平成22年06月25日中野区議会本会議(第2回定例会)
平成22年06月25日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録
平成22年第2回定例会本会議第2日(6月25日) 1.平成22年(2010年)6月25日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(41名)
  1番  内  川  和  久        2番  ひぐち   和  正
  3番  白  井  秀  史        4番  平  山  英  明
  5番  つぼい   え  み        6番  いながき  じゅん子
  7番  森     たかゆき        8番  山  口  かおり
  9番  せきと      進       10番  いでい   良  輔
 11番  伊  東  しんじ        12番  佐  野  れいじ
 13番  北  原  ともあき       14番  南     かつひこ
 15番  小  林  秀  明       16番  林     まさみ
 17番  の  づ  恵  子       18番  近  藤  さえ子
 19番  牛  崎  のり子        20番     欠  員
 21番  吉  原     宏       22番  大  内  しんご
 23番  きたごう  秀  文       24番  伊  藤  正  信
 25番  久  保  り  か       26番  やながわ  妙  子
 27番  酒  井  たくや        28番  佐  伯  利  昭
 29番  むとう   有  子       30番  長  沢  和  彦
 31番  か  せ  次  郎       32番  高  橋  ちあき
 33番  山  崎  芳  夫       34番  市  川  みのる
 35番  斉  藤  金  造       36番  篠     国  昭
 37番  岡  本  いさお        38番  飯  島  謹  一
 39番  江  口  済三郎        40番  佐  藤  ひろこ
 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  金 野   晃
 副  区  長  西 岡 誠 治      教  育  長  田 辺 裕 子
 政 策 室 長  竹 内 沖 司      経 営 室 長  川 崎   亨
 管理会計室長   尾 﨑   孝      区民生活部長   鈴 木 由美子
 子ども家庭部長  長 田 久 雄      保健福祉部長   田 中 政 之
 保 健 所 長  田 原 なるみ      都市整備部長   服 部 敏 信
 まちづくり推進室長  遠 藤 由紀夫    教育委員会事務局次長  合 川   昭
 政策室副参事(企画調整担当)小 田 文 子 経営室副参事(経営担当)篠 原 文 彦
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    石 濱 良 行
 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  荒 井   勉
 書     記  河 村 孝 雄      書     記  菅 野 多身子
 書     記  東   利司雄      書     記  丸 尾 明 美
 書     記  土 屋 佳代子      書     記  鳥 居   誠
 書     記  細 川 道 明      書     記  鈴 木   均
 書     記  岡 田 浩 二      書     記  竹 内 賢 三

 議事日程(平成22年(2010年)6月25日午後1時開議)
日程第1 第36号議案 中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
     第37号議案 中野区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
     第50号議案 中野区立幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を
改正する条例
日程第2 第34号議案 中野区テレビジョン放送の受信障害の解消に関する条例を廃止する条例

      午後1時00分開議
○議長(伊藤正信) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 この際、御紹介申し上げます。
 平成22年6月23日付で本区副区長に就任されました金野晃さんを御紹介申し上げます。
      〔副区長金野晃登壇〕
○副区長(金野晃) 6月23日付で副区長に就任いたしました金野でございます。議会の皆様の御指導をいただきながら、区民、また区政にかかわる多くの皆様と力を合わせ、職員とも力を合わせながら、区政の発展に努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(伊藤正信) 以上で紹介を終わります。
 これより日程に入ります。
――――――――――――――――――――――――――――――
 第36号議案 中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
 第37号議案 中野区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
 第50号議案 中野区立幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する
        条例
  (委員会報告)

○議長(伊藤正信) 日程第1、第36号議案、第37号議案及び第50号議案の計3件を一括議題に供します。

平成22年(2010年)6月23日

中野区議会議長 殿

   総務委員長 いでい 良輔
         (公印省略)

  議案の審査結果について

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

      記
議案番号 件    名 決定月日
第36号 中野区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例 6月23日
第37号 中野区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 6月23日
第50号 中野区立幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 6月23日

○議長(伊藤正信) お諮りいたします。
 上程中の議案に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。
 本件については討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、これより採決いたします。
 上程中の議案は、委員会報告どおり可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、高橋ちあき議員、飯島謹一議員、長沢和彦議員、酒井たくや議員、大内しんご議員、小林秀明議員、せきと進議員、のづ恵子議員、吉原宏議員、南かつひこ議員、伊東しんじ議員、内川和久議員、ひぐち和正議員、佐藤ひろこ議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、林まさみ議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 中野区議会議員 高 橋 ちあき
 1 区長の施政方針説明について
 2 区の組織について
 3 保育園の待機児対策について
 4 その他

