平成20年06月04日中野区議会本会議(第2回定例会)
平成20年06月04日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録
平成20年第2回定例会本会議第1日(6月4日) 1.平成20年(2008年)6月4日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(40名)
  1番  内  川  和  久        2番  ひぐち   和  正
  3番  白  井  秀  史        4番  平  山  英  明
  5番  つぼい   え  み        6番  いながき  じゅん子
  7番  林     まさみ         8番  山  口  かおり
  9番  せきと      進       10番  いでい   良  輔
 11番  伊  東  しんじ        12番  佐  野  れいじ
 13番  北  原  ともあき       14番  南     かつひこ
 15番  小  林  秀  明       16番  の  づ  恵  子
 17番  奥  田  けんじ        18番  近  藤  さえ子
 19番  牛  崎  のり子        20番    欠  員
 21番  吉  原     宏       22番  大  内  しんご
 23番  伊  藤  正  信       24番  きたごう  秀  文
 25番  久  保  り  か       26番  やながわ  妙  子 
 27番  酒  井  たくや        28番  佐  伯  利  昭 
 29番  むとう   有  子       30番  長  沢  和  彦
 31番  か  せ  次  郎       32番  山  崎  芳  夫
 33番  斉  藤  金  造       34番  篠     国  昭
 35番  市  川  みのる        36番  岡  本  いさお
 37番  飯  島  謹  一       38番  江  口  済三郎
 39番    欠  員           40番  佐  藤  ひろこ
 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      副区長(経営室) 石 神 正 義
 副区長(管理会計室) 沼 口 昌 弘    副区長(政策室) 西 岡 誠 治
 教  育  長  菅 野 泰 一      区民生活部長   大 沼   弘
 子ども家庭部長  田 辺 裕 子      保健福祉部長   金 野   晃
 保 健 所 長  浦 山 京 子      都市整備部長   石 井 正 行
 拠点まちづくり推進室長 佐 藤 幸 一   教育委員会事務局次長 竹 内 沖 司
 計画財務担当課長  長 田 久 雄     経営担当参事   川 崎   亨
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    奈 良 浩 二
 議事調査担当係長 大 谷 良 二      書     記  荒 井   勉
 書     記  永 田 純 一      書     記  河 村 孝 雄
 書     記  菅 野 多身子      書     記  松 本 明 彦
 書     記  丸 尾 明 美      書     記  鳥 居   誠
 書     記  土 屋 佳代子      書     記  杉 本 兼太郎
 書     記  岡 田 浩 二      書     記  竹 内 賢 三

議事日程(平成20年(2008年)6月4日午後1時開議)
日程第1 第47号議案 平成20年度中野区一般会計補正予算

      午後1時00分開会
○議長(市川みのる) ただいまから平成20年第2回中野区議会定例会を開会いたします。
 本日の会議を開きます。
 会議録署名員は、会議規則第121条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。6番いながきじゅん子議員、37番飯島謹一議員にお願いいたします。
 次に、会期についてお諮りいたします。
 本定例会の会期は、本日から6月17日までの14日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(市川みのる) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 この際、申し上げます。本定例会の会期中、略装を許します。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでございますので、さよう御了承願います。
 この際、申し上げます。平成20年4月1日付をもちまして、お手元に配付の文書のとおり、本会議参与に人事異動がありましたので、御報告いたします。

   本会議参与の人事異動

  平成20年(2008年)4月1日
発 令     氏 名 旧 
拠点まちづくり推進室長 佐藤 幸一 都市整備部建築担当参事 
経営担当参事 川崎 亨 経営担当課長 

○議長(市川みのる) それでは、新たに本会議参与に就任されました佐藤幸一拠点まちづくり推進室長を御紹介申し上げます。
 〔拠点まちづくり推進室長佐藤幸一登壇〕
○拠点まちづくり推進室長(佐藤幸一) ただいま御紹介いただきました拠点まちづくり推進室長の佐藤幸一でございます。議員の皆様の御指導をいただきながら職責を果たしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(市川みのる) 以上で紹介を終わります。
 次に、平成20年4月1日付をもちまして、お手元に配付の文書のとおり、委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。
  人 事 異 動 表
発令年月日 平成20年4月1日
【部長級】
区長発令        発令権者  中野区長  田中 大輔
発   令 氏  名 備考
経営室経営担当参事 川 崎  亨 経営室経営担当課長(統括課長) 昇任
経営室財産管理担当参事 谷 村 秀 樹 拠点まちづくり推進室長  
会計管理者 榎 本 良 男 子ども家庭部経営担当参事  
区民生活部環境と暮らし担当参事 (区民生活部ごみ減量・清掃事業担当参事 橋本 美文 兼務)  
保健福祉部健康推進担当参事 尾 﨑  孝 保健福祉部健康・高齢担当参事  
拠点まちづくり推進室長 佐 藤 幸 一 都市整備部建築担当参事  

選挙管理委員会発令   発令権者  中野区選挙管理委員会委員長 小池 博 
発   令 氏 名 備考
選挙管理委員会事務局長 奥 山  功 区民生活部戸籍住民担当参事  

代表監査委員発令    発令権者  中野区代表監査委員 本橋 一夫 
発   令 氏 名 備考
監査事務局長 服 部 敏 信 区民生活部経営担当参事  

【統括課長】
 
区長発令       発令権者   中野区長   田中 大輔    
発   令 氏  名 備考
管理会計室評価改善担当課長(統括課長) 田 中 政 之 管理会計室評価・改善推進担当課長(統括課長)  
区民生活部経営担当課長(統括課長) 遠 藤 由紀夫 区民生活部中部地域担当課長
(統括課長)
 
区民生活部里・まち連携推進担当課長(統括課長) (区民生活部経営担当課長(統括課長)遠藤 由紀夫 兼務)  
区民生活部戸籍住民担当課長(統括課長) 今  恵 里 保健福祉部介護保険担当課長
(統括課長)
 
子ども家庭部経営担当課長(統括課長) 瀬 田 敏 幸 保健福祉部生活援護担当課長
(統括課長)
 
子ども家庭部育成活動支援担当課長(統括課長) (子ども家庭部経営担当課長(統括課長)瀬田 敏幸 兼務)  
子ども家庭部男女平等担当課長(統括課長) (子ども家庭部経営担当課長(統括課長)瀬田 敏幸 兼務)  
保健福祉部介護保険担当課長(統括課長) 飯 塚 太 郎 保健福祉部生活衛生担当課長
(統括課長)
 

【課長級】 
区長発令       発令権者   中野区長   田中 大輔   
発   令 氏  名 備考
政策室基本計画担当課長 (政策室特命担当課長 髙橋 信一 兼務)  
政策室区民の声担当課長 小 田 史 子 政策室区民自治推進担当課長  
政策室情報政策担当課長 平 田 祐 子 政策室情報計画担当係長(総括係長) 昇任
政策室情報化推進担当課長 藤 井 康 弘 子ども家庭部保育園・幼稚園担当課長  
政策室特命担当課長 髙 橋 信 一 区議会事務局次長  
政策室特命推進担当課長 (政策室特命担当課長 髙橋 信一 兼務)  
経営室広報担当課長 戸 辺  眞 区民生活部北地域担当課長  
経営室健康管理担当課長 村 田  宏 (再任用新規採用)  
管理会計室経営分析担当課長 相 澤 明 郎 管理会計室経営分析・公会計改革担当課長  
区民生活部中部地域担当課長 吉 村 恒 治 子ども家庭部地域子ども施設連携担当課長  
区民生活部北地域担当課長 伊 藤 政 子 保健福祉部介護制度運営担当係長(総括係長) 昇任
子ども家庭部子育て支援担当課長 浅 野  昭 経営室報道・秘書担当課長  
子ども家庭支援センター所長 (子ども家庭部子育て支援担当課長 浅野 昭 兼務)  
子ども家庭部保育園・幼稚園担当課長 白 土  純 政策室情報化推進担当課長  
幼児研究センター所長 (子ども家庭部保育園・幼稚園担当課長 白土 純 兼務)  
子ども家庭部幼児教育担当課長 (子ども家庭部保育園・幼稚園担当課長 白土 純 兼務)  
子ども家庭部地域子ども家庭支援センター担当課長 野 村 建 樹 子ども家庭部子ども育成担当課長  
子ども家庭部地域子ども施設連携担当課長 (子ども家庭部子育て支援担当課長 浅野 昭 兼務)  
保健福祉部生活衛生担当課長 古 屋  勉 北部保健福祉センター支えあい支援担当係長(総括係長) 昇任
保健福祉部福祉推進担当課長 伊 東 知 秀 管理会計室特命担当課長  
南部保健福祉センター所長 高 里 紀 子 文京区保健衛生部・文京保健所小石川保健サービスセンター所長  転入

 
鷺宮保健福祉センター所長 大 石  修 東京都福祉保健局保健政策部副参事 転入
保健福祉部生活援護担当課長 黒 田 玲 子 保健福祉部企画調整担当係長(総括係長) 昇任
都市整備部都市計画調整担当課長 田 中 正 弥 ( 任期付新規採用 )  
都市整備部北部地域まちづくり担当課長 萩 原 清 志 東京都都市整備局市街地整備部再開発課課長補佐(事業調整係長) 転入・昇任 
都市整備部西武新宿線沿線まちづくり担当課長 (都市整備部北部地域まちづくり担当課長 萩原 清志 兼務)  
都市整備部建築担当課長 豊 川 士 朗 経営室財産管理担当課長  
都市整備部建築行政担当課長 (都市整備部建築担当課長 豊川 士朗 兼務)
 
 
拠点まちづくり推進室拠点まちづくり担当課長 松 前 友香子 拠点まちづくり推進室中野駅周辺整備担当課長  
拠点まちづくり推進室中野駅周辺整備担当課長 (拠点まちづくり推進室拠点まちづくり担当課長
 松前 友香子 兼務)
 

教育委員会発令     発令権者   中野区教育委員会 
発   令 氏  名 備考
教育委員会事務局学校再編担当課長 青 山 敬一郎 教育委員会事務局教育改革担当課長  
みずのとう幼稚園副園長 若 槻 容 子 みずのとう幼稚園 昇任

議長発令       発令権者   中野区議会議長  市川 みのる 
発  令 氏 名 備 考
区議会事務局次長 奈 良 浩 二 政策室特命担当課長  
備考   
1 前拠点まちづくり推進室拠点まちづくり担当参事 秋元 順一、前選挙管理委員会事務局長 柳澤 一平、前監査事務局長 石﨑 新一、前区民生活部環境と暮らし担当課長(統括課長) 納谷 光和、前会計管理者 村田 宏、前みずのとう幼稚園副園長 近藤 愛子、前管理会計室未収金対策担当課長 若槻 磐雄 は、平成20年3月31日をもって退職 
1 前子ども家庭部子育て支援担当課長 馬神 祥子は、東京都生活文化スポーツ局総務部副参事(企画担当) になるため、平成20年3月31日をもって退職 
1 前南部保健福祉センター所長 深山 紀子は、豊島区池袋保健所長崎健康相談所長 になるため、平成20年3月31日をもって退職 

1 前鷺宮保健福祉センター所長 嶋崎 江美は、杉並区杉並保健所保健予防課長 になるため、平成20年3月31日をもって退職 

1 前都市整備部北部地域まちづくり担当課長 市川 求は、東京都主税局品川都税事務所徴収課長 になるため、平成20年3月31日をもって退職 

○議長(市川みのる) この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、山崎芳夫議員、平山英明議員、岩永しほ子議員、奥田けんじ議員、斉藤金造議員、岡本いさお議員、牛崎のり子議員、のづ恵子議員、大内しんご議員、久保りか議員、伊藤正信議員、吉原宏議員、佐藤ひろこ議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、つぼいえみ議員、いながきじゅん子議員、林まさみ議員より、質問の通告がありますので、これを順次許します。


 中野区議会議員 山 崎 芳 夫
 1 長寿医療制度(後期高齢者医療制度)について
  (1)制度導入までの経緯について
  (2)制度開始後の現状について
  (3)低所得高齢者への配慮について
  (4)今後の制度の見通しと区の対応について
 2 震災対策について
  (1)区施設の耐震改修工事について
  (2)民間住宅の耐震改修助成について
  (3)避難所周辺の不燃化・建物倒壊防止策について
 3 その他

