平成22年12月02日中野区議会本会議(第4回定例会)
平成22年12月02日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録
平成22年第4回定例会本会議第2日(12月2日) 1.平成22年(2010年)12月2日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(41名)
  1番  内  川  和  久        2番  ひぐち   和  正
  3番  白  井  秀  史        4番  平  山  英  明
  5番  つぼい   え  み        6番  いながき  じゅん子
  7番  森     たかゆき        8番  山  口  かおり
  9番  せきと      進       10番  いでい   良  輔
 11番  伊  東  しんじ        12番  佐  野  れいじ
 13番  北  原  ともあき       14番  南     かつひこ
 15番  小  林  秀  明       16番  林     まさみ
 17番  の  づ  恵  子       18番  近  藤  さえ子
 19番  牛  崎  のり子        20番     欠  員
 21番  吉  原     宏       22番  大  内  しんご
 23番  きたごう  秀  文       24番  伊  藤  正  信
 25番  久  保  り  か       26番  やながわ  妙  子
 27番  酒  井  たくや        28番  佐  伯  利  昭
 29番  むとう   有  子       30番  長  沢  和  彦
 31番  か  せ  次  郎       32番  高  橋  ちあき
 33番  山  崎  芳  夫       34番  市  川  みのる
 35番  斉  藤  金  造       36番  篠     国  昭
 37番  岡  本  いさお        38番  飯  島  謹  一
 39番  江  口  済三郎        40番  佐  藤  ひろこ
 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  金 野   晃
 副  区  長  阪 井 清 志      教  育  長  田 辺 裕 子
 政 策 室 長  竹 内 沖 司      経 営 室 長  川 崎   亨
 管理会計室長   尾 﨑   孝      区民生活部長   鈴 木 由美子
 子ども家庭部長  長 田 久 雄      保健福祉部長   田 中 政 之
 保 健 所 長  田 原 なるみ      都市整備部長   服 部 敏 信
 まちづくり推進室長  遠 藤 由紀夫    教育委員会事務局次長  合 川   昭
 政策室副参事(企画調整担当) 小 田 史 子 経営室副参事(経営担当) 篠 原 文 彦
1.本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 下 清 超      事務局次長    石 濱 良 行
 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  荒 井   勉
 書     記  河 村 孝 雄      書     記  菅 野 多身子
 書     記  東   利司雄      書     記  丸 尾 明 美
 書     記  土 屋 佳代子      書     記  鳥 居   誠
 書     記  細 川 道 明      書     記  鈴 木   均
 書     記  岡 田 浩 二      書     記  竹 内 賢 三

 議事日程(平成22年(2010年)12月2日午後1時開議)
日程第1 第66号議案 中野区組織条例の一部を改正する条例

      午後1時00分開議
○議長(伊藤正信) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 高 橋 ちあき
 1 (仮称)区民活動センターについて
 2 (仮称)地域支えあいネットワークの概要(案)について
 3 目標体系等見直し方針(案)について
 4 その他

○議長(伊藤正信) 最初に、高橋ちあき議員。
[1]高橋ちあき議員登壇
○32番(高橋ちあき) 平成22年第4回定例会におきまして、一般質問をさせていただきます。
 昨日行われました一般質問と重なるところもありますが、自由民主党の立場から質問をさせていただきますので、わかりやすい御答弁をお願い申し上げます。
 質問は、1番目、(仮称)区民活動センターについて、2番目、(仮称)地域支えあいネットワークの概要(案)について、3番目、目標体系等見直し方針(案)について、その他はございません。よろしくお願いいたします。
 最初に、(仮称)区民活動センターにつきましてお伺いをいたします。
 区は、基本構想で描く真に豊かで持続可能な地域社会を目指し、平成23年7月を目途に、地域センターから(仮称)区民活動センター及び(仮称)地域事務所への再編準備を進めております。この再編は、地域センターの(仮称)区民活動センターと(仮称)地域事務所への再編方針に基づいて行われており、これまでも区議会においてさまざまな形で取り上げられてまいりました。
 私は、再編方針に挙げる「区民みずからの話し合いや行動を生かし、地域課題の解決に取り組むための活動の拠点を設け、地域自治の推進を支える」としたこの(仮称)区民活動センター及び(仮称)地域事務所への転換については、一定の理解を示すものではありますが、その反面、まだまだ区民や運営委員会準備会に十分な理解をいただいていない部分があるものと懸念をしております。そのような中、本年2月には東部、桃園、新井、大和の四つのセンターにおいて、他の地域に先駆け、運営委員会準備会が雇用する2名のスタッフとともに、地域センター業務の一部を委託する先行実施を始められました。聞くところによれば、これら先行実施を受託された運営委員会準備会の方々からは、「スタート時に多少の不安はありましたが、町を挙げて行っていこう」といった声や「職員とともに仕事を行うことで地域センターにも活気が出てきた」など、熱意のある御意見が多々寄せられたと伺ってはおります。
 しかしながらその一方では、来年7月の再編に向けてはまだまだ地域に温度差があり、平成23年7月の実施を不安視する声があるのも事実です。特に、区と運営委員会の責任分担やかかわり方、また、運営委員会が雇用する事務局スタッフの労務管理など、不安を口にする町の方が少なくないのも事実です。(仮称)区民活動センターへの転換に向けては、こういった運営委員会準備会の不安を取り除き、地域の声や意向といったものにしっかりと耳を傾け、区民の理解を得ながら進めていくことが何より大切なことと考えております。しかし、このような状況の中、区はいよいよ平成23年7月の再編に向け、現在条例制定に向けた手続に入り、先ごろ区民や運営委員会準備会との意見交換会を行ったと聞いております。そこでお伺いいたしますが、今回15カ所で開催されました意見交換会の状況はどのようなものであったのでしょうか。また、今回の意見交換会において、区は(仮称)区民活動センター及び(仮称)地域事務所への再編について理解を示してもらえたと感じていらっしゃるのでしょうか。お答えをください。
 次に、運営委員会に対する区としての支援策についてお伺いいたします。
 区は、(仮称)区民活動センターの運営委員会が雇用する事務局スタッフの採用活動を支援する目的で地域活動コーディネーター養成講座を昨年に引き続き開催する予定と聞いております。運営委員会が区から業務を受託した場合、その業務を担う事務局スタッフの人材確保こそが(仮称)区民活動センターの成否を左右するといった声があちらこちらから聞かれております。まさに事務局スタッフとして適材な人材を確保することが円滑な運営を行っていく上での大変重要な位置を占めると感じているところです。
 そこでお伺いいたしますが、今回、区が行おうとしているコーディネーター養成講座とは一体どのような内容のものなのでしょうか。また、受講に際しての年齢制限や明確な参加基準といったものはあるのでしょうか。お尋ねをいたします。
 また、仮にスタッフの採用がうまくいったとしても、スタッフは運営委員会が雇用する職員となるため、その責任についても不安視する声も聞こえてきております。区は、そのような意見についても真摯に耳を傾け、運営委員会への業務支援といったものについて万全の体制を敷き、しっかりとサポート体制を構築した上で当たっていく必要があると感じております。
 そこでお伺いいたしますが、区は再編方針の中で、「運営委員会への委託者として契約の履行についての監督責任を持つ」とおっしゃっておりますが、どの範囲内で責任を担うおつもりなのでしょうか。
 またあわせて、方針の中では「運営委員会の運営に万が一問題が発生した場合に対応できるよう、専門家の助言やサポートが得られる仕組みを整備します」とも述べていらっしゃいます。それは一体どのような内容のものなのでしょうか。あわせてお答えください。
 さらに、運営委員会準備会の委員を対象に労務管理研修を実施する予定と聞いておりますが、それはどのような研修内容なのですか。また、仮に雇用する上での解雇など、労務上の問題が発生した場合に、区や運営委員会との関係でどのような責任体制となるかもあわせてお答えください。
 以上、(仮称)区民活動センターついて、さまざま質問させていただきましたが、新たな転換に向けてはぜひ区民の皆さんの声をしっかりと受けとめ、不安を解消した上で進められることを強くお願いいたしまして、この項の質問を終わります。
 次に、地域支えあいネットワークについてお伺いをいたします。
 11月の常任委員会で報告がありました目標体系等見直し方針(案)の中で、区政の重要課題への対応として、平成23年度以降に取り組む重要課題の12項目の中で、7番目に支えあいネットワーク推進がありました。
 その目指す姿では、支えあい活動に関する情報が的確に把握され、地域において区や地域、関係機関の連携により、支援を必要とする人に対する日常的な見守りや支援が行われている。また、支援を必要とする高齢者等が必要なサービスが適切に提供されることにより、地域で安心して暮らすことのできる地域社会が実現しているとなっております。
 その目指す姿を実現する主な取り組みとして、すこやか福祉センターによる実態把握のための訪問調査等の実施、緊急連絡体制の整備、(仮称)支えあいポイント制度の創設、見守りなどの支えあい活動を行う町会、自治会等への相談支援、区や地域、関係機関による情報共有のための地域懇談会の開催などがありました。
 さて、この地域支えあいネットワークですが、今、各地域でこのネットワークの説明がなされているようですが、この説明会も地域の人たちにはいまひとつわかりづらく、区の意図している方向性も明確でないのが現状です。私が感じているのは、意見交換会や説明会を行っていても、少しも区民の方々に理解されてはいない会を行い、説明をしたから区として説明責任は済んだと思っているのではないでしょうか。大変不安に感じます。このようなことから、この地域支えあいネットワークについての幾つかの疑問について質問をさせていただきます。
 説明会の中では、家庭力の低下や近隣関係の希薄化による社会的孤立が孤独死の問題等につながるという課題があって、この課題解決のために行政のPRだけでなく、周囲の人が関心を持ち、働きかけを行う、すなわち地域と行政の連携による支えあい活動が必要であるとの説明でした。しかし、現在、民生児童委員という制度がありながら、なぜ二重にもなるような制度を構築されるのでしょうか。その必要性とは何なのでしょうか。
 また、地域力の低下が言われている今、なぜ町会・自治会などに負担をかける支えあい活動が必要なのかお答えをください。
 次に、この事業は町会・自治会をはじめ、地域が行っている活動と連携して、異変があったときの区の連携、対応の体制を築き、支援が必要な人の情報をもとに事業展開をするものと聞いております。そもそもこの支えあいネットワークの最終的な到達点とは何なのでしょうか。ネットワークの構築が最終到達点ではないはずです。ネットワークの推進がもたらす到達点を具体的にお答えください。
 また、支援が必要な人とは、どのような方を指すのでしょうか。これも具体的に教えてください。
 次に、区の対応についてです。
 地域の支えあい活動の推進のため、区は、すこやか福祉センター、保健福祉センターに地域支えあい活動を支援する職員を置くこととしております。その主な役割として、1、異変の発見時にいつでも対応できる24時間緊急時連絡体制、2、見守り対象者の状況把握と職員訪問があります。まず、異変発見時の24時間緊急時連絡体制ですが、具体的にはどのようなことをするのでしょうか。連絡だけで、発見した地域の人を現場に残したままなのでしょうか。それとも、職員も現場に急行し、地域の人と一緒に対処するのでしょうか。大変疑問に感じ、また、わからないことが多いので、ぜひともここのところをわかりやすくお答えください。
 地域での支えあい活動の推進のためには、支援が必要な人の状況把握が重要なのは言うまでもありません。そのため、区では情報を支えあい活動を行う者に対しての支えあい活動のための名簿を作成するとしていますが、その作成上の要件として、1、70歳以上の単身者、2、75歳以上での構成世帯に属する者をはじめとし、障害者等を定めています。現実的には、個人の体力差や慢性疾患など、一律に年齢での区分判断ができない状況も想定されます。先ほどの年齢要件等では、本人の拒否がなければ自動的に名簿に登載されますが、そうでない真に支援が必要な人は手上げ方式となってしまいます。この点について、区はどのように対応するのでしょうか。お答え願います。
 少子高齢化の進展等に伴い、ひとり暮らし、あるいは家族がいる場合でも、みずからの力だけでは問題への対応が難しい状態にある人たちが増加している現状で、地域住民による高齢者、障害者、子ども、子どもの保護者をはじめ、地域において日常生活の上で支援が必要なものに対する見守り、支援等の活動を推進することにより、だれもが安心して暮らせる地域社会を実現することを目指すことは大変重要なことであります。そのためにも、地域での支えあい活動を明確に位置付け、継続的な進展を図るとともに、区が地域での支えあい活動を支援する必要があると考えていることは、(仮称)地域支えあいネットワーク推進条例(案)の目的でもあると思いますが、既に地域では民生児童委員や町会・自治会などの地域団体がそれぞれの地域特性に合った支えあいを行っています。確かに支援が必要な人の把握には名簿登載も必要でありますが、条例がなくても名簿登載などもできるはずです。なぜ条例化してまで地域に行政がかかわり合いたいのかがわかりません。その点をわかりやすく教えてください。
 地域での支えあい活動は、区だけでもできませんし、地域住民だけでも不十分です。地域におけるさまざまな社会資源が相互に協同し、地域での支えあい活動が拡大することにより、だれもが安心して生活できる地域社会が実現できると考えております。そのためにも、地域任せにならない地域の実情に応じたネットワークの構築と連携体制を願って、この質問を終わりにいたします。
 最後に、目標体系等見直し方針(案)についてお伺いをいたします。
 区は、9月上旬に目標体系等見直し検討のための指針(案)をとりまとめ──昨年ですかね、これ、9月だったと思います、総務委員会に報告をされました。これには「区の財政力に対応した区政経営を行うため、真に必要な事業を絞り込み、最大限効率的に達成できるよう、区政の目標体系のあり方や今後の組織運営の改善を図っていく」とあり、そのために各事業部において、1、持続可能な財政力の確保策の確立、2、区政の重要課題への対応、3、重要課題を実現するための目標体系のあり方、4、組織運営、内部統制の仕組みの構築、5、事業の再検証や民間活力の活用、利用者負担のあり方の検証、6、人が育つ組織をつくるための方策について、見直し作業をすることとしていらっしゃいました。
 今回公表されました目標体系等見直し方針(案)の前書きにも、「今後5年程度の財政状況を予測し、中長期的な視点を持ちながら確実な進行管理を行っていくこととする。また、区政の目標体系のあり方や組織運営、内部管理の仕組み及び人材の育成について十分な検討、改善を推し進め、事業を最大限効率的に達成していく」と書かれております。しかし、方針(案)に示されているのは、非常に不十分と思われます。区政の重要課題への対応と新たな目標体系による部門の考え方だけで、財政の見通しや内部管理の仕組み、人材育成などについては示されておりません。各事業部で行ってきたはずの見直し作業や検証の内容なども触れられておりません。すべてを明らかにし、十分な議論を踏まえて目標体系や組織の見直しをすべきではないでしょうか。
 この目標体系等見直し方針(案)の2の区政の重要課題への対応という項目では、平成23年度以降に取り組む重要課題とその取り組みは一応示されております。しかし、その取り組みが本当に妥当なものか判断するための説明もなく、いきなり新しい組織(部門)が出ております。課題解決のための取り組みや方法を具体的に明らかにし、そのための目標を示した上で新たな部門の提案となるのではないでしょうか。
 今回の案では、組織改正が最大の課題解決に見えてなりません。組織はどのようなものであっても、解決の道筋さえしっかりできていれば、目標は達成できるのではないでしょうか。また、12の課題から新しい部門の編成がどうして出てくるのか、その検討過程の説明がされておりません。部門編成の考え方を示すべきではないでしょうか。
 次に、3の新たな目標体系による部門の考え方についてお伺いをいたします。
 経営本部に置かれる新しい2室、(仮称)都市政策推進室、(仮称)地域支えあい推進室の位置付けは非常にわかりにくいものがあります。どのような位置付けとなるのでしょうか。教えてください。
 (仮称)地域支えあい推進室は、すこやか福祉センター4カ所の推進組織ということで示されておりますが、まだ1カ所しか施設ができていないと思います。推進室を置くという考え方はどういう考え方なのかを教えてください。また、ほかの3カ所はどうなさるんでしょうか。たった1カ所しかできていない中部すこやか福祉センターは、できて半年もたっておりません。来客数も少ないと聞いております。そういった総括も示されないままの今回の見直しは、いかがなものかと不安に感じます。
 区政の重要課題に(2)(仮称)区民活動センター及び(仮称)地域事務所の開設があります。最初の質問でも触れましたが、これについてはしつこく申し上げますが、現在議会でも議論している最中であります。にもかかわらず、新たな部門では地域支えあい推進室の主な事業として区民活動センター等統括が出ておりますが、こういった検討過程の中での部門の見直しはいかがなものなのでしょうか。今後どのように運営されるか詳細な検討ができていないにもかかわらず、(仮称)区民活動センターの検討を十分してから見直しを決めるものではないでしょうか。
 次に、教育と子育て支援を担う部門、(仮称)子育て教育部(教育委員会事務局)は、「新生児期から成人するまでのライフステージをトータルにとらえる部門」としていらっしゃいます。一方で、すこやか福祉センターで子育て支援や児童館及び地域子ども家庭支援センターを担当するとしていらっしゃいます。この方針(案)だけ読むと、二重行政のような印象を持ちます。非常にわかりにくく、非効率的な組織に見えます。子育て教育部とすこやか福祉センターの関係や、ライフステージをトータルにとらえるという考え方について教えてください。
 また、スポーツや生涯学習が健康・福祉・生きがいを担う部門にて扱うのはいかがなものか不安を覚えます。この考え方についてもお聞かせをください。この部門については、まだまだ疑問に感じることがたくさんあります。時間をかけて検討をしていっていただきたいと願います。
 目標体系等見直し方針(案)に示されておりますスケジュールによりますと、12月5日号の区報とホームページで公表をし、区長との対話集会の1回だけの意見聴取を行った上で、12月下旬に目標体系等見直し方針(案)を決定するとなっております。非常に短い期間で区の政策の大きな方向転換を定める方針を決定する理由は何なのでしょうか。また、方針決定の前に組織条例を提案するのはなぜなのか、教えていただければと思います。
 以上、この方針(案)にさっと目を通しただけでもこれだけの疑問がわいてきます。この目標体系における部門の考え方は区民に混乱を与えることは避けて通れないと思います。区の考え方を区民に十分説明するためにも、目標体系だけではなく、内部管理の仕組みや人材育成計画などの考え方を総合的に示して、もう少し時間をかけて見直しをすべきではないでしょうか。区長のお答えをお願いいたします。
 多くの課題を抱えている中、区民にとっての大切な施策は十分検討しながら進めていっていただくようお願いをいたしまして、私のすべての質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 高橋議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、(仮称)区民活動センターの条例制定に向けた意見交換会の状況についてであります。
 この意見交換会については、11月11日から19日にかけて15カ所の地域センターで行い、約200名に御参加をいただいたところです。
 意見交換会では関心も高く、細部にわたりさまざまな御質問、御意見をいただき、区のお示しした転換に向けての基本的な考え方や方向性については、おおむね御理解をいただいているものと受けとめているところです。意見交換会にはおいでになれない区民の方も多くいらっしゃったわけでありますし、区としては今後ともさまざまな媒体を活用して積極的な広報やPRに努め、平成23年7月に向けた円滑な転換を目指してまいりたいと考えているところです。
 それから、地域活動コーディネーター養成講座の内容についてであります。
 地域活動コーディネーター養成講座のカリキュラムは、中野区の地域活動の現状と課題、持続可能な社会と地域活動の今後、地域活動コーディネーターの役割、地域に求められる事業の企画の立て方などについて学ぶことを予定しております。受講に際しては年齢制限はありませんが、地域団体、公的機関、企業などで地域活動や地域活動支援の実務経験のある者など、一定の応募資格を設けるとともに、作文の提出を要件にしているところです。
 運営委員会に対する区の委託側としての責任、労務管理等についての御質問がありました。
