1.令和7年(2025年)2月13日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(41名)
2番 山 内 あきひろ 3番 武 井 まさき
4番 日 野 たかし 5番 木 村 広 一
6番 斉 藤 けいた 7番 井 関 源 二
8番 黒 沢 ゆ か 9番 大 沢 ひろゆき
10番 武 田 やよい 11番 広 川 まさのり
12番 いのつめ 正 太 13番 間 ひとみ
14番 河 合 り な 15番 市 川 しんたろう
16番 加 藤 たくま 17番 甲 田 ゆり子
18番 小 林 ぜんいち 19番 白 井 ひでふみ
20番 吉 田 康一郎 21番 立 石 り お
22番 小宮山 たかし 23番 内 野 大三郎
24番 い さ 哲 郎 25番 細 野 かよこ
26番 斉 藤 ゆ り 27番 杉 山 司
28番 ひやま 隆 29番 高 橋 かずちか
30番 大 内 しんご 31番 伊 藤 正 信
32番 平 山 英 明 33番 南 かつひこ
34番 久 保 り か 35番 石 坂 わたる
36番 むとう 有 子 37番 羽 鳥 だいすけ
38番 浦 野 さとみ 39番 山 本 たかし
40番 中 村 延 子 41番 森 たかゆき
42番 酒 井 たくや
1.欠席議員(1名)
1番 高 橋 ちあき
1.出席説明員
中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 青 山 敬一郎
副 区 長 栗 田 泰 正 教 育 長 田 代 雅 規
企 画 部 長 岩 浅 英 樹 総 務 部 長 濵 口 求
防災危機管理担当部長 吉 沢 健 一 区民部長、新区役所窓口サービス担当部長 高 橋 昭 彦
子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 森 克 久
地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔 健康福祉部長 杉 本 兼太郎
環 境 部 長 浅 川 靖 都市基盤部長 松 前 友香子
まちづくり推進部長 角 秀 行 企画部企画課長 中 谷 博
総務部総務課長 永 見 英 光
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 堀 越 恵美子 事 務 局 次 長 林 健
議事調査担当係長 鈴 木 均 書 記 若 見 元 彦
書 記 田 村 優 書 記 細 井 翔 太
書 記 森 園 悠 書 記 梅 田 絵里子
書 記 川 辺 翔 斗 書 記 志 賀 優 一
書 記 早 尾 尚 也 書 記 堀 井 翔 平
書 記 金 木 崇 太 書 記 砂 橋 琉 斗
議事日程(令和7年(2025年)2月13日午後1時開議)
日程第1 第7号議案 令和7年度中野区一般会計予算
午後1時00分開議
○議長(酒井たくや) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、森たかゆき議員、加藤たくま議員、久保りか議員、浦野さとみ議員、内野大三郎議員、河合りな議員、伊藤正信議員、小林ぜんいち議員、いさ哲郎議員、大沢ひろゆき議員、いのつめ正太議員、大内しんご議員、南かつひこ議員、斉藤ゆり議員、高橋かずちか議員、杉山司議員、山内あきひろ議員、むとう有子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、吉田康一郎議員、立石りお議員、斉藤けいた議員、井関源二議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
中野区議会議員 森 たかゆき
1 施政方針説明について
(1)区政を取り巻く情勢の変化と区の対応について
(2)中野駅新北口駅前エリア再整備事業について
(3)来年度予算案の概要について
(4)誰ひとり取り残さない区政の実現について
(5)その他
2 その他
○議長(酒井たくや) 最初に、森たかゆき議員。
〔森たかゆき議員登壇〕
○41番(森たかゆき) 令和7年第1回定例会におきまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりです。よろしくお願いいたします。
本年1月、アメリカで第2次トランプ政権が発足をしました。昨年11月の大統領選挙で当選が決まってからの推移を見ていて印象的だったのは、1月の就任前からアメリカ社会に反DEI(ダイバーシティ、エクイティ・アンド・インクルージョン、多様性・公平性・包摂性)に反する動きが広がっていたことです。政権発足前なので、当然法制度や予算が変わったわけではないのに、アメリカ社会が急速にこれまでと逆の方向に動いていくさまは衝撃的でした。政治は理屈だけではなくて、言葉や態度によって社会全体の雰囲気に大きな影響を与えることを実感させられました。
規模は違えど、中野区政においても、例えばこの区役所新庁舎のナカノバ、シェアノマ等の使われ方、私も先日所属団体で使わせていただきましたけれども、ここの使われ方を見ておりますと、人と人のつながりを大切にする酒井区長の姿勢が漏れ出ているようにも感じます。政治の世界に入って、区長は7年がたちました。社会の中における政治の果たすべき役割とその影響力をどのようにお考えか、まずはお伺いをいたします。
こうした中、施政方針説明に多様性尊重が盛り込まれていることには安堵しています。反DEIの動きは、デマや曲解が影響力を持つ、こうした辺りはかつてのジェンダーフリーへのバックラッシュと同じようにも見えますが、他方でSNSの影響力の増大など新しい要素も見られます。多様性尊重をこれまでどおり進めるためには、情報発信などでこれまでと違う取組が必要なフェーズに入ったのではないかというようにも考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
SNSについては、昨年の兵庫県知事選挙においても、デマや根拠不明の憶測に基づく情報が拡散され、結果にも大きな影響を与えたのではないかと言われています。ポスト真実の時代とも言われる中、私も例えば、後に触れる中野サンプラザ周辺の再開発事業、これ一つ取ってみても、仕組みも経緯も複雑で、今起きていることを正確に伝えることの難しさを痛感しています。正確性を期した細かい説明はごまかしと受け取られる一方、極端に単純化された不正確な情報が真実として拡散されていく傾向も感じています。既存のマスメディア、オールドメディア対SNS、インターネット、この対立も顕著になっています。こうしたメディア環境に政治家はどういう姿勢で向き合うべきなのか。明確な答えのない問いではありますが、政治家としての区長はどのようにお考えでしょうか。また、区として区民や関係者と良好な関係を構築していくための広報を超えたPR(パブリック・リレーションズ)戦略の考え方をどのようにお考えか、併せて見解をお伺いいたします。
兵庫県知事選挙に関連しては、SNS上の誹謗中傷の影響によると思われる元県議会議員の方の自死も衝撃的でした。亡くなられた方にお悔やみを申し上げます。中野区議会としても昨年の第1回定例会で、インターネットの健全利用に関する条例の検討を求める陳情を全会一致で採択をし、同年8月には総務委員会でインターネットの健全利用に関する自治体の役割についての学習会を開催するなど、議会として理解促進に努めてきました。私個人としても、所属する団体内で複数回イベントを開催するなど、区民とともにこの問題を考え続けてきました。そうした活動を通じて、やはり自治体には、この問題に取り組む責務とその意義があると考えていますが、区長の見解をお伺いいたします。
平和事業についてお伺いをいたします。施政方針説明にあるとおり、この数年で国際紛争は深刻化していますが、我が国はそうした中で戦後80年の節目を迎えました。我が会派は、昨年12月に広島市を視察で訪れ、広島平和記念資料館の副館長、学芸課長の豆谷利宏氏にお話を伺いました。記念資料館の来場者数は、外国人を含め増加し続けており、動線の改良やオンラインシステムの導入などの対策を行いながら、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会に関する展示の準備を行うなどの取組を進めているとのことでした。広島・長崎への原爆投下は人類史に残る大惨事であり、これを語り継ぐことは国家の責務であると思いますが、広島市が事業主体として相当に力を入れ続けていることが短い訪問でも感じられました。私たちが訪問した週の週末には、中野区の中学生が平和の旅で訪問予定のタイミングであり、受入れのお礼も伝えることができました。私個人としては、今年度は、中野体育館の平和資料コーナーで熱心に学習する中学生たちの姿も見させていただいて、とても頼もしく感じたところです。3月には報告会を開催するなど、中学生たちが訪問で学んだことを広げていく取組も行われるとのことですが、当該事業の成果を区としてどのようにお考えでしょうか。また、施政方針にあった平和への意思の発信を区長は具体的にどのように行うお考えでしょうか。区長が参加されている平和首長会議の動きも併せてお伺いをいたします。
国政は昨年の衆議院選挙で少数与党体制になり、さま変わりをいたしました。基盤が不安定な石破政権でありますけれども、特徴的な言葉も聞こえてきます。その最たるものが「楽しい日本」という言葉で、東京一極集中の是正をその実現の手段の一つとして位置付けています。石破総理は、初代地方創生担当大臣でもあり、言わば地方の政治家です。これまで以上に無理のある東京都から地方への税源移譲が進むことを危惧いたします。これまで以上に東京富裕論への強力な反論とロビーイングなどの活用が重要になるのではと思われますが、区長はどのようにお考えかお伺いをいたします。
石破総理が「楽しい」という言葉を選んだ真意はよく分かりませんが、好意的に解釈すると、従来のGDP増に重きを置いた経済政策から、国民のウェルビーイングとそれを考慮した経済指標群の在り方を考えるBeyond GDPへの移行といった国際的な流れを踏まえているようにも見えます。ただ、楽しいにせよ、ウェルビーングにせよ、ふわっとした抽象的な概念であり、個々人が何を楽しいと思うか、何を幸せと思うかは人それぞれです。一方で、不幸を感じる要素というのは人が多く共通して持っていて、だからこそ人が不幸になる要素をできるだけ減らして、その基盤の上でそれぞれが自らの幸せを追求できる社会を実現する、これが政治の役割なのだという考え方に立ち、最小不幸社会の実現を掲げた政権もありました。それから15年ほどがたち、国際的なウェルビーイングへの関心の高まりから、その定量化に向けた研究も進み、幸福度指標の設定も行われるようになっています。
他方、欧米中心のこうした研究は、日本人の価値観には必ずしもマッチしないという指摘もあります。内閣府が既に計6回の調査を行っていますが、この調査の設問に回答してみようとすると、回答に窮するようなものも多く、日本独自の指標の検討はまだ未成熟であるように思います。指標の設定はEBPMの観点からも重要ですが、多様で複雑な幸福の在り方を指標に落とし込めるのかという根本的な疑問があり、指標の設定、あるいは目的の置き方によっては、ある特定の幸福感、価値観といったものを絶対のものとみなすことにつながらないかということも懸念をいたします。さらには、そもそもの期待値に主観的な幸福度が左右されるという希望格差の問題もあります。興味深い動きではあるものの、区政評価のための中心、あるいは重要指標とするのは時期尚早のように思います。導入するにしても、後に触れるスマートウェルネスシティに係る取組の評価など、部分的なところから始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
(2)中野駅新北口駅前エリア再整備事業について伺います。
当該事業については、施行予定者による認可申請の取下げ以降、事業の再検討が必要となり、今後の行く末が不透明な状況が続いています。昨今の物価高騰等の影響による再開発事業の中断は、中野だけではなく全国で多発をしています。床を増やして利益を上げて建物の建て替え経費を捻出するという既存の再開発手法が限界を迎えつつあるのではないかとも感じます。こうした全国的な動きと、その中での中野駅新北口駅前エリアの再開発事業の位置付けを区はどのように理解しているのかお伺いをいたします。
これだけ全国で多発するとなると、個々の自治体での対処を超えて、国としての取組が必要な状況ではないかと考えます。国土交通省は何か動いているのでしょうか。区として、あるいは同様の課題を抱える自治体同士で連携をし、国に要望すべき事項があるのではないかと考えますが、見解を伺います。
とはいえ、国の動きを待っているわけにもいかず、区として必要な対応と判断は進めなくてはいけません。今定例会前の閉会中関係委員会に示された高層棟が2本になるという案は、あくまでもイメージであること、区としてこの案を承認しているわけでもなく、そもそも現在の施行予定者とこれからもやっていくということを決定しているわけでもないこと、その判断は3月に行うこと等の答弁がありました。しかし、区長の施政方針説明では、引き続き施行予定者と協議を進め云々とあり、やはり現在の施行予定者と事業を進めることありきで検討が進んでいるのではないかと疑念を持たざるを得ません。協定を締結している現在の施行予定者と協議を続けること、これを否定するものではありませんが、同時並行で他の可能性も模索するべきではないでしょうか。総務委員会でこの点について伺ったところ、信頼関係がどうこうとはっきりしない答弁があったかと思いきや、弁護士を入れての検討云々という答弁も出てきました。他の選択肢を検討するために市場調査のようなことを行うことに何か法的な問題が生じるということなのでしょうか、お伺いをいたします。
私はこの問題が表面化した当初から、何をどこまで巻き戻したらそれぞれどれだけの時間的、金銭的コストがかかるのかを示してほしいと要望してきましたが、いまだ示されていません。この事業は区長が施政方針でおっしゃったとおり、100年先も愛され親しまれる施設を実現するべきものです。目の前の金銭的な帳尻合わせにとらわれたり、あるいはいつまでも絵に描いた餅を追いかけ続けたりするのではなく、新たな状況を前提として100年先のまちのあるべき姿から、時間をかけて議論し直してもよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
先日、沼袋のリノベーションスクールの公開プレゼンを拝見いたしました。参加者がまち歩きから課題を見つけて、具体的な課題解決の提案をする形式で、効率的ではあるけれども、一面的なまちづくり、こうしたまちづくりからはみ出すためのヒントを感じました。規模感は違いますが、再検討する時間を設ければ、こうした手法を生かせる猶予も出てくるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
議会の今後の関与について伺います。閉会中委員会では新たな議決が必要なケースも考えられるとの答弁がありましたが、どういった場合に必要となるのでしょうか。新たな議決が必要だとした場合、前の議決はどのような扱いになるのでしょうか。なかったものとして扱うということになると、執行機関が議会の議決を恣意的に無視できる前例にならないかという点を大いに危惧します。見解をお伺いします。また、新たな議決が不要だという場合に、区は議会の意思をどのように確認し、事業を進めるべきと考えているのかお伺いをいたします。
(3)来年度予算案の概要についてお伺いをいたします。
中野区の予算編成は9月頭に予算編成方針が示され、そこから本格的に次年度予算案の編成作業に入るのが通常です。今回はその後に中野駅新北口再開発事業の遅れという財政的にも大きなインパクトのある出来事が生じました。しかし、その状況に対応した新たな予算編成の考え方などは示されておりません。中野駅新北口再開発事業の遅れの財政への影響をどのように見込んで、どう予算案に反映されたのかお伺いをいたします。
中野駅新北口再開発事業の遅れの影響で区政全体が後ろ向きになっていないかという点も気がかりです。来年度予算はもちろん、基本計画や区有施設整備計画など、今後の区政の方向性を定める重要な時期です。大きな支出を伴う事業が財政フレームとの見合いになることは仕方がないにしても、現状維持バイアスがかからないよう新たに展開すべき事業は積極的に展開をし、方針転換すべき事業は転換をしという積極的な姿勢を持ち続けるべきと考えますが、いかがでしょうか。
歳入の伸びは堅調のようですが、インフレが進行し、区民生活への影響も長期化しています。区の歳出への影響をどのように見込んでいるのでしょうか。また、区民生活を支える具体的方策をどのように考えているのかお伺いをいたします。
当初予算案に反映されていない要素として、都区財政調整制度に大きな動きがありました。都区間の配分割合は区側が55.1%から56%へ、特別交付金の割合が5%から6%へと変更になりました。区への配分割合が増えたことは歓迎すべきことで、まずはこれまで取組を進めてきた多くの方の努力に敬意を表したいと思います。その上でお伺いをいたしますが、今回の制度変更はどのような経緯であったのか、どのような理由でこの割合が決まったのか、今後区財政へ具体的にどのような影響があると見込まれているのかお伺いをします。
これで議論は一段落という見方もあるようですが、私はこれが決着とは思っていません。そもそもでいえば、東京都側の需要算定なくして本来あるべき配分割合は決められないはずです。今後も継続した取組が必要と考えますが、いかがでしょうか。
特別交付金が6%になったことについて、割合の縮小を求めてきた区長会はどのような見解なのでしょうか。割合を減らすか、あるいは分配の基準を明確化するか。いずれにしても6%になって、ただそれを受け入れるという話ではないと考えますが、いかがでしょうか。
(4)誰ひとり取り残さない区政の実現についてお伺いします。
中野区は誰ひとり取り残さない区政の実現に向け、地域包括ケア体制の実現を基本計画の重点プロジェクトに掲げ取組を進めてきました。他方、1年前、昨年の施政方針説明以降、開店休業状態が長く続いていたスマートウェルネスシティという言葉も多用するようになりました。スマートウェルネスシティは、基本計画にも実施計画にも記載がなく、位置付けが不明確で、そこが整理し切れないまま動いてきた印象です。令和6年第4回定例会の少子化対策・地域包括ケア調査特別委員会の資料では、地域包括ケアシステムとスマートウェルネスシティの関係性について、「共通点はあるものの、施策体系の整理が必要」とあります。スマートウェルネスシティの理念は非常に幅広いものですが、この1年の使われ方は、ナカペイの健幸ポイント、あるいは公共空間へのベンチの設置など、個別事業の正当化の文脈に使われる傾向があるようにも感じています。また、施政方針説明では、地域包括ケア体制、取りわけ重層的支援体制整備のための手段の一つと捉えているような表現がされていた点も気にかかります。
そこで幾つか伺いますが、そもそもスマートウェルネスシティの理念を区長はどのように理解しているのでしょうか。地域包括ケアシステムとの関係性を含め、施策体系の整理はいつまでにどのように進めるお考えでしょうか。時期については、最低限次期基本計画の中では整理されたものを定める必要があると考えますが、いかがでしょうか。現行の基本計画のつくりを前提とするならば、重点プロジェクトの2を置き換えたり、部署横断で取り組むべき施策に位置付けたりといったことを検討すべきと考えますが、併せて見解を伺います。
スマートウェルネスシティ構想の実現に向けた取組は全国的に広がっているものの、都市部における実践例はまだそう多くありません。中野区においてスマートウェルネスシティ構想実現に取り組むことの全国的な意義について区長がどのようにお考えかもお伺いをいたします。
1月17日には、少子化対策・地域包括ケア調査特別委員会の視察で岡崎市を訪問しました。テーマは居住支援でしたが、居住支援と重層的支援体制整備事業の連携が進んでいるのが全国的にも珍しい取組で目を引きました。住宅部局の職員が福祉のことが全く分からない、このことに危機感を持ち、福祉部局に通い詰め、職員同士の顔がつながるところから取組をスタートさせたとのことです。実例も紹介していただきましたが、高齢者に加えてシングルマザーや刑余者など幅広く対応ができているようでありました。職員の自発性と顔の見える関係づくりの重要性を感じます。我が会派では、昨年12月に会派の視察で尾道市にもお伺いをしましたが、そこでも同様の話を伺ってまいりました。中野区においては、こうした横串を刺す取組が不足していることによって、重層的支援体制整備事業交付金を生かし切れていないようにも見え、そのことが取り残される人を生んでしまうことにつながるのではないかと危惧をしています。また、施策体系が未整理で進んできていることによって、目指すべきゴールが共有されておらず、同じことをやっていても、その評価にギャップがあるような様子もうかがえます。重層的支援体制整備事業による真に誰ひとり取り残すことがない地域包括ケアを目指すべきと考えますが、横串を刺す取組を含め、そのために必要な取組をどのようにお考えか、お伺いをいたします。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 森議員の御質問にお答えいたします。
初めに、施政方針説明についてで、政治の果たすべき役割と影響力についての御質問です。
ダイバーシティや人権、マイノリティを尊重するなど、確固たる価値観を示すことが政治には必要だと考えておりまして、目指すまちの姿を明らかにし、その実現に向け様々な政策などを立案・実施することが政治の役割だと考えております。また、区の考えや方針について区民に直接発信をしていきたいと考えておりまして、政治が区民の生活に与える影響は大きいと考えております。
次に、多様性を尊重する今後の取組についてです。中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例に基づいて、これまで人権施策推進審議会や、講演会・講座の開催など、人権啓発事業に取り組んでまいりました。第2期中野区人権施策推進審議会においては、高齢者や子ども、性的マイノリティなどの人権課題をテーマとして開催することとしておりまして、審議会からの提言も踏まえ、条例の具現化を進められるよう事業を展開してまいりたいと考えております。
次に、現在のメディア環境における情報発信の在り方です。テレビや新聞などのオールドメディアとSNSを中心としたネットメディア、両メディアの長所・短所を見極めた上で、適切な情報を発信することが今の時代に求められていると考えております。区民にとって正しい情報を分かりやすく届けていくためには、速やかに、かつ多角的な視点を持って常に区民の目線に立って物事を捉えることが肝要であると考えます。また、情報の伝達を通じて送り手と受け手との間に信頼関係を構築することがPRの本質と考えております。今後も区民とのつながりを意識した広報を行ってまいります。
次に、インターネット上の誹謗中傷の問題と自治体が果たすべき役割についてです。インターネット上で起こっている誹謗中傷や虚偽情報の拡散等の問題が深刻な状況となっていること、プライバシー侵害により心理的・身体的に大きな負担を強いられているということは人権侵害であると捉えております。インターネットの健全利用に関する国の法整備や自治体における条例制定状況等も踏まえ、健全利用の啓発・促進及び自己の権利を侵害された区民の支援等、自治体が果たすべき役割を検討してまいります。
