平成17年02月21日中野区議会本会議(第1回定例会)
平成17年02月21日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録
平成17年第1回定例会本会議第2日(2月21日) 1.平成17年(2005年)2月21日、中野区議会本会議場において開会された。
1.出席議員(42名)
  1番  いでい   良  輔         2番  伊  東  しんじ
  3番  佐  野  れいじ          4番  北  原  奉  昭
  5番  久  保  り  か          6番  酒  井  たくや
  7番  奥  田  けんじ          8番  近  藤  さえ子
  9番  小  堤     勇         10番  大  内  しんご
 11番  伊  藤  正  信        12番  きたごう  秀  文
 13番  吉  原     宏         14番  高  倉  良  生
 15番  やながわ  妙  子       16番  平  島  好  人
 17番  むとう   有  子        18番  はっとり  幸  子
 19番  長  沢  和  彦        20番  か  せ  次  郎
 21番  山  崎  芳  夫        22番  小  串  まさのり
 23番  高  橋  ちあき          24番  市  川  みのる
 25番  岡  本  いさお          26番  こしみず  敏  明
 27番  飯  島  きんいち        28番  佐  伯  利  昭
 29番  佐  藤  ひろこ         30番  来  住  和  行
 31番  岩  永  しほ子         32番  若  林  ふくぞう
 33番  篠     国  昭         34番  伊  藤  岩  男
 35番  斉  藤  金  造        36番  大  泉  正  勝
 37番  斉  藤  高  輝        38番  江  口  済三郎
 39番  藤  本  やすたみ       40番  昆     まさ子
 41番  江  田  とおる         42番  池  田  一  雄
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔          助     役  内 田 司 郎
 収  入  役  山 岸 隆 一           教  育  長  沼 口 昌 弘
 区 長 室 長  田 辺 裕 子          政策計画担当課長 鈴 木 由美子
 まちづくり総合調整担当部長 那須井 幸一  総務担当参事   橋 本 美 文
 区民生活部長   本 橋 一 夫         子ども家庭部長  柳 澤 一 平
 保健福祉部長   菅 野 泰 一         保 健 所 長  清 水 裕 幸
 都市整備部長   石 井 正 行        教育委員会事務局次長 金 野  晃
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長    正 木 洋 介      事務局次長    飯 塚 太 郎
 議事調査担当係長 大 谷 良 二      書     記  黒 田 佳代子
 書     記     巣 山 和 孝      書     記  永 田 純 一
 書     記     荒 井   勉       書     記  廣 地   毅
 書     記     西 田   健       書     記  岩 浅 英 樹
 書     記     鳥 居   誠       書     記  杉 本 兼太郎
 書     記     松 本 桂 治      書     記  吉 田 哲 郎

 議事日程(平成17年(2005年)2月21日午後1時開議)
日程第1 第6号議案 平成17年度中野区一般会計予算

      午後1時02分開議
○議長(山崎芳夫) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、高倉良生議員、篠国昭議員、長沢和彦議員、斉藤金造議員、藤本やすたみ議員、むとう有子議員、佐藤ひろこ議員、江口済三郎議員、きたごう秀文議員、来住和行議員、吉原宏議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 中野区議会議員 高 倉 良 生
 1 発達障害支援について
 2 子育て支援について
 3 所信表明について
 4 安心・安全施策について
 
○議長(山崎芳夫) 最初に、高倉良生議員。
      〔高倉良生議員登壇〕
○14番(高倉良生) 平成17年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。
 初めに、発達障害児者の支援について伺います。
 私の親しい友人のお子さん2人が自閉症児です。生まれてきたお子さんに、親として大きな夢と期待を持って育ててこられました。しかし、だんだんと成長してきても、言葉がなかなか発せなかったり、周囲の大人や同年代の子どもたちとうまくコミュニケーションがとれなかったり、あるいは同じことを何回も繰り返したりと、何か変だな、変だなと思いつつも、初めての育児経験なので、不安を抱きながらも夢中で育ててこられたそうでございます。保健所の育児相談も1年間受けてこられましたが、自閉症とは判断をされませんでした。外見は、健常児と何ら変わりなく成長しておられますので、自分の育て方が悪いのではと、だんだんと自分を追い詰め、とうとう自殺までも考えてしまったそうでございます。3歳になって区内の幼稚園に入園をし、そこで園長先生から、お子さんを専門医に見せた方がいいと言われ、初めて我が子が自閉症とわかったそうでございます。そのときのショックは言葉にあらわせないほど大きかったと語っておられました。2人目のお子さんまでも自閉症とわかり、それはそれは筆舌に尽くしがたいものが傍らで見守っている私にも伝わってまいりました。しかし、御夫妻は愛する我が子のため、毎日を必死で頑張っていらっしゃいます。親ですら、子どもが幼稚園に通園するまでわからなかったのですから、その障害について、自分も他人も理解を得ることがいかに困難であるかがわかります。
 文部科学省の調査によりますと、知的障害はないものの、学習面や行動面で著しい困難を持っているとされる児童・生徒は、通級学級で6.3%に上るとの結果が出ております。東京都教育委員会の調査でも、都内公立の小・中学校生の4.4%、約3万3,000人に問題があることが明らかになっております。中野区においても、小・中学校の児童・生徒の中で、約400人が何らかの発達障害を抱えているとされております。これまで法で決められている知的、身体、精神の3障害を持つ子どもは、全体の1.5%の範囲であるのに対し、発達障害児は、その4倍以上に及んでおります。こうした実態を踏まえ、特に近年、高機能自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群など、脳機能の障害である発達障害への対応が緊急の課題になってきております。
 昨年12月、公明党も強く推進をしてきた発達障害者支援法が制定され、今年4月から施行されることになりました。これまで法制度上の支援がほとんどない中で苦しんでこられた障害者や保護者の方々が、どれほど心待ちにされていたか、はかり知れません。この法律に従って、都道府県、各政令指定都市に発達障害者支援センターが1カ所設置をされることになります。しかし、一人ひとりの発達障害児者に対する早期発見、早期対応など、きめ細かな支援はむしろ区市町村の役割であろうと思います。
 滋賀県湖南市では、先進的に発達障害児者の支援事業を行っております。国のモデル事業にもなっております。発達障害児を持つ親御さんは、子どもが将来、保育園や幼稚園に入れるのかどうか、また小学校、中学校での生活ができるのかどうか、さらに就労の問題、社会人となって自立していけるのか、そういった不安でいっぱいなわけでございます。湖南市の発達障害支援システムは、まさにこの不安にこたえるものです。そのかぎは、発達障害支援室を独自で立ち上げている点にあるとお聞きをいたしました。この支援室は、発達障害児を支援するためのコーディネーターである室長を中心として、教育、福祉、保健、就労の各機関の職員がそれぞれ兼務をしながら支援室員となってシステムの運用をされておられます。一人ひとり個別のケースごとに就学前から学齢期、さらには就労までのきめ細やかなサービスを提供しております。支援室は、小学校の隣にある「ことばの教室」の一角にあり、各関係機関と連携を取り合い、個別の療育プランを立て、それに沿った支援をしていらっしゃいます。どの自治体でも導入が可能なシステムとのことでございました。
 発達障害の支援は、各セクションにまたがる取り組みが不可欠です。中野区として、このようなシステムを立ち上げるとすれば、支援室のような組織がぜひとも必要ではないでしょうか。区長の御見解をお聞かせください。
 早期発見のためには、現在行われている乳児健診、3歳児健診、就学前健診をさらに充実させ、早期発見のために精密度を上げる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、発達障害を一番発見しやすいと言われている5歳児健診を新たに導入すべきだと思います。既に鳥取県など、幾つかの自治体で実施をされています。御見解をお聞かせ願います。
 板橋区では、医師や心理判定員など、専門性のある障害児保育指導員を認定し、障害児親子や保育園の職員に対しても独自の支援を実施しています。発達障害児への専門性を持つ指導員を養成する仕組みを新たにつくったり、保育園、幼稚園、学童クラブでの障害児保育の充実を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 その際、発達障害を含めた障害児の親子体験入園や不安を抱える親御さんたちのきめ細かな相談事業など、新たな障害児保育指導員のもとで実施できるよう検討してはいかがでしょうか、お考えをお聞かせください。
 さらに、発達障害児やその家族に対する生活支援や医療費を軽減する新たな取り組み、また就労支援に関しても、区として検討しなければならない課題であると思います。今後どのように進めていかれるのか、お聞かせをください。
 こうした新たな対応を総合的に推進するために、発達障害者支援条例を制定し、事業展開を図ってはいかがでしょうか。また、現在策定中の10か年計画の中に、発達障害児者への支援策を明確に位置付け、支援の方法を打ち出すべきではないかと思います。区長の御見解をお聞かせください。
 このような各事業部にまたがる施策については、テーマごとのトータルな予算がわかるような、マトリックス表による予算方式を導入すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、発達障害支援室のような組織が各事業部と個々に業務契約を結ぶような事業手法も取り入れるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。区長のお考えを伺って、この項の質問を終わります。
 次に、子育て支援について伺います。
 私は、子育て支援の柱は、妊娠、出産、育児、学齢期のすべてにわたるトータルなセーフティーネットを確立することだと考えています。特にその中で、乳幼児や子どもの医療費の負担軽減について繰り返し取り上げて、質問、提案をしてまいりました。平成14年10月には、乳幼児医療費助成について、我が党の提案を取り入れ、小学校入学前まで所得制限なしで完全無料化が実施されました。子どもさんを持つ区民から大変に喜ばれております。さらに、私は、平成15年の第3回定例会の一般質問で、「乳幼児医療費無料化の拡充という視点ではなく、中野区として新たに児童・生徒が対象となる医療費負担軽減策を検討すべきだと考えます。中野区児童医療費助成制度、あるいは中野子ども安心医療助成制度といった新しい対応です。不安の大きい入院を対象にするなど、検討する余地があろうと思います」と訴えました。それを取り入れ、区として、平成17年度に小学生の入院費を助成する新たな子ども医療助成制度が創設をされる方向になりました。区長の英断を大いに歓迎をいたします。このことについて、区長の御見解とともに、今後さらに入院費だけでなく、通院も含めた助成制度の拡充を検討いただきたいと思います。お考えをお聞かせください。
 次に、妊娠、出産、育児、学齢期というライフステージに応じた総合的な子育て支援について、何点か伺います。
 まず、妊婦健診でございますけれども、現在、公費負担による健診は2回までとなっております。特に、妊娠後期の健診については、検査項目が多く、費用の負担が重くなっております。この妊娠後期の健診費の負担軽減を図るべきと思います。既に、新宿など近隣区でも実施されています。中野区としても早急に実施する必要があると思います。見解をお聞きをいたします。
 次に、出産時の一時金の支給でございます。国民健康保険の加入者については、現在35万円となっております。しかし、出産時にかかる実際の費用は、この額を上回っております。この際、40万円に増額するなど、安心して出産できるようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、この一時金の貸付制度を私ども、かねてより提案をしてまいりました。平成17年度に、それが実現をする方向になったことを歓迎をいたします。妊娠後期の健診や出産の準備にも活用できるよう、貸付時期を出産の2カ月前からとするなど、弾力的に対応すべきではないでしょうか、伺います。
 出産したお母さんを支援するための産後ママヘルパー制度についても、我が党が強く実施を求めてまいりましたけれども、17年度から実施が予定されていることを大変喜ばしく思っております。私は、子育て支援については所得制限を設けるべきではないと、常に主張をしております。実施に当たっては、今後、所得によって利用料に差が生じるやり方ではなく、利用しやすいようにすべて一律にすべきだと思います。お考えをお聞きをいたします。
 育児期の支援として、多様な保育の実施が強く求められています。その中で、私は、在宅の子育ての支援として、一時保育事業の拡充が大事な取り組みであると訴えてまいりました。昨年の第3回定例会で、私は、育児中の親御さんがリフレッシュのための時間を持てるよう、理由にかかわらず、利用できる子育て応援券とか、子育てリフレッシュ券などを発行し、一時保育のサービスが受けられるよう提案をいたしました。いつでもどこでも利用できるようにするためには、区内の全保育園で、こうした一時保育の事業を実施できるようにする必要があります。
 北区では、出生時に、保育園の半日利用券を3枚配布し、好評でございます。中野区もこうした形で、親御さんにとってわかりやすい、使いやすい、そして安心できる対応をすべきだと思います。御見解をお伺いします。
 中野区は、中野総合病院で、小児の初期救急と2次救急が同時に実施をされ、中野方式として注目をされております。私は、子どもたちの健康を守るために、さらに高度の救急医療を整備したいと考えております。中野に、平成19年度開院する東京警察病院に、こうした機能を果たしていただくよう要望を続けております。区は、昨年、私どもの主張に沿って、東京警察病院に高度の小児救急の実施や女性専門外来の実施など、3項目の要望をされました。さらに強力に働きかけをしていただきたいことをお願いしまして、この項の質問を終わります。
 次に、所信表明について、2点伺います。
 初めに、都区制度改革について質問いたします。
 田中区長は、「区民の自治を強化するという観点から、都区の役割と財源の関係の明確化に向けて、引き続き議会と一体となって取り組んでまいる所存です」と、この問題に取り組む強い姿勢を示しております。特別区と東京都との間の制度改革の趣旨を踏まえて、積み残され、検討が続けられてきた問題は、都区財調制度の見直しの中の主要5課題と言われるように、5点あったのではないかと思います。施政方針でも述べておられましたが、特別区の想定している役割分担の考え方との大きな乖離という点については、区長はどのようにお考えになっているのでしょうか、伺います。
 また、大都市行政及び大都市事務というのは、どのような概念でしょうか。法的位置付けについてはどのようになっているのでしょうか。仮に、法的位置付けが明確でないまま、大都市行政と大都市事務にかかわる論議をしていくことは、既に東京都の設定した土俵で論議をしていることにならないでしょうか。区長の言われる東京都と特別区の役割について、特別区として基本認識についてはどのようにお考えでしょうか。その点を明確にすることが、特別区の想定している役割分担についての基本認識を区長と議会とが共有することにつながるのではないでしょうか、あわせて伺います。
 現行の地方自治の構造は、基礎的自治体と広域調整を主とすべき自治体との二層制であります。より住民に身近な自治体における自治の営みの強化は、地方分権から地方主権へ向かう流れの上からも、当然です。役割と財源の関係を明確化する方向とは、まさにこの流れを加速することでなければならないと私は考えますけれども、区長の基本認識を伺います。
 この項の最後に、区長は議会と一体となって取り組んでまいる所存と述べられていることについて、提案をしたいと思います。
 これまで議会運営協議会等で、助役から適宜この問題について報告がされているようですが、問題が煮詰まってきた段階では、ぜひ区長御自身で議会に来られ、直接語りかけるべきではないかと思います。特段の御理解と御協力を言われるのであれば、ぜひ直接おいでいただいてはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いいたします。
 次に、自主団体やNPO支援について質問をいたします。
 区長は、3年前の就任の施政方針で、「自主団体やNPOなど、区民による公益活動やボランティア活動を地域の中で生かし、そのための新たな条例も制定したい」との意欲的な所信を述べられました。私も大いに期待し、さまざまな提案をしてまいりました。しかし、その後、具体的な活動を推進するための施策については、目立った進展はなかったようにも感じます。特に、今回の施政方針では、「区民の豊かさにつながるような条例の制定に向けて、さらに検討を深めていきたいと考えている」との表現、これは就任当初よりトーンダウンしているとも受け取れます。(仮称)区民の公益活動推進条例の検討の中では、活動しやすい環境整備が示され、市民の団体が継続的、安定的にサービスの提供ができるよう場の整備を行うなどとしています。これまで我が党は、NPOの活動拠点、支援窓口、活動推進室の設置等、あるいは財政支援等の提案をしてまいりました。区は、必要な整備をし、NPO等の活動をしっかりと支援していけるようにしたい、また場の提供は必要であると、前向きな答弁を既に2年以上も前にされております。かなりの時間が経過をしておりますが、その後どのような検討をされてきたのか、お聞かせ願います。
 例えば、場の提供については、答弁もされていますので、条例制定を待たずに、すぐにでも実現できるのではないでしょうか、あわせて伺います。
 区民との協働、公共の担い手としてのNPOを考えますと、早急に施策の展開をしなければならない課題であると思います。具体的なスケジュールをきちんと示すべきだと思いますが、区長のお考えをお聞かせ願いまして、この項の質問を終わります。
 次に、安心・安全施策について、何点か伺います。
 初めに、学校の安全対策について伺います。
 1週間前の2月14日、大阪府寝屋川市の市立小学校で発生した教職員の殺傷事件は、子どもや学校がいつでも危険と隣り合わせになっていることを世間に明らかに知らせるものでございました。今回の事件を教訓に、学校の安全対策が全国で強化され始めました。23区、それぞれの教育委員会においても、子どもの安全・安心策について、さまざまな取り組みを始められました。江東区は、警察官が周辺をパトロールする際、校内や図書館、児童館も巡回してもらうそうです。北区では、4月から、警察官OBと民間の警備会社が専用車を使って学校周辺、公園など24時間体制で、地域安全・安心パトロールを始めます。杉並区では、既に警察官OBによる校内や登下校路の巡回を開始しています。渋谷区では、17年度から、全小学校に警備員を配置するそうでございます。
 中野区は、18日、区内の公立全小・中学校に、護身用に特殊警棒や催涙スプレー、さすまたを3月中に配置することを決めました。中野区教育委員会の素早い対応を評価したいと思います。私は、校内における護身対策とともに、不審者を学校に侵入させないことがより一層大事だと思います。今回の教育委員会の対策に加えて、学校に侵入するのを阻止するために、常駐するスクールガードなどの安全策を実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、昨年4月に、小・中学生に中野区は防犯ブザーを配布されました。より抑止力を強めるために、例えばかばんに「防犯ブサー携帯中」と大きなシールを張るなどの対応をされてはいかがでしょうか。この際、学校、地域の方々、警察官のOBを含めた(仮称)子どもを守るまちづくり計画を策定すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。あわせて、教育委員会のお考えをお聞かせ願います。
 次に、区長等の危機管理について伺います。
 最近、現役機長3人が書いた「機長の危機管理」という本を読みました。緊急マニュアルにない非常事態が発生した場合、機長と副操縦士はどう判断し対処するか、危機管理の様子が述べられています。非常時に、リーダーの判断ミス、対応のおくれなど、危機管理が大惨事を招く例はこれまでも数多くありました。危機管理には、災害で言えば、日ごろの防災に対する危機管理セキュリティマネジメントと、万が一災害が発生した場合の危機管理クラッシュマネジメントに分けられ、双方とも重要な危機管理でございます。首都直下地震対策にかかわる被害想定をした中央防災会議の中間報告でも、木造住宅が密集する中野区は火災が多発するとされています。災害時における中野区の危機管理体制を充実することは極めて重要な課題です。
 区長は、所信表明で「自治体として、常に危機管理を意識し、区民生活を守るための備えをしておくことの重要性を再認識しなければならない。また、区職員が、救命救急講習を受け、危機管理体制の充実を図ります」と、決意を述べています。区長御自身は、万が一のときの危機管理能力を向上させるためにどのような取り組みをされているのでしょうか、伺います。
 また、三役や管理職の危機管理向上についても、あわせてお聞かせを願います。
 京都市では、京都駅や地下鉄の火災などを想定した避難訓練をインターネット経由で市民多数が参加してシミュレーションによる訓練を実施するとお聞きをしています。総務省消防庁でも、一般住民向けに、インターネットで学ぶ「防災・危機管理e‐カレッジ」を開催しています。
 中野区は、昨年から実施した図上訓練は、従来のルーチン方式の防災訓練を変えて、臨場感と危機管理意識を高めるものとして、その効果が期待をされています。私は、情報技術を駆使すれば、さらに多角的、効果的な訓練が可能と考えます。その方法の一つが、危機管理シミュレーション手法でございます。特に、災害発生時の初動体制の危機管理能力を高めることに役立つと言われております。実際に被害が発生した状態に近い訓練ができる危機管理シミュレーションの手法を新たに取り入れてみてはいかがでしょうか。区長のお考えをお聞かせ願います。
 次に、防災ポケットマニュアルの作成を提案申し上げます。
 ふだんから防災意識を高めることと、また活用しやすい資料が手元にあることが大事であると思います。これまで家庭の台所などに張っておくものや、ノート大のものがありますけれども、家の中や机の前で被災するとは限りません。災害時に必要な情報を知るためには、いつでもどこでも見ることのできる携帯版のマニュアルが必要だと思います。ここにございますのは、ある銀行が作成をした緊急時対応ポケットマニュアルと大規模災害ポケットマニュアルでございます。お札よりも少し小さいぐらいの大きさで、非常に薄いものでございます。この大きさですと、いつも手帳に挟んでおけますし、ポケットに入れて所持できます。中野区として、このようないざというときに役立つ防災ポケットマニュアルをつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、携帯電話を活用した災害情報配信が注目をされています。岡山県笠岡市では、住民の携帯電話に災害情報をメールで配信するサービスを2月から始められました。台風、地震、火災の発生や大雨、高潮、暴風などの警報、交通情報、避難所の開設場所などの情報でございます。区民の携帯電話に緊急対応時マニュアルを含めて災害情報を配信するサービスを行って、いざというときも、ふだんの日常生活でも役立つようにしてはいかがでしょうか。ポケットマニュアルにせよ、携帯電話による情報配信にせよ、安価ですぐにでも実施できる施策です。御見解を伺います。
 次に、まちの防犯パトロールについてお伺いをします。
 昨年から実施した区民のボランティアによる防犯パトロール団体の登録は、予想を上回って100を超え、昼夜にわたって、犯罪の抑制のために積極的に地域でパトロールしてくださっています。区長は、「パトロール団体の設立支援や啓発活動を充実する」と施政方針で述べておられます。我がまちを守るパトロール隊の意欲に十分こたえる資機材の支給は適切にされているのでしょうか。現状をお聞かせ願います。
 また、パトロールは夜中になる場合もあります。区は防犯ブザーを支給して、いざというときに対応できるようにされていますが、何か不測の事故が起こることも懸念をされます。保険をかけるなど、さらに安全策をとる必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。
 区民の皆さんのパトロール活動により、区内の犯罪発生件数の動向はどのようになっておりますでしょうか。また、その情報については、パトロール隊や区民に周知すべきではないでしょうか。区民の防犯意識の向上につながると思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、女性の健康支援についてお伺いをします。
 健康な女性を突然襲う更年期障害など、健康に関する不安や悩みを抱えている女性の方が多くいらっしゃいます。また、若い女性の若年性更年期障害も増大をしています。それらの不安や悩みを解決するために、公明党の提案で、全国の公立病院を中心に女性専門外来が設置をされ、女性の専門医が対応をしております。この事業は、予想をはるかに超え、大変に好評でございます。私は、女性専門外来については、東京警察病院に開設をされるように要望しておりますけれども、それに加えて、身近な場所で相談や情報提供していただけるような女性の健康支援窓口が必要と考えています。新たな対応として、早急に設置していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 21世紀は、女性の時代と言われます。中野の女性が健康で明るく元気になれば、中野はもっともっと元気になると思います。区の積極的な取り組みを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 高倉議員の質問にお答えをいたします。
