平成17年09月22日中野区議会本会議(第3回定例会)
平成17年09月22日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録
平成17年第3回定例会本会議第2日(9月22日) 1.平成17年(2005年)9月22日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
  1番  いでい   良  輔        2番  伊  東  しんじ
  3番  佐  野  れいじ         4番  北  原  奉  昭
  5番  久  保  り  か        6番  酒  井  たくや
  7番  奥  田  けんじ         8番  近  藤  さえ子
  9番  小  堤     勇       10番  大  内  しんご
 11番  伊  藤  正  信       12番  きたごう  秀  文
 13番  吉  原     宏       14番  高  橋  ちあき
 15番  やながわ  妙  子       16番  平  島  好  人
 17番  むとう   有  子       18番  はっとり  幸  子
 19番  長  沢  和  彦       20番  か  せ  次  郎
 21番  山  崎  芳  夫       22番  小  串  まさのり
 23番  若  林  ふくぞう       24番  市  川  みのる
 25番  岡  本  いさお        26番  こしみず  敏  明
 27番  飯  島  きんいち       28番  佐  伯  利  昭
 29番  佐  藤  ひろこ        30番  来  住  和  行
 31番  岩  永  しほ子        32番  篠     国  昭
 33番  柿  沼  秀  光       34番  伊  藤  岩  男
 35番  斉  藤  金  造       36番  大  泉  正  勝
 37番  斉  藤  高  輝       38番  江  口  済三郎
 39番  藤  本  やすたみ       40番  昆     まさ子
 41番  江  田  とおる        42番  池  田  一  雄
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      助     役  内 田 司 郎
 収  入  役  山 岸 隆 一      教  育  長  沼 口 昌 弘
 区 長 室 長  寺 部 守 芳      政策計画担当課長 川 崎   亨
 まちづくり総合調整担当部長 石 橋   隆 総 務 部 長  石 神 正 義
 総務担当参事   橋 本 美 文      区民生活部長   本 橋 一 夫
 子ども家庭部長  田 辺 裕 子      保健福祉部長   菅 野 泰 一
 保 健 所 長  清 水 裕 幸      都市整備部長   石 井 正 行
 教育委員会事務局次長  金 野   晃
本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    高 橋 信 一
 書     記  大 谷 良 二      書     記  黒 田 佳代子
 書     記  永 田 純 一      書     記  荒 井   勉
 書     記  岩 浅 英 樹      書     記  菅 野 多身子
 書     記  廣 地   毅      書     記  西 田   健
 書     記  鳥 居   誠      書     記  杉 本 兼太郎
 書     記  松 本 桂 治      書     記  吉 田 哲 郎

 議事日程(平成17年(2005年)9月22日午後1時開議)
日程第1
 認定第1号 平成16年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

午後1時32分開議
○議長(高橋ちあき) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 藤 本 やすたみ
 1 新しい中野をつくる10か年計画と財源の裏付けについて
 2 地域課題の解決について
  (1)コミュニティバスの開通について
  (2)水害対策(妙正寺川取水口)について
  (3)野方駅北口開設とバリアフリー化について
  (4)その他
 3 地域センターの在り方にについて
 4 ビン・缶回収の在り方について
 5 ドッグランについて
 6 その他

○議長(高橋ちあき) 最初に、藤本やすたみ議員。

〔藤本やすたみ議員登壇〕
○39番(藤本やすたみ) 平成17年第3回定例会に当たり、民主クラブを代表して質問をいたします。
 まず、第1に新しい中野をつくる10か年計画について、第2番目に水害対策あるいは野方駅北口開設等の地域課題の解決について、第3番目に地域センターの在り方について、第4番目にドッグランについて、時間がありましたらビン・缶の回収の在り方についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、第1に新しい中野をつくる10か年計画についてお尋ねをしたいと思います。
 つい先日、新しい中野をつくる10か年計画の素案が中野区報で発表になり、各地域センターごとに素案の内容の説明会が実施されました。また、議会に対しても各委員会ごとに説明が行われ、質疑が行われています。
 率直な感想を言わせてもらうと、工夫はされているとは思うのですけれども、非常にわかりにくいものになっているような気がいたします。中野区基本構想の議論の中で、質問されたさまざまな問題、課題に対して理事者の方々は、それは10か年計画の中で明らかにしていくという答弁を繰り返してきたように思います。ここでその一つひとつを取り上げて議論するわけにはいきませんが、必ずしもそれらの疑問に的確にこたえた計画として示されているようには思われません。
 中でも一番気にかかる問題は、計画を実施する財源が実施される施策に対して少しも明らかになっていないことです。少なくとも前半の5年間は、実施計画の要素を持った計画なのですから、その計画を実施していくための財源の裏付けを明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 前区長時代に2度ほどつくられた長期計画が、途中で頓挫し実現しなかったのも、この財源についての明確な裏付け、あるいは財政に対する甘い見通しが最大の理由だったのではないでしょうか。その意味でも新しい中野をつくる10か年計画は、財源の裏付けを明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。財源の裏付けのない計画は、それこそ絵にかいたもちになってしまうおそれがあります。区長並びに理事者の明快な答弁を求めたいと思います。
 2番目に、地域課題の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 新しく田中区長が誕生して最初の質問の中で、私は、地域に横たわっている長年にわたって解決していない課題を、一つひとつ着実に解決していくことが大切であるという質問をさせていただきました。コミュニティバス、上鷺宮・鷺宮地域における巡回バスの設置については、昭和54年の第1回の定例会のときに質問させていただきました。ようやく区長をはじめとする行政当局の関係会社に対する熱心な働きかけにより、このたび11月の運行を目指して上鷺五丁目、鷺宮六丁目から新青梅街道、環七、早稲田通り、そして中野区役所まで、1日27便、20分間隔で実現することになりました。また、この9月16日からは広町団地へのバスが開通するなど、南北に十分ではないにしても新しく区民の足を確保することができたことに対し、行政機関の努力を多としたいと思います。高齢化社会を迎え、これから足の確保は極めて大切な施策であるという認識を持って、これからも取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、水害対策についてお尋ねをしたいと思います。アメリカでは「カトリーヌ」というハリケーンが大変な猛威を奮い、大きな被害をもたらしております。日本でも中越地震、宮城沖地震、そして台風による集中豪雨等で各地に大きな被害が出ました。我が中野区でも、8月15日、9月4日の1時間に100ミリを超える集中豪雨で大変大きな被害が出ました。被害者の方には心よりお見舞いを申し上げます。
 水害対策については、環七の地下貯水池の第1期工事完成により、神田川周辺の大規模な浸水被害は少なくなってきましたが、昨年の台風などによる集中豪雨などにより、妙正寺川は護岸すれすれまで水位が増水し、いつあふれてもおかしくない状態にありました。東京都は、平成9年の妙正寺川の立て坑を掘る工事のときの説明会では、当初取水口をつくることを地域住民に約束していました。地域のために立ち退きに協力してくれた家をはじめ、地域の理解と協力が得られて工事が着工されたのです。ところが、いよいよシールド工事が始まるというときの説明会では、妙正寺川の立て坑に取水口は設置しないとの説明を行い、私たちをはじめ地域住民はびっくりしてしまいました。
 東京都の財政が厳しくなってきたので、先延ばしをしようとしたのがその理由だと思いましたが、このことについて私は、平成14年の第4回定例会の本会議での質問をはじめ、総括質疑等を通じて妙正寺川の取水口を当初の約束どおり早期に設置すべきだと、中野区としては強く東京都に働きかけるべきだと質問をしました。行政当局も、また、このたびの衆議院議員選挙に当選された当時都議会議員の松本文明議員も、都にその実現方を強く働きかけをしていただき、その結果、東京都は再度妙正寺川に取水口を設けるとし、その設計費用を16年度の都の予算に計上しました。しかし、その実現は20年とも聞いていますが、このような水害が起こらないようにするためにもその工事をさらに促進し、1日も早い実現を目指すよう行政、議会、住民一体となって都に強く働きかけていくべきだと思います。
 このことについては、既に昨日の質問の中で、8月15日の水害の後に早速区長は東京都に赴き、妙正寺川取水口の早期完成あるいは妙正寺川の50ミリ改修の促進、そうしたことを強く東京都に働きかけたと聞いておりますけれども、区民が安心して暮らせるということが区民にとっては最大の要望であり、願望であるということを肝に銘じて、区長には再度東京都に取水口工事の前倒しを含めて強く働きかけをしていただきたいと思いますが、区長の決意のほどをお聞きしたいと思います。
 本来、東京都が当初の計画どおり取水口を設置していれば、今回の水害は、あるいは最小限に抑えられた、あるいは、その水害そのものが抑えられたかもしれないと思っております。
 また、今回の9月4日の水害のことに関していえば、ちょうど私たちはその日防災訓練を午前中丸山小学校で行っておりました。日曜日の夜間という、区にとっては最も条件の悪いときに起こってしまったわけですが、震災、水害はいつ起きるかもしれないのです。8月15日も含めて、警戒のサイレンが鳴らなかったり、途中でとまってしまったり、情報が的確に住民に伝わらなかったりと、たくさんの課題を残したように思います。寝食を忘れて対応に当たられた防災職員や地域センターの職員の方々をはじめ、職員の方には心からの感謝と敬意を表します。
 初動態勢の不備については、昨日もいろいろと質問がなされていますので省略をさせていただきますが、私は翌日の態勢についてお尋ねをしたいと思います。すなわち、今回のように多くの地域で風水害のおそれが高く、または、風水害が発生し、応急対策を実施する必要がある場合、829名の職員が従事する態勢になっていたにもかかわらず、実際には516名の職員しか配備されなかったという事実です。特に被害現場への応急隊の態勢は不十分だったと言わざるを得ません。いつ区の職員が来てくれるのか、私も防災センターあるいは地域センターにも何度もお尋ねをしましたし、あるいは住民の方々も、区や、あるいは地域センターに問い合わせをしたと思いますが、そこでの返事ははっきりしない。すなわち、いつ行けるかわからない、夕方までには何とか行けるかもしれないというような返事をされたのが実情であります。
 このような形で、大変住民にとっては不安な1日を過ごすというか、区の職員が本当に一刻も早く駆けつけていただくことが、やはり区民にとっては大変な安心感をもたらしたと思います。そういった点でも態勢が、その当日はもう本当に、ある意味ではどうしようもなかったと思いますけれども、翌日の態勢はもっとしっかりとした態勢をつくる必要があったのではないか。これも今回の被害が大変大きく広がっているという事実を区はつかんでいたわけでありますから、その点については区はそうした態勢についての不備を十分に反省しなければならないのではないかと思っております。
 また、昨日も質問がありましたけれども、被害者にとってはその後のごみの片づけ等が大変大きな問題になります。家電製品等も同様であります。区のホームページには、それはリサイクル法によって個人負担であるというように書かれてありますし、私も区の職員にお尋ねをしましたら、8月15日はそのような対応をしたので、今回も同じような対応がされるというように答えておりました。しかし、家電リサイクル法はこのような災害のときには適用除外すべきが私は当然だと思います。無料にするのか、あるいは助成をするのか考えるべきであり、法の整備をきちっと行っていくべきではないでしょうか。幸いにも私の知る限りでは、現場での清掃車というか、清掃に来てくれた車は大変柔軟な対応をされて、家電製品等も持っていってくれたようであり、住民の方は大変喜んでおりました。
 罹災証明の発行についても同じようなことが言えると思います。これもやはり防災センターに問い合わせをすると、地域センターにとりに行ってくれというようなことでありましたけれども、被害住民にとってはその後片づけでそれどころではなかったわけであります。これも幸い、地域センターによってはその場で発行というような柔軟な対応をされたとも聞いていますが、それこそ住民の立場に立った対応だと思います。その辺についても今後しっかりとした態勢を考えていただきたいと思っております。
 もう1つ、昨日も質問の中に出ておりましたが、避難場所についても、やはり避難場所が開いていないというようなことがありました。この辺についても震災対策、震災の場合には従来の態勢から、その地域に住んでいる職員の人が対応するような態勢をつくられておりますけれども、やはりこの水害についても同じような態勢をとるべきではないか。一刻も早くそうした避難場所が開設できるような態勢を考えておくべきだと思います。
 続きまして、野方駅北口開設についてお尋ねをしたいと思います。これも昨日も質問が出ておりましたけれども、野方駅北口開設については、各議会ごとに議員の方々が質問をしていますので簡単にしますが、行政としては初めて本気でこの北口開設に取り組んでいただいていることは高く評価をいたします。既に地権者とも話し合いを持っているとも聞いていますが、10か年計画の中ではステップ1で野方駅北口開設着手、ステップ2で野方駅北口整備、ステップ3で野方駅北口開設となっていますが、区長はステップ3、すなわち前半の5年間の間にバリアフリーを含めて野方駅北口開設を必ず実現するんだという決意がおありなのだと思いますが、その決意のほどをお聞きしたいと思っております。
 また、この10か年計画のステップ1、ステップ2、ステップ3という表現ですけれども、もう既に10か年計画はスタートしているわけでありますから、17年、18年、19年、区民にわかりやすい表現をしていただきたいと思っております。
 続きまして、地域センターの在り方についてお尋ねをしたいと思っております。10か年計画を策定する中で、区は地域センターを廃止して、(仮称)区民活動センターに転換し、地域センターから職員を引き上げ、地元の自主管理にするという考えを当初出してきました。職員の削減ということがその根底にあったと思いますが、議会や地域団体からも数多くの意見が出され、その考えは昨日の部長答弁をお聞きしていても軌道修正されつつあるように思われますが、区は地域センターを区の中でどのように位置付けしようとしているのか、もう少し明確に議会並びに区民に示すべきだと思いますが、その考えを示していただきたいと思います。
 区がモデルとして挙げていた三鷹市の市民共働センターに、私たちの会派で視察に行ってまいりましたが、その内容も規模も全く中野区が参考にするようなものではありませんでした。内容が全く違ったものであるということであります。幾つかの区でもそのような施設を自主管理しているところがあるとも聞いておりますけれども、失敗をしているところもあると聞いております。地域センターのような、今まで地域の中心となってきた公共施設は、区の職員の配置は当然のことながら、仕事量に応じて見直すべきだと思いますけれども、本来区の責任で管理すべきではないかと思いますけれども、区はいま一度地域センターの果たしてきた役割、これから果たしていく役割を十分に検討し、区民に示すべきだと思いますが、いかがですか。
 官から民へ、そして、小さな政府という考えを多くの国民が支持した流れが今回の衆議院選挙の結果にもあらわれていると思いますが、中野区でも民間でできることはできるだけ民間でやってもらおうということで、学校警備をはじめ学校給食、保育園、図書館など、民間の活力を生かして経費の節減を行うと同時に、サービスは低下させず、むしろ向上させていくということで区民の理解と支持を得てきたと思っています。しかし、地域センターはこれらの施設とは違った役割を担ってきたように思われます。住民票や印鑑証明書等、需要の多い証明書類の発行をも含めて、地域センターの在り方についてもっと町会をはじめ地域住民の意見を聞いて議論を深めていただきたいと思いますが、区の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、ドッグランについてお尋ねしたいと思います。
 平和の森に現在設置されているドッグランは、住民による区議会への陳情を満場一致で採択し、暫定的に設置されているものであります。わずか100平米足らずの大変小さなドッグランですけれども、かなりの方々によって使用されております。何度かこの問題については質問させていただいていますが、平成16年の第2回定例会での私の質問、すなわち、平和の森公園のドッグランは暫定的なものであり、第3期工事終了時に設置できるように検討していきたいということで、このことに関しては区長も私の宿題として受けとめるというような答弁をしてきましたけれども、その後どのように進展しているのかという質問をさせていただきました。そのとき区長は、私の質問に対して、「東京都下水道局が行っている平和の森公園東側の第3期工事が、今年度中に終了する予定である。平成17年度には整備する予定であり、整備する一部に現在のドッグランを拡大して移設する」と明確に答弁をしております。しかし、依然としてこの約束は守られていません。さまざまな意見があることは承知をしておりますが、区長はこの問題をどのようにして解決しようとしているのか、率直な答弁をお聞きしたいと思います。
 時間があるようですので、ビン・缶の回収の在り方についてもお尋ねをしたいと思います。
 中野区は、ビン・缶の回収については資源回収という観点からいち早く取り組み、10年をかけて、コンテナの管理は各町会に、回収は民間業者にという中野方式を実施し、コスト面でも住民の資源に対する意識を高める上でも成果を上げてきたと思います。また、町会の活動資金としても有効に活用されていると私は思っています。
 ところが、昨年の予算方針の中でこの方式を改め、コンテナの管理を含めて民間業者がすべて行うという方針を打ち出してきましたが、議会からも各町会の意見なども反映して多くの意見が出て、今年度も従来どおりの方式で実施されております。しかし、区は依然として10か年計画の中で、コンテナの管理を含めすべてを業者に委託する方式に切りかえようとしています。その理由がいま一つ理解できません。コンテナの管理には、現在でも中野区民の6,500人近くの人々が、毎週のコンテナの管理で出し入れをしております。それに対する報奨金--報奨金というよりは委託金と言った方が適当ではないかと思いますが、それを減らすためだと説明をされております。しかし、実際には民間業者がコンテナを夕方置いていくために支払う委託金も、委員会での質問ではほぼ同じ額だという説明でありました。とすると、区は、経費節減のためにという理由はそこで成り立たなくなってしまいます。我がまちでいえば、この報奨金は現在「みどりの夢23」、ティッシュ等を町会に配布する、あるいはほうき、ちりとり等、よりよい環境づくりのために使用させていただいております。このような形でこのビン・缶の回収の在り方について、中野方式は私はかなり有効な、ベターな方式ではないかと思っております。
 中野区からいただいた資料では、どこもコンテナの管理に対しては報奨金は出していないという資料をいただきましたけれども、実際に幾つかの区に電話でお聞きしましたところ、集団回収をしているところには中野区と同じような形で報奨金を出しているというお返事もいただいております。しかし、どうしても実施したいという区の意思があるとすれば、少なくとも各町会の声を、やはりアンケートでも実施してまず聞いてほしいと思います。そして、もし希望する町会があるならば、そこをモデル地区として選んで実施して、現在の方式と比較検討して、そして選択をしてほしい。そのように思いますが、いかがでしょうか。
 ぜひこのビン・缶の回収、まだ依然として行政回収を行っている、かなり高いコストを使ってビン・缶の回収を行っている区もありますし、そういった点では中野区は、非常に長い期間をかけて行政、住民が協力をしながらいい形をつくり上げてきたと私は思っておりますので、その点についての区の考え方をぜひお聞きしたいと思っております。
 以上で私の質問を終了させていただきますので、区長並びに理事者の方の明快な答弁をお願いしたいと思います。

〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 藤本議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、10か年計画と財源の裏付けということであります。今回の計画におきましては、歳入と歳出を着実に見込み、年次ごとの歳入歳出の見通しを示して、全体としての財政規模と財政運営の在り方について計画的な基金の積み立てや取り崩し、また、起債の活用といったようなことなども含めて示すという予定にしているところであります。特に御質問にありました歳入をきちんと見積もること、これが肝要だということについても十分に留意したいと思っているところでありまして、歳入の見通しを一定しっかり立てるということと、それから、各年度ごと、経常的にかかっていく経費がどのぐらいになるかというものを基本的に見積もるということ。その上で歳入と経常的にかかってしまう経費との差額で新しい取り組みをどれだけしていけるのかといったような、財政的な余力というか力を見定めて、この力を10年間の中でどういうふうに振り分けていくのかと。基金であるとか起債であるとかいったような手法も取りまぜながら、どのように10年間を運営していくのかといったようなことを示していくというのが財政の見通しというふうに考えているところでありまして、財政的な裏付けのある計画をつくるということについて十分留意してまいりたいと思っております。
 それから、妙正寺川の水害対策の問題であります。昨日もお答えをし、今、御質問にもありましたように、8月15日の水害の後に50ミリ対策の実施と、それから、環七地下調節池の取水の早期実現ということを要望したところでありますが、今回の事態を受け、さらにこの環七よりも上流の部分の50ミリ対策も含め、あるいは、新たな遊水池の設置といったようなことも視野に入れながら、強く要望し、実現に努力をしていきたい、こう思っているところであります。
 それから、大雨の当日の問題は置くとして、翌日の2次態勢が重要だったではないかという御指摘であります。御指摘のように、被害の全体像の把握にかなり手間取ってしまうといったようなことがありました。態勢全体が800何人であるのに、朝から現場に出た人数が500何人といったようなことについては、800何人という態勢の中には、調査以外の消毒であるとかさまざまな業務に従事する人数も含まれておりますので、朝から動き出す調査ということについては、予定しているのはそのぐらいの人数ということで態勢を組んだものであります。翌日の調査に朝から職員が回ったわけでありますが、現実に投入した職員数での調査能力を被害の規模が明らかに上回っていたわけであります。そのため被害の全容を把握するのがおくれてしまったというのが実態でありました。
 この原因は、一つは災害当日の夜における概況把握の段階で、やはり十分に把握できていなかったということがあると思っております。さらに、現場で調査に当たった職員が、外に出て調査をしておりますので、そこでどのぐらいの状況だということがその時点でうまく本部と連絡がとれれば、応援を適切に送り込むということも可能だったわけでありますが、そこのところの連絡がうまくいかなかったといったような不十分な反省点もここであったということでもあります。こうしたことを含めて対応全体の総括をしっかりと行って、万全な備えをつくってまいりたいというふうに考えているところであります。
 それから、リサイクル家電の取り扱いについてということですが、これも今、御質問にありましたように、法律的な仕組みに基づく限りは、今回の対応以上のものはなかなかいたし切れないということであります。現場での即応的な対応といったようなことは別といたしまして、なかなか適切なといいますか、望むべき対応というのがなかなかとり切れないというのが現状だというふうに考えております。御提案の趣旨につきましては、こうした災害の総合的な支援策、こういったようなことを見直していく中で検討していきたいというふうに考えております。
 それから、罹災証明書も被災者のお宅で直接発行するなどのことはできないのかといったようなことでありました。これについても、まず区の職員が被災者のお宅を訪問して被災世帯調査票を作成して、その後これを地域センターで再確認をして、被災者からの申し出によって罹災証明書を発行しているといったような、この手順についてもう少し被災者側から見て迅速で負担の少ない発行方法はとれないかということについて、検討していきたいというふうに考えております。
 避難所の開設についてであります。御指摘にもありましたように、現在の動員基準では対応が間に合わないということでありますので、区内や近接地に住む職員の動員によって、注意報の段階からの態勢をとろうということを検討しているところであります。さらに、防災住民組織との連携なども含めて、この避難所の開設も含めた初動態勢の強化といったようなことを検討していきたいというふうに考えております。
 それから、野方駅の北口の開設についてであります。今回お示しをしている10か年の考え方のステップ1、2、3ということは、一つのステップでおおむね2年間の取り組みを想定しているわけであります。これでいいますと、17年度が1年目、18年度が2年目、第2ステップは3年目、4年目、そして、第3ステップは5年目、6年目というふうになるわけでありますが、現在の検討状況から進めていきますと、早く進行できたとして第3ステップの先の年、第3ステップの1年目ぐらいにできるということを目標に進めていきたいというふうに考えているところであります。想定される候補地の地権者などを含む関係者との協議なども踏まえて、財源的な裏付けをきちっとつけて計画の中に盛り込んでいきたいというふうに考えているところであります。
 それから、ドッグランについてであります。ドッグランの計画について、さまざま地元の皆様から反対のお声が出ているということで、なかなか実現できないでいるというのが実情であります。これについて、現状では犬のふんの後始末や鳴き声といったようなことに、一部の心ない飼い主に対する区民からの苦情が大変多いというのが実情であります。こうしたことが強い反対の背景にあるというふうに認識をしているところでありまして、犬の訓練士や獣医師などの専門家や愛犬家団体などとも協力をして、犬のしつけや飼育マナーの向上のための取り組み、こうしたものを強化していったり、あるいは、区民の皆さんも交えた検討会を立ち上げて、地域社会の中で区民とペット動物が共生をしていくと、こうしたことについてのルールづくりといったようなことに着手をしながら、区民全体の理解を、愛犬家側の理解も、あるいは、そうでない方からの理解も、それぞれに深めていくということをしていきたいというふうに考えているところであります。
 私からは以上であります。

〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) まず、地域センターの在り方についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。(仮称)区民活動センターの位置付けを明確にという御質問がありました。この(仮称)区民活動センターにつきましては、地域で活動する団体、グループの方々が地域活動の拠点としてお使いいただき、その相互の協力、連携のネットワークができて、活動の活性化が図られる、そういった機能を充実させていきたいという趣旨で提案したものでございます。当初、地域の方々による管理運営ということでお話をさせていただきましたが、さまざま御意見をいただいております。そういう中で基本構想では、地域施設は地域の方々の意思を反映して柔軟に運営されるというふうな記述にしております。
 意見交換会では、お話にありましたように施設の管理責任といった点も含めてさまざま、いろんな御意見が寄せられておりました。それらを勘案しながら区の職員も何人か配置することとし、地域の方々と協力、連携してその役割が果たせるようにするということを考えております。具体的な運営形態につきましては、地域の皆さんと十分話し合いながら進めていきたいと考えております。
 窓口サービスにつきましては、区ではこれまでも窓口の取り扱い時間の延長や電子申請など、申し込みのチャンネルの拡大やサービスの充実などのためのさまざまな工夫をしてまいりました。今回、交通の利便性なども勘案しながら地域センター窓口の集約化を考えておりますが、全体としてサービスレベルの維持に努めながら、効率的で機能的な小さな区役所を実現していきたいと考えております。具体的な内容については現在整理をしているところでございます。
 次に、ビン・缶回収についての御質問がございました。民間の分別回収は、町会、自治会の協力によりまして平成2年12月から実施し、平成11年5月には区内全域での回収を達成し、その過程において区民にビン・缶分別の意識が一定程度定着してきたというふうに考えております。一層の分別・資源化を進めるために、コンテナの設置に当たりましての負担を軽くするとともに、町会ごとの回収ではなくて区内をブロック割りして適切、効率的な回収ルートを設定することによりまして、安定的かつ効率的な回収が可能になると考えております。町会、自治会とは、新たな協力関係をつくる中で町会、自治会が果たしている役割を明確にするとともに、その活動の推進を図るべく、必要な活動助成なども行っていきたいと考えております。
 回収方法の変更につきましては、回収をブロック単位で効率的に行えるような回収ルートを設定することとなりますので、それによりましてコンテナ設置費用も含めて経費の節約になるというものでございます。総額では減となります。
 モデル地区での実施につきましては、ブロックで行うということになりますと、これは大変難しいところがございますが、アンケート等につきましては今後検討していきたいと考えております。
 以上でございます。

〔藤本やすたみ議員登壇〕
○39番(藤本やすたみ) まず最初に、10か年計画の財源の裏付けということで、この前の区報には一切そういう財源については一つも書かれていなかったんですけども、今の御説明ですと、その財源については別の形というか、あるいは、一定の時期をもってそういう施策に対してより明確な財源の裏付けをしていくというように理解をしてよろしいのでしょうか。それとも、このままの形で進んでいくのかということで、財源については明らかにすべきだと思いますが、その点についてもう一度お答えをしていただきたいと思います。
 それから、先ほどの水害の場合の家電リサイクル法ですけども、この趣旨というのは、いわゆる資源をそういう形でということで、水害とかそういう大きな災害の場合には、それは必ずしも当てはめなくていいのではないかなというふうに思うんですが。それ以上の負担を住民の方はこうむっているわけですよね。それで、家電リサイクル法が必ずしも上位法ではないと思いますし、その辺は余りに杓子定規に考えるよりは、やはりそういった被害をこうむった人に対しては--やっぱりごみの片づけというのは大変重要な課題ですよね。家電だけではなくていろんな、床上まで水が上がったような場合にごみを一刻も早く片づけたいというようなときに、それはちょっと違うんですよというような形ではなくして、やはりその辺はより柔軟な対応というのを考えていいだろうと思いますし、法律的にそういう法律があるからということであるならば、その辺をもう少し明確な形で条例なり何かで定めて対応していくということが必要なのではないかなというふうに思うんですけども。
 そういう点では、今回も各地域で住民の人が大変喜ばれたのは、そういうごみを片づけてくれるときに、ゆとりがあるから家電も一緒に持っていってあげますよというようなことで、やっぱりそれは区民の立場から考えれば大変ありがたいことで、それに対して文句を言う区民の人はいないと思うんですよね。不公平だというような区民の人はいないと思うので、その辺はより柔軟な対応というか、あるいは何らかの法律的なものをきちっとつくる必要があるならば、そういったものをつくって対応をしていただきたいと思いますので、その点についてももう少しお考えいただきたいというふうに思います。
 また、ドッグランのことに関しても、これもさまざまな意見がありますけれども、やはり本当に犬を飼っている人も、そうでない人も、あるいは犬を飼っている人のマナーの問題とか、さまざまありますけれども、お互いに、区長も私の答弁では賛成というか、そういう施設が必要だというようなことには賛意を表してくれていたと思いますので、やはりお互いに理解をし合えるような、近隣の人も、あるいは第三者も含めて、そういった施設が本当に必要ないのか、必要であるのかということでは、やっぱり必要なんだろうというような考えでしたら、お互いに理解を深めるような、そういう機会を積極的に行政側でつくっていただいて、お互いに理解をし合えるようなことを考えていただきたい。これは災害のときにもよく、やはりそういうペットの問題が問題になりますけれども、こういう施設があればそれは大いに役立つと思います。
 それから、ビン・缶の回収については、何か新たな関係をつくりたいという、その新たな関係というのがさっぱり見えてこない。どんな環境をつくりたいのかということが何ら具体的に示されていない中で、これを変えていくということが果たしてどうなのかなという感じがします。それぞれの区の、本当に中野区が23区全部調べてどういう方法がいいのかということをきちっと調査をして、その上で結論を出されたのならいいんですけども、当初私がこのビン・缶の回収のときに、コンテナを民間の人が置いていくというようなところでは、やはり住民の意識がなかなかそういう形になりませんから、コンテナがある意味ごみ捨て場みたいなめちゃくちゃな置き方をされているというようなこともかなり目にしましたし、先日もちょっと新宿に行ってきたんですけども、住民の方に聞きましたら、いつビン・缶を回収するか全くわからないというような人が随分いらっしゃいました。そういう意識の面でも、やはり住民の人がせっかくこういうような形で協力をしていただいているということは、やはり行政としては高く評価をすべきではないかというふうに思うんですけども。
 それに、今変えようとしている方式がそれ以上にまさるというのが、どうも私には理解ができないので、もしそうならば本当にテストケースとして、よく行政の方のお話では、ビン・缶を出し入れするのが大変だというような声がしばしば区にも届いてくるというようなこと、そういった声もお聞きしました。この前委員会で聞いたら年間七、八件とか、10件とか、それは6,500人ぐらいいれば当然そういった声も出てくると思いますけども、やはりまちはお互いに助け合っていくということが必要だと思いますし、あらゆる災害についてもそういう人間関係をつくっていくということは大切であると思います。
 ですから、このビン・缶の回収について実施をしたいというならば、今、私たちのまちでは古紙の集団回収というのをモデル地区として実施していますけれども、それと同じようにビン・缶の回収についても、自分たちのまちはそういうコンテナを置いてもらいたいというようなことがあれば、それをテストケースとして、モデルケースとしてやって比較をしていくという、それぐらいのゆとりを持って、どちらの方式が本当に住民にとっていいのかということは検討に値すると思うので、こうやるんだという考え方が先にあって十分な検討がなされていないのではないかなというふうに思いますので、その点についても再度お尋ねをしたいと思います。

〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。
 10か年計画の財源の考え方が、現在発表している区報では掲載していないということであります。これについて別の形、要するに、今の資料にさらに加えたような形で改めて議会にも御報告をし、区民にも発表するという形で、もう一度御意見をお聞きするということを考えているところであります。
 それから、リサイクル家電のことなんですけれども、そもそも家電リサイクル法という法律の趣旨では、法律ができてから以降は、テレビですとかクーラーですとか冷蔵庫ですとか、そういったようなもののリサイクル費用は製品の価格に上乗せをされているということだというふうに理解をしております。ということは、法施行後買った人はその分のお金を出していただいているわけであります。ですから、法施行以前に買った方に対しては、その分のリサイクル費用を負担していただかなければいけないというのが法律の趣旨だというふうに考えております。そういう意味では、そこの部分の公平、不公平という問題は、厳密にいえば私は出てくるだろうというふうに思っています。したがいまして、そういう意味で、じゃあ、だれでも水害に遭うわけじゃないよというようなことについてどう考えるんだというところで物事を立てていこうとすると、やはり水害の被災者に対する支援策の問題として考えていかなければならないだろうというふうに思うわけであります。したがいまして、ごみ処理ということ、あるいは家電リサイクルということと、少し別の角度からの被災者支援という角度からこの問題を考えられないかということで、今検討を行っているというところであります。
 それから、ドッグランの問題でありますけれども、やはりおっしゃったとおり、お互いの理解を深めるということが何しろ大前提になっているなという実感を持っております。ドッグランをつくることに反対だと言われる方も、何が何でもあくまでも反対だということではなく、現在のようなマナーが改善されてくるという、その実態が見える、納得できるような状況になるならば、これは考えてもいいんじゃないかといったようなこともおっしゃっている。そういう向きもあるわけでありまして、やはりここのところの相互理解といったものを深めていくための努力をしていかなければならないのかなと思っているところであります。
 それから、ビン・缶の問題であります。廃棄物あるいはリサイクルの問題というのは、ビン・缶のみならずさまざまに今日発展してきている、これから発展させなければいけない課題だというふうに考えております。容器包装リサイクル法の回収も拡大していくとか、あるいは、古紙や古布などのリサイクルも推進していくとかいうようなことを総合的に進めていくということをやっていかなければならない時代だと思っております。そういう中にあって、町会、自治会でこのごみリサイクルの問題で働いていただきたい内容というのはさまざま多岐にわたり、より大きな役割をお願いしていくことになるというふうに考えているわけであります。そうした全体的な活動、全体的な貢献というものを改めてきちんと評価をして、町会との協力関係をつくり直していくというようなことを一方では考えているわけであります。したがいまして、ビン・缶だけに着目してこういう形ということよりも、1歩進んだ考え方で町会との協力関係をつくっていくということが必要なのではないかと考えているということを、ぜひ御理解いただければと思っております。
 ちなみに、ビン・缶だけのことをとって比較いたしますと、部長からもお答えしたとおり、考えております方式は、やはり経費を少なくできるということはあると思っております。じゃあ、それをやったときに本当にうまくいくのかどうかについてもっと検証が必要だといったようなことについても、私どもも理解できるところでありまして、例えばモデルケースで検証するといったようなことが必要なのかどうかということについても視野に入れながら、検討をしていきたいというふうに思っております。
○議長(高橋ちあき) 以上で藤本やすたみ議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 むとう 有 子
 1 東京都建築安全条例を運用する際の区の考え方について
 2 家庭ごみの有料化の法的根拠について
 3 その他

○議長(高橋ちあき) 次に、むとう有子議員。

〔むとう有子議員登壇〕
○17番(むとう有子) このたびの水害に見舞われました皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
 それでは、東京都建築安全条例を運用する際の区の考え方についてお尋ねいたします。
 「地方公共団体は、その地方の特殊性などにより、条例で建築物の敷地、構造または建築設備に関して安全上、防火上または衛生上必要な制限を付加することができる」と建築基準法第40条に記されています。これに基づき東京都建築安全条例が制定されています。なお、この条例の認定は区にゆだねられています。特に中野区は住宅密集地であり、車両の両方向通行ができない狭隘道路が多数あり、自然災害など緊急事態における安全確保が中野区のまちづくりにおける重要かつ緊急課題であります。よって、中野区は東京都建築安全条例の本旨を十二分に踏まえた認定を行わなければなりません。しかし、この条例は自治体の特殊性などを加味して判断できるようになっており、加えてただし書きなどのさまざまな解釈が可能な文言が随所にあり、せっかくの上乗せ基準が生かされないケースが多々あります。
 本年7月13日、中野区建築審査会は、民間の建築主事である住宅保障会社がある民間の株式会社の建築計画に対して与えた建築許可は違法であると判断し、確認処分を取り消しました。1983年に審査会が発足して以来初めてとなる画期的な裁決です。これは、中野三丁目にある旧農林水産省宿舎跡地に、民間の株式会社が既に昨年12月から建設工事に着手している8階建て分譲マンションの建設に関してです。
 中野区建築審査会の裁決書の内容を簡単に紹介いたします。この敷地に接している桃園通りの道路幅は約5メートルしかないため、東京都建築安全条例第4条の2項によれば、5階建てのマンションしか建てられません。そこで、敷地の境界線から1メートル引っ込めて、道路幅をそこだけ6メートルにすることで8階建てマンションの建築許可がおりていました。しかし、東京都建築安全条例が求めているのは、自動車の両方向通行が可能な道路幅を確保することによって、火災の際に避難、消火及び救援活動などが十分行える道路です。敷地に接する部分だけを6メートルに拡幅し、いわゆる蛇玉道路、すなわち蛇が卵を飲み込んでお腹の一部分だけが膨れた状態を例えたものですが、このような道路では安全確保を目指す条例の趣旨を実現することにはなりません。したがって、この建築許可は違法であるとの裁決が下されました。これにより建設工事は現在ストップしています。
 この審査請求を行った「桃園町づくりを考える会」によれば、このような違法建築を許しているのは中野区ぐらいなもので、大多数の区では許可していないとのことです。たとえ民間の建築主事が建築確認処分をしたことであっても、中野区は東京都建築安全条例に基づいて指導することはできたはずです。近隣の方々の再三の働きかけにも耳を貸さず、違法行為を許してきた中野区の姿勢は許されるものではありません。今後ますます民間の建築主事による建築確認処分がふえていくと思われますが、区は確認処分を容認するだけでよいのでしょうか。
 そこでお尋ねいたします。このたびの中野区建築審査会の建築確認処分取り消しの裁決について、中野区はどのように受けとめ、今後の建築行政にいかに反映させていくおつもりなのか、区長の見解をお聞かせください。
 また、東中野五丁目の事例では、東京都建築安全条例第10条の3の拡大解釈によって、本来なら2階建てのマンションが3階建てに変更され、建築確認処分がおりました。この第10条の3には、「建築物の周囲の空き地の状況その他、土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合はこの限りではない」とのただし書きがあり、安全上支障があるかないかを判断するのは各自治体にゆだねられています。近隣の住民の皆様は、中野区に対して安全上支障がないと判断した理由の説明を求めましたが、納得できる回答は得られていません。ここでもまた住環境や安全確保がないがしろにされ、建築業者寄りの中野区の姿勢が見てとれます。この第10条の3について他の22区に聞き取り調査をいたしましたが、ただし書きによって床面積を緩和した区はほとんどありませんでした。むしろあいまいなただし書きの取り扱いについて、区独自に市街地環境等を考慮し、運用基準を厳しく定めている区もあります。さらに、ただし書きは特例としての基準であり、積極的に認定を推し進めるものではないとの文言を明記している区もあります。
 そこでお尋ねいたします。東京都建築安全条例のあいまいな点について、中野区はどのような考え方や基準を持ってその判断に当たっておられたのか、お答えください。
 今後、他区のように運用基準を定めるなど、判断を明らかにしていく方策を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
 また、中野区では同じ都市計画担当が開発行為と建築審査を行っています。例えるなら、自分でかいた絵を自分で審査するようなものです。この組織のあり方や、開発行為の窓口と建築審査の窓口が隣同士で相談しづらいとの区民からの指摘のあるあり方も検討すべきではないでしょうか、お答えください。
 御紹介した二つの事例から、中野区は東京23区の中でもそこに暮らす住民の生活や住環境を軽視し、建設業者の意向を重視した認可を行うとの印象を区民に与えています。この印象を払拭し、ゆとりを持って安心して住み続けられるまちづくりを進めていただくことをお願いいたしまして、この項の質問を終わります。
 次に、家庭ごみの有料化の法的根拠についてお尋ねいたします。
 2004年12月、特別区助役会は清掃事業に関する課題のNO.5、家庭ごみ有料化の検討報告を発表しました。この報告内容は、初めに家庭ごみの有料化ありきの説明で展開されています。
 2005年2月、中央環境審議会が一般家庭ごみの有料化を推進する答申を打ち出し、5月に環境省は地方公共団体の役割として一般廃棄物処理の有料化の推進を図るべきであるとの告示第43号を発表いたしました。ただし、告示とは「公の機関がその決定した事項、その他一定の事項を公式に広く一般に知らせること」であり、法的義務は生じません。そもそも本来清掃事務は自治体の固有事務であり、その方針に関して国が介入することは極力避けなければならないはずです。
 3月に中野区廃棄物減量等推進審議会は、「有料化の実施について区民と一緒に議論できる場を整える必要があります」と答申しています。しかし、議論する場が整えられないまま7月に発表された新しい中野をつくる10か年計画素案では、「ごみ減量への動機づけや費用負担の公平化を図るため、有料化を行います」との結論が書かれています。いずれの検討内容を読んでも、法的根拠については何の説明もありません。
 ごみの有料化とは、市区町村のごみ処理に関して手数料を徴収することですが、手数料徴収は地方自治法第228条第1項によって条例で定めた上で行わなければならず、また、条例は憲法第94条によって法律の範囲内で定めなければなりません。したがって、ごみ処理に関する手数料徴収に反するような法律があれば有料化はできないことになります。かつての廃棄物処理及び清掃に関する法律第6条の2の第6項では、市区町村が一般廃棄物の処理を清掃事業として行う場合には、条例で定めるところによって手数料を徴収することができるとされていましたが、地方分権推進一括法の施行に伴い、1999年に削除されました。すなわち市民全員を対象とした有料化はできなくなったということです。
 現在、手数料に関する条項は地方自治法第227条に一本化されています。その227条には、「普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき手数料を徴収することができる」と定められています。自治省自治課長の回答では、「特定の個人のためにする事務とは、一個人の要求に基づき、主としてその者の利益のために行う事務で、身分証明、印鑑証明、公募閲覧等の意であり、その事務は一個人の利益または行為のため必要となったもので、専ら地方公共団体の行政上の必要のためにする事務については、手数料は徴収できない」としています。
 この回答に基づけば、手数料を徴収できる清掃事務は、区民の中の特定の者の要求に基づき、その者の利益のために必要となった事務に限られることになります。例えば、粗大ごみの収集・処理事務はそれに当たり、手数料を徴収できます。しかし、すべての区民が出すごみの処理手数料が特定の者と定義できるのでしょうか。家庭ごみの有料化は法的根拠がなく、地方自治法違反の疑いがあります。当然のことながら清掃事業は税で賄う公共サービスであり、税を負担している者にとっては有料化は租税の二重取りではないかとの識者の指摘もあります。また、ある自治体の担当課長は、法的におさまりが悪く、説明に無理があるので法整備をしてほしいと本音を漏らしていました。まずは法整備をした上で有料化の議論に入るべきです。
 そこでお尋ねいたします。家庭ごみの有料化の法的根拠について、どのような御認識をお持ちなのか。日ごろ地方自治法に基づく自治体運営をなさっていらっしゃる区長の見解をお答えください。
 ごみ問題の解決に向けては、国が本来なすべきことは家庭ごみの有料化の推進ではなく、拡大生産者責任を法制化することです。地方自治体は拡大生産者責任の法制化を国に求めるとともに、分別の徹底を図ることがごみゼロ都市中野の近道であることを指摘し、質疑を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) むとう議員の質問にお答えいたします。
 建築審査会の建築確認に関する裁決もあったわけですけれども、これに関する御質問であります。建築確認は、建築主事が法に基づいて行うものであり、直接区長の権限が及ぶところではありません。安全で住みよいまちづくりという立場から、区の政策という形で関与していくべきものというふうに考えております。この確認についてですけれども、中野区建築審査会の裁決は尊重すべきものと考えておりますが、この件については現在国への再審査請求も提出されていると聞いているところであります。経緯を見守りたいと考えております。
 それから、東中野五丁目の建築計画をめぐる東京都建築安全条例第10条の3の、ただし書きに関する認定についてということであります。東中野五丁目の敷地については、道路に6メートル以上接していないわけでありますが、建築物の規模や敷地内の避難空間等を総合的に勘案した結果、安全上支障がないと判断をして認定をしたものであります。
 ただし書きの認定について、判断基準を明確にするべきではないかといったようなこともありました。東京都建築安全条例のただし書きの認定に当たっては、敷地の形状、建築物の構造、規模に配慮するほか、敷地周囲の状況、周辺市街地の状況等を総合的に判断して、安全上支障がないと認められるか否かを決めることとされているところであります。こうした取り扱いをさらにわかりやすくするためには、ただし書きの認定をする上での判断基準を明文化し、それに基づいて運用することなども検討していきたいと考えております。
 確認の担当と、それから、建築審査会の事務局の担当が隣接しているということについての御質問もありました。建築審査会は委員が審査をするものでありまして、事務局がその内容に関与することはないわけであります。資料の収集や整理に当たる建築審査会の事務局機能は、中立・公平な立場で建築知識を有する担当職員が公平に行っているところでありまして、何ら問題はないと考えているところであります。

〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 家庭ごみ有料化の法的根拠についてのお尋ねがございました。家庭ごみの収集について手数料を徴収するにつきましての法的根拠といたしましては、地方自治法227条の、普通地方公共団体は当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものについて手数料を徴収することができるという規定であります。ごみを排出する者を特定の者というふうに解釈しているものであります。これにつきましては、環境省、総務省の有権解釈も示されているところでございます。
 御質問の方にありましたように、いわゆる旧廃棄物処理法では、市町村におけますごみ収集の手数料を徴収することができる根拠規定があったわけですけども、これが平成11年の地方分権一括法において削除されました。この削除というのは、自治体におけるごみの有料化、手数料徴収を認めないという趣旨の条文削除ではなくて、あくまで地方自治法の規定と重複する個別法令上の規定を原則削除するという趣旨からの条文整理ということでの改正であったというふうに理解しておりまして、それぞれ徴収している自治体ではこの条文を根拠に手数料を取っているところでございます。

〔むとう有子議員登壇〕
○17番(むとう有子) 再度確認いたします。地方自治法227条、「特定の者のためにするものにつき手数料を徴収することができる」につきまして、中野区としては家庭ごみを排出する者みんなが特定の者という御認識ということでよろしいんでしょうか。再確認です。再答弁を求めます。

〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 徴収する場合の根拠といたしましては、この解釈でもってどこの自治体でもやっている。それに準じて対応していく考えでございます。
○議長(高橋ちあき) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 佐 藤 ひろこ
 1 改革の成果と地域福祉の展開について
 2 災害弱者の避難対策について
 3 障がい者雇用等を実現する入札制度について
 4 戦略計画と行政評価について
 5 その他

○議長(高橋ちあき) 次に、佐藤ひろこ議員。

〔佐藤ひろこ議員登壇〕
○29番(佐藤ひろこ) このたび水害に遭われた皆様方には心よりお見舞い申し上げます。
 2005年度第3回定例会に当たり、4項目について一般質問をさせていただきます。
 まず1点目、改革の成果と地域福祉の展開についてお伺いいたします。
 この3年間の田中区政の改革の中で、役所の体質を変えるための大きな二つの考え方が導入されてきました。一つは「顧客志向」という考え方です。おもてなし運動だけではなく、行政評価により絶えず区民にとっての成果が生み出せているかどうかを検証せざるを得ないシステムを導入いたしました。もう一つは、「民間でできるものは民間に」と、民間の力を生かす方向へ大きくかじが切られたということです。保育園への指定管理者制度のいち早い導入を初め、高齢者会館の地域団体への運営委託を進めるなど、民間の力、住民の力を公共サービスに生かす施策を立ち上げてきました。短期間ではありますが、その成果が見え始めたところだと思います。改革の成果と地域福祉の展開について、5点にわたってお伺いいたします。
 1点目、田中区政の最大の目標である財政の立て直しは、この3年間でどのような成果を上げてきたのか。基金、借金、財政指標など、具体的な数値で中野区の財政がどういう状況にあるのかを御説明ください。
 2点目、財政状況の説明は重要であるにもかかわらず、昨日までのホームページでは今年度予算の概要も載っていないなど、中野区財政の現状の情報提供が適切に行われていません。区民にわかりやすく財政指標の年度ごとの変化のグラフなど、ホームページや区報で伝えるべきだと考えます。考えをお伺いいたします。
 3点目、行財政改革を行う目的は、将来にわたって持続可能な社会を構築し、地域福祉の充実を図ることであり、私は福祉のための改革だと考えております。この3年間の行財政改革は、地域福祉の充実にどのように寄与しているのか、代表的な事例を挙げ説明してください。
 4点目、さらにこれからの中野の地域福祉を推進するために、公共サービスを担う区民団体などを活性化し、区民が主役の区政へ改革を進めることが必要です。区民の信頼が得られ、活動する区民も安心して十分に力を発揮し、公共公益活動の地域展開が進むように、区民団体の行う公共性、公益性の位置付けや公共活動のための誘導策、公共サービスを担うための税金の配分の透明度の確保などをきちんと定めた仕組みが必要だと考えます。どのように検討されているのか、お伺いいたします。
 5点目、区民の力を生かし、地域社会をつくっていくことが基本構想で目指す大きな目標の一つです。10か年計画の中では、新しい時代の区民ニーズに合わせた既存の施設の有効活用、区民や民間の力を生かす施策の展開を重点的に行うべきだと考えます。少子化が進み、ひきこもりや虐待など新たな問題への対応も含めた子どもへの支援策はとりわけ重要な課題です。
 この夏、子育て支援にかかわる区民の方々と、全国初の地域NPO立の児童館「大田区子ども交流センター」を見学し、NPOの理事の方を中野にお呼びしてお話を聞く会も行いました。統廃合で廃校になった小学校の校舎を活用した、大田区の区民活動支援施設「こらぼ大森」の中に子ども交流センターがあります。子ども交流センターは、地元の町会長が代表になり、青少年委員や子育てNPOのメンバーが一緒に立ち上げたNPO法人「おおもり子どもセンター」が運営しています。児童館はNPOによる民営化、学童クラブはNPOへの民間委託です。館長は元児童館の職員を途中でやめた人で、役所の職員のときより給与は少ないが、役所にいるときよりも自由にいろいろな活動ができるとやる気満々でした。
 近隣の児童館と学童クラブが廃止になって、子ども交流センターに移ったわけですが、当初は保護者などから大きな反対運動が起こり、もめたそうです。これからの児童館運営は自分たちでと、保育園や児童館の父母連絡会からNPOを立ち上げた親たちを中心に、反対する保護者たちと話し合いを重ねてきたそうです。賛成、反対に分かれて意見をぶつけ合う過程は本当にきつかったといいます。その荒波の中から地域NPO立児童館がスタートしました。その後、子どもたちが広い施設で伸び伸びと遊び、喜んで通っている姿を見て、反対運動をしてきた親たちは、あの心配は何だったのだろうと変わってきたそうです。児童館など地域施設の運営に一番ふさわしいのは地域NPOであり、NPOで運営することは安上がりの受け皿ではなく、地域の人たち自身が責任を持って運営することがまさに自治だと考えていると、NPO理事の方は話していました。区民でできることは区民で、これから私たちはそういう地域社会をつくっていく必要があると思いました。こらぼ大森の体育館や元校庭は、区民のスポーツ活動に利用されており、地域の避難所としての機能は維持されていて、地域の拠点として活用されています。中野区の統廃合後の校舎の活用策として学べることがたくさんありました。
 このように児童館を地域団体で運営することや、学校施設の有効活用が子どもたちの支援に効果を上げています。中野区でも、児童館が将来は地域団体で運営できるような誘導策や、子ども支援の担い手の拡大、学校施設の活用で子ども支援の場の拡大など、子育て、子どもにかかわる地域福祉の展開を大きく進める必要があります。どのように検討されているのか、お伺いいたします。
 2番目に、災害弱者の避難対策についてお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災は、高齢化と都市化が急速に進んだ社会が直面した初めての大災害でした。そこで浮き彫りになったのは、地震の被害が高齢者に特に集中したということです。年齢の判明した死者5,368人のうち、70歳以上の高齢者が3分の1を占め、60歳代を合わせると5割を超えました。その中でも高齢女性の割合が多く、女性の犠牲者が男性を1,000人近く上回ったそうです。倒壊家屋の多くが古い木造住宅で、高齢者、とりわけひとり暮らしの女性が数多く住んでいたこと、逃げ出すことが体力的に難しく、迅速な避難行動をとることが困難であったことなどが原因として指摘されています。今回の中野区の水害でも、同じような危機的状態に高齢女性が置かれていることがわかりました。
 はっとり議員と水害に遭われた地域を数日かけて被害の状況を聞き取りに歩きました。お話を聞いた中には、70歳以上のひとり暮らしの女性の方が多く見られました。たまたま家の外にいらした高齢の女性に声をかけると、10日もたつのに区から被害状況の調査もなく、濡れた畳のままの部屋で寝ていました。寝たきりの方がいらっしゃる家へも区からの調査は来ていませんでした。避難勧告が聞こえなかった、避難場所がわからない、地域センターまで遠くて行けない、近い場所にある高齢者会館などにも避難できるようにしてほしい、高齢者1人で濡れた畳も上げられない、ボランティアが欲しかったなど、ひとり暮らしの高齢者が厳しい状況に立たされていることがわかりました。この後九州、西日本を直撃した台風14号で、被災者の多くが65歳以上の高齢者でした。当時の新聞の「高齢者どう守る 避難所行けぬ 勧告も伝わらず」という見出しに、今回の中野での水害であらわれた状況が重なります。高齢化率がもうすぐ20%を超えそうな中野区において、災害弱者への対応は大きな課題です。
 そこで4点質問いたします。1点目、ひとり暮らしの耳の遠い高齢者などは、情報もなかなか届かず、1人での避難にも不安があります。支援が必要な高齢者や障害者を救うために、非常災害時救援希望者の登録、いわゆる手挙げ方式と言われる制度がありますが、このような多くの高齢者に対応できているのでしょうか。水害による限られた地域でも高齢者の安否確認が十分行えなかったことは、100倍以上もの被災世帯数が予想される震災時の災害弱者への安否確認が、現在の体制ではほとんどできなくなることが予想されます。災害弱者に対する素早い情報伝達と安否確認体制を、地域防災会、民生委員、元気でネット、障害者団体や社会福祉協議会などとの連携も考えて、早急に構築する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 2点目、介護が必要な高齢者や障害者にとっては、できるだけ近いところ、安全に避難できるところを第1次避難所とする必要があると考えます。震災時には第1次避難所である学校から第2次避難所へ誘導されることになっていますが、介護が必要な高齢者、障害者の方々に初めから高齢者会館など第2次避難所に避難できるようにする必要があると思います。人口呼吸器が必要な人には、電源が確保された避難場所が必要であるし、設備や人材が整っている地域の保健福祉施設や高齢者・障害者施設などの利用も視野に、災害弱者に必要な避難所指定のあり方や、それが有効に機能するための人員配置、地域の人材配置を検討するべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 3点目、超高齢社会の震災時、被災後の災害弱者を支援するために、(仮称)被災要援護者支援センターの設置に向けて、組織のあり方を検討する必要があると考えます。保健福祉部が中心となり、社会福祉協議会、ボランティアセンター、在宅介護支援センター、障害者団体などが、区内の組織や区外の支援団体やボランティアとも連携するかなめとなる支援本部を立ち上げ、要援護者の支援に当たられるようにするべきだと考えます。被災時にしっかり動ける組織として機能するためには、災害時にも通用する日ごろの組織のあり方が大事であり、連携体制を準備し、つくっておく必要があります。見解をお伺いいたします。
 4点目、区のホームページに、中野ボランティアセンターの災害ボランティアの募集と利用の案内が載っています。しかし、まだ災害ボランティアへの登録も少なく、利用できることも知られていません。区報などでも積極的にPRし、いざというときに頼めるようにしておくべきです。今回の水害時には、ボランティアセンターから延べ30人ほどのボランティアが高齢者や障害者世帯の支援に入っているということです。濡れた畳や家具を出したり、泥水にまみれた家の片づけなど、高齢者世帯の支援に区の職員や同じように被災している地域の人たちだけで対応するのには限界があります。被害状況の調査のときに、必要があればすぐボランティアセンターに連絡し、被災後の支援がすぐできるように連携体制をつくるべきだと考えます。お伺いいたします。
 3点目に、障害者雇用等を実現する入札制度についてお伺いいたします。
 昨年の第2回定例会において、区が行う入札の際に、障害者の法定雇用率を達成しているかどうか、環境への配慮をしているかどうかなど、民間事業者が社会的価値を実現するための誘導策をぜひ検討するべきだと提案いたしました。入札参加登録時に、障害者や高齢者の雇用率などを審査項目に加え、指名の判断基準として考慮することを検討するとの答弁でした。その後、障害者や高齢者の働く場の拡大のためにどのように制度を検討されたのか、お伺いいたします。
 最後に、戦略計画と行政評価についてお伺いいたします。
 新しい中野をつくる10か年計画の素案は、従来の基本計画とつくり方が異なる「戦略計画」として打ち出されています。戦略計画とはどういうものかと考えていたときに、「従来の基本計画ではどうしてだめか」と書かれた、政策評価の専門家、佐々木亮氏の「戦略策定の理論と技法」という本に出会いました。戦略という私にとっては違和感のある言葉が多く使われていますが、危機を乗り越えるための考え方には納得させられました。
 従来の基本計画の致命的な問題点として、著者は次の4点を挙げています。1、自分の組織の存在を当然の前提条件として疑っていない。2、競争相手と顧客に言及することは恥ずべきこととしている。3、既存の組織構造が存続することを前提にしている。4、過去のトレンドをそのまま将来に投影して今後の予測としている。この4点を読んだときに、まさにこれまでの中野区政に当てはまることだと思いました。戦略策定とそのマネジメントは、落ちた穴から脱出する物語そのものであり、戦略はそのためのシナリオであると著者は言っています。中野区が落ちた穴は、未曾有の財政難という穴でした。落ちた穴から補助金のつるをつたってはい上がろうとすると国の補助金が切れたり、都区財調の壁をはい上がろうとすると石が落ちてきたり、穴の状態は刻々と変化します。状況の変化に応じて作戦を変え、目標に向かう手法が戦略計画であるということです。しかし、今までの計画のつくり方となぜ変えるのか、なぜ戦略計画なのか、この素案では説明がされておりません。大事な基本について、区長は説明責任を果たす必要があります。戦略計画とは何なのか、区長の考えを示してください。
 戦略計画を進めるエンジンとなるのが行政評価です。中野区は行政評価のサイクルを完成させ、全国の自治体の先陣を切っています。しかし、それが区民の成果につながるよう、まだ改善するべき点があります。まず、アウトカムと言われる、区民にとってどういう変化が起こったかという成果をあらわす指標と、アウトプットと言われる、行政が行った仕事をあらわす活動指標に同じ指標が使われているケースが多く、行政が行った仕事が区民にとって効果があったのか、なかったのかを検証する素材になっていないということです。また、区民にとって同じ目標の複数の事業を評価するために、ばらばらである指標の単位などをそろえて比較できるように改善するべきだと思います。戦略計画を進めていくためには、区民が10年後の姿を期待を持って描ける成果指標を設定する必要があります。指標の設定についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
 中野区の行政評価は、制度導入後毎年改善が加えられ、発展途上にあります。さらに客観性、公正性が担保できる評価を目指し、適切な指標を考え、行政評価から改善策が生み出せるよう、職員や外部評価にかかわる区民の方々にも、行政評価の意義や手法についてさらに学ぶ場を用意してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 落ちた穴から中野区をはい上がらせることが、田中区政の最大の使命です。はい上がる体力が少しずつついてきた段階だと思います。区民のための戦略をしっかり立て、脱出に向けてさらに力を尽くされることを要望しまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 佐藤議員の質問にお答えいたします。
 改革の成果と財政状況といったことであります。平成13年度末と比較いたしまして、3年間で財政健全化によりまして、基金は約67億円ほどふえております。また、公債費比率は12.1%から7.5%に改善されております。経常収支比率については84.7%から84.5%、横ばいということでありました。しかし、経常収支比率についていいますと、扶助費がこの間に5.5%ふえていること、それから、区民税や財調の交付金といった収入について横ばいあるいはやや減少といったようなことを考えると、そうした環境下で経常収支比率がこういった推移をしたということについては、一定の評価がなされてよいのではないかというふうに考えております。それから、借金、負債と土地開発公社の借入金は、合わせて37億円ほど減っているところであります。これらのほかに北部防災公園の用地を49億円で取得したということですから、貯金がふえ、借金が減り、財産を買ったというようなことで、これらを全部合わせて150億円近くの改善が見られたというふうに考えていいと思っております。
 それから、財政状況の公表ですけれども、区報やホームページ上でお知らせをしているところですが、今後は財政指標の経年変化も容易にわかるような工夫をしていきたいと考えております。
 それから、改革の成果と地域福祉の展開についてということであります。成果として例示をさせていただきます。区立保育園2園に指定管理者制度を導入し、産休明け保育、2時間の延長保育を行いましたほか、他の区立保育園でも延長保育実施園を拡大しました。江古田の森保健福祉施設については、民間活力を積極的に生かすPFI方式で整備に着手して、現在着工まで進みました。また、民間事業者に区有地を貸し付けて高齢者グループホームやデイサービスセンターの整備を進める、これをやりました一方、高齢者会館では保健福祉団体やNPO法人への事業運営の委託を行い、健康維持機能に重点を置いた事業展開によりまして利用者の拡大につながりました。福祉サービス事業団の自主運営化を進めた結果、ショートステイの増床やデイサービスのサービス時間、利用定員の拡大を図ることができました。また、かみさぎこぶし園に指定管理者制度を導入して、長年の懸案であった利用時間の延長を実現いたしました。さらに、本町五丁目の区有地を民間への貸付方式によって、障害者の通所援護施設の建設が実現する運びとなりました。また、区役所3階に子ども総合相談窓口を開設することで、ワンストップでサービスの相談や申請を可能にして、利便性が高まったと考えております。図書館については、業務の一部を委託化して開館日、開館時間の拡大を図り、区民の利便性を高めた結果、来館者数及び資料貸出冊数が増加に転じたところであります。シェモア仙石を民間事業者に貸し付け、民営化を開始いたしまして、区民は民間系列の他の施設の利用も可能となったところであります。
 区民団体の公益活動の活性化と助成金の問題についてであります。町会、自治会など区民団体がその特徴を生かし広く行っている公益活動の活性化とともに、新たな公共サービスの担い手の育成支援も視野に入れた、区民の公益活動の推進に関する条例の検討を進めているところであります。その中では、具体的な取り組みとして、情報や活動の場の提供、資金の助成、委託等による参入機会の提供などを考えております。これまでも助成金等の交付に当たっては、公正・公平のもとに行ってきたところであります。検討している新しい条例の中で、第三者から助成のあり方などについて意見を聞く仕組みを設けたり、また、公開性を高めるなど、より透明性を確保していきたいと考えております。
 児童館の運営のあり方についてであります。今後、児童館は単なるお子さんたちが遊ぶ、一つの子どもたちの館といっただけの展開ではいけないというふうに考えております。区は、子どもに関する施策や児童館などの施設運営、活動支援のあり方などを再構築して、子どもや家庭の状況に応じた相談とサービスの提供、個別の支援体制などを適切に行っていく必要があると考えております。児童館や児童館の職員は、地域の特性やニーズに対応した特色ある事業メニューを提供するとともに、支援が必要な子育て家庭や子どもへの支援、あるいは地域団体とのより一層の連携などの機能充実を図っていくこととしているところであります。児童館における子どもや家庭への支援、相談あるいは地域団体との連携推進などは、主として職員が対応することとなりますが、特色ある事業メニューなどについては地域団体等の多様な担い手による提供ができるよう、区としても環境を整えていきたいと思っています。あわせて、遊び場機能や学童クラブの小学校への導入や、乳幼児親子の居場所づくりなどを進める中で子ども支援の場の拡大を図る、あるいは、こうした場でも地域の団体の活躍ができる場をつくるといったようなことを行っていきたいと思っております。
 それから、災害弱者のための安否確認体制でありますが、元気でネットの仕組みや関係者との連携による効果的な体制づくりを検討していきたいと考えております。
 それから、発災当初から2次避難場所を開設しておいてはいかがかという御質問もありました。1次避難場所では避難所生活が困難と認めた災害要援護者に対して、必要な介護をするため2次避難所を開設するところでありますが、これを初めから開設するといった場合には相当大がかりな体制を必要とすることになるわけであります。そうしたことから、当面は現在の体制で対応することとしていきたいと考えております。
 災害要援護者に対する地域連携のあり方ということであります。災害要援護者に対しては、地域の幅広い近隣の方の協力や防災団体、関係団体の協力など、幅広い協力と行政の連携が必要ということで、そうした地域的な連携について日ごろの保健福祉の連携体制をきちんとつくっていくということから進めてまいりたいと考えております。
 それから、ボランティアとの連携であります。発災直後におきますボランティアの受け入れは、中野区社会福祉協議会が設置するボランティア本部が行っているところであります。御質問にもありましたように、今回は29人の方が対応していただきました。中野区ボランティアセンターとは定期的に打ち合わせを行って、ことしは総合防災訓練に参加するなど連携を強めてきたところであります。これからはさらに登録や利用方法といった体制づくり、広報活動のあり方、そうしたことについても協力関係を強めていきたいと考えております。
 障害者雇用のための入札制度についてであります。入札参加業者選定の際の選定基準の一つに高齢者や障害者の雇用率を加え、就労機会の確保が図れるよう制度を整備していきたいと考え、現在準備をしているところであります。
 戦略計画と行政評価についてであります。これまでの計画は、新規拡充事業の実施年度や個別の事業を詳細に書き並べた事業量を明示して、事業費を積み上げたつくり方をしてまいりました。この方式では決まった事業を固定的に実施することとなって、事業を実施すること自体が目的となってしまう、そうした嫌いがあったわけであります。今回の新しい中野をつくる10か年計画は、中長期的な目標と、それに向かう戦略を示す、そして、PDCAサイクルの中で常に成果を検証しながら、持てる資源を最も有効に活用して事業の見直しを行い、柔軟な施策展開を行って、目標達成を目指す計画としているところであります。
 行政評価におけるアウトカムの明確化ということであります。行政評価では、事業がもたらす区民生活の向上などを示す成果指標、アウトカム指標を中心に据えて評価を行っているところであります。しかし、行政活動のすべてを成果指標で表現し切るというのはなかなか難しい面があるといったことから、事業の活動量の指標であるアウトプットと組み合わせながら評価を行っているところであります。できる限り適切かつわかりやすいアウトカム指標の設定に努力していきたいと考えております。行政評価の意義については、職員も一定の理解をしてきているところですが、手法などについては一層の理解を深めるとともに、この評価のさらなる精度の向上を図っていきたいと考えているところであります。
○議長(高橋ちあき) 以上で佐藤ひろこ議員の質問は終わります。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
午後3時18分休憩

