
 次に、心を癒やす究極の芸術として数年前より脚光を浴びているアール・ブリュットについて伺います。加工されていない生のままの芸術であるアール・ブリュットは、既存の芸術モードに影響を受けず、自由奔放につくられたものであり、作家の多くは障害のある方々です。この芸術は日に日に多くの人の心をつかみ、今、大変大きな広がりを見せるように発展してきました。
 私は、昨年第1回定例会の一般質問でも、中野から世界へ発信をと取り上げましたが、現在、アール・ブリュット・ジャポネ展がヨーロッパを巡回しております。昨年4月、オランダから開幕し、2カ国目はイギリスのロンドンにあるウェルカム・コレクションにて、「ソウゾウ:アウトサイダー・フロム・ジャパン展」として開催されました。3カ月間で会期を終え、ロンドンだけで9万4,000人の来場者となり、大変な反響だったそうです。
 アール・ブリュットの発信については、私ども公明党はかねてより支援をしてまいりました。私の前任でありました岡本前区議が初めて議会で質問に取り上げたのが、5年半前の平成20年2月です。その後も二度、三度と取り上げられました。その趣旨は、障害者とともに生き、育む文化芸術の地域社会の実現ということでありました。私もこの趣旨を大切にしたいと思っております。
 都議会では高倉都議が平成22年に都庁での展示開催を推し進め、国会でも今年4月、障害者の芸術文化振興議員連盟が発足しました。自民、公明、民主の各党から衆参両院の約30名が参加しております。5月には第55回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展におきまして、アール・ブリュットのヨーロッパ巡回展にも出展している作家の澤田真一さんの作品は26作品出展される快挙があり、それを受けて首相官邸にてアール・ブリュットの作品展が開催されました。その席上、安倍首相から、こうした芸術を政府としても全面的に応援していきたいとの話がありました。
 今、中野区内のまちの中では、自由民主党の先生方にも多数応援していただき、中野ブロードウェイ、サンモール、野方、薬師あいロードなどの各商店街でもアール・ブリュットが画期的な広がりを見せております。中野区におけるこうした商店街などでのアール・ブリュット関連のイベント開催は、平成22年からの3年間で8回にも上り、まさに中野からアール・ブリュットが発信されつつあります。まちの人たちも巻き込んでの発信ができるようになってきた中に、これまでの中野区による支援も大きく寄与しており、区長の御協力を高く評価いたします。
 何かが発展していくとき、そこには必ず熱意と発意を持って支える人たちがいます。このたび、区内の商店街連合会の代表の方たちが集まり、中野アール・ブリュット実行委員会が発足しました。今後の中野区内での展覧会などの構想を具体的に検討されているそうです。その中で美術館構想も出ております。単なる美術館ではなく、アール・ブリュットを中心として文化芸術を発信し、まちおこしができるようなカフェやワークショップその他のスペースも取り入れた、子どもたちからお年寄りまで、障害のある人もない人も集えるような、人々の交差点としての複合的施設を考えているそうです。今後、民間助成団体や国の補助金等も活用しながら、適切な場所を探しております。悲願である、中野区から発信する拠点の開設に向かい、実現へと一歩一歩着実な歩みを続けられています。まさに多様な文化芸術活動を通して刺激し合い、まちの活力が生まれるような拠点づくりは、中野区の先駆性をアピールすることにも役立つものと思います。
 また、今や世界から注目される文化芸術は、中野の財産でもあると思います。その意味で、区としてこのような活動をされる方々に対し、積極的な支援と複合的美術館構想に向けた適切な場所探しに対する情報提供、協力をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○滝瀬都市政策推進室副参事(都市観光・商業振興担当) アール・ブリュットを活用いたしました芸術によりますまちの活性化、商店街活性化、こういった取り組みに対しまして、商店街や企業、主催団体が、実行委員会など組織的に行ってきているところでございまして、こうした活動に対しましては、区も後援名義などの支援をしてきているところでございます。
 中野区都市観光ビジョンの中では、区の主な役割ということで、表現・文化・芸術にかかわる活動へのPRの支援の推進を位置付けているところでございます。今後も都市観光ホームページ「まるっと中野」をはじめとする各種媒体での広報PR、区外で行われるさまざまなイベントへの出展調整、また、主催団体の活動に資する必要な情報提供など、文化芸術の振興に資する活動への支援を行ってまいりたいと考えてございます。
○甲田委員 現在、ヨーロッパ巡回展には、中野区長のアール・ブリュットを応援するメッセージが作品とともに各国を巡回しております。ヨーロッパ展で展覧会に参加した何十万人という方が、アール・ブリュットと言えば中野と思っているに違いありません。今後、2020年の東京オリンピック開催に向けて海外からの来街者は、中野にアール・ブリュットの本拠地があると思って来られる方も少なくないと思います。中野らしい個性的なおもてなしができる一助になると思いますので、今後とも応援していただきたいと思います。ぜひ区としても協力を惜しまないでいただきたいことを要望いたしまして、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。
○内川委員長 以上で甲田ゆり子委員の質疑を終了します。
 次に、金子洋委員、質疑をどうぞ。
○金子委員 2013年第3回定例会決算特別委員会において、日本共産党の立場から総括質疑をいたします。
 まず、1として、保育問題について伺います。
 昨年、日本共産党区議団が行ったアンケートの自由記述欄に寄せられた声を一つまず御紹介したいと思います。現在育児休業中で、来年度、仕事復帰の予定ですが、保育園の入園が難しい。うちは共働きをしないと生活が厳しいので、保育園に入園できないと困ってしまう。第2子は考えられない、こういう声です。男女がともに社会に参画するとともに、少子化を克服して未来を担う世代を育てるためには、保育園に預けられないとか、子育てに費用がかかり過ぎるなどのために、子どもを産み育てることを諦めなければならないというような現状を放置してはならないと考えます。この立場から、以下お尋ねします。
 まず、(1)待機児の解消について伺います。
 ことし4月1日現在、認可保育園に申し込みながら定員いっぱいで入れない子どもは480人でした。この認可園待機児の数はこの5年間どのように推移してきたでしょうか、お答えください。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 平成21年度から平成25年度の5カ年の認可保育所待機児童数でございますが、平成21年4月で327人、以降、343人、356人、442人、ことし4月で480人となってございます。
○金子委員 今のお答えのように、認可園待機児はふえ続けております。4年で約1.5倍になった計算になります。認可保育園の計画的な増設を中心に据えた対策を日本共産党議員団は一貫して求めてきましたが、区は昨年度、保育定員の拡大にどのような対策を打ちましたでしょうか。それぞれの対策ごとに定員増の実績を整理してお答えください。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 平成24年度に行いました保育定員拡大の取り組みでございますが、沼袋西保育園の建てかえ・民営化ですとか、あと私立保育園の大規模改修工事によります認可保育所での定員増に関しましては60人、それから、認証保育所新規誘致等で136人、それから、その他グループ型家庭的保育事業や家庭的福祉員などで21人、合計217人分の定員増を行ったものでございます。
○金子委員 昨年4月には442人が認可保育園への入園を待機していたのに対して、認可園の定員の拡大は、ことし4月までに新規で60人だったということになると思います。一方、定員拡大総数217人のうち136人、63%は認証保育所の新設によるものです。区は認証保育所について、設置基準は認可保育所に準じているとおっしゃっていますが、保育士など職員の有資格者の配置基準も認可保育所に準じているのでしょうか、お答えください。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 東京都の認証保育所事業実施要綱によりまして、必要な保育従事者のうち6割以上を保育士資格など常勤職員とすることとされてございます。なお、児童の年齢ごとに必要な保育従事者数は認可保育所と同じ数というふうになってございます。
○金子委員 職員の配置の数については、認可保育園に準じているということですけれども、その職員の有資格者の基準については、認可園では全て有資格者、保育士が求められるのに対して、基準が6割に緩和されていると、こういうことだと理解いたします。
 また、現在の認可保育所の設置基準では、保育園の敷地内に屋外遊戯場、すなわち園庭がなくてはならないとはされておりません。しかし、今のところ、区内の認可保育園には国の面積基準を満たした園庭がどこにもあります。これに対して、認証保育所は園庭のないところが大部分となっています。東京都認証保育所というこの制度がつくられる以前から、無認可保育所として地域の中で頑張ってきた古い歴史のあるところでは、一部に園庭のあるものもありますけれども、この制度がつくられてから、ビルの一室などを借りて、株式会社等が借りて開いている認証保育所では、ほとんどが園庭がない、そういう状況だと思います。安心して子どもを預けられ、子どもが園庭で伸び伸びと遊べる、そういう認可保育園を希望する保護者が多いというのは現状と理解しています。
 ことし4月に認可園に入ることのできた子どもの数、これは認可保育園の定員数イコールとしますと、合計3,625人、そして、待機している子どもの数480人を足して4,105人、これが認可保育園を優先的に希望している保護者の子どもの数と言えると思います。
 区は、認証保育所が長時間保育に対応しているなど、認可保育園にはないサービスを実施していることから、優先的に選択している保護者が多いとおっしゃいます。そして、昨年4月にはその割合は、認証保育所に預けている子どもたちのうちの53%だった。優先的に選んでいる親その他の子どもは53%だったと言って、さようなニーズへの対応ということをうたってきました。労働時間や通勤時間の関係で、確かにそういう保護者もたくさんいるとは思います。
 それでは、ことし4月時点でそういう保護者が認証保育所に預けている子どもたちの数は、実数でどれくらいでしょうか。また、認可保育園を希望しながらも入れなくて認証保育所に預けている子どもたちの実数はどれくらいでしょうか、お答えください。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) ことし4月に認証保育所に通所している446人の方のうち、認可保育園の申し込みのあった方は175人、認可保育園の申し込みのなかった方は271人となっているものでございます。
