令和6年09月11日中野区議会本会議(第3回定例会)
令和6年09月11日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録
23.05.24 中野区議会第2回臨時会(第1号)

.令和6年(2024年)9月11日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  山  内  あきひろ        2番  武  井  まさき

  3番  市  川  しんたろう       4番  日  野  たかし

  5番  木  村  広  一        6番  斉  藤  けいた

  7番  井  関  源  二        8番  黒  沢  ゆ  か

  9番  大  沢  ひろゆき       10番  武  田  やよい

 11番  広  川  まさのり       12番  いのつめ  正  太

 13番  間     ひとみ        14番  河  合  り  な

 15番  加  藤  たくま        16番  高  橋  かずちか

 17番  甲  田  ゆり子        18番  小  林  ぜんいち

 19番  白  井  ひでふみ       20番  吉  田  康一郎

 21番  立  石  り  お       22番  小宮山   たかし

 23番  内  野  大三郎        24番  い  さ  哲  郎

 25番  細  野  かよこ        26番  斉  藤  ゆ  り

 27番  杉  山     司       28番  ひやま      隆

 29番  大  内  しんご        30番  伊  藤  正  信

 32番  平  山  英  明       33番  南     かつひこ

 34番  久  保  り  か       35番  石  坂  わたる

 36番  むとう   有  子       37番  羽  鳥  だいすけ

 38番  浦  野  さとみ        39番  山  本  たかし

 40番  中  村  延  子       41番  森     たかゆき

 42番  酒  井  たくや

.欠席議員(1名)

 31番  高  橋  ちあき

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  青 山 敬一郎

 副  区  長  栗 田 泰 正      教  育  長  田 代 雅 規

 企 画 部 長  岩 浅 英 樹      総 務 部 長  濵 口   求

 防災危機管理担当部長 吉 沢 健 一    DX推進室長  滝 瀬 裕 之

 区民部長、新区役所窓口サービス担当部長 高 橋 昭 彦    文化・産業振興担当部長  高 村 和 哉

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一    地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔

 健康福祉部長  杉 本 兼太郎      保 健 所 長  水 口 千 寿

 環 境 部 長  浅 川   靖      都市基盤部長  松 前 友香子

 まちづくり推進部長  角   秀 行    企画部企画課長  中 谷   博

 総務部総務課長  永 見 英 光

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  堀 越 恵美子      事 務 局 次 長  林     健

 議事調査担当係長 鈴 木   均      書     記  若 見 元 彦

 書     記  田 村   優      書     記  細 井 翔 太

 書     記  森 園   悠      書     記  梅 田 絵里子

 書     記  川 辺 翔 斗      書     記  志 賀 優 一

 書     記  早 尾 尚 也      書     記  堀 井 翔 平

 書     記  金 木 崇 太      書     記  砂 橋 琉 斗

 

 議事日程(令和6年(2024年)9月11日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 令和5年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

午後1時00分開議

○議長(酒井たくや) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 ひやま   隆

 1 南海トラフ地震防災対策について

  (1)南海トラフ地震臨時情報への対応について

  (2)南海トラフ地震発災時の対応について

  (3)その他

 2 連続立体交差事業と西武新宿線沿線まちづくりについて

  (1)中井駅~野方駅間の連続立体交差事業について

  (2)新井薬師前駅周辺まちづくりについて

  (3)その他

 3 地域活動の支援について

 4 アスベスト対策について

 5 受動喫煙防止対策について

 6 その他

 

○議長(酒井たくや) 最初に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○28番(ひやま隆) 令和6年第3回定例会に当たりまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりです。

 初めに、南海トラフ地震防災対策について伺います。

 先月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎県では震度6弱の揺れを観測しました。

 この地震の発生に伴い、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べ相対的に高まっているとして、政府は同日、南海トラフ地震臨時情報を発表しました。その後、大きな地震や地殻変動の特異な変化がなく1週間が経過したとして、政府は15日、臨時情報の呼びかけを終了しました。

 現行では、政府は、南海トラフ地震が発生した際、著しい地震災害が生じるおそれがある地域を南海トラフ地震防災対策推進地域として指定し、対策の推進を図っています。中野区はこの推進地域に指定はされていないものの、実際に南海トラフ地震が起きた場合には大きな影響が予想されます。

 現行の中野区地域防災計画では、臨時情報が発表された際の区の対応について、「内閣府、東京都がとる対応に関する情報を収集し、防災関係機関と十分な連携のもと、社会的混乱の発生の防止、地震による被害を最小限にとどめる対策をとる」とありますが、今回の臨時情報の発表に際して中野区が実施した具体的な取組について伺います。

 中野区地域防災計画では、南海トラフ沿いの大規模な地震発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと評価された場合、つまり今回のようなケースでは、「震災情報連絡態勢をとり、関連情報を収集する。情報収集の結果、必要に応じて、震災初動配備態勢に移行する。」とあります。

 災害時において、必要な対策を講ずる上で重要となるのは、情報収集、連絡体制の確立にあることは言うまでもありません。災害時の新たな脅威として、インターネットを中心に真偽不明の情報や虚偽の情報が拡散され社会不安が増大するインフォデミックが挙げられますが、今回のケースでも、ネットを中心に震災情報に関わる根拠のない誤情報や真偽不明な情報が散見されました。また、そうした社会不安を背景に、中野区においても一部地域でお米や水といった食料品の買占めによる品薄状態が続きました。

 こうした社会不安を取り除くために最も有効なのは、より正確な情報をより迅速に伝えることであると考えます。

 今回の臨時情報発表後、私が確認した限りでは、区からの情報発信は災害への基本的な備えが中心で、それらの必要性は理解するものの、これらが震災情報連絡態勢を取った上での情報発信と考えると、やや物寂しい気がいたします。

 臨時情報そのものの性格も含めた南海トラフ地震に関わる情報のさらなる周知、それらの情報について関係機関のリンクをただ貼り付けるだけではなくて、活字情報をビジュアライズするなど、より分かりやすく伝えるための工夫、さらには、買占めを控えるといった冷静な行動の呼びかけの必要性など、今回の区の一連の対応を検証した上で、改善に向けた検討を今後進める必要があると考えますが、区の見解を伺います。

 次に、南海トラフ地震が実際に発災した際の対応について、時間の関係上、ポイントを絞って伺います。

 東京都が令和4年5月に公表した被害想定によると、南海トラフ地震発災時の中野区の想定震度は、区の大部分で震度5弱、ごく一部において震度5強となっており、東日本大震災とおおよそ同程度の揺れが予想されています。

 東日本大震災の際には、交通機関が不通となったため、中野区においても多くの帰宅困難者が発生する事態となりました。徒歩で帰宅を試みる人々で歩道は大混雑し、帰宅できなかった多くの人々が勤務先や駅周辺、あるいは区や東京都が開設した一時収容施設等で一夜を明かしました。

 南海トラフ地震が発災した際にも、帰宅困難者や物資不足、長周期地震動による物的被害、場合によってはライフラインの寸断など、区民生活にも大きな影響が予想されます。南海トラフ地震が実際に発災した際の中野区の被害を区はどのように想定されているのか、伺います。

 現行の中野区地域防災計画第3章「南海トラフ地震防災対策」を拝見すると、南海トラフ地震への主な対応方針として示されているのが、「行政指導又は協力要請で対応する。」「これまでの対応で培われた防災関係機関の計画及び連携の蓄積を、「南海トラフ地震防災対策」に継続させる」、この2点のみで、実際に発災した際の具体的な取組が示されておりません。

 これまでの対応で培われた防災関係機関の計画及び連携の蓄積とは具体的に何を指すのか、南海トラフ地震発災の際の具体的対策の概要を簡潔に伺います。

 マグニチュード9.0とされる南海トラフ地震では、被害が最大となるケースでの死者・行方不明者が30都道府県で約32万3,000人、全壊は238万6,000棟と想定され、広域にわたり甚大な被害が生じるおそれがあります。

 避難者は最大で約880万人とも言われており、首都圏においても被害の大きい他府県からの大規模な避難者の受入れが想定されていますが、中野区地域防災計画においては、こうした他地域からの避難者の受入れについての具体的な取組が示されておりません。南海トラフ地震発災時における他地域からの避難者の受入れについて東京都との協議はどのようになっているのか、受け入れる必要があると判断した場合、避難所や住宅等の使用の可否、職員体制などの受入れ体制はどのようになっているのか、区の現状を伺います。

 南海トラフ地震が発災した際の中野区への影響は、首都直下地震と比較して限定的になるものと考えられます。しかし、経験したことのない大規模な避難者の受入れや長期間にわたる物資不足など、首都直下地震とは質的に異なる影響が想定されます。

 現行の中野区地域防災計画では、震災対策の主眼にあるのはあくまでも首都直下地震ですが、今回の地震を契機として、南海トラフ地震への備えもさらに進めていく必要があります。区のさらなる取組を要望し、この項の質問を終わります。

 次に、連続立体交差事業と西武新宿線沿線まちづくりについて伺ってまいります。

 先月26日に、区民、区議会、中野区で構成される西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟の決起大会が開催されました。決起大会では、地域の方々の協力もあり、大会決議が採択されましたが、その中で、連続立体交差事業の工事状況動画や中野区のまちづくり事業についての説明がスライドで紹介されておりました。

 連続立体交差事業は地下工事ということもあり、これまで地域の方々から現在の工事の様子はどうなっているのかといった声を多く頂いており、動画等で紹介できたのは一定程度評価いたします。一方で、連続立体交差事業の動画は昨年度の工事の様子を記録したものであり、現時点では動画の状況よりも進んでいるものと推察されます。

 まずは、連続立体交差事業の進捗について、改めて、現在の用地取得状況、現在行われている工事状況を伺います。

 また、動画では、いまだ掘削作業を中心に行っており、肝心のシールド工事には着手していないように見受けられました。シールドマシンによる掘進工事は、用地取得や新井薬師前駅及び沼袋駅部の掘削工事等が進捗した後に発進すると聞いておりますが、シールド工事に入るのはいつ頃になるのか、またどの程度の進捗を見込んでいるのか、伺います。

 シールド工事に未着手であるということは、連立事業はまだまだ時間がかかるものと思われます。令和9年3月の事業完了に向けて取り組んでいるとこれまで繰り返し答弁があったところですが、残りあと3年を切った中で、残りの掘削工事からシールド工事、駅舎の構築、路線撤去、これらの工程を期限内に現実的にできるのかどうか、大変憂慮するところです。現時点での連続立体交差事業の事業期間の見通しについて、改めて伺います。

 開かずの踏切対策としては、大きく抜本対策と速効対策の二つに区分されます。このうち、抜本対策は、連続立体交差事業等により踏切そのものを除却することに対して、速効対策は、踏切自体は存在したまま行う安全対策で、抜本対策と比較してはるかに低廉な事業費と短い工期で事業を完了することができます。連続立体交差事業の現在の進捗状況を鑑みれば、今後は速効対策にも一層力を入れていかなくてはいけないと考えます。

 2021年8月には静岡県三島市で、2022年4月には奈良県橿原市で、視覚障害者が踏切内にて列車と接触し死亡するという事故が起きました。2件とも、死亡した視覚障害者が踏切内に立ち入っていることに気づくことができなかったとされています。

 中野区においても、西武新宿線沿線に生活している多数の視覚障害者は、踏切を利用する際、道路との境界が分からない、あるいは踏切内に立ち入っていることに気づきにくく、あらゆる感覚を駆使しながら命がけで横断しており、安全対策を求める切実な声が寄せられております。

 中野区としても、踏切と道路との境界部を示す視覚障害者誘導用ブロックの敷設や踏切内に誘導表示を敷設するといった具体的な安全対策の実施が必要であると考えますが、区の見解を伺います。

 次に、新井薬師前駅周辺のまちづくりについて伺います。

 決起大会の中では、中野区のまちづくり事業についての説明もありました。その中で、新井薬師前駅周辺では駅南北でまちづくりが進められているとの説明があったところです。

 また一方で、連続立体交差事業は駅周辺のまちづくりとセットで行うことで一層の効果が期待できる旨の発言もありましたが、現在は、連続立体交差事業や区画街路第3号線の用地買収などもあり、駅前は火が消えたようににぎわいとは無縁の状況となっております。かつては多くの店舗が入り、にぎわいを見せていた薬師駅前協同ビルも、今ではお店の明かりが消え、年度内には解体に着手する予定と聞いております。この協同ビルが解体されると、駅前に広大な空地だけが残り、さらに寂しくなります。

 連続立体交差事業が長期化している中、周辺住民からも駅周辺について不安の声が上がっており、駅周辺まちづくりの将来像や見通しをしっかり区民へ発信していく必要があると考えます。そこで、新井薬師前駅のまちづくりについて、駅南北のまちづくりの現在の進捗を伺います。

 新井薬師前駅北側については、哲学堂通りに商店街や学校があり、その周辺には良好な住宅地が形成されておりますが、連立事業の進展で駅前が大きく変わることが想定されます。

 駅北側のまちづくりについては、地域の方々と検討に着手する旨の報告は以前あったところですが、まちの課題や将来像など、現在の駅北側のまちづくりの検討状況について伺います。また、地域課題等を踏まえて、今後北側のまちづくりをどのようにしていく予定なのかも併せて伺います。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、地域活動の支援について伺います。

 今年の元日に発生した令和6年能登半島地震では、発災時の応急対応や、復旧や復興まちづくりに地域コミュニティが大きな役割を果たしています。

 巨大地震の脅威が叫ばれる中、地域コミュニティの中核として重要な役割を担う町会・自治会を支援し、強い絆で結ばれた災害に強い地域社会をつくることは、区としても重要な取組であると考えます。

 現在、区では、町会・自治会が行う公益的な活動に対して助成を行い、その活動の一層の推進を図っています。現在の助成金の計算方法では、所属している世帯数に190円を乗じた額が限度額となっていますが、近年の物価高騰の影響により、この限度額の範囲内で活動することが厳しくなっている現状があります。また、100世帯以下の町会・自治会の助成額は上限3万円、101世帯以上200世帯以下の助成額は上限3万8,000円となっており、活動への影響が大きくなっています。

 町会・自治会活動への物価高騰対策として、現行の助成金の単価及び世帯数の少ない町会・自治会の上限額のさらなる拡充が必要であると考えますが、区の見解を伺います。

 2023年中野区区民意識・実態調査によると、区政情報の入手先として「街中の掲示板」と回答した割合は、「区報」や「区議会だより」といった紙媒体に次いで多くなっています。区のホームページよりも掲示板と回答する割合が多いという結果からは、情報化社会においても地域に密着した広報媒体がいかに重要かということが分かります。

 中野区では、令和元年度より、町会・自治会活動を支援するための取組として、町会・自治会による掲示板の新設、移設に係る経費を助成する制度を始めました。今年度は、1回目の助成金申請受付時点で各町会・自治会からの申請総額は予算額を上回ったため、既に3回申請済みの町会・自治会は抽せんとなり、2回目以降の募集は行われないこととなりました。

 町会掲示板については、昨今の厳しい気象により突然修繕が発生するなど、設置に関わる件数が増加する傾向にあり、また、昨今の物価高騰により、費用についても値上がりしております。こうした現状を鑑み、町会掲示板の設置等に要する経費への助成制度については、現在の予算額のさらなる拡充と、申請受付についても2回以上実施する必要があるのではないかと考えますが、区の見解を伺います。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、アスベスト対策について伺います。

 2006年9月、労働安全衛生法施行令が改正され、アスベストが全面禁止となりましたが、既存建築物には吹き付けアスベスト等が使用されているものが残っております。中野区では、2005年、中野区のアスベスト対策に係る基本方針を策定し、取組を推進してきましたが、現在の進捗状況について伺います。

 アスベストに起因する新たな健康被害を防止するためには、建築物の所有者、管理者が建築物における吹き付けアスベスト等の使用状況や劣化状況を調査、把握し、必要な対策を講じることが重要です。

 現在、国の補助制度として、社会資本整備総合交付金の住宅・建築物安全ストック形成事業がありますが、対象建物が吹き付け材(レベル1)などに限定され、その補助額も上限25万円となっており、アスベスト建材の多くが成形板(レベル3)の状況を鑑みれば、一般の建築物にはほぼ使用できない現状となっています。

 その一方で、大気汚染防止法やアスベスト障害予防規則の改正により、アスベスト含有建材の調査報告がレベル3までとなりました。事前調査の報告対象は80平米以上の解体、100万円以上の改修工事となり、調査や除去、処分などの費用は建物所有者が負担することとなっております。

 目黒区では、アスベストについて調査を依頼する場合、費用の半額を助成する制度を実施しております。中野区としても、アスベストの健康被害や調査、除去に関わる制度のさらなる周知と併せて、それらに対する助成の実施を検討する必要があると考えますが、区の見解を伺います。伺って、この項の質問を終わります。

 [1]次に、受動喫煙防止対策について伺います。

 受動喫煙とは、喫煙者のたばこから上がる副流煙、または喫煙者の吐く息に含まれる煙にさらされることです。副流煙には発がん性物質、ニコチン、一酸化炭素など有害物質が主流煙の数倍も含まれており、脳卒中、肺がん、乳幼児突然死症候群など様々な疾患を引き起こす要因と言われています。

 とりわけ発達段階における子どもは、大人よりも深刻な受動喫煙による影響を受ける可能性があります。子どもは自らの意思で受動喫煙を避けることが難しいため、保護者や周囲の大人が子どもを受動喫煙から守る必要があります。

 望まない受動喫煙を防止するため、2018年7月に改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例が公布され、2020年4月から全面施行されています。まずは、これまでの受動喫煙防止対策の中野区の取組を伺います。

 中野区では、2005年7月から中野駅周辺の一部の地域を路上喫煙禁止地区に指定し、2021年には禁止地区の範囲を拡大しました。現在、路上喫煙禁止地区内には指定喫煙所を設置しており、この場所に限り喫煙することが可能となっています。

 一方で、指定喫煙所の一つでもある中野駅北口東西連絡路下喫煙所については、分煙が実現できているとは到底言い難く、望まない受動喫煙が常態化しており、一刻も早い改善が必要です。同喫煙所については速やかに撤去もしくは移転する必要があると考えますが、区の認識を伺います。

 また、現在、路上喫煙禁止地区は中野駅周辺のみの設定ですが、特に子どもは受動喫煙による健康影響が大きいことを考慮し、通学路やスクールゾーンといった学校周辺にも同禁止地区を拡大するべきであると考えますが、併せて伺います。

 現在の路上喫煙禁止地区の根拠となる中野区吸い殻、空き缶等の散乱及び歩行喫煙の防止等に関する条例は、文字どおり吸い殻のポイ捨て防止、歩行喫煙の防止が目的であり、受動喫煙防止の観点は含まれておりません。路上喫煙禁止地区、ひいては受動喫煙防止に関する区の考え方を整理した上で、現在の根拠条例と実態との乖離を是正していく必要があるのではないかと考えますが、区の見解をお示しください。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。

 まず、南海トラフ地震防災対策についてで、南海トラフ地震臨時情報に対する区の取組についてでございます。

 南海トラフ地震臨時情報を受けて、区は、情報連絡態勢による関係情報を収集し、区民に対して家具転倒防止や飲料水等の備蓄についてホームページや防災メール等で呼びかけを実施したところであります。

 南海トラフ地震臨時情報時の周知についてでございます。

 今回の情報発信等を検証し、南海トラフ巨大地震注意に係る区民への周知について、より分かりやすい内容に改善を図ってまいりたいと考えております。また、物資の買占めを控えるといった冷静な行動につながる呼びかけや、引き続き日頃からの備蓄を心がけるように、啓発についても行ってまいります。

 南海トラフ地震における区の被害想定についてでございます。

 南海トラフ地震発生時の中野区の想定震度は、区の大部分では震度5弱、一部において5強となっておりまして、都内全域にわたって交通機関に影響があり、多くの帰宅困難者が発生する見込みとなっております。

 南海トラフ地震発生の際の具体的対策についてでございます。

 区はこれまで、地域防災会、消防、警察、医師会等との連携を図り、訓練等を通じて防災力を高めることに努めてまいりました。南海トラフ地震発生時の区の対応としては、中野区地域防災計画に基づき、他の災害と同様に帰宅困難者対策等必要な対応を取ることとなります。

 次に、南海トラフ地震発生時における他地域からの避難者の受入れ体制についてでございます。

 南海トラフ地震発生時における他地域からの避難者の受入れは、東京都と都内区市町村との協定によって、都内で対応していくこととなります。また、中野区の避難所での受入れや住宅等の活用につきましては、被害状況を基に東京都との調整によって対応を行い、必要な区の職員体制を取っていきたいと考えております。

 続きまして、連続立体交差事業と西武新宿線沿線まちづくりについてで、連続立体交差事業の進捗についての質問です。

 事業主体である東京都によりますと、用地の取得率は令和6年3月時点で約99%と聞いております。また、工事状況につきましては、昨年度に引き続き、地下区間への出入口や新井薬師前駅及び沼袋駅周辺において掘削工事等を行っておりまして、妙正寺川横断箇所につきましては地盤改良工事を主に行っているとのことであります。

 連続立体交差事業のシールド工事についての御質問です。

 事業主体である東京都によりますと、シールド工事の開始時期及び工事期間につきましては、先行する他工種の施工状況を踏まえ、現在検討中であると聞いております。また、シールド工事の進捗につきましては、数々の実績から、平均1日当たり7、8メートル程度が見込まれます。一方、現場条件によって異なるため、本事業における進捗の度合いが判明するのは工事開始後になるものと聞いております。

 次に、連続立体交差事業の事業期間の見通しについてです。

 事業主体である東京都によりますと、事業期間は令和9年3月までであるため、現在、西武鉄道株式会社と事業工程の精査を実施していると聞いております。また、精査結果を踏まえて、必要に応じ、事業期間の変更について国と調整を行っていくと聞いております。

 次に、踏切道の安全対策についてです。

 今年の1月に国が定める道路の移動等円滑化に関するガイドラインが改定されまして、踏切道付近の視覚障害者誘導用ブロックと踏切道内誘導表示の設置方法や構造等が規定されました。当該改定を受けて、鉄道事業者の西武鉄道株式会社と道路管理者である中野区で区内踏切道の確認を行い、安全対策の実施に向けて検討しているところであります。

 次に、新井薬師前駅のまちづくりの進捗状況についてです。

 新井薬師前駅北側街区のまちづくりにつきましては、令和5年度に、区が事務局となり、地元の町会や商店街等の地域住民による検討会を立ち上げ、今年度も引き続きまちづくりの検討を進めているところであります。また、新井薬師前駅南側街区のまちづくりにつきましては、令和2年度に設立された新井薬師前駅地区再開発協議会において、再開発事業の事業化に向けた検討を進めております。

 次に、新井薬師前駅北側のまちづくりの検討状況についてです。

 新井薬師前駅北側街区まちづくり検討会において、昨年度は、地区の魅力や課題等の現状を把握し、安心して暮らせる安全なまち、便利で魅力的な交流拠点形成、回遊促進によるにぎわいづくりをまちづくりの方向性として検討実施をしました。今年度は、地域住民の意向を確認しながら、実現に向けた具体的な取組や誘導方策について、検討の深度化を図っていきたいと考えております。

 私から最後に、新井薬師前駅北側まちづくりの予定についてです。

 新井薬師前駅北側街区まちづくり検討会において、同地区のまちづくりとして、安心・安全のまちづくりを土台としつつ、新たなまちの顔となる駅前空間の形成や、哲学堂通りの機能強化による地区の利便性や魅力の向上を図り、鉄道地下化や駅周辺の駅前広場整備を生かした駅南北の回遊促進によるにぎわいのあるまちを目指すこととして、今年度末を目途にまちづくり方針を取りまとめていく予定でございます。

〔地域支えあい推進部長石井大輔登壇〕

○地域支えあい推進部長(石井大輔) 私からは、地域活動の支援についての御質問にお答えいたします。

 まず、町会・自治会公益活動推進助成の拡充についてでございます。

 町会・自治会公益活動推進助成につきましては、物価高騰の影響等に鑑み、1世帯当たりの単価や加入促進助成などの拡充を行ったところでございまして、今年度の活動状況等を踏まえ、必要とする支援策を見定めてまいります。

 次に、掲示板設置等に要する経費の助成拡充についてでございます。

 掲示板設置等に要する経費の助成は、1回当たりの申請額の増額、申請回数制限の撤廃などを行った結果、申請が増え、抽せんとなったところでございます。今後は申請が平準化すると見込んでおりますが、事前の相談、調整を行うことで適切に対応してまいります。

〔環境部長浅川靖登壇〕

○環境部長(浅川靖) 私からは、アスベスト対策についてお答えをさせていただきます。

 まず、対策の進捗状況についてでございますが、区は、2005年に中野区のアスベスト対策に係る基本方針を策定いたしまして、これまで、区民等からの相談、情報提供等体制の整備をするとともに、区有施設等のアスベスト対策の推進、民間建築物の指導強化など、様々に取組を推進してまいりました。

 その後も、様々な法改正などの状況の変化はございましたけれども、アスベストによる環境の影響を未然に防止するため適切に対応してきておりまして、事業者への制度周知や解体工事における区民からの相談に対応しているほか、年間150件程度の実地調査を実施しているものでございます。

 続きまして、健康被害や制度の周知及び調査費用助成制度についてでございます。アスベストに係る健康相談の窓口や、建物解体時における事前調査に関しては、区ホームページにおいて区民や事業者向けに周知を行っているところではございますが、今後、さらに掲載内容の充実に努めてまいりたいと思っております。

 解体作業等に伴うアスベスト含有調査に対する制度助成でございますが、これを設けている区は多いものですけれども、近年、申請実績は概して少なく、廃止を検討している区も数区あると聞いてございます。制度の有効性等も含め、各区の状況等を今後詳しく調べてまいります。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) 私からは、受動喫煙防止対策の質問にお答えいたします。

