平成18年06月30日中野区議会本会議(第2回定例会)
平成18年06月30日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録
平成18年第2回定例会本会議第2日(6月30日) 1.平成18年(2006年)6月30日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
  1番  いでい   良  輔        2番  伊  東  しんじ
  3番  佐  野  れいじ         4番  北  原  奉  昭
  5番  久  保  り  か        6番  酒  井  たくや
  7番  奥  田  けんじ         8番  近  藤  さえ子
  9番  小  堤     勇       10番  大  内  しんご
 11番  伊  藤  正  信       12番  きたごう  秀  文
 13番  吉  原     宏       14番  高  橋  ちあき
 15番  やながわ  妙  子       16番  平  島  好  人
 17番  むとう   有  子       18番  はっとり  幸  子
 19番  長  沢  和  彦       20番  か  せ  次  郎
 21番  山  崎  芳  夫       22番  小  串  まさのり
 23番  若  林  ふくぞう       24番  市  川  みのる
 25番  岡  本  いさお        26番  こしみず  敏  明
 27番  飯  島  きんいち       28番  佐  伯  利  昭
 29番  佐  藤  ひろこ        30番  来  住  和  行
 31番  岩  永  しほ子        32番  篠     国  昭
 33番  柿  沼  秀  光       34番  伊  藤  岩  男
 35番  斉  藤  金  造       36番  大  泉  正  勝
 37番  斉  藤  高  輝       38番  江  口  済三郎
 39番  藤  本  やすたみ       40番  昆     まさ子
 41番  江  田  とおる        42番  池  田  一  雄
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      助     役  内 田 司 郎
 収  入  役  山 岸 隆 一      教  育  長  沼 口 昌 弘
 区 長 室 長  寺 部 守 芳      政策担当課長   川 崎   亨
 総 務 部 長  石 神 正 義      総務担当参事   橋 本 美 文
 区民生活部長   本 橋 一 夫      子ども家庭部長  田 辺 裕 子
 保健福祉部長   菅 野 泰 一      保 健 所 長  浦 山 京 子
 都市整備部長   石 井 正 行      拠点まちづくり推進室長 石 橋   隆
 教育委員会事務局次長  金 野   晃
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    高 橋 信 一
 議事調査担当係長 大 谷 良 二      書     記  黒 田 佳代子
 書     記  永 田 純 一      書     記  荒 井   勉
 書     記  岩 浅 英 樹      書     記  菅 野 多身子
 書     記  西 田   健      書     記  廣 地   毅
 書     記  鳥 居   誠      書     記  杉 本 兼太郎
 書     記  岡 田 浩 二      書     記  松 本 桂 治

 議事日程(平成18年(2006年)6月30日午後1時開議)
日程第1 第62号議案 中野区職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の一部を改正する条例

      午後1時03分開議
○議長(高橋ちあき) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、大内しんご議員、岡本いさお議員、来住和行議員、酒井たくや議員、むとう有子議員、佐藤ひろこ議員、市川みのる議員、久保りか議員、かせ次郎議員、きたごう秀文議員、吉原宏議員、いでい良輔議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 中野区議会議員 大 内 しんご
 1 「所信表明」・「新しい中野をつくる10か年計画」の実行プログラムについて
 2 「所信表明」・地域間交流について
 3 野方駅北口開設及びバリアフリー実現の進捗状況について
 4 「障害者自立支援法」に基づく「地域生活支援事業」の取り組みについて
 5 その他

○議長(高橋ちあき) 最初に、大内しんご議員。
     〔大内しんご議員登壇〕
○10番(大内しんご) 平成18年6月30日、第2回定例会にあたり、自由民主党・民社クラブ議員団を代表いたしまして、トップバッターで質問をいたします。
 区長、理事者の皆様におかれましては、ぜひ前向きな答弁をお願いいたします。特に田中区長におかれましては、6月11日の区長選挙におきまして、3万6,554票を獲得し、圧倒的な得票数で再選を果たしたわけでありますから、自信を持って御答弁をしていただきたいと思います。
 それでは、質問の内容と順番でありますが、最初に区長の所信表明の中で述べている「新しい中野をつくる10か年計画」の実行プログラムについて。2番目に「障害者自立支援法」に基づく「地域生活支援事業」の取り組みについて。3番目に野方駅北口開設及びバリアフリー実現の進捗状況について。4番目に「所信表明」の地域間交流について、その他で1点、中野駅周辺まちづくり関連の質問をいたします。
 最初に、「新しい中野をつくる10か年計画」の実行プログラムについてお伺いをいたします。
 田中区長は、今回の区長選挙においての公約として、マニフェストを掲げて、「新しい中野をつくる10か年計画」を着実に実行していくとしています。また、一昨日の区議会本会議の所信表明の中でも「新しい中野をつくる10か年計画」を自信を持って着実に実行していくことが2期目の区長の最大の使命であるとしています。
 マニフェスト「開け!明日への扉」にも掲げた、いわゆる四つの戦略、一つはキラリ中野「まち活性化」、二つ目はスリム中野「地球温暖化防止」、三つ目はいきいき中野「健康・生きがい」、四つ目はすくすく中野「元気いっぱい子育て」と述べ、これら四つの戦略を可能とするために、発生主義会計や市場化テストの導入など、行政革新を行おうとしています。こうした取り組みについては、我が会派としても大きく評価をし、その実現のために協力を惜しまない考えであります。しかし、我が会派として、この「新しい中野をつくる10か年計画」を推進するための実行プログラムといいますか、個別事業のスケジュールがはっきりと見えてこない。ステップという言葉は今まで何回となく聞いておりますが、具体的な年次やそれにまつわる経費がわからないという懸念があります。現に、第1回定例会の総務委員会における私の質問の中で、警察大学校跡地の整備について、どのような用地の取得を計画をするのか、取得に要する経費がどうなっているのかとただしましたが、具体的な答弁は得られない状況でありました。既に来週は7月に入り、1年の4分の1が過ぎようとしています。具体的な「新しい中野をつくる10か年計画」の進行スケジュールを早く区民に示すことが必要であると考えます。
 そこでお伺いをいたしますが、「新しい中野をつくる10か年計画」の四つの戦略を具体化するためにも、個別の事業ごとに計画年次のスケジュールや資金計画などを示す必要があり、そのための実行プログラムを早期に区民に示すべきであると考えますが、いかがでしょうか。私は、今回の所信表明の中でこうした実行プログラム的なものを区民に示すということを表明していただけるものと期待しておりましたが、はっきり申し上げまして、そういった言葉はなかったということであります。あえて質問させていただきます。
 また、四つの戦略を可能とする行政革新も大切ですが、発生主義会計や市場化テスト、契約・入札改革などだけでは「新しい中野をつくる10か年計画」は進んでいきません。ぜひ区民にわかりやすい実行プログラムを策定し、何をいつまでにどのように実現して、どのような成果を得ようとするのかを示すべきであると思います。区長の御見解をお伺いをいたします。
 次に、「障害者自立支援法」に基づく「地域生活支援事業」の取り組みについてお伺いをいたします。
 本年4月1日、障害者自立支援法が施行されました。この法律は、これまでの支援費制度の課題を踏まえ、サービスの充実と一層の推進を図ることで障害者の自立を支え、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指そうというものです。この法律によるサービスは、「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の二つの類型により提供されることになりますが、このうち地域生活支援事業は、区市町村がその地域や利用者の実情に応じて創意工夫を図り、実施することになります。したがって、中野区がこの地域生活支援事業をどのように実施していくかということがとても重要であります。10月から実施することになりますが、区は地域生活支援事業としてどのような事業を実施しようとしいるのでしょうか、お聞かせください。
 次に、地域生活支援事業の利用者負担についてお聞きをします。「自立支援給付」については、支援費制度での所得に着目した応能負担からサービス量と所得に着目した負担の仕組みになりました。低所得者に配慮したさまざまな軽減策が講じられていますが、これまでよりも利用者の負担はふえていると思います。このような状況も踏まえて、区は地域生活支援事業の利用者負担をどのようにしていくのか、その基本的な考えをお聞かせください。
 また、障害者に必要なサービスを提供し、自立を支援していくためには、今後一層地域生活支援事業の充実を図る必要があると思います。例えば区は、聴覚障害者、言語機能障害者のためのコミュニケーション支援として、手話通訳者・手話通訳奉仕員派遣事業を行っています。この事業は、障害者が通院や会議の出席、各種相談・申請手続などで外出する際、手話通訳者などの派遣が受けられるサービスです。緊急時の対応など、まだ不十分な点もありますが、年間延べ450人ほどの利用実績があり、ある程度成果を上げていると思います。しかしながら、障害者自立支援法の目指す自立と社会参加という理念を実現するためには、こうした事業をさらに充実していくことが今後の重要課題の一つだと思います。充実策として要約筆記者派遣事業の実施などは考えられないでしょうか、区の考えをお聞かせください。
 3番目に、野方駅北口開設とその進捗状況についてお伺いをいたします。
 西武新宿線野方駅北側住民の長年の夢であった野方駅北口開設のための関連経費が18年度予算に計上されました。この間、区長初め、理事者、職員の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げます。既に5月末の建設委員会において、整備方針の概略が示されまして、野方駅の北側の民地を区が買収をし、区道をつけかえた上で自由通路と橋上駅舎を設置し、バリアフリーを図るものと説明されています。しかし、今、一番重要なことは、早期に民地を取得することです。区は既に昨年から地権者や借家人と折衝しているようですが、その状況はどのようになっているのでしょうか。聞くところによりますと、借家人は単なる保障ではなく、移転先の確保を望んでいるようであります。適切、かつ丁寧な対応が必要であると考えます。
 そこで伺いますが、区はいつまでを目途として用地を取得しようとしているのか。また、取得に当たり、どのようなスタンスで臨むつもりなのか、決して地権者や借家人を犠牲にするような取得は避けるべきと考えます。見解をお聞きをいたします。
 次に、駅舎や自由通路とバリアフリーの整備については、地元の町会・自治会をはじめ、地域の皆さんに十分な説明をし、要望や意見を募るべきだと考えます。いまだ北口整備計画の説明会などは現時点では開かれておりませんが、18年度予算に計上した以上、なるべく早い時期に整備方針やスケジュールを地域住民に示すべきだと考えます。特に自由通路が設置された場合の南口の活用や人の動線が変わることによる商店街への影響など、区民生活に関係する重要な問題もあります。区は整備計画について、今後どのように地域住民に説明をし、要望や意見をいただこうとしているのか、明確にするべきだと考えます。地域の住民は、この北口の開設に関しては全員が協力者であると思います。地域も含めて西武鉄道にさまざまな要望もしていくことで事業もスムーズに進むものと考えますが、区長の見解をお聞きをいたします。この項の質問を終わります。
 4番目に、第1回定例会の所信表明、そして今回の所信表明の環境問題の部分で少し触れられていました「地域間交流」について、何点か御提案を含めて質問をさせていただきます。
 来年の2007年はいわゆる団塊の世代が定年を迎える年であります。中野区にとって、この団塊の世代の大量定年がもたらす影響は税収面など大変大きな影響があると言われています。一方、人口の減少で悩む地方自治体では、まさにこのピンチを逆手にとり、いろいろな世代の移住を重点政策に掲げている自治体がふえていると聞いております。特に来年以降に定年を迎える方々は、大学への就学や都心部の会社への就職を契機に、地方から東京などの都心部に移住してきた方が多く、いわば定住生活者よりも移動生活者が多いと言われています。こうした移動生活者は、やがて定年を迎えると出身地へUターンをしたり、自然が多く、快適な生活ができる地域に移住し、そこで年金を糧にゆとりと趣味的活動を求める生活を選択している人が多くなると予想されています。中野区としても、こうした移住が少なくとも来年度から起こり得る状況にあると予測し、具体的な対策を検討するべきであると考えます。
 さて、私ども会派では、ことしの4月17日に千葉県の館山市に高橋議長とともに公式訪問をしてまいりました。館山市では、市長、議長、そして各常任委員会の委員長のお出迎えを受け、観光や産業振興、少子・高齢問題、そして地域間交流などさまざまな意見の交換をしてまいりました。現に館山市においても、都会で定年を迎えた方の移住が進んでいるようで、地元のNPO団体の中で積極的に活動している人が多くなってきたという話を伺ってまいりました。中野区と館山市はこれまで具体的な交流というよりも、区立の旧館山健康学園との関係だけでしたが、昨年の中野まつりに館山市が初めて参加し、地場の野菜や海産物を即売いたしました。両日にまつりに参加された館山市のNPOの方とも今回の訪問でお会いをし、お話をする機会がありました。その方は、単に催し物に参加するのではなく、地域間の交流を通して、両自治体の産業の活性化や雇用の創出を図っていくべきではないでしょうか、そしてそれは自治体中心の交流ではなく、市民や民間レベルの交流を基本とし、自治体が積極的に支援する仕組み、システムとすることで、末長い交流につながると言っていました。
 まさに私たちも同感であります。区は、これまでも国内であれば福島県常葉町、現在の田村市、海外では北京市西城区との友好姉妹都市提携を締結し、どちらかと言えば自治体中心、主導型の交流を進めてまいりました。その結果、市民レベルの自主的な交流はどこまで進んだのか、疑問の残るところであります。福島県常葉町には少年自然の家があり、毎年小・中学生が移動教室や夏季学園などで訪問し、地元の方々にお世話になっています。これらは区の教育委員会や学校が作成したプログラムに基づき、児童・生徒が活動しているのが実態で、地元の児童・生徒、農家の人とその後の交流はあるのでしょうか。福島県常葉町との交流は、単に中野まつりや花と緑の祭典などの催し物に参加することが主体になっているように思えてなりません。真の自治体間交流とは、やはり館山市の方が言っていたように、市民、民間レベルの交流を基本とする政策が必要であると思います。最初に、自治体間交流について、今後、区はどのようなスタンスで臨んでいくのか、基本的な考えをお聞きをいたします。
 次に、産業振興の観点から質問をいたします。例えば中野区と地方の市町村との間で地場産業の名産品、特産品の流通システムを構築し、「仮称・中野市場」などの定期的、または恒常的な市場を開き、中野に来れば各地の名産品が手に入ることをPRし、中野に人を呼ぶことで区や地方の市町村の地域振興に寄与できると思います。この取り組みでは、区内商店街の空き店舗を活用したり、販売協力店、いわゆるアンテナショップの協力などが考えられますが、こうした区内商店街の呼びかけや環境整備など区が行うことで地場の名産品や特産品の安定的な供給につながるのではないかと考えます。
 そこで伺いますが、こうした区内の社会的資源をただいま提案したような地域振興に活用していくべきであると考えますが、区長はどのようにお考えなのかお聞きをいたします。
 次に、関連して人的資源の活用の観点から御提案も含めて質問いたします。
 先ほど区内商店街の空き店舗の活用や販売協力店、いわゆるアンテナショップの協力などの提案をいたしましたが、こうした社会的な資源を運営していくには、その販売や物流、在庫管理などに従事する人材が欠かせません。こうした担い手として、現在、区内の未就業者、ニート、障害のある方、高齢者、生活保護受給者、そして来年以降に定年を迎える団塊の世代の就労先として確保できるのではないでしょうか。特に、団塊の世代の方々は、経営や人事管理や物流、仕入れ先との交渉など、これまでの経験を十分に生かせるとともに、移動生活者から定住生活者に変えていくということになると考えます。区は本年度から区民公益活動に関する助成制度をスタートさせますが、こうした地域振興や雇用創出のために、積極的に事業を募集し、支援していくべきだと考えます。このように、他の自治体ではいまだ取り組まれていない事業を今後の区の目玉事業として推進していくことにより、地域の活性化が図られることになると考えます。常に新しい政策に前向きに取り組もうとする田中区長であります。あえて今回このような提案をさせていただきますが、区長の前向きな答弁を期待いたします。
 また、この項の最後に、館山市との交流という提案をさせていただきましたので、関連で、旧館山健康学園用地について質問をさせていただきます。
 旧館山健康学園用地につきましては、昨年来、買取予定者が二転三転しておりまして、つい先日の総務委員会でも買取の辞退の報告がありました。現実の問題として、旧館山健康学園用地について、何が何でも売却する必要があるのか、そういった疑問も最近考えるようになりました。しかし、何らかに活用するにしても、建物を使用するに当たっては、相当の経費が必要となるとも聞いております。もし中野区と館山市の交流が実現するならば、双方の活動や交流の拠点としてうってつけの場所となります。1億6,800万程度で用地を売り渡すこと、今後の活用をはかりにかけた場合、これらの地域間交流の新しい拠点の一つとして何か新しい使い道を考えることもまた新たな一つの選択肢ではないかと思います。今、無理をし、安い値段でこの館山健康学園用地を売却する必要も早急にあるとは思えません。新しい区長の見解をお伺いし、この項の質問を終わらせていただきます。
 その他の項で、中野駅周辺まちづくり関連の質問をいたします。
 中野三丁目の旧農林水産省職員寮跡地に計画されたマンション建設をめぐり、近隣住民から審査請求がなされ、平成17年7月に中野区建築審査会では、敷地が接する部分においてのみ道路の幅員が確保されているだけのいわゆるへび玉道路では、東京都建築安全条例が求める接道条件を満たしていないと判断し、確認処分取り消しの裁決があったのはまだ記憶に新しいところであります。その後、平成17年8月に、事業者側が国土交通大臣に対し、裁決取り消しを求める再審査請求を行い、約1年程度の時間を要しましたが、平成18年6月19日付で請求を棄却するとの裁決があったと伺っているところであります。そこで、中野三丁目のマンション計画に係る審査請求事件が結審したことになりますが、今後、区としては東京都建築安全条例第4条第2項の取り扱いをどうされるのか、お尋ねをいたします。また、条例第4条第3項に基づく区長の認定基準を作成されておりますが、今回の国の裁決を受けて、見直しをする考えはないのでしょうか、あわせてお尋ねをします。
 次に、審査請求事件をきっかけに、改めて桃園地域のまちの将来を考え、きちんとまちづくりに取り組む必要があるのではないでしょうか。これまで区では、地域でのまちづくりの動きに対しては、地区計画、建築協定、壁面線後退などの説明をされてきておりますが、こうした地域におけるまちづくりに向けた具体的な支援を進める必要があるのではないでしょうかお伺いをします。
 以上ですべての質問を終わらせていただきます。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 大内議員の御質問にお答えをいたします。
