令和6年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)
令和6年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

.令和6年(2024年)11月27日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  2番  山  内  あきひろ        3番  武  井  まさき

  4番  日  野  たかし         5番  木  村  広  一

  6番  斉  藤  けいた         7番  井  関  源  二

  8番  黒  沢  ゆ  か        9番  大  沢  ひろゆき

 10番  武  田  やよい        11番  広  川  まさのり

 12番  いのつめ  正  太       13番  間     ひとみ

 14番  河  合  り  な       15番  市  川  しんたろう

 16番  加  藤  たくま        17番  甲  田  ゆり子

 18番  小  林  ぜんいち       19番  白  井  ひでふみ

 20番  吉  田  康一郎        21番  立  石  り  お

 22番  小宮山   たかし        23番  内  野  大三郎

 24番  い  さ  哲  郎       25番  細  野  かよこ

 26番  斉  藤  ゆ  り       27番  杉  山     司

 28番  ひやま      隆       29番  高  橋  かずちか

 30番  大  内  しんご        31番  伊  藤  正  信

 32番  平  山  英  明       33番  南     かつひこ

 34番  久  保  り  か       35番  石  坂  わたる

 36番  むとう   有  子       37番  羽  鳥  だいすけ

 38番  浦  野  さとみ        39番  山  本  たかし

 40番  中  村  延  子       41番  森     たかゆき

 42番  酒  井  たくや

.欠席議員(1名)

  1番  高  橋  ちあき

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  青 山 敬一郎

 副  区  長  栗 田 泰 正      教  育  長  田 代 雅 規

 企 画 部 長  岩 浅 英 樹      総 務 部 長  濵 口   求

 防災危機管理担当部長  吉 沢 健 一   区民部長、新区役所窓口サービス担当部長 高 橋 昭 彦

 文化・産業振興担当部長 高 村 和 哉   子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 森  克 久 地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔

 健康福祉部長  杉 本 兼太郎      保 健 所 長  水 口 千 寿

 環 境 部 長  浅 川   靖      都市基盤部長  松 前 友香子

 まちづくり推進部長  角   秀 行    企画部企画課長  中 谷   博

 総務部総務課長  永 見 英 光

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  堀 越 恵美子      事 務 局 次 長  林     健

 議事調査担当係長 鈴 木   均      書     記  若 見 元 彦

 書     記  田 村   優      書     記  細 井 翔 太

 書     記  森 園   悠      書     記  梅 田 絵里子

 書     記  川 辺 翔 斗      書     記  志 賀 優 一

 書     記  早 尾 尚 也      書     記  堀 井 翔 平

 書     記  金 木 崇 太      書     記  砂 橋 琉 斗

 

 議事日程(令和6年(2024年)11月27日午後1時開議)

日程第1 第93号議案 令和6年度中野区一般会計補正予算

 

午後1時00分開会

○議長(酒井たくや) ただいまから令和6年第4回中野区議会定例会を開会いたします。

 本日の会議を開きます。

 この際、議席の一部変更についてお諮りいたします。お手元の議席変更表のとおり、変更いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(酒井たくや) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 直ちに所定の議席にお着き願います。

 

議 席 変 更 表

 

 

議席番号

新着席者

旧着席者

高橋 ちあき

山内 あきひろ

山内 あきひろ

武井 まさき

武井 まさき

市川 しんたろう

15

市川 しんたろう

加藤 たくま

16

加藤 たくま

高橋 かずちか

29

高橋 かずちか

大内 しんご

30

大内 しんご

伊藤 正信

31

伊藤 正信

高橋 ちあき

 

○議長(酒井たくや) 会議録署名員は、会議規則第128条の規定に基づき議長から御指名申し上げます。

 9番大沢ひろゆき議員、33番南かつひこ議員にお願いいたします。

 次に、会期についてお諮りいたします。本定例会の会期は、本日から12月12日までの16日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(酒井たくや) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 この際、申し上げます。令和6年10月31日付、11月1日付をもちまして、お手元の文書のとおり、委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。

 

人 事 異 動 表

発令年月日 令和6年10月31

【課長級】

事務取扱解除発令

区長発令

発令権者   中野区長  酒井 直人

事務取扱を解除する職

氏 名

現職

備考

地域支えあい推進部南部すこやか福祉センター担当課長

石井 大輔

地域支えあい推進部長

兼務解除発令

区長発令

発令権者   中野区長  酒井 直人

兼務を解除する職

氏 名

兼務者の現職

備考

南部すこやか福祉センター所長

石井 大輔

地域支えあい推進部南部すこやか福祉センター担当課長

発令年月日 令和6年11月1

【課長級】

区長発令

発令権者   中野区長  酒井 直人

発令

氏 名

備考

企画部ユニバーサルデザイン推進担当課長

大場 大輔

健康福祉部障害福祉サービス担当課長

区民部産業振興課長

国分 雄樹

企画部ユニバーサルデザイン推進担当課長

地域支えあい推進部南部すこやか福祉センター担当課長

菅野 多身子

子ども教育部子ども・若者相談課長

(子ども・若者支援センター子ども・若者相談課長)

健康福祉部障害福祉サービス担当課長心得

網野 和弥

区民部産業振興課長心得

事務取扱発令

区長発令

発令権者   中野区長  酒井 直人

事務取扱を発令する職

氏 名

兼務者の現職

備考

子ども教育部子ども・若者相談課長

(子ども・若者支援センター子ども・若者相談課長)

森 克久

子ども家庭支援担当部長

兼務発令

区長発令

発令権者   中野区長  酒井 直人

兼務を発令する職

氏 名

兼務者の現職

備考

南部すこやか福祉センター所長

菅野 多身子

地域支えあい推進部南部すこやか福祉センター担当課長

 

○議長(酒井たくや) この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、ひやま隆議員、加藤たくま議員、平山英明議員、武田やよい議員、黒沢ゆか議員、中村延子議員、大内しんご議員、甲田ゆり子議員、広川まさのり議員、大沢ひろゆき議員、いのつめ正太議員、山内あきひろ議員、白井ひでふみ議員、斉藤ゆり議員、武井まさき議員、山本たかし議員、市川しんたろう議員、むとう有子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、吉田康一郎議員、立石りお議員、斉藤けいた議員、井関源二議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 ひやま   隆

 1 中野駅新北口駅前エリアにおける市街地再開発事業について

  (1)事業費高騰に係る施行予定者からの報告について

  (2)スケジュールの遅延にともなう区の負担について

  (3)事業計画の見直しと今後の方向性について

  (4)その他

 2 令和7年度中野区予算編成について

  (1)物価高騰対策について

  (2)新規・拡充事業について

  (3)区財政を取り巻く状況の区の認識について

  (4)その他

 3 人権に関わる施策について

  (1)条例に基づくこれまでの取り組み状況について

  (2)北朝鮮による日本人拉致問題について

  (3)その他

 4 その他

 

○議長(酒井たくや) 最初に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○28番(ひやま隆) 令和6年第4回定例会に当たりまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりです。よろしくお願いします。

 初めに、中野駅新北口駅前エリアにおける市街地再開発事業について伺います。

 「中野サンプラザ再開発、計画見直しへ」。今年の9月に入り、このような趣旨の報道が各種メディアでなされました。新たな中野の顔、シンボル拠点として期待や注目も高い事業だけに、報道を受け、区民の皆様からは不安の声や様々な問合せが寄せられております。事業の今後のスケジュールはどのようになっていくのか。事業計画の見直しにより建物はどのように変わるのか。そもそもなぜこのような事態が起こったのか。これらの区民の皆様からの疑問に対して、区は誠意を持って明確に説明する責任があります。今月開会された関係委員会における区からの御報告では、今後の予定として12月に施設計画変更の方向性についての報告を行うとのことでしたが、どのような見通しになるのか、まずは現状についてお伺いいたします。

 最大の論点となっている事業費高騰については、施行予定者からの報告によれば、工事期間が専門業者の繁忙期と重なっている点、また、2024年問題等が主な要因とのことです。しかし、一般論として、建設事業に係るコスト並びにスケジュールについては、社会経済情勢を十分に勘案して積算するのが普通であり、当然、繁忙期におけるコスト上昇や働き方改革による影響も踏まえて積算するものであります。もちろん日々変動する社会経済情勢によるコスト増を事業費に価格転嫁することは考え得ることですが、7月に施行認可申請を行ってから僅か2か月の間に900億円もの事業費が高騰するほどの想定外の事象が起こっているとは考えられず、金額の妥当性について疑念が拭えません。施行予定者からの報告では、事業費について、第三者への委託による精査を踏まえ、特定業務代行者と協議を行ったが、大幅な減額は難しいとありますが、区は高騰した事業費の金額の妥当性についてどのような認識なのか、その根拠も併せて見解を伺います。

 施行認可申請から僅か2か月の間に、工事費想定が900億円超も上昇することは不可解と言うよりほかありません。むしろ施行予定者側は、少なくとも申請の段階ではその事実を知っていたのではないか、知りながら申請を行ったのではないか、このような疑義さえ残ります。今月7日の建設委員会での御報告では、令和6年10月11日付で施行予定者より区に施行認可申請の取下げについて通知があり、区より東京都に対し、同内容の通知を行ったとのことですが、今回の申請から取下げまでの一連のてんまつは、施行予定者の施行能力に大いに疑問符がつく深刻な事態であるとともに、中野区としても施行予定者との協議の姿勢が厳しく問われる事態です。この点について区の認識を伺うとともに、今後の事業の再構築、さらには再申請に向けて、今回の一連のてんまつに関するしっかりとした検証とそれらを踏まえた対応を強く求めたいと思いますが、区の見解を伺います。

 今回の事態がもたらす区財政への影響は多岐にわたります。本再開発事業では、今年度約45億円、来年度に約205億円、合計で約250億円の転出補償金を見込んでいましたが、建設委員会における御報告では、令和7年度内の転出補償契約は難しい見込みであるとのことでした。転出補償金は、新区役所整備に関わる区債償還の財源とする計画となっており、償還額は、今年度45億円、来年度71億円を予定していましたが、これが見込めなくなりました。今年度の償還期限である令和7年3月5日に発生する利子は年間約7,600万円、仮に返済元本を据え置いた場合、同規模の金利負担が毎年発生し続けることになります。後年度になるほど金利負担が増加することに加え、今後金利の上昇も見込まれることから、さらに負担が拡大するおそれがあります。新区役所整備費用については、特別区財政調整交付金の特別交付金として、令和3年から令和5年にかけてトータルで約37億5,700万円が交付されており、これらは当初見込んでいなかった財源です。今年度予算化されている償還額については、基金の活用も含めて償還することも検討するべきであると考えますが、区の見解を伺います。また、来年度以降の起債の償還計画についても併せて伺います。

 区の御説明によると、転出補償金が計画どおりに支払われないことにより、閉館した中野サンプラザを所有している株式会社まちづくり中野21に関連する経費についても、多額の費用負担が想定されております。具体的には、サンプラザの維持管理費、固定資産税、借入金の利息などにより、毎月約2,600万円、年間約3億1,200万円もの費用負担が想定されるとのことでした。事業の再構築の見通しが立たない中、いたずらにこれらの費用が毎年発生し続ける事態は、区としても避けなければなりません。年間約3億1,200万円のうち、最も大きなウエイトを占めるのが固定資産税ですが、これを抑えるための手法として、土地・建物については区が所有するというスキームも検討する必要があると考えますが、区の見解を伺います。

 また、その際の取得の手法についても、買収や寄付など幾つかの選択肢が考えられますが、いずれの場合も多額の法人税が発生することが想定されます。想定される法人税の金額を伺うとともに、これまで我が会派として求めてきた、それらの税負担を抑えるための区の取組について現状をお伺いします。

 本市街地再開発事業が遅れることによるこれらの財政的な影響については、いずれの場合も財政フレームの中に落とし込んで道筋を示す必要があります。転出補償金が計画どおりに支払われないことによる今後の区の財政運営の考え方について、現時点における区のお考えを伺います。

 また、閉館した中野サンプラザのほか、旧庁舎の管理費としても毎月約200万円、年間約2,400万円の経費が想定されるとのことです。これらについては軽減する方策も検討していると聞いておりますが、現状についてお伺いをいたします。

 今年の4月、施行認可申請を出す直前のタイミングで施行予定者間での協議が調わないことから申請スケジュールがずれ込むという、こちらも前代未聞の事態が発生しました。この際に区としては、遅延に伴う新たな地権者負担が生じないよう、施行予定者の責任において対処することを条件に施行予定者変更の承諾を行った経緯があります。今月7日の建設委員会における区からの御報告では、今回のスケジュールからの遅延に伴い、新たに生じる地権者への負担については、施行予定者側で負担するよう求めているとのことでした。さきに本事業が遅れることによる財政的な影響をるる申し述べましたが、区として施行予定者に応分の負担を求めることは当然のことであります。その上で、新たに生じる地権者への負担とは具体的に何を指しているのか、どこまで求めるのか、また、具体的に何を根拠としてそれらを施行予定者に求められるのか、区の見解を伺います。

 今後の予定として、区としては年内に施設計画変更の方向性を示し、年度内には事業計画の見直し方針及び今後のスケジュールを取りまとめるよう求めているとしています。900億円もの事業費の上昇分を事業全体の収支の中でどのように帳尻を合わせるのか、この辺りが施設計画、事業計画を見直す際の大きなポイントになろうかと推察いたします。本事業のこれまでの経緯を振り返ると、この間の物価高騰等により収支改善に向けた施行予定者の取組はこれまでも度々行われてきました。それ自体は致し方のないことだと思いますが、それらの過程における気になる点を改めて指摘をさせていただきます。

 1点目は、本来は施行予定者が設置をするべきはずの施設について、事業者に代わり区がそれらを設置するに至った点です。拠点施設に設置予定の展望施設、バンケット、コンベンションセンター、これらについては、当初の提案では施行予定者側で設置をするものでありました。とりわけ展望施設については、事業の採算性、持続可能性の観点から、区がこれを引き受けることが果たして妥当なのか、我が会派としては繰り返し疑問を呈してきたところです。今年の特別委員会において、私からも、当初の提案内容に盛り込まれているにもかかわらず、事業者側が設置しないことになった理由をただしたところ、区からは「事業者からは、事業者側で自ら展望施設の運営に取り組む場合には事業性が確保できないというふうに聞いてございます」との答弁がありました。事業性を理由に施行予定者が手放した、こうした事業を区が引き受ける一方で、令和3年には公共貢献を条件に拠点施設の容積率をそれまでの900%から1,000%に緩和することを決定しました。このように、この間の区と施行予定者との協議の経緯を振り返ると、やや片務的な印象が拭えません。この点について区の認識を伺うとともに、今後の事業計画の見直しに係る施行予定者の協議の中では、いかなる場合においても将来に禍根を残すことがないよう、区民に負担が生じることがないよう、そうした強い姿勢で交渉に臨むべきであると考えますが、改めて区長の御決意を伺います。

 2点目は、公共・公益性の向上に果たしてどこまで資するものなのかという点です。昨年の第3回定例会では、関係委員会において、物価高騰による工事費高騰に伴う事業収支成立のための対応策等の検討状況に関する報告がなされました。報告では、事業収支改善のための変更項目として、高層部への分譲住宅の追加、オフィスや分譲住宅の増、商業施設の減などがお示しをされました。年間収支を考えた際、商業床等の活用と比較して、レジデンスやオフィスの収支率が高いことはこれまでも説明があったところですが、区民の公共・公益性の向上という観点から見た場合、果たしてそれにどこまで資するものなのか、腑に落ちない部分もあります。今後の事業計画の見直しの中で、それらのウエートがさらに大きくなり、一体何のための、誰のための再開発なのか、そう思わざるを得ないような、そのような拠点施設になることは絶対にあってはなりません。

 区はこれまで、今回の事業計画の見直しについては、あくまで中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画に基づき、拠点施設整備のコンセプトや拠点施設に必要な機能については、変更することなく計画を見直したいという姿勢を繰り返し示されてきました。本事業の基本協定書第8条においても、まちづくり計画の遵守及び提案内容の継承が明記されております。一方、10月31日付での施行予定者からの報告では、施設計画について部分的な変更にとどまらず、基本計画から見直しが必要であるとありますが、今後相手方から示されるであろう施設計画変更の方向性について、これまで区が示してきたコンセプトや必要な機能の継承という点において、どのような基準でそれを判断されるのか、また、仮に大きく乖離があった場合、今後どのような展開を想定しておられるのかお伺いをいたします。

 改めて募集・選定の際の施行予定者の提案概要書を拝見すると、「中野100年のまちづくり」と題して、「100年の持続性とグローバルな発信力を持つ都市「NAKANO」の発展に貢献していくことをお約束いたします」とあります。あれから約3年、現在、100年どころか1か月先の展望すら見えない状況です。新たな拠点施設が整備されることによって生まれる便益は、新たなにぎわいの創出による中野区全体の活性化、昼間人口・夜間人口の増加による歳入増、権利床の活用による新たな施策展開や歳入増など、そのインパクトは計り知れません。さきにスケジュールの遅延に伴い生じる新たな負担については、施行予定者に求めるよう強く申し述べましたが、遅延による負担よりも、むしろこれらの本来得られるべきはずのものが得られないという損失のほうがはるかに大きいことを、施行予定者側も真摯に受け止めていただきたいと思います。一刻も早く今後の方向性についての道筋を示し、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりが長期にわたり停滞することが決してないよう強く要望し、この項の質問を終わります。

 次に、令和7年度中野区予算編成について伺います。

 (1)として、物価高騰対策について伺います。総務省が先月発表した東京23区の先月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた総合の速報値で、2020年を100として107.9となり、去年の同じ月より1.8%上昇しました。政府の酷暑乗り切り緊急支援により電気・ガス料金が下がったことなどから、上昇率は先々月9月の2.0%から0.2ポイント縮小し、5か月ぶりに1%台まで縮小しました。しかし、依然として食品などの値上がりは続いており、生鮮食品を除く食料が去年の同じ月より3.8%上昇するなど、全体を押し上げています。令和7年度中野区予算編成方針を拝見すると、円安や物価の高騰により生じた社会不安から、区民が安心して生活できる環境を充実させることが区の責務であり、区民生活に基軸を置いたサービスを展開させていかなければならないとして、区民生活を基軸とした取組について限られた財源を優先的に配分するとあります。物価高騰の見通しについては専門家の間でも様々な見解がありますが、今後も少なからず区民への影響が続くものと推察されます。そうした状況下において、限られた財源の中で区の物価高騰対策としてどの施策を優先的に取り組むのか、そのプライオリティーの見極めに当たっては一層の公平性と透明性が不可欠です。区がこれまで実施してきた物価高騰対策の一部が経常経費化しつつある現在の状況を鑑みれば、物価高騰対策に関わる費用については、より適正な、より精度の高い積算が必要であると考えます。ただ漫然と継続し続ければ、今後の区財政を圧迫することにもつながりかねません。これらを鑑み、この間区として実施してきた物価高騰対策については、それらの費用対効果等をしっかりと検証した上で、今後の実施に当たっては区としての一定の考え方を持つ必要があるのではないかと考えますが、この点について区の見解を伺うとともに、区民生活を基軸とした取組とは具体的にどのようなものを想定しておられるのか、現時点での区のお考えを伺います。

 令和7年度予算編成方針では、新規・拡充事業について、(1)として「新規・拡充事業は、真に必要であり優先度の高いものとする精査を徹底し、関連する既存事業の統合再編、見直し等、事業のスクラップにより経費を生み出すこと」とあります。当該部分はこれまでのものと同様になりますが、今回から新たに「計画等に位置付けられていない新規・拡充事業を立案する場合は、既存事業の見直し等を必須とし、その経費については既存事業の上限額を超えないように努めること」という文言が加わりました。今年度、これらに該当する事業数はどれくらいあったのか、金額も併せて伺うとともに、それらの事業に伴う既存事業の統合再編、スクラップにより経費を生み出した実績についてもお伺いいたします。

 新規・拡充事業について、今回から新たにこうした方針をお示しされた区の姿勢は評価するものですが、他方で、計画等に位置付けられている新規・拡充事業についても同様の姿勢が必要なのではないかと考えます。「新規・拡充事業は、真に必要であり優先度の高いものとする」。以下は省略いたしますが、この文言は、毎年の予算編成方針の中で毎年同じ文言が明記されておりますが、スクラップして財源を生み出すという点において、これまでの区の取組を拝見すると、総じてまだまだ、さらなる努力が必要です。スクラップして財源を生み出す。この点について、来年度の予算編成の中でどのように実効性を確保していくのか、区の見解を伺います。

 令和7年度予算編成方針では、新規・拡充事業について、(2)として「事業計画を立てる際は、事業期間と目標達成の時期を見定め、エビデンスベースでの計画作成を徹底すること。当初設定した終了時期を迎える事業については、エビデンスを基にこれまでの効果検証を行い、事業の有効性や実効性を踏まえ、改めて事業計画を立てること」とあります。こちらも毎年の予算編成方針の中で明記されております。いわゆる事業のサンセットについては、今年の予算特別委員会において私からも質疑をさせていただきました。今年から新たに当初予算の概要には、終期を設定して計画した事業の一覧が掲載されることになりました。これについては、我が会派の中村延子議員からも求めてきたものであり、区の姿勢を評価いたします。しかしながら、中身を拝見すると、令和6年度予算案における新規・拡充事業は、72事業ある中で終期を設定した計画は6事業にとどまっています。総括質疑の中でこの理由についてただしたところ、財政担当は様々な理由を挙げておられましたが、いずれにしても事業計画を立てる際は、事業期間と目標達成の時期を見定めるという区の予算編成方針との整合性が問われます。さきの予算特別委員会において財政担当からは、新規・拡充事業については可能な限り事業期間の明示を検討していきたい、また、事業期間の終了時期を迎える事業については、事業の有効性や実効性を踏まえて事業継続を判断するように徹底させていきたいとの答弁をいただきましたが、この点について令和7年度予算編成に当たっては、具体的にどのような取組を実施されているのか、現状についてお伺いをいたします。

 ここ数年の決算においては、歳入の大幅な上振れ状態が続いてきました。酒井区政におけるこの間の行財政運営は、こうした好調な歳入という、言わば受動的な環境因子によって支えられてきたという側面は冷静に捉えなくてはいけないと思います。しかしながら、世界経済の後退懸念や物価高騰などの影響により、ここ最近の歳入の上振れ額は減少傾向にあり、昨年度においては上振れ額が大幅に減少しました。歳入の伸びがいよいよ鈍化してきたという事実は、酒井区政として深刻な事態として受け止めなければなりません。一方で、今後の歳出は、さきに述べた物価高騰対策、区有施設の更新やまちづくり、さらには、団塊の世代約800万人全員が75歳以上の後期高齢者となる、いわゆる2025年問題の到来により扶助費の増加も見込まれます。歳入の見通しが決して楽観視できる状況でない中で、歳出についてはこれらのように多額の財政負担を要する政策課題が山積しております。これらの区財政を取り巻く状況について、区はどのように認識をされているのか伺うとともに、将来需要を見越した持続可能な財政運営の実現に向けての来年度の取組について現状をお伺いいたします。