 まず、発達障害児の支援ということであります。
 発達障害児やその家族に対する支援、これについて、支援室のような組織を立ち上げて、区として本格的に取り組まなければならないということであります。
 発達障害児に対する支援は、多分野にわたる幅広い対応が必要となるということであります。一人ひとりの発達障害児に対して、一貫した総合的な支援を実施できるように努めていきたいと考えております。発達支援に関する総合的な支援については、子ども家庭部を中核に、各部が連携した対応の推進を図る特段の体制を構築していきたいというふうに思っております。
 それから、早期発見を目指して、5歳児健診の導入をしてはどうかについてであります。
 幼児の健康診査においては、発達障害に焦点を当てた問診項目の充実でありますとか、保育園や幼稚園からの事前の情報収集などによりまして、早期発見の精度を上げていきたいというふうに考えております。発達相談というものは、個別の健診よりも、集団の中における子どもの行動観察から発見される可能性が高いということでありまして、保育園、幼稚園から紹介された事例が、現在もアポロ園でありますとか、保健福祉センターの発達相談に結びついているところであります。5歳児の場合は、多くが保育園、幼稚園等に在籍をしていることでありまして、そうした施設とか、さまざまな関係機関と発達相談施設との連携を強化することが早期発見、早期支援につながるというふうに考えております。保育園、幼稚園に通っていない在宅児については、保護者に対してさまざまな機会に発達障害についての周知を拡充することなど、関係機関との日常的な接触の機会をふやすということを通じまして、早期の相談に結びつくよう啓発を強化していきたいというふうに考えております。
 それから、発達障害児への担当者の専門性を養成する必要があるということであります。
 現在も、療育センターアポロ園の職員が、年間を通じて、各保育園、幼稚園、学童クラブ等を訪問して、担当者への助言、指導を行いましたり、また保育園職員のアポロ園での実習を含む研修、あるいは専門家を講師として招く研修といったようなことは実施をしているところです。さらに、アポロ園の職員も含めて、これらの研修を充実させるとともに、発達障害の種別に応じた対応マニュアルの整備など、各担当者の発達障害に対する理解と専門性を高めていくことに努めていきたい、こう考えています。
 それから、障害児を抱えた親子体験入園や相談事業を検討するべきだということについてであります。
 区立保育園におきましては、親子体験入園や相談事業を内容といたします子育て教室を実施しているところです。この事業は、障害児を含んで、ゼロから就学前までの地域の乳幼児を対象としているものであります。必要なケースを的確に発見をしまして、アポロ園でありますとか、保健福祉センターで実施している相談事業につなげていくということができていきますように、こうした子育て教室などの事業の充実を図っていきたいというふうに思っています。
 それから、発達障害者支援のための条例を制定して展開を図るべきではないかといったようなことであります。
 発達障害者に対する支援について、区の果たすべき役割は、発達障害者支援法で明確にされたところであります。区としての展開については、まず法の趣旨を踏まえながら対応をしていく考えであります。区として積極的な役割を果たしていかなければならないということは言うまでもないことでありますが、現時点では、条例を制定するという検討までは行ってはおりません。施政方針説明でお話をしたとおり、発達障害児への支援は、区として喫緊の課題というふうに認識をしているところでありまして、支援策を早急に具体化していきたいというふうに考えております。
 それから、発達障害児予算、支援予算など、個別の分野のトータルな予算がわかるように、部をまたがっているそうした課題について、トータルな予算がわかるような予算方式という御提案、また担当している組織と各事業部とが事業契約を結ぶような事業手法といった提案がありました。発達障害支援など、複数の分野にまたがる施策を総合的に推進する場合には、中核となる担当が関連する担当の事業と適切に連携を強化して、また必要な指導を行いながら、総合的に施策を推進するというのが、現在の組織の考え方であります。予算の編成、予算執行、また、その成果、それから評価といったようなことについても、事業部や担当の枠を超えて、横断的、総合的に示し、把握をしていくという取り組みが必要であるというふうに考えております。また、必ずしも契約という言葉を使っているわけではありませんが、発達障害支援を所管する担当と他の担当との間では、明確な成果指標を伴う目標の共有が必要でありまして、そうした考え方、そうした形で事業を推進していきたいというふうに考えております。
 それから、子ども医療費助成制度についてであります。
 小学生の医療費にあっては、特に入院した場合の経済的な負担が重いといった状況にあるというふうに認識をしているところです。そこで、小学生を持つ保護者が、安心して子育てに励むことができるよう、入院医療費の自己負担分を助成するという趣旨で、子ども医療費助成制度を創設いたしました。この制度の拡充については、現時点では考えてはおりませんが、子どもの医療費、子育ての支援といった考え方について、これからも推進をしていきたいということであります。
 それから、後期の妊婦健診費用の助成についてであります。
 妊婦の健康診査については、妊娠23週までの妊娠前期、それから妊娠24週以降の妊娠後期のそれぞれの期間中に各1回ずつ、区が交付をしました受診票により、妊婦は自己負担なしで受診できるというのが現在の制度であります。医療の制度の適用等との兼ね合いもありまして、妊婦健診費用のさらなる助成といったようなことについては、現在は考えておりません。
 それから、出産一時金の支給額の増額ということであります。
 国民健康保険の出産育児一時金については、被保険者の出産にかかわる費用負担を軽減するという趣旨で支給をするものでありまして、費用のすべてを負担するといったようなものではないということが一つあります。また、こうした支給の趣旨や他の保険者の支給状況から見ても、現在の支給額35万円、これは23区が国民健康保険について共通の制度で行っているものでございますが、現在の支給額35万円については、おおむね適正な水準であると考えております。
 出産資金の貸し付けについてであります。
 貸し付けの時期を2カ月前にするなど弾力的にしてはいかがかということでありました。今回、制度化をします出産資金の貸し付けは、入院時の保証金や退院時の支払い等を支援するという趣旨であります。出産予定日の1カ月以前、1カ月前以降を貸付時期と考えているところです。時期の前倒し等については、制度発足後の状況を見きわめた上で判断をしたいというふうに考えております。
 なお、妊娠4カ月以降の早産などに要する費用については、出産予定日の1カ月以内でなくても貸し付けるということで考えております。
 それから、産後ママヘルパー制度ということで、産後支援ヘルパーの派遣について、一律1時間ワンコインといったような考え方はどうかということ、それから、区内の保育園で、子育てリフレッシュ券による一時保育という御提案がありました。
 産後支援ヘルパー事業については、サービスによります受益に見合う負担をしていただく応益負担が基本というふうに考えているところでありますが、経済的事情などで負担能力の低い区民に配慮をして、所得による利用料の差も定めたところであります。
 それから、在宅で乳幼児を育てる保護者の育児による心理的、肉体的な負担を解消して、安心して子育てができるように、リフレッシュなどの理由でも利用できる一時保育事業を区立保育園等で17年度から実施する予定であります。利用に当たっては、必要な人が適時利用できるものというふうに考えているところであります。御提案のありました利用券の配布は、制度の周知と親しみやすさを追求するという考え方だと思いますけれども、制度の使いやすさという点から、今後の利用状況を踏まえながら、そうしたあり方についても検討をしていきたいというふうに考えております。
 それから、東京警察病院における高度救急医療についてであります。
 東京警察病院の移転整備に関しては、2002年の10月に、中野区医師会及び中野区歯科医師会、中野区薬剤師会とともに要望書を提出しまして、その中で、3次救急救命センターの設置を求めているところであります。また、昨年の11月29日にも、区として再度、3次救急医療機能の設置を要望したところであります。今後も東京警察病院との協議を続けるとともに、あわせて東京都にも必要な支援を求めていきたいと考えております。
 それから、都区制度改革についての何点かの御質問であります。
 平成12年度の都区制度改革では、都区間の役割分担に伴う事務配分と財源配分など、都区の合意を完全には見ないまま課題を残してスタートしたところであります。財政調整制度については、この課題を整理して、これに基づいて配分割合の見直しを行うというのが大きな協議事項ということであります。そこで、施政方針説明の際、そのことについての認識を述べさせていただいたところであります。財源配分ついては、大都市地域において、一体的、統一的に取り組む事務については都が担い、その他の事務は特別区が担うということになっておりますけれども、この都が行う大都市事務についてというところが、特に協議が調わなかったというところであります。
 大都市事務とは何かということで、大都市事務とは、大都市の一体性、統一性を確保するという、都が都区制度の中で定められております都の役割を踏まえて都が実施をする事務ということでありまして、地方自治法に基づくものであります。しかし、今回、大都市行政という概念については、後ほどわかってきたことですけれども、政令指定都市の行う事務なども含めて都が独自に打ち出してきた考え方ということでありまして、特別区側といたしましては、必ずしもそのままには受けとめかねているというところであります。特別区としては、あくまでも都は地方自治法の定めにのっとって、府県事務と大都市事務の分担を明確にするべきだというふうに考えているところであります。
 また、都は、政令指定都市の事務でありますとか、区への補助事業など、府県事務の一部を市財源に当たる財調財源をもって充当すべきであるという考え方を今回示してきているところであります。地方自治法上、府県の事務とされているものについては、本来の府県財源で行わなければならないということであります。特別区側といたしましては、本来、市の事務は基本的に特別区が行うべきこと、これを前提として、そのうちの一体性、統一性に着目しながら、都が担うべき事務を厳密に抽出して整理をしていくべきだというふうに考えているところであります。役割と財源の関係を明確化する方向性といたしましても、御質問の中にありましたように、地方主権の方向性で考えられるべきものというふうに認識をしているところであります。
 都区制度改革については、これからの都と区のあり方、関係を今後決めていくことになる重要な課題だと認識をしているところであります。特別区長会も、特別区議長会と一致して取り組むよう、結束を固めているというところであります。各区においても、区長が区議会と一緒に取り組むということが重要という認識に立っているところでありまして、中野においても、一致して取り組んでいただくよう、先ごろもお願いをしたところであります。そうした取り組みに当たって、必要な情報提供、あるいはお願い、意見交換といったようなことについて、私の方からも議会の皆様とぜひ直接させていただきたいというようなことも考えているところであります。
 それから、自主団体、NPO支援についてであります。
 昨年の6月に、NPO等の団体を公共サービスの分野で活用していくということでありますとか、団体活動の環境の整備を行うという考え方を明らかにした市民の行う公共公益活動支援方針を策定したところです。現在、区民の意見を聞きながら、この方針に沿って検討を進めているというところでありまして、条例制定についても現在検討を進めているというところであります。
 区民の行う公益活動に関しては、町会、自治会を初めとする既存の多くの団体の、さまざま先進的で、かつ効果の高い活動も既にあるところでありまして、そうした活動との整合性も慎重に検討をしながら、公益活動全体をどう位置付けていくかということについて、検討を進めているというところであります。
 今年度につきましては、そうした検討中ではありますが、新たにNPOを対象とした実践講座やNPO法人が金融機関から事業資金の融資を受けた場合に、その利息の一部を助成するといった制度なども実施をしてきているところであります。また、庁内におきましては、NPO活動にかかわる情報の把握や調整を行う連絡会を設けるとともに、事業協力や共催、委託など、NPOと連携、協力した取り組みを全庁的に進めているところであります。今年度については、さらに新たに図書館や高齢者会館の運営、学校栄養業務といった業務についてNPOに委託をしたといったようなことも行ったところであります。NPOの活動拠点でありますとか、財政の支援といった支援については、条例検討とあわせながら、10か年計画の中でさらに検討を行い、可能な限り早急に整備をしていきたいと考えているところであります。
 それから、安全・安心に関連して、区長、私でありますとか、三役、あるいは経営トップ層の危機管理能力についての御質問がありました。
 近年、私たちの想像を超える危機や災害が発生する、そうした事態も起きているところであります。私や三役を初めとする管理職が、常に適切な情報のもとに的確な判断と行動がとれるよう能力向上に努めていかなければならないと考えているところであります。御質問の中にもありましたけれども、図上訓練といった発災対応型の新しい訓練を行うとか、また自治体の経営トップを対象とする危機管理のさまざまな研修でありますとか、資料などもあることでありまして、そうした機会をとらえながら能力向上に努めていきたいというふうに考えております。
 それから、危機管理シミュレーションの手法を取り入れた訓練をしてはいかがかということです。
 危機管理シミュレーションは、インターネットを活用した仮想空間での訓練として、多くの人が参加をでき、災害に対する学習効果も高まるといったような意味で意義が大きいというふうに考えております。御紹介のありました危機管理シミュレーションについては、大学と共同研究をしたものというふうに聞いております。今後の実用化など、情報の収集に努めて、活用についても研究をしていきたいというふうに考えております。
 それから、防災ポケットマニュアル、それから携帯電話での情報配信サービスについてであります。
 区では、各避難場所及び広域避難場所などを明示した防災地図でありますとか、家具の転倒防止策などの災害対策情報を掲載した啓発資料を配布をして、区民の防災意識の向上に努めているところであります。ポケットマニュアルを区民が常に持っているというのは大切なことと考えております。マニュアルがあればいいということではなくて、よりコンパクトなサイズで、また必要な情報が的確に得られるということが望ましいと考えております。マニュアルの作成につきまして、地域防災会など区民の声を聞きながら十分に検討をしていきたいというふうに考えております。
 また、携帯電話のメール機能を活用いたしまして、区の幹部職員や区議会議員の皆様、また防災関係機関の職員などを対象といたしまして、災害情報の伝達、また安否確認などの情報を収集するといったシステムの導入を来年度から予定をしていきたいと考えております。広く区民に対する携帯電話を活用した災害情報の提供については、来年度導入をいたしますそのシステムの利用状況でありますとか、効果、使い勝手といったようなことを見ながら考えていきたいというふうに考えております。
 私からは以上であります。
  〔教育委員会事務局次長金野晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野晃) 学校の安全対策についての御質問にお答えいたします。
 今回の寝屋川市の市立小学校で発生した事件にかんがみまして、当面の緊急対策として、護身用具の配備などを行うことといたしました。学校の安全についていろいろ御提案をいただきましたが、本来的には、不審者ができるだけ学校に侵入できないようにする対策が必要と考えております。現在、不審者への対応及び安全確保マニュアルなどの点検を行っているところでございます。このマニュアルの点検をもとにいたしまして、今後、学校やPTA、また警察と協議いたしまして、区長部局とも連携をとりながら、できるものから順次取り組んでいきたいというように考えております。
    〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 私からは、安全・安心施策の御質問のうち、防犯パトロール活動についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。
 まず、防犯パトロールの資機材の支給についてですが、当初の予算の予想を大幅に上回りまして、100を超える団体から支給の申請がありました。区では、予算の流用措置を講ずるなどして対応しております。今後もパトロール隊の皆さんのまちを守ろうという意欲にこたえられるよう、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、パトロール隊の方々への保険の適用や安全対策についてのお尋ねでございます。
 パトロール団体に対しましては、比較的安い掛金で加入できる保険をパトロール団体用のマニュアルで紹介をしておるところでございます。区がパトロール隊の皆さんに保険をかけることにつきましては、ボランティアなど他の区民活動にもかかわることでもありますので、今後の事業展開における課題といたしまして、多数の構成員でのこのような活動に対する新たな保険商品の開発の動向なども見ながら検討をさせていただきたいと存じます。
 安全対策につきましては、警察署に対しましても、区内の犯罪情報のパトロール隊の皆さんへの提供ですとか、特別な犯罪情報が入った場合の警察によるパトロール強化などを要請するなどに努めてまいります。
 それから、犯罪の発生件数の動向とその周知についてのお尋ねでございますが、区内での犯罪発生件数の状況は、多くのパトロール隊の皆さんが活動を始めました平成16年度下半期7月から12月までの半年間では、3,000余件となっております。1年前の平成15年の下半期の3,650余件と比べますと、約650件ほど減少しております。これは近隣区での取り組みとも相まっているとは思いますが、中野区で新たに発足いたしました防犯パトロール団体の皆さんの御尽力が大きく貢献しているものと受けとめております。区といたしましては、警察署から、町丁別の犯罪発生件数などを含め、データをもらいまして、現在集計をしておりますが、今後のパトロール活動の参考となるように情報提供するとともに、地域の方々の活動の成果のあらわれとして、区報やホームページなどにも広く周知していきたいと考えております。
    〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 女性の健康支援の政策充実へ、区の取り組みに関する御質問につきましてお答えいたします。
 現在でも各保健福祉センターでは、随時、保健師等の専門職員が対応する健康相談を実施しておるところでございます。また、更年期の年齢の女性を対象にした骨密度相談では、栄養、運動指導等のほか、個別相談も行っているところでございます。今後は、更年期障害で悩んでいる女性に焦点を当てたPR、働きかけ等や女性専用の相談日を設けるなど、気軽に相談できる窓口対応を進めてまいりたいと考えております。
      〔高倉良生議員登壇〕
○14番(高倉良生) 今、御答弁をいただきましたけれども、何点か再質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、発達障害支援につきましては、新たな取り組みが大変必要だということ、区長さんの御認識をいただきまして、非常に前向きなさまざまな答弁をいただいたことは、大変評価をさせていただきたいと思います。その中で、これからの体制として、子ども家庭部を中心に各部が連携をしていく体制をとっていくと、こういうお答えがありました。私の方から、まさに、各部にまたがるようなこれからの取り組みが必要な支援策としては、具体的な組織、例えば支援室のようなものが必要である、こういったことを質問いたしたわけですけれども、子ども家庭部を中心にというところが、御答弁ではいま一歩、ちょっとどういうふうなことが具体的に考えられているのかということがよくのみ込めない感じがいたしました。子ども家庭部の中に、発達障害の支援を担当する部署をつくるのか、こういうことなんでしょうか。そのことをもう一度改めてお伺いをしておきたいと思います。
 それから、NPOや自主団体の支援のところで、これからの活動拠点とか財政支援は、10か年の中で可能な限り早急に整備をする、こういう御答弁がありましたけれども、条例制定ともあわせてお考えになっているのかもわかりませんけれども、活動の拠点等々は、条例の支援を待たずにもどんどん進めていってもよろしいんではないかというふうに私も考えておりまして、可能な限り早急にということですけれども、具体的に、いつごろ、どこでとか、こういったことも、既にお考えであればお伺いをしたいと思います。
 もう1点、防災のポケットマニュアルの件でございますけれども、今後、地域防災会議とも協議して、十分検討していきたい、こういうことですが、先ほど私、見せましたように、非常にコンパクトなもので、そんなに時間をかけてつくるような、そういったものでもありませんし、今すぐにでも対応できるようなものとして御提案をさせていただきました。まさに、震災がいつ来るかわからない、こういった点において、すぐにできることは、すぐにしていただきたい、こういうような思いで御提案をさせていただきましたけれども、ぜひ新年度、早急につくり上げるぐらいの、そういう御決意をぜひいただきたいと思いますけれども、その点をお伺いしたいと思います。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。
 発達障害に対する庁内体制ということでありますけれども、子ども家庭部の中に、発達障害を担当する部署というものをきちんと位置付けて、対応していくということであります。
 それから、NPOの活動場所についてでありますけれども、ある程度まとまった場所、施設を利用してということになり、かつ、施設を確保するということになりますと、施設全体の配置の見直しとの関連も出てくるといったようなことから、なかなか直ちには取り組みかねているというのが実情であります。そうした全体の施設の見直しといったような動向もありますけれども、そうした動向を踏まえながら、対応できる対応はできるだけ早くはしていきたいというふうに考えているところであります。
 それから、防災ポケットマニュアルでありますけれども、これも区としていいものをつくって配布するということは、それがもちろんいいわけでありますけれども、やはり防災会、あるいは地域の側で、配られたものに対して、自分たちの御要望と違うということになると、またこれも、何というか、お互いにうまくいかない部分も出てまいりますので、ある程度、防災関係機関との調整といったようなことも踏まえながら対応をさせていただきたいというふうに思っているところであります。
 以上であります。
○議長(山崎芳夫) 以上で高倉良生議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 篠   国 昭
 1 中野区の行政理念について
  (1)基本構想
  (2)自治基本条例
  (3)少子化対策
 2 財政問題について
 3 教育問題について
 4 中野駅周辺まちづくり計画案について
 5 その他

○議長(山崎芳夫) 次に、篠国昭議員。
      〔篠国昭議員登壇〕
○33番(篠国昭) 第1回定例会に当たり、自由民主党・民社クラブを代表して質問させていただきます。
 中野区の行政理念についてでは、1番目に基本構想、2番目に自治基本条例について、3番目に少子化対策について触れさせていただきます。
 続いて、財政問題について、中野駅周辺まちづくり案について、最後に教育問題について質問させていただきます。
 最初に、それぞれについて、質問の内容の概略を申し上げます。
 まず、基本構想については、3点質問いたします。
 1番目は、10か年計画を策定したからといって、行政の柔軟性が損なわれるようなことがあってはならないわけです。すなわち政策提案や政策選択の幅が狭められたり、区政運営に関し、議会の関与が薄れるということがあってはならないということについてであります。
 二つ目は、新しい基本構想の理念や将来像に記述されている内容を、生活の中における具体的な行動規範とするために条例を設けてはいかがかということについてであります。子育てに関する家庭の役割などを規定する子ども育成条例の制定をかねてより提案してまいりましたが、新しい基本構想策定を契機に、具体的に検討されるお考えはないでしょうか、お尋ねいたします。
 三つ目に、新しい基本構想では、区民を幅広くとらえており、そこには、区内で働く人、あるいは外国人も含まれているように思われます。しかし、参政権など、国籍による制限は当然あるわけですし、先月には、東京都の管理職試験をめぐって、地方公務員の登用と国籍について、最高裁判所は初めての判断を示されたところであります。中野区では、国籍にかかわらず、すべての区民を同一にとらえようとしていらっしゃるのか、お伺いいたします。
 また、基本理念には、地球市民といった言葉もありますが、100%リベラルといった言葉同様に、環境問題では、国民に認知されても、全分野を合わせ含む上で、やはりキャッチフレーズにも出てくる言葉の範疇に入ってしまうように思われます。中野区の憲法とも位置付けられる基本構想の中に書き込むのは心配されます。区民の概念を広げ過ぎてしまい、国民主権という考え方から大きく離れてしまう懸念があります。
 さらに、地域センターに関連して、2点お伺いいたします。
 地域センターへの職員配置をとめようとしていることに関してであります。