次に、平和の旅事業の成果と平和への意志の発信についてです。中学2年生を対象とした広島への平和の旅については、子どもたちが旅で学んだことやこれからの平和のためにできることなどを発表する報告会の開催や、報告書を作成し配布することで、平和への想いを広く区民へ周知してまいります。今年は戦後80年の節目であり、平和首長会議が作成した被爆80周年をイメージした平和首長会議国内加盟都市会議、このロゴマークを活用しまして、また例年よりも拡大した形でこの新庁舎1階を活用した展示等で実施を検討しているところであります。
続きまして、東京都から地方への税源移譲についてです。国による不合理な税制改正によって平成26年度以降法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税制度の拡大によって区の貴重な財源が奪われ続けている現状があります。東京都は国の予算編成に対する東京都の提案要求において、都市の財源を狙い打ちするのではなく、地方税財政制度の抜本的改革を地方分権に資するよう早急に実現することと国に要求をしております。区としても特別区長会を通じて特別区一丸となって国に是正を訴え続けていく考えであります。
次に、幸福度の指標としての設定についてです。次期基本計画の成果指標については現在検討しているところでありますが、区民の幸福度を区の政策や施策の成果指標として設定することについても、まずはSWC(スマートウェルネスシティ)に関する成果指標等、部分的なところから設定に向けた検討をしてまいりたいと考えております。
続きまして、中野駅新北口駅前エリア再整備事業についてです。
初めに、市街地再開発事業の全国の動きと新北口での位置付けについての御質問です。中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業は、事業規模や内容から全国でも注目されている事業でありますが、工事費高騰の影響については全国的に同様の事例が生じていると認識をしているところであります。市街地再開発事業は土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図り、公共の福祉に寄与する事業でありますが、こうした工事費高騰局面においては、活用方法についての検討が必要であると考えております。
次に、国への要望についてです。市街地再開発事業の課題については、他の自治体も状況は同じであるというふうに考えておりまして、他の自治体と情報共有、連携を図り、国に要望すべき内容があれば区としても適切に要望してまいります。
市場調査の法的問題についてです。施行予定者と締結している基本協定は、相互の信頼関係の下、中野四丁目新北口駅前地区市街地再開発事業を推進することを目的としておりまして、現時点で他事業者にヒアリングを行うことは難しいと考えております。
次に、新北口のあるべき姿の議論のし直しについての御質問です。中野四丁目新北口地区まちづくり方針や中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画で、中野四丁目新北口地区が目指すべき将来像を掲げておりまして、策定に当たっては区民の方々と意見交換を行いながら策定をしてきたものであります。現時点では、施行予定者と協定に基づき協議を行っているところでありますが、一方で、施行予定者と事業を進めるのが困難な場合については、工事費の高騰や中野駅周辺の他事業の進捗など、社会背景や周囲の状況が変化していることも踏まえた見直しが必要であると考えております。
続きまして、沼袋のリノベーションスクール手法の活用についてです。沼袋のリノベーションスクールでは、空き店舗や空きアパートなどの遊休不動産を活用した新たなにぎわいを発掘するための様々な提案がなされておりました。一方で、本市街地再開発事業の施設計画は、基本的に施行予定者が専門的知識を持って計画立案するものであります。区としては、中野駅周辺のまちづくりにおいて、このような手法も参考にしながらまちづくりに活かしていきたいと考えております。
財産の処分に係る議決についてでございます。令和6年第18号議案は、財産処分の方法や処分する建物、床面積、処分価格の最低限度額について議決をいただいたものでありますが、今後財産を処分する時点において、当該議決事項の変更を必要としない限り、現状においてはさきに行われた議決の効力に影響を与えるものではないと考えております。令和6年第18号議案は、本件市街地再開発事業の施行認可申請が取り下げられた現状においては、当該議決に基づく財産処分を行うことができない状況となっておりますが、今後も議決をいただいた事項については真摯に取り組んでいく所存でございます。事業計画の内容や計画の進捗状況等について議会に対して丁寧に報告を行い、議会の意思を確認した上で事業計画の検討を進めてまいります。
次に、来年度予算案の概要についてで、初めに新年度予算編成における中野駅周辺まちづくりの影響についてです。令和7年度予算は、「にぎわうまち 広がる安心 「発展」と「充実」の未来につなげる予算」とするため、計画に基づく政策及び施設整備、社会の情勢を踏まえた区民生活を基軸とした取組について、限られた財源を優先的に配分し編成したものであります。中野駅周辺まちづくりによる影響については、今後の新たな支出が生じる場合も想定した予算としております。
次期基本計画等における区政の方向性についてです。次期基本計画及び次期区有施設整備計画は、基本構想で描く10年後のまちの姿の実現に向けて、令和8年度からの取組や区有施設の再編及び更新、保全等について定めるものであります。次期基本計画と次期区有施設整備計画の策定に当たっては、中野四丁目新北口駅前地区の市街地再開発事業の遅れに伴う区財政への影響を考慮しつつ、適正な財政フレームを定めるとともに、基本構想を実現するために必要な事業や施設整備を着実に推進する内容となるよう検討を進めてまいります。
次に、物価高騰に対する予算への反映についてです。歳出への影響は大きくなると想定しておりまして、令和7年度当初予算(案)の概要でお示しした財政フレームにおいては、国の試算を踏まえ0.7%から1.1%の伸び率を見込んでいるところであります。工事や委託、物品購入の契約については、事業者からの見積りを徴取して、物価高騰の状況を十分に踏まえて予算に反映されており、区民生活に基軸を置いたサービスを展開するよう対応を行っているところであります。
都区財政調整協議の経緯についてです。令和5年度財調協議では、都区の考え方に大きな隔たりがあり、当初算定時点においても都区合意ができていないという過去に例のない異例の事態となりまして、最終的には協議を継続することと整理をし、その後設置された都区PTでの議論を踏まえ、今年度の協議となったものであります。物価高騰による経済への影響など、都区を取り巻く財政環境の先行きを見通すことが困難な中、都区双方で真摯に協議を継続してきた結果、配分割合の変更等に至ったと考えておりまして、引き続き児童相談所の運営など都区の連携・協力について円滑に進めていく考えであります。区財政への影響についてはおおむねプラスになったと考えております。
今後の都区財政調整協議についてです。児童相談所の設置区が増加する中では、早期に配分割合の見直しを求めていたところであり、一定の前進はあったものと考えておりますが、まだ区が考えている財政需要には至ってはおりません。今後も需要が適切に算定されるよう、特別区長会を通じて提案してまいります。
特別交付金の配分割合変更についてです。特別交付金については、これまでも客観的かつ明確に規定されている普通交付金による対応を図るため、割合を2%に引き下げるべきと要望してきたところであります。今回は普通交付金の配分割合の変更と災害対応経費等に充当される特別交付金の引上げをセットとして受け入れたものでありますが、特別交付金の算定ルールの明確化も含め、引き続き財調協議を通じて改善の要望を行ってまいります。
スマートウェルネスシティの理念についてです。スマートウェルネスシティは、歩きたくなるまちづくりや人とのつながりを促す場づくりを進めることによって、区民の健康度や幸福度を高める考え方でありまして、様々な施策において理念の一つとして捉えるべきものと考えております。今後の施策展開では、健康づくりや疾病等の予防に力点を置いた川上からアプローチに取り組み、健康無関心層も巻き込みながら推進していきたいと考えております。
地域包括ケアとスマートウェルネスシティの位置付けについてです。地域包括ケア体制は、支援が必要な全ての人を支援につなげる体制の構築を目的として取組を進めてきたところであります。一方で、全国的な人口減少や少子高齢化が進む中において、支援が必要となる状況を未然に防ぐという観点からもスマートウェルネスシティの理念を踏まえた取組を進めていく必要があると考えております。地域包括ケア体制の実現に向けた取組の中でもスマートウェルネスシティの取組を進めていきますが、施策体系や重点プロジェクトの構成等については、次期基本計画の検討を行う中で明らかにしてまいります。
スマートウェルネスシティに取り組むことの全国的な意義についてです。スマートウェルネスシティ首長研究会では、全国各地の自治体の特徴的な取組が紹介されておりまして、中野区での事例やデータが共有されることで、地方と都市部との比較研究の一助ともなると考えております。また、民間企業を巻き込んで庁舎内で行う健幸どまんなか市やデジタル地域通貨と連動した健幸ポイント事業は事例がほとんどないので、こうした社会実験的な取組は全国的にも注目されるものと考えております。
今後の誰ひとり取り残さない相談支援体制についてです。団塊の世代全員が後期高齢者となる2025年を迎え、医療・介護連携や居住支援、介護予防といった地域包括ケアの中核となる課題への対応がますます必要であると考えております。また、重層的支援体制整備事業における相談支援機関の連携強化や孤独・孤立対策における民間団体を含めたプラットフォームの構築など、誰ひとり取り残さない支援体制を目指し取組を推進してまいります。
○議長(酒井たくや) 以上で森たかゆき議員の質問は終わります。
中野区議会議員 加 藤 たくま
1 とん挫した新・中野サンプラザ整備について
2 所信表明について
3 その他
○議長(酒井たくや) 次に、加藤たくま議員。
〔加藤たくま議員登壇〕
○16番(加藤たくま) 自由民主党議員団の立場から一般質問をいたします。
とん挫した新・中野サンプラザ整備については、様々なメディアで取り上げられ、区内外から高い関心が持たれております。施行予定者である野村不動産は、頓挫した事業計画の見直しを行っておりますが、過去、議会からの指摘に対しててこでも動かなかった構想がいとも簡単に変更なされる様子から、今までの議論は何であったのか、事業採算性のためなら何でもありなのか疑問が残ります。また、それをサポートするがごとく動く中野区に対しても疑義が生じております。
総務委員会では、公共施設である中野サンプラザ南側広場を野村不動産が使えるようにアイデアを練っていくという趣旨の答弁に耳を疑いました。公共性・公平性が全くない中野区政の運営は、社会情勢の激変による今回の事態以上に問題ではないかという疑問があります。
令和6年第4回定例会で、関係各所との信頼関係が損なわれた状況をつくった施行予定者を野村不動産のままとするための最低条件を二つ申し上げました。一つ目としては、施行予定者が固定資産税等を負担するということです。
1月29・30日の閉会中の委員会において、中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業に係る資産の活用についてで関連の報告が行われました。その委員会資料には明確な数字が示されませんでしたけれども、以前の答弁から、中野サンプラザ・旧区役所を権利変換することなくこのまま維持する場合、年間約4億円程度のコストがかかり、加えてその報告においては、中野サンプラザ南側広場の管理経費が加わるとの報告でした。
また、委員会資料では、中野サンプラザ南側広場を開放するということでありますが、状況によっては野村不動産に貸与できるようにアイデアを出すといった趣旨の答弁がありました。しかし、公共地であり、一事業者に対して随意契約で貸し出すことは、断じてあってはなりません。
この広場の有効活用に関わる業務はプロポーザルとすべきと考えますが、区の見解を伺います。
さらに報告では、以上の経費について施行予定者が対処するよう、施行予定者宛てに文書を発出したところ、今回示された実質負担の金額を踏まえ、施行予定者として責任を持って協議、対応したいとの申出があったと説明がありました。「金額を踏まえる」とは、この場合参考とするという意味でしょう。そして「責任を持って協議、対応したい」とし、協議という含みがある表現を使っております。経費の負担は最低条件の一つと考えており、それが実行されるか疑義がある時点で施行予定者との協定の解除を求めます。
そこで質問ですが、施行予定者が全額負担する約束を中野区はどのように担保されるのか伺います。
また、区としては全額を負担してもらう方向性ということは、ここまでに至った経緯として、中野区の責任は全くなく、全て施行予定者にその責任があるという認識でよろしいのか伺います。
前回の定例会で、まちづくり中野21が所有する中野サンプラザの土地・建物を中野区へ寄附することを提案しました。自治体が所有する資産は固定資産税の支払い義務がないため、経費を圧縮できると考えたためです。その検討状況について伺います。
寄附ができれば、中野サンプラザの固定資産税を年間2億円以上を圧縮できます。もし今回の事態に区の責任が全くないのであれば、その圧縮分は中野区の利するものでなければなりません。圧縮できた差額を野村不動産の支払い額の圧縮に使うべきではありません。
そこで、野村不動産に請求する金額は、現段階で算出されたものであるとする、そして圧縮できた分の差額は、新・中野サンプラザで生じる中野区が負担する維持管理費の経費などに負担してもらうなどの交渉が必要と考えますが、区の見解を伺います。
話を施行予定者がこのまま野村不動産とするための最低条件に戻します。最低条件の二つ目として、計画見直しは小規模かつ新たな区の負担がないということです。しかし、先日の委員会で出てきた事業計画の見直しのイメージ図は、2021年のプロポーザル時に東京建物が提案したツインタワーに類似するものでした。プロポーザルが成立するのか甚だ疑問であります。
そこで伺いますが、このツインタワーなどを含めた事業計画の見直し案に対して、例えば次点の企業から訴えられても問題ないのか、リーガルチェックされたのか伺います。
中野サンプラザのDNAには住宅は1%もなく、6割が住宅となれば新サンプラザは誰の子どもなのか。区の最大の資産を投げ打ってタワーマンションを造るのが正しいとは思えません。また、住居部分が4割から6割に増加させなければ事業収支が合わないという野村不動産の言い分のみでは判断材料が足りません。900億円の総工費が増額する前の保留床処分金、つまり分譲住宅の販売による収入は2,161億円で、見直し案は住宅部分1.5倍となるために、単純計算で1,080億円が収入アップします。そしてツインタワーへとすることで建設費を圧縮できているのであれば、900億円以上の補填は優にできており、その上がり分はどこへ行くのか疑問であります。せめてほかのディベロッパーも同様の設計構想となり、住宅部分は最低でも6割必要と言うかもしれない。そういうことを確認する必要があります。また、逆に住宅を7割でなければ成立しないというディベロッパーしかいなければ、野村不動産は相当な努力をしていると評価ができるかもしれません。野村不動産とこのまま事業を進めるにしても退くにしても、妥当性を証明する必要があります。3月に報告される見直された事業計画が納得できるかは、そこにかかっていると考えます。区は、見直された事業計画の妥当性を証明するための方策があるのか伺います。
次に、令和6年第18号議案、財産の処分についての有効性について伺います。
先ほども森議員が扱っておりましたが、私も別の観点から。この条例は、旧区役所の建物部分を財産処分するために必要な議案で、従前資産評価額を参考に設定された処分価格の最低限度額は約4億5,300万円でしたが、それは今年度内における権利変換を前提としておりました。権利変換する時期が遅れることから、従前資産評価額は変わると想定されます。また、それに付随して説明されていた事業計画が変更となることも確定的であります。
このような状況下において、今後も同議案が有効であるのか伺います。また、有効であったとしても、区民の代表である区議会にそのプロジェクトに対する賛否を改めて問うべきと考えますが、区はどのようにするのか伺います。
次に、新・中野サンプラザが目指す姿を、中野区を取り巻く状況を平成27年4月より、国が提供を進めている地域経済分析システム(RESAS)のデータから検証します。
サービス提供開始時に、石坂議員が活用すべきと一般質問されておりましたが、中野区政は表面上、活用されていないようです。RESASリリースから10年くらいが経過し、内容も充実しました。RESASでは様々な分析が可能ですが、都道府県単位のデータのみのものもあるため、市区町村別にデータがある分析のうち、まちづくりマップと地域経済循環マップを取り上げてまいります。
RESASでは、通勤・通学による流入人口と流出人口を簡単に表示することができます。昼夜間人口データは国勢調査であるため、5年に一度、直近では2020年度となります。夜間人口は中野区の人口そのものを示します。昼間人口は中野区民がほかの自治体へ通勤・通学で流出、また、ほかの自治体から流入した差引きの人口となります。差引きの結果で1万9,033人が流出しております。ほかの自治体からの流入者が8万2,283人、他自治体への流出が10万2,307人で、その差引きの流出超過数は2万24人です。昼夜間人口の差より1,000人くらい多いですが、このデータは15歳以上に絞られているからだそうです。通学で中野区内に流入する小・中学生よりも中野区外に流出している子どもが1,000人程度多いと考えられます。
ここで重要なのは、毎日の通勤・通学で練馬区、杉並区から9,000人程度、横浜市から3,300人程度、新宿区、世田谷区から2,700人程度が流入しているということです。一方、通勤・通学による流出は、新宿区へ2万人程度、千代田区1万4,000人程度、港区1万1,000人程度、渋谷区8,000人程度です。中野区が都心3区等へ通うためのベッドタウンだったのは今や昔の話で、中野区は通勤・通学で通われるまちになってまいりました。
事実、昼夜間人口は右肩上がりです。1991年から始まったバブル崩壊により下がり続ける土地の価格を維持するために、国は容積率の緩和などのあらゆる規制緩和を行いました。その結果、都心近郊であった中野区においては、1990年代から2000年代初頭にかけて建設ラッシュ、区が直接関わった事業として、野方WIZ、なかのサンクォーレ、中野坂上サンブライトツイン、ハーモニースクエア、アクロスシティ中野坂上などの市街地再開発事業などを活用したオフィスビルなどがあり、1990年、80.7%だった昼間人口比率は、2005年に92%へと激増しました。そして2012年、警察大学校跡地開発などにより再び昼間人口は増加し、2010年から2020年の10年間で昼間人口は3万6,000人増えております。コロナが原因であるのか、昼夜間人口比率は、2015年から2020年は横ばいとなりました。しかし、中野区の昼間人口は増加中であり、ベッドタウンとオフィス街の分岐点となる100%まで迫ってきております。中野区が自ら稼ぐオフィス街となるのか、都心3区等へ出稼ぎに行くベッドタウンであり続けるのか、中野のまちづくりの方向性が問われております。
私は無論、自ら稼げるまちになるべきであると考えます。中野のシンボルタワーになる新・中野サンプラザのオフィスと住宅の比率は、中野区が今後どんなまちにしたいのか、その想い、政策が宿るものだと考えます。新・中野サンプラザのオフィス、住宅、交流施設の割合は、昨年段階で4対4対2でした。今の方向性では住宅を6割以上としておりますけれども、中野区のシンボリックタワーはタワーマンションにすべきではないと考えます。
そこで、中野区は今後、中野区をどのようなまちにしていきたいとお考えなのか、その信念を伺います。
RESASに地域経済循環図というものがあり、また違った観点から指摘します。付加価値額ベースでお金が生産、そのお金は給料、納税として分配。分配された所得は何かを購入することで消費、支出されます。国民所得や国内総生産(GDP)が生産・分配・支出の三つの側面から算出しても同じ値になるという経済学上の原則で、三面等価の原則とも呼ばれ、マクロ経済学の基本だそうです。中野区内では1.8兆円規模の経済循環が行われております。詳細は総括質疑で取り扱いますが、ここでは分配のみについて説明いたします。
中野区で生産された1.8兆円のお金は、雇用者所得とその他所得に分配されます。雇用者所得は給与として、その他所得は財産所得、企業所得、交付税、社会保障給付、補助金等として分配されます。雇用者所得で中野区民が受け取った給与は9,995億円で約1兆円です。給与の流入と流出の差引きである地域外からの流入がたった615億円であり、都心3区へ出稼ぎに行っていた時代は終わりつつあります。オフィス街へと変貌を遂げております。
では、中野区がどんな産業構造になっているのかRESASで調べますと、生産額ベースで最も大きい産業は情報通信業3,581億円で13.1%です。中野区が強いと言われているアニメ産業はこの情報通信業に含まれます。日本のアニメ産業は2023年に3兆円を突破し、その半分は海外における売上げで、巨大輸出産業です。無料で企業情報を調べられるサイトで中野区内の情報通信業128社のうち、アニメ産業が登録する映像・音声・文字情報制作業は36社とかなりの割合です。アニメ業界の構造は、テレビ・映画・ネットなどの配給会社をクライアントとした階層が形成されております。配給会社以下の元請会社、下請、専門スタジオをアニメ制作会社と言います。三つの役割を担っている会社もあります。
マイナビ2026の業界地図というページに、元請会社がある程度整理されておりましたので、これを参考に、所在地、代表作をまとめました。元請会社は中野区に4社あります。また、着目すべきは、「SPY×FAMILY」を手がけるCloverWorks、「進撃の巨人」を手がけるMAPPAは、最近杉並区から中野区に移転しております。また、「鬼滅の刃」を手がけるUfotableは、杉並区から昨年新宿区に移転しております。中野区で働く魅力づくりを進めていかなければ、ほかの自治体に移転される可能性があることに留意する必要があります。
中野区のアニメ制作会社の代表作として「ONE PIECE」「ドラゴンボール」「プリキュア」「名探偵コナン」「アンパンマン」「SPY×FAMILY」「進撃の巨人」「呪術廻戦」「葬送のフリーレン」「ちはやふる」「HUNTER×HUNTER」など、とんでもない有名コンテンツがあります。
