令和6年02月15日中野区議会本会議(第1回定例会)
令和6年02月15日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録
23.05.24 中野区議会第2回臨時会(第1号)

1.令和6年(2024年)2月15日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(42名)

  1番  山  内  あきひろ        2番  武  井  まさき

  3番  斉  藤  けいた         4番  井  関  源  二

  5番  黒  沢  ゆ  か        6番  大  沢  ひろゆき

  7番  武  田  やよい         8番  いのつめ  正  太

  9番  間     ひとみ        10番  市  川  しんたろう

 11番  加  藤  たくま        12番  日  野  たかし

 13番  木  村  広  一       14番  吉  田  康一郎

 15番  立  石  り  お       16番  内  野  大三郎

 17番  広  川  まさのり       18番  河  合  り  な

 19番  細  野  かよこ        20番  斉  藤  ゆ  り

 21番  高  橋  かずちか       22番  大  内  しんご

 23番  甲  田  ゆり子        24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  小宮山   たかし

 27番  羽  鳥  だいすけ       28番  い  さ  哲  郎

 29番  杉  山     司       30番  ひやま      隆

 31番  山  本  たかし        32番  伊  藤  正  信

 33番  高  橋  ちあき        34番  平  山  英  明

 35番  南     かつひこ       36番  久  保  り  か

 37番  石  坂  わたる        38番  むとう   有  子

 39番  浦  野  さとみ        40番  中  村  延  子

 41番  森     たかゆき       42番  酒  井  たくや

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  青 山 敬一郎

 副  区  長  栗 田 泰 正      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  岩 浅 英 樹      総 務 部 長  濵 口   求

 防災危機管理担当部長 杉 本 兼太郎    DX推進室長  滝 瀬 裕 之

 区民部長、新区役所窓口サービス担当部長 高 橋 昭 彦    文化・産業振興担当部長 高 村 和 哉

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一    子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子

 地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔   健康福祉部長  鳥 井 文 哉

 保 健 所 長  佐 藤 壽志子      環 境 部 長  松 前 友香子

 都市基盤部長  豊 川 士 朗      まちづくり推進部長 角   秀 行

 中野駅周辺まちづくり担当部長 千 田 真 史 企画部企画課長(企画部参事事務取扱) 森   克 久

 総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  堀 越 恵美子      事 務 局 次 長  林     健

 議事調査担当係長 鈴 木   均      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  髙 田 英 明

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  早 尾 尚 也

 書     記  堀 井 翔 平      書     記  金 木 崇 太

 書     記  髙 橋 万 里      書     記  川 辺 翔 斗

 

 議事日程(令和6年(2024年)2月15日午後1時開議)

日程第1 第6号議案 令和6年度中野区一般会計予算

 

午後1時00分開議

○議長(酒井たくや) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 甲 田 ゆり子

 1 震災・防災対策について

 2 子育て支援について

 3 高齢者支援について

 4 障がい者支援について

 5 がん患者等の支援について

 6 女性支援について

 7 その他

 

○議長(酒井たくや) 初めに、甲田ゆり子議員。

〔甲田ゆり子議員登壇〕

○23番(甲田ゆり子) 令和6年第1回定例会に当たりまして、公明党議員団の立場で一般質問を行わせていただきます。質問は通告のとおりで、その他はありません。

 1月1日に発生した能登半島地震により、多くの方々が犠牲になられ、甚大な被害が発生しました。亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、現在も避難生活を余儀なくされている皆様が一日も早く元の生活に戻れるよう、私たちは党を挙げて全力で支援してまいります。

 [1]それでは初めに、1、震災・防災対策について。

 1点目に、迅速、リアルタイムでの情報伝達について伺います。

 災害発生時には、様々な情報が飛び交う中、区民に迅速かつ正確な情報伝達を行うことが重要です。そして、避難勧告や災害情報、避難所情報、交通情報など、刻々と変化する状況に的確に対応して、様々な情報を、時期を逸することなく的確に区民に届けることが求められます。

 鹿児島県さつま町では、公式LINEアカウントを活用した避難所DXの実証実験を開始し、避難所運営に必要な情報を迅速、リアルタイムに共有、提供できる仕組みを整備しました。平常時から使い慣れたアプリケーションを活用することで、有事の際も戸惑うことなく利用できるといった視点で検討が進められています。

 中野区の避難所では開設訓練も十分ではない中、受付から大混乱することが予想されます。そこで、二次元コードを活用して、避難所への入所や退所をリアルタイムに把握できるシステムの導入を検討してはいかがでしょうか。ICTを活用した避難所のチェックイン機能は、在宅避難者への連絡、二次避難所への早期の振り分け等にも活用でき、さらにはペットの把握や、外国人に向けた多言語での連絡も可能になると考えますが、区の見解を伺います。

 私は今回の能登半島地震の被災地である石川県志賀町に親戚がいることから、志賀町の公式LINEを登録させていただいています。公式LINEには、毎日、被災者に必要な情報が一日数回のペースで配信をされています。

 公式LINEは、比較的高齢者でも利用されている方が多くなってきていること、地域ごとなどの属性で振り分け発信も可能なことから、災害時には避難所ごとの情報発信にも有効です。防災行政無線の情報についても、現在は聞こえなかった際の電話サービスはありますが、LINEでも見ることができるように情報発信方法をさらに改善してはいかがでしょうか。伺います。

 避難経路における情報も重要です。中野区では街頭消火器に地域の避難所を記載していますが、新たな住民は避難所名だけでは避難所の位置などが理解できない場合もあります。街頭消火器格納箱に二次元コードを貼付し、スマホから情報を取得できるようにしてはいかがでしょうか。二次元コードの情報発信は、防災資機材倉庫、防火水槽、スタンドパイプにも貼付し、使用方法の説明などに活用してはいかがでしょうか、併せて伺います。

 また、災害時個別避難計画を作成している要支援者の安否確認に関する情報について、現状は、通信がつながりにくい場合、災害伝言用ダイヤル(171)で行うとしていますが、防災情報のDX化を図る際には、アプリケーションツールも活用することにより、支援に当たる方々にも情報が行き届くことになるのではないでしょうか。見解を伺います。

 次に、新庁舎移転を見据えた備えについて伺います。

 新庁舎移転まで3か月を切りました。新しい区役所に移転する大きな目的としては、区民サービスの向上はもとより、より防災力・災害対応能力の高い自治体となることで、区民の安全・安心を守ることです。

 過去の東日本大震災、熊本地震などのいずれにおいても、自治体の本庁舎が重要な災害拠点となりました。免震構造が採用され、耐震に強いとされる建物となる新しい区役所ですが、ひとたび大災害が起これば、関係機関と連携し、区内全域の災害救助活動や復興活動の拠点としての役割を果たしていくことが求められます。

 新しい区役所整備基本計画によると、新庁舎は、「自然災害や大規模事故などに対する災害応急対策、災害復旧・復興の拠点として、災害対応能力、自立性・事業継続性の高い区役所を実現する。」としています。

 また、災害対応能力を高め、災害対策本部機能の充実が図られており、災対本部設置時に職員が対応に当たるスペースの確保と機能的な配置がなされ、災害時の状況を即座に把握し迅速に対応できるよう、災害対策本部室や情報処理室・無線室、オペレーションルーム等がワンフロアに整備され、発災時には迅速な機能転換が図られるよう、平常時には区民が集い交流するスペースを、災害時の情報発信や復興のための各種相談窓口として活用を検討されているとのことです。

 「ワンフロアにまとめる」とされている災害対策本部室をはじめとした防災スペースや、通常時には区民交流スペースとして使用される場所が災害時にはどのように活用されるのか、現時点での検討状況を伺います。

 自治体には災害発生時においても被害を最小限に抑えつつ、重要な業務を継続し、できる限り早く復旧させていく責務があります。新庁舎では非常用発電の容量が増えることや新しい機能や設備が整備されることから、それらを踏まえ、十分に活用できるよう、防災計画や防災マニュアル、事業継続計画(BCP)の見直し、改定作業が必要と考えますが、現在の進捗状況を伺います。

 区が、先月27日に開催をした震災図上訓練では、新庁舎での防災を想定した内容で行ったとのことですが、今後いつ大地震が発生しても区民の安全・安心を守る行政、自治体として、十分に防災機能を発揮できるよう、さきに述べた計画やマニュアルの見直しに対応し、新庁舎へ移転後、早期に防災訓練を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺ってこの項の質問を終わります。

 次に、子育て支援について伺います。

 区長の所信では、子育て先進区の実現に向けて、冒頭に「安心して子どもを産み育てられる環境をつくる」とうたっています。そのために2点伺います。

 1点目に、妊娠・出産・子育てトータルケア事業について伺います。

 国では、公明党の推進により、出産前後のサービスが拡充され、中野区の妊娠・出産・子育てトータルケア事業に充てる国の補助額は大きく増加をしています。先進的に取り組んできた中野区は、今後も先頭を走り続けていくべきと考えます。

 来年度の主な取り組みとして、ファーストバースデーサポートの充実や父親向け講座の実施、低体重児の親向け交流会などを拡充することは歓迎すべきことですが、これらは一部の引上げにすぎません。

 今般、子ども家庭センターによるサポートプランの作成も開始をされますが、これも「要支援」という枠組みの中で実施するものとなります。懸念しているのは、要支援ではない妊産婦においても、誰もが産後うつの可能性をはらんでいるということを忘れてはならないということです。産後うつや虐待リスクの高い産後直後におけるケアサービスは十分とは言えない状況です。産後ケア事業の周知や利用料の面からもさらに手厚い支援が必要と考えます。

 産後ケアを実施する施設において、利用者などが急を要する事態となった場合にも対応ができることも大切です。助産院などは24時間365日施設を運営しています。24時間365日対応が可能な施設に対する国の補助金もあると聞いており、その活用も視野に入れ、産後ケア事業を受託している施設とも協議の上、緊急的対応を可能とするための助成について検討してはいかがでしょうか。

 また、ショートステイ、デイケア、助産師訪問の各種産後ケア事業の委託料、利用料については区市町村ごとにばらつきが出ています。先日、担当所管に状況調査をしていただいたところによると、中野区の委託料は近隣他区に比べて高めであり、また、利用料についても比較的安く設定をされており、評価をいたします。しかしながら、聞くところによれば、練馬区では令和6年度から各種サービスの利用料を大幅に引き下げて、区民サービス向上を検討しているようです。

 価格高騰の折もあり、多くの業界で賃上げをしている中で、産後ケアサービスの委託料、また利用料については引き続き近隣区の状況を調査し、産後ケアにおいて、中野区のサービスが一番であると感じていただけるよう取り組んでいただきたいと考えます。見解を伺います。

 2点目に、ベビーシッター利用支援事業について伺います。

 2021年に私が提案したベビーシッター利用支援事業は、2022年の下半期より開始となりました。それまでは、保育園等に在園していない家庭の子どもに限定して実施をしていましたが、在宅子育て家庭が利用できるベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)は、開始2年目の今年度から補正予算を組まなければならないほど好評を博し、一時預かりのニーズが非常に高いことが浮き彫りになったと言えます。

 一時預かりを対象としたこのベビーシッター利用支援事業は、東京都の補助を活用できるため他区でも事業化している自治体が多くなりましたが、他の区では保育所に通っている子も含めた未就学児全員を対象としており、中野区だけが全員を対象にできないとしていたことは残念です。

 現在の多様な働き方の方がいる中にあって、子どもを保育園に通園させていたとしても、土日や夜間にも仕事に行かなければならない保護者もおり、需要が高くなっています。そのような現状や区民の声を受け、中野区も来年度途中から未就学児全員を対象とした他区に遜色ないだけのサービスに引き上げようという姿勢は評価をいたします。

 この事業は、区が申請に応じて助成金の支払い処理をするため、膨大な事務量が発生すると聞いています。しかし、このような区民ニーズの高い預かり支援に対する拡充については、早期に体制を確保して、滞りなく実施していただきたいと考えますが、見解を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、高齢者支援について。

 ここでは終活支援について伺います。終活(終わる活動)は、限りある人生を全うし、限りある財産を有効活用しながら、残された御家族も安心して暮らしていけるように行う大切な活動です。

 10年前、私は中野区議会で初めて、2030年問題を通して、終活の支援について取り上げましたが、特に進展のないまま、団塊ジュニア世代が65歳以上となり労働力不足が深刻化する2040年問題もすぐそこまで来ています。

 身近に頼れる人がいない独り暮らし高齢者の増加で、孤独感や不安を抱える中、急な病気や認知機能の低下などにより生活状況が困難となり、家計管理や住まい方等のサポートをしなければならない方やニーズは急増していると考えます。これらのサポートは、身内に頼れない場合には行政や民間サービスに委ねていくしかありません。本人の意向を尊重しながら安心な環境を整えるための支援者として、現状の行政サービスとしてある介護制度だけでは事足りていないと考えます。独り暮らし高齢者や老老のみ世帯の生活支援、終活支援はどのように進めていこうとされているのか、中野区の現状と課題認識を伺います。

 終活をサポートすることで、介護サービス利用の考え方、遺言書の作成や葬儀の準備、遺品整理、相続などに関する希望をまとめ本人の不安や悩みを解消することや、自らの判断能力が低下した場合にはスムーズに成年後見制度の利用等につながることなどが期待されます。終活支援事業は、都内においては豊島区での先進事例があります。豊島区では、令和3年に終活あんしんセンターの委託先として社会福祉協議会を選定し、「福祉サービス権利擁護支援室サポートとしま」を開設しました。社会福祉協議会が終活に関する相談を受け付け、専門相談や弁護士等の専門家との連携、葬祭業協同組合との連携も図られています。終活により知識や視野も広がり、行動を起こす中で地域の方々との交流に発展することもあり、地域活動等にも展開できると考えます。

 終活支援については、多くの民間の取組もあるようです。行政が民間事業者との橋渡し役をしつつサポートの入り口に立つことで、安心して区民が利用できるものとなると考えます。その意味から、中野区としても先進自治体の事例を参考にしながら、まずは終活支援の相談窓口をつくってはいかがでしょうか。伺います。

 終活支援をする際の入り口として、エンディングノートの活用・普及啓発が有効と考えます。エンディングノートは、医療や死後事務、資産などについて本人の希望を書いておけば、自身の人生設計のプラスとなり、家族にとっても負担を軽減してくれるツールです。

 今般策定中の中野区健康福祉総合推進計画(案)には、エンディングノートの適切な権利擁護支援を行うために、関係者や区職員等も権利擁護支援サービス等について学ぶ必要があることをうたい、「判断能力が十分ではなくなってきたときの自分の暮らし方について事前に考えていただくきっかけとして、エンディングノート等を活用したり、区民の会合等へ出向いて説明するなど、権利擁護について考える機会をつくり、成年後見制度や権利擁護支援サービス等の普及啓発を図ります。」とあります。

 住まいの相談や見守り支援の連携を視野に入れ、区民活動センターなどでの出張講座や講演会など、地域へのアウトリーチの取組の中でエンディングノートの普及啓発に関するさらなる推進をすべきと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、障がい者支援について。

 障害者の緊急一時保護について伺います。

 来年度、医療的ケア児コーディネーター補助や区立学校・学童クラブにおいて医療的ケア児を受け入れるための看護師の配置、また、障害児・者の通所のための送迎サービス充実、特別支援学校の通学バスの同乗ガイドヘルパーの派遣支援など障害者の支援充実を図られること、また、やよい荘、やまと荘、江古田三丁目重度障害者グループホーム等、障害者施設の基盤整備がようやく動き出したことは評価をいたします。

 とはいえ、障害者等の介護現場では、介護者が高齢の親であったり、重度訪問介護の担い手も不足をしています。コロナ禍でさらに疲弊をしてしまい、平常時でも手いっぱいの体制です。そんな中で、感染症の罹患や介護者の病気、または災害時など有事の際には、さらに支える人材や入院先、相談先の不足が深刻な事態を招きかねません。当事者の方々からは、そんなとき孤立し切り捨てられるような感覚にさえなるとの声も聞かれ、胸が痛くなります。

 やよい荘、やまと荘の改修や改築、生活寮から短期入所の法内化事業への転換が進められていますが、それでも中野区は他区に比べ障害者の緊急支援体制が不十分であると考えます。緊急時の医療・介護の受皿は非常に不足しています。区内の短期入所、緊急一時保護事業の現状と課題に対する区の認識を伺います。

 区として、重度障害や医療的ケアが必要な障害者に対する緊急時の医療病床を増やすなど、在宅介護における予備体制の取組をさらに検討すべきと考えます。

 新型コロナ感染症2類の期間では、在宅要介護者受入体制整備事業により、感染した家族等が安心して療養に専念できる環境を整えるため、要介護者に対する支援員等の配置や緊急一時的に利用できる宿泊施設等の確保がなされていました。緊急時に支援者の配置調整や関係機関との連携を行うための支援は5類への移行後も必要ではないでしょうか。支援コーディネーター等の体制確保など、積極的な検討を求めますが、いかがでしょうか。伺ってこの項の質問を終わります。

 次に、がん患者等の支援について。

 昨年2月に提案をいたしました、がん患者のアピアランスケアの補助制度について、早速検討いただき、来年度予算に盛り込む方向が示されたことは評価をしています。特に若い世代でがんになられた方の外見のケアは、心理的にも経済的にも支援が重要です。前向きに治療に取り組み、治療を終えて、また継続しながらお仕事に復帰するための後押しを積極的に行っていただきたいと思います。そこで伺いますが、来年度のアピアランスケアの補助制度について、概要をお答えください。

 昨年、AYA世代で病気になられた方からのメールを頂きました。その方は、脳腫瘍の罹患とそれに伴う難病を発症し、ウィッグを必要とするため、購入費用の助成を心待ちにしているとのことでした。ウィッグの助成については、がんに限定せず、このような病気も対象とする方向で検討してはいかがでしょうか。

 他にも、がんになった後のきめ細かい支援策が重要です。これを機に区としてがん患者のための相談窓口を開設してはいかがでしょうか。昨今、がん治療や生活の形態も多様化している中、そうしたがんになってからの治療方法の選択、医師の選び方、介護サービスの受け方、仕事や経済的な問題等々については、がんの種類やステージ、発症した年齢などに応じて相談できる窓口が必要であると考えます。また、在宅で最期を迎えたい方のための自宅での緩和ケアにおける選択肢も含め、相談できる窓口をつくっていただきたいと考えますが、見解を伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、女性支援について伺います。

 DVを受けている女性からの相談を度々受けることがあります。中野区では、現状、配偶者暴力等に悩んだ場合、女性相談窓口に電話予約をし、来庁することにより、女性相談員と対面相談をする仕組みとなっています。女性相談員の体制強化については、我が会派から度々求めてまいりましたので、昨年度、今年度は人員等が拡充となり、より親身になって相談に乗っていただいていることと思いますが、相談内容の傾向を区は把握しているのでしょうか。併せて、どのような機関と連携し支援を行っているのか伺います。

 複雑で困難な事情を抱える女性が早期に相談できるよう、窓口へ出向くハードルを下げ、分かりやすくしていくことも必要と考えます。他区では、DVに関する相談について、より手厚く相談しやすくなるよう工夫がなされています。例えば板橋区では、ホームページに「人目を気にせず、無料で相談できる場所があります。お子さん連れでも相談できます。」と記載されています。また豊島区では、DV相談に限っては相談日当日に限り、午後7時30分まで受付時間を延長していたり、毎月第1水曜日をDV相談の日と指定するなど広報をしています。相談しやすい環境整備について区の見解を伺います。

 また、区民からの御相談を受けるたびに相談先の案内に戸惑うことがあります。それは、DV被害に遭っている女性の相談は生活援護の窓口で、普及啓発等は男女共同参画センターで行っており、それぞれ異なる部署で所管をしているからです。久留米市では、福祉事務所に配属されている婦人相談員による支援の形式から、2001年発足の男女平等推進センターによる支援に切り替えました。民間支援団体と男女平等推進センター相談室、行政のDV担当窓口が支援の現場で連携を組みながら発展させていく役割を持ち、現場で見えてくる問題や課題を男女平等政策室に持ち上げ、政策に反映していく仕組みを構築するとともに、子ども家庭課など、多様な公的機関と連携して活用できる相談共通シートを作成し、ワンストップサービスと被害者の安全確保に役立てているそうです。

