令和7年09月16日中野区議会本会議(第3回定例会)
令和7年09月16日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

.令和7年(2025年)9月16日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  高  橋  ちあき         2番  山  内  あきひろ

  3番  武  井  まさき         4番  日  野  たかし

  5番  木  村  広  一        6番  斉  藤  けいた

  7番  井  関  源  二        8番  黒  沢  ゆ  か

  9番  大  沢  ひろゆき       10番  武  田  やよい

 11番  広  川  まさのり       12番  いのつめ  正  太

 13番  間     ひとみ        14番  河  合  り  な

 15番  市  川  しんたろう      16番  加  藤  たくま

 18番  小  林  ぜんいち       19番  白  井  ひでふみ

 20番  吉  田  康一郎        21番  立  石  り  お

 22番  小宮山   たかし        23番  内  野  大三郎

 24番  い  さ  哲  郎       25番  細  野  かよこ

 26番  斉  藤  ゆ  り       27番  杉  山     司

 28番  ひやま      隆       29番  高  橋  かずちか

 30番  大  内  しんご        31番  伊  藤  正  信

 32番  平  山  英  明       33番  南     かつひこ

 34番     欠  員          35番  石  坂  わたる

 36番  むとう   有  子       37番  羽  鳥  だいすけ

 38番  浦  野  さとみ        39番  山  本  たかし

 40番  中  村  延  子       41番  酒  井  たくや

 42番  森     たかゆき

.欠席議員(1名)

 17番  甲  田  ゆり子

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  青 山 敬一郎

 副  区  長  栗 田 泰 正      教  育  長  田 代 雅 規

 企 画 部 長  岩 浅 英 樹      総 務 部 長  濵 口   求

 防災危機管理担当部長  吉 沢 健 一   区民部長、窓口サービス担当部長 高 橋 昭 彦

 文化・産業振興担当部長 高 村 和 哉   子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 森   克 久 地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔

 健康福祉部長  杉 本 兼太郎      保 健 所 長  水 口 千 寿

 環 境 部 長  浅 川   靖      都市基盤部長  松 前 友香子

 まちづくり推進部長  角   秀 行    企画部企画課長  中 谷   博

 総務部総務課長  永 見 英 光

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  堀 越 恵美子      事 務 局 次 長  分 藤   憲

 議事調査担当係長 鈴 木   均      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  森 園   悠

 書     記  北 村 勇 人      書     記  梅 田 絵里子

 書     記  川 辺 翔 斗      書     記  志 賀 優 一

 書     記  竹 中 雅 人      書     記  堀 井 翔 平

 書     記  稲 葉 悠 介      書     記  砂 橋 琉 斗

 

 議事日程(令和7年(2025年)9月16日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 令和6年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

午後1時00分開議

○副議長(小林ぜんいち) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 9月12日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 1 中野サンプラザ周辺の再開発について

 2 中野区区有施設整備計画について

 3 神社庁との災害協定について

 4 その他

 

○副議長(小林ぜんいち) 最初に、加藤たくま議員。

〔加藤たくま議員登壇〕

○16番(加藤たくま) 自由民主党議員団の立場から一般質問を始めます。

 1、中野サンプラザ周辺の再開発について。

 再開発において区民の説明責任を果たすためにも、区は事業の是非を迅速に的確に判断できるよう様々な分析ツールを使いこなせる体制を整えるべきと考えます。令和7年第1回定例会で御紹介した内閣府が推進する地域経済分析システム(RESAS)を活用し、中野区の社会環境や経済状況を踏まえた政策立案を行うよう提案しました。結果、産業振興課は中野区外から外貨を獲得する視点を持ち政策立案するようになったそうです。国が自治体のために開発したツールを積極的に活用すべきです。

 そして、今回新たに御紹介したいのが、3D都市モデル、PLATEAUです。プロジェクト開始当初の2020年頃は、専門知識がなければ扱うことが難しい状況でしたが、近年、PLATEAU VIEWERが大きく進化し、知識がない区の職員でも活用可能、直営で検討を実現します。PLATEAU VIEWERは誰でも無料でブラウザから利用でき、手軽に都市空間を把握できます。一方で、プロ仕様としては高度なソフトウエアの専門知識を要しますが、ソフトは無料で入手できるため、発注業務においては十分に導入検討の余地があります。PLATEAU VIEWERの利用は非常に簡便で、私自身、過去にGISソフトを扱った経験があり、半日ほどで主要な機能を習得できました。GISに触れていない方でも、一定のITリテラシーがあれば、1日から2日程度で使いこなせると考えます。

 PLATEAU VIEWERに中野区の情報は既に実装されており、例えば1000年に1度とされる想定最大規模降雨、いわゆるレベル2洪水時の浸水深、建設の用途の色分け表示も可能です。中野駅北口周辺の再開発をPLATEAU VIEWER上でシミュレーションする場合、現存する中野サンプラザや区役所を取り除き、任意の高さのビルやアリーナを設置できます。隣接するNTTドコモ中野ビル、旧電電ビルが115メートルであることから、中野サンプラザ跡地にビルを設置する場合、150メートル以上の高さがなければ富士山を望める展望デッキとしては不適格ではないかと確認できます。

 今後中野サンプラザ整備では、様々なシナリオを迅速に検討する必要がありますが、コンサルタントに依頼し、2か月時間を下さいと言われれば、事業がその期間停滞します。直営でできることは直営で行い、中野サンプラザ再整備のスケジュールを大幅に短縮すべきと考えます。その一つとして、誰もが利用可能なPLATEAUを積極的に活用してはいかがか伺います。

 直近の建設委員会や中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会における答弁で、「再整備事業計画につきましては、これまで区民会議等を経て策定されたものであり、コンセプトは区民会議の意見を尊重していきたい。一方で、社会情勢が変化しているため、事業スキームについては検討の上で示していきたい」との言わば紋切り型の説明が繰り返されております。しかし、当時区民会議に参加された6名の方々にお話を伺ったところ、再整備事業計画の説明は受けたものの了承した記憶は全くないと口をそろえておられました。

 そもそも区民会議が再整備事業計画を了承する場ではないという認識です。中には会議から干されたと感じている方もいました。議事録を確認すると出席しているため、事実とは異なるかもしれませんが、13回の会議後に説明が一切なかったことが、そのような不信感や誤解を招いたと推測します。区民会議のメンバーの多くは、ゼロから議論をやり直すべきとおっしゃっておりました。区民会議を盾に議論を進めることに疑義があります。

 施行予定者の協定解除後、区は区民との意見交換会を実施しておりますが、区の再整備に対する基本姿勢が見えないまま進んだため、区民の混乱を招いていると考えます。背景には、区が再整備事業計画をベースに議論を行いたいとする方針が区民にも議会にも明確に伝えられていないことにあると考えます。なぜ再整備事業計画までしか遡らないのか。そして、その説明がこれまでになかった理由について伺います。

 ゼロベースでの議論も、社会情勢を踏まえれば一つの選択肢ですが、例えばグランドデザインからの検討となると時間がかかり過ぎるということも理解します。そこで、中野区は中野サンプラザ周辺の再整備について、何に主眼を置いて意見を取りまとめ、どのようなスケジュール感で進めようとしているのか伺います。

 もし議論を再整備事業計画までしか遡らないとするのであれば、その旨を区民説明会で明確に伝えるべきでした。説明不足のため、意見交換会では、「大きな公園が欲しい」、「メインアリーナのサイズの要望は大・中・小」、「高齢者施設を整備してほしい」、「現存のサンプラザを残したい」といった再整備計画から大きくそれた要望が多数出ております。間口を広げた意見募集はよいことですが、実現できない理由を一つひとつ丁寧に説明し区民の理解を得ることは困難です。混乱が広がっている現状に区はどのように対応するのか伺います。

 ちなみに、再整備事業計画には、多目的ホールについて、「スポーツ系エンターテインメントをはじめ、多彩なイベントに対応できるフレキシブルな施設形状、設備、機能を誘導し、次世代の発信拠点を目指します」と明記するも、同じ事業者が絵を描いたはずなのに、大きなスポーツイベントが開催できない仕様となり、そもそも再整備事業計画とは一体何なのかという疑義もあります。必ずしも実現されない再整備事業計画とは何であるのか伺います。

 次に、さきの委員会で報告があったサンプラザの暫定活用について、1階のエントランス等を活用するとの話ですが、暫定活用といえども建物の強度に不安があります。7年前の区民会議資料では、長寿命化には32億円程度が必要と記載がありました。この数字が何を示しているのか御説明をお願いします。

 暫定活用で、サンプラザは今後何年使うか未定の現状において、建物の耐用年数評価は不可欠と考えます。私が民間会社に相談したところ、内部に入らずとも見積りが可能であり、評価は約500万で実施できるということでした。サンプラザ暫定活用に当たり、コンクリート耐用年数評価が必要と考えますが、区の見解を伺います。

 サンプラザの暫定活用で、エントランスについて、プロダンス、Dリーグ創設者であるカリスマカンタローさんは、大学時代になかのZEROの通路ガラスを鏡代わりにダンス練習を重ね、世界的ダンサーへと成長されました。カンタローさんが望むのは本格的なサンプラザの稼働ですが、まずはダンスができる環境の確保を求めております。暫定活用では、ダンス練習等の利用を含める前提で、団体登録、利用申請を簡易的な仕組みとすべきと考えますが、運用方法について区の見解を伺います。

 前定例会で、中野サンプラザにおけるプロジェクションマッピングの実施を提案しましたが、都庁での事例を参考にしたところ、非常に高額で現実的ではないため、自民党会派としてデジタルサイネージへの修正提案を所管に直接要望しました。迅速な御対応に感謝します。

 私たちが求めるのは、中野サンプラザが閉館している今だからこそ可能な壁面の活用です。新宿や渋谷のようにサイネージが乱立するエリアと異なり、サンプラザに巨大なサイネージが一つ設置されれば、特に中央線、数十から100万人と言える乗客に向けた広告効果は極めて大きいです。例えば中野のアニメ関連企業の広告を想定し、サイネージを4分割して、異なる4企業のキャラクターを同時に映すなど、中野区はアニメのまちであると話題性のある企画も可能で、観光資源にもなり得ます。加えて、中野四季の都市で開催されるイベント情報を流すことで、中野区全体のブランド力向上にもつながると考えますが、区の見解を伺います。

 中野サンプラザの再開発は頓挫しましたが、地域のにぎわいを絶やすわけにはいきません。中野駅西側改札から中野四季の都市への直結するデッキが完成すれば、にぎわいの動線は一層強化されます。令和5年度予算特別委員会総括質疑でも取り上げましたが、改めて四季の森公園におけるイベント広場と芝生広場のレイアウトチェンジを提案します。

 現状、イベント広場は中学校や住宅に隣接しているため、酒類の販売を主目的としない、煙対策を行う、騒音を伴うイベントは原則不可とされ、利用が限定、イベント事業者からの評判は芳しくありません。一方、芝生広場については、地下水位が高い、くぼ地により水はけが悪い、日射条件が悪いなど、芝の成長不良や長期閉鎖が課題となっています。

 ちなみに、さきに御紹介したPLATEAUでは、日影を表示することが可能です。日が出ているときと出ていないときを確認することができます。これらを総合的に解決するために、両広場のレイアウトを入れ替え、音の発生をエリアに閉じ込める指向性のある音響設備を活用した騒音対策や、中学校との距離を確保した飲酒可能な環境、日当たりがよい芝生エリアを整備することで平日イベントの開催の実現が可能となります。デッキ工事が始まる今こそ、改めてこの提案を行うものであり、区の見解を伺います。

 次に、2、中野区区有施設整備計画について。

 中野区区有施設整備計画は、施設の耐用年数を従来の60年から80年へ延長する方針を打ち出しております。前定例会でも取り上げましたが、他自治体で物理的耐用年数が80年以上と判断された建物は約58.8%、70年以上が約16.8%、60年以上が約16%の事例があります。全体の6割程度しか80年もたないという事例がある以上、耐用年数80年はあくまで目標であり、設計値として財政フレームを組むべきではないと考えます。しかし、区は十分な調査がないまま、全ての区有施設が80年もつことを前提に財政フレームを設定するようですが、その正当性、整合性について伺います。

 また、区有施設整備計画(骨子)には、「建築後60年を目途(目安)に建物耐久度調査を実施し、長寿命化が可能であると判断された場合には、大規模改修を行った上、建築後80年で建替する」と記載されております。基本計画、実施計画、施工期間を勘案すれば、調査は築55年頃を目安に実施する想定でよいのか確認します。

 財政フレームは耐用年数80年を前提に組まれるようですが、もし複数の施設が60年程度しかもたなかった場合、財源不足に陥ることが懸念されるため、リスクヘッジを講じるべきです。例えば耐用年数80年を満たす確率が6割程度であるならば、目標耐用年数を80年としつつも財政フレーム上は70年程度の想定をしてシミュレーションを行うことで、財政的に万が一の事態に備えるべきと考えますが、区の見解について伺います。

 区有施設整備計画(骨子)において、「今後は更新・保全が必要な区有施設が増加することが見込まれることから、保全に係る計画を策定することにより、再編、更新・保全をより計画的・一体的に実施していく」としています。であるならば、建物耐久度調査を行わなければ、保全計画そのものが立案できないはずです。保全計画策定のための調査はどの程度の規模、頻度で実施されるのか伺います。

 今後において、保全計画を策定する以上、耐久度調査結果を踏まえた財政フレームが反映されることが当然と考えますが、その理解でよろしいか伺います。

 今後、生産年齢人口の減少で区の歳入も減少、区有施設は縮減する必要がありますが、その際には区有施設の集約化、複合化や、タイムシェアの推進が不可欠と考えます。区の考え、スケジュール感について伺います。

 未来においてICTの進化によって、例えばデジタル図書館ができれば図書館は不要になる時代が来るかもしれません。しかし、どんな未来が訪れようと、地域に一定数必要である施設は小・中学校です。SWCの活用、部活動の地域展開、さらには防災・防犯を検討する上でも学校の機能拡充が求められます。その一つの方法として、校庭のナイター化を進める必要があると考えます。もちろん、夜間照明の設置に当たっては、まぶしさ、騒音に対して、周辺住民からの苦情が懸念されます。しかし、私の母校であった仲町小学校が中部すこやか福祉センターへ生まれ変わる過程で、ナイター利用が可能なフットサルコートが整備されました。実現できた理由について伺います。

 この事例のように、丁寧な理解を得ながら取り組めば、校庭のナイター化が十分に可能だと考えます。今後、小・中学校のナイター化が区有施設の集約化、SWC、部活動の地域展開、防災・防犯に資すると考えますが、区の見解について伺います。

 3、神社庁との災害協定について。

 中野区は、令和4年6月に改定した中野区都市計画マスタープランにおいて、「地域内の社寺境内林等の優れた緑は都市の貴重な資産であり、住宅地内の屋敷林、樹林とともに地域のみどりとして守り育てていきます」と位置付け、神社・寺院の地域における重要性を示しております。また、緑やオープンスペースは防災にとって重要であるとも示されております。私は、令和3年決算特別委員会総括質疑において、中野区の環境における神社・寺院の存在の大きさを訴え、都市計画マスタープランにその位置付けを明記するよう指摘してまいりました。そこで、今回は中野区の防災強化のために、区内の神社との災害協定を締結することを提案いたします。

 従来宗教法人との災害協定は難しいとされてきましたが、近年各地で先行事例が見られます。例えば平成27年11月、杉並区と立正佼成会は災害協定を締結し、帰宅困難者最大500人を最長3日間、大聖堂等で受け入れる体制を整えました。令和6年2月、葛飾区と東京都神社庁葛飾区支部、令和7年4月、東京都と東京都宗教連盟が協定締結するなど、宗教法人と自治体の連携は確実に広がりを見せております。中野区においても、地域と共生してきた神社との協力体制を構築し、防災力向上につなげていくために東京都神社庁中野支部との災害協定を締結されてはいかがか伺い、全ての質問を終えます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、中野サンプラザ周辺の再開発についてで、PLATEAUの活用についてです。

 国土交通省が主導する都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトであるPLATEAUの活用については、今後有効性・有益性等を研究してまいります。当地区のまちづくりにつきましては、区民の期待に応えるために区民との意見交換会、ワークショップを行い、一刻も早いまちづくりの実現に向けて、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えております。

 次に、再整備事業計画の見直しについてです。中野駅周辺の各地区では、中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3等に基づいて様々な事業が進められていること、再整備事業計画はこれまで複数の区民会議での議論を経て作成されたものであることなどを踏まえれば、再整備事業計画のコンセプト等を活かして進めていくことが適切であると考えております。区民との意見交換会等において、これまでの経緯等とともに再整備事業計画の見直しを行うことについて説明を行ってまいりましたが、今後開催する説明会、意見交換会においても、より一層丁寧に説明をしてまいります。

 次に、再整備におけるスケジュール等についてです。中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについては、中野サンプラザのDNAの継承や、親子が楽しめる機会と空間、区民が文化芸術に触れ活動する機会などを生み出すとともに、みどりのネットワークによる連続した潤いある快適な空間の創出や、居心地がよく歩きたくなるウォーカブルなまちづくりの実現なども含め、100年先も区民に愛されるまちの実現に主眼を置いて取り組んでまいります。

 次に、スケジュール感につきましては、サウンディング型市場調査で得られる建設市況や不動産市況についての情報も踏まえ、年度内での明示を目標に進めている「再整備事業計画見直しの方向性」に併せて示してまいります。

 次に、再整備事業計画の実現性についてです。再整備事業計画は、中野駅新北口駅前エリアにおいて、区が求める都市機能や事業化に向けた区の基本方針を示したものであります。昨年7月に施行予定者がまとめた市街地再開発事業の事業計画における多目的ホールは、音楽やサブカルチャー、スポーツ、地域文化の発信など、様々な分野の興行が開催できる仕様となっておりまして、再整備事業計画に沿ったものであります。

 次に、長寿命化の概念についてです。7年前の区民会議資料はまだサンプラザが稼働中である平成30年から約15年間営業を継続することを想定し、老朽化した施設を使い続けられるように、単に物理的な不具合を直すのみではなく、建物の機能や性能についても、必要な水準を維持するための長寿命化工事の概算として試算したものであります。

 次に、コンクリート健全度診断についての御質問です。コンクリート健全度診断は建物の安全性を評価する指標の一つでありまして、その結果だけで建物の再利用の可否を判断できるものではないため、現時点で行う予定はありません。

 次に、暫定活用するサンプラザ南側広場の運営方法です。文化芸術振興の裾野を広げ、若者チャレンジ支援を主たる目的として、ミュージシャンやダンサー、お笑いなどの練習やパフォーマンスの場となる「(仮称)サンプラザパフォーマンスフィールド」を設置し、今年10月からの運用を目指しているところであります。利用は登録制・無償としますが、具体的な運用ルールは、ナカノバやソトニワ、公営野外ステージの運用を参考にしながら、安全性と一定の公平性を担保することを前提とした上で、利用登録・団体登録はできるだけ簡易な手続や仕組みを構築してまいります。

 次に、壁面へのデジタルサイネージの設置とイベント情報の発信です。サンプラザの壁面等の利活用につきましては、壁面・旧広告スペース等へのアニメ事業者による広告掲載と併せて、正面壁面中央部などを活用した広告事業者によるデジタルサイネージ設置の可能性を検討してまいります。デジタルサイネージにつきましては、アニメ事業者をはじめとした広告掲載を主とした運用を想定しておりますが、プロモーションと集客を図り、中野四季の森公園をはじめとした中野駅周辺のイベント情報などを掲載する条件を付すことについても検討してまいります。

 次に、中野四季の森公園のレイアウト変更についてです。最近では、中野四季の森公園の芝生エリアにおいて、自然と触れ合いながら楽しめるイベント、チルナイトでの映画上映なども開催されまして、憩いやにぎわいに資する利用が定着してきております。また、芝生エリアにおいては、令和6年度に芝生の育成環境の調査を実施し、今年度試験施工を行った上で、適切な管理方法を検討していくこととしておりまして、現時点で大幅なレイアウト変更は考えておりません。

 なお、将来的に施設の老朽化などに対する改修等の工事は必要となるため、その際には状況に応じてPark-PFIの活用も含めた整備を考えてまいります。

 次に、区有施設の耐用年数と財政フレームについてです。区は、日本建築学会の「建築物の耐久計画に関する考え方」や、他自治体の状況等を確認した結果、保全工事を適切に行うことにより、目標耐用年数を60年から80年間へ変更することとしました。区有施設の大半について80年間活用することが可能であると見込んでおりまして、施設の耐用年数を80年として財政フレームを設定することが妥当であると考えております。

 次に、建物耐久度調査の実施時期についてです。建物耐久度調査を実施した結果、当該施設を建て替えすることとした場合、解体・整備工事に着手するまでに、基本構想、基本計画、基本・実施設計等が必要となりまして、数年間を要します。築60年で解体工事に着手するためには、築55年頃に建物耐久度調査を実施する必要があると考えております。

 次に、万一の事態に備えたシミュレーションについてでございます。区有施設の大半が80年間活用可能と見込んでいること、基金への積立てを税法上の減価償却期間であるおおむね50年間で行っていること、60年時点で大規模修繕費用を見込んでいることから、耐用年数を80年としてシミュレーションを行うことが妥当であると考えております。

 次に、保全に係る計画と建物耐久度調査についてです。保全に係る計画の策定に当たっては、施設の築年数や改修履歴のほか、現地調査による整備等の劣化状況を踏まえて策定することを考えております。建物耐久度調査は、築55年を目安に実施する予定でありますが、保全に係る計画の策定に際しては、耐久度調査の結果も踏まえて検討してまいります。

 次に、保全計画策定後の財政フレームについてであります。「当初予算の概要」でお示ししている財政フレームにつきましては、毎年最新の状況を基に作成しています。保全計画を策定した際には、保全計画の内容を踏まえて財政フレームを作成いたします。

 次に、区有施設のさらなる集約化等についての御質問です。区有施設整備計画(骨子)でお示ししているとおり、長期的には区の人口が減少に転じ人口構成も変化していくことから、区有施設の見直しや再編に係る検討を進める必要があります。次期区有施設整備計画では、旧鷺宮小学校跡地活用において施設の複合化を検討しておりますが、計画策定後も施設の集約化や複合化等について引き続き検討してまいります。

 次に、中部スポーツ・コミュニティプラザが整備された経緯についての御質問です。区は中部スポーツ・コミュニティプラザを地域スポーツクラブ事業の拠点とすることを想定して、施設整備を進める際に、近隣住民と意見交換を行い、施設の夜間利用等について説明をし、理解を得ることができたということで、夜間利用可能な屋外運動広場を開設いたしました。

 最後に、神社庁との災害協定についてで、東京都神社庁中野支部との災害協定についての御質問です。

神社は地域の一時避難場所として重要であり、災害時の協力体制の構築は防災力の向上につながると考えております。現在、東京都神社庁中野支部と情報交換を進めておりまして、避難支援や施設の活用など、実効性のある連携内容を検討し、協定の締結を進めてまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、中野区区有施設整備計画についての御質問の中から、小・中学校へのナイター設備の整備についてにお答えいたします。

 一部の中学校において、夕方の部活動を想定した補助照明を設置しております。今後、部活動の地域展開をはじめ、放課後の校庭利用が拡充された際には、必要な校庭のナイター設備について検討してまいります。

○副議長(小林ぜんいち) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 南   かつひこ

 1 区画街路第4号線整備の現状について

 2 5歳児健診について

 3 災害対策について

  (1)事業継続計画(BCP)について

  (2)災害時の合同引き渡し訓練について

  (3)災害協定について

  (4)その他

 4 区立第七中学校の建替えに伴う通学支援と課題について

 5 成年後見制度の課題について

 6 環境衛生事業の業務委託支援について

 7 その他

 

○副議長(小林ぜんいち) 次に、南かつひこ議員。

〔南かつひこ議員登壇〕

○33番(南かつひこ) 令和7年第3回定例会において、公明党議員団の立場から一般質問を行います。区長並びに理事者におかれましては、明快で前向きな御答弁をお願いいたします。