 まず、これまでの区の取組についてですが、区では、受動喫煙防止対策として、改正健康増進法や東京都受動喫煙防止条例などの制度周知を図るとともに、飲食店などの施設への助言、指導や禁煙外来治療費助成事業などによる喫煙者の禁煙支援などを実施してきました。また、受動喫煙による健康への影響を考慮し、区有施設や道路、公園、児童遊園における受動喫煙防止対策や公衆喫煙所の設置など、不特定多数の区民等が利用する区の施設などにおける受動喫煙防止対策を講じてきたところです。

 次に、路上喫煙禁止地区の拡大と条例との乖離についてですが、受動喫煙はがんや脳卒中、虚血性心疾患などの様々な疾患のリスクを高めるなど健康への影響が非常に大きいことから、喫緊の課題として認識しております。現在、さらなる受動喫煙対策として、路上喫煙禁止地区の在り方や条例改正の必要性などについて全庁的な検討を進めているところであり、今年中にまとめ、示す予定です。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) 中野駅北口東西連絡路下の喫煙所についてお答えをいたします。

 東西連絡路下の喫煙所は屋根のないパーティション型であり、利用人数も多く、煙や臭いなどの問題があることは認識をしてございます。非喫煙者を副流煙から守ることができる密閉式の喫煙所への変更について検討を進めているところでございます。

○議長(酒井たくや) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 かずちか

 1 産学官連携の推進について

 2 中野区役所新庁舎の課題について

 3 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、高橋かずちか議員。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○16番(高橋かずちか) 令和6年第3回定例会の一般質問に当たりまして、自由民主党議員団の立場から質疑させていただきます。質問内容は通告のとおり、その他はございません。

 まず初めに、産学官連携の推進についてお聞きします。

 今年の第2回定例会区民委員会では、社会情勢の変化に対応し、実効性ある経済対策の実施には、産学官連携事業の展開が不可欠であるとの報告がされました。

 上位計画となります本年2月に策定された中野区産業振興方針は、産学官連携のうちの学については、「創業・イノベーション促進」の箇所に「学術機関と連携した経営支援機能の強化」とうたわれているだけで、産学官の学との連携についての区の具体的戦略が見えておりません。

 実際の取組は幾つかの事例があり、それぞれは大変有効な取組ではございますけれども、学との関わりについては、方針などの上位計画の枠の中に当てはめ、整理しているだけの印象があります。区が主導する形での学との具体的、能動的戦略があるのか、疑問が残ります。

 そこで、お聞きします。産学官連携の基本理念、方針はどこに示されているのでしょうか、お示しください。

 この連携については、包括連携協定があり、企画部が所管しております。提案内容次第で、事業内容が複数部署にまたがれば包括連携として企画部が所管し、単一部署であれば所管の事業部が個別連携を行っているようです。

 学との産学官連携の代表例の一つ、明治大学との連携例を見てみますと、2014年の包括連携締結を皮切りに多岐にわたる事業について個別連携を各事業部と結び、本年はデータ活用による経済施策分析から産業振興などにつながる研究を行っており、中野区内の経済団体も関与するなど、産学官連携の代表例と言ってもいいと思っています。

 連携内容はすばらしいのですけれども、例えば企業版のセブン-イレブンやトヨタなどとの連携事例については、区自らがキャスティングしてつくり上げたというよりも、企業のCSR方針に基づき区民活動の活性化や区民サービスの向上に資する取組を行っていて、区側からのアクションというよりも、どちらかというと企業からの提案を受け入れた形となっています。

 2019年に区から示された民との包括連携推進の考え方において、その視点において、区が連携を主体的につくり出す姿勢というのを挙げています。区内にある大学と産学官連携によって、区民の利便性、そして区政進展に結びつくための戦略的取組が必要と考えますが、区のお考えをお示しください。

 現在、学連携に関する経常的な窓口が見当たらない、また、どこにあるのか分かりづらい。区民に分かりやすい窓口をつくる、あるいは、学と連携を取りたい区民に対してつなげていける取組をすべきではないでしょうか。

 産業振興方針の主な取組案に「大学との連携事業の実施」とありますが、区内の学校施設は大学だけではなく、幾つもの私立専修学校、各種学校が存在しております。こうした専修学校は、医療、ファッション、調理、理容美容、外国語学、工業技術、ホテル、ブライダル、観光、航空、古典芸能など、多岐にわたる、まさに多種多彩な業態があります。産学官連携における私立専修学校等との連携はどのようになっているのでしょうか。

 また、そもそも区内にそうした学校がどう、幾つあるのか把握し、設置者や担当者との接点はあるのでしょうか。なければ、早急にリスト化し、アプローチし、人的交流を始め、そして連携の趣旨を理解していただき、具体的に進めていくべきと考えますが、区の見解をお示しください。

 専修学校の中には、他区にあった拠点を設置者の強い意向で創業の地である中野区に移転させ開校した事例もあり、こうした中野に縁のある、そして思い入れのある法人との、中野の活性化、魅力づくりのための区としての連携は必要で、活用すべきではないでしょうか。

 また、ポテンシャルを持つ学校関係機関と、受け身でなく、区民サービス向上、区の活性化、魅力づくりのために区が主導し、連携内容をつくり出し、そうしたことが生まれる戦略的組織体制の構築が必要と考えますが、区の見解をお示しください。

 区との包括及び個別連携を具体的に展開し、中野区の経済団体とも緊密、有効な関係を構築している明治大学ですが、2014年に、駿河台キャンパスに隣接した、火災を起こし閉館していた、文豪三島由紀夫、川端康成さんなどの著名人が利用したことで知られる老舗ホテル、山の上ホテルの別館を取得しました。今年2月に閉館した本館も取得し、エリア一帯の開発を進めようとしています。

 設立150周年を迎える明治大学は、その記念事業として駿河台キャンパスエリアを充実させる、その資金に充てるために中野キャンパスを売却し、中野から撤退するという話が関係者の間でまことしやかに話されております。区長は御存じでしょうか。早急に事実関係の確認をするとともに、事実であれば議会への報告が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 また、万が一売却、転出、考えたくはございませんが、そうしたことが事実だとした場合、国からの払下げ時の国有財産関東地方審議会の答申、国有地土地処分方針では、大学施設用地としての用途指定期間10年は既に過ぎており、転出を阻止する都市計画上の縛りはないと考えております。この国有財産払下げ時の国との約束、中野区と明治大学との約束は公文書として残されていると思いますが、その確認が必要です。

 明治大学進出のために、区は数々の便宜を図ってまいりました。こうした経緯から覚書締結に至った、この覚書による効果はどういうものがあるのか、他に取り替わした書面、約束はあるのか、区としてどのようなアクションが取れるのか、売却、転出阻止についての有効な方法はあるのか、教えてください。

 区長はこれまで、大学側のイベントに出席したり講演をしたりと交流を進めていらっしゃいますけれども、首長として果たしてそれだけでよろしいのでしょうか。

 中野区は、大学の中野進出に多大な尽力をし、土地所有者である財務省と交渉を行い、都市計画上のメリットを最大限取り付けて、大学の希望どおり中野キャンパス設置を実現させた経緯があります。産学官連携を共に進めてきた関係からも、学校法人経営陣、トップとの人脈構築、いつでも連絡を取り合えるそうした関係を持つことは、当該首長として当然の責務だと考えております。中野区はこれまで何をしてきたのか、これが問われることだと思っております。

 さらに憂慮すべきことは、現理事長は支配統制力があり、中野キャンパス移転時は大学にいらっしゃらなかったため、進出の経緯や中野区の貢献度をどこまで認識しているのかというのが分からないということ、また、民間の金融機関出身ということで、コスト意識、ドライな感覚を持っていらっしゃるのではないかということであります。

 そこで、区長にお伺いします。自治体の首長としてこれまで明治大学経営陣とどのような交流をしてきたのか、人脈構築を進めてきたのか、また売却、転出阻止に生かせないのか、お示しください。

 また、これまでの経緯から、もしこのようなことが、売却、転出が事実であるとすればゆゆしき事態であり、信義則に反すると考えております。中野区に何の相談もなくこうしたことが行われようとしていることは言語道断としか言いようがなく、改めて早急な対応を求めます。お答えください。

 次に、中野区新庁舎の課題についてお聞きします。新庁舎の課題については昨日も複数の議員の方から質疑されておりますので、重複することは御了解いただきたいと思います。

 5月7日の開庁から4か月が経過をした新庁舎、残念ながら、我々の元に届く区民からの声はあまり芳しくございません。

 そこで、言わば新庁舎の不具合について伺います。

 まず初めに、ユニバーサルデザインの視点から伺います。

 新庁舎におけるUD思想の実践については、設計・施工段階から度重なる改善提案を本会議、総括質疑、委員会質疑において幾度も申し上げてまいりましたけれども、法令を遵守する、こうした答弁で、当時の新庁舎担当はことごとく聞き入れることなく、現在に至っております。

 結果、ユニバーサルデザインの識見のある方々や障害者団体の方々からは、このユニバーサルデザインに関しての及第点を頂いておりません。灰色のカーペットに鉄色、階段手前の点字ブロックは視認性が悪くてとても危険である。グレーのカーペットの階段の端には黒いエッジングで、コントラストがなく危険である。厚みが削られ薄く機能しない、視認性のない視覚障害者を誘導するマットの是正。多機能トイレにおける、どこにあるか分かりづらいセンサースイッチと、言語が錯綜して聞き取りにくい音声アナウンスの使い勝手を改善。本来利用すべき人が使えない多機能トイレの不必要な集中を回避するために有効な一般トイレのユニバーサルデザイン化。字が小さくて英語表記も判別しづらいサイン計画などなど。まだまだ指摘事項はたくさんございます。

 中野区ユニバーサルデザイン推進審議会を立ち上げ、条例をつくり、推進計画第1次、2次を策定している、その理念、精神が生かされないことには甚だ遺憾でございます。

 区役所低層窓口の混雑緩和のために方策を検討しているとも聞いております。昨日の区長答弁では、ユニバーサルデザインについては利用状況を見て是正が必要かどうかを判断するということですが、これ自体はUDの改善、スパイラルアップに即するものですが、そんなにのんびりしたことでは済まされない状況の箇所もあると考えております。不具合改善のための改修もあるのであれば、ぜひUD危険箇所の改善も早急に対応すべきだと考えます。

 新庁舎全体として、UDの観点から、また、区民のための施設である区庁舎での事故発生という最悪の事態を回避するために、安全性向上の観点からも早急に改善すべきところがあります。先ほど申し上げた不具合のうち、特に危険回避のため緊急性のあるもの、階段、そして誘導マット、滑り止め、その視認性を高めることなど、改めての改善を図れるか、伺います。

 また、車椅子対応について、スペースが短く転回しづらいという意見もありますが、ここでは特に、昨日も質疑されておりましたフルリクライニングする大型電動車椅子への対応ができていないことについてお聞きします。設計サイドとの打合せにおいて、中野区ユニバーサルデザイン推進条例、計画を持つ行政として致命的な対応ではなかったのでしょうか。

 通常の区民利用のエレベーターを利用できない大型車椅子への対応については、北側の大型エレベーターの活用を具体化すべきで、その際の動線、人的対応、セキュリティゾーンの扱い、そして関係者への周知と広報の仕方について検討すべきと考えます。いかがお考えでしょうか。

 また、各窓口、セキュリティゾーンの在り方についてお聞きします。

 現在の窓口、低層階の混雑解消も課題になっておりますが、一方で、上層階の窓口では区民、事業者と職員の接点が少なくなっているというふうに感じます。

 事業を進める上で来庁した方々は、事業遂行のためには、部局内の関係する複数の係とのフェイス・ツー・フェイスが不可欠であり、区としても重要な情報入手の機会であり、双方にとって大切であると思います。

 現場の声を聞き、コミュニケーション能力を養うことで、職員の人脈構築、窓口対応のスキルアップ、そして、来庁者のニーズに応えた打合せや情報収集などの業務が円滑に効率よく進むために、部署内で連携が取れるように事前に関連部署の同席の必要性を確認したり、関連部署につなぐなど、アレンジした対応の工夫が必要と考えますが、その改善策について、いかがでしょうか。

 セキュリティゾーンに関しては、現在、議員も職員の執務エリアには入れないことになっており、職員とのコミュニケーションが取りにくくなったと不便を感じているところです。議会側との機能的な連携構築も必須であり、このためには、一般職員も議会との緊密な連携を取るための準備、環境整備が必要だと思います。

 近隣自治体では、平成27年に業務開始をした豊島区庁舎、令和元年に業務開始の渋谷区庁舎も、いずれの事例を見ても、新庁舎での区の執務スペースへの議員の立入りに何の規制もございません。

 中野区は何をもってセキュリティと称して議会関係者の立入りを不可としているのか、その根拠をお示しください。近隣自治体の新庁舎では取り入れていないことを、多くの課題があることをなぜあえて取り入れようとしているのか、理由を示してください。議会と円滑な業務進行、職員の育成のためにこの考え方を改めていただきたいと考えます。

 次に、職員の働き方について。

 現在、新庁舎の執務エリアでは、合同部長室を設置したり、フリーアドレスが行われております。

 フリーアドレスは、元来、執務スペースの倹約の側面、営業職など外出する職員が多くてフルメンバーが常時執務することがない職場に採用されているものと私は認識しています。係長、課長、部長とそれぞれの職位での定席執務によって自覚、責任感が醸成されると思います。一般の職員にとっては、様々な業務、係長、課長、部長の仕事を身近に見聞きすることが重要だと考えています。

 フリーアドレスによって、区長が唱えるボトムアップによる区政運営の確立が実現できるのか不安でございます。職位、役職ごとの業務内容を把握しながら培われる自覚と責任感なくして、どうやって地域や現場に出て区民と向き合い、職員の成長につなげられるのか。その第一歩が職場の実践ではないでしょうか。

 部課長が状況を的確に把握し、トラブル早期発見やメンタルケアなどの対処ができるかを懸念しています。また、一般職員にとっては、様々な業務、係長、課長、部長の仕事を身近に見聞きすることが成長につながることを考え、行政の執務環境になじまない合同部長室やフリーアドレスを見直すべきと考えています。

 聞くところによると、新庁舎になってから、メンタルケアの課題を多く抱える職員が増えたという話も聞いています。また、電話の応対の不具合、そうした多くの課題もストレスにつながっているのではないかと考えております。

 その携帯電話の不感知対策についてお聞きします。

 新庁舎では携帯電話がつながりにくくなっています。特に地下階では全くつながらず、災害等が起こったとき、連絡が取れなくなってしまいます。区長や職員が庁有車を使用する場合、また議会の危機管理としても課題があると考え、速やかに携帯電話の不感知対策を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 今後の新庁舎の改修、区有施設整備の執行に係る機能決定につながる設計協議においては、機能重視、デザイン重視の設計会社や監理会社に対して、言いなりになることなく、中野区という行政の役割、あるべき機能、ユニバーサルデザイン目線で、区民を主役とした本来あるべき姿勢でしっかりと対峙していただくことを切に望んで、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋議員の御質問にお答えいたします。

 産学官連携の推進についてで、まず最初に、産学官連携推進の方針についてでございます。

 区は、平成20年以降、区内の各大学や民間企業と包括連携協定を締結し、区民サービスの向上などに資する取組を推進してまいりました。令和元年には、民間事業者等との包括的な連携の推進に係る考え方を策定し、区として産学官の連携に取り組んでまいりました。

 次に、産学官連携推進の戦略的取組です。

 民間事業者や大学等との連携に当たっては、連携先によって取組内容が個々の事案ごとに異なるため、お互いに協議しながら進めているところであります。包括連携協定を締結している民間事業者や大学に対して積極的に働きかけて、区民サービスの向上や区の活性化につながる取組をさらに推進してまいりたいと考えております。

 次に、学校との連携に関する窓口の設置の御質問です。

 学校との連携は、基本的には各事業の所管課が調整をし、複数の部にまたがる場合は企画課が窓口となっているところであります。毎年の事業実績についても企画課が取りまとめております。区民の方から区内大学等と連携の希望があった場合は、各学校が対応できる連携の内容や可否について確認をしてまいりたいと考えております。

 次に、私立専修学校等との連携です。

 区内の専修学校等との包括連携協定は、締結は現在しておりませんが、例えば中野ミューラルプロジェクトの検討会に織田ファッション専門学校に参加いただいたり、専門学校東京テクニカルカレッジの学生に「うさごはん」のカレンダーを作成してもらうなど、個々の取組ごとに協力を依頼し、連携した取組は行っているところであります。

 私立専修学校等の把握と連携の推進です。

 区内には私立の専修学校が16校、各種学校が1校ございます。これまでにも幾つかの学校とは連携した取組を実施してきたところでありますが、さらに連携先を増やすことができないかを検討してまいります。

 連携を創出する戦略的組織体制の構築です。

 民間事業者や大学等との連携につきましては、企画課が中心となって、関係する所管課と協力、連携して具体的な取組を推進してきたところでありまして、区民サービスの向上や活性化につながるよう、連携の充実について取り組んでまいります。

 続きまして、明治大学中野キャンパスの売却についての質問でございます。

 現時点ではそのような情報は聞いておりませんが、情報収集に努めてまいりたいと思います。

 次に、区と明治大学との覚書の効果についてです。

 中野区と明治大学との間で平成20年に、警察大学校跡地のまちづくりに関する覚書を締結しております。明治大学中野キャンパスの売却や転出を制限するような規定はありません。転出を阻止することができませんが、土地、建物の権利や地位に変動がある場合は、覚書の内容については継承されるものとされております。そのため、仮に売却された場合であっても、産学公連携の推進や地域との連携、協力、にぎわいの形成など、覚書に定める内容については引き継がれていくことになります。

 次に、明治大学との交流や人脈についての御質問です。

 これまで明治大学とは、多文化共生やダイバーシティー関連事業、データ分析、観光施策等様々な事業を通じて交流をし、教授等と人脈は構築してきたところでございます。

 次に、中野キャンパスの売却等への対応でございます。

 明治大学中野キャンパスの売却や転出が事実であるならば、非常に残念なことであります。まずは事実関係を確認した上で、区としてできる対応を考えてまいります。

 もう1問、私からは、中野区役所新庁舎の課題についてで、セキュリティゾーンの設置理由についてお答えします。

 執行機関である区は、個人情報保護法や地方公務員法などの法令に基づき、個人情報や行政執行情報などの適切な取扱いと守秘義務を負っていることから、庁舎管理規則によって明確にエリアを分けております。職員及び業務を委託している事業者以外の方は執務室エリアへの立入りを原則不可としておりますので、利用される方がお困りにならないように窓口等で適切に対応していく考えでございます。

〔総務部長濵口求登壇〕

○総務部長(濵口求) 私からは、中野区役所新庁舎の課題のうち、ユニバーサルデザインに配慮した改善についての御質問にお答えいたします。

 ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた新庁舎の案内誘導や各設備につきましては、関係法令に照らし合わせ、安全性を確保できているものと考えてございますが、今後の利用状況等を見極め、是正が必要と判断した場合は適切な対応を講じてまいります。

 次に、大型車椅子への対応についてでございます。

 大型の車椅子でも利用可能なエレベーターは1階北側の緊急車両スペースに近い位置に設置したため、セキュリティエリア内に整備したところでございます。区民の方の利用に際しましては、防災センターまたは総合案内にお申し出いただき、職員が付き添うことで利用される方が困らないよう配慮、対応してまいります。関係者への周知につきましては、ホームページなどを活用し周知を図るとともに、新庁舎内での案内サインで対応したいと考えております。

 セキュリティエリアの見直しについての御質問にお答えいたします。

 セキュリティエリアの考え方については、個人情報の管理を徹底するとともに、職員と来庁者が動線を明確に区分し、来庁者のスペースを確保しております。また、議会等の対応につきましては、幹部職員が議会に関する情報を適宜職員に伝え、その対応についても職員育成の視点で取り組むなど、工夫してまいります。

 これらのことによりまして、セキュリティエリアの考え方を変えることは難しいと考えてございます。

 携帯電話の不感知対策についての御質問です。

 新庁舎の地下で携帯電話がつながらないといった御意見を頂いているところでございます。携帯電話の不感知改善につきましては、必要な対応や経費について現在調査、検討中でございます。

〔新区役所窓口サービス担当部長高橋昭彦登壇〕

○新区役所窓口サービス担当部長(高橋昭彦) 私からは、中野区役所新庁舎の課題についてのうち、来庁者のニーズに応える関連部署の連携についてお答えいたします。

 複数の担当に及ぶ事案につきましては、関連部署の職員が連携して対応することで、その後の適切な対応につながるとともに、職員の担当業務以外の関連する知識の習得などスキルアップにもつながり、OJT効果もあるものと捉えてございます。

 今後も、来庁者のニーズに応じた関連部署間の連携による実効的な窓口対応に努めてまいります。

〔DX推進室長滝瀬裕之登壇〕

○DX推進室長(滝瀬裕之) 私からは、新庁舎における職員の働き方についてお答え申し上げます。

 本庁舎の執務スペースでは、区の職員が課内または係内で自由に席を選んで働くグループアドレスの仕組みを導入して、職員間のコミュニケーション活性化を図っているところでございます。

 また、政策協議BASEは特別職と部長間の連携強化などを目的としておりまして、原則週2回特別職と部長の定例協議を行っており、部長は特別職や部間での意思疎通を図っているところでございます。

 部長は、通常時には各部内を巡回してグループアドレス内の空いた席で執務しておりまして、部長や課長、係長などの会話につきましては他の職員も見聞きする機会が増えているところでございます。こうした働き方は、特別職から一般職員のコミュニケーション活性化や一般職員の育成にも資するものと認識しております。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○16番(高橋かずちか) 3点再質問させていただきます。

 一つは、部長に対して。

 セキュリティゾーンで、個人情報という形で法令遵守というお話がありましたけれども、個人情報を法令遵守、それは当たり前の話だと思うんですけれども、何をもって議員が執務スペースに入れないのかという、その法的な根拠はないのかなというふうに考えておりまして、他の全国の自治体、あるいは先ほど申し上げた近隣自治体の事例を考えたときに、それは改善すべきではないかという話をしているところでございます。法令遵守の個人情報保護は当たり前ですが、その辺の議会との連携をよくするための工夫はないのか、お聞きします。

 あと、区長については、明治大学との教授レベルでのお付き合いをしているというお話はあったので、それは結構なことなんですけれども、やはり、こうしたことがもし事実であれば情報を何でつかめていないのかとか、そうならないように、とにかく中野の貢献度、あるいは、産学官連携でも申し上げたとおり、地域のために貢献しているその密月具合というものをきちっと、理事長であったり経営陣としっかり人脈構築をすべきであって、そうした具体的な首長としての向こうのトップ、経営陣との人脈構築をきちっとつくってほしい。

 もしこれがうわさ話で収まればいいですけれども、それでも今後のことを考えたときにその関係の構築は必要だということで、区長の見解をお聞きしたい。

 もう一つは、UDについて。

 利用状況を見て是正するというのは、それはもう当たり前の話であって、そうじゃなくて、今、障害者団体からも、危険で、危ないという形で、及第点を頂いていないと控え目に申し上げましたけれども、障害者団体からは赤点をもらっているわけなんですね。危険で、危ない、事故のための危機管理、未然防止のためにそれを対応してほしいということで伺っていますので。

 区長もこけら落としのときに、そして新庁舎のパンフレットにもユニバーサルデザインの行き届いたというような宣伝をしているわけですから、その辺をきちっと安全対策として対応していただきたい、区長の意気込みをお聞きしたいということでございます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋議員の再質問にお答えいたします。

 まず、1問目の明治大学の件でございます。

 移転に関しての情報というのは、まず事実であるかを至急確認したいとは思っておりますけれども、今後を含めて、現在の柳谷理事長とは私もお会いしたことはございませんので、ぜひお会いして、これまでの経緯等もお話はしたいと思っております。

 それから、UDについての再質問でございます。

 法令上の課題はクリアしているということは確認しているところではございますけれども、今後、様々な団体からも意見を頂いているところでございますので、必要なものについて、改善すべきところについては速やかに改善していくことを考えております。

〔総務部長濵口求登壇〕

○総務部長(濵口求) 私からは、セキュリティエリアの設定の根拠の御質問にお答えをいたします。

 区では、庁舎管理規則におきましてセキュリティエリアを定め、区議会の議員の方の立入り、執務スペースへの立入りも制限をさせていただいているところでございます。

 そうした庁舎管理規則を定めている根拠といたしましては、私ども公務員が、まず個人情報保護法による個人情報の管理の徹底、それから、地方公務員法におきます守秘義務といったものをしっかりと担うことによります、そういった義務を負っているということで、こうした規則を定めているものでございます。

○議長(酒井たくや) 以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 日 野 たかし

 1 区のDX推進について

 2 デジタル地域通貨について

 3 合理的配慮の提供義務化に伴う区の対応について

 4 災害対策について

 5 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、日野たかし議員。

〔日野たかし議員登壇〕

○4番(日野たかし) 令和6年第3回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、5のその他はありません。

 初めに、区のDX推進について伺います。

 第2次中野区地域情報化推進計画改定版には、目標の一つ目に「ICTを活用した行政サービスの提供による区民の利便性向上と地域の活性化」、二つ目に「効率的で質の高い情報基盤の整備による区政運営の推進」が挙げられています。これらを実現するための手段として、オンラインサービスの充実やキャッシュレス決済の導入、ペーパーレスの推進、統合型GIS、AI、RPAなどの導入が着実に進められているとの認識です。