 区といたしましては、運営委員会が区から受託した業務を契約内容に沿って適正に履行していただくことができるように運営委員会に事業計画書の提出や定期的な報告を義務付けるとともに、必要な場合には調査も行うことにしております。区は日ごろから運営委員会と適切に連絡・調整を図って、必要に応じて指示などもしながら委託者としての責任を果たしてまいります。
 また、労働問題といったようなことが生じた場合に、どういうふうに対応できるのかといったことであります。
 区は、運営員会の設立や運営を支援するために会計と労務管理について税理士及び社会保険労務士と年間を通して委託契約をし、いつでも相談できる体制を整えております。運営委員会が雇用した者、事務局スタッフということになりますが、その雇用主としての責任は運営委員会にありますが、運営委員会に労働問題等が生じた場合には、委託契約している社会保険労務士を活用するなどしていただくとともに、区としてもその解決に向けて支援をしてまいります。
 労務管理研修の内容についてですけれども、雇用主としての心構えや労働基準法など雇用にかかわる法令知識の習得、それから、雇用における主なトラブルとその対応、採用面接の心構えなどについて行うものであります。
 次に、地域支えあいネットワークの概要についての御質問がありました。
 地域支えあいネットワークは何を目指しているのかという御質問であります。地域の公益活動を行っている町会自治会と地域福祉の担い手である民生委員が互いに協力をしていただくということについては、地域支えあいにとって不可欠なことだと考えております。民生児童委員も単独で活動するということでの御負担は大変に大きいといったようなこともあります。また、町会自治会でも御質問の中にあったように、それぞれ独自の支えあいの活動もしていただいているところであります。二重の制度ということではなく、支援を必要とする人を多層的、多重的に見守っていくことが必要なのではないかと、こう考えております。
 町会がたくさんの活動を抱えて大変な状況にあるのに、またこうしたことで負担をかけるのかといったようなことも御質問の中でありましたけれども、こうした支えあいという形で地域の中での結びつきが強くなっていくこと、このことはまた町会活動自身を容易にしていくためにも必要なことであるというふうに考えているところでもあります。
 また、地域支えあいの目指す姿ですけれども、区が主体的に取り組むとともに、その地域の住民が互いに協力をして、自分だけ、家族だけ、近隣だけでは守り切れない地域の課題も地域の構成員みんなの力で解決をし、支えあっていくことにより、だれでも安心できる、安全で安心に暮らしていくことができる地域社会を実現するということが目指す姿と言えると考えております。そういう意味でも区がしっかりと地域で区の役割を果たすこと、そして、地域の中で皆さんが自分のできることはしっかりと協力をしていただけるようなネットワークをつくっていく、このことが大事だと思っておりますし、そうしたネットワークの構築がその実現のための方策の一つであると考えているところであります。
 それから、支援が必要な人の定義ですけれども、支援を必要とする人とは、ひとり暮らし、あるいは家族がいる場合であっても、みずからの力だけでは生活上の問題に対応が難しい状態にある人といった方たちを想定しております。具体的には、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯、あるいは障害のある方の世帯、あるいは孤立している子育て世帯などもその中に含まれると考えております。
 それから、すこやか福祉センターにおける24時間の緊急連絡体制とはどのようなものかといった御質問がありました。
 すこやか福祉センターでは地域の見守り、支えあい活動の取り組みで日中のほか、夜間や休日における支える側の人々からの緊急通報に対応できる体制を構築する、そのように考えております。地域の見守り、支えあい活動の中で、地域の方々だけでは判断に迷う事例や、公的な支援が必要と思われる事例などについて通報を受け、必要な場合には地域包括支援センター等とも連携をして、担当職員が出動することを想定しているところであります。
 それから、支援が必要な人の把握に関連して、年齢要件等に該当しない支援を必要とする人への対応といったようなことについての御質問がありました。
 一定の年齢要件以外に障害の手帳をお持ちであるなど、区が状況を把握をしている人については、区のほうから名簿にお載せしますというふうに同意を求めて、同意を得て名簿に登載をするということであります。これは手挙げということとは違っております。
 また、区が状況を把握していない方についても積極的に情報収集に努めるものとして、近隣などからの何らかの情報を得た場合には、区が訪問を行うなど実態を把握して、その上で必要であれば、同意の上、名簿に登載していくといったことを考えていきたいと考えております。
 それから、町会・自治会など既に支えあいを行っている、条例がなくても名簿はつくれる、なぜ条例が必要なのかと、こういった御質問でありました。
 基本的に町会・自治会で御自分たちが対象になる方をリストアップしてそうした活動をしている、区側からの名簿が必要ないということであれば、特段名簿をお渡しする必要はないのであります。町会・自治会などが活動する上で名簿が必要だといった場合に、提供できる体制をつくるというのがまず第一の考え方であります。そして、行政からの情報によって名簿を作成して、そうした団体に提供するに当たりましては、やはり個人情報の取り扱いを条例によって厳格に定める必要があると、このように考えているものであります。
 (仮称)地域支えあいネットワーク推進条例につきましては、地域で支えあいを必要としている方に対して区がとるべき対応、そしてそれを補っていただく住民同士の支えあい活動といったことを明確に位置付け、区と区民が連携・協力をしてだれもが安心して住み続けられる地域づくりを行うための基本的な事項を定めるものと考えております。名簿も含まれますけれども、そうした基本的な事項をこの条例によって定める中で、区としての取り組みを着実なものにしていきたいと考えております。
 続きまして、目標体系等の見直し方針の案についての御質問がありました。
 方針案に財政や内部管理、人材育成等の考え方が盛り込まれていないと、こうしたことを示した上で目標体系の見直しを行うべきではないかといった御質問でありました。
 中長期の財政見通し、それから内部統制の仕組みや人材育成の基本的な考え方については、これまでもお示しをしたところであります。そうした考え方に基づいて今回、平成23年度以降に取り組む重要課題への対応、それから目標体系の柱となる部門の姿をお示ししたところです。今後の財政見通し等につきましては、現在作業中の平成23年度の予算編成の結果を踏まえて確定し、お示しをしたいと考えております。
 課題の解決の道筋があれば、組織はどのようなものでも目標は達成できるのではないかといったようなことでの御質問がありました。
 区の目標体系は、組織のあり方、予算の構成と一致をさせているところであります。どのような組織もまず目標があって、その目標に向かって事業を組み立て、資源を配分して取り組むといったことであります。今回、12の重要課題とその取り組みを明確に示して、それに対応する目標体系の基本となる部門の考え方として部、室の構成を明らかにして組織の大宗を示しているところであります。
 目標体系の見直しについては、この12の重要課題を効率的、効果的に達成していくため、目標体系のあり方を検討しているものであります。重要課題やその取り組みについては、今回、私が3期目の区政をスタートいたしました。このスタートとともに、選挙で区民にお約束した政策を着実に実行していくために検討してきたものであります。組織や区政の目標体系のあり方は、区長として責任を持って実施することとして議会にお示しし、条例、予算などの形で御判断をいただいているものであります。
 経営本部の新しい2室についての組織に関連して御質問がありました。
 都市政策推進室については、都市経営の今日的な課題について取り組みを行うとともに、大規模プロジェクトの推進を担う室であります。地域支えあい推進室については、地域における区民活動や子育て支援、保健福祉、健康づくりを最前線で受けとめ、ワンストップで対応する組織としてのすこやか福祉センターの現場での活動を統括し、推進するための室であります。新たにつくる2室については、他の部と異なりまして複数の部がかかわる現場での取り組みを効果的に進めていくために設ける実行組織であります。経営本部に設置をいたしましたのは、流動的かつ不定形な課題に対して区として素早く適切な判断ができるよう、トップマネジメントの直近に配置をしたものであります。
 すこやか福祉センターが1カ所しかない中で地域支えあい推進室を置くことの意味についての御質問もありました。
 現在の保健福祉センターと地域子ども家庭支援センターは施設整備を待たずに、できる限り早期にすこやか福祉センターに再編し、機能充実を図ることが必要と考えております。地域支えあい推進室の設置にあわせてすこやか福祉センターを4所展開したいと考えております。施設整備の済んでいない地域についても、できる限り支障ないよう、さまざまにバックアップしながら機能を果たしてまいりたいと考えております。
 それから、中部すこやか福祉センターがまだ始まって半年、検証もするべきではないかといったようなことであります。
 すこやか福祉センターが進めております高齢者や障害者への地域の見守り、支えあいの体制づくりや子育て支援のネットワークづくりは、区民による地域の自治活動や公益活動と連携協力することで一層の推進が図られるものであります。こうしたことから、地域の活動を統括して推進する専管組織として地域支えあい推進室を設置し、地域の最前線に職員を配置し、また、(仮称)区民活動センターに配置する職員の役割についても明確化してきたところであります。
 (仮称)区民活動センターの検討と組織再編についての御質問がありました。
 (仮称)区民活動センターは、区民みずからの話し合いや活動を生かし、地域課題の解決に取り組むための活動拠点として、また、地域自治の推進を支えることを目指して検討を重ねてきております。町会・自治会との話し合いや議会での一定の議論を経て今日に至っていると認識をしております。組織の形そのものについて、これからも検討は続くというふうには思いますが、こうした機能を地域の中で確保をしていくということについて、必要性を認識をしているところであります。目標体系等の見直しでは、行政として地域の最前線で情報の収集や実態把握など地域自治の推進や支えあい活動、また、すこやか福祉センターを中心とするきめ細かな総合相談サービスをより充実、進展させるために地域支えあい推進室の整備を図るものであるということを重ねて御説明をさせていただきます。
 続きまして、(仮称)子ども教育部についての御質問であります。
 (仮称)子ども教育部は、新生児から成人までのライフステージをトータルにとらえるとともに、従来の子育て支援と教育委員会の機能をあわせ持つことにより、積極的、効果的な行政運営を担うものとして設置するものであり、子育て支援施策全般にわたり政策立案や制度管理を行います。
 子育て支援に限らず、地域で暮らす区民の抱える課題は区の組織や部門を越えて多様に広がっているものであります。そうした個々の課題に機動的にワンストップで対応できる前線組織としてすこやか福祉センターを構想したものであります。このような二つの部門を持つことで課題を深くとらえて充実した制度づくりとその管理を行う後方の部門、そして、区民の課題を包括的にとらえて、地域固有の問題でも個別ケースに対してもきめ細かくかつ柔軟に対応する前方の部門、これらをあわせ持って子ども施策の専門性を保つとともに、現場での効果的な対応を図るものと考えているところであります。後方で制度を管理する、前方で現場の効果的な対応を図る、こうしたことから、二重行政とは考えておりません。
 それから、スポーツや生涯学習の分野を教育委員会から健康・福祉・生きがいを担う部門に移すということについての御質問であります。
 スポーツ、生涯学習の究極の目的は、人が社会の中で生きがいを持って充実した暮らしを営むことにあると考えております。健康づくりや福祉においても同様なことが重要な時代となってきております。そうしたことから、新しい中野をつくる10か年計画では、健康づくりや福祉といった課題と生きがいづくりや社会参加などの課題を一体的に取り組むことがより効果的であると考えて健康生きがい戦略を設定してまいりました。こうした考え方に基づいて、スポーツ、生涯学習等を教育委員会から区長部局である(仮称)健康福祉部へ移管するという考えになったわけであります。
 それから、この見直し方針決定のスケジュールについての御質問がありました。
 目標体系等の見直しにつきましては、3期目の区政のスタートを切ったそのときから検討を本格化させ、区政全般にわたって全庁挙げて検証を行ってきたところであります。検討期間が短いものであったとは考えてはおりません。
 また、選挙の中で区民の皆さんにお約束していたその政策をどういう形で実現するかという検討でありまして、必ずしも急な方向転換でもないと、このように考えております。12月9日の区民との対話集会では、目標体系等見直しのため、平成23年度以降に取り組む重要課題と平成23年度予算における主な取り組みの案について御意見をお聞きすることにしております。今後はこれまでの検証内容や区民の意見等に基づいて方針を決定していくことになります。
 組織や区政の目標体系のあり方については、選挙で選ばれた区長として区民の皆さんにお約束した政策を着実に実現をしていくため、責任を持って決定して議会に諮り、お認めいただいた上で実行してきたところであります。今回は政策の重要課題に向けてお示しをし、実現に向けた目標の基本的考え方、組織の新しい形について御提案をしているところであります。具体的な事業にかかわります目標のあり方や事業の見直し、こういった詳細につきましては、今後区民や議会の意見を踏まえ、予算編成の中で詰めを行った上でお示しをしていきたいと、こう考えているところであります。
 重なりますが、組織等、区の執行機関に関する方針については、これまでも区議会で御審議いただく前に区民の御意見を聞くということはいたしておりません。
     〔[2]高橋ちあき議員登壇
○32番(高橋ちあき) 再質問をさせていただきます。区長の御丁寧な答弁に、本当に心からありがたいと思っております。
 方針についてでありますけれども、私は区民に意見を聞けと申し上げたわけではございません。区民が区長を選出したわけでありまして、区長が再三お言葉の中で「区民と約束したことを真摯に確実に実行をしていくんだ、そのためにこの提案をしているんだ」というふうに私は受け取っております。なので、大事なのは、その区民が、区長を信頼して選んでくださった区民の皆さんにより一層わかりやすい組織にしていただきたい、部門にしていただきたいということの願いを込めまして質問をさせていただいたわけでございます。ですので、明確な御答弁をいただいた中、今一度、着実に進めていくに当たりましては、やはり人材育成の進め方とか、一応ある程度私たちにもわかる部分を示していただき、進めていただきたいという思いがございます。もしそこで御答弁がございましたら、お願いしたいと思います。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。
 人材育成につきましては、大変重要な課題ということであります。目標体系等の見直しの一番最初の時点で、人材育成の新しい方向性といったようなことについてはお示しをしてきたというふうに考えております。職員の専門性を高めていくこと、また、専門性を持った職員が生きがいを持ちながら、やりがいを持ちながら仕事ができるような、そうした職務の制度のあり方等について現在検討を行っているところであります。そうした人材育成の問題、また、職場で職務を行っていく上での管理の問題につきましても、現在その仕組みについて考え方をお示しをしているところでありまして、その具体的な形について検討を進めているところであります。
 部門の考え方、目標体系全体の考え方、そうしたことを確定していく中で、そうした行政の管理のあり方についても具体的な形でお示しをしてまいりたいと、このように考えております。
○議長(伊藤正信) 以上で高橋ちあき議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 白 井 秀 史
 1 「(仮称)中野区健康クーポン」(健康診査・がん検診)について
 2 病院における新たな休日診療体制について
 3 マンション管理の適正化の推進について
 4 高齢者等の住み替え支援について
 5 優良タクシー乗り場について
 6 その他

○議長(伊藤正信) 次に、白井秀史議員。
      〔白井秀史議員登壇〕
○3番(白井秀史) 平成22年第4回定例会に当たり、公明党の立場から一般質問を行わせていただきます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 初めに、(仮称)中野区健康クーポンについて伺います。
 (仮称)中野区健康クーポンとは、35歳以上の健康づくり健診や40歳以上の特定健診、75歳以上の長寿健診における健康診査及び胃がん、肺がん、大腸がんの各種がん検診を無料で受診することができるクーポンとの意で用います。
 本年9月に発表された厚生労働省の平成21年人口動態統計によれば、悪性新生物、いわゆるがんの死亡数は34万4,105人で、死亡総数の30.1%を占め、死因順位の第1位となっています。
 公明党はこれまで、がんの総合対策に力を注いでまいりました。がん対策推進法案の要綱骨子を作成し、平成19年4月にはがん対策推進基本法が施行されました。さまざまながん対策を進める中、平成20年には女性特有のがん対策の強化を求める署名運動を行い、中野区内で約5万人、都内で約127万人の署名と約10万人のアンケート調査を行い、がん対策の強化について国と都に要望し、実現してきたところです。平成21年度には国の政策によって女性特有の乳がん、子宮頸がん検診の無料クーポン券と検診手帳が対象年齢の方に配布される事業が行われました。加えて、中野区においては公明党議員団として強く求め、区長の決断により、この事業を5年間継続することによって、対象年齢の切れ目のないがん検診事業を実施しているところであり、全国注視の事業となっています。
 そこで、現在進行中の事業ではありますが、区としてこの女性特有のがん検診の無料クーポン券事業の実施は健康意識の普及啓発と受診率の向上を図ったとされておりますが、改めて評価をお伺いいたします。
 日本人の死亡要因の第1位ががんであることは先ほど触れました。このがんを部位別に見ると、同資料より男女とも肺がん、胃がん、大腸がんが圧倒的に多いことがわかります。がん治療においては、早期発見、早期治療が最も必要であり、そのための定期的ながん検診が不可欠と言えます。しかしながら、中野区のがん検診事業の受診率は低く、芳しくありません。区はこの実態をどのように認識、また分析されているのかお伺いいたします。
 そこで、区が独自に進めてきた女性特有の乳がん、子宮頸がん検診無料クーポン券事業を、肺がん、胃がん、大腸がんのいわゆる三大がんに適用を拡大し、がん検診受診率の向上、すなわち区民の健康長寿の施策を強化すべきであると強く求めますが、区長の英断をお伺いいたします。
 区は、医療保険者として、また、その事業の受託者として35歳以上の健康づくり検診、40歳以上の特定検診、75歳以上の長寿検診の事業を実施しています。これまで公明党として特定検診、長寿検診の検診項目の拡充の必要性を訴え、実施を求めてきたところであり、区が検診項目の拡充を図ってきたことは大いに称賛いたします。この基本健康診査である健康診断と各種がん検診を同時に実施することにより区民の利便性が向上し、また、健康診査とがん検診双方の受診率向上による区民の健康への寄与、さらに検診費用や医療費の抑制、節税へとつなげることも可能であると考えます。女性特有のがん検診事業では、中野区は全国を牽引しています。この際、肺がん、胃がん、大腸がんの三大がんの検診事業の無料クーポン事業の実施と、さらに各種検診事業を同時に行う(仮称)中野区健康クーポン事業の実施による区民の健康長寿への施策拡充に取り組むべきであると思いますが、区長の見解を伺い、この項の質問を終わります。
 次に、病院における新たな休日診療体制についてお伺いします。
 この事業提案については、平成21年第3回定例会において、私が取り上げさせていただきました。また、同年第4回定例会においては、我が会派の飯島議員からも質問に取り上げ、生命を守る施策の充実の課題です。公明党として三たび、この課題について質問を取り上げさせていただきます。
 現在の中野区休日診療事業は、区を南北に分割してそれぞれ病院1カ所、診療所2カ所の計6カ所で運営されています。区民の生命と健康を守る上で、なくてはならない体制です。しかし、この制度を支える医療機関が平成17年度の140医療機関から平成19年度には121医療機関と徐々に減少傾向にあり、現行制度の維持が困難になってきている状況です。その理由として、スタッフの確保が困難、医師の健康問題、休日に建物が使用できない等の施設の都合等があります。加えて、他の施設に出向いての輪番制の当番医であるならば対応が可能であるとの意見等が平成19年医師会員アンケートより明らかとなっています。
 区内病院を利用した場合、既にあるレントゲン機器や緊急検査機器、超音波装置等の利用が可能となるだけでなく、入院などの二次救急診療が必要な場合に、病院の当直医に診療を引き継ぐ対応がとれます。また、人件費についても抑えた対応がとれ、費用対効果の面においても評価できると考えます。中野区においては、これまで病院において固定式の準夜間小児初期救急医療体制を実施し、中野方式と呼ばれてきた経験があります。新たに広く区民の休日における健康を守る中野方式と呼ばれる診療体制を創設すべきであると重ねて求めます。
 また、これまでの質問における区長の答弁は、「この新しい仕組みが安定的に区民の医療ニーズにこたえられ、財政的にも持続できるなど、十分に機能するものが構築できるということでございますれば、医師会と協議をして進めてまいりたい」とありました。また、次の別の質問の機会には、「安定した地域医療環境を確保する上で、固定式の休日診療事業の導入については検討することが必要だと、こう考えております。医師会からの御提案の内容につきまして協議を進めているところであります。今後の区の財政負担や事業効果なども勘案し、また固定式休日診療事業における医師会のほうでの当番体制づくりの状況なども踏まえながら、来年度導入──これが当時の質問では今年度になります──が適当という判断が得られれば、そのような判断をしていきたい」と述べられております。改めて現在の検討・協議の状況と今後の見通しを伺い、この項の質問を終わります。