○議長(伊藤正信) 最初に、高橋ちあき議員。
[1]高橋ちあき議員登壇
○32番(高橋ちあき) 平成22年第2回定例会におきまして、自民党議員団のトップバッターといたしまして質問をさせていただきます。
 けさは、サッカーで日本全国が歓喜の声で渦巻いていたことと思います。決勝トーナメントの進出を決め、選手の皆さんの顔は輝いていらっしゃいました。あるテレビの番組で、トルシエさんが言っておりましたけれども、けがもなく、そしてレッドカードも出されず、フェアプレーで勝ち取った大切な、大事な勝利であって、外国の選手もこれを見習うべきだということをお話ししておりました。これからまだまだ試合が続き大変だと思いますけれども、日本の国民の皆さんに夢を与え続けていってほしいなというふうに思いまして、その気持ちを胸に質問に入らさせていただきます。
 私は、四つの項目にて質問を通告させていただいております。
 初めに、区長はさきの区長選で区民の評価を得まして、3期目を迎えることになりました。私たち自民党を含めた議会と、そして区長とのこれまでの2期8年の取り組みの成果として、区民に評価をしていただいた結果だと思っております。また、私も同時に行われました区議会議員補欠選挙におきまして、同志の皆さんの大きなお力をいただき、復活をさせていただきました。この場に立たせていただくまで、随分と遠回りをしてまいりましたが、その間はとても貴重な時間であり、自分自身の財産がふえたとも思っております。自分が言葉にしたことには責任を持たなくてはいけません。私は、そのことをしっかりと自覚し、新たなる気持ちで議会及び政治活動をしてまいります。
 区長のこれからの4年間は、この8年間でやってまいりました警察大学校跡地の活用や西武新宿線の地下化に向けたまちづくり、中学生までの子どもの医療費無料化や障害者の地域生活支援事業の原則無料化などの保健福祉施策の充実、また地域子ども家庭支援センター4カ所の設置や母子生活支援施設のさつき寮などの子育て・子育ち施策などをさらに展開していく大切な時期になると考えております。また、中野区にとっても、国の財政や経済がどうなっていくかのわからない、少子・高齢化が進む中で日本の社会がどうなっていくかわからないという大変難しい時期でもあり、激変していく社会の変化や状況に応じて、将来にわたって安心して住み続けられるような中野をつくっていく大切な4年間になると考えております。
 そういった意味でも、中野区の将来を着実なものにしていただけるよう、私は今の区政についてあえて苦言を呈したいと思って、質問をしてまいります。
 初めに、施政方針説明についてお伺いをいたしますが、区長は、施政方針説明の中で、「昨年、ことしと中野区は大幅な税収の減少に見舞われ、この困難を乗り越えるためさまざまな改革を行い、区民、議会の理解と協力によって確保してきた基金の取り崩しなどによって予算を編成してきました。この非常事態ともいうべき状況はいつまで続くのか、現状では見通しが立っていません。そういった中でも、区民の暮らしを守る区政は持続させなければならず、限りある財源を着実に確保し、増加させる工夫をしながら自治体経営を行い、住民のサービスを持続可能な形で守り、発展させていきたい」と述べております。当面する財政非常事態への対応としては、「区が行う仕事について経常的な見直し・改善を行っている従来の経営サイクルの動きだけでなく、改めて真に必要な事業を絞り込み、最大限効率的に達成できるよう、区政の目標体系のあり方や仕事の進め方を全般的かつ大幅に見直す作業を行いたい」とも述べております。
 そこで、お伺いいたしますが、平成22年度の目標体系や第2次10か年計画での区政運営が始まったばかりでの見直し宣言は、どういった意図を持ったものなのでしょうか。また、見直しのイメージ・概要はどのようなものなのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 次に、経営本部体制についてです。
 区長は、今回3期目を迎えるに当たり、これまでの経営本部のあり方を見直すものとして、「3室に部長級の室長を新たに設置し、副区長については二人として、室の担当を外し、区長のスタッフとして補佐する役割を明確にし、各室のレベルではなく、区長の立場からの調整への関与に集中することで、副区長の機能もより効果的なものにしていきたい」と述べております。当初、この体制を導入するに当たり、二つの部長ポストを廃止し、副区長を3人置くことにし、計画・実践・点検・改善とうPDCAマネジメント・サイクルを使い、これにおける三つの機能を分担して担う仕組みであるとの説明がありました。
 そこで、お尋ねいたしますが、当初の仕組みは中野区の区政運営や組織活動にどのような変化をもたらし、どのような成果に結びついたのかをお聞かせください。また、今回の変更の根底にある当初の3人の副区長制の総括はどのようなものであったのか、具体的に示してください。さらに、この一連の組織体制の見直しは、今回が最後なのでしょうか。施政方針説明で述べられている「区が行う仕事について、経常的な見直し・改善を行っている従来の経営サイクルの動きだけでなく、改めて真に必要な事業を絞り込み、最大限効率的に達成できるよう、区政の目標体系のあり方や仕事の進め方を全般的かつ大幅に見直す作業を行いたい」とのことですが、さらに大きな組織改正を意図していると思いますが、いかがでしょうか。
 今回の定例会を前にして、大幅な人事異動は、仮に二人の副区長の退任が要因であったとしても、4月の人事異動からわずか2カ月半での大幅な人事異動です。よっぽどの目的・意図がなければなされないと思われますが、この必要性はどのようなものなのでしょうか。現在の中野区政における管理職を含めて職員の職務の兼務の多さは、組織体制、職員数、職員の能力開発などさまざまな問題に起因しているものと考えられます。組織体制によるものであれば、職員のオーバーワークをはじめとする精神的負担が問題となりますし、職員数であれば、2,000人体制のひずみとも考えられます。また、職員の能力であれば、人材育成にも問題があります。今回の大幅な人事異動が管理職の人材不足に起因するものであれば、今までの8年間、施策の推進に邁進するばかりで、人材育成には何もしていなかったことにもなります。区長の言う「区民の、区民による、区民のための区政」、区のサービスでは、「常に区民にとってよりよい評価を生み出すこととその持続可能性」、そして「将来の中野区民が中野に住んで本当によかったと思えるようなまちづくり」、これらを進めるためにも、この4年間は職員の人材育成にも多大なる力を注いでいただきたいと思います。明快な御答弁をお願いいたしまして、この項の質問を終わります。
 次に、区の組織についてです。
 3年余りの区民生活を通じまして、さまざまな角度から区政を見てまいりました。時には、議員目線では気がつかなかった事柄が、区民目線で見ると疑問を持つような事柄もたくさんございました。その一つに、組織の問題があります。現在の事業部制をはじめとする組織体制を導入するに当たっては、その意図や必要性などさまざま説明をしていただいておりますが、一区民であった私には、その組織は説明されたとおりの効果や成果を生んでいるのかどうか、ずっと気になってきたところでありました。その点を、自分の考えを整理するに当たり、何人かの同僚議員や区民と話をしたところ、組織のフラット化や意思決定過程の簡素化・迅速化が逆にマイナスになっているのではということでした。これは、同僚議員からの話でありますが、地元の商店街の役員を務めている方から、区の仕事の進め方で苦情を受けたそうです。内容は、商店街の補助事業ですが、事業を行い、実績報告も提出したのに、年度末近くになっても補助金はおろか補助金の確定通知書さえももらえず、商店街予算の会計処理が滞ってしまったとのことです。担当の係長に申し入れてもらちが明かず、大変困り、早々、担当副参事に確認してみると、副参事は詳しい状況を把握していない様子だったそうです。それというのも、補助金の交付については基準がなく、非定例的なものについては副参事や上の部長が関与するが、基準が定まっているか定例的なものについては、執行責任者という役割を持った係長が行うということです。苦情の一件は、その後、副参事が善処をしてくれて何とか解決をしたそうですが、ほかの商店街でも同じようなことがあり、区に対しても大変不信感を抱いたとのことでした。
 この執行責任者という役割は、統括管理者という役割と一緒に区長が進めた一連の組織改革のもので、組織のフラット化や意思決定過程の簡素化・迅速化をねらいとして導入したもので、ほかの区にない中野区独自の仕組みだと聞いております。しかし、残念ながら、こうした話を聞くところ、組織のフラット化による意思決定過程の簡素化・迅速化のねらいはうまく機能せず、逆にマイナスに作用しているのではないかと思いますが、区長の見解をお伺いいたします。
 次に、組織のフラット化によるチェック機能についてです。
 昨年の第4回定例会において、市川議員と佐野議員は、中野区の組織について、事業部制、組織のフラット化、経営本部体制という三つの切り口から質問されたそうです。その中で、「フラット化の実施に合わせて、事務執行や会計処理に関して、法規や財務規律に照らして誤りや逸脱がないか、予測される危機に備えているか等の点検・確認をする役目を持った職を廃止してしまったと伺いました。また、例えば事業に必要な物品の購入代金を支払おうとする際の手続に、支出命令というものがあるそうでありますが、この権限も係長におろされたと聞きました。ここ数年、監査委員の財務監査などでも、初歩的とも思われるミスや財務規律に照らして問題のある処理が行われているとの指摘をたびたび受けています。このことと組織の改変との関係に因果関係がないのか、大変に気になるところがあります」との市川議員の指摘に対して、区長は、「組織のフラット化が逆にそれぞれの職員を孤立させてしまって、また、経験が共有されないというようなことから、初歩的なミスが多発するのではないかと、確かにその傾向は否めない部分はあると思っています。そういう意味で、事業部制であるとか、個人の責任をもっと強く持ってもらうというような形にした場合には、事前にチェックをするということだけではなくて、事前のチェックはおのずと弱くなりますから、事後にチェックをして、間違ったものをきちんと正していけるようにする。会計などについては、特に事後の統制をもう少し強化する仕組みを今後つくっていきたいと思っているわけであります」と答えております。
 ここで答弁された「事後統制を強化する仕組み」というようなものは、その後考えているなら、どのようなものかを教えてください。最新の科学や技術の粋を集めた航空機なども、これを操る人間は必ず誤りを犯すという前提で、人間、すなわちパイロットを補うための装置があらかじめ組み込まれております。人が仕事をする組織を考える場合にも、人間は必ず誤りを犯すものだという前提で出発するべきではないかと思います。事前に誤りを見つければ、影響も小さく、必要な手当ても小さくて済むのに、事後に見つけて対処をするとなると、往々にして大きなエネルギーと時間を費やさなければならないものであります。区長のお考えは理解できますが、先ほど紹介した事例等からも明らかなとおり、改めて誤りをチェックする事前の仕組みを、フラット化の見直しを含めて強化・改善する必要があると思いますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 また、区長はさきの答弁で、「しっかり総括を行った上で、この次の時代に進めるべき新しい経営のあり方、こういったことについてもお示しできるようにしていきたい」と話されましたが、これらは既に行ったのか。また、議会や区民に対してその内容をお示しされたのか、お伺いをいたします。
 次に、組織の名称についてです。
 中野区では、事業部制の採用と同時に、「課」と「係」という組織の単位がなくなり、「分野」とか「担当」とかという名称が使われるようになりました。長年、「区民課」とか「福祉課」とか、どこの区役所・市役所へ行っても同じような呼び方をしているので、それぞれの仕事の内容もおおむね想像がついたものが、例えば、「戸籍住民分野」とか、「福祉推進分野」とか、初めて聞く名称が次々とつけられまして、区民サイドから見ると、わかりづらいものです。また、組織の長たる課長名についても、皆「副参事」となり、地域ではいまだに地域担当副参事が地域センター所長の部下であるかのような認識を持っている状態です。区役所の組織というものは、区民にとってわかりやすく、なじみ深いものであるということが必要であると思っております。この点について、区長の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 この4月から本庁舎1階でのフロアマネジャーの配置によるサービスは、なかなかの好評であると聞いております。大変に評価できるものですが、表示を見て、すぐ仕事内容がわかることも、おもてなしの重要な視点の一つかと思います。区長は、この点につき、どのようにお考えになっておられるのか、お答えをください。
 先日の日経新聞に「トヨタ「係長」を20年ぶりに復活」という記事が載っておりました。そのあらましは、他の企業と同じように、組織のフラット化を進める一環で「課」や「係」を廃止したが、リーマンショック後、戦後初の営業赤字を計上したほか、大量リコールを引き金に品質問題も浮上、社内でも事業の急拡大に人材育成のスピードが追いつかなかったとの声が相次ぎ、組織の見直しに着手しているそうです。日本企業は、十数年前から組織のフラット化を進めましが、若手社員がマネジメント経験を積む機会が減ったほか、人員削減もあって中間管理職が多忙となり、部下のケアが手薄になる問題も浮上しているというものでした。現在の中野区の組織に当てはめても、うなずけるところがあるように思いますが、区長はこの点につきましても、どのような感想をお持ちでしょうか。
 次に、保育園の待機児童の対策についてお伺いをいたします。
 民主党政権の目玉施策である子ども手当の支給が6月から始まり、中野区でも6月11日より支給がなされたとのことです。財源問題、支給要件などさまざまな問題はありますが、現在の景気状態では、子育て家庭にとっては慈雨の恵というべきものかもしれません。
 しかし、本来なら大変に喜ばれるものでありながら、子育ての現場では、お金よりも保育所不足の解消や小児医療の充実を求める声が、マスコミをはじめさまざまなところから聞かれます。また、多くの女性が就活ならぬ保活に奔走している現状もあります。事実、菅直人総理は、子ども手当の満額支給を断念して、保育サービスに財源を充てる意向を表明しておりました。特に、23区内の待機児童数は、各区ともここ数年大幅な待機児童解消に向けて定員増などの対策を進めてきたところですが、それ以上に入所申し込み者がふえ、今年度4月1日時点で4,700人に達したとのことです。待機児童数は、最も多い区で見ると、2008年と比べて2年間で2倍にまで膨らんでいる状況にあります。
 そこで、お伺いいたしますが、待機児童の状況は、中野区においても同様な傾向にあると思います。昨年の待機児童数は何人で、平成21年度中にどのような待機児対策を行い、結果として平成22年4月の待機児童数はどのくらいになったのかを教えてください。
 昨年7月15日の東京都の報道資料によりますと、平成21年4月1日までに保育サービスの定員を23区全体で3,238人ふやしたにもかかわらず、待機児童数が4,613人になったと言われております。一説には、待機児童対策は、対策を講じれば講ずるほど、潜在的需要数がふえると言われます。これは、定員増により求職を求める女性がふえるとか、景気の影響により家計を支えるための求職による保育ニーズとも言われております。中野区においては、こういった待機児童の増加についての要因とかの現状分析はどのように行って、どのように把握していらっしゃるのでしょうか。
 平成22年1月29日に政府で閣議決定されました子ども・子育てビジョンにおいては、保育ニーズの充実も視野に入れた保育所待機児童の解消を図るため、待機児の8割を占める現状24%の3歳児未満の保育サービス利用率を26年度までに35%に引き上げる目標を立てております。また、東京都の保育計画においては、保育サービスのニーズを就学前児童全体の44%とし、保育を必要とする人への保育サービスを質・量ともに充実することとして、保育サービス利用定員を今後5年間で3万5,000人程度ふやすとしています。こういったことを踏まえまして、中野区では来年度以降の区の保育ニーズをどのように分析し、多様な保育ニーズを据えた今後の需要をどのように解消していこうとお考えになっているのか、お答えください。
 区長は、施政方針説明で、必要な施策を確実に実施できる財源体質の構築や、行財政体質の見直しの強化など、財政の非常事態を述べられました。こういった状況では、待機児童対策としての保育園新設は大変難しいのも理解できます。しかし、待機児童の解消は、子どもを預け、働くことによる区民の経済状況の安定や生活の向上など、子育て・子育ち支援は別の観点からの区政が目指す区民福祉の向上にもつながるものと思われます。
 そこで、昨年の本会議で質問があったと伺っております桃丘小学校跡地にある保育園機能を活用することを、もう一度原点に立ち返って考えてみてはいかがでしょうか。桃丘小学校跡地は、10か年計画で文化・芸術の活動拠点ともなっておりますが、この待機児童解消は今どこの自治体でも子ども施策の大きな目玉になっています。駅ナカとは言いませんが、この利便性の高い駅チカの一時的な保育園をぜひ実現していただきたいと考えておりますが、区の見解をお答えください。
 最後に、保育士についてですが、新しい中野をつくる10か年計画の区立保育園の民営化が計画されています。この民営化は、現在職員2,000人体制における保育士の退職不補充とセットであると聞いております。これは、保育の需要増や保育園民営化の進捗状況のおくれが生じた場合、大きな問題が生じると思います。つまり、保育士の退職は待ったなしで進みますが、民営化が計画どおりに進まないとすると、保育士の退職不補充の現状では、保育士不足が見込まれます。まして、今後の保育の需要増が見込まれる中では、より現実的な問題でもあります。今後の保育の需要増や保育園民営化の進捗状況を踏まえ、区立保育園の保育士を含めた運営をどのように進めるのか、教えてください。
 その他の項で何点かお伺いをいたします。
 第1点目として、警察大学校跡地の中央中学校南側の公務員宿舎建設についてお伺いをいたします。
 昨年秋の国の事業仕分けを受けて、公務員宿舎建設等については凍結をした上で、関係省庁間における検討結果を待つことになっているそうです。この動きを受けて、昨年の第4回定例会の一般質問で、我が会派の山崎議員が「警大跡地の公務員宿舎の整備方針が変更されるようなことがあれば、統合新校の教育環境をさらによいものとするために、区は改めて宿舎用地の取得を目指すべきではないか」と区の積極的な取り組みを求める質問をされておりました。これに対して、区長は「用地取得を含め、より望ましいスペースの確保につながる検討や、関係省庁に対する働きかけなどを積極的に行ってまいりたい」と答えられたと伺っております。さらに、本年第1回定例会において、中野区議会として中野四丁目国家公務員宿舎の建設計画中断中の土地の無償貸与を求める意見書を議決し、関係省庁に提出したとのことであります。区は、その後、国へどのような働きかけをし、そのことに対して国は現時点でどのような見解を示されていらっしゃるのでしょうか。今後、警察大学校跡地の公務員宿舎建設の中止が正式に発表された場合には、区はどのように対応されるのでしょうか。今年度は、統合新校の基本設計も進められます。より望ましい教育環境を実現していくために、今から方針を明確にしておくべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えをお願いいたします。