 特に、区役所新庁舎への移転を契機として、窓口業務の改善やMS365の導入などの情報システムの基盤整備が進められ、庁舎環境は大きく変わりました。

 今年の第2回定例会の総務委員会では、第2次中野区地域情報化推進計画改定版の進捗状況等について、情報化に向けた令和5年度の取組が全て予定どおり進められたことが報告されました。この進捗状況を伺うと、予定どおりにDXが進められているかのように思われますが、そもそも自治体DXを推進する目的としては達成されているのでしょうか。

 地域情報化推進計画には、基本方針の中に行政サービスの質の向上を目指すとの短い一文がありますが、自治体DXを推進する目的は、様々な区政課題に取り組む上で、持続可能な区政運営を実現し、業務効率化を図ることが目的であると私は考えます。その根底には、行政サービスの質の向上により、より多くの区民がその恩恵を受けられるようにすることであると考えます。

 新庁舎開庁後、大きく変わった窓口では、来庁者が長時間待たされる状況が見られました。また、これまで担当者と直接やり取りができていた業者の方々も、スムーズなやり取りができなくなったとの声も聞きます。これは窓口業務における一例ではありますが、新庁舎移転後、当初想定していた効果とは異なる結果や様々な課題が出ているのではないかと感じます。

 昨年の第4回定例会で、私は、新たに導入したシステムの運用についても、第三者によりシステムごとに検証していくことも必要ではないかとの質問をしました。導入したシステムがより効果的に作用するよう、システム運用の検証を行うべきではないでしょうか、改めて伺います。

 ここからは、DX推進の取組のうち、個別具体的な取組について伺います。

 区はこれまで、ペーパーレス化を進め、その中で押印や署名の廃止も進めてきました。押印等を廃止した手続については、原則、申請書、届出書等の電子化を進め、電子申請等を活用することで簡易的に手続が行えるよう努めていくとの方針を示しています。現在までの押印廃止、署名廃止の進捗状況について伺います。

 区は、手続を電子申請化することで、デジタル窓口を推進しています。区民向けの手続のうち、現在までに電子申請化が進んだ手続はどの程度まで拡充できているのでしょうか。また、今後拡充を進める手続はどの程度予定しているのでしょうか、伺います。

 区有施設等における発注工事では、事業者側に求める提出書類についても基本的にペーパーレス化され、PDFで書類を提出するようになったと伺っています。しかしながら、ただ紙媒体ではないというだけで、書類を作成する業務量は変わらず、むしろPDFをROMなどの媒体に書き込んで提出を求められる場合もあると聞きます。これは、DXの目指す効率化とは反対に、業務量がより増えてしまっている状況だと思われます。

 事業者が契約に関わる書類提出を行うに当たり、電子申請手続はどの程度進んだのでしょうか、伺います。

 事業者と区とのやり取りにおける書類の提出については、ペーパーレスは基本とした上で、事業者側も区側も負担が減るような効率化を図ることが本来のDXの取組であると考えます。事業者側の意見を聞きながら、負荷が減る効率的な手続を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 文京区では、今年度より企業が受注した公共工事における情報共有システムの活用を始めたと聞いています。区の発注工事に情報共有システムを導入することで、公共工事における受注者、発注者間のやり取りや工事書類の作成や提出をウェブ上で行うことができ、工事帳票の処理の迅速化、日程調整の効率化、受発注者間のコミュニケーションの円滑化等が図られ、事業者側も区側も負担軽減になると考えられます。

 区の発注工事には学校や保育園など工事の期間や時間を制限された案件も多く、こうしたシステムを導入することで書類の作成や提出の手間を軽減できれば、工期短縮にも寄与できるのではないかと考えます。

 DXを進めるに当たり、今後は、ペーパーレスのみならず、区も事業者も負荷軽減と効率化を図れるようなシステムの導入を検討してはいかがでしょうか。例えば、施設、道路、公園等の各所管が共有して利用できるように、デジタル政策課が先導して行うなど、全庁的に取り組むよう検討してはいかがでしょうか、伺います。

 統合型GISについても伺います。

 区は、昨年10月より統合型GISの本格運用を開始しました。統合型GISの導入により、庁内の横断的なデータ共有や、区民がインターネットにより地図情報などを閲覧しやすくなるなど、効率化や区民サービスの充実など、導入による効果は大きいと考えます。

 一方で、システム依存度が高くなることで、システムの著作権がベンダー企業に帰属するため、他社の参入ができなくなる、いわゆるベンダーロックインの状態とならないよう留意しなければなりません。

 区が導入した統合型GIS「PasCAL for LGWAN」では様々なデータ形式をサポートしているとのことですが、工事発注等においてはどの事業者でも扱える標準ファイル形式のデータ提出が可能な仕組みとなっているのでしょうか、伺います。

 また、例えば測量の発注における業務委託仕様書には、データの動作確認を統合型GISのベンダーに依頼しなければ確認報告の提出ができないものもあるとの話を聞いており、このベンダー以外の事業者にとっては不利な状況であるように見受けられます。

 ベンダーロックインに陥らないためにも、データの動作確認などの統合型GISに関わるところは分離発注とするなど、対策を講じるべきではないでしょうか。早急な改善を強く求め、この項の質問を終わります。

 次に、デジタル地域通貨について伺います。

 閉会中の区民委員会で、中野区デジタル地域通貨事業、ナカペイの実施内容について報告がありました。アプリをダウンロードした先着9万アカウントまでは、1アカウントにつき500円分のポイントが付与、プレミアム率30%のデジタル地域通貨を10月1日から抽選販売し、発行総額は17億5,500万円までとすることなどが報告されました。ただし、プレミアムつきデジタル地域通貨については11月1日から使用できるものの、お金のチャージは来年4月まではできないというものです。

 昨年の第4回定例会一般質問において、私は、デジタル地域通貨の導入について、十分な議論と検証をしてからの導入が望ましいこと、導入当初から多くの利用者を増やせるかという点などについて質疑しました。事業開始のタイミングからチャージができない、つまり、プレミアムつきの抽選販売以降は翌年の4月までは利用者の拡大があまり見込めないのではないかということが懸念されます。

 事業開始から来年4月までの間チャージができない理由について伺います。チャージができない来年4月までの間、何らかのキャンペーンなどを行うなど、機運醸成の取組を継続させる必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。現時点で検討されている内容があれば、伺います。

 初回はプレミアムつきデジタル地域通貨分の販売だけであれば、せめて区内在住者のみに限定した販売にするなど、区民を優先するような方策などは検討できないのでしょうか、伺います。

 本来であれば、事業開始から継続して利用者拡大ができるよう取り組むことが望ましいと考えますが、本格実施となる4月には改めて何らかのインセンティブを設けなければ、さらなる拡大は難しいのではないでしょうか、区のお考えを伺います。

 ナカペイが区内経済活性化と、区民にとって利便性がよいものとなるためには、プレミアム付与以外にも、日常の利用においてメリットを感じられるようにすることが望ましく、これについては、既に報告にもあったとおり、現在はPTを設置し、スマートウエルネスシティーをテーマとしてコミュニティポイントの導入を検討しているとのことです。

 スマートウエルネスシティーをテーマとするのであれば、他自治体の成功事例などを参考にすることも必要だと思いますが、何よりも区内の高齢者会館での事業や町会の活動を直接職員が見ていただき、ぜひとも実際の現場を見た上で提案を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、区の見解を伺います。

 渋谷区のハチペイでは、マイナンバーカードによる認証ができるようになっており、マイナンバーカードで初めて認証したユーザーにはポイントが付与されるようになっています。マイナンバーカードでの認証ができるようになった場合、例えば区民を限定としたより対象を絞ったキャンペーンなども実施しやすく、マイナンバーカードの普及促進にもつながり、マイナポイントとのポイント交換などの連携も考えられるかと思います。

 ナカペイにおいては、マイナンバーカードによる認証は検討されているのでしょうか。また、マイナンバーカードの認証を実施する場合、何らかのインセンティブ等も必要かと考えますが、いかがでしょうか、併せて伺います。

 デジタル地域通貨事業では、区独自に決済データを取得しやすくなります。既存の商品券では売買の流れの追跡は困難でしたが、デジタル化により通貨の流れをデータとして捉えやすくなり、このデータを活用することで、行く行くは地域経済の動向も把握できるようになると考えます。当事業で得られる決済データについても効果的な活用を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 区が保有するデータは、基本的に自治体クラウドの強固なセキュリティ内で管理されているとの認識です。また、区が保有する区民の個人情報データにおいては、クレジットカード情報のカード決済データは自治体クラウド上でも持っていないものと認識しています。

 ナカペイの委託先運営事業者はJTBであるため、区の個人情報も含めデータについては外部が管理することになりますが、クレジットカード情報などの個人情報も外部で保有されることになるのでしょうか、伺います。

 また、区の個人情報を外部に委託することから、データ管理はより厳重に行っていただく必要があります。外部委託であっても、データ管理の責任は区にもあると考えます。セキュリティインシデント対策については区も十分に確認を取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、合理的配慮の提供義務化に伴う区の対応について伺います。

 東京都では、都内で事業を行う民間事業者に対して合理的配慮の提供が義務付けられていますが、今年の4月から、国として、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました。ここでいう事業者とは、企業のみならず個人事業主やボランティア活動をするグループも事業者に含まれます。

 当区においては、障害者対応基本マニュアルに基づき、障害理解や合理的配慮の提供の対応をされていたものと思います。また、事業者においては、基本的に事業者自体が責任を持って行うこととされているとの認識です。

 これまで、区として区内事業者への周知や啓発は行ってきたのでしょうか。また、国の義務化に合わせて、改めて区内の対象事業者へ周知、啓発を行うべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 区の窓口等においても、これまで合理的配慮の提供が行われていたとの認識です。

 今年の5月に新庁舎に移転し、窓口業務も大きく変わりました。旧庁舎では、職員が窓口に来られた方に直接対応されていたと思いますが、新庁舎では、来庁者と職員は基本的にセキュリティエリアで区切られており、配慮が必要な方がいたとしても職員からは見えにくく、これまでよりも対応がしづらい状況になっていると感じます。

 新庁舎窓口等における合理的配慮の提供については、旧庁舎とは環境が大きく変わったため、これまでと同等の対応をするためにどのような工夫、配慮が行われているのでしょうか、伺います。

 区立学校における合理的配慮の提供についても伺います。

 令和4年第1回定例会の一般質問において、私は、中野区の学校現場における合理的配慮の事例集の作成を検討するよう求めてきました。この質問においては、障害を持つお子さんの保護者の方々から、障害を持つ子も持たない子も含め、望む環境で教育を受けたいとの御相談を頂いてきたという経緯があり、我が会派の久保議員と一緒に保護者の方々から話を伺いながら区に求めてきた取組の一つであります。

 現在、学校現場における合理的配慮の提供事例集を作成していると伺っていますが、進捗状況や公開の方法、公開時期のめどについて伺います。また、区立小・中学校や区立幼稚園、保育園など、どこまでが対象となるのでしょうか、併せて伺います。

 他の自治体では、学校現場における具体的な事例や、学校に寄せられた相談に対してどのように対応してきたかという事例が分かりやすく示されています。また、様々な事例を積み重ねて、1、2年程度で事例集をアップデートしている自治体も見られます。

 当区においても、学校現場の状況と相談を受けた内容などが教職員や保護者の方に伝わりやすくなるよう工夫をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、この事例集が現場の事例を積み重ねて適切に更新されていくことが望ましいと思いますが、いかがでしょうか、こちらも併せて伺います。

 合理的配慮の提供事例集が公開された後、何よりも学校現場の教職員の先生方や教育委員会関係者等の理解が最も重要であると考えます。教職員の先生方や教育委員会関係者に対しては、この事例集を研修等で活用していただくことが望ましいと思いますが、どのように活用されていくおつもりでしょうか、伺います。

 事例集公開時には、学校現場だけではなく保護者や一般区民にも広く知ってもらうことが、障害者差別解消においては重要なことであると考えます。児童・生徒の保護者、PTAなど幅広く周知していく必要があると考えます。いかがでしょうか、伺って、この項の質問を終わります。

 次に、災害対策について伺います。

 中野区が結んでいる災害協定には、医療救護活動に関する協定や緊急輸送に関する協定など、151の災害協定が結ばれています。

 このうち、応急対策業務に関する協定には、道路上の障害物の除去や道路の復旧、電気設備の応急復旧など、災害救助などをするためにもいち早く対応をしなければならない応急対応があります。しかしながら、協定を結んでいる団体・事業者には、応急対応に必要な重機を中野区内に置いていない、あるいは資材を離れた場所に置いてあるという状況も伺っています。

 東京都では、災害発生時に環状7号線等の第1次緊急輸送道路の交通に障害が発生した場合に備え、復旧作業に必要な資機材を配備する道路防災ステーションを都内に9か所設置しています。ちなみに、9か所のうち1か所は中野区内の大和陸橋の高架下に設けられています。災害時には、道路機能を早期に回復させるため、ここに備えられた資機材を活用して障害物を速やかに除去する道路啓開作業が行われることになっています。

 大和陸橋の高架下にある道路防災ステーションは、東京都第三建設事務所と東京都道路整備保全公社が管理しているため、都の方針に従って緊急輸送道路の復旧作業を行うことになるかと思いますが、災害時に中野区内の緊急輸送道路の復旧にここの資機材を使えるような取決めはされているのでしょうか。また、特に取決めがないのであれば、いざというときに区でも活用できるような交渉をしてはいかがでしょうか、併せて伺います。

 大災害時には、緊急輸送道路のみならず、応急対応が必要な道路等の復旧が必要になる可能性があります。その場合、区が災害協定を結んでいる団体が活用できるよう、防災ステーションのような重機や資材を配置できるよう、区独自に場所を確保するよう検討すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 総合防災訓練や各地域の防災訓練は毎年定期的に行われており、特に総合防災訓練では、区が災害協定を締結している団体の一部も参加をされています。しかしながら、総合防災訓練は主に区民主体であるのと、避難所運営に関連した訓練が主となっているため、訓練に参加される団体も限定されています。災害協定を締結している団体については、協定を締結しているものの、実際に災害発生時において区とどのような連携を取るのか、どのような動きをするのかなど、具体的な訓練や想定は行われていないのではないでしょうか。

 そこで、伺います。区が実施する職員の図上訓練などとも併せて、災害協定を締結している団体にも呼びかけて訓練を実施するようにしてはいかがでしょうか、伺って、以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 日野議員の御質問にお答えいたします。

 まず、区のDX推進についてで、一つ目の第三者によるシステム検証についてです。

 各所管が新たにシステムを導入する際には、区の調達ガイドラインにのっとり、デジタル政策課のIT専門支援員が支援をしております。IT専門支援員は、民間企業でのシステム開発等の経験を生かし、新たに導入したシステムがより効果的に作用するよう、運用開始後も定例打合せ等に参加するなど、伴走型の支援も行っております。

 第三者による検証については、近隣区では事例がありませんが、引き続き調査してみたいと思います。

 続きまして、押印、署名廃止の進捗状況であります。

 区では、令和3年度に押印等の廃止に関する指針を定め、全庁で必要な手続の見直しを進めてまいりました。令和3年度に押印を求めていた約1,000件の手続のうち、令和5年12月時点では、591件の手続について押印を廃止いたしました。また、令和3年度に署名を求めていた約570件の手続のうち、令和5年12月時点では、107件の手続について署名を廃止としたところであります。

 次に、区民向け手続の電子化についてです。

 区では、令和5年10月から導入したLoGoフォームなどを活用した手続の電子化の拡充を進めておりまして、現在、デジタル政策課にて手続所管課に対するヒアリングを実施しています。区民ニーズの高い手続から順次ヒアリングを行っておりまして、オンライン化を阻害する要因の洗い出しと解決策の検討を進めております。区民の利便性と職員の業務効率の向上に向けて、今後とも電子化の拡充に取り組んでまいります。

 次に、契約事務の電子化についてです。

 押印廃止に伴う見積書の電子化のほか、企画提案公募型事業者選定や小規模事業者登録に伴う申請手続を電子化してまいりました。11月からは電子契約サービスを導入し、契約事務のさらなる電子化を進めてまいります。

 次に、事業者とのやり取りの効率化についてです。

 事業者向け手続につきましても、区民向け手続と同様に、LoGoフォームなどを活用した電子化を進めております。区と事業者のやり取りが両者にとってより効率的なものとなるよう、他の自治体や民間における事例の収集を行うなどして研究をしてまいります。

 次に、区と事業者の両者が利用可能なシステム等の検討についてです。

 新庁舎移転を契機として多機能ユニファイド・コミュニケーションを導入し、事業者ともウェブ会議によるコミュニケーションや画面共有が可能になるなど、効率化がなされました。

 区と事業者とのやり取りのさらなる効率化について御意見や御提案を頂いていることは認識をしておりまして、それらを全庁的に活用する方策については今後検討してまいります。

 次に、統合型GISに搭載するデータの納品形式についてであります。

 現在のシステムは、GISデータとして事実上の業界標準と言われているシェイプファイルをはじめ、国際規格に準拠したDXF等10種のファイル形式をサポートしております。これらは一般的なファイル形式であるため、ほとんどの事業者が対応、納品できると考えております。

 統合型GISに係る業務の分離発注についての御質問です。

 現在区では、測量等の一部業務委託において、業務効率化の観点によって、測量作業から統合型GISへのセットアップまでを一まとめにして発注をしている業務があります。こうした業務につきましては、測量作業とGISシステムに係る作業とに分離して発注することも可能であるため、今後は、業務の効率性やコスト等のバランスも考慮した上で、状況に応じて分離発注についても検討してまいります。

 次に、デジタル地域通貨についてで、通常チャージについてでございます。

 デジタル地域通貨の事業者とプラットフォームの選定に当たっては、コミュニティポイントや給付事業の実施を前提としたアプリケーションの機能性や拡張性をはじめ、店舗開拓や利用者の確保、確実な運営体制、セキュリティ面、価格面などを総合的に評価したところであります。

 また、地域通貨の導入当初においては、プレミアムを付与する場合以外はセルフチャージが少ない傾向にあることも考慮し、事業者とプラットフォームを選定したところでありますが、次年度当初の実現に向けて、通常チャージの準備も進めているところであります。

 来年4月までの機運醸成の取組です。

 デジタル地域通貨の普及拡大に向けて、様々な機会を通じて機運醸成の取組を継続的に行っていくことが必要です。令和7年4月から通常チャージが可能になることの広報をはじめ、区役所1階ナカノバでの普及イベントの実施、高齢者会館などを巡回したナカペイの周知と操作説明会の実施を検討しております。

 また、今回発行するプレミアムつきデジタル地域通貨は、抽せん販売でありますが、購入期限を11月末に設定しております。もし未購入分が生じた場合は、それを原資として、令和7年2月頃にキャンペーンを実施することも想定しております。

 区民を優先する方策の検討です。

 中野区基本構想は、中野に住む人々のほか、中野のまちで働き、学び、活動する人々の共通目標であるということから、在勤者、在学者、来街者にも中野区の地域通貨を利用いただきたいと考えております。

 また、デジタル地域通貨の導入に当たっては、まずは利用者と加盟店舗を増やすことが不可欠でありまして、在勤者、在学者、来街者を対象に含めることでそれらが担保されること、さらに、加盟店舗における売上げ向上が維持、期待できると考えていることから、今回のプレミアムつきデジタル地域通貨の販売やアプリのダウンロードキャンペーンにつきましては区民優先枠を設けない考えであります。

 その後につきましては、今回実施するプレミアム付きデジタル地域通貨の販売実績と利用状況の分析結果を踏まえるとともに、利用者や加盟店舗の意見も伺いながら検討してまいります。

 デジタル地域通貨の普及に向けたインセンティブの付与です。

 地域通貨においては、セルフチャージを促進するためのインセンティブの設計が難しいと考えております。今回実施するダウンロードキャンペーンやプレミアムつきデジタル地域通貨の販売実績と利用状況の分析結果を踏まえるとともに、利用者や加盟店舗の意見も伺いながら、一方で財政負担等も見据えつつ、次年度のインセンティブ付与について検討してまいります。

 他方、インセンティブだけに頼らないことも持続可能な地域通貨としていくためには不可欠でございまして、令和7年度の導入に向けて、コミュニティポイントの検討も進めてまいります。

 次に、スマートウエルネスシティにおける地域活動について。

 スマートウエルネスシティは、社会参加を促進することによって区民の健康度や幸福度を高めていく考えでありまして、町会活動や高齢者会館事業など地域活動の活発化が重要であります。そうした活動を展開する上でコミュニティポイントや健康ポイントはインセンティブとなることから、導入に当たっては、地域とのコミュニケーションも十分取りながら進めてまいります。

 次に、ナカペイにおけるマイナンバーカードの認証です。

 ナカペイは、将来の給付事業への活用も見据え、その仕組み上、マイナンバーカードによる認証が可能となっております。一方で、マイナンバーカードとひもづけた個人情報の管理や、マイナンバーカードの普及状況など、給付事業などへの活用に向けて課題もあります。

 今後、コミュニティポイント導入の協議の中で、マイナンバーカードによる認証とそのインセンティブについて検討を進めてまいります。

 決済データの活用です。

 ナカペイでは、利用者の年代や居住地、エリア別や業種別の販売状況、イベント実施時の来街者の状況の変化など、様々なデータの収集が可能であります。区は、収集したデータを分析し、中野区商店街連合会などの経済団体や各商店街などに提供するとともに、意見交換を行い、売上げ向上や商店街のイベント企画などの取組につなげていきたいと考えております。

 さらには、産学官連携によって、収集したデータのさらなる分析と、それらを踏まえたにぎわい創出の企画を立案していくことも想定しております。

 続きまして、クレジットカード情報の外部保有です。

 中野区デジタル地域通貨事業において、利用者や加盟店舗から収集するデータは委託事業者において管理するものであります。一方で、クレジットカード情報は、プレミアム付きデジタル地域通貨の購入に際し、ナカペイのアプリケーション上でデータ入力をしていただきますが、各カード会社での照会が終了した後はナカペイ上からは削除される仕組みとなっておりまして、委託事業者において保有されることはないと認識をしております。

 最後に、セキュリティインシデント対策でございます。

 区と委託事業者においては、契約に当たり、情報セキュリティ体制の整備、区と同等の情報資産の取扱いの確保、情報セキュリティインシデント発生時の対応を盛り込んだ情報資産を取り扱う業務委託契約事項を取り交わしております。また、万が一セキュリティインシデントが発生した場合には、区は委託事業者と協議、連携しながら発生事案に対して迅速に対応できる体制を整えているところであります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、合理的配慮の提供義務化に伴う区の対応についての御質問に回答させていただきます。

 まず最初に、学校現場における合理的配慮の提供事例集作成についてでございます。

 現在、学校現場における事例については、合理的配慮の実践事例集としてまとめているところであります。区立幼稚園や保育園、区立小・中学校を対象として、今年度内にデータを送信するとともに、ホームページ上で公開して、広く周知していく予定であります。

 続きまして、合理的配慮の事例集の工夫及び更新についてでございます。

 現在、全ての学校が一人ひとりに応じた合理的配慮を提供できるよう、他自治体の取組等も参考にしながら、特別支援に専門性のある教員と協議して作成しております。今後も、学校現場で取り組んでいる最新の事例を取りまとめるとともに、専門家の助言を受けながら事例集を更新してまいります。

 続きまして、事例集を活用した研修についてでございます。

 学校の教職員に対しては、特別支援教育に関わる研修において、特別に配慮が必要な子どもの事例等をする際のテキストとして活用してまいります。また、教育委員会事務局職員に対してもデータを送付し、各課の取組に生かせるように周知してまいります。

 最後に、事例集の保護者への周知についてでございます。

 区のホームページに公開するとともに、学校からも学校だより等を活用して保護者、区民の方に幅広く周知してまいります。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、合理的配慮の提供義務化に伴う区の対応についての御質問のうち、区内事業者への周知、啓発につきましてお答えいたします。

 合理的配慮の提供義務化につきましては、区ホームページでの案内をはじめ、区民活動センター、すこやか福祉センター及び障害福祉課窓口におけるリーフレットの設置、中野区商店街連合会や東京商工会議所中野支部等との連携によるリーフレットやメールを活用しながら、広く周知、啓発を図ってまいりました。

 合理的配慮の提供が義務化された事業者は、個人事業主や町会、PTAなど広範囲にわたるため、十分な理解を得られるよう工夫してまいります。

〔新区役所窓口サービス担当部長高橋昭彦登壇〕

○新区役所窓口サービス担当部長(高橋昭彦) 私からは、合理的配慮の提供義務化に伴う区の対応についての御質問のうち、新庁舎窓口等における合理的配慮の提供についてお答えいたします。

 新庁舎移転後は、基本的には、窓口に来庁した区民と最初に接するフロアマネジャーが区の障害者対応基本マニュアルに基づき作成した対応マニュアルによりまして、対象の方への対応を行っているところです。

 対応マニュアルでは対応できない事案等が発生した場合には、適宜フロアマネジャーの委託業者と区職員が具体的な対応方法、手順等を確認しまして、切れ目のない対応を行っているところでございます。

〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕

○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 最後に、私からは、災害対策につきましてお答えいたします。

 まず、都道における防災ステーションの活用についてでございます。

 大和陸橋の高架下にあります都道の防災ステーションの活用につきましては、災害時に区で活用できる場合については有効であると認識しております。現段階におきましては区が使用できる取決めはされておりませんが、今後、関係団体と調整してまいります。

 次に、区独自の道路防災ステーションの確保についてでございます。

 災害時、重機等によります速やかな道路啓開作業を行うことが必要であり、そのために、重機等をあらかじめ区内に配置しておくことが重要であると認識してございます。区独自の道路防災ステーションの確保につきましては、他自治体の事例等を参考に研究してまいります。

 最後に、災害協定団体の図上訓練についてでございます。

 区は、これまでも災害協定団体を含めまして図上訓練を実施しておりますが、今後も引き続きまして、防災対応力を高められるよう参加する団体を増やしていきたいというふうに考えてございます。