 次に、マンション管理の適正化について、中野区の支援策を伺います。
 平成20年度の中野区住宅白書によれば、区内の分譲マンションには平成17年3月までに879棟、約3万90戸が建設されたとあります。その後も土地の高度利用が進んでいることから、増加の一途をたどっていることは容易に想像できます。また、中野区の新10か年計画第2次においては、今後建設後相当の年数を経たマンションの急増が見込まれることから、長期修繕計画に基づく修繕や将来の円滑な建て替えなどの支援をするため、事業者団体やNPO等と連携してマンション管理士の派遣や相談会、セミナーの開催、情報の提供などを進めるとあり、ステップ1では分譲マンションの適正管理の推進と示されています。
 本来、個々人の資産であり、自己責任が大きく問われるところですが、行政の一定の支援やアドバイスが欠かせない状況になりつつあります。背景として、分譲マンションは一つの建物を多くの人が区分所有しながら共同で居住することから、利用形態や権利関係が複雑に絡み、価値観が多用化する中、全体の意識統一決定や規約の確立が困難となります。
 また、建物構造上の技術的判断の難しさから、専門知識の乏しい管理組合等においては、放置すれば自己責任の範疇を越え、社会問題に発展しかねないものもあります。現に、管理に関する問題が数多く発生しています。
 このような観点から、社会的要請があると判断し、区が支援策を講じていくことに賛同いたします。法整備の面からも、平成13年に国土交通省告示のマンション管理の適正化に関する指針が示され、その中に地方公共団体としての支援がうたわれています。
 まず、区として分譲管理の適正化の前提として、どのような認識と現状課題を持っておられるのかをお伺いいたします。
 区はこの間、セミナーや相談窓口の開設、NPO等の支援団体への紹介を行っています。また、本年6月には小冊子「すまいのしおり」を作成されました。しかし、これらの支援策の周知徹底がまだ不足状態にあることと、マンション管理の適正化のため、区の支援策をさらに拡充する必要があると考えますが、いかがでしょうか。お伺いをいたします。
 さらに、今後はマンション管理の適正化のみならず、超高齢社会を見越しての見守り・支えあいの観点から、また、防災の観点からもマンション適正管理を検討する必要があるのではないかと考えますが、御見解を伺い、この項の質問を終わります。
 次に、高齢者等の住みかえ支援についてお伺いいたします。
 この質問は、私が3年半前に初当選をさせていただいた際、この場で初めて質問させていただいた課題です。さらなる支援策が必要であるとの観点から伺ってまいります。
 高齢であるとの理由から民間賃貸住宅の更新を断られ、新たに他の賃貸住宅を探しても契約が締結できずに住み替えに困る高齢者や障害者世帯の方々が数多くおられます。
 区は、住み替え支援として、保証人が立てられない場合、民間の債務保証会社の債務保証サービスを利用した際に、その費用の一部を助成する「債務保証サービス利用助成」と月に1度の訪問による日常生活状況の確認や身の回りの相談を行う「見守り支援」から成る居住安定支援事業を行っています。事業実績としては、債務保証サービス利用助成は、平成19年度2件、20年度0件、21年度1件、22年度は現段階では0件となっています。また、見守り支援については、すべての年度について0件となっています。事業として成立しているとは言い難い状況にあります。
 初めに、この事業の現状をどのようにとらえておられるのか、お伺いいたします。
 従前の質問の際、区長は「大変有効な施策ではないかというようなことで取り組んでいるところですが、御質問の中にもありましたように、事業実績そのものがまだあまり進んでいないというようなことで、実施上の課題もあるのかなという認識を持っているところであります」という御答弁をいただきました。あれから3年が経過した今、制度の改定に迫られていると考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
 制度設計上の課題として、具体的にはまず、債務保証サービス利用助成について、助成金額が上限1万5,000円の初回保証料の2分の1であり、金額設定が低いこと、また、この間に区が助成対象としてきた民間保証会社が3社から2社に減り、不動産と締結する保証会社をカバーし切れていない等のことが挙げられます。中には推奨すべきではない保証会社も存在しますので、区が一定の基準を設け、保証会社の拡充を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお伺いいたします。
 また、見守り支援の対象者の条件が65歳以上のひとり暮らし、または65歳以上を含む60歳以上の人のみの高齢者世帯、障害者世帯との規定まではよしとしても、介護保険の居宅サービスや障害者の方を対象とした居宅介護を受けている方を除くとの条件では、本当に見守りを必要とする人はおおむね除外されていると捉えても差し支えないと考えます。この条件の緩和と、今後区が検討し、推進しようとする地域見守り支援サービス体制構築の中で整合性を図り、区民の利用者の立場に立った事業対象者とすべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の御見解をお伺いいたします。
 さらに、中野区住み替え支援事業協力不動産店について伺います。
 物件をお探しの高齢者世帯や障害者世帯、ひとり親家庭の方でも入居を拒まない民間賃貸住宅の物件を紹介していただける不動産店が、今年度の11月16日段階で156店にまで増加してきたことは評価できます。さらなる増加にも期待を寄せます。しかし、肝心なのは、不動産店から紹介される物件数にこそあります。また、家主が契約締結をするための後押しとなる支援策が最も大事です。私は、それはお亡くなりになった際の支援であり、残された家財道具の整理であると考えます。助成支援や積み立て方式、保険方式等々、さまざまな制度設計を検討していく段階にあると考えます。家主の不安と負担を拭い、年老いても住み続けられる支援策となるように、高齢者等の住み替え支援の施策を拡充すべきであると思いますが、御見解を伺い、この項の質問を終わります。
 次に、優良タクシー乗り場について伺います。優良というのは、すぐれている、よいとの意味で用います。
 皆さんは、タクシーを利用された際、嫌な思いをされたことはないでしょうか。東京タクシーセンター、旧名称では東京タクシー近代化センターには、連日クレームの電話があると聞きます。利用客のモラルが問われるものもありますが、乗務員の接客態度の悪さや粗暴な運転等の声が寄せられています。
 近年、タクシー業界において、自主的なサービスと利便性の向上のための取り組みが広がりを見せています。東京タクシーセンターでは、23区の特別区と武蔵野及び三鷹市から成る東京特定指定地域でタクシーを利用するお客に対して、利便性とより良質なサービスを提供するため、平成13年に学識経験者、有識者、行政、タクシー利用者代表等から構成されるランク評価委員会を設置し、法人タクシー事業者のサービス等に関する評価を制度化し、ランクづけして優良な事業者を公表しています。
 評価内容は、法令順守面30点、旅客接客面40点、安全管理面30点の100点に加え、優良運転者所属率、適正判断受診評価等の加点措置を行い、AA、A、B、Cのランクづけを行い、タクシーへランキングマークを表示しています。
 ちなみに、AAマークというのは、こういうものになります。
 また、乗務員個人についても、優良なタクシー乗務員に対して東京都タクシーセンターにおいて優良運転者表彰を行い、受賞した運転者には運転者証、または事業者乗務証と優良運転者章を一対にラミネートパックした優良表示証を掲げています。これもこのようなものになります。
 ちなみに、平成22年3月現在、区内事業者も上位にランキングされ、公表されていますので、いいことですから申し上げます。
 最高のランクのAA、日本自動車交通、うち優良乗務員30名、同じくAA、城西タクシー、うち優良乗務員70名、次にAランク、スガイ交通、優良乗務員20名、同じくAランク、弥生交通、優良乗務員20名、同じくAランク、宮園自動車、優良乗務員40名となっています。これらの制度を積極的に支援し、高齢者や障害者、女性も安心して利用できるように、また、だれもが快適に利用できるようにとの視点から、また、タクシー業界におけるマナー向上による差別化の支援の視点から、優良タクシーのみが客待ちをできる専用の乗り場が新橋駅、東京駅、新宿駅、銀座をはじめ、羽田空港、荻窪駅、武蔵境駅等々の整備が広がっています。
 私が視察したある乗り場では、普通乗り場に客待ちのタクシーがあるにもかかわらず、優良乗り場で次のタクシーが来るのを待っている利用者がおられたのが印象に残りました。おおむね優良タクシー乗り場を設置する際は、もともと十分な広さの場所がある場合は別として、駅やロータリーの整備、まちづくりの中で検討されているように思います。つまり、このサービスが適用される特定エリアである中野区においては、今後の中野駅整備、東中野駅整備、西武新宿線の高架事業に基づく各駅を中心としたまちづくりの中で検討すべき課題であると考えます。整備のタイミングを逃すと導入は難しいとも思います。そこで、中野区においても区内事業者の優遇の観点も考慮しながらの高齢者や障害者、女性が安心して利用できる、だれもが快適に利用できる優良タクシー乗り場の導入を検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
 さらに、交通弱者や交通不便地域への対応として、区が検討状況にあるオンデマンド交通について伺います。
 中野区10か年計画第2次において、ステップ2においては、新しい交通システムの社会実験・検証が示されており、ここ2年は検討との状況が続いています。景気の落ち込みを反映して区の財政状況が苦しい中ではありますが、確かな事業計画の推進が待たれています。また、近年ではオンデマンド交通システムの制度設計において、手元に大型のサーバー設置や独自の運用システムの構築を必要としないクラウドを活用し、経費を削減した方式も導入され始めています。交通弱者や交通不便地域に対応するオンデマンド交通についての検討進捗状況と今後の展望を伺い、この項の質問を終わります。
 最後に、その他として1点、私立幼稚園就園奨励費補助金、特に第4階層と区分された保護者への支援についてお伺いいたします。
 今年度においては、私立幼稚園就園奨励費補助金の額が改定され、小学1年から3年までの子どものいない区民税所得割課税額が3万4,501円以上18万3,000円以下の世帯において、第1子の場合、4万3,600円へと減額となるところを、都が3分の2、区が3分の1を負担することで前年度と同額の6万2,200円を維持しました。また、第2子の場合は17万2,000円へと減額となるところを、区が全額負担することにより、17万9,000円を維持してきたところです。しかしながら、明年度における補助金額がまだ示されていません。本来は、国において子ども手当の支給と税制改革の中で議論され、結論を導くべきものと言えます。しかし、この私立幼稚園就園奨励費補助金の確定は、5月ごろにずれ込むのではないかと言われる中では、園に通い出してから補助金が予定額より少なかったとなりかねない状況です。政府の対応の不備を指摘しながらも、対応を検討しておかなければならない課題であると考えます。しかも、この対象者が就園奨励費補助金の対象者の半数以上であるとの影響は見過ごせないものがあります。区として支援を継続すると同時に、都へも支援の継続を働きかけていくべきであると考えますが、御見解を伺い、私のすべての質問を終わります。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 白井議員の御質問にお答えをいたします。
 (仮称)中野区健康クーポンということでの御提案がありました。
 その前にまず、がん検診の無料クーポン券の評価ですけれども、実績は、昨年度無料クーポン券による子宮頸がん、乳がん検診を実施したことによりまして、受診率が子宮頸がん検診では0.4ポイント上昇し、16.9%になりました。乳がんの視触診検査では2.5ポイント上昇し、21.8%になりました。乳がんのマンモグラフィー検査では1.9ポイント上昇し、19.1%になりました。こうした検診を実施したことによりまして、受診率の向上に一定の効果はあったと、こんなふうに認識をしているところであります。
 それで、がん検診の受診率の実態の認識、分析についてであります。
 がん検診の受診率向上を図るため、申し込み期間や受診期間を延長するほか、国保特定検診や長寿検診の受診表送付の際にがん検診の案内を送付するなど、受診勧奨に努めているところであります。医療制度改革によって社会保険の被扶養者の検診を各医療保険者が実施することになったことから、従来成人検診と同時受診が可能であった大腸がん検診などは単独で受診をしていただくことになったこと、このことも受診率が伸びない理由であったと考えております。受診率向上を図る取り組みにつきましては、今後とも検討してまいります。
 それから、無料のクーポンという御提案でありました。
 御提案の無料化という考え方につきましては、受診する人としない人の公平性や経費の一部を自己負担していただくことによって健康意識を向上を図るといったような意味合い、また、財政的観点などから見て、全面的に実施をするということは難しいと考えております。さまざまな受診勧奨、あるいはがん検診の改善策といったようなことを考えてまいります。
 それから、固定式の休日診療所の開設についてであります。
 これについては、医師会からの提案内容に基づいて、固定式診療所を含めた休日診療の開設箇所数などの課題について、現在協議を進めているところであります。来年度の予算の編成までの間でこうした検討を急いでまとめていきたいと、こんなふうに考えております。
 それから、就園奨励費補助金の臨時的措置の継続についての御質問がありました。
 就園奨励費補助金の金額については、御質問にもありましたけれども、毎年度改定されておりまして、現時点では来年度の補助額が決定をしておりません。区といたしましては、来年度の補助金額についての動向、こういうことについて情報収集を適切に行って、補助額が確定した時点で適切な対応をとっていくことが必要だと考えております。時期的な問題も含め、機動的な対応をしてまいりたいと思っております。
 私からは以上です。
    〔都市整備部長服部敏信登壇〕
○都市整備部長(服部敏信) 私からは、分譲マンションの管理の適正化、また、高齢者等の住み替え支援、さらには優良タクシー、その3件につきましての御質問にお答え申し上げます。
 まず、分譲マンション管理の適正化の項でございますが、分譲マンション管理の課題、問題点についての御質問がございました。
 分譲マンションでは、築年数の経過いたしましたマンションの増加と居住者の高齢化等によりまして、さまざまな問題が生じてきてございます。また、長期修繕計画や建て替えに伴います技術的な問題など、管理組合にとりましても困難な問題も起きていると認識してございます。
 次に、区の支援策の拡充という御質問でございます。
 区は、職員によります相談やさまざまな情報提供を行うほか、専門相談の活用、また、マンション関係のNPOとの連携によります分譲マンション管理セミナーの開催などにより、管理組合の適正な管理を現在でも支援してございます。区が行っております支援策につきまして十分これからも周知を図るとともに、必要な指導、助言が行えますように取り組んでまいります。
 さらに、見守り、支えあいの観点から、マンション適正管理についての御質問もございました。
 区は、集合住宅の建設や管理に当たりまして、地域コミュニティの形成のための居住者の町会・自治会への加入を促進する考えでございます。こうした見守り、支えあい、また、防災の観点から、マンション内のコミュニティの形成、育成がされることが大変必要と考えてございまして、マンション管理の適正化の推進につきましては、そういった観点からも含めて取り組んでまいります。
 次に、高齢者の住み替え支援につきましての御質問にお答え申し上げます。
 高齢者の住み替え支援の現状でございます。
 高齢者の住み替え支援につきましては、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録の普及や不動産関係団体の協力によりまして、住み替え時の民間賃貸住宅の情報提供、また、民間保証会社の家賃債務保証制度の利用費助成と見守り支援などを行ってきてございます。しかしながら、保証料の利用助成と見守り支援につきましては、議員御指摘のとおり、実績が上がっていないのが実態でございます。
 次に、債務保証サービス制度の見直しでございます。
 家賃債務保証制度の利用料の助成に当たりましては、保証会社の登録制度がないことから、保証会社について債権回収を自社で行うなど、一定の基準を満たした者及び区と協定を結んだ者に限ってきてございました。助成額も本人が保証料の一部を負担することとし、初回の保証料、これは2カ年間でございますが、その2分の1で1万5,000円を上限としてきてございます。現在、家賃債務保証業を営む者の登録制度に関します法案、これは賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取り立て行為の規制に関する法律の案でございます。そういった法案が国会で審議中でございますので、この経過を踏まえて制度の見直しを考えてまいります。
 さらに、見守り支援の見直しの御質問でございます。
 区の居住安定支援事業の見守り支援は、家主などの管理上の安心をあおぐことを目的として、月に1回訪問員が高齢者のお宅を訪問し、日常生活の状況確認を行うもので、介護など支援の必要な方を対象としているものではございません。また、介護保険の居宅サービスや障害によります自立支援給付などのサービスを利用している方は、ある程度の頻度で外部の人の目が入ることから、居宅居住安定支援事業の目的とする見守りは必要ないものと考えてございます。区が進めております(仮称)地域支えあいネットワークにつきましては、こうした支援を必要としている方を対象としているものでございまして、この見守り支援事業の趣旨とは異なってございます。
 最後に高齢者の住み替え支援についての御質問がございました。
 家主の不安を解消するための制度として、財団法人東京都防災建築まちづくりセンターの「あんしん居住制度」がございます。この制度は、入居者の利用料で見守りサービス、葬儀の実施、残存家屋の片づけを受けることができる制度でございますが、契約の金額が高額であるために利用実績が上がっていないというところでございます。
 高齢者等の住み替え支援の拡充につきましては、今後とも区内の不動産関係団体と連携しながら、実効性のある支援のあり方を検討してまいります。
 次に、優良タクシー乗り場につきましての御質問にお答え申し上げます。
 その導入の検討についての御質問、ございました。
 優良タクシー乗り場につきましては、タクシー台数が多く、都心の繁華な駅で設けられてきたものと考えてございまして、現時点では中野区内で該当する状況はないと考えてございます。今後まちづくりの中で設置の可能性について検討してまいります。
 最後に、オンデマンド交通の検討についての御質問でございます。
 将来的な導入につきましては、これまでの検討の中で区の一定の財政支援により、導入可能であるとしているところでございますが、この社会実験と検証によって本格的な導入の可否を見きわめていきたいと考えてございます。
 なお、御指摘のようなシステムを採用したサービスの展開につきましても、経済的かつ効率的といった観点からも検討してまいります。
      〔白井秀史議員登壇〕
○3番(白井秀史) それでは、お時間もたっぷりありますので、何点か再質問をさせていただきます。
 まず初めに、健康クーポン事業についてお伺いいたします。
 先ほど区長が挙げられましたさまざま検診等について、自己負担を求め、自己責任で検診を受ける、また、受ける人、受けない人の公平の観点を考える必要がある、このお話はうなずくところがあります。では、今、中野区が全国の中でも率先してといいますか、トップランナーとしてやっております乳がん検診や子宮頸がん検診は実質無料です。私が言いたいのは、すべてを毎年無料でということではなくて、いわゆる3大がん、最も日本人の中で死因で一番高いがん、その中でもこの三つのがん、突出して死亡率が高いんです。これらの中でも年齢によってハイリスクと言われるような年齢があります。ここをピンポイントにするだけでも全く効果が違います。そういう部分では、現在乳がん検診、子宮頸がん検診、5歳刻みで行っておりますけれども、何歳かの刻みにやる、もしくはピンポイントでどの世代、どの年齢に当てるというだけでもより効果が上げられるのではないかというふうに思います。費用対効果の面を考えて、本来であれば全年度と言いたいところですけれども、だからこそ無料のクーポンをというお話をさせていただいておるところですので、いま一度御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、高齢者の住み替え支援についてお伺いしてまいります。
 現状、今後さまざまな区内不動産店等と連携して実質的に効果を上げられるというお話があったんですけれども、もう既に事業が始まってから、先ほど例示させていただきましたようにほとんど事業効果が上がっておりません。このままでは事業として成立していないと言い切ってもいいのではないかというぐらいのことです。やはりこの点、いま一度見直していただく必要があるのではないかと思っております。
 特に、先ほど御説明もありましたけれども、いわゆるお亡くなりになった際の看取りとも言っていいでしょう、また、家財道具の整理とも言っていいでしょう。民間事業者でやっているのは非常に高価なんです。同じように、例えば自分で家賃にプラスアルファで積み立てる方式だとか、一定の支援をするだとか、この点に手を入れていかない限り、高齢者の住み替え、大家さんが貸してあげますよという安心にはもう届かないだろうと思っております。幾ら不動産店をふやす、紹介窓口をふやすと言っても、物件数がふえてこなければ、住み替えなんてできないんです。だからこそ、大家さんが「うちの物件、高齢者にも貸してあげる」と後押しができるような支援策、いよいよ検討段階にある、いや、実質もう本当に始めなければならない段階にあると私は思います。いま一度御答弁をお伺いします。
