令和7年06月04日中野区議会本会議(第2回定例会)
令和7年06月04日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

.令和7年(2025年)6月4日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  高  橋  ちあき         2番  山  内  あきひろ

  3番  武  井  まさき         4番  日  野  たかし

  5番  木  村  広  一        6番  斉  藤  けいた

  7番  井  関  源  二        9番  大  沢  ひろゆき

 10番  武  田  やよい        11番  広  川  まさのり

 12番  いのつめ  正  太       13番  間     ひとみ

 14番  河  合  り  な       15番  市  川  しんたろう

 16番  加  藤  たくま        17番  甲  田  ゆり子

 18番  小  林  ぜんいち       19番  白  井  ひでふみ

 20番  吉  田  康一郎        21番  立  石  り  お

 22番  小宮山   たかし        23番  内  野  大三郎

 24番  い  さ  哲  郎       25番  細  野  かよこ

 26番  斉  藤  ゆ  り       27番  杉  山     司

 28番  ひやま      隆       29番  高  橋  かずちか

 30番  大  内  しんご        31番  伊  藤  正  信

 32番  平  山  英  明       33番  南     かつひこ

 34番     欠  員          35番  石  坂  わたる

 36番  むとう   有  子       37番  羽  鳥  だいすけ

 38番  浦  野  さとみ        39番  山  本  たかし

 40番  中  村  延  子       41番  酒  井  たくや

 42番  森     たかゆき

.欠席議員(1名)

  8番  黒  沢  ゆ  か

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  青 山 敬一郎

 副  区  長  栗 田 泰 正      教  育  長  田 代 雅 規

 企 画 部 長  岩 浅 英 樹      総 務 部 長  濵 口   求

 防災危機管理担当部長  吉 沢 健 一   区民部長、窓口サービス担当部長 高 橋 昭 彦

 文化・産業振興担当部長 高 村 和 哉   子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 森   克 久  地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔

 健康福祉部長  杉 本 兼太郎      保 健 所 長  水 口 千 寿

 環 境 部 長  浅 川   靖      都市基盤部長  松 前 友香子

 まちづくり推進部長  角   秀 行    中野駅周辺まちづくり担当部長 千 田 真 史

 企画部企画課長  中 谷   博      総務部総務課長  永 見 英 光

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  堀 越 恵美子      事 務 局 次 長  分 藤   憲

 議事調査担当係長 鈴 木   均      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  森 園   悠

 書     記  北 村 勇 人      書     記  梅 田 絵里子

 書     記  川 辺 翔 斗      書     記  志 賀 優 一

 書     記  竹 中 雅 人      書     記  堀 井 翔 平

 書     記  稲 葉 悠 介      書     記  砂 橋 琉 斗

 

 議事日程(令和7年(2025年)6月4日午後1時開議)

日程第1 第54号議案 令和7年度中野区一般会計補正予算

 

午後1時00分開議

○議長(森たかゆき) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 この際、御紹介申し上げます。令和7年3月28日付で本区教育委員会委員に就任されました岡本淳之さんを御紹介申し上げます。

〔教育委員会委員岡本淳之登壇〕

○教育委員会委員(岡本淳之) こんにちは。教育委員に再任いただきました岡本淳之です。2期目ということで、求められている役割、責任は大変大きいものと自覚しております。

 私、特に今期は学校運営協議会制度に力を入れていきたいと思っております。皆さんよく御存じのとおり、学校運営協議会は各地域で学校が自律的に経営されていく仕組みです。私は個人的には、そこにおいて教育行政は、これまでの指導とともに、支援する、伴走するスタンスも求められていくのではと考えております。私自身も中野区内の学校運営協議会に関わったり、また、他自治体の学校協議会に足を運ぶ中で、学び、知見を還元していきたいと思っております。

 田代教育長とほかの教育委員、あとは教育委員会事務局の皆さん、もちろん議会の皆さんとも連携して、区民とともに、子どもたちと一緒に中野の学校教育をつくっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○議長(森たかゆき) 以上で紹介を終わります。

 さらに御紹介申し上げます。令和7年4月11日付で本区教育委員会委員に就任されました髙野治人さんを御紹介申し上げます。

〔教育委員会委員髙野治人登壇〕

○教育委員会委員(髙野治人) このたび教育委員を拝命いたしました髙野治人と申します。議会で御承認いただき、ありがとうございます。

 私はこれまで、中野区上鷺宮で15年間、乳幼児から御年配の方まで幅広く医師として診療してきました。また、中野区医師会の理事として8年、東京都医師会の委員としても感染症やワクチン関連の担当をやってまいりました。また、私ごとですが、子どもが区立小学校でお世話になっております。これらの経験を生かして、学校教育の現場で少しでもお役に立てるように努めてまいりたいと思います。中野区の子どもたちが健やかに成長できるよう、微力を尽くしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○議長(森たかゆき) 以上で紹介を終わります。

 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、中村延子議員、伊藤正信議員、平山英明議員、広川まさのり議員、大沢ひろゆき議員、酒井たくや議員、加藤たくま議員、甲田ゆり子議員、いさ哲郎議員、内野大三郎議員、間ひとみ議員、高橋かずちか議員、木村広一議員、いのつめ正太議員、山内あきひろ議員、斉藤ゆり議員、武井まさき議員、むとう有子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、吉田康一郎議員、立石りお議員、斉藤けいた議員、井関源二議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 中 村 延 子

 1 行政報告について

  (1)中野駅新北口駅前エリア再整備事業について

  (2)その他

 2 次期基本計画について

  (1)財政運営について

  (2)スマートウェルネスシティの推進について

  (3)その他

 3 RSウイルス感染症について

 4 国際交流について

 5 その他

 

○議長(森たかゆき) 最初に、中村延子議員。

〔中村延子議員登壇〕

○40番(中村延子) 令和7年第2回定例会に当たり、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はございません。

 1、行政報告について。

 一昨日、本来は予定のなかった議会日程を追加して、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについて、区長からこれまでの経緯や今後の取組について行政報告がありました。中野区は3月に、事業成立性の見通しが明らかではなかったこと、当初提案内容が十分継承されておらず、公平性・中立性の観点から課題があること、区民が利用する施設の魅力が認可申請時に区が同意した事業計画と比較して低下していることを理由に、施行予定者との協議を継続せず、協定解除へとかじを切りました。

 今回、区が一旦立ち止まる決断をしたことは賢明な判断だったとも言えます。第2回定例会には、協定解除の議案が提案されています。協定解除には全ての地権者の合意が必要であり、区と施行予定者だけで進められるものではありませんでした。3月に施行予定者との協議を継続しないと決定してからどのような手続が必要だったのか、また、課題となってきたのか伺います。

 もともと中野駅新北口駅前エリア再整備事業では、新区役所の建設費用等を賄う予定でした。施行認可申請の取下げを行ってからは、転出補償金が入ってくる見込みがなくなったことで、昨年度に45億円、残りの71億円を5年間にわたり償還することでカバーすることとしています。好調な財政状況にも恵まれ、転出補償金をこの費用に充てる必要が現状ではなくなり、当初のスキームと同じである必要はなくなりました。白紙になったからこそ、いろんな選択肢があります。

 例えばグラングリーン大阪は、みどりとイノベーションの融合をコンセプトに、大規模ターミナル駅である梅田駅前に約4万5,000平米もの大規模都市公園を造ることを公民連携の枠組みの中で決め、公園を中心とする大規模複合再開発が行われました。行政や民間で行われる近年の再開発のコンセプトはみどりがトレンドですが、ウェルビーイングをコンセプトにするものも多く存在します。また、下北沢駅前再開発のミカン下北のように、そのまちの特徴を生かしたコンセプトを掲げて行われるものもあります。

 今後の見直しに当たっては、区民の皆さんが未来のまちづくりを楽しみに思えるコンセプトを掲げ、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりを進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。今後は定期借地で行うのか、市街地再開発事業で行うのか、再整備事業のスキームを含めてサウンディング型市場調査を行っていく予定とのことですが、区として優先順位をどこに置いて決定していくのか伺います。

 区長は、中野駅前のシンボル拠点とはどのような施設なのか、にぎわいと交流をつくり出すためにはどのような施設が必要なのか、未来を担う子どもたちのために必要とされるのはどのような施設なのかといった視点で検討していくと述べられました。当初の募集要項では、多目的ホールのみが整備・誘導方針として民間事業者による整備・所有・運営が明記されていました。子ども施設や展望施設はそもそも施行予定者の提案で出てきた機能であり、もともと区が求めてきたものではありません。子ども施設、バンケット、ホテル機能、展望施設など、区としてこのエリアにどのような機能が必要なのか、改めて検討が必要です。また、ホール以外の機能についても、事業者による整備・所有・運営を求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか、見解をお示しください。

 現在の区有施設整備計画では、「権利変換により保有する資産については、権利床(土地及び床)として取得するものとし、民間事業者への貸付など行政サービスの財源確保を目的とした資産の有効活用を図ります」としています。この考え方を踏襲していくのかの検討も必要になります。大きな施設になれば、将来的に施設更新費がかかってくるため、その分を考慮した持ち方を検討していく必要もあります。この点についても今後十分な検討が必要になると考えますが、いかがでしょうか。

 今後の施設に関する区民の意見聴取について伺います。5月28日と6月1日に区民説明会を行いました。初回は約80人が参加され、2回目は約70人が参加されたと伺っています。7月以降も意見交換会などにより区民の方々からの意見を伺うこととしています。幅広い区民の方々からの意見を聞ける仕組みの検討が必要です。基本構想・基本計画のときは無作為抽出により参加者を募っていました。子どもの意見を聞くことも選択肢だと考えます。多くの方から愛される施設とするために工夫が必要だと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

 よりよい施設としていくためにも、これまでの検証は必要だと考えます。施行予定者の当初提案は、資金計画の確実性を指摘されていました。物価高騰の影響も大きく影響されたことも一因ですが、結果的に認可申請を取り下げることになってしまいました。今回の経緯を鑑みても、事業の成立性は非常に重要であり、サウンディング型市場調査でもこういった点を十分にヒアリングし、事業スキームの検討に努めていただきたいと考えます。また、今後の事業者選定に当たっては、事業成立性や概算事業費といった点についても公募要件に加えることを検討してはいかがでしょうか、伺います。

 協定の在り方がどうだったかの検証も必要です。今後の事業者選定後には、その反省点を生かした仕組みを検討していくべきと考えます。令和3年に施行予定者と協定書を締結する以前から、我が会派の酒井議員から、当初提案を継承してもらう実効性のある協定とするべきと再三指摘をしてきました。当初提案を守ってもらう仕組み、また、区がイニシアチブを取れるような協定の在り方が求められます。区の見解を伺います。

 スケジュールについても伺います。昨年10月に認可申請が取り下げられなかった場合は、令和11年度には再開発事業が竣工を迎える予定となっていました。認可申請の取下げが行われた際には、3年ほどの遅れの見込みとの見解でした。物価高騰の将来予測が難しい中では、竣工までのスケジュールは見通せなかったとしても、どれぐらいの期間でサウンディング型市場調査や公募要件の見直し、公募が行われるのか等、現段階で見込めるスケジュールについて区の見解をお示しください。伺いまして、次の質問に移ります。

 2、次期基本計画について。

 (1)財政運営について伺います。

 まず、財政運営の考え方について伺います。令和5年度から採用されている財政運営の考え方についても改めて考え方を整理し、次期基本計画と併せてお示しをいただけると区はこれまで答弁をされてきています。具体的には、現在は各施設整備基金に減価償却費相当の25%を積み立てているにとどまっているところに、どのように物価高騰分を上積みしていくのかが大きな課題と認識しています。例えば学校施設の建て替えは1校当たり50億円としてきましたが、72億円との御答弁もありました。減価償却費相当の25%だけでは、現在の急激な物価高騰に対応する十分な整備費用を確保することが困難になってしまうのではないかと懸念しています。区としてどのように物価高騰分を考慮し、積み立てていくのか伺います。

 これまで施設類型ごとの標準規模を持つことを求めてきました。区有施設整備計画の中で、延べ床面積をコントロールできるようになることに加え、財政的にも基金計画との連動が可能になると考えます。安定した財政運営を行っていくためにも必要と考えますが、いかがでしょうか、改めて伺います。

 財政運営の考え方の中では、「財政状況により、さらに一般財源の確保ができた場合は、義務教育施設整備基金への積立てを行う」としています。学校施設の建て替えを着実に行っていくためには、義務教育施設整備基金の積立ては着実に行っていく必要があると考えます。また、今後多くの施設が更新を迎える中では、例えば社会福祉施設整備基金も積立てが十分とは言えない状況です。こうした状況を鑑み、これらの考え方についても改めて検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 財政調整基金の年度間調整分の規模についても検討が必要です。これまで、リーマンショックや東日本大震災、新型コロナウイルス感染症など緊急事態となった際にも、財政調整基金が目減りしたことはありませんでした。規模を変更することにより、その分を義務教育施設整備基金や社会福祉施設整備基金に積み増しも可能になります。年度間調整分の見直しについても、積立ての考え方と併せて検討すべきと考えますが、区の見解をお示しください。

 次に、財政フレームについて伺います。次期基本計画に併せて財政フレームをお示しいただくことになりますが、昨今の物価高騰の影響は施設整備費だけにとどまらず、委託料や指定管理料等にも及んでいます。今後の物価高騰をどのように考慮し、財政フレームに反映していくのか伺います。

 今回、区が中野駅新北口駅前エリア再整備事業の施行予定者と協定解除をすることの影響はどの程度なのか伺います。入ってくる予定だった転出補償金はもとより、今後再開発後に権利床で得るはずだった賃料など、財政フレームへの影響はどの程度か伺います。

 区有施設整備計画では、施設の建て替え期間について、建築後60年を迎える前に建物耐久度調査等を実施し、長寿命化が可能であると判断された場合は、大規模改修を行った上、建築後80年で建て替えすることとしました。この方針変更による財政フレームへの影響をどのように考えているのでしょうか。調査や長寿命化の工事にも一定の費用がかかってくるため、年次に落としていく段階で影響が出てくる可能性もあると考えますが、区の見解をお示しください。

 今年の予算特別委員会では、財政フレームを現在10年間で出しているところも見直していいのではと申し上げました。後年度は事業が具体化しない中では、概算でしか財政フレームにのせることができないためです。例えば学校施設整備計画は、学校施設の改築が具体化された時点で設計費用や整備費用などが財政フレームに影響することが予想されます。なかなか将来予測が難しい中では、計画期間の5年間と合わせることも選択肢だと考えます。また、令和8年度予算編成と基本計画策定段階では、なるべく差異が出ないよう努めるべきですが、いかがでしょうか。差異が出てしまったとしても丁寧に説明を尽くす必要があると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、(2)スマートウェルネスシティの推進について伺います。

 区は、3月の厚生委員会に「スマートウェルネスシティ中野構想(案)について」を報告されました。その中で、基本構想と基本計画等との関係を、「次期基本計画では、各施策に共通する理念の一つとして捉えるとともに、全庁的なSWC推進会議のもと、方向性を確認しながら推進していきます」としています。

 基本構想・基本計画・個別計画と体系が明確ですが、スマートウェルネスシティ中野構想については、そのどこに位置付けられるのかが曖昧です。位置付けが明確なものとならないと、推進をしていくのに当たり、継続性が担保できないとも考えます。次期基本計画では位置付けを明確にするべきと考えますが、いかがでしょうか。基本計画改定に当たっては、重点プロジェクトに位置付けることも一つの選択肢と考えます。見解をお示しください。

 スマートウェルネスシティ中野では、施策の方向性として、1、健康づくり=ヘルスリテラシーの向上、2、つながりづくり=ソーシャルキャピタルの醸成、3、まちづくり=歩きたくなる魅力あるUDまちづくりの三つを掲げられました。川上予防を目指すとしている中では、これまでの健康施策にとどまらない全庁的な推進体制が不可欠です。区が目指すべきウォーカブルなまちづくりとはどういうものなのか、目指すべき姿の共通目標を持ち、その目標に向けた施策を基本計画に落とし込んで進めていくべきと考えます。区の見解をお示しください。

 次に、推進体制について伺います。現在、スマートウェルネスシティは地域包括ケア推進担当が所管ですが、様々な部署との連携が求められています。とりわけ健康づくりの中では、保健企画課のデータヘルス計画の活用が必須だと考えますが、現在の連携体制はどうなっているのか伺います。今後の推進体制の中では保健所の役割も明確にしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 2月28日に区は九州大学と地域包括ケア推進パートナーシップ協定を結びました。4月17日には覚書を交わしたと伺っています。今回の協定は、区が医療や介護、健診といった健康関連のデータを九州大学に提供することで、健康寿命の延伸や健康格差の解消など、区民の健康増進を図ることを目的として締結しました。九州大学の行っているライフスタディは、地域住民の健康増進に貢献することをミッションに、自治体のデータを活用し、基盤整備、研究者との連携体制の構築、エビデンスに基づいた政策立案のためのエコシステムの開発を行っています。フィードバックにより、地域別の健康状態の可視化やハイリスク者の検索機能などもあり、国民健康保険や健診のデータを基に、介護予防につなげていくことも可能です。

 まず、今回の協定締結により、医療や介護、健診といったデータを提供するとのことですが、そこにワクチン接種履歴などの一次予防データは含まれるのか伺います。今後、九州大学のデータ分析をSWCで具体的にどのように活用していくのか、区の見解をお示しください。中野区よりも以前から活用されてきた自治体の例も参考に、データ分析と施策展開について積極的に進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。こうしたデータ分析による施策展開は、区民の健康増進はもとより、結果的に医療費削減という効果も期待できると考えます。見解をお示しください。

 スマートウェルネスシティ中野構想の中では、中野区が目指すスマートウェルネスシティとして、「健康状態を川に例えたときの“川下"における対処やハイリスク対応の体制を整備しつつ、“川上"における予防に力点を置く」としています。川上のゼロ次予防を目指すのであれば、若い世代への健康情報の提供や教育が必要になると考えます。とりわけ、女性の生涯にわたる健康維持には若い頃からのケアが重要です。女性は初潮を迎える思春期から女性ホルモンの影響を大きく受け、それは妊娠期や更年期など生涯にわたり続きます。現在、若年女性の痩せの問題もあります。将来的に子どもを産む産まないにかかわらず、プレコンセプションケアや包括的性教育は、女性自身が自らの健康を維持していくために必要な知識であり、情報格差による健康格差につなげないためにも、区として取り組んでいくべき課題だと認識していますが、見解を伺います。

 プレコンセプションケアの推進は、学校や子育て支援、産前産後ケアなど女性のライフステージそれぞれに関わってきます。SWCとして進めていく必要があると考えますが、区の認識を伺います。

 先ほど、女性は人生で生涯にわたり女性ホルモンの影響を受け続けると申し上げましたが、だからこそ、かかりつけ婦人科医を持つことを推奨されています。一方で、なかなかそこにつながっていません。生理痛や過多月経など人と比べることができないために、自分だけで問題を抱えがちです。生活を普段通りに送ることが困難になるほど重症な方もいらっしゃいます。生理痛は治せるということを知らない方も多いです。こうした現状を鑑みて、思春期から医療につながる取組を検討していくべきと考えますが、区の見解を伺いまして、次の質問に移ります。

 3番、RSウイルス感染症について伺います。

 RSウイルスは、一般的には乳幼児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして知られています。2歳までにはほぼ全ての子どもが感染するとされていますが、その後も生涯にわたって何度も感染と発症を繰り返します。通常、健康な成人は感染しても軽症で、多くは風邪のような症状で自然軽快します。一方、初感染乳幼児の場合は重症化することがあることも分かっており、RSウイルスに感染した2歳未満の新生児・乳幼児を対象とした近年の研究結果によると、感染した2歳未満の乳幼児のうち25%が入院していたことが分かりました。入院した新生児・乳幼児の約90%では重症化のリスク因子はありませんでした。また、入院した2歳未満の新生児・乳幼児の月齢は、6か月未満の割合が約40%を占めていました。日本におけるRSウイルス感染症による小児の死亡数は、2008年から2012年の5年間で年間平均31.4人とも報告されています。

 また、高齢者や基礎疾患のある成人においても、RSウイルスは肺炎などを引き起こすこともあります。肺炎による高齢者の入院は、寝たきりや介護の問題も引き起こすことも報告されています。

 こうした背景から、1960年代初期からRSウイルスワクチンの開発が進められ、2024年1月に高齢者のRSウイルスワクチンが販売となりました。また、妊婦へのRSウイルスワクチンは令和6年5月に販売が開始されました。妊婦へのワクチンは、妊娠24週から36週で接種すると、おなかの中の胎児に抗体が移行し、新生児及び乳児のRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防をするとしています。

