平成21年06月03日中野区議会本会議(第2回定例会)
平成21年06月03日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録
平成21年第2回定例会本会議第1日(6月3日) 1.平成21年(2009年)6月3日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(39名)
  1番  内  川  和  久        2番  ひぐち   和  正
  3番  白  井  秀  史        4番  平  山  英  明
  5番  つぼい   え  み        6番  いながき  じゅん子
  8番  山  口  かおり         9番  せきと      進
 10番  いでい   良  輔       11番  伊  東  しんじ
 12番  佐  野  れいじ        13番  北  原  ともあき
 14番  南     かつひこ       15番  小  林  秀  明
 16番  の  づ  恵  子       17番  奥  田  けんじ
 18番  近  藤  さえ子        19番  牛  崎  のり子
 20番     欠  員          21番  吉  原     宏
 22番  大  内  しんご        23番  伊  藤  正  信
 24番  きたごう  秀  文       25番  久  保  り  か
 26番  やながわ  妙  子       27番  酒  井  たくや        
 28番  佐  伯  利  昭       29番  むとう   有  子
 30番  長  沢  和  彦       31番  か  せ  次  郎
 32番  山  崎  芳  夫       33番  斉  藤  金  造      
 34番  篠     国  昭       35番  市  川  みのる
 36番  岡  本  いさお        37番  飯  島  謹  一       
 38番  江  口  済三郎        39番     欠  員
 40番  佐  藤  ひろこ        41番  来  住  和  行
 42番  岩  永  しほ子
1.欠席議員(1名)
  7番  林     まさみ
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      副区長(経営室) 石 神 正 義
 副区長(管理会計室) 沼 口 昌 弘    副区長(政策室) 西 岡 誠 治
 教  育  長  菅 野 泰 一      区民生活部長   鈴 木 由美子
 子ども家庭部長  竹 内 沖 司      保健福祉部長   金 野   晃
 保 健 所 長  田 原 なるみ      都市整備部長   石 井 正 行
 まちづくり推進室長 川 崎   亨     教育委員会事務局次長 田 辺 裕 子
 政策室副参事(企画調整担当) 田 中 政 之 経営室参事(経営担当) 長 田 久 雄
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    奈 良 浩 二
 議事調査担当係長 大 谷 良 二      書     記  長 﨑 武 史
 書     記  荒 井   勉      書     記  河 村 孝 雄
 書     記  菅 野 多身子      書     記  丸 尾 明 美      
 書     記  土 屋 佳代子      書     記  鳥 居   誠
 書     記  杉 本 兼太郎      書     記  鈴 木   均
 書     記  岡 田 浩 二      書     記  竹 内 賢 三

議事日程(平成21年(2009年)6月3日午後1時開議)
日程第1 第44号議案 中野区特別区税条例及び中野区特別区税条例の一部を改正する条例の一部
を改正する条例

      午後1時00分開会
○議長(伊藤正信) ただいまから平成21年第2回中野区議会定例会を開会いたします。
 本日の会議を開きます。
 会議録署名員は、会議規則第121条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。13番北原ともあき議員、30番長沢和彦議員にお願いいたします。
 次に、会期についてお諮りいたします。
 本定例会の会期は、本日から6月16日までの14日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 この際、申し上げます。本定例会の会期中、略装を許します。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 この際、御紹介申し上げます。
 去る3月23日の本会議において、本区教育委員会委員に任命の同意をいたしました飛鳥馬健次さん、山田正興さんを御紹介申し上げます。
 初めに、飛鳥馬健次さん。
    〔教育委員飛鳥馬健次登壇〕
○教育委員(飛鳥馬健次) 区議会議員の皆様、こんにちは。私は、ただいま御紹介がございましたように、3月の議会におきまして教育委員を再任していただきました飛鳥馬健次でございます。
 昨年度までの4年間は、学校の再編成や2学期制などに取り組んでまいりました。今後は基礎学力の定着とともに、いわゆる生きる力の育成が大切かと考えております。
 文部科学省も、社会が総ぐるみで生きる力の育成を、と言っております。幸いに中野区は、区議会議員の皆様の御尽力によりまして、地域とともに子どもを育てる教育的風土のある、特色のある区であると思っております。私は、このような子育ちのまち中野で仕事ができますことをこの上ない喜びであるとともに、身の引き締まる思いでいっぱいでございます。微力ではございますが、中野区の教育の発展のために全力を尽くしますので、皆様の御支援をよろしくお願い申し上げます。
 本日はまことにありがとうございました。
○議長(伊藤正信) 次に、山田正興さん。
     〔教育委員山田正興登壇〕
○教育委員(山田正興) 中野区の議員の皆様には、教育委員として御承認を賜りまして、本年4月11日付で教育委員として再任をいたしました山田正興です。
 教育三法の改正並びに学習指導要領の改定と、我が国は現在、教育改革の真っただ中におります。中野区におきましても、現在、教育ビジョンの改定並びに中後期の学校再編計画の策定中でございます。今後は、区民の皆様方の御意見をいただき、議会の先生方の御助言を賜りましてまとめ上げたいと思っております。
 子どもたちの未来は、いつの時代でも明るくなくてはいけないと思います。中野区で生まれ、中野区で育ってよかったという教育を目指して、甚だ微力ではございますが、精いっぱい頑張っていきたいと思います。今後とも先生方におかれましては、御指導を賜りますようお願いを申し上げましてごあいさつといたします。
 本日はまことにありがとうございました。
○議長(伊藤正信) 以上で紹介を終わります。
 さらに御紹介申し上げます。
 5月25日付で本区の監査委員に就任されました篠国昭議員、飯島謹一議員を御紹介申し上げます。
 初めに、篠国昭議員。
〔篠国昭議員登壇〕
○34番(篠国昭) ただいま御紹介賜りました篠国昭でございます。
 議会選出の監査委員として、公正、適正な監査に努めてまいりたいと思います。今まで以上に御鞭撻、御指導をお願い申し上げましてあいさつにかえます。ありがとうございました。
○議長(伊藤正信) 次に、飯島謹一議員。
      〔飯島謹一議員登壇〕
○37番(飯島謹一) ただいま御紹介いただきました飯島謹一でございます。監査委員の選任同意をいただきました。時代の要請にこたえ、職責を果たすために一生懸命努力をしてまいります。どうかよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○議長(伊藤正信) 以上で紹介を終わります。
 この際、区長から行政報告を行いたい旨の申し出がありますので、これを許します。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 発言に先立ち、区議会本会議の貴重な時間に行政報告の機会をいただきましたことに深く感謝申し上げます。
 本日は、区政が当面する課題について、その現状と私の考え方の一端を御報告申し上げ、議員並びに区民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 現在、我が国は深刻な経済不況のただ中にあります。GDPが昨年末からことしにかけて2四半期連続で戦後最大の下げ幅を記録するなど、我が国が被った不況の痛手は、昨年の世界金融危機の当初に言われていた観測をはるかに上回っていたことが明らかになっています。当然、区民の暮らしへの影響も大きく、区内への企業業績や区民の収入、雇用状況も極めて憂慮される状況です。区民の暮らしを支える区政にとっても影響は避けられません。個人住民税や都区財政調整交付金の原資となる住民税法人分は、景気変動の影響を強く受けるため、少なくとも今後2、3年間はかつてない規模での歳入減が続くことが懸念されます。今回の戦後最大とも言える不況を一刻も早く脱出するために、政府による有効な需要喚起策の迅速な実施が求められています。
 しかし、この間の政局の影響で国の経済対策が依然としてスピード感に欠ける状況にあることは残念でなりません。国の平成21年度第1次補正予算案で国の経済対策が示されています。対策の効果についての議論は重要ですが、その議論にもスピード感が必要です。一定の議論を尽くしたらルールに従って決をとる。そして、決定された計画に従って対策を実施し、今度は実施段階や実施後の状況を見て事業に対する評価をしっかりと下しながら、必要な改善を加えてよりよい成果を目指す。これが民主主義に基づく効果的な行政運営であると考えます。不況にあえぐ国民の思いに立った経済雇用対策の迅速な実施を求めてやみません。
 中野区では、昨年以来、緊急的な経済雇用対策にいち早く取り組んできました。昨年11月の500万円まで2年間無利子などの緊急融資の発動や、ことし1月からの融資枠のさらなる拡大、地球環境対策や公共事業の前倒し発注、重点業種の人材養成など、他の自治体に先駆けた取り組みを行ってきました。定額給付金の支給や区内消費拡大をねらいとするプレミアム付き商品券の発行などでも積極的な取り組みを行っています。今後、政府の経済対策を踏まえ、さらに区独自の経済雇用対策を講じて区内経済の活性化を進める所存です。国全体の景気浮揚も地域的、業種的な牽引力が生まれてくることが必要です。中野区の取り組みが東京の活力をリードし、さらに日本全体の経済活性化に広がっていく起点となり得るような積極的な対策を講じてまいります。
 一方、当面の経済対策に劣らず重要なことは、将来の国民生活を守り、安心して暮らし続けられる国をつくり出していくための長期的な成長戦略と社会保障制度の再構築などを含む国の将来像についての展望を切り開くことです。日本は今後ますます高齢化し、少ない就労人口で多くの高齢世代を支える国になっていきます。だれもが安心して暮らしていくためには、年金、医療、介護、福祉などの社会補償制度が安定して暮らしの基本を支え、しっかりとしたセーフティネットを形づくることが求められています。現在は、さまざまな要因からそうした社会保障制度の安定的な持続が危ぶまれる状況です。どのようにして持続可能な社会をつくり出していくのか、国民全体が納得できる給付とそのために受容できる負担の2点が十分に議論され、幅広い合意が形成されることが必要です。例えば、北欧型の高福祉をアメリカ型の低負担で実現するなどということは不可能なのです。
 地方分権の推進などによって、行政の無駄の排除と効率化を徹底的に進めることは必要ですが、それとあわせて給付のあり方と、それに見合った負担のあり方を明確に議論することが欠かせないと思います。
 負担率に踏み込んだ議論の一方で欠くことができないのは、将来にわたって負担を可能ならしめるための長期的な経済の成長戦略です。政府支出をふやして社会的な責任を広く認めるにしても、政府支出を減らして個人の責任を強調するにしても、結局国民全体が必要とする経費が増大し、それを減少する就労人口で賄わなければならないということは変わらないからです。お年寄りが安心して暮らせ、子どもたちが健やかにたくましく成長できる国、豊かな人材がその可能性を開花させ、着実な安定成長を果たせる国とはどんな国なのか、経済の成長戦略とそれを支えることのできる教育、福祉や安全安心など、幅広い社会の持続可能性の議論が欠かせません。
 中野区では、この4年間あまり、中野区基本構想と「新しい中野をつくる10か年計画」に基づいて、新しい時代の地域の姿を目指し、戦略的に区政運営を進めてきました。基本構想が目指すまちの将来像と自治の姿は、日本が将来向かうべき地方分権型で、高齢化、少子化に伴うさまざまな課題や地球環境問題などにも対応することのできる新たな活力と豊かさを兼ね備えた持続可能な地域社会の姿に結びついていくものであると考えています。
 「新しい中野をつくる10か年計画」はことしで5年目を迎え、当初から予定したとおり、現在その改定作業を行っています。4月に区議会に改定の主な視点としてお示ししたところですが、さまざまな御意見を受けとめ、財政状況の把握に努めながら長期的な視点から検討し、現在、改定の素案を取りまとめているところです。素案をまとめた後、意見交換会等による区民の御意見や議会での御意見をちょうだいし、成案を得てまいりたいと考えています。
 区政を取り巻く状況は、現計画を策定した平成17年度以降、区民ニーズの変化や医療、介護などの制度改正、西武新宿線の連続立体交差事業の決定、警察大学校等跡地の進出事業者の決定と事業の開始、さらには、地球温暖化問題に対する国際的な取り組みの進展など、社会状況の変化、また、区の施策の進展度合いにおいても大きな変化が見られます。今回の経済危機の影響も非常に大きくなることが予想され、計画を裏付ける財政の見通しもここで改めて検証することが必要となっています。
 こうした種々の環境の変化の大きさを勘案するとき、10か年計画も5年後に向けた軌道修正だけではなく、その先を見据えた理念や展望に基づいて、10年後の着実な目標を定めなければならない状況であると考えています。その際、その元となる基本構想についても、状況の変化にあわせて目標の年次を10年後に合わせるための修正が必要になると考えています。現基本構想の目指すところは、先に述べたように、新しい時代を開く大きな意味を持つものであり、基本的な理念や展望については、仮にその目標年次を5年延ばしたとしても、特に大きな変更は考えておりません。しかし、10か年計画の10年後の目標を導く、将来像の具体的な記述である「10年後のまちの姿」については、状況の変化に即応して必要な修正を行い、新たな10年後に対応した基本構想として区民に認知していただくことが必要となると考えています。
 基本構想とその財政的、政策的裏付けとなる10か年計画とを一対の物として確立し、区民の声と議会の意思を踏まえながら、常に着実な将来目標を持つため、時期や状況に応じて適切に改正していくことが今後の区政運営を公正で開かれたものにしていく上でも適切であると判断したものです。今後、こうした考えについて、ぜひとも御議論を賜りたいと考えているところです。
 次に、現在地域で御議論いただいている(仮称)区民活動センターについて述べさせていただきます。
 基本構想で描く真に豊かで持続可能な地域社会を目指すためには、それぞれの地域課題に対する区民みずからの話し合いや行動を生かしながら、地域自治を推進することが求められています。持続可能な区財政の確立に向けて進めている職員2,000人体制に向けた職務執行体制のスリム化という観点も避けて通れないと考えています。