 中野区では、10年前に配偶者暴力支援センターの機能が生活援護課へ移管された後も、DVに関する普及啓発機能や中野区DV防止連絡会の事務局は男女共同参画センターが担っています。実際の相談窓口と所管部署が異なることで、普及啓発や政策的な改善が図りにくくなっているのではないかと考えます。

 新庁舎移転や予約システムの電子化など、区民サービスの劇的な変化を目指す今こそ、女性相談については、潜在的な区民ニーズを把握し、普及啓発、相談機能の充実を図るとともに、困難を抱える女性のための支援の環境を含め、体制をさらに強化すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 以上で、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 甲田議員の御質問にお答えいたします。

 まず、最初に震災・防災対策について。

 初めに、二次元コードを活用した避難者把握システムについてでございます。現状、避難者数は避難者受付カードに記入された情報を集計し、避難者数や避難者の状況などを把握することとしております。避難者の把握や避難後のケアなど、多様な状況を迅速かつ的確な把握を容易にする新たな技術の導入について先進的な事例を参考に研究をしてまいります。

 次に、LINEによる防災情報の発信についてです。中野区公式LINEではアプリを活用したプッシュ通知による情報提供と併せ、19の町名を任意に選択し地域情報を提供することが可能となっております。防災無線をはじめとする地域別の防災情報についても、中野区公式LINEから提供できるよう検討いたします。

 次に、街頭消火器格納箱への二次元コード活用についてです。区が設置している初期消火設備等に、避難所の地図情報などが読み取れる二次元コードを貼付することについて検討してまいります。

 次に、支援者への効果的な情報発信についてです。要支援者の安否確認は、現行では紙ベースの名簿を参照して対応する方式でありまして、検索から確認行動までに相当の時間を要することが想定されます。支援者が情報を把握し、素早い行動を起こすためにも防災情報のDX化は必要であると認識をしているところであります。

 次に、新庁舎の災害時活用についての御質問です。新庁舎移転後は、6階フロアの庁議室から情報処理室、近接の会議室の連続するスペースを活用し災害対策本部機能を一体的に運用することとしておりまして、本年度の職員震災図上訓練も、新庁舎移転後の災害対応を想定し実施をしたところであります。区民交流スペースなどの災害時の活用については、区の災害対応及び避難者保護等の視点での活用を想定をしているところであります。

 続きまして、中野区地域防災計画等の見直しの進捗状況についてです。中野区地域防災計画や事業継続計画(BCP)については現在修正をしているところで、今年度中に策定をする予定であります。なお、事業継続計画(BCP)については、新庁舎における新しい働き方を踏まえて、さらなる見直しが必要であると考えております。

 防災マニュアルについては、今年度に実施した職員震災図上訓練を通じ把握した災対体制の課題等について、必要な見直しを図ってまいります。

 新庁舎の移転後の早期の職員訓練実施についてです。新庁舎移転後の施設利用や新規導入機器の習熟も含めた区職員の災害対応力の向上を念頭にマニュアルを見直しておりまして、移転後の早い時期に職員訓練を実施するよう検討しています。

 続きまして、子育て支援についてで、緊急的対応のための産後ケア施設への助成についてでございます。産後ケア事業における緊急的対応については、利用者や産後ケア事業所から必要性を聞いているところでありまして、事業としての実施が可能か、情報を収集し検討を進めてまいります。

 産後ケア事業の委託料と区民の利用料についてです。産後ケア事業の委託料につきましては事業者の見積りを参考に策定をしておりますが、今後も物価変動に応じた適正な金額を設定してまいります。また、区民の利用料等についても、近隣区の状況を把握するなどによって、今後も使い勝手やサービス内容の改善に努めてまいります。

 次に、ベビーシッター利用支援事業の対象拡大についてでございます。一時預かりを対象としたベビーシッター利用支援事業は、ニーズが高い在宅子育て家庭を対象とした一時保育を補うものとして開始したところであります。区としては、保育園等を利用している家庭を含む多くの子育て家庭からの意見や区議会での議論を踏まえ、令和6年10月利用分から、この事業の対象児童を未就学児全員に拡充することを予定しております。事業拡充に当たっては、利用者対応や事務処理業務を委託することで体制を確保し、円滑な実施に努めたいと考えております。

 続きまして、高齢者支援についてのほうで、高齢者支援の区の現状と課題認識についてです。独り暮らし高齢者や高齢者のみ世帯については、毎年民生委員による訪問調査を実施し、必要に応じて民生委員や区のアウトリーチチームが様々なサービスにつなげるなどの支援を行っているところであります。また、認知症や老老介護など要支援ケースも増えておりまして、地域包括支援センターをはじめ関係機関が連携したきめ細やかな支援が必要でありまして、適時適切にチームアプローチできる体制づくりが求められていると考えております。

 次に、区の終活支援窓口についてです。人生終末期の支援、いわゆる終活支援については、自らの葬儀や相続などの準備とともに、医療や介護、成年後見などのサービスをうまく活用し、生活の質と尊厳を保ちながら暮らすための支援と捉えております。地域包括支援センターなど既存の相談窓口における支援の充実とともに、他の自治体の取組も参考にしながら終活支援の取組を進めてまいります。

 私からは最後に、エンディングノートの普及啓発についてでございます。区では、医療・介護を中心としたアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の考え方に基づく「わたしの思い手帳」を作成、中野区社会福祉協議会では成年後見の内容を含むオリジナルのエンディングノートを作成し、いずれも相談や勉強会、講演会などを行う際に活用しております。エンディングノートは、備忘録にとどまらず、よりよい人生を送るためのツールとして、相談支援や講演会などを絡めた形で、社会福祉協議会とも連携しながら普及啓発に努めていく考えでございます。

〔健康福祉部長鳥井文哉登壇〕

○健康福祉部長(鳥井文哉) 私からは、障がい者支援について、また、女性支援についての御質問にお答えをいたします。

 まず、障害者の短期入所、緊急一時保護事業の現状と課題に対する区の認識でございます。障害者の短期入所につきましては、区内では現在7か所の施設において実施されてございます。また、在宅の障害者の方の緊急対応につきましては、区のケースワーカーの調整により短期入所など必要なサービスにつなげております。また、もみじやま短期入所事業所における短期緊急支援事業実施のほか、区の委託による「IPPUKU」におきまして、精神障害者に対する緊急時の受入れ等を行っております。今後、短期入所者につきましては、やよい荘は令和6年度から、やまと荘は令和7年度から、また、江古田三丁目重度障害者グループホーム等施設におきましては令和9年度の運営を予定してございます。障害に応じた短期入所施設のさらなる充実が必要と考えておりまして、今後も障害福祉サービス事業者に対しても、短期入所等の周知、誘導を積極的に行ってまいります。

 次に、緊急時における支援体制等の検討についての御質問でございます。まず、精神障害者のコーディネーター機能につきましては「IPPUKU」が担ってございます。また、身体及び知的障害者につきましては、江古田三丁目重度障害者グループホーム等施設におきましてコーディネーターを配置する予定でございます。今後、こうした拠点における対応を進めるとともに、医療機関も含めまして関係機関等と課題を共有し、障害者に対する緊急時の支援体制について検討を進めてまいります。

 次に、女性支援につきまして、まず、女性相談の内容及び関係機関との連携等についての御質問でございます。主な相談内容といたしましては、夫等の暴力、生活困窮、離婚の問題、帰住先なし、親の暴力などがございまして、その中でも夫等の暴力が多く、全体の3割を超えてございます。

 庁内の連携先といたしましては、すこやか福祉センター、子育て支援課、児童相談所などがございまして、そのほか警察署、東京都女性相談センター、民間シェルター、弁護士、医療機関などと連携をしております。

 支援の内容といたしましては、助言や情報提供、関係機関へのつなぎ、また相談者の状況に応じて関係機関における各種の手続や施設の入退所の同行も行ってございます。

 次に、女性相談の環境整備についての御質問でございます。女性相談におきまして、相談しやすい環境づくりは大切なことと認識してございます。区のホームページでも、女性の生き方全般について、プライバシーを厳守するので安心して御利用いただくよう御案内しているところでございます。

 相談時間につきましては、東京都が、委託も含め土日、夜間にも電話相談やLINE相談を実施しており、また、連携や支援につなぐ関係機関の対応時間にも関係するため現時点では延長することは考えておりませんが、他区や関係機関の今後の状況も踏まえて検討してまいります。

 また、現在も個室で相談をお受けしておりますが、来年度は相談室の数を増やし、防音性能も高くするなどの設備刷新を図る予定となっておりまして、今後も環境改善に努めてまいります。

 最後に、女性のための支援の強化についてでございます。男女共同参画センターの庁内移転に合わせまして、生活援護課に配偶者暴力相談支援センターの機能を持たせ、DVに関する相談事業を女性相談として実施することで、相談、保護及びその後の自立支援までの一貫した支援や関係機関との連携を行ってきたところでございます。本年4月の困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行によりまして、女性支援の一層の強化が求められていることから、民間団体等と共同した女性支援や相談事業を含めた区民、団体等の活動拠点の在り方について検討してまいります。

〔地域包括ケア推進担当部長石井大輔登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(石井大輔) 私からは、がん患者等の支援についての御質問にお答えいたします。

 まず、がん患者のアピアランスケア支援事業についてでございます。がん治療を伴う脱毛や乳房の切除によってウィッグや胸部補整具を必要とする患者の心理的、経済的負担を軽減するため、ウィッグ購入等の一部を助成をいたします。助成額は1個当たり上限3万円で、1人最大2個までを予定しており、今年7月頃の事業開始を目指し準備を進めてまいります。

 次に、アピアランスケア支援事業の対象についてでございます。アピアランス支援事業は対象年齢を限定しておらず、AYA世代でも対象となります。また、脳腫瘍で脱毛によりウィッグが必要な方も対象としているものでございます。

 最後に、区でのがん相談窓口についてでございます。先般開催されました地域包括ケア推進会議の在宅療養推進部会におきましても、AYA世代のがん患者支援をテーマに議論を行ったところでございまして、今後もがん患者の在宅療養や関係機関連携の体制構築を進めてまいります。地域包括ケア推進課の在宅療養相談窓口ではこれまでもがんの相談に対応してまいりましたが、アピアランスケア支援事業の開始を機にがんの相談窓口として明示をしてまいります。

○議長(酒井たくや) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 羽 鳥 だいすけ

 1 「子育て先進区」に向けた取り組みについて

  (1)子どもの意見を反映させた教育活動の取り組みについて

  (2)コミュニティ・スクールについて

  (3)不登校について

  (4)学童保育について

  (5)保育施策について

  (6)その他

 2 国民健康保険・介護保険について

 3 環境・気候危機問題について

 4 職員の働き方について

  (1)人材育成について

  (2)生成AIの導入方針について

  (3)その他

 5 西武新宿線野方以西連続立体交差事業について

 6 地域公共交通の実証運行について

 7 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、羽鳥だいすけ議員。

〔羽鳥だいすけ議員登壇〕

○27番(羽鳥だいすけ) 2024年第1回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問に先立ちまして、能登半島地震の被災者にお見舞いを申し上げますとともに、ウクライナやパレスチナ、ミャンマーや香港など侵略と抑圧に苦しむ全ての人々に連帯し、日本国憲法を持つ日本政府こそ、この事態解決のため世界で一番努力するべきだと申し上げたいと思います。

 質問通告項目のうち、1番(4)、(5)、2番については別の機会で質問をしたいと思います。また、1番のその他として2点質問いたします。

 初めに、1番、「子育て先進区」に向けた取り組みについて。

 1、子どもの意見を反映させた教育活動の取り組みについて伺います。

 子育て先進区の実現という酒井区長の公約の中で、重要な政策であった中野区子どもの権利に関する条例が一昨年に制定されました。その後、区は子ども総合計画や児童館運営・整備推進計画など、子どもに直接関わる計画策定の際に子ども向け説明会を実施し、意見を酌み取る活動を行ったり、まちづくりの部署が小学校に出向いて、まちの将来に関して出前授業を行ったりと、子ども教育部、教育委員会だけでなく、全庁的に子どもの意見を区政に反映させる取組を推進されてきました。このような区の努力を評価いたします。

 私が子どもの権利に関する条例の制定の際に強調してきたのは、子どもの権利の中でも子どもの意見表明権を大事にすること、そして、その権利を会議体などの設置をもってよしとするのではなく、子どもの意見表明権を日常的に保障していく仕組みづくりが肝であり、繰り返し指摘をしてきました。1月30日に行われた子ども文教委員会には「子どもの意見を反映させた教育活動の推進について」という報告が行われました。この取組によって子どもの意見表明権が区政により高く位置付けられるのではないかと期待をしています。今回の取組は、これまでの取組とどう違うのでしょうか。また、その狙いはどこにあるのかお答えください。

 今回の取組について、私は期待を抱くと同時に、委員会審議の中で、この事業の進め方に独自の難しさも感じています。「こうしたい」という意見が子どもからたくさん出てくる場合もあれば、なかなか出てこない場合もあると思います。そのときに教育委員会が、例えば進捗報告などを求めてしまえば、子どもの意見が出てくる学校はいい学校、出てこない学校はよくない学校という圧力が学校の先生にかかってしまうことも想定されます。そうなれば、子どもの自主的な取組を上から押しつけるという本末転倒なことにもなりかねません。事業の推進に当たっては、子どもの意見の自主的な発露につながるよう、丁寧に粘り強く取り組み、学校からの報告や事業の評価に当たっても工夫してもらいたいと考えますが、いかがでしょうか。

 同報告の「想定されるテーマ例と子どもたちの意見例」を見ますと、「教室、校庭、体育館、中庭、プールなどを整備して、よりよい環境で学びたい。」といった、かなり大きなテーマで、一つの学校内だけでは完結しない意見が出てくることも想定をされています。子どもたちが学校環境について考えたとき、そうした意見が出てくることも自然だと思います。同時に、このことに対しては政治的な判断も求められます。この取組の将来的な発展の方向性として、例えば、中学校の生徒会の連合体と教育委員会の複数の所管が懇談するなど、子どもの意見をより反映させるための仕組みづくりを研究してもらいたいと考えますが、いかがでしょうか。

 続いて、コミュニティ・スクールについて伺います。

 区は、中野区コミュニティ・スクールを昨年1月、明和中学校区に設置し、今後、年度ごとにモデル校を増やして、2025年度には全校で実施しようとしています。私は、地域の人とともに学校をつくっていくというコミュニティ・スクールの理念は重要なものであると考えています。同時に、今の進め方でいいのかという疑問も抱いています。これまで区は、このコミュニティ・スクールの推進によって、学校の先生方の負担が減るという見立てを示してきました。しかし、先行している自治体では必ずしもそうした評価が得られてはいません。

 2015年に文部科学省が行った「コミュニティ・スクールの実態と校長の意識に関する調査」では、「教職員が子どもと向き合う時間が増えた」と回答した校長の割合は全体で17%にすぎません。本当にコミュニティ・スクールを推進することで区のいう目的が達成できるのでしょうか。コミュニティ・スクールの推進は、先生の意見も丁寧に聞き取り、アンケートも実施して、効果を見極めながら進めるべきではないでしょうか、見解を伺います。

 続いて、不登校について伺います。

 不登校の児童・生徒は、この5年ほど全国的な増加傾向を見せており、全国で30万人に達しています。不登校を子どものわがまま、親の責任などとするのではなく、不登校の子や親の苦悩をしっかりとつかみ、寄り添った対応をすることが求められています。

 文部科学省は昨年11月17日、「国は学校に戻ることを前提としない方針を打ち出した」との指摘は誤解だとして、支援に対する基本的な考え方について、都道府県知事や都道府県・政令市の教育長などに改めて通知をしました。「学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す必要がある」とする一方、不登校には学業の遅れや進路選択上の不利益があることも強調し、学校教育の役割は重要だとして、なじめない生徒については、「学校としてどのように受け入れていくかを検討し、なじめない要因の解消に努める必要がある」としています。ここには学校への復帰が本筋だという考えがないでしょうか。不登校への対応について区はどのような方針をもって臨んでいるのでしょうか。学校への復帰を前提としているのでしょうか、お答えください。

 お子さんが不登校となっている保護者の方は、自分の子育てが間違っていたのではないか、子どもの将来はどうなってしまうのかなど様々な不安の中にいると思われます。そうした中、当事者の親同士の交流の場が不安を和らげるためにも非常に重要かと思います。区でも先日、教育センターで学校に行きづらい子どもの保護者会を開催し、多くの参加を得たと聞いています。その際に臨床心理士など専門家の同席も重要かと思います。今後、定期的にこのような親の交流の場をつくっていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 不登校への対処のためには、子どもたちがどんな思いでいるのか、どうしたいのかということへの正確な理解が必要です。文部科学省は毎年、問題行動・不登校調査を実施しており、2023年度の結果では、不登校の要因として、「無気力、不安」、「生活リズムの乱れ、遊び、非行」、「いじめを除く友人関係」が上位に来ています。しかし民間団体が行った調査では、不登校のきっかけが「先生」となっているものもあり、不登校当事者と行政の側の認識のずれが指摘をされています。

 昨年の第4回定例会での委員会審議の際には、「今年度中に子どもたちに対するアンケートを行い、学校に在籍している子どもたちで、不登校を経験していたり、現在不登校状況にあるような子どもたちにもなるべく回答してもらって、現状をしっかりと把握し対策に生かしたい」と述べていらっしゃいました。アンケートは実施されたのでしょうか。また、アンケートをする際には子どもたち目線で実施をする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 不登校の子どもたちの行き先は多様なものであるべきです。区はデジタルラーニングプラットフォームや不登校特例校(学びの多様化学校)など様々な場を用意しているとは思いますが、フリースクールに通う児童・生徒についても支援すべきではないでしょうか。東京都はフリースクールに通う家庭に月2万円を支援、23区では荒川区が来年度に支援を開始するとしています。中野区でも利用支援を開始してもらいたいと考えますが、いかがでしょうか。

 不登校の児童・生徒に対応するためには、学校の先生が児童・生徒一人ひとりに目を配れるようゆとりのある働き方である必要があります。しかし、対応に当たる先生の働き方にも無理が来ています。2021年度の教員の勤務実態の調査結果では、1週間に60時間以上働いている一般の先生が、小学校では23.6%、中学校では31.6%、副校長先生では小学校で23.8%、中学校では33.3%もいらっしゃいました。来年度、区は働き方改革を行うために働き方実態調査を行います。以前の調査では、調査の結果を活かし、多機能印刷機の導入などを進めて好評だと聞いています。アンケート結果を活用して、教員の負担軽減を図るため業務の見直しを行うべきではないでしょうか、お答えください。

 専門家や教職員組合からは、不登校を生む構造として、学力向上という競争圧力と規範意識という同調圧力が背景にあると指摘する声が上がっています。学校についての対応でいえば、少人数学級の実施や正規教員の増員を進め、競争や管理教育からゆとりのある教育への改革など、教育全体についての在り方を見直すべきです。中野区における教育の在り方について探求を要望いたします。

 この項のその他として、2点お聞きします。

 まず、学校給食費の無償化についてです。区は、昨年の10月から区立学校給食費相当額を支給するという実質無償化の措置を始めました。その後、区民の皆さんから2,000筆以上の署名と合わせて陳情が提出され、来年度以降の学校給食の無償化について、全会一致で採択すべきものとされました。区は区立学校の無償化の措置については第4回定例会で示しましたが、私立や国立などの家庭に対する給食費支援については打ち出していませんでした。1月30日に行われた子ども文教委員会で、ようやく中野区立学校在籍以外の学齢期児童生徒がいる保護者への支援について打ち出しましたが、その方法として区内共通商品券で行うとしています。区で支出したお金を区内で使ってほしいという思いは分からないわけではありませんが、区内共通商品券が使えるお店の少なさや、区立学校に在籍する学齢期児童・生徒との公平性、商品券に係る事務の大変さを鑑みる必要があるのではないでしょうか。区立学校在籍児童・生徒以外の家庭に対する給食費相当額の支援については現金での支給により実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 区は来年度から、子育て家庭への実態調査に基づき、非課税世帯と児童扶養手当支給世帯を対象とした(仮称)高校入学支援金を始める考えを示しています。お金の心配なく学べる環境をつくる一歩として評価いたします。これまで区では、物価高騰に対応した価格高騰支援給付金などの実施の際に、家計急変世帯を制度の対象としてきました。しかし、先日報告された(仮称)高校入学支援金については家計急変世帯が対象に含まれていませんでした。制度の主旨からすれば、家計急変世帯も支給の対象とすべきではないでしょうか、お答えください。伺って、この項の質問を終わります。