 地域の区長室として、地域に定着している流れを一気に変えるのは慎重でなくてはならないと思います。地域の声を吸い上げ、地域に協力を求める場合でも、しっかり機能してきたわけであり、見事に腰の据わった流れが長年蓄積されてきたところです。3,000人から2,000人へと、人員削減の方針は、他の部署を中心になさるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 二つ目は、地域センターを区民活動センターに移行し、民間団体に運営を委託しようとしておりますが、公平、公正な運営を行う適切な団体を本当に選定できるのか。特定目的を持った団体に利用されるおそれをチェックする体制を構築できるのか、お伺いいたします。
 自治基本条例については、全体を通して、直接民主主義に近づけようとする意図が色濃く感じられるわけですが、間接民主主義の制度の中で、区長や区議会はサイレントマジョリティ、いわゆる声なき多数の心をも思いはかって、区全体のことを考えながら、区政を進めております。御見解をお伺いします。
 次に、地域協定や共同提案は、声の大きい一部の人々の声が、あたかも地域全体の考えのように扱われる危険性をはらんでいます。陳情であれば、議会のチェックも可能ですが、自治基本条例の仕組みでは、議会の関与が全くできないまま区が登録できてしまうことになり、非常に問題であると思われます。一つ例を挙げれば、「上鷺二丁目集会室を葬祭にも使う」といった案件でも、中野区議会は長時間の議論を重ねたことがあったわけであります。現在、議会でも、陳情の取り扱いについて、山崎議長を中心に慎重な議論を重ねてきたところでありますが、検討委員会においては、時間切れ、次期申し送り事項に入ってしまいました。このような時期に、新たな仕組みを提案してくることは、議会軽視とも言えると思いますが、いかがでしょうか。
 地域協定については、区は善意の取り組みだけを想定しているように思われます。中には、特定の人々の利益のみを追求したものが提案されないとも限らないわけです。事実、この地区を戦争が起きても一切協力しない地域とするといった運動も23区に現実あるわけですし、チェック体系が見えません。区は、区民全体の利益との調整をどのようになさろうとしているのか、お伺いします。
 また、地域設定も非常に難しいと考えますが、どのように定義していらっしゃるのか、お伺いします。
 長く続いた教育委員のいわゆる準公選制度の廃止後、これは13年続いたでしょうか、平成6年1月31日、廃止条例が可決されたわけですが、その後、準公選廃止後の参加の仕組みに取り組んだ実績が中野区でもあるわけです。当時、全分野に、参加の仕組みという御意見を公明党の大泉先生からでしたか、御発言がありましたが、まず教育行政の分野で、全分野というのは大変難しい、壮大な計画ですよというのが、当時、兼子教授の御見解だったように思います。その他数点について、後ほどお伺いします。
 少子化については、平成17年3月までに策定を目指す次世代育成支援行動計画の案は、相変わらず働く女性の支援という考えが色濃く出過ぎています。もっと子どものことを中心に考えていくべきでないかという視点で質問を展開させていただきます。
 財政問題については、平成17年度は、行財政5カ年計画の最終年度に当たるわけで、この5カ年計画で目標とした再建策の主なポイントは、小さな政府を目指して、5年間で500人の職員を削減したい、二つ目は、施策、事業の徹底した見直しによる事業費の抑制を図りたい、三つ目として、民間活力の活用による事業経費の抑制とサービスの拡大を図りたいといったものでした。また、税、国保などの収納対策の強化及び未収金の収納対策による歳入確保であったと思われます。平成16年度から導入した事業部制により、施策の新設、拡充が目立ちますが、財政再建とのバランスが崩れてきているように思われます。この点を中心に質問させていただきます。
 財政問題に引き続いて、中野駅周辺まちづくり案について、財源確保に触れて質問をさせていただきます。
 大きな問題として、教育問題についてでは、教育のビジョンについて。教科書採択について、特に歴史教科書には、教育委員会の姿勢を明確にしていく重要性について。三つ目として、男女平等について。ここでは男女平等の解釈について、東京都は、教育委員会の姿勢を明確にし、東京都が展開しようとしている施策の方向性と男女混合名簿の意図するものは合致しないというお達しを出されたわけでございますが、男女共同参画基本計画行動プランの実施状況等を、我々は議会で言う機会があるんですが、情報公開、教科書問題といいましても、どういうものを学校で勉強してきてるのか、本当にそうなのかといったものを地域の方々が検証する場所、情報公開のしっかりとした体制というのを築くべきだと、このように思っております。あと、放課後の対応について。国語能力の育成について。
 以上5点について詳しく質問させていただきます。
 最後に、その他の項で、都区制度改革問題についてを中心に質問させていただきます。
 その他の項を先に何点か御質問させていただきます。
 財調の関係から、主要5課題に触れて、高倉議員も質問を展開されましたが、東京都は、今回大都市行政という新しい概念を打ち出し、その中で大都市事務の範囲を示してまいったわけですが、平成12年財調の際、区側の需要のみを積み上げ、最終的に48%、52%という配分割合を政治決着により決着をつけた、解決したわけです。当時残された問題が、いわゆる主要5課題と言われるものです。これは、議会も、議長会等で相当激しい議論を展開しているということを伺っております。
 大都市事務の考えが出されましたが、府県事務まで含む内容で、法の趣旨に合致していないものばかりとは言いませんが、大変目につくわけです。都区間の溝は深まるばかりの様相でございます。区が整備した清掃工場の償還費、老朽化した小学校の改築経費、さらに区が行う都市計画事業の財源となる都市計画交付金等の問題についても、区側には切実かつ具体的需要があるにもかかわらず、都の対応は前向きであると言えません。ゼロ回答と同じように思えます。平成18年度財調協議に臨む中野区長としての具体的な基本的な姿勢、決意は、施政方針説明で示されましたが、さらに詳しく御決意をお示しになるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 二つ目に、清掃問題の中で、清掃従事職員、中野区で約200人は、現在、都の派遣という身分で、毎月3万7,900円の調整額が支払われておるところです。これが期末手当や退職金、それに年金にも基礎額として加算されているわけで、区側は、平成18年4月より区の職員になるに当たって、この調整額には一切応じられないという強い主張をしてきたわけですが、今回、労組側との間で決着した新給与体系の中では、きちっと実をとってこられたのか、お伺いいたします。
 公表していないことの一つに、議会に公表していないと私は思っておりますが、5年間の経過措置として、調整額の40%である1万5,000円掛ける5分の1という形で、5年間の緩衝期間、こういった細目をなぜ区議会に情報として御提示なさらないのか。議会と一体になって真剣に取り組んでまいりますとおっしゃっていられるわけですので、あらゆる情報を議会に提供していただきたいと強く求めます。
 中野区の清掃従事職員は、現在約200人、正確にはもう少し少ないと思われますが。来年度は補充しないと明言されておられます。今後はどのようになさるか、方向性をお示しいただきたいと思います。
 個別収集などの新しい仕事をつくることで、清掃従事職員を残そうとされていますが、こうしたことは民の力でやるべきであると思います。さらに、ごみゼロ作戦についても、区民の御協力で、清掃従事職員を徐々に削減する方向が示されてしかるべきだと思います。清掃事業に関する23区の歩調という縛りがあって、困難なのか、お伺いします。
 その他の四つ目で、上鷺地区の交通不便解消のために、中野区が御決断されたバス路線、開始されることになったことは、地元でも大いに歓迎されているところですが、上鷺地区と言わず、団地等区内全域で核家族化の流れの中で、お年寄りばかりの家族が大分ふえてきております。こうした高齢者の足の確保のために、現在、区内を巡回している障害者の送迎用バスを利用できるよう研究なさっていらっしゃるのかどうか。ちなみに、練馬区では、平成17年度から事業化すると伺っております。
 各項ごとに見解を申し述べながら、質問をさせていただきます。
 基本構想についてから始めますが、せっかく区長が大切にしている言葉ですので、申し訳ないのですが、自己決定、自己責任という言葉も、繰り返し唱えることで、信念をあらわす言葉であるにもかかわらず、悪い解釈でひとり歩きする事例も出てきているように思えます。例えば、援助交際なんかがそうだと思います。だめなものはだめとの抑えには決してなっていません。自己決定を権利に、自己責任を義務に置きかえると、義務をしっかり定着させる言葉になっていないわけです。学校教育においても、権利主張に重きが置かれているのが現状です。人の道を説くことを通して、人格形成の基礎をつくる目的の学校現場が、ミスリードされているように思えてなりません。
 近代日本史上、子弟に最大の薫習を残した教師である吉田松陰の教育哲学を一言で言えば、人間とは、私をなくして公のために尽くすことである点に尽きると言われておりますが、この吉田松陰の松下村塾は、1年間だけ塾が開かれたのだそうです。馬小屋とも、あるいは物置き小屋とも言われるほどの8畳間ぐらいに、1年間に70人の生徒を教えたと言われています。我々は、教育環境に莫大なお金をつくることに夢中ですが、やはり内容を問われる、そういった認識が今後は必要になってくるように思っております。区長も、我々議員も含めて、区役所は、中野区一のサービス体を目指すというようなことに夢中になっているわけですが、そのことがますます区民はしてもらって当たり前という権利主張の流れを加速させているのは事実です。今回の基本構想の審議を通して、どのようにしたら、子どもを健全育成できるかということも、区長も、そして議会も、区民も必死になって構築してきたわけですし、基本構想の中に書き上げて、つくり上げてしまいますと、「区からそんなことを言われたくないよ」という流れをつくることが多分に考えられます。大切なこの時期ですので、それの形だけで終わらせない意味でも、子ども育成条例という形で立ち上げるべきだと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
 大変専門的な問題では、国籍条項があると思います。現在、公明党が単独に提案されております永住外国人に対する地方参政権付与法案については、読売新聞の社説を御紹介いたしますが、1995年の最高裁判所判決は、「憲法15条の公務員を選定・罷免する権利は、日本国籍を持つ日本国民にある」と明示しています。憲法93条の地方公共団体の首長、議員を選出する住民も、日本国民でなくてはなりません。地方自治法の規定も同様です。公明党が、地方参政権付与の根拠とするのは、判決のいわゆる本論と傍論、傍らの論というのがあるわけですが、傍論と言われるところで、「永住外国人への参政権付与は、憲法上禁止されておらず、国の立法政策にかかわる問題」とした、この見解の部分です。本論と明らかに矛盾するわけです。法的拘束力を持たない傍論に基づいて、地方参政権付与を主張するのは、法律を無視するものです。国の姿をゆがめるおそれのある法案は、本来自主的に取り下げるのが筋です。これは、私の見解ではございませんよ。これは昨年11月17日の読売新聞の社説でございます。
 今回、外国人が、東京都の管理職になれるか否か問われる訴訟で、最高裁は、「国と地方公共団体の統治のあり方については、国民が最終的に責任を負う」としましたが、主権国家として当然です。公務員は当然、国家に対する忠誠義務を負っており、高知県や川崎市などでは、いわゆる多くの一般公務員についても、国籍条項を廃止し、外国人に広く門戸を開いております。今回の最高裁判所の判決を機に、早急に国籍条項廃止措置を見直す流れになってきたと言えます。中野区においても最高裁判所の判断の流れは誠実に守られなくてはならないわけです。
 自治基本条例については、さらに3点ほどお伺いいたします。
 区民の参政権や行政運営の基本については法律で定められているわけで、なぜ改めて自治基本条例をつくる必要があるのかをお伺いします。
 二つ目には、自治基本条例の第1に、「自らの意思と合意」、「共通する幸福と豊かさ」とありますが、これを具体的に定義することは非常に難しいのではないでしょうか。
 3番目には、区民が施策等の企画立案、検討実施、評価、見直しのすべての過程に参加するということになっていますが、守秘義務など、法律により厳しい義務を課せられた公務員と同じように、一般の区民が区政のすべての情報に接することができるかのように解されるおそれがあります。問題はないでしょうか、お伺いいたします。
 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 長崎県佐世保市の女児殺害事件に対する家裁支部の処分決定要旨について、平成16年9月17日付の朝日新聞社説は、「子育てに鳴らす警鐘」と題して、「子育てのあり方を改めて考えさせられる」、「子どもにとって自分を理解してくれるよりどころは、まず親であり、家庭である」と述べております。同日付の東京新聞社説は、「見えてきた大人の責任」と題して、「大人たちすべてが決定文を熟読し、子どもを守り育てる新たな心構えを固めたい」と力説されています。産経新聞も、「親に反省促す家裁の決定」と題し、親の意識改革の必要性を訴えております。
 しかし、見落としてならないのは、この部分以上に、「加害女児は、幼児期より甘えることがなく、母子の愛着関係を基盤とする基本的信頼感が欠如しているために、共感性が乏しく、事件の重大性や悲しみをいまだに実感できない」とする、この部分の方であると思います。
 デンマークで、1980年代、25年ほど前に、女性の就労率が80%を超え、子どもの問題行動の頻発という関連で、プロジェクトを組み、家族責任という新しい理念を登場させました。これがEUに非常に大きな影響を与えたと言われているものです。甘えの重要性を正面からとらえて、主婦の仕事の本質は、「そこにいること」という流れをつくり出したわけです。現在の日本の労働者としての親を支援するという流れから、同じ流れから、教育者としての親を支援するというところに、最大の眼目をつくったわけです。
 オランダの1996年の労働法の改正で、ダッチミラクル、オランダの奇跡と言われる子育て環境の実現、デンマークでは、午後5時、スウェーデンでも、6時以降は保育所にはだれもいないという流れをつくった子育て理念です。ちなみに、大沢まり東大教授とともに、男女共同参画社会の理論的バックボーンになったお一人である上野千鶴子東大教授は、最近の講演録の中で、育児はもはや家族の責任ではないと言い切っておられます。
 国が推進する待機児童ゼロ作戦、保育サービスの充実策が、新たな保育ニーズを喚起し、ゼロから2歳の子育ての外注化が急速に進み、親の責任意識を希薄化させている現実は目を離すわけにはいきません。親心の崩壊を招いていると言われるものです。親学といったものを学ぶ機会を中野区でも前向きにとらえておられる姿は評価しますが、さらにふやすべきだと思いますが、いかがでございますか。
 また、ゼロ歳児保育では、1人当たり毎月40から50万かかるわけで、江戸川区は、とても区の財政はもたないと違うシステムを構築させたことは、ここの席でも御紹介したことがありますが、より家庭的な雰囲気の中で保育ができる別の取り組みを工夫しているわけです。中野区においても、何らかの工夫があってしかるべきだと思いますが、いかがでございますか。
 また、次世代育成支援行動計画の案には、新規拡充事業が多数並んでいますが、区の財政力を常に頭に入れて進めるべきであると思います。
 世田谷区の教育委員会が発案したと言われる学童保育だけでなく、区が直接、積極的に関与していきますと、待機児童とかという流れが必ずできるんですが、1年生から6年生まで、専業主婦のお子さんも預かる学校開放、このシステムが近所のネットワークを見事に充実させ、人材として、若者、高齢者も巻き込んだ地域の人材が集まってきているということです。子ども1人当たりのコストも、区主導のときに比べ、30分の1ぐらいになり、放課後児童健全育成事業として評価されているところです。母親同士の交流の場にもなっていると伺っております。世田谷区全小学校64あるそうですが、展開される、この互助と自助のプログラムをぜひ参考に、中野区でも工夫を常に考え実施するべきだと思っておりますが、いかがですか。
 次に、昨年は、児童の権利条約の批准から10年たって、子どもを大人と同じ権利主体であるとする解釈の余地があるこの条例に、いよいよ限界が見えてきたといった感があります。そのためか、これまで子どもの権利主張を展開してまいりました朝日新聞までが、昨年5月5日付の社説では、「子どもが保護を必要とし、学ぶことを保障されるのは、未熟だからにほかならない。子どもを守り、きちっと育てるために、大人との境界をもう一度はっきりさせる必要がある」、「大人は子どもをしかることを避けていないだろうか」、「言葉遣いや服装、あいさつの乱れを見過ごしていないだろうか。マナーを教えることは、まず家庭の仕事だ」と、大人と子どもははっきり違うことを強調し始めていただけたんですが、権利主張のわがまま路線から、教育とは教えははぐくむ原点に戻るべきだという主張でございますが、だったら、この10年間、朝日の言ってきたことは一体何だったんだろうと思うとともに、この種の変節は大いに歓迎したいと思っております。幼児期はともかく、悪い意味で展開される子ども中心主義のゆとり教育も、全面見直しの流れの中にあるわけですが、次世代育成支援行動計画の案には、「子どもの権利条約を踏まえて」とあり、また45ページでしたか、事業展開もしっかりされておりますが、私は考え直すべきだと思いますが、いかがですか。
 言葉の乱れ、態度の悪いということで、私はできるだけ漫画家で随筆を書かれるさかもと未明さんという方の文に目を通しているんですが、その中に、「びっくりした」という言葉の部分で、銭湯近くの書店で、レジの支払いをもたついている母親に18歳ぐらいの娘が、「早くしろよ、ばばあ」と。それから、銭湯の脱衣所で、10歳ぐらいの女の子が、「だからきょうまでに買えって言っただろうがよ、使えねえな」と、こういう部分が出ております。子どもというのは、若いときには親の言うことなど聞きやしないというのは、いつの世もなんだそうでございますが、いつの時代でも、正しいと思う態度を親が貫くことは、難しい場合が多いのですが、母親によっては、子どもに手を上げ、涙を流しながら子どもの間違いを正そうとするものもいるのは事実です。「子育てにおいて、親が残せるのは、財産でも学歴でもなく、子どもが人生でつまずき、地に伏したとき、立ち上がるよすがとして探すであろう小さな芽の種をまいてやることなのだろう」、こういう文を書かれておりまして、最後に、「私には子どもがいないから、一行でも読んでもらえる文を書きたい」と結んでおられましたが、やはり子どもたちの現場は大変荒れているということでございます。
 次に、財政問題並びに中野駅周辺まちづくり案について御質問させていただきます。
 国民健康保険料について、平成16年度は、一般会計から繰入金が当初予算で38億円を計上いたしておりましたが、最終補正では17億円を追加し、55億円にもなっております。これは一般財源の7%を超えており、一般財源に与える影響が大き過ぎます。こういった問題は、事業部制という一組織で対応は可能な領域を越しているように思われますが、いかがでしょうか。
 施策、事業の見直しの徹底についても、事業部制で可能なのか、お伺いするとともに、健全な財政運営の視点から、施策全体を把握し、見直すことが可能な条件を持った責任のある部署を構築することが必要であると思いますが、いかがでしょうか。
 現在、責任を持って対応しているのは、区長以外考えられませんが、責任を持って対応可能な条件とは、すべての情報が集まってくる組織のことです。区政全体の目標実現に向かって、財政面から厳しくチェックできる組織をつくるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 今、事業部制というものが、サービスの構築だけに目が向かう組織になって流れていないか、心配されるところです。
 次に、基本構想を立ち上げて、10か年計画を策定する場合、財政的な裏付けがなければ何も実現できないわけですが、今回の計画では、学校の再編を含め、区全域に広がる壮大な改編改革を目指されています。10か年計画が総体として、一般財源ベースでどのぐらいの事業費が必要とお考えになっておられるか。中野区の実力からして、今後10年間に必要な財源をどれくらい基金などで用意できるのか、お伺いいたします。
 私としては、総事業費1,000億円は下らないだろう。基金への組み立て可能額はせいぜい200億円ぐらいではないかと思っています。この差、800億円について、どのような方法で確保されようとなさっているのか、お伺いいたします。
 確保が難しいとなれば、これから策定する10か年計画の規模、内容、手順、期間を相当慎重に考えないと、中野区は破綻してしまうのではないかという見解でございますが、いかがでしょうか。
 次に、中野駅周辺整備にかかわるいわゆる公共用地及びサンプラザ、区役所を取り囲む一帯について、10年、20年後までに、具体的にどれぐらいの事業費がかかると考えられて案を出されたか、現時点での区の推計をお示しいただきたいと思います。
 また、この一帯は、公共公益地区でございますが、新しい区役所、清掃事務所、清掃車の車庫、防災総合センターが含まれています。現在、これはあくまで仮の清掃車庫のある土地、これは約50億円ぐらいでしょうか、平成17年度、来年度が最終年次に当たる土地開発公社の経営健全化計画には含むことができませんでした。この残った中野駅北口広場整備用地としての土地は、いわゆる起債の対象とならないわけです。すべて一般財源で引き取ることになりますが、区としては、いつ、何の目的で引き取ろうとなさっておられるのか。あるいは現時点では無理とお考えになっていられるのか。もし無理とお考えであるならば、今後どう処理されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
 また、この土地は、昭和37年、地下駐車場として都市計画決定を受けておりますが、都市計画の変更を予定されておられるのか、お伺いいたします。
 教育問題で、何点か、お伺いしたいと思います。
 教育ビジョンについての、次の教科書採択については、教育委員会には、採択に関する要綱というのがあるんですが、いわゆる23区の中で、墨田区でしたか、荒川区でしたか、中野区と二つだけが、下から上がってきたものを強烈にチェックにかけるシステムを構築していないという指摘をされておると言われておりますが、なかなか本当にそうかどうかをチェックするのは、これまた難しいわけで、採択に関する要綱を変更するつもりがあるのか、ないのか。いずれにしろ、要綱の変更を問わず、採択の状況を区民にしっかりと説明しておくことが求められると思いますが、いかがでしょうか。
 来年度の教科書採択については、また歴史教科書が焦点になると思います。歴史教科書が焦点となるというのは、やはりマスコミが腰を据えて、それぞれの社の見解を展開するところと必ず一致するわけで、例えば記憶に新しいのは、4年前の栃木県の下都賀郡採択地区が、正規の手続に基づいて扶桑社の中学校歴史教科書を採択したわけですが、朝日新聞などの全国版で報道し、それを合図に、10の市町に2万件の抗議電話、ファクスが殺到し、何と決定が覆されてしまったというほどの事件があったんです、記憶に新しいところですが。
 今回の扶桑社の、あるいは新しい歴史教科書をつくる会の前副会長であられた高橋史朗明星大学教授、これが上田清司知事の人選で選ばれる流れになったんですが、上田清司県知事というのは、代議士の時は民主党だったと思いますが、このときも地元で大変な中傷のビラがまかれたという現実を我々は、平成16年12月に体験しているわけです。その状況というのは、我々もできるだけ目を通すようにしていましたが、今回ほど大きい問題ならなかったんですが、上田知事の特別秘書の野本氏という方が、知事にかわって面会した市民グループの代表に加わっていた弁護士たちが、「もし法律に違反することをしたらどうするか」ということを繰り返し質問をされたそうです。「もし法律に違反することをしたらどうするか」というのは、ひとり歩きしちゃう可能性もあるわけです。「法律に違反することは当然やるべきではない」、当たり前にお答え申し上げたところ、でき上がった記事は、「高橋史朗氏は、教科書の監修者である以上、教科書の裁定に関与させるわけにはいかないというのが知事のお考えです。外すということです」という記事にして、朝日新聞を中心に全国に発表されたと言われております。
 いわゆる中野区でも、PTA会長の問題で、議会でも問題にしたことのあるときの記者さんでございましたかね、今回の問題についても彼だということですが、やはり大変、先に結論ありきの流れを、「じゃ、扶桑社の歴史教科書を読んだんですか」と言うと、「読んだことはございません」という流れなんだそうですが。いずれにしましても、区民に対する情報の開示というのは物すごい大切なわけで、我々も、地域が学校を育てる仕組みの構築を必死に考えているわけで、では、自虐史観というのはイギリスになかったかと言えば、やはり40年ほど前は大変あったんだと。例えば、どの文化もすばらしい、イギリスの白人文化だけが人種差別だという教科書の内容なんだそうで、イギリスの地図を全部どくろで塗りつぶした地図も堂々と教科書として採択されていた。サッチャーさんが考えたのは、これはいわゆる偏向教育を是正するというのは、システムを構築しなきゃいけないという流れをつくって、情報公開の徹底ということをされたわけです。保護者に向かって情報公開を徹底する。日本では到底考えられないシステム、教育水準局の厳しいチェックとか、あるいは情報公開にかかわる、最悪の場合、学校理事会の構成メンバーである保護者が抗議を行い、その教師を解雇する仕組みというところまでいっているんだそうで、この情報公開というのは、何とも徹底しているということなんだそうですが、現在のブレアさんもやはり、親の怠慢で不登校を続けている場合、その親に対して地方裁判所に訴えるというシステムで、最悪、禁固刑までというシステムを、これは親の教育権を保障する一方で、義務と責任をしっかりとバランスをとったということなんでしょうが、条文の中にあるのは、偏ったことはいけませんという文だけなんだそうです。
 いずれにしろ、我々は教育現場から目を離すわけにはいかないんですが、情報公開というのは、議員が区議会でやる以外に伝わってこないという形じゃない流れをやはり学校も学校評議員制度等で必死に構築していますが、まだまだ状況を知らないままでチェックをお願いする、推測だけで地域の学校評価ができ上がる。現在では、70%しか区立の中学に行かないといったような地域もあると伺っております。やはりこんなに一生懸命やっています、こんな教科書を使っています、あらゆるものをそのまま地域に隠さず見せて、地域の信頼をかち取る。間違った情報で、公立というお金のかからない流れを現在、完全に見切りをつけられ、私立へと流れていく。このことによって、教育の機会均等である、お金のある人でないと立派な教育が受けられないというような流れをつくることが一番危険なことであると私は思っておりますが、我々は現在、学校の再編成で夢中でございますが、本当のところは、本当に信頼される学校という意味で、どのぐらい情報を常に開示することができるかというところをしっかりと構築すべきだと思います。