○議長(市川みのる) 最初に、山崎芳夫議員。
      〔山崎芳夫議員登壇〕
○32番(山崎芳夫) 平成20年第2回定例会に当たりまして、自由民主党議員団の一員といたしまして一般質問をさせていただきます。
 質問は、通告に従いまして、初めに長寿医療制度について、次に、震災対策について、その他は中野区のイメージアップの取り組みについて、順番に質問をさせていただきますので、明確にわかりやすくお答えをいただきたいと思います。
 では初めに、長寿医療制度(後期高齢者医療制度の通称名)について、私の御提案も交えながら区の考えをお伺いいたしたいと思います。
 長寿医療制度につきましては、ことしの第1回定例会でも同僚の伊藤正信議員からも中野区の準備状況などについてお伺いをさせていただきました。私からは、長寿医療制度の原点に立ち戻りつつ、加えて現状等について質問をさせていただきたいと思っています。
 私は、このたびの医療制度改革については、昭和36年の国民皆保険の創設と並ぶ最大級の改革と認識をいたしているところでございます。
 医療制度は、昭和36年以降たびたびその時代に合わせた改正が行われてきました。平成8年11月には、経済成長が鈍化しても無関係に高い伸び率でふえ続ける医療費により、各医療保険制度とも財政危機に陥り、このままでは制度運営ができなくなるとの危機意識のもとに、医療保険審議会が医療保険改革について建議書をまとめて、21世紀初頭に目指すべき医療保険制度の姿を示し、これに向けた医療提供体制を含めた医療と医療保険制度全般の総合的かつ段階的な一連の改革を実施することを提言しております。これを受けて、平成9年並びに平成12年には医療保険制度の改革が行われたところでございます。特に平成12年の医療制度改革では、参議院が関連法案を可決する際に、共産党を除く各党で「早急に新たな高齢者医療制度を創設せよ」との附帯決議を採択をしているところでございます。
 また、平成12年度からは、介護保険制度がスタートし、老人医療費のうちで老人保健施設療養費等の介護的色彩の強いものが医療保険制度から介護保険制度に移行したわけでございます。しかし、長引く経済の低迷、高齢化の進展などにより、これらの改革を経てもなお医療保険財政は厳しい状況が続き、国民皆保険制度の維持のためには、一層の改革が避けて通れない状況になりました。
 その後、平成17年6月には、経済財政諮問会議における議論を経て、いわゆる「骨太2005」が閣議決定をされて、12月には政府・与党医療改革協議会におきまして「医療制度改革大綱」が決定され、翌平成18年6月に「健康保険法改正法案等医療制度改革法案」が成立をされたわけであります。
 そこで、これまでの経緯も含めまして区長にお伺いをいたしますが、私は、世界最長の平均寿命と高い医療水準を達成してきた国民皆保険制度を将来にわたって堅持していくために、また患者の視点に立って、いつでもどこでもだれでも安心・安全で質の高い医療が受けられる、こうした体制を確保していくためには、長寿医療制度は必要な制度であると考えておりますが、いかがでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 さて、冒頭でも少し触れさせていただきましたが、4月から長寿医療制度が始まり、さまざまなお問い合わせが区に寄せられたと聞いております。伺ったところによりますと、担当部署においては、ピーク時で何と1日に100人以上の被保険者や御家族の皆さんが窓口に見えられ、さらには、電話によるお問い合わせについても、電話がパンクするほどで、1日に400件以上といった数字も伺っております。大変多くのお問い合わせをいただいたと聞いているところでございます。
 そこでお伺いいたしますが、お問い合わせ内容はどのようなものがあったでしょうか。また、制度周知のために今後どのような工夫を予定されているでしょうか、お答えをいただきたい。このように思います。
 さて、お問い合わせの中には、当然ながら保険料のことも入っていると思います。私も地域のいろいろな方々から御意見をちょうだいしている中で、保険料についての御意見も伺っています。高齢者世代と現役世代の負担を明確化し、公平でわかりやすい制度とすることが長寿医療制度の重要な理念の一つであります。後期高齢者の医療費の財源内訳といたしましても、高齢者の医療費の自己負担分を除いた1割を後期高齢者の保険料として、5割を公費、つまり税金として、4割を現役世代からの支援金と明確にしております。支え手となる現役世代のためにも、高齢者の皆さんにある程度の負担をしていただくということは必要なことだと考えています。
 しかしながら、中には、従来の国民健康保険料よりも負担がふえてしまったといった低所得者の方々もおります。従前の国民健康保険制度では23区は住民税賦課方式で、長寿医療制度の賦課方式は旧ただし書き所得方式でありますから、賦課となる基礎が変わり負担がふえた方もおられると聞いています。こうした現状を踏まえて、我が自由民主党議員団といたしましては、所得の低い方々への「思いやり制度」を新規に導入をしていただきたい旨の要望書を、過日区長に提出をさせていただいたところであります。
 そこでお伺いいたしますが、区として、我々自由民主党議員団が要望してきた「低所得者を対象とした支援策」を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 長寿医療制度は始まったばかりの制度であります。政府においても、長寿医療制度をよりよいものにしていくために、今後もさまざまな工夫をしていくものと考えられます。政府・与党への攻勢を強めるために、長寿医療制度をいたずらに批判をして、廃止法案を出したところもあると聞いています。そういったところは、老人保健制度に戻すといった主張をされているそうです。しかしながら、代替案も示さずに、ひたすら政権奪回の主張を繰り返すだけであります。元来、年金や医療保険などの社会保障制度は、党利党略を離れて、みずからの案を示しながら、将来の日本のために幅広い議論が不可欠であると私たち議員団は考えています。誹謗や中傷だけではこの国はよくなりません。全く無責任極まりない人たちだと思っています。
 老人医療費は、後期高齢者医療制度の導入などで、平成25年には約25兆円に抑制できますが、老人保健制度に戻した場合は30兆円に膨らむと推計をされています。そうした場合、将来は現役世代の保険料の5割以上が高齢者の医療費に充てられることになるため、現役世代の負担が間違いなくふえることになります。そもそも現役世代の方々は、高齢者の医療費を税金で負担をしています。かつ保険料の半分以上を負担をするというわけになるわけでございます。高齢者の多い自治体は保険料が大幅に引き上げられたり、財政運営が行き詰まったりするおそれがあるのであります。
 なお、防衛省を廃止してその財源を充てればいいのではないかということを主張する政党もあるようですけれども、私が調べたところによりますと、平成20年度の防衛関係予算は、4兆8,000億円余でありまして、5年間の自然増分の5兆円を吸収することすらできない計算になります。
 したがって、私は長寿医療制度の骨格は変えずに、これまでいただいた多くの意見を整理をして、よりよい制度に改善していくことが将来にわたって安定した医療制度を継続するために最も大切なことだと考えておりますが、区長のお考えをお伺いします。
 当然ながら、改善をするといった国の判断があれば、区はそれに即座に対応していくことが求められていくわけですから、その都度、それに耐え得るべく十分な組織あるいは執行体制を確保しなければなりません。この制度をよりよいものとしていくために必要な措置を十分に行うよう、自由民主党を代表いたしまして区長にお願いするとともに、中野区の陣頭指揮を担う区長の御決意をお伺いをしておきます。
 続きまして、先ほどから御質問させていただきました長寿医療制度に関連をして、高齢者の予防医療といった観点から一つ御質問をさせていただきます。
 高齢者インフルエンザの予防接種についてであります。
 このたび、医療制度改革では、生活習慣病予防のために、特定健診特定保健指導事業の導入など、医療制度の中に大きく予防といった考え方が取り入れられました。予防することで医療費を抑制しようということであります。
 ひとたびインフルエンザが流行すれば、その医療給付費は莫大な額になります。流行する時期は寒い2月、3月の時期に集中することもあり、場合によりましては補正予算を組まなければならない状況にもなりかねません。そこで、私からの提案ですが、予防をすることで医療費の抑制ができるわけですから、現在、2,200円の自己負担金を大幅に軽減し、多くの高齢者に予防接種を受けてもらうことでインフルエンザを予防してもらい、結果として医療費の削減につなげていくといったお考えはありませんでしょうか。区長の前向きなお考えをお伺いいたしまして、この項の質問を終わらせていただきます。
 次に、震災対策について数点お伺いいたします。
 質問の前に、5月2日から3日にかけましてミャンマーを襲ったサイクロン、並びに5月12日に中国四川省で発生した大地震で犠牲になられた方々の御冥福をお祈りいたすとともに、被害に遭われた両国の国民の方々に衷心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 ミャンマーを襲った大型サイクロンの被害については、ミャンマーの軍事政権が5月16日に発表した犠牲者は、実に7万8,000人、行方不明者は6万人にも上り、合計で13万人を超える大災害となりました。
 一方、中国の四川省の大地震では、5月28日の中国政府の発表によりますと、死者は6万8,000人、行方不明者は1万9,000人の合計で8万人を超える大災害となり、地震による経済損失が約3兆円を上回る被害となったという見方をお示しになりました。まさに日本では考えられない、想像を絶する被害となっています。
 今回の中国四川省の大地震では、構造上安全でなければならない学校に大きな被害が集中して、多くの未来ある子どもたちが犠牲になりました。
 また、本来は避難所となる学校が倒壊したことにより、多くの被災者がテント暮らしを余儀なくされております。
 こうした事態を受けて、5月16日に行われた渡海文部科学大臣の記者会見では、「日本の公立学校においても、約38%ほど耐震化が不足をしている」との指摘に対して、「非常に重く深刻に受けとめている」として、「文部科学省といたしましても、「生活安心プロジェクト」等において、5年を目途に公立小・中学校施設1万棟の耐震化を早急に図る方針を示しているほか、教育振興基本計画の中では、できるだけ早くという方針に変えている」との見解を示しています。
 そして、増田総務大臣にも、耐震化の問題についてもう一度見直し、国の問題として地方に対してどういう手当ができるのかどうかも含めて、協力をいただけるよう要請したところであります。
 こうしたことを受けまして、政府・自由民主党は、5月21日に、町村官房長官と渡海文部科学大臣が首相官邸で会談をして、公立の小・中学校の校舎などの施設の耐震化を促すため、法改正後も視野に耐震の国庫補助率の引き上げを検討することで一致をしたということであります。
 一方、政府・自由民主党の公立学校施設耐震化等整備促進議員連盟は、全国の公立小・中学校の約13万棟の校舎のうち、耐震済みが58.6%にとどまっていることを重く受けとめまして、大規模震災で倒壊の危険性の高い校舎の耐震化について、耐震補強工事の補助率を現行2分の1を3分の2に、あるいは、改築が現行の3分の1を2分の1とするよう求め、補助率を定める地震防災対策特別措置法改正案を議員立法で今国会に提出することといたしたところであります。
 我が自由民主党は、責任政党としていち早く児童・生徒の安全・安心に取り組むべく、自治体の財政支援を強化をして、耐震化の早期実現を目指してまいります。
 今回の中国の災害は、自然災害とやむを得ない部分もありますけれども、人災ともとれる部分も多く介在をしていると思っています。
 区長は、自治体の長として、区民の生命や財産を守る責務を負っているわけですが、今回の四川大地震についてどのように御認識を新たにされたのでしょうか。また、この災害を受け、我が政府・自由民主党の対応についてどのような感想をお持ちなのか、お伺いしておきます。
 それでは、通告順に従い、初めに、区施設の耐震補強工事について区長のお考えをお伺いします。
 中野区では、昨年の12月に「中野区区有施設耐震改修計画」を策定し、本年度から区立学校の体育館や子どもの関係施設を順次補強工事を推進することとしています。
 平成20年度予算でも、当面、C、Dランクの施設についての実施設計費が計上されて、実際の工事費は補正予算で計上するといった報告を受けております。
 こうした取り組みは、我が会派といたしましても大変評価をしているところですが、今回の中国四川省の大地震により、区立の小・中学校の保護者の不安は一層増大したのではないでしょうか。中野区区有施設耐震改修計画により、耐震性能ランクBからDの区有施設については、再編対象施設を除きまして、新基準を満たすように、耐震性能ランクのD、C、Bの施設から、すなわち耐震性能の比較的低いものから順番に、平成25年度までにすべて耐震改修を実施するとのことですが、せっかく先ほど申し述べたように国の補助率がふえて、区の一般財源の持ち出しが少なくなるこの時期でありますので、せめて学校や子ども関係施設について前倒しで改修を実施できないか、判断すべきではないかと考えております。特に国の補助金の交付率の増を受けて、来年度以降、各自治体においては耐震補強工事が増加をする可能性があり、建築事業者が対応しきれない状況も今の段階から想定をされています。今年度中に計画を前倒しして工事に着工できれば、中野区の学校や子どもの関係施設の補強工事は早急に完了することができ、児童・生徒、子どもたちの安全・安心や、万が一の場合の避難所機能も整備できることになります。区長のお考えをお聞きします。
 次に、民間施設の耐震補強工事助成についてお伺いしておきます。
 今回の四川大地震では、家屋の倒壊による死者がその大半を占めているようです。中国の地方都市の家屋は、いわゆる「おから工法」という日干しレンガを積み上げた建築方法が大半で、火災には強いものの、日本の木造住宅と比較をすると、その強度は問題外だそうであります。
 しかし、平成7年1月17日の阪神淡路大震災では、住宅の全壊戸数は10万4,906棟、死者、行方不明者6,402人、そのうち窒息・圧死者が全体の何と72.5%、実に3,979人に上っております。これは、外傷性ショックによる死者が7.75%、425人、建物火災による焼死者が7.35%、403人から見れば、ほとんどの亡くなった方が建物の下敷きになったことが明らかであります。
 中野区では、耐震改修促進計画を策定して、木造住宅無料耐震診断や木造住宅耐震改修の際の補強設計費の一部助成、家具転倒防止器具取付助成などの取り組みを進めておりますが、その成果と実績はどうなのでしょうか。中野区の耐震改修促進計画の資料に区の木造住宅等の耐震化促進事業の実績があります。平成16年度から18年度までの3年度で、木造建築物の補強工事実績は108件であるそうですが、耐震性が不十分な住宅は約4万1,000戸、何と実績率は0.25%が現状であります。区はこうした現状をどのように分析しているのでしょうか。
 私は、結果的に、住宅の補強経費が高いことや改修する際に一時仮住居に住み移らなければならないこと、また、公的な助成制度が少ないことなどが耐震補強改修が進まない要因になっているのではないかと考えているところであります。
 国の法律や基本方針では、住宅・建物の所有者が、みずからの問題、地域の問題として、意識を持って取り組むことが不可欠であるとし、国や地方公共団体はこうした取り組みをできる限り支援するとしています。区としても、耐震補強工事に当たってのできる限りの支援を検討すべきではないでしょうか。
 平成20年の第1回定例会の予算総括質疑の中で、我が会派の大内議員から、新しい耐震改修の工法としてSRF工法が紹介をされました。時間がなくて、具体的な部分まで踏み込んだ質疑ができなかったようでございますが、大内議員の調査をした補強工事例では、延べ89平方メートルの2階建ての木造住宅の場合、2階は接合部の補強、1階は外壁の補強、通し柱は3本、ほかの柱は11本の補強工事で、しかも住んでいながら家具の移動もなく、改修費は何と68万円程度で済み、大変に安価であるというものでございました。このSRF工法は、ポリエステル繊維のベルトやシートを既存建物の柱に巻きつけたり、壁にはりつけて補強をする工法であります。このSRF工法の施工例には、生存空間の確保や建物の倒壊、崩落防止などの多様な補強を可能としておりまして、高齢者の世帯で補強経費を安価で済ませたい場合は、生存空間の確保の補強工事を選択することで、六畳一間でありましたら、約20万円程度で改修が済むと言われております。
 阪神淡路大震災で、死者・行方不明者6,402人の58%以上が60歳以上の高齢者でありました。せめて、高齢者世帯だけにでもこうした生存空間の確保の補強工事の助成制度が創設できないか、区の御見解をお伺いいたします。
 個人の住宅の耐震化は、自助・共助・公助の原則を踏まえ、その所有者が行うことが基本であるという考え方は理解ができますけれども、区民の生命や財産を守る責務がある自治体として、前向きな御答弁を期待してやみません。
 この項の最後に、避難所周辺の不燃化、建物倒壊防止策についてお伺いいたします。
 区は、「新しい中野をつくる10か年計画」でも、災害に強いまちづくりを提唱し、防災空間の確保を図るとしています。
 このため、警察大学校跡地や区の南部地域にこうした空間の確保を進めていますが、せっかくそうした空間を確保しても、避難道路脇の建物の倒壊や火災により、空間にたどり着けなければ何の意味もありません。
 現に、平和の森公園周辺や東京大学教育学部附属中等教育学校周辺では、かなり以前から、周辺建物の不燃化や狭隘道路の整備が行われてまいりました。しかしながら、その成果はどうなのでしょうか。平和の森公園周辺では、かなりの不燃化、道路の整備が行われたと聞いておりますが、(仮称)南部防災公園周辺は、西側道路は拡幅整備したものの、そこに至る道路の整備はいまだに不十分であると聞いています。区は今後、新たな用地を取得して、区南部の防災機能の強化を図ろうとしているようでありますが、予定地周辺の避難路となる道路に接している住宅の倒壊、崩落防止や不燃化、狭隘道路の整備をどのように進められていくのでしょうか、お考えをお伺いし、この項の質問を終わります。
 最後に、その他の項で、中野区のイメージアップの取り組みについてお伺いいたします。
 ことしは「中野の逸品(いっぴん)グランプリ」事業や「るるぶ中野区」の発行など、中野区をPRする取り組みが相次いで行われ、商店街の方々はもとより、区民の皆さんも喜び、まちの話題ともなりました。たしか、私と斉藤金造議員の住んでいる江古田地域も、江古田の獅子舞として写真入りで御紹介をしていただいたところであります。
 また、マスコミからの取材やテレビなどで中野区が取り上げられる機会もふえていると聞いています。このような反響について、区長はどのようにお感じになっていますでしょうか。こうした評判が中野への関心を呼び起こし、その期待にこたえようと商店や区民の皆さんも一層奮起をされて、その結果、中野のまち全体が元気に、そして魅力的になっていくものと思います。このような取り組みを単年度で終わらせるのではなくて、継続的ににぎわいをつくり、育てる戦略を持つべきと考えています。中野駅周辺のまちづくりが大きく動き出そうとしているこの機を逃すことなく、中野の将来を牽引するためのイメージアップ戦略を確立するとともに、民間の力を十分に発揮してもらえる推進体制を構築すべきと考えています。区長の御決意をお伺いします。
 以上をもちまして、私のすべての質問を終わらせていただきます。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 山崎議員の御質問にお答えいたします。
 まず、長寿医療制度についてであります。
 この長寿医療制度は、国民が安心・安全で質の高い医療が受けられる体制を確保するためには、必要な制度ではないかという御質問でありました。
 この高齢化社会におきまして、国民が安心して医療が受けられるという制度を持続可能な形で構築していくということは、まことに大きな課題だと、このように考えております。
 この長寿医療制度は、現役世代と高齢者世代の負担の公平、こういったことに配慮しながら、国民皆保険制度を維持していくために創設された制度であると考えております。制度は、負担の問題でありますとか、医療の給付のあり方でありますとか、さまざまな側面を持っておりますが、一部のことをとらえて全体を否定するかのような議論に私はくみするべきではないと考えております。基本的には、この長寿医療制度は必要な制度であり、基本的にこれを維持、発展をさせていくことが私どもにとって必要なことだと考えているところであります。
 それから、制度開始後の状況についての御質問もありました。
 お問い合わせ等でありますが、お問い合わせの主なものは、制度の仕組みに関するもの、それから保険証が届いていないとか、それから保険料の額と計算方法についてといったことが主でありました。
 このたび、後期高齢者医療広域連合、東京都の、中野区も所属しております広域連合、こちらでも新聞折り込みをするなど制度の広報を強化をしているところでありますけれども、区といたしましても、区報やホームページを活用しながら、さらに広報を行っていきたいと考えております。区独自のパンフレットも現在作成中でありまして、広く区民の皆様に配布をしていく予定でございます。
 それから、長寿医療制度のもとでさまざまに負担がふえる方もいらっしゃる、低所得の方への配慮ということについての御質問がありました。
 区といたしましても、低所得の高齢者に対します医療に関する負担、こうしたものを軽減する必要があると考えるところであります。そこで、入院時の負担軽減のための新規事業を行いたいと、このように考えまして、本議会に補正予算として提案をすることとしたところであります。ぜひとも、この点、御理解、御協力を賜りたいと思うところでございます。
 それから、今後の制度の見直しに対する対応についての御質問もありました。
 先ほど言いましたように、この長寿医療制度についてはさまざまな御意見があるところであります。当然、改善すべきは改善をした上で、安定した医療制度として持続をさせていくことが、区民の健康を維持するため最も大切なことだと、このような認識に立っております。そうした立場から、制度に変更がある場合には、情報を適切に収集をし、的確に対応していかなければならないと考えております。区民の関心が非常に高い事柄でもあり、区としても、区民の皆様のお問い合わせなどに十分答えられるようにしてまいりたいと思っております。
 それから、高齢者インフルエンザ予防接種についての御質問がありました。
 この2,200円という御負担は、東京都、それから東京都医師会、それから特別区との3者で協議をし、比較的安価で受けやすい金額として設定してきたところであります。今後、インフルエンザ予防接種の接種率の向上が大切だということでありますが、そのために、予防接種の効果の普及啓発でありますとか、接種勧奨に取り組むことが重要だと考えているところであります。
 御提案のありました費用負担についてですが、費用負担と接種率との相関などについても、今後検討していきたいと考えております。
 それから、四川省大地震に関連する御質問がありました。
 5月12日に発生をいたしました中国四川省を震源とする大地震によって犠牲となった多くの方々に対して、心より哀悼の意を表したいと考えております。区といたしましても、ミャンマーのサイクロン被害や四川大地震の被害に対して、救援金の支出をすることを決定したところであります。
 今回の地震によりまして、安全であるべき学校が多数崩壊をいたしまして多くの尊い人命が奪われた、このことには、私も大変心を痛めているところであります。区といたしましても、公共施設の耐震性の向上はもちろんのこと、防災基盤の強化を積極的に進めていかなければならないと改めて痛感をしているところであります。
 学校の耐震補強工事の補助率を高め耐震化を促進させる政策が、こうした事態を踏まえて議員立法として提案されたということであります。このことはとても意義のあることと考えているところであります。
 区の学校の耐震改修工事についての御質問もありました。
 区では、昨年の12月に策定をいたしました区有施設耐震改修計画に基づきまして、大規模な補強又は改修が必要なDランク、そして補強が必要な耐震性能Cランク、これらの施設につきましては、今年度中に着手をすることとしております。
 さらに、耐震性能は比較的高いが何らかの対応が必要なBランクの施設については、平成21年度以降、順次耐震改修を進めることとしております。この計画は、国が示しております方針よりも先んじて、前倒しをして計画をしているものでありまして、着実に進めることにより、着実な工事ができると、このように考えているところであります。
 それから、民間住宅の耐震改修の助成についての御質問であります。
 区は、昨年度、中野区耐震改修促進計画を策定をし、民間住宅の耐震性の向上に向けても取り組んでいるところであります。区といたしましては、耐震改修工事への補助というものは行わず、無料耐震診断の実施や耐震補強設計に対する助成を実施をしているところであります。耐震改修促進計画では、耐震補強あるいは建てかえの促進など、さまざまな方法によって耐震強度の強化を図っていきたいと、このように考えているところであります。
 この耐震補強の助成については、助成を実施している多くの自治体よりも、中野区が一番耐震改修の実績が進んでいるということでありまして、こうしたやり方でさらによりよい耐震補強の推進を図ってまいりたい、このように考えております。
 これまでも、住宅の耐震相談窓口を設置して、耐震改修のさまざまな工法についての情報提供を行ってきたところです。今回御指摘がありましたSRF工法などの簡易な工法も、積極的に情報提供することによって、区民の負担軽減も図っていきたいと考えているところであります。
 それから、避難場所周辺の不燃化、建物倒壊防止策についての御質問がありました。
 広域避難場所となります東大附属中等教育学校の一帯では、防災街区整備地区計画に基づいて、中野通りから東大附属西側道路をつなぐ東西方向の避難路整備を中心に進めているところであります。また、新設をいたします避難路3本、3路線の整備については、それぞれあと1、2の地権者の方の部分が未買収という状況になりました。これが開通をいたしますと、大きく整備が進むこととなるわけでありまして、早期の開通に向けて何とか努力を重ねていきたいと考えております。
 それから、新たな用地取得に関連する区南部の防災機能の強化ということであります。
 防災まちづくりには、地区の避難路整備のほか、避難路沿道建物の不燃化や耐震化の促進なども必要であります。これらの整備を進めるために、区が働きかけを行いながら地区整備の方針やルールを定める地区計画を策定するなど、地域の方々と連携しながらまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
 中野区のイメージアップの取り組みについての御質問もありました。中野の誇れるもの、いいものを発信して、マスコミなどにも取り上げられることによって、人々の中野への関心が高まる、このことが得られるわけであります。それによって、まちも元気になり、さらにまた中野のイメージアップにつながると、こういった好循環が生まれるわけであります。今回の「逸品グランプリ」や「るるぶ中野区」などの経験を通じましても、こうした情報発信の仕掛けづくりが重要だと、このように考えているところであります。区といたしましては、中野区イメージアップ3カ年戦略、これを定めまして、都市としての中野区のイメージアップ、地位の向上といった取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 中野駅周辺のまちづくりによって実現する中野のまちの姿は、中野のイメージを一新するものとなるわけであります。未来の活力を生み出す拠点となるものでもあります。まちづくりにかかわる民間の主体性を発揮していただくためにも、イメージアップに取り組むような組織を立ち上げ、にぎわいづくりの継続的な取り組みを推進していく、そういった考えでいるところであります。
 以上であります。
○議長(市川みのる) 以上で、山崎芳夫議員の質問は終わります。


 中野区議会議員 平 山 英 明
 1 高齢者への健康・医療支援の充実について
  (1)インフルエンザ予防接種について
  (2)年金からの天引きについて
 2 通学路の安全対策について
  (1)区立中野昭和小学校と区立東中野小学校の統合に伴う通学路の安全対策について
  (2)区立小・中学校の通学路の指定について
 3 子どもの視点に立った区立公園の整備推進について
  (1)安全で清潔な公園整備について
  (2)子どもが集まる魅力的な公園づくりについて
 4 「区民のひろば」について
 5 妊婦健診の公費助成について
 6 その他

