平成21年02月20日中野区議会本会議(第1回定例会)
平成21年02月20日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録
平成21年第1回定例会本会議第3日(2月20日) 1.平成21年(2009年)2月20日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(38名)
  1番  内  川  和  久        2番  ひぐち   和  正
  3番  白  井  秀  史        4番  平  山  英  明
  5番  つぼい   え  み        6番  いながき  じゅん子
  7番  林     まさみ         9番  せきと      進
 10番  いでい   良  輔       11番  伊  東  しんじ
 12番  佐  野  れいじ        13番  北  原  ともあき
 14番  南     かつひこ       15番  小  林  秀  明
 16番  の  づ  恵  子       17番  奥  田  けんじ
 18番  近  藤  さえ子        19番  牛  崎  のり子
 20番     欠  員          21番  吉  原     宏
 22番  大  内  しんご        23番  伊  藤  正  信
 24番  きたごう  秀  文       25番  久  保  り  か
 26番  やながわ  妙  子       27番  酒  井  たくや
 28番  佐  伯  利  昭       29番  むとう   有  子
 30番  長  沢  和  彦       31番  か  せ  次  郎
 32番  山  崎  芳  夫       33番  斉  藤  金  造
 34番  篠     国  昭       36番  岡  本  いさお
 37番  飯  島  謹  一       38番  江  口  済三郎
 39番     欠  員          40番  佐  藤  ひろこ
 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子
1.欠席議員(2名)
  8番  山  口  かおり        35番  市  川  みのる
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      副区長(経営室) 石 神 正 義
 副区長(管理会計室) 沼 口 昌 弘    副区長(政策室) 西 岡 誠 治
 教  育  長  菅 野 泰 一       区民生活部長   大 沼   弘
 子ども家庭部長  田 辺 裕 子      保健福祉部長   金 野   晃
 保 健 所 長  浦 山 京 子      都市整備部長   石 井 正 行
 拠点まちづくり推進室長 佐 藤 幸 一   教育委員会事務局次長 竹 内 沖 司
 計画財務担当課長  長 田 久 雄     経営担当参事   川 崎   亨
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    奈 良 浩 二
 議事調査担当係長 大 谷 良 二      書     記  荒 井   勉
 書     記  永 田 純 一      書     記  河 村 孝 雄
 書     記  菅 野 多身子      書     記  松 本 明 彦
 書     記  丸 尾 明 美      書     記  鳥 居   誠
 書     記  土 屋 佳代子      書     記  杉 本 兼太郎
 書     記  岡 田 浩 二      書     記  竹 内 賢 三

 議事日程(平成21年(2009年)2月20日午後1時開議)
日程第1 第7号議案 平成21年度中野区一般会計予算

      午後1時00分開議
○副議長(やながわ妙子) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 山 崎 芳 夫
 1 小中学生の学力向上について
  (1)平成20年度中野区学力にかかわる調査の結果・分析について
  (2)教員研修について
  (3)学校図書室の活動について
  (4)理科室の活用について
  (5)基本的な生活習慣の見直しについて
  (6)その他
 2 広告事業の拡充について
  (1)今までの実績と今後の課題について
  (2)命名権について
 3 その他

○副議長(やながわ妙子) 最初に、山崎芳夫議員。
      〔山崎芳夫議員登壇〕
○32番(山崎芳夫) 平成21年第1回定例会に当たりまして、一般質問をさせていただきたいと思います。
 一般質問の順番は、1項目め、小中学生の学力の向上について、2番目は区が行う広告事業について、3番目はその他で、私の地元の水道タンクについて若干お聞かせをいただきたいと思います。
 それでは、1項目め、小中学生の学力向上についてお尋ねをいたします。
 我が国では、近年、学力低下が新聞やテレビなどのマスコミで頻繁に取り上げられるようになりました。平成11年に出版された「分数ができない大学生」で、大学生の実態が紹介されたのがきっかけのようであります。
 国際教育達成度評価学会の調査や国際学習到達度調査など、さまざまな調査結果を見ても、「学力は高いが低下傾向が顕著」という日本の現状が明らかになっております。
 区長も施政方針説明で「技術立国こそ国是の日本として若者の理数離れや学力低下への歯どめ、都市化の進行に連れて低下してきた子どもたちの体力の向上、少子化の中、人とのかかわり合いや体験の少ない養育環境で育った子どもたちの社会性を養うことなど、教育・子育てをめぐる課題も重要であります」と述べています。
 こうした中で、公立小・中学生の保護者は、進学に対してさまざまな不安を抱いているものと考えられます。その結果、子どもを学習塾に通わせたり、家庭教師をつけたり、私立の小・中学校に入学をさせようとする傾向が顕著になっているのではないかと予想されています。
 しかし、国際的に見れば、一説によりますと日本は江戸末期で識字率、字が読める率でありますが、9割に達した教育先進国でありました。戦後の比較でも、日本の学力は、先ほど御紹介したとおり高い水準を示しています。湾岸諸国を中心に、中東は今、日本式教育のブームのさなかだと聞いています。中でも人気なのが、「公文式」なんだそうであります。
 そこで、まず、日本の小・中学生の現状を教育長はどのように認識をしているのか、まずお尋ねをさせていただきます。
 次に、中野区学力調査についてお尋ねをします。
 平成19年度から、全国の国公立の小・中学校の児童・生徒を対象に、「全国的な学力調査」が実施をされています。文部科学省の「全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議」の座長であります梶田教育大学学長は、「学力調査を教育改革の起爆剤に」と提言し、また以下のように述べておられます。
 なぜ、全国的な学力調査を導入するのか。それは、近年の教育改革が「ナショナル・ミニマム(国による最低限の保障)」と「ローカル・オプティマム(地域ごとの最適状態の創出)」の両立という原則に向かっていることと関係しているとしています。
 国は、国民に対して最低限の教育を保障する役割に徹し、あとは地方自治体が主体となって地域性を生かした教育を展開するというものの考え方であります。国が最低限の枠組みをつくり、その中身は地域にゆだねる方向に進んでいるのであります。
 では、国の果たすべき最低限の役割とは、具体的に何でしょうか。これは、大きく分けて三つの要素が挙げられます。
 一つは、「学習指導要領」に代表される最低基準を設けることです。例えば、国内のどの地域にいても、義務教育を修了すれば最低限これだけの力は身につくという、こういう基準でございます。
 次に、その最低基準を身につけさせるために、校舎や教師、教科書、教材などの教育環境を整備するための国や自治体の財政基盤を整えることであります。
 そして最後に、最低限の基準が実際に身についているかどうか、チェックをする役割であります。この三つ目の役割を担うのが、今後実施をしていきます「全国的な学力調査」なのだそうであります。
 学力調査はこうした枠組みの中にあるという、とても意味のある調査であるにもかかわらず、いまだに反対をしている人たちがいることが私には理解ができませんし、大変残念でなりません。
 こうした背景の中、中野区では平成20年1月に東京都児童・生徒の学力向上を図るための調査、同年4月には中野区学力にかかわる調査を実施いたしました。その調査結果を踏まえ、チェック・分析をしたと思いますが、どのような実態がわかり、それをどのように学力向上に役立てたのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
 中野区学力にかかわる調査を私も拝見いたしましたが、義務教育最後であります中学3年生においては、ほとんどの教科で通過率70%を達成できておりません。かなり深刻な状況と憂慮しております。同時に、各学校が公表している調査結果と分析についても、かなりな温度差があると思っています。教育委員会としての見解を伺っておきたいと思います。
 次に、教員の研修についてお伺いをします。
 児童・生徒の学力向上は、ALTなどの活用を除けば、やはり教員の資質に頼らざるを得ません。教員としての使命感や幅広い識見指導力のもと、「授業力」の基礎となる統率力の向上こそが求められていると思います。
 区では、新規採用時、2年次、3年次、4年次、10年次など、指定研修を行っているようですけれども、学力向上にこうした研修の成果がどのように生かされているのでしょうか。研修がすぐさま生徒・児童の学力向上に影響を与えているとは思えません。今後の課題などあれば、紹介をしていただきたいと思います。
 次に、学校図書室の活動についてお伺いをします。
 学力向上と図書室は、切っても切れない関係にあると思います。私の両親は、以前、「勉強はしなくてもいいから、とにかく漫画でもいいから本を読みなさい」というのが口癖でありました。本を読む習慣をつけて、学ぶことに興味を示してもらいたいとの親の願いがあったように思います。
 中野区立啓明小学校では、平成9年に「ぐりぐら図書館」を開設いたしました。この図書館は、図書の貸し出しだけではなくて、「ぐりぐら図書館花祭り」、「よんでみよう50冊」、「ぐりぐら通信」などの活動を通じて、学びが変わる、ふれあいが広がる施設として全国的にも知られており、近年では全国から視察にお見えになる自治体がふえていると聞いています。
 区内にはこうしたすぐれた図書館があるのですから、他の小・中学校図書室も創意工夫をして、「みて・きいて・よんで・かんじる、しらべて・しって・くらべて・かんがえる」図書室を運営してほしいと思います。これからの学校図書室運営についての基本的な考え方をお聞かせください。
 次に、理科室の活用について幾つか御質問をします。
 2008年には4人の日本人科学者がノーベル賞を受賞されました。私は国民の一人として、このことを大変誇りに思っております。
 しかし、一方で、こうした受賞とは裏腹に科学離れは着実に進んでいるようであります。あるアンケートによりますと、科学離れのもとは、「科学は自分の生活に全く関係ない」と、こう思うことだそうです。だとすると、期待できる対策は、科学と生活とのつながりを持たせることが大変重要だと考えます。一人ひとりの日常の暮らしの中に「科学する環境」が溶け込んでいる、自分で科学し、その楽しさを知るチャンスがあることが重要ではないでしょうか。
 しかし、近年、学校規模が縮小して、校内での理科の研修が実質的には行われにくい状態にあると思っています。以前は学校に複数の理科教員が配置されていて、理科室や理科準備室で授業の準備や予備実験、教師間の相互教育など、生き生きとした情報交換が行われていた時代もありました。しかし、それは過去のものとなってしまいました。例えば東京都では、今や1校に理科担当教諭が1名しかいない中学校は決して珍しくありません。小学校では、学級担任ではない理科専科の教員がいない学校がほとんどでございます。
 そこで、私は、ネットワークの活用が大変重要と考えています。理科室にパソコンとプロジェクターを1台整備すれば、教師の説明の補助をコンピュータにさせることができます。専科の教員確保が困難な昨今の状況ではかなり有効な方策だと考えますが、いかがでしょうか。
 また、新学習指導要領では理数教育が重視をされて、理科の学習内容が大幅に増加し、観察や実験を中心とした授業が求められていると聞いています。今後、これに対応していくために理科の指導体制や教材の充実を図っていく必要があると思いますが、どのような方策をお考えか、お聞かせをください。
 次に、基本的な生活習慣の見直しについて御質問をします。
 学力向上は、学校だけで十分にできるものではありません。したがって、小・中学校ではそれぞれに早寝早起きによる睡眠の確保や、テレビやゲームの時間の約束、規則正しい食事など、家庭で十分に取り組んでほしい項目を挙げて協力を依頼をしているのが実態でございます。我が会派の篠議員からも、昨年そのような御提案もさせていただいたところでございます。
 ここにおもしろいデータがあります。兵庫県尼崎市教育委員会が今年度実施をした「学力・生活実態調査」によりますと、携帯電話を持っている子どもほど学力が低下をするという傾向が浮かび上がりました。尼崎市教育委員会では、平成18年度から20年度の3年間、中学生約3,000人の学力テストの成績を追跡調査いたしまして、学力の推移と携帯電話の所持との関係を分析したそうであります。その結果、3年間携帯電話を持たなかった生徒の平均偏差値は、男子が52.9、女子が53。これに対しまして一方、所持していた生徒では、男子は48.9、女子では49.1と、歴然とした結果が出たそうでございます。
 市の教育委員会関係者のお話では、「確かに携帯電話は学校に必要はない。学力との相関はあくまでも携帯電話の影響を示す側面にすぎないが、携帯電話の必要性を考える一助にしてほしい」とお話になっておられました。
 そこで、お尋ねをいたしますが、中野区教育委員会におかれましては、児童・生徒の携帯電話の学校への持ち込みについては、昨日の他会派の議員の御質問でもありましたが、禁止の指導をしているということでございますが、現場の学校の実態はどうなんでしょうか。例えば、持ち物検査などを行い、携帯を絶対に学校に持ち込まさないなどの方策はできないのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 警視庁によりますと、携帯電話の出会い系サイトを通じて児童買春などの犯罪被害に遭った18歳未満の児童・生徒は、20年上半期で350人に上っているそうでございます。子どもたちが携帯電話でトラブルに巻き込まれることを示すデータであります。各校に対して徹底した御指導をお願いしたいと考えます。
 その他で2点お伺いをしたいと思います。
 区は、平成17年に策定した「中野区立小中学校再編計画」に従って学校再編を進めています。昨年4月には最初の統合新校であります桃花小学校と緑野中学校が開校し、引き続いて本年4月には白桜小学校と南中野中学校が開設をいたす予定です。
 これまで学校再編については、統合による効率化や跡地活用などの財政的な面、あるいは通学距離や施設改修など、個々の学校の事情にかかわる問題が議論の中心となっていました。もちろん、これらのことも大切なことではありますけれども、それ以上に本来、学校再編は子どもたちの教育を充実させるために行うべきものであると考えます。この点について区の考え方を改めてお聞きをしたいと思います。
 また、今後、区は引き続き前期の学校再編を進めるとともに、中・後期の学校再編について計画改定を予定しています。これらについて区民の理解を得るためにも、学校再編によって子どもたちの教育環境がどのように充実をして、それが学力向上にどのように結びつくのか、メリットを具体的にお示しすべきであろうと考えますが、いかがでしょうか。
 その他の項でもう1点質問をさせていただきます。
 本質的な問題は「学力低下」ではなくて、「意欲の低下」が問題だという説がございます。財団法人日本青少年研究所が東京・北京・ソウルの3都市の小学生を対象に行った国際調査によりますと、「勉強のできる子どもになりたいか」という質問に対して、「そう思う」と答えた小学生は北京では78.2%、ソウルでは78.1%、いずれも7割を超えたのに対しまして、東京では43.1%と過半数以下。「先生に好かれる子どもになりたいか」に答えた割合でも、北京では60%、ソウルでは47.8%に対して、東京ではわずか10.1%にとどまりました。ともに受験戦争が過熱化している3カ国でありますけれども、中国、韓国に比べて日本の小学生は際立って学習意欲が低く、また教師に対する尊敬の念も薄いことが大変気にかかります。
 また、ベネッセ教育研究開発センターの「学習基本調査」によりますと、「日本は努力をすれば報われる国だ」と感じている子どもは小学校で7割があったのに対しまして、中学校では5割、高校では何と4割と、学年が進むことによって減少。このことは、学力を向上させるためには文部科学省や教育委員会だけに責任を押しつけるのではなくて、社会全体で学びは楽しく、そして将来に希望をもたらすつえであるということを示す必要があると思います。そういう意味では、政治の果たすべき役割は重大ではないでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。
 いわゆる「知・徳・体」という言葉がございます。改めて言うまでもありませんが、「知」は学力、創造力、企画力、コミュニケーション力、「徳」は社会道徳、正義感、そして責任感、人への思いやり、「体」は健康・体力、忍耐力などと一般的に言われています。教育は学力だけではなくて、こうした「知・徳・体」という三つの要素がバランスよく身につく児童・生徒を育てることが肝要でございます。
 指導室がよく言葉にする「基礎・基本の習得」や「個に応じた指導」なども大変必要なことであると思いますが、「知・徳・体」という三つの要素をバランスよく身につけた児童・生徒を育てていくことが教育委員会に強く望まれていることであると思っています。ぜひよろしくお願いをします。
 次に、広告事業の拡充について質問をいたします。
 世界的な景気後退局面にありまして、日本経済も全治3年と言われるほどの不況が続いています。こうした状況にあって、日本じゅうの自治体は財源が足りない状況であろうと思われます。税収の大幅な伸びは見込めず、国庫補助金も地方交付税も減るばかりであります。だからといって、起債に頼るわけにはいきません。
 しかし、人件費などの経常経費を切り詰めても、少子高齢化にあってふえ続ける民生費を吸収することすらできないのが現状でございます。中野区の財政分析につきましては、昨日、我が会派の斉藤金造議員からも御指摘をさせていただいたところでございます。
 民間企業でありますれば、持っているものはむだなく活用して、コストは可能な限り削減をするのは当然のことであります。そうしなければ倒産に追い込まれてしまいます。自治体も同様に考え、行動してはいけないものでしょうか。空いている空間や時間を活用して維持管理費を捻出できないか。企業と費用を折半して投じる税金を浮かす。昨今の厳しい財政状況のもと、どこの自治体でも経常収支比率は高値安定でありまして、財政の硬直化が進んでいるはずであります。新たな収入を確保して一般財源を少しでも浮かすことができれば、政策の自由度も増すのではないでしょうか。
 そこでお尋ねをさせていただきます。
 こうした考え方から、中野区も平成15年から広告事業にチャレンジしているものと思っています。広告事業を始めた平成15年度の広告収入の総額は105万円でありました。平成19年度は、「なかの区報465万円」、「ホームページ450万円」、「わたしの便利帳210万円」、「生活マップ16万円」、「ナイセス900万円」で、総額2,041万円となっています。何と6年間で約19倍以上の広告による収入を得たことになります。住民票や納税通知書の封筒に広告を掲載したものの寄贈もあったようでございます。平成20年度の速報値と、他に実績があれば御紹介をいただきたいと思います。
 そこで、今後の課題について幾つか質問をさせていただきます。
 公共施設と一般に呼ばれる施設は、その性質によりまして御存じのとおりに行政財産と普通財産に分類をされますけれども、いずれの施設にも広告を出すには区民の理解が必要だと思います。横浜市の例を御紹介いたします。横浜市は、株式会社ダスキンの持ち込み企画で、本庁舎の玄関のほか、18区役所中12の区役所の玄関にマットを敷いています。しかし、このマットについては賛否両論がございまして、「横浜」という字や美しい絵柄を踏むということに強い抵抗感を覚えた人たちがいたそうであります。何より、なぜ区役所が広告事業に取り組んでいるのかということをわかっていただくことが大切ではないでしょうか。単に広告事業を理解していただくだけではなくて、区財政にもっと関心を持っていただくよいチャンスだと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
 次に大切なことは、広告収入については、シーリングなどがかかる一般財源とは別枠にするということです。「どうせ財政のものになっちゃうんでしょ」という庁内の方針を打ち破り、「広告収入はすべて広告媒体の所管部の財源です。財政部ではございません。どうぞ自由に使ってください」という姿勢を示すことです。平成21年度中野区予算編成方針には、一次経費についてこんな記載があります。平成19年度に行った工夫改善で財源の確保や経費の削減が認められた場合においては、その財政効果の一部を配分枠とは別に事業部長に配分するとなっています。
 そこで、広告事業を拡充していくためには、事業部で頑張って得た広告収入をぶんどらないことが重要だと考えます。区長のお考えをお聞かせください。
 専任組織の設置の必要性についてお伺いをいたします。
 お客様であります広告主や広告代理店の方々は、それぞれの企画を各分野の窓口に持ち込みます。しかし、区役所の組織は複雑で、多くの書類をつくり、複数部署へ通って許可を得なければなりません。広告の募集から相談、あっせん、調整まで一元化した窓口が必要ではないでしょうか。そうすれば、広告を出す側の意見も聞けるのではないでしょうか。少なくとも現在は広告の手法や設置場所、設置スペースなどは区役所主導で行っています。顧客側の「こんなところに、我が社の広告をこんなふうに載せられないか」というような発想が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 一つの例を挙げます。我が国の動物園では、動物の姿形を見せる「形態展示」が一般的だそうでありますが、旭山動物園では動物の行動や生活を来園者に見せる「行動展示」の導入を図った結果、閉園の危機を乗り越えて国民的な動物園になりました。そして、ついに角川映画から映画化も決定しまして、2月7日から全国の映画館で上映されております。閉園の是非をめぐりまして激しい議論が交わされました現実の本会議場で、現職の市会議員も熱演をしたと聞いています。非常に画期的なものだと感じました。こうした発想の転換を図っていただきたいと思います。
 さらにもう1点、気になることがあります。現在は明確な広告掲載基準がないことです。広告の世界では「アマチュア」であります自治体が、すべての関連法規を考慮して広告掲載基準を策定するのは非常に困難であります。したがって、そのような場合にはプロの知恵とノウハウを参考にすることが最も安全で効率的な対応と思われます。「新聞社」の広告掲載基準を参考にしたらいかがでしょうか。また、広告の掲載可否を審査する機関も必要だと思います。あわせてお答えをいただきたいと思います。
 次に、ネーミングライツについて質問をいたします。