 その他の項で、もう一つお伺いをさせていただきます。
 3月20日の区報に、区民意識調査の結果が掲載をされておりました。生活に対する満足度、仕事をしている目的、生活の安全、施策への要望などの調査の中で、今後力を入れてもらいたい施策について5項目を挙げております。5年間、上位5項目の推移を見ると、今回1位になった「防犯」は、2006年、2007年でも1位となっております。一方、3位までに必ず入っていた「防災」が、今回は5位という結果になっております。この結果を区としてはどのように受けとめているのか、まず確認をさせていただきます。私は、「防災」より「防犯」が上位になったのは、区報にも書かれておりましたが、区民の皆さんが日ごろの生活の中で不安を感じていることが多いということだと思います。現在、区では、防犯に対してどのような対策をされているのか、確認のために教えてください。
 区民が思っている、区が取り組むべき最も重要な防犯対策として、1、防犯パトロールカーによる区内巡回、2、地域や警察との連携の強化、3、施設・設備の整備など防犯に強い環境づくりとなっております。「調査の結果は、今後の区政運営の資料として活用していきます」と記載されておりますが、この結果を踏まえて、現在どのようなことを検討されていらっしゃるのでしょうか。
 また、区報の表現の中で、「資料として活用していきます」という意味はどういうことなのでしょうか、教えてください。
 私も、地域の皆さんとパトロールをしていると、危険だなと思う箇所が幾つもあります。街灯が暗かったり、あったほうがよいと思うところになかったり、パトロールカーがいつ巡回しているのかということすら知らない方たちが多いのにも驚きました。区民の皆さんは、自分の住んでいるところは安全だと思ってはいても、いつ、どこで、何が起きるかはわかりません。区長は、安全で安心なまち、先ほども言いましたけれども、「区民が中野に住んで本当によかったと思えるようなまちづくりを進めるために区政運営に取り組んでまいります」と述べていらっしゃいます。防犯の取り組みは最重要課題であると思います。早急に取り組み、区民に対応をお知らせするべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問は終わります。3年間のブランクで知識もたくさん不足している状況でございますが、どうかわかりやすい御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 御静聴ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 高橋議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、当面する財政非常事態への対応についての御質問であります。10か年計画、始まったばかりでの見直し宣言といったことについて、どういう意図を持っているのかというようなことであります。
 景気の回復や税収の大幅な増収が見込まれないなど、今後の区政経営は大変厳しいものになると、このように考えております。地域社会のビジョンとその到達への道筋であります新しい中野をつくる10か年計画を最も効果的・効率的に進展させるためには、中野区の財政力の身の丈に合った形で区政全体の再検討を行う必要がある、こう考えております。そのため、区政の目標体系の再構築と事業の絞り込み、それに連動する組織のあり方や連携強化について見直しを行って、この財政の非常事態に対応していきたい、こう考えております。
 副区長3人制の評価と今後の組織体制についての御質問がありました。
 特別職である副区長が3室を担任したことによりまして、事業部に対するより強いリーダーシップが発揮されて、区政全体のPDCAサイクルを推進して、経営本部と事業部による区政経営の仕組み、こうした形が確かなものになってきたと、このように考えております。この成果をもとにして、3室に室長を置いて、実務レベルの連携調整を担わせる。さらに、副区長については、区長の立場からの調整への関与に集中させるということで、副区長の機能もより効果的なものにしていく。このようなことを考えております。大きな見直しを行っていくといったようなことの中では、現場レベルでのきめ細かな調整というものも必要になってまいりますので、今回のような体制が必要というふうにも言えると思っております。
 それから、目標体系のあり方や仕事の進め方を見直せば、おのずと組織のあり方についても一定の修正が必要となると、こう考えております。しかし、組織編成の大きな考え方そのものについてまで改正を意図しているということではありません。
 それから、経営本部体制のあり方に関連をして、4月の人事異動からわずか2カ月半での大幅な人事異動ということだったんだけれども、必要性など、どういうことかといったことであります。
 政策室、経営室及び管理会計室の各室に室長を配置することといたしました。これに伴って、かなりの規模の異動が生じたわけであります。3期目の私の区政の始まりに当たって、経営層に大幅な異動が出たことになりますけれども、人心を一新して、新たな気持ちで仕事に取り組んでいきたいと、こうも考えております。
 また、兼務の問題、人材育成の問題についての御質問もありました。
 区の仕事をする上で、目指す目標に合わせて予算や人を配置しているのが「分野」というふうに呼んでおります。目標によっては、業務量自体は多くない分野もあります。そういった中で、目標が共通する面の多い分野について兼務としているわけでありまして、管理職が不足しているから兼務をしているというわけではありません。
 また、これまでの8年間においては、目標と成果による管理によりまして、職員の育成についても各部ごとに策定した人材育成計画に基づいた、職務に応じたきめ細かな人材育成をはじめといたしまして、コンビテンシーモデルによる自己点検やキャリアデザインの設計などの取り組みを進めてきたところであります。これからの4年間でこれらの取り組みをさらに定着・発展をさせながら、自律的に職責を果たしていける職員を育成するとともに、より効率的で効果的な組織づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 組織のフラット化が逆にマイナスに作用しているんではないかという御質問もありました。
 目標と成果による管理の仕組みを構築する中で、組織のフラット化を行ってまいりました。目標と成果による管理のもとでは、執行責任者は統括管理者の分野の目標設定と管理のもと、一定の施策の業務執行に責任を持ち、その目標の実現に向けて職務を遂行することとしております。このことによって、従来に比べて決裁などの事務処理がより早く行われるようになり、区民サービスの向上にもつながるなど、組織のフラット化には一定の効果があらわれていると、こう考えております。
 執行責任者と統括管理者、また執行責任者相互の間で情報共有や意思疎通が円滑に行われないといったような場合に、職務上のミスなどが見られることもあって、事業の執行に当たっては、組織的な連携を十分にとりながら、適切な進行管理ができるように、さらなる業務改善や職員の育成に努めていきたいと考えているところであります。
 この数年、初歩的とも思われるミスや財務規律などの問題があったと、事後の統制という考え方でいいのかと、こういった御質問がありました。
 公会計改革の考え方の中で、財務規律を的確に確保する仕組みをつくる、そう考えているわけであります。管理会計室が中心となって財務会計行動の管理を行う仕組みを全庁的に構築するべく、検討を行っております。今後、そうした仕組みを機能させて、財務会計行動についての事後のチェックだけではなく、各分野における進行中の事業の執行についても適切に管理をしていきたいと考えております。
 それから、組織の名称についての御質問がありました。
 組織のあり方につきましては、多くの民間企業、官公庁などにおいても、時代の変化とともにさまざまな考え方や試みが導入をされているところであります。官公庁というか、他の区などにおきましても、「課」という名称はあったとしても、かつてのような伝統的な課名、そういうもので、そこで行われている業務がスムーズに理解できるかというと、そうでもないというのが現状であります。つまり、時代の変化とともに職務が多様化したり、さまざまな変化をしているからであります。
 そうした意味で、担当の窓口、あるいは担当者がどういう仕事をしているのか、そういったようなことをきちんとわかりやすくしていくということが第一だと、こんなふうに考えております。
 中野区におきましては、目標と成果による管理という考え方を導入をいたしておりまして、「課」という組織を廃止しているわけですから、「課長」という名称は用いていないわけであります。こうした区の経営の考え方に沿った上で、区の担当名や役職の名称などについては、区民にとってわかりやすく、親しみやすいものとなるよう心がけてきたつもりではありますけれども、今後ともそのような取り組みを進めていきたい、こう思っております。
 保育園の待機児童対策についての御質問でありました。
 平成21年4月に190人の待機が発生したことに対し、平成21年度中に区立保育園の民営化による定員増、それから認証保育所の新設、家庭福祉員の増、区立幼稚園の認定こども園化等によりまして、330人の保育所の定員増を行いました。しかしながら、これを上回る申し込み者の増加があったため、結果として、平成22年4月には136人の待機が起きました。長引く景気の低迷によって、母親等の就労意向が高まって、ゼロ歳から2歳の低年齢児の保育需要が急増しているという面があると考えております。また、育児休業制度の浸透によって、働き続けられる人がふえてきた。このことも保育需要の増加の原因の一つと考えております。
 来年度以降のニーズについてであります。平成22年度当初と平成21年度当初を比べたときに、人口に対する保育園入園を希望するお子さんの割合は、ゼロ歳児から2歳児においてやはり増加傾向にあります。こうしたことを踏まえますと、現在、在宅で3歳未満児を保育している母親の就労希望は、依然として高いということが推測をされるわけでありまして、来年度以降も低年齢児を中心とした保育園申し込み者数の増加の可能性があると認識をしております。
 区といたしましては、区立保育園の建てかえ・民営化による定員の拡大、認証保育所の新規開設支援、家庭福祉員事業の拡大、幼稚園の預かり保育の推進など多様な方法を組み合わせて、可能なことから順次取り組んで、将来のニーズも踏まえた対策を実行していきたいと考えております。
 旧桃丘小学校の跡地を活用して、一時的な保育園をつくることはできないかと、こういうことであります。
 旧桃が丘保育園の民営化のために、旧桃丘小学校の跡施設に仮設保育園を整備して、平成20年度に1年間使用をいたしました。保育の需要というのは、長い目で見て増加の傾向があるということが予測されるというふうに考えているわけでありまして、一時的な保育園の増設というのが、一時ではなかなか済まない。計画的に保育に対するニーズ全体にこたえていくといった施策が必要であると、このようにも考えております。したがいまして、この一時的に、暫定的に保育園をふやすと、こういったやり方というのは効果が限定的なのではないかと、このように考えております。
 桃丘小学校の跡地については、新しい中野をつくる10か年計画において、新しい世代の表現活動の拠点や、これと関連した産業関連施設として活用することを検討しているところでありまして、今後、一時的な活用については考えておりません。
 それから、2,000人体制と、それから今後の保育所運営についての御質問がありました。
 職員2,000人体制の構築に向けて、区立保育園におきます保育士については、民営化による職員の削減数と退職者数とのバランスをとり、計画的に職員数の削減を行ってきたところであります。保育所運営に当たっては、今後の保育ニーズを十分に踏まえ、民間活力を最大限に活用して、保育需要の増加に対応しながら、2,000人体制に向けて努力をしていきたいと考えております。
 それから、警察大学校等跡地の国家公務員宿舎の用地についての御質問であります。
 この用地に関連をいたしまして、関東財務局の担当にも問い合わせもいたしたところでありますけれども、国有地を学校用地として無償貸与するというのは、国有財産法の規定などから見て、難しいと判断せざるを得ないと考えるに至っております。また、事業仕分けの結果に基づく国家公務員宿舎全般のあり方について、本年夏を目途に明らかにする予定ということでありました。このため、国において警察大学校等跡地地区の国家公務員宿舎計画について見直しが行われた場合には、区といたしましては、この用地を公園拡張用地として取得をして、その学校に隣接をする公園でありますので、そういった利用の仕方の工夫なども含めて、統合新中学校の教育環境にも配慮しながら、整備・活用をしていきたいと考えております。今後、この方針に基づいて関係機関に所要の働きかけを行っていきたいと考えております。
 私から以上であります。
     〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 私からは、その他の項で、防犯対策についてお答えをいたします。
 初めに、区民意識調査結果の受けとめでございます。
 御紹介のありました区民意識調査の中では、防犯に関する質問の項でも、日ごろの生活の中で犯罪などに対して不安を感じている人が3割に及ぶという結果が出ております。日常生活における安全への意識が高いことを、改めて認識したところでございます。
 次に、区が現在行っている防犯対策でございます。
 区では、地域における安全で安心な暮らしを支えるため、警察などの関係機関や地域の防犯活動団体の皆様と連携をして、次のような取り組みをしております。一つには、子どもの安全を守り、地域における犯罪を抑止するための防犯パトロールカーによる巡回。また、自主的な防犯パトロール活動を行う団体に対する資機材の支給。活動時の事故等を補償するための保険料の助成。また、町会や自治会、商店会等の地域団体、防犯協会が実施する防犯カメラの設置に対する助成。このほか、ひったくり防止や振り込め詐欺防止、落書き消去などの防犯キャンペーンの実施でありますとか、小学校PTA連合会がなさっています「子ども110番の家」事業への支援等も行っているところでございます。
 次に、調査結果を受けとめての検討とこの調査の生かし方でございますが、現在、区では自主的な防犯パトロール活動に対する資機材の提供や保険料を助成する制度を通じまして、区民による防犯活動がさらに広まるよう支援・推進に努めているところでございます。また、地域における防犯カメラ等の設置推進に向けても、さらに検討を進めているところでございます。
 この区民意識調査は、社会状況や地域の実情など、区の政策に関して区民の意識を把握する機会と位置付けております。調査結果につきましては、現在の施策において改善すべき点を検証したり、今後推進すべき施策を考えていく上で有効に活用しているところでございます。
 最後に、今後の取り組みと区民の皆様へのお知らせでございます。
 防犯に関する取り組みは、区民の安全で安心な暮らしを守るための重要な課題と認識をしておりまして、区民の防犯活動団体の積極的な協力を得ながら、先ほど申し上げましたさまざまな対策を、警察等関係機関と連携をいたしまして、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 また、その取り組みの内容につきましては、区報やホームページによるPR、地域防犯団体との意見交換などさまざまな機会を生かしまして、区民の皆様にお知らせをしていきたいと考えております。
 以上でございます。
     〔[2]高橋ちあき議員登壇
○32番(高橋ちあき) 再質問はしない予定でおりましたけれども、大変区長には申しわけないと思いましたけれども、区長をサポートしていきますというようなお約束をした私でございますので、1点だけお願いしたいことがございます。
 役所の中の名称でありますけれども、こだわらなくてもいいような名称かもしれませんけれども、やはり区民にとっては、区役所の中はわかりやすい場所でなくてはいけないと考えております。そして、区長のお考えも十分理解できるところはたくさんございますけれども、おもてなしの一環だけではなくて、「副」という言葉がついただけで意識が違ったりすることもあるかと思います。職員の皆さんが課長であっても「副参事」という不思議な名称でどうやって受けとめていらっしゃるかとか、そういうことも私は大切なことではないかと思います。区民だけではなくて、区役所の中の職員の皆さんにとっても、やはり名称はすべてにわかりやすい名称であるべきだというふうに感じ取っている現状でございますので、いま一度わかりやすい方向でお考えをしていただければと思います。
 また、意識調査においても、こういうことに対しても調査していただるとありがたいかなというふうに感じました。
 以上2点、よろしくお願いいたします。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 「課」という組織体をなくしていますので、課の長というものがいないという、これはもう私はしようがないことかなと、こういうふうに思っております。
 しかし、おっしゃるように、区民の皆さんがどういうふうにお感じになるかとか、どういうふうに御説明すること、あるいはどういう呼称にしていくことが、組織の実態をよく区民に理解していただけるかといったようなことについては、やはり十分に、常に検証しながら、よりよいあり方を考えていく必要があるだろうと、こう思っております。
○議長(伊藤正信) 以上で高橋ちあき議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 飯 島 謹 一
 1 区長の施政方針説明について
  (1)これからの区政運営の基本姿勢について
  (2)当面する財政非常事態への対応について
  (3)第2次10か年計画の推進について
  (4)新しい行政の姿と組織の改変について
 2 公会計改革について
  (1)導入モデルについて
  (2)財務会計システム導入と今後の工程表について
 3 学校教育の諸課題について
  (1)特別支援教育の現状認識について
  (2)新学習指導要領の完全実施に向けた取り組みについて
  (3)その他
 4 まちづくりについて
  (1)まちづくり条例の制定について
  (2)拠点まちづくりについて
  (3)区役所・サンプラザ地区再整備について
  (4)その他
 5 その他