○議長(市川みのる) 次に、平山英明議員。
      〔平山英明議員登壇〕
○4番(平山英明) 初めに、ミャンマー並びに中国四川省における災害で犠牲になられた方々の御冥福と、一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げるものでございます。
 それでは、平成20年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問をいたします。質問は、通告どおりです。6のその他については、水害対策について伺います。
 初めに、高齢者への健康・医療支援の充実について伺います。
 本年4月に導入された長寿医療制度をめぐり、さまざまな見直し議論がなされているところです。党利党略、ためにする議論はさておき、問題の本質は、世界の国々と比べて最も急激な世代構成の変化を迎える我が国の少子高齢化社会において、いかにして継続可能な医療保険制度を構築するのかであります。
 新聞各紙より引用すれば、「代案を示さずに、単に長寿医療制度を廃止して、もとの老人保健医療制度に戻せ、だけではあまりにも無責任」との論調に、私も同感します。一方、具体的な施策において、特に所得の低い方々などへの格差にかかわる配慮が必要とも考えます。
 過日、公明党議員団として、中野区長に75歳以上の後期高齢者への負担軽減策として、「入院時支援制度」の創設についての要望書を提出いたしました。今定例会に第47号議案として、「後期高齢者入院時負担軽減事業」が提出されていますが、思いは合致したのかと感ずるところも大であります。
 その意味で、健康寿命を延ばし、医療費の増加を抑制するということが高齢者の皆様への施策の基本と思います。
 そこで、伺います。さきに、自由民主党の山崎議員も質問されていましたが、高齢者への「インフルエンザ予防接種」について、負担ゼロの施策をぜひとも実現すべきと重ねて求めますが、いかがでしょうか。
 現在、高齢者に対するインフルエンザ予防接種への助成は、平成13年の予防接種法改正により、対象者は1、65歳以上の者及び、2、60歳以上65歳未満であって、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害を有するものとして厚生労働省令に定められています。
 区は、インフルエンザ予防接種の実施に当たって、予防接種費用のおおよそ半分を助成し、2,200円自己負担としています。対象者に対する接種者の割合を、制度導入時の平成13年度当初と比べると、平成13年の19.3%に対し、平成14年37.4%、平成15年46.6%、平成16年49.8%、平成17年51.3%と、順調に増加傾向にありました。最近は、平成18年が48.7%、平成19年は52.9%と、増加傾向にかげりが出たりしています。
 中野区予防接種法施行細則の第2条第2項には、特別養護老人ホームに入所している方々については、1,200円を負担額とする減額規定があり、さらに同条第3項には、生活保護を受けている世帯の人々は、自己負担金を徴収しない旨の規定があります。
 負担の公平性を考慮すれば、生活保護世帯と同じ水準の年金収入の方々、少なくとも基礎年金だけの世帯ぐらいは、これと同様の免除の対象となっているのかと思っていましたが、現在はそうなっていません。
 同条同項の第2号には、「その他特に区長が必要と認めるもの」が、免除の対象との規定があります。この際、65歳以上の高齢者のインフルエンザ予防接種については、この規定を適用して、自己負担金を免除すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 高齢者へのインフルエンザ予防接種の無料化を実施することにより、接種者の割合を増加させ、長寿で、かつ健康であること、一人でも多くの元気な高齢者が実りある生活を送ることに大いに貢献すると考えますがいかがでしょうか、伺います。
 さらに加えて、このことにより高齢者の予防医療に重点を置いた施策の実現として、インフルエンザ予防接種と併用すると、より効果が高まると言われる「肺炎球菌ワクチン」の接種を受けやすくすべきではないでしょうか。この点については、同僚の小林議員の質問と提案もあったところです。
 日本人の四大死因は、がん、心臓病、脳卒中、そして肺炎です。年齢別に死因を見る場合、65歳から肺炎が急速に増加していきます。さらにインフルエンザにかかった高齢者の20%~25%は、肺炎を起こすと言われています。
 免疫機能が低下してくる高齢者、特に65歳以上の方、心臓や呼吸器に慢性疾患のある方、在宅酸素療法を行われている方、糖尿病の方、腎不全や肝機能障害がある方などは特に必要です。また、脾臓を摘出してしまった人は接種が保険適用となっているように、接種を行うことが重要と言えます。
 インフルエンザの予防接種の無料化により、あわせて行うことによって、より効果が高まると言われる「肺炎球菌ワクチン」の接種が受けやすくなる体制を実現すべきと考えますが、いかがでしょうた。助成拡大に向けた決意を伺います。
 ここで、長寿医療制度にかかわり、何かと話題になっている年金からの天引きの件について伺います。
 お隣の渋谷区では、事務処理の関係で、10月から長寿医療制度の保険料の天引きを始める予定だそうですが、「天引き徴収に抵抗感のある区民に配慮する」ために、年金からの天引き徴収か、納付書による納付かを選べる制度の導入を検討するとしています。
 中野区では、既に天引きをスタートしていますが、このことについての高齢者の皆様の反発は強いものがあります。現在の暫定保険料から正規の保険料への変更に加えて、政府与党による負担軽減等の追加措置も考えられているところです。そのための周知もあることからこの長寿医療制度保険料の徴収について、年金天引きと普通徴収との選択制導入を中野区として検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 国民健康保険についても、既に中野区では65歳以上の被保険者は、4月から年金天引きの特別徴収が始まっています。伺うところでは、これまでに口座振替による保険料納付を行っていた方々は、65歳以後の口座振替を継続し、保険料が納めされているとのことです。
 では、中野区在住の65歳以上の方で、国民健康保険料を年金から天引きされている方々は何人ほどいるのでしょうか。また、天引き導入のねらいはどのようなことなのでしょうか、伺います。
 また、今定例会において、区税条例の改正案が提出されております。この改正案では、年金からの地方税の天引きという特別徴収の規定が盛り込まれているようです。この議案審査については、総務委員会で行われますので、ここでは年金からの天引きということについて、徴収の確実性や手間を省くという事務的なことと同時に、年金問題が取りざたされている中での天引きということで、高齢者の方々の反発を買っていることなどについて、区長はどのようにお考えになっているのか、お考えを伺って、この項の質問を終わります。
 次に、通学路の安全対策について伺います。
 初めに、区立中野昭和小学校と区立東中野小学校の統合に伴う通学路の安全対策について伺います。
 東中野小学校区から新校への通学に関して、以前より保護者の方々から、安全上不安の声が上がっておりました。特に、山手通りの横断と上高田中通りへの交通安全対策を求める声が強いと思っています。
 5月22日の文教委員会での「中野昭和小学校・東中野小学校の統合に伴う通学安全対策」の報告では、山手通りの横断については、1、歩行者用信号の横断時間延長要請、2、通学安全指導員の拡充、3、横断施設設置の検討、4、路線バスの利用の4点を、上高田中通りについては、1、歩道橋部分のグリーンカラー舗装、2、ガードパイプの設置を挙げています。
 そこで伺います。まず、山手通りの横断について、横断施設設置の検討という項目が新たに加えられました。先日、通学路の安全対策に関して、山手通り、特に落合駅周辺を調査いたしました。その際、駅構内の案内図の中に気になる表示があり、早速東京メトロに問い合わせたところ、実は山手通りと早稲田通りが交差をする場所に巨大な地下スペースがあるとのことでした。中野区としては、この事実を承知していますか。この地下スペースについて、どういう目的でつくられ、現状どのようになっているかもあわせてお答えください。
 我が会派の白井議員も、さきの予算特別委員会での総括質疑の中で、「人的対策だけではなく、物理的対策が必要」と指摘しましたとおり、子どもたちの通学時の安全確保のためには、地上や地下を使った横断施設等の物理的対策が必要です。この地下スペースを活用し、山手通り横断の地下通路をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。設置するとした場合の費用や期間についても伺います。
 また、地上部分についても歩道橋を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。地上と地下について、安全性を十分に検討しつつ、早急の対応を求めます。
 新校の誕生は来年4月の予定です。地下通路の設置の期間によっては、「当分の間、重点的に」となっている山手通りの通学安全指導員について、完成までさらに手厚く配置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 上高田中通りの安全対策についても伺います。教育委員会は、これまで通学路の指定がされていなかった上高田中通りを、新たに通学路に指定いたしました。その理由について、以前あった車の出入りの多い事業所がなくなったからとしています。今後、ガードパイプの設置やグリーンカラー舗装を行うとしていますが、いまだ交通量も多く、歩道幅が狭いため、それだけでは十分な安全対策とは言い切れません。抜本的対策が必要です。
 全面的にガードパイプを設置して、歩・車分離を徹底することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。また、子どもたちが朝夕の通学の際、安心して通れるように、通学時間に合わせた一方通行などの車両交通規制を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
 道路交通法第4条第1項には、「公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる」とあり、また同第2項には、交通の規制について「区域、道路の区間又は場所を定めて行なう」、「対象を限定し、又は適用される日若しくは時間を限定して行なうことができる」とあります。
 現在、上高田中通りは双方向通行ですが、中野警察に要請し、登下校の時間は車両を一方通行とすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、区立小・中学校の通学路の指定について伺います。
 先日、我が会派の有志が京都府の亀岡市を視察いたしました。亀岡市は、本年3月に日本で初めてWHOのセーフコミュニティに認証されています。これまでも、通学路を含む陸上交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱として、平成18年度から22年度までの5年間の「第8次亀岡市交通安全計画」を定めるなど、行政主導であらゆる事故の予防に努めています。
 そこで伺います。現在区立小・中学校における通学路の指定方法はどのようになっているのでしょうか。指定された通学路の安全については、だれがどのように責任を持つのでしょうか。こうしたことについて、中野区としてはどのような規定を設けて行政としてのなすべきことと責任の範囲について明確にされているのでしょうか、お答えください。
 中野区の都市計画マスタープランには、「通学路は道路条件を踏まえつつ、歩道や車の速度を低減させるための道路構造への改善、通学路と認識しやすい環境整備を進めるとともに、主要な通学路は、地域の協力を得ながら一方通行や一般車両の通行規制を図るなど、児童・生徒が集中する時間帯の安全確保対策を充実する。」とあります。このようなマスタープランがありながら、中野区における現在の通学路の指定方法では、安全確保に関する責任の所在が不明確と言わざるを得ません。
 学校再編により、今後も新たな通学路の指定が行われます。子どもたちの安全を守るために、中野区は通学路の指定と、その指定された通学路の安全確保に関する区と区民等の責任を規定した条例を制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。区と区民、保護者や地域の協力により、総力を挙げて子どもたちの安心・安全を確保すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で、この項の質問を終わります。
 次に、子どもの視点に立った区立公園の整備推進について伺います。
 初めに、安全で清潔な公園整備について伺います。
 公園を利用する方々、特に女性の方から「トイレが汚くて、利用できない」「子どもたちを遊ばせているときに、ゆっくりできる設備がない」などの御意見があります。公園のトイレやベンチなどの設備について、点検・改修はどのようになっているのでしょうか、伺います。
 子どもたちが遊ぶ公園遊具についてもお尋ねします。
 この問題については、昨年の第4回定例会において、我が会派の久保議員より、公園遊具の安全管理についてシールの貼付の質問をいたしました。その際の答弁は、平成16年以降は貼付済みということでした。そこで伺います。平成16年以前に設置した遊具については、注意を促すシールの貼付は行われたのでしょうか。
 公園は、地域コミュニティの大切な場であり、子育て世代の方々にとっては、育児ストレスを軽減するかけがえのない空間です。中野区内の公園を、安全・安心で、清潔で利用しやすいものとするため、公園内施設と設備について明確なガイドラインを設けて、年次計画をもって維持管理を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 設備については、耐久年数や償却期間よりも、安全で清潔のガイドラインをどう数値化するのかが点検・改修などの基準となるべきと考えます。その際、安全については、有資格者などのプロの目を入れるべきです。区の見解を伺います。
 渋谷区にある恵比寿東公園は、巨大なたこの滑り台があることから、通称「たこ公園」と呼ばれ、地域の方々に親しまれています。子どもたちにも大人気で、近隣以外の子どもたちも「たこ」を目指して押し寄せるようです。さらには、地元の商店街の名称も「たこ公園商店街」となるなど、多くの方から愛される名物公園となっています。ほかにも、都内には「かいじゅう公園」、「芝生の公園」、「霧の噴水がある公園」など、小スペースながら工夫を凝らし、地域に喜ばれている公園がたくさんあります。
 区も、「子どもと一緒に行きたい公園25」として、じゃぶじゃぶ池のある公園や子ども向け遊具のある公園の中から25の公園を選んでいますが、個性的とも、適切な配置とも言いがたいと思います。
 一方、「新しい中野をつくる10か年計画」の中では、公園整備について「みどり」、「環境」、「健康づくり」の表記はあっても、「子ども」の文字が見当たりません。子どもが楽しみに通ってくる。いつも子どもが元気に遊んでいる。そんな公園に、大人も高齢者も集まってくるのではないでしょうか。
 この際大胆に「タコ」や「イカ」などの公園施設整備を視野に入れ、「10か年計画」の見直しの際、子どもに喜ばれる楽しい公園づくりを行うことを明確に計画に位置付けるべきと考えますが、いかがでしょうか。お考えを伺い、この項の質問を終わります。
 次に、「区民のひろば」について伺います。
 区は、区民の皆さんが、お知らせや探し物などに利用できる掲示板として「区民のひろば」を設置しています。
 しかし、この掲示板も心ない落書きで汚されているところも目立ちます。特に中野通りや早稲田通り、新青梅街道などの幹線道路に設置されている掲示板で、裏面が車道に向いているものがありますが、この裏面は、違法な掲示をはがしたであろう跡で、非常に汚い状態です。
 「割れ窓理論」というのがあります。ガラスが割れた窓を放置する。落書きをそのままにする。そのことがまちの質をどんどん低下させ、凶悪な犯罪が増加するというものです。公共物への落書きは、美観を損ねるだけでなく、治安の低下にもつながりかねません。
 落書きや張り紙を簡単にはがせるような加工も可能と聞いています。「区民のひろば」をはじめとする区内の掲示板に、同様の加工を施し、落書きや違法な張り紙の跡をなくすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 車道向きの裏面は何も使われないでいる状態です。この際、裏面も広告用のスペースとして活用するなど、掲示板の美化に努めるべきと考えますが、いかがでしょうか。お考えを伺って、この項の質問を終わります。
 次に、妊婦健診への公費助成について伺います。
 本年4月より妊婦健診への公費による助成が5回から14回まで拡大されました。さらに、里帰り出産への助成も始まり、区内の子育て世代の方々に大変喜ばれています。長年妊婦健診の無料化を強く要望してきた我が会派としても、高く評価するものです。
 しかし、全額公費となっているのは2回分だけで、あとは助成額に上限を定められているのが現状です。この際、2回分と同じ公費助成をすべきと考えますが、いかがでしょうか。さらに踏み込んで、出産に関する負担を全てなくすことができるよう、強く要望いたしますが、いかがでしょうか。
 以上で、この項の質問を終わります。
 最後に、その他として水害対策について伺います。
 都政新報に「ゲリラ豪雨から3年」との記事が掲載されました。その中で、区は職員の迅速な参集を課題に挙げながらも、「急速に雨雲が発達しゲリラ雨が降ってしまったら、何もできない」とコメントされています。
 現在、区は123名の情報連絡体制をとっています。現在の連絡のためのシステムは十分なのでしょうか、伺います。
 また、123名のうち、区内在住者はわずか43名、全体の35%。近隣区を含めても65名、52.8%と、やっと半数の状態です。これでは、区が掲げる迅速な参集は望めません。せめて70%は区内在住者にするなどの基準を設け、職員に協力を促すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上ですべての質問を終わります。
     〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 平山議員の御質問にお答えをいたします。
 高齢者インフルエンザ予防接種についての御質問でありました。先ほど山崎議員の御質問にもお答えをいたしましたが、この2,200円という料金は、東京都、東京都医師会、特別区との三者で協議をし、比較的安価で受けやすい金額として設定をしたものであります。
 今後、このインフルエンザ予防接種の接種率の向上が大切でありまして、そのため、予防接種の効果の普及啓発や接種勧奨に取り組むことが重要と考えているところであります。今後、費用負担と接種率の相関などについても検討をしていきたいと考えております。
 それから、肺炎球菌ワクチンの公費負担、普及啓発等についての御質問がありました。肺炎球菌ワクチンについては、国の厚生科学研究、水痘、流行性耳下腺炎、肺炎球菌ワクチン等の今後の感染症対策に必要な予防接種に関する研究の中で、安全性、経済的有効性などについて研究が行われております。国の予防接種あり方研究会でも、これらの研究を確認してから導入の方向を検討するとしているところであります。中野区におきましても、このような検討の推移を見守ってまいりたいと思っております。
 それから、年金からの特別徴収についての御質問が幾つかありました。介護保険、国民健康保険、長寿医療制度に引き続きまして、来年度からは、住民税についても年金からの特別徴収が予定をされています。
 特別徴収導入の目的は、次の三つとなっています。
 まず第一に、納税者や被保険者の皆様に個別に金融機関の窓口でお支払いいただくなどの手間をおかけしないようにすること。また、税や保険料の未納を減らすことによりまして、税の公平性を確保することや、助け合いの仕組みである保険に加入する他の方々の保険料負担が増すことがないようにすること。三つ目は、徴収にかかわる行政のコストの縮減を図ることなどであります。こうしたことから、特別徴収の意義をぜひ御理解いただきたいと思っているところであります。
 今後とも、区民の皆様に対しまして、この制度の趣旨を十分に御説明していくことが必要と考えているところであります。
 なお、国民健康保険料において、当初に特別徴収を実施した世帯数ですが、世帯数1,898世帯でありました。
 それから、長寿医療制度の保険料について、天引きかあるいは納付書による納付かを選べるようにしてはどうかという御質問でありました。報道などによりますと、国におきましても、本人の希望によって口座振替で保険料を支払う仕組みを検討しているということであります。そうした仕組みが導入されるとなりましたならば、区としてもきちんと対応をしてまいりたいと思っております。
 それから、山手通りと早稲田通りの交差点の地下の空間、これを利用した横断通路の設置についての御質問がありました。
 山手通りと早稲田通りの交差点の地下に空間があるということは、区としても以前から承知をしているところであります。これは、旧帝都高速度交通営団が東京都との協議によりまして、昭和40年に落合駅の新設工事に合わせて整備をしたものであると、このように聞いております。早稲田通りや山手通りの通行量が増大した場合などに対応できるような空間といったようなことを考えているということであります。
 しかしながら、現在のところ利用はされておりません。この空間を利用した地下の横断通路の可能性について、現在検討をしているところであります。この整備使用については、まだ積算はしておりません。また、工事期間そのものは、やはりおおむね1、2年程度はかかるだろうと、このように考えております。
 それからさらに、横断歩道橋も設置するべきだという御質問でありますが、横断施設については現在検討しているということであります。
 なお、山手通りを管理しております東京都としては、あまり利用者の数が見込まれない歩道橋の新設については、難色を示しているというような状況であります。
 いずれにいたしましても、横断施設を設けるとすれば、地下も地上もというふうにはならないのではないかと考えているところであります。
 それから、通学安全指導員についてであります。通学安全指導員につきましては、山手通りを横断する児童の状況及び他の交通安全対策の効果や進展などを見ながら、必要な配置をしてまいります。
 それから、通学路の安全対策につきまして、ガードパイプに関する御質問がありました。全面的にガードパイプを設置するべきではないかという御質問であります。区としましては、原則として全面的にガードパイプを設置したいと考えております。
 しかしながら、道路の前面にあります住宅や施設の利用のために設置できない箇所というのは、どうしても生じてしまうわけであります。できる限りそうしたガードパイプの途切れが少なくなるよう、関係住民の理解を得ながら取り組んでいきたいと考えております。
 私からは以上でありまして、そのほかはそれぞれ担当のほうからお答えをいたします。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 通学路の安全対策につきまして、上高田中通りの交通規制について警察に要望したらどうかという御質問でございます。
 教育委員会といたしましても、上高田中通りの登下校時におきます車両交通規制のあり方につきまして、統合後の状況を想定いたしまして可能な限りの対策を講じますよう、中野警察署に検討を要望したところでございます。
 それから、通学路の安全対策につきまして、区立小・中学校通学路の指定についてということでございます。
 まず、通学路の指定方法でございますけれども、小学校の通学路につきましては、学校長が学区内の交通状況、それから防犯上の観点等を勘案いたしまして、保護者や道路管理者、所轄の警察署の意見等を聞いた上で指定しているところでございます。
 指定された道路の安全についての責任でございます。指定された通学路につきましては、交通安全施設の整備や交通規制、近隣住民、運転者への啓発、協力要請など基本的な安全を確保するための取り組みを道路管理者や警察と協力して行う責任、これは区にあると考えているところでございます。
 規定を設けているかということでございますが、これにつきましては、教育委員会といたしまして、その指定方法などにつきまして定め、学校長に通知をしているところでございます。
 それから、この条例化ということでございます。通学路の安全確保につきまして、条例により区民の果たすべき責任を定めるためには、幅広い区民の理解が必要でございまして、区といたしましては、直ちに条例化することは現在のところ考えてございません。
     〔副区長石神正義登壇〕
○副区長(石神正義) 私からは、区民のひろばと掲示板の美観維持、また災害時の職員の参集体制、これについてお答えいたします。
 まず、掲示板等の清掃管理についてでございますが、これは、シルバー人材センターに委託しまして、定期的に巡回し、違反ポスターの除去、また掲示板の掲示面のほうの清掃、これをお願いしております。特に破損や落書き等については広報担当が報告を受け、随時修理を行っているところでございます。
 裏面の落書きについて、現在あまり注意してございませんでしたが、これについては確認するように、巡回見回り時に裏面も確認するように改めたいというふうに思っております。
 また、汚れがつきにくい素材への変更については検討していきます。
 また、広告を掲示したらどうかという話でございますが、掲示板の広告料の収入、これについて検討するということで、従来から検討をしているところでございますが、提案のありましたように、車道のほうの面についての広告掲載についても検討してみたいと思っております。
 また、情報連絡体制ということで、「ゲリラ豪雨から3年」ということで都政新報に載せられたわけでございますが、6月から11月というのは、雨季ということで初動の体制について、区内、また近隣の在住の職員を中心とした招集態勢を特別にとっているところでございます。また、この経験を踏まえまして、23区西部地区に大雨洪水注意報という形で、警報ではなくて注意報が発令された段階で、現在指定しております情報連絡態勢職員123名は1時間以内に参集できるという態勢をとっているところでございます。
 以上でございます。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、子どもの視点に立った区立公園の整備推進につきまして、まず御答弁をさせていただきます。
 初めに、安全で清潔な公園整備についてでございます。
 何点かございました。公園トイレ、あるいはベンチ、それから遊具の安全点検等といったことでございます。公園のベンチや遊具につきましては、職員によって月1回の巡回時にこの点検をしてございます。不良箇所については、その発見次第、修理をしているところでございます。また、公園の遊具につきましては、今の月1回の日常点検のほか、遊具メーカー、団体等の安全基準を参考にいたしましたチェックリストをつくりまして、これによって年1回の安全点検を行っているところでございます。
 今後とも、このチェックリストを充実する一方、遊具によっては、御指摘のように遊具メーカーの協力も得ながら検討していきたいと考えております。
 それから、安全に遊具を利用してもらうためのシールでございます。これにつきましては、16年度以前の遊具に注意シールをはる方向で、現在準備をしております。
 それから、トイレにつきましては、少なくとも1日1回清掃作業を行っておりますが、この際に設備の点検を一緒にしております。このような日常の点検ですとか、それからその築年数といったようなことも踏まえながら、計画的に改修をして清潔感のあるトイレにしてまいりたいと考えてございます。
 それから、子どもが集まる魅力的な公園づくりについて御質問がございました。
 これにつきましては本多山公園、これは江古田のほうになりますが、それから若宮オリーブ公園といったようなところには、滑り台と登はん機能をあわせた、いわゆるコンビネーション遊具といったようなものがありまして、これらについては幼児が結構楽しめるといったような施設でございます。そういったような遊具を設置しているところでございますが、これまでも、そういったことで多様な年齢の子どもたちが興味を持つ公園の整備をしてきております。
 ただ、子どもの遊びというものが時代とともに変化をするということも事実でございまして、そういうことから、今後もニーズを的確にとらえた多くの子どもたちが喜ぶ公園づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 また、御指摘の子育て支援ハンドブックに掲載の公園には、比較的幼児や小学校低学年向けの遊具が多いと。それからまた、どの公園にも同じような遊具が設置をされていると。御指摘のとおりでございます。今後、改修計画に当たっては、例えば幼児向けの公園でもそれぞれに特色を持たせる工夫などをしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
   〔子ども家庭部長田辺裕子登壇〕
○子ども家庭部長(田辺裕子) 妊娠・出産への公費負担についての御質問でございました。
 妊娠中の適切な状況に健診を受診できるよう、この4月から妊婦健康診査の公費負担の制度を14回まで拡大したところでございます。個人の状況によりまして自己負担が生じる場合もございますが、公費負担の拡大によりまして、妊娠・出産に関する負担感を大きく改善したということで、制度の目的は達成しているものと認識をしております。
 なお、妊娠・出産につきましては、健康保険制度の出産一時金の中で対応できているものというふうに考えております。
      〔平山英明議員登壇〕
○4番(平山英明) 何点かあるんですが、まとめて三つ。
 通学路の安全について。まず、地下通路の件で区長から御答弁をいただきましたが、何も必ず地下と地上をセットでつくってくださいというふうに申し上げているわけではなくて、安全性を考慮しながら最善の策をとっていきたいということでございますが、これについて検討中ということでしたが、特に地下通路については、非常に前向きに御検討いただいているという感触を得ましたが、これについて、もう一度区長のほうから、この通学用の横断施設設置について御決意をいただければというふうに思っております。
 もう二つ。上高田中通りの一方通行の件で、警察に要請したということなんですが、結果がどうなったのかというのはお聞きをしておりませんので、結果がどうだったのかというのをきちんとお伝えをいただきたいということと、通学路の指定で、教育委員会のほうで学校長等にお渡しされている通知は私も見ました。ペラ1枚のもので、とても十分な内容のものとは言いがたいですし、それを基準に通学路を指定してしまって本当に安全性が確保できるかどうかというと、極めて問題があるというふうに思っていますので、きちんとした形で条例化をということを申し上げたつもりですが、このことについて再度御答弁を求めたいと思います。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 地下横断施設の検討についてでありますけれども、この地下横断施設を設置するということになりますとさまざまな検討が必要になってくると、こう思っております。東京メトロのほうの使用条件等に制約はないのかといったような問題、それから構造上の問題ももちろんあると思います。それから、地上部の道路の出口での占用といったような問題も出てまいります。そうすると、地上部の交通関係の問題は出てこないのかといったようなこともあると思っております。建設費用や技術的な可能性なども含めさまざまな検討を行っているということでありますので、現時点で、結論に向けた方向性というものをお示しできる段階ではない、こう考えております。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 警察への要請でございますけれども、その折には、ああいった道路の交通規制につきましては住民の意向というものもありまして、そういう面では調整が必要だということがございました。
 したがいまして、まだ結論としては聞いておりませんが、警察としては検討するということでございました。
 それから、通学路の指定でございますけれども、これにつきましては、確かに今の通知内容ではそれほど細かい規定になっておりません。国のほうでもさまざまこれについてのガイドラインみたいなものを出しておりますので、我々といたしましても、これからもう少し内容について詳しいものを作成してまいりたいと、このように考えております。
○議長(市川みのる) 以上で、平山英明議員の質問は終わります。