 続いて、環境・気候危機問題について伺います。

 国際社会は今、世界平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑え込むことを共通の目標にしています。1.5度に抑えても洪水リスクにさらされる地域が広がるなど影響は極めて深刻ですが、それを上回る気温上昇が地球環境と人類にもたらす打撃の大きさは計り知れないものがあります。

 日本の取組は世界から大きく立ち遅れていますが、目標も低いままとなっています。それでもその目標すら達成できるのか危ぶまれています。区は来年度に脱炭素ロードマップを策定し、区内の各部門における二酸化炭素排出削減についての数値を示すとしています。区は、この脱炭素ロードマップにおいて、国や都、区が削減に取り組むべき二酸化炭素排出量をどのように見込んでいるのでしょうか、お答えください。

 中野区の二酸化炭素排出の約7割が購入電力に由来するものとなっています。それだけに、企業や家庭で省エネ・再エネを徹底的に進めることが決定的に重要です。その点で、来年度に区が省エネ・再エネ機器の導入助成のメニューを拡充することは重要です。一方で、区民の中に、まだ省エネ・再エネを進めることの重要性が伝わっていないことも考えられます。企業・家庭の断熱、機器導入時に専門家の無料相談を受けられるような体制を構築してはどうでしょうか、伺います。

 以前の質問の際に取り上げた特別区長会調査研究機構のゼロカーボンシティ特別区に向けた取組では、23区で連携して取り組む施策として、再エネ電力利用の推進と中小企業の脱炭素化支援を掲げていました。そんな中、今月から首都圏再エネ共同購入プロジェクトという取組が始まっています。地域の民生部門の脱炭素化に取り組む首都圏の自治体と連携し、再エネ電力や非化石証書の共同購入を行うプロジェクトです。自治体とも連携しながら、民間事業者の脱炭素化に向けた取組を支援します。共同購入により、個別事業者ごとに調達するよりも価格を抑制した調達方法を提供するとしています。現在12自治体が参加しており、23区でも新宿区や世田谷区など7区が加わっています。地域事業者の脱炭素化を推進するための一つの方策として、中野区も参加を検討してはどうでしょうか。

 国連環境計画(UNEP)では昨年、各国が2030年に向けて掲げた温室効果ガス削減目標を達成しても、今世紀末までに世界の平均気温は約3度上昇する見通しだという内容の報告書を発表しました。現在の取組では1.5度目標にもとても到達できません。目標の引上げも含め、中野区には積極的な施策展開を要望し、この項の質問を終えます。

 続いて、職員の働き方について。

 まず、人材育成について伺います。昨年の第4回定例会での総務委員会において、生成AIの導入方針についての報告が行われました。昨年7月からChatGPTを用いた検証を開始し、その後、Bing Chat EnterpriseとMicrosoft365Copilotの検証も開始、効果は明らかであるとして、来年度に向けて本格的に導入していく方針のようです。生成AIについては、作業時間の削減などの業務効率化は期待できると思いますが、どのような指示を生成AIに与えるかということが重要になります。区は生成AIの運用に当たっての研修の実施について、質問構築力(プロンプトスキル)向上のための研修等を継続的に実施していくとしていますが、指示文を作成する能力だけが高くなって、政策を作成する職員の能力が長期的に落ちることにはならないでしょうか。生成AIを扱うためには、生成AIに頼らないでも創造的な発想ができる職員の力が必要であり、そのための育成を行う必要があると考えますが、区の見解をお尋ねします。

 生成AIの導入方針について伺います。同報告の検証内容では、主な活用内容として事業企画書の作成や事業のメリット・デメリット比較が挙げられています。しかし、行政や政治の場での政策決定の際に私たちが最も注意しなければならないのは、AIは倫理性を含む決定に関する責任主体にはなり得ないということです。例えば、高齢者介護に予算を割くのか、それとも教育分野に優先順位をつけるのかという問題は、価値の選択であり、倫理性が問題になります。これを判断するためには責任主体となる人間が不可欠です。区は生成AIを政策の作成に参加させていく方針を持っているのでしょうか、見解をお答えください。

 ICTの活用といったときに、必ずといっていいほど一緒に議論されるのが人員の削減です。同報告の検証内容では、導入により見込める効果例として業務時間の削減が挙げられており、かなりの効果を見込んでいることがうかがえます。しかし、AIが作成した文書は、きちんとこの責任主体である人間の目での点検が必要になり、職員の力が必要不可欠です。今回の生成AIの導入による効果を職員削減に結びつけるような方針は持たないよう求めますが、見解を伺います。伺って、この項の質問を終わります。

 続いて、西武新宿線野方以西連続立体交差事業について伺います。

 区は先日発表した当初予算案の概要の中で、野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりとして、地域との意見交換を行いながら各駅周辺のまちづくり及び基盤施設計画の検討を進めるとして、6,271万円を計上しています。基盤施設計画の検討とは、駅前広場の大きさや位置などを含むものになるのでしょうか。来年度どのようなことを行おうとしているのでしょうか、お答えください。

 現在、野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅には各駅周辺のまちづくりの課題を洗い出し、今後の方針を示した各駅周辺地区のまちづくり整備方針があります。西武新宿線の連続立体交差事業の構造形式について述べられていないという大きな問題がありますが、地域住民から構成されるまちづくり検討会からまちづくり構想を受け取り、それに基づいて素案、案を示し、意見交換会とパブリック・コメントの手続を経て策定をされたものです。基盤施設計画の検討は、このまちづくり整備方針に大きな変更を与えるものになります。

 中野区自治基本条例の第14条では、「原則として、意見交換会及びパブリック・コメント手続を経るもの」の中に、「(4)広く公共の用に供される大規模施設の建設に係る基本的な計画の策定又は変更」を掲げています。まちづくり整備方針に大きな変更を与える基盤施設計画の検討を進める際には、住民との意見交換会やパブリック・コメントの手続を取るべきではないでしょうか、伺います。

 西武新宿線の野方以西連続立体交差事業の早期実現は多くの区民の願いです。各地の連続立体交差事業の事業年度の遅れは、用地買収の困難さもかなりの程度あります。事業の早期実現のために、私はこの間、住民立ち退きをかなり少なくすることのできる可能性のある複線シールドによる地下化の検討をと求めてきました。しかし、区は「構造形式を決めるのは東京都」と繰り返すばかりで、単線シールドでの地下化によってしか比較検討を行っていない自らの態度を省みることは一切ありませんでした。

 昨日、都議会環境建設委員会では、野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅、下井草駅で西武新宿線の地下化を求める活動をされている西武新宿線の地下化を求める連絡会が、3,000筆の署名とともに提出された、東京都に複線シールドでの地下化の調査検討を求める陳情が継続審査とされました。東京都も都議会も結論をまだ出していません。改めて、地元である中野区が西武新宿線野方駅-井荻駅間について、東京都に対し、立ち退きの少ない複線シールドでの地下化を検討するよう求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 「構造形式を決めるのは東京都」と言いながら、高架仮線方式が最適とする区の態度は、酒井区長が掲げる「政策決定過程からの区民参加」という姿からも疑問が残ります。真剣な検討を求め、この項の質問を終えます。

 最後に、地域公共交通の実証運行についてお尋ねします。

 前年度は若宮・大和町を循環するルート設定だったことなどから利用が低迷していたコミュニティバスの実証運行ですが、昨年9月からルートを高円寺駅を起終点とする双方向のものに見直して運行を再開しました。第4回定例会で利用実績の中間報告があり、前年度と比べて一便当たりの利用者数が6倍に伸びたことが明らかになりました。また、区が実施した利用者アンケートからは、ルートなどの見直しにより、利用者の年齢構成がばらけ、より幅広い時間帯で利用が広がりました。

 実証運行は来年度以降も継続の方針が出されています。地域からは歓迎の声が寄せられるとともに、運行に関して改善を求める声も寄せられています。一つは停留所についてです。現状では区間内で停留所同士の距離が長いところもあり、気軽に乗れるようにするためにも停留所の増設が求められています。また、現状は早稲田通りに出る7番の停留所が降車専用となっており、地域の方からは乗車もできるようにと改善が求められています。停留所の増設や7番停留所での乗車について、近隣住民の理解を得ながら検討してはいかがでしょうか、お答えください。

 もう一つの声は運行頻度についてです。前年度の運行当初は1時間に3本という頻度で運行していましたが、今年度は1時間に1本、鷺ノ宮駅近くまで行くK06系統は2時間に1本となっています。地域の方からは、運行頻度を上げることで利便性を向上してもらいたいという声も寄せられています。来年度の実施の際に増便の実施を求めますが、いかがでしょうか。

 交通不便地域の解消のための区の努力に敬意を示し、この項とともに、私の全ての質問を終えます。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 羽鳥議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、初めに「子育て先進区」に向けた取り組みについてのその他、区立学校在籍以外の学齢期児童・生徒、保護者支援についてでございます。この支援は、区立学校に通う児童・生徒の保護者に給食費の支援を行うことに併せ、子育て支援や物価高騰の影響軽減に資するものとして実施をするところであります。区内共通商品券で行うことによって、対象となる方に申請という手間をかけることなく支援することができるとともに、区内商業活性化の効果も見込めるものと考えております。

 続きまして、(仮称)高校入学支援金の対象についてです。(仮称)高校入学支援金につきましては、経済的な困難を抱える家庭に対し、多額の費用がかかる高等学校等への入学準備について支援金を支給することで進学に対する経済的な負担や不安を軽減することなどを目的に、令和6年度から開始することを考えております。対象に家計急変世帯を含めることに関しては、今後検討してまいります。

 続きまして、職員の働き方についてで、初めに生成AIと職員の思考力です。今後、生成AIの活用場面は急速に増えていくことが想定されておりまして、その機能を最大限有効に活用し、業務の効率性を高めていく必要があると考えております。一方で、生成AIの活用がもたらす負の側面が懸念されていることにも留意をし、職員として必要な資質を確実に身につけるための人材開発の取組を、現在策定中の人材育成計画に位置付けながら進めてまいります。

 次に、生成AIの活用についてでございます。生成AIは文章や画像の生成をはじめ、資料の下書きや構成、デザインの修正、データ処理、会議やメールの要点整理など多様な機能の実行が可能であります。こうした機能は、職員の様々な業務の効率化や知的生産、創造性の向上に資するものと捉えておりますが、政策立案の主体はあくまで職員でありまして、今後もこうした観点で区全体として利活用を推進してまいります。

 私からは最後に、生成AIと職員削減についての御質問です。生成AIの活用を含めたDX推進の目的は、サービスの質の向上及び業務の効率化であります。業務の効率化によって時間短縮の効果がすぐに現れる業務もあると思われますが、仕事そのものの在り方が変わり、人員を削減する段階の効果が生じるには時間も要するものと考えております。なお、今後も行政ニーズを的確に見定め、必要な業務に適切な人員を配置する考えでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、「子育て先進区」に向けた取り組みについてのうち、子どもの意見を反映させた教育活動の取り組みについてお答えをいたします。

 子どもの意見を反映させた教育活動の狙いとこれまでとの違いについてです。本事業の狙いは、一人ひとりの児童・生徒が、こんな学校にしたい、学校でこんなことをしたいなどと考えたものを実現させて達成感や成就感を高めることや、その過程を教職員、保護者、地域の方々が大切に、丁寧に支援することで、子どもたちとともにつくる学校づくりを進めることを目指しております。これまでも学校は、児童・生徒の意見や考え、思いを安心して表明できる場をより増やし、子どもたちが主語の取組を行ってきましたが、行事や生活の決まりなど、その場面が限られておりました。まずは児童会や生徒会を中心に進めますが、いずれはその枠を越えて、全ての子どもたちがより主体的に学校づくりに関わっていくことを目指しております。

 次に、教育活動に係る学校からの報告や事業の評価の工夫についてです。まずは学校の教職員が児童一人ひとりの意見を丁寧に受け止め時間をかけて協議ができるよう、ゆとりを持ったスケジュールで行うように助言してまいります。初年度は各校の取組状況について把握したいと考えており、2年目以降は、できるだけ子どもたちの意見が通る予算化ができるようにと考えております。

 次に、将来的な発展の方向性についてでございます。現在も教育委員や教育委員会事務局職員が子どもたちの意見を聞くことや、子どもたちと懇談することを行っておりますが、子どもたちの意見を反映させた教育活動の内容によっては、さらに多くの機会を持つ必要が出てくることが考えられます。また、生徒会サミットなどの場で、それぞれの学校の取組を学校間で共有することも大事になると考えております。将来的には、必要に応じて教育委員会が生徒会サミットに参加することも想定されるところでございます。

 次に、コミュニティ・スクールについての御質問です。中野区コミュニティ・スクールの推進方法についてです。中野区コミュニティ・スクールにおける地域コーディネーターは、学校と学校の役に立ちたいとの思いのある地域住民の橋渡し役として、学校が必要とする地域人材の情報を収集し、日程や支援内容などについて、学校の代わりに連絡調整をしていただくことなどを想定しております。

 さらに、地域学校協働本部が動き始めると、全ての学校で教員が行うよりもより多様な取組に、継続的により多くの地域の住民の方々が参画、協働し、教育活動が充実することが可能になると考えております。今後、中野区コミュニティ・スクールの実践は、教職員の意見を聞きながら進めてまいる予定でおります。

 次に、不登校についての御質問です。不登校への対応方針です。不登校になる要因は多岐にわたり、一人ひとりの状況も異なるため、教育委員会では全ての児童・生徒が自分らしく学ぶ環境を整えることで誰一人取り残さない学びを保障し、子どもたち自身が自分で自身の取り組む道を選択するための環境づくりを推進していく考えでございます。全ての児童・生徒が学校へ登校するということを目標にするのではなく、学校に通いたい、学びたい子どもには通いやすくなるような支援をし、通いづらいという子どもには様々な居場所を提供するなど、思いや願いに沿った道を選択できるよう、今後も支援策を充実してまいります。

 次に、不登校児童・生徒の保護者会についてでございます。今年度学校に行きづらい子どもの保護者会を開催したところ、多くの保護者に御参加いただきました。参加した保護者の方のアンケートからは、「子どもの不登校で悩んでいる保護者がこんなにいるとは思わなかった」、「それぞれの状況や悩みがあるということを知ることができた」、「保護者会を複数回開催してほしい」等の声が聞かれました。令和6年度からは保護者会を定期的に開催していき、その内容についても現在検討準備を進めているところでございます。

 不登校児童・生徒のアンケートについてです。一人ひとりの状況につきましては、現在、教育支援室や各学校の相談室に通室している児童・生徒にカウンセラー等が聞き取りを行い、把握しているところでございます。子どもたち全体へのアンケートについては、様々な課題も想定されるので、現在その方法について検討しているところでございます。

 次に、フリースクールの利用支援についてです。東京都がフリースクールに通う家庭に対し、来年度、月2万円を支給することについては把握しております。区は、フリースクールへ通う家庭に対し、来年度、給食費相当分の区内共通商品券を支給する予定でございます。今後のフリースクールの利用支援につきましては、東京都や他の自治体の状況を見て研究してまいります。

 最後に、教職員の負担軽減についてございます。来年度、計画的に教員の長時間労働の改善等を図るため、教員の働き方の実態調査等を実施し、中野区立学校における働き方改革推進プランを改定する予定でございます。その中で、教員の負担軽減についても引き続き取り組んでまいります。教員の負担軽減に係る取組を推進することで、今後も教員が子どもたちと向き合う時間を確保してまいります。

〔環境部長松前友香子登壇〕

○環境部長(松前友香子) 環境・気候危機問題についてお答えをいたします。

 まず、二酸化炭素排出量の削減推計につきまして、2020年度における中野区の二酸化炭素排出量は86万6,000トンとなっており、2013年度比で18.2%減少しております。今後、電力排出係数の変化と国・都の施策により、2030年度までにはさらに26万トン程度が削減され、2013年度比で43%程度の削減になると見込んでおります。目標としている2030年度時点で46%削減を達成するためには、区としてさらに3%相当、3万2,000トン程度の削減が必要と見込んでおります。

 次に、専門家による無料相談について。現在、省エネルギー設備の設置については、太陽光発電システム、蓄電システム、高断熱窓・ドアに対して補助を行っており、令和6年度からはエネファーム、エコキュートの設置について補助を拡充する予定でございます。今後さらに事業を拡充していくに当たっては、相談体制の充実も図っていく必要があると考えており、専門機関等を活用した相談体制について、他自治体の事例も参考にしながら検討してまいります。

 最後に、首都圏再エネ共同購入プロジェクトへの参加について。ゼロカーボンシティの実現に向けては、家庭や事業所における再生可能エネルギー電力への切り替えが重要であり、区としても切り替え促進のための取組が必要であると考えております。首都圏再エネ共同購入プロジェクトは、オークション形式により低価格での再生可能エネルギー電力の購入を実現するものであり、現在23区のうち9区が連携自治体として参加しておりますが、現時点で実際に契約に至った件数は極めて少数であると認識しております。区としては、再生可能エネルギー電力への切り替えに関する情報提供に力を入れていくとともに、引き続き効果的な取組について検討してまいります。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、西武新宿線野方以西連続立体交差事業について、初めに連続立体交差事業に伴う基盤施設計画についてお答えいたします。

 今年度は、西武新宿線野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅の各駅のまちづくり整備方針改定に向けて、専門的な知見を有する学識経験者の参画も得ながら、各駅のまちづくり検討会と意見交換を行ってきております。来年度は引き続き、整備方針の具体化に向けて各駅のまちづくり検討会などと意見交換を行い、駅前広場の大きさや位置などを含めた駅周辺の基盤施設などの具体的な方向性を示せるよう検討を進めてまいります。

 続きまして、地域との意見交換についてでございます。各駅の基盤施設計画の具体化に当たっては、既存の各駅まちづくり整備方針の改定を検討しております。この改定に当たっては、引き続き各駅のまちづくり検討会との意見交換を行いながら、現在の整備方針策定の際と同様、地域の皆様への丁寧な説明やパブリック・コメント手続を実施する予定であります。

 最後に、野方駅以西の連続立体交差事業についてでございます。昨年8月、区民と区議会と都、区で構成する西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟の決起大会におきまして、連続立体交差化の早期実現に向けて、地域住民の方々と決議しました。その後、昨年12月に国土交通大臣に、本年1月に東京都議会に期成同盟会長や議長とともに要請活動も行っております。引き続き区としては、構造形式にとらわれることなく、一日も早い連続立体交差化の早期実現を求めてまいります。

○議長(酒井たくや) 質問時間は終了しております。答弁は結構です。

以上で羽鳥だいすけ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 黒 沢 ゆ か

 1 東京都認証学童クラブ制度について

 2 身元保証等高齢者サポートについて

 3 子ども一人ひとりの多様な学びの実現について

 4 防災体制について

 5 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、黒沢ゆか議員。

〔黒沢ゆか議員登壇〕

○5番(黒沢ゆか) 令和6年第1回定例会に当たり、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問をいたします。

 質問に先立ちまして、1月1日に起こった石川県能登地方を震源とする地震につきまして、お亡くなりになった方の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。

 質問は、4の防災体制をほかの機会とし、1から3についてといたします。その他はありません。

 初めに、東京都認証学童クラブについて伺います。

 区は、子どもが安全・安心に放課後を過ごせるように、学童クラブ事業の実施に必要な面積及び人員、環境等を確保し対策を実施しているところですが、学童クラブでは、かねてより「質の向上のために、放課後児童支援員の処遇の改善が必要」、「いい人材に来てもらえるように雇用形態や賃金を改善すべき」という声を伺います。

