平成22年02月23日中野区議会本会議(第1回定例会) 平成22年第1回定例会本会議第4日(2月23日) 1.平成22年(2010年)2月23日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(40名)
  1番  内  川  和  久        2番  ひぐち   和  正
  3番  白  井  秀  史        4番  平  山  英  明
  5番  つぼい   え  み        6番  いながき  じゅん子
  7番  林     まさみ         8番  山  口  かおり
  9番  せきと      進       10番  いでい   良  輔
 11番  伊  東  しんじ        12番  佐  野  れいじ
 13番  北  原  ともあき       14番  南     かつひこ
 15番  小  林  秀  明       16番  の  づ  恵  子
 17番  奥  田  けんじ        18番  近  藤  さえ子
 19番  牛  崎  のり子        20番     欠  員
 21番  吉  原     宏       22番  大  内  しんご
 23番  きたごう  秀  文       24番  伊  藤  正  信
 25番  久  保  り  か       26番  やながわ  妙  子
 27番  酒  井  たくや        28番  佐  伯  利  昭
 29番  むとう   有  子       30番  長  沢  和  彦
 31番  か  せ  次  郎       32番  山  崎  芳  夫
 33番  市  川  みのる        34番  斉  藤  金  造
 35番  篠     国  昭       36番  岡  本  いさお
 37番  飯  島  謹  一       38番  江  口  済三郎
 39番     欠  員          40番  佐  藤  ひろこ
 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      副区長(経営室) 石 神 正 義
 副区長(管理会計室) 沼 口 昌 弘    副区長(政策室) 西 岡 誠 治
 教  育  長  田 辺 裕 子      区民生活部長   鈴 木 由美子
 子ども家庭部長  竹 内 沖 司      保健福祉部長   金 野   晃
 保 健 所 長  田 原 なるみ      都市整備部長   石 井 正 行
 まちづくり推進室長 川 崎   亨     政策室副参事(企画調整担当) 田 中 政 之 経営室参事(経営担当) 長 田 久 雄
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    奈 良 浩 二
 議事調査担当係長 大 谷 良 二      書     記  長 﨑 武 史
 書     記  荒 井   勉      書     記  河 村 孝 雄
 書     記  菅 野 多身子      書     記  丸 尾 明 美
 書     記  土 屋 佳代子      書     記  鳥 居   誠
 書     記  杉 本 兼太郎      書     記  鈴 木   均
 書     記  岡 田 浩 二      書     記  竹 内 賢 三

 議事日程(平成22年(2010年)2月23日午後1時開議)
日程第1
 第7号議案 平成22年度中野区一般会計予算
 第8号議案 平成22年度中野区用地特別会計予算
 第9号議案 平成22年度中野区国民健康保険事業特別会計予算
 第10号議案 平成22年度中野区老人保健医療特別会計予算
 第11号議案 平成22年度中野区後期高齢者医療特別会計予算
 第12号議案 平成22年度中野区介護保険特別会計予算

      午後1時00分開議
○議長(伊藤正信) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 北 原 ともあき
 1 区内における経済成長戦略について
 2 新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案における売却予定施設等について
 3 西武新宿線沿線まちづくりについて
 4 その他

○議長(伊藤正信) 最初に、北原ともあき議員。
〔北原ともあき議員登壇〕
○13番(北原ともあき) 平成22年第1回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場から質問いたします。
 質問は、初めに、区内における経済成長戦略について、次に、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案における売却予定施設等について、最後に、西武新宿線沿線まちづくりについてお尋ねいたします。
 初めに、区内における経済成長戦略についてお尋ねいたします。
 自由民主党議員団は、区政運営について常に財政的な裏付けと財政展望、財政見通しを念頭に置き、区政運営をただしてきました。そうした中、区長は、さきの施政方針説明において、中野区は基本構想で描くまちの将来像の実現に向けて、新しい中野をつくる10か年計画を定め、戦略的に区政運営を行ってきたとし、さらに基本構想の制定から5年、中野区を取り巻く社会経済状況の変化に伴い、長期展望に基づいた区政を着実に展開することができるよう、基本構想の一部を改定し、また新しい中野をつくる10か年計画(第2次)を年度内に策定し、平成22年度から10か年の区政運営の方向を定めていきたいとしております。厳しい財政状況と地方分権、地域主権の流れの中で、区政の持続的発展を図るためには、中長期的視点に立った財政基盤の強化が不可欠であります。経営改革を継続しつつ、他の自治体におくれをとることのないよう、地域経済を成長軌道に乗せるために、より効果的な経済成長戦略を構築しなければなりません。中野の特性を生かした経済成長戦略、企業の誘導、成長支援、そして新たな産業創出等についてお尋ねいたします。
 現行の新しい中野をつくる10か年計画の中では、産業新生の仕掛けづくりに向けた主な取り組み内容として、IT・コンテンツといった都市型産業の誘導を設定しております。また、新たな10か年計画(第2次)案においても、ICT・コンテンツ産業の算入促進を掲げております。この5年間の取り組みの成果をお尋ねいたします。
 現在、中野区内には、中野駅や新宿副都心に隣接する中野坂上地域を中心に、東証一部、東証二部、東証マザーズ、ジャスダック等の上場企業が12社ほどあります。参考までに、情報通信関連企業は1社あります。上場企業がすべてとは言えませんが、企業誘導を図るためには重要な要素の一つであります。ところで、区内の企業が成長するとともに、区外に転出する例が幾つかあるように聞いております。まことに残念なことであります。区内企業の動向把握、分析については、区内産業の振興を目指していく上で大変重要な要素となると思います。区はどのように取り組んでいるのか、お尋ねいたします。
 区内の産業振興策は極めて重要な経済成長戦略であります。成長産業として注目される産業の一つにアニメ産業がありますが、全国に約600あるアニメスタジオのうち、70以上のスタジオが集積する杉並区では、アニメ産業を重要な地場産業と位置付け、平成12年に「アニメの森すぎなみ構想」を策定し、アニメ産業の発展・支援に取り組んでおります。アニメフェスティバルの開催や杉並アニメーションミュージアムの開館を契機に、他の産業分野の活性化にもつながるリーディング産業としてとらえ、支援し、成果を上げております。また日本アニメ発祥の地であり、連続テレビアニメ鉄腕アトムが製作された練馬区では、現在90社以上のアニメ関連産業が集積するものの、さらなるアニメ産業の評価・育成のために、アニメ産業集積活性化計画を策定しました。この計画は、東京都の創造的都市型産業集積創出助成事業の認定を受け、アニメカーニバルや東映アニメーションギャラリーのオープンなど、新たな事業展開に取り組んでおります。中野においても、かつて空き店舗も少なくなかったブロードウエイが、今や漫画やアニメ文化を中心に、さらにそれから派生した広範囲な関連商品の集積地として広く注目されております。展示と販売が一体化したブロードウエイは、見る人、買う人がともに楽しめるユニークな空間として、東の秋葉原と並び、国内のみならず海外でも広く紹介され、西のブロードウエイとして人気を博しております。近々外国人の来店客の増加に対応するために、外国語の案内板が商店街振興組合によって設置されると聞いております。まさに経済成長エリアの一つだと思います。
 また、既に中野区が取り組んでいる「なかの里・まち連携事業」も、区内の経済成長に資するものではなくてはなりません。近年、NPOや企業が地域おこしや福祉・環境といった分野での社会貢献を収益につなげていくソーシャルビジネスが各地に根付き始め、経営を順調に拡大し、地域の雇用確保などにも貢献しているといいます。子育て応援情報誌を発行する企業や、知的障害者の社会参加への支援をビジネスとして成功させている例もあります。区内に新たな産業を育てる観点からも注目されます。
 ところで、杉並区・練馬区ではアニメ、渋谷区ではファッション・デザインに注目した産業振興を図ろうとしております。中野区としても、中野の特性を生かした新たな産業振興策をとり、区内産業の活性化を図っていくべきだと思います。区の御見解をお尋ねして、この項の質問は終わります。
 次に、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案における売却予定施設等についてお尋ねいたします。
 中野区は、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案において、新たに10年後の施設配置を示すとともに、売却予定施設等を明らかにしました。既に売却予定としている施設用地と、このたび明らかにされた売却予定の施設用地の合計は29となっております。用地等の売却収入は、今後必要となる施設の整備を行うため、基金への積み立てを行い、この積み立てにより健全な財政運営を保ちながら、施設整備財源の確保を行っていくとしております。区有財産は区民の貴重な財産であります。区民の理解のもとで区民のために生かされなければなりません。しかし、さきの本会議質問で斉藤自民党幹事長も指摘いたしましたが、上野原スポーツ学習施設の売却例が示すように、また、いまだに売却が進まない館山健康学園の例が示すように、区の思惑どおり簡単に売却できるものではありません。計画どおりに売却が進むよう、一層の努力と研究が求められます。
 ところで、売却収入等についてでありますが、売却予定とした施設等が多数あります。売却収入等は新たな施設整備の財源とするものなので、経済性も考慮し、事前検討を十分行い、区にとって最も有利な価格となるよう努力すべきだと思います。売却の時期や売却の方法はどのように考えているのかお尋ねいたします。
 また、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)案には、売却予定等の施設用地について、廃止理由等を示すとともに、売却金の整備基金名も明記しております。そこで、施設等の利用者に対し、施設機能の継続性に十分配慮し、そして十分なPRを行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上をお伺いして、この項の質問は終わります。
 最後に、西武新宿線沿線まちづくりについてお尋ねいたします。
 この質問には、昨日、久保議員、さらにかせ議員からも質問がありましたが、自由民主党議員団の一員として、また地元にかかわる議員として2点ほど質問させていただきます。
 中野区は、平成21年、昨年11月、西武新宿線沿線まちづくり計画を策定し、その中で、沿線地域のまちづくりや都市基盤についての考え方を示し、さらに本年1月にはまちづくりの核となる基盤施設の整備についても整備方針を定めております。西武新宿線沿線まちづくり計画は、これまでの勉強会での議論を踏まえ策定され、沿線地域の将来像と住民との協働によるまちづくりや、必要となる駅前広場や関連街路などの基盤施設についての考え方を示したものであります。また、整備方針は、沿線まちづくり計画の具体化を目指し、まちづくりの核となる基盤施設の整備について、その方針を定めたものであります。東京都・中野区・西武鉄道3者により、2月1日・2日、上高田、沼袋小両校で開催された西武新宿線中井駅・野方駅間の連続立体交差化計画の都市計画素案及び関連計画についての説明会には、両会場とも300名を超える参加者がありました。改めて申すまでもありませんが、連続立体交差事業は、東京都が事業主体となり、道路の整備の一環として、国土交通省の国庫補助により都市計画事業として施行するものです。今回の計画の概要は、西武新宿線中井駅付近、新宿区中井一丁目から野方駅、野方六丁目までの区間、延長は2.7キロ、連続立体交差化予定区間は約2.4キロ、構造形式は、中野区民と中野区が強く求めていた地下式に決定。これにより区内7カ所の踏切が除却されることになります。
 都市計画素案説明会により、東京都が行う連続立体交差化、また中野区が行う沿線まちづくりは、新たな段階に入ったと言えます。東京都の説明によりますと、連続立体交差事業は、都市計画素案説明会、2月1日・2日を起点とし、都市計画案の作成を経て、平成22年度内には都市計画案の説明会と環境影響評価案の説明会を同時に行う。さらに都市計画審議会の審議と環境影響評価書の提出を受け、平成23年度内には都市計画決定を行い、平成24年度に都市計画事業認可を得る予定であります。すなわち、都市計画決定まで2年。事業認可まで3年を数えるのみであります。
 中野区のまちづくりも、整備方針が示され、駅前広場やアクセス道路が明確にうたわれました。中野区内北部地域のおくれた都市基盤を整備するチャンスであり、連続立体交差事業の進捗におくれることがないように、事業を進める必要があります。しかし、駅前広場やアクセス道路の整備は容易なことではありません。そこで、この沿線まちづくり、特に基盤施設の整備の進め方についてお尋ねをいたします。
 事業化に当たっては、個別地権者の生活再建や商店街の活性化を十分考慮に入れることは当然でありますが、そのためには商店街などの再編、再建について、権利者への検討段階における支援のほか、建物の共同化など、具体的な事業を行う場合においても、補助金や助成金のような支援も必要と考えますが、区の御見解はいかがでしょうか。
 次に、次年度、平成22年度は都市基盤の整備計画を策定するなど、いよいよ本格的なまちづくりが開始されます。今後、施設の整備はもちろんのこと、補償や生活再建など、それぞれ事情の異なる権利者へ適切に対応していく区側の体制が求められます。区長は、さきの本会議で、引き続き2,000人体制を目指すとするものの、必要な分野には人員を配置するとの答弁がありましたが、まちづくりを進めるためには、何よりも専門的な知識や豊富な経験を持った職員の確保と育成が欠かせないと思います。区の御見解をお尋ねして、私のすべての質問は終わります。
 御清聴ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 北原議員の御質問にお答えいたします。
 区内における経済成長戦略についての御質問であります。都市型産業の誘導等について御質問がありました。この5年間の取り組みの成果についてのくだりであります。
 区の地域特性に合った産業と動向を明らかにするため、産業環境基礎調査を行い、企業の移転動向等について調査をしましたほか、区内のオフィスビルの状況調査や企業訪問を行うなど、IT・コンテンツ産業の区内誘導の可能性を探ってきたところであります。ICTやコンテンツの関連事業者の立地促進については、東京都が弥生町二丁目に開設をしましたコンテンツ関連産業のインキュベーション施設とも連携をとりながら、ICT・コンテンツ事業者向けの創業セミナーを開催するとともに、デジタルコンテンツビジネスプランコンテストを実施しているところであります。
 企業の区内への転出事例等があるけれども、動向把握・分析はどのように行っているのかということであります。区内企業の動向につきましては、産業環境基礎調査で明らかになった中野の特性や強みを踏まえ、事業所、企業統計等各種統計結果を活用して、マクロな動きを把握・分析するとともに、経済団体との情報交換などにより、情報収集に努めているところであります。
 また、杉並・練馬でのアニメ、渋谷のファッションデザインなどのような、中野区としての特徴を生かした産業振興はどのように考えているのかという御質問であります。演劇・お笑い・ダンス・漫画・アニメなどの若者の表現文化活動は、中野区の特徴・特色でありまして、こうした若者のエネルギーが新産業の創出に効果を発揮する、そのような可能性があると考えております。こうした活動における人材活性化のためのトレーニングの場所の確保や、ICT技術との融合による新たなビジネスチャンスの機会創出など、活動を広げるための環境整備を進め、文化産業としての振興を図っていきたいと考えております。
 次に、10か年計画(第2次)案における売却予定施設等についての御質問であります。
 公有地の売却は、区民の財産を処分するという観点から、一般競争入札によってできるだけ高い価格で売り払い、その成果を財政運営に還元していくことを考えております。売り払いの時期等につきまして、不動産市況の状況などを見極め、財政上の観点などから総合的に判断して、最も有利な売却となるよう、これからも研究検討に努めてまいりたいと思っております。
 それから、売却に当たって施設利用者等への御説明を十分にする必要がある、こういったことであります。施設の廃止・移転等をする場合は、施設が担っていた役割・機能をどういう形で継承・展開していくかなどについて、関係者に十分説明を行い、理解していただく努力を行っているところであります。そうした説明に加えて、売却に当たっては、売却はもともと有していた施設の設置目的を、時代に即応した形で発展させていく施策の財源とするために行うものである、このことを御理解いただくよう努めていきたいと思っております。
 それから、西武新宿線の沿線まちづくりに関連しての御質問があります。建物共同化など、区の支援を行うべきだという御質問でありました。駅前広場や道路など基盤施設の整備におきましては、公共事業としての適切な補償を行うことはもちろんのこと、駅周辺や商店街などについては、各権利者の意向を伺いながら、生活再建の一つとしても、小規模な開発や建物の共同化などの支援を行っていく考えであります。これら小規模な開発や建物の共同化などにつきましては、関係権利者による検討の段階から必要な支援を行い、具体的な事業の段階では、中野区住宅等共同建築物助成あるいは中野区優良建築物等整備事業補助などの制度を活用し、経済面を含め支援をしていきたいと考えております。
 こうしたまちづくりの推進に当たっての職員の確保・育成についての御質問もありました。今後西武新宿線沿線や中野駅周辺では、大規模な基盤施設の整備など大きな事業が予定をされております。用地取得交渉や区民の方の生活再建の相談、建物共同化に関する権利者支援など、これまで区が必ずしも十分に経験を蓄積してきていない業務が必要となってくるわけであります。こうした需要を満たしていくためには、委託等によって外部の専門能力を活用することも欠かせないわけでありますが、基幹的な業務については行政職員の対応が大変重要となるわけであります。このため、経験者採用の活用や研修の充実など、職員の確保や育成についても、十分に意を用いてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(伊藤正信) 以上で北原ともあき議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 佐 野 れいじ
 1 中野区の事業部制の限界について
 2 新規事業の高齢者居宅介護支援事業について
 3 その他