 中野区議会議員 岩 永 しほ子
 1 区長の政治姿勢と区政運営について
  (1)後期高齢者医療制度について
  (2)「憲法を生かそうくらしに中野のまちに」の取り組みについて
  (3)中野区版の自治体市場化について
  (4)その他
 2 東中野小学校の存続について
 3 教育行政について
 4 特定健診と子宮がん検診について
 5 山手通り問題について
 6 その他

○議長(市川みのる) 次に、岩永しほ子議員。
     〔岩永しほ子議員登壇〕
○42番(岩永しほ子) 2008年第2回定例本会議において、日本共産党議員団を代表し、一般質問を行います。
 質問に先立ち、中国とミャンマーの大災害で犠牲になり被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。
 それでは質問に入ります。
 1番目の区長の政治姿勢と区政運営についてお聞きします。
 最初に、後期高齢者医療制度についてです。
 政府・与党は、後期高齢者医療制度中止を求める多くの国民の声を踏みにじって、4月実施を強行し、国民に大きな衝撃を与えています。国民の批判が大きく、突然「長寿医療制度」と通称名を決め、中野区も4月になって開いた地域説明会では「長寿医療制度」とし、参加された方々から「どこが長寿制度か」と批判されています。「健康を年齢で差別するな」、「社会のために働いてきたが、75歳になったら長生きをするなと言うのか」、「保険料が高い」などの批判は、連日区に殺到しました。区内のおふろ屋さんでは「こんな制度は許さん」と知らない人同士で話になり、ある老人クラブの会長さんは「みんな怒っている」と嘆いていました。
 福田首相は、この制度が納得できないのは理解が足りないからと、責任を国民に転嫁しました。区長は、この制度に出されている声をどのように受けとめますか、お聞きします。
 国民を年齢で差別する公的医療制度など、世界に例がありません。75歳になっただけで、今までの保険から追い出され、扶養家族や夫婦が強制的に切り離された上、健康診断、病院の外来・入院、終末期までのあらゆる段階で安上がりの差別医療を押しつけられます。「なぜ75歳か」の声に、厚労大臣や与党は、「国民皆保険を守るため」と繰り返しますが、「積極的な医療より『みとり』の医療を中心にした新しい診療報酬体系をつくれば医療費の適正化が行われる」などの見解で明らかなように、政府の意図は医療費を削減することにあります。7年後は、医療費削減額3兆円のうち2兆円を75歳以上から捻出するとしています。
 この間、自公政権は、老年者控除や非課税措置の配置による増税、介護保険の改悪、年金の削減を押しつけてきました。さらなる高齢者いじめを命に直結する医療差別で押しつけることは許されません。国民が納得できないのは、説明不足だからではなく、年齢で差別する医療費削減のための制度だからです。区長の見解をお聞きします。
 中野区は、4月支給の2、3月分の年金から保険料を天引きしましたが、23区では14区が天引きを延期しています。東京は独自に保険料の低所得者対策をとりましたが、それでも高いと感じています。この対策は2年間だけであり、その先は不明。2年ごとに見直される保険料は75歳以上の人口増加や医療技術が進歩し、医療給付費がふえればもっと高くなる仕掛けです。東京都では、2年後は2万円、4年後は3万円の値上がりと試算しています。年金天引きは、どんなに高い保険料になっても取りはぐれないためです。ひとり暮らしで86歳の男性は、11万6,000円の年金から国保料より高い保険料7,900円が引かれました。年金が1万5,000円以上ある人から天引きし、保険料が払えなければ保険証を取り上げると改悪されました。厚生労働省は、「個別事情で判断する」との見解を示しています。事は命にかかわる問題です。即刻保険証を取り上げることはすべきではありません。区の対応を求めます。
 この制度による差別は、高齢者ばかりでなく区民全体に苦しみを広げます。75歳になっただけで、特定健診対象から外され、定額制の診療報酬導入で必要な検査が受けにくくなります。中野区医師会は、後期高齢者診療料の届け出の留保を呼びかけましたが、妥当な判断だと言えます。この差別報酬は、投薬や手術の制限などにも拡大することが検討されています。病院追い出しが可能な退院調整加算や延命治療は控えめにとの誓約書を書かせる終末期相談支援料の導入など、高齢者を一層病院から追い出し、家族に押しつけようとしています。
 さらに、65歳以上の障害者を加入させること、扶養高齢者の保険料負担、後期高齢者支援金を理由にした現役世代の保険料値上げの動き、65から74歳までの国保料の天引き、70から74歳までの医療窓口負担を2割に引き上げるなど、あらゆる世代に負担増と医療切り捨てを押しつけ、世代間対立を持ち込んでいます。このように指摘されているさまざまな問題がありますが、区長はどのように認識されておられるのか、お聞きします。
 国民批判をかわすため、この制度を「長寿」と言ったことにより、制度のひどさを浮き彫りにしました。制度の一部見直しでは問題は解決しません。国民の8割は制度を評価せず、全国で不服審査請求が相次いでいるのも当然です。東京など10都県の医師会でつくる関東甲信越医師会連合会は、後期高齢者診療料の廃止、低所得者の保険料軽減を求めるなど、30を超える都府県医師会が制度の批判や反対を表明しています。「高齢者を切り離し、保険料を天引きするなど問題が多い」と批判する歯科医師会長もいます。老人クラブでは、国分寺市にある28クラブのうち24クラブの会長連名で廃止の署名を呼びかけ、「『いずれ死ぬ』とばかりの制度を絶対に認めない」と、各県の連合会が立ち上がっています。
 国会では、日本共産党など4野党が共同して、もとの老人保健制度に戻すこと、緊急的には保険料の引き下げ、国保料の年金天引き中止の法案を提出しました。政府は、もとに戻せば国保が破綻すると強調しますが、国保財政が危機に陥ったのは、国庫負担を減らし続けてきたことによるものです。
 財務省資料によれば、GDPに対する日本の公的医療費比率は6.6%と、先進国の中では最低です。今年度削減した医療費をもとに戻した上で、大企業や高額所得者への7兆円の減税、今年度2,083億円に上る在日米軍への思いやり予算などを聖域化せずに見直せば、医療に必要な新たな財源を確保できます。医療費の帳じり合わせのため、お年寄りの命と健康をないがしろにする制度は廃止するしかありません。区長は、区民が安心して受けられる医療、年齢での差別のない医療を進めるために、区民合意をつくる立場に立ち、この制度の中止・廃止を国に求めるべきです。お答えください。
 次に、「憲法を生かそうくらしに中野のまちに」の取り組みについてお聞きします。
 ことしの憲法記念日を前にした読売新聞の世論調査では、憲法を変えることに反対は賛成を上回り、9条改憲反対は6割を超えました。5月2日には、自衛隊のイラク派兵差止め裁判で出された名古屋高裁の憲法違反との判決が確定しました。判決は、「平和のうちに生存する権利を有する」との前文、戦争放棄と戦力不保持の9条、幸福追求権の13条などを引用し、国民に対し、具体的に保障すべき権利と認定しています。この間の議論で、9条1項と2項は別々にあるのではないことも明確になっています。「憲法を生かそうくらしに中野のまちに」のスローガンを掲げる区長の9条に対する認識を改めてお聞きします。
 現在、人間らしく生きるための生存権裁判が、9都道府県の10地裁で訴えられ、6月24日には初めての判決が東京で出されます。憲法25条の生存権の規定は、世界に誇るべきものです。中野区庁舎に掲げられている「憲法を生かそうくらしに中野のまちに」の横断幕は、先駆的スローガンであり、区の基本的な立場を区民に宣言したものです。
 しかし、田中区長になり、公共サービスに官から民への市場化を持ち込み、憲法9条改憲発言以来、憲法を擁護し、生かすという区政運営の基本が怪しくなっています。例えば、区を訴えた幹部職員の不正打刻裁判では、組織的に隠蔽しようとしたのではないかとの疑問が払拭されない、区民不在の運営、区の組織から平和の文言削除の動き、非正規職員など官製ワーキングプアの奨励、行政サービスの享受はお金でとばかりの負担の押しつけなど、掲げている基本姿勢から遠ざかっていると指摘せざるを得ません。「憲法を生かそうくらしに中野のまち」について、区長の考えをお聞きします。
 高齢者の年金は減少し、負担がふえています。青年層には、非正規雇用とネットカフェ難民がふえ続けています。正規雇用は長時間労働が常態化し、ILO条約違反は解消されていません。生きにくい世の中です。
 この傾向は区民にも共通し、シルバー人材センターは、生計維持を理由にした就労が増加し、青年が正規雇用を望む声は大きくなっています。補正予算案に示された生活安定、正規雇用を図る「生活安定応援事業」は、打開策として評価するものですが、そこにかかわる職員の身分が不安定な臨時職員では、制度の意図が達成されるか心配になります。
 昨年7月にOECDが、日本の相対的貧困率がアメリカに続いて世界第2位になったと公表しました。
 今、堤未果さんの「貧困大国アメリカ」が注目されています。一度の病気で貧困層に転落していく現状、世界じゅうの貧困層を誘い込み戦争を支える民間戦争請負会社など、アメリカの実態がルポされていますが、アメリカの影響を受け、アメリカ型の市場競争を追求している日本でも、同じように貧困が急速に拡大し、いつアメリカのようにならないとも限らない深刻な生活不安があります。
 総務省の「労働力調査」では、派遣・契約社員、パート・アルバイトなど非正規雇用が占める割合は34%と過去最高を記録しました。女性では53%を超え、15から34歳の正規雇用が1年間で19万人減少している背景には、政府が企業の一層の利潤追求のため、規制緩和政策によって労働基準法などの関連法を改悪したことにあります。労働者を守るべき法律を改悪して、非正規雇用に切りかえ、あとは自己責任だとしたことが今日の貧困問題を引き起こし、拡大している一番の要因です。生活を維持できない貧困は「貧困が貧困を生む」と指摘されるように本人が苦しむだけにとどまらず、子どもや孫の世代にまで影響を及ぼし、国や地域経済の力を弱体化し、社会不安の要因ともなって、社会の存立基盤を脅かすことになります。区長は、深刻化している貧困の実態をどのようにとらえておられるのかお聞きします。
 憲法をくらしに生かし、住民の福祉の増進を図る具体策として、健診費用の無料化を求めます。
 東京の後期高齢者医療広域連合には62自治体が参加し、独自の軽減策を実施する自治体がふえています。中野区でも、31日以上入院した場合に1回限り出される後期高齢者入院時負担軽減事業が補正予算で提案される予定です。同様の制度は、新宿区や千代田区でも実施しています。私たちは、区民の痛み和らげの事業を求めてきており、負担の軽減という事業は歓迎します。
 一方、早期発見・早期治療で入院せず元気で暮らせるほうが、本人や家族、そして区にとってもはるかに負担軽減の効果が大きい事業が健診です。70歳以上の特定健診と後期高齢者健診の対象は、合わせて約4万3,000人です。広域連合が健診の実施と負担額を決めたといっても、有料化したのは4自治体のみ、その一つが中野です。区は、自分の健康を自覚してもらうための自己負担と言いますが、昨年までの健診で無料だった70歳以上の高齢者を有料にし、非課税の人からも徴収します。こんなひどい仕打ちがどうして考えられたのでしょう。健康でありたいと、だれもが共通した思いです。だからこそ健診を受けるのです。昨年まで有料としていた新宿区は無料にしています。健診の機会を生かし、積極的に受けてもらうことが、税を投入する視点に照らしても無料化は筋が通ります。中野区医師会も無料化を要望されていると聞きます。命と健康を守り、元気で暮らすため、70歳以上の特定健診と後期高齢者健診を無料化してください。また、都民の健康に責任を持つ都に対し、健診などに必要な財源措置を求めることも必要です。お答えください。
 次に、中野区版の自治体市場化についてお聞きします。
 5月29日に、中野区を被告にした非常勤保育士裁判の勝利集会が行われました。この裁判は、2004年4月から区立保育園に指定管理者制度を導入するため、3月末で非常勤保育士を全員解雇したための不当解雇撤回争議でした。裁判所は区に違法性があると判断し、区長が謝罪しました。そもそも指定管理者制度は、保育分野に持ち込まれた規制緩和で企業参入を許し、導入された制度です。中野区は、全国でいち早く導入しました。保護者・区民・保育士は「子どもそっちのけの民営化に歯どめを」と取り組んだ裁判勝利は、区が次々と進める保育市場化への警鐘です。区の保育園民営化方針は、保育士の非正規化が問題になり、保育士が年度途中で次々と退職し、子どもと保育士の信頼関係がつくれず、情緒不安など子どもに影響を及ぼしています。ことし新たに新井や沼袋保育園、本郷保育園の子どもと保護者に不安な日々を過ごさせ、保育現場に混乱を起こしています。東中野保育園と住吉保育園を廃止してできた民間の陽だまりの丘保育園では、4月開園時の中心だった保育士が6名も退職し、看護師まで過労で倒れ休職してしまう状況です。経験の未熟さから起きた安全対策の不備などに保護者から区に出された苦情、要望は、140件に上りました。このような事態が起きるのは、民営化した場合、保育や安全対策などが事業者任せにせざるを得ないからです。区は民営化している保育園の子どもたちに対する責任をどのようにお考えでしょうか、お聞きします。
 公立保育園の民営化は、財界、政府が進める構造改革が保育園の市場化を推進していることにあります。さらに政府は、自治体が責任を持つ認可園への保育の実施制度から直接入所契約制度導入へとかじ切りをしようとしていますが、これは市場化のテコとなる契約制度であり、「行政の関与が薄まり、公的責任は間違いなく後退する」と指摘されています。国の保育園民営化路線に追随し、公立保育園より多様なニーズにこたえられると推進することは、保育の質の継続を分断させることにもなります。区の民営化路線は、保育をもうけの場にすることをねらう財界の要求にこたえるもので、子どもの幸せを願う区民の願いではありません。民営化方針を改めるべきです。見解をお聞きします。
 田中区長は就任以来、区政運営の基本的な視点として、「市場・競争原理の活用」が掲げられ、区政全般に民営化と財政効率優先の路線が強引に進められてきました。今年度、谷戸学童クラブの委託に株式会社を参入させました。アポロ園の新築事業は、区の役割をゼネコンなども参加する機会が可能になる代行方式をとりました。
 さらに、まちづくりに及んでは、UR都市機構と全面的な連携協力の覚書を取り交わしています。その前身となる都市整備公団は、バブルがはじけたときに坂上の開発事業から途中で撤退しようとし、今は住人のいる団地を民間に売却しようとするなど、利益優先の事業体であることに違いはありません。
 結局、住民の福祉の向上に取り組むべき中野区が、区政運営の基本方針に「市場・競争原理の活用」を掲げることは、自治体の市場化を広げることになり、住民サービスの低下ばかりか、官製ワーキングプアの推進など、地域社会の構造まで変えてしまいます。
 今日では、市場競争に勝利するために最大の利潤を追求するやり方が、現在の日本のあらゆるところで弊害を生み、企業など次々と信頼を損ない、市場競争原理を基本とする企業に対し、環境や安全などへの社会的な責任を果たすことを求めるようになっています。中野区は、自治体の市場化を拡大する「市場・競争原理の活用」方針を見直すべきです。お答えください。
 公共サービスの民営化が進む中で、自治体が受託事業者との間で結ぶ契約の中に、労働者の賃金確保や労働条件を確保する条項を盛り込む公契約条例の運動が建設関係者を中心に進められ、中野区議会においては国に意見書を提出しています。これは、住民の税金を使う公的事業で利益を得ている企業は、労働者の労働条件を保障すべきであり、発注者の公的機関はそれを確保するための責任を負っているとの考えです。自治体でできる雇用対策の政策的根拠になります。既に函館市の「函館方式」が全国的な評価を受けていますが、国分寺市では、「国分寺市の調達に関する基本方針」が定められ、今後、公契約条例への発展を目指す位置付けが明確にされています。区は入札や契約において、元請業者に適正な周知をしているとの立場を繰り返していますが、その効果は期待できていません。区として早急に検討すべきと思いますが、見解をお聞きします。
 二つ目として、東中野小学校の存続と区の学校再編計画の見直しについてお聞きします。
 東中野小学校の保護者や地域住民から統合の再検討・凍結を求める強い要望が出されています。地域自治を担う中心的役割を果たしている人、同窓会会長や卒業OBも連名で存続の要望書を提出されています。また、統合委員会の副会長二人は、統合を検討される過程で統合に異議ありとの意見を出されています。PTAには、再編に関する特別委員会が設置され、統合にかかわるアンケートの実施結果、統合新校より新宿区の落合第二小を選ぶ保護者のほうが多いこと、選んだ理由は、通学の距離・時間、通学上の安全となっています。教育委員会が提案し、通学安全対策として新設されたガードパイプは、既に車がぶつかり破損し、変更された通学路の危険性が現実に証明されてしまいました。
 教育委員会が開いた説明会では、統合に納得するという意見はなく、また、副区長が出席して開いた跡地活用の説明会でも、理解されるどころか乱暴な区の姿勢に批判が続出しています。今、子どもたちが学んでいる学校を当事者である子どもと保護者、地域の願いを無視して、跡地活用の計画を進めようとするその無神経さは、教育にふさわしくありません。教育委員会は、東中野小学校の廃校に、保護者、地域住民の合意が何をもって得られていると判断されたのかお聞きします。
 また、このままでは教育委員会への不信が募り、今後の中野の教育のあり方に大きな禍根を残す懸念があります。見解をお聞きします。
 教育委員会は、教育水準の向上に努めなければならず、指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なものにしなければなりません。ところが、東中野小学校での対応は、子どもと保護者、地域に不安を増幅しているだけではないでしょうか。協議会議事録では、検討当初は東中野と塔山小学校を統合し、三中に新校を設置するとの考えが示され、後に中野昭和小学校と統合する計画になっています。そのころから幹線道路を横断する通学路への懸念が出されていましたが、20年度の見直しでと、その対策を先送りした結果、東中野小学校の子どもたちが負担を押しつけられました。乱暴な統合計画は、東中野小の子どもたちが新宿区の学校を選ばざるを得ないように追い詰めています。統合は既に決まっていることだからというのでは、地域の実情に合った教育に取り組む責任のある教育委員会のとるべき姿勢とは言えません。地域性に柔軟な対応をすることも教育委員会に必要なのではないでしょうか。見解をお聞きします。
 当初、小規模校のよさを認めると言っていた教育委員会が、今では「学校の小規模化が進んだことにより、人間関係の固定化が進む、運動会など学校行事の活気が失われる、よい意味での競争意識が薄れるなど、集団教育のよさが生かされにくくなり、子どもたちにとってマイナスの面が目立つようになりました」と、教育だよりで小規模校を否定しています。しかし、小規模校は、校長を含めすべての教職員が児童・生徒一人ひとりの顔を知っていること、子どもの学力を伸ばす取り組みが一人ひとりにできること、学年を超えた子ども同士のつながりが強いことなど、全国的に評価が高まっています。区の教育行政区民参加条例や子どもの権利条約の立場は、学校の主人公は子どもたち、保護者、子どもたちを支える教職員、OB、地域住民ということです。地域文化の核となり、財産でもある学校を残すか廃止するかは、子どもたちを中心とする住民が決めることで、合意なしに進めることはできません。そこでは、東中野小学校を残すと決意しているのではないでしょうか。教育委員会には、統合しても中野昭和小学校の小規模化が解消される確信がないのですから、よい教育環境を整備する責任を果たし、将来にわたって禍根を残さないためにも、今からでも廃校の提案をやめ、関係者との話し合いを継続することが必要です。答弁を求めます。