○議長(酒井たくや) 以上で日野たかし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 羽 鳥 だいすけ

 1 区民の居場所について

 2 防災施策について

 3 保育施策について

 4 保健衛生について

 5 環境施策について

 6 歴史・文化の継承について

 7 鷺宮地域のまちづくりについて

 8 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、羽鳥だいすけ議員。

〔羽鳥だいすけ議員登壇〕

○37番(羽鳥だいすけ) 2024年第3回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 なお、通告項目4番、保健衛生については、別の機会に質問したいと思います。取材に応じていただいた理事者の方、ありがとうございました。

 最初に、区民の居場所について伺います。

 もともと、単に物理的な居場所を表す言葉だった居場所という言葉には、現在、一人ひとりによって異なる様々な意味が与えられ、他者との関係性を表す言葉としても使われています。

 そうした中で、自宅でも職場でもない、居心地のいい第三の場所、サードプレイスとしての居場所には、一人きりになれる場、落ち着ける場、自由になれる場、仲間との場、誰かに求められる場としての大きな役割があります。私は、中野区が区民に対して、一人でも多人数でもいつでも気軽に立ち寄れる居場所を整備していってもらいたいと思います。

 5月に移転した中野区新庁舎では、1階のシェアノマやナカノバに朝から夜まで多くの方が集い、広く区民の居場所としての役割を発揮しているように感じます。ナカノバやシェアノマなど区庁舎の1階のスペースについて、どのような意図で配置をしたのでしょうか。また、使用の現状と、そのことについての区の認識をお答えください。

 多くの人でにぎわっている新庁舎ですが、これは周辺に無料で気軽に立ち寄れる居場所がほかにないという事情もあるかと思います。ナカノバ、シェアノマの座席が埋まっていることもしばしばあります。新庁舎1階にはミーティングルームも整備されています。自由利用時間を設け、区民に開放してはいかがでしょうか。

 こうした居場所は新庁舎だけ、中野駅周辺にだけ設置されればよいというものではありません。今後新たな整備を予定している鍋横区民活動センターや昭和区民活動センターには、地域の方が自由に利用できるスペースの設置が予定されています。こうしたスペースを、区民活動センターだけでなく、複合施設や図書館など区民が利用する施設を改築する際には、設置を積極的に検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 昨年12月22日、政府は、こどもの居場所づくりに関する指針を閣議決定しました。その中で、居場所がないことは孤独・孤立の問題と深く関係しており、子どもが生きていく上で居場所があることは不可欠と背景を述べ、全ての子どもが自己肯定感や自己有用感を高め、身体的、精神的、社会的に将来にわたって幸せな状態、ウェルビーイングで成長できるよう、「こどもまんなか」の居場所づくりを実現するとしています。

 そして、子ども、若者が過ごす場所、時間、人との関係性全てが子ども、若者にとっての居場所になり得るとして、子ども、若者の視点に立ち、子ども、若者の声を聞きながら居場所づくりを進めることが必要と、子どもの居場所と居場所づくりについての考えを述べています。

 この間お話を伺った保護者の方々からは、夏休み中は公園も暑過ぎていられない、しかし、共働きの保護者も多く、友達と連れ立っていられる場所がないとお話を伺いました。

 先日、区議会子ども文教委員会の「中高生年代向け施設の考え方について」が報告されましたが、この年代を含め、区内に子どもの居場所と呼べるような施設はまだ足りないのではないでしょうか。

 区内の子どもの居場所の現状について、区はどのように認識をされているでしょうか。子どもが気軽に訪れることのできる居場所を計画的に整備していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 区では現在、学習支援事業を行うとともに、その中身を拡充しています。学力格差を埋める取組として評価いたします。同時に、民間の学習支援団体への支援が必要であると考えます。

 先日、区内のある団体の方から、自分の団体では学習支援を行うとともに軽食も提供している、しかし、子ども食堂の補助金を受けようとしたとき、不特定多数の利用などの条件と違うと言われ諦めてしまったとお話を伺いました。子どもの居場所づくりに尽力されている団体に適切な支援が行き渡っていないのではないでしょうか。

 中野区実施計画では、来年度に向け、学習支援団体への支援の実施を検討している段階かと思います。区は、現在の実施に向けての検討では何を行っているのでしょうか。学習支援団体の事業の周知、啓発や補助金支給などを検討してはいかがでしょうか。

 夏休み中の子どもの居場所として、学校のプール開放も一つの手法ではないでしょうか。

 現在、中野中学校と第二中学校でプール開放事業が行われていますが、開放時間は授業実施時とあまり変わらず、夜間が中心となっています。学校の夏休み期間中のプール開放の時間を拡大するに当たって、どのような点が障害になっているのでしょうか、お答えください。

 無料でいつでも利用できる公園は、区民にとって重要な居場所の一つです。しかし、公園から区民を排除するかのような動きがあることに懸念を持っています。

 中野四季の都市では、これまでも、区域内での自転車駐輪をやめさせるためにカラーコーンとバリケードが設置されていました。しかし、最近、この範囲が南側に大きく拡大しています。また、これまでなかった、ここは駐輪禁止区域ですという録音音声が絶え間なく流され、付近一帯に異様な雰囲気をつくり出しています。区民にとって利用しやすい場所をつくりたいのか、見た目がきれいな場所をつくりたいのか、方針を疑ってしまいます。

 中野四季の都市で駐輪禁止を訴えるアナウンス及びゾーンはなぜ拡大したのでしょうか、撤去すべきではないでしょうか、お答えください。

 放置自転車が生まれる背景には、中野駅周辺に適切な一時利用の駐輪スペースが少ないということがあるのではないでしょうか。そのことが放置自転車を生み、自転車を排除するためのカラーコーン設置を招き、結局、公園利用者にとっては自転車があろうがなかろうが使えないスペースが生まれるという同じ結果を生み出しています。

 そうした事態を防ぐためにも、公園利用者の利便性を向上させるためにも、中野四季の森公園北側の歩道上に駐輪スペースないしラック式駐輪場を民間活力も含めて設置することを検討してはいかがでしょうか。

 また、これまでも、カラーコーンがあったセントラルパークイーストの公開空地には、縁側のようなところに腰かける区民が多数いらっしゃいます。気軽に座れる場所を用意することで、放置自転車を置くスペースをなくすことにもつながるのではないでしょうか。公開空地の中にある樹木の周りへのベンチ設置に向けて東京建物株式会社と協議を行ってはいかがでしょうか、答弁を求めます。

 中野区が区民誰もが自分の居場所を持てる施策展開をすることを求め、この項の質問を終えます。

 続いて、防災施策について伺います。

 今年に入り、能登半島地震や日向灘地震の発生と、初の南海トラフ地震臨時情報の発出もありました。大きな被害が出た震災に直面して、多くの方々が防災意識を向上させ、防災グッズの売上が急増しているそうです。

 現在、区は、わたしの防災マニュアルを配布しており、こうした施策も防災意識の向上に役立っていると感じます。区が防災施策に積極的な姿勢を示すことが重要ではないでしょうか。

 そこで、木造住宅耐震改修助成制度について伺います。

 同制度ですが、旧耐震基準までが対象となっており、実績が低迷しております。現在の実績と区の評価はいかがでしょうか。

 第1回定例会において、我が会派の広川まさのり議員が木造住宅耐震改修助成制度について質疑を行いました。その中で、今年度からも含めれば、既に19区が新耐震基準の住宅を改修助成制度の対象としています。また、中野区は不燃化することと一体に制度を実施していることが実績の低迷につながっているのではないでしょうか。耐震改修の要件を見直して新耐震基準も制度に含めること、また、不燃化と一体ではなく、耐震改修単体でも制度の対象とすることを求めますが、いかがでしょうか。

 区民の命と財産を守るために重要な耐震改修助成ですが、多くの場合100万円以上の費用がかかり、改修をためらう方も少なくありません。そうしたときに、せめて命だけは守る設備として、防災ベッドが大きな役割を果たします。

 防災ベッドの設置費用を助成することで区民の命が救えると考えますが、今年度の予算は僅か50万円、件数として1、2件の助成しか想定されておらず、実績としても2015年に1件があったのみです。これは、75歳以上、要介護4、5のみを対象とするという、対象となる方の要件の狭さが影響しているのではないでしょうか。防災ベッド設置補助金について要件を見直すべきと考えますが、区の見解を求めます。

 区は、地域防災計画において、「在宅避難への備えの推進」を述べています。区民全員を収容できる避難所がない以上、中野区には区民が在宅避難できる体制を一定整える責任があるのではないでしょうか。

 世田谷区は、災害時の在宅避難で必要になる防災用品を一人3,000円分、全ての区民に選んでもらう形で提供するとしています。同様の取組は、昨年江東区でも行われています。中野区でも在宅避難者向けのカタログギフトを提供してはいかがでしょうか、お答えを求めます。

 地震などの災害発生時には、災害復旧の活動に、重機や砂利や砕石などの資機材が必要になります。しかし、区内には重機などの置場がほとんどなく、災害時には資機材が足りず、復旧作業が遅れる可能性もあります。そうした事態が発生しないようにするため、災害時に中野区と土木業者との間で資機材を確保する協定を結ぶ必要があるのではないでしょうか、見解を求めます。

 気候が激甚化する中、水害の危険度も年々高まってきています。東京都は、現在、時間雨量75ミリ対応を目指して調節池など様々な施設の整備を進めているところですが、激甚化の中でさらに激しい豪雨が発生することもあり得ます。そうしたときに、床上浸水などの発生も懸念されるところです。

 23区では、そうした事態に対して、止水板の設置費補助を実施している区もあり、中野区でも検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 区民の命と財産を守る中野区の積極的な取組を求め、この項の質問を終えます。

 次に、保育施策について伺います。

 今年度も、私立保育園では定員割れによる減収が経営に大きな影響を与えています。私立園の4月の入所率は86%、7月時点でも88%となっています。区は、小規模保育園に比べ経営への影響割合が少ないことを私立認可保育園への補助を行わない理由としていますが、経営規模が大きいだけに減収額としては大きくなってしまいます。

 区には、待機児童解消のために私立園を誘致してきた責任があります。23区では、定員割れに対する補助金を実施している区のほうが多数です。中野区でも実施を検討すべきではないでしょうか。

 今年度、療育センターアポロ園は指定管理者が変わりました。それに合わせ、年度当初に、個別指導が行われない、保育園に訪問に来てもらえないなど基本業務が行えないという重大な事態が発生しました。業務に従事すべき心理職が確保できなかったとも聞いています。

 アポロ園の今年度の状況、区としてどう対応したのか、安定的な運営体制のために区は今後何をしようと考えているのでしょうか、お答えください。

 続いて、環境施策について伺います。

 2024年夏の世界平均気温は、観測史上最高を記録しました。猛暑の記録更新は2023年に続き2年連続です。地球温暖化の主原因である二酸化炭素の排出が抑えられていない以上、今後も気温上昇は続きます。世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑えるというパリ協定の達成が極めて厳しい状況に来ています。

 こうした中、中野区内の二酸化炭素の排出原因の約7割を占める電力を再生可能エネルギーに切り替えることが必要不可欠となっています。家庭、業務部門での再生可能エネルギーの普及を進めるために周知、啓発を強化すべきではないでしょうか、お答えください。

 環境配慮行動を区民に浸透させるために、区は積極的な役割を果たすべきです。その点で今私が気がかりなのが、庁舎1階食堂、ナカノヤNYAcafeのことです。ここで食事をすると、食べるためには割り箸やプラスチック製のスプーン、フォークしかありません。

 旧庁舎の中野満点食堂では、少なくとも箸は塗り箸か割り箸かを選ぶことができました。区は、プラスチック製品の減量を掲げていたかと思います。庁舎1階食堂での割り箸及びプラスチック製食器について、再利用可能な食器との選択性にすべきではないでしょうか。

 中野セントラルパークのキッチンカーでは、2月から3月にかけてリユース容器シェアリングサービスの実証実験が行われました。しかし、その後の展開がありません。

 実証実験を行った企業に問い合わせたところ、キッチンカー等から紙容器と同等の金額を頂くことが難しく、ビジネスモデルとして厳しかったと事情を教えていただきました。この会社では、現在、リユース容器に対する補助金のある自治体で、環境意識が高い飲食店や地域に絞ってサービスを展開している状況とのことでした。

 リユースは3Rの重要な柱の一つです。また、リユース容器が展開することは、区民にとっても環境配慮行動を意識づける機会になるのではないでしょうか。

 23区内でも、港区ではリユース食器のレンタル料を一部補助することにより、リユース食器の利用を促し、イベント時のごみの削減と来場者に対するリユース意識の醸成、向上を目的とする事業を行っています。また、杉並区では、店舗でテイクアウト用リユース容器の導入に必要な経費の一部を助成する事業を行っています。中野区でもリユース容器の購入やレンタル料への補助制度をつくってみてはいかがでしょうか。

 気候変動は、今、ティッピングポイントという、地球環境が後戻りできない転換点に迫っていることが指摘されています。一日も早く二酸化炭素の排出を実質ゼロにしなければなりません。中野区の積極的な対策を求め、この項の質問を終えます。

 次に、歴史・文化の継承について伺います。

 先日、私の自宅のすぐ近くにある庚申塔が撤去されるという貼り紙が貼られ、大いに驚きました。

 庚申塔は、中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石碑、石塔のことです。庚申塔には、長寿や健康のみならず、家内安全や五穀豊穣、現世や来世のことなどを祈り、それを碑面に刻まれているそうで、日本では10世紀に盛んになり、教えが広まっていく中で仏教や庶民の信仰が加わり、江戸時代には全国の農村などで大流行しました。小さく目立ちにくい存在ながらも、庚申塔は地域の方々が建立し、地域の歴史やその土地の信仰、人々の生活、集落形成の様子などを知る貴重な資料となっています。

 地域や街角に残され、継承されてきた文化財は地域にとって重要な遺産であると考えますが、中野区の見解はいかがでしょうか。

 今取り上げた庚申塔について、撤去の貼り紙を見た後、地域の地主さんや歴史民俗資料館に保存などは可能か問合せをしましたが、個人の持ち物となり難しいとのことでした。しかし、その後、地域の方の尽力により、撤去ではなく近くへの移設で話がついたとのことで、安堵しました。

 1989年に初版が発行された「なかの史跡ガイド」にはこの庚申塔は載っていますが、区内には実態を知られないままなくなってしまったものも多いのではないでしょうか。地域の文化財について、滅失も含め実態を把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 図書館資料の保存についてお聞きします。

 図書館資料には、VHSで保存されている映像資料も多くあります。2000年以前に記録された映像資料にはVHSのものが多く、今後、再生機器がなくなることやテープ自体の劣化によって見ることができなくなるおそれがあります。

 中野区立図書館の蔵書の中にも、戦争体験の証言記録、中野区長期計画策定経過の記録など、中野区の郷土資料と呼ぶべきものが多数あります。図書館での映像資料のデジタル化について計画的に進めるべきではないでしょうか、伺って、この項の質問を終えます。

 続いて、鷺宮地域のまちづくりについて伺います。

 鷺宮地域では、今後、西武新宿線の連続立体交差事業だけでなく、東京都住宅供給公社の鷺宮西住宅の建て替えが行われ、まちの姿が大きく変わることになります。

 先日、当該地域の地区計画原案についての説明会があり、私も傍聴してきました。防災や良好な住環境の形成に資する計画にしてもらいたいと思います。

 地区計画の区域面積は約4.8ヘクタールにもなる巨大なものです。計画の中には、調節池の区域内への設置も検討されていることが記されています。こうした豪雨に対する設備の設置は求められるところですが、気候変動に伴って、より激しい豪雨の発生も確実視されています。

 そうしたときに、川に流れ込む雨水を少しでも減らすために、鷺宮西住宅の建て替えに当たってグリーンインフラを取り入れ、雨水浸透をして、調節池とともに治水対策を行ってはいかがでしょうか、見解をお尋ねします。

 先日の説明会では、現在の居住者から、建て替え後に戻ってこられるのか、引っ越し時期について柔軟に考えてほしいといった声が相次ぎました。望む人が住み続けられるよう、公社には第一義的な責任があります。

 同時に、区民の居住権を守るため、中野区が果たす役割も大きいと感じます。鷺宮西住宅の建て替えに当たって、居住者の生活に配慮した住み替えができるよう、また希望する方が住み続けられるよう、公社に対して積極的な役割を果たすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 今年度開校した区立鷺の杜小学校では、西武新宿線南側から約200名の児童が通っています。鷺ノ宮2号踏切では、児童が安全に横断できるようにするため警備員が配置されています。

 こうした事態に対して、区は予算審議で、立体横断施設について可否も含めて検討すると述べてきました。今回、地区計画を定めるに当たって、外周道路が設定されています。立体横断施設はどこに設置するつもりなのでしょうか。鷺の杜小学校の通学路のための立体横断施設について、現在の検討状況はどのようになっているのでしょうか、お答えください。

 若宮・大和町地域の実証運行では、少しずつ利用者が伸び、地域に根付きつつあることが伺えます。しかし、同時に乗り残しが発生していることが報告されています。先日の中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会の報告では、6月は月前半だけで10件発生しているとのことでした。

 このことを区も、利用者離れにつながると、課題として認識しているとのことですが、対策としては、混雑状況をホームページ上に掲載するというものでした。これでは、仮に乗り残しは起こらなかったとしても、利用者が乗れないということは変わりません。課題の解決のために増便を検討できないか関東バス株式会社と協議してもらいたいと考えますが、いかがでしょうか、伺って、この項の質問を終えます。

 最後に、その他で1点、区庁舎でのプライド月間中のイベント実施についてお尋ねします。

 今年は、同性間の婚姻を認めていない現行法は憲法に違反していると主張している「結婚の自由をすべての人に」訴訟で憲法14条1項違反の判決が出たり、性別適合手術を受けていない性同一性障害者が性別の取扱いの変更を求めた訴訟で、生殖不能要件が憲法13条違反とする判決が出たりするなど、LGBTQに関連して重要な判決が相次ぎました。全ての人の権利を尊重する方向に、少しずつですが、社会が動いていることを感じています。

 しかし、こうした判決に対して、揺り戻しとも呼ぶべき状況も生じています。特に、近年はトランスジェンダーの方への誹謗中傷が相次ぎ、見るに堪えません。

 そうしたときに、行政が積極的に周知、啓発を図ることが重要ではないでしょうか。区では、旧庁舎のときに7階でイベントをやっていたと聞いていますが、なかなか問題意識を持っていない区民が参加するにはハードルがあったのではないでしょうか。より多くの人の目に触れ、一緒に考えることのできるような取組が必要かと思います。

 例えば、シェアノマやナカノバにおいて、来年のプライド月間中にLGBTQ関連のイベントや展示会などの開催を検討してはいかがでしょうか、伺いまして、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 羽鳥議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、区民の居場所についての御質問で、ナカノバ、シェアノマ等の配置意図と使用状況です。

 区役所1階各スペースは、より行きたくなる、ずっといたくなる区民の居場所をコンセプトに、明るく開放的な庁舎の象徴的な空間として、地域活動、産業・都市観光、文化・芸術の情報発信機能を備え、区民が共創をする場となることを意図して整備したものであります。

 また、ナカノバやシェアノマについては、文化・芸術などのイベントやワークショップの開催、また、貸出などの占用がない時間帯は来庁者の誰もが自由に使用できる休憩スペースとして開放しております。区民参加型のイベントやワークショップなど様々な催しが平日、休日問わず開催されておりまして、自由に御利用いただいている時間も含め、区民の皆さんの空間であることが浸透してきていると認識をしているところであります。

 次に、ミーティングルームの区民開放についての御質問です。

 ミーティングルームは、各種選挙や区の臨時窓口、区民を対象とした事業など行政目的での使用を除いて、区民団体等に貸し出し、団体の活動などで御利用いただくことを目的としておりまして、今後利用が増える見込みであります。

 このため、ミーティングルームを自由に開放することは想定しておりませんが、ナカノバやシェアノマを休憩スペースとして開放しているときは譲り合って御利用いただくことを促すなど、運用の中での工夫を図ってまいります。

 次に、地域の方が自由に利用できるスペースの整備についてです。

 施設に整備する機能につきましては、地域の方々や関係者の意見も伺った上で、施設の目的に資する機能を整備しております。幅広い区民が利用する施設において、区民が自由に利用できるスペースを整備することは有効だと考えておりまして、床面積の制限など個別の事情も踏まえて総合的に判断してまいります。

 子どもの居場所の現状と、計画的な整備についてでございます。

 社会状況等の変化とともに、子どもを取り巻く環境も大きく変わる中、いじめや貧困など様々な課題が複雑かつ複合化しておりまして、早急かつ重点的に多様な居場所づくりに取り組む必要があると認識をしております。

 区は、キッズプラザの新規開設や常設プレーパークの開設に向けた検討、地域の身近な居場所である児童館の機能強化と計画的な施設の更新に取り組むなど、多様な子どもの居場所づくりを進めているところであります。今後も計画的に子どもの居場所づくりに取り組むとともに、子どもを取り巻く環境の変化を捉えて、子どもが安心して過ごせる多様な居場所づくりに取り組んでまいります。

 次に、学習支援団体への支援についてです。

 子どもの学習支援を実施している団体への支援に向けて、現在、各団体の活動内容や区への要望等を把握するため、視察と聞き取り調査を行っております。これらの結果を踏まえ、学習支援団体への具体的な支援策について検討してまいります。

 次に、中学校温水プール開放事業についてです。

 中学校温水プールの開放につきましては、授業や部活動などの学校運営に支障のない範囲で実施するものであります。夏休み期間中につきましても、主に日中は部活動によって使用されているということから、日中の開放時間拡大は難しいと考えております。

 中野四季の都市の放置自転車についての御質問です。

 NTTドコモビル南側にあった中野西自転車駐車場、こちらの屋外東区画が本年の6月1日に閉鎖をし、周辺の自転車駐車場を適切に利用せず、中野四季の都市での放置自転車が増えていると見受けられるということでございます。

 公園利用者以外の放置自転車への対策を検討しているところでありまして、この対策に合わせて、現在のカラーコーン等の囲いの縮小、撤去を進めていく考えでございます。

 次に、中野四季の森公園周辺道路への駐輪場の設置についてでございます。

 道路上への自転車駐車場の設置は例外的なものであります。中野駅周辺の自転車駐車場の台数は、工事期間中も可能な限り確保してきておりまして、現在のところ、中野四季の森公園北側の歩道上に設置する予定はありません。今後も、公園内、道路上における放置自転車の状況を見ながら、適宜対応を検討してまいります。

 次に、セントラルパークイーストの公開空地へのベンチの設置についてでございます。

 放置自転車対策としてのベンチの設置については、セントラルパークイーストの管理者である東京建物株式会社と意見交換をしてまいります。

 続きまして、保育施策についての御質問にお答えします。

 認可保育所に対する減収補填についてです。

 区内の私立認可保育所の令和6年4月の入所率は約86%であります。また、年度末までには入所率が上がってくる傾向にあるため、地域型保育事業所等と比較して運営への影響も少ないと考えております。しかし、年度前半のゼロ歳児クラスなど、空き定員の影響が大きい時期や年齢があることも認識をしております。

 認可保育所に対する減収補填について、現時点では予定はしておりませんが、保育園の定員割れ対策については機会を捉えて国や都に要望していくとともに、対策を進めるに当たっての課題についても整理をしてまいります。

 私からは、最後に、アポロ園の状況と今後の区の対応についてでございます。

 療育センターアポロ園は、今年度から指定管理運営事業者を変更したため、区の担当者も関わりながら引継ぎを行ってまいりましたが、3月末に複数の心理職職員が退職することとなりました。

 このため、区としては、療育支援の入り口としての療育相談体制を早期に整えるよう事業者に強く働きかけるとともに、療育センターゆめなりあやすこやか福祉センターと連携して対応を図ってまいりました。

 現在は前年度以上の職員配置となっておりまして、区として、安定的に施設が運営されるよう、職員の相談対応スキルの向上や職員の育成計画を求めるほか、運営状況を注視し、適宜指導に努めていきたいと考えております。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、歴史的文化の継承についての御質問の中から御回答させていただきます。

 図書館の映像資料デジタル化についてでございますが、文化の保護を図るため、地域資料や行政資料はデジタル化してホームページ上でも公開しております。

 一方で、中野区に著作権のないビデオテープなどのデジタル化については、今後研究してまいりたいと思っております。

 続きまして、鷺宮地区のまちづくりについての御質問ですが、立体横断施設の検討状況についてでございます。

 西武新宿線の立体横断施設については、鷺の杜小学校に通学する児童の安全を確保するため、現在、庁内の関係部署と連携を図りながら、立体横断施設を設置する場合の基本条件の整理や具体的な設置場所、施工方法などについて調査、検討しているところであります。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) 防災施策についての御質問のうち、3点お答えいたします。

 耐震改修助成の実績と評価について。

 木造住宅の耐震化助成事業は、令和4年度より対象範囲を区内全域としたことにより、建て替え、除却に係る助成事業は実績が向上しております。引き続き、事業の周知や普及啓発等に取り組み、本事業を推進してまいります。

 続いて、木造住宅耐震改修等助成の見直しについて。

 木造住宅耐震補強工事助成については、その対象を拡充し、新耐震基準木造住宅も助成対象とする予定でございます。また、木造住宅耐震補強工事助成は、耐震補強と併せて外壁等の防火改修を行うことで地域の不燃化を促進しているため、防火改修を助成要件から除外することは考えてございません。

 しかしながら、防火改修が所有者の金銭的負担が大きいとの意見があることは認識をしてございまして、こうした実情も踏まえ、助成内容は適宜見直しをしていきたいと考えてございます。