○議長(伊藤正信) 次に、佐野れいじ議員。
      〔佐野れいじ議員登壇〕
○12番(佐野れいじ) 平成22年第1回定例会一般質問に当たり、自由民主党の立場から質問をさせていただきます。
 質問は2点ございます。一つ目は、中野区の事業部制の限界について、2番目としまして新規事業の高齢者居宅介護支援事業について、その他の項目についてはございません。以上2点でございます。
 まず最初に1番目として、中野区の事業部制の限界についてお伺いをさせていただきます。
 この問題につきましては、昨年の第4回定例会一般質問で、自民党の市川みのる議員、また今定例会で我が会派の斉藤幹事長もこの問題を取り上げ、指摘をしましたので、今回は角度を変えて質問をさせていただきます。
 中野区は、平成16年度から行政運営の改革に努め、目標と成果による区政運営を行い、そしてこれまで多くの日本の企業が取り入れてまいりました事業部制の導入を図りました。各部長には予算の調整、執行権限や一定の人事権を持たせ、さらには組織のフラット化を図り、それぞれの部の経営がより効率的に進めることができるようにする区政運営を行おうとしたものです。そしてこの事業部制の導入により、各部がPDCAサイクルによって自主的・主体的に経常事業の見直しや歳出削減の取り組みをしてまいりました。しかし、昨今のような大変に厳しい経済環境の中では、単に各事業部だけでは判断しづらい局面が数多く排出し、いろいろな矛盾点や弊害が多く見られるようになりました。
 昨年の決算特別委員会で、我が会派の大内議員の質問にもありましたとおり、区の予算の積算が甘くなり、信じられない契約落差や安易な予算流用が非常にふえてきたという事実は否定できないと思います。さらに私が何回も危機感を持ってこれまで主張し続けてきている中野区の歳出に占める人件費、扶助費、公債費の義務的経費の割合は、既に平成20年度決算で、23区の中で最も高い数値となってきております。そして平成22年度予算案では実に58.1%と、予算の約6割近くにもはね上がってきております。また、今回の平成22年度予算編成作業においては、各事業部任せにするのではなく、経営本部の政策室、経営室、管理会計室のいわゆる6奉行の管理職がそれぞれ各事業部を担当し、各事業部としての自律的な見直しだけではなく、各部から出された予算要求額を再調整したと聞いております。この進め方は、事業仕分けのように一端を見て判断を下すことであり、担当職員に考える機会を与えないことになり、納得度を考えると事業執行に必ずしもよい結果をもたらすとは決して思いません。削減によって、各事業部のインセンティブをつくり出すルールを徹底し、その果実を事業部の重点施策に生かす流れをつくる必要があるのではないでしょうか。
 これらの結果から見ても、当初考えていた事業部制により各部が自主的・主体的に経営事業の見直しや歳出削減に取り組むということは、私には不十分であり、機能しているとは思えません。このままでは事業部制による予算編成は既に限界に来ていることを端的に示しているのではないでしょうか。
 そこで質問をさせていただきます。
 1番目。適切な事業経費の見積もりや事業の計画的執行は、各事業部で責任を持って行うべきであると思いますが、これで各部の責任を持ってなされていると言えるのでしょうか。
 2番目。また、6奉行の管理職の調整は、事業部制の限界から実態に即しての予算編成作業を改めて見直したからではないでしょうか。
 3番目。現在の事業部制の中で、田中区長は問題点をどのように考えられておりますでしょうか。また、導入時に予想していた事業部制と全く違わずに現在もうまく機能されているとお考えでしょうか。
 一般的に事業部制の経営は、民間企業では当てはまりますが、行政公共経営では難しいと言われております。その最大の理由は、民間経営と行政経営では、その目的が大いに異なるからです。民間経営では、社会的・道義的責任とあわせて、利益を上げていかなければなりません。減収減益を民間企業で続ければ、その企業はいつの日かは倒産をしてしまいます。そしてそこに働く社員は路頭に迷ってしまいます。しかし、公共経営は違います。その目的は利益を上げることではなく、いかにその住民に対してサービスを高め、高福祉や安心・安全に住むことができるかにあります。さらにその実現には、国や都からの補助金や援助金もあり、また自治体がつぶれない限り、そこに働く職員は職を失うということは決してありません。いろいろな面で民間経営とは異なるわけです。
 事業部制は、御承知のように経営の神様と言われた松下幸之助さんがつくった松下電器が日本で初めて導入し、松下電気のこれまでの成長を支えてきた仕組みでありますが、現在では事業部制の弊害もあり、事業部制はとっておりません。今後続くであろう厳しい財政状況の中では、今までのような事業部制ではなく、今こそ全庁的な視点から、扶助費などをはじめとする経常経費のゼロベースでの見直し、削減を行い、行政改革を強力に進めるべきではないでしょうか。
 そこでさらにお伺いをさせていただきます。
 4番目。平成22年度はそのような組織を設けることを検討しているのでしょうか。さらに田中区長が考える新たな公共経営の目的とは何か、お答えください。
 また、事業部に一定の人事権を持たせることについても、各部が自分の部の利害をそれぞれ優先的に考えるように現在はなっており、優秀な人材を長期間抱え込む結果となり、部間同士の定期人事異動の異動が停滞する障害が生じているとの職員の不満や嘆きが聞こえてきております。いわゆる縦割り行政になってきているわけです。これも事業部制の限界を示しているのではないでしょうか。各部の一定のコア人材についても、組織全体で計画的に育成・異動を考えるべきであり、厳しい財政状況の中で最大限の成果を上げるには、各部が人材を抱え込むことがないよう、風通しのよい制度が必要と思いますが、改めて5番目として、この件につきましてどのようにしたらよいのか、区長の考え方をお伺いさせていただきたいと思います。
 私は、事業部制で大切なことは、各部の責任者に権限と責任、すなわち人・物・金を与えたわけですから、すべてを任さなければモチベーションややる気につながらないと思っております。これまでの運営を見ると、中野区の事業部制は、本当にすべての権限と責任を各部に与えているのでしょうか。私には、権限が薄く、責任だけが重くとしか見えておりません。権限委譲のルールづくりをし、よりよい責任を持たせることが、事業部制を機能させることとなるのではないでしょうか。例えば、今、行われているこの一般質問の答弁についても、各部の部長ではなく、ほとんど田中区長みずから答えております。それは、自分がトップなのだから、最後の責任者として答えたいとの気持ちはわからないでもないですが、裏を返せば、副区長や各部長を信頼していないともとられてしまいます。もちろん、田中区長みずからが自民党に対しても丁重に答えていただいていることに対しては感謝を十分にしておりますが、事業部制を推し進める上では、トップである区長から責任と権限を与えられた副区長や部長が堂々と答えることにより、職員の意識も高まり、緊張感が生まれるのではないでしょうか。6番目として、このことについて区長の見解をお聞かせください。
 最後に、最近特にわかりづらいと言われている庁内の組織名、職位、名称等について、これまでも何人かの議員も質問しましたが、再度お尋ねをさせていただきます。
 現在の区の組織は、名前だけ「分野」という内容的にもわかりづらく、実態は「課」と同じであり、かえって混乱を招いているのではないでしょうか。例えば都市整備部の中で「交通・道路管理」分野と「公園・道路管理」分野がありますが、道路について何ゆえ分ける必要があるのでしょうか。仮に区民が道路について問い合わせをするとき、一体どちらの分野に問い合わせをすればよいのでしょうか。違いが分野の中では十分にわかっていても、区民には十分にわかっておりません。
 さらに管理職の職位についても、何ゆえ「課長」「部長」ではなく「副参事」「参事」なのでしょうか。区民には「副参事」「参事」という職位はなじみは薄く、やはり「課長」「部長」のほうが呼びやすく、わかりやすいとも言われております。また、実際に「副参事」ではなく「課長」と呼んでいる職場もあるように聞いております。組織づくりには事業部制と職階制という分け方がありますが、問題は、内容それぞれの役割をどうしていくかの内容が大切であり、職位はステータスでもあり、名称や呼称は区民、職員にとってわかりやすく親しみやすいのが一番ではないでしょうか。7番目として、この問題についても区民視点で分類する必要があると思いますが、田中区長のお考えをお伺いさせていただきます。
 以上、現行の事業部制の限界について、事例を挙げながら指摘をさせていただきました。こうした職員・区民の声もあるなどということについて、ぜひ区長は真摯に耳を傾け、現在抱える事業部制の問題点を整理整頓し、よりよい制度としていただきたいと思います。
 以上でこの項の質問を終わります。
 2番目としまして、新規事業の高齢者居宅介護支援事業についてお伺いをさせていただきます。
 経済環境の悪化、雇用不安、少子高齢化等により、中野区においても生活保護者数の増加とともに、生活保護費も平成16年、99億9,000万円、保護者数4,992人だったのが、平成20年度では112億3,600万円、同5,502人と増加をしております。もともと生活保護とは、憲法ですべての国民が健康で文化的な最低限の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とすると明記され、さらに昭和25年制定の生活保護法にも基づいているものです。私は、増大する生活保護費に対して、区がよりきめ細かく対応するために、昨年の決算特別委員会で、生活保護者へのより厳密なチェック体制と自立支援の強化を訴えました。さらに生活保護分野の職員の人数も伺い、現業職員1人当たりの世帯数が89人に1人とあり、これではきめ細かい指導やチェック体制が本当に行えるものなのかどうか、また社会福祉法で1人80世帯と定められたケースワーカーの数も、中野区では不足している旨を指摘させていただきました。そして、担当職員や、もしお金が仮にないのであれば、全庁的に知恵を出し、汗をかく必要がある。例えば生活保護の機能を、職員でなければできない業務と委託可能な業務とに整理をし、アウトソーシング・ワークシェア等を考えるべきであると訴えました。
 22年度の予算説明書補助資料の新規事業、高齢者居宅介護支援事業について担当分野に聞いたところ、この新しい事業は生活保護への法外援助として「生活状況が安定している高齢者世帯への支援の一部を民間事業者へ委託し、きめ細かい自立支援を推進する」とのことでした。私は、このことに大変興味を持ちました。この制度は、23区で初めてのことであり、中野区独自で考え、外部事業者に委託することで都に話をし、現実化したとのことで、さらに費用は全額国の負担とのことでした。区内財政が大変に厳しい中、また、職員数が十分に回らない状況のもと、それぞれの分野でこのように知恵を出し、汗をかくことの大切さをまさに具現化したものだと思いました。
 田中区長も、ことしの1月4日の庁内放送で、「厳しい環境の中でどれだけ各部、各課が創意工夫で区民の期待にこたえられる成果を上げられるか、私たちの能力と姿勢が問われる時代が来たことを、あらためて強く感じるのです」とのメッセージを発し、職員を鼓舞したことに、まさにこれはこたえたものではないでしょうか。私は、担当分野で独自性をもってワークシェア・アウトソーシングを行い、しかも経費負担を最小限にし、区民のためになるものを考え、知恵を出し、汗をかくことの姿勢こそが、今の中野区には最も必要なことで、すばらしいことだと思いました。
 そこで伺いをさせていただきます。
 1番目、23区中初めて生まれた中野区独自の「高齢者居宅介護支援事業」が誕生するまでの経緯や、何ゆえこの制度が必要だと考えたのか、また経費面からもお答えください。
 2番目、さらにこうした厳しい現環境を考えた前向きな姿勢こそが、私は今の中野区の庁内には必要だと思っておりますが、田中区長はこのためには今、何が最も職員に必要だと思われますか。また、職員のモチベーションを高めるにはどのようなことがさらに必要であるかということについて、お尋ねをさせていただきます。
 以上で私の質問のすべてを終わらせていただきます。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 佐野議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、中野区の事業部制の問題についてということであります。各部が責任を持って予算編成を行ったと言えるのかといったような御質問でありますが、事業部においてはその経営機能を十分に発揮し、事業部制の効果を最大限に引き出し、事業計画に基づいた経費の積算と、所管における経費の精査、部長による査定を行って、着実な予算編成を行ったところであります。22年度の予算編成に当たっては、これまでにない大変厳しい財政状況のもとでの予算査定となったことから、財務情報の共有や部間の均衡を保つ観点から、経営本部の管理職が各事業部を支援する立場で調整を行ったものであります。
 事業部制の問題点、あるいは導入当初とどういうふうに違っているかといったような御質問であります。平成16年に事業部制を導入した当初は、区政全体の課題や部をまたがるような課題に対してどのような体制で取り組むのかといった課題がありましたが、その後、平成19年に経営本部を設置し、トップマネジメントの強化とともに各事業部の連携を強化したことによりまして、現在はこうした課題についてもある程度解消されていると考えているところであります。
 また、事業部ごとにそれぞれの部の目標を明確にし、成果を上げていくということで、区政目標に対して全庁が一体となって取り組める体制が構築できている、このように考えているところであります。しかしながら、現在の大変厳しい状況を受けて、経営本部が介入するような新たな組織をつくることを検討しているかどうか、そういった御質問がありました。平成22年度につきましては、今後の厳しい財政状況に対応し、かつ10か年計画などを見据えたあすの中野を目指して、区民ニーズに的確にこたえていくためには、大胆な業務の効率化と歳出規模の縮小を図らなければならないと考えております。そのため、区政目標の全体にわたって見直しを行い、わかりやすく、かつ効率的な事業執行につながるよう、目標体系の再構築を行うこととしているところであります。そうした全庁的な取り組みのための組織対応は必要でありますが、基本的に事業部制の考え方そのものに変更を加える必要はないと考えているところであります。
 また御質問の中で、新たな公共経営を行ってきたその目的は何なのか、こういうことであります。新たな公共経営の目的は、区民のために価値のある施策を効果的かつ効率的に実施をしていく上で、予算消化型の業務の管理から仕事が生み出す価値に着目をした目標と成果による管理への転換を図るということにあります。職員がそれぞれみずからの目標を明確に持って、その目標に向けてみずから問題解決をしながら成果を出していく、そうした働き方に変えていく、その根本的な考え方として、新たな公共経営の考え方を取り入れている、こういうことであります。
 それから、部間の人事異動について、停滞があるのではないかといったような御質問がありました。人事異動につきましては、それぞれの部で策定した人材育成計画に基づいて、職員1人1人の職務経験や能力、適正などを踏まえて適材適所の人事配置を行うようにしているところであります。事業部制ということで、部長の権限の中では、人を育て、人を管理するということも大変大きなことでありますので、部の人事については一定の独立性を持つべき、こんなふうに考えているところではあります。しかしながら、人材を部が抱え込んだり人事の停滞を来さないように、同一部に10年以上在籍する職員の異動、それから昇任時の異動、それから新人のローテーションなどによりまして、人材の積極的な活用を図るといった配慮も行っているところであります。
 それから、一般質問への答弁について、もう少し副区長や部長に答弁させてはどうか、こういう御質問でありました。議会へ真摯に対応するために、個別の質問の内容を十分検討の上、答弁者を決めているわけであります。区政の課題、政策にかかわるもの、あるいは部を越えた区政全般にかかわる質問など、選挙で選ばれて、区政に対して責任を負っているという、そういう立場から、区長としてお答えしなければならない、あるいは私はお答えするべきだと判断する事柄はあるわけでありまして、そういったことについては区長が、個別事業の内容や状況に関する質問、そういったことについては、権限と責任を与えられた副区長または部長に答弁をしてもらうこととしているところであります。答弁をする分担はそれぞれでありますけれども、それぞれに責任を持って仕事をしているという、また責任を持ってお答えをしているという中では、部長も含めた答弁調整をしっかりと行っておりますので、その辺は御理解いただければと思っております。
 それから、組織の名称についてであります。中野区は課、係という定型的な組織の形態を廃止をした、そういったことが一つ背景にあるわけであります。区の仕事というのは、目標に基づいて組み立てられているわけでありまして、その目標と業務がきちんと結びついているということの中で、現在のような組織の形、仕事の進め方が行われているわけであります。とは言いながら、組織や役職の名称などについては、区民にとってわかりやすく親しみやすいものになるということが大事だと考えております。区民の皆さんがどういった業務について、どこに問い合わせればいいのか、あるいはだれが責任を持っているのか、そうしたことがわかりやすいような業務名あるいは役職名、そういったものをつくるように、これまでも心がけてきているところですが、これからもよりわかりやすいような形に改めていくよう努力をしていきたい、こう考えております。
 それから、新規事業の高齢者居宅介護支援事業の組み立ての中での御質問に関連して、職員に必要なものということについての御質問がありました。厳しい財政状況のもとで区民の期待にこたえられる成果を上げていくためには、職員一人ひとりが時代の変化を的確にとらえ、区民のニーズを把握し、そのニーズにどのようにこたえていくかを考え、職務に反映させることが必要であります。人はみずから考え、みずから決めた目標に対しては、積極的に達成のための努力をするし、その目標が達成できたときには大きな喜びを見出すものであると考えております。職員それぞれの目標設定を十分に支援し、上司が理解・尊重すること、また目標達成に向けた努力や成果をよく観察して評価することが大事だと思っております。困難に突き当たっている職員には、側面からアドバイス、サポートして、成果を上げた職員については、明示的にその成果を称賛する、また成果に応じて給与や昇任が決定されるなど、適切な処遇を行うことが重要である、こう考えているところであります。
 私からは以上です。
    〔保健福祉部長金野晃登壇〕
○保健福祉部長(金野晃) 高齢者居宅介護支援事業についてお答えいたします。
 まず、この事業を始めるに至った経緯と必要性でございますが、生活保護受給者が増加する中で、ケースワーカーの支援業務が精神疾患を持つ方や若者の支援に追われ、安定した高齢者世帯への支援がやむを得ず後回しになるという実態がございました。このため、高齢者世帯の生活状況、健康状態の把握や年金の調査などの業務について検討した結果、相談や見守り、それから提出資料作成の補助業務などは民間の事業者による実施が可能である判断をし、業務を委託して支援の充実やサービスの適正化を図ることとしたものでございます。
 この中で、東京都とは高齢者の居宅介護支援として位置付けることによりまして、国のセーフティネット支援対策事業費補助金の対象事業になることを、協議の上確認いたしました。この事業を始めることによりまして、高齢者以外の受給者の生活状況把握や自立援助などのケースワーク業務に力を入れることができるようになると考えております。
 また、経費についてお尋ねがございました。事業経費はおおむね3,400万円で、国の補助金で全額賄われる予定でございます。
○議長(伊藤正信) 以上で佐野れいじ議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 内 川 和 久
 1 学校の耐震化について
   (1)谷戸小耐震化工事について
 2 保育園・児童館について
   (1)桃園地域の保育園・児童館について
 3 区施設の騒音に対する区の対応について
 4 その他