 今年度、教育委員会は、学校再編の中期・後期計画を見直します。教育委員会は、仲町小学校の存続を求める地域の声に耳をかさず廃校しました。その時点で、仲町小の子どもが進学する九中も統合されるため、二度も統合を経験することが問題になりながら、その解消には8年かかり、小学校の統合がおくれるとの判断で、子どもたちを犠牲にする道を選んでいます。
 ことし4月に開校された学校では、学校規模が大きくなってとまどう子どもたち、それまでの学校PTAの特色ある活動がなくなったこと、中学は受験生の不安が大きかったことなど多くの問題が指摘されました。野方小統合では、沼袋小に仮設の設置という検討から始まり、六中を改修するなど、そして今度は法務省跡地に新設と、次々に変わり、子どもも保護者も、関係者が翻弄されると不満が募っています。沼袋小学校の障害児学級の行き先が決まらず、校長が何かよい方法はないかと職員に聞く始末です。この間、30人学級の問題では、あくまで40人学級を前提にやるしかないというように、計画策定過程では、クラスの数はどうか、工事は簡易かが議論の中心を占め、再編計画がどのように教育をよくするのかという議論は見当たりません。計画の見直しに当たり、現在の計画をストップし、世界的、全国的にも主流の少人数学級を前提にして、前期では生かされなかった区民参加条例に基づいて見直すことを求めます。お答えください。
 3番目に、教育行政についてお聞きします。
 区内に住所を持つすべての人を参加対象にした教育行政区民参加条例は、区民意見を尊重して教育行政を進めるという区の基本条例であり、教育委員会の法規範です。それは、区の教育行政の全般にわたって基準にすべきことであり、条例にのっとらなければなりません。
 しかし、1997年に制定されて以来、この条例に基づいた参加の機会はなく、条例が生かされていません。教育要覧では、条例の精神を現実のものとしていくことが要請される法規範であるとなっていましたが、2005年版からは法規範が消えています。これでは、条例を形骸化してしまうのではないかと疑問が生じます。教育委員会は、条例に基づく具体的なルールの検討を必要としながら、いまだに検討していないのはなぜですか。早急に具体化すべきです。見解をお聞きします。
 学校の環境整備についてお聞きします。
 緑野中では、校舎1階の改修が夏休みに行われるため、既に改修が終わっている1階の図書館に職員室を移動します。そのため、ようやく4月末に開館した図書館の図書を再び段ボールに詰めて片づけることになるそうです。桃花小学校では、体育館の工事に伴い、廃校の桃丘小に仮移転予定の「きこえとことばの教室」が警備予算の問題から年度末の3月半ばの移転に変更したと聞きます。子どもや保護者に戸惑いがありました。来年度から体育館ができるまでの2年間も、児童や「きこえとことばの教室」の親子が廃校になった桃丘小学校に通うことになります。また、桃花小学校は、図書館スペースが広げられず、準備室に図書があふれんばかりに平積みになっています。図書整理に必要なパソコンは1台しかなく、子どもたちが使用していない時間を指導員が使うという状況です。統合は、教育環境をよくするより、急ぐあまり、段取りの悪さばかりが目立ち、関係者に負担と徒労感を与えています。桃花小学校の体育館工事では、校庭を使う授業に影響が出ないようにすることや図書館の事務に必要なソフトとパソコンを配置すべきです。お答えください。
 統廃合になった学校の図書整理が大変だったとお聞きしました。2月から4月にかけ、図書館指導員が勤務時間では間に合わず、勤務日以外、土日も含めて整理されたそうです。現在、新校の図書館整理のため二人体制となり、指導員のいる開館時間が長くなっています。今日、学校図書館活動はますます重視され、一層期待されますが、非常勤であるため、勤務日に制限があり、月曜日から金曜日までの全日配置ができません。今後、子どもの土日や長期休みなどの開館も必要になってきますので、指導員の複数配置を検討すべきです。見解をお聞きします。
 4番目、特定健診と子宮がん検診についてお聞きします。
 今年度から始まる特定保健指導がどのように実施されるのか明らかではありません。区民にわかるような解決が緊急に迫られています。また、国保加入者に対し特定健診の実施が義務付けられ、対象者約5万7,000人すべてに受診券を郵送する準備をされていますが、当初よりおくれ7月になるとのことです。受診をされるのは2万6,000人と推計していますが、受診促進の対策が必要です。対応をお聞きします。
 子宮がんの8割近くを占める子宮頸がんは、20代、30代の女性に急増し、発症率や死亡率が2倍とのことです。子宮頸がんは、原因がウイルスと特定され、ワクチンの活用や定期健診によってほぼ予防と完治が可能と各国は予防に力を入れ成果を上げています。原因がわかっていて予防ができるのに、日本で急増しているのは、検診のおくれが第1に指摘されています。アメリカの8割、フランスやカナダの7割、韓国の4割を超える受診率に比べ、日本ははるかに低い24%程度です。定期的な婦人科健診の受診は、20代では2割前後、30代で4割程度との民間調査結果もあります。中野区の子宮がん検診は、20歳以上が受診でき、受診者の3割ほどが20から30代のようです。受診しない理由は、「恥ずかしい」「面倒」が挙げられていますが、感染から初期がんになるまでに10年あり、その間に検診を受けていることが重要です。そのためにも、子宮頸がんに対する10代からの意識啓発が必要です。学校教育でも、区民がん検診でも、啓発の取り組みを求めます。お答えください。
 国にワクチン接種ができるよう求めることも重要です。また、厚労省は、検診受診率を50%にしたいようですが、予算措置は自治体任せです。これでは自治体の懐次第ということになりかねません。国に対し、予算措置を求めてください。見解をお聞きします。
 次に、山手通り問題についてお聞きします。
 昨年の12月22日に開通した地下高速道路新宿線は、この5カ月に何件もの交通事故が発生し、5月17日には長者橋出入り口付近で5台もの玉突き事故が起きました。いつ地域住民が巻き込まれるかと不安です。また、毎日の交通量は3万5,000台あり、出入り口付近の渋滞も指摘されています。都に渋滞解消対策を求めてください。
 環境省検討会は、ことし4月、微小粒子状物質「PM2.5」が喘息や心筋梗塞、肺がんに影響を与えると発表し、病気との関連が公式に認められました。WHOは、06年にガイドラインを策定していますが、日本には基準がありません。浮遊粒子状物質全体では環境基準を達成していますが、微小粒子状物質汚染は都市部で喘息患者が増加する深刻な事態にあります。環境基準設定を求める大気汚染公害患者の取り組みで、国は、PM2.5の影響調査と環境基準設定の約束をしました。山手通りの浮遊粒子状物質除去率は100%ではなく、微小粒子状物質への不安があります。除去するためにも環境基準が必要です。区として国や都に対し、早急に基準を設定するよう求めていただきたいと思います。お答えください。
 最後、その他で1点お聞きします。
 東大海洋研究所跡に予定している南部防災公園は、方南通りに接する部分がありません。特に東側と北側の道路は狭く、いざというときの避難に弊害がないのか心配するところですが、区はどのような見解をお持ちかお聞きをします。
 以上で私の質問を終わります。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 岩永議員の御質問にお答えいたします。
 長寿医療制度の考え方についての御質問が幾つかありました。
 高齢化社会の中で国民が安心して利用できる医療制度の改革というのは大変大きな課題であり、重要な課題だと考えています。長寿医療制度についてさまざまな御意見があることは承知をしていますけれども、安定した医療制度を持続させていく、国民皆保険の制度を堅持する、そうした立場からこの長寿医療制度について妥当なものだと考えているところであります。
 資格証明書についてですけれども、法律あるいは都内の共通基準であります広域連合の要綱に基づいて事務処理を行ってまいります。
 さまざまな問題があるのではないかというようなことを踏まえてどう考えるかという御質問もありました。
 制度はさまざまな面を持っているものであります。そうしたもののうち改善すべき点については改善をした上で安定した制度をつくっていくことが大事だと、このように考えているわけであります。そうした立場から、長寿医療制度について、区として制度の中止や廃止を求めるといった考えはありません。
 それから、憲法9条に対する認識についての御質問がありました。
 憲法9条1項については、戦争放棄という重要な理念をうたっているものであります。これについて堅持をすべきであると考えております。
 憲法9条2項については、主権国家として防衛力をきちんと位置付ける規定を設けるべきだと考えているわけであります。侵略や一方的な武力攻撃に対するすべを否定して、そうしたすべをも否定をして、国の主権や国民の安全が守れるとは思えないのであります。2項あるうちの1項を変えれば、条文の内容が変わるというのは当然でありますけれども、戦争放棄という理念そのものを堅持することは変わらないし、変えるべきではないと、私は考えております。
 それから、深刻な貧困の実態についてということについての御意見がありました。
 経済成長がない中で、産業構造の転換が進んでいるというのが最近の状況であります。そうした中で、成長する分野があれば衰退する分野も出てくるというのは当然なことだと思っております。
 そこで、やはり成長する分野での雇用をふやしてマクロで見た分配の均等化を図るということが大事だと思うわけであります。区としては、区内の産業の活性化などを通じて雇用の機会をふやしていくことが大切だと考えております。
 また、低所得のために困難に陥っている方、そうした方々のために必要な施策を適切に行っていくということも大事だと考えております。例として挙げられた相対的貧困率などの統計については、正確に評価していくためにはさまざまな分析が必要だと考えているところであります。
 それから、長寿健診の無料化をという御意見もありました。特定健診や後期高齢者の長寿健診におきます500円の自己負担、これにつきましては、社会全体でこの制度を支える、負担の公平を図るといったような意味からも、一定の負担をお願いしているわけであります。健康はみずから守るという意識を啓発していくといったことからも、妥当なものと考えております。
 特定健診などに必要な財源の確保についても都に要望してほしいがどうかといったようなこともありましたけれども、国民健康保険の特定健診については、保険者の義務として国保特別会計の中で賄うべきものでありまして、都に財源負担を求めるものとは考えておりません。
 これら通じて、「憲法を生かそうくらしに中野のまちに」ということについての区長の姿勢をという、こういった御質問でありました。
 憲法は国の最高法規であります。行政活動を規制すると同時に、国民の権利、義務なども定めているものであります。そうしたものをみんなが身近にとらえながら、きちんと暮らしの中で守っていくということは、大変重要なことであります。そうした身近にとらえるべき最高法規であるからこそ、国民がより時代に合った憲法にしていくべきである。どういう憲法があるべきかといったようなことについて、自由闊達に議論をしていくこと、このことも大変大事だと思っております。
 それから、民営化した保育園での区の責任についてどう考えるかという御質問がありました。区といたしましては、公立・私立を問わず、保育園の合同研修でありますとか巡回指導などを行っているところであります。保育の質の向上という観点から、適切に責任を果たしていると考えており、引き続き責任を果たしてまいりたいと思っております。
 それから、保育園の民営化の方針を改めるべきだという御意見もありました。区立保育園の民営化によりまして、当該園の、当該のその園のサービス向上だけではなく、保育園全体として公私ともに保育内容の充実が図られてきたと認識をしております。より快適で安全な保育環境を計画的に整えていくために、区立保育園を計画的に民営化していく方針を変更する考えはありません。
 それから、中野区版の自治体市場化についてといったようなことで、市場原理を活用する考えを改めるべきと思うがどうかということであります。市場原理、市場主義を唱えているわけでは決してないのでありまして、市場原理のよい面を活用しながら、サービスの向上とコストダウンが図れる業務については民間でできることは民間にという原則に基づいて進めていきたいと考えているところであります。
 それから、官製ワーキングプアといった言葉をお使いになった上で、労働者の暮らしや雇用を守るために公営契約条例化を検討するべきではないかという御質問がありました。
 区はこれまでも、保育園の指定管理者でありますとか学校給食業務委託などの事業者選定に当たって、事業者の業務実績のほか、正規・非正規従業者の割合、社会保険の加入状況、あるいは就業規則の内容などを総合的に評価して事業者を選定しているところであります。こうしたことから区内の雇用をふやしているといったようなこともあるわけであります。こうした対応を適正に行いながら、引き続きこうした契約を進めていきたいと考えているところであり、御提案の条例の制定については考えておりません。
 それから、東中野小学校の存続についてという御質問の中で、議会に廃止条例を提案することを見直すべきではないかという御質問がありました。中野区立小中学校再編計画は、区立学校全体を適正規模の学校とし、子どもたちの教育環境を整備するために、区内の小中学校の現状を総合的に考慮した上で、さまざまな区民の議論を経て策定されたものであります。区としては、これを着実に実現していく責任があると認識をしているところでありまして、議会への提案を見直す考えはありません。
 私からは以上です。そのほか、それぞれの担当のほうからお答えをいたします。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 私からは、学校再編についてお答えいたします。
 中野昭和小学校、東中野小学校統合に係ります教育委員会の議決ですけれども、何をもって合意を得られたと判断したのかということ。それから、そうしたことについて、こういうやり方では禍根を残すのではないかという御質問でございました。またさらに、教育委員会としては柔軟な対応も必要なのではないかというような御質問がございました。こういったことについてお答えしたいと思います。
 中野区立小中学校再編計画でございますけれども、区立学校全体を適正規模の学校とし、子どもたちの教育環境を整備するために、区内の小中学校の現状を総合的に考慮した上で、さまざまな区民の議論を経て策定したものでございます。教育委員会といたしましては、これを着実に実現する責任があると、このように考えているところでございます。
 それから、再編計画について、ストップし、区民参加を保障した上で、少人数学級を全体とした見直しを行ってはどうかという御質問でございました。学校再編は、子どもたちに集団教育のよさを生かしたよりよい教育環境を整備するために進めているものでございまして、今後ともこれを着実に実施してまいりたいと考えております。
 それから、教育行政に関する御質問がございました。まず、教育行政、区民参加条例につきまして、この具体化の議論とか検討を進めるべきであるという質問がございました。これまでも、教育に関する施策や課題に対応いたしまして、中野区教育行政における区民参加に関する条例を踏まえまして、区民参加によります検討、協議の場や対話集会、意向調査などを実施してきたところでございます。今後とも、区民意思の適切な反映に努めてまいります。
 それから、桃花小学校の問題につきまして、図書館のパソコンが足りないのではないかという御質問がございました。パソコンにつきましては、業務における必要性を見きわめた上で配置していきたいと考えております。
 それから、図書館指導員の増配置について御質問がございました。学校図書館指導員につきましては、現状の配置でも十分成果を上げているところでございまして、当面、現在の配置を維持してまいりたいと考えております。
     〔副区長石神正義登壇〕
○副区長(石神正義) 私からは、桃花小学校体育館の改築工事に伴いまして、校庭の使用が制限されないようにというお尋ねに対してお答えいたします。
 現在、桃花小学校の体育館の改築については、設計している最中でございます。そのために、校庭への工事の影響がはっきりしませんが、周辺状況を見ると、校庭の一部は使用せざるを得ないのではないかというふうに考えてございます。しかし、できるだけ影響がないように配慮していきたいというふうに思っております。
    〔保健福祉部長金野 晃登壇〕
○保健福祉部長(金野 晃) 私からは、特定健診と子宮がん検診に関する御質問にお答えいたします。
 まず、特定健診が受診できる医療機関についてでございますが、中野区の国民健康保険が行います特定健診につきましては、受診できる医療機関につきまして、これまでの区民健診と同じになるようにしたいと考えております。そのため、隣接区の医師会とも調整をしているところでございます。
 また、受診勧奨についてでございますが、受診期間は7月から11月ということになるわけですが、特定健診の対象者につきましては特に申し込みをする必要がなく、区から直接受診票を発送することになります。その際に、受診の勧奨もあわせて行いたいと考えております。
 次に、子宮がんに関するお尋ねです。子宮がん検診についての意識啓発ですが、子宮がん検診につきましては、初めて対象となる20歳の区民に対して区から個別に検診の案内を通知するなど、勧奨を行っているところでございます。
 また、がん検診につきまして、国に予算要望してはどうかという御質問がございました。全国市長会におきまして、国に対してがん検診のより一層の充実につきまして、積極的な措置を講じるよう要望しているところでございます。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、山手通りの問題につきまして、まずお答えをさせていただきます。
 中野長者橋付近の交通渋滞対策につきましては、区といたしましても既に首都高速道路株式会社に申し入れを行ってございまして、本郷通りや方南通りの交差点の改善や信号の表示時間の調整など、一定の対応が図られたというところでございます。平成21年度には、中央環状新宿線の未開通部分が開通をされるということでございまして、中野長者橋出入り口付近の渋滞は、これによって緩和される見込みでございます。しばらくは、その推移を見守ってまいりたいと考えてございます。
 次に、南部防災公園の位置についてでございます。広域避難場所である東大附属中学校一帯への避難については、主に南台一、二丁目地区が対象となってございます。区では、地区計画に基づきまして、中野通りから東大附属西側道路をつなぐ東西方向を中心に、避難路の整備を進めております。東大附属西側道路の拡幅整備も完了したところでございまして、避難想定や避難路の配置からいたしましても、仮称南部防災公園の位置といたしましては、東大附属の南西側が最適であるというふうに考えているところでございます。
    〔区民生活部長大沼 弘登壇〕
○区民生活部長(大沼 弘) 微小粒子状態物質の規制についての御質問にお答えします。
 微小粒子状物資の規制に関しては、国は環境基準の設定に向けた検討を行っており、また、東京都においても「PM2.5」に関する検討会を設置し、対策等を検討していることから、区として国や都への要望は考えていません。
 以上であります。
○議長(市川みのる) 以上で、岩永しほ子議員の質問は終わります。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
      午後3時25分休憩