 10か年計画の実行についての御質問でございます。まず、「新しい中野をつくる10か年計画」については、施策の方向とその実現のための主な取り組みについて、おおむね2年間ごとのステップでお示しをしているところであります。目指す成果を着実、かつ柔軟に実現をしていくために、個別の取り組み項目について、細かに年次を示すといった硬直的な計画とはしていないわけであります。しかしながら、その取り組みを進めていく上で、個々に年次的な取り組みのプログラムや財源の想定など、一定の見通しを持って事業を具体化をしていくということは当然でありまして、各部がそれぞれの課題や取り組みごとにそうした実行プログラムを持ち、適宜評価と改善を加えながら事業を進めていくというふうに考えているところであります。そうした実行プログラムについては、個々の課題ごとに各所管がしっかりと持っていくことが重要でございまして、そうしたプログラムを各所管を通じて順次明らかにしていかなければならないと考えております。
 それから障害者自立支援法に基づく取り組みについての御質問であります。地域生活支援事業の実施についてですが、地域生活支援事業は、必要なサービスを十分に提供できるようにしていきたいと考えております。10月から実施をします予定の事業は、手話通訳の派遣事業、移動支援事業、それから相談支援事業、地域活動支援センター事業、それから日常生活用具等給付事業などであります。地域生活支援事業におきましては、障害者の社会参加を保障するという視点から、必要なサービスの利用者負担については、原則的に無料とし、一定量を超えた分については、応能負担にしたいと考えているところでございます。なお、関連をいたしまして、自立支援給付における通所施設の食費負担についてであります。これについては、食事提供コストの削減、これを行うべきだという考え方に立っておりまして、経営改善支援として、民間事業者に助成をするとともに、区立施設についても同様の考え方で食事の単価を下げていくということをやっていきたいと考えております。
 それからコミュニケーション支援のための充実策としての要約筆記者の派遣事業などについての御質問もありました。コミュニケーション支援の充実というのは、障害者が地域で自立をしていくために重要な課題であると考えているところでございます。要約筆記者派遣事業などの充実策については、今年度中に策定をいたします障害福祉計画の中で計画をして実施をしていきたいと考えております。
 それから野方駅の北口の開設についての御質問であります。野方駅の北口の開設用地についてですが、年内を目途に取得をするということで、現在地権者や借家人の方との交渉を行っているところであります。用地の取得に当たっては、地権者や借家人の方などさまざまな条件を持ち、さまざまな事情があるわけでありますので、そうした条件にも相談にのるなど、十分に配慮しながら行っているところであります。
 それから北口整備計画の地域住民への説明等についての御質問もありました。野方駅北口整備概要の地域説明会を7月13日に予定をしているところであります。今後、基本計画の策定でありますとか着工など、各段階において地域の住民の皆様に御説明をし、理解と協力をいただきながら整備を進めていきたいと考えております。
 それから地域間交流の基本的な考え方についての御質問もありました。これからの交流のあり方としては、御質問の中にもあったように、行政レベルが主体となる、行政が中心となるということではなく、民間レベルにおけるさまざまな分野の住民による主体的な交流が重要であるというふうに考えているところであります。地方との連携によって、農業生産地と消費地との協力によるリサイクルの推進でありますとか、自然エネルギーの利用などの環境事業への取り組み、また野菜や魚などの産地直売による産業振興など、地域の活性化につながるさまざまな地域間の交流に取り組んでいきたいと考えているところであります。
 地方の名産品等の物流システムの構築、あるいはそこで起きる雇用創出といった御意見もありました。友好都市をはじめといたします地域間交流を今後は民間を含め、人、物、経済が具体的に動いていく交流、こういった形にしていくという方針であります。個々には、中野まつりや商店街、それから地域の中でも、例えば上高田地区と妙義町との交流など、イベントを接点とした取り組みはこれまでさまざまに区内で行われてきたところでありますけれども、こうしたイベント的な交流を相互の地域振興につなげられるような継続的な仕組みにしていくという必要性について、十分認識をしているところでもありますし、可能でもあるというふうに考えているところであります。他の自治体等の取り組みも参考にしながら、事業主体や、あるいはビジネスモデルのあり方など、相互の地域振興に寄与するトータルな視点で検討を進めて、中野区としての取り組みをつくり出していきたいというふうに考えているところであります。雇用創出といった課題についても、その中で一定の成果が出てくるものというふうに期待をしているところであります。
 それから、館山健康学園の用地についてであります。館山健康学園の用地につきましては、本年度に売却をするということで、議会の議決もいただいていたところでありますが、その後、買い取り、一たん決まった予定者からの辞退の申し出があったといったような経過もあったところであります。現時点においては、やはりこの用地について、売却の方針を撤回するという段階ではないというふうに考えております。引き続き売却に努力をしていくということはやっていかなければならないと考えております。
 それから、都建築安全条例の第4条2項の取り扱いに関連する御質問もありました。区は、これまで敷地の前面道路幅員のみが6メートル以上の場合にあっても、東京都建築安全条例第4条第2項の適用をしてきたわけであります。しかしながら、今回の国の裁決を踏まえて、敷地の前面だけではなく、幅員6メートル以上の道路が相当区間にわたっている場合をもって条例に適合することとする、そうした取り扱いとしていくことといたします。この第4条2項が敷地の前面道路を規定するものであるのに対しまして、第4条第3項については、建築物の周囲の空き地の状況などから、安全上支障がないと認定された場合には、この第4条2項の要件を適用しないと規定するものであります。今回の裁決は、この第2項についての判断であります。したがいまして、今回の裁決が第4条3項の規定に基づく区の認定基準に影響を及ぼすとは考えておりません。これをもって認定基準を見直すという考えはないわけであります。ちなみに第4条第3項に基づきます区の認定基準では、具体的な認定要件であります5項目をすべて満たした上で敷地の形状、建築物の構造規模に配慮をするほか、敷地周囲の市街地の密集の度合いなどを総合的に判断して、安全上支障がないと認めたものとしているということであります。
 桃園地域のまちづくりについてであります。区では、中野駅周辺のまちづくりを推進しているわけであります。この周辺のまちづくりの中で、中野三丁目についても大変関連性が強い地域なわけであります。そうした地域でありますから、地元のまちづくりへの意識も今後高まっていくことも予想されるところであります。今後、中野駅南口のまちづくりと連動しながら、地域におけるまちづくり活動を支援していきたいと考えているところでございます。
 以上であります。
○議長(高橋ちあき) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 岡 本 いさお
 1 施政方針について
 2 文化芸術のまちづくりについて
  (1)学校跡地を活用した文化芸術の拠点について
  (2)パフォーマンス広場と区民音楽芸術祭について
  (3)担当組織と文化芸術家との交流について
 3 発達障害支援について
  (1)発達相談事業について
  (2)啓発活動と研修について
 4 NPO活動支援について
  (1)(仮称)NPO活動支援センターについて
  (2)今後の取り組みについて
 5 子どもの安全安心について
  (1)声かけ運動について
 6 その他
  (1)国際交流について
  (2)その他

○議長(高橋ちあき) 次に、岡本いさお議員。
     〔岡本いさお議員登壇〕
○25番(岡本いさお) 平成18年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問をいたします。
 初めに、施政方針について伺います。
 まず、今回の区長選挙について一言述べたいと思います。投票率が低かったものの、区長は投票数の53%を獲得して当選されました。これは区民の信託を十分に受けられたと評価しています。新しい中野の輝かしい歴史をつくるために、この4年間、名リーダーとしてみごとな区政運営がなされることを期待いたしております。これまでの田中区長が進めてきた行政改革、また財政再建への道筋をつけたことを高く評価したいと思います。私は、財政再建なくして区民サービスの向上はないと思います。区民サービスの向上、安心して住み続けられる中野にするため、断固として財政再建をするという強い姿勢をとり続けるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 今後の取り組みとして10か年計画も含めて、具体的な政策について何点か伺いたいと思います。
 まず、学校の耐震診断及び耐震補強工事です。このたび文部科学省からの通達で、平成6年度以前の学校の耐震診断はすべて見直しとなり、今年度中に学校の耐震診断、来年度中に補強工事の計画を提出すれば、国から「安全・安心学校づくり交付金」の補助金が出るとなっていますが、この取り組みについて伺います。
 次に関連で、学校以外の施設の耐震診断、耐震補強工事について伺います。学校施設の耐震補強工事だけでは、安全・安心のまちづくり事業としては不完全です。区内の全施設についても同様に耐震診断、耐震補強工事の計画を立てるべきではないかと思いますが、御見解を伺います。
 次に子育て支援策として、小児の救急医療体制の充実について伺います。今回、中野方式と言われ、全国的にも有名になった中野区独自の小児の救急体制が崩れてしまいました。本当に残念です。区長も施政方針で「関係方面に働きかけを強化していきます」と述べています。建設される東京警察病院も含めて、小児初期救急医療と小児二次救急医療がセットで体制整備ができるようにすべきだと思いますが、区長のお考えを伺います。
 さらに、子ども医療費助成制度の拡充です。子育ての支援策として我が会派が要望して子ども医療費助成制度が創設されました。現在、小学生まで入院費が無料となっていますが、この際、中学生まで入院費を無料にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、10か年計画の裏付けとなる財政計画について伺います。区長は、10か年計画策定に当たって、財政の裏付けのない計画は計画ではないと強調されていました。先ほども大内議員から財政計画について質問がありましたが、10か年計画の財政計画はいつお出しになるのでしょうか、伺います。
 次に、区の情報発信について伺います。施政方針の中で「今後も区からの情報発信と区民の声の受けとめに一層工夫し、区政への関心を高めていきたい」と述べています。私は、区政の情報媒体として区報を大いに活用すべきだと思います。区報内容、レイアウト、配布方法などを見直すことによって、区長の言う区政への関心を高めることができると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、中野サンプラザについて伺います。今回の区長選挙期間に、田中区長はサンプラザをすぐに壊してしまうとのうわさが広まり、あちこちで随分質問されました。当選後の記者会見でこの件について説明されましたが、議会でも明確にお答えを示してはいかがでしょうか。
 最後に、空き交番対策について伺います。6月27日付の読売新聞に、警視庁の交番削減案が示され、中野区は3カ所減らされます。安全・安心拠点が減らされることについて、区長はどのようにお考えでしょうか。
 以上伺って、この項の質問を終わります。
 次に、文化芸術のまちづくりについて伺います。
 文化芸術運動について、私の尊敬する世界桂冠詩人は「芸術のための芸術ではなく、人間のための芸術を目指し、民衆の大地からわき起こった創造的な大文化運動、これこそが本当の文化ではないか」と指摘していますが、私も全くそのとおりであると思います。このような思いで苫小牧、目黒区、新潟市、大阪市、文京区、そしてお隣の新宿区等の先駆的な文化芸術振興策を視察してきました。さらに区内の一流の音楽家などと懇談し、文化芸術のまちづくりについてたびたび質問してきました。平成16年第2回定例会で、区長自身が区内の芸術家と懇談し、意見交換すべきである。意欲と能力のある職員を確保すること、パフォーマンス広場、文化芸術振興プログラム制定などを質問しました。これらの提案を受けて、新しい中野をつくる10か年計画に「文化芸術活動の光るまち」として、文化芸術振興策が盛り込まれたことを大変高く評価しています。その中の具体的な施策について区長のお考えをお聞きしたいと思います。
 初めに、学校跡地を活用した文化芸術の拠点について伺います。先日、新宿区立淀橋第三小学校の廃校を活用して文化芸術振興の拠点となった芸能花伝舎を視察してきました。運営は民間の社団法人日本芸能実演団体協議会、(通称)芸団協が、新宿区と芸能振興の協定を結び、当面10年間借用を条件として、昨年4月から運営しています。この拠点は、芸能文化を担う人を育て、芸能文化をはぐくむ場をつくり、人と場が豊かに生かされる仕組みを整え、すべての人々が芸能の恵みを享受できる社会を目指しています。廃校という施設を巧みに活用して、創造スペース、稽古、研修やイベント、ビデオ撮影施設などがあるほか、芸団協、日本俳優連合、落語芸術協会など11団体が事務所として活動しています。中堅芸術家のバックグラウンドを確立しなければ若手の育成事業は持続できないとの視点から、活躍しつつある文化芸能家を支えることに力を注いでいます。また、毎年子どもの日を中心に、文化の区民まつりのイベントが行われ、多くの地域の方、若者、子ども連れの家族などが参加し楽しんでいました。まさに文化芸術の発信拠点として地域に根付いているのを実感してきました。また、先日、武蔵野市の福祉施設を全面改修してつくられた吉祥寺シアターを見学してきました。エンドステージ形式のブラックボックスタイプの劇場と稽古場などがあります。このシアターは、「出会いの広場」として人と人の交流や芸術や文化の触れ合いの場として、特に若手の地元芸能家や演出家が公演を行っています。
 中野の新しい10か年計画には桃丘小学校を文化芸術の拠点として活用することになっています。私は新宿の芸能花伝舎、吉祥寺シアターの運営などは大いに参考になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。桃丘小学校の用途地域は第1種中高層住宅専用地域です。区が予定する拠点として整備するためには、用途を商業地域に変更することが不可欠ではないでしょうか。用途変更されれば、体育館や特別教室は演出もできる施設やミラー付のフロアの練習場などに改修することもできると思います。さらに文化芸術を発信する意味からも、校舎の一角を若手の芸術・芸能集団の拠点として使ってもらうことも可能となります。用途を変更すべきだと思いますが、御見解をお聞かせ願います。
 私は、この拠点が、単に地域センター等で行っている習い事や練習会場としての場の延長であってはならないと思います。区の文化芸術振興施策を向上させ、本物の文化芸術を発信するために、例えば最先端のお笑いのプロや中堅の芸術家の活動を支えるとともに、区民参加の文化芸術広場などの位置付けをし、中野らしさを前面に出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、駅に近い電車から見えるというロケーションも生かして、文化芸術のまち中野をアピールする広告宣伝塔などの設置も考えてはいかがでしょうか。あわせてお考えをお聞かせ願います。
 次に、パフォーマンス広場と区民文化祭について伺います。
 吉祥寺の市民音楽祭は、毎年ゴールデンウイークに音楽コンテスト、公園でのコンサート、ジャズコンサート、スーパーステージなどを開催して、ことしで21回目となります。吉祥寺駅前広場のスーパーステージでは、多くの若いジャズバンドグループが演奏していました。ある演奏者は、「こうした広いところで、しかも大勢の市民の皆さんに聞いていただいて本当に幸せです」と叫んでいた様子が大変印象的でした。私どものパフォーマンス広場の提案に対して、田中区長は前向きな答弁をされています。場の提供さえすれば、企画や準備等は芸術を目指す若者がやってくれます。中野を最もアピールする場所は中野サンプラザです。イベント日を決め、パフォーマンス広場としてサンプラザの広場を活用すべきだと思いますが、いかがでしょうか。若者のまち、そして音楽、芸術、お笑い芸能を目指す若者が多いのも中野です。また、ストリートダンスも盛んです。この人たちも参加し、マスコミにも働きかけて、区民音楽芸術祭を行ってはいかがでしょうか、あわせて伺います。
 次に、区の担当組織と文化芸術家との交流について伺います。
 先日、台東区のアートアドバイザー制度について視察してきました。区長からの要請を受けて、大学教授や博物館長などから成る文化政策懇談会が設置され、その会から平成16年9月、区長あてに「台東区の文化政策についての提言」が出されています。その提言を受けて、17年度には区長も参加されて、若手芸術家との意見交換会を実施し、その意見交換の中からアートアドバイザー制度が生まれました。この制度は芸術家が自由な発想で文化について語ってもらい、また区の文化施策への参画を図ることを目的として、今年度から実施しています。また、昨年4月から区長部局に文化芸術振興課を設置し、区内の芸術家等との懇談やコーディネートしながら粘り強く振興策を進めています。田中区長は、区内の芸術家などと懇談、意見交換する機会を考えたいと答弁されています。私は、行政が文化芸術について専門家に何か教えるような姿勢や、逆に丸抱えしても失敗すると思います。文化芸術のまちづくりは、区長を要として芸術家などと意見交換しながら進んでいかなければならないと思っています。区の要請があれば協力したいという区内の芸術家は大勢います。中野らしい文化芸術のまちづくりを実現するために、区長みずから懇談や意見交換を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。中野区が文化芸術のまちづくりを真剣に考えるならば、区長部局が中心となって教育委員会も含めて、全庁的に取り組むべき事業だと思います。したがって、担当組織は区長部局に置くべきだと思いますが、いかがでしょうか。今、教育委員会が中心になって、文化芸術振興プログラム策定へ向けての取り組みがされています。この策定も全庁的に取り組まなければならない重要な作業です。区長や区長部局もきちっと参画して進めるべきだと思いますが、御見解を伺って、この項の質問を終わります。
 次に、発達障害の支援策について伺います。
 今月上旬に放映された4夜連続のNHK教育番組、発達障害の「心をつなごう」を見ました。発達障害児者本人が直接体験を述べる場面、家族や周囲の理解と対応、さらに支援のあり方など発達障害の抱えている課題や問題が浮き彫りにされました。この番組で特に印象に残ったのは、教職員の理解や専門性がないために、発達障害児の人格まで傷をつけられていること、そのことから二次障害になる例が多いことです。また、周囲の認識不足のために辛い思いをされた体験には、本当に心が痛みました。これまで、仙台市の発達障害支援センター「アーチル」、湖南市の発達障害支援室、港区の特別支援教育のための個別支援室事業などを視察してきました。さらにさまざまな講演会にも参加して、議会でたびたび質問させていただきました。それを受けて中野区は、発達障害児支援の取り組みが本格的に始まろうとしていることを高く評価しています。本年度から療育センターアポロ園内に発達支援担当が置かれ、4人体制で発達障害の支援が新たにスタートしました。就学前の児童に対する共用ルールに基づいて、幼稚園、保育園、児童館などへの訪問相談、さらにネットワーク体制を充実して情報交換しながら個別支援を行い、移行支援も行われようとしています。まだスタートしたばかりなので、今年度は5歳児と新規の乳幼児に限定された支援に絞っていますが、今後は各関連機関と連携を図って、学時期、就労、さらには高齢者まで含めたオールライフステージの発達障害支援へとつながっていかなければならないと思いますが、区のお考えをお聞かせ願います。
 次に、発達相談事業について伺います。