また、小池百合子東京都知事は、来年度の予算査定で10月をめどとして、中野区内へのアニメ振興の施設費に1億円を計上しております。そして、酒井区長は、なかの区報1月11日号で、「アニメの力を中野から世界へ」の特集で、ブシロードとMAPPA社長と対談され、アニメ振興を訴えております。中野は世界に誇るアニメ企業城下町を目指すべきだと考えます。
そこで、中野区は中長期的にアニメ産業とどのような連携を図っていくべきと考えているのか伺います。
ここまでの話をまとめますと、中野区はベッドタウンからオフィス街になりつつある。そしてその過渡期に完成する中野区のシンボルタワーである新・中野サンプラザのオフィス部分を減少させるべきではないと考えます。オフィスは最大でも4割を堅持すべきです。そして、そもそも100%の区有施設を活用した住居6割に疑問であります。
そして中野区はアニメのまちになっております。中野区がアニメのまちであるというメッセージを出すためにも、シンボルタワーにアニメ制作会社に入ってもらうべきです。実際ブランディングとして、新・中野サンプラザが完成次第そこに入りたいというアニメ制作会社があるとも聞きます。アニメ会社であれば、子ども施設も併設するなどのタイアップ政策を推進することを条件に、区が所有するオフィスを賃貸させることも有用と考えます。
以上のことより、新・中野サンプラザはオフィスを最大でも4割とし、中野がアニメのまちとするメッセージ表示のためにも、アニメ制作会社が入る施設とすべきと考えますが、区の見解を伺い、本項の質問を終えます。
2、所信表明について。
「つながる はじまる なかの」の実現について触れられております。新・中野区役所庁舎は、「その理念を実現するための新たな拠点として充実させる」とありますが、建物、箱物、ハードができれば実現するものではありません。また、「地域に飛び出す職員を増やす」としておりますが、昨年秋に行われた盆踊りのギネス記録におきましては、当日の職員駐輪場はがらがらであり、中野区を盛り上げようという気概が職員にないのだと悲しい気持ちになりました。
ファーストステップの「つながる」は、昔でいえばおせっかいおばさん、今でいえばマッチングアプリの役割、機能が中野区に必要ですが、そのことについては触れられておりません。拠点としたハードができた今、ソフト施策がなければつながっていかないと考えますが、区の見解を伺います。
施政方針説明として来年度の事業などの戦術は分かりましたが、今後中野区が中長期的にどのような方向性に持っていきたいのか戦略が示されていないと考えます。平成31年、酒井区長初めての所信表明では、スクラップ・アンド・ビルド、行政評価など、令和2年は基本計画策定に向けた強い思いがありました。その後は、コロナ、物価高、中野区の新庁舎に関することがメインとなり、遠い未来を見据えた発言はなくなりました。このたびの所信表明で、中野四丁目新北口駅前地区についても曖昧な表現にとどめられております。新庁舎ができた今、いま一度、中長期的なビジョンを示す必要があると考えますが、区の見解をお伺いいたします。
最後にその他で、インターネットの健全利用促進について伺います。
立憲会派の森議員も触れられておりましたけれども、我々議員も他人事ではない選挙における様々な真偽不明な情報の拡散、それに関連する政治家の自殺などがありました。インターネットの普及は多種多様なコミュニケーションや情報発信、情報収集を可能にして、現代社会に生きる私たちにとって必要不可欠なライフラインとなっております。一方で、インターネットの拡散性、非対面性、そのほかの特性に起因して、その使い方や投稿の表現によって誤った情報や嫌がらせによる風評被害が瞬時に拡大し、人権が侵害され、誹謗中傷等で心が傷つき、最悪の場合自ら命を絶ってしまう事態を招きます。
現在、インターネット上の誹謗中傷等に関する条例は、全国20の自治体によって制定や規定をしております。インターネット上の誹謗中傷に関する条例を制定している多くの自治体において、誹謗中傷等の問題に対する理解を深めるための施策やインターネットリテラシーの向上に関する施策、相談体制の整備、被害者や行為者を生まないための施策といった基本的施策を規定しております。区として、インターネット上の誹謗中傷等に関する施策についてどのようにお考えなのか伺い、私の一般質問を終えます。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。
初めに、新・中野サンプラザ整備のうち、サンプラザ前広場貸付けに係る事業者選定についての御質問です。
中野サンプラザ南側広場については、新たな負担に対する対応策として、施行予定者から借り受けて有効活用したいとの申出があったところであります。区は、資産を最大限に有効活用できるよう、貸付けの条件や事業者の選定方法を検討しているところでありますが、貸付けに当たっては、プロポーザルも含め、公平性や透明性を確保した上で貸付け先を決定するという考えでございます。
次に、地権者負担の担保及び区の責任についてです。事業の遅延に伴う地権者負担について、施行予定者として責任を持って協議、対応すると文書での回答がありまして、施行予定者が責任を持って対応するものと認識をしております。区は、本事業について、これまで施行予定者との協議に適時適切に対応してまいりましたが、工事費高騰による市街地再開発事業への影響については全国的に大きな課題になっております。区としては事業計画の見直しについて協議をしていくことが区の責務であると考えております。
次に、中野サンプラザ土地・建物の資産移転についてです。中野区が株式会社まちづくり中野21から中野サンプラザの土地・建物の寄附を受ける方向で現在検討しているところであります。一方で、中野サンプラザの土地・建物には、金融機関による抵当権が設定されておりまして、寄附を受けるに当たっての課題整理を並行して進めております。今後まちづくり中野21と調整した上で、移転方法や課題を整理し、今定例会の委員会でお示ししたいと考えております。
次に、施行予定者に求める経費についてです。区が施行予定者と締結している協定は、相互に協力をして事業を推進するためのものでありまして、スケジュールの遅延に伴う地権者負担に関する定めがございません。事業の遅れに伴う負担をできるだけ抑制することは、事業パートナーである区の責務であると考えておりまして、区の取組によって圧縮した経費を施行予定者に求めることは現時点で予定しておりません。
事業計画見直し案に対するリーガルチェックについてです。民間事業者募集におきましては、施行予定者と基本協定を締結した後に、次点候補に対して基本協定に係る協議、調整は行わないことを通知しているところでありますが、事業計画の見直しに当たっては、公平性・中立性に注意して進めてまいります。
次に、事業計画見直し案の妥当性の検証についてです。区としては、施行予定者からの事業計画見直しの提案について、事業の成立性、当初提案内容や事業計画内容の継承性、手続の公平性・中立性といった観点から確認をし、事業計画見直し方針として採用できるものかどうかを判断してまいります。また、判断に当たっては、有識者の意見を伺うなどの工夫も検討してまいります。
議決の効力についてです。令和6年第18号議案は、財産処分の方法や処分する建物、床面積、処分価格の最低限度額について議決をいただいたものでありますが、今後財産を処分する時点において、当該議決事項の変更を必要としない限り、現状においてはさきに行われた議決の効力に影響を与えるものではないと認識をしているところであります。事業計画の内容や計画の進捗状況等について、議会に対して丁寧に報告をしてまいります。
区のまちづくりに対する考え方についてです。中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画において、中野区の持続可能性を高め、地域活力を牽引していく拠点施設を目指し、昼間・夜間・交流人口がバランスよく配置された用途構成を誘導するということで決めております。区としては、再整備事業計画に示す中野駅新北口駅前エリアの将来像の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、中長期的なアニメ産業との連携です。近年海外でも人気のアニメコンテンツ関連企業が中野区内に転入しておりまして、区内でも有数のアニメコンテンツ産業の集積地となっております。このような状況を踏まえ、区はアニメコンテンツ企業との連携強化に努めておりまして、アニメコンテンツ魅力発信をはじめ、中野の子どもや若者の体験機会の充実につながる企画とともに、来街者増に寄与する企画をアニメコンテンツ事業者と連携して実施をし、拡充していきたいと考えております。さらに、NAKANOサンプラザシティの整備を見据えながら、アニメコンテンツ関連の民間施設の誘致をはじめ、インバウンドを引きつけるアニメコンテンツ企業による事業やアニメコンテンツ関連の人材育成なども支援してまいります。
中野駅新北口の拠点施設のオフィス割合及び入居企業についてです。オフィス床の面積や運用について、現在施行予定者と協議中でありまして、施行予定者から提案されている事業計画を大きく変更することは難しいと考えますが、にぎわいの創出に向け、アニメコンテンツ事業者の誘致についても協議をしてまいりたいと考えております。
つながりをつくるためのソフト施策についてです。基本構想に描く「つながる はじまる なかの」を実現するためには、ハードの整備だけでなくソフト面での取組を進めていくことが必要不可欠と考えておりまして、地域団体活動の支援等を行ってきたところであります。今後、職員の働き方を改革し、地域に飛び出す時間を生み出す。そして区民とつながり、ニーズを把握して、区政に還元できる現場志向力の高い職員の育成を進めていくことによって、ソフト施策の充実も図ってまいるという考えでございます。
区政の中長期的なビジョンについての御質問です。区が目指している中長期的なビジョンは、基本構想に描いたまちの姿でありまして、その実現に向けて基本計画に基づき取組を進めていることを施政方針説明で述べたところであります。現行の基本計画の計画期間は令和7年度までであるため、令和8年度からの施策の方向性等については現在検討している次期基本計画の中で示してまいります。
その他で、インターネット上の誹謗中傷等に関する施策についてでございます。区は、インターネット上の誹謗中傷等に関し、被害者も行為者も生まないことが大切であると考えております。それにはこれまでの人権啓発事業に加え、インターネット上の誹謗中傷等やインターネットリテラシーに関する啓発の取組、不安を抱える人に対する相談体制の整備等が区に求められる役割だと考えておりまして、区として必要な対応を検討してまいります。
〔加藤たくま議員登壇〕
○16番(加藤たくま) 令和6年の第18号議案、財産の処分について再質問させていただきます。
あの議案においては、総務委員会3日間予定のところが、説明不足というところで4日目の委員会を急遽開くというような事態でありました。その議案の際においても説明不足が否めなかった状況でありました。にもかかわらず、今後もう区としては従前資産評価額の、プラスかマイナスか分からないですけど、大きな変動をするときにしか令和6年第18号議案に代わるものを出さないということでありますけれども、はっきり言ってそれでは、説明不足だった昨年の1定以下の状況で、我々としてはその意思を本当に示せるのかどうか不安であります。区民の皆様からも議会は何やってんだと我々言われているところでもありますし、我々としてもその意思を示す、そういった機会を行政側からぜひともつくっていただきたいと考えますが、その御答弁をお願いいたします。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 令和6年第18号議案の件でございます。第18号議案で議決をいただいたその内容について、変更がなければ新たな議決は必要でないという考え方でございます。そのほかの事情につきましては、丁寧に議会には説明していくということで納得いただければと思います。
〔加藤たくま議員登壇〕
○16番(加藤たくま) 同様の件で再々質問させていただきます。
我々としては、このまま白紙委任状を出したような状態になっているところでございまして、これは丁寧な説明が、先ほど言いましたけども、令和6年第18号議案の際にもなされないまま、はっきり言って物価高騰が来るという中で、我々ある意味、その時間というところの切迫感の中からこの議案を通さざるを得ないというふうに考えていた議員もいるような状況でありました。事実そういうふうに物価高騰があったために、我々としてはそういったところで判断をしたわけではありますけれども、内容の全体的な中身が変わってくるという中で、改めてそういったお金だけのところだけじゃなくて示していただきたいと思っておりますので、その辺の御検討をお願いいたします。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 再々質問です。令和6年第18号議案につきましては、議決事項については財産処分の方法や処分する建物、床面積、処分価格の最低限度額について議決をいただいたものであります。ですから、この議決をいただいたものに対して変更がない限りにおいては、新たな議決は必要がないというのは、先ほど答弁したとおりでございます。ただ、経緯等、今御指摘の点もございますので、それを踏まえた説明責任というものを果たしていきたいと考えております。
○議長(酒井たくや) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。
中野区議会議員 久 保 り か
1 区長の施政方針説明について
(1)中野駅周辺まちづくりについて
(2)西武新宿線沿線まちづくりについて
(3)子育て先進区の実現について
(4)地域包括ケア体制の実現について
(5)その他
2 安全安心なまちづくりについて
(1)防犯対策について
(2)災害に強いまちづくりについて
(3)その他
3 小中学校施設整備計画の改定について
4 その他
○議長(酒井たくや) 次に、久保りか議員。
〔久保りか議員登壇〕
○34番(久保りか) 令和7年第1回定例会において、公明党議員団の一番手として質問を行います。
質問は、1、区長の施政方針説明について、2、安全安心のまちづくりついて、3は別の機会に改めて質問させていただきます。4、その他として、多文化共生の取組についてお聞きします。
区長並びに理事者の皆様には、前向きで分かりやすい御答弁をお願い申し上げます。
1、区長の施政方針説明について。
(1)中野駅周辺のまちづくりについて。
ここでは1点だけ、中野四丁目新北口駅前地区における市街地再開発事業について伺います。現在施設計画変更の方向性について施行予定者との協議が進められているとのことですが、議会にはその全容が明らかにされていません。委員会報告において示された施行予定者からの施設計画変更の施設配置イメージ及び方向性は、情報が不十分であり、提案内容が整備方針にのっとっているのか、プロポーザルによる選定事業内容と整合性が取れているのかといった点を比較することが困難です。資料の内容を見る限り、事業者の収支調整のために都合よく変更されたとも考えられ、現行の提案のままで協議を進めることには不安を覚えます。
中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備の事業化推進に関する基本協定書第8条では、原則として提案内容を継承するものとし、変更には区の承諾が必要とされています。しかし、今回のような大規模な変更が区の内部判断のみで進められることは、公正で透明な行政手続とは言えず、区民に開かれたものではありません。3月までに事業計画の見直し方針や今後のスケジュールを明らかにするとのことですが、この際一旦立ち止まり、基本協定を解除すべきではないでしょうか。その上で改めて事業者選定を含めた再検討を行うことが望ましいと考えます。区長の見解をお聞かせください。
西武新宿線沿線のまちづくりについて。
初めに、地下化工事の安全性について伺います。八潮市の大規模な道路陥没以降、地下埋設物の安全性に対する不安の声が増えています。特に西武新宿線(中井駅から野方駅間)の地下化工事は、軟弱地盤との指摘もあり、安全対策が重要です。シールド区間における地下化工事の安全対策について現状をお聞かせください。
次に、野方駅周辺の基盤施設整備について伺います。施政方針説明では、野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅周辺のまちづくり及び基盤施設の具体化に向けた検討を進めると述べられています。基盤施設の整備については、駅前広場や道路整備を指すと考えますが、特に重要なのは、野方1号踏切の除却を含めた野方駅前広場の整備です。区と西武鉄道の協定による調査期間は令和7年8月末までとのことですが、本協定に基づく調査内容について改めてお聞かせください。また、調査結果に基づき基盤施設の具体化はどのように進められるのかお聞きします。
次に、鷺ノ宮駅周辺の施設再編計画について伺います。鷺宮小学校跡地には、鷺宮すこやか福祉センター、区民活動センター、地域事務所、図書館、以前より提案をしてきた児童館機能などの複合施設が建設される予定ですが、その結果、旧健康福祉センターを含む4施設が未利用となる可能性があります。今後の西武新宿線沿線のまちづくりの進捗に合わせ、未利用施設や敷地の有効活用を視野に入れた4施設の在り方について区の見解をお聞かせください。
鷺の杜小学校の歩道橋設置について伺います。鷺宮小学校と西中野小学校の統合に伴い、安全な通学路の確保のため、長年にわたり跨線橋の設置を求めてきました。区はようやく設置の意思を示しましたが、統合前に進めるべきであったことは指摘をしておきたいと思います。ハザードマップにおける浸水リスクを考慮し、地下道ではなく歩道橋を選択したとのことですが、その理由について改めてお聞かせください。また、歩道橋の設置スケジュールについてもお聞かせください。
次に、鷺宮公社西住宅の建て替えと妙正寺川の調節池及び防災公園についてお伺いします。私は、平成30年の一般質問において、西住宅の建て替えに際し、水害対策として調節池を整備し、その上部を蓋がけして公園とするなど、中野区が地域資源として活用できるよう東京都に働きかけるべきと質問をいたしました。このたび、中野区都市計画審議会を経て、白鷺二・三丁目地区地区計画及び白鷺公園などの都市計画案が正式に決定をされましたので改めてお聞きをいたします。
東京都では、防災性の高い市街地の形成を目的に白鷺二・三丁目地区における計画を進めており、妙正寺川の上流に調節池を整備する予定です。この調節池にはどの程度の調節機能が予定をされているのか。また、現在設置されている鷺宮調節池との機能比較も併せてお聞かせください。
当該エリアは、地域の防災拠点としての役割を担うべく、十分な機能強化を図るべきと考えます。区の見解をお聞かせください。
次に、子育て先進区の実現について伺います。
施政方針では母子保健DXの推進に向けた体制づくりについて述べられています。こども家庭庁は、令和8年度から母子保健DXの全国展開を行い、電子版母子健康手帳の普及を進めるとしています。これまで、我が会派は区に対し、母子健康手帳の電子版導入を度々求めてきました。しかし、国の動向に合わせたタイミングでの導入では、子育て先進区としてはやや遅い取組であると感じています。まず、電子版母子健康手帳の導入スケジュールについてお聞かせください。併せて、サポートファイル「のびのび」の電子化についても導入を進めるべきと考えます。区の見解をお聞かせください。
多子世帯支援の充実について伺います。ベビーシッター事業の利用拡充が進み、事業の充実が図られていることを評価しています。しかし、低学年児童や未就学児、未就園児を育てる多子世帯では、さらに年齢枠の拡大が必要であると考えます。多子世帯で子育てに奮闘する家庭に対し、より手厚い支援を進めるべきではないでしょうか。
ベビーシッター事業において、多子世帯を対象に年齢要件の拡充や利用時間数の拡大を進めるべきと考えます。また、子どもショートステイなどにおけるレスパイトの優先要件を設けるなど、多子世帯支援について区独自の取組を進めるべきではないでしょうか。区の見解をお聞かせください。
不登校対策について伺います。閉会中の子ども文教委員会において、令和7年度に向けた不登校対策の検討状況が報告されました。区の不登校支援施策の基本的な考え方における目標として、不登校児童・生徒への支援は、学校に登校するという結果のみを目標とするのではなく、児童・生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指すと示されたことを評価しています。現在、不登校対策として様々な取組が進められていますが、例えば学校単位ではなく、中野区全体の児童・生徒を対象に学年別のオンライン授業を実施することを検討してはいかがでしょうか。教育センターを拠点とし、生徒一人ひとりの進捗状況に応じた個別指導型のオンライン授業を実施すべきと考えます。区の見解をお聞かせください。
きこえとことばの教室に通う児童の保護者の方から、不登校傾向にある子どもが、学校だけでなくきこえとことばの授業にも行き渋るようになってしまい、オンラインでの授業を希望したが、配信などの体制に課題があり実現できていないとの相談を受けました。きこえとことばの教室におけるオンライン授業の実施について教育委員会の見解をお聞かせください。
次に、私立幼稚園に通う保護者への支援について伺います。現在、私立幼稚園の保育料は、幼児教育無償化により上限額内で無償となっています。しかし、申請方法が子ども・子育て支援新制度に移行した幼稚園と学校教育法に基づく従来型の幼稚園とでは異なるため、保護者にとって制度の違いが分かりづらく、不公平感を抱く要因となっています。この4月から新制度に移行する私立幼稚園では保護者向けの説明会が開かれ、保護者の支払う保育料は無償となるとの説明がなされました。保護者の方々からは、「助かる」、「よかった」との声が聞かれています。幼児教育無償化制度は、行政が幼稚園の保育料を保護者に代わって負担することで保護者の実質的な負担をなくすものです。従来型の幼稚園では、月々の保育料が補助金として後払いとなるため保護者の負担感が大きいと聞いています。従来型の幼稚園についても保育料の代理受領を導入し、負担軽減を図るべきではないでしょうか。それにより、保護者は無償化をより実感できると考えます。区の見解をお聞かせください。
一方、新制度の幼稚園では保育料は無償化とされているものの、保育の質を高めるための月々の特定負担額が生じています。この特定負担額についても区として助成を行うべきではないでしょうか。区のお考えをお聞かせください。
また、私立幼稚園の減少傾向に伴い、近隣区の幼稚園に通う園児も増えています。他区では特定負担額を助成している場合もあり、不公平に感じるとの声も聞きます。近隣区の私立幼稚園に通う場合、新制度の幼稚園については特定負担額への助成、従来型の幼稚園については保育料の代理受領を進め、保護者の負担軽減を図るべきではないでしょうか。区のお考えをお聞かせください。
次に、地域包括ケア体制の実現について伺います。
団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が進められてきました。中野区においても地域包括ケアの推進に取り組んできましたが、現在では団塊ジュニア世代の高齢化を見据えた2040年問題を視野に入れ、さらなる取組が求められています。2025年を迎えましたが、これまでの中野区における地域包括ケアシステムの取組を区長はどのように評価しているのでしょうか。また、今後の重要な課題は何か改めてお聞かせください。
