平成22年02月19日中野区議会本会議(第1回定例会)
平成22年02月19日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録
平成22年第1回定例会本会議第2日(2月19日) 1.平成22年(2010年)2月19日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(40名)
  1番  内  川  和  久        2番  ひぐち   和  正
  3番  白  井  秀  史        4番  平  山  英  明
  5番  つぼい   え  み        6番  いながき  じゅん子
  7番  林     まさみ         8番  山  口  かおり
  9番  せきと      進       10番  いでい   良  輔
 11番  伊  東  しんじ        12番  佐  野  れいじ
 13番  北  原  ともあき       14番  南     かつひこ
 15番  小  林  秀  明       16番  の  づ  恵  子
 17番  奥  田  けんじ        18番  近  藤  さえ子
 19番  牛  崎  のり子        20番     欠  員
 21番  吉  原     宏       22番  大  内  しんご
 23番  きたごう  秀  文       24番  伊  藤  正  信
 25番  久  保  り  か       26番  やながわ  妙  子
 27番  酒  井  たくや        28番  佐  伯  利  昭
 29番  むとう   有  子       30番  長  沢  和  彦
 31番  か  せ  次  郎       32番  山  崎  芳  夫
 33番  市  川  みのる        34番  斉  藤  金  造
 35番  篠     国  昭       36番  岡  本  いさお
 37番  飯  島  謹  一       38番  江  口  済三郎
 39番     欠  員          40番  佐  藤  ひろこ
 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      副区長(経営室) 石 神 正 義
 副区長(管理会計室) 沼 口 昌 弘    副区長(政策室) 西 岡 誠 治
 教  育  長  田 辺 裕 子      区民生活部長   鈴 木 由美子
 子ども家庭部長  竹 内 沖 司      保健福祉部長   金 野   晃
 保 健 所 長  田 原 なるみ      都市整備部長   石 井 正 行
 まちづくり推進室長 川 崎   亨     政策室副参事(企画調整担当) 田 中 政 之
 経営室参事(経営担当) 長 田 久 雄
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    奈 良 浩 二
 議事調査担当係長 大 谷 良 二      書     記  長 﨑 武 史
 書     記  荒 井   勉      書     記  河 村 孝 雄
 書     記  菅 野 多身子      書     記  丸 尾 明 美
 書     記  土 屋 佳代子      書     記  鳥 居   誠
 書     記  杉 本 兼太郎      書     記  鈴 木   均
 書     記  岡 田 浩 二      書     記  竹 内 賢 三

 議事日程(平成22年(2010年)2月19日午後1時開議)
日程第1 第18号議案 仮称本町五丁目公園用地の買入れについて
     第19号議案 仮称南部防災公園用地の買入れについて
日程第2 (21)第79号議案 中野区基本構想の改定について
日程第3 第1号議案 平成21年度中野区一般会計補正予算
     第2号議案 平成21年度中野区用地特別会計補正予算
     第3号議案 平成21年度中野区国民健康保険特別会計補正予算
     第4号議案 平成21年度中野区老人保健医療特別会計補正予算
     第5号議案 平成21年度中野区後期高齢者医療特別会計補正予算
     第6号議案 平成21年度中野区介護保険特別会計補正予算
日程第4 第28号議案 警察大学校等跡地地区都市計画道路電線共同溝及び道路整備工事請負契約
日程第5 第7号議案 平成22年度中野区一般会計予算

      午後1時00分開議
○議長(伊藤正信) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。 これより日程に入ります。
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 第18号議案 仮称本町五丁目公園用地の買入れについて
 第19号議案 仮称南部防災公園用地の買入れについて
 (委員会報告)

○議長(伊藤正信) 日程第1、第18号議案及び第19号議案の計2件を一括議題に供します。

         平成22年(2010年)2月17日

中野区議会議長 殿

  総務委員長 いでい 良輔
     (公印省略)

   議案の審査結果について

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

        記
議案番号 件    名 決定月日
第18号 仮称本町五丁目公園用地の買入れについて 2月17日
第19号 仮称南部防災公園用地の買入れについて 2月17日

○議長(伊藤正信) お諮りいたします。上程中の議案に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により、省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。
 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、これより採決いたします。
 上程中の議案は委員会報告どおり可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
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 (21)第79号議案 中野区基本構想の改定について
 (委員長報告)

○議長(伊藤正信) 日程第2、平成21年第79号議案、中野区基本構想の改定についてを議題に供します。

         平成22年(2010年)1月14日

中野区議会議長 殿

  総務委員長 いでい 良輔
      (公印省略)

  議案の審査結果について

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

       記
議案番号 件    名 決定月日
(21)第79号 中野区基本構想の改定について 1月14日

○議長(伊藤正信) 総務委員会の審査の報告を求めます。いでい良輔総務委員長。
     〔いでい良輔議員登壇〕
○10番(いでい良輔) ただいま議題に供されました平成21年第79号議案、中野区基本構想の改定についてに関しまして、総務委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本議案は、区を取り巻く社会経済状況の変化を踏まえ、基本構想を平成22年度から10年後を見据えたものとするとともに、「10年後に実現するまちの姿」について所要の改定を行うものです。
 本議案は、平成21年12月3日の本会議において当委員会に付託され、当委員会では、平成21年12月7日、9日、14日及び平成22年1月14日の4日間にわたり審査を行いました。
 審査の進め方としては、本議案を議題に供した後、一たん保留し、関連する報告を受け、改めて本議案を議題に供して理事者から補足説明を受け、その後、質疑を行いました。
 その主な質疑応答の内容を紹介します。
 初めに、今回の基本構想の改定で新たに加わる部分は、10か年計画の事業の中でも拡大し、財政規模も大きく膨らむととらえてよいのかとの質疑があり、既に役割を終えている施策の事業費を新たな事業に使用することもある。このため、財政規模がふえるとは一概には言えないが、質やサービスは向上していくものと考えているとの答弁がありました。
 次に、基本構想には「10年後に実現するまちの姿」が描かれているが、今後、国の施策や社会情勢の影響などにより、この姿が変わることはないのかとの質疑があり、今回の改正は基本構想の理念を何ら変えるものではない。このため、国の方針や財政状況などにより、10年後に目標とする姿が大きく変化することは想定していないとの答弁がありました。
 次に、基本構想と10か年計画は一体であると言うのならば、基本構想と10か年計画は一体的に議論すべきである。同時並行して出さない理由は何か。また、10か年計画(案)はいつ示されるのかとの質疑があり、一体的なものとは言いながらも大もとは基本構想である。予算状況等も踏まえながら第1回定例会までには示したいとの答弁がありました。
 次に、区がパブリックコメントの対象としたのは第4章のみで、第1章で改定する年次の部分が示されていなかったように思われるがどうかとの質疑があり、第1章の改定部分もホームページや資料で「中野区基本構想の改定の考え方」の目標の年次として明記しており、パブリックコメントの対象として公表しているとの答弁がありました。
 さらに、平成22年度から10年間の年次をあらわした財政フレームが示された。この考え方を前提とすれば、基本構想改定に当たり特段の財政上困難な部分は見当たらない。しかしながら、社会経済状況が見えない中での今後の財政見通しはここ二、三年の情勢を踏まえなければわからない。このような中、基本構想を具体的なものとした10か年計画に定められた事業はどのように進めていくつもりなのかとの質疑があり、景気の先行きが不透明な中で事業を簡単に決められる状況にはない。今後は複数年での財政状況も示しながら、10か年計画に基づく事業の進め方について議論していきたいとの答弁がありました。
 そのほか、財政の見通しが提示される時期や説明責任について、また本議案が議決されなかった場合の10か年計画への影響などについて、質疑がありました。
 以上が主な質疑応答の内容です。
 その後、委員会を休憩し、本議案の取り扱いを協議した後、委員会を再開し、保留とすべきかどうかついて挙手により採決を行いましたが、賛成少数で保留は否決されました。
 そこで、質疑を続行し、さらに質疑を求めましたが、質疑はなく、質疑を終結しました。
 次に、意見の開陳を求めましたが、意見はなく、意見の開陳を終結しました。
 次に、討論を求めたところ、1名の委員が本議案に反対する立場から、現基本構想策定の際、住民の福祉の増進を図る立場に立った内容を求めたが、その姿勢は示されず、中野の顔づくりという開発誘導が優先された。その構想に沿ってつくられた10か年計画は大規模再開発への税投入が膨らみ、そのしわ寄せが区民と職員に押しつけられてきた。この10か年計画を見直す作業の中で、大規模開発に絡み計画期間を延ばす必要が生じたことから、それに合わせた基本構想を改定するという異例の事態となっている。そして、基本構想の中野の顔づくりは東京の新たな顔として再開発地域をさらに広げ、財政の見通しも示されないままその規模を膨らませようとしている。基本構想を改定するのであれば、住民の福祉の増進がどのように図られ、また区の責任をどう果たすのかを明確にすべきであり、この改定が区民参加のもと検討がなされてこなかったことも問題である。
 さらに、第1章の期間延長に係る変更部分は意見交換会やパブリックコメントでも明確に示されず、だからこそ区民から不安や不信が寄せられたのではないかと考える。
 以上、中野区の行方を定める基本構想の改定によって、大規模開発が10か年計画や行財政運営の優先施策になることを強く懸念し、本議案には反対するとの討論を行いました。
 さらに討論を求めましたが、討論はなく、討論を終了しました。
 そして、挙手により採決を行ったところ、賛成多数で本議案を可決すべきものと決した次第です。
 以上で平成21年第79号議案に関する総務委員会における審査の経過並びに結果の報告を終了します。
○議長(伊藤正信) ただいまの報告について質疑はありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 長沢和彦議員、むとう有子議員、林まさみ議員から討論の通告書が提出されていますので、順次、通告議員の討論を許します。
 最初に、長沢和彦議員。
      〔長沢和彦議員登壇〕
○30番(長沢和彦) ただいま議題に供されました第79号議案、中野区基本構想の改定についてに対し、日本共産党議員団の立場から反対討論を行います。
 私どもは、現行の中野区基本構想に対しては、それまでの「ともにつくる人間のまち中野」を基本理念とした基本構想を変える必要はないことを主張し、また、その理念を引き継ぐのか、区の役割と責任をきちんと明記し努めるのかなど、議会でただしてきました。2005年の第1回定例会で議決をされた現行の基本構想については、自己決定・自己責任や自助・共助を強調し、その一方で公的責任が弱まることを指摘してきたところですが、今日そのことが明らかになっています。ですから、私どもは現行の基本構想を改定する必要性はあると考えます。ところが、区が示した改定案は、文言を整理するにとどまり、基本は変えようとしていません。しかも、10か年計画を延長するため、2010年度からの10年後を見据えたものにすることにしています。当時から基本構想と10か年計画は一体的なものであると言われてきましたが、計画を変えるので基本構想を変えざるを得ないというものです。最も基本的な区政運営の指針がこうした扱いでは本末転倒と言わなければなりません。
 反対理由を述べます。
 一つ目に、現行の基本構想が策定されてから5年あまり、構造改革・規制緩和路線による国民への増税・負担増により、多くの区民は苦しみと不安を強いられてきました。専ら国と東京都の悪政・失政によるものですが、区がそれに抗することもなく追随して進めてきたその責任はやはり重いと言えます。しかも、基本構想によって、区民の痛みを和らげるどころか、加速させたと言えます。その上、今日の大不況です。区民の暮らしと福祉を守る地方自治体としての役割を果たすことが求められます。
 基本構想では、「官から民へ」を合言葉に「小さな区役所」がうたわれてきましたが、この間に起こった認証保育所や学童クラブでの民間事業者の撤退は質の高い行政にはほど遠いものでした。保育園や特別養護老人ホームをはじめとした介護施設などは適正に供給される量さえも整っていません。また、受益と負担の公平という誤った受益者負担論が幅をきかせたのもこの時期でした。福祉・教育など区民生活に直接かかわる分野できちんと公的責任を明記し、その役割を発揮することが必要でした。
 二つ目に、「持続可能な活力あるまちづくり」と称して、中野駅周辺まちづくりなど大規模開発優先の区政運営が行われてきました。改定案では、「東京の新たな顔となることをめざす」という趣旨を盛り込み、さらに大規模開発を推進するとしています。大規模開発と企業誘致などの呼び込みによる税収増をあてにし、持続可能を強調しますが、その保障は全くありません。しかも、膨大な税金が投入され、今後もされようとしていることを忘れては困ります。さらに、区民の願いに反して区民不在の進め方をしていることも問題です。
 三つ目に、もともと中野の歴史を振り返れば、区と区民との協働によって高齢者や障害者、子どもの施策の充実と教育の発展に特別の努力が払われ、多くの成果を上げてきました。住民参加と運動、そして自治の力によって支えてきたと言えます。この点でも、今日、区民参加と自治は極めて弱いものとなっています。また、安上がりに行政の肩がわりをさせるといった考えも許されるものではありません。
 今回の基本構想の改定に当たっては、区民参加をいま一度きちんと位置付けることを主張してきました。現行の基本構想をつくった際に審議会の設置や多くの区民が参加したワークショップが設けられました。これ自体はよいことだと思います。問題は、そこでの議論のあり方が当時進行中であった「行財政5か年計画」や既に発表されていた「経営改革指針」をフィルターとして通すことに終始してしまいました。その結果、区民要求にこたえられない、施策・事業の充実も基本は民間任せ、社会的な弱者の視点が弱いといったぐあいに、区民の権利の保障と住民自治を基本とする参加を根幹とし、区の責任と役割を明らかにした区政の指針とする一番大事なところが欠けてしまったと言えます。新自由主義の構造改革が破綻し、そのもとでの不況の折、自治体が自治体として暮らしと福祉を守るという当たり前の仕事を行う、そのための基本的な指針として基本構想が改定されるべきであったことを厳しく指摘して、討論とします。(拍手)
○議長(伊藤正信) 次に、むとう有子議員。
     〔むとう有子議員登壇〕
○29番(むとう有子) ただいま上程されました第79号議案、中野区基本構想の改定について、反対の立場から討論いたします。
 現中野区基本構想は、「ともにつくる人間のまち中野」を基本理念として、1981年に中野区で初めて策定した基本構想を24年の時を経てすべて破棄し、田中新区長のもとで2005年に制定したものです。全面改定に当たり、職員プロジェクト、審議会、145名の区民ワークショップが設置され、約2年間に及ぶ熱心な議論がなされました。当時は市民派100%の区長の誕生に多くの区民が期待し、基本構想に区民の意見が反映されるものと信じていました。しかし、最終的に区がまとめ上げた基本構想にはワークショップでの意見がほとんど反映されておらず、かかわった多くの区民が落胆し、失望しました。また、審議会の答申では「参加と協働」が基調となっていましたが、でき上がった基本構想は「自己責任による地域自治」が強調されるものへと変貌してしまいました。何のために区民を巻き込んだ議論だったのか、参加した多くの区民の胸にはいまだに疑問が残っています。最終的に区長の意思が色濃く反映したものと思われます。それをなぜ、区長御自身が納得されて制定した基本構想をわずか5年で改定しなければならないのでしょうか。
 地方自治法第2条第4項によれば、「市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るために基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない」と定められています。つまり、区のすべての仕事の基本になる指針なのです。そもそも基本構想とは、区が目指す理想のまちの姿を理念的、普遍的に描くものであり、5年で改定するようなものではないはずです。逆に言えば、現基本構想は区が目指す理想のまちの姿を理念的、普遍的に描くことができていないため、わずか5年で改定せざるを得ない浅はかなものであったということなのでしょうか。
 現基本構想を実現するための具体的計画として、新しい中野をつくる10か年計画が策定されました。現基本構想に賛同するわけではありませんが、10か年計画が基本構想からそれることはあってはならないことであり、その上、基本構想からそれた10か年計画に合わせて基本構想を改定するというのは本末転倒です。また、5月に区長選挙を控えたこの時期に小手先の改定をするのではなく、新区長にゆだねるべきであると考えます。
 以上、簡単ではありますが、第79号議案、中野区基本構想の改定について、反対の討論といたします。(拍手)
○議長(伊藤正信) 次に、林まさみ議員。
      〔林まさみ議員登壇〕
○7番(林まさみ) 第79号議案、中野区基本構想の改定について、反対の立場で討論します。
 中野区は、経済状況や施策の進展度合いを考慮して、中野区基本構想の第1章で目標最終年次を平成26年から平成31年へと5年延長しました。また、区民ニーズの変化や医療・介護などの制度改正、西武新宿線立体交差化事業の決定や社会状況の変化を勘案し、第4章「10年後のまちの姿」において、中野駅前周辺の開発等に伴うまちづくり、自然エネルギーの活用や地域での子どもの育ちなど、区民生活に関係した部分について改定する方向です。
 しかし、東京23区において、今回の経済状況の変化から基本構想を早急に改定するところは中野区以外ありません。改定中の文京区では、現在1年以上かけて、分野ごとに区民が参加できる審議会を設けながら基本構想の改定を行っています。また、練馬区では、平成21年、区長の附属機関として10人以内の区民と6人以内の学識経験者で組織した練馬区基本構想審議会を設置し、また各分野に区民懇談会を設け、多数の区民の意見を幅広く聞き取ることで基本構想を改定しました。
 今回の中野区基本構想改定は、文言の修正との理由で、各種団体への聞き取りのほか、区民に対しては6回の意見交換会とパブリックコメント手続を行っただけであり、意見交換会では目標最終年次を5年先延ばした理由の説明はされましたが、十分なものとは言えませんでした。
 区長は、施政方針説明で、区長選挙の年ではあるが、本格予算を編成する。上位計画である基本構想、10か年計画を改定することで、だれが選ばれたとしても事業の目標や方針が明確になっているため区政運営を円滑に進められると話されました。そして最後に、区政は区民の皆のものであることを改めて確認したと結んでいます。しかし、ここ数年の世界的経済の動向や政権交代による国の政策の変化などの影響で、当面、地方自治体の財政を含むこれからの政策は全く不透明と思われるこの時期に基本構想を改定することが本当に必要なのか疑問です。また、区政が区民のものと区長がお考えであるのならば、幅広い区民参加による区政のあり方を考え実行するべきです。そして、何よりも区長選挙の前に改定するのではなく、区長選挙により選ばれた区長によって基本構想を改定することこそが区民ニーズに沿うものになると考えます。
 以上で、第79号議案、中野区基本構想の改定についての反対の討論とさせていただきます。(拍手)
○議長(伊藤正信) 他に討論がなければ、討論を終結いたします。
 これより起立により採決いたします。
 上程中の議案を委員長報告どおり可決するに賛成の方は御起立願います。
       〔賛成者起立〕
○議長(伊藤正信) 起立多数。よって、上程中の議案は可決するに決しました。
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 第1号議案 平成21年度中野区一般会計補正予算
 第2号議案 平成21年度中野区用地特別会計補正予算
 第3号議案 平成21年度中野区国民健康保険事業特別会計補正予算
 第4号議案 平成21年度中野区老人保健医療特別会計補正予算
 第5号議案 平成21年度中野区後期高齢者医療特別会計予算
 第6号議案 平成21年度中野区介護保険特別会計補正予算
  (委員長報告)

○議長(伊藤正信) 日程第3、第1号議案から第6号議案までの計6件を一括議題に供します。

         平成22年(2010年)2月17日

中野区議会議長 殿

  総務委員長 いでい 良輔
      (公印省略)

    議案の審査結果について

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

        記
議案番号 件    名 決定月日
第1号 平成21年度中野区一般会計補正予算 2月17日
第2号 平成21年度中野区用地特別会計補正予算 2月17日
第3号 平成21年度中野区国民健康保険事業特別会計補正予算 2月17日
第4号 平成21年度中野区老人保健医療特別会計補正予算 2月17日
第5号 平成21年度中野区後期高齢者医療特別会計補正予算 2月17日
第6号 平成21年度中野区介護保険特別会計補正予算 2月17日