 令和7年度は、妊婦対象のRSウイルスワクチンに対する助成制度を静岡県袋井市や千葉県いすみ市など20自治体が、高齢者対象を石川県かほく市など5自治体が導入しています。現在、東京都の自治体では妊婦・高齢者ともに導入されていません。知り合いの産婦人科医いわく、現在自費で打つ妊婦の多くは2人目以降を妊娠中の方とのことで、それはRSウイルスの怖さを知っているからではないかと推測できます。まずはRSウイルス感染症についてと、ワクチンの存在を妊婦・高齢者ともに知っていただくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 また、医療費、親の精神的負担や一定期間仕事に行けない経済的影響、もちろん未来ある子どもを守るという観点からも、区として妊婦へのRSウイルスワクチンの一部助成を実施するべきと考えますが、いかがでしょうか。妊娠間隔と接種頻度の関係など課題を整理する必要もありますが、その上で、実施に向けた具体的な検討をしていくべきと考えます。区の見解をお示しください。

 4番、国際交流について。

 台北市中山区との交流について伺います。

 4月15日から17日まで、中野区議会日台議連の一員として台北市を訪問してきました。台北市政府、台北市議会、台湾日本関係協会、そして台北市中山区を訪問し、交流をしてまいりました。2019年1月に酒井区長とともに公式訪問してから6年の月日が経過してしまいましたが、議連会長の御尽力もあり、台北市政府、台北市議会、中山区と、どこもこれまで以上の大歓迎でお迎えいただきました。さらには、今後の具体的な交流につながる話合いをしたいとの申出もあり、非常に実りの多い訪問となりました。

 区として、今後の中山区との交流をどのように進めていくことを検討しているのか伺います。中野区内で行われるイベント等に、今度は台北市中山区に来訪いただくことも必要と考えますが、いかがでしょうか。早期にその準備を進め、具体的日程調整を行うべきと考えます。また、今後の中山区との交流に当たっては、行政間の交流にとどまらず、市民交流につなげていく仕掛けが必要です。興味・関心の高いアニメや、また、防災連携などテーマを持って交流をしていくこと、さらには、子どもたちの交流につながるよう進めていくべきと考えますが、区の見解をお示しください。具体的には、ウェリントン子ども交流事業のように、相互で行き来できる仕組みや、オンラインを使った交流など、未来ある子どもたちが交流を通じて相互理解を深め、友好関係を続けていけるような仕組みの検討が必要と考えます。区の見解をお示しください。お伺いし、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 中村議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、行政報告について、一つ目の事業計画の見直し方針後の手続についてでございます。必要な手続として、施行予定者、各地権者間で令和4年12月に締結した(仮称)中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業の事業推進に関する協定書、こちらの解除が必須でありましたが、本協定では、協定解除に当たって施行予定者、各地権者全員の合意が必要と定められております。そのため区としては、これまで施行予定者が負担した経費などの取扱いや地権者間の意向調整などの課題について協議・調整を行い、その結果、施行予定者、各地権者全員と協定解除に関する覚書の案がまとまり、本定例会に議案として提出したものであります。

 続きまして、今後のまちづくりの進め方についてでございます。中野駅新北口駅前エリアのまちづくりでは、令和2年1月に中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画を策定し、拠点施設整備のコンセプトとして、「中野サンプラザのDNAを継承した、新たなシンボル拠点をつくる」、「中野駅周辺の回遊性を高め、にぎわいと交流に満ちたまちをつくる」、「未来に続く中野の活力・文化・暮らしをつくる」、この3点を掲げているところであります。また、拠点施設のさらなるにぎわいの創出や魅力の向上等につながる施設の在り方として、文化芸術等発信拠点の形成、シビックプライドの醸成、子育て先進区の実現、これを拠点施設に必要な三つの機能として定めております。

 中野サンプラザのDNAを継承し、100年先においても中野区の顔として区民に愛され親しまれるような施設を実現するためには、拠点施設整備の三つのコンセプト、拠点施設に必要な三つの機能の確保が必要であると考えております。一方で、協定解除後の取組として、区民の皆様とのタウンミーティング、意見交換会など対話を十分に重ねて、現在の再整備事業計画を一部見直してまいりたいと考えております。

 次に、再整備事業における事業スキームについてであります。中野サンプラザを含むこの一帯は区民にとって特別な場所でありまして、100年先においても中野区の顔として愛され親しまれるようにすべき場所であります。このことを最優先に必要な判断を行ってまいります。また、それを実現するための事業スキームについては、昨今の市場動向、建設市況等の社会状況を踏まえ検討してまいります。

 次に、拠点施設に求める機能等についてです。本地区で求める拠点施設の機能については、施行予定者からの提案を踏まえて庁内調整を行い、三つの機能を定めたところであります。このコンセプトを十分に踏まえながら、拠点施設に求める機能についても、区民意見を求めてまいります。また、再整備事業計画では、拠点施設の整備・誘導の考え方の中で、多目的ホールについては民間事業者による整備・所有・運営としておりますが、それ以外の施設においても、民間の創意工夫も含めて検討してまいります。

 次に、新北口駅前エリア再整備事業における権利床の取得等についてです。中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業の見直しに伴い、区有地等資産活用の考え方についても見直す必要があると考えております。具体的な活用の考え方については、再整備事業の見直し方針や区有施設の整備状況、財政見通しなどを踏まえ、総合的に検討してまいります。

 次に、区民等からの意見聴取についてです。再整備事業計画一部見直しに当たっては、区民との意見交換会や説明会のほかに、テーマやターゲットを絞った意見収集を行うことを考えております。具体的には、子どもたちや子育て世代を対象とした意見収集を行ってまいります。また、意見交換につきましては、開催頻度、開催場所、形式等を工夫して、より多くの区民から意見を得やすい環境づくりにも努めてまいります。

 次に、再公募に向けた公募要件の整理についてです。今般の事業見直しに至った経緯から、事業の成立性が重要であると考えております。公募時に求める事業成立性や概算事業費については、サウンディング型市場調査により、昨今の社会情勢を踏まえて、公募要件を整理する中で検討を行ってまいります。

 再整備事業における取組についてです。協定に基づく事業は、お互いが対等な立場で誠意を持って事業推進に取り組むことが必要であると考えております。一方で、今般の事業見直しに至った経緯から、昨今の厳しい社会情勢においても事業を円滑に推進できるよう、協定締結の在り方など必要な検討を行ってまいります。

 今後のスケジュールについてです。協定解除後の取組として、令和2年1月に策定した中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画について、年内を目途に民間事業者へのサウンディング型市場調査を行い、昨今の市場動向、建設市況等の社会状況を見極めていくとともに、今年度末を目途に再整備事業計画の見直し素案をまとめるべく取り組んでまいります。なお、民間事業者募集等については、サウンディング型市場調査の結果等も踏まえて検討します。

 次に、次期基本計画についての項で、物価高騰分を考慮した基金の積立てについてです。今年度策定予定の次期基本計画につきましては、実現性を備えた計画とするため、財政運営の基本方針と財政フレームを示すこととしております。各施設整備基金の積立てについては、物価高騰等による整備費の高騰に十分に対応できるものとはなっていないということで、現在課題を整理しているところであります。今後、物価変動の影響などを考慮した見直しを検討し、まとまり次第お示しをいたします。

 次に、施設類型ごとの標準規模を定めることについての御質問です。区有施設については地域特性も踏まえて整備する必要があると考えておりまして、一律に標準規模を決めるということは難しいと考えております。一方で、工事費は引き続き高騰しておりまして、何らかの対策が必要であるということから、新築や改築を行う際の床面積等について全庁的に共有をし、確認する場を設けることを検討したいと考えております。

 一般財源の確保ができた場合の基金積立てについてでございます。現在の財政運営の考え方の中では、財政状況によって、さらに一般財源の確保ができた場合は義務教育施設整備基金への積立てを行うとしておりますが、他の基金について積立てが十分とは言えない状況であることは認識をしております。一般財源の確保ができた場合の積み立て方については見直しを検討し、令和8年度予算編成に反映してまいります。

 財政調整基金年度間調整分の規模についてです。財政調整基金の年度間調整分につきましては、単年度で50億円の減収があったとしても3年間安定した財政運営を行うための150億円に加えて、さらに不測の事態が生じた場合を考慮して200億円と設定をしております。規模の妥当性については、他の自治体の状況や過去の実績などを勘案して見直しの検討を行ってまいります。

 次に、物価高騰を考慮した財政フレームの作成についてでございます。令和7年度予算編成に当たっては、国の試算に基づき、物価高騰も一定踏まえた財政フレームをお示ししております。次期基本計画の財政フレームについても、物価高騰をより適切に反映できるよう工夫をし、計画の実現性を確保する考えであります。

 協定解除の財政フレームへの影響についてです。中野駅新北口駅前エリア再整備事業につきましては、歳入歳出ともに令和6年度予算編成においては見込んでおりましたが、令和7年度予算編成においては見込んでおりませんので、財政フレームへの影響はありません。なお、再開発後に権利床で得るはずだった賃料につきましては、財政フレームへの反映はしておらず、影響はないということでございます。

 次に、建て替え期間変更に伴う財政フレームへの影響についてです。財政フレームにおいては、区有施設整備計画で計画されているスケジュールに基づき、施設の建て替え費用を計上しており、長寿命化された場合、費用は後年度負担となり平準化されると想定をしております。調査費や保全工事の費用は増となるものの、長期間を見ると、長寿命化は解体費用の減も含め財政面での効果があると考えております。

 基本計画策定時と予算編成時の財政フレームについてです。基本計画策定段階で作成する財政フレームにつきましては、計画の財政的裏付けを示すものでありまして、一定の見込みをお示しするものであります。一方、予算編成時に作成する財政フレームにつきましては、具体化した事業など、より精緻な試算に基づいて作成することを予定しておりまして、基本計画策定段階と差異が生じることが予想されます。なるべく差異が生じることがないよう、適切な見通しや積算を行うとともに、その差異についても明確な根拠を示すなど、丁寧な説明に努めてまいります。

 次期基本計画におけるSWCの位置付けについてでございます。スマートウェルネスシティの理念につきましては、次期基本計画における重点プロジェクトの一つである地域包括ケア体制の実現の中に位置付けていくことを考えております。誰もが健康で生きがいを持ち、安全・安心で豊かな生活を送れる地域社会の実現を目指して、人々がつながり、健康で幸福な生活につながる取組を推進していきたいと考えております。

 次に、ウォーカブルなまちづくりについてです。ウォーカブルなまちづくりの推進は、区民の外出機会増加に伴う健康増進が図られるだけでなく、まちの魅力や安全性の向上による新たな活力の創出も期待できるなど、「つながる はじまる なかの」の実現に大きく寄与するものと考えております。次期基本計画においても、施策の一つに歩きたくなるまちづくりの推進を位置付け、施策を推進していくための基本的な考え方となる構想を取りまとめるとともに、全庁的な共通理念として区の様々な事業に反映していきたいと考えております。

 SWCの推進体制についてです。SWCの推進に当たり、職員を構成員としたSWC推進会議を設置し、スマートウェルネスシティ中野構想の協議や進め方などを議論しているところであります。今後、SWCの理念を踏まえた健康づくり、つながりづくり、まちづくりのプロジェクト化を考えておりまして、データヘルス計画など関連する計画を活用するとともに、保健所をはじめ各部署の役割を確認しながら進めてまいります。

 九州大学のデータ分析の活用についてです。九州大学のデータ分析、ライフスタディは、健診と疾病や生活習慣病の因果関係などを分析することによって、エビデンスに基づいた施策立案を導き出すものでありまして、今後立ち上げていくSWCプロジェクトにも反映させていきたいと考えております。現在取り交わした覚書には、医療・介護・健診に関するデータを提供することとしておりまして、ワクチン接種履歴などの一次予防に関するデータについては含まれておりませんが、今後、分析内容などについて協議をしてまいりたいと考えております。

 データ分析と施策展開についてです。SWCの目標は区民の健康度と幸福度を高めることでありまして、医療費や介護費はその指標の一つになると考えております。区の財政の観点からも、医療費の削減につなげるため、データ分析とともに他の先行事例も参考にしながら、より有効な施策を展開してまいります。

 次に、女性の健康についてです。区ではこれまで、妊娠・出産・子育てトータルケアに取り組んでまいりましたが、さらに妊娠前のプレコンセプションケアが必要であると考えております。女性の健康リテラシーを高めるSWCプロジェクトの一つとして、民間等とも連携しながら取り組んでまいります。

 かかりつけ婦人科医につながる取組についてでございます。女性の健康リテラシーを高める取組の一つとして、思春期を視野に入れたかかりつけ婦人科医の推奨を検討してまいります。

 次に、RSウイルス感染症についての項でございます。

 まず、RSウイルス感染症の周知についてであります。RSウイルス感染症は、初回感染時にはより重症化しやすいと言われておりまして、特に生後6か月以内に感染した場合には細気管支炎や肺炎など重症化することがあります。このため区ホームページにおいて、RSウイルス感染症の特徴や主な症状、予防対策及びワクチン接種について周知をしておりまして、今後も広報の工夫を図ってまいります。

 妊婦へのRSウイルスワクチン予防接種についてでございます。妊婦がRSウイルスワクチンを接種すると、胎児へ抗体が移行することによって、出生後のRSウイルス感染を予防することが期待をされます。RSウイルス感染症は、生後6か月以内の乳児が感染した場合には重症化する場合があることから、妊婦へのRSウイルスワクチン任意予防接種の費用助成の実施に向けて、中野区医師会等と協議・検討をしてまいります。

 最後に、国際交流についてで、今後の中山区との交流の進め方についてです。日台友好促進中野区議会議員連盟の訪問において、台北市中山区側から今後の具体的な交流への意欲が示されたことを受けまして、オンラインなどを活用し協議の場を設けまして、今後の交流に向けた具体的な検討を進めてまいります。

 中山区の中野区への来訪調整でございます。中野区内で開催されるイベントなどに台北市中山区の関係者を招き、相互理解と今後の交流のきっかけにしていくことは有意義であると考えております。中野アニメ・マンガフェスティバルなど今年度開催するイベントに合わせた来訪について、中山区と協議をしてまいります。

 子どもたちの相互理解につながるテーマ性のある交流についての御質問です。自治体が携わる国際交流は住民同士の交流につなげていくことが必要かつ有効でありまして、興味・関心が高い事項や共通する政策課題をテーマとして、特に次世代を担う子どもたちの体験や学びにつながる交流にしていくことが、子育て先進区を目指す中野区にとってよいと考えております。具体的には、アニメや漫画、また、都市防災などをテーマに交流していくことについて、中山区と協議をしてまいりたいと考えております。あわせて、子どもたちの交流につきましては、教育委員会とも連携しながら、その方法などについて検討してまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で中村延子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 伊 藤 正 信

 1 行政報告について

 2 学校の防犯対策について

 3 防災対策について

 4 東京2025デフリンピックについて

 5 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、伊藤正信議員。

〔伊藤正信議員登壇〕

○31番(伊藤正信) 令和7年第2回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場で質問をいたします。

 まず初めに、行政報告について伺います。

 今回の行政報告を行うことになったのはなぜなのか。議会の日程を追加してまで行うこと、なぜこのタイミングなのか。昨年7月上旬に、施行予定者が総事業費2,639億円として東京都へ施行認可申請をしました。しかし、2か月もたたない8月下旬、施行予定者は人件費、物価高騰により総事業費が900億円も増加したため事業を進められないと中野区へ伝え、2024年11月、中野区は2025年3月まで施行予定者との事業継続の可否を判断するとのことでしたが、この間、区長から一切の説明なく、議会からも再三区長からの説明を求めてきたところですが、今回、このタイミングで行政報告をすることとした経緯についてまず伺います。

 この中野駅新北口駅前エリアのまちづくりは、長い時間をかけてここまでようやくたどり着いた、区民にとっても非常に大きな計画です。区長は、「今一度立ち止まり、未来の中野にふさわしい姿を、区民の皆様と描き直す必要がある」と述べています。区長は一度立ち止まると簡単におっしゃいますが、再度計画を練り直すのは決して簡単なことではありません。区長をはじめとした区の執行部は今後、具体的な計画見直しを図っていくことになるかと思います。

 今回、野村不動産株式会社との協定を解除するという判断に至った理由として、「新たなまちづくりのステップを踏み出すべく本協定を解除する」としています。これは、もう野村不動産株式会社とは新たなまちづくりのステップを踏み出せないという判断をしたものと認識しています。

 そこで伺いますが、協定解除が完了したときに、中野区として先ほど申し上げた見直し作業はどんなことを進めようと想定しているのか、そして、検討の俎上に上がったものをどのように区民や区議会に報告されるのか、そして、いつまでにその作業を完了させるのか、現状の想定で構いませんので、それぞれお示しください。

 再整備事業は見直すものの、中野サンプラザのDNAを継承することなどのコンセプトは変えないとの説明がありました。基本的な方向性が変わらないならば、今後行われる施行予定者の再公募において従前の施行予定者が優位になると考えられます。このことを考慮して、公平性・中立性が保たれる選定方法を検討していく必要があるのではないかと考えます。区の見解を伺います。

 さらに言えば、コンセプトを変更することは検討しないのか、コンセプトの変更がなければ、どんな計画を刷新しても、工事費の高騰による実現性の担保が難しい状況に陥った野村不動産案の顛末と同じ結果につながることが危惧されるのではないかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 我が会派の加藤議員は令和7年第1回定例会一般質問において、「旧区役所の建物部分を処分するための令和6年第18号議案、「財産の処分について」においては、付随の事業計画が大幅に変更した時点においても引き続き有効であるとの区の見解に我が会派は理解できないことから、区民の代表である議会にプロジェクトの賛否を改めて問う機会をつくれないか」との趣旨の質問に対して、「現状新たな議決は必要ないと考えている。その他の事情については議会に丁寧に説明していく」との趣旨の答弁を区長はされました。その答弁の趣旨を飲み込むことはできないために、自民党は公明党、無所属議員全員と連名で、議員提出議案第1号「議会の議決すべき事件等に関する条例の一部を改正する条例」を提出させていただきました。内容は、今後、施行予定者とサンプラザ再開発の基本協定書を新規締結、変更、解除の三つの機会において議会の議決を必要とするものです。結果として全議員賛成、全会一致で可決しました。これが民意です。そのような議会の判断に対して区長はどのように思われたのか、伺います。

 昨年10月に施行認可申請の取り下げに至った後、施行予定者から事業計画に見直し提案がなされ、区として検討を行った結果、1、事業成立の見通しが明らかでない。2、施設の配置計画や用途割合、ホールの視認性、当初提案内容が十分継承されていない、公平性・中立性の観点から課題がある。3、子どもの遊び場や屋上広場、展望施設の規模など認可申請時に区が同意した事業計画と比較して低下していること、ある程度住宅が増えることなどは、随分前から分かっていたことではないかと思われますが、その際に野村不動産からなされた再提案に対して区は概ね満たしているとしたことにより、協定解除の時期、計画見直し作業へ半年の遅れを与えたと言っても過言ではありません。今回、何より残念なことといった表現を区長は使われておりますが、区長自身をはじめ中野区の責任はどこに行ってしまったのか。あらゆる判断が遅かったのではないかと考えます。区長自身をはじめ中野区の責任はどこに行ったか、区長はそういった疑問にどうお答えになるのかお示しください。

 今後の本地区のまちづくり、拠点施設に必要な機能等について、区民意見や民間事業者の知見と併せ、再整備事業計画と時代に合わせたものへと一部見直しを図りながら、と言っておりますが、基盤整備は変えられないとしても、拠点施設全体の変更になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。ここに至るまで、区民や区議会に対する説明が十分だったのか疑問を感じるところであります。昨年の基本協定書の解除に係る議案についても、本来は区が自ら区議会に諮る姿勢を見せるべきだったのではないでしょうか。

 今回、区長からは、今後は区民との対話を十分に重ねていくとの御報告がありました。これは、ここに至るまで区民及び区議会に対する説明が不足していたことへの反省から、姿勢を改めたものと受け止めております。今後は検討状況等について区議会に適宜報告していただけるものと考えますが、いかがでしょうか、区の回答を求めます。

 再整備事業の見直しにおいては、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画で掲げた三つのコンセプトは継承するものの、改めて区民目線に立ち返って検討を進めていくとの意気込みが示され、今後は説明会や情報発信に努めていくとのことです。

 今回の件は区政における非常に大きな転換点であり、これまでの区が進めてきたやり方と同じことをやっていては、到底成功は望めません。現在の社会情勢に適した新たなアイデアを創出し、区民との対話にも一層の時間を費やし、これまで以上に情報発信をしていくというのであれば、当然のことながら、これまでの組織を大きく見直し、より効果的かつ効率的に検討を進めていける体制や、協定の解除により、場合によっては新たな検討予算も必要になるかと思います。この点については今回の行政報告からは確認できませんでしたが、新たな検討体制などについて区の考えを伺い、この項の質問を終わります。

 次に、学校の防犯対策について伺います。

 5月8日11時頃、立川市第三小学校において、児童の保護者が連れてきた知人の男性2名が2年1組の教室に侵入し、担当の教諭に暴行を加えたり、酒のびんを床に投げつけたりした後、1階の職員室のガラスを割ったり、子どもたちを避難させた担任が男性と対応している間、子どもが体育館に向かって逃げる姿と助けを求める声を見た副校長と職員室にいた教職員が教室に駆けつけ、対応しました。