 次に、止水板設置への補助制度につきまして。

 近年はゲリラ豪雨などが増加し、短時間での浸水被害も発生してございます。区では、建物等への浸水被害の防止または軽減対策として、水防用土のうの配備と配布を行ってございます。止水板設置への補助制度につきましては、他区の状況などを含め、今後研究してまいります。

 次に、鷺宮地域のまちづくりについての御質問のうち、実証運行の増便についての御質問です。

 昨今は路線バスの業界を取り巻く状況が変化をしており、各バス会社とも乗務員不足が喫緊の問題となっていることから、不採算路線の廃止や、採算が取れる路線であっても減便をしているという状況があると聞いてございます。

 このため、本実証運行において乗務員数を増やすことにつながる増便についての協議は困難なものと考えているところでございますが、地域住民アンケートや運行実績の結果等を分析し、乗車人員の増加や収支率の改善を図りながら、適切なダイヤについて継続して検討してまいります。

〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕

○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、防災施策の御質問のうち、まず、防災ベッドについてお答えいたします。

 防災ベッド設置助成事業につきましては、平成27年度から申請の実績がないことから、現在、他区の申請要件を調査しまして、要件緩和について検討し、申請しやすい制度に見直しを図っているところでございます。

 次に、防災カタログギフトの提供についてでございます。

 区は、まず在宅避難の普及啓発が重要であると考えておりまして、「わたしの地震マニュアル」を全戸配布しまして、各家庭で準備するよう啓発しているところでございます。そのほか、区民が安価で防災用品を購入できる防災用品のあっせん事業を実施しまして、訓練等でも周知しているところでございます。防災カタログギフトの提供につきましては、今後も他自治体の動向等を注視してまいりたいと考えてございます。

 最後に、資材の確保についてでございます。

 災害の復旧時に、重機等と同様に砂利や砕石等の資材の確保は課題であると認識しております。災害時の資材の確保につきましては、中野土木防災協力会等の関係団体と調整しながら検討を進めてまいります。

〔環境部長浅川靖登壇〕

○環境部長(浅川靖) 私からは、環境施策についての御質問のうち、二つお答えをさせていただきます。

 民生部門におきます再エネ切り替えのための普及啓発の強化についてでございます。

 中野区内の二酸化炭素排出量総量のうち、民生家庭部門と民生業務部門が全体の約80%を占めてございまして、これらに対する対策が非常に重要となってまいります。

 脱炭素ロードマップ作成のために実施したアンケートでは、再エネ電気プランについて、民生家庭部門においては、その存在が浸透し切れていないこと、民生業務部門では、関心のある事業者はあるものの、コスト面の情報の少なさ等が課題となっているということが分かりました。

 そのため、家庭向け、事業者向けに脱炭素を目指して作成したリーフレットを活用するなどしまして、再生可能エネルギーの利点や導入方法、都の事業者支援制度等の情報を提供し、普及啓発してまいりたいと思っております。

 続きまして、リユース容器への補助制度についてでございます。

 今年の2月、民間企業が中野セントラルパークで実施いたしましたテイクアウト食品へのリユース食器使用の実証実験では、返却ボックスの一つを本庁舎に設置する等、区も協力してまいりました。

 一般に、食器のリユースは、ごみ減量やプラスチック削減など環境面から普及に期待したいところでございますが、一方で、容器を確実に返却してもらう手法の導入や、衛生面を確実にする必要性を含め、コストもかかるところが事業者にとってネックとなってございます。

 現在のところ、直ちに補助金制度を導入することは考えてございませんけれども、リユース推進のためにはどのような施策が効果的であるか、研究してまいります。

〔総務部長濵口求登壇〕

○総務部長(濵口求) 私からは、環境施策についての御質問のうち、区役所1階食堂で使用する割り箸や食器についてお答えいたします。

 食器につきましては、耐久性に優れ、破損のリスクが少ないメラミン食器を使用しておりますが、箸やカトラリーについては、利用者の衛生管理に関する御要望、スタッフの負担軽減の観点から、使い捨てのものを使用していると聞いてございます。

 再利用可能な箸やカトラリーも利用者が選択できるよう、事業者に要望してまいります。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、歴史・文化の継承についてから、2点お答えいたします。

 地域や街角に残され、継承されてきた文化財についてでございます。

 過去の区民生活を示すもの、地域の歴史に関わるもの、地域や区民にゆかりがあるなど、これらに関する文化財は区と地域にとって重要なものであり、後世に継承していく意義のあるものであると認識してございます。

 次に、地域の文化財の実態把握についてです。

 庚申塔や石碑、地蔵など、地域で長年継承されてきた文化財については、過去に実態把握を行ったものの、最新の状況を把握し切れていないものがあり、また、この間開発等によって滅失してしまったものもあると認識してございます。

 このような未登録文化財の実態把握につきましては、対象や保存状況、方法等が異なることから、今後、中野区文化財保護審議会の意見を伺いながら、未登録文化財の保護と活用に関する考え方を整理していく中で、実態把握の考え方も明らかにしてまいります。

○議長(酒井たくや) 質問時間は終了しておりますので、答弁は結構です。

 以上で羽鳥だいすけ議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時20分休憩

 

午後3時40分開議

○副議長(木村広一) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 

 中野区議会議員 山 本 たかし

 1 学校教育と子どもの居場所について

  (1)開かれた教育委員会について

  (2)不登校対策について

  (3)学校給食について

  (4)子どもの夏の居場所について

  (5)大和公園再整備工事による影響について

  (6)その他

 2 物価高騰と金利がある世界における区の影響と対策について

 3 新庁舎窓口について

 4 西武新宿線野方以西連続立体交差事業について

 5 清掃事業について

 6 その他

 

○副議長(木村広一 一般質問を続行いたします。山本たかし議員。

〔山本たかし議員登壇〕

○39番(山本たかし) 令和6年第3回定例会におきまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。質問は通告のとおりで、その他はございません。

 1、学校教育について。

 (1)開かれた教育委員会について伺います。

 4月1日付で田代新教育長が新しく就任されました。

 区はこれまで、開かれた教育委員会として、時勢に沿って議題を選び、年に1回、昼の時間帯に傍聴に来ることができない方に向けた夜の教育委員会や、教育委員が区内小学校のうち1校、中学校のうち1校に年1回訪問し、学校の取組の現状を確認して生徒や傍聴者との意見を交わす地域での教育委員会などを行ってきました。地域には、教育に対する思いのある方はとてもたくさんおられます。特に、今は不登校課題に悩む保護者も多く、教育への視線も強く集まっております。

 区は、子どもをまちの真ん中に据えた地域づくり、「こどもまんなか社会」を目指している中、傍聴者数を見るに、現状、そうした方々との双方向なコミュニケーションが十分にできているとは思えません。

 以前、杉並区立第三小学校で行われた教育研究発表に参加してきましたが、体育館に100人以上の参加者がおられ、盛況ぶりに大変衝撃を受けました。教育委員と、教育界で著名なゲストスピーカーなどを招き、パネルディスカッション形式で行われておりました。

 研究発表のパネルディスカッションもさることながら、感心したのは、受付時に渡されたQRコードを読み込み、来場者がアンケートに答え、議論の中で感じた質問を投稿し、それにパネラーが回答する方式で、回答ができなかった質問についても後日学校のホームページに掲載されるなど、デジタルを活用した、今の時代に合った双方向なコミュニケーションがそこにはありました。

 区は、コミュニティ・スクールを進めていこうとしておりますが、地域人材の固定化という課題もあると考えます。区は、区全域で教育への思いを受け止め、コミュニケーションの場を増やすことで地域人材の掘り起こしを進め、流動性を高めていけるのではないでしょうか。

 区は、さらに開かれた教育委員会とすべく、こうした質疑応答スタイルも含めたパネルディスカッション形式の教育委員会を行うべきではないでしょうか、見解を伺います。

 (2)不登校対策について伺います。

 8月29日の子ども文教委員会で、不登校対策アドバイザー設置の報告がありました。区の支援にいまだつながれていない81人の子どもたちへアプローチするためでもあり、不登校対策について大きく進むことを期待いたします。

 これまで、常々私は議会において、平成28年の世田谷区不登校対策アクションプランのように、不登校対策だけの計画を出してほしいと求めてまいりましたが、区が示すとされた教育ビジョンの改定、第4次の中での微々たる記載にとどまり、とても区がどのように計画を立てて対応していくのかが不透明です。

 田代新教育長となられましたので、改めて伺いますが、現時点での全体計画を示すべきと考えます。見解を伺います。

 また、前職、田代教育長が校長であった中野中学校において、今年度から不登校特例校、通称N組が始まりました。国の不登校特例校の要件では、土地の都合などからなかなか難しい中野区において、東京都の補助を受けて、新たに東京都版不登校特例校として手を挙げ、意欲的に対応されていることを評価いたします。

 N組が始まって半年となりました。行うことで見えてきたメリットや課題をお示しください。

 私は、不登校への対応策として、不登校特例校と同時に、公設民営フリースクールの設置もこれまで求めてまいりました。子どもたちの状況と原因や対応策は一人ひとり違うということは共有されていると思いますが、世田谷区の公設民営フリースクールである教育支援センター、ほっとスクール希望丘に以前会派で視察に伺いましたが、やりたい思いをできるだけ形にさせてあげられる場となるよう、職員の方々の奮闘もさることながら、こうした学校や児童館とも違う居場所があることで救われる子どもたちは相当数いると考えます。

 区の教育センターであるフリーステップルームを民間に委託する形での工夫なども踏まえて、子どもたちが支援の手につながりやすくする場として充実し、選択肢を増やしていくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 (3)学校給食について伺います。

 今年の夏は、都内のスーパーやネット通販でお米が消えるなど、米不足について話題となりました。南海トラフ地震臨時情報での巨大地震注意喚起や報道により需要が喚起されてしまったためで、全国、地方には米があるという状況だったようです。

 いずれにせよ、備蓄率が低い状況にある中で、発災注意や現に発災があった際は、一気に品不足になることは否めません。そうした状況において、学校給食の食材調達における区の危機管理について伺います。

 今夏、一部米不足がありましたが、新米の時期を迎えるに当たり、卸値が前年より1,000円ほど高いとの報道もされている中、現時点での学校給食における影響と調達コストの予測はどのように考えておられるのか、伺います。また、食料危機時における学校給食食材安定確保について、区としてどう考えているのでしょうか。

 さらに、米、野菜などについて、全てを賄うことは難しいですが、少しでも助けを求められる食材調達先として選択肢を増やすことも重要です。連携自治体との調達協定を結ぶことも一例と考えますが、いかがでしょうか。

 今年度から、学校給食食材費が無償化となりましたが、公会計ではなく、学校長口座に前期と後期に分けて前渡金として振り込まれ、学校が事業者に振り込む私費会計処理となっています。予算額7億6,937万円余を小・中学校29校で単純に割っても、1校当たり2,653万円という金額であり、一つの学校現場が扱うにはふさわしくない金額だと考えます。

 決算時での会計の透明性や現場の事務負担、またこれまで他自治体において横領事故があったことから公会計化の流れが始まったことを踏まえると、執行に対して課題を感じます。公会計化にしない、できない理由は何なのでしょうか、区の認識を伺います。

 (4)子どもたちの夏の居場所について伺います。

 これまで、実際にプール現場を見に行く中で、日よけ対策の設置などを求めてまいりましたが、今年も酷暑だった中で、まず、今夏のプールの実施状況についてお示しください。また、厳しい環境が続く中、各学校によるプールを実施するための工夫を把握されていたら、お示しください。

 区は、今後の新校も含めて、プールについて全校にあるべきとの考えで整備してきましたが、この暑さにより屋外プールでの実施が難しい中で、拠点校に地下プールを整備する考えを持つことや、プール指導を委託する自治体も増えてきていることを鑑みて、区としても、暑さや教員の働き方、資材高騰、メンテナンス、維持費などのコスト面など、プールの在り方について考えを見直す時期が来ていると考えます。区としての考えを伺います。

 また、暑さ対策として、区は、夏季休業の間、学校図書館の開放をしていますが、利用状況についてお示しください。

 その他にも、子どもたちが友達と遊べる場所として、学校教室や区民活動センターなど区の施設の開放も必要ではないでしょうか。

 現状、学童クラブを利用していない小学校3年生ぐらいからの子どもたちの居場所が十分ではありません。子どもの多様な居場所づくり、とりわけ、毎年猛暑を記録する夏休み中の子どもの居場所づくりは重要な課題であり、これを早急に整備してほしいと考えます。区の見解を伺います。

 (5)大和公園再整備工事による子どもたちへの影響について伺います。

 現在、区は、公園再整備計画の一環で、大和公園の再整備工事の契約に向けて進めております。工事期間は今年の12月から来年の9月の予定を見込んでおります。

 大和公園は、遊具のある広場やボール遊びができるフェンスのある広場により小学生たちの遊び場として使われており、地理的状況から小学生が歩いていける距離として、他の代替施設を探すのは難しく、9か月の間使用不可となることは大きな負担を強いることになります。特に、学童を選択しない子どもたちの重要な遊び場となっております。

 大和公園再整備工事による子どもたちへの影響を鑑み、施工ヤードの使用が全面とならない工夫が必要だと考えますが、いかがでしょうか。また、閉校する明和中学校の校庭や明和中西側の都有地の借用などで対応できないでしょうか、見解を伺います。

 2、物価高騰と金利がある世界による区への影響と対策について伺います。

 令和5年度から公契約条例の運用が始まり、委託契約では1,170円の労働報酬下限額が設定されました。このことにより、令和5年度の財政への影響がどうだったのか、伺います。

 また、公契約条例では、労働報酬下限額の設定による労働環境の向上や公共サービスの品質向上も目的としていますが、実際に公契約条例を導入した効果について、区の見解を伺います。

 公契約条例対象事業の委託費だけではなく、区全体で約800の委託契約のうち、契約金額が1,000万円以下である対象外の事業が9割以上です。全体で見ると、委託費が物件費に溶け込んでいて見えません。物価高騰下の中、令和5年度の委託料総額は、新型コロナ感染症対策委託事業を除いて、前年比でどの程度上がったのか、お示しください。

 1999年からゼロ金利政策が始まり、2016年からマイナス金利政策が導入され、本年3月、マイナス金利政策の解除となりました。そして、ついに7月末の金融政策決定会合にて政策金利を0.25%程度引き上げることとなり、今後日本では、金利上昇局面を迎えるに当たり、預金や債券に対してより精緻な金利予測が求められるようになっています。

 金利がある世界に変わったことにより、基金及び区債に係る金利の影響も大きくなります。基金に係る金利のアップによる歳入増はあるものの、区債に係る金利負担増の影響のほうが大きいと考えます。これまでの基金への積立及び起債計画に係る考え方を見直すべきではないでしょうか、伺います。

 令和6年第2回定例会における総務委員会報告によると、令和5年度の積立基金運用益は6,200万円余り、運用利回りは0.08%となっています。金利がある世界でより有効な基金運用を行うため、資金運用の専門家とアドバイザー契約をして対応に当たることが必要ではないでしょうか。

 また、専門人材の育成も必要です。当区には、金利がある世界の公金運用を経験している職員はほぼおりません。

 渋谷区の会計管理室では、職員に専門知識の定着を図り、情報収集における金利の先読み能力を養うことを目的として、証券会社との勉強会を開催しています。研修を行うことによって職員の育成を図っていくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 3、新庁舎について伺います。

 5月7日におくやみ窓口が開設されて以降、相談者が多く、予約も取りにくい状態となっていると聞いております。これまでの相談実績、予約枠の申込状況はどのようになっているのか、伺います。また、予約なしで来る方にはどう対応しておられるのか、また、解決へと導けているのか、伺います。

 特に、御遺族が高齢の場合など、手続に関する負担、不安を軽減できることから、対面で相談できるおくやみ窓口の意義は大きいと考えます。超高齢化社会で多死社会を迎えている中、今、必要なときに相談ができるよう対応枠を増やすことも必要と考えますが、いかがでしょうか、答弁を求めます。

 次に、外国人相談窓口について伺います。

 開設後の外国人相談窓口の実績について、国別、年代別の傾向、主な相談内容などについてお示しください。

 外国人相談窓口については、単なる案内ではなく、生活上の困り事や悩み事についてしっかりと聞いて受け止め、解決の方法を共に考える窓口として開設されたものだと理解しております。この窓口の存在を外国人の方々に知ってもらい、活用してもらう必要があると思いますが、どのように周知しているのか、また、するおつもりなのか、伺います。また、これまで運用している中で、現状課題をどのように捉え、対策としてどのように考えているのでしょうか、伺います。

 以前、私が外国籍の区民の方から国保や滞納整理の相談を受けた際、通訳を介しても、日本語で書かれた区の制度手続などが難解で、区の資料を相談者が理解できず、対応に苦慮するケースがありました。外国人にとって難解な区の資料などは分かりやすい内容に変更すべく、外国人相談窓口職員の活用を図れないでしょうか、伺います。

 令和6年の予算特別委員会において、窓口サービスへの利用適性を考慮した翻訳機能つき透明ディスプレイの導入について質問いたしました。区は、新庁舎移転後の窓口の状況を踏まえ研究していくとの答弁でしたが、その後の進捗はどのようになっておられるのか、伺って、次の項に移ります。

 4、西武新宿線野方以西連続立体交差事業について伺います。

 今年も8月26日に決起大会が行われ、確認し合うことができました。決起大会後、地元の声や思いを届けるため、同日に東京都へ要請活動を行っていますが、今後も、国や西武鉄道株式会社などへの働きかけを区長自らが積極的に行っていくことが必要です。

 都議会では、単線シールド工法だけでなく複線シールド工法も検討すべきとの陳情が本年5月に趣旨採択で可決しました。この陳情が採択されましたが、鉄道立体化の範囲が決まらないと、都は構造形式の検討に入れません。また、鉄道立体化の範囲を決めるには、区が検討している野方1号踏切除却案の検討結果がなければ都は進めないと考えます。

 区長には、野方1号踏切の除却について早期に都と具体的な検討を進め、結論を出していただきたいと考えますが、現在の進捗を含め、答弁を求めます。

 また、沼袋4号踏切が除却されることが令和5年12月6日の中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会での質疑で明らかになりましたが、車が迂回することになることや、自転車や歩行者はどのように通れることになるのか、その後何も示されておらず、地域住民は不安に感じています。地域住民への説明機会を設けるべきです。答弁を求めます。

 5、清掃事業について伺います。

 清掃事務所の職員は現在高齢化が進んでおり、技術や道を覚えるといった能力の継承に課題があります。

 21年ぶりに一昨年から新規採用が始まり、3人採用、去年も3人採用、今年も若干名という形で募集がかかっております。仮にこのまま毎年3人ずつ採用していくとすると、退職を踏まえた職員合計と60歳超割合で予測を立てると、4年後の令和10年度には60歳超割合が半数近くになるとも言われております。定数80人を維持できるように採用していくだけでは限界を迎える時期が来てしまうと危惧しております。

 柔軟かつ持続可能に清掃事業を実施していくために、将来を鑑みて採用スケジュールの前倒しを行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 今年度も清掃職員採用の案内をされておりますが、運転手の採用はありませんでした。

 現在、雇上会社に委託をされておりますが、雇上会社側での運転手人材の高齢化もあり、採用難が続いている状況と聞いております。運転職から作業職へは移行しやすく、実際移行される方もおり、その反面、作業職から運転職への移行は、道を覚えるのに相当な時間を要することから、難しいと聞いております。

 通常時だけではなく、災害時を鑑みて、今の人員計画が持続可能とは思えません。区としても積極的に運転手職の採用をするべきではないでしょうか。また、現在区は22台所有しておりますが、台数分の運転手を計画的に確保すべきと考えますが、いかがでしょうか、区の見解を伺います。

 今年も過酷な暑さの中、現場職員からは7時40分の始業時間で既に暑く大変だと伺っており、現場環境は深刻です。

 清掃事務所では、以前から実施している熱中症対策として、職員の作業編成が可能であれば、一部の組に対して作業回数を減らす軽減作業のほか、塩分補給タブレットや冷却材の配布、冷蔵庫、冷凍庫の利用、休憩時間のシャワー利用を行っています。

 しかし、夏季における職員個人による水分補給に係る経費が増大しており、特に給料の少ない若手だと、家計に大きな負担になっていると耳にしております。平成18年の区への移管時に、日額700円の清掃事務所職員への特殊勤務手当ができましたが、いわゆる危険手当であって、水分補給を目的としているものではありません。

 過酷な暑さは想定していた作業環境の激変であり、仕事として作業に当たるための水分は業務上不可欠に必要なものであり、命の水です。熱中症対策、水分補給としての新たな特殊勤務手当の創設を検討するべきではないでしょうか、区の見解を伺います。また、職員の命を守るために、さらなる熱中症対策として、水分補給物または粉末ドリンクを現物支給できないのでしょうか。難しいのであれば、その理由をお示しください。

 最後に、今年からファン付きベストが試験運用されました。

 現場からは、バッテリー容量が下位モデルで、常に動きながらの業務となるので最大回転数でファンを回したいが、すぐ充電切れになってしまうので、バッテリーを自費で買い換えたとも伺っております。

 職員の命を守る重要なものですので、現場職員の声を聞いて、作業に安全かつ熱中症対策に効果的なファンベストや作業着などを導入すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺って、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 山本議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、まず最初に、学校教育と子どもの居場所についてで、子どもの居場所づくりについてでございます。

 多様な子どもの居場所づくりは重要であると考えておりまして、区はこれまで、キッズ・プラザの新開設を進めつつ、子ども専用の学習スペースを増やし、放課後や夏季休業期間に学校図書室を開放するなど取組を強化してまいりました。さらに、地域の身近な居場所である児童館について、開館日時を拡充することとし、令和7年度は2館の児童館の民間委託化と同時に、週7日の開館とすることなどを検討しているところであります。

 今後も、子どもを取り巻く環境の変化を捉えて、夏季休業期間を含め、子どもが安心して過ごせる多様な居場所づくりに重点的に取り組んでいく所存でございます。

 次に、工事施工ヤードの工夫についてということで、大和公園の再整備工事についての質問でございます。

 この公園再整備工事では、公園利用者への影響を考慮し、早期の完成を目指しております。部分的な開放は施工ヤードを分割することによる工事の進捗に影響がありますが、公園利用者の安全を確保することを第一としながらも、受注者に申入れを行い、検討してまいります。

 代替の遊び場の確保についてでございます。

 工事に際しては、近隣の公園の場所やそれぞれの公園における施設の内容やできることについて案内していく予定であります。公園外の土地を活用した遊び場の確保については、利用条件も含め検討する考えでございます。

 次に、物価高騰と金利がある世界における区の影響と対策についてで、労働報酬下限額の設定に伴う財政への影響についてです。

 受託者からの公契約条例遵守状況報告書により、労働報酬下限額と同額で報酬を受けた人数を確認の上、最低賃金との差額の年間総額を計算し、財政への影響想定を算出いたしました。労働報酬下限額の設定に伴う財政への影響として、令和5年度は公契約条例適用委託契約の総額54億3,020万円のうち、0.92%に当たる4,985万円程度だと想定をしております。

 公契約条例導入による効果についてです。

 受託者へ行ったアンケートによると、労働報酬下限額の設定により、支払う賃金が増えた事業者が6割を超えたほか、労働者の意欲や業務の質、求人への応募状況も向上したと回答した受託者も確認できております。

 適正な労働条件を確保の上、公共サービスのさらなる品質向上や地域経済の活性化を目指し、引き続き適切な制度運用に努めてまいります。

 令和5年度の委託料総額の増加割合についてでございます。

 新型コロナウイルス感染症対策に係る委託を除いた令和5年度の委託料総額は、約199億円となっております。委託内容が変更しているものもあり、単純な比較はできませんが、令和4年度の185億円と比較すると約7.6%の増となっております。

 金利負担増を踏まえた基金積立てと起債計画についてです。

 金利上昇の局面においては、公債費負担比率の上昇と将来負担の増をより一層考慮する必要があると認識をしております。一方、基金の積立ては、施設整備等の将来の投資的事業に備えて計画的に行っておりますが、その積み増しは一般財源の負担増につながることになります。

 基金積立て及び起債発行については、将来世代の負担が大きくならないよう慎重に検討し、安定的な財政運営に努めてまいります。

 資金運用の専門家とのアドバイザー契約についてです。

 基金運用に当たっては、金融機関や証券会社との連絡を密に行い、経済や金融情勢、金利動向などの把握に努めております。

 基金運用については、元本の保証や歳計現金の残高を踏まえた運用期間の設定などの制限があり、資金運用の選択肢が限定されることから、現時点では専門家とアドバイザー契約することは予定しておりません。

 研修による職員の育成についてでございます。

 基金運用に携わる職員については、OJTのほか、金融機関等が実施する研修への派遣等により人材育成を進めてまいります。

 続きまして、新庁舎窓口についてで、おくやみ窓口の実績と予約状況、予約なしの対応についてです。

 利用実績は、開設から8月末まで約4か月間で、窓口対応が予約者146件、予約なし97件、電話相談が144件、計407件でございます。今後の予約枠の申込状況は、9月10日現在、1か月先までほぼ埋まっており、必ずしも希望に沿えない状況となっております。

 予約なしの方への対応については、4階の区民相談窓口で対応しております。相談者の状況に応じて、区役所内での手続やその他相談先に関する情報をおくやみガイドブックなどを用いて提供しております。

 対応枠についてです。

 今後の利用拡大を見込み、相談者が相談したい日時におくやみ窓口が利用できるよう、職員の配置の調整など取り組んでいるところであります。

 続きまして、外国人相談の相談実績です。

 開設以来、8月末までの4か月間に172件の相談がありました。国別では、中国の方が約半数でございます。年代別では、幅広く相談を受けておりますが、20代、30代の若い方が多い傾向であります。相談内容としては、区役所内の手続に関することのほか、保育園の変更手続、医療費助成制度の更新、給付金の受給対象に関する問合せなどが多かったということでございます。