○議長(伊藤正信) 総務委員会の審査の報告を求めます。いでい良輔総務委員長。
     〔いでい良輔議員登壇〕
○10番(いでい良輔) ただいま議題に供されました第1号議案、平成21年度中野区一般会計補正予算、第2号議案、平成21年度中野区用地特別会計補正予算、第3号議案、平成21年度中野区国民健康保険事業特別会計補正予算、第4号議案、平成21年度中野区老人保健医療特別会計補正予算、第5号議案、平成21年度中野区後期高齢者医療特別会計補正予算、第6号議案、平成21年度中野区介護保険特別会計補正予算に関しまして、総務委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 第1号議案、平成21年度中野区一般会計補正予算は、歳入歳出からそれぞれ6億2,133万5,000円を減額するものです。これにより既定予算との合計額は1,051億7,444万8,000円となります。
 第2号議案、平成21年度中野区用地特別会計補正予算は、歳入歳出からそれぞれ43億1,764万8,000円を減額するものです。これにより既定予算との合計額は237億7,935万2,000円となります。
 第3号議案、平成21年度中野区国民健康保険事業特別会計補正予算は、歳入歳出からそれぞれ19億5,772万2,000円を減額するものです。これにより既定予算との合計額は305億2,827万8,000円となります。
 第4号議案、平成21年度中野区老人保健医療特別会計補正予算は、歳入歳出からそれぞれ1億5,283万7,000円を減額するものです。これにより既定予算との合計額は9,316万3,000円となります。
 第5号議案、平成21年度中野区後期高齢者医療特別会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ1,965万9,000円を追加計上するものです。これにより既定予算との合計額は53億9,065万9,000円となります。
 第6号議案、平成21年度中野区介護保険特別会計補正予算は、歳入歳出からそれぞれ3億7,322万円を減額するものです。これにより既定予算との合計額は169億1,371万8,000円となります。
 以上の6議案は、2月17日の本会議において当委員会に付託され、同日、委員会を開会し、審査を行いました。
 まず、審査の進め方として、これらの議案を一括して議題に供した後、理事者から補足説明を受け、質疑を行いました。その中での主な質疑応答の内容を紹介します。
 初めに、もみじ山通り都市計画道路整備は見直しによる未執行とあるが、本計画は今後行わないということなのかとの質疑があり、今年度の整備は行わないが、改めて計画を見直した上で実施をしていくこととなるとの答弁がありました。これに対し、改めて見直すということであるならば、「実施時期の変更」と明記するなど、表現の方法に留意をされたいとの要望がありました。
 次に、東中野駅支障物移設工事の債務負担行為が廃止されたが、その理由は何かとの質疑があり、当初、区とJRとの負担割合で2億4,000万円が積算されていたが、JR側が起工額を算出した結果、1億4,000万円は不要であることが明らかになったものであるとの答弁がありました。これに対し、当初予算は区が責任を持って編成するのであるから、積算に当たっては慎重に積み上げを行われたいとの要望がありました。
 次に、この年度末にまちづくり基金を充当してまで中野駅周辺整備事業を行う緊急性は見当たらないと考えるが、見解はどうかとの質疑があり、平成21年度中に事業実施することで国や都の補助金などが確実に確保できる。さらに、中野区として事業に着手する姿勢を国に示すことは重要であると考えているとの答弁がありました。これに対し、本事業については区民にもさまざまな議論がある。今後どれだけの金額が投入されるかの全体像も示されないまま進めることには大いに無理があるとの指摘がありました。
 次に、時間外勤務手当や休日給の補正がなされていないが、残業を行っても手当が支給されないといった事態を懸念するがどうかとの質疑があり、今回の補正は一定額以上の増減が生じるものについて全体的な整理を行ったものであり、超過勤務手当は実績に従い全員支給していくとの答弁がありました。
 そのほか、退職手当や職員手当に関する補正額の内容や、野方駅整備に係る工事日程の進捗状況についての質疑がありました。
 以上が主な質疑の内容です。
 その後、委員会を休憩して、各議案の取り扱いを協議した後、委員会を再開し、さらに質疑を求めましたが、質疑はなく、質疑を終結しました。
 次に、意見の開陳を求めましたが、意見はなく、意見の開陳を終結しました。
 次に、討論を求めましたが、討論はなく、討論を終結いたしました。
 そして、第1号議案について挙手により採決を行ったところ、賛成多数で可決すべきものと決しました。
 続いて、第2号議案から第6号議案について、順次簡易により採決を行ったところ、いずれも異議なしで可決すべきものと決した次第です。
 以上で第1号議案から第6号議案までの6件に関する総務委員会における審査の経過並びに結果の報告を終了します。
○議長(伊藤正信) ただいまの報告について御質疑ありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 せきと進議員から討論の通告書が提出されていますので、通告議員の討論を許します。せきと進議員。
      〔せきと進議員登壇〕
○9番(せきと進) 上程中の第1号議案、平成21年度中野区一般会計補正予算に、日本共産党の立場から反対討論します。
 国の緊急経済対策である地域活性化臨時交付金を活用するとして、多くの財源更生が提案されています。これら交付金が今年度限りであるため、急ぎ予算措置したものであります。
 中野駅再整備の設計費4,200万円の前倒しが計上されておりますが、事業の規模も区民への負担もわかっていないものを2012年4月までに工事を終えようとは乱暴であり、認められません。
 野方駅の改良工事は早期完成が望まれますが、今回、その財源4億9,000万円をまちづくり基金から特別区債に振りかえる提案がされたことは区民に借金を負わせてまで開発基金を温存するものであり、開発優先の補正予算と言えます。前倒しや温存が迫られるのは、不要不急の大規模再開発ではなく、区民の暮らしと営業を応援する予算であることを述べ、反対理由とします。(拍手)
○議長(伊藤正信) 他に討論がなければ、討論を終結いたします。
 これより議案ごとに分けて採決いたします。
 初めに、第1号議案について、起立により採決いたします。
 上程中の第1号議案を委員長報告どおり可決するに賛成の方は御起立願います。
       〔賛成者起立〕
○議長(伊藤正信) 起立多数。よって、第1号議案は可決するに決しました。
 次に、第2号議案について採決いたします。
 上程中の第2号議案を委員長報告どおり可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次に、第3号議案について採決いたします。
 上程中の第3号議案を委員長報告どおり可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次に、第4号議案について採決いたします。
 上程中の第4号議案を委員長報告どおり可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次に、第5号議案について採決いたします。
 上程中の第5号議案を委員長報告どおり可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次に、第6号議案について採決いたします。
 上程中の第6号議案を委員長報告どおり可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
──────────────────────────────
 第28号議案 警察大学校等跡地地区都市計画道路電線共同溝及び道路整備工事請負契約
  (委員長報告)

○議長(伊藤正信) 日程第4、第28号議案、警察大学校等跡地地区都市計画道路電線共同溝及び道路整備工事請負契約を上程いたします。

         平成22年(2010年)2月17日

中野区議会議長 殿

  総務委員長 いでい 良輔
       (公印省略)

  議案の審査結果について

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

       記
議案番号 件    名 決定月日
第28号 警察大学校等跡地地区都市計画道路電線共同溝及び道路整備工事請負契約 2月17日

○議長(伊藤正信) 総務委員会の審査の報告を求めます。いでい良輔総務委員長。
     〔いでい良輔議員登壇〕
○10番(いでい良輔) ただいま議題に供されました第28号議案、警察大学校等跡地地区都市計画道路電線共同溝及び道路整備工事請負契約に関しまして、総務委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本議案は、警察大学校等跡地地区内の都市計画道路について電線共同溝及び道路の整備工事を行うため、契約を締結するものです。
 本議案は、2月17日の本会議において当委員会に付託され、当委員会では、同日、委員会を開会し、審査を行いました。
 審査の進め方としては、本議案を議題に供した後、理事者から補足説明を受け、その後質疑を行いました。その主な質疑応答の内容を紹介します。
 初めに、一般競争入札の場合、参加業者が最低何社必要といった規定はあるのかとの質疑があり、特に規定はない。一般競争入札は広く公募していることから、仮に1社であっても一定の競争性が既に発揮されているものとして入札を行い、予定価格の範囲内であれば落札業者となるとの答弁がありました。
 次に、総合評価方式では、価格点で区外業者が高得点を取得しても区内業者への評価点の優遇により落札者になれないのではないかとの質疑があり、評価点における区内業者と区外業者の違いは地域貢献度などの配点部分のみであり、他の能力の評価項目との総合評価により落札者となることが可能である。このため区外業者が不利になることはないとの答弁がありました。
 次に、第5次補正で警大跡地の道路新設費用の総額がふえた。今回の契約金額は8億6,100万円であるが、総額との差額で何か新たな事業を考えているのではないかとの質疑があり、3年間を通した契約であり、工事に関して新たな事業はないとの答弁がありました。
 以上が主な質疑応答の内容です。
 その後、委員会を休憩して、本議案の取り扱いを協議した後、委員会を再開し、さらに質疑を求めましたが、質疑はなく、質疑を終結しました。
 次に、意見の開陳を求めましたが、意見はなく、意見の開陳を終結しました。
 次に、討論を求めたところ、1名の委員が本議案に反対する立場から、本議案は警察大学校等跡地開発事業の中で行われる契約案件であり、この契約が成立すればさらに警察大学校等跡地事業が進むことになる。警察大学校等跡地は大規模開発で進めるべきではないという区民からの要望もあり、同様の立場に立つことから本議案には反対であるとの討論を行いました。
 さらに討論を求めましたが、討論はなく、討論を終結しました。
 そして、挙手により採決を行ったところ、賛成多数で本議案を可決すべきものと決した次第です。
 以上で第28号議案に関する総務委員会における審査の経過並びに結果の報告を終了します。
○議長(伊藤正信) ただいまの報告について御質疑ありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、これより起立により採決いたします。
 上程中の議案を委員長報告どおり可決するに賛成の方は御起立願います。
       〔賛成者起立〕
○議長(伊藤正信) 起立多数。よって、上程中の議案は可決するに決しました。
 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、斉藤金造議員、平山英明議員、岩永しほ子議員、酒井たくや議員、吉原宏議員、久保りか議員、山口かおり議員、佐伯利昭議員、ひぐち和正議員、やながわ妙子議員、かせ次郎議員、北原ともあき議員、佐野れいじ議員、内川和久議員、大内しんご議員、佐藤ひろこ議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、つぼいえみ議員、林まさみ議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 中野区議会議員 斉 藤 金 造
 1 平成22年度予算と10か年計画について
 2 ソウル特別市陽川区と北京市西城区との今後の交流について
 3 その他