住み慣れた地域で暮らし続けるための住宅施策について伺います。高齢になってからの住み替えが困難であるとの声を多く聞きます。住宅課では、居住支援協議会や不動産事業者と連携し、住宅相談に対応する体制が整っていると聞いていますが、安心して転居先を探せるよう、さらなる住宅施策の充実が必要です。
杉並区では、区営住宅の入居抽選に落ちた低所得者を支援するため、新たに民間住宅への入居を支援する家賃補助制度を開始します。この制度は、区営住宅の供給が需要に追いついていない現状の改善と民間の空き家を有効活用するという二つの目的を兼ね備えた非常に注目をされている住宅施策です。また、杉並区が賃貸人に対して家賃の一部を補助する制度を導入し、低所得者が低廉な家賃で民間賃貸住宅に入居できるよう支援しています。これにより、住居確保が難しい低所得者層の生活の安定が図られるとともに、地域全体の住宅の有効活用が促進される効果も期待をされています。中野区においても、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための住宅施策の充実を図るべきと考えます。区の見解を伺います。
終活相談窓口の開設について伺います。私は、第3回定例会にて終活相談窓口の開設を求めました。その際、単身高齢者などの様々な困り事を解消できるよう社会福祉協議会と連携しながら高齢者などのサポートを行っている、終活に関する相談窓口についても関係機関と連携しながら検討していくとの答弁を頂きました。その後の進捗状況についてお聞かせください。
北部すこやか福祉センターの建て替えと移転について伺います。現在、北部すこやか福祉センターの建て替えが沼袋小学校跡地への移転として計画をされていますが、より適した場所があるのではないかと我が会派の南議員も質問をしてきた経緯があります。圏域内には未利用の都有地があり、規模や立地の面でもセンターの開設に適している可能性があります。沼袋小学校跡地にこだわらず、最適な候補地を検討すべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
第5のすこやか福祉センターの計画について伺います。環境リサイクルプラザ跡地に第5のすこやか福祉センターが開設予定です。すこやか福祉センターには、こども家庭センターの機能が位置付けられており、母子保健、児童福祉の連携を深め、虐待防止や子育て支援の包括的な拠点としての役割を担うことが期待されています。子どもとその家庭を支えるためにセンターの機能充実を図り、五つ目のセンターを子どもと子育て家庭を支える包括ケアの中核施設と位置付けるべきと考えます。答弁を伺います。
家族介護者(ケアラー)支援について伺います。長年家族の介護を続ける方から、新宿区では介護する家族のためのリフレッシュ券があり、介護者への支援が手厚い、中野区でも同様の制度を導入してほしいとの要望を伺いました。新宿区では、65歳以上の在宅高齢者を介護する家族を対象にヘルパーを派遣し、介護者の負担軽減を図る取組を行っています。中野区においても介護者が孤立し、孤独に陥らないために、リフレッシュのための支援制度を導入すべきと考えます。区の見解をお聞かせください。
以上で区長の施政方針説明についての質問を終わります。
2番、安全安心なまちづくりについて。
初めに、防犯対策について伺います。
令和7年度の東京都の予算案では、都議会公明党の要望を受け、闇バイトなどの凶悪犯罪から都民を守るための防犯対策予算が示されています。具体的には、個人住宅への防犯カメラやカメラつきインターホン、防犯窓ガラスフィルムなどの設置に対し、2年間の緊急対策として自己負担の半額を補助する制度が設けられるとのことです。
第4回定例会では、我が会派の白井議員が個人宅における防犯設備の助成について提案し、区からは、国や都の動向を注視するとの答弁がありました。東京都の予算案を踏まえ、区としても個人宅を対象とした防犯設備の助成制度を準備し、次年度早々の対応を検討すべきと考えます。区の見解を伺います。
災害に強いまちづくりについて伺います。
現在区は、弥生町三丁目周辺地区や大和町地区の不燃化特区事業に加え、平和の森公園周辺地区や南台地区においても木密地域の改善に向けた防災まちづくり事業を進めています。これらの地区では、不燃領域率の改善や避難道路の拡幅整備、防災機能を備えた公園の整備など、着実に防災性の向上が図られています。また、若宮地区や上高田地区といった地域危険度の高い地区においても専任の担当を配置し、地区計画の策定に向けた防災まちづくりが進められています。しかし、以前から地震時の地域危険度が区内でも特に高いとされる野方一・二丁目地区については、いまだ防災まちづくりが着手されていません。特に野方二丁目は総合危険度ランク5とされ、都内でも防災対策の必要性が極めて高い地域です。区は、野方一・二丁目の防災まちづくりに着手する考えがあるのか伺います。
現在、妙正寺川の河川改修や中野工科高校の建て替えが進められていますが、実習棟部分の用地については区が取得すべきとの意見もあります。この土地は、将来的に防災まちづくりのために活用すべき重要な用地ではないでしょうか。例えば、今後の防災まちづくりを進める上で、都有地を先行取得するなどの対応を検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。
災害時のトレーラーハウスの活用について伺います。これまで我が会派として災害時に役立つトイレカーなどの導入を求めてきました。先般、子ども文教委員会では、常設プレーパークにトレーラーハウスを設置することが報告をされています。トレーラーハウスについては、平常時のみの活用にとどまらず、災害時にも利用できる可能性があります。プレーパークに設置されるトレーラーハウスを災害時にも活用すべきと考えます。区の見解を伺います。
私道の寄附について伺います。八潮市で発生した道路陥没事故は、住民の安全に関わる重大な事故であり、道路やインフラ管理の重要性を改めて認識させる出来事でした。千葉県でも水道管破損による道路陥没事故が発生しており、こうしたリスクへの対応が求められています。道路管理は公道だけでなく私道においても同様に重要です。特に沿道に公共施設がある私道や通過交通が多い道路は公共性が高く、インフラの老朽化による危険性も指摘をされています。道路陥没事故を未然に防ぐため、公道の管理の現状についてお聞きをいたします。また、公共性の高い私道の管理状況についても併せてお伺いいたします。
さらに、公共性の高い私道については、区が積極的に寄附を受け管理すべきと考えます。しかし、中野区では私道の寄附を受ける際、権利者側が費用を負担し測量を行う必要があるため、実際の寄附はほとんど進んでいません。測量費の一部を支援するなど、公共性の高い私道の寄附を推進するための施策を検討すべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
鷺宮小学校跡地の防災拠点としての役割について伺います。先日、鷺宮区民活動センターにて、鷺宮小学校跡地施設に関する地域説明会が開催されました。その際、今後整備予定の複合施設の防災拠点としての役割について質問が寄せられました。複合施設には体育館が整備をされないため、災害時の避難所機能が十分に確保されないのではないのかとの不安の声が上がっています。区は、鷺宮小学校跡地施設を避難所としてどのように位置付けるのか見解を伺います。
また、現在の避難所運営マニュアルでは、体育館機能がなければ避難所としての運営は困難なのでしょうか。体育館がない場合でも、災害時の避難所として機能できるよう運営体制を見直すべきと考えます。区の見解を伺います。
その他で、多文化共生の取組について伺います。第2回定例会において、多文化共生担当とごみゼロ推進担当が協力し、資源回収を通じて、お互いの生活習慣や文化の違いを知る機会としてワークショップなどを開催すべきではないかと提案をさせていただきました。その後2月1日に、鷺宮都営第3アパート集会室にて「外国人と日本人で「ごみ」をきっかけに交流しよう」というイベントが開催をされました。都営住宅自治会の皆様の御協力の下、多文化共生担当、ごみゼロ推進担当、清掃事務所が連携をし、イベントを実施できたことは大きな成果であったと考えています。また、地域で活動するNPO団体にも、外国語のチラシ作成や当日の子ども向けプレイスペースの運営に御協力をいただきました。これもイベント成功の重要な要因であったと考えます。さらに、事前に懇談会を開き、自治会役員と担当者が情報交換できたことも非常に意義深い取組でした。
一方で、地域で暮らす外国人への周知方法など、今後の課題も明らかになりました。今回のイベントをきっかけに地域で暮らす外国人との交流をさらに深め、多文化共生の取組が発展していくことを期待しています。今回の初の取組について、多文化共生の観点からどのように評価をされていますか。また、今後この事業をどのように発展・展開していくお考えかお聞かせください。
以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 久保議員の御質問にお答えいたします。
初めに、新北口駅前エリア再整備の再検討についてでございます。区としては、施行予定者からの事業計画見直しの提案について、事業の成立性、当初提案内容や事業計画内容の継承性、手続の公平性・中立性といった観点から確認をし、事業計画見直し方針として採用できるものかどうかを判断していく考えであります。仮に、施行予定者からの事業計画見直し案が区として採用、同意できないものであれば、施行予定者と協定の解除に向けて協議を進め、再公募についても検討することとなると考えております。
次に、西武新宿線の地下化工事の安全性についてです。事業主体の東京都によりますと、シールド工事に当たっては、あらかじめ地盤変異のリスクや計測管理方法等の必要な技術的検討を行い、必要に応じて地盤改良の実施や施工時におけるモニタリング調査を行うことで安全を確保するよう努めていると聞いているところであります。
区と西武鉄道株式会社との協定についてです。昨年10月に西武鉄道株式会社と締結した協定では、野方第1号踏切の除却に向けた具体的な鉄道の線形や環状7号線と交差する部分の施工方法などについて検討を進めることとしております。現在、本調査と併せ、区施行による連続立体交差事業の可能性について検討しておりまして、今後、野方第1号踏切の除却や駅前広場をはじめとする基盤施設の配置などについて関係機関と協議していくこととしています。引き続き野方第1号踏切の除却や基盤施設のさらなる具体化に向け取り組んでまいります。
鷺宮駅周辺の未利用施設に係る活用検討についてです。旧鷺宮すこやか福祉センターについては、現在の区有施設整備計画において、まちづくり用地として活用することとしております。複合施設移転後に用途廃止となる鷺宮すこやか福祉センター及び区民活動センターにつきましては、現時点で具体的な施設整備やその他活用方法については検討中でありますが、連続立体交差事業を契機としたまちづくりへの活用も含め、その方策について地域の意見も聞きながら検討してまいります。
次に、妙正寺川上流の調節池についてです。白鷺二・三丁目地区に整備予定である妙正寺川上流の調節池は、東京都の荒川水系神田川流域河川整備計画において、妙正寺川の1級終点から八幡橋までの空間に位置付けられた容量約6万8,000立方メートルの調節池であると聞いております。また、既に整備済みである鷺宮調節池は、容量3万5,000立方メートルの調節池であると確認をしております。
地域の防災拠点としての役割について。白鷺二・三丁目地区のエリアにつきましては、広域避難場所等を整備するとともに、区としても地域の防災拠点として防災性を高めるなど、十分な機能強化を図り、地域住民の安全と安心を確保するために取り組んでまいります。
次に、電子版母子健康手帳の導入スケジュールについてです。電子版母子健康手帳について、令和7年度は要件定義やシステム調達及び運用計画の策定に向けた検討を進め、令和8年度にシステム構築を行い、自治体システムの標準化と整合を図りながら導入していくことを想定しているところであります。
サポートファイル「のびのび」の電子化についてです。サポートファイル「のびのび」の電子化についても、母子手帳の電子化に合わせて導入の可能性を検討してまいります。
次に多子世帯への支援についてです。多子世帯においては、子育てに関わる負担が大きいと考えられることから、預かりサービスの利用要件の拡充などについて、利用状況や他区の実施状況なども踏まえながら検討してまいります。
次に、幼稚園保育料の代理受領についてです。代理受領については、幼稚園側にも補助金交付申請手続等の事務負担が生じてしまうことなどから実施を見送ってまいりましたが、今般幼稚園の協力を得られることになったということでございまして、令和7年度中に実施をする方向で準備を進めております。
特定負担額への補助についてです。新制度園は、幼児教育・保育の無償化の対象となっておりまして保育料は無償となっておりますが、保育の質の向上のために特定負担額を徴収している園もありまして、負担になるという保護者の声も届いております。特定負担額への補助については、今後の対応について検討してまいります。
他区幼稚園に通っている場合の補助についてです。代理受領については、幼稚園から中野区に交付申請手続を行ってもらう必要があるため、区外の幼稚園についても実施に向けた協議をしてまいります。特定負担額への補助については、保護者からの申請によって交付できるため、区内幼稚園に通っている方と併せ、区外幼稚園に通っている方についても検討してまいります。
区の地域包括ケアシステムについてでございます。区では、団塊の世代全員が後期高齢者となる2025年に向け、地域包括ケアシステムの構築を目指し、医療・介護連携のツールとしてのメディ・ケアネットの導入や、地域住民も参加する地域ケア会議、アウトリーチチームによる早期対応などを通して連携をする体制を構築してまいりました。まさにこれからが地域包括ケアシステムとして機能させなければならないということで、要支援高齢者の見守りや居住支援、8050問題など複雑化・複合化したケースへの対応を強化する一方で、健康寿命を延伸するためのフレイル予防などにも注力する必要があると考えております。
住宅の家賃補助等についてです。居住支援協議会において、行政の住宅部門と福祉部門及び不動産団体等が連携し、きめ細かいサポート体制の下、住み替え相談も含めた取組を行っているところであります。住宅確保要配慮者に対してきめ細やかな相談支援体制の推進や、セーフティネット住宅の登録促進を行うとともに、賃貸人に対してもセーフティネット専用住宅の登録時に、改修費の一部助成を行うことによって負担軽減を図っているところであります。賃借人への家賃助成や賃貸人への家賃補助については、その政策効果や他区の動向も注視しながら、必要性について研究をしてまいります。
終活相談窓口の開設に向けた検討についてです。終活に関する相談支援は、権利擁護事業の延長というだけではなく、地域包括ケアシステムの充実とともに検討していく必要があると考えております。このため、社会福祉協議会が行うあんしんサポート事業の充実を図るとともに、高齢者の相談支援体制の充実等、区民が身近な地域において相談できる体制について、基本計画の改定と併せて検討を進めているところであります。
北部すこやか福祉センターの建て替えについての御質問です。北部すこやか福祉センターは、建物の更新時期を迎えておりまして、沼袋小学校跡地での整備手法を検討してまいりました。東京都から近隣の未利用地の情報提供がございまして、当該地における事業可能性を含め検討を行っているところでありまして、検討状況については本定例会中の常任委員会でお示しする予定であります。
五つ目のすこやか福祉センターについてです。すこやか福祉センターでは、養育や発達に課題のある親子のフォローを行っておりますが、児童相談所や養育センターにつなぐ手前で伴走支援するほうが望ましいケースも少なくなく、養育・発達支援の機能拡充が必要であると認識をしております。今後のすこやか福祉センター及びこども家庭センターに求められる機能を整理しながら、五つ目のすこやか福祉センターの計画を進めてまいります。
ケアラー支援についてです。現在、ケアラー支援の一つとして、緊急一時入院病床確保事業において、レスパイトを事由とした入院も対象としております。ケアラー支援の充実につきましては、多職種・多機関で構成される在宅療養推進協議会において検討テーマに取上げ、ニーズの把握や支援事業の検討を進めてまいります。
最後にその他で、ごみをテーマとした外国人との交流イベントの評価と今後の展開です。ごみをテーマとした今回のイベントには、日本人と外国人合わせて約50人の参加がありまして、ごみの分別をはじめとした困り事を共有するなど、相互理解につながるものであったと評価しております。一方で、イベントの周知方法や外国の方や子どもたちにもより分かりやすい内容にするなど、改善すべき点があったとも認識をしております。今後は町会や自治会、支援団体と協力しながら、外国の方を中心に、地域の皆さんが抱える生活上の問題についてテーマを設定して意見交換する場を、外国の方や子どもたちが楽しめる文化的なイベントと併せて設けるなど、交流の機会を増やすことに努めてまいります。
〔教育長田代雅規登壇〕
○教育長(田代雅規) 私のほうからは、区長の施政方針説明についての御質問の中からお答えいたします。
まず最初に、鷺の杜小学校の通学路の安全対策として歩道橋を選択した理由とスケジュールについてでございます。歩道橋とした理由は、当該エリアは浸水想定区域であること、また、地下通路の場合に比べ、重機や資機材の搬出入や工事に必要な作業ヤード、近隣住環境への影響が少ないため歩道橋案としたものでございます。今後のスケジュールは、令和7年度に設計を行い、令和8年度から整備工事を行う予定でございます。
続きまして、不登校児童・生徒に対するオンライン学習についての御質問でございます。オンライン学習は、自宅等にいながら児童・生徒一人ひとりに応じた学習がリアルタイムでできるといった効果があり、教育センターに設置している教育支援室において、令和7年度から協同学習アプリやAI学習アプリ等を活用して、登録した児童・生徒を対象にオンライン学習を実施する予定でございます。
次に、きこえとことばの教室のオンライン授業の導入についてでございます。桃花小学校のきこえとことばの教室においては、言語力やコミュニケーション能力の向上を目指すとともに、主体的に困難を解決する力を身につけることができるよう指導しております。今後、児童の状況に応じてオンライン学習を実施してまいります。
〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕
○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、安全安心なまちづくりについてのうち、防犯対策についての御質問でございます。
個人宅への防犯設備助成制度についてです。東京都が個人宅の防犯設備購入等に対する補助事業を検討していることは報道等によりまして承知しているところでございます。東京都の動向を注視しながら対応を検討してまいります。
次に、災害に強いまちづくりについてのうち、初めにトイレつきトレーラーハウスの災害時の活用についてです。災害時におけるトイレの課題につきましては、マンホールトイレや仮設トイレ、簡易トイレ、在宅避難者分を含めました便袋の備蓄を行っているところでございます。災害時における常設プレーパークにあるトイレつきトレーラーハウスの活用につきましては、様々な視点から検討を進めてまいります。
次に、鷺宮小学校跡地における避難所機能についてでございます。鷺宮小学校跡地における避難所機能の必要性を認識しておりまして、建設予定の複合施設などの活用について検討を進めてまいります。また、地域住民の安全を最優先に考えた避難所の運営を目指してまいります。
私から最後に、体育館以外での避難所運営についてでございます。避難所では、避難者数に応じました面積が必要であり、現行避難所では多数の避難者を収容するスペースとしまして体育館を活用しているところでございます。体育館がない場合の施設におきまして、他のスペースの活用により避難所運営が可能となるよう検討を進めてまいります。
〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕
○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、災害に強いまちづくりについてお答えいたします。
初めに、野方一・二丁目地区の防災まちづくりについてでございます。区としても、東京都防災都市づくり推進計画において整備地域に位置付けられている当地区の防災まちづくりの必要性を認識してございます。隣接する平和の森公園西側地区との課題を整理しつつ、野方一・二丁目地区周辺のエリアも含め検討を進めてまいります。
旧中野工業高校実習棟の用地についてでございます。今後予定する野方一・二丁目地区の防災まちづくりの検討に際しまして、用地の活用方策について研究してまいります。
〔都市基盤部長松前友香子登壇〕
○都市基盤部長(松前友香子) 災害に強いまちづくりについてお答えをいたします。
公道と私道の管理の現状についてです。区では、道路監察や区民からの通報により、区が管理している道路の陥没が発見された場合には下水道局と連携し対応してございます。また、下水道管に起因する区管理の道路等の損傷の場合には、下水道局は直ちに区に報告をし、相互に情報共有しながら復旧を行っております。また、区が管理している全ての道路で、道路路面下に生じている空洞につきましては、令和元年度から令和5年度までの間で調査済みでございまして、空洞箇所については補修を行ってございます。私道につきましては、原則としてその所有者が下水道管を含め管理と保全を行っております。区では、私道排水設備助成や私道整備助成を実施し、管理と保全の支援を行っております。
私道を寄附する際の測量費の補助についてであります。境界を確定することは財産を保全する行為でもあり、私道を寄附するための測量については、現在所有者の負担で行っております。私道寄附のための測量費を区が負担することについては、他自治体の事例なども参考に今後研究をしてまいります。
○議長(酒井たくや) 以上で久保りか議員の質問は終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後2時47分休憩
午後3時10分開議
○議長(酒井たくや) 会議を再開いたします。
この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長します。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 浦 野 さとみ
1 区長の政治姿勢と所信表明について
(1)くらしを支える施策について
(2)介護事業者支援について
(3)まちづくりのあり方について
(ア)中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業について
(イ)まちなかでのベンチの設置について