 中野区の学童には、プロポーザルで委託を行っている区立と、中野区民間学童クラブ運営費補助要綱に沿って補助が行われている民間があります。区立には学童で働く人の人件費について基準はなく、民間の補助要綱の人件費基準については、2009年、すなわち15年ほど前につくられ、今に至っています。なお、基準に沿って補助金を受給していても、人件費基準を遵守する義務はないということで、働く方々の給与は事業者ごとに異なっているのが現状です。

 その一方で、学童クラブでの昼食提供については、実施している学童クラブがほとんどで、保護者のニーズを捉えている一方で、補助がないため負担を強いられている現状があります。それは支援の質にも影響していくと考えます。

 そこで伺います。東京都では、認証学童クラブ制度の創設を打ち出し、学童保育における量の課題や質の課題に対応した制度の検討を進めています。学童保育の質という観点は最重要な課題であり、支援員の処遇改善につながる取組は急務です。中野区においても、都の動向に注視し、今の時代に合う人件費基準による給与が適切に現場で働く人たちに支払われるよう取り組んでいくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 また、都は、昼食の発注業務や集金業務に対する負担軽減のため、昼食提供に必要となる経費を補助する学童クラブ昼食提供支援事業をスタートする予定です。中野区も区内事業者への支援を検討してはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 次に、身元保証等高齢者サポートについて伺います。

 東京都の高齢者は、全体の約半数が単身で暮らしている世帯で、全国でも突出して多いのが特徴です。東京都の推計では、都内の65歳以上の高齢者は2030年には約337万人まで増え、高齢者の3分の1の約97万人が単身世帯となると見込まれています。中野区においても、高齢者の単身世帯は増加傾向にあり、世帯統計では、いずれも高齢者の夫婦のみで構成されている世帯や夫婦以外の世帯より単身者で構成されている世帯が多い状況です。

 単身高齢者が困る場面は、保証人がいないことから家が借りられないと言われてしまったり、保証人がいないと入院や介護施設に入れないと言われてしまったりすることに加え、亡くなった後の手続を頼める人がいないことなど、万が一の身元保証や意思決定です。

 このような背景から、都民ファーストの会が東京都に対して提案した東京版身元保証サポート制度は、任意後見サポートとして、判断能力が不十分になったときに、都内の社会福祉協議会が任意後見人になるよう公正証書作成の支援を行ったり、御本人が亡くなった後のことをサポートするために、社会福祉協議会が医療に対する宣言書、死亡事務委任、遺言書の作成を支援したりするというものです。

 また、高齢者の身元保証に関する事業を行う区市町村の社会福祉協議会を財政的に支援することも併せて提案した結果、東京都の来年度予算案において、単身高齢者等の総合相談支援事業として、終活支援の総合相談窓口の設置等を行う区(社会福祉協議会)を財政的に支援する取組が新規事業として盛り込まれました。これは、単身高齢者の安心した生活につながっていく事業だと考えます。

 これまでも中野区では、中野区社会福祉協議会と連携し、成年後見人の周知や事業の推進を行ってきましたが、ここ数年、成年後見制度を知らない区民が増加していることが課題になっています。来年度、社会福祉協議会の成年後見支援及び地域福祉権利擁護事業のアシストなかのの活動拠点を新庁舎に移すと伺い、様々な来庁者のニーズを酌み取ることによって、他の窓口からの案内でも成年後見制度を知るきっかけが生まれるのではないかと大変期待しているところです。ぜひ東京都の補助事業を活用するなどして、今後増加が見込まれる単身高齢者のお困り事を解消できる、身元保証やエンディングサポートに関する総合的案内を行う相談支援窓口の設置を目指していただきたいと考えます。区の見解を伺います。

 次に、子ども一人ひとりの多様な学びの実現について伺います。

 中野区ユニバーサルデザイン推進計画第2次素案では、ハート(心のバリアフリー)が区のユニバーサルデザインの全ての取組の根底と位置付けられました。心のバリアフリーの施策について確認していくと、差別や偏見が人々の心の中にある状態から生まれるバリアを修正してフリーにしていくことを指していると受け止めました。一方で、そもそも根拠のない偏見を生み出さない環境整備について考える必要があると私は考えています。

 私が障害者の雇用を行っている企業と雇用された障害者の方の支援の仕事に当たっていた頃に感じたのは、無知による偏見の思考です。合理的配慮を行いたいと思っても、多様な障害のある人に対してどうやって声をかけたらよいのか、障害があるからこの仕事は難しいのではないかなどと悩む企業の人事部の担当者の方からの相談も多くありました。

 このような状況は、子どもの頃から障害のある子どもたちが分離された場所で教育を受けて育ってきたために、大人になって根拠のない偏見やイメージが生み出されている側面が大きいのではないかと感じます。これまでの日本の教育機関では、そういう意図がないものの、心のバリアが自らつくり出されてしまう構造となってきたのではないかと考えるところです。

 中野区ユニバーサルデザイン推進計画(第2次)素案の基本理念では、一人ひとりの個性や多様性が理解され、かつ尊重され、様々な人が支え合うための理解の促進が掲げられており、学校においては、違いを越えて尊重し合う心を育む教育環境づくりを目指しています。

 インクルーシブ教育は、障害のある子どもと障害のない子どもが同じ場で学ぶことを指して定義されることが多いですが、障害のある子どものみならず、性的マイノリティの子ども、外国にルーツのある子ども、ヤングケアラーの子どもなども含む排除をされやすい子どもたちが含まれ、また、全ての子どもたちが多様であることを念頭に置かなければなりません。

 現在は不登校の子どもが日本に約20万人いることなども踏まえ、インクルーシブ教育は、今後の学校をどう変えていくべきかの指針の一つになると考えています。しかし、そのような教育を進めていくための障壁となる要因はたくさんあります。今日は、その幾つかの課題の一部について質問します。

 一つ目に、区市町村立の小・中学校教員の皆様は、都立特別支援学校の教員に比べると、専門的な知識やノウハウが限られている中で、多様なニーズのある子どもたちに対応するのはなかなか厳しいことと想像しています。そこで活用を進めたいのが、特別支援学校のセンター的機能です。

 特別支援学校のセンター的機能とは、区市町村の小・中学校に在籍している知的・聴覚・視覚障害のある児童・生徒等への支援を充実させるため、都立特別支援学校の教員等が、区市町村立小・中学校に出向いていって、特別支援学級の運営や通常の学級に通うスペシャルニーズのある児童・生徒への教育及び支援方法についてアドバイスをする制度で、小・中学校の校長先生、または区市町村教育委員会からの要請があると、特別支援学校から教員等が派遣される仕組みです。

 本年度から3年間、中野特別支援学校と中野区をモデルとして、急増する発達障害を念頭に、要請がなくても小・中学校に対してアウトリーチ型で統一的に支援に伺う取組がスタートしているそうですが、今年度の活用の状況はいかがでしょうか。よい傾向があれば、全校での活用をさらに強化していってはと考えますが、教育委員会の見解を伺います。

 二つ目に、多様な子どもたちを対応するには、1クラス当たりの人数から鑑みても、通常の学級の先生たちだけでは対応が不可能であるということです。中でも発達障害のある児童・生徒が増加しており、支援のニーズは高まっているところです。令和3年度に開始した発達障害教育支援員・配置促進補助事業は非常に意義があると思っておりますが、中野区での実施状況はいかがでしょうか。

 また、中野区では、通常の学級での学習におおむね参加できるものの、知的障害がなく発達障害等があり、一部特別な指導を必要とする児童・生徒において、週に1回の特別支援教室に通うことができるようになっています。

 そこで伺います。特別支援教室で指導を受けている児童・生徒は、在籍学級ではどのような支援を受けているのでしょうか。また、特別支援教室の巡回指導教員や東京都から臨床発達心理士等の巡回もあると聞いておりますが、担任の教師や支援員はどのような連携を図って子どもたちの支援に反映させているのでしょうか。

 なお、来年度の東京都の予算案では、特別支援学校への就学が適当と判定された児童・生徒が区立小中学校に就学した場合などに日常生活上の介助や学習支援等を行う、インクルーシブ教育支援員の配置支援として15億円の予算が新規でつきました。これは、毎週5日の支援を可能にするものです。インクルーシブ教育支援員についても、必要な子どもに対して活用できるよう検討を進めてほしいと考えます。

 「差別は駄目」と言われながら、相手を知る機会の損失によって差別や偏見が生じやすくなってしまいます。排除が正当化されやすい思考の中で、それを当たり前のものとして無意識に内面化している場合も多いと感じます。その結果、障害のない人を中心とした社会構造が維持されてしまいがちです。インクルーシブ教育は、そのような構造を変革していく上でも重要な施策であると考えます。

 一方で、なぜインクルーシブ教育が大切なのかについて、当事者や当事者の御家族、教師も共通認識を持っていないことが多いのが現状でもあります。地域に住んでいる多様な方々それぞれの考えや文脈を尊重した上で、学校やクラスで対話する機会をつくるプロセスを求め、全ての質問を終えます。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 黒沢議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、東京都認証学童クラブ制度について、初めに学童クラブ指導員の処遇改善についてでございます。

 区立学童クラブは、定員や特別に支援が必要な児童の数に応じた指導員の配置基準を定め、放課後児童支援員の資格を有した指導員等を必要数配置できるよう積算を行い、事業委託しておるところでございます。令和5年度は、放課後児童支援員の処遇改善について国費を活用した月額9,000円相当の賃金改善に取り組んできたところであります。引き続き、学童クラブの保育の質の確保のため、都の動向も注視しながら取り組んでまいります。

 学童クラブの昼食提供についてでございます。昼食の提供は、事業者の自主的な取組によって、夏季休業期間中において、ほぼ全ての学童クラブで行っているところであります。新たな補助事業については活用を検討してまいります。

 私からは最後に、単身高齢者等の総合相談支援窓口の設置についてでございます。単身高齢者等の様々な困り事や不安を解消できるように、元気なうちから将来に備えた準備ができるような支援が必要であると認識をしております。これまで中野区では、社会福祉協議会への補助事業や委託事業として高齢者等の権利擁護や日常生活のサポート等を行ってきたところであります。社会福祉協議会や地域包括支援センターなど既存の相談窓口における支援の充実とともに、他自治体の取組も参考にしながら、単身高齢者の困り事を解消できる取組を進めてまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、子ども一人ひとりの多様な学びの実現についての御質問にお答えをいたします。

 初めに、センター的機能による発達障害教育支援モデル事業についてでございます。今年度は、重点支援校の3校には月1回、その他の小・中学校には年2回、中野特別支援学校の特別支援教育コーディネーターが訪問し、各校のニーズに応じて児童・生徒の個別の相談や教員研修会の実施、校内の支援体制構築のための助言等を行っていただきました。各校から、ニーズに応じた助言が大変参考になり、日々の指導に生かすことができているという声が上がっております。今後は、各校の特別支援教育コーディネーターの連絡会等において、それぞれの学校の好事例を共有することで、全校での支援をさらに向上、充実させてまいります。

 次に、発達障害教育支援員配置促進事業の活用状況についてでございます。発達障害教育支援員配置促進事業については、各学校の通常の学級における発達に課題のある児童・生徒等に対して介助を行うために配置している支援員の人件費などの補助金として活用しております。支援員の配置に当たっては、特別支援学級設置の有無や通常学級在籍児童数等に応じて人数を決定しております。

 最後に、特別支援教室で指導を受けている児童・生徒の在籍学級での支援についてです。対象の児童・生徒は、特別支援教室で学習上または生活上の困難について改善、克服してきたことを在籍の学級においても実践できるように、在籍学級担任が巡回指導教員や支援員と連携して指導を行うようになっております。また、都から派遣されている巡回相談心理士や区から派遣している特別支援教育巡回相談員は、在籍の学級における対象の児童・生徒の行動観察を行い、在籍学級担任や巡回指導教員に対して、その子どもの発達障害等の状況に応じた支援の在り方について助言を行っております。

○議長(酒井たくや) 以上で黒沢ゆか議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時32分休憩

 

午後2時56分開議

○副議長(木村広一) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 間   ひとみ

 1 防災対策について

  (1)災害時・災害発生後の支援体制について

  (2)避難所・福祉避難所について

  (3)乳幼児を守る取り組みについて

  (4)広報について

  (5)その他

 2 若者政策の今後の展開について

 3 環境まちづくり・SDGsの推進について

 4 その他

  (1)保育所等入園申し込みにかかる見直しについて

  (2)その他

 

○副議長(木村広一) 間ひとみ議員。

〔間ひとみ議員登壇〕

○9番(間ひとみ) 令和6年第1回定例会において、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。

 初めに、能登半島地震において亡くなられた方への心よりのお悔やみを申し上げ、そして被災された方へのお見舞いを申し上げます。

 それでは、質問に入ります。

 質問は通告どおりです。

 1、防災対策について、(1)災害時・災害発生後の支援体制について伺います。

 災害時に区が国やほかの自治体、民間団体からの人的応援を円滑に受け入れるための受援体制を明確にするため、受援計画の策定は、平成28年から重ねて複数の議員から求められてきましたが、中野区実施計画(案)にてようやく、受援計画を来年度策定する方針が示されたところです。

 災害時における区の体制整備において、国や他の自治体による支援、そして中野区社会福祉協議会により設置されるなかの災害ボランティアセンターにおいて、団体や個人の支援をスピーディーに受け入れるための体制整備が重要です。また、既に計画を策定している自治体によっては、受援のみでなく応援に関しても計画に盛り込んでいるところもあり、どちらの場合においても円滑な支援につながるよう計画を定めております。区の受援計画策定に当たっても、受援応援計画とすることとし、また社会福祉協議会も共同して策定すべきと考えますが、見解を伺います。

 受援体制を整えるとともに、協定の拡充も重要です。現在区は、134の災害に関する協定を結んでいますが、まだまだ解決すべき課題はあります。また、民間企業の協力を得るために協定は有効です。しかし、単に協定先を増やせばいいということではありません。国の示す「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」の中で示されているとおり、区の持つ人的・物的資源を把握し、不足する資源を見積もることが必要で、協定はそれを補完していくために締結していくものと考えます。区には戦略的な協定締結を進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 区はこれまで、紙や電話でのアナログな備えを大切にしてきましたが、予測される人員不足に加え、膨大な量の情報を整理し、素早い対応をしていかなければならない中では、デジタルを活用した防災対策は不可欠です。新庁舎には電子作戦卓が入るとのことですので、その効果を期待します。今後は、避難所だけでなく、在宅避難等避難所外避難者の状況や、区内の被害状況の情報収集、区民に向けた情報のリアルタイム発信についても対策を考えていかなければなりません。先進事例を調査し、防災DXを早急に進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 2016年の熊本地震の際、災害関連死の4割弱は在宅避難の方々ということです。在宅避難者の中には、避難所には居られず、自宅で過ごすことを選択せざるを得ないという方もおられるため、在宅避難者の早期の状況把握が求められます。昨年度東京都が示した最新の被害想定によれば、例えば多摩東部直下地震が冬の夕方に発生し、風速が毎秒8メートルだった場合において、夜間人口34万4,880人に対する避難所避難者の予測は4万8,402人で全体の14%程度、それ以外の85%の方は、帰宅困難者等も含む在宅避難者等避難所外避難者であると想定されています。ほとんどの方が避難所では把握できない可能性のある方となります。現在、在宅避難者等避難所外避難者の支援の主体はどこにあるのでしょうか。また、把握や支援に関しての区の課題認識についても併せて伺います。

 災害ケースマネジメントとは、被災者一人ひとりの状況を把握し、実情に応じたきめ細やかな情報提供や支援メニューを選択できるようにしながら生活再建を達成しようとする考え方です。基本的には区のこれまでのアウトリーチ活動のノウハウを生かしつつ、場合によっては弁護士や建築士などの専門家チーム等に加わっていただきます。大災害が発生すれば、避難行動要支援者でなかった方も何らかの支援が必要な状態になってしまうことも考えられ、避難所避難者だけでなく、在宅避難者へのアウトリーチの需要が爆発的に増加する可能性があり、中長期的に丁寧な伴走支援ができる体制構築を想定しておく必要があると考えます。災害ケースマネジメントに取り組むための備えについて、区の考えをお示しください。

 (2)避難所・福祉避難所について伺います。

 区の災害対策本部のDXを柱として、避難所のDXも推進を急がれます。避難所支援業務は、初動期における避難者数、支援ニーズの把握のほかにも、長期化する避難所運営における防災備蓄倉庫の在庫管理、炊き出し等への対応、治療等に係る対応等、広範な業務を様々な関係者が行うことになり、混乱が生じやすい状況となります。また、人員不足が予想される中、業務負担を軽減するための取組は必須です。

 令和5年3月にデジタル庁が報告した「デジタル技術を活用した避難者支援業務の業務改善に関する調査研究 実証検証報告書」によると、入所手続をアプリで行う実証実験を行ったところ、手書きの場合より作業負担を最大75%軽減でき、行列に並ばずにスマホで入力できるなど利用者側のメリットも多く、利用者の95%が被害時に利用したいと回答したとのことです。

 また、SOCDAという防災チャットボットがありますが、LINE上のAIチャットボットが自動で一定程度の情報について案内・会話をしてくれるため、区役所や避難所への問合せの軽減や不安解消につなげることが期待できます。

 円滑な避難所運営を行うための支援として、アプリやAIなどの導入を検討すべきです。防災会や防災リーダーとともに検討の上、モデルエリアで実証実験を行うなど、避難所のDXの推進を支援してはいかがでしょうか。

 今後は、避難所だけでなく、在宅避難等避難所外避難者の状況把握や、災害発生時に避難者が知りたい情報の発信についても対策を考えていかなければなりません。

 また、防災会の中心となっているごく一部の方のみが運営に関する情報を把握している状況ですが、名古屋市では各避難所ごとに防災カルテを作成し、オンラインで公開しています。訓練実施状況や避難所運営の基礎的な情報なども含まれており、イメージしやすく、地域の防災対策がどのような状況なのかどなたでも確認できるようになっています。避難所運営や在宅避難支援を地域ぐるみで行っていくためにも、こうした各地域の防災対策等の情報を可視化したり、情報発信・情報集約に向けた支援を行うことも重要です。横展開を見据え、まずはどこかの防災会でモデルケースを確立し、避難所の円滑な避難所運営に備えてはいかがでしょうか。

 新宿区は来年度の取組として、福祉避難所の運営体制強化のため通所系の7施設が区や地域防災などの専門家と協議を始めるとのことです。福祉避難所に指定されても通所施設などは24時間運営のノウハウが乏しいため、協議により施設ごとの課題やニーズを抽出し、避難所開設のワークショップや訓練を行い、手順書も作るそうです。中野区でも福祉避難所の早期開設のニーズが見込まれる中で参考になる取組ではないでしょうか。区の指定している福祉避難所において、マニュアルの作成や避難訓練の実施状況はどうなっているのか確認いたします。福祉避難所の早期設置と運営のための支援を早急に行うべきと考えますが、見解を伺います。

 (3)乳幼児を守る取り組みについて伺います。

 災害時に子どもの命を守れる最も身近な存在は保護者です。特に0歳から1歳の乳幼児は、衛生面での一層の配慮が必要ですし、転倒防止など保護者の防災対策が大きな役割を果たします。保護者の防災意識を高め、備えを後押しするための取組は、防災への関心の高まる時期を見極めて実施することが効果的です。産前・産後の時期を対象とした防災学習講座の実施を検討してはいかがでしょうか。

 妊婦や乳幼児の親子には、衛生面をはじめ感染症対策、特別な配慮が必要であるとともに手厚い支援が求められます。全ての避難所において乳幼児が安心して過ごせる空間を確保し、乳幼児親子のアセスメントや的確な支援ができる体制を整える必要があります。保健師や助産師が常に寄り添える環境づくりは現実的には厳しいと考えます。各避難所における乳幼児親子の支援の担い手への研修を実施するなど対策を打っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 (4)広報について伺います。

 区は、区民向け防災マニュアルブックとして「中野区民防災ハンドブック」を発行していますが、中身を見ると、防災会や防災リーダー等、支援する立場の方にとって必要な情報が多く盛り込まれています。例えば品川区の防災ハンドブックを見ると、区民の立場で欲しい情報が掲載されており、在宅避難に関しても数ページ掲載されています。防災の担当者のみで広報物を作ると、伝えたいことを可能な限り載せてしまいがちですが、読者の視点に立って作ることが重要です。区民の防災への関心が高いうちに積極的な広報に取り組むべきと考えます。在宅避難が基本となることを周知し、世帯のニーズに合わせた食料備蓄、生活用品を用意していただくためにも、防災リーダーなどと協働して広報戦略に取り組んではいかがでしょうか、伺います。