 このため、区は、証明書類の自動交付機の開発など区民の利便性に配慮しながら、地域センターの窓口業務を(仮称)地域事務所に集約する一方で、地域の課題に実際に取り組む区民に多様な地域活動の拠点を提供することを目的に、地域センターを(仮称)区民活動センターに改組することとし、その運営については、町会・自治体を中核とする運営委員会に中心的に担っていただく方向で考えています。
当初は、「施設の維持管理業務」や「地域の自治活動や公共・公益活動の推進に関する業務」など4業務をこの運営委員会に委託する方向で検討を進めてきました。しかし、その後、地区町会連合会の皆様との意見交換会等を進める中で、運営委員会に対する負担感や事務局スタッフの雇用に対する不安が地域によってはなかなか拭いがたいものであることがわかってきました。このことを踏まえ、基本的に(仮称)区民活動センターの4業務のうち、「施設の維持管理業務」と「集会室等の提供に関する業務」については、地域の皆様と協議の上、実施可能な民間団体等を区が責任を持って選定して委託し、運営委員会には施設の管理運営のルールづくりや方針策定をゆだねるとともに、「地域の自治活動や公共公益活動の推進」と「地域団体の連携の促進」の2業務を委託する方向としたいと考えています。運営委員会にはこの考え方を基本に、その実情に応じて可能な形で運営の方法を選択していただくことができるようにしていきたいと考えています。
 また、地域の活動や実態を受けとめていく組織を本庁に設け、地域担当の副参事や担当職員を配置するなど、運営委員会が(仮称)区民活動センターの円滑な業務を遂行できるように支援していく体制を整えてまいります。この件についても、今後、地域の区民の御理解と御協力をいただきながら、平成23年7月の開設に向けて準備を進めていきたいと考えています。
 次に、昨年来、取り組みが必ずしも円滑に進んでいなかった自然エネルギーの活用について述べさせていただきます。
 平成20年5月に策定した中野区環境基本計画では、脱温暖化の取り組みが根付いた「エコシティなかの」という環境像を掲げ、平成29年度に中野区内から排出される二酸化炭素の排出量を平成16年度比で約10%、約9万トン削減することを目標としています。中野区の二酸化炭素排出量の状況を見ますと、全体のうちの45.4%が民生家庭部門からの排出によるものであり、環境基本計画の目標達成のためには、平成29年度の民生家庭部門からの二酸化炭素排出量を約4万トン削減する必要があります。
 環境基本計画では、二酸化炭素排出量の削減目標と、太陽光や風力など自然エネルギーの活用、省エネ行動の促進、省エネ機器への買い替え、それらを促進するエコポイント制度などの手段を示しましたが、それらの手段の導入方法、持続的に削減を促進していく事業全体の仕組みを示すまでには至りませんでした。
 このたび、事業全体の仕組みの構築の方針を「『自然エネルギー活用のための事業モデル』の考え方」として区議会にお示しいたしました。事業モデルは「区民・事業者が参加しやすい仕組み」や「自然エネルギーの活用による収益等を事業の原資として持続的に活用する仕組み」とし、区は、主にこれらの仕組みの中心となる基金や施設建設への初期投資を担うことを基本として構築していきたいと考えています。
 具体的には、全小中学校を含む区立施設への太陽光発電機器などの設置と地方の連携都市への風力発電施設の導入により、二酸化炭素排出量を削減するとともに、その売電収益を(仮称)環境基金に積み立てます。この基金を活用して、各家庭の省エネ家電買い替えや太陽光発電の導入、省エネ行動などに対して、削減した二酸化炭素排出量に応じたエコポイントの付与などによる助成制度の仕組みを構築することにより、民生家庭部門における二酸化炭素排出量削減の取り組みの持続的な促進を目指すことを考えています。
 今後は、風力発電の立地可能性の調査や太陽光発電施設等の区立施設への導入の検討、二酸化炭素削減量に見合った奨励策の具体的な数値化、環境行動に加えて支え合いや商業振興など、幅広く地域社会の人の思いと行動を結びつけ、地域の活性化につながるようなポイント制の仕組みづくりなど具体化のための準備を進め、自然エネルギー発電機器の導入やそれぞれの仕組みを実施に移していきたいと考えております。
 次に、教育について述べさせていただきます。
 近年、教育をめぐる状況の中で、学力についての課題が注目されるようになってきました。我が国の産業競争力が新興工業国に迫られる中で、将来の国を担う子どもたちの学力が、国際比較の調査において低下の傾向にあるという報告が出されたことも一つの原因であると思います。知識に依存する技術の国際競争で新興工業国にキャッチアップされそうな状況の中で、「ゆとり教育」を標榜していた我が国の教育政策のあり方が今まさに問われていると考えます。グローバル化した現代の世界では、国同士がそれぞれの国内で生み出される付加価値の高さで競い合い、人々は生産活動において世界中の人々との競争にさらされています。国全体が今日の国民の暮らしのレベルを維持するためにも、将来に向かって職業選択をしていく若い人々が幅広い選択肢を持てるようにするためにも、国や地域をあげて高い付加価値を生み出せる人材を育てる学力向上策を戦略的に展開していくことが求められていると考えます。
 このような見方も踏まえ、さまざまな教育課題について今一度洗い直して、体系的に再構築する必要があると考えています。学力向上という観点から進める新学習指導要領への対応や、人格形成や学力も含めた生きる力の基礎となる体力の向上、さらに、発展的な学習にも対応できる連携教育のあり方、家庭と子どもたちの育ちを幅広く支え、学校教育活動の充実を支援するための地域と学校・行政の連携のあり方、だれもが誇りを持って地域の中で学べる特別支援教育のあり方等、教育をめぐる課題について、中長期の展望と理念的な機軸を確立して、中野が目指すこれからの教育の方向を明らかにするために、この6月に、学識経験者や区民などで構成する検討会議を設置することといたしました。
 区立小中学校の再編については、平成21年度までの前期5か年に続く中後期の再編内容を平成20年度を目途に定めることとしていましたが、こうした新たな課題への対応も含めた検討会議の結果を得た上で、それを踏まえて来年度に中後期の再編内容を明らかにし、着実に進めていきたいと考えています。
 ただいま申し上げた以外でも、区政課題は山積しております。以下、若干例示的に触れさせていただきたいと思います。
 中野駅周辺まちづくりや西武新宿線の連続立体交差化とそれに伴う沿線まちづくりについては、いずれも中野区の将来の発展にかかわる極めて重大なプロジェクトとなります。常に議会や区民の皆様の意見を聞きながら、事業者や都など関係機関の動きとも十分に連携し、着実な対応を図ってまいります。産業振興プログラムや中野のまちのにぎわい促進策など、ソフト面でのまちづくりについても、全体構想と戦略の策定を急いでいるところです。
 また、地域子ども家庭支援センターやU18プラザ、キッズプラザの展開など、地域における総合的な子育て支援についても動き始めた段階ですが、区民の皆様の理解と協力、参加を得ながら推進する一方、取り組みの速度をできる限り早められるよう、計画の検討を急ぎたいと考えております。
 さらに、地域における保健福祉と子育ての相談支援の拠点であり、地域の連携の中心として構想している(仮称)すこやか福祉センターについても、現在、整備中の仲町小学校跡への開設に続き、中野富士見中学校跡についても(仮称)地域スポーツクラブや(仮称)地域事務所と併設で整備をすることで現在検討を進めています。この(仮称)すこやか福祉センターの区内4か所への設置についても、取り組みのスケジュールを可能な限り早めながら計画化していきたいと考えています。
 現在の課題や10か年計画改定に関連して述べてきましたが、これらのほか、進めている取り組みや課題は多数ありますが、中長期の展望に基づいて進めている内容については、改定中の10か年計画の中に着実に位置付けるとともに、どのような課題においても議会の御意見をいただきながら、時宜を逃さず、的確な対応を図っていきたいと考えております。
 以上、平成21年第2回定例会に当たり、報告させていただきました。区議会議員各位におかれましては、区政運営に御理解を賜り、それぞれの御立場から区政の前進に御協力賜りますようお願い申し上げ、結びとさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(伊藤正信) 以上で区長の行政報告を終わります。
 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、大内しんご議員、やながわ妙子議員、長沢和彦議員、奥田けんじ議員、吉原宏議員、小林秀明議員、山口かおり議員、いでい良輔議員、飯島謹一議員、北原ともあき議員、佐藤ひろこ議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、つぼいえみ議員、林まさみ議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 中野区議会議員 大 内 しんご
 1 定額給付金について
 2 野方駅整備の進捗状況について
 3 プレミアム付き「なかのハート商品券」について
 4 その他

○議長(伊藤正信) 最初に、大内しんご議員。
     〔大内しんご議員登壇〕
○22番(大内しんご) 平成21年6月3日、第2回定例会において、自民党議員団の先陣を切ってトップバッターで質問をいたします。
 最初に、定額給付金について、2番目に、野方駅整備の進捗状況について、3番目に、プレミアム付き「なかのハート商品券」について、その他で2点、新しい中野をつくる10か年計画と、区内の建築や土木事業者への緊急経済・雇用対策について質問をいたします。
 最初に、定額給付金についてお伺いをいたします。
 中野区は、定額給付金が家計への緊急支援を行うことを目的とし、あわせて地域経済の活性化に資するために給付するということから、できるだけ早く給付できるよう取り組み、23区でも早い時期に給付を始めたことは大きな評価をいたします。
 定額給付金は、今年の2月1日を基準日に、中野区に住民登録がある方、中野区に外国人登録をしている方を対象に世帯ごとに給付するものであり、これまでにない大きな規模で取り組まれた事業です。区民の皆さんは、申請書が届くのを心待ちにしていたことと思います。中野区の対象世帯数は18万世帯を超え、3月12日から申請書を郵送したということですが、申請書を受け取った区民からは、早速申請書を書いて区に送り返したが、なかなか自分の口座に入金がされないといった声が聞こえてきました。対象者全員に定額給付金が行き渡り、経済状況の厳しい中、家計への緊急支援と中野区の地域経済の活性化に資するためにも、速やかに定額給付金が給付されることが必要です。
 そこで、定額給付金の給付状況についてお伺いをいたします。
 最初に、これまでに中野区では、申請書を送付した方のうち、申請がなされた件数は何件なのでしょうか。
 次に、このうち、定額給付金の給付を受けた件数は現在何件でしょうか。
 三つ目に、現在、申請から給付までどのくらいの日数がかかっているのでしょうか。
 四つ目に、定額給付金の受け付けの締め切り日はいつなのでしょうか。また、区報などを通じて締め切り日のお知らせをしていただきたいと思います。
 最後に1点、現在まで大きなトラブルなどがあったら、御報告をいただきたいと思います。
 次に、野方駅整備の進捗状況についてお伺いをいたします。
 野方駅の南北自由通路と駅舎の整備については、一昨年の秋に中野区と西武鉄道が合意してから約1年半経過いたしました。そして、昨年12月には工事説明会が行われ、この1月には建設工事もいよいよ始まりました。また、野方駅には新しい駅の大きな完成予想図も掲示され、地元の期待も高まりつつあります。
 私もここ数年、この野方駅整備事業の一日も早い完成を願って何度か区議会で質問させていただきましたが、今回もその立場でお伺いをいたしますので、よろしくお願いいたします。
 野方駅の整備工事については、既に昨年から電柱の移設、また水道管、下水道管、ガス管の移設など、本格的な建設工事に向けた準備が行われてきました。今年1月の着工後は、まず、線路内を板で覆い、工事車両が入れるよう、線路敷きに覆工板が敷かれ、現在は掘削などの基礎工事が行われている状況です。まだ基礎工事という段階ですから、柱や壁などの具体的な建築物が目に見える状況にはなっていません。予定どおり工事が進んでいるのかどうか、よくわからないといったところです。
 昨年の第4回定例会での私の質問に対し、田中区長は、「新しい野方駅は、平成22年3月にまず北口と橋上の自由通路や駅舎が完成し、22年秋には南口を含む駅全体が完成する」と答弁をされました。そこで、お聞きをいたします。現在の建設工事は予定どおり進んでいるのかどうか。また、完成のスケジュールはその後変わっていないのか。また、変わっている点があったらお聞きしたいと思います。
 また、今回の野方駅整備で、例えば環境面で配慮したものがあるのか。何か工夫したものがあるかどうかもあわせてお聞きをしたいと思います。
 次に、プレミアム付き商品券について質問いたします。
 プレミアム付き商品券は、定額給付金の給付にあわせて地域商業の活性化のため、中野区商店街連合会が発行する10%のプレミアム付き商品券に対し、10%のプレミアム分、発行額5億5,000万円のうち5,000万円と、発行商品券の印刷代などを区が補助することにより、区内商店への消費需要を喚起する目的で発行されました。
 4月25日の東京新聞に「プレミアム商品券明暗、世田谷区発売日ほぼ完売、中野・港は売れ残りに反省」という見出しで、プレミアム付き商品券を発行した地域の取り組みを取り上げています。残念ながら、中野区は港区とともに商品券が当初売れ残ったと報道されていました。中野区では、4月11日から16日まで、区役所1階でプレミアム付き商品券を販売しましたが、この期間に予定した5万セット、5億円分のうち1万3,000セット、1億3,000万円しか売れなかったということです。その後、販売期間を4月30日まで延長し、販売場所も各商店街で販売することとし、中野区商店街連合会も必死に販売努力をされた結果、このプレミアム付き商品券5万セットは完売されたのでしょうか。お伺いをしたいと思います。
 次に、プレミアム付き商品券を使えるお店でございますが、ポスターが張ってあると聞いています。中野のまちを歩いていても、あまりポスターを見かけることがありません。商品券を購入する際に、使える店のリストは渡されていますが、ポスターがしっかりと見えるところに張られていれば、リストを見ないでもどの店で商品券が使えるかがわかり、大変使いやすくなると思います。区としても、このポスターの掲示について中野区商店街連合会にさらに働きかけをするべきだと思いますが、いかがでしょう。また、区内の何店舗ほどの商店で使えるのかもあわせてお伺いをいたします。
 このプレミアム付き商品券は、有効期限が7月31日までとなっています。有効期限を経過してしまえば、金券である商品券も単なる紙になってしまいます。購入された方が有効期限内にプレミアム付き商品券を忘れずに使うよう、区としても積極的にPRしていくことが必要であり、また、責任があると思います。有効期限が過ぎて使えなくなったなどのトラブルが起きないよう、区は何か具体策を持って取り組む必要があると思いますが、お考えをお伺いをいたします。
 その他で2点、お伺いをいたします。
 最初に、新しい中野をつくる10か年計画の改定の進捗状況について、確認の意味も含めて質問させていただきます。
 新しい中野をつくる10か年計画は、平成21年度中に改定案が作成され、22年度から実施されると聞いています。きょうの区長の行政報告の中で、現行の10か年計画について、4月に各常任委員会に「改定の主な視点」を報告されましたが、区長からは、「財政状況の把握に努めながら、現在素案を取りまとめているところである」との文言があります。私たちは、4月の報告時点では、この第2回定例会の常任委員会に素案が報告されるものと思っていましたが、事実上、本定例会に素案を提出できないという理解でよいのか、確認をさせていただきたいと思います。