 それでは、1番目に、区画街路第4号線整備の現状について伺います。

 区画街路第4号線の事業概要は、平成29年8月9日に東京都市計画道路事業として事業認可され、事業期間は令和8年3月31日までとされています。路線延長は約560メートルで、交通広場部分は約2,800平米となっています。この区画街路第4号線整備においては、中野区では初めてとなる街並み誘導型地区計画が導入され、沿道の用途地域の幅を変更して、壁面の位置やスカイラインの統一、壁面後退による店先空間の確保を行い、にぎわいあふれる商店街の再生を図るとして進められているところです。

 現在の進捗状況においては、今年の8月29日現在で、物件等調査ベースでは全区間で85.3%となっているものの、画地数ベースでは全区間で46.6%、取得面積ベースでは全区画で51.5%、契約件数ベースでは全区間で32.5%となっており、令和8年3月31日までに完了するとは全く思えません。区画街路第4号線の街路整備は、地下化事業として進められている中井駅から野方駅間の連続立体交差事業と関連しており、特に交通広場の整備は中井駅から野方駅間の連続立体交差事業の延伸に深く関わることから、先が見えない状況であります。だからといって、このまま放置しているわけにはまいりません。区画街路第4号線の沿道の方々や地権者の方々からは、一体いつまでに完了するのか、生活再建等を考えたときに焦燥感と不安感の声が聞こえてきております。

 中野区として速やかに東京都と協議して、中井駅から野方駅間の連続立体交差事業の延伸をまず明らかにした上で、区画街路第4号線整備の延伸についても早急に明示すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 区画街路第4号線整備の沿道の地権者の方々にとっては、生活再建が一番の課題の一つであります。マンションの建て替えについては、日影規制により同等の容積率での建物を建てることができず、入居者の全員が元の建物の場所に戻ることができない状況にあります。また、個別のケースでも、日影規制により想定した建て替えの建物よりも縮小せざるを得ないため、生活再建のための収支が見込めずなすすべがない状況の方もいます。

 このように日影規制により課題を抱えられている地権者に対して、中野区としてどのような対応を図るのか、またどのような手法を示すのか、区の見解を伺います。

 令和4年第4回定例会の一般質問で、区画街路第4号線の整備により道路幅を6メートルから14メートルに拡幅するに当たって、商店街街路灯の移設や新設をする際に、その費用負担はどのように対応するのかと質問をいたしました。その際、区画街路第4号線沿道の商店街街路灯の支障移設については、「商店街の街路灯は占有物件であり、支障移設は一般的に商店街の負担となるものではあるが、商店が多く連担している街路の拡幅事業という当該事業の特性上、整備を進める過程で商店街自らの支障移設が困難となる可能性があることから、整備の進捗に合わせまして必要な調整を進めていきたい」との答弁でありました。商店街街路灯等の移設や新設に当たっての区の調整状況はどのようになっているのか区の見解を伺います。

 沼袋駅の駅舎の工事をするために、以前はあった西友のスーパーマーケットがなくなったことで、特に高齢者は沼袋駅南側にあるスーパーまで行かなければ品ぞろえのある満足できる買物ができない状況であります。新道橋から坂を登り切ってスーパーにやっとたどり着き、帰りは買物で重くなった買物袋を持って戻らなくてはなりません。そういったことがつらいために買物に行くことができず、高齢者はいわゆる買物難民状態になっている現状があります。中野区では、区画街路第4号線整備に伴い、商店街のにぎわいが喪失されないために、事業用地を活用してなかの里・まち連携を活用した物産店での飲食スペースの提供や、キッチンカーの導入などによる活性化策と、遊休不動産を活用するためのリノベーションスクールの推進を行ってきています。

 商店街では、買物難民対策の一つになるであろうと思われる移動販売を行っていると聞いていますが、その状況はどのようになっているのか、また、どのように把握しているのか、区の見解を伺います。

 区画街路第4号線整備は街路事業として重要な位置付けとなるものです。中野区として進捗率を上げ、一日も早い完了を成し遂げなければなりません。令和4年9月には、障害者福祉会館のバルコニーが道路計画線にかかることから、道路拡幅に伴うバルコニー等の一部の除却工事を開始して、令和5年3月末日に完了させました。これは道路拡幅に当たり、沿道の地権者の方々の見本となるために、いち早くバルコニー等の一部の除却工事を行いました。土地の登記についても同じことが言えるのではないかと考えるところです。

 現在は沿道の地権者の方々の中で、4メートルセットバックした土地を中野区に売却して、事業用地として中野区が収用した場合には、嘱託登記がなされ、地権者の土地の登記がされることになります。地権者の土地が分筆されて登記がなされるのであれば、地権者の見本となるように、登記がなされていない障害者福祉会館も登記をすべきと考えますが、区の見解を伺って、この項の質問は終わります。

 2番目に、5歳児健診について伺います。

 こども家庭庁は、昨年に、令和7年度から発達障害の可能性を見極めるのに有効な5歳児健診の普及に乗り出すことを明示しました。早期に障害がある子どもを支援し、症状の改善につなげることを目的に、健診に必要な医師らを確保する費用や研修費を自治体に補助して、14%にとどまる実施率を令和10年度までに100%にすることを目指すとしています。母子保健法では、1歳半と3歳児の健診を自治体に義務付けていますが、5歳児健診は任意となっており、令和5年度の実施率は14.1%で、多くの子どもは3歳児健診後に、小学校入学前に受ける就学時健診まで約3年間の空白期間があることになります。この約3年間の空白期間に5歳児健診を実施することで、切れ目のない健診ができ、この空白期間は発達障害を見極め、早期に発見する上で有効な重要な時期と言えます。

 発達に課題のある子どもを把握して見極めをするために、全ての対象児に対して5歳児健診を実施することが大切です。中野区には約2,000人の5歳児の児童がいますが、全ての対象児に対して健診を行う場合には、中野区としてどのような健診の形態を考えているのか、区の見解を伺います。

 大田区では、令和6年10月から、就学前の子どもの発達状況を調べる5歳児健診を一部の保育園で試験的に始め、モデル事業として実施しました。発達障害を早期に発見し支援につなげることが狙いで、再来年度には区内全ての未就学児を対象にする方針です。モデル事業では、子どもの精神面に関するアンケートを保護者らに実施して、子どもの様子を集団の中で観察したり、保育士から聞き取ったりするなどして、発達に特化した健診を行っています。

 品川区では、5歳児健診のモデル事業として令和7年度から開始しており、対象の保育園を12園選定して、対象児は今年度5歳になる4歳児クラスの児童で実施しております。保護者による電子アンケートや保健センターで集団健診をして、健診後のカンファレンスで必要に応じて保育園や幼稚園、教育総合支援センター、そして発達相談室につなげる取組を行っています。

 このように他自治体では一部の対象児に対して5歳児健診を行っている例もあります。全ての対象児に対して健診を行う前に、モデル的に5歳児健診を実施してはいかがでしょうか。区の見解を伺って、この項の質問は終わります。

 3番目に、災害対策について伺います。

 初めに、事業継続計画(BCP)について伺います。

 介護事業所の事業継続計画(BCP)については、令和6年4月に義務化となり、このときに新設された業務継続計画未策定減算は、一部のサービスで認められていた経過措置が令和7年3月31日で終了をしたため、令和7年4月以降は全ての事業所の事業継続計画(BCP)の策定で完全義務化となりました。これを受けて、中野区内の介護事業所では、各事業所で事業継続計画(BCP)をすることになっていますが、各事業所の策定状況の把握を具体的にどのように行っているのか伺うとともに、事業継続計画(BCP)を策定していない事業所は介護基本報酬は減算されることになります。策定内容について確認する必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、事業継続計画(BCP)の策定後には、その活用方法や訓練の仕方などを支援していく必要がありますが、中野区としてどのようにしていくのか、区の見解を伺います。

 次に、保育施設での事業継続計画(BCP)について伺います。保育所を含む児童福祉施設等において、令和5年4月1日から事業継続計画(BCP)の策定、研修、訓練の実施、定期的な見直しが努力義務化されました。中野区内の各私立保育園では、事業継続計画(BCP)を策定しており、防災や緊急時の迅速な対応ができるようにしているところです。各私立保育園で独自に策定しているため、防災上の格差が生じるのではないかと危惧されるところです。

 また、災害時における救援の決定や二次避難所、福祉避難所となる保育園では、母子等の避難者の受入れの判断基準を各保育園に任せるには無理があるため、中野区で統一的な判断基準をより明確にして、復旧への道しるべを示すべきです。そのためには各私立保育園で策定している事業継続計画(BCP)を有効なものにするためにも、中野区として統一化した方針として保育施設の事業継続計画(BCP)を策定する必要があると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、災害時の合同引き渡し訓練について伺います。

 中野区立の小・中学校及び幼稚園において、震度5以上の地震が発生した場合に、園児、児童・生徒を保護者に引き渡すことにしており、円滑かつ確実に行えるよう合同訓練を今年4月26日(土曜日)に合同として初めて行いました。災害時の合同引き渡し訓練は、いざというときのために重要であり、とても有効であると思います。今回合同訓練として初めて行いましたが、どのような成果があったのか、区の見解を伺います。

 兄弟姉妹では、上の子どもが小学生で下の子どもが保育園というケースもあります。このような場合も想定すると、災害時の合同引き渡し訓練に公立及び私立の保育園も加えるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 また、公立及び私立の保育園を加えた場合には、どのような課題があると考えられるのか、区の見解を伺います。

 次に、災害協定について伺います。

 過日での我が会派と司法書士会の要望懇談会で、中野区との災害協定を締結したいとの要望がありました。災害時には、被災者が住宅再建や相続、各種契約手続など複雑な法的課題に直面することが想定されます。このような中で司法書士による専門的な支援は極めて重要であると考えます。中野区として、司法書士会と災害協定を締結して災害者支援体制を強化すべきと考えますが、区の見解を伺って、この項の質問は終わります。

 4番目に、区立第七中学校の建替えに伴う通学支援と課題について伺います。

 これまで中野区立第七中学校校舎改築に伴う通学支援について、バス定期代の全額補助を求めてきたところです。保護者からも「中野区立第七中学校校舎改築に伴う代替校舎への通学時バス運賃の補助を求める陳情」についてが今年1月29日に受理され、3月7日には子ども文教委員会に付託となり、3月21日には本会議において全会一致で採択されました。採択された陳情の重みを考えれば、区としては寄り添った対応をしなくてはなりません。

 私としては、通学支援のバス定期代の補助については、代替校舎が旧上高田小学校であり、通学区域外であることから、全額補助が必須と考えます。9月1日の子ども文教委員会での所管報告では、バス定期代の補助を3分の2にするとありましたが、これはどのような理由によるものなのか、区の見解を伺います。

 代替校舎である旧上高田小学校の校庭は、現在の中野区立第七中学校の校庭よりも狭いために、テニス部や野球部、サッカー部などの校庭を利用する部活動に支障が出るのではないかと考えますが、どのような対策を取るのか区の見解を伺って、この項の質問は終わります。

 5番目に、成年後見制度の課題について伺います。

 2023年において、成年後見制度を利用している人は約25万人にすぎず、潜在的な後見ニーズは判断能力が不十分と見られる人の総数である約1,200万人の僅か2%でしかありません。成年後見制度が2000年にスタートした際には、成年後見人の選任数全体に占める親族後見人の割合91%でしたが、2023年には18%まで大幅に減少しています。これは本人の成年後見人となるべき親族が見当たらないケースの増加や、親族後見人による不正が多いことから、家庭裁判所が親族後見人の選任に歯止めをかけて、第三者の成年後見人を選任する傾向が強まってきていることに要因があります。

 このような状況下により、特に弁護士や司法書士、社会福祉士といった専門職の成年後見人が増えてきている状況です。専門職の選任は成年後見制度がスタートした2000年には全体の僅か8%であったものが、2023年には71%まで大きく増加しています。専門職については、その絶対数が限られており、成年後見を敬遠する人も少なくないことから、専門職が成年後見の需要増の全てに対応できるわけではない状況にあります。

 成年後見人の横領などの不正を防止するために、2012年から後見支援信託及び後見制度支援預貯金の制度が導入され、家庭裁判所が積極的に進めてきた背景もあり、これまでかなり大きな規模で利用されてきました。後見制度支援信託及び後見制度支援預貯金の利用拡大は、成年後見人による不祥事の発生を抑制する効果が期待できる反面、本人の財産を本人のために使うことがスムーズにいかなくなるといったデメリットが生じる点に課題があると指摘されています。

 個別のケースの場合でもさらなる課題が出てきています。中野区において、被後見人が破産したことにより、成年後見人等報酬費用助成金が成年被後見人の財産にとどまることになるため、成年後見人等に支払えなかった事例がありました。中野区の成年後見人等報酬費用助成要綱には、成年後見人等の報酬は助成対象者である被後見人等に支払われることになっています。江戸川区の要綱では、報酬の振込先を成年後見人等の口座に限るとなっています。また墨田区の要綱では、報酬使用の助成金の使途として、成年後見人等に支払う報酬以外の目的に使用してはならないと明記されています。

 成年後見人等の活動は過酷なことが多々あり、困っている人を助けたいとの使命感が強くないと務まらない役割です。成年後見制度が持続可能な制度となることが必要であり、さきの事例のような報酬支払いをめぐるトラブルを回避するために、報酬費用を成年後見人等に直接支払える制度の検討をすべきだと考えますが、いかがでしょうか、区の見解を伺います。

 中野区は、成年後見制度連携推進協議会を設置し、成年後見制度の利用促進を図るため、専門職や地域団体などの関係機関と課題の共有や情報交換を行っています。成年後見人等への報酬費用をめぐるトラブル等の事例を共有して議論することで、成年後見制度を持続可能なものとしていくべきと考えますが、区の見解を伺って、この項の質問は終わります。

 6番目に、環境衛生事業の業務委託支援について伺います。

 一昨年の5月に、新型コロナウイルス感染症が2類相当から5類感染症に引き下げられ、現在は社会活動も以前の活気を取り戻し、コロナ禍以前と同様、もしくはそれ以上の状況を呈している状況にあります。そのことにより、中野区内の環境衛生面では、粗大ごみや資源ごみの回収量も大幅に増加している現状にあります。中野区が粗大ごみや資源ごみの業務委託をしている東京都環境衛生事業協同組合の事業者は、昨今の粗大ごみや資源ごみの回収量の増加や物価高騰により、委託費を上回る自己負担額が増大している実態があります。

 また、昨今の物価高騰により車両価格や燃料費の高騰も一段と事業運営費を圧迫することになってきています。車両価格については、小型プレス車・小型特殊車では、令和6年度では前年度の115%、中型プレス車では129%となっています。燃料費も107%となっています。各社の企業努力では賄えない状況にあります。このような状況を鑑みて、車両購入費及び燃料費の高騰に対する支援策を考えるべきであります。

 区契約単価では、ペットボトルについては労務(作業員)単価及び車両(運賃等)単価は、今年度の雇上契約単価を基に積算されていますが、プラスチックや粗大ごみの車両(運賃等)単価については、前年度の単価を基準に算出しているために、実情に合っていません。プラスチックや粗大ごみの車両(運賃等)単価について、実情に合った区契約単価に見直す必要があると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、1年を通して環境衛生事業の委託事業を行う中で、様々な要因で事業費が膨らむことも起こってきています。年度途中での物価上昇等で委託費との乖離が生じた場合には、補正予算を組むなどの対応が必要ではないかと考えますが、区の見解を伺います。

 現在、中野区内では、マンション建設が急増しており、その影響から、年度当初計画での作業回数では全てのごみを回収することが困難な地域ができている状況にあります。そのために現状での収集回数増は避け難い状況にあり、作業員の労働時間や身体的負担の増加につながっています。特にペットボトル回収量の増加傾向が著しく、増加を見込んだ回収量に対する回収車両台数の増加を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 令和7年6月1日から、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令により、気温31度以上の環境下で連続1時間以上、また1日4時間以上の実施が見込まれる作業を対象として、事業主に対し具体的な熱中症対策を講じることが義務付けられました。今夏の酷暑は10月まで続くと予測されており、長期間にわたる酷暑での超過酷な労働環境で作業員が回収事業を継続できるようにするため、熱中症対策が重要であると考えます。酷暑の中での回収事業に対し速やかな支援策が必要であると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 昨今では、回収車の運転手の高齢化が進む中、若年層が小型プレス車の運転免許証を取得するためのマニュアル車での教習が都内にはなく、取得しづらい環境にあります。また、過酷な労働環境から、運転手や作業員の確保及び長期の定着が非常に困難である現状の改善は喫緊の課題です。特に若年層の人材確保に対する支援策が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 伺って、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 南議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、区画街路第4号線整備の現状について、まずは延伸時期についてでございます。

 区画街路第4号線の事業期間の延伸につきましては、連続立体交差事業の進捗と密接に関連していることから、現在東京都と協議を進めております。延伸時期については、令和7年第4回定例会において報告を行う予定でありまして、また年明けには、地域住民の皆様を対象とした説明会の開催を予定しております。今後も、地域の皆様への丁寧な情報提供に努めてまいります。

 次に、生活再建の課題についてです。区としては引き続き生活相談窓口の活用を促進するとともに、沿道権利者の皆様に寄り添いながら、日影規制等の課題を含めた様々な対応策について検討を進めてまいります。地域の皆様が安心して生活再建を図れるよう、関係機関とも連携しながらきめ細やかな支援に努めてまいります。

 次に、商店街街路灯についてでございます。商店街の街路灯は占用物件でありまして、一般的には支障移設に係る費用は商店街の負担となります。しかしながら、今回の整備は区が進める都市計画道路事業でありまして、当該事業に伴い多数の街路灯の移設が必要となりますので、商店街にとって負担が大きい状況が想定されます。このため区としては、整備の進捗に合わせて必要な調整を進めていきたいと考えております。

 次に、移動スーパーの状況についてです。現在商店街が実施主体となって、沼袋区民活動センター隣の事業用地を活用した移動スーパーの社会実験を7月10日より週1回の頻度で実施をしております。夏季の厳しい暑さの影響によって、当初に比べて利用者数は減少傾向にありますが、高齢者の方々を中心に一定の利用があると伺っております。区としても、引き続き関係団体と連携をしながら、地域の買物環境の改善に向けた取組を進めてまいります。

 次に、事業用地(障害者福祉会館横)の分筆登記についてでございます。現在沼袋区民活動センター隣接の事業用地につきましては分筆登記は行っておりません。当該地はもともと区が所有する土地でありますので、現時点で早急に分筆登記を行う必要性は低いと考えておりますが、今後の事業の進捗や活用状況に応じて、分筆登記の時期については適切に検討してまいります。

 続きまして、5歳児健診について、実施形態についての御質問です。

 5歳児健診につきましては、対象児全員に対して発達課題に関するアンケートを実施し、アンケート結果によって、発達の確認が必要とされた子どもに対して、各すこやか福祉センターにおいて集団健診を実施する形態を検討しているところであります。

 次に、5歳児健診の試行実施についてです。アンケートによって対象児を絞り集団健診を実施する場合、実施体制の確保や健診後のフォロー体制など様々な課題が想定されるため、令和8年度に試行的に5歳児健診を実施し、対応策を検討してまいります。

 次に、災害対策についてで、介護事業所のBCP策定状況の把握についてです。

 BCPの策定につきましては、集団指導等で周知、指導を行っておりまして、区が指定する事業所については策定の届出を受け、届出がない事業所には確認を行っているところであります。策定の届出を要しない事業所もありますが、届出の要否にかかわらず運営指導において業務継続計画や研修及び訓練計画、実施記録等の確認を行っております。

 次に、BCP策定後の活用支援についてです。介護サービス事業所向け研修において、令和6年度にはBCPの実践・運用のため研修訓練の内容や机上訓練、令和7年度には各サービス種別・災害事例に応じた初動のシミュレーションを行い、BCPの運用、活用、実践の支援を行っております。今後も指導や事業所向け研修等を通じて、情報提供や支援を行ってまいります。

 次に、私立保育園のBCP策定支援についてでございます。事業継続計画(BCP)につきましては、各園の状況に応じ、それぞれの園で策定すべきものと考えております。一方で、区内の私立園全園で共通して対応を図る必要があるものや、各園での判断が困難なものについては、区が基準を示す必要があると考えております。有事の際、どの園も適切に対応できるように、一定程度統一した内容を盛り込んだBCPのひな形の策定について検討してまいります。

 最後に、司法書士会との災害協定についてでございます。災害時に被災者が直面する法的課題に対応するため、司法書士の協力は必要であると考えております。現在、司法書士会と情報交換を進めておりまして、生活再建に必要な相談支援など、実効性のある連携内容について協議を重ね、協定の締結に向けて調整を図ってまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、まず、災害対策についての御質問にお答えいたします。

 最初に、合同引き渡し訓練の成果と課題についてでございます。訓練では、園や学校間の連携体制を確認できたことに加え、90%以上の保護者の参加が得られ、防災意識の向上が図られたと思っております。また、平和の森小学校と第二中学校で行った東京消防庁との連携訓練は、命を守る行動の理解促進に大変効果があったと認識しております。

 次に、保育園の合同引き渡し訓練への参加と課題についてでございます。公立及び私立保育園の訓練への参加については、保育園長や小・中学校長が参加する連携教育検討委員会などで情報提供し、検討してまいります。実施に当たっては、土曜日の保育園利用者が少ないことや、兄弟姉妹がいる場合、連携する小・中学校との距離が遠く引取りに時間がかかるなどの課題について協議する必要があると考えております。

 次に、区立第七中学校の建替えに伴う通学支援と課題についてでございます。

 最初に、第七中学校代替校舎移転に伴う通学費補助の割合についてでございます。1年間の通学日数が365日中200日程度であること、また、対象となる関東バスの定期は区間を指定することができず、通学以外でも利用できることなどから、補助率を3分の2としております。

 次に、代替校舎における部活動の環境についてでございます。第七中学校と代替校舎では、約2割程度校庭が狭くなると認識しております。現在校庭を使用している部活動には、硬式テニス部、野球部、サッカー部がありますが、活動にできるだけ支障がないように対応したいと思っております。硬式テニス部については、代替校舎の校庭で活動できると考えており、野球部やサッカー部については、代替校舎の近くにある哲学堂運動施設や上高田運動施設などの利用を現在検討しております。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、成年後見制度の課題についての御質問のうち、まず報酬助成を後見人等に直接支払うことについてお答えいたします。

 成年後見人の報酬は、民法によりまして、被後見人の財産の中から与えられるものでございますので、区が行う成年後見人等報酬助成の対象者は、被後見人が死亡した場合を除き被後見人となります。また、破産法上、後見人報酬債権について特段の規定がないことから、他の一般の破産債権と同様に扱われるものと認識してございます。報酬の支払いをめぐるトラブルへの対応につきましては、他区の状況等も調査し、被後見人に多額の損失が生じてしまう場合への対策について、さらに検討してまいります。

 次に、成年後見制度連携推進協議会の活用についてでございます。成年後見制度を持続可能なものとしていくため、制度の運用上の課題を関係機関等と共有することは重要であると認識してございます。成年後見制度連携推進協議会を含めて、機会を捉えて後見人を担う専門職等の意見を伺うなど議論を深めてまいります。

〔環境部長浅川靖登壇〕

○環境部長(浅川靖) 私から、環境衛生事業の業務委託支援の御質問にお答えをさせていただきます。

 まず、回収委託の単価設定についてですが、粗大ごみの収集やペットボトル、資源プラスチックの回収業務は東京都環境衛生事業協同組合に委託してございまして、その単価は、燃やすごみ等の雇上単価を参考にしてございます。単価のうち労務単価分につきましては、令和7年度予算から予算年度の雇上予定単価に合わせ見積もることといたしました。一方、車両単価分は見積り段階で雇上予定単価が未公表のため、一部現年度単価を用いております。燃料代や人件費等の高騰する中、可能な限り次年度の状況を予測した予算積算に努めてまいります。

 続きまして、物価上昇に伴う補正予算対応についてでございます。資源回収の契約の場合、回収量が想定を超える場合等は補正予算対応することがあり得ますけれども、物価上昇の事由により年度途中から契約単価を増額することは難しいと考えてございます。当初予算の積算の際に、経済状況をより適切に見極めた単価設定を行ってまいります。

 続きまして、資源回収量の増加に伴う増車についてでございます。資源回収量は減少傾向にある中、ペットボトルは年間約12トン増加しております。資源回収量は一般にその品目の購入動向、人口増減の動向及び区民のごみ減量努力の効果等の要素が重なり合って変化するものでございます。今後とも回収量の的確な把握に努め、効率的かつ作業員に負荷がかからない配車計画を目指してまいります。