○議長(伊藤正信) 次に、内川和久議員。
      〔内川和久議員登壇〕
○1番(内川和久) 平成22年第1回定例会において、自由民主党の立場で一般質問をさせていただきます。
 質問は通告どおり、1番学校の耐震化について、2番保育園・児童館について、3番区施設の騒音に対する区の対応について、4番その他についてはございません。
 1番、学校の耐震化についてお聞きします。
 先日大変気になる記事が新聞に掲載されておりました。それは「進まぬ学校耐震化計画、国予算、自治体要望の4割、高校無償化優先で削減」といった記事です。これは、民主党のマニュフェストの目玉である高校授業料の無償化で、必要となる4,000億円をひねり出すために、文部科学省の2010年度の公立小中学校校舎などの耐震化工事補助事業予算があおりを受けたためです。当初文科省は自治体の要望をもとに約5,000棟、2,775億円を計上していましたが、政権交代を経て約6割も削減され、1,086億円まで減額。結果、耐震化工事の対象は2,100棟まで減らされることになりました。昨年末に閣議決定した政府予算案では、さらに50億円も減って1,032億円、何とか2,200棟分の耐震化予算を確保しましたが、かわりに老朽化した校舎の改修や地上デジタルテレビ対応などの補助が削減されました。最終的に学校の耐震化は、自治体要求から2,800棟も減らされました。現在全国の公立小中学校の耐震化は67%余りです。耐震性がなかったり、耐震診断が実施されていなかったりする校舎や体育館などの数は実に4万1,206棟にも上がります。神戸市では、公立小中学校の耐震化工事を2023年度までに終える予定でしたが、国庫補助の減額で達成が困難になったそうです。命を守りたいと連発した鳩山総理の施政方針演説に疑問を感じたのは私だけでしょうか。
 そこで幾つか質問をさせていただきます。
 まず初めに、学校施設は多くの児童生徒が1日の大半を過ごす学習・生活の場であり、安全を確保することは必要不可欠であると私は考えます。また、地震等の災害時には、地域住民の避難場所としての役割も果たすことからも、政府が目玉としている高校の無償化より、人命に直結する学校の耐震化を優先すべきだと私は考えますが、区長のお考えをお聞かせください。
 次に、区としては平成23年度に耐震ランクBの小中学校の耐震改修完了を予定しておりましたが、このたび示された10か年計画第2次案によりますと、耐震性能Bの小中学校の耐震改修完了の文言が削除されております。今回の学校耐震化予算の削減により、区内の小中学校の耐震化にどのくらいの影響が出るのかお答えをください。
 次に、谷戸小学校の耐震化工事についてお聞きします。
 谷戸小学校は、平成8年に行われた調査では耐震Bランクと診断されておりました。ところが平成21年に公的評定機関に申請した際、災害時に避難所としての機能確保は保証できない。耐久性に問題があり、長期使用にたえられないという理由で、急遽一部建て替えも含む耐震工事が行われることになりました。どうやら昭和49年に建てられた校舎の部分に問題があったようで、学校としても地域や保護者としてもまさに寝耳に水といった状況です。平成22年から平成23年にかけて設計・プレハブ建設・平成23年から平成25年にかけて耐震補強工事・建設工事という予定です。耐震工事が行われる約2年間は、校庭にプレハブ校舎を建てて対応することとなり、校庭が使えなくなることにより学校行事への影響も懸念されております。
 そこで幾つか質問をさせていただきます。
 まず初めに、なぜ今回避難所としての機能確保が難しいという判断になったのか。平成8年に行われた調査と平成21年に行われた公的評定機関の調査では、何がどう違ったのか。不良施工はなかったのか、お聞かせください。
 また、他の耐震Bランクの学校についてはどうだったのか、お聞かせください。
 次に、谷戸小学校は地下2階に体育館が設置されており、災害時に車椅子の方々や体に障害を持つ方々が階段を使用することとなり、避難場所としての使い勝手が非常に悪い。今回谷戸小学校の耐震工事を実施するに当たり、避難所としての機能をより充実させる必要があると考えます。どのような対策を考えているのかお聞かせください。
 次に、今回の耐震工事は、平成25年1月までとされていますが、その間校庭にはプレハブ校舎が設置されるため、事実上校庭は利用できなくなります。学校や保護者としても、児童の体力維持に不安を覚えており、近隣施設の利用を考えています。そんな中、平成23年には仲町小学校跡地に「地域スポーツクラブ」が開設を予定しており、グラウンドとジムが整備をされます。谷戸小学校が校庭を利用できない期間、地域スポーツクラブとして積極的に学校を支援していく必要があると考えますが、お考えをお聞かせください。
 2番、保育園・児童館についてお聞きします。
 昨年、第4回定例会におきまして、保育園待機児童問題について質問をさせていただきました。区としては、ことし7月までに新たに認定こども園の誘致や保育所の定員増などを行い、待機児童を大幅に解消するという予定であるとの答弁をいただきました。また、その際、潜在的な保育事情についても指摘をさせていただきましたが、現段階での保育園申し込み状況はどのようになっているのでしょうか。当初の予定どおり大幅な待機児童の減少につながっているのか、お答えください。
 また、平成26年待機児童ゼロに向けて、今後の保育行政のあり方についてもお考えをお聞かせください。
 次に、桃園地域の保育園・児童館についてお聞きします。
 現在ある児童館は、U18プラザ9館とすべての小学校に設置するキッズプラザに再編される計画です。当初、仲町児童館へはU18が設置される予定となっていましたが、今回示された10か年計画第2次案によりますと、橋場児童館跡地にU18を設置すると変更になっています。その理由をお聞かせください。
 また、仲町児童館跡地の利用についてもお考えをお聞かせください。
 次に、橋場児童館についてお聞きします。
 ここは、隣地に橋場保育園を抱え、また同じ建物内に桃園地域センターの分室も同居するなど、地域の子育て、特に高齢者のコミュニティの中心となっております。10か年計画第2次案によりますと、橋場児童館と地域センター分室を廃止し、U18プラザに整備するとのことですが、地域の高齢者の憩いの場となっていた分室内の和室は、どうなってしまうのでしょうか。隣接していた橋場公会堂がことし1月でその長い歴史に幕を閉じたことからも、今後分室の需要はふえると予想されます。区のお考えをお聞かせください。
 私は、核家族化が進む現代の中で、世代間交流ができる施設は大変重要だと考えております。中野区における人口の推移を見ても、平成22年から平成27年の間で老齢人口は約9,000人ふえ、老齢人口の割合でも3ポイントふえ、23.12%まで増加します。地域の高齢者がいつでも気軽に集えるスペースが必要と考えます。城山ふれあいの家には既にU18が設置され、地域の高齢者と子どもたちが同じ施設の中で文字どおり触れ合っています。今後区が設置を予定している区内9カ所のU18内に、高齢者も気軽に利用できるスペースも同時に確保できないものでしょうか。世代間交流、子育て支援機能にもつながると考えます。U65(アッパー65歳構想)として提案をさせていただきます。
 3番、区施設の騒音に対する区の対応についてお聞きをします。
 2009年1月から11月にかけて、全国の警察本部が受理した110番は約825万件もあったそうです。これは前年同期に比べて約11万件もふえて、5年ぶりに増加傾向にあるとのことです。内容では、交通関係が依然として最も多いものの、音がうるさいといった苦情・相談も約96万件と過去最多を更新したそうです。子どものはしゃぐ声がうるさいとの理由で、公園の噴水が止められたというニュースは記憶に新しいところです。中野区内でも公園の子どもたちの声がうるさいとか、学校の子どもたちの声がうるさいとか、苦情が後を絶たないと聞いております。
 私の地元の中学校では、運動会のたびに近隣へプリントをまいてあいさつ回りをしても、それでも毎回うるさいと言われます。部活や地域のスポーツ団体が校庭を使用するに当たっては、本当に神経を使うとのことです。昨年、谷戸運動公園運営委員会が解散をし、その管理運営が地域から区へ返還されました。その理由の中には、苦情に対する対応が、これ以上地域では対応し切れないといったことが入っています。また、昨年行われました中野まつりにおいて、鼓笛のパレードが一部音を出せない状況があったと聞いております。区民の祭典としても、私も大変残念だなと感じております。区としても、こういった音の問題について真剣に取り組むべきだと考えます。
 そこで幾つか質問をさせていただきます。
 まず初めに、現在区としては、学校や保育園に対する音の苦情や、公園利用に対する音の苦情をきちんと把握しているのでしょうか。
 また、どのように対応しているのか、お聞かせください。
 また、そういった苦情の電話を学校の先生や職員が受けると、何十分も拘束され、業務に支障が出るといったことも聞いております。先日、東京都教育委員会は、苦情対応の専門家が監修した「モンスターペアレント対応マニュアル」をつくり、都内の公立学校・幼稚園の全教職員7万人に配りました。私は、区も苦情対応の専門家による騒音対応マニュアルを作成し、これ以上問題を深刻化させない取り組みが必要だと考えますが、お考えをお聞かせください。
 次に、子どもたちを健康に育てるためには、校庭での体育の授業や園庭を使っての遊びというのは、避けることができません。必然的にそれらの音が近隣に迷惑をかけることになります。また、平成23年開設予定の仲町地域スポーツクラブでは、グラウンドを体育館同様夜の9時まで使用するとのことですが、音に対する対策はとれているのでしょうか。つくったのはいいけれども、使用できないなんてことにならないよう、私も心配しております。この際新設の学校や保育園、特にこれから整備予定の大規模防災公園、運動場といった施設には、音に対して万全の対策が必要と考えますが、お考えをお聞かせください。
 以上ですべての質問を終わります。御静聴、まことにありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 内川議員の御質問にお答えいたします。
 学校耐震化の問題についての御質問がありました。国の学校施設の耐震化補助事業の予算が、高校の授業料無償化のあおりを受けて大幅に削減されたと今、報道がされたわけですけれども、国の学校耐震化の予算削減と高校の授業料無償化との関係というのは、実際には明らかにはされていないところであります。しかしながら、すべての児童・生徒の安全・安心、また御質問にもありましたように、災害時の避難所といったことにも利用される学校施設、この耐震化と、どのような富裕な経済状況の人も対象になるという高校の授業料無償化という施策のあり方と比べれば、私は学校施設の耐震化のほうが重要な課題だと認識をしているところであります。
 それから、保育園の入所申し込み状況についてであります。昨年の4月からことしの4月までの間に認可保育園については244人、認証保育所については86人、それぞれ定員増を確保しているところであります。昨年4月時点の待機児童数190人規模、昨年の4月にはそうだったんですけれども、これへの対応は確実に行ってきたところであります。しかしながら、本年4月の認可保育園への申し込み件数というのは、現時点では昨年度より203件と大幅な増になっております。このことから、特に低年齢時の待機児童の発生というのは避けられない状況にあるのではないかといった見方をせざるを得ない、そんな状況になっております。
 このような保育需要の増を踏まえまして、待機児童解消対策に継続して取り組む必要があると考えているところであります。
 それから、桃園地域の保育園・児童館に関連しての御質問であります。U18プラザの設置場所を変更した、このことに関連しての御質問です。U18プラザは、中学校区を単位に整備していくこととしているわけであります。仲町児童館につきましては、第九中学校と中央中学校の再編による通学区域の変更、これを踏まえて見直しを行ったものであります。仲町児童館の跡施設につきましては、橋場保育園を民間活力を活用して、現地で建て替えるときから保育園として活用し、建て替え後も引き続き保育園として活用していきたいと考えております。
 それから、地域センター分室の高齢者集会室についてであります。
 桃園地域センター分室の高齢者集会室については廃止をし、桃園地域センター内に高齢者集会室を設置するという考え方であります。U18プラザは、乳幼児から中高生までを対象とし、さまざまな育成活動の充実を図るとともに、乳幼児親子の交流促進や児童の各年代に対応した文化・芸術・社会参加等の活動支援などを行うことを目的とした施設であります。城山の場合には、もともと交流施設として設置されたという、そういった経過から、現在のような形になっているわけでありますけれども、この桃園地域のU18については、高齢者の施設を併設するという考え方ではないということを御理解いただきたいと思っております。
 それから、整備予定の大規模公園、運動施設等における騒音対策の問題であります。
 使用の用途や形態等を想定した上で、必要に応じて地元とともに利用ルールを定めるなど、設備面や運用面における適切な対応を図っていくこととしたいと考えております。
 あわせて、地域にとって必要な施設でも、活動から生じる音であります。こういったことについて、地域の方々の一定の理解はぜひお願いをしたいという考えであります。
 私からは以上です。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 谷戸小学校の耐震改築実施に伴う影響と対応策について、何点か御質問がございました。
 まず、10か年計画第2次案によりますと、耐震性能ランクBの小中学校の耐震改修完了が外されているけれども、学校の耐震化の国の予算削減との影響ということでございました。新しい中野をつくる10か年計画第2次案におきまして、耐震性能Bランクの施設については、ステップ1から3までの間に推進するということで表現をさせていただいております。これは、長期的な財政見通しを踏まえて、個々の学校の耐震診断の結果による建物の強度も勘案しながら、計画の変更を行ったものでございますが、国の耐震化の予算が削減されたことも大きな要因であるというふうに考えてございます。
 また、今回の谷戸小学校の耐震改築につきましては、現在の学校が避難所としての機能の確保が難しいという判断に至りました。その理由はなぜかということ。それから平成8年と21年の調査ではどこが違うのか等々の御質問がございました。平成8年の調査におきまして、耐震性能がBランクと判定されておりますけれども、耐震性能をAランクに向上させるために補強設計を進めている中で、さらなる詳細な調査をいたしました結果、建物の構造上、耐震改修を行っても、必要な強度が得られないということが判明いたしました。工事の施工上の問題も考えられますが、現時点では詳細な原因追求は難しい状況となってございます。ただ、この時期の他のBランクの学校での同様の問題は起こっておりません。
 続いて、谷戸小学校の体育館が地下にあるため、階段等の機能で、避難所としての機能をより充実させる対策はとれないかというような御質問でございました。体育館の機能を向上させるため、昇降施設の設置の可能性については、校舎の改築に合わせて検討してまいります。
 最後に、改築工事期間中、校庭を仲町小学校の跡にできます地域スポーツクラブを活用できないかという御質問でした。学校の意見等を聞きながら、谷戸小学校の校庭代替施設として、仲町小学校跡地施設に開設する地域スポーツクラブで屋外運動場等の活用を考えてまいります。
   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕
○区民生活部長(鈴木由美子) 私のほうから、福祉施設の騒音に対する区の対応と、これからどのように考えるのかというお尋ねにお答えいたします。
 まず、区の施設から発せられます騒音の苦情につきましては、それぞれの施設の所管できちっと把握をして、必要な対応をしているところでございます。場合によりましては、騒音規制の所管であります環境と暮らし分野と連携をして、より適切な対応を図っているところでございます。しかしながら、騒音につきましては、その受けとめ方に非常に個人差が大きいなど、個々の状況に応じた対応がより必要であるため、網羅的な扱いは難しいことでございますが、議員の御提案のとおり、学校問題解決のための手引き、そういったものを活用しながら、騒音対応のポイントなどを整理して、適切な対応に役立ててまいりたいと考えております。
○議長(伊藤正信) 以上で内川和久議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 大 内 しんご
 1 自動交付機の導入について
 2 第六中学校跡地の今後について
 3 落合駅付近地下横断通路及び東中野駅前広場の整備について
 4 その他