      午後3時50分開議
○議長(市川みのる) 会議を再開いたします。
 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 一般質問を続行いたします。


 中野区議会議員 奥 田 けんじ
 1 学校教育について
  (1)学校再編について
  (2)学校再編後の教育政策のあり方について
  (3)小中一貫教育について
  (4)コミュニティスクールについて
  (5)公教育の最低保障について
  (6)学校マニフェストについて
  (7)その他
 2 生涯学習について
  (1)生涯学習の場について
  (2)ことぶき大学について
  (3)図書館について
  (4)その他
 3 その他

○議長(市川みのる) 次に、奥田けんじ議員。
     〔奥田けんじ議員登壇〕
○17番(奥田けんじ) 第2回定例会に当たりまして、民主クラブの立場から一般質問をさせていただきます。
 今回は、政治家としての原点であります「教育問題」について取り上げさせていただきたいと思っております。
 公教育の使命、これは学校教育、社会教育、そして生涯教育にかかわらず、共通したものとして、個人に対しては生きる力を最低限保障していく。そして、社会に対しては地域社会の活力を増加させていく。こういった、いずれも時代の変化で定義は変わってくるものの、共通したものがございます。例えば高度経済成長期であれば、生きる力として定義されていたものは、決められた目標に対して、速く正確に、大量にというような命題がございました。社会の活性化という視点でも、量的な増加を求めたものでありました。いわば発展途上国型のモデルであります。
 そして、今現在日本がおかれている低成長時代、あるいは成熟期を迎えたこの日本の状況の中では、生きる力、再定義が必要になってきております。自己の目標を発見し、到達する。言いかえれば、自己実現をする力と言いかえてもいいかもしれません。社会の活性化という視点におきましても、質的な増加を求められている時代だと言えると思います。いわばこれは、成熟国型のモデルと言えると思います。
 社会の要請として、労働人口の減少と高齢化によって、多様性を受け入れて一人当たりの生産性を向上させていくという必要性が出てきております。個人の要請としても、単に生活できればいいというところから、自己実現をしていきたいというものに変わってきております。教育のあり方は、こうした時代の変化に対応していく必要があります。
 そこで、まず学校教育についてお伺いをさせていただきます。
 現在、文部科学省では、ゆとり教育の見直しが進められております。指導要領の改定を一部前倒しして実施するなど、大きな変化が見えるところでありますけれども、ゆとり教育の考え方自体は、まさにこうした時代の変化、要請にこたえるものであります。ただし、従来の基礎的な学力、いわゆる習得型の学力が不必要になったわけではありません。自己の目標を発見し、到達する、課題発見解決型、自己実現型のまさに生きる力を発揮するための土台ということが言えます。したがいまして、基礎、あるいは習得型の学力を身につけることは、最低限保障していくべきところであります。
 そこで、公立の学校教育の使命とは何なのか、改めて考えてみたいと思います。目標としたいのは、やはり生きる力をすべての子どもたちにつけていくことです。しかし、最低限というところであれば、まずは落ちこぼれゼロを目指していくことが必要不可欠であります。手段として、どのようなものをとっていくべきなんでしょうか。
 私は、フィンランド、あるいは北欧諸国の事例も実際に視察をさせていただきましたけれども、これをそのまま適用することはできません。なぜなら、北欧、特にフィンランドの教育改革の成功の事例を見ますと、もちろん中身として時代に即応した課題発見解決型の生きる力の教育内容の改革もありますけれども、背景として、人、物、金を十分に教育に振り向けているという状況があります。
 現状はどうでしょうか。日本では、GDP比でOECD諸国の中で目立って少ない教育予算の中でできることは一体何なのか、考えていく必要があります。ちなみに、OECD諸国の平均では、GDP比5%支出しているのに対して、日本では約3.5%、著しく低い水準であります。日本でこういった状況の中で、同じことはできない。また、すべきではありません。日本のおかれた状況や持ち味を生かしていくことが必要であります。
 予算のかかり過ぎる、人、物、金の政策は、自治体の決断としては大変難しいものであります。日本には、製造業の現場力、あるいは古くは教育の寺子屋等の地域力があります。この現場力、地域力を生かしていく必要があると考えております。目指すべきゴールは、基礎学力をしっかりとつける。つまり、落ちこぼれをゼロにしていく。その土台を生かした課題発見解決型の生きる力をつけていく。そして、手法として選ぶべきは、コミュニティの力の活用による教育現場の活性化であります。コミュニティは、多様な人材がいます。そして、多様性こそ高付加価値、あるいは高生産性の源となってきます。これこそ公立の学校の強みということが言えます。
 まず、そうした認識のもとで、中野区の学校のおかれた状況をお伺いさせていただきます。
 1番目に、学校の再編についてであります。
 まず、現在の学校現場の状況を確認させていただきたいと思います。現在、区は適正規模、つまり小学校であれば12学級、中学校であれば9学級を確保し、社会性の習得、円滑な運営を理由に学校の再編を進めていると、私は認識いたしております。この再編を行っている目的を改めて明確にさせていただきたいと思います。お答えいただきたいと思います。その目的が価値のあるものだとすれば、その意義を周知するに当たって不十分な点がなかったかどうか、その点をお答えください。
 そして、2番目に、学校再編後の教育政策のあり方についてお伺いしたいと思います。
 再編の前期過程が来年度に終了し、中後期過程も間もなく具体化されてまいります。今後の再編においても、慎重かつ丁寧な対応が欠かせません。
 一方で、今後の教育政策の検討を具体化するべき、そういった時期になってきていると考えております。特に学校選択制、この問題については、学校再編問題に先んじて行わないという趣旨で、現在検討を中止いたしております。私は、この区のこうした慎重な姿勢を高く評価するものであります。しかし、現在の選択制に関しての区の認識がどうなっているのか。まずはお示しいただいた上で、検討を再開されるおつもりがあるかどうか、お答えを求めます。
 生きる力をつける教育の質を向上させる主な方法として、現在では市場化をしていく、あるいは情報公開をしていく。二つの方向性で政策がとられております。学校選択制はまさにその前者、市場化をすることで、学校の教育の質を上げていく試みであります。
 しかし、個人の利益のみでなく、社会的な便益があるからこそ義務化されている公立学校に対して市場化していくことは、慎重にすべきことだと私は考えております。学校選択制の再検討をするに際しては、市場化の手段、手法だけではなく、情報公開の手法も同時に検討すべきであると考えております。所見を伺います。
 公教育の最低保障についてであります。
 公教育の目的として、教育の質の最低保障をしていくことが必要であります。少なくとも、基礎的な習得型の学力を全員が基準以上習得していることが求められます。教育委員会は、学力にかかわる調査を毎年度行っておりますが、観点別に既に傾向自体はつかめているはずであります。これを現場に果たして生かすことができているのかどうか。ここが問われていると思います。例えば習熟度別の学習について、観点別に細やかな対応をしていく必要があると考えております。御所見を伺います。
 さらに、学校のマニフェストについてであります。
 今申し上げました学校の質の確保の方法について、市場化に頼らない方法として、情報公開していく。つまり、ガラス張りの状態をつくっていくことで質を改善していくという手法があります。その質の確保がされているのかどうか明示する方法として、学校マニフェストという手法があります。保護者、地域住民、つまり潜在的な保護者になり得る方でありますけれども――に対し、下位グループ、つまり落ちこぼれの底上げが意図され、その目的が達成されていることが、数値、期限により明示されている必要があると考えております。
 例えば、先日民主クラブで視察いたしました三鷹市では、学力テスト下位50%の平均点の向上を目標としております。これはまさに公立が目指すべき最低保障を形として示す好例だというふうに考えております。御所見をお伺いいたします。
 さらに、小中学校の一貫教育についてお伺いをいたします。目標を設定したり、情報公開したり、こういった手法については、実施をしようと思えばすぐにでも可能であります。しかし、教育の質を実際に改善するのは人の力であります。教師、あるいは地域人材が大切だということです。質、量、そして効率を上げていく必要があります。その打開策の一つに小中一貫の教育が考えられると思っております。中野区は、10か年計画の第2ステップでモデル校の設置を予定しております。現在の取り組み状況をまず確認させていただきたいと思います。お答えください。
 私たち民主クラブとして、三鷹の事例を視察させていただきました。小中の教員が両方の学校に対して、小学校、中学校に対して正式に兼務するという形になることで、さまざまなメリットが出てまいります。例えば小学校の教員がTTとして中学校の授業に入る。また、その逆の交流もできる。そんな中で、小学校の教員が思春期の課題を認識したり、発展学習の配慮ができるようになったり、あるいは部活動の顧問を行うということもできるようになります。逆に、中学校の教員の立場で小学校での学習レベルに対しての認識が深まったりというような形で、学習面、あるいは生活面において非常に多くのメリットが発生します。これは限られた人材の中で効率的に、あるいは質を高めていくという非常に意味のある取り組みになってくると、私たちは考えております。人を有効活用し、学びの質を向上させていくことにつながります。早期に導入を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、コミュニティスクールについてお伺いいたします。
 情報公開による教育の質の向上策の一つに、私たちはコミュニティスクールの取り組みがあると考えております。さきの2007年第2回定例会の一般質問におきまして、教育長からスクールサポーター制度の導入により、全校をコミュニティスクール校化するとの答弁を既に得ているところでありますけれども、具体的な検討状況をお伺いいたします。
 さらに、コミュニティスクール校化を図るには、地域に十分な人材が見出されていることが前提であります。量の確保が必要だということです。例えば区政全体として既に導入済みの元気でネットをはじめ、今後地域活動センター、U18、あるいはスクールサポーター制度等、地域人材に頼る体制が今後多く想定されております。現在、地域の人材は十分に見出されている状況なのでしょうか。もし地域の人材が十分見出されている、あるいは見出し得る状況であれば、私たち民主クラブとしては、コミュニティスクールを法定の地域運営学校化していくことを図るべきと考えております。これは量から質への転換であります。地域に十分な人材がいるということであれば、さらに質への転換を目指していくべきと考えております。これは情報公開が十分されている状態をつくることで教育の質の向上を図っていく。さらには当事者として参画していただく。こういったモデルであります。御所見を伺います。
 一方で、もし地域に十分な人材が見出されていない、あるいは見出し得る状態にないということであれば、学校に関してだけではなく、区政全体として地域に人材がいることを前提とした施策展開をすることは見直す必要があると考えております。そういった場合には、まずは地域力を向上させる取り組み、つまり人材を発掘することを優先するべきと、私たちは考えております。その際、地域人材の発掘に対して生涯学習の政策を有効に活用するべきではないかと考えております。
 そこで、生涯学習についてお伺いをさせていただきます。
 まず、この生涯学習の場についてお伺いをさせていただきます。生涯学習の場は、民間にも多く用意されているところでありますけれども、行政として提供するのであれば、経済的な効果によらないものなど、市場の失敗の存在など、あるいは誘導すべき行政目的があるべきであります。まずこの認識について御所見をお伺いしたいと思います。
 そして、現在区が行っている生涯学習の場、どういったところがあるのか、お答えいただきたいと思います。対象年齢別にどういったものがあるのか、あるいは内容別にどういったものがあるのか、お答えください。
 私は、この中で、ことぶき大学に注目をいたしました。まず、ことぶき大学の設置目的は、もちろん自己実現ということもありますけれども、地域貢献の意欲の醸成、あるいは地域参加の促進、こうした自己実現以外に、地域への貢献という二つの大きな目的が定められております。民間ではできない誘導目的があり、存在価値は十分にあると考えております。しかし、この設置は昭和47年でありまして、この制度が既に時代の変化をとらえ切れなくなっているきらいがあると考えております。制度の再設計が必要な時期ではないでしょうか。現在の対象年齢は、設立当時、年功序列型の雇用を前提に、多くの労働者が60歳までに引退することを想定してつくられたものと思われます。
 しかし、現在は雇用は流動化し、労働の形態も多様化しております。また、地域貢献意欲の醸成や地域参加促進という目的であれば、60歳以上という狭い対象とする必要はなく、子育て後の女性、あるいは早期退職者などさまざま考えることが可能です。そこで、対象年齢を広げていくことを検討されてはいかがかと考えおります。その際、広げることに対しての障害があるのかどうか、お答えください。
 例えば、現在は東京都からの補助金が約半分、200万円ほど入っているわけですけれども、この補助金に対しての影響があるのかどうかもお答えください。さらに、この補助金の獲得に対しては工夫の余地があるのかどうか。このことについてもお答えいただきたいと思います。
 区は、団塊の世代が地域で活躍してくれることを非常に期待していると理解しております。ことぶき大学はまさに団塊世代を地域につなぐ機能を備えている。しかし、一方で課題もあるわけですけれども、一つには、名称でございます。今の精神的に非常に若い団塊世代に対し、「ことぶき」という名称が訴える力をどれぐらい持っているのか、私はやや疑問に思っております。この際、名称の変更を検討されてはいかがでしょうか。
 また、区のアンケート調査によりますと、このことぶき大学の受講者は、受講後に7割が地域活動に関心を持っております。しかし一方で、残念ながら実際には4割の方が何も行動をしていないという結果が出ております。これは非常に残念なことでありまして、学んだ後の出口、次の場所をしっかりと見出すことができない状況にあると言えると思います。行政が担い手として期待している場所、それが地域のどこにあり、何ができるのか、具体的にこの卒業生の皆様に御案内する。やっていくべきではないでしょうか。
 例えば学校、児童館、地域活動センター、国際交流協会、スマイル中野、町会、消防団など、地域の具体的な場所があることを示して、具体的な紹介活動はできると考えております。特に、コミュニティスクール校化を図っていく際には、多くの多様な人材が必要になってくる地域の学校に対して、紹介活動を行っていくことを検討されてはいかがでしょうか。具体的に、施設管理、芝生の管理、あるいはスクールサポートなど、さまざま想定ができると思います。
 そして、最後に、図書館について幾つかお伺いをさせていただきます。
 図書館サービスは、すべての区民に対して生涯学習を保障する場ととらえるべきだと考えております。常に、学習の継続や発展、再出発が可能な場所でなければなりません。まずは、図書館のサービスの位置付けについて、教育委員会の御所見をお伺いします。
 そのためには、図書館サービスは、単に待ちの営業であってはならない。待っているだけの営業であってはならないと思っております。これは私がさまざまな発言の場でも申し上げていることではありますけれども、さきのことぶき大学のような学びの場に対しても、しっかりと出向いていき、地域情報、発展学習の書籍、調べごとの専門家によるレファレンスサービスの存在を周知するべきではないでしょうか。御所見を伺います。
 また、そうした学びの場に出向き、利用カードを出張、発行し、図書館利用を促すべきと考えております。これは生涯学習の底上げにつながってくるものだと考えております。御所見をお伺いします。
 いずれにいたしましても、教育についてはメリット財とも呼ばれる個人に完結しない、社会的な価値を有するからこそ、中野区という行政がかかわっているのです。だとすれば、学校教育、生涯教育ともに、何のためにその教育事業を行っているのか、到達目標は何なのか。区政全体の中で明確にしていく必要があります。教育の独立の名のもとに、区長部局が教育に無関心であることは許されません。教育委員の任命をし、予算をつける以上、行政全体として統一された運営がされることが不可欠であります。そうした教育行政運営を期待して、すべての私の質問を終わります。ありがとうございました。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 奥田議員の質問にお答えいたします。
 まず、学校再編につきましてお答えいたします。学校再編の目的ということでございます。学校再編は、一定の集団規模や学級数を確保することによりまして、多様な子ども同士の触れ合いを通じ、社会性をはぐくみ、学校行事や集団活動を活性化させ、教職員の質と量を確保することなど、教育環境の充実を目指して進めているものでございます。
 また、その目的を周知するに当たって不十分な点はあったかという御質問がございました。学校再編の目的につきましては、計画の策定に当たりまして区民との意見交換会などを何度も開催し、説明したり、再編計画リーフレットの配付や教育だより、ホームページなどによりまして広報を行うなど、これまでも周知に努めているところでございます。
 それから、学校再編の教育後の教育政策のあり方につきまして、学校選択制の検討状況ということでございまして、検討を再開したらどうかという御質問でございました。現在のところ、学校再編を最優先課題として取り組んでおりまして、再編後の状況が検証できるまでは、学校選択制について検討する考えはないところでございます。
 それから、教育の質を向上させる方法として、市場化と情報公開が考えられると。情報公開の手法も同時に検討すべきと考えるが、学校選択制を再検討するに際し、情報の公開の手法も同時に検討すべきであると考えるがどうかということでございます。学校についての情報公開につきましては、学校選択制を導入する、しないにかかわらず、これまでも進めてきているところでございます。これからもさらに公開に努めてまいりたいと思います。
 それから、公教育の最低保障についての御質問がございました。観点別の学力にかかわる調査を行って、傾向はつかめているはずだと。観点別に細やかな対応が必要だと考えているが、所見を伺いたいということでございました。学力調査の結果を観点別に分析いたしまして、目標値に達していない児童・生徒の状況を把握しているところでございます。それらの児童・生徒が目標に達するために必要な対策について検討しておりまして、必要な教科においては、学力向上アシスタントを配置し、個に応じた指導を行うなど、目標値に達するための施策を行っているところでございます。
 また、学校マニフェストにつきまして、策定するべきだということでございます。特に数値、期限などにより明示するべきであるということでございました。学校におきましては、当該年度の達成目標を示しました学校経営方針や、学力調査の結果を踏まえました授業改善プランなどを策定いたしまして、公表しているところでございます。今後、達成目標の数値化など、より具体的でわかりやすいものとなるよう努めてまいりたいと思います。
 次に、小中一貫教育につきまして御質問がございました。
 小中一貫教育でございますが、現在、教育委員会におきましては、不登校の顕在化あるいは学力調査の結果から見られるつまずきなど、小学校から中学校への接続の中であらわれます生活面や学習面の課題を解消するという観点などから、小中連携教育につきまして検討しているところでございます。今年度中にその結論を明らかにしていきたいと考えているところでございます。
 それから、コミュニティスクールについて御質問がございました。
 コミュニティスクールでございますけれども、以前に全校をコミュニティスクール化するというような答弁を得ているが、具体的な検討状況をということでございます。また、人材が見出せない場合には、地域の人材はそういった多くいるのかというようなことで、得られている場合にはコミュニティスクール化を進めるべきであるし、そうでない場合にはそういった人材の確保をという御質問がございました。中野区では、国が進めますいわゆる地域運営学校そのものを投入するという考えは現在持ってございません。中野区では、学校が地域と連携いたしまして、地域と協働して特色ある学校づくりをしております。各学校でのさまざまな取り組みを実践しているところでございます。そうした中で、地域の多様な人材の活用を図っていくため、先ほどスクールサポーターというようなお話がございましたけども、ちょっと名称を「学校支援ボランティア」というようなことで変えまして、その創設につきまして、今検討しているところでございます。
 続きまして、生涯学習について御質問がございました。
 生涯学習の場と行政目的、それから場はどういうものがあるかということでございます。生涯学習推進におきます区の役割でございますが、障害者や高齢者の社会参加につながる学習活動や地域におきます生涯学習リーダーの養成など、民間や区民自身が担うことの困難なものを補完し、区民がみずから行う生涯学習を支援していくことと認識しております。現在、教育委員会では、青少年教育として小学校5、6年を対象にした常葉サマースクール、障害者教育としていずみ教室や社会教育訪問学級、高齢者教育としてことぶき大学、大学院などの事業を実施しているところでございます。
 ことぶき大学について見直しをしたらどうかということでございます。さらに、その補助金はどうなるのか、それから出口の問題、次の場所の情報についてはどうしていくのかという質問がございました。
 ことぶき大学につきましては、団塊の世代が参加しやすい、また、卒業生各人の能力、意欲を地域の人材資源として生かせるような事業展開を目指しまして、対象年齢でございますとか、あるいは名称なども含めまして、現在見直しの検討を進めているところでございます。ことぶき大学の年齢要件を緩和いたしましても、高齢者福祉施策として対象年齢の範囲内での都の補助対象にはなると聞いております。また、ことぶき大学の見直しの中で、卒業後の活動の機会を広げるため、学校支援ボランティアなど、他の部署が実施する施策との連携も視野に入れた検討を進めているところでございます。
 最後に、図書館についてお答えいたします。
 図書館サービスについて所見をということでございます。図書館は図書資料を収集、提供することによりまして、区民の学びと自立を支える機能を担う施設でございまして、区民の生涯学習のための重要な場であると考えております。そのため、図書サービスについて、ことぶき大学のような場のほうに出向き、レファレンスサービスを紹介するとか利用カードをつくったらどうかということでございますが、図書館の利用促進を図る上では積極的なPRが重要だと思っております。今後、ことぶき大学などの場におきまして、図書館の活用方法について学ぶ機会を設けるなど、図書館利用登録に結びつけていく方法を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(市川みのる) 以上で奥田けんじ議員の質問は終わります。


