平成21年12月02日中野区議会本会議(第4回定例会)
平成21年12月02日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録
平成21年第4回定例会本会議第2日(12月2日)

.平成21年(2009年)12月2日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  内  川  和  久        2番  ひぐち   和  正

  3番  白  井  秀  史        4番  平  山  英  明

  5番  つぼい   え  み        6番  いながき  じゅん子

  7番  林     まさみ         8番  山  口  かおり

  9番  せきと      進       10番  いでい   良  輔

 11番  伊  東  しんじ        12番  佐  野  れいじ

 13番  北  原  ともあき       14番  南     かつひこ

 15番  小  林  秀  明       16番  の  づ  恵  子

 17番  奥  田  けんじ        18番  近  藤  さえ子

 19番  牛  崎  のり子        20番     欠  員

 21番  吉  原     宏       22番  大  内  しんご

 23番  きたごう  秀  文       24番  伊  藤  正  信

 25番  久  保  り  か       26番  やながわ  妙  子

 27番  酒  井  たくや        28番  佐  伯  利  昭

 29番  むとう   有  子       30番  長  沢  和  彦

 31番  か  せ  次  郎       32番  山  崎  芳  夫

 33番  市  川  みのる        34番  斉  藤  金  造

 35番  篠     国  昭       36番  岡  本  いさお

 37番  飯  島  謹  一       38番  江  口  済三郎

 39番     欠  員          40番  佐  藤  ひろこ

 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副区長(経営室) 石 神 正 義

 副区長(管理会計室) 沼 口 昌 弘    副区長(政策室) 西 岡 誠 治

 教  育  長  菅 野 泰 一       区民生活部長   鈴 木 由美子

 子ども家庭部長  竹 内 沖 司      保健福祉部長   金 野   晃

 保 健 所 長  田 原 なるみ      都市整備部長   石 井 正 行

 まちづくり推進室長 川 崎   亨     教育委員会事務局次長 田 辺 裕 子

 政策室副参事(企画調整担当) 田 中 政 之 経営室参事(経営担当) 長 田 久 雄

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    奈 良 浩 二

 議事調査担当係長 大 谷 良 二      書     記  長 﨑 武 史

 書     記  荒 井   勉      書     記  河 村 孝 雄

 書     記  菅 野 多身子      書     記  丸 尾 明 美

 書     記  土 屋 佳代子      書     記  鳥 居   誠

 書     記  杉 本 兼太郎      書     記  鈴 木   均

 書     記  岡 田 浩 二      書     記  竹 内 賢 三

 

 議事日程(平成21年(2009年)12月2日午後1時開議)

日程第1 第79号議案 中野区基本構想の改定について

 

      午後1時00分開議

○議長(伊藤正信) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 岡 本 いさお

 1 中野区の広告事業の推進について

 2 ヒブワクチン任意接種費用の一部助成について

 3 国のエコポイントの共通商品券交換について

 4 その他

  (1)勤勉手当と職員の職務意欲向上について

  (2)その他

 

○議長(伊藤正信) 最初に、岡本いさお議員。

〔岡本いさお議員登壇〕

○36番(岡本いさお) 平成21年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問を行います。

 質問は、1、中野区の広告事業の推進について、2、ヒブワクチン任意接種費用の一部助成について、3、国のエコポイントの共通商品券交換について、その他として1点目、勤勉手当と職員の職務意欲向上について、2点目、自転車駐車場の利用率向上についてを通告順に質問いたします。

 初めに、中野区の広告事業の推進について伺います。

 中野区は今年度から3年間程度は厳しく、歳入が減少する見通しが強くなっています。中野区の財政運営がこれまでになく厳しくなることは目に見えています。今こそ財政の基本「入るをはかって出ずるを制す」の原点に立って財政運営に取り組まなければならないと思います。そこで、入るをはかる歳入の確保策としての広告事業の推進について質問をします。

 これまでも区の広告事業について同僚議員から議会でたびたび質問がありました。私は、今から3年前の平成18年第3回定例会決算総括質疑で行政の広告事業について質疑しました。区長は、各種の媒体などを活用した広告の掲載について、区の事業を阻害することがない限り、区内の産業振興あるいは区民への情報提供といった観点などからも広告掲載は積極的に進めていくべきだと、実に前向きなお考えが示されました。

 その際私は、特に横浜市のさまざまな多岐にわたる取り組みの実例を紹介しました。また、横浜市には、市長の発案から生まれた事業で、職員みずから提案したものを企画から事業化まで責任を持って推進するアントレプレナーシップ事業があります。広告事業がこの提案制度から生まれたこともあり、財源課に広告事業推進担当を新設し、広告の窓口が一本化され、業務を集約し手続を簡略化されるなど、市を挙げて取り組まれていることなども紹介し、中野区の今後の取り組みについてお考えを伺いました。当時の担当課長は、自治体の規模や担当業務の違いがあるが、横浜市で行っている広告事業が中野区でも採用できないか研究していると答弁されました。

 そこで伺います。その後の研究、検討はどのようにされてきたのでしょうか、伺います。

 中野区でも本年度に入って広告事業の取り組みが進んできていると思います。中野区広告掲載基本方針や2009年度広告掲載推進戦略が示されました。しかし、これまでの広告事業の取り組みはどちらかというと仕組みや方針づくりが主体で、具体的な収入を増やす取り組みはこれからで、やっと広告事業が緒についた段階ではないかと思います。

 そこで、次の3点の提案に対する区のお考えを伺います。

 まず1点目は、全庁的に広告掲載を推進する(仮称)広告掲載推進戦略会議設置の提案です。広報分野だけの推進体制ではなく、全庁的に推進戦略会議などを設置し、収入目標を設定し、その実現に向けて定期的に戦略会議を開き、区民及び職員からの提案も含めた広告掲載の検討を行って、積極的に広告事業の推進を図っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 さらに、事業部ごとの成果目標と広告収入の一部を事業部に還元する仕組みをつくって、成果が目に見え、広告事業が職員の励みになるような取り組みを検討してはいかがでしょうか、伺います。

 2点目は、広告掲載の要綱の整備と具体的な広告媒体の提案です。これまでの中野区の広告掲載の要綱は、平成2年の刊行物等に係る広告の要綱、平成6年のホームページ広告の要綱、さらに平成7年の区立図書館における広告掲載物品寄贈受け入れに関する要綱があります。中野区は区有財産や命名権も広告掲載の基本方針に入れているわけですから、これらの要綱も含めてすべての媒体を対象にした総括的な要綱を早急に策定すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 また、3年前の質問で紹介した横浜市での取り組みを参考にして、区主催や後援するセミナーやコンサート、映画などのプログラムへの広告、区役所や地域センターなどの建物に企業、会社の宣伝広告、玄関マット、区有車、交換便封筒裏、給料明細書や図書館貸出票の裏面への広告などを区として積極的に導入されてはいかがでしょうか。

 また、私は、野球場、テニスコートや公園、庁舎駐車場のフェンス、自転車駐車場、弓道場など、庁内や区有施設内に掲示板を設置しての広告掲載、ZEROホール、芸能小劇場、さらに、今後建設される中央部防災公園、南部防災公園、本町二丁目・五丁目公園などにも広告掲載を積極的に実施すべきだと思いますが、区のお考えを伺います。

 3点目は、広告にその収入の目的を表示する提案です。掲載された広告の一部に、例えば「この広告収入は子どもの医療費に使われます」とか「高齢者の前立腺検診費用に使われます」とか「学校の教育環境の整備に使われます」など、収入の目的を区民の目に触れるように表示することです。

 行政の広告にかかわらず、広告一つとるにも、足で稼いで現場に出向いて理解と協力が得られなければ、簡単に進展するものではありません。理解を深める手だてとして、広告収入の目的を明らかにすることによって、企業側の理解が得られるとともに、区民にも中野区の広告に対する理解が深まると思いますが、区のお考えを伺います。

 この項の最後に、広告収入の目標について伺います。

 広告掲載推進戦略には、平成24年度まで毎年の広告収入目標値が設定されています。しかし、区長の積極的な姿勢、横浜市での例を参考にして検討していることや、広告推進戦略も立て、基本方針も策定したことを踏まえれば、正直言って目標値があまりにも低過ぎるのではないかと思います。

 平成24年度に命名権による収入が突如8,000万円増加することを除けば、21年度から24年度まで広告収入の目標は毎年微増しているものの、2,200万円から2,400万円とほとんど横並びと言ってよいと思います。新規に広告収入をふやす取り組みがこの目標値にはほとんどありませんし、推進戦略の取り組みが反映されているとは言いがたいと思います。

 私は、命名権による収入を除いて、24年度までには年間5,000万円の広告収入を目標にするくらいの計画を立てて積極的に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか、お考えを伺って、この項の質問を終わります。

 次に、ヒブワクチン任意接種費用の一部助成について伺います。

 これまで公明党議員団は、乳幼児の命を守る細菌性髄膜炎予防のヒブワクチン接種費用の助成について積極的に要望してまいりました。

 私は本年第1回定例会の一般質問で、やながわ議員は第3回定例会の決算総括質疑で質問しました。これまでの質問に対して中野区は、昨年12月に日本で発売され、接種が可能となったが、国内の治験例が少ないため、副反応や接種効果、費用対効果について調査が必要だとし、国の検討を見守るとしています。また現在、ワクチンの供給が十分でないこと、希望者全員に接種できる体制になっていないこと、他の自治体の実績などを見守るなどの考えを示し、現在のところ検討課題としたいとの御答弁でした。

 ヒブワクチンの周知については、区内の小児科の医療機関などからヒブワクチンに関する小冊子が配布されるなどして、周知が十分に図られてきていると思います。したがって、乳幼児を抱える親御さんはヒブワクチン接種に関心が高まってきています。

 先日、渋谷区のヒブワクチン任意接種費用一部助成制度の取り組みについて視察してきました。本年4月から区の独自事業として開始し、生後2カ月から4歳までの乳幼児を対象として、ヒブワクチン任意接種費用1回当たり3,500円を助成しています。渋谷区は新生児が毎年約1,500人誕生しています。対象者の2割の受診率を想定して、1,700回分を助成する予算として595万円を計上しました。

 4月から9月までの半年間で実績は1,500回。これは21年度の予算の約9割に及び、このままの推移でいくと年間3,000回の接種となり、受診率は当初の2割を大きく上回り、4割近くになる見込みです。このことからして、中野区が心配されている希望者全員に接種できる体制になっていないとのお考えは当たらないと思います。

 渋谷区内のヒブワクチン一部助成指定医療機関は69カ所あり、ヒブワクチンのお知らせチラシやホームページ等でも知ることができます。

 ワクチンの接種を行うには医療機関に予約が必要です。それはヒブワクチンの流通量に限りがあり、予約後に医療機関が発注する仕組みになっているからです。予約後、接種予定日に乳幼児医療証と母子健康手帳を持参し、医療機関での接種票に記入して接種を受けるようになっています。

 ことしの第3回定例会の決算総括質疑で、中野区で実施する場合の年間の概算予算も示されましたが、改めて渋谷区の受診率4割を参考にすると、概算予算は幾らになるのでしょうか、伺います。

 また、東京都の包括補助制度が活用できるとしていますので、活用した場合は区の予算は幾らになるのでしょうか、伺います。

 既に11月現在、23区内でヒブワクチンの任意接種費用の一部助成を実施しているのが荒川区、北区、杉並区、渋谷区、中央区、品川区の6区です。助成額は区によって若干の差はありますが、おおむね1回当たり3,000円から4,000円です。今後さらに実施する区がふえるのは時代の流れだと思います。

 中野区として来年度実施に向けて積極的に検討を行うべきと考えますが、区長のお考えを伺って、この項の質問を終わります。

 次に、国のエコポイント共通商品券交換について伺います。

 定額給付金の支給に合わせてことしの4月から発売された中野区商店街連合会のプレミアムつき商品券は大変好評でした。区商連から、その商品券の回収率は98%に及び、また、景気を刺激する効果もあったと報告されています。

 現在行われている省エネルギー家電購入による国のエコポイント制度は、公明党が提案して実現した事業です。政権がかわってもエコポイント制度の一部は来年度も継続する方向が示されています。

 中野区の10か年計画には新たなポイント制度が計画されていますが、国のエコポイントを区内の共通商品券に交換する事業について質問をします。

 最近、国のエコポイントをそれぞれの地域で実施している共通商品券に交換して活用する取り組みがふえてきています。地元の商店街の活性化と景気の下支えになるとして大きな注目を集めております。エコポイントを商品券と交換する仕組みは簡単で、エコポイント事務局に申請すれば、登録されている商品券等に交換できるとしています。

 23区でも、ことしの7月から品川区、港区、世田谷区、杉並区の4区が交換を始め、9月からは大田区、板橋区、練馬区、北区、目黒区の5区が加わり、既に9区が取り組みを開始しています。多くの地域で大変好評であるとの報道がされています。

 国のエコポイントを区内商品券と交換できれば、身近で使え、商品も個人の選択ができるとともに、商店街の活性化、経済効果が期待されます。この取り組みは消費拡大にも期待され、大変に有効です。

 国のエコポイントを地域型商品券等に交換するための募集がありました。1次募集が6月1日から11日、2次募集が7月6日から23日、3次募集が10月20日から11月2日まででした。しかし、中野区はこの募集に手を挙げなかったとお聞きしましたが、それはどのような理由からでしょうか、伺います。

 中野区は今回この事業に参加しませんでしたが、国のエコポイントを共通商品券と交換する取り組みにかわる中野区の事業はどのようなものがあるでしょうか、伺います。

 国のエコポイント制度は、平成22年3月31日までの対象製品の購入が対象となっています。エコポイントの登録期間は平成22年4月30日まで、登録されたエコポイントが商品と交換できる期間は平成24年3月31日までとなっています。

 今後、国のエコポイント制度が継続され、地域商品券に交換するための募集があった場合には、中野区としてこの事業を積極的に取り組むべきだと思いますが、お考えを伺います。

 中野区として、環境を守る施策の上からも、地域の商店街の活性など産業振興施策の上からも、国のエコポイント制度を22年度以降も継続するよう国に強く働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。区のお考えを伺って、この質問を終わります。

 その他として1点目に、勤勉手当と職員の職務意欲向上について伺います。

 公務員の給料体系の中に、いわゆるボーナスに含まれる勤勉手当があります。中野区の勤勉手当の総額は年間16億円余と聞いていますが、この勤勉手当はどのような目的があるのでしょうか、伺います。

 職員の職務意欲を論ずる際に勤勉手当が挙げられているようです。しかし、一律に支給されているのではと思っている方もいるようですが、どのように支給され、職員間でどの程度の差が生じているのでしょうか、お聞かせください。また、勤勉手当を算出するに当たって、仕組みはどのようになっているのでしょうか、わかりやすくお答えください。

 さらに、実際に管理職や一般職員において、手当支給でどの程度の差がついているのか、伺います。また、職員の勤務成績によって、成績率の割合はどの程度とられているのでしょうか、お聞かせください。

 私は、勤勉手当の支給が職員の職務に対するやる気や意欲を確実に向上させる制度や仕組みにするとともに、勤務実態が反映する仕組みにすべきだと思っています。勤務成績に応じた給与制度をより一層推進するために、中野区として今後さらに検討されるお考えがあるのでしょうか、伺います。

 中野区独自に仕組みを変えるには限界があると思われますので、区長会などで議論をして、23区共通の考え方で、職員のやる気、職務意欲につながる勤勉手当にすることが必要だと思いますが、区のお考えを伺って、この項の質問を終わります。

 その他の2点として、自転車駐車場の利用率向上について伺います。

 平成20年度の自転車駐車場の利用率一覧によれば、19ある区立自転車駐車場の中で、年間平均利用率が100%以上のところが4カ所、逆に50%以下のところが5カ所あります。

 利用率が50%を下回る駐車場については、個々の駐車場ごとにその原因を分析するとともに、その対策がとられているのでしょうか。特に二、三十%台の東中野南や都立家政南及び中野坂上駅については、利用率が低い要因をどのように分析しているのでしょうか、あわせて伺います。

 私の地元の新井薬師北駐車場及び南駐車場の利用率について伺います。

 私は、平成6年第1回定例会で新井薬師前駅周辺に自転車駐車場の設置を求める質問をして以来、たびたび要望してきました。長い時間がかかりましたが、平成18年度に新井薬師北駐車場及び南駐車場が設置されました。

 北駐車場の利用率は駅に近いこともあり、18年度97%、19年度133%、20年度134%と高く、区内でも鷺宮北駐車場に次いで2番目に高い利用率になっています。ことしの11月にさらに130台増設して、230台収容の施設になりました。

 一方、新井薬師南駐車場は駅から100メートルも離れていることもあり、利用率が18年度14%、19年度22%、20年度44%と低いものの、確実に利用率が向上してきています。利用率が設置当初の10%台から3年間で40%台に向上したのはどのような取り組みをされたからでしょうか。さらに、今後50%、60%と利用率を上げる対策はあるのでしょうか、あわせて伺います。