○議長(伊藤正信) 次に、大内しんご議員。
     〔大内しんご議員登壇〕
○22番(大内しんご) 平成22年2月23日第1回定例会におきまして、自由民主党の立場から質問させていただきます。
 それでは、何点か質問させていただきます。
 まず第1点目に、自動交付機についての質問をさせていただきます。これは他の議員の方からも何点か質問が出ました。それと若干重複しますけれども、少し詳しく質問を変えましたので、御答弁のほう、よろしくお願いをしたいと思います。
 先般報告がありました10か年計画案の中で、証明書自動交付機の導入が、コンビニ端末を含めた証明書自動交付の導入検討とコンビニ端末が新たに加わりましたが、その点について質問をいたします。証明書の自動交付機の導入は、土曜日・日曜日など区役所の開庁時間を補うものとして、区民の満足度を高める意味でも大いに賛成すべきものですが、導入に当たりましては、区民の利便性と利用数などコストパフォーマンスも十分に検討した上で進めていただきたい、そのように思います。当初の説明では、証明書自動交付機は区独自で設置し、運用を図るとのことでしたが、自動交付機にもさまざまなものがあります。例えば住民票と印鑑証明だけだとか、あるいは各種税証明も取れるとか、その発行の種類によって当然自動交付機のシステム開発経費が異なると思います。例えば、住民票と印鑑証明、税証明の3証明に係る開発経費は、今までの区の見積もりで確認しているのがおおむね9,000万円程度とお聞きをしております。また、税証明を除いたときは約7,000万円程度の経費で済むと聞いております。区民サービスの向上には、さまざまな証明が取れることが必要でありますが、問題はコストパフォーマンスだと思います。窓口の交付数に対しての自動交付機による交付はどの程度を区としては想定をしているのでしょうか。住民票と印鑑証明ではおよそ何%、さらに税証明を含めると何%ぐらいを見込んでこの交付機についての考え方を示しているのでしょうか、お聞きをいたします。
 また、一般的に住民票とか印鑑証明は、目的や用途が多様なため交付数が多いと聞いておりますが、それに比べ税証明等は少ないと思われます。税証明を除けば自動交付機の開発は7割程度、3割程度の削減が見込めるわけであります。なぜ税証明を含めた自動交付機が中野区の場合特に必要なのか、疑問を感じるところであります。その点について区の考えをお聞きをいたします。
 次に、10か年計画の計画案に新たに加わったコンビニ端末についてお伺いをいたします。区はこの件について、当然10か年計画に追加したときには十分に検討されていると思いますが、あえて私のほうからさらに検討をお願いするものとして質問をさせていただきます。
 さきの2月3日の日経新聞によると、セブンイレブンが2月2日から都内の複合機を使い、住民票の写しや印鑑登録証明を受け取るサービスを始めたとのことです。これは、複合機に住民基本台帳カードかざして本人確認をし、手数料を払うと証明書が印刷されるものです。年末年始を除く午前6時半から午後11時までのサービスが可能で、現在渋谷区、三鷹市、千葉県市川市が近隣の市では参加をし、今年度じゅうには参加自治体も30程度になるとのことで、総務省もこのシステムを後押ししています。
 渋谷区の導入コストを聞いたところ、サーバーが古くなったためにコンビニ交付対応仕様を含む新しい仕様に切り替えた経費がおおむね4,000万円程度、あえてコンビニ交付だけを切り分けて想定をすれば、おおむね1,900万円程度になるそうです。また、ランニングコストについては、地方自治体情報センターの負担金が年間500万円、これとは別にシステム側のサーバー維持保守費として当たるものが約560万円、コンビニへの委託料、1件当たり120円だそうです。当然中野区は、自動交付機を既に設置している自治体とは違い、自動交付機のシステムが整っていないので、今、述べました初期システム開発の経費が大きく違う、中野の場合は高くかかるだろうと思います。
 自動交付のコンビニ設置は、5月にはセブンイレブンの全国の店舗で利用が可能になり、ローソンなど他のコンビニも提供の検討をしているとのことです。ということは、住民基本台帳カードを使うため、居住する市区町村の区域を越えてどこでもワンストップで証明書等を受け取ることが可能となります。中野区以外の場所でもサービスを提供するコンビニで証明書が取得でき、また夜間や休日でも取得が可能であるため、利便性が向上します。
 総務省では、導入効果の3大メリットとして、住民サービスの向上、窓口業務の負担軽減、そして中野区独自で設置をし、運用するのに比べて大きな違いは、端末の管理はコンビニエンスストアで行うため、維持費・運用経費が発生しない点にあると思います。区が独自で交付機を整備する場合の機械のメンテナンスや更新の費用がかからず、より経済的であると考えられます。
 また、発行・普及がよろしくない住民基本台帳カードの発行普及に弾みがつくなどの利点があり、コンビニに支払う手数料を考えても十分な利点があると思われます。
 今後しばらく財政状況が厳しい中で、区民サービス向上のための証明書の自動交付機の初期のシステム開発経費を最小限にとどめたとしても、自前設置の場合、台数をざっと20台と見積もって、機器のメンテナンス費用等の維持経費を含めると、毎年約1億四、五千万円の経費がかかるとも想定をされています。これは、証明書の交付数、利用者数にかかわらず一定の固定費がこれから何年も続くことを意味します。厳しい財政状況が続くとされる今、区民サービスの向上には、何でもそろえる、何でも自前といった発想を転換し、この際自前の交付機の設置の検討を見直し、普及するコンビニ端末の検証を十分に踏まえながら、区民にとっても利便性の高いコンビニ端末に限定した証明書自動交付機の導入を図るべきだと思いますが、区の見解をお伺いをします。
 次の2番目の質問でございます。第六中学校跡地の活用についてお伺いをします。
 10か年計画案では、新たな施設整備の財源とするため、活用の見込みのない用地などについては売却予定とする考え方が示されています。その中では、平成19年度で閉校になった第六中学校もその対象とされています。第六中学校の跡地の活用については、平成18年第3回定例会におきまして、私は、例えば中野工業高校の拡張用地としての活用は考えられないか、また区として避難場所としての活用も考えられないか、などの質問をさせていただきました。区長からは、中野工業高校のグラウンドの拡張用地とするところであります、避難所機能の確保といったようなことも念頭に置きながら検討していきたいと考えておりますとの答弁をいただいたところです。
 さらに平成20年第2回定例会においては、野方小学校と沼袋小学校の統合新校の用地として、法務省の矯正研修所用地の買い取り計画の動向がはっきりし、中野区が学校用地として買い取ることになった場合には、第六中学校跡地をぜひ都立中野工業高校の敷地として、東京都に買っていただくよう、売却の交渉をしてみたらいかがでしょうか。さらに第六中学校学校周辺の道路整備と避難所機能を兼ね備えた都立学校とするよう、あわせて交渉していただきたい。そうすれば、地域住民の賛同も得られ、周辺住民の安全・安心に大きく寄与できると質問いたしました。区長からは、矯正研修所の移転跡地の取得のめどが立ち、また中野工業高校の問題についても、東京都からの申し出ということが前提になりますが、かつ東京都からそのような申し出があった場合には検討してまいりたいと述べています。
 私ども自民党の調査では、現在東京都は中野工業高校の拡張用地を取得するという方向で検討しており、この件は既に中野区に伝えられているとも聞いておりますが、東京都からこうした意向は示されているのか。中野区に対して打診が来ているのかということをお伺いをしたいと思います。
 御承知のとおり第六中学校周辺は住宅地が密集し、道路も十分に整備されていない環境です。そこで大規模な開発が行われれば、住環境の悪化も懸念される。これも再三再四申し上げているところでございます。第六中学校付近には小さな公園もありません。先日、妙正寺川の雨水貯留の施設のわきにできました公園も、環七の外側にできましたが、内側ではありませんので、やはり近辺にも公園が必要なのではないか、設置できるものならば設置をしていただきたい、そのようにも考えております。中野工業高校の拡張用地とすることで、妙正寺川の護岸工事に伴う河川監視道路を確保するとともに、現在ある学習棟を移転し、そのあとを公園にする計画もできると思います。地域にとってもよい提案ではないかと思います。現実に中野五中のグラウンドの一部を東京都に売却をして、河川監視道路をつくりました。本来都立高校であります中野工業高校のところには、河川監視道路が今ない状態であります。妙正寺川の今、工事をしておりますけれども、ぜひともそういった点も踏まえて東京都に提案をしていただきたい。また、野方二丁目側に河川に沿って大きな公園ができるということは、中野区にとっても大変喜ばしいことだと思いますので、ぜひ東京都と前向きに検討していただきたい、そのように思います。
 また、区として今述べたような方向で検討するのであれば、避難所機能の確保だけでなく、第六中学校付近の地域課題を踏まえ、まださまざまな課題を残しております。山谷橋の拡幅、あそこの道は非常に形状が悪いので、さまざまな問題が出ていると思います。そういったことを含めて、東京都とお話し合いをしていただきたいと思います。
 区民の大切な財産である第六中学校の跡地については、売却をするとしても、地域のためになる活用を考えていただければ、当然その地域の賛同も得られます。ぜひそういった点を考慮していただきたいと思います。このことを含めて、要望したいと思いますので、ぜひ東京都と前向きに、中野区としても財政困難な折、10か年計画にも売却というような一つの方針が出ております。中野区にとっても東京都にとっても、さらに地域の住民にとっても、幸せになる方向で検討していただきたい。強く要望させていただきます。
 次に、落合駅地下横断通路及び東中野駅前広場について質問をさせていただきます。
 この1月に出された新しい中野をつくる10か年計画第2次案では、昨年8月の素案になかった落合駅付近地下横断道路の整備という項目が新たに加わりました。これは、東京都、中野区、東京メトロの3者でこの地下横断通路の協議が整ってきたためと聞いております。そもそもこの地下横断通路の問題は、東中野小学校と中野昭和小学校の統廃合により、東中野小学校の児童が山手通りを横断しなければいけないということが、大きな事の発端だったと思います。当時私は文教委員会に所属していましたが、この問題については、統合を進めるに当たり、地域からも大変大きな要望がありました。こういったものができないと、山手通りが拡幅したせいで、子どもたちが山手通りを渡る時間が非常にかかる。朝、保護者の方が山手通りに立って子どもたちの安全を見なければいけないということも当然ありますけれども、やはり中野区として、白桜小学校を設置をするに当たり、東中野小学校区域から行く多くの子がどうしても山手通りを渡らなければいけない、非常に危険だと。そのことによって統廃合は大反対だといった方たちが何十人も当時おられました。しかしその当時私ども自民党では、何とか地下道を設置することによって、子どもたちの安全な通学路を確保することができる、それまでは申しわけないけれども、地域の保護者の皆さんで子どもたちの安全を確保していただきたい、そう言って強くお願いをしまして、統廃合、これを進めさせていただきました。そういった経緯もありまして、私ども自民党、もちろん公明党の高倉先生、自民党の川井先生を含め、現地視察をさせていただいておりますし、何としてもこれは緊急な課題ということで進めていただきたいと思います。また、今回のことに関しては、どの方も当然大きな関心を持っております。ぜひとも地域の子どもたちのために早期に解決をしなければいけないと思っております。
 この落合駅付近、山手通り地下横断通路の設置は、子どもに限らずお年寄りや障害のある方々、またこの地域にお住まいのすべての方々の交通安全や利便性に資するものです。山手通り沿道にある東中野駅と中野坂上駅のいずれにも、山手通りの地下には横断通路が設置をされています。落合駅前の交差点も同様に、駅前の歩行者も多く、やはり地下横断通路の必要性は高い場所であると考えております。私ども自由民主党区議団も東京都に強く働きかけを行い、その実現に向けて努力をしてまいります。今回新たに10か年計画案に記載されたことはまことに喜ばしいことだと思っております。
 そこでお伺いをいたします。
 地下横断通路については、東京都と東京メトロと中野区の3者の共同事業になると聞いております。それぞれどのような役割分担になっているのか、お答えをいただきたいと思います。
 また、今後のスケジュールと完成時期についてもあわせてお伺いをいたします。
 さらに、10か年計画案に記述されている東中野駅西口の駅前広場と連絡通路の整備についてお聞きをしたいと思います。
 この東中野の駅前整備は、中野区とJR東日本との共同事業であり、既に平成20年11月に中野区とJRとの間で基本協定が締結をされています。現在JRが実施設計を行っている段階と聞いております。完成予定は平成26年度とのことですが、これが完成すれば、駅前に広い歩行者空間やバス・タクシー乗り場ができ、東中野駅西口が大きく変わることになります。また、これによって東中野駅周辺のイメージアップや活性化に大いに資するものと考えます。地域では、この問題について反対をしている方たちも大勢いるやに聞いております。しかしやはり、東中野駅が現在のままではやはりよろしくない。地域のためにこれもやはりいいものをつくっていただきたい。地域の方が納得できるようないい施設をしっかりとつくっていただきたいと思います。ただ単に再開発はだめだとかビルはだめだとか言っているような方たちもいらっしゃいますけれども、そういうことではなくて、地域のために役に立つものということをしっかり説明をしていただきたいと思います。
 そこで最後に1点御質問をいたします。
 この駅前にJRが駅ビルを建設するという計画になっています。この駅ビルはおよそ何階建てになると想定をされているのか。また、どのような店舗や施設が入る予定なのか。地域にとってどのような利便性といいますか、貢献ができる、地域にとって非常にいいビルなのか、そういったところをしっかりと御答弁いただきたいと思います。
 今のことを最後にお伺いをいたしまして、すべての質問を終わります。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 大内議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、自動交付機についての御質問であります。
 自動交付機の交付の割合を、窓口の交付に比べてどのぐらい交付をすることを見込んでいるか、こういう御質問であります。既に活用している他の区の実績など、導入自治体の例などもよく調べてみました。そうした結果なんですけれども、利用カードが広く普及した段階での窓口交付に対する自動交付機での交付される割合というのは、住民票で40%、印鑑証明で60%、税証明では25%になると想定をして検討してまいりました。
 次の御質問が、税証明について本当に交付機で対応することが必要なのか、こういった御質問でありました。取り扱い件数が比較的多くて、証明書自動交付機で交付可能な証明書ということで、税証明を含めて検討準備をしてまいりました。しかしながら、税証明については、お取りになる方がどういう目的で、どういう内容を必要とされているかといったようなことの確認がやはり必要なケースも多く、複雑なものにつきましてはどうしても窓口扱いにならざるを得ない、そういったようなこともございます。また、コンビニエンスストアでの交付の対象外になる、こういうようなこともあるわけであります。こうしたことを踏まえて、費用対効果などを勘案すると、導入の判断については慎重にするべきだと、こんなふうな考え方で今、検討しているところであります。
 それから、コンビニ交付に自動交付機というものの検討を見直して、コンビニ交付に限定した自動交付の導入を図るべきではないか、こういった御質問もありました。コンビニ交付の活用は、自治体区域に限定されず、利用時間の拡大も図れる、そういったことから、区民の利便性が向上するというふうに考えられます。そのため、自動交付機の検討につきましても、コンビニ交付の普及を想定した検討に軌道修正をすることが必要、こう考えております。現在進められておりますコンビニ交付の実証実験の結果や費用対効果などを勘案しながら、自動交付機の設置のあり方とコンビニ活用のあり方をセットで検討していきたい、このように考えております。
 それから、第六中学校の跡地の問題についてであります。東京都のほうから中野工業高校の拡張用地として検討している、こういった御質問でありました。この第六中学校跡地の売却につきまして、東京都から、中野工業高校の拡張用地として、また妙正寺川の河川改修とも関連させた形での申し入れが示されている、意向が示されているという状況であります。内容をお聞きする限り、地域のためにもなる活用の一つの方策である、このように受け止めているところでありまして、売却の条件等々ありますので、今後東京都と具体的な話を進めていきたいと考えております。
 それから、落合駅付近の地下横断通路についての御質問であります。落合駅前の山手通りの地下横断通路整備、これにつきまして、東京都が設計及び工事の実施並びにその整備の費用を負担をしてくれることとなっております。また、東京メトロが整備後の日常の維持管理を行うということになっております。中野区といたしましては、整備後の新設道路のうち、歩道の地下部分とエレベーターの維持管理費を負担する、このような形で協議を進めてきております。平成22年度、来年度に設計を行って工事に着手をして、平成24年度に完成することを予定しているところであります。このことによって、学童だけでなく、地域の皆様が安全に山手通りを横断できる、信号の変わるのをあわてて横断したりという、高齢者の方などにも御不自由をかけることなく横断ができるようになる、こういったことで大変効果がある、こんなふうに考えているところであります。
 また、東中野駅の西口の広場に関連しての御質問がありました。東中野駅の西口、ここに現在設置をされることになっております駅前広場、ここと駅とを接続する自由通路を設置をして、そこにJR東日本のほうでは駅ビルを設置をする。区とJRとが一緒に整備をする、こういうことになっているわけですけれども、この人口地盤に建設予定をしておりますJR東日本の駅ビルにつきましては、現在のところ5階建てのビルが計画をされているわけであります。この駅ビルに入る予定の店舗・施設につきましては、比較的若い世代をターゲットとした店舗でありますとか、子育て支援施設、それからJRの駅務施設などを検討していると、JR側からは聞いているところであります。広場と駅が自由通路で結ばれるということによりまして、東中野駅西口の使い勝手が大変向上するということにもなると思っております。
 そうした人の流れが変わるということ、このこととあわせて、駅ビルが設置をされるということが、地域のにぎわい、活性化にも大変寄与する結果になり、また地域にとって整備をしてよかったという形でのビルになっていくよう、JRとも今後とも協議を進めていきたい、このように考えております。
○議長(伊藤正信) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
      午後2時51分休憩