 安全であるべき教育現場が不審者の侵入により暴行事件を起こし、児童に恐怖と不安を与えたことはあってはなりません。この事件を教育委員会としてはどのように考えているのか伺います。

 学校に不審者が侵入することなど防犯対策については、各学校の校長や教職員がそのマニュアルに沿って対応されているのだと考えますが、1人の侵入者マニュアルはあっても、複数侵入者が校内に侵入されたときなどの対応は想定されていないと聞いております。子どもたちや保護者の安全を守るためにも、このマニュアルを更新すべきと考えますが、教育委員会の見解を伺います。

 今回の事件の発端は子ども同士のトラブルで、保護者が担任の教員と約1時間にわたって話合いをしたがまとまらず、知人の男2人と一緒に学校に戻って事件が起きたようです。教育現場には様々な課題があり、学校でのトラブルについては先生の負担をいかに軽減できるか、また、児童たちには、問題が起こったときに、学校だけでなく、また教育委員会だけでなく、児童相談所など多様な部門も連携して取り組む必要があると考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。

 次に、防災対策について伺います。

 初めに、中野区総合防災訓練について伺います。総合防災訓練は、災害対策基本法及び中野区地域防災計画に基づき、区をはじめとする防災関係機関と住民が一体となった訓練を行うことにより、区民の防災意識と防災行動力の向上を図る目的として、年に2会場で実施されています。昨年は、南地域では桃花小学校で、北地域では第七中学校で行われました。初期消火訓練、安否確認訓練の初期対応訓練を行うことで、「自らの命は自らが守る」「自分たちのまちは自分たちで守る」「自助」「共助」を基本とした、それを支援する「公助」としての防災関係機関の連携を密にするため、実際の災害を想定した実践的な訓練が展開されたようです。主催をした中野区として、昨年実施された総合防災訓練の結果をどのように検証しているのか伺います。

 参加者が避難所についての理解をより深めるため、初期消火訓練、応急救護訓練、救出救助訓練、避難所資機材操作訓練など直接体験するなど、学習できる体験型訓練を実施されましたが、参加された方々からはどんな感想や意見があったのかお伺いをいたします。

 今年は11月にかけて、北地区では野方区民活動センター管内の区域、南地区では鍋横区民活動センター管内の区域で実施を予定されます。昨年実施された各会場での課題や問題点などを踏まえて実施すべきと考えます。参加者体験訓練や防災普及啓発コーナーの展示も行うと思いますが、最近ペットを飼っている方も多く、ペット同行・同伴避難や障害をお持ちの方も参加できるなど、より多くの区民の方が参加して防災意識を高めていくことは大切です。特に若年層や子どもの参加を促すために、どのように周知していくのか伺います。

 「参加された方には、地震対策防災グッズや飲料水、非常用食料(アルファ化米、乾パン)などを配布します」と掲載して参加を呼びかけてみてはいかがでしょうか、伺います。

 鍋横地域では6町会が協力し合って、東京都地域の底力助成金を活用して、4月に本五ふれあい公園で大きなこいのぼりと子ども防災ラリーを開催しました。多くの就学前の親子が参加し、つきたてのお餅、アルファ化米や景品などを配布して、防災意識の向上につながっている状況であります。

 また、地震が発生したら各地域で避難所が開設されます。現在、中野本郷小学校は、新校舎改築のため第二中学校に避難所機能が移転されたまま、今まで2町会だったのが3町会になり、避難者数が一時的に増加されるであろうと考えます。食料などの備蓄物資は足りているのか、心配されているところであります。適切に提供されるのか伺います。

 避難所では受入れ人数にも限りがあるため、なるべく被害が少なかったら在宅避難を推奨しております。東京都が実施している「東京とどまるマンション」の周知や区民に対する在宅避難への協力を働きかけるなどしていますが、在宅避難しても食料、トイレの課題はあると考えます。特に上下水道のライフラインの停止に伴い、トイレが使えない状況も想定されるため、区として在宅避難者に対してどのような支援を考えているのか伺います。

 最後に、東京2025デフリンピックについて伺います。

 中野区でも、中野総合体育館で11月22日から24日にかけてテコンドー競技が開催されます。大会応援のための事業を区としても現在検討されていることと思います。そうした区の取組について何点か伺います。

 中野区では、令和2年(2020年)に手話言語条例と障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例を定めました。デフリンピックは多くの人がデフスポーツを楽しむと同時に、手話言語をより身近に感じることができる機会です。さらに、競技の応援や世界の人々との交流を通じて、全ての人が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら安心して暮らせる地域社会を実現するという、ユニバーサルデザインの理念を実感できる絶好の機会でもあります。

 デフリンピックの成功とその理念を中野区から発信していくことを願う多くの区民、団体が集って、このほど東京2025デフリンピック応援中野区実行委員会が結成されました。中野区町会連合会、中野区聴覚障害者福祉協会、中野区体育協会、中野区日韓親善協会などが呼びかけ、区内の教育、福祉、文化、経済産業など幅広い団体が参加して、デフリンピック応援実行委員会が結成をされました。こうした幅広い区民の動きに呼応して、区は区民と一体となったデフリンピック応援の事業を展開していくべきと思います。

 区内を挙げてのデフリンピック応援の取組については、中野区としてデフリンピック応援に当たってどのような考えで取り組もうとしているのか伺います。

 デフリンピックのビジョンは、1、デフスポーツの魅力や価値を伝え人々や社会とつなぐ、2、世界に、そして未来につながる大会へ、3、“誰もが個性を活かし力を発揮できる"共生社会の実現を掲げています。こうした理念の実現を応援するとしたら、幅広い区民と力を合わせての取組が欠かせないと思います。デフリンピック応援実行委員会協力の在り方、幅広い区民を対象とする働きかけやイベントの実施などについてどのように考えているのか、伺います。

 デフリンピックの未来志向でユニバーサルな理念を生かしていくためには、教育の場と連携した子どもたちへの働きかけが欠かせません。既に東京都やデフリンピック事務局では、デフリンピックや手話を学ぶための特別授業が行われました。私も桃花小学校で行われたその様子を見学してきました。デフリンピックを通じて、楽しみながら手話言語の基本や、障害や国籍・文化など様々な違いを超えたコミュニケーションの重要性を知り、テコンドーというスポーツの魅力にも触れられる、すばらしい学びの機会となったようです。

 中野区としても、小・中学校の教育現場と協議しながら、子どもたちがデフリンピックを知り、デフリンピックの未来志向のメッセージを受け取ることの活動を展開していくべきと思います。デフリンピックを子どもたちの学びの場に生かしていくことについては、子どもたちができる体験や学びを様々に考えられると思います。桃花小学校で行われたような特別授業の形態での学習活動は、条件が整えばできるだけ多くの小・中学校で実施していただきたいと思います。また、中野区内で行われているテコンドー競技の参加国に対して、学校ごとに国を定めて学習・応援をするなども考えられると思います。また、当事者団体などと協力して、手話言語や障害のある人とのコミュニケーションについての学習などもデフリンピックはよい導入となると思います。これら教育現場と連携したデフリンピックを題材とする学びの機会提供について、区はどのようなことを考えているのか伺います。

 応援実行委員会に参加したPTA関係者からは、最近の子どもたちの韓国の文化への関心の高まりということが語られました。せっかく韓国の陽川区と姉妹都市提携しているのだから、テコンドー競技の開催という機会を通じて陽川区との交流を進めてほしいと話されていました。

 私が聞いているところでは、陽川区のほうでもテコンドー競技が中野区で開催されるということを聞いて大変喜んでいるということです。「世界に、そして未来につながる大会に」という大会ビジョンを生かすためにも、この大会の応援を何らかの形で両区の市民交流、自治体間交流の推進につなげていくことが大切です。

 2010年11月の陽川区との姉妹都市の締結から15年目を迎えます。この記念すべき節目の年の11月に中野区でデフリンピック、テコンドー競技が開かれることは、両区をより深く結びつけるきっかけになることだと思います。姉妹都市提携の意義を確認し合い、今後のさらなる交流の深化に向けて、陽川区と協議を行うべきと考えますが、区の考えを伺って、私の全ての質問を終了します。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、行政報告についてで、行政報告を行った理由についての御質問です。私が今回、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについて行政報告を行う機会を頂いたのは、基本協定の解除等について議会の議決をお願いするという非常に大きな転換点を迎えることから、これまでの経緯や今後の進め方について、区議会の本会議において私の考えを述べさせていただきたいと考えたことによるものであります。これまでも区議会やタウンミーティング、記者会見などを通じて丁寧な説明に努めてきたところでありますが、今後も区議会や区民の皆様の御理解と御協力が得られるように十分な説明や情報提供を行うとともに、様々な御意見を頂いて対話を十分に重ねていきたいと考えているところであります。

 次に、計画見直しの時期についてでございます。協定解除後の取組として、令和2年1月に策定した中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画について、区民や関係団体との意見交換を重ねるとともに、民間事業者へのサウンディング型市場調査を行い、昨今の市場動向、建設市況等の社会状況を見極めていきます。これらの取組内容については、区民や区議会には適時適切に情報提供を行ってまいりたいと考えております。また、これらの結果を踏まえ、今年度末を目途に再整備事業計画の見直し素案をまとめるべく取り組んでまいります。

 次に、施行予定者の再公募についてでございます。今後再整備事業計画の一部見直しを行い、改めて民間事業者の公募を行うことを考えておりますが、サウンディング型市場調査等の結果も踏まえ、公募条件等について検討してまいります。

 次に、事業成立性の担保についてでございます。今般の事業見直しに至った経緯から、事業の成立性は重要であると考えておりますが、コンセプトを実現するための建築計画は様々選択できるものでございまして、今回の事態をもって本地区で掲げるコンセプトを実現できないとは考えておりません。

 次に、基本協定書の締結、変更、解除に係る議決の受け止めについてでございます。基本協定書の締結、変更、解除について議会の議決すべき事件に認定されたことは真摯に受け止めまして、今後必要な議会手続を適切に行いながら、当地区のまちづくりを着実に進めてまいります。

 次に、事業計画の見直し方針に対する区の判断時期についてでございます。昨年10月の施行認可申請の取下げを受け、区としては施行予定者に対し、年内に施設計画変更の方向性を示し、年度内に区や各地権者等と協議の上、事業計画の見直し方針及び今後のスケジュールを取りまとめるように求めてまいりました。施行予定者から令和6年12月に示された施設計画変更の方向性については、これまで示している施設整備のコンセプトや必要機能がおおむね満たされていると考えてきたところであります。その後、詳細について協議を行ってまいりましたが、施行予定者より令和7年2月に示された事業計画の見直し方針は、行政報告でもお伝えした理由から、提案内容の変更に係る承諾等を行わないことを決定したものであります。施行認可申請の取下げからの一連の検討は、区議会へお示ししたスケジュールで行われたものでありまして、区としては迅速な協議と適切な対応が行えたものと認識をしているところでございます。

 次に、新たな拠点施設についてでございます。拠点施設の整備につきましては、再整備事業計画の見直しや新たな事業者提案を踏まえて決まってくるものであると考えております。

 区議会への報告についてでございます。これまでも議会への報告等については適時適切に行ってきたと認識をしているところであります。当地区のまちづくりは区民の関心や期待も高いことから、再整備事業計画の一部見直し検討において、区民との対話を十分に重ねるとともに、議会へも適時適切に報告を行ってまいります。

 予算や検討体制についてでございます。施行予定者との協定解除後に、区民や関係団体との意見交換、民間事業者へのサウンディング型市場調査及び必要なまちづくりの検討を行うための予算について、本定例会で補正予算として議案を提出しているところでございます。また、中野四丁目新北口駅前地区における市街地再開発事業への対応として、本年1月に、私を本部長、両副区長を副本部長とした企画部、総務部、まちづくり推進部で構成する中野四丁目新北口駅前地区市街地再開発事業対策本部を設置し、取り組んできたところであります。今年度から文化・産業振興を所管する区民部も加えて、体制を強化したところであります。

 続きまして、防災対策についての項で、総合防災訓練の実施結果の検証についてでございます。昨年度の総合防災訓練では、要配慮者避難や医療救護、ペット同伴避難、外国人防災リーダーによる指導などを実施いたしました。訓練において、要配慮者支援やエアーテントの運用に課題が確認されたため、今年度はその改善を図り、他自治体の取組も参考にしながら、より実効性の高い訓練を検討してまいります。

 体験型訓練の感想や意見についてでございます。アンケートの結果、多くの参加者から高い満足度の回答が得られまして、体験型訓練につきましては、初期消火訓練や要配慮者訓練は重要であるといった意見があったところであります。

 若年層への周知方法についてでございます。訓練参加者の高齢化が進む中、若年層の参加促進は重要な課題でありまして、周知の工夫や中学生による防災青年リーダーの活用に努めてまいります。

 グッズ等の配布についての御質問です。訓練参加者に防災グッズや非常用食料を配布することは、訓練の参加率の向上や家庭内備蓄などの自助の促進につながるため、参加団体の協力も得ながら検討してまいります。

 続きまして、中野本郷小学校の新校舎改築に伴う備蓄物資についての御質問です。避難所機能移転後の第二中学校の備蓄物資については、移転後の避難者数に対応するため、速やかに必要な物資を確保したところであります。

 在宅避難者へのトイレ支援についてでございます。災害時のトイレ不足に備えて、昨年度、携帯トイレなどの災害用備蓄物資の拡充を図ったところであります。今後は、必要とされる方々に確実に行き届くよう、効果的な配備や配布方法についても検討してまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 最初に、学校の防犯対策についての御質問にお答えいたします。

 不審者の侵入による暴行事件についてでございます。学校において児童及び教員の安全を脅かす事件が発生したことについては大変遺憾であり、児童・生徒が安心して学べるようにするために、引き続き不審者対策の取組を徹底してまいります。

 複数の不審者が侵入したときの対応についてでございます。区立園・学校においては、学校ごとに危機管理マニュアルを作成し、教職員全体で児童・生徒の安全を確保することとしております。今回の立川市の事件を受けて、複数の不審者が侵入した場合について、危機管理マニュアルを見直し、多くの教職員で組織的に対応するようにしてまいります。

 次に、関係機関等と連携した取組の必要性についてでございます。現在、児童・生徒の複雑、困難なトラブルを解決するために、教員が心理や福祉、法律等の専門家と連携して対応しているところでございます。また、児童相談所などの関係機関等とも連携しているところでありますが、児童・生徒及び保護者一人ひとりの状況に合わせて、より丁寧に支援していく必要があると考えております。

 次に、東京2025デフリンピックについての御質問でございます。

 デフリンピックを契機とした学びの機会提供についてでございます。先月、桃花小学校において、応援アンバサダーの川俣郁美さん、デフテコンドーの星野萌選手らを迎えた特別授業を開催いたしました。児童がトップアスリートによる競技を間近で見るとともに、手話やろう文化、デフリンピックの歴史を知る大変よい機会となりました。今後、東京都が開催するデフリンピックに関する児童・生徒向けの授業に積極的に参加し、児童・生徒が障害者理解や国際理解を深めるように努めてまいります。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、東京2025デフリンピックについての御質問のうち、デフリンピック機運醸成に関する区の考え方につきましてお答えいたします。

 区は、区民のスポーツの振興に加えて、共生社会の実現に寄与するというデフリンピックの開催意義を踏まえ、会場使用の要請に協力したものでございます。デフリンピックの開催を契機として、テコンドー競技の会場となる中野区立総合体育館におきまして、デフリンピアンの講演、デフリンピック競技種目の体験等を行うイベントを実施するほか、幅広い区民及び関係者と協力し、連携を図りながら、開催機運の醸成や障害者スポーツへの理解を促進してまいります。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、デフリンピック大会への来訪を契機とした交流の協議についてお答えします。

 ソウル特別市陽川区からは、デフリンピックのテコンドー競技の日程に合わせて中野区に訪問する計画があると伺っております。他方、陽川区では現在、都市再開発プロジェクトが進行しており、陽川区長は都市の再開発や環境の分野に関心が高いことも伺っているところでございます。デフリンピック開催時に陽川区が中野区へ来訪した際は、中野区と共通する政策課題をテーマとするなど、今後の具体的な交流について協議するきっかけとしてまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 平 山 英 明

 1 行政報告について

 2 物価高騰対策について

 3 区有施設整備計画と財政運営について

  (1)学校施設の更新について

  (2)区営住宅の更新について

  (3)その他

 4 子育て施設の質の確保について

  (1)区立保育園について

  (2)学童クラブについて

  (3)その他

 5 交通対策について

  (1)自転車専用レーンの充実について

  (2)その他

 6 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、平山英明議員。

〔平山英明議員登壇〕

○32番(平山英明) 令和7年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告どおりで、6のその他はありません。

 初めに、区長の行政報告について伺います。

 行政報告をお聞きしましたが、施行予定者と関係地権者から協定解除の内諾が取れたこと、見直しを進めるに当たっての三つの視点、これ以外はこれまでの説明の繰り返しで、議会日程を変更してまで伝えたかった区長のお話は何だったのかということを理解することができませんでした。100年に一度のまちづくりと位置付けられ、今後の区政や区民生活にも大きな影響を与える一大事業の中心が立ち止まる結果となったのですから、同じ轍を踏まないための庁内における徹底した総括と具体的な未来の展望がお聞きできると思いましたが、残念でした。

 今回の事案を、予測不能な物価高騰が要因で、ただ仕方がなかったと終わらせてよいのでしょうか。平成20年第3回定例会で前田中区長が行った行政報告は、くしくも中野サンプラザに関するもので、当時の区長から反省とおわびで締めくくられました。

 そこで伺います。今回の事案に対し、区側の落ち度や具体的な責任はないとお考えなのでしょうか、伺います。

 今なお、施行予定者の施行認可申請と取下げのタイミングが気になります。日本を代表する企業が原材料費の高騰による影響を見通せず、申請から僅かな期間で取り下げるなど、先例もなく、自社の看板をも傷つけることが行われたことに不自然さが拭えません。区側から申請を促すような何らかの発言や行動、これは一切なかったのか伺います。

 行政報告では、今後について「再整備事業計画の一部見直し」と表現されました。見直しではなく一部見直しとされたのはなぜでしょうか。計画の大幅な、あるいは全面的な見直しは行わないということなのでしょうか、伺います。

 「100年先においても中野区の顔として愛され親しまれるようにすべき場所です。だからこそ、今一度立ち止まり、未来の中野にふさわしい姿を、区民の皆様との対話によりともに描き直す必要があると考えています」と述べながらも、現再整備事業計画をベースとし、一部見直しとすれば、制限された中でしかまちの姿を描き切れません。

 あくまで現再整備事業計画にこだわられるのは、スケジュールの問題なのか、財政上の問題なのか。区民とともにつくり上げたことを強調はされましたが、区長が専門家や区民の意見を聞く場として選ばれた区役所・サンプラザ地区再整備区民会議では、サンプラザを継続利用するか否かの議論を始めて間もなく、区長が突如、現サンプラザの活用は行わないことを記者会見で発表され、区民会議が紛糾しました。

 ホールの規模や機能についても、2,000人から3,000人規模の劇場型を求める声が多い中で、再整備事業計画素案決定間際に、5,000人から7,000人規模が優位性があるかのような資料を区側が提出し、結果、下限はなく7,000人が上限との事業者の提案任せのような結果となっています。

 そのほかにも、この間のタウンミーティングでの議論の中身を見ても、現計画が区民とともにつくり上げられたとの形跡はさほどうかがえません。改めて区民意見の聴取も行われるのであれば、現計画にこだわらず、幅広い可能性の中で再検討すべきではないでしょうか。

 その上で伺っていきます。見直し案の策定について、現在想定されているスケジュールを伺います。

 現在の再整備事業計画にある区有地等資産活用の考え方の見直しもあり得るのでしょうか。その場合、新庁舎整備費用や株式会社まちづくり中野21の清算に係る費用の財源の考え方はどうなるのでしょうか、伺います。

 見直しの間、貫通道路を含む都市基盤の整備は現行計画どおり進められるのでしょうか、伺います。

 昨年10月の施行認可申請の取下げ以降、施行予定者側との再開の協議を続けるとともに、協定締結中のため議会へ示せなかったことは理解をしますが、事業の遅れを少しでもなくすため、事業成立が見込めない場合の想定も当然庁内で行われてきたことと思います。次のリスタートにも備え、これまでどのような可能性を検討されてきたのでしょうか、伺います。

 今後、サウンディング型市場調査等の実施とありましたが、現計画の一部見直しが前提で、十分な知見の聴取ができないのではと懸念をいたします。現計画の一部見直しか、再開発の大幅なダウンサイジングか、あるいは、必要最小限の機能の設置以外は区民が憩える広場とするなど、区が考える今後の可能性をまず示すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、次の項の質問に移ります。