 5月28日付の中野区報の4面、5面の見開きに、発達の遅れや障害のあるお子さんの就学相談を教育センターで行うお知らせが載っていました。実に小さな見出しで、よほど注意しないと気がつきません。これでは当事者も区民の皆さんも見落としてしまうと思います。区内には、アポロ園だけでなく、発達障害児の相談や支援をしている施設や機関があります。先日、東中野一丁目にある翔和学園ステップアップアカデミー、SUA発達障害研究所と都立中野養護学校での取り組みについて視察してきました。翔和学園は、自閉症などにより不登校となった生徒が通う学園で、小学生から大学生まで自立支援を基本にした授業が行われています。また、地域の方を招いて、これまで既に発達障害に関する講座を5回行っています。さらに早期発見に向けて独自の検診体制も確立していました。都立中野養護学校は、東京都2カ所の特別支援教育のモデル校の一つで、発達障害児の支援に積極的に取り組んできています。就学前のボーダー児童について、保育園や幼稚園と連携し、就学支援の相談も充実しています。これまで中野区小学校PTAの保護者を対象に、啓発や相談講座を実施してきています。区の要請があれば、教職員の体験研修も行いたいと言っています。校長先生は、療育センターアポロ園に設置された発達支援担当やネットワーク体制に注目し、積極的に貢献したいと言っていました。中野区医師会も「心の相談」の中で、小児科の医師が中心となって発達障害の相談事業を行っています。このように、発達障害について民間も含め、区内でさまざまな取り組みがされています。これら中野区の資源を有効に活用して、より厚みのある対策を構築すべきだと思いますが、お考えをお聞かせ願います。また、区報をはじめ、しおり、おひるね、ホームページなどにももっとページを割いて見やすく、わかりやすく掲載すべきだと思いますが、いかがでしょうか。さらに、区民の皆さんに周知、啓発にもなりますので、できるところから関係機関に発達障害相談の表示やステッカーを出すことを検討してはいかがでしょうか、お考えをお聞かせ願います。
 次に、教育センターでの相談事業について伺います。
 教育センターでの相談事業は、就学相談が中心で、予約を必要とするので、気軽に相談しにくいという声があります。就学相談だけでなく、グレーゾーンにいる乳幼児から在校児童・生徒を含め、家族でもだれでももっと気軽に相談できる体制を整えるべきではないでしょうか。私は、ここでの相談事業は、極めて大事だと思っています。もっと充実させるべきだと思います。そのために相談員の増員と専門性の強化がより高く求められますので、相談員に対して研修を徹底して行うべきではないでしょうか。さらに教育センターの相談事業をもっと周知すべきで、相談の看板なども掲げてはいかがでしょうか伺います。さらにアポロ園との連携は欠かせません。特にアポロ園と連携した就学への移行支援体制を構築すべきだと思いますが、いかがでしょうかあわせて伺います。また、移行支援で問題なのは、発達障害児が小学校入学の際、入学直前にならないとクラスや担当教諭がわからないことです。小学校での発達支援、相談がどうなるのか、どの先生が担当されるのか、親御さんにとって大変に不安な時期です。教育委員会として不安を解消する方法を工夫検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、啓発活動と研修について伺います。
 5月27日には桃園地域センターで、どこにでもいる気になる子『親のエンパワーメントで救われる子どもたち』も大変すばらしい講演だったと伺いました。しかし、関係者以外一般区民の参加はわずか15名だったそうです。本当にもったいないと思います。発達障害に対する啓発のため、あらゆる機会をとらえ、もっとPRして多くの区民が参加できるように支援すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、6月21日に開催された中野医師会主催の「子どもの心のサインを受けとめる『軽度発達障害の理解』」の講演を聞きました。小児科の専門医師の立場から医師、保育師、看護師、教師等を対象とした専門的な内容でした。発達障害に対する接し方、対応の仕方、さらに診断は親の感情等を十分配慮しないと二次障害が起こるなど、発達障害児の対応にはきめ細かな配慮が必要です。特に発達障害児にかかわる人たちが正しく理解し、専門性を身につける必要性と同時に、人間性が求められることを強く感じました。
 さらに6月25日に開催された読売新聞社主催の発達障害児に対する学校現場での先生の対応方の講座を聞いてきました。教育研究団体「TOSS」の向山洋一代表から、クラス崩壊の原因となっていた発達障害児が先生の専門性とみごとな対応によって一変してよくなり、クラスの模範生となった実例が紹介されました。先生方が専門性を習得することがいかに大事であり、かつ待ったなしの緊急課題であることを実感してきました。先生方の無認識な発言で親が悩み、その結果、しつけを強要して子どもが犠牲になるという痛ましい事件がたびたび起こされています。それを防ぐためには、発達障害に対する先生方の認識ときめ細かな対応が欠かせません。中野区においても、保育園、幼稚園、小・中学校などの先生方全員が発達障害児者に対する専門性を身につけることは急務だと思います。
 乳幼児については、昨年度から発達障害支援検討会を毎月開催し、問題点や取り組みについて検討されてきています。また、それぞれの施設で頻繁に打ち合わせがされているともお聞きしています。小・中学校では特別支援教育の来年度実施に向けて、モデル校となった桃園小と第三中の2校が検討しています。しかし、現実には各学校には発達障害児がおります。2校だけの問題ではありません。特に相談支援は、特別支援教育実施の来年度を待たずに、いつでも気軽にできる仕組みを早急につくるべきですが、いかがでしょうか。
 来年4月には発達障害に対する専門性を持った教諭が各学校に配置され、その教諭は基本的にはそれぞれの学校の先生の中から選出されることになると聞いています。しかし、コーディネーター役の一人の先生が専門性をつければよいというものではありません。全教員に対して発達障害の認識と対応などの研修を徹底しなければ特別支援教育の19年度実施は絵にかいたもちになってしまうと思いますが、教育長はどのようにお考えでしょうか、伺います。
 この項の最後に、ネットワークや連絡会議について伺います。
 子ども家庭支援センターを中心に、虐待、要支援、非行などを取り扱った要保護児童対策地域協議会がうまく機能しているとお聞きしました。私は、発達障害児者についても、子ども家庭支援センターを中心に、アポロ園、養護学校、特別支援教育のためのモデル校、教育センター、医師会、翔和学園など、特に今後は民間の支援団体も活用したネットワーク体制を整え、協議会などを立ち上げるべきだと思いますが、区のお考えを伺って、この質問を終わります。
 次に、NPO活動支援について伺います。
 これまで、NPOの支援策についてたびたび質問させていただきました。特に活動の場を提供すべきだと提案してきましたが、区は公益活動推進の条例を制定し、根拠のある仕組みをつくってから場の提供をしたいと述べるにとどめ、この4年間全く具体的な取り組みがなされておりません。区民公益活動の推進に関する条例が制定され、区の責務として、区民活動が活発に行われる環境づくりとさまざまな支援や施策を実施する方針が示されました。その8条には、区民公益活動を推進するため、情報及び活動の場の提供などの支援を行うことと規定されました。その条例を受けて、仮称NPO活動センターが今年度中に環境リサイクルプラザ内に開設することになり、やっと実現するという思いで開設を待ち望んでいる一人です。設置されるセンターの事業内容には情報交換・ネットワークづくり、相談、場の提供など基本的なセンター機能が盛り込まれています。しかし、問題は中身です。場所が環境リサイクルプラザの3階のワンフロア、しかもその半分以下のごく狭いスペースに遠慮がちに設置しようとしています。このロケーションでは、場の提供はおろか、情報交換、相談事業も十分に機能しないのではないでしょうか。私はこれではNPO活動センターが中途半端になるのではないかとおそれています。リサイクルセンターの大半のスペースをNPO活動センターとして確保できないのであれば、駅から遠い、駐車場がないなどのデメリットもあり、この際環プラにこだわらずに、設置場所を含めて見直しも考えた方がよいのではないでしょうか、お考えをお聞かせ願います。
 先日、福岡県のNPO・ボランティア支援センターと横浜市の市民活動支援センターを視察してきました。福岡県、横浜市とも指針や条例は6年前に制定され、センターは5年以上の歴史があります。これまでの運営を踏まえて、それぞれセンター運営の見直しがされています。福岡県センターは、認証権者としての業務を通し、ネットワークの強化、相談業務、NPO・ボランティア団体の中心者にミッションを持たせる役目を色濃くするセンターへと変える。そのために市町村のセンターの機能と峻別するために4月から公設民営をあえて公設公営にしました。横浜市のセンターは、運営検討委員会や市民活動委員会が十分な機能を果たし、着実に充実が図られてきています。キッズルームもあり、登録なしで自由に利用できます。私が訪問したときにも、20名ほどの利用者がおりました。また、センターが広いこともありますが、情報の資料、各NPO活動の様子、活動者募集の掲示板などさまざまな工夫がされています。運営を社団法人横浜ボランティア協会から市民活動支援センター運営委員会に委託変更しています。市内の18区中7区までに新たに支援活動センターが開設されています。中野区は、NPO活動センターの運営をNPO支援を専門としているNPOに委託するようですが、その理由をお聞かせ願います。また、中野区のNPO活動センターは、中野らしさの特徴を持たせるべきだと思います。中野は若者、青年の多いまちです。社会に貢献しようとする若者が参加しやすいセンターとして工夫し、特徴を持たせてはいかがでしょうか、伺います。
 これからの協働は、区民と企業と行政の3者のトライアングルパートナーシップが求められます。行政と区民だけではない、行政と企業だけでもない3者のパートナーシップがこれからの協働のあり方だと思います。そのためには実のある交流の場も設ける必要があります。講演会やセミナーなどの開催後に、社会に貢献しようとする意欲のあるNPOや企業のトップメンバーとコミュニケーションを図る場所、例えばオープンカフェなどを設置してはいかがでしょうか。その際、区長も積極的に参加して、NPOなどのリーダーたちの意向を酌み取りながら、中野区のNPO活動について本音で語れるような交流を行ってはいかがでしょうか、伺います。
 また、今後は行政みずから変わらなければならないと思います。例えば職員同士でNPOを立ち上げる、また公務員のボランティア休暇を活用して、汗を流し、区民と一緒になってボランティア活動への参加など、積極的な姿勢を示すべきだと思いますが、お考えをお聞かせ願います。
 次に、NPO運営のサポートについて伺います。
 5月17日付の読売新聞には、NPOは、非営利が足かせで、苦しい財政で運営難になり、解散がふえている記事が載っていました。区として、今後、NPO活動団体に対してマネジメント要請なども行う必要があると思います。今後、これらの支援をするために、また協働を進めるためにも、区の組織に明確にNPO支援室や担当係などを設置すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 先日、「非営利型株式会社が地域を変える」の出版記念の講演会に参加してきました。この本の著者は富士福祉事業団理事長の枝見太朗氏で、中野区の住民です。非営利型株式会社とは、営利を目的とした株式会社であっても、利益処分を配当ではなく、社会のため、地域のため、安全安心やまちづくりなどに還元する会社を言います。その著書の中で、「NPO等に対してもう少し寄附のしやすい環境を整備する必要がある。今後は非営利組織は行政から補助金や助成金を当てにするのではなく、活動の成果に対する社会的価値を判断した市民や企業からの支援によって活動していくことが求められるだろう」と述べています。そして何よりも、みずから投資した非営利株式会社が社会にとって大きな役割を果たし、社会から評価を受ければ、株主としての誇りを持つことができるなどの仕組みやメリットが述べられています。中野のNPO団体の支援策として、マネジメントサポーター養成が求められる中、これからのNPO支援策、新しい協働のあり方、マネジメントの一つとして非営利型株式会社の考え方をNPO関係者や関心ある区民を対象にセミナー等を開催してはいかがでしょうか、伺います。
 また、区のNPO活動を活発化するためには、さらに環境の整備が必要となってきます。区は、基金による助成制度や提案型の委託事業を実施するとしていますが、人材バンク制度、中間組織サポート制度、さらには中野区との協働について、まちづくり指針などの検討も必要になってくると思いますが、区のお考えをお聞かせ願って、この質問を終わります。
 次に、子どもの安全安心施策について伺います。
 子どもが登下校時に襲われ、被害に遭う事件が報道されるたびに胸を締めつけられる悲しい思いをしているのは私だけではないと思います。これらの事件がとどまることがない今日、各地でさまざまな子どもの安全安心の施策が行われています。中野区もパトカー仕様の区有車による巡回パトロール、校内緊急システム、正門施錠システム、防犯自販機、地域の皆さんによるパトロールなど対策が進められています。文部科学省が今月まとめた学校安全調査の結果によれば、子どもの安全確保に関して子どもと警察とが連携をとっている学校は80%に上っています。安全・安心施策でやれることは何でもやる必要があります。しかし、それだけでは十分ではありません。先日、このような話を伺いました。小学校の校長先生が、児童が事故に遭わないようにと下校時にみずから地域を丁寧にパトロールしていたら、地域の人に不審者と思われて通報されて警察に捕まったという笑うに笑えない事件があったそうです。また、地域の御婦人がまちで児童に「気をつけて帰ってね」と声をかけたら、子どもににらみつけられて走り去られたこともあり、もう二度と声はかけないと憤慨したそうです。今や地域で子どもを育てる仕組みが崩れてしまったように思います。善意であっても、パトロールしている大人が子どもの顔を知らない。子どもも地域の大人を知らないという顔の見えないところに問題があり、ここに安全安心の確保が十分に得られない原因の一つがあると思います。先日、地域の手助けが児童の育成にしっくりかみ合っている事業があると知り、茨城県古河市で行っている「声かけ運動」について視察してきました。どこから見ても目立つ黄色と黒のプレートを自転車のかごに取りつけています。これはひったくり防止にもなっています。特に変わったものではありませんが、こういうものです。さらに昨年度から、運動バッジもつけております。この特徴は、小学校単位で実施していること、特に学区内の登録したまちのおじさん、おばさんと児童が必ず対面式を学校で行い、登録者は自己紹介をして子どもに顔を覚えてもらい、活動内容を説明していることです。声かけは大人の方からする運動です。古河市の登録者はことしの5月1日現在で1,912名になっています。この運動で、まちの防犯抑止効果があらわれてきたこと、不登校児がいなくなった等の効果が出てきていると話していました。中野区でも、登下校時の児童の安全についてさまざまな取り組みがされていますが、安全を守る大人と子どもたちの対面を行い、さらに腕章やバッジをつけるというこのポイントを生かして、子どもの登下校時の安全安心策として取り組んではいかがでしょうか。その際、希望する小学校をモデル校として進めてはいかがでしょうか。教育委員会のお考えを伺って、この項の質問を終わります。
 その他として、国際交流について伺います。
 昨年、第3回定例会で、21世紀はアジア諸国との交流を積極的に進めることによって、世界平和への潮流が生まれてくるとの観点から、韓国も含めて民間レベルでの交流を促進してはどうかと質問しました。区長は、「一番近い国と交流を通して相互理解を深める、このことは大いに意義のあることであって、さまざまな機会をとらえて交流していきたいと考えております。さらに自治体間の交流についても、何らかの可能性があるかどうか検討していきたい」と答弁されています。今回の施政方針の中で、「市民相互の理解を深めるため、新たな海外都市との友好交流の可能性を探る」と国際交流を積極的に進めることを述べています。できれば、住民同士の文化の交流、青少年のスポーツ交流、障害者同士の交流などが、単発的でなく、末永く続けられるように進めていただきたいと思っています。あらゆるチャンスをとらえて、対話を十分重ねて、気持ちが一つになってから進められるよう要望いたしますが、交流への見通しと区長のお考えをお聞かせ願います。
 次に、中学生の海外ホームステイ制度について伺います。
 私の住む地域の小学校からいつも学校だよりを届けてくださっています。ことしの3月号には、卒業生の抱負が掲載されていました。62名の卒業生の中で、将来の希望として世界とか語学とかに関する抱負を述べた児童が8名、全体の13%です。国際化の時代と言われる今日なので、この数が特段多いということではないと思います。私は、特に多感な中学生時代に諸外国との同年代の友情の交流やホームステイなどを経験することは、視野を広めるだけでなく、平和という観点からも極めて重要ではないかと考えています。中野区では、国際交流協会主催のニュージーランドや中国との交流事業があり、その取り組みを高く評価しています。しかし、全国的にも中学生同士の国際交流は例がないと思います。例えば、夏休みの期間を中心に中学生の海外ホームステイ事業や語学研修コースの創設を教育委員会として検討してみてはどうかと考えます。北京の西城区でも中学生の留学を受け入れてもよいとの情報もあり、ホームページにはニュージーランドにも中学生の留学やホームステイの制度があるようです。これらの国にこだわらず、新たな海外都市で中学生時代に語学を学びながら国の文化や歴史を知り、平和をはぐくむ心が養える事業を行ってはどうかと思います。中野の中学生にその夢を与えたいとの思いからの提案です。国の選択と交流のあり方、資金の一部援助なども積極的に検討してはいかがでしょうか。平和の心を養い、平和に通用する中野の子ども育成事業として検討してみてはいかがでしょうか。教育委員会のお考えをお聞かせ願って、私のすべての質問を終わります。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 岡本議員の御質問にお答えをいたします。
 財政再建への姿勢についての御質問がまずありました。この4年間、破綻寸前でありました区の財政を建て直し、少子高齢化や分権型社会に適用できる持続可能な自治体に脱皮していくため、区政のあらゆる面で改革を進めてきたものであります。区の財政は、こうした取り組みの成果もあって、一時の危機的な状況を脱したとは言え、楽観は許されない状況でございます。引き続き、強い姿勢で財政基盤の確立に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、安全安心学校づくりの交付金をめぐって耐震診断と補強工事についての御質問がありました。耐震診断を実施していない小・中学校の体育館については、今年度中に実施をする予定であります。耐震補強工事については、国の安全安心学校づくり交付金が受けられるよう、交付金申請の3カ年計画を策定いたしまして、その活用を図りながら取り組んでいきたいと考えております。
 また、区有施設の耐震対策についてであります。区有施設につきましては、平成9年度までに鉄骨造、木造及び建てかえ予定のあるものを除いて、耐震診断を実施しました。そのうち、耐震補強工事が早急に必要な施設については、補強工事を完了しているところであります。また、一定の耐震補強が必要と評価された施設につきましても、本年度精密な診断を行い、また耐震補強方法の検討を行っているところであります。さらに平成17年度の耐震改修促進法改正も踏まえまして、これまで先ほど言ったような構造でありますとか建てかえ計画があるといった、さまざまな事情で診断未実施だった施設につきましても、早急に診断を行うこととしております。診断の結果を踏まえて、必要な改修や建てかえを検討していきたいと考えております。
 小児初期救急と二次救急総合体制の区内の構築についてということであります。二次救急指定医療機関は、区を超えた広域医療として二次医療圏ごとに整備をされているところであります。中野区は杉並区、新宿区と共通の医療圏とされておりまして、この医療圏内に現在四つの二次救急指定医療機関が整備されているのが現況であります。中野区内に東京都の小児二次救急指定医療機関がなくなったこと、このことは大変残念なことと考えているところでありまして、東京都にも相談をしながら機会をとらえて、東京警察病院をはじめ、小児二次救急医療を担う可能性のある病院等に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。また、その際には小児初期救急と二次救急が同一医療機関で区民に提供できる形をぜひとも追求をしていきたいと考えております。
 それから、子どもの医療費助成の拡充についてであります。医療費にありましては、特に小学生が入院した場合の経済的、精神的負担などが重い状況にあるという認識のもとに、子ども医療費助成の制度化をしたものであります。現在のところ、この制度の定着の状況の把握に努めているところであります。また、子どもの医療費助成の問題については、東京都での検討も現在行われているというふうにも聞いているところであります。区といたしましても、対象年齢の問題など検討をしてまいりたいというふうに考えております。