 最後にもう1点、優良タクシー乗り場についてお伺いをいたします。
 現状、私も中野区内、そのままつくれるとは思っておりません。しかしながら、繁華街等を中心として大規模な町というわけではなくて、例示として先ほど挙げませんでしたけれども、割と小さな町、この言い方をして挙げるのも失礼なので、挙げないでおきますけれども、まちづくりの中で進めてきているところがあります。中野区内も今このままつくれというのでは、おおよそ難しいことではありますけれども、だからこそ、あえてまちづくりの中で検討すべきであると申し上げているわけです。
 さらに、事業者の公表、あえていいことなのでというので挙げさせていただきました。
 区内事業者がタクシーモラルの向上、利用者の利便性の向上に努めているわけです。これらの事業者に対して一生懸命努力しているところを、成果として何か区として支援してあげることはできないのかということなんです。流しであれば、タクシーを選ぶということは難しいです。しかしながら、そこから乗降するというのであれば、このタクシーにという選ぶやり方ができるというところなんです。だからこそまちづくりの中で、もしくは駅前整備の中で検討していただきたいと、この意味で取り上げさせていただきましたので、この3点、いま一度御答弁をお願いいたします。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。
 健康クーポン券につきましてですけれども、再質問の中では、例えば三つのがんに絞って、あるいはハイリスクな年齢、あるいは重点的に行うべき層を絞ってといったような具体的な御提案がなされたところであります。そうしたさまざまな考え方、先ほど私が申し上げた以外の要素でそういった考え方があるのではないかということも一つの御意見だというふうに思っております。今後の検討の中で参考にさせていただきたいと思います。
 それから、居住住み替え支援についてでありますけれども、全く実績が上がっていないというところに、つくり上げてきた仕組みの問題点ということもあるんだろうと、こういうふうに思っております。実効性のあるものをというふうに考えた場合に、大変財政負担が大きくなるといったような非常に難しい問題もありますけれども、課題としては大変大きな、重要な課題だという認識を持っておりますので、先ほど部長のほうから答弁させていただきましたように、今後不動産仲介業者の方などともよく協議をしながら、実効性のある事業改善策、あるいは新しい事業のあり方について検討してまいりたい、このように思っております。
 優良タクシーにつきましても、これも部長のほうで申し上げましたけれども、今後御提案にもあった中野駅周辺、東中野、西武新宿線沿線、さまざまなまちづくりが動いてまいります。駅前広場を整備すると同時に、交通環境を整えていくと、このことが町の発展に対しても大変大きな意味を持っているというところであります。そうした一つのアイテムとしての優良タクシーということで、活用できる方策を考えてまいります。
○議長(伊藤正信) 以上で白井秀史議員の質問は終わります。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
      午後2時33分休憩

      午後2時55分開議
○議長(伊藤正信) 会議を再開いたします。
 この際、申し上げます。
 議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 牛 崎 のり子
 1 介護保険制度について
  (1)国の介護保険の見直し案について
  (2)日中独居者へのサービスの制限について
  (3)介護保険料について
  (4)特養ホームの増設について
  (5)その他
 2 障害者施策について
  (1)精神障害者の自立支援について
  (2)精神障害者のグループホームの増設について
  (3)身体障害者のバリアフリー対策について
  (4)その他
 3 学校施設の改善について
  (1)小・中学校の耐震改修の早期実現について
  (2)その他
 4 新井薬師前駅の地下化にともなう問題について
 5 その他
  (1)矯正研修所周辺防災まちづくりについて
  (2)その他

○議長(伊藤正信) 牛崎のり子議員。
     〔牛崎のり子議員登壇〕
○19番(牛崎のり子) 2010年第4回中野区議会定例会におきまして、日本共産党の立場で一般質問をいたします。
 厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は、11月25日、2012年度の介護保険制度改正に向けて意見書をとりまとめました。公費引き上げの道を拒否し、このままでは介護保険が平均で月5,000円を超えるとして「給付の効率化、重点化を行うことを基本的な考えとすべきである」と明記し、利用者や軽度者の保険給付外しの方向を打ち出しました。
 高齢者に保険料の値上げか、給付減かの新たな負担を強いる選択肢だけを示しています。こんな高齢者への脅しは許せません。今後、意見書をもとに法案を策定し、来年の通常国会に提出をする意向です。意見書は、要支援1、2の軽度者について市区長村の判断で生活援助を含め、丸ごと介護保険の給付対象から外し、市区町村独自の配食サービスなどに置きかえることができる仕組みの検討を求めています。一定の所得がある高齢者の利用料については、現在1割負担であるところを2割に引き上げることを検討すべきとしています。そのほかにも、ケアプラン作成の有料化、施設の居住費を軽減する給付の支給要件の強化、施設の相部屋居住費の月5,000円値上げなど、負担増、給付減のメニューが山積みされています。まさに介護保険の改悪案そのものであり、特に軽度者切り捨ての方向を鮮明にしています。高齢者の在宅での生活を困難に追い込み、高齢者の生きる望みを断ち切るものであり、決して容認できるものではありません。こうした国の見直し案についての区の見解を求めます。
 今後介護を必要とする高齢者がふえ続けます。介護を必要としている人が安心して受けられるよう、それを支え、責任を果たすのは国の役割です。国の公的負担をふやさなければ、保険料負担の増大と介護サービス後退の悪循環が繰り返されるだけです。国に軽減のための国庫負担の引き上げを求めてください。
 日中独居者へのサービスの制限について伺います。
 現在でも同居家族がいる場合、たとえ同居者がフルタイム働き、日中独居でも、サービスが制限されたという報告があります。「朝7時に出勤して夜7時に帰るまで、だれの手助けもなく、1人で家に置いているのは心配で仕事も手につかない」87歳の母親の家事援助が認められなかったと娘さんから訴えられました。80代後半の男性は「夫婦2人とも要支援1で食料の買い出しがつらい。同居する娘家族がいるが、勤めている。土日の休日に家族にやってもらうようにと家事援助を断られた」と困惑していました。このように日中独居や高齢者だけの世帯がふえていることを認識しているのでしょうか。独居家族がいることのみを介護給付の判断基準とせず、高齢者がサービスの制限を受けることのないよう、必要な介護が受けられるように個別の状況を丁寧に見て判断することが必要です。
 区は、個別具体的な対応を行い、一律に行うようなことはやっていないと答えていますが、こうした苦情が寄せられているのですから、実態をきちんと把握すべきではないでしょうか。現行の介護保険では救われない、こうした困難な人が援助を受けられるように、区は区独自のサービスを行うことを検討し、制度の改善に生かす努力をすべきと考えますが、お答えください。
 次に、介護保険料について伺います。
 介護保険は、施行から10年目が経過しました。平成24年度からの第5期介護保険事業計画に向け、区の保健福祉審議会介護保険部会での議論に入ります。区はこれまで、今後の保険料については、運用の実態などを勘案しながらどのような保険料設定が適切であるかということを考えていきたいと述べています。区の介護保険準備基金額の多さは、23区でも上位にあります。そこで伺います。審議会での議論に当たっては、保険料を上げることなくサービスの制限もしないという考えを示す必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 特養ホームの増設について伺います。
 区の特養ホームの待機者は、約1,200人です。日本共産党議員団は、これまで待機者の切実な要求にこたえて特養ホームの建設と地域密着型介護施設の充実を求めてきました。このたび、3年後の2013年には東中野五丁目にベッド数50床の特養ホームを中心とした介護施設が開設されます。2年後の2012年には上高田一丁目に都有地を活用して小規模多機能型居宅介護施設、地域密着型サービス施設が開設されることになったことは評価するところです。しかし、東中野に開設された施設の定員は50人です。第4期の目標を100床と決めたのですから、確実に整備を図ることが必要です。新たな特養ホーム増設を公有地を活用するなどして行うことを求めます。お答えください。
 特養ホームの入所費の負担について伺います。
 新たに開設される特養ホームも、入居して生活する費用は7万円から15万円が平均額と言われています。せっかく施設ができても、順番が来ても、経済的な理由で入居できない人があってはならないと思います。国の制度改正に当たり改善を求めるとともに、区の支援策を求めます。お答えください。
 障害者施策について。精神障害者の自立支援について伺います。
 精神障害者の場合、病院が医療的ケアの場であるならば、生活の場は地域社会であるべきです。地域で暮らすことは、人間のかけがえのない権利です。しかし、精神障害のある人の支援をする場が地域で大幅に不足しています。そのために、医療に生活の場をゆだねているのが現状です。精神障害者は退院できても、さまざまな不安と困難を抱えています。地域で暮らすのは大変です。自立して地域で生活するための第一歩として、精神障害者の退院促進にはショートステイの整備が欠かせないと関係者から強い要望が出されています。区内には少ないのですから、関係者と協議するなどして実現できるように努力すべきと思いますが、いかがですか。お答えください。
 精神障害者グループホームの増設について伺います。
 精神障害者に対するグループホーム事業は、回復途上にある精神障害者に対し生活の場を提供し、日常生活における援助を行うとともに、地域社会における自立を支援し、その福祉の向上を図ることを目的としています。
 現在、区の精神障害者グループホームは北部地域に2カ所、南部地域に1カ所、合わせて3カ所です。入居者は3施設で16人です。3カ所のグループホームは通過型が選択されています。病院を退院しても家族もいない、当事者も高齢期を迎え、50歳、60歳から就職を望むのは困難な状況です。戻る先がなく、たとえ自宅に戻れても、介護保険のサービスは精神障害者の場合は状態が安定していないので、入れかわり立ちかわりのつなぎ支援になりがちなヘルパーの対応などでは継続した介護が受けにくいと言われています。
 精神障害者にとっては、やる気を喚起させてもらい、見守ってもらえる、自主性が保証されるグループホームの入居の希望者が多いと聞きます。30年間病院に入院していた患者がグループホームで3年間生活をしても、自立するのは困難な例が多く、本格的な自立支援はさらに数年がかかると言われてます。したがって、通過型であっても、滞在する人が大半で、なかなかあきが出ないのが現状です。
 運営事業者は、親が元気なうちに、親から独立することがとても重要だと述べています。状態が悪化する前に、本当に困ったときに即グループホームに入居できるという環境が必要だと言っています。グループホームの入居経験者が確実に自立に向かって成長している姿に確信を持ち、やりがいを感じる。病院を退院しようにも、帰るところがない人たちにとって、地域で暮らすためにも欠くことのできない施設であると力説されていました。区内3カ所のグループホームには、病院をはじめとして入居状況の問い合わせが後を絶たないと聞きます。期待の大きさと必要性を実感すると述べていました。
 現在、区内のグループホームに入居できず、他区のホーム入居者は15人いると聞きます。こうした状況から見ても、区内3カ所では少な過ぎます。必要としている人がいるのですから、グループホームをふやすべきであると考えますが、区の見解をお伺いします。
 ピアカウンセリングの充実について伺います。
 ピアカウンセラーは仲間という意味で、同じ背景を持つ人同士が対等な立場で話を聞き合うことです。「助けること、助けられることが対等である」という理念から、障害を持つ人の自立のための相談に障害者自身があたります。これから自立を始めようとしている障害者にとって、ピアカウンセリングは精神面の重要なサポートで、自己信頼の回復と人間関係の再構築を目指して位置付けられています。お互いに平等な立場で話を聞き合い、きめ細かなサポートによって地域で自立生活を実現する手助けをします。ピアカウンセラーへの理解を深めたり、体得するための講座の開催も行われ、また、自立生活に必要な心構えや技術を学ぶ自立支援プログラムもつくられています。こうした講座の体験は、自分自身の感情の解放、パターンや抑制からの開放、また、自己生活や自己主張プログラムを取り入れ、ピアカウンセラーとして力量をつけています。ピアカウンセリングは、今後ますます大切になってきています。
 区では、障害者地域自立支援センター「せせらぎ」が「グループピア」でピアカウンセリングを行っています。ストレスを感じる仕事なので、普通、3名のサポーターが交代して一人ひとりの負担がかかり過ぎないように工夫をしているということですが、「せせらぎ」では1人しかサポーターがいません。負担が重く、いつ状態が悪化するか、不安を抱えているといいます。ピアカウンセラーの資格を取るために養成講座を受けることは、コミュニティ能力を養うために有効です。区としてもピアカウンセラーの養成の支援や学ぶ機会の情報提供を行い、外に出て何かしたい、だれかの役に立ちたいという精神障害者が地域で経済的にも自立して生活できるよう、もっと支援に力を注ぐ必要があると思いますが、いかがでしょうか。伺います。
 身体障害者のバリアフリー対策について伺います。
 私の住まいの近くで言えば、新井薬師公園と新井薬師公園の西側、通称ひょうたん池は、2カ所とも視覚障害者のための点字ブロックが設置されていません。身体障害者用の車いすのトイレは、新井薬師公園にしかありません。また、平和の森公園では管理事務所内第1期開園部分と第2期開園部分の3カ所には車いす対応のトイレがありますが、管理事務所を除いて、誘導点字ブロックが設置されていません。利用者が多く、視覚障害者にとってもほっと憩える公園です。また、中野駅北口の公衆便所にも車いすでは入れません。公衆便所の前の道路にも、入り口にも誘導点字ブロックがありません。
 そこで伺いますが、現在、公園のトイレや公衆便所で車いす対応になっているところの数とその割合はどのぐらいでしょうか。また、今後も公園などのトイレをだれでも利用できる多機能型に改修し、また、視覚障害者の誘導点字ブロックの未設置箇所を解消し、身体障害者が使いやすいトイレへの改善が必要と思いますが、いかがでしょうか。伺います。
 点字ブロックについて、もう1点伺います。
 区の公共施設への誘導点字ブロックは、ほぼ設置されています。しかし、スマイル福祉センター入り口までのリニアパーク側に抜ける通路の誘導点字ブロックは、路面の材質と同じ色です。これまでもブロックの色を黄色にするよう要望してきましたが、いまだに改善されていません。弱視障害者にとっては、設置されていないと同じではないでしょうか。つえや足裏で感知できる、デザイン的にふさわしくないといったことを理由にしないで、障害者の安全を第一に考えるべきですが、早急にブロックの色を黄色に変えるよう求めます。お答えください。
 教育施設の改善について伺います。
 現在、校舎や体育館の耐震化に着手されていない学校は、小学校6校、中学校が2校です。区は、全校の耐震改修について、2011年度までに完成するとしていました。ところが、計画どおりの実施は困難な状況にあるとの考えを示し、計画の見直しに言及しています。子どもたちが1日の大半を過ごし、災害時には避難場所にもなる学校は、安全で安心な施設でなければなりません。学校耐震化を進める国の補助金のかさ上げは、今年度末で終了します。かわって、文部科学省が公立学校の耐震化をさらに促進するため、来年度予算の概算要求で新型交付金の創設を打ち出しています。こうしたことを活用して、当初の計画どおり未着手の学校の耐震化を実施するために、新年度に着手するべきです。答弁を求めます。
 次に、中学校のPTAから教育環境及び施設整備の改善要望書が出され、各学校が抱える改善要望が明らかにされています。毎年出される切実な要望を早期に解決することが必要です。そのためには、教育委員会が改修計画をしっかり持ち、関係する学校とともに協議をしながら取り組むことが求められます。いかがお考えですか。お聞かせください。
 次に、新井薬師前駅の地下化に伴う問題について伺います。
 新井薬師前駅のあかずの踏切解消は、地域住民の念願でありました。西武新宿線の地下化は、長年の要望が実って大変喜ばしいことであります。野方から中井間の西武新宿線地下化に伴い、計画案に上高田五丁目、沼袋北側の沿線住民の立ち退きが含まれていることが問題になっています。関係住民からは、立ち退きにかかわる地域の住民であるにもかかわらず、説明があることさえ知らなかったといいます。説明会でも、立ち退きについての説明は一言もなかった、参加者が質問したことで初めて明らかになったことは問題です。説明会の開催についてはもとより、関係する住民への連絡や周知のあり方があまりにもずさんであると訴えています。
 また、きちんとした説明もなく、既に立ち退きの計画が進行していること、土地建物の財産権、そのほか有形無形の財産、地域の人たちと長年にわたって培ってきた人間関係の喪失などへの不安や精神的な苦痛を訴え、区に対する不信感を募らせています。
 「母がついの住みかに、と新築した家が丸ごと立ち退き地域になっている」、「不動産(マンション)を所有している。入居者から問い合わせがあって初めて知った。少なくとも地権者への情報提供を行うのは行政の最低限の責任ではないか」また、「変形の土地のために、予定外の経費がかかった。念願の二世帯住宅を建ててまだ2年目なのに」など、夜も眠れない日が続いていると深刻な不安が広がっています。
 地下化によって交通の渋滞が解消されるのだから、住民が犠牲になっても構わないという考えがあるのだとしたら、それは許されないことです。犠牲を出さない計画にすることは、行政の責任ではないでしょうか。
 そこで伺います。上高田、沼袋の立ち退き等の影響を直接受ける軒数は、それぞれ何軒ですか。お答えください。
 本都市計画について、説明不足のまま計画を進めることがあってはならないと思います。直接影響を受けるおそれのある関係住民全体を対象として説明会を行うことを求めます。お答えください。
 地域住民、とりわけ新井薬師前駅、沼袋駅周辺の直接影響を受ける住民の合意を抜きにして都市計画決定が行われるならば、将来に禍根を残します。合意を得るためにどのような考えをしているのか、お答えください。専門家も交えて、住民に犠牲を押しつけないような工事方法を本腰を入れて検討してください。そのことについても、住民の納得がいく答弁を求めます。
 その他で1点伺います。
 矯正研修所周辺防災まちづくりについて伺います。
 新井三丁目法務省矯正研修所周辺は、平和の森公園周辺地区の中でも特に老朽木造住宅が密集し、未接道住宅や狭隘道路、行きどまり道路が多いなどの課題があるとして、区は研修所移転跡地の用地取得を契機にして、南側隣接市街地の災害に対する安全上の向上を図るとして防災まちづくりを推進することについて、市街地エリア内の約400世帯の住民を対象に意見交換会を開催してきているとのことです。
 将来、新校となる平和の森小学校が移転される土地は、避難所に指定される土地であり、その隣接地が最も燃えやすい地域であり、安全のために避難道路の整備も住民の要望しているところです。8月と9月とで2度の意見交換会が行われていますが、400軒にお知らせチラシの配布をしましたが、合計で24名の参加だったと報告を受けました。今後、12月にももう一度関係者と意見交換会を行う予定であるということですが、一度では少ないのではないでしょうか。400軒すべての住民に知らせ、多くの人に参加してもらい、合意を得るためにどのような方法を考えているのか、お聞かせください。
 住民には、建てかえが困難な住宅、住みなれた土地を離れたくない人、高齢などで判断できないといった移転が困難な人など、丁寧に実態を調査し、意見、要望を聞き、十分に反映できるようにすべきです。こうした機会にこそ、住民が自分たちの町をみんなでよりよい町にしようと地域住民みずからの意志でまちづくりに参画し、計画をつくるといった住民参加の精神を基本に据えて進める必要があります。いかがでしょうか。
 また、研修所跡地の一部を自分たちの移転先に活用させてほしいという声もあります。検討すべきと思いますが、いかがか伺います。
 今後、関連するニュースの発行も考えているとのことですが、何のために役立てるのか、目的を明確にすべきです。また、関係住民などへのまちづくりに対する意向アンケート調査を実施するということですが、内容について精査し、真に住民にとって役立つものにすることが大事です。全戸訪問を行い、意向を聞くことこそやらなければならないと考えています。いかがでしょうか。伺います。
 これで私のすべての質問を終わります。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 牛崎議員の御質問にお答えいたします。
 介護保険制度について、国の介護保険の見直し案についてという御質問がありました。
 介護保険制度改正に向けた検討の中では、利用者の負担増につながる部分もあるわけですが、その一方で介護が重度化しても在宅生活が可能なように、24時間対応の巡回型訪問介護サービスの創設や、訪問介護と訪問看護を一体化した複合型サービスの導入なども検討されていると報道されているところであります。今後の検討状況や国の動きなどを注視しながら、区としての対応を考えていきたいと考えております。
 それから、介護保険の国庫負担についてであります。国庫負担の引き上げを求めるべきという御意見でありました。
 国の負担をふやすことは、その財源としての税金を国民に転化することになるわけです。ふえ続ける負担について、自治体や国がどう負担していくのか、分担していくのか、国民にどれだけ負担をお願いするのか、国民的議論が必要だと考えております。