 伺って、この項の質問を終わります。

 次に、人権に関わる施策について伺います。

 今年も人権週間の季節が近づいてきました。今から76年前の1948年12月10日、国際連合第3回総会において、全ての人民と全ての国が達成すべき共通の基準として世界人権宣言が採択されました。採択日である12月10日は人権デーと定められ、我が国では人権デーを最終日とする1週間を人権週間と定め、全国的な人権啓発活動を行ってきました。子どもの人権問題、インターネット上の人権侵害、障害のある人や外国人、性的マイノリティ等に対する偏見や差別、同和問題、北朝鮮による日本人拉致問題など、我が国においても様々な人権問題が依然として存在しており、区としても取組をさらに推進していかなくてはなりません。

 令和4年、中野区では酒井区長の公約条例でもある「中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例」が制定されました。賛成討論において我が会派の森たかゆき議員からも申し上げましたが、いわゆる人権尊重条例を制定する自治体は徐々に増えてきている中で、中野区の条例では、性別、性自認、性的指向、国籍、人種、民族、文化、年齢、世代、障害など、個別の属性のみならず、それらが複合的に重なり合うことでより多くの困難を抱える方への視座が含まれている点が特徴的で、その点を改めて高く評価するものです。また、同条例は、単なる理念条例にとどまらず、中野区、区民及び事業者の責務、常設の人権施策推進審議会の設置、相談体制整備と課題解決のための支援実施など、根拠規定を設け、具体的な仕組みを盛り込んでいることも大きな特徴です。そこで、人権及び多様性に関する相談体制整備と課題解決のための支援に関して、これまでの区の具体的な取組と実績を伺うとともに、この間の区の取組の中で、中野区としての課題を区はどのように捉えているのか、区の見解を伺います。

 最後に、北朝鮮による日本人拉致問題について伺います。北朝鮮による日本人拉致問題は、私たちの人権を考える上で忘れてはならない重大な人権侵害です。今週の日曜日、12月1日、政府拉致問題対策本部・東京都・中野区の主催による、映画「めぐみ-引き裂かれた家族の30年」の上映会が実施されます。今から47年前の1977年11月15日の朝、いつものように学校へ出かけた、当時13歳、中学1年生の女の子が、夕方、学校からの帰宅途中に突然姿を消しました。平和だった横田さん御一家の日常はその瞬間から一変し、めぐみさんの御両親はめぐみさんの生存を信じ、めぐみさんを取り戻すための果てしない闘いの日々を過ごしてこられました。この映画ではその様子が克明に描かれております。今回の上映会の開催に当たっては、区民の皆様からの反響も大きく、事前の受付では定員を大きく上回る多数のお申込みがあり、抽選になったと漏れ聞いております。今回、鑑賞を希望したにもかかわらず、残念ながらかなわなかった方々に対しても、ぜひともこの映画を鑑賞できる環境を整備する必要があると考えますが、どのような対応をされるのか伺います。また、中野区としてもこの問題を広く区民に周知するためのさらなる取組が必要であると考えますが、今後の取組についても併せて伺います。

 私も本映画を拝見いたしましたが、娘を持つ父親として、同胞の日本人として、胸が張り裂ける思いで鑑賞いたしました。北朝鮮が日本人の拉致を初めて認め、謝罪した2002年の日朝首脳会談以降、5名の拉致被害者とその御家族の帰国は実現したものの、そのほかの拉致被害者はいまだ北朝鮮に残されたままです。北朝鮮による日本人拉致被害者全員を一刻も早く救出し、拉致問題を完全に解決するため、毅然とした制裁措置と併せて6か国協議の再開など、さらなる国際協調を図るなど、あらゆる機会を逃さず、我が国の総力を挙げてこの問題に取り組むことを改めて国に対して求めていくべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 伺って、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、中野駅新北口駅前エリアにおける市街地再開発事業についてで、施設計画の方向性についてでございます。区としては、施設計画変更の方向性についての12月の報告に向けて、施行予定者に対し、施設計画変更の方向性及びスケジュールの遅延に伴い、新たに生じる地権者への負担の対応についての回答を求めているところであります。12月に予定どおりに報告を行うべく、施行予定者と協議を進めてきている段階でございます。

 次に、事業費の妥当性についてでございます。市街地再開発事業は、民間活力の導入による市街地整備手法の一つであることから、当該市街地再開発事業に係る事業費については、施行予定者が算出をすることになります。施行予定者は、特定業務代行者が算出した事業費について、第三者への委託による精査を踏まえて妥当性を確認したと報告を受けているところであります。施行予定者による事業費精査の結果については、区としても報告を受けておりまして、事業費の高騰についてはやむを得ないものと認識をしているところでございます。

 次に、今までの経緯と事業再構築に向けた区の姿勢についてです。区としましては、施行予定者による事業計画内容について、施設計画取りまとめ段階、都市計画手続段階など、事業の節目において事業収支を含む内容の確認を行ってきたところでございます。また、施行認可申請に当たっては、施行予定者が作成した事業計画内容を確認し、地権者である区として同意をし、適切に手続を行ってきたと認識をしております。今後、事業を再構築していくこととなりますが、区としては、今回の認可申請から取下げまでの経緯、状況を踏まえ、施行予定者に対し強い姿勢で協議を進めてまいります。

 続きまして、区役所新庁舎整備に対する起債の償還についてです。令和6年度における区役所新庁舎整備に対する起債の償還については、転出補償金を充当し、約45億円の償還を予定したところであります。この償還に当たりましては、基金を活用した上で償還することも含めて検討しておりまして、年度末の補正予算において明らかにしてまいります。

 次に、株式会社まちづくり中野21の資産の移転についてでございます。中野サンプラザの土地・建物の資産をまちづくり中野21から区へ移転させれば、移転の翌年から固定資産税の負担はなくなる見込みであります。区への資産移転は、負担軽減のための有効な方策であると考えておりまして、今後の選択肢の一つとして検討を進めているところであります。また、市街地再開発事業にのっとり転出補償金を受領することを想定しておりましたが、その際にまちづくり中野21に賦課される法人税は最大100億円程度かかると見込んでおりました。市街地再開発事業によらず資産移転を行った際に賦課される法人税の額は、その手法にもよると考えられるため、今後確認をしてまいります。

 次に、転出補償金の遅延に対する区の考え方についてでございます。転出補償金については、区役所新庁舎整備に対する起債の償還のほか、基金積立金への充当を予定したところであります。今後の財政運営に当たっては、今年度の決算見込みや令和7年度予算編成、まちづくり中野21への対応など総合的に検討する必要があると考えております。できるだけ区民サービスに影響が及ばないように判断をしてまいります。

 次に、旧庁舎の管理費についてです。令和7年度、旧庁舎を管理するに当たっては、巡回警備が必要であると考えております。経費の軽減につきましては、防犯対策上問題が生じない範囲で工夫できないか検討してまいります。

 次に、新たに生じる地権者の負担についてです。当初想定していた建物の明渡し時期が延伸することにより、区は旧庁舎に係る維持管理経費、株式会社まちづくり中野21は固定資産税や中野サンプラザに係る維持管理経費の発生が見込まれます。また、転出補償金が得られなくなったことによって、区債及び株式会社まちづくり中野21の借入金の返済が遅れた場合には、新たな金利負担が発生する可能性があります。区は、施行予定者から示された事業計画書がスケジュールどおりに進められると信頼して同意したものでありまして、スケジュールの遅延によって新たに生じる地権者の負担については、施行予定者の責任において対処するよう求めているところでございます。

 次に、事業計画の見直しと今後の方向性についてです。区は、全地権者と施行予定者で基本協定を締結しておりまして、この基本協定に基づいて区と施行予定者で協力し、事業構築を進めてまいりました。物価高騰や工事費高騰等の影響を受けた側面はあるものの、区は地権者の立場、まちづくりの立場で、適宜適切に施行予定者と協議を進めてきております。今後の事業計画の見直しに当たっては、中野駅新北口のまちづくりの将来像の実現に向け、区民の期待に応えるため、強い姿勢で施行予定者との協議に臨んでまいります。

 今後の方向性についてでございます。中野駅新北口駅前エリアの拠点施設整備は、中野サンプラザのDNAを継承した新たなシンボル拠点をつくる、回遊性を高め、にぎわいと交流に満ちたまちをつくるといったコンセプトに基づいて進めることとしております。施設計画の変更に当たっては、変更項目について一つひとつコンセプトの実現や必要な機能の実現といった視点で確認をして判断してまいります。また、これまでの計画内容と大きな乖離があった場合には、必要に応じて第三者に意見を伺い、判断することも検討してまいります。

 続きまして、令和7年度中野区予算編成についての項で、物価高騰対策の考え方等についてです。

 区がこれまでに実施してきた物価高騰対策は、国や都が実施する対策を踏まえて、生活困窮者に対する各種給付金の支給や事業者に対する補助金等、区が実施すべき対策を見極めて適切な時期に実施してきたものでありまして、費用対効果の観点からも適切なものであったと考えております。区民が安心して生活できる環境を充実させるための区民生活を基軸とした取組については、国や都の動向や社会経済状況を見極め、時期を逸することなく、必要に応じて区独自の取組も含めて実施したいと考えております。

 次に、計画等に位置付けられていない令和6年度の新規・拡充事業についての御質問です。令和6年度の計画等に位置付けられていない新規・拡充事業については5事業で、事業費は約2億8,000万円であります。これらの事業に伴う既存事業の統合再編、スクラップにより経費を生み出した実績はありません。

 次に、スクラップして財源を生み出す姿勢についてです。予算編成方針においては、経常経費は削減を原則とし、デジタルシフトによる行政サービスの支出と生産性の向上を念頭に置いた内部管理事務の効率化を進め、内部管理コストの削減を図るなど、歳出抑制・節減に努めることとしております。来年度の予算編成では、既存事業等の廃止、統合、縮小の検討も行うほか、各事業の優先順位を明確にするなど、手法の検討・執行体制の見直しを含めた予算要求を徹底させております。

 続きまして、サンセット事業についてです。新規・拡充事業において目標達成時期を定めたサンセットとすることは、持続可能な区政運営の確立のために有効であると考えております。例えば、補助制度の終了時期などが不明瞭な事業については、期間を定めて予算化をしておりまして、効果検証を行った上で今後の予算化を判断することとしております。来年度の予算編成においても、事業の有効性や実効性を踏まえ、事業を立案していく考えでございます。

 私から最後に、持続可能な財政運営に向けた来年度の取組についてです。歳入においては不確実性が増している一方、歳出においては物価が高止まりする中で、施設更新経費や扶助費を含めた社会保障費は今後も増加すると認識をしております。区民が安心して生活できる環境を充実させることが区の責務と考えておりまして、引き続き歳入の確保及び歳出の削減に努め、基金や起債を活用しながら中長期的な財政見通しを持った財政運営を行ってまいります。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 私からは、人権に関わる施策についての御質問にお答えをいたします。

 初めに、条例に基づくこれまでの取組状況についてでございます。性的マイノリティ相談につきましては、今年度からサロン形式見直しを実施しておりますけれども、毎回20名ほどの参加をいただいているところでございます。また、区民を対象とした人権啓発講演会につきましては、明治大学を中心に実施をしております中野ダイバーシティフェスタと一体的に実施をしてきたところでございます。人権や多様性につきましては、関心の低い方への周知・啓発が課題と認識しておりまして、今後より多くの区民の方に浸透させることができるよう、より有効な方法に見直しを図るなど工夫をしてまいりたいと考えております。

 次に、北朝鮮による日本人拉致問題に関して、初めに映画上映会のフォロー体制についてでございます。映画上映に参加できなかった方につきましては、上映会当日はユーチューブ政府拉致問題対策本部公式動画チャンネルにおきまして、インターネットでライブ配信を実施いたします。また、この動画は12月3日まで視聴が可能となっておりまして、上映会のチラシにも掲載し、周知をしているところでございます。

 次に、区民周知のための取組についてです。北朝鮮における人権侵害啓発週間につきましては、これまで、区内の掲示板や区有施設へのポスター掲示、ホームページ等による普及啓発を図ってまいりました。今年度は、これらに加え、啓発週間を通じ、庁舎1階を活用したパネル展の実施や庁舎のライトアップなどにより啓発を行う予定でございます。

 次に、国への要求についてでございます。北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会が、政府に対して要望書の提出等、働きかけをしておりまして、今後国の動向等も含み注視をしてまいりたいと考えております。啓発事業につきましては、今回のように国や東京都と連携して引き続き取り組んでいきたいと考えてございます。

○議長(酒井たくや) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 1 中野サンプラザの今後について

 2 持続可能な自治体運営の実現について

  (1)中野区が持続可能な自治体を目指す上で必要な概念について

  (2)財政フレームについて

  (3)スマートウェルネスシティの推進について

  (4)地域活動の推進について

  (5)若者政策について

  (6)産業振興について

  (7)中野区基本計画の改定について

 3 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、加藤たくま議員。

〔加藤たくま議員登壇〕

○16番(加藤たくま) 自由民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 1、中野サンプラザの今後について。他の議員と重複する部分もありますが、我が会派ならではの視点を踏まえて質問させていただきます。

 中野駅新北口駅前エリア拠点施設、いわゆる新・中野サンプラザにおいては、御周知のとおり、令和6年7月上旬に事業認可申請するも、2か月足らずの8月下旬に総工事費が900億円以上上昇することが分かり、急遽事業認可申請の取下げをするということになりました。中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会において、事業認可の取下げは恐らく前例がないのではとの答弁で、前代未聞の事態であります。常任・特別委員会における報告では、特定業務代行者から示された工事費900億円、30%以上の上昇について、第三者への委託による精査を踏まえて特定業務代行者と協議を行ったが、大幅な減額は難しいということが分かったとのことです。そうであれば、7月に申請したものが妥当な金額ではなかったのではと疑われても致し方ありません。いずれにしても、事業認可の取下げは、東京都・国からの信用を大きく損なう行為となったのではないかと考えます。中野区は、2か月足らずで900億円が上昇した理由、証拠として何も施行予定者から資料を示されていないにもかかわらず、事業認可申請の取下げを実質容認したことになりますが、区はどのようなマネジメントをこれまでしてきたのか伺います。また、事業が中断した原因追求及び公表がなく、区は区民への説明責任を果たせていないと考えますが、区の見解を伺います。

 再整備計画が中断し、直近として大きな課題は中野サンプラザ等の維持管理費です。月々に換算しますと、中野サンプラザの固定資産税1,850万円、中野サンプラザと旧中野区役所庁舎の閉鎖管理費400万円、まちづくり中野21借入金利息550万円、月の合計が2,800万円、年間にして約3.4億円の費用がかかりますが、何もしなければ実質区が支払うことになります。この支払いが生じた主要因としては、物価高騰等の社会情勢であることは間違いございませんが、大幅に時期が遅れたプロジェクトのマネジメントにも大きな問題があったのではないかと考えます。また、新区役所整備の起債、いわゆるその借金は116億円とその利息もあります。そこで、このプロジェクトの遅れに関して、そのマネジメントについて中野区側に全く問題がないと言い切れるのか伺います。

 もし中野区側に全く問題がなかったというのであれば、施行予定者に多分な問題があったということになります。関係各所との信頼関係が損なわれた状況をつくった施行予定者とそのまま事業継続するためには、施行予定者には大きく分けて二つの条件を受け入れてもらう必要があると考えます。一つ目としては、この施行予定者が固定資産税等を負担するか否かというところです。委員会において施行予定者に対して、施行認可申請時の事業計画に示されていたスケジュールからの遅延に伴い新たに生じる地権者への負担については、施行予定者側で負担をするよう求めていると報告しておりますが、これがかなわなかったとき事業者の再選定をするのか伺います。

 二つ目として、計画の見直しは小規模かつ新たな区負担がないものとなるかということです。委員会において、施設計画については、部分的な変更にとどまらず、基本計画から見直しが必要であることから、令和7年度中の施行認可の申請は極めて困難であると報告しております。基本計画の見直しが大規模なものであれば、施行予定者の選定のプロポーザルまで遡る必要があると考えます。当初、野村不動産株式会社の提案は超高層1棟の計画でありました。例えば、基本計画の見直しで、コンセプトが、当時東京建物株式会社がプロポーザルで提案したツインタワーに類似するようなことがあれば、この基本計画を認めるわけにはいきません。別件ではございますが、落札後の業務の仕様変更においては、他の落札できなかった入札業者に訴えられる可能性があるために簡単ではないという事例がありました。そのため、基本計画の見直しは小規模である必要がありますし、新たに区の負担がないようにしていただく必要があります。900億円の総事業費の圧縮のためには、当初案よりもスペックダウンさせざるを得ないと考えますが、区長は特別委員会でアリーナ機能を重要視する趣旨の発言がありました。もろもろの要件を満たしながらの基本計画の見直しが必要となり、かつ、施行予定者として選定された評価結果から逸脱していないかを判断する必要があります。そこで、中野区は見直された基本計画が許可すべきものであるかの判断基準をどのように考えているのか伺います。

 この二つの条件をこなして、ようやく施行予定者の事業継続を許容するといったところでしょう。しかし、口を開けて施行予定者が基本計画を見直すのを待っているだけでは、最悪の事態に対して後手に回ってしまい、区は要らぬ出費をすることになります。そこで、施行予定者の再選定とならざるを得ない事態に備えてシミュレーションをしておく必要があります。維持管理費のうち、まちづくり中野21の借入金利息は元本43億円を返さなければなりません。当初案であった旧庁舎・中野サンプラザの転出補償金400億円が入るかどうかは未定であり、何も生み出さないこの借入金の早期の返済は選択肢の一つと考えますが、中野区の見解を伺います。

 法人税は、まちづくり中野21が野村不動産株式会社に中野サンプラザの土地・建物を売却することで発生する不動産売却益に対して100億円かかる予定でしたが、もし寄附できれば100億円の出費を抑制できるかもしれないチャンスです。我が会派は総務委員会で再三御提案させていただきましたが、まちづくり中野21の借入金を全て清算し、土地・建物だけを純資産として寄附し、解散するような道筋とすれば実現するのではないかと考えますが、区の見解を伺います。

 国税庁ホームページに、法人が支出した寄附金の損金算入について書いてありますが、国や地方公共団体に対する寄附金及び指定寄附金は、その支払った金額の全額が損金に算入されると記載されております。もし寄附ができるのであれば、まちづくり中野21解散時に支払う予定の法人税約100億円を納税する必要もなくなるかもしれません。それで、そのためにまちづくり中野21の借入金を清算して寄附すべきと考えます。

 これまでの提案が全て実現できれば、旧庁舎・サンプラザの閉鎖管理費のみが維持管理費となり、月々400万円です。現在稼働中の駐車場、今後、サンプラザ前広場の開放により維持管理費分の収益は見込めるのではないかと考えますが、区の見解を伺います。

 維持管理費を実質ゼロにできれば、プロジェクト、土地所有の在り方、様々なことに対して腰を据えて考える時間もできるのではないかと考えます。また、旧中野区役所庁舎は低層階が解体されまして、高層階の耐震強度が基準値をいつまで維持できるのか疑問の声があります。当初の権利変換では、旧庁舎と中野サンプラザの土地・建物を合わせて従前資産663億円の評価額としているわけですが、耐震強度が下がった旧庁舎の建物の評価が長期間維持されるのか気になるところですが、区の見解を伺います。

 そこまで当初案と前提条件が異なれば、定期借地という考えも浮かんできます。900億円上昇してしまった総工事費のうち、転出補償金の400億円を建設前に一気に支払う必要がなくなり、新たな施行予定者もプランを考えやすくなるのではないでしょうか。あらゆるシチュエーションに対してシミュレーションをしていくべきと考えますが、区としてどこまでの想定をされているのか伺いまして、本項の質問を終えます。

 続きまして、2、持続可能な自治体運営の実現について伺います。

 (4)の地域活動の推進についての順番を、(6)と(7)の間に変更させていただきます。

 (1)中野区が持続可能な自治体を目指す上で必要な概念について。

 中野区議会総務委員会では、地方都市行政視察で10月29日、福島県福島市にSDGsの推進について伺いました。福島市SDGs未来都市計画では、人口減少・少子高齢化の進行、東日本大震災及び原子力災害などの影響による消費や生産活動の縮小など経済活動の停滞、税収の減少、医療や福祉に関わる社会保障費の増大など様々な影響を抑制するために、若者を中心として新しい復興創生ステージをつくり、人口減少に歯止めをかけることが必要としています。福島市人口ビジョンでは人口目標、KPIには総人口、20歳から39歳の人口、合計特殊出生率などが設定されており、若者の人口増加なしに持続可能な自治体運営ができないといった気迫を感じました。中野区では、若者、生産年齢人口が急激に減少することがない恵まれた環境ではありますが、持続可能な自治体運営について深い議論がこれまでなかったのではないかと、福島市の視察を終えての感想でした。そこで伺いますが、中野区は持続可能な自治体運営をする上で必要と考えるものは何か伺います。

 持続可能な自治体運営で必要不可欠な要素として、究極としては適正な歳入確保と歳出抑制です。歳入確保は納税者を一定以上に維持する施策が必要です。しかし、中野区は都心への交通利便性が高い地域であり、転入者が多く、結果、子どもを産むタイミングで区外へ転出するなど、出生率を上げることに苦慮しております。選ばれ続けるまちを維持するとともに定住意向を高める必要があり、大きく政策を二つに分けるべきと考えます。一つとしては、中野区で生まれ育った子どもたちが引き続き中野区で産み育てたいと思うまちづくり。二つ目としては、中野区内の職業に就き、住む、職住近接を進めることです。一方、歳出抑制は、DXを推進し、スマートウェルネスシティ、ナカペイなどを活用して、EBPMによる政策判断を推進することで実現します。区政全体にこのような考えを実装すべきという観点で、以降の質問をさせていただきます。