○金子委員 つまりは、4,105人が優先的に認可保育園を希望し、271人が認証保育所を優先的に希望していると捉えられるということかと思います。また認証保育所に、認可保育園で申し込まずに認証保育所に預けている親御さんにしても、認可保育園に、待機の状況の中で、最初から認可保育園を諦めて、認証保育所のほうはとにかく申し込むのが早いほうが、早い者勝ちですから、申し込むというケースもあると思いますので、その271人の全てが本当に認証保育所を優先的に希望していると言えるかどうか、これについては疑問だと思いますが、仮にそうだとしても、4,105人対271人というのが、認可保育園に対するニーズと認証保育園に対する本来のニーズの比率と言えると思います。
 そして、区は必要十分な認可保育園をつくらず、認証保育所にして代用していた認証保育所を、需要の2倍近くも民間の力でつくらせて、本当は認可保育園に預けたい175人の子どもたちをここに受け入れさせてきたというわけです。
 この3月、認可保育園の第1次選考で入園不承諾とされたお母さんたちが区長と区議会議長宛てに、認可保育園の増設と来年度の希望者全員の入園を求める要望書を提出しました。この要望書に添付された資料には、署名の中で聞かれた声として、次のような事例や意見が紹介されています。例えば、1次選考で不承諾通知、認証保育所30カ所に連絡するもキャンセル待ち、1年半の育児休暇が終わると退職になってしまう可能性がある。また、1人目を認証保育所に預けているが、2人目の子も1次選考で不承諾通知、2人を認証保育所に預けることは金銭的な負担が大きく、退職を検討している。あるいは、認証保育所に入れて調整指数を上げて、来年の認可保育園入園を目指すことになった。なぜすぐに認可保育園に入れないのか。応募用紙は第5希望までしか枠がないが、どこにも入れないと困るので、第20希望まで書いたら、第11希望の園に入園できた。しかし、家から3キロも遠くにあって、毎日の通勤が困難だという声が紹介されています。区はこういう声や実態をどのように受けとめ、どう答えるのですか。お答えください。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 待機児童対策に関しましては、喫緊の課題というふうに認識しており、来年4月に向けましては緊急に追加で対策を行っているといったところでございます。
○金子委員 区は今年度以降、認可保育園の増設や民営化・建てかえ等でどのような計画をしていますか。現在決まっているところのほうだけでどれくらいの計画がありますか。また、それらを合わせると、認可園の定員は何人の増加になるのでしょうか。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 今後でございますが、来月開設いたします沼袋保育園分園の40人をはじめといたしまして、来年4月には、現在事業者を募集しております賃貸物件等を活用した認可保育所3施設で180人、それから、平成26年11月には(仮称)南台五丁目保育室の開室で112人、平成27年4月には松が丘保育園及び橋場保育園の建てかえ・民営化によります増分といたしまして100人分といったところで、合計400人以上の定員増を見込んでいるところでございます。
○金子委員 400人ということですけれども、しかし、ことし4月現在で480人、これにはまだ達しない数であると思います。また、これまで区は2010年の秋に今後の保育需要への対応方針を定め、またその後、毎年、実際の待機児童の数の状況も踏まえて改定を重ねてきました。認可保育園だけでなく、認証保育所やグループ型家庭的保育、保育ママでもって、ともかく、いわゆる新基準の待機児だけは翌年にはなくそうという計画でした。しかし、毎年保育園の需要が予想以上にふえて、新基準の待機児もゼロにはなりませんでした。ことし4月には149人でした。
 東京都が昨年10月に行ったアンケート調査、「東京の子供と家庭」によれば、共働き家庭は既に53.8%と半数を超えています。現在働いていない母親は、母親のうちの45.2%で、その中で13.7%が今すぐにでも働きたいと答えています。5年前の調査の10.2%から3.5ポイントも増加しています。共産党区議団のアンケートでは、最初に紹介した、うちは共働きをしないと生活が厳しいという声のほかにも、共働きを前提にローンを組んでいるという声もあります。労働者の平均年収は1997年をピークとして70万円も下がり、月給が14カ月連続で前の年の同じ月を下回り続けているという目下の経済状況では、女性の社会に出て活躍したいという欲求だけでなく、共働きしないとやっていけないという切迫した事情もあります。こうした状況を保育需要の予想に区は反映させているのでしょうか、お答えください。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 区の保育需要でございますが、保育需要と申しますのは、保育を必要としている児童の数でございまして、個々の生活状況を反映したものではございません。
○金子委員 働かなければやっていけない者として、どうしても保育に欠ける児童が生じるわけです。ですから、そうした経済的な状況、これを無視して保育の必要性、これは児童に固有の生得のものというわけではないと思います。こうした経済状況も踏まえて保育需要というのは考えられるべきだと私は考えます。
 次に、認可保育園の増設のあり方について伺いたいと思います。
 国の待機児童解消加速化プランに基づいて、区は民間事業者がマンションなどの物件を賃貸で運営する定員60名以上の認可保育園を3施設程度誘致することを決めて、8月下旬にその事業者の募集を開始しました。事業者については法人の形態は問わないことになっており、株式会社など営利企業の参入の可能性があります。株式会社は利潤を上げて株主に配当しなければなりません。人件費削減のために賃金が抑えられる傾向もあり、また、保育士の入れかわりが激しく、ベテラン保育士が確保されないなどの問題が各地で起こっています。
 例えば、加速化プランのモデルとなった横浜市では、保育所の4分の1が営利企業によって運営されています。そのもとで、保育園の運営費から親会社への貸し付けや、限度額を超えた弾力運営を行った末、二つの認可保育園を年度途中で廃止して、他の株式会社に資産譲渡したとか、園長を含む常勤職員全員が退職や異動で入れかわり、保護者や子どもに大きな不安を与えているなどの事例が生じています。日本共産党の横浜市議団の調査によれば、ある株式会社が経営する二つの保育園では、市からの交付金収入は1億1,000万円余りですが、園運営費は9,000億円に固定され、差額の2,200万円を会社本部会計に回しています。(「9,000億円じゃないだろう。9,000万円じゃないの」と呼ぶ者あり)失礼しました。園運営費は9,000万円に固定して、差額の2,200万円を会社本部会計に回しています。訂正します。
 一方、園運営費に占める人件費の割合は53%と、全国平均の72%に比べて著しく低く、正規職員の月給の平均は17万円と試算されています。こうした保育士の労働条件の引き下げや、経営者や職員の入れかわりの激しさは、保育の質にも影響を与えることは明らかだと思います。安易に株式会社の参入を進めるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 法人の経営形態にかかわらず、経営理念、それから保育理念、または保育所をはじめとする職員の処遇ですとか、あと人材育成方針などを確認した上で、より質の高い保育サービスを提供する事業者を選定してきてございます。株式会社であっても、これらの質が高いと判断されれば選定していくといったものでございます。
○金子委員 株式会社であれば全てだめ、社会福祉法人だったら全てオーケーというものではありません。しかし、利潤追求、求めてはならないという特性も踏まえて、厳しい結果が必要だと私は考えております。
 さて、南台五丁目に来年11月に開設される私立認可保育園では、プロポーザル方式による事業者選定の結果、三つの社会福祉法人と一つの株式会社の中から株式会社が選定されました。認可保育園の事業者選定においては、庁内だけで選定するのではなく、区民、保護者や保育関係者、学識経験者の加わった選定委員会をつくるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 事業者の選定に当たりましては、書類審査だけではなく、応募事業者が実際に運営する保育所を、園長経験者、それから看護師、栄養士といった専門職員が調査をいたしまして、望ましい保育の内容が実践されているか確認した上で評価を行っており、区の職員で適切に選定を行っていると考えてございます。
 なお、財務状況につきましては第三者機関の財務診断を受けており、現在の選定方法で適切に行われていると考えているものでございます。
○金子委員 しかし、区民や保護者、また保育の実際の関係者の声が生かされるような選定方法というのがやはり必要だと考えます。そういった意見を尊重できる仕組み、これの検討を要望しておきます。
 次に、子ども・子育て新システムに関連して、児童福祉法の56条の2が改正され、社会福祉法人の運営する児童福祉施設では現在、建設費や改修費の4分の3を公費で補助ができるという規定が保育所には適用されておりますが、この適用の対象から保育所が外されました。この規定によって、現在は社会福祉法人が運営する保育所の整備には国から2分の1、区から4分の1の助成が行われています。しかし、来年4月に消費税増税が実施されて、同時に子ども・子育て関連3法も施行されるということになりますと、現行のこの施設整備費の補助の、4分の3までの補助の規定がなくなってしまいます。新システムでは、施設整備費は施設型給付費の中に含まれて支給されるということになっております。整備費の4分の3の補助というものがもしなくなってしまえば、社会福祉法人には認可保育園を新設することはおろか、老朽した保育園の建てかえや改修さえままならず、資金力のある大手株式会社が社会福祉法人を駆逐していくという結果ともなりかねません。給付費の仕組みの中で、施設整備費の補助率の水準は維持できるのでしょうか。少なくとも区は現行の補助を維持すべきだと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) これまでの国の説明では、保育所の設置に関しましては、新規施設のみならず、賃貸も含めてさまざまな方法が考えられるといったようなところから、新制度では整備費用と減価償却費を勘案して給付費等を設定いたしまして、長期間にわたって平準化した形で施設整備を支援していくというようなことになってございます。なお、緊急に対応する必要がある保育所に対応するための施設の新設ですとか、あと、施設の耐震化等に関しましては、改正後の児童福祉法におきまして規定される交付金による別途の支援が想定されてございます。その規模は現行の補助制度と同等の規模を想定しているというようなことで説明がございますので、今後も国の動向を見守ってまいりたいというふうに考えてございます。
○金子委員 減価償却を考えて、長期にわたって給付がされるという御説明でした。そうしますと、園を新設する際の初期投資、これについては大きな負担が生じるということになると思います。このもとでは、大きな資金力を持つ株式会社と社会福祉法人の間で、非常に社会福祉法人にとって不利な制度になるのではないかと危惧します。こうした社会福祉法人に対してしっかりとした支援、これが求められると考えます。