 次に、物価高騰対策について伺います。

 本来であれば、せっかくの行政報告の機会に、区民生活に大きく影響を及ぼしている物価高騰への区長の御決意と具体策を伺いたかったところです。

 我々公明党議員団は4月9日、物価高騰から区民の暮らしを守るための緊急支援策に関する要望書を区長に提出しました。要望内容は、ナカペイについて、より多くの区民が当選できるプレミアム率と上限額の設定及びできる限り早期の実施、ナカペイのプラットフォームを活用した給付金支給等の実施、スマートフォンを持たない高齢者等への支援の実施などです。

 公明党は現在、「We connect」と銘打った政策立案アンケートを全国で実施をしています。中間取りまとめの4月30日時点で9万1,216件のお声が全国から届いていますが、圧倒的に多いものは物価高騰対策、景気対策を望む声であり、我々も日々まちを歩く中で同様の声が寄せられています。

 区として、区民生活を守るための物価高騰対策をさらに力強く進めるべきであり、特に食料品の高騰が著しい現在、ナカペイについて、より多くの区民に活用いただける仕組みが必要と考えます。

 そこで伺います。ナカペイの販売について、例えば区民のみ、高齢者や子育て世代、あるいは世帯収入などのターゲットの絞り込みが現在のシステムでどこまで可能なのか、伺います。

 政府は5月27日、令和7年度予備費の使用を閣議決定し、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の推奨事業メニュー分として1,000億円の増額を措置したところです。区としても、この重点支援地方創生臨時交付金を活用した追加の物価高騰対策を講じるべきです。さらなる追加策を補正予算も視野に入れながら、区民の窮状を支える施策としての検討を求めますが、御見解を伺います。

 都は今年度、東京都デジタルデバイド解消補助事業を実施します。これは、高齢者向けスマホ購入費を助成する区市町村に対して支援を行うもので、1区市町村当たり1,000万円、補助率10分の10の事業であり、高齢者のスマートフォン購入へ1人当たり上限3万円までの補助となっています。

 区は同事業についていまだ検討の途中と聞きますが、都との事前協議はあさって6月6日までとなっています。都が全額負担でありながら、いまだ検討中の理由は何なのでしょうか。早急に決定し、協議を申し込むべきです。御見解を伺います。

 本事業は、高齢者のスマホに関する困り事の1対1での解決策なども含まれております。あわせて、ナカペイのインストール及び活用支援を行ってはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、区有施設整備計画と財政運営について。

 まず、学校施設の更新について伺います。

 本年1月30日、子ども文教委員会で、「区立小中学校の学校改築時期の再検討について」の報告があり、区立小・中学校について建築後70年まで順次改築を進めていくとの現計画に対し、第二中学校は築80年まで継続して使用可能であると判断したとありました。また、その他の学校については、躯体の状況等に応じて改築時期を検討するとあります。

 委員会の質疑の中では、改築時期は基本的には80年であり、現計画の1年に1校改築を2年に1校のペースにするとの答弁もありました。詳細は今年度中に示されるであろう小中学校施設整備計画改定素案を待つしかありませんが、改定時期を基本は10年遅らせ、改築のペースも2年に1校とするのは財政的な理由なのでしょうか。判断の理由を伺います。

 4月24日の総務委員会での「次期中野区区有施設整備計画における施設更新経費及び総延床面積の考え方について」の報告では、建築後60年を迎える前に建物耐久度調査等を実施し、長寿命化が可能であると判断された場合には、大規模改修を行った上、建築後80年で建て替えすることとするとありました。学校施設も同じ考え方なのでしょうか。その場合は、大規模改修とはどの程度を想定されているのでしょうか。例えば校舎だけでなく、体育館や校庭、プールなども含むのでしょうか、伺います。

 現在も多くの保護者から、新築校舎とそれ以外での教育環境の格差を指摘する声があります。学校施設の教育環境の格差についての教育委員会の認識を伺います。

 学校施設は、子どもたちが最も多くの時間を過ごす区有施設であり、地域の拠点、災害時の防災拠点であることを考えると、他の区有施設と同様に扱うべきではなく、現計画どおり1年に1校の改築を進めるべきと考えます。そのための十分な議論を望みますが、小中学校施設整備計画には所管の違いからか財政フレームがありません。改定素案を示す際に、現計画との財政面での比較も示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、区営住宅の更新について伺います。

 最も古い区営住宅で築57年ですが、現在の区有施設整備計画から改築時期を70年に変更されたため、計画に具体的な改築等のスケジュールが示されておりません。

 まず、区営住宅の現在の住居者について、世帯主の年代別の入居状況を伺います。

 さきに述べた次期中野区区有施設整備計画における施設更新経費及び総延床面積の考え方に照らせば、区営住宅も改築時期を80年に延ばす場合もあり得るのでしょうか。その場合、建築後60年を迎える前に建物耐久度調査等を実施し、長寿命化が可能であると判断された場合には大規模改修を行うという考えでしょうか、伺います。

 住宅は他の区有施設と違い、区民の生活の場です。区は、居住者に対して良好な住宅環境を整える義務があります。他の施設同様、建築後60年を迎える前に耐久度調査等を実施し、長寿命化が可能であると判断された場合には大規模改修を行うべきですし、その際には室内の設備やエレベーターの設置も行うべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 区営住宅の今後については、区有施設整備計画ではなく、現在策定を進める公営住宅等長寿命化計画で示すと聞きます。しかし、長寿命化計画では、躯体や設備をいかに長らえるかの計画に終始するイメージがあります。新たに策定する計画は長寿命化だけではなく、バリアフリーを含む良好な住環境の整備、民間活力の活用も視野に入れた改築についてなど、具体的な考え方を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。その上で、計画の名称も「長寿命化」ではなく「公営住宅再整備計画」などとしてはいかがでしょうか、伺います。

 その他で、財政運営についても伺います。

 かねてより、施設整備計画上の施設への減価償却費相当額25%の積立てでは、持続可能な財政運営が見込めないことは指摘をしてきました。今後、学校施設の更新を1年に1校から仮に2年に1校とするのであれば、1校分の更新費用相当額を基金に積み立てるべきとも考えられます。その上で、今般の施設更新等の新たな考え方では、更新時期が基本80年となれば、毎年度ごとの基金積立て総額は減少することが予想されます。他方、60年目の施設のチェックによりその可否が判断されるので、見込まない施設更新費用が発生することも考えられます。現行の財政運営の考え方の抜本的な見直しがなければ、財政フレームを示せないのではと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、子育て施設の質の管理について。

 初めに、区立保育園について伺います。

 令和6年6月から令和7年2月にかけ、区立保育園において保育士が不適切保育を行っていたことが判明しました。区は令和2年3月に保育の質ガイドラインを策定しましたが、最も範を示すべき区立保育園で保育の質に欠ける事案の発生は、重く受け止めるべきです。

 当該保育士は令和4年度にも他の区立保育園で不適切保育を行ったことがあり、そのときは厳重注意を行い、その後一旦保育現場を外れたものの、再び現場に戻っています。保育の質ガイドラインの子どもの権利を守る立場としての保育者等の役割、あるいは保育者等の資質に欠ける事案を起こした当該保育士を短期間のうちに現場に戻した理由を伺います。

 当該園でない区立保育園に、保護者から本事案を受けての連絡が入り、区のプレスリリースも含め具体的な対応を区から何も聞かされていなかった保育園と保育士が非常に困惑し、保育にも影響を与えたと聞きます。組織としての危機管理対応の欠如ではないでしょうか、御見解を伺います。

 区は、保育の質ガイドラインにもある第三者評価を実施しており、その結果をホームページでも公表しています。しかし、「とうきょう福祉ナビゲーション」へのリンク先があるのみで、全体のページから検索ステップを経ないとたどり着けません。練馬区や杉並区のように、誰もが簡単にのぞくことができるような公表方法へと改善を図るべきです。また、保護者や区民に園の実態をチェックしてもらえるよう、区立保育園については当面の間、毎年の第三者評価を行ってはいかがでしょうか、伺います。

 次に、学童クラブについて伺います。

 昨年第4回定例会での「令和7年度予算で検討中の主な取り組み(案)について」の中で、民間学童クラブ運営補助等の見直しが示されました。所管の子ども文教委員会では、当時我が会派の久保りか議員が、補助の見直しなどにより民間学童クラブの負担の増加はないか、事業継続が難しくなるのではないかと警鐘を鳴らす質問をしていました。

 先般、民間学童クラブの事業者の方々から相談を受け、補助の見直しについて区からの十分な説明や質問への回答もなく、このままでは撤退も考えなければならないほどの窮状を区に伝えたものの、受け入れてもらえないと聞きました。どうしてこのような事態になっているのでしょうか。

 民間事業者との事前調整も十分でないまま、年末に急遽見直し事業に掲げ、そのまま予算審査へと進めるやり方やその後の民間事業者との調整の進め方は、あまりにも丁寧さを欠き、議会への説明も不十分です。進め方に問題があったとお考えにはなりませんでしょうか、伺います。

 現在は、事業者の意見をよく聞き、状況把握に努められていると聞きますが、事業者への過度な負担や事業継続が困難となることで、御利用されている御家庭に負担が生じることがないよう、補正予算での対応も含め事態の解決を図るべきです。御見解を伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、交通対策として、自転車専用レーンの充実について伺います。

 来年度より、道路交通法の改正で自転車による交通違反に反則金が導入されるなど、さらに厳しく取締りが行われることとなります。運転者による利用ルールの遵守はもちろんですが、区も道路管理者として、安全な自転車走行ができる環境整備をペースアップして行う必要があります。

 区が令和5年に策定した中野区自転車利活用計画には、「自転車ネットワークの形成に向けた自転車通行空間の整備」とありますが、具体的な整備計画の策定が必要なのではないでしょうか、伺います。

 電動キックボードについて、利用マナーへの多くの御意見を頂きます。自転車ナビライン、自転車レーンなどは電動キックボードも通行できることから、通行を促すために自転車・電動キックボードレーン、自転車・電動キックボードナビラインとすることはできないのでしょうか。伺って、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の御質問にお答えいたします。

 まず、行政報告について、区民への影響等についての御質問です。中野駅新北口駅前地区第一種市街地再開発事業について、急激な工事費の高騰によって事業着手が困難であるという施行予定者からの報告がありまして、施行認可申請の取下げがなされたことは、区として大変遺憾に思っている次第であります。一方で、事業スケジュールの遅延に伴って目指すまちの実現や課題解決も遅れることとなり、区民への影響も大きいと考えているところであります。区としては現在、施行予定者と締結している協定の解除後に、速やかにまちづくりの次のステップに踏み出すことを考えているところであります。

 次に、施行認可申請の手続についてでございます。施行認可申請は施行予定者の責任と判断で行う手続でありまして、事業成立性が確認できない中で、区側から施行認可申請を促す性質のものではないと考えているところであります。

 再整備事業計画の見直しについてでございます。令和2年1月に策定した中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画は、対象区域において区として求める都市機能や事業化に向けた基本方針を示したものでありまして、中野駅新北口駅前エリア第一種市街地再開発事業はそれを実現するための事業手法であり、計画の目的と内容は異なるものであると考えております。また、再整備事業計画の一部見直しの意味は、現在の再整備事業計画を基に必要な一部の見直しを行うことを表現したものであります。

 見直しのスケジュールについてでございます。協定解除後の取組として、令和2年1月に策定した中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画について、年内を目途に民間事業者へのサウンディング型市場調査を行い、昨今の市場動向、建設市況等の社会状況を見極めていくとともに、今年度末を目途に再整備事業計画の見直し素案をまとめるべく取り組んでまいります。

 区有地等資産活用の考え方についてでございます。中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画では、区有地等資産の一部を権利変換して資産を保有するとともに、一部を転出補償金として、新区役所整備費用及びまちづくり中野21の借入金返済に充てることとしております。市街地再開発事業の見直しと併せ、区有地等資産活用の考え方についても見直しを進めます。

 都市基盤施設の整備についてでございます。令和8年末に中野駅西側南北自由通路の整備、中野駅西口改札の開業が予定されておりまして、南北通路北側の四季の都市(まち)方面デッキ、囲町方面デッキ、南北通路南側の桃園広場など、必要な都市基盤施設の整備を土地区画整理事業者や鉄道事業者と連携しながら進めておりまして、中野駅西口の開業と同時期に供用開始を目指して進めていく予定としております。新北口駅前交通広場と中野通りをつなぐ立体道路につきましては、市街地再開発事業による整備を予定していたため、今後整備時期の調整が必要となりますが、都市計画で定めた内容どおりで整備を行う予定であります。

 今後の可能性の検討についてです。区では、施行予定者からの事業計画の見直し提案の検討と並行して、旧庁舎、中野サンプラザの暫定活用や土地区画整理事業による旧庁舎高層棟の解体の可能性など、施行予定者との事業継続ができない場合を想定した検討も併せて行ってきたところであります。今回行う土地区画整理事業による旧庁舎高層棟の解体は、この取組による結果でございます。

 次に、再整備事業計画等の見直しについてでございます。再整備事業計画は、これまで13回の区民会議を経て策定されたものでありますから、これまでの検討過程を十分に踏まえながら、必要に応じて本計画の一部見直しを行ってまいります。また、第一種市街地再開発事業をはじめとする事業スキームの検討につきましては、再整備事業計画の一部見直しと並行して行う予定であります。

 次に、物価高騰対策についてで、ナカペイのシステムによるターゲットの絞り込みについての御質問です。ナカペイでは、本人がアプリで登録した情報によって、区民か否か、居住地域や年齢は判定できますが、世帯収入などによるターゲットの絞り込みを行うためには、住民基本台帳や税情報などを活用することが必要であると考えております。

 ナカペイを活用した物価高騰対策についてでございます。デジタル地域通貨事業は、地域経済の活性化とキャッシュレス決済の推進を目的として実施をしているところでありまして、これらの効果の最大化を図る観点から、プレミアム付きキャンペーンの実施時期や販売数などを決定し、第1弾の申込み・販売を6月から7月、第2弾の申込み・販売を11月から12月としたところであります。物価高騰対策の一環としてプレミアム付きナカペイの販売を拡大することについては、今後の社会経済状況のほか、国や都の対応を見極めた上で検討していきたいと考えております。

 高齢者のスマートフォン購入費の助成事業についてでございます。令和7年度高齢者施策推進区市町村包括補助事業の取組の一つとして、スマートフォンを初めて購入する高齢者を対象とする助成事業について、今回、東京都から事前協議の提出依頼があったものであります。確認したところ、東京都でも現時点において詳細を検討中であるとのことでありますが、区としても事前協議の申込みや情報収集を通じて、実施について検討してまいります。

 ナカペイ事業との連携についてです。東京都が示す補助対象条件として、購入店が開催するスマホ教室など、これに準ずる個別相談等において、基本的な操作等の講座を受講することのほか、購入するスマートフォンで東京都公式アプリを登録することというものが示されているところであります。区が実施する場合には、ナカペイアプリのインストールや活用支援についても連携をさせたいと考えております。

 続きまして、区有設整備計画と財政運営についての項で、区営住宅の年代別の入居状況についてでございます。区営住宅の居住者について、世帯主の年代別の入居状況は、令和7年6月1日現在で、50代以下が28.3%、60代が12.8%、70代が26.9%、80代が24.4%、90代以上が7.4%でございます。

 区営住宅の改築時期と大規模改修の実施についてでございます。「次期中野区区有施設整備計画における施設更新経費及び総延床面積の考え方」との整合を図りまして、区営住宅についても建物耐久度調査等を実施し、長寿命化が可能であると判断された場合には、建築後80年での建て替えを基本とする考えであります。区営住宅は他の施設とは異なり、区民が生活している施設であるということから、大規模改修及び建て替えの考え方については、公営住宅等長寿命化計画策定の中で検討してまいります。

 室内設備等の改修についてでございます。大規模改修を行う際には、区有施設のユニバーサルデザイン導入ガイドラインを踏まえ、物理的に実施可能な範囲において、居住性向上に資する改善工事の実施も検討してまいります。

 長寿命化計画の内容と名称についてでございます。公営住宅等長寿命化計画につきましては、国土交通省が示す公営住宅等長寿命化計画策定指針に基づいて検討を進めているところであります。計画につきましては、単なる施設の延命だけを主目的とするものではなく、居住環境の改善や民間活力を利用した施策も視野に入れた建て替え事業の実施方針等、多岐にわたる整備要素を含んだ内容とする予定であります。名称につきましては、具体的な計画の内容を踏まえて最終的に決定していきたいと考えております。

 施設更新の新たな考え方に基づく財政フレームについてでございます。施設更新の新たな考え方に基づいて、建て替えや大規模改修の時期が決まっている施設については、計画内容を試算に反映するなど、できるだけ精緻に費用を積算する考えであります。財政運営の考え方については、今後見直しを行うことを検討しておりまして、まとまり次第、財政フレームとともにお示しいたします。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 最初に、区有施設整備計画と財政運営についての御質問について、学校施設の目標耐用年数を延伸する理由についてでございます。学校施設の目標耐用年数を70年から80年に見直し、改築ペースを2年に1校とすることにより、財政負担の平準化を図るとともに、新校舎の運用により明らかになる設計上の改善点を今後の学校改築により多く反映できるようになると考えております。また、建設業における働き方改革や人手不足等に伴い、想定工期が延伸している状況から、改築ペースを2年置きとすることにより、事業者が学校改築を担いやすくなると考えております。

 次に、学校施設の建て替え、大規模改修についてでございます。校舎や体育館等の学校施設においても、耐久度調査の結果を基に、必要に応じて躯体の健全性や耐久性を確保するための改修を行った上で、改築後80年までに建て替えを行ってまいります。学校施設が児童・生徒にとって安心して学習に取り組める居心地のよい教育環境であるよう、改善に当たっては校庭やプールの整備についても併せて検討してまいります。

 次に、新校舎、既存校における教育環境の格差についてでございます。全ての学校で一定以上の教育環境を確保しているものの、人工芝の校庭や多目的スペースなど、既存校にはない機能が新校舎に備わっていることは認識しております。当面建て替えの予定のない既存校においても、よりよい学校施設としていけるよう、教育環境の充実に向けた改修について検討してまいります。

 最後に、新校舎整備費に係る現計画との比較についてでございます。中野区立小中学校施設整備計画については、令和8年度の改定に向け、現在検討を進めているところでございます。小・中学校の改築経費については、現計画との比較説明ができるよう検討してまいります。

〔子ども教育部長石崎公一登壇〕

○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、子育て施設の質の確保についての御質問のうち、区立保育園についてお答えいたします。

 初めに、保育士の現場復帰の理由についてでございます。当該保育士につきましては、令和4年12月に他の区立保育園での不適切保育発覚後、直ちに区役所本庁舎で配置変更を行いました。約1年3か月の間、区役所内での勤務態度が良好だったことや本人の反省が見られたことから、令和6年度から保育現場へ戻すことといたしました。

 次に、危機管理対応についてでございます。今回の事案発覚後、区立保育園長会等で不適切保育についての情報を共有していたところでございます。ただし、当該保育園での保護者説明会の内容等詳細につきましては、区立保育園間で共有できていない部分がございました。今後は現場の職員が安心して対応できるよう、適宜適切に情報提供を行ってまいります。

 次に、第三者評価の公表方法及び第三者評価の毎年の実施についてでございます。今後、区ホームページにおきまして、簡単に第三者評価の結果を見ることができるよう、リンク先を工夫するなど改善を図ってまいります。区といたしましては、今回の不適切保育事案を非常に重く受け止めてございます。保育の質の向上や保護者をはじめとする区民の皆様からの信頼回復に資する取組を行う必要があると考えてございます。御提案の全区立保育園での毎年の第三者評価の実施を含め、有効な方策について検討してまいります。

〔子ども家庭支援担当部長森克久登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(森克久) 私からは、子育て施設の質の確保についての御質問のうち、学童クラブについてお答えをいたします。

 まず、民間学童クラブ運営費補助の見直しの進め方についてでございます。民間事業者への説明につきましては、令和6年10月と令和7年1月の2回、事業者に口頭及び資料を送付いたしまして説明を行ったところでございます。今年度になりましてから、事業者から意見や要望を頂いているところでありまして、より丁寧に詳細な説明をする必要があったのではないかと考えているところでございます。

 続きまして、今後の対応方針についてでございますが、学童クラブ事業者が職員を適切に配置することができ、保育の質を確保し、利用者が安心して利用できる環境を整える必要があると考えておりまして、事業者からの意見を受けまして、今後の補助の在り方について現在検討中でございます。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) 交通対策についてお答えをいたします。

 自転車通行空間の整備計画について、中野区自転車利活用計画では、歩行者、自転車、自動車が共存し、安全に通行できる空間の整備を図ることを目的として、自転車通行空間のネットワークを定め、整備することとしております。現在、道路改修などの機会を捉えて、自転車ナビラインなどを設置しております。今後は自転車ネットワーク路線の早期実現に向け、優先順位を定めて交通管理者と協議をし、自転車通行空間を積極的に整備してまいります。