 財政フレームについて。

 インフレで歳入も歳出も上昇する中、名目の数字ばかりではなく、実質の数字で現状を把握する必要があると考えます。今年度の特別区民税は、名目で上がったものの実質では下がっております。また、物価上昇によりインフレスライドの適用が増えました。義務教育施設を例に取れば、第3回定例会のインフレスライド関連の議案は、南台小学校、明和中学校、旧中野中学校、旧本郷小学校など、合わせて6.5億円程度の増額がありました。財源は義務教育施設整備基金でしたが、新庁舎整備、給食費無償化の政策メニューを急遽入れるために、令和6年度は積立てをほぼゼロとしたために、インフレスライドのための予算計上はなされておらず、財政の弾力性に疑問が残る状況です。義務教育施設におきましては、建設コストが1校50億円だった時期に建てた学校と100億円となろうかという現在の学校では、減価償却費相当額の金額は全く異なります。まちづくりにおいてもインフレスライドの増額があり、財源はまちづくり基金としておりますが、それを補填する交付金は内示割れを起こす可能性もあり、一般財源への影響を考慮する必要があります。道路、公園、その他の区有施設などの施設整備に関する事業費は、物価高騰が当面続くという最悪なシナリオを考えなければ持続可能な自治体運営は困難です。いよいよインフレの影響が目に見える形で財政フレームに組み込まれなければ、財政の見通しが立てられないと考えますが、区の見解をお伺いします。

 スマートウェルネスシティの推進について。

 現在、スマートウェルネスシティは、歩行による健幸ポイントなどを企画立案されているようですが、あくまで健幸ポイントによって区の歳出を抑制するための行動変容を生むことが目的です。そのためには、EBPMで政策に使われる費用と医療費、介護費等の抑制をてんびんにかける必要がありますが、区のEBPMの検証体制について伺います。また、ナカペイとの連携も併せて伺います。

 4番を飛ばしまして、5番、若者政策について。

 子どもたちの支援のサービス向上を図るべきで、その先にある目的を明確に設定すべきです。一つとして、さきに述べましたが、中野区に生まれ育った子どもたちに中野区に住み続けてもらうための体制が若者政策に必要であると考えます。幼少期、青年期に地域との交流を深め、シビックプライド、郷土愛を育むことで中野区に定住してもらいたいところであります。令和6年第3回定例会において、部活動の地域移行に関わる地域で活動するスポーツクラブに対して、スポーツ・コミュニティプラザだけではなく、グラウンド、小学校にも認定制度を制定し、優先的に利用できるようにすべきではとの質問に対し、今後は部活動の地域移行も含め、変化していくスポーツニーズを捉え、各施設の設置目的に沿った利活用が進むように、優先利用対象の見直しについても検討していくとの答弁でした。地域スポーツとの交流が図れ、郷土愛も育まれます。それに加えて実現していただきたいのが、スポーツクラブの地域イベントへの出席です。安定的に施設が利用できることを条件に、例えば、防災訓練、避難所訓練などに参加を促す仕組みを検討できないか伺います。

 次に、ハイティーン会議、若者会議について伺います。中野区に住み続けたいという意思を世代全体に浸透させる会議体であるべきで、会議から提案された政策が実現できれば、自分たちのまちは自分たちでつくっていくという成功体験がシビックプライドを生むはずですが、中間で区とのフィードバックがないためか、現実的ではない要素が残ったままの最終プレゼンがなされて、その努力に対して称賛はするものの、政策としてほぼ実現されていない状況にあります。実施方法の工夫が必要と考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

 手前みそですが、私が所属していた東京青年会議所は、年間18万円の年会費、月々の交際費を都度払いながら、世の中が少しでもよくならないか試行錯誤しながら一生懸命頑張り、結果的に40歳の卒業後も地域で活動している諸先輩が多くいます。ハイティーン会議から若者会議に、若者会議から地域活動につなぐ体制を構築することで、持続可能な地域活動、持続可能な自治体運営につながると考えますが、区の見解を伺います。

 中高生機能強化型児童館について伺います。若者の居場所づくりが目的でしょうが、コミュニケーションを取ることが苦手、不登校もしくはその前段階にあるような子に対するアプローチと、それ以外の子どもたちに対するアプローチは異なるのではないかと考えます。後者が集まる場所に前者は行きづらいと考えます。中高生の児童館では、新たな機能として音楽室がありますが、前者が行きづらい要因になるのかと危惧します。また、U18では、ビリヤード台、マージャン台などが誰にも利用されなかったなどの反省点が総括されておりません。ダンス教室は中野区内に多数あり、グーグルマップで「中野区」「ダンス教室」と検索すると120件以上出てきます。もろもろの条件から、新たな機能に音楽室が本当に必要なのか、改めて区の見解を伺います。

 児童館は、全生徒の5%となる不登校対策も担うべきと考えます。文部科学省では学びの多様化学校の設置を推進しており、全国で36校が指定されております。中野区内においても不登校対策に関する専門施設として中野中学校にチャレンジクラスがありますけれども、専門の施設が必要と考えます。日中は不登校対策施設、夕刻以降は部活動の地域移行などを含めた子どもたちの居場所として、二毛作の施設を想定されるのはいかがかお伺いいたします。

 6、産業振興について。

 産業振興の強化は区として重要な施策ではありますが、法人住民税が中野区に直接入るわけではないため、住民税で還元していただくイメージが持続可能な自治体運営に資すると考えます。中野区で働き、住む、職住近接は、通勤時間が短縮され、従業員のストレス軽減やワークライフバランスの向上に貢献すると考えられます。中野区の経営支援のメニューの中に、中野区に住んでいただく視点を含めるべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

 自治体の中で経済を回していくという意味では、ナカペイもその一つとなります。フェリカポケットマーケティングの納村哲二社長の著書によりますと、地域通貨は地域・目的・期間を限定することで自治体からのメッセージを示し、区民の行動変容を促すことができるということです。このたびの30%のプレミアムポイントは来年3月まで、自分がチャージしたお金も来年12月まででこの期間がなくなるということになっており、この期間の縛りはかなり思い切った制度でありますが、行動変容を促します。徒歩による健幸ポイントも、区民が当たり前のように毎日1万歩歩く人が90%になったり、コミュニティポイントで地域活動が活発になれば行動変容はできているということになり、事業を打ち切ることも必要となってきます。持続可能な自治体運営のために、区民の行動変容をイメージすることが重要と考えますが、区の見解を伺います。

 4番、地域活動の推進について。

 タワーマンションができると新たな自治会が誕生し、多くの人が集まるそうです。町会・自治会活動を敬遠するのではなくて、幅広過ぎる世代間ギャップが地域活動への参加をためらわせるのではないかと推測します。一方、私が区議会議員を務めて10年くらいになりますが、ほとんどの地域活動の構成員は若い人が入らず、10歳年を取っただけの状況となり、この先活動の維持が困難となっているようにお見受けします。地域活動に若い人が入るスキームを区が構築しなければ、地域活動の継続は困難です。若い人たちを地域活動に注入していくために、地区町会単位で若い人たちによる緩やかなボランティア団体のようなものの構築を提案させていただきます。ここに部活動の地域移行やハイティーン会議、若者会議など、区に貢献したいと思っている人などの力を結集し、また、ナカペイのコミュニティポイントなども活用しまして、その団体に各町会とのパイプ役になってもらえば、地域活動に若い力を注入する第一歩となると考えますが、区の見解を伺います。

 最後に、中野区基本計画の改定について。

 これまで様々申し上げてきましたけれども、中野区基本計画は、5年、10年後だけではなく、持続可能な自治体運営を可能とするために歳入確保と歳出抑制の究極目標を設定すべきと考えますが、区の見解を伺い、全ての質問を終えます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、中野サンプラザの今後についてで、中野駅新北口駅前エリア事業推進における工事費高騰の区の認識についてでございます。施行予定者による施行認可申請に当たっては、区として事業収支を含む事業計画内容について内容を確認し、同意をしているところであります。一方で、施行認可申請後に、施行予定者より特定業務代行者の工事費の見積りが高騰したことを踏まえての協議がありまして、区としては事業計画どおりの事業推進を求めたものの、施行予定者の判断で施行認可申請の取下げが行われたものであると認識をしております。

 次に、工事費高騰の区の原因追求及び説明責任についてです。区としては、工事費高騰の要因について、施行予定者から専門業者の繁忙や2024年問題等を踏まえ、施工業者の確保を前提に見積もった結果、予想以上にコストがかかることとなったと報告を受けております。中野駅新北口駅前エリアにおける市街地再開発事業の進捗状況については、これまでに区としての議会報告のほか、記者会見でも御説明をし、状況説明の動画も配信しているところであります。今後も事業推進における検討状況については、適宜区民、区議会に情報共有しながら着実に事業を推進してまいります。

 次に、中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備における区のマネジメントについてでございます。区としては、施行予定者による事業計画内容について、施設計画取りまとめ段階、都市計画手続段階など、事業の節目において事業収支を含む内容の確認を行ってきております。また、施行認可申請に当たっては、施行予定者が作成した事業計画内容を確認し、地権者の区として同意をし、適切に手続を行ってきたと認識をしております。今後、事業を再構築していくこととなりますが、区としては今回の認可申請から取下げまでの経緯、状況を踏まえ、施行予定者に対し強い姿勢で協議を進めてまいります。

 次に、地権者負担に対する対応結果と事業者の再選定についての御質問です。施行予定者から示された事業計画のスケジュールからの遅延に伴う新たな地権者負担は、区財政への大きな影響も懸念されることから、施行予定者側に負担を求めてまいります。今後の事業の見直し方針の検討に当たっては、施行予定者より示される施設計画変更の方向性、新たな地権者負担に対する対処の内容、これらを踏まえ、状況によっては事業者の再選定の可能性も含めて検討してまいります。

 次に、基本計画見直しにおける判断基準についてでございます。中野駅新北口駅前エリアの拠点施設整備は、中野サンプラザのDNAを継承した新たなシンボル拠点をつくる、回遊性を高め、にぎわいと交流に満ちたまちをつくるといったコンセプトに基づき進めることとしております。施設計画の変更に当たっては、変更項目について一つひとつコンセプトの実現や必要な機能の実現といった視点で確認をして判断をしてまいります。また、これまでの計画内容と大きな乖離があった場合には、必要に応じて第三者に意見を伺い、判断することも検討してまいります。

 次に、株式会社まちづくり中野21の借入金返済についてです。借入金の利息負担など、まちづくり中野21が負担する経費の削減は、早急に取り組むべき課題だと認識をしております。まちづくり中野21の借入金元本は約43億円でありまして、会社単独での返済は難しい状況でありますから、区が支援することも想定のうちの一つとして考えております。

 次に、中野サンプラザ土地建物の資産移転についてです。区への資産移転は負担軽減のための有効な方策であると考えておりまして、今後の選択肢の一つとして検討を進めております。資産移転の手法は、寄附や配当など様々考えられますが、その手法によって発生するまちづくり中野21に対する課税について専門家に確認を行っておりまして、今後国税局と相談を行うことを考えております。

 続きまして、中野サンプラザ敷地の活用についてです。中野駅前のにぎわい創出のために、中野サンプラザ南側広場の暫定的な活用等について検討を始めているところであります。中野サンプラザの暫定利用につきましては、市街地再開発事業の事業計画見直し方針や今後のスケジュールが判明した後、区としてそのスケジュールに応じて必要となる経費や費用対効果等を総合的に検討し、判断をすることとしております。

 次に、旧庁舎高層棟に係る従前試算評価についてです。一般的な建物評価の考え方としては、評価基準日までの経過年数や再評価における単価見直しを踏まえ算定するものでありまして、当初の従前資産評価額に対して一定程度価格が増減する可能性はあります。なお、従前建物の評価額に耐震強度は影響がないという認識であります。

 次に、中野駅新北口駅前エリアの事業推進におけるシミュレーションについてです。区としては、区を含む地権者と施行予定者で締結している基本協定に基づき、施行予定者と協議をしておりまして、年内に施設計画変更の方向性を示し、年度内には事業計画の見直し方針及び今後のスケジュールを取りまとめ、報告することとしております。年内及び年度内での報告に向けた施行予定者との協議状況を見定めつつ、事業者の再公募等の可能性も含め、様々なケースを想定しながら事業見直しに係る検討を進めてまいります。

 次に、持続可能な自治体運営の実現についての項で、初めに持続可能な自治体運営で重要な点についての御質問です。

 人口減少や少子高齢化が全国的に進む中、中野区においては、生産年齢を中心に、当面の間は人口は増加が見込まれております。そうした中においても、合計特殊出生率は減少傾向にあることなどから、中野区において持続可能な自治体運営を行う上では、子どもを産み育てやすいまちづくりを進めることによって子育て世帯の定住を促進するなど、区民の定住意向を高めていくことが重要であると考えております。そのほか、長期的に安定した財政運営を行っていくことや地域の担い手を確保していくこと等も重要であると考えております。

 次に、インフレを加味した財政フレームについてです。現在の財政フレームにおいても、歳入の特別交付金や歳出の一般事業費については、物価上昇による伸びを一定加味しているところであります。インフレの影響を予測し、財政フレームに正確に反映することは難しいと考えておりますが、一定の伸びを考慮した見通しを立てるなど工夫をしてまいります。

 次に、スマートウェルネスシティの推進で、EBPMの検証体制についてです。健幸ポイントの実証実験では、先行するSWC(スマートウェルネスシティ)の自治体の取組と同様に、研究機関が参加者のデータを分析し、医療費や介護費の抑制にどの程度寄与したかをはかることを想定しております。また、健幸ポイントとナカペイを連携し、実証実験参加者に付与したポイントの利用データを収集することで、参加者の消費行動を分析できるとともに、それらをフィードバックすることで当該事業のポイント付与効果を検証できるものと考えております。行動データとそれに連動したナカペイの活用データを分析することなどによって、今後の施策や事業の立案等につなげてまいります。

 次に、若者政策についてでございます。スポーツ施設優先利用による地域活動の参加促進。現在、各スポーツ・コミュニティプラザにおいて認定している公認クラブにつきましては、地域ごとの運営委員会やスポーツ事業の運営等に参画することを条件に、一般の団体会員よりも優先した施設の利用承認を行っているところであります。区としては、こうした取組を継続していく中で、各スポーツ団体が地域とつながり、地域と連携した活動ができるように促していきたいと考えております。

 次に、ハイティーン会議の実施方法の工夫についてでございます。ハイティーン会議は、中高生年代が学年や学校を超えた自由な意見交換、フィールドワークを通じて考えを深め、意見表明につなげていく事業であります。運営に関しては、参加者アンケートを踏まえて改善につなげておりまして、最終プレゼン前に関係所管との意見交換の場も設けるなど、区への提案をより具体化するための工夫を行ってきているところであります。令和5年度に提案のあった中高生年代の居場所事業につきましては、今年度試行的に実施するなど、意見表明を区の事業に反映してきておりまして、今後もより中高生年代の意見が反映されるよう、実施方法を改善していく考えでございます。

 次に、若者世代の持続可能な地域活動についてでございます。ハイティーン会議は、令和4年度から若者会議の開始に合わせて、ユースワークの専門性を持つ民間事業者のノウハウを活用し、世代間のつながりを意識しながら一体的な委託を行ってきております。子どもの成長に合わせた区政への意見表明、活動の場を確保し、そのチャレンジをサポートすることで、行く行くは若者世代が地域に飛び出していくことも目標としております。若者世代が地域コミュニティに参画し、地域活動の担い手になっていけるような機会もつくりながら、持続可能な地域活動が区内で活性化されることを目指してまいります。

 続きまして、中高生機能強化型児童館での音楽室の必要性についてでございます。居場所がないことは孤独・孤立と深く関連しておりまして、子どもが生きていく上で居場所があることが不可欠であります。とりわけ困難や生きづらさを抱えやすい中高生年代にとって、多様な居場所があることが重要であると考えております。中高生機能強化型児童館は、多様な価値観やニーズを持つ子ども自身が、過ごしたいと思える機能を備えた居場所となる必要があると考えておりまして、中高生年代からのニーズの高い音楽室のほかにも、おしゃべりや交流のできるロビー機能、静かに学習できるコーナーや相談室なども設ける予定でございます。

 次に、不登校などの多様な子どもの居場所についてです。児童館は、児童福祉法に基づく児童厚生施設として、0歳から18歳までの子どもとその保護者を対象とした施設でありまして、幅広い世代が集い、交流できる地域の居場所となっております。不登校の児童・生徒にとっても児童館は居場所の選択肢の一つとなっておりまして、子どもが抱える悩みや課題を早期発見し、各種相談機能につなぐことが必要であります。生きづらさや困難を抱える子どもにも過ごしやすい居場所として、時間帯を限定することなく、日常的な遊びや関わりの中での相談支援を行うことが重要であると認識をしているところであります。

 続きまして、産業振興についての項で、中野区の経営支援の在り方に必要な視点でございます。区内中小企業の伴走型経営支援に取り組むことによって、事業所数の増加、雇用の創出、イノベーションの促進などを喚起し、それらによってにぎわいと活力を創出することで、区民の増加とこれに伴う税収の増加につなげていく考えでありまして、持続可能な自治体運営にも寄与するものと考えております。また、具体的な施策では、創業支援の一環として、中野区に新たに在住する事業者に対するインセンティブについても検討してまいりたいと考えているところであります。

 次に、ナカペイを活用した区民の行動変容の促進です。区内経済・産業の活性化と区の政策の側面的支援を目的とした中野区のデジタル地域通貨事業は、消費行動をはじめ、区民等の行動変容を促すことを意図しておりまして、また、利用状況などのデータを収集できることが利点であります。令和7年度からは、SWCの推進を図り、特に区民の心身の健康増進とコミュニティの活性化に向けて行動変容を促すことを主たる目的として、ナカペイと連動したコミュニティポイントを開始する予定であります。これらによってEBPMを進め、実効性の高い施策や事業を実施することで、健康増進、健康寿命の延伸や社会参画と幸福度を高め、ひいては医療・介護費の適正化を図り、持続可能な自治体運営につなげてまいりたいと考えております。

 続きまして、地域活動の推進についてでございます。地域活動への若い世代の参加についてです。区では、地域活動団体が出展・交流するなかの地域活動フェスティバルや町会・自治会活動の好事例を共有する中野つながり広場の実施を予定しておりまして、誰もが気軽に参加でき、各団体と若い世代の担い手のマッチングにつながるような機会や場づくりを進めてまいります。

 最後に、中野区基本計画の改定についてでございます。基本計画における持続可能な自治体運営についての御質問です。現在、中野区基本計画では、基本構想を踏まえて持続可能な区政運営を実現するための基本方針を定めております。次期基本計画におきましても、将来人口推計は50年先まで行うなど、計画期間の先も見据えて持続可能な区政運営を実現できるように検討を進めてまいります。

〔加藤たくま議員登壇〕

○16番(加藤たくま) 中野サンプラザの今回の事態においてプロジェクトが中断したというところに対しまして、原因追求と区民への周知というところが足りないのではないかというところで、いろんなところで説明されたというところではあるんですけども、やはり2か月で900億円上がったというところに対して、理解を示している区民の方がなかなかいらっしゃらないなと思っておりますので、その辺どういった形で区民の方々に御納得していただこうと考えているのかお伺いいたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の再質問にお答えします。

 物価高騰等、様々な理由によって900億円上昇したということについての原因究明ということでございますけども、今後いろいろと精査する中で明らかになっていくこともあろうかと思いますので、それについては我々としても区民の皆さんには引き続き説明をしていくつもりでございます。

○議長(酒井たくや) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 平 山 英 明

 1 中野駅新北口駅前エリア再整備事業について

 2 来年度予算と今後の区政運営について

  (1)EBPMについて

  (2)次期基本計画及び次期区有施設整備計画の策定について

  (3)その他

 3 災害時における在宅避難について

  (1)在宅避難支援拠点について

  (2)マンション防災について

  (3)その他

 4 困難を抱える子どもたちへの支援について

  (1)文化・芸術を通じた支援について

  (2)自閉症・情緒障害特別支援学級(固定学級)について

  (3)その他

 5 その他

  (1)沼袋第4号踏切について

  (2)障害者への自転車駐車場料金減免措置について

  (3)その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、平山英明議員。

〔平山英明議員登壇〕

○32番(平山英明) 令和6年第4回定例会におきまして、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告どおりで、3のその他で1問伺い、そのほかはありません。区長、理事者におかれては誠実な御答弁をお願いいたします。

 中野サンプラザはどうなるのと、まちを歩くと必ずと言っていいほど多くの区民から声を寄せられます。区民の関心も高く、疑念や不安も多い中野駅新北口駅前エリア再整備事業について最初に伺います。

 同事業は、施行予定者が急激な想定工事費の増加により、事業計画どおりの事業着手が困難との理由で、本年7月に行った市街地再開発事業の施行認可申請の取下げを求め、区もそれを認め、10月に施行認可申請が取り下げられるという異例の事態となりました。少なくとも来年度中までの事業の着工は望めず、先が見通せない状況です。この事業は、平成13年に雇用・能力開発機構の勤労者福祉会館の廃止時期が決定したことから始まり、平成15年には、区は、区民の負担を最小限とすることなどを条件に、取得の方向で検討を進めることを決定。翌平成16年、雇用・能力開発機構と株式会社まちづくり中野21が中野サンプラザの売買契約を締結。平成20年に、区は中野サンプラザ地区に係るまちづくり整備の方針を定め、議会での議決を経て今日に至ります。20年以上にもわたり進めてきた、まさに中野のまちの未来の活力を高め、区民にとって安全・安心な都市基盤を構築する一大プロジェクトであり、同時に進む中野駅周辺一体再開発の根幹であり、100年先までの中野の姿を決定づける、区政における最重要課題と認識します。さらに、同事業は、本年5月に開庁したこの区役所新庁舎の事業費も生み出し、新たな負担を生じさせないはずのものでもあり、残念でなりません。

 まず、本事業にこれまで要した費用を伺います。中野駅新北口駅前エリア再整備事業及び周辺の都市基盤整備にこれまでに要したそれぞれの費用を、一般財源と基金、補助金などの特定財源別に伺います。

 委員会での質疑により、今回の事業延伸により生じる費用は、年間おおむね4億円と示されました。しかし、これ以外にも、事業により得られる予定の歳入も延伸により損失に変わります。税収増も含め、整備完了後にその効果として得られる歳入をどのように見込んでいたのか、具体的な額を年間ベースで伺います。

 さらに、今年度と来年度に分けて入る予定であった転出補償金400億円を充てるはずの新庁舎建設の起債の償還や、株式会社まちづくり中野21が保有する中野サンプラザ部分の資産の処分についても暗礁に乗り上げた状態です。区は、本年12月に施設計画変更の方向性の報告、令和7年3月に事業計画の見直し方針及び今後のスケジュールの報告をするとされておりますが、今後のスケジュールとはどこまで具体的に示されるのでしょうか。リスクの回避のためには、現在の施行予定者との事業継続が困難な場合、施行予定者の再公募、あるいは、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画の見直しも視野に入れておかなくてはなりません。全てのオプションの具体的な提示がなければ、現下において何が最良の策かを判断することはできません。議会に協力を求め、区民に理解を求めるのであれば、それぞれのオプションについて財政面を含めたメリット・デメリットを、想定されるスケジュールとともに議会に示し、今後の在り方を議論すべきです。複数の具体策の可能性を示すおつもりはあるのでしょうか、伺います。