 日中独居者へのサービスについての御質問がありました。
 生活援助については、日中独居者や家族がいる場合には基本的に認められないというのではなく、必要のないサービスなど不適切な内容を防ぐために、生活援助が必要な理由が求められているということであります。同居者がいる場合でも、身体状況やその他やむを得ない事情がある場合には必要な介護サービスが認められることになっております。区はこれまでも一律の取り扱いをするのではなく、それぞれの状況を踏まえて個別具体的な判断によって、必要と認められるサービスについては保険給付の対象として認める取り扱いをしてきています。
 第5期の介護保険料の設定について。
 これにつきましては、2011年2月から保健福祉審議会で検討することになります。保険料の設定に当たりましては、利用者が必要なサービス提供を受けることを前提に検討してまいります。
 特養ホームの整備についての御質問がありました。
 特別養護老人ホームの整備につきましては、一定程度の広さの土地が必要でありまして、民間の社会福祉法人が都市部の人口密集地域である中野区で土地を購入して整備するに当たっては、困難があると考えております。したがって区としても、区全体の施設配置の考え方を踏まえ、可能な公有地については積極的に活用を図りながら整備を進めてきているところであります。今後とも取り組みを続けてまいります。
 特養への入所に係る低所得者対策であります。
 特別養護老人ホームの入居者負担金については、介護保険制度の仕組みの中で低所得者に対する居住費や食費の軽減制度があります。また、区は公有地の活用により施設を整備する場合、通常の土地賃借料より低廉な額で事業者に貸し出すことがあります。そうした場合のそのメリットを利用者が負担する居住費に反映させることを事業者公募の際に求めておりまして、低所得の方でも利用しやすいように努めているところです。
 私からは以上です。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 学校施設の改善についてお答えをいたします。
 小・中学校の耐震改修の早期実現のお尋ねでした。
 平成19年12月に策定した中野区区有施設耐震改修計画において、耐震性能Bランクの区立小・中学校は、再編対象施設を除き、平成23年度までに耐震改修を完了する計画となっておりましたが、計画どおりに完了するのは困難な状況となっております。このため、今後改定を予定しております中野区区有施設耐震改修計画の中で改めて検討してまいります。
 次に、学校施設設備の改善についてです。
 これにつきましては、毎年安全点検を行い、緊急性、必要性の高いところから優先順位をつけて取り組んでおります。厳しい財政状況のもとではございますが、安全で快適な教育環境の整備について計画的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
    〔保健福祉部長田中政之登壇〕
○保健福祉部長(田中政之) 私からは、障害者施策に関する幾つかの御質問にお答えをいたします。
 まず、ショートステイ施設の整備とグループホームの増設についてお答えをいたします。
 グループホームやショートステイの施設整備につきましては、東京都が改修工事等にかかる経費の補助を実施し、区は備品関係の補助を行っているところでございます。精神障害に限らず、グループホーム等の整備につきましては、引き続き支援をしてまいります。
 次に、ピアカウンセラーの養成支援についてお答えをいたします。
 ピアカウンセリングは、障害当事者が当事者同士であるという関係のもとで相談者の精神的サポートや自立のための情報提供を行う相談支援の手法として有用なものでございます。ピアカウンセラーとして活動していくためには、カウンセリングの理論や基礎技術、障害や疾病、障害福祉サービスに関する知識などが必要でございます。すこやか福祉センターや精神障害者地域生活センター「せせらぎ」などでの相談におきまして、養成講座等の情報提供を行っているところでございます。
 それから、社会福祉会館通路の点字誘導ブロックについての御質問がございました。
 社会福祉会館の点字誘導ブロックは、必ずしも適切とは言えないことから、今後改修などの機会をとらえて改善するように検討していきたいと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
    〔都市整備部長服部敏信登壇〕
○都市整備部長(服部敏信) 私からは、障害者施策のうち、公園トイレの改修につきましてお答え申し上げます。
 区内の公園トイレは109カ所ございまして、公衆便所3カ所ございます。そのうち、車いす対応は60カ所となってございまして、割合では54%にのぼってございます。昨年度、平成21年度は、杉山公園をはじめとして4カ所のトイレを車いす対応に建てかえまして、誘導点字ブロックも設置してございます。今年度、平成22年度におきましては、3カ所のトイレの建てかえを行う予定でございます。今後とも公園トイレの老朽化の具合と公園の規模などを考慮して、身体障害者も使いやすいトイレに順次建てかえてまいります。
  〔まちづくり推進室長遠藤由紀夫登壇〕
○まちづくり推進室長(遠藤由紀夫) 私からは、新井薬師前駅の地下化、それと矯正研修所周辺防災まちづくりについてお答え申し上げます。
 まず、新井薬師前駅の地下化の問題でございます。
 今回の連続立体交差化計画は東京都が検討を行い、計画されたもので、区としては適切なものと考えており、1日も早い本事業の実施は区民の総意と考えております。計画の説明につきましては、東京都が本年2月に都市計画の素案説明会を開催し、さらに10月には都市計画案として説明会を開催しております。開催に当たりましては、それぞれ開催日時などの区報への掲載や沿線住民の皆様への案内の戸別配布など、より多くの区民の方に周知されるよう配慮したと考えております。今後とも東京都と連携しながら、窓口などでの個別説明をはじめ、必要な対応を行いながら円滑な事業の実施に向け、多くの関係住民の方の理解を得られるよう、区としてできる範囲での努力をしてまいりたいと考えております。
 続きまして、矯正研修所周辺防災まちづくりについてでございます。
 対象区域の全世帯、全地権者の方に対しまして、まちづくりニュースによる経過報告の配布や意見交換会の開催案内配布を行い、周知に努めていくとともに、実態調査を十分に行い、アンケート調査や戸別訪問を通じて地区住民、地権者の方の意向を把握してまいります。この地域の実態や住民、地権者の意向などを十分に踏まえながら、丁寧な合意形成を図るように進めてまいります。
 地区の地権者や住民の皆さんの意向や個別の事情をアンケート調査や戸別訪問によるヒアリングなどを通じまして十分に把握し、計画に反映しながら関係する地権者や住民の皆さんと一緒に計画づくりを行ってまいります。
○議長(伊藤正信) 以上で牛崎のり子議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 森 たかゆき
 1 行政評価の手法について
 2 その他

○議長(伊藤正信) 次に、森たかゆき議員。
     〔森たかゆき議員登壇〕
○7番(森たかゆき) 平成22年第4回定例会におきまして、民主クラブの立場から一般質問をいたします。
 質問は通告のとおり、1、行政評価の手法についてお伺いをいたします。なお、2のその他についてはございませんので、時間の許す限り行政評価についてじっくりとお伺いをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 ここ数年の経済不況の影響による各種税収の減少や扶助費の増加などにより、現在、区の財政状況は大変に厳しい状況にあります。今後の税収回復の道筋も見えない中、さきの第3回定例会におきましては、会派を問わず多くの議員から懸念が示されました。行政サービスを持続可能なものとするため、引き続き厳しい、緊張感を持った財政運営が求められているところです。
 中野区では、効率的で無駄のない財政運営を実現するための手段として、行政評価制度を導入しています。また、平成14年からは内部評価の限界を乗り越え、行政評価の客観性を確保するため、学識経験者と公募区民による外部評価制度を導入しています。この外部評価制度の歴史を見てみると、毎年のように評価手法に変更が見られます。これは、毎年毎年の反省を翌年に生かしているという意味では評価するべき点なのかもしれません。しかし、見方を変えると、施行実施から10年近くたつにもかかわらず、いまだに効果的な手法が見つかっていない状況とも解釈できます。そこで、今回の一般質問におきましては、この外部評価制度を中心に、現在の行政評価制度の課題と今後のあり方についてお伺いをいたします。
 まずは、外部評価制度を含む行政評価制度全般の効果についてお伺いをいたします。
 以前、我が会派の佐伯議員が「行政評価から来年度予算に反映された代表的なものを挙げてください」、「行政評価から捻出された財源は合計で幾らになるのか」、このように質問をいたしました。その際の区長のお答えは、「行政評価は財源を捻出するためにやっているわけではありません。一概に財政効果をある事業名を取り上げて財政効果を取り出してあらわすということは適当ではない」というものでした。しかし一方で区長は、「行政評価は経費を削減したり、事業の効果を高めたり、行政全体のレベルアップをしていくということで行っている」とも述べております。
 この答弁では、前段の「代表的なもの」が挙げられない理由は述べられておりますが、後段の「行政評価で捻出された財源の合計額」が答えられない理由とはなっておりません。「経費の削減をしたり」ともあることから、行政評価で捻出された財源の合計額については、お答えいただけるのではないかと思います。そこで、改めてお伺いをいたします。平成21年度に実施した行政評価から捻出された財源は、合計で幾らになるのでしょうか。お聞かせください。
 次に、外部評価委員会の傍聴者数についてお伺いいたします。
 区のホームページ、平成22年度外部評価委員総評というところを見ますと、外部評価委員会傍聴区民等は34人となっております。外部評価委員会をより区民に開かれたものにするための手法については後段でお尋ねをいたしますが、まずはこの34人という傍聴者数について、区長の率直な見解をお聞かせください。
 公募区民の選定方法についてもお伺いをいたします。
 公募区民の選定については、区報やホームページで希望者を募集し、作文や面接をもとに選考を行っているということです。まず、前回公募を行った際の募集人数と応募人数は何名だったのでしょうか。お答えください。
 また、選考を行うに当たっての評価基準は明確化されているのでしょうか。明確化されているとすれば、それはどのような基準なのでしょうか。お答えください。
 さらに、外部評価委員の構成についてもお尋ねいたします。
 現在の外部評価委員は、学識経験者と公募区民から構成されています。なぜこのような構成としているのでしょうか。お聞かせください。
 続いて、評価委員の任期についてもお伺いをいたします。
 現在は、個別の事情で例外はあるものの、一度委員になられた方には基本的に二、三年は委員をやっていただいているとのことです。しかし、外部評価制度のポイントは、その名のとおり外からの目線で行政の事業を評価するという点にあります。年数を重ねるごとに区の事業や行政評価の手法について詳しくなっていくということはメリットなのかもしれませんが、それは一方で外部性の低下にもつながります。外部評価本来の位置付けを考えると、外部評価委員は毎年全員を入れかえるべきであると思いますが、せめて毎年の委員の中に一定の割合で1年目の委員を置くことを考えはいかがでしょうか。見解をお聞かせください。
 また、学識経験者枠についてですが、現在は大学の教授や研究者の方が務められているとのことです。この枠で、もしくは新たに民間有識者枠を設定し、民間のコスト感覚や経営感覚を持つ民間経営者の方、法律に精通している弁護士の方、行政の現場を知りつつ外部の目も持っている他の自治体の職員の方などに参加してもらうことを検討してみてはいかがでしょうか。行政評価の視点が広がり、これまでになかった指摘がされるきっかけになるのではないかと思います。
 次に、事業コストの考え方についてです。
 コストについては、予算編成時の考え方や執行状況なども外部評価の中できちんと精査できるような仕組みが必要です。評価シートのコストの箇所を見ると、行政コストと標準人件費に分けて記載がされています。この中には委託料や退職給与引当金繰り入れなども含まれているとのことですが、一方で建物や設備の減価償却費は含まれていないそうです。どの事業にどれだけの減価償却費を割り当てるかというのは難しい問題なのかもしれません。しかし、建物や設備の減価償却費というのはそれなりに大きな額であり、無視していいものではありません。本当の事業コストを明らかにした上で行政評価を行うためにも、何らかの形で各事業にかかる建物設備の減価償却費を算出することはできないでしょうか。見解をお聞かせください。
 次に、法律などにより実施が義務付けられている事業の評価方法についてお伺いをいたします。
 今、地方分権、地域主権改革の議論が進められています。今週月曜日、11月29日には、政府がいわゆるひもつき補助金を今後2年間で1兆円規模で一括交付金化するということを決定いたしました。こうした改革は過渡期としては結構ですが、しかし本来、税財源というのは国と地方の仕事量に比例して分配されるべきものです。そして、そのためには国と都道府県、市区町村の仕事量はそれぞれどのくらいなのかを明らかにする必要があります。
 国と都道府県と市区町村、それぞれの本来担うべき仕事量を明らかにするためには、現在法律などの定めがあって区が実施している事業についても、そもそも区がやるべきものなのかという観点からの議論を行い、不要なもの、国や都がやるべきものについては、そうした声を区から東京都や国に届けることが必要です。
 現在の外部評価では、法律などにより実施しなければいけない事業については、事業の実施方法についての議論が主眼となっているとのことですが、そもそもこの事業は区がやるべきことなのか、都や国でやるべき事業ではないのかという観点からの議論は行われていないのでしょうか。平成22年度に実施した外部評価の中で、評価委員の方から国がやるべき、都がやるべきといった意見の出た事業があるのか、あるとすればそれはどのような事業なのか。お聞かせください。
 次に、外部評価の公開手法についてお伺いいたします。
 外部評価委員会は、事前の手続などがなくてもだれでも傍聴ができ、また、必要な資料もきちんと配布されているとのことで、これ自体は非常に評価するべき取り組みであると思います。しかし、残念ながら傍聴者数は必ずしも多いとは言えません。せっかく意義深い取り組みをされているのだから、より多くの方に関心を持っていただくための取り組みを進めるべきではないでしょうか。
 私からは、そのための一つの方法として、外部評価委員会のインターネット配信の実施を提案いたします。
 インターネットの動画配信については、近年の情報環境の変化により、極めて安価で質の高い動画配信が可能になってきています。Ustreamなどのサービスを使えば、極端な話、ノートパソコン1台で配信ができてしまいます。インターネット配信は、ふだんなかなか区政に関心を持つ機会のない若い世代への訴求効果も考えられますので、ぜひ実施を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お聞かせください。
 そのほかにも、外部評価の情報発信方法については、評価結果の記者発表など、幾つかの方法が考えられると思います。現在、この行政評価、外部評価の情報発信の方法について区のほうで考えていることがあれば、お聞かせください。
 多くの方に関心を持っていただくためには、情報提供方法の多様化とともに、結果のわかりやすさも大切です。本年度の評価においては、これまで行われてきたABC評価が廃止をされてしまいました。ABCでの評価については、議論が深められなかった部分については真ん中のBに偏りがちな傾向があるなど、決して万全なものではないかもしれません。しかし、そうした中でもAやCと評価される事業もあり、また、第三者から見ても非常にわかりやすい評価方法であるため、ぜひABCでの評価を復活させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。見解をお聞かせください。
 最後に、ABC評価の廃止と同じく、今年度の変更点として行われた2次評価についてもお伺いいたします。
 この2次評価については、外部評価委員の方の負担軽減と気になる事業の深掘りのために今回から行われたとのことです。ある事業について深い議論を行うために2次評価を行うということは、大変よいことであると思います。しかし、その対象となる事業の選定方法には、もう少し工夫が必要ではないでしょうか。外部評価委員が気になる事業をピックアップするだけではなく、その年ごとにテーマを設けたり、選定基準を定めたりして対象事業の偏りをなくし、数年に一度はあらゆる事業が2次評価の対象となるような仕組みづくりは考えられないでしょうか。見解をお聞かせください。
 また、今回の2次評価については、議会への報告の仕方にも問題がありました。決算特別委員会の前に配付された行政評価結果の資料の中に、2次評価の結果に関する記述がありませんでした。これについては、2次評価の議論は次年度以降の事業のあり方についても言及があるため、決算の資料としては適当ではないというような説明がありました。次年度以降の事業のあり方について議論がされたということは、その議論を議会での議論に生かしていくためには、少なくとも予算案とあわせてその議論の内容が議会に示される必要があります。当然そのようにしていただけると思っておりますが、この認識でよろしいのでしょうか。この点を確認させていただきまして、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔管理会計室長尾﨑孝登壇〕
○管理会計室長(尾﨑孝) 森議員の行政評価の手法についての御質問にお答えいたします。
 まず、行政評価結果による財源の捻出についての御質問です。
 平成21年度の行政評価による見直しでの削減額は、廃止や削減などの見直しに限って整理をいたしますと、おおむね4億円余りとなるものであります。
 次に、外部評価の傍聴者数についての御質問がございました。
 外部評価ヒアリングの公開は、行政評価の過程を積極的に情報提供することにより、区民の皆様への説明責任をより一層果たしていくことにあると考えております。御指摘の傍聴者の人数につきましては、昨年度より今年度は増加しておりますが、傍聴者数に特に意義があるとは考えておりません。外部評価ヒアリングを公開していることから、行政評価制度の意義について、より一層周知を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 次に、外部評価委員の公募についての御質問がございました。
 平成21年度の外部評価委員につきましては、5名の募集に対しまして7名の応募がございました。公募委員の選考基準につきましては、二十歳以上の区民の方で、区政に対する関心度や行政評価に対する熱意があるなどを基準に選考しているところでございます。
 また、外部評価委員の構成の理由についてお尋ねがございました。
 行政評価により、客観的な評価を導入するため、外部評価を実施しているところでございますが、外部評価委員の構成は、行政評価についての学識を有する方と、サービスの受け手としての区民により構成することが適当であると考えたものでございます。
 また、毎年一定の割合で委員の入れかえや学識経験者以外の民間経営者等の参加も考えてはどうかという御質問がございました。
 平成22年度は、外部評価の方法を一部変更したことがありまして、既に外部評価委員の経験のある方に委員をしていただきました。新たな委員の公募を行わなかったというところでございますけれども、外部評価委員にさまざまな立場の方に参加してもらうことや、毎年一定の割合で委員の交代を図ることは望ましいと考えております。
 次に、行政評価のコストについてのお尋ねでございます。
 行政評価のコストにつきましては、実施した事業に直接かかわった経費と退職給与引当金を含む人件費を事業コストとしております。公会計改革の実施に伴いまして、行政評価の評価項目や様式に発生主義会計による財務情報を組み込むことも検討する必要があると考えております。今後順次コストについて費用分析の精度を高める取り組みを進めていく考えでございます。
 次に、評価の対象についてでございます。
 現在の行政評価の対象は、区が行うすべての対象事業についてでございます。法律でその実施が義務付けられている事業についても、事業の効率的、効果的な実施の観点から、実施手法等について議論がなされているところでございます。
 また、平成22年度に実施した外部評価の指摘の中で、国や都が行うべきといった事業はあるかとのお尋ねがございました。平成22年度の外部評価においては、そのような指摘はされておりません。
 次に、行政評価の公開方法に関しまして、インターネットの活用についての御質問がございました。
 インターネットの活用は、技術的には可能であると考えております。しかしながら、委員会審議の情報提供の仕方や委員の自由な発言の確保等について、慎重に今後検討する必要があると考えております。行政評価や外部評価の情報発信につきましては、CATVの活用やホームページ、また、毎年実施している行政評価フォーラムなどにより充実させる考えでございます。
 外部評価結果及び2次評価についての御質問についてでございます。
 外部評価結果をコメントのみでなく、ABC評価を復活させてはとの御質問でございました。
 今年度の行政評価は、外部評価結果を施策の見直しに反映させることに重点を置いたことから、コメントによる評価を行ったものでございます。区民の皆さんにわかりやすい評価結果という点では、数値、あるいはABC評価は有効であると認識しているところでございます。数値等の評価については、今後の行政評価全体を検証する中で、再度検討してまいりたいと考えております。
 次に、2次評価の対象の事業についてでございます。
 今年度の2次評価の抽出基準は、目標に対する成果と事業の効率的な実施を視点に、区政課題の中から深掘りしたい施策を抽出したものでございます。来年度以降の評価の進め方については今後検討してまいりますが、すべての事業が数年に一度評価の対象になるような仕組みは今のところ考えておりません。
 最後に、2次評価の結果についてでございます。