 近年、新たな広告媒体として施設などにおける命名権、ネーミングライツの検討をする自治体がふえてきているように思います。きょうの産経新聞によりますと、お隣の渋谷区でも公衆トイレの名称を募集しているとのことであります。中野区でも既存のZEROホールなどの施設はもちろんのこと、これから整備予定のNTT跡地の防災公園だとか、区道だとかについて、ありとあらゆる検討をしてみてはいかがでしょうか。広告媒体のアイデアについては、一般から募集するというのもおもしろい企画だと思います。
 もとより、こうした広告事業やネーミングライツについては、財源を稼ぐことより重要なことは、「地方公務員が商品を説明して、そしてお客様に頭を下げてお金をいただくことの大切さを知ることである」と、横浜市の中田宏市長は言っています。私も全く同感でございます。おもてなし運動も結構ですが、攻める行政をぜひとも実行してほしいと思います。これでこの項の質問は終わります。
 最後に、その他で1点だけ、私の地元について御質問させていただきます。
 野方の配水塔は、当時の豊多摩・北豊島両郡の13の町が連合し、昭和5年に完成をいたしました。高さは33.6メートル、基部の直径は約18メートルの鉄筋コンクリート造りとなっています。
 設計は、ドイツで衛生工学を学び、淀橋浄水場をつくった「近代上水道の父」と呼ばれる中島悦治博士で、建造物といたしましても、また文化財としても非常に価値のあるものでございます。
 配水塔は、昭和41年にその役割を終えた後、「江古田の水道タンク」、「水の塔」など、江古田地域のランドマークとして地域の住民に親しまれてまいりました。地元の高齢者の方から、「あそこにあるのはB29に攻撃されたときのたまの跡だよ」と、太平洋戦争の傷跡の深さを知らされたこともありました。
 しかしながら、この配水塔は耐震性能に疑問がありまして、一時は解体をすることも検討されていたようでありますが、区の耐震調査によりまして十分な耐震性能があるということをお聞きいたしまして、大変喜ばしいことと思っています。
 そこで、区長にお聞かせをいただきたいのですが、この江古田地域のランドマーク的な存在で、かつ建築物として、また文化財としても価値の高い野方配水塔をぜひとも存続していただくことを検討できないでしょうか。区長の前向きな御答弁をお願いいたします。
 これで私のすべての質問を終わります。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 山崎議員の御質問にお答えいたします。
 まず、教育に関する質問に関しまして、学力にかかわる御質問を幾つかされた後に、私、区長として子どもたちの教育について政治の果たすべき役割といったようなことをどう考えているのかという御質問がありました。
 私も最近のさまざまな報道などによりますと、日本の小学生、中学生、いわゆる子どもたちの学習に関する意欲でありますとか、社会の中で自分がどのような役割を果たしていくかといった、我々の言葉で言う志のようなものが大変に弱いというようなことが気になっているところであります。子どものころから育っていく環境の中で、社会と自分とのかかわりでありますとか、社会の中で自分がどのように生きていくことを目指すべきかといったようなことを考える機会がないというか、そういったことを自分の問題としてとらえることの少ない、そういう育ち方をしているということが気になるというふうに考えているわけであります。
 教育の現場においては、例えばそういうことに対応することとして、中学校2年生のときに就業体験、社会体験をするだとか、さまざまな形での自然体験をふやしていくとか、体験をふやしていくというような方向がとられているわけでありますけれども、そういうことも大事だと思うのでありますが、やはり子どもたちが社会に目を向けるためには、大人が、あるいは公共の仕事に携わる我々がこれからの社会のあり方について、公共と私という関係のあり方などについて真剣に議論をしたり、本当に果たすべき役割を果たすような仕事をしていくという姿を見せることが大変重要なのではないかというふうにも考えているところであります。
 また、もう一つ、子どもたちの学力に関連して大変気になりますことは、子どもたちを育てている親御さんが必ずしも子どもたちの学習ということに対して意識をお持ちでいない、学校に任せているから、あるいは塾に任せているから、あるいは人によっては自分のうちでは勉強はあまり重視をしないんだという、そういった親御さんも目につくというような気がいたしております。
 勉強というのは学校で習う時間で身につけるのではなく、学校で習ったことを自分の家に帰って自宅で学習をしたり、友達同士で教え合ったりしていく中で、より深く身についていくものでありまして、そうした学習習慣というものを養うためには、親御さん、家庭の環境、そういったものが重要なのではないか、このように考えております。そういう意味で、子どもたちに家庭で学習をさせられるような、そういった取り組み、働きかけということを学校だけではなく、親御さんに対しての働きかけというようなことも含めて、社会全体で意識をしていく必要があるのではないかと、このように考えております。
 先ほどの子どもたちが志を持った大人に育っていくというようなことでも、現実に大切なのは中学校レベルまでの基礎学力を着実に身につけていくということが大事だと思っております。大人になってどんな志を持って、どんな仕事をしたいと思ったり、どんな活動をしたいと思ったとしても、中学校までの学力がある程度、基礎的なことがきちんと身についていないと、さまざまな選択肢が狭められるというようなことは現実に多いというふうに思っております。そういうような意味でも、基礎学力を育てていくような学校教育ということをきちんと充実をさせていかなければならない、こう思っているところであります。
 それから、広告事業の拡充についてという御質問がありました。
 平成20年度の広告事業の実績について、幾つか御紹介をさせていただきます。平成20年度の広報広告事業の歳入見込みは、なかの区報では410万円、ホームページでは483万円、中野区のしおり、便利帳では100万円、生活マップ16万円、ナイセス900万円、合計で1,900万円あまりの歳入を見込んでいるところであります。
 このほかに、広告掲載の封筒の寄贈を受けるという寄贈方式では、戸籍住民担当で26万枚、税務担当で11万枚の封筒の寄贈を受けているということであります。それから、中央図書館では児童用の貸し出し袋の1万枚でありますとか、カレンダー、本のしおりなど図書用品の寄贈を受けているということで、広告収入が一定の歳入としての意味を持ち始めてきていると、こんなふうな状況であると考えているところであります。
 そうした広告事業を拡充していくことについて、区民の理解ということを十分に得ることが必要ではないかという御質問でありました。
 行政の広告事業は、全国的に広がりを見せてはいるものの、区民に対して説明責任を十分に果たすこと、また区民の理解を得ながら進めるということがやはり大事であるというふうに認識をしているところであります。広告基準でありますとか、広告収入、こういったようなことをきちんと明示的に、明確に示せるようにしながら、積極的に情報提供して、広告を行っている行政ということに対する信頼を損なうことがないように広告事業を進めていかなければならない、こう思っているところであります。こうした情報提供を進めていくことで、財源確保や、あるいは区の財産の有効活用といった面から区財政にとって重要であり、ひいては区民サービスの向上にもつながっていくんだというふうに御理解をいただくと同時に、区の財政全体に関心を持っていただくという、そういった機会にもつなげていきたい、このように考えているわけであります。
 それから、広告収入はそれぞれの事業部が工夫をして活発に活動を行うことで、そのインセンティブとして、その広告収入を事業部の財源にしてはどうかという御質問もありました。
 限られた財源の中でより効果的な施策を効率的に実施をしていくには、事業部が事業の財源、経費節減の工夫を主体的に考えて実施をしていくということで、事業部制という形をとっているわけでありますけれども、広告収入の確保というのもそれぞれ事業部のみずからの経営努力の一環として主体的に取り組むべきだと考えております。そういう意味で、この事業部制の予算編成の中でも、事業部が工夫を行ったときに反映できる仕組みということをつくっていくことも大事だというふうにも思っておりまして、広告収入についてどのような形でそれを反映できるのか、検討していきたいと考えております。
 それから、専管窓口が必要ではないかということであります。
 広告を出していただくお客様、顧客からの広告手法や広告の場所についての相談でありますとか御要望と、行政広告として、行政がみずからの広告としてなすべき広報内容との調整というようなことが必要なわけでありまして、このことにつきましては現在も広報分野において行っているところであります。今後ともそうした体制の中で、新たな広告媒体の発掘や取り組みなどにつなげていきたい、こう考えております。
 それから、広告事業の審査基準の充実あるいは機関の設置が必要ではないかといったような御質問もありました。
 行政では、広告事業の経験がやはり浅いわけでありまして、具体的な審査基準などについても常に充実をさせていくことが必要であると、このように考えているわけであります。経験を重ねていくとともに、他の団体の有する基準などを十分に参照したり、経験のある広告代理店を活用するなどしながら、広告掲載基準、審査基準についても充実を図っていきたい、このように考えております。
 また、広告の審査に当たりましては、医療情報や消費者情報など行政内部の情報共有が重要となってまいります。そうした意味で、組織の横断的な調整、連携の方策について検討していきたいと考えております。
 それから、ネーミングライツ、命名権の積極的な導入についてということであります。
 命名権を収入にするということ、その命名権、ネーミングライツ制の導入によりまして、民間企業の力を活用して施設管理の財源を獲得するということは、魅力的な広告事業の一つであると考えております。
 その一方で、経済情勢がこのように悪化してまいりますと、なかなかネーミングライツに応募してくれる企業が少なくなってきているというような状況もあるようでもあります。また、広告企業の社会的評価などの面で、リスクを抱えるという面もあるというふうにも考えているところでありまして、一定の慎重な取り扱いも必要ではあるかと思っているところであります。
 それから、既存施設の命名権についてでありますけれども、例えばなかのZEROのように既存の名称が地域に浸透して愛着を持たれているというようなことから、利用者や地域住民の合意、理解なども十分得ていきながら検討する必要があると考えております。これらの点を考慮しながらも、ネーミングライツ、命名権の積極的な導入について検討していきたいと考えております。
 それから、野方配水塔についての御質問がありました。
 野方配水塔は、御質問の中でも御紹介がありましたとおり、江古田地域におけるランドマークというよりは、区北部におきます大変すばらしい景観というのでしょうか、ゆかりのある景観の一つの大変重要な財産として私どもは高く評価をしてまいりました。この野方みずのとうを何とか保存しながら、あの景観を保存していくということが重要であると考えているところであります。
 そうした意味で検討してきたわけでありますけれども、このたび水道施設の耐震工法指針などに基づきまして、空水状態、水が入っていない状態での耐震診断を行いましたところ、十分な耐震性能があるということがはっきりいたしました。したがいまして、あれはああいった形で保存することが十分に可能であるということがわかったわけであります。
 しかしながら、建築物としては使用することができないということですので、景観資産という形で、あの形を保存するということになるというふうに考えております。今後、みずのとう公園の公園施設として位置付けて、地域の皆様、そして中野区民や、またあそこを通る多くの人々に愛されるランドマークとして景観の形成に寄与させていきたいと、こう考えているところであります。
 また、今後国の登録有形文化財にも登録できるように働きかけて、補修に当たってはその補助金制度も活用しながら、区民の誇りとしてのみずのとうというものの保存をしてまいりたい、こう思っております。
 私からは以上であります。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 小・中学生の学力についてお答えいたします。
 まず、日本の小・中学生の現状をどのように認識しているかということでございます。
 日本の小・中学生の学力ですけれども、国際的に見てもまだ高い水準を維持していると思います。しかし、幾つか課題も出てきていると思います。国際的な学力調査でありますPISAの結果などから、複雑な問題を解決するのに必要な思考力や判断力、表現力等に課題があると考えておりまして、こうしたことについての取り組みが必要だと思っております。
 それから、学力にかかわる調査の結果分析についてでございます。
 中野区といたしましては、国・都・区の学力調査の結果を分析いたしまして、子どもたちの学習状況を把握いたしまして、各学校が教育課程や指導の改善、充実に生かすことで、一人ひとりの子どもたちの学力向上を図るということを第一のねらいと考えております。教科にもよりますけれども、おおむね中学校第2学年から各教科・観点におきまして目標に到達した生徒の割合が低下する傾向がございます。これは中野区だけでなく、東京都全体の傾向とも同様でございます。
 目標値に達していない児童・生徒の基礎基本を定着させるためには、個に応じた指導を充実させる必要がございます。そのため、平成19年度から算数、数学の学力向上アシスタントを配置いたしまして、少人数習熟度別指導を推進しているところでございます。また、学力向上には家庭での学習習慣を身につけるということも重要でございます。こうしたことのための取り組みを強めていく必要もあると考えております。
 各学校の分析結果をホームページで公表しておりますけども、その学校による違いはございますけども、公表内容の基本的なところは統一的に指導しております。また、分析結果は学校だよりや保護者会等におきましても説明しているところでございます。各学校におきましては、一人ひとりの教員が担当の学級や教科の結果を分析し、指導上の課題とその改善策を作成しております。また、学校全体としても具体的な授業改善プランを作成いたしまして、教育課程の編成等に反映させるように指導を徹底しているところでございます。
 それから、教員の研修の現状と課題であります。
 新規採用者研修というのがございますが、こちらでは教員としての使命感や幅広い知見、実践的指導力の育成を図るため、教育センター等への通所研修や課題別研修、校内におきます研修を総合的に行っているところでございます。
 2年次から4年次までの研修でございますが、こちらでは授業力の向上を目的とし、指導法研修とか授業研究を中心に行っているところでございます。さらに、10年経験者研修では、学習指導のほか、学校運営、生活指導、進路指導等に関する指導力及び教育公務員としての資質向上を目的といたしまして、大学や都教委とも共同いたしまして、研修会を実施しているところでございます。さらに中野区では、区独自の取り組みといたしまして教育マイスター制度をつくりまして、よい実践を広めスキルを高めることによりまして、教師の指導力向上を図っているところでございます。
 今後の課題でありますけれども、若手教員の割合が増加してきております。現在行っている通所型の研修や退職校長を派遣しての個別研修だけではなく、授業力や学級経営力等を向上させるための校内におきますOJTの重要性が増すと考えています。OJTの中心となります主幹教諭や主任教諭の人材育成に力を発揮するための研修や指導が重要になると、このように考えているところでございます。
 それから、これからの学校図書館の運営につきましてお尋ねがございました。
 新学習指導要領におきましても、学校図書館の活用につきましてその重要性が示されているところでございます。今後は、読書活動だけでなく、児童・生徒が主体的に調べ学習を行えるようにするために、教師や図書館指導員によります児童・生徒が図書に興味を持つことができるような、そうした取り組みをより充実させてまいりたいと思います。
 そのため、研修及び相互の情報交換の場といたしまして、学校図書館指導連絡会を充実させるとともに、学校図書指導員と司書教諭、区立図書館との連携をさらに強めまして、子どもたちの学びを豊かにする学校図書館の運営を行ってまいりたいと考えております。
 それから、理科の指導体制や教室の設備、教材の充実ということでございます。
 理科教育におきましては、自然や科学に対する興味や関心を引き出すために実験や観察を重視した授業を行うことが大切であると考えております。今回、全校に校内LANを整備いたします。それに伴いまして、理科室におきましてもインターネット接続が可能になりまして、パソコンや実物投影機、プロジェクター等を活用して授業を行うことが可能になりました。多様な観察や実験の授業が展開できるようになったと考えております。
 理科教育を充実させるために、新学習指導要領の実施に備えまして、必要な教材等の整備を21年度中に実施する予定でございます。さらに、小・中学校の連携を重視いたしました理科教育のカリキュラムというものも作成していきたいと思っております。
 それから、学校におきます携帯電話の対策ということでございました。
 学校では、ルールに違反して学校に携帯電話を持ち込んだときには毅然とした対応をしていくということにつきまして、これからも徹底してまいりたいと思います。それから、事例としては、学校に許可なしに携帯を持ち込んで、教師のほうで預かったという事例もございます。
 また、持ち物検査ということでございますが、これにつきましては人権上の問題もありまして大変難しいと考えております。しかし、各学校におきまして保護者会や学校だよりなどで家庭のルールづくりなどにつきまして協力を求め、周知徹底を図っているところでございます。
 それから、学校再編と学力向上につきましてお答えいたします。
 学校再編は、集団教育のよさを生かし、子どもたちによりよい教育環境を提供するために行っているものでございます。具体的な事例といたしまして、桃花小では中野区で初めて家庭科の専科教員を配置することができました。また、緑野中では時間数の多い国語、社会、数学、理科、英語の教科で専任の教員を複数確保できたことによりまして、生徒の習熟度に応じた複数のコースを設定して、一人ひとりの実態に応じた指導を実施したり、教科部会での教科研究を行ったりするなど、教員同士が協力して授業の質を高めることができるようになりました。
 統合新校の学校運営につきましては、保護者からもおおむねよい評価をいただいていると認識しているところでございます。
 以上でございます。
      〔山崎芳夫議員登壇〕
○32番(山崎芳夫) あまり時間がないので簡単に質問しますが、今お答えを聞いていて大変気になったのが、携帯電話の取り扱いについてなんです。教育委員会としては持ち込み禁止ということで、各学校を指導しているということで、その指導が徹底しているかのようなお答えだったんですが、私が気になったのは人権上の問題でできないんだというようなニュアンスのお答えがあったように思われます。ここで細かい人権上の問題を議論しようとは思いませんが、学校のルールが本当にしっかり守られているかどうかを調べることが人権上の問題に当たるのかどうかということについて、少しやっぱり教育委員会としてしっかりとした指針を持っていただかないと、子どもの人権も大切です。私も理解をしますが、学校のルールはルールとしてあるわけです。警察に届けなくては持っていてはならないようなものでも持っているということがあった場合、どうするんだというようなこともございまして、人権の取り扱いも含めながらしっかりとしたお考えを持っていただきたいと思いますので、再度御答弁いただけますでしょうか。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 持ち物検査につきましては、先ほど言いましたようにちょっと人権上の問題があるというのは、裁判例などもございまして、なかなか難しい問題もあるんですけれども、ただ、おっしゃるように学校が決めたルールをきちんと守らせるということは極めて重要だと思います。やり方につきましては、例えばいろいろ子どもについてきちんと、学校の言うことをちゃんと守っているかということを再度確認することを多くするというようなこともございますし、いろいろやり方はあると思いますけれども、きちんと学校のルールを守るよう指導していきたいと考えております。
○副議長(やながわ妙子) 以上で山崎芳夫議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 岡 本 いさお
 1 子育て支援について
  (1)保育所の待機児解消について
  (2)乳幼児の細菌性髄膜炎予防ヒブワクチン接種費用の補助について
 2 高齢者施策の充実について
  (1)高齢者困りごと支援事業について
  (2)新入浴事業について
  (3)その他
 3 図書館サービスの向上について
  (1)ICタグ導入によるサービス向上について
  (2)学校図書室との連携について
 4 学校教育の環境整備について
  (1)ICT教育の充実について
 5 区民が楽しむスポーツ広場の確保について
 6 その他
  (1)ロビーコンサートの拡充について
  (2)中野ブロードウェイ横のリニアパークについて
  (3)その他

○副議長(やながわ妙子) 次に、岡本いさお議員。
     〔岡本いさお議員登壇〕
○36番(岡本いさお) 平成21年第1回定例会に当たり、公明党の立場から一般質問を行います。明快な御答弁をお願いいたします。
 子育て支援のうち、初めに保育所の待機児解消について伺います。
 中野区の保育所などの入所申し込み数に対する入所数の割合が、この数年大きく下がってきています。年度初めの状況を見る限り、ゼロ歳から5歳まで一様に入所率が低下していることがわかります。
 特に需要の多いゼロ歳から3歳まで、4月1日現在の入所率をまとめて調べてみました。17年度から20年度にかけて、公立、私立保育所の合計ですが、入所率がそれぞれ85.8%、83%、75%、66.8%と年々確実に下がってきています。20年度当初では、3人の1人が入所できなかったというのが実態です。
 「新しい中野をつくる10か年計画」には、保育所の待機児率の目標を示しています。しかし、待機児率では待機児数の実態が見えにくいと思います。一人でも待機児を減らしたいとの思いが現れるような目標管理でなければならないと思いますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。
 一方、すべての保育施設を対象とした新定義による待機児数は、17年度で25名、18年度で43名、19年度で71名、20年度では144名と、待機児が減少するどころか、急激に増加の一途をたどっています。
 この待機児数の実態を見る限り、10か年計画の待機児の解消の目標とは著しくかけ離れています。区はこの現状をどのように分析し、今後どのように対応されるのでしょうか、伺います。
 また、20年度に作成した成果指標と目標値で、21年度当初の待機児数の目標を120人としていますが、現時点での待機児数の見込みはどのようになるのでしょうか、伺います。
 中野区として、今後の保育所等の定員を増加する計画が立てられていますが、需要の見込みの分析も必要です。現在、次世代育成支援行動計画の改定に向けて、需要のアンケート調査を行っていますが、そのアンケートも踏まえて、早急に待機児解消に向けての新たな計画を策定すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 学校再編にあわせて、学校跡地を積極的に活用すべきだと思います。その際、子ども発達障害支援センターと合築して、障害のある子との統合教育なども行える中野の新しい子育ての拠点を作ってはいかがでしょうか、伺います。