 男女共同参画基本法という流れの中で、教科書について言えば、カップルとかパートナーとか、夫婦の表現をして、男性と女性が縁をいただいて、命を育んでいくような結婚の基本形態は教えているとは決して言えない流れになっていますが、やはり結婚や家族というのは個人を抑圧する、対立する悪者であるというような内容で苦しんだのは、イギリスもそうだったと伺っております。やはりそれには、こういう教科書で本当にいい子を育てたいんですと、いつでもわかるシステムの構築を強く求めるところです。
 国語力の育成についてにも触れますが、読書指導や音読指導など、国語力の向上に向けての中野区のそれぞれの学校の取り組みは評価いたしますが、全区的に、最後に物を言うのは国語力とも言われることに目を離さない施策展開を強く希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 篠議員の御質問にお答えをいたします。
 御質問いただいた順でお答えをするつもりでございますが、多少、順に違いがございましたら、御容赦いただきたいと思います。
 まず、都区財調の関係で、残された課題、それをどう決着していくかといったようなことがございました。都区制度改革にかかわる主要5課題のうち、今回は、大都市行政という新たな概念を導入することを含めまして、都側から初めて大都市事務の内容が示されたというところで、ようやく具体的な協議に入れたといったところであります。清掃事業に関連いたしましても、清掃関連経費が今後どう推移するか、それが都の負担であるか、区の負担になるか。都の負担が当然軽減していくではないかといったような問題。また、一時期にかなり大量に発生いたします小・中学校の改築経費といった財政需要に対してどう考えるのかといったようなことについて、既にいずれも区の考え方を示しているところでありまして、これに対する都側の具体的な見解を待っているというところであります。18年度までにきちんとした決着をしていかなければいけないということで、7月から8月ぐらい、これを目途に、都区協議を詰めていかなければならないというふうに考えているところでございます。
 先ほど高倉議員の御質問にもお答えいたしましたように、区として、地方主権という立場から、都ときちっと議論を詰めていくということでございまして、区議会の皆様におかれましても、我々区長会と一緒の歩調で、ぜひとも都と協議をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、清掃職員の問題であります。
 清掃問題の中で、調整額というのが、給与そのもののかさ上げをする調整額ということで課題となっていたところでありますけれども、退職手当や年金等に反映するという意味での調整額というところについては、これを設けないということで、特別区長会として、このことは大事な前提として確認をし、そうした調整額を廃止をしたということであります。
 平成18年度に身分切りかえとなる清掃職員については、調整額を廃止をするということであります。その一方で、日額700円の特殊勤務手当を新設をいたしました。これは勤務した者に対して、対応して支払われるというものであります。また、新給与制度の移行に伴って、新しい給与の格付けといったようなところでは一定の調整を行うということになっております。調整手当が期末勤勉手当、退職手当、年金の基礎額にまで加算するということでありますが、特殊勤務手当は先ほど言いましたように、勤務した実績に対してのみ支払われるというところで、それらの手当には反映させることはないということであります。また、調整額で措置をしておりました額のうち、5年間の経過措置を設けながら40%相当額、こういったものを減額をする、5年後には、調整額で措置していたものに対して60%ぐらいまで抑え込むんだといったようなことも、清掃労組との関係で妥結をしているところであります。ただ、この5年間の低減の内容について、まだ具体的に詰めていくという作業については、18年度の給与の確定のところまで、多少時間がありますところから、なかなか具体的な御説明はできずにいるというところでございます。全体の枠組みについては、そうした形で御説明をしているところでありますので、御了承をいただければというふうに思っております。
 それから、清掃職員の採用ということであります。清掃職員の数については、現在170人であります。平成15年度以降は、ごみ量の減少でありますとか、収集作業の合理化を行って、職員の採用は行っておりません。17年度についても、退職不補充ということであります。ごみの減量という大きな目標もありますし、また、さまざま新しいやり方といったようなこともありますので、今後も清掃職員の採用については、極力抑制をしていくという考え方であります。
 それから、上鷺宮地域の交通不便解消のためのバス路線ということでの御質問もあったかと思います。
 障害者送迎バスについては、障害者の生活移動手段としての公共施設の巡回にも利用されているところであります。練馬のような運行方式に変えるということを直ちにするということはなかなか難しいと思いますけれども、今後、高齢社会に対応した手軽で使い勝手のよい交通移送システム、こうしたものについての検討というものを行ってまいりたいというふうに思っております。
 それから、中野区の行政理念についてということで、基本構想について幾つか御質問がありました。
 まず、基本構想10か年で、行政運営の柔軟性が損なわれたり、議会の関与が薄れるといったようなことがあってはならないということであります。当然、御指摘のとおりであります。10か年計画は、基本構想に基づく基本計画でありまして、具体的な事業内容を定める毎年度の予算については、その時々の状況に対応して編成をしていくものであります。計画にとらわれない政策提案や政策選択といったようなことも、当然必要に応じて対応していかなければならないわけであります。議会によって予算の議決をいただくということがなければ、区の事業は進められないということでありますので、計画は当然ありましても、予算でありますとか、条例、またさまざまな機会で、議会の関与に基づいて行政運営を行う、区政運営を行うということに何ら変わりはないというふうに考えております。
 なお、10か年計画につきましては、計画策定の後も、常に現状分析でありますとか、内容の検討を行うということが必要でありまして、そうした中で必要に応じて計画の見直しなども行って、区民ニーズや時代の変化に柔軟に対応していきたいと考えているところであります。
 それから、子育ての理念といったようなことについて、家庭の役割、こうしたことを明確に定める子育て条例という御提案であります。
 子育て条例についてですけれども、子育てについての家庭や地域社会の担うべき役割、あるいは区としての取り組みの基本的方向といったようなことについて、基本構想において将来像として描き、その実現に向けてすべての区民が行動していくものとしているところであります。今後も、家庭や地域でのさまざまな教育論議、子育てに関する議論といったようなことを深める中で、条例についても検討していきたいというふうに考えております。
 それから、区民の参政権や行政運営の基本について、法律があるのになぜ改めて自治基本条例であるのかといった、幾つか自治基本条例の御質問についてお答えをいたします。
 地方自治の制度については、地方自治法などの法律に定められ、全国共通に運営をされているところであります。しかし、地方自治法施行後、それからも既存の団体住民自治の制度だけでは対応できない多様な課題やさまざまな状況が生じて、現在の制度を補強するため、自治のさまざまな仕組みが模索されているというふうに認識をしております。地方分権の必要性ということについては、広く共通認識されているところでありますけれども、この地方分権の時代にあって、中野区が独立した自治体として、住民の意思を反映した、より的確な区政運営を進めていくために、区政運営の基本的な事項と区民の参加の手続等を明確にする条例の制定が必要であると考えているところであります。
 自治基本条例の基本原則の第一で、みずからの意思と合意、共通する幸福と豊かさというふうにあるけれども、定義が難しくはないかといったようなことであります。
 みずからの意思というのは、さまざまな過程で示される区民の意見や意思のことと考えております。合意というのは、議論を経た上で導き出される区民の総意であると考えております。こうした合意というものは、最終的には区長の意思決定でありますとか、議会の議決で決めることになるわけですけれども、区民の暮らしや価値観が多様化している今日にあっては、そこに至るまでの区民相互の議論や合意形成のための努力が重要であるというふうに考えております。また、共通する幸福と豊かさということについては、自治体を構成する住民が共通の目的として求めていくべき公益をあらわしているところであります。区民みんなに共通する幸福と豊かさ、すなわち公益性を区民みんなで議論し合うことが自治の原点であるというふうに考えております。
 また、一般の区民が区政のすべての情報、守秘義務も含め、守秘義務を課せられた公務員と同様に、すべての情報に接することができるかのように解されてはならないということであります。このことも、まことに御指摘のとおりでありまして、参加については、個人情報保護など、各種の法令などに基づいて提供される情報をもとに行われるものでありまして、守秘義務のある公務員と同じように区民が区政の情報に接するものとは考えていないところであります。
 それから、外国人の地域での参加の問題ということであります。
 外国人も地域社会の構成員の一人として、納税の義務などを負っているところであります。そうして、ともに地域社会を構成しているという意味においては、一定の権利が認められるべきものというふうに考えております。しかし、すべての国民は、どこの国の国民も自国の利益を重んじるというのが当然でありまして、日本国内において、他の国の国民が日本国民と全く同じ権利ということはあり得ないわけであります。外国籍の住民の権利には、当然、法律が認める範囲といった合理的な制限というものはあるというふうに考えているところであります。
 地方参政権の問題については、現在国会で審議中の法案ということもあり、私の立場で申し上げるべきことでないというふうに考えております。その上で、外国籍の住民の権利には当然合理的な制限はあるということをこれも踏まえた上で、外国人が住民の一人として地域社会に参加をし、役割を担っていくということは、真に豊かな地域社会をつくり上げていくためには欠かせないことであるというふうに考えております。そのことを基本構想でうたっているところであります。
 また、地球市民という言葉が区民の概念を広げ過ぎている、国民主権という考え方からも離れはしないかということでございますが、地球市民というのは、最近よく言われておりますシンク・グローバリー・アクト・ローカリー、地球規模で考えて、地域の立場で行動するといったような考え方が、地球市民という考え方とつながるのかなというふうに思っているところであります。平和でありますとか、環境問題でありますとか、世界的な広い視野で考える、その上で、地域としての行動を行っていくということでありまして、国民主権の原則に反するものではないというふうに考えております。
 それから、自治基本条例、これについて、直接民主主義の考え方に近づけようという意図が感じられるのではないかといったようなことであります。
 民主主義の手続では、行政運営の基本となる意思決定は、間接民主制によることが合理的であるし、また正しいものだというふうに認識をしているところです。区長や区議会は、意思決定に当たって、区民全体の公共性、公益性を判断するということが求められているというふうに考えております。また一方、憲法及び地方自治法におきましても、間接民主制を補完するという意味で、一部に国民、住民の直接参加を認める仕組みを規定しているところでもあります。この条例におきましても、30万区民の多様で複雑化した意思を反映した行政運営を行っていくために、間接民主制を補完する意見表明でありますとか、区民同士の多様な自治の活動の機会、これを設けようというふうに考えているものであります。
 それから、共同提案手続や地域協定についてであります。
 共同提案手続については、区の施策化等に関するものでありまして、区民全体の利益となるものでなければならないと考えております。共同提案手続につきましては、検討結果の公表に先立って、あらかじめ議会に報告をすることとしております。また、共同提案手続によって提案された施策を具体化するといった場合には、当然、条例でありますとか、予算でありますとか、議会の審議を経るものというふうに考えております。提案されたものを仮に施策化しないといったような場合でも、議会への報告といったようなことは必ず行うということとしたいと考えております。
 また、地域協定でありますが、地域協定は、地域の中で生活していく上での区民みずからが守るべきルールや、ともに行う取り組みを定めるというものでありまして、法令や条例に反するもの、あるいは公序良俗に反するもの、こうしたことは協定することができないわけであります。そういう条例の趣旨を生かした協定であるかどうかについては、区に提出された後、区として、地域の実態を把握することや、地域の意向その他の実態ということですけれども、実態を把握することや、あらかじめ議会の意見を求めることとしているところであります。区民相互が一定のルールを守りながら、よりよい地域生活を送ることが地域協定の目的であると考えているところでありまして、地域の範囲は、地域協定をつくる区民が定めることとなるわけであります。しかし、そこで定められた範囲と協定の内容、協定している内容とが本当に整合しているかどうかということについても、これは区がきちんと確認をしなければならないというふうに考えているところであります。
 それから、地域のパイプとして機能している地域センターの職員配置をやめるべきではないという考え方という御質問についてであります。
 地域センターを再編して整備をする(仮称)区民活動センター、こうした検討を行っているわけですけれども、この中では、地域の活動を支えるスタッフを運営委員会が配置できるようにするということを考えているところであります。こうしたスタッフを活用して、地域活動がより活性化していくことを期待をしているところであります。
 それから、区側の職員体制といたしましては、区内を四つ程度のブロックに分けて、(仮称)区民活動センターなどを拠点とした地域の活動でありますとか、地域課題についての情報提供や相談、そうしたことに対応できるような体制をつくっていく考えであります。しかし、これからはリサイクルでありますとか、保健、福祉、健康づくり、あるいはまちづくり、さまざまな分野で、より専門的な活動も活発化していくと考えられるわけですし、また、そうした区民の活動への区の対応が求められてくるというふうに考えているところであります。したがいまして、区がそれぞれの専門分野で、それぞれがこれまで以上に区民の活動に適切に対応できるようにしていくという、このことが必要であるというふうに考えているところであります。また、政策や計画などを策定していくすべての過程において、区民が意見を寄せられるようにするため、自治基本条例でその手続を保障をしていきたいというふうに考えているところであります。
 それから、区民活動センターの運営を担う団体はきちっとあるのか、特定目的を持った団体に利用されるおそれはないのかという御質問であります。
 (仮称)区民活動センターの運営を委託するに当たっては、施設の公平、公正な運営が確保されるということを条件としなければならないと考えております。施設の管理運営に当たる(仮称)運営委員会には、町会、自治会などを初めとする地域団体の方々に幅広く参加していただきたいと考えているところでありますが、運営委員会の方々が、運営委員会の運営に不安を持つことのないよう、運営委員会の仕組みや運営方法などについても、モデルを提示して参考にしていただくなど工夫をしながら、施設の公正、公平な運営が確保されるような条件をつくってまいりたいと考えております。
 それから、子どもの幸せを第一に考えて育てることは親の責任であるということを基本として、そうした社会の実現を目指すという視点を10か年計画に盛り込むべきであるという考えでという御提案でありました。ヨーロッパでのオランダのワークシェアリングに基づくオランダ社会の試み、そのほか、さまざまに御紹介もあったわけでありますけれども、いずれにいたしましても、子育ての基本は家庭にあるということは当然であるというふうに考えているところであります。しかし、その家庭のありようそのものもさまざまな形で変化をしてきている、一様ではなくなっているといったようなこともあるわけでありまして、そうした社会の状況の中、女性の社会参加も含めて、だれもがみずからの生き方を選択できるということが大切ともなってきていると考えております。どのような状況にある家庭であっても、着実な子育てができるような社会を実現していくことが必要であるというふうに考えているところであります。
 それから、乳幼児期の親の役割、本当に小さな子どもさんにとって、親に甘える体験というようなことの大切さということについては、私どもも強く認識をしているところであります。乳幼児期は、人間形成の基礎を培う重要な時期でありまして、親が豊かな愛情を注ぐ、しっかりと健やかに子どもを育てるということが大切だというふうに考えているところであります。必ずしもいわゆる親がそろっているという家庭、お子さんばかりではないといったようなこともあるわけでありますけれども、乳幼児期のお子さんについては、保護者が本当に家庭的な雰囲気の中で、子どもの育成にかかわっていくというようなことが重要だというようなことを認識をしているところであります。そうした中、少子化が進んで、若い親の中には乳幼児と触れ合うなど、育児に通じる体験に恵まれないまま親になる人が少なくないというのが現状であります。また、親になる前に、子どもを産み育てることや、家庭を築くことの大切さについての理解が十分でないといったようなこともあるところでありまして、家庭の養育力の低下が問題となってきているということであります。このため、区としては、これから親になる人や子育てに不安を抱いたり、自信を持てない親のための親準備等の講座を実施をしていく、これを充実していくということで考えているわけでありまして、今後このような施策を充実させていくことで、家庭の養育力を高め、親が親としての責任を果たせるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、関連いたしまして、ゼロ歳児保育のあり方について、より家庭的な雰囲気の中での保育ができるような取り組みをするべきではないかということであります。区としては、よりよい保育、施設保育の中では集団保育が基本と考えているところでありまして、そうした中にあっても家庭的な雰囲気を十分につくっていくといったようなことが重要であり、また子育ての主たる責任である家庭との連携を保つということも重要だと考えております。
 その一方で、区では、個人の家庭も利用した家庭福祉員事業というのも実施をしているところでありまして、利用者の希望によっては、家庭的な雰囲気における保育といったような対応も可能となっているところであります。
 それから、放課後の遊び場の問題であります。
 世田谷の親睦事業の例示なども含めての御質問でありました。世田谷の方は、完全に全児童対応の事業でありまして、現在、区が検討しているのは、遊び場機能と学童クラブについては別途に考えているところではありますが、放課後も安全で安心な広い遊び場を使って子どもたちが伸び伸び遊ぶ。しかも、そうした事業の実施に当たっては、学校を中心として地域の人々、あるいは保護者が協力、連携して地域全体でかかわっていくといったような体制をつくっていくことが重要だというふうに考えているところであります。
 それから、子どもの権利条約に関連をいたしまして、子どもは保護され、またしつけられ、教育される立場であるということで、権利に偏重してはならないのでないかといったような御質問でありました。
 子どもが社会的にそうした存在であるということを踏まえて、子どもたちをきちんと教育、育てていける社会でなければならないというふうに考えているところであります。また、その一方で、子どもの権利条約というのは、子どもにとって最善の利益を確保すること、一個人としてその意思が尊重される必要があること、自分の考えや意見などを表明できることなどが権利として掲げられているところであります。こうした権利とあわせて、先ほど申し上げたような社会における子どもの置かれた立場、子どもを育てていく上での重要な前提といったようなことは当然あるわけでありますが、さまざまに制度が整備された我が国においても、昨今の児童虐待などの問題を見ると、子どもの権利が十分に保障されているとはいまだなかなか言えない状況にあるということで、子どもの権利条約についても、一定の関心というか、子どもの権利条約についても、私どもしっかりと踏まえていく必要があるというふうに考えているところであります。
 それから、横断的な問題に対しての事業部制での対応ということであります。
 事業部制については、部門の目標を達成するために、あらかじめ部門に与えられた資源を柔軟に有効活用できるようにするための仕組みというふうに考えております。各部にまたがる課題については、各部がそれぞれが責任を持って全庁的な調整を行うということも事業部の役割でありますので、横断的な課題についても対応できるようにしていかなければならないわけであります。
 また、一方で、各部門が成果を最大化するに当たって、目標の設定、実施、評価を繰り返しながら、自立的に施策、事務事業の見直しを行っているところですけれども、こうしたことに当たっては、全庁的な情報の共有と、全庁的な見方による行政評価といったようなことが欠かせないわけでありまして、そうした全庁的な立場に立った適切な改善が行われていかなければならないということであります。事業部制のもとでは、サービスだけにとらわれる組織にならないように、そうした全庁的な調整、あるいは総務部や区長室などが行います財政的な調整といったようなこともしっかり行っていく必要があると考えているところであります。
 10か年計画の財政問題ということでの御質問がありました。10か年計画については、財源の裏付けのある実現可能な計画とするということで、現在検討しているところですけれども、三位一体改革によります財源配分の問題でありますとか、先ほど来話題になっております都区財政調整制度の見直しの問題などがあるわけでありまして、なかなか財政的な見通しについて、現時点では確定するに至っていないということでありまして、そうした動向を見きわめながら検討を進め、歳入を確実に見込んで、そのフレームに合った事業計画をつくっていきたいということでございます。
 それから、中野駅周辺整備に係る公共用地、あるいは清掃車庫、駅広場の都市計画といった御質問であります。
 駅周辺整備については、現在検討中ということでありまして、手法も含めて、事業費については、現在確定はできない状況であります。しかしながら、将来的な財政の見通しといったようなことも当然厳しいものが予測されるわけでありますから、できる限り区の財政負担を軽減できる手法、これを考えていかなければならないと考えております。また、清掃車庫として暫定利用しております北口広場整備用地については、中野駅周辺整備計画を検討する中で、現在の都市計画決定内容の変更も含めて整備方針でありますとか、事業手法を定めていって、その内容に従いまして、順次、用地の買い取りを行っていくことになるというふうに考えているところでございます。
 私からは以上であります。
     〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 私からは、教育問題について、まず教科書の採択に関しまして、お答え申し上げます。
 採択に関する要綱を変更する考えはないかということでございますが、現在の要綱におきましても、採択権者である教育委員会が広く意見を聞いた上で、その権限と責任において公正かつ適正に行えるようになっていますので、基本的な仕組みについては見直す考えはございません。
 また、採択の状況の説明を区民にしっかりとすべきだということでございます。採択の手順等につきましては、教育だより等で適宜お知らせをいたしますし、採択後につきましては、教育委員会の議事録も公開しているところでございまして、今後とも説明責任を果たしていきたいと考えています。
 それから、歴史教科書が焦点となるのでないかということに関しての御質問ですけれども、歴史教科書のみならず、教科書採択につきましては、どの分野のものについても、教育委員会で十分審査をし、責任を持って公正かつ適正に行っていく所存でございます。
 それから、教育内容の情報公開を進めていくべきだということでございますが、これにつきましては、区内で使っています教科書につきましては、教育センターあるいは区立図書館において、いつでも閲覧できるようになってございます。また、授業公開あるいは教員の研究発表会、あるいは学校だより、学校評議員制度などを通しまして、保護者や地域に対し、学校の状況、あるいは取り組みを公開しているところでございますが、今後とも積極的に進めていきたいと思います。
 次に、国語力の育成についての御質問がございました。これにつきましては、教育委員会といたしましても、国語力はすべての教科の基礎となるもので、その向上を図ることは極めて重要であると考えております。各学校で創意工夫しながら取り組んでいるところでございますけれども、すぐれた取り組みについては全校に広めていきたいと、そのように考えてございます。
    〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 清掃事業におきます民間委託についてのお尋ねにお答えをいたします。
 中野区では、容器包装リサイクル法に基づくプラスチック製容器包装の回収やびん、缶などの資源回収などで、区独自の回収方法を導入しているところでございます。現在、区長会で雇上(ようじょう)業者との契約の見直し及び新規参入が可能となる仕組みについて検討を行っているところでございます。この検討結果も踏まえて、収集運搬における、より効率的な民間活用を図っていきたいと考えております。
○議長(山崎芳夫) 以上で篠国昭議員の質問は終わります。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
      午後3時28分休憩

      午後3時52分開議
○議長(山崎芳夫) 会議を再開いたします。
 この際、申し上げます。
 議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 長 沢 和 彦