 続きまして、回収業務の夏季対策についてでございます。近年の猛暑により、ペットボトル等の回収業務につきましても、長時間、炎天下での作業を行うため、熱中症のリスク等が高まっていると認識してございます。事業者に対して、令和7年度からは委託経費の中で、夏季対策を含む福利厚生費を増額したものでございます。夏季対策は作業の安全に直結すると認識してございますので、今後も事業者の意見を聞きつつ有効な支援策を検討してまいります。

 最後に、回収事業者の人材確保についてでございます。資源回収やごみ収集など様々な事業者の聞き取りでは、人材不足の深刻さ、特に若年層の運転免許の取得率低下による運転士の不足が著しいことが浮き彫りになりました。委託事業者の人材確保について直接の支援は困難でございますが、適正な契約単価の設定に努めつつ、区内の資源回収が今後とも安定的かつ継続的に実施できる手立てを検討してまいります。

○副議長(小林ぜんいち) 以上で南かつひこ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 武 田 やよい

 1 区有施設について

  (1)区有施設整備計画について

  (2)中野区区有施設のユニバーサルデザイン導入ガイドラインからみた新庁舎について

  (3)その他

 2 職員体制について

  (1)病気休暇・病気休職者対応について

  (2)産休・育休・部分休業等の状況について

  (3)職員定数について

  (4)その他

 3 区民生活を守るための政策について

  (1)介護保険事業所への支援について

  (2)民泊について

  (3)アメリカカンザイシロアリについて

  (4)その他

 4 平和事業について

  (1)終戦80年記念平和企画展示について

  (2)平和の旅について

  (3)区内の平和関連施設等について

  (4)その他

 5 その他

 

○副議長(小林ぜんいち) 次に、武田やよい議員。

〔武田やよい議員登壇〕

○10番(武田やよい) 2025年第3回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問は通告どおりで、その他はありません。

 1、区有施設について伺います。区有施設整備計画について。

 2025年第2回定例会で区有施設整備計画(骨子)が示されました。この計画は、財源を確保しながら区民のニーズに応じたサービスを提供することができる区有施設の適正配置及び安全・安心な施設利用のための更新・保全を行うために策定されるもので、意見交換会、パブリック・コメントを経て、来年3月に策定予定となっています。報告された骨子では、売却予定とされていた平和の森小学校用地が8月21日開催の総務委員会で活用に方針転換と報告されたことは、売却撤回を求めてきた会派として歓迎しています。

 しかし、同報告では、骨子に明記されていなかった児童発達支援センターの検討が盛り込まれています。療育相談等の機能拡充は求めてきたことであるため評価していますが、本来区として必要であると考えている施設・機能については、場所が定まっていなくても整備を検討する施設として明記すべきではないでしょうか。

 また、施設整備年度を検討する際は、財政負担を平準化するための長寿命化の視点も必須であると考えます。2024年第4回定例会では、「耐久性調査等を行った上で、施設の状況によっては築60年以上活用するなど、長寿命化の考え方についても検討していく」との答弁でしたが、改定中の骨子はこの調査を行った上で検討されているのか伺います。

 2024年6月に策定された脱炭素ロードマップとの関連について伺います。骨子には、適切な改修・保全の推進として、施設のZEB・ZEH化、木材利用などがうたわれていますが、脱炭素ロードマップで目標とするCO削減を確実に進めるため、ロードマップとリンクした年次計画を定めるべきであると考えます。見解を伺い、次に、個別の施設・機能について伺います。

 今年4月よりフリーステップルームの機能強化を図ったことにより、利用希望者が大幅に増加していると伺っています。一方で、行きたいけれども、距離が遠くて通えない、もう少し近い距離に欲しいとの声も頂いています。骨子では、子どもに関連する施設については、小学校区及び中学校区を子どもの日常生活圏域とする旨記載されています。利用人数との兼ね合いもあるかと思いますが、フリーステップルームについて、子どもの日常生活圏域もしくは五つの日常生活圏域に合わせて設置するなど増設を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 2025年第1回定例会、予算特別委員会での学びの多様化学校・学校型の設置を求める質問に対し、「当区における学校型の学びの多様化学校の設置の必要性を含め考える必要があり、基本計画の改定に合わせて検討していく」と答弁されています。フリーステップルームに通うことにより、卒業できても卒業証書は在籍校の名称となる、自分が通った学校の卒業証書を手にさせたいという保護者の方からの声も伺っています。重層的な学びの選択肢を増やすためにも、学びの多様化学校・学校型の設置を具体的に検討していくべきだと考えます。見解を求めます。

 教育施設の最後に、図書館不足地域のサービスポイント設置について伺います。2023年9月に策定された「今後の区立図書館のサービス・配置のあり方の基本的な考え方」の中で、図書館設置基準の半径1キロに入らない東中野・上鷺宮地域について、「図書館サービスを提供するサービスポイント等の整備が求められている」との記載があります。サービスポイントについて進捗が見えませんが、当該計画の中で位置付けるべきではないでしょうか、見解を求めます。

 次に、夜間・休日診療所について伺います。2025年第2回定例会一般質問で、会派の広川議員の質問に対し、「現時点では直ちに区の中心部に設置することは考えていないが、中野区医師会等と状況や課題について意見交換を行い、今後の休日診療事業の方向性を検討していく」と答弁されています。その後、検討状況はいかがでしょうか。

 昨年末から今年にかけても発生したインフルエンザの大流行なども鑑み、夜間・休日診療所の設置を検討することを改めて求めます。見解を伺います。

 次に、中野区区有施設のユニバーサルデザイン導入ガイドラインからみた新庁舎について伺います。

 今年3月、区有施設ユニバーサルデザイン導入ガイドラインが策定されましたが、区有施設として最新の新庁舎にこのガイドラインの項目が反映されていない点が多々あることは非常に残念であると思います。議会で度々指摘されている点もありますが、今回は2点について改善を求め質問します。

 1点目、駐輪場について伺います。ガイドラインチェックリストでは、駐輪場について、「敷地出入口から、建物玄関までの経路が遠回りにならず、分かりやすい位置に設置する」とあります。現在の駐輪場の歩行者出口は北側出入口に向かってあるため、建物に入るためには近い動線となっていまが、来庁舎の皆さんが上階に行くには南側まで戻らなければ、エスカレーターにもエレベーターにも乗ることができません。ナカノバ、シェアノマなどへ行く際も同様で、非常に遠回りになっていると思います。駐輪場を利用する方の中には、自転車出入口の横を通り抜けて正面玄関へ向かう方を見かけます。

 そこで伺います。駐輪場の歩行者出口を南側に設けることはできないのでしょうか。もしくはブックポストを郵便ポストの隣に移し、その場所に新たに平置きの駐輪場を設置することはできないでしょうか。駐輪台数を増やすことにより、停めづらい可動式ラックから平置きできるスペースを増やすことにもなると思いますが、いかがでしょうか、答弁を求めます。

 次に、案内表示について伺います。案内表示については、「目的となる部屋等に適切に誘導できるよう、分かりやすい案内板等を適切に設ける」、「どの方向からでも認識しやすいように壁面型や突出型等のサインを併用設置する」との項目があります。地下のエレベーター前で課の名前が記載された表示に戸惑っている方をよく見かけます。また、1階の表記は、会計室が最上段に記載され、来庁者の方が多く訪れるナカノバ、シェアノマなどは下のほうにまとめて記載されており、見づらいと感じます。来庁者にとっての案内であれば、転出入、マイナンバーカード申請など、手続の内容で示すほうが親切ではないでしょうか。また、1階も一般の方が来る場所を優先に記すべきであると思います。誰のための案内なのか、案内表示全体を改めて検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 加えて1階の案内板と総合受付の位置、距離、向きについても検討が必要であると考えます。総合受付は案内板と若干距離があり、西側を向いて座っているため、案内板を見て迷っている方たちに気づいていない場面を多々目にします。また、正面玄関から離れた場所にあるため、総合案内で尋ね、エレベーター、エスカレーターの場所まで戻らなければならないという動線の悪さもあります。これをカバーするソフトも含めた対応が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 次に、多方面からの視認性について伺います。1階のミーティングルーム、ATMなどは突出型のサインがなく、見落として素通りする方もいらっしゃいます。特にミーティングルームはガラスに白文字、白いブラインドが下ろされていると文字がなかなか判別できません。おしゃれなオフィスを追求するのではなく、多様な方々が利用する公共施設として、突出型サインなど必要な対応をすべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を求め、次の項の質問に移ります。

 2、職員体制について伺います。

 病気休暇・病気休職者は、2023年度に延べ合計140名、職員全体の6%以上に相当する人数となっており、ここ数年は横ばいとのことですが、病気休暇・病気休職職員の職場復帰のためのプログラムについて伺います。

 現在の職場復帰プログラムは、病気休暇に入った職場で実施することが前提となっているかと思います。内科・外科的な対応の疾病やけがであれば問題はないかもしれませんが、不得手な業務、人間関係など、所属する職場環境に起因するメンタル疾患が元であれば、所属職場で復帰訓練を行うことは復帰を遠ざけることにつながると考えますが、いかがでしょうか。

 また、所属職場での訓練の場合、復帰訓練中の本人へのサポートについて、相談業務やカウンセリング技術を身につけていない職員が当たることも多いと思われ、そのことは本人への負担に加えて対応する職員の負担にもつながると思われます。病気休暇・休職となった要因、当事者の意向を踏まえた復帰プログラムを複数整えていくことが必要ではないでしょうか。

 2025年第2回定例会総務委員会で、事務アシストステーション試行の報告がありました。これは、会計年度の障害者雇用職員が従事し、ジョブコーチも配置される運営で、病気休職者対象ではありませんが、病気休暇・休職復帰者がゆとりを持って職場環境に慣れ、サポートする専門職が常駐する、このような職場復帰部門を設置する必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、産休・育休・部分休業等の状況について伺います。

 2023年度の妊娠出産休暇、育児休業の取得者数は合計165名、職員全体の7%となっているとのことでした。また、2025年第2回定例会総務委員会で報告された「「中野区職員のワーク・ライフ・バランスと女性活躍推進計画(第4期中野区特定事業主行動計画)」の実績状況等及び次期計画策定の考え方について」では、男性職員の育児休業取得者、特に1か月以上の休暇取得者が2021年度と比べて20%以上増加しています。20代、30代の職員が既に5割を超え、今後も若い職員が増えていく中で、産休をはじめとした出産・育児に関わる休暇取得者はさらに増加すると考えられます。加えて、育児休業終了後、保育園等のお迎えなどで部分休業を取得する方もさらに増加するのではないでしょうか。

 職員定数は業務量から算出して定められていると思いますが、6時間勤務の職員を7時間45分勤務で換算すると、不足分を他の職員が担うことになります。この部分について、現時点で職員数に関する配慮は行われているのか伺います。

 産休・育休取得者の増加自体はとてもよいことであると思いますが、一方で、職場で業務に従事する職員が実質的に減少することとなり、結果として残っている職員の負担が増加することにつながっているのではないでしょうか。群馬県伊勢崎市では、この点を考慮して、育児休業職員の業務を担う職員のボーナスに加算する制度を始めたとの報道がありました。金銭的な対応が全てよいとは思いませんが、代替職員が配置されない短期間の育児休業取得者がいる職場への支援を行うことで、業務分担が増える職員への配慮、遠慮して休暇を控える職員を減らすことにもつながると考えます。何らかの対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか、答弁を求めます。

 この項の最後に、職員定数について伺います。

 前出のワーク・ライフ・バランスの報告の超過勤務時間の状況を見ると、月平均勤務時間は増加傾向にあり、月45時間、年360時間超過の人数も増加しています。昨年度については、庁舎移転の影響もあったと思いますが、各部署における休暇・休業・休職者と超過勤務状況、年次有給休暇取得状況との相関関係などは分析しているのでしょうか、伺います。

 病気休暇・休職、妊娠出産休暇、育児休業者数を合計すると、重複もあると思いますが、おおよそ13%の職員が数か月もしくは1年間業務に従事していないことになります。加えて部分休業により7時間45分の業務時間に満たない職員も一定数いることになり、事実上定数割れの中で業務に従事せざるを得ない状況が恒常化している部署もあるのではないでしょうか。今後も産休などの休暇者が増加することが予想される状況の中で、安定した区政運営を行うためには、改めて各部署の業務量と実稼働人数、実稼働時間数を調査し、職員定数の見直しを図る必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。

 公務員志望者が減少している傾向の中で、全ての職場の定数を増やすことは困難だと思います。そのためにも所管部からの申立てだけで判断せず、人事担当として現場の業務状況を把握し、定数増が必要な部署、定数減が可能な部署を見極め、適切な配置を図ること、病気休暇・休職職員が職場復帰しやすい環境を整え、安定した職員体制で区政運営を推進することを求め、次の項の質問に移ります。

 3、区民生活を守るための政策について伺います。

 昨年4月の介護報酬改定により、経営が苦しくなっている介護保険事業者への支援について改めて伺います。

 23区では、世田谷区に続いて品川区が、手法は異なりますが、訪問介護事業所の支援を行っています。品川区長は、記者会見で、「訪問介護サービスへの支援は急務、基本報酬の引下げにより、特に小規模な事業所が大きな打撃を受けている」と説明し、「社会インフラとしての訪問介護と、高齢者の命を守るため緊急的・臨時的な対策を講じ、政府による現場の実態に即した報酬改定を待ちたい」としています。中野区でも支援を行うべきと考えます。見解を求めます。

 次に、介護認定の期間について伺います。介護保険法第27条第11項において、要介護認定に対する処分は、原則として、当該申請のあった日から30日以内にしなければならないと規定されています。今般の認定審査の遅れから、2025年3月31日に厚生労働省から、要介護認定等の迅速化・適切化を求める事務連絡が発出されています。介護保険サービス事業所連絡会からは、「区の認定審査に90日を要する例も見受けられる。利用者の方に必要なサービスを届けることができず、事業所としても報酬が見込めない」との話を聞いています。国が事務連絡で示した期間や事務の効率化、迅速化の取組例を参照し、早急に要介護認定に係る期間を短縮すべきと考えます。具体的な改善策について答弁を求めます。

 次に、民泊について伺います。

 2010年代に入り、民泊需要が急速に拡大した日本では、2015年に国家戦略特区を対象とした特区民泊制度を導入、2018年6月、住宅宿泊事業法、通称、民泊新法の施行により、宿泊事業でありながら従来の旅館業法より規制が緩和され、住居専用地域でも営業が可能となりました。この住居専用地域で営業できる民泊は、スーツケースを引っ張る際の音、適切に分別されていないごみが住宅のごみとして出されている問題など、地域住民の生活に影響を及ぼしている例が顕著になってきています。新宿区では業務停止命令、豊島区、墨田区では規制強化の方向と報道されています。

 そこで伺います。中野区にはどの程度の苦情や相談が寄せられているのか、また、その対応をどのように行っているのか伺います。

 区の住宅宿泊事業の適正な実施の確保に関する条例では、第6条第7項に、「当該許可の取消し、業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる」とあります。その対象として、地域からの苦情とその苦情への対応について、一定期間をもって改善が見られない場合を明文化すべきだと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、住居専用地域での営業期間制限について、一般の方が営業期間が適正であるのか否かは判断ができないと思われます。そこで、事業所に届出年月、営業期間、管理者などを建物に明示するよう義務付けを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 この項の最後に、無許可営業への対応について伺います。以前、新築の賃貸マンションが1棟全て民泊になっているようだとの相談を受けました。この民泊は保健所に届出を出す前から営業しており、営業期間も守っていませんでした。届出も出さないまま、結果的には廃業しましたが、このような無届営業などについても指導や罰則規定などを設けるなど、条例の中で区ができる範囲の対応を最大限行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 加えて、国に対し一定の規制強化を求めるべきと考えます。答弁を求め、次の項の質問に移ります。

 アメリカカンザイシロアリについて伺います。

 今年の春に行われた花と緑の祭典で、区内工務店の方々が共同で出展していたブースで、アメリカカンザイシロアリの実物展示と解説、駆除方法などの説明をされていました。近年、西武新宿線沿線でアメリカカンザイシロアリによる被害の相談が増えているとのことで、会派の議員も同様の相談を受けました。9月5日号の区報では、この件に関する記事が掲載されていましたが、従前に比べて扱いも小さくなっているように思います。

 アメリカカンザイシロアリは、乾燥した木材、家具などを餌としていること、飛来することなど、従来のシロアリとは生態も駆除方法も異なるとのことです。気候変動により、これまでより被害が大きくなる可能性も予想されるため、区報だけではなく、さらに丁寧な注意喚起が必要ではないかと考えますが、今後の対応など検討されていることがあるか伺います。

 シロアリについては、害虫との扱いで保健所が対応されているようですが、保健所が本来対応する対象は公衆衛生に係る害虫ではないでしょうか。シロアリの被害は、健康被害より建物、家への被害であり、住宅関連の相談、空き家対策や住宅の耐震といった視点での対応が適しているのではないでしょうか。今後の周知方法、相談対応や駆除対策なども考慮し、対応所管を検討すべきではないかと考えます。見解を求めます。

 最後に、4、平和事業について伺います。

 終戦80年記念平和企画展示について。

 今年、被爆、そして戦後80年を迎えました。区長は、施政方針説明の中で、「今後も、様々な機会を捉えて平和への強い意志を発信していく必要があると考えている」と述べています。また、所管から、今年は節目の年として企画展示を工夫していくとの答弁がありました。そのため大変期待して見にいきました。展示は庁舎1階を複数箇所使用していましたが、どこも部分的な使用であり、平和展示としての一体感がなかったこと、区としてのメッセージもなく、憲法擁護・非核都市宣言や平和の旅をはじめとした区の平和事業について触れられているコーナーもありませんでした。単に写真やパネルが並べられているだけで、非常に雑な展示で残念であったと思います。

 引き換え、杉並区では、広島市と連携し、庁舎1階・2階を活用しての様々な展示、関連図書の閲覧コーナーやメッセージを書く場所、折り鶴を折るコーナーも丁寧に設置されており、展示を見る方はもちろん、メッセージを書く方、鶴を折る方も大勢いらっしゃいました。何より杉並区平和宣言、広島市長・杉並区長連名のメッセージなど、平和への意志を強く発信するすばらしい展示となっていました。区として今回の展示についてどのような総括をしているのか伺います。

 展示内容について、例えば広島原爆資料館では、被爆者の体験を次世代に伝えていくための方法の一つとして、高校生が被爆者の体験を描く活動を行っており、描かれた絵画とメッセージをパネルにした資料の貸出しを行っています。所蔵する資料の展示を繰り返すのではなく、広島や長崎の活動を参考にして展示内容を工夫する、今年戦後80年の企画展示を行った歴史民俗資料館と連携するなど、平和への強い意志を発信する方法を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 平和の旅について伺います。

 復活後、今年3年目を迎える平和の旅は、実施時期を8月に変更して行われたと思いますが、時期を変更したことによる効果や申込み状況など、現時点での評価を伺います。

 私は、今年、原水爆禁止2025年世界大会・長崎大会に参加しました。原爆資料館、爆心地公園など、世界各国からも大勢の人が訪れていましたが、中でも小学生、中学生、高校生の皆さんが大勢訪れ、グループごとにボランティアガイドの方たちのお話を熱心に聞き、メモを取る姿がとても心に残り、多くの子どもたちが平和の旅に参加できるように制度を拡充すべきだと感じました。今年度は実施時期の変更という改善が図られましたが、今後参加人数の拡大、長崎、沖縄など訪問地の拡大など進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、子どもたちが平和の旅で得たことを同世代に広げていく取組として、今後も関わってもらう働きかけも必要ではないかと考えます。例えば平和展示を実行委員会方式で行い、企画を一緒に考えるなど、平和のために参加し、報告会で終わりではない取組をつくっていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

 最後に、区内の平和関連施設等について伺います。

 区内には平和に関連した史跡などがありますが、平和の森公園に設置されている平和記念碑のように、設置当初と現在の状況との違いにより記念碑の存在が分かりづらいといった状況が見られます。また、産業振興センターには護憲の像のほか、庭には広島市の花であるキョウチクトウ、長崎市の花であるアジサイが植えられていますが、こちらも存在が分かりづらくなっています。身近なところで平和に関するメッセージを発信する区内平和史跡や、被爆樹木二世など関連する植物について、設置場所や表示方法を再度検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 憲法擁護・非核都市宣言を掲げる中野区として、平和への強い意志を発信する平和事業を充実させることを求め、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 武田議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、区有施設について。

 区有施設整備計画に記載する施設についてでございます。区有施設整備計画は、今後10年間の区有施設に係る新設・改築・大規模改修等の施設整備について、財政経営の観点から取りまとめた総合的な行政計画であります。整備する場所や整備スケジュール等が定まっていない施設については更新経費等が試算できないということから、区有施設整備計画に記載することは予定をしていないところであります。

 次に、建物耐久度調査についてです。区有施設整備計画(骨子)でお示ししているとおり、区は建築後60年を目途に建物耐久度調査等を実施した上で、長寿命化が可能であると判断された場合には、大規模改修を行った上、建築後80年まで活用し建て替えすることとしております。一部の施設を除いて建物耐久度調査は実施をしておりませんが、日本建築学会の考え方等を参考にして検討を進めておりまして、来年度以降、順次、建物耐久度調査を実施することを予定しております。

 次に、脱炭素ロードマップとリンクした年次計画についてです。令和6年6月に策定した脱炭素ロードマップでは、現行の区有施設整備計画のスケジュールを基に、区有施設をZEB化・ZEH化することにより、令和12年までに479トンの二酸化炭素を削減することができると見込んでおります。次期区有施設整備計画を踏まえた二酸化炭素削減量の見込みにつきましては、環境基本計画の改定と併せて検討したいと考えております。

 続きまして、夜間・休日診療についてでございます。これまでに中野区医師会、中野区歯科医師会、中野区薬剤師会と意見交換を行って、人件費等必要経費の高騰、担い手不足による事業継続性、季節により患者数が大きく異なることに対応した適切な開設医院数を課題として認識をしたところであります。夜間・休日診療事業は、区民の生命・健康に直結する事業であるため、継続的に事業が実施できるよう引き続き検討を行ってまいります。

 また、固定の夜間・休日診療所につきましては、医師会と協議を行った結果、管理運営の在り方等の課題が多いことから、現時点では設置を考えておりません。

 続きまして、駐輪場の歩行者用出入口についてでございます。駐輪場南側に新たな出入口を増設することや、ブックポスト付近の平置き駐輪場整備につきましては、設備機器の移設など大規模な改修工事が必要であるということで、難しいと考えているところでございます。

 次に、案内表示についてです。1階総合案内板につきましては、各フロアの担当部署と主な手続内容等を表示しているところであります。案内板はスペースが限られているという課題はありますが、区民の方にとって分かりやすい表示となるよう、改善について検討してまいります。

 次に、総合案内の位置関係についてです。総合案内の従事者2人のうち1人は正面玄関側に向いて配置するなど、案内サービスのさらなる向上を目指し、必要な案内が来庁者に提供できるよう運用を工夫してまいります。

 次に、公共施設としての適切な案内表示についての御質問です。1階は多くの区民が利用する場所でもあることから、ミーティングルームなどの案内について分かりやすいサインとなるよう改善を図ります。

 続きまして、職員体制について。

 職員の職場復帰訓練についてでございます。職場復帰訓練は、精神疾患による病気休職者を対象として、厚生労働省の手引きに基づいて、元の慣れた職場で行うことを原則としております。一方で、職場復帰訓練を別の職場で実施することが望ましい職員につきましては、本人の健康状態と職場の状況などを総合的に勘案し、所属以外の職場での対応も行っているところであります。

 次に、職場復帰訓練の内容についてです。所属職場での復帰訓練につきましては、当該職員の復帰に当たっての不安や意向を確認し、職場での受入れ体制を整備した上で、職員個々の状況に応じた対応を行っているところであります。職場訓練中は、健康管理を担う職員課において、本人及び所属からの相談に随時対応しているところでありまして、引き続き本人や職場と情報共有を行いながら、適切に対応してまいります。