 中野区議会議員 斉 藤 金 造
 1 防災対策について
 2 10年後の施設配置と区の財政運営について
 3 組織改正と職員体制について
 4 都区のあり方検討委員会について
 5 その他

○議長(市川みのる) 次に、斉藤金造議員。
      〔斉藤金造議員登壇〕
○33番(斉藤金造) 平成20年第2回定例会に当たり、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。
 冒頭に、ミャンマーにおいてのサイクロン、中国四川省の大地震で被災された皆様に心より御冥福、お見舞いを申し上げます。
 質問は、防災について、2番目に10年度の施設配置と区の財政運営について、3、組織と職員体制について、4、都区のあり方検討委員会についての順番で行いますので、区長、理事者におかれましては、簡潔でわかりやすい答弁をお願いいたします。
 最初に、防災についてお尋ねをいたします。
 中国四川省でのマグニチュード7.9の最大級の地震において、死者、行方不明者合わせて9万人を超えるのではないかという被害者の数は、現在でもますます拡大しており、5月26日にはマグニチュード6.9の余震、決壊の可能性のある土砂崩れダム35カ所による二次災害が懸念されて、70万人が危険な状態にあると報道されています。仮設住宅も100万戸が計画され、また、地震による化学工場の倒壊の影響で深刻な環境汚染まで心配されております。
 また、サイクロンに直撃されたミャンマーでは、死者7万7,000人余、行方不明者5万5,000人余、被災者は160万人から250万人とミャンマー政府が発表していますが、いまだ救援の体制も全く整っていないようであります。
 大地震、サイクロン等の災害の発生は防ぐことができませんが、被害は人の力で最小限に食いとめられると言われております。そこで、区長に中野区での災害を最小限にする取り組みと決意を一番最初にお尋ねをしておきます。
 次に、震災時の帰宅困難者対策についてお尋ねをいたします。
 中央防災会議の調査会が、ある日の正午、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の直下型地震が発生したという想定で道路の混雑予測を発表しました。そこには、電車、バス等の公共交通機関は麻痺し、火災も複数箇所で発生し、勤務先、学校などでこの地震に遭遇する人は約1,400万人にも上り、1平米当たり6人以上という満員電車並みの混雑に3時間以上巻き込まれるのはこのうちの200万人と想定され、都区内では10人中3人、都心に限ると10人中4人になるとのことであります。歩行者同士のトラブル、将棋倒しなどの人災が心配され、沿道の建物の倒壊、火災が発生したときの歩行者への二次災害も懸念されております。帰宅者各人の行動を推定したきめ細かな対策が重要と指摘されています。企業などへ一斉帰宅を抑制する対策を講じたり、翌日の帰宅等を選択してもらうと、満員電車状態の道路に3時間以上巻き込まれる被災者数は94万人に減ると想定されています。さらに効果的なのは混雑情報の提供と言われております。帰路経路の状況が早期に把握できれば、混雑に遭遇する被災者は72万人まで下がると言われています。なお、交通を妨げる火災や建物倒壊等がない場合は54万人に減ると言われております。
 そこで、区長にお尋ねをいたします。地震情報や周辺の混雑情報を都、周辺区と共有し、また、個人への情報提供についてどのように取り組まれるか、2番目に、災害に強い道路の確保に向けてどのようにまちづくりを取り組まれるかもお尋ねをいたします。
 次に、10年後の施設配置と区の財政運営についてお尋ねをいたします。
 「新しい中野をつくる10か年計画」が策定され、既に2年半が過ぎようとしております。この間、社会経済情勢は刻々と変化し、後期高齢者医療問題や震災対策、輸入食品にまつわる健康危機管理など、新たな区政課題が生まれてきています。区の新しい中野をつくる10か年計画の基本的な考え方では、計画の進行を四つのステップに分けて推進していくとして、平成17年度と18年度は第1ステップとして、主に基礎づくり、平成19年度と20年度は第2ステップとして、計画の具体化、平成21年度、22年度は第3ステップとして、定着・発展、平成23年度以降の第4ステップでは目標の達成と新たな課題の取り組み、と位置付け計画を推進することとしています。そして、この中長期的な目標と戦略に基づく事業は、PDCAサイクルの中で目標達成を目指して展開することとしています。また、あわせて、10か年の財政フレームについても、計画の策定段階で想定した事業内容や実施年次を踏まえて、「財政運営の考え方」という形で示されたものであると認識をしています。こうした計画策定時の基本的な考え方を踏まえ、10年後の施設配置と区の財政運営について、さまざまな角度から質問をさせていただきます。
 初めに、10か年計画の見直しに当たって、区の基本姿勢と施設配置計画について、優先度、整備年次などについてお伺いをいたします。
 新しい中野をつくる10か年計画は、基本的な考え方の中で目標の達成度の検証を行い、PDCAサイクルの中で取り組みの内容の改善を行い、策定からおおむね5年後、年度で申し上げれば21年度に改定するほか、区を取り巻く社会経済情勢が大きく変化した場合に必要に応じて改定するとされています。改定作業は本年度に行うことになると聞いていますが、この3年間の目標達成度をどう検証し、どのような改定コンセプトを抱いて改定するか、区の基本的な姿勢についてお伺いをしていきます。
 さて、新しい中野をつくる10か年計画では、10か年の中で新たに整備する施設や移転する施設、再編を行う施設、その施設の機能や運営方法を見直す施設ごとに整備・活用方法と整備時期が示されています。この10年後の施設配置では、区立学校の再編に伴う統合新校の改築や改修工事、総合公共サービスセンターと地域スポーツクラブの整備、中野体育館の移転改築工事、3カ所の区民活動センターの移転新築工事、そして区役所の移転改築工事などのほか、南部防災公園整備、本町二丁目用地取得などの大型事業が含まれております。そして、この想定年次を反映した財政の裏付けも、平成19年1月に示された財政運営の考え方の中に盛り込まれているものと理解をしています。
 こうした当初の新しい中野をつくる10か年計画の施設配置に示された施設整備については、既に着手されたものや整備が終了したもの、そして今年度から来年度にかけて着手するものがあると思います。その今年度から来年度にかけて着手するものの中に区民活動センター3カ所の新設が計画されております。南中野は21年度からのステップ3、それ以外の昭和、東中野は23年度からのステップ4に民間活力を活用して整備するとされていますが、計画の進捗状況はどうなっているのでしょうか。箱物をつくることは簡単ですが、具体的な施設の運営方法については、移転新設以外の地域でも合意を得るまでに至っていないと聞いております。区民活動センターは地域コミュニティ形成や地域課題の解決の話し合いの場などの地域自治活動の拠点として整備することは理解しております。しかしながら、どの地域の声を聞いても、行政のかかわりや支援が非常に重要な条件となることは明らかであります。
 ステップ4ではすべての地域センターが区民活動センターに転換される計画になっておりますが、円滑な施設機能の転換のため、区は今後どのように計画を推進していくのか、お考えをお聞きいたします。
 また、あわせて、区長は10年後の中野区の施設配置のビジョンをどのようにとらえて基本構想で描く将来像を実現していこうとしているのかもお聞きいたします。
 次に、施設配置にも関連する、早急に取り組む必要のある学校施設等の耐震補強工事や耐震促進計画に基づく区内民間施設の取り扱いについてお伺いをいたします。
 平成18年1月に施行された耐震改修促進法を受け、東京都が策定した耐震改修促進計画を指針とした区の耐震改修促進計画が昨年11月に策定されました。この耐震改修促進計画では、その対象建築物としては、住宅のほかに民間の特定建築物、そして東京都震災対策条例で位置付けている防災上重要な区有建築物を平成19年度から27年度までの間に目標値の設定や耐震化の取り組みを行うとされております。耐震化の現状は、住宅については4万1,000戸、民間の学校や病院、社会福祉施設などの民間特定建築物については27棟、そして区庁舎や小中学校、保育園、特別養護老人ホームなどの防災上重要な区有建築物では、実に167棟の耐震が不十分であるとされております。
 区の耐震改修促進計画では、こうした現状を踏まえ、住宅と民間特定建築物については、平成27年度までに耐震化率を90%、防災上重要な区有施設については、平成27年度までに耐震化率を100%にする目標を掲げ、事業を推進することとしています。この住宅などの耐震化は、所有者によって行うことを基本としていますが、耐震化促進のため、住宅の無料耐震診断や補強設計費の助成などの区の財政的な支援も今後必要になると思われます。また、防災上重要な区有施設については、既に区立学校などの耐震改修計画が示され、今後5年以内に耐震補強工事が行われることになっており、平成20年1月に示された改定後の財政運営の考え方の中にその経費が算定されている点について、一定の評価をしているところであります。
 区は新しい中野をつくる10か年計画の「持続可能な活力あるまちづくり」の中でも、安全で快適な都市基盤を着実に築くまちの姿として、住宅などの耐震性の向上や防災機能の高まりを提唱していますが、まち活性化戦略の大きな柱として取り組んでいくべき事業ではないかと考えております。今回の新しい中野をつくる10か年計画の改定の際に、安心・安全なまちづくりの観点から、きちんと戦略に位置付け、事業展開を行っていくべきであると考えますが、区長の御認識をお伺いいたします。
 特に、区の耐震改修促進計画は、新しい中野をつくる10か年計画と中野区地域防災計画との整合性を図って推進していく必要があります。財政の裏付けのある中長期的な推進計画としていくべきと考えますが、区長のお考えを伺います。
 次に、新たに大規模用地を取得して事業展開をしていく際の財政運営についてお伺いをいたします。
 今定例会の補正予算案の中に、本町五丁目NTT用地の先行取得に対する土地開発公社に対する債務保証が含まれております。その取得額は約155億円とされており、私の記憶をひもといても、過去の区の用地取得の中でも最も高額なものではないかと考えております。区の南部地域は大規模な公園もなく、防災上からもその必要性は理解できますが、本町二丁目用地、約0.67ヘクタール、東京大学海洋研究所跡地、(仮称)南部防災公園用地、約1.1ヘクタール、そしてNTT用地の約1.2ヘクタール、合計で3ヘクタール、総額では250億円を超える用地取得となります。防災公園や都市計画公園ということで、用地取得費や公園整備費に国の交付金や都の都市計画交付金、起債相当額については都区財政調整制度において財産費が交付されるということですが、我が会派としても、今後の財政運営について大変危惧をしているところであります。
 財政担当からは、交付金や補助金を得られることから、区の一般財源への負担は少ないとの説明を受けましたが、こうした交付金などは制度として当然交付される性質のものであると思っています。しかし、国も東京都も一定の予算の中での交付となれば、満額交付されない場合も想定しておかなければならないと考えております。
 区は今後、新井地域にある法務省矯正研修所の跡地の取得も考えているようですが、本当に中野区の財政運営は大丈夫なのか、他の大型事業に影響はないのか、この点について区長から御見解をお伺いしておきます。
 特に、防災公園の整備となれば、周辺民家の不燃化促進や避難経路の建物倒壊防止、狭隘道路の拡幅など、関連の事業を同時に進めていかなければならないとお聞きしています。こうしたこともあわせて、わかりやすい答弁をお願いいたします。
 この項の最後に、私や自由民主党議員団の同僚議員たちも定例会の一般質問や予算・決算の特別委員会などで再三指摘をしてまいりました区の財政運営についてお伺いをいたします。
 区の財政はここ数年、法人住民税などの大幅な増収により、いわゆる都区財政調整交付金は毎年伸び、財政運営の考え方の基本計画に示す基金残高の平成20年度末の見込みは320億円余となることが想定されております。一方、いわゆる国の三位一体改革による税源移譲に伴う特別区民税は思ったほど大きな伸びを示しておりません。逆に、個人所得の減収や収納率の伸び悩みにより減収も想定しておかなければならないのではないでしょうか。現に、内閣府の月例経済報告でも、ことしの3月以降は、「景気回復はこのところ足踏み状態にある」とし、今後、原油高などの影響から景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要があると報告しております。
 こうしたことから、法人住民税などの大幅な増収も平成19年度がピークで、今後、急速に減収に転じるとの見方もあり、今後の区財政は決して楽観視できない状況にあります。区は当初示された財政運営の考え方でも、景気の影響を受けやすい特別区民税や都区財政調整交付金という区の基幹収入の減収に耐えるべく、年度間調整基金としての財政調整基金の積み立てを重視してきましたが、一体いつまでもつのでしょうか。大幅な事業の見直しやコスト管理の徹底を行っても、こうした社会経済状況の変化に対応していけるのか、我が会派としても大変危惧をしているところであります。
 区長はこうした経済状況を受け、今後どのような財政運営を行っていかれるのか、お考えをお聞きして、この項の質問は終わります。
 次に、組織と職員体制についてお尋ねします。
 昨年の第4回定例会においても同様の質問をさせていただいております。中野区では毎年のように組織改正が行われ、組織改正は職員の仕事の効率を上げることや仕事をしやすくなることはもちろん、目標は住民福祉の増進であり、区民にとってサービスの向上やわかりやすい組織というのも重要な視点との質問に、区長は、事業部制の導入により、各部長はみずからの判断で部の目標体系を設定し、経営資源の配分を行い、戦略的な部経営を行うことができるようになった。しかし、自主的な経営判断が強まると縦割りの弊害も生じるため、事業部制の役割と機能を明確化したPDCAサイクルを強化した経営体制をとることとしたとお答えをいただいております。
 そこでお尋ねしますが、具体的な事例を挙げてどのように組織体制が強化されたのかをお答えいただきたいと思います。
 次に、本年も大幅に、驚くことに昇任も含めて19ポスト、36人もの部課長の異動があり、第4回定例会でも指摘したとおり、組織が毎年変わって、どこに行ったら自分の用件を済ますことができるのかわからないとの声に、課制、係制を廃止したということから、みずからもわかりにくいと言われ、事業担当を明確にし、窓口をワンストップサービス化して一元化に努めるとありますが、今回の組織改正で具体的にどのように改善されたのかをお尋ねいたします。
 なぜ2回も同じことを尋ねるかというと、区の組織が果たして本当に区民のために機能しているかを疑問に感じるところがあるからであります。例えば、東中野小学校と中野昭和小学校の統合に伴う通学路安全対策や跡地活用の問題について見ると、初期の段階から各部が連携をとって区民の皆様に適切な説明をすべきだったのではないでしょうか。また、新井三丁目の法務省矯正研修所の移転問題にしても、再編計画に影響の及ぶ沼袋小学校、野方小学校の関係者に対して、もっと積極的に情報提供をすべきであると指摘されています。周辺に大きな影響をもたらす警察大学校等跡地の整備計画についても、地域の皆様へ十分な説明をしていくべきだと考えています。
 事業部制をとっている以上、各部が所管する事業計画については、部が責任を持って住民に説明し、理解を求める努力をすべきです。また、部をまたがる課題については、関連する部が相互に十分な連携をとって、区として一貫した対応をすべきであります。この点の努力がまだまだ不十分であると感じざるを得ません。区長はこうしたことについてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。
 最後に、都区のあり方検討会についてお尋ねをいたします。
 まず、都と区長会は平成18年11月に、都と区の事務配分、23区の再編などの検討を始めることで合意したとあります。日本の地方自治の仕組みは、区長と区議会議員を別個に選出するという二元代表制であります。専ら区長のほうだけについて意を用いれば済むということではなく、必ず区議会、区議会議員の意向、意見、批判を受けて全体の制度改革を進めるべきであると思います。しかし、この都区のあり方検討については、区議会との協議もないままに進められてきました。このこと自体、いかがなものかと思いますが、区長のお考えをお示しください。
 同委員会について、新聞報道では、「広がる生活圏・目立つ非効率」との見出しで、都側は合理化で支出抑制を、区側は権限・財源移譲を主張し、全く議論がかみ合わなかったとあります。また、そもそも都と区長会が検討を始めたのは、道州制議論の中で、国主導の首都圏行政に関する議論が深まる前に自分たちで方向性を示すねらいがありました。そして、平成18年に設置した都区のあり方検討委員会では、平成19年度から平成20年度末までに、同委員会幹事会で444の事務事業について都から区への移管の是非を検討する方針でありましたが、その冒頭で都が運営する上下水道を区へ移管すべきかで意見が対立し、区の再編問題は手つかずのままであったと報道されております。
 そこで、区長にお尋ねいたします。上下水道の移管、区の再編について区議会へ報告されたことがあるのかどうかをお答えください。