 「推しのグッズに助けられた」というエピソードがSNSで度々話題になります。自分の大好きな推しキャラクターとコラボした防災グッズを平時から持ち歩いたり、大切に保管していたことで、災害時に身の助けになったとのことです。「進撃の巨人」とコラボした防災リュックや、缶入りパンが限定販売されたり、江東区で「アイドルマスターミリオンライブ!」と防災のコラボイベントが開催されるなど、アニメキャラクターと防災のコラボレーションは増えつつあります。若者層など区の広報が行き届きにくい層への啓発強化も必要です。SNSのさらなる活用やアニメキャラクターとのコラボなど、斬新な取組も積極的に挑戦していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、2、若者政策の今後の展開について伺います。

 区長は先月開催された若者会議の報告会でのフィードバックにおいて、「すばらしい提案でした。ぜひ実現したいですね。」とエールを送っていらっしゃいました。しかしながら残念なことに、現在の事業スケジュールでは翌年度の予算の計上には間に合いません。また、数回の会議の後、1月に提言するのではとても期間が短く、丁寧な調査を行う時間も十分とは言えません。若者からの提言を受け事業として実現していくためには、提言までの期間や誰が伴走支援をするのかなど整理すべきではないでしょうか。政策提言までのスケジュールを見直すなど事業の再構築を求めますが、見解を伺います。

 2月1日の区長会見にて、来年度から子どもの意見を反映させた教育活動の推進として、区立小学校で各校20万円、区立中学校に各校30万円の予算を設け、子どもの声を学校運営に反映させると発表され、話題を呼んでいます。子どもたちの声が反映される体験を義務教育の過程で経験できることはすばらしいですし、受け止めて予算化し、形にしていくプロセスは、大人にとっての受け止め力や対話力を高める機会になることに期待をしております。このような新たな取組をされる一方で、ハイティーン会議の若者がやりたいことにチャレンジするための予算や、若者会議が政策提言に当たって調査するための費用はなく、予算が必要なプロジェクトを行う場合は自腹を切るか、公益活動支援としてのチャレンジ基金に採択されなければならない状況です。若者がチャレンジするための活動費や調査研究のための予算について検討を求めますが、いかがでしょうか。また、予算を伴う事業として、若者の提案が実現するための仕組み化も必要と考えますが、見解を伺います。

 産業振興センター跡施設の中高生交流施設の整備や若宮児童館の中高生機能強化型児童館への移行については、現行計画では数年先となります。ハイティーン会議の活動で中高生の居場所について取り組んだ高校生からは、報告会の際、「自分たちの1年はあっという間であり、施設ができるのが数年後では遅い。」という旨の早期実現を求める発言もありました。児童館に居場所があっても、実際には高校生は行きにくいという声もあります。暫定的でも構わないので、施設ができるまでの期間において、区有施設を活用して中高生が安心して過ごせる居場所づくりを行っていただきたいと考えますが、伺います。

 次に、3、環境まちづくり・SDGsの推進について伺います。

 中野区基本計画で示す環境形成型のまちづくりを実現するためには、規制や緩和などを取り入れ、ハード面におけるアプローチを行うのは当然のことながら、グリーンインフラの視点によるソフト面におけるアプローチも大切にすべきと考えます。先日、危機管理対策等調査特別委員会でさいたま市に視察に行った際、大宮駅周辺グリーンインフラ官民連携プラットフォームの取組状況についてお話を伺いました。様々な立場の民間企業が集まり、大宮ストリートプランツプロジェクトを実施。地域を巻き込みながら緑豊かな町並みの創出と経済循環の仕組みを社会実装しています。また、横浜市のガーデンシティ新横浜プロジェクトでは、市の緑化育成業務委託事業として、新横浜町内会と造園業者などにより、都市緑化と防災両方を顕在させた取組が行われています。公園にレインガーデンを用いた街路植栽帯を設置、歩道からの雨水を流入させることで冠水を防止する設計となっており、都市型豪雨対策として機能し、こちらも周辺住民による維持・管理がなされているそうです。環境形成型まちづくりの実現に向けては、グリーンインフラの視点によるアプローチも大切です。さいたま市や横浜市の事例を参考に、企業や区民も一緒になって行うみどりのまちづくりに取り組んだり、地域によってはグリーンインフラ官民連携プラットフォームの形成も考えてみてはいかがでしょうか。

 区は基本計画の重点プロジェクトの説明の中で、重点ポイントと主な関連事業として、「地域の脱炭素化と持続的発展を両立する協働まちづくり」、「環境に関する連携・協働に向けたネットワークづくり」を掲げています。環境形成型のまちづくりを実践している全国の事例の歴史をたどると、市民参加の基盤づくりを行い、10年、20年の長い期間をかけて市民と協働してまちづくりを行っており、世田谷区の下北線路街も成功事例の一つです。区としても、地域ごとに行うまちづくりにおいて住民参加型で取り組んでいますが、基盤づくりの初動期から可能な限り環境形成の視点を盛り込むよう取り組まれてはいかがでしょうか。

 中野区基本計画には、「施策53みどりの保全と創出の推進」を掲げていますが、環境基本計画やみどりの基本計画を見ても、基本的に中野のみどりは減少傾向にあり、大規模公園を造ることで新たなみどりの面積を確保してきたことが分かります。日々の暮らしの中にあるみどりを増やすための取組は、脱炭素社会の実現と同様に重要で、強化すべきものではないでしょうか。

 区はこれまで緑被率やみどり率といった指標で区内のみどりの状況を示してきましたが、前回、平成21年策定のみどりの基本計画(第四次)の中の緑の実態調査においては、緑視率の調査も実施していました。緑視率とは、評価対象の建造物等を視界に入れた際、視界に入る自然のみどりの割合のことで、国土交通省の資料によると、緑視率がおよそ25%を超えるとみどりが多いと感じ始めるとのことです。実態調査をした平成19年当時の中野区の平均緑視率は17.88%だったとの記録があります。区は現在、みどりの基本計画において緑被率とみどり率を使用していますが、次回の中野区緑の実態調査においては緑視率調査を復活させることを検討されてはいかがでしょうか。みどりを増やす取組の強化についても併せて見解を伺います。

 区はこれまで、環境施策に資する様々な補助メニューを拡充してきました。他自治体の取組を見てみると、競り下げ方式により再エネ電気の最低価格を提示する販売者(小売電気事業者)を選択できるリバースオークション、事業者が公共施設に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を当該施設に供給するPPAという取組、卒FIT電力を活用した再エネの地産地消など、各自治体において再生可能エネルギー促進のための様々なメニューが実施されています。区は、家庭・事業所における省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用促進によるCO排出量の削減に取り組んでいるところですが、他自治体の事例を参考に事業のさらなる拡充や思い切った取組を期待しますが、見解を伺います。

 SDGsウェディングケーキモデルというものがありますが、経済・社会・環境のバランスを保つ中でケーキの一番下の土台の部分が環境であることを示すものです。区は、昨年度からなかのSDGsパートナー登録制度を始め、今年度は21の企業や大学が登録をされたとのことです。これにより官民連携による環境課題に対する取組が加速することを期待しています。

 昨年は国連がSDGsを策定した2015年から2030年までの折り返し地点でしたが、残り7年ほどの期間で区がどのようにSDGsを推進していくのか、そしてその成果も求められるところです。区は同じタイミングで中野区実施計画を策定しました。本来であれば、中野区実施計画の策定に当たり、SDGsの推進も施策展開の検討材料にすべきだったのではないでしょうか。どこかのタイミングでは示す必要があるのではないでしょうか。

 また、区は残り7年でSDGsを推進する上で、どのようなゴールを見据えた展開をお考えなのか、併せて伺います。

 4番、その他、伺います。

 保育所の待機児童が解消されたとはいえ、保護者が就労するに当たって保育所等への入園はいまだに頭を悩ませる壁となっています。4月入園を検討中の保護者の方から御相談があり、多胎児を含む兄弟を同時に入園申請することを考えているものの、同じ保育園に入れるという保証はなく、ばらばらになってしまったときのことを考えると不安だというお声でした。

 この相談をきっかけに、23区全ての保育所入園申請の状況を調査したところ、23区中17区が兄弟同時入園や多胎児の同時入園に当たって加点を行っていることが分かりました。それ以外にも独自の加点が行われており、中には希望から一定期間以上入所できていない、いわゆる待機児童となってしまっている方への加点を行っている区もありました。

 また、4月入園の申込み締切日は、23区中中野区が最も早い11月1日で、多くの区は11月末から12月中旬にかけて締切日を設定していました。区は、令和3年度からAI入園選考システムを導入していますが、それにより選考期間の短縮は図れるのではないでしょうか。区は毎年8月に「保育所等のごあんない」を発行しています。待機児童が解消され、保育園の空き状況が増加傾向にあるなど、保育園を取り巻く環境は変わってきていることを踏まえ、入園の利用調整や入園手続のスケジュールについて見直しをしていただくよう求めます。見解を伺います。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 間議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、防災対策について。

 社会福祉協議会と共同した受援応援計画の策定についてです。区内に大規模な災害が発生した場合に、災害時における相互支援に関する協定に基づいて、中野区社会福祉協議会に災害ボランティアの調整等を支援していただくことになります。このため、来年度策定を予定している受援応援計画の策定に当たりましては、中野区社会福祉協議会と連携を図りながら進めてまいります。

 戦略的な協定締結についてです。災害対策に関する協定は、今年度全ての協定についての現況を調査した上で、協定の効果が発揮できるよう見直しをしたところであります。今後も区のみでは応急対策及び復旧対策を実施することができない場合に備えて、効果的に災害協定を締結してまいります。

 防災DXについてです。区では災害情報を集約、共有し、円滑に意思決定できるよう新たに電子作戦卓を導入するほか、新庁舎整備に伴って災害対策本部機能を一体的に運用できるようにするなどの防災のDXを推進してまいりました。災害時の対応については様々な状況を想定し、どのような状況であってもいち早く対応できるよう準備しておくことが重要であるため、今後とも他自治体の事例について情報収集に努め、改善を図ってまいります。

 次に、避難所外避難者の支援主体についてです。在宅避難者への支援は災害対策本部を中心として各避難所において実施することを想定しております。在宅避難者等の避難所外避難者は実態把握が難しく、避難者の置かれている環境や正確な情報の早期伝達、物資の提供などについて課題があると認識をしているところであります。

 次に、災害ケースマネジメントについてです。被災者一人ひとりの個別の状況に応じた生活支援を行うためには、日頃からケースワークのノウハウや関係機関とのネットワークが生かされていると考えています。災害時に適用した場合に必要とするマネジメントの技術や体制の構築など、昨今の事例を参考にしながら準備を進めます。

 避難所のDX推進についてです。要支援者を含む避難者の情報を正確に把握し、円滑な避難所運営や避難所生活におけるケアなど、多様な状況を容易に把握する新たな技術に関する実証実験の事例を把握しておりまして、区の災害対策への導入について、こうした先進的な事例も参考に研究をしてまいります。

 防災対策情報の可視化等についてです。各地域の防災対策等の情報を可視化していくことは、日頃からの区民の備えの意識向上に寄与するとともに、災害時における避難所運営や在宅避難支援にも重要なことであります。災害時の円滑な避難所運営に備える一つの手法として、情報の可視化等について先進的な事例を参考にモデルエリアでの試行実施を検討してまいります。

 福祉避難所への支援についてです。福祉避難所のマニュアルは、区が示している標準マニュアルに基づいて各福祉避難所で作成しておりますが、作成から年月が経過していることから、内容の見直しを予定しております。また、福祉避難所における避難所開設訓練等については、新型コロナウイルス感染症が流行して以降実施できていないため、早期に実施をしてまいりたいと考えております。

 次に、妊産婦への防災学習についてです。災害時避難行動時における妊産婦特有の課題を認識し、必要な備えをしていただくための防災学習は極めて重要であると考えております。トータルケア事業など既存の支援の取組との関係を整理した上で、適時適切に実施する方策について検討してまいります。

 また、区の助産師会は、総合防災訓練の際にブースを設け、妊産婦に対する防災意識の普及啓発を行っておりまして、今後も連携を強化してまいりたいと思います。

 次に、乳幼児親子の支援の担い手の育成についてです。災害時の要配慮者である乳幼児親子への支援の充実は重要であると考えております。避難所生活における乳幼児親子を守る取組をより充実させるために、自主防災組織との意識共有など、令和6年能登半島地震の事例や先進的な取組などの情報収集に努め、避難所運営に反映してまいります。

 次に、積極的な広報についてでございます。区民の防災への関心が高いタイミングで積極的な広報を推進していきたいと考えております。このため、区報や地域防災訓練等によって、家庭における安全対策や備蓄品など啓発を集中的に行っております。

 また、来年度は区民である防災リーダーと協働で、伝わりやすい防災普及啓発資料を作成し、全戸配布による普及啓発を実施するなど、広報を充実していく予定でございます。

 次に、若者層への啓発強化についてでございます。区としては、引き続きSNSを活用していくとともに、区民の興味を引くための新たな取組について、他区の先進的な事例や防災リーダーの声を取り入れるなどして情報収集に努めてまいります。

 次に、若者政策の今後の展開について。

 若者会議の提案の区政への反映についてでございます。本事業は、専門的知見を有するNPO法人に事業を委託して進めているところであります。検討の期間や提言から予算を伴う事業化までのスケジュールについては課題があると認識をしております。若者会議の提案を区政に反映していくために、関係所管との連携を強化し、新たな事業化に向けたスキームの検討も進めてまいります。

 次に、活動費等の予算化や提案を実現するための仕組み化についてです。ハイティーン会議や若者会議の活動費につきましては、若者活動支援事業を委託している事業者への委託費の中から必要な費用を支出しておりますが、委託の範囲外での事業活動等、自己負担によるものもあります。今後の活動支援を充実するための仕組みについては、さらに検討してまいりたいと思います。

 ハイティーン会議や若者会議の予算を伴う提案につきましては、チャレンジや提言の内容を区政に反映できるよう効果的な仕組みを検討してまいります。

 次に、区有施設を活用した中高生の居場所づくりについてでございます。中高生世代が自由に過ごせる居場所が不足しておりまして、区としての取組が急務であると認識をしております。今後、空きのある区有施設を利活用し、施設の状態や立地条件等を勘案しながら、子どもの居場所事業の試行的実施も検討してまいります。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、環境まちづくり・SDGsの推進についてお答えいたします。

 初めに、環境形成型まちづくりにグリーンインフラの視点を持つことについて。都市計画マスタープランでは、まちを守り潤いを生み出すグリーンインフラの育成について、基本的な都市構造として位置付けされております。環境形成型まちづくりを進めるに当たって、他自治体の先進事例等も参考とし、地区特性を踏まえた取組手法について研究してまいります。

 次に、まちづくりに環境形成の視点を盛り込むことについてです。現在策定中の実施計画や脱炭素ロードマップにおいては、今後各地区で進めるまちづくりについて環境配慮視点の検討を進めていくこととしております。また、地域の提案や参加型で進めるまちづくりにおいても、環境形成について議論や検討ができるよう周知啓発などを図ってまいります。

〔環境部長松前友香子登壇〕

○環境部長(松前友香子) 環境まちづくり・SDGsの推進についてのうち、2点お答えいたします。

 まず、緑視率調査の実施について。緑視率は、人の視界に占める自然のみどりの割合であり、人が感じる安らぎや潤いに関連する指標であると認識をしております。緑の実態調査の調査項目としては、次回の計画改定時にまちの将来像等を整理する中で検討してまいりますが、区全域ではなく、地域の特性を踏まえながらその必要性を検討する考えでございます。

 また、脱炭素ロードマップにおいて、みどりを生かしたゆとりある環境の形成を全体方針の一つに位置付け、より一層みどりの取組強化を図ってまいります。

 続いて、環境施策の拡充について。ゼロカーボンシティの実現に向けては様々なアプローチが必要であり、令和6年度には脱炭素ロードマップを作成するほか、省エネルギー設備への補助メニューの拡充、「なかのエコフェア」の拡大実施などを予定しております。

 脱炭素ロードマップでは、まちづくりの全体方針を定めるとともに、まちづくり、都市計画、都市基盤、建物設備、移動、区民・事業者の行動、区の率先行動、この六つの領域について区の取組や方向性を示す予定でございます。これらの取組を中心に全庁的な施策展開を進めてまいります。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 私からは、SDGsの推進につきましてお答えをいたします。

 SDGs推進につきましては、中野区基本計画の策定時に各政策とSDGsの関係性を整理しており、基本計画における各取組を着実に推進することでSDGsの推進につなげていくこととしております。

 まずは基本計画及び実施計画における各取組を着実に推進することと併せまして、昨年10月から開始いたしましたなかのSDGsパートナー制度の着実な運用などにより、区内のSDGsの推進につながる活動の拡大や、SDGsの普及啓発を図ってまいりたいと考えております。

 区におけるSDGsの進捗状況や具体的な目指すゴール、展開などにつきましては、来年度から開始する次期基本計画の検討に併せてお示ししていく予定でございます。

〔子ども教育部長石崎公一登壇〕

○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、その他の項、保育所入園申込みに係る見直しについての御質問についてお答えをいたします。

 入園利用調整につきまして、これまでは、より多くの世帯の児童が入園できることを念頭に加点の調節を行ってまいりました。待機児童が解消されたことを踏まえ、今後は兄弟、多胎児の同時入園や、申請後一定期間経過しても入園できない等、多様な事情を持つ世帯の児童も保育所を利用していただきやすくなるよう、加点の調整等について検討してまいります。

 入園手続スケジュールにつきましては、4月入園と合わせて12月から2月までの入園も同時に申請できるようにしていることや、利用調整を2回行っていることを踏まえ、現在申込み日を設定しているところでございます。このスケジュールにつきましても様々御要望を頂いており、今後は他区の実施状況等を踏まえて検討してまいります。

○副議長(木村広一) 以上で間ひとみ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 ちあき

 1 施政方針説明について

 2 区の組織について

  (1)総務部防災危機管理課について

  (2)子ども教育部・教育委員会事務局について

  (3)その他

 3 その他

 

○副議長(木村広一) 次に、高橋ちあき議員。

〔高橋ちあき議員登壇〕

○33番(高橋ちあき) 令和6年第1回定例会、自由民主党議員団として一般質問をさせていただきます。

 今定例会は、現在の庁舎において最後の定例会となります。長きにわたり議会運営を行ってきた歴史ある議場も今回で閉じられてしまうと思うと感慨深いものがあります。5月からは新庁舎での活動が始動することになりますが、現庁舎で積み重ねてきた経験は私の宝でありますし、これからの糧にさせていただきます。

 では、質問に入ります。

 時間がないので、1の施政方針説明については機会を改めさせていただきます。

 2の区の組織について幾つかお伺いいたします。

 組織の在り方については、これまでも何度となく私の考えを述べさせていただきました。一貫して求めていることは、機能的であること、そして区民にとって分かりやすいことです。組織は行政機関の内部の問題であり、政策実現の手段として、トップである区長の考えが強く反映されるべきものなので、あまり議会がどうのこうの言うことでもないとも思ってはおります。

 一方で、地方自治法第158条の第1項で、「普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。」としております。一定レベルの組織改編は条例として議会の議決事項になっております。また、第2項では、「普通地方公共団体の長は、前項の内部組織の編成に当たっては、当該普通地方公共団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならない。」としております。つまり、組織をどう再編するかも、一定区民生活に関わるものとして、その考え方は機能的で合理性が求められることはもちろん、区民にとって分かりやすいものであるよう配慮が必要であるものと考えられます。私が一貫して伝えている、機能的であること、区民にとって分かりやすいことは、まさにここにあります。