 もう一つ、気になる文言がありました。やはり、本年の3月に示される予定であった区立小中学校の中後期の再編計画についても、その計画を来年度に明らかにするといったことです。私ども会派としては、区立小中学校の中後期の再編計画については、保護者や児童・生徒、地域の意見を十分に聞いて、慎重に検討していくべきだという態度であります。一応の安心をしておりますが、この中後期の再編計画は、10か年計画の改定に大きな影響を与えることは、だれが考えても明らかだと思います。
 本年度に10か年計画を無理に改定をし、また、来年度に小中学校の再編計画を受けて改定するといったことにならないのか心配をしております。区長は、財政状況の把握に努めながら、現在素案を取りまとめているところであるとしていますが、先の見えない不況のもと、税収の状況や財調の見込みが立てづらい中での改定は難しいのではないかと思います。今回、最低限の改定にとどめることも一つの選択肢であると考えます。区長のお考えをお伺いをいたします。
 次に、その他の二つ目に、区内の建築や土木事業者への緊急経済・雇用対策について、区のお考えをお伺いいたします。
 本年度当初予算では、新中野駅の放置自転車の解消のために、杉山公園の地下式駐輪場整備や警察大学校等跡地の都市計画道路整備、そして道路・公園の改良工事など、大型事業が予定をされています。特に、警察大学校等跡地の都市計画道路整備や公園整備工事は、大手ゼネコンの入札への参入が予想され、区内の中小土木事業者は大変厳しい競争を強いられることが業界でも問題視をされていると聞いております。
 当然、こうした入札においては、区内事業者を優先するという方法は難しいと思いますが、以前の平和の森公園整備や江古田の森公園整備工事のように、大手事業者と区内事業者とのジョイントベンチャー方式として、区内の中小事業者へ一定のチャンスを与えるべきではないかと思います。
 つい最近も、区内の建築、土木関係者から、この先の見えない不況を乗り越えるために、区の工事を区内事業者に優先的に発注してもらえないかといった陳情も受けております。ぜひ、区内の建築や土木事業者への緊急経済・雇用対策として、ある程度日本経済が上向きとなるまでの間、ジョイントベンチャー方式などを活用し、区の工事を区内事業者に優先的に発注するなどの取り組みを検討していただきたいと思います。区長のお考えをお伺いいたします。これで私のすべての質問を終わります。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 大内議員の御質問にお答えをいたします。定額給付金の処理状況についてであります。
 定額給付金につきましては、申請書の送付件数は18万1,796件に及びました。そのうち、およそ8割に当たります14万7,000件が申請済みとなっております。そのうち9割の13万2,000件については、給付決定が済んでおります。こういった状況について、近隣区についてだけですが、調べてみますと、やはり近隣区と比較しても中野区の進捗状況は早い、そういうふうに認識をしております。
 現在、申請から給付まではおよそ3週間程度をいただいていると、そういう状況になっております。申請の締め切りは9月14日でありますので、区報はもとより、地域ニュースやJCN中野、それからポスター、チラシなどによって周知を徹底していきたいと考えております。
 また、特に高齢者などへの周知につきましては、民生委員によるひとり暮らし高齢者調査に伴って、お声かけとチラシの配付を始めているところであります。
 また、大きなトラブルはあったのかという御質問もありました。当初、こちらがお送りした説明文書にわかりにくい点がありまして、申請に必要な書類が不足をしているといったものが大量にありました。そうした申請に対しまして、改めて必要書類の提出依頼を行った関係で、給付までに2カ月程度を要したといったこともあったところです。
 次に、野方駅整備の進捗状況についてお答えをいたします。
 野方駅の整備工事は、今年の1月に着工いたしました。現在は、自由通路や駅舎の柱を設置するための基礎工事を行っております。着工後の工事は、今のところ順調に進んでいるところでありまして、予定どおり来年、平成22年の3月には北口と橋上駅舎の使用を開始して、来年の秋には全体が完成する、そういった見込みになっております。
 この野方駅の整備で工夫をしました点としては、例えば、環境面については、自由通路の屋根の上にソーラーパネルを設置いたしまして、発電した電気を照明などに使用するといった点が挙げられると思います。また、南口、北口の階段の外側の壁につきましては、壁面緑化を行って環境や景観に配慮していくことを考えているところです。
 次に、プレミアム付きなかのハート商品券についての御質問であります。
 プレミアム付き商品券は、4月11日から16日の6日間、区役所1階に販売窓口を設けました。その後は、消費者の皆さんの身近な場所で商品券を購入したいといった御要望などにも応えて、17日から30日まで区役所での販売も続けながら、そのほか13地域、18カ所に販売窓口を拡大したところであります。結果といたしまして、販売は4月30日をもって終了しましたが、商品券額面金額5億5,000万円の販売規模に対して、売り上げが5億1,400万円ということになりまして、販売率は約94%に達する結果となったと、このように区商連から御報告をいただいたところであります。
 また、プレミアム商品券の取り扱い店をわかりやすくお知らせするということのために、ポスターを目印としてPRしているところですが、利用可能店舗によりわかりやすい場所にポスター掲示を行っていただくように、引き続き区商連に対して積極的に働きかけを行っていきたいと考えております。
 商品券の利用が可能な店舗の数でありますが、個店を中心に約2,000店舗あります。この有効期限が7月31日までということなので、周知徹底するべきだと、こういう御質問もありました。
 有効期限につきましては、区商連と連携しながら区報やホームページ、ポスター掲示などを通じてさまざまな機会に周知徹底を図って、有効期限までにお使いいただくように努力をしていきたいと、こう思っております。
 それから、10か年計画改定の素案決定のスケジュールについてであります。
 行政報告でお話を申し上げましたように、現在、区政を取り巻く社会状況の変化や区の施策の進展度合いの変化のほか、御質問の中にもありましたけれども、今回の経済危機というものが財政にもたらす影響というのは大変大きいだろうと、こう思っております。こうした経済危機が歳入にもたらす中期的な影響など、さまざまな点について検討を進めているところであります。こうしたことから、御質問の中にもありましたように改定の素案は本定例会では報告を見送らせていただき、第3回定例会の前までに取りまとめたいと考えているところであります。
 それから、学校の再編計画と10か年計画の改定についてということであります。
 10か年計画の改定に当たっては、検討会議におきます教育の今後の方向性などの検討状況を踏まえながら、その考え方を、途中であっても可能な部分は基本的に反映させたいと考えております。
 また、学校再編計画に関連いたしましては、現在、再編計画は中後期も含めて計画の大枠はあるわけでありまして、この現在持っている計画の範囲で対応することといたしまして、その後、大きな修正が必要となるといった場合には、その時点でそれに対応していくというふうに考えております。
 財政の見通しもあり、最低限の改定にとどめることも一つの選択肢ではないかと、こういった御指摘もありました。10か年計画は、行政運営の中ではやはり一番重要な指針として進めていくところでもありますので、財政見通しの問題もありますが、できる限りの精度で計画をつくってまいりたい、このように考えております。そうした上でも、財政見通しの的確な把握といったようなことに努めながら作業を進めてまいります。
 それから、区内事業者への優先的な発注についての御質問がありました。
 御質問でありましたジョイントベンチャー方式でありますが、建設共同企業体取扱要綱、これが区にありまして、この要綱によりまして対象工事を、工事の金額によって指定をして実施をしているところです。この対象とする工事の規模でありますとか工事の管理の方法など、適正な競争を確保しつつ工事の質を高め、また、区内事業者の育成にもつなげられるような運用が図られるように検討をしていきたいと考えております。
 そのほか、区内事業者への優先的発注ということについては、すべての工事について総合評価落札方式を取り入れているところであります。区内事業者に対しましては、配点に加点を加えて配慮しております。緊急経済・雇用対策事業については、この加点よりもさらに区内事業者に加点するなどして、配点に配慮しているといったようなことも御報告をしておきたいというふうに考えております。
○議長(伊藤正信) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 やながわ 妙 子
 1 女性の健康支援・がん対策について
 2 子どもの安心・安全な健康づくりについて
  (1)学校でのアレルギー対策について
  (2)ヒブワクチン予防接種の助成について
 3 高齢者の健康増進について
  (1)聴覚健診の導入について
  (2)肺炎球菌ワクチン予防接種の助成について
 4 若者に対する総合的な支援策について
 5 その他
  (1)栄町公園のトイレ改修について
  (2)その他

○議長(伊藤正信) 次に、やながわ妙子議員。
     〔やながわ妙子議員登壇〕
○26番(やながわ妙子) 平成21年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。
 質問は、通告に従いまして、1番、女性の健康支援・がん対策について、2番、子どもの安心・安全な健康づくりについて、3番、高齢者の健康増進について、4番、若者に対する総合的な支援策について、5番、栄町公園のトイレの改修についてです。区長はじめ、理事者の皆様には前向きで簡潔な御答弁をお願いいたします。
 初めに、女性の健康支援・がん対策について伺います。
 日本は、2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなるという、世界一のがん大国になっています。最近、乳がんが40歳から50歳代に激増しています。また、子宮頸がんが20歳から30歳代の若い女性にふえています。毎年2,500人余の命が失われる子宮頸がんは、予防ワクチンと検診を受ければ、ほぼ100%予防できるがんです。また、乳がんで亡くなる方も毎年1万1,000人余いると言われています。
 ところが、日本では受診率が非常に低く、欧米の8割、9割に対し、わずか2割代というのが実情です。女性の20歳代から50歳代といえば、まさにこれから妊娠、出産を迎える人、あるいは、子育て真っ最中の人、また、あるいは働き手として家庭、地域、職場においてなくてはならない存在です。女性の命を守ることは、社会にとってどれほど大事であるか、言うまでもありません。がんは、早期発見で命が救われます。しかし、がんの情報が少な過ぎます。
 「若年性乳がんについてもっと知ってほしい。若い人には自分と同じ思いを味わってほしくない」これは、乳がんが発症し、24歳6カ月で生涯を閉じた長島千恵さんの遺言です。この体験「余命1ケ月の花嫁/乳がんと闘った24歳 最後のメッセージ」が放送され、大反響を呼びました。本も刊行され、また映画も完成し、私も先日この映画を見てまいりました。観客のほとんどが若い女性でした。この映画を通して、命のとうとさと命を失うことの残酷さに胸が裂けそうでした。そしてさらに、乳がん検診プロジェクト「余命1ケ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」が昨年から行われ、ことしも3月末に沖縄をスタートし、5月の札幌まで、全国29会場でがんの早期発見の大切さを啓発するとともに、約3,000人の20代から30代の女性が受診いたしました。
 ことしの3月1日から8日までの「女性の健康週間」に、公明党東京都本部女性局は、「女性の元気応援隊」と銘打って、中野区をはじめ都内540カ所で街頭遊説を展開しました。特に女性特有のがん、子宮頸がん検診と乳がんの検診率アップの啓発に力を入れてきました。このキャンペーンとあわせて、がん対策の強化を求める署名と、女性特有のがん検診に関する意識調査を展開し、4月1日、中野区内約5万名、東京全体では127万4,000名余の署名を添えて厚生労働省と東京都に要望いたしました。
 公明党の強い要望を受け、子宮頸がんと乳がん検診の無料クーポン券など、新経済対策の中に盛り込まれました。子宮頸がんは20歳から40歳まで、乳がんは40歳から60歳まで、5年刻みの年齢の該当者に無料の検診クーポンを配布する、女性特有のがん検診事業として実施されます。こうした国のがん対策推進策を受け、今後の中野区の取り組みについて何点か質問させていただきます。
 がん検診の必要性と効果についての情報提供が大事だと思います。これまでどのような取り組みをされてきたのでしょうか。がん検診の周知については、ホームページリンク集をつくり、啓発をしてはいかがでしょうか。
 先月、5月の母の日に、聖蹟桜ケ丘の京王デパートでピンクリボンキャンペーンを見てきました。近隣4市の自治体も参加し、健康相談を行い、企業と連携しながら最新のマンモグラフィーを展示し、啓発に力を入れており、大変多くの人が参加しておりました。中野区でも9月の「がん制圧月間」、3月の「女性の健康週間」、これらの機会を活用して啓発を行うべきだと思います。例えば、乳がん検診車の活用、乳がんの自己検診用グッズやブレストケアノート等、配布してはいかがでしょうか。あるいは、がんを正しく知るセミナーの開催など、区民の目に触れ、参加しやすいイベントを開催するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 今回の国の検診無料化に伴い、検診を受ける場所の確保が必要です。受診率向上には検診のキャパシティの確保が極めて大事です。現在、中野区内にはマンモグラフィーの設備を含めて、検診キャパシティはどれだけあるのでしょうか。無料検診の受け皿となる医療機関はどのように確保するのでしょうか、伺います。
 今後、クーポン券を利用して受診する女性がふえると思います。恐らく、区内だけでは十分に検診が受けられないと思います。その場合、区外の医療機関でも受診できるよう、他の自治体と連携する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 国は、平成23年度までには乳がんを含めたがんの検診率を50%にする目標を示しています。中野区としても、受診率向上に向けたプログラムを作成すべきだと思います。しかし、このプログラムを区独自で作成するのは難しいと思います。今年度、東京都が区市町村に対し、受診率対策のコンサルティング事業を提供しています。さらに、国のがん対策推進室からは、がん検診受診促進企業連携事業の予算があり、こうした制度を利用して取り組んではいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 今回の検診推進事業は、二十歳からの子宮頸がんの検診が入っています。二十歳で子宮頸がんの検診を受けるには、かなりの抵抗感があると思われます。また、ことしの秋には子宮頸がんの予防ワクチンが承認される予定です。予防ワクチンの接種は、若い年齢、特に10代でないと効果が薄いとも言われています。感染やがんに対する正しい知識、がんの教育にもっと力を注ぐ必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 先日、現在毎日新聞で「がんから死生をみつめる」を連載している東大附属病院准教授の中川恵一先生が国立市立第一中学校で生徒の皆さんにがんの授業をしていました。500人の生徒と一緒に参加してきましたが、皆真剣に聞いていました。中野区も「がんの教育」を積極的に検討してはいかがでしょうか。その際、副読本の提供も考えてはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 また、板橋区の女性健康支援センターを視察してきました。相談業務が中心でしたが、多くの女性区民に好評を得ています。中野区は、今後区内に(仮称)すこやか福祉センターを設置いたしますが、ここに女性専門の健康相談窓口を置くべきと考えますが、いかがでしょうか。