 周知についてでございます。

 区報や区ホームページの掲載をはじめ、転入手続の際に窓口で案内チラシをお渡ししているほか、区内日本語学校、大学、国際交流協会などの関係機関、また、地域に対しては町会・自治会や民生児童委員、行政相談委員などへも協力を要請しております。また、庁内に向けても定期的にニュースを発信して相談事例を共有して周知するなど、各窓口での外国人相談窓口の案内や対応困難時の協働的な対応を促しているところであります。

 外国人相談の課題についてでございます。

 現状の課題は、相談窓口の認知度向上が最優先課題と考えております。対策の一つとして、区役所1階ナカニワでの相談会の実施など、目に見える形での相談機会を設けたいと考えております。外国人にも分かりやすい説明資料の準備については、各窓口所管と連携し、日本語資料を外国語に翻訳する際に、留意点の共有や作成支援することなどにより、相談者の利便向上を図っていきたいと考えております。

 次に、翻訳機能付き透明ディスプレイ導入の検討状況です。

 翻訳機能付き透明ディスプレイについては、外国人や耳の不自由な方への案内の拡充に向け、9月25日から2週間、総合案内窓口や庁内で利用希望のある窓口において実証実験及び試験運用を行う予定であります。それぞれの窓口において、職員から利用状況や機器の性能についてのアンケート、ヒアリングを行い、具体的な導入に向け、引き続き検討を進めてまいります。

 次に、西武新宿線野方以西連続立体交差事業についてで、1号踏切除却時の検討状況についてです。

 まちづくりを進める上で重要な課題であると考えております。現在、野方駅周辺のまちづくりなど、区の検討内容を踏まえ、鉄道立体化の範囲や事業スキームについて、都と調整を行っております。

 引き続き、区としては、都と密に連携を図りながら、野方1号踏切の除却を含めた連続立体交差化計画の早期事業化を目指してまいります。

 沼袋4号踏切廃止に伴う代替施設についてです。

 連立事業の施行に伴い廃止となる沼袋4号踏切については、代替施設である横断歩道橋等の整備について、東京都、中野区及び西武鉄道株式会社で検討を行っております。代替施設の整備に関する地域住民への説明については、東京都、中野区及び西武鉄道株式会社が相互に連携、協力して行う予定でございます。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、学校教育と子どもの居場所についての御質問について回答していきます。

 まず最初に、開かれた教育委員会についてです。

 教育委員会では、今年度初めて、中学生とパネルディスカッション形式の対話形式を行ってまいりました。こうした取組をさらに広げることができるか、今後教育委員会で検討してまいります。

 続きまして、不登校対策の全体計画についてです。

 不登校対策については、不登校児童・生徒の現状、支援の方針、今後の取組等を盛り込んだ全体計画を年度末までに作成し、公開していく予定です。

 続きまして、チャレンジクラスN組のメリットと課題についてでございます。

 前籍校では学校に通えていなかった生徒がほぼ毎日通うことができるようになり、校外学習や学校行事にも参加することができております。9月15日から修学旅行に3年生の2名が参加する予定になっております。

 一方で、チャレンジクラスの教育課程や指導内容が十分に周知できていないことが課題であり、今後は定期的に保護者会や体験入学の機会を行い、理解を広めていきたいと考えております。

 フリーステップルームについてでございます。

 不登校児童・生徒の学びを保障し、人とのつながりを持てるようにするためには、一人ひとりに応じた学び方や居場所を用意していくことが重要であると考えております。一人ひとりにきめ細かく対応するためには、民間の力を取り入れることなども視野に入れながら、フリーステップルームを整備することを検討してまいります。

 続きまして、米の価格高騰による学校給食への影響でございます。

 米は、学校給食の献立において使用頻度が高い食材であり、米の高騰は学校給食への影響も大きいと認識しております。一部の学校からは、今後影響が見込まれそうである旨の報告を受けているところであり、今後、流通や価格動向を注視していく必要があると考えております。

 続きまして、食料危機の際の安定的な食材提供についてでございます。

 食材調達は各校において複数の納入業者と契約を交わしており、在庫不足等に柔軟に対応できるようにしております。また、関係機関と情報共有をするとともに、食材の仕入れ状況に応じて献立変更を行うなど、迅速に対応できるようにしてまいります。

 続きまして、連携自治体との食材提供に関わる協定についてでございます。

 食料危機時には食材を確保することが第一優先になります。一方で、学校給食を提供するには大量の食材を必要とするため、輸送も含めた体制を確保していく必要があります。食料危機の際の食料確保について何ができるか、連携自治体との協定の締結も含め、研究していきたいと考えております。

 続きまして、給食費公会計化についてでございます。

 給食費の公会計化の効果は教員の業務負担の軽減や保護者の利便性の向上等がありますが、今年度より給食費を全額補助しているため、これまで負担になっていた保護者からの給食費の納入及び滞納処理がなくなっている現状がございます。公会計化により見込まれていた効果が少なくなっている状況でもあり、費用面や体制面を考慮すると、直ちに公会計化を導入することは難しいと考えております。

 続きまして、夏のプールの実施状況と実施の工夫についてでございます。

 今年度の夏の休業時の水泳教室については、計画した日数に対する執行率は小学校65%、中学校100%でした。暑い中で実施する工夫として、プールサイド等への散水や簡易的なひさし等の設置、水温を下げるための水の入替え、こまめな水分補給及び休憩を実施してまいりました。

 プールの集約化についてでございます。

 学校プールの集約化をする上では、水深などの施設の安全性をはじめ、児童・生徒の移動時の安全性の確保や輸送手段の手配、年間指導計画の見直し、教職員の負担、また、区のプール施設との利用調整などの課題を整理する必要があります。

 今後、これらの課題を整理するとともに、他の自治体の取組を参考にしながら、学校プールの集約化について研究してまいります。

 最後に、夏季休業中の学校図書館の利用状況についてでございます。

 各小・中学校においては、夏季休業期間中も学校休業期間を除く平日に学校図書館指導員を配置して学校図書館を開館してまいりました。休業中に利用した合計人数の平均は、小学校202人、中学校102人が利用し、好きな本を読んだり自習等を行ったりしていました。

 以上です。

〔総務部長濵口求登壇〕

○総務部長(濵口求) 私からは、清掃事業についての御質問のうち、清掃技能職員の採用についてお答えいたします。

 清掃事業は、大規模災害など非常時における安定的な運営確保の必要性などから、一定規模の直営を維持するための人員を確保することとしてございます。職員の年齢構成比の適正化を図ることは重要だと認識してございまして、区全体の職員数の状況を鑑み、清掃技能職員の採用についても検討を進めてまいります。

 次に、清掃事務所運転手の確保についてでございます。

 現状では、運転手の新規採用に当たっては、災害時等、燃やすごみの収集に必要な清掃車両台数の3分の1を直営車両で対応するための職員数を確保していくこととしてございます。安定的な清掃事業を確実に実施していくために、職員の退職状況などを踏まえて職員採用の必要性を検討してまいります。

 次に、水分補給のための手当の検討でございます。

 特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務その他著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつその特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員に支給する手当でございます。清掃業務に従事する職員に対しては、廃棄物の処理を直接行う業務またはこれに密接に関連する業務に従事したときに、清掃業務従事職員手当を支給してございます。

 水分補給のために新たな手当を創設することは難しいところですが、清掃技能職員の夏季における健康管理の対応につきましては、これまでも被服の工夫など取り組んできたところでございまして、引き続き検討してまいります。

〔環境部長浅川靖登壇〕

○環境部長(浅川靖) 私からは、清掃事業について、二つお答えをいたします。

 職員の飲料等の公費による購入についてでございます。

 熱中症対策には水分や塩分の適切な補給が必要でございまして、特に炎天下、ごみ収集に当たる職員には、このことの大切さを日頃から周知しているところでございます。一方、プライベートな消費との線引きがしにくい等の理由により、公費による飲料の現物支給はこれまで行ってきていないものでございます。

 気候変動による気温上昇が著しい昨今、収集職員の熱中症対策はこれまで以上に切実なものになってございます。収集作業の安全を確保するため、職員の意見も聞きながら、水分補給等の在り方についても検討してまいります。

 熱中症対策についての、ファン付きベストの購入についてでございます。

 この夏、収集作業職員の熱中症対策を考える上での試行として、ファン付きベストを購入いたしまして、希望する職員に着用してもらったものでございます。職員の感想といたしまして、一定の効果があるという声もある一方、使い勝手や性能面に課題があるとの意見もございました。

 現在、着用した職員にアンケート調査を実施してございまして、その結果を踏まえ、費用対効果も勘案しつつ、ファンつきベスト等職員を熱中症から守るための対策を講じてまいります。

○副議長(木村広一) 以上で山本たかし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 大 内 しんご

 1 私立幼稚園の支援について

  (1)園児の保護者に対して

  (2)私立幼稚園の運営に対して

  (3)その他

 2 なかの東北絆まつりについて

  (1)能登半島地震について

  (2)前夜祭について

  (3)東北関係等の自治体、及び関連団体について

  (4)その他

 3 中野四季の森公園について

  (1)駐輪場について

  (2)芝生について

  (3)その他

 4 その他

 

○副議長(木村広一) 次に、大内しんご議員。

〔大内しんご議員登壇〕

○29番(大内しんご) 令和6年9月11日、一般質問をいたします。

 最初に、私立幼稚園の支援について質問をいたします。

 私立幼稚園の子どもたちの豊かな未来を守るための保護者への支援と、中野区の幼児教育衰退の危機を乗り越えるため、私立幼稚園の運営に対する支援について質問をいたします。

 中野区の私立幼稚園には長い歴史があり、戦後復興の極めて困難な状況においても、遊び場を失った子どもたちの未来を案じ、必死で幼児期の地域の公教育を守ってきました。

 区も、これまで私立幼稚園に対し一定の支援を行ってきたものと認識をしておりますが、未就学人口の減少にコロナ禍、幼児教育・保育無償化の影響も重なり、平成30年度は2,840人であった私立幼稚園の園児数が、約6年たった今年度は1,656人と、約40%減、1,200人近くも減少しており、私立幼稚園の経営に深刻な影響を与えております。中野区では保育園も定員割れを起こし、まさに幼保全体減の様相を呈しており、幼稚園と保育園が少ない園児を取り合うかのような状況になっております。

 私立幼稚園は、令和4年度に1園が閉園し、今後も、令和6年度末で2園、令和7年度末にも1園が閉園となります。地域の信頼を得ながら長い時代を歩んできました私立幼稚園の閉園を、このまま見過ごすわけにはいきません。

 中野区の幼児教育衰退の危機を脱し、子どもたちの豊かな未来を守る施策を充実していくため、まず、保護者に対する負担軽減について伺います。

 月々の保育料については補助制度が導入されており、中野区では保護者が保育料を幼稚園に納めてから、区から保護者に対し補助を行う償還払い方式となっています。近隣区では既に実施していますが、この補助の仕組みを変えて、区から保護者に交付している補助金を幼稚園に直接交付し、保護者は保育料と補助金の差額のみを幼稚園に納める代理受領方式にすることはできないのでしょうか、お聞きいたします。

 次に、入園料について、こちらも補助の対象となっていますが、補助額が中野区の4万5,000円に対し、近隣区の渋谷区が8万円、杉並区は6万円、練馬区は5万円です。私立幼稚園の入園料は平均で約10万3,000円となっており、補助額を見直すべきではないでしょうか、伺います。

 次に、私立幼稚園の運営等に対する施策について質問します。

 私立保育園に比べ私立幼稚園への補助は少なく、経営は苦しいものとなっており、幼稚園教諭の処遇も保育士と比べるとまだまだ厳しいものとなっております。幼稚園教諭も保育園の保育士も、園で行っている教育・保育内容に魅力を感じて就職し、長く勤められることが子どもの安全の礎となることから、公平な補助を実施すべきです。そこで、私立幼稚園での幼児教育の振興、充実のために充てられる教育環境整備補助の充実を図ってはいかがでしょうか。

 中野区の私立幼稚園では、全園で預かり保育を実施しています。地域の子育て支援において、終業後だけでなく早朝や長期休業中も預かり保育を実施するなど、幼稚園での預かり保育の取組をさらに充実していくことが期待されています。ついては、預かり保育推進等補助など、一時預かりに関する補助の増額を検討してはいかがでしょうか。

 東京都では、保護者の就労等の有無にかかわらず、幼稚園等で子どもを定期的に預かり、多様な他者との関わりの中で様々な体験を通じて子どもの健やかな成長を図ることを目的とする取組、多様な他者との関わりの機会の創出事業を令和5年度より開始しています。

 近隣区の杉並区、板橋区では、この事業の補助金を利用し、幼稚園を対象とした未就園児の定期的な預かり保育を実施しています。中野区でも、幼稚園で多様な他者との関わりの機会の創出事業を実施してはいかがでしょうか、伺います。

 次に、来月10月26日(土曜日)、27日(日曜日)に開催が予定されているなかの東北絆まつりについて、何点かお伺いをいたします。

 本イベントは、中野において東北の主要な祭り、ねぶたをはじめとする東北の文化、芸能、踊りが一堂に会する、中野を代表し30万人が来場するイベントとして区民の皆さんに定着してきました。昨年、2023年からは東北絆まつり関係市の各自治体との調整がつき、今年度もなかの東北絆まつりの名称により開催されています。

 私たち中野区議会といたしましては、超党派の議員有志で構成している議員連盟の名称に絆を取り入れ、東北絆・ねぶた振興中野区議会議員連盟を結成し、精力的に、PR活動やねぶた運行をはじめとするなかの東北絆まつりのパレードへの参加など、行政と協力して東北絆応援団として取組を進めてまいりました。

 今年の夏も、議員連盟有志で福島県福島市、秋田県秋田市、岩手県盛岡市を訪問し、相互の発展、協力に向けさらに連携を強化していく旨協議を行ってまいりました。いずれの自治体からも、中野区が長年にわたり東北支援に取り組んでいることに対しての感謝の言葉を頂きました。

 これまで東北関係自治体と交流連携協定や災害協定を結んできましたが、協定を結んで終わりではなく、災害が発生した際には迅速、適切に支援体制が取れるよう、平常時から顔が見える関係を、このなかの東北絆まつりを通してさらに育んでいただきたいと思います。

 質問をいたします。

 まだ記憶に新しい、本年元旦に発生した能登半島地震は、私たちの防災対策について改めて確認をする機会となりました。さきの一般質問で、能登半島地震で被災された地域への復興支援、復興状況について、なかの東北絆まつりにおいて何らかの形で取り上げることを提案しました。どのように実施していくお考えなのか、伺います。

 なかの東北絆まつりの開催前に、関連イベントとして、青森ねぶた祭の花形である跳人の体験や、中野区版ミスター跳人を選ぶコンテスト、山形市の芋煮販売、盛岡市のわんこそばなどを扱った企画を検討していると聞いております。さきの一般質問でこのことも提案させていただきましたが、現在どのような検討状況でしょうか、伺います。

 今年5月に中野区役所が新庁舎に移転したことから、なかの東北絆まつりの会場についても、四季の森公園エリア、区役所新庁舎を中心として開催することになりますが、それぞれのスペースを生かしてどのように開催する予定でしょうか。また、なかの東北絆まつりの目玉となっている東北絆パレードについては、どのような内容での実施が検討されているのでしょうか。現在の準備状況をお伺いします。

 また、パレード実施に当たっては、東北絆まつり実施に当たり多大なる御協力を頂いている東北の自治体関係者や区内の関連団体の皆さんが観覧できる席を用意するといった配慮も必要と考えます。検討してはいかがでしょうか。

 今年から、東北絆まつりの会場は区役所新庁舎周辺となります。中野駅から東北絆まつりの会場までスムーズに誘導できるよう、中野駅改札付近や途中にある旧中野区役所に大きく会場までのルート、のぼり等の案内表示を行うべきと思いますが、どのような対応をお考えでしょうか。

 この項の最後に、来年度は中野四季の森公園前の道路に新たな横断歩道が設置される予定もあります。パレードや他のイベント開催時間に合わせ、交通規制の時間を長く取り、ゆっくりと観覧できるよう、交通規制時間の延長などを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 最後に、この祭りが契機となり、2022年には青森県黒石市と交流連携協定を結びましたが、黒石市には紅葉シーズンの景勝地となる中野もみじ山があります。中野区にも紅葉山公園があることから、黒石市の市制施行70周年のタイミングで、市の木として紅葉を定めている黒石市から、交流の紅葉記念植樹事業を実施したいとの提案があり、来月の東北絆まつりの前日に中野区で植樹式が開催されることを御報告いたします。

 最後に、中野四季の森公園について伺います。

 中野四季の森公園は、中野駅から近く、2ヘクタールを超える規模で、芝生エリア、イベントエリアがあります。日常では、子どもから大人まで様々な方の憩いの場となっており、東北絆まつりをはじめとした大規模なイベントが開催される際には来場者も多く、にぎわいの場となるなど、中野区を代表する大規模公園であります。

 イベントエリアの隣接地に区役所も移ったことで、連続的な活用も期待されるところですが、今回は、自転車の駐輪と芝生の管理について伺います。

 まず、自転車の駐輪についてです。

 中野四季の森公園には、イベントエリア側に、東京建物株式会社の中野セントラルパークサウスに地下自転車駐車場が整備されていますが、一般的な公園のように地上部への駐輪場所が設けられておりません。現地を見ると、中野セントラルパーク側も含め、放置自転車のような自転車が多数止められております。

 そこで、伺います。夏の水遊びができる期間に臨時の駐輪場所が設けられていることや、イベント利用時に臨時の駐輪場を設けている例があると思いますが、これらの設置要件はどのようなものなのでしょうか。また、今後地上部に常設の駐輪場所を設けることの考えはあるのでしょうか、伺います。

 また、イベントエリア側の地下自転車駐車場は、一時利用として公園利用者も使用することができます。自転車駐車場があることを分かっていない公園利用者も多くいると思われます。近くに駐輪場所があるのであれば、分かりやすい方法で案内すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、芝生の管理について伺います。

 中野四季の森公園北側のイベントエリアにあるのは、芝ではなく草地です。現在の草地の状態を見れば分かりますが、草地では、夏場、草がすぐに伸びてしまうため、小さい子どもが遊ぶことやピクニックなどを行うには使いづらい状況です。一方、南側にある芝生エリアは草地のような状況になりにくく、様々な人にとって使いやすく、人気の場所となっています。

 中野を代表する中野四季の森公園は、芝生であることが魅力の一つと言えます。これまで芝生地の管理については、張り芝や種をまくことで年間を通じて芝生を維持できるよう取り組んできていると思います。しかし、日陰になりやすいことに加え、排水設備は埋設されているものの機能が十分でないなど、根付きが悪い状態が見られます。

 もちろん、人気のある中野四季の森公園では、休日などを中心に多くの方が利用されていることから、芝生が傷みやすいという実情も理解できます。最近では、芝生養生中でも他の芝生エリアを開放するなど、利用者のニーズを満たす工夫もされていますが、今後も青々とした芝生をつくり出していくための取組が必要です。

 そこで、伺います。中野四季の森公園では、先行的に整備された芝生エリアは整備後10年を超え、土壌も硬くなっていることや、地形的な理由もあり、現在のままでは良好な育成が難しくなっていると思います。景観性や快適性を高めるためにも、排水設備や土壌の改良などが必要です。今後の芝生地の改修や管理はどのように考えているのでしょうか、質問をし、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。

 まず、私立幼稚園への支援についてで、保育料の代理受領についてでございます。

 償還払いは、保護者が幼稚園に納めた後、申請に基づき補助を行うため、納付時の負担が大きくなることが課題であると認識をしているところでございます。今後は代理受領とし、保護者負担の軽減を図るよう調整をしていきたいと考えております。

 次に、入園料の補助額についてでございます。

 入園料に対する補助額については、各区の動向等を踏まえながら検討してまいります。

 次に、教育環境整備補助の充実についてです。

 教育環境整備補助には幼稚園教諭の処遇改善に係る補助も含まれておりまして、今年度から幼稚園教諭の健康診断費用を補助対象とするなど、拡充を図ってまいりました。さらなる拡充については、各区の動向や社会情勢等を踏まえ、検討してまいります。

 一時預かりに関する補助の増額についてです。

 幼稚園で実施している一時預かりは、地域の子育て支援に資するとともに、幼稚園の利便性向上の上で重要な施策であると認識しております。区はこれまでも、一時預かり制度の拡充に伴い、補助の増額などを実施してきたところでありまして、今後も検討してまいります。

 多様な他者との関わりの機会の創出事業の幼稚園での実施についてです。

 東京都の多様な他者との関わりの機会の創出事業につきましては、区内私立幼稚園から実施したいとの要望を受けておりまして、実施できるように検討してまいります。

 次に、なかの東北絆まつりについて。

 能登半島地震の復興についてです。

 今年度の東北絆まつりにおいては、能登半島地震からの復興を祈念し、震災復興祈念展において警察や消防、自衛隊の活動報告の展示を実施するほか、特産品販売としての石川県のブースを出展していただく予定でございます。

 関連イベントの実施についてです。

 今年度は、事前イベントとして、跳人衣装の着付け、跳ね方体験会を9月7日に実施し、2回目を10月19日に実施する予定です。また、前日イベントとして、山形市の芋煮や盛岡市のわんこそばの提供等を実施する方向で調整を進めているところでございます。

 今年度の実施内容です。

 今年度の東北絆まつりは、旧庁舎や中野サンプラザの閉館に伴い、新庁舎と中野四季の森公園周辺を会場として実施する予定であります。

 区役所1階及び区役所前広場をA会場とし、式典やステージ、震災復興祈念展を実施いたします。中野四季の森公園イベントエリア及び中野中学校グラウンドをB会場とし、特産品販売やグルメブース、東北関係市のPRや演技を実施いたします。中野四季の森公園の芝生エリアをC会場とし、特産品販売及びグルメブースを実施する予定であります。

 パレードにつきましては、青森ねぶた祭、盛岡さんさ踊り、仙台すずめ踊り、秋田竿燈まつり、山形花笠まつり、福島わらじまつり、黒石よされなど、東北関係市に御参加いただき、例年どおり盛大に実施する予定でございます。

 パレードの観覧席についてです。

 今年度のパレードの実施に当たっては、東北関係市など東北絆まつりの開催に御協力いただいている来賓の方々の観覧について、設置場所等も含めて工夫をしてまいります。

 次に、中野駅と会場の動線についてです。

 今年度は、会場配置の変更によって中野駅から東北絆まつり会場までの距離が離れていることは課題であると認識しております。東北絆まつりの開催期間中は、中野駅北口駅前広場で東北関係市の演技を披露するほか、会場に人を誘導するための掲示物の設置や人員の配置など、対策を講じていく考えでございます。

 イベント時間に合わせた交通規制についてです。

 中野四季の森公園の芝生エリアとイベントエリアを結ぶ横断歩道につきましては、令和7年の夏頃までに設置できるよう、交通管理者が準備を進めていると聞いております。来年度に向けて、祭りの実施内容や交通規制に関する交通管理者との調整など、さらなる方策についても検討してまいります。

 以上でございます。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) 中野四季の森公園についての御質問にお答えをいたします。

 駐輪場所の設置について。

 中野四季の森公園の地上部での常設の駐輪場所の設置は、日常的に公園利用者以外の自転車も呼び込んでしまうことで快適に利用できる空間が少なくなることや景観が損なわれるため、考えておりません。

 一方、例えば夏場の水景施設利用の来場者が多い場合など、状況に合わせて臨時的に駐輪場所を設けており、利便性向上に努めているところでございます。また、イベント時には、自転車による来場者が見込まれる場合には、イベント実施者に駐輪場所を設けることも検討していただいているところでございます。

 続きまして、駐輪場所の明示について。

 中野四季の森公園地下自転車駐車場などの案内をしているところでございますが、分かりにくいという声も受けております。放置自転車への直接的な案内のほか、現地掲示においても分かりやすい表示方法を検討してまいります。

 最後に、快適な芝生地への取組についてでございます。

 中野四季の森公園の芝生エリアでは、現在、土壌調査を行っております。引き続き、土壌改良や排水性能の向上などの検討を進め、快適に活用できるよう取り組んでまいります。

〔大内しんご議員登壇〕

○29番(大内しんご) 再質問します。

 中野四季の森公園のことなんですけれども、土壌改良とかは分かるんですけれども、大々的に公園の土壌改良をしないと、今のところを表面上やっても難しいのかな。排水設備についても非常に、あまりよくないということで。

 要するに、大々的な工事というものを、するかしないかは別にして、する必要があるかどうかの調査とかはしないんですかということを聞いているんです。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) 再質問にお答えをいたします。

 まずは、本年度行う土壌調査、この結果を踏まえまして、どの程度の状況なのか、またどういった改良の可能性があるのか、そういったところを具体的に検討しながら最終的な判断をしてまいりたいと考えております。

○副議長(木村広一) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 白 井 ひでふみ

 1 教育・子育て支援について

 2 公益通報制度とハラスメント対策について

 3 まちづくりについて

 4 防災対策について

 5 その他

 

○副議長(木村広一) 次に、白井ひでふみ議員。

〔白井ひでふみ議員登壇〕

○19番(白井ひでふみ) 令和6年第3回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりで、1、教育・子育て支援について、2、公益通報制度とハラスメント対策について、3、まちづくりについて、4、防災対策について、5のその他はありません。

 初めに、1、教育・子育て支援について。

 子ども・子育て世帯の貧困対策について伺います。

 今月の9月より、区では、中野区子どもと子育て家庭の実態調査を行います。令和元年の初調査から節目の5年目を迎え、2回目となる経済的に困窮するひとり親世帯などの実態把握のための調査です。