 最後に、改めて認可保育園の計画的な増設を強く求めたいと思います。廃止される公務員住宅など国有地の提供が国から示されています。都有地についても調査検討の必要があると思います。本定例会本会議での岩永議員への答弁で、活用できるものがあれば活用するということでしたが、提供されている国有地については、現在公共施設や住宅など他の用途を予定しているものが多いようです。しかし、1階、2階を保育園にして複合施設とするなど、さまざまな工夫の余地もあると考えています。こうした工夫をして、都有地、国有地を活用した認可保育園の増設を進めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 都有地や国有地の活用に関しましては、保育施設を設置する地域、それですとか、整備時期等の条件を踏まえ、活用できるものがあれば活用してまいりたいというふうに考えてございます。なお、保育需要に対しましては、認可保育園に限らず、保護者の方の生活環境に合った保育サービスの整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
○内川委員長 金子委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。3時20分まで委員会を休憩します。
      午後2時57分休憩

      午後3時20分開議
○内川委員長 委員会を再開します。
 休憩前に引き続き総括質疑を行います。金子委員、質疑をどうぞ。
○金子委員 では、1の保育問題についての(2)保育料の値上げについて質疑します。
 区は、8月に保育利用者の負担の公平化の案を子ども文教委員会に示しました。認可保育園の保育料を引き上げ、それを財源にして認証保育所の保育料に対する差額補助の上限を現行の2万円から6万2,000円に引き上げるというものです。我が党、日本共産党議員団はこれまでも繰り返し、この認証保育所に対する差額補助の増額、これを求めてきました。差額補助の増額、引き上げ、この点については大きく評価するものです。しかし、その負担を認可保育園の保育料の値上げに転嫁する、この点には大きな疑問があります。区はこの認可保育園保育料の値上げの理由として、中野区の保育料の歳入額は国の徴収基準の43.6%で、他の区よりも低いということを挙げています。また、平成18年の税制改革のときに所得税の減税がされている。それに応じて保育料の値上げをしなかったために、こういう低い水準にとまっているということを理由にしています。
 しかし、児童福祉法は、保育に欠ける児童に保育を保障しています。自治体には保育の実施義務があります。教育を受ける権利と教育の機会均等の原則から、義務教育が無償とされているのと同様、保育も本来は無償であってもおかしくはありません。このように、税制改革で所得税が減税されたときに実質保育料も減税されている。だから、これを引き上げなければならない、こういった理由にはならないと考えます。
 今度の値上げでは、全体の保育料の収入は国徴収基準の何%になるのでしょうか、お答えください。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 今回の改定案の場合でございますけれども、今の見込みといたしましては、国の徴収基準の52%前後になるのではないかと見込んでいるところでございます。
○金子委員 認可保育園の保育料の歳入額の総額が43.6%から52%へ引き上がる。総額でもかなりの大幅な引き上げだということがわかります。しかも、この値上げにおいて、今回の発表された案によれば、低所得層ほど値上げ率が大きくなっています。生活保護受給世帯など、保育料が免除されているところについては引き上げにはなっておりませんけれども、その少し上のところ、住民税は非課税ですけれども、所得税が課税になる額のところから大きな比率での値上げとなっています。前年所得税が1万5,000円から1万6,800円までの階層で値上げ幅が最大です。3歳未満児では85.5%、3歳児では49.3%、4・5歳児では50%となっています。そして、所得階層が上がるほど、次第にこの値上げ幅が低くなるカーブを描いています。ランクの上限が拡張されて、最上層部が細分化されたこと、これを取り上げて、区は応能負担を強めていると説明しておられますが、全体としては低所得層ほど大きな負担増となっているということです。なぜ区はこのような低所得層により重い負担を強いるのでしょうか。
○古川子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 今回の認可保育所保育料の見直しの視点におきましては、平成19年に実施されました税制改正の影響を徴収基準に反映させたといったところでございまして、それ以前の負担額に戻させていただくということでございます。また、そのほかに高額所得層の階層を増設するといったようなことも行っておりまして、低所得層に限った見直しではないといったものでございます。
○金子委員 しかし、今回の値上げについては、低所得層ほど大幅な値上げという事実は変わらないと思います。負担の公平化と区は説明していますが、認証保育所の保育料と認可保育園の保育料の格差、この差は不公平だと。この不公平が広がったのは、そもそも区が保育の実施義務に反して認可園を十分にふやさず、かわりに認証保育所をふやして、そこへ認可保育園を優先的に希望している子どもたちも預けさせてきた、その結果です。認証保育所の保護者の負担を認可園の保護者に、しかも低所得層に重点的に転嫁するのは筋が通らないと思います。値上げの撤回を求めて、この項の質問を終わります。どうもありがとうございます。
 では、次に、2として生活保護行政について伺います。
 (1)自立支援についてです。リーマン危機以来、失業や不安定雇用が広がって、働ける人たちの生活保護の受給が急速にふえて、それが扶助費増加の大きな要因になっていると言われてきました。高齢や傷病、障害、母子以外のその他の世帯が働ける人たちとされていますが、中野区では、このその他世帯の受給者は、この4年間どのように推移してきたでしょうか、お答えください。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) その他世帯の世帯数の推移についてですが、平成21年度は612世帯、平成22年度は865世帯、平成23年度は1,026世帯、平成24年度は1,152世帯となっております。
○金子委員 次第に増加のペースはある程度落ちついてきているとは言えますが、増加が続いています。受給者全体に占める割合でも、昨年度は17.7%、今年度は18.7%と、占める割合でもふえているということが言えると思います。仕事をなくして失業給付も切れたり、あるいはもともと失業給付もない、そういった人たちの最低限度の生活を保障しながら、仕事を見つけて働けるように支援をするのは当然大切なことです。国民には勤労する権利があります。勤労はまずもって権利であり、権利の実現の手だてが保障されて初めて、勤労の義務は履行できるわけです。しかし、自立を保護からの自立のみに収れんさせて、すなわち就労という観点、いかに受給者と保護費を減らすかという財政的観点から就労指導が行われるとすると、職業選択の自由や人間らしく働く権利が侵害されてくる危険が出てくるのではないかと危惧するものです。
 主要施策の諸成果で、区は、生活保護受給者一人ひとりに合った自立を目指す自立支援プログラムとして、就労支援プログラムなどを充実させ、被保護者が自立した生活を送れるように支援しましたと述べています。この就労支援プログラムではどのような支援が行われ、その実績はこの4年間どのように推移してきたでしょうか、お答えください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 区の行っております就労支援プログラムの内容でございますが、平成21年と22年度はハローワークとの連携した面接会を中心とした支援でございました。平成23年度からハローワークと協定を結びまして、生活援護分野に隣接してハローワークの求人情報端末を設置し、求人情報の提供など職業あっせんを行っているところでございます。また、平成23年4月から、特に就労が困難な39歳以下の方に就労支援員が個別の支援を行う若年層支援というものに取り組んでおります。
 全体の成果といたしまして、21年度は支援者数226名で64人の就労者、22年は235人の支援者で74名の就労者、23年度は444名の支援者で136名の就労者、24年度は333名の支援者で160名の就労者を出しております。
○金子委員 平成23年、2011年度から始まった中野就職サポートによって、就職率も非常に高まっていることがわかりますし、その対象となっている人もふえて、就職には大きな効果を発揮していると言えると思います。しかし、就労によって生活保護の必要な状態から抜け出すことができた世帯の数は、この期間どのように推移しているでしょうか、お答えください。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 就労によって自立した世帯数ですが、平成21年度は40世帯、平成22年度は38世帯、平成23年度は53世帯、平成24年度は67世帯となっております。
○金子委員 このように、就職した人が急速にふえているのに比べて、その就労によって生活保護から脱却した数はそんなに大きく伸びていないと、数の上から見てとれます。実際、就労してもなかなかすぐに生活保護から抜け出すということまでの道は非常に険しいということが、この数字からは見てとれるように思います。昨年度の数で見ると、就職者が160人に上っていますが、保護からの自立は67世帯ということです。生活保護水準以上の賃金を得られないアルバイト、パートなどの仕事への就労が多いということなのかとも思います。
 昨年の決算特別委員会の総括質疑での私の質疑の中では、就労した受給者のうち、正規雇用の仕事につけたのは約3割だと伺いました。その傾向はその後も続いているのでしょうか、お答えください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 今、御質疑にございました昨年度の答弁の件でございますが、あの御答弁は、就労支援プログラム全体でお答えしたものでございまして、被保護者に限定した御答弁ではございませんでしたが、被保険者に限定した場合でも、正規率の割合としてはほぼ3割ということで、同じでございます。
 その後の傾向ということでございますが、24年度、受給者に限りまして、就職における正規率は62%となっております。また、今年度上半期では、25%という状況でございます。
○金子委員 今、平成24年度、正規率62%で、平成25年度は24%……。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 25年度の上半期は25%でございます。