 各所管では、来年度の事業展開を検討する中でさまざまな見直しを行っているところでございます。議会での予算審議とあわせ、報告させていただきたいと考えております。
     〔森たかゆき議員登壇〕
○7番(森たかゆき) 再質問をさせていただきますが、その前に幾つか、質問の中で提案をさせていただいたわけでありますが、それに対して1個1個丁寧に答弁をいただきましてありがとうございます。
 第2回の定例会から議会活動をさせていただきまして、その中の議論を見ていると、こういった提案をしても、結局のところはそういった提案を踏まえまして総合的に検討していきますというような答弁だけが返ってくるのかなという懸念も若干あったわけですが、今回丁寧に御答弁いただいたということで大変安心をいたしました。
 今回提案をさせていただいた内容は、思いついたところを提案しているのかなというふうに見られたかもしれませんが、実はこれはいわゆる事業仕分けの手法というものを見まして、その中から今の中野区の外部評価制度を大きくは変えずにいいところを取り入れられないかというところを考えて提案をさせていただきました。事業仕分けの手法を取り入れて、外部評価制度をよりよいものにしていきたい、そういった思いからの提案でございました。それを踏まえてもう一度、再質問を幾つかさせていただきたいと思います。
 まず、34人という傍聴者数についての部分でございます。数が重要ではないというような御答弁でしたが、実際に人数が多いところ、それもなかなかふだん顔を知らない人に見られている中で議論をすることによって、評価委員の方、それから説明をされる理事者の方、緊張感が高まって議論の内容も深まるのではないかと思います。ぜひとも傍聴者数の増加についても取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お聞かせ願います。
 それから、公募区民の選定基準についてなんですが、やはり話を聞いていると、なかなか明確化されているというところまではいっていないのかなというふうに感じました。なかなか人の評価を定量化するというのは難しいというのは承知しております。しかしながら、行政評価の中でもかなりいろいろ工夫を凝らして各事業の定量的な評価というのを行っているわけでございます。応募してきた公募区民の方の評価につきましても、何らかの形で定量化をして評価をできる、そうした仕組みづくりが必要なのではないかと思います。これはそもそもの外部評価というものの矛盾というか、難しいところなんですけれども、そもそも評価される側の行政が評価をする外部の人間を選ぶということで、ややもすると評価基準があいまいだと、行政に厳しいことを言わない人を選んでいると邪推されかねません。そうした懸念を払拭するためにも、ぜひとも評価基準、より一層の明確化を求めます。考えをお聞かせください。
 それから、インターネット配信についてです。委員の自由な発言の確保のために配信はなかなか難しいのではないかというような御答弁でした。
 しかし、先ほども指摘させていただいたとおり、インターネット配信、なかなかふだん区政に関心を持っていただけない若い方への訴求効果もあるのではないかと考えております。前定例会では我が会派の酒井議員が投票率の低下について問題提起させていただきました。その中で、若者の投票率が低いということについては行政側とも、それから議会の中でも問題意識を共有できたのではないかと考えておりますが、しかし、実際にどうやって投票率を向上させるのかについては、決め手となる施策がなかなか見つかっていない、こうした状況なのではないかと思います。こちらから積極的に情報を発信することによって区政に関心を持っていただく、それによって投票率の向上にもつながるのではないでしょうか。若者は情報を提供すると、必ず何かしら反応が返ってきます。この間も私が区議会だより配布が始まったときに、ツイッターで「区議会だより配られているんで、捨てないで見てくださいね」と投稿したところ、「それがきっかけで初めて読みました」というリアクションが返ってきました。若者にニーズがなさそうだからやらないということではなくて、やることによって生じるニーズもあるのだと思います。重ねて実施をお願いいたします。
 以上3点、再質問を終わります。ありがとうございました。
    〔管理会計室長尾﨑孝登壇〕
○管理会計室長(尾﨑孝) 森議員の再質問にお答えをいたします。
 まず、1点目でございます。外部評価の傍聴者の数がやはり少ないと。増加することに取り組んだらどうかということでございます。
 先ほどもお答えいたしましたが、外部評価に区民の方が参加されるという方法は幾らでもありますので、まずこの行政評価制度の意義について十分に御理解をいただくというのが先決だというふうに思っております。そういった中で、外部評価の場にお越しいただく方がふえるということが望むところでございます。
 それから、公募委員の選定基準でございますけれども、これについては先ほど御答弁申し上げましたが、一定の明確化をしているというふうに認識しております。行政評価に対する熱意、あるいは区政に対する関心度、そういったものが基準としてあって、公募委員となっていただくということだというふうに考えております。
 それから、インターネット配信でございます。確かに技術的にはできる話でございますけれども、先ほど申し上げたように、行政評価の情報の提供の仕方については、さまざま議論をしていく必要がございますので、インターネット配信を直ちにということではなくて、どういう情報提供の仕方がふさわしいかということを今後考えさせていただきたいというふうに思います。
     〔森たかゆき議員登壇〕
○7番(森たかゆき) 1点だけ再々質問をさせていただきます。
 公募区民の選定基準についてのところでございます。
 今の話ですと、一定の明確化はしている。熱意、関心度を持って評価をしているんだ、そういった答弁でございましたが、私が先ほど再質問で聞いたのは、定量化ができないかというところでございます。行政評価にどれだけ熱意を持っているのか、区政に対してどれだけ関心を持っているのか、これを数字であらわすというのは難しいというのは、先ほども申し上げましたとおり、大変そのとおりであると承知をしておりますが、本当に行政評価の中身、見させていただきますと、各担当分野の皆様が非常に工夫を凝らして、頭を使って定量評価を行っているわけです。それを評価する公募区民の方の選定についても知恵を凝らして定量化を行う必要があるのではないか、行えるのではないかと考えておりますが、もう一度見解をお聞かせください。よろしくお願いいたします。
    〔管理会計室長尾﨑孝登壇〕
○管理会計室長(尾﨑孝) 再々質問にお答えいたします。
 公募委員の選定基準で定量化ができないかというお話でございますが、その定量化にすることについても、非常に難しさを感じております。その点につきましては今後検討していきますが、実際にはかなり困難であろうかなというふうに思います。そういったことから、先ほど申し上げましたような御答弁をさせていただいた次第でございます。
○議長(伊藤正信) 以上で森たかゆき議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 吉 原  宏
 1 子ども手当について
 2 一括交付金について
 3 その他

○議長(伊藤正信) 次に、吉原宏議員。
      〔吉原宏議員登壇〕
○21番(吉原宏) 平成22年第4回定例会に当たりまして、自由民主党の立場から一般質問を行います。
 民主党政府が沖縄普天間基地の移設問題においてアメリカとぎくしゃくし出してから、この時を待っていたとばかりに周辺の国々が我が国にちょっかいを出し始めました。ゆゆしき事態であります。このような戦後最悪の外交状態が一体どこまで続くのでありましょうか。民主党政権に変わってわずか1年数カ月の間でのことであります。我が国の将来に不安を抱き続けながら、質問に入らせていただきます。
 まず最初に、子ども手当についてであります。
 子ども手当については、第1回定例会、第2回定例会、第3回定例会において、立て続けにその問題点を追及してまいりました。今定例会におきましても、引き続き質問をいたします。
 去る11月17日、子ども手当に関する厚生労働大臣・地方六団体会合が開催され、平成23年度以降に向けた子ども手当等の課題についての意見交換が行われました。その会合の資料が厚生労働省のホームページで公表されておりますが、子ども手当にかかる平成23年度予算概算要求額は、1兆7,375億円、これは第3回定例会での一般質問の時点から変わりはありませんが、このほか平成23年度に向けた子ども手当の主な課題が記載されておりますので、それを紹介しつつ、この問題についての見解を伺っていきたいと思います。
 まず、一つ目の論点は、子ども手当の上積みについてであります。
 その資料には、参院選マニフェストには財源を確保しつつ、既に支給している子ども手当を1万3,000円から上積みしますとされていることから、上積みを行う必要があるとの記載があり、上積みを行うことそのものが目的化しているのが見てとれます。
 ごく最近の報道によりますと、3歳未満の支給額を月2万円とする、7,000円の増額を検討しているとのことですが、財源の裏付けが不明確のまま上積みを提案する現政権の姑息さがここでもあらわれてきました。しかし、これもどうなるかわかりません。当初の提案では月額2万6,000円と言っていたのが、その半額の1万3,000円に、さらに、平成23年度の概算要求においては「上積み分については、地域の実情に応じて現物サービスにも変えられるようにする」と言っていたのが、3歳未満2万円に、果たして何がやりたいのか、やはり上積みすることだけが目的なのか、問わざるを得ない状況にあります。
 第2回定例会における私の子ども手当に関する質問に対し、区長は「厳しい財政状況にある我が国にとって、このようなばらまき行政、これはさらに債務を増加させて子どもたちの将来に重くのしかかる負担となるのみ」と答えられていたとおり、このたびの上積みの問題は現在だけの問題だけではなく、将来のこの国が持続していけるかどうかの問題へとつながっていくのは明らかです。
 改めてこの上積みの問題、財政負担の問題について区長の御見解をお聞かせください。お伺いをいたします。
 次に、二つ目の論点は、財源構成の問題であります。
 児童手当制度において負担してきた地方負担分については、22年度限りの措置として泣く泣く飲んできたわけですが、平成23年度においても地方負担を求めるとの声が聞こえてきております。子ども手当に関する厚生労働大臣・地方六団体会合において、全国市議会議長会の五井副会長が「子ども手当のような全国一律の現金給付については、全額を国費で負担すべき」との意見を述べています。
 全国市長会に至っては、会合のあった翌日の理事・評議員合同会議で「子ども手当に関する地方負担は、住民の不利益を回避する必要があるとの判断のもと、あくまでも今年度限りの措置として受けとめたものである。平成23年度以降の子ども手当の本格的な制度設計に当たって、地方と十分な協議もないまま、再び国による地方軽視の一方的な決定がなされることとなれば、我々としては事務の返上も視野に入れた断固たる態度で取り組むものである」といった「子ども手当に関する決議」を採択しております。
 また、特別区長会においては、今年8月、「平成23年度国の施策及び予算に関する要望書」の中で、子ども手当について、国の責任において全額国庫負担で実施することを要望し、態度を明らかにしているところであります。
 この財源構成の問題は、扶養控除見直しに伴う地方の増収分とセットで持ち出されております。年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の縮減によって地方の収入が23年度から25年度にかけて増加するというものです。昨年度末の国家戦略担当・内閣府特命担当大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣の4大臣による子ども手当の取り扱い合意において、「地方財政の増収分については、最終的に子ども手当も財源として活用することが国民の負担増をお願いする趣旨に合致する」とされており、地方固有の財源である住民税の増収分を子ども手当の財源とすることが半ば決められたことのようになっております。地域主権と口で言っていますが、金で縛る、制度で縛る、地方は手も足も出ない状態とするのでしょうか。第1回定例会でも指摘をいたしましたが、自公政権時に培われてきた国と地方自治体との信頼関係をどこに消し去ろうとしているのでしょうか。
 そこで区長に伺います。
 市長会においては、一方的な決定がなされれば、事務返上もいとわない態度を表明していますが、中野区においても同様の措置を考えられるのでしょうか。区長の見解をお聞かせください。また、年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の縮減に伴う増収はどのぐらい見込まれるのでしょうか。お伺いをいたします。
 そして、三つ目の論点は、その他諸問題であり、現物サービスの取り扱い、対象者の設定、滞納者の給食費等の取り扱いの問題であります。
 さきに取り上げた市長会の決議では、具体的な指摘も盛り込まれています。
 一つは「保育料、給食費等の未納問題に対応するため、公平、公正の観点から、必要に応じて子ども手当を未納の保育料等の徴収すべき子育て関係費用に充てることができるよう法律に明記すること」であります。
 制度発足当初にも、未納問題の対応については自治体から問い合わせが寄せられていましたが、結局、天引きの措置をとることは見送られました。保育料や給食費等の未納問題そのものについては、今回は言及いたしませんが、中野区においても全く存在しない問題ではないはずです。
 そこで伺います。
 保育園、学童クラブの保育料、小・中学校の給食費の未納はどのぐらいの規模、割合で発生しているのかお答えください。
 いま一つは、「安心して子どもを産み育てることのできる環境整備に向け、地域の実情に応じたさまざまな子育て施策を推進する必要があることから、国の子ども・子育て施策のあり方については、全国一律の現金給付による子ども手当と保育サービスをはじめとする子育て関係経費とのバランスにも十分配慮すること」であります。
 第2回定例会においては、我が会派の高橋ちあき議員が保育園の待機児童対策について質問し、区長からは「来年度以降も低年齢児を中心とした保育園申し込み者数の増加の可能性があると認識をしており、区といたしましては、区立保育園の建てかえ・民営化による定員の拡大、認証保育所の新規開設支援、家庭福祉員事業の拡大、幼稚園の預かり保育の推進など多様な方法を組み合わせて、可能なことから順次取り組んで、将来のニーズも踏まえた対策を実行していきたい」との答弁をいただいております。自由民主党といたしましても、現金支給だけのばらまき施策ではなく、子供の成長に合わせた切れ目のないきめ細やかな政策を挙げており、「子育ては家庭から、現金給付より子育て環境の整備を」をモットーに取り組んでいるところであります。
 そこで区長に伺います。
 今後の保育需要に応じて認可保育園や認証保育所を整備すると、それぞれ何カ所の整備が必要で、どのくらいの経費が見込まれるのかお答えください。また、第3回定例会において補正した緊急待機児対策の進捗状況をお聞かせください。
 いずれにいたしましても、子ども手当については多くの問題を抱え、今国会において審議の中心となることと思います。区長におかれましては、全額国費負担の姿勢を貫かれると同時に、区政における現金給付と現物サービス給付のバランスに配慮していただきますよう申し上げまして、この項の質問を終わります。
 次に、一括交付金について質問いたします。
 いわゆるひもつき補助金の一括交付金化について質問をいたしますが、後ほど質疑いたしますが、その前に経緯と概要を申します。
 ことしの6月に閣議決定された地域主権戦略大綱においても、ひもつき補助金の一括交付金の方向性が示され、その後、どのような形になるのか動きが見えませんでしたが、先月11月22日、「国と地方の協議」が首相官邸において、菅首相をはじめとする閣僚と地方六団体の各会長等による会合が持たれました。そこで示されたのが、地域の自主性を確立するための戦略的交付金、(仮称)地域自主戦略交付金です。これは当初の目的どおり、地域の自主裁量を拡大するため、ひもつき補助金を段階的に廃止し、一括交付金を創設するというものであります。規模は、都道府県分、市町村分合わせて1兆円強、都道府県は23年度から、市町村は24年度から導入とされています。
 制度の概要は、各府省の枠にとらわれずに使えるようにする、箇所づけ等の国の事前関与を廃止し、事後チェックを重視、客観的指標に基づく恣意性のない配分の導入、一括交付金化の対象となる事業の範囲で自由に事業を選択、ただし、事業規模等の必要な要件を設けるとのことです。継続事業の取り扱いについては、当面は客観的指標だけでなく、継続事業が実施できる配分とするとともに、交付率、地域特例、地方財政措置を継続するとしています。
 地方六団体はこれまで、ひもつき補助金の一括交付金化について、「一括交付金化の目的は、地方の自由裁量の拡大、実質的な地方の自主財源への転換であることを明確にすること。この観点から、自由裁量拡大に寄与しない事務的な補助金等は一括交付金の対象としないこと。一括交付金の総額については、対象となる現行の補助金等の額と同額以上とし、継続事業や団体間、年度間の変動、財政力の弱い団体に配慮するなど、個々の団体においても事業実施に十分な財源を確保すること」と提言してきましたが、今回の政府提案がそうした提言に合っているのかは、これから議論と検証が行われることになると思います。
 ただ、この交付金の考え方のもととなった民主党地域主権調査会の提言には、「一括交付金の執行状況等を見ながら、一括交付金の総額の合理化についても今後検討されるべき」との文言があり、この会合の場でも早速、三位一体改革のときのように削減されることなく交付金総額をきちんと確保すべきとの声が上がったとのことです。
 私はこの(仮称)地域自主戦略交付金がこれからの中野区の取り組みにおいてプラスに働くのか、はたまたマイナスに働くのか、これを現在の施策と照らし合わせ、探っていきたいと考えます。
 まず、区長に伺いたいのは、社会資本整備総合交付金についてであります。
 この交付金は、平成22年度に創設された国土交通省の交付金で、これまで個別施設の補助金だったものが一本化されたと聞いております。今定例会の補正予算の案件の中にも、国庫支出金の内容として社会資本整備総合交付金がありますし、一括交付金化を前提とした取り組みのように思われますが、この社会資本整備総合交付金の概要について御説明ください。
 現在の社会資本整備総合交付金が(仮称)地域自主戦略交付金に移行されると考えた場合、気になるのが継続事業です。先ほど述べましたとおり、新たな交付金、(仮称)地域自主戦略交付金は、継続事業が実施できる配分とするとの考えが示されましたが、中野区ではこれから中野駅周辺整備や用地取得を伴う大規模公園の整備など、大規模プロジェクトが目白押しであり、こうした制度変革期にあって、本当に国庫財源を必要なだけ確保できるのか、不安がよぎるところでもあります。このことは、以前から松本文明前衆議院議員が大変に心配しておられました。
 「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズのもと、今や貯蓄の原資となっている子ども手当を創設し、景気回復に速効性があるにもかかわらず、公共事業を削減してきた民主党政権のもとでは、そうした不安を持たざるを得ないのであります。
 そこで伺います。今年度の予算のうち、社会資本整備総合交付金の対象事業は何か、交付金は確保できているのか。お答えください。
 さらに、継続事業は配分するとは言っても、制度の概要にあるように客観的指標に基づく恣意性のない配分の導入ということがどのような影響をもたらすのか伺います。
 制度の概要には、昨年度、経済危機対策の一環で創設された地域活性化・きめ細かな臨時交付金を参考とするとありますが、この臨時交付金は人口や財政力などの指標により算定されているということが示されています。まず伺いたいのは、昨年度交付された地域活性化・きめ細かな臨時交付金の総額は幾らで、そのうち中野区に配分されたのは幾らか、その配分の根拠となったのはどのような指標なのでしょうか。
 また、(仮称)地域自主戦略交付金で今のところ示されている総額は1兆円強とのことですが、きめ細かな臨時交付金の配分割合からすると幾らになるのでしょうか。ひもつき補助金を廃止して一括交付金化するということについては、これまで地方からもさまざまな提言や要望をしてきました。一定の指標に基づいて全国的に配分するとなると、多額の経費を必要とする地域、とりわけ都市部に十分に配分されるのか、懸念されるところでもあります。
 最後に、この一括交付金化の問題に際しましては、区長はどのような見解をお持ちか伺いまして、この項の質問を終わりたいと思います。
 区長におかれましては、特別区長会副会長というお立場も生かしつつ、この問題に精力的に取り組んでいかれますようにお願いを申し上げまして、すべての質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 吉原議員の御質問にお答えをいたします。
 子ども手当額の上積みについてという御質問であります。
 子ども手当額の関連ですが、子育てを社会全体で支援するという目的で、民主党政権の目玉施策として掲げられた子ども手当でありますけれども、これまでさまざま紆余曲折を経ながら、たびたび公約に違うようなことを繰り返しておられるところであります。
 当初、公約の2万6,000円を半額にし、次には財源の確保のないままに3歳未満児のみに上積みを行うといったような根拠がどこにあるのかということは、依然として理解ができないところであります。さらに、3歳未満児に7,000円を今回上積みするといった場合に、必要な経費は2,500億円ということだそうですが、この負担が将来の子どもたちに重くのしかかるのは確実でありまして、私としては子ども手当、これは即刻廃止すべき制度だということを申し上げております。
 特別区長会や市長会でも財源について一方的に地方に負担をさせるといったようなことが行われないようにということを再三申し上げているところであります。地域主権と言いながらも、そもそも私は地域主権という言葉自体評価をしておりません。主権というのは国民に由来して国家にあるものであると考えております。そういう意味では言葉自体おかしいんですけれども、地域主権と言いながら地域をないがしろにする国の手法と、こういったことはまさに言語道断だと考えております。今後もこのようなやり方を改めないで一方的な決定を押しつけるというようなことがあれば、市長会が言うように、私も市長会の一員として事務返上も辞さないというふうに申し上げなければならないと思っておりますけれども、区民に不利益が及ばないような配慮もまた必要だと、このようなことも申し上げておきたいと思っております。