 国の無料検診と中野区の子宮がん及び乳がん検診の有料検診とが混在します。混乱が生じないように各機関と連携をし、受診率向上の積極的な取り組みを求めてこの項の質問を終わります。
 次に、子どもの安心・安全な健康づくりについて伺います。
 初めに、学校内でのアレルギー対策、エピペンの使用について伺います。
 平成19年4月、文部科学省が公表した「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」によれば、公立の小中高学校の児童生徒のアレルギーは、気管支喘息が5.7%、アトピー性皮膚炎が5.5%、アレルギー性鼻炎が9.2%、食物アレルギーが2.6%といずれも高い数値になっております。学校現場にアレルギーで苦しむ子どもが多くいることを示しています。
 この報告書を受けて、昨年4月に、アレルギー疾患のある子どもたちに具体的な対応指針「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」が作成され、全国の教育委員会、学校に配布されました。アレルギー対応の推進のために、教育委員会は各学校の状況を的確に把握し、主体的に対応することが求められていますが、どのように把握されているのでしょうか、伺います。
 さらに、教育委員会として、学校での対応を統一する必要があるとされています。学校での対応はどのように取り組まれているのでしょうか。ガイドラインの中で示されている「学校生活管理指導表」の活用については、医師の診断証明が必要になっています。それぞれアレルギー疾患ごとに必要です。医療機関を重複する保護者にとっては、大きな負担となっています。この点についても検討をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 食物アレルギーを持つ児童・生徒は全国33万人、そのうち、アナフィラキシーショックと呼ばれる急激なショック症状を起こす子どもたちは1万8,300人います。一方、全国学校栄養士協議会の平成14年、15年の調査によれば、学校給食が原因でアレルギー症状を起こしたケースは637例、そのうち、命にかかわる症状が約50例ありました。食物アレルギーでショック症状が発症した場合、教職員がアドレナリン自己注射「エピペン」ができるようになりました。アナフィラキシーショックを起こした場合は、30分以内にアドレナリンを投与しなければ死に至るケースが出てきます。
 しかし、いざ使用するとなれば、教職員は注射への抵抗感や判断ミスの恐怖感が起きると思います。「アレルギーを考える母の会」主催のセミナーに参加した折、私も実際に体験してきました。注射針の太さや、太ももに直接衣服の上から刺すなど、気を失いかけている子どもを前に冷静に行動をとることはかなり難しいと感じてきました。しかし、学校現場には教職員しかいません。事前の研修会や練習用キットで実習を行うなど、具体的な対応が大事であると思います。さらに、保育園の職員にも研修が必要かと思います。いかがでしょうか。お聞きいたします。
 また、アトピー性皮膚炎の児童・生徒への対応については、温水シャワーの効果が挙げられています。既に保健室に温水シャワーを設置している学校もあると聞いております。その学校では、強いかゆみのため、つらい思いをしている児童・生徒に対し、「少しでもかゆみを和らげて楽になれば」という思いで、以前はタオルで冷やしていたのですが、広範囲にわたって汗や砂ぼこりを洗い流すことができるシャワーを使っているそうです。今後は学校再編に伴い、改築に際して、アトピー性皮膚疾患で苦しんでいる児童・生徒のために、シャワー室の設置を提案いたします。区の御見解をお聞かせください。
 次に、ヒブワクチン予防接種助成について伺います。
 6月1日、公明党区議団は、ヒブワクチン予防接種の公費助成の実現を求める要望書を中野区長に提出しました。先進国で唯一導入がおくれているヒブワクチンが、昨年12月より任意接種できるようになりました。
 WHOによれば、ワクチン接種をしないために亡くなる乳幼児は、はしかの78万人に次いで多いのは、ヒブの約46万人です。ヒブワクチンは、世界100カ国以上で導入され、そのうち94カ国では定期接種になっています。ヒブは幼い命を落とし、後遺症が残る確率も高いので、最近ではワクチンの助成を始めた自治体もふえてきました。親御さんたちが医療機関に行くと、ヒブワクチンのリーフレットを渡されるようです。その内容を見ると、我が子にも接種させたくなる。しかし、かなり高額なので、二の足を踏んでしまうと言っていました。おおむね4回の接種が必要で、約3万円以上の費用がかかります。
 東京都は、都議会公明党の推進で、この4月から市区町村がヒブワクチンの予防接種に対して公的助成を行う場合に、その費用の半分を都が補助する包括補助制度を実施させました。中野区では、21年第1回定例会での岡本議員質問で、田中区長は「周辺自治体の動向等を見きわめて」という答弁をいただきました。その後、国においても、この定期接種に向けての動きが出ております。中野区としてもこの制度を活用して早期に実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 次に、高齢者の健康増進について伺います。
 初めに、聴覚健診の導入について伺います。
 先日、埼玉県鶴ヶ島市にある老人保健施設の小川郁男理事長から、高齢者の耳の健診についてお話を聞いてきました。耳鼻咽喉医でもあり、高齢者の聴覚健診に大変関心を持っています。
 小川氏は、高齢者は初期の難聴に気づきにくいため、症状が悪化する傾向がある。難聴が進むと日常会話に支障が生じ、コミュニケーション障害になることから、難聴が引きこもりや認知症の要因にもなっていると言っていました。
 耳の聞こえが悪くなると、家族からも地域からも孤立しがちになり、生活の質を大きく損ねることになります。高齢者支援の大きな妨げにもなっているコミュニケーション障害は、認知症と3分の1近くが難聴であると言われています。現在、聴力検査は都内では北区や豊島区等が実施しています。65歳の高齢者健診聴力検査では、約半数に難聴が認められ、そのうち1割の方は治療が必要で、3%の方は、補聴器装用が望ましいという結果が出ています。中野区としては、こうした高齢者の耳の実態などはどのように把握されているのでしょうか。
 一方、加齢による聴力の低下は40歳くらいから高音域より始まり、会話域の聴力低下が進行して、周りが「あの人、最近聞き返すことが多くなった」、「テレビの音が大きくなった」、「返事がとんちんかんだ」と心配しても、「自分は大丈夫」と思っている人が意外に多いようです。
 また、難聴のため、車や自転車の音に気づかず、交通事故を起こしている高齢者がふえています。これは、耳の聞こえが悪いと感じている人が少ないからだと思われます。聴力検査は、耳の病気の早期発見、また、早期治療を促進するとともに、生活機能の低下を未然に防ぎます。ぜひとも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 また、平成18年度より介護予防事業が実施されています。介護予防プログラムの「閉じこもり予防」の支援の対応としても、高齢者の聴覚障害を早期に発見することが必要です。鶴ヶ島市、坂戸市は、基本健康診査時にチェックリスト25項目の自己記入表に、聴覚障害に関する次の3項目を追加しました。それは「人の話が聞き取れないことがありますか」「テレビの音が大きいと言われたことがありますか」、「電話が聞き取りにくいことがありますか」の3項目です。これを審査した医師は、聴覚障害があると思われる受診者に対して、簡易受信器を用いて難聴の有無をチェックします。特に診察が必要な高齢者に対し、耳鼻咽喉科受診勧奨券を自治体に送付します。その結果、耳の聞こえが悪く、閉じこもりがちな高齢者を介護予防事業に参加できるよう促しています。中野区は、特定高齢者の介護予防事業の参加者が極めて低いと聞いています。こうした聴力健診を取り入れて高齢者の生活の質の低下を落とさないように努めることが大事です。あわせてお考えをお聞かせください。
 次に、高齢者の肺炎球菌ワクチンの予防接種の助成について伺います。
 既に我が会派は、この提案について、飯島議員、小林議員、平山議員が質問をしています。肺炎は日本人の死因の4番目に挙げられ、毎年9万人が死亡、そのうち65歳以上の高齢者が95%を占めています。予防接種をすると、8割以上の予防効果があるとされています。高齢者がインフルエンザにかかると肺炎を併発し、中には死に至る高齢者も多いようです。新型インフルエンザの流行も懸念される中、インフルエンザの予防ワクチン接種と同時に、肺炎球菌ワクチンを接種できるよう、早急に進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。伺ってこの項の質問を終わります。
 次に、若者に対する総合的な支援策について伺います。
 今、働きたいけど働けないでいる若者が急増しています。最近の報道によれば、若者の引きこもり、ニートと言われる人たちが100万人になったそうです。働くということは、社会的自立を意味します。その入り口で立ちすくんでしまっている若者たちに対して、何らかの支援を講じることが急務となっています。
 先日、若者のための総合相談窓口「みたか地域若者サポートステーション」を視察してきました。ここは、NPO法人文化学習協同ネットワークが地元自治体の支援を受け、厚生労働省や東京都からの委託事業で実施しています。働きたいのに働けない若者の最初の一歩を支える「相談に乗る」ことと「仕事につなげる」、このことを柱に事業を展開しています。併設のパン工房での労働体験、さらに、そのパンを地域の人たちに売る作業を通して、社会参加を促しています。そこでは、だれが指導員だかわからないほど皆さんいきいきと働いていました。若者たちにもこうした安心できる居場所が必要だと感じてまいりました。
 代表の人は、最初、このサポートステーションを立ち上げるときに、中野で開設しようと考えていたそうです。それは、中野区のイメージが若者のまちという印象が強くあったからでした。中野区は、「若者のまち中野」とのテレビ報道もあり、若者のまちというイメージが少しずつ浸透されてきています。しかし、中野にもこうした働けない若者も少なくないと思います。長期間に渡って家にずっと閉じこもっている子どものことで悩んでいる母親からの相談を幾つも受けています。実態を把握されているのでしょうか。もし実態がつかめていないならば、まず調査をしてはいかがでしょうか。
 中野区でも、将来的にはこうした若者支援の場所が必要だと思います。若者を支援しているNPO等と協力し、まず、若者の総合相談窓口を設けてはいかがでしょうか、伺います。
 若者問題がクローズアップされているにもかかわらず、総合的に支援する体制が行政でも地域でもできていないのが現実です。中野区の組織には、子ども・教育、障害者、介護、高齢者の分野がありますが、若者の分野がありません。また、「私の便利帳」にも若者の相談や要望などにこたえる窓口が見当たりません。まず、相談からすべての支援がスタートしますので、相談の入口となる窓口をつくるべきだと思います。いかがでしょうか。
 その一つの取り組みとして、中野区のホームページに若者のページをつくり、さまざまな支援の情報を発信してはいかがでしょうか。全国にある若者支援機関がその内容を紹介するホームページがあり、公開もされています。また、国や行政や民間団体がさまざまなプログラムで活動しております。相談のフローチャートをホームページに載せ、中野区の若者のページからリンクして、ウエブ上で相談体制をつくることも考えられるのではないでしょうか。ぜひとも若者のページをつくり、そうした活動案内や相談受け付けの案内など提供すべきです。お考えを伺います。
 この際、若者のまち中野にふさわしい若者の支援の対応策を考えるべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。
 最後に、栄町公園のトイレの改修について伺います。
 栄町公園は、春には桜が満開となり、夏には「じゃぶじゃぶ池」が開設され、子どもやお母さんたちから地域の憩いの場として広く区民に愛されています。この公園のトイレは、入口が遊具の場所と反対側にあり、子どもが利用した場合、保護者の視界から消えるため、危険であるといった状況にあります。また、公園を利用する母親からは「男女別の仕切りがない。女性には極めて利用しづらい」といった声や、「おむつを換えるベビーベッドがあれば、もっと子どもを長い時間のびのび遊ばせられる」など、トイレの改修を望む声が上がっています。昨年第1回定例会で自民党のひぐち議員も指摘していました。
 区では、公園のトイレについて、老朽化の激しいものから順に改修工事を行っており、栄町公園も本年度の計画に入っていると伺っております。その補修工事はどの程度行うのでしょうか。現在「車いす対応の障害者用トイレはあるものの、内部の配置や構造がどうなっているのかがよくわからない」と視覚障害者の方々から使用しづらいとの指摘を受けています。
 世田谷区では、2カ所の公園のトイレに音声案内システムを導入しました。視覚障害者をはじめとする施設環境に不なれな方々にも入口や手洗いの場所、便座やトイレットペーパーの位置などが音声で案内されるなど、適切な誘導や情報提供が可能となっています。東京都では、だれもが社会参加できるまちづくりの核となるトイレの環境整備を支援する「とうきょうトイレ整備事業」いわゆるだれでもトイレを実施しています。
 この事業は、各自治体がトイレの整備計画を策定した上で、公衆トイレの建設に補助金が出ます。平成23年度まで実施されると伺っています。今回行われる補修工事が、いずれまた改修をしなければならないような部分的なものであるのであれば、一層のこと中野区においてもこの事業の補助金を活用し、清潔さや安全性を前面に打ち出した新しい公園トイレを設置してはいかがでしょうか。乳幼児から高齢者、また障害のある方など、だれもが安心して使用できるトイレにつくり直してはいかがでしょうか。御見解を伺います。
 これですべての質問を終わります。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) やながわ議員の御質問にお答えいたします。
 まず、女性の健康支援・がん対策についてであります。がん検診の情報提供やさまざまな啓発を強めていくべきだという御質問であります。
 がん検診について、区報やホームページに掲載をいたしますほか、区内医療機関や区施設にもポスターなどを掲示しているところであります。また、乳がん検診や子宮がん検診につきましては、個別のパンフレットを用意してがん検診の必要性について周知をしているところであります。
 ホームページについてですが、区民ががん検診等にかかわる情報を容易に収集できるよう、単なるがん検診のお知らせというだけではない、もう少し啓発に意を用いたような内容を考えていく、また、国や東京都とのリンクなどについても検討していきたいと考えております。
 本年10月には、昨年同様に中野区医師会の協力を得まして、乳がんにかかわる講習会を開催いたします。そのほか、各保健福祉センターでもがん予防等にかかわる講座等を開催しているところであります。これらのイベント等におきましても、区民の皆さんに参加をしていただけるように工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