 財政計画についてであります。財政計画10か年計画をつくった、この10か年計画における財政計画については、計画の中でお示しをしているところであります。しかし、今後の財政運営について、10か年計画の財政計画をさらに補強するために国の三位一体改革に伴う税源移譲でありますとか、19年度の都区財政調整制度に関する協議、それから税収の向上や未収金対策、さらに発生主義会計の導入や義務的、経常的経費の見直しといったことも踏まえ、基金の積み立て、繰り入れ計画、起債の管理計画なども取りまとめていく必要があるわけであります。そうした財政運営の考え方について、本年の9月を目途にお示しをするように準備をしているところであります。
 それから、区報の活用についての御質問がありました。区民に区政への関心を高めてもらうためには、日ごろからの情報発信が大切であるというふうに考えているところであります。区報につきましても、区民に読んでもらえるような内容の充実、単なる事業のお知らせとか制度のお知らせといったことではなく、区が行っていく区政の政策的な考え方といったようなことについてもわかりやすくお知らせするような内容の充実、さらにそれが形になるわけでありますので、レイアウトの工夫、また配布方法につきましてもすべての世帯に配布を行うという上での配布のあり方の見直しといったようなことなども行っていきたいと考えているところであります。また、ホームページの内容の充実や報道機関への積極的な情報提供も必要と考えているところでもあります。また、あわせて、私自身も区長として自分が区のスポークスマンであるという意識を強く持って情報発信をしていくといったことも大切ではあろうというふうに考えているところであります。
 それから選挙期間中、中野サンプラザについてあった議論についての御質問であります。御指摘のとおり、取得時の条件として取得後10年間は公共性のある運営を継続するということになっているわけでありまして、すぐに壊してしまうかのような議論がされたといったようなことについては、私も大変遺憾に思っているところであります。取得後10年間は、まちのにぎわいと活性化に資する開かれた運営を行い、その後は区が策定をしました中野駅周辺まちづくり計画に基づいて、現在、多くの区民や来外者に親しまれているサンプラザの機能をさらに発展させて、新たな中野の顔となる拠点として再整備を目指していくものであります。
 それから交番の配置の問題であります。警視庁は6月26日に、いわゆる空き交番の解消対策の一環といたしまして、来年の春までに交番の統廃合を行うとの方針を発表しているところであります。これは、交番の統廃合によりまして、人員の効率的な配置を進めまして、パトロールの強化や空き交番の解消を行うということによって、地域全体の治安維持の向上を図ることを目的としているというふうに聞いているところであります。中野区内では、城山交番、寿橋交番、以上が中野警察署の管内でありますが、それから丸山交番、こちらは野方警察署の管内であります。以上の三つの交番が統廃合の対象となっているところであります。区といたしましても、警察署から詳しい情報を得ながら、廃止による影響について分析をしているところであります。
 学校跡地を活用した文化芸術の拠点についてという御質問もありました。学校の跡地を利用して文化芸術活動の場を提供している施設につきまして、御質問の中でもありましたように、他自治体の活用事例などもあるわけであります。そうした調査も十分に行ってまいりたいと考えております。これらの施設がある用途地域の問題でありますとか、利用方法、また運営主体についてもさまざまな御意見もありました。こういったことを参考にしながら、桃丘小学校の跡を文化芸術活動の場としてどのように活用できるのか、現在検討を行っているところであります。
 桃丘小学校の跡地の用途地域の問題にも言及がされておりました。桃丘小学校の跡地については、駅からも近く、文化芸術や、あるいは産業振興など多様な活用が可能と考えているところであります。具体的な活用方法については、現在、中野駅周辺地区のまちづくりの検討が行われているわけでありまして、そうしたまちづくりの整備検討とあわせて、可能性を追求をしていきたいというふうに考えているところであります。
 それから文化芸術の拠点について、文化芸術広場といった位置付けをして中野らしさを前面に出すべきではないか。また、区民音楽芸術祭などについてどう考えるかといったようなさまざまな御意見もあったところであります。昨年度、文化芸術振興に関する懇談会から報告をいただいたところでありまして、その中では学校の跡を活用しましたなかのコミュニティ・アートセンター、これは仮称でありますけれども、設置でありますとか、同じく仮称で、笑いがつなぐ中野フェスティバルといった提言もいただいているところであります。こうした提言も踏まえながら、中野らしい文化芸術をつくって発展させるための取り組みを進めてまいりたい、こう考えているところであります。
 それから、広告宣伝塔のようなものの設置などを桃丘小学校で考えてはいかがかといったような御提案もありました。区の内外に対するアピール度も高いわけであります。そうした地の利を生かした効果的な広告方法について今後十分に検討していきたいと考えております。
 それから、パフォーマンス広場としてサンプラザ前広場を活用してはいかがかということについてであります。文化芸術活動が地域に根付いたものとするためには、区内に多様な形での発表の場があることも必要だと考えているところであります。中野サンプラザ広場の運営につきましては、中野サンプラザの運営会社の業務でありますので、同社の考えについて聞いてみたいということであります。
 それから、区内の芸術家との意見交換、懇談についての御質問もありました。区内には文化人でありますとか、芸術、芸能関係者も多いということであります。そうした方たちと交流をしたり、御意見をうかがう機会をつくるよう、私自身がそうした機会をつくるように心がけていきたいというふうに考えております。
 それから、文化芸術施策の担当組織や振興プログラムの策定の所管に関連する御質問もありました。中野らしい文化芸術が創造発信されるような、また新しい産業への刺激となるような取り組みが進められるように区として総合的な推進体制ができるように、区長部局での対応とすることを視野に入れて検討していきたいと考えております。
 それから、発達支援の問題についても幾つかお答えをさせていただきます。発達障害支援のためには、保育、福祉、教育、保健などさまざまな機関が連携体制を充実して、生涯を通じて、ライフステージを通じてスムーズな相談支援が得られるように体制を整えていく必要があると考えているわけであります。こうした支援体制を構築するとともに、成人までを含む一環した相談支援を受けられるように、十分に研究・充実をしていきたいと考えております。
 それから、発達障害支援の区内の資源を有効活用するべきだという御質問もありました。子ども家庭支援センターが民間のさまざまな機関も含めて、区内の発達障害に対する支援を行っている機関などの情報を収集したり、あるいはコーディネートをするといった役割を果たして、適切な個別支援計画を提供できる体制につなげていけるよう体制を整えていきたいと考えております。
 それから啓発活動について、それからアポロ園での相談の表示といったようなことについての御質問もありました。発達障害につきましては、早期発見と適切な対応が必要であります。したがいまして、これについては保護者ばかりではなくて、区民に対して広く啓発活動に力を入れていくということが大切である、重要であると考えているところであります。区報やホームページ、それから区が発行しております子育て情報誌の「おひるね」などの広報媒体でありますとか、講演会などで啓発の機会の拡充に努めていきたいというふうに考えております。区内で行われる講演会とか、さまざまなそうした機会の広報などについても充実をしていくということが必要だと考えております。また、アポロ園等におきます発達相談の表示について検討していきたいと考えております。
 それから、新たな海外都市との友好交流についてであります。これまでもアジアをはじめ、諸外国から職員や市民が中野区に研修や視察で来る、あるいはこちら側の区民や職員が接触を持つといった接触の機会というものはあるわけであります。区といたしましては、海外都市との新たな友好交流を行うに当たっては、行政や文化、スポーツ、経済など多彩な分野での交流の可能性について調査検討を行って交流を推進をしていきたいと考えているところであります。
 私からは以上であります。そのほかにつきましては、それぞれ担当の部長の方からお答えをいたします。
  〔教育委員会事務局次長金野晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野晃) 私からは発達障害支援について、また子どもの安全について、国際交流についてお答えいたします。
 まず、発達障害支援に関して、教育センターでの相談事業についてのお尋ねでございます。教育センターでの教育相談につきましては、就学時期のお子さんを対象とした就学相談のほか、中野区に住んでいる幼児、児童、生徒とその保護者を対象とした一般的な相談を特に年齢制限を設けずに受けております。相談員の専門性、研修ということですが、相談員の専門性の強化を図るため、計画的な研修を実施するなど、相談の充実を図っていきたいと考えております。また、看板についても御提案がありました。だれでも気軽に相談が受けられるよう案内板の掲示など工夫してまいりたいと思います。また、アポロ園との連携についてのお尋ねがございました。現在、乳幼児期における発達支援共有ルールを設けるなどしておりまして、アポロ園をはじめとする関係機関相互の情報共有と連携を一層進めて教育センターでの相談事業を充実させてまいりたいと思います。
 次に、学校における発達障害支援についてのお尋ねが何点かございました。まず、学校における相談体制でございますが、今年度特別支援教育のモデル校につきましては、専門知識を有する臨床心理士を派遣して巡回相談を行い、子ども一人ひとりに合った支援計画をつくる予定で進めております。このモデル以外の学校につきましても、できる限りこの臨床心理士の活用を図りたいと思っていますし、また各学校のスクールカウンセラーや心の教室相談員なども含め、学校を挙げて相談に当たっているところでございます。
 また、教員の理解の重要性についてのお尋ねがございました。中野区では、平成19年度、来年度当初までに全小・中学校において、教員の中から特別支援教育コーディネーターを指名する予定にしております。そのため、現在、特別支援教育コーディネーターの候補となる教員を各学校で定めまして、専門性を高める研修を実施しているところでございます。特別支援教育を推進していくためには、すべての教職員を対象とした研修を含め、集中的に研修を実施し、全教職員への理解、啓発を進める必要があると考えておりますので、今後とも計画的、継続的に研修を進めたいと思います。
 また、入学に際して、不安の解消を図るべきだというお尋ねがございました。学校は、系統的、計画的に児童・生徒を指導しておりまして、発達障害児につきましても、担任教諭を中心に、組織的な支援を行っております。発達障害児の就学については、以上述べましたような相談体制や教員の研修の拡充を図りながら、安心して入学できるように十分説明し、また相談を受けていきたいと考えております。
 次に、子どもの安全安心に関して、声かけ運動についてのお尋ねがございました。区内では、子どもの安全のため、ジャケットや防犯ゼッケンを着用して登下校時の見守り活動をしております。ほかの自治体と同じような状況が現にあるかと思っておりますが、見守り活動につきまして、参加者が児童と対面するなどのやり方の工夫につきましては、参考といたしまして、学校や協力団体と話し合っていきたいと思います。
 次に、国際交流に関しまして、中学生の海外ホームステイ事業についてのお尋ねがございました。海外ホームステイを効果的に実現していくためには、その国の語学や文化について一定の理解力が必要でもございますし、また相互の交流ということを考えますと、受け入れ体制が必要になってくると思っております。中学生のホームステイにつきましては、都市間の交流がこうしたことからまず前提になるというように考えております。
    〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 私からはNPO活動支援についての御質問にお答えをさせていただきます。
 まず、(仮称)NPO活動センターの開設場所についての御質問でございます。(仮称)NPO活動センターにつきましては、これまで環境リサイクルプラザの3階の一部を利用して整備することを考えてまいりました。現在は、NPOに対する支援としてどのような機能が必要かつ効果的かという観点から、改めてその施設内容などを再検討しているところでございます。
 次に、活動センターの運営委託先についてのお尋ねでございます。NPO活動の支援を有効に機能させるためには、公益活動への知識、相談業務における能力、公益活動における人的ネットワーク等を有している事業者が活動センターの運営の担い手としては望ましいと考えております。委託先につきましては、このような知識、能力、ネットワークを持つNPO法人、いわゆる中間支援組織の中から選定することを想定しております。
 次に、青年の社会参加を促す役割についてのお尋ねでございます。(仮称)NPO活動センターは、公益活動を行う団体のみならず、これから公益活動を行いたいと考える個人に対する支援施設でもございます。この施設が区内で活動するさまざまな団体の情報を収集し、発信することを通じて、社会貢献をしていきたいと考える青年や、団塊の世代の方々などと人材を求める団体とのマッチングを進めていくことになるというふうに考えております。
 それから、交流の場の設置についての御提案でございます。さまざまな団体や企業、行政の関係者などが気軽に立ち寄り、交流できる場所があることが望ましいと考えております。この交流を目的とした場をどこでどのような形で確保し、運営していくのが効果的かを検討していきたいと考えております。
 NPO活動支援の担当部署についてのお尋ねがございました。中野区では区民の公益活動につきまして、NPO活動も含め、幅広くとらえながらその支援推進に取り組んでおります。組織といたしましては、区民生活部の地域活動担当を中心に取り組んでいくこととしております。
 次に、非営利型株式会社に関するセミナー開催等の御提案がございました。公益活動につきましては、非営利型株式会社をはじめ、公益法人の改革等の制度や手法の多様化などさまざまな動きを見せております。これらの動きにつきまして、区民や活動団体への情報の提供や学習会などを検討していきたいと考えております。
 NPO活動活性化の環境整備についてのお尋ねがございました。NPOなどの活動を一層活発にしていくために、区民公益活動の推進に関する条例を制定したところでございます。その趣旨にのっとり、さまざまな公益活動が活発に展開されるよう環境整備につきましても検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
     〔岡本いさお議員登壇〕
○25番(岡本いさお) 時間がないので、1点だけにいたします。
 先ほど教育委員会事務局次長の来年度実施の特別支援教育に関する準備の話を伺って、夢みたいなすばらしいことをやっているように聞いて、本当に実態は大変厳しい学校での発達障害児に対する専門性の研修とか、それから一人ひとりの認識をするようなことについては、私どもにいろいろな問題や課題が寄せられておって、今次長が答えたような、そんなすばらしいことをやっておるんだったら、どうしてこんな相談があるのかなと思って、本当にびっくりしております。学年が変わっただけでも対応の仕方が全く違うとか、あるいはクラスを崩壊するような発達支援児に対して排除しようと、学校から追い出すなんて、そんなことも実際あるわけです。ですから、次長がそんなすばらしい流れでやっているんであれば、みずから学校へ行って校長先生に会い、また先生に会って、発達障害児に対して来年から特別支援教育が始まることに対して切々と訴えて、一人も漏れなく発達障害児に対する認識と対応の仕方をできるようにしなければ、今次長が答弁したようなことには絶対ならないと私は思っていますので、その点、本当にそういう取り組みを今されていて、またされようとしていると言うんですが、もう一度来年度からスタートする特別支援教育に対する教育委員会の取り組みを答弁願いたいと思います。
  〔教育委員会事務局次長金野晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野晃) 再質問にお答えいたします。
 学校で発達障害児への対応について、まだ大きな課題があることは御指摘のとおりでございますが、既に各学校ごとに特別支援教育に関する研修をここ数年実施してきております。また、新たな専門家の支援、あるいは養護学校の専門性を持つスタッフとの連携などについても次第に広がってきておりますので、そうしたことをさらに充実しながら、それぞれの学校での対応を強化する、また十分な理解を持って一人ひとりの発達に応じた支援ができるように努めてまいりたいと思います。
○議長(高橋ちあき) 以上で岡本いさお議員の質問は終わります。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
      午後2時25分休憩

      午後3時07分開議
○議長(高橋ちあき) 会議を再開いたします。
 この際申し上げます。
 議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 来 住 和 行
 1 施政方針説明について
  (1)区長選挙の結果について
  (2)区長の政治姿勢について
 2 子育て支援をすすめることについて
  (1)「認定子ども園」問題と区立幼稚園園児募集について
  (2)子ども医療費助成制度を充実することについて
  (3)わかみやクラブを充実することについて
 3 障害者自立支援で負担軽減策を実施することについて
 4 非常勤保育士解雇事件の判決について
 5 「山手通り」の問題について
 6 日本閣とJRとの連絡橋問題について
 7 その他

○議長(高橋ちあき) 来住和行議員。
      〔来住和行議員登壇〕
○30番(来住和行) 2006年第2回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表し、一般質問を行います。
 まず、区長選挙の結果についてお聞きします。
 今回の区長選挙は、投票総数7万222人、投票率27.73%で、4人に3人が棄権するという過去2番目に低い区長選挙の投票率となりました。一般的に首長の2期目は信任投票選挙となり、現職が安定して強いと言われますが、再選されたとは言え、田中区長の全有権者に占める絶対得票率はわずか14.4%にとどまる結果となりました。これに対し「にんげんのまち中野・みんなの会」に参加した生活者ネット、新社会党、社会民主党、日本共産党が推薦した女性候補は、候補者決定からわずか1カ月という短期間の運動にもかかわらず、2万4,439票、得票率35.49%を獲得しました。選挙戦の最大の争点は、大規模開発優先、区民負担押しつけの区政か、それとも子育て、暮らし、老後を支える人に優しい中野かが争われました。4年前に市民派100%を看板に登場した田中区長が、今回は自民、民主の推薦、公明支持を前面に押し出す政治姿勢の変化が問われることにもなりました。これまで障害者福祉手当、難病患者福祉手当、被爆者見舞金削減、小学校卒業アルバム代補助、中学校修学旅行交通費補助などの廃止を強行した行財政5か年計画から、今回さらに10か年計画で区民サービスの切り捨てを押しつけ、区民にはお金がないと我慢を強い、やるべき仕事をやらずにため込んだ結果224億円をさらにため込み、その基金を中野駅周辺をはじめとした大規模開発に注ぎ込む姿勢が浮き彫りとなりました。さらに幹部職員によるタイムカード不正打刻事件や非常勤保育士全員解雇事件の被告の立場、また区長対話集会の形骸化、区民の声が反映されない住民参加のあり方にも区民の批判が高まりました。区職労執行委員会も多くの職員は閉塞感や不信感の中で絶望的状況に陥っている。職員がそれぞれの職場やポジションにおいて納得できないまま、上意下達で多くのことが決定されているとの見解を発表しました。今回の選挙は、区民からも職員からも区長としての資質が問われるものとなりました。また、選挙結果について、一般紙も「選挙戦で相手陣営から『区民の声が届かなくなった』と批判されたことは、敵の戦術と受け流すことは簡単だ。だが、得票率にあらわれた区政離れは深刻な事態」と報道しました。
 そこでお聞きします。区長は、今回の選挙の投票率は天候の影響もあり、史上2番目の低さでありました。現代民主主義にあって選挙こそ民意の集約するところであります。投票率の低さは憂うるべき事態ですと論評されていますが、区民の区政離れ、低投票率の結果は、区長、あなた自身の区政運営と政治姿勢にあるのではありませんか、答弁を求めます。
 次に、区長の政治姿勢についてお聞きします。