 また、保育所での幼児教育を希望される親御さんが非常に多くなっている今日、保育所事業も含め幼児教育の今後のあり方について、区のお考えを伺ってこの項の質問を終わります。
 次に、乳幼児を細菌性髄膜炎などから守るヒブワクチン接種費用の助成について伺います。昨日もこの件で質問がありましたが、公明党の立場から質問させていただきます。
 乳幼児の細菌性髄膜炎を引き起こすのが、「インフルエンザ菌b型」Hib、ヒブと呼ばれている細菌です。冬に感染するインフルエンザとは全く別物で、脳を包む大切な場所に起こる感染症で、治療が遅れると知的障害や手足のまひなどの後遺症が残り、重症になると命にも関わる大変リスクの高い恐ろしい病気です。
 感染初期には風邪と見分けがつかず、しかも症状が急激に悪化し、抗生剤も十分に効かなくなっています。また、感染を繰り返すケースもありますが、ワクチンの接種率が高まれば、ほぼなくすことができる病気と言われています。
 国内のヒブによる髄膜炎患者数は年間約600人で、二、三十人が死亡し、発達の遅れなど後遺症を残す子どもが100人以上もいます。この数は決して少なくありません。少子化の中、少ない子どもを健やかに育てなければならない今日、子どもに後遺症を残すようなことは何としても避けなければなりません。
 日本では、昨年12月からヒブワクチンが販売され、接種ができるようになりました。しかし、ゼロ歳から4歳までに4回接種が必要で、任意接種のため保険が適用されません。1回約7,000円かかるため、トータル3万円近くかかり、若い夫婦にとって大変大きな経済的負担となっています。
 荒川区では、平成21年度からワクチン接種費用の半額、3,500円を年4回まで補助することとし、対象乳幼児の1割分、399万円を予算化しました。品川区、渋谷区も4月から助成を検討しています。宮崎市では、ジフテリア、百日咳、破傷風の三種混合ワクチンと同時に接種し、ヒブワクチン接種費用を約5,000円に抑えて、1回分の自己負担を3,000円にしています。
 中野区は、21年度からおたふく風邪と水痘の任意接種に助成をすることを決めていただき、大変に喜ばれています。恐ろしいヒブ感染から子どもを守るために、ヒブワクチン接種は必要です。東京都も、ヒブワクチン接種費用を助成する市区町村には支援するとの情報もあります。中野区としてヒブワクチン接種費用の助成制度を積極的に検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
 ワクチン接種費用を助成する際、宮崎市のように三種混合ワクチンと同時に接種すれば、自己負担をさらに軽減することも可能ですが、区のお考えを伺ってこの項の質問を終わります。
 次に、高齢者施策の充実について伺います。
 初めに、高齢者困りごと支援事業について伺います。
 平成18年第4回定例会で、やながわ議員が高齢者の困りごと支援事業について初提案し、毎年の予算要望、また実施へ向けての多くの区民からの署名活動、さらに平山議員の質問と、我が会派はこの事業実施に向けて積極的に取り組んできました。
 20年度に入って、具体的な検討がされ、この3月から社会福祉協議会が主体となって実施されることになり、区民の長年の要望が実現されることになりました。そこで、実施にあたって、PR支援と、よりわかりやすく利用しやすい事業にするために伺います。
 初めに、相談や依頼をするための連絡先について質問します。中野区が、この事業の利用料を無料としたことは大きな特徴であり、高く評価したいと思います。しかし、連絡先が携帯電話番号になっているため、高齢者からかけにくいとか間違えやすいなどと苦情の出ないように、固定式の電話番号にすべきです。社会福祉協議会の電話回線の増設が簡単にできない事情もあるようです。しかし、これから区の事業を社協に委託することがますますふえてくると思いますので、電話回線の増設については社協に任せるのではなく、区としても支援すべきだと思いますが、お考えを伺います。
 電話番号は、わかりやすく覚えやすい番号にすべきだと思います。さらに、この困りごと支援事業の愛称を区民から公募するなどして、親しみやすい名前の検討をしてはいかがでしょうか、伺います。
 また、電話相談などは平日の9時から5時までとなっていますが、相談や支援依頼の時間帯をもっと広げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、この事業を周知するためのPR活動の支援について伺います。
 区報やホームページでのお知らせは当然として、大判のカラーポスターの掲示、またチラシは75歳以上の対象者にきちんと配付されるようにすべきだと思います。さらに中野ケーブルテレビで事業の紹介や実際に活動している様子などを放映してもらってはいかがでしょうか、伺います。
 さらに、この事業に便乗した詐欺事件を防ぐためにも、サポートしていただくボランティアの方が一見してわかるようにすることが必要だと思います。文京区では、この事業を「シルバーお助け隊」と銘打って、活動するときはその名前の入ったバンダナをつけて行っています。
 中野区として、名札とか腕章というより、作業しやすい名前入りのベストなどを着用して活動するようにしてはいかがでしょうか。区として、この事業のスタートにあたり積極的に支援すべきだと思いますが、お考えを伺ってこの項の質問を終わります。
 次に、新入浴事業について伺います。
 これまで実施してきた高齢者会館での入浴事業が、利用者が少ない、一部の人に偏っているなどの理由から20年度で廃止することになりました。しかし、一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯が増加する一方、公衆浴場が急激に減少しています。
 こうした中で、入浴機会の確保が困難な高齢者の入浴の場を確保するため、従来の高齢者会館等の入浴事業の設備を利用して、60歳以上を対象とした新たな入浴事業を本年7月から実施することにしたことを評価したいと思います。
 高齢者が地域で元気に生き生きと安心して暮らせるまちを確保するためにも、健康づくりのためにも、新入浴事業が親しまれ、必要な方が利用しやすくする必要がありますが、どのようにPRや説明をされるのでしょうか、伺います。
 また、対象者になるか否かの判断基準は、できる限りわかりやすくすべきだと思います。特に、自家ぶろがあっても維持管理が困難な方、あるいは一人での入浴に不安がある場合の方かどうかの判断については、自己申請方式などにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。さらに、利用の申し込み方法は書類によらなくてもできるように簡素化すべきだと思いますが、いかがでしょうか、あわせて伺います。
 次に、利用料について伺います。
 1回の利用料を300円としていますが、どのような理由から300円と設定したのでしょうか、伺います。
 私は、高齢社会にあって、コミュニティを深めることは大事で、これからもふれあい交流を目的とした入浴事業は進めなければならないと思っております。
 荒川区の高齢者入浴事業は、1回200円で公衆浴場を年間48回利用できます。中央区では、敬老入浴事業「いきいき銭湯100」として、65歳以上の高齢者に1回100円で利用できる敬老入浴証カードを希望者全員に交付しています。これらの事業は、近所の方と公衆浴場でふれあいや交流を深めていただくことを目的としています。
 中野区が実施している、65歳以上の方の健康の維持・増進のために行っている「いきいき入浴」は、公衆浴場での利用が月2回ですが、もっと回数をふやすことを考えてはいかがでしょうか、お考えを伺ってこの項の質問を終わります。
 次に、図書館サービスの向上について伺います。
 これまで、図書館サービスの向上についてたびたび質問させていただきました。特にここ数年は、図書館の蔵書検索及び管理の大幅な合理化、貸し出し業務の短縮、さらに紛失図書の激減効果が期待されるICタグの導入について質問してきました。
 昨年の第1回定例会で、ICタグ導入について区長のお考えを伺いました。区長は、「ICタグについても積極的に取り組んでいきたい」と明確にお述べになっています。図書館へICタグを利用した図書検索システム、ブック・ディデクション・システム、BDSの導入は時代の流れです。23区中、半数以上の12区が具体的に実施、または実施に向けて検討しています。
 去る2月12日、ICタグを導入したBDSについて、みなと図書館と北区中央図書館を視察してきました。港区は、平成19年4月から地域館の赤坂図書館にICタグを試行的に導入し、効果を検証して、今年の2月から港区の6つのすべての図書館にICタグを活用したBDSが導入されました。BDS導入は、図書館が提案し、コンサルを入れて検討し、区政情報課アセスメントが判断したそうです。
 一方、北区中央図書館のBDSの導入は、最低額を提示し、プロポーザル方式で行い、規格を制限せずに、どのようなICタグを選び、それでどのようなことができるかを各メーカーに提案してもらう方式で実施しました。5社が参加し、区政情報課と図書館職員とで1年間検討して決定。その結果、北区が望んでいたシステムが導入できたそうです。
 本に装着するタグは、市販されているミューチップと呼ばれるひも状のアンテナを使うことにより、低価格になり、またタグをはがされたりしない上、蔵書の読み取りエラーもほとんどないそうです。その結果、蔵書検索や管理、いわゆる棚卸しのための休館日は年間1日もありません。休館日は月にわずか1日だけとなり、サービスが著しく向上しています。
 中野区図書館は、20年度に図書館業務システムのリプレースにあわせてICタグを導入する計画もされていました。しかし、20年度より新たなシステムなどの開発には全庁的に調達ガイドラインを適用することになり、私の質問に対してリプレースそのものを1年延長すると答弁をしてはいました。
 しかし、21年度に至ってもリプレースできる状況にはないようです。5年間のリプレース期間が延期されると、サーバーをはじめシステムの保守契約の問題が発生します。不具合が生じた場合に対する危機管理の問題にも関わる重要事項だと思いますが、区はどのように認識し、対処されるのでしょうか、伺います。
 中野区図書館のICタグを活用したBDSの導入に対して、調達ガイドラインにより検討する情報政策分野と図書館職員との意見がかみ合っておらず、導入に向けた議論が進展していません。私は、調達ガイドラインの目的がコストダウンを図ることにシフトし過ぎているために、順調に進まなかったのではないかと思っています。現在、調達ガイドラインの見直しがされていますので、区民サービスの向上を図ることもガイドラインの目標にぜひとも含めるべきだと思いますが、お考えを伺います。
 このBDSの導入が遅れれば、図書館サービスの向上が遅れるだけでなく、紛失図書数が19年度までの4年間で3万2,541冊、約5,500万円の損失がさらに増大すると考えられます。
 そこで、BDS導入に向けて検討するための提案をしたいと思います。中野区図書館は、平成15年に図書館システムを構築し、これをカスタマイズし、パッケージ化して近隣区の図書館にも導入されるなど、完成されたシステムだと言われています。このシステムにICタグ、自動貸出機、ゲート型リードライタの端末を入れたインターフェースの開発を行うだけで、中野版BDSが可能になります。
 そこで、その部分をプロポーザル方式によるメーカーを募って、中野版の最新システムをプレゼンしてもらい、それを情報政策分野と図書館職員とが一緒になって検討・選択するとともに、調達ガイドラインによる検証も行うようにしていってはいかがでしょうか、区のお考えを伺います。
 次に、社会教育を推進する図書館について伺います。
 中野の図書館は、歴史的に社会教育の一環として位置付けられてスタートしたと思います。今回視察した港区も北区も、CDやDVDの視聴覚資料が充実しています。DVDだけでもそれぞれ約1万5,000枚は揃えており、今後大幅に増やす計画を持っています。中野区の視聴覚資料は、あまりにもお粗末過ぎます。DVDは1枚もありません。北区や港区の図書館の視聴覚資料の収集の方針は、レンタルショップなどで扱うDVDやCDはほとんど揃えず、5年、10年たっても利用される資料を中心に選び、揃えています。
 昨年6月に図書館法の一部が改正され、視聴覚教育の資料として電磁的記録の資料を収集し、一般公衆の利用に供することが明示されました。今後、視聴覚資料を増やすことにアクセルを踏むべきだと思いますが、あえて区長にお考えを伺いたいと思います。
 図書館サービスの向上について、1点伺います。
 我が会派がかねてから要望していた図書館サービスの一環として、サラリーマンなどが通勤途中の中野駅で本を返却するためのブックポストの設置については、どのような検討がされているのでしょうか、伺います。
 次に、学校図書室について伺います。
 昨年の第1回定例会の総括質疑で、学校図書の裏表紙のポケットに児童・生徒の名前と読書記録が入ったカード、これは大きなプライバシーの侵害にあたり、解消すべきだと質問しました。教育経営担当課長は、学校図書室の充実に向けまして、蔵書管理と検索の円滑化を図るためコンピュータの導入を検討し、貸し出し法についても検討すると答弁しています。しかし、実態は変わっていません。学校図書室で購入する図書の大半はバーコードが付与されていますので、学校図書室でもバーコード読み取り式にするなどして、プライバシーが保たれた図書室にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、学校図書室と区立図書館、さらに各学校間の図書室との連携について伺います。
 校内LANの整備を待って、図書室と図書館との連携を図りたいと答弁されましたが、いよいよ校内LANが整備され、図書室もコンピュータ接続の環境が整います。早急に学校図書室にパソコンを設置しIT化を図るとともに、区立図書館、さらに他の学校図書室と連携して、図書の有効活用と児童・生徒の読書に対する意欲を増すような計画を立てるべきだと思いますが、いかがでしょうか。お考えを伺って、この質問を終わります。
 次に、ICT教育の充実について伺います。
 平成20年度の新規事業として、小・中学校の校内LANの整備とICT教育推進のためのICT機器の導入が予定されていましたが、入札不調などにより年度内に完了することができず、21年度にずれ込むことになったことを大変に残念に思っています。
 まず、予定どおりに整備が進まなかったことについて伺います。
 かつて、学校教育分野に学校施設課があり、学校施設のすべてを把握し、学校環境の整備に責任を持ってあたっていた時代がありました。今回の具体的な校内LANの設計や工事についても、学校施設課が担当しておれば入札不調にはならなかったようにも思いますが、御見解を伺います。
 しかし、今回のICT教育の整備は、23区の中で画期的、かつ先駆的な取り組みになることは紛れもない事実です。問題は、ハードの整備がされても、それを効果的に活用し、具体的に児童・生徒の学力アップ、教師の指導力や資質の向上につながらなければ、費用をかけて整備した資機材が宝の持ち腐れとなってしまいます。
 私は、校内LANの整備とICT機器の導入という画期的な整備がされる本年、21年度を、中野区ICT学校教育元年と銘打って積極的な取り組みをすべきだと思いますが、教育委員会のお考えを伺います。
 私の昨年第1回定例会の総括質疑をした後、区内でICT教育に積極的に取り組まれている実践学園を教育長などが視察されたと伺いましたが、ICT授業などをごらんになった教育長の率直な感想をお聞かせ願います。
 現在、中野区教育委員会として、「中野区立学校におけるICT活用に向けて」として、教員研修の充実とICTを活用した授業モデルの開発の2本柱を掲げ、ICT教育担当教員協議会は年3回及び夏季ICT活用研修会も実施するとしています。
 私は、中野区としてICT教育を推進する上で大事なことは、まずICT教育の方針を決めるべきだと思います。その中に、教職員LANの活用と指導力向上を含め、ICT教育の目指すべき姿や目標をきちっと決めて計画的に進めるべきです。方針がなければ、場当たりの取り組みに終わるだけでなく、学校間の格差を生じ、さらにはICT教育の導入にさえ疑問を持つようになるおそれも考えられます。指導室が中心となって、関係分野が一丸となってICT教育の方針を早急に作るべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
 次に、コーディネーターの人的配置について伺います。
 区全体としてリーダーシップをとって、ICTを活用した効果の出る授業が全校にわたって実現するような体制を構築すべきです。一部のICTに長けた教師が先行しても、その教師の職場が変わるとその取り組みが継続されなかったという事実が過去にありましたので、区全体として体制をつくる必要があると考えています。
 そのためには、教育委員会の指導室にICT教育をコーディネートする人的配置が欠かせません。まず、コーディネーターを配置し、その下にICT教育の推進に協力したい教育現場の人材を積極的に活用して、すべての区立小・中学校がその方針にのっとって推進する体制をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
 さらに、別途専門家による「情報セキュリティポリシー」と「ICTを使った犯罪等の防止の指導」が不可欠です。研修会ではなく、学校ごとに専門家による指導がなされなければ、徹底されないと思いますが、お考えを伺います。
 中野区が校内LAN、ICT機器の導入に踏み切った以上、今後多くの自治体から中野区のICT教育の取り組みが注目されると思います。中野区として、子どもの教育や学力などにもかかわる大事な施策ですので、ICT教育に取り組む教育長の決意を伺って、この項の質問を終わります。
 次に、区民が楽しむスポーツ広場の確保について伺います。
 旧区立囲町公園は、中野駅や区役所から近いこともあって、利用団体も多く、ゲートボール大会も年9回実施されてきました。また、障害者や地域の保育園の運動会などや、昼休みには区の職員もキャッチボールに親しむなど、年間1万人が気軽に使ってきた公園でした。
 しかし、平成18年度で廃止になり、19年4月から仮設広場での利用となり、そこでの利用は約3,700人と減っていますが、ゲートボール大会は同じく9回実施されてきました。21年5月8日に仮設広場の廃止が決まっており、旧囲町公園時代から気軽に親しまれてきたこの周辺でのスポーツ広場は、これで消えてしまうことになります。
 中野区内のスポーツ広場は著しく少なく、囲町公園は比較的大きな公園ですので、気軽に親しめるスポーツ広場がなくなることは、区民の健康増進の上からも実に大きな痛手と言わざるを得ませんが、区はこのことをどのように認識しているのでしょうか、伺います。
 また、中野駅周辺まちづくり計画では、広域避難場所の中心になる防災公園が配置され、日常的には来園者や地域の人々の憩いと交流の場所などと位置付けています。また、中野駅周辺における出会いと交流と文化が生まれる場所として、公園と一体となったオープンスペースとを有効に機能させるとしています。
 防災公園についての有効利用について、さまざまな団体や区民から要望が寄せられています。若者からは気軽に楽しめるフットサルなど、高齢者からはゲートボール、さらに消防団からは訓練等に利用したいなどの要望が区長に寄せられています。この防災公園の多様な有効利用については、団体によってスペース、時間帯なども異なりますが、この防災公園での可能な軽スポーツ等の利用方針を早めに打ち出すべきだと思いますが、区のお考えを伺い、この項の質問を終わります。
 その他として2点伺います。
 初めに、ロビーコンサートについて伺います。
 公明党がかねてから行政サービスの一環として提案し、要望してきたロビーコンサートが、昨年12月22日の昼休みに庁舎1階のロビーで開催されました。武蔵野音楽大学の学生によるモーツァルトの弦楽五重奏などの演奏を聞きに、約170名の方が参加されました。
 開演1時間も前から待っていた方もおり、多くの方が期待し、どれほど楽しみに待っていたかということを改めて認識しました。このように親しみを持って、笑顔で区役所に来られたのは初めてのことではないでしょうか。ともかく、すばらしい反響の中、第1回目のロビーコンサートが開催されたことを高く評価したいと思います。
 ただ、1階が戸籍住民分野の窓口でもあり、来庁者に迷惑のかからないようにと気を配っての演奏会でしたので、開会のあいさつや演奏者の紹介などが参加者に十分伝わらなかったように感じます。私は、わずか三、四十分のコンサートですから、一般来庁者の皆様にも行政サービスの一環として行うコンサートであるとの御案内と御了解を得て、証明書などができたときの案内やチャイム音も低くするなど配慮して、演奏に集中できるようにすべきではなかったかと思いますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。
 参加した方のアンケートによれば、大半の方からこのコンサートを続けてほしいとの要望が寄せられました。今後、演奏も区民が主体で行うようにするとともに、定期的なロビーコンサートをするべきだと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 私は、今回のロビーコンサートを契機に、我が会派が要望していた中野版アーティストバンクを立ち上げて、これから進めるコンサートやイベントなどの演奏者選出にも生かせる財産を作るべきだと思います。その際、区のホームページにもアーティストバンク登録のお知らせを広く行って、作成してはいかがでしょうか。お考えを伺います。
 さらに、区議会を身近に感じていただくとともに、議会活動にも理解を深めていただくことを目的に議場でのコンサートを開催してはどうかと提案いたします。
 八王子市では、各定例会の初日に議場で20分程度コンサートを行っています。千葉県の流山市では、昨年4回定例会中に傍聴席を含め150人の観客が詰めかけたそうです。また、神奈川県議会、栃木市議会、石巻市議会などでも開催しています。今後、議場コンサート開催の検討をする機会を設けていただくよう要望いたしまして、この項の質問を終わります。
 最後に、中野ブロードウェイ横、かつてリニアパークと呼ばれた西側区道について伺います。
 中野ブロードウェイ横の西側区道には、放置された自転車が約300台もあり、通行に大きな支障をきたしています。車いすの通行に至っては困難を極める状態となっています。さらに、防犯、防火、防災上からも大変危惧される場所です。
 このたび、中野ブロードウェイの振興組合から、この場所に駐輪場を設置する案が示されたと伺いましたので、まとめて質問いたします。まず、区道にもかかる場所に設置する駐輪場の位置付けはどのようになるのでしょうか。また、中野区はこの駐輪場の設置や管理にはどのように関わるのでしょうか。また、駐輪場の台数や設置の目的と利用方法はどのようになるのでしょうか。さらに、中野通り側の商店が設置している駐輪場との整合性はどのようにとられるのでしょうか。以上4点伺って、私のすべての質問を終わります。
 御静聴ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 岡本議員の御質問にお答えいたします。
 まず、子育て支援に関連して、待機児の実態が見えるような目標管理、指標の設定をするべきではないかという御質問がありました。
 待機児率を指標にいたしましたのは、待機児数が認可保育園入所児童数と比較してどの程度いるかという割合で示したいということでありますけれども、待機児数という数字そのもので見ることによって、必要な対策の量というようなものとの関係も見やすくなるということもあると思っております。そうした待機児数の経年変化がわかるような指標の設定のあり方も検討していきたい、こう思っております。