午後3時42分開議
○議長(高橋ちあき) 会議を再開いたします。

 中野区議会議員 柿 沼 秀 光
 1 臭の問題について
 2 悪徳商法について
 3 その他

○議長(高橋ちあき) 一般質問を続行いたします。
 柿沼秀光議員。

〔柿沼秀光議員登壇〕
○33番(柿沼秀光) 自由民主党、そして民社クラブを代表しまして質問をさせていただきます。
 私は特に、良識ある中野区民の立場から3点ほど御質問をさせていただくわけでございますが、やはり質問に当たってこの議会というものは、行政というものもしかりでございますが、中野区民30万の信頼と、そして、この行政に対する協力姿勢、そういうものを常日ごろから考えて推進をしなければいけないというふうに考えているわけでございます。したがって、そういう立場に立って、この最初の質問は特に身近な、ともにつくる人間のまち中野という観点から、においの問題、それから悪徳商法の問題、さらには、今申し上げたともにつくろうと努力をして、汗をして、中野区を立派なものにしようという10か年計画の中にそういう簡単なものを、皆さんから多くの質問も出ておりますので、一、二、お聞きしたいなと、こういうつもりでございます。御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。
 まず、においの問題についてでございますが、非常にこれは、2年ほど前から地域の問題としていろいろ出されたわけでございます。      (発言取り消し)      特に当初は、2年ほど前は花火を上げておったわけですね。これも大変な音を出しまして、まともな時間帯じゃなくて、朝5時ごろから数発打ち上げ花火が上がる。これは近所の屋上、あるいは隣近所の軒下、窓、そういうところに燃えかすが散っているというような状況だったんです。私は、150メートルぐらい離れているところに住んでおるわけでございまして、またカラスを追っ払っているのかなと、こんな感じで実は当初いたわけでございますが、たまたま町会長をやっておる関係から、議員は浪人していたんですが、いろいろありまして相談事がありました。そういう中で調べてみたら、非常にそれだけではなかった。屋根の上から残った残飯をまいたり、あるいは、軒下に10数個の風鈴と称される音の出る、まあ、風鈴もまともなやつが二、三個あったんですが、ところが、そうでない部分のカンカラにナットをつけたような、あるいは、そのほかひどいびんをつるしてみたり、まさに風が吹くと隣近所に対して相当の交響楽団というか、これはびっくりするような音がたくさん出たと。そういうこともあった。
      (発言取り消し)      50坪の庭のあちらこちらに、そのころは発泡スチロールを数個置いてあったらしいんですが、そこに自分の食べた残飯、あるいは、びっくりするような話でございますが、自分の排泄物をこの中に入れてかきまぜる。これが日常茶飯事ですね。
 それで、近隣がもう大変な悪臭に困りまして、中野区に保健所を通して相談をしたわけです、過去に。それが一昨年のちょうど今ごろ、8月ですね、      (発言取り消し)      バキュームカーを呼びまして、もちろん保健所の連携のもとにバキュームカーが来たわけでございます。それで、きれいに掃除をして7万円前後の費用が実はかかった。ところが、ことしの8月25日、2度目のバキュームカーを要請したいきさつがございます。これはどういうことかというと、そのとき発泡スチロールで解決されたにもかかわらず、ずっとそれ以降、今度は敷地に穴を数カ所掘りまして、ビニールをその中に張って、今言ったように排泄物を含め、残飯を含め、その中をかき回して      (発言取り消し)      いる毎日。それも、当初はまだそれでよかったんですが、七輪に今度、この中に炭を入れておこして、大きななべを置いて、今言ったような残飯、そして自分の排泄物をその中に入れて煮炊きをするんです。これはもう本当の話です。
 それで、大体午後2時、それから夜の10時、この大体2回が毎日の作業と      (発言取り消し)      なるわけでございます。したがって、この煮ておる時間帯、風向きによっては、これは物すごいにおいが出るんです。これはかいでみなきゃわかりませんね。こういうことで連日、この中にはウジがわくし、ハエも出るし、そのほかいろんなわけのわからない虫なんかもそこにわいて、隣近所に迷惑をかけている。たまたま商店街のちょっと裏に入ったところでございまして、生ものを扱う店、あるいは、お客さんが当然入る商店街ですから、そういう方たちにも多大な迷惑をかけている。さらには、マンションなんかを経営している方なんかは大変な被害を受けている。入る人が実は入らない。入った人は出ていく。同じ家賃でも下げてくれというようなことで、これは死活問題になっているんですね。
 そして、被害の届け先であるそれぞれの機関に対してもなかなか話が通じないというようなことから、せんだって私ども署名運動をやってほしいというようなことから、実は町会で署名をしたところが900ちょっとの名簿が集まりました。これを持ちまして中野区の区長さんを先頭にしてお話を申し上げ、     (発言取り消し)      中野警察、中野消防署にもお話をずっと続けてきたわけでございます。いろいろやってきたわけでございますが、いかんせんらちがあかない。そこで田中区長さんに、中野区がひとつ中心になって、保健所を含めて、公害を含めて窓口になってもらえないかと、住民の数名を連れてお願いをいたしたわけでございます。賢明な区長でございますから、早速お話を聞いていただきました。警察も消防も、もちろん自分のところの保健所も含めて、何とか策を考えてみようというふうなことをいただいたわけでございます。
 そこで、この8月25日にバキュームカーが来まして、正直言ってこの回収をいたしたわけですね。そのときに立ち会いの方々が何人か区の方から来ました。警察も来ました。私どももずっと立ち会ったわけでございます。その間すごいにおいでございまして、実は先ほどちょっと申し落としたんですが、その残飯と排泄物を煮炊きしている中でタオルを数本煮込んでいるんですね。このタオルを家の周りにつるしているんですよ。これは一つの魔よけだか何かよくわからないんですけども、そういうことをやるんですね。隣の人の境のところにもそういうタオルがつる下がっているんです。ですから、バキュームカーで処理をした後にそういうものを処理をする。それ以外に入れ物等も処理をする。ですから、実は普通の車もチャーターしまして、そして運んでいったというようなことです。
      (発言取り消し)      それで、近隣の方なんかとこれから先どうするかというような話し合いも、時間のない中でやった経緯もございます。もうあきれ果てる状況でございまして、費用も、やはり先ほど言ったように数万円経費としてかかる。
      (発言取り消し)      年間で大体300万円ぐらいかかるんだと。      (発言取り消し)       町会の皆さんも立ち会いました。 
     (発言取り消し)      私なんかはのどがやられまして、臭みとすごいあれがのどに刺激をしまして、数時間痛みが取れませんでした。そんなような実態の中で、近隣の人を含めて今約20~30人の直接の被害者があります。多く言えば私のところの住まいも風向きによっては、4階に住んでいますから、きょうは変なにおいがするなというようなこともしばしばございます。しかし、近隣の人からいったら何とか耐えられると、こういう状況でございました。
 非常にせっぱ詰まったこういう問題に対して、      (発言取り消し)      先ほども申し上げたように、今までの縦割りで中野区の保健所あるいは公害、さらには警察、消防を含めて、ばらばらの対応ではこれだけの問題はなかなか解決しにくいということで、区長さんが何とかみんなと協力してできるだけのことはしてみようと。できなきゃできないでそのときはいろいろあるんですけども、これは本人に正直言った人が何人かいます、近隣を含めて。本人は、おれは何もやっていないよと。裁判でも何でも訴えなさいと。こういうことを平気で言うんですね。      (発言取り消し)      これを個人の権利だなんて主張する人がいたら、これはもう大変な間違いでして、近隣の住民なんかはみんな犠牲になっているんですね。
 おれたち一生懸命額に汗して納める税金が何ら報われることなく、その人たちの人権も何もないじゃないか、こんなことで先ほど言ったともにつくる人間のまち中野、ああ、住んでよかった中野、区民としておれは一体どうするんだと。柿沼さん、何とかしてよと、みんな来るんです。あるいは、代議士のところにも行った人もいます。いろんな人に相談をする。しかし、なかなかこれは難しい話で嫌がる人が多いんですけども、何とかこういうことを踏まえて縦割りから横割りにして、警察も消防も全部一体になって対応をしていただきたい。
      (発言取り消し)      何でこれだけのものが、万人が認めているものがどうにもならないか。これはマスコミもかなり取り上げています。しかし、そのマスコミたるや、あるいは警察たるや、消防もしかり。灯油までまいてやっているんですからね。花火についてだって、火事になればこれはすぐ問題になるんですけども、そういういろんな意味を含めて、実害がなければだめなのか、傷害事件が起きなきゃだめなのか、においだけではだめなんだよと。これはいささか私としても納得ができないし、これはもう今お話を経過的に申し上げて、皆さんお聞きになって御判断していただければ幸いなんですが、まずもって10人が10人、100人が100人、これはだめよということに私はなると思う。したがって、区長さん、そういうことでございますので、皆さんもうなずいていますので、ひとつよろしくこの悪臭の問題については対応していただきたいというふうに、まず1点目の質問を終わらせていただきます。
 それから、2点目の悪徳商法についてでございますが、これも私どもの会派には区商連の役員もおるわけでございます。いろいろ努力はされておるわけでございますが、キャッチ商法というか販売に至って、皆さんも御承知のように、よく中野駅のガード下等々を歩いていますと、いろいろおいしいことを言って品物をプレゼントする。最終的には大変高い、羽根布団を数十万円で買わされたり、大変な、まあ、聞いた話もあると思います。
 実際、消費者センター等で取り扱っておる実態なんかも最近の状況をお聞かせいただければありがたいなと思うんですが、私の住んでおる川島商店街の一例を申し上げますと、今空き店舗が相当あるんです。この空き店舗を借りまして、そこで数人のいろいろな方がおりまして、全部連携をとってキャッチセールをやるんです。お年寄りから若い人もひっかかるんですが、おいしいことを言われてついついひっかかってしまう。最初に声をかけた人がある程度の、この方は何とかなりそうだというと、手で合図を送って2番目の人がやる。3番目に行く。4番目ぐらいはもう店の中に連れ込んで、こういうものがありますよというようなことで、結局買わせてしまう。後になってその人が、だまされた、こんな品物を何で買ってきたの、何で契約したのというようなことから、その苦情が商店街に出てくる。
 したがって商店街としても、そうでなくても今お客さんの少ない川島商店街でございます。もう正直歯抜けだらけでございます。夜店なんかもやると珍しがって、若い子どもたちも含めて大勢さん集まるんですが、これは年に何回かでございまして、お祭りのときなんかよく集まっていますが、あとは朝市等々で安く物を売る、こういう状況下に実はなっておるわけでございます。今、商店街活性化ということで、かなり中野区あるいは消費者センター等を含めてその努力はされておるんでございますが、実際印象的には悪くなってしまう。空き店舗の大家さんにもPRはもちろん、そういうことのないような人に貸してほしいというようなこと、あるいは、道路を使用していろいろやっているわけですから、もちろん警察の方の許可はとったのか、とらないのか、あるいは、商店街にマイク放送がございますから、この中に皆さんだまされないようにとか、いろいろPRはするんでございますが、下手にPRをすると、何を言っているんだ、営業妨害だなんていうことでねじ込まれる店も数回ありました。そういう苦情があればすぐ、今防衛対策をやっておりまして、110番あるいは隣近所の商店に話をするというようなことで対策を講じておるわけでございます。
 したがって、そういう地域も努力をするし、ましてや何でもかんでも行政に、あるいは警察におんぶにだっこ、肩車方式ではなく、みんな努力をしておるんです。したがって、今そういう状況下の商店街の活性化を含めた対応というか、区の指導というか、そういうものをひとつお聞かせいただければありがたいなと思っておるわけでございます。以上が2点目でございます。
 それから、3点目の、これは10か年計画の考え方、町会と区は対等の立場ということで良好な関係をこの10か年計画の中で築いていきたいと。同時に、先ほどからいろんなお話が出ていますが、NPOとの支援関係、こういう問題が実は区民の公益活動の推進という観点から今度計画がされつつあるわけでございます。
 そこで、私がお聞きしたいのは、自助・共助・公助という言葉が御承知のようにございますね。ですから、みずからができる限りのことは耐えていく、我慢をする、やれることはやる、これは自助なんですよ。それから、共助というのは、ともに助け合おうと。これはもうボランティア活動みたいなもので、町会組織にしてもNPOにしても、あるいはもろもろの諸団体にしても、そういう場合にはともに助け合おうと。阪神・淡路大震災からもう10年経過していますが、あのときの状況なんかも見ますと、町会の活躍、隣近所の活動、大変なものがあるんですね。
 そこで阻害されているのが、個人情報の問題が絡むんですが、我が町会でも寝たきりだの、何かのとき助けてちょうだいというような人が。7~8人いるんですよ。これは公表できない。これは町会でも町会長だけは知っていますよという。うかつに公表すると大変なことになる。したがって、もし倒れたり、あるいは地震で下敷きになっちゃった、そのときはだれも知らないんですよ。私はこの問題については疑問をいっぱい持っているんです。こういうことでいいのかどうなのか。これは現実にそういう問題があります。ですから、そういう意味では公助、公の助け、これは当然必要なんですよ。しかし、公助の中にも逆に共助、自助というものがあるんですね。これを盛り込んだのが、簡単にいえば10か年計画の本旨ではないかなと、こんなふうに実は思っています。
 そういう観点から、私は町会長をやっているから言うんじゃないんですけども、確かに助成金削除をやった当時、これは昭和50年に助成金制度を廃止しているんです。その後何ができたかというと、住区協議会というのができたんですね。いずれにしてもこの町会というのは、少なくとも毎月50円、100円、200円、あるいは会社をやっている人は500円以上、掛ける12カ月で幾らと、こういうふうになっているんですよ。
 実際に私もいろいろこの資金づくり等々で大変な思いをしています。マンションができればそこへ行って大家さんと交渉をする。こういうことに協力してくださいと。何かあったときにはいつでも飛んでいくし、お互いに助け合う、こういう制度が町会のあり方なんですというお願いをして、大体納得してもらって大変な金額をいただくんです。この間も14階が立派にできました。大反対していた私なんですが、最終的には39戸掛ける200円掛ける年間ですね。ぱっと計算すればすぐわかる。毎年これ9万何がしの銭が入ってくるんですよ。これも一つの町会長としての使命なんですね。これはもう当然やらないとニーズにこたえられない。中には町会費なんか払えるかという人もいます。それはそれとしていいんですよ。ところが、そういう浄財の中で町会運営をやっているんです。
 したがって安易に、いろいろ疑問点を出された議員さんもいますが、欲しいからそういうことをやるんじゃないんですよ。区の方で10か年計画の中で、何かあったら補助金を出しましょう、その基金もつくろうじゃないか、NPOに対しては施設も提供しよう、町会は、百八つあるんですが、この建物の中に、庁舎の中にそういういろんな対話ができるような小さな部屋があってもいいんじゃないかという配慮もされつつ、計画の中にあります。数年前に自治法が改正されましたが、今百八つの中で自治会館を持っている町会というのはごくわずかです。おそらく数町会。百八つあるんですよ、町会、自治会。ところが、実際に手前持ちの会館を持っておるところは数個ですね。
 最近は軽可搬ポンプ等々をしまっておる物置も公園の片隅にあるんですが、いろんなあらゆる災害も広がっておりまして、ハンマーを入れたり、バケツを入れたり、ホースを入れたり、いろんなものがたくさん入っておるんですね。今の状況ではあふれちゃう。これを何とかほかにおさめようということで、今商店街では、あちこち空き家になっています。そういう空き店舗等も借りて、実際お茶菓子程度で役員さんにしてごまかしちゃうんですが、そういうところを借用して運用しているのが実態なんです。したがって、自治法と、そういう物置がわりに借りているところに何だという人もいるんですが、私なんかそういうところにもし5,000円でも1万円でも補助が出たらなと、こういう気もするんですよ。
 そういう資材置き場というか、いざ非常災害時にはここへ行けば全部そろっていると。ここから出しなさいというようなこともできる。もちろん隣の警大の跡地の問題にしたって、できるところには水槽を全部つくれよというような話も出て、警察病院なんかは水槽を地下につくって、いざ非常災害にはそこから水をとるというようなこともあるんですが、そういう大きな話、小さな話、全部ひっくるめて、地域の町会というのはあらゆることをやりますので。だから、先ほど言った昭和50年のときの助成金廃止のときとはまるっきり違う。もう時代が全然違う。したがって、そういう意味合いで、会館1個つくると1,500万円補助するという話があるんですが、わずか5,000円か1万円出したって二、三万円ですよ。そういうことも一つ考慮に入れながら10か年計画を推進していただきたい。
 さらに私は、いろいろ皆さんのお話を聞いておったんですが、いざ非常災害が出たときに、危機管理が大変あたふたしているような話もあります。実際にもあったでしょう。ところが、情報の伝達というのは、私は関心したんですが、もうファクスがなくなるぐらい情報を送ってこられる。これは議会の中にも情報班があって送ってくれるんですね。今までなかったことですね。これは非常にいいなと。私は高く評価をしている。それから、ついでに言っちゃうんですが、10か年計画の中でこの危機管理をぜひ入れてほしいと。
 それから、区が建物を貸すと。公設民営というんですね、端的に言うと。ですから、民活ですね。民間に委託される。したがって、一生懸命パートを使ったり何かをしてやりくりをしている。これが実態なんですね。たまたまそういうところが水害に遭ったよと、いろいろあったんだというようなときには、公設民営だから民間の人は保険に入っているからそれでやりなさいよと、こういう木で鼻をくくったような対応は絶対に避けてほしい。私はそう思う。大家さんが店子をいじめるようなことはしちゃだめ。これは大切なことですよ。こういうときこそそういうサービス低下にならないような施策を区として対応してもらいたい。これのお金は、私は幾らかかったっていいと思う。必要なところにはじゃんじゃん使っていい。ところが、むだなところはもう使っちゃいけない。これはもう大事に蓄えていかなければいけない。
 そういう意味で、いろいろ基金制度の問題等々も、頭のいい理事者の皆さんでございますから、区長を先頭にしてこういう10か年計画に向かって推進をしていくわけでございます。もちろん私なんかも微力ではございますけども、区議会議員として、あるいは町会長として、一区民としてこれからも頑張っていきたいと思うわけでございます。そのことこそともにつくる人間のまち中野と言えるんです。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 柿沼議員の御質問にお答えいたします。
 においの問題ということで、詳しく御説明をいただいたところであります。区といたしましても、柿沼議員を初め地域の皆様から大変困っているというお話をいただいておるところでありまして、区としてもできるだけの対応をしていかなければならないということでやっているわけであります。個人のプライバシーにかかわることでありまして、なかなか具体的な回答をこの場で申し上げるということは難しいわけでありますけれども、それぞれ関係する機関が何か対応する場合には、根拠となる法律が違っている、機関も幾つか違っているというようなことで縦割りになってしまうといったことから、難しい問題に対しては結局はどこも中途半端にしか手を出せないというようなことになりがちな事態というのもあるわけでありまして、そういうことにならないようにきちんと関係機関が集まって、一歩踏み出してお互いに何ができるのかを考えていくといったようなことから問題を解決していかなければならないということで、区といたしましても東京都あるいは警察署、消防署といった関係機関と連携を密にいたしまして、問題の早期解決を図っていきたいというふうに考えているところであります。
 それから、悪徳商法の問題について、川島商店街の例ということで御意見がありました。川島商店街振興組合が、悪質商法の被害防止の呼びかけなどの取り組みを行っていただいているということについては承知をしているところであります。具体的に、じゃあ、直接そういった、そこに関しての苦情相談については、区の方にはまだ寄せられていないところではありますが、いずれにいたしましても悪徳商法というものがどうしてもなくならないといったようなことは、私どもも十分承知をしているところであります。
 悪徳商法というのは、一言でいいますけれども、点検商法、催眠商法、送りつけ商法、利殖商法、次々販売とか、実に時代とともに新しい手法が次々につくり出されるということでもあります。また、被害者の方も小・中学生から高齢者まで世代を問わず、また、その手法も商店街の一角を使ったり、あるいは、インターネットなどのITを使ったネット型の悪徳商法といったようなものまで幅広く存在しているわけであります。
 区といたしましても、この悪質商法の被害を未然に防止するために、悪質商法に関するチラシを作成する、あるいは、ホームページや区報に掲載をしていく、また、高齢者施設や学校で消費者啓発講座などを実施するなどの啓発に努めておりますほか、被害に関する御相談にも応じているといったようなところであります。商店街でこうしたことについて商店街振興、あるいは、みんなが安心して買い物できるという立場から、さまざまな取り組みをしていただいているということにつきましても、区としましても警察と連携をし協力をしていきたいと、このように考えているところであります。
 それから、10か年計画の中で町会、自治会あるいはボランティア、NPOといった区民の力を活用するというか、区民の力を大いに生かしていく、区民の力が地域社会全体をよいものにしていくという立場からの御質問があったわけであります。10か年計画あるいは今回の基本構想という考え方の中で、これからの社会で人口が減少したり、あるいは、全体として公共の財源が少なくなっていく、そういう中でも豊かな地域社会をつくり、みんなが安心して暮らし合える地域社会をつくっていくという中で、区民の皆様が互いに助け合ったり、互いに働き合うといった営みが非常に重要であるという立場に立っているというふうに考えているところであります。
 町会、自治会に関しましては、地域の中で幅広くさまざまな福祉、防災、あるいは子育て支援、また、防犯、さまざまな地域の活動の基礎的な単位として活動していただいている地域の団体ということであります。このことは自治法でも規定されております地縁団体という町会の性質から考えても、町会、自治会が担っていただいているさまざまな役割というものの大部分は、町会でしか担っていただくことのできないものであるというふうに考えているわけであります。そうした活動がこれからもさまざまな形で活性化していく、あるいは、より発展していくということが、区にとっても、区民全体にとっても必要なことという考えから、町会、自治会のそうした公益的な活動の意義を改めて位置付けて、そして、必要な支援も行っていかなければならないというふうに考えているところであります。町会、自治会におきましては、今申し上げたように大変重要な役割を果たしていただいているということと同時に、またその一方で会員数が減少する傾向にある町会も見られるだとか、担っていただいているメンバーが高齢化していく傾向にある町会も見られるとか、そうしたこともあるわけでありまして、そうした町会活動を区全体として活性化していくための方策といったようなことも考えていかなければならないというふうに考えているわけであります。
 また、そうした町会、自治会など既存の活動団体に加えて、NPOなど新しい結びつきに基づく新しい公益活動の担い手、こうした担い手のこれからの活発な活動ということも非常に重要であるというふうに考えているところでありまして、10か年計画でもさまざまそうした取り組みを用意していくといったようなことのほか、区民の公益活動の推進に関する条例を設けて、町会、自治会やNPO、ボランティア、そうしたさまざまな区民の公益活動の推進を基本的に支えていく仕組み、そうしたものもつくっていきたいと考えているところであります。
 以上であります。
○議長(高橋ちあき) 以上で柿沼秀光議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 か せ 次 郎
 1 2004年度決算について
 2 警大等跡地問題について
 3 震災対策について
 4 学校再編について
 5 介護保険のホテルコストについて
 6 アスベスト対策について
 7 その他