 2年前の施政方針説明で、区長は「国の構造改革をリードする」と述べました。今回の施政方針説明では「大きな構造転換を進めながらの経済拡大は、一部に格差社会と言われるような現象が懸念されていることも否めません」と国政の問題点を一部認める表現をしています。そう言いながら「社会をよりよいものに前進させていくためにも改革は続けなければならない」と述べています。今、区の窓口には公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止、高齢者の非課税限度額の廃止、定率減税の半減などによって住民税が大幅にふえたため、区民からの問い合わせや苦情が殺到しています。住民税が高くなれば、国保料、介護保険料にはね返り、今後雪だるま式に負担がふえ、高齢者に耐えがたい痛みをもたらすことになります。
 規制緩和のもとで、若者は正規の仕事に就くこともできず、パートや派遣の仕事で将来の生活設計すらできないという事態が拡大しています。区民一人当たりの所得は、5年前に比べて14万円も減少しています。生活保護、またはこれに準ずる世帯の児童・生徒に適用する就学援助の受給率は、小学校で23%、中学校で26%にも上っております。所得の低下と負担の増大による貧困、結婚したくても結婚できない若者の実態を一部の現象としか認識されないのですか。区長には、区民の深刻な生活実態がどのように見えているのでしょうかお聞きします。
 構造改革は連続的な税制改悪、社会保障改悪を推し進め、貧困と格差を生み出す、それに拍車をかけてきました。日本共産党議員団は、4月に新聞折込で区民へのアンケート調査を行いました。800通の回答のうち、78%の方々が規制緩和によるもうけ優先の「改革」が国民の安心・安全を損なっているのではないかと答えています。規制緩和がもたらした耐震偽造やライブドア事件に続き、村上ファンド事件や福井日銀総裁の問題などが続発し、国民から厳しい批判の声が沸き上がっています。国の構造改革路線が多くの矛盾を生み出し、国民の批判を浴びているように、区長が強引に進めようとする改革路線を進めれば進めるほど区民の命、暮らし、安全さえをも脅かすことになります。この事態をそれでも肯定されるのですかお聞きします。
 区長は、「国、地方を合わせた債務は900兆円に迫っています。国も地方自治体もこのままでは持続することができません」と述べています。しかし、その原因については、一言も述べようとはしません。そもそも国の借金の原因は、だれが見てもむだと浪費としか言いようのないダムや空港、港湾などをつくり続け、「都市再生」の名によって巨大ビルを建設し、その周辺整備を公共事業で行うというやり方にあるのは、周知の事実です。あわせて、大企業への減税で、80年代末には20兆円近くあった法人税収がいまや10兆円程度にまで減少しています。大企業はバブル時代を上回る史上最高の利益を上げ、余剰資金は82兆円にも上る状況になっていることを見れば、いかに大企業優遇の税制になっているかが歴然としています。米軍への思いやり予算が問題になっていますが、最近では米軍の移転費用に兆単位の財政を注ぎ込むという信じがたい話すら出ています。
 そこでお聞きします。国の借金の要因はむだと浪費の大規模公共事業や大企業優遇、アメリカ言いなりの政治にあるのではありませんか。見解を求めます。
 区長は、事あるごとに中野区は金がないと言い続け、破綻寸前とまで言ってきました。ところが、選挙中は、224億円の基金をつくって、財政再建を果たしたと自慢し、今度の施政方針説明では、破綻寸前だった区財政を建て直したと述べています。区長が就任する前の基金は68億円でした。今年度末の基金は224億円を計上しています。その差は156億円です。区長就任時の02年を基準としてみますと、区民税は05年度21億円、ことし、06年度予算で37億円の増収を見込んでおり、2年間で58億円も伸びています。その前の2年間で10億円のマイナスでしたので、これを差し引いても48億円もの増収になっています。都からの財政調整交付金は毎年度伸び続け、03年度5億円、04年度17億円、05年度30億円、06年予算31億円で、4年間の合計で83億円もの増収になっています。区民税と交付金を合わせますと、実に131億円にもなります。そのほかは保育園や図書館、障害者・高齢者施設等の民間委託や民営化を強引に進め、事業費と人件費を削減したことが主なものです。区長は、財政を建て直したと宣伝していますが、その内容は区民税の増税による区民負担と法人税等の伸びがほとんどではありませんか。平成17年度決算では、過去最高の42億円もの剰余金が生じるようです。これでは当初の計画を超えて基金がたまるのは当たり前のことです。だから、区長は区民のための仕事をしないでため込んだだけとの批判を区民から受けたのではありませんか。区長の見解をお聞きします。
 次に、「認定子ども園」問題と区立幼稚園園児募集についてお聞きします。
 教育委員会と子ども家庭部は、4月に幼児教育・保育及び子育て支援に関する方針検討プロジェクトチームを設置し、7月にまとめ、11月に全体のまとめを出すとのことであります。中野区がこれからの幼児教育と保育・子育て支援の方針を検討し、まとめるとするなら、あまりにも拙速過ぎるものです。しかも専門家、現場職員、保護者抜きの庁内職員だけの検討会というのも問題です。中野区と教育委員会がやるべきことは、区立幼稚園のよさを今後も生かし、存続してほしいとの幼稚園関係者と区民の願いを生かすことです。検討プロジェクトの検討はそのことを前提としてやよい幼稚園、みずのとう幼稚園を残し、園児募集を行うことを基本とし、来年度以降の園児募集を徹底することではありませんか。答弁を求めます。
 次に、幼稚園と保育の機能をあわせ持つ総合施設「認定子ども園」の問題です。認定子ども園は、次の四つのタイプに分類されています。一つ、幼稚園と保育所の両方の認可を受け、一体的に設置される「幼保連携型」、二つに認可型幼稚園に保育所機能を付加した「幼稚園型」、三つに認可保育所に幼稚園機能を付加した「保育所型」、四つ目に幼稚園・保育所のいずれの認可も受けないが、子ども園として認定される「地方裁量型」の四つです。
 第1に入所の選考と市区町村の関与の問題です。保育所型で認定子ども園の認定を受けた場合は、直接契約を基本とすることから、施設は保護者の申込書を市区町村に送付し、市区町村は保育に欠ける状況を施設に通知することになっていますが、市区町村の関与はここまでです。例えば定員を超えて申し込みがあった場合、入所児童の選考をするのは施設側の判断になります。選考の基準は公正な方法としか示されていません。現行の保育制度では、市区町村が責任を持って保育に欠ける要件認定や保育の必要度の判断を行っています。認定子ども園では、その入所判断は選考する保育所次第ということになるのではないでしょうか。そうなると、障害のある子どもや生活困難家庭で保育料徴収が不安と予測される子どもなどが公正な選考の名のもとで、結果として入所段階で排除されることになりかねないのではありませんか。見解をお聞きします。
 第2に、保育料の問題と保育教育水準を低下させるという問題です。保育料は、施設の設置者が定めることができることになっています。それが法外な額であった場合、市区町村は変更を命ずることができることにもなっています。しかし、少なくとも現行の保育所徴収金基準額(3歳未満児8万円、3歳以上児7万7,000円)を目安として設定されれば、変更を命ずることはできないでしょう。現在運営されている区内の認証保育所の保育料は、月額5万円から8万円で、所得に関係なく徴収されています。父母負担は大変大きなものです。認定子ども園は、保育料設定も施設が行うことになり、入所の選考同様に現行の認可保育所と比べ、市区町村の関与は極めて小さく、既存施設の認定子ども園への転用が進めば、児童福祉法第24条に基づく市区町村が責任を負う公的保育制度はなし崩しにされることになります。特に重要な問題は、中野区が検討している地方裁量型であります。保育所型も幼稚園型も、どちらか一方の認可しかないことが問題ですが、とりわけ地方裁量型では、幼稚園、保育所どちらの認可もない、いわゆる認可外施設が認定子ども園として容認されることです。政府は、幼稚園、保育所の施設の新設は基本とせず、既存の施設が総合施設となることが困難とならないような対応を進めるとして、例えば保育所における調理室の必置義務などが幼稚園の認定子ども園への転換を困難にするのであれば、必置義務を緩めるともいうものです。つまり、認定子ども園は、幼稚園、保育所の既存施設の基準を切り下げて転換し、容認するだけでなく、児童福祉施設の最低基準と幼稚園設置基準を緩和して、全体として保育・幼児教育の水準を低下させることになることは間違いありません。中野区が検討している区立幼稚園の認定子ども園への転換は、現行の保育・幼児教育の水準を下げるものとならざるを得ません。中野区が区立幼稚園を認定子ども園とする必然性はどこにもありません。答弁を求めます。
 次に、乳幼児子ども医療費助成制度の充実についてお聞きします。
 子育て支援の重要な柱となっている本制度は、23区では港区、台東区、北区の3区で中学3年生までを通院、入院費、食事代まで無料化し、江戸川区、中央区、渋谷区、大田区の4区が中学3年生までの入院費、食事代を無料とするなど、各区で積極的な充実が図られてきました。中野区のように、小学校6年生までを入院費のみ無料としているのは板橋区、豊島区、足立区の3区だけでしたが、足立区は来年度から拡充を図り、中学3年生までとなりました。昨年3月には中野区議会としても子育て世代にとって子どもの健やかな成長と子どもが病気になったとき、医療費を気にせず医者にかかれることは切実な願いです。東京都が乳幼児医療費助成制度の所得制限を撤廃し、対象を中学生まで拡大することを求めるとして、東京都に対し、所得制限を撤廃し、新たに中学生まで拡大する意見書を提出しました。6月20日には日本共産党都議会議員団も都知事に、対象拡大と所得制限撤廃をはじめとする制度の拡充を申し入れたところです。中野区は少子化傾向の流れが全国の中でも最も厳しい区です。それだけに子育て支援の要となっている本制度の充実を強く求めるものです。子育て世代への各種世論調査で、行政の支援に関する要望として最も多いのは子育て費用の助成、経済的支援です。このことからも中野区が中学3年生までの通院、入院、食事費を無料とする助成制度を充実することを求め、見解をお聞きします。
 次に、障害児地域生活支援事業わかみやクラブの充実についてお聞きします。
 わかみやクラブは、障害児地域生活支援事業として保護者が就労等により放課後や学校休業日に障害のある学齢期の児童に対し、安全で充実した生活の場を与え、集団活動を通して成長し合える場として3年前に日本共産党議員団が提案し、区立若宮保育園の跡に開設されました。開設時は登録する児童・生徒も数人でしたが、本年度のスタートは22名となり、予想どおり希望者はふえ続けています。2005年4月から06年3月までの297日の開所日に高校生から小学生まで、延べ1,637人が利用するまでになっています。豊かな余暇を提供してくれる子どもたちの居場所がここにあることを改めて親として喜びを感じていますと毎月発行の「わかみや瓦版」で保護者の方が語っておられます。主任指導員の方は、さまざまな年齢、学校、いろいろな性格や特徴を持っている子どもたちが、余暇の遊びの中でともに刺激し合いながら、自然に集団をつくっていく、そのプロセスはわかみやクラブの大きな魅力の一つと紹介し、児童館との交流、音楽での交流や農業交流、ウオーキングなどをプログラムに取り組んでいます。利用者の負担と区の補助で運営されてきましたが、ボランティアを頼りとせざるを得ません。この事業の役割は一層高まり、利用者もふえ続けることが予測されます。事業を立ち上げて丸3年、区は本事業をどのように評価されているのか、本事業への支援をどのように強めていかれるのか、考えをお聞きします。
 具体的には、今後安全に安定的に本事業を運営していくには、どうしても経験豊かな指導員の継続的配置と若い指導員の生活保障ができるほどの補助が欠かせません。補助の引き上げをすべきと考えます。答弁を求めます。わかみやクラブは四中、大和小の生徒の利用もあり、地域との交流も深まり、この地域の中での活動に期待が高まっています。しかも施設が老朽化していることから、施設条件のいい場所への移転についても声が上がっています。一方、都立中野養護学校の生徒は、福祉タクシーを利用し、クラブへの通所をせざるを得ません。南の方へもう1カ所のクラブ設置も切実な願いです。検討し、実現に努力していただきたいと考えますが、お答えください。
 次に、障害者自立支援の利用者負担軽減、事業者支援を実施することについてお聞きします。
 障害者自立支援法がことし4月から施行されました。この法律の第1の問題点は、所得に応じた費用負担の制度から、障害が重くサービス利用の多い人ほど負担が大きくなる応益負担に代え、定率1割負担を導入されたことです。障害者とその家族に大幅な負担増を強いることになりました。この法律が実施された4月中旬、東京都社会福祉協議会やきょうされん東京支部など、5団体が共同で都内86カ所の施設で行った調査報告書によると、負担増を理由に施設からの退所者が19人、通所日数の変更は19人、退所を検討中は60人もいました。さらに都内の法定通所施設利用者の総数からすると、約290人の方が深刻な影響を受けていると推計しています。心配されていたように、まさに自立破壊法の実態が実施した直後からはっきりとしてきました。私たちが行った弥生と中野の福祉作業所を利用する保護者との懇談においても、わずかな工賃ながら子どもの励みになり、毎日、作業所に行くことを楽しみにしているが、続けて行けるのだろうか。「親のわずかな年金と子どもの将来を考えたわずかな貯金が収入と見なされ、通所すればするほど工賃の2倍から3倍の利用料を払うことになる。これではできるだけ休むようにさせたくなる」「年老いていく親として、子どものこれからを思うと切ない」など口々に語っておられました。中野福祉作業所、弥生福祉作業所、こぶし園、障害者福祉会館の利用者負担の平均は、昼食代を入れると約1万4,000円、負担の高い人は約2万2,000円にもなります。無料だった昼食代が毎日650円となったのですから負担は深刻です。実施から3カ月、問題点を明らかにしつつ、必要な改善を国、都に求めるためにも中野区は利用者の実態を区としてきちんと調査し、把握することが必要です。答弁を求めます。
 障害者とその家族にとって、毎日のこの負担は死活問題です。国、都の負担軽減措置は不十分なため、東京の多くの自治体で軽減のための独自助成を実施しています。荒川区では所得に関係なく在宅の障害者全サービス利用負担を3%に軽減、在宅でサービス利用料が多い重度障害者については月額負担上限額を半額に軽減、また住民税課税世帯の障害者の通所施設での食事代を国基準の半額など、法施行と同時に、20区と5市が独自に軽減策をとっています。
 そこで伺います。中野区としても、障害者とその家族が置かれている実態から見て、負担を軽減するための施策を講じるべきです。私たちは第1回定例会の本会議や委員会においても、昼食代の補助についても提言を求めてきました。区としての利用者の昼食代負担が、利用者にとって具体的にその軽減が効果となってあらわれる軽減策助成補助が実施されるべきと考えます。どのように具体的に検討されているのか答弁を求めます。さらに10月から実施となる地域生活支援事業は、新たな負担を設けず、独自軽減が必要です。検討されていることを具体的に御答弁ください。一度廃案になった法案の成立を強行したため、準備が間に合わず、区の施設利用者への4月分請求がいまだにできていません。所得区分、障害区分、限度額確定など一人ひとりの利用状況が複雑なため、担当職員が通常業務に加え、連日連夜の残業に追われても追いつきません。約160人分が6月末に請求するとのことです。それでなくてもこれまで無料だったものが1割負担になり、どれだけの請求が来るのか不安なのですから、立て続けに請求されることへの心配は深刻です。2カ月分をまとめて支払うことが起きないよう配慮するとともに、問題点が指摘されている制度だけに少しでも不安を取り除くよう職員体制をしっかりとるべきことを指摘をしておきます。
 第2の問題点は、民間の通所施設やグループホームの運営が、収入減によって経営危機に陥る可能性が大きいということです。国は、施設への報酬は従来の月払い方式から日払い方式に変えたことにより、利用者の出席日数による実績払いとなりました。そのために利用者の欠席がそのまま施設の収入減につながっています。利用者は体調が悪くなることも多く、予定どおりに利用するとは限りません。従来の月単位報酬額も低過ぎるという問題もあっても、利用者の欠席が施設の収入に影響することはありませんでした。施設側は少々体調が悪くても休ませないように、グループホームでも週1日以上は実家に返さないでとお願いするしかないと訴えています。7人が生活している知的障害者のグループホームは、年間57万円の減収になると試算しています。愛誠学園は幾つもの事業を運営していますが、年間約5,000万円の減収を見込み、コロニー印刷所やコロニー中野でも05年度決算から試算すると、約3,000万円以上の減収見込みだそうです。施設規模にかかわらず、収入減の影響は、職員や障害者へのしわ寄せになり、やがて事業の存亡にかかわる事態を招きかねません。民間施設に対しては、中野区障害者グループホーム補助金要綱があります。しかし、事業立ち上げのときに一施設が一度限り利用できるものですから、今起きている問題には活用できません。区として新たな制度をつくり、減額分への助成対策をとるべきではないでしょうか。また、都の制度をさらに充実させることを求めることも必要です。いかがでしょうかお答えください。
 区立保育園非常勤保育士解雇事件の判決について伺います。
 中野区立保育園に勤務していた非常勤保育士28名が、2004年3月末をもって中野区から解雇され、うち4名が解雇無効による地位確認、及び賃金と慰謝料の支払いを求めて争っている事件です。6月8日、東京地裁は、保育士の訴えを一部認め、中野区に対して雇用継続の期待権を侵害したとして、保育士4人にそれぞれ40万円の慰謝料の支払いを命じる判決を下しました。非常勤保育士は、1993年の公務員への週休2日制導入に伴い、保育士の人員不足を解消するために採用され、長い保育士で11年9カ月、短い人でも9年2カ月にわたり区立園で非常勤保育士として働いてきました。特に乳児保育、障害児保育など、熟練を要する仕事を任され、土曜日保育ではさまざまな年齢、家庭環境の子どもの保育にかかわって働いてきました。一人ひとりの子どもの育ちを熟知し、経験も豊かで、子どもたちにとっても保育園にとってもかけがえのない存在でした。ところが、中野区が2園の区立園を指定管理者制度による民間委託することを突然決定したことから、2004年3月末には民間委託される2園以外に勤務していた非常勤保育士を含む28名全員を解雇したものです。判決理由は、非常勤保育士の原告らの雇用の実態を詳細に認定した上、非常勤職の存在意義と雇用継続の必要性について次のように述べています。「非常勤の保育士と言っても、その職務の必要性は一時的なものではなく、将来的にも職務が不要になるとは考えられないこと。保育士という職務は専門性を有する上、乳幼児に対する保育に従事するものであって、職務の性質上、短期間の勤務ではなく、継続性が認められること。この状態での再任用が11回から9回にも及んでいることを考慮すれば、原告らの期待は法的保護に値するということが相当である」、そこでお聞きします。先にも紹介したように、非常勤保育士が果たしていた役割は極めて大きなものです。どのように中野区は評価しているのか、改めてお聞きします。
 この判決は、非常勤保育士が専門性と継続性が求められる保育士として、正規職員同様に長年働いてきたことを重視したものであります。この点は非常勤保育士の職を突如廃止して全員解雇した中野区の不当性を強く批判した部分であります。にもかかわらず、判決は「期間1年として任用された以上、再任用を請求する権利はなく、解雇権濫用法理の適用はない」として、これまでの司法の限界を乗り越えるには至りませんでした。この点は極めて残念なことであります。子育て保育に長期にかかわってきた非常勤保育士を中野区の都合で一方的に解雇したことは、保育士を深く傷つけるとともに、中野区の保育行政への信頼を大きく損ねるものであります。中野区はみずからの判断で、直ちに原告の職場復帰と本件争議の全面解決を図るべきと考えますが、答弁を求めます。
 次に、「山手通り」の問題についてお聞きします。
 地下高速道路の中央環状線の工事は、工事期間が延長されました。公団から株式会社首都高になって、換気所ごとに、換気塔工事の住民説明会が開かれています。参加者からは45メートルの塔の高さや浮遊粒子状物質等の排気ガス除去問題、さらに現在の工事による振動、騒音対策を求める要求が相次いでなされています。今後の重要なことは、環境対策であります。供用開始後、首都高が説明しているように浮遊粒子状物質は80%以上、二酸化窒素が90%以上が本当に除去した状態で換気塔から排出されているのかという問題です。低濃度脱硝装置の設置は、粘り強い住民運動の成果です。しかし、その機能を検証する手だては自治体にも住民にもありません。首都高が排気ガスのデータは事後にインターネットで情報を開示すると言っていますが、問題は換気塔から時々刻々排出される排出ガスの数値の確認がどうしても必要です。