○議長(伊藤正信) 次に、飯島謹一議員。
      〔飯島謹一議員登壇〕
○38番(飯島謹一) 平成22年第2回定例会にあたり、公明党の立場から、区長並びに理事者に質問いたします。
 まず、田中区長の3回目の当選にお祝い申し上げます。区民にとって最善の選択になるよう、区政運営に万全を期していただきたいと思います。
 また、新たに二人の同僚議員をお迎えしました。よろしくお願いを申し上げます。
 質問に入ります。
 施政方針説明のこれからの区政運営の基本について、であります。
 区長は、「安心して住み続け、自分たちの未来を展望することができる将来の中野区に向けて基盤をつくり上げるために、これまでの自治体経営改革をさらに推進する」と述べました。
 そこで伺います。これまでの自治体経営改革とは何か、具体的にお答えください。そして、さらに推進するためにどのような手だてをお考えなのか、伺います。
 第2次10か年計画を着実に推進させていくことが4年間の区政運営の基本であるとされましたが、それが可能であるための条件はどのようなものか、伺います。
 次に、当面する財政非常事態への対応について、であります。
 「必要な施策を着実に実施するため、さらなる行財政体質の見直し強化が当面優先して取り組むべき重要課題である」との認識は、そのとおりであります。具体的な見直すべき行財政体質について、区長の御見解を伺います。
 この見直しの進め方については、「真に必要な事業を絞り込み、最大限効率的に達成できるよう、区政の目標体系のあり方や仕事の進め方を全般的かつ大幅に見直す作業を行いたい」としています。これは、まさに行政における選択と集中の問題であると思われます。しかし、区政の目標体系と区政の目標体系のあり方とでは、どのような違いがあるのか。また、それを全般的かつ大幅に見直すことの意味は明確ではありません。政策分野の重点化には、選択と集中は必要です。しかし、個別の事業レベルでは、選択と集中がニーズの切り捨てにつながる可能性が高く、むしろ選択と調整の機能の発揮が求められるのではないでしょうか。セーフティネットや社会の公平性に十分配慮しながら、これまでよりも一層効率的で小さな区役所を目指して、真に必要なサービスを持続可能な形で提供し、区民の暮らしを守るという区長の決意を実現するために必要なことについての区長のお考えをお聞かせください。
 また、この作業の時期については、「来年度の予算編成の前段階で、今年度の行政評価の結果も踏まえ」とされましたが、時期について、いつごろと具体的にお示しください。その際には、区民・議会の意見も聞くとされていますが、議会の意見を聞くその手法と時期についてもお答えください。
 次に、第2次10か年計画の推進について伺います。
 区長は、第2次10か年計画を区政の基軸と位置付けられました。それでは、第1次10か年計画は何だったのでありましょうか。ここで区政の基軸と位置付けた理由を伺います。
 区長は、みずからの任期の4年間を第2次10か年計画の第1ステップと第2ステップに当たるとした上で、四つの戦略を財政状況に配慮しながら、着実に進めていくとされています。第2次10か年計画によれば、ステップ1、ステップ2の期間、基金からの繰入額は342億円、一方、積立額は161億円、差し引き181億円の基金額の減少になります。減債基金の分を除くと、繰入額が262億円、積立額が60億円、差し引き202億円の基金の減となります。一方、用地特別会計を含む特別区債の起債残高は、ステップ2で582億円、これに土地開発公社の金融機関からの借り入れ残高を加えると688億円、平成20年度決算の一般財源総額に迫る額でございます。区長は、これからの4年間について、新しい区政の基盤をつくり上げる時期との認識も示されました。であるならば、ステップ3以降の財政運営についても持続可能な道筋をつけておくこともまた、区政の基軸であると思いますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。
 このために、第2次10か年計画の財政フレームを独立させて、計画事業の実施による後年度の経常経費も算定した、計画と予算をつなぐ5年間の中期財政計画を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、後年度経常経費の概算がわかれば、お聞かせください。
 次に、中野駅周辺のにぎわいの創出について、2点伺います。
 第1は、区長が中野区の強みと位置付けるお笑いやアニメ文化などについて、これまでどう生かし、これからどう生かしていくとお考えなのか。施策レベルの問題としてお尋ねいたします。
 第2は、中野駅周辺を東京の新たな活動拠点とするのであれば、誘致事業者などと組んで、駅周辺にブリッド型の公衆無線LANを整備し、最近評判のモバイル電子端末がどこの地域よりも快適に無料で安心して使えるようにすることや、若者の表現・文化活動も取り込んだ文化発信源としてのにぎわいをいうのであれば、この際、ネットにおける地域FM放送の開始とユーストリームのサテライトスタジオを警察大学校等跡地内の施設に整備してはと思いますが、お考えを伺います。
 なお、東京警察病院も開発者として対象となるべき開発者協力金の基金積み立てについては、現在の状況をお聞かせください。
 オンデマンド交通の導入が進展を見ていません。これについて、障害者福祉会館送迎バスの多目的利用の展開について、本格的に問題解決の取り組みを開始すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 なお、公園整備事業で、(仮称)本町二丁目公園が挙げられておりませんでした。この本町二丁目公園が抜けているのはいかなる理由か、お尋ねいたします。
 区長は、「健診を健康の自己管理の契機として、健診結果に応じて生活指導を充実して、区民みずからが行う健康の自己管理を支援し、特に、総合的な健康悪化の原因となる糖尿病に対しては予防対策を強力に推進してまいります」と述べています。大事なことであると思います。
 しかし、かつて中野区は、平成13年度から19年度まで、生活習慣改善指導事業として、糖尿病を対象に生活改善等の個別指導を行ってきました。それが特定保健指導事業が新規実施されることに伴って、事業が廃止された経緯があります。糖尿病について特段に取り上げるということは、特定保健指導事業の枠を超えた事業の設計をするということなのでしょうか、伺います。
 最近、ある会合で、医師会の方と話す機会がありました。中野区のがんクーポン継続の事業について高い評価をしておられました。健康の問題では、がん対策は外すことができない課題です。最近、国は、がん対策基本計画に係る中間報告を発表いたしました。また、総合雑誌では、全国の市区別がん死亡格差のデータによる地域格差などの記事が出て話題になっていたりしますが、がん対策のポイントはがん登録の推進であるとの指摘があります。がん登録の取り組みについて、お考えを伺います。
 今後、東京圏にとって最も厳しい問題になると予測されているのが、急速に進む高齢社会への対応です。高齢者関係施設の不足と財源問題に直面することが指摘をされております。もちろん、中野区も例外ではありません。この点について、小規模多機能型居宅介護施設やグループホームの整備についてだけでは、いささか心細い感じがするのは私だけではないと思います。本気で小規模多機能型居宅介護施設の充実で乗り切るということであれば、事業者が継続して事業を実施できる支援策を、現行の制度設計の不備を補うために組み上げることが必要です。いわゆる中野方式と言われるような横出し・上乗せの支援策を検討すべきです。区長の御見解を伺います。
 私は、これに加えて、単身世帯が増え続け、全体で6割を超える中野区では、高齢者の住宅について新たな視点で検討することが必要だと思います。優良老人ホームに該当し得るサービスを行うものをはじめ、幾つものパターンのある高齢者専用賃貸住宅制度に、それ以外の世代を加えたオプションを開発するなど、安全で安心のまちづくりにつながる住宅制度を検討すべきです。お考えを伺います。
 この項の最後に、新しい行政の姿と組織の改変について伺います。
 区長は、区民の利便性の向上は、行政が何よりも優先して取り組まなければならない課題としています。最近のコンビニでの住民票等の発行は、単にコンビニ利用という次元ではなく、365日24時間の区民サービスの実現が図られる画期的なもので、コンビニのキヨスク端末を利用することから、インフラから運用まで、民間の力で行われることになります。住民の通勤・通学など、生活圏が区内だけではなく、広範囲にわたる区民のニーズをカバーする上でも有効であります。また、経費や管理にかかわる負担も軽減されるメリットもあります。住基カードの普及が進むことも考えられます。
 10か年計画の第2ステップの内容は、設置可能な区施設にコンビニを設置することで実現が可能です。行政と民間のコラボレーションの新たな展開でもあります。渋谷区に続いて、中野区も手を挙げるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 組織は、経営室、政策室、管理会計室に部長級の室長を設置、副区長は3名から2名として、区長をスタッフとして補佐する役割を明確にしました。結構なことであると思います。3室の所管については、予算と政策、そして人事は権限を分散させ、お互いに牽制機能の働きを効果的にすることが必要ではないかと考えます。加えて、最近の事務処理状況を見るとき、早急に内部統制のシステムを構築し、運営することが求められると思います。特命随意契約が存在している以上、財務と会計管理者及び契約をも含む内部統制のシステムをつくり、機能させていくことが不可欠であります。この点の区長の御見解を伺い、次の項の質問に移ります。
 次に、公会計改革について伺います。
 財務会計システムの導入にかかわる予算計上が本年度は見送られ、公会計改革は足踏み状態に陥っているというのが偽らざる現状と思われます。
 第2次10か年計画でも、ステップ1で発生主義会計に基づく公会計管理の開始、資産台帳の整備が挙げられていますが、中野区の公会計改革の基本指針に示された公会計改革スケジュールによれば、平成21年度には財務監理体制が確立され、年次報告書が作成され、事務改善要綱が実施されていたはずでしたが、いずれも実現されていません。特に、システム整備等のスケジュールについては、平成20年度から平成22年度までに、1、資産の評価等の取り扱い要綱の作成、2、システム整備のための構想企画書の作成、3、道路管理システムの構想の検討、4、財務会計システム等の設計開発、5、道路管理システムの構想企画書の作成、6、財務管理システム等の開発・導入準備、7、道路管理システムの開発を行い、平成23年度に複式簿記・発生主義会計の導入となっています。
 そこで伺います。これらのスケジュールはどこまで行われたのでしょうか。現状では、基準モデルによる平成23年度の複式簿記・発生主義会計の導入は難しいように感じますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。
 そこで、改めて伺います。区長の任期中に基準モデルによる複式簿記・発生主義会計は導入されるのでしょうか。そして、それはいつなのでしょうか。基本方針を読む限りでは、当初導入するのは基準モデルであったかと思いますけれども、現状では、当初導入は総務省方式改訂モデルとするのが現実的と思いますが、いかがでしょうか。
 また、基本方針では、国が財務4表としていたものを中野区は行政コスト計算書と純資産変動計算書を合わせたものにして、3表案でした。しかし、私はこれについても本来の4表に戻すべきだと思っています。
 また、連結財務諸表の作成ですが、現在の連結範囲はどこまででしょうか。一般会計以外には、連結されている事業会計の単体の財務書類は貸借対照表だけですが、その他の単体の財務書類をつくらずに連結財務書類を作成しているということなのでしょうか。実情をお聞かせください。
 「公会計に関するブロック説明会及び公会計の整備スケジュールについて」との総務省の事務連絡や、総務省自治局長の「公会計の整備推進について」という通知からも時間の余裕はないと思います。また、通知別紙の財務書類のわかりやすい公表に当たって留意すべき事項の3、財務書類の説明・分析のあり方で、「地方公共団体の健全化判断比率についても、将来負担比率の算定について、連結貸借対照表の注記等を活用し、貸借対照表に示される数値も引用しながら説明することが望ましい」、「実質赤字比率、連結実質赤字比率及び実質公債費比率の算定について、資金収支計算書、または連結資金収支計算書に示される数値も引用しながら説明することが望ましい」とあるように、自治体財政健全化法と公会計制度改革の関係を意識することが求められております。発生主義会計導入の工程表について、区長から明解にお答えをいただくことを求め、次の質問に移ります。
 次に、学校教育の諸課題について伺います。
 区長も施政方針説明の中で、「次代を担う世代の基礎学力の低下も懸念されています。少人数指導や習熟度別指導などを推進するとともに、みずから学び・考える学力を養うための発展的学習を充実していくことで、子どもの可能性を伸ばしてまいります」と語っておられます。
 そこで、発展的学習の充実とは、いかなる意味であるのか、お考えを伺いたいと思います。
 子どもの可能性を伸ばすという側面も持つと思われる特別支援教育について、基本的なことを確認しておきたいと思います。
 通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童・生徒に関する全国実態調査が行われたのが平成14年2月から3月。今日、教育現場では、特別支援教育が進められています。当初の調査では、学習面か行動面で著しい困難を示す児童・生徒の割合は、全国で6.3%、東京都では4.4%とされました。中野区の実態はどうでしょう。最近、小・中学校の先生方と話した際に、全国レベルの6%台なのか、それよりも多いのではないかと思われることが多々ありました。特別支援教育の充実のためにも、一度中野区の実態について調査をする必要はないのでしょうか。教育委員会の実態についての認識と調査について、お考えを伺います。
 次に、新学習指導要領の完全実施に向けた取り組みについて伺います。
 平成23年度までに準備に要する経費は、小学校・中学校のそれぞれで総額はどれくらいになると見積もっているのでしょうか、伺います。平成21年度はおよそ6,700万円、平成22年度は6,000万円余の予算が組まれております。23年度の必要額は、実績次第でありますけれども、およその見通しを伺います。
 次に、少人数指導の課題について伺います。
 習熟度別の分割、実施教科は、小学校では算数と一部に理科、中学校では数学、英語がほとんどです。成果が出るには、より少人数の指導と学習が進んでいる児童・生徒への対応も必要とされています。現実的には、土曜日の活用についての正規の対応を図ることや、教職課程をとっている学生や地域の教育力の活用などで予算措置をするなど、教育委員会としても決意と工夫をすることが必要と思いますが、御見解を伺います。
 この項の最後に、教育委員会に施設課を復活することについて提案いたします。
 耐震改修を除いても、学校には改善をしなければならない施設的な課題があります。教育環境の整備として、学校施設の改善は不可欠です。使い勝手のよい施設整備のため、また、費用に見合う効果を上げるためにも、教育委員会に施設課を再設置すべきと考えますが、お考えを伺い、この項の質問を終わります。
 次に、まちづくりについて伺います。
 私は、かねてより(仮称)中野区まちづくり条例の制定を提案してきました。これまで区長・理事者の答弁では、平成21年度中には策定されていたはずでしたが、既に22年度になっています。まちづくり条例は、策定するのでしょうか。策定するとすれば、いつまでに策定するのか、明確にお答えください。
 また、条例の性格ですが、都市計画的内容に純化した条例とするのか、それとも福祉のまちづくりなどを含む総合的なまちづくり条例とするのか、基本コンセプトについてはどのようにお考えでいるのか、お答えください。
 次に、拠点まちづくりについて伺います。
 地域交流まちづくり拠点として、鍋横地域のまちづくりの検討を進めることを提案いたします。現在、駐車場として利用している消防署跡地用地で、定期借地権を利用して鍋横地域センターを建てかえ、人の流れをつくり出し、地域交流拠点としての整備・充実を目指すべきだと考えます。中野駅周辺の広域中心拠点とのネットワークを明確に意識した負けないまちづくりにより、サブカルチャーを取り込んだ地域活性化を進めることが可能になると思います。お考えを伺います。
 次に、区役所・サンプラザ地区の再整備については、今後どのような事業の枠組みで実施することを考えているのか、工程表と再整備のコンセプトについて伺います。再整備の費用だけでなく、ファイナンスについてのリスクも最小限度となるか、うまくいけば負わずに済む事業のスキームを組み立てることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、土地の有効利用について、10か年計画の記述があります。国や東京都と連携を図りながら、土地利用のあり方や用途地域などの都市計画の見直しに取り組むというものですが、具体的にはどのようなことを想定しているのでしょうか。
 また、地域主権戦略会議の大綱案についての閣議決定について、区長会として今後どのような働きかけをしていくつもりか伺い、私のすべての質問を終わります。
 的確で明確なお答えを期待し、また、皆様の静聴に心から感謝いたします。ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 飯島議員の御質問にお答えをいたします。
 自治体経営改革と行財政体質の見直しに関連しての御質問であります。
 自治体経営改革とは、目標と成果による区政運営という考え方に基づいて、区の予算・組織・執行体制のあり方などを大幅に組み替え、区政の中にPDCAサイクルを確立したこと、また、そうした考え方を自治基本条例に盛り込んで、計画的で持続可能な区政の運営基盤を確立した、そうしたことを指して言っているところであります。