 また、示すつもりがあるのであれば、いつなのか。私は、遅くとも来年度の早い時期まででないと、次期基本計画の策定がままならないと考えます。できる限り早くなどと曖昧な設定ではなく、具体的な期限を伺います。

 11月14日の朝日新聞で、中野サンプラザの再活用のための調査を行うとの報道を目にし、驚いています。どうして直前の委員会でお答えにならなかったのでしょうか。今後のスケジュールが不明な中で、仮に暫定活用としても何年間利用するかで収支は大きく変わります。また、再活用の意思がないのに調査となれば、それこそ税の無駄遣いであり、そのような予算が議会の理解を得られると思われるのでしょうか。区は、調査結果によってはこれまでの方針を転換し、再活用する意思があるのでしょうか、伺います。

 このたびの事態は、かつての中野サンプラザ問題や桃丘小学校跡地活用の問題とは大きく違い、財政面だけでなく区民の利便性や中野のまちの価値そのものに関わる重大な事態です。平成30年、巨大開発偏重の都市基盤整備は見直すとの立場で現酒井区政が誕生し、一度は本事業が立ち止まってしまった過去もあり、区長がどれだけの情熱と覚悟と具体的な戦略を持ってこの事業に取り組まれたのか、また、今後も取り組もうとされているのか、一刻も早く説明責任を果たすべきではないでしょうか。区長御自身から区民の代表である議会と直接向き合って、不安や疑問を抱く区民に対し、幾度でも発信を行うべきと私は考えます。まずこの第4回定例会がふさわしいと思っておりましたが、残念ながらお申出はないようです。区長は、議会と区民に対する自らの説明責任をどのように考えられているのか。

 伺って、この項の質問を終わります。

 次に、来年度予算と今後の区政運営について。

 まず、来年度予算編成におけるEBPMの推進について伺います。令和7年度予算編成方針には、事業計画を立てる際は、事業期間と目標達成の時期を見定め、政策的位置付け、戦略的展開や事業効果、事業実施に伴うリスクを明確にした上で、統計や業務データなどの収集・分析から客観的な論拠を見いだし、庁内調整を踏まえ、エビデンスベースでの計画作成を徹底すること。当初設定した終了時期を迎える事業については、エビデンスを基にそれまでの効果検証を行い、事業の有効性や実効性を踏まえて、改めて事業計画を立てることとあります。「エビデンスベース」とのワードは、区長が初めて編成された平成31年度予算の編成方針から使われ始め、来年度予算編成で7年目です。庁内に浸透し、精度も高まるには十分な期間ですが、EBPMを支えるツールの生成AIの事業計画にエビデンスが全く見えないなど、毎年度提案される予算からは成果がなかなか見えてきません。必要な取組だからこそ、我々から見ても成果を感じられるものとなるために伺っていきます。

 来年度予算編成において、EBPMの対象は全ての新規・拡充事業なのか、また、終了時期を迎える事業のEBPMによる効果検証はどのように行われるのか、それぞれに共通のフォーマットがあるのか伺います。

 区は、予算編成過程の見える化を掲げ、令和2年度から各部予算要求状況と当初予算額の公表を行っていますが、正直これだけでは見える化とは言い難く、政策立案とEBPMの取組こそ公表すべきではないでしょうか。来年度予算の提案に当たっては、予算編成で行ったEBPMによる政策立案と効果検証をまず議会に見える化すべきと考えますが、伺います。

 中野区基本構想は、目指すまちの姿を実現するための原則として、「自立した自治体として安定的な財政基盤を構築していくために、最小の経費で最大の効果を上げる持続可能な財政運営を基本とし、客観的な論拠に基づく政策形成を進めるとともに、選択と集中による最適な資源配分と着実な財源の確保に努めます」と。つまり、基本構想の実現にはEBPMが欠かせないと定めています。成果につなげるためには、対象や分析手法、指標の考え方、効果検証のプロセスなどを整理する必要があるのではないでしょうか。全ての新規・拡充事業を対象とするよりも、重要政策に絞り、評価検証まできちんとPDCAを回し、公表する取組が必要ではないでしょうか。次期基本計画策定に合わせて、EBPM推進のための基本方針を策定すべきと考えますが、伺います。

 何よりも重要なのは、職員一人ひとりにEBPMによる仕事の進め方が浸透することであり、今般策定された中野区人材育成計画に具体的展開が記されていることは評価をいたします。これからスタートではありますが、計画にあるEBPMの大学・研究機関等との連携は現在どのような検討をしているのか伺います。

 次に、次期基本計画及び次期区有施設整備計画の策定について伺います。区は、次期基本計画と区有施設整備計画策定を令和7年度中に行う予定で進んでいます。どちらも今後の区財政がベースとなりますが、世界の動向からも今後の社会状況、経済状況は不透明です。区財政に目を移すと、歳入の予測の上振れが続いているとはいえ、物価高騰の影響もすさまじく、建設経費などの歳出も決算ベースで見れば同様に上振れをしています。予算編成段階で歳入歳出の予測がつきにくいことは、健全な財政運営が行われているとは言えず、加えて、先が見通せない状態の中野駅新北口駅前エリア再整備事業は、基金や一般財源を一時的に多額に要するなどの可能性もあり、長期にわたる財政フレームを描くことが非常に困難な状況です。まずは、現下の最大の区政課題の解決が最優先であり、中野駅新北口駅前エリア再整備事業の今後が具体化するまでは、大きな予算を伴う新規事業や新たな施設整備は計画すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。推移を踏まえた上で、場合によっては計画の途中見直しで検討すべきです。御見解を伺います。

 さきの総務委員会の「次期中野区区有施設整備計画の策定について」の報告で、計画的に財源を確保し、適切に更新・保全を進めていくために必要となる施設更新経費及び延べ床面積に係る考え方を再整理するとありました。現計画では、総延べ床面積の考え方を、「集約化・複合化などによって延べ床面積や維持管理コストの縮減を図ることを基本とします」としています。延べ床面積の再整理とは、縮減の考え方を改めるということでしょうか。そうであれば、重要計画の基本的な考え方の転換となります。再検討を必要とするほどの大きな事態の変化とは具体的にどのようなものでしょうか。

 伺って、この項の質問を終わります。

 次に、災害時における在宅避難について伺います。

 11月23日、東日本大震災の災害対応に当たった自治体職員が体験談を語るシンポジウム、「自治体職員たちの3.11」が東北学院大学土樋キャンパスで開催され、震災当時に仙台市長を務めた奥山恵美子氏の講演が行われたとの記事が朝日新聞に掲載されていました。奥山氏は、「これだけの災害でこれから何をどう判断すべきか、頭の中にマップがなかった。私は頼りにならない市長だと思った」と当時の率直な心境を述べた上で、「希望になったのは前例だった。応援に駆けつけた神戸市職員が、阪神大震災当時の記録を渡してくれた。部下に過去の災害資料を集めさせ、読み込んだ。先達の首長らがぶち当たってきた制度の不備や落とし穴を学ぶことで自信を取り戻した」と語ったとありました。大変示唆に富んだ話です。災害対策において歴史に学ぶことが重要であることは、東日本大震災での「津波でんでんこ」の例でも明らかです。予測が困難な大災害にあって過去の教訓を積み重ね対策を講じることは、1人でも多くの住民の命を守ることにつながります。相次ぐ大震災から伝わる在宅避難での困難な様子は、区が学ぶべき重要な課題です。

 そこで、初めに、在宅避難支援拠点について伺います。昨年の8月、危機管理対策等調査特別委員会で「中野区における在宅避難対策の現状と課題について」が報告され、避難所避難者数3万2,268名、避難所外避難者数1万6,134名に対し、在宅避難者数等が29万6,478人にも及ぶとの想定が示されました。その後、本年6月に中野区地域防災計画(第43次修正)が策定され、在宅避難者への支援が新たに盛り込まれましたが、その支援を誰が行うのかとの支援の主体が明記されていないものが散見されます。地域防災計画は、度ごとの更新が必要とはいえ、今発生する災害にも対応すべきものです。早急に決定する必要があると考えますが、御見解を伺います。

 三鷹市は、被災後も自宅で生活をする在宅避難者に対し、トイレや生活物資などについて、避難所などに行かなくても必要な支援を受けられるよう在宅避難支援拠点の整備を進めています。三鷹市の防災部長は、内閣府の避難生活の環境変化に対応した支援の実施に関する検討会の委員も務められており、国もこの三鷹市の取組を注目しています。現在、区の計画では、在宅避難者への支援も避難所で行う想定となっていますが、避難所への負担や避難者の安全確保のためにも避難所外の別な施設で行うことが望ましいことは、さきの決算特別委員会総括質疑で我が会派の甲田議員が述べたとおりです。また、お会いする多くの区民が、発災時は避難所に行くものと思われており、避難所外に支援の場を設置することで在宅避難への認識も高まります。29万人にも及ぶ区民のための重要な対策であり、国の検討委員会の推移を見守るなどと悠長な考え方はやめて、23区に先駆け、一刻も早く体制と拠点の整備を行うべきです。在宅避難支援拠点設置を次期基本計画に位置付け、三鷹市と連携して早急に検討を開始すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、マンション防災について伺います。再開発が進む当区において、マンション防災も重要な課題です。令和5年決算特別委員会で、久保りか議員の、マンション防災は、防災危機管理課、住宅課、地域活動推進課など関係部署と連携をして進めることが重要との質問に、関係各課との連携を図ると答弁されましたが、どこまで進んだのでしょうか。マンション防災も含めた在宅避難支援のプロジェクトチームが必要なのではないでしょうか、伺います。

 以前、マンション内にとどまる避難者の方々への物資の輸送のため、ドローンの活用を提案いたしましたが、その後の検討はどうなっているのでしょうか、伺います。

 この項のその他で1問伺います。さきの予算特別委員会総括質疑で、総合防災訓練などでの臨時災害放送局を使った訓練の実施を求め、総合防災訓練での実施に向けて総務省関東総合通信局などから情報収集してまいりたいと答弁をいただきましたが、先日の総合防災訓練では実施されなかったようです。どうして実施されなかったのでしょうか。理由とともに総務省との連携は取れていたのかを伺って、この項の質問を終わります。

 次に、困難を抱える子どもたちへの支援について。

 まず、文化・芸術を通じた支援について伺います。今年の夏、野方区民ホールで上演された創作舞台「もしもinワンダーランド」を観劇してきました。フィナーレの後、主催者から「この舞台は、学校が好きな子、嫌いな子、学校に行っている子、行けていない子、様々な困難を抱えた子、多様な子どもたちが自分たちでゼロから創り上げた舞台です」と紹介されました。すばらしい舞台でした。不登校などの困難を抱える子どもたちへ、演劇や音楽などを通じての支援が広がっています。コミュニケーションにコンプレックスを抱える子どもが、自己表現により自信を持ったり、居場所を見つけたりとの事例も聞くところです。急増する不登校の子どもたちや発達に課題がある子どもたちなどの支援に、文化や芸術面からのアプローチを取り入れてはいかがでしょうか。N組や特別支援学級、フリーステップルームなど、プログラムに積極的に組み込んではどうかと考えますが、御見解を伺います。

 民間の団体などで、困難を抱える子どもたちへ文化・芸術を通じた支援を行う団体等もありますが、特にホールや舞台の費用が高額なことが悩みと聞きます。これらの活動が子どもたちの新たな居場所として区内でさらに拡大していくために、使用料の減免など支援の検討を行ってはいかがでしょうか、伺います。

 次に、自閉症・情緒障害特別支援学級(固定学級)について伺います。広汎性発達障害とほぼ同じ概念の自閉スペクトラム症があります。自閉症やアスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などを含む発達障害と言われています。自閉スペクトラム症では、臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心ややり方、ペース配分を最優先させたいという本能的志向が強いことに特徴がある発達障害であります。中野区では、就学前の発達障害の療育については、療育センターアポロ園やゆめなりあで先進的な取組として行っています。しかし、就学後には、自閉スペクトラム症の発達障害の子どもたちを受け入れる環境が整備されていません。区内の小・中学校には、固定学級では知的障害を対象とした特別支援学級しかなく、情緒障害などの子どもたちを対象とした拠点校を定めた巡回校型の特別支援教室はありますが、自閉症・情緒障害特別支援学級の固定学級は整備されていません。

 小学校での情緒障害特別支援教育が進んでいるとされる大阪府と東京都を比べると、大阪では全小学校952校中ほぼ100%の設置率ですが、東京は全小学校1,262校中4.3%にとどまっています。また、設置している区も、現在では世田谷区や豊島区、北区など9区にとどまっております。中野区としても自閉症・情緒障害特別支援学級の固定学級の設置を進めていくべきと考えますが、教育委員会の見解を伺います。

 また、自閉症・情緒障害特別支援学級の固定学級の設置に向けて、教育委員会として調査のためにも実施している自治体の視察に伺っていただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

 伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、その他で2点伺います。

 まず、沼袋第4号踏切について。

 さきの第3回定例会総括質疑で、我が会派の南議員の質問に、沼袋第4号踏切の地域特性などを踏まえ、引き続き地域の方が利用しやすい施設となるように検討を進めるとの答弁でした。この踏切の特性として自転車利用が多いことを踏まえ、歩行者だけではなく自転車などにも配慮した代替施設設置の必要性について、区の認識に変更はないのかお伺いをいたします。

 最後に、障害者への自転車駐車場料金減免措置について。

 杉並区が実施している一時利用に対する減免を、中野区としても実施をしてほしいという声を多く受けております。当区も実施をしてはいかがでしょうか。

 伺って、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の御質問にお答えいたします。

 中野駅新北口駅前エリア再整備事業についてで、初めに、中野駅新北口駅前エリア再整備事業における事業費についてでございます。中野駅新北口駅前エリアの都市基盤整備では、都市計画道路などの都市基盤の都市計画を平成31年3月に決定しておりまして、それ以降に具体的な事業が進められてきております。中野駅新北口駅前エリアの都市基盤整備に要した費用については、令和2年度から令和5年度までに中野四丁目土地区画整理事業に係る歳出として、区画整理補助金及び公共施設管理者負担金で約1億円余、これは一般財源4,000万円余、国費等の特定財源が6,000万円余でございます。また、令和2年度から令和5年度までに中野駅新北口駅前広場整備に係る歳出として、追加基本設計及び実施設計で5億5,000万円余、一般財源3億円余、国費等の特定財源2億5,000万円余でございます。

 次に、本事業による歳入と税収効果についてでございます。本市街地再開発事業では、区の権利床をオフィスなどに権利変換することとしておりまして、その賃料として年間7億円ほどを見込んでおります。本市街地再開発事業における税収効果については、事業評価に当たり、国土交通省の市街地再開発事業による税収効果評価マニュアル、これに基づき試算しておりまして、補助金や行政サービス等の負担と、事業を実施した場合に増となる固定資産税、都市計画税等の税収とを比較して評価分析をしております。一般市町村のケースとしての評価でありまして、年間ベースでの評価ではございませんが、竣工後、供用開始から9年目に累計収支が黒字転換し、供用期間終了、竣工後47年までに約258億円の累計黒字の税収効果を見込める結果となっております。

 続きまして、事業計画見直しの検討についてでございます。区としては、区を含む地権者と施行予定者で締結している基本協定に基づいて施行予定者と協議をしておりまして、年内に施設計画変更の方向性を示し、年度内には事業計画の見直し方針及び今後のスケジュールを取りまとめ、報告することとしております。年内及び年度内での報告に向けた施行予定者との協議状況を見定めつつ、様々なケースのメリット・デメリットを整理しながら、事業者の再公募等の可能性も含めて事業見直しに係る検討を進めてまいります。

 次に、中野サンプラザの暫定利用の検討に係る調査についてです。区としては、中野駅周辺のにぎわいの継続のため、中野サンプラザの施設の一部の暫定利用についても検討を進めることとしております。中野サンプラザの暫定利用につきましては、市街地再開発事業の事業計画見直し方針や今後のスケジュールが判明した後、区としてそのスケジュールに応じて必要となる経費や費用対効果等を総合的に検討し、判断することとしております。試算に係る予算につきましては、中野サンプラザの暫定利用に係る方針や期間が決まり次第検討いたします。

 次に、中野駅新北口駅前エリアに関する私の説明責任についての御質問です。中野駅新北口駅前エリアにおける市街地再開発事業の進捗状況につきましては、これまでにも区としての議会報告のほか、記者会見で御説明し、状況説明の動画等も発信しているところであります。中野駅前の区の顔とも言える拠点を整備する事業でありまして、区民の方のほか、広く関心が高く、引き続きお問合せをいただいている状況でございます。今後の検討状況につきましても、適切に区議会にも御報告するとともに、広く区民に向けて様々な広報媒体を活用して発信を行ってまいる考えでございます。

 次に、来年度予算と今後の区政運営についてでございます。

 EBPMについて。予算編成方針において、事業計画は事業期間と目標達成の時期、事業効果等を明確にした上で、統計や業務データ等の収集・分析から客観的な論拠を基に庁内調整を踏まえることとしておりまして、全ての新規・拡充事業をEBPMの対象としております。効果検証においても、事業計画書において、見直し、改善すべき課題及び必要性を数値を用いて記述することになっております。

 次に、EBPMの見える化についてでございます。事業を立案する際の計画において、数値を用いて記述するなど、これまでも客観的な視点を用いたEBPMに取り組んできたところであります。今後とも費用対効果等を十分に説明できるように取り組んでまいります。

 次に、EBPM推進のための基本方針についてでございます。政策形成過程における意思決定を的確に行うに当たり、EBPMの視点から様々なデータに基づき検討や検証を行っていくことが重要であると認識をしているところであります。現在は、予算編成や行政評価などの場面でデータに基づく検討や検証を行っているほか、各種調査を通じてデータ収集にも積極的に取り組んでいるところであります。今後、より効果的にEBPMを推進していくための方策について、基本方針の策定の必要性も含め研究してまいります。

 次に、大学や研究機関等との連携事業についてです。政策の実現可能性を高めるために、データリテラシーを有する政策形成力の高い組織を確立していく必要があると考えております。これまでも若手職員を対象に北海道大学の教授による政策形成研修を実施しているところでありますが、今年度は新たに明治大学の教員、学生と区職員による産業振興・にぎわい創出に向けた共同研究事業を試行的に実施してまいったところでございます。今後も引き続きEBPMを実践する手法についても検討してまいります。

 次に、中野駅新北口駅前エリア市街地再開発事業の見通しと次期基本計画等についての御質問です。今後の再開発事業計画の見直し方針及び今後のスケジュールについては、今年度内には取りまとめるよう施行予定者に対して求めているところであります。次期基本計画及び次期区有施設整備計画につきましては、来年度中の策定に向けて検討を進めているところでありまして、中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業の今後の見通しと、それに伴う財政的な影響も踏まえた計画とする考えでございます。こうしたことから、現在のところ、両計画について計画期間中の見直しや改定を前提とはしませんが、今後の動向に応じて適切に対応していきたいと考えております。

 最後に、延べ床面積の考え方についてでございます。現行の区有施設整備計画においては、延べ床面積の縮減を図ることを基本としておりますが、施設の改築に当たって新たな行政需要やユニバーサルデザインなどに適切に対応することが必要であると考えております。新たな行政需要への対応等によって延べ床面積が増加につながる可能性があることも踏まえ、総延べ床面積に係る考え方について整理をしてまいりたいと考えております。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 困難を抱える子どもたちへの支援についての御質問についてお答えいたします。

 まず最初に、不登校や発達に課題がある子どもたちに対する文化・芸術面からのアプローチについてでございます。不登校や発達に課題がある子どもたちには、文化・芸術を通じた支援は効果的であると捉えており、フリーステップルームなどで積極的に取り入れていきたいと考えております。

 次に、自閉症・情緒障害特別支援学級の設置についてでございます。区では、発達障害等がある児童・生徒が学習上または生活上の困難を改善・克服し、可能な限り多くの時間を在籍学級で他の児童・生徒とともに学校生活が送れるよう、全区立小・中学校に特別支援教室を設置し、充実を図っているところでございます。自閉症・情緒障害特別支援学級の固定学級については、他自治体の視察を行い、先進事例を学んでいきたいと考えております。

〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕

○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、災害時における在宅避難についてお答えいたします。

 初めに、在宅避難者への支援についての御質問でございます。在宅避難者への支援につきましては、避難所の避難者と同様に必要な支援を受けられるよう進めていく必要があると認識してございます。支援内容につきましては、物資や災害情報の提供などが想定されますが、在宅避難者支援の主体については、区が司令塔となりまして、防災会等が担うことを明記することにつきまして検討してまいりたいと考えてございます。

 続いて、在宅避難支援拠点についてでございます。避難先としまして在宅避難を推進していくことは重要なことと認識してございまして、次期基本計画におきましては、在宅避難者支援の視点も盛り込んでいくことを検討してまいりたいと考えてございます。また、三鷹市など在宅避難支援拠点の設置に取り組んでいる自治体を参考にしまして、区の在宅避難者支援を推進してまいります。

 次に、マンション防災についてでございます。マンション防災につきましては、東京とどまるマンション事業を、住宅課が発行する「すまいのしおり2023(分譲マンション編)」と防災危機管理課が発行しております「中高層マンションの防災マニュアル」で紹介しているところでございます。また、中野・野方両消防署とも連携しまして、区が進めていますマンション防災の普及啓発を進めているところでございます。マンション防災や在宅避難支援につきまして、今後さらに庁内連携を図ってまいります。

 次に、ドローンの活用についてでございます。ドローンの活用につきましては、被災状況を確認するため、NTT東日本電信電話と災害協定を締結したところでございます。その他の活用方法につきましては、他区の動向等を注視してまいりたいと考えてございます。

 私から最後に、臨時災害放送局を活用しました訓練についてでございます。総務省関東総合通信局が開催しました臨時災害放送局の開設・運用に関する連絡会に参加しまして、情報収集を行うとともに、練馬区や文京区等における臨時災害放送局を活用した訓練の情報収集につきましても行ってきたところでございます。今年度の総合防災訓練におきまして臨時災害放送局の活用を検討したところではございますが、エアーテントを活用しましたペット同行・同伴避難訓練の検証など、新たな試みを取り入れたことから、来年度以降改めて検討することとしたものでございます。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、困難を抱える子どもたちへの文化・芸術を通じた支援団体の取組に対する支援の検討についてお答えいたします。