 次に、自転車・電動キックボードの路面標記について。自転車・電動キックボードのナビライン等の路面標記については、道路交通法の観点もあるため、交通管理者と相談しながら研究をしてまいります。

〔平山英明議員登壇〕

○32番(平山英明) 再質問させていただきます。

 繰り返しますが、1問目の質問は、区民の影響ではなくて、今回の事案に対し、区側の落ち度や具体的な責任はないのかということを問うていますので、それに対して改めて御回答をお願いします。

 2問目、これに対しても、区側から申請を促すような何らかの発言や行動は一切なかったのか。民間事業者が決めるものであり、区が口を挟むような性質でないという答弁があって、それはよく分かっているんです。性質でないからこそ、仮にそういうことがあったら大変なことだなと思って伺っているので、あったのかなかったのかをお答えください。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 平山議員の再質問にお答えします。

 まず、一つ目でございます。区としての落ち度がなかったかという御質問であります。落ち度、過失等でございますが、それについては我々としてはなかったものと思っておりますけれども、実際に取下げがなされたこととしては、同じことを言いますけれども、区として大変遺憾に思っているところであります。

 それから、施行認可申請の手続についての2問目の質問でございます。施行認可申請に当たっては、施行予定者として物価上昇を踏まえた事業計画を作成して、区を含む地権者の同意を得て、都市再開発法に基づく認可申請をしたものでございまして、したがって、事業成立性が確認できない中で、区側から施行認可申請を促すことはございません。

○議長(森たかゆき) 以上で平山英明議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時58分休憩

 

午後3時20分開議

○議長(森たかゆき) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 広 川 まさのり

 1 区長の政治姿勢について

  (1)中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについて

  (2)物価高騰対策について

  (3)介護事業所支援について

  (4)その他

 2 子ども・学校施策について

  (1)子ども施策の展開について

  (2)朝の児童預かりについて

  (3)学校給食について

  (4)その他

 3 医療施策の充実について

  (1)休日診療について

  (2)マイナ保険証について

  (3)5歳児健診について

  (4)その他

 4 安心・安全なまちづくりについて

  (1)エアコン設置助成について

  (2)ベンチについて

  (3)水の安全について

  (4)羽田新飛行ルートについて

  (5)その他

 5 その他

 

○議長(森たかゆき) 広川まさのり議員。

〔広川まさのり議員登壇〕

○11番(広川まさのり) 2025年中野区議会第2回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 まず、区長の政治姿勢について。

 初めに、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについて伺います。

 中野駅新北口駅前エリアのまちづくりに関して、区長よりこれまでの経緯や今後の取組についての行政報告が行われました。区が野村不動産と進めてきた中野サンプラザ地区の市街地再開発事業の協定を解除し、協議を継続しないと決定したことについて、党議員団としては、区民の声を受け止めたものとして評価するとともに、3月24日、区長に対し、住民参加で中野サンプラザ地区の再開発を見直すことを求める申入れを行いました。

 そこで伺います。行政報告において、「意見交換会などにより、区民の皆様のご意見を伺いながら事業の見直しを進めていきます」とありました。幅広く区民と意見を交換し、対話を重ねることは重要です。改めてアンケート調査を行うなど様々な方法で意見を募り、まちづくりを区民と一緒に作り上げるという視点が必要と考えます。区の認識を伺います。

 現在、閉鎖管理となっている中野サンプラザについては、バリアフリーの観点から不十分な施設、修繕して一時的に活用したとしても早晩全面的なリニューアルが必要として、活用はしないとの方針が示されました。

 そこで伺います。事業の見直しに当たっては、市街地再開発事業だけでなく、定期借地方式などの事業手法や建物の活用など、あらゆる選択肢を除外せず、メリット・デメリットを示して比較し、今後のまちづくりを検討すべきではないでしょうか。また、現在閉鎖管理となっている施設の1階エントランスホールなど一部に限って改修し、活用していくことを検討してはいかがでしょうか。区の認識を伺います。

 次に、物価高騰対策について伺います。

 長引く物価高騰が暮らしと営業を直撃しています。党議員団が昨年行った区民アンケートでは、「昨年と比べてあなたの暮らし向きはどうですか」の問いに、63%が「悪くなった」と回答しました。現在、主食である米の価格は上がり続けており、暮らしはさらに追い詰められています。

 私たち日本共産党は、毎日の買物にかかる消費税を減らすことが最も効果的な暮らしの応援になると考えています。また、中小企業、自営業者の経営を守るためにも、消費税減税は待ったなしです。緊急に5%へ引き下げ、最終的に廃止すべきものと考えます。そのための恒久的な財源として、大企業と富裕層への減税・優遇を見直すことを提案しています。

 そこで伺います。直近の世論調査でも国民の7割が求めている消費税減税について、区長の所見を伺います。

 物価高騰対策として、低所得世帯向けの3万円給付について、区は世帯所得150万円未満の世帯を独自に対象としたことは評価します。同時に、その対象が約6万9,000世帯となり、区内世帯の3割強に上っていることは深刻です。また、長引く物価高騰は、給付金などの支援の対象とならない、いわゆる中間層世帯の暮らしにも多大な影響を及ぼしています。他自治体では、子育て世帯への支援金や商品券の発行、家賃助成など独自の施策が展開されています。

 そこで、区としても物価高騰対策について、区民のニーズをつかみ、さらに踏み出すべきと考えます。認識を伺います。

 物価高騰は、生活保護の受給世帯にも大きな打撃を与えています。受給者の生活費に充てることができる生活扶助からの支出品目に限った物価上昇率は4年で12%に達します。政府は、特例加算として支給している月1,000円に、今年10月から500円を上乗せしますが、加算額の少なさや開始時期の遅さは物価上昇に追いついていないのが実態です。

 そこで伺います。特例加算は必要な措置ではあるが、物価高騰に見合った生活扶助の引上げの求めや、区として生活保護世帯に対する独自の対応が求められると考えますが、区の認識を伺います。

 次に、介護事業所支援について伺います。

 2024年度、全国の介護事業者の倒産が179社、前年度比36.6%増と、過去最多を記録したことが民間の調査で明らかになりました。国が24年4月に報酬を引き下げた訪問介護を行う事業者が全体の約半数を占めています。

 党議員団として区内の介護保険事業所に実施した介護報酬改定による影響を伺うアンケートでは、回答を頂いた事業所52か所のうち8割が「経営が苦しい」「とても苦しい」と回答しています。

 第1回定例会予算特別委員会において武田議員が、コロナ禍で借り入れた貸付金の返済が始まる、報酬減によるマイナスも積み上がることなどを指摘し、区内事業所の経営状況を区としてどのように把握しているのか伺ったところ、健康福祉審議会や事業所との意見交換、介護保険事業計画の各種調査などにより事業所の状況を把握していると答弁しています。

 そこで、改めて伺います。現在の区内介護事業所の経営状況について、どのような状況だと把握されているのでしょうか。

 区は、物価高騰のアンケートは実施したが、経営状況についてのアンケートについては実施していないとのことですが、党議員団が行ったアンケートの自由記述欄には、介護報酬が下がり経営が苦しくなっている、法人全体の経営利益が赤字となっている、給料を上げることができない等の声が寄せられており、区の認識とは乖離しています。改めて、区として区内介護事業所の経営状況を調査すべきではないでしょうか、伺います。

 世田谷区では、訪問介護の基本報酬引下げを受け、苦境にあえぐ事業者が区内でも増えているという実態を踏まえて、介護サービス事業所・施設等への緊急安定経営事業者支援給付金を交付しました。中野区としても、介護倒産を防ぐための給付金を検討すべきではないでしょうか。見解を伺って、次の項の質問に移ります。

 次に、子ども・学校施策について。

 まず、子ども施策の展開について伺います。

 この間の議会質問で、子ども・子育て支援として、入学準備金の拡充や教材費の無償化、修学旅行費の補助や習い事代への補助を求めてきました。区からは、検討していきたい、ニーズや他自治体の取組などを踏まえて研究してまいりたい等、答弁を頂いてきました。この間、他区でも様々な取組が広がっています。まず、これら施策についての検討状況について伺います。

 足立区は来年度から、小・中学校に入学する全児童・生徒を対象に1人10万円の入学準備金を支給します。また、今年度から、区立学校に在籍する児童・生徒を対象に、補助教材費補助や修学旅行費補助を行います。高校生世代に対して、部費や習い事等の費用を支援するなど、大規模な子育て支援策を打ち出しました。区が実施した子育てアンケートでの意見を反映させたとのことです。その財源の一部として、競馬組合分配金を充てています。区によると、一般財源の中に入れる分配金を、子ども施策に使うことに特定して使っていくとのことです。

 そこで伺います。中野区でも、年間6億円に上る競馬組合分配金を子ども施策に特定した使い方をすれば、一層の支援拡充に踏み出せるのではないでしょうか。区の認識を伺います。

 次に、朝の児童預かりについて伺います。

 全国的に共働き世帯は増加しており、中野区でも子育て世帯の70%以上が共働き世帯となっています。そうした中で、朝の子どもの居場所づくりが課題となっています。特に新入学生において、家庭によっては保育園に預ける時間よりも登校時間が遅くなるため、「朝の小1の壁」とも呼ばれています。1年生に限らず、登校時間まで子どもだけで自宅で過ごしたり、早めに登校して学校前や近くの公園で待っているという状況があります。こうした課題について、国は全国の自治体に対し、地域のニーズを把握して適切な対策を進めるよう求めています。

 品川区では今年度から、区立小学校3校で朝の預かりを試験導入し、7時半から8時半まで空き教室や学童クラブを開放し、無償でパンやおにぎりを提供しています。学年を問わず利用でき、今年の秋をめどに全ての区立小学校での導入を検討しています。他自治体でも朝の児童の居場所を提供する取組が始まっています。

 中野区としても、早急に朝の子どもの居場所づくりに取り組むべきではないでしょうか。区の見解を伺います。併せて、学年を問わず、必要としている児童を幅広く受け入れる制度とすべきと考えますが、区の認識を伺います。

 教員の負担増とならないよう十分留意するとともに、必要な人員配置やシルバー人材センターへの委託など工夫して取り組むことを求め、次の質問に移ります。

 次に、学校給食について伺います。

 中野区では2023年度の後期より、給食費の実質無償化が区立のみならず、国立、都立、私立に通う小・中学生も対象に含める形で始まりました。幅広い区民・保護者の願いに応えたものであり、また、党議員団としても長年にわたり繰り返し求めてきた施策であり、評価します。

 長引く物価高騰の影響が学校給食にも影響を及ぼしていることが明らかになっています。日本農業新聞が47都道府県の学校給食会に行った緊急調査によると、今年度当初米価は前年同月比1.3から2倍超に上昇。「米飯回数を減らすしかない」「おかずやデザートを減らしたり、安価な食材に変えたりしている」など、食事の量や質が低下することへの不安が聞かれました。

 そこで、まず現時点で、中野区において物価高騰による学校給食への影響を伺います。

 学校給食は、児童・生徒の心身の健全な発達、体力の向上、食育、そして、学校生活を豊かにする重要な役割を果たしています。そのため、物価や米価格の高騰に即した対応を臨機応変に補正予算などで対応していくべきと考えます。

 そこで、学校給食の十分な量と質、栄養バランスを確保するため、区としての今後の対応について伺い、次の項の質問へ移ります。

 次に、医療施策の充実について。

 まず、休日診療について伺います。

 年末年始、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って医療機関の逼迫が起こりました。とりわけ休日診療では多くの待ち時間が発生。小児科の休日診療が少ないこともあり、改善を求める声が寄せられています。

 まず、伺います。2016年に策定された新しい区役所整備基本計画では、新庁舎内に休日診療所の設置が示されました。実現はしなかったものの、その必要性についてはどのように認識していたのでしょうか。

 区では医療機関が当番制で休日診療を行っていますが、医師の確保が厳しくなってきていると聞きます。区内で休日診療に関わっている医師に話を伺ったところ、「休日に自分の診療所を開けることにはハードルがある。固定の休日診療所に出向く形であれば、手を挙げる医師も出てくるのでは」とのことでした。

 そこで伺います。現状の当番制の休日診療については維持・拡充に努めつつ、区の中心部に休日診療所を設置することについて検討してはいかがでしょうか。伺って、次の質問に移ります。

 マイナ保険証について伺います。

 全国保険医団体連合会が、昨年12月に新規保険証が発行停止となって以降、医療機関で起きたマイナ保険証の利用に関するトラブル調査の結果を発表しました。実に9割の医療機関で何らかのトラブルが発生し、8割が従来の健康保険証で資格を確認していたことが明らかになりました。

 また、電子証明書の失効などマイナンバーカードの有効期限切れが3,023件と、前回調査から大幅に増加しました。マイナンバーカードに格納されている電子証明書の有効期限は5年です。経過後も3か月間は利用できますが、3か月以上経過すると利用できなくなります。総務省によると、2025年度には更新が必要なカードが2,768万枚余りとなり、昨年度の2.6倍に上ります。

 何らかの理由で電子証明書の更新ができなかったり、忘れていたり、そもそも知らなかったという方の医療機関におけるトラブルは確実に増加するのではないでしょうか。区の認識を伺います。

 利用率の低さから、国は75歳以上の全ての人に資格確認書を交付することにしました。一方で、今後の混乱を避けるため、渋谷区と世田谷区は資格確認書をマイナ保険証の有無にかかわらず、国保加入者全員に一斉送付することを決めました。住民の不安などを背景に、独自に判断したとのことです。

 国民健康保険法附則の第15条では、保険者は、必要があると認めるときは、当分の間、職権で資格確認書を交付できるとされています。両区の対応は法的根拠に基づいており、医療機関におけるトラブルの防止、区民の不安と負担の軽減、また、行政コストの観点から考えても極めて適切であると考えます。

 そこで伺います。昨年第4回定例会においても求めたところですが、中野区としても資格確認書を国保加入者全員に一斉送付すべきと考えます。区の見解を伺います。

 次に、5歳児健診について伺います。

 5歳という年齢は、言語理解や社会性が発達する時期であり、発達障害が顕在化しやすい時期とされています。健診を行うことで子どもの特性を早期に発見し、適切な支援につなげることを目的として、5歳児健診の取組が広がっています。

 昨年、第4回定例会本会議において、武田議員が5歳児健診の早急な実施を求めた際、医師会など関係者間における検討を要することや、実施に当たっても児童発達に詳しい医師、専門職の確保、健診後のフォローアップ体制の構築が課題となっており、他自治体の実施状況も踏まえ検討を進めていくとの答弁がありました。

 その後の進捗状況について伺うとともに、改めて5歳児健診の重要性について区の認識を伺います。

 まずは希望者を対象に試験的に実施し、成果や課題を検証してはいかがでしょうか。併せて伺い、次の項の質問に移ります。

 次に、安心・安全なまちづくりについて。

 まずはエアコン設置助成について伺います。

 会派として繰り返し求めてきたエアコン設置助成について、今年度具体化へ向けた検討が行われていることを評価します。

 23区では既に複数の区がエアコン購入費等の助成を実施しており、今年度から江東区でも始まりました。また、葛飾区、江戸川区、港区は助成額の上限を引き上げています。実施している各区の助成制度については、助成内容や金額、対象は様々です。

 そこで伺います。区として検討中のエアコン購入費助成について、十分な助成金額を設定するとともに、多くの方が利用できるような制度とすべきと考えます。区の見解を伺います。

 真夏日となった5月20日、東京消防庁管内で27人が熱中症により搬送されました。改めて猛暑への備えが急がれます。エアコンの有無は命に関わる問題であり、早急に助成制度の実施を要望します。

 次に、ベンチについて伺います。

 今年度、民有地にベンチを設置する際の補助金制度が始まる予定です。

 本年第1回定例会本会議一般質問において、浦野議員がベンチについて区の検討状況を伺った際、区長からは、「民有地へのベンチ設置補助だけでなく、区が管理する土地や施設においても気軽に腰かけられるスペースの確保を積極的に進めていくことが大切である」との答弁があり、「区道や公園、区有施設などにおいて適切なスペースがないかを順次調査を進めていきたい」との考えが述べられました。

 そこで、改めてベンチの設置に向けた計画の進捗状況を伺います。

 併せて、区内のベンチの認知状況や、どのような方が、どのような目的で、どのような場所にベンチの設置を求めているのかをつかむためのニーズ調査を行ってはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 開放された中野サンプラザ前広場では、立ち話をする人、ベンチに腰かける人、階段に座る人の姿が見られます。駅前の開かれたスペースであり、より多くの区民や観光客の憩いの場となるポテンシャルがあると考えます。昨今、様々な自治体で、こうした公共の広場を活用して人工芝を敷いたり、ベンチやテーブルを設置して開放するといったような事業や実証実験が広がっています。

 そこで伺います。現在の中野サンプラザ前広場のような公共的な空間については、より多くの区民や観光客が思い思いの時間を過ごせる空間となるよう、新たなベンチの設置などについて検討してはいかがでしょうか。見解を伺います。

 次に、水の安全について伺います。

 自然ではほとんど分解されず、発がん性や子どもの成長への影響など有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFASの汚染が深刻です。東京都水道局が取水停止をしている水道水源の井戸は44か所に上っています。区民からも水の安全性について心配の声が寄せられています。

 先月、国は、PFASを水道法上の水質基準の対象に定める省令改正をすると明らかにしました。来年度から、自治体や水道事業者に水質の定期検査と基準値を超えた場合の改善を義務付けます。

 そこで、来年度からの区の対応について伺います。併せて、区民の不安に寄り添い、水質の検査状況と検査結果について随時区ホームページで情報提供すべきと考えます。区の認識を伺います。

 災害時における各避難所や防災広場、防災公園において防災井戸を設置しているほか、井戸を所有する区民から井戸水の提供を受けることとしています。そのため、平時から水質の安全性については確認しておくべきと考えます。自治体独自の調査が広がっており、今年度、国立市や西東京市が防災井戸の水質検査に乗り出します。

 中野区でも、区内の井戸や学校、避難所等の水質について、独自にPFAS検査を行い、結果を公表すべきではないでしょうか。区の認識を伺います。

 次に、羽田新飛行ルートについて伺います。

 5月17日、羽田新飛行ルートの中止を求める中野の会が主催する学習会が行われました。講師の元日本航空パイロットであり航空評論家の杉江弘さんから、都心上空を通る新ルートの危険性について改めて語られました。

 また、国土交通省が昨年12月に2年半ぶりに開いた固定化回避検討会についても、その問題点が指摘されました。固定化回避と言いながら、中野駅上空を通るAルートは変更せず、東中野駅上空を通るCルートはそもそも実現不可能な飛行方式を検討しており、結局、結論は先送りにされました。有識者からは「単なるパフォーマンス」「都民をばかにしている」との厳しい声が上がっています。

 羽田新飛行ルートの運用開始から5年たちますが、依然として中止を求める区民は少なくありません。こうした現状について区の認識を伺います。

 4月23日午前2時過ぎ、太平洋上空を飛行中の香港発ホノルル行きユナイテッド航空の貨物機が、左エンジンのトラブルを理由に緊急事態を宣言し、目的地を羽田空港に変更して午前3時38分に緊急着陸をしました。その際、中野区の上空を通る羽田新ルートを飛行したと見られ、突然の騒音に驚いたという声が聞かれました。深夜にエンジントラブルを抱えた航空機を都心上空のルートを使って緊急着陸をさせたことは大きな問題です。

 この事案に対して、区は国からどのような連絡を受けたのか伺います。あわせて、国に対して再発防止を強く求めるべきではないでしょうか。区の認識を伺って、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 広川議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについてで、区民との意見交換についての御質問です。協定解除後の取組として令和2年1月に策定した中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画を、必要に応じて一部見直しをすることにしております。見直しに当たっては、区民との意見交換の回数や実施方法、開催場所などを工夫をして、多くの区民意見を収集するとともに、区内団体との意見交換やインターネットの活用による意見聴取に努めてまいります。

 次に、事業手法の検討についてでございます。再整備事業計画では、事業手法として、第一種市街地再開発事業を想定をしております。現在の施行予定者と締結している協定解除後の取組として、区民、関係団体との意見交換や、民間事業者へのサウンディング型市場調査の実施によって、市街地再開発事業における定期借地権方式の併用など、これまでと異なる手法の事業スキーム等についても検討していく考えであります。

 中野サンプラザの暫定利用についてでございます。中野サンプラザについては、令和7年4月から南側広場の暫定利用を開始をしているところであります。中野サンプラザは令和5年に閉鎖をして以降、電気・水道などの設備が稼働していないこともありまして、全面的な建物利用はできませんが、南側広場に面する建物の一部の利用について可能性を検討していく考えであります。

 次に、物価高騰対策についてであります。

 消費税減税について。消費税の減税が区民の生活に与える影響は大きいと思いますが、社会保障を支える大きな財源であることも、これは事実でございます。物価高騰対策については、国において、国民や企業の所得に応じた適切な税制の在り方も含め、十分な議論がなされ、対応すべきものだと私は考えております。