 がん検診の必要性について、区民の理解が深まるように、PRについて工夫を凝らしてまいりたいということで、まず、パンフレット等の啓発の内容の工夫といったようなところから着実に進めていきたいと、こういうふうに思っております。
 それから、マンモグラフィーの関係の御質問がありました。
 現在、マンモグラフィーの検査は、中野区保健所、北部保健福祉センターで実施をしておりますほか、労働衛生協会の高井戸東健診クリニックに委託をして実施しております。マンモグラフィーによる検診につきましては、この3カ所で受診をしていただいているところです。
 受診がふえる場合に対応できるかということですが、区内でマンモグラフィーを設置している医療機関は4カ所であります。これらの医療機関について、がん検診に御協力いただけるのかどうか、これについても確認が必要であると、このように考えております。
 クーポン券発行によって乳がん検診、子宮がん検診の受診者がふえるということは当然想定されることでありますので、区外の医療機関でも受診できるような、そういった調整を行ってまいりたいと考えております。
 それから、東京都のコンサルティング事業などを例に挙げて、がん検診の受診率を高めていくといった取り組みをしていくべきだという御質問もありました。
 がん検診の受診率向上を図っていくために、さまざまな取り組みが必要だということは認識をしているところで、先進事例などを参考に、受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。御指摘のありました東京都の事業の活用についても検討してまいります。
 それから、女性専門の健康相談の窓口をつくるべきではないかという御質問でありました。
 子どもから高齢者、障害者の保健福祉にかかわる総合相談を行います(仮称)すこやか福祉センターでは、健康相談も行ってまいります。ここでは女性固有の健康に関する相談といったジャンルも設けて、区民の健康に関する相談に幅広く対応することとしていきたいと考えております。
 それから、アレルギー対策について、保育園、幼稚園に関する部分についての御質問にお答えいたします。
 区立保育園でのアナフィラキシー発作への対応につきましては、保護者からのお申し出のあったお子さんについて、食物アレルギー対応基準、これがあるので、これに基づいて対応をしております。
 また、医師会主催の学校アレルギー疾患に対する取り組みガイドラインについての研修に対しては、公私立の保育園から看護師、栄養士、保育士が参加をしたところです。
 現在、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインを踏まえまして、食物アレルギー対応基準全体の見直しを始めるところでありまして、対応の万全を図っていきたいというふうに考えております。
 それから、ヒブワクチンの予防接種の補助をするべきだと、この御質問であります。
 区の公的な助成につきましては、国の動向、また、先行自治体の実績や運用方法、また、ワクチンの供給の状況などを勘案いたしながら、提案を踏まえて検討していきたいと考えております。
 それから、栄町公園のトイレ改修についてであります。
 このトイレの状況については、御質問の中で触れられましたように、ひぐち議員でありますとか、地域の保護者の方などからの御意見もお聞きをしているところであります。そうした議会や地域の御要望を受けて、現在、男女別の仕切りや公園側からの見通しの確保などについて検討しているところであります。
 しかしながら、既存トイレの改修ではスペースが狭いことから、男女別でありますとか、だれでもトイレといった対応の幅を広げる、十分な機能を確保するというのは難しいというのが現状であります。したがいまして、改修、あるいは建てかえなのか、費用対効果の検証でありますとか、補助金活用の可能性など、総合的な検討を行ってまいりたいと考えております。
 私からは以上であります。その他、それぞれの担当のほうからお答えをいたします。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 女性の健康支援・がん対策につきまして、がん教育につきましてお答えいたします。
 学校では、児童・生徒に命のとうとさを認識させ、みずからの健康を維持するための知識や実践力を育てていくことが大切でありまして、健康教育の一環といたしまして、がんにつきましても各学校におきまして子どもたちを適切に教育、指導しているところでございます。今後とも努力してまいりたいと思います。
 それから、子どもの安心・安全な健康づくりにつきまして、学校でのアレルギー対策につきましての件でございますが、アレルギー疾患有病率の把握についてどうなっているかということでございます。
 毎年6月までに実施しています定期健康診断の結果をもとに、各学校でのアレルギー疾患の有病率につきまして把握しております。20年度では、気管支喘息8.2%、アトピー性皮膚炎5.2%、アレルギー性鼻炎10.4%、食物アレルギー2.0%となっております。食物アレルギーにつきましては、既に学校給食における食物アレルギーの対応というマニュアルを作成いたしまして、各学校で統一的な取り扱いを行っているところでございます。
 それから、ガイドラインへの対応に伴う医師の証明についての御質問でございます。
 日本学校保健会が作成いたしました学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインの中で示されておりますアレルギー疾患用の学校生活管理指導表の活用に際して必要となります医師の診断証明のあり方につきましては、簡易な方策の可能性など、そのあり方を中野区医師会とただいま協議しているところでございます。
 それから、アナフィラキシーショックへの対応についてでございます。
 アナフィラキシーショックを起こした児童・生徒に対しましては、緊急的にアドレナリン自己注射薬を注射することが効果的でありまして、この注射につきましては、御質問にありましたように教職員も対応できることとされております。今年度から東京都がこの研修を実施する予定でございまして、この研修会には自己注射薬を携帯している子どもがいる学校の教職員に受講してもらうことを考えております。
 それから、アトピー性皮膚炎に有効なシャワー室の設置についてでございます。
 温水シャワーにつきましては、職員更衣室でありますとかプールなどを含めまして、おおむね整備できているという状況でございますけれども、未設置の学校につきまして、機会をとらえまして設置できる方策を検討してまいりたいと考えております。
     〔副区長西岡誠治登壇〕
○副区長(西岡誠治) 若者に対する窓口及び施策が必要ではないかという御指摘についてお答え申し上げます。
 御指摘にありましたように、現在、区には若者の相談全般にかかわる担当部署は特に設けておりません。御質問の中に登場いたしました国で行っている地域若者サポートステーションなどの事業の実施状況などを勘案いたしまして、対応のあり方について研究してまいりたいと思います。
    〔保健福祉部長金野晃登壇〕
○保健福祉部長(金野晃) まず、高齢者の健康増進についての質問のうち、聴覚健診の導入についてお答えいたします。
 実態をどうとらえているかということでございますが、介護保険の要介護認定調査の際などに、聴力について把握をしているということでございます。加齢に伴い、聴力が弱くなる例はかなり多いというように受けとめております。
 次に、介護予防事業につなげていくという御質問ですが、虚弱な高齢者を適切に把握いたしまして介護予防事業につないでいくことは大変重要なことと考えております。さらに工夫をして努力をしていきたいと思っております。
 次に、聴覚健診を加えるということですが、現在行っております基本チェックリストにつきましては、国基準の25項目でやっております。新たな項目を追加するということにつきましては、受診者の負担や必要性、また、各医療機関で対応可能な検査かどうかなどを確認した上で行う必要がございますので、当面は現行の項目で考えたいと思っております。
 次に、若者に対する総合的な支援策のうち、実態把握や対応についてのお尋ねでございます。
 まず、実態調査ですが、働いていない若者の調査について、中野区独自での調査は実施しておりません。東京都が平成19年度に実施した引きこもり調査では、引きこもり状態の若年者は都内で約2万5,000人という推計をしております。これを中野区の人口に当てはめますと、大体600人から700人程度というように考えております。関係機関との連携を図り、実態の把握に努めてまいりたいと思います。
    〔保健所長田原なるみ登壇〕
○保健所長(田原なるみ) 肺炎球菌ワクチンの御質問にお答えさせていただきます。
 肺炎球菌ワクチンの予防接種につきましては、国の検討会が有効性、安全性、費用対効果等の研究を進めているところでございます。国内での治験をさらに収集した上で、国としての予防接種の考え方が示されることになるというふうに聞いております。中野区といたしましては、検討の推移を引き続き見守りたいと考えております。
     〔やながわ妙子議員登壇〕
○26番(やながわ妙子) 再質問をさせていただきます。
 先ほど西岡副区長から、若者支援のことで、これから研究をしていくという御答弁をいただきましたが、どういう研究をされるのか、具体的には。先ほど質問で言ったように、どこの分野も中野区では若者に対する支援がないという、この現実を総合的に考えなければいけないんじゃないかなと思うんですね。先ほど保健福祉部長が答えたところは、その実態調査ができているか、できていないか。こちらはもう何もないという、現実、本当にないという、ここからスタートいたしまして、先ほど私は、とりあえずセクションがない、そして、支援の方法もないという実態の中から、せめてホームページ上でそうした相談窓口の入口をつくってあげてほしいということを御提案させていただいたわけです。
 さまざま質問に書いたように、国の機関、若者自立支援塾とかさまざまあるわけで、そうしたところにリンクする。本当に閉じこもって、引きこもって外に出られない人をどう出していくのかというのが、私は行政の初めの一歩だと思っております。今の答弁では、当分やらないなというふうに聞こえもいたしますが、早急にこれはやらなければいけないと思っておりますので、再度の御答弁を求めたいと思います。
     〔副区長西岡誠治登壇〕
○副区長(西岡誠治) 再度の御答弁をいたしたいと思います。
 やながわ議員から御指摘がありましたような事情については、不十分ではございますけれども、認識はいたしているところでございます。ただ、まだ窓口もございませんし、御指摘の中にありましたようにきちんとした情報もございませんので、そういったことから始めて、研究体制を組んで、それから施策の構築に努めていきたいというふうに考えております。何とぞ御理解いただきたいと思います。
○議長(伊藤正信) 以上でやながわ妙子議員の質問は終わります。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
      午後2時45分休憩

      午後3時06分開議
○議長(伊藤正信) 会議を再開いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 長 沢 和 彦
 1 区長の政治姿勢について
  (1)経済雇用対策について
  (2)社会保障の充実について
  (3)「中野駅周辺」の大規模再開発について
  (4)核兵器廃絶の取り組みについて
  (5)新型インフルエンザ対策について
  (6)その他
 2 保育園の待機児解消について
 3 「子どもの貧困」を克服することについて
  (1)次世代育成支援行動計画について
  (2)ひとり親家庭への支援について
  (3)義務教育における私費負担の軽減について
  (4)高校生を持つ子育て世帯の負担軽減について
 4 地域センターの再編について
 5 ゆきとどいた教育の実現について
  (1)新たな中野の教育に向けた検討について
  (2)少人数学級の実現について
 6 西武新宿線連続立体交差化事業について
 7 その他

○議長(伊藤正信)  長沢和彦議員。
      〔長沢和彦議員登壇〕
○30番(長沢和彦) 2009年第2回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して質問を行います。
 初めに、区長の政治姿勢についてお伺いをいたします。
 1番、経済雇用対策についてです。
 行政報告では、「経済危機への対応」の中で、「GDPが昨年末からことしにかけて2四半期連続で戦後最大の下げ幅を記録するなど、我が国が被った不況の痛手は昨年の当初に言われていた観測をはるかに上回っていたことが明らかになっている」と述べられました。何が日本経済を深刻な危機に陥らせたのか、その原因に国内産業の空洞化が投資と雇用を停滞させていること。自動車や電機などの主要な産業では、輸出比率が非常に高く、急速な海外需要の縮小により、大幅な生産縮小と設備投資の減少にあること。非正規労働者が35%に達する雇用の不安定化と所得水準の低下による消費需要の停滞が挙げられます。まさに日本経済の異常に急速な悪化は、政府が進めた「構造改革」の結果つくられた「外需頼み、内需ないがしろ」という経済のゆがみと脆弱さが一気に噴き出したものと言わざるを得ません。
 区長が「区民のへの暮らしへの影響も大きく、区内の企業業績や区民の収入、雇用状況も極めて憂慮される状況」とおっしゃったのはそのとおりです。これまで景気後退の歯どめ役をしてきたGDPの55%を占める個人消費の減少が続いています。この最大の原因は、昨年来の「派遣切り」をはじめとした「非正規切り」に見られるような雇用破壊、失業者の急増です。好況のときには安い賃金でこき使い、不況になれば、物のように使い捨てにする大企業の雇用のあり方が社会問題となりました。雇用破壊を許さない、失業者を支援する、人間らしい労働のルールをつくることが必要です。地方自治体での取り組みも重要です。国の「ふるさと雇用再生特別交付金」や「緊急雇用創出事業」の活用など、区においても一層の雇用創出を図るべきではありませんか。区長の見解を求めます。
 二つ目に、社会保障の充実についてです。
 行政報告の「中長期の戦略と10か年計画」のところで「しっかりとしたセーフティネットを形づくることが求められる」と述べ、社会保障制度の安定的な持続が危ぶまれている状況であると。さらに「国民全体が納得できる給付と、そのための受容できる負担の2点が十分に議論され、幅広い合意が形成されることが必要」との認識が示されました。
 ここで言う給付と負担のあり方ですが、負担の対象は国民だけなのでしょうか。企業の負担は全く問わないつもりですか。この10数年間続けられてきた大企業向けの減税策や法人税の実質引き下げはそのままというわけにはいかないでしょう。また、社会保険料など、社会保障における企業負担は、欧州諸国と比べてもあまりにも低過ぎます。社会保障における財源の課題は、お金の集め方と使い方という政治課題です。そのことを抜きにした議論では、行き詰まるのは当然です。また、国民の負担については、高額所得者の減税が連続的に行われ、貧困と格差が広がる中で、応能負担の原則はますます重要です。区長の見解を伺います。
 具体的な問題として、何点かお聞きします。
 一つは、24時間小児救急医療についてです。
 我が党議員団は、区内に24時間対応小児救急医療がなくなったもとで、区内病院での再開、特に東京警察病院に開設することを求めてきました。東京都も都立病院の医師の待遇改善や小児科医養成など、医師確保に取り組み始めたと聞いています。医師確保については、小児救急医療も充実させる方向です。ところが、区西部医療圏への配置は考えられていません。東京都に強く要望し、中野区内での24時間小児救急医療の実現に力を尽くすべきです。伺います。