 利用率はそう簡単には向上しないと思いますが、50%以下の駐車場については、まず、利用率60%を目指して対策を講じる必要があると思いますが、いかがでしょうか。ポイント制の導入や買い物する時間を無料にするなど多様な考えなども取り入れて、利用率向上策を検討してはいかがでしょうか、あわせてお考えを伺います。

 中野区全体で年間平均利用率が1%上がれば、約200万円の利用料の増収になることを考慮すると、利用率を向上させることは、環境や交通対策だけでなく、財政面からも大事な視点ではないかと思います。今後の中野区の自転車駐車場の利用率向上に向けてのお考えを伺って、私のすべての質問を終わります。

 ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 岡本議員の御質問にお答えをいたします。

 中野区の広告事業の推進についての御質問であります。

 これまで区内産業団体や広告事業者等の有識者を交えて、広告戦略について検討を行ってまいりました。そこでの検討内容を踏まえて、19年度には区報のA4判化やホームページのトップページの変更を行うなど、広告媒体の充実に努めてきたところであります。こうした検討を経て、今年度、広告掲載基本方針及び推進戦略を定めたものであります。

 広告事業の推進体制ということでありますけれども、広告掲載については、広告総合案内機能を強化するために、広報分野に相談窓口を一本化し、それぞれの所管と調整を行う体制をとりました。広告掲載を今回策定いたしました戦略に沿ってより積極的に推進していくため、現在は広報戦略会議において全庁的な取り組みを推進するための調整や意思統一を図っているというところであります。

 それから、広告掲載を各部がより主体的、積極的に取り組めるような検討がないかと、こういうことであります。広告の収入については、その広告を掲載した事業の特定財源ということで財源の足しにしていくという考え方でやっているわけであります。そういうことが一つのインセンティブということはあるわけでありますけれども、全体としては財政、どうしても一つのお財布という形になってしまいますので、特定財源ということによってなかなかメリットを感じにくいという実態はあるというふうに思っております。大変財政も逼迫している時期でもありますので、広告収入の大切さというようなことについて職員がそれぞれに認識を深めていくと、こういうことが大事だと考えております。

 それから、広告事業に関する要綱を総括的なものとして整備するべきではないかと、こういうお考えであります。年内には既存の広告関係の要綱を整理して、包括的な要綱、そして、広告掲載の基準などを整備していきたいというふうに考えております。こうしたことによって、区全体の一定の整合性のとれた、かつ積極的な推進の取り組みが進められるようになっていくと、このように考えているところであります。

 それから、ホール、公園などの施設にも広告掲載を推進するべきだといった御質問もありました。広告掲載推進戦略においては、従来の印刷物に限らず、あらゆる区有財産に広告掲載の可能性を検証し、実施していくこととしたところであります。屋外広告物については、法令等の規制もありますので、そうした規制内容も十分検証しながら、より幅広い観点から広告媒体を発掘・充実させていきたいと、こう考えております。

 それから、広告を募集するに当たって、広告主の方の理解を促進していくために、広告収入の使途のようなものを明示するといったような御提案もありました。広告掲載基本方針で掲げました広告掲載の基本的指針や広告掲載の実績などを区報やホームページで積極的に広報し、広告掲載についての区民の理解を得ながら進めていきたいとしているところであります。広告に一定の目的を持たせて、何々の財源を充実していくための広告収入ですよと、こういったような見方からの広告のあり方についても今後検討していきたいと、こう思っております。

 それから、収入目標をより高く、具体的に年間5,000万円程度という、そういった例示もあったわけですけれども、御提案がありました。広告掲載につきましては、広告の技術や技法の進展、あるいは経済動向といったようなさまざまな状況に大きく影響されているわけであります。こうした広告環境の変化に的確に対応していくことも必要でありまして、広告掲載推進戦略についても、PDCAサイクルの中で適宜検証、見直しをしながら進めていくこととしているところであります。この目標値の設定についても、状況を見ながら適宜見直しを行っていきたいと考えております。

 それから、ヒブワクチンの接種の費用助成に関する御質問がありました。

 ヒブワクチンの接種対象者は年齢によって接種回数が異なるわけでありますけれども、御質問にありましたように、渋谷区の受診率を参考にいたしまして4割というふうに考えまして、4割の人が必要回数を接種した場合、延べ6,000回ほどの接種回数になると、このように試算をいたしております。接種1回について渋谷と同額の3,500円の助成をするためには、約2,100万円の経費が必要となるわけであります。これに東京都の包括補助を活用できた場合には、当該費用、この費用の2分の1が区の負担となる、そうした見込みであります。

 この助成の来年度の実施に向けての検討を積極的に行うべきだと、こういう御質問でありました。ヒブワクチンについて議会からも国に意見書を出していただいているということでありますけれども、予防接種法上の位置付けがまだなされていない状況であります。そうしたこともありますけれども、財政状況が極めて厳しくなっていると、このことも一つ大きな状況ということでもあります。そうしたことを考え合わせながら、助成の実施については慎重に判断をしていきたいと、こう考えております。

 それから、国のエコポイントと地域商業活性化の関連についての御質問がありました。

 中野区商店街連合会でも、この国のエコポイント対象の募集に当たって、第2次の募集に向けて、区内共通商品券を国のエコポイントの交換商品とする方向で検討を行ったということであります。しかしながら、交換事務の煩雑さ等を理由に見送ったと、このように聞いております。

 国への要望についてでありますが、現在、国はさまざまな事業の見直しを検討しているところでありますので、その動きを見定めてから検討していきたいと考えております。国のエコポイント制度が継続された場合には、その内容を踏まえ、区商店街連合会とも情報共有しながら、区内共通商品券への交換の可能性について検討していきたいと考えております。

 また、区では自然エネルギーを活用した事業モデルを検討しているところでありまして、区のエコポイント制度の創設も予定しております。この中で、地域商業の活性化の視点も踏まえ取り組んでいきたいと、このようなことも考えているところです。

 私からは以上であります。

     〔副区長石神正義登壇〕

○副区長(石神正義) 私からは、勤勉手当と職員の職務意欲向上についての御質問にお答えいたします。

 まず、勤勉手当の目的でございますが、勤勉手当は、職員の勤務成績に応じて支給される能率給としての性格を有するものでございます。また、この算定方法でございますが、算定に当たりましては、給料、扶養手当、地域手当、職務段階別加算、管理職加算の合計を基礎額、これにしまして、その額に支給月数と勤務成績に応じた成績率を乗じて算出した額が勤勉手当ということになるわけでございます。

 また、この支給率の割合でございますが、勤務成績の区分ごとの評価人数の割合ということになりますが、管理職は最上位と言われる人が10%、上位が20%、中位40%、下位、最下位で30%という割合で評価人数を決めております。また、管理職以外の職員につきましては、最上位が15%、上位が10%、中位から最下位で75%という形になっております。

 このことによりまして、支給による差でございますが、平成21年の6月期の最上位と中位との差は、管理職で約12%、係長級で約5%、一般職員、これは行政系になりますが、0.04%となっております。これは区分ごとの平均勤勉手当額に成績率を乗じて算出しますと、最上位と中位との差は管理職で約6万8,000円、係長級で約1万8,000円、一般職員で約100円となります。

 この成績率の原資につきましては、下位者からの減額分と職層により全員から一律に減額する分の合計でございます。現在、全員の減額につきましては、係長級以上にしか適用していないということから、一般職員ではほとんど差がつかないという状況になってございます。

 こういうことから、職員のやる気、また、職務意欲につながる勤勉手当になることが必要だと思うということでございます。成績率の効果的な運用を図るためには、平成22年6月支給分からですが、行政系の主任主事、技能系の技能主任以上にも原資に全員からの減額分を充てるという仕組みを適用することとしてございます。

 さらに、平成24年度からですが、勤勉手当の算出基礎から扶養手当を控除して、これに相当する成績率を原資とすることにしてございます。これは、扶養手当については、当然人数によって違うということと、当然の義務ということになりますので、これを控除から外すということでございます。

 これらの改正によりまして、勤務成績の勤勉手当のさらなる反映を図りまして、能力・業績主義を一層推進していきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

    〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 私からは、自転車駐車場の利用率向上についてのお尋ねがございました、この御質問にお答えをさせていただきます。

 駐輪場利用率の低い御指摘の3カ所につきましては、主な原因といたしましては、立地条件によるものが大きいというふうに考えております。御指摘のうちの中野坂上につきましては、周辺に大規模な民間駐輪場、これが設置をされておりまして、これも大きな要因ではないかというふうに考えております。また、新井薬師南駐車場の利用率でございますが、昨年度は40%台でございましたけれども、現在65%を超えているという状況でございます。これにつきましては、案内誘導ですとか啓発活動、撤去、これの強化などの取り組みによるものというふうに考えております。また、放置自転車に対します地元の主体的なキャンペーンなどの成果、これもあわせて効果が上がっている原因だというふうに考えております。また、利用率向上のためには、こうした取り組みを継続的に図っていくということが大事であるというふうにも考えてございます。

 御提案のございましたポイント制や買い物時間の無料化といったようなことについて今後検討してまいりたいと考えてございます。利用率の向上に向けましては、ただいま申し上げましたような取り組みを行っていくとともに、自転車駐車場の廃止・統合・再整備といったようなことなども視野に、今後検討を行っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。

     〔岡本いさお議員登壇〕

○36番(岡本いさお) 何点か再質問を行います。

 一つ目は、国のエコポイントの共通商品券に交換する事業、これにかわる中野区の取り組みはどうかということでして、環境に配慮したそういうエコポイントを商品券にかえるという、そういうさらっとした御答弁でしたが、私は、この4月から行われたプレミアムつき商品券、大変好評だったのは、もちろんプレミアムがついたことと、それから、やはりおつりが出るという、こういうメリットで、家庭の主婦の方なんか大変使いやすかったということです。中野でこういう環境を中心にしてエコポイントを共通商品券にする計画がある際には、期間限定でも結構ですから、プレミアムをつける。さらには、おつりの出るような商品券にぜひともすべきだと思いますが、その件についてお答えください。

 それから、中野区の広告事業ですけど、大変積極的に取り組まれて、前向きなそういう御答弁ではありましたが、やはり行政で広告事業をするということについては、なかなかなれていないというか、なじみがない。どちらかというと役所はお願いされても、お願いするということは、そういう立場は少ないということだろうと思うんですが、やっぱりいろいろ打ち合わせの場を活用して、例えばもう既にそういう場では必ず広告のお願いをするチラシを用意しておいて、どういう広告が出せるか、また、裏面には広告の申請書までつけるような形で、区のそういう窓口だけじゃなくて、区全体が広告を担うというような、そういう体制を中野区全体でつくっていかなければ、今までずっと長いこと検討しておっても、ほとんど新たな媒体の広告収入がふえていませんので、この際、各事業部の目標もそうですけど、さらに、先ほど積極的な御答弁ではありましたけど、私は年間5,000万円の広告収入は不可能じゃないという思いで質問いたしましたけど、これから要綱も策定されますので、思い切って目標を掲げて実現していただきたいということ、同じような質問ではありますが、再度御答弁いただきたいと思います。

 それから、ヒブワクチンは、こういう財政状況が大変厳しいことは承知しておりますが、厳しい中だからこそ何とか工夫して助成ができる道筋を、今、予算編成の時期ではありますが、御検討いただきたいことを重ねて質問いたしますので、御答弁いただきたいと思います。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。

 区のエコポイントをどのように使うかということについて、まだ必ずしも制度設計が固まっているわけでもありませんので、確定したお答えにはならないのでありますけれども、エコポイントそのものが環境行動に対するプレミアムと、こういうことでありますので、商品券そのものにプレミアムをつけるということとは必ずしも結びつかないのかなと、こんなふうに思っております。また、おつりが出るようなあり方ということについては、これは考えていくべきことであるのかな、こんなふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今回プレミアムつき商品券で取り組んでまいりました共通商品券の課題というものもある程度見えてきているところもありますので、特に、使えるお店をどういうふうにふやすのかとか、そういった問題なども解決していかなければならないと思っておりますので、今後、さまざま検討する中で、よりよいあり方をつくり出していきたいと、こう思っております。

 それから、広告についてであります。確かに広告を勧誘するというか、言ってみれば販売するというようなことは、区の職員にとってはなかなかなれていない分野でございますけれども、やはりそこのところは意識を変えていきながら積極的な取り組みをできるようにしていきたいと、こう思っております。目標につきましても、ただ高く掲げればいいというものではないと思いますけれども、可能性をきちんと見定めた上で、より高い目標を掲げて、それに向かって努力をすると、こういうことが大事だと思っております。

 それから、ヒブワクチンの質問で、財政が厳しいのはわかるけれども何とか工夫をしてほしいと、こういうことでございました。よくわかる御意見だと思いますが、ヒブワクチンに限らず、さまざまいろんな形で皆様から御要望をいただくところでありますけれども、特に今回の財政状況については大変厳しいものがあります。今後数年間の見通しも見定めながらやっていかなければならないと、こういうこともあります。そういうことを踏まえますと、大変申しわけないのですが、軽々にやりますとか、あるいは実施の方向にしますとかいうような内容の答弁は、どなたのいずれの御要望についても今回は控えさせていただきたいと、こんなふうに思っているところであります。

○議長(伊藤正信) 以上で岡本いさお議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 せきと  進

 1 障害者施策について

 2 環境と平和について(温室効果ガスの排出削減と核のない世界の実現のために)

 3 水害対策について

 4 その他

  (1)新江古田駅自転車駐車場について

  (2)江古田三丁目合同住宅の現状について

  (3)その他

 

○議長(伊藤正信) 次に、せきと進議員。

      〔せきと進議員登壇〕

○9番(せきと進) 2009年第4回定例会に当たり、日本共産党の立場から一般質問を行います。

 障害者施策について伺います。

 障害者自立支援法によって、9割近い利用者の負担が施行前と比べて月平均6,751円もふえていることが厚労省の調査によって明らかになりました。低所得者はさらに増額が大きく、七、八千円もふえています。

 民主党は4年以内に障害者自立支援法を廃止すると言っていますが、当事者にすればそんなに待てません。応益負担と日割り計算はあすにでも葬り去ってほしい、都道府県や市区町村でもさまざまな形で少しでも負担を軽くしてほしい、障害者と事業者はそう願っています。

 私たち日本共産党は、憲法と障害者権利条約に沿った公的責任による総合的な障害者福祉法の創設が必要だと考えますが、応益負担の中止は障害者自立支援法廃止を待つのではなく、定率1割負担を定めた同法29条を直ちに削除すべしと提案しています。

 負担軽減策についてお尋ねします。中野区は民間福祉作業所に対して昼食費と交通費の補助金を出していますが、2010年度もこれは継続すべきであります。いかがでしょうか。

 負担増とともに工賃減も問題となっておりますが、作業所収益の基幹をなしている公園清掃の委託費が削減され、区内利用者の工賃にも影響が及んでしまいました。悪法による障害者の自立阻害に区が追い打ちをかけるのは改めていただきたい。公園清掃委託費の増額を求めます。お答えください。

 支援体制について伺います。

 療育センターアポロ園は江古田四丁目に移転しますが、今使っている三丁目の建物は2010年4月からの使い道が決まっておらず、新しい中野をつくる10か年計画第2次素案には障害者自立支援施設等としか書いてありません。移転を検討している民間福祉作業所がこの施設を活用することはできますか。具体的な方策をお持ちであれば、お示しください。

 精神障害者の退院促進支援事業は、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者が地域で生活できるよう、精神保健福祉士等と連携して退院に向けてのさまざまな支援を行う制度であります。東京都の障害福祉計画では、2011年度末までに都内5,000人の対象者のうち半数の地域移行を目標に掲げています。短期入所施設は、退院促進で地域移行の外泊訓練を行ったり、地域で生活する精神障害者の病状が不安定になったりしたときのために必要な施設であります。

 ことしになって区内初となる短期入所も可能な集団生活型介護施設ができました。この六ッ星大和荘は、東京都の退院促進支援事業を申請したけれども、基礎的自治体に支援体制がなければ事業として成立しないとはじかれました。都の言い分にも一理あります。そこで、区として精神障害者の退院促進支援事業に着手すべきと考えますが、見解を聞かせてください。

 内閣府の障害者白書によれば、日本の精神障害者は50人に1人となりますが、デンマークでは10人に1人と言われています。これは日本の認定行政がよろしくないのであって、認定のあり方を是正するとともに、制度のはざまに置かれて認定されない人についてもしっかり支え合っていける社会が望まれます。

 就労などの自立した地域社会生活ができるよう支援する精神障害回復者社会生活適応訓練事業は、直営の週1回過程を2年、委託の週2回過程を1年、足して原則3年という利用期間の制限があります。伺いたいのは、ここから巣立った方のその後について区はどのようにかかわっているのか、また、本人の事情に即して利用期間や年齢65歳未満という制限は柔軟に応じてもらえないのか、あわせてお答え願います。

 昨年の秋に雇用が突然冷え込んだ際、障害のある人は障害のない人に先んじて首を切られました。1年間就職活動しましたが、面接までこぎつけることはめったになく、探しても障害者の募集が全く見つからないまま、彼らの雇用保険は給付が打ち切られてきています。