 次に、職場復帰を支援する体制についてです。復帰に当たり必要とするサポートは職員によって様々でありますが、職員、所属と意思疎通を行いながら、着実に調整していくことが重要であると考えております。職員をサポートする専門職の在り方などについては、今後研究してまいります。

 次に、出産・育児に係る休暇取得者の見込みについてです。出産育児に係る休暇等の取得者数の増加の幅を見込むことは難しいところでありますが、休暇・休業制度の充実、若年層を中心とした働き方に対する意識の変化などを踏まえると、今後数年間の取得者数については増加をしていく傾向が予想されます。

 次に、部分休業に伴う職員数への配慮についてです。部分休業制度の利用によって、職員の実働時間が減少することにつきましては、職場の状況を確認し、業務に支障が出ないよう、会計年度任用職員を任用することで対応しているところであります。

 次に、代替職員が配置されない職場への支援についてです。妊娠出産休暇や育児休業の取得が進む一方で、他の職員の業務負担が増加する場合があることは認識をしているところであります。他自治体の先進的な取組も参考にしながら、必要な取組を研究してまいります。

 次に、休暇・休業等と超過勤務の相関関係の分析についてです。所属ごとの超過勤務の傾向や休職者の有無、年次有給休暇の取得率などにつきましては定期的に把握をし、各職場に対するヒアリングや職員の配置調整などを行っております。これらの相関関係につきましては、業務の繁忙期、業務の性質、職員の配置状況などの様々な要因が関係しているところでありますが、各職場の実態を集計分析し、状況に応じて実効性のある対策を実施していくことが重要と考えております。

 次に、職員定数の見直しについての御質問です。職員一人ひとりがワーク・ライフ・バランスを保ち、エンゲージメントの高い組織運営を行うためには、適切な職員配置が必要であると認識をしているところであります。各所属における業務量を適切に見定めるとともに、職員体制については他自治体の事例等も参考にして、今後も検討してまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、区有施設についての御質問にお答えいたします。

 まず最初に、フリーステップルームの増設についてでございます。みらいステップなかのの中にあるフリーステップルームは、民間に委託し、体験的なプログラムや子どもの興味に合わせた学習を実施することで、通室している児童・生徒の人数が飛躍的に増加しております。今後、他地域での設置についても検討してまいります。

 次に、学校型の学びの多様化学校の設置についてでございます。これまでにチャレンジクラスN組の設置や、フリーステップルームの民間委託に加え、各小・中学校における校内別室の整備など、不登校児童・生徒への支援事業を充実させてまいりました。今後はこれらの事業の成果と課題を踏まえ、中野区基本計画に「学びを支える場」として位置付け、学びの多様化学校や教育支援センター、オンラインによる学習など、必要な支援を検討してまいります。

 最後に、図書館不足地域のサービスポイントについてでございます。区立図書館については半径1キロ圏内での整備を基本としております。東中野・上鷺宮地域は1キロ以上となる区域が広いため、図書の貸出・返却等ができるサービスポイントの設置を検討しております。サービスポイントの機能については現在検討中であり、次期基本計画の中で位置付け、事業を推進する予定でございます。

〔地域包括ケア推進担当部長石井大輔登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(石井大輔) 私からは、区民生活を守るための政策についてのうち、介護保険事業所の支援についてお答えいたします。

 まず、介護事業所への支援についてでございます。訪問介護事業所は、令和7年8月現在79事業所で、令和6年8月時点と比べ2事業所が増えているなど、区内の介護サービス事業所は、入れ替わりはあるものの一定数保たれております。社会経済情勢に鑑み、物価高騰対策は行ってまいりますが、経営支援のための給付金は考えておりません。

 次に、要介護認定の期間短縮についてでございます。国が示した取組例には、介護認定審査会のペーパーレス化が挙げられており、区では昨年10月から導入しておりますが、介護認定の長期化の主な要因は認定調査の体制が整わなかったことによるものと分析をしております。認定期間の短縮に向けては、要介護認定の安定的な実施体制の強化・確保が必要であると認識しており、委託や直営による認定調査の進捗管理を徹底するとともに、調査委託先や認定調査員の確保等により取り組んでまいります。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) 私からは、区民生活を守るための政策についてのうち、民泊についてお答えいたします。

 まず、宿泊事業に係る相談・苦情件数及び対応についてですが、旅館業及び住宅宿泊事業を含む開設相談件数は、令和5年度は576件、令和6年度は3,335件、苦情対応件数は、令和5年度は34件、令和6年度は196件です。令和7年度からは住宅宿泊事業として集計をしており、8月31日時点で開設相談件数は622件、苦情対応件数は177件です。

 区民からの苦情が寄せられたときは、保健所職員が速やかに対象の施設を実地で確認し、違反行為等が認められた場合には、住宅宿泊事業の届出者に是正を求めるよう指導しております。

 次に、許可の取消し等の条例への反映についてですが、住宅宿泊事業は届出制であり、区条例では、家主同居型宿泊事業の許可制度を規定しています。それぞれの施設における苦情内容は多様であり、その改善に要する期間も異なることから、苦情への対応がなされない場合に直ちに許可の取消しや停止を命ずることは難しいと考えています。国や都の政策動向や他自治体の状況を注視しながら、効果的な対応について研究を進めてまいります。

 次に、住宅宿泊事業の営業の明示についてです。住宅宿泊事業の届出者は、法第13条に基づき指定の標識を掲示することになっていますが、国が定めた標識には、営業期間の制限については表示されていません。今後、周辺の住民が営業期間等を認知できる方法を検討してまいります。

 次に、無届営業への指導及び規制強化についてですが、無許可無届の宿泊営業については、旅館業法等に基づき指導しています。

 また、国に対する要望については、他自治体とも連携しながら検討してまいります。

 次に、アメリカカンザイシロアリに関してですが、従来のホームページや区報に加え、今年度からはより多くの目に留まるよう、区役所デジタルサイネージ電子広報板も活用して行っています。また、アメリカカンザイシロアリの発生が増える春から夏に備えて、過去の相談内容や駆除業者から収集した情報を基に、区内のアメリカカンザイシロアリの発生エリアを中心とした特定の区域に対して、注意喚起チラシを個別に配布することを検討しています。

 シロアリは感染症を媒介する害虫ではありませんが、保健所において相談対応やホームページ、区報等による広報活動を行っております。区民からの相談内容は、駆除方法や効果的な対応策、駆除事業者の紹介に関するもののほか、住宅関連の相談など多岐にわたることから、保健所が中心となって全庁的な対応を検討してまいります。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 平和事業についてお答えいたします。

 初めに、平和企画展示の総括についてでございます。今回区役所1階を使用しての実施でございましたが、利用者がいるスペースでの展示だったため、配置の難しさはあったかと考えております。その反面、ナカノバ等を利用したことで、展示を目的に来庁した方以外の方にも見ていただけたこと、アンケートの結果もおおむね好評だったことから、今回の取組の効果はあったものと考えております。

 次に、展示内容の工夫・連携についてでございます。今回の展示につきましては、これまであまり展示を行っていなかったパネル等を展示したほか、平和首長会議とも連携し展示を行いました。今後も歴史民俗資料館などとの連携を図りながら、平和へのメッセージを発信してまいりたいと考えております。

 次に、平和の旅につきまして、時期の変更による効果等についてでございます。今年度は7月31日から8月1日に実施をいたしました。参加申込みは11名でございました。時期を変更したことによりまして、現地での経験、事後学習会、広島と長崎での原爆投下の日、終戦記念日といった一連の流れの中で、マスコミ報道でも取り上げられることで、参加した中学生にとっては、戦争や平和について身近に深く考えるきっかけとなったかと考えております。

○副議長(小林ぜんいち) 質問時間は終了しております。答弁は結構です。

 以上で武田やよい議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 大 沢 ひろゆき

 1 デジタル地域通貨ナカペイの2025年12月末失効額最小化への取組の徹底について

  (1)2025年12月末失効額の状況について

  (2)これまでの周知実施状況について

  (3)今後の個別、全体周知予定と頻度について

  (4)その他

 2 区民公益活動に関する助成(政策助成)の予算増額の必要性について

  (1)直近10年間の政策助成交付の推移について

  (2)令和8年度以降の増額の必要性について

  (3)その他

 3 中野区友愛クラブ連合会単位クラブへの助成金増額の必要性について

  (1)友愛クラブの活動の現状について

  (2)集中開催から地域分散開催への転換による活動活性化の必要性について

  (3)分散に伴う活動活性化のための単位クラブへの助成金増額の必要性について

  (4)その他

 4 幼稚園、保育園と小学校との円滑な接続について

  (1)幼稚園、保育園と小学校の接続の現状について

  (2)円滑な接続ルール確立の必要性について

  (3)その他

 5 避難所の酷暑対策について

  (1)エアーテント導入時の酷暑対策について

  (2)避難所停電時の酷暑対策について

  (3)その他

 6 TOKYOクールシェアスポット及びクーリングシェルターの拡充について

  (1)昨年の決算特別委員会の総括質疑以降の進捗について

  (2)民間施設への拡大について

  (3)その他

 7 その他

 

○副議長(小林ぜんいち) 次に、大沢ひろゆき議員。

〔大沢ひろゆき議員登壇〕

○9番(大沢ひろゆき) それでは、令和7年第3回定例会に当たりまして、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問を行わせていただきます。質問は通告どおりの6点です。

 まず1点目、デジタル地域通貨ナカペイの12月末失効分の扱いについて、まずは伺います。

 こちらに関しまして、最小化の取組を徹底していただきたいという質問でございます。デジタル地域通貨ナカペイは、健幸ポイントの開始など、自治体自らがプラットフォームを持つことの意義であるコミュニティポイントへの取組というステップに入ったことは、東京都、中野区双方でデジタル地域通貨を推進してきた立場として評価いたします。

 そこで1点気になることがあります。いよいよあと3か月、今年の12月末に2024年の初回に購入したデジタル地域通貨のプレミアムチャージ部分が有効期限を迎えます。割増しで付与されたプレミアムポイント部分ではなく、デジタル地域通貨の購入部分であるチャージ部分が失効するのはこれが初めてとなります。多くの方々が併用しているPayPayなどの大手事業者のデジタル通貨では、購入部分が期限の経過により失われることはありませんので、一般的なデジタル通貨の利用者は購入部分が失われる運用に慣れていないと考えられます。したがって、アプリを通じた徹底的な個別周知、そして、最近アプリを立ち上げなくなってしまった方々への配慮も重要であり、区報などの媒体を通じての徹底した繰り返しの分かりやすい周知も必要であると思います。

 今回私がこのような質問をするのも、一面区議会だよりを通じて、12月失効となる方を減らすための周知の一助としたいという思いもあります。

 そこで伺います。ナカペイの12月末失効額は現時点で幾らぐらいあり、発行総額の何%程度に当たりますでしょうか。

 そして、何人ぐらいの方が失効の可能性がある状況で、それは購入者の何%程度に当たりますでしょうか。

 さらに伺います。これまでにアプリを通じて失効の可能性のある方に対して、全体周知、個別周知、それぞれ、おのおのどの程度の周知を実施できたでしょうか。回数と時期、周知内容及び媒体をお答えください。

 私自身もナカペイ利用者です。失効者への周知がどの程度なされるかの確認の意味もあり、僅かですが、実は残額を残してあります。今のところアプリ側からの失効に気をつけてというような周知は、個別の連絡は受けていないように思います。こちらのスライドを御覧ください。これは私のスマホのナカペイアプリのスクショになりますけれども、向かって左側、これはホーム画面になります。ホーム画面には残額が出ているだけで、ここには最短有効期限というのは書かれていません。そこから一覧というところを選択して、そこで中を見ると、向かって右側にある小さく最短有効期限2025年12月31日と、ここで初めて有効期限というところに行きます。

 一応私は72円残してありますということなんですけれども、これだと、本当に使っている人でもなかなか有効期限に気がつかないというふうなところがありまして、周囲の人々とお話をしても、もうすぐこれは失効するんだよということを実際に見せてびっくりするみたいな、そんな話で自分で確認をしてもらったりということが頻繁にあるので、結構たくさんの方がもしかしたら気づいていないのかなと思って非常に心配をしているというところでございます。

 そこで伺いますが、今後、いつ、どのような頻度で、どのような周知をどのような媒体を使用して行い、どの程度まで失効額を減少させる目標をお持ちでしょうか。区の見解をお示しください。

 続きまして、2点目は、区民公益活動に関する助成、いわゆる政策助成の予算増額の必要性についてということでございます。

 こちらの資料を御覧ください。過去10年間の政策助成交付の推移となります。前区政の時代、まず、これは平成28年から令和2年、令和2年から新区政での予算ということになるんですが、前区政の時代はおおむね60%台の交付となっていたところが、現区政、酒井区政となり、令和2年度予算においては、この赤い文字で1,810万円と書かれているところがこの前の年、令和元年度の申請総額になるんです。それとほぼ同額の予算1,850万円、少し色がついているぐらいです。こんなに予算がつけられました。区民活動に造詣と理解が深い酒井区長らしい配慮かなというふうに思います。

 そこで伺いたいのですが、令和2年度予算の際に増額を行った理由と、予算額を算定したときの考え方をお答えください。

 そして、この増額以降コロナ期があったということもありまして、令和5年度までは交付率100%が継続してまいりましたけれども、コロナ期を終え、区民活動が活発化し、申請件数、額がふえた結果、この令和6年度のところのこの表の一番右端を見てもらえると、90%、実際には89.9%ということになって、それでもまだ90%ということだったんです。ついに、これは四捨五入して70%になっていますけれども、今年度は69.6%まで落ち込んでいます。

 なお、この令和7年のところで予算額が非常に減っているように見えますが、これは地区まつり及び青少年育成の予算が別枠になったということで、実質は同額であるというふうに聞いています。

 これは政策助成については、もともと3分の1は自己資金での運営が求められ、助成率は3分の2ですので、3分の2掛ける69.6%をすると、46.4%になりますということで、これは実際には54%、半額以上は自己資金で実施しなさいということになります。この結果として、多くの団体から運営が厳しいという声が上がっているというのが実情です。このような状況を踏まえて、令和2年のときの考え方にできれば立ち返っていただいて、今年度の申請総額約2,000万円弱、これを満たす規模での助成予算を来年度においては準備をして、区民活動の一層の活性化を図ることが必要であると考えますが、区の見解を伺います。

 3点目は、中野区友愛クラブ連合会単位クラブへの助成金増額の必要性についてでございます。

 中野区においては、60歳以上の方を対象とした友愛クラブが組織されており、現在60クラブ、3,100名余りが参加をして活動を行っています。その連合体として、中野区友愛クラブ連合会、通称、中友連が組織されています。この中友連では、近年、会員の年齢が高齢化する中で、活動主体及び拠点の見直しを検討しているということでございます。具体的にどういうことを検討しているかというと、従来、中友連が主催して行ってきた健康推進事業を地区連に移管し、活動拠点を10か所程度に分散することによって、会員の移動負担を減らして、活動への参加、ひいては健康寿命の延伸につなげたいということを考えています。

 私自身、会員でございまして、中友連の一員として活動していますけれども、その中で実際に感じたことがあります。例えばなかのZEROホールで映画の上映会をやるんですけれども、ここに来るときに中友連の皆さんはどうなっているかというと、中野駅までは区内各所から大体バス移動をしてきたりする。その後中野駅で何をしているかというと、タクシーで相乗りするんです。それでなかのZEROホールに向かうというところで、高齢化が進んでいる中で、中野駅から坂を上ってなかのZEROホールに行くこと、それだけでも容易ではないというのが今の実情でございます。

 このような状況を目にするに当たって、健康推進事業を地区連の主催に切り替え、より近く慣れている場所での開催として、参加者の裾野を広げたいという中友連の今の考えは非常に理解できるものだなというふうに思っています。しかし、このような形での開催を行う場合には、分散に伴う延べ開催回数が増えますので、現在の助成金を10%程度増額していただく必要があると聞いております。

 そこで伺います。高齢化社会を迎える中、健康寿命の延伸を図るためにも、6年ぶりとなる単位クラブに対する助成金の増額を実施すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 続きまして4点目です。4点目は、幼稚園、保育園と小学校の円滑な接続についてです。

 国は、令和6年度から幼稚園、保育園と小学校との接続に係る小学校接続加算の要件を見直しました。その結果、現在の要件としては、小学校との連携・接続に関する業務分掌を明確にすること、これが①の要件です。二つ目の条件として、授業・行事、研修等の小学校との子ども及び教職員の交流活動を実践していること。そして、令和6年度から見直された要件として、小学校と協働して、5歳時から1年生までの2年間、2年以上のカリキュラムを編成、実践していること。これには注釈、括弧がありまして、小学校との継続的な協議会の開催等により具体的な編成に着手している場合を含みますということになっています。

 そして、今申し上げた1点目と2点目、こちらを満たした場合には4万380円、3番まで満たした場合には、実にこれは31万7,130円という加算が行われます。このことから見ても、国として特に③を満たすことによって、幼保小連携を強化し、子どもの育ちを進めたいという意志が感じられます。

 一方、実際には小学校の現場は多忙を極め、一つの小学校の学区内に御存じのようにたくさんの幼稚園、保育園があるので、なかなか事務手続が進まず、実際には③の要件を満たすことによる接続加算はほとんど取れていないという、そういう声も聞きます。

 そこで伺います。中野区において、実際に③の要件を満たした小学校への接続加算はどのくらいの比率で実施できていますでしょうか。実情をお答えください。

 もし私が現場で伺っているように、この③の要件をほとんど満たせていないということであるならば、それが実情であるならば、学校に任せるということだけではなく、多忙を極めている学校に任せるだけではなくて、教育委員会として一定の指針、例えばいわゆる「幼保小の架け橋プログラム」というのがあります。こちらの中野区におけるフォーマットのようなものを展開して、これに基づいて現場、特に多数の幼保との対応が必要となる小学校の現場の負荷を軽減するような形で円滑な接続を進めるべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 ここからは、毎日暑いなという話なんですけれども、続いて5点目は、避難所の酷暑対策ということについてでございます。

 今月の9月1日、こちらは防災の日でした。今年の酷暑は本当にひどかったです。今でもまだひどいです。私も2時間ぐらいひなたにいると頭痛がして、熱中症に近い状況となる日々が続きました。そこで心配なのが、中野区の避難所の酷暑への準備がどうなっているのかというところです。昨年11月28日に、第七中学校で行われた中野区総合防災訓練におきまして、中野区に15か所ある医療救護所を兼ねた避難所のトリアージ用、また、屋内にペットスペースが設置できない場合に雨風をしのぐ場所としてペット同伴避難の受皿としても期待されるエアーテントの検証が行われ、一定の評価がなされました。そして、先般、夏季でのエアーテントの使用を想定し、併せて導入されるスポットクーラーを併用した検証が実施されたと認識しています。

 そこで伺います。酷暑下におけるエアーテントの利用に課題はありましたでしょうか。検証結果と評価をお答えください。

 また、災害時には避難所の停電も想定されます。その際、酷暑による体調不良者が各避難所にて発生する可能性があると考えます。

 そこで伺います。このような場合に備えて、中野区の全ての避難所において、一定のスペースを停電時でも冷却できるようにスポットクーラーや冷却した空気を循環させる機器などの配備を進めるべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 その際の動力用として、非常用発電機についても、現在配備されているものに加えて追加で配備を行い、酷暑対策用の適切な機器の選定を進め、速やかに手配を行っていくべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 最後、6点目でございます。6点目は、酷暑対策としてのTOKYOクールシェアスポット及びクーリングシェルターの拡充についてです。

 本件については、昨年9月20日の決算特別委員会の総括質疑において、私のほうからこちらの資料をお示ししながら、真ん中の空白になっているところが新宿区と中野区なんですけれども、ここで非常に進んでいない、指定が非常に遅れていると。23区でTOKYOクールシェアスポット及びクーリングシェルターが1,248か所、これは重複している場合、両方を取っていれば1か所としてカウントしているんですけれども、中野区には全部合わせても1か所しかないという状況でした。このことを指摘して対応を求めて、対応していただく旨のお答えを頂きました。

 その後1年を経過し、次の資料、こちらを見ると、中野区においても一定の整備が進んだように思います。中野区の辺りもかなり青丸、赤丸が出てきたということではあります。実際にその中で、区内の区有施設を中心にクールシェアスポットの表示というのもまちなかで見るようになりました。

 実際のところ、中野区にはTOKYOクールシェアスポット及びクーリングシェルターは何か所設置されましたでしょうか。おのおのの設置数と、双方に指定されている場合1か所とカウントした場合の総箇所数をお答えください。

 同じく昨年9月20日の決算特別委員会の総括質疑において、「世田谷区とか大田区とか練馬区とか江戸川区などで、トヨタだったりイオンだったりスーパーマーケット系、あと調剤薬局、このようなところもクーリングシェルターとして登録されていますと。その結果として、これらの区では100か所を超えているようなこういうスポットがあったりします」というようなことをお話をしました。そして、「これからの酷暑の中、こういう考え方が必要だと思うんですけれども、どうでしょうか」と問うたところ、保健予防課長から、「今後民間施設の活用についても全庁的な連携を図りながら検討したいと考えているところでございます」との答弁を頂きました。その後、私が確認した範囲では、民間施設において、中野区においてクーリングシェルターとしての指定を行っている事例は確認できていないというところでございます。

 そこで伺います。総括質疑での指摘後約1年を経過しました。本件、民間施設の指定に係るその後の検討状況、さらに現在の中野区における民間施設の指定状況をお答えください。

 各種区内団体との話合いの中でも、理容組合などクーリングシェルターになってもよいという意向を示している団体もありました。今後、民間施設の指定をどのようなステップで進めていくのか。そして、そのスケジュールについてお答えください。

 こちらは1年前との繰り返しのお願いとなりますが、こちらに関しましてはかなり立ち遅れているというふうに見えますし、酷暑はさらに待ったなしという状況と考えますので、よろしく推進をお願いできればと思います。

 以上で私からの全ての一般質問を終えます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大沢議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、デジタル地域通貨ナカペイの年末に失効する額及び人数についての御質問です。

 ナカペイは、消費を喚起し経済循環を促すため有効期限を設定しておりまして、今年12月末に有効期限を迎えるポイントは、8月末現在で約6,000万ポイント、全チャージ額の約6%となっております。また、人数は約8,000人、チャージした人数の約30%に当たります。

 次に、これまでの周知の状況です。自動的に有効期限の短いポイントから使用される決済方法について、アプリやホームページを通じて周知をしておりまして、現時点では、今年の12月末に有効期限を迎える方への個別の周知は行っていないところであります。

 次に、今後の周知でございます。今年12月末に有効期限を迎えるポイント保有者に対して、10月以降随時ナカペイアプリのプッシュ通知、メール送付などによって周知を行い、可能な限り失効ポイントが発生しないように努めてまいります。

 次に、区民公益活動に関する助成について。

 まずは、令和2年度予算の際の増額理由と考え方についてでございます。令和2年度政策助成の予算につきましては、令和元年以前の助成交付率に鑑み、見直し改善するものとして増額をし、交付申請額実績を踏まえ算定をしたものであります。

 次に、令和8年度以降の増額の必要性についてでございます。政策助成は区が目指す政策の担い手として団体が実施する事業に対し助成するものでありまして、できる限り割り落としをせずに助成したいと考えておりまして、近年の申請状況を勘案しながら適切に予算額を見積もってまいります。

 次に、友愛クラブ連合会への助成金の増額についてでございます。

 中野区友愛クラブ連合会が行う健康推進事業につきまして、参加しやすい環境を整えるため、分散して開催したいとの話を頂いておりまして、事業運営を踏まえた助成を検討してまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、幼稚園、保育園と小学校との円滑な接続についての御質問にお答えいたします。

 幼稚園、保育園との円滑な接続の促進についてでございます。これまで保育園、幼稚園と小学校との連携強化に向けて、保幼小連携協議会や保幼小中連携サミットの開催を通じて、教職員への普及啓発に努めてまいりました。今後は、教育委員会が小学校接続加算の申請に必要なカリキュラムの例を示し、それを保育園、幼稚園、小学校に展開することで、さらなる連携の強化を図ってまいります。

〔子ども教育部長石崎公一登壇〕

○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、幼稚園、保育園と小学校との円滑な接続についての御質問のうち、小学校接続加算の実績についてお答えいたします。