      午後3時10分開議
○議長(伊藤正信) 会議を再開いたします。
 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 佐 藤 ひろこ
 1 これからの中野区政について
  (1)絆を結び直すことについて
  (2)区民活動と行政の連携について
  (3)新しい公共について
  (4)その他
 2 日中一時支援について
 3 その他

○議長(伊藤正信) 佐藤ひろこ議員。
     〔佐藤ひろこ議員登壇〕
○40番(佐藤ひろこ) 第1回定例会に当たり一般質問いたします。
 これからの中野区政についてお伺いいたします。
 まず、絆を結び直すことについてです。区長の施政方針説明をお聞きして、社会政治状況をしっかり分析されており、区を取り巻くさまざまな危機的情勢については、私もほぼ認識を同じくするところです。しかし、危機的な情勢分析に力を入れられた反面、これからの区政についての方針説明が弱かったと思います。区長は2期8年、これまでの区政のあり方を変えることを目指してきました。新しい基本構想の策定、自治基本条例、公益活動推進条例の制定を通して、住民参加のありようも、意見を言うだけの参加から、行動する参加へと、住民と行政が連携をしたいわゆる新しい公共への出発点をつくる動きでもあったと思います。意識ややり方を変えることは並大抵ではなく、問題点もいろいろあるところですが、ようやく(仮称)区民活動センターや支えあいネットワークづくりに向けて、住民と行政の連携が始まってきたところです。まだ未完の新しい公共づくりへの意気込みをもっと示すべきだと思います。
 日本社会は、今まで経験したことのない少子高齢化と人口減少社会を迎え、社会システムの再構築が必要になってきています。働ける年齢層の減少、経済活動の飽和状況と停滞などにより、社会問題も大きく変容してきました。交通事故死の5倍にもなる自殺者数の増加、1人暮らし高齢者の孤立化や孤独死問題、若者の引きこもり、また児童や高齢者やDVという家庭内虐待の問題も深刻化しています。経済状況の悪化や人のつながりの希薄化が起因していると考えられます。ある講演会で、ホームレス支援に長年取り組んでいるNPOの代表の方が、路上生活者の困窮は、家や食べ物がないという物理的困窮だけではなく、家族や心配してくれる人がいないなど、関係性の困窮が大きな問題であると分析していました。物理的困窮をハウスレス、関係性の困窮をホームレスという概念で考えると、孤独死、引きこもりなどは、ハウスはあってもホームがない状態と言えるのではないかということです。
 同じ講演会を聞いていた中野区の包括支援センターの職員の方が、本当にそのとおりで、支援が必要な1人暮らし高齢者などがふえてきているが、外からは見えないだけに深刻な問題であるとおっしゃっていました。表から見えないホームレス問題は、大きな社会問題だと思います。関係性が困窮している人と地域社会の絆を結び直すことが、中野区においても大きな課題だと思います。区長はこのような課題をどのように認識しているのかお伺いいたします。
 行政の役割も、関係性の困窮者に対する支援が重要になってきています。安心できる地域社会をつくっていくために、孤立する人と社会の絆を結び直すことが重要です。絆を結び直すことは、行政だけではできません。区民とともに取り組む必要があります。行政組織においても、保健福祉分野だけではなく、教育や子育て、住宅分野など、直接区民と接するすべての分野で、孤立する人と社会の絆を結び直すという発想の転換をすべきだと考えます。型どおりの申請主義や、うちの分野の仕事ではないからできないと縦割り主義で放り出すのではなく、関係分野につなぐ、区民団体や民間につなぐ制度がなければ、新しい仕組みを提案するなど、関係性の困窮者を発見し、継続的にかかわれる機関や人につないでいくコーディネーターとしての役割が重要になってくると考えます。これからの行政の担うべき役割について、どのように考えているのかお伺いいたします。
 孤立している人に出向く、アウトリーチ型相談支援が展開できるように、すこやか福祉センターはじめさまざまなセンターに人員の充実を図るべきだと考えますがいかがでしょうか。
 次に、区民活動と行政の連携についてお伺いいたします。
 地域で人のつながりづくりに貢献して活動している団体やグループはたくさんあります。その中に、まちなかサロンという取り組みがあります。私の住む地域でも個人宅を開放してなでしこ会という地域の高齢者の方々が手づくり品をつくる活動をしています。自分たちのことだけではなく、障害者の作業所や国際交流協会へボランティア活動を広げて、だれもがともに暮らす地域づくりに貢献しています。江古田にある旭公民館で行っているあさひの家も、子育てから高齢者支援まで、すばらしい活動を展開されていると聞きます。このような地域住民の取り組みを、まちなかサロン事業として位置付け、社会福祉協議会が支援をしています。地域の方々が自発的に始めた絆を結び直すための活動が活発に展開されていくことが重要です。4年前に中野区区民公益活動の推進に関する条例を制定し、区民公益活動推進基金からの助成や政策助成、業務委託の提案制度など、区民活動を支援する仕組みをつくりました。しかし、業務委託の提案制度では、これまでまだ2件しか採用がなく、区民ができることは区民のグループでやろうという、優れた理念の制度だが、ぴったり合う提案が出てこないと、区民公益活動推進協議会の会長の青山氏は述べています。
 基金からの助成は、20年度は申請13事業のうち9事業に交付されましたが、申請数が少ない状況です。政策助成では、九つの活動領域に分けて助成がされています。従来の青少年育成活動への支援が政策助成に移行したためか、20年度においても174件中8割近くが子育て支援にかかわる活動への交付でした。保健福祉を推進するための活動は4件で、他の活動領域への件数は少なく、政策助成はまだ進んでいないのではないかと思います。福祉活動にかかわるグループがまだ制度を知らなかったりしております。公益活動と言うからなじみが薄い。市民による地域活動と言ってはどうかとの意見も協議会では出ております。助成制度も使いやすく改善し、PRを積極的に行って、区民活動との連携をもっと豊かにしていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。助成制度について見直すとのことですが、どのように見直すのか、お考えをお伺いします。
 区民活動と行政との連携がますます重要視されているこの時期に、1階にある公益活動情報コーナーの廃止が提案されていますが、なぜやめるのでしょうか。開設されてから3カ年で相談件数も増加し、サイトへの登録件数もふえております。なぜ廃止を提案されているのかをお伺いいたします。
 9階の担当課で、公益活動情報コーナーの機能を担うそうですが、そこだけで公益活動の範囲を狭めてしまうことになってしまうのではないでしょうか。以前、社会福祉協議会にNPO支援窓口がありました。社協だけではなく、すべての区の分野や、これから動き出す(仮称)区民活動センターなどで、区民活動やNPO支援の相談に応じることができる機能を持つなど、公益活動を狭めることなくより豊かに展開できる制度をつくる必要があります。今後、公益活動をどのように充実していくのか、お伺いいたします。
 次に、新しい公共についてです。
 内閣府の新しい公共円卓会議で、新しい公共についての議論が始まっています。新しい公共は、幾つかの自治体では2000年代に入り既に使われていた言葉です。私も2006年の第1回定例会の予算総括質疑において、新しい公共をテーマに取り上げました。学者によって新しい公共の考え方はいろいろあるところですが、共通しているのは住民団体やNPOや民間企業など、市民や民間が行う公共サービスを新しい公共と位置付け、これまでの行政主導の公共サービスのやり方を転換しようということだと考えます。2月1日から、私の住む東部地域でも、(仮称)区民活動センターの開設に向けての準備が先行して始まりました。中野区の歴史の中で、区民団体が運営する(仮称)区民活動センターは初めての取り組みになります。運営委員会準備室開設に当たり、運営に当たる住民の方から、役所が一方的にやってきたやり方から、一緒にやっていく時代になった。また、当初は反対していた方からも、地域のことは地域で解決する住民自治に住民として初めて参加できたことをうれしく思うなどの抱負が語られました。代表の方からは、地域活動の新しい視点が重要である、初めての試みに困難があるのは当然、それを乗り越えないと、新しい自治をつくることはできないとのお話を伺い、その気概に感動いたしました。
 (仮称)区民活動センターの住民団体による運営への転換や、支えあいネットワークづくりは、新しい公共づくりの一つであると考えます。区長は、新しい公共についてどのように考え、地域での展開を図っていくのか、お伺いいたします。
 最後に、日中一時支援についてです。
 昨年の第1回定例会で、障害児・者の緊急一時保護と日中一時支援事業の充実について質問しました。区長から、緊急一時保護とレスパイトに対応できる日中一時支援を行う場所を新しく2カ所ふやすとの答弁があり、江古田の森施設とえはらハイツの2カ所で日中一時支援事業が開始されました。しかし、残念ながら利用しにくい状況にあります。えはらハイツは2階にあるため、車椅子利用者が使えないことや、送迎がないために利用しにくいとの声があり、まだほとんど利用されていません。また、江古田の森施設は、短期入所の予約がいっぱいで、日中一時支援ができない状況にあるとのことです。中野区の日中一時支援事業は、短期入所のベッド数で制度設計されているので、このような問題が起こります。日中一時支援はニーズがないわけではありません。日中一時支援は、ベッドがなくてもできる事業です。通所施設でも日中一時支援が行えるように、そして移動支援を使って送迎ができるように、仕組みの見直しを行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 佐藤議員の御質問にお答えします。
 孤立している人と社会の絆を結び直すというテーマの御質問であります。
 困窮や孤立化を防ぐセーフティネットの仕組みを社会に確立していかなければならないと考えます。総合的な相談や支援の仕組み、支えあいネットワークによる地域での見守りと援助の仕組み、自治活動や公益活動の推進が、人と社会とを結びつけるものになっていくと考えています。これは、いずれも多くの所管がかかわる課題でありますので、行政の役割を定め、民間や地域の力を生かしながら進めていきたいと考えております。行政の役割として、区の各窓口の連携を強め、縦割りの発想によらない相談支援を拡充していくことが大事だと考えています。
 7月に開設するすこやか福祉センターでは、保健・福祉・健康といった観点で幅広い相談支援をワンストップで行うこととしております。現在、地域包括支援センターなどでは、訪問による相談を展開しているところですが、すこやか福祉センターにおいても、積極的に地域へ出てアウトリーチ型の相談支援などを充実する体制としていきたいと考えております。
 新しい公共についての御質問がありました。真の地方分権を推進していくためには、区民の自主的・主体的な活動がさらに発展し、地域における人々の連携を強め、地域を豊かにしていく力となるよう、自主団体の活動を支援していくことが必要だと考えています。また、公共的な事業は行政が独占的に担うのではなく、民間の活動を活発化することにより、効果的・柔軟な区民サービスを提供していくことが必要であり、民間の活力を生かした施策展開を進め、小さな区役所で質の高い行政を進めていきたいと考えております。
 それから、日中一時支援事業の実施施設の拡大についてであります。日中一時支援事業については、短期入所以外の施設についても、施設の条件などが整えば、拡大について検討していきたいと考えています。また、拡大する際には、広く区民が利用できるような、そうした方法を考えていきたいとしております。
 私からは以上です。
   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕
○区民生活部長(鈴木由美子) 区民活動と行政の連携についてお答え申し上げます。
 この間、公益活動の推進を進めてきたことによりまして、区内の公益団体の活動の規模や内容が明らかになるとともに、全体、公益活動への理解が進んできたというふうに評価してございます。その一方で、業務委託の提案制度など5業務が、なかなか区民が享受するに適したサービスレベルに至らないケースが見受けられるなど、課題もございます。今後はこうした状況を踏まえて、区民の暮らしを豊かにする活動に重点を置いて、公益活動の取り組みを行っていきたいというふうに考えてございます。
 また、1階の公益活動情報コーナーは、執行方法の見直しでコーナーを廃止しておりますけれども、団体への情報提供や研修、交流機会の提供について、引き続き支援を行っていきたいと考えてございますので、支援の縮小とはとらえてございません。
 いずれにしましても、これまでもあらゆる領域の活動を対象にして、所管する部署で行ってきておりますし、今後も公益活動への支援を全庁的な体制の中で積極的に展開するように努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(伊藤正信) 以上で佐藤ひろこ議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 むとう 有 子
 1 新規小規模事業者支援について
 2 女性から男性への暴力防止策について
 3 区長の職務に対する自己評価について
 4 その他