 特に精神障害者が今直面している困難の一つに、生活保護を申請したり、国保や年金の手続を自分で行う際、人との接触がうまくできないために、区役所の窓口で悔しい気持ちを味わうことがあるという問題があります。職員の精神障害者への応対について、研修などさらなる改善策が必要であると考えます。区の見解を尋ねます。

 次に、環境と平和について伺います。

 12月7日からデンマークのコペンハーゲンで開催されるCOP15、国連気候変動枠組み第15回締約国会議は、温室効果ガス排出削減を目指し、京都議定書の期限が切れる2013年以降の新たな対策を決めることを課題としています。

 これまでの事前交渉では、年内に法的拘束力を持つ新議定書を取りまとめることは困難とされますが、排出大国である米中が相次いで削減目標を公表するなど、COP15で数値目標を盛り込んだ政治合意を成立させる機運は高まっています。議長国デンマークは、2050年までに世界の温室効果ガス排出量を半減させる内容での合意を目指しているようだと報じられました。

 日本政府としては、COP15に先立って、国内での具体的な削減策とアジア・アフリカ諸国への支援策を提示することが求められます。

 日本が2020年までに温室効果ガスの排出削減を目指す中期目標は、鳩山総理が9月22日、国連気候変動首脳会合で25%と表明したことから、これまでの8%から3倍に引き上げられました。この数字は、今までのような企業の自主行動計画任せではとても追いつくものではなく、削減協定など法的措置まで踏み込むことができるかどうかが問われます。

 中野区は2008年5月に環境基本計画を策定し、二酸化炭素の排出削減目標を2004年度と比較して約10%としていますが、国の新たな目標値に見合うよう、環境基本計画を見直すのでしょうか。また、どのような施策によって25%削減に近づけるのか、お答えください。

 たばこや飲み物など、自動販売機は国内に500万台以上あると言われます。業界は消費電力量を抑えた機器の開発に取り組んでおり、1991年からの15年間で半減させましたが、それでも自動販売機の消費電力量は1台当たり年間4,000から1万キロワット、日本中、全部合わせると原子力発電所一つ分の発電量にもなると言われます。区内でもそこかしこに見られ、これ以上ふえなくとも生活する上で何ら不自由ないと思われます。

 住宅都市である中野区には事業所が少なく、事業系の二酸化炭素排出削減に苦労すると思いますが、既にある自動販売機を減らすことは難しいにしても、これからはなるべくふえていかない取り組みは検討してみてはいかがでしょうか。

 核兵器の廃絶について伺います。

 気候変動首脳会合の25%発言に続き、鳩山総理は2日後の24日、安全保障理事会の会合で非核三原則堅持を誓い、日本は核廃絶に向けて先頭に立たなければならないと、核廃絶に向けた積極的な意気込みを示しました。

 安全保障理事会が核軍縮・核不拡散の論題で首脳会合を開いたのは、国連創設以来初めてのことであり、核兵器のない世界の条件をつくることを決意し、NPT、核不拡散条約第6条、核軍縮交渉義務の履行を含む決議を採択しました。

 4月のオバマ演説以来、核兵器廃絶の意識は国際的にも急速に高まっております。平和市長会議がNPTを補完する「ヒロシマ・ナガサキ議定書」を4月に発表したほか、7月のG8、8カ国首脳会議は「核兵器のない世界の条件をつくる」との声明を出しました。

 反核団体らは、来年5月に開かれるNPT再検討会議を核兵器廃絶の合意形成をもって成功させようと旺盛に活動しており、署名を集めて再検討会議の5月に国連本部へ届けようと、代表派遣が数多く企画されています。

 中野区「憲法擁護・非核都市」の宣言には、「世界中の人びとと手をつなぎ核をもつすべての国に 核兵器をすてよと訴える」というくだりがありますが、核兵器を持つすべての国に核兵器を捨てよと訴える絶好機である今このとき、区として何をなすのか、お答えください。来年5月、NPT再検討会議が開かれるニューヨークに人を派遣しませんか。伺って、この項の質問は終わります。

 次に、水害対策について伺います。

 住宅を取り壊して時間貸駐車場になる土地活用がふえています。庭も何もなくしてしまい、全面アスファルトで覆いますと、熱がたまって都市の高温化に拍車をかけます。

 さて、その都市高温化によって集中豪雨がふえましたが、平面駐車場へ降り注いだ雨は道路へと直行しています。中には雨水流出抑制装置を設置している駐車場もありますが、そうでないのが圧倒的多数であると見られます。下水道法は排水設備の設置を義務付けてはおりますが、罰則がないため形骸化しており、指導も行き届いていません。

 中野区雨水流出抑制施設設置指導要綱は、公共施設及び民間の大規模施設が対象であるため、駐車場への適用は困難であるとされます。そこで、水害対策として、平面駐車場に雨水流出抑制施設の設置を促すべく、条例化や要綱の見直しなどに取り組んではいかがでしょう。都市の高温化抑制にも効果のある芝生舗装や保水性舗装がふえるよう、区の努力を喚起したいと思います。

 その他として幾つか伺います。

 新江古田駅は中野区と練馬区と両方に出入口があります。練馬区の出入口には自転車放置防止の案内誘導員が毎日ではありませんが朝晩立っており、放置自転車はほとんど見られません。中野区の出入口は人がいないため、常時二、三十台置いたままになっています。歩道の舗装面に張られた放置禁止区域の印ははがれかけ、同じく放置禁止区域を表示する円錐形の赤い保安具は、なぜもっと置かないのかと思うほど少ししか置いてありません。

 新江古田駅の放置自転車は、中野区内各駅と比較すれば確かに多くないかもしれません。しかし、交差点の向こうは1台もないのに、こちらは二、三十台あるのでは際立ちます。また、区境の駅特有の現象として、練馬は警戒が厳しく中野は緩いからと、練馬区民が中野の出入口付近に自転車を置いていってしまうことも考えられますが、それだと練馬区の努力が幾らか無駄になってしまっているとも言えます。

 監視員の配置など、新江古田駅の放置自転車対策を練馬区並みに強めるよう求めます。お答えください。

 江古田三丁目合同住宅は現在、土地は都市再生機構が所有していますが、国がこれを借り受け、土地・建物とも国が管理をしています。2011年9月までに退去を終え、機構は2014年までに敷地を整備し、民間に賃貸及び譲渡することになっています。

 今後、土地活用を決めていくときに、区民と区と都市再生機構はどのような関係になっていきますか。地元意見の取り入れ方について区の認識を聞かせてください。

 既に少なくない世帯が退去を済ませていて、明かりがめっきり減ったことから、防犯のことを心配している近所の方もおります。この点についてもお答え願います。

 最後に、その他として、警大跡地の国家公務員宿舎建設について伺います。

 囲町袋小路の解消と中央中学校の立地は、これまであちらを立てればこちらが立たずの背反関係にありましたが、もしかしたら両立できるのではないかと思わせるような好転の兆しが見え始めました。

 11月27日、いわゆる事業仕分けによって、公務員宿舎のあり方については、速やかに関係省庁間において検討を行い、宿舎の建てかえについては、その検討を踏まえ実施することとし、それまでの間、継続案件や東京周辺以外の緊急建てかえを除き凍結することとし、継続案件についても、朝霞等凍結可能なものについては凍結するとの評価結果が出されました。

 警大跡地に予定されている国家公務員宿舎は、今年度予算計上している建設工事設計業務委託が今もって発注されていません。この分では年度内に執行できるかどうかもわかりませんし、2011年度供用開始という当初予定もおのずから後ろ倒しになるでしょう。次第によっては建設中止も十分に考えられます。

 警大跡地の国家公務員宿舎が建設中止となった場合、財務省が中野区に対してこの土地を買わないかと打診してくることが考えられます。区として、中学校の拡張用地として取得を検討するよう求めます。

 中央中学校は今でも広いと言えず、生徒1人当たりの学校敷地面積は28平米で、区立中学校平均より3割も狭い状態にあります。今のまま2,800平米のみを買い増しして統合新校になった場合、生徒1人当たりの学校敷地面積は今より下がってしまいます。2,800平米に加え、さらに国家公務員宿舎が予定されていた5,700平米を買い増しすれば、区内中学校平均を突破することができます。

 国家公務員宿舎の建設が取りやめになるかもしれないこの土地は、必ず学校用地として取得の働きかけを行っていただきたいし、決して他の目的に用いないことを約束くださるよう求め、質問を終わります。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) せきと議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、障害者の民営作業所などへの給食費、交通費の補助を継続するべきではないかと、こういう御質問でありました。財政状況にかかわらず、補助について必要なものは当然行うわけでありますけれども、こうした個別の案件については何ともお答えができない状況だと、こう考えております。

 それから、障害者施策の関係で、公園清掃について民営の作業所への委託が削減されていると、委託を増額してほしいと、こういうことであります。財政の見通しが大変厳しいということでありますので、工夫を行っているということしか申し上げることができないと思います。

 それから、アポロ園の跡地についてですけれども、10か年計画で現在お示しをしております障害者自立支援施設等への活用を予定していると、現在の検討状況はそこまでの段階であります。

 それから、精神障害者の退院促進事業についてであります。区は都の東京都精神障害者退院促進支援事業と連携しながら、住宅への入居支援や緊急時の相談、関係機関との連絡・調整を行う居住サポート事業を平成20年度から実施しているところであります。都の役割、区の役割をそれぞれ発揮しながら連携を進めていく考えであります。

 それから、精神障害回復者のデイケア終了後のサポートについての御質問がありました。精神障害回復者でデイケアの訓練を終える方には、一般就労や作業所、生活支援センターのせせらぎなど、それぞれの方の適性に合った場所へつなげることができるようにサポートをしているところです。また、デイケアの利用終了後も、必要に応じて保健師が訪問や電話でサポートをしているところでもあります。

 来年度からデイケアの再編を行うことを検討しておりますが、月2回午後に、利用期間、利用年齢を設けず参加できるようなフリースペースを4保健福祉センターに設置して、デイケアを終了した方へフォローを行うといったようなことも検討を行っております。

 それから、区職員の対応の研修ということであります。区の職員が精神障害者の方への窓口対応を行うに当たっては、障害を理解した上で適切な対応を行うことが必要であります。保健福祉の窓口では、障害の特性などを理解した丁寧な対応が特に必要となりますので、所管の部署での研修を行っていかなければならない、こう考えております。

 それから、環境基本計画の目標値についての御質問がありました。国が25%という目標を示しているが、どうなるのかと、こういったことであります。現在、環境基本計画では、平成29年、2017年に2004年比で約10%削減する目標を掲げております。新しい中野をつくる10か年計画の第2次素案では、現行の環境基本計画の目標値よりも高い目標値を掲げることとしております。その目標値というのは、2019年に2005年度に比べて15%削減するという目標としているところであります。

 国が言われております25%について、どのような計画で進めていくのかということが全く明らかになっておりませんので、国がそういった計画を明らかにする中で、その計画を踏まえた区としての見直しもまた必要になってくるのかと、こう考えているところであります。

 区としての目標達成の方法であります。現在、区民のCO2削減行動を促進するために、地域エコポイント制度や、それを持続的に展開するための(仮称)環境基金や風力発電を活用する事業モデルの構築などの検討を進めているところであります。意識啓発に加えて、こうした実効的な施策によってCO2の削減を促進していきたいと、こう考えております。

 自動販売機をこれ以上ふやさないための対策を考えるべきではないかと、こういう御質問がありました。区内のそこここに「冷たい」とか「温かい」とか電気が点滅しているのはいかがなものかというのは、私も考えるところであります。CO2の削減努力が報われ、また、CO2を大量に排出する方が相応の負担や義務を負うという、そういう制度の構築も必要であると、こう考えているところであります。自販機についても、他のさまざまな事例とあわせて、できるのかどうか検討していきたいと、こう考えております。

 それから、核のない世界の実現のためにという項目での御質問もありました。中野区は「憲法擁護・非核都市」の宣言を行った自治体として、毎年さまざまな平和事業に取り組んでおります。こうした日常の活動を通して、平和に関する理念の表明、実現に努めていくことが適当であると、こう考えております。

 また、さまざまな形で海外の自治体との交流もふえてきているというようなことがありまして、地域の国際化、区民の意識の国際化といったようなことなども、平和を実現していくための一つの土台として大変重要な意味を持つと、こう考えるところであります。

 ニューヨークで開催される核不拡散条約再検討会議に区として人を派遣することは、全く考えておりません。

 私からは以上です。

    〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 私からは、雨水流出抑制施設設置指導要綱、これの見直しについてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 雨水流出抑制施設設置指導要綱でございますが、水害対策の一環といたしまして、河川への雨水流入を抑制し、水害発生の軽減を図るため、敷地面積300平米以上、これの新築であるとか改築を行う建築主に対しまして、この雨水流出抑制施設の設置指導を行っているというものでございます。

 お尋ねの平面駐車場への指導でございますが、時間貸しの駐車場など、その期間が極めて暫定的である場合も多いということもございまして、他区の状況も調べてみたいというふうに考えてございます。

 それからもう1点、新江古田駅周辺の放置自転車の対策でございます。

 区では、区内全域に放置防止指導員を状況に応じて1人から10名程度を乗り入れが集中する平日の早朝、これを中心にこの要員を配置してございます。自転車駐車場への案内ですとか整理、それから指導等を行っているという状況でございます。また、即時撤去につきましては、この新江古田駅周辺において月5回ないし6回実施をしているところでございまして、本年10月の調査におきましては、同駅周辺の中野区側の放置自転車の実数、これが13台ということでございました。なお、練馬区側の放置防止指導員の体制あるいは放置の状況も、練馬区に確認をしたところ、同程度であるというふうに聞いてございます。

   〔まちづくり推進室長川崎亨登壇〕

○まちづくり推進室長(川崎亨) 江古田三丁目の合同住宅に関する御質問にお答えをいたします。

 まず、地元と都市再生機構との関係でございますが、独立行政法人都市再生機構が国から用地を取得するに際して、区は機構の照会に答えて、当該地域一体のまちづくりの方針を示しております。それに沿いまして、良好な居住環境を有する住宅地を形成すべく機構が事業を開始しているところでございます。区といたしましては、防災機能の確保でありますとか環境への配慮など、区の方針を十分に踏まえたまちづくりを求めているところでございます。あわせまして、地域の皆様への情報提供にも努めるよう求めており、機構は地域ニュースに記事を寄せたほか、地元町会への説明を行っているところでございます。

 続きまして、その合同住宅の防犯体制でございますが、住宅敷地の再整備に着手するまで、住宅敷地内の安全管理等を徹底するよう、都市再生機構や国に対して伝えております。国は団地管理人による巡視や非常時の連絡体制の強化を図っていると聞いております。今後とも国や機構が安全管理を着実に行うよう、区としても十分に関心を払っていきたいと考えております。

 続きまして、警大跡地の公務員宿舎についてでございます。これにつきましては、昨日区長が御答弁申し上げましたとおり、今後、事業仕分けの結果を受けた公務員宿舎の整備方針が変わるような動きがあれば、用地取得を含め、より望ましいスペースの確保につながる検討や関係省庁に対する働きかけを積極的に行っていきたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(伊藤正信) 以上でせきと進議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 奥 田 けんじ

 1 中野サンプラザの今後について

 2 図書館の運営について

 3 職員のワーク・ライフ・バランスについて

 4 その他

  (1)NPO支援について

  (2)警察大学校等跡地の官舎新設について

  (3)その他

 

○議長(伊藤正信) 次に、奥田けんじ議員。

〔奥田けんじ議員登壇〕

○17番(奥田けんじ) 第4回定例会に当たりまして、民主クラブとして質問を行います。

 まず1番目に、中野サンプラザの今後についてお伺いをいたします。

 まず、民間手法の生かせる運営形態への移行についてでございます。

 区長は昨年の第3回定例会において、行政報告の中でサンプラザについて、将来的にはより民間手法の生かせる運営形態への移行を追求していきたいと考えていると発言をされています。あれから約1年が経過いたしました。サンプラザにつきましては住民からの監査請求も出されているところでありますが、所有会社である株式会社まちづくり中野21の完全子会社である株式会社中野サンプラザが運営していることについては、別会社であるとはいっても、経営のあり方として適切な状態ではない。これは再三にわたって私ども民主クラブとして指摘をさせていただいたところであります。より民間手法の生かせる運営形態への移行、この追求をされている様子が一向に見受けられませんが、一体いつごろ行うということをお考えなのか、お答えください。

 次に、運営会社の経営状況の報告についてであります。

 所有会社である株式会社まちづくり中野21の経営状況については、議会の議決すべき事件等に関する条例に基づき、毎年度区議会に報告されている。そしてまた、昨年度からは仕組みの変更によって、株式会社中野サンプラザは株式会社まちづくり中野21の完全子会社になったことから、連結分の決算状況も報告がなされているところであります。しかしながら、株式会社中野サンプラザ単体の決算状況については、決算公告として官報には掲載されておりますが、私も実際に拝見しました。残念ながら、その情報では簡易な貸借対照表の状況が把握できるのみで、詳細が不明であります。