 私は、昨年2月の本会議で地下の換気所で測定している排ガス濃度状態をリアルタイムで換気塔にデジタル表示し、沿道から確認できるようにすることを提案し、要求しました。これに対し、区の答弁は、「公団から、換気塔からの排出ガスの影響は小さい。その影響は測定できない値であると聞いている。事後評価がされる。結果が公表されると聞いているので、ガス濃度の表示装置設置は求めない」とのことでした。影響が出てからでは遅すぎるのです。測定できないほどの値であると首都高が自信をもって言うならば、地下で測定しているその数値をどうして住民にも直接開示しないのか。なぜ1カ月後なのか、その根拠は示されていません。最近の首都高に関する報道は、入札に関する不正談合問題や会計処理における不透明性、石神井川手抜き護岸工事等が指摘されています。しかし、ことは人の命と健康にかかわる重要な問題です。これまで住民と区政は一緒に低濃度脱硝装置の実現と吸気塔の高さを45メートルを5メートルに変更させるなど、これまでも山手通りの車線数の縮小、歩道幅の拡大、自転車帯の設置など繰り返し要求し、実現させてきたではありませんか。
 そこでお聞きします。首都高や企業側の言い分を鵜呑みにするのではなく、区民の立場に立って、区としても対策を求めるべきではありませんか。私は換気塔からの排出ガス濃度数値を換気塔に表示することを強く求めるべきと考えますが、答弁を求めます。
 さらに工事説明会において首都高は換気塔、すなわち煙突工事の工法として、1個約2.5メートルの高さのブロックを18段積み上げ、鉄筋で連結する方式と説明しています。だとすれば、将来的には無公害車の普及や公害対策の技術向上によって換気塔を45メートルから低くできる可能性も出てきます。現状の排ガス除去能力や地下高速道路上での車の事故による火災発生に備え、現状では45メートルの高さが必要だという説明です。しかし、今後は随時検証を行い、将来的には換気塔の高さを低くできることの可能性も追求すべきと思います。そのことを首都高に求め、約束をとっておくべきだと考えますが、答弁を求めます。
 最後に、日本閣とJRとの連絡橋の問題についてお聞きいたします。
 東中野日本閣跡に建設中の高さ110メートルの日本閣・三井不動産超高層マンション2棟と東中野駅利用者をつなぐ区道上空を利用した特設の連絡橋をめぐって大きな問題が起きています。そもそも中野区が地域住民、商店街に知らせることなく、申請からわずか5日間で開発行為に許可を与えたことに事の原因があります。この問題で示されている開発ありきの区の姿勢については、私はこれまで問い続けてきました。今回の問題は、予定されている連絡橋が日本閣マンションのエントランスに直結すると同時に、一、二階にテナントされる京王電鉄誘致の大型店に東中野駅利用者を独占的に誘導しようとしていることです。中野区もこれまでは地域振興に影響するなどの理由を挙げ、地元住民、商店会の理解と合意が前提との立場をとってきました。区長自身も東中野地域センターでの区長対話集会で、同じ立場を明言してこられました。JR側も中野区側と地域住民の合意と了解がなければ、事業主との協議は行わないと地元に約束をしてきたものです。ところが、中野区は2月14日に「横断橋設置に関する建設予定所有者との協議について」と題して、日本閣がJR東日本との協議を進めることに異存はないとする文書を日本閣に提出いたしました。区の行為に対する住民の不信が広がっています。
 そこでお聞きします。これまで中野区は、日本閣とJR東日本との協議開始を許可する立場にはありませんと言ってきたにもかかわらず、このような文書を日本閣の求めに応じて出したのはなぜか、民民間の協議に区が関与し、区長名で「協議開始許可」を出した根拠はどこにあるのか答弁を求めます。中野区は、許可理由として公共性、安全性を挙げています。しかし、連絡橋は新宿寄りの区道との接道部も、また駅舎も階段のままで到底バリアフリーとは言えません。地元商店街へも回遊できると説明していますが、その保障は何も担保されていません。このことからも公共性があるとはとても言えません。3月10日に行われた田中区長に対する商店会からの要請の場では、安全性について区長は、現地を見て判断されたのかとの問いに、現場は見ていないと答えておられます。公共性、安全性の判断は何をもってされたのか、その判断の基準は何だったのかが問われています。しかも、地域と商店会に5月中旬に初めて配布された連絡橋の説明図面は、既に1月12日には作成されていたことも明らかになりました。1月初旬から既に区は日本閣、三井不動産側からの図面をもとに説明を受けていたということになります。東中野の五つの商店会と住民の会は連名で、24時間の大型店出店を予定している京王電鉄に対し、「出店の再考」を求める要請行動を行っています。地域住民の会は、昨年来日本閣、三井不動産、JR、そして地域と商店会の5者による協議の場づくりを提案し、努力してきました。中野区こそ事業者寄りの立場でなく、まちづくりの観点で取り組んでいる住民の立場に立ってその役割を果たすべきではありませんか。
 そこでお聞きします。中野区は直ちに協議開始許可文書を撤回し、住民・商店会・事業者が地域のまちづくりの観点で協議できる場をつくることに力を尽くすべきと考えます。答弁を求めます。
 最近の中野区の建築行政における対応は、へび玉道路問題をはじめとして事業者、とりわけ大手デベロッパーの方を向いた行動が目にあまるとの批判の声が広がっています。失われた区民の信頼は取り戻すのに時間がかかります。区民の信頼を得られる区政に心がけ、努力いただくことを求め、すべての質問を終わります。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 来住議員の質問にお答えをいたします。
 区長選挙の結果についてということで投票率が低かったということについての御質問がありました。今回の選挙の投票率の低さというのは、やはり憂うるべき事態であるというふうに考えているところでございます。投票率そのものを上げるということが、候補者という立場でできるかどうかというのはなかなか難しいものがあるというふうに思ってはいるところであります。また、投票率そのものがそれまでの区政運営に対する評価であるというふうな立場も私はとっておりません。選挙の結果は投票結果によってあらわされているというふうに考えるべきであるというふうに思っております。しかしながら、選挙の投票率が低いというのは確かに憂うるべきことでもありますし、投票率が高まるための条件として区政への関心を高めるということが重要だということも認識をしているわけでありまして、区からの情報発信や、あるいは区民の声の受けとめといったようなことに一層工夫をしていくということが必要だと考えているところであります。
 それから、施政方針説明に関連して政治姿勢ということでの御質問がありました。区民の生活実態をどのようにとらえているのか、それから構造改革を進めるということが区民の暮らしや命を脅かすのではないかというようなことであります。政府の月例経済報告によりますと、景気は回復をしているということであります。企業部門の好調さが家計部門に波及をし始めている。また雇用情勢についても依然厳しさは残っているものの、改善に広がりが見られているという形であります。こうした経済の回復は、官民を挙げての構造改革による効果のあらわれであるというふうに考えているところであります。こうした改革を進める中で、人としての権利や尊厳が侵されることのないよう、行政としてはしっかりとルールを守ったり、セーフティーネットの仕組みを整えていく、そうしたことが重要だと認識をしているところであります。
 それから、政治姿勢に関連して、国、地方の借金が900兆に迫っている。国政の失敗が借金を膨らませてきたのではないか、見解をという御質問でありました。中央集権の仕組みの中で、行政の規模が拡大をしても、それを見直すことが十分できなかったこと、また経済や、それから地方の財政を維持するために国の財政支出で需要や財源を保障するという仕組みをとり続けてきた、そうした日本の国のあり方、形そのものが借金を膨らませていく大きな原因であったというふうに考えているわけであります。そうした意味で、改革が必要という立場に立っているところであります。
 それから、財政の関連で、財政が再建をしたとか、破綻寸前の財政を建て直したと言っているというような御発言もありましたけれども、財政再建への道を歩み出したということを言っているということもあります。財政再建ができたというふうな形では申し上げてはおりません。さらに一層の再建のための努力が必要だということを申し上げているところであります。
 この財政の状況でありますが、区の基幹収入であります特別区税の収入と財調交付金、特別区交付金の合計を私が区長に就任をしました平成14年度を基準にしまして、15、16、17年度と増減額を見ますと、その累計は約48億円プラスとなっているところであります。一方、13年度末に68億円でありました基金残高は、17年度末で見ますと183億円でありまして、115億円のプラスであります。また、特別区債と土地開発公社を合わせた借入金につきましても、平成13年度の約657億円から17年度末には579億円、これは決算前の見込みでありますけれども、約78億円減少したわけであります。収入の伸びを大きく上回って基金積立額を増加をして、債務残高を減少させることができたと、これはやはりPDCAサイクルに基づく事業の見直しをはじめとする経営改革の成果によるところだというふうに考えているところであります。また、さまざまな民間の力を活用することによって、サービスを維持向上させながら支出を削減してきたということも経営改革の中で行ってきたことでありまして、当然大きな要因であったと考えているところであります。学校の建てかえをはじめ、将来の財政需要に備えるためにも基金への積み立ては今後とも必要であるというふうに考えているところであります。
 それからやよい幼稚園とみずのとう幼稚園の園児募集に関連してであります。区立幼稚園の幼児総合施設、認定子ども園ということになるわけですが、これへの転換は民間の力を活用するとしているところでありまして、幅広く提案を受けることが可能な民設民営で転換をすることとしているところであります。2007年、平成19年4月入園予定の募集につきましては、2006年、平成18年入園募集と同様に行うこととしております。2008年、平成20年以降は幼児総合施設で実施をいたします保育機能と地域の子育て支援機能の運営に要するスペース等を確保していくために、園児募集するクラス数については、順次縮小することを検討しているところであります。
 それから認定子ども園におきます入所選考その他についての御質問であります。障害のあるお子さんを受け入れている幼稚園については、国や都から一定の助成が行われているところであります。また、所得に応じた負担軽減策として保護者に就園奨励費補助を行っているところであります。これらの支援については、認定子ども園になっても同様であると考えているところであります。また、認定子ども園の認定を受けた保育所の入所選考は、施設で行うことになるということでありますが、保育に欠けるかどうかということについては、施設を通じて区市町村が確認をすることになっているわけであります。施設については、法に従って市区町村が確認をした子どもの入所を正当な理由なく拒むことはできないということでございます。入所希望者数が多数に上る場合についての選考についても、公正な方法により行い、母子家庭や特別な支援を要する家庭の福祉に配慮することなどが規定をされているわけであります。こうした規定が適切に運用されるような区としての配慮、かかわりが必要であるというふうに考えているところであります。それから、利用者の費用負担の問題につきましても、公平性を確保していくような方法を検討していくべきだというふうに考えているところであります。
 認定子ども園については、子育て支援機能を持つ新しい考え方に基づく施設であります。それにふさわしい基準が検討されているというふうに考えているところでありますが、区といたしましても、現行のサービスの水準が下がらないように配慮をしていきたい、こう考えているところであります。
 それから、医療費の問題であります。医療費については、特に小学生が入院した場合の経済的、精神的負担などが重い状況にあるという認識のもとに、子ども医療費助成を制度化したものであります。現在のところ、この制度の定着の状況の把握に努めているところであります。子ども医療費助成の問題等について、東京都も現在検討していると聞いているところであります。区としても、検討していきたいということであります。なお、食事代については、基本的にだれでも日常的に支出する経費でありますので、助成をする考えはありません。
 それから、わかみやクラブについてであります。わかみやクラブは、放課後等に障害のある中・高校生に生活の場を与え、相互の交流や集団活動を行うという事業でありまして、事業として有効な事業ということで考えているところであります。今後とも支援をしてまいります。区としては、本事業について事業実施団体と話し合って、必要な経費につきましては補助をしているということで考えているところであります。なお、この事業については、現在法的な裏付けのない事業として実施をしているわけでありますが、今後障害者自立支援法との関係も含め、どういう方向で展開していけばよいのか、検討をしているところであります。
 私からは以上であります。そのほかはそれぞれの担当の部長の方からお答えをいたします。
    〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 障害者自立支援法にかかわります利用者の実態の把握ということにつきましてお答えいたします。
 本年4月から障害者自立支援法が施行されまして、利用者負担や事業体系などが変更になりました。これによりまして、どのような影響や課題があるかにつきまして、利用者等の実態の把握に努めているところでございます。今後も努力してまいります。
 それから利用者負担の軽減策につきまして御質問がございました。障害者自立支援法は、利用者が利用料と所得に応じた負担をするとともに、国と自治体が責任を持って費用を負担し、必要なサービスを確保充実させ、障害のある人の自立を支えるものでございます。制度の趣旨から利用者にも応分の負担を求めておりまして、自立支援給付につきましては、原則として国の基準により行いたいと考えております。問題とされております通所施設の食費負担につきましては、食事提供コストの削減に向けた経営改善支援といたしまして、民間事業者へ助成を行うとともに、区立施設につきましても同様の考え方で食費単価を下げるということにしたいと考えております。
 それから、地域生活支援事業につきましては、中野区といたしましては、障害者の社会参加を保障するために必要なサービスは原則的に無料で提供し、一定量を超えた分につきましては応能負担としたいと考えております。
 それから新制度での事業者の報酬の減があるということにつきまして、区の補助は考えないかという御質問がございました。施設系のサービスにつきましては、4月からサービスの量に応じた報酬体系に変更されました。施設によりましては収入減となりまして厳しい状況と聞いておりますが、制度変更の影響を適切に把握するには一定期間の運営実態の推移を見ることも必要でございます。事業者それぞれの新しい体系のもとでの経営努力につきましても見守るべきと考えております。今後、区内事業者の状況を把握いたしまして、必要があれば国や都に対しまして制度の改善等につきまして申し入れていきたいと考えております。
     〔総務部長石神正義登壇〕
○総務部長(石神正義) 私からは非常勤保育士の解雇事件の判決についてということで、中野区が一方的に廃止した非常勤保育士につきまして、区がみずからの判断で原告らの職場復帰を認め、訴訟の全面解決を図るべきだ、それについての見解を伺いたいということでの御質問についてお答えさせていただきます。
 この件につきましては、東京地方裁判所で地位確認と請求事件としてこの6月8日に判決の言い渡しがございました。この判決では、原告らの、これは非常勤保育士さんたちですが、この方たちの職につきまして、地方公務員法第3条3項3号に定める特別職である。被告である区との関係は私法上の雇用関係とは異なるという判決でございます。つまり、原告らの任用関係につきましては、公法上の任用関係であり、その任用期間も1年として任用されている以上、原告らが再任用を請求する権利を有することはないという判決でございます。この東京地方裁判所の判断を踏まえまして、非常勤保育士の職は既に廃止されております。そういうことから職場復帰を認めるということはできません。また、東京地方裁判所におきましては、再任用を請求する権利を有しないという今言いましたような判断とは別に、原告らに再任用の期待を抱かせたとする期待権についての侵害は認定してございます。その侵害につきまして、賠償支払い義務が区にあるという判断でございました。しかし、最高裁判所の判例では、任期を定めて任用する職員について、そもそも期待権は認めていないということ、また職の廃止につきましての区の手続については違法な点はない、行財政改革を進めていく上で、必要なものであったことについて東京地方裁判所は何ら考慮していないということから、区は東京高等裁判所に対して控訴をしたところでございます。訴訟は控訴によって現在も継続中でございます。区としては、今後の裁判の推移を見守っていく考え方でございます。
 以上でございます。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 山手通りの問題についての排ガス濃度の表示の御質問がございました。自動車の排出ガスの測定でございますが、換気塔から一たん出て、拡散後に地上付近の濃度と比較すべきものでございまして、直接換気塔の出口での濃度で評価するものではないというふうに認識をしてございます。既に東中野換気塔に近接をいたします環六沿道の東部地域センターでこの測定が行われてございまして、ホームページ等で公表をされているところでございます。したがいまして、新たな設置は必要はないというふうに考えてございます。
 また、高さの問題でございますけれども、将来の想定が不確定な現時点では、将来の換気塔の高さについて話し合うということは考えてございません。
 それから日本閣とJRとの連絡橋の問題でございますけれども、日本閣が計画をしている横断橋について、同社からJRとの協議を進める上で、現段階での中野区としての横断橋設置に対する見解を求められたことから、2月14日付で区の考えを示し、JRとの協議については異存がないというふうに回答をしたところでございます。
 それから日本閣とJRとの協議を認める前に地元商店街に連絡するといったような約束をしたことはございません。また、回答した文書につきましては、区として撤回する考えはなく、日本閣と地元商店街にはきちんとした話し合いをしていただくよう、これまでも強く求めてきたところでございますし、今後ともより一層この点について要請をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(高橋ちあき) 以上で来住和行議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 酒 井 たくや
 1 東中野駅周辺まちづくりについて
 2 区長の施政方針説明とマニフェストについて
 3 その他

○議長(高橋ちあき) 次に、酒井たくや議員。
     〔酒井たくや議員登壇〕
○6番(酒井たくや) 平成18年第2回定例会に当たり、民主クラブを代表し、質問させていただきます。
 まず冒頭に、田中区長は6月11日に執行されましたさきの中野区長選挙におきまして、前回以上の区民の皆様からの御支持をいただき、2期目の再選をされました。決意を新たにより一層の行政改革に取り組まれ、区民福祉の向上に努めていただくことを強く望みます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず1点目に東中野駅周辺のまちづくりについて、2点目に区長の施政方針説明とマニフェストについて、そして3点目にその他といたしまして2点、防犯ブザーと、それから学校再編後に未利用になった校庭の活用についてお尋ねします。重なる部分もございますが、私なりの観点からお尋ねさせていただきたいと思っておりますので、区長並びに理事者におかれましては、誠意あるわかりやすい御答弁をお願いいたします。
 それでは、東中野駅周辺まちづくりについてお尋ねします。
 東中野駅の西側に当たる山手通りについては、現在着々と道路整備が進んでおります。区はこれまで山手通りの拡幅整備にあわせ、東中野駅前広場の整備を進めるとし、また、駅前広場と駅舎との間の線路上空についてもJR東日本と協力し、人工地盤を張るなどの活用を図ると説明してきたところであります。駅周辺に及ぼすであろう影響や事業の規模から見ても、東中野駅周辺まちづくりについては、区にとっても、地域にとっても、大変重要な事柄であると考えますが、今回の区長選における田中区長のマニフェストの中には、東中野駅周辺まちづくりに関しては触れられておりませんでした。しかし、中野区の玄関口にも当たる東中野駅周辺まちづくりは、区としても重要課題であると私は考えております。区長も同じ認識をお持ちであると思っておりますが、いかがでしょうか。お聞かせください。
 一方、東中野駅周辺まちづくりに関し、平成18年度予算では東中野駅周辺まちづくり駅前調査、駅上空活用調査設計等という項目で約1,500万円が予算計上されております。マニフェストの中にはありませんでしたが、どのような調査設計を行うとお考えかお聞かせください。