○議長(伊藤正信) 次に、むとう有子議員。
     〔むとう有子議員登壇〕
○29番(むとう有子) 区民の方からお寄せいただきました御意見をもとに質疑いたします。
 1番目、新規小規模事業者支援についてです。
 新年早々区民の方から、自己破産や生活保護の申請方法やリストラに遭い創業したいが、区に支援策があるのかなど、苦しい生活が伺える問い合わせばかりがありました。今年1月の統計局労働調査によれば、昨年12月の完全失業者数は317万人と、1年前に比べ47万人増加し、2009年の平均完全失業率は5.1%と、6年ぶりに5%を超えました。同じく有効求人倍率は0.47倍で、1963年の調査開始以来過去最低となりました。また、今春卒業予定の大学生の昨年12月1日時点での就職内定率も73.1%で、1996年の調査開始以来過去最低となりました。当面このような厳しい雇用情勢が継続するものと思われます。
 そこで、起業することを選択する人たちも多くいらっしゃいます。しかし、自己資金があっての起業ではなくて、経済的に厳しい中での起業となっているようです。中野区では創業支援ガイドを発行し、セミナーの開催、個別支援相談、融資制度、フォローアップ事業など、そこそこ支援策があります。しかしこの制度は、あくまでも区内でこれから創業する方や、区内で創業して1年未満の方が対象であり、必ずしもこれから創業しようとする中野区民ではありません。つまり、区内に事務所を置き、区内で営業する者は、中野区民以外でも対象になりますが、家賃などさまざまな都合で中野区以外の自治体に事務所を置き、創業しようとする中野区民は対象から外されることになります。これでは、これから起業しようとする、中野区に住み、中野区に税金を納めている区民の支援にはなりません。創業支援制度の対象を、区内で創業する者に限るというのはどういう理由なのでしょうか。支援の対象を、区外であっても、創業しようとする中野区民にも拡大するよう求めます。区の見解をお答えください。
 また、創業融資制度の資格要件の一つに、創業にかかる総経費の4分の1以上の自己資金を持ち、かつ申し込み金額と同額以上の自己資金があることとあります。つまり、申し込み限度額は自己資金の範囲内ということであり、結局創業総経費の2分の1の自己資金がなければならないことになり、厳しい中で創業しようとする人には使い勝手が悪く、余り役立たない制度だと言えます。よって、これから創業する方への融資条件の見直しを求めます。区の見解をお答えください。
 また、運よく創業することができても、この経済状況下では、新規参入し、実績を積み上げていくのはなかなか困難です。中野区契約事務規則を読んでみても、実績のない、起業したての事業者は一般競争入札に全く参加できません。創業を支援した以上、特に新規小規模事業者に具体的に仕事を発注し、実績を積んでいただく方策を講ずるべきと考えます。区の見解をお答えください。
 また、新規小規模事業者に限ったものではありませんが、2008年6月から区は小規模事業者登録制度を始めました。この制度は、電子調達サービスで競争入札参加資格を取得していない区内の小規模事業者を対象に、少額で簡単な契約の受注機会の拡大を図るものです。この登録名簿を区の各所属に公開し、各所属で行う小規模案件を登録事業者へ積極的に発注依頼を行うよう努めることになっています。しかし、この制度のPR不足から、登録数も発注実績も芳しくありません。このことは他の議員からも指摘され、区は事業所に周知を図り、各分野にも受注機会の拡大に努めると答弁しています。しかし、今年度10月現在の登録事業者数は80件、この制度について、担当者全員が知っている所属は64%であり、発注実績はわずか9分野のみです。今後、発注実績を上げるための新たな方策について、お答えください。
 次に、女性から男性への暴力防止策についてお尋ねいたします。
 2001年、配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV防止法が施行され、男性から女性への暴力のみならず、女性から男性への暴力も対象とされました。近年、男性から女性への暴力が増加する中で、妻から夫への暴力を指す「逆DV」がクローズアップされてきています。全国での相談例は、DV全体の約1%にすぎませんが、東京都で行っている男性相談もウィメンズプラザや女性相談センターですので、その施設名称からも、男性は相談しにくく、そもそも中野区のように男性が相談できるところがないことなどから、なかなか表面化しません。しかし、水面下ではかなり多いのではないでしょうか。
 実は、私のところにも男性から相談がありました。妻の意に沿わないことが起こると、妻が夫を殴る、蹴る、引っかく、物を投げつけるので、夫は妻の意に沿うよう、我慢の生活を20年間続けていましたが、ついに妻にナイフで切りつけられ、別れたい一心で、妻の離婚条件すべてに合意し、離婚したそうです。その結果この男性は、生活保護水準に満たない生活を送ることになってしまいました。法的にはあり得ないことですが、争う気力もないようです。
 このように、配偶者からの暴力は、女性だけの問題ではありません。内閣府男女共同参画局のまとめによると、相談事業を開始した2002年度の女性から男性への暴力に関する相談は、全国で146件でしたが、2008年度には536件と3.7倍に増加しています。また、東京都男女平等参画室が2009年に発表した調査報告書によると、2008年7月から9月に各相談窓口に寄せられた男性からのDV相談は、みずからの暴力のケースが6割だったのに対し、妻からの暴力のケースも4割を占めました。男性から女性への暴力の陰で、女性から男性への暴力が静かに増えつつあります。このような公的相談での件数把握は、氷山の一角にすぎないと言えます。女性から男性への暴力防止の取り組みを始めるべきではないでしょうか。
 中野区では2002年、男女平等基本条例が施行され、2006年には女性会館から男女共同参画センターに名称変更がなされ、4年が経過しました。しかし、中野区の男女共同参画センターの事業には、女性に対する暴力防止への取り組みはありますが、男性に対する暴力防止への取り組みはありません。暴力防止プロジェクトの中で、女性のための悩み相談、法律相談、DV電話相談はありますが、男性のための相談はありません。今や性別を越えた暴力防止の取り組みを、男女共同参画センターの事業に位置付けるべきと考えます。区の見解をお答えください。
 とりわけ、女性のためのDV電話相談を、男性からの相談にも対応できるよう改善すべきと考えます。区の見解をお答えください。
 最後に、区長の職務に対する自己評価についてお尋ねいたします。
 区長は6月14日で任期満了となり、2期8年間の職務を終了いたします。区長は、区政運営の基本的な仕組みとして、計画・実施・評価・改善のいわゆるPDCAサイクルを提唱されました。そこで区長にお尋ねいたします。8年間の区長の職務について、PDCAサイクルを踏まえ、どのような自己評価を下されているのか。区長の任期は2期8年とおっしゃった公約を破られるわけですから、まさかのAではないと思いますが、AなのかBなのかCなのかを含めた、区長御自身の評価結果を簡潔にお答えください。
 以上で私のすべての質問を終わります。誠意ある答弁を求めます。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) むとう議員の御質問にお答えいたします。
 私の職務の自己評価についてということであります。
 将来にわたって持続可能で、住んでよかったと誇りに思える中野区を目指して仕事に取り組み、一定の成果を上げてきたことについては、自分なりに自負はあるわけでありますけれども、選挙で選ばれた首長の実績ということについては、住民が判断することだと思います。
 私からは以上です。
     〔副区長石神正義登壇〕
○副区長(石神正義) 私からは、小規模事業者の登録制度の活用についてお答えします。
 議員の言いますように、登録事業者数が少ないために、登録名簿に契約案件に適した登録事業者がないということから、利用実績になかなか結びつかないというのが実態でございます。
 そのためには、登録事業者数を増やさなければいけないということがございます。区報または産業振興分野のメールマガジン、ホームページやチラシ、こういったところで周知を図る。図りますと登録者数が増えるという実態はありますので、継続的に登録を促す努力をしていきたいというふうに思います。
   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕
○区民生活部長(鈴木由美子) 区の創業支援制度についてお答えいたします。
 この制度は、区内産業の振興に寄与することを目的としております。したがいまして、区外での創業にまで条件を拡大する考えはございません。
 また、この創業支援資金につきまして、自己資金比率については、より利用しやすい制度とするため、かねてから改善に向けた検討を進めているところでございます。
 それから、区が個々の創業事業者に対して保護的な発注の確保といったことをする考えはございません。
 以上です。
   〔子ども家庭部長竹内沖司登壇〕
○子ども家庭部長(竹内沖司) 女性から男性への暴力防止策についての御質問にお答えをいたします。
 DV電話相談と一般面接相談につきましては、現在女性からの相談や訴えがほとんどでございます。DV電話相談につきましては、年間数件ではございますが、男性からの相談実績がございます。そうした方に対しましては、相談内容にもよりますが、現在、男性のための悩み相談を専門に実施をしております東京都の東京ウィメンズプラザへつなげるなど、きめ細かく対応しているところでございます。DV電話相談で男性の抱える悩みに適切に答えていくためには、加害者、それから被害者の両方の視点を備えるなど、男性向けの専門相談員による対応といったことが求められることになるため、相談実績からも東京都との連携や協力のもとに対応していきたいと考えております。
     〔むとう有子議員登壇〕
○29番(むとう有子) 再質問をさせていただきます。
 まず区長の自己評価についてでございます。確かに選挙によって住民が判断するということは、それは一つ住民がする判断です。しかし区長はこの間、ずっと8年間PDCAサイクルを職員の皆さんに強要しています。やはり自分でどうなのかという自己評価なくして、次のステップに進むわけにはいかないのではないでしょうか。自己評価をきちんとすべきであると思いますので、それについてもう一度答弁をお願いしたいと思います。
 それから、女性から男性への暴力防止なんですけれども、先ほど申しましたように、東京都のほうでもウィメンズプラザであるとか女性相談センターというような名称、それから中野区のパンフレットを見ましても、女性のためのDV電話相談というふうになっています。やはり女性のということがついていることで、なかなか男性はかけにくいという実態があるわけですから、今や性別を超えた暴力防止の取り組みを、きちんと男女共同参画センターの事業に位置付けるべきだと思いますので、その点についてもう一度答弁をお願いいたします。
 以上です。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 政治家としての自己評価というものは、今後、前回の選挙の際に掲げました公約等、よく検証しながら定めてまいりたい、行ってまいりたい、こういうふうに思っております。
   〔子ども家庭部長竹内沖司登壇〕
○子ども家庭部長(竹内沖司) 女性から男性への暴力防止策についてでございますけれども、先ほども御答弁いたしましたとおり、相談実績、それから男性向けの専門相談員の配置ということなどが求められるわけでございまして、私どもといたしましては東京都との連携、協力のもとに対応していきたいというふうに考えております。

○議長(伊藤正信) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 近 藤 さえ子
 1 高齢者を地域で支える仕組みについて
  (1)(仮称)すこやか福祉センターについて
  (2)地域支えあいネットワーク事業について
 2 その他
  (1)職員の不祥事について

○議長(伊藤正信) 次に、近藤さえ子議員。
     〔近藤さえ子議員登壇〕
○18番(近藤さえ子) 同僚議員の皆様と質問が重なる部分もありますが、御了承ください。
 (仮称)すこやか福祉センターについてです。
 2月9日付東京新聞に、「中野区今年の目玉」、「4カ所に福祉センター」と題し、仮称すこやか福祉センターのことが大きく掲載されていました。記事は「相談窓口一本化、旧仲町小跡に今年の7月開設」の小見出しがあり、「健康・子育て・介護・障害福祉の分野について複数の専門家が常駐する。高齢者については、高齢者の薬物依存など総合的な対応が必要なケースに対して、体系的にサービスが受けられるようにする」と説明されています。高齢者や障害者が子育てに対する自治体の福祉政策がいかに注目されているかをあらわしていると思います。
 この記事の中でも、相談窓口が一本化するので、たらい回しになることがなくなる点を強調していましたが、現在の地域包括支援センターが中心となるシステムでは、問題があったのでしょうか。医療・福祉・介護と縦割りだった窓口が、2006年に一本化された地域包括支援センターは、高齢者を支える大変ありがたい存在です。介護保険を受けたい高齢者は、地域包括支援センターに連絡し、そこから民間ケアマネジャーへとつながり、介護ヘルパーさんが来てくれる仕組みになっています。私の住む地域の地域包括支援センターも、大変評判がいいです。この(仮称)すこやか福祉センターができることによって、介護保険を受ける高齢者への対応はどのように変わるのでしょうか。
 また、高齢者の薬物対応についても取り上げられていますが、医療である薬物への取り組みに対して、具体的にどのような対応が考えられるのでしょうか。高齢者の薬物依存は大変深刻な問題であると私も認識しています。知り合いの84歳の男性は、手術で2カ月半入院生活を経て退院しました。退院後も同じ薬を処方され、安定剤・誘眠剤の薬物依存になりました。夜、薬を欲しがり、大声を出す、夜中に薬を求めて歩き回ります。老々介護の家庭で奥さんは寝ることができず、仕方なく夜の見回りヘルパーさんをつけました。1晩12時間の見守りで1万5,000円を自費で払っています。とても年金暮らしの高齢者が対応できるものではありません。例えばこのような薬物依存について、どのような対応ができるのでしょうか。
 また、「民間に事業を委託することによって24時間相談を受け付ける」と、24時間のサービスをうたっていますが、今の事業者への夜中のサービスをお願いするのとはどう違うのでしょうか。現在の地域包括支援センターは区民に評判もよく、ワンストップサービスが実現しています。しかし、1人の職員が抱える高齢者の数が1,500人以上とも言われています。この福祉センターができることで、地域包括支援センターの職員の負担がふえるようなことがあっては、本末転倒だと思いますが、その心配はないのでしょうか。
 また、仲町小跡地につくられる(仮称)すこやか福祉センターは、相談に行く高齢者や障害を持っていらっしゃる方にとっては、決して便がよいとは言えません。移動困難な方にとって、今以上によりよいサービスがつながる仕組みとなるのでしょうか。
 次に、地域支えあいネットワークについて質問します。
 中野区は2004年6月区報に「元気でネット」の開始を大見出しで載せ、以降、地域でお年寄りを支える仕組みづくりの構想に試行錯誤してきました。6年の歳月がたち、当時より高齢化は進んでいます。私も、地域で高齢者を支える仕組みについて、委員会や一般質問で何度も質問しましたが、高齢者を区民皆で支えていく考え方には全く同感です。地域での支えあいネットワークは必要であると十分理解した上で、あえて質問させていただきます。
 元気でネットは、区が考えていたほど支えあいのボランティアが集まらず、事業として成功とは言えませんでした。今回中野区は、(仮称)すこやか福祉センター館内で地域支えあいネットワーク事業を開始しますという方針を示していますが、地域支えあいネットワークは元気でネットとはどのように違うのでしょうか。
 今度のネットワークは、既存の団体の力を生かして、協力員を広げる考えのようです。今回、支援団体に新たに加わった友愛クラブの方たちは大変お元気で、生き生きと活動されていて、いつも頭が下がる思いです。しかし、皆さんの年齢を考えると、今後皆さんが支援される側になることは避けられません。高齢者の多い町会も同じです。今回の地域支えあいネットワークでは、具体的にだれがどのように高齢者を支えるのか。結局現在の民生委員や町会の負担が大きくなることではないのでしょうか。
 新たに高齢者支援を活動としているNPOなどに声をかけて、ネットワークに加わってもらい、支援する人材を集めることが必要と感じますがいかがでしょうか。
 中野区社会福祉協議会では、認知症高齢者施設でのボランティア活動を始めたい人を対象とした講座を行っています。グループホームや施設に入りたくても入れない認知症の方が多い現実を考えると、このような講座を受講し、認知症に対する知識と理解があるボランティアが、地域支えあいネットワークに入ってくださるとありがたいと思いますが、今後、社協の講座などとリンクさせて、地域支えあいネットワークのメンバーとして考えていくつもりはあるのでしょうか。
 また、中野区は認知症にならないための予防講座を行っています。予防も大切ですが、こればかりは予防すれば避けられるというものではなく、認知症にはだれでもなり得るものです。現在認知症の方、認知症の家族を抱える方が後ろめたさを感じず、温かい見守りの目に囲まれて過ごせる地域をつくることが、やさしさのネットワークだと感じます。このような周知についてはどのようにお考えでしょうか。
 次に、職員の不祥事について質問します。
 昨年、中野区の職員による不祥事が続きました。軽井沢少年自然の家の業務委託契約をめぐる汚職事件では、中野区の元職員が有罪判決を受けました。そして、この事件の発生後、区は中野区職員倫理条例の理解が徹底されていなかったと反省し、この条例の趣旨や制度の周知を図る取り組みをしました。公印の管理体制も厳しくなりました。しかしその後の半年間で、別の職員による不祥事が3件も続いて起きています。このように不祥事が続くようでは、この条例の趣旨や制度の周知は必要なところに届いていないように思え、区民にしてみれば、区への信頼感は薄らぐ一方です。そして、すべてのまじめに働く職員にとっては、やり切れない思いではないかと思います。事件の原因についてしっかり検証し、二度と同じような事件が起こらない仕組みにすることは大切です。しかし、軽井沢少年自然の家の不祥事の後に起こった仕様外プレートランプの使用、無免許運転、車検切れは、道路交通法等違反であり、電車での痴漢行為は迷惑防止条例違反であり、社会を生きる1人の人間として、それが公務員であるかないか以前の問題であると感じます。
 今回、2,000人体制を目指す中野区は、少数精鋭の職員体制を築くことを予定しているはずです。このような職員の不祥事が続くと、そのような職員に自分たちの生活を託すかと思うと、区民は絶望的な気持ちになります。中野区は、中野区職員倫理条例などもつくり、職員を管理・指導し、信頼される区政づくりを推進しているはずですが、なぜ職員の不祥事がこう続くのでしょうか。
 昨年10月7日、道路交通法等違反を犯した職員は停職6カ月、同じく10月17日、知的発達障害の方に暴行行為をはたらいた職員は停職1カ月、電車内で痴漢行為をはたらいた職員は停職3カ月の処分が、中野区職員懲戒分限審査委員会で決定されていますが、区民の多くはこれらの処分が甘いと感じています。
 かつて、出勤していない職員のタイムカードを押した職員の処分が甘かった前例などをかんがみても、例えば不正をはたらいても中野区の処分は甘いから大丈夫だという認識が、職員のどこかにあるのではないでしょうか。この処分を決定する審査委員会のメンバーは、3人の副区長、教育長、経営室の2人の参事の構成になっています。が、内部職員のみで判断されると、どうしても処分が甘くなるのではないでしょうか。外部委員も入れるべきではないでしょうか。
 また、現審査委員会のメンバーの中には、かつて処分を受けた経験を持つ委員が2人も入っています。そのことで処分が甘くなることはないのでしょうか。裁判員制度が始まり、今まで聖域であったとも言われる裁判の中に一般国民が入っていくようになりました。裁判員候補には、それまで重罪を犯した人は含まれてないとも聞いております。自分の身を考えて、公正な裁きができないと思われるからです。また、悪質な犯罪に対しての厳罰化も進んでいます。それが今の世の中の流れです。職員に規律を求め、中野区が信頼される区政を推進するために、中野区職員懲戒分限審査委員会を見直す必要もあると考えますが、いかがでしょうか。
 パブリックコメントについては、昨日同じ質問がありましたので、省略させていただきます。
 これで私の質問は終わります。ありがとうございます。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 近藤議員の御質問にお答えをいたします。
 職員の不祥事があった、この半年で3件の処分があったというようなことで、この事態をどう受け止めているのかという御質問であります。この事態について、職員倫理条例に基づいて職員の倫理観を高めるよう徹底させていきたいと考えているところであります。
 それから、懲戒分限審査委員会についての御質問がありました。審査委員会は、懲戒処分を審査する機関であって、決定機関ではありません。懲戒処分は、区長が決定をしているものであります。審査委員会では、非違行為に対して、懲戒処分に関する規定に基づき審査を行いますが、非違行為の動機や職員の職責との関係、また日ごろの勤務態度など、行政内部にかかわることが多く、委員会の開催も迅速に行う必要があるため、現在の構成メンバーとなっているところであります。外部の委員を加える考えはありません。
 また、懲戒処分を受けたことを理由に、現在の審査委員会の職責を果たせないということはなく、見直す予定もありません。
 私からは以上です。
    〔保健福祉部長金野晃登壇〕
○保健福祉部長(金野晃) 高齢者を地域で支える仕組みについての質問にお答えいたします。
 まず、(仮称)すこやか福祉センターに関して、地域包括支援センターの機能についての御質問です。(仮称)すこやか福祉センターは、保健・福祉・子育てに関する総合的かつ継続的な相談を行う地域拠点としての施設でございます。地域包括支援センターが行う相談が(仮称)すこやか福祉センターと連結することで、より充実したものになると考えております。このように(仮称)すこやか福祉センターは、相談支援について、地域の関係機関の連携の中心となります。
 高齢者の薬物依存といったことについてお尋ねがございましたが、複数の医療機関を受診して、医師が適切と認める処方量を超えて、必要以上に多量の投薬を受ける高齢者といったものについての相談につきましても、病院・診療所と薬局との連携を(仮称)すこやか福祉センターが促すというようなことなどによって対応していけるものと考えております。
 次に、地域包括支援センターの緊急時の電話相談についてのお尋ねでございます。地域包括支援センターとしての機能に基本的な変更はございませんので、緊急時における24時間の電話相談はこれまでどおり実施していく考えでございます。
 また、地域包括支援センターの職員にとっても、関係機関との連携が取りやすくて動きやすくなると思っております。
 次に、地域支えあいネットワーク事業についてでございます。
 まず、元気でネットとの違いでございますが、元気でネットは、見守りを希望する高齢者を、区が委嘱する協力員が直接見守りを行う仕組みでございます。地域支えあいネットワークは、高齢者や障害者などの支援が必要な人への見守りや声かけといった区民による活動を、区や関係機関、区民が連携して、それぞれの役割を担い、すべての区民が安心して暮らすことのできる社会の実現を目指すものです。違いを簡単に言いますと、区が担う役割を定めて明確にすること、また多くの区民の参加を得ること、情報共有の仕組みをつくることなどが、元気でネットとの違いになると考えております。
 次に、見守り活動者の負担でございます。支援が必要な人の存在に気づき、何か変化があった場合には通報するという見守りの活動は、地域での支えあいとして期待されるものでございます。区が情報を提供し、連絡窓口となるなどの役割を担うことで、各地域で実施できる状況がつくれると考えております。
 次、NPOやボランティア団体の参加ということでございます。地域支えあいネットワークでは、さまざまな団体を含む地域全体を支えるものとしての町会・自治会の役割は大きいと考えております。支えあい活動には、多くの団体や個人が参加できるような仕組みにしたいと考えます。
 次に、認知症についての地域住民の理解促進でございます。認知症を理解し、支援するための講座の実施、認知症サポーターの養成に取り組んでおります。また、地域における理解促進のための相談会の実施やチラシ、パンフレットの配付による啓発なども行って、介護保険事業者との連携・協力をしながら進めてまいります。ささえ合いネットワークにおきましても、認知症の高齢者に対して、見守り・支える仕組みとしていきたいと考えています。
 また、支えあいの理念ということでございますが、お互いに支えあうという考え方につきましては、支えあいネットワークを推進する中で丁寧に示していきたいと考えます。
○議長(伊藤正信) 以上で近藤さえ子議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 つぼい えみ
 1 環境に配慮した公園遊具について
 2 ひとり親家庭の支援について
 3 その他