 次に、区独自のさらなる物価高騰対策についてでございます。区はこれまで、国や都が実施する物価高騰対策を踏まえるとともに、支給対象を拡大するなど、区として実施すべき対策を見極めて実施をしてきたところであります。今後も区民のニーズを把握するとともに、国や都の動向や社会経済状況を見極め、必要な対策を講じていきたいと考えております。

 続きまして、生活保護世帯に対する経済的支援についてでございます。生活保護の生活扶助基準につきましては、国における生活保護基準部会において水準の妥当性等を検証し、それを踏まえて一般低所得世帯の消費実態や社会経済情勢等を総合的に勘案をして、国が基準改定を行っているものであります。区は生活保護の実施機関でありまして、生活保護制度は国の責任において行われるべきものであると思っております。昨年7月には、特別区長会としても生活実態に即した生活保護基準を設定するように要望したところでありまして、区独自の経済的な措置を行うことは考えておりません。

 次に、介護事業所の経営状況についてでございます。訪問介護事業所は令和7年4月現在79事業所で、令和6年3月時点と比べ2事業所増えているなど、区内の介護サービス事業所は、入れ替わりはあるものの一定数保たれているのが現状であります。一方で、今年4月に実施をした物価高騰のアンケートでは、食材費、光熱費、燃料費、いずれも影響を受けていると回答した事業所が5割を超え、特に通所系サービスで影響を受けているとした割合が多かったと分析をしているところであります。

 区内介護事業所の経営状況の調査についてです。国が令和6年10月に実施をした令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、処遇改善加算を取得している施設・事業所の介護職員の基本給等は、対前年度の比較で4.6%増加をしております。区はこうした国の各種調査結果も活用するとともに、指定・届出状況や、健康福祉審議会や事業所との意見交換会等での意見、介護保険事業計画の各種調査などによって状況把握を行ってまいります。

 介護サービス事業所に対する給付金についてでございます。社会経済情勢に鑑み、物価高騰対策を行っていく考えでございまして、経営安定のための給付金は考えておりません。

 次に、子ども・学校施策についてで、子ども・子育て支援施策の検討状況についてでございます。他自治体で実施をしている修学旅行費や教材費無償化、入学準備金の拡充については、子育て先進区にふさわしい教育費の補助の在り方について現在検討しているところであります。また、区はこれまで、家庭の経済状況の差が学校外における学習の差につながることのないよう、学習支援事業の拡充を進めてきたところでありますが、習い事への経済的な支援については、ニーズや他自治体の取組などを踏まえ、引き続き研究をしてまいります。

 次に、特別区競馬組合分配金の子ども施策への充当についての御質問です。競馬組合分配金につきましては、使途が定まっていない一般財源でありまして、子ども施策も含めて必要な区民サービスに充当しているところであります。未来ある子どもたちのための必要な対策の実施には、安定した財源が必要でありまして、景気の影響を受ける分配金ではなく、安定した財源の確保に努めてまいりたいと考えております。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 子ども・学校施策についての御質問にお答えいたします。

 まず最初に、朝の児童預かりについてでございます。保護者の就業と子育ての両立を支援するとともに、子どもが安全・安心に過ごせる小学生の朝の居場所を確保することは必要であると考えております。現在、事業実施に向け、保護者や学校近隣住民にアンケートを行い、実施に向けた体制等を調整しているところでございます。事業実施に当たっては、学校の状況を踏まえ、実施場所や対象学年等を考慮の上、円滑に運用できるよう検討していきたいと考えております。

 次に、学校給食についてでございます。物価高騰や米の価格高騰により、給食費1食単価に占める米の割合が増えているのが、今年度より1食単価を値上げしており、昨年度同様の給食を提供できております。学校給食は、献立作成方針に沿って、子どもたちが適切に栄養を摂取し、十分な質と量がある学校給食を提供する必要があると考えており、今後の物価動向を注視するとともに、学校栄養士から状況を聴取し、必要に応じて追加の予算措置も検討していきたいと考えております。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) 私からは、まず、休日診療所の設置についてですが、休日における急病患者に対し応急診療事業を実施することにより区民の健康を守る必要があるため、新庁舎内への休日診療所の設置を検討しましたが、中野区医師会と運営体制について協議を行った結果、管理運営の在り方等の課題が多いことから、設置は行わないことといたしました。現時点では、直ちに区の中心部に休日診療所を設置することは考えておりませんが、中野区医師会等と状況や課題について意見交換を行い、今後の休日診療事業の方向性を検討してまいります。

 次に、水道水の水質検査の公表についてですが、中野区内の水道については、専用水道2か所を除いて東京都水道局が管理しています。東京都水道局は水道水の水質検査を定期的に行っており、PFASについては年4回検査しています。都ホームページにて公表しており、区ホームページへの掲載は考えておりません。また、専用水道使用施設の設置者は、設置者自身が水質検査及び報告義務があることから、区は設置者に対して、これまでの検査項目に加え、PFASが水質基準項目となることを情報提供しています。

 次に、水質検査の実施についてですが、中野区の防災用井戸の多くは浅井戸で飲用には適さないため、災害時に生活用水として近隣への供給をお願いしているものであることから、水質検査はしていません。一方、学校、避難所等の水に関しては、東京都水道局が管理する水道水であり、既にPFASのうちPFOA、PFOS等を含む水質検査を実施し、検査結果を公表しています。

〔区民部長高橋昭彦登壇〕

○区民部長(高橋昭彦) 私からは、医療施策の充実についての御質問のうち、マイナ保険証について2点お答えいたします。

 1点目ですけれども、電子証明書の更新に伴うトラブルについてでございます。マイナンバーカードの電子証明書につきましては、有効期限のおおむね3か月前に更新通知が届きまして、更新手続をしていただくことになりますが、その期間内に手続がされずに有効期限が切れてしまった場合でも、3か月間はマイナ保険証として利用ができるようになってございます。さらに、更新手続がされない場合、有効期限から3か月が経過する前に、区が職権で資格確認書を交付することで、被保険者が切れ目なく医療を受けられるように配慮しております。これらの対応によって、医療機関等でのトラブルは抑制されると見込んでございます。

 続きまして、資格確認書の一斉送付についてでございます。国は、75歳以上の後期高齢者に対しては、マイナ保険証の利用率が他の年代と比べて低い状況などを踏まえて、資格確認書を全員に職権で交付する暫定運用を継続しているところですが、その年代以外の加入者に対して資格確認書を一斉送付することは想定しておりません。区としては、一斉送付に要するコストの増加や、他の保険者と異なる運用を取ることによる混乱を避けるため、国の方針どおり、国民健康保険加入者に対しては、マイナ保険証をお持ちでない方のみに資格確認書を送付するべきと考えてございます。

〔地域包括ケア推進担当部長石井大輔登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(石井大輔) 私からは、5歳児健診についての御質問にお答えいたします。

 まず、5歳児健診の検討状況でございます。5歳児健診は、就学前に社会性などの発達を確認し、支援が必要な子どもを早期に発見して、医療や福祉などの支援につなげる重要な機会であると認識をしております。先行実施している自治体の事例を参考に、実施体制や健診後のフォローなど対応策を検討しているところでございます。

 次に、5歳児健診の試験的実施についてでございます。先行自治体におきましても多くが試行的に実施をしておりまして、健診体制やフォロー策など課題を検証しながら構築をしていきたいと考えております。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、安心・安全なまちづくりについての御質問のうち、エアコン購入費助成につきましてお答えいたします。

 エアコン購入費助成につきましては、助成対象者や助成額など他区状況も参考にしながら検討しているところでございまして、リスクの高い高齢者等の住環境の向上に向けて、区としての支援策をまとめてまいります。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) ベンチについてお答えいたします。

 まず、ベンチ設置に向けた計画について。現在、区道や公園などを含めた区有地や区有施設において、安全面や周辺環境を踏まえたベンチ設置に適した候補地について調査を進めているところでございます。併せて、歩きたくなるまちづくりを推進していくための基本的な考え方となる構想づくりにも着手し、効果的なベンチ設置について取り組んでまいります。

 続いて、ベンチのニーズ調査についてです。ベンチを効果的に設置していくためには、利用者の意見等も確認をしていく必要があると認識をしております。今後、歩きたくなるまちづくりの推進に向けた考え方を整理していく際には、タウンミーティングなどの機会を活用するなどし、ベンチ設置等も含め、区民などの意向も把握しながら進めてまいります。

 最後に、公共的な空間の活用について。区民等が気軽に利用できる公共空間は、歩きたくなるまちづくりを進めていく上で有効に活用していく必要があると考えております。他自治体の取組等も参考にしながら検討してまいります。

〔環境部長浅川靖登壇〕

○環境部長(浅川靖) 私からは、羽田新飛行ルートについての御質問にお答えいたします。

 まず、新飛行ルート継続に対する区の認識でございます。中野区を含む都心上空を航空機が飛行することは、騒音や落下物の危険性等の問題が拭い去れないものであり、不安を抱いている区民がいることも認識しております。区はこれまでも、騒音対策や落下物対策等を含む安全管理体制の強化、新飛行経路の固定化回避の早期実現について、特別区長会等を通して国に要望を行ってまいりました。今後も区民の安全・安心を最優先に、関係機関と連携しながら国への要望を継続してまいります。

 続きまして、エンジントラブル機の羽田空港緊急着陸についてでございます。本年4月23日の未明、片方のエンジンに不具合が生じた航空機が緊急状態を宣言し、都心上空を飛行して羽田空港に緊急着陸したという事案について国から連絡がございました。これは区民などからの問合せが想定されるため、その対応用として国土交通省から関係自治体に情報提供があったものでございます。今回の緊急事態の中で、想定された時間外に都心上空を飛ぶ新飛行ルートを選択した背景についての情報提供を引き続き求めるとともに、最新の知見及び技術に基づいた安全対策や騒音対策の実施を国に求めてまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で広川まさのり議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 大 沢 ひろゆき

 1 中野駅新北口再開発事業の今後の進め方について

  (1)現中野サンプラザ改修コスト試算について

  (2)現中野サンプラザ改修に必要な期間について

  (3)改築または改修後の事業運営主体について

  (4)その他

 2 個人宅に設置する防犯カメラへの助成制度について

 3 創業者融資制度の除外規定の運用について

 4 朝の子どもの居場所づくりについて

 5 現北部すこやか福祉センターが所在する区有地の今後の利活用について

 6 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、大沢ひろゆき議員。

〔大沢ひろゆき議員登壇〕

○9番(大沢ひろゆき) 令和7年第2回定例会に当たりまして、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問を行わせていただきます。

 質問は通告どおりの5点で、6のその他はありませんが、1、中野駅新北口再開発事業の今後の進め方についての(4)その他として、駅前のこの場所に必要な機能として区民の意見をお聞きする時期、頻度、手法等について伺うこととし、1、中野駅新北口再開発事業の今後の進め方についての質問の順番を、通告時の(3)、(1)、(2)、(4)の順番に入れ替えさせていただきます。

 まず1点目、中野駅新北口再開発事業の今後の進め方について。

 去る6月2日の区長からの行政報告において示されましたように、中野駅新北口再開発事業については、現在、野村不動産をはじめとするJVとの契約解除に向けて調整中であり、本定例会において解除に係る議案が上程されると認識しております。その最大の要因として、子どもの遊び場や屋上広場、展望施設の規模など、区民が直接利用する施設の魅力の低下とされており、この点については会派としても同意見であり、決断を評価するところでもあります。

 今後の再整備の進め方として、現在の中野サンプラザの筐体をそのまま使用して内部を全面的にリニューアルする方法と、解体し新たに開発を行う方法とに大別されると思います。そして、中野サンプラザは数多くの区民に愛されており、その扱いについては丁寧な説明が必要であると考えております。

 100年に一度の再開発が進んでいる中野、その中心となる中野サンプラザ、2004年に53億円で取得した中野サンプラザですね。こちらにつきましては、国が経営してきた時代には赤字であったというふうに聞いております。これを年間3億円程度の経常利益を上げ続けた。これが事実であったと思います。このことは、取得後の中野サンプラザの経営に尽力されてきた中野の経済界の皆様が大変協力をしてくださった。そして御指導を頂いた、その賜物だと思います。

 そして、土地部分だけでも都市型再開発のスキームの中で約285億円の従前資産として評価される、このような状況になっているということだと思います。

 しかし、これからはまた新しい話になってくるということで、この285億円はあくまでも含み資産というふうな形ですから、もし区の負担で改修や改築を行って、その費用を区自らの事業運営によって回収する事業モデルの場合には、このコストを上回る利益を上げないと、結局区民の血税が投入されることになる。そして、子孫に負債を残すことにつながるということだと思っています。

 このようなことが決して起こらないように、民間企業がしっかりと健全に運営し、利益を上げられるスキームで、民間企業が運営主体となる前提で改修や改築を行うべきであるというのがまず基本だと思っているんですけど、そこの部分に関して区長の見解を伺いたいと思います。

 そして、民間が運営する場合には、区に対して改修工事に必要な費用の回収相当に加えて、土地の資産価値に応分の土地に係る費用を、いずれかの形で支払う必要が出てくるということだと思います。現在の中野サンプラザの筐体を改修し活用することによって、民間事業として本当に成立するのかということを判断するために、ある程度の精度の試算の提示が必要であるというふうに考えます。

 そして、改修工事費用についてはこれまで、今から7年前の平成30年9月19日の決算特別委員会において、15年間長寿命化するためのコストとして32億2,000万円、そして、令和6年の12月19日の中野区長の会見におきまして、大規模修繕費用として100億円という数字が示されたということかと思います。その後の建設委員会、そして特別委員会での質疑を通じて、いずれも「地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書」による試算であるということを確認いたしました。

 そこで伺いますが、この「地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書」は何年に発表された資料でしょうか。調べたところでは平成23年3月、そう、2011年3月の報告書であるように思いますが、正しいでしょうか。

 もしそうであれば、今回、NAKANOサンプラザシティという計画において、2020年当時約1,800億円だった建設費用見積りが最終的には約3,600億円まで膨れ上がった、大幅な建築資材の物価上昇。実際こちらを見ていただければと思うんですけれども、一般社団法人日本建設業連合会が2024年秋に大規模建築物等の値上がりの状況を整理したものです。これは、数字は2020年12月と2024年9月の約4年間の間の上昇率ということなんですけれども、おおむね60から90%程度、このような値上がりが生じているんですけど、この費用試算、100億円を試算するに当たって、実際、このような建設コストの上昇というのはどの程度織り込まれたのかということを伺いたいと思います。

 また、建設委員会や特別委員会において、100億円の改修コストの算定の前提として、60年間の使用を前提とした公共施設において30年目に実施する大規模改修を実施する際の費用により算出したと、このような説明を頂いたかと思います。

 そこで伺います。1973年に開館された中野サンプラザは現在、築52年ということになります。2004年に区などが出資するまちづくり中野21が約53億円で取得したということなんですけど、この段階から再整備が前提となっていたということがあって、大規模修繕はこれまでに行われていないというふうに聞いたんですが、これは正しいでしょうか、お答えを頂ければと思います。

 仮に、先ほどの建設コストの上昇ももし織り込んでいなくて、大規模修繕も行われていないとすると、幾ら何でも試算結果の精度があまりに低過ぎるんじゃないかというふうに私は思います。事業の成立性を検討するためにも、また、中野サンプラザをめぐっての区民の意見の分断を防ぐためにも、もう少し精度の高い見積りを行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。見解をお聞かせください。もちろん、見積りのために非常に大きな費用を投入することは避けるべきである。これはそのように思いますけれども、例えば300万円とか500万円とか、一定の捻出可能な費用、どのぐらいなのかというのを出した上で、できる範囲で精度向上に努めるべきだろうというふうに考えるんですけど、いかがでしょうか。区長の見解を伺いたいと思います。

 また、もう一つ気をつけなきゃいけないなというふうに思っているのが、今の需給状況から、納期や工事着手に期日がかかる設備があるということについて、非常に注意が必要なんだろうというふうに思います。

 例えばなんですけれどもエレベーター(昇降設備)、これに関しては今どういう状況になっているかというと、超高層用のエレベーターは2030年以降しか着工できませんと。そして、メーカーによっては31年以降になるんだというふうに言っているわけで、そうすると、実際に着工してから5年か6年ぐらいはエレベーターって付け替えられない、直せないと、そういう状況なわけですよね。これで、今の中野サンプラザを改修するというふうにいった場合には、改修を開始してから完成までに最低5年以上かかると、そういうことを意味しているということかなと思います。もしエレベーターを交換する必要があればですね。通常の場合、大体30年間で更新するというものだと思うので、52年間更新していなかったら、きっと難しいんだろうなと私は思います。しかも電気を止めていますからということもあります。

 改修というと、改築よりも短期間で対応できるというイメージがどうも出てくると思うんですけど、現状はもしかしたらそうじゃないんじゃないかなというふうな気もしていて、エレベーターを必要とする階というのは、長期にわたって暫定利用というふうなことを考えても、恐らく相当難しいんじゃないかなというふうなことを思いますので、このような設備のボトルネックがあるような部分に関しては本当にどうなっているのか、状況を確認したほうがいいだろうなというふうに思いますが、この点について区の見解をお聞かせください。

 現在、中野サンプラザでは、本年9月までの南側広場の暫定開放が開始されています。区に資産が移転される10月以降、建物を含めどこまでの活用が可能であるのか、そして、どの部分をいつから活用できるのかを明確にする必要があると考えます。このことについての検討スケジュールをお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 その上で、中野サンプラザの暫定利用が可能な範囲と暫定利用のための必要費用、暫定利用のための工事に必要な期間を速やかに示すべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 そして、本項の最後、(4)その他として、駅前のこの場所に必要な機能について区民の意見をお聞きする時期、頻度、手法について伺います。多くの意見聴取会を開催するということは最低限必要だと考えますけれども、例えば今、グーグルフォームなどの仕組みを区も持っていますから、大きなコストをかけずに、オンラインで常時意見を登録できる仕組みというのがあると思います。このような場合には、私もサラリーマンを36年間やっていたので思うんですけど、そういう人間も非常に参加しやすいということだと思います。このような意見聴取の時期、頻度、手法についての区の考えをお聞かせいただければと思います。

 続きまして、2点目に行きます。2点目は、個人宅に設置する防犯カメラへの助成金制度、こちらについてでございます。

 中野区では、御存じかと思いますけど、2022年の12月に上高田において3,000万円を強奪されるという事件が発生しました。このようなタイプの事件がその後全国に拡大して、「ルフィ」とかと言われる符丁でマスコミ報道され、SNSにより結びついた闇バイトが起こす犯罪として、後に「トクリュウ」と、匿名・流動型犯罪グループと名づけられた犯罪、これが2022年12月に既に中野区で起きていたというふうなことです。

 このような状況を受けて、中野区選出の荒木ちはる都議会議員をはじめ、都民ファーストの会の都議団として小池百合子都知事に政策提案を行い、こちらにありますように、令和7年度の東京都の予算において、個人宅に設置する防犯カメラなどにつき、価格の2分の1、最大2万円の助成を区を通じて実施することになりました。これを受けて、この4月24日の総務委員会において、中野区としても7月から助成受付を開始したいという旨の方向性が示されました。

 そこで伺います。このトクリュウによる犯罪が実際に発生した中野区でございますので、個人の負担をさらに軽減するために、東京都の2分の1に加え、区として独自の助成を上乗せすることにより普及を促進すべきであると考えますが、区のお考えを伺います。

 3点目なんですが、3点目は創業者融資制度の除外規定の運用について質問をさせていただきたいと思います。

 中野区では、いわゆるインキュベーション(創業)のために、創業者であったり、または創業して5年未満の方を対象として、上限2,000万円、そして、利子補填1.6%、その結果、本人の負担率が0.2%となる、このような創業者融資制度というのを運営しています。

 実際に令和5年度において年間27件、そして、約1億7,000万円の創業支援融資が実施されており、起業者の起業意欲促進につながっているという状況だと認識しています。しかし、この創業者融資制度には運用の際、ある条件が実は付されています。

条件の記載部分をホームページから抜粋すると、創業者融資制度は個人事業者の方が新たに法人を設立する場合、または法人の代表者が新たに個人事業を始める場合や別法人を設立する場合には対象とならないというふうになっています。

 36年間、私、サラリーマンとして民間企業に勤務していたんですけど、その中で子会社の役員を20年間していました。企業の中には、いわゆるサラリーマン社長と言われるような人たちがいます。企業の被雇用者として給与を得ながら、子会社の社長を務めるような、このようなケースがあります。このような方々が退職する際には、通常年休消化みたいなことがあって、2か月近くの休暇を得る、このようなことが起こります。企業から選ばれて経営を委ねられているという人材でございますから、経営能力が高いケースも多くて、退職後起業するようなケースもあります。