 それから、待機児が急増している現状についてどう考えるか、また対策はという御質問であります。
 近年の待機児急増の原因につきましては、育児休業が取得しやすくなってきた環境の整備でありますとか、社会経済情勢の変化などが背景にあると考えておりますけれども、それらの要因に加えて、今後は昨年から続いております経済危機の影響などにもよりまして、保育所等への需要が増加をしていくのではないかと考えているところであります。
 そこで、区立保育園の民営化によります定員増でありますとか、認証保育所の開設誘致、また家庭福祉員の増員促進などの従来の対策に加えて、認可保育所の分園など、新たな対策を講じていきたいと考えているところであります。これらの対策によりまして、平成20年度から23年度までの4年間に認可保育所及び認可外保育所の定員は260人程度増加をする見込みとなっております。
 平成21年度の待機児数の見込みはどうかということであります。平成21年度、年度当初の待機児数でありますが、追加募集等があるため確定はしておりませんが、現在のところ190人程度になると見ているところであります。
 新たな計画の策定をする必要があるということであります。次世代育成支援行動計画、この改定を行っているわけでありまして、この改定のための調査につきましては、今年6月ごろに結果をまとめて公表する予定となっております。
 そのほか、この調査結果のほかは各種の統計調査等を参考にして将来の需要数を予測し、待機児解消に向けた中長期的な計画を策定していきたい、こう考えております。
 それから、学校跡地を活用した新しい子育て拠点づくりということであります。南部地域におけるアポロ園の機能展開につきまして、具体的な事業実施場所や事業内容について現在検討しているところでありますけれども、関連する子育て施設との連携等についてもあわせて考えていきたいと考えております。
 それから、幼児教育の今後のあり方ということであります。保育所における幼児教育も含めてということであります。
 保育園と幼稚園経営の基本となります保育所保育指針と幼稚園教育要領、これは相互に整合性を持った形で国で定めているところです。これに基づいて、保育所では養護と教育が一体となって実施をされているというものであります。区といたしましては、幼児研究センターを中心といたしまして、保育所と幼稚園、それから小学校との連携なども図りながら、中野区の幼児教育全体の質の向上に取り組んでいるところであります。中野の子どもたちが幼稚園、保育園という施設の種別にかかわらず、質の高い幼児教育を受けることができるように、今後とも努めていきたいと考えております。
 それから、ヒブワクチンの接種費用の補助に関連しての御質問もありました。
 ヒブワクチンは、昨年12月に日本で発売が開始され、接種が可能となったわけであります。国内治験例が122件と少ないということでありまして、今後厚生労働省でも調査を進めていくということになっていると聞いております。
 このヒブワクチンでありますが、発売は開始をされましたけれども、現在ワクチンの供給量が十分ではなく、希望者が全員接種できるというまでの体制とはなっていないと聞いているところであります。
 区の公的助成につきましては、国の動向でありますとか、今申し上げました供給体制、また先行して助成を開始した他の自治体の実績などを見守りながら、検討課題としていきたいと考えております。
 三種混合ワクチンと同時に接種をするような方法で、費用負担の軽減をという御質問もありました。そうしたことも含め、接種のやり方などについても他の自治体の実績などを調査していきたいと考えております。
 それから、高齢者困りごと支援事業についてのご質問がありました。
 この事業につきましては、社会福祉協議会が区と協議をし、仕組みやサービス提供時間、PR方法などを決めて実施をし、区が事業費を補助するという形で始めていくものであります。きめ細かな対応やPRの仕方、わかりやすい実施のための工夫などについて、区といたしましてもしっかりと関心を持って社会福祉協議会と意見交換をしていきたいと考えております。
 事業開始後の状況につきましても、区としても十分に把握をしながら、より利用しやすい事業となるように工夫をしてまいります。
 それから、新しい入浴事業、高齢者会館等を利用しての入浴事業であります。この7月の開始に向けて、高齢者会館等の利用者に説明会を行うこととしているところであります。
 また、対象となる高齢者の方には、区報やチラシなどを通じて周知を図りたいと思っております。さらに、民生委員でありますとか、介護事業者の皆さんの協力なども得ながら、必要な方に入浴事業の利用を御紹介できるように努めてまいります。
 それから、対象者の判断基準についてということですが、窓口に用意をいたします利用案内の中に利用対象を明記したり、それから事例をあわせて表記をするなどの工夫をしながら、利用を希望される方が御自身で対象となるかどうか御自身で理解できるように、わかるようにしてまいりたいと思っております。
 申請については、当人が該当する状況を記載するようにしながら、かつ簡便な方式としていきたいと思っております。
 利用の予約等につきましては、入浴利用の登録をしていただいた上で、予約等については施設利用の窓口で口頭、または電話などによって予約ができるようにしていきたいと考えております。
 それから、利用料についてですが、300円といたしましたのは、利用料については介護保険サービスの自己負担でありますとか、公衆浴場の入浴料なども勘案しまして、1回300円を予定しているところであります。
 それから、公衆浴場で実施しているいきいき入浴の回数増についてということでありますけれども、このいきいき入浴は、はつらつ事業との組み合わせで高齢者の健康の維持、増進、生きがいづくりを目的として行っている事業であります。月2回の実施ということで定着をしているものと考えているところでありまして、現時点では回数をふやすことは考えておりません。これについては、公衆浴場のほうとの協議もありまして、当面この月2回の回数ということでの事業という設定になっております。
 それから、図書館のICタグ導入に関連いたしまして、調達ガイドラインの目標に区民サービスの向上ということもきちんと含めていくべきではないかという御質問もありました。
 調達ガイドラインの本来の目的そのものが区民サービスの向上ということであります。区民サービスを向上しながら、費用対効果をきちんと分析をしていくということでありまして、この調達ガイドラインのこうした考え方について今後ともさらに明確にしていきたいと考えております。
 それから、ICタグを活用するとした場合に、プロポーザル方式によって事業者の選定を行ってはいかがかという御質問もありました。
 調達ガイドラインにおきましても、プロポーザル方式は可能ということになっております。BDSの導入に限らず、システムの特性に合った最適の方法で調達事業者の選定を行ってまいることとしているところであります。
 それから、視聴覚資料について、あえて区長の考えを問うということでの御質問がありました。
 視聴覚資料につきましては、現在ではインターネットなどを通じて多様に提供される仕組みもふえているところであります。多量な複製が簡単な電子データをパッケージの形で図書館が無料で提供するということは、民間活動の妨げになることも考えられると思っています。
 私は、基本的には図書館は書物中心の公共サービスだと考えております。電子データの公開ライブラリについては、現在ある図書館とは別の形で発展していくべきではないかと思っているところであります。
 私のほうからは以上であります。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 図書館サービスの向上につきましてお答えいたします。
 まず、業務システムのリプレースでございます。
 図書館業務システムの機器につきましては、平成20年12月で6年目となっておりまして、できる限り使用いたしますけども、今後はリプレースが必要と考えております。
 来年度につきましては、障害発生時におきます業務の影響を最小限にするために、最適な保守契約の締結や委託業務の適切な対処方法を検討してまいりたいと思っております。
 それから、ブックポストの設置についてでございます。
 中野駅へのブックポストの設置につきましては、管理上支障のない設置場所の選定や図書以外の投函などのいたずら防止対策などにつきまして検討する必要がありまして、駅と協議していきたいと考えております。
 なお、区役所本庁舎1階に来年度設置する予定でございます。
 それから、学校図書の貸し出し方法の改善につきましてお答えいたします。
 御質問が以前ございましたように、図書の貸し出し方法につきましては改善を図っているところでございまして、既にほとんどの学校におきましては読書の記録カード以外の方法によりまして行っているところでございますが、まだ何校か残っております。さらに徹底を図りたいと思います。
 それから、図書のパソコンによります管理貸し出しにつきましては、学校図書館の利用度数や利用者数などを考えますと、費用に対して効果はあまり大きくないと考えております。プライバシーの保護につきましては、パソコン管理以外の形で十分配慮していきたいと考えております。
 なお、学校図書館の地域開放につきまして重要な課題となりますので、今後検討してまいります。
 それから、学校図書館のIT化についてでございます。
 今回の校内LANの整備に伴いまして、全小・中学校の図書室に2台パソコンを配備いたします。1台は図書館指導員用といたしまして、蔵書管理等に使用いたします。もう1台は、児童・生徒用といたしまして、インターネットの検索等に使用する予定でございます。区立図書館の蔵書検索、あるいは図書室での調べ物に対します活用を考えているところであります。
 それから、4番目の学校教育の環境整備につきましてお答えいたします。
 ICT教育の充実につきまして、今回の校内LANの設置につきましても施設課が教育委員会にあればもっとよかったのではないかという御質問でございました。
 教育施設の技術的側面に係ります業務は、財産管理分野で担当しておりまして、技術上の支援を受け、連携を図りながら業務を遂行しているところでございます。
 入札の不調につきましては、土日も含めました工事であったことなどから人的措置に係る積算で事業者との見込み違いなどもあった、そんなことから生じたものということでございます。
 それから、ICT教育の充実につきまして、21年度は中野区ICT教育元年と銘打って積極的な取り組みをすべきと思うがどうかということでございます。それから、指導室が中核となって、関係分野が一丸となってICT教育の方針を早急につくるべきと考えるがいかがかという御質問でございました。
 授業の本質は、教師が児童・生徒と直接向き合い、その個性や理解度、興味、関心などを肌で感じながら、人間的な交流をしながら知識、技能を考える力、自ら学ぶ力を養っていくということにあると思います。ICTというのは、そうしたコミュニケーションを豊かにするための補助として多様な可能性を持っていると考えております。ICTを用いれば、授業で援用したい資料等を大量かつ見やすく、洗練された形で活用することもできますし、子どもたちに与える課題も多様に工夫して、楽しく取り組むことができます。インターネットを使って世界の資料を探したり、世界中の人々と直接コミュニケーションもできます。そうしたICTの利点を活用して、教育の推進につきまして、21年度の教育委員会の「学校教育の指導目標」の中でICT教育を重点化しております。全小・中学校でICTを活用した授業に積極的に取り組んでいく所存でございます。
 これまで、ICT教育推進委員会でICTを活用した授業について研究、実践してまいりましたけれども、21年度の目標といたしましては、全校で校内LANが整備された次の段階といたしまして、全教員がICTを活用した授業をすることができるよう取り組み、将来のICT教育の発展に向けまして努力してまいりたいと、このように考えております。
 また、指導室内に有能なコーディネーターを配置したらどうかということでございます。
 校内LAN導入時に専門家によります研修を実施していくということになっておりますけれども、今後さらに外部人材の活用等についても考えてまいりたいと思います。
 それから、実践学園のICT教育についての感想を、ということでございました。
 これは、昨年の6月に区長も私も行ってまいりまして、またせっかくの機会ですので、教育委員会の管理職なども見学に参りました。その中で、ICT機器の活用の優れた事例の一つとして、有意義な視察ができたというふうに考えております。
 また、実践学園では教師によって指導の得手・不得手というのも見られましたけれども、学校の中ですべての学級で必ずICTを活用した授業をするということを、姿勢を見せていただきまして、それには感心いたしました。
 ICT教育は、授業に対する児童・生徒の関心や意欲を高め、理解を深めるために有効なツールだと思います。しかし、その根底には、やはり教師の確かな授業力が必要でございまして、その二つが相まって優れた授業となると、このように考えております。
 それから、セキュリティポリシーと犯罪予防の指導をということでございます。
 教育委員会といたしましては、セキュリティポリシーをまとめまして、すべての教職員に配付したところでございます。昨年度は全管理職にセキュリティ研修を実施するとともに、夏季休業日を利用いたしまして教職員向けの研修会を毎年行っているところでございます。また、希望する学校には派遣研修につきましても計画してまいりたいと思います。
 それから、これからICT教育に取り組む教育長としての決意をということでございます。
 ICT教育の推進は、教室での学習の形態を変化させるとともに、ICTを上手に利用することによりまして今までの教師の指導力とは違った面を引き出せる可能性があると考えております。ICTを含めまして、総合的に中野区の教育の向上に努めてまいりたいと思います。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、まずスポーツ広場の確保につきましての御質問にお答えをさせていただきます。
 現在設置をしております仮設広場につきましては、地域の要望にお応えをし、この警察大学校等跡地地区の関連工事着工までの間ということで暫定的に整備をしたものでございます。仮設広場のさらなる代替地につきましては、考えていないというところでございます。
 整備を予定しております防災公園でございますが、災害時には防災避難場所として利用できると同時に、区民が憩える空間としても整備することを考えております。空間の配置や利用のされ方なども含めまして検討をしているところでございまして、なるべく早い段階で方針を出してまいりたいと考えてございます。
 次に、ブロードウェイ西側の自転車駐車場についての御質問がございました。
 ブロードウェイ西側歩行者専用道路は、平成17年の道路法の改正等によりまして道路上に自転車駐車場を設置することが可能となりました。このたび、自転車駐車場を開設することにつきまして、関係者の基本的な合意が整ったというところでございます。この自転車駐車場は、ブロードウェイ管理組合が西側敷地、それから隣接する歩行者専用道路、この道路を占用という形で設置をするというものでございます。
 役割分担といたしましては、ブロードウェイ管理組合が管理、運営を行い、区は他の地区と同様に放置自転車防止のために周辺に放置自転車防止指導員、これを配置するというところでございます。
 駐車台数につきましては、200台程度ということでございます。
 それから、占用許可の条件といたしまして、利用者は買い物客用ということで限定はせずに、一般の公共の用に供するということでございます。
 区といたしましては、隣接する商店等の自転車駐車場も放置自転車による乱雑な状態にあるということでございまして、この機会をとらえて放置自転車の解消のための協力を呼びかけてまいりたいと考えてございます。
    〔区民生活部長大沼弘登壇〕
○区民生活部長(大沼弘) ロビーコンサートの今後の取り組みについてお答えいたします。
 ロビーコンサートの開催にあたり、演奏に集中できるよう工夫や配慮をもっとすべきであったと思います。今後は、舞台づくりに十分配慮してまいりたいと思います。今後とも武蔵野音楽大学との連携を図りながら、区民の演奏家も参加でき、区民の皆様に親しまれるようなコンサートを定期的に開催していきたいと思います。
 それから、中野版アーティストバンクの立ち上げでございます。今後は、より多くのアーティストに参加していただけるような仕組みづくりを構築し、充実させていきたいと考えています。
 最後に、この本会議場でのコンサートの開催についてでございます。これについては議会と十分御相談して、その対応を検討してまいりたいと思います。
 以上です。
○副議長(やながわ妙子) 以上で岡本いさお議員の質問は終わります。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
      午後2時55分休憩

      午後3時15分開議
○副議長(やながわ妙子) 会議を再開いたします。
 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 せきと 進
 1 雇用対策について
  (1)相談窓口と雇用創出について
  (2)派遣労働について
  (3)その他
 2 障害者施策について
  (1)自立支援法と権利条約について
  (2)障害者雇用の促進について
  (3)民間事業者の新体系移行支援について
  (4)その他
 3 住宅施策について
  (1)公営住宅の緊急的活用について
  (2)家賃助成について
  (3)耐震化助成について
  (4)その他
 4 環境への取り組みについて
  (1)自然の活用について
  (2)ごみの発生抑制について
  (3)照明具の資源化について
  (4)ごみ分別について
  (5)その他
 5 こどもの放課後について
 6 その他

○副議長(やながわ妙子) せきと進議員。
     〔せきと進議員登壇〕
○9番(せきと進) 2009年第1回定例会に当たり、日本共産党中野区議団の立場から質問します。
 初めに、雇用対策について伺います。
 相談窓口と雇用創出について質問します。
 世界が不況に見舞われ、日本国内でも昨年12月の完全失業率が4.4%となりました。既に非正規労働者8万6,000人が仕事を失い、今後さらにふえ続けるだろうと予測されます。
 私たち日本共産党は、駅頭相談を実施していますが、予告なしの開設に30人を超える相談者が足をとめるような事態ですから、ここに行けば話がつくという常設の相談窓口がやはり必要なのだと痛感します。
 台東区は、2005年から雇用就業相談窓口を開設しています。内定を取り消されたり、派遣契約を打ち切られて離職した区民を対象に、厚生労働省職業安定局など関係機関との連携を図りながら就労支援の相談を行っています。週4回だったものを、時局をにらんで5回にふやしました。新宿区も、総合相談窓口の開設を決めています。
 まず、伺います。刻一刻と雇用が失われているというのに、中野区が雇用相談窓口を開設しないのはなぜでしょうか。職業安定局の協力を得て、一日も早く開設すべきと考えます。お答えください。
 雇用創出では、23区のうち14区が臨時職員の直接雇用を打ち出しています。応募が定員に満たない例が散見されるものの、自治体が直に雇用を生み出すことは有意義だと考えます。
 東京都が昨年10月に発表した「東京緊急対策II」には、「50万人分の公的雇用を生み出す緊急雇用対策」として、「公園の本来機能の回復、福祉施設での社会奉仕活動、放置自転車対策などの事業を区が実施する場合に支援します」とあります。
 そこでお尋ねします。中野区が直に雇用を生み出すことについてどのように考えていますか。私たちが再三指摘しておりますリニアパークの放置自転車対策などは絶好の雇用策だと考えますが、いかがでしょうか。
 中野区は、2月13日、ハローワーク新宿と共催で「中野区就職面接会」を開きました。私も会場を拝見しましたが、参加者は昨年の90人から190人に倍増と大勢が詰めかけており、時代の要請にこたえた企画だったと思います。出された求人の一覧を見てみますと、介護と看護の仕事がとても多くありました。仕事を失う人がふえる一方、人材不足に頭を抱える分野もあるわけですから、課題が山積しているにせよ、少しでも就業につながるよう、区としてできる手だてを尽くす必要があります。
 中野区は、緊急の雇用経済対策の一つとして訪問看護員の資格を持たない区民の採用、または内定した介護事業者に対し、資格取得の講座受講に必要な費用として一人当たり10万円まで助成することを決めました。私も昨年の本会議で必要性を問いましたが、就職面接会の求人一覧で介護職募集欄の随所に見られる「資格取得支援制度あり」の文言からも、要望の高さがうかがえます。
 区は、訪問介護員2級の新規取得支援として、今年度10人、来年度45人分を見込んでいますが、もっとふやしてはどうでしょうか。さきの就職面接会だけでも介護員の求人は30人以上ありますし、各種求人誌を開いても需要は多いことがわかります。
 次に、派遣労働について質問します。
 区長は、1月5日の庁内放送で、派遣労働の規制緩和がなかったとしたら国内企業の生産拠点が海外に移転し、派遣労働者はもとより正社員を含めた雇用量全体が減っていたかもしれない、といった発言をされました。
 生産部門の労働非正規化によって、輸出産業の国際競争力が高まりはしました。しかし、一方で労働者の平均所得は下がり、国内需要の冷え込みをもたらしています。
 聖域なき構造改革路線が大企業優遇政治を進める際によく持ち出したトリクルダウン、富裕者が栄えれば、いつか貧しい者にも富がしたたり落ちるという経済効果は、ついに起こらずじまいでした。富の滴がしたたるどころか、災いの大雨が降り始めています。
 今度のアメリカ大統領選挙について、ワシントンポストは選挙前、これはトリクルダウン論に対する国民投票だと指摘しました。そして、世界の少なくない報道機関が、選挙結果を受けて、新自由主義の歴史的敗北だと評したのです。
 半世紀以上にわたり対米追従を続けてきた日本の政財界は、米国で始まった新自由主義脱却の胎動をどう受けとめ、何を模倣し、何から脱却するのでしょうか。
 今、必要なことは、カジノ資本主義の破綻のつけを国民に回すことなく、外需頼みから内需主導へ日本経済の抜本的な体質改善を図ることであり、国政、地方政治を問わず、内需を温めるために安定した雇用を生み出す施策こそが求められますが、区長の見解をお聞かせください。
 派遣労働者は、規制緩和とともにふえ続け、2000年の33万人から2008年初頭には145万人になりました。派遣労働者の多くは正規職員と同じ作業に従事するも、賃金は低く、安全教育が行き届かないために労働災害が多発しています。
 中野区は、清掃車によるごみ収集業務に労働者派遣制度を使っています。ごみ収集作業は区民に身近な作業です。自治体が、人材こそ宝の理念を率先し、雇用格差是正の規範を示すことがこれからの社会に必要ではないでしょうか。派遣職員の正規雇用を求めます。お答えください。
 次に、障害者施策について伺います。
 自立支援法と権利条約について質問します。
 障害者自立支援法は、施行から3年後の見直し時期が迫り、昨年12月には厚生労働省社会保障審議会障害部会から見直し案が提案されました。軽減措置で済ませようとしていますが、応益負担の原則は温存され、これでは解決になりません。
 障害者と支援団体の運動によって、2007年度の特別対策、2008年度の緊急措置と、国の利用料軽減が図られていますが、それでも給食代を加えると工賃が残らないほど負担は重く、調査によると約半数の人が利用料を滞納していて、障害者は余暇を楽しむことも生活を豊かにすることもできない実態が明らかになっています。