 令和6年度実績では、小学校接続加算の要件全てを満たした幼稚園、保育園の数は同加算の対象となる86園中7園であり、率にすると8.1%でございます。

〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕

○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、避難所の酷暑対策についてお答えいたします。

 初めに、エアーテントの利用に関する検証結果と評価についてです。夏季に実施しましたエアーテントの設置検証では、日陰に設置した場合でも、スポットクーラーのみではテント内の温度低下につきましては不十分でございました。一方、冷風機を併用することで一定の温度低下が確認され、酷暑下における熱中症対策としましては、日陰設置と冷風機等の併用が有効であると判断しております。

 次に、避難所停電時における熱中症対策についてです。避難所において停電により冷房が停止する事態を想定し、熱中症への備えを講じる必要があると認識してございます。特に高齢者などの要配慮者への対応として、スポットクーラーや発電機を活用しましたクールスポットの設置等につきまして、先進事例を参考にしながら検討を進めてまいります。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) 私からは、TOKYOクールシェアスポット及びクーリングシェルター等の設置状況について答弁いたします。

 区内でTOKYOクールシェアスポットの登録施設は48か所、クーリングシェルターに指定されている施設は19か所です。また、双方に指定・登録されている施設が19か所あることから、施設の総数は48か所です。

 次に、民間施設への拡大についてですが、民間施設におけるTOKYOクールシェアスポットの登録件数は2か所、民間施設のクーリングシェルターについては、令和8年度からの指定に向けた検討を行っているところです。

 次に、民間施設のクーリングシェルター指定に向けたスケジュールについてですが、クーリングシェルターは気候変動適応法に基づく要件が規定されており、熱中症特別警戒情報が発表されたときに適当な冷房設備が備わっていることなどのほか、利用者を制限せず開放する必要があることから、これまで区有施設の指定を優先してきたところです。現在は他自治体における事例を参考に、協力していただける民間施設にクーリングシェルターの設置目的や施設要件について丁寧に説明しながら、令和8年度の指定に向けて準備を進めているところです。

○副議長(小林ぜんいち) 以上で大沢ひろゆき議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時12分休憩

 

午後3時35分開議

○議長(森たかゆき) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 間   ひとみ

 1 次期基本計画について

 2 子育て・子育ちに関わる支援と環境の充実について

  (1)保育園・幼稚園について

  (2)児童が安心して過ごせる環境について

  (3)発達支援について

  (4)その他

 3 その他

 

○議長(森たかゆき) 間ひとみ議員。

〔間ひとみ議員登壇〕

○13番(間ひとみ) 令和7年第3回定例会におきまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問いたします。質問は通告どおり、その他はございません。

 初めに、1、次期中野区基本計画について伺います。

 これまで報告されている次期基本計画の骨子では、現計画の三つの重点プロジェクトを継承しています。それぞれ深化させ、次のステージへ推し進めていく考え自体は賛同するものですが、一方で、重点プロジェクトを設定する意義は、今こそ力点を置いて取り組むべき課題に対して予算や人員を手厚くし、集中的かつ組織横断的に取り組むことにあり、この部分が肝であると考えるのですが、組織横断的な関わり合いから生まれた何かはあったのでしょうか。

 また、重点プロジェクトがあろうとなかろうと、各施策は着実に推進する中で、これまでの5年間重点プロジェクトを設置してきたことによる具体的な成果は何なのか、どのようなエビデンスを持って次の5年間に移っていくのか、ここが明確でないまま進んでいくようにも見えます。

 そこで伺います。重点政策・施策ではなく、重点プロジェクトとして設置をする目的と期待する成果をどう捉えているのでしょうか。また、組織横断的な取組を行ったことでどのような効果が得られたと評価し、次期重点プロジェクトにつなげていかれるのでしょうか。これまでの成果を根拠を持ってお示しいただくとともに、今後の展開について答弁を求めます。

 同計画骨子では、重点プロジェクトごとに独自の理念が掲げられていますが、他自治体を見ても、プロジェクト単体での理念設定はまれです。理念は事業や計画の方向性を見失った際に立ち返る原点であり、明確で納得感のある表現が求められます。お示しいただいた「子育て先進区の実現」の理念には、「子ども・子育て家庭と地域とのつながり」という表現がありますが、中野区の地域コミュニティの特色を反映しつつも、区民の期待や区長の目指す姿との間に乖離を生むおそれがあり、納得感はありません。

 重点プロジェクトごとに理念を設ける必要性についてお考えを伺うとともに、理念の表現については削除も含めた再検討を行うべきと考えますが、見解をお示しください。

 重点プロジェクト2「地域包括ケア体制の実現」では、スマートウェルネスシティ(SWC)が新たなキーワードとして導入されました。しかし、SWCと地域包括ケアの定義や関連施策の位置付けが曖昧で、施策体系の整理が必要であることは御答弁の中でも言及されています。早急に整理し、基本計画に反映することを求めます。

 計画骨子に示された重点プロジェクト2の四つの取組からは、SWCが目指す川上からのアプローチを重視するとともに、地域包括ケアのさらなる取組を行っていくことは求められるところだと考えます。一方で、地域包括ケア体制の枠組みに縛られている印象があります。むしろSWCを前面に掲げ、その中で孤独・孤立対策や重層的支援体制整備といった課題に重点的に取り組むことも有効なアプローチの一つではと考えますが、見解を伺います。

 重点プロジェクト3「活力ある持続可能なまちの実現」からは、脱炭素社会の実現を見据えたまちづくりが削除されました。6月11日の総務委員会では、「重点プロジェクトの内容をあまり網羅的、包括的にせず、真に重点的に取り組むものにできるだけフォーカスして絞り込みたい」旨の御答弁をされていましたが、行き過ぎたフォーカスに感じます。今後再検討を進める中野駅新北口駅前エリアの再開発も、西武新宿線沿線も、これからのまちづくりの土台を築く時期である中で、この削除は看過できません。脱炭素ロードマップを着実に推進する一方で、持続可能なまちづくりは環境の視点を十分踏まえて進め、重点プロジェクト3の中にも位置づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次期計画の効果的な事業評価のため、成果指標の設定の見直しを提案いたします。現計画では、政策に一つ、施策に二つの指標が画一的に設定されていますが、政策・施策の方向性と指標が必ずしも一致しないものもあり、度々指摘されています。例えば世田谷区では、実施回数や配布数などで表すアウトプット指標と、参加者数や満足度などで表すアウトカム指標を組み合わせ、活動量と社会的影響を総合的に評価をしています。

 本年4月に、閉会中の各委員会で報告された「中野区基本計画の進捗状況について」では、アウトカム指標である区民意識・実態調査を一律で成果指標とした20の政策は軒並み目標未達だった一方で、アウトプット指標とアウトカム指標が混在している56の施策は目標達成しているものも多くありました。これは指標の設定方法を見直す必要性を示唆していると考えます。他の自治体も参考にしながら、効果的な成果指標の設定について御検討いただくよう求めますが、見解を伺います。

 区民ニーズや社会環境の変化に対応した取組が求められています。職員定数は令和4年度に見直されたままですが、限られたリソースで計画を推進し、その上で質の高い区民サービスを確保できるか懸念があります。加えて介護や子育て中の職員への配慮、テレワークの推進など、ワーク・ライフ・バランスの充実と働き方改革を推進することによって、職員1人当たりの総労働時間は減少傾向にあります。

 一方で、中堅職員が少なく、子育てや介護による長期の休暇や休業を取得する職員が今後も増えると予想される中では、代替職員を適切に配置するなど、周囲の職員に過度な負担が生じないような配慮も必要と考えます。

 また、災害や新興感染症などにも適切に対応可能な体制が平常時から求められます。こうした課題に対応するには、区の職員数は一定程度の弾力性を持ち、柔軟な対応が可能な規模が求められるのではないでしょうか。計画の推進と区民サービスの質の担保・向上につなげるためにも、休暇や休業の取得に対する代替職員の配置の考え方等を改めて整理した上で、望ましい職員定数の在り方を検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 令和2年第2回定例会の一般質問で、基本計画にSDGsを盛り込むことや、見せかけだけのいわゆるウォッシュにならない取組を求め、現計画の中で施策とSDGsの17の目標をひも付けるところから最初の一歩は始まりました。SDGsの目標達成年は2030年、次期基本計画の計画期間は2030年度までであることから、今後の5年間はより一層終着点を意識した取組を行い、成果を可視化していただきたいと考えます。例えば豊島区や海老名市が「TSUMUGI」というツールを活用しており、参考になると考えます。

 学校の授業の中でSDGsに取り組んできた子どもたちを見れば、国連目標への貢献が重要なのではなく、一人ひとりの意識や行動の変容が地域課題や社会課題を解決していく力となるようSDGsを活用していくことにあると言えます。区は2030年までにどのような姿勢でSDGsに取り組み、区民の行動変容を促し、区民へ還元していくお考えでしょうか。

 また、SDGsに関する区の取組の成果が分かるよう次期基本計画の中での描き方も検討していただくよう求めますが、いかがでしょうか。伺って次の項に移ります。

 2、子育て・子育ちに関わる支援と環境の充実について。

 (1)幼稚園・保育園について伺います。9月1日の子ども文教委員会で、「今後の区立幼稚園のあり方について」の報告がありました。今後建て替えで施設の機能を充実させることや、3歳児が16名、4~5歳児が32名という定員構成を見直すというお考えも示されました。いまだ3歳児の入園は抽選が行われている状況です。いびつな定員バランスの是正により、必要とする子をより多く受け入れられるよう期待します。

 他方、単純に定員の構成を変えるのではなく、支援を必要としている子の受入れこそ敷居を低くし、インクルーシブ教育のノウハウを生かした幼児教育を行うことこそ、区立幼稚園として果たすべき役割だと考えます。3歳児の定員の見直しに当たっては、支援を必要とするお子さんの受入れ枠を設けるなど、一定数受け入れられる仕組みを併せて構築すべきと考えますが、伺います。

 現在、私立幼稚園のうち私学助成園(新制度未移行園)への入園時の保護者に対する補助として、入園料補助金6万円や施設等利用費2万5,700円、そして、保護者補助金1万2,000円がありますが、この保護者補助金は保育料の補填分を差し引いた残額を新入園の年度に限り入園料補助金6万円を上回った分に対しての補填として保護者に支払われています。これにより区内の対象となる私立幼稚園13園のうち7園の保護者は入園料全額の補助を受けられている状況にあります。

 一方で、施設型給付園(新制度移行園)4園への入園児の保護者に対しては、入園料等に対する補助として特定負担額等補助金6万円が支払われるにとどまっています。保護者補助金の趣旨を鑑み、施設型給付園も保護者補助の対象にすべきと考えますが、見解を伺います。

 保育園の支援について伺います。これまで私立認可保育園から、0歳から2歳児定員の弾力運用や、空き定員に対する減収補填ないし対策を求める要望が毎年上がっていますが、対策は行っていません。空き定員は保育園の収入に直接影響を与え、園運営や保育の質へも悪影響を及ぼしかねません。空き定員による減収という課題に対し、区は何かしらの対応を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 減収に関してこのようなお話も伺っています。理由はあるにせよ、入園の意思を示していたにもかかわらず、入園の前日に突然辞退されるようなケースもあるとのことです。園が園児の入園に当たり様々準備をしている中で、本当に理不尽な思いをされています。早期の意思確認を行うなど工夫をするとともに、入園直前に保護者都合で辞退があった場合に対する補填を検討されてはいかがでしょうか。

 パート保育士加算についても声が上がっています。他の区市町村では上がっている中で、中野区のパート保育士加算単価は長い間見直されておらず、各保育所が上乗せをして給与を支払っているのが現状です。賃金の上昇は潜在保育士のパート職員としての確保に対しても有効であることから、加算単価の見直しを検討いただくよう求めますが、見解を伺います。

 事務の負担軽減に対する支援も大きな課題です。今年度から東京都の2分の1の補助を受けられる保育所等の業務負担軽減支援事業が始まりました。我が会派から重ねて事務職員の雇用について要望してまいりましたが、この補助金を活用し事務職員の雇用への支援を実現されてはいかがでしょうか。

 本年9月から、東京都による保育料等第一子無償化が始まりました。この補助金は、認証保育所以外の認可外保育施設に通うお子さんも対象となり、中野区では7万円を上限に補助を行っています。しかしながら、認可保育園の保留通知を条件としているため、直接利用契約をされている方は対象にならず、理由があって認可外保育所を選んで通わせている保護者の方から対応を求める声が届いています。新宿区では、9月からこの保留通知の条件を外しています。

 また都は、補助の上限を0~2歳児は月8万円、3~5歳児は月7万7,000円までに引き上げましたが、区は月7万円への増額にとどめたため、上限を上げてほしいという声もあります。これらの声にお応えいただけますよう求めますが、見解を伺います。

 次に、(2)児童が安心して過ごせる環境について伺います。

 発達の課題がなくても支援や配慮を必要とする子がいます。気持ちのコントロールが難しくなることがあったり、あるいは不安を感じやすいなど、情緒の課題を抱える子どもたちは、通常学級で授業に落ち着いて参加できなかったり、友達とのトラブルに発展してしまうケースを抱える場合も少なくなく、適切な支援や配慮を必要としています。そのため、保護者から、自閉症・情緒障害、特別支援学級(固定級)の設置要望が寄せられています。区は、他自治体の設置校に視察に行かれるなどされていますが、検討状況について説明を求めます。

 現在区立小学校に通う情緒の課題を抱える子は、通常級に在籍しながら通級をしています。2022年に国連から日本に対し、障害児の分離教育の中止を求める要請がありましたが、いわゆるフルインクルーシブ教育自体は理想的でありつつも、日本社会全体の理解や共生の土壌、十分な支援体制が整ってこそ実現できるものと考えます。現状は土壌が整っているとは言い難く、保護者から固定級を望む声があるのも必然の流れと言えます。分離は前提ではなく、本人や保護者が教育機会を選択できる環境が求められています。インクルーシブ教育の実現に向けて、現在どのような課題に直面し、どのように解決しようとされているのか伺います。

 区立幼稚園がインクルーシブ教育を実現できる背景には、これまで培ってきたノウハウや、保護者や地域の理解、そして手厚い職員配置があります。一人ひとりが安心して送れる学校生活の実現のため、一つの策としては、支援員の配置の在り方を再考し充実させていく必要があると考えます。例えばエデュケーション・アシスタントの支援対象は小学校1年生から3年生までですが、その縛りは取り払い、必要な学年、クラスへ必要なときに入れるよう都に要望してはいかがでしょうか。

 また、特定の児童の支援に専念せざるを得ず、クラス全体の支援が不足するケースも散見されます。コミュニティ・スクールが全校に設置されたことで支援員の確保につながっている学校もあると聞きます。そのような背景も鑑みて、近隣の小学校の地域コーディネーターが連携し合いながら、各校がエデュケーション・アシスタントの増員ができるよう配置の増員を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 子どもたちの放課後の居場所も同様です。先日区立小学校内にあるキッズ・プラザと学童クラブの様子を見学させていただきました。児童数の多い学校は利用児童も多いため、トランシーバーを使うなどの工夫で円滑な運営に取り組まれている様子がうかがえました。利用児童の中には、支援員の支援を必要とする児童がおり、特別支援指導員が付きっきりになっている場合もありましたが、利用児童の状況に応じた支援員の加配が行われているのは学童クラブだけでした。

 キッズ・クラブには特別支援指導員1名分の配置があるものの、開設時間中であればいつでも来ていいという性質から、利用児童の状況に応じた配置は現在行われていません。また、児童館にも同じく配置はありません。中には支援を必要とする学童の定期的な利用もあることを考えれば、必要に応じてキッズ・プラザや児童館にも適切な配置を検討していただくよう求めますが、伺います。

 ハード面からも1点伺います。子どもが気持ちを落ち着かせたいとき、1人で静かに過ごすことができる小さなスペースが新校舎には設置されていますが、既存校舎にはないため、ある学校ではあまり人が来ない階段で過ごす子どもたちがいると聞きます。バリアフリー化が義務付けられたことにより、十分な幅がない階段に昇降機をつけざるを得ないなど、既存校舎へのさらなる負担も発生しています。これまでも新校舎と既存校舎の教育環境格差の是正について、会派から重ねて要望してまいりましたが、現状としては、既存校舎への個別の要望に対して対応している状況と思います。

 築80年での建て替えとする中で、支援や配慮が必要な子のための環境整備が十分になされていない可能性もあります。教育環境格差の是正に向けては、既存校舎を改修する上での一定の考え方や基準を設けるなど、計画的かつ着実に改修を実施していくべきと考えますが、見解を伺います。

 最後に、(3)発達支援について伺います。先日、8月21日の総務委員会で示された平和の森小学校跡地における複合交流拠点施設の中で、いわゆる区内三つ目の療育センター設置の考えが示されました。療育機能を持ち、これまで課題となっていた中野区版ではないフルスペックの児童発達支援センターとして検討されているとのことで、当事者の声を受け取っていただけたことを大変うれしく受け止めております。これにより1か所で手続が可能になるなど、療育への円滑な接続や手厚い支援体制が実現することを期待します。

 この複合施設には野方保育園の移転も示されており、医療的ケア児の受入れも予定されていることも含め、児童発達支援センターとの親和性が非常に高いと感じております。世田谷区に駒沢どろんこ保育園という認可保育園がありますが、同施設には発達支援つむぎ駒沢ルームがあり、それぞれ同じ社会福祉法人が運営していることもあり、両者は一体となってインクルーシブ保育を推進しているとのことです。子どもの発達支援の新たな取組として、このような事例を参考にしていただき、単にそれぞれの施設を設置するのではない、区立保育園と児童発達支援センターを連携させた施設の在り方を検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 伺って、私の全ての質問を終了いたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 間議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、次期基本計画について。

 重点プロジェクトの成果と今後の在り方についてです。現計画の重点プロジェクトの成果として、「子育て先進区の実現」では、子どもの権利条例の制定やプレーパークの設置等、「地域包括ケア体制の実現」では、重層的支援体制整備、虐待対応の強化等、「活力ある持続可能なまちの実現」では、デジタル地域通貨の導入による経済の活性化や各地区のまちづくりの推進等を実現したと評価をしているところであります。次期計画においても、政策横断的な視点を持って推進する取組を明確にし、基本構想の実現に向けて取り組むため、重点プロジェクトを設定する考えであります。

 次に、次期基本計画の重点プロジェクトの理念についてです。次期基本計画の策定に当たっては、これまでに推進してきた重点プロジェクトの取組を令和8年度からの5年間で次の段階へと進め、より効率的かつ効果的に政策及び施策を推進するために、政策を超えて共有する理念を掲げて取り組むこととしたものであります。次期基本計画(素案)において、重点プロジェクトは理念・背景を踏まえて、具体的な取組を示したいと考えておりまして、今後素案に対して頂く御意見を踏まえて、基本計画(案)を作成する段階で、記載の必要性や表現について改めることも検討してまいります。

 「地域包括ケア体制の実現」におけるSWCの位置付けについての御質問です。孤独・孤立対策の推進や重層的支援体制の整備といった課題については、「地域包括ケア体制の実現」の中でこれまでの取組をさらに充実・発展させて、今後も継続的に推進していく必要があると考えているところであります。

 加えて、高齢化のさらなる進展等により支援が必要な状態になる方の増加を抑えるために、介護予防や健康づくりといった川上の取組を推進する必要があることから、「地域包括ケア体制の実現」の中にSWCの理念を踏まえた取組を位置付け、推進していく考えであります。

 次に、重点プロジェクトにおける環境配慮の明記についてです。中野駅周辺をはじめとするまちづくりの推進に当たっては、環境の視点を十分に踏まえて進めていく必要があると認識をしております。環境への配慮については、あらゆる施策や取組に関係することから、基本計画(素案)においては、環境に関する施策の内容を充実させるだけでなく、区政運営の基本方針に位置付けていく考えであります。

 次に、次期基本計画における成果指標についてです。次期基本計画(素案)を検討する中で、政策の成果指標は基本構想に描く10年後に目指すまちの姿の実現の度合いについて区民の意識を図るものであることから、基本構想を実現するための残りの5年間を計画期間とする次期基本計画においても継続して設定するということであります。

 また、施策の成果指標については、各施策における課題や取組内容等を総合的に勘案して、適切な指標を設定するよう検討を進めてきたところであります。今後、素案に対して頂く御意見を踏まえて、基本計画(案)を作成する段階で、成果指標の在り方についても改めて検討したいと考えております。

 続きまして、望ましい職員定数の検討についてです。職員一人ひとりがワーク・ライフ・バランスを保ち、エンゲージメントの高い組織運営を行うためには、休業取得者に対する代替職員の配置や、法改正による突発的な事務などにも適切かつ柔軟に対応できる体制確保の視点も考慮する必要があると考えております。他自治体では、弾力性を持たせた職員定数を設定している事例もあることから、区として中長期的な視点で必要となる職員体制について、今後も研究してまいります。

 次に、SDGsの取組と基本計画での描き方についてでございます。SDGsに関する取組については、2030年までの目標達成を目指して、より効果的な普及啓発や行動変容につながる事業を実施できるように工夫していきたいと考えております。また、現基本計画では、SDGsの17のゴールと区の政策の関係性を示しておりますが、次期基本計画では、区の施策との関係性まで明示することによって、基本計画に掲げた取組を着実に推進することがSDGsの推進につながることをより具体的に明らかにしようと考えております。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、子育て・子育ちに関わる支援と環境の充実についての御質問にお答えいたします。

 最初に、区立幼稚園の定数の見直しについてでございます。区立幼稚園では、現在定員を超える申込みがあった場合には、申込者全員を対象に、抽選により入園者を決定しております。3歳児クラスには毎年、定員以上の申込みがあり、区立幼稚園に入園できない子どもがいることを認知しております。今後の区立幼稚園の定員につきましては、幼稚園教育を希望する家庭のニーズや地域の状況を踏まえて検討してまいります。

 次に、情緒障害特別支援学級の設置検討状況についてでございます。令和7年3月に世田谷区立多聞小学校の自閉症・情緒障害特別支援学級を視察し、学級設置に向けての取組、学級運営等についての聞き取りを行ってまいりました。情緒障害特別支援学級の新設につきましては、教育環境の整備、専門人材の確保、学校選定を含め慎重に検討を行っていく必要があると考えております。

 次に、インクルーシブ教育の方向性についてでございます。個性に合わせた多様な支援が必要であり、全区立学校で児童・生徒の障害特性に応じた合理的配慮の共通理解を図るために、今年度ガイドラインを策定し、インクルーシブ教育の考え方についての理解促進を進めているところでございます。

 次に、エデュケーション・アシスタントの拡充についてでございます。エデュケーション・アシスタントの配置人数や対象学年につきましては、東京都教育委員会が定める設置要綱に基づいて運用しております。今後、支援対象学年の拡充やエデュケーション・アシスタントの増員などについて、制度のさらなる充実に向けて、東京都教育委員会に要請を伝えてまいります。

 次に、既存校舎の改修についてでございます。当面改築予定のない小・中学校につきましては、内装改修や校庭整備など、教育環境の改善を目的とした大規模改修を順次実施しております。

 なお、既存校舎を計画的に改修していく上での考え方につきましては、今後改定をする小・中学校施設整備計画でお示ししてまいります。

〔子ども教育部長石崎公一登壇〕

○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、子育て・子育ちに関わる支援と環境の充実についての御質問のうち、初めに、施設型給付園の保護者補助金の御質問についてお答えいたします。

 私立幼稚園のうち、施設型給付園につきましては、幼児教育・保育の無償化により保育料は無償化されてございます。一方、施設型給付園であっても、多くの施設で教育・保育の質の向上を図る目的で保護者負担が生じている現状にございます。施設型給付園に在籍する園児保護者への保護者補助につきましては、保護者負担の現状や近隣区の状況などを踏まえ検討してまいります。

 続きまして、空き定員対策についてでございます。区内認可保育施設では、0歳から2歳児クラスと3歳から5歳児クラスでは空き定員の傾向が異なってございます。0歳から2歳児クラスに対しましては、来年度からこども誰でも通園制度が本格実施されますことから、空き定員が発生している保育施設におきましては、この制度を積極的に活用していただきたいと考えてございます。3歳から5歳児クラスで空きが発生している保育施設に対しましては、待機児童の状況等も踏まえながら、定員の変更も含め有効な対策を検討してまいりたいと考えてございます。