(ウ)西武新宿線の鉄道上部空間の活用について
(エ)その他
(4)次期の基本計画・区有施設整備計画の策定について
(5)平和行政について
(6)給付型奨学金について
(7)その他
2 住まい支援のあり方について
3 障害福祉について
(1)働く人の権利について
(2)放課後等デイサービスと18歳以上の居場所や支援について
(3)その他
4 その他
(1)会計年度任用職員の再度任用について
(2)その他
○議長(酒井たくや) 浦野さとみ議員。
〔浦野さとみ議員登壇〕
○38番(浦野さとみ) 2025年第1回定例会におきまして、日本共産党議員団を代表し、一般質問を行います。
西武新宿線の鉄道上部空間の活用と次期の基本計画・区有施設整備計画の策定については、時間の都合上、別の場で取り上げます。その他は通告どおりです。
初めに、区長の政治姿勢と所信表明について。
くらしを支える施策について伺います。
長引く物価高騰の影響が、住民の暮らしや御商売に多大な影響を及ぼし続けています。国の施策として、物価高に見合う賃金の引上げ、消費税減税や本気の中小企業支援が求められます。同時に中野区が自治体としての公助の役割を発揮すべきです。
物価高騰対策として、先月の臨時会で議決した補正予算、令和6年度価格高騰支援給付金では、区独自の取組として支給対象を令和6年度住民税均等割のみ課税世帯及び令和5年中の合計所得金額の合算額が150万円未満に拡大をしました。以前に続く区独自の対応として評価いたします。同時に、これらの支給対象の合計は約7万8,000世帯と区内全世帯の37%です。この割合は前回より多くなっています。区の歳入が好調である理由に、1人当たりの給与所得増や株式譲渡増などが挙げられていますが、住民の中での格差がますます拡大をしています。区長は所信表明で、「区民生活を守るために必要な対策を講じていく必要がある」と述べています。住民が置かれている現在の状況を格差拡大の観点も踏まえ、どのように認識をされているのか伺います。
気候危機の影響で尋常ではない猛暑の中、エアコンすら使用できない方々がいます。命に関わる問題です。この間、低所得者へのエアコン購入費助成の必要性を繰り返し提案をしてきましたが、改めて検討を求めます。見解を伺います。
今回の年末年始は9連休と長期に及びました。多くの公的機関が閉庁する中、国立市では年末29日と年始4日の2日間、市役所西側広場を会場に「くにたち市年末年始困りごと相談会」が行われました。実行委員会主催で、国立市と国立市社会福祉協議会が後援し、食料や生活用品の配布、生活や労働、法律など、あらゆる相談に対応できる体制で実施され、2日間で延べ250人が利用し、休日勤務として市職員も2名が参加されたとのことです。
2025年から2026年の年末年始も、今回と同じく9連休となります。中野区でも住民の不安解消や課題解決のために長期の年末年始にどういったニーズがあるかを把握するためにも、連休中に相談日を設けることを検討すべきです。その上で、本格的な実施の検討や現在の対応で改善が必要な点を考えることが必要ではないでしょうか。開催に当たっては、区役所1階のナカノバなどを利用することも選択肢になると考えます。併せて答弁を求めます。
生活援護課が窓口となる生活相談の今年度の件数は、今年1月末現在で4,008件と、ここ数年間の同時期では昨年度の4,096件に続く件数です。新型コロナ感染拡大初年度以降高止まりしている状況です。区が2022年3月から3年連続で作成・掲示している「生活保護の申請は国民の権利です」と記したポスターは、今年度はどのような対応をするのでしょうか。制度を必要とする方に正しい情報が届くよう、区の各SNS媒体を積極的に活用し、繰り返しの発信などさらなる工夫が必要と考えます。併せて答弁を求め、次の質問に移ります。
次に、介護事業者支援について伺います。
政府は、訪問介護の基本報酬を2024年4月から2から3%引き下げました。東京商工リサーチ調査によると、昨年4月に報酬を引き下げた訪問介護を主に行う事業者の倒産や休廃業・解散が昨年で529社に及ぶとのことです。過去最多であった2023年を102件上回る急増で、通所や短期入所施設などを含めた介護事業者全体では784社となり、こちらも過去最多の件数です。
この間、会派として区内の介護事業者の実態把握の支援と必要性を繰り返し求めてきました。区長の所信表明の中で、介護サービスを支える人材確保策として介護の魅力を伝えるパンフレット作成が示されました。これ自体は大切なことですが、現場の危機感とは乖離しているのではないでしょうか。
先月、日本共産党議員団として、区内403の介護の全業種事業者へ緊急実態調査を行い、2月10日現在51事業所から御協力をいただきました。現在の経営状況を「とても苦しい」、もしくは「苦しい」と回答された事業者は8割に上ります。以前からコスト高や介護人材不足に加え、報酬減によるマイナスも積み上がり、経営はますます厳しい状況に置かれ、倒産・休廃業・解散が増加し続けることが想定されます。区は事業者の置かれている状況をどのように認識しているのか伺います。
新潟県村上市は、報酬引下げによる減収分を昨年4月の改定時に遡って独自に補助することを決めました。この支援策は、次期の介護報酬改定までの3年間の措置で、介護保険給付等準備基金を取り崩し活用するとのことです。村上市は、政府が訪問介護報酬の引下げを決めた昨年3月に訪問介護事業者にアンケート調査を実施し、「廃止を検討している」などの深刻な声を受け、ゆゆしき事態と危機感を持って支援策の検討に着手し、今回の補助実施につなげています。村上市の高橋市長は、「基金があったので取り崩して充てましたが、なければ一般財源を投入してでもやったと思います。介護資源を守らないとなりません」と述べています。さきに紹介した共産党議員団の緊急実態調査では、「介護職員が少ないため、新規の受入れを断らざるを得ない」という事業者も多くありました。
23区では、世田谷区が独自の支援策を開始しましたが、中野区でも事業者の実態を適切に把握するために緊急調査を行うべきではないでしょうか。そして、その結果を基に必要な支援策を早急に検討すべきです。併せて答弁を求めます。
まちづくりのあり方について。初めに、中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業について伺います。1月の各所管委員会において本事業の検討状況が報告され、事業計画の見直し方針や今後のスケジュールについては3月までに明らかにするとされています。事業スケジュールの遅延により新たに発生する中野区の負担を施行予定者に求めることは当然ですが、施行予定者から新たに示された施設計画変更の配置を見ると、展望施設の保有の在り方一つを見ても、これまでの資金計画の大きな見直しが必須となります。また、住宅棟が全体の6割を占めることが本当によいのか、新たな施設配置イメージ図が本事業のプロポーザルの次点事業者案に類似している点など、公平な事業者選定の観点からも課題があると考えます。区民参加で改めて事業全体の再検討が必要ではないでしょうか。見解を伺います。
今月22日には区民と区長のタウンミーティングが予定されています。区民への説明の機会が必要であることは繰り返し求めてきたため、開催されること自体は評価をします。しかし、定員が30名とのことです。今は本事業の現時点での正確な情報をきちんと住民の方々と共有し、疑問や不安に正確に答えることが重要ではないでしょうか。タウンミーティングに限定せず、住民の方と共有する場の持ち方、回数、参加人数の在り方なども工夫が必要です。答弁を求めます。
まちなかでのベンチの設置について伺います。
この間、誰でも気軽に座れる場所として、まちなかでのベンチの設置について繰り返し求めてきました。所信表明において、「公共的な空間に気軽に腰かけられるスペースを確保して歩きたくなるまちづくりを推進する」と示されたことを歓迎いたします。
まず、歩きたくなるまちづくり全体の考え方について伺います。推進のためには、設置補助などの一つのメニューのみではなく、積極的な仕組みづくりも必要と考えます。道路上でのスペースの確保、施設更新の際に意識的に設置していくことなども大切です。現時点で検討していることについて伺います。
中央区では毎年設置を進めており、中央区ベンチマップでベンチのタイプを明示するとともに、新規に設置した箇所が分かるように可視化されています。中野区が歩きたくなるまちづくりを推進する上で、住民とそのことが共有できることも大切と考えます。この点についての見解も伺います。
1月に都市計画課が主催した景観づくりの考え方に関する講演会において、ベンチは大切にもてなすというメッセージが伝わることが重要とのお話もありました。ぜひこの観点でもこの施策が進むことを願い、次の質問に移ります。
平和行政について1点伺います。
昨年10月、日本原水爆被害者団体協議会が2024年のノーベル平和賞を受賞しました。被爆の実相や核兵器の非人道性を語り続け、核兵器の全面禁止を求める取組を長年にわたり継続し、国際的なうねりを生み出してきたことに改めて敬意を表します。唯一の被爆国である日本が一日も早く核兵器禁止条約を批准することを改めて強く求めます。所信表明では、「今後も、様々な機会を捉えて平和への強い意志を発信していく必要がある」と示され、大事な姿勢として評価いたします。
今年は戦後80年です。平和展示室での年4回の企画展に加え、今年は庁舎1階での企画展や平和のつどいの実施場所や方法も検討していくとのことです。ぜひ一人でも多くの方と平和の尊さを共有できるよう、機会や内容について充実するとともに、区長が所信表明で示された強い意志が伝わるよう取り組んでいただきたいと思います。併せて答弁を求めます。
この項の最後に給付型奨学金について伺います。
これまでも繰り返し大学等の進学に当たっての中野区独自の給付型奨学金制度の創設を求めてきました。品川区が来年度から開始すると表明し、23区では港区、足立区、大田区などが行っています。中野区としては、実態調査により現状把握ができたため、進学や修学に向けた支援の在り方の検討を進めるとしていますが、実施に向けたスケジュールや進め方をきちんと定めて踏み出すべきと考えます。答弁を求めます。
次に、住まいの支援のあり方について伺います。
日本における住まい政策は、居住福祉の視点が欠けていることや住まいにおけるケアの視点の必要性などを多くの専門家が指摘をしています。この間、少子化対策・地域包括ケア調査特別委員会として、地域包括ケアにおける住まい支援や公営住宅等長寿命化計画についての学習会を行い、先日は愛知県岡崎市で「住まい支援」をテーマに視察を行いました。会派としてもこれまでも繰り返し求めてきましたが、先日の視察で学ばせていただいた点を中心に3点に絞り伺います。
新年度に検討している主な取組案では、公営住宅等長寿命化計画の策定が示されたことを評価いたします。同時に、計画は策定して終わりではなく、それをどう具体化、実現するかが重要です。新年度、どのような調査や手法で計画を策定し活かしていくのか、現時点での検討状況を伺います。
先日の視察では、「住まい支援」という調査事項を市のふくし相談課の方が説明してくださいました。まさに冒頭で触れた、日本における住まい政策で欠けている点を解決するための取組を体現されていると感じました。国においても、厚生労働省、国土交通省、法務省の3省合同で居住支援の在り方を議論する検討会が2023年7月から設置されたように、住まいを社会保障の観点で捉えることが大切です。また、住宅と福祉部署の連携なしには住まいの問題は解決しないと考えます。
岡崎市ではその観点で、とにかく現場を知るための努力として、市内全ての地域包括支援センターへのヒアリングや不動産回り、住宅課が福祉部局に通い続けるなどの努力を重ねながら、福祉現場には想像以上に住宅に関するニーズがあることを詳細につかみ、居住支援と重層的支援体制整備事業の連携を組織体制づくりも含めて強めてきたとのことでした。
一昨年の第4回定例会で福祉と住宅部署の連携について確認した際、連携した相談体制を進めることが必要との認識は示されましたが、岡崎市での取組も踏まえ、連携の必要性や体制を進める上での考え方について、住宅課、地域包括ケア推進課、それぞれに答弁を求めます。
岡崎市では、まずは入居時にハードルとなる様々な問題を解決するための入居支援として、協力大家・不動産賃貸業者照会シートを作成し、家を貸す側の不安を解決する取組がされていました。例えば、入居後の行政側の支援として、生活保護ケースワーカーの訪問頻度やヘルパーや医療機関の関わりなどを具体的に記したものを家探しの段階から明らかにし、貸す側の不安を透明化する取組です。さらには身元保証、転居先が決まった後に必要となる引っ越しの準備、現在の住まいの片づけ、引っ越し先での福祉サービスの利用調整、そして死後事務も含めた対応まで、徹底した伴走支援と仕組みづくりがされていました。加えて、家賃滞納での強制退去や債務不履行で強制執行となる前の予防的な居住支援として、生活再建型の債権管理事業の構築まで進んでいることに学ぶことが非常に多くありました。
住まい支援の在り方そのものが問われています。岡崎市などの取組も踏まえ、在り方の再検討も必要と考えます。こちらも住宅課、地域包括ケア推進課、それぞれに見解を伺い、次に移ります。
3番目、障害福祉について。
初めに、働く人の権利について伺います。
障害者基本法では、障害者の自立、社会参加の支援等の施策を推進することを目的に基本原則を定め、国、地方公共団体、事業者、市民の責務を明らかにしています。併せて、障害を理由とした差別を明確に禁止をしています。中野区には、障害者の「働く」「暮らす」「活きる」をサポートする一般社団法人中野区障害者福祉事業団、通称ニコニコ事業団があります。1987年2月に発足し、2016年4月一般社団法人化されました。障害者の就労支援や自立のための支援をはじめ、区役所内の福祉売店の運営なども行っています。また、障害者の自主的な活動をサポートするための中野区障害者社会活動センター、通称スマイルなかの5階の管理運営業務を年間604万円余の委託費で担っています。主な業務内容は、会議室等の貸出し業務です。
今年1月末現在、8名の管理員が三つの時間枠で交代制勤務を行っています。当然ながらニコニコ事業団と管理員の間には雇用契約が生じますが、これまで雇用契約書は存在せず、時給や任用期間などごく限られたものしか記していない発令通知書により勤務が行われていました。また、本来は認められる有給休暇についても示されず、就業規則もありませんでした。昨年から約1年間話合いを重ねる中で、今年度からは2年遡っての有給休暇が付与され、昨年10月からは雇用契約書や就業規則も示され、一定の改善が図られてきました。しかし、これは、働いている方の声と行動があったからこそ改善された側面もあり、障害者の「働く」「暮らす」「活きる」をサポートする場でこうした状況が長年続いていたことは、障害者基本法の理念に照らしてもとても残念でなりません。
また、勤務時間の在り方についてはいまだ改善がされていません。勤務枠はA勤が午前9時から午後1時、B勤が午後1時から午後5時、C勤が午後5時から夜10時となっています。例えば、午前9時から勤務が始まるA勤者の業務内容は、2019年8月に改定された業務マニュアルに、午前9時以前に行うべき業務が八つも記されています。そのため、実際にはA勤者が午前9時前に業務を開始していたにもかかわらず、その部分の賃金は支払われていません。B勤やC勤についても同様です。本来は業務内容を考慮した勤務時間が設定されるべきであり、賃金は支払われるべきです。本事業の委託元である中野区として障害者基本法や労働基準法に照らして、これまでの経過、現在の状況をどのように捉えているのか伺います。
中野区の公契約条例に照らしたとき、本委託業務は対象となる予定価格には含まれていません。また、公契約条例適用の指定管理協定の中には、中野区社会福祉会館の管理運営業務に関する基本協定が含まれていますが、当該委託契約は含まないとのことです。しかし、公契約条例第1条の目的に記されている「契約等の適正化、労働者等に係る適正な労働条件の確保並びに公契約の適正な履行」や、第3条基本方針の(3)では、「受注者において労働者等について適正な労働条件を確保させること」がうたわれています。また、第5条の受注者の責務などに照らせば、委託金額にかかわらず、守られるべきものではないでしょうか。委託すれば、あとは委託事業者任せということもおかしいことです。公契約条例と照らし、勤務時間の在り方や未払いの賃金に関して改善が急がれます。見解を伺います。
併せて、この業務委託契約だけにかかわらず、区の様々な委託業務や指定管理などにおいて契約課がイニシアチブを取りながら、他の部署にも公契約条例の理念や内容を周知し、各部署にそうした意識を醸成することが大切ではないでしょうか。答弁を求めます。
次に、放課後等デイサービスと18歳以上の居場所や支援などについて伺います。
放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づく福祉サービスの一つであり、就学している支援が必要な小学生から高校生を対象とした通所支援サービスです。主に授業終了後や学校休業日に生活能力向上のための支援や交流促進、保護者支援などを担っています。
国が定めるガイドラインでは、放課後等デイサービスと学校との連携が重要視されています。同時に保護者との連携、状況の共有も欠かせません。現在、区内の放課後等デイサービスを利用する子どもたちについて、学校と放課後等デイサービス、保護者と放課後等デイサービスとそれぞれの連携、情報の共有はどのように行われているのか伺います。
放課後等デイサービスの利用は原則高校卒業までとされているため、それ以降においては総合支援法に基づき他のサービスを利用することになります。多くの方は特別支援学校卒業後は、午後6時まで利用できる放課後等デイサービスが利用できなくなり、生活介護や就労継続支援B型などのサービスに移行します。しかし、午後3時頃に終了するため、保護者にとっては自らの就労とも大きく関わり、保護者の多くは放課後等デイサービスと同等のサービス継続を強く求めています。障害のある青年・成人の生活や余暇をどう支援していくかが問われています。休養も当然必要です。また、高齢の保護者にとっては、自らが病気などで支援の主体を担えなくなった場合などの心配は尽きません。兄弟への支援も必要です。これらを保護者、御家族任せにしない仕組みづくりが必要です。江古田三丁目に整備される地域生活支援の多機能拠点の完成が待望されていますが、この完成により全ての課題が解決するわけでもありません。
区は18歳以上の障害のある青年・成人の居場所、夕方支援について現段階でどのような実態把握、検討をされているのでしょうか。東京都の包括補助を活用しての居場所支援も検討が必要ではないでしょうか。伺います。
また、移動支援、宿泊型自立訓練やグループホームなどの居住系サービスなども、選択肢を少しでも広げる努力が必要です。答弁を求めます。
障害者の就労については、福祉サービスの意向調査において、健康状態に合わせた働き方、自分の障害に合った仕事があることを求める声が上位を占めています。また、区内の障害者就労継続支援B型事業所の平均工賃月額は約1万7,000円で推移していますが、さらなる工賃の向上も必要です。見解を伺い、この項の質問を終わります。
最後にその他で、会計年度任用職員の再度任用について伺います。
昨年6月末、総務省において会計年度任用職員に関する事務マニュアルの改正が行われ、勤務実績に基づきながら、公募によらず再度の任用を行うことができる回数上限の廃止がされました。取扱いについては各自治体の判断となり、他の自治体で見直しが図られています。再度任用に制限がある不安定な勤務を続けることは、働く方にとって不安が多くあります。同時に、中野区でも多くの会計年度任用職員が業務を担い、専門的な知識や技術・知見を有する方もおり、採用する区にとっても人材確保の観点で課題があります。会計年度任用職員の再度任用の制限廃止については、昨年の第3回定例会の総務委員会において中野区での検討を求めましたが、先ほど述べた課題解決のためにも早く結論を出していただきたいと思います。見解を伺い、全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 浦野議員の御質問にお答えいたします。
まず初めに、区民が置かれている現在の状況についての認識でございます。特別区民税は1人当たりの給与所得の増などによって堅調な伸びを見せているということで、全国的な賃金上昇の影響は区民の収入にも及んでいると認識をしております。一方で、実質賃金の前年同月比はマイナスの状況が続いておりまして、物価上昇に対して賃金の上昇が十分に追いついていない状況があります。また、食料品など生活必需品の高騰により生活が困窮している方もいるなど、支援が必要な方が数多くいるものと認識しておりまして、今後も必要な対策を講じていきたいと考えております。
エアコン購入費助成についてです。低所得世帯等へのエアコン購入費助成については、リスクの高い高齢者の住環境の向上などの側面から、令和7年度に区として必要な支援策を検討してまいります。
年末年始の相談会についてです。年末年始など長い期間閉庁する際には、早期の相談を促すとともに、都が臨時で開所している支援の窓口について区も協力しながら対応しているところでございまして、今後も東京都との連携も図ってまいります。
生活保護のポスターのSNS活用についてです。生活保護のポスターにつきましては、現在庁舎内のデジタルサイネージや区のホームページで公開しておりまして、今年度も3月頃にポスターを作成し、区の施設や掲示板への掲示を予定しております。掲示期間に合わせ、区のSNSでも周知を図る予定でありまして、今後も効果的な広報手段の活用を図ってまいります。
介護事業所の状況についてです。訪問介護の事業所は、令和7年1月現在79事業所と令和6年3月時点と比べると2事業所増えておりまして、区内の介護サービス事業所は、入れ替わりはあるものの一定数は保たれていると考えております。各事業所の経営状況はまちまちでございますが、人材確保が難しいとの声を聞くことは少なくございません。来年度は介護人材の裾野を広げるために介護の仕事の魅力を紹介するパンフレットの作成を予定しておりまして、都や国の施策と併せて人材確保策に取り組んでいく必要があると考えております。
介護事業所の状況把握と支援についてでございます。区では物価高騰の影響を把握するため、昨年11月に区内の介護サービス事業所を対象としたアンケートを実施しました。影響を受けていると回答した事業者も少なくなかったことから、都の物価高騰対策と併せ、地域密着型介護サービス事業所への支援を行ってまいります。今後も健康福祉審議会における意見交換や介護保険事業計画の各種調査などによって事業所の状況を把握し、状況に応じた支援を検討してまいります。
中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業についてで、事業の再検討についての御質問です。区としては、施行予定者からの事業計画見直しの提案について、事業の成立性、当初提案内容や事業計画内容の継承性、手続の公平性・中立性といった観点から確認をし、事業計画見直し方針として採用できるものかどうかを判断してまいるところでございます。