 「障害のある人の権利に関する条約」は、2006年12月の国連総会で採択され、2008年5月に発効しました。障害のある人たちが十分な教育を受け、安定した仕事につき、地域で自立的な生活を送ること、つまり、同年齢の市民と平等の機会と平等の権利が保障される社会の実現をうたった今世紀最初の権利条約です。現在、47カ国が批准していますが、国際条約は一般法の上位に位置しますから、批准とともに国内法を含む社会基盤の整備が必要となります。日本政府は、2007年9月に批准の意思を示す署名を済ませ、問題点の洗い出しに着手しました。
 日本が障害者権利条約に批准することについて、区長はどのように考えますか。
 政府与党は、応益負担の考え方を撤回し、応能負担に切りかえる自立支援法の改正を検討していますが、これで問題決着とはなりません。生活保護費を大きく下回る障害基礎年金、自活に足りる工賃の保障、調査員の力量によって結果が左右されるような障害程度区分認定は見直しを、発達障害や高次脳機能障害への対応など、当事者参加でさらに踏み込んだ総合的な福祉法制の確立が求められます。
 こうした動向を踏まえ、区内の障害者雇用の促進について質問します。
 第2期中野区障害福祉計画案では、年間50人の障害者一般就労を目標に掲げています。一昨年度25人、昨年度39人と成果は上がっているものの、中野区全体の障害者雇用率は1.69と、十分な水準に達したとは言えません。業種では飲食業と建設業、規模では中小企業と、雇用率の伸びが芳しくない事業所が多いからだと中野区政策研究機構は分析しています。また、今後は不景気による障害者の解雇も非常に心配されますので、障害者就労支援は一層の努力が求められます。
 区内在住の障害者は、半数が区外で働いていますが、住みなれた地域で働き、自立した生活を営むことを強く望んでいます。そのためには、区内の企業が積極的に障害者就労に乗り出すよう働きかける啓発活動、そして送り手だけでなく受け手、すなわち福祉関係機関と企業も巻き込んだ一体的な就労支援の連携網構築が課題です。区の取り組みをどう実現していくのか、お答えください。
 なかのゼロの2階で営業しているレストランが、採算が合わずに撤退すると聞きましたが、今後は区が積極的にかかわり、障害者就労支援を目的としたレストランやパン屋さんを開くなど、障害者雇用の場として活用してはいかがでしょうか。お答えください。
 民間事業者の新体系移行支援について質問します。
 民間の障害者支援団体が運営する福祉作業所は、今、経験したことのない大きな苦難に直面しています。自立支援法が定める新体系への移行であります。
 中野区が実施してきた新体系移行支援は、作業所の職員が移行作業に取り組むことを前提としており、通常業務に支障を来さないように非常勤職員を充てるための人件費を補助する内容になっています。
 しかし、移行作業には国保連、東京都国民健康保険団体連合会の回線へ接続するといった専門性の高い作業もあり、その道に長けた人がたまたま居合わせた事業所だから区の補助でもやりくりができたのであって、そうでない事業所は初めから学ばなければならず、これに費やす労力と時間は現行の区の補助ではとても間尺に合いません。
 新体系への移行は、現場が望んでそうするのではなく、政治の都合によって移行せざるを得ないのですから、現場が新体系に移るうえで必要な事務作業についても政治の責任で全面的に支援するのが当然ではないでしょうか。障害者基本法が第4条で規定する国及び地方公共団体の責務を全うするためにも、区内事業者に対する新体系移行支援は、予算配分の増額や補助のあり方の見直しなど拡充されなければならないと考えます。今のままでは小規模作業所は新体系に移行することができず、廃業に追い込まれかねません。見解をお聞かせください。
 次に、住宅施策について伺います。
 公営住宅の緊急的活用について質問します。
 業績悪化を見込んだ企業の多くが短絡的な雇用調整に走り、働く場所とともに住む場所までも奪われた人は、厚生労働省の数字では2,675人となっております。ただ、失職した非正規労働者8万6,000人のうち4万人の住居状況が不明だということですから、実際に住居を喪失した方は2,675人よりはるかに多いと予想されます。
 区内の公園で生活する人の姿も、かつてないほど数多く見かけるようになりました。区の調査では、1月中旬時点で33人確認されており、去年の同じ時期と比べて13人もふえました。
 国も、昨年末から失業者対策に乗り出し、公務員宿舎775戸や雇用促進住宅3万など公営住宅の活用を始めています。団地も活用されていますが、国交省による2月6日時点の集計では、用意された団地が5,271戸に対し、住居が決まったのは1,354戸と4分の1しかありません。この中で、UR団地は家賃が安くならないため、用意した930戸のうち、入居に結びついたのはわずか17件にとどまっております。
 野方のUR団地7戸も対象に含まれたようですが、成約はあったのでしょうか。区は、失業者向け区内公的住宅への入居状況を把握していますか。職を失った人への情報提供や入居に結びつける手だては尽くしているでしょうか。お答えください。
 家賃助成について質問します。
 非正規労働の広がりとともに、働く貧困層がふえ、国税庁の調査でも年収200万円以下の人が全国1,000万人を超えています。年収200万円では、税と社会保障費を引いた月々の手取りは13万円ほど、そのおよそ半額を家賃に回した残額では生計を立てるだけで精いっぱいです。
 新宿区が28歳までの単身者を対象に実施している家賃助成制度は、月額1万円、最長3年間ですが、今年度の倍率で7.3倍もの応募が寄せられ、高過ぎる家賃への公費助成が青年の強い要求であることを示しています。
 中野区は、一人暮らしの若者が多く住むまちです。視点を変えると、就職や結婚、あるいは出産を契機に区外へ転出してしまう傾向が強いと見ることもできます。
 新宿、台東、千代田、文京、目黒、北の都内6区が子育て世帯への家賃助成を実施しています。同じ区内での住みかえに対し、家賃の差額を助成するなど、子育て支援や少子化対策に効果があると考えます。中野区に住み続けられるよう、区として家賃助成に踏み出すべきです。お答えください。
 耐震化助成について質問します。
 中野区が来年度からの実施を検討している防災ベッドの設置助成は、上限50万円で10台を見込んでいます。高齢者の災害対策として評価できますし、区長がこれまでかたくなに拒んできた私有財産の価値を高めることになるような税金の使い方というのがやっと解禁になったと、胸をなでおろしております。
 中野区は、住宅の耐震補強工事を広く一般に助成する制度を持っておりません。私たちは、これまでも耐震補強工事助成を求めてきました。区は、工事助成を実施している他区と比べて、工事助成を実施していない中野区が補強工事の件数が上回っていると反論しますが、区民の命と財産にかかわる事業なのですから、ほかと比較する相対評価ではなく、区民要求がどれだけ満たされているか、絶対評価が相応ではないでしょうか。
 昨年度、区内で無料簡易耐震診断を受けて何らかの耐震補強が必要と診断された住宅のうち、3割以上が耐震補強工事に結びついていません。住宅耐震補強工事への助成が必要だと考えます。また、これまで繰り返し求めてきた家具転倒防止金具本体への助成についても、再度実現を迫ります。2点について御答弁ください。不景気のあおりで建設業者も仕事が激減しています。雇用経済への刺激も大いに期待できるのではないでしょうか。
 次に、環境への取り組みについて伺います。
 自然の活用について質問します。
 区外に風力発電装置を設置する区民風車の準備が進められています。巨大な風車を3基立てて、およそ3,000世帯の消費電力相当を発電すると区は見込んでおり、売電収入を太陽光発電の普及等に充てるそうですが、立案当初の見込みで建設費は1基5億円、3基で15億円と高額です。
 風力発電が地球温暖化対策として有効であることに異論はありません。しかし、雇用と経済の緊急事態を迎えた今、中野区から離れた土地に効果があらわれるまで時間のかかる風車設置に多額の予算を使うのは待ったほうがよいと思います。開発が盛んなのは、微風でも回転する小型風力発電ですし、大きな風車は絶滅危惧種の鳥を巻き込んでしまうため、地元で歓迎されなかった事例も聞いております。何よりも区民への周知と理解が足りていません。区民風車は時期尚早ではないでしょうか。今は風力発電業界の動向を注視するという区の英断を仰ぎたいと思いますが、いかがでしょうか。
 太陽光熱利用の促進について質問します。
 東京都は2009年4月から、住宅用太陽光熱利用機器への設置助成を始めます。発電では、経済産業省による総額90億円規模の設置助成が既に始まっており、太陽光熱の利用拡大に期待が寄せられています。
 区民の太陽光発電機設置に対する国と都の補助金は、あわせて50万円となりますが、初期費用は200万円ほどかかるため、区市町村の追加支援が欲しいところです。
 渋谷区は、区民が太陽光で発電した電力の余剰を電力会社の買い取り金額に上乗せする支援制度を創設します。
 東京都の施策は、2年間の時限措置だと聞いています。中野区も区民の太陽光熱利用への支援に早く踏み出さないと、せっかく得られる相乗効果の機会を逃します。来年度からの実施が必要ではないでしょうか。お答えください。
 ごみの発生抑制について質問します。
 日本国内の割りばし消費量は、年間250億膳、1人200膳になります。割りばしは間伐材からつくられているので、環境破壊どころか森林保全に役立つというのは過去の議論です。今は9割が中国産で、あちらでは樹木を伐採して割りばしを生産しています。国産間伐材使用の割りばしが1膳2円なのに対し、輸入品は1膳0.5円からそろえられており、勝負になりません。割りばしに限らず、日本の材木は輸入材が8割を占めるようになってしまいました。安価な輸入材と後継者不足が主な原因ですが、日本の国土は7割が森林だというのに、自国の森林を荒廃させ、他国の森林を破壊している今の林業市場は、不健全と言わなければなりません。
 はしにおける環境行動は、最善は国産間伐材の割りばしを使うことであります。自国の森林保全と他国の伐採抑止につながるからです。しかし、私たちの生活でそれを選ぶことが可能な場面はほとんどありませんから、次善策の塗りばし持参が現実的なのでしょう。
 自戒も込めて言いますが、新年会などのあいさつで割りばしや紙皿が目の前に並んでいる状況でごみ減量や資源有効活用、持続可能な社会の話をするのはいかがなものかと思います。環境団体の方からそのように指摘を受けた私は、地域が企画した会合で業者の貸し出し食器を使うことを提案し、そのとおり実行されました。割高でしたが、使用後は洗わずに汚れたまま返却してよいので手間はかかりません。また、厨芥や残飯だけが集められたごみ袋を見て、もったいない、今度は食べ物も捨てない努力をしようと、運営に携わった人たちの環境意識がさらに前進したことはうれしい誤算でした。
 中野区は、ごみ減量や環境への取り組みを打ち出していますが、飲食を伴う区主催または共催の行事で、食器に関する環境行動は十分取り組まれているでしょうか。国産間伐材を使った割りばし、洗って何度でも使える塗りばしや食器、サトウキビなど非涸渇性の原材料でできた皿や器を使うよう求めます。お答えください。
 照明具の資源化について質問します。
 中野区では、区民は使用済み蛍光管を陶器ガラス金属ごみとして出すよう決められていますが、水銀含有ごみである蛍光管の埋め立て処理は、環境汚染だけでなく私たちの健康にも影響が及ぶので、非常に好ましくありません。
 中野区環境基本計画に、「区立施設において使用済みとなった蛍光管・水銀灯は、土壌汚染を防ぐため適正な処理を行いながらリサイクルします」とあるように、区も蛍光管の埋め立ては土壌汚染であると認識しています。
 蛍光管の無機水銀は人体に吸収されにくいものの、川や海の微生物によって毒性の強い有機水銀へと変化し、魚介類に取り込まれるので危険だとの報告があります。
 水銀含有ごみをめぐっては、20年前に乾電池の埋め立て処理が問題となりました。後の研究開発により、今では水銀が一切使われなくなった乾電池ですが、中野区の回収事業は資源回収を目的に継続されています。
 環境省の調査によると、国産蛍光管に含まれる水銀の総量は国内の年間総需要水銀量の23%という大きな比率を占めています。これの85%もが埋め立て処分というのはもったいないですし、害毒です。
 そこで質問します。経済産業省も憂慮している蛍光管の再資源化を中野区の責任において実施すべきではないでしょうか。品川区は集積所で、中央区は小学校で、江東区は事業所でそれぞれ回収に取り組んでいます。環境と食の安全、清掃に携わる職員のけが防止にも有効な蛍光管の資源化について、中野区は何を検討したのか。また、なぜ実施しないのですか。答弁を求めます。
 さらに、区が打ち出している緊急の雇用経済対策中、公園灯や街路灯を省電力のものに交換するという施策があります。このとき、役目を終えて交換される照明具は資源化処理されるのでしょうか。雇用経済と見るならば、仕事がふえるのは大いに結構だと考えますが、いかがでしょうか。
 ごみ分別について質問します。
 徳島県の上勝町は、ごみの34分別を実施しています。この数え方で言えば、中野区は16分別ですから、資源化できる品目はまだまだたくさんあります。
 中野区は、家庭ごみの有料化に走り出そうとしていますが、未着手のごみ減量策はたくさんあるというのに、万策を尽くさず、区民の理解も合意も十分ではありません。加えて、生活苦の広がりがとまらないさなか、23区に先駆けて家庭ごみの有料化に踏み出せば、勇み足のそしりは免れないと思います。
 さて、上勝町では、可燃ごみに当たるごみのことを「どうしても燃やさなければならないもの」と名づけています。33分別に当てはまらなかったので、「どうしても燃やさなければならないもの」と、ごみ分別への意欲がよくあらわれています。一方、中野区は、可燃ごみの名称を「燃やすごみ」に変更しました。燃えるから燃やすに改名され、廃プラスチックも燃やす部類に加えられ、ごみ分別への意識が後退してしまったという話が今でも聞かれます。
 中野区は、来年度にごみ集積所の看板や分別一覧などをつくり直すとしていますが、新しい分別方法が浸透していないのでしょうか。プラスチック焼却への抵抗感は根強いものがあります。港区が実施しているように、廃プラスチックの全量資源化についても検討するべきではないでしょうか。
 その他として、捨て看板について質問します。
 不動産関係の広告が電柱にくくりつけられています。この捨て看板は、東京都屋外広告物条例で規制されており、無断掲示は罰金が課せられます。
 捨て看板はまちの美観を損ね、不当な宣伝効果を上げ、強風で飛び回る厚紙と針金は凶器ですらあります。区役所に電話をすれば除却してくれますが、所有者である東京電力やNTT東日本に除却義務はないのでしょうか。区として特別な捨て看板対策は講じていますか。お答えください。
 最後に、子どもの放課後について1点質問します。
 新井と江原町にある民設民営学童は、中野四丁目に本社を置く株式会社が運営しています。どらちも区から700万円の施設整備補助を受け、新井は2007年度、江原町は2008年度に開設したばかりです。ところが、今年度末で両学童から撤退したいと中野区に申し出があり、4月から運営事業者が変わることになりました。
 今回、学童から撤退する会社は、都内各地で学童保育や全児童対策事業、認証保育所の運営を受託しています。同じビルに本部を置く系列会社は、株式会社としては初めて大学を全国展開したものの、経営難のため東京以外はすべて閉校すると報道されています。
 私たちは、学童保育の運営主体として営利企業はなじまないことをこれまで何度も指摘してきました。学童クラブは子どもたちの生活の場です。大人の都合で揺さぶられることがあってはなりません。公共性や社会貢献度よりも採算性を重視するから営利企業なのであって、採算の合わない事業から撤退する判断はむしろ当然と言えます。学童クラブ運営に株式会社参入の道を開いた中野区の責任が問われます。
 共働きや一人親家庭は増加の一途をたどり、長時間過密労働やただ働き残業もなくなっていません。少子化にあって、学童クラブの申し込み者はふえていますが、子どもの成長や食育、あるいは親が抱える悩みや苦難など、量の拡大とともに質の向上も求められています。
 中野区は、昨年10月から谷戸学童クラブを民間に運営委託し、来年度は4カ所にふやすとしていますが、これ以上民間委託を進めてはなりません。学童クラブは区の職員で実施するべきです。区の見解をお聞かせください。
 以上で質問を終わります。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) せきと議員の御質問にお答えいたします。
 就労相談窓口を区で設置するべきだという御質問でありました。
 就労相談につきましては、ノウハウや、あるいは雇用、求人に関する情報が集中しているハローワークが広域的対応をすることが効率的であり、効果があると考えております。区といたしましては、ハローワークを中心として就労に関する相談が寄せられた場合など、そうした機関と連携をしながら、そうした機関に結びつけるといった形で進めてまいりたいと思っております。また、中野区就労・求人サイトでも情報提供していきたいと考えております。
 それから、区が直接雇用するべきだという御質問でありました。
 臨時職員の採用では短期間の雇用にならざるを得ず、根本的な解決策とはならないわけであります。実施した自治体でも、特に都内ではほとんどの例で応募者がわずかであったと聞いているところであります。中野区では、区内企業の新規雇用を促進するための対策をとることとしているわけであります。したがって、区が直接雇用実施することは考えておりません。
 それから、雇用創出のために放置自転車対策で活用すればということであります。
 緊急雇用対策として活用いたします放置自転車の整理要員につきましては、現在新中野駅周辺地域で進めております自転車駐車場整備計画に合わせて、放置自転車の一掃を目指して重点的に配置するところに充てるという予定であります。現在、ブロードウェイ管理組合が西側歩行者専用道路に自転車駐車場を設置する方向で計画を進めているところですが、区としては他の地区と同様に自転車放置防止指導員を配置していきたいと考えております。
 それから、介護従事者の資格取得費助成枠を拡大するべきだという御質問がありました。
 緊急経済・雇用対策におきます介護従事者に対する資格取得費用の助成については、現在の予定した事業規模で対応ができると見込んで行っているところでありますが、必要があればまた対応を考えていきたいと考えております。
 それから、内需を高めて雇用を生み出す施策が重要ではないかといった雇用問題についての御質問がありました。
 景気対策のためには、これは何度も申し上げておりますが、新たな産業の成長分野をつくり出して内需の拡大を図って雇用を創出する、そして就労をつくり出すという経済対策をスピード感を持って実行していくことが重要であると考えております。
 それから、雇用対策で清掃業務の派遣労働を正規職員にするべきだという御質問でありました。
 清掃業務は、最近ごみの収集方法を変更したことなどによりまして、ごみ量が安定していない実態があります。そういった中で、一時的に必要とする業務に対応するために人材派遣を活用しているということでありまして、今後ともごみの収集業務に見合った正規職員を適切に配置していきたいと考えております。
 それから、障害者権利条約の批准についてということであります。自立支援法が大変問題があるという御認識に立っての御質問でありました。
 基本的に、障害者の自立を進めていく上で自立支援法そのものの考え方は、私は是認して進めていくべきだと考えているところであります。そうした障害者の権利を広げていくという立場からも、障害者権利条約は障害者の人権や自由を確保し、促進するといった理念をうたっているところでありまして、障害者福祉を進展させる上で意義のあるものと考えているところであります。
 それから、障害者の就労支援のネットワークについての御質問もありました。
 障害者の雇用促進につきましては、区内の企業なども含む連携や協力の体制が大切であると考えております。現在、区内の障害者施設や団体等によりまして、中野就労支援ネットワークという連携の場がつくられております。区としてもこうした取り組みに対して必要な支援を行っているところですが、区内企業との連携の強化にも向けて、区内企業を含む障害者の雇用、就労に関する懇談会を近く開催するなど、取り組みを強めているところであります。
 それから、施設の新法体系への移行に対する補助を拡充するべきだという御質問でありました。
 新法移行につきましては、事業者の主体的な努力が中心になると考えております。しかしながら、今年度も移行に伴う一定の費用を支援しているところでありまして、今後とも必要な支援は行ってまいります。
 それから、公営住宅の緊急活用についての御質問がありました。
 都営住宅や住宅供給公社の賃貸住宅では、現在のところ離職退去者向け住宅の提供は行っておりませんが、独立行政法人都市再生機構が東京都内では113戸、中野区内においては野方団地7戸を離職退去者も申し込み可能な住宅として2月10日から先着順で受け付けを行っております。この住宅につきましては、ハローワーク等で情報提供されておりますほか、区でも相談に来られた方には紹介を行うこととしております。
 また、これと関連してということでしょうか、家賃助成、家賃や引っ越し費用などを若者やファミリー世帯に対して助成するべきだという御質問もありました。
 こうした一般の家賃助成ということになりますと、一部の人だけにこうした金銭支援が行われるということで不公平ということにもなりますし、多くの方にこれをするとなれば財源の問題も直ちに出てくるということでありまして、こうした施策については全く考えておりません。
 私からは以上であります。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 障害者施策につきまして、障害者雇用の促進についてということで、ZEROホールのレストランが空きになると聞いているが、そこを障害者の雇用の場として活用することはできないかという御質問でございます。
 教育委員会といたしましては、利用者や区民に対するサービス確保のために引き続きレストランとして運営していきたいと考えておりまして、ただいま準備を進めているところでございます。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 耐震化助成についてのお尋ねがございました。
 平成21年度予算案の中に、緊急輸送道路等沿道建築物の耐震化促進に関する予算を新たに計上をしております。現在実施中の耐震化推進の事業メニューに加えて実施をするということで、耐震化の推進を拡大するというところでございます。
 また、木造住宅の耐震改修に関します助成でございますが、耐震補強設計及び工事管理に要した費用の範囲内で5万円を限度として現在行っているというところでございまして、工事費への助成は考えておらないというところでございます。
 次に、家具転倒防止器具についての助成の御質問がございました。
 家具転倒防止器具の代金につきましては、比較的安価で個人負担の範囲内であるというふうに考えてございまして、区民の御負担をお願いしているところでございます。
 次に、捨て看板への対策でございます。
 電柱や電話柱の捨て看板につきましては、東京電力やNTT東日本の責任において除却管理を行っているというところでございます。区といたしましては、悪質なものに対しまして都条例に基づき撤去、指導等を行っているというところでございます。
    〔区民生活部長大沼弘登壇〕
○区民生活部長(大沼弘) 環境への取り組みについてお答えいたします。
 区民風車と太陽エネルギーの利用促進についてでございます。
 区民風車の整備に当たっては、風力発電の動向に関する情報の収集など十分な調査を実施したうえで事業を進めていきたいと思います。
 それから、単なる現金給付の補助制度では予算額が普及の限界になるなど、結果として持続しない施策となり、効果は得られないと考えています。太陽エネルギーの利用拡大は、区民風車などで得られた売電収入などを原資に持続可能な仕組みを構築して取り組みたいと考えているところでございます。