○議長(伊藤正信) 最初に、斉藤金造議員。
      〔斉藤金造議員登壇〕
○34番(斉藤金造) 平成22年第1回定例会に当たり、自由民主党の立場から一般質問をいたします。区長並びに理事者におかれましては、簡潔明瞭な答弁をお願いいたします。
 質問は、第1番目に平成22年度予算全般と改定を予定している10か年計画について、2番目に韓国陽川区と北京市西城区との今後の交流について、質問をいたします。
 まず最初に、平成22年度予算は、区長としては在任8年間の最後の予算編成となります。区長は10か年計画を改定し、今後の区政の取り組む施策と、確実にそして持続可能な中野区の未来像を示すことにより、平成22年度予算の位置付けを明確にしたのではないかと思います。
 区長は、施政方針説明で、厳しい経済状況の中、さらなる改革と着実な財政運営を行って、区政の基盤をより強固なものとする取り組みを行い、成果が見えてきたさまざまな施策を着実に前進させるため、引き続き区政を担っていく考えを示し、区長選に出馬する意向を明らかにしました。施設方針説明をお聞きし、区長の現政権に対する考え方はわかりました。しかし、中野区政の抱える課題や今後の財政運営については十分に説明されたとは言えないと私は思っております。言葉では、経済危機による区財政の影響は極めて深刻であり、中・長期的に見ても減少した歳入は今後飛躍的に増大することは期待できないとしております。しかし、このための対策が区政のPDCAサイクルを機能させること、相対的に必要度や効果が薄れたサービスの廃止や縮小をし、真に必要な区政を展開するということだけで本当に持続的な行政運営をしていくことができるのでしょうか。私は、説明が足らず、区長の真意が伝わないように思います。もしこの説明で十分と思われるのであれば、私は区長の認識に不安を覚えざるを得ません。
 また、新しい中野をつくる10か年計画は、本当に戦略的区政運営をリードする戦略目標として機能してきましたか。そして、今後も機能していきますか。あまりに説明が不足してはおりませんか。地方自治体を担う区長として政府に対して意見を持つことは当然であります。しかし、区政運営に対する熱い思いがあっての意見であってほしいと思います。私が指摘した点は施政方針説明では十分に真意が伝わってきません。改めて区長の真意をお聞きいたします。わかりやすく御説明をしていただきたいと思います。
 施政方針説明を聞く限りは、あれもやります、これもやりますということが強調され、歳入不足への財政調整基金の繰り入れ50億円余や特定目的基金の13億円の活用は危機感もなく、既定路線として行われたかのように聞こえました。財源不足に対する50億円余の基金の繰り入れは今後の財政運営上問題のない方策だったのでしょうか。平成22年度予算は3か年予算というこれまでにない予算編成を行うとともに、今後の一般財源規模を650億円規模に下方修正もしています。歳入不足に対する年度間調整は単年度では終わらないのではないですか。22年度以降も取り組む財政体力の維持、安定的な財政運営の方策をいま少し具体的に説明していただきたいと思います。
 私は、安定的・持続的な区政運営を願う立場から、田中区政2期8年、一貫して区政の経営体力の強化、特に財政運営のあり方について質疑をさせていただきました。このたび、田中区政2期8年の成果とも言える平成22年度予算、新しい中野をつくる10か年計画の改定予定に対する質問をするに当たり、改めてみずから質問してきた内容を見直してみました。
 平成18年第3回定例会では、私は区長の2期目の取り組みについてお聞きした際に──この時期は景気の回復期にあり、一般財源も順調に伸びていました。景気回復による税収増よりも10か年計画の取り組みによる起債発行の利払い費用の増加が上回り、財政悪化を招くことのないよう求めるとともに、社会経済情勢の変化による影響がさまざまな形で区政運営にあらわれることが予測されることから、中・長期の見直しを踏まえた財政の予見性の向上を図り、区政の経営力を発揮させることを求めてまいりました。また、10か年計画に示された施策は区民にとってどれも必要なものであり、財政状況を判断し、さまざまな制度や仕組みの活用を図り、重点的な施策から推進すべきことを提案させていただきました。
 現在の経済情勢は18年当時とは全く異なりますが、財政の予見性の向上を図る必要は変わりありません。名目経済成長率を目標にして区民税、特別区交付金の歳入見込みをしていますが、この見通しは確実でしょうか。経済成長率は景気の変動により変化をしていきます。もし下方に変動した場合には3か年予算どころか、10か年計画の見直しも必要になると思われますが、どのような対応をして安定的な財政運営をしていくのですか、お考えをお聞かせください。
 平成20年度の第3回定例会では、田中区長に対して忠告の意味を込め、2度と同じ過ちを繰り返さないように、以前の財政悪化を招いた要因を私なりの意見として話しました。
 これまでの区政の経営者は、歳入を超える歳出構造に対して何の手だてもとらず、赤字を隠すように過大な税・財調収入を見込み、数字合わせの繰越金を計上したり、運用金などで見せかけの予算の編成を平然と行い続けてきました。このことが財政を悪化させる要因となりました。長期的に安定した財政運営への戦略を持たない区政運営はだめだと意見を言わせていただきました。
 また、私は、財政悪化の要因の一つである土地の取得について、当時議会も賛成して土地の取得に走ったことはこれまでの経験から二度と行ってはならないと私自身の反省も申し上げさせていただきました。この時期は景気の回復期にあり、財政運営の危機感が薄れ、行財政改革への行動が形骸化しているのではないかと私は非常に危惧をしていました。このため、区政運営、財政運営に対して少しきつい調子で区長の考えをただしました。平成20年度の財政運営の考え方についても、歳入に対して賄い切れない歳出構造への取り組みの不足を指摘して、田中区政が財政悪化を招いた当時の区政運営と同じ轍を踏まないように求めました。
 平成21年度は、今後の一般財政規模を670億円程度に設定した財政運営を行うとしていました。その時点で示された財政フレームによると、新規・拡充経費をすべて基金の繰り入れによって賄うとしても、平成21年度には47億円強が設定規模を超えていました。平成26年度までを見ても、各年度が設定規模を35億円から67億円も超過している状況でした。基金計画を見ても、平成26年度には財政調整基金が93億円、減債基金を除いたその他の特定目的基金は合わせても55億円というお寒い状態での財政運営が予測できました。中野区の財政力に見合った財政運営を行うための取り組みは単に歳出削減だけの改革ではない、行財政改革のかじ取りを区長に求めました。
 区政の体力強化を目指す事業部制についても辛口の評価をさせていただきました。部長に予算の調整、執行権限を持たせたことが目的どおりに機能していないことを具体的に指摘してまいりました。予算の積算が甘く、大きな契約落差が生じていること、流用の件数が多過ぎること、重点施策が予算未執行のまま補正せざるを得ない状況や事務事業が計画的に取り組まれず、補正による繰越明許費という例外処理が多くなっていることなどを具体例として取り上げてまいりました。
 そこで、改めて平成22年度の予算編成について、お聞きをいたします。
 平成20年度からわずか2年間で一般財源規模を650億円と20億円も下方修正しました。これは経済状況の変化の見込みが甘かったということですか。かつての財政悪化は、歳入を超える歳出構造に対し適切な対策もせず、歳入を膨らませて予算編成を続けていたことが原因でした。さすがに平成22年度予算及び同時に示された3か年予算では歳入を膨らませたり運用金の活用はありません。しかし、22年度予算の一般財源688億円は財政調整基金の繰り入れで何とか補いました。23年度、24年度は財政調整基金の繰入額が少なくなっています。これは歳出の削減を行った結果を反映し、歳出規模を縮小したものですか。もし歳出の見直しを行うことを前提としているのであれば、その取り組みについて説明をしていただきたいと思います。
 基金計画を見ると、20年度に私が予測した平成26年度の基金残高よりももっとお寒い状態になります。社会福祉施設整備基金は不足額が生じ、土地売却費を基金の積み立て財源とせざるを得ない状態になります。抜本的な財政構造の見直しが必要だと思いますが、お考えをお聞かせください。
 区有地の売却が10か年計画に示されていますが、本当に売却ができるのでしょうか。何年もかかってやっと山梨の土地は売却ができました。館山の土地はどうですか。簡単には売却先は見つかりません。今のような経済状況にあってはなおさら難しいのではないでしょうか。土地売却による収入を基金の積立財源とする財政運営の危うさを心配いたします。計画的な土地売却のお考えをお聞かせください。
 また、補正予算は相変わらず債務負担行為や繰越明許費など例外処理が多くなっています。特に東中野駅前広場整備の支障物移転工事は予算未執行のまま債務負担行為を廃止し、年度も押し迫ったこの時期に改めて繰越明許費として補正するなど、事務事業が計画的に取り組まれているとは言いがたい状況であります。私が指摘してきた予算編成に当たっての課題解決に本当に取り組んできたのか疑問を持ちます。区長のお考えをお聞かせください。
 平成21年度第3回定例会では、基本構想及び10か年計画の改定は田中区政2期の総括を根底にした改定でなければならないと、議員の責務という視点から、改定前の10か年計画で示された行政革新、三つの改革と八つの取り組みについての進捗度についてお聞きをいたしました。行政革新の三つの改革と八つの取り組みは一定の成果を上げ、ほぼでき上がってきました。今後の行政革新は、組織運営の革新の取り組みから行政活動によって生み出すサービスの質や行政活動を担う職員・組織の動きそのものの改善に一層注力するとして、この項目を削除したことに時期尚早の感があったからであります。経営体質の改革にはいまだ課題が多く残っていると思われます。
 私は、事業部制が本当に機能すれば田中区長の目指す区政運営は実現できると思います。民間での事業部制の導入は利益誘導の核として戦略目標を設定しやすいのですが、行政組織では利益という概念が定性的であり、事業部制の導入は難しいと言われています。しかし、中野区は事業部制を敷き、さまざまな仕組みを整備してきており、事業部制が機能していく道筋は見えてきているのではないかと思います。いま一歩の取り組みは行政革新の三つの改革と八つの取り組みでは不十分となっている課題を着実に解決していくことだと考えます。事業部制を一層推進し、各部職員のさらなる意識改革を図る必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。
 業務改革の取り組みの課題として残されている民間活力の活用の推進ですが、行政活動のコストと効率性を民間の活動と比較するだけで民間の仕事とするのは区民へのサービスの安定性、持続性からすると問題があるように思います。民間では利益が上がらなくなれば簡単に見直しがされてしまうからです。利益がなくても取り組まなければならないサービスもあります。今後も民間活力の活用は必要不可欠だと思いますが、行政が取り組まなければならない仕事と民間に任せる仕事とのすみ分けをどのように行っていくのか、その方途をお聞かせください。
 この項の質問の最後に、10か年計画での取り組みについてお聞きいたします。
 西武新宿線の連続立体化に伴うまちづくりと中野駅周辺整備は長い時間と多くの財源が必要です。このための財源の確保と体制整備についてのお考えをお聞きして、この項の質問を終わります。
 次に、ソウル特別市陽川区と北京市西城区との今後の交流について、お尋ねをいたします。
 まず初めに、ソウル特別市陽川区と交流についてお伺いいたします。
 ソウル特別市陽川区とは、平成19年9月に秋区庁長や金区議会議長が中野区を訪問したことをきっかけとして交流が始まり、その後中野区から行政の調査団が2度ほど陽川区を訪問し、友好都市の締結に向けた条件整備や交流事業の内容の協議を行ってきております。
 昨年10月の中野まつりでは、区役所1回ロビーに陽川区紹介コーナーが設置され、パネル・資料の展示、DVDの上映など、陽川区政の内容や韓国文化が広く区民に紹介されておりました。そこでは中野まつりにおいでになられた方々が立ちどまり、DVDや展示をごらんになっている姿をお見かけいたしました。
 また、昨年11月には、今後の民間交流を推進していくため必要な調査を目的として、区民団体の代表者で構成される区民調査団を陽川区に派遣し、陽川区の区民団体の関係者と民間交流の具体策について協議を行ってきたとの報告がありました。この区民調査団に参加した町会連合会や体育協会の方々、区商店街連合会、東商中野支部など区内の産業界の方々からは、陽川区の先進的なリサイクルの取り組みや多くの区民の方々が参加しているボランティア活動を実際に目にすることができ、大変参考になったとの声を聞いております。
 同じ時期に区議会では、区長からの要請を受け、議員調査団を陽川区に派遣し、今後の交流の推進に関する調査を行ってまいりました。陽川区議会の議員と交流の推進の方策について意見交換を行うとともに、区内の福祉施設などを視察し、陽川区民の生活の一部を体験する機会を得ることができました。
 このように、中野区と陽川区は相互理解と信頼関係を段階的に積み上げてきております。
 さらに12月には、中野区議会において、中野区及び陽川区との友好関係構築に向けた中野区と大韓民国ソウル特別市陽川区との友好促進に関する決議が行われました。
 そこで、区長にお伺いをいたします。
 このように、陽川区との友好交流については友好都市関係の構築に向けた機運が整いつつあると思われますが、陽川区との友好交流に向けた体制、特に区民団体との連携について、中野区としてはどのように取り組んでいくのでしょうか。また、友好都市関係の構築に関する陽川区側の取り組みなどについて御存じのことがあればお答えください。そして、中野区としては陽川区との友好都市関係の構築に向け、今後どのようにその取り組みを進めていかれるのか、区長のお考えをお伺いします。
 次に、北京市西城区との交流についてお聞きいたします。
 北京市西城区とは、昭和61年に友好関係を結んでから平成22年で24年目を迎えます。その間、西城区からは西城区幹部の視察団や職員の研修団がたびたび中野区を視察しており、また少年野球チームの来日、中野まつりへ区民芸術団の参加など幅広い区民交流が行われています。少年野球については、西城区への訪問と中野区での受け入れを軟式野球連盟や少年野球連盟の協力のもと、交互に行っていると聞いております。昨年の8月は、新型インフルエンザの影響で中野区からの少年野球チームの訪問が中止となったことは大変残念なことでありました。
 このように、北京市西城区とは、長年にわたる行政の交流、区民の交流が定着し、また近年中野まつりへの区民芸術団の参加は西城区との友好関係を区民の皆様に広くお知らせするよい機会であったと感じております。
 そこで、お伺いいたします。平成23年度には西城区との友好関係25周年を迎えるわけですが、その前年の平成22年度には西城区との間でどのような交流をなさる予定でしょうか。また、25周年記念の際にはどのような取り組みをなされる御予定なのか、区長のお考えをお伺いいたします。
 以上で私のすべての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 斉藤議員の御質問にお答えをいたします。
 施政方針説明に関連しての御質問が幾つかございました。
 今後の区政の課題あるいは今後の財政運営についての私の真意をわかりやすく説明するべきと、こういった御質問がまず一つございました。
 10か年計画に基づいてまちづくりやさまざまな区民サービスの拡充など、新しい時代に向けて戦略的に区政を展開してきたつもりであります。厳しい経済状況にあります現在、区民の暮らしを支えていくために、この区政をさらにきちんと発展していかなければならないということでありまして、PDCAサイクルを機能させる、また真に必要な施策をきちんと絞り込んで展開をしていく、また着実な財政運営を進めて継続的に経営改革を行い持続可能な区政運営にしていく、このことが私が担っていくべき大変重要な責任だと考えているところでございます。そうした区政の戦略的な指針とも言うべき10か年計画について、22年度から10年間の方向を定めるという形で計画を策定しているところであります。そうした計画をきちんと踏まえ、また状況を的確にとらえながら、そのときそのとき区政運営を着実に行っていくということが肝要であると、このように考えております。
 安定的な財政運営の方策、また財政の見通しと安定的な財政運営を行う具体的な手だては何なのかといったような御質問があったと思います。
 急激な一般財源の減少に対応するために、今回の予算案におきましては50億円あまりの基金を繰り入れることといたしました。今後おおむね3年間程度は歳入不足の解消は難しいと、このように判断をしているところです。年度間調整に対応するための財政調整基金の枠、これについては130億円程度と想定をしているところであります。したがいまして、22年度と同規模な財政調整基金の繰り入れは23年度以降行うことは困難であると、こう考えているわけであります。したがいまして、今回の予算では3年間の予算の大枠を設定して組み立てたところでありますけれども、23、24年度については財政調整基金の繰り入れを減らしていく必要があります。
 税の歳入見込みにつきましては、名目経済成長率が寄与するものでございまして、特別区税、特別区交付金の歳入については名目経済成長率を指標といたしました。しかしながら、現在の世界的な状況、国の状況を見ていきますと、この名目経済成長率がそのとおり確実に確保されるといったような保障はないということも言えると考えております。経済成長率が見込み値よりも下方に変動した場合には財政運営についても10か年計画に定める事業の実施年度の見直し等が必要になってくると、こう考えております。これらを考え合わせますと、少なくともこの3年間で予定をしている予算の大枠、これを着実に実行できるような、そうした行財政の体質をつくり出していくこと、このことが非常に重要になってきていると考えております。そうした考え方から、区政全体の目標体系をトータルで見直して、事業の重点化、効率化を図って、歳出を歳入に見合った形に近づけていくための全庁的な見直し作業が必要である、こう考えております。平成22年度におきましては、そうした作業をしっかりと行っていくことが23、24年度につながっていくものと、このように考えているところであります。
 それから、一般財源の規模を下方修正した、それに対して歳出規模を縮小していく必要がある、そうした取り組みについての御質問もございました。
 景気変動による歳入の増減に一喜一憂することなく財政運営を行うために、財政調整基金の積み立てや取り崩しによる財源調整を通じて、歳入規模を一定に保つために、平成21年2月の段階において一般財源規模を670億円程度と設定したものであります。この設定を20億円、今回の予算編成においては下方修正をした理由、これについては世界経済の急激な失速によって日本経済が大きな打撃を受けたこと、そのことから主要財源である特別区税、特別区交付金が大幅に減少したことを踏まえたことであります。これに対応する財調基金の繰り入れ、先ほど来御説明しているところですけれども、これについては10か年計画の第4章でお示ししたような計画で進めていきたいと、こう考えております。
 中野区の一般財源は、過去の実績及び将来の推計によって現在の区の事業の実態からはかなりシビアな数字であるわけですけれども、今回は650億円とこう考えました。その財政規模を基本にして財政運営を行っていくこととしているわけでありまして、その650億円に歳入が満たないという場合には不足額を基金から繰り入れ、上回る状況であれば超過分を基金に積み立てていくと、このようにしているところであります。
 各基金への積み立てに当たりましては、年度間調整としての財政調整基金のほか、施設の建設や建てかえなどの計画に合わせて特定目的基金の積み立てを行っていくことも必要であると、このようなことであります。歳入の見込み状況などから考えましても、持続的な財政運営を行うためには現金収支の繰り入れだけで必要な基金を確保することは難しいわけであります。したがいまして、今後、資産の活用についてもしっかりと財政運営に位置付ける必要があると考えております。今後、活用する見込みがない用地等については売却をし、この収入を今後必要となる施設整備の財源とするため、特定目的基金に積み立てていきたいと考えているところであります。
 こうした計画的な土地売却についての御質問もあったわけであります。売却収入は、今申し上げましたとおり、福祉、教育等、それぞれの施設整備基金に積み立てていくこととしているわけでありますけれども、10か年計画では財政フレームの歳入枠には組み込んでおりません。売却をして財源にするといった場合でも直ちに資金化しなければならないような状況には今はないわけでありますので、売却に当たりましては短期・中期の市況も見定めながら最もよいタイミングで行っていきたい、このように考えております。
 それから、22年度予算編成に当たって、予算編成でこれまで議員の御指摘のあった課題解決に取り組んできたかといった御質問であります。予算編成に当たりましては、慎重、かつ適切な積算を行うとともに、事業計画の厳密な精査を行って実施計画があいまいな事業については予算に盛り込まないこととしております。今後の事業進捗に予期しないことが起こればこれはまた別の話でありますけれども、極めて厳しい財政状況の折から、予算編成にはその現実的な裏づけに対して特に留意をしてまいりました。
 それから、進めてまいりました三つの改革、八つの取り組みについて、事業部制との関連での御質問もありました。区では、平成16年に事業部制を導入いたしまして、各事業部の経営における部長の権限を強化することで、より効果的で効率的な業務を執行することによって的確に区民ニーズにこたえ、区政目標の実現を図る組織編成としてきたところであります。その後、平成19年には経営本部を設けて、各事業部との連携によって目標と成果による区政運営を着実に進めてまいりました。こうした組織編成とあわせて、公会計の改革、業務の改革、人事システムの改革など、さまざまな改革の取り組みを進めているところであります。しかしながら、御指摘にもありましたが、まだまだ成果の不十分な点もあると、このように考えております。組織的にさらなる取り組みを進めるとともに、職員一人ひとりが自律的に職責を果していけるような意識改革を継続的に図ってまいりたいと考えております。
 民間活力の活用についての御質問がありました。区の責務として行うべき仕事を民間が行う場合であっても公務員が行う場合であっても、これは十分な成果を上げ、効率的に行われなくてはならないと、こう考えております。民間にゆだねるべきか、直営で行うべきかの判断は、一つは効果・効率に基づくものであり、もう一つは公権力の行使や公的な立場からの人権保障、また政策判断など、法に基づく公務員としての義務や権限によらなければならないものであるか否か、この二つであると考えております。こうした考えに基づき、直営でなければできないと判断されるもの以外はどのような仕事であっても委託や民営化の可能性があると考えております。民間にゆだねることによって効果的かつ柔軟な区民サービスが提供できるものについては、区の責任ある関与や監視のもとにサービスの質の確保や継続性、安定性にも配慮をしながら積極的に民間にゆだねていく考えであります。
 西武新宿線の連続立体交差、また中野駅周辺整備など、まちづくりの財源確保と体制整備が重要であると御指摘もありました。まちづくりを着実に進めるために国や都の補助制度を最大限活用するとともに、起債や基金の活用も行いながら必要な財源を確保していきたいと考えております。また、推進をしていくための体制の整備については、柔軟かつ機動的な組織運営に努めるとともに、2,000人体制を目指していく中でも必要な人員についてはきちんと配置をしていきたい、こう考えております。
 それから、ソウル特別市陽川区、また北京市西城区との今後の交流についての御質問がありました。
 まず、陽川区であります。陽川区との友好交流が着実に現在実を結ぼうとしていると、こう考えております。陽川区との友好交流において、民間交流を積極的に推進していくということは大変重要なことだと考えております。両区がそれぞれに取り組んでいることは両区にとって学べることでもあると同時に、両区のそれぞれの区民の活動といったことも互いによい意味での刺激を与え合う、そうした効果があると、このように考えております。今後、民間交流において重要な役割を担う区民団体との連携を図るため、陽川区との民間交流に関して、今回調査団に参加していただいた各種団体を中心に協議を進める場を設けていきたいと考えております。
 陽川区のほうでありますが、昨年9月に、陽川区では区議会において中野区との友好都市関係を締結するための事前同意を得たわけであります。11月の中野区からの区民調査団の訪問に当たっては、今後の民間交流について陽川区側の区民団体の代表者が中野区の区民調査団との協議も行いました。陽川区でも中野区と同様、このように区民団体と連携を図りながら具体的な交流内容について検討を進めていると聞いているところであります。区といたしましては、陽川区とこうした連絡をとりあいながら事務的な詰めを積極的に行っているということであります。
 今後、芸術、文化、スポーツ、経済などさまざまな分野にすそ野を広げた区民同士の交流を行っていくことが多文化共生社会の実現に貢献するとともに、区民生活に新たな活力と発展をもたらすものと期待をしているところであります。陽川区との友好都市関係の締結については、この中野区議会でいただきました議決も踏まえ、適切な時期を選んで、両区及び両区議会が円滑な同意のもとに実現できるよう、積極的に取り組んでまいります。
 また、西城区と交流であります。平成22年度におきます西城区との主な交流事業といたしましては、西城区で開催されますまちづくりフォーラムへの参加や中野まつり公演のための西城区区民芸術団の中野区訪問などを予定しております。このほかに、もう既に定着をしてきている交流関係でありますので、随時な交流といったようなものは両区の間、また区民同士の間でも行われるものと考えております。
 西城区との周年行事の関係であります。友好締結20周年に当たります平成18年度には両区が相互に訪問団を派遣して友好関係の継続発展に関する議定書への調印を行いましたほか、中国区民団の芸術公演や書道交流展など、さまざまな記念事業を実施したところでありました。なお、5周年に当たる平成3年度には両区で記念写真展を開催し、15周年に当たる平成13年度は記念書道展を開催しているところであります。こうした流れを受け、25周年に当たる平成23年度におきましても両区の交流を記念する事業の実施について検討してまいりたい、こう考えております。
 以上です。
○議長(伊藤正信) 以上で斉藤金造議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 平 山 英 明
 1 区長の施政方針について
 2 「核のない世界」へ向けた区の平和事業について
 3 学校再編と学校教育の諸課題について
 4 行政窓口での電子マネーの活用について
 5 野方駅北口の駐輪対策について
 6 その他