タウンミーティングについてです。本事業について区長から現状を説明するということで、2月22日にタウンミーティングを行う予定であります。また、2月20日付区報でも本事業の現状についての掲載を予定しております。今後必要に応じて意見交換会等の実施も検討してまいります。
歩きたくなるまちづくりの考え方についてです。区は、都市計画マスタープランにおいて自分らしい豊かな暮らしを地域全体で支え合う都市づくりを進めていくこととしておりまして、区の目指す都市の実現に向け、歩きたくなるまちづくりの推進は重要な取組の一つであると考えております。併せて、歩きたくなるまちづくりの推進は、まちのにぎわい創出や区民の健康増進も期待できるなど、区が目指す活力ある持続可能なまちづくりの実現に寄与していくものと考えております。
ベンチ設置の進め方についてです。民有地へのベンチ設置補助だけでなく、区が管理する土地や施設においても気軽に腰かけられるスペースの確保を積極的に進めていくことが大切であると考えております。区道、公園や区有施設などにおいて適切なスペースがないかを順次調査を進めていきたいと考えております。
ベンチ設置箇所の周知についてです。区内の公共空間にはあまり利用されていないベンチ等が複数箇所あると認識をしております。ベンチ等の設置については、区民等への周知方法とともに、周辺環境を踏まえた配置の見直しなど、より効果的なベンチ設置のあり方についても検討してまいります。
平和啓発事業について。区は「憲法擁護・非核都市の宣言」を行い、中野区における平和行政の基本に関する条例を制定し、平和に向けた取組を進めてまいりました。戦争体験者が少なくなってきている今、より一層の平和啓発事業の推進に取り組んでいきたいと考えております。終戦から80年を迎える来年度におきましては、より多くの区民の方に御覧いただけるよう、終戦記念日に合わせて庁舎1階を広く活用し、例年よりも充実した形で展示等を行うことを検討してまいります。また、平和のつどいについても、若い方も含む多くの方に平和の尊さを共有できるよう、実施方法を検討してまいります。
給付型奨学金制度についてです。区は、区内の高校2年生年齢の子どもと保護者を対象とした令和4年度子どもの生活実態調査におきまして、高校卒業後の進学や修学に関する現状を把握し、調査の分析結果を踏まえ、支援の在り方について検討を進めてきたところであります。令和7年度において全庁的な検討体制によって給付型奨学金制度の創設に向けた検討を進めていく考えでございます。
〔都市基盤部長松前友香子登壇〕
○都市基盤部長(松前友香子) 住まい支援のあり方についてお答えいたします。
公営住宅等長寿命化計画につきまして、同計画は予防保全的な観点から公営住宅の修繕計画や改善計画を定め、住宅を長寿命化することで更新コストを削減及び平準化し、長期的に安全で良質な住宅の供給を目的に策定するものでございます。
策定に当たりましては、住宅の劣化状況や修繕履歴の点検・調査、ライフサイクルコスト分析に基づく修繕や更新の優先順位付け、将来的な建て替えを見据えたシミュレーションの作成など、専門的かつ精緻な分析が必要な部分を委託し、その成果や関連計画との整合を図りながら区として計画を取りまとめてまいります。
福祉部門と住宅部門の連携についてです。住まい支援は各担当や所管が個別に対応するのではなく、住まい探しから入居中、退居を含めた継続的な支援という目的に対し、行政と民間の住宅部門、福祉部門が協同・連携して取り組むことが重要であると考えております。中野区では行政の住宅部門と福祉部門、不動産団体や福祉の関係機関等で構成される官民の垣根を超えた居住支援協議会が令和3年に設立されており、今後も増加が見込まれる住宅確保要配慮者と民間賃貸住宅のオーナー双方に対し、切れ目のない支援を行ってまいります。
住まい支援のあり方についてです。中野区では、住宅確保要配慮者の入居支援から、住み替え、福祉サービスの利用調整、入居後の見守りなどトータルな住まい支援を居住支援協議会と連携しながら進めているところでございます。165店舗の協力不動産店に物件の紹介を依頼する際には、より円滑に進むよう支援状況の詳細を記載した住み替えシートを送付してございます。また、職員が協力不動産店を訪問し、制度への要望の聞き取りや意見交換、住宅確保要配慮者への理解促進に努めており、その成果としてセーフティネット専用住宅は増加をしているところでございます。今後も、岡崎市を含め他自治体の居住支援協議会の取組等も参考にしながら、住まい支援を推進してまいりたいと考えております。
〔地域包括ケア推進担当部長石井大輔登壇〕
○地域包括ケア推進担当部長(石井大輔) 私からは、住宅部門と福祉部門の連携について地域包括ケアの立場から御答弁申し上げます。
先日、地域包括ケア推進パートナーシップ協定を締結している居住支援法人と意見交換を行ったところでございまして、居住支援法人側からは、区のつなぎ先の窓口が分からないとの声もあり、すこやか福祉センターなどの区の窓口のほか、民生委員なども地域の身近な相談役であることを伝えたところでございます。民間事業者も参加する地域ケア会議や居住支援協議会などの場におきまして、住宅部門、福祉部門双方の現状と課題を共有するとともに、連携した事例を積み重ねていくことが必要であると考えております。
続きまして、住まい支援のあり方の検討についてでございます。今後、増加が見込まれる事業者による終身サポートを踏まえ、国は令和6年6月に高齢者等終身サポート事業ガイドラインを策定しておりまして、その中でも行政機関との連携や調整の必要性が明記をされております。住まい支援に当たりましては、居住支援法人など民間事業者との連携強化が必要でありまして、地域ケア会議や居住支援協議会などにおきまして課題として取り上げていきたいと考えております。
〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕
○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、障害福祉についての御質問のうち、まず障害者社会活動センターの管理運営業務についてお答えいたします。
区は、中野区公契約条例におきまして、受注者に対して公契約であることを認識し、法令を遵守するとともに、労働者等に係る労働条件を適切なものとするよう努めることを求めてございまして、雇用契約書等については、公契約条例の趣旨を踏まえて適切に改善されてきたものと考えてございます。また、管理人の勤務時間につきましては、障害者福祉事業団から、今年4月から管理人の勤務時間の一部変更を行うことを検討している旨聞いてございまして、今後とも公契約条例の趣旨を踏まえて適切に対応するよう求めてまいります。
次に、放課後等デイサービスにおける連携等についてでございます。学校と放課後等デイサービス事業所におきましては、子どもの支援内容や環境の変化などを共有するため、事業所が学校行事を見学することなどによりまして、子どもの状況を把握するとともに、保護者の同意を得た上で教育・福祉・子育てに関する支援機関が集まり、子どもの様子や支援に関する情報交換を行うなど連携を図っているところでございます。また、保護者と放課後等デイサービス事業所につきましては、各事業所におきまして定期的な個別面談のほか、保護者間の懇談の場や療育について学ぶ機会を設けるなどの取組を行ってございます。
次に、夕方支援の検討状況についてでございます。夕方支援につきましては、利用者・保護者ニーズの把握、障害者通所施設との意見交換や協議を重ねた上で、運営方法や実施場所などの体制整備の検討を進めていく必要がございます。現在、事業実施に当たっての需要調査や課題把握を進めているところでございまして、この調査結果を踏まえ、今後財源確保を踏まえたさらなる検討を進めてまいります。
次に、障害福祉サービスの拡充についてでございます。区では障害福祉サービスの実施に当たりまして、利用者に対して障害福祉サービス意向調査を実施した上で、障害福祉計画において必要な事業及びサービス見込み量を算定しているところでございます。今後も障害福祉サービスの実施に当たりましては、サービス利用者や障害者団体などからの御意見を踏まえながら、必要な見直しや充実、整備に向けた取組を進めてまいります。
私からの最後に、区内事業所の工賃向上についてでございます。区は、障害者の自立した生活を支えるため、工賃水準の向上を図る必要があると考えてございまして、これまで障害者就労施設が安定的に仕事を確保することができるよう共同受注促進事業や自主生産品等の販売会の実施を推進してまいりました。今後は、こうした取組に加えまして、新たな自主生産品の開発や受注機会の拡大を進めてまいります。
〔総務部長濵口求登壇〕
○総務部長(濵口求) 私からは、働く人の権利についての御質問のうち、公契約条例の理念等の周知についてお答えいたします。委託業務や指定管理業務におきまして、労働者の労働条件が適正に確保されるよう公契約条例の理念等の庁内周知を徹底してまいります。
次に、その他の質問にお答えいたします。会計年度任用職員の公募によらない再度任用の上限回数の撤廃でございます。区では、総務省が示す地方公共団体向け会計年度任用職員に関する事務マニュアルを踏まえ、専門的な資格や知識、経験等を要する専門職の会計年度任用職員については、公募によらない再度任用の上限回数を原則2回として運用を行ってきたところでございます。このたび総務省の事務マニュアルの改正を受けまして、区では安定的な人材確保の観点から検討を行い、令和7年度に任用する会計年度任用職員から公募によらない再度任用の上限回数を撤廃することといたします。
○議長(酒井たくや) 以上で浦野さとみ議員の質問は終わります。
中野区議会議員 内 野 大三郎
1 施政方針説明について
(1)中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業について
(2)その他
2 防災対策について
3 千光前通りのまちづくりについて
4 中野駅周辺の放置自転車対策について
5 海外留学支援について
6 カスタマーハラスメント対策について
7 その他
○議長(酒井たくや) 次に、内野大三郎議員。
〔内野大三郎議員登壇〕
○23番(内野大三郎) 令和7年第1回定例会において、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問をいたします。質問は通告のとおりで、その他で2点お聞きいたします。
1、施政方針説明について。中野四丁目新北口駅前地区市街地再開発事業についてです。いわゆる区役所・サンプラザ跡地問題についてです。
現在進めている第一種市街地再開発事業に決めたそもそもの決め手は何だったのでしょうか。計画作成当初と諸条件が異なり、施行予定者もこのまま進めていくことが困難な状況が続いていると思われます。今でもその開発手法が他の手法よりも優位性があるとお考えでしょうか。
施行予定者の事業計画見直し内容について区が同意できない場合、協定書による合意解除に向けて協議を進めていくことになると思われます。そこで、現在の施行予定者との事業計画協議が不調に終わる、つまりお互いが合意解除することになった場合には、今後このエリアの再開発はどのように進んでいくことになるのでしょうか。
続いて2、防災対策についてです。
東京都では、世界一安全・安心で強靭な都市づくりを目指し、災害の脅威から都民を守る取組が進められています。特に地域防災力の強化・共助の推進に力を入れており、来年度予算でも86億円を確保、前年度比約1.6倍の予算となりました。その中でも新規事業としての町会・自治会加入促進や防災備蓄倉庫設置助成など、中野区民にとっても有益な事業メニューが並べられています。そのうちの一つとして、商店街の防災力向上緊急支援事業について都と区の連携ができないかお伺いします。
制度の趣旨としては、いつ起こるか分からない震災などに対して、平日、日中に区内にいる時間が通勤で区外に出られている方々よりも圧倒的に長い商店街の皆様に、いざというときの防災力の向上に寄与してもらおうというものです。その助成額は最大30万円で、申請のある都内の750団体に対して支給されるものです。
一方で、この商店街の皆様は防災の専門家ではありません。その上、地域によって防災危険度は様々で、地元事情はそれぞれ複雑であります。そこで予算をかけずにこうした商店の皆様にどのような資機材を準備したらよいのか、専門的知見を有する職員などからアドバイスをする仕組みを構築してみてはいかがでしょうか。
地盤に関する情報など、地域性による資機材の提案をする機会を設けることにより、地元に真に必要な物資が準備され、結果としてその地域の安全・安心で強靭な都市づくりに資すると思われますが、いかがでしょうか、区の見解をお聞きします。
続いて3、千光前通りのまちづくりについてです。
中野二丁目再開発事業と土地区画整理事業が佳境に入り、現在は駅前ロータリー整備と線路沿いの坂道の基盤整備が行われています。新しく開業したまちに隣接する千光前通りとその沿道についてはかなり時間をかけて地元の地権者や商店主などと勉強会などを積み重ねてまいりました。間口を最も大きく接道しているJRとも情報の共有が図られるなど、今後のまちづくりには、地元に長く生活する者としても大変期待をしているところです。
そこで、これまでどのような経過をたどり、また現在の進捗と将来の計画などを分かっている範囲でお答えいただけますでしょうか。
4、中野駅周辺の放置自転車対策についてです。
昨年も同じ質問をさせていただきましたが、これまでの対策の総括をしていただきたいと思います。
現在、駅周辺は、工事ヤードの移動などで駐輪場も転々としている状況でありますが、工事現場近くではないところで、歩行者動線から外れたところなど、まだまだこうした死角に自転車を放置している場所が散見されます。1月29日の建設委員会で、「中野駅周辺エリアマネジメントの今後の方向性について」という報告がなされました。この中で、「3.新たな推進体制へ伴走型による移行の効果」の項で、「官民連携により、民間のアイデアや資産の拠出、区による規定整備や規制緩和によるバックアップ、双方の強みを生かしたエリアマネジメント活動が推進されるとともに、まちなかウォーカブル区域での民地部分と街路等の公共空間との一体的活用が促進される」とあります。
また、令和6年12月3日の建設委員会で「歩きたくなるまちづくりの推進について」という報告もなされました。この中で、「3.今後の取組の方向性」の項で、「公共的空間において「賑わう」「憩う」「安らぐ」ことのできる場の確保」、「歩行者と自転車等がともに快適に移動できるような環境の整備」が示されています。中野駅南口の中野通り丸井前や中野駅北口三井住友銀行前など、とてもウォーカブルとは言い難い現状があります。一つの提案ではありますが、このような放置自転車が多い公共的空間において、他部署との連携によりベンチなどを設置するなどの整備を行い、人々が「賑わう」「憩う」「安らぐ」空間となることで自転車等を放置しにくい環境を創出でき、放置自転車対策になるのではないかと考えますが、区の見解をお聞きします。
この項でもう一つお聞きします。新しくできた中野駅南口のサウステラでは、公共空間が生まれ、まさにウォーカブルになろうかと思っていたのですが、サウステラ敷地の北東の角にはスポーツクラブに子どもを送り迎えする自転車や各店舗に行く自転車などが常時放置自転車として置かれてしまっています。当然管理会社としても自転車駐輪場への誘導を懸命にしているのですが、民地であることと、その民地に行政が取り締まりに来ないことが知れわたっているのか、一向になくなる気配はありません。こうした公開空地の放置自転車対策について全国でも問題となっているところがあろうかと思いますので、他の自治体の事例などを積極的に学び、中野の放置自転車対策に活かしていただきたいと考えますが、区の見解をお聞かせください。
続いて5、海外留学支援についてです。
東京都は、令和7年度予算で所得制限のない新たな海外留学支援制度を検討しています。この制度は、主たる生計維持者が都内在住で、本人が国内の大学に在学する大学生を対象とし、留学を通じて国際的な視野を広げ、グローバル人材を育成することを目的としています。具体的な内容としては、短期コースにおいては年間500名を、中長期コースでは年間100名を募集し、令和8年度に派遣するとしており、支援額は渡航費や授業料などを、短期コースでは最大90万円を、中長期コースでは最大135万円を支援。さらに、現地での生活費として月に15万円の支援をする内容です。これだけの支援を受けて留学できるのであれば、かなりの倍率の応募があると思われます。そこで、東京都版海外留学制度(大学生等向け)に応募したものの選外となった区内の学生さんに、オンライン留学の支援やニュージーランドのウェリントンとの交流の延長線上に大学との交流事業を構築するなど、区として都の制度と連携した海外留学支援を検討し、若者のチャレンジをサポートしてはどうでしょうか。
続いて6、カスタマーハラスメント対策についてです。
東京都では、令和7年4月1日から全国初のカスタマーハラスメント防止条例が施行されます。この条例は、顧客から従業員への不当な要求や暴言などのカスタマーハラスメント(カスハラ)を防止し、働く人々の安全と健康を守ることを目的としているものです。全国で初めての条例で、カスタマーハラスメントを明確に規定し、防止に向けた取組を義務付けるものです。条例では、顧客による理不尽なクレーム、暴言、脅迫、過度な要求などをカスタマーハラスメントとして定義、これを防ぐための基本理念を定めています。
条例の特徴としては、カスハラ防止を社会全体で取り組むべき課題として位置付け、顧客、事業者、従業員、東京都がそれぞれの責務を果たすべきとしています。事業者には、従業員がカスハラを受けた場合に適切に対応する責務が求められます。例えば、カスハラ防止のための社内ルール整備、従業員への研修・啓発活動、被害を受けた従業員の安全確保とサポートなどが挙げられております。
中野区においても、昨年の総務委員会において、カスタマーハラスメント対策については、庁内に検討体制を設置し、具体的事例の整理や対応ガイドラインの整備等、必要な対応について検討していくとの報告がありました。東京都の事例などを参考に、中野区でもガイドライン等の整備を進めていただきたいと考えますが、現在の区の検討状況をお聞きします。
また、今後検討が進み、対応ガイドライン等が完成した場合には、庁内の関係部署と連携し、希望のあった区内の事業者に情報提供するなど、中野区内の各事業所で働く人々が安心して働ける環境に資する働きかけを検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
7、その他で2点お聞きします。
区長の施政方針説明において、DXを推進することによって職員の働き方を改革すること、当初予算(案)の概要では、総務部の取組として、障害のある職員の職場環境向上のため、ジョブコーチ等による支援を行うなど、全ての職員が働きやすい職場の整備に取り組む考えが示されました。新庁舎において、多機能ユニファイド・コミュニケーションなど、職員の執務環境が一新された今こそ、DXの視点で職員の働き方を変えていくこと、障害者を含む全ての職員が活躍できる職場環境づくりを進めていくべきと考えています。さらに、障害者雇用促進の観点でいえば、令和6年度から地方公共団体の法定雇用率は2.8%に引き上げられており、区として障害を持った職員の採用に積極的に取り組むべきと考えています。区としての見解を伺います。
2点目に、他の自治体では、各部署における作業、消耗品の管理などを集約して取り組む職場を庁内に設置することで、障害のある方の就労機会確保と各課の業務効率化を実現している事例もあるとお聞きしています。全ての職員が活躍できる職場環境の整備やよりよい区民サービスの提供にもつながるものであり、率先して取り組むべきと考えます。ジョブコーチの採用と障害のある職員の支援体制を来年度も継続すると思いますが、先ほど紹介したような業務集約による職場配置についてどのようにお考えでしょうか。お尋ねして全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 内野議員の御質問にお答えいたします。
初めに、中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業について。この再開発事業の決定理由についての御質問です。
中野駅新北口駅前エリアの再整備に係る事業手法につきましては、再整備事業計画に基本方針として示しておりまして、市街地再開発事業が法令に基づく手法で手続の公正性・透明性が担保されていること、各地権者の資産についても法令に基づいて評価をされ、権利変換や転出補償が行われること、補助制度や税制優遇などによって確実な事業進展が見込めることなどから、市街地再開発事業で進めることが妥当としております。
事業手法の優位性についてです。区としては、本地区の再整備に当たり、市街地再開発事業が総合的かつ計画的に進めるための事業として適切であると考えているところであります。一方で、施行予定者と事業を進めるのが困難な場合には、工事費の高騰や中野駅周辺の他事業の進捗など、社会背景や周囲のまちづくりの状況が変化していることも踏まえ、対応を考えていきたいと考えております。
次に、合意解除した際の今後の事業の進め方についてです。仮に施行予定者からの事業計画見直し案が区として採用、同意できないものであれば、施行予定者と協定の解除に向けて協議を進め、再公募についても検討することになります。
次に、千光前通りのまちづくりについてでございます。
進捗状況と将来計画について。中野二丁目地区市街地再開発事業を契機に、2020年1月に千光前通り周辺のまちづくりを考える会が発足をいたしました。令和4年にはアンケート調査を実施し、令和5年からは意見交換会を開催して、まちの現状、課題、将来像についての想いを共有してまいりました。本年度は、歩きやすくにぎわうまちの実現には、当地区の多角的視点が必要であることから、千光前通り沿道のテナントオーナーや来街者にヒアリングを行い、ウォーカブルなまちの検討を行っております。また、沿道北側に土地を有するJRとも密に情報共有を図っているところであります。
今後は、これまでの意見交換会で出されたまちの現状、課題、将来像に加えて、ウォーカブルなまちの視点を取り入れた地域ブランドの向上を図るためには、地域の方々が主体となった協議会が必要と考えております。来年度は協議会を立ち上げ、地域の方々が考えるまちづくり基本方針を取りまとめていきたいと考えております。
〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕
○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、防災対策について。初めに、商店街へのアドバイスについてです。
多くの人が集まる商店街に防災資機材が配備されることは、さらなる地域防災力の向上に有効であると認識してございます。区内の商店街が本事業を活用する場合には、防災危機管理課の視点から、効果的な資機材についてアドバイスを行うなど支援をしてまいります。
私から最後に、地域性による資機材の提案についてです。区内の商店街には水害の発生しやすい地域や多くの人が滞在する地域など、様々な特性があると認識してございます。このことから、商店街の地域特性を十分に把握しまして、適切な資機材を提案することにより、地域の安全・安心で強靭な都市づくりを目指していきたいと考えてございます。