 1 所信表明及び2005年度予算案について
 2 「中野駅周辺まちづくり計画素案」について
 3 基本構想と10か年計画について
 4 中野区自治基本条例について
 5 介護保険制度の見直しにあたって
 6 被爆60年にあたり、非核・平和行政の推進を
 7 野方駅の改善について
 
○議長(山崎芳夫) 次に、長沢和彦議員。
      〔長沢和彦議員登壇〕
○19番(長沢和彦) 2005年第1回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して質問を行います。通告の順序を変えて質問をさせていただきます。
 初めに、中野駅周辺まちづくり計画素案について伺います。
 中野駅周辺まちづくり計画素案が発表されました。焦眉の課題である警察大学校等跡地の利用について伺います。
 全体的な内容は、検討素案とほぼ同じであり、警察大学校等跡地のほとんどを民間企業に払い下げた上で、建築容積率を大幅に緩和する地区計画をかけて、高層、超高層のビルを建ち並べ、「にぎわいの心」にしようとするものです。その結果、2001年に中野区、杉並区、東京都の三者合意によってつくられた警察大学校等跡地土地利用転換計画の中心に据えられていた4ヘクタールの中央防災公園構想は、わずか1.5ヘクタールの防災公園へと縮小されました。
 昨年12月に、中央防災会議の首都直下地震対策専門調査会による被害想定が発表をされました。最悪の想定となる都心西部直下地震の場合、全壊家屋は従前の東京都の想定のおよそ20倍になる1万棟、焼失棟数はおよそ2.5倍の5万棟になります。住民の命と安全を守るために、避難場所整備に全力を挙げることは自治体の責務です。1.5ヘクタールの公園と0.5ヘクタールの公開空地では、全く不十分です。しかも、ビルとビルに囲まれた小さな防災公園では、震災の際に10万人の命の安全を保障することはとても無理な話です。そもそもビルとビルの谷間の公開空地では、上からの落下物とそれによる飛散物で、安全な避難場所にはなりません。また、大都市火災に対しては、防火樹林帯以上の避難場所環境をつくることはできません。こんな案でどうして10万人の命が守れるというのですか。伺います。
 我が党議員団は、警察大学校等跡地買収に当たって、財政的に重い負担がかからない事業手法である防災公園街区整備事業を提案してきました。特別区で初めて導入した杉並区では、日産自動車跡地に4ヘクタールの防災公園を整備することになっていますが、およそ100億円の公園整備が5億円の負担でできることになっています。区は、この方式について検討を約束されましたが、まじめに検討された形跡がありません。具体的にどのように検討されたのか、説明を求めます。
 警察大学校等が移転することになったのは、1988年、多極分散型国土形成促進法が施行され、法に基づいた同年7月の閣議決定によるものです。そこでは、行政機関の移転に際し、配慮すべき事項として、跡地については、移転の趣旨を踏まえ、極力、公共公益的利用を図るとされています。ところが、計画素案は、跡地全域に再開発等促進区を指定し、駅前立地にふさわしい土地の高度利用を行うことを打ち出しています。容積率の緩和を図って高層ビルを誘導し、かつデベロッパーの利益の確保だけはしっかりと保障するといった都市再生路線を露骨に進めるものと言えます。これでは、1省庁1機関移転の原則に反します。さらに、地球環境保護の立場からも逆行しています。どうお考えなのか、伺います。
 昨年4月の中野駅周辺まちづくり計画検討素案の土台となった新都市建設公社による中野駅周辺まちづくり計画検討委員会は、メンバーに都市再生のベテランを多数そろえ、公募区民から緑や防災に関する発言があっても、まともに取り合わず、都心で進められている都市再生型まちづくりを手本に報告としてまとめました。およそ住民参加とはかけ離れた、名ばかりの検討委員会でした。中央防災会議の被害想定に基づく南関東地域直下の地震対策に関する大綱の見直しが準備され、自治体の地域防災計画の全面的見直しも視野に入りつつあります。事は中野、杉並区民の命にかかわる百年の大計を見きわめる重要な計画です。拙速に計画決定を行わず、延期すべきです。大綱の見直し結果が出されてから、改めて区民の声が本当に生かせる住民参加でつくり直すべきです。伺います。
 次に、所信表明及び2005年度予算案について伺います。
 区長は、戦後60年の年に当たって、世界の安定と平和や日本の国際貢献について触れられました。戦後の原点とは何だったでしょうか。60年前、世界は、数千万人の人々の尊い命を奪った日本とドイツ、イタリアが起こした侵略戦争を厳しく断罪しました。こんなことは二度と起こしてはならない、戦後の世界はこの決意から出発しました。そして、この立場は国連憲章の土台になりました。日本が新しい憲法をつくり、二度と戦争はしないと世界に向かって公約し、世界に先駆けた恒久平和主義の決意を表明して国際社会に復帰したのも、この原点に基づくものです。そして、中野区においても、この平和の憲法を大切にし、平和と核兵器廃絶を訴えたのが、「憲法擁護・非核平和都市」の宣言です。区長、あなたはそうした認識をお持ちでしょうか。
 区長は、9条第2項は変えるべきと発言しました。その真意は軍隊を持つということです。それなら区長の言う国際貢献とは、軍事力を生かしたものなのでしょうか。それとも、この平和の憲法を生かしたものなのでしょうか、見解を伺います。
 区長は、将来にわたって、持続可能な社会をこの国に実現していくためには、新たな枠組みをつくり出さなければならず、それが現在進められているさまざまな規制緩和や構造改革の意味であるとの考えを示し、国の構造改革を賛美しています。では、この改革路線のもとで、国民、区民の暮らしはどうなったでしょうか。雇用者報酬、勤労者世帯平均年収、民間給与総額など、どれをとっても、97年、98年をピークに減り続けています。雇用者報酬で見れば、97年の280兆円から、03年には265兆円と、15兆円近くダウン。収入を補うために、取り崩した貯蓄額は9兆円にも上ります。これだけ国民の懐を冷え込ませながら、さらに政府は、大増税路線に踏み出そうとしています。来年度、再来年度に定率減税の縮小、廃止や年金課税の強化、社会保険料の値上げなど、国民生活の隅々にまで及び、これらの合計は7兆円です。庶民の所得が減り続けているときに強行される全く無謀な大増税であり、国民の暮らしや景気に対する破壊的影響ははかり知れません。一層の財政悪化という悪循環に陥る道と言えます。
 一方、トヨタ自動車など、一部の大企業は史上空前の利益を上げています。引き下げられた法人税もそのままという優遇を受けています。しかし、GDPも3期連続のマイナスで、景気はよくならない。リストラや海外生産に頼って高収益を上げようとする大企業を幾ら応援しても、GDPの約6割を占める個人消費が冷え込んだままでは、家計も日本経済も元気にはならないことを示しています。今日においても、区内の生活保護世帯の増加や国保の保険料の滞納状況を見れば、区民生活の困難さが容易にわかるではありませんか。区長は、改革の取り組みは中野区だけにではなく、日本中の自治体が求められ、競い合って実現しようとしているとの認識をあらわしていますが、あたかも大企業奉仕の構造改革路線しか道がないかのごとき認識では困ります。財政が厳しい中でも、今の改革路線ではなく、何とか住民の福祉と暮らしを支えようとしている自治体があります。この姿勢こそ、自治体本来の役割ではありませんか。立ちどまることもなく、区民不在で、国の改革路線を突き進むのは誤りです。見解をお聞きします。
 区長は、この所信表明の中でも、自己決定・自己責任を強調しています。もともと資本主義のもとでは、自己責任、自助が生活原則です。しかし、その原則は歴史の中で修正されてきました。初めは、労働者を対象とした社会保険の導入、その後、すべての国民を対象とした最低生活の保障という社会保障の創設、生存権の保障です。社会保障とは、資本主義の中で個人の自己責任だけでは生活がやっていけない、社会にも責任があるというところから始まったものであり、国民生活の一部を社会責任で、権利として確保するというものです。この生存権の保障のための国による措置が、同時に、需要をふやし、家計消費を支えることで、景気変動の波を抑え、所得格差を是正する所得再分配の機能も果たしてきました。ところが、国や財界は、構造改革の名で社会保障を後退させています。これは、人類社会の進歩にとって逆流と言わなければなりません。区長は、こうした歴史を逆行させる流れを認めるのですか、お聞きします。
 区長は、また三位一体改革についても言及していますが、この改革はいかに国の財政支出を減らすのかが目的で行われています。国庫補助負担金を減らしながら、税源移譲は進んでいないのが実態です。今年度、区においても、都の削減と合わせて8億3,281万円もの影響を受けています。所得譲与税で手当てされるとしても、5億1,807万円、62.2%しか戻ってきません。区長は、国も借金漬けで大変とおもんぱかった発言をよくされますが、累積債務の原因がどこにあったかの分析こそ必要です。国と地方の借金の一番の原因は、むだな公共事業と、国が世界第2位の軍事費に毎年お金をつぎ込んできたことにあります。今日においても、空港や道路など、むだと浪費にメスが入れられないままです。
 東京都はと言えば、その影響を区市町村に肩がわりさせ、区立保育園や学童クラブなどの補助金を削減しています。そればかりか、あらゆる福祉予算を削り、その影響は中野区においても甚大です。その一方で、都市再生の名で高層ビルを乱立させて、財政破綻と環境破壊を行っているのですから、都の借金は一向に減りません。こうしたもとで、中野区の財政と区民生活は疲弊しています。そうした実態に目をつむったままでは、区民が求める地方分権は進まないでしょう。国と都の責任をきちんととらえ、財源確保に全力を尽くすべきです。お答えください。
 また、2005年度予算案との関連で伺います。
 財政運営の考え方の予算編成の基本視点の中に、三位一体改革についての対応として触れられている部分があります。この中で、従前の国、都の負担分を安易に肩がわりすることなく検討するとか、都の施策の見直しに伴う補助金見直しについても、廃止、縮小が明らかになったものは事業の見直しを行うとしています。しかし、今、国や都が専ら削ってきているのは、区民生活に直結した福祉や教育にかかわる補助金などです。削ってくることを無批判に受け入れ、それこそ区民に肩がわりをさせるなど、どうしてできるのですか。道理のない国と都の方針を厳しく批判し、意見を上げ、ストップさせるために全力を挙げるとともに、区民の福祉の向上に欠かせないものは、区独自ででもできる限りの予算措置をすべきではありませんか。答弁を求めます。
 東京都との関係では、都区財調制度の見直しに当たっての区長の決意が述べられていますので、その点もお聞きします。
 大都市行政及び大都市事務についての都の考え方が示されましたが、その問題点として、第1に、地方自治法の規定と法改正に至る経緯、特に国会質疑を無視するものと言わなければなりません。都の態度は、市町村事務のうち、都が限定的に行う事務を明確にすることではなく、都の配分の拡大のみをもくろむものと言えます。第2に、都の役割をあいまいにしながら、府県事務や特別区の区域では府県事務として行うべき政令指定都市の事務まで、大都市事務に含めていることです。都は、府県として、都民のために高い行政能力を発揮すべきなのに、そうではなく、大型開発に巨額の税金をつぎ込み、都民生活をないがしろにしています。その上、大都市行政の概念を持ち込むことによって、都区財調制度の財源を吸い上げ、さらに開発につぎ込もうとしていると言えます。この中で、都が、主に福祉分野を中心として直接実施している施策や、区への補助として実施している施策をすべて大都市事務、すなわち市町村事務の範疇に新たに加えてきたことも留意する必要があります。都区財政調整交付金は、区にとって最も大きな財源となっており、来年度予算案でも31.8%を占めています。まさに都区財調の財源配分がどうなるかは、区政と区民生活に直接結びつく課題であり、正念場と言える重要な局面を迎えています。都区協議に当たっては、法の規定と原則があいまいにされることのないよう、改めて区長の決意を伺います。
 2005年度予算案について伺います。
 子ども家庭費の子ども医療費助成や私立幼稚園等保護者補助の増額、教育費での小・中学校の体育館窓ガラス飛散落下防止工事など、区民や団体からの切実な要求もあって予算計上されたことを評価します。
 一方、2003年度のがん検診に続く成人健診の自己負担の導入は、区民への新たな負担増となり、受診抑制が懸念されることから認められません。しかも、新宿区を見ても、導入時は低額であっても、毎年自己負担額が引き上げられていることからして、際限なく負担がふえ続けることを危惧するものです。区政運営を見ていると、区は負担の公平性だといって、区民サービスに受益者負担を求める傾向が強く出ています。しかも、サービスの受けられる条件や環境を整えることなく、このような理屈で進めています。こうした姿勢では、この先、所得格差を是正する所得再分配の仕組みを改めて、サービス提供は市場に、必要なサービスはみずからの財布で調達する、それも応益負担でとなりかねません。誤った公平論を用いて、区民負担を求めてはなりません。答弁を求めます。
 区が見直しを言うのであれば、区民合意のない警察大学校等移転跡地地区計画等推進支援委託や区が全額出す必要のない東中野駅前広場整備の設計委託料などの事業こそ見直すべきです。また、一例ではありますが、総務費、企画調整費の経営改革費として、目標と成果による組織運営の推進事業に、今年度と同様にコンサルタント委託を750万円計上しています。民間での成功例を基礎に、業務改善を進めることが目的のようですが、公務、公共部門と性格が違う市場原理ですべての施策事業を見るのでは問題があります。ましてや、外部にお任せでは、職場での議論が保障されているのかも心配されるところです。さらに、総務管理費の情報化推進費で、電子申請、電子調達システム運用が拡充されていますが、共同運営センターにかかわる負担だけでなく、それに伴うシステム改修などの経費が計上されています。個人情報の漏えいが危惧されるもとで、電子申請を活用できる住基カードを持っている人が区民の少数であることからして、費用対効果の点で、急いで行う必要があるのか、甚だ疑問です。財政が厳しいからこそ、不要不急の事業見直し、あくまでも区民福祉の向上を図るために力を注ぐべきです。見解を求めます。
 次に、基本構想と10か年計画について伺います。
 今定例会で、新しい基本構想を定めることにしています。区は、策定に当たって、この間、地域での意見交換会を行い、さらにパブリックコメントで区民の意見を求めてきました。そのことは、当然必要な取り組みでありましたが、問題は、これらで出された意見をどう基本構想や10か年計画に反映させてきたのかということです。区長は、所信表明の中で、多くの参加者とともに議論し、その思いが共有できたと確信していると言いますが、果たしてそうでしょうか。
 意見交換会も、パブリックコメントでも、「自分のことは自分で」、「みずから決定し、行動しという表現は押しつけがましい」、「自己決定、自助・共助という言葉が目立つが、区の責任が示されていない」、さらに、「現行基本構想の柱である憲法、地方自治法の精神が消えている」という意見が多数見受けられます。基本構想の意義を唱えた第1章や中野のまちの基本理念を定めた第2章の核心をなす部分に、これだけの意見が寄せられているのです。区民の心に届いているとは言い難い状況です。むしろ反発を強めているとさえ思えます。
 また、意見交換会が開かれるたびに、区民の参加がしりつぼみになっている状況をどう見ているのでしょう。「意見を言っても反論されるだけ」、「出された意見に対し検討もしようとしない」、「これでは意見を言ってもむだ」などの声が聞かれます。区民があきらめにも似た気持ちなっている証拠です。こうした事態では、基本構想で示す中野区のビジョンについて、区民と共有を図ることなど到底できないでしょう。区民の思いと乖離していると言わざるを得ません。見解を伺います。
 区が自己決定・自己責任と、自助、共助、公助の考え方をどうしても用いたいのは、区の本来行うべき仕事を縮小するため、つまり区の役割や責任をより小さくすることに目的があるとしか思えません。区は、専らサービスの量の確保は民間に期待しています。しかし、例えば介護保険で見られるように、事業者を選ぶ自由はあっても、必要なサービスを選ぶ自由はありません。必ずしもサービスが整っているわけではなく、あるサービスから選びなさいとしているだけです。したがって、民間だけに期待するだけでは、区の責任を果たしているとは言えません。質の確保については、評価や監視、指導、支援を行うとしています。調整役として、あるいは権利擁護センター、第三者評価などの活用で、区民からの苦情や要望にこたえることで区としての責任を果たすとしていますが、事後の対応としてしか機能しない面があります。また、評価のあり方で言えば、評価基準と実態との乖離などが指摘されています。現場でサービスを提供しながら信頼関係をつくってきたからこそ、苦情やトラブルに対応でき、改善を図ることもできました。少なくとも区にその責任がありました。住民が必要とするサービスを直接区が行うことを、初めから度外視してはなりません。
 また、新しい基本構想の発想では、経済給付的支援策も生まれません。区長は、基本構想を策定するに当たって、現行基本構想の理念は受け継ぐとしています。しかし、「ともにつくる人間のまち中野」の基本理念が、後景に追いやられています。たとえ、国や都がやらなくても、目先の効率や採算に合わなくても、住民福祉のために仕事をしてこそ、自治体と言えます。自治体変質の延長にある基本構想案は、全く異質のものとしか思えません。これでは現行基本構想の理念を受け継いだとは言えないではありませんか。答弁を求めます。
 区は、区民にとって欠かせない施設を区の都合でゼロベースで見直すとし、施設の大リストラ計画を進めることにしています。高齢者や障害者の施設であれ、子どもの施設であれ、身近にあったからこそ喜ばれ、利用されてきているものです。合意もなく、一方的につぶすことを方針に掲げているもとでは、とても区民の納得は得られません。改善すべき点はあるでしょう。しかし、つぶすことや用途の変更が先にありきは間違いです。区民や利用者の声を誠実に受けとめ、考えを改めるべきです。伺います。
 ところで、区長のおっしゃる箱物批判は、区民の福祉の増進に欠かせない施設のことなのでしょうか。一方、中野駅周辺まちづくりでは、超高層ビルを林立させようとしています。区が導き、推進する区民不在の開発型超箱物はよいのですか。これこそ、全国で浪費と環境破壊だとの批判を受けてきた典型ではありませんか。暮らしや福祉は、個人や家庭、そして地域での責任を強調しながら、区はまちづくり、しかもサンプラザの取得を初め、中野駅周辺まちづくりなど、大規模再開発に力を入れるとしています。区民が求めるまちづくりを標榜しながら、実際には企業の呼び込みや高額所得者だけを歓迎するようなまちづくりになりかねません。現在、区内に住み、働く人々をいかに支えていくかの発想に乏しいと言えます。結果、民間会社が参入しやすいように条件や環境を整備してあげるのが区の仕事であるかのようです。区民サービスを削減しながら、自治体の市場化を進めて、開発事業に費用も労力もつぎ込むようでは、区民の理解を得ることはできないでしょう。改めるべきです。伺います。
 次に、中野区自治基本条例について伺います。
 憲法が地方自治の本旨として規定しているように、地方自治の主人公は住民です。区は、住民自治の原則を尊重し、区政運営のあらゆる場において実現していくように努めなければなりません。また、条例の制定に当たっては、これまでの区と区民の民主的な努力とともに積み上げられてきた社会的成果や到達点を無視してはなりません。区は、これまで地域の自治や参加を保障した住区協議会での取り組みや教育行政における区民参加条例をつくって、住民参加を進め、自治の発展を図ってきました。
 区長は、所信表明で、住区協議会について触れていますが、制度疲労を起こし、さらに区のかかわりがそもそも誤りであったかのような主張は、実態からかけ離れています。確かに、地域センター及び住区協議会構想が、順風満帆で来たわけではありません。だからこそ、議会からも、区民からも、改善が求められていたのです。区みずからも検討会を立ち上げ、検討してきた経緯があります。92年3月に区が出した「住区協議会の発展をめざして」という冊子があります。この中で、「地・住構想は、住民自治をより一層実りのあるものにしようとする息の長い壮大な実践である」とし、「憂慮するのは、区みずからが住区協議会を生かそうとしないときで」、「区は息長くともにつくる姿勢を保っていかなければならない」としています。さらに、「地域住民に身近な拠点として、真に区民と区の協働の場としていかなければならない。区はこれに対応して十分な体制を整え、住区協議会への援助を行っていく必要がある」と言われていました。区長みずからも、2002年の決算特別委員会の場で、「地域センター、住区協議会構想というのは、参加の区政の仕組みとして地域住民に根付いている、今後とも推進をしていくべきもの」との考えを表明していたではありませんか。問題は、区がそのような姿勢で取り組んでこなかったところにあります。区は、その反省の上に立って、住区協議会を投げ出すのではなく、充実を図るために、住民との一層の協働を探ることが大切であり、必要です。自治と参加を言うのであれば、これまでの中野区の取り組みを生かし、その発展の上に進めることが肝要です。そうでなければ、幾ら自治や参加を叫んでも、絵にかいたもちとならざるを得ないでしょう。住区協議会をきちんと自治基本条例の中に位置付けるべきです。見解を求めます。
 自治基本条例は、今後の区政運営の道しるべになるものだと考えます。したがって、住民の福祉の増進のために活用されなければならないことは言うまでもありません。所信表明で、住民みずからがその負担と責任で社会をつくることが地方分権の目標であり、今後の自治体のあるべき姿だとの考えを示しています。しかし、これでは必要な住民サービスばかりか、住民の自治と参加の権利さえも財布の中身次第で、区の役割でも責任でもありませんよと言っているに等しいではありませんか。区が、憲法で保障されている基本的人権の実現に努めることに背を向けているようでは困ります。しかも、今日の区政運営のあり方に多くの区民の不満や批判があるもとでは、そのことを踏まえることが、なおのこと大事だと言えます。区が、住民が主体となって、地域での自治と参加を進めることに期待をし、促すことが間違いとは思いません。しかし、区が決してそれを押しつけてはならないし、ましてや区の役割と責任回避のための道具にしてもなりません。あくまでも住民の暮らしと人権を守る立場から、参加と自治を進める、そのための条例にすることが大切です。見解をお聞きします。
 自治の基本原則を明らかにするとしているのであれば、国との関係にも触れるべきでしょう。つまり団体自治の規定です。例えば、「条例に盛り込むべき主な項目と考え方(案)」では、条例が必要とされる背景の一つに、自治体の権限が拡大されたことを挙げています。確かにその部分もありますが、財源はと言えば、保障されているどころか、逆に減らされ、権限を果たし難い状況が生じています。それだけに、国、ナショナルミニマムの拡充、必要な法制度の整備、情報の提供、財源の保障など必要な施策を講じることを求めるなど、きちんと据えることが必要です。また、地方分権後も、国からの監督、統制を強める仕組みが幾つも存在しています。非民主的な関与の改善などにより、地方自治体の自治権の拡充に努めることも、触れられなければならないと考えます。見解を伺います。
 区長の在任期間を定めようとしていますが、これは誤りです。大綱では、「区長の職にある者は、連続して3期を超えて在任しないよう努める」としていますが、参政権こそ法的にも実質的にも最高レベルの参加のあり方です。そこに、努力目標とはいえ制限を設けることは感心しません。参加の仕組みを整え、進めることを目的とする条例の趣旨に反するのではないですか、お聞きします。
 そもそも今定例会で性急に通そうとしているところに、参加と自治をおざなりにしています。審議会での議論を重ねてきたと言いますが、公募区民が余りにも少なかったのが実態です。それを補うことを何かしているかと言えば、数回の説明会ぐらいで、昨年秋に行われたシンポジウムでも、区民の参加はまばらといった状況でした。区民が、この瞬間、この条例を本当に必要としているのでしょうか。もっと時間をかけて、自主的な区民参加を図って進めるべきです。しかも、パブリックコメントをやるにはやりましたが、本定例会で何としても上程したいがために、議会と区民へのパブリックコメントへの回答は、議案を上程した後に行おうとするなど、既に条例で掲げようとする目的や原則をないがしろにしていると言わざるを得ません。これが最高法規の条例では、余りにも寂し過ぎるではありませんか。急ぐべきではありません。見解を伺います。
 次に、介護保険制度の見直しに当たってお聞きします。
 新年度は介護保険の見直しの年です。保険料と利用料が高過ぎて、必要な介護サービスが受けられないという構造的欠陥にメスを入れ、改善を図ることが求められています。
 保険料の減免について伺います。
 65歳以上の高齢者が負担する保険料については、設定方法等の変更を打ち出しました。法案では、住民税非課税世帯を対象にした現行の第2段階の保険料を二つに分割、年金収入が80万円以下で、年金以外に所得がない人を新第2段階とし、現行よりも保険料の割引率を大きくするとしています。一方で、政府の大増税計画によって、住民税非課税から課税となる高齢者が多数出てきます。今回の見直しに当たって、放置できない重大問題です。区は、現在減免策を行っていますが、保険料の設定方法の見直しによってどのようになるのでしょうか。あくまでも低所得者への負担増にならぬよう減免策を講じるべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。
 訪問介護利用料の低所得者への軽減について伺います。
 国は、介護保険導入以来、特別対策として行ってきた訪問介護サービスの低所得者対策をこの3月末で廃止し、1割負担にしようとしています。これまでにも国に軽減策の継続を求めることと、区が独自にでも継続することを求めてきましたが、制度施行時における利用者負担の激変緩和措置として実施していると、区はいつも制度の解説だけに終わっています。実態を無視した余りにも冷たい態度です。2003年度実績で見ても、国制度で5,729件、区独自の軽減策で1万1,1303件と利用しています。軽減策が継続されるなら、区制度の利用は今後ともふえていくでしょう。しかし、負担増になるなら、サービス利用を控えることが心配されます。介護保険が実施されてからの5年間、高齢者、利用者の暮らしが豊かになったのならまだしも、逆に介護や医療、年金などの矢継ぎ早の負担増と給付減が行われました。ますます負担が重くなっているときだけに、継続が必要ではありませんか。国に強く求めるべきです。国の制度が廃止されても、区の独自制度を続けるべきです。答弁を求めます。