○金子委員 厚生労働省は、全国厚生労働関係部長会議資料など自治体への指導文書の中で、切れ目のない就労自立支援策というものを強調しています。これは、みずからの希望を尊重した就労活動を行ったにもかかわらず、一定期間経過後も就職のめどが立たない場合等には、職種、就労場所を広げて就職活動を行うことを基本的考え方とするとしています。本人の意思に反した職種や勤務地でも、とにかく就労させよという圧力がかけられる懸念があると考えます。また、保護開始後3カ月から6カ月段階での取り組みとして、直ちに保護脱却が可能となる程度の就労が困難と見込まれる稼働可能者については、低額であっても一旦就労することを基本的考え方とするなどとして、いわゆる中間的就労が打ち出されています。こうした就労支援、当事者の働きたいという意思に沿って支援がされるならば、アルバイトなど短時間、低額の仕事でも社会的自立へのステップになるということもあるでしょう。しかし、そうした就職活動をしないことを理由に、能力を活用していないとして保護の廃止をするというようなことになると、当事者の意に反した仕事を強制する結果になりかねません。また、賃金、労働条件の劣悪な仕事に生活保護受給者を追い込む懸念があって、社会的にも賃金、労働条件を押し下げる要因ともなりかねません。中野区の就労支援がこのような、とにかく就労することの強制ではなくて、真に当事者の意思と働く権利や職業選択の自由を尊重した、当事者に寄り添った支援となることを望むものです。
 関連して、1点伺います。ある50歳代の受給者から、仕事を探せと言われて、何度も面接に行っているが、そのたびに不採用を繰り返し、交通費ばかりがかさむという不安の声を聞いています。厚労省も就労活動促進費の創設というのを検討しているようですが、就職活動の交通費を支援する手だてはないものでしょうか、お答えください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 生活保護の受給者が就職活動に取り組んだ場合の交通費につきましては、現在でも挙証資料の提出をしていただければ、一時扶助として支給しております。新たな取り組みとして就労活動促進費の創設が行われましたが、これは現在対象とならない履歴書ですとか、添付する写真代も含めて一時扶助できるものですが、交通費も含めて上限5,000円というものでございます。また、この支給をいたしますためには、就労の活動について綿密な計画を立てまして、それに沿って行動していただくということが前提でございます。
○金子委員 一時扶助として、交通費は領収書添付で請求があれば出るということですけれども、この方の場合、それを知らなかったんじゃないかということ。知っていたらそういうことができているのではないかと。もし周知がちゃんとできていないのであれば、訂正していただきたいと思います。
 次の質問に移ります。とにかく就労するということだけが自立ではないと考えます。生活保護を受ける人たちが自宅で孤立して生活するのではなく、ボランティア活動などで社会と接点を持てるように支援することも重要ではないかと思います。この6月、生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案を審議する参議院の厚生労働委員会では参考人質疑が行われて、自治体の生活保護行政担当者や生活保護利用者を支援するNPOの関係者などから、さまざまな経験報告や意見の陳述がなされています。
 こうした中で、釧路市の生活保護行政担当者からの報告では、こういった経験が紹介されています。釧路市の場合、生活保護の生業扶助を積極的に活用して、さまざまな自立支援プログラムを実施しているということです。そこには、中学生に対する学習支援、高校進学支援も含まれています。母子世帯の母親の就労などについても独自の取り組みを行っています。母子世帯の母親などを中心に、訪問介護を行うヘルパーに同行する機会を設けたといいます。無免許の母親たちには、介護の仕事を行うことはできませんが、ヘルパーの仕事を手伝うことはできます。訪問先の高齢者の話し相手をすることもできます。ヘルパーや高齢者との交流を通じて、その母親たちの中には意欲を喚起されて資格を取りたいという意思を抱いた26人の母親たちに対して、釧路市は、保育所に子どもを預けて資格取得を行う機会を提供しました。結果、このうち16人がヘルパーの資格を取得し、1年後までには就労したという、こういった経験も紹介されています。
 このようなボランティア活動を通じた社会的自立の支援、中野区でも中野区の条件に応じて検討してはいかがでしょうか、伺いたいと思います。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) ボランティア活動への参加につきましては、すぐに就労が困難、難しい方にとって社会参加の機会、また就労への訓練的な意味合いも含めて非常に有効な手段の一つというふうには考えられると思います。しかしながら、被保護者の受け入れができる支援団体などが必要であることから、実際に取り組むためには課題があるというふうに認識してございます。
○金子委員 先ほど申し上げました学習支援の取り組みなどについても、そうしたNPOなど支援団体というのが非常に大きな役割を果たしていることがあると思います。ですから、そういった動き、団体なども連絡をとりながら、こうしたさまざま支援の仕組みをつくっていけるように検討をお願いしたいと思います。
 次に、主要施策の諸成果では、精神的ケアの充実として、精神保健プログラムが挙げられています。この精神保健プログラムとはどのようなものでしょうか、お答えください。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 本プログラムは、精神的な疾患、課題等が原因で安定した生活を送ることが困難な場合に、精神保健福祉士が相談・助言等の支援を行うプログラムでございます。
○金子委員 この精神保健福祉士の人たちは委託なのでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) はい、そのとおりでございます。
○金子委員 この人たちもNPOなどの団体との協力で委託をしているということでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) NPOではございません。
○金子委員 この主要施策の諸成果……(「成果」と呼ぶ者あり)成果。主要施策の成果では、精神的ケアの中では、ここを見ますと、このプログラムの利用者が急速に伸びています。ここ3年で急速に伸びておりますが、この急速な伸び、どういう要因によるものでしょうか。
○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 本プログラムは平成22年度から導入した制度でございます。初年度は週2日1名体制でございましたが、翌年は週5日1名といたしまして、さらに平成24年度からは週5日2名体制と強化をいたし、24年度からは被保護者の世帯のみでなく、相談の段階から、課題の感じられる方につきましては、このようなプログラムを導入するということで対応してまいりましたので、支援者数が増加したものでございます。
○金子委員 一人ひとりの状況に合った自立支援のさまざまなプログラムに受給者を結びつけていく上でも、ケースワーカーの役割は欠かせないものだと思います。さきに触れた国会の参考人質疑の中では、ケースワーカーの状況について、日常業務での負担が過重である上に、ケースワーカーの多くは人事異動でたまたま配属されただけの職員である。1年から3年が経過すれば、また次の部署へと異動するため、経験を蓄積していくことができないといった意見も出されています。
 そこで伺います。中野区の場合、NPOに委託している安定した高齢者の世帯を除いて、ケースワーカーが直接に担当している受給者の数は、ケースワーカー1人当たりどれくらいになっていますか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 委託しております高齢世帯を除いて、1人当たりのケースワーカーが担当している被保護世帯数は99.7世帯になっております。
○金子委員 ほぼ100世帯を1人で担当しているということです。1年間だと、1日に二、三人、1年に1回訪問するとしても、1日に二、三……(「違う。年間3回ずつ」と呼ぶ者あり)ああ、そうです。1人に対して年間3回程度訪問はできるという割合だと思います。十分な数とはなかなか言えないのではないかと思います。ケースワーカーをさらに増員すること、これを要望したいと思います。
 また、このケースワーカー、社会福祉士などの有資格者も少ないということが言われていますが、中野区の場合、この有資格者の割合はどのぐらいになっているのでしょうか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 社会福祉士の資格についてですが、生活保護のケースワーカーの必須資格ではございませんが、現在、社会福祉士の資格を有しているケースワーカーは5名おります。
○金子委員 ケースワーカー全体では何人、今いらっしゃるんでしょうか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) ケースワーカーについても、生活援護分野以外にもケースワーカーというのはおりますが、生活援護分野に限りましては5名になっております。
○金子委員 生活援護分野のケースワーカーの数は何人ぐらい。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 約80名になっております。
○金子委員 80名中、社会保健福祉士は5名ということですね。資格さえあればということではないかとは思いますが、非常に有資格者の比率が低いと思います。この比率を高めていっていただきたいと。また、ケースワーカー全体の数も増員を要望します。
 次に、2の(2)としまして、生活保護基準の引き下げについて伺います。
 この8月に、生活扶助基準が引き下げられました。この引き下げは、政府はこれを主としてデフレを理由としたものだと説明しています。総額で国費ベースで670億円削減するうち、580億円分がこのデフレ影響によるものだと。残り90億円が、当初言っていた他の階層との消費水準との比較によるものだというふうに説明しています。また、この生活保護基準について検討した社会保障審議会の生活保護基準部会では、他の階層との比較についてしか検討しておりません。しかも、それについても非常に慎重な意見がたくさん出ていたところです。ところが、この生活保護基準部会とは全く関係なく報告が出た後に、突然、デフレを理由に持ち出してきて、580億円が国費ベースで総額で削られるということになっています。このデフレの影響の換算をはかるために、生活保護者のCPI、物価指数というものが計算されていますが、このCPIの中には、生活保護世帯には普及率の低い家電製品などが大きな比重を持って計算されているなどの問題が指摘されています。低所得者の生活必需品の価格は、前回の生活保護基準の決定以来の8年間の間、ほとんど下がっていません。
 また、アベノミクス以来、円高が進んで、食料品などでは値上げが今進行しています。こういうもとで……(「円安だろう」と呼ぶ者あり)円高で――円安か。円安で輸入食料品などの値上げが進んでいます。このもとで、デフレを理由として670億円のうちの9割を引き下げるというのは、全く納得がいきません。今回の引き下げ額は、受給者の生活保護費の引き下げ額はどのようになっているでしょうか。代表的な幾つかの世帯の類型について伺いたいと。教えてください。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 生活保護費の引き下げについてですが、類型としまして、65歳の高齢単身世帯の引き下げ額は660円になっております。45歳の夫、40歳の妻、10歳の子ども世帯の類型の引き下げ額は5,520円になっております。