 ところが、例えば有給消化期間中に個人として法人を設立した場合には、中野区の場合には、法人の代表者が新たに個人事業を始める場合や別法人を設立する場合に該当するというふうに解釈され、そして、創業者融資制度の適用対象から除外されているというふうな事実があります。このような方から私、実際に相談を受けています。

 ここで伺いたいんですけど、中野区において、法人の代表者が新たに個人事業を始める場合や別法人を設立する場合を創業者融資制度の対象から除外した趣旨は一体何なんでしょうというのがまずあります。例えば一度創業者融資制度を受けている者が新たに起業するとか、既に自らの資金で経営、運営している会社の代表を務めている、このような者に利子補填をする必要はないんじゃないかということで除外するという趣旨だったら理解できるんですけど、サラリーマン社長が先ほどのような事例において除外されるということは、どうも理解できないなというふうに思っています。

 現に代表を務めている会社の株主構成とかを確認すれば、本人が出資しているかどうか、見ればすぐ分かることだから、容易に判定できるだろうというふうに思います。したがいまして、サラリーマン社長による起業については、創業者融資制度の対象とするよう運用を改めるべきであるというふうに私は考えますが、区の見解を伺います。

 そして、4点目です。4点目は、朝の子どもの居場所づくりというところでございます。

 中野区においても共働き世帯の比率は増加しており、保護者の70%が共働きとなっていると。したがって、朝の子どもの居場所づくりは極めて重要な状況となっているというところです。

 このような状況を受けて、中野区選出の荒木ちはる都議会議員をはじめとして、都民ファーストの会都議団は小池百合子都知事に政策提案を行い、令和7年度東京都の予算において、朝の居場所づくりと、そこに取り組む区市町村に対して、東京都3分の2、区市町村3分の1の支援制度を新設しました。

 一方、中野区においては、この5月に教育委員会事務局学務課において、児童の早朝見守り事業に関するアンケートを実施し、その中で、小学校区ごとの利用意向の調査を行っています。

 そこで伺います。朝の子どもの居場所づくりについては、中野区として3分の1の負担は生じますが、早期に実現すべき重要施策であると考えますが、区の見解及び実施に向けた今後のスケジュールについて伺います。

 そして最後、5点目となります。5点目は、現北部すこやか福祉センターが所在する区有地の今後の利活用についてでございます。

 2021年10月に制定された区有施設整備計画においては、北部すこやか福祉センターは旧沼袋小学校に移転し、その跡地は売却するとの計画になっていました。その後、北部すこやか福祉センターに関連しては、去る5月2日に無事出産をし、現在、産前産後休暇を頂いている同僚の黒沢ゆか議員が、令和5年12月1日の厚生委員会、そして、令和6年2月29日の予算特別委員会の厚生分科会、さらに、令和7年2月28日の予算特別委員会の厚生分科会で質疑を重ねてまいりました。そして、本年3月11日の厚生委員会において、北部すこやか福祉センターの移転先は、旧沼袋小学校から近隣の未利用の都有地を優先候補とすることに変更となっております。

 現在、北部すこやか福祉センターが所在するこの地域は児童館のない地域というふうになっております。したがって、区有地の子育て施設としての活用が必要な地域であると考えます。

 そこで伺いたいのですが、今年度策定予定の新たな区有施設整備計画において、現北部すこやか福祉センターの所在地について、これまでの移転後の跡地は売却するとの方針から、児童館等子育て関連施設として活用することを検討いただきたいと思いますが、区の見解を伺います。

 以上で私からの全ての一般質問を終えます。御清聴いただき、ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大沢議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、中野駅新北口再開発事業の今後の進め方についてで、改築または改修後の事業運営主体についての御質問からお答えいたします。中野サンプラザの大規模改修には約100億円以上の経費が見込まれておりますが、中野サンプラザの営業時の年間純利益は約1億円から2億円であります。大規模改修後に民間企業が健全に運営できるスキームを得ることは困難であると考えております。一方、旧区役所と中野サンプラザの敷地を一体的に整備する市街地整備手法は、民間資金や民間活力の誘導を可能とすることから、民間企業が健全に運営し、利益を上げられるスキームの構築が可能であると考えております。

 続きまして、現中野サンプラザ改修コスト試算についての御質問で、大規模改修に係る費用についてでございます。この算定に用いた単価につきましては、財団法人自治総合センターの「地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書」、これに基づくものでありまして、平成23年3月に作成されたもので間違いございません。

 次に、試算に当たっての建設コストの上昇についての御質問です。近年の物価上昇や人件費の高騰に伴って建設コストも急激な上昇をしておりますが、平成23年の単価でも、建物を再利用するための改修費用が100億円以上かかると算定されています。よって、土地・建物の評価額を考慮せず、改修費のみの償還であっても50年以上かかることが明らかなため、昨今の建設コストの上昇分を見込んだ上乗せ算定は行っておりません。

 次に、中野サンプラザの大規模修繕についてでございます。中野サンプラザは平成16年に株式会社まちづくり中野21が当時の独立行政法人雇用・能力開発機構から取得をしております。開館以降、一部内部設備の修繕や改装は行っておりますが、建物の長寿命化等を目的として建物の主要構造部の大部分を対象とした大規模修繕工事は行っていないと聞いております。

 次に、中野サンプラザの大規模改修費用の試算結果の精度についての御質問です。中野サンプラザを残した場合、バリアフリーなどのまちの課題の解決や、多目的ホール、子育て支援施設などの整備による新しい価値の創出が実現されないため、中野サンプラザの再利用は短期的なものに限定されると認識をしているところであります。一方で、先ほど回答したとおりで、建物を再利用するための改修費用は、平成23年の単価でも100億円以上がかかると算定されておりまして、改修費のみの償還であっても50年以上かかることは明らかでございますが、低コストで区民に分かりやすい試算方法については検討してまいりたいと思います。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 朝の子どもの居場所づくりについての御質問にお答えいたします。

 保護者の就業と子育ての両立を支援するとともに、子どもが安全・安心に過ごせる小学生の朝の居場所を確保することは必要であると考えております。事業実施に当たりましては、学校の状況を踏まえ、実施場所や対象学年等を考慮の上、円滑に運営できるように検討し、区議会において報告する予定でございます。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長千田真史登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(千田真史) 私からは、中野駅新北口再開発事業の今後の進め方に関する御質問のうち、3点についてお答えさせていただきます。

 まず、エレベーターなどの改修工事の着工時期についてですが、建物を再利用するためには、エレベーターのみならず、消防設備や避難施設なども含め建物全体の機能回復が基本となりますが、御指摘のとおり、エレベーターをはじめとした建設設備の需要が逼迫しており、早期に大規模改修を行うことは困難な状況にあると考えております。

 次に、中野サンプラザの再利用についてですが、中野サンプラザは令和5年に閉鎖して以降、電気・水道等の設備が稼働していないこともあり、全面的な建物利用はできない状況ですが、南側広場に面する一部の利用など、暫定活用が可能な範囲と期間、そして、それに要する費用と工事期間などについて、今後スケジュールも含めて検討を行ってまいります。また、中野サンプラザの南側広場については、これまで区民の憩いの場として利用されてきたこともあり、令和7年4月から暫定利用を開始しているところでございます。

 最後に、区民意見の聴取についてですが、協定解除後の取組として、令和2年1月に策定した中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画を必要に応じて一部見直すことにしております。見直しに当たっては、区民との意見交換の回数や実施方法、開催場所などを工夫して多くの区民意見を収集するとともに、区内団体との意見交換やインターネットの活用による意見聴取にも努めてまいります。

〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕

○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、個人宅に設置する防犯カメラ等の助成制度における区の上乗せについてお答えいたします。

 個人宅への防犯カメラ等の設置に対する助成制度につきましては、東京都による補助に加えまして、区独自の上乗せ支援の実施に向けた検討をしているところでございます。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、創業者融資制度の除外規定の運用についてお答えします。

 まず、創業支援資金における除外規定の趣旨でございますが、創業支援資金は、一般の融資よりも利子の自己負担を軽減することで、創業時の資金調達のハードルを下げ、可能性のある事業計画を有する創業者を後押しし、区内における創業機運の醸成を図ることを目的としておりまして、当資金は事業経験のない方や初めて事業を立ち上げる方を主な対象としており、現に経営者である法人の代表者が新たに創業する場合は対象外としているものでございます。

 私から最後に、創業支援資金の対象についてお答えします。区の創業支援資金は信用保証協会の制度と連携して運用しており、信用保証協会においても、法人の代表者が新たに創業する場合については、会社の社長として雇われている場合であっても創業とはみなしていないところでございます。当制度との整合性・公平性の担保、また、限られた財源の中で、真に創業支援資金を必要とする方に支援が届くようにする必要があることから、御提案の内容を反映することは区として考えていないところでございます。他方、融資制度全般につきましては、中小企業を取り巻く社会経済状況や経済団体と中小企業のニーズを捉えながら、適宜見直し・改善を行い、実効性を高めていくことに努めてまいります。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 現北部すこやか福祉センターが所在する区有地の今後の活用についてお答えいたします。北部すこやか福祉センターを江古田四丁目の都有地に移転整備することと併せ、移転整備した後の跡地につきましても改めて検討を行っているところでございます。令和6年3月に策定いたしました第9期介護保険事業計画で整備することとしております介護保険施設の誘致につきまして、検討を進めていきたいと考えているところでございます。

○議長(森たかゆき) 以上で大沢ひろゆき議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 酒 井 たくや

 1 子育て先進区と学校教育について

 2 行政報告について

 3 防災について

  (1)東京都避難所運営指針について

  (2)災害時の通信インフラの確保について

  (3)中学校における防災部について

 4 桃園第二小学校の仮校舎について

 5 特別区における課題について

 6 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、酒井たくや議員。

〔酒井たくや議員登壇〕

○41番(酒井たくや) 令和7年第2回定例会におきまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から質疑をいたします。重なる部分がございますが、私なりの観点からお尋ねさせていただきたいと思います。

 1番、子育て先進区と学校教育についてお尋ねします。

 区長は初当選以来、子育て先進区の実現に向け取り組んでこられました。前区政では全廃であった区立幼稚園・児童館の存続をはじめ、子どもの権利条例の制定や子どもの貧困対策、妊娠・出産・子育てトータルケア事業等の取組は高く評価するところです。

 これから子育て先進区中野をさらに前進させるための取組について伺います。

 今年度は特別区において、子育て支援について新たな試みがありました。品川区、荒川区、墨田区、足立区、葛飾区では修学旅行費の無償化、台東区、荒川区、葛飾区では教材費の無償化と、家庭の教育費の負担を軽減する、これまでと比較しても一歩踏み込んだ取組であります。

 学校給食が無償化され、現在、中野区の区立学校における保護者の主な教育費の負担は、修学旅行費と移動教室の体験に係る費用と教材費となっていると思います。

 家庭の教育費の負担の軽減は、これまで我が会派の山本議員も提案してきたところでもあります。憲法第26条第2項に義務教育はこれを無償とするとあり、本来、国が行うべきことでありますが、国がやらないのであるならば、子育て先進区を目指す中野区において、家庭の教育費の負担を無償化すべきと考えますが、区長のお考えをお伺いします。

 恒久的な無償化に当たり、当然財源も必要であり、区としては財源をどのように考えているのか、修学旅行費、移動教室の体験に係る費用、教材費の総額についてを伺います。

 完全無償化を実現した際には、学校現場における私費の管理がなくなります。現在、各学校の地域連携担当の区職員の主たる業務が私費の管理であり、それ以外の業務内容は各校でばらつきがあります。この点を整理すれば、業務のスリム化と財政効果も期待できると考えますが、お伺いします。

 次に、教育環境の違いについてお尋ねします。

 私自身、子どもが建築後50年が経過した白桜小学校に通っており、改築された新校舎の内覧のたびに、新校と既存校の教育環境の大きな違いを痛感するばかりです。

 教育委員会は中野区立小中学校施設整備計画(改定版)見直しの考え方において、「学校施設の目標耐用年数をこれまでの70年から80年に見直すことを検討する」と昨年12月に報告されました。これは、平成27年に文部科学省が公表した「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」を参考にしております。それならば、令和3年の同計画の改定の際に反映させるべきで、どうして今なのか。

 校舎は児童・生徒が日々使用するものであり、早期に新しい校舎を整備することは最大の子育て支援でもあります。今回の教育委員会の考え方だけを見ると、先送りしているようにも感じてしまいます。当たり前ですが、子どもたちの成長は時と場所を選ばず、常に継続するもので、その瞬間瞬間がかけがえのないものであり、子どもたちの今を大切にしていただきたいと思います。今後、同計画の改定が進められますが、目標耐用年数を70年から80年へと延ばす考え方は改めるべきです。また、新校と既存校の教育環境の大きな違いについての見解も併せて伺います。

 子どもたちの今を考えると、この教育環境の大きな違いに対し、すぐに取り組めることもあるはずです。例えば間近に整備された新校には全ての階に冷水機も設置されておりますが、備品扱いにもかかわらず既存校にはありません。新校にはきれいな人工芝の校庭が整備されておりますが、既存校には校庭改修の定まった考え方はありません。人工芝の耐用年数は10年から15年とも聞き、建て替えが当面予定されていない学校の校庭を人工芝に整備することもできるかもしれません。

 何を申し上げたいかといいますと、教育環境の大きな違いに対し、もっと向き合っていただきたいんです。全ての学校の改築をすぐに行うことは難しいのは理解しますが、改めて新校と既存校の教育環境の違いについて学校現場とともに確認し、今、児童・生徒のために何ができるかを考え、でき得る限りのことに取り組み、そして、建て替え予定のない学校への支援の在り方も検討すべきです。見解を伺います。

 次に、学校給食についてお尋ねします。

 物価高騰により食材費も高騰しており、栄養士さんも献立に苦労されていることでしょう。中野区では例年7月、8月頃に給食算定委員会が開かれ、12月の給食運営委員会において翌年度の給食費の1食当たりの単価が決定します。

 今年度の給食費単価は昨年12月に決められたものであり、この間、食材費も高騰している状況です。学校給食は無償化されましたが、これまでは私費であったことからも、栄養士は食材費の高騰があっても、その中で何とかやりくりするというマインドがあるのではないかと懸念するところです。

 夏の給食算定委員会を待たずとも、直ちに栄養士と意見交換を行い、現場から足りないという声があれば速やかに対応すべきと考えますが、伺います。

 給食の献立を作成する栄養士は都職員と委託職員に分かれており、それにより標準献立ができていないのも現状です。学校ごとの特色ある給食には理解しますが、これにより給食の質の差があってはなりません。

 また、令和7年度の23区の学校給食1食単価を調べてみたところ、中野区は小学校低学年305円に対し、渋谷区は399円、中学校では中野区が405円、渋谷区が523円と乖離の大きさに驚きます。23区平均で見ても、小学校低学年、中学年、高学年、そして中学校の全てで、中野区は平均を下回っております。

 例えば中野区より給食費の高い品川区はオーガニック給食の提供、足立区は日本一おいしい給食を目指しております。

 中野区においても、成長期の児童・生徒に栄養価が高くおいしい給食を安定的に提供するため、学校給食費単価の底上げと標準献立に取り組むべきです。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 2番、行政報告についてお尋ねします。

 我が会派の中村幹事長が総論についてお聞きしましたので、私からは、新たな拠点施設が整備されるまでの中野駅前のにぎわいの確保等についてお尋ねします。

 現在、中野サンプラザ南側広場はオープンスペースとして開放し、中野サンプラザの土地・建物の寄附受領に伴い、プロポーザルによる貸付けを検討しておりますが、賃料は年間1億2,000万円を想定しており、施行予定者が撤退した中、大変厳しいと考えます。

 また、本来ならば、拠点施設が整備されるまでの間、エリアマネジメントの費用として施行予定者から毎年2,000万円の拠出が見込まれておりましたが、それもかなわないこととなり、今後の中野駅前のにぎわいを退潮させないための取組が必要です。

 区長も行政報告において、「区民の新たなまちづくりに対する期待感と理解を高めるとともに、アニメを核としたプロモーションや駅前の賑わいに資する活用方法の検討」に触れております。アニメ産業において世界的に有力な企業が中野区に集積もしており、5月にはアニメでつながる中野実行委員会も発足したところであり、アニメを基軸としたまちのにぎわいづくりや文化芸術の振興、シティプロモーションの素地は十分にあります。

 そこで、中野サンプラザの活用に関してお尋ねします。中野サンプラザの解体のめどは立っておりませんが、リノベーションし再利用することは現実的ではありません。しかし、立地や建物としてのポテンシャルは非常に高いと考えます。

 昨年3月には、中野サンプラザをキャンバスとしてプロジェクションマッピングによる音と光の共演があり、大変好評でありました。中野サンプラザは中野駅ホームや東西連絡路からの視認性も非常に高く、建物全面をキャンバスとしてアニメに特化した広告活用をすることができれば、歳入面とシティプロモーションにも資するはずです。新たな名所となれば、にぎわいと経済効果も期待できます。当然、屋外広告物法や交通管理者との協議が必要なのは理解しますが、可能な限り壁面を活用したアニメ広告の設置について見解を伺います。

 中野サンプラザ南側広場は、電気・ガス・水道は使用できず、トイレも設置されておらず、使用料を取っての活用方法には限りがあります。そうであるならば、文化や若者に振り切った開放もあるのではないでしょうか。東京都はヘブンアーティスト事業として、アーティストに都の施設などの活動場所を開放しています。また、なかのZEROホールでは、ガラスの前で多くの若者がダンスの練習をする姿を見かけます。若者が夢を持ってこの中野サンプラザ前で練習や稽古をし、そこで発表もできる。そして、将来新たな拠点施設の新たなホールで公演することができれば、夢があると考えます。南側広場の活用に際して、文化芸術振興や若者支援の視点を持ってはいかがでしょうか、伺います。

 今年度、文化施設であるもみじ山文化センター、野方区民ホール、なかの芸能小劇場の指定管理者の指定期間が終了し、これから公募による選定が行われます。指定管理者の業務には、施設の管理運営と文化芸術に係る事業や情報発信があります。事業や情報発信を強化することができれば、この三つの文化施設の中心にある中野サンプラザ南側広場やナカノバであったり、今後空地となる区役所跡地を活用した、点から面への文化芸術振興の取組もできるのではないかと考えますが、伺います。

 中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業が白紙になり、区役所・サンプラザ跡地の新たな拠点施設が整備されるまで多大な時間を要します。この間、中野サンプラザ南側広場、区役所跡地、ナカノバ、そして四季の森公園も活用した、中野駅前のにぎわいを確保するための考え方を定めるべきです。そして、それには子ども、若者、アニメをはじめとした文化芸術振興の視点が重要です。見解をお伺いして、この項の質問を終わります。

 3番、防災について伺います。

 (1)東京都避難所運営指針について。

 東京都は今回初めて、災害時の避難所の環境を向上させるため東京都避難所運営指針を策定しました。注目すべきは、被災者が尊厳ある生活を営むための人道支援活動における国際基準であるスフィア基準が随所に見られることです。避難所においては、居住スペース1人当たり3.5平米の確保や、トイレの男女比率を女性3、男性1の割合とすることなどがあります。日本の避難所においては、このスフィア基準と比較をするとまだまだ十分ではありません。

 これまでの大震災においても、避難所の劣悪な環境に我慢に我慢を重ね、精神的にも肉体的にも追い詰められ、災害関連死される方の事例も少なからず見られました。避難所の環境を快適にすることが理想ですが、それが難しいなら、避難所を我慢比べの場所にしてはなりません。

 現在、中野区地域防災計画には、このスフィア基準という考え方は見受けられません。今年度、東京都の地域防災計画火山編が示され、来年度に中野区地域防災計画に反映される予定です。そのタイミングで、スフィア基準の考え方を同計画に位置付け、避難所環境の改善に取り組むべきです。見解を伺います。

 東京都避難所運営指針で示されている、これまでの大規模震災で見られた避難所の課題について3点伺います。

 1点目、生活空間の確保においては、全ての避難者にプライバシーが確保されることを目標として、スフィア基準として1人当たり居住スペース3.5平米の確保があります。中野区地域防災計画の避難所設置基準では1人当たり1.65平米とあり、スフィア基準は現在満たせていないと考えます。

 1人当たり3.5平米を確保するに当たっては、住宅の耐震化による在宅避難を進めるとともに、例えば避難所未指定の区有施設の活用や、避難所未指定の民間学校との災害協定を結び、スペースを確保する方法もあります。区全体で平均3.5平米を確保するのではなく、地域偏在を解消し、避難所ごとに1人当たり3.5平米を目指すことが肝要です。区としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

 2点目、トイレ環境の確保については、発災直後から清潔なトイレを使用できることを目標とし、スフィア基準としては、発災直後は50人に1基、発災1週間後は20人に1基、また、男女比1対3の実現、さらに、今年3月に策定された東京トイレ防災マスタープランでは、災害時に使用可能なトイレが250メートルメッシュで空白エリアのないよう整備することが求められています。