 企業会計の世界では今や四半期決算が常識であります。仕組みが早急に変わらないのであれば、環境の激変期への的確な判断のためには、運営会社単独の決算状況についても、少なくとも半期決算について区議会に報告すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 次に、2番目に図書館の運営についてお伺いをいたします。

 中野区は、行政評価により目標と成果によるマネジメント、いわゆるPDCAサイクルマネジメントを行っているところであります。事業仕分けよりも進んでいるのだという認識を区長は示されているところであります。しかし、私たち民主クラブの認識は違います。2年以上前から御自慢のPDCAサイクルについては、いわゆるCとA、チェックとアクションの間に大きな断絶があるということは指摘をさせていただいているところでありますが、一向に改善がなされておりません。また、外部評価の結果につきましても、達成または改善の項目がふえているとおっしゃっておりますが、達成、改善の数字のみ、これを見ていたのでは判断を誤ってしまいます。

 まさに魂は細部に宿る。実際に個別の事業の現場に足を運び、詳細な調査に基づく公開の場での評価、これが事業仕分けであります。単なる数字にごまかされない、現場感のある判断方法は、民主クラブ、のづ議員が指摘をされたとおりでありまして、中野区はこれに大いに学ぶべきであると私たちは考えております。

 そうした現在の行政評価の課題が浮き彫りになる具体的な事例として、図書館の評価結果があります。そこで、図書館についてお伺いをさせていただきます。

 図書館がより区民に利用されるためには、図書館利用登録率、図書館の利用カードを持たれている方の割合です。これの向上を目指すのは当然であります。そうでなければ、図書館運営に使用される税金が登録した一部の利用者のために使われる、こんな事態にもなりかねません。もちろん本を借りる以外の利用にも当然に図書館は役割を果たしているわけでありますが、定量評価が困難であって、現在の10か年計画の成果指標や過去の行政評価には、当然これは登録率の向上が評価のかなめとして位置付けられてきたわけであります。

 ところが、今年度の行政評価や第2次の10か年計画の素案では、図書館の利用登録者、区民の数の割合でありますけれども、この評価指標がなくなっているわけです。過去の行政評価結果について、この指標が一度も改善されたことがなく、中間目標として25%の登録率を目指していたものが、22%から始まって最終の評価結果で20%強という、一度も改善しない、極めて低い数字のまま推移したといったことがありまして、私は、このことについては既に何回か再三にわたって指摘をさせていただいたところであります。ついに行政評価からも10か年計画の素案からも指標としてなくなってしまったということであります。

 かわりに入れられた指標が区民1人当たりの年間貸出冊数であります。一見妥当な判断とお感じになるかもしれませんが、登録率が一向に向上しない中で、1人当たりの貸出数が伸びることを指標として盛り込んだ場合、ますます利用する方とそうでない方のサービスの偏りが促進されてしまう、そんな指標にもなりかねません。

 改善しない本質的指標を外して、安易な数字のごまかしが見抜けない、そんな行政評価がいかに現場感が乏しいか、これを指摘し、なぜこうした本質的な指標を外すに至ったか、お答えを求めます。

 私も構想日本が主催いたします事業の仕分け人の資格を持つ1人でありますが、国での事業仕分け人が行っているように、実際に現場に足を運ぶと、さらに深刻な事態が明らかになってまいります。現在、図書館の運営業務はNPOに委託をされているわけであります。そのNPOの代表者に直接話を伺いました。目標と成果によるマネジメント、PDCAサイクルのマネジメントのCとAの断絶、チェックとアクションの断絶がここでも明らかになったわけであります。何と、現場を担当する受託事業者が成果指標の存在を知らされていない、こういった状況がわかってまいりました。当然、指標の改善がなされていないということも御存じないわけです。驚かれていました。

 目標となる指標の共有化が図られていなければ、その指標に対して改善を努力することができようはずがありません。まずは現場と目標の共有を行う、この基本的なPDCAサイクルの断絶状況の把握が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 公共図書館は生涯学習の場としての位置付けが非常に重要であります。その際、学校での学びからのスムーズな接続が大変に期待されるところであります。中野区では子どもたちに対して、学校図書室での本との出会いが大変きめ細かい状況で用意されている、これは評価できると思っています。しかし、公共図書館との接点が残念ながら少ない。また、継続的な図書館の利用への意識づけというものが十分にされておりません。

 子どもたちの学校図書室で得た本との出会いを公共図書館の利用に確実に結びつけていくためにも、現場を担当する事業者の工夫・努力を通して、少なくとも子どもたちが中学校卒業までに図書館利用登録ができるよう、接続の工夫をしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 今後、図書館運営に当たって指定管理者制度の導入をされていく予定であります。現場を担当する区内事業者であるNPOのモチベーションは非常に高い、そういった印象を持ちました。そうした思いが生かされるよう、制度導入に当たりましては、先行事例を踏まえて配慮をして行っていただきたいと考えております。これについての御所見もあわせて伺わせていただきます。

 次に、3番の職員のワーク・ライフ・バランスについてであります。

 ワーク・ライフ・バランスを考える際、日本の年齢構成、世帯の構成の変化は重要なポイントであります。かつては、配慮すべき少数派として女性あるいは障害者、障害をお持ちの方などが位置付けられておりました。フルタイムあるいはフルスペックでの勤務の困難さをさまざまな組織がコストとして補っていくんだという発想で制度設計がなされておりました。しかし、労働市場において団塊ジュニア世代が中核的な存在となりつつある中、その親世代、団塊の世代の皆さんが介護を必要とする可能性のある高齢者の仲間入りをされる、こういった状況が近づいています。

 これは中野区の職員の置かれた状況も例外ではありません。晩婚化あるいは未婚化の影響もありまして、働き盛りの男性が親の介護をする可能性も今後はますます高まってくるわけであります。男性職員であっても、フルタイム、フルスペックの条件を期待できる人材が今後少数派にもなり得ると考えるべきであります。つまり、親の介護、子育て、心の問題など、フルタイム、フルスペックの条件での勤務が難しい職員が今後多数派になっても機能する組織をつくっていくための人事体制を構築しなければ、立ち行かなくなる可能性もある、こういった認識を持つべきです。

 そこで、職員が大幅に削減される中で、多様な困難さを抱える職員の増大が予想される中、まずは職員の勤務状況の把握、現状どうなっているのか、この把握の方法について精度を向上させていく必要がございます。一人ひとりがどういった困難さを抱えているのか、困難さへの対応が不十分なために、別の職員へのしわ寄せとして過度な超過勤務の状況が発生していないか、こういったことを人事管理責任者は把握する必要がございます。

 超過勤務の実態については、現在、区は一人ひとりの残業時間はわかっていても、一定時間以上の超過勤務者の人数や分野、時期、こういったことが十分に把握できているんでしょうか。そして、それが簡単にデータ化されて分析できる状況にあるんでしょうか。また、現在それが把握できない状況であれば、私は把握できるよう改善をしていく必要があると思います。御見解を伺います。

 また、大幅に人が減っている中で、こうした環境を整えるためには、例えば東レ研究所で行っているような、業務の無駄を減らして残業をなくしていく業務の見直し作業も不可欠であると考えております。あそこは特別なんだ、あるいはうちの組織は特別だ、こういったことを言っていては改善は望めません。御見解を伺います。

 民間企業では、率先してワーク・ライフ・バランスや多様性を受け入れる職場環境の整備を行っている企業ほど業績が上がっているとの統計調査もございます。具体的にユニクロであったり、その他の企業については、世界的に結果を出している企業もあるわけでございます。行政で言えば、サービスレベルの向上が期待できる可能性が高いと言えると思います。

 現在は、フルタイム、フルスペックの職員を想定した勤務が前提の人事制度あるいは評価であります。これからは、フルタイム、フルスペックの勤務が難しい職員であっても働きやすい職場環境をつくっていくべきではないでしょうか。そうすることによって、フルタイム、フルスペックの勤務が可能な職員にとっても、一層効率的、効果的に働ける環境ができ、行政のサービス向上につながる、このように考えますが、いかがでしょうか。

 このようなだれもが働きやすい環境をつくるには、現在の発想を180度転換していく必要があります。フルタイム、フルスペックをベースとした人事制度、評価方法を前提とした従来の考え方の延長では、人材の危機に対応できません。過去の延長を断ち切る、ここは首長の政治決断が求められると思っております。この際、ワーク・ライフ・バランスに関する専門部署を設けるか、専門家の力をかりて効果的な対応をとる必要があるのではないか、このように考えております。ぜひ区長のお考えをお伺いしたいと思います。

 次に、NPOの支援についてであります。

 これまでも私は公益活動の助成の制度について見直しを求めてまいりました。現在、区民の行う公益活動に対しては、先駆性、創造性、発展性のある活動に助成をする基金からの助成と、区が行う政策に合致し、行政目標の実現に貢献する活動に助成を行う政策助成の二本柱で行っております。基金助成は、継続して申請する事業については申請額よりも減額を行い、団体は自立を促される、そういった制度設計になっておりますが、政策助成については減額もなく、自立を促す仕組みにはなっておりません。二つの助成制度を一本化し、自立を促す仕組みをともに取り入れていくべきだということを改めてお伺いさせていただきます。

 次に、基金助成の原資となる区民公益活動推進基金の残高が減少しているという問題についてであります。

 現在、残り約60万円、枯渇の危機と言っても過言ではありません。一方で、例えば市川市、市民活動団体支援制度、いわゆる1%支援制度については、21年度2,100万円強の届け出金額を市民から集めております。また、例えば熊本市の例では、熊本城復元整備基金、これが10月末現在で3億4,000万円弱の寄附金を集めております。これらは、寄附金がどのような形で生かされるのか明確にすることで、政策決定、予算配分への参加の仕組みとして寄附を促す仕組み化ができていると、そういった好例だと考えております。

 区は現在、政策決定への参加の仕組みとして環境基金を設ける考えを持っています。多様な区民の思いを受けとめるためには、私はメニューが不足していると考えております。この際、環境基金と区民公益活動推進基金については、NPO等の推進基金として、政策決定への参加の仕組み、こういった考えのもとで整理統合されてはどうか、考えを伺わせていただきます。

 次に、三方よしのNPO誘致についてお伺いをさせていただきます。

 地方自治体、これは企業誘致に取り組むことに積極的であります。しかし、大規模オフィスあるいは大規模空地のほとんどない中野区では、本社機能あるいは工場などを誘致してくる、いわゆる企業誘致は簡単ではありません。一方で、地域の枠を超えて公益活動を行うNPOは、事務所の立地や規模を問いません。また、地域に密着した活動を行うNPOにとっては、人口の集積のある中野区がむしろ有利な環境とも言えます。

 実態把握のために区内NPOに取材させていただいた中で、社会教育事業をされているNPO法人カタリバ、私は現在ここで、カタリバ大学の学生として学ばせていただいておりますけれども、この事務所の選定動機、事務所をなぜ選んだかという動機についてお答えいただきましたので、御紹介させていただきます。

 もともとは港区にありましたみなとNPOハウス、港区のNPOハウスに場所を持っていたところであります。その港区のNPOハウスを選んだときの動機としては、カタリバとしても立ち上げ期で資金繰りに苦戦をしていた、あるいはインキュベーションという形で相談に乗ってもらえる、あるいは先輩NPOに相談できる、情報交換ができる、NPO間の横の情報を気軽にやりとりすることが難しい中で、それができる場所が施設としてあったことは大変助かった、便利であった、なくなってしまったことは残念である、そういったコメントをもともとのNPOハウスについてはおっしゃっていただいております。

 また、現在は、この港区にあったNPO法人が事務所を中野区に移しております。これは直接的には、港区のNPOハウスを出なければならない、なくなってしまいましたので出なければならないという事情があったわけでありますけれども、その際の選定理由の一つとして、やはりお財布事情と相談して複数物件を探すことになったと。つまり、財政的な問題を指摘されております。また、中野区は市民活動は活発、行政も支援が積極的といううわさを聞いたので、中野区の事務所を有力候補と考えた。NPOは不特定多数の人がたくさん出入りする。つまり、事務所として探してもなかなか受け入れが困難である、こういった状況もある。さまざまな理由が見えてまいりました。

 つまり、資金の問題、情報の問題、行政支援の問題、こうしたことが決め手になってまいります。まさにSOHO型の、スモールオフィス・ホームオフィス、小規模のオフィスの略称でありますけれども、SOHO型の集合オフィスが私はこの問題を解決するのに最適だと考えました。つまり、港区で学校の廃校モデルとして使ったNPOモデルが、そのいずれの条件も満たしていたわけであります。

 まず、区内には、私は、例えば不動産物件を見ておりますと、4K以上でふろなし、こういった住宅用としての需要が見込みづらくなってきている、そんな物件が少なからずあるのがわかります。そうした部屋数が多い空き物件に対して、いわゆる、NPOハウス化をするための簡易な改装の助成を行っていくという制度を考える、これが第1段階として提案をさせていただけると思います。

 また、誘致したNPOが中野区内で貢献する動機づけをするために、中野区内での活動に限定されるNPOに対しては一定の家賃補助を行う。区内での活動にとどまらず、自立発展的に活動ができるようになれば、当然に補助は必要ございません。

 NPOにとっては、シェアハウスをすることにより家賃を大幅に安く設定できるようになり、人や情報の集約もできるようになります。事業理念の達成も有利になるわけです。家主にとっては、新規の需要喚起と分割入居をしていただくことにより、空室リスクの軽減が図れます。そして、中野区、区民、行政にとっては、新たな地域の担い手、この確保が可能になり、行政サービスの向上も可能になってくる。まさにNPO、そして家主、中野区、三方よしのNPO誘致となり、今まさに中野区が課題として抱えている中野区の担い手の確保が可能になってくる、このように考えておりますが、御見解を伺います。

 最後に、警察大学校等跡地の公務員宿舎新設についてお伺いをさせていただきます。

 現在、警察大学校等跡地再開発が計画をされておりまして、警察大学校等跡地の中心をなす防災公園と統合新校の校庭は当初、連続的なものとなる予定でありました。さまざまな機能を考える際に、この連続的な機能というのは不可欠であったわけであります。囲町地区の住民の思いを受けた変更の結果であるとはいうものの、結果的に公務員宿舎が公園と校庭を分断することになってしまいました。

 私は、本来、中野区が望んでいる姿は、こうした一体的な空地を確保する、これを望んでいたのではないか、現在もそのように考えているのではないかと思います。改めてそのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。他の議員の質問にもあったように、さきの国の事業仕分けで公務員宿舎の新設について凍結すべきとの判断がなされました。もちろん政治決定は、こうした事業仕分けの後に行われる、与党・民主党が行う、あるいは政府・民主党が行っていくことでありますけれども、一定の抑止効果になってくるだろうと考えられます。

 これまでの交渉の中では、旧政権下での財務省が交渉相手だったわけであります。しかし、現在、政権がかわった中で、私は、政府・民主党に、本来どうあるべきか区としての考えを持っていることを伝えるべきではないかと考えております。そのことをしっかりと伝えているのかどうか、お伺いをさせていただきたい。できれば公務員宿舎建設は中止すべきだと改めて伝える、これが必要だと思います。

 しかし、最後にお伺いさせていただく大切なことがございます。国の理解や補助、これが必要な課題として多くある中野区、例えば西武新宿線のあかずの踏切の問題、あるいは防災公園などさまざまな課題を抱えている中野区にとって、旧政権との関係を構築してきた努力、これは当然だと思います。しかし、結果として現政権との関係構築がおろそかになってしまっては、区として大変な損失であります。早急に現政権との関係構築が必要ではないかと考えております。このことについてしっかりとした答弁を求めさせていただきまして、私のすべての質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 奥田議員の御質問にお答えをいたします。

 中野サンプラザについてであります。

 区の事業全体に対する指導的、統括的な役割は強まってきたわけでありますけれども、所有会社と運営会社は分離をしているところであります。運営会社については、民間企業として民間の経営ノウハウを生かした運営を行っております。今後、より民間手法を生かせる運営形態への移行を追求するために検討を行っていきたいと、こう考えております。

 運営会社の経営状況の報告についてであります。昨年12月、株式会社中野サンプラザは、株式会社まちづくり中野21の完全子会社となったわけであります。このことから、企業グループ全体の経営状況、財務状況を明らかにするため、連結計算書類を作成して区議会へ報告をすることといたしました。株式会社中野サンプラザは経済競争の中で運営をしているところでありまして、単体の決算状況を公開することによって不利益をこうむることも懸念されるということであります。会社法に基づきます中野サンプラザ単体の決算報告は官報に掲載しているところでありまして、必要な情報は連結計算書類とあわせて公開をしていると、こう考えております。

 それから、職員のワーク・ライフ・バランスに関する御質問がありました。

 超過勤務の実態の把握についての御質問です。超過勤務の職務内容は各所属長が把握をしております。超過勤務の実績についても、月ごとにコンピュータのシステムで集計をされ、各所属長、人事担当ともに把握をして管理をしております。