 この間、国においては、令和3年に子どもの生活状況調査の分析として、子ども・子育て世帯の貧困の実態調査が初めて取りまとめられました。等価世帯収入の中央値の2分の1で区分し、準貧困層は36.9%、貧困層は12.9%、ひとり親世帯では貧困層が50.2%、母子世帯では54.4%となっています。さらに、現下の物価高騰の影響は、経済的な困窮度を増しています。

 令和元年の調査結果から、区は、経済的に困窮する子ども・子育て世帯への対策として、学び・体験の支援、生活の支援、体制づくりと連携促進の三つの柱からなる施策を推進してきました。

 一つ目の、学び・体験の支援、学習支援についてお伺いいたします。

 貧困の連鎖を断ち切るためには、学びが力となる、そのために学習支援が必要であるとの考えから、子どもたちの学習状況を把握し、経済的に困窮する世帯への学習支援体制の拡充を求めてきたところです。

 区は、中学生から小学校4年生までの対象を順次拡充し、学習塾による学習支援体制や受講回数を増やしてきました。これまで、学習支援を必要とする子どもたち全員が受講できるように定員の拡充を求めてまいりましたが、十分な定員が確保できているのか、お伺いいたします。

 また、受講対象者の拡充も求めてきたところです。本年度は小学校4年生まで拡充しましたが、さらに低学年においても学習支援の取組を進めるべきと考えます。通年での取組が望ましいですが、夏休みなどを利用した夏季講習のような形式だけでも実施できないかと考えますが、お伺いをいたします。

 次に、二つ目の柱、生活の支援についてお伺いいたします。

 経済的な理由から十分な食事の準備ができないため、給食のない夏休みは要らないとの声があります。物価高騰の影響が拍車をかける中、学校給食のない夏休みを初めとした長期休暇に、家庭で十分な食事を取ることが難しいひとり親家庭の子どもたちなど空腹を抱える子どもたちへ食事や食材を届ける支援を実施すべきと考えますが、お伺いをいたします。

 この調査はそもそも無記名で行われるため、個人の特定ができません。そのため、個人の状況把握から支援につなげていくためには、学校など子ども関係者の見守りの目を行き渡らせていくことが不可欠です。

 三つ目の柱の体制づくりと連携支援については、さらなる検討が必要であると感じます。個々人の支援につなげるために、支援を必要とする子どもたちの変化を見逃さない一層の体制強化、連携強化が必要であると考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 令和元年の初調査時から政策が大きく変わった点は、子どもに関する区の施設展開が挙げられます。18館ある児童館を9館に半減させるとの考えを改め、再検討の後、児童館を三つの機能に分類、移行していくとの計画が示されています。

 区有施設整備計画の改定の根本的な考え方である老朽化した区有施設更新時期の考え方や更新、維持管理の財政的観点、人口動向を見据えた将来見通しを踏まえた施設整備など、全庁的に取り組むとする持続可能な区有施設の在り方との整合性を図るべきと考えます。子ども関連施設だけがまたも別扱いとなっており、区全体の施設整備計画と連動しているとは思いません。

 子どもの関連施設は聖域、その反動は他の施設、例えば区営住宅の整備計画とその財源や、例えば当初予算の編成時に学校の改築・改修のための義務教育基金の積立てを金額で示せなかったりなどというような形で吸収するとの考えでは極端が過ぎると考えますが、区の考えをお伺いいたします。

 次に、給食費等の給付について伺います。

 区が実施する区立小・中学校等以外の学齢期児童の給食費相当分を現金給付する支援についてお伺いをいたします。

 区は、1年に1度基準日を設け、基準日以降の転入者を給付の対象外としています。子育て支援として実施する施策です。基準日以降の転入者も広く給付対象者とすべきと考えますが、お伺いをいたします。あわせて、現在の給付時期や回数についても再検討すべきと思いますが、お伺いをいたします。

 この項の最後に、学校の建て替えについて、中野区立小・中学校の再編の検証についてお伺いをいたします。

 桃園第二小学校と北原小学校の関係者から、建て替えに伴う校庭の人工芝化について反対の声が陳情、請願として上がっています。委員会審議の前ですので、簡潔にお伺いいたします。校庭の人工芝化について、区長そして教育長それぞれのお考えをお尋ねいたします。

 そもそも、学校の建て替えについて十分な検証を行ってこなかったことが根本の問題であると考えます。検証の必要性を繰り返し訴えてきましたが、ようやく建物を含む学校再編についての検証を行うとの報告が先日該当委員会でありました。

 平成17年に策定された中野区立小中学校再編計画前期と、平成25年に策定された同計画第2次後期の全ての学校を対象に、当時の子どもたちや保護者を対象としたアンケート調査を今頃行うというものです。

 この9月からアンケート調査、検証を始めるとのことですが、改めて、対象の学校や対象者は誰なのか、受託事業者への丸投げではなく、区として建物を含む学校再編の考えをどのように検証するのか、実のある効果的な調査を行うべきと考えますが、調査方法と内容について伺い、この項の質問を終わります。

 次に、2、公益通報制度とハラスメント対策についてお伺いいたします。

 自治体の首長によるセクハラやパワハラが相次ぎ、辞職に追い込まれる事例が相次いでいます。

 本年5月の読売新聞の社説には、「首長の嫌がらせ 職員の被害見過ごさぬ制度に」との見出しが踊りました。兵庫県では百条委員会が設置され、知事への証人尋問による事実確認が行われましたが、本来は告発者である職員を保護するために必要な制度を整えておく必要があり、首長の姿勢が問われていると私は思います。自治体の首長によるセクハラやパワハラに対し、被害を受けた職員の訴えをしっかりと受け止め、問題行為に厳しく対処する仕組みを整える必要があると同社説は結ばれています。

 区では、ハラスメント対策として、中野区職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針を2018年2月に区長決定しています。分類、定義として「セクシュアル・ハラスメント」「パワー・ハラスメント」「妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメント」の三つを規定しています。

 一方、公益通報制度については、2008年7月に中野区職員倫理条例を制定し、その中の第6条に公益通報制度を、第8条に不当要求行為への対応を規定しています。

 訴えの対象者、告発される側について伺います。

 公益通報制度の訴えの対象者は職員と規定されていますが、同9条に区長への準用が示されているため、区長も対象です。我々議員は対象となっていません。一方、同8条の不当要求への対応については、職員に暴力や威嚇もしくは脅迫などその職務上の行為をすることまたはしないことを求める全ての者が対象となるため、区長をはじめ我々議員も含め、区に関わる全ての人が対象です。

 ハラスメント対策については職員のみが規定されており、区長への準用規定がありません。全国の自治体においても、首長の明文規定がなく、訴えの対象となっておらず、問題となっている例があります。

 中野区においては、訴えの対象者に区長も加えるべきであり、行為者に区長を含む旨を明文化すべきと考えますが、お伺いいたします。

 ハラスメント対策について、我々議員は対象に含まれていませんが、令和5年に行われた職員へのアンケート調査に、議員も調査対象となっており、この報告書には議員も対象として加えるべきとの意見が付されていました。議会において規定する事例もありますが、議員も含めた改定を行うべきと考えますが、お伺いをいたします。

 非公開であるはずの告発者の聴取内容が告発された側の首長に伝わり、誰が告発したのかをあぶり出す犯人探しが行われたり、繰り返される悪質な言動や態度、異議を唱えた者への報復人事、相談窓口はあるものの、ハラスメント防止の仕組みが機能せず、被害の拡大を長期間防げなかった事例があります。

 告発者の職員を守るためには、被害など相談しやすい環境を整え、公正な調査を実施する体制整備が不可欠です。

 相談窓口について。

 区のハラスメント対策では、内部の職員による相談窓口が設置されていますが、外部の専門家による相談窓口は、区に報告する役割となっています。これでは職員を守りながらの問題解決にはなりません。職員をしっかりと守るために、弁護士など外部の人材体制の相談窓口を整えるべきと考えますが、お伺いをいたします。

 法令遵守審査会について。

 職員倫理条例第10条には、公益通報の外部相談窓口でもある区長の附属機関として、中野区職員法令遵守審査会が設置されています。この審査会は、3人以内の定員で2年任期、7月には新しく委嘱がなされたばかり。今定例会での報告が予定されていますが、議員の親族が委嘱されています。

 審査会は、通報者である職員を守るとりでとなります。場合によっては委嘱した区長であっても調査対象とし、毅然とした独立の権限の行使が求められます。

 毎年、公益通報と不当要求の運営状況の報告がなされていますが、過去の報告内容には大いに疑問が残るものがありました。同条の不当要求の対象者に議員が含まれ、その審査を担うのも法令遵守審査会です。仮に関係者の案件が調査対象となった場合は欠席での運営をするとのことですが、初めから登用を控えるべきであると考えますが、お伺いをいたします。

 また、先ほど述べたハラスメント対策強化のため、外部の相談窓口をこの審査会に兼務させるべきとも考えますが、お伺いをいたします。

 この項の最後に、一般の労働者等からの公益通報制度についてもお伺いいたします。

 各行政機関が取るべき措置として、公益通報者保護法第13条、通報対象事実について、処分または勧告等をする権限を有する行政機関は、中略、必要な調査を行い、法令に基づく措置を取らなければならない旨定められています。

 他区においては、相談窓口の明示やホームページでの周知など、対応策が取られています。中野区においても、労働者等一般の方からの公益通報に備えた体制は整えてあるそうですが、案内が見当たりません。丁寧な周知を図るべきと考えますが、お伺いいたします。

 職員が安心して働けないような役所に良質な住民サービスは望めないと申し上げ、この項の質問を終わります。

 次に、3、まちづくりについて。

 初めに、中野駅周辺のまちづくりについてお伺いをいたします。

 区役所・サンプラザ地区である中野四丁目新北口駅前地区では、施行予定者間で保留床処分金の分担についての協議が整わず、予定の3月末までに施行認可申請ができませんでした。この間、議会の議決に当たり、正確な情報提供がなかったと私は感じています。

 6月にようやく協議が整い、5者から、ヒューリック株式会社を除く野村不動産株式会社、東急不動産株式会社、住友商事株式会社及び東日本旅客鉄道株式会社の4者の施行者とする承諾依頼があったとの報告がありました。

 4者となった施行予定者に、遅延に伴う新たな地権者負担、区の負担が生じることがないように対処することを強く求めてまいりましたが、新たな負担が生じることはないのか。改めて、総事業費と、補助金が見込まれる金額を含む区の負担分、そしてスケジュールへの影響についてお伺いをいたします。あわせて、情報提供の在り方については誠意を持って責任を果たしていただきたいと望みますが、お伺いをいたします。

 旧区役所の低層階部の解体が間もなく始まると聞きます。

 建物の解体に起因する周辺環境への悪影響を防止するため、解体施工者に害虫・害獣対策を義務づけるべきであると指摘してまいりました。他区においては解体施工者に害虫・害獣対策を義務づける要綱がありますが、中野区には対策がありません。不十分な対策により周辺環境が著しく不衛生となり、地域全体の大がかりな駆除対策に行政が乗り出さざるを得なくなった事例も述べたところです。

 100年に一度のまちづくりを進める中野区にあっては、十分な対策を講じる害虫・害獣対策を策定すべきと求めてきましたが、区の現在の検討状況をお伺いいたします。

 中野区の象徴である旧区役所・サンプラザの解体によって近隣に害をもたらすようなことがないよう、まちづくりの負の側面を近隣住民に押しつけることがないよう強く求めます。近隣の商店街の方からの不安の声も届いています。旧区役所・サンプラザの解体前に害虫・害獣対策をどのように行うのか、いつ行うのか、周知方法を含めお伺いをいたします。

 次に、東中野駅前のまちづくりについてお伺いをいたします。

 東口駅舎と駅周辺地域のバリアフリー化は地域の悲願です。過年度に行った調査により、既存の駅舎には簡易なエレベーターの設置さえ困難であるとの結論に至っています。

 東中野駅周辺での土地売買の動向は上昇傾向が続き、多くの開発事業者が参入しています。駅周辺に区が所有する土地がほとんどない東中野地域では、民間用地の活用が必要となります。民間事業者の主導による開発行為が進めば、バリアフリー化は機を逸します。

 区は、今年度、(仮称)東中野駅周辺まちづくり基本方針素案の作成、明年度は同基本方針の作成を予定していますが、開発事業者や鉄道事業者と連携し、東口周辺の再開発について、どのような規模でいつごろ行うのか、区も主体的に連携していくことが必要であると考えますが、御見解をお伺いいたします。

 次に、東中野駅西口の線路沿いの桜並木についてお伺いいたします。

 この桜並木の経緯は、昭和56年に商店街の所有管理から中野区に移管され、平成21年に初めて精密な樹木診断、平成28年の2回目の診断が最後となっています。当時は、桜、全39本のうち、健全判定のAは0本、注意すべき被害のB1が14本、著しい被害のB2が9本、不健全のCが16本でした。

 この間、枯木、老木化が進み、伐採本数が増える一方で、抜本的な対策は打ち出されないままとなっています。倒木などがないように管理に努めていると聞きますが、災害等に複合的な事故が起こらないとも限りません。

 桜の所有者である区が、外観の樹木診断のみで、対応策は伐採するだけ。これでは、枯れるがままの放置状態です。桜の状態について、現在の残存本数を伺うとともに、万が一のときに、桜の所有者であり、診断を行ったままの先行不作為では、区の責任が生じかねないと考えますが、見解をお伺いいたします。

 西口の駅前広場整備は、環状6号線の拡幅工事に伴う駅との接続工事として、線路上空部を活用した駅前通路として整備されましたが、東中野駅周辺のまちづくりはこれまで行われていません。当該桜並木を公園担当による維持管理としたままではなく、まちづくりの基本方針の検討範囲に加え、東中野駅東口の再整備の一環として抜本的対策を講じるときであると感じます。

 東中野駅の駅スタンプは桜と電車の協調であり、西口の桜は桜を冠する桜山町会に位置しています。近隣神田川の桜は地域の財産でもあります。また、今となってはなくなってしまいましたが、この桜を祭りとした歴代の先輩公明党議員と党員の有志の方々が何十年も支えてきた歴史があります。

 東中野のまちづくりのコンセプトとして、桜を象徴とすることも一考ではないかと考えますが、お伺いをいたします。

 安全対策を第一としながら、地域資源を生かし、駅舎と駅周辺地域のバリアフリー化を進めるまちづくりを強く望み、この項の質問を終わります。

 次に、4、防災対策について。

 マンションの防災対策についてお伺いをいたします。

 東京都は、災害時に在宅避難を継続しやすいマンションを東京とどまるマンションとして登録、公表し、登録された分譲マンションの管理組合や賃貸マンションの所有者を対象に、簡易トイレやエレベーターに設置する防災キャビネットなどの防災備蓄資器材の購入助成を実施しています。この制度を活用し、区におけるマンション防災対策を推し進めるべきであると述べてまいりました。

 今年度は、この購入助成が、一定の要件の下、補助率3分の2、上限金額66万円から、補助率10分の10、上限が100万円となっています。一定の要件とは、町会等とあらかじめ連携し、合同防災訓練を実施するなどの条件を指します。

 一つには、防火に係る協定書を町会と結んでいる証明です。管理組合、町会、行政の三者協定が必要ですが、中野区にはこの制度がありません。二つには、自治体の防災対策マンションに認定された上、地域の町会等と連携が図られている証明が必要ですが、この認定制度は中央区や墨田区にはありますが、これも中野区にはありません。

 防火に係る三者協定や中野区防災対策マンションの認定制度について、区として検討を進めるべきと考えますが、お伺いをいたします。

 他の方法として、町会・マンションみんなで防災訓練というものがあります。この制度は、近隣マンションとのつながりを構築、強化したいと考える町会を支援する制度です。都が専属担当者を派遣し、町会、マンションとの合同打合せを支援するとしていますが、区の役割としては、町会とマンションの仲介を行い、防災対策を推進し、助成の活用を支援する取組が大事となります。

 マンションの防災対策の取組として、町会とマンションをつなぐ取組を推進すべきと考えますが、お伺いをいたします。

 東京とどまるマンションへの登録には、長期修繕計画の作成や積立金の適正な運用など、日常の適正管理が重要となります。適正な積立金の運用支援として、また現下の物価高騰対策の支援としても有効である独立行政法人住宅支援機構が発行する「すまい・る債」の活用を促すべきとも考えます。

 今年度の募集金利は10年満期で年平均金利が0.50%となり、毎月15日までに解約の申請をすれば翌月に返金、解約手数料がなく、リスクが低い特徴があります。さらに、マンション管理計画制度の認定取得により、利率が上乗せされ0.55%となります。

 マンションにおける建物維持管理の新たな指針として、一般社団法人マンション管理業協会によるマンション管理適正評価制度と、マンション管理適正化法に基づく管理計画認定制度の二つが2022年から運用されています。上乗せ金利の適用のためには管理計画制度で足りますが、管理適正評価制度も推進することにより、市場での評価が適正化を後押しすることになります。

 「すまい・る債」の活用や管理計画制度、管理適正評価制度など、マンション住民への周知を図るとともに、「すまいのしおり」の次回改訂時の加筆を望みますが、お伺いをいたします。

 また、これまで作成を求めてまいりました防災マニュアルのマンション編が完成したと聞きます。併せての周知と活用を求め、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 白井議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、教育・子育て支援についてで、学習支援事業の受講状況と対象拡大についてでございます。

 学習支援事業については、実施する施設によって利用希望に差が生じているため、一部では定員に漏れた方を空きがある施設に御案内するなどの対応を行っておりますが、区内全域では希望する方が受講できる定員数を確保できております。

 対象学年につきましては、段階的に小学4年生まで拡大してきたところでありますが、さらなる拡大については、これまでの取組の効果やニーズなどを踏まえ、今後検討してまいります。

 次に、長期休暇中の子どもへの食の支援についてです。

 区はこれまで、子ども食堂を運営する団体への支援や、要支援家庭を対象とした子ども配食事業等を行い、地域における食のセーフティーネットの充実を図ってきたところであります。

 一方で、学校給食の提供がない夏休みなどの長期休暇の期間においては、経済的な困難を抱えやすい家庭ほど食事の確保に課題が生じやすいと考えられます。これまでの区の取組による成果やニーズ、他自治体の事例などを把握し、必要な支援の構築に向けて検討してまいります。

 地域の子どもの見守り体制についてです。

 生活に困難を抱える子育て家庭を必要な支援につなげるため、これまで、子どもソーシャルワーカーの配置や関係機関との連携体制強化の取組を進めてきたところであります。

 子どもの見守り体制をより充実させていくためには、保育園、幼稚園、小・中学校、児童館などの子どもが日常的に過ごす施設の役割が重要であると認識しておりまして、今後、児童館のソーシャルワーク機能の強化や、子ども関連施設やすこやか福祉センターとの連携の強化を進めてまいります。

 次に、子ども施設と区有施設整備計画の整合性についてでございます。

 区は、子どもと子育て家庭を取り巻く福祉的課題や多様なニーズへの対応を図るとともに、計画的な施設更新を実現するため、中野区実施計画の財政見通しと整合性を取りながら、令和6年3月に児童館運営・整備推進計画を策定したところであります。

 本計画に基づく児童館施策の展開につきましては、区有施設整備計画の見直しに当たり計画の内容に反映し、区全体の施設活用の中で持続可能な区政運営が実現できるよう検討を進めてまいります。

 次に、教育・子育て支援についてで、区立小・中学校の人工芝化についてでございます。

 校庭の人工芝化につきましては、教育委員会からも報告を受けておりまして、私としては、天然芝やダスト舗装に比べ、人工芝のほうが子どもたちが安心して充実した学校生活が送れると考えているところでございます。

 次に、公益通報制度とハラスメント対策についてで、基本方針におけるハラスメントの行為者の範囲についてでございます。

 中野区職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針は、職場におけるハラスメントを防止し、よりよい職場環境をつくっていくことを目的としております。このことから、ハラスメントの行為者が区長、議員はもとより、誰であろうとも、区は、雇用者として職員の勤労意欲や自信を低下させないよう、健康と安全に配慮していく義務があると認識をしております。

 以上を踏まえ、改めてハラスメントに関する考え方や行為者の記載内容を整備するなど、基本方針の内容についても検討してまいります。

 次に、外部人材を含む相談窓口の設置について。

 現在、区では、ハラスメント・人間関係ホットラインとして電話やウェブ相談ができる外部相談窓口も設置をしておりまして、相談があった場合は、必要に応じて区職員で構成された苦情処理委員会で対応を検討する仕組みとなっております。

 また、中野区職員倫理条例では、区長に準用規定を設けておりまして、職員と同様にハラスメントに関する事案が法令に違反しまたは違反するおそれのある事実や、公共の利益を害しまたは害するおそれのある事実などについては、弁護士等で構成される中野区法令遵守委員会に通報できるように定めているところであります。

 外部人材を含む体制の相談窓口の設置については、他自治体の事例なども参考に研究してまいります。

 次に、中野区法令遵守審査会についての御質問です。

 区法令遵守審査会の委員は、行政運営及び職員の職務や法律に関して学識経験または専門的知識を有する者のうちから委嘱をしております。

 また、ハラスメント対策の外部相談窓口と法令遵守審査会の関係性については、先ほどの外部人材の窓口の設置と併せて研究してまいります。

 公益通報制度の周知についてです。

 区が行政機関として外部の労働者等から受ける公益通報制度については、国などで周知しているところでありますが、区も広く周知していく必要があるため、ホームページでも案内してまいります。

 次に、まちづくりについて。

 新北口駅前地区市街地再開発事業についてでございます。

 中野駅新北口駅前地区市街地再開発事業につきましては、これまでに御報告している事業計画内容で、7月初めに施行予定者4者が東京都に対し施行認可申請を行っております。

 施行予定者の変更によって、事業計画における保留床処分金の負担者が影響を受けることになりますが、施行予定者4者で調整されるべきものであり、区の負担は生じないものと考えております。

 事業計画では、事業費2,639億円のうち、補助金は430億円、施設竣工は2029年度とされておりまして、現時点では、本計画に基づいて事業が施行されるものと認識しております。区として、事業進捗について区民や区議会に丁寧に説明しながら事業を進めてまいります。

 次に、建築物解体時の害虫・害獣対策についてでございます。

 23区では、要綱によって建築物解体時に施工者がネズミ等の生息調査や駆除等の衛生対策を行うこととしている区が、調べた限りでは6区ございました。中野区の要綱には同様の定めがないことから、この間、他区の事例等も踏まえ検討してきたところであります。

 現在は、対象とする工事の要件等について検討しているところでありまして、可能な限り速やかに規定整備を行います。

 私からは、最後に、旧区役所・中野サンプラザ解体における害虫・害獣対策についてでございます。

 旧区役所及び中野サンプラザの解体において、害虫・害獣対策につきましては、建物解体の施工者が解体作業前に実施することとなります。旧中野税務署及び旧区役所低層棟につきましてはUR都市機構、旧区役所高層棟及び中野サンプラザについては市街地再開発事業の施行予定者から、解体工事に先駆け、ネズミの捕獲器設置や殺鼠剤等による害獣駆除を行うと聞いております。

 作業内容につきましては、工事説明会において御説明するとともに、必要に応じて工事の仮囲いに作業予定を掲示するなどによって周知を図ってまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、教育・子育て支援について回答させていただきます。

 一つ目は、区立小・中学校等以外の学齢期児童の給食費相当分の現金給付についてでございます。

 給付に当たり、対象者を明確にすることと、事務の煩雑さ等を考慮し、この方法に決定いたしました。様々な御意見があることは承知しておりますが、年度途中の転入者の方に対して随時給付金を支給していくことは、体制上難しいと考えております。

 続きまして、校庭の人工芝化についてでございます。

 校庭の人工芝化については、土の舗装に比べクッション性が高く転倒時のけがの防止に効果があること、一足制となり、履き替える時間がなくなり教育活動に多くの時間をかけられること、また、げた箱スペースがなくなるため、その分、教室等の教育活動スペースの拡充が可能であること、降雨時の水はけが向上し、校庭の使用日数が増えること、授業準備(ライン引き)などの手間が省け、教員の負担の軽減となること、近隣の住宅への砂じんの影響が抑制されること、以上のようなメリットが大きいため、教育委員会としては人工芝のほうが教育効果が高いと考えております。

 最後に、学校再編の検証についてでございます。

 アンケート調査は、統合した学校と統合していない学校の比較を行うことが必要であると考えており、区内全校の児童・生徒や保護者、教員を対象に、学校生活について統一のアンケートをする予定であります。さらに、統合前後を経験した児童・生徒がいる学校については、統合による学校生活の変化についてアンケート調査をしたいと考えております。

 また、検証の中では、学校規模の適正化による教育効果のほか、学校施設の視点を含め、再編計画が目指した目標が達成できたかを検証する予定であります。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、まちづくりについてお答えさせていただきます。

 初めに、東中野駅東口のまちづくりについて。

 東中野駅東口の北側で事業を行う予定のある民間事業者とは、情報共有を行うなど、連携しているところではございますが、事業規模やスケジュールなどは、現時点では事業者側で検討中のことであります。

 現在策定に向けて作業を進めている(仮称)東中野駅周辺まちづくり基本方針素案において示されるまちの将来像に沿ったまちづくりを進めていくよう、民間事業者と連携を図りながら、東中野駅東口のバリアフリー化の実現に向けて取り組んでまいります。

 続きまして、まちづくりにおける桜についてでございます。

 東中野駅東口のまちづくりの検討範囲に、西側の桜の箇所は含まれておりません。東口のまちづくりを進めるに当たりまして、まちの魅力を高めるための方策として、地域資源である神田川沿いの桜の活用など様々な方向が考えられますが、地域の方々の意見を取り入れながら検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) 東中野駅のまちづくりについての御質問のうち、桜の残存本数と樹木診断についてお答えをいたします。