 10か年計画を着実に進展させていくためには、安定的な行財政運営を行うことのできる財政基盤の構築が重要であると、このように考えております。
 経営改革を進めてくる中でも、区政運営の現場などでは、さまざまな課題も出てきております。ここ数年のように、大幅な歳入減少による財政の非常事態にもなっております。こうしたことに対応できるように、公会計改革の成果を区の予算編成のプロセスで有効に生かしていくためのアニュアルレポートの作成とその活用の仕組み、また、会計の執行過程への監理の仕組みを導入すること、さらに、財政力を勘案した、身の丈に合った目標体系の見直しを行うなど、さまざまな面での経営改革をさらに進めてまいります。
 目標体系の見直しの関連についてであります。
 10か年計画で掲げております区政目標を大きく見直すという必要はないと考えております。しかしながら、現在の目標体系の中で、細分化された目標や政策について整理・統合や考え方を整理する中で、全体としての目標を損なうことなく、区政全体をスリム化する方策が必要であると、こう考えております。
 こうした中でも、やはり区民のセーフティネットを保っていくためには不可欠な仕事をこれからも着実に推進していくことが必要であります。全体的な整合性に配慮をしながら、事業の選択にも踏み込んでまいりたいと、このように考えております。
 見直しの時期・手法等についてであります。
 目標体系の見直しの方針案は、行政評価結果や各部の事業改善方針案を踏まえ、9月初旬には策定したいと考えております。目標体系の見直しや事務改善案の策定は、各部の事業改善方針の取り組みと23年度予算の編成の中で検討し、11月には来年度予算の主な取り組み事項とあわせて議会に報告をし、区民に公表もしたいと考えております。区民から直接意見を伺うことについては、意見交換会や対話集会などの機会をとらえて実施をしていきたいと考えております。
 第2次10か年計画が区政の基軸であるとするなら、第1次の10か年計画は何であったのかと、こういった御質問もありました。新しい中野をつくる10か年計画、これは当初から基本構想が掲げる中野のまちの将来像を実現するために策定したものでありまして、区政運営の基軸であると認識をしてきたところであります。
 ステップ3以降の財政運営の道筋についてであります。
 第2次10か年計画の第4章では、持続可能な行財政運営の基本方針として、10年間の財政フレームをお示ししたところであります。このため、第2次10か年計画のスタートに当たり、これまで行ってきた経常的な見直しや事務改善だけではなく、区政の目標体系のあり方や仕事の進め方を全般的かつ大幅に見直す作業を行って、強固で持続可能な財政基盤を確立したいと考えております。
 中期財政フレームについてであります。
 第2次10か年計画には、10カ年の財政フレームと行財政運営の基本方針についてお示しをしたところであります。財政フレームについては、これまでどおり財政運営の考え方の中で、進捗状況も踏まえ、毎年の経済状況も反映し、時点修正を加えながらお示しをしていきたいと考えております。
 また、後年度の経常経費の概算については、第2次10か年計画の財政フレームの中に含めてきたところであります。
 それから、お笑いやアニメ文化の活用についてであります。
 お笑いやアニメ、演劇、ダンスなど多様な活動の存在を中野の魅力としてとらえ、これまでもウェブサイトやにぎわいフェスタなどを通じて発信し、まちの集客力や中野らしさのイメージの向上を目指してまいりました。今後は、それらのコンテンツが成長産業の一翼を担うことに着目をして、桃丘小学校跡を活用して、新しい世代の表現活動の拠点を整備し、地域の活性化を促していきたいと考えております。
 中野駅周辺については、東京の新たな活動拠点にふさわしい、時代の先端を行く特色を持ったエリアにしていきたいと考えております。
 公衆無線LANでありますとか地域FM放送、あるいはサテライトスタジオといった御提案もありました。そういった内容についても参考にしながら、中野の魅力を発信し、まちの活性化を進めていく仕掛けづくりについて検討していきたいと考えております。
 開発者協力金の御質問がありました。
 まちづくりに関する覚書を交換した3事業者とは、開発協力金の協力金額や協力時期についての協定を締結したところであります。今後、まちづくり基金に積み立ててまいります。
 東京警察病院も対象となる開発事業者でありまして、事業主体であります自警会と協議を引き続き行っているところであります。
 障害者福祉会館の送迎バスの多目的利用についてであります。
 障害者福祉会館の送迎バスは、障害者福祉会館の事業に通う人のほか、区内の民間の作業所の通所者や障害者福祉会館の自主グループ活動をしている人たちの送迎など、さまざまな人たちが利用しております。民間の作業所の利用者の高齢化などとともに障害者福祉会館の送迎バスの利用のニーズが高まっているということもありまして、効率的な運用によって拡充していくことが必要となっております。現時点では、免許の問題などもありまして、一般の高齢者などの利用にまで広げていくのはなかなか難しい状況だと思っております。
 それから、公園整備事業について挙げた中で、(仮称)本町二丁目公園が抜けているという御指摘がありました。施政方針説明で取り上げている公園は、整備予定の公園をすべて挙げるという趣旨で申し上げたわけではなく、その一端として例示したものでありますので、御理解をいただきたいと思います。
 糖尿病対策、がん登録についてであります。
 生活習慣とのかかわりが深い糖尿病の予防対策については、新しい中野をつくる10か年計画・第2次に位置付けをいたしました。その取り組みの一端として、糖尿病のハイリスク者で、国保の特定保健指導を終了した方などを対象にして、運動や食生活など生活習慣の改善指導等の事業実施を考えております。
 がん登録について、がん対策の評価や企画立案の際の基礎資料になるなど、重要な役割を担うものだと思っております。東京都は、都医師会や区市の関係職員も参加するがん登録推進検討会を設置して、がん登録の推進に向けた検討を進めております。こうした都の動向を見守っていきたいと考えております。
 小規模多機能型居宅介護事業者への支援策についてであります。
 今後増加する要介護高齢者対策としては、小規模多機能型居宅介護施設やグループホームの整備だけではなく、介護保険の基本サービスであります訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの居宅サービス、また、特別養護老人ホーム等の施設サービスの充実も必要であることを認識しております。区としては、小規模多機能型居宅介護事業者の開設当初の経営上の負担に対しまして、平成21年度から、事業開始から3カ月の運営に必要な人件費、賃借料及び光熱水費等を1事業所あたり300万円を上限として補助する制度を創設いたしました。今後、この推移を見ながら、必要な支援策についても検討していきたいと考えております。
 高齢者の住宅に関連いたしまして、高齢化が急速に進行する中、住みなれた自宅や地域での暮らしを実現するためには、もっぱら高齢者に賃貸をし、生活支援サービス等を提供できる高齢者専用賃貸住宅の供給が重要であると認識をしております。国や都の補助制度などの動向も踏まえながら、今後のこれら高齢者の住宅のあり方について、注目をしていきたいと考えております。
 住民票等の発行に関連して、コンビニ利用についての御質問であります。
 コンビニを利用した住民票等の発行につきましては、区民の利便性の向上という観点から注目をしております。現在、渋谷区など先行実施している自治体での運営状況の確認、システム開発に要する期間・経費等について検討しているところであります。
 区施設にコンビニを設置して住民票等を発行すると、このことについては、スペースの問題やシステム開発等の課題があり、研究をしていきたいと考えております。
 それから、内部統制のシステムの問題であります。
 適切な事務処理を確保していくためには、事前チェックだけではおのずと限界があるわけであります。処理の誤り、問題のある処理を早期に発見し、改善をするべく、財務会計、契約を含めた事業実施の各プロセスにおいて統制できる仕組みを早急に構築していきたいと考えております。
 公会計改革についてであります。
 公会計改革の進捗状況等についてのお尋ねがありました。公会計改革の目的は、財務情報の適切な把握と公開、そして、それらを活用した経営判断の適正化と内部統制の確立・強化にあります。財務情報をデータ化し、経営分析することだけではなく、発生主義会計により得られた財務情報も活用しながら、経済合理性と合規性の両面から財務規律を確立することに寄与するとともに、行政評価、予算編成、決算分析の連携をさらに強め、事業部制による経営能力を強化させていきたいと考えております。重要なことは、そうした全庁的な内部統制の仕組みを構築することであり、現在、検討を進めているところであります。
 このような考え方で中野区の公会計改革の基本方針を運用しているところでありますが、この間の業務執行の中で、合規性の面で特に有効な仕組みづくりをする必要性を認識したところでもあり、会計事務の監理を含む全庁的な統制の制度設計の検討なども行っておりますことから、公会計改革の進行は当初の予定とは異なる流れとなってきております。
 基準モデルではなく、総務省方式改訂モデルで行うのが現実的ではないかという御質問もありました。
 総務省方式改訂モデルは、基準モデルに比べて固定資産台帳や複式記帳によらず、既存の決算統計資料を活用して財務諸表を作成するため、作成自体は比較的容易だと考えております。発生主義会計の導入にあたっては、資産や将来負担の的確な把握と分析が大きなねらいとなります。そうした意味から、現在の資産価値をより高い確度で記録する基準モデルの考え方をとっていきたいと考えております。
 今後、財産台帳等の全面的な見直しやコンピュータシステムによる記帳の自動化など、これまで着手できていない作業を進める中では、経過的・暫定的な資料づくりも含め、幅広い考え方で取り組んでいきたいと考えております。
 連結対象の財務諸表についてであります。
 平成20年度の決算では、連結の範囲を国民健康保険事業特別会計などすべての特別会計のほか、区が資本金を出資している中野区土地開発公社など関連5団体なども対象としております。特別会計については、御質問にあったとおり、貸借対照表のみを作成・公表しております。
 平成21年度決算においては、特別会計ごとに貸借対照表以外の財務書類も連結財務書類として公表できるようにしていきたいと考えております。
 発生主義会計導入の工程についての御質問がありました。
 各種財務諸表についても、現在の財務会計システムを活用しながら、各諸表の作成ができるように工夫をしながら、早期の導入を目指して、具体的な工程について検討していきたいと考えておりますが、大幅な歳入減が続く中で、中長期の財政見通しの問題もあり、コンピュータシステムを含む具体的な整備日程については、今後23年度予算編成や目標・事業体系の見直しの中で整理をしていきたいと考えております。
 それから、都市計画の見直しの取り組みの関連での御質問がありました。
 地域主権戦略大綱の中で、一定の都市計画決定権限を市町村に移譲する、そうした方針が示されましたけれども、このうち三大都市圏等における用途地域等の都市計画について、特別区のみを除くこととされたわけであります。このことについて、そのことがわかった翌日に、特別区長会の会長名で抗議の意味の声明を出しております。特別区長会として、特別区を例外扱いすることなく移譲するように、政府に既に要請をしてあったにもかかわらず受け入れられなかったわけでありまして、極めて遺憾であります。今後とも国や都に対して、特別区を例外扱いすることなく移譲するよう、要請を強めてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 私からは、学校教育の諸問題につきまして、まず、区長の施政方針説明の中で申し上げました発展的学習について御回答申し上げます。
 発展的学習とは、学習指導要領の内容をもとに、さらに高度な内容を学習することでありまして、教育委員会では、基礎的な内容を理解した児童・生徒に対し、さらに理解を深めるため、発展的学習に取り組ませることで、さらに力を伸ばしていくことが大切であると考えております。通常の授業の中では、発展的に問題に取り組ませたり、習熟度別の少人数指導等では発展的な学習に取り組むコースを設定したりして、充実を図ってまいります。
 次に、特別支援教育の現状認識についてです。
 区では、児童・生徒一人ひとりのニーズを把握し、児童・生徒が必要とする支援の内容と方法を明らかにするため、専門の臨床心理士等が定期的に各学校を巡回しております。この巡回相談を通して、特別に支援を必要とする児童・生徒の状況の把握を行っているところでございます。
 御質問にありました国・都で実施しました実態調査は、平成14年とかなり時間がたっておりまして、また、調査内容が知的発達に遅れがない、通常の学級に在籍する児童・生徒を対象としているなど、現在、教育委員会が行っております巡回相談の実績と比較することは、現状では適切ではないような状況になっております。教育委員会といたしましては、実態調査ということではなく、この巡回相談で得られたデータ等をもとに、総合的な分析や対応を行っていきたいというふうに考えております。
 次に、新学習指導要領完全実施に向け、平成23年度の必要額ということでございます。
 これにつきましては、中学校の教科書採択関連に伴う経費、中学校音楽科における伝統楽器の購入関連、小学校外国語活動指導助手経費等で、およそ7,800万円が必要というふうに考えております。
 次に、少人数指導の課題として、教育委員会としての決意と工夫が必要ということでございますが、習熟度別の少人数指導におきましては、学習集団によってよりきめ細かな指導体制が必要でございます。学力向上アシスタントや大学生のボランティアを配置するなどして対応しております。地域の教育力を活用するための仕組みづくり等も検討を進めております。
 また、確かな学力の定着に向けまして、教育委員会といたしましても、土曜授業のあり方について検討を行っているところでございます。
 最後に、教育委員会に施設課の設置が必要ではないかということでございます。
 学校のみならず、区有施設におきましては、財産管理分野において計画的な施設整備を行っております。技術職が減少している中、財産管理分野に技術職を集中させることにより、効果的・効率的な施設整備が行えるというふうに考えております。したがって、施設課を設置する考えはございません。
    〔都市整備部長服部敏信登壇〕
○都市整備部長(服部敏信) 私からは、まちづくりに関しまして、(仮称)まちづくり条例の制定のめど、基本コンセプト及び新しい中野をつくる10か年計画に記載いたしました都市計画の見直しの想定についてお答え申し上げます。
 まず、(仮称)まちづくり条例でございますが、今年度中に策定することを目途にしてございます。
 また、条例の性格でございますが、区民主体によります身近な地区を単位としたまちづくりの推進など、都市計画に関する手続を定めたものと考えてございます。
 さらに、基本コンセプトにつきましては、都市計画マスタープランに沿いましたまちづくり計画を推進し、また、区民発意によりますまちづくりの推進、また、支援に資するものを策定していく考えでございます。
 次に、新しい中野をつくる10か年計画に盛り込まれた都市計画の見直しの想定でございますが、土地の有効利用や都市基盤の整備を図るため、中野駅周辺地区の土地利用や商業地域に隣接しております場所の、そういった土地利用の利便性や効率性を高めるための用途地域の見直しなどを考えてございます。
 以上でございます。
  〔まちづくり推進室長遠藤由紀夫登壇〕
○まちづくり推進室長(遠藤由紀夫) 私からは、消防署跡地用地を利用して、その交流拠点の整備・充実についての御質問にお答えいたします。
 中野区都市計画マスタープランにおいて、鍋横地域の新中野駅周辺を交流拠点と位置付け、生活・仕事・交流・文化活動を支える拠点として育成・整備するとしております。消防署跡地、これは本町四の44の用地でございますけれども、(仮称)鍋横高齢者会館、インキュベーションオフィスの整備用地としてその活用を位置付けてございます。
     〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 区役所・サンプラザ地区再整備につきましてお答えをいたします。
 区役所・サンプラザ地区の再整備につきましては、人々が集う交流とにぎわいの中心として十分な魅力を備えた業務・商業機能などを導入し、東京の新たなランドマークとして、より広域的な集客力を備えたまちの顔となることをコンセプトとしております。区役所・サンプラザ地区の再整備にあたりましては、現在の資産価値を最大限活用しながら、民間ノウハウを取り入れることによりまして、良好な整備と区における事業リスクを最大限軽減するよう努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
      〔飯島謹一議員登壇〕
○38番(飯島謹一) 1点だけと思いまして、教育長に改めてお尋ねします。
 施設課という古い名前を使ったからいけなかったのでしょうか。施設管理分野とか言えばというふうに思ったりしますが、これはもうそろそろ本気で考えたほうがいいですよ。現状は本当に学校施設というのは劣化が激しい。このことはよく御承知のはずだと思いますので、もう一度改めてお答えお願いします。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 教育環境の整備、特に学校施設につきましては、議員御指摘のとおり、十分私どももきめ細かく対応することが必要だというふうに考えております。そのためにも、財産管理分野ときちんと連携をとりながら、きめ細かに対応していきたいというふうに思っております。
○議長(伊藤正信) 以上で飯島謹一議員の質問は終わります。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
      午後2時45分休憩