○議長(伊藤正信) 次に、平山英明議員。
      〔平山英明議員登壇〕
○4番(平山英明) 初めに、ハイチの大地震によって犠牲になられた方々の御冥福と一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
 それでは、平成22年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。
 質問は、通告どおり、1、区長の施政方針について、2、「核のない世界」ヘ向けた区の平和事業について、3、学校再編と学校教育の諸課題について、4、行政窓口での電子マネーの活用について、5、野方駅北口の駐輪対策についての順番で行います。6のその他はありません。
 初めに、区長の施政方針説明について伺います。
 区長は、今回の施設方針説明の中で、引き続き4年間区政に責任を果たしたいとの決意を述べられ、みずからの3期目の立候補について宣言なされました。そのためなのかどうかはわかりませんが、施政方針説明をお聞きして、前半の現政権批判の印象があまりにも強く、後半で述べられた肝心の区政に対する言及は随分印象が薄く感じられたというのが正直な感想です。
 区長からお聞きをしたかったのは、厳しい区財政の中、断じて区民生活を守るという覚悟と具体的手段です。仮に引き続き区政を担当するとして、次の4年間の中野区政の課題の中心となるものは何か。そして、それにどのように対処するのかということです。もちろん新しい中野をつくる10か年計画(第2次)で示されるべきことではありますが、あえて区長選への姿勢を述べられたのですから、本格予算編成への先回りをした言いわけなどではなく、このことについて明確な姿勢を示してほしいところでした。区長は、立候補に当たり、次の4年で区民のために何をなさりたいとお考えなのか、伺います。
 一方、基盤となる財政面から見た4年後の中野の姿はどうでしょうか。平成22年度末における基金総額は315億円の見込みとされていますが、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案では、ちょうど4年後となるステップ2の終了時点では減債基金を除いた基金残高は約81億円の予定となっています。まだ確定していない開発者協力金を除くとわずか41億円ほどです。区財政が最悪と言われた平成11年、12年度ですら減債基金を除いた基金残高はそれぞれ68億円余、52億円余であり、当時よりも少ない残高となります。
 施政方針の中で、財政体力を維持し、安定的な財政運営を行えるように取り組みを進めるとともに、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)を着実に推進する必要があると述べられていますが、財政体力が維持できた状態とはどのような状態を指すのでしょうか、伺います。
 区は、平成21年2月に示した「財政運営の考え方」の中で、中野区の基準となる一般財源規模を670億円としました。それを新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案ではさらに厳しく650億円としています。区長が施政方針で示された財政体力の維持、安定的な財政運営とは、この基準となる一般財源規模を守るという意味でしょうか。現在の計画案では、平成22年度から4年間、財政調整基金の繰り入れにより一般財源規模は650億円を超え続けます。基準となる一般財源規模は守らなくてもよいのでしょうか。どのようにお考えか、伺います。
 歳出削減についても伺います。新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案の10か年の財政フレームを見ると、一般事業費はステップ1と比較してステップ2では10%以上削減する計画となっています。区民サービスの著しい低下を招くことなく実行が可能なのでしょうか。どのような手段で実行されるつもりなのか、伺います。
 平成22年度予算案について、来年度は一般財源全体で54億円余もの歳入減少と述べられました。今後少なくとも3年程度は厳しい財政運営が続くとの認識のもと、単に3年間ではなく、「3か年予算」を見据えた予算と述べられました。
 そこで伺います。施政方針説明の中で使われた「3か年予算」とはどのようなものですか。
 次に、平成22年度の区政の方向について、何点か伺います。
 中野駅周辺まちづくりについて、東京の新たな活動拠点づくりを目指すと述べられました。東京の新たな活動拠点とはどのようなものなのでしょうか。「起創展街」「にぎわい」「東京の新たな顔」等々、中野駅周辺まちづくりについてはイメージしにくい言葉だけが先行しているように思えます。改めてわかりやすい説明をお願いいたします。
 地球温暖化防止戦略について。平成20年に改定された中野区環境基本計画では、平成29年度に中野区内から排出される二酸化炭素の排出量を平成16年度比約10%削減するとしています。一方、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案では、平成31年度に平成17年度比約15%削減となっています。中野区環境基本計画と同じ平成16年度比で見ると何%の削減となるのですか。また、目標を上方修正されたのでしょうか、その理由も伺います。目標を修正されたのであれば、中野区環境基本計画の目標値も当然に修正が必要と考えます。10か年計画が改定された場合、環境基本計画も速やかに改定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 区有施設への太陽光発電や太陽熱利用の設備導入について、今年度、来年度はそれぞれ何箇所導入の計画ですか。校庭の芝生化と屋上緑化についても、平成22年度は塔山小学校のみの計画ですが、昨年の実績も1校のみでした。環境基本計画で示されているアクションプログラムの目標値から大きく離れてしまいます。このままで計画に示される二酸化炭素の排出量削減目標を達成できるのでしょうか、伺います。
 施政方針で述べられた自然エネルギーの活用が日常生活の中で定着する仕組みとしての地域エコポイントや、新たな仕組みで積み立てる基金の設立準備などの具体的な区民参加の方途も示した「中野区環境基本計画」の改定を改めて求めて、次の質問に移ります。
 先日行われた議員待遇者懇談会の席上、区長は、平成22年度当初予算案の概要についての説明をされ、保育所の待機児童は平成22年度に解消する見込みと話されたと出席した先輩から聞きました。そうなのですか。平成22年度保育所の待機児童解消はどの程度行われるのでしょうか、伺います。
 この項の最後に、重点プロジェクトの位置付けについて伺います。
 新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案の中で、重点プロジェクトは現在の10か年計画の行政革新のかわりに位置付けられたものでしょうか。四つの戦略に対する重点プロジェクトの位置付け・役割について、改めて区長の御見解を伺って、この項の質問を終わります。
 次に、「核のない世界」ヘ向けた区の平和事業について伺います。
 昨年4月のプラハにおけるオバマ大統領の演説以来、だれもが心から希求している「核兵器のない世界」の実現に向け、機運は高まってきております。全国の自治体に先駆けて憲法擁護・非核都市宣言を行った中野区も、この時に合わせ、全国の自治体をリードするような核兵器廃絶に向けた平和事業への取り組みを行うべきだと考えます。
 私が生まれ育った長崎では、公立の小・中学校は原爆の投下された8月9日を夏休み中にもかかわらず登校日とし、平和集会を行っていました。現在も同様です。小学校の社会科見学では原爆資料館を訪問し、中学校の修学旅行では広島を訪れました。小・中学校時代に核兵器の恐ろしさ、悲惨さを目の当たりにしたことはいまだに私自身の平和への原点となっています。唯一の被爆国である日本において、原爆投下がいかに愚かで残酷なものであったかの事実は絶対に風化させてはならないものと考えます。
 区は、平成2年に「中野区における平和行政の基本に関する条例」を定め、平和事業への財源として平和基金を設置し、さまざまな平和への取り組みを実施してきました。条例では、基金の基本額である1億円の運用益を基金に繰り入れ、繰り入れた額を平和事業のために使うことができるとしており、これまではこの運用益を活用し、平和事業が行われてきました。条例の中ではさらに、区長は基本額部分も平和事業を実施するための財源に充てることができるともしています。
 そこで伺います。毎年夏休みの期間に、区立の小・中学生のうち100名を「(仮称)平和への旅」として広島・長崎に派遣し、被爆地、資料館などの見学、被爆者や現地の学校との交流を行ってはいかがでしょうか。さらに、そこで学んだこと、体験したことを広く他の生徒たちにも伝えられるよう、各学校で平和展示とともに感想文大会を開催してはいかがでしょうか。核兵器が投下された現場を直接訪れ、体験することは子どもたちに大きな平和の種を植えることになります。実施を求め、この項の質問を終わります。
 次に、学校再編と学校教育の諸課題について伺います。
 初めに、学校再編について伺います。
 都は、小1問題、中1ギャップの予防・解決に向け、来年度より教員の加配を行うとしています。加配算定基準を平成22年度は1クラス39名、23年度38名、24年度37名とし、今後3年間実施して検証していくというものです。学校再編に当たり、区は1クラスの適正規模を40人としていますが、再考する必要が出てきているのではないでしょうか、伺います。
 先般、「これからの中野の教育検討会議」で検討状況が示されました。大きな柱は、小・中一貫教育と学校と地域の連携推進でした。検討状況の中では、小・中一貫教育と学校と地域の連携推進のために、中学校区を基準としたグループ、ブロックの考え方についても示されています。教育委員会は、今後、この検討結果の報告を受け、教育ビジョン及び実行プログラムの改正を行うと聞いていますが、今後の再編に当たっても、1中学校区に2小学校を基準とした学区のあり方など、適正配置についての再検討が必要と考えます。いかがですか。
 教育基本法の改正、10か年計画の改定、区財政の状況の変化等、取り巻く環境も大きく変化しています。また、前期計画の内容の変更もあり、そもそも前期計画自体がいまだ進行中です。来年度まとめる計画について、中・後期計画という位置付けではなく、新しい再編計画として進めてはいかがでしょうか。また、再編については今後3年程度の検討を経て実施計画をつくるべきだと考えますが、お考えを伺います。
 次に、「英語ノート」についてお伺いします。
 文部科学省の「事業仕分け結果・国民から寄せられた意見と平成22年度予算(案)における対応状況」によると、「英語教育改革総合プラン」について事業仕分けの結果は廃止と決定したものの、国民から寄せられた意見約2,000件のうち、おおむね9割が仕分け結果に反対し、特に英語ノートの存続を求める声が多数ありました。これを受け、英語教育改革総合プランの予算対応は平成22年度限りで廃止としています。事業仕分けの廃止理由は、「少なくとも小・中学校を通じてどのような英語力を身につけるのかという目標、学習内容の発展段階などの全体的な計画があってから英語教育事業を組み立てるべき」としています。しかし、小学校での外国語活動は教科ではなく、新学習指導要領にはその目的をコミュニケーション能力の素地を養うと示しています。中学校で初めて学ぶ英語に対して、小学校の段階でランゲージバリアを下げる、言語や文化の壁を少しでも低くすることが目的であって、小・中学校を通じて学習内容の発展段階などの全体的な計画が必要との仕分け結果にはいささか違和感を覚えます。
 そこで伺います。教育長はこの結果をどのようにお考えになりますでしょうか。英語ノートの今後の見通しについて、文部科学省からはどのような方向性が示されていますか、伺います。
 中野区は、外国語活動のネイティブ講師について、学校間で講師の力量の格差をなくすため、来年度からは教育委員会が一括して委託されると伺っています。外国語活動での格差をなくすには講師の力量とともに教材の質が重要となります。英語ノートについて今後の見通しが立ちにくい状況であれば、昨年の予算特別委員会でもお尋ねしましたとおり、津田塾大学などに協力を依頼し、中野区教育委員会独自のカリキュラムと教材を作成されてはいかがですか。伺って、この項の質問を終わります。
 次に、行政窓口での電子マネーの活用について伺います。
 今月の2月2日よりコンビニエンスストアの店舗を利用して、渋谷区、三鷹市、市川市が住民基本台帳カードを使って住民票の写しと印鑑登録証明書発行サービスを開始しました。同サービスは、3月には首都圏近郊で5,900店、5月には12,600店全店に拡大されることになっています。また、先月1月25日からは、小平市が住民票や印鑑証明などの役所の発行する各種証明の手数料を電子マネーで支払えるようにする実証実験を開始しました。
 そこで伺います。コンビニでの住民票の写しと印鑑登録証明書発行サービスについて、区はどのようにお考えですか。新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案では、導入についてステップ2に位置付けられていますが、計画は早まるのでしょうか。電子マネーの活用についても、小平市の実験結果を参考にし、区としても導入した場合の窓口混雑緩和や会計事務の効率化を調査されてはいかがでしょうか。区は、今後、地域エコポイント、地域支えあいポイント、商店街ポイントと地域通貨の導入を進める予定としていますが、それぞれのポイントは当然1枚のカードに集約されるべきと考えます。御見解を伺います。
 長野県伊那市では、本格的な電子自治体実現に向け住基カードの普及を進めるために、住基カードに図書館利用カード機能と地元伊那市コミュニティーカード協同組合が発行する商店街ポイント機能とプリペイド機能を持った「い~なちゃんカード」を搭載しました。住基カード1枚で役所での証明書発行手数料や市営駐車場などでの支払い、さらには商店街での買い物もできるという画期的な取り組みです。これにより、伊那市の住基カードの普及率は平成21年12月末現在で27.867%と、住民の4人に1人が住基カードを所持するようになっています。ちなみに、中野区の住基カードの普及率は同21年12月末現在で6.62%です。1枚のカードで申請と支払いが同時にでき、さらに地域での活用も可能となれば、区民の利便性の向上、そして行政の事務効率化に大きく寄与します。
 そこで伺います。区内での地域エコポイント、地域支えあいポイント、商店街ポイントと地域通貨の導入に当たり、プラットホームを住基カードにされてはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
 最後に、野方駅北口の駐輪対策について伺います。
 来月3月28日に野方駅北口が開設いたします。駅舎及び駅前広場全体の完成はことし秋となっていますが、野方駅の北側にお住まいの方を中心とする歩行者にとっての開かずの踏切問題は大幅に改善されることとなります。
 一方で、野方駅北口の開設について、地元商店街からは放置自転車が増加するのではと懸念する声が上がっております。現在、野方駅周辺には四つの駐輪場がありますが、駅北側の駐輪場は陸橋の側道にある野方東整理区画(北)の1カ所のみです。この駐輪場は毎年4月からの年間契約だけの利用となっており、利用状況は今年度も満車状態です。区は野方駅北口開設に伴う駐輪対策をどのようにお考えでしょうか。中野区民営自転車駐車場設置費補助要綱や中野区中小工業施設助成規則などの活用の可能性も含め、商店街や地域の事業者にも協力を求め、駐輪対策を行うべきではないでしょうか。
 また、中野区民営自転車駐車場設置費補助要綱第2条第1項第3号には、補助対象となる要件として、収容台数を「立体式又は機械式の駐車場にあってはおおむね100台以上」としていますが、野方駅北口周辺でこの要件を満たすような場所はなかなか見当たりません。要綱に、「特に区長が必要と認めた場合」という1項を挿入して、補助対象要件を「おおむね50台以上」に緩和を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。伺って、私のすべての質問を終わります。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 平山議員の御質問にお答えをいたします。
 次の3期目の立候補についてといった御質問のテーマがありました。これまで8年間の区政運営で目標と成果に基づく区政経営の改革を進めるとともに、自治基本条例や基本構想、10か年計画などにのっとって区民とともに区政を進め、一定の成果を上げてきたと考えております。成果が見えてきたことも多いわけですが、まだその端緒に至ったばかりという取り組みも多く、確実なかじ取りが求められる課題が山積していると考えております。経済状況も極めて不透明でありまして、これまで区政を預かってきた立場から熟慮をした結果、みずからが責任を果たすべきとの結論に至ったものであります。
 施政方針の中では、22年度予算ということを踏まえながら、今後の新しい10か年計画を踏まえた22年度の取り組みということで具体的な取り組みについてそれぞれ四つの戦略ごとに言及をさせていただいたところであります。現職の区長として責任を持ってこうしたことについての御説明をさせていただきました。
 さらに、次の4年間についての展望、こういったことについては、今後区民の皆さんと御議論をしたり、さまざまな御意見をいただきながら、現在の10か年計画とそれに基づく区政運営をまずベースとして置いた上で、次の発展的な区政のあり方ということについて検討し、打ち出してまいりたい、こう考えております。いずれにしても、取り組んだ課題を区民の皆さんとともにさらに発展をさせて、中野区の50年、100年後の将来に向けた礎を築いていきたいと考えているところであります。
 それから、10か年計画に関連をして財政運営で、基金残高がステップ2が終わる4年後には41億円になるということですけれども、財政体力が維持できた状態と言えるのかと、こういう御質問でありました。先ほどの斉藤議員の御質問でもお答えをしておりますけれども、財政運営におきましては、未利用の土地も資産として有効に活用していくことを考慮しなければならないと、このようなことを考えております。基金残高が41億円となるわけですが、現金の収支の繰り入れと合わせて、用地の売却によっても必要な基金残高を確保していきたい、こう考えております。
 安定的な財政運営とはどういうことなのかと、こういう御質問がありました。650億円という基準となる一般財源規模についてですが、安定した財政運営を行うために歳入規模を一定に保つために設定したものが基準となる一般財源規模ということであります。
 経済状況の悪化から、22年度の当初予算には年度間調整、施設整備、退職手当分として一定程度の財政調整基金の繰り入れを行いました。今後3年間程度は大変厳しい財政運営を行うことになるわけですが、そのためにも歳出削減に向けた全庁的な取り組みを考えているところであります。これまで積み上げてきた中野区のさまざまな施策について急激に削減するということはなかなか難しいわけでもありますので、段階的に取り組むことになるわけであります。22年度以降はこうした取り組みを踏まえ、財政調整基金の繰り入れについては削減をしていくということで考えております。
 今のお答えと関連いたしますが、一般事業費の10%削減はどのように行うのかという御質問がありました。区政全体の目標体系をトータルで見直し、事業の重点化、効率化を図って、歳出を歳入に見合った形に近づけていくための全庁的な見直し作業といったことを考えてまいりたい、こう考えております。
 「3か年予算」とはどういうものなのかという御質問もありました。本予算においても、22年度から24年度までの3年間においていかに基金、起債や財政調整基金などを有効に活用し、財政負担の平準化が図れるかを検討してお示ししたところであります。このことをもって「3か年予算」という形で考えているということであります。
 それから、四つの戦略、まち活性化についてであります。
 東京の新たな活動拠点とは何かということでありますけれども、持続可能な活力あるまちづくりを牽引する中野駅周辺のまちづくりの将来像を示しているものであります。まちの活力を高めていくためには、経済活動や文化・芸術活動などさまざまな都市活動の展開や、それらを効果的に広げていく都市基盤の整備が必要であります。中野駅周辺のまちづくりによって、緑や潤いのある環境のもと、活力を生み出す人々の活動が盛んに展開される、にぎわいと環境が調和した新たな東京の活動拠点としていきたいと考えております。
 環境基本計画の関連での御質問がありました。新たな10か年計画では、国際情勢や国の動向等も勘案して、二酸化炭素の削減目標を高く設定いたしました。平成16年度比では約17%の削減となるものであります。この目標については、普及啓発に加えて、家庭での省エネの取り組みを促進する仕組みである地域エコポイントや自然エネルギーの活用、地球温暖化防止条例の制定などの施策を具体的に推進することによって達成を見込んでいるものであります。これらを踏まえ、環境基本計画の改定を行っていく予定であります。
 また、区有施設における取り組みといたしまして、21年度は太陽光発電設備4カ所、太陽熱利用設備1カ所、22年度は太陽光発電設備2カ所の設置の予定となっております。さらに、二酸化炭素の削減の取り組みを促進するため、街路灯のLED化など区有施設の省エネ化や、ISO14001の推進などに取り組むほか、10か年計画を踏まえて仕組み等を具体化し、着実に推進することで達成を図ってまいりたいと考えております。
 それから、平成22年度の待機児解消の見込みであります。昨年の4月からことしの4月までの間で、認可保育園については244人、認証保育所等については86人、それぞれ定員増を確保しているところであります。昨年4月時点の待機児童数190人、この規模への対応は確実に行ってまいりました。しかしながら、本年4月の認可保育園への申し込み件数は、現時点で昨年度より203件の大幅な増となっているところであります。特に、低年齢児の待機児童の発生は避けられない状況にあるとした見込みも持たざるを得ないかと考えているところであります。
 それから重点プロジェクトに関連しての御質問であります。施政方針では、10か年計画の四つの戦略に沿って22年度の区政の方向について述べさせていただきました。重点プロジェクトはこの四つの戦略を推進していく上で複数の戦略にかかわりながら、またこのプロジェクトを進めていくことでそれぞれの戦略もまた効果的に推進し得る、そうした取り組みとして考えているところであります。行政革新についても、今後引き続き経常的に取り組んでいくという考え方であります。
 それから、平和の旅の実施についての御質問がありました。御提案のような事業を通して、小・中学生が被爆地を訪れ、核兵器の悲惨さに触れ、被爆者の平和への願いを身近に体験するということは大変有意義なことであるとは思います。ただし、事業の規模や経費の問題、また受け入れ先の状況など、実施に当たってのさまざまな課題について十分な検討が必要であると考えているところであります。
 私からは以上であります。そのほかはそれぞれの担当のほうからお答えをいたします。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 学校再編についてのお尋ねでございます。
 東京都の教員加配に伴いまして、学校の適正規模について再考すべきではないかというお尋ねでございます。東京都の新しい学級編成方針では、入学直後の時期はその後の充実した学校生活を子どもたちが送るために基礎を固める重要な時期であるとして、小1問題や中1ギャップの予防・解決のため、教員の加配をすることとしたものでございます。しかし、1学級40人という学級編成基準は変更しないとしているところでございます。
 区といたしましては、学校全体として充実した学校教育のためには一定の集団規模や学級数を確保することが必要だというふうに考えてございます。
 次に、学校の適正配置を検討すべきという御提案がありました。「これからの中野の教育検討会議」は現在最終的な報告の調整を行っているところでございます。この報告を受けて、教育委員会として今後の方向性を検討していくこととなります。また、学校再編計画におけます通学区域のあり方については、小・中学校の連携や通学区域の整合性を図りながら、学校の適正規模を確保する必要があるというふうに考えてございます。
 次に、新たな学校再編計画として3年程度の実施計画を検討してはどうかという御提案でございました。学校再編は子どもたちに集団教育のよさを生かしたよりよい教育環境を整備するために進めているものでございまして、これまでの基本的な考え方に変更はございません。未着手の中・後期の再編計画につきましては、教育環境の変化やこれからの中野の教育検討会議での検討結果などを踏まえ、教育ビジョン(第2次)改定作業を行う中で今後検討していくこととしております。再編で前期計画として現在お示ししているものにつきましては、平成23年度、24年度で完了することになりますので、来年度中には中期以降の計画をお示しする考えでございます。
 次に、英語ノートについての御質問がございました。事業仕分けの結果につきましては教育委員会として見解を述べる立場ではございません。小学校の外国語活動の趣旨につきましては、御指摘のとおりでございまして、教育委員会としては学習指導要領が示している外国語を用いたコミュニケーションの楽しさを体験させることや、外国語の言語や文化について体験的に理解を深めさせることを着実に実施をしていく考えでございます。
 22年度分の英語ノートについては、今年度同様に配布はされます。また、23年度以降につきましては、現在のところ文部科学省等から何ら通知はございません。
 それから、津田塾大学等に協力を依頼して、独自カリキュラムと教材を作成してはどうかという御提案でございます。教育委員会事務局として「英語ノート」を核とした年間指導計画を作成してございまして、年度内に全校に配布する予定でございます。独自教材の作成等につきましては、来年度以降指導計画に基づいた授業を着実に実施し、今後の英語ノートの作成方針を見据えて検討してまいりたいというふうに考えてございます。
     〔副区長西岡誠治登壇〕
○副区長(西岡誠治) 私からは、行政窓口での電子マネーの活用について、2点お答えいたします。
 まず、小平市の実証実験の結果を踏まえて、区でも導入の検討をしてはどうかという御質問でございますけれども、小平市が関係企業と共同で実証実験中の行政窓口の住民票の写しなどの交付手数料の納付にかかわる電子マネーの活用につきまして、他の自治体や民間を含む先行事例を参考に積極的に検討してまいりたいというふうに思います。
 いま一つ、住民基本台帳カードのスリーポイントへの活用についてでございます。地域エコポイント、地域支えあいポイント、商店街ポイント、地域通貨のカード化を検討する場合には住民基本台帳カードの活用も含めて検討いたします。現在流通しているICカードには通信形式などが異なる数種類のものがあり、住民基本台帳カードもその一つでございます。区としては、今後、住民基本台帳カードの普及や区民の利便性、行政事務の効率化などを十分に考慮し、検討を進めてまいります。
   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕
○区民生活部長(鈴木由美子) 私のほうからは、コンビニでの証明書の発行と三つのポイントのカード化についてお答え申し上げます。
 まず、コンビニエンスストアでの交付というものは、自治体の区域内に限定されないで利用時間の拡大もできるということから区民の利便性が向上するというふうに考えてございます。現在進められております実証実験の検証結果でありますとか、費用対効果の観点を踏まえて、活用に当たっては積極的に考えていきたいというふうに考えてございます。また、こうした自動交付の導入の時期につきましては、そのような実証実験の結果、もろもろ踏まえながら、証明書の自動交付機システムの開発、そういったこととあわせて準備が整った段階で区民の利便性を高めるサービスとしてできるだけ早期の実現を図りたいというふうに考えてございます。
 またもう一つ、三つのポイントのカード化を検討したらというふうなお尋ねでございます。
 まず、私どもは、この三つのエコポイント、支えあい、それから商店街、これらのポイントの仕組みを確立するということを急ぎたいというふうに思っておりまして、まずは紙ベースでそれぞれのポイントの仕組みを確立し、区内の共通商品券への交換などを媒介としてそれぞれのポイントの互換性を持たせていきたいというふうに思っております。それで、将来的にはカード化や統一のあり方についても検討の課題の一つであるというふうに認識してございます。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、野方駅北口の駐輪対策についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。
 野方駅北口の自転車駐車場需要でございますが、現在のところ通勤・通学者用途につきましては一定充足をしているというふうに認識しております。また、放置自転車の状況も20台前後という状況でございます。今後、野方駅北口の開設以後、この状況を見つつ、商店街や事業者との連携を含めて適切な放置自転車対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、民営自転車駐車場設置者への補助制度につきましては、採算性の課題から参入事業者は少なかったものというふうに認識をしてございます。今後補助要件の精査ですとか、昨年ブロードウェイ管理組合が歩行者専用道路上に設置をいたしました自転車駐車場といった、設置者の負担が少なくて済む整備手法など、事業者が参入しやすい条件等についても検討をしてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
      〔平山英明議員登壇〕
○4番(平山英明) 2点、再質問をさせていただきます。
 まず一つ、基金のことに触れまして、区長がおっしゃっている施政方針説明の中で示された、財政体力が維持できた状態というのはどのような状態を指すのかという質問をさせていただいたのですが、区長のほうからは、この基金の状況が財政体力を維持ができた状態なのかという趣旨での御答弁だったというふうに思いましたので、改めてお伺いをさせていただきます。
 2点目、平和事業につきまして、当然経費の問題も話されましたけど、それも踏まえて、条例の中にある区長が認めた場合の平和事業への基金の取り崩しの可能性も触れさせていただいておりますので、それもぜひ御検討いただければと思いますので、その点もお伺いをいたします。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えいたします。
 財政体力に対して、確かに舌足らずな答弁だったように思います。基金が適切な額で確保されているということと同時に、あわせて経常的な歳入に対して支出の額が一定の範囲でおさまっているというか、引き合っている、均衡していると、この状態をつくるということも財政体力が維持できる基本条件として重要であるというふうに考えているわけであります。そうしたことから650億円という基準となる収入の幅を考えたということですので、それに合わせた歳出に改めていくと、このことも財政体力を維持するという上では大変重要であると、こう考えております。
 そのほか、財政体力の問題としては、起債をどれだけ行っていけるのか、これは起債の償還能力、要するに、実質的な公債費の負担がどのくらいになるのかといったようなことのコントロールにもかかわってくると、こういうふうにも思っております。そうしたことも勘案をしながら一定の公債費の負担比率の中で推移できるような財政の見通しを持つと、このことも体力が維持できた状態ということにかかわってくるものと、こう考えております。
 それから、平和基金の基本額部分も平和事業の財源に充ててはどうかと、このことについてでありますが、可能は可能であると、こういうふうに思っております。ただ、果実があまりにも少ないので、果実だけで事業できるわけではありませんので、基本額を取り崩すという選択も考えなければいけないということではあると思っておりますが、やはり基本の部分を取り崩していくということの心細さというのはあるわけでありまして、やはり抑制的に取り組まざるを得ないかなと、こんなふうに考えております。
○議長(伊藤正信) 以上で平山英明議員の質問は終わります。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
      午後3時03分休憩