 続きまして、入園辞退に係る早期の意思確認及び補填についてでございます。保育施設の入園申込みに当たりましては、実際に通園可能な園を希望するよう御案内しているところでございます。また、やむなく辞退される場合には、速やかに取下げを申し出るよう周知しているところでございます。入園直前に保護者都合で辞退があった場合に対する園への補填につきましては、その頻度や他区の状況等も踏まえ、今後研究してまいります。

 次に、パート保育士加算の単価改定についてでございます。区は、認可保育所の運営費について、国の基準に加えて保育士を1名増配置するための経費や、パート保育士の雇用に要する経費など、加算しているところでございます。パート保育士加算の単価につきましては2006年度から変わっていないところであり、今後パート保育士加算の単価改定について検討してまいります。

 続きまして、事務職員の雇用への支援についてでございます。国の公定価格におきまして、事務職員の雇用のための経費に係る加算が設けられており、区はこの公定価格に基づき園に対し給付費を支給しているところでございます。今年度から都の保育所等の業務負担軽減支援事業が新たに開始されたことは承知しており、今後この事業を活用した支援について検討してまいります。

 次に、認可外保育施設に通う児童への補助についてでございます。これまで区は認可保育所への入園の希望がかなわなかった方への待機児童対策として、認可保育所等保護者補助を行ってきたところでございます。また、認証保育所等保護者補助金は、令和7年度に区内の認可外保育施設の保育料の実態を踏まえ、上限を6万2,000円から7万円に引き上げたところでございます。認証保育所等保護者補助金の対象者拡大や上限額の引上げにつきましては、今後、各施設の保育料の動向を踏まえ検討してまいりたいと考えてございます。

〔子ども家庭支援担当部長森克久登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(森克久) 私からは、子育て・子育ちに関わる支援と環境の充実についての御質問のうち、キッズ・プラザ、児童館への特別支援指導員の配置につきましてお答えをいたします。

 近年キッズ・プラザや児童館の利用児童にも、支援を必要とする児童や、支援が必要かどうか判断のつきにくい児童が増えているという状況でございます。学童クラブとは異なり、キッズ・プラザや児童館は開設時間中はいつ来てもいつ帰ってもよい自由利用でございまして、特別支援指導員の配置につきましては、配置人数や時間数の設定が難しい面があるということも事実でございます。今後は利用児童の実態を把握いたしまして、状況に応じた特別支援指導員の配置の必要性について検討をしてまいります。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、子育て・子育ちに関わる支援と環境の充実についての御質問のうち、保育園と児童発達支援センターの連携についてお答えいたします。

 区立保育園と児童発達支援センターが連携することで、子ども同士の自然な交流が生まれ、障害のある子もない子も共に育つ環境を整えることが可能となります。また、保育士や療育スタッフが互いに学び合うことは専門性の向上につながるものと認識しております。区立保育園と児童発達支援センターが連携したインクルーシブ保育について、他自治体の事例も踏まえ検討してまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で間ひとみ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 かずちか

 1 中華民国(台湾)との国際交流について

  (1)台北市中山区とアニメを通じての交流について

  (2)台北市中山区との友好促進のための文書の取り交わしについて

  (3)その他

 2 人と動物の共生に向けた取組について

  (1)災害時におけるペットの避難受け入れについて

  (2)区立学校における動物飼育について

  (3)その他

 3 和楽器を通じての文化・芸術の振興について

 4 西武新宿線連続立体交差事業及び沿線まちづくり事業における区の取組姿勢について

 5 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、高橋かずちか議員。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○29番(高橋かずちか) 令和7年第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。質問内容は通告のとおりでございます。

 まず初めに、1番、中華民国(台湾)との国際交流について。

 台北市中山区との友好促進については、さきの第2回定例会質疑で申し上げた提案が現実のものとなり、台北市中山区長をはじめ所管部局など数名が来日し、11月15日開催されるアニメ・マンガフェス2025に来場、臨席いただくこととなりました。これは、ひとえに2017年から始まった議員連盟の精力的な活動の賜物であり、議員、議会関係者や区長をはじめ区の関係部署の御理解、御協力に改めて感謝を申し上げます。

 そこで、まず台北市中山区とアニメを通じての交流についてお聞きします。両区の交流促進については、にぎわい活性化に資すると同時に、次世代につながる文化交流という視点が重要であり、両区で展開されているアニメ関連事業イベントは、今後の連携によるさらなる発展が期待されるものです。中山区長以下訪問団によるフェスへの来場に当たっては、両区の交流促進の第一歩として、歓迎の姿勢と今後の交流進展につながる機会とする必要があると考えます。現在検討中の具体的段取りについてお示しください。

 さらに、交流の大きな柱がアニメであることを考えますと、この訪問を機会として、中野区に拠点を置く有力アニメ関連企業の方々との接点をつくることを企画してはいかがか。区の考えをお示しください。

 次に、台北市中山区との友好促進のための文書の取り交わしについてお聞きします。

 我々議連メンバーが活動当初より希望しておりました両区での友好促進を具体化するための文書の取り交わしについては、4月の議連台北訪問、また8月の私の再訪問において、台北市政府、台北市議会、中山区長サイドから、賛同と共に積極的な提案がございました。改めて確認をいたします。

 まず、両区の友好関係構築のあかしとして、また、今後の具体的交流とさらなる進展を確実なものとするために、今回の訪問時に文書の取り交わしをすべきと考えますが、見解をお示しください。

 また、文書の取り交わしに当たっては、両区がにぎわい活性化策として取り組み、中野においてはアニメ産業の集積など、今後さらなる発展が期待できるアニメ、漫画をテーマとした文化交流、そして交流が将来にわたり続くよう次世代を担う子どもたちの体験や学びにつながる交流のほか、中山区の希望する事項を盛り込んでいく必要があると考えます。先方の意向を踏まえた内容としていくため、文書締結時までどのような手順で進めていくのか。

 また、子どもたちの交流については、教育委員会とも緊密な連携を取り進めていく必要があると考えますが、見解をお示しください。

 ここまでに至る過程において、台北市の経済団体とのつながりを持つ中野区内の経済団体や、台湾外交部の日本代表処であります台北駐日経済文化代表処など、多くの関係先の御指導や御協力を頂いてきた経緯があります。また、今後の展開には、中野区経済5団体プラス地元金融機関との連携は必須だと思います。こうした多くの関係協力先との今後の関係について、中野区はどのように考えているのかお示しください。

 また、来日時に中野区庁舎を見てもらうほか、中野区の概要や魅力をプレゼンする場を設けてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、2番、人と動物の共生に向けた取組についてのうち、災害時におけるペットの避難受け入れについてお聞きします。

 避難所へのペット同行同伴避難は現在受け入れ可とはなっておりますが、飼い主の不安や避難所での混乱を防ぐためにも、事前の準備と行政の支援体制が重要です。避難所ごとの物理的な制約や避難所の運営者側の理解不足が原因となることも考えられるため、誰でも対応できるような、また避難所ごとにその特性にマッチしたペット同行同伴避難マニュアルの策定が必要と考えますが、区の考え方とマニュアルの整備についてお聞きします。

 原則として飼い主が持参することになっていますが、避難所におけるペット用品を含めた受入れのための備蓄品についてお聞きします。ケージについては、ペットの収容場所やそこのキャパシティを考えますと、重ね置き可能な材質や仕様についても基準を設ける必要があると考えます。昨今の異常気象による猛暑を考慮しますと、避難所でのケージを設置する場所については、暑さや直射日光を避ける配慮が必要です。昨年の中野区災害医療訓練では、初めて空調設備を備えたエアーテントを購入し、医療対応の検証や人とペットの共生に視点を置いた実験も行いました。今後、全医療救護所に配備する検討も進んでいくと考えられますが、こうした空調設備を加味した配慮も検討課題と考えます。

 お聞きします。災害時に備え、平時において飼い主に重ね置きできるような規格・基準を定めたケージの購入の啓発をすべきと考えます。また、避難所におけるペットの安全面も考慮した飼育環境の検討が必要と考えますが、見解をお示しください。

 ペットの関連備品は全ての飼い主が準備できるとは限りません。特に大型犬用のケージなどはサイズも大きく、持ち出しも困難と考えます。避難所でのペットの同伴避難用伝言板・メッセージボードなども有効ではないでしょうか。こうした特殊事情を考慮した備蓄の考え方については別途対応すべきと考えますが、お考えをお示しください。

 また、災害時はペットも強いストレスを受け、通常のフードを食べないことがあると聞いています。ゼリー状のおやつ程度のペット食料の備蓄はあってもよいのではないでしょうか。今後の方針について見解をお示しください。

 災害時のペット診療は、原則獣医師が運営する診療所での対応ということですが、現実的には災害協定を結んでいる獣医師会による巡回診療に期待するところがあります。災害時ペットの健康管理の面で有効とされる巡回診療を行う場合、診療の際には専用の空間、特にペットが逃げ出さない密室の場所が必要であり、他自治体では巡回診療車やトレーラーハウス型の診療車の導入を大学と連携したり、リースや自治体間の共同利用など、所有形態や運用方法を工夫している事例があります。大いに参考すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 長期避難や仮設住宅での生活が長く続く中で、飼育継続が困難であることから、避難生活後にペットを手放すケースが報告されています。放棄時はボランティア団体等による里親活用に同意するなど、あらかじめ飼い主からサインをもらうなど初めからルールをつくる必要があります。また、お一人住まいの高齢者の方々によるペット飼育の実態も把握していく必要があると考えます。中野区として、避難所終了後の飼育放棄を防ぐために、事前の取り決めや仕組みづくり、飼い主への啓発や支援策、また動物保護団体の連携など、どのような取組を今後行っていくつもりがあるのか、見解をお示しください。

 災害時のペット等動物の扱いについては、平時から区民全体に対して啓蒙啓発が重要で、それは飼い主に対してだけでなく、ペットを飼っていない人に対しての理解にもつながり、災害時におけるペットとの共生を混乱なく円滑に進めることにつながることを申し上げまして、次の質問に移ります。

 区立学校における動物飼育について伺います。

 過去の私の一般質問、総括質疑で再三申し上げていることでございますが、命の大切さを学び、思いやりの心を育み、共同で飼育活動によって協調性や責任感を身につけることができる学校動物飼育は、学習指導要領でもその重要性について述べられております。子どもたちの人間形成において大切な素養は飼育し続けることによって身につく、そこが重要であると思っています。

 東京都の学校動物飼育推進校のモデル校について、これまでの実績と来年度以降の対応をお示しください。

 また、実施校におけるその後の様子を教えてください。

 残念ながら、実態は、東京都の研究指定が終了すると取組が収束する傾向があります。区が獣医師会と協定を結んで、学校に獣医師を派遣する仕組みを構築することで、学校側のコスト負担と課題や不安をなくし、未実施校も取り組める環境を整備すると考えますが、区のお考えをお示しください。

 動物飼育の意義について、改めて学習指導要領での位置付けと中野区の見解を示していただきたい。

 区として動物飼育未実施の学校に対してのヒアリング、実情把握や、推進について、実施に向けての具体的アクションはどう考えているのか。

 併せて、各学校や新設する学校に動物を飼育する環境が整備されているのかお示しください。

 この未実施の実態を解決するためには、教育部局に動物飼育に関する窓口を設置し、予算も確保した上で、学校と獣医師会との調整、連携がより緊密に行われるようにすることが不可欠ではないかと考えます。このことは今後改めてただしていきたいと考えております。区としても、子どもたちの成長のために動物飼育未実施校が新たに取り組めるように、積極的、能動的に対応していただくことを要望して、この項の質問を終了いたします。

 3、和楽器を通じての文化・芸術の振興についてお聞きします。

 私たちが持っている和の文化、魅力に出会い感動する、心の琴線に触れ、伝統的な邦楽・和楽器を次世代につないでいくということは日本人として大切なことだと考えております。そこで、まず教育の現場における伝統和楽器の演奏、体験など、活用実態についてお聞きします。

 和楽器に触れる機会として、箏の授業は行っているようですが、全校で行っているのか。行っているとしたら、その内容と頻度についてお聞きします。

 箏以外の和楽器についても、子どもたちが親しむことは教育的に価値が高いと考えております。まずは教育委員会が箏以外の和楽器についても、各学校の保有と活用の状況を把握すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 箏以外の和楽器について、多忙な教師が自ら習熟し生徒に教えることは、演奏経験者でない限り非常に難しいと考えます。こうした課題を解決する一つの活用策として、荒川区の事例が挙げられます。荒川区では、和楽器の購入・整備・管理は教育委員会が一元的に行い、授業や部活・イベント等、学校と年間スケジュールを調整した上で、交代で和楽器を活用、専門家の派遣や和楽器運搬も教育委員会が行い、各学校での和楽器演奏を実践しています。

 伺います。他自治体のように、教育委員会で楽器を一括管理し、専門の指導者と一緒に学校へ派遣する形式で、生徒に箏以外の和楽器を見て聞いて実際に体験していただく、その魅力に触れてもらうようにしてはいかがか、区の見解をお示しください。

 また、こうした授業に子どもや若者と一緒に参加した親や大人も文化芸術に興味や関心を持つきっかけになっていくことも考えられます。このような形で興味、関心を持った保護者などに対しても、和楽器に触れる機会をつくっていくことで、より和楽器のよさ、魅力、伝統を幅広い世代で次世代につないでいけるのではないかと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、4番、西武新宿線連続立体交差事業及び沿線まちづくり事業における区の取組姿勢についてお聞きします。

 8月26日には、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟が開催されました。そこで、事業概要、現況についてのプレゼンテーションが行われましたが、事業の遅延についての具体的説明がなされなかったことは非常に残念であります。そこで、改めて再度お聞きします。

 現認可区間、中井駅から野方駅間の連続立体交差事業の進捗について、当初区民に説明した完了見通しと現在の用地取得状況や工事の実施状況を含めた進捗状況、遅延状況についてお聞きします。

 連続立体交差事業について、都の事業とはいえ、区がその責任において区民に説明している立場からして、速やかに事業期間を公表するよう事業主体である東京都に強く求めていくこと、また一刻も早い踏切除去に向けて事業のさらなる推進を強く訴えていくべきと考えますが、区の取組姿勢についてお聞きします。

 また、区画街路第4号線整備における現在の用地取得状況、区民に説明した当初スケジュールからどのように遅れ、今後どのようになっていくのか。さらに、今後関係住民に対して説明、釈明の場を設け、今後の取組について区の覚悟、決意を示す、その必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 スケジュールのさらなる遅れについて、区民感情に寄り添った真摯な報告と、現時点での完了時期遅延に関する区の明快な説明と反省に基づく総括、また、今後の推進に向けての区の強い意志を区長自らが関係住民に対して早急に行い、懸念の払拭と改善に努めることを強く要望しまして、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋議員の御質問にお答えいたします。

 中華民国(台湾)との国際交流について。

 初めに、訪問団のアニメフェス参加における想定でございます。

 訪問団の皆さんを中野アニメ・マンガフェス2025の会場に御案内し、アニメキャラクターショーをはじめ様々なアニメ・マンガ関係のイベントやワークショップ、さらに会場につながる千光前通りに整備するアニメロードやミューラルアートを御覧いただき、世界を魅了する中野のアニメーションとコンテンツ、文化芸術に触れていただくことを想定しております。また、会場において歓迎の意を表し、台北市中山区長をはじめとした職員の紹介と挨拶の機会を設け、交流の端緒としたいと考えております。

 次に、訪問団と区内アニメ関連企業との会談です。台北市中山区長をはじめとした訪問団と、中野アニメ・マンガフェス2025に参加、協力いただいている企業の顔合わせや会談の機会について、可能な限り調整をしてまいりたいと考えております。

 次に、具体的な交流に向けた文書による確認です。今回の訪問において、情報・意見交換の上、今後の具体的な交流の方向性については、文書による確認ができたらよいと考えています。

 次に、訪問団の来訪に向けた準備です。中野区としては、アニメーションやコンテンツをきっかけとした文化交流、これらと親和性のある子どもたちの体験や学びにつながる交流がよいのではないかと考えているところであります。現在、中野区の想定を示しながら中山区の意向を確認しているところでありまして、訪問団の来区に向けて事前協議を行う一方、子どもたちの交流については教育委員会とも情報・意見交換を行いながら調整してまいります。

 次に、経済団体などの関係協力先との連携です。今後は台北市中山区との交流を進めていくためには、台湾の日本における外交窓口機関のほか、既に交流のある経済団体などの民間レベルの交流を深めていくことが必要であると認識をしておりまして、情報共有と意見交換に努め、連携を図ってまいります。

 次に、中野区をアピールする機会の御質問です。区役所新庁舎の案内をはじめ、プロモーション動画を御覧いただくなど、中野区とその魅力を知っていただく機会を設けたいと考えております。

 次に、人と動物の共生に向けた取組について。

 ペット同行同伴避難マニュアルの整備状況についてです。昨年度末に改訂した避難所運営マニュアルにおいて、避難所でのペット受け入れに関する受入条件や受入場所などを明示しています。また、各避難所における具体的な対応要領につきましては、避難所運営会議を通じて地域防災会と意識の共有を図ってまいります。

 次に、平時におけるケージ購入の啓発についてです。ペット用ケージの基準につきましては、ペットの大きさや避難所の状況が多様であることから、一律に定めることは難しいと考えております。避難所におけるペットの飼育環境や安全性の確保に向けた収容方法については、今後、獣医師会の意見も踏まえながら検討を進めてまいります。

 次に、ケージ備蓄の考え方についてです。避難所においてペットは飼い主自身が飼育管理することとしておりまして、ケージや食料などの必要物資は、原則として飼い主が事前に備えるものとされております。ただし、災害の状況によっては十分な準備が困難となる場合も想定されることから、区としては、必要とされる物資等の備蓄について今後検討を進めてまいります。

 次に、ペット食料の備蓄方針についてです。災害時にはペットも強いストレスを受け、通常のフードを口にしない場合もあることは認識をしております。ゼリー状のおやつなど嗜好性の高いペット用備蓄につきましては、獣医師会の意見も参考にしながら、可能な限り多くのペットが摂食できるよう検討を進めてまいります。

 次に、トレーラーハウス型の診療車の導入についてです。避難所等で診療が必要となった場合には、協定に基づき、獣医師会の病院で診療を受けられる体制を整えております。巡回診療の実施には専用の診療空間が必要であり、他自治体の事例も参考にしながら、獣医師会と連携して、導入の可能性について今後研究をしてまいります。

 最後に、避難所終了後の飼育放棄の防止についてです。区では、避難生活の長期化や飼育環境の変化などにより、ペットの飼育放棄が発生する可能性があることを重要な課題と認識をしておりまして、愛護動物の飼い主に対して終生飼養を働きかけております。災害時におけるペットの適切な管理と飼育放棄の防止に向けて、関係機関との連携を強化しながら、事前の取り決めや啓発、支援の取組を進めてまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、人と動物の共生に向けた取組についての御質問にお答えいたします。

 まず最初に、動物飼育推進校の実績と動物飼育の状況についてでございます。東京都動物飼育推進校として、これまでに白桜小学校、美鳩小学校が指定を受け、令和6年度からは上鷺宮小学校が指定を受け、獣医師会と連携して充実した飼育活動に取り組んでおります。来年度以降も東京都から募集があった際には参加を積極的に呼びかけていきたいと思っております。

 また、東京都の研究指定が終了した学校には、区の研究指定校として、獣医師会のサポートを受けて動物教育に取り組んでまいります。

 次に、学校への獣医師の派遣の仕組みについてでございます。現在区立学校の飼育動物は、中野区獣医師会の支援により無料で診療を受けることができております。獣医師会と連携した学校への獣医師の派遣の仕組みについては、今後獣医師会と相談しながら、効果的な在り方について考えてまいります。

 次に、動物飼育に関する区の見解と新校舎の飼育環境についてでございます。学習指導要領では、小学校の理科や生活科において、動物の飼育活動を通じて児童が生命の尊さや自然への親しみを体験的に学ぶこととされております。中野区では、全校に動物飼育の状況についてヒアリングを行い、動物飼育の研究指定校を選定しております。研究指定校では、充実した飼育活動を行える環境を整備し、その成果を他校へ普及することで取組の活性化を図っております。小学校の新校舎においては、屋外の飼育小屋のほか、昨今の気候状況も踏まえ、新校舎における最適な飼育環境として、屋内飼育についても併せて検討してまいります。

 次に、箏の授業についてでございます。中学校の音楽の学習では、3年間を通じて1種類以上の和楽器を取り扱うこととなっており、全中学校が箏の楽曲の演奏を通して、基本的な奏法や日本の伝統音楽の特徴を10時間程度学んでおります。小学校では、和楽器の演奏は必修ではございませんが、多くの学校が5時間程度箏の演奏を取り入れております。

 次に、箏以外の和楽器の学校の保有と活用の状況についてでございます。中学校は和太鼓や三味線、篠笛を保有している学校があり、授業で箏と併せて三味線や篠笛を活用しております。小学校は全校が和太鼓を保有しているほか、三味線や尺八、鉦を保有している学校もございます。学校行事やクラブ活動、地域行事で活用しております。

 最後に、和楽器を体験する機会についてでございます。教育委員会では、令和4年度に体験活動の充実事業、令和5年度からは文化芸術体験事業として、体験活動の予算を各校・園に割り当てており、箏や和太鼓、お囃子といった和楽器に親しむ体験活動が行われております。今後も他自治体の取組も研究しながら、日本の伝統音楽や伝統文化を体験する機会を確保し、子どもたちの豊かな心や創造性を育んでまいります。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、和楽器を通じての文化・芸術の振興についてのうち、子ども・若者と一緒に親や大人が和楽器に触れる機会の創出についてお答えします。

 文化・芸術に関するアンケート結果を踏まえ、本年10月に子ども・若者文化芸術振興基金による伝統楽器・民族楽器のコンサートと楽器体験を実施する予定でございますが、こうした事業に親や大人が一緒に参加し、同時にその魅力に触れ、関わりを持つことは、文化や歴史、伝統への理解と次世代継承への一助につながるものと認識してございます。区認定制度や基金を活用した事業をはじめ、文化芸術の鑑賞体験のジャンルをより広げていきたいと考えておりまして、本年度の事業の実施結果を踏まえながら、来年度に向けて和楽器による鑑賞体験と、親や大人が参加できる機会の創出について検討してまいります。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、西武新宿線連続立体交差事業及び沿線まちづくり事業における区の取組姿勢についてお答えさせていただきます。

 初めに、西武新宿線中井駅から野方駅間の連立事業の進捗についてでございます。事業主体の東京都によりますと、用地の取得率は令和7年7月時点で約99%と聞いております。工事の実施状況は、トンネル区間から地上部につながる区間ではおおむね掘削工事が完了し、シールドマシンの掘進開始に向けて準備工事を進めると聞いております。事業期間は、令和3年3月末完了の当初計画について、令和9年3月末まで延伸しております。今後の事業計画については、国土交通省や鉄道工事を実施する西武鉄道株式会社と調整を行い、事業期間終了のおおむね1年前には手続を実施すると聞いております。

 続きまして、連立事業の事業推進に対する取組姿勢についてでございます。この地域の踏切の多くはいわゆる「開かずの踏切」のため、慢性的な交通渋滞や踏切事故の危険性、通学時に踏切を渡る児童・生徒の安全確保など切実な問題を抱えており、地域の健全な活動や発展のため、地下工事の早期実現は急務でございます。改めて工事の進捗について、近隣住民などへの適切な情報提供を行うよう求めるとともに、事業期間については関係者等との調整が整い次第公表するよう、引き続き東京都に対し強く努めてまいります。

 最後に、区画街路第4号線整備の進捗状況についてでございます。区画街路第4号線の8月末時点におきます用地取得の進捗率は、面積ベースで約52%であり、画地ベースで約47%となってございます。区画街路第4号線の事業期間の延伸については、連続立体交差事業の進捗と密接に関連していることから、現在、東京都と協議を進めております。この延伸時期につきましては、令和7年第4回定例会において報告を行う予定でございます。また、年明けには地域住民の皆様を対象とした説明会の開催も予定しております。今後も地域の皆様へ丁寧な情報提供に努めてまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 白 井 ひでふみ