○議長(高橋ちあき) 次に、かせ次郎議員。

〔かせ次郎議員登壇〕
○20番(かせ次郎) 2005年第3回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場から一般質問をいたします。
 まず、2004年度(平成16年度)決算についてお尋ねいたします。
 この決算の本質は、一言で言えば、田中区長が小泉自公政権の進めている「官から民へ」の構造改革路線を、忠実に自治体行政の場で追求した2004年度予算の結果ということです。区長自身、施政方針説明で、国全体が目指すべき方向を中野区がリードしていると誇っていたくらいです。その結果、父母、職員、区民が10万筆以上の署名をもって反対した区立宮園、宮の台保育園の指定管理者制度による民営化が強行され、同時に大事な役割を果たしていた非常勤保育士を全員解雇するという、他の自治体では全く例のない暴挙が強行されました。そのときの非常勤保育士さんたちは、現在も復職をかけ、裁判で区と闘っているさなかであります。また、地域図書館の職員や学校給食の民間委託が推進され、非常勤職員の解雇も強行されました。さらに、がん検診の有料化や国民健康保険料の値上げなども行われ、区民の健康も脅かされております。このように区民には痛みを押しつける一方で、「まちづくり」と称して大規模開発優先の区政に大きく踏み出し、将来さらに大きな区民負担のもとをつくったのがこの決算のもう一つの特徴であります。
 2億円も出資して中野区に必要のない中野サンプラザを購入しました。しかし、実際には区に何の権限も得られないまま、国民の財産を半値で企業に売り渡す仲介役を果たすだけの結果になる可能性が強いと言えます。
 人口過密で都内で最も災害に弱い地域が中野区であります。ところが区は、2001年に中野、杉並と東京都の間で合意された、4ヘクタールの防災公園を中心とする警察大学校等跡地土地利用転換計画が見直され、民間誘導で超高層のまちづくり中心の計画に変えようとしております。これには区議会特別委員会史上例を見ない多数の反対陳情が出され、パブリックコメントでも意見交換会でも区民の反対の声が続きました。しかし、こうした区民の声は無視され、思惑どおりの計画に変更されたのであります。形ばかりの住民参加とごまかしで強行した今度の計画は、財政的にも今後どれほどの区民負担がもたらされるかしれません。
 そもそも2004年度予算は、前年2月に決めた経営改革指針に基づくものであり、政府が進めている構造改革を中野区に持ち込み、経営改革指針として追求した結果がこの決算であります。このような区政運営が、果たして「区民のための施策を実現すること」などと言えるでしょうか。お聞きいたします。
 区政運営を強力に推し進めるために導入したのが事業部制でした。専ら効率性のみが追求され、区民、職員の声に耳を傾けることなく進められてきたために、人間の心をつかめないゆがんだ区政運営となっております。今回の水害の対応ぶりもその影響があらわれているのではないでしょうか。また、公務員として公正に果たさなければならない業務から外れ、タイムカードの不正打刻事件や中野駅周辺まちづくり計画作成等支援業務委託にかかわる不可解な入札事件、現金盗難事件など、今までになかったような事件が次々と起きました。これらの不祥事には、区民はいまだに納得せず、住民監査請求など事件の真相究明と再発防止を求める運動は後を絶ちません。不正打刻事件では裁判が起こされております。
 こうして区民に必要なサービスは切り捨てつつ大規模開発の準備を進めた04年度決算は、28億8,000万円の黒字を残し、基金に23億2,000万円もの積み立てをしております。合計すれば52億円になります。
 中野区税務概要という中野区民の所得状況調査によれば、2004年の区民1人当たりの所得は、4年前と比べて29万円近くも減っています。構造改革は大企業に4年間で12兆円の収益をもたらし、国民の所得は逆に18兆円も減らされました。中野区では、区民総所得が2000年と比較し2005年の1年間だけで477億円も減っているのです。内閣府の国民調査でも、生活に困難を来していると答えた国民は半数近くになっております。こういうときにこそ区政は区民に最も近い政府として、区民の生活を支える施策を展開すべきではありませんか。ところが、この決算にあらわれた中野区の実態は、自治体として本来果たすべき役割を後退させ、変質させたものと言わざるを得ません。区長の見解を求めます。
 次に、警察大学校等跡地についてお聞きいたします。
 8月30日、関東財務局は、「警察大学校等跡地にかかる協議会発足について」なる文書を発表いたしました。大規模未利用国有地である警察大学校等移転跡地の有効活用を促進するため、関東財務局の主催のもと、都市計画決定者である東京都、地元地方公共団体である中野区及び杉並区の4者で発足させ、本跡地の利用計画、整備方法などを協議・検討し、処理方針の策定に向けた具体的な作業に着手するという内容です。また、前日の8月29日には、関東財務局から警察大学校等跡地に係る調査研究の委託が一般競争入札に付されました。この入札では、300万円の予定価格のところを大手設計会社がわずか15万円という信じられない価格で落札されるという異常な事態も生じております。
 中野区は、8月26日付で中野区長、杉並区長連名で関東財務局長あて要望書を出しております。内容は、平成13年に策定した警察大学校等跡地土地利用転換計画案を中野区と杉並区、東京都との間で見直しをしたので、土地処分に当たっては警察大学校等跡地土地利用転換計画案見直しに十分な配慮をしてほしいというものです。中野駅周辺警察大学校等跡地調査特別委員会には、区の計画に反対し、警大跡地に緑豊かな防災公園を整備してほしいといった陳情が約100本提出され、区の計画に対するパブリックコメントにも330件を超える疑問や反対の意見が出されました。
 いつ襲ってくるかわからない巨大地震。10万人の避難場所に指定されている警大跡地と中野駅周辺に巨大ビルが何本も建つ計画。こういった計画に不安を抱くのは当然であります。3者連名の見直しでは、防災公園は0.5ヘクタールの囲町公園分を入れても1.5ヘクタールであり、周辺の緑地空間を入れても3から4ヘクタールといいます。オープンスペースにまばらに植樹された緑は、区民の求める緑豊かな防災公園とは全く違ったものです。
 去る7月26日、中央防災会議が発表した首都直下地震対策専門調査会報告では、長周期地震動について重要な報告がされております。首都地域を含む関東平野は厚い堆積層で覆われており、このような地盤条件のもとでは、震源が浅く規模の大きな地震が発生した場合、長時間にわたり揺れの大きな長周期地震動が発生しやすい。長周期地震動は、超高層建物やつり橋などの長大構造物に共鳴現象を起こす危険がある。したがって、引き続き専門的な検討を進める必要があるというものであります。こういった警告が出されているさなか、超高層ビルの谷間に防災公園を整備する計画に固執するのは、区民の安全を軽視する考えそのものではありませんか。
 我が党区議団は、警大跡地に4ヘクタール以上の緑豊かな防災公園を中心とする計画とするよう求め、自治体負担が極めて少ない都市再生機構が整備する防災公園街区整備事業の手法を提案してきました。この手法は、自治体が都市機構に求めれば実現できるもので、今でも有効であります。そこで伺います。計画を白紙に戻し、再検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。見解を求めます。
 次に、震災対策についてお聞きします。
 7月23日、足立区で震度5強を記録した千葉県北西部地震に続き、8月21日に新潟県中越地方で震度5強の地震が発生するなど、まさに日本列島は地震の活動期に入っていることが実感されます。さきにも触れましたが、首都直下地震対策専門調査会報告では、今後首都直下で震度7程度の地震が起こる可能性が高い。死者数が最も大きいのは、木造家屋密集市街地が集中している都心西部直下地震の場合で、夕方18時、風速15メートルのケースで約1万2,000人と推計している。死者数では、火災による死者数が最も多く、東京湾北部地震の場合、全死者の約6割が火災によるもの、次いで建物倒壊による死者で約3割、急傾斜地崩壊による死者が1割弱、帰宅困難者は正午発生で約65万人と推計される。経済的被害額は、風速3メーターでは約94兆円、風速15メーターでは約112兆円に上ると推計しています。
 中央防災会議は、対策の柱として首都中枢機能の継続性確保と膨大な被害の軽減と対応を挙げ、被害軽減のためには建物の耐震化や火災に対する防災対策、避難者対策、帰宅困難者対策などの対策について、近日中に地震対策の大綱を決定する予定だとしています。そこで伺います。この大綱に基づき地方公共団体の防災計画の見直しが図られることになりますが、計画の見直しに当たっては区民や防災学者などの専門家の意見を聞きながら、実効ある計画をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、提案を兼ねて質問いたします。
 まずは建物の耐震化について伺います。これまで中野区は、区有施設について耐震診断と耐震改修工事を進めてきました。しかし、体育館についてはまだ手が届いていません。体育館は住民の緊急非難の場所で、一定期間そこで生活することになります。天井や屋根の崩落、照明やスピーカー、バスケットのボードなど、落下物の危険はないかを調査し、必要な改修工事を早急に行うべきです。改めて調査・点検し、年次計画を立てて改修工事をすべきではないでしょうか。伺います。
 次に、一般住宅についての耐震診断、耐震改修について伺います。我が党区議団は、8月に静岡県の地震防災センターを視察してきました。静岡県では、「静岡県地震対策アクションプログラム2001」に基づき、「プロジェクトTOUKAI(東海・倒壊)-0」を立ち上げ、全県的な出前診断を行い、昭和56年以前に建てた木造住宅の60万棟のうち15%の耐震診断を実施し、平成14年度からは1棟当たり30万円の耐震補強助成を創設し、14年度では254棟、15年度では807棟が耐震補強工事を実施しています。また、市町村によっては高齢者が居住する住宅に対し、20万円の割り増し助成がされて、建てかえに対する利子補給の制度も設けています。担当者は、「費用のかからない耐震改修を研究している。大概は30万円から50万円でできますよ。被災で人命が失われ、建物の被害や災害復旧で莫大な財政負担をしなければならないと考えれば、事前の減災対策に財政を投入することの方がはるかに安上がりで重要です」と、このように明快に答えておられました。
 中野区でも、昭和45年12月以前の在来木造建物について、無料の簡易診断で総合評価1未満のものについて、耐震診断士による耐震診断を無料で実施しています。今回の補正予算で、簡易診断助成と一般耐震助成、家具転倒防止器具取りつけ助成の件数をふやしたことについては、これまでの我が党区議団の要求が受け入れられたものとして評価します。しかし、大事なことは、診断を改修工事に結びつけるということです。平成15年7月には、家屋の耐震診断、耐震補強費用に対する補助制度を検討してくださいという陳情が全会一致で採択されています。こういった経過もあるわけですから、耐震改修施工者を紹介するにとどまるというのではなくて、静岡県で実施しているような耐震改修助成を創設すべきだと思いますが、どうでしょうか。見解を伺います。
○議長(高橋ちあき) 質問の途中ですが、この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
○20番(かせ次郎) 続けます。
 また、我が党が提案した「ほどほど耐震」は、耐力合板や柱の補強など、余り費用をかけなくても一気に家がつぶれない、圧死するという事態だけは避けられる、こういった考えです。こういった「ほどほど耐震」もあわせて普及することが大事だと思いますが、あわせてお答えください。
 次に、危険なブロック塀の撤去・改修についてお聞きします。ブロック塀や古い大谷石の擁壁の倒壊は、避難路をふさぎ、人を押しつぶす危険もあります。そのため静岡県では、市町村による多少の違いはありますけれども、倒壊の危険があるブロック塀の撤去や改修を促進するために補助制度を設けております。中野区でも検討できないでしょうか。あわせて、既存の生け垣助成を生かし、安全と環境に優しいまちづくりを進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、トイレの問題について伺います。阪神・淡路大震災でも中越地震でも、大問題になったのがトイレでした。水道も電気も使えない。基本的なライフラインが絶たれる中でトイレをどう確保するのか。これまでもさまざまなトイレが提案されてきました。マンホールに乗せて使用するもの、据え置き型の仮設トイレなどです。その後、人手がかからず手軽に設置し利用できる災害時緊急トイレが考案・実用化されております。私からは、それらの中から二つの方法について紹介し、中野区でも配備するよう提案いたします。
 まず、強化ダンボール型簡易トイレです。トイレ本体は耐水・強化ダンボールで、水は一切使いません。排泄処理袋と凝固吸収剤、便座シート、排泄物保管袋などがセットされており、4人家族で3から4日使用可能とのことです。また、このセットの処理袋と吸収剤は、断水した既存のトイレでも使用可能であり、避難所に限らず利用できる利点があります。このような簡易トイレセットを防災備蓄資材に加えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、非常時対応型折り畳みトイレの提案であります。このトイレは、地下に便槽を埋設し、その上部に折り畳み式の建屋を置くというものです。下部の便槽は備蓄倉庫になっていて、必要な機材はすべて保管されており、特別な機材を使うことなく、少人数でも簡単に組み立てられます。標準仕様タイプは、車いす対応大便器1、大便器8、小便器2を備えており、250人が1カ月強利用できるというものです。また、夜間照明と換気ファンの電源として太陽光発電システムを使用しております。通常は平たく折り畳まれていて、そこがトイレになるとは気がつきません。既に杉並区の松の木小学校に設置されております。校庭の片隅に設置され、周りよりも若干高くなっていますが、スロープ板を置き、人工芝を置いて児童の安全策は講じられています。ちなみに、工事費用は1,000万円程度とのことでありました。このような非常時対応型折り畳みトイレを、緊急避難場所となる学校や公園などに設置してはどうでしょうか。伺います。
 次に、情報提供の問題でお聞きいたします。速やかで正確な情報提供は、災害を最小限に食いとめるために極めて重要であります。7月23日の千葉県北西部地震でも、また、台風14号のときも、警報が聞こえなかった、警報の意味がわからなかったという声が聞かれます。これではせっかくの防災無線も生きません。最近は中野区でもビル化が進み、大音量の防災無線がビルに反響してますます聞き取りにくくなっています。むしろ余り大きな音ではなく、小街区に聞こえる程度の拡声器を多数配置することの方が有効ではないでしょうか。しかも、太陽発電パネルを電源とすれば、震災時にも対応できます。こうした新たな広報システムは検討できないでしょうか。
 現在設置されている防災無線は、通常電源をバッテリーで充電しており、数時間の容量しかありません。したがって、大震災には対応できませんので、この際太陽発電システムを検討してはどうでしょうか。あわせて伺います。
 警報の意味や緊急時の対応については、住民の移動もあることから繰り返し周知させる必要があります。ハザードマップや防災パンフなどを普及することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 名古屋市では、水害など、情報利用者の個別対応に応じた細かな情報が提供できる防災・環境情報等配信システムを立ち上げました。このシステムは、赤外線センサーや温度計、水位計などの各種センサーの情報や、高所カメラや河川の固定カメラなどの映像、道路情報や避難情報などの情報を整理し、利用者に配信するもので、インターネットや携帯電話で受信できるものです。既存の情報ネットワークや情報を活用でき、システムが1台の情報管理サーバーと数台の情報配信サーバー、異常監視サーバーで構成されているので、ごくわずかな初期投資で開設することができるとのことです。このシステムは、震災時相互支援関係を結んでいる福島県などにあらかじめシステムのバックアップを依頼しておけば、システムの一部が破壊されても利用することができるという利点があります。杉並区でも、台風14号の被害を教訓に、河川情報を携帯電話に転送するシステム導入を補正予算で計上しています。200万円の予算で5万件に対応できるもので、システム管理は業者に委託されるとのことであります。インターネットや携帯電話への情報発信システムを構築すべきと思いますが、見解を求めます。