 そこで伺います。区は、どのようなお考え、また思想の下、組織の再編を行っているのか伺います。

 次に、個別の組織の在り方について伺います。

 まず、機能的であることという観点から、総務部防災危機管理課について伺います。今回の石川県能登半島地震のような大規模自然災害。そして新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック。さらに国外に目を向ければ各地で起こる紛争。数年前には全く予想もしていなかった、予想をできたとしてもその想定を大きく超えるような事態が今、目の前にあり、大きな危機として存在しております。今回の能登半島の地震が首都東京で起きた場合に、中野区は対応できるのか、重ね合わせたとき、不安を感じざるを得ませんでした。

 中野区は、総務部に防災危機管理課を設置し、防災危機管理担当部長の下、防災危機管理課長、防災担当課長、生活・安全担当課長を置いて、防災に強く回復力のあるまちづくり、安全・安心な生活環境と防犯まちづくりを進めるとしております。

 その中で、平成19年度から任期付の部長職として設置していた防災危機管理官が、令和4年度から非常勤の会計年度任用職員となりました。また、ここ何年か、防災危機管理課長のポストは防災危機管理担当部長が事務取扱として職務に従事しております。このような状況を見ると、有事に対応できる体制となっているのか極めて不安ですし、区の危機感の欠如すら感じざるを得ません。様々な事情があるのは承知していますが、区政の中で優先順位の高い施策、職務であるのは明らかであります。まずはこのような体制の解消から手をつけてみてはと考えますが、区の見解を伺います。

 危機管理、安心・安全は全ての経営課題、区政課題に優先されるべきものです。基本構想における区政運営の考え方においても、「危機の発生に備えた体制を強化します」とあります。以前、神戸市の危機管理センターのような機能を有する組織の検討についてもお伺いをいたしました。

 昨今の状況、今後も増大するであろうリスクや未来への不透明感から鑑みて、改めて危機管理に対応できる組織構造、人員体制となっているのか検証し、場合によっては危機管理体制の機能強化のための組織の見直しをしてみてはどうかと考えますが、見解をお伺いいたします。

 次に、区民にとって分かりやすいことという観点から、子ども教育部及び教育委員会事務局についてお伺いします。

 区の子ども及び教育行政は、平成23年に、「子ども教育部と教育委員会が一体的な子ども施策を展開することで、より価値の高い子育て支援、教育の実現を目指していく」として、現在の組織形態で政策を展開することになりました。当時は、スポーツや文化、図書館等の生涯学習の所管の在り方をめぐって議会から様々な意見が出されました。あれから十数年、子どもや教育を取り巻く環境は大きく変わり、課題も高度で複雑さを増しました。課題が高度化、複雑化する中で、一体的にした組織が対応しきれない場面が多くなってきたような気がいたします。区民や地域団体からも、区の組織が分かりづらい、どこの窓口に相談に行けばいいか分からないといった声をいまだによく聞きます。機能的でないだけでなく、区民にとって分かりにくい組織になっているのではないでしょうか。

 そこでお伺いします。現状の組織構造をどう評価されているのか、見解を伺います。

 この十数年を見てきて、やはり機能面だけでなく、区民にとっての分かりやすさという面から見ても無理があるのではないかと考えます。他の23区のほとんどが、教育委員会事務局と子ども・子育て支援関連部を分けているのもその証左ではないでしょうか。

 そこで伺います。かつてのような組織に戻すことも含め、区民にとって分かりやすく、かつ機能的であるような組織の在り方について、改めて検討すべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 以上で私の質問は終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋ちあき議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、総務部防災危機管理課についての質問で、組織編成の考え方についてでございます。区の組織は、基本構想・基本計画を実現するための手段として、政策、施策ごとの戦略に基づいた最適な組織編成としているところであります。その上で、地方自治法にあるとおり、事務及び事業の運営が簡素かつ効率的となるよう、組織の設置、編成に当たっては機能性及び経済合理性を求めるとともに、組織の名称についても区民にとって分かりやすいものであるかということを考慮しているところであります。

 次に、防災危機管理の職員体制についての御質問です。防災危機管理官は、区の防災及び危機管理に係る体制の充実及び強化等を図る目的で設置をしておりまして、以前は任期付の部長職としての任用であったところ、任期付職員採用の制度上の問題で、現在は会計年度任用職員に切り替えて任用しているところであります。当該職の役割や機能は重要であると認識をしておりまして、今後、常設の職としての任用の可能性について、関係機関と協議しながら検討してまいりたいと考えております。

 また、防災危機管理課長につきましては、管理職任用者の数が確保できた段階で速やかに人員を配置し、防災危機管理担当部長の事務取扱を解消したいと考えておりまして、次年度は適正な配置ができる見込みでございます。

 次に、防災危機管理体制の見直しについてでございます。防災危機管理の組織構造及び人員体制については、平常時と非常時では体制が大きく異なる性質を有しておりますが、平常時の組織体制は適正であると認識をしているところでございます。大規模災害や武力攻撃事態、新型インフルエンザ等の対策などによって、区民の生命、身体及び財産に重大な被害を生じさせる場合には、危機管理ガイドラインや災害応急対策活動マニュアル、事業継続計画に基づき、速やかに全庁的な対応を図ることとしております。しかしながら、令和6年能登半島地震において想定を上回る規模の災害が発生していることなども鑑み、今後の庁外関係機関との連携を含めた総合的な危機管理体制については、充実させることも含め、改めて検討してまいりたいと考えております。

〔子ども教育部長石崎公一登壇〕

○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、子ども教育部・教育委員会事務局についての御質問についてお答えいたします。

 初めに、子ども教育部・教育委員会事務局の組織構造についてでございます。区は、子育て支援施策と教育施策を一体的、総合的に実現できる執行体制を構築し、幼児期から小・中学校の連携教育を強化してまいりました。区内の保・幼・小・中において発達や学びの連続性を踏まえた教育を展開するなど、効果的な取組が進められていると考えているところでございます。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大後、教育委員会の活動はさらにスピード感を増し、高度化し、教育を含む子どもの課題が複雑化を深める中で機動的な対応ができていないなど、また、区民に分かりづらいという声を頂くという課題もあるというふうに認識しているところでございます。

 次に、組織の在り方についてでございます。子ども教育部と教育委員会が一体的な子ども施策を展開することでの、より価値の高い子育て施策、教育の実現という目標は変わらないと考えているところでございますが、区民に分かりやすく、かつ機能的な組織にするためには、執行体制を強化する必要があるというふうに認識しているところでございます。

○副議長(木村広一) 以上で高橋ちあき議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員    かつひこ

 1 西武新宿線沿線まちづくりについて

  (1)西武新宿線連続立体交差事業(中井駅~野方駅間)について

  (2)区画街路第4号線整備について

  (3)にぎわいの創出について

  (4)その他

 2 デジタル地域通貨事業について

 3 5歳児健診について

 4 中野区耐震化促進事業について

 5 中野区立第七中学校の改築について

 6 その他

 

○副議長(木村広一) 次に、南かつひこ議員。

〔南かつひこ議員登壇〕

○35番(南かつひこ) 令和6年第1回定例会において、公明党議員団の立場から一般質問を行います。区長並びに理事者におかれましては、明快で前向きな答弁をお願いをいたします。

 1番目に西武新宿線沿線まちづくりについて伺います。

 (1)として、西武新宿線連続立体交差事業(中井駅~野方駅間)について伺います。

 最初に、鉄道上部空間の活用・整備について伺います。令和8年度での鉄道上部空間活用計画の策定へ向けて、連続立体交差事業区間の上部空間活用の範囲について、東京都、西武鉄道株式会社と協議、調整を図っていくこととしています。その協議、調整の状況により、令和4年度から令和7年度にかけて鉄道上部空間活用方針を策定することになっておりますが、その進捗状況を伺うとともに、中野区としての鉄道上部空間活用に関する考え方を協議、調整の中で、できる限り早く示すべきと考えますがいかがでしょうか。伺います。

 鉄道上部空間活用方針の策定に向けて、沿線のまちづくり団体や町会等から意見を聴取して中野区としてまとめることとしています。説明会の開催等により、鉄道上部空間活用方針の作成目的と骨子案で示される主な内容について区の見解を伺います。

 昨年12月1日の建設委員会において、事業費の変更の報告がありました。物価上昇や仮設工事の施工計画変更などが主な要因とのことであります。全体事業費は約1,219億円に上り、当初の事業費約726億円のところ493億円増額となりました。それに伴って中野区負担分の事業費も約123億円となり、当初の中野区負担分は約73億円のところ50億円の増額となりました。事業費については、事業主体である東京都が検討してきた結果であり、昨今の建設資材価格や人件費の高騰等の状況を考えればやむを得ないものと捉えていますが、中野区負担分の増加も非常に大きな金額となっており、少なからず中野区の財政にも大きな影響を与えると考えられます。そこで今回の事業費増額について、中野区へ与える影響について区の見解を伺います。

 本来、事業費の増額や事業の進捗などの報告や説明は、事業主体である東京都が都民、区民に対して丁寧に説明責任を果たすことが必要であると考えますが、東京都はこれまでのところプレス発表等も含めて公表を行っていません。一方で、当事者は中野区のみを対象としており、区民の関心も高く、区民生活に直結していることや連続立体交差事業はまちづくりと連携して進めることで大きな効果を発揮するため、中野区としてもまちづくりを着実に進めていくことが期待されることなどから、中野区が東京都と連携して事業の進捗や全体の説明をまちづくりと併せて丁寧に行っていくことが必要と考えますが、区の見解を伺います。

 (2)として、区画街路第4号線整備について伺います。

 現在、沼袋商店街通りの拡幅事業が区画街路第4号線整備として進められています。その整備のさなかにあって、4メートルセットバックして建て替えた建物も地区計画により1階を事務所または店舗にすることになっていますが、その活用用途がいまだに決まっていないところが見られたり、更地のままになっていたりしている状況にあります。整備途中であるため、商店街通りの形態として凹凸感があり、お店を閉めるところも出てきている状況で、商店街としての機能がなくなってきている傾向にあり、買物客が激減しているのが現状です。

 事業途中ににぎわいが低下してしまうと事業完了後にも商店街のにぎわいに影響が出てしまうのではないかとの不安が募ってきます。このようなマイナス的な現況を打開するための商店街の具体的な活性化策が必要と考えます。例えば区が収用した事業用地を活用して、マルシェ、キッチンカーなどの活用もその一つであると考えますが、まちづくり事業課の対策としてどのようなことを考えているのか伺います。

 今年の2月には中野区産業振興方針を策定することになっていますが、まちづくり整備の影響による商店街のにぎわい低下に歯止めをかける対策として、中野区産業振興方針に関連性を持たせる必要があると考えますが、産業振興課としてどのような見解を持たれているのか伺います。

 (3)として、にぎわいの創出について伺います。

 にぎわい拠点となる沼袋駅から新井薬師前駅の鉄道上部空間活用や、区画街路第4号線の商店街の活性化策として、歩行者利便増進道路(ほこみち)の指定制度の活用が有効であると考えます。歩行者利便増進道路(ほこみち)の指定制度とは、にぎわいのある道路の構築のための道路指定制度であり、道路の占有例として、デジタルサイネージやベンチ、食事施設、自転車駐輪器具の設置が可能となります。

 鉄道上部空間は、歩行者用道路として活用されるかは、鉄道上部空間活用計画の策定の中で検討されていくことになりますが、歩行者利便増進道路(ほこみち)の指定制度を活用することで、沼袋駅から新井薬師前駅の鉄道上部空間活用や区画街路第4号線の商店街の活性化に活かすことができるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問は終わります。

 2番目として、デジタル地域通貨事業について伺います。

 中野区では、区内経済・産業の活性化を図ることを基本にプラットフォームを構築し、区民サービスの向上に資するツールとして、令和6年度にデジタル地域通貨事業を開始するとしました。さらにステップを3段階に分けて、令和9年度まで段階的に事業を展開していくとしています。単年度事業ではなく、長中期的なビジョンを描いた事業を進めるに当たっては、事業費用も複数年度にわたることを想定しなければなりません。他自治体で同事業を実施する際にかなりのコストがかかっていると聞いています。

 渋谷区や板橋区では「ハチペイ」や「いたばしPay」として事業を進めていますが、中野区としては渋谷区や板橋区の各プラットフォームの利点と問題点を精査して、デジタル地域通貨事業を構築していくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 中野区は、プラットフォームの構築において、加盟店舗の目標を800から1,000店舗としています。加盟店舗の拡大が重要要素の一つと言えます。加盟店舗の拡大へ向けては、加盟店舗への負担の軽減やインセンティブの施策展開が必要です。キャッシュレス決済業界の最大手では、初期費用を0円、決済システム利用料を1.6%とし、さらに加盟店舗を対象に最大6か月、決済額の3%をプレゼントするキャンペーンを実施するなどしています。加盟店舗への加入料や初期費用のお得感と併せて、決済システム利用料を割り引くなど、事業を開始するに当たり、加盟店舗の加入対策としてのインセンティブの設定が必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 デジタル地域通貨事業の実施に当たっては、期待される効果として、区民に対してもお得感のあるプレミアムポイントが重要となります。区では、プレミアム付デジタル通貨の発行やダウンロードキャンペーンなどの実施も検討していると聞いていますが、現時点でどのような対応策を考えているのか、区の見解を伺います。

 コミュニティポイント付与の考え方について伺います。一つには、「健康」をキーワードとしたコミュニティポイントの考え方も有効です。特に最近では、健康で幸せを支援していくスマートウェルネスシティの考え方と連携を図っていくことが重要と考えます。

 区長の施政方針の中で、「デジタル地域通貨事業のプラットフォームを活用した健康ポイントの導入などの検討を進めていきます。」とありました。また、我が会派からも、ウェアラブル端末であるスマートウォッチやスマートフォンを活用した次世代型高齢者の見守りや安否確認システムの導入を要望しているところです。

 スマートウェルネスシティの考え方を実現するためには、スマートウォッチとの連動は効果的と考えます。健康づくりやイベントの参加などのときにはQRコードを読み取る形式でコミュニティポイントの付与を検討していると思いますが、その際には各所管との連携が必要となってきます。

 稲城市では、平成20年度から介護支援ボランティア制度を本格実施して、全国で初めて介護支援ボランティアに対してポイントを付与する事業に取り組んできました。介護保険制度を活用したボランティアポイント制度については、平成19年度から地域支援事業実施要綱の改正により、市町村の裁量により地域支援事業交付金を活用して、介護ボランティア活動の実情に応じてポイントの交付が可能となっています。

 介護ボランティア制度のポイント制度を活用することで、地域包括ケアシステムの構築に寄与することもでき、さらに地域支えあい推進部との連携を図ることにより地域支援事業交付金の活用ができ、その結果、特定財源の確保につながる利点があります。コミュニティポイントに介護ボランティアポイントの付与も考えられますが、区の見解を伺います。

 次に、デジタルデバイドの対応策についてです。高齢者、障害者に不公平感が生じないように、デジタルデバイドの対応策は、デジタル地域通貨事業を実施するに当たって欠かすことができません。区民活動センターでデジタル関係の説明会も実施していますが、参加される区民も少ない状況にあります。現在、スマートフォン等のオンライン端末の使い方相談を定期的に開催している「なかのICTサポーター」の活用の充実も必要と思われますが、デジタル地域通貨事業の実施に当たっては、区としてどのようなデジタルデバイド対策を考えているのかを伺って、この項の質問は終わります。

 3番目に、5歳児健診について伺います。

 5歳児健診については、これまで国政での公明党の訴えを受けて、1か月健診と併せて実施する市区町村へ国の助成事業が今年から始まりました。5歳児健診で助成対象となるのは、原則自治体が実施する集団健診で、一人当たり3,000円を上限に国が費用の2分の1を補助するものです。

 乳幼児健診は、これまで母子保健法で義務化されている1歳6か月健診と3歳児健診に加え、3~6か月健診、9~11か月健診も国の財政支援の対象になっていましたが、5歳児健診は対象外でありました。公明党は、国においても昨年10月に行われた岸田首相への提言の中で、助成の対象年齢時期を追加し、出産後から就学時までの切れ目のない健康診査の実施体制を整備することを要請し、昨年11月成立の2023年度補正予算に必要経費が計上されました。

 私は、5歳児健診の実施については、平成21年から一般質問や総括質疑などで実施の有効性や必要性を常々訴えてきましたので、5歳児健診が今回の国の補正予算に盛り込まれたことは大いに賛同するものです。これまで私が5歳児健診の必要性を訴えてきたのは、3歳児健診から就学前健診までの期間は発達障害などの気づきの機会の空白期間となり、ここに健診の機会を入れることで、特に軽度発達障害の気づきにも効果があるからです。

 軽度発達障害とは、年齢や身体の発達に不釣合いなほどに落ち着きがなく、常にそわそわしている状態であるとか、読み書きや計算が困難であるとか、またコミュニケーションがなかなか取れないなどの障害で、中枢神経の何らかの機能障害が原因であると推定されています。3歳児健診の時点では集団生活の経験がない子どもも少なくありませんが、5歳児となると経験者も多くなってきます。社会性が身につきにくい軽度発達障害の可能性を見つけやすいと考えられます。

 群馬県藤岡市では、2007年度からモデル事業として5歳児健診の取組を実施しています。1次健診では会話や発音のチェックなどの保健師の問診や、集団遊びを通して行動やコミュニケーションの状況を確認します。次の2次健診では、児童精神科の医師がより詳細に観察。その後は保護者の希望により小集団やコミュニケーションのトレーニングなどを行い、就学時のサポートとして保護者が相談できる場も設けています。

 また、葛飾区では、2015年から5歳児健診を実施して、毎年対象者の3,500人の保護者にアンケートを行っています。アンケートの回収率は約9割と高く、「相談や観察のきっかけになりよかった」との声が寄せられており、5歳児健診が保護者の安心感につながっています。

 これまでを総括しますと、5歳児健診は、発育の状況や社会環境の適応に重要な時期であり、この時期に健診を行うことが発達段階において課題を見極めるには最適であると考えます。

 今回の国の補正予算において、1か月健診と5歳児健診の支援事業が新設され、財政的な支援が開始されることになりました。このような補正予算による支援の活用も視野に入れて、中野区においても5歳児健診を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 過日、令和6年度東京都予算概要の説明会が開催され、東京都の主要事業や新規事業について説明がされました。その中の新規事業の一つに、区市町村発達検査体制充実緊急支援事業として2億1,000万円が計上されておりました。区市町村における検査体制の充実を図るため、区市町村が実施する発達検査の人件費や外部委託経費等に対して緊急支援を実施するという内容です。中野区では療育センターのアポロ園やゆめなりあで発達障害の検査を行っており、年々増加傾向にあります。

 発達障害に関する専門家の確保に課題がある状況であり、子どもの地域包括ケアシステムを構築して充実させていかなければなりません。そのための一助となるこの東京都の区市町村発達検査体制充実緊急支援事業の新規事業を活用すべきと考えますが、区の見解を伺って、この項の質問を終わります。

 4番目に、中野区耐震化促進事業について伺います。

 1月1日に発生した能登半島地震では、2月9日現在で、石川県で亡くなられた方が241人で、被害住宅は6万225棟に上ります。死因を調べたところ、4割以上が建物の倒壊による圧死であったことが明らかになっています。

 能登半島地震を受けて練馬区では、防災上の課題として、木造住宅密集地域での火災対策、建築物の倒壊対策など来年度に迅速に対応することとしました。木造密集地域の耐震対策を強調的にさらに進めるため、練馬区では防災まちづくり地区の5地区の1,100棟で、旧耐震基準の住宅を対象にした耐震化助成制度の拡充を急遽追加しました。具体的には、耐震診断費用を4分の3から全額補助、かつ上限額も大幅に引き上げる。耐震診断から耐震改修までの平均費用は約430万円となっていますが、その場合、自己負担はこれまでの266万円から半額以下の110万円にすることとして、総額9億1,000万円を見込み、2027年度までの4年間に集中して取り組むことにしています。

 練馬区より中野区の耐震化促進事業が充実している部分もありますが、練馬区が耐震対策の助成制度の拡充を進めたように、資材価格や人件費の高騰を考えれば、助成制度の補助率を増額するなど、中野区としても独自の耐震化促進事業の拡充をすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 中野区では、旧耐震基準の木造住宅簡易耐震診断の令和4年度の実施状況は116棟で、木造住宅一般診断の令和4年度の実施状況は112棟となっていますが、その結果として、木造住宅耐震補強工事が6棟、木造住宅耐震補強助成が2棟、木造住宅建て替え・除却助成が57棟となっており、木造住宅の耐震化促進の効果があまり見えないように思いますが、この結果をどのように分析しているのか伺うとともに、今後の木造住宅耐震化促進対策をどのように考えているのか、区の見解を伺います。