 二つ目に、国民健康保険制度による資格証明書を発行しない取り組みについてです。
 今年度から、中学生以下の子どものいる滞納世帯に資格証明書は発行せず、無条件で短期証が交付されることになりました。また、厚生労働省は、5月3日、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度の保険料滞納者に交付する資格証明書について、原則として低所得や病気などで診療中の被保険者を対象から除外する方針を決めました。政府は、国民健康保険で子どものいない滞納世帯についても医療を受ける必要があり、支払いが困難であると申し出た場合は、短期証を交付する方針を決めています。
 そこで伺います。9月の一斉更新を控え、資格証明書の発行をしないよう努めることが要請されています。そのために、政府方針の周知徹底を図ることを求めます。また、区は保険料滞納者に弁明書の提出を求めていますが、保険料の即時の納付を条件とせず、申し出があれば、短期証の交付とすることを求めます。お答えください。
 三つ目に、高齢者の医療についてです。
 差別医療を持ち込んだ後期高齢者医療制度の廃止を目指すものです。同時に、実施されているもとでは、高齢者に負担を与えず、命と健康を守るために自治体行政が力を尽くすことを強く求め、質問します。
 健診の窓口負担無料化についてです。
 4月から特定検診や後期高齢者健診が実施されています。後期高齢者健診の健診項目が特定健診と同様になったことは、高齢者から喜ばれています。しかし、2年前には無料であった70歳以上の高齢者の健診自己負担は500円の有料のままです。75歳以上の後期高齢者健診は、やはり23区で中野区だけが無慈悲にもお金を払わせています。我が党議員団は、後期高齢者医療健診が実施される前から負担の無料化を求めてきました。それに対して区は、「みずからの健康づくりに意識を持ってもらう」と強弁しています。過去に、区民健診の有料化を実施したときと同じ理由を持ち出しました。しかし、この有料化は意識啓発ではなく、抑制策でしかありません。年金だけで暮らしている高齢者がいます。その年金給付も減らされているのです。無料にすべきではありませんか。伺います。
 75歳以上の医療の窓口負担は過酷です。東京の日の出町では、この4月から75歳以上の高齢者の窓口負担を無料にしました。後期高齢者医療制度の自己負担分を町が助成するものです。また、人間ドックを受診する場合も町が全額負担することにしています。
 かつて、革新都政時代に東京から始まった老人医療費無料化が全国の自治体に広がり、やがて国の制度となったことがありました。政府は、医療費の抑制策ばかり行ってきましたが、結果的に患者の重症化を招いて医療費を膨らませました。紹介した日の出町は、自己負担の助成だけでなく、健康づくりやコミュニティの推進を図り、高齢者が健康を維持しながら暮らすことを期待しています。医療費の増大もないとしています。国が医療費の削減を行い、窓口負担をふやしていることに対して傍観しているのでは、自治体の使命は果たせません。財政的にも行う体力のある東京都で高齢者医療の無料化や軽減に取り組む必要があると考えます。区長の認識を伺います。
 3番目に、「中野駅周辺」の大規模再開発について伺います。
 警察大学校等跡地の開発についてです。
 5月22日に東京都の都市計画審議会で警察大学校跡地等地区計画の変更についての諮問・答申が行われました。この答申に先立つ4月14日には、中野区都市計画審議会で2名の学識経験者を含む4名が反対する中で承認されましたが、植栽の専門家と環境問題の専門家の学識経験者がそろって反対したのは異例の事態です。
 この都計審で我が党議員団は、一級建築士事務所に委託し、作成した警察大学校等跡地の建設予定建物別日影図によれば、これまで区が説明してきた「3時間以上、2時間以上に日陰が生じる」どころか、冬至の日の8時から16時の間、中央部の都市計画公園は5時間完全に日陰となり、約半分は6時間の日陰になることが明らかになりました。南側に高さ100メートル、東西方向140メートルもの巨大壁、周囲には50メートルから70メートルという高層ビルに囲まれたわずか1.5ヘクタールの公園は、日だまりの恋しい冬場にはほとんど日の差さない寒々とした公園となり、逆に夏場には風通しの悪い蒸し暑い公園に。このような公園は、区民の望んだ公園ではありません。
 学経の委員からは、「本来、公園、あるいは緑の環境は人にとっても快適でなければならないし、防災の観点からも重要な観点だ」とし、このような環境が「人間にとっても、生き物にとっても、あるいは植物にとっても難しい状況が予測される」との指摘があり、環境を保障するための手段として、建物の高さを下げて環境を緩和する手段はなかったのかとの質問がありました。これに対し、「建物の高さはガイドラインに則して進めてきた」と答えてきたものの、このガイドラインは景観からの検討で、環境面は今後の検討だと答えています。また、他の学経委員からも、「景観的に考えると、この万丈の超高層ということが本当にいいのか」といった指摘がありました。
 そこで伺います。このような公園が快適な公園と言えるのか。環境面での検討はどうするのか。何よりもビルの高さを規制し、巨大壁となるような建物形状の変更を求めるべきではないですか。あわせてお聞きします。
 区長は、行政報告の中で、「少なくとも今後二、三年間はかつてない規模での歳入減が続くことが懸念される」と財政の厳しさを述べています。今後、警大跡地だけでなく、中野駅周辺まちづくりや中野サンプラザと区役所の再整備など、明らかになっているだけでも約234億円もの多額の税金が投入される計画が予定されています。歳入確保が厳しいとしながら、これら大規模再開発を見直すこともなく進めるのでしょうか。そのツケは区民の暮らしや福祉を削ることになるのではたまりません。見解をお聞きします。
 全国で熱病に浮かされていたような「都市再生」「再開発」の暗転が起こっています。例えば、宇都宮市が2011年春のオープンを目指していたJR宇都宮駅東口の高層タワービル建設をめぐり、大手ゼネコン清水建設ら20社でつくるグループは、経済情勢の悪化等を理由に、市に同事業からの撤退を伝えました。しかし、市は計画を撤回せず、大型箱物に固執し、新たな道を模索していることが報じられています。
 「都市再生」をうたい文句に、数多くの開発事業が全国で展開されてきましたが、その多くが架空の需要のもとに演出されたことが明るみになりました。先行している警察大学校等跡地をはじめ、中野駅周辺の大規模再開発も区の期待どおりに進む保証はありません。
 今、警察大学校等跡地の開発計画をめぐって、中野区が防災公園の面積を当初計画の4ヘクタールから1.5ヘクタールに縮小したのは違法だとして、周辺住民が東京地裁に違法確認を求める訴訟を起こしました。突き進むのではなく、立ちどまって検討し直すべきときではありませんか。伺います。
 4番目に、核兵器廃絶の取り組みについて伺います。
 核兵器をめぐっては、この間に二つの象徴的な出来事がありました。一つは、北朝鮮政府による核実験の強行です。「いかなる核実験または弾道ミサイルの発射もこれ以上実施しないこと」を要求した国連安保理決議1718や、北朝鮮が「一切の核兵器及び現在の核計画を放棄する」と合意した6カ国協議共同声明にも明確に違反する暴挙です。国際社会からの批判が相次ぎました。我が党は、北朝鮮の行動に対し厳しく抗議し、北朝鮮政府に対し、これ以上の核実験を厳に慎むこと、核兵器及び核兵器開発計画を放棄すること、無条件で6カ国協議に復帰することを強く求めました。区長が北朝鮮政府に抗議文を送付したことは評価するものです。
 もう一つは、核保有大国アメリカの変化です。4月5日にオバマ米大統領がプラハで行った演説の中で、「核兵器を使用したことのある唯一の核兵器保有国として、アメリカは行動する道義的責任がある。核のない平和で安全な世界を米国が追求していくことを明確に宣言する」と述べました。米大統領として核兵器廃絶を国家目標とすることを初めて明示しました。
 我が党の志位委員長は、オバマ大統領の演説について、「人類にとっても、私たち被爆国の国民にとっても、歴史的意義を持つものであり、心から歓迎する」と表明し、核兵器廃絶のための国際条約の締結を目指す国際交渉を開始するよう求めた同大統領への書簡を送りました。そして、5月の初めに米国政府から書簡に対する返書が届けられました。オバマ米大統領のプラハでの演説は、核兵器廃絶に向けた大きな言動であると思います。区長の認識を伺います。
 平和市長会議への加盟を改めて求めます。
 平和市長会議は、核兵器廃絶を掲げ、世界134カ国・地域の3,000近い自治体首長が加盟しています。3月には清瀬市が加盟し、お隣の新宿区が23区で初めて加盟したのに続いて、国分寺市も参加することを決めています。区長の決断を求めます。
 5番目に、新型インフルエンザ対策についてです。
 今回の新型インフルエンザは、「弱毒性で季節性インフルエンザと類似点が多い」と国は地域内での感染者の発生時も保育施設、学校などの休園・休校は自治体の裁量で判断すべきと決めました。当面、季節性インフルエンザと同様の対策が主となると見られますが、ウイルス変異やパンデミックの可能性も否定できません。区の検討状況をお聞きします。
 また、感染症のベッドは、この4年間で3,400床が減少となっています。都内の感染症指定医療機関は10病院92床しかなく、人口当たりでは全国平均よりはるかに少なくなっています。しかも、区西部医療圏では空白域となっています。区として感染症ベッドの確保に努めるべきではありませんか。伺います。
 保育施設などが休園したときの緊急時保育はどうなるのかも心配されています。板橋区が区立保育園数カ所で緊急時保育を実施することにし、保護者からの申し込みを受け付けました。豊島区、足立区、品川区、千代田区などでも実施を決めています。中野区では、医療に従事する保護者と子どもの緊急時保育をはじめとした対応を検討していると伺っていますが、具体的な検討状況をお聞かせください。
 5月に予定していた中学校2校の修学旅行が中止となりました。今回の措置は、教育委員会部局で検討を重ねての結果であると思っています。それでもやはり、3年生にしてみれば、中学校生活の最後の楽しい行事であり、3年間を通じても最も思い出深いのが修学旅行だと思います。台東区や板橋区では延期して実施することを決めました。中野区においても検討されているのであれば、お聞かせください。
 次に、保育園の待機児解消について伺います。
 景気の悪化が進む中、共働きをせざるを得ない家庭がふえ、認可保育所の待機児が急増し、大きな社会問題になっています。中野区の4月1日時点の保育園待機児は、旧定義で327人、新定義で190人もいます。中野区は10か年計画で、当初、今年度中に待機児をゼロにとの目標を示していました。あまりの見込み違いではありませんか。2005年度から認可保育園の定員は減少しています。今年度の定員数は3,144人です。4月の時点でこの待機児数ですから、今後深刻な状況になることは間違いありません。区は、これまでの議会答弁で「認可保育園の増設は考えていない」と述べましたが、今年度だけの問題ととらえているのでは困ります。また、保育需要を人口動態でしか見ていないことも誤りです。しかも、保育需要は、認証保育所の誘致や認可保育園での定員増、家庭福祉員の増員で解消できるとしか考えていないようです。今日の社会経済状況から、保育需要は今後もふえ続けることをきちんと見ることが必要です。また、保護者が求めているのは認可保育園であることも明らかです。区の考えでは、待機児の減少にはなっても解消は図れません。保育の実施責任は中野区にあります。どうされるおつもりか、伺います。
 東京都の福祉保健局は、6月1日に「安心こども基金」と「都独自の支援策による保育所等の緊急整備について」を出し、今年度の整備目標を1.5倍に引き上げるとしています。これらの支援策により、事業者と区の負担を軽減し、保育サービスの整備を図ることにしています。こうした支援策を積極的に活用すべきではありませんか。我が党議員団は、4月10日に区長に対し、「保育所待機児解消の対策を求める申し入れ」を行いました。その中でも触れたことですが、昨年度まで区立桃が丘保育園が使用していた桃丘小学校の空き教室は、そのまますぐにでも活用できるのではありませんか。また、区長と議長あてに旧高根保育園跡地、現在高根公園となっていますが、その跡地に認可保育園の設置を求める要望書が提出されています。検討するべきではありませんか。伺います。
 区は、定員の弾力化を口にします。しかし、子どもが安全に、安心して保育園生活を送る上で問題です。全国社会福祉協議会が先ごろ行った研究結果でも「現在の最低基準は、食事をとるところと寝るところの分離など、さまざまな課題がある。したがって、検討を行う場合は、少なくとも現行の最低基準以上のものとなる方向で行うことが重要である」としています。施設整備基準が制定以来60年を経過した今も改正されていないことがいかに保育の充実に背を向け、国際的に見てもおくれているかは明白であることを指摘しておきます。
 次に、「子どもの貧困」を克服することについて伺います。
 最初に、次世代育成支援行動計画についてです。
 国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩氏によれば、我が国の子どもの貧困率は1990年代から上昇し、2004年には14.7%に。7人に1人が貧困です。また、貧困は子どもに健康面でも、学習形成の面においても不利をもたらすという事実が指摘されています。さらに日本は、税と社会保障によって子どもの貧困を減らすのではなく、逆にふやしています。所得再分配が機能せず、OECD諸国で日本は唯一子どもの貧困率を上昇させている国です。低所得者層の税負担が重く、支給される給付が少な過ぎるからです。そして、子どもは大人以上に手厚く守られなければなりません。子どもは親を選べませんし、親の貧困や病気は子どものせいではありません。最も自己責任論が通用しない世界がここにあります。どんな環境に生まれようとも、すべての子どもに当たり前の医療や環境、教育を与えよう。この見地が大切です。改定中の次世代育成支援行動計画(後期計画)に「子どもの貧困」克服を重要な柱として位置付けることを求めます。お答えください。
 二つ目に、ひとり親家庭への支援について伺います。
 母子・父子家庭という配偶者のいない「ひとり親家庭」がふえています。生活保護を受けている母子家庭への母子加算が2005年度から段階的に減らされ、ことし4月に全廃されました。全国で対象の世帯数は10万500世帯。中野区では101世帯が対象となりました。かわりに支給するとしている「就労支援費」では、病気・障害や育児で働けない世帯には支援がありません。その世帯数は全国で約3万世帯。中野区では21世帯の方々が支援から外されています。最も生活が困難になる人に一番厳しい仕打ちです。母子加算は、「低所得母子世帯の水準と比べ、生活保護のほうが高い」との理由で廃止されましたが、貧困な状態にある母子世帯の底上げこそ必要です。子どもの貧困化、貧困の継承を断ち切ることが社会的課題となっているとき、廃止はそれに逆行します。国の補正予算の議論の中で、与党からも「母子加算をもとに戻すべきではないか」との声が上がりました。廃止撤回を求めることを要望します。
 父子家庭も緊急に支援する必要があります。児童扶養手当法では、父子家庭は収入にかかわらず、支給対象から除外されています。厚生労働省が見直しをやらない根拠にしていたのは、全国母子世帯等調査です。父子家庭の平均年収は421万円で、母子家庭の213万円を上回っています。ところが、年収300万円未満の父子家庭が37.2%も占めています。一部の世帯を除けば、父子家庭の支援も切実さは変わりありません。区内の父子家庭は264世帯です。父子家庭の経済状況が厳しくなっていることは、厚生労働省自身の調査からも明らかです。今年になって政府も国会で「取り扱うべき問題になってきた」と答弁しています。児童扶養手当法の改正をはじめ、新たな対策を拡充することが求められます。