 次に、学校再編について伺います。
 教育委員会は、9月にパブリックコメントを実施し、10月には中野区立小・中学校再編計画を決定するとしています。この問題では、昨年10月に再編計画案が発表されてから地域でさまざまな議論が交わされてきました。しかし、教育委員会は、みずから定めた計画の基本については変更を許さず、かたくなな態度をとり続けたために、何回も開かれた意見交換会で、いずれも区民よりも区側の方が多いといった状況でした。
 「仲町小学校と地域を考える会」からは、4,500人余の署名をつけて中野区立小・中学校の再編計画(案)についての陳情が出されました。仲町小学校は、閑静な住宅街の中にあり、小規模であるがゆえに行き届いた教育が行われ、異学年交流もごく自然に行われています。年中行事の各種イベントは、学校が核となって行われ、地域のコミュニティの拠点になっています。また、この地域には大きな公園もなく、いざというときの唯一の避難場所であり、なくてはならない地域の宝物になっているのです。
 現在の計画は40人学級を前提にしていますが、30人を基準とする計画になった場合、桃園第三小学校の施設で新校を開設できるでしょうか。それでなくとも学童保育や児童館機能を小学校に入れる、空き教室は防災備蓄倉庫に利用され、地域開放の部屋も用意されると、あれもこれもと学校に入れようとしているのです。子どもたちを中心にした学校のあり方などの検討もないなど、多くの問題を残しているのが区立小・中学校再編計画です。計画決定を急がず、さらに慎重な検討をすべきと思いますが、見解を求めます。
 次に、介護保険のホテルコストについて伺います。
 10月から介護保険施設の居住費、滞在費、食費、いわゆるホテルコストが徴収されるようになることから、介護事業者や施設利用者に不安と混乱が生じています。所得階層によっても、利用する施設の内容によっても違いがあり、厚生省が平均的な費用額を定めることになっているものの、利用者と施設の契約によって定められるという複雑過ぎる制度になっています。特養ホームの利用料については、世帯全員が非課税で合計所得金額が80万円超から266万円の新第3段階では、部屋代が4万円から5万5,000円に、ユニット型個室では七、八万円から9万5,000円になります。第3段階で年収80万円の人は、月6万7,000円の収入で、そこから5万5,000円の利用料を負担できるでしょうか。相部屋の特養にさえ払えないではありませんか。合計所得金額が266万円を超えれば負担軽減策はありません。利用料は相部屋でも2万5,000円、ユニット型個室では2万1,000円から3万1,000円にも引き上げられます。
 千代田区では、介護保険施設入居者のホテルコストについて、国の低所得対策の対象外となる人で、利用者負担額が月額1万4,100円から2万7,800円程度ふえる層の一部に、月1万5,000円から1万9,000円を補助するとし、2月までの補正予算を約920万円計上しました。中野区でも同様の補助制度は考えられないでしょうか。また、第3段階の低所得層についての配慮も必要であり、この層への独自の助成も検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。あわせてお答えください。
 次に、デイケアなど通所施設での食事について伺います。これまでは介護保険の中で賄われていたため、1食400円程度で食事サービスが受けられていました。しかし、10月からは原則として全額自己負担になり、利用者と施設との契約になるということから、食事代が幾らになるのかが大問題になっています。ケアマネジャーは、サラリーマンの食事代がワンコイン、500円の御時世だと。余り高い負担は求められません。また、食事代が全額自己負担になるということから、デイケア利用者の中には弁当を持ってくるから食事は要らないとか、昼食時間を避けて午後から来たという声も聞かれているそうです。これではデイケアから食事の喜びを奪われてしまいます。
 荒川区では、第3段階までの通所者の食事代の25%を助成、千代田区では区が200円助成し、事業者にも220円負担してもらい、現行利用額を据え置くことにしたとのことです。中野区でも区独自の助成制度を創設してはどうでしょうか。見解を求めます。
 次に、アスベスト対策について伺います。
 アスベスト(石綿)は、熱に強く燃えにくい、しかも電気を通さず、薬品にも強く、安価であるという特徴があり、これまで工業用やら電気製品、日用品に至るまで、広い範囲で使用されてきました。一方、1935年には発がん物質として米国で指摘され、1972年には世界保健機構(WHO)と国際労働機関(ILO)から相次いで、肺がんや中皮腫を誘発する危険があると警告されていました。しかし、日本では60年代の高度成長期から建物や製造現場で大量に使われ出し、90年代にはピークを迎えています。日本政府は、95年になって毒性の強い青・茶石綿の製造を禁止しましたが、回収は行いませんでした。原則禁止にしたのは04年からで、それも代替品のないものは除かれ、完全禁止は08年まで先送りされています。現在、20年から30年前にアスベスト製品製造にかかわったとされる労働者や家族が、アスベスト肺や肺がんで苦しんでいるというニュースが多数報道されています。適切な対応を怠ってきた政府の責任は重大であります。
 日本共産党区議団は、7月26日、区長に対し、アスベスト対策についての申し入れを行いました。中野区では、1981年以前に建設された区有150施設について調査を行い、アスベスト含有材の利用が明らかで、人体に影響を及ぼすことが危惧されている箇所について、補修や封じ込めなどアスベストの飛散防止の処置を行ったとのことであります。また、04年までに実施した調査結果に基づき、年度別計画を策定することとしています。このように他の自治体に先駆けて対策に踏み出したことは評価するものです。
 しかし、今日の事態を勘案するならば、1982年以前に建設された全区有施設と区営住宅、民間公共施設についても調査し、必要な対策を講ずるべきです。また、これまでに対策を講じた中で、武蔵台小学校、第九中学校、中央中学校で行ったアスベストの板囲いによる封じ込めは不十分であり、除去すべきであります。また、8月5日、文部科学省が「学校におけるアスベストを含有する製品の取り扱い等について」という通知を出し、学校の理科の実験に使用される石綿金網や学校調理員が使用する耐熱手袋などのアスベスト含有製品の使用状況を把握するとともに、アスベストを含有しない代替製品にかえるよう求めるものですが、これらのことについて早急に対策を講ずるよう求めます。これら3点について、あわせてお答えください。
 次に、建築物の解体作業における石綿粉じんの飛散防止対策についてお聞きします。本年7月より石綿障害予防規則が施行されました。飛散防止のための作業のあり方や立入禁止の処置、作業時間の調整などの事項を定めたものです。建設作業員と周辺住民にとって、最大限の安全対策がとられるのは当然であります。あらかじめアスベストが使用されていることがわかっている建物なら対応もしやすいでしょう。しかし、一般住宅など小規模な建物については、解体してみなければわからないのが実態であります。現在、建設労働者の中に解体作業や健康問題、そもそもアスベストとは何かといった不安や疑問が広がっています。当然区はそういった相談を受けていると思いますが、どこに相談に行っていいかわからない、1カ所で何でも答えてくれる窓口が欲しい、こういった声が上がっています。そこでお聞きしますが、アスベスト問題のことなら何でも答えられる総合窓口を設けてはいかがでしょうか。伺います。
 その他として、中野駅のガード周辺の問題で2点質問します。
 まずは、北口の自転車駐輪場下に設置された喫煙場所についてです。設置されているところが狭い切り通しの坂道になっていて、ガード下の信号のところで合流するため、たばこの煙が信号待ちしている歩行者に流れてくるというものです。喫煙場所について再度検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、同じくガード下の南側の歩行者の安全対策についてです。南側の線路わきの通りは、中野三丁目から中野通りに出る自動車の主要な通りとなっています。道路は狭く、見通しも悪い。自動車の側から見れば、右折して中野通りに出るために歩行者用の信号に従わざるを得ない。このときには、歩行者は人だまりとなってガード下の方に押し出される。こういったことから、しばしばトラブルを起こしています。信号の改善など必要な処置をとるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問を終わりますが、明快な答弁をお願いします。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) かせ議員の質問にお答えいたします。
 2004年度決算について、さまざまな御意見があったわけであります。経常的な経費、財政支出を伴う助成や給付をさまざまお求めになる一方で、財政収支の改善の努力は真っ向から否定をされるかのような、お考えの基本のところが私には理解できないのであります。日本は、人口が減少し、経済が成熟化する中で縮小均衡型の社会に入っているというふうに思われます。また、現在の経済状況は、回復途上に入ったとはいえ、やはりまだまだよくない。こうした中で少子高齢化という形でさまざまに公共サービスのニーズが多様化し、ふえてきている中にあるわけであります。そうした中では、これまでのようなやり方をそのまま続けるということはできない。だから私たちは改革が必要なんだという、多くの皆さんの共通認識に立っていると私は思っているわけであります。
 この2004年度決算に見られるように、一定の実質収支が出る。それによって一定将来の財政の改善に歩みを、まだまだ十分とは言えません、まだまだやらなければいけないことはたくさんあるわけですけれども、一定の歩みを出すことができている。その一方で区民満足を高めるために、より価値の高いサービスを効果的に提供する。そのためのさまざまな取り組みを進めて、保育園や図書館、高齢者デイサービスのサービス拡大や充実、あるいは、障害者通所援護施設の建設計画等々、一定の前進をさせてきたというふうに考えているわけであります。将来にわたって持続可能な自治体運営の基盤をつくっていくということ、そういうことと区民満足を高めていく、この二つの取り組みを行っていくために、2004年度決算にあらわれてきたさまざまな成果といったようなことについては、私は自分ながらのある程度の評価はしてよいのではないかというふうに思っているわけであります。
 警察大学校跡地の土地利用計画の見直しという質問であります。区はこの5月に策定をいたしました中野駅周辺まちづくり計画を踏まえて、平成13年に提出した警察大学校等移転跡地土地利用転換計画案の見直し案を、東京都及び杉並区とともに策定をして、財務省に先月26日、要望を行ったものであります。4者協議会は、この要望を受けて計画の具体化に向けて関係者で協議を行うために設置をしたものでありまして、区としてもこうした場を活用しながら、提出した要望に沿って土地利用の実現や土地の処分等がされるように努めていきたいと考えております。
 この計画においては、緑豊かな、そして、必要な3から4ヘクタールの防災機能、10万人程度の方が避難をしてこられる広域避難場所としての機能を確保しながら、中野というまちに新しい活力をもたらすようなさまざまな都市機能も創出していくという、多くの区民の皆さんと議論をしながらつくり上げてきた計画となっているものでございまして、基本的にこの計画に沿ってまちづくりを進めていきたいと、こう考えているものであります。
 地域防災計画の見直しであります。中央防災会議による大綱の決定を踏まえ、関係機関の代表者等で構成する防災会議で意見を聞き、被害想定を見直すなど、中野区地域防災計画に反映をしていきたいと考えております。
 それから、学校体育館の耐震化についてであります。学校体育館については、耐震診断の結果、改修が必要とされた10校の施設について、天井材等の落下防止及び窓ガラスの飛散防止措置などの耐震対策を行ってきたところであります。今年度、これら過去に行った措置の劣化状況を含めて、全校の安全点検を行い、何年かかけてということでしたけれども、今年度中には43校すべての危険箇所の改修工事を終わらせる予定でいるところであります。
 耐震改修の助成についてであります。今回議決をしていただいた補正予算におきましては、戸別に訪問をして耐震診断と補強をお勧めするという事業を予定しているところであります。この事業では、2カ年のうちに耐震性が不十分と想定される約3万2,000戸の戸別訪問を実施したいと考えております。この3万2,000戸の戸別訪問を実施して、具体的な耐震性能を認識していただくための簡易耐震診断を勧めていくということであります。さらに、昭和56年以前の木造住宅については、一般耐震診断を無料で実施するということを予定しているところであります。
 耐震補強そのものに対する現金による助成ということでありますけれども、3万2,000戸すべての住宅に対して助成を行っていくということは、御提案のあった30万円と計算しても、これは96億円の財政負担が想定されるということでありまして、私は、中野区ではそれだけの負担は不可能だと考えておりますし、無理があるというふうに思っております。御自分で建てかえて安全な住宅にお住まいの方、この方たちも納税者でいらっしゃるわけですから、この方たちとの間で不公平が生じることにもなるということでありますから、耐震補強などみずからの財産と命を守る対策は、基本的にはみずからの責任で対策をとるべきであると考えておりまして、公的に資金の助成を行うということは考えていないのであります。ただし、現在実施をしておりますリバースモーゲージ方式のような形で、現在現金がなくても耐震改修ができるといったような方策は、さまざまな形で講じていくということは必要であろうかと思っているわけであります。
 耐震改修工法についても御提案がありました。区では、昨年とことしの2回、防災フェアを開催し、多様な耐震改修工法のパネル展示を実施して、普及・啓発に努めているところであります。また、耐震相談窓口においては、静岡県のコンペ案や耐震改修事例集等、安価な耐震改修工法のメニューも紹介しているところであります。こうした安価な耐震改修が普及するといったようなことも重要なことであり、今後とも進めていきたいと思っております。
 それから、ブロック塀の撤去・改修についての御質問であります。ブロック塀の撤去助成でありますけれども、住宅の補強と同様に、既存ブロック塀の撤去・改修など個人の財産形成にかかわるものについて助成をするということは考えておりません。
 生け垣助成についてであります。生け垣設置助成は、まちの緑化と安全性の向上を図るための誘導策として実施してきたものであります。主に既存の建物の敷地について、平成16年末までに総延長約4.2キロの助成実績を上げてまいりました。十分に役割を果たしてきたものと考えております。
 緑化については、一定の規模以上の新規の建物や開発行為における緑化の義務付けや、接道部分に生け垣や植樹帯の設置を指導するなど、緑化推進をさまざまな手法で図っていきたいと考えております。
 簡易トイレの備蓄、非常時対応型トイレの設置についてであります。トイレの備蓄については、各避難所に簡易トイレと組み立て式トイレを10台配備しており、計500台の備蓄があるところであります。今後の計画として、マンホールを利用する仕様のトイレを導入することとしているところであります。
 災害に関して情報提供のあり方についてであります。防災行政無線の有効性についての疑問は、今回のさまざまな御意見の中でも指摘をされてきたところであり、地域内広報等の対応についても検討しなければならないというふうに考えているところであります。防災行政無線全体の再配置でありますとか、太陽光発電の利用といったようなことについては、その技術的な可能性等につきまして一定の検証が必要ということで考えているところであります。
 ネット配信については、現在活用しているホームページを充実するように工夫をしていきたいと考えております。
 携帯電話の対応ということでは、ホームページの携帯電話版に緊急情報を掲載する方向で検討していきたいと考えております。また、これも以前にもどなたかほかの方の御質問にもお答えしておりますが、近日中にCTNテレビ画面にL型ウインドーシステムの運用を開始することとしているわけであります。
 私からは以上であります。

〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 学校再編につきまして、性急に決定すべきでなく、計画の見直しをすべきではないかとの御質問でございます。学校再編につきましては、平成9年の中野区立学校適正規模・適正配置審議会、この設置から今日まで長い年月をかけて取り組んできた問題でございます。そして、昨年10月には中野区立小・中学校再編計画案を公表いたしまして、各学校を中心にいたしまして、この1年間多くの区民、保護者の方々と意見交換を重ねてまいりました。教育委員会といたしましては、こうした場で出された区民意見につきましても真摯に検討を重ねまして、現在は計画決定に向けて最終段階のパブリックコメント手続を行っているところでございます。学校の小規模化が急速に進む中で、学校再編は緊急の課題であると認識しておりますので、速やかに再編計画を決定して着実に実施していきたいと、そのように考えてございます。

〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 介護保険のホテルコストにつきましてお答えいたします。介護保険施設におきます居住費でありますとか食事代、いわゆるホテルコストにつきましては、在宅で生活する介護保険利用者との間の負担の公平性の観点から導入されるものでございます。特に所得の少ない方に対しましては、高額介護サービス費の拡充が行われるほか、低所得の入所者に対しましては負担限度額を設け、補足給付を行うなどの対策が講じられるということになっております。区といたしましては、現段階で制度外の補助や助成が必要とは考えておりません。

〔総務部長石神正義登壇〕
○総務部長(石神正義) 私からはアスベスト対策についての御質問のうち、区有施設関連についてお答えさせていただきます。
 まず、1982年度以降に建築した区有施設についてでございますが、仮にアスベストが含有されていたとしましても、飛散の心配はないというふうに判断しております。しかし、将来の改修や工事等に備えてアスベスト使用施設台帳、これを整備する必要がございます。そのために、これらの施設にあっても来年度中にはアスベストの成分分析調査を実施する予定でございます。また、民間保育園等を含みます、いわゆる準公共施設につきましても、区の対策に準拠して働きかけを行っていきます。
 また、武蔵台小、九中についてのアスベスト対策でございますが、既存吹きつけアスベストを非石綿建材で覆うことによってアスベストが室内に飛散しないようにする、いわゆる囲い込み工法、これにつきましては、国等の機関からも一般的に認められている工法でございます。これらの措置を行った施設については、アスベスト使用施設台帳に整備をしまして、今後大規模修繕工事等の機会をとらえて除去措置等を行う考えでございます。また、対策の終わっていない九中の一部、これはボイラー室でございますが、今年度中に対策を行う予定でございます。

〔教育委員会事務局次長金野晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野晃) 学校における石綿金網等のアスベスト含有物の調査についてのお尋ねにお答えいたします。中野区におきましては、アスベストによる健康被害が指摘された1990年代の前半に、理科の実験等で使用する石綿金網を廃止して、セラミックの金網に移行しております。現在、石綿金網等のアスベスト含有製品が校内に保管されていないかという有無についても調査をしておりまして、仮にあった場合はこうした製品の廃棄と適切な処分について徹底を図りたいと思っております。

〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) アスベストの総合的な相談窓口についてでありますが、アスベストの建築物への使用や健康相談などに関する区民相談窓口につきましては、各分野で分担して設置をしております。総合的な相談窓口につきましては、区民生活部の環境と暮らし分野が担当することとしております。これにつきましては、8月21日号の区報に搭載するとともに、中野区のホームページにも掲載しているところではございますが、さらにPRを図っていきたいと考えております。
 次に、中野駅北口ガード横の指定喫煙場所についてのお尋ねでございます。この指定喫煙場所につきましては、さまざまな条件を勘案しながら関係機関と調整して設置してきたものであります。他に設置する場所を確保するということにつきましては、なかなか難しさがあります。喫煙場所での喫煙マナーの啓発・向上に力を入れながら、しばらく様子を見ていきたいというふうに考えております。

〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 中野駅南口の交通安全対策につきましての御質問にお答えをさせていただきます。中野駅南口の西側、線路沿いの道路と中野通りの交差点につきましては、信号がわかりにくく混雑をしているという状況については承知をしてございます。したがいまして、この安全対策につきまして所轄の警察と今後協議をしてまいりたいと考えてございます。
○議長(高橋ちあき) 以上でかせ次郎議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高橋ちあき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、9月26日、午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
午後5時26分延会