 それから、業務の無駄をなくし、残業をなくす見直し作業も必要なのではないかと、こういったような御質問でありました。区では、全職員が目標管理シート、管理職はチャレンジシートと呼んでおります、これを作成して、上司と面接をして目標を共有すると同時に、業務の進め方や勤務状況の改善などについても十分に話し合いを行い、また、上司が適切に指導しながら、納得して仕事に取り組むと、そういった形の取り組みをしているところであります。この中で、業務量の特定の職員への集中を避けるなどの配慮も行っているところであります。こうした取り組みをより適切に機能させていきたいと、こう考えております。

 それから、ワーク・ライフ・バランスを考えたときの働きやすい職場環境についての御質問もありました。中野区では、いわゆるフルタイム職員以外に、育児短時間、再任用短時間、任期付短時間のさまざまな勤務形態を設けております。そういった勤務形態を設けながら、多様な働き方に対応できる職場環境を整えております。このいわゆるフルタイムというやり方でない働き方をさらに広げて一般的なものとしていくためには、一般職の短時間勤務職員の制度の創設をする必要が出てまいります。特別区の制度上、これを中野区が単独につくることは難しいという状況でもあります。こうしたことを踏まえながら、区としてできる範囲でさまざまな努力を行っているところであります。

 このワーク・ライフ・バランスに関連いたしまして、区は、国の定めております特定事業主行動計画をつくって取り組んでいるところであります。専門の部署ということですが、専門の部署は人事担当が受け持っております。

 それから、警察大学校跡地の国家公務員宿舎の問題であります。

 きのう答弁で申し上げたとおりでありますけれども、要望して国家公務員の宿舎が移った位置になったと、このこと自体は私はいいことだったと思っております。今後、仕分けの結果が整備方針に反映されるという動きが出てくるようであれば、当然、用地取得を含め、より望ましいスペースの確保につながる検討や関係官庁に対する働きかけを積極的に行っていきたいと、こう思っております。

 それから、新政権との関係の構築というような御質問でありました。

 政党と主に見たときの関係の構築という意味なのかというふうに受けとめたところでありますけれども、これまで区政運営をする中で、党派性を物差しとして判断してきたことはないわけです。常に区政及び区民にとって最善の選択となるよう行動してきたつもりでもあります。国や東京都への対応においても、いいことはいい、悪いことは悪いと明確に態度を示してきたところであります。現在も国とは円滑な関係が築けていると、このように考えております。

 また、政党もやはり政党助成金という形で税金で運営されておりますし、党との関係がどうだから公の施策をこういうふうに変更するなんていうような、そういった恣意的な政策運営をするということが許されるわけだとも思っておりません。

 今後とも交渉を円滑にして、区に有利な結果を引き出すためにさまざまな努力を惜しむことなく行っていきたいと、こう考えております。

 私からは以上です。

     〔教育長菅野泰一登壇〕

○教育長(菅野泰一) 図書館の運営につきましての御質問にお答えいたします。

 まず、成果指標をなぜ変えたかということでございます。区民の利用登録者数はおよそ6万3,000人でありまして、毎年約1万6,000人の新規登録者がいる一方、転出者等もほぼ同数、無効登録者も出ておりまして、登録率は横ばいという状況にございました。この指標では図書館の施策の成果の変化が見えにくいことから、区民1人当たりの年間資料貸出件数に変更したものでございます。なお、登録率の向上につきましては、当然重要な目標でございまして、今後とも努力してまいります。

 それから、受託者との目標等の共有化ということでございます。施設目標を達成するため、職員だけでなく、受託事業者にもその目標や指標が理解され、共有化されていることは大変重要なことだと思っております。常にそれらを意識して、ともに努力していくようにしてまいりたいと思います。

 それから、子どもの図書館利用ということでございますが、区立図書館では、各館ごとに該当の小・中学校を受け持ちまして学校との連携活動を行っております。図書館員が学校を訪問してブックトークなどを行ったり、学校から子どもたちが図書館見学に訪れて利用の方法を学び、図書館利用のきっかけづくりを行っております。また、図書館と学校図書館との合同研修や合同選書などを行いまして、相互連携を図っているところでございます。これらの活動を通しまして、また、現場を担当する事業者の創意も生かしながら、子どもたちの図書館利用を促進してまいりたいと思っております。

 それから、指定管理者の選定につきまして、どのように行うかということでございます。指定管理者の選定につきましては、区で実施しております一定のルールに基づき行うこととなっております。

   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕

○区民生活部長(鈴木由美子) NPO支援についてお答えいたします。

 政策助成は、その活動内容を見ますと、みずから資金を獲得することが難しい場合が多うございまして、区の支出によらない経済的自立を促す仕組みを取り入れることは考えておりません。そういう意味で、基金助成のものと対象の制度の趣旨の違いにより、両者の一体化を図ることは難しいと考えております。

 また、同じように、環境基金と、それから公益活動の推進基金も一体化したらどうかというふうな御提案でございましたが、現在の区民公益活動推進基金は、寄附を自治体に行うことによって、寄附者が税制上の優遇措置を受けられる、そういったメリットも加味して基金を設けたものでありまして、現在のところ、環境基金とは目的を異にしており、両者を一本化することは考えてございません。

 また、さまざまNPOハウスということで御提案をいただきました。区としましては、現在のところ、そういったハウスを実施する考えはございません。NPOに対する支援といたしましては、企業支援や企業誘致、また、株式会社のみならず、雇用拡大や経済活性化の視点から、NPOを対象として支援を行う場合も多くなってございます。その場合でも、法人の種類ではなく、活動の内容を評価して支援してまいりたいというふうに考えています。

 以上でございます。

○議長(伊藤正信) 以上で奥田けんじ議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

      午後2時51分休憩

 

      午後3時10分開議

○副議長(江口済三郎) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。

 議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 いでい 良 輔

 1 行財政改革の推進について

 2 障がい者雇用施策について

 3 その他

 

○副議長(江口済三郎) いでい良輔議員。

     〔いでい良輔議員登壇〕

○10番(いでい良輔) 平成21年第4回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 質問の順番は、通告と順序を変えて、1番目に、その他の項で新型インフルエンザ予防接種についてを質問します。2番目に行財政改革の推進について、3番目に障がい者雇用施策についてを質問いたします。区長、理事者におかれましては、前向きな御答弁をいただけますようお願いを申し上げます。

 それでは、1番目の質問に入ります。

 新型インフルエンザの予防接種について伺います。

 新型インフルエンザの流行は都内でも引き続き警報水準のままであり、さらに季節性インフルエンザの流行期を迎える現在、蔓延対策の強化がますます重要となってまいりました。ようやく始まりました新型インフルエンザワクチンの予防接種は、区も対象者に対して助成をするなど、積極的にその対策に向けて取り組んでいますことは大きく評価できるものであります。

 しかし、受けたいと希望される方と区内医療機関からは需要と供給のミスマッチとの声を多く聞かれます。希望者からは医療機関に対して大変多くの予約のお問い合わせがありますが、必要量のワクチン確保が難しく予約が受けられないという声がある一方で、開封当日の使い切りワクチンが子どもなら三、四十人分に相当する10ミリバイアルびんで供給されており、使い残しの無駄が発生しているとも聞いております。

 我が党としても、厚生委員会において山崎議員より、供給されるワクチンの効率的な活用の観点から、区に対して集団的な接種の取り組みについてお尋ねしてきた経緯がありますが、そのこともあって、11月27日、中野区でも小学校低学年の児童を対象に集団予防接種を実施するとお聞きしました。

 そこで伺います。この件に関しては、中野区医師会の皆さんが先頭に立たれて、区とともに区民の生命と健康を守るという立場から始まり実現することになったと伺っております。今回の集団接種の実施主体、実施規模、中野区の公的な役割など取り組みの全体像を教えてください。

 また、なぜ集団接種の対象が小学校1年生、2年生、3年生の低学年に限定されているのでしょうか。未就学児の乳幼児を持つ親御さんやこれから受験などを控えている子どもを持つ親御さんから、一刻も早く予防接種を受けさせたいと望まれています。また、区内には私立小学校に通われている子どもたちもたくさん生活しています。その子どもたちは対象に含まれるのかなど、不安や疑問も大きくなっています。他区においては1歳以上の子どもの集団接種を予定している区もあるとお聞きしますが、対象の拡大は考えられないでしょうか、区の御見解を伺います。

 次に、2番目の項目の行財政改革の推進について質問させていただきます。

 内閣府が11月に発表しました月例経済報告では、「景気は持ち直してきているが、自立性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」としています。その判断基準としては、企業収益は大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっているとしながら、中小企業においてはそのテンポが遅く、雇用は相変わらず厳しい状況にある。そして、物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ傾向にあるとしています。また、先行きは当面厳しい雇用情勢が続くと見られるものの、海外の経済の改善などにより景気の持ち直し傾向が続くことが期待されるとしています。しかしながら、雇用情勢は一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要があるとしています。現にドバイショックと言われる金融不安が新たに発生し、世界経済において大きな影響が出始めていることも記憶に新しいところです。

 こうした経済報告から、第3回定例会の区長答弁や総務委員会の理事者の答弁からも、我が国の経済状況は深刻なもので、2年から3年は大変厳しい状況が続くとの予測は確かなものであると私どもも実感しております。

 一方、東京都が11月5日に公表した平成21年度の都税収入の見込みについてでは、法人2税が対21年度当初予算比では実に4,500億円のマイナス、対20年度決算額の比較では何と1兆600億円のマイナスとなり、東京都では22年度当初予算の要求内容の見直しを行っているとお聞きしました。

 この法人2税は、区の基幹収入であります都区財政調整基金の大切な原資で、昨年からの経済不況の影響が区の財政にも大きな影響を与えることは必至であります。区の財政担当者はおおむね3年のスパンで税収が上下すると言っていましたが、これほどの大きな影響は私が議員となって以降初めてのことではないでしょうか。過去には平成3年当時のバブル崩壊がありましたが、これに匹敵する景気の落ち込みではないかと考えております。

 さて、こうした状況を踏まえ、中野区の財政に目を転じれば、ここ最近、来年度の予算についての情報が議会に伝わってきていません。本年の1月20日に総務委員会に報告のあった「財政運営の考え方(中長期財政フレーム2009年改定)」の財政見通しを見ると、確かに「景気変動で市町村民税法人分などの落ち込みで約30億円の減収が見込まれ、こうした状況は少なくとも23年度までは続くと想定する必要がある」として、ある程度的確な財政見通しを立てています。しかし、財政フレーム上では、特別区交付金については、警大跡地の財産費を見込んだ関係で大幅な削減はなく、21年度の規模を横引いていますが、区を取り巻く社会経済状況は区の予測をはるかに上回るものとなっているのではないでしょうか。

 財政運営の考え方では、今後の取り組みとして、予算執行の統制、歳入の確実な確保、事業の見直し・再構築、執行方法の見直し、基金の繰り入れ・積み立てなどの取り組みを進めるとしていますが、果たしてそうした取り組みは実効あるものなのでしょうか。特に、事業の見直し・再構築、執行方法の見直しでは、その手法として、事業の必要性からの検討、有効性からの検討、公平性からの検討、そして、効率性からの検討の4手法が示されていますが、これはどのように検討されているのでしょうか。

 私は、政府が先般行った事業仕分けのように、事業の実態を十分に把握しないで、一方的かつ感情的に切り裂くやり方には賛成しません。が、区が示した四つの手法から事業を検証し、必要なものは推進し、不要不急なものは見直すことは重要なことと思います。

 区はかつて、たしか平成12年当時と思いますが、行財政改革室を設置し、行財政5か年計画を策定し、大幅な事業の見直しを行いました。そして、その当時の行政改革担当の課長として活躍されたのが今の田中区長であり、その上司が石神副区長でありました。いわば行革のプロがトップにいるわけでありますので、事業の見直し・再構築、執行方法の見直しなどはお手のものであると思っていましたが、区の経営本部のどこにその専管組織があるのでしょうか。もし仮に経営本部がその役割を担っているというのであれば、私にはその姿が全く見えませんし、具体的に取り組んだ成果もわかりません。

 区が言うように、今後3年程度財政状況が厳しい状況が続くのであれば、経営本部内に行財政改革を推進し、各部の進行管理を着実に行う組織をつくるべきではないでしょうか。現行の行政評価結果を見ても、各部は評価委員から指摘された事業だけ一応の検討を行うだけで、根本的な事業の必要性、有効性、公平性、効率性、そして、必要なコストの見直し、検討が行われていないように思います。

 ぜひ、こうした財政危機の時期こそ専管組織を設け、積極的に行政改革に取り組まれるべきと考えますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、3番目の障がい者雇用施策についてお伺いいたします。

 先ほど来申し上げているように、雇用情勢は一層の悪化の道をたどり、とりわけ障害のある方の雇用はさらに厳しいものがあるとお聞きしています。

 区長は平成18年6月11日執行の区長選挙において、現職区長のマニフェスト「開け!明日への扉」の中で、障害のある人に真の自立支援策として、ジョブコーチ、企業内授産など、障害のある人の企業への就労を拡大すると区民に約束されています。そして、ことしの4月、区内の障害者の雇用先にもなるIT企業の特例子会社を商工会館内に誘致するなど着実に取り組まれてきたことについて、大きな評価をするものであります。しかし、区内在住の障害者がその特例子会社に続々と雇用され、就労の機会がふえているとは言えない状況にあると私は感じています。今後も一層、障害のある人を企業へ就労していただく施策を推進していただきたいと考えています。

 そこで、初めにお伺いいたしますが、区内の障害のある方のここ数年の企業などへの就労実態はどのようになっているのでしょうか。区としての取り組みの内容とその成果をお答えください。

 さて、本年の4月、中小企業における障害者雇用の促進や短時間労働に対応した雇用率制度の見直しを柱とする改正障害者雇用促進法が施行されました。この改正の趣旨は、近年の障害者の就労意欲の高まりから、地域の身近にある中小企業の雇用が低下傾向にあること、中小企業における障害者雇用に関してさまざまな条件の緩和を図ったこと、事業主の雇用義務として週30時間以上の常用雇用としていたものを、短時間労働の障害者のニーズに応え、20から30時間の短時間労働者も雇用率に算定できるようにし、障害者雇用の推進を図ることであります。私も、こうした改正が今後一層の障害者雇用の推進につながることを期待しています。

 さて、今回の改正による、中小企業における障害者雇用の条件緩和により、一定の要件を満たす企業グループと中小企業が事業協同組合などを活用して共同事業を行い、一定の要件を満たすと厚生労働大臣の認定を受けたものについて、その事業協同組合とその組合員である中小企業、法律では特定事業主と言いますが、その実雇用率を通算できるようになりました。わかりやすく言えば、障害者雇用に理解のある中小企業が事業協同組合をつくり、そこで障害者を雇用すれば、特例子会社と同様に障害者の実雇用率としてカウントしてもらえるという制度です。

 この方式を活用し、事業協同組合として厚生労働大臣の認定を受けた組合はまだ例がないと聞いていますが、実は区内の主に清掃や施設管理を行うある事業協同組合が、東京都を通じて厚生労働大臣の認定を受けるべく手続を進めていまして、近々認定を受けるともお聞きしました。仮に認定を受ければ、全国でも初めての事例で、中野区内の障害者の方々のまさに希望の星になるものです。

 私は、区内のこうした中小企業が障害者の雇用のための社会貢献、地域貢献をしていこうとしている姿に大変頭が下がる思いでいます。区長は、こうした区内の中小の事業者が自ら積極的に障害者の雇用をしていこうとしている姿勢についてどのように評価されているのか、お聞きいたします。

 さて、中小企業の事業協同組合が厚生労働大臣の認定を受けるためには、障害者を安定的に雇用するための仕事が必要になります。組合の代表の方は、事業開始時には10人程度の障害者の方を雇用し、その後、20人くらいまでには増やしていきたいとお考えのようで、既に区内にある特別支援学校や授産施設との間で話し合いをしているともお聞きしました。健常者でもなかなか就職できない時期に、これほどの人数の障害者の雇用先が区内に確保できることになります。

 ぜひ、区としても、こうした中小企業者の取り組みが成功し、さまざまな業種の企業に拡大していくためにも、積極的な支援をするべきであると考えます。そのため、安定的な仕事と事業を推進していく場を何とか提供できないか、切に区長の御判断をお願いしたいと考えております。例えば来年の7月に開設予定の(仮称)すこやか福祉センターの施設の受付や清掃業務をこの事業組合に委託し、あわせて事務所も提供することで、精神障害、知的障害、身体障害の3障害の方々の雇用の拡大に寄与することができ、区長のマニフェストの集大成にもつながると考えています。

 また、障害のある方が通いやすい身近な施設、例えば今後、地域センターから地域事務所や区民活動センターなどに転換される施設も、区内の障害のある方の就職先とできないか、あわせて区長のお考えをお伺いします。

 ぜひとも区長の御英断を期待して、私のすべての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) いでい議員の御質問にお答えをいたします。