      午後3時05分開議
○議長(伊藤正信) 会議を再開いたします。
 この際、申し上げます。
 議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 長 沢 和 彦
 1 区長の政治姿勢について
  (1)所信表明について
  (2)国政の焦点について
  (3)「地方分権・地域主権」について
  (4)その他
 2 高齢者・介護施策について
  (1)後期高齢者の短期証と資格証明書の交付・健診無料化・葬祭費給付上乗せについて
  (2)介護保険施行10年にあたっての課題について
  (3)その他
 3 暮らし・福祉を守る施策について
  (1)子宮頸がんワクチン接種の公費助成について
  (2)木造住宅耐震補強工事助成と住宅リフォーム助成について
  (3)住宅支援について
  (4)その他
 4 保育・子育て支援について
 5 少人数学級の取り組みと学校再編計画について
 6 公契約条例の制定について
 7 その他

○議長(伊藤正信) 長沢和彦議員。
      〔長沢和彦議員登壇〕
○30番(長沢和彦) 2010年第2回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して質問します。
 初めに、区長の政治姿勢について。1番目に、所信表明について伺います。
 区長は、所信表明で公的責任について触れています。事業を実施する主体が直営であれ、民間であれ、区民の暮らしと権利を保障する責任が区行政には存在しています。必要である事業が民間で量的・質的に確保できなければ、区が直接行うことは当たり前です。問題は、区の果たすべき責任が弱まり、後退してはならないということです。例えば、保育園の民営化に熱を上げ、肝心の待機児問題はおざなりの状態です。その民営化した保育園から園舎の建てかえや耐震改修を求められていても、渋る姿勢です。児童館内の学童クラブの民間委託でも、休館日である月曜日に民間事業者の正規職員は一人体制。リスクがあっても問題が起きなければよい、コストが下がれば安定・継続性に欠けてもよいとはならないはずです。地域センターを(仮称)区民活動センターに転換するのも、「地域課題は地域で」と区の責任は後景に退き、地元団体を囲い込みながら、安上がりに行政の肩がわりをさせる発想では、問題が噴き出すことになります。やみくもに民間の事業者や団体に投げ出すことは感心しません。区のやるべき仕事を余りにも狭くとらえてはいませんか。
 また、「財政的な持続可能性を語らずにさまざまな給付をふやすことを公的責任として語る主張に違和感を禁じ得ない」とも言います。区が行政のむだと浪費を改め、今で言えば中野駅周辺の大規模開発を改めることで、区民にとって必要なサービスを確保することなどは当然必要です。
 現在、我が党議員団は、区民アンケートに取り組んでいますが、返信された区民からは、「開発よりも子育てしやすいまち」、「住み続けられるまち」、「福祉の充実」を望む声が多数寄せられています。区民の暮らしへの視点をしっかり持つべきではないですか。
 しかも、区長は財政的な持続可能性を繰り返していますが、現状を追認しているだけとしか思えません。国や都の財政負担の責任を問わず、削られても区民に負担を転嫁できると考えているとしたら大間違いです。見解を伺います。
 中野駅周辺の大規模開発について伺います。
 区長選挙では、区長以外の候補者は、中野駅周辺の開発について中止、見直し、再検討することを訴えました。この問題については、決して区民が賛同したとは言えないのではないでしょうか。中野駅周辺の大規模開発を優先させる区政運営はこれからも進めていく決意のようですが、幾つかの点に限って伺います。
 一つは、莫大な経費がかかり、区民に重い負担となりかねない点です。
 今後、中野駅周辺まちづくりに投ずる費用は、10か年計画で422億円にも上ります。財源として国や東京都からの補助金や交付金を当てにしていますが、区民・国民の税金であることには違いありません。むだと浪費になりかねない不要不急の開発事業は、区民の目線から検討し直すことがやはり必要です。大体、開発事業は、国庫補助金等が温存され、一方で、福祉・教育分野では削減されていることに何ら行動を起こそうとしないばかりか、触れようともしない姿勢はいかがなものでしょう。仮に、当てにしていた補助金等が入らなかった場合でも、立ちどまることなく推進するのですか。
 中野駅北口の安全性の確保やバリアフリーなど、取り組まなければならない課題もあるでしょう。しかし、開発規模を拡大させている現計画を、この不況下で急いで行うことは問題が大きいと見ています。
 それだけではありません。中野駅周辺の開発事業に今後151億円も起債を発行することにしています。将来にわたって、区民負担が生じることになります。財政非常事態といいながら、この事業を聖域化していては、区民の理解は得られないのではないですか。改めて見直すことが必要です。見解を伺います。
 二つ目に、開発協力金について伺います。
 開発協力金は、現在、明治大学、帝京平成大学、特定目的会社の3者と覚書を交わし、中野駅周辺の開発事業の中で支出してもらうことにしています。開発協力金の運用に関する要綱では、都市基盤施設等の整備等により、特に著しい利益を受ける開発事業者等すべてが出すことになっていますが、警察大跡地で一番早く取得・建設し、既に病院経営を行っている自警会とは何ら取り決めを行っていません。協議をしていると言いますが、全く動きはありません。どうするのですか。
 覚書を結んだ3事業者については、今年度の早い時期にといった話もありましたが、今年度中に開発協力金が支払われると言えるのですか。
 また、現在の中央中の拡張用地と区役所移転の計画に伴う用地取得など、区も開発協力金の支払いが発生します。その原資は、税金でしかないわけですが、まちづくり基金にためることで、福祉・教育など、区民生活に直接かかわる施策が圧迫されかねません。そうならないと断言できますか。
 以上、3点について伺います。
 二つ目に、国政の焦点について伺います。
 米軍普天間基地移設は、沖縄県民や徳之島住民の総意を踏みにじった、民主主義の根幹にかかわる大問題であり、日米合意後も、県知事をはじめ沖縄の自治体も県民も県内移設に断固反対としています。沖縄県民の怒りは限界を超え、もう後戻りしません。
 菅直人首相は、かつて自らが「海兵隊は即座に米国内に戻ってもらっていい。民主党が政権をとれば、しっかりと米国に提示する」、「沖縄から海兵隊がいなくなると抑止力が落ちるという人がいるが、海兵隊は守る部隊ではない。地球の裏側まで飛んでいって、攻める部隊だ」と述べていました。対米関係についても、自民党政権下での「政権が変わるたびに、新しい首相は真っ先に米国大統領に電話し、日米首脳会談の予定を入れるという現在の参勤交代ともいうべき慣行」と批判していたのに、首相に指名された途端、オバマ大統領と電話会談し、海兵隊の抑止力と普天間基地の辺野古への県内移設を明記した日米合意の実現に「しっかりと取り組む」と約束しました。県民への約束をほごにし、米国の言いなりに自らの主張さえ投げ捨てたのです。県と自治体挙げて県内移設は認めないとしているものに、乱暴に移設建設を進めることなど、自治の精神からして認められないはずです。
 区長は、国政の問題、特に外交・防衛にかかわる問題については見解を述べないと以前言われましたが、あえて御答弁いただきたいと思います。この問題は、日米合意を白紙に戻し、普天間基地は無条件撤去をする以外に解決できないと思いますが、見解を伺います。
 もう1点、消費税増税について伺います。
 消費税の増税が大きな話題となっています。もし10%の増税となれば、平均4人世帯で16万円もの負担増になります。暮らしが成り立たなくなり、消費が冷え込むことで、日本経済にとっても景気のさらなる悪化が避けられません。社会保障の財源にと言われていますが、消費税導入と税率の引き上げが行われた際にも言われてきたことです。
 そもそも消費税は、所得の低い人ほど重い負担となる不公平税制です。所得の再分配機能である社会保障費に回すという理由は、明らかに矛盾しています。
 一方で、法人税の減税、実効税率の引き下げが「高過ぎる」、「国際競争力への影響」を口実に主張されています。今も外国税額控除や研究開発減税など大企業向けの優遇税制で、ソニーが12.9%、日本経団連会長の企業、住友化学は16.6%をはじめ、経常利益の上位100社で法人課税の負担率は平均30%程度です。さらに、社会保険料の負担を加えると、フランスやドイツの7割から8割といった水準で、日本企業の負担は低いくらいです。
 これまでに国民が納めた消費税収は224兆円、法人3税の減収は208兆円です。大企業減税の穴埋めに消えてしまいました。今日起きている議論は、今後も法人税減税による税収を消費税の増税で穴埋めしようとしているに過ぎません。
 区長は、我が党の質問の答弁で、消費税については「社会保障の財源として確保することは、現状からすれば避けられない」との認識を示し、消費税の増税は「将来にわたって社会保障の給付をどうするかといった議論を十分に踏まえて行われるべきもの」と述べられました。また、「産業全体の生産性向上に資する構造改革や規制緩和などが必要である」とも言われますが、実際には、大企業は株主配当と役員報酬、それに内部留保をふやしただけで、構造改革・規制緩和のもとで雇用破壊と賃金の低下が進められました。国民の消費が冷え込んでいるため、景気低迷が続いています。法人税の税収は、ピークであった89年と比較して約19兆円も減少しています。これでは財政再建の展望は示せません。国の財政について述べるのであれば、事実をしっかりと見るべきではないですか。見解を伺います。
 三つ目に、地方分権・地域主権について伺います。
 菅政権は、引き続き地域主権改革を重要な課題として取り組むことを表明しました。区長は、第1回定例会の我が党の質問に、「国から地方への過剰な義務付け、枠付けを廃止・縮小していくとともに、地方自治権の拡充をすべきだと考えている」と答弁されました。しかし、政府が示したのは、児童福祉施設の整備・運営基準など、保育・学校教育・老人福祉など国民を支えてきた領域、国の義務的責任の放棄、地方財政への国の負担を減らすものです。地方自治権の拡充はそのとおりでも、地方分権・地域主権の名によるナショナルミニマムの否定と財政の削減まで認められるのですか。
 また、東京都等に限り保育所の最低基準のうち居室面積基準だけは自治体の判断で緩和できることになりました。区長はこれを「自治体の自主性と、また実情に応じた対応、自治体なりの工夫を凝らした対応をしていけるような形にしていくことについては、歓迎する」といいますが、詰め込みを奨励する立場は容認できません。国の責任を問わずして、子どもと保護者に負担を強いるあり方でよいのですか。伺います。
 その他で、1点伺います。副区長の体制についてです。
 所信表明では、「副区長については二人とする」と述べられました。しかし、条例では「定数は3人とする」としている以上、条例改正が必要なのではありませんか。今定例会で提案されないのはなぜなのか、伺います。
 次に、高齢者・介護保険施策について伺います。
 1番目に、後期高齢者の短期証と資格証明書の交付・健診無料化・葬祭費給付上乗せについてです。
 公約を破って民主党政権が後期高齢者医療制度の廃止を4年間も先延ばしした上、対象年齢を引き下げて差別医療を拡大しようとしていることは許せません。我が党は、即時廃止を目指します。
 今年度、保険料の値上げが行われました。高齢者に一層の負担を負わせることになったわけです。
 後期高齢者医療制度の廃止が先延ばしされている中で、新たな問題点と矛盾のあらわれとして短期証、資格証明書の交付についてお聞きします。
 保険証更新時期に伴い、保険料滞納者への短期証発行の動きがあります。短期証の対象となる人たちは、保険料が普通徴収による所得の低い方たちです。中野区では、約20件の発行を予定していると伺っています。平日・夜間と問わず、納付勧奨・納付相談など接触機会を行った上での措置なのでしょうか。限られた人数なのですから、最後の一人まで接触の機会を設け、納得していただけるよう説得することが大事です。発行してから納付相談をすることがないよう、最大限の努力を求めます。伺います。
 75歳以上の健診無料化についてです。この課題も待ったなしです。東京都内で有料なのは町田市、東久留米市、神津島村と中野区だけです。そのことを知った中野区民は、憤りを感じています。
 そもそも有料化は、健康増進に逆行する受診抑制を図るものです。「『自分の健康は自分で守る』という自覚を持ってもらう」、区が再三言っていることですが、区民にとっては余計なお世話です。区民が努力することと、区が区民の健康に責任を持つことは別の次元の話、自己責任論を絵にかいたような話です。受診の機会を妨げ、早期発見・早期治療に逆行しているとは思わないのですか。高齢者の命と健康を守る姿勢を持つべきです。無料化の実施を求めます。お答えください。
 後期高齢者の葬祭費給付について伺います。
 これについても、23区で中野区だけが2万円の上乗せを行っていません。制度の変更によって、7万円から5万円に下がったと抗弁しますが、そもそも74歳までは7万円の給付だったのが、75歳になった途端に5万円になるというひどい話です。23区の中では「これまでと同水準の給付をしよう」、こうしたやりとりがされてきたのではないのですか。そうでなければ、中野区の姿勢は余りに冷淡であるし、情けないと言わなければなりません。葬祭費給付の上乗せを行うべきです。答弁を求めます。
 二つ目に、介護保険施行10年に当たっての課題について伺います。
 制度が施行されて10年が経過しました。介護を社会的に支えることを目的に発足しましたが、重い保険料や利用者負担、42万人に上る特別養護老人ホームの待機者など、「保険あって介護なし」ともいうべきさまざまな問題が表面化しています。独居老人の孤独死、老老介護、家族負担の増大。高い離職率の中、介護事業所・施設も深刻な人材不足と経営危機に陥り、制度の維持・存続さえ問われる危機的な事態に直面しています。
 6月9日に、日本共産党国会議員団が行った介護保険制度見直しに向けたアンケート調査の結果を発表しました。調査結果からは、経済的理由による利用抑制、利用者の実態を反映しない要介護認定、事業所の人手不足など、深刻な実態が明らかになりました。
 アンケート結果と区内事業者の声をもとにお聞きします。
 介護保険財政についての問いに、介護事業者からは「国民の介護保険料・利用者負担は限界。国庫負担増額を」の声が一番多く、7割にも上っています。また、自治体への調査結果でも同様に、国庫負担増額を求める要望が最も多く、約5割になっています。保険者である自治体も、従事する介護事業者も、これ以上の負担を住民・利用者に求められないとしています。あらゆる機会に国に要望すべきではありませんか。伺います。
 もう1点、特別養護老人ホームの待機者解消策について伺います。
 建設費補助復活、整備目標引き上げを強く求める介護事業者が5割を超えています。自治体の回答からは、深刻な施設不足に直面する実態が浮き彫りになりました。中でも東京23区の場合、待機者が定員数の1.5倍以上が少なくなく、2倍を超す自治体もあります。高齢化が急速に進むことから、対応策は一刻も猶予を許さない課題であることを示しています。ちなみに、自治体から国への要望は「保険料に連動しない財政支援」がトップでした。
 中野区の第4期介護保険事業計画では、中部・南部圏域で100床程度の整備を掲げています。小規模特別養護老人ホームの整備についても記しています。現在、東中野五丁目の用地を活用して、定員50名規模の特養ホームの整備が決まっていますが、それ以外の計画の具体化はありません。2009年8月現在で、区内の特養ホーム待機者は1,175名、うち要介護3以上で349名もの方がいらっしゃると聞きます。
 一方、現在、区内の特養ホーム定員は630人。すべてが区内在住の方ではありませんが、東中野に建設する50名を加えても、圧倒的に施設が足りていません。特養ホームの増設が必要です。第4期事業計画の中で、次の特養ホーム建設の具体化まで進めるべきではありませんか。伺います。
 次に、暮らし・福祉を守る施策について伺います。
 1番目に、子宮頸がんワクチン接種の公費助成についてです。
 子宮頸がんは、日本の20代女性では発症率が一番高いがんです。厚生労働省の審議会であるがん対策推進協議会は5月28日、子宮頸がんワクチンについて、国を挙げて積極的に取り組むべきだとする意見書をまとめました。厚生労働省がまとめるがん対策推進基本計画の中間報告に盛り込むとしています。ワクチンの負担が高額なため、国と自治体の公費助成が欠かせません。東京都の医療保険政策区市町村包括補助があり、区が実施することを決めれば包括補助を活用することができます。子宮頸がんワクチン接種の公費助成を行うべきです。23区では、杉並、渋谷に続いて江戸川、中央区では補正予算で対応する、こうした自治体も出てきました。中野区も検討すべきではないですか。伺います。
 二つ目に、木造住宅耐震補強工事助成と住宅リフォーム助成について伺います。
 耐震補強工事助成を求める質問に、区は「個人の財産の保全については、基本的には自らの責任で対策をとるべき」と繰り返してきました。しかし、この理屈は全国・全都での取り組みを見ても通用しません。国の制度があるもとで、23区で中野区だけが行っていないのはやはり問題です。いつ起こるかわからない大地震から区民の命を守る視点が欠けているのではないですか。補強工事の助成に踏み切るべきです。
 また、住宅リフォーム助成の実施が全国で広がっています。地元業者への発注がふえ、大きな経済効果が生まれています。区の耐震の実績は、建てかえとリフォームの際に行っている例が多いと伺っています。品川区では、今年度より住宅リフォーム助成の実施に踏み出し、現行の耐震改修支援助成とあわせてできるようになりました。中野区においても、他の自治体の例を参考に、区民の命を守ると同時に、区内業者への仕事発注、地域経済の活性化などの視点も加味し、実施することを求めます。御答弁ください。
 三つ目に、住宅支援についてです。
 「住まいは人権」と言われるように、住宅の安定は社会保障の基礎とも言えます。公営住宅をつくることを国の責任としては放棄してしまっています。低所得者向けの住宅政策は、今までも乏しかったと思いますが、さらにひどい状態です。大阪のある市では、大阪府に対し「低所得者の住宅をつくってくれるな」という要請まで行いました。低所得者の住宅をつくることによって、給付など支出がふえ、税金が減るので困るというのがその理由です。ひどい話でありますが、自治体による低所得者向け住宅政策の拡充は、そのためのインセンティブと財政支援を国として行わないと難しいことを示しています。国の住宅政策として、家賃補助制度が必要です。同時に、自治体として踏み出すことも大事です。
 渋谷区では、若年者の家賃補助、単身世帯3万円、夫婦・母子世帯4万円、夫婦と子ども世帯5万円の制度を実施することにしました。中野区においても定住政策として若者の家賃補助を実施していただきたい。伺います。
 高齢者の住宅支援も大事です。都心部で急速に増加する高齢者。中野区内でも高齢者だけの世帯が多く、独居の高齢者はふえ続けています。中でも、経済的に困窮し、社会的に孤立している高齢者が増加しています。住まいの保障は欠かせません。
 中野区は、高齢者アパートを廃止してしまいましたが、これからの高齢者増を考えたとき、見守り・安全を把握しやすく、介護・医療など集中的に外部からのサービスを受けやすい住宅支援が必要ではないでしょうか。高齢者福祉住宅やケア付き住宅をつくることを求めます。お答えください。
 次に、保育・子育て支援について伺います。
 初めに、保育園待機児解消についてです。
 中野区は、待機児解消に対して真剣さに欠けているのではないですか。民営化の際の定員拡大や認証保育所、保育ママ、さらに定員の弾力化など、規制緩和による安上がりの待機児童対策では根本的な解決は図れません。少子化だから待機児童問題は一時的という考えも聞かれますが、そうではありません。社会構造が変化し始め、保育園が国民生活になくてはならない状況になっています。そのことは、厚生労働省の調査データと政府「子ども・子育てビジョン」推計値でも知ることができます。認可保育園の計画的な増設が必要です。答弁を求めます。
 緊急の課題である以上、再三述べてきたように、学校の空き教室の活用をはじめ、廃園や廃園予定のところも含めて、耐震補強など安全性を確保して活用することが必要ではないですか。伺います。
 待機児解消に努めてこなかった責任は、国と自治体にあります。とりわけ、財源を削ってきた国の責任は重大です。区立園の「保育の実施に要する費用」である国庫負担が廃止され、人件費や運営費の補助金も削られてきました。今日では、見送られはしましたが、私立保育園への保育委託費用も国庫負担の対象から外すことが検討されました。国庫負担の復活を求めるべきではないですか。それは自治体としての責任でもあると考えます。答弁を求めます。
 認証保育所保育料の保護者補助の増額について伺います。
 認可保育園をふやさないため、認可保育園を希望しながら入れず、認証保育所に預けている人が大変多い状況です。自ら選択したわけではないのに保育料が高い。そのため、認証保育所に預けることをためらう方もいます。