      午後3時25分開議
○議長(伊藤正信) 会議を再開いたします。
 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 岩 永 しほ子議員
 1 区長の政治姿勢と新年度予算案について
  (1)所信表明について
  (2)新年度予算案について
 2 10か年計画(第2次)案について
  (1)地域センターについて
  (2)学校再編と少人数学級について
  (3)耐震改修助成について
  (4)その他
 3 山手通りの問題について
 4 その他

○議長(伊藤正信) 岩永しほ子議員。
     〔岩永しほ子議員登壇〕
○42番(岩永しほ子) 2010年第1回定例本会議におきまして、日本共産党議員団を代表して質問いたします。
 区長の政治姿勢と新年度予算案について、初めに、所信表明についてお聞きします。
 区長は、5月の区長選挙について、引き続きみずからこの中野区政に責任を果たすと立候補の決意を表明されました。そして、1期目、2期目の成果を上げられています。しかし、高裁で争われた非常勤保育士解雇撤回裁判、区長が上告してまで争った出勤簿不正打刻裁判と、いずれも原告が勝利しました。現在は警察大学校等跡地が都市マスをめぐって訴えられています。このような裁判が三つも起きたことに区民は驚き、出勤簿不正打刻は幹部職員が実行したことに怒り、横領や不正、不祥事など深刻な職員のモラルハザードに失望し、取り下げたとはいえ、区長が野方警察に氏名不詳で職員を告発したことにあきれています。かつてなかった事態に区長の自浄能力が問われましたが、区長の対応は納得できず、区政運営に不満と不信が広がっています。こうした区政の状況に区長は責任をどう受けとめられておられるのか、お聞きします。
 区長は、2期8年を公約に掲げ、1期目は市民派100%で当選されました。3期目の立候補は公約違反ではないかとの声に、区長任期は「3期を超えて在任しないよう努めるもの」とした自治基本条例に照らして公約違反ではない旨の説明をされます。しかし、この条例は1期目のさなかに区長みずから提案したものです。こんな詭弁はないわけですから、2期8年を守らないことを区民に説明すべきではないでしょうか。また、2期目は民主に加え、自民・公明が相乗りの選挙でしたが、3期目は政党との関係はどうなさるのか、お聞きします。
 所信表明では、日本経済のあり方と財源問題にも触れています。国民は大企業中心の政治をつくった経済の大きなゆがみが正されることを期待しています。そのためには雇用破壊をやめさせ、削減され続けた社会保障費をもとに戻すことが大事です。国民の勤労者所得は下がり続け、この10年間で27兆円も減っています。一方、大企業などは、同じ10年間で200兆円もの内部留保をふやしました。これを雇用や中小企業対策、国民生活に還元せよとの国民運動に、鳩山首相も大企業の内部留保を還元させる方法を検討してみたいと言っています。将来不安を解消するには景気回復が一番重要です。消費税増税論議が報道されていますが、消費税増税は景気を冷え込ませます。やはり聖域化している大企業・大資産家への行き過ぎた減税を改め、内需拡大を図り、国民の所得を高めて購買力を拡大することが必要です。区長の見解をお聞きします。
 区長の区政運営は、構造改革と規制緩和の流れをリードするというものでした。この構造改革が貧困と格差を生み出した政治を変えたいと国民は思っています。
 昨年、第一定本会議の区長答弁は、改革なくして成長なく、成長がなければ失業や貧困はもっと広がっていた。だから、構造改革や規制緩和が生み出したとは考えられないというものでした。今年の賀詞交歓会では、戦後復興や高度経済成長を進めた社会システムの行き詰まりや劣化の終着点として政権交代が行われたとあいさつされ、施政方針では、産業全体の生産性の向上に資する規制緩和や投資誘導策による経済のパイの拡大が大事と、相変わらず行き詰まった新自由主義的構造改革と規制緩和の道を進もうとしています。しかし、その道こそ中小企業の倒産を引き起こし、正規雇用を破壊して非正規労働とワーキングプアを増大させ、社会保障制度を後退させました。だからこそ、国民の怒りが自・公政権を退場させ、政権交代が実現しました。区民が望む区政の進むべき道を間違えず、構造改革と規制緩和路線は国民・区民から否定されている道だとの認識を持つべきです。見解をお聞きします。
 さらに、国がかじ取りをする護送船団方式の国から、地方が自己決定・自己責任でみずからの地域の将来に責任を持ち、自由闊達に成果を競い合う地方分権がこれからの日本の国の形として必要と述べられています。これは、構造改革を新たな方向に進めようとする民主党が掲げる地域主権国家構想の理念と同じ方向です。
 民主党は、地域主権実現のために、国から自治体への義務付け・枠づけを可能な限り廃止する地方分権一括法を制定し、一括交付金制度に変えようとしています。この法律による義務付け、枠づけ廃止の対象とされているのは、児童福祉施設の設備・運営基準など、保育、学校教育、医療、老人福祉など、国民を支えてきた領域です。長妻厚労大臣が認めた保育園の面積最低基準の緩和はこうした地方分権改革を具体化したものの一つです。国の義務的責任を後退させ、地方財政への国家負担を減らすものです。結局、国と自治体の構造再編も進み、ナショナル・ミニマムを後退させることになります。これを促進する補完性の原理に基づく統治の仕組みは、区長が表明されたように、身近な単位で解決できなければ自治体へ、手に余るなら広域自治体へ、それでだめなら国へという日本型補完性の原理であり、住民に自己責任・家族責任・地域責任を押しつけ、公的責任を放棄する行政になります。地方分権、補完性の原理と国や自治体の責任が投げ出されることを福祉作業所の保護者は、障害者をどの法律が守ってくれるのかと肩を震わせて告発します。高齢の男性は子どもや区民が見えないから切り捨てられるのかと怒ります。
 中野区は、自治と参加の区政、準公選などの教育改革、福祉都市を目指し、憲法擁護・非核都市など、地方分権の先駆的役割を持っています。補完性の原理では、住民の福祉の増進に責任を果たすべき自治体が姿を消し、住民のためになりません。見解をお聞きします。
 新年度予算案についてお聞きします。
 新年度は大幅な税収の落ち込みが避けられない中で、予算編成に当たっては相対的に必要度や効果が薄れたサービスを廃止・縮小し、真に必要な施策を展開するとしていました。そうした中でも、区民の暮らしへの影響を最小限にすると施政方針で述べられました。区長の予算提案の中身が問われます。例えば、学校の耐震補強工事では、診断がCランクの学校は今年度中に工事を完了し、耐震化が必要になった谷戸小学校の改修・改築工事と、Bランクで学校再編の野方、丸山小は予算が計上されています。しかし、Bランク8校を22年度から23年度には完了させるとしていたはずの予算が計上されていません。これらの耐震補強工事が計上されていない理由をお聞きします。
 区は、児童・生徒の安全・安心を第一に考え、避難所としての機能強化のためにもBランクの学校も耐震工事を実施するとしていました。計画を遂行すべきですが、いつの段階で工事に着手し、いつまでに完了されるのか、お聞きします。
 また、区内事業者の仕事確保にも直結する生活道路整備工事の経費や道路改良工事、公園の維持管理費などが軒並み削減されています。区民の要望にこたえられる予算の確保はもちろんのこと、この経費削減によって区内業者がどれだけ影響を受けるかはかり知れません。区民の暮らしを守るとか、区内産業の活性化と言いながら、このような予算削減では区の責任を果たせません。区長の見解をお聞きします。
 私たちは、今年度予算は「本格的な大規模開発に乗り出す予算」と特徴づけました。さらに、第6次補正では、東中野駅前広場整備の前倒しや中野駅地区整備を新たに始めるために予算が計上され、(仮称)仲町すこやか福祉センターの太陽光パネル設置は予定した補助金が確保できないからと減額されました。新年度では、中野駅周辺や東中野駅のまちづくり推進、警大跡地開発のほか、新たに西武線沿線まちづくりなど、次々と大規模開発事業に手を広げています。一方、ひとり暮らし要介護高齢者・重度障害者を対象とした配食サービスの廃止、特別支援学級連合宿泊学習の廃止、要望の強い70歳以上の健診無料化や保育園待機児ゼロ実現の認可保育園の増設なども予算化していません。区民要望が強い中野駅北口の改善は理解できるものの、先行きの見通しも立たないと言われる経済状況のもとで、区に膨大な額の財政負担が生じるような中野駅周辺整備に着手する必要はありません。区民の暮らしを守り支え、真に必要な事業や施策を展開するのであれば、こうした大規模開発を聖域化した予算こそ改めるべきです。見解をお聞きします。
 10か年計画(第2次)案についてお聞きします。
 区は、駅周辺や大規模まちづくりの開発計画を進めるため、10か年計画を見直し、計画期間を延長した「10か年計画(第2次)」をつくるため、案のパブリックコメントを行っています。計画の財政フレームをつけた素案の意見交換会は2日間しか行われず、日・月をかけて案を作成し、議会に提出しましたが、区民意見を反映するには無理な日程だったと言わざるを得ません。
 示された案では、4カ所のすこやか福祉センターのうち、中部地域だけが実現し、残り3カ所の計画は3年以上先送りです。そのため、地域子ども家庭支援センターを現在の保健福祉センターに間借りするなど、地域間格差が生じかねません。そもそも、第1次10か年計画で統廃合後の学校を活用すると説明されましたが、この計画で子どもたちは狭い学校に追いやられただけです。区立保育園の新たな民営化を盛り込み、肝心の待機児をゼロにする目標年次は大きく後退しています。待機児の増加が深刻になっていますが、認可保育園を減らして高い保育料を払い、託児的な認証保育所をふやすのでは子どもの健やかな成長と安心・安全は守れません。10か年計画で子どもたちにしわ寄せが行っていることを区長は認識すべきです。
 具体的な問題として何点かお聞きします。
 地域センター問題についてお聞きします。
 区は、来年7月に一斉に地域センターを(仮称)区民活動センターに転換し、自治活動支援とセンターの管理・運営を委託すること、行政窓口を5カ所に集約することを進めるための準備を行っています。委託は地域でつくる運営委員会で行い、施設維持・管理が負担になるところではシルバー人材センターに委託する計画です。準備の中で、この2月から東部、大和、桃園、新井が先行実施し、行政窓口は従来どおりですが、地域広報、市民活動の援助、地域事業の実施に関することを委託しました。運営委員会準備会規約を作成し、勤務が月18日の事務局長、16日の事務局員の2人を配置しました。センターの地域担当職員と準備会の事務局スタッフでは地域活動支援のかかわり方はどのようになるのか、お聞きします。
 区は、地域課題は地域で解決することで地域自治が発展し、(仮称)区民活動センターはそのための実践活動の拠点、より地域が力をつけていけると説明しています。今日において地域センターに配置された職員はさまざまな形で地域課題を解決するためにかかわりを持ち、住民から信頼される自治体職員として住民と力を合わせて自治の発展に寄与しています。「住民だけで解決を。区は手を出さない」では区の責任を果たそうとせず問題であり、地域自治の発展に期待するほうが誤りです。職員がいるからこそ参加と協働、自治を進めることができるのではありませんか、見解をお聞きします。
 5カ所に集約される(仮称)地域事務所は職員の専門性を高めてサービスの提供をする一方で、10カ所の(仮称)区民活動センターにはサポート職員の2名配置です。そのため、転入・転出の届け出と戸籍などの各種証明、申請書などの受付・取り次ぎはせず、窓口サービスの地域展開を図るため自動交付機の設置を同時に行うので区民サービスは後退しないとの説明でした。ところが、国が進めているコンビニの端末機を活用した住民票と印鑑証明書の発行が可能になったとのことで、22年度の予算に自動交付機関連の予算が計上されず、その設置が先送りになっています。また、行政窓口対応が予定されているすこやか福祉センターの整備も変更され、23年7月からの一斉転換には無理が生じてきました。改めてこの計画を見直すことを求めます。そして、地域センターでの窓口対応ができるよう、必要な職員体制を維持すべきです。見解をお聞きします。
 次に、学校再編と少人数学級についてお聞きします。
 東京都だけが未実施だった少人数学級が第一歩を踏み出すことになりました。小1問題、中1ギャップの予防・解決のための教員加配という形で、都民の願いからすれば不十分ではありますが、都民の粘り強い運動と日本共産党が共同して切り開いた成果です。
 2010年度は、小・中とも1クラス40人になると2クラスにして教員配置ができます。例えば、79人の場合、現在は39人と40人の2クラスになりますが、40人を2クラスに分けられるので、79人で3クラスできることになります。80人だと3クラスです。2011年度はこの基準人数が、39人だと2クラスに、2012年度は38人だと2クラスにです。クラスを分けるか否かは学校長の判断によるとされています。
 区教委としては、習熟度別指導やチーム・ティーチングの活用とのことですが、教師加配は都教委が対応するので4月からのクラス編成がどうなるかによりますが、学校から要望が出ればふえる教室の確保など必要な対応ができるようにしていなければなりません。都教委は3年間の取り組みを検証して方向を出すそうですが、全国的な動きを見れば40人のままとは考えられません。こうした取り組みが始まるわけですから、現在の学校再編計画の40人を基準にした再編は見直すべきです。また、今年度中に策定予定の中・後期の学校再編計画に影響が生じることが考えられますから、計画策定は中止すべきです。お答えください。
 学校再編が行われた学校の施設改修は統合されてから行われているため、子どもに負担をかけています。桃花小は、体育の授業は1週間に1度、半日か1日かけて学年全体で体育の授業をしています。子どもたちは旧桃丘小学校に登校し、そのまま下校します。そうした中で救急車を呼ぶ事態が起きています。聞こえとことば教室は不備な設備の中で学習し、これが来年度末まで続きます。旧桃丘小には養護教諭の配置はありません。旧東中野小学校では新宿の学校に通わざるを得ない子どもがいます。沼袋小のびのび学級は上高田小学校に移転しますが、活動スペースが狭くなり、三、四年後には若宮小学校に転校しなければならない子どもがいます。野方小は計画がくるくる変わり、子ども・保護者・地域の人々が振り回されています。武蔵台小の校庭にキッズ・プラザを開設することがことしに入ってから説明され、校庭の体育授業用砂場や芝生倉庫を移設させると、全く現場無視の乱暴さです。緑野中では廊下や職員室の改修を2年度にわたって実施しています。いずれも再編を急ぐあまり改修計画に伴う事前調査と計画が不十分であり、最小限の予算で実施しようとすることから生じる問題です。子どもたちや学校への負担をあまりにも軽んじています。見解をお聞きします。
 次に、耐震改修助成の実施を求めます。
 日本での地震発生メカニズムに対する研究が注目されていますが、首都直下や東海地震がカウントダウンに入る状況にあると言われています。耐震化への取り組みを推進するためには、住民と行政の取り組みが相乗的な効果をもたらすようにすることが重要です。
 区は、新年度に緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修助成を新規事業化しましたが、木造住宅の耐震化に対する助成に踏み切っていません。2014年度までに住宅耐震化率を9割、2019年度までにはすべての住宅に安全性を確保する目標を持ちました。区は助成制度がなくても耐震性が進んでいるとの見解を示していますが、進んでいるのは非木造住宅の9割近くです。木造住宅は68%とおくれています。木造住宅は建てかえやリフォームでの耐震化が多いとのことですが、自力で耐震化できない区民もいます。どのようにして目標を実現するおつもりか、お聞きします。
 ことし1月17日には中野区と区内団体が共催して耐震フォーラムを開催され、そこでは耐震工事助成の実施が強く求められました。区は、個人住宅の財産価値を高める助成はしないとの見解をとり続けています。しかし、国は耐震化緊急対策方針による補助や融資、減税措置を設け、全国の自治体も助成制度などを実施しているように、区のような言い分はとっくに崩れています。大体最も公共性が高いことは区民の命と安全を守ることです。最近は、助成制度による耐震化の成果が上がっていないと指摘を持ち出されますが、実際に効果を上げている自治体の取り組みを教訓にした制度にすることが肝要です。助成制度を拒む理由になりません。