 特別養護老人ホームなどの居住費と食費の負担も重大な問題です。入居者の居住費や食費を保険給付の対象から外して、原則として全額自己負担とするというもので、他の項目に先駆けて、ことしの10月から実施するとしています。対象となる施設は、特別養護老人ホームなどの介護保険3施設、ショートステイも含まれます。さらに、デイサービスや通所リハビリでも、食事代を保険の対象から外し全額自己負担とするものです。1カ月当たりの負担額は、厚労省のモデルケースで、特養ホームの個室に入っている要介護5の人の場合、1割負担の2万6,000円に加えて、居住費が6万円、食費が4万8,000円の合計13万4,000円になります。現行より2万7,000円から3万7,000円の負担増となります。低所得者には、上限が設けられ、現行制度に比べて負担が軽くなる世帯もありますが、住民税非課税で、年金収入80万円を超える世帯では、月1万円を超える負担増になる人も生まれます。利用料が払えず、施設を出される人が出ることが心配されます。区はかかる事態にどう対処するのですか。国に見直しを求めるべきです。伺います。
 軽度の要介護者(要支援・要介護1)の保険内サービスを削減する動きについて伺います。
 法案では、予防重視型システムへの転換として、新予防給付を新たに創設することにしています。対象となるのは、現行制度で要支援と要介護1と認定されている高齢者です。区内の認定者数で見ると、04年4月現在、およそ4,000人が対象となっています。問題は、新予防給付で、これまで利用していた訪問介護などはサービスの内容、名称も変わり、生活機能を低下させるからと、これまでの家事援助型の訪問介護は原則行わないとしていることです。現在、こうした動きに対し、家事援助型のサービスを利用している方や家族からは、「物忘れが少しずつ出始めていて、見守りのためにも絶対にヘルパーが必要」、「1人では家事は困難なので、ヘルパーが入れなくなったら生活できない」。事業者からも、「不衛生になりがちな生活を清潔に保つためにも打ち切られたら大変」だとの声が聞かれます。実態を無視して、一律の形でなくすことは許されません。サービスが制限された場合、自宅での自立した生活に支障を来す人が生まれることが容易に予測できます。どのように対処するのか、伺います。
 政府は、介護予防を進める主な理由として、介護給付費を抑制することを挙げています。もちろん高齢者の生活や権利を守り、介護に対する安心を広げながら、健康づくりなどを進めることによって、結果として給付費を抑えていくことは望ましいことです。しかし、政府の考え方は、高齢者福祉全体に視野を広げて、介護予防、健康づくりを真剣に考え抜いたものとは到底言えず、給付を減らすためにいかに介護サービスを切り捨てるかという狭い発想でしかありません。介護予防重視型システムへの転換を掲げても、それが高齢者の健康づくりに実るだけの財政的な裏付けもなく、新しく始める地域支援事業も、これまでの老人保健事業などを再編したものであって、予算規模は変わりません。それどころか、全額公費負担だった事業を介護保険に移行させるため、国庫負担だけはちゃっかりと約半分にするありさまです。こんな貧弱な体制で、高齢者に十分な対応などできるはずがありません。国に対して財政的にもきちんと責任を果たすよう強く求めるべきです。答弁を求めます。
 高齢者が新予防給付を受けるべきか、従来の介護給付を受けるべきか、どちらが本人の状態改善につながるかの判断一つとってみても、高齢者の健康状態や生活の様子、希望を審査する行政の側がしっかりとつかんでいなければできないことです。地域の高齢者の状態をつかみ、その信頼を得ながら、それぞれの人に合ったメニューを提供していく運営体制を構築してこそ、介護予防の効果も上がるし、健康づくりも進みます。区が高齢者の実態をよく把握して、取り組みの主体となることが必要です。介護保険を狭い意味で運営することだけを自分たちの責任と考えるのではなく、介護、医療、福祉、公衆衛生などの連携を図り、民間任せ、あるいはケアマネ任せの現状を改めて、自治体が責任を持って、高齢者や障害者の状態をつかみ、健康づくりに取り組むべきです。見解をお聞きします。
 次に、被爆60年に当たり、非核・平和行政の推進を求めて伺います。
 ことしは戦後60年、被爆60年に当たる年ですが、同時に、5月には核不拡散条約、NPT再検討会議が開かれます。前回2000年の再検討会議で、核廃絶に向けた明確な約束が行われましたが、実行に向けてその約束が果たされていません。それどころか、アメリカはイラク戦争を起こし、小型核兵器の開発、使用さえ明言しています。北朝鮮もNPT再検討会議から離脱し、核兵器の製造を発言しているもとで、核兵器をめぐる情勢は憂慮する事態になっています。一方、世界各地での核兵器廃絶を求める世論と運動は大きく前進しています。平和市長会議に向けて、全国市長会が核兵器の廃絶を求める決議を採択したこともその一つです。平和市長会議が提案した2020年までに、全世界の核兵器をなくすためのプランを実行する上で、5月の会議の成否が決定的に重要です。高齢となった被爆者の方々には時間がありません。核兵器廃絶の道筋が明らかにされることを強く願っています。区が、今日の核兵器をめぐる情勢をきちんととらえ、世界と日本の核兵器廃絶を強く求める世論と運動に呼応した取り組みが求められています。その決意をお聞きします。
 来年度の予算案におよそ400万円が計上をされました。その一つは、平和資料室の改善に充てられることになっています。区内で活動する平和団体などにも呼びかけて、展示物などの充実を図っていただきたいと考えます。また、平和資料室と言いますが、余りにも資料が少な過ぎます。区民に呼びかけて、戦争や核兵器に関する資料や図書を集めていただきたい。同時に、区としても計画的に予算を組み、やはり関連する資料、図書、ビデオなど充実を図っていくことが必要です。区のこの問題に対する姿勢が問われています。いかがですか、お聞きします。
 平和関連事業については、戦後60周年行事の開催や平和展などを予定しています。これだけ見れば、例年と変わらないようにも思えます。それだけに、企画の内容や参加の呼びかけなどが重要になってきます。区民参加で、特に被爆者の方々や、戦争体験者に語り部となってもらい、戦争や被爆の実相を語り継いでいく取り組みが大切と考えます。若い人たちが参加しやすいような工夫も求められます。同時に、憲法擁護を掲げる区としては、憲法講座など憲法に関する取り組みも行っていただきたいと思います。あわせて答弁を求めます。
 野方駅の改善について伺います。
 来年度予算案に野方駅北口整備事業化調査費等として、103万円が計上されています。今年度の調査の結果はまだ報告されていませんが、今年度中に明らかにされると聞いています。来年度はその結果を踏まえて、準備のための調査を行うと伺っています。
 杉並区では、下井草駅に「駅・まち一体改善事業」を活用して、来年度には工事着工、再来年度には竣工が予定されています。野方駅の北口開設とバリアフリー整備については、こうした「駅・まち一体改善事業」の活用も検討すべきです。踏切渋滞解消のための連続立体事業は、何十年と月日のかかる事業です。これを理由におくらせてはなりません。先日、野方に引っ越されてきたお年寄りの方が、「身近な駅がこんなだとは知らなかった」と、階段の上り下りの困難さを嘆いていらっしゃいました。地元住民や団体からも、予算がついたことを歓迎すると同時に、やはり「いつまで待たせるのか」の声は一段とふえている状況です。これ以上、利用者、住民を待たせてはなりません。利用者、住民に情報提供し、意見をもらいながら、早期の実現を求めます。お答えください。
 あわせて、新井薬師駅の改善についても伺います。
 住民組織の新井薬師駅利用者の会が、昨年6月に、利用者と最寄りの地域住民にアンケート調査を行いました。その中で、エレベーター、エスカレーターなどのバリアフリー整備を求める声が寄せられています。開かずの踏み切りが解消されていないもとで、南北の往来に不自由があることも要因となっています。利用者、住民の声にこたえるべきです。また、すぐにでも改善を図ってもらいたいこととして、北口の始発から終電までの開設が求められています。さらに、駅舎内の表示が要望されています。これも開かずの踏切に起因した問題ですが、現在、南北の往来を急ぐ方は、駅員に断ってホーム内の階段を使えることになっています。踏切が閉鎖していることや、駅舎内の階段を使用できることを事業者の西武鉄道が表示すべきです。これらの改善を図るよう、区として西武鉄道に要望することを求めます。御答弁ください。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 長沢議員の質問にお答えをいたします。
 まず、中野駅周辺まちづくりの計画素案の防災公園のことであります。
 防災公園については、1.5ヘクタール、それから、それに隣接をした形で公開空地を0.5ヘクタールを確保するということでありまして、合わせて2ヘクタールの防災公園及び公園スペースをつくるということであります。それらと連続した形で公開空地、まとまったオープンスペースを配置をするということで、全体として3から4ヘクタールのオープンスペースを確保していきたいというのが、警察大学校等跡地の中でのオープンスペース公園の考え方ということとなっております。そういう意味で、1.5ヘクタールでは足りないという議論とはちょっと違うのかなというふうに思っているところであります。
 広域避難場所の機能ということでありますが、広域避難場所については、中野駅北口付近から警察大学校等移転跡地にかけての約21ヘクタールが指定をされているという状況であります。その中に、約10万人が安全に避難できる有効面積を確保するというふうに考えているところでございます。
 それから、災害時に区民の皆さんが避難できる空間は、御質問にありましたような建物に取り囲まれた谷間のような狭い空間ということではなく、耐火建築物や樹木で安全性が高まったオープンスペースとするというふうに考えているところであります。
 それから、避難の安全性、また防災という観点からは、広域避難場所周辺の既成市街地においても、建築物の不燃化、耐震化等を進めて、より一層まちの安全性を高めていく取り組みが重要であるというふうに考えております。そうしたこととあわせて、中野の防災性を高めていくということが重要だと考えているところです。
 それから、区民参加と計画のつくり方といったようなことについてであります。
 計画の策定に当たっては、昨年度行いました中野駅周辺まちづくり調査検討委員会や中野駅周辺まちづくり区民検討会などにより、従来から区民の意見を聞く機会を十分にとってきたところであります。また、これまで中野駅周辺まちづくり計画をテーマとする区民と区長の対話集会なども実施をしてきたところであります。先般、まちづくり計画素案を報告をさせていただいたところですけれども、今後も区民の意見を聞きながらまとめていきたいと考えているところであります。
 中野駅周辺において想定されている避難圏域の人口がすべて避難できる有効面積を確保するという考え方でありまして、将来において被害想定が変わったとしても、避難については十分な広さを確保するものと考えているところであります。
 防災に関するさまざまな最新の知見、最新の報告といったようなことが出ているということでありますけれども、そうしたことについては、常にこれからも適宜対応していきながら、防災の計画、防災のまちづくりを進めていくということであります。
 それから、防災公園街区整備事業についての検討ということです。
 警察大学校等移転跡地を整備する事業手法としては、道路や公園など基盤施設の整備を土地区画整理事業等開発者負担によって行う方法を考えているところです。御提案の趣旨にもありましたように、区の財政負担をできるだけ少なくするということ、それから中野区が必要だと考えるまちづくり、これがきちんと進んでいくということ、環境や安全と調和をした空間がきちっと確保できるということ、そうしたことをさまざま勘案しての整備の手法という検討でなければならないと考えているところであります。独立行政法人であります都市機構が事業主体となります防災公園街区整備事業に関しましては、防災公園に接続する避難路に相当する道路の用地費や整備費を区が負担しなければならないということがあります。また、さまざまな土地を都市機構が取得をして保有する間の利子負担が生じるといったようなこともあります。また、事業完了までの事務費も毎年区が負担しなければならないといったようなところから、現時点では適当な事業手法ではないと考えているところであります。今後、財務省の意向でありますとか、事業の採算性などによって、他の事業手法などとともに検討する可能性はあると考えているところであります。
 それから、まちづくりに関連して、東京への一極集中の排除という考え方と現在の計画の考え方ではそぐわないのではないかという御質問でありました。警察大学校等移転跡地には、交流とにぎわいを生む機能を導入するということ、それから、環境との共生に配慮した緑あふれるまちの形成に努めるということ、中野の新たな顔となる拠点をつくることを目指しているわけであります。こうした中野のまちの姿というものは、中野駅周辺ということだけではなく、中野のまち全体にとっても必要なことと考えているところであります。
 一極集中との関係というか、考え方についてでありますが、国においても、平成11年度を初年度とする第5次首都圏基本計画においては、首都圏の活力創出といった観点から、低未利用地の有効活用を示しているところであります。また、東京都におきましても、平成13年策定の東京都の新しい都市づくりビジョンというものにおいて、集積のメリットというものを明示をしているといったようなことになってきています。このように、近年においては、国や都においても、首都圏の都市機能の維持向上には、一定の集積はむしろ必要であるとの考え方が示されているというところだというふうに理解をしているところであります。中野のまちのこれからの自治、あるいは区民の暮らしの向上といったような観点から、一定のにぎわいというものを生み出していくということ、これは欠かせないことなのでないかと私は考えているところであります。
 それから、所信表明、予算案に関してという質問の中で、憲法9条2項についての私の発言と、それから今回の所信表明の中での国際貢献とはどういうことなのかといったような御質問でありました。
 唯一の被爆国として、また敗戦からの復興を経験した国として、また世界でも指折りの経済大国となった我が国であります。我が国が紛争地域の復興や安定、核軍縮の実現など、国際社会で果たすべき役割はさまざまな分野であり、大きいだろうと考えているところであります。そうしたことについても、憲法の希求する世界の安定と平和の実現に向けて、適切に組み立てられていくことが必要だと考えているところであります。
 それから、構造改革路線についてであります。
 公共部門の役割がますます重要となっている中、官から民へという流れは逆行していないかといったような御質問でありました。官から民へ、中央から地方へという構造改革のもととなる考え方は正しいと考えております。日本は人口も少なくなっていく、産業構造も成熟化していくという中で、これから、これまでのような成長モデルを描いた社会、財政構造、そうした中ではやっていけない国になってきているというふうに考えているところです。国全体の新しい活力を生み出していく、そうした方向を今、模索をしているというところだと考えております。健全な地域間競争で新たな豊かさを目指していくことが、我が国の進むべき方向でありまして、こうした構造改革については推進をしていかなければならないと認識をしているということであります。
 それから、三位一体改革の関連で、幾つか御質問がありました。
 国の一般会計の構造についてでありますけれども、現在では、一般歳出の比率でいうと、社会保障費の割合が高くなっておりまして、公共事業費の割合は減っている形になっているところであります。そうした中にあって、歳出を歳入で賄えないというのが、この国の財政構造ということでありまして、ただ、三位一体改革というのは、この財政構造そのものを改善するといったような内容とはなっていないわけであります。三位一体改革は、国の関与を減らしながら地方の自主性をふやしていく。その中で新しい社会全体の活力を生み出していく方法を探ろうというのが三位一体改革だというのが、我々地方六団体の考え方であります。三位一体改革では、住民に身近な地方が、みずからの責任で行政運営を行うために国から地方への税源移譲を行うものでありまして、真の地方自治を確立する、これから先、本当に住民の負担で、住民が安心して暮らせる地域社会をつくっていく、そのためには避けて通れない改革だというふうに考えているところです。こうした流れの中で、国の役割、都の役割といったようなことにも、きちんと整理をしていかなければならないと考えているところです。
 都区制度改革についての御質問もありました。
 平成12年度の都区制度改革では、都区間の役割分担に伴う事務配分と財源配分など、都区の合意を見ずに課題として残されたままスタートをしたところです。先ほど来、何度か御質問でお答えしてきたように、特別区としては、都は、地方自治法の定めにのっとって、府県事務と大都市事務の内容を明確にすべきであると考えているところです。特別区長会、それから特別区議長会、一致して取り組むように結束を固めているところでありまして、中野区におきましても、区長と区議会が一緒に取り組むことが重要だというふうに考えているところであり、特段の御協力をお願いをしているところであります。私としても、特段の決意を持って取り組んでいきたいと考えているところであります。
 それから、予算の中で、健診の自己負担導入といったようなこと、それから不要不急の事業を見直すべきではないかといったような御意見がありました。区は区民にとって常に必要なサービスを見きわめ、給付と負担のあり方を検証して、必要な見直しを行っていかなければならないと考えています。そうすることが、区民の福祉を守る財源を確保していく、強力な財政体質をつくっていく、その上では欠かせないというふうに考えているわけであります。さきにお示しをしております17年度予算についても、こうした考え方に基づいて編成をしたものです。
 それから、不要不急の事業を見直すべきだという御質問でありました。幾つかの例示もあったところです。今回の予算案で盛り込んでいる事業、こうした事業については、区が区民のために何をするべきかということをしっかり検討した上で予算編成をしているというつもりであります。
 御指摘の幾つかの事業についても、ここで手がけていくことが区民福祉の向上のためには、ぜひ必要な事業だというふうに考えたから取り組んでいるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、基本構想と10か年計画の関係で、策定過程への区民意見の反映といったようなことについて、幾つか御意見がありました。
 まず、憲法、地方自治法との関係でありますけれども、基本構想は、憲法や地方自治法の理念に基づいて策定するものでありまして、これらの精神が消えているといったようなことには当たらないというふうに私は考えているところであり、区民の皆様にもそのようにお話をしているところです。
 それから、意見交換会については、検討の段階ごとにきめ細かく行ってきたところであります。いただいた御意見については、十分参考にして案づくりに反映をさせてきたところであります。素案に至る過程の資料をごらんいただければ、反映状況についても御理解いただけるものというふうに考えているところです。区民の方からも、自分たちの意見が反映されているといったような声もいただいているところであります。こうしたことから、区民意見交換会の回を重ねるごとに、区民の考え方が生かされた基本構想としてまとまってきているというふうに考えているところです。
 それから、自己決定・自己責任というのは、区の役割や責任を小さくする目的にすぎないのではないかといったような御質問がありました。また、現行基本構想の理念を受け継ぐと言いながら受け継いでいないといったような御質問もありました。
 経済の低成長が進んで人口減少社会へ向かう中、少子高齢化への対応など、区が果たすべき役割は、ますます大きくなってきているわけであります。自治体でありますから、住民の負担の範囲で十分な役割を果たしていける、そうした自治体になっていかなければならない、これは当然でありまして、そうした自治体運営、新しい時代に合った行政運営を区民自身の決定と責任によって行えるようにしていくというのが新しい基本構想の考え方であります。区が、質量ともに、十分なサービスが提供される制度づくりを担うとともに、利用者の権利が損なわれないように努めていくということであります。
 また、公共サービス分野にも新たな担い手が登場し、NPOや民間事業者が、多様で質の高いサービスを提供するようになってきたということもあり、区としてこうした資源を有効に活用して区民福祉の向上を図っていくということであります。区民の自治、そして協働を推進をしていくという意味で、「ともにつくる人間のまち中野」という現行基本構想の理念はしっかりと受け継いでいるというふうに考えているところであります。
 それから、施設配置の関連で、施設を一方的につぶそうとしながら、中野駅周辺まちづくりでは高層、超高層ビルを林立させようとしているといったような御指摘がありました。まちづくりの素案については、内容をよく見ていただければというふうに思っております。
 現在の区の施設のすべてを今後も維持し続けるということはできない状況にあるわけであります。そうした中で、施設配置の見直しを進めながら、区民にとって本当に必要な施設、本当に必要なサービスを確保していくということが重要だと考えているところであります。今後、具体的な案を区民にお示ししながら、十分に御意見を聞いて、その検討を進めていきたいというふうに考えております。
 なお、中野区のにぎわいと活性化のためには、中野駅周辺というのは、先ほども申し上げました極めて重要な事業と認識をしているところです。このことは区民の福祉の向上のためにも欠かせないことだというふうに考えていることを改めて申し述べさせていただきたいと思います。
 それから、被爆60年に当たっての何点かの御質問であります。
 NPT再検討会議についてです。
 今年の5月にニューヨークで開催されるNPT再検討会議には、中野区も参加をしております日本非核宣言自治体協議会として代表団を派遣する予定であります。区では、核保有国や核実験国に核廃絶を求めるメッセージを送付するなど、NPT再検討会議の成功に向けて取り組んでいきたいと考えています。
 平和資料展示室の充実に関しては、平和の森公園内の平和資料展示室のリニューアルに当たっては、戦時中の資料や物品の提供を区民に呼びかけることなどを考えているところであります。展示についてわかりやすいものとなるよう工夫をしていきたいと考えております。
 被爆60年、憲法擁護の取り組みということですが、平和の意義を若い世代に伝えていくためには、戦争や被爆体験者が直接生の声で語る、みずからの体験談が有効であります。区内の各地域でさまざまな形で平和事業を繰り広げていきたいと考えています。区は、平和事業の実施、参加と自治の推進、男女共同参画を初めとした人権問題の取り組みなど、憲法の理念を尊重し、憲法が目指す社会の実現に向けた施策を展開してきたところであります。今後とも、そうした施策の充実に努めていきたいと考えております。
 私からは以上であります。
    〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 自治基本条例に関しまして、その中の住区協議会に関するお尋ねにお答えをいたします。
 住区協議会につきましては、これまで区が唯一の地域合意の形成の場として位置付けてきたこと、また職員が事務局の仕事を担うことによりまして、気づかぬうちに行政の発想の枠の中におさめてしまい、本来の住民参加のあり方を損ねてきたことなどに問題があったと反省をしております。今後は、地域で活動している団体やグループが、相互の協力関係をつくりながら、地域の課題などを自主的に話し合い、柔軟な発想で取り組まれて、中野の住民自治を推進していかれることを期待しているものでございます。したがいまして、住区協議会に関する規定を自治基本条例の中に盛り込むという考えは持っておりません。
     〔区長室長田辺裕子登壇〕
○区長室長(田辺裕子) 自治基本条例に関します残りの質問にお答えをさせていただきます。
 区民が、住民主体の自治と参加を推進することを区民に押しつけてはならないというようなことで、それが人権を守る立場から、参加と自治を進めるための条例とすべきであるというような御質問でした。
 区という自治体の主権者である区民が公共の課題の解決に向けて、ともに考え、みずから決定していくことを進めていくべきであると考えまして、そのような理念のもとに条例の検討をしてきてございます。
 次に、国や都の関係ということで、自治体の自治権の拡充に努めることも触れるべきではないかということでございました。
 国や広域自治体であります東京都との関係は、法律で定められるべきものと考えております。地方政府であります区が、みずからの行政の運営の基本でありますとか、区民の自治活動の推進を目的として定めるのが自治基本条例であるというふうに考えております。
 区長の在任期間に、努力目標とはいえ制限を設けることは条例の趣旨に反するのではないかという御質問でございました。
 区長は、区の行政を自主的かつ総合的に実施する役割を持ち、幅広い事務にわたる権限を有しております。特定の者がこの権限の集中する職に長期間にわたり在任することは、自治の理念に照らして好ましくないというふうに考えてございます。自治体の長の在任期間につきましては、長期にわたらないよう努力規定を設けることは、活力ある区政運営を実現するため、条例の趣旨に反していないというふうに考えております。
 最後に、スケジュールのことで、性急な条例制定ではないかという御質問でございました。
 条例の検討につきましては、基本構想を描く区民ワークショップや基本構想の審議会の検討の中から始まっておりまして、長い時間をかけて、区民参加のもとにつくりあげてきたものというふうに考えております。
 以上でございます。
    〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 介護保険制度の見直しに係る質問にお答えいたします。
 初めに、保険料の減免につきまして、今回の介護保険制度改正により、低所得者層と言われている現第2段階被保険者の約半数が、第1段階の保険料率と同額の保険料に軽減されると見込まれております。この新たな保険料率につきまして、介護保険運営協議会において、区の減免制度のあり方とあわせまして御議論をいただき、区として必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