 先ほど述べさせていただきました山手通りの拡幅整備については、当初、平成18年度末の完成ということでありましたが、首都高速中央環状新宿線の工事の影響もあり、約二、三年ほどおくれる見通しだそうです。こうした関連事業のおくれに伴い、区がかかわる駅前広場整理やJRとの間の上空活用に係る整備スケジュールについてはどのようになっているのかお聞かせください。駅前広場と駅舎との間の線路上空活用に関しては、当初の考えのとおり、東中野駅舎から駅前広場、山手通りへ真っ直ぐ抜けることができるよう人工地盤を設置し、近隣住民の皆さんがより使いやすい東中野駅となり、まちの活性化につながるようJRとの協議も含め、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、東中野駅周辺まちづくりに関して、駅の東側についてはこれまでほとんど話題になりませんでしたが、2年ほど前に、この地域の将来を左右する日本閣の建てかえ計画が持ち上がりました。既にウエディング棟については完成し、結婚式やイベントで営業されておりますが、マンション棟については、中野で初めての超高層マンションの建設ということで、これまで建物予定地の近隣の住民や商店街から反対の動きも出ております。近隣商店街からは高層マンションに導入される大型商業施設についての反対と、東中野駅東口から直接大型商業施設につながる連絡橋、いわゆるデッキでありますが、デッキの設置反対の声も上がっております。区としては、こうした事態の中でこれまでどのように対応し、今後どのような対応、判断していくことになるのかお聞かせください。東中野のまちの活性化にもつながる可能性もあるこうした開発に対し、区として、住民、商店街関係者と当該事業者との間に入るなど、共存共栄していけるようお互いが納得できるような方向性を導き出すための積極的な取り組みをされることを強く要望し、この項の質問を終わります。
 次に、区長の施政方針説明とマニフェストについてお尋ねします。
 先日、北海道の夕張市は負債が500億円を超え、自治体の倒産に当たる財政再建団体の申請をされました。福岡県赤池町以来、14年ぶりの自治体の倒産の事件がありました。自治体運営はどこも本当に厳しい中、施策をあれかこれかを厳しく選択しなければならない状況下であるのは言うまでもありません。今回の区長選では、田中区長だけが唯一マニフェストをお示しされました。財源に根拠もなく、あれもやります、これもやりますと耳ざわりのよい言葉を並べるのではなく、今後4年間で実現できる施策を有権者にしっかりとお約束された田中区長の政治姿勢を評価いたします。首長選においては、今後ますますマニフェストの必要性が迫られると考えますが、区長のマニフェストに対するお考えをお聞かせください。また、前回の公約の達成状況と未達成のものはあるのか、あるのならば、それは今後どのように取り組まれるのかもお聞かせください。
 また、選挙戦のさなか、田中区長をワンマン区長だというふうな形容を耳にしたことがあります。一方で、破綻寸前の中野区の財政が明るい兆しを見せることができたのは、ワンマンではなく、田中区長が強いリーダーシップを発揮され、行政改革に取り組まれたからではないでしょうか。しかし、組織が一丸となっていなければ、強いリーダーシップを発揮することはできず、またトップと部下が相互に信頼していなければ組織は機能しません。ワールドカップを見ておりますと、選手の個々の技術もすばらしいのですが、チームワークの大切さを痛感いたします。区役所という行政の視点から見ると、実際に区民と直接向き合い、前線で一生懸命業務に励んでいらっしゃる職員の皆さんへの敬意とコミュニケーションが重要であると考えます。組織の運営に当たり、区長はどのようなあるべきリーダー像をお持ちなのかお聞かせください。いずれにいたしましても、職員の皆さんとのコミュニケーションを大切にされ、持ち前の強いリーダーシップを発揮し、区政運営に鋭意取り組まれることを望みます。
 次に、基金と2007年問題についてお尋ねします。
 平成16年の金融広報中央委員会の報告によりますと、「無貯蓄世帯」、つまり全く貯金をしていない人の割合は、何と22.9%で、日本全国で約4世帯のうち1世帯は貯蓄をしていないということになります。この数字に少し驚きました。世帯の4分の1は貯金が全くない状況に、何かあったときはどうするんだろうとだれもが感じることだと思います。この貯金が中野区で言うならば基金に当たるのであります。区長が就任時は基金が60億円しかありませんでしたが、平成18年度末で基金が見込み約220億円になるそうです。将来の施設の改修や有事に備えて、基金を積み立てることは行政の責務であると考えますが、区長の基金に対する御見解をお聞かせください。
 今、どこの自治体も財政状況が逼迫している中、頭を抱える問題が2007年度から本格化する団塊の世代の大量退職時の退職手当であります。関東地区の7都県、4政令都市では、来年度以降のピーク時に定年退職職員に支払う11自治体の退職手当総額は、2005年度に比べ2.3倍にもなります。一番多いところは千葉市の3.8倍だそうです。急増する退職手当を賄うため、一般財源に加え、借金である退職手当債の発行を見込む自治体も半数以上に上るそうで、深刻な問題であります。区長は選挙戦の中、基金を160億円積み増しすることができましたとお訴えされておりました。多くの区民の方々も、区の貯金がふえたことは結構なことだ、財政が好転してきているんだ、将来どんな区民サービスに還元されるんだろうと大きな夢と希望を感じたことだと思いますが、その多くをさきに述べました退職手当にあてがわれては区民の皆さんとしてはたまったものではありません。もちろん区民の皆さんのため、長年一生懸命業務に励まれた職員の皆さんに退職手当を支給するのは当然であります。さいたま市では、退職手当に備える退職手当基金を設置しております。中野区におきましても、その基金の使い道に関し、区民の皆さんに示すべきです。ある程度の内訳はお考えであるとお聞きしておりますが、この基金の内訳をお聞かせください。また、職員の大量退職に当たり、今後の退職手当の見通しと区財政全体に与える影響はどのようにお考えでしょうか。
 2007年問題のもう一つの懸念は、企業活動の根幹部分を支えてきた専門的知識や技能を有する人材が一斉に会社を去ることにより、会社固有の技術が喪失するおそれのみならず、企業活動自体が停滞するおそれがあるとされております。中野区においても、今年度末に豊富な行政経験と専門知識を持ったベテラン職員の方が大量に退職されます。それら職員の方々が培ってきた豊富な行政経験や知識をしっかりと引き継いでいくような方策はお考えなのでしょうかお聞かせください。
 次に、中野区長選挙についてお尋ねします。
 今回の中野の区長選挙、投票率が27.73%と中野区長選挙史上2番目の投票率の低さでありました。区長も施政方針の中で憂うべき事態だとおっしゃられました。私も同感であります。低投票率は当日の雨の影響もあったと思いますが、一方で、同日に選挙が行われた埼玉県羽生市は54.79%、石川県珠洲市は84.19%と高投票率でありました。首長単独選挙であったことや、地域性等さまざまな要因があり、一概に比較することはなかなか難しいですが、この低投票率を静観しておくわけにはいきません。選挙期間中に選挙が行われることを周知する広報車、私は選挙中何度か見かけました。選挙があることを知らせるようなスピードで走っているようには感じませんでした。また、ポスターの公営掲示場にいたしましても、一極に集中している例があったり、もしくは公園の奥の奥にあり、なかなかポスターを見てもらえない場所もあったりするような状態でございます。もちろんポスターの掲示場に御協力いただくのに、地域の皆さんの御理解と担当の職員の方々の大変な御努力があったことは存じておりますが、もう一度考え直さなければならないのではないかと史上2番目の低投票率を前に感じました。
 そこでお尋ねしますが、区長はこのような事例と今回の選挙戦の低投票率にどのような御見解をお持ちでしょうか。また、今回自身も選挙戦を戦われた観点から、何かいいアイデアがあればお聞かせください。それについて関係機関と協議の上、働きかけをするお考えはありますでしょうか。あわせてお答えください。
 次に、対話集会であります。田中区長は就任以来、定期的に区民対話集会を開催され、区民の方々と直接対話し、区政への御意見などをお聞きしてきました。しかし、参加者より職員が多かったり、また一部の声を大きくする方のためだけに利用されたりと、本来の目的である多くの区民の皆さんとの直接対話があまりできているようには感じません。今後も続けるに当たり、より一層の創意工夫が必要であります。例えば対話集会を世代別で開催したり、中学校に出向いて子どもたちの純粋な意見を聞くのもいいのではないでしょうか。必ずや将来の区民参加につながると思います。参加者数をふやすための工夫をするべきでありますが、区長のお考えをお聞かせください。
 次に、区長が今回マニフェストでお示しされた中から個別で何点かお尋ねさせていただきます。このマニフェストは、10か年計画を基本とし、これからの4年間で実現できるであろう施策について述べられております。マニフェストの基本的な考え方の中、財源は財政規模の拡大は見込まないとあります。私も同感でありますが、この厳しい財政状況の中、さらなる未収金の回収に努めるなど、歳入の確保の必要があると考えます。そこで、広告収入に関してでありますが、微々たるものかもわかりませんが、少しでも歳入アップにつなげ、区民の皆さんに還元すべきであります。今、さまざまな自治体で広告収入に関し、多種多様な取り組みがなされております。公用車、バス、区役所の玄関マットへの広告、また公共施設に企業名や商品名などをつける権利のネーミングライツなどがあります。収入を生み出すことにより、コスト意識も芽生え、職員の意識改革にもつながると思います。区では、平成14年度より区報や中野区のしおり、ナイセス等の広告収入に取り組まれておりますが、区内の産業振興の観点を念頭に置き、より広告収入がアップするような工夫をされるべきでありますが、いかがでしょうかお聞かせください。
 次に、本庁舎のISO14001の認証取得についてお尋ねします。
 地球環境問題を解決するため、これまでの大量生産、大量消費型の社会システム自体を環境負荷の少ない社会システムに変換する必要があり、そのためにはあらゆる組織が環境への影響を自覚し、絶えず自身の行動を管理していくことは不可欠であります。地球環境問題が社会全体で取り組むべき課題であり、自治体は地域における大事業所であることから、近年、積極的に自治体もこういった認証を取得されております。環境マネジメントシステムとは、簡単に言うと環境に関する経営方針を体系的に実行していくためのシステムで、目的は環境に関する仕事の仕組みをしっかりすることにより、業務の効率向上と環境への影響の最小化を図ることにあります。環境マネジメントシステムの仕様についての国際規格がISO14001です。第三者機関にチェックしてもらい、ISO14001の規格に定められた事項を満たしていると判断された場合、認証を取得することができます。しかし、中小企業などでは取得をしたものの、継続コストに耐えきれず返上したり、逆に業務で使用する紙がふえてしまったりするというのも耳にしたことがあります。板橋や新宿のように先行取得している自治体もありますが、そのような先例に対し、中野区としてどのような効果を期待し、また比較検討してきたのかを含めお尋ねしますが、区のこれまでの環境に対する取り組みとさまざまな自治体が数年前からISOの認証を取得されている中、今回中野がISO14001を取得される意義はどこにあるのかお聞かせください。
 次に、幼児総合施設についてお尋ねします。
 区内に4園ある区立幼稚園のうち、みずのとう幼稚園とやよい幼稚園を保育園と幼稚園の機能を持った幼児総合施設に民営化し、転換することに当たりまして、私も所属しております文教委員会では、さまざまな議論がなされました。2園が19年度の園児の募集停止をすることなく、民間の幼児総合施設に転換されることが教育委員会でお示しされたことは、大変喜ばしいことでございます。少子化が進行し、兄弟や子どもの数の減少による同年齢、異年齢と育つ環境が少なくなり、地域コミュニティの低下による子どもを地域で育てることの困難さ、また女性の社会進出や就業形態をはじめとするライフスタイルの多様化などにより、子どもと親を取り巻く社会環境が激変しております。子どもは家庭で育てるべきだと考えますが、そういった時代の中、保護者の就労の有無にかかわらず、多種多様な幼児教育、保育のニーズが今世の中で求められているのかもしれません。マニフェストでは、幼児総合施設を地域で順次展開しますとお示しされております。文教委員会においては、ひがしなかの幼稚園とかみさぎ幼稚園に関しては当面は残していくと御答弁ありましたが、このあたりの整合性はどのようにお考えなのかお聞かせください。
 認定子ども園の法案がさきの国会で成立しました。同じ子ども園でも、4種類の形態があります。非常に幅が広いものだなと感じたのでありますが、区立保育園に関しても、こういった認定子ども園に転換できる可能性もあります。幼児総合施設を地域で順次展開というのならば、こういったことも視野に入れているような感があり、長期的なことでなかなかお答えしづらいかもわかりませんが、今後の展望もお聞かせください。
 次に、教育人材のレベルアップと多様化についてであります。日本の将来を担う子どもたちの教育の問題は最重要課題であります。日本は今までその時代の中で教育を大切にし、力を注いできました。その結果、数年前までは日本の子どもたちの学力は世界のトップレベルであり、大きな効果をもたらしておりました。しかし、現在は、学力低下への懸念、教員の資質、土曜日の過ごし方など、多様な問題が存在し、教育の抜本的な改革が求められております。マニフェストの中には、教員や校長など学校教育スタッフへの公募制の実施とありました。2000年4月の学校教育法施行規則の改正で、教員免許を持たない人でも公立学校長に採用できるようになり、さまざまな自治体におきましても民間人校長の任用が行われており、今では全国で103名の民間人校長がいらっしゃいます。都内23区では足立区とお隣の杉並区が取り入れております。閉ざされた感のある学校現場に、民間の方が入ることにより、経営者の観点から学校経営に取り組まれ、学校全体の意識改革にもつながるはずです。この民間人校長の制度は、全国的に高校に導入されているケースが多いのですが、中野区で行うとなると、当たり前ではありますが、区立の小学校か中学校になります。子どもの心身の発達上、重要な時期にあることなどから、都立高校に民間人校長を採用する場合と比べて、より慎重な対応も必要であると考えます、この校長公募については、どのようにお考えなのかお聞かせください。
 広島県尾道市の民間人校長が自殺されたのは記憶に新しいものです。また、大阪でも民間人校長が任期を残し辞任された事例があります。現場にはさまざまな問題が渦巻いており、情熱だけでは務まらない心配もあり、事前の研修制度や支援体制の整備に慎重を期し、取り組まなければならないと考えます。こういったことは現在どのようにお考えかお聞かせください。また、校長公募に関しては、いつごろ実施されるおつもりなのか、今後の展望もあわせてお聞かせください。
 今、さまざまな民の力の活用が行われ、教育の現場にも民の力が導入されております。もちろん民間活用を否定することではありませんが、何でも民間、民間と――そうではなく、現在の制度の抜本的な見直しをまずはやってからだと思います。教育委員会といたしましても、御努力されているのも存じておりますが、教員の質の問題が言われております。例えば現在の教員への研修制度でありますが、民間企業等の体験なども盛り込まれておりますが、初任者研修と10年経験者研修しかございません。新任時に民間研修をされても、ついこの間までは大学生であって、学生時代はおそらくアルバイトもしていたでしょうから、民間に対する意識につながりません。むしろベテラン教師のように、閉ざされた学校現場に慣れてしまった状態のときでなければ、効果がないのではないのでしょうか。まず、現在ある研修制度の改善や充実を図るなどの教育・教員の質の向上に取り組むべきでもあると考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
 次に、市場化テストについてお尋ねします。
 市場化テストとは、官民競争入札とも呼ばれており、さまざまな公共サービスについて官と民間がコストやサービスの品質両面で競い合い、すぐれた方が落札するという仕組みであります。コストも人員の削減などの効果と民間と競い合うことによる職員の意識改革も期待できます。競争入札の結果次第で、官か民間かのいずれかがその事業を実施するかが決まる点が民営化や民間委託と少し異なるところであります。市場化テストは、現在国の考えでは、戸籍謄本、納税証明書、外国人登録、住民票、戸籍の附票、印鑑登録の六つの窓口業務が対象となっております。これら6業務は、個人情報そのものであり、細心の注意を払わなければなりません。また、コストや品質を公平かつ適正に評価できる仕組みと対象分野の選定、そして行政内部のコスト把握が非常に重要でありますが、現在はどのようにお考えかお聞かせください。あわせて、対象である六つ以外の業務にも拡大されるのかもお答えください。例えば市場化テスト導入により、業務を委託する中、人件費と物件費で経費がよりかさむ可能性もあり、職員2,000人体制への移行とこれをバランスをよくやっていくことが非常に重要であります。こういった点はどのようにお考えかお聞かせください。
 市場化テストの導入は、人員の適正化と民間活力の導入のための過渡期だとするならば、一時的な人員の飽和や財政支出の増大も考えられると思います。もちろん保育園、図書館、体育館、学校警備等、今まで中野区ではさまざまな民間活力の活用がなされ、経費が節減され、区民サービスは向上するという大きな効果は言うまでもありません。この官から民への流れは、推進していくべきだと考えますが、今こそ公の役割、行政の仕事はどうあるべきか、民間の力を最大限活用するとともに、どこまでが公のやるべき仕事なのかをしっかりと示す必要があります。区長のお考えをお聞かせください。
 次に、副区長制度についてお伺いします。
 地方の自主性を高めるため、都道府県の副知事と出納長、市町村の助役と収入役を廃止し、政策執行の権限を強化した新たな副知事・副市長村長制を設けることができる改正地方自治法が31日の参議院本会議で可決成立いたしました。一部を除き、2007年4月から施行ということであります。区長のマニフェストには、2人の特別職プラス2人の部長を3人の副区長制度にする経営本部体制とありました。助役、収入役を廃止し、政策・経営担当、予算・財務担当、会計・評価担当の3副区長が権限を持って組織を指揮する経営本部体制を構築するとありました。特別職が2人から3人になることは、職員2,000人体制で小さな区役所を目指してやっている中、職員、区民の皆さんから理解を得られないのではないでしょうか。改正された法律には、副区長の定数が定められておりません。すなわち一人でも可能なわけだと思います。5万人以下の自治体では、収入役を廃止する動きがあったり、当区では職員2,000人体制により職員の皆さんの仕事量も増加しております。そういった中、3人の副区長制度は時代に逆行しているような感じがしてなりません。政策・経営担当、予算・財務担当、会計・評価担当の3人の副区長を設置する目的はどこにあるのかお聞かせください。また、給与体系、民間からの登用なども考えているのか、こちらもあわせてお答えください。
 この項の質問を終わります。
 次に、その他といたしまして、2点お尋ねさせていただきます。
 まず1点目、防犯ブザーについてお尋ねします。一昔前では考えられないような子どもがねらわれる痛ましい事件が後を絶ちません。このような状況の中で、我が子が犯罪や事故に巻き込まれるのではと不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。中野区では、子どもたちの安全を守るため、平成16年度より防犯ブザーを支給しております。先日、我が会派の佐伯議員が、小学校で行われたセーフティー教室に参加したときのことであります。警察の方が子どもたちに、防犯ブザーを忘れた子、または防犯ブザーが故障している子はと尋ねたとき、7割程度の子どもたちが手を上げました。もちろん防犯ブザーを使うときなどないことが望ましいのでありますが、多くの子どもたちが携帯していない現状は非常に残念でなりません。また、中学生が防犯ブザーを携帯しているのも、ほとんど見たことがありません。せっかく支給した防犯ブザーもこれでは役に立ちません。
 そこでお尋ねさせていただきますが、子どもたちが防犯ブザーを携帯しているかどうかの把握は今までしていたのでしょうか。防犯ブザーを持っていればというふうな最悪の事態にならないためにも、もう一度しっかり携帯するように指導、徹底をやっていただきたいと思いますが、お答えください。小学生はランドセルの横に防犯ブザーをつけておりますが、それでは何かあったとき、瞬時に鳴らすことができないのではないでしょうか。持ち方の工夫等も指導していただきたいと思いますが、お答えください。また、防犯ブザーの音を知らない方も多々いらっしゃいます。防犯ブザーが鳴っていても、何か鳴っているなと、子どもたちからのSOSに気づかない場合もあるかもしれません。防犯ブザーの音を地域の集まりやCTNなどで周知をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうかお聞かせください。