 ごみの発生抑制についてお答えいたします。
 区内のイベントでは、区民団体がリユース食器の利用、普及に取り組んでいる例もあり、児童館の行事などでも子どもたちが食器を持ち寄るなど、ごみの発生抑制に取り組んでいるところでございます。
 ごみの分別についてでございます。
 新分別区分は、排出実態から見て相当程度定着していると受けとめているところでございます。3月中にリーフレットを全戸配付するのは、陶器、ガラス、金属ごみの収集を月2回に変更することを周知するとともに、一層の分別ルールの徹底を図るためであります。区は、容器包装リサイクル法に基づき対応しており、現時点ではプラスチック製容器包装以外の廃プラスチックを資源として回収する考えはございません。
 蛍光管の資源回収についてお答えいたします。
 不燃ごみとして家庭から排出される蛍光管は、清掃一部事務組合の不燃ごみ処理センターで資源の回収処理がされております。区としては、資源回収は考えていないところであります。
 街路灯の照明器具については、取りかえ工事の際に再資源化を行っているところであります。
 以上です。
   〔子ども家庭部長田辺裕子登壇〕
○子ども家庭部長(田辺裕子) 子どもの放課後につきまして、民間学童クラブへの対応についてお答えをいたします。
 今後も増加し、多様化する学童クラブのニーズに的確にこたえていくとともに、すべての子育て家庭の支援についても充実させていくことが中野区の果たす責任であるというふうに考えております。
 なお、安定的、継続的な事業運営を必要とする学童クラブへの民間活力の導入に当たりましては、事業者の選定方法や契約内容等について必要な見直しを行うほか、運営状況等の把握に努め、引き続き適切な指導を行っていく考えでございます。
○副議長(やながわ妙子) 以上でせきと進議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 佐野 れいじ
 1 中野区の財政について
  (1)起債について
  (2)予算配分について
 2 公会計制度(現金主義と発生主義)について
 3 東京メトロ丸ノ内線中野新橋駅について
  (1)火災対策について
  (2)バリアフリー化と駅改修工事について
 4 中野区の介護予防事業について
 5 その他

○副議長(やながわ妙子) 次に、佐野れいじ議員。
      〔佐野れいじ議員登壇〕
○12番(佐野れいじ) 平成21年第1回定例会一般質問に際しまして、自由民主党の立場から質問をさせていただきます。
 大きく分けまして、今回四つ質問をさせていただきます。一つは中野区の財政について、続いて2番目として公会計制度について、3番目として東京メトロ丸ノ内線中野新橋駅について、4番目として中野区の介護予防事業について、以上4点について御質問をさせていただきます。
 まず、一番最初の中野区の財政についてであります。
 中野区の財政は、ここ数年一定の規模を維持し、安定しているように思われましたが、景気の変動により市町村民税法人分の落ち込みとともに利子割交付金、配当割交付金、株式等譲渡所得割交付金、自動車取得税交付金などの落ち込みも激しく、平成21年度の一般財源は平成20年度の予算比で約30億円の減収が見込まれております。また、報道によれば、日本経済は平成20年度、平成21年度と2年連続でマイナス成長になるだろうと予測しており、不況が長期化する確率が高く、歳入の回復にも時間がかかることが見込まれております。こうした経済環境を受けて、中野区でも今後の中長期フレーム改定に当たっては、少なくとも平成23年度までは歳入減少が続くだろうと想定されております。
 そこで、区にとって今後重要となってくるのは、区税や国民健康保険料の収入率向上、各種貸付金の未収金対策、確実な補助金の確保など、歳入の安定化を図ることとあわせて、予算執行の見直しや事業の再点検、基金及び起債計画等の見直しではないでしょうか。
 今回、我が会派から、この中野区の財政についていろいろな心配事があり、斉藤先生、そしてまた本日は山崎幹事長がこの中野区の財政について質問を行っております。そうした背景も踏まえて、1番目、私は起債について、2番目、予算配分についてお尋ねをしたいと思っております。
 まず、1番目の起債についてであります。
 私は、今まで区債は借金であり、借金はなるべく少ないほうがいいというような観点でおりました。そして、それは回避すべきであるというふうに思っております。しかし、区が大規模な事業を実施する場合、起債を行うことも有効な手段であり、いかに起債をコントロールしていくかが重要であるという考えに至りました。そこで、何点かに分けて御質問をさせていただきます。
 まず、第1点目は、起債とあわせて行う補助金の確保についてであります。
 起債をしなければならないような大規模事業の場合であっても、補助金をできるだけ確保する努力を惜しんではならないと思います。なぜなら、起債をすれば利子を負担しなければならず、起債の額をできるだけ低く抑える努力が必要だからです。民間会社が資金を調達する場合、補助金が交付されるようなことは決してありません。しかし、区は民間会社と異なり、事業の目的、内容によっては、国などから2分の1とか3分の1とか、補助金が交付されるシステムになっております。民間会社にはないこの利点を生かして、補助金を大いに活用すべきであると考えますが、区長はいかがお考えでしょうか。
 次に、第2点目として、公債費の中野区の予算に占める割合についてお尋ねをいたします。
 財政の健全化の指標に、公債費による財政負担の程度を示すものが用いられているように、起債を行う場合も後年度の元利償還金の負担をコントロールする必要があると思います。義務的経費の一つである公債費、元利償還金が一般財源を圧迫し、区としてフレキシブルな区独自の施策が展開できなくなるようなことがあってはなりません。平成21年度中野区一般会計予算のうち、義務的経費の占める割合は53.8%と既に予算の半分以上に達しております。そのうち、公債費が7.7%となっていることを区長はどうお考えになっているのでしょうか。御認識をお伺いいたします。
 第3点目は、起債残高の詳細な内訳の提示についてであります。
 民間では、「借金も財産のうち」という言葉があります。区が長期的な視点に立った区政運営を実現するため、また次の世代との公平性を保ち、将来にわたって住民福祉に寄与するためであれば、起債はうまく活用すべきであります。ただし、元利償還金のことを慎重に考えなければなりません。起債をする場合、国など、総務大臣や、または都道府県知事との協議を行うと聞いておりますが、このことは手続として起債に当たっての慎重な態度を求められているのだと思います。
 また、起債について、我々議員も最大限の関心を持つ必要があると思っております。予算書などを見れば、歳入の特別区債として区債の発行総額が、また歳出の公債費として区債元金償還金及び区債利子支払いがそれぞれ当該年度分としてはわかりますが、予算審議に当たって区債についていつ、どれくらい返済するのか、借入先や利率などがどうなっているのか、予算書、予算説明書、予算説明補助書などの中には全く見ることができません。したがって、起債残高の内訳が、すなわち予算書などに出てこない金の動きが全く見えないわけです。
 予算は単年度主義と言われますが、起債というのは単にその年だけでの判断ではできません。社会環境の変化に伴っての起債計画、返済計画を立てなければなりません。
 予算審議に当たって各会派からの資料要求が認められており、区の個々の借入額、償還額、残金の推移などは資料からはかり知ることができますが、それは起債の一部であり、それだけでは起債全体が十分にはわかりません。さらに言えば、その資料はチェックする側の議員からの要求に基づくものであり、区が編成した予算を理解してほしいということであれば、議員から要求されるから提出するのではなく、起債についての細部にわたっての資料を行政として予算審議のためにもあらかじめ作成し、区民、議会に少しでもわかってもらいたいという姿勢が必要ではないでしょうか。予算の議決権は区議会にあります。予算を審議し、検討する区議会に対して、より理解を求め、わかりやすい資料を示すのは当然だと思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。
 次に、予算配分についてお尋ねをいたします。
 まず、第1点は、部門ごとの配分についてであります。
 平成21年度予算を見ますと、一般会計予算案は1,026億5,000万円を歳出合計として組んでおります。その内訳を見ますと、4款子ども家庭費185億1,300万円余、18.0%、5款保健福祉費325億5600万円余、31.7%となっております。二つの構成比の合計は49.7%に達しており、予算の約半分が使われております。この傾向はここ数年続いております。この二つの部門には新規拡充事業や最重点項目も多く、義務的経費である扶助費の伸びを大きくしているとともに、区民生活費や都市整備費など他の部門の予算を圧迫し、財政全体の弾力性が失われ、あまりにも偏った配分となってはいないでしょうか。この点について、区長の見解をお伺いいたします。
 次に、第2点目は義務的経費のうち扶助費についてであります。
 平成21年度一般会計予算の性質別内訳を見てみますと、義務的経費552億8,600万円余の中で、相変わらず扶助費が伸びております。扶助費は、対20年度比プラス9億2,000万円余になっております。人件費は人員の削減により8億円あまりが減となっております。しかし、一方扶助費は9億2,000万円増となっております。したがって、これを見たときにはかなりの費用が人件費を食べているというような現象が出ているのではないかと思っております。
 そういうことで、平成21年度作成の財政運営の考え方の中でも、26年度までの財政フレームによれば、一般財源ベースで平成21年度87億8,000万円の扶助費は今後毎年伸び続け、4年後の平成25年度には100億円を突破し、100億円の大台に突入することははっきりと区でも想定しております。毎年度、一般財源ベースで700億から800億円程度の予算規模の中で、4年後には約8分の1以上に当たる100億円以上を扶助費に割り振らざるを得なくなる現状を区は注視すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 区は、「財政運営の考え方」の今後の取り組みで、執行方法の見直しを掲げた部分で、「扶助費と繰出金は今後も伸び続けると予想される。セーフティネットなどの増加に対応することは区の責務である。区独自の加算分等については、その金額や執行方法などについて今後検証していく」としております。
 では、どのように検証したのでしょうか。私は、よほどしっかりと、これこそ重点項目の一つとして今後対策を立てていかなければならないものだと思っております。もうあと4年後には、間違いなく中野区の一般財源の約8分の1が、約100億円以上の扶助費の支出が到来してしまうんです。いくらセーフティネットのためとはいえ、また中野区だけではなく、日本全体がそうなのだからという理由では問題は解決しません。このままでは、いずれ扶助費への予算配分の重さで区の運営が回らなくなります。
 そこで、区内の経済活動の活性化を図るなど、区全体の担税力を向上させ、安定した一般財源の拡充を図ることと、もう一つは扶助費の給付管理のチェック体制をしっかりと確立することなど、今から中野区としての総合的に突っ込んだ対応策を立てる必要があると考えますが、区長の御見解をお伺いいたします。
 次に、公会計制度(現金主義と発生主義)についてお伺いをいたします。
 現在、中野区は、公会計制度の導入に向け検討を進めております。これまでの経緯を見ますと、最初に中野区は平成18年3月に出した新しい中野をつくる10か年計画や、中野区行政革新5か年プランの中で発生主義会計の導入を掲げております。
 また、区長は、2期目の当選をされて初めての議会、平成18年第2回定例会の施政方針演説の中でも、今後の行政改革の一環として発生主義会計の必要性とその導入をうたっております。さらに今回の定例議会に当たっての区長施政方針の中でも、行政改革としての発生主義会計の導入を強く打ち出されておりました。
 しかし、導入を決断してから早3年がたっております。東京都では、検討開始から3年半で発生主義会計を既に導入しております。発生主義会計を導入し、区の経営改革の実効性を高めていこうとした当初の目的はどうなっているのでしょうか。まずお伺いをさせていただきたいと思います。
 さらに、公会計改革実施に当たっては、現行の官庁会計、複式簿記・発生主義が同時に処理される業務プロセスの確立が必須要件であり、このための管理システムの構築が必要となります。21年度の予算では、システム構築費はどうなっているのでしょうか。
 昨年7月28日、総務委員会での報告に出されました公会計改革のスケジュール表によれば、「システム整備については平成21年からシステム構築開始」とあります。また、スケジュールは平成22年には一部稼働となっており、23年には新公会計と連動した物品管理・財産管理・道路管理システムを稼働するとの表記ですが、本当に資産管理システムは平成23年度にできるのでしょうか。お答えください。
 さらに、資産管理をするには財産管理台帳や道路台帳の整備が必要です。区の資産を正確に把握するうえでも必要である財産管理台帳や道路台帳の整備は、現在どの程度進んでいるのでしょうか。
 一方、「中野区の公会計改革の基本方針」の中では、今後五つの現行会計制度についての問題点を挙げております。一つ、資産管理・債務管理の計画が不十分である。2番目、費用分析が行われる状況にない。3番目、財務情報の作成と開示が不十分である。4番目、行政評価・決算分析・予算編成が十分に連携していない。5番目、議会審議に必要な資料提供が不十分であると、五つを挙げておりますが、これらの問題点を今後どのように解決していくのかをお尋ねします。
 次に、実現するための組織体制についてお尋ねします。
 今後、管理会計責任者、CAOというんですか、チーフ・アカウンティング・オフィサーというような舌をかみそうな名称を設置し、英語がお好きなんでしょうけれども、組織体制を整備し、事務管理や財務改革を進めるやに聞いておりますが、どのような組織体制となっていくのかお答えください。また、なぜCAOなどという難しいお名前をつけられるのかもお答えいただければありがたいと思います。
 それから、次にこの項の最後に、職員の研修体制や意識改革についてもお尋ねいたします。
 新しい制度の導入は、単に担当部署だけの活動努力だけでは無理があります。全庁的な新制度に対する理解と協力体制が不可欠です。そのためには、全職員の導入に向けての意識改革が必要です。各現場では当然定型業務を各自が持っており、多忙です。その中では、公会計改革の意義、目的といってもまず理解することができません。現場は導入に当たっての具体的な作業を覚えなければなりません。あわせて、コスト意識や改革への意義や目的を理解しなければなりません。さらに、トップの熱い情熱と強固な意思がなければ達成は決してできません。今後も全庁的な研修はもとより、職員の意識改革を進めなければ、この制度の導入は図れないと思いますが、区長の実現へ向けた力強いお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
 次に、3番目として、メトロ丸ノ内線中野新橋駅についてお尋ねをさせていただきます。
 1番目、火災対策について、2番目、駅のバリアフリー化についてと駅改修工事についてお尋ねをいたします。
 この問題については、同僚議員並びに私も再三にわたってこれまで質問してまいりました。直近の回答では、マル1、火災対策については平成20年度排煙設備完成、平成21年度2方向避難路完成とのことでしたが、予定どおりにこの方向で進むのでしょうか。また、2番目の駅のエレベーター化と改修工事についても、当初工期4年で20年度中に着工となっておりましたが、「着工は、21年度にずれ込む。ただし、工期は2年とする」旨の話も流れており、昨年暮れにそういった話も流れておりましたが、その後の経過と今後についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 続いて、4番目、中野区の介護予防事業についてお尋ねいたします。
 介護保険制度は平成12年に発足し、平成21年度で10年目を迎えようとしております。社会全体の高齢化の進展に伴い、中野区においても人口に占める高齢者の割合は19.4%となっており、65歳から74歳までの高齢者の要介護等認定率は5%程度、75歳以上の高齢者の要介護等認定率が33%を超えております。団塊の世代が65歳以上を迎える平成27年には、高齢化は20%を超えると言われております。さらに、10年後の平成37年には団塊の世代が75歳以上になり、75歳以上の人口が大幅に増加することは間違いないところであります。そこで、いかに要介護認定を受ける方を少なくしていくのかが今後の大きな課題となってくると思っております。
 各自治体において、介護予算のうち3%相当を財源とする地域の実情に応じた自治体独自の介護予防事業がスタートしております。その重要なポイントの一つが、要介護・要支援の予備軍的な位置付けにある特定高齢者向けの健康増進事業であります。国は当初、第1号被保険者のおおむね5%がその対象と見て、区市町村に対して積極的に実施するように求めてまいりました。
 ところが、全国的にも実績は大幅に低い状況であり、23区でも1%に満たない状況があるということであります。中野区においても、平成18年度及び19年度とも0.2%にも満たない実績で推移しております。いずれにせよ、国が示した介護予防の実現に向け、策を今後講じなければならないことは必至であります。
 中野区では現在、保健福祉審議会が設置され、その中に介護保険部会が設けられております。昨年6月の第4回の部会報告によりますと、区は特定高齢者把握事業として65歳以上の高齢者から既に介護認定を受けておられる要介護と要支援の方を除いて、約5万人の方々に基本チェックリストという「いきいき生活チャレンジアンケート」を送付し、返送された内容を確認した結果、約4,000人が特定高齢者の候補者としております。
 実際に介護予防事業に参加された方はどのくらいいるのでしょうか。これまでの参加実績を見ますと、18年度が101人、第1号被保険者のうちわずか0.17%、19年度は108人で、同じく0.18%です。国が示した5%を念頭に置いて策定された現在の介護保険事業計画では、18年度から3%、4%、5%と実績を上げる計画だったわけですから、計画と現実の大きなギャップがここにはあります。どこにその原因があったのか、また、この3カ年の間にどういう対策をとってこられたのでしょうか。実効性を上げるために今後どのような見直しを考えているのか、お尋ねをいたします。
 さらに、21年から23年度の第4期介護保険事業計画に関する介護保険部会では、特定高齢者について、国が5%という目標値を示さなくなったこともあり、21年度は0.4%、22年度は0.8%、23年度は1.2%と極めて消極的な数字に下方修正をされました。今回の素案では、最重要事項の一つとして介護予防を高らかに掲げながら、第4期計画がスタートする前から低い目標になっているようでは、これは今後どういうふうに進めるのかが全くわからないところであります。
 重要なことは、もっと掘り下げて分析しなければならないということです。このわずかな参加者が、果たしてどれくらいの出席率を上げてきたのか、また途中離脱者がどれくらいいたのか、事業内容の評価にもかかわることであると考えますが、いかがでしょうか。また、そのための対策をどうとってきたのかもあわせてお答えください。
 さらに、介護予防の大切さを考えると、他の自治体で少しでも数字が上がっているところも中野区として参考にすべきではないでしょうか。例えば、埼玉県和光市や葛飾区では、身体の運動効果に重点を置いて、ルーレットやビッグシックスといったゲームや、脳を動かし、体を動かし、その上に楽しく自然と笑顔が出る趣味の「そば打ち教室」、陶芸を通して自然に楽しく、さらに運動効果もあらわれるものも取り入れているという自治体もあります。区でこうしたものの実施推進を目指すことについて、どのようにお考えなんでしょうか。
 最後に、「健康福祉都市なかの」を目指す中野区として、第4期計画の介護予防の基本的な考え方を、第3期とどこが違うのかをあわせてお示しいただき、すべての私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 佐野議員の御質問にお答えいたします。
 まず、財政問題に関連して、起債についての御質問の中で、補助金を適切に確保していくべきではないかという御質問がありました。
 国や都の補助金をはじめ、さまざまな特定財源を活用しながら極力起債をしない、あるいは起債の額を低く抑えるということで、さまざまな財源を確保しながら事業を行っていくといううえでは、財政の健全性を保つといううえでも、また事業を効果的に進めるといううえでもまず基本中の基本であると、このように考えているわけでありまして、財源の確保についてはこれまでも力を入れて取り組んでまいりました。今後もそうしてまいりたいと考えております。
 公債費の占める割合について、財政運営の中で公債費の割合を管理していくことが大変大事だという御質問であります。
 義務的経費の中でも、当然公債費というのが一定の割合を占めているわけであります。この公債費をきちんと管理するということが大変重要というふうになっております。
 起債の活用につきましては、財政運営の考え方でお示しをしているんですが、中野区独自の指標として公債費負担比率というものを設定しております。この比率に関連して、将来の公債費を、その負担をシミュレーションしながら、慎重に事業の計画予算をつくっているところであります。
 今後の公債費負担比率につきましては、10%前後で推移をしていくというふうに計画をしているところでありまして、この水準で推移している限り、施策展開には影響を及ぼさない程度であるというふうに考えているところであります。
 それから、起債残高の内訳をあらかじめ予算資料等の中で示しておくべきではないかという御質問でありました。
 起債については、今申し上げましたように財政運営に与える影響が大変大きいものでありますから、その影響を明らかにして、今後の起債の計画の管理の判断をしていただく、そのことが大変重要だと思っておりますけれども、一つひとつの起債の残高をお示しするよりも、起債の全体像とか額の流れを把握していただけるような総括的な資料という形でお示しをさせていただいているところであります。あまり詳細な資料というのも、かえってわかりづらいということもありますので、その資料は常にいつでも提示できるという形で用意をしているところでありまして、お求めによってお示しをするということで対応しているところでありますので、その点御理解をいただければと思っております。
 それから、予算配分で部門ごとの配分での御質問がありました。一般会計予算全体の中で、子ども家庭費と保健福祉費の占める割合が高いということであります。
 中野区に限らず、基礎的自治体ではこうした子どもの児童福祉に関係するものとか、保健あるいは福祉に関係する費用が多くを占めるという傾向にあるということはあると思っております。基礎的自治体がやっていく仕事の中で、こうした形になっていくということは一定やむを得ないものがあると、このように考えております。
 この少子高齢化に伴いまして、対応すべき課題というのも年々ふえたり、あるいは変わってきたりするということがありますので、これらの部門で新規拡充事業がある、かなり数多くなってしまうということも否定できない傾向だというふうに思っております。しかしながら、新規事業を起こす場合には、基本的には既存事業の見直しによって財源を確保するということを基本としているわけであります。全く新たな大きな事業でありますとか、そういった制度変更とかというような場合で、どうしても見直しだけでは財源を確保できないというようなことがあって、全体の中でここの部分の割合が大きくなってしまうということでもあるというふうには思っております。しかしながら、ここの部門への予算の配分によって、投資的な事業が取り組めない状況にあるのかということで言いますと、必ずしもそうではないと、こういうふうに理解をしております。