 前第二次特別区制度調査会会長の大森彌先生によりますと、第22次地方制度調査会を受けて、特別区が基礎的自治体に改革できたのは、当時の旧自治省にはその気が全くなかったのに対し、都議会議員と区議会議員が頑張ったからであり、政治的に突破した改革であったとのことであります。23区の区域においては、依然として一部の仕事を都が23区にかわって行うけれども、23区を基礎的自治体と認める、したがって、都は広域自治体として改めて再出発するという約束、合意のもとで法改正がなされたのであります。そして、実施に向けて都区間の仕事の振り分けを行い、財政調整の財源などを確保するための協議をすると約束をしました。協議というのは、その法律で定めた共通の目的に向かって両当事者が誠意を持って合意に至ることを言うのであります。しかし、都はわけのわからない「大都市経営」という概念を用いて協議を長引かせるというこそくな戦術を打ち出しております。都側は今ある体制を変える気がない、23区を抱えたまま財政調整を行っていったほうがよいと考えているように見受けられます。体制を変えず、何とか維持するために現在の協議を混乱させるよう奔走しているように思えますというようにおっしゃっていました。
 このような経緯を踏まえて、23区の再編等についてお尋ねをいたします。
 現在の23区になったのは昭和22年です。約1万あった市町村は1,800以下に再編されてきましたが、区の合併は一度もありません。23区間の人口や財政力の差が拡大してきている中で、現在の都区制度は制度疲労を来しているのではないかとの指摘もあります。また、行政効率の悪さが課題であるとの指摘もあります。23区全体の職員は合計約6万3,500人、区議会議員は合計913人となっています。人口が23区の4割である横浜市の職員は約1万8,000人、市議会議員は92人であることに比べて効率の悪さが際立つとのことであります。さらに、外部から再編を求める声が出てきています。東京商工会議所が昨年7月に実施した調査では、63%が23区の再編を求めているとのことであります。都市問題を研究する森記念財団は23区を6市に再編すべきと提唱しています。
 私は、これら指摘や声をそのままうのみにして再編の議論を進めることには疑問を抱いております。基礎的自治体である特別区がみずからの意思決定における主体性と行財政運営における自立性を維持しつつ、区民のニーズと効率性の要請に的確にこたえていくためには、再編のメリット・デメリットを慎重に検証し、真剣に考えていかなければならないと思います。権限を渡したくない都、再編したくない区が今の制度を維持してきたのであり、同検討委員会での検討は、都民、区民が不在のままに双方の思惑だけが先行しているのではないかという批判等に対して、区長はどのように考えているのかをお聞かせください。
 以上で私の質問はすべて終了させていただきます。冒頭に述べたとおり、簡潔、親切な答弁をお願いいたしまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 斉藤議員の御質問にお答えをいたします。
 四川省あるいはミャンマーの災害を踏まえて、災害に対する取り組みと決意をと、こういう御質問であります。
 中野区では地域防災力の向上のために、区内115の地域防災会へ軽可搬消火ポンプをはじめとした防災資機材の配備を行い、これらの資機材を活用した日ごろの訓練を積極的に実施し、防災力の向上や意識の啓発に努めているほか、食料や生活用品等の備蓄体制の整備を行っているところであります。また、災害に強いまちづくりを推進するため、地区計画を定めて防災不燃化の面的な整備を進めているほか、住宅の耐震補強や家具の転倒防止の普及促進をはじめ、ソフト、ハード両面での対策に取り組んでいるところであります。
 日本は自然災害の多発する国であります。大都市自治体では災害への備えが不十分だった場合、大変大きな被害につながるということは十分に認識をしなければならないと考えております。区長として災害対策は最重要な課題であり、他に優先して区民の命と財産を守るべき施策の充実に努めていく覚悟であります。
 帰宅困難者に対する情報提供についてであります。
 災害時の帰宅困難者の支援を適切に行うために東京都と役割分担をいたしまして、区としては警察、消防など、関係機関からの情報収集に努め、防災行政無線など、広報手段を活用して、迅速かつ的確に情報提供をしていく、そうしたことを計画しているわけであります。また、都と協力をして、企業や学校など、事業所の策定する防災計画の中に情報の確保の方法や食料の備蓄、従業員や生徒の帰宅計画等を内容とする帰宅困難者対策を盛り込むように働きかけるなど、意識啓発に努めてまいりたいと考えております。
 それから、道路の確保に関連してであります。
 災害時には道路は避難路や緊急輸送路となるほか、延焼の遮断でありますとか救援救急活動の場ともなる重要な役割を担っているものであります。このような道路機能の確保のためには沿道の建物の延焼や倒壊を防ぐことが必要であり、これまでも南台地区や平和の森公園周辺地区など、災害の危険性が高い地域での防災まちづくりに取り組むほか、新防火地域の指定でありますとか、中野区耐震改修促進計画に基づく耐震化の支援などの対応を進めてきたところであります。今後も防災という観点からのまちづくりを進めるとともに、東京都耐震改修促進計画に位置付けられた緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進事業、この検討や震災時に重要な役割を果たす都市計画道路の整備などにもあわせて取り組んでいきたいと考えております。
 10か年計画の見直しにかかわる区の基本姿勢についてであります。
 新しい中野区をつくる10か年計画はおおむね5年後、または社会経済情勢が大きく変化した場合に必要に応じて改定していくこととしてきたものであります。10か年計画の策定の後、警察大学校跡地を含む中野駅周辺まちづくりでありますとか、西武新宿線連続立体交差事業など、区の都市整備にかかわるさまざまな動き、これが進展をいたしてまいりました。また、後期高齢者医療制度、個人住民税のフラット化など、社会状況も大きく変化をしているところであります。これらの変化を踏まえ、10か年計画を今の社会状況に対応するものとしていくために計画の改定等の検討を行ってまいります。区としては毎年度の行政評価など、PDCAサイクルを通じた事業の見直しや執行方法の改善を図ってきましたが、10か年計画の改定に当たりましては、改めてこれらの評価を踏まえ、この3年間に行ってきた行政活動についての総括をした上で見直しを進めていきたいと考えております。
 10年後の施設配置の関連で、区民活動センターへの転換に向けた進捗状況であります。
 まず、施設の整備の関連で、(仮称)南中野区民活動センターの予定地については、一時的に保育園用地に転用いたしますが、その後、民間活力の活用による整備手法の検討などを経て、23年度の早期開設を目指して取り組んでいきたいと考えております。また、昭和、東中野の(仮称)区民活動センターについては、24年度早期の施設移転に向けて、整備の方針や整備構想の検討を行っているところであります。
 また、地域センターの(仮称)区民活動センターへの転換については、平成21年の7月に15地域一斉に行う方向での準備を現在進めているところであります。その(仮称)区民活動センターの運営を担う運営委員会の設立に向けて、地区町会連合会や区町会連合会との意見交換を重ねているところでありまして、本年6月以降、各地区町会連合会において運営委員会準備会を立ち上げるための世話人会を設置していただきたいと考えているところであります。
 10年後の施設配置のビジョンについてであります。
 基本構想で描く10年後のまちの姿を実現するために、10か年計画で施設配置を描いているところであります。現10か年計画では必要とする施設配置は完了しないわけでありますが、新たな10か年計画では、その10か年計画の10年間の中で全区的に展開する基本的重要な施設については配置が完了するように検討していきたいと考えております。また、今回の計画の見直しや検討においては、新たな社会状況の変化を踏まえ、耐震改修あるいは施設の長寿命化のための施設の保全改修を行い、さらに、不用施設の売却や定期借地による貸し出しや民間との協調など、多様な資産活用策を検討し、柔軟に対応しながら財政運営に過大な負担とならない形で施設機能を確保し、基本構想で描く将来像を実現していきたいと考えております。
 耐震改修の促進についてであります。
 安全で快適な都市基盤を着実に築くまちを実現していくため、震災時の被害を防止、軽減するために、住宅等の耐震性の向上が不可欠であります。耐震診断の助成や耐震改修に対する支援等を行っているわけでありますが、このようなまちの防災機能の強化を改定後の10か年計画のまち活性化戦略の中に明確に位置付けてまいりたいと考えているわけでありますが、そうした位置付けをどのように位置付けていくかということについて、安全・快適で有効な土地利用の視点や他の取り組み等ともあわせながら、十分に見直しを進めていく中で検討していきたいと考えております。
 それから、耐震改修計画の促進についてであります。
 中野区耐震改修促進計画は、新しい中野をつくる10か年計画と中野区地域防災計画との整合性を図って策定をしてまいりました。その推進に当たっては、学校施設の耐震化など、緊急性の高い内容については直ちに着手するとともに、財政運営の中に耐震改修促進計画を位置付けて中長期的にも確実に推進していきたいと考えております。
 それから、大規模用地の取得と財政運営についての御質問をいただきました。
 いずれも重要な案件でありますので、区としても慎重かつ着実に進めてまいらなければならないと考えております。これら、いずれの用地も地域の防災性を高めたり、よりよい環境をつくり出していくといった意味での取得を予定しております。取得に当たっては、そうした取得の趣旨から、国、都の補助制度が活用できるわけであります。そうした国、都の補助制度を活用し、予定している事業手法によって行っていけば、補助金、交付金以外の区負担分については、その大部分が都区財政調整制度の基準財政需要額として算定されることになるわけであります。こうした財源措置が着実に行われるよう、国、都とも、これまでも十分に連携を図ってまいりましたし、今後も着実に連携を図ってまいりたいと考えております。また、事業に伴って一時的な支出増や起債の利息などの単独負担分、これらがあるわけですが、こうしたことが財政を圧迫したり、他の必要事業の実施を阻害する要因とならないように、起債とその償還、基金の積み立て、取り崩しを計画的に行う中長期の財政運営のあり方を定めているところであります。
 それから、防災公園の整備についてであります。
 防災公園の整備については、御質問にもありましたとおり、単に公園に防災設備を設置するだけではなく、周辺のまちづくりが重要となってまいります。防災公園や広域避難場所への避難路となる道路の拡幅など、都市基盤の整備と避難路沿道の建物の不燃化や耐震化など、いわゆる市街地の面的整備もあわせてまちづくりを進めていくことが重要であります。防災まちづくりをはじめ、地域の快適性の向上など、大規模用地を起点とした総合的なまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
 こうした区政運営を行っていく中で財政運営についての御質問もありました。
 御質問にもありましたように、景気変動によるリスクは常に意識をしていかなければならないと考えております。歳入減少のリスクに対応するために財政調整基金を設けているわけでありますが、過去の経験などから3年間程度は大幅な歳入減少の時期が続いても対応できるような、そうした積み立て額を確保することが望ましいと考えております。現在の時点で財政調整基金の残高は必ずしも十分とは言えないまでも、そのラインにかなり近づいていると認識をしているところであります。状況によって必要な場合には、この財政調整基金を活用するとともに、この期間に事業の見直しを行って、歳出入を均衡化させ、財政運営の安定化を図っていく考えであります。
 組織改正と職員体制についての御質問もありました。
 経営本部体制における組織体制の強化ということであります。事業部制における縦割りの弊害や事業部を横断する課題の調整がなかなか進まないといった現象が見られることから、平成19年度から経営本部を設けることによって、方針を出すことを経営本部側に、その方針に沿った執行を事業部側が行う仕組みとしてきたわけであります。経営本部体制を敷くことによりまして、西武新宿線連続立体交差化の推進あるいは中野駅周辺地区のまちづくりの推進、また、(仮称)すこやか福祉センターの開設に向けた取り組みなど、さまざまな面で経営本部において出した方針に基づいて新しい中野をつくる10か年計画を着実に進めてきたところであります。
 組織改正における改善、組織改正で自分の用件をどこに行ったら済ませられるのかよくわからないといったようなお声にお答えをするということでの改善であります。今回の組織改正では、区政情報発信の共有化を図ったこと、それから地域活動を支援する組織の統合を図ったこと、また、地域子ども施策を明確化したこと、それから組織名称の一部をわかりやすくしたなど、工夫、改正を行ってきたところですが、さらに窓口のワンストップサービス化に向けて検討を進めているところであります。
 それから、東中野小学校の通学路安全対策でありますとか、何点か具体的な事例を挙げて事業部が責任を持って住民対応を行うべきだという御指摘をいただいたところであります。具体的な事例で御指摘をいただいた点について、区の対応として不十分な点がなかったのか、経過をしっかりと振り返り、正すべき点は率直に正していきたいと考えているところであります。
 組織は区民の福祉向上を目指して、区民のために組織的に効率的に仕事を進めるものであります。区民への説明や情報提供をしっかりと行っていくことは、各部の経営戦略を推進していく上でも最も重要なことの一つであります。経営本部といたしましても、各部が責任を持って区民への情報提供や御説明を適時適切に行うよう、また、各部が連携をして御説明をしなければならないような場面では、経営本部が積極的にかかわって説明をするよう、責任を持って区政全体をマネジメントしてまいりたいと考えております。
 それから、都区のあり方検討会のことについての御質問が幾つかございました。
 現段階では、この検討会については事務的な論点整理の色合いが強く、議会に十分な議論をお願いできるまでの状況にはまだないと考えておりますけれども、今後、検討の深化に応じて、各区において議会でも十分に御議論をいただき、区民的コンセンサスを探りながら、23区に共通の意見、各区ごとの立場等を明確にしていきたいと区長会では考えているところであります。
 今回のあり方検討会は、区長会といたしましては、平成12年度改革を受けてさらに推進するべき改革のあり方について、都区の役割分担あるいは特別区のさらなる自治権強化などについて、都区間で議論をする場として設けたものと認識をしているところであります。都側から示された再編に関する論点についてでありますが、これはあくまでも一つの議論の素材として出されたものでありまして、現時点では具体的な区割りの変更などの議論に結びつくようなものとは考えていないわけであります。そもそも区の再編について区長会と都が議論をするといったような課題ではなく、独立した自治体である特別区がそれぞれの区の判断、その判断に基づいて再編をする相手の区との議論をするといったような、通常の自治体の再編にかかわるプロセスが当然なければ議論ができないわけでありまして、こうした都区検討の場での議論の題材として東京都が再編についての議論を持ち出すこと自体、いささか私どもとしては納得しがたいものがあるというふうに考えているところであります。
 それから、上下水道など、個別の事務移管について議論しているといったような報道もあったわけでありますが、現在の検討は、事務のあり方について現行制度で行われている一般の市のあらゆる事務を対象に論点整理を行っているものであります。その中で上下水道などの例も出てきたわけでありまして、現時点では論点整理の段階でありますので、個別の事務移管の問題として上下水道などについて議論をした経過はありませんということを御理解いただきたいと考えております。
 区の再編についても先ほど申しましたが、さまざまに議論が出されているところでありますが、中野区としては、中野区が独立した自治体として持続可能な自治体運営をできるようになっていく、そうした区の基盤の強化をしていくということが何よりも重要だと考えております。そうした都市としての基盤の強化を行っていく上で必要な都区制度の変更については、区としても主張していかなければならないと考えているところですが、そのことと再編を結びつけなければ議論できないといったような考え方には決してくみするものではないということを明らかにしておきたいと思っております。
 以上であります。
○議長(市川みのる) 以上で斉藤金造議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。
 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(市川みのる) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、明日午後1時より中野区議会本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後5時18分延会