○金子委員 このように、子どものいる世帯で大きな引き下げとなっています。しかも、今回の引き下げは、3回にわたって引き下げる、その第1回目です。第2回目、第3回目の引き下げ額についてはまだわからないということですけれども、全体の国の引き下げの計画では、大体3分の1、3分の1、3分の1というふうに引き下げていくと言われております。ですから、最終的にはその3倍程度の引き下げ、これが再来年の4月から引き下げられるということで、子どもを抱えた受給世帯にとって、非常に大幅な大きな負担、打撃となると思います。
 また、就学援助への影響が及びます。就学援助は現在、生活保護基準の1.15倍を基準にしております。生活保護基準が引き下げられると、自動的に、この規定を変えない限りは自動的に就学援助の基準も引き下がることになり、本会議での答弁では、来年4月、200人、再来年の4月には300人が、所得水準がこのままだと対象外になる可能性があるといったお答えがあったと思います。こうしたときに子どものいる世帯に対して大幅な引き上げで、就学援助からも多くの対象者が除外されていってしまうということになるなど、影響は甚大だというふうに考えます。こうした引き下げについて、影響が及ばないように措置をとるということも当然必要だとは思いますが、まずもって、やはり生活保護基準そのものの引き下げ、これをやめてもとに戻すか、せめて来年度以降の引き下げはやめさせるということを国に求めていく必要があるのではないかと考えますが、いかがお考えですか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 生活保護基準をもとに戻すこと及び来年度以降の引き下げをやめるように、国に要望する考えはございません。
○金子委員 国による引き下げによって、それだけの人たちが、低所得層が生活保護や就学援助から締め出される、これを認めるという立場なのかと理解します。その立場を変えることを求めたいと思います。
 次に、今回の生活保護基準引き下げによって、生活保護の受給の対象から外された人というのが出てはいないかと危惧します。そうした人たちはどれくらいいらっしゃるでしょうか。
○鈴木健康福祉部副参事(生活保護担当) 8月の生活保護の基準の引き下げによりまして、保護が廃止になったのは16世帯となっております。
 委員長、すみません。1件、答弁訂正をさせていただきたいんですが、先ほどのケースワーカーの人数の御質問なんですけれども、実際に地区を担当しているケースワーカーとしては56名となっております。
○内川委員長 金子委員、よろしいですか。
○金子委員 はい。
 次に、住民税の非課税基準について伺います。国は、来年度から生活保護基準に合わせて、住民税非課税基準を引き下げようとしています。それで、平成16年度税制改革と同時にということですので、消費税の増税と同時にこれを行おうとしているということです。住民税非課税基準をもとにした区の福祉の制度、たくさん、減免制度等数え切れないほどあると思います。こうした非課税基準の引き下げについても、施策要求に要請すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○長﨑区民サービス管理部副参事(税務担当) 住民税の非課税限度額の制度につきましては、低所得者層の負担を考慮するといった観点から設けられており、これまでも生活保護に関する基準額をもとに算定をしてきているところでございます。今回の生活扶助基準の見直しに伴い、国は住民税の非課税限度額については平成26年度以降の税制改正において対応すると、こう述べておるところでございます。したがいまして、区としては、今後もこうした国の動向に注意をしなければならないというふうに思っているところでありまして、現段階で国への要望をすることは考えてはございません。
○金子委員 特別区長会の国への施策・予算要望で、全額、生活保護費の国庫負担を毎年要望しております。特にことしはその要望の中の――生活援護にかかわる要望の中の冒頭に掲げていますが、地方財政の負担ということを考えるならば、国による全額国庫の負担、これを一層強く要望していく必要があると思っております。
 以上で生活保護行政についての質問を終わります。ありがとうございました。
 次に、3、中野駅周辺の開発について伺います。
 (1)開発と事業活動による二酸化炭素の排出についてです。5月に特別区協議会が公表した2010年度温室効果ガス排出量推計算定結果によれば、2010年度、中野区では産業部門建設業による温室効果ガス排出が6万2,000トンになりました。これは前年の3.4倍で、4万4,000トンの増加です。その結果、中野区の総排出量は前年度より4万6,000トン、5.1%増加しています。この年の6月、中野駅前開発特定目的会社により、警察大学校跡地に現在のセントラルパークと呼ばれているオフィスビル2棟とレジデンス1棟の本体工事が着工されています。この年の中野区の温室効果ガス排出増加の主たる要因は、この開発工事の着工にあると考えられると思いますが、いかがでしょうか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 今、委員から御指摘のございました中野区におきます温室効果ガスの排出量推計でございますが、特別区協議会がオール東京62市区町村共通の基準によりまして行っているものでございます。この中で各自治体ごとの算定でございますが、部門が四つございまして、その一つ、産業部門の建設業についてのお尋ねでございますが、この算定は、当該年度におきます、その自治体におきます住宅やオフィスなどの建築着工床面積で算定されているものでございます。この自治体ごとの建築着工床面積でございますが、東京都の統計年鑑からデータがとられているというものでございます。具体的にどの住宅や、どのオフィスビルの工事のものが入っているかどうかということはデータには出ているものではございません。しかしながら、この2010年におきましては、警察大学校等跡地地区におきまして、複数の大規模な建物が着工されてございまして、これが中野区におきます建築着工床面積を押し上げたのではないかという推測はしてございます。
○金子委員 中野区の環境基本計画では、2017年度に区内から排出される二酸化炭素の排出量を2004年度の排出量と比較して約10%、9万トン削減することを目標としています。基本計画を具体化するために、第1次アクションプログラムが2008年度から2010年度を対象として策定されて、プラスチックのリサイクルや、住宅や区有施設の太陽光発電、太陽熱利用施設の設置、あるいは省エネ機器の設置などが取り組まれました。3年かけて、約1万トンの二酸化炭素排出を削減したと区は推定しております。しかし、警大跡地の開発を主たる要因として、建設業による排出が1年で4万4,000トンふえて、区内の総排出量もふえているわけです。区はこの結果をどう評価していらっしゃいますか、伺います。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 区におきましては、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)におきまして、地球温暖化防止戦略を定めまして、これを推進しているところでございます。地球温暖化を防止するためには、二酸化炭素の排出量を削減することが重要であるというふうになってございます。中野区におきます二酸化炭素の排出量は、2010年度で約95万トンでございますが、その約半分は家庭が占めておりまして、約4分の1をオフィスや店舗が占めているという状況でございます。そのため、区といたしましては、区民の皆様や事業者の方がいずれも地球的な視野に立って環境を考え、省エネルギー機器の導入や自然エネルギーの利用など、家庭生活においても、事業展開におきましても、環境に配慮した行動をとっていただくということが重要であるというふうに考えてございます。
 確かに、建築工事やオフィスの増加、こういったことがございますと、二酸化炭素排出量がふえるということではございますが、省エネ型の工事工法、あるいは設備といったものの導入も進んでいるというふうに聞いてございます。こうしたことで温室効果ガスの排出を抑制し、環境に配慮していただくということが重要であるというふうに考えてございます。
○金子委員 また、この特別区協議会が発表した算定結果の報告書によりますと、民生業務部門における延べ床面積の影響がこの報告書では考察されています。報告書は、23区の業務延べ床面積は堅調に増加しており、2010年度では1990年度比で42%増加しているとしています。そして、延べ床面積当たりのエネルギーの消費量は、この間ほとんど変わっていないことから、民生業務部門におけるエネルギー消費の増加43%の大きな要因は、延べ床面積の増加であると結論づけています。オフィスや店舗などのフロア面積がふえればふえるだけ二酸化炭素の排出量もふえるということです。警大跡地改め中野四季の都市で竣工したオフィス、店舗でも、温室効果ガス排出が建設だけでなく、その後の通常の業務活動によってもふえるということです。この要因が2012年度からは働いてくるということになると思います。
 中野四季の都市においては、少しでも温室効果ガスの排出を抑制削減する必要があると考えますが、どのような対策が現在とられているのでしょうか。また、その効果はどのくらいと考えられているのか、お尋ねしたいと思います。
○松前都市政策推進室副参事(中野駅周辺まちづくり担当) 中野四季の都市の開発に当たりましては、区と開発事業者との間でまちづくりに関する覚書、これを締結しております。その中におきまして、環境配慮施策の実施という項を設けております。温室効果ガス排出量を少しでも低減するために、建物の計画段階から環境負荷低減に取り組んできているところでございます。具体的には、高効率の最新設備機器の導入、あるいは建物そのものの構造、屋上緑化、あと敷地内の大規模な緑化を実施するなどをしまして、環境対策を総合的に行っております。その結果として、建築物、これの環境効率を客観的に示すCASBEEという評価がございますが、セントラルパークサウス、イーストもこの評価の最高ランク、Sランクを獲得しているところでございます。
○金子委員 最高だということですけれども、延べ床面積の急速な増大による二酸化炭素の排出、これを抑制するというだけであることには変わりないと思います。2010年度の時点で、23区全体ではオフィスや店舗など民生業務部門が家庭部門の約1.5倍の二酸化炭素を排出したのに対して、中野区では業務部門が家庭部門の、先ほども御答弁がありましたが、約半分の排出量でした。区は、中野の業務床は需要はありながら他の都市よりも少ない。都市間競争を勝ち抜くといって、開発と業務の集積、土地の高度利用を推進していますが、それは20年間で、23区全体では1.4倍になった民生業務部門の二酸化炭素排出をさらに増加させる結果とならざるを得ません。その点を指摘して、次の質問に移ります。