 1 区内事業者を守るための施策について

 2 経済的困難を抱える子育て世帯への支援について

 3 私立幼稚園・保育園への支援について

 4 東中野駅周辺のまちづくりについて

 5 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、白井ひでふみ議員。

〔白井ひでふみ議員登壇〕

○19番(白井ひでふみ) 令和7年第3回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告の順に行い、5のその他はありません。

 初めに、1、区内事業者を守るための施策について、少額随意契約の基準額の見直しについて伺います。

 令和7年3月25日、予算決算及び会計令及び予算決算及び会計令臨時特例の一部を改正する政令が閣議決定され、基準額の見直しが行われました。少額随意契約は各省庁や自治体では広く利用されているものの、制度として議論されることはまれであり、地方自治法施行令、別表第5の改正では昭和57年以来です。急激な物価高騰を背景に、我が党は国において法令改正を求めてきました。

 財務省も見直しに向けた動きを加速させ、令和5年、各省庁の契約担当部局にアンケートを実施しました。「人手不足や仕様の複雑化等により円滑な調達の実施が困難になっていると感じるか」との質問に対して、約75%が「感じる」との回答、その改善策として、ほぼ全ての省庁で、基準額の引上げを要望するという結果でした。さらに異例の取組として、令和6年11月には、国民や関係団体の声を反映させるために広く意見募集を行うと公表しました。

 令和6年第4回定例会の一般質問では、この機を捉え、区の対応として区内団体と連携し中野区の現場の声を財務省へ届けるべきであると提唱してきたところです。「区内事業者の意見等を踏まえ、財務省に意見を提出してまいりたい」との答弁でしたが、区が提出された内容を確認のため伺います。

 令和7年4月1日より、国の少額随意契約の基準額は引き上げられました。市区町村では、工事・製造請負契約は130万円から200万円に、財産の購入は80万円から150万円になど引き上げられています。次の段階は、中野区としての基準額の引上げです。中野区契約事務規則の改正が必要となりますが、改正には議会の議決は不要で区長が定めることができます。今すぐにでも改正を行うことが可能ということです。

 区は、来年度の改正を目指していると聞きますが、対応が遅れた分だけ区内の小規模事業者は、引き上げられた価格での受注機会を失います。港区では、既に本年の5月1日から基準額の引上げを実施しています。区が財務省に提出した意見書には、少額随意契約の基準額の見直しは急務であるとの認識が示されていたと聞きます。区内の小規模事業者を守るため、中野区契約事務規則の上限金額を改正することは急務であると申し述べ、改正・施行の実施時期を伺います。

 中野区小規模事業者登録制度について伺います。区が発注する小規模工事や物品購入、委託等の契約を区内事業者が受注する機会を拡大させるために同制度があります。しかし、区は、当該登録事業者への契約発注を積極的に行っていないのではないかと懸念しています。基準額の改正と併せて小規模事業者登録制度の活用実態を調査、精査し、積極的に活用を図るべきと考えますが、伺います。

 中野区契約事務規則の第4章には随意契約の規定がありますが、小規模事業者登録制度の活用や区内の小規模事業者を優先契約先とする旨の記載がありません。職員以外は見ることができない区の内規等で定めるのではなく、区の方針として、少額随意契約の優先契約先として区内の小規模事業者登録制度を積極活用する旨や、区内の小規模事業者を優先契約先とする旨の記載を中野区契約事務規則に明記すべきと考えますが、伺って、この項の質問を終わります。

 次に、2、経済的困難を抱える子育て世帯への支援について、区内小・中学校の給食無償化に伴う支援策の拡充について伺います。

 学校給食の無償化に伴い、区立学校以外に在籍する児童・生徒、私学等に通う子どもたちや不登校やフリースクールに通う子どもたちにも給食費相当分の給付が始まっています。物価高騰の影響を軽減するとともに、子育て支援策の一つとして保護者の負担軽減を図る目的です。不登校やフリースクールに通う子どもたちへの給付は、年度初めの4月に1年間の給食提供の要否を確認し、不要とした場合にのみに給食費相当分の給付を行い、年度途中での変更はできないとしています。

 新年度の4月の時点で、その後の1年間の登校の有無の判断を迫るかのような運用は子どもたちへの配慮にかけ、大変に遺憾です。私学等に通う子どもたちと同一の制度での運用は、不登校やフリースクールに通う子どもたちに寄り添った細やかな対応が困難であると考えます。給付方法や基準日を見直し、子どもたちに寄り添う独立した制度構築を求めますが、お伺いいたします。

 現在の給付制度では、基準日を10月1日とし、それ以降の転入者は対象外としています。給食費相当分の給付方法は、1年分をまとめて給付しています。区外に転居した場合は返金を求めていませんが、中野区内に転入した場合、最長では半年も給付の対象外とする運用は理不尽と感じます。中野区に転入してきた全ての子どもたちを対象に、年度の途中からでも給食費相当分の給付対象とすべきと考えますが、伺います。

 区立小・中学校の給食の充実について伺います。物価高騰が続く中、学校栄養士の皆様が価格を抑えつつ子どもたちに必要な栄養確保に尽力されていることに心より敬意を表します。昨年、区は給食費の値上げを実施しましたが、物価上昇は依然として続いています。さらなる給食費の増額を図るとともに、ちょっとぜいたくなお楽しみ給食や、日常メニューの食材のグレードアップなど、食材の費用に充当できるように、もっとおいしい学校給食の提供のための支援を求めますが、お伺いをいたします。

 長期休業中の食事支援について伺います。特にひとり親家庭や低所得世帯では、学校給食が子どもたちの栄養の柱となっていることがあり、夏休み期間中に栄養不足で痩せる子どもたちのケースが報告されています。これまで子ども食堂や要保護児童への配食事業の拡充などを求めてきましたが、他の自治体では、学童クラブなどで長期休業中の食事の提供支援に取り組む自治体例があります。経済的に困難を抱える子育て世帯への長期休業中の食事や食材の提供支援の拡充を求めますが、お伺いいたします。

 学習支援について伺います。「学は光なり」、学びは生きる力となると考えます。学習への支援が大切であるとの思いから、子どもたちの学習状況を把握し、生活困窮世帯への支援体制の拡充を求めてきました。開催回数や場所の充実、対象年齢や長期休業中のさらなる支援拡充を求めるとともに、長期休業中の学習支援と食事の提供体制を図るべきと考えますが、伺います。

 次に、この項で文化芸術の鑑賞、体験機会の充実について伺います。過日の区民委員会において、「次世代育成に資する文化・芸術の鑑賞・体験機会に係る令和7年度の事業の実施状況について」の報告がありました。区は、遊び心あふれる文化芸術をまち全体に展開する方針の下、1、子ども育成文化・芸術事業認定制度(区公認制度)と2、中野区子ども・若者文化芸術振興基金の設置と同基金を活用した事業を実施しています。

 区公認制度では、区有施設の使用料を「優」では80%、「良」では50%の減額を行っています。区の内部に審査会を設置し、32点満点中20点以上の事業のうち上位を認定、判定は点数を参考に審査委員の協議で決定し、結果も公表しています。

 一方、基金を活用する事業では令和6年度の実績やアンケート結果を踏まえ、音楽、アート、演劇、アニメなど幅広い事業を実施する予定ですが、選定基準の明示がありません。文化芸術は生きる力を育む本質的なものでもあり、思想、良心の自由とも強く結びつくため、恣意的な運用の余地や疑義を避けるためにも、選定基準と過程の開示が必要と考えますが、伺います。

 教育委員会が所管する小・中学生文化芸術振興事業は、各学校が演目や団体を選定し、予算規模60万円で実施されています。経済的困難を抱える世帯にも自己負担なく楽しめるようにと提唱してきたものです。区立幼稚園では、同趣旨で予算15万円規模の事業、私立幼稚園では楽しい園児の集いへの支援策として予算250万円の助成が行われています。文化芸術に関する取組を俯瞰して、区立保育園や私立保育園には文化芸術の鑑賞体験事業への支援がないことに気がつきました。対象外とすることに理由はなく、保育園児も対象とした支援制度の創設を求めますが、伺います。

 中野区実施計画では、文化振興・多文化共生推進課が所管する事業のみがふるさと納税を原資とする基金活用の対象となっていますが、教育委員会所管の事業や幼稚園での事業は対象外となっています。各所管における取組の連携整理を図るとともに、中野区子ども・若者文化芸術振興基金の活用についても整理すべきであると考えますが、伺って、この項の質問を終わります。

 次に、3、私立幼稚園・保育園の支援について、育児休業給付金及び育児時短就業給付金について伺います。

 本年4月より、育児休業給付金の延長申請の条件が厳格化されました。これまで一部で落選狙いと呼ばれる行為が問題視されてきました。倍率の高い保育所にあえて申し込み、入所できなかったことを理由に育休を延長するケースは、自治体の事務負担を増やし、保育ニーズの把握を困難にしていました。一方、育児時短就業給付金は本年4月に新設された制度で、育休から復職後2歳未満の子どもを育てながら短時間勤務を選択した場合、一定の要件の下、通常の賃金に加え雇用保険から賃金の10%相当額が給付されます。育児と就労の両立を支援し、早期復職を促す制度です。

 育休給付の延長要件の厳格化に伴う保育園申込者数の変化はあったのか伺うとともに、制度の変更を知らず給付金を受け取れず、保育園にも入れなかったという事態が生じないように、区の丁寧な対応を求めますが、お伺いいたします。

 また、短時間勤務で復職した場合、保育園の申込み指数はどのように扱われることとなるのか。短時間勤務が入園判定に不利となるようなことはないのか、確認のため伺います。

 待機児童問題は、2023年に全国の約9割の自治体でゼロが達成されましたが、保育園の定員割れが急増し、施設運営に深刻な影響を及ぼしています。中野区でも、保育士の安定確保や施設維持が困難となり、定員割れへの助成制度を求める声が高まっています。23区中16区が既に定員割れへの助成制度を導入しており、区の対応が遅れることで、園の経営や保育の質に影響が出る懸念があります。

 また、区の入園システムでは、申込み時期によっては、翌々月まで空き定員が解消されず、定員割れが長期化する要因になっています。園の定員は区と園の協議で決定されますが、区は0から2歳児の定員変更は原則認めておらず、柔軟な運営が難しい状況です。これまで定員割れへの助成制度の創設や定員変更の許可を求めてきましたが、今こそ区の考えを改め、現場に即した柔軟な対応を図るべき時期が来たと考えますが、お伺いいたします。

 定員割れを活用した事業として、国の乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)があります。保護者の就労状況に関係なく、未就園児が保育施設を時間単位で利用できる仕組みで、明年度から全国展開が予定されています。国の助成金額や条件だけでは事業の継続は難しく、追加支援が不可欠です。東京都では、多様な他者との関わりの機会の創出事業として、保育施設を利用していない未就園児に集団保育の機会を提供する取組が始まりました。都の負担は10分の10と手厚いものですが、事業継続にはさらなる支援が必要です。

 中野区は国のモデル事業の段階から積極的に取り組み、独自のこども誰でも通園制度の試行的実施を拡充してきました。国や都に比しても尽力されていることは大変評価をいたしますが、事業の継続的支援には、なお不足感があります。定員割れ枠を活用した制度のさらなる支援拡充と、定員数、定員割れ助成制度に対する区の考え方を明らかにすべきと考えますが、お伺いをいたします。

 パート加算単価の見直しについてもお伺いいたします。物価高騰が続く中、区が定めるパート加算単価は2006年から改定されていないと聞きます。19年です。保育現場の実情に即した適正な賃金体系となるよう単価の見直しを求めます。

 保育所等業務負担軽減支援事業について伺います。東京都が本年度から開始したこの制度は、保育士の業務負担軽減と職場環境改善を目的としています。保育士が本来の業務に専念できるよう、書類作成や保護者対応など周辺業務の見直しを進めるものであり、区でも制度を活用し実施すべきと考えますが、お伺いいたします。

 この項の最後に、保幼小の連携についてお伺いいたします。区は、就学前教育プログラムとして、乳幼児期から小学校への円滑な接続を目指し、幼稚園、保育園、認定こども園と小学校の連携を強化する教育指針を定めています。しかし、地域によっては取組に差が生じていると聞いており、制度の趣旨が十分に浸透していない可能性もあります。保幼小の連携を円滑に進めるため、小学校接続加算を全ての幼稚園、保育園、認定こども園等で活用できるように区として積極的に働きかけることを求め、この項の質問を終わります。

 次に、4、東中野駅周辺のまちづくりについて、東中野駅東口のバリアフリー化について伺います。

 東口改札の東中野一丁目側乗降口の横には、JR所有の駅ビルがあり、建て替えが進んでいます。近隣の方々からは、ついに念願のエレベーターが設置されるのかとのお問合せを多数頂きますが、駅舎に隣接するJRのビルにはエレベーターやエスカレーターの設置予定はなく、単なるJRのビルの建て替え計画であると聞きます。事実を知った近隣住民の方には失望感が広がっています。これまで何度もバリアフリー化の計画が流れてきましたが、ようやく本格的に東中野駅東口のバリアフリー化の検討を進めるさなか、建て替えに際して、区はJRに、駅のバリアフリー化や作業ヤードの提供など様々な協力を求めるべきではなかったのかと思います。これまでどのような交渉をしてきたのか説明を求めます。

 東口改札の東中野四丁目側乗降口に面する東中野駅前商和会やムーンロード商店街を含む地域では、民間事業者による再開発計画があり、計画がさらに進んでいると聞きます。区が所有する土地がほとんどないこの地域での再開発には、民間の事業者の協力が不可欠です。事業者の計画主導による開発行為が進めば、バリアフリー化の危機を逸するため、事業者との連携や情報共有が大切であると述べてきました。民間事業者との連携や情報共有の取組状況についてお伺いいたします。

 令和6年3月11日の建設委員会では、「東中野駅東口周辺まちづくりの検討状況について」の報告がありました。町会や商店街役員との意見交換会の対象者とされたのは、駅東口に接する東中野一丁目、四丁目、五丁目の方々のみで、駅西口に接する東中野二丁目や三丁目の方々は意見交換会の対象者とされず、今日まで区から声もかけられていません。

 本年の6月10日、「東中野駅周辺のまちづくり基本方針(たたき台)について」の報告がなされましたが、調査検討や意見交換会は駅東口のみでしか行っていないにもかかわらず、基本方針の取りまとめは東中野駅周辺全体の取りまとめと位置付けています。中野駅で例えれば、南口のバリアフリー化の検討を南口地域で行い、中野四丁目や五丁目、中野サンモール商店街や中野ブロードウェイ商店街をはじめ、各商店街との意見交換会を行わなかったにもかかわらず中野駅周辺全体のまちづくり基本方針を定めるとすると同じことです。こんなでたらめなまちづくりがあるのか、何の道理があるのかと怒りを覚えます。東口近辺の意見掌握しか行わなかったにもかかわらず、東中野駅全体のまちづくりの基本方針を定めるとする区の考え方について、理路整然とした説明を求めます。

 昨年の令和6年第3回定例会の一般質問において、東中野駅周辺のまちづくりの基本方針の検討範囲を東口周辺のみとするのではなく、地域課題である西口線路沿いの桜並木を含む東中野駅周辺を検討範囲にすべきであると訴えました。再質問の答弁として、「直ちに西側エリアを統合するかどうかについては今すぐ判断はできませんけれども、西口エリアでまちづくりのお話があればお伺いしたいというふうに考えてございます」との答弁がありました。あるに決まっているだろう。

 東中野駅周辺全体のまちづくりを進めるのであれば、東中野二丁目や三丁目、銀座通り商店街をはじめ各商店街を含む範囲を検討範囲に加え、意見交換会を開催することは当然のことわりです。調査検討や意見交換すら行っていない東中野駅周辺のまちづくり、全体のまちづくり方針は改めるべきであると訴えますが、伺い、一応全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 白井議員の御質問にお答えいたします。

 区内事業者を守るための施策についてで、少額随意契約に関する意見提出についての御質問です。

 財務省で令和6年11月に少額随意契約の基準額等に関する意見募集を行っておりまして、中野区からも物価上昇を反映した基準額の見直しをすべきだという意見を提出したところでございます。

 次に、契約事務規則の改正時期についてです。少額随意契約の基準額については契約事務規則に明記されておりまして、基準額を見直す場合には、この規則を改正する必要があります。規則の改正は年内に行って、令和8年度予算による年度当初契約分から適用する予定でございます。

 次に、小規模事業者登録制度の積極活用についてです。小規模事業者登録制度の活用実態については、契約件数や契約内容などを毎年調査し、確認をしているところでございます。例年、契約に係る留意事項として、小規模事業者登録制度の登録事業者を活用することを全庁に通知しておりまして、今後も周知・徹底をしてまいりたいと考えております。

 次に、小規模事業者の優先についてです。区内事業者の活用に関しては、見積書を徴取する際には区内の中小企業・小規模事業者を可能な限り第一に選定することや、小規模事業者登録制度の登録事業者を活用することを契約事務規則に記載はございませんが、留意事項として庁内に周知をしているところであります。小規模事業者制度に登録している事業者を優先するよう契約事務規則へ明記することについては、少額随意契約の基準額見直しによる影響を注視しながら、可能性について検討してまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、経済的困難を抱える子育て世帯への支援についての御質問にお答えいたします。

 最初に、小・中学校給食費相当分の給付金制度についてでございます。現在、私立学校等保護者支援給付金は、10月1日時点で区立小・中学校に在籍していない児童・生徒や、区立学校在籍者のうち給食を喫食していない児童・生徒を対象としているところでございます。不登校やフリースクールへの給食費相当分の給付や支給方法の変更につきましては、来年度に向けて、本制度の在り方を含め検討していきたいと考えております。

 次に、給食費への支援拡充についてでございます。学校給食は献立作成方針に沿って、子どもたちが適切に栄養を摂取し、十分な質と量がある学校給食を提供する必要があると考えております。米をはじめとする食材等の価格は上昇しており、追加の予算措置も検討したいと考えております。

 次に、私立幼稚園・保育園への支援についての御質問の中から、幼稚園、保育園と小学校の円滑な接続の推進についてでございます。これまで保育園、幼稚園と小学校の連携強化に向けて、保幼小連携協議会や保幼小中連携サミットの開催を通じて、教職員への普及啓発に努めてまいりました。今後は、教育委員会が小学校接続加算の申請に必要なカリキュラムの例を示し、それを保育園、幼稚園、小学校に展開することで、さらなる連携の強化を図ってまいります。

〔子ども家庭支援担当部長森克久登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(森克久) 私からは、経済的困難を抱える子育て世帯への支援についての御質問のうち、まず長期休暇中の子どもへの食の支援につきましてお答えをいたします。学校給食の提供がない夏休みなどの長期休暇の期間においては、経済的な困難を抱えやすい家庭ほど食事の確保に課題が生じやすいと考えております。これまでの区の取組による成果やニーズ、他自治体の事例などを把握しまして、必要な支援の構築に向けまして検討してまいります。

 続きまして、学習支援事業の拡充等についてでございます。現在、学習支援事業は、小学校4年生から中学校3年生までの児童・生徒を対象に実施しておりまして、中学校3年生につきましては、夏季特別指導も実施しているところでございます。対象学年につきましては、段階的に小学校4年生まで拡大してきたところでありまして、さらなる拡大につきまして、これまでの取組の効果やニーズなどを踏まえて検討してまいります。

 学習支援事業での食事の提供につきましては、ニーズや他自治体の事例等を踏まえ研究をしてまいります。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、経済的困難を抱える子育て世帯への支援についての御質問のうち、文化芸術鑑賞体験機会の充実についてで、まず、基金活用事業の選定基準、選定過程の公開についてお答えします。

 多様でプロフェッショナルな文化芸術の鑑賞体験機会の促進を目的とした子ども・若者文化芸術振興基金による事業は、アンケート結果やイベント実施時の満足度を踏まえてジャンルを抽出し、プロのアーティストとしての実績となかのアーティストバンクへの登録者など、中野区や区の事業での活動実績を基に、候補となるアーティストを複数選出し、当該候補者と実施内容や時期、場所などを協議・調整の上、事業を決定し実施しているところでございます。

 今後は、以上のような考えやプロセスをホームページなどで公表し、より幅広いジャンルで広く実績のあるプロのアーティストへリーチすることを図るとともに、次年度以降につきましては、文化施設運営事業者等の助言を受けた上で事業を実施してまいります。

 私から最後に、子ども関連部署と連携した基金を活用した事業展開についてでございます。文化芸術関連事業全般におきましては、子ども関連施設での実施に努めているところでございますが、今後は学校や幼稚園、保育園における文化芸術鑑賞体験事業の実施状況や効果を図りつつ、子ども関連部署と連携した基金による事業展開について検討してまいります。

〔子ども教育部長石崎公一登壇〕

○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、まず初めに、経済的困難を抱える子育て世帯への支援についての御質問のうち、文化芸術鑑賞体験機会の充実についてで、保育園を対象とした文化芸術鑑賞体験についてお答えいたします。

 区立・私立保育園にも文化芸術に触れる機会を設けることは大変重要であると考えてございます。園児が文化鑑賞を体験できますよう、具体的な方策について今後、検討してまいります。

 続きまして、私立幼稚園・保育園への支援についての御質問でございます。初めに、育休給付延長要件の厳格化に伴う保護者への周知についてでございます。認可保育所新規申込者数は令和6年4月には1,606人、令和7年4月は1,673人であり、認可保育所の新規申込者数につきまして急激な変化は見られないところでございます。育休給付の延長要件の厳格化につきましては、区ホームページに掲載していますほか、保護者向け冊子、「保育所等のごあんない」でも周知しているところでございます。さらに電話や窓口での入園相談におきましても、丁寧な説明を行っているところでございます。

 続きまして、育児時短給付制度を活用した場合の保育所申込みについてでございます。育児時短給付制度を利用した場合、雇用契約上の就労日数及び就労時間を見てございまして、申込み指数については変わらないところでございます。時短勤務で復職したことを理由に、認可保育所施設の入所選考において不利になることはございません。

 続きまして、定員割れに係る考え方についてでございます。区立認可保育施設では、0歳から2歳児クラスと3歳から5歳児クラスでは空き定員の傾向が異なってございます。0歳から2歳児クラスに対しましては、来年度からこども誰でも通園制度が本格実施されることから、空きが発生している保育施設におきましては、この制度を積極的に活用していただきたいと考えてございます。3歳から5歳児クラスで空きが発生している保育施設に対しましては、待機児童の状況等も踏まえながら、定員変更も含め有効な対策を検討してまいりたいと考えてございます。認可保育所に対する減収補填につきましては、保育需要や入所率の動向を注視しながら慎重に検討してまいります。

 続きまして、パート加算の単価見直しについてでございます。区は認可保育所の運営費につきまして、国の基準に加え保育士1名を増配置するため、経費やパート保育士の雇用に要する経費などを加算しているところでございます。パート保育士加算の単価につきましては、2006年度から変わっていないところでございまして、今後パート保育士加算の単価改定について検討してまいります。

 続きまして、保育所等の業務負担軽減支援事業についてでございます。国の公定価格におきまして、事務職員の雇用のための経費に係る加算が設けられてございまして、区はこの公定価格に基づき園に対し給付費を支給しているところでございます。今年度からの都の保育所等の業務負担軽減支援事業が新たに開始されたことは承知してございます。今後この事業を活用した支援についても検討してまいります。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、東中野周辺のまちづくりについてお答えさせていただきます。

 初めに、東中野駅東口南側のバリアフリー化の交渉についてでございます。当該ビルの建て替えについては、鉄道事業者の関連事業者が進めており、区としてはこのビルも含めてバリアフリー化することを提案しましたが、事業者の判断で、単独で建て替えるとのことでありました。バリアフリー化の実現につきましては、現在、区として整備案を鉄道事業者に提案し協議しており、当該敷地を活用しない方向で深度化を進める予定でございます。

 次に、東中野東口北側での開発における民間事業者との情報共有についてでございます。駅東口北側の民間開発について、区は定期的に事業者と情報共有を行っており、民間事業者からは現時点で計画内容や事業手法、事業時期は決まっていないと聞いております。区としては、引き続き事業者に対しバリアフリー化への協力について協議、誘導を図ってまいります。

 次に、東中野駅周辺まちづくりの範囲の考え方についてでございます。現在検討している東中野駅周辺まちづくりは、東中野駅東口のバリアフリー化の実現に向けた検討を契機として進めてきてございます。こうした経緯から、東中野駅東口を中心とした区域を設定し検討を進めており、駅の東口・西口を含む範囲であることから、東中野駅周辺まちづくりとしてございます。