 次に、非木造住宅耐震改修等事業助成について伺います。令和2年度時点における耐震が不十分な非木造住宅は、中野区全体として1,251棟となっています。非木造住宅耐震診断の令和3年度実績が1棟、令和4年度実績が0棟となっています。また、これまでの実績類型も52棟と進んでいない感がありますが、この現状をどのように分析しているのか、区の見解を伺います。

 非木造住宅では緊急輸送道路沿道等建築物以外は耐震改修等助成の非対象でありましたが、区内全域に拡大することとなりました。助成対象は、昭和56年以前の旧耐震基準の建物、床面積が全体の2分の1未満、耐震診断結果のIs値が0.6未満、倒壊の危険性があると判断された建物となっており、助成制度としては3型式を設けており、補強設計費用、補強工事費用、建て替え及び除却費用となっています。このように非木造住宅耐震改修等事業助成を新たに設けたわけですから、この助成制度の実績目標を定めるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 非木造住宅の助成制度の補強設計費用、補強工事費用、建て替え及び除却費用の3型式については、いざ実施するとなると所有者の費用面の負担感があるため、なかなか進まない状況も課題であるかと思いますが、非木造住宅の耐震化は防災まちづくりには欠かすことができません。非木造住宅耐震改修等事業助成の制度の周知、普及啓発活動を積極的に働きかけていく必要があると考えますが、区の見解を伺って、この項の質問を終わります。

 5番目に、中野区立第七中学校の改築について伺います。

 昨年の12月1日の子ども文教委員会で、第七中学校校舎等整備基本構想・基本計画の策定について報告がありました。スケジュールとして、令和5年度から令和7年度にかけて基本設計・実施設計が行われ、令和8年度から令和10年度に新校舎整備工事となり、令和11年度中に新校舎の供用開始の予定となっています。

 第七中学校校舎等整備基本構想・基本計画の資料の中で、校庭の平面図に120メートルのトラックと50メートル直送路及びテニスコートが3面記載されています。計画では校庭は全て人工芝を整備することになっています。

 そこで、人工芝について気がかりなことを数点伺います。まず一つ目に、クラブ活動についてです。人工芝にした場合、野球やサッカーには支障がないけれども、テニスの場合にはボールが弾まないと言われておりますが、球技を使用したクラブ活動などには支障を来すことはないのか伺います。

 二つ目に、人工芝にした場合、今後とも花火大会ができるのかという点です。昨年の9月30日に「なかよしフェス」の名称で第七中学校の校庭で花火大会を開催して、打ち上げ花火を行っています。花火大会に支障はないのか伺います。

 三つ目に、地震などの発災時には第七中学校は避難所となり、防災訓練のときにも言えますが、炊き出しを行う際に防災かまどの使用に支障はないのか伺います。

 次に、通学距離の変更について伺います。第七中学校の改築に伴い、その期間には代替校舎として旧上高田小学校への通学をすることになります。その場合には一番遠いエリアとして、江原三丁目から通学しやすい距離として約2.5キロ、通学時間としては徒歩で約40分かかるとされています。教育委員会としては、自転車通学は禁止されていることから路線バスでの通学を検討しているようですが、路線バス通学の許可については学校長の判断によるとしています。旧上高田小学校まで通学しなければならない期間は、新校舎整備工事期間と令和11年度中の供用開始を考えれば3年以上も通学することになります。通学距離の一番遠いエリアである江原三丁目から代替校舎に通学しなければならない生徒の推定値は、教育委員会の調査では、現在の小学校2年生から6年生の39名ということです。路線バス通学を許可するのであれば、代替校舎への通学変更は教育委員会の都合でしかありません。生徒たちや保護者の方々には全く責任はありません。通学費用を生徒たちや保護者の方々に負担させるわけにはいかないのではないでしょうか。生徒たちの通学費用の全額補助をする必要があると考えますが、区の見解を伺って、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 南議員の御質問にお答えします。

 初めに、西武新宿線沿線まちづくりについてで、上部空間の活用に向けた協議の進捗状況についてでございます。上部空間の活用につきましては、東京都、西武鉄道株式会社及び区の三者で協議することになっております。このため東京都や西武鉄道株式会社とは情報交換を行っておりますが、具体的な内容についての検討にはまだ至っておりません。まずは区としての上部空間活用に係る基本方針をまとめた上、可能な限り早く具体的な協議、調整に進みたいと考えております。

 次に、上部空間活用に向けた方針作成の目的及び骨子案についてです。活用方針作成の目的は、東京都や西武鉄道株式会社とできる限り早く協議、調整を進めるためのものであります。内容としては、鉄道上部をどのような場所にしていきたいかを整理し、まちづくりを誘導していく基本的な考え方をまとめたものを想定をしております。このため、各駅周辺や駅間などのゾーニングや、そこにどのような機能を持たせるかなどを検討してまいります。

 次に、連続立体交差事業の事業費についてでございます。連続立体交差事業の事業費の増額については、昨今の物価高騰等に起因するものと認識しているところであります。連続立体交差事業の区の負担金額につきましては、都市計画交付金の交付対象事業経費に位置付けられております。全体事業費など区財政に与える影響については、これからの工事状況や経済動向などを注視をしてまいります。

 連続立体交差事業の情報提供についてです。連続立体交差事業は東京都が主体となって進めている事業ではありますが、区としても駅周辺のまちづくりを行うことで、まちのにぎわいや利便性の増加といった効果が生まれるものであります。区民の期待も大きい事業でございますので、中野区としても事業進捗等について、東京都と連携し、これからも情報提供に努めてまいります。

 続きまして、区画街路第4号線整備についてで、商店街の活性化についてでございます。現在、商店街関係者との意見交換を通じて、事業用地の一時的な活用も含め、事業中及び将来的な沿道のにぎわい創出の検討について継続して取り組んでいるところであります。先日、事業用地活用方策の検討の一環として、みなかみ物産店で購入した食品の飲食場所の提供として、試行的に事業用地に飲食スペースを設けた社会実験も実施をいたしました。この社会実験では、利用状況の確認のほか、通行者、来場者へのアンケートを実施し、利用者の商店街に関する思い、考えなどを確認することができたため沿道商店街の方からも好評を頂いたところであります。

 産業振興方針と区画街路第4号線沿道の活性化との関連についてでございます。検討中の中野区産業振興方針では、沼袋区画街路第4号線の着実な用地取得と沿道のにぎわい創出に向けて、商店街振興を含めたまちづくりの担い手発掘を取組案としてお示しをしているところであります。令和6年度からは、地域の担い手を発掘するとともに、沿道のにぎわい創出に向けたハードとソフトが連携した取組を実施してまいります。

 続きまして、にぎわいの創出についてでございます。鉄道上部空間や区画街路第4号線など、連続立体交差事業及び周辺まちづくり事業に伴う商店街の振興や駅周辺の活性化に向けては、都市計画マスタープランをはじめ各駅の整備方針等を踏まえながら、地区の特性を生かしたにぎわいの創出を検討する必要があると考えております。これに向けて、地元商店街等の地域の意見を聞きながら、ほこみち制度の活用など、国や都の制度等を効果的に活用し、活力、魅力がある歩行空間づくりに取り組んでまいります。

 続きまして、デジタル地域通貨事業についてで、他自治体のプラットフォームの検証を踏まえた事業の構築についてでございます。23区では板橋区、渋谷区、世田谷区がデジタル地域通貨事業を実施しておりますが、事業の目的は多少異なっておりまして、プラットフォームもそれぞれが特徴を持ったものであると認識をしています。例えば渋谷区の事業目的は、産業振興、区民生活支援、コミュニティ活性化でありまして、渋谷区内の店舗やサービスで支払いできるキャッシュレス決済アプリ「ハチペイ」と、地域活動に参加するとコインが獲得できる換金性のない「ハチポ」、これをプラットフォームとして運用をしております。中野区デジタル地域通貨事業の目的は、区内経済、産業の活性化と区の政策、施策の側面的推進でございまして、この二つの目的を一つのアプリで構築することによって、区民など利用者と事業者双方にとって利用しやすい仕組みとしてまいりたいと考えております。

 次に、店舗側の負担軽減についてです。これまで実施してきたキャッシュレス決済ポイント還元キャンペーンでは、店舗からは効果があったとの声が多かった一方で、手数料の負担が大きく、事業の恩恵が十分に受けられないとの声が区に寄せられておりました。このことも踏まえ、デジタル地域通貨事業の利用可能店舗の拡大と普及促進のために、現時点では初年度は店舗側の手数料負担をゼロとすることを想定しております。また後年度以降は、ランニングコストを考慮し、大手民間決済事業者が徴する手数料より低い率を設定したいと考えておりまして、今後、区内経済団体等とさらに協議しながら詳細を調整してまいります。

 次に、普及促進事業についてです。デジタル地域通貨事業の利用可能店舗と利用者を拡大するために、現時点では30%のプレミアム率を上乗せしたデジタル地域通貨の販売、そしてダウンロード時に500円分のポイントを付与する事業の実施を想定をしております。主な狙いは経済効果とコミュニティポイント展開時の利用者の獲得でありますが、いずれの目的が最大値となるように、他自治体の実施状況を検証しながら、委託事業者の提案も受けつつ、経済団体等とのさらなる意見交換を行った上で普及促進事業を実施してまいります。

 次に、介護ボランティアポイントへの活用についてです。デジタル地域通貨事業は、ステップ1をプラットフォームの構築期、ステップ2を政策、施策に合わせたコミュニティポイントの展開期、ステップ3を給付金等への応用期として、3段階に分けた展開を想定をしております。ステップ2のコミュニティポイントにつきましては、区の政策課題への対応と、ポイント付与利用に適した事業や取組の双方に合致するものについて導入を検討することを基本的な考えとしております。

 介護ボランティアへのポイント付与は、コミュニティポイントの政策、施策案としてお示しているスマートウエルネスシティの推進とも親和性が高いということで、区として政策的観点から協議するとともに、副区長をトップとした関係部課長によるPTを設置して検討してまいります。

 続きまして、デジタルデバイド対策についてでございます。デジタル地域通貨事業の導入に当たって、高齢者を中心としたデジタルに不慣れな方への対応が不可欠であることは認識をしておりまして、事業の実施に当たっては、コールセンターの設置や説明会の開催などにより対応してまいります。また、ステップ2以降のコミュニティポイントの展開を見据えて、デジタルに不慣れな方にもこの事業浸透していくことが求められておりまして、東京都などの関係機関とも連携しながら対応してまいります。

 続きまして、5歳児健診についての御質問です。

 5歳児健診の実施について。国は、乳幼児への切れ目のない支援を拡充するため、5歳児健診の全国実施を目指しております。区においても適宜情報収集を行い、5歳児健診の方法や体制などの課題を整理しながら検討を進めてまいります。

 最後に、都の発達検査に係る人件費等の補助事業の活用についてでございます。東京都は、地域における検査体制の充実を図るために、区市町村が実施する発達検査の人件費や外部委託経費等に対して緊急支援を実施する区市町村発達検査体制充実緊急支援事業を令和6年度予算に織り込んでいると聞いております。中野区においては、指定管理施設である療育センターアポロ園及び療育センターゆめなりあにおいて発達検査を実施しておりまして、今後事業のスキームの詳細が示されるのを待って活用を検討していく考えでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、中野区立第七中学校の改築についてお答えをいたします。

 初めに、第七中学校改築後の人工芝の校庭についてでございます。テニス部などの部活動や防災の貸出しについては学校側と調整をしております。今後、設計事業者と検討していく予定でございます。しかし、人工芝は基本的に火気使用禁止のため、改築後に校庭で打ち上げ花火などを実施する場合には、人工芝全体に養生するなどの対応が必要と考えております。

 最後に、通学費の補助についてでございます。学校再編計画の中で見直しを行った通学区域は、児童・生徒が徒歩通学できる距離として考えておりまして、区内最長通学距離の中学校は明和中学校で、直線距離にして2.2キロ、歩く距離としては2.5キロでございます。第七中学校の代替校舎となる旧上高田小学校までは区内最長通学距離を超えていないことから徒歩通学ができると認識しておりまして、通学費の補助は考えておりません。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、中野区耐震化促進事業についてお答えいたします。

 まず、耐震化助成制度の拡充についてでございます。区は、耐震化を促進するために助成制度の見直しを適宜行うこととしておりまして、社会情勢等を踏まえ、より効果的な制度の拡充についても検討してまいります。

 それから、木造住宅の耐震化促進の効果についてでございます。木造住宅耐震診断費用は全額補助であるため、耐震性に不安がある場合に耐震診断を行うことが多くなってございます。耐震診断の結果と併せまして、参考として耐震補強工事費を区から所有者へ示しております。その後の耐震補強等の実施につきましては所有者判断となりますが、所有者の費用負担もあることから、耐震診断件数に比べ耐震補強等の実績が少なくなってございます。所有者への丁寧な説明や、適宜制度の見直し等を行いながら耐震化を促進してまいります。

 それから、非木造住宅の耐震診断についてでございます。非木造住宅の耐震診断は費用が多くかかるため、区が費用の一部を助成をしております。多額の費用を用いて耐震診断を行い、耐震改修等が必要となった場合でも、耐震改修等の助成費用がないことなどから耐震診断の実績にも影響を与えたと分析をしているところでございます。

 それから、非木造住宅耐震改修等事業助成の実績目標についてでございます。非木造住宅耐震改修等助成事業は、ある程度規模のある集合住宅の耐震化を主体として想定をしておりまして、合意形成や補強設計、補強工事等に時間もかかることに加えまして、補強工事ではなく建て替えを選択する場合もあることから実績目標を定めることは難しいのですが、普及啓発等に努め実績を上げたいと考えてございます。

 最後に、非木造住宅耐震改修等事業助成の周知等についてでございます。これまで非木造住宅の耐震診断を行った建物に対しまして、個別に具体的な補強設計費の助成額を示し、耐震改修等を促していく考えでございます。

 また、普及啓発を目的として、区内全住戸に対しまして中野区耐震改修促進事業のお知らせのチラシを配布しておりまして、非木造住宅耐震改修等事業助成についても追加し、広く周知を行ってまいります。

○副議長(木村広一) 以上で南かつひこ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 細 野 かよこ

 1 インクルーシブな社会を中野から

  (1)「人権モデル」に基づいたインクルーシブな環境づくりの推進について

  (2)改正障害者差別解消法について

  (3)子どもの声を生かしたまちづくりについて

  (4)その他

 2 ケアする人も大切にされる中野に

 3 大災害の経験を生かした防災施策について

  (1)災害対応力を強化する女性の視点について

  (2)その他

 4 中野区男女共同参画基本計画について

 5 その他

 

○副議長(木村広一) 次に、細野かよこ議員。

〔細野かよこ議員登壇〕

○19番(細野かよこ) 立憲・国民・ネット・無所属議員団の一員として、また、中野生活者ネットワークの一員として質問します。

 質問は通告どおりで、その他はありません。

 2024年元日に発生した能登半島地震でお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。

 1、インクルーシブな社会を中野から。

 (1)「人権モデル」に基づいたインクルーシブな環境づくりの推進について。

 「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」、この合言葉の下、世界中の障害のある人たちが参加してくつられた障害者権利条約。障害のある人の人権、自由、尊厳の尊重を定めています。2006年に国連で採択され、日本は2014年に同条約を批准しました。2022年、日本がどれだけ障害者権利条約の内容を守れているのか、国連による初めての対面審査が行われ、同年9月に、障害者権利委員会から日本政府に対し、通知表ともいえる総括所見・改善勧告が出されました。総括所見は、脱施設化に向けた地域移行の推進、優性思想に基づく考え方による津久井やまゆり園事件の見直し、障害のある子がインクルーシブ教育を受ける権利を求めるなど、大変高い目標を示した内容となっています。

 私は、この総括所見に大きな衝撃を受けました。多様性が重要視される社会にあって、人を分類し、それぞれの場所をつくること、選択肢を増やすことが権利保障であるという考え方に大きな波紋を起こす一石が投じられたと感じています。今ある場所がどうして誰もがいられる場所になっていないのかを改めて考える機会になりました。多様性を尊重し合いながら、誰もが安心して暮らせるインクルーシブな社会を中野から実現するために質問いたします。

 初めに、国連障害者権利委員会の総括所見・改善勧告を区はどう受け止めたのか伺います。

 障害に対する考え方として、障害を個人の問題とする医学モデル、社会の問題とする社会モデルがあり、当区でも社会モデルの考え方に立って様々な取組が進められています。総括所見には、医学モデルでも社会モデルでもない、人権モデルという言葉が登場します。「人として生まれてきたことに人権の根拠を置き、障壁の解消だけでなく総合的な人権保障の基礎となる」というものです。つまり、社会モデルを補強する考え方と言い換えることができます。

 当区では現在、障害者計画、障害福祉計画、障害児福祉計画の改定が行われており、現在、案が示されています。昨年、中野区障害者自立支援協議会がこれら計画の作成に対し、「重要なのは、基本的な考え方を人権モデルに基づいたインクルーシブな環境づくりにシフトしていくことであり、支援の柱は量から質へ変化が求められている」と意見を公表しています。

 現在示されている中野区障害者計画案には、初めて人権モデルの文言が記載されました。インクルーシブな中野の実現に向けて質的な変化を期待するところです。人権モデルを区はどう捉え、施策にどのように反映させていくのか伺います。

 ここまで、人権モデルについての区の捉え方を伺ってきました。インクルーシブ社会の実現には、障害に対する考え方を転換することが重要だと考えるからです。インクルーシブは、包摂的・包括的と訳されます。では、インクルーシブな社会とはどんな社会なのか。そのイメージは一様とは言えません。私は、障害のある人だけでなく、多様な人々が交わる機会を保障する社会、そして今いる場所、今ある施設が、誰かを排除することなく、それを望む誰もが当たり前に一緒にいられる、そんな社会をイメージしています。区が描くインクルーシブ社会とはどんな社会ですか。伺います。

 この項の最後に、インクルーシブ教育について伺います。

 総括所見の中でも、日本の教育に関しては重要視されており、分離した上でその子に合った対応をする教育の根本的な捉え直しを求め、特別支援教育の中止を勧告しています。そんなことが可能なのかと驚きましたが、分離を前提としない教育を実践している学校、取り組もうとしている自治体があることを知りました。

 大阪府豊中市の小学校では50年前からインクルーシブ教育が行われていて、様々な障害を持った児童が通常学級で授業を受けています。また、国立市では、2022年6月に策定した教育大綱にフルインクルーシブ教育という言葉が記載されました。同年12月からは国立市のフルインクルーシブ教育を考える会が開催され、市民も一緒にインクルーシブ教育に関する対話が進められています。具体的な取組としては、小・中学校に入学する新1年生の保護者に対し、障害の有無にかかわらず全員に地域の学校への就学通知を送付することが検討されていると、先日報道がありました。

 文部科学省はインクルーシブ教育を推進するため、特別支援学校と小中高等学校のいずれかを、同じ敷地内や近隣に設置して一体的に運営するモデル事業を24年度にも開始したいとしています。文部科学省のいうインクルーシブ教育は、交流・共同学習の機会は増えるかもしれませんが、これまでの分離を前提とした教育の域を出ていないように見えます。

 共に学ぶとはどういうことなのか。中野区で当事者や区民の方々との対話を重ねながら、全ての子どもが安心して学べるインクルーシブ教育を推進していただきたいと考えます。教育委員会として、インクルーシブ教育をどのように捉え、どう推進していくのか伺います。

 先述の豊中市のある教師の方は、「障害のない人たちを中心につくられてきた教育のまま、ただ教室で一緒にいるだけではインクルーシブ教育ではない。障害のある人がいることを前提に、通常の教育そのものをアップデートしていかなければ、インクルーシブ教育にはなれない」とおっしゃっています。中野区の教育が、全ての子どもが安心して学べる環境になることを願いまして、次の項目に移ります。