 (2)中野北口広場の整備について伺います。北口駅前広場は緑が少なく、周縁部に桜の木が何本か植えられている程度です。夏場は直射日光等、舗装された地面からの照り返しがひどく、過酷な状況にあります。ベンチにも長くは座っていられません。区民や来街者がくつろげる広場となるように、樹木をふやすことは考えられないでしょうか、お答えください。
○立原都市政策推進室副参事(中野駅周辺地区整備担当) 中野駅北口駅前広場は多くの歩行者が行き交う場所でございまして、歩行者の滞留空間ですとか、このほかにも見通しであるとか、車の乗降スペースなども踏まえた上で設計しており、樹木の配置についても、その中で現在の配置としたものでございます。
 また、ベンチ付近に植樹した桜については、これは枝を大きく広げる樹木でございます。今後成長することによって、ベンチや広場にも大きな緑陰を落とすことになると考えてございますので、広場内に樹木をふやすという予定はございません。
○金子委員 ありがとうございました。
 次の質問に行きます。
 区立学校の教育環境の拡充についてです。中野区中学校PTA連合会から区に対して要望書が提出されています。その中でさまざまな学校設備の施設の改善の要望が出されています。これに基づいて、第三中学校と第八中学校について実情を見てまいりました。こうした中で、特別教室のクーラーの設置が非常に急がれるのではないかと思いました。三中では神田川沿いの教室で――神田川沿いに特別教室がありますが、夏の間、窓をあけていると、蚊が入ってきて授業に集中できないといった話が聞かれています。また、八中でも西側校舎に特別教室が集まっており、夏は西日が入って暑くてたまらないという話でした。この特別教室のクーラー設置について、一部では理科教室の冷房化が始まっているとは伺っていますが、これを急速に進めていくことはできないものでしょうか、伺いたいと思います。
○伊藤子ども教育部副参事(子ども教育施設担当) 特別教室の冷房化についてでございますけれども、現在、コンピュータ室、音楽室、図書室は既に全ての学校で設置済みでございます。今、今年度からですけれども、今おっしゃった小学校の図工室、中学校では理科室について、順次冷房化を進めていっているところでございます。今後、また順次それ以外の教室でも進めていく方向で考えております。
○金子委員 急速に進められるように、都に対しても補助の増額などを求めていっていただくことを要望したいと思います。
 次に、学校の施設にも老朽化でいろいろな問題が、この三中と八中だけを見ただけでも見つかっています。八中では屋上の防水が老朽化のためにかなりだめになってきていて、次々と雨漏りが起こっては、その雨漏りが起きた場所だけつぎをするというような形での応急処置がされている状態です。また八中の場合、西向きのサッシのパッキンが古くなって、日焼け等で古くなって、窓ガラスの間にすき間ができてガラスががたがたするとか、すき間から雨風が入るという状態になっています。また、三中ではトイレの改善の要望が強く出されています。特に女子トイレの全ての洋式化の要求があります。
 こうした要求は、三中、八中について党議員団が見たものの中でもこれだけということで、この一つひとつについて、今どう対処するのかというのは、ここでは伺いませんけれども、中P連の、中学校PTA連合会の要望書に基づいて、早急に全校を、小学校についても、全校を早急に調査して対処することを求めたいと思います。いかがでしょうか。
○伊藤教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) PTA連合会や学校からの意見や要望を踏まえまして、緊急度に応じて優先順位を設け、施設の改善に取り組んでいるところでございます。
○金子委員 次に、この要望書の中で強く求められている教育相談室に直接電話予約のできる電話機を設置してほしいという要求について伺います。
 心の相談の予約などを、職員室を通さずに直接この教育相談室に予約の電話をしたいという要求が、子どもたちからも、また保護者からも強く出されています。中P連の要望書でも毎年毎年これを掲げており、我が党議員団もたびたび区議会でこの要求を取り上げてきました。区は、匿名で取り次げばいいんだとかいった説明もしていますけれども、やはり声などで職員室に知られずに相談をしたいという希望は強いものです。この直通の電話の設置、PTAでお金を出して、2,000円で受信専用のPHSを設置しているようなところもあります。そんなにお金のかかるものではないと思いますので、早急にこの設置、実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○川島教育委員会事務局指導室長 教育相談室への直通の電話の設置についての御質問ですが、これまでもお答えをしているんですが、相談の予約に当たりましては、氏名を名乗らなくても取り次ぐという、そういうルールを定めていることで匿名性は担保されているというふうに考えておりまして、現在のところ、電話の設置については考えておりません。
○金子委員 匿名でも、声でわかると。とにかく直通のほうが話しやすいという、かけやすいということはあると思います。ぜひ検討をお願いしたいと要望します。
 次に、5、高齢者福祉センターの廃止の問題について伺います。ここでは鷺宮高齢者福祉センターの廃止にかかわって、入浴事業について1点絞って伺います。
 鷺宮高齢者福祉センターでは、昨年度、利用者が4万1,924人、入浴事業の利用者だけでも8,294人に上っています。この高齢者福祉センターですけれども、老人福祉法に基づいて設けられたものです。高齢者の健康増進や、生きがいと社会参加を目指すこの老人福祉法に基づいて、この法上では、老人福祉センター、高齢者福祉センターの場合はA型、高齢者会館の場合はB型という法的な裏付けを持ったものです。こうした裏付けをもって、高齢者の健康増進や生きがい、社会参加といったことが任務とされていると思います。この廃止に伴って、自主サークルの活動などの場は多少は残し、面積は減るけども、残す。そのかわりに区民活動センターなどの集会室の利用を進めていくという説明が、これまでも当定例会の本会議でもありましたけれども、この入浴事業ですが、非常に需要が大きいものです。鷺宮の地域では特に公衆浴場が鷺宮地域内には一つもありません。新青梅街道沿いの区界の練馬区側にはありますが、西武新宿線の南側の人たちにとっては、近くに銭湯が、公衆浴場がないという問題があります。また、高齢化の中で自宅の浴槽は敷居が高くてだんだん入れないという高齢者も――縁が高くて入れないという高齢者が、高齢者福祉センターの入浴施設については手すりもあり、高齢者の体を考えた形となっていて入りやすいということで、またそれを通じて高齢者同士の交流ができる、そういったものとしてこれだけの利用が広がってきているものです。
 特にまた、白鷺二・三丁目の東京都住宅供給公社の公社住宅、鷺宮西住宅がありますが、ここでも高齢化が進んでいる中で、自宅の風呂になかなか入りづらい、あるいはこの公社住宅では入浴設備、浴室は部屋についていますけど、入浴設備は自分で持ち込みのものです。そのため、高齢になって入浴設備が壊れても、これを直したり、買いかえたりすることがなかなかできないという方も多く、そういった方にとって、近くに公衆浴場もない状態のもとで、かなりこの高齢者福祉センターのお風呂が利用されているという状況もあります。こうした状況も踏まえ、廃止後の施設においても入浴事業を継続する。運営民間業者にこれを継続することを求めていくことは考えられないでしょうか。見解を伺います。
○高橋鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 鷺宮高齢者福祉センターの入浴サービスについては、憩いの場、交流の促進ということを目的に設置してきたところでございますが、今年度末で廃止を予定しております。それ以降、入浴サービスにつきましては提供する考えはございません。
○金子委員 憩いの場ということですけれども、こうした健康増進の機能ということもあって、健康、あるいはそれにかわる入浴の事業といったものも考えていく必要があるのではないかと考えます。ありがとうございます。
 次に、「なかのん」とオンデマンド交通について伺います。
 コミュニティバス「なかのん」、現在、バス停にも名前がなくなり、区のホームページにも掲載がされておりません。ページが削除されております。このコミュニティバス「なかのん」は、2005年の11月から3年間、東京都からの補助金や区による運行補助によって運行されてきました。東京都からの補助金、福祉改革推進補助金というのが与えられていましたけども、この補助金は具体的には何に充てられたんでしょうか、お答えください。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) この件につきましては、車両購入費に充ててございます。
○金子委員 また、このコミュニティバス「なかのん」、多くの他の自治体では運賃が100円ですが、210円という一般の路線バスと同じ料金になっております。こういう料金設定になったのは、どういう経緯によるものでしょうか。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 他の自治体のコミュニティバスは運賃100円で運行している例が多く見受けられます。「なかのん」の場合におきましては、区からの車両購入費や運行経費の補助は行いましたが、基本的には民間バス事業であるため、他の営業路線と同額の210円としたところでございます。
○金子委員 区の運行補助はどのような形の補助だったんでしょうか。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 月定額125万円、年額に直しますと1,500万円であります。運行開始の日の属する月から36カ月まで補助を行ったものでございます。
○金子委員 代表的な武蔵野市の「ムーバス」をはじめ、お隣の杉並区の「すぎ丸」、渋谷区の「ハチ公バス」など、多くのコミュニティバスが定額の補助ではなくて、赤字の全額補填という形の運行補助で自治体が支えています。中野区はなぜこうした定額の補助を選択したのでしょうか。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 東京都福祉改革推進事業補助金の運行経費補助を受けることを見込んでございました。そのため、その中で決められております上限にならいまして、月125万円の定額補助としたものでございます。
○金子委員 この東京都からの補助金を受けているとシルバーパスが使えないという――100円にするとシルバーパスが使えない。ほかの区では実際そうなんですけれども、210円だとシルバーパスが使える。これの仕組みについてはどういうことでそうなっているのか、ちょっと説明をお願いします。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 今、委員のおっしゃった内容とそのままと思いますが、シルバーパスを使っていただく、こういったところで210円という設定をさせていただいたところもございます。