 中野区では現在、認可保育園保育料との差額2万円を限度とした補助金を交付しています。限度額である2万円を受け取っている人が圧倒的です。この補助金額では不十分であることは想像にかたくありません。
 今年度、品川区では、認証保育所の保育料の上限を6万6,000円とし、各認証保育所に払っている基本保育料との差額を助成金額としました。杉並区でも、世帯収入700万円未満の方は1万円の増額により3歳未満は4万円に、A・B階層である生活保護と住民税非課税世帯の方は、実質的な負担はほぼなくなりました。
 第1回定例会での我が党の質問に、「保護者補助増額については考えていない」とのお答えでしたが、やはり補助の増額が必要ではないですか。今の事態をどのように認識しているのか伺い、保護者補助の増額を求めます。お答えください。
 公立保育園の役割について伺います。
 地域の多様な子育ての相談と支援が必要です。改定された保育指針の中でも強調されています。気軽に相談できるところや子育ての仲間、地域のネットワークが必要であり、公立保育園が培ってきた子育ての知恵と専門性と経験、地域の子育てセンターの核になることが公立の保育園に強く求められていると思います。そのために必要な経費、人員配置をきちんと確保することが必要です。子育て支援、相談活動、一時保育などを充実させていく。地域にアンテナを張り、子育ての悩みや要求をキャッチして、区の子育て施策に反映させていくことも、他の部署との連携が容易に行える公立保育園ならではの取り組みができるのではないですか。見解を伺います。
 次に、少人数学級の取り組みと学校再編計画について伺います。
 今年度から東京都が、小1、中1に限ってではありますが、40人になったら二クラスに分けることができるようになり、区内の小学校で一クラスが二クラスになったのが上高田・江古田・啓明小の3校、二クラスから三クラスになったのが桃花小の1校、そして、緑野中学校1校で3クラスから4クラスへと、その効果があらわれました。子どもと保護者、学校現場から歓迎されています。ティームティーチングで行うか、学級数をふやすかは学校側にゆだねられていましたが、対象となったすべての学校で学級数をふやす判断をしたということです。
 今後、東京都では、39人、38人と試行的に行うことにしていますが、後戻り、つまり40人学級を続けるとはならないでしょう。
 区教委はこれまで、少人数学級の求めに応えてきませんでした。区長の所信表明でも基礎学力の低下を懸念しながら、少人数指導や習熟度別指導などを推進すると、これまでとかわりばえのない立場のようです。
 しかし、どの教科であっても、子ども一人ひとりに目が行き届く少人数学級が、基礎学力はもちろん、学力全般を向上させる教育環境の整備であると考えます。しかも、1日の大半を過ごす生活の場として、少人数学級の優位性は全国の例で証明されています。このことも学力の向上に相乗効果としてあらわれています。であれば、少人数学級を推進していくことが必要ではないですか。見解を求めます。
 学校再編について伺います。
 区教委は、学校の再編については、学級数をもって適正規模か、そうでないかを基準にしてきました。そもそもこれ自身、学術的な根拠もなく、財政効率だけで小規模校を否定する乱暴な考えです。また、必ずしも再編校で区教委が期待した学級数という結果が出てもいません。同時に、今見ておかなければならないのは、東京都でも動き始めた少人数学級によって、学級数がふえる可能性が大きいということ。区教委の思惑どおりには進まない客観的な状況が生まれていることです。
 このもとでも学校の統廃合を進めるというのであれば、もはやそれは教育環境の向上などではなく、いかに学校と子どもたちの教育にお金をかけたくないかだけではありませんか。適正規模にしがみつくのではなく、子どもたちの学力向上と健やかな育ちを応援し、そのためにも少人数学級をはじめ教育環境の整備など、本来、教育行政が力を注ぐことを行うべきです。今年度まとめようとしている中・後期の学校再編計画の策定はやめるべきです。伺います。
 次に、公契約条例の制定について伺います。
 公契約条例の制定を目指すことを再三質問で取り上げてきました。それに対し、区は「下請会社との関係等については民民の関係になるので、直接区が立ち入ることはできない。下請業者に対して工事代金の支払いを遅延をしないように、元請業者に対して文書により適切な指導を行っている」と言います。しかし、制度の説明と元請業者へのお願いを述べているに過ぎません。問われているのは、下請事業者や業務に従事する労働者への配慮がないため、低入札価格の問題は、結局、下請業者とそこで働く労働者へとしわ寄せが行き、賃金の低下を招くおそれがあること、実際に招いていることにあります。区が発注した仕事で、官製ワーキングプアをつくり出してはなりません。
 そこで、千葉県野田市の公契約条例をいま一度取り上げます。
 野田市では、条例制定で地方自治体が動くことによって、国が公契約法の制定に向けて動いてもらうことを目的の一つにしています。実際、条例制定後の反響はすさまじいと聞きます。野田市に続いて公契約条例の制定に向けての動きを開始している自治体もあるようです。市の担当者は、「賃金問題は一つの市が条例で定めて解決できるものではなく、国が法律により規定して初めて解決できるものであると考える。全国の各自治体に『地方が動き、国を動かす』という形での取り組みに賛同をいただき、公契約条例の制定をお願いしている」と述べています。
 区が公契約条例の研究・検討に踏み出すことを求めます。御答弁ください。
 以上で私のすべての質問を終わります。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えいたします。
 公的責任の関係のくだりで、区の行っていることに関連をして、やみくもに民間の事業者や団体に投げ出すこと、これは感心しないといったような御質問がありました。
 区は、公共サービスに民間のサービスを活用する、このことも当然ながら柔軟で良質なサービスを提供する一つの手段としても大いに活用していきたいと、こう考えております。その際に、民間のサービスが区民にとってよりよいサービスであるように、また、不公平や、あるいは権利を損なうようなことがないように、区として適切な関与をしっかりと行っていく、そのようなことを前提として行っているわけでございます。公的なサービスをしっかりと区民に提供し続けられる、まさにそれが公的な責任である、このように考えております。
 民間に比べれば、どうしても効率の落ちる直営のサービス、このことにこだわってサービスをふやすことができない。あるいは、財政的に立ち行かなくなって、サービスそのものが提供できなくなってしまう。そうしたことのほうが、やはり公的責任という観点からも大きな問題である、このように考えているわけであります。
 また、国や都の財政責任を問うべきであって、区としては区民に負担を転嫁できるというのは、削られた部分を区民に転嫁しているというようなことは大間違いだというような趣旨の御質問もあったように思います。
 国や都の財政責任、確かに国や都に責任を求めることは簡単だと思いますけれども、国の財政というのは、今、だれでも知っているように、真っ赤っかなんです。本当に一般歳出を一般の歳入では賄えない、赤字国債を大量に発行し続けている、そうした国の実態を見ながら、国に財源を求めていくという主張をし続ける。このことが本当に自立した、自分の足で立っている自治体の立場として適切なことなのでしょうか。私はそうは思いません。今ある制度の中で、区が最大限自立した自治体運営を、財政運営を行っていくこと。区民に適切にサービスを提供し続ける、そうした区政運営をしていくこと。このことが私たち区の行政に課せられた重要な責任であると、このように考えております。
 それから、中野駅周辺の大規模開発についてというくだりの御質問がありました。
 私以外の候補の人がすべて大規模開発を否定しているというような御指摘もありましたけれども、私が見た限り、私以外の候補者の方が、別の候補者の方を指して、大規模開発に賛成しているというふうに批判をされている、そうした文書も見たところであります。多少認識が違っているのかなと思っております。
 まちづくり事業におきましては、国や都の交付金・補助金などを活用しながら、適切に財源を確保して行っております。区が実施をしていく基盤整備は、将来の区民生活を支えていく社会資本整備でありまして、適切に起債なども活用しながら、負担を平準化して、長期にわたって計画的に事業を進めていく必要がある、こう思っております。
 起債による財政負担ですが、区といたしましては、公債費負担比率という区の独自の物差しを決めまして、おおむね10%程度にこれを抑えていくという形で財政の運営を考えているところでありまして、こうした規律を守っていく限り、過大な負担とはならない、こう思っているわけであります。
 また、都市基盤整備事業で、大規模なものだったり、一時的な出費などに関連しましては、都区財政調整制度の中で、経常的なものとは別に需要額算定されるものもありまして、特別区ではどこでもそうしたことを活用しながら、まちづくりを進めております。そうした仕組みを十分生かしながら必要な対応をとっていきたいと、こう思っております。
 なお、国や都などで制度が変わって、補助金や交付金が得られなくなるというようなことが起きてくれば、当然、計画も見直していかなければならない、そういうことであります。
 開発協力金についてであります。自警会とは、現在も開発協力金についての協議を行っているところであります。3事業者とは、開発協力金の額や協力時期についての協定を締結したところです。区が開発者として開発協力金を負担することは、良好なまちづくりを推進するために定めた当然のコストでありますので、当然負担をしてまいります。
 それから、普天間基地の問題に関連しての御質問がありました。
 基地問題につきましては、全国民が負うべき負担をどの自治体の住民が負っているのかという問題でありまして、単に国政の問題だけではなく、すべての自治体、住民に突きつけられた問題でもあります。安全保障上のさまざまな条件から、沖縄県及び関係自治体に大きな負担をお願いする。このことについては、大変心苦しいと思いますが、私はやはりやむを得ないと思っています。国民全体として、沖縄県及び関係自治体の負担をどのように考え、どのように対処していくのかということをきちんと議論をしながら、日米合意を着実に実施していくことが妥当だと考えています。
 それから、消費税の関連の御質問がありました。消費税についての基本的認識については、これまでも御答弁をしてきたとおりであります。人口の減少や少子化・高齢化といった状況からすれば、将来の社会保障費の給付にどのように対応するか。消費税、また、他の税制全般のあり方、そうしたことも含めて、きちんとした議論をするべきだと、こう考えております。
 消費税そのものについては、今行われている議論の中では、生活必需品に対する軽減税率でありますとか、戻し方式による低所得者対策の減税の方式でありますとか、さまざま逆進性を和らげる配慮も税制論議の中で当然行われていくと、このように考えております。そういう意味で、将来の国民の暮らしをきちんと持続可能なものにしていくためには、こうした議論をこれからもしていかなければならない、こう考えております。
 それから、保育所の最低基準の緩和についてであります。
 地方分権を進めていくことによって、国から地方への過剰な義務付け、枠付けを廃止・縮小していくということとともに、地方の自治行政権、自治立法権、自治財政権を拡充していくべきだと、こう考えております。こうした基本的な考え方に立った上で、地方分権によって地域の実情に合ったよりよいサービスを提供することが可能となるわけでありまして、区民の福祉の向上と持続可能な地域社会の実現が可能になってくると考えております。
 そうした意味で、保育所の自治体の対応が、自治体の判断が認められると、こういった方向性についても、方向として認めていくべきだと私は考えております。
 それから、定数条例の取り扱い、中野区副区長定数条例については、取り扱いについて検討中であります。
 私からは以上です。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 少人数学級の取り組みと学校再編計画について、御答弁申し上げます。
 少人数学級につきまして、授業においては、教科により一定規模の学習集団が効果的なものもあり、少人数指導の充実に取り組むことが重要であると考えております。中野区教育委員会といたしましては、学級の編制については、東京都の学級編制基準にのっとり進めていく考えでございます。
 学校再編計画は見送るべきであるという御質問でございます。
 学校事業などの集団活動を活性化し、多様な子ども同士の触れ合いにより社会性をはぐくむためには、学級数だけではなく、一定の集団規模を確保することが必要であり、子どもたちに集団教育のよさを生かしたよりよい教育環境を整備するために、学校再編に取り組んでいるところでございます。
 今後の再編につきましても、引き続き小規模校を解消し、適正規模を確保するというこれまでの基本的な考え方は変わりございません。
 中・後期の再編計画については、教育環境の変化やこれからの中野の教育検討会議での検討結果などを踏まえ、今後検討していく考えでございます。
    〔保健福祉部長田中政之登壇〕
○保健福祉部長(田中政之) 私からは、高齢者介護施策についての御質問にお答えをいたします。
 まず、後期高齢者の短期証の交付と葬祭費給付についてであります。
 区では、保険料の未納者に対しまして、通知や電話による納付解消や納付相談を十分に行っているところでございます。現在、短期証の対象として検討しておりますのは、保険料の支払い能力がありながら支払いに応じていただけない、かつ納付交渉にも応じていただけない被保険者であります。区といたしましても、短期証の対象者を減らすために、現在も引き続き粘り強く納付交渉に当たっているところでございます。
 葬祭費につきましては、広域連合条例に基づき5万円としているものでございまして、区として上乗せをする考えはございません。
 次に、長寿健診の自己負担についてであります。
 長寿健診の自己負担については、社会全体でこの制度を支える、負担の公平性を図るという意味からも、一定の負担をお願いしているところでございます。金額についても、妥当なものと考えてございまして、無料にする考えはございません。
 それから、介護保険制度における国庫負担の増額の要望についての御質問がございました。
 介護保険制度の対象となる高齢者人口は着実に増加し、介護給付費も平成12年度の制度開始当初と比較すれば2倍を超えているという状況にございます。しかしながら、国の負担をふやすことは、その財源としての税金を国民に転嫁することとなります。ふえ続ける負担につきまして、自治体や国がどう分担をしていくのか、国民にどれだけ負担をお願いするのか、国民的議論が必要だと考えております。
 最後に、特別養護老人ホームについてであります。
 特別養護老人ホームの整備につきましては、一定程度の広さの土地が必要であり、民間の社会福祉法人が、都市部の人口密集区域である中野区で土地を購入して整備することは、非常に困難であると考えております。したがいまして、区といたしましても、区全体の施設配置の考え方を踏まえまして、公有地の活用を図りながら、整備を進めているところでございます。今後も考えてまいります。
 以上でございます。
    〔保健所長田原なるみ登壇〕
○保健所長(田原なるみ) 子宮頸がんワクチンの御質問にお答えいたします。
 子宮頸がんワクチンに関しましては、現在、国の厚生科学審議会予防接種部会におきまして、その評価や定期接種化すべきかなどの位置付けにつきまして、有識者等からのヒアリングも含め検討を進めているところでございます。区としては、その推移を見守ってまいります。
    〔都市整備部長服部敏信登壇〕
○都市整備部長(服部敏信) 私からは、木造住宅の耐震改修工事助成及び住宅リフォーム助成並びに住宅支援につきまして御答弁申し上げます。
 まず1点目でございます。木造住宅の耐震改修工事助成でございます。
 木造住宅の耐震改修に関しましては、耐震補強設計及び工事管理に要した費用につきまして、区民が税の減免を受けられるように5万円の助成を行っておりますが、区といたしましては、補強工事費用そのものの助成は考えてございません。区は、引き続き、区登録の耐震診断士、耐震改修施工者、耐震改修促進協議会などの協力によりまして、戸別訪問や耐震相談会などを行っていきたい、そう考えてございます。
 次に、住宅リフォーム助成でございます。住宅の改修に当たりまして、資金の調達が困難な方に対して、民間金融機関の融資あっせんを行っておりまして、特に、耐震改修につきましては、本人の負担利率を1%にしていることもありまして、住宅リフォームに対して助成を行うことは考えてございません。
 最後でございます。住宅の支援でございます。
 家賃助成につきましては、生活費の一部であると考えてございます。したがいまして、助成することは考えてございません。
 高齢者専用賃貸住宅の中には、さまざまな生活支援サービスを行うものがありまして、民間事業者によります高齢者専用賃貸住宅の供給や高齢者に対するさまざまな支援サービスを活用して、高齢者の方が地域で安心して暮らせるような取り組みを進めていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
   〔子ども家庭部長長田久雄登壇〕
○子ども家庭部長(長田久雄) 私からは、保育・子育て支援について、お答えをいたします。
 まず、認可保育園の増設が必要ではないかという御質問がございました。これまでの待機児の状況、平成21年度に行いました中野区子育て支援アンケート調査等を通じ、ゼロ歳から2歳の低年齢児における保育ニーズが拡大していることは認識しているところでございます。区は、区立保育園の建てかえ民営化による定員の拡大を計画的に進めるとともに、認証保育所の新規開設支援、家庭福祉員事業の拡大、幼稚園の預かり保育の推進なども保育需要にあわせて実施をし、多様な方法を組み合わせて対応していきたいと考えているところでございます。
 次に、保育園待機児の緊急対策としての施設の活用についての御質問がございました。
 待機児対策につきましては、現在発生している待機児の解消を早急に進めるとともに、将来のニーズも踏まえた対策を、可能なものから順次取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
 区有施設の活用につきましては、新しい中野をつくる10か年計画が計画されておりますが、ここに計画をされております本来整備に支障を及ぼさない範囲で、可能性について検討してまいります。
 廃園された保育園等の活用は、耐震性が低いなどの問題もあり、早期に安全で適切な施設環境に整備すべきであると考えているところでございます。
 それから、区立保育園に対する国庫負担の復活についての御質問がございました。
 地方分権の推進にかんがみ、公立保育所の運営費にかかる国庫負担金の廃止と同時に、財源の移譲も実施をされてきたところでございます。一方で、待機児急増に対処していくためには、保育施設の充実は急務であり、自治体の努力のみでは限界があるというところでございます。子ども手当の今後の推移など、国の動向を見据えまして、区の対応を検討していく必要があるというふうに考えております。
 それから、認証保育所、保護者補助の増額の必要性についての御質問がございました。
 補助限度額の拡大につきましては、国による新たな給付などの動向を踏まえ、総合的に判断する必要があると考えているところでございます。
 最後に、区立保育園の子育てセンター機能の充実についての御質問でございます。
 保育園は、地域の子育て拠点と位置付け、地域の乳幼児親子が気軽に集まれる施設としての機能充実を進めていく考えでございます。既存の区立保育園につきましては、在宅の乳幼児向けの子育て支援事業として、相談事業等を実施しております。平成21年度におきましては、延べ4,921人の参加者があったところでございます。既存の区立保育園においては、子育て支援の機能を担うスペースの確保が困難であることから、機能充実には限界があるものと考えているところでございます。区立保育園の建てかえ民営化にあわせ、地域の子育て支援機能を担うスペースを確保し、区との十分な連携を図りながら、乳幼児子育てひろば事業、一時保育事業等の拡充を進めてまいります。
 以上でございます。
     〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 公契約条例制定につきましてお答えをいたします。
 労働者の賃金は、最低賃金法など法の体系によって守られるべきものであると考えておりますので、区として公契約に関する条例に取り組む考えは、現在持っておりません。
○議長(伊藤正信) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 酒 井 たくや
 1 区長の所信表明について
 2 食の安全について
 3 その他