 発達障害などの困難を抱える子どもたちに文化・芸術を通じた支援を行っている団体の取組を促進し、子どもたちの社会参加の場を提供していくことは重要であると認識してございます。そういった団体の活動に対しては、施設使用料の減免ということだけを考えるのではなく、区の子ども・若者を中心とした文化・芸術振興の目的に合致するものであれば、区との共催事業とするなど、事業や活動全体の支援も検討していく考えでございます。あわせて、子ども育成文化・芸術事業認定制度のほか、政策助成やチャレンジ助成の活用による支援も考えられることから、対象となり得る団体に対してこれらの制度の周知についても一層努めてまいります。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、その他の項目のうち沼袋第4号踏切について、代替施設の検討についてお答えさせていただきます。

 過年度の調査におきまして、沼袋第4号踏切及びその周辺での歩行者と自転車利用の方向別交通量を観測してございます。こうした調査結果等を踏まえ、歩行者の横断に加え、自転車の利用にも配慮しながら、引き続き地域の方が利用しやすい施設となるよう、代替施設の設置に向け東京都や西武鉄道株式会社との協議を行ってまいります。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) その他の御質問のうち、自転車駐車場の1日利用料の減免についてお答えいたします。

 現状、障害者に対する1日利用料の減免は、中野区自転車駐車場条例等に規定しておらず、実施をしておりませんが、他区の状況や区としての政策的な必要性等について研究してまいりたいと考えております。

〔平山英明議員登壇〕

○32番(平山英明) 再質問を三つしようかと思っていたんですが、1分しかないので二つだけ。

 まず、様々なオプションのシミュレーションをいつ示していただけるのか、そういう御答弁が返ってくるとは思っていたんですが、要は、現在の事業者とうまくいかない可能性もある一定高いと思っていて、そこから次のシミュレーションをしているというのでは、私は時間が遅いと思っているんです。だから、そうでなかった場合のシミュレーションというのも今行っているはずなんです。現にひやま議員の質問の中で、市街地再開発事業を使わない場合とおっしゃっているんです。これは今の事業とは全く違うんですね。そのことも考えていますとおっしゃっているんですから、当然シミュレーションされているはずですので、どうか早い段階で示していただきたいので、そこを明言いただきたいと思って、改めて伺います。

 朝日新聞の報道がちょっと違うように聞こえたんですが、それは新聞社に抗議をされたほうがいいと思うんですが、それは置いておいて。説明責任について、区長は議会で自ら、いわゆる希望して発言されたことはないわけなんですね。その状態で先ほどのように説明責任を果たしているというふうに認識されているのか、改めて伺います。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の再質問でございます。

 まず、中野サンプラザ関連の今後の展開についてのシミュレーションの御質問でございます。これについては、あらゆる可能性を我々としても当然想定をしております。これらについては、条件が決まり次第、その選択肢がまた狭められる場面が出てこようかと思いますので、その場合なるべく早い段階でお示ししていくということで考えてございます。

 それから、中野サンプラザの説明責任について、これまでも議会、それから、記者会見等で説明責任を果たしてきたというつもりでございますけれども、今後も積極的に説明をしていきたいと考えております。

○議長(酒井たくや) 以上で平山英明議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時05分休憩

 

午後3時25分開議

○議長(酒井たくや) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 武 田 やよい

 1 区長の政治姿勢について

  (1)行政運営について

  (2)区有施設整備計画改定について

  (3)中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業について

  (4)介護事業者支援について

  (5)物価高騰対策について

  (6)環境施策について

  (7)その他

 2 子ども施策について

  (1)療育の充実について

  (2)学びの多様化・居場所について

  (3)その他

 3 区民健診・検診について

 4 生活再建の視点にたった債権管理について

 5 その他

 

○議長(酒井たくや) 武田やよい議員。

〔武田やよい議員登壇〕

○10番(武田やよい) 2024年第4回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告どおりで、その他はありません。

 まず、区長の政治姿勢について伺います。

 行政運営について。

 区長は、今年の第1回定例会の所信表明で、「日々社会情勢が変化し、予測不能なVUCAと言われる時代背景にあって、その変化を的確に捉え、区民ニーズを把握し、時期を逸することなく効果的な政策を打ち出していくためには、計画的・戦略的に人材を育成していく必要がある」と発言しています。11月15日に開催された区民委員会で、産業振興課から報告された「伴走型中小企業経営支援体制の構築に向けた考え方等について」では、課題として、区職員が経営相談に直接携わっていないことから、現状や課題を十分に認識できていない。そのため、区が実施している施策や事業の実効性が担保できていないとの自己評価が示されています。このことは、日々の業務の中で職員が現場に関わることの重要性が示された非常に大切な認識であり、大いに評価いたします。この評価が整理された経緯、施策・事業の実効性の担保に向けての今後の取組について伺います。

 一方で、同日報告された「新庁舎整備事業の主な取組状況について」は、区民ニーズを的確に捉える努力、計画的・戦略的な人材育成について大きな疑問を感じます。まず、窓口の状況に関する調査は、委託事業者が行ったものであり、区は調査していません。報告内容のうち来庁満足度は「満足」「やや満足」で82%、「迷わなかったか」の問いでは、「満足」「やや満足」で90%と高い結果となったと報告されましたが、フロア案内を見ても手続場所が分からず、迷っている方をしばしば見かけることや、事前に約束しても発券機で番号をもらわなければならず、待ち時間が増えたなど、日常的に見聞きする状況・意見とは乖離していると感じます。次に、職員の働き方に関する報告は、「働く場所を選ぶ・ディスプレイの活用度」など、内部処理中心の働き方の範囲にとどまっており、全ての部署の意見であるのか疑問が残ります。

 そこで伺います。本来であれば、区として一定期間調査を行い、来庁者の状況が異なるフロア別や年代別、職場別の状況分析を行わなければ、次の改善に資する区民ニーズを的確に捉えることはできないと考えますが、仕事に取り組む姿勢についての認識を伺います。

 さらに、新庁舎への視察受入れ状況の報告ですが、通常、視察を依頼した側として、受入先の業務内容に否定的な発言はしないと思います。そのような状況でのアンケートを基に、よい評価をもらっていると報告していることには大きな疑問が残ります。日常的にこのような感覚で業務に従事しているとすれば、業務改善の視点が育たず、的確なニーズ把握ができなくなると危惧します。高評価のみ強調するのではなく、低評価部分に目を向け、要因分析をすること、自己満足に陥っていないかチェックし、指導していくことが組織として必須であると考えますが、いかがでしょうか、見解を求めます。

 区長は「対話による区政」を掲げ、タウンミーティングの回数を増やしたり、基本構想改定時の意見交換などでは、無作為抽出で区民の方に案内を出すといった取組を重ねるなど、対話を重視してきました。しかし、例えば最近の状況としては、小学校の改築で区が地域と十分に話し合いを重ねてこなかったことが要因となり、請願・陳情が出されました。また、東中野駅東口周辺まちづくりでは、今年度に入り、区が地域に出向いている状況が著しく減少しており、区が勝手に進めているのではないかという疑念が地域の声として聞かれます。対話による区政を浸透させることについて、どのように進めていくのか伺います。

 産業振興課の認識は非常に大切であり、現場感覚を大切にした指導を行う所管と、そうではない認識で指導を行う所管とでは、業務改善はもとより、職員育成の面でも差が開いていくのではないかと危惧しますが、区の認識と対応策を伺います。

 人事異動について伺います。一般的に役所は人事異動があると認識されてはいますが、特に地域や関係団体とは信頼関係を構築することが肝要であると思います。信頼関係を基に事業を進める部分の課長・係長は、ある程度長い期間従事することがよいと考えますが、いかがでしょうか。

 また、人材育成基本方針の中では、「新規採用から10年目までの職員について、3~5年を基本に異なる部門の職務を経験させ育成を図る」とあります。職員の現場感覚を高めるためには、この方針を確実に実施していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 見解を求め、次の項の質問に移ります。

 区有施設整備計画改定について。

 来年度、区有施設整備計画の改定作業が行われます。先日、少子化対策・地域包括ケア調査特別委員会で豊島区に視察で伺った際、2003年に「地域区民ひろば構想」を策定し、小学校区を基礎的単位として地域の多様な活動拠点として有効に活用できるよう、高齢者施設や児童館などを「地域区民ひろば」として再編したと伺いました。中野区では、かつてすこやか福祉センターを整備した際、すこやかとして持つべき機能が十分に精査されず、場所ごとに配置されている機能が異なっていたり、来所対象者を想定したアクセス条件等の考慮も不十分であったことから、一部が十分に機能しなかったことなどがありました。中野区でも、施設種別ごとに整備検討をするのではなく、維持すべき施設の機能、偏在のない配置の考え方、拡充すべき機能と集約すべき機能等を明確にし、計画を根本的に見直すべきと考えます。また、複合化する際には、併設施設間の業務の関連性・親和性に重点を置き、単に施設面積などから割り振るパズル的な計画としないようにすべきと考えますが、検討の方向性を伺います。

 また、施設整備年度を検討する際は、財政負担を平準化するため、長寿命化計画も必須であると考えます。既定の建て替え目安のみで考えるのではなく、躯体強度などを調査し、施設ごとの建て替え目安の設定、リノベーション対応などを検討すべきと考えます。

 答弁を求め、次の質問に移ります。

 中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業について。

 11月11日、中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会で、今後の方向性として、全地権者と施行予定者で締結している基本協定に基づき、今後の事業の推進に向けて協議しており、年内に施設計画変更の方向性を示し、年度内には区や各地権者等と協議の上、事業計画の見直し方針及び今後のスケジュールを取りまとめるよう求めている。あわせて、施行予定者に対し、施行認可申請時の事業計画に示されていたスケジュールからの遅延に伴い、新たに生じる地権者への負担については施行予定者側で負担するよう求めているとの報告がありました。事業の遅れに伴う経費増加分について、同委員会で会派の羽鳥議員が、建設通信新聞では報告と異なる発言を所管が行っていることを質問しています。改めて、経費増加分に対して施行予定者側に負担を求める区の考えに変わりはないか伺います。あわせて、このことに伴って区民サービスの抑制・削減を行わないことを強く求めます。

 答弁を求め、次の項に移ります。

 介護保険事業者支援について。

 11月7日、東京商工リサーチが、2024年1月から10月における介護事業者の倒産件数は145件と発表。前年同時期の122件から18.9%増加。さらに、2022年同期の143件を超えて、過去最多の倒産件数となったと報告しています。種別では、最も倒産件数が多かったのは訪問介護の72件。年間で倒産件数が最も多かった2023年の67件を既に超えており、今年改定した介護報酬マイナスの影響が出ている可能性を示唆していると報告されています。これらの状況を鑑み、世田谷区では、区民に必要な福祉サービスの事業継続を支えるため、緊急安定経営事業者支援給付金交付事業を開始しました。中野区でも緊急対策として実施すべきと考えますが、いかがでしょうか、答弁を求めます。

 世田谷区は、報酬引下げで苦境に立たされている事業者が増えている実態から給付金支給を決めたとのことです。中野区でも事業者の声を聞き、寄り添った支援を行うことを求め、次の質問に移ります。

 物価高騰対策について。

 実質賃金は、ボーナス支給の結果が反映された6月・7月はプラスとなったものの、8月・9月と再びマイナスに転じています。総務省が公表している消費者物価指数、2024年10月分の東京都区部の中旬速報値は、総合指数で前年度同月比1.8%上昇、前月比0.5%の上昇となっており、物価高騰が続いていることを表しています。第3回定例会で、区長は、区民の暮らしの状況について、賃金の上昇によって所得が増えている方がいる一方で、長引く物価高騰等の影響によって、依然として苦しい生活を送っている方も数多くいるものと認識をしていると答弁されています。実質賃金が再びマイナスに転じていること、物価高騰は依然として続いていることから、国や都の動向を見るだけではなく、区として積極的な独自支援策を講じるべきと考えます。お答えください。

 エアコン購入費の助成について伺います。毎年過去最高の猛暑が訪れる中、エアコンを持たない、もしくは、故障しても買換えができない方たちにとっては命に関わる問題となっています。23区内でも、低所得の方を対象としたエアコン購入費助成実施区は9区に広がっています。特定財源として環境施策の省エネ家電買換補助を活用するなど、財源確保の工夫も含め、実施を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 積極的な検討を求め、次の項の質問に移ります。

 環境施策について。

 11月9日に開催されたなかのエコフェアは、場所は狭くなったものの、他のイベントとの開催と重なったこともあり、多くの方たちが訪れるイベントとしてよい内容であったと思います。昨年のようにブースごとの不織布バッグではなく、受付で大きめのエコバッグが配られるなどの改善や、公共交通の利用促進、スローモビリティの実証実験で交通政策課のブース、里・まち連携自治体の体験ブースなど、関連部署が参加していた点も評価するところです。

 重点プロジェクトに位置付けられている「脱炭素社会の実現を見据えたまちづくりの展開」の中では、「全ての行政活動における環境負荷を低減する」とありますが、これを確実に実施するためには、個別計画の一つとしての環境基本計画、脱炭素ロードマップとして見るのではなく、様々な区の施策の上位計画として明確なビジョンを持ち、所管としての環境課がイニシアチブを取って脱炭素ロードマップの進捗管理を行っていく必要があると考えます。先日、環境施策について区民委員会の視察で伺った福岡県庁では、取組を進めるに当たり、トップの明確な思いと指示、その指示を受けての庁内での合意形成により重点事業を進めることができたとの話を伺いました。改めて、脱炭素社会の実現を見据えたまちづくり展開のための区長の思いを伺います。

 生活のあらゆる場面における環境配慮行動を促進する手段の一つとして、環境施策について区民と一緒に検討する「気候区民会議」の設置を求めます。気候市民会議とは、無作為に抽出された市民が一定期間に開催される会合に参加し、科学的知見を得て、対話と熟慮と投票を繰り返し、気候変動対策をまとめ、提言するというものです。現計画での最終年度である2025年度には、次につながる事業として気候区民会議設置に向けた準備を行ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。

 答弁を求め、この項の質問を終わります。

 続いて、子ども施策について伺います。

 まず、療育の充実について。

 個人の成長や発達を診察するだけでなく、集団における立ち振る舞いを評価して社会的な発達の状況を把握する5歳児健診の実施については、これまでも他会派の方々からも質問がありましたが、改めて伺います。

 次年度、こども家庭庁の概算要求では、補助単価を3,000円から5,000円に上げ、2028年度までに実施率100%を目指すとしています。2024年3月29日付で、こども家庭庁、文部科学省、厚生労働省の3省連名で発出された「5歳児健康診査の実施に当たって求められる地域のフォローアップ体制等の整備について」では、健診後の個別のケースのフォローアップ整備が求められています。療育施設との連携、小学校入学時の連携などを整え、5歳児健診を早急に実施してはどうかと考えますが、現時点での課題等を伺います。

 区内2か所目の療育センターゆめなりあが開設され、アポロ園単独運営時よりは対応力が上がったと思われますが、指定管理者変更のタイミングで療育が滞るなどの問題も発生しています。2022年12月に文部科学省が公表した発達障害の可能性がある児童の割合は8.8%であり、他の障害と比して出現率が高く、療育センターは現在でも不足状況にあります。区は、新たに療育センター機能を含めた児童発達支援センターの設置に向けた検討を行うこととしており、区有施設整備計画への反映についても検討していくと答弁していますが、対象となるお子さんへの支援の充実などを考慮すれば、早い段階での設置、地域的偏在を解消する場所への設置が望ましいと考えますが、いかがでしょうか。

 あわせて、新たな施設整備までの間の対策として、特に需要が高い療育相談、保育所等訪問支援事業については、既存療育センターの充実など強化策を講じる必要があると考えますが、見解をお答えください。

 学びの多様化・居場所について伺います。

 全国的に不登校児童・生徒数が増加する中、中野区でも今年度より東京型不登校特例校(通称N組)が設置され、学びの選択肢が広がったことは評価いたします。先日、会派でN組の視察に伺い、修学旅行に行ったこと、日常的に中野中学校の生徒との交流も自然にできつつあること、校内のスペースを工夫してカームダウンスペースを設けたことなど、日頃の様子や工夫している点を伺うことができました。その中で、1年生が登校に結びついていない点について、事前の体験通学がなく、書類のみで入学対象と決まる点が課題と伺いました。状況が全く分からない場所に通学することはかなり大変なことだと感じます。学校に通うという決断をしたお子さんへの通学への不安解消策として、次年度の入学に向けて改善策を講じているのでしょうか、伺います。

 全ての子どもの学びを保障するためには、様々な学びの形を提供し、選択できることが大切であり、区としても様々な学びの選択肢を提供する必要があると思います。学びの多様化学校分教室型のほかに、区として学びの選択肢を増やすために検討している点について伺います。

 11月5日、「自治体における子どもや若者に関する取組の推進について」というテーマで特別区議会議員講演会が開かれ、講演の中で、子どもをめぐる現状の一つとして、居場所の数が多いほうが自己認識が高い傾向にあることなどの話がありました。前出の少子化対策・地域包括ケア調査特別委員会の視察で伺った豊島区の中高生センタージャンプは、フリースペースのほか、バンド機材のそろった音楽室、運動スペースなどが整い、自由に過ごせる空間として利用されています。また、平日の日中の居場所として朝10時から施設を利用できる「朝ジャン」という事業も実施しています。子どもの居場所の一つとして、教育支援室でも、学習機能だけではなく、平日の日中も好きなことをしていられる居場所機能も充実させることを検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

 答弁を求め、次の項の質問に移ります。

 区民健診・検診について伺います。

 基本健診である3健診の昨年度の受診率は、国保特定健診34.7%、長寿健診41.9%、健康づくり健診4.5%と総じて低く、いずれの健診も2019年度より受診率が下がっています。健診の受診は、疾病を早期に発見し、早期に治療に取り組むことにより医療費抑制を図るとともに、健康寿命を延ばすためにも必要なものであると考えます。受診率向上のための施策について、どのように検討されているのか伺います。

 この三つの健診は、500円の費用負担が生じます。23区で国保特定健診の自己負担を徴収しているのは、中野区も含めて3区のみです。20区は自己負担金がありません。国保加入者のうち9割が所得300万円以下という状況です。東京都健康長寿医療センター研究所、社会参加と地域保健研究チームが2021年5月に発表した研究成果には、「特定健診無償化は、一定の受診行動促進効果があることが示されました」とあります。健診の無償化を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 眼科検診について伺います。現在の眼科検診は、45歳から10歳刻みで65歳までが対象となっています。失明の要因トップである自覚症状の乏しい緑内障について、日本眼科医会の統計では、40歳以上の20人に1人が緑内障に罹患していると推計しています。緑内障の発見には眼底検査・眼圧検査が必須です。眼底検査・眼圧検査の重要性について区の認識を伺います。あわせて、受診年齢や頻度など、見直しを検討してはどうかと考えますが、見解を伺います。

 歯科健診について伺います。80歳の歯科健診については、区は、かかりつけ医での定期的な受診が必要であると考えており、国や都の政策動向や他自治体の取組などを注視し、有効性について研究するとしています。8月30日に開かれた第181回社会保障審議会医療保険部会で示された厚生労働省の資料、「後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しの影響について」では、外来利用が減少した主な疾病に「う蝕」が挙げられており、このことから歯科の受診が減っていると考えられます。実際に区内の歯科医院から、診療回数が減少し、重症化してから来院する例が増えているとの話を伺いました。収入増が見込めない高齢者にとっては、物価高騰が続く中でこの状況は今後も続くものと思われます。受診を控えている方々が、少なくとも年1回の歯科健診で口腔内の状況を把握できるよう、歯科健診の年齢上限を上げていくことを積極的に検討すべきと考えます。見解を求めます。

 また、20歳、30歳の歯科健診の実施については検討するとの方針でした。早期に実施すべきと考えますが、現時点での検討状況を伺います。

 答弁を求め、次の項の質問に移ります。

 最後に、生活再建の視点にたった債権管理について伺います。

 この間、参加した様々な講演会、視察などの中で、「子どもの兆しから背景にある困難を把握する」、「日常会話の中から抱えている問題を見つけ、SOSをキャッチする」といった発言がありました。また、産業振興課の中小企業経営相談に関する課題にも、経営相談は総合相談であり、生活上の問題を含めた課題の棚卸しが必要との報告がありました。相談支援の基本は同じであると感じています。

 生活再建型債権管理の検討について、第3回定例会決算特別委員会で会派の浦野議員の質問に対し、次期基本計画の策定に向けた検討と合わせた組織検討の中で、債権管理の組織や体制についても併せて検討していきたいとの答弁がありましたが、区の債権も産業振興課の考え方を基本とし、「払ってもらう納付相談」の意識を変え、社会課題は全てつながっており、枝葉の施策だけでは解決しない。生活上の問題を含めた課題の棚卸しをする中の一つに滞納があるとの認識に立ち、組織・体制の検討を行ってもらいたいと考えます。

 見解を伺い、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 武田議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、経営相談に関する課題認識に至った経緯と今後の取組です。経営相談は中野区産業振興センターで実施しておりますが、区役所本庁舎とは物理的な距離があることなどから、事業者の現状やニーズが把握しづらい状況でありまして、事業者や経済団体と意見交換を重ねる中で、このことによって施策や事業の実効性を担保できていないとの認識に至ったところであります。伴走型中小企業支援体制の構築に向けて、今後、中野区産業振興センターに機能を集約するとともに、産業振興課職員がセンターに入所することを想定しております。これらによって、職員が経営相談の現場に直接携わり、現状や課題などが把握しやすくなることで効果的な施策や事業の検討につなげていく考えでございます。

 続きまして、改善に向けた仕事に取り組む姿勢についての御質問です。満足度が高いサービス提供に向けた改善に当たっては、区民ニーズを的確に捉えるための状況把握、データ分析力、計画立案等のスキルを向上させることが必要となります。その前提として、区民目線に立って改善させたいというマインドを持って向き合うことが肝要だと考えておりまして、職員の計画的な人材育成、職場全体の意識向上に努めてまいります。

 続きまして、新庁舎視察受入れ状況の報告内容についてでございます。この間、多数の自治体から視察を受け入れておりまして、その際のアンケート結果を参考として報告したものであります。評価については、高評価、低評価それぞれの結果を偏ることなく全体として受け止め、ニーズの把握や必要な分析を通じて、改善すべき点は適切に改善を図っていくことが重要と考えております。