 最後に、東中野駅周辺まちづくりの名称についてでございます。これまでの経緯から、東中野駅周辺まちづくりの検討区域の変更は考えてございませんが、一方で東中野駅周辺まちづくりという表現については適切な名称を検討していきたいと考えてございます。

〔白井ひでふみ議員登壇〕

○19番(白井ひでふみ) 再質問させていただきます。

 それでは、最後の1点です。東中野駅の全体のまちづくりについての名称を変えるということですか。東口についての調査をずっとやってこられたので、そうすると、東口だけに絞るということなんでしょうか。だったら、初めから東中野駅全体のまちづくりの基本方針をつくるなんてことを言わなきゃよかったんです。本来であれば、ちゃんと全体の調査検討をやるのが筋だと思います。しっかりと名称だけ変えるというのは、言ってしまうと、初めから取り組んできたことをなかったことにするに近いことになりますので、もう一度改めて答弁をお願いいたします。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 再質問にお答えいたします。

 今回の東中野駅周辺まちづくりの検討につきましては、東口の駅舎のバリアフリー化等、地域住民の方から多くの要望が寄せられており、区としても様々検討してきたことでございます。こういったことで東中野駅東口周辺では、今言いました駅舎のバリアフリー化以外にも、歩行者空間や歩行者のたまり空間、交流施設の不足など、駅を挟んだ南北の行き来のしづらさなども課題としてありました。こういった状況を踏まえ、現在駅東口を中心とした周辺地域との調和を考慮したまちの将来像を示すための検討を進めてきたということでございます。

 先ほども答弁させていただきましたが、こういった経緯を基に、東口のところから周辺地域との調和を考えたまちづくりを行うためということで、まちづくりの検討範囲を駅から100メートルから200メートルぐらいの範囲で、道路などで区切れる地形を基本として、さらに旧中野区第三中学校跡地も含めた範囲として検討を進めてきた経緯がございますので、そういったことも含めて、これらの名称については改めて地域の方々にも説明させていただきながら検討していきたいというふうに考えてございます。

○議長(森たかゆき) 以上で白井ひでふみ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 河 合 り な

 1 気候変動適応策(暑熱・熱中症対策)について

  (1)総合的対策について

  (2)まちなか・公園の暑熱対策について

  (3)災害時について

  (4)こども施設について

  (5)地域活動について

  (6)高齢者など要配慮者について

  (7)その他

 2 住宅政策について

  (1)居住支援協議会の強化について

  (2)空家対策について

  (3)その他

 3 子どもの包括的支援について

 4 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、河合りな議員。

〔河合りな議員登壇〕

○14番(河合りな) 令和7年第3回定例会に当たり、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告どおりで、その他はありません。

 1、気候変動適応策(暑熱・熱中症対策)について。

 気候変動が今後長期にわたり深刻化が懸念される中、温室効果ガスの排出抑制などを目指す緩和策と気候変動の影響に対応する適応策を両輪で進める気候変動適応法が制定され、近年の気温上昇を受けて、令和5年4月に改正、令和6年4月に全面施行となりました。猛暑日を超え酷暑日が続いた今年の夏は、熱中症による死者数が過去最高だった昨年を上回る異常な暑さや大雨に見舞われました。毎年会派で地域の関係団体と懇談をしていますが、今年は特に熱中症対策に関する要望が多く寄せられました。気候変動の影響が想定を大きく超える中、私には行政の対応スピードが追いついていないと感じています。

 (1)総合的対策について。

 本区の気候変動対策は、主に緩和策が中心であり、環境部が所管してきました。第4次環境基本計画も気候変動、脱炭素対策が中心で、気候変動適応策は多くありません。適応策の一部である熱中症対策は保健予防課が所管し、これまでも庁内で対応は一定共有されてきたものの、具体策は各所管に委ねられ、暑さや熱への暑熱対策はあまり進んでいません。気候変動適応法の改正に伴い、熱中症対策の強化に向け、庁内での連携協力体制整備の要請事務連絡が示されております。兵庫県神戸市や大阪府吹田市など先進自治体では、関係部署の洗い出しや担当会議の設置、熱中症対策実行プランの策定、各種計画への反映など、総合的に政策を進める工夫がなされています。

 気候変動の影響が深刻化する中、区としても全庁的な視点から総合的に気候変動適応策に取り組むべきです。区の見解をお聞かせください。

 (2)まちなか・公園の暑熱対策について。

 これまで都市基盤部の気候変動対策は長期的な緩和策が中心でした。しかし、近年の著しい気温上昇において喫緊の課題として、適応策の積極的検討が求められます。千代田区は、駅前や通学路などに木陰、ミスト、保水性舗装を組み合わせたクールスポットを整備、大阪府は、都市緑化を活用した猛暑対策事業で駅周辺や観光地のミスト、日よけ、遮熱舗装など整備費用を助成、兵庫県神戸市では、事業者と協定を結んで実証実験を行うなど暑熱対策に取り組む自治体が増えています。

 将来的な都市計画や都市基盤整備に暑熱対策の観点を盛り込むとともに、まちなかでの民間事業者と連携した実証実験を導入してはいかがですか。

 さらに来年度予算で実施可能な即効性のある暑熱対策も具体的に検討してはいかがですか。

 今年の夏、近隣で樹木が多い本五ふれあい公園や栄町公園はベンチで休んでいる人が見られた一方、日陰の少ない広町みらい公園では、水遊び場にさえ子どもの姿が少ない状況がありました。都市公園は公園法の建蔽率制限があるため、屋根のある建築物を多く設置することは困難です。公園整備後に新たな樹木を増やすことも容易ではありません。岩手県宮古市は、公園内にドライ型ミスト、千代田区は後付けの日よけフラクタルテント、大阪府守口市は日よけパーゴラ、兵庫県神戸市は冷却機能付きベンチなど、建物以外の後付け設備を活用した暑熱対策が各地で進められています。

 区でも後付け設置物で夏場の公園の暑熱対策に取り組んではいかがですか。また、今後の公園の再整備では、木陰の在り方など、暑熱対策の視点も盛り込んではいかがですか。

 (3)災害時について。

 今年7月30日、ロシア沖地震による津波警報では、猛暑の中で全国各地で避難所が開設され、熱中症の疑いで救急搬送される事例が報道されました。区では、避難所となる体育館など学校施設内の空調設備の設置を進めてきましたが、在宅避難の方も含めて、大規模災害時には停電になる事態も想定されます。また、夏季の復旧活動も熱中症リスクを伴います。

 熱中症対策の視点で、避難所における温度・湿度計や熱中症の指標となる暑さ指数を計測可能な機器の設置、屋外活動や熱中症兆候の方が一時的に体を冷やせるクールスポットの避難所内設置、停電に備えた熱中症対策を避難所運営マニュアルや在宅避難所向けにホームページへ掲載、冷却グッズなど備蓄の充実など、避難所・在宅避難者双方を対象とした実効性のある熱中症対策強化について、様々な観点から見直してはいかがですか。

 (4)こども施設について。

 今年の夏、老朽化の進んでいる学校では、廊下など共用部分の厚さが深刻で、新校舎の学校との新旧にある教育環境の格差が顕在化しました。また、幼稚園・保育園などでは、暑さの中でも子どもの外遊びの機会を確保するため、施設ごとで工夫を凝らしています。そもそも子どもは体が未熟で熱中症になりやすく、配慮が必要です。さらに猛暑により子どもの外遊びが制限され、通常の生活の中でも運動量が減少し、心身の発達に影響を及ぼす可能性も指摘されています。子どもたちが安全な環境で学び、遊び、生活できるよう整備することは自治体の責務です。

 暑熱対策には、遮熱カーテンや日射調整フィルムなど簡易な遮熱資材、屋外用大型ファンやミストファン、移動式冷風機など、大規模な工事を伴わずとも機材が充実してきました。経口補水液など熱中症対策用品も今では防災用品と同様に取りそろえておくべきです。こうした対策は各施設の実情に応じて柔軟に対応すべきものですが、現在は各施設の裁量に委ねられ、予算や対応力に差が出ている状況です。

 区は、学校、幼稚園、保育園、学童クラブ、児童館など、子ども施設に丁寧にヒアリングを行い、特に老朽化の進んだ施設には重点的に暑熱・熱中症対策の予算を検討してはいかがですか。

 (5)地域活動について。

 区では、町会・地域のお祭りなどにおいて、夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドラインを共有、各団体に情報提供をしています。しかし、暑さが長期化する中、盆踊りでも、夕方や準備段階でも熱気にさらされ、各団体も独自に工夫していますが、努力に任せるのは過大な負担となります。建設現場では、熱中症発生時の連絡体制や対応手順をフロー図として事前に整備し、安全性を高めています。

 地域活動でも同様に、熱中症が疑われる事態に備えた対応フロー図やチェックリスト、連絡体制や搬送支援の相談先の明確化など、事前に対応を取り決めておくべき内容のひな形を用意し、各団体の安全性向上と円滑な活動支援をしてはいかがですか。

 (6)高齢者など要配慮者について。

 今年の夏、熱中症特別警戒アラートが発令されるたび、不要不急の外出を控えてと呼びかけがありました。区では、特に熱中症リスクの高い高齢者に向け、健康維持と孤立予防のため、涼しい時間や場所での外出機会を促す取組を実施しましたが、外出控えでの行動が定着してしまう傾向もあったのではと懸念しております。過去、新型コロナウイルス感染症の際も同様に、外出控えによる運動不足が問題となり、フレイル対策の重要性が示されました。この夏の状況も結果的にフレイルを進行させる可能性があります。

 来年度は、外出機会控えの影響が大きい高齢者に向け、熱中症対策と併せてフレイル予防の観点も組み合わせた施策、情報提供をしてはいかがですか。

 また、区では、区民活動センターはクーリングシェルター、高齢者会館は涼みどころなど、暑さをしのげる場所が開放されています。特にクーリングシェルターは気候変動適応法に基づき、熱中症特別警戒情報が発表された際、開放が求められる施設です。しかし、熱中症対策として水分補給が必要不可欠にもかかわらず、区民活動センターの一部では給水器が未整備で、子どもや、小銭を持たない方の水分確保が難しい状況です。

 クーリングシェルターの機能強化のため、全ての区民活動センターに給水器やウォーターサーバーなど給水設備を設置してはいかがですか。

 マイボトルの給水スポットとしても活用できる給水器であれば、環境負荷低減にも寄与できますが、いかがですか。

 今回の会派の一般質問では、気候変動適応策の中でも特に必要性が高かったり、命に関わる点に絞って質問いたしました。職員の皆さんには、夏の暑さで苦しむ方が一人でも少なくなるよう、社会変化に応じた活動ができるよう、それぞれの部署で可能な限り工夫や取組を御検討ください。来年度、皆さんが考えたすばらしい気候変動適応策が予算の中で具体化されることを大いに期待し、この項の質問を終わります。

 2、住宅政策について。

 高齢者や障害のある方、ひとり親家庭など、住宅確保要配慮者にとって、住宅の選択肢は依然として限られています。公営住宅は本区でも需要に対して十分ではなく、多様なニーズに対応し切れていません。多くの方が公的補助のない民間住宅に頼る中、立地や広さ、老朽化など、条件に妥協せざるを得ないケースも多く見られます。区では今年度より、ひとり親家庭が住み換えできるよう、ひとり親家庭住宅支援補助を始めたことは高く評価します。住まいは生活の基盤です。住み慣れた地域でいつまでも暮らし続けたい方々に向け、住宅政策の充実に一層取り組んでいただくことを求めます。

 (1)居住支援協議会の強化について。

 区では、住宅確保要配慮者を支援するため、令和2年度に中野区居住支援協議会を立ち上げ、居住の安定の確保に寄与するものとして期待され、区でも住宅政策の受皿として位置付けされてきました。しかし、いまだ住宅確保に悩む声が聞かれる中、協議会の活動状況や成果が外部からは見えにくい状況です。他自治体では協議会の議事録や活動内容レポートをホームページなどで公表し、透明性を確保して広く区民に理解を促す取組が行われています。また、活動の可視化は支援が必要な当事者やその支援者にとっても安心感につながります。

 まずは居住支援協議会の活動内容や課題意識を区民向けに何らかの形で可視化する取組を進めてはいかがですか。

 協議会の継続的な活動を通して、当初の目的を超え、新たな地域課題も見えてくるでしょう。これまでも会派としてNPO法人の協議会加入を求めてまいりましたが、協議会の構成員は重要です。他自治体では、学識経験者や地域で支援実績のあるNPO法人などが協議会に関わる事例があります。入居をあっせんするだけでなく、常に新しい専門的知識を取り入れたり、ニーズに合わせた入居後の継続的な見守りや、生活上の問題解決に寄り添う支援を実施し、居住支援の質の向上に寄与しています。

 中野区居住支援協議会は現在何を課題と捉えているのでしょうか。さらなる機能強化、広がるニーズに対応するため、学識経験者やNPO法人など構成員の拡充を検討してはいかがですか。

 (2)空家対策について。

 本区は、中野区空家等実態調査、中野区空家等対策基本計画に基づき、管理不全な空き家への対応に努めてきました。しかし、全国的な少子高齢化の進行により、都内でも空き家数は増加傾向で、区の空き家率は23区平均を上回る状況です。今後は空き家になる前の予防的なアプローチがより重要です。例えば65歳以上の世帯員がいる単身または夫婦のみの世帯の持ち家は、居住者の高齢化に伴い将来空き家になるおそれがある空き家予備軍とされています。こうした住宅所有者に対し早い段階から意識啓発を行うことで、空き家化を防ぎ利活用を促すことも可能です。

 区では、医療、介護に関する将来の意向を話し合うACP(人生会議、アドバンス・ケア・プランニング)の普及に努めています。例えばACPなどの相談や啓発事業など機会を生かし、関連部署と連携し不動産の利活用や処分、住宅の耐震やバリアフリー改修助成など、空き家予防対策の早期啓発を図ってはいかがですか。

 区では、これまで使える空き家があれば売れるため、活用可能な空き家はほとんどないとの見解を示してきましたが、空家等対策基本計画の中では、セーフティネット住宅としての活用と明記されています。豊島区は、若者、シングルマザー向けシェアハウス、目黒区は、高齢者住宅とシングルマザー向けシェアハウスをマッチング、西東京市では、単身高齢女性向けシェアハウスなど、全国で自治体がNPOなどと連携し、支援的住宅として空き家活用をする事例が増えています。単なる住宅供給にとどまらず、見守りやコミュニティ支援などの機能も兼ね備えていることが特徴です。

 本区も空家等対策基本計画にのっとり、空き家の用途転換の仕組みづくりや民間団体などとの連携によるモデル事業の創出など、住宅確保要配慮者の新たな住まい方の選択肢が提示できるよう検討してはいかがですか。伺って、この項の質問を終わります。

 3、子どもの包括的支援について。

 本区は、区設置の児童相談所が緊急的な困難ケースに対応し、すこやか福祉センターがこども家庭センターとして地域の子どもとその家庭支援の体制を築いていますが、さらに地域の支援団体や関係機関とネットワークを広げることで支援の裾野が広がり、相談機会の早期化や問題の早期発見、伴走支援の可能性も高まります。

 我が会派は、これまでも子育てにおいては、虐待に至る前の予防的支援と伴走支援の強化が重要と訴えてまいりました。また、子どもたちが本当の気持ちを話せるのは、日頃から接する人との関係づくりが必要であり、関わる人や思い思いに過ごせる居場所など多様にあることが重要です。そのためには地域の子育て支援団体の育成と、持続的に活動を支える仕組みづくりが必要です。団体同士が連携しネットワークを形成すれば、情報交換、交流促進、支援力の向上、地域で新たな取組の創出など、支援の広がりと質の向上が期待できます。

 豊島区、世田谷区、葛飾区、江東区、台東区など、都内でも多くの自治体で行政と連携した子育てネットワークが構築され、地域全体で子育てを支える基盤となっています。一方、区では、小規模な団体や任意団体も含めた全ての子育て支援団体を一元的に把握している所管はなく、伴走支援の仕組みも十分ではありません。団体は地域から自然発生的に立ち上がるものかもしれませんが、「見つけ、つなげ、育てる」という行政の関与があってこそ支援のネットワークとしての力が発揮できると考えます。

 子育て支援の包括的な充実を目指し、子育て支援団体の全体把握、行政による連携と協働の支援体制の構築を積極的に進めていくべきです。区として子育て支援団体のネットワーク化に対する見解と今後の展望をお示しください。

 これまで我が会派の要望に応え、酒井区政では多くの子育て支援が拡充されたことを感謝いたします。例えば一時預かりについては、過去の私の総括質疑では、利用時間と時間帯を明らかにし、不足の洗い出しから支援拡充を要望いたしました。このように制度を分析し、過不足の把握から課題を導き出すことは重要です。特に障害のある子どもから青年の居場所支援は課題が残ると考えます。青年期は引き続き細野議員が総括質疑で取り上げますが、中学生になるとキッズ・プラザや学童クラブは対象外となり、居場所自体が少なくなります。また、共働き家庭が増える中、夏休み期間の過ごし方に悩む声もあり、多くの障害のある子どもが選択する放課後デイサービスは増えたものの十分とは言えず、児童館も居場所の一つですが、利用時間帯が限られているのが現状です。

 中学生になれば部活動も始まりますが、障害のある子どもの受入れは確約されてはいません。誰一人取り残さないを掲げる本区として、制度のはざまに置かれがちな障害のある子どもたちにこそ、手厚い支援が必要です。港区は、中学生から18歳までの障害児を対象に事前登録制で児童館などの利用時間を拡大し受け入れ、杉並区は、中学生以降の障害児の放課後等居場所事業がプロポーザル方式で公募されました。

 区としても、庁内で連携して、放課後デイサービス以外の選択肢の検討を進め、中学生以降の障害のある子どもが放課後や学校休業日に安心して過ごせる場所の確保、充実に取り組むべきですが、いかがですか。

 以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 河合議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、気候変動適応策(暑熱・熱中症対策)について、初めに気候変動適応策の総合的な取組についてです。

 地球温暖化に伴う気候変動の影響等による身体や生命に危険を及ぼすレベルの猛暑が続いており、区としても必要な対策を講じていく必要があると考えております。気候変動の影響に対応する適応策を全庁的に漏れなく計画的に講じることができるように、現在調査を実施しておりまして、今後検討を進めてまいります。

 次に、民間との連携や即効性のある暑熱対策についてです。快適な都市空間を形成するためには、昨今の気候変動への対応も十分に考慮していく必要がありまして、そのためには官民の連携も欠かせないものと考えております。将来的なまちづくりや都市基盤整備を考えていく際には、実証実験等も含め、民間事業者との連携について検討してまいります。

 また、急速に進行している夏季の高温化に対しては、即効性のある取組が求められているということで、来年度予算においても具体的な暑熱対策を検討してまいります。

 次に、公園の暑熱対策についてです。暑熱対策として、一部の公園では、日差しの強い時期に、既設のパーゴラによしずを設置して日陰を創出しています。また、今年度平和の森公園の多目的運動広場において、暑熱対策として、実験的に朝の利用時間の拡大を実施したところです。今後は後付け設置物による暑熱対策について、指定管理者制度を導入している公園において、実施の可能性も検討していくとともに、ソフト的な対策として、多目的運動広場等の朝の利用時間拡大についても拡充を検討してまいります。

 次に、公園再整備における木陰の在り方についてです。公園再整備では、これまでも地域の声を取り入れながら、既存樹木を残すなど、みどりを確保しながら事業を進めてきておりますが、今後は暑熱対策に資する視点について、より一層意識しながら事業を進めてまいります。

 次に、災害時の熱中症対策の強化についてです。災害時の熱中症対策につきましては、避難所や在宅避難者の安全確保の観点から重要な課題であると考えております。避難所の環境整備や備蓄の充実、在宅避難者に向けた情報発信など、実効性のある対策について、総合的かつ計画的に検討を進めてまいります。

 次に、子ども施設における暑さ対策についてです。小・中学校や幼稚園、保育園等の子ども施設においては、教室等に冷房を整備しているほか、園庭やプールサイドに日よけのためのシートを設置するなど、施設ごとに暑さ対策をしているところであります。今年の猛暑も踏まえ、各施設における活動実態、築年数や施設環境を改めて確認の上、対策についても検討してまいります。

 次に、地域活動における熱中症対策についてです。区はこれまでも基本的な熱中症対策の周知に努めてまいりましたが、近年の気候状況を踏まえ、地域団体が安心して活動できるよう、熱中症が疑われる場面での対応方法を分かりやすく整理して、誰でも迷わず行動できるようにするほか、事前に準備すべき内容をまとめた資料なども、現場で役立つ支援策の検討を進めてまいります。

 次に、高齢者の熱中症対策とフレイル予防についてです。猛暑による外出控えに伴う高齢者のフレイルの進行を予防するため、熱中症予防の啓発とともに、自宅で取り組めるエクササイズや食生活の工夫についての周知に努めてまいります。また、比較的涼しい時間帯に開催される介護予防事業への参加も進めてまいります。

 次に、区民活動センターへの給水設備の設置についてです。区民活動センターはクーリングシェルターとして開放されており、熱中症対策として水分補給の重要性も認識をしております。給水設備として、ボトル型のウォーターサーバーは水質管理、水道直結型のウォータークーラーは給排水設備の工事などが必要となるため、施設の状況を踏まえつつ、マイボトルの給水スポットとしての活用も含め、設置の可能性について検討してまいります。

〔都市基盤部長松前友香子登壇〕

○都市基盤部長(松前友香子) 住宅政策についてお答えいたします。

 初めに、居住支援協議会の強化についての御質問で、まず、居住支援協議会の活動内容等の公表についてです。

区の居住支援協議会では、活動報告等をまとめた協議会通信を年4回発行しております。今後はこのような活動情報等を区のホームページでも公表するなど、広く区民に理解いただけるよう情報の可視化に取り組んでまいります。

 次に、居住支援協議会での課題認識についてです。近年、複数の福祉的課題がある方や、90代の高齢者、外国人の住み替え支援について難航するケースが増えております。多様なケースに対応するべく、行政の住宅部門と福祉部門、その他関係機関の団体等との連携強化、適切な支援等、早期解決につなげていく仕組みづくりが課題と考えております。

 次に、居住支援協議会の構成メンバーについて、区の居住支援協議会は、行政、不動産関係団体、福祉団体のほか、都が指定する居住支援法人等が連携し、住宅確保要配慮者の方々に対し、入居前から退居時まで切れ目ない支援を目指して取り組んでいるところでございます。今後、さらに多様化するニーズに対応していくため、支援体制の強化に向け、構成メンバーの拡充も含め、必要な検討を進めてまいります。

 続いて、空き家対策についての御質問です。

 まず、関連部署と連携した早期啓発について、今後、医療・介護など関連する部署と連携しながら、様々な啓発事業等を活用し、空き家の抑制につながる効果的な広報を検討してまいります。

 最後に、住宅確保要配慮者に向けた空き家活用について、今年度の空家実態調査の中で、空き家所有者の利活用意向も把握することとしてございます。その結果や民間事業者等との連携など、他自治体の先進事例を参考に、住宅確保要配慮者対応の視点も踏まえた空き家活用の取組を検討してまいります。

〔子ども家庭支援担当部長森克久登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(森克久) 子どもの包括的支援についての御質問のうち、子育て支援団体のネットワーク構築につきましてお答えをいたします。

 子育て支援団体同士がつながり、情報交換や交流が行われることで、地域全体で子育てを支える基盤が形成されていくものと考えておりまして、子育て支援団体のネットワーク構築について、その必要性を認識しているところでございます。今年度、区内の子育て支援団体の活動状況や他自治体の実施状況を情報収集しておりまして、ネットワーク構築の方策について現在検討を進めているところでございます。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、子どもの包括的支援についての御質問のうち、障害児の放課後の居場所についてお答えいたします。

 障害のある子どもが放課後等に過ごせる居場所の確保は重要な課題であると認識してございますので、障害のある子どもの居場所や障害児支援施策の拡充を含めまして、様々な選択肢につきまして全庁的に検討してまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で河合りな議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時49分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 森 たかゆき

       副議長 小林 ぜんいち

       議 員 河合 りな

議 員 杉山 司