 保健福祉費の中でも、扶助費についての御質問が次にあったわけでありまして、扶助費が伸び続けていると、このことについての対策を考えるべきだという御質問がありました。
 この扶助費も含めて、扶助費が義務的経費ということなわけですけれども、義務的経費に加えて経常的に事業を運営していくうえでどうしてもかかる物件費などを加えたものを経常経費と、こういうふうに呼んでおります。一般財源においてその経常的経費に投入した財源の比率を経常収支比率と、こういうふうに呼んでおりまして、この経常収支比率があまりに高くなると、財政の柔軟性が失われると、このように言われております。
 この経常収支比率で見ていきますと、ぎりぎり、中野区は80%を超えないという程度で推移をしているということでありまして、そうした見方からしても、まちづくりなどの投資的な事業に取り組むための財政の一定の柔軟性というのは現時点でまだ確保できていると、このように考えているところであります。
 しかしながら、扶助費を抑制するための施策も大変重要であると、このように考えております。障害者の就労の促進とか、生活保護受給者の自立の促進というようなこと、これは別の意味から大変重要な施策として取り組んでいるところですが、これらの施策に取り組むこともまた扶助費の抑制ということにもつながっていくわけでありまして、こうした施策の充実にもさらに取り組んでいきたいと、こう思っております。
 また、扶助費の給付に関連して、不正受給でありますとか、不公平感が感じられるような受給ということがないようにチェック体制を確立してきたところでありますけれども、今後ともそうしたチェック体制については着実に、確実なチェックができるようなものとしていくよう努めていきたいと、こう思っております。
 それから、発生主義会計導入についての御質問がありました。
 3年半経過しているけれども、大変歩みが遅いのではないか、当初の目的はどうなっているのかというような御質問でありました。
 中野区が進めております公会計改革の目的は、区民に適切な財務情報を開示するということだけではなく、資産状況や費用などの正確な財務情報を区の経営改革に生かしていける、そういう体制をつくることにあるわけであります。区民との適切な財務情報の共有によりますガバナンスの強化と、それから行政組織内部の経営能力の強化、この二つがいわば公会計改革の目的ということでありまして、現在公会計改革に取り組んでいるところであります。
 来年度予算におきましては、システム構築に関する経費は計上していないわけでありますが、発生主義に基づく財務情報の作成でありますとか、経営分析など、検討、分析の部分をさらに充実させていきながら区の経営改革に生かしていきたいと、このように考えております。
 新公会計システムの整備の導入のスケジュールについては、改めてお示しをさせていただきたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
 公会計改革に伴う財産台帳の整備等についての御質問もありました。
 公会計改革を進めていくための資産管理は、先ほどの御質問の中でもありましたけれども、物品管理、財産管理、道路管理の三つに分けて行うということになります。物品管理と財産管理につきましては、備品台帳や公有財産台帳で管理を行っているところであります。今後、発生主義会計の導入に向けて、建物につきましては管理区分ごとの耐用年数の設定や工事履歴事項などを現在調査をしているところでありまして、早急に整備をしたいと考えているところであります。
 また、道路の土地部分につきましては、取得に当たって区が支出した価格を資産計上することを考えているところであります。その取得価格を把握しながら、整備を進めているところであります。
 これらの台帳につきましては、コンピュータ上の新公会計システムの中のサブシステムというふうに位置付けられているわけですけれども、そうしたシステムの整備を待つことなく、紙ベースでまず情報をきちんと整備するということが必要であると考えておりまして、その紙ベースでの整備をまず行っていきたい、こう考えております。
 それから、取り組みと組織体制についてという御質問がありました。
 現行会計制度のもとで生じている、御質問の中でも御指摘のあった課題、これを解決していくためには、発生主義会計で得られる財務能力を活用しながら対応していくことが不可欠というふうになっております。発生主義の考え方で得られた財務情報を活用しながら、資産管理、債務管理を行う、また費用分析を行うとか、それから行政評価を予算の編成の中に生かしていくといったようなことが、公会計改革の中で発生主義の財務情報を活用する財政運営ということを行っていくうえで大変重要だと考えているわけであります。
 そうしたことを推進していくために、管理会計室を担任する副区長を管理会計責任者、CAOという形で位置付けました。なぜ特段の名前をつけなければいけないのかというような御質問もあったわけでありますが、こうした公会計改革の考え方に基づいて新たに権限を付与するというような意味を明確にするということもありまして、こうした呼び方にしているものでございます。特にCAOとか、別に英語が好きで、英語で呼ばなければいけないということではありません。通常に管理会計責任者のような形で、日本語で呼んでいけばよろしいのではないかと、こう思っております。
 また、決算状況や次年度予算の経常費用の上限額など、財務会計情報を掲載したアニュアルレポート、これも英語になっちゃっていますけれども、年次会計報告書を作成いたしまして、区民との適切な財務情報の共有化をしていくということもあわせて進めていきたい、こう考えております。
 こうしたことを進めていく上で、職員の意識改革が大変に重要だという御質問もありました。まさにそういうことでありまして、職員全員の意識改革が必要だと考えております。発生主義会計の導入に向けまして、簿記の研修でありますとか、経営分析研修などを毎年拡充してきているところであります。先日も、全管理職を対象といたしました公会計改革と行政評価についての研修を行ったところであります。今後とも、私自身も先頭に立って、全庁的な協力体制を築きながら、具体的な取り組みを通して職員の意識改革を進めてまいりたいと思っております。
 それから、東京メトロ丸ノ内線の中野新橋駅の火災対策及びバリアフリー化、駅改修工事についてであります。
 火災対策のうち、排煙設備につきましては、この3月には完成する予定と聞いております。また、2方向避難のための非常用避難出口については、平成19年11月に着工しているわけでありますが、埋設物の移設の調整に時間を要したために約半年ほどおくれて、22年秋ごろの完成を予定していると、このように聞いております。エレベーターの設置と駅舎の改修工事については、設計にかなり時間を要してしまいましたので、着工は21年度にずれ込んでおりますが、完成については当初予定した24年度となるように努力をしていきたいと、そういう考え方だと聞いております。
 私からは以上です。
    〔保健福祉部長金野晃登壇〕
○保健福祉部長(金野晃) 介護予防事業についてお答えいたします。
 まず、特定高齢者事業の参加者が少なかったという原因でございますが、生活機能の低下が見られる特定高齢者の把握のため生活機能評価を行ったところ、国の示した値とは異なりまして、実際には介護予防対象者の比率が少なかったということがまずございました。
 また、特定高齢者の該当者に介護予防事業の案内をいたしましたが、なかなか参加してもらえなかったことも、事業の参加者数が少ない原因となったものでございます。
 これまでの取り組みでございますが、18年度と19年度は成人健診の65歳以上の申込者に生活機能評価を受けていただきました。20年度は、要介護等認定者を除いた65歳以上の区民全員に介護予防基本チェックリストを送付して、自己チェックをしていただき、その自己チェックで心身機能の低下が疑われる人に生活機能評価を受けていただくようにいたしました。
 また、介護予防事業計画の目標値についてのお尋ねがありました。
 この目標値につきましては、全国的に特定高齢者事業の対象者数の計画量と実績の乖離が大きいため、第4期の計画に当たっては国が目標値を示すことを取りやめております。中野区といたしましては、実績を踏まえて参加者を3年間で約3倍に増加するようにということで目標値を設定したものでございます。
 次に、参加者の出席率や離脱についての御質問がございました。
 18年度、19年度の2年間における事業参加者数は、合計で209人となっておりまして、出席率は92.3%でございます。病気等により途中で参加できなくなった方は、16人いらっしゃいました。こうした事業を欠席した人については、本人に電話等で連絡をとり、状態等について確認の上、参加を促すようにしております。
 また、事業の工夫についてのお尋ねがございました。
 一般高齢者を対象にした介護予防事業では、現在ゲームや太極拳、そば打ちやパソコン教室など、バラエティに富んだ事業を行っております。今後とも高齢者が魅力を感じる事業を実施していきたいと思います。
 次に、今後の事業の改善でございます。特定高齢者事業に参加された人からは、介護予防の成果があったという声を多く聞いております。今後、参加者をふやすために、事業の趣旨を理解してもらうとともに、特定高齢者事業について、今までは年度の後半から実施しておりましたが、年度の前半から実施できるようにして参加の機会をふやしたいと思っております。
 また、医療機関や高齢者施設、地域包括支援センターなどと連携し、より一層対象者の把握に努めてまいりたいと思います。
 最後に、介護保険事業計画における介護予防の考え方についての御質問でございます。
 介護予防の基本的な考え方は、要介護状態になることを予防し、健康で生き生きとした生活が送れるよう心身の機能維持、改善するということでございまして、この考え方は第4期の計画でも変わりはございません。介護予防事業の取り組みとしては、参加者の事業後の状況を経年的に把握していくことや、実施会場の拡大、予防効果の高い事業メニューの開発など、充実を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(やながわ妙子) 以上で佐野れいじ議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 飯 島 謹 一
 1 区長の施政方針について
  (1)時代認識と「10か年計画」の改定について
  (2)平成21年度の区政の方向と財政運営について
  (3)「4つの戦略」について
  (4)平成21年度予算案の概要と特別会計について
  (5)その他
 2 安全・安心のまちづくりについて
  (1)耐震改修の促進について
  (2)防災士の活用について
 3 学校教育の課題について
  (1)学力向上の取り組みについて
  (2)その他
 4 その他

○副議長(やながわ妙子) 次に、飯島謹一議員。
      〔飯島謹一議員登壇〕
○37番(飯島謹一) 平成21年第1回定例会に当たり、公明党の立場から区長並びに理事者に対して一般質問いたします。
 なお、その他の項については質問いたしません。
 それでは、初めに、田中区長の施政方針説明から、区長が示された時代認識と「新しい中野をつくる10か年計画」の改定について伺います。
 「不況が克服された後の世界の姿は、これまでの世界とは大きく異なるものになっているはず」という区長の時代認識に共感するものであります。
 世界と時代についての認識から始まる区長の今定例会の施政方針説明は、これまでにない自負に満ちたものとなっていると感じました。引退した同僚であれば、「格調が高い」と言ったかもしれません。
 しかし、大事なことは、中野区政をどのように、さらに発展させるかであります。昨年来、迅速な対応で他の自治体をリードしてきた経済・雇用対策も、効果の定着を見なければ意味のないものであります。
 区長は、「中野区は、かつての区政の停滞と閉塞状況を区民の立場に立った区政の改革によって乗り越え、現在の区政経営の形をつくりました。そして、「新しい中野をつくる10か年計画」では、日本全体の大きな流れを中野区から変えていくことを目指しています」と語りました。そして、「10か年計画」の改定に当たっては、「新たな時代の状況を踏まえ、新たな活力に満ちた分権型の日本をつくり出す自治体の先頭を走る中野区の礎を強固なものにしたい」と決意を述べておられます。
 それはよいとして、問題は、そのような区長の決意を受けた「10か年計画」の改定になっているかどうかであります。私は、言葉尻をとらえて揚げ足をとろうなどと姑息なことを申し上げているのではありません。区長の語られた決意を体現した行政計画が策定でき、それに基づく区政が実現できれば、それほど喜ばしいことはありません。むしろ、今後区政に携わる者には、それくらいの自負を持って取り組んでもらうことが肝要だと思っております。
 しかし、これまで受けてきた「10か年計画」改定の取り組みについての報告と、区長の施政方針説明とではギャップがあり過ぎると感じています。これまでの報告は、せいぜい、「目標達成度の検証を行い、適切な成果指標、目標値を設定する」、「制度の変更等、必要に応じて事業の再構築を行うことも視野に入れて」計画の改定を行うというものでありました。どこに、日本の変革の先頭に立つ中野区の礎を強固にするものがあるのでしょうか。
 そこで、伺います。
 区長は、施政方針説明での認識の上から、「10か年計画」の改定の骨格部分についてどのようにお考えなのでしょうか。この際、改定に当たって強いリーダーシップを発揮するためにも、明確なメッセージを発信することが求められると思います。お考えを伺います。
 次に、同じく施政方針説明から、平成21年度の区政の方向と財政運営について伺います。
 当然のことながら、「今回の経済の急激な悪化に伴い、今後、区税収入や特別交付金などの交付金も大きく減少することは必至」の中で、区長は「当面の支出削減と臨時的な投資の両立と、さらに未来を見据えた計画的な事業展開という難しい区政運営が求められる」と、アポリア、つまり難問を投げかけています。
 本年1月に発表された「財政運営の考え方」(2009年改定)には、そのために21年度から実施する方策が示されています。当面の支出削減策として、今後3年間は事業費の1.5%以上の削減を目標とすること、契約落差及び事業未執行による残額は全額配当戻しを行うこと、配当保留による事業の進行管理を行うことの3点であります。
 そこで伺います。
 3年間1.5%以上の削減を続けること、すなわち3年間で4.5%以上の事業費の削減になるのでありましょうか。果たしてそれは、ここまで絞り込んできた中野区の行財政にとって現実的な数字と言えるのでしょうか。区民サービスの低下を招かないと言い切れるのでしょうか。
 3年間1.5%という数字が出てきた背景と、区民サービスの維持をしながら目標を達成するための事業費削減の具体的手法について、どのようなことを想定されているのか、お答えください。
 さらに伺います。
 契約落差及び未執行残の全額を配当戻しすることや、配当保留による執行管理は事業費の削減にどのような効果を持つのでありましょうか。また、持たせたいとお考えなのでしょうか。お答えください。
 こうした統制が強まることにより、部経営の主体性が失われ、事業執行のモチベーションを押し下げることになりはしないかと危惧いたしますが、この点についてもお考えを伺います。
 基金の繰り入れ、積み立てについては、21年度から新たに財政調整基金から充当する対象として事業の前倒し等の複数年型予算、緊急対応の経費を加えました。これにより、臨時的な投資については基金での財源対応の筋道がついたと思いますが、いかがでしょうか。ため込みなどという20世紀の地方財政論も相手にしないような批判もありましたが、その点も含め区長の見解を伺います。
 「財政運営の考え方」の中で、最も注目すべきは財政のビルトインスタビライザー、つまり安定装置の組み込みであります。一般財源規模について670億円という基準を設け、財源対策としての繰り入れは基準額の670億円との差額を上限として、また積み立てについては670億円を超えた場合は原則として増加分を基金に積み立てるという、一種の一般財源のキャップ制を導入していることです。
 このことは、未来を見据えた計画的な事業展開のためには、制度として存在する補助金の漏れのない確保のための事業手法の構築や後年度負担の軽減のための知恵を絞ること、限られた一般財源を区民サービスの向上につながる事業に投入するため、事業メニューづくりのスキルがより一層必要ということではないでしょうか。
 そこで伺います。
 そのためには、職員のスキルの向上と効果的な組織の組み立てが不可欠になると考えますが、この点についての区長の見解をお尋ねいたします。
 また、これから最も厳しい3年間を含め、本町五丁目NTT跡地用地の一般会計での取得が終わると見込まれる5年間は、行財政を支える歳計現金の管理、企業でいえばキャッシュフローの管理から見た基金政策、基金管理方針が重要になってきます。
 中野区は、区長も語ったとおり、厳しい区政の閉塞状況を経て今日があります。かつては、基金からの繰りかえ運用でその日の現金の不足をしのいできた歴史があります。その間の厳しい区政運営のプロセスを身をもって経験した同僚議員、理事者の方も少なくなりましたが、年度によっては112億円、1日平均60億円、延べ日数321日、支払った利息2,185万円余に及んだこともあります。基金条例には、必ず繰りかえ運用の規定があります。この基金からの繰りかえ運用は、実は平成17年度まで行われてきていました。行わずに済んでいるのは、18年度からにすぎません。文字どおり、オンリーイエスタデーなのであります。
 また、歳計現金管理の担当が最もやりたくないのが一時借り入れであります。これは、歳計現金の不足を金融機関から借り入れて何とかつなぐということですが、平成15年度、江古田の森用地の取得で年度末に行った実績があります。
 そこで伺います。
 こうした歳計現金管理のオペレーションについて、機動的に、また時間の余裕を持って行えるように、会計室と担当分野との間で調整が必要と考えますが、現状と今後の取り組みについてお答えください。
 次に、「4つの戦略」について伺います。
 初めに、「まち活性化戦略」についてであります。警察大学校等跡地の再開発について、都市計画道路及び防災公園の整備を着実に進めると言われましたが、防災公園の基本計画の検討の対象にはゲートボール、フットサル、消防団の訓練の活用は入っているかどうか、それだけお答えください。
 また、イメージがよくわからないなどの意見がある(仮称)起創展街会社ですが、どのような事業体なのでしょうか。いま一歩踏み込んだ説明をお願いいたします。
 地域まちづくりで気になる発言がありました。それは、「本町二丁目郵政宿舎跡地及び本町五丁目NTT社宅跡地を起点として地域の安全のまちづくりを推進します」というものです。「起点として」というのは、そこを出発点として広く面的広がりを持つようなイメージになりますが、果たしてそういう受けとめ方でよいのでしょうか。伺います。
 西武新宿線沿線まちづくりそのものについての質問は、機会を改めます。お答えは結構であります。
 「地球温暖化防止戦略」について伺います。区長は、「大都市における地球環境対策のあり方について、中野から新たな可能性を発信できるよう取り組む」と発言されました。であれば、自然エネルギーの利用についても、風力以前に、まず区内での取り組みを進めるべきであると考えます。区有施設に太陽光発電装置の設置を強力に推進すべきではないでしょうか。財産管理分野にお尋ねしたところ、太陽光発電システムを設置できるスペースがある区有施設は89施設に上るとのことです。公共施設の場合、一定量以上の発電施設は国の補助対象になることもあるようです。御見解を伺います。
 緊急経済・雇用対策の一つとして、街路灯のLED化や公園園内灯、庁舎の照明などの省エネ化が事業前倒しで実施されますが、完全実施をされた場合、電気使用量の節減効果は幾らになるのでしょうか。また、二酸化炭素の発生抑制効果は何トンになるのでしょうか。伺います。
 この費用効果分は、基金に積み戻すことになっているようですが、当該事業への充当を前提とした積み立てとしてはいかがでしょうか。あわせて伺います。
 また、区長は「区内の自然エネルギーの利用拡大や省エネ行動の普及拡大方策を推進する持続可能な取り組みの体系化を図る」と、「体系化」という言葉を使われていますが、この体系化とはどのような枠組みを想定しているのでしょうか。東京都や企業などへのグリーン電力証券の売却などの仕組みなど検討しているのでしょうか。伺います。
 ごみの有料化についての発言もありましたが、この質問は割愛いたします。
 「元気いっぱい子育て戦略」の学校教育にかかわる質問は、後ほど伺います。
 次に、「健康・生きがい戦略」ですが、区長は我が会派の予算要望でありました長寿健診の充実について、胸部X線、心電図、血液検査、眼底検査の区独自の検査項目追加について語られました。
 長寿健診は、平成20年度からの事業ですが、現在の受診者数はおよそ1万2,160人、受診見込みの1万6,000人に達していません。この見通しはいかがでしょうか。
 一方、同じく20年度に始まった特定健診事業については、どのようになっているのでしょうか。こちらについては、医療保険者が納付する後期高齢者支援金について、国が「特定健康診査等基本指針」で示す「特定健康診査等の実施及びその成果に係る目標に関する基本的な事項」、及び保険者が「特定健康診査等実施計画」で定める「特定検査等の実施及びその成果に関する具体的な目標」の達成状況を勘案して、実はプラス・マイナス10%の範囲内で政令で定める方法によって後期高齢者支援金の加算・減算等の調整を行うこととされ、法附則第15条の規定により、これは平成25年度から適用されるとされています。
 そこで伺います。
 中野区の、法第120条第2項、第121条第2項の規定にかかわる健診受診率などの具体的な目標は、それぞれ何%になっているのか。また、現状はどうなのか。そして、中野区の場合、10%の範囲の額、つまり増減をされる額の範囲の額は幾らになるのか、それについてお答えください。
 さらに、目標達成に向けた方策についても伺います。
 要介護高齢者等が住みなれた地域で、自宅で安心して生活を継続できるということが、その地域の質の高さを示すプライオリティの高い指標になっています。中野区は、平成5年、1993年に1世帯当たり人口が2人を切って以来、現在は1世帯当たりの人口はおよそ1.7人、単身世帯が急増していることを示しています。
 これは、若い世代に限らず、高齢者もまた一人暮らしや高齢者のみの世帯がふえたことを意味します。中野区にとっても、高齢者等、一人暮らしの孤独死の問題が切実な問題になってきたことを意味します。本気になって、自助、共助の関係をつくり上げる地域コミュニティの再生に取り組まなければならないと考えます。
 そうした認識に立って、在宅介護を支える地域サービスの中で、これまでも不足していると指摘されてきたショートステイ施設の稼働率は、空床利用を含めても平成14年度は88.36%、それが平成20年度はついに100%を超えて、108.02%に達しました。ショートステイ施設の整備が急務と考えますが、いかがでしょうか。
 第4期介護保険事業計画(案)では、介護サービス基盤整備の重点方針の一つとしてショートステイの充実を挙げています。そのため、地域密着型介護老人福祉施設や小規模多機能型居宅介護などの誘導を強化するとしていますが、それには活用可能な区施設、再編後の学校施設などを当てることが必要と考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