 続きまして、対話による区政の浸透についてです。基本構想に描くまちの姿を実現するため、対話による区政を進めるということは、区政運営の基本的な原則として基本構想に明記をしております。タウンミーティングや意見交換会、パブリック・コメント手続などを通じて対話と参加による区政運営を進めていくことはもちろん、個々の事業の実施に当たって区民への積極的な情報提供と十分な説明責任を果たし、区民の意見が適切に区政に反映される機会を充実するように、今後も全庁に対して周知・徹底をしてまいります。

 次に、職員育成における職場感覚の認識と対応についてでございます。中野区人材育成計画では、人材開発の具体的な取組の一つとして「現場志向」を掲げているところでありまして、地域や現場の実態を肌感覚で理解することは大変重要であると認識をしております。地域・区民の感覚やニーズを踏まえて業務を進めることは区のあらゆる職務に共通するものでありまして、各種研修やOJTなどの機会を捉えて全ての職員に認識の共有を図ってまいります。

 続きまして、職員配置についてでございます。新規採用から10年の間に複数の部門で経験を積むジョブローテーションは、様々な場面で現場感覚を養い、区職員としてのキャリアを形成していくことは大切でありまして、今後も実施をしていく考えでございます。一方で、地域住民と区職員が相互に信頼関係を構築し、事業効果を高めていくため、当該事業の管理・監督を担う職員配置については、状況を見極めていくことが重要だと認識をしているところでございます。多様な知識を習得し専門性を高める視点と、組織運営・事業継続における必要性を総合的に勘案しながら、適材適所の配置に努めてまいります。

 続きまして、区有施設整備計画改定についてで、施設の機能や親和性を踏まえた整備検討についてでございます。区有施設整備計画では、区民の日常生活圏域等を踏まえた適正配置を行うとともに、機能に応じた施設の再編を行うこととしております。次期区有施設整備計画においても、区民の日常生活圏域を踏まえた適正配置を検討するとともに、施設の複合化を検討するに当たっては、各施設の機能や対象者なども踏まえて施設の集約・再編を検討してまいります。

 長寿命化計画の考え方についてです。区有施設整備計画においては、適切な改修・保全によって長寿命化を図り、施設の更新時期を分散させることで財政負担の平準化を図るとしております。耐久性調査等を行った上で、施設の状況によっては築60年以上活用するなど、長寿命化の考え方についても検討してまいります。

 次に、中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業についてで、事業の遅れに伴い新たに生じる地権者への負担についてでございます。区としては、施行予定者に対し、施行認可申請時の事業計画に示されていたスケジュールからの遅延に伴い、新たに生じる地権者への負担について、施行予定者側に求める考えに変わりはございません。

 次に、再開発事業の区民サービスへの影響についてです。新たに発生する負担につきましては、施行予定者に求める考えでありまして、区民サービスに影響を及ぼさないよう適切な財政運営を進めてまいります。

 次に、介護事業者支援についてでございます。区内の介護サービス事業者は、廃止・休止もある一方で新規指定もございまして、例えば、訪問介護は10月現在78事業所で、3月現在と比べると1事業所増加をしているところであります。社会経済情勢に鑑み、物価高騰対策は行う考えでございますが、経営安定のための対策は現在のところ考えておりません。

 次に、区独自の物価高騰対策についてでございます。これまで区の物価高騰対策としては、国や都の動向や社会経済状況を踏まえ、民間学童クラブや介護サービス事業所への補助金など、区独自事業も併せて実施してきたところであります。今後も必要に応じて区独自事業を実施することも検討してまいります。

 次に、エアコン購入費助成についてです。エアコンの購入費助成につきましては、現在のところ具体的な実施の予定はございませんが、引き続き他区の実施状況から、対象者の範囲、予算規模、実績等を踏まえて研究をしてまいります。

 次に、環境施策についてで、脱炭素社会の実現に向けた私の思いという御質問です。今、私たちは「気候危機」に直面をしております。地球温暖化は各地に異常気象と激甚化する災害をもたらし、人類や全ての生物の生存基盤を揺るがしかねない非常に深刻な状況でございます。平均気温の上昇抑制は待ったなしの行政課題と捉え、中野区としても「2050ゼロカーボンシティ宣言」を行ったところでございます。私は、区長としてこのような地球規模の課題に対し、一自治体としての責任を果たすため、ハード・ソフトを含めた全てのまちづくりの取組に「脱炭素化・環境配慮」の視点を加え、区民・事業者にも協力をいただきながら、全庁を挙げて積極的かつ果敢に取り組んでいく決意でございます。

 気候区民会議開催に向けた準備についてです。環境問題、特に地球温暖化問題につきましては、区民一人ひとりが「自分事」として捉え、生活の中での行動変容を起こすことが非常に大切でございます。気候区民会議は、そのきっかけづくりとなる取組であると考えております。現在、区では、脱炭素に向けた区民対象の学習会等は行っておりません。来年度は何らかの形で学習の機会を提供する方向で検討しているところであります。来年度の取組も通して、その後の区民へのアプローチについて、気候区民会議も含め、どのような方法が有効かを検討してまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、子ども施策についての御質問にお答えいたします。

 中野中学校N組に入学する生徒の不安解消についてでございます。入学を検討している児童の保護者説明会を、昨年度よりも時期を早め、10月と11月に実施し、施設見学会も行いました。今後、さらに1週間の体験入級を実施して不安解消に努めてまいります。

 学びの選択肢を増やすための検討についてでございます。学びの選択肢を増やすために、民間の力を取り入れながら、フリーステップルームでの学びをさらに多様化させていくことを検討しております。また、分教室型ではない「学びの多様化学校」設置についても、他市区の事例の視察を行っており、今後さらに研究を続けてまいります。

 教育支援室の機能の充実についてでございます。現在、フリーステップルームでは、学習機能のほかに、自分に合った活動ができる体制を整えているところでございます。今後、フリーステップルームが不登校の児童・生徒にとってさらに魅力的な場所となるように取り組んでまいります。

〔地域包括ケア推進担当部長石井大輔登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(石井大輔) 私からは、療育の充実についての御質問のうち、5歳児健診の実施についてお答えいたします。

 現在、すこやか福祉センターでは、発達相談でつながっているケースも多く、5歳児健診によって相談やフォローアップ体制を整えていくことが必要であると認識しております。一方、健診方法は確立されておらず、医師会など関係者間における検討を要することや、実施にあたっても児童発達に詳しい医師や専門職の確保、健診後のフォローアップ体制構築が課題となっておりまして、他自治体の実施状況も踏まえ、検討を進めてまいります。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、子ども施策についての御質問のうち、児童発達支援センターの設置と施設整備につきましてお答えいたします。

 療育センター機能を含めた児童発達支援センターの設置につきましては、早期に対応していく必要があると認識してございまして、利用者の利便性も鑑み、既存の施設の活用を含めて検討してまいります。一方、新たな施設整備につきましては、区有施設全体の中で配置を検討していく必要があることから、区有施設整備計画と併せて検討してまいります。また、療育相談につきましては、指定管理者と協議の上、相談体制の拡充を検討していくとともに、保育所等訪問支援事業につきましては、民間の障害児通所施設と連携しながら事業を推進してまいります。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) 私からは、区民健診・検診についてお答えいたします。

 まず、基本健診受診率向上のための検討についてですが、新型コロナウイルス感染症の流行による受診控え等の影響により、国保特定健診の受診率は、令和2年度には32.8%に低下していました。令和5年度には34.7%と徐々に回復してきています。区では受診率の向上を図るため、他自治体の効果的な取組などを参考に、周知・広報の充実、ナッジ理論等を用いた効果的な勧奨通知の工夫などを実施してきました。今後も受診率向上のための効果的な施策を実施していきます。

 次に、健診の無料化についてですが、検診・健診の受診にあたっては受益者負担の考えから自己負担をお願いしています。また、生活保護受給世帯、住民税非課税世帯等の支援が必要な方については免除制度を設けており、健診の無償化については現時点では考えておりません。

 次に、眼科検診についてですが、区では緑内障や糖尿病網膜症などの眼科疾患の早期発見、早期治療を図るため、45・55・65歳の区民を対象に、眼底検査と眼圧検査を含めた5項目による眼科検診を実施しており、検診の実施は重要と考えております。現在のところ、眼科検診の対象者を拡大する予定はありませんが、より多くの区民が受診につながるように広報してまいります。

 次に、高齢者の歯科健診についてですが、生涯を通じた歯、口腔の健康を維持するために、区民に健診や受診を促すことは重要であると認識しております。歯科健診の対象年齢のさらなる拡大等については、国の調査である歯科疾患実態調査の結果や他自治体の取組などを参考に研究してまいります。

 次に、20歳、30歳の歯科健診の実施についてですが、健康増進法に基づく自治体の歯周疾患検診の対象年齢に20歳と30歳が追加されたことは把握しております。区や都の政策動向をはじめ、区で実施している健診全体のバランスや近隣自治体の状況など、総合的に勘案しながら検討を進めてまいります。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 生活再建の視点にたった債権管理体制の検討についてお答えいたします。

 区民税や国民健康保険料等の滞納者の生活再建に向けた支援につきましては、それぞれ納付相談から中野くらしサポートの窓口に案内し、必要な支援を受けられるようにしてきているところでございます。さらに効果的に支援を実施できるような組織や体制につきましては、次期基本計画の検討に併せて、令和8年度の組織を検討する中で考えてまいりたいと考えております。

○議長(酒井たくや) 以上で武田やよい議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 黒 沢 ゆ か

 1 高齢者会館のあり方について

 2 スペシャルニーズのある子どもの教育環境について

  (1)区立小中学校・幼稚園の特別支援教育に係る支援員について

  (2)インクルーシブ教育について

  (3)その他

 3 保健所跡地における障害者福祉施設の複合施設整備について

 4 子育て支援について

  (1)保活のワンストップサービスについて

  (2)ベビーシッター利用支援事業について

  (3)その他

 5 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、黒沢ゆか議員。

〔黒沢ゆか議員登壇〕

○8番(黒沢ゆか) 令和6年第4回定例会に当たり、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問をいたします。質問は通告のとおりで、そのほかはございません。

 初めに、高齢者会館のあり方について伺います。

 これまで高齢者会館では、健康増進や介護予防事業、地域における交流、友愛クラブなどの団体による活動が行われてきましたが、今後は新たな施策として、区は高齢者会館をスマートウェルネスシティの理念を実現させる推進施設に位置付けると厚生委員会で報告がありました。スマートウェルネスシティは、健康かつ生きがいを持ち、安心・安全で豊かな生活を営むことができることをこれからのまちづくり政策の中核に捉え、健康に関心のある層だけが参加するこれまでの政策から脱却し、市民誰もが参加し、生活習慣病予防及び寝たきり予防を可能とするまちづくりを目指す考えであるとのことで、期待しているところです。

 そこで伺います。高齢者会館は、高齢者の地域における交流及び自主的な活動の促進を図るほか、高齢者が健康で充実した生活を送れるよう支援することにより、その福祉の向上を図ることを目的として設置されました。今後の在り方、特に対象年齢や施設の目的はどのようになるのでしょうか。区の見解を伺います。

 また、高齢者会館は、これまで利用の増加がある一方で、利用者が固定化していること、公共の貸出施設として集会室の平日・夜間の利用が進まないなど課題があるため、今回の取組によって解消する狙いもあると報告されました。施設予約システムの導入など利便性の向上を図ったり、会館事業及び介護予防事業参加者へ、デジタル地域通貨と連動したインセンティブ(健幸ポイント)を付与することにより、一定の参加者増は見込めるであろうと考える一方で、集会室の使用は、現在、午前、午後、夜間、それぞれ1枠が3時間以上となっていることから、次の貸出時間帯まで数時間にわたり利用者がいない状態となっている会館もあります。特に午後の高齢者会館事業は、15時台で終了となるものが多いのが現状です。他区の区民向け施設を調査したところ、新宿区は2時間ごと、杉並区は午後に2枠、練馬区は1時間単位の貸出しとなっていました。利用状況を精査し、多くの区民が利用できるよう時間の枠を検討してはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 さらに、区は、公共の貸出施設として夕方から夜間の利用について、新たに高齢者会館を利用される層についてどのように考えていますでしょうか。また、高齢者会館条例において集会室の団体利用では、高齢者に限らず、規則で定める区民等で構成する団体も利用できるとされ、例えば子育て・子育ち支援などの子どもの健全育成に関する活動、障害者等に対する地域における支え合い、自立支援またはその家族への援助などに関する活動でも利用ができます。そのような団体に対するスマートウェネルスシティに付随する取組が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、スペシャルニーズのある子どもの教育環境について伺います。

 区立小・中学校、幼稚園の特別支援教育に係る支援員についてです。現在、区立小・中学校、幼稚園では、区立小・中学校の通常の学級や特別支援学級、及び区立幼稚園に在籍している、発達の課題や障害により個別の配慮が必要な児童・生徒に対し、支援業務を行う特別支援教育に係る支援員を配置することになっています。しかし、幾つかの学校に通う、支援が必要な児童・生徒の保護者の方より、支援員が十分に配置されていないように感じるという声をいただいていました。教育委員会に問い合わせたところ、配置基準は教育委員会で定めており、小学校では原則2名、500名以上の生徒が在籍する学校では3名、加えて知的固定学級数に応じて1学級当たり1名の配置となっていることが分かりました。そして、その基準よりも不足している学校があるということも分かりました。全ての学校で支援員が充足できるよう、教育委員会として各学校の採用活動支援と報酬のベースアップを検討すべきと考えます。区の考え、今後の対策の方針をお聞かせください。

 次に、インクルーシブ教育について伺います。都民ファーストの会東京都議団の提案により、東京都で制度化されましたインクルーシブ教育支援員の配置について、中野区でも導入すべきと昨年の一般質問で取り上げさせていただきました。今年の9月より中野区でも、対象児童・生徒が区立学校に在籍している場合、インクルーシブ教育支援員を1名配置することとなったことは大変評価をしております。また、中野区においてインクルーシブ教育支援員が配置されることとなったのは、インクルーシブ教育の推進に向けた大きな一歩となったと思います。しかし、障害のある児童・生徒を受け入れる中で、学校間の意識の差が生じていると感じています。単純に教育を受ける場所を同じにすることが目的となってしまった場合には、リスクが大きい状態のインテグレーション教育になりかねません。目指すべきインクルーシブ教育は、障害や国籍などにかかわらず、全ての子どもたち一人ひとりに適切な教育環境が提供されることだと考えます。他自治体では、インクルーシブ教育の全体的な方針、ガイドラインを策定している自治体もあります。インクルーシブ教育に対する教員、保護者の共通理解を形成するためにも、中野区でもガイドラインを作成してはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 次に、保健所跡地における障害者福祉施設の複合施設整備について伺います。

 現保健所の建物の老朽化が進んでいることから、現在の中野区教育センター分室の場所に保健所を移転整備する計画が進み、移転整備における基本的な考えが示されました。また、その中で、保健所の跡地には障害者福祉会館の移設及び障害者福祉施設の複合施設整備という新たな計画も発表されました。障害のある方の保護者や障害福祉事業者からは、早速期待の声やお問合せがありました。特に聞かれたのは、どのような障害福祉サービスを複合させるのかという点です。その中で近隣区の動向も注目されています。来月に渋谷区で、医療的ケアを含む重症心身障害児者及び肢体不自由者を対象とした短期入所を含む施設が開所。練馬区で、医療的ケアにも対応した重度の障害のある方の地域生活支援拠点として、重度障害者の日中活動の場や医療的ケアに対応したショートステイ、地域の医療を支える人材の育成等の機能を備えた多機能の施設を2029年に整備するとしています。練馬区の特徴としては、医療的ケアが必要な方や重度障害者の生活介護に加え、在宅生活における家族の介護負担軽減に向けた医療型ショートステイも提供する点で、障害者本人とその家族に加え、支援する専門職を支える機能も備える施設の整備は、23区では初の試みになると報道されていました。

 調査する中で、各区それぞれの不足している施設や人材、家族の支援など、地域課題を解消するための複合施設整備計画となっていることが伺えました。中野区にお住まいの当事者の御家族からは、医療的ケアを含む重度障害者の生活介護施設やグループホーム、18歳未満から利用できるショートステイを中野区立の障害者福祉施設としてつくってほしいという御意見を頂戴しています。

 そこで伺います。中野区では、今回の複合施設を新設する意義をどのように考えられているのでしょうか。この複合施設によって、区の障害者福祉におけるどのような課題を改善したいと考えていますでしょうか。また、今回の施設計画を策定するに当たって、特に力を入れていきたいと考えているサービスや機能は現時点でありますでしょうか。なお、複合施設の完成時期について、現在の見込みはどのようになっているでしょうか。

 建設費や運営費の調達では、国や東京都の補助金を活用できる可能性もあります。早いうちから情報収集を行い、連絡調整を行っていただくことを要望し、次の質問に移ります。

 子育て支援についての、保活のワンストップサービスについて伺います。

 東京都とGovTech東京が協働して、保活に関する情報を集約した連携基盤を整備し、民間保活サイト及び保育施設の保育ICTシステムをつなぐことで、保育施設情報の収集や見学予約、入所申請をオンライン・ワンストップで行えるサービスを先行自治体で本年より開始しました。散在している施設情報の収集や電話予約などにより、手間と時間を要していた保護者の負担軽減が期待されています。中野区では、LoGoフォームからの入園申込みに加え、LINEを使った保育園を探す機能もこれから始まるということで、徐々に利便性も向上していると評価しています。さらなる取組として、見学申込みを含む保活のワンストップシステムを構築すべきと考えます。区の見解を伺います。

 次に、ベビーシッター利用支援事業について伺います。中野区は、子育ての相談、不安解消、一時保育を必要としている方などを対象に、ベビーシッター利用支援事業を利用いただけるようになっており、本年10月よりベビーシッター利用支援事業の対象を就園児にも拡充したことを評価しております。ベビーシッター利用支援事業は、東京都で制度化され、少しずつ認知が広がり、年間利用時間を増加させるなど、ニーズに応じて制度の形を変えてきました。東京都の要綱では、利用対象が小学校3年生までとなっており、導入している自治体では放課後の多様な選択肢の提供につながっています。特に小学校低学年のお子さんは、保育園卒園後、自宅にいる時間が長くなり、保護者の働き方においても心配や困難が生じやすい時期でもあることから、保育園から小学校への段階的な移行を目指し、学童クラブ等の利用時間の前後にベビーシッター利用支援事業を利用する御家庭もあるそうです。また、障害のあるお子さんやシングルの御家庭など、子どもの年齢を重ねても支援が必要な御家庭もあると考えます。中野区においても、ニーズに応じて東京都と同様に対象年齢の拡充を検討してはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 黒沢議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、高齢者会館のあり方についてでございます。高齢者会館につきましては、法的な位置付けを変えないということで、対象年齢や目的もこれまで同様ではございますが、名称変更に伴う柔軟な運用によって、これまで利用の少なかった年齢層の利用促進や多世代交流の活性化に取り組む考えでございます。

 次に、高齢者会館集会室の利用枠についてでございます。高齢者会館の集会室は、今後導入予定の施設予約システムの対象ともなっておりますので、現在の利用状況やニーズの把握を進め、有効な活用ができるように検討してまいります。

 次に、集会室の利用層についてです。施設予約システムの導入によって施設の周知が進むことで、現在比較的利用が少ない夜間の時間帯も、新たな利用団体の広がりや利用の増加が進むことを想定しているところであります。

 次に、団体利用におけるスマートウェルネスシティの取組についてでございます。今後、高齢者会館は名称変更を行い、健康づくりや生きがいづくりの拠点として、来館者が体組成計などでセルフチェックしたり、健康に関する情報を得られたりする場としていく考えであります。こうした環境は、集会室を利用する様々な団体にとってもメリットになると考えております。

 続きまして、保健所跡地における障害者福祉施設の複合施設整備についてでございます。複合施設の整備におきましては、障害者福祉会館の老朽化に対応するほか、生活介護事業の利用者数に応じた定員の拡充を図るとともに、区の重点課題である医療的なケアが必要な障害児者への支援の拡充なども図ってまいります。また、施設を区中央部に整備するという立地特性を生かせるよう、当事者の声を聞きながら今後整備すべき機能についても検討してまいります。

 複合施設の完成時期についてでございます。施設の整備につきましては、保健所移転後の令和15年度以降に工事に着手する予定でございまして、今後具体的な整備時期を検討してまいります。

 続きまして、子育て支援についてで、保活ワンストップサービスについてでございます。保護者にとって保育園の情報収集、施設見学予約、入園申込み手続等、いわゆる保活についての負担が大きいことは認識をしているところであります。区においても、先行自治体の事例なども参考に、負担軽減につながる保活ワンストップサービスについて検討してまいります。

 次に、ベビーシッター利用支援事業の拡充についてでございます。東京都によるベビーシッター利用支援事業の補助対象児童を小学3年生までとするには、区が学童クラブ待機児童対策計画を策定し、当該計画の中で本事業を待機児童解消のための対策、これに位置付ける必要があるということでございます。しかしながら、区内学童クラブの待機児童は、他の対策によってほぼ解消される見込みでありまして、将来的に都の補助要件を満たさなくなるおそれがあるということで、対象年齢の拡充は慎重に検討する必要があると考えているところであります。学齢期の子育て支援に当たっては、ファミリー・サポート事業や子育て家庭ホームヘルプサービスなど、他のサービスの利用促進にも努めてまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうから、スペシャルニーズのある子どもの教育環境についての御質問にお答えいたします。

 最初に、特別支援教育に係る人材確保等についてでございます。特別支援教育に係る支援員の各学校における配置人数は、特別支援教育に係るニーズの多様化に伴い、毎年増加させており、配置人数に満たない状態となっております。現在は、区のホームページや東京都教育委員会が設立した東京都教育支援機構で随時採用活動を行っておりますが、今後は配置人数を満たせるよう、他自治体の好事例や報酬額を参考にして検討していきたいと考えております。

 次に、インクルーシブ教育についてでございます。現在、全区立学校で児童・生徒の障害特性に応じた合理的配慮の共通理解を図るために、ガイドラインの策定を進めているところであります。今後はインクルーシブ教育の理解を推進させていきたいと考えており、他自治体の取組を参考に研究してまいります。

○議長(酒井たくや) 以上で黒沢ゆか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 中 村 延 子

 1 区有施設整備計画について

  (1)物価高騰等の影響について

  (2)児童館について

  (3)旧商工会館跡地について

  (4)その他

 2 スマートウェルネスシティ中野の推進について

 3 SRHR(セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)について

 4 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、中村延子議員。

〔中村延子議員登壇〕

○40番(中村延子) 令和6年第4回定例会に当たり、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はございません。