 続きまして、ホームヘルプ利用料の減額についてでございます。
 訪問介護の利用に関する軽減につきましては、利用者負担の激変緩和を図るということから、5年間の経過措置として実施されてきたものでございます。経過措置の趣旨から、その継続を国に対し要望するということは考えておりません。また、区が単独で軽減を行うということも考えていないところでございます。
 続きまして、ホテルコストにつきましての御質問についてお答えいたします。
 要介護等の認定を受けた高齢者等が、住みなれた自宅や地域で住み続けるためにも、在宅と施設の利用者負担の均衡を図ることは必要だというふうに考えております。施設利用者のうち、保険料段階が、第1段階、新第2段階、新第3段階の低所得者につきましては、居住費、食費につきまして、一定の補足的給付を行うことによりまして、負担の軽減を図ることとしております。区といたしましても、制度の趣旨に従った円滑な導入を図りたいというふうに考えておりまして、国に対しまして見直しを求めるという考えはございません。
 新予防給付と生活援助の関係につきましての質問にお答えいたします。
 これまで要支援、要介護1など、軽度の認定者に対する介護サービスが、利用者の状態の改善につながっていないという反省の上に立ちまして、新予防給付が創設されたものでございます。このため、新予防給付では、生活機能を低下させるような家事代行的なサービスは、原則的には行われませんが、必要性を厳格に見直した上で、本人の機能の維持回復に役立つような訪問介護は提供されるというふうに言われております。区といたしましては、支援が必要な高齢者に対する個々のケアマネジメントが重要だと考えておりまして、この体制の構築に着実に対応してまいりたいというふうに考えております。
 続きまして、地域支援事業の財政負担というような御質問にお答えいたします。
 (仮称)地域支援事業の財源につきましては、被保険者の保険料で50%、それから残りにつきまして、国が25%、都と区がそれぞれ12.5%という案が示されております。また、地域支援事業の事業規模につきましては、当該市町村の介護保険給付費の3%を上限とするとの案が示されておりますけれども、現時点では、地域支援事業へ移行する現行事業についての見直し内容の詳細につきましては、不明でございます。区といたしましては、こうした国の動向を注視しつつ、今後の対応につきまして検討してまいりたいと考えております。
 最後に、介護や医療の機関連携と区の役割につきましての質問にお答えいたします。
 日常的な健康づくりや介護予防から、介護保険サービスの利用まで、医療機関や介護事業者などの各種機関の連携体制を確保いたしまして、区民を必要なサービスへつなげていくための総合的なケアマネジメントシステムの構築、これが重要でございますが、このこととあわせまして、地域で保健福祉等のサービスを提供する体制づくりにつきまして、区として責任を持って推進してまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、まず、野方駅の改善につきまして御答弁をさせていただきます。
 野方駅の北口開設及び駅構内のバリアフリー整備につきましては、区の重点課題というふうに考えておるところでございまして、平成17年度につきましては、今年度の委託調査をもとに実現に向け、さらに努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、新井薬師前駅についてのお尋ねがございました。
 この新井薬師前駅につきましては、プラットホームが地上にございます。また、改札口も南北に配置をされておる平面駅ということでございます。このためにバリアフリーの整備対象駅ということにはなっていないということでございます。
 また、北口の開設時間につきましては、ほかの駅でも同様の状況がございます。これまでも西武鉄道に要請をしてきておるところでございますが、駅舎職員の配置上、開設時間の延長についてはなかなか難しいというふうに聞いております。また、踏切遮断時の駅構内の利用でございますが、これはあくまでも駅舎運営の現場の中での対応をということでございまして、こういうふうに聞いておるところでございますが、緊急な状況に応じた対応であると思っております。したがいまして、このことについて、直ちに西武鉄道へ要請をするというふうなことは考えていないということでございます。
 以上でございます
○議長(山崎芳夫) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 斉 藤 金 造
 1 中野サンプラザについて
 2 区政改革について
 3 防災対策について
 4 活力ある長寿社会への対応について
 5 学力低下について
 
○議長(山崎芳夫) 次に、斉藤金造議員。
      〔斉藤金造議員登壇〕
○35番(斉藤金造) それでは、平成17年第1回定例会に当たり、TOKYO自民党中野区議団の立場で一般質問をいたします。
 質問の順序は、通告どおり、1、中野サンプラザについて、2、区政改革について、3、防災対策について、4、活力ある長寿社会への対応について、5、学力低下についての順で行います。
 まず1番目に、サンプラザについてお尋ねいたします。
 今回、サンプラザについて、総務委員会で問題になったのは、12月1日の委員会で、委員会はもちろん、今まで一般質問、総括質疑等々で質問し、理事者が答えたり、報告を受けたりしたことと全然違う結果が急に出てきたことによるものでございます。その報告も総務委員長が今までに議会に以前の報告とは余りにも食い違っている、また議会に報告すべきことにも余りにも欠落しているところが多く、議会との信頼関係を大きく損なう部分があり、本報告については、委員会としては了承しがたいという、前代未聞の発言までありました。
 そこで、区が、議会、区民に説明されていたことと実際との食い違いについて質問をいたします。
 まず第1に、取得の意義、目的についてお尋ねします。
 区は、出資金の3分の2の権利を保有することで、区でなければできない事業がある。また、まちづくりに当たり、十分公共性が担保されるとのことでありますが、実際は、最初3億円の資本金の会社が6億3,600万円になり、4月には14億8,600万円に増資されていて、どこに区の権利が担保されるのですか。
 2番目に、区が3分の2の出資をすることにより、104億円の資産価値のある国の国民の財産を52億円で取得できました。しかし、実際は、10年後に清算するときには、今の資産価値と変わらない、100億円で売却したとしても、法人税等で14億5,000万円、融資をしたみずほ銀行、西武信金、都市再生ファンドの借入金返済に33億4,000万円、都市再生ファンドの出資分に32億400万円、株式会社中野サンプラザに18億150万円、中野区には2億450万円にしかならない、これらの試算も出ております。これで区長が総括質疑でお答えになっていた「私の立場は、2億円という区民の皆様からお預かりをしている大切な財産を株主として投資している立場であります。この区民の財産である2億円と、この2億円を介して中野区のまちづくりという中で、とても重要な位置を占めている、この位置付けを私は区民を代表して守っていかなければならない立場ということでありますので、株主として、最大の株主として、会社が経営を過たないよう、あるいは過ちそうになったときに、すぐさま適切に対応できるよう、そうした責任を果たしていくことが私の立場であると思います」とお答えになっております。しかし、今も、このような取り分で、清算したときの取り分でも、立場は変わっておられないのですか、お答えをお願いいたします。
 なお、区民の税金からの2億円だから、このようなスキームにしたが、個人の出資したお金でも、このような変更を簡単に了承するのかもお尋ねいたします。
 商法、刑法には抵触しないものの、道義上の責任、行政の長たる者の責任は厳しく認識しなくてはならないと思いますが、お答えください。
 さらに、平成16年3月18日の総務委員会で、そのときの区長室長が、「仮に100億円で売却したと想定しても、金利、購入費用、諸経費、税金等を差し引くと23億円残り、これを区と運営事業者で3分の2、3分の1の配分として第三者に売却した場合、要するに清算すると、中野区の取り分は15億円、運営事業者が8億円受け取るという想定もあり得ると思っています。相手の出資者の8億円の取り分についても、議会では法外ではないのかとの指摘に対しても、運営に関するリスク、サンプラザの黒字経営がうまくいかない場合でも、賃料はしっかり払うという契約なので、運営事業者の方で事業の赤字リスクを持つということと、また、新会社の運営をする、それから10年間のさまざまな価値の変動等に対するリスクを持つということを考えると、8億円の取り分は論外な理屈ではない」と答えているのです。
 その経過を踏まえて、いろいろな批判のある中、2億円の出資、2,000万円のコンサル料を含んだ平成16年度予算は可決されたわけであります。予算審議のときの3月では15億円の取り分、12月になったら2億450万円、これはどういうことなのか、お答えをください。
 次に、地方自治法による出資法人に対する関与についてお尋ねいたします。
 地方自治法221条3項にある地方公共団体の長の関与、議会の関与、監査の関与等が議会に示されていた中野サンプラザ取得運営事業に関する基本協定に基づいて設立された株式会社まちづくり中野21の昨年の9月6日の作成の定款では、すべて関与が保障されておりましたが、運営会社と交わした事業に関する協定書に基づいて11月17日に改定された新定款により、すべて関与することができなくなりました。このことを区長としてどう考えられておりますか、お尋ねをいたします。
 なお、雇用・能力開発機構も設立時の会社の定款であったらばこそ、売買契約をしたのではないのですか、お答えをください。
 再三、議会で確認した中野サンプラザ取得運営等事業に関する基本協定書に基づいて設立した株式会社中野まちづくり21の定款を改定する必要がどこにあったのでしょうか。最初から議会を無視し、新たなスポンサー日本政策投資銀行が、出資、融資の条件としての枠組みがあったため、設立して2カ月という短期間で定款の変更をしなければならなかったのではないでしょうか。
 なお、区はその条件を事前に知っていたため、3分の2という絶対的議決権を持ちながら、区に不利益な改定を認めざるを得なかったのではないでしょうか、お答えをお願いいたします。
 第三セクターに関する指針の改定についても、第三セクターの活用に当たっては、指定管理者制度の創設等も踏まえ、他の手法で行う場合との比較も行いつつ、当該第三セクターの意義、費用対効果、収支の見通し、関与のあり方等についても、絶えず検証するとともに、第三セクターのメリットが十分に発揮されるよう、民間の資本や人材の参画を促進する等、その経営ノウハウを積極的に活用する必要があります。また、第三セクターの経営悪化は設立団体の財政運営に大きな影響を及ぼすケースもあり得ることから、地方公共団体は第三セクターの健全な運営の確保に万全を期し、もって住民の信頼にこたえていくことが不可欠であり、点検評価の結果を踏まえつつ、必要に応じて、事業の見直し、廃止、民間譲渡、完全民営化等を行うことが望まれます。また、経営悪化が深刻化し、第三セクターの存続が危ぶまれる場合には、問題解決を先送りすることなく、法的整理を含め、抜本的な対応を行う必要があります。この通達の意義を履き違えて、まさかいち早く民営化をたった2カ月余りで民間会社にしてしまわれたのですか。
 指針の中での一般的留意事項でも、議会への説明と住民への情報公開では、1、議会に対しては、地方公共団体は、事業及び行政関与の必要性、第三セクター方式を選択することの妥当性、公的支援の必要性及び内容、運営体制等に関する事前の検討結果に加え、設立団体の財政運営に及ぼす影響等についてもあらかじめ十分説明しておくこと、2、地域住民に対しても、議会に説明した内容について、よりわかりやすい形で積極的に広報等を行うことなどにより、十分な理解を得るように努める必要があること、そういうことが記されてあります。
 そこで、お尋ねしますが、指針に基づいた議会、区民に対する対応は十分されたとお考えでしょうか、お答えをお願いいたします。
 この項の最後にお尋ねしますが、いまさら全く一民間会社になってしまった中野まちづくり21に、これ以上、区の関与は必要とは思われませんし、民間会社に中野区のまだ策定されてもいないまちづくりの核としての土地利用計画を押しつけることもできないと思われるので、全面的な資本金の撤収を考えてはいかがですか。
 あわせて、区長と議会との信頼関係がここまで損なわれてしまっては、他の事業、議案に対しても多大な影響を及ぼすと思われませんか。言ってることとやってることは余りにも違い過ぎます。議会の責任をも区民から厳しい批判を受けている。一体、この事態はどなたの責任かをはっきり示されることが、今一番重要なことと思われますが、区長のお考えをお示しください。
 次に、経営改革について、区長のお考えをお聞かせいただきます。
 田中区長は、区長就任後、「真に区民のために価値のある施策を実施し、持続可能な区政運営を実現する」という大義名分のもと、組織、職員のあり方、区政の運営改革を大胆に進める必要があると、平成15年2月経営改革指針を、平成16年4月には中野区の経営改革を示されました。顧客満足度の向上、区民との協働、説明責任の徹底、成果の重視、権限の移譲、市場競争原理の活用の6点を経営改革の基本視点に、区民本位の区政の実現に取り組むとのことでありました。
 平成16年4月の中野の経営改革によりますと、「中野の経営改革は、これまでの仕事の進め方を大きく転換するもの。仕事の進め方を決める制度改革の改正はほぼ終わり、実践する中で検証し、必要に応じて改善していくことにした」とありますし、15年度中には制度改革は終わり、「これからは職員一人ひとりが改革の目的を十分理解し、中野区の経営の担い手としてこれまでどおりの考え方ややり方ではなく、現場から発想し、実現に向けて取り組む」と改革が着実に進捗していることを述べています。
 そしてこの1年間、改革はどうなったのでしょうか。私には、改革の成果と言えるものは、何一つ見えてきません。見えてくるのは、疲れた職員の顔と、みずからの意思決定に自信を持てない管理職、くるくる変わるスケジュール、何でもかんでも10か年計画に逃げこむ答弁、区民に不評の組織改称、改革が非常に困難なことは理解します。しかし、課の廃止、事業部制の導入、目標と成果、行政評価、改革は言葉を羅列するだけではあらわれません。区長の任期は、残り1年5カ月ほどになりました。具体的な成果を示さなければならない時期であります。区民のための区政運営を実現するため、私の考えも示しながら、区長の取り組んできた改革、これから取り組む改革について、特に組織経営という視点から質問をさせていただきます。
 少子高齢化、低成長時代、厳しい財政状況、IT技術の革新的変化、住民の価値観の多様化など、先行きの見通しが不確実な中で実施される改革は、改革の影響やリスクを考えなければなりません。少なくとも議会などの客観的な評価を判断材料の一つとすべきだったと思います。改革案を実施すべきか、実施を見送ってしばらく状況の推移を見守るべきか、あるいは中止すべきか、慎重な意思決定を期す必要があったと私は思います。一たん意思決定しても、後で容易に撤回して、もとに戻せるならばいいのですが、一たん意思決定をすると、撤回にコストがかかったり、取り返しがつかなかったりする場合、これを不可逆性と言いますが、こうしたことは少なくありません。不確実性、不可逆性に伴うロスを克服、緩和するためには、意思決定の柔軟性を適時適切に発動することこそが、経営者に求められるものだと私は思います。また、経営者は客観的な判断をするため、多様な意見を積極的に聞き、自己満足に陥らないよう、常にリスク回避の手順を念頭に置くことも必要だと思われます。
 多くの権限を持つ区長は、独裁者であってはなりません。自己満足の意思決定を行っていたのでは、区民にも職員にも信頼されません。そして、何より自治体の経営者として、議決機関である議会との関係を大事にすべきです。このためには、情報の共有は欠かすことのできないものです。議論に必要な情報が、求めなければ出ないということが多々あり、意見を聞くという区長の姿勢に疑問を持たざるを得ない状況が少なくありませんでした。区長は、これまで区政運営の改革に取り組んできた中で、経営者として反省すべき点、今後注意すべき点があれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
 組織改正は、長い間の日本の官僚制に基づく仕事の仕方に対する意識を大きく変える第一歩だ、決まった仕事をどうこなすかという組織から、どういう価値を実現するかを目指す組織に変える、これまでの組織は、ともすれば、仕事の押しつけや縄張り意識の弊害があったり、臨時的な仕事への対応や融通性がきかなかったり、組織の階層が多く、決定するまでの手続や時間がかかり、管理職は自分で物を考えず、間違いが起きたときだけ謝るなどの対応をすればよいという、全体として無責任な体制になりがちだったと思います。
 一昨年、組織改正に当たり、これまでの組織がいかに多くの問題を抱えていたか、職員の役割と責任がはっきりしていないため、連携が弱く、いかに総合的な対応ができていなかったか、多くの事例を挙げて改正の必要性が説明されました。これだけ多くの現状分析がされていれば、分野、統括責任者、執行責任者というなじみにくい言葉を多用した改正も、その成果に期待をしてもよいのではないかと思いました。しかし、1年たった現在、私の期待は裏切られたのではないかと思い始めています。何がどのように変わったのか、よくわからないのです。
 そこで、伺います。
 目標と成果を重視する組織をつくり、職員がそれぞれの目標と役割を持ち、区民サービスの向上を目指すという組織改正のねらいは達成できていますか。また、職員は、意欲を持って仕事に取り組んでいる状況と言えますか。もし、そのような状況になければ、今後の取り組みについてのお考えをお聞かせください。
 次に、課の廃止、事業部制の導入についてお伺いいたします。
 私には、課の廃止は、課の名前を廃止しただけにしか見えてきません。相変わらず縦割り組織の実態は残っており、仕事のやり方も変わったようには見えてきません。どこがどのように変わったのかを具体的に説明してください。
 また、事業部制の導入により、人、物、金の資源が効率的で柔軟に活用され、課題に総合的に取り組めるようになると説明されましたが、私にはこれまで以上に組織は硬直してしまったように見えます。事業部制は、各事業部が自分のところだけの成果を追求する結果、セクショナリズムに陥るという欠点があると言われています。中野区の事業部制の導入は、この欠点があらわれ、組織全体の統一が困難になっているのが実情ではないでしょうか。各事業部の統制や調整機能を十分に整備しないまま分権化を強引に進めたため、組織としての統制がとれず、部門をまたがっている問題の解決が、何一つできないままになっています。都市整備部や区民生活部との関係がいい例だと思います。施策の所管をあっちにやったりこっちにやったり、区民不在の組織いじりはやめるべきです。その結果、毎年予算が皆増皆減ということでは、年度間比較もできず、大問題だと思っております。廃止した課をもとに戻すことや分権化を見直すことこそが今必要と思いますが、区長の考えをお聞かせください。
 組織改革により、職員の役割と責任が明確になり、職員は意欲を持って業務の改善や成果の向上が目指しやすくなり働きやすくなるとのことでしたが、本当に職員が働きやすい状況になったのでしょうか。区民のための施策を考える時間よりも、行政評価のための事務や権限が無定量に移譲されたため、事務量が急激にふえ、事務手続に追われ、残業に次ぐ残業が実情ではないですか。このため、事務改善などは二の次となっており、職場は混乱しているように見受けられます。この状況は好ましいものではありません。問題が顕在化しないうちに見直す必要があります。区長はどのように実情を把握していますか。また、見直す考えはおありでしょうか、お聞かせください。
 この項の最後の質問ですが、今回の組織改正で一番大きく変わったのは、管理職の役割だと言われています。しかし、実際には、課が廃止されても、課という枠は残っており、担当課長は従前どおりの課長としての仕事をしているようであります。組織改正後の担当課長の仕事は、事業執行の管理はせず、分野の目的の達成のため、資源配分や目標の見直しなどのマネジメントをするとのことでしたが、具体的には何をマネジメントするのですか。年度当初に組織体制を決めた後で、改めて人、物、金を配分し直したなどということは一向に聞きません。担当課長は、結局、事業執行の管理をこれまでどおり行っているのではないでしょうか。私はこのことがいけないとは思いませんが、わけもわからない役割を与えることの方が、問題だと思います。組織は理念であってはなりません。組織改革は、組織を活性化することです。理屈をこね回していて、改革はできないと思います。改めて、組織を活性化するための組織改革のシナリオを立て直してみる必要があるのではないでしょうか。10年先を見据えた組織の体力づくりに取り組む区長の考えを、改めてお聞かせください。
 次に、防災対策のあり方についてお尋ねをいたします。
 平成16年は、7月に台風や集中豪雨により各地で大きな水害が発生し、また9月には浅間山の噴火、さらに10月には新潟県中越地震が起きるなど、本当に災害に見舞われた1年でした。国外に目を転じれば、スマトラ沖地震の津波により、何と30万人近い死者、不明者が出る大惨事となりました。年末の1年の文字に「災」が選ばれるなど、改めて自然災害の恐ろしさを実感した1年であったと思います。
 また、さきの1月17日は、あの阪神・淡路大震災から10年目を迎えました。各地でさまざまな催しが行われ、中野区でも、1階区民ホールで写真展などが行われていました。被災地の写真のほか、家具の転倒防止、家屋の耐震化の重要性のPRが実施されていました。区は、この阪神・淡路大震災を10年目の節目に、再度見詰め直し、また昨年の新潟県中越地震などを踏まえ、今後、地域防災計画の見直しを進めるとしています。地域防災計画の時宜を得た見直しは当然のことであり、区でも、さまざまな点検を行い、防災対策の改善を図ることと思います。
 防災対策の見直しというと、その多くが形ある防災対策、例えばまちの消火器などの防災資機材などを、食料などの物資の備蓄を、そして家屋の耐震補強の促進をなどがすべてまな板に乗ります。これらももちろん大切で重要なことだと思います。大地震から私どもの生命や財産を守る上で欠かすことのできない対策には違いありません。これらは種々論議され、自治体として中野区が取り組まなければならない基本的な防災対策は、私の見るところ、十分か不十分かの評価はさておいて、そのほとんどに着手されていると感じられております。
 そこで、違う観点から、これからの震災対策を考える上で、区の考え方や取り組みの方向を確認しておかなければならないことを何点かお伺いをいたします。
 まず、切迫性が高いと言われており、昨年の暮れに国の中央防災会議においても中間報告がなされた首都直下地震のような地震が発生した場合、その被害は東京都全域に及ぶものとされています。一自治体である中野区だけが被災し、中野区地域防災計画で事足りるような状況ではないだろうと予測がつくところです。そうした場合、災害対策は広域的にならざるを得ず、各種応急対策活動も、東京都全域で展開されると考えられます。ふだん私たちは、町会、自治会、防災会などから始まる身の回りの災害対策はよく見えておりますが、災害対策の全容はなかなかわかりにくいものであります。特に、災害が起きたときには、東京都や中野区では、それぞれの災害対策本部を立ち上げると思われます。この東京都と中野区の関係、そして、中野区と各防災会など、区民の組織との関係がよく見えてきません。また、これに警察や消防など、地域とつながりの深い防災機関との関係も考えられます。災害時には混乱が生じます。また、パニックにもなるでしょう。そのときに重要なのは、組織的な正しい情報の行き来であり、組織的な指示、命令による危険の回避などです。私たち、災害時に一体どこから指示が出て、どのように伝わるのか、そのときに、東京都などは区とどのような働きをするのか、具体的に理解できない部分が多くあります。あらかじめ災害時の各防災関係機関の役割と我々住民との関係をきちんと掌握しておくことが大切だと思われます。何となくわかっていて、実のところわかっていないのは、指示や命令系統だと感じています。中途半端にわかるというのは、災害時に混乱を招くだけだと思われます。
 そこで、お伺いをいたします。
 まず、先ほど例示した首都直下地震など、広域的な災害が起きたときに、東京都と中野区、また区内の防災関係機関は、それぞれどのような役割を担い、指揮命令系統はどのようになるのでしょうか。
 次に、私たちまちの防災組織は、どこからどのように指示や情報が来るのでしょうか。いろんなところから指示が来ても困りますし、情報が来なくても困ります。どのような指示系統を想定しているのでしょうか、お聞かせをお願いいたします。
 では、次に災害時の情報の伝達、収集体制や活動の指示など、情報の流れについて確認をしておきたいと思います。
 災害時には発災直後の災害情報の収集が大切だと思われます。発災初期の災害情報の掌握状況が、以降の災害対策活動の良否を左右すると言えます。中野区でも、地域防災無線などを整備し、各防災関係機関や区民との情報収集、伝達に備えています。昨年の新潟県中越地震では、地震による停電等で、各市町村に整備されている防災無線の非常用電源がなかった、また機能しなかったことから、災害情報の収集や発信が大きく制約を受け、情報が錯綜し混乱したと聞いております。せっかく防災無線を整備していても、いざというときに活用できなければ、宝の持ち腐れです。発災直後に迅速に被災状況を収集し、またそれに応じて的確に災害情報を伝える、指示を出すなどができなくてはなりません。また、私たち区民にもきちんと情報が伝わるような仕組みが重要だと思われます。区は、しきりと自助、共助をうたっています。もちろん災害時には、自助、共助が大切なことは言うまでもありません。しかし、区がそれを言うためには、区民に対して、災害情報を伝える仕組みを確保していなければなりません。私が承知している区からの情報伝達の機材は、各町会、防災会の責任者に配備されている個別受信機、それと各避難所にある防災無線であります。また、屋外無線のスピーカーでもあります。よく聞き取れないこともありますが、都会の拡声器の限界もあると思います。これらの伝達手段だけで、区と地域の方々の災害情報の共有が十分にできるとは考えられません。
 そこで、お伺いいたします。
 区が今整備している防災無線を初めとする災害情報システムは、災害時の停電等への備えは十分なのでしょうか。また、今後、防災関係機関はもとより、区民との災害情報の共有という視点で、災害情報システムの構築の方向をどのように考えられているのでしょうか、お答えをお願いいたします。