 また、自治体独自の支給が広がっていることも重要です。23区内でも港区が昨年度から実施しました。中野区においても実施の検討を求めます。お答えください。
 3番目に、義務教育における私費負担の軽減についてです。
 義務教育における保護者の負担(私費負担)も、低所得の保護者にはつらいものです。本来、義務教育は無償の原則。義務教育に必要な費用は、教科書以外も基本的に無償にすべきものです。少なくともその負担を極力減らしていくことが要請されています。教材費や修学旅行費、給食費など、学校教育にかかわるこれらは受益者負担とされ、保護者の私費負担となっています。しかし、ほとんどは学校教育として集団的に行っているもので、個人の判断で取捨選択できるものではありません。経済状況が厳しいもとで、私費負担の軽減が必要ではありませんか。検討することを求めます。
 4番目に、高校生を持つ子育て世帯の負担軽減についてです。
 都立高校の授業料減免の生徒が急増し、1999年度は全日制の都立高校生のうち、減免を受けているのは4.5%だったのが、2006年度は13.3%と3倍近くに増加しています。「高校に入るために保護者が借金をせざるを得ない」、「経済的な問題で修学旅行に参加できない」、「学費を稼ぐために夜中までアルバイトをしている」、「学費を払えずにやめざるを得ない」状況も出ています。
 私立高校では、経済的な理由で中退した生徒の割合が2年連続で高い状態にあります。国民生活金融公庫総合研究所の教育負担の実態調査によると、学校に通うために必要な費用は、国公立高校が年間50万8,000円、私立高校が90万8,000円であり、低所得者ほど家計にとって重い負担となっています。
 高校教育は、日本社会において最低限度の教育になりつつあります。高校の準義務教育化、授業料の無料化の声が広がっています。学費を払えずに高校卒業・入学ができない若者を一人も出さない取り組みが必要です。
 そこで伺います。高校奨学金を無保証人・無利子・返済猶予つきにすることを東京都に求めてください。さらに、大きな困難を抱える生徒のための返済不要の「給付制奨学金制度」の創設も必要です。不安定雇用や低賃金が増加している現在、借りても将来の返済の展望が持てないため、受けたくても受けられない状況が広がっています。京都府や千葉市、川崎市、横浜市、大阪市、神戸市などでは既に実施しています。東京都でも実施することを要望してください。伺います。
 次に、地域センターの再編について伺います。
 4月の区民委員会に、地域センターの(仮称)区民活動センターと(仮称)地域事務所への再編方針(案)が示されました。再編方針(案)についてお聞きします。
 昨日まで、再編方針(案)について各地域センターで説明会が開かれました。再編方針については、地域活動の支援機能を住民みずからの意思と力によって運営・活用される15カ所の(仮称)区民活動センターを開設し、地域自治を推進していくとしています。4月に出された再編方針(案)では、(仮称)区民活動センターの業務運営を一括で運営委員会に委託するとしていた方針を変更し、施設の維持管理と集会室等の提供に関する業務は区が実施するとしました。しかし、その業務はシルバー人材センターなど民間の団体に委託するというものです。新たな再編方針(案)の大きな変更点は、転換した(仮称)区民活動センターの委託方法と、もう一つは、職員配置を示さなかったことです。ところが、区民説明会では、民間団体に委託する業務も運営委員会が受託してもよいとし、区とのパイプ役の職員を複数配置するとも言っています。
 そもそも10か年計画によって検討が始まって以来、何度となく方針が修正・変更され、そのたびに議会も町連も振り回されてきました。今回示された再編方針(案)は、3月までの検討を基本にしながら、運営委員会の選択肢を広げたとまで述べていますが、4月の区民委員会ではそのような説明をしていません。議会に報告のなかったことが地域説明会で示されるのはなぜですか、伺います。
 再編方針(案)は、これまで地域センターで総合的、一体的に行っていた業務運営をばらばらにしてしまうものです。区は、職員を引き上げてしまい、地域の実情を知らずにどうやって調整を図り、運営委員会を支えることができるのですか。地域自治の推進と言いながら、これでは自治の形骸化であり、公的責任の後退です。運営委員会がスタッフに再委託するようでは、一層区の責任は弱まらざるを得ません。こうした指摘もあってか、職員を配置するに至ったと推測できます。
 地域防災の面でも不安が残ります。地域防災は区の責任で行うとしていますが、地域のことや住民との交流がないのに、地域防災機能が発揮できるのでしょうか。依然として運営委員会の担い手となる町会・自治会の役員からは、区の責任のあいまいさが指摘されています。「区の下請けか」といった声もあります。地域自治は、住民と職員の協働でこそ発展させることができます。見解を伺います。
 行政サービスの提供、窓口サービス機能の再編として、5カ所の(仮称)地域事務所を開設するとし、住民票や印鑑証明、税証明などの自動交付機による発行や、住民税、国民健康保険料のコンビニ等の活用による納付など、より身近な地域できめ細かく行政サービスを提供すると言います。また区は、「区民にできるだけ不便をかけないようにしたい」と説明し、「区民サービスは拡充されこそ後退ではない」とまで言っていました。しかし、地域センターは単なる申請や発行、支払い、行政サービスの受け付けや案内を行う窓口ではありません。地域住民の意見や苦情、提案などを受けとめる場でもあるわけです。しかも、一方通行ではなく、住民と職員による双方向により、暮らしと自治を支えてきたと言えます。まさしく地域自治の拠点として存在しているのです。そうした地域における身近な窓口が減ることになります。
 また、自動交付機の使用にとまどう高齢者や、コンビニ等での納付を避ける区民もいるでしょう。集約された(仮称)地域事務所と、それ以外の地域で受けられる行政サービスの内容に格差が生じてはなりません。また、個人情報の保護、交通不便地域からの移動、高齢化による生活圏域のありようにも影響します。説明を受けた区民から「結局職員を減らすための計画だ」との声が出ているように、再編方針(案)は住民生活に寄り添ったとは言い難いものです。示された再編方針(案)は再考すべきです。お答えください。
 次に、ゆきとどいた教育の実現について伺います。
 初めに、新たな中野の教育に向けた検討についてです。
 行政報告で「今後の教育のあり方」として教育について述べられています。いじめ、校内暴力、学力のゆがみなど、日本の教育は大きな問題を抱えています。この間、政府、文部科学省は詰め込みと系統性のない学習を実態とする「ゆとり教育」や数値目標化など、道理のない教育改革を押しつけ、子どもの成長・発達を阻害するような「競争と管理」の政策を強めてきました。その結果、今、子どもたちや学校現場がどういった状況なのか。競争に追い立てられ、一人ひとりが大事にされていません。学習指導要領と競争とえり分けの教育政策が意図的に学力格差を拡大し、それが低学力の子どもを急増させています。行政報告を伺っていると、そうした問題には触れず、一層極度の競争をあおるようにも聞こえます。競争と詰め込みでは、本当の学力は生まれません。既に国連・子どもの権利委員会から日本政府に、日本の教育制度に対して、あまりにも競争的なため、適切な措置をとるよう勧告されていたではありませんか。どの子も伸びる、どの子もわかる教育を進める、そのために政治・行政の責任で行うことは、教育条件の整備ではありませんか。そうした姿勢はないのですか。伺います。
 新たな中野の教育に向けた検討では、「検討会議」を設置するとしています。ここでは、区民公募は考えていないようですが、区民参加を保障するためにも行うべきではなかったでしょうか。意見交換会やパブリックコメントだけが区民参加であるかのような姿勢ですが、それは違います。自治基本条例について、あまりにも狭く解釈しています。目的に照らして適正に運用すべきです。また、教育行政参加条例の遵守も欠かせません。実質的な区民参加と子どもや現場の声をきちんと受けとめる姿勢が必要ではないでしょうか。そうでなければ、課題の整理と解決と言いながら、問題と矛盾を広げ、望まれる学校教育に縁遠いものになると危惧します。見解を伺います。
 二つ目に、少人数学級の実現についてです。
 東京都以外のすべての道府県で公立小学校の少人数学級が実施されて3年が経過しています。多くの都民、区民が、どの子も大切にする教育をと願っています。東京都も中野区も、児童・生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定の規模が必要であるとの考えを示し、基礎学力の向上に配慮し、指導を行っていくためには、教科の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効との見解を示しています。
 しかし、全国では少人数学級が評価されてどんどん広がっている。今や40人学級が妥当などと言っているのは東京都だけです。日本共産党東京都議団がことし行った調査で、少人数学級について各県で共通しているのは、生活面でも学習面でも効果があると分析していることがわかりました。例えば、山形県や大阪府では、欠席日数が減ってきたことが報告されています。大阪府では、小学校1年生の1学期、実施前の2003年度と比べると、延べ欠席数は1万人減少しました。きめ細かな対応をすることができて、子どもたちの安心感が増して、休まずに元気に学校に通うことができたということです。学習面でも、全体の8割の学校で到達率が上昇しました。また、兵庫県では、少人数学級により活気が乏しくなったり、競争心が弱くなる傾向が見られるかといったアンケートを行っています。「いわゆる切磋琢磨が弱くなるか」という質問に「そう思わない」が8割、「どちらかといえば思わない」を合わせれば97%です。「子ども同士の幅広い仲間づくりが難しいか」の質問には、「そう思わない」「どちらかといえば思わない」を合わせて98%です。さきの言い分は、全国の実践によって否定されました。東京都だけが取り残された少人数学級です。実現を東京都に要望すべきではありませんか。伺います。
 中野区独自の取り組みを進めることも必要です。足立区では、今年度から小学1年生を対象に、35人を超える場合、学年に対して副担任を導入しました。副担任は、35人以上の学級が生じた場合は1名を配置、3学級以上生じた場合は2名配置され、担任とともに学習指導、生活指導、給食指導も行い、校外学習にも同行します。この結果、学習において全教科で少人数指導も可能となり、少人数学級に近い効果を生むとされています。新たな中野の教育に向けた検討を行うのであれば、きちんと検討事項で取り上げて、早急に検討を開始すべきです。伺います。
 次に、西武新宿線連続立体交差化事業について伺います。
 昨年の第1回定例会で質問しましたが、改めて伺います。
 新規着工準備区間となった中井駅から野方駅間については、現在、東京都において構造形式や施工方法の検討が行われていると聞いています。西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟の目的は地下化であり、区民はそれを望んでいます。東京都に求めるべきとの質問に区は、「地下化が望ましいと考えている」と述べ、今年度に「都の調査・検討の中で方向性が決まっていく」とのお答えでした。この機を逃さず、東京都に中野区と区民の意志をきちんと伝えるべきではありませんか。伺います。
 5月25日に「野方のまちの未来を描こう会」全体会が野方地域センターにて開かれ、参加をさせていただきました。そこで、西武新宿線沿線まちづくり計画のもとになる議論が行われていました。それぞれ4カ所で行ってきたまちづくり勉強会での意見がまちづくり計画に生かされることが望まれていますし、当然それにとどまらず、今後より多くの住民の意見を聞くことになると思います。進め方としては、専ら行政側の課題の提起や解決のあり方の議論に終始せず、住民が意見を出しやすくする工夫と、何よりも住民合意を大事にすることが欠かせません。それだけに、多くの住民参加を促し、意見交換の場も繰り返し行っていくことが必要と考えます。見解を伺います。
 以上で、私のすべての質問は終わります。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えをいたします。
 経済雇用対策についての御質問であります。一層の雇用創出を図るべきではないのかという御質問でありました。
 区では、この間、緊急経済・雇用対策事業として、公共事業の前倒しなどによりまして地域の経済対策と雇用創出のための積極的な取り組みをしてきたところであります。これによる経済波及効果や雇用創出の効果について、一定の期待が持てると考えているところであります。今回、政府が打ち出しております第2弾の緊急経済対策についても、前回同様着実に実施をするための準備を進めていきたいと考えているところです。
 また、行政報告の中で、国民の給付と負担の議論を進めるべきだという内容につきましての御質問がありました。
 企業と国民とを何か分けて議論されているようでありましたけれども、企業の収入というものも国民が働いて稼ぎ出しているものであります。企業の負担も国民の負担の一部ということで、当然、企業の負担も今後負担と給付の議論をしていく中では一緒に考えていくべきだと考えております。企業の負担がふえれば、従業員に対する分配が減るという影響もあるかもわかりませんし、また、新たな投資の意欲を削ぐといったようなこともあるかもわかりません。さまざまな要素を勘案しながら負担と給付の関係、また経済の持続性、成長性といったようなことを考えていく必要があると、このように認識をしております。
 24時間の小児救急医療についての御質問がありました。
 中野区では、小児初期救急医療として、午後7時から10時まで医師会の協力のもと、中野総合病院で小児初期救急医療を実施しています。区西部保健医療圏、新宿区、中野区、杉並区ですけれども、この小児二次救急施設として、ことしの4月からこれまでの4病院、東京女子医大病院、東京医科大学病院、慶応大学病院、国立国際医療センターに加えて、隣接している杉並区の河北総合病院が指定され、従来にも増して充実した小児救急医療体制が整備されたところであります。子どもの夜間の病気に救急受診が必要な状態かどうかについては、保護者への啓発が必要であると考えておりまして、新生児訪問の際に、子どもの病気に関する冊子や区内医療機関の案内などを配付して24時間の電話相談を紹介するなど、適切な受診をしていただけるよう努めているところであります。
 保険証の一斉更新に関連しての御質問でありました。
 9月の保険証一斉更新に当たっては、資格証明書を発行しないことを求めるということでありました。資格証明書を発行している世帯の中学生以下の子どもに対しましては、本年3月に短期証を送付いたしました。資格証明書を発行する場合は、医療費の一時払いが困難であるときは相談するように周知をし、必要な場合は短期証の発行という対応をしていくわけであります。保険料の滞納の解消を図るためには、短期証や資格証明書を活用していくということであります。
 それから、滞納者に対して資格証明書を発行するに当たり、申し込みがあれば短期証を発行するべきだという御質問がありました。
 保険証の即時交付でなくても、分割納付の約束とその履行の確認、これができれば短期証での対応を行っているところであります。
 長寿健診の自己負担の無料化についての御質問もありました。
 長寿健診の自己負担につきましては、社会全体でこの制度を支える、負担の公平を図るという意味からも、一定の負担をお願いしているところであります。金額についても妥当なものと考えており、無料にする考えはありません。
 それから、後期高齢者の医療制度に関連して、高齢者医療の無料化や軽減に取り組む必要があるのではないかという御質問であります。