 新型インフルエンザワクチンの集団接種に関連する御質問であります。

 この集団接種の実施方法と中野区の役割ということでありますけれども、今回の新型インフルエンザワクチンの集団接種事業は、中野区医師会が医師会館を接種会場として12月13日からの実施を予定しております。実施の規模は、小学校1・2・3年生の児童を対象といたしまして、人数としては1,500人程度と考えております。1月の第2回目の接種も同じような規模で実施をする計画であります。中野区といたしましては、区立小学校を通じてお知らせ文書を配付するほか、区がコールセンターを設置して集団接種の予約を受けるなど、医師会の集団接種事業を支援していきたいと、このような考え方で進めているところであります。

 この集団接種の対象を限定している、もう少し拡大できるのではないかといったような趣旨の御質問もあったと思います。乳幼児につきましては、やはり医師と十分に意思疎通しながら医療機関で個別接種をすることが望ましいと、こう考えておりまして、中野区医師会も同様の判断ということでありました。ワクチン不足というのが一時的に製造して流通されてくる間の問題として出ているわけでありますけれども、順次解消されていく見込みになっているというふうに思っておりますし、また、実施日なども個別接種の場合にはきめ細かく対応されると、こういうふうに思いますので、結果として、集団接種の児童よりも大幅に遅れるといったようなことはないと考えております。

 また、小学校4年生以上につきましては、ワクチン供給状況の改善が見込まれることや、集団接種医の確保、これもやはり一定の困難を要することでもありますので、集団接種の対象外とさせていただきました。

 なお、区立の学校以外の学校に通っているお子さんも集団接種の対象としているところであります。

 それから、財政の問題、大変経済環境が悪化して大変厳しい時期を迎えていると、これはこの間何度も申し上げているとおりでありまして、議員の認識と共通していると、こう思っております。かつて行財政改革室を設置して行財政5か年計画を策定したことがあったと、そういった大幅な事業の見直しを必要とする時期なのではないかと、専管組織を設ける必要があるのではないかと、こういったような御趣旨だったと受けとめております。

 当時は、行財政改革という観点から、根本的に予算あるいは事業を見直すというような、組織的な位置付けというものがなかなかなかった中で、根本的に財政の改善ができるような、新規巻き直しができるような取り組みをする必要が生じたということで、臨時的な組織を設けたものであります。それ以降、中野区としては、そうした努力を踏まえ、経営改革に努め、組織もしっかり整備しながら、区の経営基盤を強化してきたところです。PDCAサイクルを推進するというような、そういった目標と成果による管理といったような考え方もしっかりと定着をさせながら改革を進めてまいりました。

 そういう意味で、経営本部の体制を含む区全体の体制として、必要な事業の見直しを区政の目標をしっかりと踏まえながらやっていくことができる、そういう体制としてつくり上げてきていると、こう思っております。それが本当にこういった大変厳しい時期に機能するかどうか、本当に真価が問われるというような時期になってきていると思っております。

 何度も今回の議会では申し上げておりますけれども、今回の予算編成を通じて、複数年の幅で予算の考え方なども定めていきながら、この厳しい時期に対応できる体制を組んでいきたいと、こう思っております。

 それから、障害者の雇用、それから就労をふやしていくということについての御質問がありました。

 まず、実績のほうですけれども、中野区の就労支援機関によって就職をした障害者は、平成18年が25人、平成19年が39人、平成20年は22人と若干減りましたけれども、平成21年は10月末現在で33人であります。20年度を除いて一定の成果が出てきていると、このようには考えております。しかし、もっともっと努力が必要ということであります。

 区の取り組みといたしましては、就労支援機関への委託によって、ジョブコーチを中心に就職相談や個別支援を行いますほか、区役所の実習や企業の実習、それから、企業の就職説明会並びに面接の実施、さらに、就職後の定着、生活支援を実施しているところであります。このほか、訪問等によります企業の開拓など、就職先の確保に努めているところですけれども、なかなか経済状況の問題もあって、思うような進展はないということも事実であります。

 そういう中で大変重要になってきますのが、区内の中小企業での障害者雇用、こういった取り組みへの区の受けとめ方ということになってくると思っております。障害者が地域で自立して生活していくためには、障害者の一般就労を進めることが欠かせないわけであります。そういう意味で、区内の中小企業が障害者雇用を進めていく、そうした仕組みをつくりながら、確かな仕組みをつくっていく、確かな環境をつくっていくということは、区内の雇用の場の拡大につながって、大変重要なことだと、こう考えております。

 区の業務についてですが、区施設の清掃業務については、障害者などへの優先契約ができるというふうに決めているところです。そうしたことから、障害者雇用の拡大の視点を入れながら契約を考えているわけであります。また、そのほかにも、区として可能な範囲で障害者の就労の機会を多様な形で拡大をしていくことが望ましいと考えておりますので、今後、区の予算編成、事業の組み立ての中で対応していきたいと、こう思っております。

○副議長(江口済三郎) 以上でいでい良輔議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 南  かつひこ

 1 成年後見制度の充実について

 2 子育て支援について

  (1)保育制度の充実について

  (2)私立幼稚園への支援について

  (3)その他

 3 高齢者への安心・安全対策について

  (1)見守り・緊急通報システムについて

  (2)救急医療情報キットについて

 4 その他

  (1)リフト付福祉タクシー券の申請について

  (2)その他

 

○副議長(江口済三郎) 次に、南かつひこ議員。

     〔南かつひこ議員登壇〕

○14番(南かつひこ) 平成21年第4回定例会におきまして、公明党議員団の立場から一般質問を行います。

 質問項目は、通告の順番に従いまして、最初に成年後見制度の充実について、2番目に子育て支援について、(1)として保育制度の充実について、(2)として私立幼稚園への支援について、3番目に高齢者への安心・安全対策について、(1)として見守り・緊急通報システムについて、(2)として救急医療情報キットについて、4番目にその他について、(1)としてリフト付福祉タクシー券の申請についての順番で進めさせていただきます。

 初めに、成年後見制度の充実について伺います。

 成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などで判断能力が低下し、自分1人では財産管理やさまざまな契約をすることが難しくなった人が、自分らしく安心した暮らしやその権利を守るための制度であります。

 成年後見制度には、本人に判断能力が残っている場合には、その程度に応じて家庭裁判所より補助人、保佐人を選任され、本人がほとんど判断できない場合には後見人を選任される法定後見制度と、将来、本人の判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ自分で後見人を決めて、公正証書で契約をしていく任意後見制度があります。

 中野区において、この成年後見制度の充実を図るために、中野区社会福祉協議会が運営主体となって、平成20年の10月より中野区成年後見支援センターが開設され、業務がスタートいたしました。業務開始より1年が過ぎましたが、現在の相談件数や普及活動などの状況について伺います。

 最高裁判所の調べによると、平成19年度に成年後見人が選任された件数は2万3,501件で、そのうち、子どもや親などの親族が成年後見人に選任されたケースの割合は全体の72%となり、そのほかでは司法書士が11%、弁護士が8%、社会福祉士が5%となっております。

 成年後見制度は、これまでに約17万5,000人が利用しており、今後、認知症高齢者が200万人を超えると予想される中、成年後見人の必要性がますます高まり、専門職だけでは担い手不足で対応ができなくなる状況となってまいります。

 身寄りがおらず、後見人を務められるような親族がいない高齢者も増加しており、制度を利用したくても金銭的な理由から専門家に相談できない人も多くおります。このような背景の中、一般の市民が第三者の後見人を務める市民後見人の必要性の機運が高まっております。

 世田谷区では、一般の区民に向けた成年後見制度の養成講座を平成18年度より実施しており、平成23年度までに60名の講座修了生を養成することを目標にしております。現在、平成21年度生までの修了生の総数は51名で、そのうち、家庭裁判所より20名の人が成年後見人として選任をされ、活動をしております。

 専門家でない一般市民の後見人としての活動の意義としては、例えば介護サービスの契約、費用の支払い、また、日常生活や健康状態の見守りといった身上監護の対応など、地元に密着した市民ならではのきめ細やかな気配りや見守りができることであります。

 こうした市民後見人の意義を踏まえて、中野区としても成年後見人の養成講座を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 ことしの3月に東京大学と筑波大学は、文部科学省の委託を受けて市民後見人を養成する共同プロジェクトを立ち上げました。受講生は約9カ月間、法律や認知症、介護保険などの講義を受け、さらに、社会福祉協議会などの関連機関での体験活動を行います。審査に合格すれば、プロジェクトが設立する人材バンクに登録させる計画です。

 また、大阪市では、平成18年度より市民後見人養成講座を実施して、基礎研修、実務研修、施設実習や面接などを行い、合格した人を市民後見人バンクに登録しております。平成20年度までの実績として、市民後見人バンクの登録者の総数は84名で、そのうち成年後見人として選任された人は21名に上ります。

 全国で活動する市民後見人は現在100人未満と言われており、非常に少ないのが現状であります。成年後見人の需要が増す中、中野区としても(仮称)中野区成年後見人バンクを創設して、成年後見制度の充実を図るべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 成年後見制度を利用する場合の費用としては、申し立て時に登記などの申し立て手数料や医師の鑑定が必要となる場合には5万円から10万円の鑑定手数料が必要となります。後見人が専門職の場合には、申し立て時の手数料に加え、月額3万円から5万円ほどの報酬料が必要となります。低所得者にとっては、申し立て手数料や報酬料を含めると大きな負担となります。中野区として、低所得者への負担軽減のためにも、申し立て手数料や報酬料の助成制度を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 成年後見制度は介護保険制度とともに平成12年度よりスタートしましたが、介護保険制度に比べ、名称や内容などまだまだ知られてはおりません。もっと区民へ向けたPRが必要と考えます。中野区として、区報での特集号の発行や親しみやすい漫画などでの解説書の作成などをして、成年後見制度の周知を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。また、中野区での区長申し立ての今までの実績を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、子育て支援について伺います。

 初めに、私立保育園の課題を中心として保育制度の充実について伺います。

 現在、中野区の私立保育園は、ことしの7月に東中野に開設された分園を含めて11園が運営されております。中野区では、新年度の新入園児の決定は2月下旬ごろに行っておりますが、障害児の入園の決定もこのときに決まります。

 私立保育園では、障害児の在籍期間、その子どもの障害の程度によって加配職員の人件費が支払われておりますが、障害児の入園決定が2月下旬であると、障害児が入園を希望していても、加配職員の採用が時間的な問題から難しくなり、受け入れが困難になっているのが状況であります。

 障害児の入所選考基準はポイント的には高いのですが、職員が採用されなければ入園することはできません。また、障害児が途中で保育園をやめてしまうと、職員の人件費がその時点でカットされてしまい、新たに障害児の入園が決まると、また職員を探さなくてはならなくなります。

 今後の中野区の障害児保育を推進するためにも、障害児の担当職員を常勤化できる体制を整備すべきと考えます。また、障害児に限って、新年度の職員の配置を検討する時期に入所判定を早めるべきと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、延長保育について伺います。

 私立保育園では、生活保護世帯や住民税非課税世帯であるA・B階層家庭となっている利用者については、延長保育料の利用料を各保育園が持ち出しをする形で減免対応しているのが現状であります。不公平さの是正を改善するためにも、区として延長保育の利用料の基準を設けるべきであり、この減免分については補助すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、年齢制限のある保育園について伺います。

 現在、ゼロ歳から2歳児までを受け入れている3歳未満児園において、卒園するときにはその後の受け入れ先が決まっておらず、保育の保障がなされておりません。保護者の方々からは、3歳以降の保育についての不安の声が寄せられております。現在の入所基準を見直し、卒園の際、優先的に転園できるよう制度を整備すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 老朽化した園舎の建てかえについて伺います。

 現在、私立保育園の中で、区立園時代の古い園舎をそのまま引き継いだ保育園が4園あります。築年数は30年から40年近くたっております。耐震上、問題の可能性もあり、不安を抱える中での運営を強いられているのが現状です。

 耐震診断においては、その費用は東京都及び中野区から補助が受けられますが、診断結果によっては、社会福祉法人として子どもの安全を守る上からも園舎の建てかえをせざるを得ません。園舎の建替えには、国や東京都の補助金を受けても億単位の負担が生じるため、中野区としての支援は欠かせないと思われます。仮園舎の代替地の斡旋や園舎の解体撤去費、仮園舎の建設費など支援すべき課題はたくさんあると思われます。このような現状を区としてどのように考えられているのか、伺います。

 二つ目に、私立幼稚園への支援について伺います。

 先般、我が会派と私立幼稚園連合会及び私立幼稚園父母の会連合会と懇談会を行い、さまざまな御要望を伺いました。

 中野区では、私立幼稚園に在籍する園児の保護者に対して保育料の一部を補助しております。この私立幼稚園保護者補助金は、今年度は1万1,500円が補助され、毎年500円ずつ増額されて、22年度まで続けられることになっております。私立幼稚園の保護者にとっては、月々の保育料は大きな負担となっております。さらなる保護者への補助が必要であります。平成22年度については、私立幼稚園保護者補助金の制度の趣旨を踏まえて、断じて継続すべきであると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また現在、入園料補助金は3万円が支給されておりますが、私立幼稚園の入園料は平均で8万9,000円です。これは区立幼稚園の入園料のおよそ20倍の金額になります。公私の格差の是正を図るためにも、入園料補助金の増額をすべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、「楽しい園児の集い」について伺います。

 毎年なかのZEROホールで開催されております「楽しい園児の集い」は、ことしで53回目を迎え、大好評でありました。私も3日目に参加をして人形劇を見させていただきました。豊かな情操を養うすばらしい機会であると実感した次第です。

 「楽しい園児の集い」を開催するに当たり、区は観劇事業補助金として施設使用料を補助されております。しかしながら、公演料は私立幼稚園連合会で負担をしております。3日間の公演料はおよそ300万円かかっております。園児数の減少している昨今、連合会及び各園への負担はますます増加している現状であります。「楽しい園児の集い」の公演料の支援として2分の1の補助が必要であると考えますが、いかがでしょうか、伺って、この項の質問を終わります。

 次に、高齢者への安心・安全対策について伺います。

 初めに、見守り・緊急通報システムについて伺います。

 現在、中野区では、65歳以上のひとり暮らし高齢者及び65歳以上の高齢者のみの世帯に対して、見守りのためのセンサーを設置する事業を行っております。さらに、対象世帯の中で心臓病などの慢性疾患のある場合には、センサーに加え、無線発報ペンダントを貸与しております。

 高齢者の中には昼間だけ独居状態になってしまうケースがあります。同居者の全員が仕事に出かけているために、事実上独居状態になってしまいます。介護の現場ではこの状態を「日中独居」と呼ばれております。このような高齢者の中には、介護保険制度の要介護・要支援認定を受けている人も少なくありません。家庭内での転倒や突然の病気などで身動きがとれなくなり、手おくれになると重大な事故につながりかねません。このようなときに見守り・緊急通報システムがあれば安心であります。

 見守り・緊急通報システムの対象枠について、65歳以上のひとり暮らし高齢者及び65歳以上の高齢者のみの世帯のみならず、高齢者を抱えている世帯へも拡充すべきと考えます。さらには、介護認定を受けられている65歳未満の世帯にも利用できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 見守り・緊急通報システムは、高齢者の安心・安全を守る仕組みとして大変役立つものだと思います。しかしながら、このシステムを知らない区民の方も多くおります。区としてもっと積極的なPRの工夫が必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、見守りの観点から高齢者見守り支援ネットワークについて伺います。

 中野区住民基本台帳によると、平成19年の65歳以上の高齢者人口は5万7,309人で、高齢者単身世帯割合も年々増加しており、70歳以上のうちひとり暮らしの高齢者は6,706人で、単身世帯の16.2%となっています。

 ひとり暮らしの高齢者の中には、社会との接点に乏しいことから、孤独死という形で周囲に存在さえ知られないまま餓死や病死するケースも頻繁に発生しており、社会問題となっております。このような社会問題を未然に防ぎ、高齢者に安心した生活を送っていただくために、高齢者見守り支援ネットワークの事業が運営されております。登録者数は現在2,300人、協力員数が約80人となっておりますが、地域とかかわりを持とうとしない高齢者が多いことや、協力員の絶対数の不足の問題などにより、事業としてあまり機能していないのが現状であります。

 今後、区として高齢者見守り支援ネットワークの事業について、どのように改善を図っていくのか、区の見解を伺います。

 次に、救急医療情報キットについて伺います。

 高齢者や障害者、健康上不安を抱えている人の安全・安心のために、港区では救急医療情報キットを無料で配布しています。これは昨年の5月より始めた事業で、医療情報を入れたキットを冷蔵庫に保管して、救急通報時に駆けつけた救急隊員がその情報を生かして、迅速かつ適切に救急処置をする仕組みであります。

 災害時や突然の病気の発作で本人との意思の疎通が難しくても、どこの家庭にでもある冷蔵庫であればすぐに見つけられ、必要な連絡や処置ができる利点があります。ひとり暮らしの高齢者の増加に加え、近隣とのつき合いも減る中、簡単にできる万一の備えの工夫として関心が高まっています。

 キットは、プラスチック製の筒状の容器で直径6.5センチ、長さ22センチです。すぐに救急隊員の目につき、扱いやすいようになっております。

 これが医療救急キットでございまして、それで、これが冷蔵庫に入るわけですけれども、これがあるということがわかるようにこのステッカーがあるんですけれども、1枚は玄関のドアの内側に張り、もう1枚がマグネット方式になっておりまして、冷蔵庫にぴたっと張って、ここに救急キットがあることを知らせるものです。