 ここまで、区や防災関係機関の役割、災害情報の共有の視点で質問をしてきました。仕組みやシステムが整備されたとしても、これを担い、有効に機能できるかどうかは人にかかってきています。つまり人材です。地域の中でも、防災のリーダーになる人材の育成は大きな課題です。これは私たちがまちの中で頑張っていかなくてはならない問題であることは痛感しております。災害時にはさまざまな情報を入手し、周辺状況を的確に判断し、また住民の先頭に立つ人が地域の中に1人でも多く出てきてほしいものだと思います。そのために区が行っている防災講習会などの機会に、積極的に地域の方々が参加するように、区と協力して取り組んでいきたいと思っております。
 さて、もう一つの人材は、区の職員の方々です。発災初期には消防署員も区の職員も、すぐに現場には行けません。初めは地域の皆さんで頑張ってくださいとよく言われますし、そのことも理解はしているつもりです。しかし、災害時には防災関係機関、特に区の職員の方々には、私たち住民と一体となってまちを守っていただく責務があるでしょうし、日ごろからその心構えを養っておくことも重要だと思われます。区は、区政運営の基本の一つに職員の削減とともに、人材育成の重要性を挙げています。職員を削減し、さまざまな方法はあるにせよ、サービスの向上を図るということは、職員一人ひとりの能力の向上が欠かせないことになるわけです。日常の区政運営において当然のことだと思いますが、災害時は特殊な状況と言えます。想定できないような状況に直面することもあります。職員全員がふだんから的確な危機管理能力を持ち、いざというときにどんな場面でも十分に能力を発揮し、区民とともに活動ができるような職員の育成というか意識改革が大切だと思います。職員一人ひとりの自覚と危機意識が欠かせません。区長をトップにした職員全員の自覚と意識に基づく災害対策活動が、区民の生命と財産を守ることにつながります。
 そこで、区長にお伺いをいたします。
 区長を初めとする区職員の災害対応能力の向上と職員の育成に、どのように取り組もうとしているのかをお聞かせください。
 災害対応の基本は、やはり人です。幾ら物があっても、まち並みが改善されたとしても、最後は人だと思います。区長のリーダーシップのもと、いつ襲ってきてもおかしくない災害対応に万全を期せられるようお願いし、この項の質問を終わります。
 次に、活力ある長寿社会への対応について、お尋ねをいたします。
 本年の1月6日の新聞で、超高齢社会を見据え、正面から向き合おうという読売新聞社の社説、また、経済評論家の堺屋太一さんの提言が草稿されていました。ざっと紹介いたしますと、平成19年から、終戦直後のベビーブーム期に生まれた約700万人の団塊の世代が、次々と60歳を超えていく人たちが、平成19年から毎年100万人、3年間で300万人以上が定年を迎え、日本の経済と企業経営に深刻な影響を与えると憂慮されます。中野区でも、平成19年には4,650人、平成20年には4,500人、平成21年には4,400人と推測されております。1人のお年寄りを3.4人で支えなければならないなど、悲観的な典型的な官僚的予測、すべての仕組みを不変と断定し、中身の数字だけをいじくって将来をはじき出す手法で予測しても、大概外れるそうであります。実態の変化に応じて世間の仕組みと人間の仕方も変わるからで、特に、私もそうですが、団塊の世代に関する官僚や識者の予測は、ことごとく見事にこれまで外れてまいりました。
 中学校時代は、60人学級のすし詰め教室で学んだ。文部官僚は、それでは学力はつかないと主張したそうですが、そのころの日本の中学生の学力は高く、学力低下や学級崩壊は40人学級になった1990年代からの現象です。団塊の世代が、高校、大学を卒業するころには、こんなに新卒者が多いのでは就職難になると言われてきました。だが、現実は、60年代末から70年代初頭は、高度経済成長期で、人手不足でありました。団塊の世代が40歳代になると、窓際族がふえて企業経営が難しいと言われましたが、事実はその逆で、企業利益は至上最高のバブル景気になりました。そして、ようやく官僚が、日本経済は40歳代中年のパワーと忠誠心で断然強い、心配ない、土地も株も上がり続けると言い出した途端、景気が悪化し、バブル景気が崩壊して、日本は長いトンネルに入ったと言われております。
 平成19年から先も、官僚的予測は外れると思われております。団塊の世代は、60歳代になっても働き続け、新しい産業と文化を起こすに違いないと談じております。実際、人生80年代の今、60歳代は老人ではなく、経験と体力とやる気のある優良な勤労者と思われます。その半面、多くの方は、住宅ローンや子女教育の負担を済ませ、退職金や企業年金にも恵まれ‐‐こういう人もいるということ‐‐老親の介護が終わり、相続財産を得ることも珍しくないと思われます。つまり人生で最も恵まれた時期の到来で、そのような状況の人々が大きな塊となって出現すれば、これまでにない新型の労働力が供給されると思われます。たとえ給与が低くても、好みの仕事と勤労形態を選ぶと言われております。これをどれだけ活用するかで企業の盛衰も決まっていく。同時に、60歳代の激増は、巨大な高齢者市場を生み出し、団塊の世代が、これまでもその年齢に応じて、ハイティーン、ヤング、ニューファミリー、そして中年交際貴族などのブームを生んできたと、こういうふうに言われております。平成19年からは60歳代からのいぶし銀文化の市場がきっと大成長するに違いないとあります。日本の人口は来年から減少しますが、これも経済、文化の衰退に直結するものではなく、15世紀にイタリアでは、人口が急減したそうでありますが、その時期こそがルネッサンスにつながる新文化が花開き、人口の減少で生産性の低い業種が捨てられた結果、1人当たりの所得が伸び、文化に投じる資金が増加したからだそうであります。
 また、団塊の世代を境に、公的年金の満額支給年齢は65歳からとなり、昨年、高齢者雇用安定法が改正され、65歳まで雇用する制度の段階的導入が企業に義務づけられ、若干企業には負担でありますが、年功序列型賃金を修正したり、ワークシェアリングを進めたりすれば、65歳定年の実施は可能ですし、それは生涯現役社会の第一歩にすぎず、平均寿命と健康寿命を近づけ、そこに労働寿命も近づけられればと思われております。
 団塊の世代は、今まで紹介したとおり、常に新しいライフスタイルを築いてきたパワフルな世代であります。高齢者の定義を大きく変える先導役にきっとなってくれるはずであります。もちろん国も大胆な規制撤廃、国際的な人事交流を進め、効率の高い分野に労働力を集中しなければならず、何よりもより長く支えとして頑張るには安心できる社会保障の確立を急がなければなりません。税金、年金、医療、介護などの負担と給付のあり方を一体化して描いていかなければならないことはもちろんであります。
 そこで、お尋ねしますが、今まで述べたような豊かないぶし銀文化、活力ある長寿社会を後押しするような大胆な施策が必要と思われますが、基本構想の中でどのように表現されておりますか、区長にお尋ねをいたします。
 さらに、区民により一層元気に中野区で暮らせる施策が考えられないかもお伺いをいたします。
 高齢社会は大変だ、だめだ、困る、困るからでは何も生まれてこないのではないでしょうか。積極的に取り組むときだと思いますが、いかがでしょうか。団塊の世代への対応がこれからの企業の生き残りとも言われております。中野区は、はっきりした、しっかりした展望を持って、元気な明るい将来を築いていかなければならないと思いますが、十分な対応を考えられているのかをお答えください。
 平成16年5月に実施した都の産業労働局の調査によると、東京の団塊の世代を中心とする50歳代は元気であり、多様な生き方をしている。まず一番最初に、高学歴で管理、専門的職業が多い。2、健康に自信を持っている、約9割。3、仕事以外のネットワークがある、約4割。肩書きがなくても平気だ、約6割など、会社人間だけではない多面性を持っている。4、5年後の東京の生活は住みにくくなっている、これは5割の人がそう思っているそうです。働きにくくなっている、7割がそう思っている。しかし、東京脱出の準備をやっている人はほとんどいない。5、NPOやボランティアへの参加は、今は少ない、約1割だそうです。将来は、4割もの人が参加したいと言っておるそうです。高齢者の多様な就労、社会参加ニーズ、高齢者派遣事業等の導入、社会参加促進機能の強化が望まれますが、いかがお考えでしょうか、お答えをください。
 さらに、相談援助、高齢者のためのワンストップサービスセンターの創設、ワークシェアリングとネットワーク体制の確立、生涯学習のチャンス等、場の提供への取り組みが急務と思われますが、区長はどうお考えですか。
 中野区の役割として、長寿社会への参加は大歓迎との準備をするべきですし、自治を担う集団でもあります。新しい住民企業、コミュニティビジネスの誘導は考えておられるでしょうか、お答えをお願いいたします。
 最後に、学力低下について、短く質問いたします。
 昭和40年代、日教組の学校5日制、授業時間数削減に押され、ばかな文部省が、ゆとり教育路線にかじを切り、50年代に臨時教育審議会が打ち出した個性重視の原則とともに、ゆとりは今も教育施策や学校現場の基本理念となり、今では、自由と放縦の履き違え、ゆとりではなく緩みと多くの批判を受けつつ、さらに一番ゆとりがあるのは学校の教師との指摘もあります。一部の生徒は、夜の10時まで塾通いをしている現状です。授業時間をさらに1割、特に国語、算数等の主要教科の削減、教育内容も3割も削減した新指導要領が導入されたのも、わずか3年前のことであります。昨年、経済協力開発機構など、二つの国際学力調査の結果、日本は、小・中学校の学力で世界のトップ集団から脱落したことが知らされました。本年になっても、読売新聞のアンケート調査では、国民の8割が子どもたちの学力低下を不安に感じ、ゆとり教育を評価しない人が7割を超えていることが明らかになりました。賛成はわずかに2割ほどです。学校教育では71%の人が不満と感じております。その不満の中で高い順に、教師の質の低下、これが60%、学力低下が44.5%、道徳教育をもっとしなくちゃいけないが42%、いじめがあるが36.2%等となっております。中野区は、区民の不満、不安を早急に取り除くことこそが肝要と思われます。
 23区でも、特色ある学力向上に、品川区では、小学校高学年において、教員の教科の専門性を生かし、教科担任制を実施しております。台東区でも、教育センターにおいて、夏休みや休日に科学教室や勉強室などを実施しております。教員の指導力の向上の取り組みの中では、授業の上手な先生を講師とした授業力のアップを目指しておりますし、新宿区、北区では、大学等と連携して、教員を目指す学生をティーチングアシスタントとして活用するなどを通して、次代の区の教育を担う教員の指導力向上を目指しております。
 そこで、お尋ねをいたします。
 中野区の学力の現状とそれに対する学力向上、教員の指導力の向上への取り組みはいかがされているのかもお尋ねいたします。
 あわせて、小学校から中学校に進学するとき、特に女子生徒の私立学校進学が多いという現状をどのように考えられているのかもお聞かせください。
 以上で、大変長い時間、皆様には清聴いただきまして、ありがとうございました。これで質問を終わります。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 斉藤議員の質問にお答えをいたします。
 まず、サンプラザの取得運営事業につきまして、当初想定をしておりました資金調達等の枠組みを変更せざるを得なかったことによりまして、当初の議会での御説明と異なる形になってしまったこと、またその経過について、適切な時期に的確な御報告ができず、まことに申しわけなく思っております。特に、資金調達の枠組みが変更したことは、結果として、地方自治法における区や議会の関与が及ばない形となる変更でもあり、こうした事態についておわびを申し上げるところであります。
 短期間に決定しなければならなかった状況であったとしても、十分に御報告、御相談すべきであったと考えているところであります。サンプラザの取得運営事業については、今後とも、議会との情報共有に努めながら区政運営を進めていきたいと考えているところであります。
 なお、区や区議会の関与について、法的な根拠を担保するために、別途、条例案の提案も予定しているところであります。
 サンプラザ取得の意義、それから目的といったことについて、資金調達の変更をめぐって、区の権限がなくなったのではないかといったことについての御質問でありました。
 サンプラザ取得運営等の事業の目的は、中野区の活性化と中野駅周辺まちづくりを推進することにあります。今回の資金調達方法によりまして、株式会社まちづくり中野21における区の出資割合は3分の2ではなくなるわけでありますが、区は株主総会の議決権の3分の2を持ち、会社の実質的な支配権を有しているところであります。また、取締役会のみの議決で実施可能な事項についても、重要事項については甲種株主として拒否権を有しておりまして、区は本事業の目的を達するための権利を確保していると考えているところです。
 また、サンプラザを売却をして会社を清算したとした場合の分配についての御質問でありました。
 平成16年第1回定例会におけるサンプラザを売却した場合の分配に関する答弁、これは残余財産は運営期間中の社会経済状況の変化やサンプラザ経営の状態により左右されるものであるということを前提として、一定の条件を仮定してお答えしたものであります。その後、区は、区民の税金から支出した2億円の出資金を損なうことなく、本事業を進めていくこと、と同時に中野駅周辺のにぎわいと新たなまちづくりに結びつけていくことを最優先に、今回の枠組みを構築した結果、分配の想定が変わってきたということであります。この間の検討状況について、適宜的確な御説明ができなかったということについて、大変申しわけなく思っているところであります。
 出資法人である株式会社まちづくり中野21に対する関与の関係であります。
 地方自治法の規定は、公の出資による事業の公共性と出資金の適正な運用を担保するための規定であるというふうに理解をしておりまして、重要な条項だと考えているところです。今回、区の出資割合が2分の1になったわけでありますが、支配権のある株主としての地位と商法上の権利、これを活用いたしまして、議会への報告なども適切に行っていきたいと考えているところであります。そのことを法的に担保するために、株式会社まちづくり中野21への区の関与等について、新たな条例を設けることとして、今定例会に御提案をする考えであります。
 雇用能力開発機構との関係では、優先株の発行に当たって協議を行ったところであります。内容としては、中野区が株主総会の3分の2の議決権を有している限り、譲渡の条件に反していないという確認を得ているところであります。
 まちづくり中野21の定款変更の必要性というところであります。
 中野サンプラザ運営研究会グループによる7月に提出をされました再提案書の中では、日本政策投資銀行などの金融機関からの資金調達の枠組みが提案をされていたところであります。その時点では、優先株の発行による資金調達はまだ想定されてはおりませんでした。中野サンプラザ運営協議会グループが金融機関と協議をして検討してきた結果、10月13日に今回の資金調達の枠組み案を提示してまいりました。この枠組みについて、事業者及び区が結論を得るためには、1カ月を要したわけであります。結果、11月15日に、下記の理由により、この枠組みを決定したものであります。「下記の」というのは、これから申し上げるということですけれども。この枠組みを検討した結果、区が2億円以上の出資を行わないこと、増資が行われても、まちづくりに資するという本事業の目的及び区の指導性を確保できること、10年間の運営を確保できる最適な枠組みであること、こうしたことから、出資も含めた資金調達の枠組みを了承し、必要な定款変更などの手続において区の議決権を行使したものであります。
 総務省の示しております第三セクターに関する指針、この関係であります。
 本事業の枠組みは、当初から総務省の第三セクターに関する指針の内容を十分踏まえて構築をしてきたものであります。第三セクターの資金調達に関しては、事業自体の収益性に着目したプロジェクトファイナンスの考え方を基本とすること、また資金調達責任を民間事業者に負わせ、区が損失補償を行わないことなど、こうしたことにも留意をしてきたところであります。指針では、第三セクターの設立に当たって、区民や区議会に十分な説明を求めているところでもあります。この趣旨は、設立後も当然それにのっとって対応すべきであったものであります。それについて議会への説明や区民に対する広報が必ずしも十分ではなかったことについて、深く反省をしているところでありまして、今後は十分な報告などに努めていきたいと考えております。
 区の出資金を引き上げてはどうかということであります。
 区は、株式会社まちづくり中野21に2億円を出資しているわけであります。また、10年間の運営期間において議決権の3分の2を有しております。したがって、株式会社まちづくり中野21が単なる一民間会社となったとは考えてはいないところであります。今後も、株式会社まちづくり中野21への関与を通じて、中野区の活性化と、中野駅周辺まちづくりを推進してまいりたいと考えております。
 次に、区政改革についての御質問にお答えをいたします。
 議会との情報共有という御質問がありました。私は、真の区民サービスの向上のために区政改革は不可欠なものであると認識をして、改革を進めてきました。その際、議会において、十分な御議論をいただきながら区政運営を進めることが自治体の経営には重要であり、その前提としての情報共有には十分な配慮が必要であると認識をしております。組織執行体制の変更などの内部改革や事業の新設、見直しなどについて、適切に議会に報告や情報提供などを行うよう心がけてきたところでありますが、不十分な場面もあったと承知をしているところでありまして、今後とも議会との情報共有に十分配慮していきたいと考えているところであります。
 組織改正の成果ということであります。
 目標と成果によって仕事の進め方を常に見直し、区民サービスに的確にこたえていこうとする取り組みとして組織改正を行ったところであります。その結果、区民サービス向上を目指した職員間の議論が活性化したと考えているところですが、十分そのメリットが発揮されるためには、さらに工夫が必要だと認識をしているところであります。事業部制の導入によって、部が、部の目標達成に向けて、部の独自性や特性を生かした創意工夫によって、予算、職員など経営資源を効率的に活用し、組織の活性化をするということを図ってきたところであります。課を廃止をして、組織中心の執行体制から、事業の目的と成果を重視した執行体制に改め、縦割りの弊害をなくして効率的、効果的な執行体制にするよう図ってきたものであります。事業部制を確実なものとしていくためには、管理職を中心として計画的な研修を進めているところでありますが、今後は全職員に対象を広げ、改革改善に努めていきたいと考えております。
 事業部制の見直しという御提案については、目標を明確にして、より高い成果を上げていくために、柔軟に組織の形や仕事のやり方を変えていくことも新しい組織のメリットであると考えているところでありまして、御指摘があった二つの部門がありましたけれども、より高い成果が上げられるよう努力をしていきたいと考えているところです。また、予算については、年度間比較ができるような仕組みのあり方といったようなことについても、今後検討していきたいと考えております。
 権限移譲について、今後、実情を把握しているか、見直す考えはないかといった御質問でありました。仕事の仕方を大きく変更をしていくという段階におきましては、個々の担当に一定の負荷がかかったということについては認識をしているところであります。この改革によって、組織全体として簡素化、効率化が図られたとも考えているところであります。この効果をさらに高めるためには、職員の役割と責任に対する理解を深めていく必要があるわけでありまして、その周知に努めていきたいと考えております。
 10年後を見据えた組織の体力づくりということについてであります。
 目標と成果による管理によって、目標設定、実施、評価、検証、見直しによって改革改善を常に行い、組織を活性化する気風が醸成されると考えているところであります。その中核となって、予算や人員の配分などの経営に当たっているのが管理職であります。管理職は、経営層としての新たな役割を十分自覚をして、現在努めていると考えているところであります。改革は、枠組みをつくったから終わりということではなく、それを機能させるために、時間をかけて逐次改善を重ねていく、このことが最も重要であると認識しているところであります。今後も、さらにこの取り組みを進めるべく、職員一人ひとりが目標に向かって生き生きと仕事が進められるよう、組織全体で努力をしていきたい。また、その先頭に立って努力をしてまいる所存でございます。
 防災対策について。防災関係機関の指揮命令系統と住民への指示の系統についてであります。
 首都直下地震など、広域的な、また甚大な災害においては、災害救助法が適用され、国が非常災害対策本部を設置することとなります。この場合、区市町村は、東京都の指揮下で活動するということになるわけであります。一方、区は、区民に対する応急対策を速やかに実施するため、災害対策本部を設置をいたします。地域の防災組織であります防災会には、区の災害対策本部が直接、または地域本部を通じて情報提供や必要な指示をお出しすることとなるわけであります。その内容については、火災の延焼状況など、被災状況の情報や避難の指示、勧告、また避難の場所、方法、状況に応じた防災会の活動の要請といったことが想定されるところであります。
 災害情報システムの停電時対策と今後のシステムの構築の方向についてであります。
 防災無線については、東京都防災無線が整備されている関係から、停電時には区庁舎の発動発電機と東京都の発動発電機から電力が供給されるため、停電時にも稼働可能な状況にあります。また、防災センターの情報機器類についても、区庁舎の発動発電機によりまして、電源の確保ができるようになっているところであります。こうした装置が万全に作動するよう万全を期してまいりたいと考えております。
 また、災害情報システムについては、防災行政無線を中心としたシステムの整備を行ってきたところでありますが、今後、携帯電話やCTNを活用した視覚文字情報の提供など、多様な媒体を活用したシステム化を進め、災害情報の共有の確実性を高めてまいりたいと考えております。
 また、区長、私を初めとする職員の災害対応能力の向上についてであります。
 災害に的確に対応するため、ふだんから災害のイメージを高め、不測の事態に適切な状況判断や迅速な行動がとれるように、防災訓練にロールプレイング方式の図上訓練を取り入れ、職員の災害対応能力の向上に取り組んでいるところであります。また、先ほど高倉議員の御質問にもお答えしましたが、私を初め幹部職員の危機対応能力の向上といったようなことにも、特段に配慮をしていかなければならないと考えているところです。
 さらに、今後は危機管理対策の一環として、職員全員に救急救命講習を受講させ、日ごろから、いつでもどこでも区民の安全の確保に対処できるようにするとともに、各種防災訓練による行動力の向上や図上訓練のさらなる充実を図っていきたいと考えているところです。
 また、活力ある長寿社会への対応についてというところであります。団塊の世代を中心に、高齢者の活力ある長寿社会が期待できるということについての考えをということでありました。
 私も、団塊の世代の後を追う世代としてずっと生きてまいりましたので、団塊の世代が持ってきた影響、これからの可能性といったようなことについては、高く評価をしているというところであります。戦後ベビーブーム世代が高齢期を迎えるこれからの社会においては、従前のように、高齢者を保健、福祉サービスの受け手としてのみ位置付けるのではなく、地域自治の主体、地域住民へのサービス提供や支え合いの重要な担い手としても位置付け、活力ある地域社会を創造する必要があると考えております。基本構想におきましては、高齢者が就労や地域活動を通じて社会に参加し、さまざまな交流や活動にかかわることで、豊富な経験と能力を生かしながら生き生きと暮らしている、そうした将来像を描いているところであります。高齢者が元気に生き生きと社会参加する社会の実現のためには、ボランティア活動や地域スポーツ、生涯学習、福祉的な就労の場の確保にとどまらず、コミュニティビジネスやワークシェアリングなど新しい手法で生み出される多様な就労機会、雇用機会も極めて重要であると考えているところでありまして、今後具体化に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
 私からは以上であります。
     〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 学力低下についてお答え申し上げます。
 まず最初に、中野区の学力の現状と、それに対する学力向上と教員の指導力の向上への取り組みでございますが、今年度、中野区の方で学力調査を実施いたしましたけれども、それによれば、国語、算数、数学、英語、これにつきましては、学習指導要領の目標とする内容の理解について、おおむね良好であったと思っております。ただ、理科や社会につきましては、基礎的な事項の理解にやや課題が残る状況が見られました。各学校におきましては、この調査結果を活用して、児童・生徒への個別指導を行うほか、授業改善プランを作成しております。また、大学等と連携いたしまして、ティーチングアシスタントを活用するなどして、学力向上に取り組んでいきたいと思っております。さらに、教員の授業力の向上という観点から、地域や保護者の方に長期にわたって授業を参観して授業評価をしていただく長期授業公開制度を17年度に実施いたすほか、教員のリーダーとしての教育マイスター、そういうものを養成することを検討してございます。
 それから、区内の女子生徒の私立中学校への進学が多いということでございますけれども、これにつきましては、東京都全体の傾向としても、女子が男子よりも私立の方へ進学する傾向があるわけですけれども、その理由はいろいろとあると思いますけれども、いずれにいたしましても、男子も女子も、端的に言えば、区立より私立の方に魅力があるということで、そちらの方に動いているということだと思います。そういうことで、教育委員会といたしましては、一人ひとりの子どもに合った教育や、あるいは生徒指導のあり方も含めて、教師の授業力の向上、そういうものを図りまして、区民から信頼され選ばれる公立学校を目指していく必要があると考えてございます。
○議長(山崎芳夫) 以上で斉藤金造議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。
 議事の都合により本日の会議はこれをもって延会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後6時16分延会