 耐震補強工事助成は、命を守ることにつながることはもちろん、地元業者の仕事確保にもなり、地域経済効果を高めると、耐震も合わせた住宅のリフォーム助成に取り組む自治体がふえています。秋田県横手市は10倍以上の経済効果を生んだと全国が注目しています。区としても、こうした全国の取り組みを検討し、区民の要望にこたえた助成制度を実施すべきです。見解をお聞きします。
 この項目の中のその他で2点お聞きします。
 図書館行政の拡充についてです。ことしは衆参両院の全会派が一致して決議した国民読書年です。国を挙げた文字・活字を受け継ぎ、さらに発展させ、心豊かな社会の実現につなげていく努力が求められています。建築家の安藤忠雄氏が座長を務める国民読書年推進会議も設置されました。ところが、民主党政府の事業仕分けでは、子どもの読書活動の推進事業を廃止とされました。国の予算編成において存続されましたが、額は概算要求2億1,000万円から4,900万円と大幅に縮小されてしまいました。中野区は直接の影響は受けないとのことですが、もともと少ない国の図書活動予算ですからこのような削減は疑問です。
 さて、読書を通して心豊かな社会にするための取り組みが国を挙げて行われようとしているとき、中野区の図書館行政はどうでしょう。図書・資料購入費は8館で7,500万円と今年度より大きく減額しています。また、子ども読書活動推進費も半減しています。図書館は区民利用の指標として図書の貸し出し冊数を挙げています。それ自体は否定しませんが、図書館利用実態を知るには在住・在勤者など登録数がどうであるかを把握する必要があります。貸し出し冊数では、ベストセラーなどの借り筋本に傾斜した本のそろえ方が懸念されますし、インターネットなどで貸し出し冊数をふやすなど、数合わせがひとり歩きしかねません。常に区民に近い距離で知的財産文化施設としての役割を果たす努力が大事です。また、図書館に区民の関心を寄せてもらうには魅力ある図書・資料が提供できることが基本です。今年度の予算額でもさまざまな工夫で図書・資料の確保をしていると聞きます。それがさらに削減されるのでは区民が求める図書館の魅力が半減します。購入費の増額を求めます。また、数年前まで指標として示されていた利用登録数を図書館活動の指標に取り入れてはどうでしょうか、お答えください。
 障害者の親なき後の不安にこたえる施策について、お聞きします。
 障害者がおられる家族と話すと、「あと何年元気に面倒が見られるだろうか。自分も子どもも年をとったらどうしよう」という不安の声を多くお聞きします。その心配を軽くするため、「自立訓練の場が身近にあれば」、「日中一時支援事業の時間を延長してほしい」、「緊急一時保護利用を利用する場合、親の休養のためというのはつらい」、「親は高齢者で、子どもは障害者で入れる特養ホームのような施設が欲しい」などたくさんの悩みが語られます。中野特別支援学校・旧中野養護学校は生徒がふえ、教室が不足する状態になっています。卒業後の就労、地域生活や社会参加など、区としても対応すべき多くの課題があります。
 そこで、廃校になった富士見中でしばらく活用しない部分を使った臨時の日中一時支援事業などを検討していただき、実施していただきたいと思います。見解をお聞きします。
 最後に、山手通りの問題についてお聞きします。
 現在、山手通り中野坂上交差点から南側の歩道整備工事が進んでいます。既にカラー舗装の歩道になっているところがあります。車道側の樹木も植えられ始めました。ところが、この樹木の植栽間隔が広く、山手通りの工事前より樹木の本数が減少しているようです。また、茂った高木になるには何年かかるでしょうか。山手通りの整備が完成しても、この状態では交差点付近の風害対策を果たすには不十分です。
 また、区道などの接道部分は、山手通りが高く整備されているため傾斜が大きくなっています。そこでは、強い雨が降ると山手通りから流れた雨がたまり、民家に浸水するという状況があります。首都高は道路が完成すれば山手通りの雨は流れ込まない対策にすると言いますが、まだ続く工事期間にこのような問題が起きないようにすべきです。
 以上の2点を都・首都高と協議し、改善していただくよう求めます。お答えください。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 岩永議員の御質問にお答えをいたします。
 所信表明をめぐる幾つかの御質問であります。
 裁判が起こされたけれども、どうなのかということでありました。裁判はそれぞれのケースの事情で起きているところであります。また、職員のモラルの問題の話もありましたけれども、このことと職員のモラルに関係があるとは思っておりません。
 それから、2期8年というふうに言った、このことと3期目に対して責任を果たしたいと、こう考えている私の考え方とどういうことなのかという御質問でありました。2期8年というふうに申し上げたこと、これは重く受けとめているところであります。また、自治基本条例において、連続して3期を超えて在任しないよう努めるものとする旨の規定を提案し、議決をいただいたところでありまして、これによって、区における規範としての多選制限については一定の決着がついたと考えているところであります。私が2期8年と申し上げたこと、そして自治基本条例で定めたこと、これらを勘案し十分に熟慮をした上で、引き続き私は区政の中で責任を果たしてまいりたいと申し上げているところであります。そうしたことを踏まえて、有権者の皆様が御判断されることだと考えております。
 それから、消費税について、消費を冷やすのでやめるべきで、むしろ大企業等に増税するべきだと、こういう御質問でありました。消費税を社会保障の財源として確保するということは、日本の社会全体が人口減少、少子・高齢化というふうになっていく、この現状からすれば避けられないと私は考えております。消費税の増税ということを考えるについては、将来にわたって社会保障の給付をどうするのかといった議論を十分に踏まえて行われるべきものだと考えております。
 それから、規制緩和に関連する御質問がありました。少子・高齢化や人口減少が進む、こうした中でグローバルな競争に国民一人ひとりがさらされていると、このことが現状であります。こうしたことは今後長期的な流れとして変わらないということであります。さらに、このことが強まっていくということにもなるだろうと思います。そういう中で、我が国が一定の豊かさや経済力を維持し続け、持続可能な国をつくり上げていくため、また区民の将来を見据えて持続可能な地域社会を実現していくためにも、産業全体の生産性向上に資する構造改革や規制緩和などが必要であると、こう考えております。
 それから、地方分権についてであります。地方分権を進めていくことによって、国から地方への過剰な義務付け、枠づけを廃止・縮小していくということともに、地方の自治行政権、自治立法権、自治財政権を拡充していくべきだと考えております。こうしたことも私が再三申し上げている地方分権推進という考え方から申し上げているところであります。そうすることによって地域の実情に合ったよりよいサービスを提供することが可能となり、区民の福祉の向上と持続可能な地域社会の実現が可能になってくると、こう考えております。
 それから、学校の耐震補強工事についてであります。耐震性能Bランクとは、東京都都市計画局策定の建築物の耐震診断システムマニュアルに書かれているところであります。耐震性能は比較的高いランクですが、補強されることをお勧めいたしますと、こういう内容です。
 中野区区有施設耐震改修計画では、BからDランクの施設について新耐震基準を満たすよう耐震改修を行うものとしてあったわけですが、長期的な財政見通しを踏まえて検討を行いまして、結果として、個々の学校の耐震診断の結果によります建物の強度、このことも十分勘案しながら計画の変更を行ったものであります。学校施設の安全確保については十分認識をしておりますし、今後とも安全を確保してまいりたいと思っております。
 それから、道路補修、公園等で予算が削減されていると、このことについての御質問がありました。21年度については、緊急雇用対策として道路改良工事等の前倒しを行いました。また、警大跡地の新設道路の整備工事なども含まれておりました。そうしたことから、新年度予算案については、工事量は減りましたが、契約に当たっての緊急雇用対策としての区内事業者の取り扱いやJV方式の運用など、できるだけ区内事業者の受注機会の確保に努めていきたいと考えております。
 それから、中野駅周辺整備の必要性についてであります。中野駅周辺のまちづくりは、警察大学校等跡地開発を契機に新たなにぎわいを創出し、さまざまな人々の活動が中野区全域に波及効果を及ぼし、活性化につながるものと考えております。このような持続可能な活力あるまちづくりを力強く推進するため、中野駅地区整備にも着手をするものであります。財政的な観点からは、整備年次計画を慎重に立て、特定財源の確保にも努めていくこととしているところであります。区内産業への経済波及効果も期待できる中野駅周辺整備事業は先送りせず、着実に推進をしていきたいと、こう考えております。
 私からは以上であります。そのほかはそれぞれ担当のほうからお答えいたします。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 学校再編と少人数学級についてお答えをさせていただきます。
 東京都の小1、中1教員加配についての御質問でございました。平成22年度から始まる本制度を受けまして、教育委員会としては各校の新1年生の状況を把握し、遺漏なく事務手続きを進めていく考えでございます。
 また、この制度に伴いまして、中野区の学校再編計画を見直す必要があるのではないか、中・後期の計画をどのように進めていくのかというお尋ねでございました。学校再編は、子どもたちに集団教育のよさを生かしたよりよい教育環境を整備するために進めているものであり、今後もこれを着実に実施していく考えでございます。未着手の中・後期の再編計画につきましては、教育環境の変化や「これからの中野の教育検討会議」での検討結果を踏まえ、教育ビジョン(第2次)改定作業を行う中で今後検討していくことになるというふうに考えてございます。
 また、統合新校の改修工事などについての御質問がございました。統合に限らず、教育環境の整備をする際には子どもたちの生活に何らかの影響を与えることは避けられないというふうに考えておりますが、できるだけその影響を最小限に抑えるよう努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 また、図書館行政についての御質問がございました。図書資料購入費の減少につきまして、その対応についてということでございます。これにつきましては、いわゆるベストセラー等の予約件数が集中するため、複数冊を購入する複本購入の基準を精査する一方、購入図書の種類、タイトル数はできる限り維持するなど、工夫・努力を行い、知的資産の収集・保存し、継承していくという図書館としての役割を十分果たす区民サービスに努めていく考えでございます。
 また、10か年計画(第2次)案での成果指標でございますが、これにつきまして登録率を採用したほうがいいのではないかということです。区民の利用登録者数は6万3,000人でありまして、例年約1万6,000人の新規登録者がいる一方で、転出等でほぼ同数の無効登録者も出ていまして、登録率はほぼ横ばいの状況にございます。しかし、この指標では図書館の施策の変化が見えにくいことなどから、区民1人当たりの年間資料貸出冊数に変更したものでございます。登録率の向上も引き続き努力をしていきたいというふうに考えてございます。
   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕
○区民生活部長(鈴木由美子) 私のほうからは、地域センターを「(仮称)区民活動センター」と「(仮称)地域事務所」へ再編することについてのお尋ねにお答えいたします。
 まず、(仮称)区民活動センターの先行実施の内容ですけれども、これは地域センター業務の一部業務である地域広報と地域事業、それから区民活動の援助に関する、このことの3点を運営委員会準備会に委託するというものでございます。
 実際の業務の実施に当たりましては、運営委員会の準備会が事務局スタッフを雇って、その事務局スタッフは運営委員会の意向に沿ってより地域の実情を反映し、総意工夫を凝らしていくことになるというふうに考えています。そうした意味で、事務局スタッフの地域へのかかわり方というのは職員以上にきめ細かいものになるというふうに考えているところです。
 また、区がこれまで行ってきたこういった業務を運営委員会に委託するからといって、職員が地域自治の推進に関与しないということではありません。区は地域と区のパイプ役となる組織を設けるなど、地域自治の推進に向けて適切な支援を行ってまいりたいというふうに考えています。
 それからもう一つでは、(仮称)地域事務所の開設等の時期についてのお尋ねがございました。地域センターの今回の(仮称)区民活動センターと(仮称)地域事務所への再編というものは地域自治の一層の推進と安定的な財政基盤を築くために行うものでございます。これらの取り組みは、(仮称)区民活動センターにつきましては2月1日から4カ所で先行実施が始まり、また他の地域でも準備会の立ち上げが進んでいるというふうに地域での機運が高まっていること、また(仮称)地域事務所につきましては職員2,000人体制を目指す中で財政基盤を築くことが急務であることから、地域センターの(仮称)区民活動センターと(仮称)地域事務所への再編方針でお示ししたとおり、平成23年7月を目途に進めていきたいというふうに考えてございます。
 証明書自動交付につきましては、新たにコンビニ交付というような取り組みが始まることから、その動向を踏まえ、検討を進め、早期に導入することで準備を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、まず初めに、耐震改修についてのお尋ねがございました。
 木造住宅の耐震改修の一層の促進のために、区としては今後、アパート等の所有者、これも含めた戸別訪問によります啓発活動の強化、また区登録の耐震診断士等によります専門的な相談への対応の充実、それから安価で信頼できる耐震改修工法・装置の紹介などの情報提供、これらの充実を図ってまいるという考えでございます。
 また、高齢者などの自力での耐震改修が困難な方につきましては、耐震改修資金の低利融資あっせん制度の紹介などの対応とともに、今後もさらに有効な支援策についても検討をしていく予定でございます。
 これらさまざまな取り組みによりまして、中野区耐震改修促進計画でお示しをした耐震化率の目標、これは十分に達成可能であるというふうに考えております。なお、個人の財産の保全については基本的にはみずからの責任で対策をとるべきというふうに考えておりまして、補強工事費の助成を実施する考えはございません。
 次に、山手通りの問題についてのお尋ねがございました。山手通りの街路樹や植栽につきましては、地域の意見も聞きながら東京都や首都高速道路株式会社で計画がつくられております。中野駅坂上付近では、歩行者に対する風よけ効果を考慮いたしまして、高木の植栽のほかに生け垣や中木も配置する計画となっております。これによりまして一定の効果があるというふうに考えております。
 それから、道路から隣接地への雨水の流入など工事に伴います問題につきましては、これまでも区として首都高等に対応を求めてきております。今後もそのように対応をしていく考えでございます。
 以上でございます。
    〔保健福祉部長金野晃登壇〕
○保健福祉部長(金野晃) 中野富士見中跡施設の一時活用についての御質問にお答えいたします。
 障害者の自立の促進に向けましては、作業施設での訓練や宿泊による訓練のための施設などが必要であると考えております。そうした場合につきましては、障害者自立支援法の位置付けも踏まえつつ、計画的に整備していく必要がございます。一時的、臨時的な対応ということになってしまいますと事業の安定性や継続性が確保できないと考えるところでございます。
 したがいまして、中野富士見中の跡施設をすこやか福祉センターとして整備するまでの間に障害者の施設として一時活用するということは考えていないところです。
○議長(伊藤正信) 以上で岩永しほ子議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 酒 井 たくや
 1 区長の施政方針説明について
 2 その他