〔都市基盤部長松前友香子登壇〕
○都市基盤部長(松前友香子) 中野駅周辺の放置自転車対策についてお答えいたします。
歩きたくなるまちづくりと併せた放置自転車対策について。区は、歩きたくなるまちづくりには、人々が歩きたい、過ごしたいと感じることのできる空間や居場所づくりが必要と考えており、今後ベンチの設置も含め、庁内関係部署の連携の下、取組の具体化を図っていくこととしております。放置自転車対策におきましても、これまでの警告、指導、撤去といった対応だけではなく、自転車を放置しにくい環境整備が必要と考えており、庁内関係部署と連携を図りながら具体的な検討を進めてまいります。
次に、公開空地における放置自転車対策についてです。再開発等で整備された公開空地に放置される自転車等の対応は、原則公開空地の所有者が行うべきと考えておりますが、他自治体の事例について研究してまいります。また、今後も鉄道駅周辺の自転車利用者に対し、区営自転車駐車場を適正に利用するよう、案内誘導や啓発などを行ってまいります。
〔子ども家庭支援担当部長森克久登壇〕
○子ども家庭支援担当部長(森克久) 海外留学支援の御質問にお答えいたします。
区は、区内の高校2年生年齢の子どもと保護者を対象とした令和4年度子どもの生活実態調査におきまして、進学や修学に関する現状を把握し、大学、専門学校をはじめとした高等教育費が家計にとって大きな負担となっていることを把握したところでございます。当該分析結果を踏まえまして、海外留学支援も含め、義務教育終了後の若者支援の今後の展開につきまして検討を進めてまいります。
〔総務部長濵口求登壇〕
○総務部長(濵口求) 私からは、カスタマーハラスメント対策の御質問のうち、まず検討状況についてでございます。
東京都のカスタマーハラスメント防止条例が施行されることを受けまして、区においても職員が安心して働く環境を整備し、区民サービスの安定的な提供を図るため、関係部署からなるプロジェクトチームを設置し、カスタマーハラスメント対策の検討を進めているところでございます。今後、カスタマーハラスメント対策における庁内のルールを整理し、職員向けの研修や啓発、職員の安全配慮を行うための方策などを取りまとめ、区の基本方針やガイドラインを定めていく予定でございます。
次に、カスタマーハラスメント対策の区内事業者への展開についてでございます。カスタマーハラスメント対策は、区内で働く誰もが安心して働ける環境の整備に必要な取組であり、区が作成する対応ガイドラインを区内事業者にも御活用いただくことで区全体として取組の推進が図られ、ハラスメントを防止する機運の醸成につなげたいと考えてございます。今後庁内の関係部署と連携し、区内事業者に対する取組の周知や情報提供を行う効果的な方策について検討を進めてまいります。
次に、その他の質問で、障害者雇用の促進についてでございます。まず、障害のある職員の採用について。新庁舎移転を契機とした執務環境の向上やジョブコーチなどによる支援体制の充実を図り、積極的に発信していくことで、中野区が就職先として選ばれるよう採用活動に一層力を入れていく必要があると考えてございます。また、障害のある職員が就職後も安心して勤務を続けられるよう、障害の有無にかかわらず、職員同士が連携しながら職務に取り組める職場づくりを進めることによって、法定雇用率の達成を含めた多様な働き方を一層推進してまいります。
次に、業務を集約する職場の設置についてでございます。業務を集約する職場については、障害者雇用促進、各部業務の効率化、双方の視点で効果が期待できると認識しております。他区の事例についても承知しているところでございます。多様な働き方を一層推進する取組として、業務を集約する職場の設置に向け、具体的に検討を進めてまいります。
○議長(酒井たくや) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。
中野区議会議員 河 合 り な
1 災害対策について
(1)復興の事前準備について
(2)母子避難所について
(3)福祉避難所等の確保について
(4)その他
2 障害の理解促進・ふれあい交流事業について
3 地域での歩きたくなるまちづくりについて
4 保育園・幼稚園について
5 その他
○議長(酒井たくや) 次に、河合りな議員。
〔河合りな議員登壇〕
○14番(河合りな) 令和7年第1回定例会に当たり、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告どおり、その他はありません。
1、災害対策について。
昨年の能登半島地震から1年が経過しました。我々は、大きな災害が起こるたびに明らかとなった教訓を次の備えとしてきました。施政方針説明にも書かれていたとおり、南海トラフ地震など、大規模地震の発生する可能性は高まり、危惧されています。国では本気の事前防災のための組織が必要と、令和8年度中の防災省の創設に向けて準備を進めていると報道がありました。これまでも会派から、耐震化促進、木密地域の不燃化、避難所環境の充実、NPO等との連携推進、受援計画やトイレ計画等様々提案してまいりましたが、常に災害対策を見直す意識で区に取り組んでいただくため、お伺いいたします。
(1)復興の事前準備について。
大きな災害を生き延びても、復興が遅れると経済的な間接被害、先の見えない絶望からの関連死にもつながります。災害発生直後からの被災地域の再建・復興を重視した対策の推進が望まれています。本区の復興計画は地域防災計画に掲載されており、中野区政のBCPも策定され、優先順位は明確ですが、どちらも実践的復興の視点では課題が残ります。復興マニュアルの充実、早期改定が必要です。
令和3年3月内閣府、復旧・復興ハンドブックでは、地方公共団体が迅速かつ円滑な復旧・復興への取組を支援する仕組みが示されております。区では職員の復興マニュアルを作成していますが、関連機関等の行動も記載し、想定し得る連携、職員向けだけではないきめ細やかな復興準備を目指すべきです。区として復興対策についての認識と、併せてマニュアル改定を含めた現時点での復興の事前準備の進捗についてお伺いいたします。
国土交通省において、防災・減災対策と並んで復興事前準備が重要と示されています。令和7年度予算では、事前防災・事前復興まちづくりの推進が計上されました。事前復興まちづくりは、国の事前復興まちづくり計画検討のためのガイドラインによると、「災害が発生する前から復興まちづくり計画の内容について充分な検討を行い、住民を含む関係者と中長期的なまちのあり方も含めて議論し、復興まちづくりの目標や実施方針等をとりまとめておくことにより、実際に被災した場合でも、適正な規模、内容の復興まちづくり計画の検討、計画の策定期間の短縮、復興まちづくり事業の早期着手が可能になる」とあります。
区では、これまで被災時の被害を減らすために、着実に防災まちづくりを前に進めてきました。今後は、被災後の都市復興を迅速に進めるためのまちづくり視点として事前復興準備が必要と考えます。事前復興まちづくりについて、区の認識と課題をお示しください。
(2)母子避難所について。
令和6年12月、危機管理対策等調査特別委員会にて、妊婦及び母子を対象とした二次避難所の考え方についての報告があり、助産院が母子避難所に指定されました。これまで会派からも継続的に母子避難所開設を要望しており、大いに評価いたします。今後、母子避難所や母子・乳幼児向けの二次避難所となる保育園、緊急対応の病院等へと妊産婦の状況に応じて振り分ける必要があります。そのためには、在宅避難者を含めて妊産婦全員を確認することが必要となりますが、どのようにするか区民には明らかにされていません。まずは、在宅避難者を含めた妊産婦全員の状況把握の実施方法についてお示しください。
本区に開設予定の母子避難所は、収容人数が限定され、希望者が全員入れる形式ではありません。自宅の状況と体調によっては、在宅避難や避難所にとどまる方も出てきます。避難所の対応を示す避難所運営マニュアルの令和4年度更新分を幾つか確認いたしましたが、乳幼児や母子等の配慮の記載はありますが、妊娠期の表記は見つかりませんでした。被災度の高い地域の妊産婦ほど、妊娠異常の頻度が高く、流産率の上昇、低出産体重児の出生率増など、母子の命の危機と直結していると調査報告もあり、配慮が必要な状況です。
妊娠期は外見から分かりにくい時期でも、過度に身体負担をかけてはならず、ホルモンバランスなど関係者以外からは分かりづらい心身トラブルもあり、その特性を踏まえた支援が必要です。次期マニュアル改定はいつ頃になりますでしょうか。表記を妊産婦とし、要配慮者も含め、それぞれの当事者や関係者では気づきにくい配慮についても具体的に追記してはいかがですか。
妊産婦や乳幼児は避難に時間と支援を要します。その時期だけの防災用品を用意したり、特有の心身トラブルなど、殊さらに注意を払わねばならないことが多々あります。しかし、災害時に自分たちが要配慮者となることを知らない方も多くいます。母子避難所設置を契機に、特別な防災準備や災害対策が必要となることを、妊産婦当事者、家族等の関係者へ周知すべきです。内閣府では、必要な備えや発災時、避難生活においての行動などを記載する「あかちゃんとママを守る防災ノート」、世田谷区では、直接避難はできない旨を表記した上での母子避難所があることを記載した防災リーフレットが作成されています。区でも、周知徹底のため、妊産婦・乳幼児のための災害に備える情報を記載したリーフレット等を作成し、妊娠届を出す際にお渡ししてはいかがでしょうか。
(3)福祉避難所の確保について。
先ほどもお伝えしましたが、本区に開設予定の母子避難所は収容人数が限定されており、在宅避難で自分から申し出なければ、状態のよくない方が本来優先されて母子避難所に入るべき対象なのに、既に満員となっていることがあり得ます。他の福祉避難所でも同様のケースが想定されます。区の公共施設や福祉施設の数は限られる中、「区の考え方は地域防災計画からお読み取りください」では、不安に感じている方々には伝わりません。準備した福祉避難所が満員であって、不足の場合、次に区が想定している対応をお示しください。
関連して、本区では障害がある方など要配慮者向けに避難行動要支援者名簿、個別避難計画を作成していますが、対象となる方々からは、被災したらどうなるのかと不安の声を幾度も伺い、周知不足を感じています。福祉避難所はどのような状態ならば、誰の判断で行けるのか。在宅から福祉避難所へ直接利用できるのかなど、詳しく御理解いただく必要があります。要配慮者の方々には、団体等を通じて福祉避難所のことを含めた避難行動を明確に情報提供をするなど、伝わりやすい取組を検討してはいかがでしょうか。
2、障害の理解促進・ふれあい交流事業について伺います。
先日庁舎1階ナカノバで実施されたパラスポーツの体験会では、福祉作業所の出店もあり、通りすがりの方も参加して大きな盛り上がりを見せました。これまで会派から、ユニバーサルデザインの観点で多様な外出機会の保障に取り組んでまいりましたが、障害理解促進においても、障害のある方を含めた多様な方々の社会参加の機会を増やし、それが日常となる風景を本区でも目指していただきたいと強く願っています。
閉会中の厚生委員会にて、「障害の理解促進・ふれあい交流事業について」が報告されました。今までは、運動以外の機会は小規模で少なかったところに予算が提案されたことを大いに評価いたします。
本事業は、小学校親子向けの障害のある方との交流事業です。子どもの頃から、障害のある方を含めた多様な方々と身近に接する機会を増やすことは大変重要です。障害理解に関心の薄い方や、これまで参加できていない障害がある方も参加対象とし、さらなる理解促進を目指していただきたいと考えます。例えば、脳波を使ってドローンを飛ばすイベントがあり、これはイベント自体が魅力的で、かつ身体を動かせない状態の方でも参加できる工夫があります。一緒にメタバースの世界を体験したり、視線で操作できるゲーム、またスポーツ以外の切り口で、アート、音楽、ダンスなど様々な取組や実施団体が多数あります。今後もNPOなどにも協力いただきながら、魅力的でどんな障害の方でも参加しやすい事業を検討してはいかがですか。
先ほどは交流等の事業の話でしたが、私は障害のある方々、多様な方々の社会参加が当たり前になってほしいと考えています。例えば、区内で実施される大きなお祭りやイベントごとに、障害者ブースとしてではなく、一出店者として並んでいただけるよう、関係づくりや仕組みづくりが必要です。まずは様々な福祉団体がいることを多くの方に知ってもらい、それぞれの団体で何ができるのか、どんな形で参加できるのか、分かりやすく伝えていく工夫が求められます。区が関係するイベントには積極的に声かけをする方針から始め、区内で実施されるイベントには多様な福祉団体を紹介できる仕組みづくりなど、福祉団体がイベント参加できる機会を広げてはいかがでしょうか。
障害のある方の御家族や関係者からは、青年期の居場所について以前より御要望を頂いております。これまでも会派から、福祉作業所や居場所の拡充を求めてまいりましたが、社会活動の機会を増やしていくことも重要です。働きたい意欲があっても場所は少なく、目にする機会も少ないのが現状です。厚生労働省の令和6年障害者雇用状況によると、法定雇用率達成企業の割合は46%となっています。働く姿を多くの方に見せる機会があれば、同じ障害のある方の励まし、障害のある子どもや関係者の希望となります。また、その場に企業の雇用をする方を招くことで、自社でも障害者就労の可能性を見いだせるかもしれません。ぜひ未来につながる、障害のある方を対象とした就労体験事業をナカノバ等の開かれた場所で実施してはいかがでしょうか。
これまで様々な御提案をさせていただきましたが、障害理解促進事業を駅周辺だけで実施しても、区全域で影響は及ぼしません。地域での理解促進に努めていく必要があります。成功した事業をパッケージ化して、地域と連携実施、取組の巡回など、身近な地域で開催できる工夫をしていくことで区内全域での参加者を増やすこともできます。区内全域での障害理解促進となる仕組みを検討してはいかがでしょうか。
3、地域での歩きたくなるまちづくりについて。
これまで、会派の細野議員より、スマートウェルネスシティと歩きたくなるまちづくりの観点からベンチの設置を求めてまいりました。来年度予算に歩きたくなるまちづくりの推進として、気軽に腰かけられるスペースの確保の推進が提案されたことを評価いたします。細野議員の質疑に、今後進められるまちづくりの中で、関係所管部署と連携しながら、ベンチや歩行者が気軽に座れる場所の確保についても検討していきたいと答弁がありました。ベンチ設置の視点で住んでいる地域を見渡すと、様々な公有地や区有施設にも置けそうな場所はありましたが、今後は都市基盤部を旗振り役としても、それぞれの施設等、管理所管に協力していただくこととなります。物事を横断的に進めていくためには、庁内全体で取り組んでいくという理念が必要となります。また、歩きたくなるまちづくりを進めるための効果的なベンチを設置するには、一定の考え方の整理が求められます。今後改定される基本計画の中に、「歩きたくなるまちづくり」という言葉とともに、組織横断的にベンチ設置が進むよう記載してはいかがですか。併せて、ベンチ設置の方針整理も検討してはいかがでしょうか。
閉会中の建設委員会において「歩きたくなるまちづくりの推進について」が報告されました。今後のベンチ設置が、中野駅周辺など、まちづくりを進めている地域でしか進まないこと、考え方の整理のために何年もかかってしまうのではないかということを懸念しています。区民参加のまちづくりについては、会派の斉藤ゆり議員と細野議員より質疑を予定しておりますので、私からは早期の地域での取組について伺います。
区内全域で取り組めば、しばらくまちづくり等の計画がない地域にも変化を呼び込み、居住エリアの環境向上につながり、区が思い描く歩きたくなるまちづくりの期待と希望を地域に共有できます。自分の住む南中野地域においては、例えば散歩の人が行き交う神田川沿い、交通結節点で人通りも多く、既に広い歩道や拡張中のセットバック部分がある方南通り、この通りには栄町公園や弥生公園、ポケットパークも面しています。諸条件は確認していませんが、大きな工事をしなくともすぐにベンチを設置可能スペースは、地域の方がよく歩く場所にも見つかりました。歩きたくなるまちづくりの具現化と理解促進のためにも、早期に都市基盤部が関わる場所において優先条件を整理し、ベンチ設置を進めてはいかがですか。
ベンチだけ置いても、夏場の暑熱対策を進めないと、歩きたいと思えるまちにはなりません。来年度の国土交通省では、まちなかウォーカブルの推進事業の予算の中で、緑陰の創出や日よけ、保水舗装、冷却効果の高い施設の設置に対して暑熱対策事業を創出、支援を実施するとしています。今後の区が進める歩きたくなるまちづくりに併せて暑熱対策も検討してはいかがでしょうか。
4、保育園・幼稚園について。
令和6年12月、こども家庭庁から「保育政策の新たな方向性」が示されました。これまで保育事業は待機児童対策を中心とした保育の量の拡大でしたが、「1.地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実」、「2.全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取組の推進」、「3.保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改善」、この三つの柱を軸に推進していくとのことです。
保育に関して会派からも、変化に適応するために先手を打って検討を進めていく必要がある旨は何度も要望してまいりました。今後少子化が進んでも、多様かつ質の高い保育を受ける権利は全ての子どもにあります。国からも求められる役割が増加する中で、今後も幼保共通化が進むと考えられることから、これまで保育園に入れなかった1号認定の子どもの居場所も踏まえ、幼稚園を含めた全体で多様な保育の受け皿を用意する必要があります。また、施設へのアクセス保証や環境整備も自治体の責務です。さらに、区立園では率先して多様な保育を実現していく必要があります。
区では、保育・教育の考え方を示した保育の質ガイドラインを策定していますが、これは施設向けの基本的な指針で、施設配置や更新における区の役割などは記載されていません。区立保育園の建て替え整備の考え方、区立保育園の定員調整の考え方、今後の区立幼稚園の在り方は、それぞれ個別に報告がありました。区立保育園の今後の建て替え計画は、次期区有施設整備計画の中で明らかとなると考えます。区の考え方では、保育定員と保育需要との均衡が取れている間は区立保育園を存続させ、区立保育園は六、七園を存続させることとしています。アクセス保証の面からも、数を減らすのではなく、定員が減った空間を医療的ケア児の対応や一時保育やこども誰でも通園制度で使えるよう、保育需要の変化に対応できる柔軟な施設とすべきです。区立保育園の数や区立幼稚園のこども園化を議論する前に、国の方針転換を契機に、区としてまずは区立保育園・区立幼稚園の在り方を考え、明確に示してはいかがですか。
現状、区内保育園の大半は私立保育園に担っていただいている状態です。長きにわたり区の保育を支えていただいている事業者もあり、民間保育施設の大規模修繕支援として老朽化した私立園の改修に係る大規模修繕工事費の補助を計画的に実施することを令和7年度予算に計上しております。保育園は学校施設とは違い、私立園でも区の影響が強く及んでいる以上、区も協力していく責任があるということを示したとも言えます。今後は建て替えを検討する園も出てくるでしょう。現地建て替えは該当園に通う子どもたちの環境に大きく影響するため、代替地が必要となります。過去、区立園を民営化していく際は、公園や公共施設の建て替え予定地を使いましたが、現時点であれば、学校再編等で空いている土地など代替利用検討の余地があると考えます。私立保育園に相談されてから代替地を検討するのではなく、各園の状況把握と意向を確認した上で、今後の建て替えのための区有地確保を検討してはいかがでしょうか。
以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 河合議員の御質問にお答えいたします。
初めに、災害対策について。復興対策の認識と復興の事前準備の進捗についてでございます。
震災復興対策につきましては、被災前の日常生活を一日でも早く取り戻せるよう、住宅、福祉、医療、産業など、生活に関連した支援を横断的に行う必要があると認識をしているところであります。震災後の復興を効果的に行うために、あらかじめ復興に向けた取組や手順を明確にする必要があり、中野区震災復興マニュアルの改定について検討してまいります。
復興事前準備に関する区の認識と課題についてです。大地震発生の可能性が高まっている中、あらかじめ地震等に対する危険性や脆弱性を取り除く、あるいは減じていくことが重要でございまして、復興事前準備の視点を持ったふだんからの取組が必要であると認識をしております。現在、この復興事前準備に関しては都市基盤所管が担当しておりまして、防災危機管理所管や防災まちづくり所管等とのより一体的な連携体制の構築が課題となっております。今後は、これらの所管を含めた全庁的な連携の下に、各地域の課題共有や地域との協働による復興事前準備の取組を効果的に推進していきたいと考えております。
次に、母子避難所についてで、妊産婦の全員の状況把握についてでございます。災害時における在宅避難者を含めた妊産婦の全員の状況把握につきましては、母子保健システム等から必要な情報を収集し、電話連絡や直接訪問等の方法により実施をする予定であります。
次に、避難所運営マニュアルの改定についてです。現在、避難所運営マニュアルの改定については、令和6年度中を目途に改訂案を作成し、避難所運営会議で示していけるよう進めておりまして、妊産婦をはじめとした要配慮者の具体的な支援について盛り込むことも検討してまいります。
続いて、妊産婦等の災害時のリーフレット等の作成についてでございます。災害時に要支援者である妊産婦等が適切な避難行動が取れるよう、関係所管と連携をして、妊娠届時に災害に備える情報を記載したリーフレットなどを配布することについて検討してまいります。
次に、福祉避難所が満員の場合の対応についてでございます。中野区地域防災計画では、二次避難所である福祉避難所が不足する場合には、指定以外の高齢者や障害者、保育園等の社会福祉施設を臨時の福祉避難所として指定することになります。
続いて、要配慮者への避難行動の情報発信についてでございます。災害時に障害がある方などが適切な避難行動が取れるようにするために、直接障害者関係団体等との話合いの機会を設けるなど、分かりやすい情報発信について検討してまいります。
続いて、障害の理解促進・ふれあい交流事業についてで、障害のある方が参加しやすい交流事業についてです。令和7年度障害の理解促進・ふれあい交流事業は、小学生親子が区内障害者就労施設利用者と一緒に自主生産品の作業体験を行う事業や盲導犬の体験事業の実施を検討しております。今後も広く障害の理解を促進していくため、交流の方法、参加者の募り方、実施時期や会場などを幅広く考慮して、様々な取組を行っている団体や当事者等の意見も伺って、障害のある方が参加しやすい事業を実施してまいります。