 それから、扶養控除の年少控除、特定扶養控除の影響額ですけれども、およそ3億円程度の増となるかといったような計算はしております。細かい具体的な条件等がよくわからない面もありますので、およそということでのお答えにさせていただいておきます。
 それから、関連して保育園、学童クラブ保育料、小・中学校の給食費の未納についてということです。
 21年度分の未納額につきましては、保育園保育料が総額517万8,000円、率にすると0.79%の未納率、学童クラブの保育料は101万5,200円、1.78%、小学校の給食費が50万225円、0.12%、中学校の給食費は44万7,896円、0.27%ということであります。現場でかなり努力をしてくれているということで、率としては非常に高いというようなことにはなっていないというような状況であります。しかしながら、負担の公平という観点から、これらの問題については軽々しく扱える問題だというふうには思っておりません。そうした考えから全国市長会の決議になったもので、私としてもこうしたことを引き続き求めていかなければならないと、こう思っているところであります。
 それから、保育需要に応じた施設整備の必要性ということについての御質問であります。
 今後の保育需要につきましては、区が実施をした直近の子育て支援アンケートの結果から、現時点では潜在的な需要も含め、最大45.3%にまで拡大するといった予測を持っているところです。これに対応して、今後平成26年度までに保育定員を現在よりも560人程度増加させる必要があると、こう考えているところです。対策として、保育園で何カ所であるか、また、経費がどのぐらいかかるかといったことについては、実施をいたします手法でありますとか、それぞれの規模によって総額が違ってくるということもありますので、現時点で算出することは難しいというふうに考えているところです。しかしながら、費用対効果をよく考えながら、可能な方法は積極的に取り入れながらこの計画を実現していきたいと、こう考えているところであります。
 また、補正をお願いした緊急待機児対策の準備状況ですけれども、区立保育室事業については、4月開所に向けて実施事業者の募集を行うところであります。また、認証保育所2園の誘致につきましては、1園についていまだ応募事業者がいない状況にありますが、引き続き4月開所に向けて努力を行ってまいります。
 社会資本整備総合交付金の概要についてであります。
 社会資本整備総合交付金は、国土交通省所管の地方公共団体向け個別補助金を一つの交付金に原則一括し、活力創出基盤整備、水の安全安心基盤整備、市街地整備、地域住宅支援といった政策目的を実現するため、地方公共団体が作成した社会資本総合整備計画書に基づき、目標実現のための基幹的な社会資本整備事業のほか、関連する社会資本整備やソフト事業を総合的、一体的に支援するものであります。国は毎年度提出された計画書に基づき交付額を算定して交付金を交付する仕組みとなっておりまして、交付金の期間はおおむね3から5年となっております。
 22年度は制度の移行期でありますことから、これまでの補助事業は継続事業に位置付けられ、経過措置として従前の補助要綱等の内容を手続に準じて配分されることになっておりまして、警察大学校等跡地都市計画道路や(仮称)中央部防災公園、中野駅周辺整備、南台や平和の森周辺の密集市街地整備事業など、これまで補助採択された事業についてはすべて配分をされているところです。
 また、新規事業については、新たに社会資本総合整備計画を作成することになっております。鷺宮の調節池上部広場整備、あるいは(仮称)本町五丁目公園、(仮称)南部防災公園については、整備計画を提出して採択をされ、配分が受けられるという内示を受けているところであります。
 きめ細かな臨時交付金についてであります。
 地域活性化・きめ細かな臨時交付金については、地方公共団体によるきめ細かなインフラ整備等を支援することを目的として創設された臨時交付金であります。国の平成21年度第2次補正予算として計上されたもので、その総額は5,000億円であります。このうち4,500億円は、それぞれの地方公共団体の財政力や人口、過疎の状況などを踏まえつつ、地方交付税の基準財政需要額の算定方法に準じたいわゆる外形基準に基づいて配分され、残りの500億円は対策の趣旨に沿った事業に対して加算をされる形で配分されました。21年度に中野区に配分された額は、4,081万円でありまして、そのうち3,061万円は外形基準に基づく配分で、1,020万円は加算分であります。
 そうした例を踏まえて、仮に(仮称)地域自主戦略交付金が配分されるとすればといった御質問もありました。
 (仮称)地域自主戦略交付金については、都道府県分、市町村分合わせて1兆円強というふうにされています。都道府県分については23年度から、市町村分については24年度からとされているところであります。この(仮称)地域自主戦略交付金の制度概要によりますと、地域活性化・きめ細かな臨時交付金を参考に制度を組み立てる方向が示されているところでありますけれども、仮にこのきめ細かな臨時交付金における外形基準に基づく配分割合から計算をいたしますと、総額1兆円の場合には、中野区の配分は約6,800万円というふうな計算になるということであります。
 一括交付金化の問題そのものについてどういうふうに考えるかというようなこともあると考えております。ひもつきでないというふうに幾ら言っても、やはり国のほうにその財源や事務が残っていれば、それは事後的な関与と言っても事務について国の意志が働かなければ動かないと、こういうことでありますので、多分に私はこれ、言葉のあやに近いような、言葉の遊びのような状況になっていっているのではないかというようなことを考えております。根本的にはやはり、仕事の量に合った税源の移譲と、またさらに仕事の移譲といったようなことで、地方分権を着実に進めていくという見方が私は何より基本としては大切なのではないかと、このように感じているところであります。
 特別区長会では、国に対する23年度要望では、国庫補助負担金については国と地方の役割分担を明確にし、国の責任において措置すべきものを地方に負担転嫁しないこと、そのほか、国庫補助負担金は原則廃止し、従前の都道府県負担分が削減することによる区市町村財源への影響も含めて、確実に税源移譲を行うこと。当面一括交付金の仕組みを導入するとした場合には、区市町村事業の事業実施に支障のないよう配慮することを要望してきたところであります。
 大都市におきましては、人口や交通が集中をしてインフラ整備など高度な対策を求められております。中野区においても、中野駅周辺の整備や西武新宿線の連続立体交差に伴う整備など、取り組んでいかなければならないわけであります。この国庫財源が一括交付金化されるといったようなことになったとしても、こうした事業実施に支障を来さないように配分をすることは当然国の務めであると思っておりますし、これについて私どもとしても断固として求めてまいりたい。大都市需要をしっかり加味した配分とするべきであるというふうに考えているところで、今後とも働きかけをしてまいりたいと思っております。
○議長(伊藤正信) 以上で吉原宏議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 久 保 り か
 1 水害対策について
  (1)妙正寺川鷺の宮調節池について
  (2)妙正寺川の護岸整備について
  (3)ハザードマップを活用した避難訓練について
  (4)その他
 2 うつ・自殺対策について
  (1)健診事業を活用した「うつスクリーニング」について
  (2)こころの健康づくりネットワークの推進について
 3 学校教育の充実について
  (1)土曜授業の実施について
  (2)読書活動の推進について
  (3)その他
 4 障害者一般就労の推進について
 5 その他

○議長(伊藤正信) 次に、久保りか議員。
      〔久保りか議員登壇〕
○25番(久保りか) 平成22年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問をさせていただきます。
 区長並びに理事者の皆様には、前向きでわかりやすい御答弁をお願いいたします。
 同僚議員の皆様におかれましては、本日6番目の最後の質問でございますので、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。
 それでは、1番目に、水害対策について伺います。
 初めに、妙正寺川鷺の宮調節池について伺います。
 東京都は、河川激甚災害対策緊急事業が行われていない妙正寺川環七上流に、都営鷺宮アパートの建てかえにあわせた1ヘクタールの妙正寺川鷺の宮調節池の整備を進めています。また、中野区では東京都と協議をしながら調節池にふたがけをして、上部を大規模公園に整備することが予定をされています。
 私は、この調節池と上部活用については、たびたび質問をしてまいりました。中野区と東京都との協議を進める中で、区長の示された上部活用による大規模公園整備の計画は、評価すべきものと思っております。そこで、大規模公園の整備を含め、調節池の整備について質問をさせていただきます。
 まず、この妙正寺川鷺の宮調節池の効果について伺います。
 17年の9月4日の集中豪雨での雨量は、110ミリを超えるものでした。さらに、同年8月15日には鷺宮で124ミリの局地的な豪雨が記録をされています。鷺の宮調節池は一体どの程度の雨量に対応できるものなのか、また、妙正寺川のどのエリアの雨量を取水することになるのか伺います。
 次に、調節池整備のスケジュールと、上部を活用して整備される大規模公園の計画について伺います。
 この公園の計画については、今年度中に決定するということになっています。そこで、公園の具体的な計画について伺います。
 大規模公園整備計画には、区民の利用可能な広場として、少年野球やフットサルにも利用できることが示されています。公園面積は1ヘクタールありますが、変形した敷地で、実際にはどの程度のコートが確保されるのでしょうか。また、フットサルや少年野球ができるためには、20メートル以上のフェンスが設置されなくてはなりませんが、その設置は可能なのでしょうか。さらに、グラウンドには人工芝を望む声がありますが、その点は検討がされているのでしょうか。伺います。
 環境対策については、いかがお考えでしょうか。太陽光パネルの設置や太陽光、風力を利用した自家発電型街路灯の設置や、植樹による緑の確保はどのように計画をされているのか、公園計画の具体的な内容について伺います。
 次に、妙正寺川の護岸整備について伺います。
 7月27日に若宮小学校で行われた説明会の資料には、鷺の宮調節池の下流、大和町流域を含む環七までの1.5キロメートルに護岸整備の記述があります。調節池の整備に合わせ、この範囲の護岸整備が先に行われると誤解された方が多かったようです。しかし、先日の第三建設事務所の説明では、調節池の整備完了後、調節池より上流から先に護岸整備がされるとのことです。護岸整備のスケジュール、整備範囲、護岸整備の効果などはどうなっているのか伺います。
 さらには、この護岸整備の計画によっては、公社鷺宮西住宅の建てかえ時期と工期がぶつかる可能性もあり、西住宅では現在、地盤沈下の心配もされており、建てかえと妙正寺川の整備は密接な関係があります。妙正寺川鷺宮中杉通り上流の整備スケジュールと公社住宅建てかえの時期などの調整はどのようになっているのでしょうか。伺います。
 次に、ハザードマップを活用した避難訓練について伺います。
 私は、平成17年の水害を通し、河川流域に暮らす住民が住んでいる環境を理解し、対策を心得ていることが重要であるということを実感しました。通常行われている避難訓練は震災を想定したもので、水害対策については十分ではありません。実際の雨の降り方はさまざまであるため、現実にはシミュレーションどおりの浸水で被害が発生するとは限りませんが、平成17年9月4日の集中豪雨で検討したところ、おおむね予想区域の範囲内で浸水は発生してることが確認をされています。ハザードマップでマークされているエリアに住む住民を対象とした水害を想定した避難訓練を区が中心となり、関係機関に呼びかけ実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
 この項の最後に、水害対策用土のうについて伺います。
 妙正寺川沿いには5カ所に土のうボックスが設置されましたが、調節池予定地よりも上流には土のうボックスの設置がされていません。また、双鷺橋より上流には全く土のうの設置がされていません。水害対策がおくれている鷺宮周辺にこそ新たに土のうボックスを設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。以上を伺い、この項の質問を終わります。
 次に、うつ・自殺対策について伺います。
 厚生労働省の自殺・うつ対策プロジェクトチームの報告によれば、平成21年の全国の自殺者は3万2,845人と深刻な状況にあります。私は、さきの定例会の決算総括質疑でもうつ・自殺対策について取り上げ、うつ・自殺対策の推進と国や都の緊急強化基金事業等を活用した事業展開について質問をさせていただきました。日々私のもとに寄せられる区民の方の相談からも重要な課題であり、早急に取り組む必要があることを感じています。
 新しい中野をつくる10か年計画の実現へのステップ1には、心の健康についての理解促進、専門医療機関等との連携体制整備、自殺予防に関する普及啓発が示されています。具体的な取り組みを明らかにするべきです。
 初めに、健診事業を活用した「うつスクリーニング」の実施について伺います。
 現在、中野区の介護予防のチェックシートには、うつ病の気づきを意識した項目が入っており、結果によって医療機関に連携するという仕組みが既に中野区にはあります。しかし、このチェックリストの対象者は65歳以上で、現在最も心配をされている働き盛りの中年男性などの世代は対象となっていません。この仕組みを活用し、中野区として特定健診の案内にあわせて問診表を導入し、「うつスクリーニング」を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
 一方、うつ病が増加傾向にあると言われている20代、30代の若年層に対しては、なかなか区側からアプローチをするチャンスがありません。そこで、特定健診の対象ではない若年世代の区民をターゲットとした区のホームページや携帯電話を活用した「うつスクリーニング」について提案をいたします。
 区のホームページのトップページから直接スクリーニングのページにアクセスでき、セルフチェックを行うことができ、区の担当者にメールで結果報告が送れるような仕組みで、幅広い世代へのうつ対策を行うことが可能になります。また、QRコードを印刷したカードをファミレス、コンビニのトイレなどに配置し、携帯電話を利用した(仮称)うつモードにアクセスできる仕組みをつくることで若年層に対するうつ早期発見対策ができると考えますが、いかがでしょうか。
 また、この事業展開には地域自殺対策緊急強化基金の活用も可能であると思います。基金活用を視野に入れた事業実施を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
 次に、(仮称)こころの健康づくりネットワークについて伺います。
 中野区として警察、消防、医師会、民生委員等と連携して(仮称)心の健康づくり連絡会を立ち上げ、ネットワークを構築していくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
 さらに、地域でこころの健康づくりネットワークを推進していくには、ネットワークに参加する団体を束ねるコアとなる組織が必要です。地域のネットワークづくりの中核機能にすこやか福祉センターを位置付けてはいかがでしょうか。年々増加傾向にあるうつ病患者の地域でのサポート体制を整えることも重要な見守り支えあいの課題ではないかと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
 また、庁内におけるこころの健康づくりネットワークを推進する庁内組織づくりも課題であると考えます。職場でのうつの早期発見やうつ病などと診断された場合の職場での対応、復帰後のサポート体制の検討、さらにはうつへの正しい知識の普及・啓発の取り組みを進めるべきであると考えます。お考えを伺います。
 9月に勤労福祉会館で普及・啓発事業として行った大野教授の推奨する認知行動療法は、非常に効果的であったと考えます。まずは職員に認知行動療法の普及・啓発を行うべきではないでしょうか。認知行動療法の普及・啓発については、どのようにお考えでしょうか。伺います。
 また、こころの健康づくりネットワークの構築とあわせ、ゲートキーパーの育成も今後の課題です。ゲートキーパーの育成についてはどのように取り組んでいかれるのか、御見解を伺い、この項の質問を終わります。
  次に、学校教育の充実について伺います。
 2011年4月から、いよいよ新学習指導要領の本格的実施がスタートいたします。新学習指導要領の完全実施により、980時間から1,015時間へと大幅に増加する授業時間をカバーしていくためには、土曜授業を実施することが不可欠です。中野区教育委員会としては、毎月第2土曜日のほか、開校記念日と秋季休業日1日を授業日とすることになっています。これで年間35時間の授業時間を確保することが可能でしょうか。
 また、土曜授業の時間数は3時間ということですが、なぜ土曜日は3時間なのでしょうか。中学校からは月一度の土曜日を4時間以上の授業とすることを望む声もありますが、3時間の授業時間とするのはなぜなのか伺います。
 小学校・中学校では、土曜授業のあり方を一律に考えることはできません。小・中それぞれに効果的な土曜授業の実施を十分に検討すべきと考えます。例えば、中学校では土曜授業を月に2日実施することを目指すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
 また、土曜授業開始に伴い、校務主事、東京都の事務職の出勤体制はどうなるのでしょうか。この点については授業以外にも多くの人手を欲している小学校から心配の声が上がっています。校務主事、都職である事務の体制については、どのように検討されているのか伺います。
 また関連して、土曜日授業実施の部活動への影響について伺います。
 例えば、今まで課題とされてきた広域での部活の推進や外部指導員による部活動への引率など、中学校の部活動の課題とされてきたことの解決策はどうなっているのでしょうか。伺います。
 次に、読書の充実について2点伺います。
 現在、朝読書を実施している小・中学校もふえています。読書の機会を設けることは重要でありますが、形骸化し、授業に入る前の準備段階のようになっていて、読書の記録はとらせず、持ってきている本をただ広げているだけという生徒もいるようです。朝読書の充実のために、図書館指導員がよりかかわることのできる体制をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
 二つ目に、中学生を対象とした読み聞かせの推進について伺います。
 読み聞かせには、言葉をイメージする力が養われ、読書の喜びを実感できる。学力の底上げも可能で、大人と子どもの信頼関係も回復できるとの教育関係者の声もあります。学力の基本となる人の話を聞くことを身につけさせるためにも、中学生への読み聞かせを推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
 この項のその他で、学校教育を充実させるためにも、解決が急がれると思われる課題について、2点伺います。
 一つは、学校事務の負担軽減についてです。
 12月1日公表された文部科学省の調査結果によれば、2009年度、給食費の未納があった公立小・中学校の割合が、前回2005年度の調査から11.8ポイントも上昇し、55.4%となったことがわかりました。全国の未納総額は、推計で約26億円にのぼると見られています。学校を取り巻く環境は、より厳しい状況にあると思わざるを得ません。
 中野区では今後、給食費の長期滞納等、学校では集金の難しいケースに対し、教育委員会が直接集金を行う予定です。この点は、忙しい教員の負担を軽減することに大いに役立つと考えます。学校現場の負担軽減策について、教育委員会としてどのようなサポート体制を推進していくのか伺います。
 この際、校務支援システムの導入やIT化等による学校事務の負担軽減を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 あわせて、提出書類の統合や兼用による事務の簡素化をすることも検討すべきではないでしょうか。伺います。
 その他の二つ目として、外国籍の保護者へのサポート体制について伺います。
 区内には、外国籍の方が年々増加傾向にあります。区内の小・中学校にも外国籍の保護者を持つ児童・生徒がふえています。生活習慣の違いや、身近に相談できる親戚などもない中で、日本の学校教育が理解できず、苦労されている保護者のお話を聞くこともあります。国際交流協会、子ども家庭支援センターなどとも連携を図りながら、サポート体制を構築していくべきと考えます。御見解を伺い、この項の質問を終わります。
 次に、障害者一般就労の推進について伺います。
 中野区では20年12月、商工会館1階に障害者の一般就労の道を開くために、特例子会社を誘致しました。「この特例子会社には1名しか中野区民が就労していない。何のために中野区の施設を貸しているのか」との区民の声を聞き、先日、アイエスエフネットハーモニーを訪問いたしました。お話を聞いたところ、現在では中野区民は3名であり、今後も区民の雇用を拡大していきたいということでした。しかし、区と取り交わしているのは建物賃貸契約だけであり、特に区民の採用の条件等が明記されたものはありません。区は、誘致理由として特例子会社側で中野区在住の障害者を優先的に雇用したいとの意向を示していることを挙げています。この特例子会社による区民の雇用については、どのような計画になっているのでしょうか。また、その約束を裏付けるための契約などはどうなっているのか伺います。