 それで、このキットの中には、かかりつけ医や持病、それから緊急連絡先などの情報、それから薬剤情報提供書や、お薬手帳のコピー、または健康保険証のコピー、それから診察券のコピー、それから、本人の確認用の写真などが入れてございます。個人情報を自分で管理し、随時更新することができるという利点があります。

 配布場所は、港区内の5地区の支所や福祉会館、地域包括支援センターで行っております。11月1日現在のキットの配布数は、高齢者に3,500個、障害者に127個、そのほかのケースを含めると全体で3,859個であります。港区内の65歳以上の高齢者への配布率は9.83%とおよそ1割に配布されています。

 港区では今年度、救急医療情報キットの配布事業を東京都で行っている先駆的な取り組みに対して補助の出る制度に申請して、さらなる周知と拡充を図っております。東京都では、救急医療情報キットのような高齢者にとって有効な施策に対して、財政支援を含めて前向きに取り組んでいく方向であります。

 中野区としても、東京都の包括補助の制度を視野に入れながら、救急医療情報キットの配布事業を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、その他でリフト付福祉タクシー券の申請について伺います。

 ことしの4月以降、リフト付福祉タクシー券の申請が沼袋地域センター内にある障害者福祉会館ではできなくなりました。それは、障害者福祉会館が指定管理者へ移行したために、リフト付福祉タクシー券を利用される身障者の方に専門的な相談に応じる職員がいなくなったためであります。そのために、リフト付福祉タクシー券の申請をするには、障害者福祉会館から一番近くの北部保健福祉センターの窓口に行くことになります。しかしながら、北部保健福祉センターはバリアフリー化になっておらず、1階の入り口に行くためには、車いすで長くて急勾配な坂道のようなスロープを上らなくてはならず、体力的にも困難で危険を伴います。

 身障者や高齢者の安全を守るためにも、北部保健福祉センターのバリアフリー化に踏み切るべきと考えます。昇降機やエレベーターの設置、さらには雨や風を防ぐ屋根を1階の入り口に取りつけるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、リフト付福祉タクシー券の申請を各地域センターでもできるような仕組みをつくるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺って、私のすべての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 南議員の御質問にお答えをいたします。

 成年後見支援センターですけれども、実績ですが、昨年10月からことし10月末までの利用、相談者は実数で392人、件数で言うと590人であります。かなりの数の方が相談に来ておられると、こんな実感を持っているところであります。区報への掲載や案内のチラシを配布したり、定例の説明会のほかに地域に出向いての出前説明会を実施するなど、この後見支援センターでは成年後見事業についての普及啓発に努めているということであります。

 社会貢献型後見人の養成についてであります。東京都が実施をしております養成研修に毎年区民も参加をしています。区独自の養成講座につきましては、社会貢献型後見人の活動の場の用意、活動環境をまずつくるということも大事でありますことから、今後の実施時期を考えていきたいと考えております。

 その東京都の養成研修を修了した方につきましては、現在、中野区社会福祉協議会の権利擁護センターにおいて、日常的な金銭管理サービスや成年後見支援センターが実施する事業への協力など、こうしたことを通じて経験を積んでもらっているところであります。社会貢献型後見人が活動するためには、それを適切に支援する法人後見監督の仕組み、こういった仕組みが必要となります。そういった体制が整った段階において、申し立て人に紹介するような仕組みをつくっていきたいと、このように考えております。

 それから、低所得者への助成の制度であります。区長申し立ての場合には、成年後見人等への報酬の支払いが困難な低所得者を対象とする報酬費用の助成制度があります。区長申し立て以外のケースでは、申立人となる親族などがいるということが普通の場合でありまして、こうした方でも低所得者の場合というようなことを踏まえて、今後助成のあり方について研究していきたいと、こう考えております。

 それから、周知がまだ不十分ではないかと、こういう御指摘もありました。成年後見支援センターを設置したことによって、広報活動がかなり強化され、区民への周知も広まっていると受けとめております。これをめぐる説明、講演会などの実施をした際に、参加をされた区民の方の数がかなり多かったり、関心も高まっているというような実感は持っているところでありますけれども、今後とも区報への掲載やリーフレットの配布、また、制度説明会の実施などによって周知に努めていきたいと、こう考えております。

 それから、区長申し立ての実績ということでありますけれども、区長申し立ての実績、18年度は9件、19年度は20件、そして、20年度は28件ということで、実績がふえているという状況にあります。ちなみに、今年度については、11月末現在で6件とやや減少ぎみという傾向にはあります。

 それから、障害児保育に関する対策をめぐっての御質問がありました。入園決定が遅いために私立保育園のほうで対応に苦慮していると、こういうことでありました。入園の募集なんですけれども、既に生まれているお子さんについては、1月上旬までに申し込みをしていただいています。それ以降に生まれたお子さんについて、2月上旬まで入園募集を受け付けると、こういう仕組みになっておりますので、こうしたお子さんを適切に受けとめていくということも必要なところから、やはり入園決定をもっと早くするというのはなかなか難しい状況であることを御理解いただきたいというふうに思っております。

 それから、障害児についての運営費補助については、現に在園する障害児への対応ということで、障害児に応じて行うことが必要でありまして、退園した後も補助を続けるということについては、現時点においては考えておりません。

 それから、延長保育利用料についての補助についての御質問がありました。延長保育は各私立保育園の事業として行っているところでありまして、保育料についてもそれぞれ任意に決めているところであります。区では私立保育園の延長保育事業の実施に要する人件費等について一定補助をしているところでありますけれども、この利用料負担について、区立園との間で埋めるべき格差があるのかどうか、この辺は検討していきたいと思っております。

 それから、年齢に上限のある保育園に入園しているお子さんの卒園した後の転園保障の問題についてであります。年齢に上限のある保育園から転園の場合、4月の転園については、1世帯に対してプラス1点の加算の調整を行っております。この調整で、定数の充足状況などから見まして、転園を優先するための指数としては十分に機能していると区としては認識をしているところであります。

 それから、保育園舎の建てかえの場合の支援であります。私立保育園の園舎の建てかえについては建設費の補助を行っているところであります。建てかえに当たっては仮園舎などが必要だといったようなことも出てまいります。区としてできる限りの支援を考えていきたいと、このように考えております。

 それから、私立幼稚園の保護者補助についての御質問もありました。私立幼稚園等保護者補助金の増額、これについては、公立と私立の保育料負担の軽減、保育料負担の公平化を図っていくために、区立幼稚園の保育料改定とあわせて実施をしてきたところであります。来年度は予定の増額について最終年であるということを認識しているところであります。しかしながら、この実施については、大変厳しい予算編成でありますので、予算編成の中で考えていくというふうにこの段階ではお答えをさせていただきたいと、こう思っております。

 それから、入園料補助の増額についての御質問がありました。私立幼稚園へ入園料を支払った保護者に対する補助として、区では入園料補助を行っております。この入園料補助のほかに、就園奨励費補助金も設けております。この補助金には所得制限があるということでありまして、また、課税額によって金額に多寡があります。ということもありますけれども、保護者がその年度に支払った入園料と保育料の総額に対して補助を行っているところであります。こうした補助の実際の効果等も見きわめながら検討していきたいと、こう思っております。

 それから、私立幼稚園の観劇事業の補助金の増額についての御質問がありました。この観劇事業につきましては、出演料補助以外にも施設使用料や附帯設備使用料を全額補助しております。全体としては事業実施経費の50%弱、43.5%ですけれども、の補助になっているところであります。区としては十分補助していると考えているところであります。御要望については今後の予算編成の中での検討になるというふうにお答えをさせていただきます。

 私からは以上です。

    〔保健福祉部長金野晃登壇〕

○保健福祉部長(金野晃) 私からは、高齢者の安心・安全対策についての御質問にお答えいたします。

 まず、見守り・緊急通報システムの利用者の拡大についての御質問でございます。

 この見守り・緊急通報システムは、緊急の事態が発生したときに家族等への連絡のとれないひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯を対象として行っております。日中のみ独居となる世帯ということですが、こうした方は家族等への連絡が可能であるため、利用対象とはしていないということでございます。また、要介護状態の認定を受けている方にも利用できるようにということですが、この制度が機能するのは発作性の疾患などの緊急事態の際でございますので、要介護状態というだけでは利用対象とすることは考えていないものでございます。

 次に、制度の周知でございます。制度の周知をもっとPRすべきということでございます。今後、地域のひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯の方に対し、さまざまな機会を通して制度の利用案内や周知を一層図っていきたいと考えます。

 次に、高齢者見守り支援ネットワーク「元気でねっと」の今後についてのお尋ねでございます。

 今後は、高齢者に限らず、障害者を含めた支援が必要な方を地域で支えるための仕組み、地域支えあいネットワークの構築を進めるということで準備をしているところでございます。「元気でねっと」につきましては、この地域支えあいネットワークの役割の中に引き継ぐ形で切りかえていきたいと考えております。

 次に、救急医療情報キットの設置についての御質問でございます。

 港区のこのキットに当たるものは、中野区の緊急連絡カードというものがございますが、これは緊急時に駆けつけた救急隊員などが速やかにこのカードを発見できるよう、玄関などの目立つ場所に置いてもらっており、定着をしているというところでございます。中野区の緊急連絡カードは、同じカードを民生委員や区が共有するというやり方でやっておりまして、現在のところ、あえて変更する必要はないと考えております。

 次に、リフト付福祉タクシー券の申請についての御質問でございます。

 北部保健福祉センターは、確かに車いすの方には利用しにくく、2階事務室までおいでいただくことが困難な方につきましては、門扉付近、また、施設に入ってすぐの場所にインターホンを設置しておりまして、そこから職員を呼び出していただいております。この門扉付近のインターホンを使われた場合は、職員がすぐ迎えに行き、また、建物入り口の中のインターホンの場合は、職員が向かって1階の相談室で相談・申請を行っております。

 この建物の改善でひさしの設置ということでございますが、敷地の入り口ということになりますと、ひさしの設置につきましては、検診車が進入する都合などから困難でございまして、また、建物入り口ということになりますと、屋内に車いすのまま入れる構造で現在ございますので、ひさしの必要性は少ないのではないかと考えております。

 次に、リフト付福祉タクシー券の申請の窓口の拡大についてのお尋ねでございます。リフト付福祉タクシー券は、利用対象の確認のほか、利用について詳細に説明をする必要があり、地域センターでは交付していないことから、特別の事情がある場合は個別に相談いただいて対応している現状でございます。申請窓口の拡大ということにつきまして、今後の利便性向上について工夫をしたいと思います。

     〔南かつひこ議員登壇〕

○14番(南かつひこ) それでは、再質問を何点かさせていただきたいと思います。

 まず、成年後見人制度なんですけれども、相談件数、さまざまふえているという現状の中で、やはりどうしても成年後見人の需要が増す中、担い手となる後見人が非常に少ないという現状があります。やはりその中でしっかりと対応していかなきゃならないというふうに思っておるところなんですが、そのためにもやはりしっかりと人材を育成して、その人材を中野区として登録させるといいますか、そういう人材バンクを創設して機能させる必要があるというふうに考えておりますけれども、その点もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

 それから、あと、私立幼稚園の保護者補助についてでありますけれども、先ほど、予算編成の中で考えていきたいという御答弁でありましたが、保護者の皆様からすると、非常に保育料というのは家計の中で一番負担がかかっています。大変に厳しい環境であるということで、非常にその辺の不安感があるわけですね。ですから、22年度も継続をするという明快な御答弁をここでいただきたいなというふうに思いますので、もう一度御答弁をお願いいたします。

 それから、救急医療情報キットでございますけれども、中野区では緊急連絡カードを玄関のところに置いてやっているということでありますが、玄関ですとなくなる可能性もありますし、例えばしまうところがげた箱の中とか、さまざま違ってくるわけですね。だから、救急隊が駆けつけたときにどこにあるのかわからなければ全く何の意味もなすことがありませんし、冷蔵庫であればどこの家庭にもある。このカードの情報をキットの中に入れていれば全然問題ないわけでありますので、ぜひともその辺を踏まえてもう一度お答えをいただきたいというふうに思います。

 以上です。よろしくお願いいたします。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 社会貢献型後見人の人材バンクという御質問であります。現時点で必要数とか、それから養成数とか、まだまだ歩き始めたばかりというような段階だと思っております。先ほど申し上げましたように、監督の仕組みというようなものも必要ということであります。現時点では、相談を受け付けて申立人に紹介をできるというふうに、講習を受けていただいた方の把握は権利擁護センターでできている状況でありますので、今後、そういった後見人の方がふえていくというふうに、規模が拡大していく中でバンクのような仕組みというものが必要になってくれば、当然対応していきたいと、このように考えております。

 それから、私立幼稚園の保護者補助でありますけれども、思いは明快に持っておりますけれども、予算編成の中で検討していきたいと思っております。

    〔保健福祉部長金野晃登壇〕

○保健福祉部長(金野晃) 緊急連絡カードのわかりやすい置き場の工夫ということでございます。確かに緊急時に発見しやすいということは、大変この仕組みの上では重要な要素というように思いますので、どういう形が最もわかりやすい置き方なのかということについて研究してみたいと思います。

○副議長(江口済三郎) 以上で南かつひこ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 地方分権改革の問題について

 2 中野区の市場競争原理について

 3 不況から区民生活を守る方途について

  (1)住民税の納税猶予について

  (2)国民健康保険の資格証明書発行問題と一部負担金の減免について

  (3)その他

 4 子どもの貧困を克服することについて

  (1)就学援助の拡充と支給改善について

  (2)その他

 5 その他

 

○副議長(江口済三郎) 次に、長沢和彦議員。

      〔長沢和彦議員登壇〕

○30番(長沢和彦) 2009年第4回定例会に当たりまして、日本共産党議員団の立場で一般質問を行わせていただきます。

 初めに、地方分権改革の問題について伺います。

 内閣府の地方分権改革推進委員会が鳩山総理大臣に対して矢継ぎ早に勧告を提出したことで、地方分権の議論に拍車がかかっています。今回の地方分権の検討は、福祉や教育などの水準を不十分ながら保障するために設けられてきた国の基準を取り払い、国の責任の放棄と財政負担を削減し、それを消費税増税で補わせることをねらっていると思われます。これでは自治体が独自の施策を充実させ地方自治を発展させるどころか、福祉・教育など住民施策の最低基準(ナショナルミニマム)を確保することも難しくなってしまうことは必至です。

 国も自治体もその本来的任務は人権保障のための統治機構であり、日本国憲法の描く国家・自治体の役割は国民の暮らしが成り立つような生存配慮を基軸にしているはずです。福祉や教育の分野では、今、重要なのは分権化が進んでいない点にあるのではなく、むしろナショナルミニマムが危機に陥っている点にあります。ナショナルミニマム保障に立脚した地方自治の視点が欠落していてはだめです。国の責任放棄を容認してはならないと考えますが、いかがですか、お聞きします。

 本来進めるべき地方分権は、住民の福祉の増進を図るという自治体本来の役割を果たしていくための地方の財源を保障すること、国の勧告、是正要求、代執行など不当な地方への支配の仕組みをなくし、自治体が文字どおり国と対等で自主的な判断ができるように改めることです。

 区長は、身近な地域の問題については、身近な単位で自己決定・自己責任を持って、それぞれの地域がそれぞれに主体性を持って地域を運営していく、地域間、自治体間競争の中で国全体が栄えていくことが望ましいとの見解を述べられています。しかし、保育や医療、介護、障害者、生活保護といった社会保障分野などの国の基準の多くは、全国どこでも一定の水準の福祉を受けることのできるように定めた憲法に基づくものであり、現在でも都や特別区が独自の基準を加算しているように、基準を上回ることは自治体の裁量に任されています。

 国基準を廃止し、基準を地方にゆだねることは、自公政権の三位一体改革のもとで地方財政が痛めつけられ、深刻な状況のもとで基準を下回ることを許容するものとなってしまいます。また、自治体に自己決定・自己責任を迫り、受益と負担についてはそれぞれの自治体単位で責任を持てといった議論では、結果、住民への負担増とサービスの切り捨てにつながりかねないと考えますが、いかがですか、見解を伺います。

 次に、中野区の市場競争原理について伺います。

 国においては、新自由主義の構造改革・規制緩和が進められ、一方、地方自治体では、自治体版構造改革として新しい公共経営論などが言われてきました。そこで、市場競争原理の活用も強調されました。大ざっぱに言えば、一つは官から民へとさまざまな手法を使いながら、区民サービスの民営化・民間委託を推進し、もう片方で、区直営サービスも効率・採算最優先で見直しを図るというものです。

 さて、中野区では、保育園の民営化や福祉・教育施設などの指定管理者制度の導入など民間委託を次々行ってきました。施設をゼロベースから見直すことを掲げ、学校をはじめさまざまな教育・福祉施設の廃止や再編を行っていることも、根底に市場競争原理が据えられています。区政運営の手法としてきた市場競争原理、官から民へ、小さな区役所は、安心・安全を脅かし、サービスの安定と継続の確保を困難とし、公正・公平さえも危機に陥らせかねない状況を生んだのではありませんか、伺います。