 次に、その他の2点目といたしまして、学校再編後の廃校になった学校の校庭についてお尋ねします。
 学校は、子どもたちの学び舎だけではなく、地域の催しごとや防災活動の拠点、スポーツ振興など、さまざまな形で地域のコミュニティの核として地域社会と密接に結びついております。しかし、近年の少子化の影響などによる学校の小規模化、老朽化した施設の改修等のさまざまな理由から、よりよい環境づくりのために学校再編が計画されました。
 東中野小学校を例に出しますと、中野昭和小学校と統合し、平成21年4月から中野昭和小学校のところに統合新校を開校します。再編後の東中野小学校は、民間の小規模多機能型の福祉施設ができると10か年計画でお示しされております。地域の方々も、学校の再編により子どもたちにとってよりよい環境ができることは御理解されておりますが、長年、さまざまな地域行事が行われてきた校庭を使用することができなくなるのではと大変心配されております。
 そこでお尋ねしますが、東中野小学校だけではなく、再編により未利用となる学校の校庭の活用に関しては、今後も災害時の避難場所や地域コミュニティの核となるよう区民の皆さんのため活用されるというお考えなのかお聞かせください。
 以上で私のすべての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 酒井議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、東中野駅周辺のまちづくりについてでございます。東中野駅周辺のまちづくりについて、マニフェストの中では記述をされていないということでありましたけれども、マニフェストのもとになっております10か年計画では明確に位置付けているわけであります。また、西口の広場の関連で言いますと、環六の拡幅整備などとの関連もあるわけでありまして、必ずしも時期の特定ということが着実にしにくいというようなこともあったことを御考慮いただければと思っております。東中野駅前広場や駅舎との間の空間を活用していくといったようなことも含めて、大変重要な課題として取り組んでいきたいというふうに思っております。東中野駅周辺のまちづくり調査につきましては、首都高速中央環状新宿線、それから環六拡幅整備など、公共基盤の整備が進められていく状況の中で、駅前の広場の整備が予定をされている西口をはじめとしまして、東口なども含めて駅周辺の将来像を描くための基礎調査を行うというものであります。上空活用調査、これは西口の広場と駅舎を結ぶ線路の上のことでありますけれども、駅前広場と駅舎を結ぶ自由通路を整備することと、この区間の立体的利用にかかわる検討のための調査を行うというものであります。
 西口広場については、人工地盤を設置して、より有効に活用するべきだということであります。また、駅前広場と西口をつなげるということであります。駅前広場と駅舎を結ぶ間には、人工地盤を設置した上で、区民の利便性に配慮しながら、一定規模の自由通路を開設する方向でJRと協議を進めていくこととしております。駅前広場及び駅舎との間の活用、駅舎と広場の間の空間の活用によります自由通路については、環六の拡幅整備等に引き続いて整備をしていくこととしているところでありまして、こうしたスケジュールなども含めて今後も関係機関と協議を進めていきたいと考えているところであります。
 それから、東口の大型商業施設、日本閣の建設している建物と、それから駅側とをつなぐ横断橋に対する問題についてであります。区といたしましては、日本閣、それから商店街等のそれぞれに対しましてお互いに話し合いを重ね、理解を図るように要請をしてきているところであります。今後とも双方に協議を深めていただくということが第一と考えておりますので、そのことを促していきたいというふうに考えております。また、区といたしましては、地域の安全でありますとか、区民生活の向上、地域全体の産業振興、活力の向上といったような観点から、区としてもかかわっていきたいというふうに考えているところであります。
 それから、マニフェストについての考え方であります。自治体の4年間の経営を選択をするに当たって、首長の選挙に立候補する候補者が、マニフェストという形で実行可能な政策を達成期限や財源の裏付けなどを示しながら区民に選択肢として示すということが非常に大切だというふうに考えているところでありまして、今回もそうした形で、私自身は候補者としてそういうマニフェストを作成をしたというところでございます。また、こうしたマニフェスト型選挙が行われていくべきだというふうに考えたところから、選挙前には、区の仕組みとして、私も含めてあらゆる候補予定者がマニフェストを作成しやすいように、マニフェストを作成するための情報提供の仕組みも整えたところでありました。
 1期目の政策、公約として掲げた政策の項目についてでありますが、100%近く実現、または着手できたというふうに考えているところであります。未達成となっている項目としては、女性のための民間シェルターの設置支援、あるいは在住外国人の生活支援ネットワークづくりといった項目があったわけでありますが、こうした内容について、項目で掲げたことだけではなく、課題そのものについてはさまざまな形で取り組みを進めているところであります。今後、区政の目標全体を実現していこうという中で、こうした課題についても時代に即した形で前進させるように取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。
 それから、区長のリーダーシップについてでありますが、区長は区民から信託を受けた自治体のリーダーとして、明確な目標と経営理念を内外に示すべきだと考えているところであります。組織内にありましては、目標設定や事業計画の策定の過程では、十分に議論を尽くすことが大切だと考えております。十分に議論を尽くし、そしてそれが決まって、実行に当たっては全員一丸となって力を発揮できる組織をつくっていく、このことがリーダーとしての役割だというふうに考えているわけであります。そのために日ごろから意思疎通を図り、職員全体との相互の信頼関係を築いていくことが大切だというふうに考えているわけであります。
 それから、基金についての幾つかの御質問であります。財政運営に当たっては、個々の年度の収支の均衡のみならず、減価償却や退職金の引き当て、または将来的な投資計画など、中・長期的な見地からその健全性の確保に努めなければならないわけであります。基金には、財源の年度間調整の機能がありまして、持続可能な財政運営を行うために、これを積極的に活用していかなければならないというふうに認識をしているところであります。
 基金の内容というか、基金の想定している積み立てた基金の内訳ということであります。現時点では、18年度末の基金総額を220億円余りと見込んでいるところであります。この主な内訳といたしましては、減債基金が43億円、それから義務教育施設整備基金が25億円、道路公園整備基金が2億円、まちづくり基金が1億円、その他災害対策や社会福祉施設整備などの特定目的基金が26億円ということになっております。残りの123億円が財政調整基金であります。区としては、この財政調整基金の内容にさらに一定の使い道を想定しているところでありまして、財政調整基金のうち、収入の増減などにあわせての年度間調整分が54億円であります。また、施設改修分としては33億円を見込んでおります。また、退職手当分としては36億円を見込んでいるところであります。こうした基金を効果的に使いながら、安定的な財政運営をしていかなければならないということで、さらに基金の積み立ても必要になってくるということだと考えております。また、退職手当に充当する分につきましては、平成15年度から積み立てをしてきたものでありまして、退職者が増加をいたします平成19年度以降も、区財政に与える影響というのは回避できる状況にあるというふうに考えております。
 それから団塊の世代の職員の退職によりますノウハウをどうやって伝えていくかというような問題であります。中野区において、団塊の世代と呼ばれる昭和22年から昭和24年生まれの職員は、約300人いるわけでありまして、この人たちが平成19年度の末から平成21年度の末までに順次定年退職を迎えていくわけであります。それに加えて、これ以降も毎年100人前後の定年退職者が続いていくことになっております。こうした職員の退職によりまして、区民サービスの低下を招かないように、各事業部における専門性の向上を目指すために豊富な知識経験を持つベテラン職員が能力が発揮できるような配置を行い、そこで経験の少ない職員に対するOJT、職務執行上における指導訓練ですけれども、OJTや部内研修を進めて、知識の共有でありますとか、経験の伝承を図っていこうということに努めているところでございます。
 さらに時代の変化というものが激しいということもありまして、適切な知識経験の継承に加えて、新たな知識や専門性を身につけられるような自己開発の仕組みも強化をしていくことが必要であります。職員が生涯にわたって意欲を持って成長し続けられる職場環境をつくっていくということが大切であり、そのことによって区の仕事の質を高め、区民により高い価値を提供する区役所となることにつながっていくようにしたいと考えているところであります。
 それから、選挙の投票率についての御質問もありました。投票率が低いということで、大変憂うべき事態だということを繰り返し申し上げているところであります。投票率をどうやったら高められるかということについては、候補者であった個人として、個人的に考えることは幾つかあるわけであります。例えば先ほどのマニフェストといったようなものについて、候補者の政策を適切に有権者の方にお伝えする手段というものが十分に確保できているんだろうか。あるいは候補者同士の政策の議論というようなことがきちんと区民の皆さんに理解していただけるような形でできているんだろうかといったようなことについても、改善するべき制度的な余地はあるのかといったような個人的な感想は持っているわけでありますが、なかなか公職選挙法の問題にもかかわるということで、直接区として、区長として何かできるかというようなことについては難しい面もあるかなというふうに思っております。いずれにしましても、これまでも何度か申し上げてきましたけれども、選挙の投票率を上げるということは、すなわち区民の区政に対する関心を高めていくというのが区長としては本筋であるというふうに考えているところでありまして、区からの情報発信とか、区民の参加の受けとめといったようなことについて、一層工夫をしていきたいというふうに思っております。
 それからお話のありましたポスター掲示場のこととか、それから候補者のこととか、選挙管理委員会としても工夫をしてくれるというようなことも望んでいるというところでございます。
 対話集会についての御質問もありました。対話集会については、御指摘にもあったように、参加者の数にばらつきがあったりというようなこともあるわけでありますが、どなたでも参加していただける参加の受けとめの機会として、やはりこれは重視をしていきたいというふうに思っております。一方で、大勢の方に参加していただいたり、関心を持っていただくための工夫もやはり必要だというふうに考えているわけでありまして、世代別の開催とか、あるいは中学校に出向くといったような御提案なども含めて、参加者層の拡大を図るような工夫、PRに努めていきたいというふうに考えているところであります。
 それから広告収入の積極的な取り入れについてであります。中野区報、ないせすなどの刊行物への広告の掲載によって、今年度は約1,200万円の広告収入を見込んでいるところであります。広告は区内産業の育成という観点もあるということでありまして、刊行物等への広告掲載を積極的に行って、広告収入の増加と区民への還元を図っていきたいというふうに考えております。
 それから、ISOの認証取得についての御質問であります。区といたしましては、新しい中野をつくる10か年計画において、地球温暖化防止を重要な戦略として位置付けております。その実現のための取り組みの一つとして、本庁舎におけるISO14001シリーズの認証取得を示しているところであります。この先行して認証取得をした事例の中には、取り組みの持続性でありますとか、実効性が必ずしも十分でない例もあるというふうに聞いてもいるところであります。しかしながら、2004年に規格が改定をされまして、その改定では、事業全体を環境の視点からマネジメントするという方向が明確になったということであります。そういう意味で認証の実効性も高まるという期待を持っているところであります。この規格改定後の認証取得については、23区の中では中野区が初めてとなるわけであります。この認証取得は、マネジメントシステム、環境のみならず、区政全般のマネジメントシステムの構築と密接に関係もあるということでありまして、区の経営革新の視点からも取り組む意義が大きいというふうに考えているところであります。
 それから区立幼稚園の将来の展望についてであります。10か年計画では、やよい幼稚園とみずのとう幼稚園の2園を民間活力を生かして幼児総合施設へ転換することとしているわけであります。残る2園につきましては、幼児教育保育のニーズ等を踏まえて、先行2園の成果を見ながら検討してまいりたいというふうに思っております。
 それから区立保育園の認定子ども園への転換をどう考えるかということであります。区立保育園の認定子ども園の転換については、まず保育需要への対応というものを十分に行うということが必要でありますので、その対応をしっかりと行った上での付加価値として、さらに幅広い子育て支援への対応を充実をしながら、民間活力を活用する形で可能なところについて進めていくといった方向での検討を進めていきたいというふうに考えております。
 それから校長等への公募ということについての御質問がありました。教育に関する知識、技能、柔軟な発想、企画力、組織運営など、すぐれた能力と意欲を持つ人材を得る、このことが大変重要でありまして、そのことによって、組織的、機動的な学校運営や学校の活性化につながるというふうに考えているところであります。しかしながら、この公募制については、私が候補者としてのマニフェストに掲げたという段階でありまして、区として、あるいは教育委員会としての意思決定までには必要な検討と手続を経ていかなければならないわけであります。特に公募制については、現場での抵抗感というのでしょうか、問題意識もかなりあるようでありますので、そうした学校教育スタッフの公募制の実施について、今後教育委員会ともよく協議をしながら検討を深めていきたいというふうに考えているところであります。
 それから、教員への民間派遣研修の充実をということであります。民間のノウハウを学んで視野を広げるということで、民間企業等への派遣の研修といったようなことについても、教員の資質と指導力向上のために充実を図っていきたいというふうに考えております。
 それから、市場化テストについてであります。市場化テストにおきましては、その対象とする業務の抽出とコスト把握が大変重要となってきます。対象業務については、国が示しております6業務に限定することなく、可能な業務を幅広く考えていきたいと考えております。内部のコスト把握が重要だというのも御質問の中でありましたが、そのとおりでありまして、業務プロセス分析、これを昨年度行ったわけでありますけれども、そうした分析の成果なども踏まえながら、公正、適切なコストの算出方法といったようなことも区として確立をしていきたいというふうに考えております。
 それから職員2,000人体制とのバランスということでの御質問もありました。10年後の職員2,000人体制というのは、現状の体制に比べまして、かなりの少人数化であります。仮に市場化テスト等を進めていって、一時的に過員が出たとしても、中期的には十分に均衡させられるものというふうに考えているところであります。
 公の役割、行政の仕事はどうあるべきかということでありますが、公共のサービスはすべて公務員が行うという時代は終わったと考えているわけであります。民間にできることはすべて民間にというのが基本だと考えております。行政としては社会制度の設計や法秩序の維持、あるいはセーフティーネットの構築など、行政が行政にしかできないことに集中をして、区民の暮らしを守っていくという立場に徹していくべきだというふうに考えております。
 それから、副区長制についてであります。マニフェストの中で示してあります副区長制についてでありますが、地方分権の推進による地方自治体の自主性、自立性の拡大の中で、自治体そのものの経営機能の強化が大きな課題となっているわけであります。今回の地方自治法の改正も、自治体がみずからの判断で適切なトップマネジメント体制が構築できるように、新たに副区市長村長の制度を設けたというところであります。副区長などがみずからの権限と責任において事務の処理ができる仕組みが導入されたということであります。今回お示しをしております副区長制という考え方についても、事業部制を効果的に機能させて、目標と成果による区政運営を着実に推進をしていくために、区の経営機能を強化しようとしているものであります。職員2,000人体制をつくっていくという中では、区の機能も大きく変化をしてまいります。行政が持っている機能がさまざまなマネジメント力、あるいは政策の設計、そうした形で大きく変化をしていく中で、こうした仕組みによります経営機能の強化は欠かせないというふうに考えているわけであります。現在の助役制度については、主に区長の補佐をその役割としているところでありまして、事務執行の権限を有しているわけではないわけであります。また収入役については、今回の自治法の改正では、特別職としては廃止されたというわけであります。新たに考えております副区長という考え方については、それぞれが権限と責任を持って計画、財務に関すること、それから政策と経営実施に関すること、会計と評価に関することという経営サイクルのそれぞれの段階できちんと責任と権限を持って当たるということを考えているところであります。
 それから民間登用、給与体系等については、人材の登用については幅広く行っていくということであります。また、報酬については、現在の特別職の報酬の考え方を踏まえて、特別職報酬等審議会に諮問しながら判断するべきものというふうに考えているところであります。
 それから学校再編後の学校跡地の活用についてでありますが、学校跡地については、主な導入施設を中心に検討してきたという段階であります。整備される施設の内容によっても異なるわけでありますが、どういう施設にいたしましても、それぞれの施設が地域コミュニティに貢献することが必要だというふうに考えているわけであります。地域の防災拠点としての機能についても、地域全体の状況を踏まえて考えていかなければならないというふうに考えているところであります。
 私からは以上であります。その他につきましては、関係の部長の方から御答弁をいたします。
  〔教育委員会事務局次長金野晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野晃) 防犯ブザーについての御質問にお答えいたします。
 防犯ブザーは学校では常に携帯するように指導しているところでございますが、教育委員会として所持状況の調査はしておりません。ただ、現場の状況を聞きますと、十分な携帯状況ではないというように受けとめております。そこで、防犯ブザーの携帯についての指導でございますが、児童・生徒の防犯ブザーの携帯につきましては、セーフティー教室ですとか、安全指導講習会等で携帯するよう指導を図っております。今後、携帯の指導を徹底していきたいというように思っております。
 また、携帯ブザーの持ち方についてもお尋ねがございました。このブザーは不審者から身を守る一つの道具でございますので、危険なときに一番使いやすいところにつけることが望ましいと考えております。緊急時に使いやすいよう指導していきたいと思います。
 また、防犯ブザーの音の周知についてのお尋ねがございました。今、学校では、セーフティー教室に参加した地域の人、あるいは保護者の前で防犯ブザーの音を聞いてもらうようにしているほか、地域の防犯団体にもブザーを配布しておりますので、そうしたことを通じて音を聞いてもらうようにしております。ただ、これだけでは十分とは考えておりませんので、防犯ブザーの音が地域で周知が図られるよう学校とも協議して、さらに工夫してまいりたいと思います。
○議長(高橋ちあき) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。
 議事の都合により本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高橋ちあき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、7月3日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。 本日はこれをもって延会いたします。
      午後5時09分延会