○金子委員 東京都の補助金は3年間ということでなくなる有期の補助だということですけれども、中野区の場合、この補助がなくなった時点で運行補助をやめてしまいました。ほかの区では、この3年間の期限が切れても運行補助を全額市の負担で続けているわけです。非常に中野区とほかの自治体のコミュニティバスに対する位置付けが違っているように思います。ことし3月から、この「なかのん」は減便がされてしまいました。事業者が、事業者の路線バスだと、うちの勝手だということで、非常に赤字で厳しい中で、これ以上無視できないということで減便がされてしまいました。住民の要求や区議会議長、区長からの要望等もあって、それに応えるということで、8月から部分的に増便はされておりますけれども、しかし、事業者は、利用状況次第では再度の見直しもあり得るということを表明していて、路線廃止も危ぶまれています。やはり区が責任を持って運行補助をして再建していくということを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 委員のまず一つ目の、補助を継続できなかったかという部分につきましては、「なかのん」につきましては、導入当初の諸経費及び3年間の運行補助は行いましたが、基本的に民間バス事業者の1路線という位置付けでありまして、区単独での補助を継続するという判断には至らなかったということでございます。
 それから、運行補助を再度してはどうかという御質問だったと思いますが、これにつきましては、今後も区が補助金を支出することは考えてございません。
○金子委員 住民からも、何としてもこの「なかのん」を守り、また――もう既に旧「なかのん」ですけども、充実させてほしいという要求が出ています。こうした要求を受けとめていただきたいと要望して、次のオンデマンド交通の問題についてはまた別の機会に質問をいたします。
 以上をもって私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。
○内川委員長 以上で金子洋委員の質疑を終了します。
 次に、佐伯利昭委員、質疑をどうぞ。
○佐伯委員 それでは、民主党の立場で質問をさせていただきます。
 お見受けしたところ、理事者の皆様方、大分お疲れの方もいらっしゃるかと思いますけども、もうしばらくの間、おつき合いをお願いしたいと思います。
 2020年、東京でのオリンピック・パラリンピックの開催が決まりました。この委員会室の中でも、1964年の東京オリンピックが記憶にある方はもう半分もいないかと思います。私は小学校3年のときでしたが、いまだに鮮明に覚えていることも幾つもあります。2020年のオリンピックを再び国民に夢と勇気と感動を与えるものとするため、自治体のとるべき役割は何か、そうした観点から質問します。
 突然恐縮ですが、区長は1964年の東京オリンピック当時、多分中学生だったと思いますが、記憶に残ることは何かありますでしょうか。あるいは区長は北海道の御出身ということですから、むしろ札幌オリンピックのほうが記憶に残っているかもしれませんが、いずれのオリンピックでも特に印象に残っていることがあれば教えてください。
○田中区長 たくさんのことが記憶に残っていますけれども、やっぱり東京オリンピックは何といっても、私は中学校1年生ですから、それまでの記憶というのはそんなにいろんなことを覚えているわけではありませんけれども、やはり東京オリンピックをきっかけに日本が本当に高度成長が始まったなという、そういう印象、これがまあ、何か一つ言えといったらそこに尽きるんだろうと、こういうふうに思います。
 札幌のオリンピックは、実は、札幌に住んでいたんですが、東京に出てきて、その後、札幌でオリンピックをやった。東京オリンピックも札幌オリンピックもテレビで見ていたと、こういう状況なんですけれども、札幌のまちも北海道も、あの札幌オリンピックをやることによって、まちがやっぱり一新しました。本当にオリンピックというものがものすごいインパクトを持っているものだなという、そういう印象であります。
○佐伯委員 ありがとうございます。やはりオリンピックがもたらす影響、これはもうものすごい効果があると思います。
 ところで、近代オリンピックの創設者であるピエール・ド・クーベルタン男爵は、「オリンピックは勝つことではなく参加することに意義がある」とも述べました。確かに選手本人にとってはそれでいいでしょう。しかし、母国の国民にとっては、やはり日本の選手がよい成績をおさめ、表彰台に登ること、これを求めているのです。恐らく2020年に活躍するのは今の中学生、あるいは小学生の高学年でしょう。だとしたら、それを預かる自治体の役割には大きなものがあります。国においては、文部科学省のスポーツ・青少年局が来年度予算の概算要求で、2020年ターゲットエイジ育成・強化プロジェクトとして、15億2,000万円余を掲げています。これは正式決定前、8月の概算要求ですから、今後ますますこれを加速していくことでしょう。
 そこで中野区としては、こうした動きに対し、自治体としてアスリートづくり、地域スポーツクラブ構想の中では記述されていましたが、オリンピック・パラリンピック東京開催が決まった今、待ったなしとなった状況の中で、トップアスリートづくりに真剣に取り組もうという覚悟はおありでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) ぜひ、この中野からオリンピアンを輩出させたいと思っております。
○佐伯委員 ありがとうございます。ぜひ頑張りましょう。
 では、そのためにはどうすることが必要だと考えていますでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) まず、全ての人にスポーツへの関心を持っていただき、また実践してもらうというスポーツムーブメントの機運を高めるということが基本としてあると思っております。その上で、個々の持てる力を十分発揮させ、最大限に伸ばすことができる場や機会の提供に努めること、そして指導者の養成等を通じてスポーツの競技力の向上を図ることが大切だと思っております。
○佐伯委員 確かに副参事のおっしゃるとおり、そのためには場の確保と指導者の育成・確保だと思います。
 まず施設づくりについてですが、現在中野区で計画されているスポーツ施設計画を全て挙げてみてください。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 今後計画しておりますスポーツ施設といたしましては、新しい中野体育館、それから、地域スポーツクラブの事業を4圏域で展開するための(仮称)地域スポーツ施設をはじめ、妙正寺川公園運動広場の本格整備、それから、スポーツ機能を持つ大規模公園として、今後の大規模公園整備の基本的考え方にお示しいたしました、これはいずれも仮称でございますが、鷺の宮調節池上部多目的広場、本町五丁目公園、南部防災公園、上高田五丁目公園がございます。
○佐伯委員 ぜひ着実に確実に、あるいは2020年を見据えて、計画の前倒しなども含めて考えて、確実に実行していただきたいと思います。
 10か年計画の文化・スポーツの施設の整備では、ステップ1で区内大学等教育機関との連携体制の検討、ステップ2では、区内大学等の教育機関との連携の構築とありました。取材の段階で、区内の大学との何をスポーツ連携をしたのですかと尋ねたところ、それは文化のほうの分野ですとのことでした。しかし、明治にせよ、早稲田にせよ、スポーツには力を入れ、多くの有名選手を生み出している大学。世田谷では、教育ビジョンの行動計画に中学校の部活動支援に区内大学との連携を掲げています。中野では、現在、年に一度だけ、東洋大学野球部による野球教室が行われていますが、ぜひ中野に進出した大学にも働きかけをし、連携を図り、トップアスリートの育成に取り組んでもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) 新たに中野に進出した大学、進出する大学とは、生涯学習の面から既にさまざまな交流を進めておりますけれども、スポーツに関する連携も今後検討してまいりたいと思っております。
○佐伯委員 ぜひお願いします。
 ロンドンオリンピックで一番多くメダルを獲得した競技は水泳で、オリンピック出場の年齢は他の競技よりも低くなっています。とりわけ思い出されるのは、バルセロナオリンピック200メートル平泳ぎで金メダルをとった岩崎恭子選手は、当時、沼津市立第五中学校2年生で、それから計算すれば、今の7歳の子どもが2020年の東京オリンピックで金メダルをとる計算になります。だからこそ、地域での場の確保が求められるわけです。本会議でも出ておりましたが、現中野中学校のプールの問題、常々当区の担当は、中野区はスポーツのできる場が少ないと言いながら、少しでもその機会をふやそうとしない。それはおかしいのではないかと。せっかくあるプールを消防水利には使うけども、プールとしては使わない。オリンピック招致に一生懸命だった自治体とは思えません。もう一度考え直していただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
○浅川健康福祉部副参事(学習スポーツ担当) プールは中野中学校新校舎で一般開放を行う予定のほか、鷺宮体育館、第二中学校のプールの一般開放がございます。また、平成28年度に開設予定の(仮称)南部スポーツ施設でも温水プールを設置する予定でございます。現中野中学校校舎が跡施設となった折のプール開放継続は、運営経費の面から難しいと考えておりますので、新しい校舎での一般開放を御利用いただきたいと考えております。
○佐伯委員 学校再編後、廃校となった学校の施設が区民に開放されない、せっかくの施設がもったいない、区民には開放されないのに私立学校には貸し出されている、こんな不満が聞かれています。私自身も、旧沼袋小学校のグラウンドについてはいささか疑問を持ったこともありました。閉校後の学校施設、スポーツ施設については、従来の考え方を改め、できる限り区民に開放すべきということを申し上げておきます。
 そして、もう一つは指導者の問題です。指導者によって選手は変わってきます。例えば、女子バレーボールの久光製薬、往年の全日本のセッター、中田久美を昨年5月、監督として迎えて以降、史上初の公式戦5冠を達成しています。まさに指導者の大切さを感じます。そうした中、2020年のオリンピックを担うであろう現中学生、それを支える部活の外部指導員は重要な役割だと思います。そうした中、先ほども中P連からの要望という話が出ておりましたけれども、中P連から毎年のように外部指導員充実という要望が出される中、決算説明書の237ページでは、決算で不用額が出ている。これはどういうことなのでしょうか。
○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 外部指導員につきましては、1,003万2,000円の予算計上をしていたところでございます。その約2%に当たります21万6,000円の不用額が生じたものでございます。1校平均1万9,600円余りということでございますけども、その主な要因は、各学校におきまして、指導員の都合などによりまして、予定していた指導が実施できなかったことによるものでございます。
○佐伯委員 そういうお答えでしょうが、そもそも、もとの予算が少な過ぎると私は思います。考えてください、ぜひ。いずれにしても、オリンピック開催には運営に協力するボランティアも必要でしょう。そのために自治体として人集めなどやることもあるのかもしれません。しかし一方で、裏方、陰の力、縁の下の力持ちだけではなく、それこそ中野から金メダリストを生み出す、それくらいの気構えが必要だと思います。ぜひ中野の区政として掲げてほしいものだと思います。恐らく来春の小学校の卒業式では、壇上に上がった子どもたち、2020年のオリンピックを目指すんだ、メダルをとるんだと、卒業のときにそう言う子どもが数多くいると思います。ぜひその期待に応えなくてはいけないと思います。