 (2)改正障害者差別解消法について。

 障害を理由とした差別をなくすことを目的に2013年に制定された障害者差別解消法では、障害のある人への不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供を差別としています。4月1日から改正障害者差別解消法が施行となり、これまで努力義務だった民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられます。

 初めに、合理的配慮の提供が義務付けられる民間事業者の対象について伺います。

 合理的配慮の提供の義務化に伴い、民間事業者に加え、障害当事者の方からの相談や問合せにも応じられる体制の強化が必要だと考えます。そのためには、障害者の方がふだんあまり訪れることがないと思われるような窓口や部署も含め、あらゆる窓口、部署において対応できるよう、法改正を機に、改めて職員の方への周知、啓発が必要だと考えます。区の見解を伺います。

 明石市では、合理的配慮の提供を支援するため、点字メニューの作成、筆談ボードの購入、お店の出入口に簡易スロープを設置するための公的助成を行い、合理的配慮の提供を推進しています。解説動画をホームページで公開している自治体もあります。当区においてはどのように合理的配慮の提供を推進していくのか伺います。

 合理的配慮提供の義務化に向けて、区はこれまで民間事業者に対し、パンフレットやホームページ、講演会の開催などで周知、啓発を行っておられますが、対象が幅広く、また量的にも多いことから、法施行後もさらなる周知、啓発を行っていただくことを要望します。

 (3)子どもの声を生かしたまちづくりについて。

 子どもの権利実現に向けた動きはここ数年活発になっており、2021年には東京都こども基本条例が、翌2022年6月にはこども基本法が制定されました。当区でも2022年3月に中野区子どもの権利に関する条例を制定し、子ども施策が進められています。

 こども家庭庁は2023年12月、「こどもまんなか社会」を実現するため、子ども施策に関する基本的な方針や重要事項を定めたこども大綱を策定しました。大綱では、市区町村の子ども施策についての計画策定は努力義務とされており、これを受けて各自治体において子ども計画の策定に向けた検討が動き出しています。当区では大綱に先駆け、2023年3月に中野区子ども総合計画を策定し、子どもと子育て家庭への支援を推進しており、このことを高く評価しています。

 中野区子どもの権利に関する条例、中野区子ども総合計画では、子どもをまちづくりのパートナーと位置付け、子どもの意見の表明・参加の促進が掲げられています。子どもの頃から自分の意見を聞いてくれる大人がいる、自分の意見が尊重される、自分の意見がどう反映されたのか、反映されなかったのかを説明してくれる、そんな経験をしながら育っていくことは、まさに自分もまちづくりを担うパートナーの一人だと実感できる大きな要素だと考えます。中野に暮らす全ての子どもたちがそんな実感を持てるよう、子どもの声を生かしたまちづくりについて質問します。

 中野区子ども総合計画には、「子どもが意見表明しやすい環境を整え、日常的に意見を表明したり、主体的に参加するための仕組みづくりを行います。」とあります。ここにある「日常的に意見を表明したり」の部分が、子どもの権利を具現化する上でとても大切だと考えます。子どもたちがふだん発する何気ない言葉や振る舞いから子どもの声を受け止めるには、子どもたちがいつもいる場所である児童館やキッズ・プラザ、公園、プレーパークなど、またいつも手にするタブレットなど、日常の延長線上で子どもたちが安心して声を上げられる環境づくりが必要だと考えます。区の見解を伺います。

 子どもの意見というとイメージするのは、自分の考えや感じていることを言葉ではっきりと表現することではないでしょうか。子どもの権利条約第12条意見表明権では、原文は「opinions」ではなく「views」となっています。見えるもの、風景、眺めというものです。言葉でうまく伝えられる子どももいれば、言葉にするのが苦手な子どももいます。また、言葉による表現力がまだついていない子ども、日本語を母語としない外国ルーツの子どももいます。子どもの年齢や特性を大人の側が意識して、子どもたちが自分の環境をどう見ているのか、どう感じているのかを受け止める、理解することが大切だと思います。子どもの意見表明、参加に当たっては「opinions」とともに「views」にも目を向け、耳を傾けていただきたいと考えます。区の見解を伺います。

 子どもたちがいつでも安心して声を出せる、自分の意見が言えるためには、子どもの声を聴ける大人が周りにいることが必要です。国は、子ども・若者の社会参加、意見反映を推進するため、地方公共団体にファシリテーター派遣、育成の支援をする方向を示しています。子どもたちがいつでも声を上げられる環境をつくるために、こうした支援などを活用し、子どもの声を聴ける大人を増やしてはいかがでしょうか。

 子どもの声を聴くに当たっては、どれだけ聴けたかだけでなく、誰の声を聴けていないかもしっかりと把握し、子どもの声を政策に反映させていただくことを要望しまして、次の質問に移ります。

 2、ケアする人も支える中野に。

 ケアラー支援については、私が継続して取り組んでいるテーマの一つで、これまでも何度か質問、質疑をしてまいりました。改定中の中野区健康福祉総合推進計画において、現在示されている計画案では、資料編の用語解説に初めて「ケアラー」の言葉が記載され、来年度はSNSによるオンライン相談窓口の開設が予定されています。また、今回初めて策定される中野区認知症施策推進計画案では、主な取組の一つとしてケアラー支援が盛り込まれており、ケアラー支援に対する区の前向きな姿勢を感じます。一方で、現段階で区が進めているケアラー支援は、ケアラーを介護力・介護資源として捉えているのではないかという懸念もあります。

 日本ケアラー連盟代表理事の児玉真美さんは、「ケアラー支援という視点が我々の社会に要請しているのは、あらゆる年齢と立場のケアラーを、尊重されるべき権利を有する一人の個人として認めること」であり、「ケアラーに、できませんという権利を認めることだ」と論じています。ケアラー支援については、私もこのような視点に立って質問をしてまいりました。

 なぜこのことにこだわるのか。それは、ケアラーを介護力として捉えた場合、ケアラー支援は、ケアラーのための支援というより、よりよい介護をするための支援につながるのではないかと思うからです。ケアラー支援を進めていくに当たり、どのような視点を持っているかは、支援の考え方、方向性、在り方に大きく影響します。ケアラー支援について区はどのような視点で進めていくのか伺います。

 どんな状態になっても人間らしい尊厳を持って生きるためには、それに見合うケアの提供が必要です。現在、ケアを受ける側には介護保険法、障害者総合支援法、健康保険法などの制度がありますが、ケアする側に対する法制度はありません。2023年に公表された就業構造基本調査結果によると、介護離職者が10万人を超えています。家族頼みのケアの状態を放置すれば、ケアする人もされる人も共倒れしかねません。

 ヤングケアラー支援について、こども家庭庁は、子ども・若者育成支援推進法の改定で法制化する考えを示しています。ヤングケアラー支援法制化に向けた方針が示されたこの機会に、ダブルケアや老老介護など、中野区の多様な全てのケアラーへの支援を推進するために、ケアラーを支援するための条例を検討してはいかがでしょうか。

 ケアラーにはケア役割以外の人生があります。ケアを担っていても自分の人生を生きられる社会、地域の実現に向けて、ケアラーを支援する条例の一日も早い制定を強く訴え、次の質問に移ります。

 3、大災害の経験を生かした防災対策について。

 (1)災害対応力を強化する女性の視点について。

 本年1月1日に起こった能登半島地震から一月半が経過しました。私たちが暮らす東京でも、いつ大規模な地震が起きてもおかしくない中で、今定例会では他の議員の方からも防災に関する質問がされています。私からも、災害対応力を強化する女性の視点から質問いたします。

 阪神・淡路大震災、中越沖地震、東日本大震災など大きな災害の経験から様々な課題が洗い出され、その対策も進められてはいるものの、災害が起きると、避難所ではトイレ、プライバシー、衛生環境など、それまでと同様の課題が浮き彫りになります。

 内閣府男女共同参画局では、これまでの災害において、様々な意思決定過程への女性の参画が十分に確保されず、女性と男性のニーズの違いなどが配慮されないといった課題が生じたことから、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインを2020年5月に策定しています。

 防災分野の様々な意思決定のプロセスに女性が参画することは、発災直後からジェンダーに配慮した迅速な対応をするために今や必須です。ジェンダーに配慮した対応は、子どもや障害のある人、高齢者、外国人の方など多様な人への配慮につながり、被災者の健康にも大きく影響します。

 では、当区の現状はどうでしょうか。区の防災計画の作成や防災に関する重要事項を審議する中野区防災会議においては、委員総数45人のうち女性は4人、区民及び関係団体の意見を反映させる中野区防災対策連絡協議会は48人のうち女性は15人、防災・危機管理の担当職員は28人のうち女性職員は2人で、女性の参画が進んでいるとは言えない状況です。防災分野における意思決定過程に女性の参画が進んでいない要因は何でしょうか。

 群馬県渋川市では、職員と市民が一緒に地域防災計画を検討する地域防災計画改定検討委員会を設置し、委員の選出に女性を要請するなどした結果、女性委員6割以上を実現しました。また、鳥取県では、防災会議においていわゆる充て職があることや、指定されている組織の長に女性が少ないことから、条例で男女比率の均衡を規定することで、女性比率40%以上を実現しています。当区においても、防災に関する意思決定のプロセスにおいて、女性の比率半数を実現する、より積極的な取組が必要だと考えます。区の見解を伺います。

 先日の男女共同参画局の防災・復興ガイドラインには、災害発生時にすぐ活用できるチェックシートやポスターなどが掲載されています。備蓄チェックシート、避難所チェックシート、応急仮設住宅・復興住宅チェックシート、男女別のデータチェックシートなど、これまでの災害の経験を踏まえて作成されていて、女性に対する暴力の防止・安全対策なども盛り込まれています。備蓄物資や発災後のニーズを把握するに当たり、チェックを入れることですぐに使えるガイドラインです。

 備蓄物資の更新、避難所運営マニュアルの見直しに合わせ、これまでの災害の教訓を生かした、より実効性の高い対策、マニュアルにするために、防災・復興ガイドラインのチェックシートやポスターの活用を検討されてはいかがでしょうか。平時からの災害への備えが重要なことは申すまでもありません。災害対応力を強化するためのより一層の取組を要望します。

 4、中野区男女共同参画基本計画について。

 中野区男女共同参画基本計画は、現在第5次の計画に向けて案が示されており、3月に策定の予定です。今回の計画は、4月から施行となる困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、女性支援法の基本計画としても位置付けられ、支援法第15条の支援調整会議の設置が記載されています。

 新たに設置される予定の支援調整会議は、法律では支援を適切かつ円滑に行うために必要な情報交換・支援内容に関する協議を行うと規定されています。これとは別に、当区には既に配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、DV防止法に基づきDV防止連絡会があります。どちらの会議も、支援対象者の情報共有と関係機関の連携が必要であることから、重複する委員もいると想定されます。

 困難な問題を抱える女性やDV被害者に対し、被害回復支援、日常生活の回復支援、同伴児童への支援、就労や居住などの自立支援、アフターケアなど多岐にわたる支援を適切に行うためには、それぞれの会議体の役割、連携の在り方の明確化が必要だと考えます。区の見解を伺います。

 改正DV防止法が4月から施行となります。これまでの身体的なDVだけでなく、精神的、性的、経済的DVも対象となります。2023年7月には改正刑法も施行されており、同意のない性行為は犯罪になり得るとして、強制性交罪は不同意性交罪に改められ、性交同意年齢は13歳未満から16歳未満に引き上げられるなど、被害者や支援者の声を反映した法改正が行われています。

 先述のDV防止連絡会は、DVの防止、被害者支援の推進、被害者に関する情報の交換を所掌事項としています。しかし、開催は年1回で、1回の会議時間は1時間程度。所掌事項のDVの防止、被害者支援の推進を行うには十分とは言えない状況です。女性支援法の成立、DV防止法、刑法の改正と、女性支援、女性への暴力をめぐる制度は大きな転換点を迎えています。この時期に合わせ、DV防止連絡会の機能強化を検討されてはいかがでしょうか。区の見解を伺いまして、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 細野議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、インクルーシブな社会を中野から。

 初めに、国連障害者権利委員会から示された総括所見に係る区の受け止め方についての御質問です。2022年9月、障害者権利条約に基づき国連障害者権利委員会から示された総括所見の内容は、社会全体に対する提言から障害者の地域社会における自立した生活の推進など多岐にわたるものでありまして、我が国の障害福祉の発展に資する内容を数多く含むものと認識をしているところであります。国はこれを受け、内容を十分に検討していくとしておりまして、区としてもその動向を注視しながら、どのような対応が可能かを検討してまいります。

 次に、人権モデルについての認識と施策への反映についてでございます。中野区障害者計画(案)において、人は誰もが生まれながらにして尊厳を有するとする人権モデル、この考え方に踏まえ、障害のある人が自らの決定に基づき社会活動に参加し、自己実現を図ることができるよう支援することを基本理念として掲げております。

 また、この理念を実現するため、障害者の権利擁護、地域生活の継続の支援、入所施設等からの地域移行と定着支援、障害者の就労支援、障害児支援の提供体制の整備に係る施策について基本的な方向性を定めているところであります。

 区が描くインクルーシブ社会についてでございます。インクルーシブ社会とは、障害の有無に左右されることなく、適切な支援を受けながら地域の中で育ち、学び、働き、楽しみ、暮らすことができる社会でありまして、障害のある人とない人が、学校、職場、地域の中で共に暮らし支え合う共生社会であると考えております。中野区障害者計画では、この共生社会の実現を目標に掲げ、様々な施策に取り組むこととしております。

 次に、合理的配慮の提供が義務付けられる民間事業者の対象でございます。国から事業者に該当するものの例として、株式会社、社団法人、NPO、医療機関、教育機関、個人事業主、ボランティア活動を行うグループ等が提示されているところでございます。

 次に、改正障害者差別解消法に係る区職員への周知啓発についてでございます。区では、障害者差別解消、理解啓発事業として、障害者の差別解消の研修に実績を有する民間事業者に委託をし、管理職昇任者及び採用2年目の職員を対象とした職層研修を実施しております。また、新規採用職員向けの研修の中でも合理的配慮について理解啓発を行っておりまして、次年度も継続することを予定しております。さらに、区の障害者への対応事項をまとめた障害者対応基本マニュアルの改訂等を行い、職員周知を図るなど引き続き啓発に努めてまいります。

 次に、合理的配慮の提供を推進するための区の取組についてでございます。区では区内民間事業者及び区民向けに障害者差別解消に向けた研修を実施するほか、合理的配慮の提供の促進に向けた区内民間事業者への理解啓発として、区が事務局を務める中野区障害者自立支援協議会、障害者差別解消部会と区内バス会社との対面による意見交換を実現させるなど、意識の醸成に努めているところであります。また、ポスターやのぼり旗等を活用した周知のほか、区ホームページでも周知等を行っており、引き続き啓発に努めてまいります。

 身近な場所で子どもの意見を聞くことの御質問です。これまでワークショップ、ヒアリング、アンケート調査などによって子どもの意見を聞いてきたところでありますが、子どもの身近な場所や場面において、日常の延長線上で子どもの声を聞くことも重要であると認識をしております。子どもがいつでも安心して意見を表明できるよう、その仕組みづくりや機会の確保に向けて取り組んでまいります。

 次に、言葉にならない意見に耳を傾けることです。中野区子どもの権利に関する条例において、子どもの意見は、発言だけにとどまらず、考えや思いを含むものとして定義をしているところであります。子どもの年齢や発達段階、特性を踏まえて意見を聞くことが重要であると考えておりまして、その手法についても工夫してまいります。

 私からは最後に、子どもの声を聴く大人の育成についてでございます。子どもが意見を表明しやすい環境をつくる上で、子どもの意見表明、参加を支援する大人の存在は重要であると認識をしております。全ての子どもが安心して意見を表明し、積極的に参加できるよう、国の支援制度も含めファシリテーターなどの専門人材の利活用を進めるとともに、大人への普及啓発や理解促進を進めてまいりたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、人権モデルに基づいたインクルーシブな環境づくりの推進についての御質問のうち、インクルーシブ教育の推進についてお答えをいたします。

 インクルーシブ教育の理念は、障害の有無に関わらず一緒に学ぶことであると言われております。一方、共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育システム構築のために特別支援教育も必要不可欠であるとも言われております。現在、中野区のインクルーシブ教育の目指すところは、障害の有無にかかわらず可能な限り一緒に学ぶことを考えております。子どもが学校で充実した時間を過ごし、一人ひとりに合った教育を受けられる仕組みを整えていくことが重要だと思っております。

 インクルーシブ教育はまだまだシステムが確立されておらず、課題も多いと考えているところでございます。

〔地域包括ケア推進担当部長石井大輔登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(石井大輔) 私からは、ケアをする人も大切にされる中野にの質問にお答えいたします。

 まず、ケアラー支援についての区の考え方についてでございます。要支援者の介護や看護に当たるケアラーにつきましては、これまでも主に家族相談の形で対応してまいりましたが、ヤングケアラーのように潜在化しやすいケースもあり、積極的なアプローチが必要だと認識しております。どのケアラーも孤立することがないよう、相談支援の充実や地域づくり、ケアラー支援の啓発などを進めていきたいと考えております。

 次に、ケアラー支援条例についての御質問です。ヤングケアラー支援につきましては、子ども・若者育成支援推進法における法制化の動向を見定めながら適切に対応してまいります。

 また、ケアラー支援条例につきましては、先行する他の自治体を参考にしながら検討を進めてまいります。

〔防災危機管理担当部長杉本兼太郎登壇〕

○防災危機管理担当部長(杉本兼太郎) 私からは、大災害の経験を生かした防災施策についての御質問にお答えいたします。

 初めに、防災分野の意思決定過程の女性参加についてでございます。中野区防災会議や中野区防災対策連絡協議会などにおきまして、委員改選時等に女性委員の推薦を促しているところでございますが、各防災機関におけます選任候補者は特定の役職についている方が多いということが女性委員の比率が低い主な要因として考えているところでございます。

 次に、女性委員の比率を増やす取組についてでございます。防災に関する各種会議におきまして女性委員の比率を増やすことは、災害対策に女性の視点や女性に配慮した施策を盛り込み、災害対応力を強化する上で重要であるというふうに認識をしてございます。このため、これまでも各種会議における推薦団体の構成を見直すなど、女性委員の比率の増加に努めてまいりました。今後も各種会議への女性委員の比率を増やす取組について、他の自治体の事例を参考に検討してまいります。

 次に、災害対応力を強化する女性の視点についてでございます。避難所運営マニュアルでは、避難所運営に係る時系列の対応や役割分担、施設利用と併せ、女性や高齢者、感染症対策などの配慮について、避難所運営を担う自主防災組織の役員等と共有しているところでございます。避難所運営に係ります防犯や安全対策、物資の備蓄などに関して、より女性の視点による課題が共有されるよう、男女共同参画局の防災・復興ガイドラインの内容などにつきまして、避難所運営マニュアルに盛り込んでまいりたいというふうに考えてございます。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 私からは、中野区男女共同参画基本計画についての御質問にお答えをいたします。

 初めに、支援調整会議とDV防止連絡会の在り方についてでございます。女性支援法に基づく支援調整会議は、困難な問題を抱える女性に早期に円滑かつ適切な支援を行うために設置する会議でございまして、支援関係者との連絡強化、情報共有、支援内容の協議等を行うものとされております。

 DV防止連絡会は、DVの防止並びにDVの被害者の保護及び支援に関し関係機関との連絡協力体制を整備するために設置をしている会議体でございまして、情報交換等を行っているところでございます。

 新たに設置をいたします支援調整会議につきましては、このDV防止連絡会や子ども施策との連携として関連性が高い要保護児童対策地域協議会の状況等も踏まえまして、適切な役割等を明確にしていく予定でございます。

 DV防止連絡会の機能強化についてでございます。DV防止法の改正や女性支援法に基づいて新たに設置をいたします支援調整会議の在り方の検討等の機会を捉えまして、DV防止連絡会の在り方についても検討していきたいと考えております。

○副議長(木村広一) 以上で細野かよこ議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(木村広一) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時05分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 酒井 たくや

       副議長 木村 広一

       議 員 黒沢 ゆか

       議 員 石坂 わたる