 1、区有施設整備計画について。

 (1)物価高騰等の影響について伺います。

 中野区区有施設整備計画は、計画的に財源を確保しながら、区民のニーズに応じたサービス提供のための適正配置と安全・安心な施設利用のための更新・保全を行うことを目的としています。現在の計画は、令和3年度から令和12年度までの10年間を計画期間としており、区は来年度見直しを行い、令和8年度から令和17年度の10年間を計画期間とする次期区有施設整備計画を策定することとしています。長引く物価高騰は、今後続いていく区有施設の更新に大きな影響を与えます。一方で、学校施設を含む多くの区有施設では、老朽化に対応していかなければなりません。計画的に施設更新を進めていくためには、計画的な基金への積立てが極めて重要です。新たな財政運営の考え方で、減価償却費の25%を基金に積む方針となりましたが、物価高騰を鑑みた積立計画を進めていくべきと考えます。さらには、それぞれの施設の標準規模を定めることが必要だと考えます。区の見解を伺います。

 現在の区有施設整備計画には、「区有施設の再編や更新に当たっては、集約化や複合化、長寿命化、整備工程調整、民間活力の活用、未利用地及び未利用施設の貸付けや売却など、ファシリティマネジメントの観点から施設の状況に応じた整備手法を選択することが必要です」とあり、あらゆる整備手法の検討をしていく必要性があると考えます。一方で、従来どおりの整備手法が取られることが多く、その場合は経費削減に至っていません。次期区有施設整備計画においては、あらゆる可能性を検討したものとすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 第3回定例会の子ども文教委員会で、学校施設整備計画の見直しについて報告があり、目標耐用年数の見直しにも言及され、現在70年としている耐用年数を延ばしていく方針が示されました。一方、他の区有施設は耐用年数をおよそ60年としています。これは文部科学省が通知を出していることが理由と考えられますが、学校施設も他の区有施設も同じ区有施設であり、整合性を図るべきと考えます。次期区有施設整備計画では区としての考え方を示すべきと考えますが、見解をお示しください。

 他区では、施設整備に関する入札不調が続いていると聞いており、今後の施設整備での課題であると認識しています。これは、人手不足や建築資材の高騰に起因していると考えられます。入札不調が続けば、計画どおりに施設整備が進まなくなり、区民に大きな影響を及ぼします。市場の人手不足に対応するために、平準化することも一つの選択肢であると考えます。こうした課題認識を持ち、次期区有施設整備計画を進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。伺い、次の質問に移ります。

 (2)児童館について。

 個別の施設の中で、まず児童館について伺います。国では、令和5年12月にこども家庭庁が「こどもの居場所づくりに関する指針」を策定し、全ての子どもが安全・安心に過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動の機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、子どもが本来持っている主体性や創造力を十分に発揮し、社会で活躍していけるように居場所づくりを実現することとしています。子どもを取り巻く現状として、居場所がないことは子どもの孤独・孤立の問題と深く関係しており、価値観の多様化も踏まえた子どもの居場所が求められています。こうしたことからも、子どもの居場所づくりは非常に重要だと考えます。まずは、このことについて区の見解をお示しください。

 身近な子どもの居場所づくりを行うことは、基礎自治体の役割であり、基礎自治体にしかできません。区の施策の中で子どもの居場所づくりの優先順位をどのように捉えているのか伺います。

 先日、少子化対策・地域包括ケア調査特別委員会で、今年度基幹型児童館のモデル事業を行っている城山ふれあいの家の視察に伺いました。モデル事業の中では、子ども会議を開催し、実際に提案のあったロビーに子どもスペースの設置を行いました。ロビーでは飲食やゲームもでき、マットの上でリラックスして過ごすことができるようになりました。時間延長により、保育園帰りの乳幼児親子の利用や中高生の利用も増えたそうです。工事リニューアルもあり、子どもや乳幼児親子など、利用者のニーズに合った運用になり、昨年度から比較して今年度は上半期で利用者が4,300人近く増えているとのことです。城山ふれあいの家でのモデル事業は成功しており、地域の子どもたちの居場所になっています。子どもの居場所づくりの中で、重要な役割を担うのが児童館だと考えます。児童館の果たすべき役割を改めてお示しください。

 児童館は、誰もが来られる居場所であるべきであり、児童館ガイドライン改正の議論の中でも、インクルージョンの観点から必要な配慮を行うことが求められています。障害のある子ども、社会的・文化的な困難を抱える子どもへの対応について、区としてどのように考えているのか伺います。

 一方で、無制限に予算をかけていいわけではありません。児童館の整備に当たっても、施設規模について延べ床面積の上限を設定するなど、標準化をしていくことも重要だと考えますが、区の見解を伺います。

 これまでほとんど計画的な改修がされてこなかった児童館は老朽化が進んでいます。また、18館のうち9館が築40年を超えています。今後の児童館の建て替えを計画的に進めていくことを見据えて、社会福祉施設整備基金に積立てを行っていくべきと考えますが、区の見解をお示しください。

 児童館の人員体制についても伺います。区は、児童館運営・整備計画において、来年度から開館日の拡充と開館時間の延長を行うことを見据えて検討をしています。一方で、それを担う人員確保はどのように行っていくのでしょうか。会計年度任用職員を入れて、ぎりぎり回せている児童館もあります。これまでの児童館のノウハウを継承しながら、今の子どもたちに十分に対応していくためには、人員体制の確保は欠かすことができません。民間に移行していく乳幼児機能強化型児童館もありますが、来年度の人員体制について十分に確保できる状況なのか、区の見解をお示しください。

 基幹型児童館に移行していく際には、担う役割も増えます。これらの役割を着実に推進していくためにも、人員体制もさることながら職員の育成も進めていくべきと考えます。見解をお示しください。

 (3)旧商工会館跡地について。

 旧商工会館跡地の活用については、前区政では売却としており、売却した場合は15億円になると想定されていました。酒井区長になり、旧商工会館については、売却ではなく活用することに方針変更をされましたが、現在の区有施設整備計画においては、民間活力の活用により区の持ち出しをなくし、さらには利益を生み出すための手法を検討されていました。サウンディング調査も行い、令和4年2月1日から事業者募集を開始する予定でしたが、令和4年度当初予算に議会から意見、「近隣住民への十分な情報提供と意見聴取を終えるまでの間は、事業の進行を止めること」がついたことにより、そこから事業が止まっている状況です。旧商工会館が閉鎖管理のままの状態となっていることは、区民にとって大きな損失でもあると考えます。区として必要な機能を旧商工会館・産業振興センターで配置予定でしたが、現在はそれができていない状況です。当初のスケジュールでは、令和7年4月に新産業振興施設の供用開始となっておりました。こうした経緯からも、施設整備計画改定を待たずとも、この場所については整理をしていく必要性があると考えますが、区の見解をお示しください。

 第3回定例会に「旧商工会館・産業振興センターの再編について」の報告がありました。産業振興センターには、現在の機能を継続し、中野区産業振興方針に基づき経営支援機能を強化・集約するとし、あわせて、シルバー人材センターの機能の一部について産業振興センター内で対応すること、また、旧商工会館跡地には、複合交流拠点として中高生の交流・活動支援の場等を整備することについて検討することとしました。中高生年代向け施設は、当然ですが、中高生年代の居場所、遊び場所としての役割があり、区内に中高生年代の居場所、遊び場所が少ないことを踏まえて整備を進めていく必要があると考えます。そこがクローズアップされることが多いですが、一方で、困難を抱える中高生の支援などの福祉的な役割が重要であると考えます。

 先日の少子化対策・地域包括ケア調査特別委員会で、豊島区立中高生センタージャンプを視察しましたが、その中でも、学習支援、不登校、希死念慮、非行、自殺対策、虐待対応、貧困対策など、困難を抱える中高生に対して、何げない日常会話の中から抱えている問題を見つけ、SOSをキャッチするとともに、関係機関と連携した支援につなげていくという取組を伺いました。今後、区として中高生年代向けの拠点施設を整備するに当たり、その役割について改めて伺います。

 区では、児童館運営・整備推進計画の中で、若宮児童館について中高生機能強化型児童館に移行することを示しており、現在、整備基本構想の策定を進めているところです。中高生機能強化型児童館については、現行の児童館の機能・役割を基礎とした上で中高生機能を強化したものであり、中高生年代の全てのニーズに応えることは難しいと考えます。この中高生機能強化型児童館と複合交流拠点に整備する中高生年代向け拠点施設の機能の役割の違いについて、区の見解を伺います。

 旧商工会館跡施設を複合化するに当たっては、区として中野駅周辺に必要な施設や機能の検討を行った上で配置をしていく必要があると考えます。これまで我が会派から要望してきた男女共同参画センターについては、男女共同参画基本計画において配置を検討するとされているものの、具体的な場所は決まっておりません。男女共同参画センターは中野駅周辺に必要であり、施設の複合化に当たっては配置を検討すべきと考えます。区の見解をお示しください。

 整備手法についても伺います。旧商工会館跡施設については、これまで我が会派として区の持ち出しなしでの整備を進めるべきと申し上げてきました。昨今の建築資材や人件費が高騰している中では、厳しい状況も予想されます。一方で、これまでの経緯からも、一般財源の持ち出しを極力少なくする整備手法の検討が必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 旧商工会館跡地の活用については、予算についた附帯意見からも、地域住民の方々との合意が重要です。今回の方針変更についてはどのように地域への説明を行っているのか。また、今後も継続的に理解をいただけるよう、区として努力していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。伺い、この項の質問を終わります。

 2、スマートウェルネスシティ中野の推進について。

 第3回定例会で、「スマートウェルネスシティをめざした施策展開について」が報告されました。個々人が健康かつ生きがいを持ち、安全・安心で豊かな生活を営むことができることをまちづくりの政策の中核に捉え、健康に関心のある層だけが参加するこれまでの政策から脱却し、市民誰もが参加し、生活習慣病及び寝たきり予防を可能とするまちづくりを目指すというスマートウェルネスシティの理念には私も賛同するところです。この理念を達成するためには全庁的な組織体制が必要です。さきの報告で出てきた体制づくりについては、様々な分野における施策を横断的・総合的に展開していくことが求められるとありました。一方で、令和7年度に行う予定の先導的取組は、必ずしも組織横断的なものにはなっておらず、一見高齢者施策のように見受けられました。

 まず、庁内での組織体制について、地域支えあい推進部だけでなく、都市基盤部や健康福祉部、とりわけ保健所の連携体制が非常に重要です。SWCの理念を踏まえた施策の展開には、組織横断的な取組が多いため、PTなどをつくり行わなければ成功するものではないと考えますが、いかがでしょうか。この理念の達成は、基本計画改定に合わせて重点プロジェクトとして取り組んでいくべきとも考えます。見解を伺います。

 また、中野区がSWCを推進していくに当たり、他自治体よりも後発になるため、より充実したスタートが必要だと考えます。とりわけ働く世代や子育て世代を巻き込む取組が重要です。見解をお示しください。

 第3回定例会には、中野区デジタル地域通貨ナカペイを活用したコミュニティポイントの考え方等についても報告がありました。ポイント事業をインセンティブに、SWC推進のための施策を効果的に前に進めていくことはできると考えます。いのつめ議員が一般質問でナカペイの課題についても取り上げますが、スタートしたばかりのナカペイも改善が必要です。来年度にはコミュニティポイント事業の先導的取組を実施していく方針ではありますが、ナカペイありきではない取組の推進も同時に進めていくべきと考えます。見解をお示しください。

 厚生委員会で山形市の健康ポイント事業を視察しました。他部署と連携した様々な仕掛け、イベントの開催を行っており、多世代の市民が広くコミュニティポイントを認識し、参加していただくためのユニークな発想と部署間連携が特徴的でした。こうした事例も参考にしながら、ポイント付与事業については、健康施策として効果を検証しやすいものに取り組んでいくべきと考えます。見解をお示しください。

 SWC達成のためには、エビデンスに基づく取組の推進が必須であり、データ分析が重要になってきます。それにはシンクタンクや専門家との連携が欠かせません。データ分析からの施策展開も重要です。第3回定例会の杉山議員の質問では、大学等研究機関と連携しながら進めていくと答弁がありましたが、今後の見通しについて区の見解をお示しください。

 3番、SRHR(セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)について伺います。

 SRHRとは、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、性と生殖に関する健康と権利を意味します。具体的には、性と生殖について、私たち一人ひとりが適切な知識と自己決定権を持ち、自分の意思で必要なヘルスケアを受けることができ、自らの尊厳と健康を守れることです。WHOをはじめとする国連や国際機関も提唱しているように、このセクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを、人が生まれながらに持つ権利、人権だと考えます。一人ひとりがこのセクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを知り、享受し、できる社会の実現が必要です。

 11月8日に百田尚樹氏がユーチューブ番組の中で少子化対策について議論した際に、「女性は18歳から大学に行かせない」、「25歳を超えて独身の場合は結婚できない法律にする」、「30を超えたら子宮を摘出する」といった発言を行いました。御本人はSFだと言い訳をされ、後に発言の撤回をしましたが、百田氏は現在政党の党首を務められている政治家であるということを忘れてはなりません。これらの発言は、女性の人権をないがしろにした発言であり、到底許されるべきものではありません。「女性は子どもを産む機械」など同趣旨の発言は、これまでも少なくない政治家から発せられてきましたが、こうした発言をしてしまう根底には、女性蔑視とともに、少子化は女性だけに原因があるという、問題の本質を捉え切れていない思想があると考えられます。こうした浅はかな考えが、少子化をより進行させてしまっている原因であると考えます。改めてSRHRの概念の浸透が急務だと考えます。まず、SRHRについて区長のお考えを伺います。

 2024年3月改定の中野区男女共同参画基本計画(第5次)に、「性に関する正しい知識の提供やリプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する理解の普及・啓発のための取組について検討し、実施します」との記載がされました。過去2年間は、保護者向け性教育講座として、子ども・教育政策課で行ってきた性に関する正しい知識の普及啓発事業が、今年度からユニバーサルデザイン担当に事業が移っている意義は大きいと考えます。見解をお示しください。あわせて、今年度の取組についてお伺いいたします。

 まだまだSRHRの概念の浸透が足りていない中、人権を守るだけでなく、子どもたちの防犯教育、さらには、被害者も加害者も生まないことにつながる取組は継続的に実施していくべきと考えます。来年度以降についても引き続き実施していくべきと考えますが、見解をお示しください。伺いまして、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 中村議員の質問にお答えいたします。

 私からは、まずスマートウェルネスシティ中野の推進についての項で、組織横断的な取組と重点プロジェクトについての御質問です。スマートウェルネスシティ(SWC)の推進に当たっては、全庁的に理念を共有し、組織横断的に展開することが重要であると考えておりまして、基本計画策定本部会議において、次期基本計画における重要なテーマの一つとして検討しているところであります。直接的なひとへのアプローチだけでなく、環境を整えていくまちへのアプローチがSWCの視点でありまして、高齢者はもとより、どの世代も健康増進につながるまちを目指してまいります。

 続きまして、SWCの効果的な施策展開についてでございます。健幸ポイントのインセンティブは、主に健康無関心層に対するウオーキングやイベント参加の動機づけを狙いとしておりますが、目指すところは自律的な健康づくりであります。健康測定によるセルフチェックや情報提供、健康づくりの継続的サポートなど、健康リテラシーを高める取組も進めてまいります。

 次に、健康施策として効果を検証する施策展開についてでございます。健幸ポイント事業については、日々の健康的な活動によりポイントが付与されるものに加えて、様々なイベントの参加での付与も考えておりまして、健康リテラシーを高める内容のものを取り込んでいきたいと考えております。

 次に、エビデンスに基づいた施策展開についてでございます。SWCの「Smart」は、まさに様々なデータを分析し、エビデンスに基づく施策展開を目指すことを意味しております。現在、大学等研究機関が実施をしております、医療や介護など複数のデータの経年変化や相関関係等を分析する情報基盤への参画も現在検討しておりまして、今年度中を目途に進めてまいります。

 続きまして、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツについてでございます。この概念の浸透についての御質問です。セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、人が生まれながらにして持つべき権利として認識をしておりまして、中野区男女平等基本条例第2条、基本理念にも通じるものであると認識をしております。この概念の普及啓発について取り組んでまいります。

 次に、普及啓発事業の移管と今年度の予定についてでございます。性に関する正しい知識の普及啓発事業は、保護者向けだけではなく、広く区民を対象として普及啓発を行うことが必要と考えております。今年度の性に関する正しい知識の普及啓発については、区民講座の実施を検討しているところでございます。

 次に、普及啓発事業の継続した取組についてでございます。普及啓発事業の取組に関しては、今年度の事業実施状況を踏まえ、より効果的な事業となるよう工夫しながら、引き続き検討、実施をしてまいりたいと考えております。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 私からは、区有施設整備計画について、初めに物価高騰等の影響についての御質問にお答えいたします。

 まず、財政調整基金施設改修分に係る積立ての考え方についてでございます。施設整備に関する基金積立ての考え方に当たりましては、物価高騰や金利上昇などの社会情勢、今後の施設整備計画や整備経費、基金残高を勘案して改めて整理をしていくこととしております。次期の基本計画や区有施設整備計画の策定スケジュールと併せて行ってまいりたいと考えております。

 次に、延べ床面積の考え方についてでございます。区有施設の整備に当たりましては、多様な行政需要や地域特性に対応する一方、将来人口の見込みや人口構成の変化を想定することが求められております。これらの状況を総合的に勘案しながら、必要な施設整備の基本的な考え方について整理をしてまいりたいと考えております。

 次に、区有施設の整備手法についてでございます。区有施設整備計画では、施設整備に当たっては、区民サービスの向上とともに区の財政負担を軽減するため、効果的・効率的な整備手法を検討することとしており、ファシリティマネジメントの観点も含め、様々な方法を検討したいと考えております。

 次に、区有施設の耐用年数の考え方でございます。区有施設整備計画におきましては、適切な改修・保全により長寿命化を図り、施設の更新時期を分散させることで財政負担の平準化を図ることとしております。学校以外の区有施設におきましても、耐久性調査等を行った上で、施設の状況によっては築60年以上活用するなど、長寿命化の考え方について検討してまいります。

 施設整備の平準化についてでございます。次期区有施設整備計画の策定に当たっては、昨今の物価高騰や社会情勢等を踏まえた上で、施設整備の平準化や更新経費の考え方、推計などを行い、策定を進める必要があると考えております。個別施設の改築スケジュールにつきましては、区全体の施設の状況を踏まえて検討をしてまいります。

 児童館建て替えを見据えた基金の積立てについてでございます。社会福祉施設整備基金につきましては、児童館を含めた対象施設の減価償却累計額相当額の25%の確保に努めているところでございます。今後の建設費用の状況を踏まえ、計画的に積立てを行ってまいります。

 旧商工会館跡地に関して、複合交流拠点の整備方針等についてでございます。区は、中高生年代向け拠点施設を含む複合交流拠点について、早期に整備をする必要があると考えておりまして、本定例会におきまして機能や今後の進め方、スケジュール等についてお示しをする予定でございます。

 男女共同参画センターの配置についてでございます。区民、団体の交流活動の拠点、情報収集できる居場所、気軽に相談できる窓口等を求める声などがあることから、新たに設置をすることを検討してまいりました。区内に1か所の施設となることから、できるだけ交通の利便性がよい場所であることが望ましいと考えております。また、交流活動、居場所機能、相談窓口機能などにつきまして、中高生年代向け拠点施設との親和性が高いことから、複合交流拠点へ配置する機能としても検討してまいります。

 複合交流拠点の整備手法についてでございます。令和5年8月に実施した専門家意見の聴取では、定期借地権方式をメインシナリオとして、引き続き検討していくことが求められているという意見をいただいたところでございます。専門家の意見も踏まえまして、複合交流拠点の整備手法については、区の財政負担が軽減できるよう民間活力の活用を検討してまいりたいと考えております。

 次に、旧商工会館跡地に係る地域への説明についてでございます。旧商工会館跡地の検討状況につきましては、適宜関連する町会長会議等で説明を行ってまいりました。今後も検討状況につきまして適宜情報提供するとともに、地域の意見を聞きながら整備に係る検討を進めてまいりたいと考えております。

〔子ども家庭支援担当部長森克久登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(森克久) 私から、まず児童館についての御質問にお答えいたします。

 一つ目に、子どもの居場所づくりに関する区の考えについてでございます。子どもが自分の居場所を持つことは、安全・安心な環境の中で多様な他者と関わりながら成長するために不可欠と言えるものでありまして、居場所がないことは子どもが人とのつながりを失い、孤独・孤立の問題と深く関係する重大な課題であると認識をしております。社会状況等の変化とともに子どもを取り巻く環境も大きく変わる中、いじめや貧困など様々な課題が複雑かつ複合化しており、早急かつ重点的に多様な子どもの居場所づくりに取り組む必要があると認識をしているところでございます。

 続きまして、子どもの居場所づくりの優先順位についてでございます。子どもと子育て家庭にとって身近な場所に子どもの居場所を整備すること、また、居場所を拠点として地域のネットワークづくりを進めていくことは重要な取組でありまして、基礎自治体の役割であると認識をしております。こうしたことから、多様な子どもの居場所づくりにつきまして、区の施策の中でも特に重要であると認識しておりまして、中野区基本計画の重点プロジェクトの一つとして掲げまして取組を進めているところでございます。

 続きまして、居場所づくりにおける児童館の役割についてでございます。児童館は、18歳以下の全ての子どもが自らの意思で来館し、子ども同士や児童館職員との交流を図りながら、安心して過ごすことができる重要な児童福祉施設であると認識しております。また、児童館は、子どもと子育て家庭にとって身近な地域の居場所であるとともに、子育て支援活動を行う地域団体などの活動拠点でありまして、子どもの育ちを支える上で特に重要な役割を果たしているものと認識をしております。

 続きまして、多様な子どもの利用に対する配慮についてでございます。児童館は、子どもの属性を問わず、誰もが利用できる施設であるため、障害のある子どもや外国にルーツのある子どもなど、多様な子どもが安心して過ごすことができるという視点が重要であると認識をしております。今後、中長期的に児童館の大規模改修や改築を進めていく中で、ユニバーサルデザインの観点からの施設整備を行うとともに、様々な福祉職場で経験を積んだ職員を配置することによって、多様な子どもの利用に配慮した児童館運営を目指してまいります。

 続きまして、児童館整備の標準化についてでございます。児童館の果たす機能・役割を実現し、子どもたちが安全・安心に過ごせる居場所としていくとともに、安定的な財政運営を実現するためには、子どもに意見を聞きながら、児童館に共通して必要になる標準的な機能を整理していくことが重要であると考えております。区有施設整備計画の改定に向けた検討を進めていく中で、将来的な児童館の改築を見据えて、必要な機能や延べ床面積等の内容を含めた標準的な施設モデルを構築することについて検討を行ってまいります。