次に、区内イベントへの参加についてです。共生社会の実現には、障害者の社会参加を促進する必要があると考えておりまして、これまでもなかの東北絆まつりや地区まつり、総合防災訓練など様々なイベントに参加してまいりました。今後も障害者団体が区内で実施されるイベントに参加しやすいよう、団体の意向も踏まえながら主催者と調整するなど工夫をしてまいります。
就労体験事業について。区は、障害者福祉事業団とともに障害者の就労支援を進める中で、ハローワークなどの関係機関と連携をし、就職した障害者と障害者の雇用を考える企業が参加する就職準備フェアを開催し、企業での実習を開拓するなど、障害者と企業のマッチングを進めてまいりました。御提案のような庁舎1階のナカノバを活用した就労支援事業の実施についても、関係機関と調整してまいります。
次に、障害理解事業の区内全域での展開についてでございます。令和7年度は庁舎1階での実施を検討しているところでありますが、今後広く障害の理解を促進していくため、実施地域や会場の選定など、幅広く考慮しながら事業内容を構築していく考えでございまして、区内の各地での実施も含め検討してまいります。
続きまして、地域で歩きたくなるまちづくりについての質問で、歩きたくなるまちづくりの進め方についてでございます。歩きたくなるまちづくりの推進は、区有施設の活用のほか、まちのにぎわい創出や区民の健康増進などにも効果を及ぼすということから、全庁的な取組が必要であると考えております。次期基本計画の策定に向けては、ベンチ設置の方針等も含め、歩きたくなるまちづくり推進の在り方について検討を進めていきたいと考えております。
ベンチ設置の早期取組についてでございます。区道、公園や区有施設などにおいて、ベンチや腰かけられる適切なスペースがあるか調査を進めていきたいと考えております。安全性の確認のほか、人通りや周辺環境等も考慮しながら、適切な候補地については積極的にベンチ等の設置に取り組んでまいります。
歩きたくなるまちづくりと併せた暑熱対策についてでございます。歩きたくなるまちづくりを実現するためには、人々が心地よく過ごせる環境づくりが必要でありまして、暑熱対策も重要な取組の一つであると考えております。ベンチの設置については、日よけや樹木による日陰の確保も考慮するなど、夏でも過ごしやすい環境の整備を検討してまいります。
〔子ども教育部長石崎公一登壇〕
○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、保育園・幼稚園についての御質問についてお答えいたします。
初めに、区立保育園・区立幼稚園の在り方についてでございます。昨年12月にこども家庭庁から保育施策の新たな方向性が示され、これまでの待機児童対策を中心とした政策から、「全てのこどもの育ちの保障と、安心して子育てできる環境の確保」へと転換されました。今後、区も、国の方針や地域の需要を踏まえた区立保育園・区立幼稚園の在り方について検討してまいります。
続きまして、私立保育園の建て替えに向けた区有地の確保についての御質問でございます。私立保育園の施設整備につきましては、各園と意見交換を行っているところでございます。新園舎への建て替えについては10年以上先になると見込んでございます。まずは、来年度から大規模修繕支援事業を開始する予定でございます。具体的な建て替え計画がない中で土地を確保していくことは難しいと考えてございますが、新園舎の建て替え時にどのような支援ができるかにつきましては、庁内関係所管と連携を図りながら検討してまいります。
○議長(酒井たくや) 以上で河合りな議員の質問は終わります。
中野区議会議員 伊 藤 正 信
1 鍋横区民活動センター等整備について
2 区民公益活動に対する助成について
3 快適で魅力ある住環境について
(1)中野区道路舗装維持管理計画について
(2)中野区空家等対策基本計画について
(3)公営住宅等の維持管理計画について
(4)その他
4 その他
○議長(酒井たくや) 次に、伊藤正信議員。
〔伊藤正信議員登壇〕
○31番(伊藤正信) 令和7年第1回定例会に当たり、自由民主党議員団として一般質問をいたします。
まず初めに、鍋横区民活動センター等整備について伺います。
新しく整備される鍋横区民活動センターは、地下1階、地上5階で敷地面積1,087平米、建築面積545平米、延べ床面積が2,542.70平米、建物高さが22.3メートルで、昨年12月に基本設計が示されました。これまでも区の担当者と地域で活動する区民の意見を酌み取っていただき、基本設計ができたことは感謝しております。
地域住民の地域自治活動の拠点として、地域の自主的な活動・交流を目的とした施設として、利用者に分かりやすい動線、建物全体を管理しやすい全体計画を軸に、各部屋や交流スペースが配置されています。その他、北側公共自転車駐車場249台程度の近隣住民が利用しやすい位置に配置され、周辺地域を所管する交番は、近隣住民の安全を守るシンボルとして施設内に併設されています。
東側1階ピロティは、鍋横商店街通りに面し、全面開放可能な出入口を設けて、建物内部と外部が一体的なつながりを生む施設配置としておりますが、この1階の平面計画の特徴や施設の効率・効果などをどのように考えたのか伺います。
地下1階の多目的ホールは約194平米で、現在の鍋横区民活動センターの一番広い洋室1号の120平米よりも広くて、スポーツや講演、上映会など大人数が利用できる規模になるようですが、特徴を伺います。
安全で安心な施設として利用者の視点に立って、誰もが利用しやすく、ユニバーサルデザイン、バリアフリーの観点から、有識者の方々などから審査や考え方、助言などを実施設計に入る前の早い時期に対応していかなければならないと考えますが、見解を伺います。
さらに、地球環境に優しい施設として環境負荷低減につながる建物設備をどのように取り入れたのか伺います。
1月24日・25日、鍋横区民活動センターにおいて説明会が開催されましたが、どのような意見交換が行われたのか伺います。
来年度はいよいよ実施設計と分室の解体設計が始まります。今後、地域に対してはどのように対応されていくのか。また、スケジュールはどのようになっていくのか、併せて伺います。
次に、区民公益活動に対する助成について伺います。
区民公益活動に対する助成は、平成18年4月1日施行の中野区区民公益活動の推進に関する条例に基づき、平成19年度から開始した政策助成制度を中心に行われてきました。制度開始当初の平成19年度から平成23年度までは、おおむね申請額どおりの交付となっていましたが、平成24年度から平成30年度にわたり一律案分となり、交付申請額に占める支給額の割合は60%台となる状況が続いてきました。
この状況に対応するため、その後予算の増額を行ったものの、残念なことに、令和2年度から令和5年度の間は、新型コロナウイルス感染症の拡大により活動自体が休止や中止に追い込まれる事態になりました。この間は申請事業数も例年の50%ほどに落ち込み、二次募集をかけるも予算に残が生じる状況になってしまいました。また、地域コミュニティの希薄化による孤独・孤立化や、外出しないことによる認知症の発症や進行、体力の低下が社会的課題となってまいりました。
コロナ5類への移行後は、地域での活動が回復し、新規事業も立ち上がるなど、令和6年度の地域区民公益活動は再び活発となり、コロナ前の状況を上回る傾向になってきました。活動が回復してきた令和6年度は予算額を上回る申請額となり、一律での案分とはならなかったものの、審査評価点により100%交付の事業がある一方、交付率80%弱に案分される事業も出てくる状況となっています。
こういった背景もあり、長年地域に定着し、区内15の地域の全てで行われ、数多くの地域団体の方々が関わり、極めて公益性の高い地区まつり、青少年育成地区委員会の事業については、事業経費の安定した確保による今後の継続性を鑑み、改めて政策助成制度とは切り離す必要があると強く感じているところであります。
このような状況を想定し、昨年第1回定例会総括質疑において、我が会派の高橋ちあき議員から、中野まつり、地区まつりについて区の認識を伺い、復活予算要望でも地区まつりや青少年育成地区委員会の事業については、財政基盤の安定の観点から、政策助成制度ではなく制度変更を要望したところでありますが、次年度に向けての区の見解を伺います。
また、地区まつり、青少年育成地区委員会以外で、地域の居場所として活動している団体も、これから地域での活躍が期待されるところでもあり、地域に定着し、育っていくことを応援、支援する必要があると考えますが、今後の支援について区の見解を伺います。
次に、快適で魅力ある住環境についての三つの項目について伺います。
まず初めに、中野区道路舗装維持管理計画について伺います。
道路は、人・物を安全・安心及び円滑に移動させるという重要な役割を担っており、道路舗装の維持管理は住民の生活に大きな影響を及ぼしています。高度経済成長期の人口増加や利便性の向上を目的に、道路等の多くの都市基盤整備、インフラが整備され、適切に管理されていますが、道路の多くが整備後数十年を経過し、今後、道路舗装の老朽化がますます進行し、財政負担の増加が懸念されています。
舗装の平均的耐用年数は30年と評価されていますが、中野区では過去の実績や経験から、一般道における耐用年数を50年と評価しています。主要幹線道路などのバス通りや大型車両の通行が多い路線においては路線の劣化の進行が一般道に比べると早いため、中間での改修を考慮するとされています。
中野区の道路総延長は約367キロメートルであり、道路舗装の点検方法として、国土交通省が定める評価方法としてMCIという数値があります。評価目安は、MCI3相当の劣化状況は、ひび割れが全体的に見えて、わだちも見える状況で、すぐに補修が必要とされます。MCI4相当の劣化状況は、ひび割れが複数見えて補修が必要とされます。MCI5相当の劣化状況は、ひび割れが一部見えて、すぐに必要はないが、経過観察が必要とされます。MCI5.1以上は問題なしとされています。これまで路面性状調査をどのような方法で行われたのか、MCIを算出した結果はどのような割合だったのか伺います。
また、長期的にMCI値4.0以下の解消並びに平均MCIの値の改善をどのように考えていくのか、維持管理に必要な予算の査定も考えていく必要がありますが、お考えをお伺いいたします。
今後、道路舗装維持管理計画を改定するに当たり、課題や内容をどのように検証され、作成されていくのか伺います。
今後の維持管理に関する短期・中期的な計画策定及び予算の平準化を図り、無理のない持続可能な維持管理、かつ区民への安全性・信頼性を確保することを期待しております。
先月28日に埼玉県八潮市で道路が突然陥没する事故が発生してから、陥没した穴に転落したトラックの運転手がいまだ安否不明です。この水道管は1983年に敷設されたもので、鉄筋コンクリート製の直径4.75メートルの管で、耐用年数は約50年とされていますが、既に42年が経過しており、老朽化が懸念されています。また、2022年度には全国で2,600件の道路陥没事故が発生していると言われております。先ほども久保議員からも質問がありました。中野区では管理する道路について、路面下に発生している空洞をどのように調査して把握されているのか伺います。
今回の事故は災害と言ってもおかしくはないと思います。首都直下地震によるインフラ、ライフラインの中野区の被害想定では、上下水道で約2割が断水し、使用できなくなることが想定されています。能登半島地震でも、道路、上下水道のインフラの甚大な被害が発生しており、避難所生活に大きく影響しました。八潮市の道路陥没事故の影響により、市民が避難所へ避難している状況でもありました。中野区でも同様なライフラインの事故があった場合、どのような対応を図るのか、区の見解を伺います。
次に、中野区空家等対策基本計画について伺います。少子高齢化の進行や建築物の老朽化、社会ニーズの変化により、使用されていない建築物や土地が全国的に増加し、現在では全国で900万戸あります。そのうち東京では89万戸あり、中野区においても適切に管理されていない建築物等が、防災、衛生、景観等、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすことが懸念されています。
平成27年5月に空家等対策の推進に関する特別措置法が完全施行されたことを受けて、空家法の規定を前提としながら、地域の実情に応じた区独自の対策を進めるため、平成30年10月に中野区空家等対策基本計画を定め、当時の中野区の空き家等の実態としては、平成25年に総務省統計局が実施した住宅等に関する統計では、中野区の空き家数は2万8,560戸、空き家率13.7%と豊島区の3万370戸、空き家率15.8%に次いで、全国や東京23区全体の空き家率よりも高い割合であることが分かりました。
区では、平成28年度に空き家等の現状を把握するため、区全域の住宅系建築物のうち、空き家の一戸建て住宅及び大半が空き家となっている長屋、共同住宅を対象として中野区空家等実態調査を行い、外観目視による空き家を抽出し、登記簿、空家等所有者意向調査の結果と突合させて、852棟の空き家が存在することが確認されました。その852棟の空き家の所有者に対してどのような対応をされたのか伺います。そしてまた、これまでの期間、どの程度改善されたのか伺います。
住宅が空き家になる要因や問題は、所有者の様々な事情があると思いますが、問題点を導いて解決していかなければならないと考えます。これまで計画に基づいて、まちづくり推進土地建物協議会と協定を締結して、空き家相談及び現場調査、所有者への助言指導、各種相談等が実施されてきておりますが、今後この事業をどのようにされていくのか伺います。また、区として空き家対策に対してどのように取り組んでいくのか。空き家を一軒でも減らすことができるよう、快適、安全な魅力ある住居環境をつくるために取り組んでいただきますよう要望いたします。
最後に、「公営住宅等の維持管理計画について」となっておりますが、正しくは「公営住宅長寿命化計画」でございます。質問いたします。
中野区の管理する住宅は14団地453戸、高齢者福祉住宅が8棟130室、障害者福祉住宅2棟26室あります。区営住宅においては、昭和42年に建築されたアパートが一番古く、昭和時代に建築された団地は11団地もあり、ほとんどが築50年以上を超えており、こうした老朽化した住宅の効率的な管理と更新を目的として、住民の生活の質を向上させ、持続可能な住宅供給を進めていかなければならないと考えます。
子育て先進区という中野区として子育て世帯に適した住まいの確保や家事のしやすさなどに配慮され、子育て支援施設等の設置や子育て支援サービスの提供にも配慮された優良な住宅を整備することも重要と考えますが、区の見解を伺います。
公営住宅は、予防保全的な観点から修繕や改善の計画を定めて長寿化による更新コストの削減と平準化を図り、安全で良質な住宅等を長期的に確保して提供していくことが大切です。区営住宅等の長寿命化計画を策定するに当たりどのように取り組んでいくのか区の見解を伺いまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。
初めに、鍋横区民活動センター等整備について。
1階の平面計画についてでございます。新たな鍋横区民活動センターの1階は、ロビーと窓口が大きな部分を占めますが、ロビーはオープンスペースとなっておりまして、地域の住民が気軽に立ち寄り交流できるカフェコーナーを配置しております。また、鍋横通りに面してイベントなどを行えるよう、エントランスの外側にはピロティを配置しておりまして、多様な地域のにぎわいと交流活動によって幅広い世代に親しまれる拠点となることを目指しております。
多目的ホールについてでございます。地下にある多目的ホールは、軽スポーツをはじめ、多目的な利用が可能な仕様となっておりまして、現在の鍋横区民活動センターの青少年ホールの1.5倍以上の広さを備えております。また、ホールの出入口部分についても、利用者が休憩や交流のために活用できるよう、十分なスペースを確保しております。
ユニバーサルデザイン、バリアフリーについてでございます。来年度から実施設計に取りかかりますが、今年3月に有識者の方々に基本設計をお示しし、御意見等を頂く機会を設ける予定であります。頂いた御意見等はできる限り実施設計に反映してまいります。
環境負荷軽減につながる建物設備についてでございます。新たな鍋横区民活動センターは、いわゆるZEB Ready相当を目指した施設として省エネルギー、再生可能エネルギーの積極的な利用、高断熱化などを行ってまいります。具体的な設備内容については、実施設計において決定をしてまいります。
説明会における意見交換についてでございます。基本設計の説明会には22名の参加がありまして、多目的ホールの広さや床の仕様、建物全面と鍋屋横丁通りの関係、また工事期間における安全配慮などについての御意見・御質問がありました。
今後の地域対応及びスケジュールについてでございます。来年度は新たな鍋横区民活動センターの実施設計と区民活動センター分室の解体設計を行うことを予定しております。その後、令和8年度から令和10年度まで工事を行い、令和10年度中の開設を見込んでおります。今後も建設検討委員会における協議や地域説明会等を適宜行い、地域との十分な意見交換を行いながら整備を進めてまいります。
次に、区民公益活動に対する助成についてで、地区まつり、青少年育成地区委員会への助成についてでございます。これらの地区まつりや青少年育成地区委員会の事業につきましては、地域住民間のつながりや特色ある地域づくりのために実施してきたものでありまして、その公益性の高さを考慮し、次年度よりそれぞれ別枠の助成制度に変更するとともに、補助率の引上げを行う予定でございます。
今後の公益活動団体への支援についてです。ここ二、三年は、乳幼児親子を対象とした取組のほか、多文化共生、多世代交流など、活動の裾野が広がってきておりまして、区民による多様な居場所づくりが活発に行われております。一方、定着したスタッフの確保や安定した運営費の確保など団体の課題として挙がっておりまして、具体的な人材確保、資金調達の手法に関して公益活動推進協議会で議論するほか、社会福祉協議会と連携をした団体支援を行っていく考えでございます。
〔都市基盤部長松前友香子登壇〕
○都市基盤部長(松前友香子) 快適で魅力ある住環境についてお答えをいたします。
まず、中野区道路舗装維持管理計画についての御質問です。路面性状調査の方法、調査結果についてでございます。平成26年度に路面性状測定車などを用いた調査を実施いたしました。当時の調査結果は、調査延長約375キロメートルに対して、補修が必要なMCI4.0以下が22%、経過観察を含め良好な状態であるMCI4.1以上が78%との結果でございました。
長期的な補修費の算定についてです。補修費の算定に当たりましては、MCIの改善を図るよう現場の状況に応じて表層の打ち換えや路盤の補修等、適切な補修工法を選定してまいります。
中野区道路舗装維持管理計画の見直しについてです。平成27年度の計画では、約10年後にMCI4.0以下の大幅な増加が懸念されており、現状既に劣化が進行している路線も見られるところでございます。令和7年度に路面性状調査の実施を予定しており、平成27年度の計画と比較して劣化傾向を踏まえた改定を行う予定でございます。
続いて、空洞調査の方法についてです。区が管理している全ての道路で、道路路面下に生じている空洞については、令和元年度から令和5年度までの間で調査済みでございます。調査方法は、空洞探査車でレーダーを照射し、取得したデータを解析することで空洞の可能性がある箇所を抽出しております。異常反応があった箇所については、試掘やスコープ調査を行い補修をしております。
続きまして、中野区空家等対策基本計画についての御質問です。空き家所有者への対応及び改善状況についてです。区が空き家であることを把握した場合には、所有者等に対し助言や注意喚起を記載した文書を送付してございます。文書を受けた所有者等が相談に来訪した場合には、相談対応や専門の相談窓口の紹介等を行い、適正に管理するよう働きかけております。令和7年1月末現在、区が把握する空き家棟数は613棟であり、そのうち、適切に管理されそのままの状態でも利活用が可能なランクAが117棟、一部修繕が必要であるランクBが234棟、建物に損傷があるランクCが195棟、建物に明らかな損傷があるランクDが67棟となってございまして、調査時点の852棟から239棟減少した状況でございます。
続いて、空き家対策に係る事業についてです。まちづくり推進土地建物協議会には、中野区空き家の電話相談窓口と専門的判断が必要な物件の現地調査を委託しております。また、大家さん向けの居住支援セミナーにおいて、司法書士が空き家予防に関する講演も行っております。電話相談窓口につきましては、令和7年度から東京都の事業である空き家ワンストップ相談窓口に一本化することとし、当該協議会には、現地調査の委託を強化し、さらに迅速な対応を行ってまいります。また、新たに特定空家等及び管理不全空家等に関する調査の委託を予定してございます。
今後の空き家対策についてです。空き家対策は、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき実施しており、管理不全空家等に関する制度として、令和5年12月に創設された特定空家及び管理不全空家の認定体制について、令和7年度中には具体的運用を開始したいと考えております。また、令和7年度に空家等実態調査を予定しており、その結果を踏まえ、令和9年度に中野区空家等対策基本計画の改定を予定しているところでございます。
続いて、公営住宅等の長寿命化計画に関する御質問です。子育て世帯に配慮した住宅について。子育て先進区の実現には、子育てしやすい環境の整備と子育て世帯が定住しやすい住まいづくりが重要であると認識をしてございます。長寿命化計画の策定に当たりましては、子育て世帯も含めた入居者支援の在り方を踏まえ検討してまいります。
公営住宅等長寿命化計画の策定についてでございます。計画の策定に当たりましては、住宅の劣化状況や修繕履歴の点検・調査、ライフサイクルコスト分析に基づく修繕や更新の優先順位付け、将来的な建て替えを見据えたシミュレーションの作成など、専門的かつ精緻な分析が必要な部分を委託し、その成果や関連計画との整合を図りながら、区として計画を取りまとめてまいります。
〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕
○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、快適で魅力ある住環境のうち、中野区道路舗装維持管理計画のライフラインの事故があった場合の対応についてお答えいたします。
八潮市と同規模のライフラインを伴う大きな事故が発生した場合には、中野区災害対策本部を立ち上げまして、関係機関と連携の下、避難所の開設や必要な対策を行ってまいります。
○議長(酒井たくや) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。
お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(酒井たくや) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後5時12分延会
会議録署名員 議 長 酒井 たくや
議 員 広川 まさのり
議 員 伊藤 正信