 不衛生なトイレの使用等は感染症の蔓延を引き起こすおそれがあるほか、生理現象であるトイレを控えることによる健康被害にもつながります。また、これまで発生した大震災では、毎回トイレの確保が大きな問題となってきました。

 区では、各避難所において仮設トイレやマンホールトイレなどの災害用トイレを備蓄していますが、避難所におけるスフィア基準を満たしているのか伺います。また、基準を満たしていない場合、今後どのように整備を進めていくのか伺います。

 令和6年の能登半島地震を踏まえ、在宅避難者向けの携帯トイレの備蓄も進められていますが、避難所のみならず、区全域においてもスフィア基準や都のトイレ防災マスタープランの基準を満たさなければなりません。その実効性を担保するためにも、トイレ確保・管理計画の策定が必要です。

 これまでにも我が会派の河合議員が同計画の策定について質疑を行い、区からは検討するとの答弁がありましたが、その後の進捗が見えておりません。東京都避難所運営指針やトイレ防災マスタープランが新たに策定され、支援の仕組みも整備されつつある中、区としての計画策定に関する具体的なお考えを伺います。

 3点目、食事の提供においては、目標は避難者の個々の事情に応じた食事が提供されていることを目標とし、基準は管理栄養士の活用により、栄養バランスの取れた食事を適温で提供とあります。少し高い基準のように感じますが、被災時に温かくておいしい食事は心も体も癒すものであります。

 一般社団法人日本キッチンカー経営審議会は、能登半島地震において毎月3,000食以上を提供したそうです。江戸川区においては、被災時に避難所で温かく多様なメニューを提供することで心身ともに良好な避難生活の確保を目的に、同団体と協定を締結しました。

 中野区では、四季の森公園を活用したイベントにおいて多くのキッチンカー事業者が出店をしており、このような事業者との協定締結の可能性も十分にあります。区の見解を伺います。

 また、避難所である学校には給食室があり、多くの食事を調理し提供できる設備が整っています。しかし、活用に関する取り決めはなく、災害時利用することができないのが現状です。令和5年6月に内閣府と文部科学省から連名で、「避難所における適切な食事の確保のための学校給食施設等の活用について」の依頼もあったところです。災害発生時、学校給食施設の活用は、メニューの多様化や適温食の提供、栄養バランスや質の確保に大変有用であり、区として教育委員会と協議を行うべきです。見解を伺います。

 (2)災害時の通信インフラの確保について。

 区では、災害発生時の迅速な対応を実現するため、デジタル技術を活用した防災DXの推進に取り組んでおり、こうした体制を支える上でも安定した通信環境の確保は不可欠です。

 また、区民が災害時に適切な行動を取るためには、正確な災害情報の収集・受信が必要であり、その観点からも通信の確保は極めて重要です。

 東京都が令和4年に公表した被害想定では、中野区の通信不通率は2.3%とされており、前回の10.6%から大きく改善されています。

 一方、令和6年の能登半島地震では、基地局の被災などにより大規模な通信障害が発生し、必要な情報が得られず、災害対応に支障を来した事例がありました。想定外の事態が発生する可能性も否定できず、確実性のある通信手段の確保が求められます。能登半島地震の通信障害時に利用されたスターリンクは、衛星を活用しており、地上回線が寸断された場合でも避難所や災害対策本部との連絡手段を確保できるなど、非常に有効な手段と考えられます。

 まず、災害対策の要となる区役所においては、ケーブル等の耐震性は高いと考えられますが、万が一通信障害が発生した場合どのような対応を講じるのか、見解を伺います。

 併せて、避難所における通信環境の整備状況についても伺います。

 また、他自治体では、スターリンクを活用し、太陽光発電による売電を原資に、初期費用・維持費用ともに負担なく、災害時の電気と通信を確保する取組を進めている例もあるそうです。災害時における確実性と実効性を備えた通信環境の整備が求められる中、区としてどのように取り組むのか、見解を伺います。

 (3)中学校における防災部について。

 荒川区は、平成27年4月に全区立中学校に防災部を創設しました。これは、自分たちのまちは自分たちで守るという意識の醸成や、防災ジュニアリーダーを育てたいという、当時の西川太一郎区長の強い思いの下、各中学校長の協力を得て実現したそうです。実に1割の生徒が在籍しており、ポンプやAEDの操作訓練、防災訓練への参加、被災地中学生との交流や被災地への訪問等に取り組んでおります。

 中学生が地域の防災訓練に参加することにより、コミュニティの強化も望めますし、地域にとっては大変喜ばれることでしょう。また、勤め人が多い中野区において、平日に災害が起こった際には人手がなく、防災にたけた中学生の存在は大変心強いものです。将来の消防団入団や町会の防災の担い手への期待も膨らみます。区も青年防災リーダーの育成に取り組んでいますが、広がりや継続性には課題もあり、教育現場においてこのような防災部の取組を検討してみてはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 4番、桃園第二小学校の仮校舎についてお尋ねします。

 桃園第二小学校は、新校舎建て替え工事に伴い、令和8年度から4年間、旧中野中学校に整備された仮校舎に通学する予定です。

 児童の通学路になるもみじ山通りは、歩道は十分な幅員もなく、交通量が多く、勾配もあり、自転車がスピードを出して走っております。また、ホームセンター島忠前の交差点も歩道の幅員が狭く、多数の児童が滞留することが予想されます。

 鷺の杜小学校では、通学路の踏切にて児童が滞留する危険を回避するため、希望する児童には分散登校の仕組みを取っています。このような取組をはじめ、安全指導員の配置など、桃園第二小学校児童の仮校舎への通学の安全に万全を期すべきです。見解を伺います。

 桃園第二小学校の仮校舎である旧中野中学校跡地は、今後、桃花小学校の建て替え仮校舎として活用する予定です。小中学校施設整備計画には記されておりませんが、今後も近隣の学校の建て替えの仮校舎となることも十分に考えられ、仮校舎であってもよりよい環境整備が必要です。現在、この仮校舎には、プールとキッズプラザ、学童クラブは整備されておりません。

 そこで、まずは水泳指導の授業についてお尋ねします。水泳指導は、文部科学省の「水泳指導の手引き」に準じ、区教育委員会としても10時間を目安に指導を行っています。水泳指導の狙いは様々ありますが、何より命を守る授業であります。

 近隣の谷戸小学校では、猛暑により自校の水泳指導の時間の確保に苦労されていると聞きます。また、中野中学校は室内プールがあり、天候に左右されず水泳指導の時間を安定的に確保できますが、移動の課題もあります。しかし、中野中学校のプールを活用した水泳指導の授業の確保ができれば、今後の新校舎整備においてプール整備を行わないことも考えられ、大きな財政効果も見込めるはずです。

 桃園第二小学校仮校舎においての水泳指導をどのように確保していくのか、見解を伺います。

 次に、キッズプラザと学童クラブについてお尋ねします。仮校舎にはキッズプラザ、学童クラブは整備されておりません。例えば北原小学校で行っている北原ランドは、児童館と学校が連携した放課後の居場所事業で、会議室や校庭、体育館を活用して児童の見守りを行っています。ハード面がなくともソフト面で対応をしております。桃園第二小学校仮校舎においても、キッズプラザ機能を代替する北原ランドのような放課後の居場所事業を検討する必要があります。また、学童クラブについてはどのようにお考えか、仮校舎における放課後の居場所について見解を伺います。

 5番、特別区における課題についてお尋ねします。

 令和7年度は特別区の抱える課題において二つの前進がありました。1点目は都区財政調整交付金の特別区の配分割合が0.9%増の56%となったこと、2点目は都市計画交付金の特別区への交付額が200億円から100億円大幅増の300億円となったことです。

 都区財政調整交付金に関しては、総額0.9%増となったことに併せて特別交付金の割合を5%から6%に引き上げるという、東京都のしたたかな姿勢には遺憾であります。災害対応経費等に充当される特別交付金ですが、実情は算定の基準はなく、今後は算定のルールづくりや普通交付金における区立児童相談所の運営に係る費用に関する考え方の隔たりの解消が求められます。

 都市計画交付金に関しては、都が行っている都市計画事業の実態を明らかにし、都区双方の都市計画事業の実績に見合った配分への見直し、清掃工場の整備をはじめとした限定されている対象事業の拡充も必要です。そもそも都市計画税は、本来基礎自治体が行う都市計画事業の財源であります。

 これらの課題は、平成12年の都区制度改革以前の昭和50年の頃から特別区が要望活動を継続的に行っていますが、課題解決に至っておりません。私自身も議長会などで関わってきた中、じくじたる思いもあります。区長は、遅々として進まない都区の課題のボトルネックをどのように考え解消していくのか、お伺いします。

 次に、特別区が目的に応じて設置している清掃一部事務組合と特別区競馬組合の二つの特別地方公共団体についてお尋ねします。

 清掃一部事務組合は、令和7年度末で基金残高197億円、起債残高888億円という財政状況です。清掃工場は耐用年数が短く、老朽化とともに今後の施設の更新も多数控えている中、基金が目減りし、起債残高は増加し、財政危機に陥るのが容易に想像できます。清掃事業の各区分担金は、都区財政調整交付金の基準財政需要額に全て算定される中、これを解消するために分担金を大幅に増額させる考え方もあるでしょう。一方、競馬組合はネット購入馬券が好調で、売上げがバブル期の最高額を3年連続上回ってもいる状況です。

 特別区が設置している二つの特別地方公共団体は、一方が空前の売上げであり、一方は財政状況が大変に厳しい状況です。母屋でおかゆをすすって、離れですき焼きを食べていると、国の一般会計と特別会計を比喩した事例を思い出すところです。

 現在、競馬組合から特別区への分配金は6億円、23区で138億円であります。例えばですが、この138億円を清掃一部事務組合の財政健全化のために活用すれば、およそ5年程度で清掃一部事務組合の財政を立て直すことができます。

 このようなことは簡単ではないのは理解しますが、それぞれの組合のトップである管理者は特別区の区長でもあり、両組合の問題を各区の区長が今まで以上に自分事として捉え、解消することこそが各区への全体最適につながります。

 特に、中野区には清掃工場はありません。だからこそ、清掃一部事務組合の問題はじめ特別区全体の課題に積極的に提言していくことが求められます。区長には、区長会においてこのような問題に先頭になって取り組んでいただきたいと思いますが、お伺いし、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 酒井たくや議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、子育て先進区と学校教育について。

 初めに、教育費の無償化についてでございます。義務教育の無償化については、本来国が負担すべきものとの認識をしておりますが、国の対応を待つのではなく、子育て先進区にふさわしい教育費の補助の在り方について、無償化も含め検討しているところであります。

 次に、無償化の総額についてです。現在、移動教室及び修学旅行には約1億5,700万円、教材費では約2億1,500万円かかっておりまして、無償化により必要な額は計約3億7,200万円程度必要となると見込んでおります。移動教室や修学旅行等の行事は、子どもたちが楽しみにしている事業でありまして、子育て先進区として、その費用を負担することについては有効な施策であると考えているところであります。

 次に、行政報告についての項で、旧中野サンプラザの建物全面を活用したアニメ広告についての御質問です。旧中野サンプラザの建物は、特に中野駅方面からの視認性が高く、広告媒体としてのポテンシャルが非常に高いものと認識をしておりまして、集積しているアニメ企業やアニメ事業のプロモーションに活用できるものと考えております。このことを踏まえ、歳入の確保とアニメによるプロモーションを目的として、区が旧中野サンプラザの寄附を受けた後に、建物の壁やガラス面などを可能な限り活用したアニメ企業による広告掲載やアニメ事業の広報について、交通管理者等と協議しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、子どもの文化芸術振興や若者支援の視点を踏まえた南側広場の活用についてです。区が寄附を受けた後の旧中野サンプラザ南側広場活用については、現在のところ貸付けを想定しておりますが、子どもの文化芸術の裾野を広げるとともに、若者のチャレンジを支援する場として、再開発により整備する施設の検討や、同施設への期待にもつながるものにしていきたいと考えております。一定のルールや安全性を担保しながら、子どもや若者がダンスや音楽などの練習やパフォーマンスの場として利用できるよう、貸付けまでの直営時や貸付けの条件設定等について検討してまいりたいと考えております。

 次に、南側広場を含め面で捉えた文化芸術振興の取組についてです。文化3施設の事業について、当該施設だけでなく、区有施設などを活用したアウトリーチ事業を実施するとともに、これらの情報発信を強化することで、より多くの方にアプローチすることができると考えておりまして、令和8年度からの文化3施設の指定管理候補者の選定に当たって、見直しの視点として検討しているところであります。文化3施設だけではなく、旧中野サンプラザ南側広場や、いずれ空地となる旧区役所跡地、区役所1階スペースを面的に捉えることで、連動性のある文化芸術イベントの企画や誘致が可能になると認識しておりまして、これらの取組を効果的に情報発信する工夫に努め、文化芸術振興やにぎわいの創出を図っていく考えでございます。

 次に、文化芸術振興の視点を入れたにぎわい確保の考えです。区役所・サンプラザ跡地に新たな施設が整備されるまでの間は、アニメによるプロモーション、子ども・若者を中心とした文化芸術振興、若者のチャレンジ支援を基軸として、中野四季の森公園や区役所1階スペース、中野駅周辺商店街のイベントとの連動に努めながら、にぎわい創出を図っていく考えであります。この考えの下、区は、アニメでつながる中野実行委員会や中野区観光協会、経済団体や商店街、大学などの産学官連携によって、来街者等のニーズ分析と、それらに基づく企画を時宜に応じて実施をしてまいりたいと考えております。

 次に、防災についての項で、スフィア基準を踏まえた中野区地域防災計画の改定についてでございます。東京都地域防災計画火山編の反映に合わせて、スフィア基準の考え方を中野区地域防災計画に位置付けることは、避難所環境の改善に資するものであると考えております。今後は国や都の動向を注視しながら、計画改定の中で適切に検討してまいります。

 避難所1人当たりの面積についてです。避難所におけるスフィア基準の確保は、災害関連死の防止にもつながるものであると考えております。区としては、区有施設や災害協定に基づく施設の活用、さらに、既に基準を十分に満たしている避難所の有効活用など、様々な手法を検討しながら取り組んでまいります。

 避難所トイレについてでございます。区はこれまで、各避難所に仮設トイレ、マンホールトイレ、簡易トイレ、携帯トイレを備えてまいりました。発災直後に必要とされる50人に1基のスフィア基準はおおむね確保できているところでありますが、発災1週間後を想定した20人に1基の基準には達しておりません。今後は基準に沿った整備を段階的に進めてまいります。

 トイレ確保・管理計画の策定についてです。都の新たな避難所運営指針や東京トイレ防災マスタープランが策定され、トイレ確保に関する支援制度も整備されつつあります。こうした動向を踏まえ、区としても避難所内外のトイレ状況を把握し、スフィア基準及び都の方針に沿って、トイレ確保・管理計画の策定に向けた検討を進めてまいります。

 キッチンカー事業者との災害協定についてです。災害時に温かい食事を提供することは、被災者の健康維持や災害関連死の防止に資する重要な取組であると考えます。キッチンカー事業者との協定については、各自治体の取組も参考にしながら、協定締結の可能性を検討してまいります。

 災害時における学校給食施設の活用についてです。災害時における学校給食施設の活用は、調理設備等が整っていることから、避難所運営において有効であると考えます。教育委員会と連携をし、災害時における学校給食施設の活用についても検討を進めてまいります。

 次に、通信障害発生時の対応についてです。災害時、通信障害が発生した場合には、区災害対策本部に配置されたNTT東日本のリエゾンと連携をし、通信の復旧に向けて緊急対応を実施する予定であります。

 避難所における通信環境についてです。全ての避難所には地域BWAが配備されておりまして、通信障害時には災害協定に基づき、NTT東日本がWi-Fi環境を提供する予定となっております。

 続きまして、通信環境の整備についてでございます。災害時における通信確保は重要な課題でありまして、東京都から配備されたスターリンクの区役所本庁舎での活用について検証を進めているところであります。また、民間事業者との連携による通信手段の確保についても、他自治体の事例も参考に調査研究を進めてまいります。

 次に、桃園第二小学校の仮校舎についてで、仮校舎での放課後居場所事業についての御質問です。仮校舎を使用する期間中においても、放課後の子どもの居場所を確保する必要があると考えます。学童クラブにつきましては、既存の文園児童館内にある桃園第二学童クラブ及び民間のにじいろなかの学童クラブを利用していただくことを想定しております。キッズプラザ機能と同様の事業につきましては、実施に向けて学校と調整してまいります。

 最後に、特別区における課題についてで、一つ目で、都区の課題解消に向けた対応についてでございます。今年度の都区財政調整協議において、都区間の配分割合見直しに至ったことは大きな前進だと考えております。安定的に都区制度を運営し、東京の未来を共につくり上げるために、都区の連携・協力を一層進めていくことが必要だと考えております。特別交付金や都市計画交付金の透明性・公平性の向上などについて、今後とも真摯に協議を重ねながら課題の解消に当たってまいります。

 最後に、清掃一部事務組合をはじめとする特別区全体の課題についての御質問です。清掃一部事務組合は、23区がごみの中間処理等を共同で行うために設立した特別地方公共団体であります。一方、特別区競馬組合は、内閣総理大臣から競馬法に基づく競馬開催への許可を得て、各区で行った議決に基づき、競馬に関する事務を共同処理するために設立したものであります。それぞれ目的が異なることや清掃工場の有無など、各区の置かれた状況も大きく異なりますが、特別区全体の課題解決に向け、区長会においてしっかりと議論していく考えでございます。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 最初に、子育て先進区と学校教育についての御質問にお答えいたします。

 学校事務についてでございます。学校現場における私費管理が不要になる場合には、徴収金に係る事務がなくなり、区事務職員の負担は大きく軽減されることになると考えております。学校に配置されている区事務職員については、学校ごとに業務の範囲や役割が異なっていることなどから、事務の標準化等を現在検討しているところでございます。業務の効率化や財政負担も考慮し、学校運営を支えるよりよい組織体制の構築を図ってまいりたいと考えております。

 次に、教育環境の違いの是正についてでございます。学校施設の目標耐用年数を70年から80年に見直し、改築ペースを2年に1校とすることにより、財政負担の標準化を図るとともに、新校舎の運用により明らかになる設計上の改善点を今後の学校改築により多く反映できるようになると考えております。教育環境については、全ての学校で一定以上の水準を確保しているものの、人工芝の校庭や多目的スペースなど、既存校にはない機能が新校舎に備わっていることは認識しております。既存校においてもよりよい学校施設としていけるよう、教育環境の充実に向けた改修について検討してまいります。

 次に、建て替え予定のない学校への支援についてでございます。当面建て替えの予定のない学校においても、冷水機など新校舎に標準的に配置されている機能を整備するなど、教育環境の充実に向け対応を検討してまいります。

 次に、物価高騰による学校給食への影響についてでございます。学校給食は、献立作成方針に沿って、子どもたちが適切に栄養を摂取し、十分な質と量がある学校給食を提供する必要があると考えております。今後の物価動向を注視するとともに、学校栄養士から小まめに状況を聴取するなど、必要が生じた際には追加分の予算措置も検討していきたいと考えております。

 次に、学校給食の単価増についてでございます。令和6年度より区立学校給食費の全額を補助しており、これまで以上に中野区に合った特色ある学校給食を全校で提供することが望ましいことから、今年度統一の献立システムを導入し、標準献立を実施する予定でございます。他区の給食内容も参考にして、中野区ならではの安全でおいしい給食のために、必要な給食単価を設定してまいります。

 防災についてでございます。

 中学校における防災部についてでございます。明和中学校においては、有志の生徒が防災青年リーダーとして校内で防災訓練を行ったり、区の総合防災訓練に参加したりしております。また、他校においても、地域の防災訓練に参加して、防火ポンプの操作や防災キャンプの運営支援等を地域の方と協力して行い、防災に対する意識や思いやりの心などを醸成しているところでございます。このような取組を校長会等を通して他校にも周知し、生徒が主体的に地域の防災活動に参加するように働きかけてまいります。

 次に、桃園第二小学校の仮校舎についての御質問でございます。

 最初に、桃園第二小学校仮校舎への通学安全対策についてでございます。桃園第二小学校が仮校舎へ通学する期間については、学区域外への通学となるため、交通安全指導員を現在の配置人員より増員し、通学時の安全対策を行う予定でございます。また、所管の警察署にも通学路の安全対策をお願いする予定でございます。

 次に、桃園第二小学校仮校舎での水泳授業の実施についてでございます。桃園第二小学校の仮校舎での水泳授業は、近隣のプールを借りて実施する予定でございます。今後、プールの水深などの施設の安全性を含め、児童の移動手段の手配、実施時期などの課題を整理して、効率的・効果的な実施について検討してまいります。また、学校プールの在り方については、他自治体の事例等を参考にしながら研究してまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時16分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 森 たかゆき

       議 員 間 ひとみ

議 員 ひやま 隆