○議長(伊藤正信) 次に、酒井たくや議員。
     〔酒井たくや議員登壇〕
○27番(酒井たくや) 平成22年第1回定例会におきまして、民主クラブの立場から一般質問を行わせていただきます。
 1点目は、区長の施政方針説明について、そして2点目はその他といたしまして2点、42条第2項道路のセットバック時の電柱移設と、そしてその他の2点目で体育館の目的外使用時におけるフットサルの取り扱いについてお聞かせいただきます。
 それではまず、区長の施政方針説明についてお尋ねいたします。
 5月には区長選を控えている中、まず、区長の任期についての見解をお尋ねいたします。先ほどの岩永議員と重なる部分がございますが、区長は8年前ご自身のお言葉で「2期8年を限度」とされると言った、そういったお言葉は例を出させていただき、質疑をさせていただきます。
 施政方針説明の中で、区長は3期目に出馬されるというご意思をお示しになられました。区長は、8年前に「区長の任期は2期8年」を声高く訴えられて選挙戦を戦い、初当選されました。そのときの所信表明において、ご自身の任期については次のようにおっしゃっております。「区長という職は重い責任と権限を伴うものであり、1人の人間が長い間その職にあり続けた場合は、惰性に流れたり、政策に偏りやゆがみができてくるなど弊害を生じることになると認識をしています。私は、区長の任期は2期8年を限度とすべきであると考えています。」というものです。区長は2期8年で多選の弊害があるとおっしゃっています。そして、自治基本条例では3期12年で多選の弊害というふうな議論になっているんですね。そういった8年前の御自身のお言葉と現在の相違、どのようにお考えか、まずお聞きします。
 また、多選の弊害についても語られておりましたが、御自身はどのように違うとお考えなのか、御自身には多選の弊害はないのか、お聞かせください。
 また、その任期について述べられる前段では、「私に託された区民の思いは、従来の区政を変えてほしい」「改革の新しい息吹を区政に吹き込んでほしいというものだと感じています。」とありますが、区長の任期は2期8年とするという公約にも区民の皆さんは共感され、区長へ思いを託された方も少なくありません。このように8年前の区民の思いをどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、施政方針の中身に入らせていただきますが、私は区長の施政方針をお聞きし、大変に驚き、残念に感じました。施政方針全体の約半分を占める区を取り巻くさまざまな情勢と真の地方自治のところでは、随所に現政権への批判がなされております。自治体の長が現政権の政策・体制について物を言う、批判するのは、私は結構であると考えます。現に他自治体の長もそのような発言をされているのは見受けられます。しかし、一地方自治体の長の施政方針演説にしては行き過ぎているように感じました。また、それが施政方針の約半分近くもの割合を割かれることは理解できず、その分、中野の現在・将来のことについて触れられるのが少ないことがとても残念に感じました。
 施政方針説明を辞書で調べてみますと、「政府の長が議会でその年1年間の政府の基本方針や政策についての姿勢を示すために行われる演説である」とあります。私はもっと区長に中野の現在・未来について語っていただきたかったと思っております。中野のまちづくりはこうあるべきだ、中野の子育てはこうしていきたいんだ、区民が共感できるような、それが施政方針説明であります。区長は施政方針説明をどのようにとらえているのでしょうか。
 また、区長は、毎月初めに区長から職員へのメッセージを庁内放送で行われております。これは中野区のホームページ上の「区長の部屋」というページの「区長発言」のところで拝見することができますが、その中で、現政権を批判した12月2日の庁内放送と12月28日の仕事納めにおける庁内放送が、私が指摘する2月15日までアップされておりませんでした。1月4日に行われた賀詞交歓会における区長あいさつは2日後の1月6日にアップされたにもかかわらずです。また、事業仕分けを批判した12月2日の庁内放送においては、一度ホームページにアップされたにもかかわらず消えてしまいました。単純ミスであるという説明をお聞きしましたが、これでは何かあったのではないかと考えてしまいます。
 2010年1月4日に行われた賀詞交歓会での区長のごあいさつの中で地域主権国家について触れられ、「施策を円滑かつ着実に実施するためには、国と地方が信頼しあい、目標に向かって連携・協力していくことが不可欠です」と述べられましたが、施政方針・庁内放送の内容からはとても国と信頼関係を築けるとは私は思いません。区の施策も国からの補助金がさまざま絡みあってきます。西武線など大きな事業も控えております。区長はどのように国と地方との信頼関係を築いていこうとお考えなのか、お聞かせください。
 何度も申し上げておりますが、批判するのは結構なんです。しかし、30万区民のトップがこのような姿勢では中野区民にとって大きなマイナスであります。先ほど来申し上げさせていただいた点を踏まえ、ご自身のお考えを改められるべきではないでしょうか、お聞かせください。
 また、先ほどの区長から職員へのメッセージの庁内放送のホームページにアップされていない件については単純ミスだそうですが、ホームページ上の「区長の部屋」の中の「区長の動き」に関しては平成21年5月以降は更新されておらず、対話集会は平成21年7月分からずっと議事録作成中になっており、迅速に情報提供しなければならないものがなかなか更新されていない状況です。原因は何か、どのように改善されていくのか、お聞かせください。
 現政権を批判する一方で、「真の地方分権の推進を」の中で、前政権についてもある官僚出身の学者の言葉を引用され、触れられております。内容は、日本の産業政策は箸の上げおろしまで民間の活動に口を出し、無駄な補助金を数多くつくり、半官半民の非効率な天下り機関を多数つくったが、結局官僚が太り財政が肥大化しただけで、産業政策なるもので産業の競争力が向上した例はなく、戦後成長した産業分野は国の政策にとらわれることなく活動したものだけだとする主張です。この官僚出身の学者の見解に、区長は「こうした意見をまつまでもなく」と言い続けております。すなわち、この学者の意見はしごく当然で言うまでもないと区長がおっしゃられているようにとれます。
 今年1年間の中野区の基本方針や政策についての区長の姿勢、ビジョンを示す施政方針で現政権に対しても前政権に対しても非難されておりますことは理解できません。中野区への言及と比べ、国のあり方について事細かに述べられております。これほどまでに国政のことに対し期するところがあるなら、どうか2期8年で中野区政から退かれ、ご自身が国を変えるために立ち上がればいいのではないかと私は感じてしまいました。
 そして、現政権を恐ろしい独裁政治に向かおうとしているように見えると、そうした懸念が現実になるなら自治体として毅然とした対応をとっていかなければならないとあります。どのような対応をとられるおつもりなのか、お聞かせください。
 また、施政方針の中で、幹事長が公共事業や予算の配分の権限を握り、政治献金やその他の便宜を図らせる、利権の誘導とそれを引きはがすことの恫喝で地方や団体、企業を従属させ、権力を強化するとありますが、このような区長の発言こそが毅然とした対応をとられてしまうのではないかとも心配になってしまいます。この恫喝というのはどのような事実に基づいて発言されているのか、具体的にお聞かせください。
 次に、平成22年度の区政の方向についてお尋ねいたします。
 「区民の暮らしを守り、持続的な行政運営を」という文言がございます。幾度となく行われた組織変更により、組織が機能しているとはなかなか考えられません。平成19年度よりトップマネジメントの強化による経営本部体制が導入されましたが、非常にわかりづらく、副区長3人制と同様に、しっかりと機能されているようには私には感じられません。まず、この経営本部体制が本当に機能しているのかしっかりと検証していただきたいと考えます。どこがよくてどこが悪いのか、私は見直すべきであると考えますが、お聞かせください。
 また、庁内が閉塞感に包まれているような感があります。職員の不祥事が立て続けに起こってしまったことからも見てとれるのではないでしょうか。この件に関しましては後ほど佐伯議員が質疑をさせていただきますが、私は優秀な職員の個々の能力が区民の皆さんのために活用されるような現場を築いていただきたいという観点から1点お聞きいたします。
 区長は、初当選されたころは区長と区民の対話集会だけではなく、区長と職員の対話集会も実施されておりました。テーマは基本構想や組織改革・職員の働き方等々であったようです。このような取り組みは職員のやる気を必ず喚起するものであったと思います。今、また以前と同じような取り組みをするのは難しいのは理解しますが、最前線の現場に赴くような形をとられ、現場職員の声を聞く、もしくは仕事ぶりから必ずや区政の大きなヒントを得ることができると考えます。また、区長からねぎらいの言葉をかけられることにより職員のやる気を喚起することもできるのではないかと考えます。ぜひ現場に赴き、以前のような最前線で鋭意業務に取り組まれております職員の生の声を聞けるような方策を考えていただきたいと思います。お聞かせください。
 次に、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)の四つの戦略の中で、地球温暖化防止戦略についてお尋ねします。
 自然エネルギーの活用が日常生活の中で持続した取り組みとして定着していけるよう、地域エコポイントや基金の設立準備を進めるとありますが、元来この環境基金の考えは、区民風車の売電を原資に環境基金を設立し、CO2削減などの環境活動をされた区民にポイントを付与するという枠組みでありました。来年度はこの区民風車の現地風況調査を行う予定でありましたが、予算に計上されておりません。この風車が回るのをいつまでも待っているようであれば中野の環境施策は進んでいきません。
 中野区のCO2の排出量のうち、多くは家庭部門が占めております。この家庭部門の排出量を削減するには区民一人ひとりの環境に対する意識の啓発がとても重要であります。また、中野区環境基本計画のCO2削減計画の中でも非常にウェイトが高いエコドライブに関しても意識啓発が大変に重要なところであります。すなわち、中野のCO2削減のかぎは区民一人ひとりの環境に対する取り組みが大きなポイントです。中野からはるか遠いところで回っている風車より、目に見える形で各家庭に省エネ機器等の補助を進めるほうがはるかに意識改革にもつながると考えます。
 ここで、省エネ機器の議論が太陽光・太陽熱ばかりになっておりますので少しつけ加えさせていただきますが、エネルギー消費を用途別に見ると、給湯が冷暖房や照明器具と比べても高く、給湯におけるエネルギー消費の抑制が家庭部門のCO2排出量を削減するために必要不可欠な取り組みであります。東京都の中でも家庭部門の用途別エネルギー消費構成の3分の1が給湯による需要であり、東京都の環境確保条例の一部見直しの中でも都民に高効率給湯器の選択を促進する制度が必要だとしてもおります。太陽光発電への助成はさることながら、高効率の給湯器への助成も他区ではかなり進んでいる状況です。こうした省エネ機器への助成制度は23区の中では個人に対し融資すらしていないのは中野区だけであり、風車は当分回らない中、風車とは切り分けて、このような高効率給湯器をはじめとする省エネ機器等への補助の枠組みを早急に考えるべきであります。お聞かせください。
 また、この際風車に関しては、茨城県つくば市が結果的に失敗した風車発電事業に公金を支出したのは違法として、東京高裁は担当職員・副市長に対し賠償させるよう命じた事例があります。また、近隣の健康被害が持ち上がったりする例もあり、さまざまな障害が多過ぎます。風車はリスクが高過ぎると考えます。風車を白紙に見直されるべきであると思いますが、お聞かせください。
 この項の最後に、平成22年度予算案の概要のところで1点お伺いいたします。
 「すべての事業について、経費の圧縮や事業の繰り延べ、休止・廃止など、『ゼロベース』での見直しを行い、大幅な歳入減への対応を図りました」とあります。
 そこで、庁内努力についてお聞きいたします。
 庁内の光熱水費は、ISO14001の取得による庁内努力により減少しているのは理解しておりますが、例えば、平成20年度の数字を挙げると、本庁舎電気使用量約6,200万円、ガス使用量約1,300万円、水道使用量約1,400万円、計約9,000万円と大変に大きな数字であります。それからまた、人件費のうちの超過勤務手当も年間約6億円と、これは平成16年度から微増となっております。職員2,000人体制へと進む中、この数字に関しては理解しますが、組織の改編により仕事のあり方が見直され、このような数字も改善されなければなりません。組織が大きいのでそれぞれの費用の数字も大きく、1%でも削減することにより幾らかでも区民に還元することができるはずです。大変に厳しい財政状況下、来年度より区民生活に影響を及ぼす点も少なからずあると思います。区民に痛みを伴わせるなら行政もともに痛みを分かち合うべきであり、庁内努力に関してはより一層の取り組みが求められます。どのように取り組んでいかれるのかお聞かせいただき、区長の施政方針説明についての質問を終わらせていただきます。
 次に、その他といたしまして2点お尋ねいたします。
 まず1点目、42条第2項道路のセットバック時の電柱の移設についてお尋ねいたします。
 建築基準法では、原則として幅員が4メートル以上ないと道路として認められず、幅員が4メートル未満でも建築基準法施行前から使われていた既存道路で行政から指定を受けた場合には道路とみなされております。建築基準法第42条第2項で規定されていることから「二項道路」と呼ばれるこの道路に接している敷地に建物を建築もしくは建てかえをする場合は、道路の中心から2メートル確保するようセットバックをしなければなりません。セットバックをしている道路をよく見かけますが、その中で電柱だけ残っている姿を幾つか見かけます。住民の理解と協力によりセットバックをしても、電柱だけが残っておっては緊急車両の通行の問題などが残り、制度の目的を達成することができません。セットバック時の電柱の移設は当該道路に面した方の理解が必要であり、難しい問題で担当所管でも御苦労されているのは理解します。東電柱とNTT柱があるんだろうと思いますが、当該事業者と区が一緒になって入り口のセットバックの協議の時点で区として強い責任を持ってお取り組みいただき、このような状態が今後散見されないよう努めていただきたいと考えます。お聞かせください。
 次に、体育館での目的外使用時におけるフットサルの取り扱いについてでありますが、現在区は休日と夜間に校庭と体育館を開放されておりますが、体育館での開放対象のスポーツの種目にはフットサルは含まれておりません。各学校で種目を柔軟に対応しているところもあり、谷戸小、西中野小、中野神明小、二中、八中、北中野中はフットサルを行うことができます。
 フットサルは、簡単に言うと室内で行われるサッカーであり、1チーム11名集める必要がなく、5名で始められ、なかなかサッカーのフルコートを確保することが難しい都内においてフットサルは大変な人気があり、気軽に行うことができるスポーツです。Jリーグやワールドカップの影響もあり、フットサルの競技人口もここ数年飛躍的に増加しております。区が仲町小学校跡地に開設する地域スポーツクラブにおいてもフットサルも対象スポーツとなっております。
 中野区立学校体育館開放実施要綱に示されております体育館での目的外使用の対象スポーツは、バドミントン、バスケットボール、バレーボール、インディアカ等であります。インディアカというスポーツは、私は初めて聞いたのですが、インディアカとは「インディアカ」と呼ばれる羽根のついたボールをネットを挟んで相対した2チームが互いに手で打ち合うスポーツだそうです。
 この要綱が制定されたのは昭和61年で、その当時の室内でのスポーツを想定されております。フットサルを対象スポーツとして認められない理由は卒業制作などが壊れるため等だそうでありますが、学校教育が第一であることは理解しますが、本来体育館はスポーツをする施設であります。フットサル人口もふえており、問い合わせも多数教育委員会にあるそうであります。体育館開放実施要綱も昭和60年当時の室内でのスポーツを想定している中、区民のスポーツ振興向上のためにも教育委員会として目的外使用時の体育館でのフットサルの使用を認めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。お聞かせください。
 以上で私のすべての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 酒井議員の御質問にお答えいたします。
 多選の制限についての御質問がありました。2期8年と、このように申し上げたことについては重く受けとめているところであります。また、自治基本条例においては、連続して3期を超えて在任しないよう努めるものとする旨の規定を提案し、議決をいただきました。これによって、区における規範としての多選制限については一定の決着がついたと考えております。これら二つの点をしっかりと踏まえ、熟慮をした結果、引き続き区政において責任を果してまいりたいと、そういった決意を固めたものでございます。そうしたことを踏まえて有権者の皆様に御判断をいただきたいと、こう考えております。
 それから、施政方針説明について。批判をしてはいけないわけではないけれども、長いのか、あるいはやっぱりしないほうがいいのかというようなご質問であったように思いますけれども、中野区の区政を責任持って運営するのが私の立場であります。私がどのような考えに基づいて区政を運営しようとしているのか、このことを申し上げるということは、私は大事なことだと、こういうふうに思っております。国の個別具体の政策をどうこうというようなことを言うとか、あるいは特定の政治家の方の言動をどうこう言うとか、そういったようなことで申し上げているつもりはありません。地方政府のあり方、それとの関連において国政のあり方、そうした基本的なことについて私はご意見を申し上げているということであります。
 それから、要するに、現政権を批判していては国との信頼関係が築けなくて、区民にとってマイナスになるのではないかという御意見でもありました。論争というものはそれぞれの立場がそれぞれの立場を明確にしてきちんと意見を言い合うことだと、このように考えております。そのことによって区民にとってマイナスが起こるというようなことを与党の側に立場を置かれている党員の方が言われるということが私はおかしいと思います。
 それから、「恫喝」というのはどういう事実に基づいているのか、また毅然とした対応とはどのような対応をとるつもりなのかと、こういうことであります。恫喝というのは、言葉やさまざまな動き、言動などをもって相手に怯えさせる、恐れを抱かせることを恫喝と、こういうふうに言うと思っています。
 それで、さまざまな事業の箇所づけであるとか、予算づけ──個別具体のですよ。自治体だとか団体だとか、そういうところの予算づけや箇所づけについて、政府という法律に基づいた立場で行うのではない人が箇所づけをするしないというようなことを前提にお話を聞くという仕組みをつくること自体がまず不適切だと思っています。そういう中で、予算がつかなかったり、ついた予算がはぎとられたりするかもしれないというやりとりが、これがあるとすれば、それは、私は恫喝だと思います。
 現実に、さまざまな報道──ここから先、私は、事実はよくわかりません。ここから先、よくわかりませんけれども、「何とかダムは何とかダムだ」と実力のある秘書さんが言ったりとか、選挙に当たっては協力する名簿を提出してもらったりだとか、あるいは政治献金をもらったりだとか、そういうようなことも報道をされています。そういったようなことが事業の要望活動などと関連づけて行われるとすれば、私は、それは当然恫喝といった形にも結びついていくだろうと思うし、そういうことがあるべきではないというふうに思っています。
 また、毅然とした対応とはどのような対応をとるつもりなのかと、こういうことでありますけれども、毅然とした対応というのはその対応するべき内容によってそれぞれに違うと思います。はっきりと明確に強く態度を示すということだと思っております。
 それから、ホームページに議事録の掲載、あるいは区長の動きについての掲載が遅れるということについてはできるだけ正してまいります。
 それから、経営本部体制についてのご意見がありました。平成19年度に発足した経営本部体制は、10か年計画事業をはじめとした区の重要施策や事業部の課題などについて、経営本部会議などを通じて総合的な検討・調整を行っております。区政目標を実現するための組織や体制については、行政評価の結果などを検証し、常に見直しを行っております。
 それから、職員との対話をもっと頻繁にと、こういうことでありました。毎月、月初めに、おしかりを受けたところでもありますが、職員に向けたメッセージを庁内放送や庁内LANなどを通じて伝えているところでもあります。そのほかさまざまな場面で職員との意思疎通を図っているところではあります。また、新人職員の研修でありますとか、管理職あるいは係長級の職員などの昇任時の研修などについては、直接私ができるだけ赴くことにしてさまざまなお話し合いをしているといったようなことがございます。今後もさまざまな機会をとらえて職員との会話をしていく考えであります。
 それから、庁内努力についての御質問がありました。私は、任期中これまで、現在もやっておりますけれども、発生主義会計の導入や職員2,000人体制の構築、民間活力の活用などの経営革新を進めて持続可能な行財政運営を行うことに努め、小さな区役所の実現を図ってきたところです。特に行政内部の改革として成果重視の人事システムを確立するなど、職員の仕事に対する意欲や能力を最大限に引き出してきたほか、よりコスト意識を持たせて区政経営の基本であるPDCAサイクルを有機的に機能させてきたところであります。今後ともこのシステムを充実、発展させていきたいと考えております。
 また、質問にもありましたように、区役所本庁舎では平成18年度からISO14001の取り組みの推進をして、光熱水費の削減にも一定の成果を上げてきました。今後とも庁内施設を含め一層環境に配慮した取り組みを推進してまいります。
 私からは以上であります。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 学校開放でのフットサルの使用についての御質問でございました。学校の一般開放や施設の目的外使用での種目につきましては、要綱で定めた種目以外は体育館の規模や施設の状況により判断をしているところでございます。御質問にもありましたように、要綱の中に定めがフットサルはないのは体育館の状況によって判断させていただいているということでございます。しかし、フットサルの利用につきましては、利用可能な学校で利用できるようできる限り配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕
○区民生活部長(鈴木由美子) 高効率給湯器等への補助と、それから風力発電についてのお尋ねがございましたので、お答えいたします。
 まず、太陽光や太陽熱利用機器のほか、省エネチャレンジなど家庭におけるさまざまなCO2削減の取り組みが促されるように、議員の御提案があったことなども含めて、地域エコポイント制度を具体化する中で検討しているところでございます。
 また、風力発電事業につきましては、先に実施した立地調査において明らかとなったさまざまな課題について十分な検討を加えていきたいというふうに考えております。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、セットバックした際に残った電柱についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。
 電柱等の移設につきましては、建物のセットバック、この時期にあわせてできるよう、NTTあるいは東京電力、これら各事業者と協力をして進めているところでございますが、中には移設先の地権者の承諾、また隣接住民の協力が得られないために移設ができないでそのまま電柱が残っているというケースも御指摘のように出ているところでございます。
 そこで、いまだに電柱が移設されていない箇所につきましては、NTTや東京電力に対して事業者としての役割、これを果たすよう強く要請していくとともに、区としても地権者との協議時点から各事業者とともにセットバックが有効に機能するよう努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。
     〔酒井たくや議員登壇〕
○27番(酒井たくや) 1点だけお尋ねさせていただきたいと思います。
 先ほど恫喝云々といった流れの中で具体的な例を出していただきたいと、そういう中で区長はご答弁で途中から、何とかだと思うだとか、どこどこで見ただとか、そういったふうな表現が非常に多かったんですね。そういった事実じゃないところのものをこのような施政方針の中に入れていいものなのでしょうか。私は施政方針とは重いものだと思うんですよ。本会議の初日に議事を変更してまでそのようにやっておるんですね。そういった中、そのような憶測でのことを施政方針の中に入れてもいいものでしょうか。施政方針とはそれほど軽いものなのか、お聞かせいただきたいと思います。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 先ほどの報道で見た事実ということについては、施政方針説明の中の説明で申したわけではありません。私の考え方、心証形成した根拠を申し上げていると、こういうことです。
 施政方針説明の中で申し上げているのは、この議会でも議決をしていただいたように各自治体や団体の要望を、幹事長室を通さなければ政府に渡しませんよ、直接政府に行ってはいけませんよというようにお決めになっているんですよ、現に。それで、現にそのようにやって、箇所づけも内示したと言っているんですよ。国会で政府が資料を出したでしょう。内示したという事実もあると言っているんですよ。そういう構造の中で、地方があるいは団体が政党に対して物を言うこと、そのことが、要望が通じるとか通じないとか、付いた予算が削られるとか、そういうことにつながるとしたら、それは恫喝の構造になるではありませんかと、こういうふうに申し上げました。
 酒井議員も先ほど言ったでしょう、現実に。そういう批判をしていると区民にとってマイナスになりますよというようなことを民主党に所属されている立場で言っているじゃないですか。
○議長(伊藤正信) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 吉 原   宏
 1 子ども手当について
 2 杉山公園交差点拡幅事業について
 3 図書館の新しいあり方について
 4 その他