 後期高齢者医療制度創設の基本的な考え方の一つは、高齢者世代と現役世代がそれぞれ負担するという制度にするというものであります。医療費の負担については、法によって高齢者の所得に応じた負担割合等が定められているところです。高齢者にも応分の負担をしてもらうということが法の基本理念でありまして、東京都が無料化を行うという判断は妥当ではないと、このように考えております。
 警察大学校跡地の公園についての御質問もありました。
 公園を含めて、警察大学校等跡地の中心部に整備されるオープンスペースは、駅至近に生み出される3ヘクタールを超える空間であります。建物やその外部空間と一体となった魅力やにぎわいをつくり出すことによって、利用者を引きつける快適な空間としていきたいと考えております。建物の高さ等、現在事業者から示されている基本計画は、地区計画による高さ規制やまちづくりガイドライン等のルールに沿ったものでありまして、新たな規制を行うという考えはありません。
 それから、中野駅周辺のまちづくりなどの見直しについて、立ちどまって検討し直すべきではないかという御質問でありました。
 サンプラザ地区を含めて、中野駅周辺一体のまちづくりは、警察大学校等跡地のまちづくりを契機として新たなにぎわいをつくり出していくこと、また、その経済活動を区内全域に波及させ、中野の地域経済とまちの活性化を牽引していくことを目的としているものであります。かなり長期間に及ぶものでもありますが、中野区の将来の活性化、そしてそのことによって支えられる区民の暮らしや教育、福祉など、これからの中野区を築いていく上で大切なことであると、このように考えております。経済状況なども見きわめながら、また、都や国の特定財源の確保にも努め、まちづくりの時機を逸することがないように、長期にわたる大規模な事業を着実に進めていきたいと考えております。
 オバマアメリカ大統領がプラハで行った演説の中で述べられたことについての認識を問いたいという御質問でありました。
 今回のオバマ大統領の演説について感じるところもありますけれども、一国の指導者のこの発言の背景にはさまざまな要素があり、政治的に多様な意図が総合されたものと考えております。自治体の首長が賛意や反対を述べるような立場にあるとは考えておりません。
 それから、平和市長会議への加盟についてという御質問であります。
 これまでにも申し上げてきたとおり、平和市長会議については、参加して行動するに際して、数多くの海外自治体の意思をどのように確認するのか。また、区の発言がその決定過程でどのように取り扱われるのかなど、区民の総意としての意思を託すには不明な点が多く、加盟することは考えておりません。
 それから、新型インフルエンザ対策に関連しての御質問がありました。
 新型インフルエンザ、今回のものは弱毒性で季節性のものと類似点が多いとされているということで、地域の実情に応じて柔軟に対応していくというふうになっているところですが、ウイルス変異の可能性やパンデミックの可能性も残る。そうした中で、どのような対策を検討しているのかという御質問でありました。
 区民の健康を守るという視点から、迅速な対応によって新型インフルエンザの感染拡大を防ぐことが対策の基本であります。海外におきます新型インフルエンザ発生状況を受けて、区は、4月27日に健康危機管理対策本部を立ち上げ、状況に応じて適正に対応してきたものであります。区としての対策は、区民に対する適切な情報提供や区内での感染拡大を防ぐための発熱相談と検査体制との連携、マスク等の備蓄の確保、感染拡大防止のための民間施設を含めた学校や保育園等の運営方針などについて対応してきているところです。今後も推移を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えているところです。
 感染症病床の確保についての御質問もありました。
 感染症病床に関しては、都内全域を対象に東京都が整備する位置付けとなっているところです。新型インフルエンザ対応としては、都内の感染症指定医療機関がまず対応し、さらに不足する場合を想定し、入院を受け入れる協力医療機関を東京都が調整して確保を進めております。区としては、区内医療機関の実情を踏まえて東京都と連携し、区内医療機関に対して協力を求めてまいります。
 それから、新型インフルエンザの対策と保育園での緊急時対応についての御質問がありました。中野区でも必要とする世帯が多いので、対応を検討するべきだという御質問であります。
 新型インフルエンザの感染拡大防止のために保育施設の臨時休業を行うことからすれば、緊急時の保育については、限定的にかつ感染防止に十分留意して対応する必要があります。医療関係業務に従事する保護者等で、どうしても保育サービスの利用が必要となる場合に限り、各保育園で少人数の保育を実施するという基本的な方針を健康危機管理対策本部会議で確認をしているところであります。
 それから、保育園の待機児解消についての御質問がありました。認可保育園の増設による待機児解消対策をという趣旨であります。
 待機児解消対策は、区立保育園の民営化による認可保育園の定員増や認証保育所の開設誘致、家庭福祉員の増員など、さまざまな対策を組み合わせて行ってきております。今後も総合的に対策を進めてまいります。
 東中野保育園跡地施設を活用した私立保育園の分園の開設、南台2丁目への認証保育所の開設、それから保育室の認証保育所への移行、新井保育園跡への私立保育園の開園、区立やよい幼稚園跡の認定子ども園に認可保育園としての受け入れがある。こうしたことなどから、来年4月には待機児童数の大幅な解消が図れるものと考えております。
 それから、教育のあり方についての御質問もありました。私のほうからは、行政報告の中での私の述べたことについての御質問についてお答えをさせていただきます。
 今、教育現場で子どもたちが競争に追い立てられているといったような御認識だったようですが、私はそのような認識は持っておりません。子どもたちが将来たくましく生きていくためにも、確かな学力と健康な体、豊かな心を身につけることは重要であります。学力という面では、基礎をだれもが着実に身につけるということが必要です。そのためのきめ細やかな配慮を行っているところであります。さらに、学びをより自主的、積極的なものにするためには、適切な競争性ということも教育効果を高める上で重要であります。ゆとり教育と言われる状況の中で、日本の子どもの学力が総体的に低下したと言われることについては、学習内容の構成の問題もあると思いますし、よい意味での競争すら封じるかのような現場の風潮があったように思うと私は考えているところであります。
 私からは以上です。そのほか、それぞれ担当からお答えをいたします。
     〔教育長菅野泰一登壇〕
○教育長(菅野泰一) 新型インフルエンザ対策につきましての中で、修学旅行についての質問にお答えいたします。
 5月下旬に実施予定でございました二つの中学校につきましては、新型インフルエンザの感染拡大に伴い、修学旅行を中止したところでございます。最近では、臨時休校となっておりました近畿地方の学校も再開されるなど、発生状況も収まりつつあることから、6月以降の修学旅行につきましては実施する方向であります。
 また、修学旅行を中止した2校につきましても、改めて実施する方向で検討しているところでございます。
 それから、子どもの貧困を克服することについてという項の中の義務教育におけます私費負担の軽減についてお答えいたします。
 教材費や給食費など、児童・生徒に直接還元される性質の経費は保護者負担となっておりますけれども、経済的に厳しい状況の御家庭には就学援助、就学奨励など、その個別事業に基づきまして必要な対応を図っているところでございます。区といたしましては、所得状況にかかわらず、一律に私費負担を軽減するというようなことは考えておりません。
 それから、ゆきとどいた教育の実現についてという項の中で、検討会議への区民公募ということをしないのかということでございます。
 (仮称)新たな中野の教育に向けた検討会議は、教育をめぐる諸課題のうち、学力向上の取り組みの推進、それから中野区における連携教育、学校と地域の連携、特別支援教育の充実等、早期に検討が必要な課題について検討を行うために設置するものでございまして、学識経験者、学校、PTA、青少年育成団体など関係者に委嘱し、設置するものでございます。この検討会議におきまして学校や子どもの状況などを踏まえた検討が行っていただけると考えておりますけれども、その検討の過程では、区民からの意見を聞く機会を設けていきたいと考えております。
 それから、少人数学級につきまして都への要望をしたらどうか。それから、先ほどの検討会議への議題にしたらどうかという御質問がございました。
 教科によりましては、一定規模の学習集団が効果的なものもございまして、少人数学級よりも少人数指導の充実に区としては取り組むことは重要であるというふうに考えております。したがいまして、中野区として東京都に少人数学級の実現を要望する考えはありません。同様に(仮称)新たな中野の教育検討会議の検討事項としても考えておりません。
   〔子ども家庭部長竹内沖司登壇〕
○子ども家庭部長(竹内沖司) 私からは、子どもの貧困を克服することについてのうち、幾つかの御質問にお答えをいたします。
 まず、次世代育成支援行動計画の中で位置付けることについてでございますけれども、区ではこれまで、ゼロ歳から中学生までのお子さんを対象とした乳幼児医療費や子ども医療費の自己負担分助成による無料化や適切な義務教育環境の整備などに努めてきたところであり、次世代育成支援行動計画に策定に当たっても、これまでの取り組み姿勢は変わらないところでございます。
 次に、父子家庭を児童扶養手当の支給対象とすることについてでございますけれども、父子家庭への支援として、現在区では、都制度である児童育成手当の支給、ひとり親家庭等医療費助成などの医療費助成、ひとり親家庭対象のショートステイ事業、それからホームヘルプサービスなどを実施しているところでございます。父子家庭に対するこれらさまざまな取り組みや、そこでの父子家庭の実態などから勘案して、直ちに独自に手当を支給する考えはございません。
 次に、高校生の奨学金についてのお尋ねでございます。
 高校生を持つ子育て世帯が経済的に厳しい状況に置かれる場合もあることは認識しております。しかし、都が実施している東京都育英資金貸付事業などで対応しており、返還不要な奨学金制度などについて要望することは考えてございません。
    〔保健福祉部長金野晃登壇〕
○保健福祉部長(金野晃) 子どもの貧困を克服することについての質問のうち、母子加算の撤回の要望についてお答えいたします。
 生活保護における母子加算の廃止は、母子世帯の消費支出の状況や生活保護を受ける世帯と一般世帯との所得の均衡について検証を行った結果、母子世帯という世帯累計に着目した加算は必ずしも必要ないものと判断され、就労支援策を講じつつ、廃止の見直しがなされたものでございます。区から国に対して撤回を求める考えは持っておりません。
   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕
○区民生活部長(鈴木由美子) 私のほうから、地域センターの再編についての幾つかの御質問にお答えさせていただきます。
 まず、今回の再編方針(案)について意見交換会での区の説明についてというお尋ねでございます。
 今回の地域センターの(仮称)区民活動センターと(仮称)地域事務所への再編方針(案)の考え方は、基本的にはこれまで議会への御説明させていただいたものと変わるものではございません。ただ、行政報告の中でも触れさせていただきましたが、地域の実情に応じて運営委員会が運営の方法を選択できる、そのように運営の方法の幅を広げたものでございます。このことについて今回、議会をはじめ運営委員会の世話人会、また、区民との意見交換会でも御説明をさせていただいているところです。
 パイプ役職員の配置について示さなかったということでございますが、区の支援体制の図のところでは、さまざまな運営委員会による運営が円滑に行われるまで配置する考えであるということをお伝えしているところでございます。地域によって、初めて区民の方がこの案について知るわけになったわけでございますので、いろいろな質疑をいただきました。その中で、いろいろお答えする中での回答ということで、そのお答えするスタンスは、これまで説明してきたものと変わっているものではないというふうに考えてございます。
 2番目に、(仮称)区民活動センターの運営の考え方についてでございますけれども、区は、今申し上げたとおり、運営委員会の運営が円滑に行われるようになるまで(仮称)区民活動センターには地域と行政のパイプ役としての職員を配置する。それと同時に、本庁に地域担当副参事、また、担当の職員を配置して日常的に地域の実情を把握して情報交換を行い、また、必要な支援が密に行えるような体制を整える考えでございます。
 また、災害時、地域防災体制の拠点、それから地域本部の開設などについては、これまでどおり職員が責任を持って行う体制をしっかり整えてまいりたいと考えております。
 もう1点、再編の中での(仮称)地域事務所も含めた再編方針(案)の再考をすべきだというふうな御質問でございました。
 今回、この(仮称)地域事務所など行政サービスの再編強化案、これについてもこれまで地域センターで行っている行政サービスの取り扱い量とか、それから提供の方法、こういったものを精査、工夫することで区民の皆さんの利便性を高めていきたい。これをねらいとしているものでございます。具体的には、時間延長でありますとか、土曜、日曜、こういったときも利用できるように、諸証明の発行については自動交付機を設置し、また、住民税についてはコンビニエンスストアなどを活用して、いつでもより身近なところで収納できるようにする、そのように考えているものでございます。あわせて、地域自治を発展させるためには、地域住民の組織した運営委員会が主体となって地域の実情に沿った運営を柔軟に行うことが必要不可欠と考えておりますので、地域センターの(仮称)区民活動センターと、それから(仮称)地域事務所への転換、これについての考えを変更することは考えておりません。
  〔まちづくり推進室長川崎亨登壇〕
○まちづくり推進室長(川崎亨) 西武新宿線連続立体交差事業に関する御質問にお答えをいたします。
 初めに、区の意思を東京都に伝えるべきとの御質問でございました。中野区といたしましては、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟における要望活動をはじめ、さまざまな場所で東京都に限らず、国に対しても連続立体交差事業の早期実現と地下化についての働きかけを行っているところでございます。昨年、第1回定例会後の4月18日にも期成同盟の大会を開き、都や国に対し要望を行ったところでございます。今後とも東京都や国に対し、必要な働きかけを行っていく考えでございます。
 次に、住民参加についてでございます。
 西武新宿線沿線のまちづくりにつきましては、地域の住民の皆様を中心としたまちづくり勉強会などで実りある議論が重ねられてきているところでございます。こうした成果を踏まえて、区として西武新宿線沿線まちづくり計画の素案をこのほど取りまとめており、今定例会の委員会で報告する予定でございます。これまでのまちづくりの議論を幅広く多くの皆様に共有をしていただき、区民全体の総意となる計画を策定していくことが重要であると考えております。計画素案につきまして、多くの皆さんの御意見を伺うため意見交換会を行い、計画策定に反映していくことを予定しているところでございます。
○議長(伊藤正信) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。
 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、明日午後1時より、中野区議会本会議場にて開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後4時10分延会