○議長(伊藤正信) 次に、酒井たくや議員。
     〔酒井たくや議員登壇〕
○27番(酒井たくや) 平成22年第2回定例会におきまして、民主クラブの立場から一般質問を行わせていただきます。
 1点目は区長の所信表明について、2点目は食の安全についてお尋ねします。こちらは、主にトランス脂肪酸についてお聞きしたいと思っております。3点目、その他といたしまして三つ、桃園第二小学校の児童の体育館への移動時の問題について、二つ目が私道の舗装について、3点目に関しましては、東中野駅東口のバリアフリー化についてお尋ねいたしたいと思います。
 区長並びに理事者の皆様におかれましては、わかりやすい御答弁をお願い申し上げ、質疑に入らせていただきます。
 まずは、区長の所信表明についてお聞かせいただきます。
 去る5月23日執行の中野区長選挙におかれまして、区長は3期目の当選を果たされました。今回の選挙の投票率は30.28%と、区議会補欠選挙もあったせいか、若干前回より投票率も上がっておりますが、過去3番目に低い投票率であります。実に7割の方が棄権されているような状況であります。最低の投票率であった平成10年の25.21%から、低調な投票率が続いております。投票率の低下は、議会制民主主義の根幹を揺るがす大きな問題であります。
 まずは、区長は今回の選挙戦の低投票率さをどのように捉えているのか。また、改善されるため、選挙管理委員会への働きかけ・連携も必要であります。何らかの方策もお考えなのか、お聞かせください。
 区長はじめ我々議員も、政治家としてこの低投票率にみずからの不足を認め、ただいま行われております参議院選挙、また、来年4月の統一地方選挙においては、有権者が十分な関心を持って投票に臨むことができるように、日々活動をしていかなければなりません。
 投票率を向上させるには、どのように区政への関心を高めていくのかが求められます。それには中野らしさ・中野のアイデンティティ(独自性)を打ち出していき、中野ブランドを構築させていくべきです。そうすることにより、区民の皆さんが中野に暮らしていることに誇りを持ち、中野を愛することにより、区政に関心を持たれるのではないでしょうか。
 また、この中野ブランドの構築こそが、自治体間競争の時代の中、中野の大きな武器になるはずです。以前は「教育の中野」、「福祉の中野」と呼ばれていた時代もありました。このような、わかりやすい中野のブランドづくりが求められます。区長の考えるわかりやすい中野ブランドとはどのようなものか、お聞かせください。
 また、この中野ブランドをより広く発信させるためには、イメージづくりが必要であると私は考えます。例えば、お隣の杉並区は先進的な取り組みをしている、江戸川区は子育てに手厚いというようなイメージがついております。実績はもちろん必要ですが、先鋭的な施策一つを掲げ、推し進めることにより、大きく中野区のイメージを発信することができるのではないでしょうか。
 それは、イメージづくりとともに、ほかの全体の施策も引っ張っていくことが期待できます。先頭を走るパイロット的な施策をつくり、全体の施策を活性化・向上させ、ボトムアップを図るというものです。このような取り組みもあわせてぜひ進めていただきたいと思います。お聞かせください。
 次に、これからの区政運営の基本姿勢についてお聞きします。
 ここでは、補完性の原理について触れられております。補完性の原理とは、決定や自治などをできる限り小さい単位で行い、できないことのみをより大きなところで補完していくという概念です。もともとはヨーロッパ共同体と加盟各国との関係の原理として導入されました。日本では、財政状況が厳しい中、官から官へ、もしくは官から民への責任転嫁のために補完性の原理が利用されている嫌いもあります。単に行政効率の観点から分権や民営化を進めるのであれば、合理性や効率性の原理でよいわけで、地方分権と住民自治の向上を目指しての補完性の原理が必要であると考えます。区長も施政方針でそのように触れられておりますが、今後、区が取り組む区民活動センターへの転換など、さまざま施策を進める中、補完性の原理と小さな区役所の理念をしっかりと押さえていかなければなりません。その一方で、公の責任とはどうあるべきか、区長のお考えをお聞かせください。
 次に、当面する財政非常事態への対応についてお尋ねいたします。
 リーマンショック以降の急激な景気の落ち込みによる大幅な税収減は、現在どこの自治体にも見舞われております。このような状況下、強い財務体質と厳しい施策の見直しが求められます。
 区長も、「真に必要な事業を絞り込み、最大限効率的に達成できるよう区政の目標体系のあり方や仕事の進め方を全般的かつ大幅に見直す作業を行う」と述べられております。すなわち、今までのやり方ではなく、踏み込みに踏み込んだ施策の厳しい見直しが必要です。
 政府は、事業仕分けを取り入れ、やや乱暴なところもあるのかなと感じるところもありましたが、予算編成を国民に見える形で示され、大きな成果と支持を得ました。先日、世田谷区が23区に先駆け、事業仕分けの世田谷版のような「政策検証委員会」を設置されました。中野区での導入に関しては、区長は現時点では考えていらっしゃらないのは理解しておりますが、今までのPDCAサイクルや内・外部評価制度以上の方策が求められている中、区民に見える、区民も参加できるような中野の新しい政策検証制度をお考えになってはいかがでしょうか。見解をお聞かせください。
 次に、元気いっぱい子育て戦略の中で、区立小・中学校の再編について触れられておりますが、現在、区は区立小・中学校の再編計画の前期の計画を進められており、24年度には前期の計画すべてが完了します。しかし、統合したにもかかわらず単学級があったりと、当初の再編によるクラス数を確保できていない統合新校もあります。
 また、指定校の統合新校には通学せず、指定校の変更や他区の学校へ区域外就学されているのも見受けられます。すなわち、当初の再編の考えとは想定外な点が散見されます。前期の状況と今の現状をしっかりと検証され、中後期の計画に取り組まれ、場合によっては枠組みの見直しなども考えなければならないのではないでしょうか。
 学校再編は大変にデリケートな問題であり、しっかりと説明責任を果たさなければなりません。区長は、今後の再編の進め方についてはどのようにお考えか、お聞かせください。
 この項の最後に、副区長制についてお尋ねいたします。重なる部分がございますが、こちらの質問に関しては、我が会派もこの問題にはこだわりを持って取り組んでまいりましたので、主張を述べさせていただき、それからまた、区長のお考えもお聞きさせていただきたいと思っております。
 今回、組織のあり方を見直されることにより、副区長を3人から二人とし、経営本部の3室に新たに部長級の室長を置かれます。自治法の改正により、平成19年より助役・収入役を廃止し、副区長を置くことになりました。副区長の定数に関しては定められておらず、我々民主クラブといたしましては、当時、この副区長3人制に関しては、二人制で十分であり、特別職を一人ふやすことは行革に逆行する等の理由から一貫して反対してまいりました。今回、区長はこのような議会の声を聞かれ、副区長3人制から二人制にされたことは評価いたしますが、それでは、副区長3人制と経営本部体制をどのように総括されて、今回の見直しが行われたのか、お聞かせください。
 また、この自治法の改正のねらいは、地方の自主性を高めるため、政策執行の権限を強化し、新たに副区長を設けることでした。平成18年度の第2回定例会での私の副区長制についての質疑に際し、区長は「自治体の経営機能の強化は欠かせず、現在の助役制度については、主に区長の補佐をその役割としているところでありまして、事務執行の権限を有しているわけではないわけであります。新たな副区長という考え方については、それぞれが権限と責任を持って「計画・財務」、「政策・経営」、「会計・評価」に当たる」と、副区長に権限を与えるという考えでありました。しかし、今回の施政方針の中では、「区長である私を補佐する役割を明確にした」と触れられております。当初のお考えとのこの当たりの違いについて、お聞かせさせてください。
 また、先ほども出ましたが、平成18年12月12日に定められた副区長定数条例は、「副区長の定数は3人とする」とされておりますが、この条例も我々は見直すべきであると考えております。どのようにお考えか、あわせてお聞かせさせてください。
 以上で、この項の質問を終わらせていただきます。
 次に、食の安全についてお尋ねさせていただきます。
 6月は食育月間ということもあり、区役所1階にはさまざまな食育に関する展示がされております。生活形態が昔とは大きく異なり、また、飽食の現代社会においては、より一層の食育や食の安全が求められます。
 先日、私は食の安全を考える勉強会に参加させていただきました。講師は、杏林予防医学研究所所長の山田豊文氏です。山田氏は、薬を用いずに人が本来持つ自己複製能力を引き出して病状を改善する分子整合学に出会い、独自の理論による予防医学を確立し、プロ野球選手やプロゴルファー等多くのトップアスリートの栄養指導を手がけ、確かな実績を上げていらっしゃる方です。山田さんの主張は、「我々は食べ物からできている」というものであります。当たり前ではありますが、体が要求する、細胞が要求するミネラルなどの栄養素が多く含む食事と、ダイオキシンや水銀のように細胞の生命活動を直接的に妨害する物質に汚染された食事では、長期にわたって摂取し続けるうちに、健康状態におのずと差が生じるというものです。
 戦後の高度経済成長期に伴う科学技術の発達と商業主義の追求により、野菜や穀物の残留農薬や加工食品に用いられる添加物など、今日では日常のあらゆるところに有害な物質が存在し、まさに食品公害の時代です。
 そこで、皆さんはトランス脂肪酸を御存じでしょうか。
 トランス脂肪酸とは、科学的に不自然な構造を持つ植物油由来の物質で、糖尿病・心臓病・がん・アトピーなどのほか、心のトラブルの原因になると報告されております。トランス脂肪酸が大量に含まれている一番身近にあるものはマーガリンであります。それから、食品のパッケージに張られているラベルを注意して見ていただきますと、ショートニングというものがあります。ほかには、加工油脂やファットスプレッドなどです。
 日本では、このトランス脂肪酸は耳なれない単語かもしれませんが、その危険性は40年も前から指摘されておりました。例えば、ニューヨークでは、トランス脂肪酸を含む食品の販売に厳しい規制があり、また、イギリス・オックスフォード大学のピュリ医師らは、トランス脂肪酸が脳に必要な酵素を破壊し、注意欠陥障害(ADD)や注意欠陥多動性障害(ADHG)などを引き起こす大要因になると発表もしております。脳の6割は脂質で構成されており、ここに本来自然界にない不自然なトランス脂肪酸が使用されると、脳が正常に働かなくなるおそれがあるのです。うつ病・アトピー・乾癬・認知症・ADD・ADHG・キレる子どもなど、以前では考えられない現代病のような症状は、食生活の変化にも大きな要因があると言われております。
 アメリカ、ヨーロッパ諸国、韓国、台湾などでも、トランス脂肪酸対策が積極的に進められておりますが、日本ではまだまだ進んでおらず、中野区の学校給食でもトランス脂肪酸を多く含むと言われておりますマーガリンが出ておりますのが現状です。
 このヨーロッパでは「殺人油」とまで言われるトランス脂肪酸について、区民の食の安全や健康を考える責任のある区としての見解をお聞かせください。
 トランス脂肪酸は、微量であっても、未成熟の子どもたちには大きな影響を与える可能性があります。今後、このトランス脂肪酸に対し研究を進め、中野の学校給食や保育園給食からトランス脂肪酸を含む食材をなくしていく、減らしていく取り組みをしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 このような取り組みがパイロット施策となり、「食の安全の中野」、「子どもにやさしい中野」のイメージづくりにも大きく寄与するのではないかと考えます。
 次に、この項の最後に、啓発についてもお尋ねいたします。
 現在、区としてもさまざま食育の事業に取り組まれております。食育と言われると、朝食をしっかり食べる、3食しっかり食べるというようなイメージがあります。そのような基本的なものとあわせ、食の安全についても、トランス脂肪酸などの周知も含めて、踏み込んだ取り組みをしていただきたいと考えます。
 若いお母さんたちも、このような問題には関心は高いはずで、例えば、先ほど御紹介させていただきました山田氏の掲げる栄養をとるための食材キーワード「まごわやさしい」──「ま」は豆類、「ご」はごまですね。「わ」はワカメ、海藻類、「や」は野菜、「さ」は魚、青魚です。「し」はシイタケ、キノコ類、「い」は芋類ですね──こういったわかりやすいとるべきもの、それからまた、とってはならないもの等も紹介し、啓発の取り組みを推進すれば、一歩進んだ事業になるのではないでしょうか。お聞かせください。
 その他で3点お尋ねいたします。
 まず1点目は、桃園第二小学校の児童の体育館への移動時についてです。
 桃園第二小学校は敷地内に体育館があらず、体育館への移動時には一たん道路を横断し、子どもたちは向かいの体育館へ移動しなければなりません。雨天時の全校集会などは、全校生徒447名が傘を差して体育館まで大移動する状況であります。中野区の小・中学校の中で、道路を横断して体育館まで移動するような環境の学校はなく、学校から、地域から、渡り廊下の設置をという声は数年前からあったと聞いております。財政状況が大変に厳しいのは私自身も理解しておりますが、区が校舎の耐震工事を平成21年になされました。国の安全・安心な学校づくり交付金耐震事業で、国が2分の1補助をされ、区が2分の1負担するというものですが、こういった工事とあわせると渡り廊下などの設置の補助も2分の1の国から補助されるようになっております。平成21年の耐震工事に伴い、渡り廊下の設置などにはどのような議論があったのか。区としては、このような桃園第二小学校の状況を捉えているのか、お聞かせください。
 昨年度、電子錠のふぐあいがあり、ホームレスが入り込んだり、不審者が入り込んだりということがあり、今年度より児童の安全対策のために、校舎と体育館の間に安全指導員をつけらております。区の迅速な対応には大変に感謝をしますが、経費は年間約177万円です。この費用が3年、5年、10年と積み重なっていくのなら、費用対効果も含め、この渡り廊下の設置についても検討していただきたいと考えます。お聞かせください。
 次に、その他の2点目といたしまして、私道の舗装についてお聞きいたします。
 私道の舗装助成に関しては、簡単に申し上げますと、幅員と前回の整備からの年数により、区が9割もしくは8割の助成を行い、地権者は1割負担もしくは2割負担するような内容であります。私道舗装の相談を幾つかお聞きしたことがありますが、地権者の負担と承諾書が壁になり、なかなか進みません。区も、平成12年までは全額助成をしていましたが、受益者負担の考えなどにより、今の制度に移行しております。
 経年劣化により、私道に段差、小さな穴などができたときは、臨時的にその部分だけを舗装していただいているのが現状で、臨時に舗装したところがまた傷み、臨時の舗装を重ねに、重ねた継ぎはぎ状態の私道もたまに見かけます。その中には、行きどまりの私道だけではなく、たくさんの方々が往来する公道以上に公道である私道もあります。継ぎはぎだらけの状態で、お年寄りには大変に危険な状態です。中野区の私道のうち97%は狭隘道路でありますが、残り3%は十分な幅員のある私道です。公道以上に使用されているものも少なくありません。
 しかし、いつまでたっても、このような私道の舗装は進まず、放っておくとどんどん状態が悪くなってしまいます。他区でも、条件つきで100%補助しているところも多々あります。このような準公道のような私道に関しては、区が負担をし舗装し、安全・安心に往来することができるような補助の枠組みも考えるべきではないでしょうか、お聞かせください。
 その他の3点目といたしまして、JR東中野駅東口のバリアフリー化についてお尋ねいたします。
 現在、東中野駅周辺地域は、平成26年度の竣工を目途に、西口駅前広場と連絡通路の整備が進められております。山手通り側のJR東中野駅西口側の開発は進められ、西口に比べ東口は活気がなく、駅の東西格差がどんどん開いていっております。また、現在、駅の東側に住んでいらっしゃる高齢者の方は、わざわざバスを利用してエスカレーターのある西口まで行き、駅を利用しており、地元地域からは東口のバリアフリー化の声が幾度となく上がっております。
 JRとして、駅のバリアフリー化はまずは一駅に一つ整備していく考えであるのは理解しております。しかし、このJR側の考えにより、区の東中野駅東口のバリアフリー化に対する考えは硬直化しており、ここ数年、正式にJRに対し要請はしていないように聞いております。私は、地元からこのような声が上がっている中、相手方としっかりと折衝すべきであると考えます。区としては、東口のバリアフリー化をどのように考えているのか。また、駅周辺の東西格差の問題への見解もお聞かせください。
 以上で、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 酒井議員の御質問にお答えをいたします。
 区長選挙におきます投票率に関連して御質問がありました。
 投票率の向上につきましては、区としても継続的に取り組むべき課題であると、こう認識をしております。選挙管理委員会では、投票率向上のために、投票日直前には、人目を引くような広報車、ピンクの豚型の広報車を巡回するなどの広報活動を行うとともに、小・中・高校生を対象としたポスターコンクールやリーフレットの小・中学生向けの配付、新成人を対象とした選挙だよりのダイレクトメールなどの常時啓発を行っているところであります。期日前投票所の増設については、区としても協力を図っているところでありますけれども、今後とも選挙管理委員会と連携をとりながら、投票率の向上に努めていきたいと考えております。
 投票率を向上させるためには、区政への関心を高めることが重要だと、こういった御質問でありました。
 投票率を向上させるために区政への関心を高めるというよりは、やはりよりよい区政を自治で行っていくために、やはり区政への関心を高めるということだと思います。区民が互いに支え合いながら、安心して住み続けられ、このまちで自分たちの社会の未来を展望することができる、だれもがそのようなに実感できる状況をつくり出すことがまちの魅力を高め、ひいては区政への関心も高めていくのだと、このように考えております。
 中野のまちの将来像については、区民の総意である中野区基本構想に描かれております。多彩なまちの魅力と支え合う区民の力にあふれたまちづくりを目指しているところであります。その実現のために、10か年計画をつくっておりまして、四つの戦略という形で象徴的な取り組みについても明示をしているところであります。
 中野のブランドイメージをもっと発信するような工夫をしてはどうかと、こういったことであります。ブランドイメージが先行することが、それがいいこととも私は思ってもおりません。実際にサービスが向上すること、区民にとって満足度の高い区政を行っていくこと、そのことがブランドイメージにつながっていくことが大事なんだと、こう考えております。
 基本構想で描く10年後の中野のまちの姿の実現を図るために、ことし3月策定いたしましたこの10か年計画、これを着実に取り組んでいくことが重要でありまして、そこで掲げた四つの戦略、また重点プロジェクト、こうしたことに力を入れてまいりたいと思っております。
 それから、補完性の原理と公的責任ということについての御質問がありました。
 豊かな地域社会というのは、みずからのことは主体的に決定をし、責任を持って取り組むこと、自立と相互の支え合い、そして公の支援のそれぞれによって成り立つ自助・共助・公助の考え方に基づいてつくられるべきであると、このように考えています。こうした中でも、みずからの責任によらず、支援を必要とするようになる方、こういう方は必ず出てくるわけであります。また、お互いに支え合って暮らしていくために必要な条件というものもあるわけであります。そうしたことについて、公がきちんと責任を持ってサービスを提供できる。そのサービスを計画的に向上させ続けながら、また持続可能な形で提供していく。そうしたことに責任を持つことが大事だと考えております。
 それから、事業仕分けに関連をして、行政評価制度の仕組み、新しい制度を考えて取り組んではどうかと、こういう御質問であります。
 事業仕分けは、これまでも申し上げてきたように、区が行っておりますPDCAサイクルや外部評価制度、これらを全体として動かしている経営サイクル、こうしたものと比べると、決して以上の方策ではありません。事業仕分けと同様の手法というものが行政評価の中の一部に組み込まれていると、そういうことだと考えております。事業仕分けでは、全体のマネジメントに直接結びついておりません。個々の事業をどういうふうに仕分けしたかということは公開の中で行われましたが、そのことが政府全体のマネジメントの中にどのように反映されていくのか、そういったようなことをきちんと国民が検証できるような仕組みはありませんし、そうしたことを全体として経営サイクルの中に位置付けていくことが中野区の取り組みの進んでいるところだと、私はこう考えているわけであります。
 行政評価の仕組み、今年度の行政評価といたしましては、まず、部として分野の自己評価に加え、部内での事業評価を行って、今後の施策の見直し・改善の案を作成いたします。また、2番目に、外部評価委員会はすべての分野に対する昨年度の事業の実施内容に対する評価をするほか、各部の見直し・改善の案を踏まえて、議論を深めたい施策を抽出してヒアリングを行うことにしております。外部評価委員会のヒアリングは、すべて区民に公開をされておりまして、その結果についても区民・議会に公表されております。
 また、外部評価と並行して、外部評価委員会が抽出した施策に対して、区民から意見を募集することを予定しております。各部からは、外部評価結果と区民から寄せられた意見を各部の見直し改善案にさらに反映させることとしているわけであります。
 学校再編についてであります。
 学校再編計画については、児童・生徒数の増加により、学級や学校全体が活性化をし、また、教職員数もふえることで、少人数指導や個に応じた指導といった充実した教育活動が実現できたと考えております。さらに、学校施設につきましても、校舎の改修などのほか、プールや体育館の改修など、よりよい教育環境への改善や充実も図れていると認識をしております。
 今後の再編につきましても、引き続きこれまでの基本的な考え方に基づいて、計画を着実に進めていきたいと考えております。
 中後期の再編計画については、今後教育委員会で検討していただき、それを踏まえての検討となりますけれども、保護者や地域住民などに対して、十分な情報提供を行っていきたいと考えております。
 副区長制についてであります。
 特別職である副区長が3室を担任したことによって、事業部に対するより強いリーダーシップが発揮され、区政全体のPDCAサイクルを推進し、経営本部と事業部による区政経営の仕組みが確かなものとして確立することができたと、このように考えております。この成果をもとにいたしまして、3室に室長を置いて、今後のさまざまな見直しをよりきめ細かに進めていくという中にあっては、実務レベルの連携調整を担わせて、副区長には、区長の立場からの調整への関与に集中させることで、副区長の機能もより効果的なものにしていきたいと考えているところであります。
 定数条例については、取り扱いについて検討中であります。
 私からは以上です。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 桃園第二小学校の渡り廊下の設置について、御回答いたします。
 桃園第二小学校の校舎と体育館との間の通行の安全については、車両どめを置いたり、教職員による誘導等を行うことによって、安全が保たれているというふうに考えております。このため、校舎の耐震補強工事の際には具体的な検討を行っておりません。今後とも児童の安全確保対策について、十分配慮してまいります。
    〔保健福祉部長田中政之登壇〕
○保健福祉部長(田中政之) 食の安全についての御質問にお答えをいたします。
 まず、トランス脂肪酸に対する区の見解をということでございます。
 トランス脂肪酸に関しましては、多量に摂取すると動脈硬化による心疾患などのリスクが高いと言われておりますが、国の食品安全委員会によりますと、日本人の一般的な食生活では、過剰摂取の問題はないということでございます。
 続きまして、給食におけるトランス脂肪酸の対応についてであります。
 学校給食につきましては、中野区学校給食標準献立の作成方針によりまして、また、保育園の給食につきましては、中野区保育園給食標準献立の作成方針によりまして、それぞれ提供しておりますが、いずれも脂質の過剰摂取を避け、脂肪酸の種類について配慮することなどを定め、実施しているところでございます。トランス脂肪酸についても、配慮すべき脂肪酸の一つとして認識をし、その過剰摂取にならないよう、献立の作成や食材の選択に注意を払っているところでございます。
 最後に、区民への啓発についてであります。
 トランス脂肪酸を含む脂肪量過多を防ぎ、バランスのよい食事をとることの大切さを食育の取り組みの中で推進していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
    〔都市整備部長服部敏信登壇〕
○都市整備部長(服部敏信) 私からは、その他の項の私道整備助成及び東中野駅東口のバリアフリー化につきまして、お答え申し上げます。
 まず、私道整備助成でございます。
 御指摘のとおり、公共性の高い公道のような形態の私道もありますが、私道は、個人所有地でありまして、埋設施設等、私権を伴うものも同時に存在しておりまして、管理主体はあくまでも私道所有者の方々と考えてございます。区といたしましては、平成13年度に条例改正を行い、平成15年度から1割または2割の所有者負担を伴う助成制度を行ってございます。区は、私道の公共性に応じて助成をしているものと考えておりますので、1割または2割の負担につきましては、御理解いただきたいと思ってございます。
 続きまして、東中野駅東口のバリアフリー化でございます。
 東中野駅の東口につきましては、駅構造や地形などもあり、バリアフリー整備が求められてございますが、敷地上の制約や構造上、難しいと聞いてございます。JRは、バリアフリー整備に関しまして、西口に1経路が確保されていることから、現時点で東口でのバリアフリー整備の計画はないとしてございます。
 しかしながら、区といたしましては、JR東日本に対しまして、今後とも要請を続けていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(伊藤正信) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、6月28日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後4時30分延会