 さらに、今後も特例子会社誘致のために区有地や区有施設を活用していくのでしょうか。特例子会社の誘致や区内在住の障害者の雇用の義務付けなどを企業の賃貸要件に盛り込むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 区内には既に、中野坂上のレオパレスのように、特例子会社として区民の雇用を推進している企業もあります。特例子会社や障害のある区民の採用を視野に入れた企業の誘致を積極的に行うとともに、中野区障害者福祉事業団と連携を図り、もともと区内にあった企業への障害者の雇用促進を進めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
 次に、福祉作業所等で製作される製品の販売促進と、本当に売れるものをつくることを目的とした事業展開を積極的に行うことについて伺います。
 スマイル作業所でつくられているアロマキャンドルは伊勢丹などにも卸し、製品としても完成度の高いものであることがテレビで報道をされました。こうした製品の作成を支援し、作業所で売れる製品づくりを推進するべきです。お考えを伺い、この項の質問を終わります。
 最後にその他で、地域の安全を守るための消防団施設の整備について伺います。
 具体的には、鷺宮詰所跡地を活用した消防団施設の整備について伺います。
 これまで鷺宮詰所跡地については、地域からの公園用地の拡大整備の要望、さらには武蔵台児童館の建てかえ用地の計画がありました。新しい中野をつくる10か年計画には、既に売却用地として示されていますが、鷺宮地域にとって防災拠点として中心的な役割を担う拠点整備が必要とされています。消防団施設の整備を行い、地域の災害時の防災拠点としての役割を担えるよう、鷺宮詰所跡地を活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の御見解を伺います。
 以上で私のすべての質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手)
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 久保議員の御質問にお答えをいたします。
 鷺の宮調節池の効果についてです。
 妙正寺川は、既に時間当たり降雨量30ミリ対応が完了しております。激甚災害対策特別緊急事業によって環状七号線道路から下流域については50ミリ対応が完了したところであります。鷺宮の調節池を整備することによって、調節池から下流域、環七までの部分についても50ミリの降雨に耐えられるようになるということであります。
 この調節池の上部の公園計画についてであります。
 この計画については、東京都河川部との調整や東京都第三建設事務所が設計する覆蓋構造の決定に施設配置案が必要なことから、平成21年11月に策定した今後の大規模校公園整備の基本的考え方に基づいて、上部広場については、御質問にもありましたように少年野球、ミニサッカー、そのほかの軽スポーツができる機能や、憩い、休息機能のある計画になるよう、施設の検討をしているところであります。かなり具体的な内容をという御質問でしたけれども、現時点ではまだ大まかなところまででありまして、今後早急にとりまとめていきたいと考えております。
 それから、妙正寺川の護岸整備の関連であります。
 鷺宮の調節池が整備完了いたしますと、調節池から環状七号線までの下流域が、先ほど言いましたように治水の安全度が高まります。したがいまして、調節池から上流の護岸整備の早期着手が可能になるわけであります。護岸整備については、1時間当たり50ミリ対応をしていくということであります。しかしながら、この上流の護岸整備のスケジュールについては、まだ全く未定という状態でありますので、公社鷺宮西住宅の建てかえとの調整については、今後検討していく予定というふうに聞いているところです。
 それから、洪水ハザードマップを活用した避難訓練についてという御質問であります。
 昨今の大変激しく降る集中豪雨の状況などを見ておりますと、洪水ハザードマップを活用した避難といったようなこともやはり現実的な御提案なのかなというふうに考えるところでございます。浸水予想地域の住民を対象とした避難訓練につきまして、今後関係機関や地域防災会の意見などを聞きながら研究をしてまいりたいと思っております。
 それから、鷺宮地域への土のうの配備であります。
 区内の妙正寺川流域における土のう配備箇所は、常時配備しているもの、それから水害の予想される5月の下旬から11月の下旬における一時的な配備をしているところ、あわせて23カ所であります。また、住民の要望に応じまして通年で個別に配送するなども行っているところであります。御指摘の箇所につきまして、今後区民要望も踏まえつつ、配備箇所をふやすことを検討していきたいと考えております。
 それから、うつ・自殺対策の御質問であります。
 健診事業を活用したうつのスクリーニングについてであります。
 国保特定健診に問診表を同封してうつスクリーニングを健診に組み込んではどうかということであります。
 御提案のような形で組み込もうとすると、人口規模などから相当大がかりなものになるというふうに考えられます。対応する医療機関等のことなども考えますと、直ちの具体化はなかなか難しいというふうに思います。今後簡易なスクリーニングの方法で対象者を見つけ出す方法を考えたり、あるいは、セルフチェックをしてもらって対応するような方法といったようなことについて研究をしてまいりたいというふうに思っております。
 それから、若年層に向けたホームページや携帯を活用したうつスクリーニングについての御質問であります。
 現在、区のホームページにおきまして自殺予防、中野区こころといのちの相談窓口、こころの健康に関する相談支援について掲載するなど、うつの早期発見に関して普及啓発を図っております。ホームページへのアクセス手段としてのQRコード活用については、平成23年1月に予定しております区主催の区民向け講演会のチラシにQRコードを印刷して、中野区携帯版ホームページ自殺予防サイトへアクセスできるようにしたいと考えているところであります。
 それから、地域自殺対策緊急強化基金の活用についてであります。
 今年度、中野区では自殺防止に関するリーフレット作成及び既に実施した自殺対策の一環としてのストレス関連予防事業講演会などの普及啓発事業におきまして、地域自殺対策緊急強化基金事業を活用する予定としております。今後、普及啓発事業以外の基金対象事業についても、今年度の事業の効果などを検証した上で、より効果的で有効な活用方法を検討してまいります。
 それから、こころの健康づくりについての連絡会についての御質問であります。
 運動や栄養、食生活など、健康づくりの取り組みを幅広い区民運動として推進するため、今後医師会をはじめとする関係機関、地域のさまざまな団体、事業者などで構成する(仮称)健康づくり推進協議会の設置を予定しております。こころの健康づくりにかかわる関係機関等の連携のあり方についても、こうした協議会の中で話し合ってまいりたいと思います。
 それから、こころの健康づくりネットワークを推進するに当たって、地域のサポート体制についてという御質問であります。
 すこやか福祉センターは、地域における心の健康づくりの中核施設としてうつなど支援を必要としている区民への保健師による個別ケアや講座事業によるうつへの気づきのための知識の普及なども行っていく、そうした予定でおります。また、今後進めていく地域の支えあい活動の中でも、人々の心の健康が守られるような取り組みへの広がりも視野に入れてまいりたいと考えております。
 それから、職場におけるうつへの対応であります。
 平成20年度にメンタルヘルス対応マニュアルを作成し、職場内におけるうつを含めたメンタル疾患全体の早期発見、早期対応に向けた普及啓発を行っております。メンタル疾患を発症した場合は、病気休暇や病気休職の長期化を防ぐために、健康管理室において精神科医師が本人や職場の上司、または家族との面談を行い、職場や家庭で配慮すべき点について指導助言を行っております。職場復帰後は精神科医師、保健師、臨床心理士が定期的に本人や職場の上司と面談し、状況を確認した上で必要な助言指導を行い、再発防止に取り組んでおります。
 それから、認知行動療法の内容については、職員を対象としたメンタル疾患についての研修に盛り込んでいるところです。
 以上、区における職場のうつ対応の回答でありました。
 それから、ゲートキーパー育成についてであります。
 自殺の背景はさまざまで、複雑に絡み合っておりまして、その困っている人の自殺の危険性に気づくゲートキーパーと呼ばれる人を地域や職場でふやしていくことが重要であります。区の窓口ではさまざまな御相談を承っておりますが、窓口で自殺やうつの傾向を気づき、支援につなげることができるように今年度から、まずは区職員に対して自殺予防のための研修を予定しているところであります。今後は、福祉介護支援事業者なども対象とした研修を実施をいたしまして、その後、地域へとゲートキーパーという役割を担っていける、そうした方々の輪を広げていくことを検討しているところであります。
 私からは以上です。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 学校教育の充実についての御質問にお答えをいたします。
 初めに、土曜授業の実施について幾つか御質問がございました。
 来年度は本年度の土曜授業の取り組み状況を踏まえ、また、教員の勤務の課題もございまして、月1回、3時間授業と予定をしたところでございます。実施回数等につきましては、来年度の実施状況を踏まえ、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、土曜授業の開始に伴い、校務主事や都事務の職員の勤務体制等についての御質問です。
 校務主事につきましては、土曜授業を実施する日に半日の勤務を行います。都の事務職員につきましては、半日での週休日の変更が行えないので、勤務はできません。学校管理上の視点で、学校施設管理員を土曜授業実施時に配置することを検討しております。
 土曜授業に関連して、広域部活の推進や外部指導員の引率の課題がどうなっているのかという御質問がございました。
 広域部活につきましては、東京都教育委員会も一時期検討したことがございますが、生活指導上の問題等、さまざまな課題があり、実現には至ってございません。外部指導員による引率につきましては、中学校体育連盟の規約等によりまして、公式試合には顧問の参加が義務付けられているなど、課題がまだ解決されている状況ではございません。教育委員会といたしましても、外部指導員の充実、また、今後設立を予定しております地域スポーツクラブとの連携に取り組みまして、中学校の部活動を支援してまいりたいというふうに考えております。
 次に、読書活動の推進について、朝読書に学校図書館指導員がかかわれないかという御質問でした。
 各学校で読書活動に工夫を凝らして、朝読書については全校で取り組んでいるところでございます。学校図書館指導員の活用は各学校の判断で行っておりまして、朝読書への活用の必要が生じた学校があれば、勤務時間の変更は可能でございます。朝読書の読み聞かせでは、既に図書のボランティアなどが行っているところでございまして、引き続き朝読書の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
 中学生の読書活動の推進につきましては、読み聞かせを導入してはということでしたが、読み聞かせよりは、本の内容を興味深く紹介をするブックトーク等のほうが中学生にとっては効果的であるというふうに考えておりまして、関係機関や学校図書館指導員を活用しながら読書活動の充実に努めていく考えでございます。
 その他の項で、学校事務の軽減について幾つか御質問がございました。
 まず、給食費の滞納事務につきまして、今年度から給食費等の滞納者に対する学校徴収金未納対応マニュアルを作成し、学校に配布をしたところでございます。長期滞納者については、学校だけではなく、教育委員会も協力しながら督促を行い、それでも解決しない場合については、法的措置も含めた対応を今後行っていく考えでございます。
 2点目として、校務支援システムの導入を考えてはということでした。
 校務支援システムについては、校務の効率化に寄与するものというふうに考えておりますが、使い勝手や価格の点で課題がまだ多いというふうに考えております。今後商品開発が進み、それらの点で改善が見られることが予想されますので、研究に努めてまいります。
 それから、副校長の提出書類等の簡素化の御質問です。
 学校の提出書類については、区教育委員会としても都の資料を直接送付するのではなく、記入しやすいよう工夫しながら対応してございます。また、簡易なものはできるだけメール等で回答を求め、文書処理にかかる作業を短縮できるようにしてございます。今後も調査内容の重複を避けるなど、学校現場に極力負担がかからないように努めてまいります。
 その他の2点目として、外国籍の保護者のサポートについてです。
 これについては、関係機関と連携をとることが大変重要であると考えておりまして、現在も学校と子ども家庭支援センターや国際交流協会が連携をとり合ってございます。児童・生徒が学校生活を円滑に送れるよう、必要な保護者のサポートにつなげるため、関係機関と引き続き連携をとってまいります。
    〔保健福祉部長田中政之登壇〕
○保健福祉部長(田中政之) 私からは、障害者一般就労の推進に関する御質問にお答えをいたします。
 まず、特例子会社における障害者雇用についてお答えをいたします。
 御指摘の特例子会社に対しましては、区といたしましても区民の雇用を働きかけてきたところでございます。現在では区民の雇用がふえており、今後も区民の雇用を進めていく計画と聞いているところでございます。
 区内への特例子会社の誘致につきましては、今後も必要に応じて区施設を活用していくことを考えているところでございます。また、これらの特例子会社に対しましては、原則として区民の障害者を雇用することを要件とする協定を結んでいきたいと考えているところでございます。
 次に、区内企業に対する障害者の雇用促進についてお答えをいたします。
 障害者福祉事業団に委託をしております障害者雇用促進事業によりまして、個々の障害特性に応じた個別支援を強化していくとともに、区内の中小企業に対しましても障害者の雇用を働きかけていきたいと考えているところでございます。
 最後に、福祉作業所の製品づくりの支援と販売促進についてお答えをいたします。
 区内の作業所は小規模で、支援員のみの体制でございまして、それぞれの作業所が商品開発や販路の開拓をしていくことには限界があると考えてございます。売れる商品の企画開発や販路の開拓につきましては、民間企業などの専門的な情報やノウハウを積極的に得て活用していくことが必要であると考えているところでございます。作業所における製品づくりや軽作業などにつきましては、仕入れ側の企業から求められるものに対応できるような支援を行い、工賃アップにつなげていきたいと考えているところでございます。
     〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 鷺宮詰所跡地の活用についてお答えをいたします。
 この用地につきましては、現在も売却の方針に変わりはございません。
 なお、この用地につきまして本年9月に野方消防団第8分団から分団本部用地としてその一部を借用したい旨の要望書が提出をされております。現在、その可能性について検討しているところでございます。
      〔久保りか議員登壇〕
○25番(久保りか) 再質問をさせていただきます。
 時間がございますので、5点お伺いをさせていただきます。
 一つ目に、先ほど区長のほうから調節池の上部の大規模公園の内容についてでございますが、具体的なところについては早急にというようなことでございました。こちらは御承知と思いますが、27年度に大規模公園のほうは完成見込みでございますが、その前に24年度に調節池のほうが完了いたします。調節池のほうの設計とあわせて上部のグラウンド、公園の状態が明確にならないと、そちらのほうも進んでいかないというようなことがあるかと思いますので、これ、早急にということでございますが、いつまでにというところまでお答えいただければと思っております。
 それから、うつのスクリーニングのことでございます。
 特定健診というのは非常に幅広い対象であるので、これでは対応がきかないというようなことでございましたが、私は今、本当にだれもがうつになるような可能性を秘めているのではないかと思っております。そういった意味で、幅広く網をかけていくことが重要なのではないかと思っております。先ほど簡易なあり方でとか、セルフチェックのというようなことでおっしゃっておりましたが、どのような形でそれを広めることを検討されているのか、もし具体的なことがございましたら、ぜひともお聞かせいただきたいと思います。
 それから、先ほど土曜授業のことにつきましてお伺いをいたしました。
 土曜日の4時間授業にすることには勤務の課題等もあるということでございまして、また、土曜日を月に2日実施することを目指すべきではないかということも提案させていただいたのですが、それは学校の勤務の課題がある程度克服すればできることなのでしょうか。どういったことで、次年度からスタートしたところのさまざまなところを見てからというようなお答えなのかもしれませんが、今、現時点ではどのような課題がクリアすればそれは可能になるものなのか教えていただければと思いますので、お答えをお願いいたします。
 それから、障害者一般就労の推進についてでございます。
 先ほど、今後も特例子会社誘致のためには区民の雇用について協定を結んでいきたいというような御答弁でございましたが、それでは最初に質問をさせていただきました、現時点で誘致をした特例子会社、こちらのほうは私が拝見したところでは建物の賃貸契約だけであって、こういった区民の雇用をするというような裏付けとなるような協定書等は結ばれていないように思いました。その辺のところはいかにお考えなんでしょうか。お答えをお願いいたします。
 そして最後に、消防団施設の整備についてでございます。
 こちらのほうは、ぜひともこの消防団の施設の整備をということを私は懇願をしているところでございますけれども、10か年計画の中にこの用地が売却というふうに示されているのは承知をしております。すべての用地を活用していくわけではないと思いますので、この消防団の施設につきましては、前向きに御検討いただきたいと思いますので、再度御答弁をお願いいたします。
      〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。
 鷺宮の調節池の上部の公園ですけれども、下部の構造に関連して設計を今年度中に第三建設事務所のほうが上げると、こういう計画になっております。その際には、その上部からの負荷がどのぐらいかかるのかといったようなことから、上部の構造もあらまし確定していなければならないということで、今年度中にはある程度具体的な計画を決めていきたいと、このように考えております。
 それから、うつのスクリーニングでありますけれども、現在、具体的にはどういう形でというところまでの検討はできておりませんけれども、今回御質問いただいた中で、簡易なスクリーニングの方法のあり方としてはどんなやり方があるだろうかという検討、また、セルフチェックというふうにした場合のフォローの仕方をどういうふうにできるのかといったようなことについて、現在検討を行っているという段階であります。
 私からは以上です。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 土曜授業について、月2回実施できないのはどういう課題があるのかという御質問でした。
 教員の勤務の課題というのも大きい問題があるんですけれども、先ほどの御質問でもありましたように、学校の授業を改正するというのは、教員だけではなく、校務主事でありますとか都事務の職員、さまざまな人材を確保して学校運営をしていかなければならないということで、これらの職員の勤務をどのように確保していくかということが課題だというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように来年度実施を踏まえまして、今後月2回の可能性を探ってまいりたいというふうに考えております。
    〔保健福祉部長田中政之登壇〕
○保健福祉部長(田中政之) 特例子会社における障害者の雇用について再質問がございました。
 御指摘の特例子会社とは、区民の採用の条件等について明文化したものはございません。特例子会社も努力をされてございますけれども、区民の雇用をしっかりと担保するということから、協定を結んでいきたいと考えてございます。
     〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 鷺宮詰所の活用について、改めてお答えを申し上げます。
 10か年計画で示したことについては、着実に実行していきたいというふうに考えておりますが、一方、消防団への支援ということもこれまた大事な課題でございますので、消防団の使用する面積が跡地の一部というようなことも考えあわせまして、慎重に検討を進めていきたいというふうに考えております。
      〔久保りか議員登壇〕
○25番(久保りか) 1点だけ、再々質問をさせていただきます。
 先ほど教育長は、職員の勤務の課題ということをおっしゃっておられました。ということは、職員の勤務の課題がクリアになれば、月に2回の土曜授業が必要であるというふうに教育委員会としては認識をされているのでしょうか。その点につきまして御答弁をお願いいたします。
     〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 教育委員会といたしましても、授業時数をできるだけ確保していくということは必要だというふうに認識をしております。先ほど御答弁させていただきましたように、月2回実施できる可能性をできる限り探っていきたいというふうに考えております。
○議長(伊藤正信) 以上で久保りか議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。
 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤正信) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを、口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後5時25分延会