 区はサービスの拡大を図ったと言いますが、当然ながら区直営でできないわけではありません。経費を削減できたと誇りますが、何が違うかといえば専ら人件費の違いであって、継続性・安定性の確保が難しくなりました。

 例えば2007年度の財政援助団体等監査結果報告において、指定管理者による施設管理で協定書に定めた職員配置基準と相違する状態があったと指摘されたことがありました。また、受託者は、次回も受託できるという見通しが全く持てない中で、行政に意見が言えない、少ない受託料で応募しなければ指定されないのではないかなどの問題にぶつかっています。しかも、委託先で専ら有期雇用の非正規職員しか雇用できないなど官製ワーキングプアをつくり出しています。官製ワーキングプアを生み出している現状をどう見ていますか、伺います。

 関係者からは、区の公的責任の後退を指摘する声が出されています。例えば保育園の民営化は、区の公的責任の放棄であり、保護者や区民はもとより、公的保育を願う私立保育園からも、全園民営化は区の責任放棄であると反対が表明されています。精神障害回復者のデイケアを来年度から民間委託することも、作業所などからは、保健師との連携によって成り立っていた、区の責任が弱まる、と心配されています。福祉・教育分野においては、官から民へをやみくもに進めるのではなく、区の公的責任をきちんと確保することが必要ではないですか、伺います。

 区の内部ではどうでしょう。成果主義を用いて職員の意欲向上を図るはずが、逆に減退しています。職員の不祥事や事故の多発などモラルハザードはきわみにあります。病気休暇・休職の増加、しかもメンタルの疾病がふえています。事業部制によるフラット化や3名の副区長制におけるトップマネジメントも、職員を削減し続けてきたゆえにとってきた手法だと考えますが、責任の所在がわかりにくく、区民から見れば全く理解しがたいものと言えます。成果主義やさまざまな組織の改編が、区民生活を守ることや住民自治の発展に役立ったと言えるのですか、伺います。

 次に、不況から区民生活を守る方途について伺います。

 住民税の納税猶予についてお聞きします。

 税を徴収することばかりに偏重していることが目立つ昨今の徴収業務ですが、税法にはそのことだけが書かれているわけではありません。どうしても払えないときには、ちゃんと納税者が救済されるようにもなっています。ここが公的債権と民間の一般債権が異なる最大の特徴です。なぜなら、憲法30条の納税義務は25条の生存権を達成するためにあるからだと考えます。

 ところが、生活困窮者からも税を取り立てる自治体がふえ、差し押さえを禁止している児童手当や出産一時金を差し押さえるなど、全国的にひどい実態があります。さらに、地方税等の滞納状況によって、地方自治体が実施する行政サービスを制限することも全国に広がっています。滞納者は悪人と言わんばかりに生存権的財産まで差し押さえる。行政サービスを制限する。取るためには何でもありなのか。もっと血の通った行政が求められます。

 中野区では、電話による催告や幹部職員による戸別訪問などを行っています。徴収の成果だけでなく、幹部職員による区民の暮らしの実態把握につながることを期待したいし、その視点が欠かせないと考えます。区民の生活困難の解決に対して具体的に支援を行うことが必要ではありませんか、見解を求めます。

 地方税の納税の猶予は、一定の要件に該当するときに適用されます。徴収猶予、換価の猶予、滞納処分の停止、これらは憲法の定める生存権、財産権、幸福追求権などの要請により、徴収という場面で納税者の権利を保障する貴重な制度であり、積極的な活用が求められます。納税者である区民が権利として理解していることが大切です。どのように広報し、周知を図っているのか、伺います。

 二つ目に、国民健康保険の資格証明書発行問題と一部負担金の減免について伺います。

 まず、資格証明書の発行についてです。この分野でも機械的に資格証明書の発行を行っています。しかし、支払い能力がある者と支払い能力がない者を明確に区分して対応しなければなりません。負担の公平性の観点から今後も資格証明書を活用するなどは、実態を把握していない証拠です。さらに、納付相談の機会を確保することが目的であるのなら、相談の機会を確保できていない現状をどう認識しているのでしょう。まずは資格証明書の発行をやめて、実態把握に努めるべきです。伺います。

 政府はことしの1月20日に、我が党の小池晃参議院議員の質問主意書に対して、当時の麻生総理大臣名で、成人であっても、病気など特別な事情があれば資格証明書の発行はしない旨の見解を示しました。この見解を踏まえた対応が必要です。被保険者への周知はどのように行ったのか、伺います。

 また、改正国保法は、その対象を中学生以下としましたが、高校生にも無条件で短期証が交付されるべきでした。現在は保険者である自治体にその裁量はゆだねられているため、区の判断で高校生も対象にすることを求めます。

 保険料の滞納がふえ続けている問題とともに、医療機関の窓口で発生する未収金も大きな問題となっています。景気の悪化でこの未収金が増加しています。2008年7月10日にまとめられた厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会報告書」では、その状況が記され、最大の理由は、患者が医療費を支払うだけの資力がないほど生活が困窮していることだと報告されました。こうした中、厚生労働省の担当課長3者連名による「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」と題した通知がことしの7月1日付で出されました。この通知では、一部負担金減免などの適切な運用を指示しています。

 中野区では、条例と施行規則で実施の要件・基準を設けていますが、運用は災害などに限られ、制度が十分に活用されていません。

 通知は、医療機関、市町村の国保部局、福祉事務所等に、国民健康保険の保険料や一部負担を支払うことが困難である被保険者が相談に訪れた場合には、いずれの窓口においても、必要に応じて一部負担金減免制度、生活保護制度、無料低額診療事業などについて十分な情報提供ときめ細かな相談対応ができるようにすることを指示しています。

 窓口に申請用紙を置き、医療機関からも支払いが困難な状態の患者には、制度の活用を勧めるよう徹底することが必要です。いかがですか。また、実施基準の緩和も検討すべきではないですか、伺います。

 次に、無料低額診療事業について伺います。

 この事業は、社会福祉法に定める生計困難者のために、無料または低額な料金で診療を行う事業で、各医療機関が実施主体となり、医療費自己負担分を無料または低額で診療する制度のことです。しかし、厚生労働省によって不当な抑制も行われてきました。さきの厚生労働省の報告書では、無料低額診療事業の紹介を提言しています。政府も昨年10月7日付で、小池晃参議院議員の質問主意書への答弁書で、この事業が低所得者の医療を確保する上で重要であることを認め、届け出があった場合は都道府県により受理されるべきものであるとしました。

 区内でも、本事業の実施を検討している医療機関があると聞きます。しかし、東京都の対応は冷たく、受理することを拒んでいるとも聞きます。政府の見解や今回の通知の意義をとらえ、東京都に申請を受理し認めるよう働きかけることを求めます。お答えください。

 子どもの貧困を克服することについてです。

 この間、子どもの貧困の克服について、特に教育費の問題となっている私費負担の過剰と公的負担の責任についてただしてきました。教育費の無償化を目指し、同時に今日の事態を解消するために、たとえ保護者が経済的に困難な状況であったとしても、子どもたちが心配しないで学校で学ぶことができるよう最善の努力をすることが必要です。

 就学援助の拡充と支給改善について伺います。

 さきの3定総括質疑の場でも行わせていただきました。就学援助の費目の拡大については、眼鏡代の支給あるいは補助を準要保護者にも適用することを求めたところ、就学援助の目的や経済状況、財政状況に照らして検討したいとの答弁でした。要保護者に支給され、準要保護者に支給されていない費目は他にもあります。ぜひ拡大を図っていただきたい。また、費目単価についても実費相当額にすべきです。改めて伺います。さらに、所得基準そのものを、現行の生活保護基準のおよそ1.2倍を引き上げることを求めます。お答えください。

 所得額を認定基準としていますが、認定の決定が6月末か7月初旬ごろになります。そのため、認定までの期間、給食費や移動教室、修学旅行費などを保護者が一時的に支払わなければなりません。4月から6月も一時的に保護者の負担とならないように配慮することが必要ではないですか。

 板橋区では、就学援助を受けている人が希望する場合には仮認定を行い、次年度の4月から6月の給食費などを立てかえ支給する就学援助仮認定制度があります。中野区でも検討すべきではないですか、伺います。

 就学援助は本人からの申請が原則と言われますが、文部科学省の「平成14年度要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金の事務処理について」で「保護者の申請の有無のみによって認定することのないようにすること」とされています。さまざまな理由で保護者が申請できないことも考えられます。

 中野区の教育委員会が保護者向けに出している就学援助費のお知らせでは、「希望の方はこの制度を御利用ください」となっています。仮に希望しないとされていても、必要な子どもに受けさせることが大切なのではありませんか。子どもたちの学習権保障の観点から、申請の有無にかかわらず、教育委員会と学校、生活援護分野などが連携して、必要な子どもへの就学援助に取り組んでいく必要があります。見解を求めます。

 その保護者へのお知らせも、特別な事情の場合は相談してくださいと優しく呼びかけることも必要です。また、文部科学省通知にもあるように、日本語以外での就学援助の説明も行うことを求めます。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えをいたします。

 地方分権改革の問題についての御質問であります。

 分権改革とナショナルミニマムを確保していくことが必要なのではないか、また、住民の負担増やサービス切り捨てになることについてのさまざまな御懸念からの御質問があったところです。

 地方分権改革推進委員会の勧告で、今回の地方分権改革は自治行政権、自治立法権、自治財政権を有する地方政府を確立することを基本理念としているところであります。国民の身体・生命を保護するために、全国的に統一して定めることが必要な場合、こういうことも当然あると思いますけれども、このことを除いて、国から地方への過剰な義務付け、枠付けを廃し縮小し、地域の実情に合ったよりよいサービスが提供できるように、自治行政権、自治立法権を拡充していくこと、このことは必要だと、こう考えております。

 ただし、自治体が自己決定・自己責任を果たしていくためには、その財源、自治財政権というのは確保されなければならないということであります。国と地方との役割分担、また、それに見合った国と地方との税財源の配分、この改革がなければならないと思っておりますし、国がやっても地方がやっても、福祉や社会保障にかかわる経費というのはふえていくんですね。国も大変赤字の状況になっております。

 したがいまして、そうした財源をどのように確保していくのか。国や地方の無駄をなくしていくにはどうしたらいいのか。また、そうした無駄を排除した上で、どうしても必要な負担というものをどのように国民の皆さんにお願いしていくのか。そういった議論が当然なされなければならない、こういうことなわけでありまして、地方分権改革を進めると、このことと同時に、負担と給付の問題というものをあわせて議論していくことが私は必要だと考えております。真の地方分権改革が実現できるように、私どもとしても積極的に行動していきたいと考えております。

 中野区の市場競争原理について、これは御質問者の言葉でありますけれども、御質問がありました。

 区はこれまで効果的かつ柔軟な区民サービスを提供するために、民間活力を生かした施策展開を推進して、区民の安全・安心の確保やサービスの質の向上と安定化を図ってまいりました。こうした取り組みを今後も区政運営の基本としていかなければならないと思っております。

 それから、施設等を民間にゆだねていくという中で、官製ワーキングプアを生み出したじゃないかと、こういった御質問もありました。官の業務のうち、民間でできる業務を積極的にアウトソーシングしたことによって、着実に民間での雇用も増加をしているという現状がありますので、指摘にあるようなワーキングプアを生み出したとは考えておりません。

 それから、保育園などの運営や障害者のデイケアなどの委託に当たって、区としてそのサービスの質の確保のための指導や、あるいは区の施策との連携支援を十分図るなど、区としての公的責任は十分に果たしている。また、今後とも果たしていかなければならないと考えているわけであります。

 それから、成果主義についてであります。目標と成果による区政運営の考え方のもとで、職員一人ひとりが区政目標を踏まえてみずからの目標を設定し、成果が上がった職員に対して処遇で報いるというようなことで、職員の意欲向上を図っているところでありまして、こうした取り組みがそのことにつながっていると考えております。事業部制導入やこうしたことの結果として区民生活の向上に寄与していると考えているわけであります。

 それから、住民税の納税猶予に関連する御質問がありました。

 滞納者から納付困難である旨の相談があった場合には、収支や財産の状況がわかる資料の提出を求め、状況に応じて分割納付などを認めているところであります。また、差し押さえなどの処分を行う場合にも、滞納者の財産の状況などを十分に調査した上で行っております。納税の義務は一律にどなたにも課せられているということであります。したがいまして、この義務については、適切に履行していただいている方とそうでない方が不公平感を抱くということがやはり私はいけないことだと思っておりますので、適切な対応が必要だと思っております。

 地方税法に基づく納税猶予については、一定の要件がある場合に区が納税を猶予することができるという制度でありまして、個々の滞納者の状況に応じて区が判断をするものであります。区といたしましては、滞納者に個別に送付する督促状や催告書及び区報や税のお知らせなどに、期限までに納付ができない場合には連絡をしていただく旨を記載して、まずは担当に相談していただくと、このことについて周知を図っているところであります。

 私からは以上です。

    〔保健福祉部長金野晃登壇〕

○保健福祉部長(金野晃) 国民健康保険における資格証明書の発行、また、一部負担金減免等の質問についてお答えいたします。

 まず、国民健康保険の資格証明書発行世帯の実態把握ということでございますが、保険料を滞納されている世帯につきましては、保険料の督促、催告や訪問等により状況の把握に努めているところでございます。資格証明書を発行する世帯につきましては、短期保険証の交付やその更新の都度、相談機会を設けており、さらに、資格証明書の発行前には弁明書の用紙を送付し、保険料が納められない特別の事情がある方は相談するよう促しているところでございます。

 また、高校生に対して短期証を発行すべきであるという御質問でございます。高校生に対して一律に短期保険証を交付することは考えておらず、特別な事情がある場合に対応したいと思います。

 次に、医療機関の窓口での一部負担金の減免についての御質問でございます。

 この一部負担金減免制度については、災害や失業等により生活困難に陥った場合に、6カ月以内の徴収猶予や3カ月以内の減免を行うものでございます。これには該当する方が少ないことから、窓口で申し出があれば申請書をお渡ししております。

 また、医療機関への周知ということでございますが、医療機関につきましては、厚生労働省の通知が既に東京都から各病院管理者あてに送付されているところでございます。

 次に、実施基準の緩和ということでございます。中野区が定めております一部負担金減免の実施基準については適正なものと認識しておりまして、緩和することは考えていないところでございます。

 次に、無料低額診療についての御質問でございます。この無料低額診療事業への届け出とその受理ということでございますが、東京都の対応が国の通知等と相違していると、仮にそういうことであるとすれば、東京都と国において解決すべきことだと考えております。

 また、ホームレスなどの生活困難者が医療を受けられないときにつきましては、路上生活者対策事業や生活保護制度で医療を含めて対応を行っているところでございます。

  〔教育委員会事務局次長田辺裕子登壇〕

○教育委員会事務局次長(田辺裕子) 子どもの貧困を克服することについての中で、就学援助の拡充と支給の改善についての御質問でございました。

 まず、就学援助の費目の拡大等についての御質問でございます。

 就学援助の範囲につきましては、就学に必要な経費の援助をするという趣旨に照らしまして、社会状況や財政状況などを総合的に考えながら運用しているところでございます。こうしたことを前提にいたしまして、現在の中野区の支給費目につきましては、都区財政調整基準に従って設定をしておりまして、現段階では新たな費目の追加、あるいは実費支給の上限額の見直しについては考えておりません。

 さらに、現行の生活保護基準の1.2倍という所得基準そのものを引き上げる御要望がございました。これにつきましては、他区も同様の水準でございますので、1.2倍を変えることは考えてございません。

 続きまして、就学援助費の立てかえ給付につきましての御質問でございました。

 これにつきましては、収入が確定するのが6月になるため、事務処理上、実際に支給されるのは7月という状況でございます。それまであらかじめ一時立てかえは支給をするというようなことについては考えてございません。

 それから、就学援助費の申請につきまして、申請の有無にかかわらず、関係者が連携をして必要な子どもへの就学援助に取り組んではどうかという御質問でございました。

 保護者につきましては、新学期の保護者会で制度説明を行うほか、今後も教育だより、区報での広報や窓口での制度の周知を広く図っていきたいというふうに考えております。具体的には、お子さんの状況や家庭の状況に応じまして、担任が個別に御説明をするというようなこともまま行っているということを把握しております。

 最後に、就学援助費の保護者への説明について、特別な場合は相談してくださいというような呼びかけが必要だというようなこと、また、日本語以外での就学援助の説明をというような御質問でございました。

 保護者への御説明の文言につきましては、今後ともわかりやすい表現に努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、外国人の就学につきましては、教育委員会窓口で申請をお願いしております。その際は、外国語版転入学のしおり、英語、中国語、ハングルで紹介をするとともに、窓口での案内を行っております。今後はさらに外国語版区報等へも掲載を行っていきたいというふうに考えております。

○副議長(江口済三郎) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(江口済三郎) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

      午後4時51分延会