 続きまして、児童館の人員配置についてでございます。今年度、基幹型児童館への移行を見据えて、城山ふれあいの家において福祉的課題等への対応強化及び開館日時の拡充等を行ったモデル事業を実施しまして、その中で必要な人員体制についても検討を進めてきたところでございます。令和7年度からは中学校区に1館の計9館が基幹型児童館に移行しますが、今年度実施しているモデル事業の実施状況等を踏まえて、その役割を適切に果たすことができるよう必要な人員を配置してまいります。

 児童館職員の人材育成についてでございます。基幹型児童館につきましては、福祉的課題に対応するため、ソーシャルワーク機能を強化した運営を行っていくこととしておりまして、福祉職を配置していく考えでございます。区全体の福祉職の採用の中で必要な職員数を確保するとともに、既存の職員による経験やノウハウを継承しながら職員の研修などを充実し、子どもと子育て家庭のニーズに対応する人材を育成してまいります。

 続きまして、旧商工会館跡地に関する御質問で、まず、中高生年代向け拠点施設の福祉的な役割についてでございます。社会状況等の変化とともに子どもを取り巻く環境も大きく変わる中、いじめや貧困など様々な課題が複雑かつ複合化しておりまして、特に困難や生きづらさを抱えやすい中高生年代への支援は重要な課題であると認識しております。中高生年代向け拠点施設の整備に当たりましては、中高生年代のニーズに対応した居場所を提供するとともに、中高生の抱える悩みや課題を早期発見し、様々な関係機関につなぐことができるよう、日常的な関わりの中で相談支援の仕組みを検討していく考えでございます。

 最後に、中高生機能強化型児童館と中高生年代向け拠点施設の違いについてでございます。中高生機能強化型児童館は、児童福祉法に基づく児童厚生施設として、0歳から18歳までの子どもとその保護者を対象とした施設でありまして、乳児・幼児コーナーといった機能も備え、幅広い世代が集える地域の居場所となることを目指しております。一方で、中高生年代向け拠点施設は、中高生年代の利用に限定した施設であり、気軽に立ち寄れる居場所でありながら、より中高生の活動・交流・社会参加が促進される拠点となるよう、中高生のニーズに特化した機能を整備していく考えでございます。

〔中村延子議員登壇〕

○40番(中村延子) 1点だけ再質問をさせていただきます。

 先ほど私からは、区有施設整備計画についてのうちの物価高騰等の影響についての中で、それぞれの施設の標準規模を定めることが必要だと考えますというふうに申し上げて、その中の御答弁で延べ床面積のお話をされていたのではないかなというふうに聞き取ったんですけれども、ちょっと、全体の延べ床面積を云々ということではなくて、それぞれの施設の標準規模を定めるべきではないかということを申し上げたつもりだったので、そこについての御答弁がなかったように感じたので、もう一度御答弁をいただければというふうに思います。よろしくお願いします。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 中村議員の再質問にお答えいたします。

 区有施設の標準規模を定めるべきではないかという御質問でございます。これまで地域特性も踏まえて各施設については整備する必要があると考えておりますので、一律に決めることは難しいかと思っております。ただ、必要な機能の考え方につきましては、それぞれの施設で同一のものもございますので、それらについて基本的な考え方につきましては整理をしていきたいと考えております。

○議長(酒井たくや) 以上で中村延子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 大 内 しんご

 1 障害・年齢を問わないインクルーシブ公園について

 2 新たな公共交通サービス(若宮・大和町における実証運行)について

 3 西武新宿線・野方1号踏切除却の検討状況について

 4 旧野方ベビー保育園跡地について

 5 若宮1丁目洗心寮跡地について

 6 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、大内しんご議員。

〔大内しんご議員登壇〕

○30番(大内しんご) 第4回定例会におきまして一般質問をいたします。

 最初に、障害・年齢を問わないインクルーシブ公園について質問をします。

 インクルーシブには「全てを包み込む」という意味があり、インクルーシブ公園とは、障害の有無や年齢、性別、国籍などに関係なく、みんなが楽しく遊べる公園のことです。人との関わりにより、ユニバーサルデザインだけでは解決できない心のバリアをなくすことです。障害の有無や年齢などにかかわらず、誰もが遊べるインクルーシブ遊具の設置が全国で広がっています。例えば、一般的なブランコは、腰かける座敷とそれをつり下げるチェーンで作られていますが、一方、インクルーシブ遊具のブランコは、体を固定できる安全バーがついているタイプや、寝そべって利用できるハンモック型などがあります。これらは体を支える力が弱くても乗ることができます。インクルーシブ公園は年齢にかかわらず遊べる公園であるため、3歳未満の子どもも例外ではありません。寝返り、腹ばいのできる赤ちゃんから、座る、立つ、歩く、走るなどができるようになる3歳頃までの遊具もあります。例えば、つかまり立ちや伝い歩きをサポートする手すりに似た遊具もその一つです。設置が進む背景には、SDGs(持続可能な開発目標)の「誰一人取り残さない」という考え方の普及があり、障害児専用とはせずに誰もが遊べる遊具にこだわるのは、遊び場の壁を取り払うとの思いが込められています。

 アクセスしやすい公園に、障害の有無や特性を気にせずに、子ども同士が工夫して遊べる遊具が増えることは、全ての子どもにとって大切なことであると考えます。インクルーシブ遊具のほか、乳幼児専用の遊び場、インクルーシブ公園は、近年日本において増えてきていますが、設置の進んだアメリカなどに比べて事例はまだ少ないと言われています。アメリカでは、障害への差別を禁止する「障害を持つアメリカ人法」が1990年に成立したのを機に、インクルーシブという考え方が浸透してきました。障害者が利用できる公園をつくり、差別をなくす取組が行われてきました。一方、日本では、2006年にバリアフリー法、2016年に障害者差別解消法を施行しましたが、インクルーシブ公園が普及するまでには至りませんでした。ところが、令和2年(2020年)、都立砧公園にインクルーシブ遊具公園「みんなのひろば」が誕生したのをきっかけに、インクルーシブ公園が注目され始めました。また、同年、豊島区に「としまキッズパーク」のほか、インクルーシブを掲げた幾つかの遊び場がオープンしました。さらに2年後、令和4年(2022年)9月には、新宿中央公園に、インクルーシブの視点を取り入れた遊具や、乳幼児専用の遊び場や、区立公園最大級の大型滑り台など、子どもたちが安心して楽しめる魅力的な遊具を設置した「ちびっこ広場」がリニューアルオープンいたしました。

 先日の日曜日、都立砧公園に行ってまいりました。車椅子の人と一緒に頂上まで上がることができる複合遊具が設置されており、小さいお子さんから小学生くらいまでの児童に交じり、車椅子のお子さんも一緒に遊んでいる楽しい公園であり、大勢の方たちが楽しんでいました。インクルーシブ遊具の周りを幼児の飛び出し防止フェンスで囲んでもありました。

 私たちは、地域の人や様々な人と支え合いながら生活をしています。現在の公園では利用しにくいと感じている人もいます。例えば、小さい子どもが周囲に迷惑をかけないか心配している保護者や体の不自由な高齢者の方たちです。多様な方たちが互いに交流し、地域の人とのコミュニケーションを築いていく場でもあります。このようにインクルーシブ公園は、地域の人との関わりをつくるきっかけの場でもあり、一人でも多くの人が気兼ねなく利用できる公園の整備が重要です。

 中野区では、大小含め169の公園があり、その中でインクルーシブな遊具として、例えば寝そべって乗ることができたり、保護者と一緒に乗れる円盤型ブランコは、弥生公園や八成公園に設置をされています。体幹の弱い子、幼児も乗れるハーネス付ブランコが弥生公園や新井薬師公園で設置されるなど、少しずつ設置が進んでいると思いますが、今後もさらなるインクルーシブな遊具の普及はもちろんのこと、インクルーシブ公園の整備が期待されています。

 そこで伺います。中野区立の公園において、インクルーシブ遊具の設置はどのような状況であり、どのような場合に設置しているのでしょうか。また、中野区でもインクルーシブ公園として(仮称)上高田五丁目公園への整備に向けて取り組んでいると聞いていますが、どのような考えを持って検討を進められているのでしょうか、伺います。

 2番目、区が若宮・大和町地域において実施している新たな公共交通サービスの実証運行について質問します。

 当該事業は、公共交通が不便な地域における公共交通ネットワーク構築の可能性を検証することを目的に、令和4年9月より実証運行が開始されました。開始に当たり、区は、東京都の補助金が活用可能な3年間の間に収支の均衡を図る目標と、半期ごとに収支率等で評価するという仕組みをつくり、継続の判断を行い、現在まで実施してきました。令和4年度に実施した際は、若宮・大和町地域の内側のみを運行する路線であり、鉄道駅に接続していないことや、路線が地域のニーズに合っていなかったことなど、利用者が1便当たり0.6人と非常に少ない状況でした。このため、区は令和4年度末に実証運行を半年ほど中断しました。その後、地域や利用者の意向を踏まえながら、運行計画について大幅な見直しを行い、同僚議員の平山議員からも提案がありましたけれども、令和5年9月から高円寺駅と結ぶ新たな現在のルートで実証運行を再開しました。

 現在の状況は、1日当たり平均で70人から80人程度と、利用者が順調に増加し、区が設定した目標値である収支率50%を単月では超えています。既に月間の利用者は2,000人を超え、乗車率は平均で60%から70%、多いときには100%と、多くの住民が利用しています。しかし、午前中は地域内から高円寺駅、午後は高円寺駅から地域内に移動するという利用傾向や、運行している車両であるハイエースコミューターが、乗車定員10名で立ち乗りができないなど、大幅な利用者の増加は難しいと考えられます。また、収支率についても、最終的に目標として設定している80%という基準値を超えることは難しいと予想されます。

 一方で、本地域においては、今後も大和町中央通りの拡幅、妙正寺川の橋梁架け替えなど、まちづくりが続くことから、さらに事業の改善を行っていく必要があります。また、白鷺せせらぎ公園と高円寺駅を平均で30分弱、道路が混雑していない場合は20分程度で高円寺駅まで移動できることで、地域の移動手段として定着もしてきました。さらに、各種アンケート調査の結果から、住民の外出機会が以前より増加しています。このことから、実証運行の終了期間とされる令和7年9月以降も、当該事業については、区が見込む収支率だけにとらわれず、地域住民のため、健康増進(SWC)、地域の活性といった観点から、区は経費を一定程度負担することもやむを得ない事情として、事業を継続したほうがよいと考えますが、区の見解を伺います。

 3番目、西武新宿線・野方1号踏切除却の検討状況について質問します。

 本年8月、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟の決起大会において、西武新宿線の中井駅から野方駅間の着実な事業推進と、野方駅から井荻駅間の早期事業化などについて、地域住民や我々区議会議員も参加し決議しました。この中で、区は、野方駅前の野方1号踏切の除却について、関係機関と意見交換を行い、野方1号踏切除却を含めた鉄道の立体化について積極的に取り組んでいくとしています。区は、野方駅前の野方1号踏切の除却を含んだ鉄道の連続立体交差化について、具体的にどのように関係機関と調整し、検討しているのでしょうか。野方駅から井荻駅間の連続立体交差化における区のスタンスについて伺います。

 4番目、旧野方ベビー保育園跡地について質問します。

 野方五丁目にある野方ベビー保育園跡地については、平成12年度(2000年度)末に保育園が廃止された後、北部教育相談室として活用されていましたが、平成27年度(2015年度)末に北部教育相談室を廃止して以降は、アールブリュット作品の保管庫や隣接者の工事ヤードとして貸し付ける程度で、基本的に閉鎖管理されています。10年近くもの間、有効活用が図られていないのが現状です。現在の区有施設整備計画では、この野方ベビー保育園跡地について、財源確保を見据えた貸付けやまちづくり用地としての活用を検討するとしていますが、今後具体的にどのように検討を進めていくのか伺います。

 5番目に、若宮一丁目洗心寮跡地について質問いたします。

 区は、令和3年に補助第227号線整備などのまちづくりに資する目的で、まちづくり用地として日本銀行から旧洗心寮跡地を取得しました。この跡地については、現在樹木や使われていない建物が残ったままとなっており、今年度から解体設計に着手したと聞いております。一方、この若宮地区の防災まちづくりについては、これまで地域住民と意見交換が進んでおり、様々な意見があります。区はこうした中、若宮一丁目洗心寮跡地については、本年9月に地域住民に対してオープンハウスを開催しました。地域からどのような意見があったのでしょうか。

 区はこれまで、令和6年度内にこの跡地の活用について方針をまとめると報告しています。予定どおり年度内に方針を取りまとめていくのか伺います。

 また、今年度、洗心寮の解体設計を行いましたが、今後の解体予定はどのようになっているのか伺います。

 その他の項で二つほど質問いたします。

 最初に、台北市中山区との交流促進についてです。アジア圏でのさらなる都市間交流事業を進めるべく、さきの定例会では日台友好促進中野区議会議員連盟が立ち上がりました。そこで、中野区と台湾との友好都市関係構築について伺います。

 2019年1月に、酒井区長、議長をはじめとした公式訪問団、不肖私、大内しんごも参加をいたしました。台北市、台北市議会、台北市中山区訪問が実現し、中山区における歓迎行事を受け、友好関係樹立の一歩手前まで進めることができました。台北市中山区は台北市の中心部で、にぎわいの中心地であるとともに、若者文化、特にアニメキャラクターなど日本の文化が広く受け入れられており、中野区との親和性が大いにあると見られます。台湾はアジア屈指の新日国家であることは言うまでもありません。

 2011年に発生した東日本大震災では、いち早く援助の手を差し伸べていただきました。台北市との関係強化は、地域経済発展に寄与すると考えます。台北市と中野区の経済団体は数十年にわたる交流関係が続いており、相互交流の土台は築かれています。現地において本年8月に中山区長が交代しており、早急に交流再開が必要であり、交流を続けている台北市議会の応援もいただいております。また、日本国内にある大使館に相当する台北駐日経済文化代表処、政務担当者からは、公式訪問の形式を取ってもらえれば、台北市中山区との友好関係進展に向けて、台北市、台北市議会及び台北市中山区へのサポート協力は惜しまないと前向きな回答をいただいております。

 以上の状況から、次世代を狙う子どもたちの国際化に順応でき、語学習得にも有効であり、さらに、地域経済活性に資する施策である友好都市交流を台北市中山区と進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、中野区との相互交流を見据えた具体的取組として、来年度早々に公式訪問団を結成し、台北市中山区の訪問を中野区と中野区議会とで実現すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 その他の2問目で、中野区議会と中野区の信頼関係についてお伺いいたします。

 私たちは、他の自治体の先進事例を学んだり、その地域の実情の調査研究を深めるために視察を行います。先日、中野区外の他の自治体議員は、既に中野区の職場であるセキュリティゾーンに入り、MS365やフリーアドレスの職場を視察していると聞きました。事実でしょうか、伺います。

 現在、私たち議員は、職員のセキュリティゾーンへの立入りは禁止されています。中野区議会議員が、中野区役所の職場におけるMS365の使われ方やフリーアドレスの実態を見ることは、セキュリティ上問題があるため見ることができません。議員がパソコンをのぞくことにより、個人情報の漏えいが問題と言われました。当然のぞくことなどしないと思いますが、信用されていないのでしょうか。しかし、他の自治体の議員の方々はパソコンをのぞいたりしないのでしょうか。セキュリティゾーンへの立入りを許可し、MS365やフリーアドレス、合同部長室として計画されているNベースなどの視察が受入れ可能とはどういうことでしょうか。

 私たちは、区民から新区役所における様々な質問を受けます。働き方改革は進んでいますか、職員の働いている様子がカウンター越しにしか見えないので、中ではどのように働いているのですかといった質問などを受けます。しかし、私たちは、セキュリティゾーン内は、調査、見学したくても、議員は一切立入禁止ですので見られません。実際半年たちましたが、職員の働き方ぶりを一切見たことはありませんと言うと、議員として職員の働き方を見ることは大切な仕事ではないですかと逆に質問されました。他の自治体議員の視察名目では入れるが、中野区議会議員の調査を目的とした入室は、セキュリティゾーンへの入室は禁止ということについての理屈についてよく分かりません。説明を求めます。

 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の質問にお答えいたします。

 初めに、障害、年齢を問わないインクルーシブ公園についてでございます。

 まず、インクルーシブ遊具の設置状況についてです。東京都による「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドラインが策定された令和3年4月以降、インクルーシブ遊具は8か所の公園に設置をしております。インクルーシブ遊具の導入は、老朽化した遊具の更新工事などの際に、遊具や周辺の状況に応じて可能な場合に設置をしております。また、中規模公園の再整備や新たな公園を整備する際も、オープンハウスや児童等へのアンケートで意見を受け、ワークショップ等の話合いの中でインクルーシブ遊具の設置検討をしているところでございます。

 続きまして、インクルーシブ公園の整備検討の考え方についてでございます。インクルーシブ公園は、車椅子利用者など障害のある方が車で来園できるよう駐車場等が求められておりまして、(仮称)上高田五丁目公園の整備に当たりましては、アクセスのしやすさや近隣に駐車場があることなどから検討を進めてまいりました。整備に向けた取組としては、オープンハウスのほか、近隣の児童館、福祉団体等へのヒアリングによる遊具選定や、出入口やトイレなどの施設の分かりやすい経路や配置、柵の設置やゴムチップ舗装、ドングリのなる樹種選定など、自然を活かした遊びなどの機能面を考慮し、特別な注意を払わなくても危険なく、誰もが同じように快適・公平に利用できるように検討しているところでございます。

 続きまして、新たな公共サービス(若宮・大和町における実証運行)についてでございます。実証運行の継続について、現在、地域の積極的な利用により、利用者数は順調に増加をし、地域の移動手段として定着をしておりまして、区内の公共交通ネットワークの充実、区民の移動手段の確保という成果は出ていると考えております。このため、今後の利用状況を鑑みながら、事業の採算性の見極め、区の役割、事業費の負担を整理するとともに、健康増進、地域活性といった観点も踏まえ、令和7年10月以降も運行計画の改善を図りながら運行を継続していきたいと考えております。

 次に、西武新宿線・野方1号踏切除却の検討状況についてでございます。野方1号踏切除却の検討状況については、野方1号踏切の除却については、まちづくりを進める上で重要な課題であると認識しているところでございます。区では、野方駅周辺のまちづくりや鉄道立体化の範囲について、東京都をはじめ西武鉄道株式会社と意見交換を行っているところであります。今般、野方1号踏切の除却に向けて検討の具体化を図るために、西武鉄道株式会社と新たな協定を締結することといたしました。引き続き関係機関と連携を図りながら、野方1号踏切の除却を含めた連続立体交差化計画の早期事業化を目指してまいります。

 次に、旧野方ベビー保育園跡地の活用についてでございます。当該地については、駅直近の稀有な区有地でありまして、鉄道立体化に伴い創出される空間などと合わせ、まちづくり用地としての活用を検討しているところであります。今後、令和7年度以降、当該地の活用について検討を具体化してまいります。

 最後に、若宮一丁目洗心寮跡地の活用方針についてでございます。本年9月、地域住民の方を対象としたオープンハウスを開催し、あわせて、当該地に計画されています補助第227号線沿道の地権者の方を対象にアンケート調査を実施いたしました。地域の方からは、公園や広場、補助第227号線の整備推進、また、その整備に伴い、移転対象となる方への代替地の提供などについて様々な意見をいただきました。今後、地域の方からいただいた意見などを踏まえ、限られた土地を有効活用できるよう、引き続き令和6年度内の方針策定、令和7年度の解体工事の着手に向けて取り組んでまいります。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、その他の質問のうち、台北市中山区との交流についてお答えいたします。

 まず、交流の推進についてでございます。中野区と台北市中山区との交流に当たっては、双方が交流によるメリットを享受できることが不可欠であると考えてございます。どのような分野でどういった交流が望ましいかのほか、友好交流都市提携の必要性も考慮しながら交流の在り方を検討していく考えでございます。

 私からの最後に、台北市中山区への訪問についてでございます。台北市中山区との交流の在り方を検討していく中で、区としての訪問時期等についても併せて検討していく考えでございます。

〔総務部長濵口求登壇〕

○総務部長(濵口求) 私からは、その他の御質問のうち、議会との信頼関係の構築、セキュリティエリアに関する御質問にお答えいたします。

 これまで他自治体の議会の委員会や議員団からの視察の受入れをした際、視察目的に応じて必要があればセキュリティエリア内も視察いただいたという事実がございます。私ども区といたしましては、議会との信頼関係の重要性は認識しているところでございまして、中野区議会議員の皆様が会派等として視察の申込みをいただき、調整の上、対応できる範囲であれば、セキュリティエリア内の視察も対応させていただきたいというふうに考えてございます。

〔大内しんご議員登壇〕

○30番(大内しんご) 再質問させていただきます。

 今、濵口部長が答えられたんですけど、視察の権利と調査の権利、私たちは調査する権利があるんですけども、他の自治体が視察する権利というか、視察することはあると思います。それを認めることはできるけども、議員が調査する権利はないんですよと言っているんでしょうか。議員の調査権、職員がどのように働いているか、それが効率的かどうかという調査をすることはできないんでしょうか。それは視察という名目なら入っていいですよ、調査だと駄目ですよということを言っているんですか。今まで私たちは、立入りをしてMS365、フリーアドレス、実態はどうなんだと調べたくても、議員は調査することは駄目です、議員は監査委員を出しているからその中でやってくださいと言われていました。視察はいいけど、調査は駄目だという。私は、視察よりも調査のほうが上に置かれていると思うんですけども、議員の調査権はなくて、視察ということであれば、申請すればいいですよというのはちょっとおかしくありませんか。

〔総務部長濵口求登壇〕

○総務部長(濵口求) 大内議員の再質問にお答えいたします。

 議会の調査権についての御質問です。当然、議会におかれましては、調査をする権限というものがあるというふうに認識してございます。この調査権につきましては、議会に属するものというふうに捉えておりますので、私どもの執務状況ですとか仕事ぶり、そういったところの調査が必要ということで議会側からの意向をお示しいただければ、区議会とその対応について調整をさせていただいて、調査を受けさせていただくということで対応したいと考えてございます。(「変わったんだ。この間まで一切駄目だと言っていたじゃない。変わったなら変わったと言えよ」と呼ぶ者あり)

○議長(酒井たくや) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(酒井たくや) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時24分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 酒井 たくや

       議 員 大沢 ひろゆき

       議 員 南 かつひこ