 区長は、仲町小学校跡地施設についても触れましたが、整備の工程表をお聞かせください。
 この項の最後に、平成21年度予算案の概要と特別会計について伺います。
 区長が施政方針で語ったように、平成21年度の一般会計は平成20年度に比べて56億6,000万円余、5.4%の増ですが、一般会計と他の特別会計を合わせた6会計の合計の予算額は平成20年度に比べ306億7,200万円余、19.8%の増であります。これは、一般会計と比べて金額で6倍、伸び率で3倍を超えるものであります。その理由についてお答えください。
 区長は、公債費負担比率の動きについて、「中期的に見ればおおむね10%と負担可能な範囲で安定的に推移する」とされましたが、これには本町五丁目のNTT社宅跡の一般会計への引き取りの財源手当てに工夫があるからと思われます。財政調整交付金の財産費の算定には、次のようにあります。「特別区都市計画交付金に係る地方債収入相当額のうち、知事が定める額」として、「前年度以前に国庫補助において国庫債務負担行為が認められた用地取得事業で、特別会計等で取得したものについては当該年度に一般会計が再取得する分にかかわる地方債収入相当額」というものであります。
 そこで伺います。
 用地特別会計での取得のために起債する特別区債の償還年限と財産費との算定期間はリンクしているのでしょうか。また、一般会計での再取得が分割で行われるとすれば、取得完了までは供用開始に至らないのでしょうか。伺います。
 さらに、NTT社宅跡地については、基金も起債も活用していないのに、「財産運営の考え方」の「基金・起債を活用する事業一覧」に挙げられているのはなぜでしょうか。しかも、取得金額が139億円であると聞いていましたが、事業費が155億7,000万円になっているのはなぜなのか、お答えください。
 以上で区長の施政方針についての質問を終わります。
 安全・安心のまちづくりについて伺います。
 初めに、耐震改修促進について伺います。
 私は、かつて改正「建築物の耐震改修の促進に関する法律」、いわゆる「耐震改修促進法」の施行に当たって、中野区も「耐震改修促進計画」を策定すべきであると提案し、平成19年11月に「中野区耐震改修促進計画」の策定を見たところであります。区関係者の努力に感謝いたします。
 この計画は、「耐震改修促進法」第5条第7項の規定に基づいて策定されました。また、「東京都耐震改修促進計画」を踏まえて、中野区全域の対象となる建築物の耐震診断及び耐震改修等を計画的かつ総合的に促進するための目標と施策を明らかにしたものであります。おおむね3年を目途に、定期的に目標達成の検証を行うとしています。
 平成21年度は、計画策定より3年になります。ちょうど「10か年計画」改定の時期にも当たっています。平成21年度に予定どおり事業が実施される想定で検証を行わなければ、「10か年計画」の計画サイクルとの間にずれを生じることになります。
 そこで伺います。
 平成21年度事業実施を盛り込んで、現在のところ目標に対する進行状況はどのようでしょうか。住宅、民間特定建築物、防災上重要な区有建築物のそれぞれについて、計画策定時の耐震化の現状、平成27年度までの目標、平成21年度末進行状況の見込みをお答えください。また、平成19年度、20年度の「中野区耐震改修促進検討会」の開催状況についてもお答えください。
 先日行われた中野区都市計画審議会の席上「都市計画マスタープラン」原案の報告がありました。原案で新たに追加されたものの一つに、「緊急輸送道路等沿道建築物耐震化促進事業」があります。これは、「中野区耐震改修促進計画」で、「耐震改修促進法」第6条第3号に挙げられている特定建築物の耐震改修を促進するための施策であります。平成21年度予算にも計上されているようです。
 そこで伺います。
 「緊急輸送道路等沿道建築物耐震化促進事業」として、中野区が21年度から実施を計画している助成制度の内容についてお答えください。助成対象建築物の要件に建築基準法の規定に適合しているものという規定がありますが、既に対象となる可能性のある建築物について事前の調査を行っていると聞いていますが、建築基準法に適合していない建築物はあったのでしょうか。仮にその建築物が緊急輸送道路の確保に極めて重要と判断されるときには、どのようにされるおつもりなのか、伺います。
 新たに、共同住宅を含まない店舗・事務所ビルで床面積1,000平方メートル以上、かつ地上3階建て以上のものが補助対象として追加になりました。助成限度額までは対象建築物所有者の負担はありません。新たに追加されたものを加えて、対象棟数が何棟で、耐震診断事業費は総額で、国、東京都、中野区では幾らになるのか、お聞かせください。
 21年度から事業が開始される予定ですが、何カ年の計画なのでしょうか。当然、27年度までに耐震化率90%を目指した計画になっていると思いますが、財源の担保はどのようにされているのか、伺います。
 当面は耐震診断費の助成ですが、補強設計助成を行っているところ、耐震改修助成を行っているところ、また、建てかえ助成を行っているところなど、特別区の中に幾つか見られます。中野区としても診断助成にとどまらず、耐震化促進につながる施策を検討し、あわせて実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。木造の住宅の場合は、利子補給を含む耐震改修資金融資あっせん制度が20年度から始まっています。「中野区耐震改修促進計画」には、「新たに耐震対策上公共性が高いなど、公共的観点から必要がある場合には財政的な支援を行うこととします」とあります。緊急輸送道路沿道の建築物については、個人の財産の問題を超えて、救助・救援活動に不可欠な輸送道路の確保という公共性の高いものであります。中野区としても、補強設計助成など何らかのあわせ技の施策を実施すべきと考えますが、23区をリードする区長の御見解を伺います。
 次に、防災士の活用について伺います。
 先般行われました中野区の防災士養成講座に参加をいたしました。おかげさまで試験にも合格し、先日、防災士の登録の手続も行ったところであります。参加された方々は、大変熱心な受講の姿勢で、防災に関する関心の高さを感じました。今回の養成講座で合格者は100名を超えたと思いますが、3年間で300名の防災士を養成する計画は着実に進んでいくだろうと思います。
 課題は、中野区として、新たに誕生した300名の防災士を地域防災力の向上のためにどのように活用していこうと考えているかであります。現在の「中野区地域防災計画」には、防災士の位置付けはありません。現在、防災士には地域防災の中でいかなる役割を果たしてもらおうと考えているのか伺うとともに、次の「地域防災計画」の修正では、計画に役割を明記すべきであると考えますが、いかがでしょうか。御見解を伺い、この項の質問を終わります。
 学校教育の諸課題、特に学力向上の取り組みについて伺います。
 グローバル化が進む21世紀の経済社会は、知識や技術の更新の速度がますます加速され、「知識経済」の様相を強めると考えられています。それに対応するため、知識のストックから知識獲得のためのスキルへと求められるものが変わってきています。これは、まさに「自ら学び、自ら考える力」、教育改革で言われる「生きる力」の延長線上にあるものでありましょう。これまで以上に義務教育段階での「確かな学力」の定着が求められる所以でもあります。
 教育、特に義務教育が果たすべき役割はますます重要で、複雑になっていくと思われます。より質の高い教育を提供するためには、より多くの資源の投入が必要になります。
 中野区の学校教育関係費の決算ベースでの推移を見ると、普通会計ベースでの決算総額に対する割合が、平成11年度は6.41%であったのに対して、平成19年度は4.47%、財政状況はどん底であった平成11年度の水準を回復していません。
 児童・生徒1人当たりの予算額でも、平成11年度38万4,000円から、平成19年度37万7,000円と、減少を経てようやく増加に転じましたが、水準を回復するには至っていません。この間、児童・生徒数がおよそ2,000人減少したのに、1人当たりの経費は増加していないのです。ちなみに、11年度の水準で計算すると、平成19年度は45万円程度で相当であります。
 一方、区立小学校から公立、私立中学校への入学の状況は、平成16年、私立へは28.3%でしたが、平成19年33.0%、平成20年では若干低下しましたが、28.9%でした。義務教育の中でも、中学校での「確かな学力の定着」の期待にこたえなければならない緊急性を感じる数字といえます。
 折しも、中野区教育委員会は、教育をめぐる環境の変貌と複雑化、教育基本法の改正、学習指導要領の改訂と移行措置、本格実施を控え、あわせて「10か年計画」の改定もあることから、「中野区教育ビジョン」の第2次策定に取り組むとしています。
 これは、改正教育基本法に規定する「教育振興基本計画」としての位置付けをするものであります。策定の基本的視点を見れば、コミュニケーション能力を含めた「生きる力」、「確かな学力向上策」が盛り込まれたものになることは明らかだと思います。
 そこで伺います。
 第2次「教育ビジョン」とその推進計画では、学力の向上に向けた取り組みについて、特に現在の段階で検討していることはあるのでしょうか。昨年10月の文教委員会の資料によれば、昨年末には第2次「教育ビジョン」の事業案のまとめは終了していることになっております。教育委員会での検討内容について伺います。
 これまで以上の学力向上の取り組みということでは、それを担保する資源の再発見と資源配分の優先順位が重要とは、つとに識者の指摘するところであります。資源の再発見では、土曜日の活用や大量の校長を含む退職教員の学校支援への活用などが挙げられていますが、こうした取り組みは検討されているのでしょうか。全区的な、具体的な対応はされているのでしょうか。具体的な対策として一つお聞きをしておきます。
 未来を決定するものは人材であり、人材は教育にゆだねられています。「教育中野」らしい画期的な取り組みを期待して、すべての質問を終わります。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 飯島議員の御質問にお答えいたします。
 まず、施政方針説明の内容に関連しての御質問であります。10か年計画の改定の骨格部分についてということであります。
 私は、この新しい中野をつくる10か年計画、基本構想に基づいて、基本構想とともに策定をしてきたこの新しい中野をつくる10か年計画で定めている四つの戦略と行政革新、これはこれからの時代を自治体が迎えていく上で、本当にあるべき姿、この戦略と行政革新をきちんと進めていくことが、本当に新しい時代に生き抜いていける自治体をつくっていく、そうした大事な戦略であると、このように考えております。
 そういう意味で、改定期を迎えても、新しい中野をつくる10か年計画の目指す中野の姿は色あせていないし、また今日の世界状況を踏まえても、この戦略を着実に展開していくということが本当に求められていると考えているわけであります。
 施政方針でそのように述べたわけで、4つの戦略を強力に進めていくことで、新たな活力に満ちた分権型の日本をつくり出す自治体の先頭を走る中野区の礎を強固なものにする、このことが十分可能だと考えているわけであります。
 改定作業に当たりましては、経済環境が悪化しているという現在の状況を踏まえ、中長期的な財源の減少が続く中でも、着実に成果を出す体系とすることが必要であると認識をしているところであります。その意味で、今回の改定では四つの戦略の取り組みについて、必要なものはさらに重点化すると同時に、成果の見込めないものについては早期に見直すなど、メリハリのある計画とする必要があると、こう考えております。
 財政運営の考え方についての御質問もありました。
 今後3年間は、1.5%以上の削減を目標とするとしているけれども、これについてどういうことかというお尋ねがありました。
 平成21年度において1.5%というのは、歳出ベースで約15億円、一般財源ベースでいいますと約10億円程度ということになるわけであります。この1.5%というのは、21年、22年、23年度の各年度で、執行上それぞれの予算の1.5%の削減というよりは、節約といったほうがいいと思います。支出の抑制を行うと、そういう目標であります。したがいまして、3年後に21年度予算額から比べると4.5%削減するという積み上げて計算していくという考え方ではありません。それぞれの年度において、当該年度の予算額の1.5%を節約して支出削減をすると、そういった考え方の数字であります。
 安定した財政運営を行う目安としまして、基準となる一般財源規模を670億円と想定しているわけでありまして、22年度以降、歳入がこの基準を下回ることが見込まれるわけであります。少なくとも、3年間については削減目標ということで定めたものであります。
 この削減につきましては、財政運営の考え方で取り組みの方向として示していることでありまして、これに沿って事業部も経営本部も一体となって見直しを進めることになるわけであります。
 配当戻しや事業の状況に応じた配当保留などの執行管理は、執行時におきます事業の再精査、あるいは執行方法の見直しにつながりますことから、その時点での財政状況について常に認識を職員が共有することになるわけであります。また、進行管理を徹底するということによりまして、事業の着実な進展を促すことにもなるわけであります。限られた財源のもとでありますから、まず各部が効率的な事業実施や事業の進行管理の徹底に取り組まなければならないということでありまして、各部の創意工夫や自主性がますます求められることになると、こう考えております。
 基金での財源対応についてということであります。財政調整基金から充当して事業前倒し型の緊急経済雇用対策など、新たな基金の財源対応の形ができたのではないかといったような御質問でありました。
 急激な景気後退に対応するために、補正予算によって緊急経済・雇用対策をまず1月に実施を始めました。また、追加の経済対策として、プレミアム付き商品券の発行支援についても議決をいただいたところであります。21年度予算についても、総合的な経済・雇用対策を盛り込んだわけであります。
 こうした即効性のある取り組み、また計画的な、もともと計画される事業の前倒しという意味では、その後の財政運営を圧迫するものにもならない、こうした取り組みができるのはあくまでもこれまで積み立てをしてまいりました財政調整基金という年度間調整の機能を持つ基金ができてきたからということであります。
 このことによって、どのような経済状況にあっても区民にとって必要な行政サービスの継続やセーフティネット機能の確保を図るという年度間調整機能とあわせて、より積極的な対応ができるようになったということでありまして、これからの財政運営を行っている上で、この財政調整基金の存在というのはさらに重要性を増していくと考えているわけであります。
 それから、財政運営の考え方の中で、670億円という一種の一般財源のキャップ制につながるものを導入していると、このことは事業メニューを見直したりしていく上で職員のスキルの向上や効果的な組織の組み立てが不可欠になってくると、こういった御指摘もあったところです。10か年計画を着実に進めるためには、目標と成果による区政運営をさらに徹底をしまして、事業部制も有効に機能させていかなければならないわけであります。このため、職員にはコストの分析力、また業務改善スキル、業務改善の力ですね、こういったものを高めていくとともに、事業の企画力を高めていくといったようなことも必要であります。こうした人材育成について、中野版のコンピテンシーモデルというのを活用しながら、人材育成計画に基づいた計画的な育成を行っていきたいと、このように考えております。
 歳計現金の管理についての御質問もありました。
 歳計現金に不足が生じた場合には、積み立て基金からの繰りかえ運用が必要となるわけでありまして、基金運用に影響を与えるなど、歳計現金と基金というのはその管理上密接不可分の関係にあるわけであります。管理会計室を担任する副区長のもと、歳計現金を管理しております会計室と、それから基金を管理しております経営分析担当、これらが連携をしまして歳計現金の収支バランスに留意をしながら、基金運用を行っているところであります。
 今後ともこうした体制をさらに着実に機能させながら、先々の資金需要を的確に把握するとともに、効率的な資金運用を図っていきたいと考えております。
 それから、四つの戦略についての幾つかの御質問の中で、まずまち活性化戦略に関連して防災公園の基本計画についての御質問がありました。
 これから警察大学校等跡地に整備をしていきます防災公園の基本計画は、事業者が整備をいたします公開空地と一体的な整備を行ってまいります。このため、その調整を進めているという段階であります。
 具体的には、災害時に災害防災避難場所として利用できると同時に、区民がさまざまな形で憩える空間としても整備するわけであります。この空間の配置や利用のされ方なども含めて、現在検討中でありますので、御理解をいただきたいと思います。
 それから、同じくまち活性化戦略の中で、(仮称)起創展街会社についての御質問がありました。
 これは、中野駅周辺地区を中心に、産・学・公の連携と協働によって、まちづくりと一体となった産業の活性化と中野のまちの魅力の発信を行うまちづくりを行う事業体と考えております。21年度中に警察大学校等跡地にかかわる地権者でありますとか、また区内の商工団体や企業などに呼びかけて、区と民間が協力した組織づくりのための準備会を発足する予定にしているところであります。
 会社、あるいはこの事業体の設立及び運営に関して必要とする資金等は、区が主に出資をいたしますほか、商工団体や企業などにも今後負担をお願いしていくことを検討しているところであります。
 それから、地域まちづくりに関連して、本町二丁目郵政宿舎跡並びに本町五丁目NTT社宅跡についての御質問がありました。
 この二つの敷地につきましては、公園整備や、また周辺の道路の拡幅整備なども含めた周辺地域の都市基盤整備も視野に入れた面的なまちづくりにつながる起点として、この二つの用地を活用していくということを検討しているものであります。
 それから、地球温暖化防止戦略に関連してであります。区有施設の太陽光発電装置の設置や、持続可能な取り組みの体系化ということについての御質問がありました。
 環境基本計画におきましては、小・中学校全校と区施設に太陽光発電機器を設置する目標を掲げております。日照や耐震構造など、一定の条件を満たした施設を選定して、設置をしていきたいと考えているところであります。
 また、持続可能な取り組みの体系化ということについては、区民風車の売電収入や寄附などを原資とする仮称の環境基金などを活用して、さまざまな方法で自然エネルギーの利用促進を進めていきたいと考えているところであります。さまざまな方法については、現在多様な仕組みのあり方を検討しながら体系化をしていきたいと、こう考えているところであります。
 街路灯の省エネ化等によります削減効果についてであります。
 省エネ化を完全実施した場合、電気使用量の削減効果は335万キロワット/時、CO2の排出抑制効果は1,200トンであります。現在の電気料金で換算いたしますと、年5,700万円程度の削減が見込めると考えているところであります。こうした生み出された財政効果については、基金の活用などの形で生かしてまいりたいと考えております。
 それから、健康・生きがい戦略の長寿健診の受診者数でありますが、医療機関から最終データを収集中でありますが、1万3,000人あまりとなる見通しであります。
 特定健康診査の受診率の目標等であります、国が定める特定健康診査等の基本方針によれば、平成25年度の目標値の参酌標準は特定健康診査実施率が65%、特定健康指導実施率が45%、それからメタボリックシンドロームの該当者、予備軍の方の減少率が20年度に比較して10%以上となっております。中野区では、24年度に目標値に達することを目標としております。
 20年度については、特定健康診査の実施率は40%前後と見込んでおります。特定健康指導については、まだ完了者を算定しますので、まだ数値は出ておりません。
 24年度におきますこの達成状況や、保険加入者の数を勘案して10%の範囲内で後期高齢者支援金の加算、減算が行われるわけですが、中野区の国民健康保険の支援金の10%相当額は20年度予算をベースに考えますと3億9,000万円ということになります。
 ショートステイ設備の整備についてであります。
 ショートステイのニーズに対しましては、特別養護老人ホームへのショートステイ併設や宿泊機能を持ちます小規模多機能居宅介護の活用によって対応を図ってまいりたいと考えております。
 それから、ショートステイ整備のための区施設等の活用については、公有地活用は有効な方法だと考えております。条件が整う用地があれば、活用を考えてまいります。
 それから、仲町小学校跡施設の工程表ということでありますが、21年11月から改修工事に着手をして、22年7月には3施設とも開設をする予定ということであります。
 それから、予算の概要についての御質問もありました。
 特別会計の伸びについてであります。
 用地特別会計が267億5,000万円増加をいたします。この会計におきましては、用地費として268億4,161万円あまりを計上しております。これは、本町五丁目の用地など5カ所の土地を土地開発公社や財務省などから取得するためのものでありまして、地域の防災性向上や将来のまちづくりに必要不可欠な経費と考えているところであります。
 なお、これらの用地の事業化に当たっては、国、都などの特定財源を活用して、一般財源への負担をできる限り抑制する方針であります。
 それから、本町五丁目のNTT宿舎跡地の取得に関連して御質問がありました。
 NTT宿舎跡地につきましては、国や都と協議をしている過程で、国庫債務負担行為によりまして国費は5年に分割されて支出する方向で検討を進めることとなったものであります。この方法によりますと、区の取得の方法も用地を5分割して、それを5年にわたって順次取得をしていくこととなるわけであります。この方法によりますと、財源としては基金起債を充当することなく補助金や財調の財産費などの依存財源を充てることで足りるということになるわけであります。
 用地特別会計での取得のための起債、それから用地先行取得債と、財調の基準財政需要額算定における財産費には直接の関係があるわけではありません。それから、再取得を分割で行いますけれども、できるだけ整備工事の工程等を工夫しながら、全体を同時に供用開始できるようにしていきたいと考えております。
 また、NTT宿舎跡地の取得について、先ほど申し上げましたように基金や起債は活用せずに済むことになりましたけれども、20年1月には別の事業手法でお示ししていた経緯もありまして、丁寧な御説明が必要というふうに考えまして、基金、起債を活用する事業一覧で示したものであります。取得方法の変更について付記するなどの配慮が必要だったと考えております。
 一般会計での用地取得額は、土地開発公社での用地取得費139億円に公社の借入金にかかわる利子分、それから用特における用地先行取得債にかかわる利子分を加えた155億7,000万円と想定しているものであります。
 私からは以上です。
○副議長(やながわ妙子) 会派の最後の質問者でございますので、答弁はこれで打ち切らせていただきます。
 以上で飯島謹一議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ございませんか。
    〔「異義なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(やながわ妙子) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、2月23日午後1時より中野区議会本会議場において開会することを、口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後5時33分延会