○議長(伊藤正信) 次に、つぼいえみ議員。
     〔つぼいえみ議員登壇〕
○5番(つぼいえみ) 平成22年第1回定例会に当たり、一般質問をさせていただきます。つぼいえみです。
 質問は、通告どおり、一つ目、環境に配慮した公園遊具について、二つ目、ひとり親家庭の支援についてです。よろしくお願いいたします。
 一つ目として、環境に配慮した公園の遊具についてお伺いさせていただきます。
 区には、京都議定書の温室効果ガス削減目標である基準年比6%削減を達成するため、京都議定書目標達成計画を策定し、東京都もカーボンマイナス東京10年プロジェクトを開始し、省エネ機器、住宅断熱化、自動車の燃費向上などの技術開発や自然エネルギーの利用拡大が進められ、二酸化炭素削減につながる技術や基盤の整備が行われています。
 中野区環境基本計画に二酸化炭素の排出削減目標と四つのプロジェクトが示されています。その中の1、環境エネルギープロジェクトの「エネルギー消費の少ない暮らしや事業活動を実現する」取り組みについて質問させていただきます。そこには、高反射率塗料や保水性建材の使用、断熱性や設備の省エネルギー等に配慮した環境性能の高い住宅や建物の情報を提供し、普及について書かれています。そこに書かれている遮熱塗料・断熱塗料にかわる熱を消すエコ塗料である消熱塗料を御紹介させていただきます。
 このエコ塗料は、従来の遮熱塗料とどのように違うかを、まず説明させていただきます。一つ目、太陽から発生する熱を運動エネルギーにかえて、熱を消すということ、つまり太陽光・赤外線を反射する遮熱塗料とは違い、ヒートアイランド現象の緩和効果があるということ。二つ目、塗装面に汚れが付着しても、熱に反応するので効果が落ちない、つまり反射型の遮熱塗料は、塗装面の汚れなど経年劣化により反射率が悪くなり、効果が落ちるということ。三つ目、冬場の5度から25度では運動エネルギーが発生しないため、暖房負荷がない、つまり冬場の太陽光・赤外線も反射する遮熱塗料は暖房負荷が大きくなるということです。また、消熱塗料は、5度以下の場合は凍結防止効果もあるということです。例えば、建物の屋根・屋上・壁に使用した場合、室内温度が下がり、空調負荷が減少する。夏季の電力消費の低下。結露防止効果。また歩道・舗装グラウンド・駐車場では照り返しが弱まり、夏場のヒートアイランド現象緩和になります。
 そこで質問をさせていただきます。中野区内には157カ所の公園が存在します。公園には、遊具や座るところなど、手や体が触れるところがたくさんあります。夏場だと気温も上昇し、場所や時間によっては触れることができないくらい熱くなっている遊具や、冬場だと逆に寒いと感じたことを経験されたことがあると思います。私もそのうちの1人です。そこで、公園の遊具の塗装について質問させていただきます。
 まず区内の公園の遊具等の塗り替えはどのくらいの期間でされていますか。
 また、現状の状況も教えてください。
 ここで提案をさせていただきます。区内の公園及び校舎・庁舎等建物の塗り替えに際して、この消熱塗料を検討してみてはいかがでしょうか。夏場の遊具温度上昇抑制や、金属面の防錆保護の効果が期待できます。また、区内の小中学校の外壁や校庭、区が所有する建物の塗り替え等についても、さまざまな効果が期待できると考えます。例えば校庭であれば、歩行者への輻射熱抑制や夏場の表面温度上昇抑制、また外壁等であれば、夏場の室内温度の3度から4度低下改善や、冷房コスト削減、CO2の削減、室内の結露防止、また防水層の保護やコンクリート保護といった、使用目的、場所が異なる場所でさまざまな効果があり、コスト削減、ヒートアイランド現象緩和、CO2削減に結びつくと考えますが、区長の見解をお伺いします。
 ちなみに、東京都内の学校グラウンドは、アスファルト舗装がされていて、墨田区押上小学校では、校庭を緑色と茶色の部分に消熱塗料で舗装されています。平成20年9月ですが、テレビ報道で、炎天下でもはだしで遊べる校庭として喜ばれている様子が紹介されていました。また、平成20年7月より墨田区では、熱交換塗料でリフォーム工事すると地球温暖化防止助成金が支給されています。
 この項の最後の質問ですが、中野区でもこのような助成金制度等の考えはないのでしょうか。区長の考えをお聞かせいただき、この項の質問を終わらさせていただきます。
 次に、ひとり親家庭の支援についてお伺いさせていただきます。
 日本では現在約75万人のひとり親の方がいます。中野区では母子・父子合わせて約3,600人の方が暮らしています。ひとり親家庭相談について調べたところ、経済・住宅・仕事の順で悩まれています。しかし、よくママさんから耳にするのは、子どもを預かってくれるところがなく、仕事ができなくて困るといった相談です。幼稚園・保育園といっても、待機児童の問題もあり、すぐには子どもを預かってもらうことができません。中野区次世代育成支援行動計画の子育て支援アンケートの調査データによれば、乳幼児期に仕事をしながら子育てをしている母親の割合は、乳幼児保護者で約45%、小学生保護者が約54%、また現在就労していない母親の就労希望は、「すぐ・1年以内」が、乳幼児保護者で16%、小学生保護者で28%、「1年より先」が、乳幼児保護者で63%、小学生保護者で45%と記されています。
 また仕事と子育ての両立にとって最も大変なことは、「子どもが急に病気になったときに面倒を見てくれる人がいない」が32.8%となっています。今後の課題としての取り組みをしなければならないことが、アンケートによってあらわされています。また、育児疲れの解消の理由で一時保育を利用される利用者が92%を占めていることも資料に示されており、育児疲れの一時保育利用者はかなりたくさんいることが伺えます。
 また、年子のお子さんをお持ちのひとり親の方から、1人で2人の子どもの面倒を同時に見るのは本当に大変だとお伺いしました。ひとり親家庭のしおりに記されている子育て支援に関するサービスの中に、家事や育児でお困りのひとり親家庭にホームヘルパーを派遣し、子どもの世話をするというひとり親家庭ホームヘルプサービスがあります。対象の方は、小学生以下で、親戚・友人等から援助を受けることができない世帯、また利用要件として、利用時間も7時から22時、1世帯当たり1時間0円から1,250円と、所得や要件に応じて利用時間も異なります。
 そこでお伺いします。この利用要件を、もっと多くの母親が利用できるように、条件緩和していただくことはできないでしょうか。
 また、子どものショートステイでは、ことしの4月から中央五丁目に母子生活支援施設が移転になり、対象者も、ひとり親家庭の方のみではなく、3歳から中学生までのお子さんがいる世帯と変更になりましたが、さらに利用しやすい料金の見直しを検討していただくことはできないでしょうか。
 ファミリーサポート事業、一時保育など、たくさんの支援がありますが、生活保護世帯の方以外はすべて料金がかかります。ひとり親で経済的に厳しい中、がんばっている方が、中野区母子・父子合わせて約3,600人ほどいます。育児ノイローゼや育児不安から虐待を引き起こしてしまうことがないように支援することが必要です。なぜなら、中野区では児童虐待の報告が年々ふえています。ひとり親家庭の育児支援は本当に重要な課題だと考えますが、区長はいかがお考えでしょうか。
 最後に、この子育て支援に関する情報について、生活保護世帯、ひとり親世帯、住民税非課税世帯、その他の世帯の方が、一目で利用料金や年会費・登録要件・施設情報・病児保育可能などの情報が見やすい、わかりやすい一覧表のような1枚の保存できるパンフレットの作成を検討していただけないでしょうか。
 また、以前に子育て専用サイトの質問をさせていただきましたが、まだ作成されていません。子育て専用サイトの作成をぜひ進めてください。中野区次世代育成支援行動計画の子育て支援アンケートを参考に子育てに関する助成金制度の情報や、医療機関等の情報をはじめとするたくさんの方からの御意見を取り入れていただきながら、早急に作成をしていただきたいとお願いします。
 子育てをするのが楽しくなるような中野区を目指し、また安心・安全に子育てのできる環境に発展していくことをお願いし、以上で私のすべての質問を終わらさせていただきます。御静聴、まことにありがとうございました。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) つぼい議員の御質問にお答えをいたします。
 環境に配慮した公園遊具についてであります。公園遊具の塗装は、特に間隔は定めてないわけですけれども、毎年行っている安全点検に基づいて実施をしております。年に10公園程度を行っているところです。
 塗装材料については、従来の合成樹脂塗料を使っているところでありますが、現時点ではこれに対して特段の苦情というものが寄せられているということではありません。
 消熱塗料の導入について検討してはどうか、こういうことであります。区有施設や学校の一部で、これまで遮熱・断熱塗料を使用して一定の効果を得ている、そういう経過はあります。消熱塗料につきましても、費用や効果について調査・研究をして、利用の可能性について追求していきたいというふうに考えます。
 それから、遮熱断熱塗装、断熱リフォーム工事などで、助成制度を検討してみたらどうか、こういうことであります。区といたしましては、太陽光発電の設置や省エネチャレンジなど、家庭におけるさまざまなCO2削減の取り組みが促せるよう、地域エコポイント制度を具体化していきたい、こう考えているわけであります。この中では、幅広くさまざまな形で取り組んでいただくCO2削減に対して対応できるような仕組みを考えていきたい、こういうふうに考えておりますので、御提案も含めて検討していきたいと思います。
 それから、ひとり親家庭の支援についてであります。区といたしましては、ひとり親家庭が安心して育児ができるよう、さまざまな支援やサービスの充実を図ってきたところであります。今後とも利用料金の問題、これはサービスのコストの問題と、それをどこまで負担をするのかといった、そういった費用負担の考え方といったようなことも整理をする必要があると思っておりますけれども、より利用しやすいものになるような検討を行っていきたい、こう思っております。
 それから、子育て支援に関する情報につきましては、子育て支援ハンドブックや区のホームページなどで子育て全般について、またひとり親家庭に関する支援内容をまとめたものとしては、ひとり親家庭のしおりを作成し、情報提供しているところであります。サイトの問題なども含めて、また御提案のあったような1枚の情報提供といったようなことも含め、使いやすく見やすいものとするために、今後工夫・検討を行っていきたいと考えます。
○議長(伊藤正信) 以上でつぼいえみ議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 林 まさみ
 1 区長の政治姿勢について
  (1)「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」案と住民参加等について
  (2)その他
 2 防災について
  (1)災害時の避難所運営における性別等への配慮について
  (2)その他
 3 その他