 最後に、10月3日、国立競技場で中野区の総体陸上が行われます。もしかしたら出場選手の中から2020年のオリンピック選手が生まれるかもしれません。ことしは幸いこの日は、この定例会の事務整理日になっております。オリンピック開催がうまく決まったことし、ぜひ区長に国立に行っていただき、選手を激励いただきたいと要望しておきます。
 次に、自治基本条例についてお伺いします。
 中野区自治基本条例では、平成17年4月施行されましたこの条例では、2カ所、「努めるものとする」といういわゆる努力規定がありますが、それは何と何でしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 一つにつきましては、条例第3条第3項でございますが、区民の責務として、「区民は、区政への参加に当たって自らの発言と行動に責任を持ち、安心して生き生きと暮らせる地域社会の実現に向けて努めるものとする」という規定でございます。もう一つにつきましては、自治基本条例第7条2項に、「活力ある区政運営を実現するため、区長の職にある者は、連続して3期を超えて在任しないように努めるものとする」という規定がございます。
○佐伯委員 3条の区民の責務のうち、安心して生き生きとして暮らせる地域社会の実現に向けて努めるものとするという抽象的な規定に対し、第7条2項、区長の在任期間については、区長の在任期間を連続して3期を超えて在任しないよう努めるものとすると、極めて具体的なものになっています。これがこの条例に盛り込まれた背景についてお伺いします。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 条例第7条第2項に規定されているとおり、活力ある区政運営を実現するために盛り込まれたものであります。
○佐伯委員 この条例の制定前、中野区議会では、当時の川上進議員や、亡くなられた藤本やすたみ議員を中心にこの趣旨の条例が議員提案され、議会において審議を行い、また、当時の総務委員会では学習会なども開いていました。そうした中、お隣、杉並区などでは、その多選自粛を単独の条例としたのに対し、中野区が自治基本条例の中に盛り込んだのはどういう意図があったのでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 自治基本条例は中野区の自治の基本原則を定める条例でありまして、区長の在任期間が長期にわたることのないよう努める旨の規定を盛り込むことにしたというものでございます。
○佐伯委員 もう一度。なぜ自治基本条例の中に入れ――単独ではなくて自治基本条例の中に入れたのかということをちょっと具体的に。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 自治基本条例というものは中野区の自治の基本原則を示す条例であるということでございます。区長の在任期間が長期にわたることのないように努めるという条項を盛り込んだということは、その自治の基本原則を定めるということの中に入れ込むということの意義を定めたものということでございます。
○佐伯委員 今、条例に盛り込まれた背景について伺いましたが、この条例の審査の中で、この規定に対し共産党さんは真っ向から反対しました。本会議の一般質問では長沢議員が、「区長の在任期間を定めようとしていますが、これは誤りです。大綱では、区長の職にある者は、連続して3期を超えて在任しないように努めるとしていますが、参政権こそ法的にも実質的にも最高レベルの参加のあり方です。そこに努力目標とはいえ制限を設けることは感心しません。参加の仕組みを整え、進める条例の趣旨に反するのではないですか」と質問したのに対し、当時の田辺区長室長、現教育長ですが、「区長は、区の行政を自主的かつ総合的に実施する役割を持ち、幅広い権限を有しております。特定の者がこの権限の集中する職に長期間にわたり在任することは、自治の理念に照らして好ましくないというふうに考えてございます。自治体の長の在任期間につきましては、長期にわたらないようにと努力規定を設けることは、活力ある区政運営を実現するため、条例の趣旨に反していないというふうに考えてございます」と答えています。
 また、総務委員会の審査では、岩永委員がパブリック・コメントに寄せられた意見を引き合いに条例に盛り込むことに反対の質疑をしているのに対し、当時の鈴木由美子政策計画担当課長は、「やはりどんなにすぐれた人でも、こういった権力が集中する職にあることによって停滞すること、それを極力避けるということで努力規定として必要だろうと判断した次第でございます」と答えていますけども、この認識については、今も区としてはお変わりないでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 条例第7条第2項に規定されていますとおり、活力ある区政運営を実現するために必要な規定であるというふうに認識をしてございます。
○佐伯委員 そして、この条例については、共産党さんが区長の多選自粛部分を削除した修正案を総務委員会に提案したものの、これは否決され、この部分を含む原案が可決され、条例制定に至った重い意味のある条文です。この重みをぜひ考えてほしい。
 そこで、今度はこの規定が努力規定であるということが問題になるわけですが、努力規定というものについての区の認識をお示しください。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 条例第7条の第3項でございますが、「前項の規定は、立候補の自由を妨げるものと解釈してはならない」と規定されてございます。立候補はあくまで本人の意思に委ねられていると認識してございます。
○佐伯委員 すみません。努力規定というものについての理解について。努力規定というものをどういうふうに理解していますかとお聞きしたんですけども。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 努力規定についてでございますが、努力するということを前提といたしまして、立候補の自由は妨げるものではないという規定がございます。立候補はあくまで本人の意思に委ねられているというふうに解釈をしてございます。
○佐伯委員 副参事の厳しい立場もわかりますけども。最初にも申し上げたように、この条例の中に掲げられた二つの努力規定ですが、第3条の区民の責務については抽象的な表現、一方で、この多選自粛については極めて具体的な形で3期12年までとしているわけですが、これを努力規定とせざるを得なかったのは、憲法上の基本的人権の保障や職業選択の自由を奪うという理由からではないでしょうか。そして憲法94条、地方自治体は、法律の範囲内で条例を制定することができる。それをクリアするための立法上のテクニックとして、この規定を入れたまでであり、あくまでもこれを禁止していくというのが本来の目的だったのではないかと思いますけど、いかがでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 憲法15条第1項で立候補の自由が保障されているということから、努力規定としたものでございます。そういった認識を持ってございます。
○佐伯委員 憲法がそうだから、この憲法に反しないために、いわゆる、これはやはり立法上のテクニックとしてということだと私は思います。
 当時、幾つかの自治体でこうした条例がつくられたものの、制定時の首長、つまり提案した自分自身の任期に限るとした自治体も多く見られました。例えば、そうした条例を持つ川崎市の阿部市長は、11月の任期切れを前に5月の記者会見で、「条例が廃止されれば四選出馬の可能性あり」と発言したことが波紋と批判を広げ、結局6月の議会において、「多選自粛条例は議会の議決を経て成立しているものであり、大変重みのあるものと理解している。条例に違反するつもりは毛頭ありません」と述べ、この9月11日に今期限りの退任を表明しました。
 中野区では、この多選自粛を恒久的なものとした区長の決意を私たちは高く評価しています。努力規定とはいえ、当然、提案し、制定した者としてこれに縛られるものと考えるのは当たり前のことだと思います。
 お隣、杉並区では、中野区より一足先に、この区長の多選自粛を恒久的な条例として2003年3月に制定していましたが、新たに就任した区長がこの条例の廃止を提案し、議会でも可決され、2010年12月、条例は廃止されました。努力規定なのだから強制力はないと言えば簡単なことですが、やはり条例の趣旨に反する行動をとろうとするならば、条例を廃止または改正することは必要不可欠と考えますが、中野区ではこの条例7条2項について、廃止または改正の議論というのはあるのでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 条例見直しの議論は行ってございません。
○佐伯委員 自治基本条例は、条例第14条2項にあるように、区の基本計画及び個別計画に当たりますから、その改廃に当たっては意見交換会、パブリック・コメントは必要ですよね。
○海老沢政策室副参事(企画担当) パブリック・コメントは必要だというふうに認識しております。
○佐伯委員 ありがとうございました。くれぐれも区長に誤解のないように御理解いただきたいんですけども、やはりこの条例をつくったとき、川上元議員、亡くなられた藤本元議員とともに、私もこの条例、多選自粛というものについていろいろ勉強し、この条例を盛り込んでいただくのに努力をした一人と思っております。そうした中でやはり条例についてはきちっと守っていただきたい。別に田中区長がいいとか悪いとかということを言っているわけじゃありません。あくまでも、この条例を守るということを最大限尊重してほしいと、こういう思いからこの質問をしているわけで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○内川委員長 佐伯委員の質疑の途中ですが、5時になりましたので、今後の運営について協議するため理事会を開会します。委員会を暫時休憩します。
      午後4時54分休憩

      午後4時58分開議
○内川委員長 委員会を再開します。
 理事会の報告をします。佐伯委員の質疑の途中ですが、本日の質疑は終了し、あす、佐伯委員の質疑から始めることを確認しました。
 以上が理事会の報告ですが、質疑ありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○内川委員長 それでは、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内川委員長 御異議ありませんので、そのように決定し、本日の総括質疑を終了します。
 次回の委員会は、あす9月20日(金曜日)午前10時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告します。
 以上で本日の決算特別委員会を散会します。
      午後4時59分散会