○議長(伊藤正信) 次に、吉原宏議員。
      〔吉原宏議員登壇〕
○21番(吉原宏) 質問に先立ちまして、ただいまバンクーバーオリンピックが開催されております。日本の選手団の皆様方の活躍が日々入ってくるわけでございますが、先ほど控室へ入ってきた最新情報が、髙橋大輔さん、男子フィギュアスケート、見事銅メダルに輝きました。心からお祝いを申し上げさせていただきたいと同時に、国旗がやはり掲揚される姿というものは、同じ国民としまして非常にすがすがしい何とも言えない気持ちのいいものを感じるわけでございます。国旗がポールのラインを縫って掲揚されるたびに、私と同じように共産党の皆さん方も喜んでくださっているものと確信をいたしております。
 それでは、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。
 まず、子ども手当についてであります。
 子ども手当は、民主党が衆議院と参議院に提出した法案であり、15歳以下の子どもの保護者に対し手当を支給することを主な内容とし、今国会で支給するための法案を成立させ、4月1日の施行を目指すものであります。その概要は、15歳の4月1日の前日までの子どもの保護者に毎月2万6,000円を支給するとし、初年度、平成22年度のみ月1万3,000円を支給するもので、22年度政府予算案における子ども手当の予算は1兆7,465億円、支給額は2兆2,554億円という規模のものであります。しかしながら、この法案は各方面から数々の問題点を指摘されております。
 まず初めに、一番大きな問題が財源の問題であります。民主党が長期にわたって主張してきた政策ですが、民主党の他の主要政策と同様に、どのようにして財源を確保するかが明確にされていないということが大きな問題点として指摘されております。
 財源は、初年度で2兆2,500億円、翌年度からは倍の4兆5,000億円ほど必要になる予定であり、財源不足に対して民主党は扶養控除と配偶者控除の廃止を充てるとされています。しかし、これらによって得られる税収増は扶養控除8,000億円、配偶者控除6,000億円と、子ども手当の必要経費にははるかに及ばず、他にも補正予算の子育て応援特別手当を停止することで1,100億円を積みまして財源を確保しようとする酩酊ぶりまで浮き彫りになりました。
 子ども手当は、当初国が負担することでありました。しかし、財源が確保できないことに気がつくと、あわてて地方自治体に負担を押しつけるという方法をとりました。この件につきましては後ほど区の見解を伺いますが、当然のごとく地方から不満の声が噴出いたしております。
 まず、特別区長会が昨年10月、国に対し国の財源負担のみで実施することを要望いたしました。全国市長会も昨年11月に子ども手当を全額国費負担を求める決議を採択しました。そして、松沢神奈川県知事は地方負担なら子ども手当をボイコットすると宣言、群馬県、静岡県、大阪府、和歌山県、岡山県、宮崎県の7人の知事連名の要望書を国に提出いたしました。また、群馬県内の23の町村のうち20町村が平成22年度町村の予算案に子ども手当の地方負担分を盛り込まないで編成する方針を決定し、松沢知事の動きと呼応して、全国知事会をはじめ、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会の地方六団体も、昨年12月10日に、「地方分権に逆行する国の一方的なあり方は許せない。国の財政的な都合のみを理由として、子ども手当について、かりそめにも地方負担を求めるような事があれば、地方の反発は極めて大きく、国と地方の関係は深刻な事態に陥ることを十分認識すべきである」という内容の子ども手当の地方負担に反対する緊急声明を発表いたしました。
 田中区長も2月17日に施政方針説明の中で、「新政権は『地域主権』を主張して、地方と国が対等な立場で協議し、地方が地方の意思に基づいて行政運営ができるようにすることをこれまで唱えてきました。しかし、多数の関係諸自治体の意思を一切確かめることもなく一方的に強行しようとしている八ツ場ダムの建設の中止、子ども手当ての地方負担の一方的な導入などのように、「地域主権」改革の道筋も示さないまま、問答無用で地方を従属させるような決定を行っています。」と新政権に対する不満を明確にいたしております。私たち区議会議員は何人たりとも中央集権国家権力を振りかざす新政権より地方分権、地方自治を守り抜かなければならないと思います。
 以上のことからも、国と地方自治体の、自・公政権時に培われてきた信頼関係がいまや完全に揺らいでおり、まさに緊急事態と言っても過言ではありません。
 また、子ども手当の一部を地方自治体が負担することについて、某新聞社が全都道府県と主要市の計118自治体にアンケートしたところ、回答した自治体の4分の3に当たる85自治体が負担に反対していることがわかりました。反対の理由は、「全額国費という民主党のマニフェスト、政権公約に違反」(宮崎県その他)、「政権が掲げる地域主権の理念に反する」(山口県その他)、事前に地方側への説明や協議がないままだった経緯に不満を示す回答も目立ったということであります。
 子ども手当の財源が不足しているという指摘に対し、世論の6割以上が所得制限を行うべきだと世論調査で指摘しているにもかかわらず、菅直人副総理は、所得制限について、所得の把握を知るための費用のほうが所得制限以上の負担になるとして、これを拒否し、結局は所得制限は行われないことで決定をいたしました。
 この子ども手当には国際的団体からも疑問視する声が上がっております。
 まず、通貨と為替相場の安定化を目的とした国際連合の専門機関である国際通貨基金(IMF)は日本の財政赤字が国内総生産(GDP)に対して10.5%に達する見通しであると発表し、子ども手当など国債増発により、イギリスやアイルランドのように大規模な財政調整が必要になると指摘いたしました。また、国際経済全般について協議することを目的とした国際機関である経済協力開発機構(OECD)は、子ども手当を実行するよりもOECD加盟国中最低の母親の就労率を上げるために保育施設の充実などといった少子化対策を行うべきだと指摘をいたしております。
 とどのつまり、民主党政権は、当初子ども手当については全額国保負担で賄うとしていました。その財源については所得税の扶養控除や配偶者控除の廃止、自・公政権で進めていた子育て応援特別手当の廃止などにより生み出すとしていましたが、しかし、それでも十分でないため、子ども手当法案では子ども手当の一部に児童手当法に基づく児童手当を支給する仕組みを取り入れ、その分について地方への負担を求めているものであります。全国市長会では、さきに述べたように、全額国保負担を求める決議を採択したものの、完全に無視されたと言わざるを得ません。
 そこでお伺いいたしますが、子ども手当を支給するにあたり、中野区ではどのぐらいの負担額になるのかをお答えください。
 次の問題点は、さきに述べました扶養控除と配偶者控除を廃止しても、子ども手当により15歳以下の子どもが1人いる家庭では年収500万円の場合、負担が23万900円増になると試算され、15歳以下や公立高校に通う子どもがいない家庭では当然増税となり、子どもがいない専業主婦の世帯、大学生以上の子どもを持つ世帯、子どもが成人し親の介護のために働けない世帯にとっては大きな痛手となります。民主党はマニフェストで中学卒業までの子どもに支給するとうたっていますが、実際には受給資格には中学卒業は何ら関係なく、中学校を卒業していようがいまいが一定年齢の一定期日で打ち切られるもののようであります。このことについては、民主党は明確にいたしておりません。そして、扶養控除の廃止の民主党の本来の目的は、我が国の家族のつながりを根本から崩壊させることであるということをつけ加えさせていただきます。
 次の問題点は、受給対象外問題であります。
 厚生労働省によると、乳幼児や児童養護施設などで暮らす子どもの中で、両親の生死にかかわらず不詳の場合は子ども手当が支給されません。その対象になる子どもは約2,400人から5,000人いると言われています。ある養護施設長は施設で暮らす子どもたちについて根本的に考えるべきだと指摘しておりますが、そもそも子ども手当の受給先が「15歳以下の子ども」ではなく、「15歳以下の子どもの保護者」であることから初めから対象外とされているわけであります。恐らく子どもに直接支給しても民主党には何のメリットもないということなのではないでしょうかと、私は思います。
 この項の最後に、税金のばらまきを指摘いたします。
 子ども手当で景気対策になるという主張よりも、世論調査によると、貯蓄に回すという意見が多く、子ども手当に対しての経済効果は薄いと言われています。そして、さきに述べたように、この手当の支給については所得制限を設けないとしており、高額所得世帯であっても子どもの数が多ければ相当額の手当を受け取ることになります。このようなやり方は税金のばらまきではないかとの印象を受けますが、こうした手当の支給のあり方について区としての見解を伺います。
 我が党の谷垣総裁も2月1日の衆議院本会議における代表質問において、自民党は、まず「自助」、すなわち個人の自由と努力が基本として尊重されるべきで、それを「共助」という形で家族や地域社会など顔の見える間柄同士がともに支え合い、それだけでは立ちいかないところには国民全体で相互に助け合う「公助」が必要と考えてきました。しかし、民主党政権が進めようとしている子ども手当の支給は、子育て世帯にいきなり公助ありきで、現金をばらまくという施策にほかならないと厳しく指摘いたしております。
 以上のことなどをかんがみ、さらに、外国人に対しても支給されるのかどうかもあわせてお伺いいたしまして、この項の質問を終わります。
 次に、杉山公園交差点拡幅事業について伺います。
 この交差点拡幅事業は、骨格的な幹線道路の交通渋滞を解消するために都市計画事業として東京都第三建設事務所が行っているところでありますが、その事業認可期間は平成17年12月から平成22年3月末までとなっており、間もなくその事業期間が終わろうとしています。しかし、その期限が来ているにもかかわらずなかなか進んでいません。ようやく青梅街道と杉山公園の間に立っているビルの取り壊しが始まった程度であります。恐らく期限の変更を行うことになると思われますが、まず、この事業が遅れた理由と今後の事業期間をどう考えているのか、お答えください。
 この杉山公園交差点の拡幅整備ですが、現在は南側、つまり杉山公園側でようやく始まってまいりました。地元では実際の整備工事に関心があるところであります。そこで、今後拡幅工事はどのような順番で行う予定となっているのかについてもお聞きいたします。お答えください。
 また、当初の住民説明のときと比べるとスケジュールが大幅にずれてきていることは間違いがありません。恐らく工事の順番も変わってきていると思います。私は改めて地域住民を対象に説明会を開催すべきであると思います。今後、住民説明会が予定されているのかどうかをお聞きいたします。
 次に、先ほど青梅街道と杉山公園の間にあるビルの取り壊しが始まったと述べましたが、このビルの跡地については、一部は東京都が道路の拡幅用地として取得し、残地については中野通りの拡幅に伴って杉山公園が削られますが、その削られる部分の代替地として中野区が取得を検討しているという話を我々は聞いております。
 そこで、お尋ねいたします。中野区は杉山公園の拡張予定地をどのようなプロセスで取得するのか、お教えいただきたいと思います。
 次に、図書館の新しいあり方についてお尋ねいたします。
 私は、この「図書館の新しいあり方」を一読し,今後の中野区の目指す図書館運営の方向性としてはおおむねこれを「了」としたいと思います。この「あり方」の内容をよく見てみますと、二つのキーワードが特に重要なのかなと私なりに考えました。一つは「どこでも図書館」というフレーズ、そしてもう一つは「指定管理者制度の導入」というものであります。この二つのキーワードを基本に、この「図書館の新しいあり方」の内容について少し踏み込んで教育委員会の意向といったものをお尋ねしたいと思います。
 初めに、「どこでも図書館」というフレーズにかかることからお尋ねします。
 「図書館の新しいあり方」を見ますと、平成20年度実績で区民の方が図書館の本を予約・リクエストする件数のうち、68%が今や自宅からインターネットを使っての予約であることが示されています。そして、その割合はどんどん増えているとのことであり、自宅からインターネットを使って予約し、予約した本の貸し出し準備が整えば自分の携帯にメールで連絡が入る。それを確認したら、みずから指定した自宅近くの図書館で受け取り、返却はどこの図書館でも返却ボックスでもオーケーということであります。随分便利になったものだと思います。
 そして、この予約・リクエストした本の貸し出し・返却を今後地域センターでも行っていきたいと、取り組みの方向に記されています。しかも、自宅にいながら予約し、受け取れる有料宅配サービスも実施していきたいと。そうなると、確かに図書館を利用する区民の方は便利になります。地域センターでも予約した本を受け取り、返却もできるとなれば、地域センターはl5カ所、図書館は8カ所ですから、今のおよそ3倍の場所で予約した本の貸し出し、返却ができることになるわけであります。
 そこで、まずお伺いしますが、地域センターでも予約した本を貸し出し、返却ができるサービスポイントとすることにつきましては、今後どのように実現に向けた姿勢をお持ちになっているのか、実現に向けた見通しをお聞かせください。あわせて有料宅配サービスの実施についても今後の実施に向けた見通しをお伺いいたします。
 さて、この「どこでも図書館」の構想が推進され、地域センターなどで本の貸し出しや返却が実現されてくるとなりますと、現在の地域図書館のあり方にも影響があると考えます。といいますのは、本の貸し出し、返却ができるポイントが増えれば、7館ある地域図書館がそのままの形で残っていくという必要性も薄くなるのではないかと考えるからであります。
 一方、先ほど述べましたが、今やインターネットを活用して,自分が必要とする本を自宅から予約をするという人が増えているということもありますが、同時に、「さて、何かおもしろい本でも読んでみようかな」と思って図書館に行き、書架の間をあれこれ背表紙を眺め、手にとって目を通して気にいった本を借りていくという人も多くいますし、そちらの方がまだまだ多数派でもあるわけで、それもまた読書の楽しみの一つという側面もあります。
 したがって、私は、区民の方が予約した本を貸し出し・返却できるサービスポイントをふやし「どこでも図書館」を実現させる一方で、今ある地域図書館を再編し、今述べたような直接図書館に足を運ぶ方にもより魅力あるもっと充実した地域図書館にしてはどうかと思います。図書館の新しいあり方の中では、取り組みの方向として「想定される地域図書館の標準型」が示され、蔵書構成や施設・設備の充実した地域図書館づくりが述べられています。今ある地域図書館の中で最も古いものは本町図書館で築42年、野方図書館は築40年であります。このような施設はおよそ50年ぐらいが耐用年数といいます。
 そこで伺いますが、今後、地域図書館の改築にあわせて、またサービスポイントの拡大という「どこでも図書館」の推進と引き合う形で、充実した幾つかの準拠点館といった地域図書館に再編していく考えをお持ちになっているのかどうか。もちろん財政事情もあるし,すぐに改築時期が迫っているというわけでもありませんが、将来構想としてそういう考えをお持ちなのか、お伺いいたします。
 次に、図書館サービスの向上ということで少し伺っておきたいと思います。
 図書館の新しいあり方の中で図書館サービスの向上について、取り組みの方向として具体的には三つほど挙げてあります。
 「地域図書館の開館時間のシフト」、「図書館機能の点在化とネットワーク化」、そして「障害者・高齢者サービスの向上」の3点です。このうち、図書館機能の点在化とネットワーク化は、先ほどの「どこでも図書館」における地域センターでの貸し出し・返却サービスと有料宅配サービスの実施ということで重複していますので、残りの2点について確認させていただきます。これらについては、次の管理運営の段階に進む前にも、開館時間の工夫や貸し出し方法の改善など、実行できるサービス向上に向けた取り組みを進めていくこととするとしているわけですので、具体的な今後の見通しということでお伺いいたします。
 まず、地域図書館の開館時間についてですが、「あり方」の中でも、区民の一層の図書館利用の促進と利便性の向上を図るため、夜間の時間を可能な範囲において延長できるようというふうに述べていますが、その実現可能性はいかがでしょうか。厳しい財政事情の中でも工夫し、実現可能なのか、伺います。
 あわせて、障害者・高齢者サービスの向上についても、比較的利用の多い録音図書貸し出しサービスについて充実を図っていくとしていますが、その実現に向けた見通しをお聞かせください。
 また、無料で行っている障害のある方への在宅配送サービスについて、その対象に外出困難な高齢者も加え、サービス対象の拡大を図るとしていますが、その実施の見通しについてもお伺いいたします。
 さて、それではこの項の最後に、もう一つのキーワードである指定管理者制度の導入ということでお尋ねしたいと思います。
 これから区の10か年計画や教育委員会の教育ビジョンを改定するというときに、大変な経済・財政事情に見舞われています。厳しい財政状況にあるとはいえ、そうだからこそ常により効率的に行政運営を求め、その手法の改善に努めていく必要があります、
 平成16年4月より今現在まで26の区の施設が指定管理者となっておるわけでありますが、図書館の新しいあり方の中でも、さらなる図書館サービスの向上と管理運営の簡素効率化を図るため、指定管理者制度を活用していくこととすると述べられています。私も基本的にはこの考え方に賛同いたしますが、一部になかなかこの考え方を受けいれていただけないと思う人もいるようなのでございますが、はっきりと確認しておきたいと思います。
 そこでお伺いします。この指定管理者制度を導入することによるメリットは何なのか、どういうことを期待しているのか。今でも窓口業務等の委託を行っていますが、それを超えるメリットは何なのか、お答えいただきたいと思います。
 効率的な財政運営ということで、最後に気になる点を一つお伺いします。
 この指定管理者制度導入に向けた基盤整備を図るということで、図書館システムの改善と機械化による区民サービスの向上が示されています。ICタグを活用したシステムや盗難防止用機器を設置するというものですが、特に本の盗難防止には効果があると聞いています。毎年1,000万円相当に近い本が所在不明になっていると聞きました。なくなってしまった本はそのままというわけにはいかないわけで、必要な補充をしなければならず、その分新図書購入にも影響が出ます。限られた予算を有効に活用し、区民サービスを向上させるということからもこのシステムを早急に導入することは財政効果も大きいと考えますが、いかがでございましょうか。お伺いをいたしまして、私のすべての質問を終了いたします。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 吉原議員の御質問にお答えをいたします。
 子ども手当についてであります。子ども手当における中野区の負担額ですが、今回の子ども手当支給に当たっては、児童手当分についてはこれまでの費用負担割合が継続をいたしますので、扶助費についての区の負担分は児童手当の区負担分と同様、すなわち2億2,000万円あまりということになります。
 また、子ども手当支給に要する事務経費については、来年度のみ残る児童手当の分の事務費として216万円あまりがこれまでと同様に区の負担となります。その他は全額国庫負担とされているわけですけれども、実際にはシステム開発諸経費につきましては区の超過負担が生じるということになります。その額については1,400万円あまりと、このように考えております。
 それから、子ども手当の支給のあり方についての御質問がありました。所得制限を設けることなく、対象の全世帯に給付をすると、こうしたあり方については子育て支援という政策目的からして私は大変疑問だと思っております。これが平年度化して1人2万6,000円と、こういう計算になってまいりますと、国で何兆円かの大変な巨額な財源をこれから必要になってくると、こういうことになるわけであります。その財源がどこから出てくるのかということについては、まだ全く明らかになっていないということでありますし、また、どこからといっても、私は今の状況の中で出てくるところがあるとも思えない、こういうふうにも考えております。
 しかしながら、私たちの社会はまだまだ直接的なこういった現金給付よりも待機児対策の問題であるとか、虐待対策の問題、あるいは子どもの教育環境をよくしていかなければならないと、こういったような問題、障害者の福祉の問題、また高齢者の介護の問題、社会全体で支えなければいけないたくさんの課題を抱えている中で、こうした形で子ども手当という現金給付に巨額の財源が固定されてしまうと、このようなことは我が国の将来にとって大変な禍根を残すことになるだろうと、こんなふうに思っているわけでございます。マニフェストは本当にあくまでもマニフェストですから、努力目標としてできないことはできないというふうにお決めになることが私はいいのではないかと、こんなふうに思っております。
 また、外国人への子ども手当支給についての御質問もありました。子ども手当は日本国内に住所を有している外国人の方、お子さんが自国にいらっしゃったとしても、お子さんを監護されているという実態があるのであれば支給対象となるということであります。
 私からは以上です。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 図書館の新しいあり方についての御質問にお答えいたします。
 まず、サービスポイントと有料宅配サービスの見通しについての御質問がございました。図書・資料の貸し出し、返却ができるサービスポイントとして地域センター等を活用することについては、関係部署と検討・調整を行い、実施に向けて取り組んでいく考えでございます。また、有料宅配サービスにつきましては、現在実施に向けた準備を行っておりまして、本年4月のサービス開始を予定しております。
 それから、地域図書館の再編に関する御質問がございました。図書館の新しいあり方に示しましたとおり、今後地域図書館の整備を図っていく場合、多くの区民にとって利用しやすい交通の利便性の高いところで必要な施設規模、内容と機能を有するものとして整備を進めていく考えがございます。改築時期や「どこでも図書館」の整備状況等を勘案しながら、今後検討をしてまいります。
 それから、地域図書館の開館時間の延長でございます。地域図書館全7館の開館時間につきましては、本年4月から夜間の開館時間を30分延長し、午前9時から午後7時半までとする考えで準備を進めてございます。
 それから、障害者・高齢者サービスの向上でございます。障害者・高齢者サービスといたしまして、これも4月から、日本点字図書館と連携し、同館の録音図書ネットワーク配信システムを活用して、利用者が希望する図書を携帯用デジタルプレーヤー等に録音して貸し出すサービスを開始する予定でございまして、このことによりまして貸し出し手段の多様化と貸し出し図書の蔵書数が大幅に増加すると見込んでおります。
 また同時に、図書・資料を自宅まで無料で届ける在宅配送サービスにつきましても、従来の障害のある方に加えまして、身体的な理由等により図書館に来館することができない高齢者についても来年度から対象者に加え、サービスの向上を図る考えでございます。
 それから、指定管理者制度の導入のメリットということで御質問がございました。常に最小の経費で最大の効果を上げることを念頭に置かなければなりません。指定管理者制度では業務委託と異なり、事業者による主体的なマネジメントが可能になり、さまざまな経営や事業執行上の工夫・改善が生かされ、区民サービスの向上に寄与できるものというふうに考えておりまして、導入に向けて検討を図ってまいりたいというふうに考えております。
 最後に、ICタグの導入の御質問がございました。ICタグの導入につきましては、図書・資料の盗難防止という面よりは、蔵書点検業務効率化による開館日の拡大などのサービスの向上の効果が見込めるものというふうに考えておりまして、財政状況を踏まえ、図書館の新たな管理体制の構築に向け、その基盤を整備する中で検討してまいりたいというふうに考えております。
    〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 杉山公園交差点の拡幅事業についてのお尋ねがございました。
 杉山交差点拡幅事業の進捗状況につきまして、事業主体でございます東京都に確認をしたところでございますが、事業用地の取得に予想以上に時間がかかっているということでございます。それで、現在、事業継続のため、事業認可期間の延伸手続を進めているということでございます。この拡幅整備工事を行うためには連担したまとまった事業用地が必要でございます。そのことから用地取得交渉が進んでおります交差点南側の区間、これを先行して整備する予定というふうに聞いてございます。また、工事に際しましては、地元説明会の開催やチラシの配布などによりまして周知を図っていくということでございます。
 現在、解体中のビルの跡地の一部を杉山公園の拡張用地として取得をすることにつきましては、区としては、中野通りの拡幅に伴って一部狭められます、この杉山公園用地の代替地とする考えでございまして、現在東京都と細かいところを調整をし、進めているというところでございます。
○議長(伊藤正信) 以上で吉原宏議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、2月22日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後5時21分延会