 東中野駅西口の線路沿いで中野区が管理する桜の残存本数は、現在20本でございます。毎年、JR東日本とともに、現地におきまして、当該年度に剪定または伐採が必要な桜の選定を行っているところでございます。精密な樹木診断につきましては、今後実施をしてまいります。

 続きまして、防災対策についての御質問のうち、マンション管理支援の周知についてでございます。

 マンション管理に関する相談を受けた際には、様々な相談窓口を案内している「すまいのしおり(分譲マンション編)」を活用し、説明を行ってございます。マンションの管理計画認定制度の周知については、令和5年度から開始した分譲マンション管理組合向けセミナーでも行っており、同セミナーは今年度も開催を予定してございます。「すまいのしおり(分譲マンション編)」は毎年更新をしておりまして、管理計画認定制度及び「すまい・る債」についても紹介をしております。

 管理適正評価制度につきましても、次回の更新時に追記を行うなど、さらに分かりやすい内容にしてまいります。

〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕

○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 最後に、私からは、防災対策の御質問のうち、二つお答えいたします。

 まず、防火の三者協定及び中野区マンション認定制度についてでございます。

 区は、マンション防災会に対しまして、地域防災住民組織活動助成を行っているところでございます。この助成制度が防火の三者協定やマンション認定制度の要件を満たす可能性がありまして、現在、都の回答待ちであります。

 今後も、都との連携を継続するとともに、まずは東京とどまるマンション制度の普及啓発に努めてまいります。

 最後に、町会とマンションをつなぐ取組についてでございます。

 現在、区は、区内消防署等と連携及び情報共有をしまして、マンションの防災対策を含めました訓練を実施しているところであります。都の事業でもあります町会・マンションみんなで防災訓練の活用を含め、地域防災会とマンションとの連携訓練につきまして、継続的に推進してまいります。

〔白井ひでふみ議員登壇〕

○19番(白井ひでふみ) 再質問をさせていただきます。時間があるので、二つほどお伺いしたいと思います。

 まず、東中野駅西口の桜についてのお話です。

 この西口の桜、現在の東口の検討範囲に入っていないというお話だったんですけれども、入っているか入っていないかをお聞きしたのではありません。検討範囲に加えるべきだとお話をさせていただきました。

 西口の駅前広場を整備したときに、先ほどの質疑の中でも述べましたけれども、東中野駅全体として、これまでまちづくりは一度も行われていません。東中野駅の東口を整備するに当たり、東中野駅全体のまちづくりをやったらどうか、こういう話をしたところです。

 一方、当初の検討範囲の中には旧第三中学校跡地というのは含まれていなかったんですけれども、この経過の中で新しく加えられるようになりました。東口から旧第三中学校への距離と、東中野駅の東口から西口の距離でいったら、西口のほうが圧倒的に近いわけで、環状6号線でそのまますぱっと切る必要はどこもないということです。

 なので、聞きたいのは、入っているか入っていないかではなくて、加えるべきだ、これをお話しさせていただいたところです。

 もう一つ、学校再編の検証についてもお伺いをしたいと思います。

 先ほどの話で、統合前後を経験した児童・生徒がいる学校についてアンケート調査を行う、建物についてのほうです、というお話だったかと思います。

 統合前後を知るということは、例えば1年生の子どもたちが従前の学校にいて、2年生で新しくなったとすると、対象は2年生から6年生、中学生は2年生、3年生とか、こういう感じなんですかね。場合によっては、学年途中で移った子どもがいるのであれば1年生も含まれるかもしれないですけれども。

 そうなると、この場で直接お聞きしていいのかどうか分からないんですけれども、学校名もかなり絞られるんじゃないかと思います。いきなり全部は答えられないかもしれないですけれども、具体的に、建物の学校再編の検証を行う学校名の対象についてお聞きをさせていただきたいと思います。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) ただいまの再質問についてお答えいたします。

 建物の施設の視点の検証につきましては、統合によって校舎を新しくした学校を対象としております。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 再質問にお答えいたします。

 東中野駅東口のまちづくりについて、西側エリアのことについてでございますが、委員御指摘のありましたとおり、環状6号線、山手通りで区域が分かれているということで、現在は東口を中心とした地域を定めて、地域の方々と意見交換をしてきた経緯があります。

 直ちに西側エリアを統合するかどうかについては、今すぐ判断できませんけれども、西口エリアでまちづくりの話があればお伺いしたいというふうに考えてございます。

○副議長(木村広一) 以上で白井ひでふみ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 間   ひとみ

 1 就学前の子育て支援について

  (1)就学に向けた児童発達支援について

  (2)幼稚園と保護者支援について

  (3)保育園と保護者支援について

  (4)その他

 2 障害児(者)と家族の支援について

 3 その他

 

○副議長(木村広一) 次に、間ひとみ議員。

〔間ひとみ議員登壇〕

○13番(間ひとみ) 令和6年第3回定例会において、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問いたします。質問は通告どおり、その他はございません。

 初めに、1、就学前の子育て支援について伺います。

 就学を見据えた児童発達支援について。

 就学前の、遊びや楽しみが中心で体を動かす場面が多く比較的自由度が高かった生活とは大きく異なり、就学後の学校生活は、守らねばならないルール、身につけなければならない学び、習慣があるため、発達障害のある子にとって、大きな小1プロブレムとしてのしかかりがちです。そのため、未就学児が小学校生活を見据えて療育プログラムを利用することが有効です。

 療育では、子ども一人ひとりに丁寧に寄り添い、コミュニケーション能力の向上、日常生活に必要な能力の習得、自己肯定感の向上、身体能力の向上を図ることができます。

 しかしながら、就学を目前に控えた時期からの短期間での療育ではその効果にも限界がある上、施設の空きがなく、希望どおりに療育を受けられないケースもあるため、発達障害の早期発見、支援への早期接続を図り、ゆとりを持って就学に向けた準備ができるようにしていくことはとても重要です。

 しかしながら、1歳6か月健診や3歳児健診では、保護者が子どもの発達の課題を感じていない場合は支援につながりにくく、多くは保育所等を通じて支援につながっていくのが現状で、早期発見への具体策が求められます。

 言葉の理解能力や社会性が高まってくる5歳になるタイミングで、集団における立ち振る舞いを評価し、社会的な発達の状態を把握するという特徴を持つ5歳児健診を早期に実現するなど、発達障害の早期発見、支援への早期接続のための取組の強化を求めますが、見解を伺います。

 保育所を通じて突然発達障害の可能性を言及され、困惑する保護者も少なくないのが現状で、保育所の負担となっています。園と保護者の関係性に頼るのではなく、定期的な子どもの発達状況を見つめる機会の創出や、相談への意識付けを行う取組を進めるべきではないでしょうか。

 区は、10年ほど前まではパンフレットを作っていたようですが、現在は配布されていません。3、4か月の集団健診の際に渡している「のびのび」という冊子に発達に関する情報が含まれてはいますが、保護者が子どもの発達に関して不安を抱いていない段階では見過ごしてしまいます。

 板橋区や江戸川区では、1歳6か月、3歳、4・5歳の子どもの発達状況をチェックできるA4、1枚のパンフレットを作成しています。区も、健診時や保育所等の保護者面談など様々なシチュエーションで活用できるパンフレットを作成し、すこやか福祉センター、保育所、子ども・若者支援センターなどで活用することで、相談の意識付けやきっかけづくりを図ってはいかがでしょうか。

 また、子どもが療育を受けられるようになるまでの手続は多岐にわたるため、通所受給者証取得までの手続を終えるまでに、一例ですが、子どもと保護者が一緒に面談を受ける機会が4回程度、保護者のみで契約等を行う機会が3回程度あり、少なくとも2か月はかかると聞いています。平日の夕方5時までという縛りがある中、仕事を休んで手続を進めなければいけないことや、受給者証という言葉や区のホームページにあふれる障害児支援という言葉に気持ちがついていけず、手続の途中で諦めてしまう保護者も一定数いらっしゃいます。

 早期接続の観点からも、通所受給者証の申請プロセスや療育の利用イメージを可視化し、安心して手続ができる環境づくりへの取組が必要と考えます。区が作成したひきこもり支援の冊子を横展開し、漫画を活用するなど、分かりやすい児童発達支援のガイドブックを作成してはいかがでしょうか。また、申請プロセス自体の簡素化の検討を求めますが、伺います。

 最も身近な存在である保護者が発達障害を理解し伴走するためには、子どもとの関わり方を知識として学ぶ機会を持つことが有効です。

 葛飾区では、今年度の主な重点事業の一つに「発達障害の可能性のある子どもに対する重層的な支援体制の充実」を掲げており、その中でペアレントトレーニングの拡充を行い、全6回の連続講座を実施しています。同様に児童発達支援センター等でペアレントトレーニングとして連続講座を実施しているところは多数あり、未就学児だけでなく就学児も対象とするなど、広く需要に応えています。

 中野区でも、現在行っているペアレントメンター事業の拡充も含め、ペアレントトレーニングなどの保護者の学びの機会の創出にも着手してはいかがでしょうか。

 現在、中野区では、児童発達支援センターの機能を持つ療育センターとして、北部のアポロ園、南部のゆめなりあの2か所で子どもの発達に関する療育相談や通園・通所による児童発達支援事業、保育所等訪問支援事業、ゆめなりあで放課後等デイサービス事業等を行っていますが、療育相談の予約が取りづらい状況が続いており、児童発達支援の利用待機が50人以上となっているなど、ニーズに応えられていない状況です。

 また、区立療育センターが行っている保育所等訪問支援は、厚生労働省がおおむね月に1、2回程度の訪問を想定している中で、保育所の数が多い都市部では難しい状況はあるものの、中野区では年に3、4回の訪問となっています。

 通所受給者証の申請件数は増加傾向にあり、これらの状況への対策は急がれます。早期発見、支援への接続のための様々な取組を強化するだけでなく、それと同時並行で施設も含めた支援体制を整えていく必要があります。

 中野区障害者計画の中で、児童発達支援センターの設置の検討について触れられていますが、時期については示されていません。区が、区有施設整備計画を改定する中で、児童発達支援センター機能を担う3か所目の療育センターの設置についても検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 (2)幼稚園と保護者支援について伺います。

 昨年の第3回定例会において、会派の斉藤ゆり議員から、私立幼稚園の入園料補助の増額について一般質問しました。

 中野区の私立幼稚園の入園料補助額は4万5,000円です。大田区では13万円、江戸川区、足立区、品川区、世田谷区では10万円という中で、23区比較すると最も低い額ですが、それでも補助全体で見れば他区より充実しているとされてきました。

 その根拠として、所得によらない毎月一律1万2,000円を上限とした保育料の保護者補助があります。この保育料の保護者補助が実際どの程度活用されているのかを調査したところ、上限の1万2,000円の補助となる園は1園のみでした。多くの園が数千円程度で、最も低い園では毎月500円の補助ということでした。つまり、区が私立幼稚園の保育料補助を手厚くできる状況であっても、実際にはそのとおりに活用されておらず、結果的に中野区の私立幼稚園保護者補助は手厚いとは言えない状況が明らかになりました。

 この状況から考えても、来年度こそは入園料補助の増額を御決断すべきと考えますが、区長の見解を伺います。

 区内には、幼児教育・保育の無償化として始まった子ども・子育て支援新制度へ移行した私立幼稚園が3園ありますが、練馬区の新制度移行園にお子さんを通わせている中野区民の保護者の方から御相談がありました。練馬区では、新制度園に通う区民に対して特定負担補助を行っており、同じ園に通っているのに、練馬区在住の家庭は補助が受けられ、中野区在住の家庭は受けられない状況であるということでした。

 特別区の状況を調査したところ、実際、区や所得の状況により1,800円から1万3,200円と補助額の幅が広いものの、13区が新制度移行園に通う御家庭に対し、入園料補助とは別で教材費などを対象とした特定負担補助を実施しています。

 中野区では、新制度移行園は入園料補助の対象外としており、特定負担額等補助金の上限4万5,000円が実質の入園料補助となっている側面もあります。

 他区の実施状況、そして、新制度移行園に通園する御家庭は保育料の保護者補助が対象外であり、その分の区の一般財源による負担額は減っていることを鑑みても、保護者負担の軽減の一環として中野区でも他区のような特定負担補助の実施を検討してはいかがでしょうか。

 新制度に移行していない私立幼稚園の保護者は、入園料や保育料その他費用を幼稚園に納めた後、数か月後に補助金として区から入金がある仕組みのため、同園に兄弟がいる場合など、一時的とはいっても金銭的に大きな負担がかかっています。この状況を鑑み、保護者負担の軽減のため、区が保護者に代わって園に直接保育料補助金を支払うよう検討を求めますが、いかがでしょうか。また、補助金の申請に当たっては電子申請へ変更すべきと考えますが、併せて伺います。

 区は、こども誰でも通園制度の施行実施として、東京都の多様な他者との関わりの機会の創出事業の補助金を活用していますが、実施要綱では対象施設を保育園に限ってはいません。働きながら幼稚園に通わせることができるようになった昨今において、幼稚園との接点を持つことは入園先の選択肢が広がるというメリットもあることから、私立幼稚園の支援の一環として、東京都の多様な他者との関わりの機会の創出事業を活用した私立幼稚園での事業構築も検討されてはいかがでしょうか。

 (3)保育園と保護者支援について伺います。

 区は現在、地域型保育事業所や認証保育所においても空き定員による減収補填を行っていますが、認可保育所においても空き定員が増加しています。

 特に、ゼロ歳児については、4月当初に空き定員があっても、年度途中から入園するケースも多いため、認可保育所としては保育士を確保しておく必要が生じています。また、他の年齢と比較して公定価格の算定単価が高く、経営への影響も大きくなっています。

 認可保育所の入所率は、全年齢、年度を通して見ると85%以上を保っているところではありますが、私立保育園のゼロ歳児の定員の確保によって待機児童解消を実現した背景も鑑み、減収の影響が大きい年齢や期間を勘案した減収補填を検討されてはいかがでしょうか。また、保護者都合による入園辞退から発生してしまう空き定員に関しても、補填の対象としてはいかがでしょうか。

 保育の質を担保していくためにも、保育士が確実に研修を受け、深い知識を持って子どもと接することができるよう支援していく必要がありますが、中には、職員体制にゆとりがなく、研修への参加が難しい園があるとの話も聞きます。現状の研修への参加状況を把握し、必要であれば、区独自の研修加算の実施を検討されてはいかがでしょうか。

 大型台風が増えている状況の中で、区は、臨時休園の基準としての通知はしているものの、その細かな対応は各園ごとに判断を任せている状態です。他区では対応の判断基準と時系列を合わせた対応を示しているところもあり、中野区でもぜひ実施してほしいとの声があります。検討を求めますが、いかがでしょうか。

 関係部署と私立保育園園長会を交えて災害時の連携の在り方を検討していく機会をつくり、必要があれば、その検討結果を区や各園のBCPに盛り込めるようにするなどし、私立幼稚園が発災時の運営に困らぬよう支援を求めますが、伺います。

 令和6年第1回定例会で、保育園の入園選考に当たっての加点の在り方について一般質問し、来年4月入園分から新たに多胎児への加点を行っていただけるようになったことはうれしく思います。待機児童がゼロになったことで、これまではできなかったよりきめ細かな配慮が入園選考においても可能になった中では、さらなる改善を進めていただけるよう期待をしております。

 23区中13区が実施している兄弟同時入園の際の加点や、いわゆる隠れ待機児童への加点の検討、また、他区と比べて早過ぎる4月入園の申込締切日の改善を検討していただくことを求めます。

 また、現在、毎月1日締切りの入園選考の結果発送は毎月20日頃となっていますが、たった10日で入園前健診や園との面談、復職に向けた準備をすることの負担は大き過ぎます。選考期間が1週間程度の区も多数あることから、選考期間の短縮を検討してはいかがでしょうか。入園選考におけるAIの導入効果としては、職員の残業時間の短縮にとどまっていることから、定型業務の委託化も含めてきめ細やかな配慮の実現の道の検討を求めますが、伺います。

 同じく令和6年第2回定例会で求めました病児・病後児保育の拡充に対し、現状を真摯に受け止め、2か所目の病時保育施設の設置への歩みを進めていただき、うれしく思っております。病児・病後児保育の存在は、働く保護者にとって本当に力強い存在です。引き続き、体制整備を期待しております。

 その上で改善を求めるのが、予約の負担軽減です。現在、中野区では、医師の連絡票の内容確認や病状について施設に電話連絡し、詳しく伝える必要があり、どう頑張っても通話に15分はかかります。ほかの方との通話中は電話がつながらず、5時になってしまえば利用日前日の仮予約を取ることができないのが現状です。

 他自治体では、病児・病後児保育に特化したオンライン予約サービスを活用しており、事業者と利用者双方の負担軽減になっていると聞きます。区も、オンライン予約サービスの導入や利用手続の簡素化を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、切れ目のない支援を届けるためにも、産前産後ケアも含め、様々な子育て支援サービスの予約が将来的に一つのアカウントでできるよう、一元化を図ってはいかがでしょうか。

 次に、2番、障害児(者)と家族の支援について伺います。

 区は、東京都の在宅レスパイト・就労等支援事業の補助金を活用して、在宅レスパイト事業を実施しています。この事業は、在宅生活を行っている医療的ケアの必要な重症心身障害児者等に対し、訪問看護師が自宅に出向き、一定時間家族の代わりに医療的ケアを行うことで、家族の一時休息、レスパイトやリフレッシュを図るものですが、在宅に限られてしまっている点を拡充してほしいという声が上がっています。

 豊島区では、この事業の訪問先を、自宅以外では幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校を対象としています。中野区としても訪問先の拡充を検討してはいかがでしょうか。

 大災害時、限られたスペースの避難所で、障害があることで肩身の狭い思いをされるということは容易に想像ができ、福祉避難所の早期開設は会派としても求めてきたところです。

 今年発生した能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報などにより、重症心身障害児者をはじめとする障害をお持ちの方とその御家族からの災害対策への不安の声が高まっています。でき得る限りの備えをしておきたいと思うのは当然のことと思います。

 区は、基本的には普段御利用されている事業所等を福祉避難所として利用していただくことを想定していますが、当事者やその家族は発災時に最も近い福祉避難所を利用したいと考えるなど、計画上と当事者の考えに大きなずれがあるように感じます。また、福祉避難所を登録制にしてほしい、福祉避難所の運営マニュアルを公開してほしいなどの声や、在宅避難の際の安否確認や支援のために防災DXを進めてほしいという御意見もあり、不安をお感じになっていることがよく伝わってきました。

 福祉避難所の対象者の備えのためにも、福祉避難所の設置に当たっての議論を関係団体等と当事者を交えて丁寧に行っていく必要があると考えますが、伺います。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 間議員の御質問にお答えいたします。

 まず、就学前の子育て支援についてで、5歳児健診の実施についてです。

 現在、3歳児健診から就学時健診までの間は集団健診の機会はなく、言葉や社会性につまずきのある子どもとその保護者が相談するきっかけが必要であると考えております。

 5歳児健診の実施に当たっては、保育園や幼稚園など日々の生活場面の状況や保護者の受け止めも把握できる健診方法や専門医の確保、健診後の相談支援体制などが課題となっており、先行する自治体を参考しながら検討してまいります。

 次に、発達支援の理解促進に関する意識付けについてです。

 保護者が子どもの発達支援に対して理解し、その後の子育てへの不安が軽減されるよう、関連部署間での連携を図り、各機関が案内しやすいパンフレット等の作成について検討します。

 次に、広報の工夫及び申請手続の簡素化についてです。

 保護者が子どもの発達を心配した際に適切なサービス利用につながるまでの流れについては、区のホームページに掲載しています。今後、保護者が療育等の利用をイメージし、さらに安心して子育てできるよう、分かりやすいホームページなどの広報の工夫を図ってまいります。

 現状では、すこやか福祉センター等に相談してから児童の通所サービスの利用までおおむね2か月を要しております。今後、計画作成等の手続の簡素化について検討してまいります。

 次に、保護者の学びの機会の創出について。

 現在、区では、療育センターアポロ園やゆめなりあ等において、保護者に対し、理学療法士や言語聴覚士等の専門職による運動や発語に関する勉強会、就学を見据えた保護者への情報提供等の保護者支援プログラムを実施しております。

 今後、ペアレントメンター事業について、メンターと参加者の双方が、子どもの成長に合わせた発達支援や子育てに関するスキルを向上できるよう、保護者支援プログラムの内容についても工夫を図りながら、学びの機会を創出してまいります。

 次に、新たな療育センターの設置についてです。

 昨年度策定した中野区障害福祉計画において、障害や発達に課題のある子どもに対して障害児通所支援の必要性の判定を行う療育相談の充実のため、新たに療育センター機能を含めた児童発達支援センターの設置に向けた検討を行うこととしております。施設設置に向けた検討は、療育相談件数や施設利用状況を鑑みながら進め、区有施設整備計画への反映についても検討してまいります。

 次に、幼稚園と保護者支援についてで、入園料補助金の増額について。

 入園料に対する補助額については、各区の動向等を踏まえながら検討してまいります。

 次に、特定負担額補助についてです。

 新制度移行園の保護者に対しては、入園料と入園時に一時的に発生する費用負担の軽減のため、特定負担額補助を行っているところであります。特定負担額補助の対象を月々かかる経費まで拡大することについては、保育料が幼児教育・保育の無償化により無償となっていることも踏まえ、今後どのような対応ができるかを検討してまいります。

 保育園の代理受領等についてです。

 現在の保育料納付後に補助金の交付を受ける仕組みでは、納付時の負担が大きくなることが課題であるということでございます。今後は、保育料に関わる補助金を従来の保護者への交付から幼稚園への交付に改めることで、保護者負担の軽減を図るよう調整をしてまいります。補助金申請手続の電子化についても、実施に向け検討してまいります。

 次に、多様な他者との関わりの機会の創出事業の幼稚園での実施についてです。

 今年度のこども誰でも通園制度の試行的実施事業については、幼稚園も対象としているところでありますが、幼稚園での実施には至っておりません。一方で、東京都の多様な他者との関わりの機会の創出事業については、区内の私立幼稚園から実施したいとの要望を受けておりますので、実施できるよう検討してまいります。

 続きまして、認可保育所の減収補填についてでございます。

 認可保育所の入所率は全体では85%以上となっておりますが、空き定員が多い年齢や時期があることは認識をしております。保護者都合により入園が内定してからの辞退があった場合、翌月その分の空き定員が生じてしまうことについても課題であるものと認識をしております。

 認可保育所に対する減収補填について、現時点では予定しておりませんが、保育園の定員割れ対策については、機会を捉えて国や都に要望していくとともに、対策を進めるに当たっての課題については整理してまいります。

 次に、区独自の研修加算についてです。

 区では、国基準より厚く保育士を配置している場合等について、保育園の運営経費である公定価格に、区独自に定めた加算額を合わせて給付をしております。保育士が研修を受講しやすくするよう人員配置を行う園に対する加算については、必要性も含め検討してまいります。

 台風接近時等の対応についてです。

 中野区においても、台風接近時など風水害の発生が懸念される場合の臨時休園等について、区が作成した基準により各園で判断していただいているところであります。

 近年は、風水害の増加等による新たな危険も懸念されていることから、現在の通知では対応に迷うとの声もありますので、今後は、保育施設とも協議し、通知の改定について検討してまいります。

 続きまして、災害時の連携について。

 災害時に子どもの命を守るためには、区と私立保育園が連携して対応に当たることが重要であるものと認識をしております。私立保育園が災害に遭った際、連携した対応が図れるよう、まずはBCP作成に対する支援について検討してまいります。

 保育園入園選考におけるさらなる改善についてです。

 保育園入園選考におけるさらなる指数の加点や、4月入園の申込時期については、保育需要の動向、入園状況などを鑑み、見直してまいります。

 保育所等入所児童数の増加、保護者ニーズの多様化により、保育入園係における業務は増加傾向にある一方で、個別の事情に応じた迅速な判断が求められていることから、内部事務の適正化、効率化を行った上で、外部人材の活用についても検討してまいります。

 次に、病児・病後児保育の利便性の向上についてです。

 病児・病後児保育におけるオンライン予約サービスの導入は、利用者の利便性の向上や負担の軽減、事業者の事務負担の軽減といった観点から効果があるものと認識をしております。一方で、予約受付時に保育施設側が子どもの症状や保護者の要望などを詳しく把握できなくなるといった課題もあります。

 今後、先進自治体の事例も参考にしながら、まずは利用手続の簡素化を進め、併せてオンライン予約サービスの導入について検討してまいります。

 子育て支援サービスの予約の一元化について。

 サービスによって利用要件や登録に必要な情報が異なるため、全てを一元化することは容易ではないと考えております。今後、各自治体の事例も収集しながら研究してまいります。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、学校等でのレスパイト事業の利用についてお答えいたします。

 在宅レスパイト事業につきましては、東京都の実施要綱に準じて実施してございまして、中野区におきましては、自宅外の看護師派遣を認めていない状況でございます。

 学校でのレスパイト事業拡大につきまして、一定の需要があることは把握してございますが、在宅レスパイト事業の趣旨や、特別支援学校等におきます児童・生徒の環境整備につきましては、学校等関係機関との調整も含め、慎重に協議、検討する必要があるものと認識してございます。

〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕

○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 最後に、私からは、福祉避難所の設置に係る当事者の意見反映についてお答えいたします。

 福祉避難所の設置、運営に当たりましては、要配慮者の安否確認や支援等が行き届くよう、関係団体や当事者との連絡会等を開催しまして、意見を聞くことで、避難所運営に反映してまいりたいというふうに考えてございます。

○副議長(木村広一) 以上で間ひとみ議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(木村広一) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時48分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 酒井 たくや

       副議長 木村 広一

       議 員 黒沢 ゆか

       議 員 久保 りか