○議長(伊藤正信) 次に、林まさみ議員。
      〔林まさみ議員登壇〕
○7番(林まさみ) 2010年第1回定例会において、中野生活者ネットワークの立場で、市民自治を広げるために一般質問いたします。
 中野区には、地域の親たちが文化・芸術による教育活動として、子どもたちの表現力やコミュニケーション力を育成し、中野の子どもたちが創作したミュージカルを全国発信している「ゼロ・キッズ」や、ごみ減量に向けて生ごみの堆肥化を進め、循環型社会のための活動を行っている中野・コンポスト連絡会のような、社会的に有益な活動、いわゆる公益活動団体があり、区と協働の立場をとっています。しかし、これらの公益活動団体を支援するためにつくられた「中野区公益活動情報コーナー」が、業務委託の打ち切りとともに、今年度いっぱいで閉鎖されると聞いております。このことは、公益活動に関係している区民に正式に伝えられていませんが、4月からの情報コーナーの活動が示されておらず、現場は混乱しています。
 また、牛乳パックや空き缶、古布などの資源回収を行い、全国展開にまで広めた中野区消費者団体連絡会や、小学生の「エコクッキング」や「緑のカーテン」など、環境問題に取り組んできた中野・環境市民の会など、たくさんの自主グループが、環境リサイクルプラザ・消費者センターを利用し、長年活動してきました。そのような中、消費者センターが環境リサイクルプラザから平成22年度区役所内に移転するとのことが急遽決められました。そして、移転についてもその後の区と自主団体とのかかわりについても、区からの説明は全くありません。
 3年前に始まった公益活動の支援、その事業が今回初めての評価・改善の時期に当たるにもかかわらず、事業縮小ともとれる施策変更のときに、区民との意見交換の場が設けられなかったことは問題です。
 また、消費者センター・環境リサイクルプラザを拠点として活動してきた区民活動団体に対しても、「中野区環境リサイクルプラザ消費者センター運営会議」という場がありながら、会議が開かれていません。区の方向が決まってから運営会議が開かれ、報告されるとのことですが、方針決定前に運営会議で区民の意見を聞くべきです。
 今後、田中区長によって改定される新しい中野をつくる10か年計画(第2次)の区政への区民活動の推進には、「計画・実施・評価・改善の各段階で意見交換会など、区民が規制に参加できる仕組みを徹底する」とあります。その上区長は、「手応えのある住民参加」を公約に掲げています。今回の対応は、この趣旨に反しているのではないでしょうか。
 そこで伺います。
 中野区は、「区政の区民参加の推進」を示していますが、今回なぜ区民との意見交換の場を設けなかったのでしょうか。また、「区民が区政に参加できる仕組みの徹底」を、10か年計画(第2次)の計画案でうたっていますが、そのことを実現するには今後どのように区民参加を改善するのか、お答えください。
 次に、公益活動に対する区の姿勢について伺います。
 中野区では、行政機関の規模を縮小しながらも、公共サービスの質を高めていくために、地域の団体、NPO、事業者など、自治する区民をふやすことを区の将来像の一つとしてきました。そして、多様な区民自治の担い手の育成、行政との協働の仕組みを実現するために、平成18年に「中野区区民公益活動推進に関する条例」を制定しました。公益活動推進のために条例の7条に「必要な施策を実施し、区民公益活動を行う団体と連携を図り、協力して事業を行うよう努める」と、区の役割を示しました。平成17年1月19日の総務委員会でも、「活動の推進に必要な支援や事業を適切に実施する」ことが区の努めと説明しています。しかし、今回必要な支援と考えられる「中野区公益活動情報コーナー」の業務委託を廃止し、その上公益活動団体の情報を掲載していたホームページの業務委託も中止することは、例え業務の一部を区が引き継ぎ、助成が続けられても、区の役割である公益活動と区の連携、そして推進に必要な支援の大幅な交代になると考えます。
 国の動向を見ても、平成21年度第2次補正予算案には、NPO支援に対して70億円の助成をするなど、公益活動支援に前向きです。また、杉並区305法人、豊島区267法人、渋谷区511法人など、各自治体では公益活動が育つ中、中野区では170にとどまり、その上おもちゃ美術館などの有力なNPOが他区に流出している状況です。
 そこで伺います。
 2006年、田中区長による施政方針説明で、助成制度や提案型の委託事業を実施し、町会・NPOなどのさまざまな区民活動を推進すると明言されていたのに、なぜ支援を縮小するのでしょうか。
 公益活動の推進を実現するため、今後の区の姿勢について、他の議員の質問と重なりますが、区長の考えを改めてお聞かせください。
 以上でこの項の質問を終わります。
 次に、防災について伺います。
 2008年の第2回定例会で、避難所運営に助成の視点を入れる必要があるとの観点からの質問を行い、区長から、「地域の防災計画に女性の専門的意見を反映させるための方策を検討する」との答弁をいただきました。その後、東京都が2008年に作成した防災計画の「避難所の運営」に、「避難所に指定した建物については、早期に耐震診断等を実施し、安全性を確認・確保すること、被災者の性別を踏まえ、プライバシーの確保や生活環境を良好に保つこと」が示されました。しかし、中野区地域防災計画には、まだ被災者の性別への配慮や要援護者対応について、示されていません。早急に修正するべきです。そして、最終的には各地域センターで策定する避難所運営管理マニュアルに反映させなければなりません。
 例えば、区内のある地域のマニュアルの「建物の利用について」を見ると、一般避難者・救護室・災害対策室のみの部屋割りしか書かれていません。今後、地域防災計画を要援護者の視点も入れて改修した後には、地域のマニュアルに、例えば「1人暮らしの女性や高齢者・障害者・妊産婦・乳幼児のいる家庭等の被災者の状況に応じた部屋割りの明示や、女性や子どもの安全・安心に配慮した仮設トイレの設置など」の明記をすべきです。そうすることが、災害時の避難所での適切な運営に結びつくと考えます。
 そこで防災について1点伺います。
 中野区地域防災計画の避難所運営において、いまだ示されていない「性別への配慮や要援護者対応」について明記するよう、修正することについて、区の考えをお答えください。
 また、その内容が各避難所で実行されるために、区としてどのように対応するかについてもあわせてお答えください。
 防災についてもう1点伺います。
 区が策定した中野区男女共同参画基本計画の中に、防災会など地域での活動者は女性が多いにもかかわらず、活動方針を決定する場には男性のほうが多い傾向があり、意思決定過程への女性の参画促進が必要とあります。大分県では、女性の防災関係者や被災経験者で構成した検討会議を立ち上げ、「女性の視点からの防災対策のススメ」を作成し、災害時に男女がともに支え合う地域づくりのために、男女共同参画課と防災課とが連携しているそうです。また、阪神淡路大震災後における女性の二次的性被害の実態や、避難所生活における課題などの調査をしている「ウイメンズ神戸」によると、避難所で災害弱者の視点に立ってきめ細かな運営が行われるには、方針決定の場に女性が4割以上いることが望ましいと考えられているそうです。
 つまり、要援護者の視点に立つなど、適切な避難所運営を実現するには、避難所運営管理マニュアル作成時に女性が参画することや、災害時の避難所運営を行うときの意思決定過程に女性の参画を進めなければならず、そのためには男女平等分野と防災分野との連携が必要と考えます。
 そこで伺います。男女共同参画基本計画を策定している中野区として、防災に関する政策、方針決定過程への女性参画の推進のために、具体的にどのようなことを行っているのでしょうか。区の考えと今後の方針をお聞かせください。
 以上ですべての質問を終わります。
     〔副区長石神正義登壇〕
○副区長(石神正義) 林まさみ議員の御質問にお答えします。
 私からは、防災に関して、災害時の避難所運営における性別等への配慮についてお答えさせていただきます。
 現在の中野区地域防災計画は、平成19年に成立してございます。次に、平成22年度に修正作業を予定しているところでございます。現行の地域防災計画の中では、災害時要援護者につきましては、避難所での生活が困難となった場合には、二次避難所で対応するということが明記されております。性別への配慮につきましては、次回の修正の際に検討させていただきたいと思います。
 また、各避難所の運営会議におきましても、部屋割りなどに配慮した運営となるような検討をしていきたいというふうに思っております。
     〔副区長西岡誠治登壇〕
○副区長(西岡誠治) 私からは、10か年計画(第2次)の案におきまして、区民が区政に参加する仕組みの徹底とある点についてお答えいたしたいと思います。
 区民参加につきましては、自治基本条例に基づく意見交換会やパブリックコメント手続のほか、区民の声や対話集会、区民の参加する外部評価など、PDCAサイクルの各段階においてさまざまな角度から実施し、推進を図っているところでございます。このほか、10か年計画(第2次)の案にお示ししておりますとおり、これまでの意見を述べる多様な機会の提供に加え、無作為抽出による意見交換会等の実施など、積極的な意見聴取を行うことにより、区民参加をさらに推進してまいりたいというふうに考えております。
   〔区民生活部長鈴木由美子登壇〕
○区民生活部長(鈴木由美子) 関係団体の意見を聞くべきではないかというお尋ねがございました。消費者センターにつきましては、10か年計画(第2次)案で、消費生活相談等の充実を掲げているところです。それを具体化する方法として、その経費を20年度予算編成に計上したものでございます。10か年計画(第2次)案については、素案での意見交換会を経てパブリックコメントを実施しているところで、予算議決後に消費者センターについて、関係団体等へお話をする予定でございます。
 また、改正条例の提案の時期なども考えながら、必要に応じて今後意見交換なども適宜実施することもあるというふうに考えてございます。
 いずれにしましても、執行体制の見直しでございまして、消費者相談を受けたいという利用者の便益を低下させるものではないというふうに考えてございます。
 また、公益活動情報コーナーの今後のあり方についてでございますけれども、これは執行方法の見直しで、1階のコーナーは廃止としてるところでございますが、団体への情報提供や研修、交流機会の提供については、引き続き職員が行っていく考えでございます。したがいまして、必要な支援の縮小とは考えておりません。今後も引き続きさまざまな活動領域での公益活動の育成支援を、よりきめ細かく行っていきたいというふうに考えてございます。
   〔子ども家庭部長竹内沖司登壇〕
○子ども家庭部長(竹内沖司) 防災に関する女性の参画についての御質問にお答えをいたします。
 区では、市議会などの付属機関や規則要項設置の会議体で、委員に占める男女の構成割合をできるだけ均等に近づけるよう努めているところでございます。防災に関する会議体といたしましては、中野区防災会議と防災対策連絡協議会がございますが、警察署長や消防署長、消防団の団長、町会連合会会長、各地域における防災住民組織の長などで構成しておりまして、実際には男性が多くを占めております。防災対策や避難所運営に対して、政策方針決定時の女性の参画は必要な視点であると受けとめておりまして、今後もこうした会議の委員構成や選任の仕方などについて、さらに工夫・改善を求めていきたいと考えております。
○議長(伊藤正信) 以上で林まさみ議員の質問は終わります。
 以上をもって質問は終了いたしました。
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 第7号議案 平成22年度中野区一般会計予算
 第8号議案 平成22年度中野区用地特別会計予算
 第9号議案 平成22年度中野区国民健康保険事業特別会計予算
 第10号議案 平成22年度中野区老人保健医療特別会計予算
 第11号議案 平成22年度中野区後期高齢者医療特別会計予算
 第12号議案 平成22年度中野区介護保険特別会計予算

○議長(伊藤正信)  これより日程に入ります。
 日程第1、第7号議案から第12号議案までの計6件を一括上程いたします。
 理事者の説明を求めます。
     〔副区長石神正義登壇〕
○副区長(石神正義) ただいま上程されました平成22年度各会計予算に係る第7号議案から第12号議案までの6議案につきまして、一括して提案理由の説明をいたします。
 初めに第7号議案、平成22年度中野区一般会計予算について説明いたします。
 第1条は歳入歳出予算です。
 歳入歳出予算の総額は963億7,400万円で、前年度に比べ62億7,600万円、6.1%の減となりました。大幅な歳入の減少に対応するため、事務事業の見直しや経費の精査を徹底し、厳しい財政状況の中にあっても、区民の暮らしを守るための取り組みを堅持しつつ、歳出の抑制を図りました。
 それでは、まず歳入予算から説明いたします。
 特別区税は、景気の後退の影響や、昨今の雇用情勢などから、前年度に比べ金額で25億6,300万円余の減、率で8.2%減の287億500万円余を計上いたしました。特別区交付金は、その財源である調整三税のうち、市町村民税法人分の税収が大きく減少すると見込まれることから、前年度に比べ金額で23億円の減、率で7.1%減の302億円を計上いたしました。特別区交付金は2年連続で大幅な減少となりました。
 地方譲与税や利子割交付金、その他の交付金は、前年度に比べ10.9%減の、総額で42億6,000万円を計上しました。今年度の実績や経済動向などを反映させて、利子割交付金や自動車取得税交付金、地方特例交付金などの大幅な減を見込んだほか、地方消費税交付金についても減と見込みました。
 分担金及び負担金は、認可保育園の入園者自己負担金や第三建設事務所維持管理費負担金などの増により、16.2%増の8億2,200万円余を計上しました。
 使用料及び手数料は、道路占用料などの増により0.8%増の21億4,500万円余を計上しました。
 国庫支出金は、生活保護費や障害者の自立支援給付費の増に伴う国庫負担金の増などにより、4.5%増の132億6,800万円余を計上しました。
 都支出金は、緊急雇用創出事業に係る都補助金の増のほか、国庫支出金と同様に生活保護費や障害者の自立支援給付費の増に伴う都負担金の増などにより、17.8%増の52億4,100万円余を計上しました。
 財産収入は、本町四丁目住宅用地の貸し付けに伴う権利金分が皆減となったことなどから、13%減の6,000万円余を計上しました。
 繰入金は、急激な減収に対応するため、財政調整基金からの繰り入れはふえたものの、義務教育施設整備基金やまちづくり基金などからの繰り入れが減少したことなどから、15.8%減の83億9,800万円余を計上しました。
 繰越金は、科目存置としました。
 諸収入は、土地開発公社からの事業資金貸付返還金の減などにより、16.9%減の13億200万円余を計上しました。
 特別区債は、防災行政無線デジタル化整備に充てる総務債、(仮称)仲町すこやか福祉センター整備に充てる民生債、中野駅地区整備及び警察大学校等跡地周辺整備に充てる都市整備債並びに学校施設整備に充てる教育債の、合計19億6,900万円を計上しました。
 続いて歳出の説明をいたします。
 まず議会費ですが、マイクシステムの整備費が皆減となったことなどにより、3.8%減の7億9,100万円余となりました。
 経営費は、退職手当が減少したほか、中央電算システムの再構築に係る経費が皆減となったことなどにより、11.9%減の97億3,500万円余となりました。
 区民生活費は、産業経済融資の斡旋や消費生活相談に係る経費がふえたものの、23区清掃一部事務組合への分担金などの減により、9.1%減の88億3,300万円余となりました。
 子ども家庭費は、待機児童の解消を目指す取り組みを強化したため、保育園・幼稚園費がふえたものの、療育センターアポロ園や母子生活支援施設の整備費が皆減となったことなどにより、11.6%減の163億6,300万円余となりました。
 保健福祉費は、生活保護費や障害者の自立支援給付費が大幅にふえたほか、仮称仲町すこやか福祉センターの整備費の増などにより、8.5%増の353億1,800万円余となりました。
 都市整備費は、中野駅地区の基盤整備にかかる経費などがふえたものの、野方駅整備費や道路整備費などの減により、21.7%減の69億3,600万円余となりました。
 教育費は、特別支援学級や区立学校の再編にかかる経費、地域スポーツクラブにかかる経費などがふえたものの、学校の耐震補強工事費などの減により、14.3%減の89億9,100万円余となりました。
 公債費は、シェモア仙石にかかる起債の繰上償還金が皆減となったことなどにより、10.9%減の61億4,100万円余となりました。
 諸支出金は、用地特別会計への繰出金がふえたものの、基金への積立金が減少したことにより、13.1%減の31億6,200万円余となりました。
 以上の歳出予算を性質別に見ますと、人件費が3.9%減、扶助費が10%増、公債費が4.8%の減で、これらを合わせた義務的経費は560億3,500万円余となり、前年度より7億4,900万円余、1.4%の増となりました。扶助費が大幅な増となった要因は、生活保護費や障害者の自立支援給付費の大幅な増のほか、児童の保育委託費などの増によるものです。
 投資的経費につきましては、療育センターアポロ園や母子生活支援施設の整備が完了したことや野方駅整備等が進捗したことに伴う整備費の減などにより、47.6%減の52億7,100万円余となりました。
 その他の経費につきましては、350億6,600万円余で、前年度より6%の減となりました。
 第2条は、債務負担行為について定めるものです。これは、土地開発公社の借入金に対する債務保証、仮称中央部防災公園整備、丸山小学校の校舎及び体育館の工事などの債務負担行為を定めたものです。
 第3条の特別区債は、起債の目的、発行限度額などを定めるもので、総額19億6,900万円を計上しました。
 第4条の一時借入金は、その最高額を100億円といたしました。
 第5条の歳出予算の流用は、職員の人件費に過不足が生じた場合、同一款内の各項間で流用することを御承認いただくものです。
 以上が第7号議案、平成22年度中野区一般会計予算の概要です。
 続きまして第8号議案、平成22年度中野区用地特別会計予算について説明いたします。
 第1条の歳入歳出予算の総額は、16億4,800万円で、前年度に比べ264億4,900万円の大幅な減となりました。
 歳出につきましては、公債費5億4,800万円余、中野五丁目用地の取得にかかわる用地費10億9,900万円余を計上しました。
 歳入につきましては、(仮称)本町五丁目公園用地の一部を一般会計へ売り払うことに伴う財産収入、1億3,800万円、繰入金4億1,200万円、特別区債10億9,800万円を計上しました。
 第2条の特別区債は、起債の目的、発行限度額などを定めるもので、10億9,800万円を計上しました。
 次に、第9号議案、平成22年度中野区国民健康保険事業特別会計予算について説明いたします。
 第1条の歳入歳出予算の総額は、305億3,900万円で、前年度に比べ6%の減となりました。
 歳出のうち、国保給付費は3.4%増の203億5,600万円余、後期高齢者支援金は10.4%減の39億8,200万円余、介護納付金は9.3%増の16億8,500万円余、共同事業拠出金は41.5%減の30億6,100万円余を計上しました。
 歳入のうち、国民健康保険料は88億1,600万円余、国庫支出金は74億1,700万円余、前期高齢者交付金は31億9,000万円余、都支出金は15億5,700万円余、共同事業交付金は30億6,800万円余、繰入金は56億7,900万円余を計上しました。
 第2条の債務負担行為は、国民健康保険システムの改修について定めたものです。
 第3条の一時借入金は、その最高額を10億円としました。
 次に、第10号議案、平成22年度中野区老人保健医療特別会計予算について説明いたします。
 本会計は、医療制度改革に伴う経過措置期間にあり、予算規模は大きく減少しています。
 第1条の歳入歳出予算の総額は7,600万円で、前年度に比べ69.1%の大幅な減となりました。
 歳出につきましては、医療諸費は78.3%減の3,600万円、諸支出金は50%減の4,000万円を計上しました。
 歳入のうち、支払基金交付金は2,100万円余、繰入金は1,400万円余、繰越金は4,000万円を計上しました。
 次に、第11号議案、平成22年度中野区後期高齢者医療特別会計予算について説明いたします。
 第1条の歳入歳出予算の総額は59億8,500万円で、前年度に比べ11.4%の増となりました。
 歳出のうち広域連合納付金は、被保険者数などの増加に伴い、10.2%増の58億8,700万円余を計上しました。
また、保険給付費8,000万円余は、葬祭費にかかる経費を一般会計から後期高齢者医療特別会計へ移行したことに伴い、皆増となったものです。
 歳入のうち、後期高齢者医療保険料は33億1,400万円余、繰入金は25億7,300万円余を計上しました。
 次に、第12号議案、平成22年度中野区介護保険特別会計予算について説明いたします。
 第1条の歳入歳出の予算の総額は170億800万円で、前年度に比べ0.2%の微増となりました。
 歳出のうち、制度運営費は4.1%減の6億9,800万円余、保険給付費は0.4%増の159億1,500万円余、地域支援事業費は1%減の3億7,800万円余を計上しました。
 歳入のうち、介護保険料は30億300万円余、国庫支出金は37億2,900万円余、支払基金交付金は47億9,400万円余、都支出金は24億3,200万円余、繰入金は30億4,000万円余を計上しました。
 以上6議案につきまして、よろしく御審議の上ご賛同下さいますようお願い申し上げます。
○議長(伊藤正信) 本件について御質疑はありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御質疑がなければ質疑を終結いたします。
 上程中の第7号議案から第12号議案までの計6件は、委員全員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに審査を付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決します。
 お諮りいたします。 この際本日の日程を追加し、日程第2、第29号議案、平成22年度中野区一般会計補正予算を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう議事を進行いたします。
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 第29号議案 平成22年度中野区一般会計補正予算

○議長(伊藤正信)日程第2、第29号議案、平成22年度中野区一般会計補正予算を上程いたします。
 理事者の説明を求めます。
     〔副区長石神正義登壇〕
○副区長(石神正義) ただいま上程されました第29号議案につきまして、提案理由の説明をいたします。
 第29号議案、平成22年度中野区一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ28億4,800万4,000円を追加計上するものです。これにより既定予算との合計額は992億2,200万4,000円となります。
 この補正の歳出予算の内容は、子ども手当にかかる経費を計上するものです。まず経営費ですが、中野区職員に支給する子ども手当8,840万円を計上するとともに、児童手当3,500万円を減額するものです。
 次に子育て支援費ですが、子ども手当及びその支給にかかる事務費36億6,032万4,000円を計上するとともに、児童手当8億6,719万5,000円を減額するものです。
 次に教育経営費ですが、区立の小中学校及び幼稚園に勤務する職員に支給する子ども手当260万円を計上するとともに、児童手当112万5,000円を減額するものです。
 この補正の歳入予算といたしましては、地方特例交付金2億2,360万2,000円、国庫支出金24億5,567万5,000円及び都支出金1億6,872万7,000円を追加計上するものです。
 本議案につきまして、よろしく御審議の上ご賛同下さいますよう、お願い申し上げます。
○議長(伊藤正信) 本件について御質疑はありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御質疑がなければ質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。
 上程中の議案は、予算特別委員会に審査を付託いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決します。
 本日はこれをもって散会いたします。
      午後4時49分散会